09/05/08 平成21年5月8日薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録 1.日時及び場所   平成21年5月8日(金) 17:00〜 厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(19名)五十音順   安 達 知 子、 五十嵐   隆、 石 井 則 久、 猪 熊 茂 子、   生 出 泉太郎、 大 野 泰 雄、 加 藤 進 昌、 木 下 勝 之、   國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、 倉 山 英 昭、 柴 川 雅 彦、   土 屋 文 人、 新 見 伸 吾、 日 野 治 子、 藤 田 利 治、   槇 田 浩 史 ◎松 本 和 則、 三 宅 良 彦    (注) ◎部会長  ○部会長代理 他参考人1名   欠席委員(3名)五十音順   乾   賢 一、 工 藤 宏一郎、 宮 村 達 男 3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、   森   和 彦(安全対策課長)、   倉 持 憲 路(安全使用推進室長)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、平成21年度第1回医薬品等安全対策部会を開催しま す。本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいて おりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれまし ては、静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職 員の指示に従うことなど、留意事項の厳守をお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、誠にあ りがとうございます。本日の会議は乾委員、工藤委員、宮村委員より欠席の御連絡があり、 安達委員と木下委員より、若干遅れるという連絡がございました。現在17名の委員に御 出席いただいておりまして、本部会の定員が22名ですので、定足数に達しております。 議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。  まず審議参加に関する御報告をいたします。本日の部会においては、審議事項の議題1 「一般用医薬品の区分について」のみが対象となります。一般用医薬品の販売高上位3社 からの過去3年度における寄付金等の受取状況について、各委員に伺っておりますが、議 題1は個別の医薬品等の安全対策に係る審議ではないことから、すべての委員が、審議及 び議決に加わることができることを報告させていただきます。 ○安全対策課長 安全対策課長の森でございます。本日は大変お忙しい中、先生方には御 参集いただきまして、ありがとうございます。  最初に、本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われまして、この部会も新 たに委員の先生方の任命が行われました。つきましては、お手元の会議資料にございます 委員名簿を御参照いただいて、私の方から先生方を御紹介申し上げます。  御出席の委員を御紹介いたします。五十嵐隆委員です。石井則久委員です。猪熊茂子委 員です。生出泉太郎委員です。大野泰雄委員です。加藤進昌委員です。國頭英夫委員です。 倉田雅子委員です。倉山英昭委員です。柴川雅彦委員です。土屋文人委員です。新見伸吾 委員です。日野治子委員です。藤田利治委員です。槇田浩史委員です。松本和則委員です。 三宅良彦委員です。  本日、議題2のSSRIの関係で、国立精神・神経センター総長の樋口輝彦先生に、参 考人ということで御出席いただいておりますので、御紹介いたします。  続きまして事務局を御紹介いたします。大臣官房審議官の岸田です。安全使用推進室長 の倉持です。医薬品医療機器総合機構安全管理監の松田です。同じく総合機構の安全部長 の三澤です。また、この部会の部会長ですが、1月23日に開催された薬事分科会におい て選出されております。当部会については、松本委員に部会長をお願いすることとされて おりますので、よろしくお願いいたします。さらに部会長代理ですが、規定によりまして 部会長から御指名いただくことになっていまして、既に部会長から五十嵐委員にお願いし たい旨御連絡いただいております。五十嵐委員にお願いするということでいかがでしょう か。 (異議なし) ○安全対策課長 それではよろしくお願いします。以後の議事については、松本部会長に お願いします。よろしくお願いします。 ○松本部会長 先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうござ います。先ほど事務局から説明いただきましたように、引き続きこの部会の部会長を務め させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。五十嵐先生には部 会長代理をお引き受けいただき、ありがとうございます。  事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 各委員の先生方には事前に資料を送付させていただいておりますが、お手元の 資料で御確認をお願いいたします。まず、今日の議事次第の1枚紙でございます。そのあ と配付資料一覧がございますので、こちらも見ながら、御確認いただければと思います。  資料No.1-1で、リスク区分の1枚紙です。資料No.1-2は「一般用医薬品の区分に関する 薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会報告について」というものです。 資料No.1-3は「パブリックコメントに寄せられた酸化マグネシウムについての意見」です。 資料No.1-4は、「日本マグネシウム学会からの要望書」です。資料No.1-5が「一般用医薬 品のリスク区分の変更手順について(案)」です。参考資料1-1ですが、「平成19年3月 30日に告示した一般用医薬品区分リストに追加等を行う成分(案)」です。  続いて資料No.2-1は「医薬品等の使用上の注意の改訂について」です。資料No.2-2は「ネ クサバール錠による急性肺障害、間質性肺炎について」です。資料No.2-3は「ザナミビル 水和物の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について」で、その次にも、他の抗インフ ルエンザウイルス薬の使用上の注意喚起の徹底が書いてあります。資料No.2-4は「選択的 セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等について」という、1つの束です。資料No.2-5 は「小児用かぜ薬・鎮咳去痰薬等の安全対策について」です。資料No.2-6は「TERMS第三 者評価の現状について」と書かれたものです。  続いて資料No.3-1です。まずは1枚紙で、「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬 事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」です。資料No.3-2は冊子になっ ていますが、「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」です。続いて参考資料No.3は「薬 効分類表」です。資料No.3-3は「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」です。資料No.3-4 は「国内感染症報告の状況」です。資料No.3-5は「外国における新たな措置の報告状況」 です。資料No.3-6は「研究報告の報告状況」です。続いて資料No.4-1は「感染症定期報告 感染症別文献一覧表」です。資料No.4-2は「感染症定期報告の報告状況」です。  続いて資料No.5-1ですが、「平成19年3月30日に告示した一般用医薬品区分リストに、 本年2月28日から行ったパブリックコメントの結果を踏まえ追加等を行う成分」です。 資料5-1の束に資料No.5-2、5-3、5-4が一緒になっています。  続いて資料No.6-1で、これは4つに分かれていて、資料No.6-1-1が「市販直後安全性情 報収集事業(定点観測事業)報告書」のメタストロン注、資料No.6-1-2としてアクテムラ点 滴静注用、資料No.6-1-3はネクサバール錠200mg、資料No.6-1-4はリコモジュリン点滴静 注用12800の報告書になっています。  資料No.6-2は、平成20年度「医薬品安全性情報活用実践事例等の収集事業」報告書で す。そのあとに、資料番号は振っていないのですが、「安全性情報院内活用実践事例集」 があります。資料No.6-3は、「アイルランド産ブタ由来原材料を使用した医薬品等の品質 及び安全性確保について」の通知です。資料No.6-4は「ケナコルト-Aの自主回収につい て」です。資料No.6-5が「平成21年度医薬食品局予算の概要」です。 ○松本部会長 資料がよろしいようでしたら、議題に入ります。議題1は「一般用医薬品 の区分について」です。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 一般用医薬品のリスク区分について説明します。資料No.1-1、1-2、参考資料 1-1を御用意ください。  資料No.1-1は、前回平成20年11月27日の安全対策部会において御審議いただき、そ の後パブリックコメントの手続を経て、今回改めて資料を御提示させていただいているも のです。一般用医薬品のリスク区分については、これまでも安全対策部会において御審議 いただき、リスクの程度に応じて、第1類医薬品から第3類医薬品に区分し、平成19年 3月に告示により成分ごとに指定を行っているところです。また、本年6月より、この区 分に従って新しい販売体制が行われることとなっております。  今回この部会で御審議いただくのは、前回御提示した資料にパブリックコメントの結果 により追加等を行った、資料No.1-1になります。前回の部会では、参考資料1-1にあると おり、酸化マグネシウムの医療用の添付文書に重大な副作用が追記されたことに伴って、 一般用の酸化マグネシウムのリスク区分を3類から2類へ変更することと、一般用漢方処 方製剤の承認基準が制定されたことに伴う漢方処方の変更、それから新たに流通が確認で きた「桃の葉」のリスク区分について御審議いただいたところですが、今回は前回からの 変更点を中心に説明します。  まず酸化マグネシウムです。後ほど詳しく説明しますが、リスク区分の変更については、 より慎重に行うことが必要と考えており、今回はこの資料から外しています。その他の変 更点としては、「生薬及び動植物成分」の削除分として、「ソヨウ」と「シャジン」を挙 げています。これは両方とも第3類医薬品としてリストに挙げられているものですが、同 じリストに、「シソヨウ」と「シュクシャ」というものが挙がっていまして、これらは同 じものだということが分かりましたので、「ソヨウ」を削除して、「シソヨウ」の別名と します。