09/05/01 第4回肝機能障害の評価に関する検討会議事録 肝機能障害の評価に関する検討会(第4回)議事録  日時:平成21年5月1日(金)10:00〜11:45  場所:厚生労働省5階 共用第7会議室  出席構成員:柳澤座長、和泉構成員、岩谷構成員、兼松構成員、田中構成員、        林構成員、原構成員、八橋構成員 ○柳澤座長  おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただ今から第4回肝機能障害 の評価に関する検討会を開催いたします。  皆様方には大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。  座長の柳澤でございますが、本日もまたどうぞよろしくお願いいたします。  議事に入ります前に、まず事務局から構成員の出席状況、それから、資料の確認をお願 いいたします。 ○名越課長補佐  障害保健福祉部企画課の名越でございます。  本日は連休のさなかにもかかわらずご出席いただきまして、ありがとうございます。本 日、全ての委員のご出席のご予定をお伺いしているところでございます。和泉先生は到着 が遅れておりますけれども、直に到着をされると思います。  構成員の皆様方のほか、これまでと同様に肝炎対策を所管しております健康局から、本 日も宮崎健康対策推進官が出席をいたしております。よろしくお願いいたします。  それから、事務局のほうで人事異動がありましたので、ここで紹介をさせていただきま す。企画課長補佐の天田という者がおりましたけれども、これが異動いたしまして、後任 として企画課長補佐の石澤でございます。 ○石澤課長補佐  石澤です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○名越課長補佐  どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元、資料をご覧ください。議事次 第、それから、座席表がございまして、資料1といたしまして「身体障害の認定基準につ いて」、資料2といたしまして「肝機能障害に関する論点整理(案)」、参考資料といた しまして、1つ目に構成員の名簿、続きまして参考資料2といたしまして「身体障害認定 基準等について」、これは第1回の検討会で提出した資料と同じものでございます。それ から、参考資料の3でございますが、第3回の検討会の議事録でございます。  以上でございますけれども、不足のものがございましたら、お申出いただければと思い ます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。  第4回ということになりますけれども、今までの議論の流れを進めるということで、本 日は、この肝機能障害が、身体障害者福祉法に基づく疾患として、どういう形で位置づけ ることができるのかどうかというふうなことを中心として議論するという形になると思い ます。  今日は資料が実質的なものとして新しいのが2つございますが、そういったものの扱い も含めて、事務局としてどういう形で議事を進めるのかということについての意見を伺っ て、それから審議に入りたいと思いますが、よろしくお願いします。 ○名越課長補佐  それでは、説明させていただきます。座ったままで説明をさせていただきます。  本日の議事でございますけれども、まず資料1でございます。まず初めに、身体障害の 認定基準につきまして、過去に身体障害となったものの中から2つばかり例示をいたしま して、こういう考え方で身体障害というものが位置づけられている、定義づけられている というご説明をさせていただきまして、構成員の先生方にその点を再確認をしていただこ うというふうに思っております。  質疑応答いたしまして、その後、肝機能障害の論点整理ということで、資料2でござい ますけれども、翻って、肝機能障害に関してどう考えるのかということにつきまして、前 回の論点整理を元に作成いたしました資料を基に事務局のほうから説明をいたしまして、 その後でご議論をいただきたいというふうに考えております。 ○柳澤座長  和泉委員がご到着でございますが、よろしくお願いします。  それでは、最初の「身体障害の認定基準について」ということで、具体的な歴史的な経 過を含めて、どういうふうな位置づけがなされているのかということについて、事務局の ほうから説明をしていただきたいと思います。  よろしくお願いします。 ○名越課長補佐  それでは、資料1に基づきまして説明をさせていただこうと思います。途中で参考資料 2につきましても一部触れるところがございますので、お手元、ご準備をいただければと 思います。  ここでは、これまで既に定められている身体障害がどのような考え方で決められている かということについて、内部障害の中から腎臓機能障害とヒト免疫不全ウイルスによる免 疫機能障害の2つを例示いたしまして、検討会の構成員の皆様方にご確認をいただくこと を目的として資料を作っております。  資料1のまず最初のところからでございます。身体障害の種類でございます。これまで に既に定められている身体障害といたしましては、視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、 音声機能、言語機能、またはそしゃく機能障害、肢体不自由、肢体不自由の中には幾つか サブグループがございまして、上肢、下肢、体幹、乳幼児期以前の非進行性の脳病変によ る運動機能障害というものがございます。  それから以下、内部障害となりまして、まず、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸機能 障害、膀胱または直腸の機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能 障害といった種別に分けられます。  参考資料2の最後のページをご覧いただければと思いますが、これまでの身体障害の範 囲拡大の経緯が示されてございます。  まず最初に、昭和25年に身体障害者福祉法が施行されたときに、視力障害、聴力障害、 以下、中枢神経機能障害とございますが、ここら辺は肢体不自由の中に入っているもので ございます。  それから、しばらくの時間を経まして、内部障害が昭和40年代から入ってきております。 まず最初に、42年に心臓機能、呼吸器、47年に腎臓機能、次いで59年に膀胱または直腸と そしゃく機能障害、昭和61年に小腸機能障害といった形で随時追加が行われてまいりまし て、最後に追加がされたのが平成10年4月導入になりましたヒト免疫不全ウイルスによる 免疫の機能の障害ということになります。  資料1のほうに戻ります。  2の障害認定の方法の(1)の障害認定の基本的考え方でございますが、この検討会の 中でも何度か触れておりますけれども、身体障害者福祉法に規定する身体障害につきまし ては、以下の3つの要件を基本的な考え方ということで示させていただいております。  1つが、一定の障害が存在するか、2つが障害が固定・永続しているか、3つ目に日常 生活活動の制限があるかという点でございます。  (2)で腎臓機能障害と免疫障害について説明をしていきたいと思います。個別の説明 に入る前に、ちょっと全体像について軽く触れておきたいと思います。  参考資料2にあります目次を1枚めくりまして、1ページ目、身体障害者福祉法及び身 体障害者福祉法施行令の抜粋の部分について、個別の説明の前で触れておきたいというふ うに思います。  身体障害者福祉法第4条に示されている別表、これは上から7行目から始まりますけれ ども、1から5までの項目がございます。1が視力障害で、2が聴覚または平衡機能障害 といった形で並びまして、5番目以降が内部障害という形をとっております。  見ていただくと分かるんですけれども、1から4までにつきましては、永続する障害、 機能の喪失、体の一部の欠損といったところが障害の要件となっておりまして、具体的に は日常生活活動の制限という文言が出てまいりません。  一方、5のいわゆる内部障害では、永続し、かつ日常生活が著しい制限を受ける程度で あると認められるものということで、日常生活活動についての記述がございます。これは 1から4につきましては、先ほど見ていただきましたとおり、定められたのが昭和20年代 と非常に古く、当初から日常生活活動についての記載がなかったというところに由来する ものでございますけれども、現在において、1から4までが日常生活活動について考慮し ていないというわけではありませんで、これら1から4までの具体的な障害が存在するこ とにより、当然日常生活活動にも制限が生ずるという整理がなされているところでござい ます。  一方で、昭和40年代以降加わった内部障害におきましては、日常生活活動についての記 載をしておりますけれども、これは外面から分かりにくい内部障害というものを表現する 上で、これを明確化するという背景があったものであろうというふうに思われております。 