09/05/26 第22回労働政策審議会 日時: 平成21年5月26日(火)10:00〜 場所: 厚生労働省省議室(9階) 出 席 者 【公益代表】 今田委員、今野委員、岩村委員、諏訪委員、林委員、        宮本委員 【労働者代表】加藤委員、古賀委員、滝澤委員、土屋委員、南雲委員、        宮下委員、山口委員 【使用者代表】市川委員、市野委員、大橋(洋)委員、岡田委員、川本委員、        吉川委員、土谷委員、三浦委員 【事務局 】渡辺厚生労働副大臣、上村厚生労働審議官、森山総括審議官、        村木総括審議官(国際担当)、金子労働基準局長、太田職業安定局長、        草野職業能力開発局長、村木雇用均等・児童家庭局長、        小野政策統括官、荒井政策評価審議官、生田労働政策担当参事官 議題 (1) 会長の選挙 (2) 経済危機対策及び平成21年度補正予算案の主要事項(労働政策関係) (3) 雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意について (4) 地方分権改革について (5) 法案の国会審議状況等について    (6) その他 配布資料  資料1−1 労働政策審議会委員名簿  資料1−2 労働政策審議会分科会委員名簿  資料2−1 現下の雇用失業情勢及び雇用対策の実施状況について  資料2−2 「経済危機対策」に盛り込まれた主な雇用対策について  資料2−3 平成21年度補正予算案の主要事項(緊急雇用対策の抜粋)  資料2−4 経済危機対策  資料3   雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意  資料4−1 地方分権改革について  資料4−2 「地方分権改革に関する意見」(労働政策審議会)  資料5   第171回通常国会における法案の審議状況について ○生田労働政策担当参事官 ただいまより「第22回労働政策審議会」を開催い たします。会長が決まるまでの間、事務局が議事を進行させていただきますの でご協力をお願いいたします。本日は、渡辺厚生労働副大臣にご出席をいただ いております。まず、渡辺副大臣からご挨拶を申し上げます。 ○渡辺厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。厚生労働副大臣の渡辺孝 男でございます。本日はご多用のところ、労働政策審議会にご参集いただきま してありがとうございます。労働政策審議会第5期の委員の皆様による初会合 に当たりまして一言ご挨拶を申し上げたいと思います。  米国の金融危機に端を発した世界同時不況の中で、最近の雇用情勢は、完全 失業率が4.8%まで上昇するとともに、有効求人倍率が0.52倍まで低下するなど、 厳しさを増しております。こうした中で派遣労働者等の雇止め、新卒者の就職 内定取消しなどの問題も生じておりまして、今後、雇用の大幅な調整が引き続 き懸念される状況です。また、近年の労働行政におきましては、若者の雇用の 問題、そして働き方の多様化、また仕事と生活の調和、少子・高齢化社会への 対応、地域の雇用創出など、様々な課題を抱えているわけです。こうした中で 平成19年12月には本審議会から、今後の雇用労働政策の基本的考え方の尺度 として、公正・安定・多様性の3つを重視していくべきと、今後の政策の礎と なる建議をいただいているわけです。また、本年2月には地方分権改革に関す る意見として、国によるハローワークの全国ネットワークのサービス推進体制 の堅持など、力強いご意見をいただいております。今後とも厚生労働省として は、このご意見を踏まえ、地方分権改革の推進に当たり、適切に対処してまい りたいと考えております。  また、4月には政府の経済対策が打ち出されて、厚生労働省としては、1つ目 には雇用調整助成金の拡充、2つ目には再就職支援・能力開発対策、3つ目には 雇用創出対策の拡充、4つ目には派遣労働者保護、内定取消し対策、5つ目には 住宅・生活支援など、総額で2兆5,000億円の雇用対策に取り組んでまいります。  さらに今国会におきましては、本審議会の委員の皆様のご尽力をいただきま して、3件の労働関係法案を提出しているところです。このうち改正雇用保険法 は3月に成立しております。労働者派遣法改正案及び育児・介護休業法の改正 案はこれから審議が行われます。引き続き提出の法案の成立に向けて最善を尽 してまいります。  最後になりますが、本審議会の委員の皆様方におかれましては、今後の労働 政策の方向性などについて、総合的な見地から調査・審議を行うという重要な 役割を担っていただくことになります。委員の皆様方の幅広いご見識と豊かな ご経験に基づき、有意義なご議論をいただけますようお願い申し上げまして、 私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○生田労働政策担当参事官 それでは渡辺副大臣は、所用のためここで退席を させていただきます。                (渡辺副大臣退席) ○生田労働政策担当参事官 議事に入る前に、新たに委員にご就任された方の ご紹介をさせていただきます。お手元の資料1-1に名簿が付いております。新た に委員に就任された方をご紹介いたします。  公益代表委員は、法政大学大学院政策創造研究科教授の諏訪委員、放送大学 教養学部教授の宮本委員です。また、本日はご欠席されておりますが、北里大 学医学部長の相澤委員が就任されております。  続きまして労働者代表委員は、本日はご欠席されておりますが、日本基幹産 業労働組合連合会中央執行委員長の内藤委員が就任されております。 使用者代表委員は、全国中小企業団体中央会専務理事の市川委員、東京ガス株 式会社取締役会長の市野委員、全日本空輸株式会社取締役会長の大橋委員、株 式会社ベネッセコーポレーション執行役員の岡田委員、株式会社吉香代表取締 役社長の吉川委員、イオン株式会社執行役の土谷委員です。 本日、任命辞令を机の上に置かせていただいております。併せて、審議会関係 法令、運営規程等、参考資料として配付しております。また、資料1-2に、労働 政策審議会分科会委員名簿を付けております。これは後ほど参考にご覧いただ ければと思います。  それでは議事に移りたいと思います。まず、本日の第1の議題は「会長の選 挙」です。労働政策審議会令第5条により、公益を代表する委員の中から委員 が選挙するということで、委員の皆様に会長を選んでいただくということにな っておりますが、いかがいたしましょうか。 ○岩村委員 諏訪委員にお願いできたらと存じますが、いかがでしょうか。 ○生田労働政策担当参事官 いま諏訪委員を会長にというご推薦がありました が、諏訪委員に会長にご就任をいただくということでよろしいですか。                  (異議なし) ○生田労働政策担当参事官 ありがとうございます。それでは、諏訪委員に会 長にご就任いただくことといたしまして、以後の議事の進行につきましては、 諏訪委員にお願いをいたします。 ○諏訪会長 それではご指名ですので、皆様のこの審議会が大事な時期に良い 成果を上げていくことができますように、微力を尽させていただきたいと思い ます。どうぞよろしくお願いいたします。  最初に会長代理の指名をさせていただきます。労働政策審議会令によります と、私から会長代理を指名するということになっております。今野委員に会長 代理をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  次に議題に移ります。第2の議題は「経済危機対策及び平成21年度補正予算 案の主要事項(労働政策関係)」及び第3の議題「雇用安定・創出の実現に向け た政労使合意について」まとめて事務局からご説明をお願いいたします。 ○生田労働政策担当参事官 お手元の資料2-1から資料2-4、資料3を使ってご 説明いたします。  資料2-1は、雇用の現状と、いままでの雇用対策の実績について整理した資料 です。1頁目、下にグラフが付いておりますが、上のほうに主要ポイントが書 いてありますので、それを使ってご説明いたします。  完全失業率については、いちばんいい時が直近で平成19年7月の3.6%だっ たのですが、3月には4.8%まで悪化しております。2月は4.4%だったので、0.4 ポイント上がっているということです。  有効求人倍率につきましては、直近のいい数字は、平成19年6月の1.06倍か ら0.52倍まで落ちております。2月が0.59倍だったので、0.07急に落ちたとい う状況です。  事業主都合離職者につきましては、前年同月比で155.9%の増加ということで、 わかりやすく言いますと、2.6倍になっているということです。非常に事業主都 合離職者が多くなっているということです。  いちばん下の非正規労働者の雇止め等につきまして、従来から数字を発表し ておりますが、昨年の10月から今年の6月までの雇止め等の数につきましては 20万人です。詳細につきましては、2頁目にあります。数としては、やはり派 遣がいちばん多いということで13万2,000人、期間工等が4万4,000人といっ たような数になっております。派遣の中の内訳が下の表の中にあります。期間 満了6万3,000人に対して、中途解除が5万9,000人ということで、中途解除は 期間満了より少ないのですが、それなりに数が多いという状況になっておりま す。  3頁目、これが今までの対策の実績を書いたものです。左側が平成20年度中 に実施している対策で、右側が年度末以降に対策を強化された内容です。まず、 雇用維持ですが、雇用調整助成金につきましては、相当拡充を続けております。 中小企業につきましては賃金手当等の5分の4の助成をし、大企業は3分の2 の助成をするということで手厚くなっております。この対象者につきましては、 雇用期間が6カ月間未満の労働者、あるいは新規学卒者も新しく対象にすると いう対応をしております。支給事務の簡素化等を行っております。