「シャジン」についても同様で、「シャジン」と「シュクシャ」というのが同じ ものだということが分かりましたので、「シャジン」を削除して「シュクシャ」の別名と するものです。  裏面になります。処方名の変更のNo.6の下の「追加」です。「三黄瀉心湯(別名三黄散)」 というのが「三黄瀉心湯」と変更となるというのが抜けていましたので、ここで追加して います。  その下です。参考として、別名として追加するものなどをまとめて記載しています。こ れはパブリックコメント等で、別名として加えた方がいいのではないかという意見があ り、適当だと判断したものについて追記、記載しています。これらについては告示ではな く、通知での対応になります。ここはあくまでも参考ということで、こういったことも通 知で対処するということの御紹介になります。  資料No.1-2です。今説明した資料No.1-1に関して、この部会で御検討いただき、仮にこ のとおりになった場合を想定して、分科会に報告するときの様式に整えてみたものです。 内容的には資料No.1-1と変わるものではないので、説明は省略させていただきます。以上 です。 ○松本部会長 ただ今の説明に対して、御質問、御意見等はございますか。よろしいです か。それでは、一般用医薬品のリスク区分案について、今後の予定について事務局から説 明をお願いします。 ○事務局 一般用医薬品の漢方処方製剤の追加等については、今後告示の改正を進めさせ ていただきます。 ○松本部会長 では、事務局より次の説明をお願いします。 ○事務局 酸化マグネシウムについて御説明します。資料No.1-3、1-4、1-5をお手元に御 用意ください。資料No.1-3は、「パブリックコメントに寄せられた酸化マグネシウムにつ いての意見」です。資料No.1-4は「日本マグネシウム学会からの要望書」です。資料No.1-5 は「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について(案)」です。  酸化マグネシウムについては、前回の部会で諮問し、パブリックコメントを行っていた ところですが、資料No.1-3、1-4のとおり、区分は第3類にとどめるのが適当である旨の 御意見が寄せられているところです。  リスク区分については、資料No.1-5の2.の(3)にありますとおり、「機械的な振り分 けの結果の妥当性について、専門的な知識・経験をもとに個々の成分毎にさらに検討を加 え評価する」とされているところでありますので、今回の御指摘も踏まえて、手順をより 明確にするため、今後のリスク区分を変更する手順案を作成いたしました。資料No.1-5が それに当たります。  1枚目の下の3.に記載がありますが、「医療用医薬品の使用上の注意の変更に伴うリ スク区分の変更、スイッチOTC等の市販後調査の終了に伴うリスク区分の変更等の調査 ・審議を継続して行うこととなるが、これらの変更手続きにおいて、今後、諮問を行った 後、医薬品等安全対策部会長の了解を得て、次のように調査審議事項の事前整理等を安全 対策調査会に行わせることとする」としまして、(1)「安全対策調査会の調査審議に当た り、必要に応じ、関係学会等の有識者等の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行い、 その結果、リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は、変更案に ついてパブリックコメントを行う」。(2)「厚生労働省は、医薬品等安全対策部会を開催 し、安全対策調査会における事前整理の結果、パブリックコメントの結果等について調査 審議を行い、指定の変更の要否について答申を得る」。といった手順を踏み、今後のリス ク区分の変更を行っていきたいと考えております。  当該案で御了承いただける場合、酸化マグネシウムのリスク区分変更に際しても、この 手順に基づいて行っていきたいと考えております。以上です。御審議お願いします。 ○松本部会長 ただ今の説明に対して、御意見、御質問等はございますか。よろしいです か。それでは酸化マグネシウムについては、安全対策調査会において検討いただくとしま す。今後の予定について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 酸化マグネシウムの区分変更については、安全対策調査会において整理を行 い、その結果を安全対策部会に報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 議題2に進みます。最初に事務局から御説明をいただいて、そのあと各事 項についてまとめて御議論いただきます。 ○事務局 議題2「医薬品等の市販後安全対策について」の説明をさせていただきます。 資料No.2-1を御覧ください。「医薬品等の使用上の注意の改訂について」です。今回は、 2008年11月27日に開催された第3回医薬品等安全対策部会以降に改訂したものについ て、御報告します。  使用上の注意の改訂については、本部会の先生に事前に改訂について御意見をいただい たものですが、改めて主なものについて御報告します。  まず、1ページの平成20年11月28日の改訂指示発出分から説明します。一番左のカ ラムは、2008年度の改訂指示をした案件ごとの通し番号ですが、46番、解熱鎮痛消炎剤 のロルノキシカムについて、国内での症例の集積状況を踏まえて、「重大な副作用」の項 の肝機能障害、黄疸に関する記載に、「劇症肝炎」を追記したものです。  47、48番は、経腸成分栄養剤の改訂です。これは国内の症例の集積状況を踏まえ、「副 作用」の項に新たに「重大な副作用」の項目を設け、「ショック、アナフィラキシー様症 状」に関して追記するとともに、「禁忌」の項に「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のあ る患者」を追記したものです。なお、52番も経腸成分栄養剤に係る同種の改訂ですが、 こちらの製剤に関しては、既に副作用の項にショック、アナフィラキシー様症状の記載が あったため、「禁忌」の項のみの改訂となっています。  54〜56番です。これは血液製剤類である血液凝固第VIII、第IX因子製剤に対する改訂で あり、インヒビターの発生に関する記載の追記、又は記載の整備を行ったものです。なお、 54番のオクトコグアルファに関しては、「副作用」の項も併せて改訂しています。  2ページ目は12月19日発出分です。腎細胞癌の薬であるソラフェニブトシル酸塩の国 内の副作用症例の集積を踏まえた、肺障害に関する改訂指示ですが、詳細は資料No.2-2で 説明します。  続いて1月9日発出分です。58番の抗リウマチ薬のエタネルセプトに関しては、海外 の措置、国内での症例集積状況を踏まえ、エタネルセプト投与前にツベルクリン反応等の 検査の結果が陰性の患者においても、本剤投与中に結核の症状が発現することがあるので 注意する旨を「警告」、「重要な基本的注意」の項に追記したものです。また、併せて「重 大な副作用」の項に、急性腎不全などを追記しています。なお、結核に関する記載に関し ては、70番のインフリキシマブでも同様の改訂をしています。  続いて61〜69番までは、統合失調薬に関するものです。内容としては、これまでは非 定型の、いわゆる新しいタイプの統合失調薬にのみ、「その他の注意」の項に、外国の臨 床試験において認知症を合併した高齢者の患者に非定型抗精神病薬を投与したところ、投 与群の死亡率が高かったという旨の注意喚起を記載していました。しかしながら、その後 の外国の疫学調査の結果で、定型の、いわゆる従来の統合失調薬でも同様の傾向が認めら れたことを踏まえまして、定型の統合失調薬に関しては、添付文書に同様の追記を指示し、 非定型の統合失調薬に関しては、記載内容の更新を指示したものです。なお、この改訂の ほかに、一部の統合失調薬では、国内での症例の集積状況を踏まえて、「重大な副作用」 の項目に、「麻痺性イレウス」、「横紋筋融解症」を追記しています。  続いて4ページです。2月13日発出分です。75番は、リウマチ等の薬であるトシリズ マブです。国内での症例集積状況を踏まえて、「慎重投与」の項に「間質性肺炎の既往歴 のある患者」、「重大な副作用」の項目に「間質性肺炎」を追記したものです。  76番の精神神経用剤である塩酸ヒドロキシジンに関しては、国内で本剤投与後の注射 部位の壊死、疼痛等の症例集積状況を踏まえまして、「重要な基本的注意」の項に、本剤 投与後に強くもまずに軽く押さえる程度にとどめる旨を、また「重大な副作用」の項に「注 射部位の壊死、皮膚潰瘍」を追記したものです。  3月19日発出分です。77番目の解熱鎮痛消炎剤のナプロキセンに関しては、海外の添 付文書の記載状況に合わせて、「禁忌」の項に「妊娠後期の婦人」を追記したものです。  5ページです。83番のボリコナゾールに関して説明します。ボリコナゾールに関して は、視覚障害に係る注意喚起として、「警告」、「重要な基本的注意」の項に、ボリコナ ゾール投与中止後にも視覚障害等の症状が発生するおそれがある旨を追記したものです。 ○事務局 続いて資料No.2-2を御覧ください。先ほど使用上の注意の改訂の部分でも簡単 に説明したとおり、腎細胞癌の薬であるネクサバール、ソラフェニブトシル酸塩ですが、 「2.」にあるように、国内での治験時には認められなかった間質性肺炎を含む急性肺障 害(ARDS)が4例、そのうち2例は死亡が報告されたことから、3.の安全対策の項に 示すように、使用上の注意の改訂を指示したものです。改訂内容は次のページの別紙のと おりです。 ○事務局 資料No.2-3で、抗インフルエンザウイルス薬に関する使用上の注意に関する注 意喚起の徹底について御説明します。インフルエンザに関する話は、現在は新型インフル エンザが中心となっていますが、昨年暮れから今年の春にかけての季節性インフルエンザ のシーズンにおいては、Aソ連型と呼ばれるタイプのウイルスにおいて、世界的な傾向と 同様に、我が国の国内においても、極めて高率にリン酸オセルタミビル、商品名で言うと タミフルですが、その耐性ウイルスが分離されたということで、本年1月中旬からそのよ うな発表が行われたところです。  このAソ連型に対するリン酸オセルタミビル耐性の検出傾向は、その後も継続して見ら れたところです。また、1月下旬には、ザナミビル水和物、商品名で言うとリレンザにな りますが、その処方を受けた10歳代の患者の転落死も報告されたところです。  このような、今シーズン特有のタミフル耐性ウイルスの蔓延に伴いまして、抗インフル エンザウイルス薬の使用状況にも、医療現場において変化が見られるであろうということ から、改めて3種類の抗インフルエンザウイルス薬すべてに関して、今一度異常行動等に 関する注意喚起を、徹底して実施すべきであるということで、今回の通知を発出したもの です。  資料No.2-3の1枚目が、ザナミビル水和物のもので、「重要な基本的注意」という部分 については、既に平成19年12月に記載を行っている内容ですが、これを再度、注意喚起 するということで、2枚目が塩酸アマンタジン、3枚目がリン酸オセルタミビルというこ とで、通知を出したものです。以上です。 ○事務局 続いて、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等について御説明しま す。資料No.2-4の1ページを御覧ください。