2009/05/19 第8回日本年金機構設立委員会議事録 日本年金機構設立委員会(第8回)議事録 日時:平成21年5月19日(火)13:00〜15:20 場所:厚生労働省5階 共用第7会議室 出席委員:奥田委員長、磯村委員長代理、岩瀬委員、大熊委員、大山委員、岸井委員      紀陸委員、小嶌委員、長沼委員、間瀬委員、山崎委員、竹詰代理人(古賀委員) ○奥田委員長 それでは、定刻でございますので、第8回日本年金機構設立委員会を開催いたしま す。  委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうご ざいます。  それでは、本日の出欠状況につきまして、事務局より報告をお願いいたします。 ○八神大臣官房参事官 本日は、野村委員、古賀委員、江利川委員から御欠席という旨の御連絡を いただいております。  本日、御出席いただいている委員数は11名でございますので、定足数は満たしております。 ○奥田委員長 本日、欠席される古賀委員から日本労働組合連合会総合政策局竹詰部長を代理人と して出席させたいと申出がございました。各委員にお諮りをいたします。古賀委員の代理人の出席 を了承してよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○奥田委員長 ありがとうございました。委員会規則第7条第1項の規定によりまして、代理人と しての出席を了承いたします。  本日の議題でございますが、御案内のとおり、日本年金機構の組織、それから内部統制及び年金 相談センターの委託でございます。  なお、本日は、前回に引き続きまして途中で休憩を挟みまして非公開に切り替える予定としてお りますので、是非御了承をお願いいたします。  それでは、議事に入る前に、3月17日に開催されました第5回懇談会及び4月22日に開催され ました第6回懇談会の概要について、それぞれ事務局から御報告をお願いします。 ○説明者(西辻) それでは、御報告をさせていただきます。3月17日の第5回設立委員会懇談 会、それから4月20日の第6回設立委員会懇談会の結果につきましては、既に議事概要を各委員 の皆様方に送付申し上げているところでございます。 第5回懇談会におきましては東京社会保険事務局長からヒアリングを行いました後、意見交換を実 施いたしました。その後、機構と自治体との連携、ブロック本部の機能等について議論がございま した。それから記録問題への対応体制、どのような枠組みで実施するのか、現場からの照会に対す る本部での対応体制等について御議論がございました。運営評議会に関しまして、位置づけ、機能、 理事長をサポートする仕組み等について御議論があったところでございます。  4月20日の第6回懇談会におきましては、内部統制に関して、厚生労働省を含めました内部統 制改善のための組織上の仕組みや現場の職員の声をくみ取るためのメカニズムの必要性、更には 種々の調査結果をわかりやすく公表する方法等について御議論がございました。更に年金記録問題 に関しまして、定期便の封筒の色や内容、ウィンドウマシンの市町村への配備等について御議論が あったところでございます。  懇談会の報告については以上でございます。 ○奥田委員長 ありがとうございました。  それでは、まず議事次第に沿って進めてまいりたいと思いますが、日本年金機構の組織につきま して資料の説明を事務局からお願いいたします。 ○説明者(長田) それでは、資料1に沿いまして私の方から御説明をさせていただきたいと存じ ます。  まず恐縮でございますが、資料1のページをおめくりいただきまして9ページをご覧いただきた いと存じます。  組織の骨格案につきましては、1月29日の設立委員会で初めて事務方として案をお示しし、そ の後、この設立委員会及び懇談会において、数度にわたる御議論を賜りました。さまざまな御議論 をいただいたものを、非常に簡単ではございますが、主なポイントということで9ページに簡単に まとめさせていただいております。  まずは「年金記録問題への対応体制」ということにつきましては、これが国民にとって最大の関 心事であるということから、これをしっかりと引っ張っていく体制、姿というものをしっかり示し ていくべきではないかということで、例えば理事長直轄にするとか、あるいは年金記録問題に関わ る部署を集約する等々の議論を経た上で、2つ目の黒丸にございますように、いずれにせよ、この 年金記録問題に対応する司令塔というものをどうつくっていくかということを明確にすべきとい うようなことで方向付けをいただいたという理解をしております。  それから、2つ目の「ブロック本部について」でございます。ブロック本部につきましては、も ともと基本計画の中で中間組織のスリム化を図っていくというようなことが記載されておりまし て、事務方としてはそういうことを前提といたしました組織の素案というものをお示ししたわけで ございます。それに対しまして、更なるスリム化というものを検討すべきではないかという御意見 があり、一方で、ある程度スリム化が必要とは言え、中間管理部門として十分機能するだけの要員 というのは必要ではないかという両面からの御議論をいただいたところでございます。  それから、3点目で「リスク・コンプライアンス体制」の関係につきましては、ここにございま すように、事業担当部門に対する牽制効果を働かせるというような観点から、理事長直轄とすべき ではないかというようなことでございますとか、それに関わる部署を集約すべきといったような御 議論。  「広報・広聴体制」につきましては、広報・広聴を一体的にとらえた体制、戦略的な広報という ものを考えていく必要があるのではないか。とりわけ、アニュアル・レポートの作成というものを しっかりと考えていく必要があるだろうといったような御議論。  それから、「システム部門の体制」につきましては、現行のシステムの改修、運用といったよう なものと、刷新システムのようなものについて、それぞれどういった組織体制の中で対応していく のかということを明確に整理しておくことが必要であろうといったような御議論をいただきまし た。そういった点を踏まえまして、考え方を改めて整理をしたものを1ページ以下でお示しをさせ ていただいているということでございます。  まず1ページ目はややおさらい的になりますが、改めまして本部、ブロック本部、年金事務所の 組織の基本的な構造と、そこにおけるおおよその人員体制というものを示してございます。  そこで、ちょっと1点、注釈をコメントさせていただきたいのでございますが、注2の部分でご ざいます。まず、現在の社会保険事務所でこれまで対面処理をしていた、しかし必ずしも対面の処 理を要しないような届書等の処理業務については順次集約化を進めるということで、都道府県単位 に事務センターというものをつくって集約化を進めております。まだ、その集約途上にあるのでご ざいますが、この集約化が完了いたしますと、この絵にございますように3,050人程度のマンパワ ーが必要だと見込んでおりまして、集約化に伴って当然年金事務所に張り付く人員数がそれだけ減 るというような関係にあるわけでございます。  しかしながら、現在、年金記録問題の対応というようなことで、かなり年金事務所の窓口対応に 一定の人員を確保しておく必要もございまして、当初は機構発足時22年1月時点でこの事務セン ターへの完全集約というものを目指していたんですが、記録問題の対応状況も踏まえながら、当面 この事務所と事務センターの人員配分については柔軟に対応したいと考えております。その点、1 点修正をさせていただきたいと思っております。  おめくりいただきまして、2ページ、3ページでございます。ここは、先ほど言いました年金記 録問題の司令塔の体制をどうやってつくっていくかというようなことに関して整理をしたもので ございます。司令塔の機構を担うセクションといたしまして、事業企画部門にございます記録問題 対策部というところにしっかりと取りまとめ機能を付与した上で、そのほか吹き出しにございます 年金相談部とか、記録管理部とか、支払業務部といったところが個々に年金記録問題に対応する業 務の一翼を担っているというような観点から、これらを組織を挙げて対応する体制というようなこ とで、3ページにございますように理事長を本部長とし、これらのセクションを所管している担当 理事等によって構成をいたします記録問題対策本部といったような組織を設けて、この問題に組織 を挙げて強力に牽引をしていく体制としてはどうかということで整理をしたものでございます。  続きまして、おめくりをいただきまして、4ページを省略させていただきまして、5ページでご ざいます。ブロック本部につきましては、先ほど御紹介しましたように両面から議論があったわけ でございますが、やはりそのブロック本部が目指す、あるいは本部を含めた体制がどういう方向を 目指していくべきかというコンセプトについてはしっかりと位置づけておく必要があるだろうと いうことで、そこの再確認をさせていただいているものでございます。  5ページの下の箱にございますように、単に今47ある事務局をブロック本部の9か所に集約し て置き換えるというものではなく、本部が現場と直接つながった、直結した体制を基本とする組織 再編を行う中で、本部の現場指導機能といったものを補完する存在としてブロック本部は位置づけ られているということで、ある意味、本部にすべての権限、責任を集約させた上で、それをどう分 担・管理をしていくかというような観点からブロック本部の在り方を位置づけるということではな いかと考えてございます。  