09/05/15 平成20年度第8回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会      第8回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会                     日時 平成21年5月15日(金)                        16:00〜                     場所 厚生労働省5階専用第12会議室 ○大淵化学物質評価室長補佐 定刻になりましたので、第8回化学物質による労働者の健康障害防止に 係るリスク評価検討会を開催いたします。本日のご欠席者は江馬先生、和田先生につきましては所用 のため欠席というご連絡をいただいております。池田先生、名古屋先生におかれましては少し遅れて いらっしゃるようですけれども、ご出席の予定です。  それでは以下の進行については座長の櫻井先生にお願いいたします。 ○櫻井座長 それではよろしくお願いいたします。議事に先だちまして事務局から資料の確認をお願 いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは資料の確認をさせていただきます。本日から検討会の報告書 について検討をいただくということで、少し資料が多くなっております。配布資料一覧を見ながらご 確認をお願いできればと思います。まず資料8-1として、第7回リスク評価検討会の議事概要です。8- 2としてリスク評価対象物質の評価値等ということで、前回の議論を踏まえた修正版となっています。 8-3として1,2-ジブロモエタンの有害性総合評価表、有害性評価書です。資料8-4として4,4'-ジアミ ノジフェニルエーテルの二次評価値についてという資料です。8-5として平成20年度リスク評価対象 物質の今後の対応についてということです。資料8-6については多いものなのでクリアファイルに入れ ていますが、20年度の検討会報告書の案です。8-7としてリスク評価検討会の今後の検討予定というこ とです。資料のほうは皆様お揃いでしょうか。 ○櫻井座長 大体揃っておられるようですので、今日の議題に入る前に事務局から、第7回の議事概要 の説明をお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは第7回の議事概要について、資料8-1です。第7回は4月17 日に開催しまして、3番の議事概要のところから読み上げます。(1)第4回から第6回の議事概要の確 認、事務局より第4回から第6回の検討会の議事概要について説明をした。(2)平成20年度リスク評価 対象物質の評価値について、第4回の時点で有害性評価書作成中のため、二次評価値が「暫定値」又は 「保留」とされていた計7物質について、完成した有害性評価書の内容と二次評価値の暫定値が矛盾し ないかどうかについて検討したということで、[1]としてNo.6のオルト-ニトロアニソール、No.16の 4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、No.32の1,3-プロパンスルトン、No.42の2-メトキシ- 5-メチルアニリン。[2]としてNo.17、2,4-ジアミノトルエン、No.20、1,2-ジブロモエタン、No.41、4,4'- メチレンジアニリン、これらについて検討していただいております。  検討いただいた中では多くのものはもともと決めた暫定値をそのまま採用させていただいたのです が、一部のものについては少し変更等がありました。注意する必要がある物質としてはNo.32の1,3-プ ロパンスルトンがあります。こちらについては毒性の面で少し問題がありまして、静脈投与試験ある いは皮膚投与試験において単回投与で腫瘍が発生しているということで、二次評価値について慎重に 検討すべきとされ、ばく露実態調査の結果も含めて検討するということで、前回第7回は前半を公開で、 後半を非公開で開催したのですが、非公開の部分で検討を行い、非公開の部分で結論としては個人ば く露測定の定量下限値である0.005mg/m3を二次評価値とするという、かなり低めの値で管理すべきと いう結論が出ております。  No.20の1,2-ジブロモエタンですが、こちらについては暫定値をイギリスのWELの値0.5ppm(3.85mg/ m3)を暫定値としておりましたが、有害性総合評価表に記載されている反復投与毒性の評価レベルより もこの値は高いということで、二次評価値についてはさらに検討が必要とされまして、第8回において 再度検討するとされております。  No.41、4,4'-メチレンジアニリンですが、この物質については二次評価値の候補が2つあり、ACGIH のTLV、0.1ppm(0.81mg/m3)と、日本産業衛生学会の許容濃度が0.4mg/m3で、濃度としては2倍の開き がありましたが、こちらについては第7回で検討させていただいた結果、日本産業衛生学会のほうが提 案時期が新しく、提案理由も妥当ということでこの0.4mg/m3を採用することとなっております。  このNo.41に連動する形で1頁目にあるNo.16、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタンについ ても、構造から見て毒性が41番の物質と非常に近いということで、濃度的にもそれと合わせるような 形での数字となっています。  前回は公開の場でこのような形で評価値の検討をいただきまして、その後の非公開の場では評価値 が変更になったものについてばく露の評価を再度確認するという作業をしていただいたところです。  それを受けた形で今回は報告書のほうをこの後、ご議論いただく予定となっております。 ○櫻井座長 ただいまの説明について、何か質問、ご意見はございますか。よろしいでしょうか。で は、今日の議題に入ります。前回まで20年度評価対象物質の評価値を検討してきたわけですが、暫定 値又は保留となっていた2物質があります。本日できる範囲内で検討するということです。事務局から 説明をお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 説明いいたします。本日検討をいただきたい物質として2物質あります。 最初の物質としては、いまの議事概要にありましたNo.20の物質、1,2-ジブロモエタンです。こちらに ついては議事概要にも記載しておりましたし、また、資料8-2の4頁もご覧いただければと思います。 両方を使いながらご議論いただければと思いますが、あらかじめ仮の値として決めていた暫定値と比 べて、それ以降判明した有害性のデータのほうが数値的に厳しいということで、再度検討が必要とい うことです。再度検討が必要という根拠になったものとしては、資料8-3で、これは委託事業で取りま とめております有害性の総合評価表、後ろのほうの1-4という頁が付いているところからは、証明の根 拠となったさらに詳しい資料ということですが、数字的に見ていただくところでは総合評価表の2頁目 になりますが、反復投与毒性、あるいは生殖毒性といったところで導かれた評価レベルと比べますと、 イギリスで提案されている値は少し高すぎるのではないかというような懸念があるということで、今 回またもう一度検討するということです。  会議の開催前に櫻井先生ともご相談させていただいたのですが、こちらについてもう少し突っ込ん だ議論をするためには、この2頁目の記載されているデータについてオリジナルの文献もたどってみな いと詳細な検討ができないのではないかということで、オリジナルの文献について入手を試みたので すが、時間的に間に合いませんで、次回にご用意できたらと思っております。本日、私ども事務局で 提供できる資料はこの8-3の資料までです。ですので、この資料でどれだけ議論ができるのかによりま して、場合によってはこの1,2-ジブロモエタンについては本日ではなくて、次回にでももう一度追加 資料を用意しまして、ご議論いただくというようなことも考えております。 ○櫻井座長 前回も資料8-3を見ていただいて、そのときに資料3の1-2とというところの反復投与毒 性試験の2つのデータ、生殖・発生毒性のデータ等を見ますと、いずれもイギリスのWELとして提案さ れている0.5ppmより低い値が評価レベルとして考えられる状況であったために、今日にまた時間を取 ることになったわけです。特に追加の情報はいまのところないのですが、いまの段階で、もし何かさ らにこういう情報があるといいのではないかというようなご意見等がございましたらいただきたいと 思いますが、いかがでしょうか。 ○大前委員 この物質は刺激性が結構あるという物質で、強制経口投与で2週間やった実験で、出てい るのが前胃ですからよくあり得ると思うのです。これを基に、気道のほうに換算しているようですが、 IRISに戻ってもう1回見てみる価値はもちろんあると思うのですが、そんなに重要視しなくてもいい のではないかという気もするのですが。 ○櫻井座長 評価レベル2の根拠になったデータですね。経口投与の。 ○大前委員 はい。実際の数字を見ますと、2.4mg/m3で、UKのWELが3.85mg/m3で1.何倍ですから、 そんなに大きな差はないので、いずれにしても現物にあたるのは賛成で、今日急いで決めることはな いと思います。 ○櫻井座長 わかりました。その下の生殖・発生毒性はLOAELで0.46と少し飛び抜けた低い数字にな っておりますが、4行目に「経皮吸収が顕著であった」というのが書いてあるので、これはオリジナル ペーパーを読みたいということを事務局に注文を出してあるのです。そうであるならばこの無毒性量 として出ている0.46mg/m3というのはそのまま使えないなという印象を持っております。いちばん上の データは13週吸入ばく露で、鼻の異常、それのNOELが3ppmだということで種差10を取って0.22ppm、 1.7mg/m3という評価レベルを仮に計算してありますが、これも大前先生がおっしゃいましたようにイ ギリスのWELのデータ、ppmでいうと0.5、mg/m3で3.85、それとそう大きな違いはないと確かに思え るデータではあります。 ○内山委員 イギリスの0.5ppmとしたときの元の文献、あれはあったのですか。 ○櫻井座長 ないのですね。 ○内山委員 その根拠は。 ○大淵化学物質評価室長補佐 ちょっと入手できなかったのです。 ○内山委員 これは入手できなかったのですね。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。 ○櫻井座長 入手できればしたいと思うのですが。2-ブロモプロパンの生殖・発生毒性が1でしたっけ、 2。 ○大前委員 1ppmだと思うのですが。 ○櫻井座長 そういったものとの整合性から考えても、これを0.5ppm。 ○大前委員 そんなに悪い値ではないと思うのです。 ○櫻井座長 次回の1-ブロモプロパン、2-ブロモプロパンでしたっけ。生殖・発性毒性。 ○大前委員 2がメインで1も。 ○櫻井座長 もう少しあるけれども、2がはっきりしている。その辺の許容濃度が。 ○大前委員 1ではなかったかと記憶していますけれども。 ○櫻井座長 そうですか。その辺の情報を、次回に追加して、全体を見ながらご評価いただくという 方向でよろしいでしょうか。そういうことで。 ○大淵化学物質評価室長補佐 では次回にもう少し情報を準備した上でまたご議論いただきたいと思 います。 ○櫻井座長 この件はそういうことにさせていただきます。次がNo.14、お願いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 資料8-4をご覧ください。特に前回の議事概要等に入っていたものでは ありませんが、今回準備するにあたって、事務局のほうで気になるところがあったので、先生方にも う一度ご確認いただければという趣旨のものです。こちらについてはもともとの議論としては産衛学 会、あるいはACGIH、こういったところでの許容濃度等が設定されていなかったために、代謝の観点で 類似の物質と比較しながらご議論をいただいたというものです。  第4回の検討会でご議論をいただいたわけですが、そのときに参考にしたのが資料8-4の1頁目に書 いてあるジフェニルエーテルと4,4'-ジフェニルメタンジアミンという物質だったわけです。その第4 回のときはどんな結論だったかと言いますと、2頁目に4,4'-ジフェニルメタンジアミン、これは今回 議論いただいた中ではNo.41の物質のことなのですが、これと比べると中央がメチレン基ではなく酸素 なので、肝毒性としては弱いがアミンとしての毒性はほぼ同じ。アミノ基があるのでジフェニルエー テルよりは毒性は強いと予想されるということで、ジフェニルエーテルのTLVが1ppm、4,4'-ジフェニ ルメタンジアミンのTLVが0.1ppmであり、発がん性を考慮し4,4'-ジフェニルメタンジアミンのTLV と同じ0.1ppmを二次評価値とするというふうに結論をいただいております。  第4回ではこのような議論だったわけですが、その後の議論で、前回第7回でNo.41番は再度ご議論 いただいたわけですが、先ほどの議事概要でもご説明をさせていただきましたが、41番の物質につい てはACGIHと日本産衛学会の数値がそれぞれ出ておりまして、結果的には日本産衛学会のほうの値を採 用するということになりました。ACGIHのほうに比べますと半分の数値を採用することになるのですが、 第4回のときはACGIHのほうの41番の数字と並びでということで考えたわけですが、その41の二次評 価値が当初考えていたものの2分の1になったわけです。その値といま議論していただく14番の物質 を数字を合わせてしまうと、14番の物質にとっては少し厳しくなりすぎる恐れがあるのではないかと いう懸念を持っています。  事務局のご提案としては数字については第4回で結論をいただいた0.1ppmということで変わらず、 ただその根拠としてはジフェニルエーテルのほうのTLV1ppmの10分の1を採用して二次評価値とする という形で、数値は変えずにその理由を変更するということで結論付けてはどうかということで提案 をさせていただきたいと思います。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。その前の段階でもジフェニルエーテルよりは低くという条件を入れ た上で、一応4,4'-ジフェニルメタンジアミンに合わせたと。また、今回もこの物質は構造からいくと ジフェニルエーテルによく似ているので、それとの比較も考慮するとするならば、20分の1の差があ る4,4'-ジフェニルメタンジアミンに合わせるのか、あるいはその中間であるジフェニルエーテルの10 分の1を採用するのかという2つの選択肢があって、後者が妥当ではないかという事務局の原案です。  特にご異存がなければそれでいいかと思いますが、よろしいでしょうか。 ○内山委員 それは「発がん性を考慮し」というところは抜けるという意味ですか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 ここの表現は少し残しておいたほうがよいかもしれないなと思います。 ○内山委員 残しておいていただいたほうがいいのではないか、その点、10分の1で結構です。 ○櫻井座長 ああ、そうですね。それを残していただく。数値としては0.1ppmということで、そのよ うなことでよろしくお願いいたします。それでは次に2つ目の議題である「検討会報告書」について検 討いたします。事務局お願いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 ではこの検討会は昨年の6月から開催をさせていただいて、今回から、 そして次回にわたり報告書を取りまとめていきたいと思っております。まず、報告書そのものの説明 に入る前に、これまでの議論を簡単に表の形でまとめたものでご説明をさせていただいた上で、その 後、報告書の説明をさせていただければと思います。  まず資料8-5です。20年度のリスク評価の検討ですが、当初44物質というかなり多い物質を検討す るということで始めたわけですが、提出された情報等の状況によって、少し評価の仕方が変わってき ております。1頁目は有害物ばく露作業報告の提出があり、ばく露実態調査、現場での測定が実施でき たものが44物質中の20物質です。  3頁目は2番として有害物ばく露作業報告の提出があったが、事情によりばく露実態調査が実施でき なかったものということで4物質ありました。  4頁ではそもそも有害物ばく露作業報告が事業所から提出されなかったものというのが44物質中の 20物質あったということです。  それぞれについていままでの検討結果、あるいは今後の方向性等を整理させていただいたものが、 この資料8-5です。1頁目に戻っていただき、作業報告の提出がされ、かつ現場での調査が実施できた ものについてです。こちらについては3色に塗り分けをさせていただいています。何も塗ってていない 白の部分についてはばく露の状況が一次評価値よりも低いというもので、かなり低濃度のもの、薄い 色で網掛けをしたものが測定結果が一次評価値と二次評価値の間にきたようなもの、濃い網掛けをし たものが二次評価値を超えるばく露がカウントされたもので、一部別のものも入っていますがその3種 類に分けています。  リスク判定、詳細評価の要否ということで、いちばん右側の覧に網掛けのない物質が全部で6物質に なるのですが、2番のイソプレン、5番、オルト-アニシジン、7番、オルト-ニトロトルエン、36、ベ ンゾ[a]アントラセン、37、ベンゾ[a]ピレン、38、ベンゾ[e]フルオラセン、こちらについては一次 評価値よりもばく露が低いということで、検討会の中ではリスクは低いという判断をされています。  薄い網掛けをした物質が7物質あり、4番、14番、16番、17番、30番、41番、42番、これらの物質 についてはばく露が一次評価値と二次評価値の間だったものというものです。この評価についてはリ スクは必ずしも高くないのですが、適切な管理について行政指導をすべきという形でご意見をいただ いたと思います。  濃い色の網掛けをしている物質は2種類あり、ばく露が高かったという意味で網掛けをしているもの が6種類、毒性の点で懸念されるというもので網掛けをしているのが1種類で、全部で7物質について 網掛けをしています。ばく露が高かったということで網掛けをしているのが8番の2-クロロ-1,3-ブタ ジエン、10番のコバルト化合物、11番、酸化プロピレン、18番、1,4−ジクロロ-2-ブテン、19番、 2,4-ジニトロトルエン、24番、ジメチルヒドラジン、これらの6物質についてはばく露が二次評価値 よりも高かったということなので、今後詳細評価を実施すべきということでご意見をいただいていま す。  少し毛色の違うものとしては32番の1,3-プロパンスルトンです。こちらについては毒性の面、特に 発がん性について動物実験で単回投与でもがんが出ているようなこともあるので、非常に発がん性が 懸念されることで使用実態や取扱い状況を把握すべきというご意見をいただいています。測定まで実 施した物質については以上のような判断になっています。  続いて3頁目の有害物ばく露作業報告の提出があったが、事情によりばく露実態調査測定が実施でき なかったものということで4物質です。そもそも測定ができなかった理由としては20年度中に取扱い 作業がないということが6番、9番、20番の物質で、31番のフェニルヒドラジンについては測定を実 施したのですが、捕集後の物質が不安定で分析不能だったためデータとしては得られなかったという 状態です。これらについては6、9、20については21年度必ず作業があるかどうかはわかりませんが、 作業のあるときにまた測定ということを考えております。31番のフェニルヒドラジンについても、も う少し測定方法を検討して、データを取っていきたいと考えております。  続いて4頁、5頁の有害物作業報告の提出がなかった20物質についてです。有害物ばく露作業報告 がなかったというのは、年間500kg以上の製造、又は取扱いについての報告はなかったということで、 必ずしも日本国内の取扱いのある製造の事業場が全くないというところまで確認できたわけではない ので、今後は業界団体を通じて、製造取扱い事業場の有無を確認して、事業場があるような場合には 実態調査を実施したいと考えております。  なお、これらの20物質のうち、43番のりん化インジウムについては平成21年度は少し評価対象を 広げ、インジウム及びその化合物について調査を行う予定にしています。すでにこの1月から3月に 「インジウム及びその化合物」と範囲を広げた形でばく露作業報告の提出を求めており、今回は報告 件数はゼロではなく、実際に取り扱っている事業場から報告をいただいていますので、21年度はそこ に対して実態調査を行うことが可能な見込みです。  いまのインジウムと同じような話では、先ほど説明が漏れてしまったのですが、1頁の10番のコバ ルト化合物についてですが、平成20年度については評価対象を塩化コバルト及び硫酸コバルトに限る という形で評価をしていただいたのですが、検討会の議論の中で、もう少し評価対象を広げるべきと いうことでご意見をいただき、平成21年度については対象物質を「コバルト及びその化合物」という ことで、金属コバルトも入りますし、この2種以外の化合物も入るという形で調査を行う予定としてい ます。20年度の検討状況の概要については以上です。 ○櫻井座長 これまでの検討経過等について説明がございました。何かご質問、コメントがありまし たらどうぞ。よろしいでしょうか。では報告書(案)についてはこれからご審議いただくのですが、 ではご説明をよろしくお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは資料8-6の20年度の検討会報告書(案)の説明をさせていた だきます。例年の報告書と少しスタイルが変わっていますので、それから説明をさせていただきます。 ホチキス止めをしてあるもので1つ目のものが報告書全体の共通部分になっています。