その結果、 今年の3月現在で事業所数で4万8,000、対象者数で238万人の方が雇用調整助 成金の対象になっているということで、相当の雇用維持効果を発揮しておりま す。  右側のほうですが、この対策につきましては、さらに拡充をするということ で、後ほどご紹介する政労使合意で「日本型ワークシェアリング」を進めると いう考えの整理もあって、(1)(2)のような対応を新しくしております。(1)は雇用 調整助成金につきまして、派遣労働者も含めて労働者の解雇等をしない場合に つきましては、さらに上乗せをするということで、中小企業は10分の9、大企 業は4分の3の助成をする。(2)は残業を大幅に削減して、非正規労働者等の雇 用の維持をした場合の助成措置を新しく作って、契約労働者につきましては、 年30万円、派遣労働者につきましては45万円、大企業はそれぞれ20万円、30 万円を助成するといったような措置を今年の3月30日からスタートしておりま す。  派遣事業につきましては、派遣元・派遣先指針を改正して、派遣契約の中途 解除につきまして一定の対応をするということです。まず、派遣元につきまし ては、派遣契約の中途解除があった場合には、新しい派遣先を見つけるという ことも含めますが、雇用維持をするということ。派遣先につきましては、派遣 契約を中途解除する場合に、派遣元が仮に休業手当を払うというケースにつき ましては、その休業手当分の損害賠償をするといったような賠償を行うという ことを明記して、併せて指導を強化しております。これは今年の3月31日から スタートしているところです。  雇用創出・再就職支援の関係については、雇用創出のための基金ということ で、4,000億円の基金を創設し、このうち「ふるさと雇用再生特別交付金」2,500 億円、「緊急雇用創出事業」1,500億円につきまして、すべての都道府県ですで に交付を完了し、措置のスタートが図られております。ふるさと雇用再生特別 交付金の方が民間を活用して1年以上の安定雇用の場を作り出すというもので す。緊急雇用創出事業につきましては、自治体が直接雇用してもいいというこ とを前提に、6カ月未満のつなぎ的な雇用で、緊急の雇用の事態に対応していく という考え方のものです。  その下に雇入れ助成の拡充、離職者訓練の強化と書いておりますが、39歳ま での年長フリーター等や、あるいは内定を取り消された方、受け入れている派 遣労働者を直接雇用した場合などに、1人当たり100万円、大企業につきまして は50万円の助成措置を採って、こういった方の雇入れを促進しようというもの です。あと、離職者訓練の実施規模の拡充を図っております。  年度末以降ということでは、政労使合意を踏まえて、労使から「ふるさと雇 用再生特別交付金」に拠出するという場合、その基金の上積みができるように、 都道府県に対して依頼をしているということ。離職者訓練の実施規模の拡充と、 従来、長期訓練は実質的に行われていなかったわけですが、2年や1年の訓練を 実施して、安定雇用につなげていこうという対策が4月1日からスタートして おります。  セーフティネット・生活支援については、住宅対策というのは、今回の不況 では非常に重要でありました。相談窓口を設置しておりますが、雇用促進住宅 につきましては、これを活用して、5月22日現在で6,459件の入居が決定して おります。労働金庫にもご協力をお願いして、最大186万円の住宅確保・生活 支援貸付をスタートしております。これにつきましては、同じく7,967件、ほぼ 8,000件の貸付がすでに決定されているところです。  離職後も社宅・寮等に引き続き入居していただく場合につきましては、事業 主の方に4万円から6万円の助成措置をする。これにつきましては3月分で5,881 名に活用されているということです。こういった形で住宅の確保が行われてい る状況です。  職業訓練期間中の生活保障につきましては、後ほど御説明しますが、新しい 対策では、給付の方式で生活保障をするということです。このスタート時点で は、貸付返還免除方式でスタートしておりますが、これについても5月22日現 在で申請167件、貸付決定111件が活用されている状況です。  右側に移りまして、セーフティネットでは雇用保険法の改正が成立して、施 行しているのは非常に大きいわけです。非正規労働者の適用範囲の拡大、再就 職が困難な場合につきましては60日間の延長給付を行うことなど、新しい対応 がなされております。職業訓練期間中の生活保障の拡充につきましては、貸付 制度の対象者をさらに拡大する措置をとっております。  内定取消し対策などにつきましては、昨年11月より特別相談窓口を設置し ています。あるいは内定取消しをしないように企業を指導強化しておりますが、 今年の1月19日に職業安定法施行規則を改正して、企業名公表制度の根拠規定 が設けられました。それに基づいて3月末、4月末に合わせて15社の企業名公 表がすでに行われております。以上が、今までの対策の実施状況です。  資料2-2につきましては、1頁目でご説明をいたします。先ほど副大臣からお 話がございましたように、総額2.5兆円の補正予算が、現在参議院の予算委員会 で審議中で、成立次第、実施する考え方です。T.雇用維持対策につきましては、 雇用調整助成金につきまして、最初の2つのポツは、先ほどご説明した内容で す。それ以外に、大企業の教育訓練費1,200円を4,000円に引き上げるといった ような内容が含まれております。  支給限度日数につきましては、3年間300日という上限がありますが、1年間 で200日の上限を付けておりましたが、それを撤廃して1年間で300日使い切 ることもできるような対応にするということ。こういった助成措置の拡充、あ るいはたくさん使われておりますので、それに対応するために6,000億円の必要 額の確保をしたというものです。  U.再就職支援・能力開発につきましては、7,000億円の「緊急人材育成・就職 支援基金」を設けて、ポツが4つ付いていますが、そのような対応をすること になっております。最初のポツが雇用保険を受給していない方につきまして、 訓練期間中の生活保障のための「訓練・生活支援給付」を行うということです。 3年間、100万人の訓練をやることが前提です。給付としては、単身者10万円、 扶養家族がおられる方は12万円の給付をするということです。併せて、希望者 には単身者5万円、扶養家族がおられる方には8万円の貸付も行うということ です。就職された場合につきましては、半額返還免除ということで、扶養家族 がおられる方につきましては、最大20万円の給付、給付的なものを活用しなが ら訓練が受けられることになります。これにつきましては、積極的に対応して いきたいと考えております。  次のポツは、中小企業では人材が足りないという企業が相変わらずあります ので、そういった所に実習雇用の形で雇っていただいて、最終的に正社員とし て雇用していただくということで、10万円の費用を6カ月間お支払いして、最 終的に正社員で雇っていただくときには100万円をお支払いするという形で雇 用をしていただくような仕組みになっております。  その下に、介護、ものづくりなどにつきましては、現場を見ないとなかなか 就職する気にならない。あるいは人によっても実際に来た人を見てみないとわ からないという面がありますので、事業主団体等と連携して職場体験、職場見 学を実施することにしております。こういった体験の実費をみるという考え方 です。最終的にこの体験などを経て、正社員として雇っていただいたときには 100万円を出す形もとることにしております。  長期失業者や住宅を喪失して就職が困難となっている方につきましては、民 間事業者の方に委託して、再就職支援、住居・生活支援を行うことにしており ます。その下に、職業能力開発支援の拡充・強化と書いております。財源の話 をしませんでしたが、先ほどの雇用維持対策6,000億円につきましては、雇用勘 定で雇用保険事業のお金です。7,000億円につきましては一般会計です。145億 円につきましては雇用勘定ですが、これにつきましてはジョブ・カード訓練を 受ける場合に、企業に対する支援額をアップするというのは非常に大きなメニ ューです。4分の3から5分の4にアップするというのが中心です。  委託訓練の実施規模を拡大したり、あるいは託児サービスを提供するという ことで、これにつきましては1カ月6万6,000円の費用で託児サービスを提供し ようということで、1,500人分の費用を確保しております。こういったことをや っていく考えです。  ハローワーク機能の抜本的強化ということで、いまハローワークは雇用調整 助成金の問題、あるいは雇用保険の受給者、職業相談、それぞれ混み合ってお り、利用者の方にご迷惑をおかけしているところがございます。今回、この抜 本的強化ということで、常勤職員304名、非常勤職員7,043名の確保をするとい うことで、合計265億円の措置をとることにしております。これで何とかひと 息つけるのではないかと考えております。ただ、常勤職員につきましては3年 間の任期雇用ということで、3年間で雇用期間が終わるという考え方で雇われて いるということです。  V.雇用創出対策につきましては、先ほどご説明した緊急雇用創出事業につき まして3,000億円、さらに基金を積みますという考え方で、先ほど申し上げた 1,500億円に3,000億円が積み増されて4,500億円になるということです。先ほ どのふるさと再生の2,500億円の基金と併せて7,000億円の基金で地域における 雇用創出を図るという考え方です。  W.派遣労働者保護対策等については、いちばん上の派遣切りの防止など派遣 労働者保護の強化等の2つ目のポツまでは、先ほどご説明した内容と重複しま すので説明は省略いたします。その下に製造業務派遣の重点監督の実施、ある いは派遣会社に関する資産、現金・預金等の許可要件の厳格化が書いてありま す。