ということで、以降内部障害を追加しておりますけれども、新たな身体障害を加える際に は同様に3つの要件について、いずれも確認をとっておるというような状況でございます。  それでは、資料1の2ページ目のほうの説明に戻りたいと思います。  ページの1つ目ですけれども、腎臓機能障害は、先ほど申しましたとおり、昭和47年7 月に導入された身体障害であります。  1級といたしましては、腎臓機能検査において、内因性クレアチニンクリアランス値が 1分間当たり10ミリリットル未満、または血清クレアチニン濃度が1デシリットル当たり 8ミリグラム以上であって、かつ、自己の身辺の日常生活活動が著しく制限されるか、ま たは、血液浄化を目的とした治療を必要とするもの、もしくは極めて近い将来に治療が必 要となるもの、3級といたしましては、腎臓機能検査において、内因性クレアチニンクリ アランス値が1分間当たり10ミリリットル以上で20ミリリットル未満です。または血清ク レアチニン濃度が1デシリットル当たり5ミリグラム以上、8ミリグラム未満であって、 かつ、家庭内での極めて温和な日常生活活動には支障がないが、それ以上の活動は著しく 制限されるか、または次のいずれか2つ以上の所見があるものをいうということで、aか らiまで、腎不全に基づく末梢神経症、腎不全に基づく消化器症状、水分電解質異常、腎 不全に基づく精神異常、エックス線写真所見における骨異栄養症、腎性貧血、代謝性アシ ドーシス、重篤な高血圧症、腎疾患に直接関連するその他の症状といったものの中から2 つの項目が選択された場合という条件が付されております。  続きまして、4級ですけれども、これにつきましても、内因性クレアチニンクリアラン ス値または血清クレアチニン濃度に関して数値としての指標が示されているほか、家庭内 での日常生活活動もしくは社会での極めて温和な日常生活活動への支障はないが、それ以 上の活動は著しく制限されることを確認する項目、または先ほど3級のところで出てまい りましたけれども、aからiまでの各項目の中から2つ以上の所見があるかどうかといっ たところを問うております。  まず、内因性クレアチニンクリアランスまたは血清クレアチニン濃度から、一定の障害 の永続・固定というものをここは確認をしております。  そして、日常生活活動の影響につきましては、すみません、ここの認定基準の中には出 てまいりませんけれども、実は身体障害の申請を行う際の診断書の中に日常生活活動に関 する選択肢項目が設けられておりまして、そこから情報を得て、認定の際の情報としてい るという形をとっておるほか、3級のところで臨床症状の項目が出てまいりますけれども、 それと1級での血液浄化の項目も併せまして、こうした症状が、透析を行っている、ある いは代表的な臨床症状が2つ以上出ているということであれば、日常生活にも制限が発生 してくるであろうという解釈に基づいて、こうした項目、こうした判断がなされているも のというふうに考えております。  以上が腎臓機能障害に関する身体障害を考える上でのチェック項目でございます。  続きまして、3ページ目に行きまして、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の考 え方について確認をしていきたいと思います。  この障害につきましては、第1回の検討会でも和泉構成員から考え方を説明するように というご指示があったところでございます。ここでは、13歳以上の者と13歳未満の者と2 種類の基準がありますけれども、13歳以上についての基準を中心に見ていくことにしたい と思います。  ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害は平成10年4月に導入された、最後に導入さ れた身体障害でございます。  ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の評価方法ですけれども、お手元の3ページ の図の中に、CD4陽性Tリンパ球という言葉が出てまいりますけれども、免疫機能をつ かさどるリンパ球のうちHIVウイルスが好んで感染する受容体を持つリンパ球がこのC D4陽性のTリンパ球ということでございまして、この数を指標として、免疫機能を確認 するという考え方が一般的であります。  通常、このCD4陽性Tリンパ球の数が少なくなっていくということが、すなわち免疫 機能が低下をするというものの指標になるということでございます。  CD4陽性Tリンパ球は少しでも減少すれば直ちに何らかの障害が発生するかというと そういうわけではなく、ある程度下がった状態でも特に目立った症状は出てまいりません が、1マイクロリットル当たり500個を切った辺りから、帯状疱疹など、免疫不全による感 染症が発生してきます。  CD4がさらにそれより下がっていくと、合併する疾患がより重篤なものになり、具体 的にはカリニ肺炎、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルスの感染症といった感染症の ほか、体の免疫機能が下がることによって発生する悪性リンパ腫、HIV脳症といった、 より重篤なものが出てまいりまして、その目安というのが、1マイクロリットル当たり500 を切った状態ではないかというふうに言われております。  この免疫機能障害を考えるアウトラインと、障害を考える上での基本的な考え方といた しましては、このCD4陽性Tリンパ球の数が1マイクロリットル当たり500以下となると、 一応障害であるというふうな考え方をとりまして、その時点で障害の固定・永続というこ とで、さらに200を切ってくると、より重篤なものになるという考え方をとっております。  CD4陽性Tリンパ球の数だけが全てというわけではありませんで、そのほかの検査数 値、臨床症状、日常生活活動の項目につきましても、後で説明いたしますけれども、認定 基準の項目として取り上げられております。その組み合わせを総合的に判定をして、等級 を規定しているということでございます。  ざっと免疫機能障害について認定基準を見てみたいと思いますけれども、1級につきま しては(ア)と(イ)の2つの考え方に基づいて基準を作っております。  1級でございますけれども、CD4陽性Tリンパ球数が1マイクロリットル当たり200以 下で、次の項目、aからlのうちの6項目以上が認められるもの、まず1つ目が白血球数 について、1マイクロ当たり3,000未満の状態が4週間以上の間隔を置いた検査において連 続して2回続く。  2つ目が、ヘモグロビン量について、男性が1デシリットル当たり12グラム、女性が同 様に11グラム未満の状態が4週間以上の間隔を置いた検査において連続して2回以上続く。  3つ目が、血小板数について、1マイクロリットル当たり10万未満の状態が4週間以上 の間隔を置いた検査において連続して2回以上続く。  4つ目が、ヒト免疫不全ウイルスRNA量について、1マイクロ当たり5,000コピー以上 の状態が4週間以上の間隔を置いた検査において連続して2回以上続く。  5つ目が、1日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労が月に 7日以上ある。  続きまして、健常時に比し10%以上の体重減少。  月に7日以上の不定の発熱(38度以上)が2カ月以上続く。  1日に3回以上の泥状ないし水様下痢が月に7日以上ある。  1日に2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔吐が月に7日以上ある。  口腔内カンジダ症(頻回に繰り返すもの)、赤痢アメーバ症、帯状疱疹、単純ヘルペス ウイルス感染症、糞線虫症及び伝染性軟属腫等の日和見感染症の既往がある。  生鮮食料品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である。  軽作業を超える作業の回避が必要である。  この項目の中で、aからdまでに関しては、客観的な検査数値を用いております。  それから、eからjに関しては、これは臨床症状あるいは自覚症状的なものが書いてご ざいます。  それから、kとl、これは生鮮食料品の摂取禁止というほかの項目とは一風変わった項 目が出てまいりますけれども、日常生活活動の制限を意識した項目、lについても同様と いうことで、いろいろな考え方に基づいたチェック項目が混在をしておりますが、こうし たものを組み合わせて、1級ではCD4陽性Tリンパ球数のほか、これらの項目6項目以 上が認められるものを1級としております。  また、これとは別個の考え方で(2)でありますけれども、回復不能なエイズ合併症の ため介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態のものということで、病気としての エイズが非常に重たくなった状態というものを医師が客観的に判断をした場合、1級の認 定を与えているものでございます。  