その際に、本部がそういった機能を発揮できるためにも、これまでよく私ども本庁は現場を知ら ないという御批判をいただいてきたわけでございますが、きちんと本部に現場実務に精通した人間、 的確な現場指示を出せる人間というのはやはり配置する必要があるだろうと考えております。  当然、これは機構発足後においては、本部、地方を行ったり来たりするのを基本的なキャリアパ ターンにするということでございまして、おのずとそういった体制ができてくると思っております が、機構発足当初においてはそういった地方庁出身職員を相当程度配置するということは必要であ ろうと思っております。  また、そういったコンセプトの下に、具体的に本部とブロック本部は同じようなことをやっては それこそ屋上屋を架すということでございますので、ブロックらしい支援というものは何かという ときに、やはり現場をこまめに回って足で稼ぐような指導をやっていくということではないかと思 っておりまして、事務所に対する実地の指導・支援に軸足を置くというようなことで整理をしたい と考えております。  そして最後でございますが、いずれにせよ、組織というものは手段であって目的ではございませ んので、ブロックをどう存続させる、させないというようなことではなくて、こういったコンセプ トの下に体制を組んでいく中で、どういった役割配分というものが、この組織にとって最大効率を 発揮できるかというような観点から、更に組織の体制について柔軟に見直しを行っていくというこ とではないかということで整理をさせていただいております。  続きまして、「リスク・コンプライアンス体制」の関係でございます。まずは、御指摘も踏まえ た形でリスク・コンプライアンス部というものを、業務部門を直接担当しない副理事長の下に設置 をするということ。また、当然副理事長が適宜理事長への情報伝達、あるいは理事長の指示を求め るというようなことでトップマネジメントしていくということ。  それから、リスク・コンプライアンス事案についてはここで一元的に情報を把握するということ を想定しておりますけれども、必ずしも通常正規のルートではないところからそういったリスクが 把握されるということも当然想定されるわけでございます。とりわけ、お客様からの苦情というも のはそういった端緒になり得るものでございますが、そういったものについてはお客様の声をまず 一元的に集約をするサービス推進部というものを置くことを考えてございますが、そういったとこ ろから更にコンプライアンス違反が疑われるもの、あるいはリスク情報というものをリスク・コン プライアンス部にきちんと伝達をする。そういったような情報伝達のルールというものを確立して いきたいということでございます。  それから、7ページは「広報・広聴体制」の関係でございます。まず広聴体制の強化としまして は、絵の中ほどにございますサービス推進部というところにいろいろなお客様のニーズを把握する ための立案機能、または現場からの声であるとか、お客様の声というものをすべてここで一元集約 するというようなセクションにする。併せて、ここに各事業担当部門、事業所管部門に対して具体 的な改善指示を出せるといったような権限も付与したいと思っておりまして、それによってここの サービス推進部を軸とした広聴体制の強化を図りたいと思っております。  他方、広報機能につきましては、当然組織全体としての把握というもの、あるいはクライシスコ ミュニケーションという観点から、統括管理部門の中に、こういった広報担当というものを置きた いと思っております。  この広報と広聴機能の連携ということに関しましては、これまでもいろいろ御議論いただいてお りますアニュアル・レポート、まだ具体化の段階には至っておりませんけれども、この中でお客様 の声であるとか、そういった反映状況も含めたトータルな一覧性を持ったアニュアル・レポートと いうものを作成したいと考えておりまして、そういったものを作成する過程で、当然ながらこのサ ービス推進部と経営企画部広報グループというのは強力な連携を図っていく必要があるだろうと いうようなことで考えております。  最後になりましたが、8ページでございます。「システム部門の体制」につきましては、一番上 の箱にございますように、こういった刷新のような大プロジェクトにつきましてはシステム統括部 の中に置くということで、通常のルーチンな改修に対応するシステム企画部、開発部の中にそれぞ れ埋め込まれるということではなくて、統括部という中にプロジェクト体制を置くことによって強 力にそのプロジェクトを牽引していくという体制を想定しているということでございます。これは、 その時々の状況によるということでございますので、その状況に応じて柔軟に人員を調整していく ということになるのかなと理解をしております。  駆け足で恐縮でございますが、資料1についての説明は以上でございます。 ○奥田委員長 ただいまの御説明につきまして御質問、御意見がございましたら、御発言をお願い いたします。  ないようでございますので、一応御質問、御意見はなかったということで次に進めたいと思いま すが、機構の組織の骨格は、設立委員会で決定する性格のものではございませんが、これまで設立 委員の皆様方には精力的に御議論いただきました。  他方、機構設立まで残すところあと7か月でありまして、理事長予定者を中心に組織の細部をこ れから決定しなければならないという段階に今、差し掛かっているわけであります。  このために、設立委員会として組織に関する議論は本日でひと区切りつけまして、今後の具体化 につきましては紀陸理事長予定者にお任せをしたいと思いますが、紀陸委員、いかがでございまし ょうか。 ○紀陸委員 ありがとうございます。私は、この2月に設立委員会及び懇談会に参画をさせていた だきましていろいろなお話を承っております。また、合わせまして、事務局より社保庁のさまざま な課題、背景の事情につきまして説明を受けてまいりましたけれども、既にこの準備を進めなけれ ばいけない段階でございまして、私の方の了解をとりながら事務局で準備に取り組んでいる段階で ございます。  取り分け焦眉の急を要する問題が今、委員長からお話がございました組織の組み立てをどうする かということではないかと思っています。既に、先般でございますけれども、ブロックの地方事務 局長の方々のお集まりの会合がございまして、その中からもこの設立の準備を円滑に進めるために、 早く機構の新しい組織の姿を示してほしいという要請がありました。当然かと存じます。  合わせまして、これから人員の配置をどうするか。更には、広い意味で人事の構想をどうするか。 そういうことに絡んでまいる問題でございまして、詰めた論議が必要かというふうに存じます。  これまで、この委員会において先生方からさまざまな御意見をいただいておりますが、それを十 分に踏まえてしんしゃくの上、私の方でこれからの組織機構の在り方につきまして詰めさせていた だければ幸いかと存じます。御了承を賜れれば幸いかと存じる次第でございます。 ○奥田委員長 ただいまの紀陸さんからのお話がございましたが、お話どおりにやっていくという ことで進めてよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○奥田委員長 どうもありがとうございました。それでは、そのようにしていただくということで 詰めていきたいと思います。それでは、紀陸委員、よろしくお願いいたします。  それでは、補足いたしますが、意見についてなかったということでございますが、折を見て委員 会、または懇談会でもそれぞれ議論することもあると思いますので、いずれにいたしましてもそう いうことを踏まえて組織の内容については、理事長予定者である紀陸委員にお願いしたということ で議事を諮りたいと思います。  次に、内部統制でございますが、資料2及び資料3を事務局から御説明いただきたいと思います。 ○説明者(長田) それでは、資料2につきまして、私の方から御説明をさせていただきたいと思 います。  機構における内部統制システムの構築の方針につきましては、去る3月下旬の設立委員会で案を お示しさせていただいたところでございます。その際の御議論といたしましては、大枠の絵柄とし てはそれなりに整理ができているのではないという御評価をいただく一方で、そもそもこれが本当 にきちんとワークするために絵に描いた餅になってはならない。そういった意味でも、今ある仕組 みがどうワークをしているのか、していないのかといったきちんとした検証なり、反省の上に立っ て物事を進めるべきであるという御意見を賜りまして、そういった過去の課題はどういうところに あったのかということを赤裸々に示して議論すべきという宿題をちょうだいしたところでござい ます。  その御指摘を踏まえまして、既に一度、懇談会で御議論をいただいたところでございますが、そ れを改めてこの設立委員会の場で御報告申し上げるものとして資料2を用意させていただいたと いうことでございます。  おめくりをいただきまして、まずコンプライアンスの関係でございます。今後の取組み方針とい った部分は、既にお示しをしている内容と重複しますので省略をさせていただきますが、主に中ほ どにある「現状の課題・問題点」という点を中心に御説明させていただきたいと思います。  