いちばん下の許可要件の厳格化につきましては、5月18日に要領改定の施 行の通達を出しており、施行につきましては新規許可について10月1日、更新 許可については来年の4月1日施行ということです。資産要件につきましては 1,000万円を2,000万円にすること。あるいは、現金・預金要件につきまして800 万円を1,500円に上げることといったような内容が盛り込まれております。  内定取消し対策については、すでに企業名公表等を行っております。面接会 等も積極的に行うということ。育児休業の取得等を理由とした解雇、「育休切り」 と俗に言われておりますが、そういったことに対して適切な対応を行っていた だくための相談援助を行うこと。未払賃金の立替払制度につきましては、きち んと費用を確保するということで、76億円と合計額、内定取消し等と書いてお りますが、このうちの74億円が未払賃金立替払の金額です。  障害者の雇用対策は5.5億円を確保しておりますが、障害者に対する雇用調整 助成金の助成率の引き上げ、都道府県労働局及びハローワークにおいて「チャ レンジ雇用」を100名拡大及びハローワークの障害者専門支援員について447 名まで増員といったことが含まれております。外国人への支援につきましては、 基金のうちの費用を一定額当てますが、通訳・相談員の増配置といったような ことです。これは通訳を133名増員します。日系人については日本語能力を含 む研修をする。こういったようなことをしないと就職ができないものですから、 これについては1,000人分の確保をしております。  帰国支援ということで、希望される方につきましてはご本人に30万円、ご家 族の方には1人20万円をお支払いして、帰国していただくような応援をする。 技能実習につきましては、仮に帰国するときにその責任は受入れ事業主、ある いは受入れ団体が負うわけですが、お金を払えないときがありますので、立替 払いをするということで、1人当たり10万円の立替払いの費用を確保するとい った内容が盛り込まれております。  最後に、住宅・生活支援については、先ほどの住宅の貸付に合わせて、そう いった支援策が受けられない方につきましては、住宅手当6カ月分。これは生 活保護の住宅扶助に準ずるような金額です。あとつなぎ資金ということで、雇 用保険のお金が出るまでの間、あるいは貸付の費用が出るまでの間、上限10万 円のつなぎの資金を出すといったようなこと。生活保障、資金貸付ということ で、これは貸付ですが、最大月に20万円、1年間の貸付制度を設けるといった フォローもして対応することとしております。  2頁目以下は、個別の対策について詳細を付けております。9頁目は、「最近 の経済対策における雇用対策」を順を追って紹介したものです。3つ目の「生活 防衛のための緊急対策」まではすでにご説明しておりますが、いまご説明した 内容がいちばん右端の「経済危機対策」の内容です。予算額の詳細につきまし ては、資料2-3の縦書きの資料の中で、相当細かく書いてありますので、後ほど ご覧いただければと思います。  資料2-4は、政府全体の「経済危機対策」ですので、これは参考に後ほどご覧 いただければと思います。  資料3「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」については、本年の3月 23日、政労使のトップで合意に至ったものです。平成14年に雇用対策につきま して政労使合意ができておりますが7年ぶりです。この政労使合意の特徴は3 点あります。  1つは、平成14年当時の政労使合意は、政のトップが官房長官だったのです が、今回は総理がトップで合意されているということです。2つ目は、経済団体 として中小企業団体に参画をいただいたということで、まさに中小企業労使も 含むわが国全体の政労使合意になったということです。  3つ目は、平成14年当時の政労使合意はワークシェアリングについて、政労 使取り組む内容が書いてあったわけですが、それ以外につきましては、政府の 取組みしかなかったわけです。今回の5つの取組みにつきましては、それぞれ 政労使が取り組む内容が書いてあるということで、非常に意味のあるものだと 考えております。  5つの取組みにつきましては、2頁以下に書いてあります。いわゆる「日本型 ワークシェアリング」といったような取組みということで、雇用維持の一層の 推進。職業訓練、職業紹介等の雇用のセーフティネットの拡充・強化が2番目 です。3番目には、年長フリーター、母子家庭の母等を中心に、就職困難者の職 業訓練中の生活の安定確保、長期失業者等の就職の実現。4番目に、「ふるさと の雇用再生特別交付金」や「緊急雇用創出事業」などを活用した雇用創出の実 現。5番目に、政労使合意の周知徹底等ということです。こういった内容につき ましては、先ほどご紹介した補正予算などにも活用されているところです。  いちばん最後に、「なお」ということで、仕事と生活の調和の実現のことが書 いてあります。平成14年当時の政労使合意のワークシェアリングにつきまして は、緊急対応型ワークシェアリングと、多様就業型ワークシェアリングという ことが盛り込まれておりました。  今回の政労使合意につきましては、緊急対応型ワークシェアリングとしての 「日本型ワークシェアリング」につきまして、強力に取り組むという内容にな っております。多様就業型ワークシェアリングにつきましては、平成19年12 月にとりまとめた「仕事と生活の調和憲章」、あるいは「行動指針」の内容、要 するに仕事と生活の調和とワークシェアリングの内容とが基本的に同じですの で、この取組みの中で対応していくということが書いてあるということです。 私からは以上です。 ○諏訪会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきましてご質問、 ご意見等がありましたら、お願いいたします。 ○古賀委員 具体的項目については、後ほど労働側委員から提起させていただ きます。私からは、いまご説明があった全体を通じて少し課題提起をさせてい ただきたいと思います。  昨年の秋以降の政策についてご報告、ご説明をいただきました。私たちが求 めてきた点も多く盛り込んだ様々な政策を打っていただいた、打とうとしてい ると受け止めております。ただ、いまご説明のあった政策は、あくまでも経済 及び雇用情勢の急速な悪化に伴った、いわば緊急事態に対応した政策の域を脱 していないのではないか。もちろん、そのことは非常に重要ですから、そのこ とを進めながら、いわば中期的な視点で様々な政策を検討すべき時期に来てい るのではないかということです。  例えば、今回の雇用問題では、非正規労働者の雇用のセーフティネットが不 十分であるということが極めて明確になりました。これに対応して、先ほどご 報告があったように、「緊急人材育成・就職支援基金」を創設して、雇用保険の 受給資格のない人たちに対しても職業訓練を受けながら、生活保障をしていこ うという制度ができるような議論がされております。しかし、現在、考えてお られるのは、期間限定の制度である。本当に期間限定で解決するのか。あるい はこの制度だけで十分であるのかどうか。また、雇用保険制度の緊急措置とし て見直しを行いました。それはそれで非常に重要なことだと思いますが、現在 の制度で、これだけ雇用就業形態が多様化している中で、本当に十分に対応で きるのかどうか、という課題があるのではないかと思っています。  加えて、これらの最終的な政策は、雇用創出をどう図っていくかということ に対する省庁横断的な、あるいは政府、国、政労使を挙げた取組みの具現化を どうしていくのか、ということも非常に重要だと思っています。  一方では、今回の危機を乗り越えたあとにどんな姿、日本社会、働く姿とい うものをどう描くのか、ということも非常に重要なことだと思います。日本は 中失業の社会になったのではないかとの指摘もある。いわゆるこれまでの正社 員中心で、かつ、企業と家庭にかなり大きく依存をしてきた労働福祉政策とい うものを見直す必要があるのではないかという課題意識を持っているわけです。  是非、このような視点も含めて、少し中期的な視点で研究会、あるいは関係 審議会で幅広の議論を行っていただく時期ではないかということも含めて、ご 要望をさせていただきたいと思います。以上です。 ○市野委員 私からは予算関連について申し上げたいと思います。雇用失業情 勢が極めて厳しい状況の中で、昨年度からの一連の雇用対策というのは、企業 経営者の雇用維持努力にとっては非常に強力な後押しになったと考えておりま す。  現在、審議中の補正予算案においても、雇用調整助成金のさらなる拡充策と して、先ほどご説明をいただきましたが、約6,000億円の予算が盛り込まれてい ることも高く評価できると思っております。雇用調整助成金につきましては、 速やかな支給が求められておりますので、窓口対応を含めて、これはよろしく お願いします。  再就職・能力開発施策として、一般会計予算を用いて3年間の基金を創設し て、雇用保険を受給していない者を対象とした職業訓練中の生活保障のための 給付等の支援策も盛り込まれているのは、私どもとしても非常に重要であると 考えております。  特に、職業訓練は技術の向上などを通じて、労働者の安定雇用に結び付くこ とから、これは強力に推し進めていくべきと考えております。その際、何より も重要となるのは訓練メニューの内容ということになります。効果的なプログ ラムの構築に向けて、是非、産業界のニーズを踏まえながら、不断の見直しを お願いしたい。一度決めたからと言うのではなくて、常にフォローをお願いし たいと思います。  いずれ雇用情勢が落ち着くことを期待しておりますが、落ち着いた暁には、 今回の補正で実施される施策も含め一連の雇用対策につきまして、事業ごとに 効果や有効性などを十分に検証していただき、今後、さらにまた同じようなこ とが、歴史は繰り返すということはあると思いますが、雇用情勢が悪化した際 に、有効な対策が速やかに打てるように学習効果といいましょうか、十分にフ ォローをしていただくということも併せてお願いしておきたいと思います。