09/05/27 第2回中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討会議事録 第2回中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討会 議事録 1 日 時 平成21年5月27日(水)15:00〜16:40 2 場 所 中央合同庁舎第7号館第1114号会議室(11階) 3 出席者 [委 員]阿世賀委員、坂部委員、笹島委員、武内委員、橋本委員       [事務局]氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、 鈴井勤労者生活課長補佐       [参考人]清川勤労者退職金共済機構総務部長、 小林勤労者退職金共済機構契約業務部長 4 議 題 (1) 中小企業退職金共済制度について (2) 中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討について (3) 今後の進め方 (4) その他 5 議事内容 ○笹島座長 定刻になりましたので、ただいまから「第2回中小企業退職金共 済制度の加入対象者の範囲に関する検討会」を開催します。本日は臼杵委 員が御欠席、坂部委員は5分ほど遅れて到着されると聞いています。なお、 本日の会合には学習院大学法学部教授の橋本委員が初めて御参加されてお りますので、御紹介いたします。何か一言お願いします。 ○橋本委員 橋本と申します。よろしくお願いします。 ○笹島座長 議事に入る前に、お手元の配付資料の確認をいたしたいと思いま す。お願いします。 ○吉本勤労者生活課長 お手元の資料を御覧いただければと思います。資料1 「『中小企業の従業員の働き方に関するアンケート調査』結果概要」、資料2 「論点と考え方の整理等」、それの別紙として、「同居の親族のみを使用す る事業に適用されない労働関係法令」、参考として「中小企業の従業員の働 き方に関するアンケート調査」の調査票をお配りしています。 ○笹島座長 よろしいですか。まず、事務局から資料1の説明をお願いします。 ○吉本勤労者生活課長 資料1の説明をします。今般の検討に係る主に家族従 業員の方々の働き方というのは、なかなか既存の調査で浮かび上がってこ ない部分がありますので、非常に簡単なアンケート調査ではありますが、 今回機構のほうで実施をしましたので、まずその御紹介を申し上げたいと 思います。  アンケート調査の方法は、従業員の規模が10人未満の事業をサンプルとし て、5,000事業所を抽出しています。中には個人事業、法人事業があります。 また、従業員構成も家族従業員の有無にかかわらず、サンプリングをして いるところです。回収率は14.6%でした。  アンケート調査結果の概要ですが、回答の7割弱の事業において、家族従 業員、同居の親族の方がいると答えていらっしゃいます。また、回答の9 割弱が青色申告を行っています。税制面での給与等の取扱いについては、 個人事業の場合、事業に従事する同居の親族の方の給与を、労務の対価と して必要経費に算入している事業が9割を超えています。これは、主な家 族従業員についてどうかとお聞きした結果です。また、同様に法人事業主 については、9割弱の方が損金算入されているといった結果です。  4つ目の「○」は、後から少し細かく御覧いただきたいと思っていますが、 使用従属関係のメルクマールとなるいくつかの項目があるわけですが、そ れについて聞いていまして、その中の2点ほどを紹介しています。1つ目は、 従業員の方が具体的な指揮命令を受けて働いていると回答された事業主が 7割を超えている。2つ目は、事業主の指揮監督の下で行う労働に対して報 酬が支払われていると回答された事業主が9割を超えている状況です。そ れから現在の加入要件に該当されていない同居の親族のみの事業の方々に ついて、「要件が変わったら加入したいか」ということをお尋ねしたところ、 「加入したい」とされる事業主が約7割という状況です。  3頁では、同居の親族の方だけの事業に限定しまして、同様に見たものです。 傾向は、今申し上げた点と似通っていますが、家族従業員に限って見たも のということで、同居の親族の約8割の方が、事業主の具体的な指揮命令 を受けて働いていらっしゃる。また、9割弱が労働に対して報酬が支払われ ているとされています。また労働時間ですが、事業主又は他の従業員。こ の事業の場合、従業員はおられないわけですが、事業主自身よりも同じか、 それ以上働いている方が6割以上といった結果になっています。さらに次 の「○」は、同居の親族の給与を必要経費に算入している個人事業主につ いて、その従業員に関することを聞いたものですが、同様にその指揮命令 を受けている人が7割以上。また、報酬の支払いがあるというのが9割程 度という結果でした。以上のことから、使用従属関係があると言える場合 が少なくないのではないかと考えられると記しています。  4頁以降は、調査全体の概要を図表でまとめています。簡単に全体を御覧い ただければと思います。4頁の「調査対象の概要」は、回答のあった方が対 象ということです。所在地については御覧いただきますとおり、都市部が 比較的に多い。また8割以上が法人で、個人は2割程度です。5頁の業種 については、御回答いただいた中で建設業が多くなっていまして、製造業、 卸売業、小売業、サービス業といったところが比較的に多くなっている状 況です。6頁は、従業員の数です。左が、すべての従業員の合計の数を聞い たもので、5人以下が7割以上になっています。また、同居の親族の数で見 ますと、7割弱が同居の親族が居る状況になっています。  7頁は、資本金の規模です。1,000万円以下の比較的小規模な企業が多い状 況です。8頁は、青色申告が9割弱というのは先ほど御覧いただいたとおり ですが、従業員の構成については、同居の親族がいる事業というのが赤い ところと紫のところということで6割を超えていまして、同居の親族のみ というのが12%といった状況です。9頁の税制上の給与の取扱いについて は、先ほど概要のところで御覧いただきましたとおりです。10頁は、先ほ どいくつか御覧いただきました使用従属関係のメルクマールとなる項目に ついて聞いたものです。まず左下のグラフですが、仕事の依頼、指示等に 対して、自由に拒否することができるか、できないか。「拒否することはで きない」とするのが4割程度である一方、「拒否することができる」「どち らともいえない」というのがその残りという状況です。具体的な指揮命令 については、先ほど申し上げたとおりです。  11頁の勤務場所、勤務時間の管理については、「管理されている」というの が7割弱と多いわけですが、「管理されていない」等も一定程度ある。また 補助者の使用といった項目もありまして、「認められていない」とするもの が4割程度といちばん多く、「認められている」とするものも一定程度あり ます。12頁の報酬の支払いについては、先ほど御覧いただいたとおり9割 以上が支払い有り。また、ニーズについても先ほど御覧いただいたとおり です。  13頁以降が、各事業における従業員全員に関する属性やその給与、労働時 間等について少し細かく聞いたものの集計で、13頁は家族以外の従業員も 含めたすべての集計結果です。続柄で見ていただくと、同居の親族以外と いうのが7割弱ですが、同居の親族のうち、配偶者がいちばん多く、次い で子供といった状況、年齢は御覧いただきますとおりの状況です。14頁は グラフが3つあって細かくて恐縮ですが、家族以外の従業員と家族従業員 を対比させたもので、左の2つが家族従業員です。そのうちのいちばん左 のものは、他の従業員もいる事業における家族の従業員。真ん中が、ほか の従業員のいない、家族従業員だけの事業における家族従業員の状況とい うことです。給与の支払いについて、家族以外のいちばん右で御覧いただ きますと、無給の方というのは基本的にいらっしゃらず、左のものと比較 して、比較的年収の額が大きいところの分布が多くなっているということ です。左の2つは、分布の傾向は似通っていると申し上げて良いかと思い ます。また、他人の従業員に比べますと無給の方が多い。また、給与の分 布も100万円未満といった比較的少ない所の分布が多くなっている状況で す。  15頁は、労働時間を同様に比較しています。いちばん右の家族以外の方に ついては、事業主か他の労働者と同じ、あるいはそれ以上という方々で9 割程度を占めています。右と比較して、左の2つは似通った傾向です。事 業主等と同じぐらい、あるいはそれ以上というのが6、7割。一方で事業主 の半分ぐらい、あるいはほんの少しといった方々も一定程度おられるとい う状況です。