続きまして、2級でございますけれども、これにつきましては(ア)から(ウ)までの 3つ考え方があります。(ア)は1級と同様にCD4のリンパ球数が200以下で、上で出て きます項目aからlのうちの3項目以上が認められるもの。  続きまして、(イ)として、エイズ発症の既往があって、アの項目、aからlのうち3 つ以上が認められるもの。  (ウ)といたしまして、CD4陽性Tリンパ球数に関係なくということでありますけれ ども、aからdまでが、先ほど申しましたとおり、客観的なHIVあるいは免疫不全に関 する検査数値の項目でございますけれども、aからdまでの1つを含む6項目以上が認め られると認定されます。  続きまして、3級でございますけれども、(ア)と(イ)の2つの考え方がございまし て、(ア)のほうでは、こちらはCD4陽性のTリンパ球数が500以下で、先ほどのアのa からlの項目のうちの3項目以上を確認しております。  このほか、CD4陽性のTリンパ球数に関係なく、臨床検査の項目、aからdまでのう ちの1つを含む4項目を選択された場合、3級になるということでございます。  4級については、(ア)と(イ)の2つの考え方がございまして、CD4陽性Tリンパ 球数が500以下で、アのaからlの項目のうち1項目以上が認められるもの、あるいは (イ)といたしまして、リンパ球数には関係なく、アの項目のうち臨床検査の項目aから dまでの1つを含む2項目以上が認められるものという形でチェックをしております。  このように、腎臓機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害につきましては、 認定基準、構造上大分違うような印象を受けますけれども、基本的には障害が一定程度あ り、それが永続・固定して、日常生活活動に影響を及ぼすという3つの要件をいかに確認 するのかという考え方では共通はしております。  特に内部障害につきましては、認定基準のほか、診断書、申請の際の診断書に準備した 項目なども用いまして、総合的に判断をしているというような状況でございます。  資料1につきましての説明は以上でございます。ご質問等ありましたらお知らせいただ ければと思います。 ○柳澤座長  どうもありがとう。  現在の身体障害の認定基準ということで、特に内部障害、私たちが問題としております 肝機能障害というのが内部障害に当たるわけですが、それがどのような基準であるのか、 そしてまた、身体障害者福祉法の中で対象とする疾患がどういうふうにして含まれてきた かということの歴史的な経過も含めてお話がありました。  現状の診断基準、特に等級の基準ということでありますけれども、少し時間をとって現 在の、今具体的に説明がありましたのは腎臓機能障害と、それから免疫不全でありますけ れども、それを中心として少しご議論いただければと思いますが、何かご質問あるいはご 意見ございますでしょうか。 ○岩谷構成員  岩谷です。  幾つか基本的なところで共通の認識というか、共通の理解をしておいたほうがよろしい かと思います。この中で日常生活活動と言われるものは、具体的に何を言っているのかと いうこと、極めて温和な日常生活活動とは、どのような活動か、支障があるというのと著 しい制限があるという言葉がありますけれども、その支障とは現実にどういう状態をいう のか、著しく制限というのは、どういう状態をいうのかということを、他の障害等におい て確認をしておく必要があろうかと思います。  肢体不自由に関して言えば、これはある一定の基準があります。原先生に腎臓機能障害 では、今のようなことについて、例えば1級に言われているところの、自己の身辺の日常 生活活動が著しく制限されるという状態が、具体的にどんな状態なのかということを、そ れから、介助が必要、支障というのはどの程度の状態、それから、著しい制限というのは どの程度の状態か、ということをご説明いただいて、それを共有をしたいと思います。 ○原構成員  原です。  腎臓機能障害の診断書に際しまして、追加をさせていただきたいのですが、1級の部分 に項目が書かれていますが、これら1項目を10点としています。それから、その下の3級 の下のところにいろいろな臨床症状が書いてございます。1個認めるものは10点、それで、 日常生活活動のものも加えて、トータル60点以上を満たした場合を1級扱いにしておりま すので、ご理解いただいたほうがいいのかなと思っております。  それから、極めて身辺の日常生活が著しく制限されるというのは、終日臥床を要すると いうレベルであります。  温和な日常生活活動には支障がないというのは、家庭生活であれば軽作業は可能である。 時間内の軽いデスクワーク程度というとらえ方をしております。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  この点はおそらく先ほどの事務局からの説明でも、障害に関わる身体所見であるとか検 査の数値と、それから日常生活制限ということと、検査の数値というのは一定の障害が存 在するかということの内容としての数値、身体所見だと思いますが、日常生活活動の制限 は、確かに著しいとか、家庭内でマイルドというか、軽いものであれば可能である云々と いうふうなことは、他の身体障害の場合、今の腎臓機能障害、それから先ほどお話がござ いました肢体不自由で、どういうふうな表現になっているのかということを今度一度整理 しておいていただけますでしょうか。  おそらく、肝機能障害を例えば等級でもって判断するというふうなことが、これは肝臓 の専門家の構成員の方々のご意見によっていろいろご検討いただくことになると思います が、やはり具体的な日常生活の制限というのがどのようなものであるのかということを他 の障害の場合にどうであるかということを一応併せて整合性をとるということが必要にな ってくると思いますので、その整理をぜひ事務局のほうでしてください。  ほかにございますでしょうか。  どうぞ。 ○岩谷構成員  もう一つ、これは質問です。HIVの中の、4ページの上からi、j、k、lとありま す。そのなかのkに生鮮食料品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要であるという のが一文があるんですけれども、この場合の日常生活活動という意味と、それから次に出 てくる、これは先ほど話をしていた日常生活活動というのは同じ意味なのでしょうか。k の項での日常生活活動は、ほかの場面で使われている言葉とはちょっと意味が違うように 思います。その辺はどうでしょうか。これは症状としての、症状リストというか、そうい うものの中に含まれるような意味でしょうか。 ○名越課長補佐  これは12年前につくられたもので、私が直接つくったわけじゃないんですけれども、l で出てくる軽作業を超える作業の回避というのは先ほども出てまいりました。原先生から もお話がありました、どのくらいの生活上の運動の強度と申しますか、活動ができるかと いう話でございますのに対しまして、kの項目というのは、日常生活上の留意点のような 項目でございます。意味は違うものであるというふうに考えておりまして、ここを日常生 活活動以外の言葉でも置き換えることはできるというふうに判断します。 ○柳澤座長  ほかにいかが、どうぞ。 ○和泉構成員  岩谷先生から非常に重要なご指摘を受けておるわけで、言い返せば、内部障害の場合は 四肢障害と同じような意味内容をちゃんと担保しているかどうかということが一番問題と いうご指摘だろうというふうに思うわけです。  例えば、心臓の場合には、立ち居振る舞いが介護を必要とする程度になりませんと、1 級というのを認定いたしません。  また、当然のことながら、意識障害が出てくると、これはペンディングになりますし、 心臓の場合で意識障害が出た場合は、これはもうほとんど対象にならない。戻るというこ とが期待できれば話は別ですけれども、症状が固定してから戻るというようなことはない ことが通常でございますので、これはもうそこが対象外ということになって、非常にそう いう意味では生命にとっても生活にとっても危機状態にあるということを前提に物事を考 えている。  ただ、すたすた歩いている人たちが1級障害で心臓ではいるじゃないかということなん ですけれども、その場合は、デバイスに完全に依存している。つまり、本来の臓器の機能 ではなくて、置き換わった人工臓器によって支えられている。その人工臓器は人が作った ものですので、それによって不具合が発生すれば、すぐ前の状態に戻ってしまう可能性が ある人たちは、一応決めによって、今のところは1級障害になっているということです。  私たちに2級障害はありません。2級障害は、以前からの考え方からすると、歩行に障 害を持ってきて、家庭生活がお困りになるという方を想定していますので、その範疇を心 臓では想定することは不可能であるということで、心臓では設けていないんだろうと私は 理解しております。  