以 上です。 ○大橋(洋)委員 私のほうからは、政労使合意につきまして一言申し上げた いと思います。まず、今般、労働側、使用者側、政府の間でこの合意が結ばれ たことにつきましては、関係者の皆様方のご尽力に深く感謝いたしたいと思い ます。  当然のことですが、政労使合意は三者間で文書を取り交わして、それで終わ ったということではなくて、それに基づいていかに迅速に、かつ、正確に有効 な雇用対策を実施していくか、それが何よりも大変重要なことだと思っており ます。  その点、合意内容が4月の経済危機対策や、補正予算に盛り込まれているこ とは、使用者側としても大いに評価しておりますが、補正予算成立後も速やか に各施策の実施をお願いしたいと思います。  今後は雇用の維持だけではなく、雇用の創出が非常に重要であるという点は、 先ほどご指摘もありましたが、政労使合意ではふるさと雇用再生特別交付金に 関する言及がございますが、雇用創出や地域経済の活性化に結び付くよう、政 府としても好事例の収集と情報発信を伴うということなど、積極的に都道府県 に対する支援を行っていただければと思っております。雇用情勢は依然油断を 許さない状況にありますが、経営側としても合意内容に則り、労働側、政府側 と一致協力しながら引き続き雇用の維持安定に取り組んでいく所存でございま す。政府におかれましても、必要に応じて追加的な対応を機働的、かつ、柔軟 に図っていただくようお願いしたいと思います。以上です。 ○加藤委員 先ほど古賀委員からも申し上げましたが、昨日の月例経済報告を 聞いて、経済は若干3年3カ月ぶりに修正をしましたが、雇用は依然として悪 化、厳しいという見通しも発表されて、先ほど説明もいただきました。  雇用はそれほど根本的、構造的問題が内包している。緊急的な課題と一緒に そういうものが内包していると思います。そういう場合、これまでの雇用、労 働政策というのが、ある意味規制緩和といった流れの中で、そういったものが 影響を起こしてきたことは事実だろうと思っております。  取り分け、中途解除が現実的に横行してきたのはご存じのとおりでございま す。先ほども言われた様々な規定だけで本当に十分なのかどうか。労働基準局 も研究会をスタートしたようですので、そういった有期労働契約をどのように 位置づけて、どのように保護していくのか。この辺、私たち労働側として常に 均等、均衡待偶の原則等を含めて提起しておりますので、是非ともそういった 立場で議論をお願いしたいというのが1つです。  もう1つは、先ほども副大臣から挨拶があったように、若者の雇用対策です。 30代後半になっている者は、平成不況期の就職氷河期世代と言われております が、これで非婚化がかなり様々な形で社会的問題として出てきているわけです。 そうしますと、30代もそうですが、今回の状況を見ますと、経済危機で若者の 失業率が11%を超えているという。この状況を見ると、今こういうことになる と、先々すべて影響してくるわけです。そういう意味では、来年の新卒者の採 用数がまた減少すれば、大変な就職氷河世代が生ずるという危機意識を持って おります。  若年の失業問題については、やはりヨーロッパにも学ぶべきものが多いので はないかと思っております。  日本では、どうしても生活保護制度というのは単身、または高齢者の制度の 施策と映りがちです。そういう意味では、全体的にも生活保護といったものを 見直して、失業扶助的な制度を作るとか、職業訓練等を含めて、きちっと対応 すべきだと思っております。政労使ではなくて、最近は学も入らないと、単な る訓練だけでは駄目で、人材育成、政労使学、そして省庁横断制度といったも のでないと、本当に緊急対策も、根本的構造的解決もできないだろうと思いま すので、そういうことについても是非ともお願いしたいと思います。以上です。 ○市川委員 私どもは毎月、全国の中小企業の生の声をできるだけ集めて景況 調査というものを発表しております。先月の20日に発表した4月の調査の中で、 雇用調整助成金を使って何とか雇用の現状維持を図っております、という声が 複数挙がってきております。特に地方の中小企業にとっては、一旦手放すと、 再び採用するというのはなかなか若い人の目が向かないということで難しく、 また、匠の技を育成するのに10年、20年かかるということもございますので、 雇用調整助成金を使って、何とか雇用を維持できているということについては 大変評価をさせていただきたいと思っております。一時期、申請をしても長蛇 の列でなかなか受付、あるいは審査に至らないということもあったのですが、 最近は若干緩和してきているのかなと思いますが、さらに一層体制の強化を含 め、あるいは要件の緩和等々をよろしくお願いしたいと思います。  また、政労使合意については、先ほどご説明があったように、私どもの佐伯 会長が今回初めて参加をさせていただいております。考えてみますと、日本全 体の雇用の約7割は中小企業が担っているということですので、今後とも是非、 そうした合意等に参画をさせていただきまして、中小企業の声を是非反映させ ていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○土屋委員 運輸労連の土屋でございます。いまの発言とも関連するのですが、 質問、意見について申し上げてみたいと思います。雇用対策、平成21年度の補 正予算等々についてご説明をいただきましたが、大変な雇用失業情勢等の急激 な変化を受けて、雇用調整助成金の要件等について大幅な緩和をしていただき ました。労働側としても、このことによる雇用の維持の効果は大変大きなもの があると評価をいたしております。ただ、懸念されることは、雇用調整助成金 の大幅な活用のために、現在行われている雇用保険の2事業で、これまで取り 組んできた雇用安定に向けた公的な能力開発等々の雇用対策が、今後ともきち んと行われていくのかどうかということは大変心配をされているわけです。つ きましては、この見通し等々について説明をいただければということが1つで す。  2つ目は、景気の悪化によりまして、解雇、雇用止め、あるいは賃金を始めと した労働条件等の引下げなど、労使のトラブルについて言えば増加をしている と受け止めております。そんな中で、未組織の労働者にとって労働相談の機関 が大変重要だろうという認識をしております。これはそうは言っても、私ども に寄せられる相談の中には、やはり、労働基準監督署なり、総合労働相談コー ナーに行ってもなかなか対応してもらえないという声も上がってきております。 そこで、かつてこの労働福祉事業の見直しの際に、都道府県が行う労働相談事 業への助成金が廃止されてしまったという経過もあります。そこでまさに未曾 有の経済状況のもとで、助成金の財源はしっかりと確保することも必要ですが、 一方で、労働者にとって必要な施策が削られることのないようにしていただき たいというのが要望です。以上です。 ○諏訪会長 ご質問やご意見が、たくさん出ておりますから、次の宮下委員の ご意見までのところで、一旦質問と意見に関する事務局側からのご回答なり、 ご説明をいただくことにしたいと思います。それでは宮下委員、お願いします。 ○宮下委員 私からは職業能力開発について意見を述べさせていただきます。 先ほども市野委員から内容の充実とか、そういうものが重要だというところは、 私どもも同様に思っております。ただ、一方でいまの現状を点検してみると、 連合の地方組織である地方連合会からは、公共職業訓練を受講したくても受入 定員の関係で受講できないという声がいくつも寄せられています。やはり、働 く意思のある者、訓練を受けたい者が訓練をきちんと受けられないところに課 題があると思っております。  平成21年度の補正予算においては、一定の拡充について措置されるというこ とですが、地域の雇用失業情勢については十分に把握をしていただきたい。今 後の情勢状況によっては、すぐに対応が必要なものも出てくると思われますの で、その際には厚生労働省として敏速、柔軟に対応していただくことが必要だ と思っております。是非、地方における職業能力開発の拡充と、再就職に向け た支援をお願いしたいと思っております。以上です。 ○諏訪会長 ありがとうございました。それでは、これで終わりというわけで はありませんが、ここまでを取りあえず、事務局のほうからご回答なりをいた だきたいと思います。 ○太田職業安定局長 私に関連するもので何点かお答なり、ご説明を申し上げ たいと思います。最初に古賀委員をはじめ、労使から中期的な、総合的な対策 を考えていくべきではないかというご意見がございました。特に、雇用保険制 度、あるいは失業助成制度も含めて、非正規のセーフティネットを今後どう考 えていくかということ。さらには、雇用創出もどう考えるかというご意見もい ただいております。  現在の緊急雇用対策につきましては、先ほど参事官からご説明を申し上げた とおり、特に非正規のセーフティネットを中心に様々な雇用対策を講じたこと。 雇用保険制度についても、審議会でご議論をいただく中で、非正規の適用範囲 なり、給付を広げるということで、セーフティネットの強化を図ったというこ と。  さらには今回の補正予算の中で、雇用保険の適用を受けない方もおられます ので、受給資格がない人に職業訓練期間中の生活保障の制度、あるいは長期失 業者の対策等々、様々な総合的な対策を講じているという状況です。  これはまさに緊急対策に対応するもので、ある意味では期間限定ではありま すが、さらに今後どうするかということにつきましては、この緊急対策を講ず る中で、政策評価もやった上で、どういう形のものが今後は必要なのか、中長 期の人口減少社会を睨んでどういうものが必要かということを幅広にご議論を いただき、その中で制度構築を今後とも考えていく必要があると思っておりま す。その中で、当然狭義の雇用対策だけではなく、今後の経済施策のやり方を どうするのか、雇用創出をどうするのかということも踏まえながら考えていく 必要があるということです。