コンプライアンスにつきましては、ここの「通報窓口以外からの情報把握」というところに書い てございますように、いわゆる正規のルート以外から寄せられるものをきちんと整理をする、ある いは伝達をするというルールなり体制が十分ではないということにひとつ大きな課題があるので はないか。  先ほど、組織の骨格での御説明をいたしました例えば、お客様の声をどういうふうにリスク・コ ンプライアンス部につなげていくかという設計にもつながっていくわけでございますが、そういっ た点が1つある。それから、コンプライアンスを専門に担当する部署なり、専任の担当者もいない という現状でございますが、そこら辺の体制もしっかり強化をしていきたいということ。  それから、中ほどの法令遵守委員会の関係につきましては、個別事案対応、個別事案処理という ところでいわばこの機能がとどまっておりまして、それを踏まえた具体の再発防止策でありますと か改善方策といったところまで、なかなか手が回っていないという面がございますので、機構にお けるコンプライアンス委員会にとってはそういった機能まで視野に置いた体制を組んでいきたい ということでございます。  それからおめくりをいただきまして、サービス改善の関係でございます。2ページ、3ページ目 でございます。まず長官メール、手紙、あるいは国民の声の対応、それから職員からの内部改善提 案といったような仕組みがあるわけでございますが、それぞれ中ほどの「現状の課題・問題点」に ありますように、こういった仕組みが村瀬前長官就任以来導入をされたわけでございまして、一定 の意識改革なり進展が図られたというふうに認識をしておりますが、それを受けた後の事後の進捗 管理であるとかフォローといった面が、全体的に取組みとして弱いという面があるのではないかと いうようなこと。  それから、「国民の声への対応」につきましては、現座は、各部署、例えば社会保険事務所が対 応したものを基本的に事務局に上げて、事務局において更に本庁に上げるべきかどうかということ を判断するというような仕組みになっておりまして、それによって事務局単位でばらつきがあり、 それがひいては事務所の声が事務局の中で止まってしまうといったような批判にもつながってい った面があるのだろうと思っております。これは先日来、申し上げているような本部と事務所が直 接つながったような体制というものをしっかりつくり込んでいくということかと思っております。  それから、3ページ目の「お客様満足度アンケート」なり「窓口実態調査」ということにつきま しては、ある意味その職員の意識改革というところに第一フェイズ、非常に軸が置かれておりまし たので、職員の対応の丁寧さというようなことが中心的な課題であったわけでございますが、お客 様のトータルの満足度という意味では、やはり商品というものはいいものを提供するということが 求められているという意味で、サービスの内容や質といった面に踏み込んだニーズの把握が必要に なってくるのかなということ。  それから、覆面調査なども印象による評価という面があったのではないかという御批判もちょう だいしております。こういったものを、客観性を高めた調査手法あるいは調査項目というものにつ いて、引き続き検討したいということでございます。  それから、ページは飛びまして6ページでございますが、個人情報保護管理の関係でございます。 御案内のとおり、大変御迷惑をおかけいたしましたいわゆるのぞき見問題、業務目的外閲覧という ものが平成16年に発生をしました。これにつきましては、以降、既に現行においてシステム上の 制限をかけるとか、あるいは監視機能の強化といったようなことで、これについては取り組んでき ているということでございます。  それから、「個人情報漏洩への対応」というようなことにつきましては、いわゆる故意のものは 基本的にないと理解しているんですが、誤送付とか、割に初歩的なミスによって個人情報が漏れて しまう事例がなかなか少なくならないというような状況がございますので、そういったものを改め て、例えば業務処理マニュアルにおいてどういったものをチェックポイントにしていくかとか、そ ういったものをしっかり見直していきたいということ。  それから、「職員の意識改革」という面では、年金個人情報という非常にセンシティブな個人情 報を扱っているという意識が相対的に弱いんじゃないかということを、特に民間出身で社会保険庁 に来ていただいている職員の方の多くからそういう声をいただいております。当然、意図的に物を 出すというわけではなくて、比較的漫然と書類が置かれていたりとか、そういうような部分がござ いますので、そういったものの意識改革というものを、例えば研修手法であるとか、セルフチェッ クの手法だとか、いろいろ民間で取り組まれているものを、今、研究段階でございますけれども、 そういうものを参考に、しっかり取り組んでいきたいということを考えております。  それから、内部監査の関係でございます。7ページでございますけれども、これにつきましては、 平成19年から民間から監査経験者を特別社会保険監察官として登用いたしまして、その者を中心 に既にかなり改革に取り組んできております。一番左端に、「これまでの課題」として組織の独立 性の問題だとか、「監査の厳格さ」、「リスクアプローチ監査」といった課題が書かれておりますが、 それぞれ中ほどにありますようなことで改善の対応をしつつある状況ということでございます。  例えば、3つ目の「監査の厳格さ」というところでは、従来の聴取中心から実際に物をきちんと 確認をしていくという「適正検査」というものをしっかりやっていくというようなことでございま すとか、「リスクアプローチ監査」をきちんとやっていくためにもリスクアセスメント調査という ものを現在やっておりまして、それを機構ではしっかりと監査手法の中に取り入れていくことを考 えております。  また、無予告監査、いわゆる「抜き打ち監査」みたいな取り組み、それから「監査後のフォロー」 につきましてもこれまで指摘1か月後に報告をもらうのみであったものを、更にその3か月後にも フォロー報告を求めるというようなことで、そのフォロー体制も強化をして実際に一定の成果も上 がっているといったようなことでございますので、機構によってはこういった取組みを更にバージ ョンアップしていくというようなことで取り組んでいきたいと考えている次第でございます。  資料についての説明は、以上でございます。 ○八神大臣官房参事官 それでは、続きまして、資料3に基づきまして御説明をいたします。  前回の設立委員会の際に2点ございました。厚労省年金行政の内部統制、特にコンプライアンス もしっかり取り組むべきである。それから、現場の実務を踏まえた制度設計になっているか、きち んとここを教えてほしいということでございます。  資料3で、まずおめくりいただきまして1ページからまいります。4月20日に開かれました設 立委員会の懇談会で御説明をさせていただきました。若干、後ほど資料の追加部分もございます。  1ページは、「厚生労働省(年金行政)におけるコンプライアンス確保の取組について」という ことでございます。少し説明ははしょらせていただきますが、現行も公務員法あるいは公務員倫理 法、個人情報保護法等に基づいてさまざまな取組みをしているところではございます。  しかしながら、今後の方向性のところの枠をごらんいただきますと、1つ目の白丸に「具体的に は」、とございます。先月の3月ですけれども、「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」におきま しても、例えば職員として当然守るべき法令やルールを整理し、教育訓練を実施すべき等々の御指 摘をいただいております。「改革の工程表」を作成して計画的・着実に取組を進めるということに しております。  また、総務省の行政評価局からも、職員に対する周知、啓発等の教育活動が不十分である。ある いは、法令遵守等に係る制度・仕組みが連携して有効に機能しているかという検証、評価が不十分 というような指摘をいただいております。これも半年後、1年後に回答をして前向きに取り組んで いかねばならないと、こういうことになってございます。  この4月からは、従来の通報窓口に加えまして、弁護士のおられる外部の通報窓口などもつくっ たところでございまして、今後もっと充実をさせるべくコンプライアンス確保の取組みを推進して いきたいと考えてございます。  2ページは、懇談会の最終報告をまとめた概要でございます。  3ページからは2点目の問題でございまして、現場の実務を踏まえた制度設計になっているかと いう問題でございます。前回の委員会でも御要請があったわけですけれども、まず社会保険の現場 でどのような問題が生じているかということを把握して要因を分析する必要があると考えており ます。  実は、現在、社会保険庁で試行的にリスクアセスメント調査を行っております。現場が法令制度 自体に問題があると考えている場合についても、回答を求めているところでございます。これは今 やっているところですが、3ページの資料に基づいて現状のところをごらんいただきますと、今ま で概ね5年に1度の制度改正をしてきておりますが、その際に事務処理上の要請というものはお聞 きをして事業実施面からも検討は行ってきております。  ただ、2つ目の白丸になりますが、その結果、現場の要請を受けて取り組んだ見直しというもの ももちろんございます。一例を挙げますと、1つ目のポツですけれども、国民年金保険料を納付し やすくするために多段階の免除制度をつくるといったようなものや、幾つかございます。