それ以降につい ては評価していただいた物質ごとに1つずつ資料を作る形にしていて、従来は本文をずっと書いていて、 それが例えば10物質なら10物質分の本文をずっとつなげて書いて、その後に10物質の参考資料を入 れさせていただいていましたが、今回は1物質ずつで本文と参考資料が見られるような形にスタイルを 変えています。本日の資料ですが、今回の報告書はばく露作業報告があって実態調査をしたという20 物質分までの資料になっていて、実態調査まではいかなかったけれども、有害性評価だけは済んだと いうような物質については、本日ではなく次回にそちらの資料は出させていただきたいと思っていま す。  1つ目のホチキス止めの資料、全体の共通部分のほうについて説明をします。目次ですが大きな構成 としては従来の報告書に準ずるような形になっています。1番として「はじめに」ということで検討経 緯等を記載しています。2番として「リスク評価の手法」ということで、20年度若干の修正をしていま す。3番として、リスク評価対象物質をどういう考え方で選定したかというもの。4番として「リスク 評価結果の概要及びまとめ」ということです。その後に5番として、「リスク評価書等」を別冊ととい う形で付けさせていただいており、(1)として初期リスク評価書。これは有害性の評価とばく露の第1 段階での評価が終了したというものについて、20物質分作っています。  目次の次の頁で(2)として、有害性評価書ということで、ばく露は今年度は調査できなかったけれど も、有害性の調査だけは済んだというような物質についても資料として報告させていただく予定です。  続いて実際に目次の後の本文に入りますが、読み上げていきますと時間がかかりますので、ポイン トをつまみながら説明をさせていただきたいと思います。1頁目の「はじめに」の(1)経緯です。なぜ リスク評価を行うかとか、これまで平成16年度からこういったリスク評価について検討が始まってい ることの説明をさせていただいています。1頁目の下から実際に個々の物質の評価が始まったのが18 年度からということで、それについても簡単に振り返っています。18年度は5物質について評価をい ただいています。ただ19年度は10物質について評価をいただいて報告書を公表しており、今回の平成 20年度分についてはアルファ・アルファ-ジクロロトルエン等の44物質について有害物ばく露作業報 告をして、この結果を基に有害性評価、ばく露評価を行ったということです。  今回の報告書についてはその20年度評価対象44物質のうちのすべてではなく、[1]として有害性評価、 ばく露評価の双方が終了したもの20物質、[2]として有害性評価のみが終了した4物質と、この[1]、[2] の部分を報告書として記載させていただいています。[3]の有害性の評価もばく露の評価も未了の今回 のものについては取りまとめはまだしていないということです。  (2)としてこの検討会の参集者の先生方のお名前を掲載させていただいております。3頁目、(3)とし て検討会の開催経緯ということで、昨年の6月の第1回から次回を予定している第9回まで、それぞれ の日にちとそれぞれの議題の記録をさせていただいています。  5頁です。リスク評価の手法です。平成18年度から個々の物質の評価が始まっており、毎年度の報 告書に同じような形でリスク評価の手法ということで書かせていただいています。(1)としてはリスク 評価手法の概要で、[1]の有害性の種類及びその程度の把握。[2]の量−反応関係等の把握。[3]ばく露状 況の把握。[4]リスクの判定というような大きな流れの説明が書かれています。  (2)として、リスク評価の手法の詳細で、[1]有害性の種類及びその程度の把握で、具体的にどのよう な項目を情報収集するのかということです。[2]として量−反応関係等の把握で、それぞれどのような 観点で量−反応関係を把握していくかということです。アとして臓器毒性・全身毒性又は生殖毒性。6 頁の下のほうでイの急性毒性、ウの皮膚腐食性・刺激性、あるいは眼に対する重篤な損傷性・刺激性、 7頁で呼吸器感作性又は皮膚感作性、オの生殖細胞変異原性、カの発がん性、キのデータの信頼性等の 検討ということでやってきています。  [3]のばく露状況の把握については有害性と並んでこのリスクを評価する上で重要な柱なわけですが、 こちらについてはどのような目的でばく露状況の把握を行うのかということで、これまでもお話しま したように有害物ばく露作業報告を事業場から集めて、その中でリスクが高いと推定されるような作 業を把握して、そこに対して実際の現場での調査を行っていくということをやっています。イの対象 の選定として、これまでどのような考え方で現場での測定対象とする事業場を選んできたかというよ うな考え方です。  8頁です。ウの測定等の実施です。実際にどのようなことを現場で調査するのかですが、このリスク 評価の取組みの中では、いちばん重点を置いていますのが個人ばく露測定です。個人ばく露測定を補 完するような意味で作業環境測定、あるいはスポット測定というのも実施しています。これらに付随 して作業態様、作業時間、換気設備等の情報についても合わせて現場で調査をすることにしています。  [4]としてリスクの判定方法です。このリスクの判定については大きく一次評価、二次評価に分けて 行っています。一次評価については物質の種類によって一次評価値の設定の仕方が変わってきますが、 (ア)の発がん性の閾値がないとみなされる場合については、基本的にはユニットリスクを用いたが んの過剰発生率を算定して、そこからということを中心にしてきています。ただ、(イ)にあるとお り、がんの過剰発生率が算定できない場合については、イの二次評価に移行するということです。  bの発がん性の閾値があるとみなされる場合ですが、試験で得られた無毒性量に不確実性係数を考慮 して求めた評価レベルを一次評価値とするということです。9頁のc、発がん性の閾値が不明な場合で すが、こちらは一次評価を超えて二次評価のほうに移行するということです。  イの二次評価ですが、二次評価値の決定、今年度もこれに何度も時間を割いていただきましたが、 二次評価値の決定については日本産業衛生学会の許容濃度、あるいはアメリカのACGIHのTLVが提案さ れている場合には、それらを参考にして決めるということでした。ただ、こういった濃度が設定され ていない場合には、それ以外の公的な基準値、米国のREL、ドイツのMAK、英国のWELといった外国等 の機関で濃度基準値が定められている場合には、こういったものを考慮して定めてきています。  今年度、少しこの辺りで変えている部分でいいますと、大きなところでは(iv)(v)、構造的に類似 した物質について今年度はだいぶご検討いただいたということで、従来に比べACGIHなり日本産衛学会 あるいはその他の公的な機関の数字がない物質がかなりたくさんありましたので、構造から導くこと もここの基準に則って、今年度は先生方にご議論をいただいたところです。  10頁です。(イ)の評価及びそれに基づく行政措置です。18年度、19年度と若干違うところがあり ます。18年度、19年度については単年度で物質のリスクを評価し、春に報告書が出るとその半年後に は規制措置、いわゆる法令改正をし、規制を導入する手続きをしていましたが、今回の評価は初年度 の評価においてばく露レベルが二次評価値を超えた場合には、次年度以降に追加調査を実施した上で、 行政措置の要否を判断するということで、リスクが高いおそれのあるものについては従来よりも丁寧 に評価をしていこうという考え方が、今年度から導入されています。  11頁はリスク評価の対象物質です。平成18年度から始まったリスク評価については、発がん性を有 すると考えられるような物質から選定することで継続して行っています。20年度の場合について具体 的な基準を申し上げますと、[1]の労働安全衛生法施行令別表第9、これはMSDSを交付すべき物質とい うことで定められていますが、それに掲載されていること。[2]として特定化学物質障害予防規則等で 規制されていないこと。[3]として発がん性の知見が次のいずれかに該当するということで、国際がん 研究機関(IARC)の発がん性評価が1又は2A。イとして欧州連合(EU)の発がん性分類において1又は2 と評価されているというところで、20年度の対象物質を選定しています。  「なお」というところで少し従来と変わってきているのが、従来はリスク評価の対象物質として比 較的多くの量が製造、又は使用されているものに絞った形で評価対象としてきましたが、今回につい てはそもそも国内での製造なり、取扱いがあるのかどうかということも含めた調査にしようというこ とでやっているので、必ずしも量が多いものばかりを選んでやったわけではないということです。評 価対象物質については18年度5物質、19年度10物質から比べますと大きく増え、今回は44物質とい うことで選定をさせていただいています。具体的な物質としては11頁の下から表になっており、それ ぞれの物質の名前とIARC及びEUの発がん性評価のレベルも記載しています。表は13頁まで続いてい ます。  いま申し上げたように選定基準が従来と変わったこともあり、先ほど資料8-5で申し上げましたよう に、ばく露作業報告がない物質が44物質中の20物質なので、約半数はばく露作業報告はなかったとい う、当初の選定基準の段階で製造なり取扱い量を必ずしも考慮していないことがあったがために、報 告の対象にならなかったということもあろうかと思います。  14頁は「リスク評価結果の概要及びまとめ」です。(1)リスク評価結果の概要です。平成20年度に おいては発がん性等の有害性が高いと指摘されている化学物質、20物質のリスク評価は有害性評価及 びばく露評価を行うとともに、4物質については有害性評価のみ行った。リスク評価を行った20物質 の評価結果の概要は次のとおりである。  ア、次の6物質については取り扱う一部の事業場において二次評価値を超えるばく露が見られたこと から、これらの物質についてはさらに詳細のリスク評価を行うべきであり、行政措置の要否について は、この結果をもって判断すべきであるということで、6物質として2-クロロ-1,3-ブタジエン、コバ ルト化合物、酸化プロピレン、1,4−ジクロロ-2-ブテン、2,4-ジニトロトルエン、ジメチルヒドラジ ン、これら6物質については詳細評価を行って、結果によって行政措置の要否を検討するということで す。  イとして次の1物質については測定結果は定量下限値未満であったが、この物質は動物実験において 単回投与でがんが発生していることから、使用動向、作業実態について引き続き調査を行うべきであ り、行政措置の要否についてはこの結果を待って判断すべきであるということで、これは1,3-プロパ ンスルトンのことです。  ウとして次の7物質については測定結果が一次評価値を超えていたものの、二次評価値以下であった ことから、今回のばく露実態調査に基づくリスク評価では、リスクは高くないと考えられるが、有害 性の高い物質であることから、国は既存の法令に基づく対応を図るとともに、事業者においてリスク 評価を実施して、適切な管理を行うべきであるということで、7物質としては2,3-エポキシプロピル= フェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメ タン、2,4-ジアミノトルエン、ヒドラジン、4,4'-メチレンジアニリン、2-メトキシ-5-メチルアニリ ンの7物質です。  