16頁は、設問が事業主の方の御認識として、それぞれの従業 員が使用される側の労働者であるか、使用する側の経営者的な働き方であ るかといったような趣旨でお尋ねをしてみたものです。家族以外の右の方 の場合は、労働者として働いているというのが多いわけですが、左の2つ は労働者として働いているというのが6、7割程度ある一方で、使用者とし て働いている、あるいはその他といった御回答も一定程度あるといった状 況です。  17頁は、今、主要な点はグラフの中で申し上げましたので、割愛させてい ただいています。繰り返しになりますが、他の家族従業員以外の従業員と 家族従業員というのは、ある程度働き方について違いが見られるところが あるわけですが、他の労働者がいるか、いないかによって、家族従業員の 働き方がそれほど変わるわけではないといったようなことが申し上げられ るのではないかと思います。また、使用従属関係のメルクマールといった 点でそれぞれ見てみましても、項目によってはばらつきがあるわけですが、 中の一定程度についてはそれぞれの項目をクリアして、使用従属関係が有 りとされるものも一定程度あると考えられるのではないかと思います。以 上が、資料1の説明です。 ○笹島座長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質 問等がありましたら御発言をお願いします。  それでは、口火を切る形で質問します。あまり本論とは関係ないことかも しれませんが、7頁に資本金規模別の分布が出ていますが、個人事業主にも 資本金というのはあるのですか。それとも、これは個人事業主は全く除外 された数字なのですか。 ○吉本勤労者生活課長 除外しておりません。御回答があったものについては、 集計してしまっています。 ○笹島座長 個人事業主だと、通常資本金というのはあるものですか、ないも のですか。 ○坂部委員 通常はありませんね。 ○笹島座長 そうすると、入っているとしたらどこに入ることになるか、ある いは全く回答しなかったかということになりますか。 ○吉本勤労者生活課長 その個人事業の方をすべて取り除いて集計したわけで はないということですが。 ○阿世賀委員 あるいは、4頁の事業形態の中で、80%以上が法人にしている辺 りと関係するのではないでしょうか。どこからどう見ても個人事業ですが、 銀行との関係でお金を借りるためには、法人という形に無理矢理している というのは5人未満の社会保険適用事業所調査に協力するときなどに、よ く見るところですよね。そういうところで、一応法人形態にして、資本金 という形を設定しているのではないかなと。 ○笹島座長 けれども、個人事業と答えているということですか。 ○阿世賀委員 意識としては、そうではないかなと。結局いかがでしょうか。 ○吉本勤労者生活課長 全体のサンプル数が必ずしも大きくないものですから、 そういった不整合なサンプルをすべて排除しているわけではありませんの で、いまおっしゃったようなことがあろうかと思います。それで、全体の サンプル数で申し上げると720余りでしょうか。そういった中で、いまの 資本金について御回答があったのは694ということで、確かに家族でいう と、個人事業の方の中にも書かれていらっしゃる方がいるということでは ないかと思います。 ○笹島座長 ほかにいかがでしょうか。お気付きの点が何かありましたら。   もう1つ。これは、むしろ坂部委員に教えていただいたほうがよろしいか もしれませんが、9頁の同居の親族の方の給与の取扱いということで、調査 票と表現が違いますが、前回この場で配付された調査票と実際に行った調 査票は同じものですか。 ○吉本勤労者生活課長 この検討会では、今回お手元にあるものが実際お配り した調査票です。 ○笹島座長 事前に見たら、問4が個人事業主の集計に該当しているのではな いかと思いますが、そうですね。 ○吉本勤労者生活課長 そうです。 ○笹島座長 こちらでは、このグラフの説明では届出をしている、届出をして いない。だから、専従者として届け出をしている、していないという趣旨 で、こちらは書かれているのではないかと思いますが、問のほうは単に「算 入していますか」「算入していませんか」ということで、その点もどういう 趣旨で書いたのかということが1つと、給与を払っていれば必ず必要経費 へ算入する、損金に算入すると通常考えますが、これはどういう趣旨です かね。算入していない、届け出をしていないという意味は。 ○坂部委員 私のほうからよろしいですか。これは推測ですが、通常青色申告、 要するに事業をしていて、その専従者、奥さんとかお子さんたちに対して 給与を払うといったときには、届け出をすることによって必要経費に算入 できます。ただ、実務的に言うと非常に小さい事業所ですと、奥様は配偶 者控除というのがありまして、お子さんたちの場合は扶養控除。どちらか の選択です。つまり、必要経費に算入しなければ、配偶者控除も取れると いうのがあります。そういったところを含めたところで、4.9%の方は払っ ている。要するに経費性はあるけれども、リスクから言っても自己否認を して、配偶者控除を取っているのではないかという気がします。 ○笹島座長 その払った金額は、経費として。 ○坂部委員 必要経費にはあえてしていない。 ○笹島座長 だから、結局それだけ収益が上がったという計算になってしまう のですね。 ○坂部委員 所得が増えるという形になります。ただ、それ以上に所得があま りに少ないので、配偶者控除を取ったほうがいいだろうという判断が働く ときもあるのです。 ○笹島座長 その配偶者控除あるいは扶養控除は、どのくらいの金額ですか。 ○坂部委員 38万円とか、そのくらいの控除です。 ○笹島座長 だから、かなり少ないですよね。 ○坂部委員 非常に所得が少ない人が、あえて専従者控除、専従者給与を選ば ずに、配偶者の控除を取るという話も中にはあります。 ○笹島座長 本論と離れてしまうかもしれませんが、38万円だと月給3万円相 当ですよね。むしろ、月5万円なり8万円なりを払っていることにして差 し引いたほうが、経営上ずっと有利ではないですか。 ○坂部委員 経営上有利ですが、所得控除と必要経費算入というのは、事業所 得の計算と申告の中での所得控除と意味が違いますから、ここのところは なるべく所得はある程度出したい。専従者給与を全部取ってしまうと、所 得がマイナスになってしまう。だから、あえて出しておいて、決算書の上 では黒。ただ、税金の計算では、こちらで引くという計算が働くケースも 中にあります。ちょっと実務的な話になってしまいます。 ○笹島座長 どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。もう少 し丁寧に見ていただければ御質問等があるかもしれませんが、また後で出 していただいても結構ですので、先に進んでよろしいでしょうか。  それでは、資料2の説明を事務局からお願いします。 ○吉本勤労者生活課長 資料2「論点と考え方の整理等」を御覧ください。この ペーパーは前回の検討会でお出ししました資料、そのときにいただいた御 意見、また本日御紹介しましたアンケート調査等を踏まえまして、現状、 問題点、今後の取扱いの方向性、その際の問題点等を整理したものです。  1枚目は、現行の中退制度における従業員の取扱いについて、改めてまとめ ています。現在、中小企業退職金共済法においては、この制度の被共済者 とされるものは従業員に限られるということになっています。しかしなが ら、この従業員については、中退法上定義は規定されていません。こうし た中で、これまでの実務においては、従業員は以下にありますとおり取り 扱われてまいりました。基本的には、労働基準法における労働者と同様の 意義ということになるわけですが、従業員とは事業主との間に雇用関係が あるもの。雇用関係とは、すなわち事業主の指揮の下に労務を提供し、そ の提供した労務の対価として事業主から賃金、給与その他これに準ずるも のの支払いを受けているものを言うということです。この雇用関係にある ものについて、使用従属関係という考え方で、それが認められることを要 件にしていまして、以下に紹介しているものは「労働基準法の『労働者』 の判断基準について」という、労働基準法の研究会の報告で出されたもの を書いています。  「下記のような事項を勘案して総合的に判断される」とありまして、大き く2つです。使用者の指揮監督下で労務を提供していることと、使用者が 労働者に支払う賃金が労働の対償であることという、指揮監督の下での労 働ということと、賃金の労務対償性といった大きな2点です。