このことは、この審議会をはじめ時期を見て幅広 にご議論をいただきたいと思っているところです。  特に、昨年ぐらいまでは人口減少社会の中で、新雇用戦略ということでいろ いろご議論をいただき、全員参加の社会を作っていくということが必要である というご議論をいただいたわけですが、基本的な視点はそれに触れつつ、いま 緊急の雇用状況で非正規のセーフティネットをはじめ、いろいろな問題が出て きておりますので、そういう課題も踏まえつつ中長期のご議論をしていただき たい。その中で政策評価もしっかりとしていただきたいと考えているところで す。  個別の問題で、雇用調整助成金につきましては、市野委員、市川委員、土屋 委員等々、様々なご意見なり、ご要望をいただいているところです。先ほど来、 説明があったように、昨年の秋以来大変なご活用をいただく中で、雇用維持に 努めていただいているところです。私どもも、何と言ってもいまの状況では、 これだけ急激に雇用状況が悪くなっているわけですので、できる限り失業者は 出さないということで、雇調金の資金面、あるいはできる限り使いやすくする こと、支給要件の緩和、あるいは手続面の簡素化、体制の整備に全力で努めて いきたいと考えているところです。今回も当初予算が580億円のところを6,000 億円ということで、これは雇用勘定ですが、相当思い切った対応をしていると いうことです。また、数百倍に申請件数が増えておりますので、だいぶ事業主 の方にお待ちいただいている、あるいは支給に時間がかかるというような意見 もいただいておりますので、体制整備もしておりますし、今回の補正予算でま た相当な体制整備が行われます。これはハローワークだけではなく、社労士の 方、あるいは商工会議所等々、いろいろな関係の団体の方にもご協力をいただ きながら支援をするということ。  何と言っても、支給を迅速にすることが大事ですので、いま目標としては初 回は2カ月、2回目以降は1カ月という目標で、少なくともそれ以上はかからな いようにする。これは各局の状況、待時間も含めて、あるいは支給状況はどう なっているのか、全部状況をとっておりますので、進行管理もしながらしっか りとした対応ができるようにしていきたいと思っております。  そういう中で、予算面では、雇用勘定は1兆円を超える資金がありましたが、 今回の補正予算で六千数百億を追加しますので、平成21年度の雇用安定資金残 高は約3,200億円程度と見込んでいるところです。雇調金がこの状況で続くのか どうか、あるいは2事業の支出はどうなるかということは、今後の雇用情勢と か、経済情勢によって大きく変動するため、現時点において、来年度はこうな る、あるいは将来はどうなるかということをお示しするのはなかなか困難です が、こういった状況も十分に踏まえて、今後の雇用失業者の動向とか、保険料 収入の動向等を慎重に見極めながら、安定的な運営の確保に留意しつつ、必要 な施策の実施ができるように努めてまいりたいと考えております。  今回の補正予算でも、雇用勘定だけではなく、一般会計もかなり確保させて いただきましたので、全体の財源、あるいは雇用勘定の状況等々を勘案しなが ら、必要な施策についてはしっかりと対応ができるようにしていきたいと思っ ております。当然ながら、政策評価に当たっては、PDCAサイクルで目標管理 を徹底して、無駄のないように効率的に事業運営をやっていきたいと考えてい るところです。  大橋委員からふるさと交付金についてお話がございましたが、2,500億円とい うことで、雇用勘定で都道府県基金に積んで、都道府県でも様々な工夫で地域 活性化のための事業をやっていただいております。これは我々にも好事例が集 まってきておりますので、こういうものの情報収集をして、提供してより良い 事業ができるように、その中で雇用創出ができるように努力をしていきたいと 思います。  若者対策についてもご意見をいただきましたが、当面の対応は、やはり来年 度の就職とか、内定とか、こういうものは全力で取り組んでいきたいと思って おります。やはり、フリーター正規化ということで、できる限り若者に正規雇 用に就いていただくことが大事ですので、政府全体で全力で取り組んでいきた いと思っております。また、中期的な対応としては、能力開発と結び付けて若 者が社会全体を支えることができるように支援を行っていきたいと思います。 取りあえず、以上です。 ○草野職業能力開発局長 まず、古賀委員から、今般の人材育成、就職支援基 金3年間の時限であるということで、中長期的にはこれをある程度恒久化して いくべきではないかというお話もありました。  しかしながら、厳しい雇用失業情勢に対応して、雇用情勢が好転するまでの 間、時限で当面緊急な措置として、これをまず生活資金を一般会計から出す、 ということも含めた措置を全力で実施していくということが重要であろうと思 っております。  もちろん、中長期的には、そういう議論、論点というのは念頭に置く必要が あると思いますが、当面、この3年間で緊急措置として一般会計からの大幅投 入、人材育成だけで5,000億円になりますが、生活資金を含めたもので実行して、 その成果を見て、その後どうするべきかという議論になるかなと考えておりま す。まずは、全力でこの基金の実効性を上げていくということに集中したいと 考えております。  2番目に、市野委員からお話がありまして、この基金を設置してどのような訓 練メニューの内容でやるのかと。効果的な訓練ということが必要なので、産業 界のニーズを踏まえる必要があるというご意見を賜ったところです。まさに、 我々もそのとおりであるというふうに考えております。  中央レベルで成長分野、どういう分野で雇用吸収があり、訓練をやるべきか。 こういうお話について、各省で集まって知恵を絞っているところです。我々も 各省からお話を聞くとともに、産業界、あるいは雇用吸収があると思われる業 界などにいまヒアリングを行っているところで、できれば中央においてそうい う場を設定して、基金の運用についてどういう訓練をすべきか。こういう基本 方針などを作ることを検討していきたいと思います。  同時に、中央だけでなく、地方でもそれぞれの地場産業、そういった状況を 踏まえた雇用吸収、訓練を考える必要があるわけです。地域においてもこうし たことが可能になるような何らかの方針を作っていく。そういうことも検討し ていきたい。中央における大きな成長分野に向けての訓練の基本方針と、それ を補う地方におけるきめ細かな産業ニーズを汲み上げ、この両者をいかに有効 にしていくかということが重要ですので、産業界、労使の皆様のご協力をいた だきながら、是非、実効を挙げていきたいと思っております。  3番目に、加藤委員からお話があった若年者の生活保障ということに関連して、 政労使だけでなく、学も交えるべきだというお話もございました。現在、職業 訓練をこなしていく場合、委託という手法で、あらゆる教育訓練資源を活用し て、能力開発を行っていくことが必要なわけです。  そういう意味では、従来の職業訓練というだけでなく、大学であるとか、場 合によってはNPOであるとか、そういったところも職業能力の向上に寄与でき るものは委託してお願いをしていくということが重要です。現在、文科省と教 育訓練機関の受入れについて相談をしているところです。可能であれば、また 来年度に向けて文科省とも話をして、予算要求もしていきたいと考えておりま す。  土屋委員からもお話がありまして、能力開発の効果と見通しということです。 これは能力開発については、大体1,000億円弱の資金を離職者訓練等に投入して いるわけでして、この政策評価というのは非常に重要な問題です。これは社会 保障改革推進懇談会などでもいろいろ議論になっており、私どもがいろいろ試 算しますと、大体公共の訓練の就職率が80%、委託すると70%台です。  これは失業期間との関係で申しますと、長くなればなるほど就職率が減って くるわけですが、この訓練をやったことで80%なり70%になっているというこ とで、その効果を経済的に我々のほうで試算したところ、大体170億円ぐらい のプラスがあるのではないかと、こういう試算も私どもでやっているところで す。1,000億円弱を投入して170億円ぐらいの数ということですので、概数とし ては訓練の効果はかなりあるのではないかと思っております。  ただ、評価の仕方はいろいろありますので、専門家の方々のご意見、審議会 の先生方のご意見も踏まえながら、より精緻な評価制度というものを考えてい く必要があると考えています。  今後の見通しですが、基金訓練と委託訓練等を含め、全体で3年間で100万 人の訓練を想定しています。これは大体いままでの倍に匹敵する量でして、特 に基金をつくり、雇用保険の資格のない方に受けていただく、こういうルート を大幅に開拓したところです。こういうことによって、放っておけば失業率が 極めて高い、例えば6%とかそういうことに行く可能性もあるわけですが、でき るだけこれを5%台に抑えていく、そういうことに寄与したいと考えています。  宮下委員から地域の雇用情勢、こういったものを踏まえて迅速、的確な対応 というお話がありました。これもまさにそのとおりでして、先ほど申し上げた ように中央レベルで全体、訓練方針をどうつくるかということと並行して、地 域においても産業界、民間教育訓練機関、県、そういう所と機構、そういった 所で一緒になり、どういう地域ごとの方針でやっていくか、こういうことを検 討する場なども考えていきたいと思います。今回の基金、7,000億円ありますが、 そのうち、能力開発が5,000億円ですが、これを有効に活用して、是非、地域に おける雇用に結びつけていきたいと考えています。 ○金子労働基準局長 加藤委員から有期労働契約の対応についてお尋ねがあり ました。有期の労働契約についてはご案内のとおりでして、労働基準法の中で 上限の期間が決められている。雇止め等に関して、大臣告示の基準を作ってそ れぞれにお願いをしている。