3級の場合は、家庭内の生活に支障するということですから、布団の上げおろしである とか、自分のものをつくって食べるとか、あるいは自分のものを食べるときに支障がある という、そういうことを想定しているということでありますし、4級の場合には社会生活、 これもアクティブな社会生活を言っているわけじゃなくて、もうそれこそ買い物に行くと か、そういう程度が支障を来しているということを想定してやっているわけで、ここはそ ういう生活制限を裏づける何か客観的なデータがないかということで、客観的なデータが 先行しているわけじゃありません。必ずそこの生活に著しい齟齬が発生しているというと ころを見て、それを裏づけられるデータがあるなということで初めて、しかも、それがあ る程度未来に渡ってまでという意味ではないですけれども、これは元へ戻すことはなかな か難しい状態に達したなという症状固定を見てから初めて、そしてしかも、そこへ何かを 加えることによって、その程度が少しでも上向きになるという、それは援助でもよろしい んでしょうし、治療でもよろしいんですけれども、そういうことを見て申し上げているの で、内部障害の場合に特にこのHIVが同定されてから、この検査だけが先行するという のは私は非常に危険ではないかというふうに思っています。  やはりそこのところは、ある意味での横一線といいましょうか、ある程度の公正さは維 持されておりませんと、この法律の趣旨そのものが大きく損なわれていく可能性がありま すので、そこは守りながら、一体そういう病態というのはこの肝炎のケースで考えられる のかどうなのかということに焦点を絞るということが本来的ではないかなというふうに思 っています。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  確かに今の和泉構成員のご意見にございますように、各障害によって検査値の持ってい る障害者の方にとっての生命予後であるとか日常生活活動にとっての重みづけというのは それぞれ違うということで、やはり全体を共通する等級の指定の場合の基準というのはど ういうふうにしたらいいのかということに関してのご意見だというふうに理解しますが、 その点も十分これから検討していくということが必要だろうというふうに思います。  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○田中構成員  田中です。基本的な考え方に従った腎臓機能、免疫機能障害の等級グレードのつけ方は よく分かったのですが、内部障害のうち、免疫機能障害のみに2級があるのは、今、和泉 構成員がおっしゃった理由でよろしいんでしょうか。もう一度お伺いしたいんですけれど も。 ○柳澤座長  それは事務局のほうからちょっと答えていただけますか。 ○名越課長補佐  一般には、HIVが出てくるまでは、内部障害に関しては1級、3級、4級ということ だったんですけれども、1級の中も細分化するといろいろなものがあるのかという話もあ ったんですけれども、当時の考え方を引用いたしますと、1級、2級の中で分けられるも のも併せて1級の中に包含をしておると、そういう解釈であるというふうに聞いておりま す。 ○柳澤座長  よろしいですか。  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○兼松構成員  兼松です。  肝機能障害の場合にも身体所見というのが非常に重要な項目になってくるかと思うんで すが、腎臓機能障害でも、原先生がさっきご説明なさいましたように、幾つかの項目があ りまして、身体所見があるんですが、これらの項目というのは、一度こういう症状が出た ら、それでプラスと、陽性というふうにするんでしょうか。ある程度治療してなのか、そ の経過ということが加味されるのかどうかということを教えていただければと思います。 ○原構成員  腎臓機能障害の場合の1級に関しては、少なくとも透析が必要である、あるいはもう極 めて近いうちに透析が必要であるというようなのが基本になっています。このaからiま での症状に関してですが、治療をして、なおかつ、認められるということになっておりま す。 ○兼松構成員  分かりました。ありがとうございました。 ○柳澤座長  どうぞ、岩谷先生。 ○岩谷構成員  岩谷です。  もう一つ確認をさせていただきたいのですが、障害の構成要因は、永続するということ と、病状が固定しているということと、何らかの日常生活上の活動制限があると、これが 満たされる必要があるわけです。その永続性という中に生命予後が入ってくるのかどうか ということについてお聞きします。  つまり、簡単に言えば、6カ月生きられるから、じゃその6カ月間、手帳の認定の基準 にするのか、それが3カ月だったらどうかというような基準があるかどうかという話です。 ○柳澤座長  これは事務局としてもちょっと難しいかもしれませんが、もし何かご意見がありました ら。 ○名越課長補佐  直接のお答えにならない話から入りますけれども、例えば身体障害認定において、お年 寄りについて、どういうふうな身体障害の考え方をするのかという話がございまして、た だ、お年寄りだからといって、身体障害の認定を躊躇するのかというと、そういうわけで はなくて、もしその方に身体障害者福祉法で定められた障害があるんであれば、障害認定 してよいというような取り扱いをしております。  身体障害を作る際の基本的な発想といたしましては、障害がある者に対して、いかに社 会での生活を長く送っていただくか、それを支えるための制度であるというような考え方 があろうかというふうに思います。  そこで、障害を認定した状態におけるその人個人個人の生命予後の点についても加味す るのかどうかということでありますけれども、念頭にはいろいろなことが、診断をされる 先生においても、認定をされる方においてもあるとは思うんですけれども、その人にとっ て、社会生活が長く送れるというのではないかという考え方が、それを支えるべきである かという考え方がお互い共通認識で持てるのであれば、障害認定というものはあり得るの ではないかというふうに考えております。ここをまとまった意見としてこれまで文章化さ れたものもありませんので、むしろ大勢の方のご意見を伺うべき問題であるのかなという ふうにも思います。 ○柳澤座長  今の点は、更生、つまり身体障害者福祉法によるサポートが、認定された方の更生にど ういうふうつながるのかという点が、もともと身体障害者福祉法というのは、そういった 更生ということを目標としたというか、それを法の趣旨としたものだというふうに理解さ れておると思いますが、だんだん実際の運用の場面でそういう更生というのをどういうふ うに理解するのかというのは、ある意味で少しあいまいになってきているというか、幅広 くとられてきているということがあるのではないかと思います。  その点は、しかし、法律の趣旨でありますから、やはりこれから検討する上でも大事に しなければいけないと思いますが、例えば具体的に今日説明された資料の中から問題にし ますと、免疫不全のところ、免疫機能障害の4ページの(イ)回復不能なエイズ合併症の ため介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態のものというのは、こういうふうな ことが1級認定の基準になりますと、それでは更生という趣旨はこの中ではどういうふう に扱われるのかということはやはり一つ問題になり得る可能性があると思うんです。  先ほど和泉構成員のお話の中で、心臓機能障害の場合にも、意識障害が永続的に来るよ うな場合には対象にはならないというふうにおっしゃったのは、まさにそういう更生とい う意味からのそういうご判断というふうに理解されると思うんですが、この点はやはりこ こでいろいろ議論をしてこうだという方針を出すようなものではないので、そういう問題 点があるんだということだけを一応指摘するというか、我々が理解しておくということで、 具体的な作業の中でどういうふうに扱っていくのかということを検討いただければという ふうに思いますが、そういう扱いでよろしいでしょうか。 ○和泉構成員  私たちは結構高齢者を扱っているものですから、その問題についてもしばしば難しい局 面に立つわけですけれども、基本的には疾病本体の自然歴によるものではなくて、むしろ 加齢による、結果としてそういうことを強いられる可能性があっても、それが加齢による ものであるという場合はやっぱり柔軟に対応せざるを得ないかなというふうには思ってい ますけれども、疾病がその本体によるものになると、この法の趣旨を変えないと、そこま で踏み出していくことはなかなか困難ではないだろうかという思いを持っております。 ○柳澤座長  何か今の点で特別にご発言ございますか。  どうぞ。 ○原構成員  腎機能不全にいろいろな等級が決められているのですが、昔は非常に若い方が多かった ので、腎臓だけの面で評価ができたんですね。ところが、最近はもう非常に広範にいろい ろな疾患に対応するものですから、もちろん高齢者の方はいるんですが、例えば精神異常 の方で腎不全の方をどうするか。