1点目につい ては、具体的には仕事の依頼・指示等に対して拒否する自由を有さないこ ととか、業務の内容・遂行方法について、使用者の具体的な指揮命令を受 けていること。また、勤務場所・勤務時間が指定・管理されていることと いったものが主な判断基準となっています。いちばん下の「○」について は、同居の親族についての取扱いに関しては、労働基準法の労働者の範囲 に関する通知が出されていまして、それによりますと生計を一にする同居 の親族については、他の労働者を使用しその勤務実態が同様の場合には労 働者に該当するというような取扱いをなされてきています。同居の親族の みの場合ですと、この解釈が想定しているところに含まれないものとして、 労働基準法の労働者には含まれないと解されていまして、中退制度でも同 様に取り扱ってきたということです。  現行の取扱いの課題についてです。ただいま申し上げましたような取扱い としていまして、その結果として同居の親族のみを使用する事業について は、その使用従属関係の存在可能性やその確認方法が整理されていなかっ たために、ただいま申し上げたような取扱いとして制度への加入を認めて こなかったという状況です。 一方で、アンケート調査結果については先ほど御紹介したとおりですので、 詳細は割愛しますが、同居の親族のみを使用する事業においても、使用従 属関係がある場合が少なくないと考えられる。また、ニーズも、加入でき るとしたら加入したいとする事業主が7割程度存在する。これらを踏まえ まして、今後の取扱いの方向性としては、同居の親族のみを使用する事業 でも、そこにありますような使用従属関係があると考えられる方が少なか らず存在することが明らかになったということで、これらのものについて は中退法上の従業員として取り扱ってはどうかと整理しています。  取扱いの変更に当たっての課題として、大きく2点、その頁にあります法 令上の問題と次の頁にある実務上の問題に分けて整理をしています。まず 法令上の問題ですが、他の労働関係の法令でその対象がどのように取り扱 われているかということと比較して、今回の対象の変更を整合的に説明で きるかどうかといった観点で検討する必要があるものと考えています。そ のペーパーを御覧いただく前に、別紙として1枚の紙ですが、同居の親族 のみを使用する事業に適用されない労働関係法令といったことで、労働基 準法、労災保険法、雇用保険法について、どういう趣旨で同居の親族のみ を使用する事業を適用除外にしているかということを、コンメンタール等 の関係部分を引用しています。  まず労働基準法については、同居の親族のみを使用する事業については、 事業主とその他のものとの関係を一般の場合と同様の労働関係として取り 扱うのは適当ではないということで、本法の適用除外としたものだと。ま た次にありますように、通常の労働関係とは異なった特徴を有する親族関 係にあるものの労働関係について、国家による監督・規制という法の介入 が不適当であることから、本法の適用を除外したものであるとされていま す。  労災保険法については、受益者となる労働者の定義については、原則とし ては業務災害に関する保険給付は、労基法に規定する災害補償の事由が生 じた場合にこれを行うと定められていまして、労基法と時を同じくしてこ の法制度が発足したことから、労基法に派生するこの法律制度についても、 この労基法が規定する労働者と同一のものと解されるとなっています。  雇用保険法については、失業救済のための保険事業の運営を円滑に行うた めに、その失業という危険にさらされている一定のものを強制的に適用範 囲として危険分散させる必要性があるといったことで、強制保険方式を採 用している。こうした危険分散をする強制的な範囲として、同居の親族に ついては被保険者としないという取扱いの考え方が示されています。  資料2のペーパーに戻っていただきますと、ただいま御紹介したそれぞれ の法制度が、同居親族のみの事業を適用除外としている考え方を改めて書 いています。労働基準法の1点目に書いていることだけに補足しますと、 労働基準法第116条2項は適用除外を定めている規定ですが、同居の親族 のみを使用する事業を適用しないとされていまして、同居親族が使用し又 は使用される関係にあること自体が否定されているものではないのではな いかと考えています。以下の考え方については、ただいま御紹介申し上げ たとおりですので、御覧いただければと思います。  さらに下の「●」で、いま3つの法律について御覧いただきましたように、 各法律の趣旨・目的に照らしまして、例えば1つには労働基準法のように 国家が監督・規制する必要がある分野、雇用保険法のように事故に対して 強制適用方式を採る必要があるような分野、それに加えまして、労働者の 福祉や経済的地位の向上のための分野、これに中退法も入り得るのではな いかと思いますが、それぞれ適用対象が異なるものとなってもいいのでは ないか。そういうことから、同居の親族のみを使用する場合であっても、 この中退制度上は使用従属関係にある場合であって、その加入により福祉 の増進に寄与するのであれば、適用対象とすることが適当ではないかと整 理しています。  最後に、実務上の問題をいくつか書いています。同居の親族以外も使用す るような場合は、先ほど御紹介申し上げた解釈があるわけですが、そうし たものが同居の親族のみを使用する場合には当てはまらないということか ら、どういった基準でそれらの人の使用従属関係なりを判断していくのか といった問題があります。「●」ですが、上記通達に代わるような使用従属 関係の具体的な認定要件をどう考えるか。また、それらの事業について、 一般的には就業規則、雇用契約、賃金台帳等の作成義務が課せられていな いわけですが、加入に際して使用従属関係の要件を満たしていることを確 認するための手段とか手続、また制度加入後もその間、使用従属関係が存 在していることをどのように担保するかといった検討が必要ではないかと いう観点。また、退職をどのように認定するか。前回のこの検討会でも問 題提起をいただいている点ですが、他の従業員がいる事業の従業員とは異 なるという、退職後も引き続き生計を一にしているといったような事情も あることを踏まえて、家族従業員の退職をどのように観念するか、どのよ うに認定するかについても検討が必要ではないか。  一方で、なお書きであえて書きましたのは、そうした手続等の必要性が一 方であるわけですが、それによって生じる共済契約者や被共済者の事務手 続上の負担が、できる限り大きくならないようにといった観点で留意する ことも必要ではないかと整理しています。資料の説明は以上です。 ○笹島座長 ありがとうございました。ただいま、この検討会の考え方といい ますか、要するにこの検討会の考え方をこのように整理していいだろうか という御説明があったわけですが、こういう整理の仕方ではまずいのでは ないかという御意見は後ほど聞くことにしまして、とりあえずただいまの 説明の部分に関連してテクニカルな問題や、ちょっと不明な点などの質問 に限定して何かあれば、御発言をお願いしたいと思います。  私から1点お伺いします。この労働基準法の第116条第2項は、いつごろ こういう条文が入ったのですか。昭和22年冒頭からですか。 ○吉本勤労者生活課長 法制定時からです。 ○笹島座長 どうして、こういうふうに後ろに置かれたのですか。前のほうに、 「この法律で労働者とは」ということで定義があるにもかかわらず、わざ わざ後ろに配置した理由はおわかりですか。 ○橋本委員 前のほうに第8条削除という規定がありますが、労働者概念の近 くに事業概念というのがあって、たしか事業が列挙されていたと思います。 いまは原則、全事業に適用されるので、特に除外されるということで、最 後に残ったのがこの親族のみを使用する事業及び家事使用人ということで。 ○笹島座長 全く同じ条文が前にあったということですね。 ○橋本委員 という理解でいいと思います。 ○笹島座長 わかりました。どうもありがとうございました。ほかに、何かお 気付きの点等はありますか。 ○坂部委員 いまの笹島先生の質問の延長線上になりますが、第116条の第2 項で事業の範囲として、労基法の、基本的には従業員として取り扱うとい う、規定の適用がない旨を定めていると。ただしこの説明文にある、「使用 し、又は使用される」関係があることまでは否定されていないというふう に読めるという趣旨ですよね。ということは、その前提条件の第116条の 第2項で、事業範囲はすべての事業に対して、家族労働のみを扱っている 事業に関しては基本的には外すという、確認していないのでこういう質問 をしますが、まずそれがありきということになるわけですね。