今日は個 別に御説明しませんが、8ページの別紙1に幾つかそういったものを取り上げてございます。  また、逆に要請を受けながら、実際には今後の検討課題ということでとどまっているようなもの もございます。これも、9ページの別紙2に書いております。例えば、受給資格期間25年という ものも、今後納付をしても25年の納付期間が満たせないというような方に対して納付をお願いす るというのはなかなか現場で難しいというような声もございました。  また、3つ目の丸でございます。野村委員が委員長を務められました「標準報酬遡及訂正事案等 に関する調査委員会」の報告書におきまして、制度的な要因として指摘されている事項、10ペー ジ、11ページの別紙3にまとめてございます。これも個別には今日御説明申し上げませんが、報 告書におきましては、現場の悩みですとか、混乱を十分にモニターした上で、適切に制度の企画・ 立案を継続してきたとは言い難いというような御指摘をいただいております。負担と給付の関係に ついて、実態を正確に把握し、明らかにした上で、その在り方について検討することというような 御提言をいただいております。これにつきましては真摯に受け止めて、今後社会保障審議会年金部 会等で現場実務の円滑な実施といった観点も踏まえて、制度設計面での検討を行っていただくこと にしていきたいと思います。  このように、今までも現場からの要請をお尋ねをして制度改正に反映させるという取組みをして きたのでございますが、この右欄の「課題」の一番上をごらんいただきますと、省全体として一体 的に取り組むという体制が十分とれていなかったのが実態ではないかと私どもは認識をしており ます。  少し具体的にどういう問題があったのかということを、その下に5点ほど分けて書いてございま す。  1つ目のポツですけれども、年金局と社会保険庁で協議をしてきておりますが、そういった協議 の実施自体がルール化されていない。現場の要請を確実に制度の立案に生かす仕組みとはなってい なかった。  2点目ですが、今度は社会保険庁におきまして現場の問題意識、お客様の声というものを組織的 に十分集約することができていなかった。  3点目、今度は年金局のサイドでは、社会保険庁の要請に対する対応の可否、その理由について 対外的な説明責任が果たせていなかった。  4点目ですけれども、制度改正によるシステム開発に要する期間の見通しなどが必ずしも十分で なく、システム開発に追加的な期間や人員を要したようなことがある。  5点目ですが、いずれにしても役所間の非公式な協議であり、外部の目によるチェックが働いて いない。こういった問題、課題があったというふうに認識をしております。  4ページは、国の責任ということで、今後、22年1月以降の新体制では、厚生労働省年金局が 管理運営責任を直接負うことになるわけですけれども、運営業務を行う日本年金機構との連携をし っかり確保して、現場実務を踏まえた制度設計、予算編成などに努めていかねばならないと考えて います。  具体的に5ページでございます。「新体制における「現場実務を踏まえた制度設計・予算編成等」 の仕組み」というものでございますけれども、具体的に厚生労働省と機構において定期的な協議の 場を設置して、現場実務を踏まえた制度の在り方、あるいは必要な予算の確保などについても議題 として検討していくような場を設けたいと考えてございます。  もちろん、この絵の右の方、日本年金機構の方でございますけれども、機構におきましては、業 務の有効性、効率性を確保するためにさまざまなマニュアル、お客様の声の分析とか、こういった ものにしっかり取り組んでいただく。こうした仕組みを通じまして、制度、制度改正案と現場実務 の整合性、円滑な業務実施に必要な予算・定員についても不断に点検をしていただき、そういった 改善の提案・予算要望というものを集約していただく。  更に、理事長に対する運営評議会の助言、意見具申も踏まえて、文書でまとめて協議の場に出し ていただく。また、公表もしていただく。  一方、厚生労働省においてはこれを真摯に受け止めて、できる限り尊重して、制度・予算に反映 をさせることにする。具体的には、制度設計に当たりましては当然のことながら老後の生活設計の 問題、制度の持続可能性ですとか給付と負担の均衡、こういったことを大前提といたしまして、合 わせてこういったいただいた提案・要望というものを検討し、社会保障審議会年金部会の御助言、 御意見もいただきながら、文書できちんと見える形で回答し、対外的な説明責任を果たすことにし たいと思います。できないことに関しては、できない理由というものもわかるような形で回答する というようなことが重要かと思っています。  この中で、このような御説明をさせていただきました。懇談会でこういう表の舞台はもちろん大 事であるけれども、そういうことに加えて今までなかなか現場からの提案や照会に対して適切な回 答が行われなかったり、うやむやにされた例がある。こういう仕組みだけではなく、更にこういう 仕組みが十分に機能するのかという御提案もございました。  それにつきまして、6ページ、7ページが追加で用意をしたものでございます。6ページにござ いますように、22年1月以降の新体制におきましては、右の新体制の方をごらんいただきたいん ですけれども、これまでは社会保険庁と年金局の間で法解釈の権限・責任といったところであいま いな面がございました。そういった権限・責任を厚労大臣、年金局長の下で今度は一元化をされま す。  また、機構の中でも、年金事務所など現場からの提案・照会について直接に本部が受け止めると いう仕組みが導入されるということでございます。 こういうことからも、適切な回答が行われず、うやむやにされるようなケースというものは大幅に 減少できるものと考えております。  7ページでございます。2のところをごらんいただきますと、「定期的な協議の場」というのは もちろん開くわけですけれども、例えば緊急な場合には「定期的な協議の場」というものを待つこ となく、厚生労働省と機構本部の関係者で随時、協議・調整を行い、適切な対応をとるということ も行う必要がある。  また、3のところで表にもしておりますけれども、幾つかの個々の職員からの提案や疑義照会に つきましては幾つかのルートを用意する。今回、年金局に「国民の声係」といったものも設置をす ることにしています。  ただ、ひと口に現場からの提案・照会と言いましても、例えば国民年金の担当者、厚生年金の担 当者、あるいはシステムの担当者、さまざまな立場、立場でいろいろな考えがあるかと思います。 相反するものとか、こういうものもあるかと思います。基本的には、機構本部でさまざまな角度か ら検証して、機構として集約をした形で提案・照会をしていただくことが基本ではないかと思いま す。  ただ、そう申しましても、ここにありますように機構外の窓口、厚労省、あるいは他省庁も含め て、こういった窓口に通報をして改善を求めるということも可能でございますし、また、研修など の機会を通じてこういったことの周知徹底を図ってまいりたいと思います。  以上、こういった仕組みを通じまして現場実務を踏まえた制度設計、予算編成、照会対応などに 努めていきたいと考えております。以上でございます。 ○奥田委員長 ありがとうございました。ただいまの2名の方の御説明に対しまして、御質問ある いは御検討がございましたら御発言をお願いいたします。では、どうぞ。 ○磯村委員長代理 資料3からでもよろしいですか。 ○奥田委員長 どうぞ。 ○磯村委員長代理 ただいま、厚生労働省と新しい日本年金機構との間の見解の不一致などがある 場合、どう調整するかという仕組みの御説明があったと理解していますが、それでよろしいでしょ うか。 ○八神大臣官房参事官 はい。 ○磯村委員長代理 今日の配布資料にはありませんが、前回、第6回の配布資料を拝見しますと、 それで十分なのかなという感じがしますので、もうひと工夫していただき、厚生労働省と日本年金 機構との間で見解の不一致があった場合、早く言えば国民のクレームやら、制度に対する変更や、 改定要望やら、そういった現場を預かる日本年金機構が何とかしてくださいと言って、予算と監督 権限を持つ厚生労働省に頼みに行っても言うこと聞いてもらえないときへの“駆け込み寺”的なも のを、もうちょっと具体的な形でお考えいただけないかな、というお願いでございます。  例えば、こういった場合、これは日本年金機構も困りますよね。今、国民年金の納付率が先般の 発表ですと61%ということになります。一方、これまでずっと、国民年金の納付率80%目標とい うのが、独り歩きしております。  たまたま別の会合で、大臣からこういうものについてどうかという意見を求められましたので、 普通、民間ならできもしない目標を墨守するなどということはしません。ですから、当時は63、 64%でございましたが、例えばちょっと努力すれば手の届く7割にするとか、そういうことが普通 なんだろうと思います、という御返事をしましたが、結局やはり80という目標が続いております。 そういったことが、恐らく相も変わらず機構の方に、厚生労働大臣からの中期目標という格好で示 達されると思います。  そこで、機構は一生懸命頑張りました。3年たってできなかった。できなかったら、機構が提出 した中期計画ができなかったということで、厚生労働大臣から機構の理事長は業務改善命令を受け るということになる可能性が、私は非常に高いんじゃないかと思います。  