例えば透析治療という行為にその方が協力できない場合、 そういった場合はやはりもう透析治療って本当の意味の適用ではないと現場ではやっぱり 考えざるを得ないんです。  それと同じようなことが、例えばほかのがんのもう末期であると、そういう場合の選択 も非常に難しい部分があるんですね。ですから、そういう場合はもう個々のケース・バイ ・ケースで実は透析をやる、やらないというのは現場で決めているというのが最近の現状 です。ちょっと追加させていただきたいと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  今の点も大変大事なことだろうと思います。それで、実際に個々の障害者の方がこうい った法律の適用を受けるということに際しては、やはり法の趣旨に沿った形でということ で、ただ、それはやはり切り口としては、この法律がどういうふうにして適用されるのか ということなので、もちろん精神障害者の場合には精神保健福祉法もありますし、それか ら、がんの患者の場合にはがんに対する様々なサポートもあるわけでして、やはりこの法 律としてどこをサポートするのかというふうなことをきちんと整理しておくということは、 これからの作業としては大事だと思いますので。  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、一応現在の「身体障害の認定基準について」の議論は以上といたしまして、 その次の問題は「肝機能障害に関する論点整理(案)」ということになりますが、事務局の ほうからご説明いただけますか。 ○名越課長補佐  それでは、説明をさせていただきます。  前回の検討会でも論点整理というものを出しておりましたけれども、今回若干肉づけを いたしております。前回の資料では「肝機能障害と身体障害の関係について」というのと 「必要なサービスについて」という2つに分けて資料を作っておりましたけれども、本日 は身体障害の要件について議論を集中するために1つにまとめております。肝機能障害を 身体障害の3つの要件に照らして評価いたしまして、身体障害として当てはまるものがあ るのかどうかということについて、この後、議論を深めていただけたらというふうに考え ております。  資料2でございますけれども、まず、一定の障害についての評価というところで中身を 確認をしたいと思います。  これまでこの検討会でいただいてきた議論では、肝機能障害を客観的に評価する指標と いたしましては、検査数値、身体所見、また、これらを補足と申しますか、十分確認する 上では重要な項目として、自覚症状としてこういったものがあるといったような例示がご ざいました。  検査値、身体所見では、ビリルビン値、プロトロンビン時間、アルブミン値、腹水の有 無、肝性脳症、浮腫、黄疸、手掌紅斑、クモ状血管腫、ちょっと言葉は平たいんですけれ ども、足がつりやすくなるといったような項目が構成員の先生方からのプレゼンテーショ ンの中でも出てまいりました。  また、その組み合わせであります重症度分類としてのChild-Pugh分類ですね。これは項 目aからeまでの組み合わせでございますけれども、こうした項目のうち客観的なデータ としてビリルビン、プロトロンビン時間、アルブミン値については重要な指標であり、そ の組み合わせであるChild-Pugh分類についても総合的な判断、公平な判断を行う上では有 用ではないかというような意見をいただいたというふうに記録が残っております。  また一方で、健康診断なんかでもよく使われますAST、ALTといったトランスアミ ナーゼの値には急性期の指標ということもありまして、長期間にわたる肝機能の状態を把 握するために用いる指標としては適切ではないのではないかというようなご意見もいただ いておりました。  一方で、自覚症状については、不眠や倦怠感、易疲労感といったものがありますけれど も、これらは数値化することが難しく、どういうふうに客観的な指標との相関を考えるの か、この自覚症状と検査数値、身体所見との間での関係性についてはどのようにとらえる のか、関連づければいいのかといったところが問題であるといったような発言をいただい ていたところでございます。  こうしたことも併せ考えまして、障害の重症度につきましては客観的な検査値あるいは それを組み合わせたものを例示としてはChild-Pugh分類というものを中心に据えながらも、 自覚症状などもいかに加味していくのかという議論になろうかというふうに思います。  肝機能障害を考えるときに、その指標としてはどういったものを用いればいいのかとい ったところにつきまして、本日はある程度意見を収束させるような議論ができればという ふうに考えています。  次に、障害の固定あるいは永続についての確認でございますけれども、これはむしろ障 害が一定程度存在するというものはどういう程度なのかということと一緒に考えていただ くのが適当なのかもしれませんが、資料1で説明いたしましたヒト免疫不全ウイルスによ る免疫機能障害では、CD4陽性Tリンパ球の数値を指標といたしまして、免疫機能障害 に伴う感染症が合併症として出始める1マイクロリットル当たり500以下というところを基 本的な考え方として据えております。  肝機能障害を扱うこの検討会の中では、具体的な指標というところはまだ結論が出てお りませんけれども、肝機能障害を連続する障害として、どこから身体障害なのかといった ところをまた考える上で出てきた意見といたしましては、肝機能障害も症状が進行してい く初期の段階からは症状はほとんど見られないというような状況があって、ある程度肝機 能障害が進行していくに従って、肝臓が予備的な機能、予備的な能力をだんだんと失って いき、その能力が尽きるレベルまで完全にダメージが出てくると、その時点で症状が出て くると。  肝機能障害そのものにつきましては、治療によって回復する可逆性、可塑性のものもあ るというご発表もございました。  また、症状が多少出てきた場合であっても、治療の結果、回復するケースもあるという ことでございます。  そのほか、障害の固定・永続というものを考える上では、回復を見せるものについては、 そこはまだ治療の余地、医療面でサポートするべき範囲ではないかというような発言があ ったかというふうにも思います。そういった発言を基に、2ページに模式図を示しており ます。  時間の経過が右方向に進み、ここではChild-Pugh分類を仮に置きまして、それが下に行 くほど肝機能障害が重度となるようなイメージで図をつくっております。当初、症状が出 てこないわけでございますが、肝機能そのものはダメージを受けております。  治療の結果、点線で示しておりますけれども、回復するものがございます。軽い症状が 出ているものについても、治療の結果、回復するものもございます。  こうした状況の中、肝機能障害が一定のレベル、肝臓のダメージが一定のレベル、考え 方としては治療による回復が相当困難と思われるレベル、例えばChild-Pugh分類をここで は使っておりますけれども、グレードCに相当する状態が一定期間続くということを確認 されれば、これを障害の固定・永続というふうなことが位置づけられるのかなというとこ ろでこの図を作っております。  これも事務局のほうで先生方の意見を基にしながら仮で作ったものでございまして、こ ういうものを出すのは初めてでございますけれども、こういう考え方につきまして、構成 員の先生方のご意見をお伺いできればというふうに思っております。  それから、3ページ目ですけれども、日常生活活動の制限についての項目を示してござ います。これは、構成員の先生方のほか、患者、ご家族の皆さん方からのヒアリングで出 てきた項目を列挙いたしております。一部、先ほど1ページ目で出てきた項目と重なると ころもございますが、身体所見、自覚症状としては、足がつりやすくなる、出血傾向、腹 水、肝性脳症、易疲労性、寝たきりというところを生活上暮らしていく上で出てくる症状 として例示がなされました。  また、そのほかに治療や健康管理による制限として、健康管理、運動、食事、感染症予 防について留意をしておると、ふだんから安静に努めるようにしておるとか、そういった 発言があったというふうに聞いております。  また、日常生活では、体の日常生活活動に制限が起きてくる中で介助が必要な程度に制 限を受けるというご意見もいただいております。  そもそも、一定の肝機能障害があるような状況であれば、既に日常生活活動に制限が生 じている状況ではないかというようなことも、これまでご意見で出ているというふうに記 憶をしておりますけれども、先ほど単に検査数値だけではなくて、日常生活活動について も確認をとって、総合的に判断すべきであるというようなご発言もいただいているところ でございます。こういった項目について、肝機能障害を考える上でどういうふうに取り扱 っていくのか、肝機能障害の有無あるいは重症度を総合的に考える上でどういうふうな形 で参考にしていけばいいのかといったところをご意見をいただければというふうに思って おります。  