例えば、個 人事業とか法人経営、あるいは業種等、いろいろな事業があると思います が、すべてこの事業というものを全体で見て、その中で家族事業について は、少なくとも従業員として取り扱うところから外れている。家族従業員 のみを使用している事業に関しては、ここでいう従業員を扱っている事業 から、労基法から適用ある事業を除くという定義ですよね。回りくどい話 ですが。その中にあって、なおかつ親族のみの場合には、事業の範囲では されているけれども、その中で従業員として取り扱うような関係があるこ とまで否定されていないといった物言いですか。ちょっとここが大前提に あるような気がしまして。 ○吉本勤労者生活課長 条文は、同居の親族のみを使用する事業については適 用しない。 ○坂部委員 しないという単純に、ここで全ての事業を引っくるめて。個人も 法人も全部。 ○吉本勤労者生活課長 それはそうです。個人、法人に関わらずです。 ○橋本委員 ちょっと補足ですが、いま坂部先生のおっしゃったとおりだと思 います。第9条で言う労働者に当たるかもしれないけれども、事業で。 ○坂部委員 全体を外してしまおうということで、ガッサリ外れてしまってい るわけですか。 ○橋本委員 はい。 ○阿世賀委員 確認の意味で、労働基準法というのは、労働者保護法規と言わ れていますが、これは誰から保護するかというと、事業主、使用者からと 解してよろしいのでしょうか。ここの根本的なものとして、それでよろし いですか。 ○吉本勤労者生活課長 構いません。 ○笹島座長 他にいかがでしょうか。それでは、具体的にこの整理の方向につ いてどの部分でも結構ですので、御意見等がありましたら御発言をお願い したいと思います。 ○阿世賀委員 事務局のこの案に非常に近い考えかもしれないですが、もとも と労働基準法というところからいろいろな労災とか雇用とか、労災は直接 に影響がありますが、そこから従来、中退共の労働者というところも全部 一律に引いてきたというところですが、いまの労働者保護法規というのは、 あくまでも使用者から保護する。ということは、あくまでも労使関係の労 使の「使」を監督なり、責任を追求したり、補償を取ったりとか使への強 制とか、そういうところが労働者保護法規の「保護」というところになっ ていますが、この中退共ということを考えてみると、何かから保護すると いうような趣旨というよりは、もう少し広い意味で働く者への福祉の向上 みたいなところがあるので、今までずっと労働基準法から労働者定義とい うところを引っ張ってきて、そうすると家族従業者に残業を払えというの とか、生計同一などにといういろいろなことでアイドリングといいますか、 ぐるぐるしていたところがあるのではないかなと。でも、保護法規なのか 福祉の法律なのか、福祉の向上なのかというところから考えると、少し変 わってくるのではないかなと。それはまた、もっと広い意味で言ったらほ かの法律にも波及するかもしれませんが、基準法そのものとはそれぞれ役 割が変わるのではないかなというところは、改めて各法律の趣旨を読んで みますと、そんなことかなと思った次第です。 ○武内委員 中退共は、定義がなされていないけれども、従業員という言い方 をしています。いままでは、基準法でいうところの労働者と同一の範囲と いうことで考えてきたけれども、中退共としての従業員の定義範囲を改め て考えるという土俵でいいのでしょうか。それとも労働者を踏まえながら、 少し枠を広げると考えたらいいでしょうか。先ほどの基準法でいうところ の関係というのは、使用従属関係にあるとか勤務場所の時間等が特定され るとか指揮命令とかの条件がありますが、その限定でいけば労働者と同じ でも良いように思いますが、ただ、今御発言があったように、あくまでも 中退共の福祉経営の観点から広げるという立場で議論していいものかどう かということです。 ○吉本勤労者生活課長 確かに、労働基準法等の保護法規は最低限の労働条件 の保障といったような観点がある一方、中退法にでは、むしろそれを超え る労働条件の向上、福祉の向上で、使用者にも強制するものではなくて、 むしろ主体的にそれをやっていただけるところにやっていただくというこ とで考えれば、それぞれ性格は違うというところは御指摘のとおりで、そ の観点をもちろん踏まえて御議論いただければと思います。ただ、どこま で広げるかを考えた際に、どういう考えに準拠しつつ考えていったらいい かということになってこようかと思います。そのときに、全くいままでの 労働者の考え方から離れて考えるというのは、事務局としてはなかなか困 難な部分があるのかなと考えているところも正直なところです。 ○武内委員 先ほどのアンケートを見ますと、給料が支払われているとか指揮 命令があるとか、そういうのは当然家族従業員としてあると思いますが、 使用従属関係というのは勤務場所とか勤務時間とか業務内容だと思います。 通常の雇用関係だったら、例えば基準法自体制定時に考えれば、工場であ るとか事業所というのがあって、そこに通勤するという仕組みだと思いま す。当然ながら、始業、終業の時間管理が行われている。家族の場合はそ こは非常に曖昧な気がします。そこは逆に言うと問わないというふうにし ないと、範囲が広がらないのではないかという気が若干します。 ○阿世賀委員 指揮命令といっても、例えば私が夫婦で事業をやるとすると、 労働者はきっと私になりますよね。指揮命令を受ける側というか、細々と。 そうなると、私のほうがあれかな。ちょっとそれは困るな。事業主のほう が指揮命令とか。ただ、あまりそこに細かくこだわるというよりは、労働 に従事してというところがいちばん、要は事業主に従事ではないですよね。 従っているわけではなくて、文字どおり、あくまでも業務に従事している ということではないでしょうか。そこで、かつ賃金を対価として支払われ ていることが、最も働くということの根本になっていくのではないかなと。 従事しているというのは、決して事業主に従属しているという意味ではな いですよね。そこはどうでしょうか。 ○坂部委員 例えば個人事業もそうですし、私は税理士ですが、我々が関与し ているのは中小零細企業も、経営という視点では、経営管理の機能はほと んどない状態です。つまり、上からきちんと指揮命令系統があって、まず 経営目標があってというのが、ビジネスプランなんていったら、ほとんど 皆無ですから、先ほど先生のおっしゃったように、うちも同じです。うち も、うちの専従者に逆にやらされているかもしれないという、ある意味で そんな話が実態です。だから、言葉として指揮命令というものにこだわる と、いかがなものかという気もしますが、それが外れてしまうと根拠が全 くなくなってしまいます。  例えば税務上の基準で言いますと、労務の実態、労働の実態があるかない かというのと、それが相当の対価が支払われているかということで決まっ てきます。そういう視点であると、他の法人とか事業と比較するのだった ら指揮命令は良いかもしれませんが、ここで事業の範囲をまず全部それを 否定してというところからスタートしているというか、そういった話にな っていますから、その事業というのはもともと指揮命令系統がきちんと機 能していない事業であって、労務の実態からして判断して、それらが他の 従業員と基本的には同じ状況であれば、扱って良いという形にしたほうが 実務的には分かりやすいと思います。  税務で言うと、先ほど言った専従者給与というのは税務調査で非常に厳し く見られて、労務の実態とか対価の相当性というのを問われますが、それ は我々の方ではそこに奥さんでも子供でもタイムカードを打っていただい たり、日報を書いてもらったり、業種によってはそういうことをやってい ます。それがないと、どうしても節税目的で実態がないのに、青色申告、 専従に払っているというのがありますから、指揮命令というよりも実態を 明らかにすることによって、他の従業員と同一性を明確にして、オーケー という形にしたほうがいいかなと思います。 ○氏兼勤労者生活部長 この中退制度への加入対象者の範囲を広げるという議 論の前提として、小規模事業者共済というのが経営者のほうですけれども、 一応これとセットで我々は議論しているということで、そうすると小規模 事業者のほうは共同経営者という概念を立てまして、その人はその小規模 事業共済に入る。同じ奥さんでも、経営者的な働き方をされている方はそ ちらに入るという、中小企業庁とも一種のデマケを作って議論しないとい けないのではないかということを話しているわけです。そうすると残るの は何かというと、本当に労務を提供して働いていらっしゃる方。