エとして、次の6物質については測定結果が一次評価値以下であった。(二次評価値のみが設定され、 測定結果が二次評価値以下だった物質を含む)ことから、今回のばく露実態調査に基づくリスク評価 では、リスクは低いと考えられるため、各事業場において引き続き適切な管理を行うべきである。具 体的な6物質としてイソプレン、オルト-アニシジン、オルト-ニトロトルエン、ベンゾ[a]アントラセ ン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]フルオラセンです。  まとめとして今回のリスク評価結果に基づき、国はリスクが高いおそれのある7物質については詳細 な評価を行うとともに、現時点ではリスクが高くないと判断されたその他の物質についても、事業者 に対して適切な管理を行うよう指導するべきである。なお、今回行ったリスク評価は現時点において 入手された資料データを基にリスク評価を行ったものであり、リスク評価結果は将来にわたって不変 なものではない。そのため引き続き情報収集に努めていく必要があるということで、共通の部分につ いては以上です。一旦説明はここで区切らせていただきたいと思います。 ○櫻井座長 全体にわたる部分について、その内容を説明されましたが、何かご質問、ご意見等がご ざいましたらどうぞ。  特にないですか。先に進んでよろしいでしょうか。それでは次に物質ごとに進めていくことにした いと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 まず[1]のイソプレンです。イソプレンについては個別の物質の報告書 の構成を一とおり簡単に説明したいと思います。それ以降の物質については構成は同じになっている ので、特に検討会の中で重要な部分、ばく露の評価の辺りを中心にそれ以降の物質を説明する形にし ます。イソプレンを説明した後、そこで一旦区切ってご議論をいただきたいと思います。 それでは[1]イソプレンです。今回から物質ごとの評価書という形でまとめさせていただいています。 大きな構成として目次の部分をご覧いただきますと本文、参考1として有害性総合評価表、参考2、有 害性評価書、参考3、ばく露作業報告集計表、参考4、測定分析法ということですが、従来はなくて今 回から新しく付けている資料ということで参考2の有害性評価書、従来は総合評価表という表形式のコ ンパクトなものだけを付けていましたが、今回からは少し詳しいデータを付けています。参考4の測定 分析法は、従来の資料では測定法、分析法に関係するような記載がなかったので、今回から新たに1枚 の簡単に測定方法を整理したペーパーを付けています。  それでは実際の中身を順番に説明していきます。本文はここから始まりますが、大きな1番として物 理的性状等で(1)化学物質の基本情報、名称、化学式、分子量、CAS番号等です。(2)として物理的化学 的性状ということで、外観や沸点、融点、比重等々です。イソプレンの場合ですと特徴的な臭気のあ る揮発性の高い無色の液体ということです。(3)として生産・輸入量、使用量、用途で、合成ゴム等の 原料として使われるような物質です。  2番として有害性評価で、(1)発がん性に関する評価です。発がん性の中では発がん性の公的な分類 としてはどのようなことが行われているかを参考にして、発がん性の有無に関する部分を最初に記載 しています。イソプレンの場合についてはIARCの2Bを根拠として、人に対して発がん性が疑われる物 質というように整理しています。閾値の有無の判断ですが、イソプレンは閾値がある物質です。その 場合の閾値の算出ということで次から計算式が書いてあり、ここでの計算はNTPのデータを基にしたも のです。  いろいろ計算して評価レベルが次の2頁に出ています。不確実性係数を考慮した評価レベルというこ とで、4.6mg/m3(1.7ppm)を求めています。  (2)として発がん性以外の有害性です。ここについては従来は有害性の中でも発がん性のみを本文中 に記載していましたが、それ以外の有害性についても実際に対策を講じたりするときには考慮しなけ ればいけないので、発がん性以外の有害性というこの項目を、今回新たに追加しています。ごくごく 簡単な記載ですが、後ろのほうに付いている参考1等から抜き書きをした情報です。  (3)として、許容濃度等ということで日本産衛学会やACGIHのデータ、あるいはそれがないときには それ以外の情報ということで、このイソプレンの場合についてはこの産業衛生協会、AIHAから2ppmと いう数字が示されております。これらの情報を基に、(4)として検討会としての評価値を設定したわけ ですが、二次評価値については、先ほどの閾値から計算した評価レベルが1.7ppmというのがありまし たが、二次評価値で2ppmを設定しますので、一次評価値と二次評価値がほとんど変わらないというこ とですので、あえて一次評価値についてはイソプレンについては設定しませんでした。  続いて、3のばく露のほうの評価です。(1)として有害物ばく露作業報告の提出状況ということで、 事業場から出てきた内容について簡単に記述したものです。詳しいデータとしては参考資料の3、13頁 にありますが、かなり細かくて見にくい資料ですが、こちらを簡単に申し上げると、いちばん左に作 業の種類があります。ここで数字が書いてあるのは、ばく露作業報告をとるときに番号で報告してい ただいていますので、そのときの数字です。例えばイソプレンの場合は31番、掻き落とし、剥離又は 回収の作業。33番、計量、配合、注入、投入又は小分けの作業等々、さまざまな作業があるというこ とです。それぞれについていくつの事業場から報告があったかということです。その隣の作業数とい うのは、1つの事業場で、同じ物質でも複数の作業をしている場合にはここの数が増えたりというよう なことはあります。その後、従事している労働者の数あるいは取扱っている物質の量。関係する情報 として、それがどんな用途のものなのかという情報。1段目の右のほうとしては、作業の従事時間とい うことで、1カ月当りどのぐらいの時間を作業しているかというものです。下の段にまいりまして、換 気設備の設置状況ということで、局所排気装置、プッシュプル、全体換気、その他という選択肢があ りまして、それぞれ事業場に選択していただいているということで、1事業場で同じ物質について複数 の設備を設けていることもあります。次の所では、保護具の使用状況ということで、防じんマスク、 防毒マスク、保護衣、保護眼鏡、保護手袋。あるいはこういったものを使っていないというような選 択肢がありまして、これについても事業場から番号を選んでもらっております。次が性状ということ で、その物質を扱うときはどんな状態なのかということで固体、粉末、液体、気体という区分があり ます。次が取扱い時の温度ということで3区分されておりまして、50℃未満、50℃から100℃、100℃ 以上という3区分です。こういったものがばく露作業報告のほうで報告されていますので、それを事務 局が整理したものが参考3の資料です。  これのご報告のエッセンスを書いているのが、前に戻っていただいて本文の2頁です。平成20年に おけるイソプレンの有害物ばく露作業報告が合計26事業場から57作業についてなされ、作業従事労働 者数の合計は745人であった。また、対象物質の取扱量の合計は約340万トンであった。57作業のう ち、作業時間が月20時間以下の作業が96%、局所排気装置の設置がなされている作業は9%、防毒マ スクの着用がなされている作業が32%であったというふうに簡単にまとめております。  (2)として、ばく露実態調査の結果です。こちらについては、最初の○分析方法という所については 今回から新たに記載させていただいた所です。イソプレンの場合は、測定したのは個人ばく露測定と スポット測定ということで、それぞれ捕集剤にポンプを使用して捕集ということです。詳しい測定方 法については資料の14頁に書いてありますが、どんな捕集剤を使用したか、あるいは1分間当りの流 量はどんな流量でやったかというようなことが書いてあります。分析方法についても、前の頁では簡 単に「ガスクロマトグラフ」と書いてありますが、こちらではもう少し詳しい情報を書いております。  本文の2頁に戻りまして、こういった測定をした後の測定結果です。イソプレンを製造し、又は取り 扱っている3事業場に対し特定の作業に従事する14人の労働者に対する個人ばく露測定を行うととも に、11地点についてスポット測定を実施した。作業環境測定基準に基づくA測定は測定対象とすべき 場所がなかったために実施しなかった。個人ばく露測定結果の幾何平均値(8時間TWA)は0.15ppm、 最大値は0.962ppmであった。また、スポット測定の幾何平均値は0.041ppmであったが最大値は 10.53ppmと、二次評価値を大きく超えていたということです。  こちらの具体的なデータについては4頁にグラフあるいは表を載せております。まず、表につきまし ては、個人ばく露測定、スポット測定、作業環境測定それぞれの結果を書くようなスタイルとなって おります。イソプレンの場合には、作業環境測定、A測定は実施していませんので、その欄は空欄とし ております。  グラフですが、3種類の測定のうち、スポット測定についてはグラフは作成していませんで、個人ば く露測定あるいはA測定を行ってデータが取れた場合にはグラフをつくることにしております。イソプ レンは個人ばく露測定の結果をグラフにしています。グラフは従来と若干変更がありまして、従来は 作業時間、例えば6時間なら6時間測定をしたとすると、そのときの幾何平均の濃度ということでのグ ラフだけだったのですが、今回はこのデータを基にそれを8時間平均、TWAに直した場合にどうなるか ということで、棒グラフが各データごとに2つになっております。左側が実測時間としてのTWA、右側 の棒が8時間のTWAということで2つ棒が並んでいるような状況です。イソプレンの場合では、一次評 価値はありませんが、二次評価値が2ppmと設定されていまして、グラフ上で横の線で2ppmの位置を表 わしております。このグラフの場合には縦の軸が対数尺になっていますのでご注意してご覧いただけ ればと思います。この2ppmに対して、グラフからもわかりますように、個人ばく露測定は8時間の TWAがいずれもそれを下回っているという状況でした。スポット測定のほうはグラフはありませんが、 データ表のほうで見ていただくと、最大値という所で10.53ppmというかなり高い値が出ております。 2ppmを大きく上回った値が出ておりました。  このデータを踏まえたリスクの判定ということですが、本文の3頁に戻っていただいて、4という所 です。リスクの判定及び今後の対応ということで、イソプレンについては、個人ばく露測定について は測定したいずれの事業場においても二次評価値以下であった。