厚生労働省が墨守した、この示達した中期目標のお陰で、一生懸命努力したにもかかわらず、そ れができなかった機構が業務改善命令を受けるなどというのは、ちょっとおかしいんじゃないか。  こういうふうなたとえが、実はほかにも幾つかできます。いかに予算と監督権限を持つ厚生労働 省が、この資料にございますような文書による制度改正提案を受けます、とか、それによって検討 過程を透明化して文書により回答いたします、ということを幾らやっても、私は実効は上がらない んじゃないかと思うわけです。もう少し具体的な仕組みを、ある程度、担保をつけて御準備いただ かないと、せっかくできた機構が2年、3年たったときに困るんじゃないか。そういう駆け込み寺 を是非お願いしたいというのが要望でございます。以上でございます。 ○奥田委員長 どうもありがとうございました。事務局から何か回答ありますか。 ○八神大臣官房参事官 ありがとうございます。十分なお答えになるかどうかわかりませんけれど も、個別に納付率の問題は、それはそれでたとえということなので、これについては特にコメント しませんが、中期目標をつくっていくときに、中期目標の中に、例えば実現ができないような目標 が盛り込まれてしまうのではないかという御懸念なんだろうと思いますが、制度上、中期目標をつ くるときに社会保障審議会に諮るということが法律上決められてございます。  その社会保障審議会の中に、この中期目標なりを検討する場というものを考えなければならない と私どもは考えておりますが、これも例えばでございますが、そういう中に現場実務に明るい方の 参画を求めるというようなことであるとか、あるいは中期目標をつくっていく途中の段階で、機構 から意見をお伺いするような場を確保する。これからそういう場を考えるわけですけれども、そう いう場に対して意見を述べるような場を確保するようにというようなことに取り組んでいきたい と考えてございます。  また、定期的な協議の場の話を先ほど申しました。これは、基本的には文書で公開・公表もする ようなものでございますので、当然のことながらそこで出てくれば、それを受けて厚生労働省サイ ドもいろいろな批判を受けたり、説明責任を果たさなければならないということでございますので、 定期的な協議の場もそうですし、今、申し上げた社会保障審議会の場もそうですし、いろいろな手 段をフルに活用して機構の意見に耳を傾け、反映できるものは反映していくという努力を重ねてい きたいと思っております。 ○磯村委員長代理 ただいまの例の、中期目標のことだけであれば、社会保障審議会の年金部会に お諮りした上で一種の駆け込み寺的機能を果たしてもらうというお話と承りましたが、仮に中期目 標だけに限定したとしても、社会保障審議会というのは、そういうことを審議するのが今の役割に なっていますか。  年金制度の関係は社会保障審議会でしょうけれども、昔の社会保障制度審議会ならば今のような イメージで議論をしていただくことはできるでしょう。しかし今の審議会の名称からは「制度」の 2文字は取れていますね。取れた審議会で今のような駆け込み寺的審議ができるのかどうか。  それから、中期目標以外でも実は駆け込み寺になってほしいようなテーマはたくさんあるんです。 ですから、その辺は一体どう処理するのか。それも全部社会保障審議会の年金部会に諮ろうという ことですか。 ○八神大臣官房参事官 これは、まず年金部会というふうに今は考えているわけではなくて、社会 保障審議会の中にこの機構に関する問題、中期目標をつくったり評価をするという場を年金部会と は別に設けなければならないのではないかということを実は今、検討をしているところでございま す。それが1点です。  そういう意味では、その場を使っていただいていろいろな御意見をお伺いするということはおか しくない。むしろ制度的には法律上、社会保障審議会に諮問をするということが定められておりま すので、社会保障審議会で御議論いただかなきゃならないということになっています。  それから、中期目標以外の点というのは繰り返しになってしまうのですが、そのために定期的に 協議をさせていただいて意見を聞き、または議論するというような場を設けたいということが今回、 御説明した提案でございます。以上でございます。 ○磯村委員長代理 それならば、社会保障審議会の年金部会以外の全く新しい部会をつくって、そ こに一種の駆け込み寺的機能を持ってもらうんだ、というふうに最初からおっしゃっていただけれ ば、ああそうかと言って余分な質問をしなくても済むわけです。  そういうことでよろしいですか。メンバーも全部一新ですね。 ○伊奈川総務課長 まだ新しい部会ができているわけではなかったものですから、法律上決まって いますのは社会保障審議会ということでありますので、その中でどのような部会を設けていくのか ということに関してはまだオーソライズされていないということで、とりあえずこういう形にして おりますけれども、今、八神の方から申し上げましたように、社会保障審議会の今まで年金部会は どちらかといいますと制度設計、制度論を中心にやってきたという経緯がございますので、今、磯 村委員の方から御指摘のありましたような点を考えたときに、年金部会がいいのかどうかというこ とから言うと、ちょっと違う面があるのかなと。  ただ、そういうことで検討はいたしますけれども、もう一つ、年金部会自体、制度設計をする中 でもやはり執行体制、実施ということは重要なテーマなのかなと。実は、16年の改正のときにも 年金部会においていろいろと御議論いただいたものが執行面についていろいろな改善策を講じて いるわけですけれども、反映している面もございますので、その辺りはどういう形でやっていくの か。今、御指摘いただいた点も踏まえて検討していきたいと思っております。  もう一つ補足いたしますと、これも繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、やはり駆 け込み寺的なもの、ずばりかどうか、いろいろなとらえ方があるかもしれませんが、この資料の7 ページに書いてございますように年金局の新しい組織、これは従来の体制に加えて2課4室、それ に年金管理審議官ということでありますけれども、その中で国民の声に対応するための係、そのた めの定員というものを確保しておりますので、新しくできる組織の中でもそういった機能も対応で きる面があるのではないかと考えております。これは、また引き続き検討させていただければと思 っております。以上でございます。 ○磯村委員長代理 どうもありがとうございました。どうも確約はいただけなかったんですが、ど うやら今までの年金部会とは全く違う部会めいたものをつくっていただけそうな雰囲気でありま したので、ここから先は私が駆け込むわけではなくて、実際に駆け込まれる理事長予定者とお打合 せをいただければ大変ありがたいと思っております。  なお、先ほど御説明の中で、年金局の中に駆け込み寺とは違うけれども、それに似たようなもの をつくるというお話がありましたが、年金局の中につくるのはそれはそれで結構ですけれども、第 三者性というのはあるんですか。それはあくまでもおたくの身内の中でありまして、そんなことを 堂々と胸を張って、駆け込み寺とは違うけれども、それに似たようなものだとおっしゃる、その神 経はちょっと私には理解できません。以上です。ご返事は要りません。 ○奥田委員長 ほかに御意見はございますか。どうぞ。 ○大山委員 今のお話にもちょっと絡むと思うので、申し上げます。長く社会保険庁のこの関係の 仕事を手伝わせていただいて、システムの刷新を含め、状況が変わってきているのは喜ばしいと思 っていますが、その中で、自分がその立場だったらどうなるかと常々思っていたことがあります。 今の駆け込み寺と同じような話になるのかもしれませんが、ちょっと心配に思うことがあるので意 見として申し上げたいと思います。  システムをつくるというのは、今回の記録の不備の問題に関係して、何としてもこの先つくるも のはそれこそ同じようなトラブルが起きないよう、何とかしたいと思うのが当たり前のことと思い ますが、その中で制度論との関係で見たときに、例えば今回のねんきん定期便あるいは特別便が始 まりましたが、定期便について見てみても、制度的には本来、届出をする事業者が従業員に対して 伝えなければならないことになっていると理解しています。  このことは、定期便を出す必要は制度面から見ると不可欠というわけではなく、ちゃんと伝えて いない、あるいは伝えることとができていない状況があるので、そこに対して、制度的には問題は ないが、それに付加的なものとしてシステムを用意するということになると思います。  この辺の話は、民間企業であれば制度のものはもともと違いますが、ある意味、顧客サービスな ので当然やることなのですが、国がやるという意味では、今回のようなことがないと普通は起きな かったのではないかと思うわけです。  この先、日本年金機構になったときに、今のようなことが例えばどういう決着の下で、あるいは どういうポリシーの下で動くのかがわからないと、多分システムを設計する、あるいは運用してい く方は、制度的には完結しているからいいと言われた途端に、そのような機能は要らないとなるし、 逆にそうではなくて不十分だったからやると言われたら、つくらなければならないとなると、これ はある意味でたまらないのはないかと思うのです。  