国内におけるこれまでの経過ですが、SSR Iをはじめとする抗うつ剤による興奮、攻撃性、易刺激性については、使用上の注意の副 作用の項に、「敵意」、「攻撃性」などを記載し、注意喚起を行っているところですが、 SSRIを服用した後に、他人に対し危害を加える等の症例が含まれていたことから、機 構安全部において、SSRI等の服用とこれらの他害行為との因果関係及び必要な安全対 策について調査を行っています。  欧米における添付文書の記載状況としては、3ページの別添1に示しているように、興 奮、攻撃性、易刺激性等に対して観察が必要との注意喚起がなされております。このよう な状況の中、6ページからの別添2のラインリストに示したパロキセチン塩酸塩水和物、 フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン、ミルナシプラン塩酸塩の4成分につい て、医薬品の販売開始後から、平成21年3月末日までに報告された副作用報告のうち、 MedDRAの標準検索式の「敵意/攻撃性」に該当する副作用報告を抽出し、うつ病の専門家 等の御意見をお聴きしながら、評価を行っています。  このうち症例経過から、傷害等の他害行為の見られたパロキセチン塩酸塩水和物26件、 フルボキサミンマレイン酸塩7件、塩酸セルトラリン2件について、ミルナシプラン塩酸 塩では、他害行為につながる可能性が見られた4件について、因果関係を精査しました。  2ページを御覧ください。パロキセチン塩酸塩水和物2件とフルボキサミンマレイン酸 塩2件において、医薬品と他害行為との因果関係が否定できないものと評価され、これら 以外の報告については、情報不足等により因果関係は不明と評価されています。因果関係 が否定できないと評価された副作用報告を含め、精査された副作用報告の多くが、躁うつ 病患者や統合失調症患者のうつ症状、アルコール依存症等の併存障害を有する状況におい て、SSRI等を処方されたことにより、興奮、攻撃性、易刺激性等の症状を呈し、他害 行為に至ったか、あるいはその併存障害の進展により他害行為が発生したことが疑われ、 SSRI等を処方する際には患者の背景等を十分に踏まえ、躁うつ病の患者、統合失調症 の素因のある患者などの併存障害を有する患者には、慎重に投与することが必要であると 評価されています。  また、他害行為が医薬品の副作用によるものか、病気や併存障害の進展によるものか等 について明らかでない症例が多く、いずれが原因であっても、患者及びその家族に対し、 自殺に関するリスクと同様に、治療の経過における病状の変化等には十分に注意を払うべ きことを注意喚起することが必要であると評価をいただきました。  また、ミルナシプラン塩酸塩についても、他のSSRIと同様の傾向が見られたため、 SSRIと同様の注意喚起を行うことが必要であると評価されたところです。  このような評価を踏まえて、39〜46ページの別添3に示していますが、これら4成分 について使用上の注意を改訂し、「重要な基本的な注意」の項に、興奮、攻撃性、易刺激 性等が現れること、自殺と同様に観察すること、御家族等に対してもリスクを説明するこ と等の注意喚起や、「慎重投与」の項では併存障害を有する患者を4成分について同じ記 載に整備することとしています。  最後に今後の対応としては、47ページの参考にありますが、日本うつ病学会において、 本日御出席を賜っている樋口先生を委員長とされる「抗うつ薬の適正使用に関する委員 会」が設置されたことを受けて、当該委員会と協力しながら、添付文書の改訂や症例評価 に基づき、診療や患者・家族等に対する適切かつ効果的な情報提供の内容・手段等につい て検討を行い、また、今後報告される事例やその他の関連疾患に対する投与症例の精査、 SSRI以外の抗うつ剤についても、引き続き情報収集と調査を行うこととしています。 ○事務局 続いて資料No.2-5の「小児用かぜ薬・鎮咳去痰薬等の安全対策について」です。 背景としては、平成20年10月7日に、米国OTC医薬品協会が、OTCかぜ薬等につい て、誤飲・誤用の観点から、4歳未満の使用をしないよう注意喚起を行う自主的な措置を 発表しています。その後、カナダやイギリス等において、6歳未満の小児への使用制限措 置を発表するなどの対応が取られております。  日本での当面の対応については、1枚目の裏にありますが、一般用医薬品については本 年6月から新たな販売規制が開始されますが、日本OTC医薬品協会の自主的な対応とし て、15歳未満の用法を有するかぜ薬等についても、説明文書を整備することとし、小児 への使用について注意喚起を行うとの報告がありました。  また、説明文書の内容については、3枚目にある説明文書(案)を御覧ください。5番の 「保健衛生上の危害を防止するために必要な事項」の一番下に括弧書きである「小児に服 用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください」という文を当面記載 することとし、次の需要期に向けて、関係学会の意見や諸外国での対応も考慮して、さら なる注意喚起を行うかどうかも含めて検討することとされています。  当面、業界の自主的な対応を見守りながら、諸外国での対応、国内外の調査等の結果、 関係学会の意見も踏まえ、引き続き対応を検討することとします。 ○事務局 引き続き資料No.2-6、サリドマイド:TERMS第三者評価委員会について御説明 します。TERMS第三者評価委員会は、大阪大学大学院薬学研究科の那須先生の下で運営さ れています。資料の1枚目の1行目ですが、第三者評価委員会の委員を決定して、別紙1 にTERMS第三者評価委員会の委員名簿を記載していますが、行政関係者、多発性骨髄腫等 の専門家、臨床薬学の専門家、医薬情報学の専門家、多発性骨髄腫の患者の関係者、サリ ドマイド被害者の関係者を中心に委員を選定しています。  最初のページです。これまでこの第三者評価委員会は、これらのメンバーの下に3回の 会議を開催していて、第1回は本年1月19日に東京、第2回は4月24日に東京、その間 にざっくばらんに議論を行うという意味での懇談会を3月3日に大阪で開催しています。  次に別紙2です。これは第三者評価委員会の那須先生の下で行われている電話インタビ ュー調査の予備的な集計についてです。まず現状ということで、4月24日時点で、281 名の患者にインタビュー依頼を発送し、158名から回答を得ています。患者からのコメン トを2番に書いています。大きく分けて3つで、サリドマイドに関して、TERMSに関して、 病院・医師等に関することに分かれています。  最初のサリドマイドに関しては、大きく分けて3つのポイントがあります。1つは薬価 に関するもので、薬価が高い、あるいは安いというものです。2つ目が、症状・副作用の 変化に関するもので、症状の改善・悪化等です。3つ目が服用方法などに関するもので、 カプセルが飲みづらいなどの記載があります。  2つ目のTERMSに関しては、手続が煩雑である、あるいは、処方の期間が限定されてい るというような要望がきています。3つ目の、病院・医師等に関することについても、処 方医が限られているのを増やしてほしいなどの患者の要望がきています。  次のページの別紙3です。これは「日本骨髄腫患者の会」が、患者からのいろいろな声 をまとめたものです。集計期間は大きく分けて2つありまして、集計期間の1は、12月 2日〜3月2日までの90日間です。集計期間の2が、3月3日〜4月10日までの39日 間です。それぞれ件数は220件、96件です。  下の「TERMSにまつわる主な問題点」に患者の声を書いています。大きく分けて6つの ポイントがあります。50mgの服用ができない、14日間処方制限の特別措置がほしい、処 方時が煩雑である、薬剤管理者の設定が不可能である場合、特例を設けてほしい、処方可 能施設の限定の条件を見直してほしい、患者向けの説明資料をもう少し分かりやすくして ほしいといった要望が寄せられています。  最後のページで、「TERMSの登録状況について」です。これは本年2月6日の発売開始 時からのTERMSの登録状況です。藤本製薬のホームページに公表されているもので、それ を時系列的に並べたものです。4月23日現在で登録施設数が274、医師の数が1,035、患 者の数が700です。本日も更新されていて、5月7日現在の数字ですと、登録施設数が 296、医師数が1,100、患者数が819です。 ○安全対策課長 私は第三者評価委員会の委員のメンバーにも入っているので、一言申し 上げます。サリドマイドの承認に当たっては、この部会においても安全管理の仕組みにつ いて御審議をいただきまして、厳重な管理の下で発売となったものです。その状況をしっ かりとフォローするために、第三者評価委員会で継続的に状況を把握し、それをこちらの 部会に御報告する予定であったわけです。今回はその第1回目の報告ということです。  現実にこの第三者評価委員会は、実際に処方されている患者から、現状でどのような問 題があるかの生の声を聞くことが目的で始めるということだったのですが、意外とこの薬 の現場への普及にかなり手間取りまして、本日お目に掛けた最後の参考の資料のように、 登録患者数がなかなか伸びていない状況があります。当初は、軽く1,000人ぐらいの患者 が既に待っているだろうということだったのですが、2月6日の発売開始の時点ではわず か17名でした。これは登録された患者数ですので、この登録された患者の中で実際に処 方される方の数は下回りますので、そういう意味ではサリドマイドがなかなか患者の手に 届かない、時間がかかる、待たされるという状況が初期の段階としてありました。  したがって、第三者評価委員会が当初予定していた、既に処方されている患者からいろ いろと御意見を伺うことが難しいという状況もありまして、現実の状況を正確に把握する ためには、患者の会に寄せられているまだ処方を受けられていない患者の声も耳にして、 それで現状を把握しようということで、3月3日に懇談会という形式で、なかなか普及が 進まない状況の中で現状を聞こうということで、患者の会からのそのような情報提供も受 けて、議論をしたという経緯があります。  しかし幸いなことに、御覧のようにその後さらに登録が進んでいて、まだまだ十分とは 言えませんが、今800人の方が登録に至っているということですので、一応進展はしてい るという状況です。  初期の段階の電話アンケートの予備的な分析というか、集計も本日御報告しているとお りです。今のところTERMSは非常に厳格なシステムであって、非常に負担が大きいという ことが明らかですが、医療機関の現場の先生方あるいは関係者、患者さんたちも大きな負 担を背負いながらではありますが、きちんと管理をしてやっていただいている状況だと把 握されています。ただ、余りにも負荷が大きいために、遵守が難しいということになって いくおそれもありますので、どのように合理化をし、簡素化するかということについても、 御意見、御提言をいろいろと集めて、この第三者評価委員会としても改善のための提案が できるのではないかということで、今後の検討の場において、そのような課題意識を持っ て議論していこうという状況です。この第三者評価委員会の現状というのはそのようなこ とですので、ここで御報告させていただきます。 ○松本部会長 本日は樋口先生に御出席いただいております。最初に(4)のSSRIにつ いてですが、樋口先生から症例の評価に関して、また日本うつ病学会での対応等について、 先ほどの事務局からの説明についてはいかがでしょうか。 ○樋口参考人 樋口でございます。