イソプレンについては一次評価値は 設定されれていないが個人ばく露測定の値は二次評価値のおおむね10分の1以下である。一方、スポ ット測定では二次評価値を大きく超える値が認められたが、これはストレーナーの分解清掃作業にお いて瞬間的に高い濃度で発散したものと考えられる。また、有害物ばく露作業報告の提出作業場26に 対し測定対象は3事業場と少ないが、有害物ばく露作業報告において報告されている作業をおおむね網 羅している。以上のことから、イソプレンの製造・取扱い事業場におけるリスクは低いと考えられる というふうにまとめをさせていただいております。説明はここで一区切りさせていただきまして、ま ず1物質目ですので、まとめ方、あるいはまとめるべき項目等についても、基本的なご意見があればこ の場で出していただければと思っております。以上です。 ○櫻井座長 イソプレンにつきまして、全体的な構成及び報告の本体の内容について説明がありまし た。ご質問あるいはご意見がありましたらどうぞ。 ○内山委員 体裁としては非常にわかりやすくなってよろしいかと思いますが、1つ違和感があるのは、 前の全体の所の11頁に、リスク評価対象物質は発がん性分類でIARCの1あるいは2A、EU発がん分類 の1又は2から選んだと書いてあるのですが、本文の発がんの所はIARC、2Bだけが書いてあって、こ れだけだと選ばれないということになってしまうので、EU、2というのが書いてあればいいのかなと思 います。そうすると、有害性総合評価表のほうも、IARCとGHSは書いてあるのですが、EUは書いてい ないので、前に気がついたと思うのですが、こちらにもそれが書いてあれば、この対象物質として選 ばれた理由の全体的な理由に合致すると思うのです。それはちょっと細かいところですが、気がつき ました。 ○櫻井座長 貴重なご指摘だと思います。EUで選んだものは多いですものね。むしろ。そちらのほう が多いです。 ○大淵化学物質評価室長補佐 発がん性の記載につきましては、この物質以外の物質を含めてもう一 度見直しまして適切な記載とさせていただきます。 ○櫻井座長 ほかによろしいでしょうか。では、先に進みましょうか。全体の構成の構造はよろしい ですね。 ○大前委員 物化特性の換算係数の所で@マークがありますが、これは最近よく使うのですか。20℃に おけるとか、25℃におけるという意味で書いてある。 ○櫻井座長 わかることはわかるけれども、こういう使い方をするのかなと思いますね。どうなので しょう。よく使いますか。あまり見ませんね。 ○名古屋委員 あまり見ませんね。 ○櫻井座長 括弧して20℃のほうが多いですか。 ○名古屋委員 参考4と同じにしたほうがいいですね。条件が書いてある所に@マークは使っていませ ん。 ○櫻井座長 これは括弧になっていますね。事務局は@マークにこだわりますか。そのほうが簡単に出 てくることは出てくるのですけど。 ○大淵化学物質評価室長補佐 いいえ、特にそこはこだわってはおりませんので。 ○櫻井座長 それから、物理的化学的性状の所だけ左右2段組みになっていますが、ちょっと近すぎて しまうなという感じがします。揮発性、引火点とすぐ続いてしまう。 ○大淵化学物質室長補佐 はい。 ○櫻井座長 いかがでしょうか、ほかには特にありませんか。 ○小西委員 いまの所と同じように、立方メーターの3は上付きの3ですね。 ○櫻井座長 本当はね。これまた、いちいち上付きにするのは大変ではあるのですけど。これは一括 して修正できませんか。トライしてみてください。 ○大淵化学物質評価室長補佐 わかりました。上付きの数字、この辺りは後ほど修正させていただき ます。 ○櫻井座長 本当に体裁の問題ですけど。 ○清水委員 14頁の参考4の標準測定分析法というのは、オーソライズされた測定法と考えてよろし いですか。これはほかに全部20物質が付いていますが、あえてここに全部載せたということは。 ○大淵化学物質評価室長補佐 オーソライズとまで言えるかどうかわかりませんが、この測定は委託 事業の中で実施していましたので、同じ物質について複数の方が測定をする可能性があるので、誰が やっても同じ方法でやらないといけないということで、この委託事業の枠の中では皆さん共通にこの 方法で測定していただいたというだけで、オーソライズというのは言えるのかわかりませんが。 ○清水委員 例えばJIS規格がある。 ○小西委員 ほかの物質はマニュアルナンバーだとか、それぞれの出典の根拠が書かれて参考文献が 書かれているので、これは皆がそれぞれ考えて全く新しくつくったみたいな感じを受けるので、何か 根拠のベースになるもので、例えばこういうものを一部修正というのでも構いませんが、何かそこを ちょっと書いておかれたほうが、後々こういうものが使われるようになっていったときに、これはい ちばん参考になる方法だと思いますのでね。それで、これをもう少し詳細に書いてあるものがほかに 何かで出典があるのであれば、後々役に立つのではないかと思います。ほかの所はNIOSHとかのメソッ ドナンバーが入っていますから、書けるのであれば書いておいていただいたほうがいいと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 そういう意味でいくと、NIOSH等のマニュアルを参考にして、委託事業 の枠の中で実験もしてもらいまして、その上で例えばここで書いてあるサンプリングの所の捕集率と かは実際に実験で得られた数字がこういう値だったということです。あれでしょうか、委託事業の中 でやったというようなこと。 ○小西委員 例えば、NIOSHのメソッド番号を書いておいて、「委託研究で一部修正」とか書いておか れたらいいのではないですかね。そうしないと大元がまるっきり最初から検討したみたいなあれにな ってしまうので、そうするとわかりやすいのではないかという気がします。 ○名古屋委員 いつも、報告するときに、CASナンバーを記載されていて、分析はこの条件で分析しま したと言ってくれているので、CASナンバーの記載があればいいような気がします。 ○小西委員 今後こういうことを管理していく人たちが出てくると、いちばんここが見たい所になっ ていると思いますので、大変貴重なあれだと思いますので。 ○大淵化学物質評価室長補佐 測定方法は、確かに、平成19年度にニッケル化合物等を規定にしたわ けですが、その際に実際に評価したときにどんな測定方法でやったのかということを関係者の方から だいぶ聞かれまして、平成19年度版の報告書では測定方法が全く書かれていなかったものですから、 今年度からきちんとわかりやすく書いておこうということで書いております。 ○小西委員 そうですね。これが付いていることは大変いいと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは、根拠をもう少しきちんと書くような形に修正します。 ○櫻井座長 いくつか適切なご指摘をいただきましたので、対応の方よろしくお願いいたします。で は、先に進みたいと思います。どうぞ。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[2]の2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテルにまいりま す。2番からはすべての頁ではなくてポイントの所を中心に説明させていただきます。ですので、こち らにつきましては2頁目の評価値のところ、ばく露評価のところを中心にご説明いたします。まず、2 頁の(4)評価値ですが、この物質については一次評価値0.002ppm、二次評価値0.1ppmということで、 二次評価値についてはACGIHのTLV-TWAを参考にしております。  ばく露評価のほうですが、(1)の有害物ばく露作業報告の提出状況です。ここの所がイソプレンにな っていますが、物質名を後ほど訂正いたします。申し訳ございません。ばく露作業報告については合 計16事業場から23作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は240人であった。対象物質の取扱 い量の合計は約915トンであった。23作業のうち、作業時間が月20時間以下の作業が74%、局所排気 装置の設置がなされている作業が74%、防毒マスクの着用がなされている作業が35%である。(2)とし て、ばく露実態調査結果です。分析方法については、こちらは個人ばく露測定、A測定、スポット測定、 3種類をしていまして、いずれも捕集剤にポンプを使用して捕集ということです。分析法はガスクロマ トグラフ(FID)ということです。測定結果ですが、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテルを製造し、 又は取り扱っている4事業場に対し特定の作業に従事する12人の労働者に対する個人ばく露測定を行 うとともに、6つの単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、また、16地点におい てスポット測定を実施した。個人ばく露測定結果の幾何平均値8時間TWAは0.0007ppm、最大値は 0.03ppmであった。A測定における測定結果については、定量下限を超えた単位作業所は1カ所のみで あり、当該場所の幾何平均値は0.0011ppmであった。また、スポット測定の幾何平均値は0.0237ppm、 最大値は0.06ppmであったということです。  データあるいはグラフについては4頁です。4頁の上のほうは個人ばく露測定の結果のグラフ、下の ほうはA測定のグラフ、最後の段については具体的な数値をそれぞれ示しております。  これらのまとめということですが、3頁に戻りまして、4のリスクの判定及び今後の対応という所で、 2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテルについては、個人ばく露測定、A測定の双方において一次評 価値を超えているが、測定したいずれの事業場においても二次評価値以下であった。また、スポット 測定についても同様であった。以上のことから、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテルの製造・取 扱い事業場におけるリスクは高くないと考えられるが、当該物質は有害性の高い物質であることから、 事業者においてリスク評価を実施し、引き続き定期的な管理を行う必要があるということです。この 物質については以上です。 ○櫻井座長 何かご指摘ありますか。小さいことですが、上の二次評価値のレベルに線が書いてない。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。今回まだグラフが不十分な所がほかの頁にもありまして、最終 版では線を入れる所はきちんと入れてまいります。 ○大前委員 測定法の所の脱着率ですが、二硫化1ml脱着で脱着率が17.4%以下でもいいものですか。 ○名古屋委員 これはこれではなくて、ほかの脱着率を求める方法、例えば、加熱脱着法で分析した 方がいいのではないですか。