言い方を換えると、ちょっとした状況の変化でシステムを柔軟に変化させろと言っても、戦艦大 和ではありませんが、日本年金機構が運用しなければいけないシステムは大きいものですから、多 分そんな簡単に小回りが利かないという気がします。  このようなことを念頭において、今の組織を見ると、システム部門の嘆きというものが何となく 想起されます。一体どこにどう吸い上げていただいて、あるいはそれが制度との関係のときにどう いう形をとるのかがいまひとつすっきりしないので、もしお考えがあれば教えていただきたいと思 います。 ○奥田委員長 事務局から御意見はありますか。 ○八神大臣官房参事官 システムに関連しましては、新年金局の中には当然そのシステムを担当す る部門ができます。それで、それはむしろ常時、日本年金機構のシステムの担当部門と連絡を取り ながら一緒に仕事をする。設計から始まって、そういう仕組みになってございます。ですから、そ こで十分連携を果たしていただくということです。  もちろん、合わせて先ほどの定期的な協議の場に今のようなお話を生じた場合に持ち上げていた だくということも当然可能で、やっていただくべきだと考えてございます。 ○伊奈川総務課長 少しだけ補足をいたします。  今日、お配りしております資料3の13ページに別紙5がございます。先ほど私は新しく2課4 室ができますと申し上げたわけでありますけれども、そのうちの1つというのが13ページの右下 のところにございますシステム室ということでございまして、それなりの組織体制で日本年金機構 との間のスムーズなシステム開発ということをやっていきたいと考えております。 ○奥田委員長 よろしゅうございますか。 ○大山委員 もうちょっとよろしいでしょうか。今の回答は、お聞きしたいこととちょっと違う感 じがします。申し上げたいのは、先ほどの例で言うと事業主が届出をしました。従業員の方にはこ ういう形で届けてありますということを伝える。これが制度なので、そういう対応をすることにな っていますが、現実には、それがうまくできていないというのが、残念なことにあったと認識して います。その状況下で、時間軸で見ると20年、30年たってから過去の話を振り返るようなことが あったので今回のことが起きたと思います。  そういったときに、制度的にはやらなくても本来よいはずですが、実効性が上がらないからやる ようにしたと、考え方が大きくここで変わったと思います。  そうだとすると、この先もその姿勢を貫いてやっていただけるということなのか、やるとするの であれば、逆に今みたいな制度のところに対しては制度を直すつもりがあるのか、あるいは、皆さ んにお願いするのかなど、何らかの形で手を打たなければなりません。  別の言い方をすると、混乱するといけませんが、コンプライアンスの話というのは日本年金機構 と社会保険庁さん、あるいは厚生労働省さんにとってのコンプライアンスはわかりますが、相手方 があって、相手方がそれに対して十分対応していただけないことが現実にあるわけです。そのとき に、システムが幾らかでも支えるになるのかという観点から見たときに、いろいろと悩みが出てく るということを申し上げたいわけです。  それは、現場あるいは厚生労働省の年金局の中にできるシステム室の人たちと話せば済むような 簡単な話ではありません。もう少し次元の高い話ではないかと思います。理事長がこれから強いリ ーダーシップの下でポリシーを出していただけるということなのかもしれませんが、その辺のとこ ろをどのようにお考えなのかということを、今ある問題に関して、過去の経緯を振り返ってみると どうしてもそういうことが気になるということを申し上げたいということです。 ○説明者(長田) 以前、内部統制の御議論をいただきました会議でもお示しをさせていただきま したけれども、システムをめぐる国と機構の関係というのは非常に微妙な関係にある。それがゆえ に、国と機構のいろいろな考え方の調整の仕組みというものを、より練り込んでいかなければいけ ないと考えております。  先日、お示しをさせていただきました資料の中では、国と機構の合同のシステム開発委員会をつ くるというようなことを御紹介させていただきましたが、今、先生が御指摘いただきましたように、 当然システム対システムの中で完結をする話ではないということは多うございますので、まだファ イナルに確定をしたわけではございませんけれども、このシステム開発委員会の構成といたしまし ては、厚生労働省サイドでは年金管理審議官をトップとして、そういうトップレベルのものが入っ てくるということ、また、単にシステム担当の室長だけではなくてそういった事業に関わる責任者 も参画する。  一方、機構のサイドももちろんトップにCIOたるシステム担当理事以下、システムの所管の部 長のみならず、事業企画部長なり経営企画部長などもそこに参画をしていこうというようなことを 考えております。  それから、更に第三者性というような意味では、このシステム開発委員会に外部有識者の参画も いただくということも想定をしております。そういう意味では、システムの問題は単にシステムセ クション対システムセクションという枠の中だけでとらえていることではなくて、組織対組織とい う枠の中でそういった調整の場をつくろうということで考えてございます。そこの、より実効のあ る仕組みについては引き続きよく考えていきたいと思っております。 ○奥田委員長 よろしゅうございますか。 ○大山委員 はい。 ○大熊委員 大変素人の質問で恐縮なのですけれども、お客様の苦情に耳を傾けるというのは結構 なのですが、そのお客様が気が付くのは大分、後の祭になってからなわけで、そうならないように あらかじめさまざまな手を打っておくということが大事です。  そのためには、先ほどから年金局、年金局とおっしゃっているけれども、年金については若いと きは余り関心がないから職場を変わろうが、結婚しようが、何も届出をしないでいる人が非常に多 いけれども、例えば健康保険などの方は結構こまめに申し出たり、改定したりすると思うので、そ このところを連結することによって漏れがないようにするような仕組みとかを、何とかこの災いが 起こったということをエネルギーにして推進していくことはできないだろうか。  私はたまたま日本にいなかったので後から知ったんですけれども、社会保障カードの在り方検討 会で大山先生たちが報告書を出されたようですが、ああいうものをもっとどんどん進めていくとい うようなことを、ただ皆でゆっくり考えましょうというようなことではなくて、こういうことが起 こってしまうんだよという感じで進めることはできないでしょうかという質問です。 ○薄井総務部長 先ほど来、いろいろ御議論がございますけれども、今、大熊委員がおっしゃられ た医療保険との連携というところについて言うと、これからも被用者の関係については、健保組合 は別ですが、いわゆる全国健康保険協会の医療保険の適用も、それから厚生年金の適用も年金事務 所で取り扱います。  ただ、そうは言っても健保組合もあるし、国保もあるしということでございまして、それは国民 年金の方から言うと1号被保険者、2号被保険者、3号被保険者の間に動きがあるということでご ざいます。これらについては、会社経営のケース、それから市役所に行っていただくケースとあり ますけれども、きちん、きちんとお届けをしていただく。今も届出漏れの方をフォローする仕掛け というものをつくってやっていますけれども、それは更にこれからも徹底していきたいと思ってお ります。  それから、御指摘がございました社会保障カードですが、実は私も前に担当させていただいてお りましたけれども、そういうふうなものもそういうことがうまく進むための大きな基盤になるもの と考えております。これも厚生労働省全体として、あるいは政府の中でも御議論があるということ だと思いますけれども、私どもとしてもそれを踏まえて対応していきたいと考えています。 ○大熊委員 こういう番号というのは、他省庁に関してはなかなか反映することが役所の壁ででき ないだろうとこの日本では思いますけれども、せめて厚生労働省関係のものはぴたっ、ぴたっと反 映させるような仕掛けをつくっていただけたらと思います。  それから、別なことですけれども、何か苦情があって言ったときにさぼってしまって放っておく ということが非常によくあるんです。具体的に私の知っている例では、公益通報者保護法というも のができて、そのときに金沢大学の病院でたまたま患者さんの味方になったお医者さんが医局の教 授から村八分になってひどい目に遭っているという事件がありました。  それは厚労省に届け出ているんですけれども、もう3年くらいたって、途中で一遍問合せに対し て、やっていますみたいな、おそば屋さんの今つくっていますみたいな話があったんですが、まだ 放置されています。磯村先生みたいな方が組み込まれていればそういうことがないんですけれども、 お役所の中で2年間したらよそへ行くという人たちは、面倒なものはちょっと置いておこうみたい なものの歯止めになる仕組みというのはできないのだろうかと思うんですが、どんなものでしょう か。 ○説明者(長田) 本日の資料2の中でも、2ページ辺りで触れさせていただいておりますけれど も、職員からの内部提案であるとか、国民の方からの声であるとか、そういった声について、先ほ ど申し上げましたようにフォローというものが不十分であるということを問題点として指摘をさ せていただいたところでございまして、そこはやはり機構の中ではそれが放置されないできちんと 進捗管理をするためのルールをつくるということが重要だろうと思っておりまして、そこのつくり 込みをしっかりやっていきたいと思います。  