では、そ のメルクマールは何かというところも、考えられるものとしては、使用従 属関係しかないのではないかということで、そういう流れの中で議論をし ているということを前提としてお考えいただければと思います。 ○阿世賀委員 確かに、例えば御夫婦がいらっしゃるとして、一方の方がある 特別の技能を持っていらっしゃって、その補助者みたいなイメージですか。 一人親方には、よくそういう方がいらっしゃいますが、例えばお酒屋さん とか花屋さんとか、そういうところで奥さんのほうが指揮命令していると いうか、共同経営みたいなところはそういったイメージになりますか。そ れは現実的にあり得ますね。 ○坂部委員 実務的に、小規模企業共済というのは中小企業で言うと経営者と 役員。それと同じように、個人事業で言うと個人事業についてのみの状態 になっていますね。確かにそこの方が、奥様というのは先ほどおっしゃっ たように非常に微妙です。実務的に言うと、どちらに入るかが分からない 部分があります。片や従業員、片や朝から晩まで一緒にいますから、敬語 で話をするという話がありますから、どちらかが入ったらどちらかが入ら ないという形の括りというのができればいいと思いますが、いまおっしゃ ったように使用従属関係という定義づけで分けるのがいちばん簡単という か、分けやすいと思います。実態として、どう分けるかですよね。 ○氏兼勤労者生活部長 そこは両方入られるというのは、あまりにも。 ○坂部委員 それは虫がいいのではないですか。 ○氏兼勤労者生活部長 中小企業庁との間の摺り合わせを我々が一生懸命した いと思うのですが、そのメルクマールは経営に関与されているかどうか、 まずそちらを先取りにして、我々は使用従属関係のほうから攻めていくと いうことになるのではないかと考えているところです。 ○武内委員 労働の提供に対する賃金というのは、アンケートを見ると100万 未満が圧倒的に多いですね。たぶん103万を超えないようにしているのだ ろうと思うのですが。有給であればいいのか、要するにお金が払われてい ればいいのかどうか。通常、労基法上の労働者の場合には賃金は相場制も ありますし、最賃もありますから、非常に低いということはあり得ないわ けですね。先ほどの3万とか4万という話がありましたが、そんなことは 絶対にあり得ないわけです。その辺は条件とは全く無関係でよいのか。要 するに有給であればいい。労務が提供され、一定の額が払われていればい い。通常、賃金が支払われる労働者の場合にはどう考えたって、初任給だ って相場があるし、最賃があるわけですから、それ以下ということはない わけですね。その辺は問題にしなくてもいいものかどうか、ちょっと気に なるのですが。 ○阿世賀委員 やはり使用されて賃金が支払われるというところで、しかも労 働に従事している対価ということになれば、これは当然対価として相当性 がなかったらそれはおかしいですよね。そうなると、相場というと、ちょ っとそういったものというのは日本にはまだまだ未形成のところがあるの で、やるとしたら最賃ぐらいはせめてというようなことになりませんか。 ○武内委員 そういう基準を設けることがいいのかどうかということですね。 ○坂部委員 現実問題でも第三者である使用人であれば、相当の対価を払わな ければ、借金をしてでも払わなければならない。ただし、家族従業員の場 合は、我慢してくれという話がほとんどになってしまっているのが実態な のですね。それを先ほど言ったように、個人的な意見とすれば、そこまで 広げてほしい。要するに中退共で持つ。要するにそういう人たちが将来自 分の親がやっている事業がパンクして、さあどうするといったときに、や はり保障がないと厳しい部分があるというのがありますので、そこを逆に 縛るのはいかがなものかと思います。賃金を縛られて、普通の従業員以外 の給料だから駄目だとか、そういうことで縛るのはいかがなものかという 気はいたしますね。 ○笹島座長 ちょっと議論を整理させていただきますと、これまでいろいろな 御意見が出ましたけれども、この考え方の整理に書かれている中退共の対 象者の拡大については、皆さん拡大する方向で検討していいのではないか というお話だったと思います。では、どのくらい拡大するのかというとき に、それは実は最後の、実務上の問題とも絡んでくるかと思うのですが、 どういう範囲まで拡大したらいいかということで、ただいま一定の収入水 準がないと認めるべきではない。できるだけ範囲を広げた方がいいのでは ないかという御意見があったかと思います。とりあえず交通整理というこ とで。 ○阿世賀委員 そう考えたのは労働基準法のようなもののリーガルチェックみ たいな形にしてしまうと、もうガチガチになってしまってとても論議は 堂々巡りになってしまいますから、かといって野放しでも趣旨としてどう かと考えたとき、最低限のところで、趣旨として坂部委員がおっしゃった ように、実態として働いている。かつそれに相当な賃金を受けているとい う一番の原則のところで作るとしたらどうかなというところなのです。 ○笹島座長 この考え方の整理では、どちらかというと、これまでの労基法の 考え方の延長線上で2頁目に特にアンケート調査結果を引用して、指揮命 令を受けている、報酬が支払われている、労働時間就労しているという、 この3つの点を特に考えているわけですが、いまの阿世賀委員のお話から すれば、働いているということですから労働時間が関係してくるだろうと 思うのです。それからその報酬、どちらかというと具体的な指揮命令云々 は、そういうことは現実にはあるのでしょうけれども、それはあまり細か く追求すると、かえって使い勝手の悪い制度になるのではないか、という ような御意見だと、考えてよいですか。 ○阿世賀委員 そうですね。今のところは。ただ、先ほど部長がおっしゃった ように小規模共済等の線引きというのは確かにそうだなとは思います。そ れはすごくわかりやすいです。共同経営者というか主と従というような関 係で家族経営がやられているといいますか、もし女性が主だったら、髪結 いの亭主みたいなものなのでしょう。そういったものは御夫婦でやられて いるところでは、どちらかが主になって、1つの技能なり、ほかには替えが たいという、サラリーマンでやっているよりは、そっちの方がいいという ようなところは、小規模でそういうことをやっていることは理由としてあ るのではないかとは思います。 ○坂部委員 資料2の1枚目、「論点と考え方の整理等」のところの真ん中に「●」 が2つあって、その下の「●」、使用従属関係のところで、もとの企業に戻 ってしまうのかもしれませんが、基準法に規定する労働者と共通している と。使用従属関係のその下、判断基準で、拒否する自由を有さないことと、 使用者の具体的な指揮命令を受けて動いていること。勤務の場所等が指 定・管理されているということは、実質的には小規模の個人事業主で、行 われているのは事実だと思うのです。あとは使用者が労働者に支払う賃金 が、労働の対償。それが高い安いは別にして、ということは実務的に見る と使用従属関係は零細企業と同様に、個人事業主でもあるという風に考え ていいのかなというようには思います。つまり、それを反論するというの は、逆に実務的な面からいうと難しい。使用従属関係がないとは言い切れ ない。だから、1つ怖いのは、税務上でよくあるのは専従者給与を実態がな いのに勝手にいっぱい払ってしまう。いわば節税だけ。それはいわゆる国 税の方ではねますから、国税のほうで認容されて専従者給与に関しては、 ほぼこれに近い状況にあるというような話で考えていいとは思います。  どこまで援用できるかはわかりませんが、国税については専従者給与の届 け出を確実に出さないと適用は受けられません。つまり、出して就職。そ れを取りやめとか、異動があって離脱というように判断できますから、客 観的な事実も、その部分では判断できるかな、援用できるような気がしま す。だから、あまりそこは使用従属関係ばかりに捉われてもいけないので すが、実務面では実態が当然あるのだということで議論を進めても差し障 りはないような気がします。 ○氏兼勤労者生活部長 そこは当然実際に実務を行うケースを想定してみます と、例えば税務当局から青色の取消しを受けるとか、そういうことになれ ば中退共と共済契約者との間の契約の中で、そういうのをきちんとこちら に通知していただくというようなことになるのだと思います。 ○坂部委員 そうですね。当然そのような形にしていかないと。 ○氏兼勤労者生活部長 当然そこで、ある契約の解除をさせていく。 ○坂部委員 つまり税務上の実態がなければ、基本的には駄目ですよというよ うな援用の仕方もできるような気がしますけど。 ○笹島座長 いまの坂部委員のお話は最後の実務上の問題のところで、具体的 にそういう専従者給与の届け出、その認定を受けた場合、そういうことを ここに盛り込めばいいということになりますね。 ○坂部委員 1つのアイディアではあるかなという気はします。具体的な認定要 件に代わるものとして税務署が認めたものに関してはというようなところ で、運用するのが実務的かなとは思います。 ○阿世賀委員 それは高すぎる場合には実態なく支払われているものについて は否認されることはあると思うのですが、低すぎるということについては どうですか。 ○坂部委員 否認はされません。 ○阿世賀委員 されない。 ○坂部委員 届け出の範囲という言い方ですから、その中での支給額の決定な ので、税務上の否認はないです。 ○阿世賀委員 税務上は目的からいってそうだと思います。実態がないのに払 うというのは。 ○坂部委員 必要経費を否認する云々はその範囲であればオーケー。ただし、 先ほど言ったように指揮命令というか、そういう使用従属関係をどこまで それで判断できるかというと、微妙なところはある。ただ、金額が低いか ら従属関係をするということも基本的にはないでしょうし、1つのメルクマ ールというか、基準として使えるかもしれない、そんなようなことです。 ○武内委員 確認としてはおっしゃるように税の手続は毎年やるわけですから、 その中ではできるかと思うのですが、共済というからには、ある程度の長 期の期間で考えるべきですよね。1年、2年で入ったり出たりするようなも のではないと思いますけど、そうなると、どこからスタートして、どこで、 前回も退職の事実をどう確認するかという話がありましたが、何かそうい う期間というものについては何の問題もないものなのでしょうか。共済と いうからには、どこまで継続するかというのはわかりませんけれども、厚 生年金は25年でないと満額もらえませんよね。あのようにある程度の期間 を前提とすることはできるものなのかどうなのか。 ○坂部委員 専従者給与の届け出というのはいちばん最初にやって、あと異動 は金額が比較的変動した時期と、最終的にそれを専従者給与の支払いを取 りやめたときなのですね。ですから、その段階で退職として、それプラス、 個人事業でも給与支払報告、要するに源泉徴収票を発行する義務は税務上 はありますので、そこに退職の日を入れて両方で確認すれば、客観的な証 明にはなるかなという気はします。抱き合わせで。 ○吉本勤労者生活課長 一応中退共の制度としては掛金、一定の月数を掛けて いただかないと、当然支給にならないといったところはあります。ですの で、長くなればそれだけ累進的に共済金は増えるといったような仕組みに はなっています。家族従業員の場合はおっしゃったような形で確認をする のは有力な客観的な資料の1つなのではないかと私どもも考えてはいるの ですが、税制上の書類だけで十分かどうかというところがもう1つあるか なとは思います。 ○阿世賀委員 ロジックとして逆に考えていたのですけれども、実務的な問題 としていつをもって退職とするかという、これは退職金共済ですから、い ちばん重要なことだと思うのですが、それを考えたら原則どおり、使用さ れ、賃金を支払われなくなったときですよね。いちばん広く根本的に言っ て。では、その逆にいうと、今度は加入のときの「賃金を支払われる」と いうことはどういうことなのかというところもある程度考えないと、「賃金 を支払われなくなったとき」も非常に曖昧になってしまうのかなと。そこ でもって、支給するという事態になりますので、ここにも少し問題はあり ますけれども、少し考えなければいけないかなと思った次第です。 ○笹島座長 いまの点に関連して機構に質問なのですが、中退共制度は過去に 遡って加入はできるのですか。 ○清川総務部長 加入時に基本的に過去勤務期間があれば、それを通算するこ とができるような仕組みが一般的にはございます。加入時に、基本的に過 去10年に遡って掛金をまとめて支払うことによって、長期の勤続になった 場合に退職金が有利になりますので、そういったことができるような仕組 みは一般的にはございます。 ○笹島座長 そうすると、ここで例えば同居の親族に適用拡大したときに、で は過去10年分ドンと納めようと。それは当然のことながら経費扱いになる わけですね。 ○坂部委員 はい。 ○笹島座長 そういうケースは当然考えられますね。 ○氏兼勤労者生活部長 容認するかどうかはまた別の話だと思うのです。です から、働いていることをどういう手段で確認するか。一番最後の頁の「●」 の2つ目にありますが、就業規則、雇用契約、賃金台帳、これは一般の労 働者の方にはあるのですが、この類似のものを作らなければ中退共制度に 入れないとしてしまえば、過去加入の入る道はなくなるわけで、その辺の 担保も十分考えていかないといけないということだと思います。 ○阿世賀委員 この労働基準法の諸条件ということを考えると、やはり元に戻 ってしまって、それは無理だということになりかねないのではないか。あ まり細かすぎるし、もう少し広くすることができなくなってしまうかなと。 では何かなと考えて、最低限、賃金としてというようなところではないか なと思うのです。実態として働いていることと賃金があるということ。 ○坂部委員 就業規則とか雇用契約を家族間でするのは実際、現実的にやるか どうかというのは難しい部分があると思うのです。だから、先ほど言った ように労基法の方で規制をかける。労使の関係ということとは少しニュア ンスが違うところが前提条件ですから、賃金台帳、要するにそういった記 録は当たり前のように税務上取っていかないといけないものですから、そ ういった労働の実態を表すような記録、それは求める。あるいは税務で使 ったものを援用するという形で当然やらないといけないと思います。就業 規則や雇用契約をやったときに奥さんは反発ですよね。 ○氏兼勤労者生活部長 それは労基法が求める就業規則と全く同じものを求め るというわけではないのですね。 ○坂部委員 もちろんそうですね。それに類似したものできちんとしたものを 作るという意味では必要かもしれません。 ○吉本勤労者生活課長 制度に入っていただくためには、最低限のこととして どの程度まで求められるのかというところだと思うのです。例えば農業者 の場合、農業者年金があるのですが、そのときに家族間で家族経営協定み たいなものを結んで、いわゆる就業規則みたいなものなのですけれども、 そういうものを前提として加入しているという例もありますので、そうし たものを参考にして考えてもいいのではないか。 ○笹島座長 橋本委員、労働者性をめぐっていろいろな意見が出ましたけれど も、労基法上の労働者性概念から少し離れて、もっと拡大したらどうかと か、そういう議論をお聞きになっていかがですか、何かお気付きになった ことがあれば、御発言いただきたいと思います。 ○橋本委員 ありがとうございます。先生方の議論を聞いて、そのとおりだな と思って伺っておりまして、小規模共済との関係で経営者ではない人とい うことで、一定の従属性というのを要件とするのはやむを得ないと思うの ですが、労基法の、かなり裁判所の判断基準は厳しいので、実態にはおそ らく合わないだろうと思うのです。特に武内先生がおっしゃった時間の管 理という点について、同居の親族のみを使用する事業というのは、家と事 業所が一緒のような形だと思うのです。そうすると、合間に家事をされた りとか、奥さんの場合は育児をされていると思うのです。そうすると、通 常の労働関係とは離れますし、そういうところを厳しく見ていくと、使用 従属性は認められなくなってしまうと思うので、判断は緩やかにしていか ないと加入を認めるというのは難しいのではないかと思います。従業員と いう言葉が非常に独特で、普通は労働法上は労働者といいますので、この 沿革も自分で調べ切れなかったのですが、そういうところも手掛かりにな るので、厳密に労基法に縛られなくてもいいのではないかという考えを少 し持っております。 ○阿世賀委員 それともう1つ、退職ということで一応整理しなければいけな いことがあると思うのです。それは例えばいろいろ税制の優遇措置があり ますので、これはいい制度だからということで掛けている。少し苦しくな ったから「お前辞めたことにしろ」と言って、もらう。そして事業主貸し か何かで、事業のために工面しろと。その後に、いろいろ苦難が去ったら また再加入と、これは有りなのかどうか。もちろんいま現在でも会社を辞 めたら申請して中退共をもらえる。同じ会社に入ったって別に問題はない ですよね。当然それで1年間はもらえない、2年ぐらいだったらまだ損をし ているというのがあるから自然にバランスが取れているということで、そ れでいいのか。