昨年3月に施行された労働契約法、この中で解雇 について一定の規定を設けたということで、徐々にではありますがいろいろな ルール作りが進んできているところだと思います。  ただ、この間、非正規問題が非常に大きな課題になってきたわけですが、非 正規と言われる人のかなり多くの部分に共通しているのは、有期の労働契約と いうことだと思います。それだけに大変広がりの大きい基本的な課題だと思っ ています。いま加藤委員からもお話がありましたが、私どもの所で研究会を立 ち上げ、今後のさらなる対応について考えていこうと。その際には、入口をど うするか、出口をどうするかということに加えて、均等・均衡処遇というので しょうか、こういったことも当然1つの大きな論点だと考えています。  ただし、いま申し上げたように、有期雇用といってもいろいろな形態がある わけでして、実態を踏まえた議論が不可欠です。研究会においていま実態把握 をした上で、それに基づいて今後の必要な施策についてご検討を先生方にお願 いしていると、こういう状況にあります。また、いずれ政策的な議論というこ とで、審議会等の場でもご検討いただくという流れになってくるのではないか と考えています。  土屋委員からお話がありました、労働相談への対応ということです。昨年秋 以降のこういった状況の中で、労働基準監督署に対してもかなり相談件数が増 えています。労働基準法に基づく問題については、これは違反があれば私ども のほうで必要な是正をして、労働者の権利の救済を図るということを当然にや るわけです。これは優先してやるということにしていますが、近時においては、 特に民事上のルールである労働契約に関するいろいろな問題も、ご提起をいた だいているということでして、これは総合労働相談コーナーを各労働局・監督 署などに設けているので、こちらへ誘導して対応させていただいているところ です。特に監督署では専用の窓口を設けていますが、なお対応が不十分な点が あるということであれば、さらに現場での懇切丁寧な対応を各現場に徹底して いきたいと思っています。ご意見があれば、またいただきたいと思っています。 ○生田労働政策担当参事官 若干の補足をします。土屋委員のご意見に対して ですが、総合労働相談コーナーの体制について、なかなか込み合っていて大変 だというご意見もあります。ということで、平成21年度予算で相当の相談員の 増員を図っています。587名を665名とする増員を図っていますが、今後の状況 を見つつ、さらに来年度、どういう対応ができるかを検討して対応していきた いと考えています。 ○諏訪会長 いま事務局側からいろいろとお答えなりご意見を言っていただき ましたが、ほかにご質問、ご意見はありますか。 ○滝澤委員 未払賃金の立替払制度について申し上げます。平成21年度補正予 算の中で、請求増加への対応として未払賃金立替払制度の原資の増額を図ると いうことでして、このことについては連合の要請を踏まえていただいたものと して評価をしています。現下の大変厳しい経済情勢の中で、企業の倒産は今後 とも増えていくものと思われます。私ども労働組合としても、最悪の事態に至 らないようしっかりと対応をしていきますが、労働組合のない事業所を中心に 賃金の未払などのトラブルの増加することが懸念されます。この制度は万が一 のときのセーフティーネットとして大変重要な制度ですので、十分な原資の確 保と制度の周知を行っていただきたいと思います。また、立替払額の上限額の 引上げについても、検討をいただきたいと思います。 ○山口委員 2点ほど質問したいと思います。1点はマザーズハローワークにつ いてですが、昨年8月の総合政策の中で10カ所増設ということが記載されてい ますが、現下の経済環境の中で子育て中の母親も働かざるを得ない、そういう 理由だけではなくて働きたいという思いが多く、就労を求める動きは大変ある わけです。この方たちは同時に就労が大変難しい人たちであって、そういう相 談・支援強化は非常に重要だと思うのです。私どもも首都だけですがマザーズ ハローワークを見学した段階では、きちんとマザーズハローワークとして独立 して、託児施設というのですか、お子さんが遊べるスペースもあって相談に乗 っている所もあれば、就労についての相談者が大変多い中で、その一部分とい うかカウンター1台ぐらいの所で相談を受ける、それをマザーズハローワークと して、とてもではないけれどもお子さんを連れて相談に行けないということも 聞いています。そこでお伺いしたいのは、何か相談しにいきやすい近場という ことで、増設も非常に重要だと思うのですが、マザーズハローワーク自体の整 備といいますか、それをどのような視点で考えられているのかお聞きしたいこ とです。  もう1点は、この経済対策の中で、補正予算に含まれている育児休業の取得 等を理由とする不利益取扱いに対する適切な対応、これに関して相談援助を予 算化しているということです。ご存じのとおり育児休業中の解雇であるとか、 退職勧奨であるとか、そういった問題が起きて、厚生労働省ではいち早く3月 16日に企業に対する監督・指導強化であるとか、相談機能の強化であるとか、 そういった通達を出していただいているのですが、その後も私どもの耳に入っ てくるのは、まだまだそういった育児休業中の退職勧奨などが横行していると いうことを聞いております。予算化までもなく、通達後の状況などを把握され ていたらお聞かせいただければと思います。 ○諏訪会長 ほかにありますか。では、いまの点についてお願いします。 ○金子労働基準局長 滝澤委員からお話のありました未払賃金の立替払事業に ついてです。これは倒産などをした場合に賃金がもらえない、退職金がもらえ ないということがあるわけでして、そうした場合に国が一定の額について立替 払をするという仕組みです。昨年、年度後半以降、非常に倒産件数が増えてお り、請求件数、請求金額とも3割程度増えている状況です。倒産件数は非常に 高い水準にありますので、今後ともそういった事態が続くということで、今回 の補正予算でその原資になるお金について、70億円強を計上しているところで す。我々としては、とにかく緊急の生活にかかわることですから早くお支払い するということです。そのためには調査体制をきちんとするということもあり ますが、資金がショートしてはどうにもなりませんので、去年来の動きを踏ま えて、一定の額の確保ということで補正予算をお願いしているということです。  これに併せて周知を図ってほしいということですが、これは法律上の倒産に なりますと管財人等が入ってくるわけですので、こういった人たちに対する周 知ということも取り組んでいるところです。  上限額、これは退職金が実は入るものですから、大企業の方ですとかなりの 金額になるケースもあるわけです。我々としては、当面の生活に必要なお金の 確保ということを基本に一応据えており、退職金が多くなるであろう45歳以上 の人たちについては、最高で立替払の対象になる額が約370万円だったと思い ます。そのうちの8割ですので約300万円が上限額になっているということで す。これは中小企業で申し上げますと、昨年度の実績で見ますと、中小企業の 方の場合には、98%ぐらいの方がこの上限額の範囲に納まっていますので、い ますぐこれを引き上げるということは少し難しいかと思っていますが、今後の 推移を見ながらご指摘の点も含まえてよく検討をしていきたいと思っています。 いずれにしても、申請があって、なるべく早期に支払うことが大事だと思いま す。その点について、十分心得て取り組んでいきたいと思っています。 ○太田職業安定局長 山口委員からマザーズワークについてのお尋ねがありま した。基本的には、マザーズハローワークは、地域等の連携の中で子育て女性 に対する総合的な再就職支援ということでかなりの評価をいただいているわけ でして、基本的には事業の拡充を図っていきたいということを考えているとこ ろです。全国主要な所にはマザーズハローワーク、マザーズサロン、あるいは いまマザーズコーナーということで増設しているわけです。1つは支援拠点の拡 大ということで、今年度は全国40カ所をマザーズコーナーということで、地方 の中核的な都市で、一定数以上の利用者が見込まれる地域の主要なハローワー クにマザーズコーナーを設置しているところです。  併せて、機能の強化も大変重要ですので、地方公共団体との連携による保育 関連情報等の収集・提供とか、特に利用者が相談しやすい体制の整備というこ とで、お話もありました子連れでも安心して相談ができるキッズコーナーの設 置等に努めて、利用者の立場に立った気軽に来所できる環境を整備してまいり たいと思っています。全体のニーズを含めて、またいまお話のあった点も含め て、今後とも拠点の拡充、機能の強化を図ってまいりたいと考えているところ です。 ○村木雇用均等・児童家庭局長 続きまして、山口委員からお話がありました 育休に関する解雇等々の問題です。先ほど委員もおっしゃっていただきました ように、3月に法違反がある場合の厳正な対応、未然防止という意味で、事業主 の方々へこういうことは法違反ですということを周知するリーフレットの配布 等をやっています。こういう問題は最優先で対応していますので、予算が付こ うが付くまいが、いまの職員の体制の中で最優先で対応していきたいと思いま す。  ちなみに、ちょうど平成20年度の年間の数字が出たところでして、育児休業 に関する不利益取扱いは、前年が882件でしたのが、平成20年度は1,262件、 均等法で規定をしている妊娠・出産等を理由とした解雇等の不利益取扱い、こ れに関する労働者からのご相談は、前年が1,711件に対して2,030件ということ で、やはり増えているというのが私どもの認識です。労働局のほうでしっかり 指導したいと思いますが、是非、泣き寝入りをせずにご相談をしていただくよ うにということで、周知にもご協力をいただければと思っています。 ○諏訪会長 ほかにご質問はありますか。よろしいですか。では、まだ議題が いくつも残っていますので、少し先へ進めます。第4の議題です。「地方分権改 革について」、事務局からご説明をお願いします。 ○生田労働政策担当参事官 お手元の資料4-1、4-2を使いご説明をします。資 料4-1の1頁をめくっていただき、横長の図でご説明します。「地方分権改革の スケジュール」です。今年2月5日に、当審議会から地方分権改革に関する意 見をいただきました。それは資料4-2に付けています。その後、3月24日に「出 先機関改革に係る工程表」というのが定められました。それ以降、第3次勧告 が秋以降あると言われていますが、これは出先機関に係るものではありません で、最終的に出先機関改革に係る内容が確定するのが、21年中と書いてありま す。「地方分権改革推進計画閣議決定」と書いてありますが、ここで決まってく るということです。この中の「改革大綱」という中で出先機関改革の中身は決 まるという整理になっています。  今回、3月24日に出た工程表のご説明をしますが、2頁をご覧いただきたい と思います。2〜4頁までの間が、工程表の本文です。赤の枠で囲んだ所が、労 働行政にかかわる部分です。  2頁の最初の赤枠の中ですが、(1)出先機関の組織の改革と書いてありますが、 これがブロック化にかかわる部分です。アの下から2行目ぐらいをご覧いただ きたいのですが、「第2次勧告で示された出先機関の組織の改革の方向性に沿っ て検討を進め、改革大綱に盛り込む」と書いてあります。2次勧告で都道府県労 働局ブロック化ということが淡々と書かれているわけですが、そういった問題 については「改革の方向性に沿って検討を進め、改革大綱に盛り込む」という 表現ですので、まだ中身は決まっているわけではなくて、検討を進めて盛り込 んでいくということです。  その上で留意事項がイの所に書いてあり、1行目の終わりからですが、「雇用 失業情勢の急激な変化への迅速で機動的な対応や、国民に対する直接的な行政 サービス水準の維持など、国の事務・権限の的確かつ確実な実施を確保するも のとする」ということで、こういった留保はしつつ、検討するということにな っています。  ハローワークの縮小、地方移管の関係については、4頁の6.「その他」のアの 所です。「地方分権改革推進委員会からは」という書き出しですが、下の所に「さ らに将来的な削減を目指すべきとの考えと試算が示されたところである」とな っています。  分権改革推進委員会の勧告では、3万5,000人という削減の数字を示してあり、 これを実現するとなると、ハローワークは完全になくなってしまうということ になるものですから、非常に気にはしていたのです。アの所はこういう考えが 示されたということで、3万5,000人という数字も入らずに考え方が示されたと いうことです。イの部分である政府の取組みとは切り離した表現ぶりになって います。イの所は「政府は」ということで対応が書いてありますが、いちばん 下から3行目ですが、「さらに、今般の事務・権限の見直し後に国に残る業務に ついて、引き続き地方分権改革を推進する観点から不断の見直しを行い、今後 とも簡素化及び効率化に努める」と書いてあります。  今般の事務・権限の見直し後に残るのがハローワークの業務ですが、「これに ついては簡素化・効率化に努める」という表現になっています。当初、この原 案では「削減」とあったのですが、そういった表現ではなくなったということ でして、これに基づいて今後議論がされるということです。  ちなみに、地方分権改革推進委員会の方々のご意見については、9頁に「3月 26日の確認」というペーパーがあります。その2に書いてあります。「1の見直 し後に国に残る事務・権限を担う新たな出先機関について」と書いてあります が、いちばん下の所ですが、「将来における合計3万5千人程度の削減を含む勧 告の内容に沿って、具体化されることが必要である」と書いてあり、引き続き 分権推進委員会のほうでは、ハローワークがなくなるということにこだわって おられるということです。  先ほど申しましたように、資料4-2にあるようなご意見を当審議会よりいただ いていますので、大臣以下、この意見に沿い適切な対応をしていきたいと考え ているところです。 ○諏訪会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問はありますか。 ○古賀委員 この地方分権改革にまつわる労働行政や労働政策部門の件につい ては、何度もこの場でも議論があり、いま説明がありましたように、資料4-2で 2月5日に労働政策審議会としてこの種の意見を取りまとめた経過があります。 国や地方のガバナンス、あるいはそのマネジメントの観点から、地方分権その ものについては大いに議論すべきだと思いますが、国民生活への様々な影響を 精査せずに削限、統廃合ありきの議論みたいなことは避けるべきですし、それ らのことは私はこの場でも共通の認識だと思っています。そういう意味から、 この地方分権改革の様々な議論の中で、我々としては、いま一度2月5日に労 働政策審議会として取りまとめた意見をしっかりと共通認識に置きながら、こ れらの諸対応を行うべきだ、ということをあえて申し上げておきたいと思いま す。 ○諏訪会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、次の議題に移 ります。第5の議題は、「法案の国会審議状況等について」です。これも事務局 からご報告をお願いします。 ○生田労働政策担当参事官 資料5の1枚紙でご説明をします。3本の法案を当 審議会でご議論いただいて、国会に提出しました。副大臣からも若干お話があ りましたが、U.にあります「雇用保険法」については、3月31日に成立の上施 行しています。「労働者派遣法」については、まだ審議が始まっていません。V. 「育児・介護休業号」については、衆議院の厚生労働委員会で審議がスタート しているという状況です。今後とも私どもとしては、こういった法案の早期成 立に向けて努力をしていきたいということです。 ○諏訪会長 ただいまのご説明について、ご質問等ありますか。 ○岡田委員 私のほうからは、改正育児・介護休業法案に関連して申し上げた いと思います。冒頭で副大臣からもありましたが、改正育児・介護休業法案が 国会に提出されて、現在、審議中ということですが、改正法案は、この審議会 で1年かけて議論して、その結果を踏まえて作成されたと聞いていますので、 一刻も早く成立させて、施行までに十分な周知期間を設けるようにお願いした いと思います。  育児期・介護期の必要な家族を抱える労働者の継続就業や、職場への早期復 帰に向けて、企業では現場の実態を踏まえて、働き方の多様化を試行するとい うことなど、様々な取組みを現在行っています。そのために改正法の施行に関 しては、画一的な規制にならないように、労使の柔軟な取組みを尊重して支援 する形が求められると考えています。  働き方の見直しを実効性のあるものにするためには、保育サービス・介護サ ービスの社会基盤の充実も不可欠であると考えています。現在、待機児童の問 題が再び取り上げられるようになってまいりましたので、引き続きこちらの問 題についても取組みをお願いしたいと思っています。 ○山口委員 私からも岡田委員と同様に、この改正育児・介護休業法の早期成 立を望んでいることを申し上げたいと思います。この改正育児・介護休業法は、 様々な課題解決に資する改正法だと思っています。その1つは、先ほども申し 上げましたが、育児休業中の退職勧奨であるとか、解雇であるとか、そういっ た違法行為に対しての抑止的な意味で、新たに罰則規定の入っていることが1 つです。  また、昨今の経済情勢の中で、少しトーンダウンしているのではないかと思 われるワーク・ライフ・バランス社会の実現を目指した動きの中で、私たち政 労使でこのワーク・ライフ・バランス憲章、行動計画の確認をし、進めていこ うという中に、それを具体的に可視化するという意味では、数値目標を掲げて いるわけですが、その中でも問題として数値の現状のレベルが非常に低い女性 の就業継続の状況であるとか、父親の育児休業の取得であるとか、そういった ものの5年後、10年後というところでの目標は、決して高いとは、目指すべき と言えるかどうかというところでは少し意見があるわけですが、でも掲げたも のに対して、いま申し上げたこの改正育児・介護休業法の中には、それをさら に進めるであろうという部分が含まれていると、そういう意味も含めて、それ から岡田委員もおっしゃっていました、働く男女、労働者にとっても、ワーク・ ライフ・バランス推進のためには非常に重要なということですので、ここでい くら言ってもそうなのかもしれませんが、是非、早期の法案の成立にご尽力を いただきたいと思います。 ○三浦委員 私からは、この資料にありませんけれども成立した改正労働基準 法の改正について、要望を申し上げたいと思います。この改正の中身としては、 時間外労働、年次有給休暇等の見直しが含まれているわけですが、具体的にこ れから労使間で適用に当たって十分論議する時間が必要です。適用に当たって は、事前にシステムの変更等に物理的な時間も要するという点もあります。そ ういった点を考慮いただいて、省令の交付並びに、施行等に関する通達は、そ う遠くないうちに出されるとは聞いているのですが、少しでも早くこれを出し ていただくということが、スムーズな実施に結びつくと思っています。特に、 実際の個別の企業からは、そういう要請もかなりありますので、是非、一刻も 早く出していただくように要望したいと思いますし、併せて周知のほうもよろ しくお願い申し上げたいと思います。 ○諏訪会長 ほかにご質問、ご意見等はありますか。それでは、ここまでのと ころをまとめてお答えください。 ○村木雇用均等・児童家庭局長 最初に、育児・介護休業法の関係です。山口 委員からもご指摘がありましたように、仕事と家庭を両立させるために、非常 に大事な短時間勤務等の規定が入っている、先ほどお話が出た育休切り等への 対抗という意味でも、担保措置は非常に強化をした内容の法案です。