そのため、1つは、いろいろな仕組みの中で何をいつまでにどういうふうに処理をするというよ うな仕組みを、いわば不文律的なものではなくてきちんと明文化をしていくというようなこと。あ とは、経営陣にしっかりとそういったものの重要性を認識してもらうということがやはり大事だろ うと思いますので、ここの中でも理事会への定期的な報告といったような言葉も書かせていただい ておりますけれども、幹部レベルにしっかりとそういったものが情報伝達されるという仕組みをイ ンプットしていくことが必要なのではないかと思っておりますので、引き続き考えていきたいと思 います。 ○岩瀬委員 細かい点で2、3お聞きしたいと思います。  今、長田さんの、細かいことはこれからつくり込んでいくんだと。そのつくり込んだ結果という のは、議論はこれから新理事長の紀陸さんの指導の下に進めるということでしたけれども、その結 果をこの委員会には報告してもらえるのかというのがまず1点です。  もう一つは、大熊先生の質問に関連しますけれども、いろいろな問題点を通報した場合に、それ は当然不利益を被らないという形で保護されると思うんですけれども、仮にそれが漏れて不利益を 被ってしまった場合にどういうふうにして救っていくのか。そういった仕組みがあるのかどうかと いうこと。  もう一点、お客様の声満足度アンケートだとか覆面調査は非常に重要なことだとは思うんですが、 この具体的な今後の取組み方針案で書かれていることが抽象的過ぎてわからないんですけれども、 これはこれから考えていくということで、まだ具体的な案があるのか、ないのか。その3点を教え ていただきたいと思います。 ○説明者(長田) まず1点目の問題につきましては、設立委員長及び設立委員の先生方の御指示 を踏まえて適宜対応していきたいということかと思っております。  それから、通報の関係は、それぞれ資料3で書かれている他省庁で所管をされているようなもの もございますが、機構の中の通報制度ということで言いますと、まだ具体化の段階には至っており ませんが、当然内部通報のルールというものを今後つくり込んでいくことにしておりますので、そ ういった中で今のような御指摘の観点を十分踏まえながら整理をしていきたいと思います。  それから、最後の覆面調査の関係でございますが、御指摘のとおり課題認識というところにとど まっておりまして、では具体的にどういう調査項目であるかとか、どういう調査手法で取り入れて いくかということにつきましては、今後更に内部で詰めていきたいということでございます。また、 適宜御相談等をさせていただければと存じます。 ○岩瀬委員 では、2点目についてもう一度お聞きしたいんですが、漏れた場合に救済の仕組みと いうのは今のところはないけれども、それはこれからつくっていくという理解でよろしいのですか。 ○説明者(長田) どういった仕組み、フレームでそこが整理できるかということにつきましては、 今すぐにこうできるということまでのものはございませんけれども、そういったことは内部通報制 度がしっかりと機能するためのいわば基盤といいますか、大前提となる大変重要な御指摘と思いま すので、そこを十分に踏まえた形でつくり込みを検討していきたいということで考えていきたいと 思います。 ○奥田委員長 まださまざまな御意見があると思いますが、時間の関係もございますので、この問 題についてはいずれ改めて議論をしていただきたい。そういう場をつくりたいと思いますが、よろ しいでしょうか。               (委員 うなずく) ○奥田委員長 では、そのようにいたします。  それでは、次に年金相談センターの委託ということについて、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○片岡サービス推進課長 社会保険庁運営部サービス推進課長でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。  では、資料4に沿って御説明いたします。「年金相談センターの委託について」でございます。  「基本方針」といたしましては、現在全国51か所あります年金相談センターについて、全国社 会保険労務士会連合会に相談業務を委託するということでございまして、当初の委託契約期間は3 年3か月、当初の中期計画期間とするということでございます。  この考え方ですが、まず「経緯」でございます。昨年1月の基本計画において、全国54か所の 年金相談センターについては外部委託を行うこととされておりました。当時、7月の時点では54 か所でしたが、その後、3か所廃止されて現在は51か所となっております。  この年金相談センターの外部委託につきましては、機構設立時である平成22年1月から委託す ることが予定されておりますので、その委託先につきましては限られた準備期間の中で相談業務の 品質を確保できる体制を構築し、円滑な移行をできる主体であることが重要と考えております。  そこで、具体的に検討いたしますと(2)でございますが、年金相談センターの委託先について は以下の要件、@からBとございます。  @でございますが、年金相談に関する経験が豊富で質の高い社会保険労務士を常時配置すること ができ、かつ突発的な事情に対応する交代要員を安定的に確保できる者であること。  Aは、氏名索引機能を利用して機構が保有いたします個人情報に触れることとなりますので、高 度な個人情報保護体制を確保できる者であること。  次の2ページでございますが、社会保険労務士を含む相談員について、業務委託開始の22年1 月までに年金相談センターの受託のための年金相談に関する研修体制を整備できる者であること が必要と考えます。  それで、現状におきましてこれらの要件を満たす主体としては全国社会保険労務士会連合会のみ と考えられますので、社会保険労務士会連合会に委託したいと考えており、先般、連合会にこの業 務委託について御依頼し、了解を得ているところでございます。  全国社会保険労務士会連合会におきましては、大変ありがたいことですが、昨今の年金記録問題 におきまして、都道府県社労士会及び個々の社会保険労務士さんに指示、連携、協力体制の下で、 都道府県社労士会の年金相談センターにおける無料年金相談あるいは開業社労士による無料年金 相談など、さまざまな取組みを行っていただいております。このようなことから、今般連合会に委 託したいと考えております。  それから、2ページの(3)でございます。前回の設立委員会で議論いただきました業務方法書 案、11条におきましては、契約を締結する場合には一般競争入札の方法によることを原則とする と規定されておりますが、同業務方法書案12条第1号に「契約の成立又は目的により一般競争入 札によることが適当ではないと認められる場合」として、随意契約の方法により締結することがで きると定められておりまして、今回のケースはこれに該当するものと考えております。  3ページ以降は参考資料でございまして、3ページが基本計画、4ページが「年金相談センター の現状」でございます。  それから、5ページ、参考3でございますが、現在「社会保険労務士会に御協力いただいている 年金相談」でございます。  それから、6ページが「社会保険労務士法」、7ページが前回御議論いただきました業務方法書 案でございます。  資料の説明は以上でございます。 ○奥田委員長 ただいまの説明について御質問、御意見はございますか。 ○長沼委員 3点伺いたいんですけれども、以前、この場で伺ったときは全国社会保険労務士会に 委託すると社労士会の方で受託料が収入の一定割合を超えて、なかなか全国社労士会として受ける のは法的にクリアできない問題がある。それで、都道府県単位の社労士会で受託する方向だという お話もいただいたと記憶しているんですけれども、その点は全国社労士会の方に随意契約で委託す るということで法的な問題は支障がないのかどうか。  あわせて、都道府県単位ではなくて全国社労士会に委託する方が、日本年金機構、厚生労働省、 社会保険庁としてはいいという御判断ですか。その辺をまず1点目としてお伺いいたします。  それから、2点目ですけれども、たしか21年度の当初予算では3か月分ということで3億6,900 万円計上されたと記憶しているんですが、それでこの51か所ですか、年金相談センターにおいて 受託して必要な社会保険労務士の先生方に対する人件費が賄えるということなのかどうかをお伺 いします。  それから、3点目として今週号の『週刊社会保障』にも、大槻会長が出られて、この年金相談セ ンターを受託するというお話と、それから街角年金相談センターに関するお話が出ていたと記憶し ているんですけれども、この街角年金相談センターについても現段階でどの程度話し合いが進んで いるのか、御報告いただければと思います。以上です。 ○奥田委員長 では、お願いします。 ○片岡サービス推進課長 まず1点目の件でございますが、全国社労士会連合会は特別の法律によ り設立される民間法人ということで特別民間法人と言われておりまして、国からの補助金等につい て指導基準というものがございます。  その場合に、連合会の定款等で定められております目的達成事業、本来的な事業についてはその 事業遂行に当たって国の補助金委託費等は20%を超えないこととなっておりますが、今回の事業 はそういうものではありませんで、連合会が自主的に行う事業という整理になります。