もしくは通算加入の場合には2年以内という制度の規定が ありますから、それを逆に引っ繰り返して、2年経ったら再加入してもいい とか、そういうことを一応議論しておかないと、別の方面から単に税金ト ンネルではないかという批判を受けかねないと思いますので、何か少し整 理をしておいた方がいいかなと思います。 ○坂部委員 議論が戻ってしまうのですが、要するに適用除外、今回の中退共 適用除外の事業所、同居の親族のみ自称する事業は駄目。例えば別居の親 族はオーケーですよね。つまり、兄弟がいて、片方は親と同居をしている。 片や弟は別所帯に住んでいる。兄弟が同じように仕事に入っている。当然 同居の親族は働いているけれども、別居の親族は従業員と同じ扱いで入れ るという理解でよろしいですか。 ○吉本勤労者生活課長 そういう方がいらっしゃれば同居の親族のみの事業で はないので、同じように働いていらっしゃれば、同居の方も入れるという ことです。 ○坂部委員 そういうことですよね。実態が同居と同じような兄と弟ですから、 働き方も同じですし、だからどうという話ではないのですが、なかなか難 しい問題です。 ○阿世賀委員 そこはやはり生活時間と労働時間の区分ができないということ ですよね。 ○坂部委員 同居だとそうなのですよね。 ○阿世賀委員 ええ。やはり第三者がいると就業時間を守らないと会社になら ないですから、むしろ第三者がいる社長さんの息子さんのほうが、きっち り労働者らしいですよね。そうしないと組織にならないで崩れてしまいま すので、むしろ気を遣ってきっちりやりますよね。だけど、第三者がいな いと社会性が狂うというか、生活時間と混ざってしまうという、簡単に言 うとそういうことなのではないかと思いますけど。 ○笹島座長 これまでの議論をお聞きしていますと、拡大した方がいい、いや、 労基法上の労働者よりは広げた方がいいですよというお話になっているわ けですが、ここの論点の3枚目に他の労働関係法令との関係を整理されて いますけれども、そうすると、雇用保険も広げたらどうかという発想も。 要するに雇用保険はここに書いてある話ですと、危険分散だと。だから、 できるだけ対象が多いほうがいいのだと書かれているわけですから。雇用 保険もここに書き込みますと、何で雇用保険も広げないのだということに も波及するのではないかというように思うのですが、その点はいかがでし ょうか。 ○吉本勤労者生活課長 ただ、同様の失業という保険事故の危険にさらされて いるものの範囲には、同居の親族はなり得ないということが、いまの保険 法上の整理だと思われますので、そういう切り口でいえば、今回私どもの 方で解釈が明確化を欠いたとしても、直ちに影響が及ぶものではないと思 うわけで、書かせていただいているところではあります。ただ、今後まと め上げていくときに、どの範囲を比較対象としていくかということについ ては精査して考えさせていただければと思います。 ○武内委員 これは中退共における従業員の定義の問題だけで解決できるので すか。つまり、そこの改正だけで。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。いまこの考え方に基づけば従業員の考え 方、把握の仕方を改めるということによって解決できると思っています。 ○氏兼勤労者生活部長 もうちょっと、明確に言えば、定義も変えない、定義 を変えることすらしない。 ○武内委員 定義もね。 ○氏兼勤労者生活部長 労基法上の労働者、中退法上の従業員。労基法は116 条で同居の親族のみの場合は適用除外になっているわけです。ただ、労働 者と従業員というのは指揮監督で労務を提供していて、賃金を支払うもの だという、そういう定義を従来からやってきたわけです。ところが、なぜ 今まで同居の親族のみの事業者を中退法に入れなかったかというと、2頁目 のいちばん上の使用従属関係の存在可能性とか確認方法を整理してこなか ったことがあります。そこは頭を真っ白にして排除しているということで すから、定義を変えることすらしないというのが、今回の考え方です。 ○武内委員 ということは使用従属関係の存在を確認できれば加入できるとい うことですか。 ○氏兼勤労者生活部長 はい、そうです。 ○武内委員 そうすると、その確認方法がいちばん課題ということですね。 ○氏兼勤労者生活部長 そうです。最後の頁の実務上の問題ということが問題 になってくるわけですね。 ○武内委員 でも、ここで認めてこなかった理由は、基準法上の労働者の範囲 をかなり厳格に捉えていたからですよね。ということは、従業員という定 義の中では、基準法上でいう労働者から少し広げたということになるので しょうね。 ○氏兼勤労者生活部長 取扱いは。 ○武内委員 取扱い上はね。 ○氏兼勤労者生活部長 はい。 ○武内委員 この実務上の課題はもう少し掘り下げて、例えばどういう方法で 確認するとか認定するとか、そこの素案みたいなものはお持ちなのですか。 ○吉本勤労者生活課長 いくつか考えているのですが、なかなか難しいところ でございまして、次回までの間にもう少し具体的な素案を私どもで考えさ せていただいて、事前にできるだけ御相談申し上げられればと思っていま す。 ○坂部委員 1つの考え方として、奥さんは家族従業員というよりは、もう一緒 に経営しているというようにある意味割り切ってしまう。あと子供の場合 はそれも選択で後継者というような立場ならば小規模に入れる。それ以外 は基本的にこちらのほうで拾っていくという形が、本当は実務的なのかも しれないですね。奥さんを雇用、使用従属関係にあるというのは難しいよ うな気がします。 ○阿世賀委員 あえて実態に即さない。 ○氏兼勤労者生活部長 でも制度ですので。 ○坂部委員 そうですね。 ○氏兼勤労者生活部長 単に配偶者であるか子どもであるかという見方は、制 度運営としては、たぶん我々法律を所管する立場の者としては少し取りづ らい。やはり実態を見て当てはめていくと。奥様であって、経営に実際に タッチしておられるのであれば。 ○坂部委員 そういう制度的な割り切りも起きるという話なのですよね。 ○氏兼勤労者生活部長 やはりそちらの方からいかないと、所管する者として はお答えしづらいところではあります。 ○阿世賀委員 いまの坂部委員がおっしゃったところで、後継者であれば最初 からというようなこともあるのですが、前回私も退職金というところのそ のものをあまり深く考えないで、例えば国民年金基金などという、それか ら付加年金などのほうが老後ということを考えれば、そちらの充実という ことを考えたのですが、そもそもやはりあれは間違いなく年金なのですよ ね。退職金ではないので退職金をもっと広い意味で。もっと意味は広いし、 慰労なり新生活準備なり。退職して、ただ息子さんが従属関係で、息子は 従属だと思うのです。それが後継者になったときはやはり次のステップに お金が必要だったりします。そういった意味では無理して継続しなくても いいかなとちょっと考えたところです。あくまでも年金ではないのだと、 退職金なのだというところで考えてもいいかなと。新生活準備金みたいな。 そこで事業主になったら、小規模共済に入りたかったら入りなさいとか、 そういう純粋に老後というものだけでないようなものを考えた方がいいの ではないかと、前回から思った次第です。 ○坂部委員 本当に個人事業があまりにも非近代的な経営をしているので、逆 に私の立場からいうと、こういうことをきちんとやることによって記録関 係もきちんと付けて、よりそれの明確な、事業主が意識して、自分の子ど もだとはいえ、違うというような意識にまでもってきていただくと大変う れしいと思うのです。だから、零細企業でも現実問題、子どもを入れて、 ほかの社員の手前、従業員と同じに扱って中退共に入って、後継者で頼む と言ったときに、初めて役員に上げて小規模に入る、というケースは当た り前のように行われていますから、本当は個人事業に関してもそういうこ とにもっていって、流動性に使えれば、逆にありがたいというように思い ます。 ○阿世賀委員 確かに東京商工会議所の相談員みたいな形でうんと零細な企業 を訪問するときには、かなり愕然とするような実態が多いですよね。家族 でやって、しかも住込みで家族同然の第三者というような、そして定年も なくて先のことはよくわからない。いたかったらずっと死ぬまでいなさい とか、そういうのがまだあったりもしますので、そういうところはあまり にも日本の中小企業で、ある部分については非常に家内工業と分離してい ないところもあるという批判がありますので、そういうときに確かに他の いろいろな制度もありますが、中退共という労働者をターゲットとした制 度で枠を広げることは、中小事業主の特別加入という制度が労災保険、労 働保険の普及に非常に役立ったという、何といっても自分が入るわけです から、ここも入れないわけにはいかないという、これで非常に役立ったと いう話は聞いたことがあるのですが、そういった意味で中退共でこれを推 進するというのはまた別の意味もあるかなと思った次第です。