先ほどの事務局からの報告にありましたように、今回 検討された症例の評価については、その中にもありましたように、意外と典型的なうつ病 というよりも、例えば躁うつ病であるとか、脳の器質的な疾患に伴ううつ状態、不安障害 を伴ううつ病、パーソナリティ障害を伴ったうつ病といったような、典型的なものでない ところに、他に対して攻撃性を示す症例が多いという印象を持ちました。  それで重要なことは、抗うつ薬には限らないのですが、このような向精神薬に関して言 いますと、作用、副作用に関して、当然処方する医師は熟知をしていることは必要なので すが、同時に適切な症例をきちんと選ぶことも重要だと考えます。したがって、添付文書 に重要な注意が書き込まれていくことももちろん大事なのですが、同時に、処方する側も、 きちんとした知識と経験を増していくような努力をする必要があるだろうという認識を 持ちました。  このような認識から、私も所属している日本うつ病学会の中で、うつ病学会の会員はと もかく、一般に抗うつ薬を使う治療現場においては、必ずしも標準的な処方が行われてい るとは限らないということが言われてきましたし、最近ではマスメディア等でも、抗うつ 薬とその使用法に関しての懸念がいろいろと取り上げられ、伝えられることもあったりし て、こういった問題を日本うつ病学会できちんと取り上げて、抗うつ薬の副作用をはじめ とする薬物療法に関して、いろいろな問題を専門家の立場から検討して、そして適正な抗 うつ薬の使用、どのように使用し、どのような対象に適切な処方を行うべきかについて検 討することを目的に、抗うつ薬の適正使用に関する委員会を立ち上げました。  これは少し時間がかかると思いますが、そこで検討された結果を基に、一般の方、患者、 処方する医師のそれぞれに向かって、いろいろなメッセージを発信し、提案していこうと 考えており、こういった委員会が立ち上がったということについても、学会のホームペー ジについ最近、掲載したところです。 ○松本部会長 せっかくですから、最初はこのSSRIについて、御意見、御質問等があ りましたらお願いします。今のお話でよろしいでしょうか。先ほど六つの案件について説 明をいただきましたが、これに関しての御意見、御質問はございますか。 ○土屋委員 資料No.2-6のTERMSの件です。当初から厳格な管理をするということで、そ れに対する不満が出るだろうということは予想されていたわけです。一方で、薬価が高い、 あるいは面倒だという話になったときに、個人輸入という話が依然としてまだ残っていた と思います。そうすると、そのような方に流れてしまうと、TERMSを作った本来の趣旨が 薄れていってしまうので、これが発売されたこと、あるいはTERMSというシステムが始ま ったことによって、個人輸入がどう遷移しているのかは一方でモニターしておかないとい けない気がするので、そういった面も含めて、厳格ではあるかもしれないけれども、薬害 を発生させないという強い管理の下でやる必要があるという趣旨を徹底させるためには、 すべてのものが表に、個人輸入ではない形で、なるべくこの形に乗ることが必要だと思う ので、そういった方もモニターをした上で、全体のシステムをどうするかを考えていかな いといけないと思います。 ○安全対策課長 大変大事な御指摘をいただいたと思います。個人輸入の実情に関して、 現在は薬監証明等、そういったところで一定の把握はされているところではありますが、 もう少し網羅性のある、簡素な、なおかつ適切でタイムリーな把握ができるということで、 SMUDという電子的な登録システムの開発をしています。  今このSMUDの稼働に向けて入札等の手続をしているところで、間もなく稼働できる ようなところに差しかかっているという現状です。そのようなシステムを使って、個人輸 入は個人輸入の状況としてきちんと把握をし、できるだけTERMSにきちんと登録が進むよ うに、全体として管理が行き届いた形を目指すということで進んでいるという現状です。 ○倉田委員 今のTERMSのところです。私は素人でよく分からないのですが、これの副作 用被害の対策というのはもうできているのでしょうか。 ○安全対策課長 このサリドマイドの審査の過程で、サリドマイド自身のもともとの副作 用、それによって胎児がばく露したときに起きる次世代への影響の問題、どちらも副作用 の問題ですが、サリドマイドは副作用被害救済制度の対象になる薬剤になっていまして、 そういった副作用のケースについて救済の対象になるものがあれば、その制度に基づく救 済は受けられるとなっています。 ○國頭委員 非常に素人的で申し訳ないのですが、「個人輸入の方が安い」というコメン トがありますが、なぜ薬が高くなってしまうのですか。どのようなメカニズムでそうなる のでしょうか。 ○安全対策課長 薬価の話は私どもの方でお答えしづらいところですが、今回のこの品物 については、新薬の開発コストという面では、あまりかかっていないのではないかという 話はありますが、一方で市販後のこのような管理システムを立ち上げ、テストし、実際に 稼働できるような状態にするために、それなりの人材も雇ってシステムをつくってきまし た。その部分のコストは相当かかっているということは言えます。こうしたものは、どう してもコストとして薬価に反映せざるを得ないということは、一定の理解が得られている ところですし、実際に同様のシステムで管理している欧米の価格も、かなりの値段になっ ていまして、そういう管理をしていないもので、第三国でつくられているようなものが、 個人輸入で比較的安価に入ってきているということで、その部分の差ということで理解し ているところです。 ○日野委員 お伺いします。こういったインタビューなりで患者から質問があった場合 に、それに対してQ&Aのようにして、現場の医師なり、患者にその答えがいくようにな っているのですか。 ○安全対策課長 ここでやっているインタビューの内容は、あらかじめ設定されている設 問に対して、患者にお答えいただく格好でやっているのがレギュラーの質問として用意さ れていて、それについての集計をするとともに、最後に患者からのフリートークという形 で、御懸念の点、不満に思っていることなどを自由におっしゃっていただいています。  ただ、その場合に、第三者評価委員会で行っているアンケートの中で、直接それに対す るお答えをすぐさま用意している状況ではありませんけれども、一方で、本日も参考とし て資料に入れている、日本骨髄腫患者の会のボランティア活動になりますが、こちらで患 者からの様々な問い合わせについて対応していただいているのが現状で、こちらの患者の 会からは私どもや企業にいろいろな問い合わせをいただいて、各患者からの問い合わせに できる限り満足いくようなお答えができるように、日々努力をいただいているという現状 にあります。 ○國頭委員 話が変わりますが、ソラフェニブの肺毒性ですが、抗がん剤で肺毒性がない 薬というのは私はほとんど知らないのです。絶対に出ます。ソラフェニブは特にマルチ・ カイネース・インヒビターですから、いろいろなところに効きます。同効の薬品で肺毒性 があるのは既知のものがたくさんあります。何十人かの治験で出ないのはたまたまであっ て、何百人、何千人に使うと絶対に出ます。外れたことはないのですが、このようなのは、 出るまで注意書きというのは書いてはいけないものなのですか。大雑把な話になってしま いますが、抗がん剤は肺毒性が出るものだというのは私たちは常識として持っているので すが、そういうのは最初から注意書きに、同じような作用機序の薬で出るから、出ること は十分にあり得るというようなことは書けないものなのでしょうか。 ○松本部会長 事務局は何か答えられますか。類薬でいくようなものでもないですか。 ○安全使用推進室長 現状としては、こういった症例の集積を踏まえて、なるべく早く評 価をして、改訂しているのが現状です。当然、我々の方も、予測・予防型という形で安全 対策を考えているので、御意見を踏まえて、例えば類薬でこういう報告があるとか、そう いった記載は可能な範囲ではできると思いますので、そういったような対応も考えていき たいと思います。 ○猪熊委員 関連してなのですが、ここに国内治験時に見られなかった、海外の添付文書 にも記載がなかったとありますが、抗リウマチ薬では海外でかなり長期間使われていて肺 障害がなく、国内では発売と同時にたくさん出たという事例があるわけです。今インター ナショナル・ハーモナイゼーションで、治験を比較的簡素というかエフェクテイブにして、 薬を出していこうという流れがずっときていたと思います。それについて人種差が注目さ れていると思いますが、どのようなことを考えておられるのか知りたいです。 ○安全対策課長 確かに、おっしゃるように副作用における人種というか民族の差という というのは、非常に我々にとっては気掛かりな点であることは明らかです。このネクサバ ールは腎細胞癌という非常に悪性度が高くて治療が困難ながんのお薬ですので、患者さん にとっては少しでも効果のあるものを早くということが一方にあります。海外で行われた 臨床試験の成績は目覚しいと言っていいと思いますが、そういった成績であったというこ ともあり、できるだけ早く使えるようにということが一方の課題としてありました。  ただ、一方、先生が御指摘のように、日本人でどのような副作用が出るかということに 対する懸念がありましたので、それをしっかりモニターするために、このものについては 承認時に全例登録調査ということをかけています。それによって1例も漏らさず使ったケ ースについてフォローしていく中で、國頭先生から御指摘いただいていますけれども、あ る面で予期されたこうした副作用が現れてきたということなので、できるだけ早いうちに 注意喚起しようということで対応したという実例です。  したがって、国内での症例が余り多くない段階で承認をするものについては、そうした 市販後の監視の手を緩めないように、いろいろな手立てを講じて、全例登録するというの もかなり現場に負担が大きいやり方ですので、これがいつもオールマイティというわけで はないと思いますが、インテンシブに情報を集めながら、懸念される兆候が現れたときに、 できるだけ早く対応するということでやっているのが現状です。 ○松本部会長 よろしいですか。 ○國頭委員 大体、抗がん剤でも欧米では大丈夫でも、日本では肺毒性が非常に多くて、 何で日本人ばかりでこんなのが起こるのだと、某外資系の製薬メーカーのトップが怒った という話も聞いたことがあるのです。ただ、全例調査のあれを私たちもさんざん書かされ るのですが、ああいうものから、有害事象が出たということはもちろん分かりますし、ど のくらい出たということは分かるのでしょうけれども、だれに出るのかというデータまで いった例はまずないですよね。大体肺障害が出るのはもともと間質性肺炎がある人くらい であって、そのほかに何が出るのか。例えばビタミン剤を飲んでいるのか、マグネシウム を飲んでいるのかなど面倒なことを書かされますが、あれでもって何か結論が出たという 例がない。やるのであれば時間もお金もはるかにかかるでしょうけれども、何らかの方法 で、例えばDNAを調べる、その他でサンプルを採って、あとから解析ができるようにと いうことをシステマティックにしないと、どんどん症例報告の紙ばかり厚くなって山のよ うに面倒なことを書かされますが、あれで役に立つのかと内心は思いながらずっと書いて います。もう少し、あれから他のことをやり始めないと、結果的に「やはり日本人は多い ので。だけどだれに出るか分からないね」で終わってしまうような気がします。 ○松本部会長 おっしゃるとおりだと思います。よろしくお願いします。 ○安全対策課長 まさしく先生が御懸念になっている点は、私どもも同じ課題意識を持っ ています。できるだけリスク要因を患者さんの背景から絞れないかということで、これま でトライしてきていますが、確かに余り芳しい、これがというリスクファクターを特定で きるところに現状はまだきていないということですが、そうなると、恐らく遺伝子レベル の何らかの背景が関係しているのではないかといった研究を通じて、最先端のところでリ スク要因を捕まえることも、視野に入れざるを得なくなってきているところです。ですか ら、そういう研究も視野に入れてサーベイをかけていくということは、確かに有力な選択 肢というふうには考えています。 ○國頭委員 恐らく血液を10ccか20cc採ると、今ゲノムワイドに全部いけますよね。ゲ ノムワイドにやると山のようにαエラーが出てくるとは思いますが、そういうことをやは り考えておいた方がいいのではないか。 ○猪熊委員 全例調査は、本当に負担が主治医たちに大きいと思います。その主治医たち にあれだけの負担があり、患者さんにも多少はあると思いますが、結果がそんなにエフェ クティブに解析されていないという欲求不満みたいな感覚というのは、専門家はすごく持 つと思います。その全例調査の解析を企業が任されますね。企業の中にはそんなに専門家 はいらっしゃらないと思います。そうなると私が一つ思っていることは、専門家集団が深 く関わった解析は、先ほどの質問に対する回答がエフェクティブに出ていると思います。 ですから、もっと第三者の専門家集団が深く関われるようなsuggestionを厚労省からし ていただけるといいのではないかと思います。第三者の専門家集団というのは、一つは学 会だと思います。今は企業が任意に選んだ委員がやっているということになるので、少し 御指導をきつくしていただいたらいかがかと思っています。 ○安全対策課長 大変有効な御指摘だと思います。既にリウマチに対する治療薬のいわゆ る生物学的製剤と言われている一群のものについては、日本リウマチ学会の方にPMS委 員会を組織していただき、そちらにスーパーバイズいただいて、市販後全例調査の解析に ついて御指導いただいたりしているケースもあります。これについては承認の際に学会に 御協力をいただくよう、要請を国の側からしている例があります。  ただ、すべてのものについて、そのような形を今やっているわけではないということも 現状ですので、今日の御指摘を踏まえて、できるだけ最初に承認する段階で、そういう第 三者というか、専門家からのサポートをいただけるような仕組みを、私どもの方でも検討 させていただきたいと考えています。 ○猪熊委員 私は日本リウマチ学会の理事で、PMS委員会であった人間ですが、確かに そういうシステムを取ったのですけれども、それでもまだ不十分なのです。それは、その 前に生物製剤ではない薬に関してやった結果の方が、エフェクティブな結果が出ているの です。1つは専門家に対するデータの開示が非常に限られていて、企業が解析したものを プレゼンする場所だけになっているのです。私はプロトコールを立てるところから、いい アイデアを入れないと、エフェクティブではないのではないかと思います。こういうデー タが欲しいと思っても、プロトコールに入っていなければチャートに上がってこないの で、もうそこの最初から関わることができるのがいかがかと思っています。 ○松本部会長 ありがとうございます。大変細かいところを御指摘いただきました。 ○生出委員 別の話題で、資料No.2-5の「小児用かぜ薬・鎮咳去痰薬等の安全対策につい て」ですが、日本OTC医薬品協会から薬剤師会等々に説明文書案が来ていて、これを利 用してやることには大賛成で、我々は協力していくということになっているのですが、実 はOTC薬のメーカーの中で、OTC医薬品協会に加盟されていないメーカーがかなり多 いと思われるのです。その辺には個別に依頼というか、こういうことをしてくださいとい うことはされているのでしょうか。 ○事務局 今回の対応につきましては、OTC協会に加盟している所をメインということ で、まず手始めとして対応させていただこうということです。これは販売規制が6月から 施行される中で、こういった試みを始めていこうということで、先生が御指摘のように、 実際にこれからシーズンが近づいていくに当たり、その辺の網の目をどういうふうにして いくかといった部分も、少しOTC協会以外の会員会社も含めた対応ということで、我々 の方で考えさせていただこうと思っています。 ○生出委員 是非、よろしくお願い申し上げます。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかにどうぞ。 ○土屋委員 先ほどの市販後調査のことですが、先生方の負担が大きいとか情報収集がな かなか大変だということについては、昨年度、医療情報学会の連合大会でも試作品とかが 出たのですが、病院情報システムから、いかにうまくきちんとしたデータを吸い上げるこ とができるかというやはり正確なデータを吸い上げないことには解析もできませんので、 そういったことについての仕組みを作っていくことを考えないと、我が国の大きな病院は 病院情報システムが他国に比べて普及している国ですので、そういったことの方策を考え ないと、今はそれぞれが勝手にシステムを作ってやっているものですから、そういうこと の標準化をきちんと進めて、元からきちんと出るような仕組みを作ることが、今後の薬の 安全性を考える上で極めて重要だと思います。是非、そういった仕組みについても今後、 検討なさったらいいと思います。 ○松本部会長 そうですね、大変貴重な御意見だと思います。ほかに御意見、御質問等は ございませんか。この議題2はよろしいですか。それでは議題3に進みます。樋口先生は 本日、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。御退席いただきます。 それでは議題3について事務局から説明をお願いします。 ── 樋口参考人退席 ── ○事務局 それでは議題3「医薬品等の副作用等報告の状況について」説明させていただ きます。資料が大量で恐縮ですが、資料No.3-1〜3-6までを御用意いただければと思いま す。  資料No.3-1を御覧ください。「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生 審議会への副作用・感染症等報告について」を御説明します。本報告は前回の平成20年 度第3回の本部会で説明した、平成20年4月1日〜平成20年9月30日までに受け付け た副作用報告等に関する状況に引き続いたもので、平成20年10月1日〜平成21年2月 28日までに受け付けた副作用報告等に関する状況です。  報告事項としては大きく2つ、1つ目として、「1.」に示すように製造販売業者から の報告、2つ目として、2.に示すように医薬関係者からの報告についてです。「1.」の (1)国内症例の報告状況について説明させていただきます。表の左側、副作用報告につい てですが、医療用医薬品については12,930件の報告がありました。一般用医薬品につい ては113件の報告がありました。あわせて副作用報告としては13,043件の報告を受け付 けています。前回の報告で平成20年4月1日〜平成20年9月30日の期間内の報告とし て、14,000件余りの報告を受け付けていますので、報告件数としては大きな変更はない ものと考えています。  (1)の表の右側の感染症報告ですが、医療用医薬品については120件の報告を受け付け ています。前回の報告で平成20年4月1日〜平成20年9月30日の期間内の報告として は、712件の報告を受け付けていて、大幅な減少が認められていますが、前回報告時に説 明させていただいたとおり、前回の712件のほとんどは訴訟などに関連した過去の事例の ものであり、現在は販売中止されている血漿分画製剤のものでした。なお、今回の120件 の報告においても訴訟関連のものが大部分を占めています。  (2)の外国症例の報告状況ですが、副作用報告が47,250件、感染症報告が17件でした。 前回の部会の報告で9月30日までの報告として副作用報告が55,000件余り、感染症報告 が9件でした。  (3)の外国での新たな措置の報告状況ですが、319件の報告を受け付けています。平成 20年4月1日〜平成20年9月30日の期間内の報告として、444件の報告を受けています。 それほど大きな変動はないものと考えています。  (4)の研究報告の報告状況ですが、期間内に352件の報告を受け付けています。平成 20年4月1日〜平成20年9月30日の期間内の報告としては423件でしたので、これも それほど大きな変動はないものと考えています。  2.医薬関係者からの報告ですが、平成20年10月1日〜平成21年2月28日の期間内 に1,517件の報告を受け付けています。前回の期間内の平成20年9月30日までの報告は 1,987件でしたので、大きな変動はないと考えています。  これらの報告に関しては、元の資料として資料No.3-2〜3-6を付けています。こちらは 資料が大部で大量ですので概略のみを説明させていただきます。資料No.3-2を御覧くださ い。枠囲いの部分を御覧いただきたいのですが、ここにある注意点を読んでいただき、報 告の取りまとめについては1)〜5)に記載されるように制約があることを御承知くださ い。特に2)に記載されるように、報告件数については平成20年10月1日〜平成21年2 月28日までに報告されたもので、同一症例に複数の被疑薬が存在し、当該症例が複数の 企業から報告される場合もありますので重複してカウントしています。ここで報告された 件数がそのまま症例数には該当しません。また資料No.3-2は薬効分類別に並べていますが、 参考資料No.3として薬効分類表を付けていますので、参照して御確認いただければと思い ます。  資料No.3-3を御覧ください。一般用医薬品の国内副作用報告です。こちらの注意事項は 医療用医薬品と同様のことを1)〜5)まで記しています。一般用医薬品については成分名 だけでは何の薬か分からないということがありますので、一番左のカラムに薬効群の名前 を示しています。この薬効群を参考に状況を御確認いただければと思います。なお、誤植 が一点ありますので訂正させていただきます。3ページの下から4段目の耳鼻科用剤を御 覧ください。成分名の欄に、3カプセル中塩酸フェニルプロパノールアミン90mgとある のは記載間違いで、塩酸プソイドエフェドリン90mgです。ホームページに公開する際に は修正した形で公表できればと思います。誠に申し訳ありませんでした。  資料No.3-4を御覧ください。1ページの1番〜8ページの36番までが輸血用血液製剤、 要は輸血に関連する感染症の報告です。8ページの38番〜12ページの119番までが過去 の事例に関するもので、かなり古い事例が多数報告されている状況です。  資料No.3-5を御覧ください。これについては同じような措置の内容が複数の企業から報 告されているもので、かなり重複して同じようなものが報告されている状況です。例えば 13ページのNo.182、187、188、14ページのNo.193、195、201、202と多数ありますが、こ れは先ほど事務局より資料No.2-5の説明のところでありました小児のOTC感冒薬等に関 連するもので、カナダでも措置が実施されたというものです。  