この指導委 託基準が外れるという整理で、20%の基準とは別ということで整理が可能であり、それにつきまし てはその指導監督基準を所管しております総務省にも確認をして、その説明で結構だということで 回答いただいております。以前、それにつきましては中でもいろいろと検討しておりましたが、そ の問題はクリアされておりまして、その旨につきましては連合会にも御説明させていただいており ます。  それから、全国一括の方がなぜよいのかということでございますが、各都道府県社労士会でもい ろいろな研修事業をやられておられますが、今般、全国の社会保険労務士連合会で、特に年金相談 実務に関わる新しい研修制度、年金実務研修などに今回取り組まれておられまして、全国的な相談 の質の向上などについてもいろいろ取り組まれるということでございますので、相談業務の質の向 上につきましては全国連合会に委託するのが適当と考えております。  それから、2点目の予算でございますが、21年度予算におきましては1月から3月の日本年金 機構交付金の中でこの委託費として約3.7億円計上しております。この中で足りるかどうかという ことは、これから連合会ともよく相談させていただきたいと思いますが、予算的にはこのような状 況になっておりまして、その中でいろいろと御相談させていただきたいと思っております。  来年度以降につきましてはまた改めて、これから概算要求になりますので、その辺りは連合会の 御意見も踏まえながら適切に対応していきたいと思っております。  それから、街角年金相談センターでございます。これにつきましてはこれから連合会のお話を聞 かせていただきながらよく相談していきたいと思っておりますが、現在連合会の方に御協力いただ いて本当に感謝しておりますが、いろいろな巡回相談とかをお願いしてやっていただいていること がございまして、その事業等を活かしながらといいますか、それを変えながらいろいろ実現といい ますか、うまく調整ができるかと思っておりまして、具体的にはこれから御相談させていただきた いと考えております。 ○長沼委員 1点目の問題につきましては、了解いたしました。  2点目、3点目で、当然人件費については適正な運営ができるように委託されると理解したんで すけれども、一方、全国の市町村の方では、この間、年金問題での社会的な混乱を回避するという ことと、身近な市役所で市民サービスの向上を図りたいということで、採算を度外視してコストベ ネフィットは抜きにして、身近な市民の相談を受けるということで取り組んできたわけです。  ただ、平成22年の1月からは年金相談センターについて全国社労士会に適正な委託費を払って 運営をお願いしていくということであれば、当然従来から法定受託事務で担っている市町村に対し ても、適正な人件費については交付していただかないといかがなものかと考えるんです。  この場で議論することではないかもしれないですけれども、志木市の方でまとめた資料でも、県 内40市で平成19年度の決算ベースですが、人件費が40市で17億円かかっている。  しかしながら、社会保険庁の方から交付されるのは10億円程度ということで、およそ人件費だ けでも7億円、市の方で負担しているという状況があるわけですね。  ですから、22年の1月にそういう形で適正な人件費が全国社労士会の方に支出されていくとい うことであれば、法定受託事務で担っている市町村の方については、やはり適正な人件費を交付し てもらいたいと考えているんですけれども。 ○事務方(後藤) 国民年金事業室の後藤と申します。  ただいまのお話でございますけれども、まず法定受託事務と申しますと国民年金の事業は、例え ば市民の方からお届けをいただくものをお預かりするとか、あるいは市役所と社会保険事務所を   つなぐとか、そういった事業であります。  それで、今の例示に出ましたけれども、年金の相談事業のようなものは本来の法定受託事務では ございませんで、私どもの言葉で協力連携事務と申し上げていまして、地方自治体の自治事務の一 部ということでございます。したがいまして、本来の法定受託事務に係る人件費交付金は、そうい った要素は含まれておりません。  一方、この度のように相談業務をたくさんやっていただく市町村も出てまいりました。その経費 につきましては、この協力連携事務の中の費用として一部定額ではありますけれども、実費を想定 した交付を行っているところであります。したがいまして、法定受託事務に係る部分につきまして は従来方式の交付を今後とも考えているところであります。 ○長沼委員 法定受託事務、例えば生活保護であればいわゆる地方財政法に基づく国庫負担金とい うことで、4分の3が国、4分の1が市町村という枠組みですね。この国民年金の事務取扱交付金 というのは、いわゆる委託金で本来であれば100%、それに要する費用については国の方から交付 される仕組みだと理解しているんです。  それで、志木市がまとめた資料でも、社会保険庁が持っている資料でもそうだと思うんですけれ ども、少なくとも埼玉県内40市の社会保険庁の方でこういうふうに計算しなさいよということを まとめた人件費の決算額というのは17億になっていると思うんです。それに対して交付している のが10億円、おおむね6割弱ですよということなので、それについては少なくとも今後、より実 態に近い金額をちゃんと交付していくという形で御検討いただきたいと思います。  それから、いわゆる市町村との協力連携に関わる経費云々ということでは、例えば今、来訪相談 にしても電話相談にしても1件111円ですね。来訪相談があると1件111円、電話相談があっても 1件111円です。1件111円ではとてもじゃないですけれども、実際は費用を賄えないわけです。 職員の人件費も当然それでは出ませんし、あるいは社会保険労務士の先生に委託で対応しても1件 111円でやってくださいねというわけにはいかないと思うんです。その分を今、全部市町村が被っ ているわけです。  だけど、冒頭に申し上げたように年金問題での社会的な混乱を回避するとか、身近な市役所で市 民サービスの向上を図りたいということでやっているわけですから、そろそろ年金問題についても 実際にかかっている費用は市町村について対応していく方向で、今後厚生労働省の方でも取り組ん でいただきたいと思います。 ○事務方(後藤) まず1点目でございますけれども、法定受託事務ということで、基本的には被保 険者の数に応じて全国統一ルールでお配りするのがよかろうということで予算上はセットになっ ております。  それで、現在の価格につきましては平成17年度に実態調査をいたしまして、物件費を含めまし た調査結果に基づき予算化がされているところであります。御指摘にもありましたように、17年 当時とは状況が変わっているということで、本年度この実態調査につきましては調査できるかどう かということで、現在進めているところであります。  いずれにしましても、実態の調査把握につきましては定期的に行うということでございますから、 その事実、実態を十分人件費、物件費、ともに調査した上で、適正な予算に反映させたいと思いま す。  それから、協力連携につきましても今、申し上げましたように、多くの陣容を抱えて相談に対応 していただいているような自治体もございますけれども、これは17年度当時の平均的な所要時間 などから割り出した単価でありますので、これにつきましてもまたその実態調査の中で明らかにし てまいりたいと思います。 ○磯村委員長代理 もう時間がありませんので、一言提案だけ申し上げます。  今の社会保険労務士会との協議の進捗状況やら、市町村への協力依頼の状況は、本当に困ってい るからお願いしますという感じではないんです。これは、あと半年しかありません。機構ができて、 とりあえず目先の混乱を回避するために、やはり社会労務士の皆さん方やら市町村の皆さん方の御 協力を仰がないとできないんです。  だから、そういう前提で、その進捗状況がどうなっていて、どこに問題があって、どう直せばい いのか。できたら一遍懇談会でじっくり議論をしてみたいと思うのですが、いかがでございましょ うか。 ○奥田委員長 懇談会でというお話がございましたが、この議題につきましては非常に重要な問題 でございますけれども、時間の関係もございますので、一旦この辺りで終了させていただきたいと 思います。  なお、この年金相談センター委託の件を含めまして、次回の設立委員会で御提案がありました全 国社会保険労務士会連合会からのヒアリングも予定しておりますので、その席でもう一度議論をす るということでよろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○薄井総務部長 今、磯村委員からお話がございましたように、懇談会で御議論ということで、私 どもとしても年金記録問題が起きて以降、社会保険労務士会、それから市町村、本当に国民の皆様 のところで一番御苦労いただいて、私どもの仕事も円滑に進むように御尽力いただいておりますこ とに対しまして、まず御礼を申し上げなければいけないと思います。  それで、機構移行までの期間、あるいは機構移行後も社労士さん、それから市町村、引き続きお 世話になることが多いと思いますので、国民のためにということで是非御議論をいただきたいと思 っております。 ○奥田委員長 どうもありがとうございました。  これで前半の部分は終わりまして、あとは非公開といたします。よろしくお願いいたします。 (連絡先) 厚生労働省年金局総務課 03-5253-1111(内線3315)