細かく考え ればいろいろ小規模共済もあるし、建設共済もありますが、でも中退共で やるというところは、また別のプラスアルファの意義はあるかなという、 それはちょっと思いました。 ○笹島座長 全国にこの中退共と似ている退職金制度はありますね。自治体が 実施していたり、業界団体が実施していたり。そういうところの対象はど うなっているのか、ご存じですか。 ○吉本勤労者生活課長 たしか、今は同居の親族は入っていないです。 ○笹島座長 では同じ。 ○氏兼勤労者生活部長 私どもは法律上きちんとした独立の法律を持っていま すが、特退共は税制上の制度なので、税法から出ていまして、生計を一に する同居の親族は対象外だと書かれています。 ○笹島座長 まあ、ただこちらが変わるとそれも変わるでしょうね。 ○氏兼勤労者生活部長 いや、それはあり得ないと思います。 ○笹島座長 あり得ないですか。 ○氏兼勤労者生活部長 はい。税法の56条でしたか、生計を一にする人につい ては必要経費は認めないというのが。特退共のほうは政令で書かれていま す。税法56条を変えない限りたぶん変わらないだろうと思います。 ○坂部委員 あれは絶対に変えないですからね。 ○笹島座長 この最後の実務上の問題の「●」のいちばん最後の4番目の「●」、 「これらの検討に当たっては共済契約者、被共済者等の負担についても留 意する必要」というのは、共済契約者というのは、これは機構のお話です か。会社ですか。事業主のほうですか。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね、事業主ですね。ここで想定したのは事業 主と御本人です。 ○笹島座長 事業主と本人。本人の負担は。 ○吉本勤労者生活課長 本人が退職金を請求するという仕組みですので、まず 退職の認定をどうするかとか、主には事業主の方なのかもしれません。 ○坂部委員 金銭的な負担ではないですね。 ○吉本勤労者生活課長 事務手続上のという意味です。 ○坂部委員 手続の負担ですね。 ○笹島座長 あまりにもややこしい、あるいは書類を膨大に必要とするような 負担はしないようにと、これはそういう趣旨ですね。各委員から大変活発 な御意見が出て、かなり論点と考え方の整理の内容が深まったのではない かと思いますけれども、まだまだ時間をかければいろいろと出てくるので しょうけれども、これまでの議論を通じまして、論点と考え方の整理、あ るいはそれ以外のところも含めまして、何か御発言等がございましたらお 願いしたいと思います。 ○武内委員 先ほどの話ですと、この使用従属関係の具体的な認定要件という のは労務の提供と賃金の支払いの2つが出ました。これは共通認識だと思 いますが、基準法でいっている勤務場所とか時間というのは、かなり判定 するのは難しいように思うのですが、これはどうなのですかね。認定要件 の中に入れるのか、入れないのか。 ○吉本勤労者生活課長 使用従属関係といったときに、そういったことも含め て総合的に判断するという考え方になっておりますので、そのときに省略 というか、勘案しないものとして排除していいのかどうかといったところ が、まだ慎重に考えなければいけないのかなと思っております。 ○武内委員 雇用関係というのは労働時間が結構重要だと思っています。労働 時間がない雇用契約なり従属関係というのはちょっと考えられないわけで す。 ○阿世賀委員 そうですね。確かに民法623条から出てくることは、従事する ということ自体の言葉から出てくるのは労働時間ですからね。 ○武内委員 労働時間ですよね。 ○阿世賀委員 完成という1つの点ではないですからね、プロセスですから、 労働時間は外せないのではないか、従事するという言葉から考えると。そ れは本当に家事しながら、ご飯を作りながら子どもを育てながらというこ ともあり得るでしょうから、厳密なものではないにしても、概ねのところ は必要なのではないかと。そういった意味で最低基準みたいなものは労働 対価である以上はほしいなと。 ○笹島座長 制度上は労働時間が短いと機構の契約ではパート労働者扱いにな って、掛金の上限が低くなってしまうのですか。その辺はいかがでしょう か。 ○清川総務部長 基本的にはその点については掛け金は毎月5,000円から3万 円と定められているわけですが、それが短時間労働者の場合に、そうなる と5,000円もなかなか事業主にとっては負担であるということで、短時間 の場合には5,000円以上だと当然いいのですが、それより低い特別の4,000 円とか3,000円とか、そういう額でも可能であるというような制度設計に なっています。 ○笹島座長 言い換えますとパートタイム労働者でも上限の3万円も認められ るということですか。 ○清川総務部長 それは可能だと思います。 ○笹島座長 そうですか。 ○氏兼勤労者生活部長 そこが他人の労働者と違うところで、あまり身内だか らといって甘くすると、優遇的な措置を与えてしまうということで、規律 は必要であるということだと思います。他人ですとお金を出すわけですか ら、自ずと誰も出したくないわけですから、そこを出そうということです から。 ○笹島座長 ただ、今回の対象はそういう他人がいない事業ですよね。だから 身内だけしかいないわけだから、できるだけ節税効果を利用しようという ことで、上限まで掛けたいというケースが出てくるのではないかと。 ○氏兼勤労者生活部長 ですから、そこはきちんと労働、労務の提供の実態を 見ないと、むしろ不公平なことになるということだと思います。 ○阿世賀委員 そういうところの実態を見ていると、今回は第三者がいないと ころでもというところですが、息子と一緒に仕事をしていて、少し景気が 良くなると息子の従兄弟というか、甥も入れるとか、そういうのはよくあ ることですので、これでもって波及効果は若干あるのではないかという気 はいたします。 ○坂部委員 掛金は基本的には任意ですよね。だから、要するに事業主の考え 方1つで決まってしまうということがあるのですが、でも自ずと、まして やこの時代、節税だけを考えて掛金など不可能なので、いまの段階だから オーケーで、将来良くなってきたときに節税効果という話の議論はあった としても、そこはある程度経営に任せたとしても構わない。それはもう節 税するのは当然事業経営者としては当然の行動ですし、そこにハードルを かける必要はあまりないかな。金額の高、掛金の多寡に関してはあまり慎 重になる必要はないかなと個人的には思います。歯止めは必要かもしれま せん。要するに入る入らないという歯止めは必要かもしれませんが、そこ から先の話は経営判断で、それはどのような事業、つまり法人でも大企業 でも中小企業でも全部同じにやっていますから、差を付ける必要はないで しょう。 ○笹島座長 他にいかがでしょうか。まだまだ御意見は時間をかければあるか もしれませんけれども、本日のところは意見交換はこの程度にさせていた だければと思います。それで、いま論点と考え方の整理等について、御議 論いただいた内容を踏まえまして、事務局の方でこの検討会の報告書の素 案を作成し、それを次回検討したいと思っております。事務局から何か今 後の進め方等についてお話をいただければと思います。 ○吉本勤労者生活課長 ただいま座長からお話がありましたような形で進めさ せていただければありがたいと思っています。できましたら次回の前に、 少し先生方にも個別に御相談してと思っています。具体的な日程について は調整させていただいておりますが、改めて確定次第御連絡を申し上げた いと思います。 ○武内委員 それはいつごろまでというか、目処はおありなのですか。 ○吉本勤労者生活課長 できるだけ早くとは思っておりまして、来月中という のを目標にしております。 ○笹島座長 また、各委員におかれましても、今日の資料をお持ち返りいただ いて、追加的に御意見等、何かありましたら事務局に御連絡いただければ と思います。それでは本日はこの辺で終了してよろしいでしょうか。よろ しいですか。それでは以上をもちまして第2回目の検討会を終了いたしま す。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。 照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 調査係、企画係  (内線5374、5376)