最後に、先ほど冒頭で、前回の会議では「必要なサービスについて」という項目があっ たというふうに申しましたけれども、そこでは交通費、医療費についての記述がございま した。今回、記述しておりませんのは、身体障害者福祉法に基づく身体障害の要件を検討 する上で、交通費とか医療費の部分については直接関係がないというふうに考えたからで ございまして、この点についてお困りの方がおられるということにつきましては、我々と しても十分認識を持っておりますので、その点につきましては念のため申し上げておきま す。  以上、資料2につきまして、論点を整理した資料につきまして説明をいたしましたが、 肝機能障害についてどのようにとらえるのかということにつきましてご検討をお願いした いと思います。 ○柳澤座長  それでは、ただ今の報告に対しましてのご議論をいただきたいと思いますが、基本的に は将来の方向性ということで、身体障害者福祉法の特に内部障害の対象とし得るかどうか、 それについてのご意見をいただくというのがこの会の流れでありますけれども、一定の障 害の存在、障害が固定・永続しているか、それから日常生活活動の制限があるか、それは どのようなものか、そういったような点でここに従来のご議論の内容を事務局のほうで整 理したものというふうに理解いたしますが、いかがでしょうか。一定の障害が存在するか ということについての内容はどうかということなんですが、どの程度の状態を一定の障害 ととらえるのかということについては、これは2ページ目にあるようなこういったある意 味で進行性の経過をとらざるを得ないような段階に立ち至った患者さんについては、やは り非常に障害の存在というのは明確だろうと思いますが、それをどういう形で評価するの かというふうなことが、検査値の問題、身体所見の問題、それからChild-Pugh分類という ふうなことで出されているわけでありますが、今日は少し全体としてのディスカッション ということで、フォーカスを特に絞らないでご意見をいただければと思いますが、いかが でしょうか。  まず、やはり肝臓の専門家の構成員の方々のご意見をお伺いしたいと思いますが、いか がでしょう。障害が存在するか、障害がどういうふうにして指標になり得るのかというふ うなことへの整理ということでありますが。  林先生、いかがですか。 ○林構成員  一定の障害が存在するかについては、存在すると考えてよいのではないかと思っていま す。それで、腎臓機能障害の指標と比べて、どういうものを指標にしていくかということ なんですけれども、やはり腎臓機能障害のクレアチニンクリアランスあるいは血清のクレ アチニンに当たるものが肝機能障害で何に該当するかというと、やはり1ページ目の一番 下に書いておりますChild-Pugh分類がそれに当たるものだろうと思っています。  腎機能のクレアチニンのように単一ではないんですけれども、肝硬変の場合はその患者 さん個々で、例えば肝性脳症とか、あるいは腹水とか黄疸の程度というのはかなりばらつ きがございますので、それを総合点として評価していくというのは、この指標が一番国際 的にも用いられている指標でございますし、割と日本国内でもほとんどの肝臓の専門家が 使っておりますので、妥当ではないかという気がいたします。 ○柳澤座長  いかがですか、八橋先生。 ○八橋構成員  腎臓機能障害の基準というものが、肝機能障害においても基本的には参考になるのでは ないかと考えます。一定の障害の評価ということで、腎臓機能障害においてもクレアチニ ンクリアランスとクレアチニン値を参考に、重症度や等級を決めています。先ほど林先生 が言われましたように、肝機能障害もChild-Pughスコアを基本に、この点数を算出して一 定の障害と定義するのが妥当であると考えます。  Child-Pugh分類に関してですが、肝性脳症と腹水の2つの項目の評価に関しては、数字 ではないことから、客観的評価という点では、若干問題があるかもしれません。しかし、 これらは患者さんの症状を評価しています。残りのアルブミン、プロトロンビン、総ビリ ルビン値の項目は、血液検査の結果得られるものですが、これらは極めて客観的な指標と なっています。この5つの要素を総合評価するという方法が国際的にも長く認められてい ますので、やはりChild-Pugh分類を用いのが妥当であると私も考えます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  兼松構成員、いかがですか。 ○兼松構成員  私も、林構成員、それから八橋構成員のご意見とほぼ一緒です。やはり一定の障害とい うのはあると考えますし、その際の指標といたしましては、このChild-Pugh分類は非常に 分かりやすい、使いやすい指標ではないかと思います。  ただし、そのほか、例えば血小板の問題とか出てきますので、出血傾向等々のことをや や付加していったほうがいいこともあるようにも思います。その点でよろしくお願いしま す。  それから、補足ですけれども、Child-Pugh分類のプロトロンビン時間の3点の一番右の ところ、40%の山括弧は逆ではないかと思いますが、ちょっとここは訂正していただいた ほうがよろしいかと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。 ○柳澤座長  括弧のある場所ですね。分かりました。  田中構成員、何かございますか。 ○田中構成員  私は、疫学が専門ですが。やはり身体所見と、客観的な数値との総合的なマーカーとし てのChild-Pugh分類がいいかと思います。あと、自覚症状の項目を考慮するかどうかを検 討すればと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  肝臓の専門家の方々のご意見は、Child-Pugh分類が適切であろうということであります が、そういったご意見を基にして先へ進んでいただきたいと思いますが、一応この事務局 のほうで挙げた項目の中でちょっと議論していただきたい点もあると思いますが、まず、 一定の障害の指標の中で、上のa、b、c、d、e、f、g、これは数値化されるし、あ るいはまた、実際の身体所見として判断に迷うところはないと思いますが、障害の重症度 を認定する上に、このhの手掌紅斑とiのクモ状血管腫というのは、これは指標になるん でしょうか。  どなたか。 ○八橋構成員  これは診察所見ですね。肝硬変を疑う所見にはなりますが、重症度の評価とは別に扱う べきではないかと思います。 ○柳澤座長  認定の指標というのとはちょっと違うという、診断のためのものだということですね。  それから、このjのところに、足がつりやすくなるとありますが、これは言葉としては こむら返りのような状態であれば、神経学的な用語としては、有痛性筋痙攣という言葉が あるんですが、これは内科的にはどんな表現がよろしいんでしょうね。 ○林構成員  それで結構だと思います。 ○柳澤座長  有痛性筋痙攣でよろしいですか。じゃ、足がつるというのは有痛性筋痙攣にしましょう。 分かりました。  どうぞ。 ○和泉構成員  あえての発言ですけれども、Child-Pughを議論の中心にしているというのはよろしいか と思うんですけれども、これをストレートに持ち込んだときに、この分類の持っている基 本的な結果が対象とする人たちに対してどういう影を落とすかというのは常に考えておか なければいけないと思うんですね。  分類のところに既に症状が入ってしまっていますので、そういう意味では、そういう症 状が出てから、例えば10点というふうに考えると、3点、3点、3点プラス1ということ になりますよね。そうなりますと、これは非常に大変な人たちを想定しておかなければい けない。そうすると、せっかく出来上がったものが、更生というところのベクトルの恩恵 を受けないということになってしまうおそれがあろうかと思うんですよね。  そうすると、ここで書かれている中で、僕、最も鋭敏そうな、もう一度お聞きするわけ ですけれども、プロトロンビン時間というものに重きを置いた、そしてあと片方では症状 に重きを置いたという2つのカテゴリーで物を考える、PTと要するに生活制限との、生 活の支障度といいましょうか、それとのスペシフィシティー、あるいはセンシティビティ ー、あるいはコレクティクルバリューというようなものがある程度出ているものなんでし ょうか。これはある意味で、肝臓の機能を見る上では簡便で再現性がよくて、クリアラン スも示していれば、再生能力も示しているというふうに理解できますので、すぐれている 指標であると思うので、これをうまくもって考えることはできないものなんでしょうか。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○八橋構成員  和泉先生のご指摘のように、私も5つの項目の中で、最も重視しているのはプロトロンビ ン時間です。