資料No.3-6を御覧ください。こちらについても同じようなものが幾つかあります。先ほ ど資料No.2-1の使用上の注意の改訂でもお知らせしましたけれども、統合失調薬に関して 改訂の根拠となった疫学調査に関するものが散見されています。No.33、34、52などが疫 学調査に関するものとなっています。以上、簡単ですが副作用等の報告についての説明は 以上となります。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただ今「医薬品等の副作用等報告の状況につい て」を事務局から説明いただきましたが、委員の先生方から御質問、御意見等がございま すでしょうか。よろしいですか。 ○土屋委員 資料No.3-3ですが、現状ではこれでいいと思いますけれども、今後、6月以 降、第1類、第2類、第3類の話が出てきますので、ここに薬効別が載っているのは分か るのですが、そこにクラス幾つなのかということも書いていただくと、これが公開された ときに、こういうことに気を付けなければということにもなるかと思いますので、そのク ラス分類を書いていただきたい。それと、それが可能かどうかは知りませんが、本当は他 の医薬品と併用していたかどうか、要するに何と併用していたかはなくていいから、せめ て併用していたかどうかぐらいの話が出ていると、注意喚起をしていくときの意味になる と思います。そういうことが可能でしたら、これ以降の資料でそういうことを記載してい ただければと思います。 ○安全使用推進室長 クラス分類の記載につきましては、現在の副作用報告制度で第何類 医薬品なのかの報告を求めていないのですが、この6月から新しい販売制度がスタートす るのに合わせ、副作用報告の際、一般用医薬品については第何類医薬品なのかも併せて報 告していただくことにしていますので、6月1日以降の報告分からは、この部会への報告 に際しては第何類医薬品なのかを明示して、資料として配付したいと考えています。それ 以外の御意見も踏まえて対応していきたいと思います。 ○松本部会長 ほかに御意見、御質問等ございませんか。よろしいですか。よろしいよう でしたら議題4に進みます。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは議題4を説明させていただきます。お手元の資料No.4-1、4-2です。 この議題は薬事法第68条の8に基づく「医薬品の感染症定期報告の状況について」です。 今回は平成20年10月〜平成21年2月末までに報告された、感染症定期報告を取りまと めています。資料No.4-2が、医薬品医療機器総合機構からの感染症定期報告の整理、調査 結果になります。医薬品ごと、原材料ごとの形でまとめられているため非常に量の大きな ものとなっていて申し訳ありません。これは一番最後のページまでですべてになるわけで すが、この5か月分で合計401件の報告があったところです。資料No.4-2については医薬 品ごと、原材料ごとになっていますので、同一の感染症に関する同じ文献があちこちに飛 んで出てきます。また、前回の部会に既に御報告している文献なども重ねて掲載されてい ることがあることから、新規に報告された文献について感染症別に整理したものが資料No. 4-1になります。これを用いて説明をさせていただきたいと存じます。  感染症定期報告に関する資料については、文献の評価等があるために、本日は御欠席で すが、感染症研究所の宮村先生、御出席いただいている新見先生、石井先生にもコメント を照会させていただいています。後ほど幾つかコメントを頂戴できるかと存じます。資料 No.4-1ですが、従来の感染症定期報告と同様に、1枚目にあるようなウイルス性の肝炎、 2枚目にある、今回はHIVが1件ですが、これらウイルス性肝炎、HIV等で、16件 です。3ページの下からありますが、BSE、クロイツフェルト・ヤコブ病といった関係 の文献が17件報告されています。後ろの方になっていくとデング熱、炭疽といった流行 地域でのアウトブレイクの報告が多くなっていますが、そういったところが今回多く報告 されています。  資料No.4-1では、149件の新規の文献等をまとめています。事務局からは一点だけござ います。今回の感染症定期報告の中で一番最後のページの146番ですが、これは中毒とい うことで感染症ではありませんが、アイルランドにおけるダイオキシン汚染飼料によるブ タ肉の回収措置等があり、これは後ほど、本日の議題「その他」の資料No.5-6で、関連す る通知をもって説明させていただきたいと思っています。それ以外の部分について、幾つ か文献の方のコメントを新見先生、石井先生より頂戴できると存じますので、よろしくお 願い申し上げます。 ○松本部会長 ありがとうございました。新見先生、何かコメントはございますか。 ○新見委員 今回はCJD関係のほかに、その他について一つコメントしたいと思いま す。3ページの文献番号29について説明します。この文献ではオーストリアで39歳の男 性がCJDと診断されたわけですが、22年前までヒト死体由来のヒト成長ホルモン投与 を受けていた方であったということで、WHOのTSEの分類によると、医療行為により 感染した、いわゆる医原性と判断される症例であったという報告です。  ヒト死体由来の成長ホルモンに関しては、1985年、いわゆるクルードと呼ばれる海外 の大学等で行われていた、特段の処理を施さない成長ホルモンの使用によるCJDが報告 され、その使用が中止されるとともに、製薬企業で製造されていた精製除去工程を施され ていたものも、その後は組換え体に切り換えられています。製薬企業で精製除去工程を経 て製造されていたものでのCJDの報告が、これまでないとされていたようで、今回の例 がWHOの医原性に分類される初めての報告であるとされています。  しかしながら、WHOの医原性CJDの分類は確定CJD症例において、医原性のリス クが認められていれば医原性の確定CJDということになっており、その医原性のリスク とCJDとの関連性を厳密に評価するような分類基準にはなっていません。  本症例の病理学的な所見を文献から見てみますと、コドン129がMet-Metのホモ型と正 常で、びまん性のシナプティックありでアミロイド斑なしというこれらの所見は、むしろ 典型的な孤発性CJDと思われるようなものであり、したがってヒト成長ホルモンとCJ Dの関連性評価は、この報告で判断できる状況にはなく、海外及び国内での今後のCJD サーベイランスにおける情報収集、及び分析が重要だと考えられます。  次は4ページの39番の文献です。これもCJD関連ですけれども、この文献では古典 的BSEとされる、いわゆる一般的な狂牛病と、ヒトの変異型CJD(vCJD)の関連は、 同一の感染因子によるものと既に認識されているところです。一方、この古典的BSEと は別に、非定型BSEと呼ばれるプリオン蛋白の生化学的特徴が異なるBSEが、少数例 ですけれども存在するという報告があります。この文献は、非定型BSEが発現した国で、 孤発性CJDでMM2型に分類される患者4人のうち3人に、非定型BSEに特徴的なプ リオン蛋白質の生化学的な特徴が認められたと報告しています。また古典的なBSEと、 非定型のBSEに感染したウシの脳のホモジネートをカニクイザルに移植して発現した 疾患を、臨床徴候、組織学、プリオン蛋白質の生化学的特徴から比較しています。  この非定型BSEについてですが、ヒトへの影響というのは現在不明です。文献でも指 摘されていますように、古典的BSEの発生は抑えられてきたところですが、現在のBS E対策の継続が、これからも必要であるということと、今後とも非定型BSEに関する研 究の進展に関する情報や、孤発性とされるCJDに関するサーベイランスにおける情報収 集及び分析が必要であろうと思われます。  次は15ページの文献147〜149までです。これは前回まで本部会での感染症定期報告の 中で、アメリカのブタ肉処理施設の従業員で神経疾患が認められていて、その原因は不明 であったと。しかし、ウイルスや細菌等の感染症の可能性は低いとの文献がありました。 今回はその続報で、神経障害の原因が自己免疫反応の誘導によるということが、ほぼ分か ってきたということですので併せてコメントさせていただきます。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。石井先生、何かコメントはございますか。 ○石井委員 コメントさせていただきます。3ページを御覧ください。文献番号は22番 です。ウエストナイルウイルスに関してですが、イタリアで昨年9月に、何年かぶりにヒ トでのウエストナイルウイルスの患者が発生しましたが、周囲でウマ、トリでのウエスト ナイルウイルスの感染が見られていたことから、血液センターで供血者向けのサーベイラ ンスプログラムとして、NATスクリーニングが開始されたとのことです。  ウエストナイルウイルスに関しては、2000年前後にはアメリカ合衆国の東海岸でも発 生したものですが、数年間のうちにカリフォルニアの方にどんどん拡大していった状況も ありますので、我が国への侵入も懸念されているところです。医薬品の関連では血液の関 係が問題になるというわけですが、我が国でも海外渡航者からの輸入感染事例対策とし て、渡航歴による献血制限や、場合によっては地域的にウエストナイルウイルスが侵入し た場合に対しては、地域的にNATを実施できる体制が整えられているということなの で、大丈夫だろうと考えます。  二点目は、8ページの文献番号72番です。これはアメリカ・トリパノソーマ症、シャ ーガス病ですけれども、流行地域として現在は中南米と言われていますが、これはスペイ ンで高リスク供血者に対するスクリーニングを実施し、ボリビア人や流行地に長期間滞在 歴のあったスペイン人で、一部血清学的に陽性が見られたということです。血清学的陽性 ということは、恐らく感染が成立していると考えられ、血液中にトリパノソーマ原虫がい る可能性もあると解釈できます。  我が国では、先ほどのウエストナイルウイルス対策もそうですが、基本的に献血時に海 外渡航歴の問診などでスクリーニングを実施していますし、シャーガス病の疑いのある方 から献血を行わないという対策がとられていますので、現在の国内献血における対応は妥 当と考えています。また本日、感染研の宮村所長は、新型インフルエンザの対応で席を外 せないということで欠席ですけれども、個別の文献に関して特にコメントはないと聞いて います。今回、新型インフルエンザが発生しているわけですが、医薬品等の感染症対策に 関しては今後も継続して注意していく必要があると考えています。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御意見、御質問等ございます か。よろしいですか。よろしいようでしたら議題5に進みます。事務局から説明をお願い します。 ○事務局 議題5、「指定医薬品の解除について」説明します。資料No.5-1〜5-4を御用 意ください。資料No.5-1は、昨年7月の安全対策部会で、既に告示を行っている区分リス トに追加する成分について御審議いただいたときの資料ですが、この中で追加分の7番の 「ヘパリンナトリウム」については、軟膏剤として古くから販売されており、類似薬であ る「ヘパリン類縁物質」が既に第2類として指定されていることから、第2類が妥当であ るということで、資料No.5-2のとおり答申をいただき、資料No.5-3、これは官報の写しに なりますが、平成20年10月8日に告示を行っているところです。