現在は、 提案理由説明をしたあと、実質の審議にまだ入れてないという状況ですので、 また労使からも早く成立をさせなければいけない法案だということを言ってい ただきますと、大変ありがたいと思っています。  成立の暁には、できるだけきっちりとした周知、短時間勤務などにつきまし ては、職場によっていろいろなやり方を工夫しなければならないという問題も あろうかと思います。現場にあった形でいい形の取組みができるように、労使 のご意見をよく踏まえながら施行に向けての準備をしたいと思っています。  当然、働き方だけではなくて、保育のサービスなども充実をさせる必要があ るということで、先ほど雇用対策を中心に補正予算等の説明がありましたが、 実は保育の関係も昨年度の2次補正で、15万人分の保育所の整備、いま提出を している本年度の補正予算でも、さらに保育対策強化をしていますので、こう いった周辺の整備もしっかりやっていきたいと思っています。また、補正では なくて本来の予算のところで、いま待機児童が出ない形の保育所、放課後児童 クラブ等も含めて、整備ができるような新しいサービス基盤の整備について検 討を進めています。こちらもしっかりやっていきたいと考えているところです。  いずれにしても、ワーク・ライフ・バランス、社会的なサービスの整備によ って、女性が働き続けられるようにということで、M字カーブが残っているの は、先進国ではほとんど日本だけになっていますので、ここをしっかりやって いきたいと思っています。 ○金子労働基準局長 三浦委員から、改正労働基準法の関係の施行について、 御質問をいただきました。労働条件分科会でも、システムの変更、新しく割賃 代替休暇という仕組みもできるということで、その周知の時間もあるのだとい うことでご指摘もいただいている点です。おおむね準備が整ってきましたので、 そう時間を置かずに省令の公布、通達の発出もできるのではないかと思ってい ます。いましばらくお待ちいただければと思います。 ○諏訪会長 ほかにご質問、ご意見はありますか。よろしいですか。それでは、 次の議題に移ります。「その他」ですが、事務局から何かありますか。 ○生田労働政策担当参事官 特にありません。 ○諏訪会長 特にないということですが、皆さまから、これ以外で何か。 ○南雲委員 本日の議事にはありませんが、私から1点質問をし、また意見を 述べたいと思います。新型インフルエンザ対策についてです。新型インフルエ ンザの報道が毎日、朝から晩までされているわけですが、国が前面に出た正し い対処方法等、国民に対する冷静な対応を求める情報発信が重要だと考えてい ます。  今回の新型インフルエンザは、毒性は強くないものの感染が拡大をしていま す。大阪や兵庫等々では、一部学校等が休校となったり、またはすでに解除さ れた所もありますが、仮に事業場に対し事業の縮小とか、または公共事業者に 対する対応等の要請が出る場合、どこが、国か地方自治体なのか、どのように、 どういった連絡手段を通じて行われるのか、確認をしたいと思います。  その上で、感染が濃厚で、かつ発熱などの症状が見られ、隔離された場合に は、医療費の扱いについては、新型インフルエンザは指定感染症ということに なっていますので、感染予防のための留置措置については、医療費は公費で支 払われるということになっていますが、業務に従事できなかった期間の賃金に ついて問題となります。賃金については、私どもも労使協議を行うよう取組み を始めていますが、しかし、特に未組織等の職場では心配が残ります。もし、 行政の要請に応じて休業した場合でも、賃金が出ないということになれば、無 理して勤務することもあり得るのではないかと思います。  派遣労働者などでは、仕事に行けないとき、その日の賃金がなくなってしま うこともあり、相談も寄せられています。会社側が休ませた場合なども含めて、 労働者が不利益を被ったり、働かざるを得ないことで感染が拡大するなどとい うことがないよう、労働行政としてもしっかり対応していただきたいというこ とをお願いしておきたいと思います。 ○諏方会長 ただいまの点は、事務局からは。 ○生田労働政策担当参事官 担当部局が健康局という所ですが、私が代わりに 答えます。新型インフルエンザ対策については、5月27日に新型インフルエン ザ対策本部で基本的対処方針の改定を行っています。その中で事業者に対して は、事業自粛の要請は行わないということが明確化されております。ただ、事 業運営について、感染機会を減らすための工夫を検討するように要請するとい うことになっています。工夫の例としては、例えば発熱症状のある方について、 自宅待機をすること、発熱相談センターに相談すること、ラッシュ時を避けた 時差通勤、自転車通勤など、手洗い・咳エチケット、職場の清掃・消毒といっ たことが留意事項です。  こういった要請については、関係省庁、事業所管省庁が要請をすることにな っており、まず中央レベルの業界団体に関係各省から要請をするのがルートと して1つあります。もう1つは、都道府県レベルの業界団体もありますので、 各省から自治体の業所管の担当窓口に要請、指示をし、その窓口から都道府県 レベルの団体に対して要請するといったこと、そういう手法を採ることになっ ています。いずれにしても、今回は事業縮小自体は行われないのですが、今後 の対応については、またさらに引き続き検討を進めていきたいと考えています。 ○金子労働基準局長 インフルエンザで休んだ場合の賃金の取扱いということ で、実は厚生労働省の相談窓口でも結構問合せが来ています。いま私どもとし て申し上げているのは、インフルエンザの感染拡大防止ということで、賃金の 問題についてのギリギリした議論ということではなくて、労使でよく話し合っ ていただいて、休む必要がある方が適切に休めるようにということで、一般的 なお答えはしています。  と申しますのも、そもそもどのような経過で労働者が罹患したのかと。例え ば、業務上で罹患することも当然あるわけですし、それぞれの事業場でどのよ うな休暇制度があるかということもあるものですから、この場合には賃金の支 払が必要ですとか、この場合には休業手当の支払ですということで、なかなか 一般的な相談では確たることが申し上げられないということがあります。その ことに加えまして、賃金の支払があるなしということで、一般的にはないと思 いますが、無理して出てくるとか、そういうことがあってもいけないので、い ま感染拡大防止が大事だということで、労使でよくお話合いをしていただいて、 冷静な対応をお願いするということで対応しているところです。  ただ、法律問題としてものを考えたときには、最終的には休業手当の支払が どうかという問題が1つあると思います。労働基準法第26条「使用者の責に帰 すべき事由により休業させる場合には」、休業手当の支払は求められるわけです が、どういう場合が使用者の責に帰すべき事由に当たるのかということになり ますと、それぞれ微妙な判断を要することになるのでしょうが、一般的に申し 上げますと、例えば感染が拡大するといけないからということで、企業のほう でかなり予防的な見地で休業させるからといったような場合には、休業手当の 支払が必要になるケースが多いのかというようには考えています。行政上の措 置で出勤させてはいけないといった場合についてどうかということになります と、これはその実効をあらしめるために企業の労使の中でよくご相談をしてい ただいて、賃金を払っていただければ一番いいと思いますが、法律上の解釈と いうことになりますと、なかなか微妙な問題もあるというように考えていると ころです。そのようなこともあり、私どもはいま相談窓口での対応では、よく 労使で話し合っていただいて、労使で感染が拡大しないようにご努力いただき たいということで対応をしているところです。 ○諏訪会長 ただいまの点、よろしいですか。ほかにご意見なりご質問なりは ありますか。 ○宮本委員 先ほどの議題2で質問すべきだったのですが、少し遅れてしまっ て大変申し訳ありません。その中の「住宅・生活支援等」という所で、こうや って拝見しますと、給付というよりも貸付が非常に多いという印象を受けるの ですが、懸念しますのは、仕事を失ったり住宅も失った人たちに貸付をしたと きに、その先の状況を想定してみると、返せる可能性があるのかどうかという 感じがします。その点で伺いたいのですが、貸付でどのぐらい利用がされてい るのか、そして返せる見込みはどのように立てておられるのか、そのあたりを 伺えればと思います。 ○太田職業安定局長 住宅対策については、融資制度もありますし、今回の補 正予算では福祉対策ですが、給付制度も住宅手当の制度もあります。私どもは、 いまやっているものについては、資料2−1の先ほど説明がありました「住宅・ 生活支援」の中での労金を通じた融資制度ということで、実績は先ほども紹介 がありましたように、貸付決定件数が5月22日現在で7,967件です。この中で は、一定の要件で免除要件もあります。ですから、全部支給するということで はなくて、融資の中で一定の要件の中で免除するということで、ある意味では モラルハザードを防ぎながら融資は行っているということです。いま、まだ融 資をしている状況ですが、基本的にはハローワークで就職支援をして、その中 で返還をしていただくという仕組みです。ただ、併せて今回の制度の中では、 社会援護局の中で、このような融資の対象にならない人に、住宅手当というこ とで6カ月の給付制度も用意してあるという状況です。 ○諏訪会長 よろしいですか。ほかにありますか。本日は、このあたりで閉会 ということにします。そこで、最後に、本日の会議に関する議事録の扱いです。 当審議会の運営規定第6条によりますと、会長のほか2人の委員に署名をいた だくこととなっています。つきましては、労働者代表委員の加藤委員、使用者 代表委員の市川委員、それぞれ署名人になっていただきたく存じます。よろし くお願いをします。以上をもちまして、本日の会議は終了とします。どうもあ りがとうございました。 (照会先: 厚生労働省政策統括官付労働政策担当参事官室総務係(7717))