たぶん、分析法については検討されていると思いますが、CASではこうな っているけれども、中災防さんがやられたときは、検討された全ての方法を報告していますので、こ れでは、そうではなくて、先ほど小西委員が言われたように、実際にやった方法を書いたほうがいい のではないですか。これを見ると、たぶん、17.4とかいう脱着率は駄目ですよね。前回たしか脱着率 が著しく悪すぎるのと、保存して置くと変異してしまうので定量できなかった物質もありました。そ れはCASで言っているのではなくて、CASの所を参考に中災防さんが検討されているので、そういう事 項があると、先ほど小西委員が言われたように、それが後々役に立つということだと思います。CASだ けだとちょっと不十分なところがあって、実際に分析された部分と中災防さんが検討されている部分 があるからということだと思います。必ず脱着率を求めているし、しばらく置いたときにどのぐらい もつかということがきっちり報告されていますので、それを入れてもらうと親切かなと思います。 ○内山委員 先ほどの4頁の図の二次評価値の中で、ACGIHのTLVではなくてTWAですね。 ○櫻井座長 TWAですね。 ○内山委員 上の図も下の図も両方TLVになっていますが、TWAだと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。先ほどの脱着率のほうなのですが、実際の測定がここに書いて ある数字だったのか別の方法でやったのかというのは、この方法でやった可能性もありますので、も う一度確認をさせていただきます。 ○櫻井座長 とても重要な課題ではあると思います。ほかには何かありますか。では、先に進みまし ょうか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[3]オルト-アニシジンです。こちらについても評価値の所 とばく露評価の所で説明いたします。2頁目をご覧ください。評価値につきましては、一次評価値が 0.0025ppm、二次評価値が0.1ppmということで、こちらはACGIH及び日本産衛学会の許容濃度から定め たものです。  ばく露実態評価ですが、(1)として有害物ばく露作業報告の提出状況です。20年におけるオルト-ア ニシジンのばく露作業報告は合計2事業場から2作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は9人 であった。また、対象物質の取扱い量の合計は169トンであった。2作業のうち、作業時間が月20時 間以下の作業が100%、局所排気装置の設置がなされている作業は100%、防毒マスクの着用がなされ ている作業が100%であった。  (2)ばく露実態調査結果。最初の○で測定分析法としましては、個人ばく露作業環境測定、スポット 測定、いずれも捕集剤にポンプを使用して捕集。分析法としては高速液体クロマトグラフで紫外線検 出器を用いております。測定結果としましては、オルト-アニシジンを製造し、又は取り扱っている1 事業場に対し、特定の作業に従事する2人の労働者に対する個人ばく露測定を行うとともに、1つの単 位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、また、2地点についてスポット測定を実施 した。個人ばく露測定結果の幾何平均値8時間TWAは0.0011ppm、最大値は0.0016ppmであった。A測 定における測定結果の幾何平均値は0.0019ppm、最大値は0.0041ppmであった。また、スポット測定の 幾何平均値は0.0534ppm、最大値は0.129ppmであったということで、具体的なデータは次の4頁のグ ラフと表です。グラフのほうは個人ばく露測定とA測定の結果のグラフとなっております。  まとめですが、4のリスクの判定及び今後の対応ですが、オルト-アニシジンについては個人ばく露 測定はすべて一次評価値以下であり、A測定は一次評価値を超えているものの、すべて二次評価値以下 であり、スポット測定も一次評価値を超えているものの、すべて二次評価値以下である。以上のこと から、オルト-アニシジンの製造・取扱い事業場におけるリスクは低いと考えられるが、当該物質は有 害性の高い物質であることから、事業場においてリスク評価を実施し、引き続き適切な管理を行う必 要があるということです。以上です。 ○櫻井座長 何かご指摘ありますか。 ○清水委員 前の1番、2番もそうなのですが、1頁目の下から6行目でin vitroのサルモネラ菌の変 異原性試験という記載がありますね。これが頁を違えて、今度は違う所でネズミチフス菌を使ったり、 サルモネラ菌を使ったり、用語の統一がされていないのです。有害性評価表の6頁はサルモネラ菌なの ですが、それの10頁ではネズミチフス菌となっていたり、これは今までやってきたほうでもその辺の 用語の統一がされていないので、本来、和名だとネズミチフス菌なのです。どちらかに統一したほう がいいのかなと思います。英語だとサルモネラが大変多いので、ついサルモネラを使うのですが、1つ の報告書の中で用語の統一がされていないので。 ○櫻井座長 できれば、対応のほうを。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。こちらのほうはほかの物質も含めて統一させていただきます。 ○櫻井座長 それから、これも大したことではないのですが、4頁の図で二次評価値、産衛許容濃度と 書いてありますが、これは、結局、先ほどのACGIHについてはTLVでよかったのかもしれない。 Threshold Limit ValueのTLVをとっています。 ○大前委員 その次がTWAですね。TLV-TWAというのがいちばんいいのではないかと思うのです。 ○櫻井座長 TLV-TWAと書くのがいちばんいい。 ○大淵化学物質評価室長補佐 そうしましたら、ACGIHのときの書き方はTLV-TWAということで、フル で書く形で統一をするようにいたします。 ○櫻井座長 内容的にはいかがでしょう。よろしいですか。では、先に進みたいと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[4]オルト-ニトロトルエンです。こちらにつきましても2 頁に進んでいただきまして、まず、評価値(4)の所です。一次評価値は設定しない。二次評価値につい ては2ppmということで、これはACGIHのTLV-TWAから定めたものです。   3番のばく露実態評価ということで、(1)として有害物ばく露作業報告の提出状況。こちらの物質 については合計2事業場から3作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は22人であった。また、 対象物質の取扱い量の合計は約27トンであった。3作業のうち、作業時間が月20時間以下の作業が 100%、局所排気装置の設置がなされている作業が33%、防毒マスクの着用がなされている作業が67% である。  (2)ばく露実態調査結果ということで、測定分析法は、今回は個人ばく露測定については拡散型サン プラーに捕集、作業環境測定とスポット測定については捕集剤にポンプを使用して捕集、分析法とし てはガスクロマトグラフ法ということです。測定結果ですが、オルト-ニトロトルエンを製造し、又は 取り扱っている1事業場に対し、特定の作業に従事する2人の労働者に対する個人ばく露測定を行うと ともに、5地点についてスポット測定を実施した。すみません、測定分析法の所で「作業環境測定」と 書いてありますが、ここは削除していただければと思います。個人ばく露測定結果の幾何平均値は 0.0323ppm、最大値は0.0357ppmであった。また、スポット測定の平均値は0.0137ppm、最大値は 0.104ppm であったということです。結果の具体的なデータは3頁のグラフと表でありまして、A測定 のほうを行っていませんので、グラフは個人ばく露測定の結果だけになっております。  まとめですが、2頁の4でリスクの判定及び今後の対応です。オルト-ニトロトルエンについては、 個人ばく露測定はすべて二次評価値以下であり、また、スポット測定もすべて二次評価値以下であっ た。オルト-ニトロトルエンには一次評価値が設定されていないが、測定結果は最大でも二次評価値の 10分の1以下と低いレベルにあった。以上のことから、オルト-ニトロトルエンの製造・取扱い事業場 におけるリスクは低いと考えられる。以上でございます。 ○櫻井座長 よろしいでしょうか。では、先に進ませていただきます。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[5]2-クロロ-1,3-ブタジエンです。こちらも2頁をご覧い ただきまして、(4)の評価値の所です。こちらの物質については一次評価値は設定せずということで、 二次評価値は10ppm、これはACGIHのTLV-TWAから定めたものです。  3のばく露実態評価ですが、(1)有害物ばく露作業報告の提出状況ということで、この物質について は合計4事業場から6作業について報告がなされていまして、作業従事労働者数の合計は209人、取扱 い量の合計は約7.5万トンです。57作業のうち、作業時間が月20時間以下の作業が83%、局所排気装 置の設置がなされている作業が50%、防毒マスクの着用がなされている作業が83%であった。(2)ばく 露実態調査結果。測定分析法は個人ばく露測定、作業環境測定、スポット測定、いずれも捕集剤にポ ンプを使用して捕集しております。分析法はガスクロマトグラフで、ECDです。測定結果ですが、この 物質を製造し、又は取り扱っている2事業場に対し、特定の作業に従事する11人の労働者に対する個 人ばく露測定を行うとともに、4つの単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、8 地点についてスポット測定を実施した。個人ばく露測定の幾何平均値は0.2014ppm最大値は17.363ppm であった。A測定の測定結果の幾何平均値は0.8942ppm、最大値は5.39ppmであった。また、スポット 測定の幾何平均値は0.9159ppm最大値は2.71ppmであったということです。グラフ、表のほうは4頁に お示しております。上が個人ばく露測定、下のグラフがA測定の結果ということになっております。  まとめですが、2頁の4リスクの判定及び今後の対応についてということで、2-クロロ-1,3-ブタジ エンについては、A測定はすべて二次評価値以下であったが、個人ばく露測定は11人中1人で二次評 価値を超えていた。また、スポット測定はすべて二次評価値以下であった。個人ばく露測定が二次評 価値を超えていたのは2-クロロ-1,3-ブタジエンを用いて合成ゴム製造工程で行われるサンプリング作 業及びストレーナー開放作業であった。以上のことから、2-クロロ-1,3-ブタジエンの製造・取扱い事 業場におけるリスクは高い恐れがあると考えられるため、今後さらに詳細なリスク評価が必要である。 以上でございます。 ○櫻井座長 よろしいでしょうか。では、次に進みたいと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[6]コバルト化合物です。