プロトロンビン時間は鋭敏に肝合成能、肝予備能を反映すると言われており、 また不可逆的な要素を持っています。  簡単に説明しますと、プロトロンビン時間が40%とは肝臓が40%働いている、プロトロ ンビン時間が60%なら肝臓は60%働いているとご理解いただいてよろしいと思います。一 般の方が一番理解しやすい指標だと思います。しかし、一方でプロトロンビン時間だけ評 価することに問題がないかとも考えます。  実は、プロトロンビン時間が低い方はアルブミン値も低いし、総ビリルビン値も上昇し ます。アルブミン値、プロトロンビン時間、総ビリルビン値という3つの数字だけを評価 する方法も考えてみたのですが、脳症や腹水という患者さんが示される症状を評価項目か ら除くことの妥当性までには考えが至りませんでした。Child-Pugh分類は、30年間以上長 く国際的にも認められているということも踏まえますと、肝機能障害の認定の際に、5つ の項目から3項目ないし1項目だけに縛ることの妥当性、根拠はなく、また多くの肝臓専 門医がこのスコアを日常診療で頻用していることも考え合わせますと、このスコアを用い ることが妥当であると考えました。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  どうぞ、林先生。 ○林構成員  追加でございますけれども、今、八橋先生お答えいただいたように、ほとんどプロトロ ンビンで代表は出来ると思っています。ただ、中にはこのたんぱくの合成能だけでやっぱ り肝臓の患者さんの状態が分からない。例えばシャントがある場合もございまして、そう いう面でたんぱくの合成能は十分保てているんだけれども、シャントが強くて、実際の肝 機能は働いていない場合もありますので、例外的にやはり1つの指標だけでなかなか評価 ができない場合がありますので、そういう意味ではこういうふうに総合的に評価するほう がより安全ではないかという気はいたします。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  おそらく先ほどの、今の身体障害の腎臓機能障害、それから免疫機能異常のところにも ありましたけれども、やはり全体として拝見いたしますと、皆様方の専門的なご意見では Child-Pughが基本になって、それに対してどういう形の付加的な条項を加えるのかという ふうなこと、それが必要なのかどうかというふうなことをおそらく専門的な立場からご議 論いただくことになるのではないかなというふうに思いますが、和泉構成員のおっしゃら れたような、おそらく国際的に非常に汎用されているということであれば、病態の程度を 判断するという上で大変有用な指標なんだろうというふうに考えますけれども、将来身体 障害福祉というふうな視点から考えた場合には、これで十分か、これに何か加えるか、加 えるとすれば何かというふうなこともぜひまたご議論いただければというふうに思ってお りますが、よろしくお願いします。  ほかにご意見ございませんでしょうか。  どうぞ。 ○岩谷構成員  診断基準は、検査データと症状リストとADLの制限の3つがあって決まっているわけ ですけれども、その中で、症状リストのなかの、どれをとられるのかという問題と、その 症状リストの症状のグレーディングをどういうふうにするかという問題があると思います。 例えば易疲労感とありますけれども、実際にどれだけ疲労する場合に、易疲労性ありと判 断するのでしょうか。HIVの場合には1日何時間、休まなければならない時間がどれぐ らいあるとか、そういうように具体的にされています。その辺はそういう表現が可能でし ょうか。  もう一つ、例えば寝たきりという状態と易疲労性とを同じところに並べておいていいか という問題があると思います。寝たきりというのはADLが自立しているかどうかの問題 ですし、易疲労性は症状のほうに入ると思います。その辺りを肝臓の先生方がどういうふ うに、どのような症状を取り上げて、それをどのようにグレーディングするかということ について、お考えをお聞かせください。 ○林構成員  これ、私も悩むところなんですけれども、Child-Pugh分類を使うと、肝性脳症というよ り、腹水という症状はここに既に入ってしまいますよね。その後、腎臓の認定と比べたと きに、この易疲労感というのがやっぱり少し私も違和感があると思うんです。それで、こ の易疲労感に替わる何か表現がないかということで、腎臓のほうだといわゆる日常生活上 の活動度で規定をしていますよね。これは疲労感が強くなると、一番制限を受けるのはや はり日常生活上の活動度なので、これはこの腎臓を参考にして、そちらの表現に変えさせ ていただくほうがより実際の患者さんの生活上の制限ということのほうがより重要なよう な気がいたしますけれども。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  この自覚症状はあくまでも患者さんたちのほうで、患者団体のほうからのいろいろなア ンケート調査の中で出されてきた実際に訴えられる症状なわけですけれども、やはり身体 障害者福祉法による障害の程度の等級認定ということになりますと、今、林構成員がおっ しゃられたような具体的な個々の自覚的な症状ではなくて、やはりそれに基づく日常生活 の制限の度合いといったようなことがおそらく出てくるだろうというふうに思いますので、 その辺はまたどういうふうな表現にするかということ、他の既に認定されている疾患での 等級の分類での基準というものと併せてご議論いただきたいというふうに思いますが、よ ろしくお願いします。  あとは、この論点整理の2ページ、3ページのところでは特段問題はありませんでしょ うか。  どうぞ。 ○岩谷構成員  医療の必要性が非常に問題になっています。患者さんの団体からはそういう問題が提起 されています。具体的にいえば、腎臓機能障害は腎透析、心臓だったらペースメーカーで すよね。腎透析とかCPMとかいうものがなければ、固定状態を保つことができないわけ ですよね。そういうような医療行為がこの中に含まれているのでしょうか。認定の中に。 ○柳澤座長  おそらく、この2ページの表には出てきておりませんけれども、例えば今の岩谷構成員 のおっしゃる医療行為ということでは、ペースメーカーとか透析とかというふうなものに ある程度対応するとすれば、肝移植などが対象になるんだろうと思うんですね。今、生体 部分肝移植は保険の適用が通っているんでしょうか。 ○兼松構成員  通っています。 ○柳澤座長  そうすると、やはり医療行為としてはそういったものも含まれてくるので、その辺もや はり検討の課題なんだろうというふうに思いますが。  従いまして、どんどんと悪くなって、なかなか肝硬変で非代償期になって、それからの 治療というのは大変だろうと思いますけれども、一応やはり医療行為としては選択肢はあ るんだという理解でよろしいかというふうに思いますが。 ○和泉構成員  僕もそこのところずっと悩んでいるところで、それで先ほどPTで少し前倒しして、治 療効果がきちんと出るような方々を対象にすることができればというふうな感じで申し上 げたんですけれども、これはやはり症状の固定あるいは永続ということに疑義が生じてく るのではないかというふうに思うんですね。  やはりHCV感染が成立しているゆえの肝移植というのは、大いに進められる医療であ るかどうかというのは私は大いに議論があるんだろうというふうに思います。ですから、 もしそれを期待して今回のことが決まるのであると、私はいささかちょっと疑義を挟まな ければならない。むしろ、何かほかの方法でストップがかかったり、永続状態、症状の固 定ができるということがやっぱりないと、今ストレートに肝移植ということになりますと、 大いに抵抗のある話になって、この枠組みの中でこの問題を話し合うよりは、何かそれで あれば特別の特定疾患の事業を打ち立てておやりになったほうが私はスムーズだというふ うに、全然そのことについて反対する意味ではないんですけれども、その円滑さから考え ると、この枠組みの中で議論するのはなかなか私は難しいんじゃないかなというふうに感 じています。 ○柳澤座長  この点はおそらくこれから先も議論になるだろうと思いますので、今早急にたくさんご 意見を伺うということは必要ないかと思いますが、何か今の点に関して皆さん方、構成員 の方あるいは事務局からのご意見ございますか。  どうぞ。 ○兼松構成員  C型肝炎ウイルスの患者さんで肝硬変が進行した場合に、やっぱり移植というのが現実 に行われていますが、現在は肝移植を行っている患者さんのうちの約10%ぐらいがC型肝 炎の患者さんということになります。それから、もう10%の枠組みというのが肝細胞がん を並存しておられる方ということで、今移植医療が行われています。  ただし、この際にも適用は非常に厳格に決められていまして、これは例えばChild-Pugh 分類でしたらもうグレードCぐらいのところ、それが永続して、どうしてもほかの治療法 では救命できないと、生命予後もかなり限られているというところで行われている医療で す。  