その後、ヘパリンナト リウムが現在も指定医薬品として指定されているため、新薬事法が施行される本年6月1 日からも引き続き既存薬種商において販売できないことが判明しました。このようなこと から新薬事法が施行される6月1日までに指定医薬品の解除を行う必要があると考えて おり、資料No.5-4にあるとおり、3月25日からパブリックコメントを行っています。今 後、6月1日までに、ヘパリンナトリウムの指定薬解除について省令を改正する予定とし ていますので、御報告させていただきます。指定医薬品の解除についての説明は以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対しまして、御質問等ござい ますか。よろしいですか。よろしいようでしたら議題6に進みます。事務局から説明をお 願いします。 ○事務局 議題6、「市販直後安全性情報収集事業結果について」御報告します。資料No. 6-1-1〜6-1-4を御用意ください。昨年11月の安全対策部会において、タルセバ錠とコン サータ錠について御報告させていただいたところですが、今回はメタストロン注、アクテ ムラ点滴静注用、ネクサバール錠、リコモジュリン点滴静注用について御報告させていた だきます。なお、昨年11月の部会でも説明しましたが、市販直後安全性情報収集事業は 平成18年から安全対策課の予算事業として進めており、新たに承認される新医薬品のう ち、新規性が高いものや国内外における使用経験が少ないものなど、特に市販直後の安全 性確保が必要と判断されるものについて、原則として6か月間、当該医薬品の使用状況や 副作用の発現状況、また臨床現場への製造販売業者による安全性情報の提供状況などを、 国が直接臨床現場から収集・評価することにより、必要な対策を図ることを目的とした事 業です。  資料No.6-1-1、メタストロン注について御報告します。製造販売元は日本メジフィジッ クス株式会社、効能・効果は固形癌患者における骨シンチグラフィで陽性像を呈する骨転 移部位の疼痛緩和です。調査に御協力いただいた施設は宮城県立がんセンター、癌研究会 有明病院、岐阜大学医学部附属病院、群馬大学医学部附属病院、鹿児島大学医学部・歯学 部附属病院の5施設になります。調査期間は平成19年11月26日〜平成20年11月25日 の1年間です。当該医薬品については当初、調査期間を6か月としていましたが、6か月 経過した時点で協力施設における使用状況が低かったことから、調査期間を1年間に延長 しました。使用状況はすべての医療機関において採用され、延べ20人の患者に使用され ています。副作用については死亡例が3例報告されましたが、いずれも本剤との因果関係 なしと評価された症例でした。製造販売業者による情報提供活動については、期間中、定 期的な訪問があり安全性情報の提供が行われていたという報告でした。  資料No.6-1-2、アクテムラ点滴静注用について御報告します。製造販売業者は中外製薬 株式会社です。当該医薬品は、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見の改善を効能 効果として流通していましたが、平成20年4月16日に関節リウマチ、多関節に活動性を 有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎の効能効果を追加で承認されたこ とから、当該調査の対象としました。御協力いただいた医療機関は北海道大学病院、独立 行政法人国立病院機構相模原病院、あいち小児保健医療センター、兵庫県立こども病院、 東広島記念病院、医療法人白十字会佐世保中央病院の6施設になります。調査期間は平成 20年4月16日からの6か月間です。使用状況はすべての調査機関において採用され、147 名の患者に使用されました。副作用等については既知・重篤な副作用が7件報告されまし たが、すべて製造販売業者により副作用報告がなされていることを確認しています。なお、 未知の副作用についての報告はありませんでした。製造販売業者による情報活動について は、期間中、定期的な訪問があり、安全性情報の提供が行われたという報告です。  資料No.6-1-3、ネクサバール錠について御報告します。製造販売業者はバイエル薬品株 式会社、効能・効果は根治切除不能又は転移性の腎細胞癌です。御協力いただいた医療機 関は砂川市立病院、岩手医科大学附属病院、聖路加国際病院、静岡県立静岡がんセンター、 大阪大学医学部附属病院、財団法人倉敷中央病院の6施設です。調査実施期間は平成20 年4月18日から6か月間です。使用状況はすべての医療機関において採用され、39名の 患者に使用されています。副作用の発現状況については、既知・重篤な副作用として「肝 機能障害」、「心不全の悪化」、「十二指腸潰瘍」、未知・重篤な副作用として「結核」 が報告されています。これらの副作用については、製造販売業者より副作用報告がなされ ていることを確認しています。その他、調査終了後のヒアリングにおいて、未知・非重篤 の副作用である「肛門周囲膿瘍」「蛋白尿」についての情報が把握されていないことが分 かったため、当該症例について詳細調査を行うよう指示を行いました。その後、当該症例 の情報を入手したとの報告を受けています。製造販売業者による情報提供活動について は、期間中、定期的な訪問又はメールがあり、安全性情報の提供が行われていたとの報告 です。  資料No.6-1-4、リコモジュリン点滴静注用について御報告します。製造販売業者は旭化 成ファーマ株式会社、汎発性血管内血液凝固症を効能効果とした医薬品です。御協力いた だいた医療機関は青森県立中央病院、自治医科大学附属病院、三重大学医学部附属病院、 独立行政法人国立病院機構京都医療センター、松山赤十字病院、NTT西日本九州病院の 6施設です。調査実施期間は平成20年5月12日からの6か月間で、使用状況はすべての 医療機関において採用され、8名の患者に使用されています。副作用の発現状況ですが、 すべての症例で副作用が生じていないとの報告がありました。製造販売業者による情報提 供活動について、期間中、定期的な訪問又はメールがあり、安全性情報の提供が行われて いたとの報告です。市販直後安全性情報収集事業報告書については以上です。  続きまして資料No.6-2及びその次の資料番号を打っていない事例集を御用意ください。 「医薬品安全使用実践推進事業について」説明します。当事業は予測・予防型の安全対策 の実践推進として、医療現場における安全性情報の一層の有効活用を推進し、副作用を回 避することを目的として、平成19年度より2年間実施しています。  具体的には、企画競争入札により落札された日本病院薬剤師会に、医薬品の安全性情報 の収集や院内での活用方法について、先進的な取組みを行っている医療機関数か所を調査 していただき、医療機関全体としてどのように安全性情報を入手し、また入手した情報を どのように活用しているかなど、その取組みについて御報告していただきました。当該報 告については、本年3月17日の検討会において御検討いただき、5月7日に厚生労働省 のホームページに報告書の掲載を行い、周知を図っているところです。医薬品安全使用実 践推進事業については以上です。 ○事務局 続きまして資料No.6-3について御説明します。「アイルランド産ブタ由来原材 料を使用した医薬品等の品質及び安全性確保について」という通知です。昨年11月に開 催させていただいた安全対策部会においては、事故米穀、いわゆる事故米に由来する原材 料を使用したものであったり、中国において牛乳にメラミンが混入する問題があったこと から、中国産の乳由来の原材料を使用した医薬品等に関して同様の通知の報告をしている ところですが、昨年12月にはアイルランド政府より、ダイオキシンを検出したことから ブタ肉の回収措置が講じられたということがありました。これに対応して、過去の事故米、 メラミン混入牛乳などと同様の安全確保を製造販売業者に求めた通知です。  この通知以降に、我が国でダイオキシン混入が疑われるアイルランド産ブタを医薬品等 に使用し、あるいは流通したという報告はなかったということです。以上です。 ○事務局 続きまして「ケナコルト-Aの自主回収について」説明させていただきます。 資料No.6-4を御用意ください。医療用医薬品「ケナコルト-A 皮内用関節腔内用水懸注 50mg/5mL」並びに「ケナコルト-A 筋注用関節腔内用水懸注40mg/1mL」の自主回収に ついて説明させていただきます。  2ページを御覧ください。これは今年の2月23日にブリストル・マイヤーズ株式会社 より発表されたものです。2段目を御覧いただければと思いますが、記載されるように本 剤の関節腔内等への投与後に、投与部位に疼痛、腫脹等が発現したという報告を短期間に 複数の医療機関から受けたため、予防的措置として自主回収することが発表されたもので す。  4ページを御覧ください。これはその後の進捗状況について、ブリストル・マイヤーズ 株式会社から3月25日付けで発表されたものです。3段目に記載されるように温度低下 や凍結に起因すると考えられる粒子の凝集が副作用発現傾向の変化に関するポイントと なっているという発表です。簡単ですが説明は以上です。 ○事務局 続きまして資料No.6-5、「平成21年度の医薬食品局の予算の概要について」簡 単に御説明します。平成21年度、今年度の予算案については152億円ということで、昨 年度に比べて63億8千万円の増ですが、主要事項のVIの新型インフルエンザ対策の費用 が増額の大半で、プレパンデミックワクチンの備蓄経費として66億円が計上されていま す。安全対策に関しては1ページのIの医薬品・医療機器の安全対策の推進というところ で、一番最初の○のところで、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の安全対策の体制強 化が6億8千万円です。これで安全対策要員の大幅な増員等、体制の強化を図るというこ とで計上しています。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただ今5つの案件について説明いただきまし た。委員の先生方から御質問、御意見がございますか。 ○國頭委員 毎度同じことばかり聞いて申し訳ないのですが、安全性情報収集事業につい ていまだによく分からないです。個別のことをお聞きしながら何となくイメージをつかも うと思います。トロンボモデュリンは、私は使った経験はないのですけれども、DICの 薬だと書いてありますね。DICがこの半年間で、大学病院を3つほど含むところで8人 しかおられないというのもちょっと不思議ですが、何より8人のDICの患者さんがおら れて、何も起こらなかったというのは普通はないだろうと思うのです。一番最初のストロ ンチウムを見ても、まずいことは起こらなかったけれど3人亡くなって、それは関係なか ったというのが普通あって然るべきだと思います。DICの患者さんが8人とも、みんな 何の問題もなく皆さん回復されたということは、普通ないだろうと思います。何か落ちて いるのではないかと考えるのが普通ではないかと思います。 ○安全使用推進室長 あくまでも、これは副作用は生じていないということなので、別に 転帰、予後がどうであったとか、そこまでの情報は。 ○國頭委員 しかし、これはストロンチウムの方は20人で3人亡くなって、関係なかっ たという報告が上がっているわけです。