こちらも2頁目の(4)の評価値の 所からまいります。一次評価値については設定せず、二次評価値については0.02mg/m3ということで、 これはコバルトとして換算したものということです。根拠としてはACGIHのTLV-TWAからということで す。  3番のばく露実態評価ですが、まず、(1)のばく露作業報告の提出状況で、コバルト化合物のばく露 作業報告は合計42事業場から57作業について、作業従事労働者数の合計は504人であった。また、対 象物質の取扱い量の合計は約3,340トンであった。57作業のうち、作業時間が月20時間以下の作業が 49%、局所排気装置の設置がなされている作業は56%、防じんマスクの着用がなされている作業が60 %であったということです。(2)のばく露実態調査結果ですが、測定分析法としては、いずれも捕集剤 にポンプを使用して捕集ということです。分析法は原子吸光法です。測定結果ですが、コバルト化合 物を製造し、又は取り扱っている7事業場、ただしこのうちの1事業場は金属コバルトの取扱いの事業 場ですが、これに対して特定の作業に従事する23人の労働者に対する個人ばく露測定を行うとともに、 13の単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、12地点についてスポット測定を実 施した。個人ばく露測定の幾何平均値は0.0050mg/m3、最大値は0.6450。A測定の幾何平均値は 0.0960、最大値は1.368。スポット測定は幾何平均値が0.0312、最大値は0.1769ということです。グ ラフのほうは4頁です。  まとめですが、3頁の4リスクの判定及び今後の対応ということで、コバルト化合物については個人 ばく露測定、A測定、スポット測定のいずれにおいても二次評価値を大きく超えていた。個人ばく露測 定では23人中8人の8時間TWAが二次評価値を超えており、A測定では13単位作業場中5単位作業場 において幾何平均値が二次評価値を超えていた。個人ばく露測定が二次評価値を超えたのはコバルト 化合物を原料として他の製剤を製造する工程でのコバルト化合物の投入作業、コバルト化合物を含む メッキ液の入ったメッキ槽での作業、コバルト含有剤の研磨作業等であった。以上のことから、コバ ルト化合物の製造・取扱い事業場におけるリスクは高い恐れがあるため、今後さらに詳細なリスク評 価が必要である。なお、平成20年度は評価対象を「コバルト化合物(塩化コバルト及び硫酸コバルト に限る)」としていたが、有害性に鑑みて今後は評価対象を「コバルト及びその化合物」に広げるこ とが適当である。以上でございます。 ○櫻井座長 何かありますか。3頁のアンダーラインはあえて入れてあるわけですね。 ○大淵化学物質評価室長補佐 そこを目立たせるために入れています。最終版ではここは特にアンダ ーラインを付けないこともあるかなと思っていますが、今日の議論では目立つようにということで付 けております。 ○櫻井座長 そういう意味ですね。それから、2頁の許容濃度等という所はmg/立方メートルだけでい いと思うのですが、いかがでしょう。ppmは不要ということで。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。 ○櫻井座長 先ほどの蒸気とかガスの場合はppmだけが書いてあって、mgを省略していますね。あちら はmgがあってもいいかもしれないけれども、こちらのppmはまず不要です。 ○名古屋委員 38の所のCASナンバーの所のサンプリング時間が間違っているから、直しておいたほ うがいいのではないでしょうか。L/minになっているので。これはこのときに150分で、10リッターの ときは10分という表現の仕方ですか。そういうふうに読めばいいのですか。 ○櫻井座長 そうですね。 ○名古屋委員 毎分10リッターのときは10分間ですよ、毎分2リッターのときはこうですよと。どっ ちでやったかは後でわかればいいわけですね。すみません、私が間違えました。 ○櫻井座長 いや、いいです。では、次の物質をお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[7]酸化プロピレンです。2頁の(4)の評価値ですが、一次 評価値は0.057ppm、二次評価値は2ppm、ACGIHのTLV-TWAを基に定めております。  3番のばく露実態評価です。まず、ばく露作業報告の提出状況ですが、合計37事業場から60作業に ついてなされ、作業従事労働者数の合計は652人。取扱い量の合計は約106万トンです。この60作業 のうち、作業時間が月20時間以下の作業が93%、局所排気装置の設置がなされている作業が50%、防 毒マスクの着用がなされている作業が23%であった。(2)ばく露実態調査結果ということで、まず、測 定分析法ですが、個人ばく露測定については拡散型サンプラーに捕集、A測定とスポット測定は捕集剤 にポンプを使用して捕集。分析法はガスクロマトグラフで、FIDの検出器です。測定結果としましては、 製造・取扱いの8事業場に対し、特定の作業に従事する16人の労働者に対する個人ばく露測定を行う とともに、7つの単位作業場において作業環境測定に基づくA測定を行い、25地点についてスポット測 定を実施した。個人ばく露測定の幾何平均値は0.1049ppm、最大値は9.3620ppm、A測定における幾何 平均値は0.441ppm、最大値は51.685ppmであった。また、スポット測定の幾何平均値は27.3376ppm、 最大値は963ppmと、二次評価値を大きく超えていたということで、具体的には4頁のグラフと表をご 覧いただければと思います。  まとめですが、3頁の4リスクの判定及び今後の対応です。酸化プロピレンについては個人ばく露測 定では16人中2人が二次評価値を超えていた。A測定は一次評価値を超えていたが、すべて二次評価 値以下であった。また、スポット測定では二次評価値を大きく超えるばく露が認められた。個人ばく 露測定が二次評価値を超えたのは酸化プロピレン製造工程におけるサンプリング作業、酸化プロピレ ンを原料とする他の製剤の製造工程におけるサンプリング作業等であった。以上のことから、酸化プ ロピレンの製造・取扱い事業場におけるリスクは高い恐れがあるため、今後さらに詳細なリスク評価 が必要である。以上でございます。 ○櫻井座長 ご指摘ありますか。先に進みたいと思います。まだ20物質のうち7物質しかやってない ですね。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。行けるところまでやらせていただきます。 ○櫻井座長 行けるところまででよろしいですか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい、結構です。 ○櫻井座長 それならば安心です。 ○大淵化学物質評価室長補佐 本当は今日の資料は事前に先生方にお送りして見ていただければよか ったのですが、時間が足らずに本日初めて見ていただく形になりましたので、今日は行けるところま でで、次回またその続きというふうに考えております。 ○櫻井座長 わかりました。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続きまして、[8]4,4'-ジアミノジフェニルエーテルです。2頁目の(4)評 価値ですが、一次評価値が0.013mg/m3、二次評価値が0.82mg/m3ということで、こちらについては今 日の冒頭にご議論いただきまして、数字はこの0.82ですが、根拠がACGIHのジフェニルエーテルの TLV-TWAの10分の1というようなことになります。ここの部分は次回のときには訂正したものをお配 りしたいと存じます。  3番のばく露実態評価です。(1)の有害物ばく露作業報告ですが、こちらについては合計11事業場か ら15作業について報告がなされていまして、労働者数の合計は138、取扱い量の合計は約246トンで す。15作業のうち、月20時間以下というのが93%、局所排気装置の設置が100%、防じんマスクの着 用が87%です。(2)のばく露実態調査結果です。こちらについては3つの測定方法とも捕集剤にポンプ を使用して捕集ということです。分析方法は高速液体クロマトグラフで、紫外線検出器を使用してお ります。測定結果ですが、4,4'-ジアミノジフェニルエーテルを製造し、又は取扱っている3事業場に 対し、特定の作業に従事する6人の労働者に対して個人ばく露測定を行うとともに、4つの単位作業場 において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、5地点についてスポット測定を実施した。個人ばく 露測定結果の幾何平均値は0.0242mg/m3。以下は単位を省略させていただいて、最大値が0.9620、A測 定の幾何平均値が0.0624、最大値4.9410、スポット測定の幾何平均値が0.0406、最大値が0.3640と いうことで、グラフは次の4頁です。  3頁の4リスクの判定及び今後の対応ですが、4,4'-ジアミノジフェニルエーテルについてはスポッ ト測定ではすべて二次評価値以下であったが、個人ばく露測定及びA測定では二次評価値を超えるばく 露が認められた。以上のことから、4,4'-ジアミノジフェニルエーテルの製造・取扱い事業場における リスクは高くないと考えられる。  すみません、こちらは記載が間違っています。個人ばく露のほうは、次の頁のグラフを見ていただ くと、実測値のTWAのほうは二次評価値を超えたものはありますが、8時間TWAに直すと一次評価値と 二次評価値の間に収まるような形になっております。それから、A測定についても一次評価値と二次評 価値の間に収まっているということで、この物質についてはばく露は必ずしも高くない、リスクは必 ずしも高くないということで、「以上のことから」以降はこれでよいかと思うのですが、その前の3行 の文章については後ほど修正をさせていただきます。 ○櫻井座長 そうですね。この物質についてはそのほか何かありますか。測定値が4桁ぐらい書いてあ るのは何となく多すぎるような気がするのですが、気になるのですが、いいですか。 ○島田化学物質評価室長 生の数字がそのまま出ているようでありまして、有効数字について検討し た上で改めてそこを入れ直す必要があると思います。全体を統一してそういう傾向がありますので、 もう一度見直させていただきます。 ○櫻井座長 そうしていただきたいと思います。 ○小西委員 あとはフィールド科学との兼ね合いですかね。 ○櫻井座長 それとの兼ね合いはありますね。そこまで神経が行き届いていると、なおレベルが上が ると思うのですが。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい、すみません。 ○櫻井座長 では、この物質は大体よろしいでしょうか。あと5分ということになりましたが、もう1 つぐらいですか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 もう1物質で本日は終了ということにしたいと思います。