ですから薬によって、若しくは病院によって、こ っちは「亡くなったことは一応報告しておこう」、こっちは「まあ、いいか」という、そ ういう振り分けがなされているわけです。 ○安全使用推進室長 それは、この事業に御協力いただいた医療機関から、どこまでの情 報がいただけたかという差異だと思います。当然、因果関係はないけれども、死亡された というものもあったと思いますけれども、そこまでの報告はいただけていないということ で、メタストロンとリコモジュリンで差が付いているということだったと理解していま す。 ○國頭委員 普通考えて、ストロンチウムの方は、骨転移で痛い患者さんに使って、最後 に亡くなるときはもう使っていないとか何とかということの方が多くて、DICはやりな がら患者さんが悪くなって亡くなるわけです。普通、勘繰ると、やりながら亡くなった方 が1人や2人おられて然るべきです。医学的な常識からすると2人や3人、3人や4人お られて然るべきですが、投与中に亡くなった人は、最低限報告をするのかしないのかも決 めておられないわけですか。 ○安全使用推進室長 医薬品ごとに差が出てきていますので、この事業の実施に当たって は、調査に御協力いただく医療機関に来ていただいて説明会なども行っていますので、今 日御指摘の点も含めて、どういった点について御報告していただくのかを、少し標準化を 図っていきたいと思います。 ○國頭委員 クリニカルトライアルなどで報告せよという中には、30日以内に亡くなっ た患者については、何の原因であろうと、地震が起ころうと交通事故であろうとも、あら ゆる原因での死亡を一応報告せよとなっています。それからするとちょっとおかしいので はないかと思います。 ○安全対策課長 少し補足をさせていただきますが、実際に使われた症例数が非常に少な いということで、調査を始めた段階で実際にどういうことになっているのかについて、我 々も注意をして見ていたのです。新しい薬剤であることから現場では非常に慎重になって おられて、DICでは、一般的に使われるヘパリン等のスタンダードな薬でほとんどのケ ースは対処されていて、これを使おうというケースは、かなり限定的に慎重におやりにな ったということが、どうも背景にあったと伺っています。 ○國頭委員 逆に言うと、それでは、まずい状況の患者さん、より重症な患者さんで使お うという判断をするだろうと思うのです。ですから亡くなったことも含めて何かまずいこ とが出てくるのが普通だろうと考えます。 ○安全対策課長 そのようなことを想定して、お願いをして網を張ったのですが、この調 査期間内で使われたケースは、最初の段階の非常に慎重に使われたケースが、わずかなが らつかまったというのが現状です。今後もこうした薬剤の使われ方に関しては、慎重にフ ォローしていくという考え方で臨んでいますので、先生の御指摘については十分に私ども も留意して、企業報告を引き続き監視したいと考えています。 ○國頭委員 毎度お聞きしていますが、どういうのを報告しろというのが、多分よく分か らないのではないかと思うのです。最低限、これとこれは出せというのをしておかれた方 が。 ○安全対策課長 それにつきましては、こうした御協力いただいている施設の先生方に、 最初にお集まりいただいた段階でのディスカッションが非常に重要だと考えていて、先 回、先々回からも先生からそういう御指摘をいただいていますので、キックオフのミーテ ィングの際に、どういう副作用、あるいはどういうタイプのケースを想定して情報収集を するのかについて、必ず打合せの中で明確化を図るようにして改善を図っています。そう したものの報告は今後出てまいりますので、またその際に御説明をしたいと考えていま す。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに、どうぞ。 ○日野委員 私もこの市販直後安全性情報収集について、この規模とか期間について疑問 に思っていました。例えば今日の資料No.2-2のネクサバールですが、肺障害について重要 な基本的注意というので書き加えることが決まりましたけれども、今度の市販後調査では 6か月間では全く副作用がないという結果が出てきたということになると、6か月間だっ たら大丈夫だけど、それ以上だったら副作用が出るかもしれないとなってしまうかもしれ ない。この事業に関しては非常にいいことだとは思いますけれども、その規模や期間、内 容についてはもう一度見直した方がいいのではないかと思っていたのです。今回の重要な 項目に付け加える肺障害、そしてこちらでは副作用がないという矛盾に対しては、どのよ うにお考えなのでしょうか。 ○安全使用推進室長 矛盾と言いますか、もともと薬事法上の副作用報告制度というのは 期間を限らず、販売されている限り、企業あるいは医療機関から報告していただく仕組み は当然ベースにあって、それにプラスアルファという形で、特に重要なお薬について、施 設に特別な協力をお願いして報告をお願いしているところです。もちろん、この事業は予 算事業なので一定の制約があって、どうしても期間、規模は限定的になってしまうのです が、そのベースにはきちんと副作用報告制度があり、それで必要な対策は講じているとい うところは御理解いただきたいと思います。  また規模、期間の点につきましては、先ほどの一つ目の医薬品のように、十分な症例数 が、まだ使用が十分進んでいないようなケースについては期間を延長するといった対応も 行っております。予算の範囲の中ではありますが、当初半年間だったものを1年に延長す るという措置も講じていますので、その辺は使用の状況なども踏まえて、改善を図ってい きたいと考えています。 ○猪熊委員 定点観測事業についてですが、選定された病院のConflict of interestと 言うか、それについてはどんな調査がチェックされているのか。もう一つ、その調査に参 加した施設に対する対価というのは、どのようなことになっているのでしょうか。 ○安全使用推進室長 対価と言いますか、これは国の予算事業となっていますので、毎月 1回報告をしていただくに際して、所要の費用を国から支給しているということです。施 設の選定については、なるべく全国的に散らばるような形で、あと規模といったところも 大きい所ばかりにならないように配慮して、これは安全対策課の方で選定させていただい ています。利益相反という点については、確認は現状としてはされていません。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問等ございませんか。この事業は委員の 先生方も十分理解されていないみたいなので、もう少し詳しく分かるように説明していた だかなければいけないかもしれません。ほかにございませんか。 ○倉田委員 全体で元に戻ってもいいでしょうか。資料No.2-6のTERMSなのですが、よろ しいですか。 ○松本部会長 どうぞ。 ○倉田委員 資料No.2-6のTERMSですが、当初、患者さんの数は1万人以上いらっしゃる のではないかと思われていたと思います。最初の日の登録患者数がたった17名というこ とで、それは多分適応患者数が17名だったとは思いますけれども、この広報については 問題はなかったのでしょうか。それが一つです。  それからTERMSにまつわる主な問題点というのが六つほど出ていますが、これは改善で きるものと、できないものというのが混在されていると思います。今後、こういう問題点 についての御報告はあるのでしょうか。 ○安全対策課長 患者数に関しては、多発性骨髄腫の患者さん全体で見ると1万幾らとい う推定患者数になっているのですが、サリドマイドをお使いになれる、あるいは使わざる を得ない状況というのは、セカンドライン、サードラインといった初期治療に失敗したケ ースになります。現在、個人輸入で使っておられる患者さんの数が、大体1,000人ぐらい と当初言われていましたが、そういうところからすると、それよりは実際は多いでしょう けれども、恐らく1万という数にはならない。恐らく1,000人から2,000人といったとこ ろではないかというのが、今見積っているところです。そこに対しては出だしの数が余り にも少ないというのは確かにそうなのですが、この原因として、一つは企業の側の方の要 員の確保、養成、訓練に少し手間がかかっているということや、受入れをする医療機関の 側もドクターと薬剤部が、それぞれかなり準備をしなければいけないということがあり、 それぞれの対応の準備に、かなりてこずっていることがありました。  しかも現状がなかなか分からないということがあるものですから、今日、御紹介した登 録状況についてというのも、企業の側にホームページを作ってもらって、そこに現在、全 国各都道府県でどれくらい登録が進んでいるのかといったことが、ある程度分かるような ものも、この経過中に作ってもらい、少しずつ様子が分かるように改善を図ってきていま すが、何分、この薬の使用開始については広報が足りないかというと、承認に際してはか なり報道もされていますし、患者さんたちは前から待ち望んでおられるということがあり ますので、決して周知されていないということではなかったと思います。ただ、導入に関 して非常に慎重に準備が必要だということが、出だしがこれだけスローペースになったこ との背景にあると推測しているところです。  TERMSにまつわる問題点についてですが、今、六点御紹介されているところに関して、 確かに50mgの服用に関しては脱カプセルをして調剤するやり方で対応できるとか、そう いった解釈で対応できる部分と、14日間処方というのは、むしろ保険の方の制約で、1 年間は長期投薬できないことから、それを過ぎないとなかなかできない。それぞれ対応に 一定の限界があるものと、すぐできるものとあります。これについては今後、また機会を とらえて、このように改善対処してまいりましたということを、御報告できるようにした いと考えています。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御意見、御質問等ございますか。 ○猪熊委員 予算のことをちょっとだけ確認したいのですが、172%と素晴らしく増えて いるのですけれども、それはほとんどインフルエンザの対策だけですか。 ○安全対策課長 確かに、インフルエンザのプレパンデミックワクチンの用意にかかって いる部分が圧倒的に多いのですが、安全対策の方の予算増額も大幅で、これによって今年 度、医薬品医療機器総合機構に100人、安全対策に係る担当職員を増員することが実現す ることになりました。現在、その要員の確保、リクルートを必死になってやっているとこ ろですし、今後、その要員の教育訓練等を行っていき、なかなか今まで手が及ばなかった クラスエフェクトの問題や、領域に専門特化したような形のチーム制をとった安全対策と いうこと。あるいは開発の初期段階から市販後をにらんだプラン作りにコミットすると か、こういったことをやれるような専門性を出していくということで、準備を進めている ところです。 ○猪熊委員 一過性の問題ではなくて、国が安全を心掛けるように持っていっていただき たいと思っています。 ○松本部会長 事務局、ほかに何かありますか。全体を通じて御発言はございますか。よ ろしいですか。それでは本日用意しました議題はこれですべてです。本日の部会をこれで 閉会とさせていただきます。長時間ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 美上(内線2748)