そうしました ら、[9]の4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタンです。この物質について、まず評価値ですが、 2頁目の(4)の所です。一次評価値は0.0019mg/m3、二次評価値が0.5mg/m3ということで、こちらは 4,4'メチレンジアニリンのACGIHのTLV-TWAを参考に設定しております。  3番のばく露実態評価です。まず、ばく露作業報告の提出状況は、合計3事業場から5作業について 提出されていまして、従事労働者数の合計は36人、取扱い量の合計は44トンです。5作業のうち、作 業時間が月20時間以下が100%、局所排気装置の設置も100%、防じんマスクの着用については40% です。(2)のばく露実態調査結果ですが、測定分析法については3つの測定とも捕集剤にポンプを使用 して捕集ということでありまして、分析法は液体クロマトグラフ法でDAD検出器を用いております。測 定結果ですが、この物質の製造・取扱いをしている1事業場に対し、特定の作業に従事する1人の労働 者に対する個人ばく露測定を行うとともに、1つの単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測 定を行い、1地点についてスポット測定を実施した。個人ばく露測定の8時間TWA、単位の所が3が2 つで間違っていますが、0.0060mg/m3、A測定における幾何平均値が定量下限値未満、スポット測定に ついては幾何平均値が0.0200、最大値は0.0430ということで、データのほうは4頁のグラフと表です。 A測定については定量下限値以下でしたので、グラフのほうは省略しております。  3頁に戻りまして、4のリスクの判定及び今後の対応ですが、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニ ルメタンについてはA測定については定量下限値以下であり、正確な濃度は不明であるが、個人ばく露 測定は一次評価値を超えていたものの、二次評価値以下であり、スポット測定においても同様であっ た。以上のことから、この物質の製造・取扱い事業場におけるリスクは高くないと考えられるが、当 該物質は有害性の高い物質であることから、事業者においてリスク評価を実施し、引き続き適切な管 理を行う必要がある。以上でございます。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。 ○大前委員 検出の所で分析方法が液クロでDAD検出器とあるのですが、下のほうはUV法とあるので すけど、DADというのはUVのことですか。 ○小西委員 前のと同じですが、これは本当は紫外の設定範囲ではないかと思います。UV法と書いて いますね。ですから、紫外ですね。 ○大淵化学物質評価室長補佐 そうですね。こちらは分析はもう一回確認をして正確にお伝えいたし ます。 ○櫻井座長 3頁のいちばん上の「定量下限値」の所の閉じる括弧は「未満」の前にくるのですね。 ○大淵化学物質評価室長補佐 そうです。括弧の位置が不適切です。修正いたします。 ○櫻井座長 その下の4の所の2行目では「定量下限値以下」と書いてあるのですが、「未満」と「以 下」とどっちがいいのですか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 「未満」のほうに統一したいと思います。 ○櫻井座長 そのほうがいいように思います。形式的なことばかり気がついていますが、内容につい ては何かありますか。よろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 申し訳ありませんが、1物質だけ特異な扱いがされていますので、15番の物 質についてご説明をしてご意見だけ伺いたいと思うのですが、よろしくお願いします。 ○櫻井座長 スルトンのものですね。では、どうぞ。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは、[15]の1,3-プロパンスルトンの資料をご覧ください。こちら につきましては2頁の(4)に評価値がありまして、一次評価値は0.0007mg/m3です。二次評価値につい ては、ほかの物質と違う定め方をしていまして、0.005mg/m3というのが個人ばく露測定8時間の測定 をした場合ということでの定量下限値を採用したということです。こういう特殊な取扱いをしたのは、 この後の説明で出てきますが、現場での濃度は非常に低かったのですが毒性的に問題があるというこ とでこういう設定をしております。  ばく露の内容のほうですが、3の(1)の作業報告の提出状況については2事業場から6作業について 提出で、従事者数が85人、取扱い量の合計が3.2トンです。作業時間は月20時間が100%、局排の設 置が83%、防毒マスクのほうが17%ということです。(2)の測定の結果ですが、測定分析法については 捕集剤にポンプを使用して捕集、分析はガスクロマトグラフ質量分析法ということです。測定結果で すが、1,3-プロパンスルトンを製造し、又は取り扱っている2事業場に対し、特定作業に従事する4人 に対して個人ばく露測定、2つの単位作業場においてA測定、4地点でスポット測定を実施しておりま す。測定結果としましては、個人ばく露測定、A測定、スポット測定のいずれにおいても定量下限値未 満であって、正確な濃度は不明である。それぞれの3つの測定法の定量下限値は、0.007、0.2、0.417 ということで、個人ばく露測定のほうはサンプリング時間が長くなりますので、その分、低濃度まで 測定できるというようなことです。ここでの定量下限値は8時間になっていませんで、実際にそのとき に作業した時間での定量下限値ということです。それを8時間の値に直すと、先ほどの2頁に出てきた 0.005mg/m3というふうになります。定量下限値より低いので、グラフについては付いていませんで、 下のほうに表だけを付けております。  リスクの判定ですが、この物質について個人ばく露、A測定、スポット測定のいずれにおいても定量 下限値未満であった。しかしながら、1,3-プロパンスルトンは動物実験において単回投与でがんが発 生していることに鑑み、事業場における使用動向、取扱い状況について引き続き調査を行う必要があ るということでまとめております。以上です。 ○櫻井座長 いかがでしょうか、特殊な取り扱いにしようとしていますが。災害性の一時性の高濃度 ばく露は確かに気になるところです。この物質は白色の結晶又は液体というのは、わかりにくいです けれども、そういうものなのですかね。 ○名古屋委員 だからグラスファイバーとTenaxの2つの測定法で測定しているのですね。たぶん、グ ラスファイバーで採ったものも分析しているし、ガス状のものはTenaxで採っているという、変わった 測定方法ですね。 ○櫻井座長 蒸気密度というのは空気1に対して計算できるのですよね。分子量で決まってしまうので しょう。データで測定するようなものではないですよね。 ○名古屋委員 ないですね。 ○櫻井座長 おかしい、それがちょっと気になります。データで調べるようなものではないと思いま す。 ○島田化学物質評価室長 座長、この物質につきましては総論のほうで出てきていますリスク評価の 手法とはちょっと違う次元で出させていただいていまして、二次評価値を下回っているという例の中 で詳細評価のほうに移るということですので、もしよろしければこういう表現にしていただくという ことです。 ○櫻井座長 全体のリスク評価書の中で、こういったものにも少し書いておいたほうがいいような気 もしますけど。 ○島田化学物質評価室長 それでは、総論のほうにそういう部分についての注釈なり何なりを多少さ せていただくようにいたします。 ○櫻井座長 確かに、指摘されてみると、たった1回でも高濃度ばく露があると心配だというのは現実 的に問題ですよね。そういう点では皆様も同意しておられるので。 ○大淵化学物質評価室長補佐 はい。 ○櫻井座長 これの書きぶりについては特にこれでよろしいですか。 ○小西委員 先ほどの所で定量下限未満という言葉が使われているのですが、計測のデータが、定量 下限と検出下限の出し方が違っているのです。何人かでおやりになったので出し方が違っているのか もしれないのですが、例えば標準偏差の3σで取ったのも検出下限としている場合と、検出下限は何も 書いていなくて検出下限の3倍と書いてある定量下限の出し方というのがあるので、そこのところの違 いがあると、定量下限以下だとかいう言葉と同じ出し方でないもので定量下限ということになってい くと、ちょっとずれが出てくるのかなという、先ほどから方法論の中で書いてあるのを見ていてちょ っと気にはなっていたのです。今、基本的に、3カ月測定などの場合は例えば3σと10σという、同じ データの検出下限と定量下限の出し方という形で統一を図っているのですが、そこのところで定量下 限というものをこの文章の中に入れていったときの数字の取扱いが多少違ってくる可能性があるので はないかという気がします。数字が変わらなければいいのですが、そのことだけちょっと確認してい ただいたほうがいいような気がするのです。 ○島田化学物質評価室長 承知しました。 ○大淵化学物質評価室長補佐 こちらの測定分析法の検討は必ずしも全部同じ年にやっていなくて、 年度が違ったために微妙に違っているところがあります。 ○名古屋委員 CASよりは、やる人は作業回数だから。 ○小西委員 メソッドだったら、そこに書いてある定量下限というのがあるのですが、サーバサイド の場合だとガイドブックでそういうのを統一していますので、そこのところでもし計算できるのであ れば計算し直していただいたほうがいいのかもしれません。それから、先ほど言い忘れたのですが、 20頁なのですが、最後の所の頁なのですが、サンプラーの下のほうの保存性の所に、「ばく露チャン バーで活性炭管に捕集した」と書いてあるのですが、これはシリカゲル管ではないですかね。 ○大淵化学物質評価室長補佐 そうですね。 ○櫻井座長 シリカゲル管です。ありがとうございます。では、これで今日の検討事項は最後の資料 8-7だけ残っていますが、いかがでしょうか。 ○大淵化学物質評価室長補佐 それでは、資料8-7、次回の予定ということになりますが、次回につき ましては5月28日木曜日の10時からということで、同じく厚生労働省内の会議室で予定しております。 今のところ、次回でできるだけ報告書のほうはご議論をしていただくということで予定しております ので、本日の検討残りの物質と、リスク評価まで辿りつかなかった有害性の評価で終了した物質につ いても資料を提出しましてご議論いただくつもりでおります。以上です。 ○櫻井座長 では、以上で第8回の本検討会は閉会といたします。ありがとうございました。 照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                化学物質評価室  電話03-5253-1111(内線5511)