ですから、非常に究極的な医療だとお考えいただけたらと思います。その成績といいま すのは、そういう方が手術を受けられて、大体5年お元気でおられる生存率というのが70 %前後というような成績が今のところです。そういうことも加味していただいて、これを 本当にこの中に入れるべきかどうかということをご議論、今後いただければと思います。  よろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  そうですね。これは実際にC型肝炎の患者さんが中心になると思いますけれども、この 肝機能障害を身体障害者福祉法の中の内部障害の一つとして取り上げるということになっ た場合には、当然のことながら、その治療の内容につきましては、基本的に現在我が国に おいて行われている、しかも健康保険が適用になっている医療は、これは排除するという ことはできないわけですね。別扱いにするということもなかなかできないんだろうと思い ますので、その点、そういった治療の選択肢もあり得るんだということを念頭に置いて、 ただ、しかし、やはり病態としてはChild-PughのCのステージになった場合にはなかなか それからの回復が困難であるということと、それからいろいろな形での医療のサポートが 必要だということも現実の課題としてはあるのではないかというふうに思います。  今、挙げられました臓器移植の問題は、これはやはり一つの特殊な治療というふうな位 置づけもできますので、もちろんこれからどういうふうに扱うかということをご議論いた だければというふうに思いますが、ほかにいかがでしょうか、論点整理として。  どうぞ。 ○原構成員  原ですが、先ほど移植をここで扱うかどうかというようなことが少し出たんですが、例 えば腎臓機能障害の場合に、当然腎移植という選択肢もあり得るわけですよね。ただ、そ のドナーの問題だとか、いろいろな問題をまだまだ抱えている段階で、やはりそれを同じ 場に治療として私自身持ってくるのは少しどうなのかなと。  ただ、腎移植を受けている方に関しての身体障害者の等級というのは決められておりま すので、そういう扱いをするのはいいと思うんですが、そこであくまでも治療の一選択で あってというふうに位置づけしていかないと、やっぱり和泉先生おっしゃったように、い ろいろな問題が出てくるんじゃないだろうか。移植だけではないわけですし、移植を進め なければいけないという、必ずしも100%でもないというところが非常に難しいんじゃない かという気がするんです。これは私、あくまでも腎移植という立場を考えた場合にですね。 ですから、同じような場でやはり考えるべきじゃないかなと思いますが。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  腎臓の場合もちょうど移植のことがありますわけで、私がさっきちょっと申しましたの は、この身体障害者福祉法の中で位置づけられた場合には積極的に肝移植をやってくださ いとか、そういうことでは全くありませんで、治療の範囲としてエクスクルードするとい う、除外するということはできないだろうというふうな意味合いのことですので、その点 は改めて申し上げておきたいと思いますが。  どうぞ。 ○和泉構成員  そのことを念頭に置いて発言したつもりなんですけれども、そうなりますと、今度はB 型ウイルスの場合はどうするんだ、肝移植そのものの場合はどうなるんだ、肝硬変の場合 はどうなるんだという広がりが私はこの議論の枠組みを超える可能性が十分に包含してい るので、そこは非常に注意してしゃべらなければいけないんじゃないかという思いで申し 上げたつもりです。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  和泉構成員のおっしゃっている点は確かに非常に大事な点でありまして、もし肝移植と いうのが何らかの形で前面に出てきてしまいますと、そうすると、じゃ、肝機能障害の対 象の範囲をどういうふうに設定するかというふうなことにまで、また別の問題が出てくる ので、今までの作業の流れということは十分に留意した上で検討を進めていくということ が必要だということはおっしゃるとおりだと思いますので。  どうぞ。 ○兼松構成員  肝臓の場合には、例えばグレードCになって、ずっとそれが進行して、それがそのまま の状態ですと、腎移植みたいに、透析のようなほかの治療方法がないわけですね。最終的 な究極の治療としてほかに全てのこと、やることがないと、そして残された選択肢が肝移 植だということで今やっているのがこの医療だと思うんです。  それから、もう今や肝臓疾患の最終的に、今まではそういうことが全くできなかったの が、今は脳死を含めて生体肝移植でできるということになっていまして、それなりの患者 さんにいろいろなベネフィットを与えていますので、これは特殊な医療ということではな くて、次第に肝疾患の中では一連の流れの中で、一つの治療方法として確立しつつあると ころではないかなと思います。既に日本の中でも年間500例以上の手術が、これはウイルス だけではありませんけれども、そういうふうな状況ですので、そういう究極の治療として の肝臓の治療の中にも含まれつつあるということもぜひご認識いただければと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  今の点も十分に念頭に置いてご議論いただければと思います。決して、今日も患者団体 の方々、傍聴にいらしていると思いますけれども、肝機能障害が身体障害者福祉法の中に 含まれる場合に、そのことによって逆に、ある治療の選択肢が阻まれるというか難しくな るとか、そういうふうなことがないようにきちんと対応はしていきたいというふうに思い ますので、その点は申し上げておきたいと思います。  それでは少し、今日の論点整理としては、大体以上のような点でよろしゅうございます でしょうか。おそらく全体としてのまとめとしては、やはりこれまで4回にわたって議論 を重ねてまいりまして、症状固定、それから症状の重症度、それから評価ができるという こと、それからまた日常生活の障害というふうな3つの要点から、身体障害者福祉法の中 に含めて検討するというふうな方向性は出てきたのではないかというふうに思いますので、 もしそういうことで検討会の構成員の方々の合意が得られましたら、具体的な作業という のをこれから、例えば等級の分類であるとか、あるいはほかの障害の場合の等級との整合 性の問題とか、そういう作業を進めていくということにいたしたいと思いますが。  どうぞ。 ○岩谷構成員  3ページのところで確認をさせていただきたいんですけれども、一番最後に介助の必要 性というのがあります。肝機能障害の方々にとって介助というのはどんな介助があるので しょうか。 ○八橋構成員  肝機能障害がある方で、肝硬変の方でもかなり進行してくると、1人では起き上がれな くなるような、1日臥床せざるをえない状況となってきますので、介護が必要となります。 ○岩谷構成員  そういうのはヒューマンサポートですよね。ヒューマンサポート以外の介助というもの があるんでしょうか。自分ではできないという状態は、全く人の助けをかりなければなら ないという場合と、何らかの機器を使えば可能ということがあります。肝機能障害の方々 にそういう状況というのはありましょうか。 ○八橋構成員  自力では歩行できないことから、車いすで外来受診に来られている方も当然おられます。 肝疾患でのデバイス、機器をご紹介しますと、例えば腹水の治療には、腹腔-静脈シャント、 「デンバーシャント」と呼んでいますが、おなかにたまった腹水を静脈経由で全身に戻し てあげるための皮下に埋め込みタイプのポンプ、自分でポンプを押して、還流させて腹水 を減らすというものもございます。 ○柳澤座長  じゃ、一応は肝炎ウイルスによる肝機能障害というふうな枠組みで考えた場合に、これ を身体障害というふうに位置づけるという方向で作業を進めるということでよろしゅうご ざいますでしょうか。具体的な作業の内容としては、先ほどの既存のいろいろな疾患の等 級分類などについての紹介がありましたが、そういったものを参考にしながら作業を進め ていくということでよろしいかと思いますが。  どうぞ。 ○原構成員  1つ確認させていただきたいのですが、このプロトロンビン時間などデータで判定され るわけですが、例えば慢性腎不全では腎臓機能はクレアチニンクリアランスは、元へ戻ら ない可能性が強いです。プロトロンビン時間などの検査所見は、治療によるデータ評価と いうのはどうなるのでしょうか。  肝機能障害の判定に、治療でも戻り得ないこれぐらいのレベルという表示にするのかど うか。  腎不全の場合には、治療をして、それでもなお戻り得ない臨床症状というのを身体障害 者の等級に使用しているわけですね。例えば、プロトロンビン時間はK剤を使えばある程 度それが改善するということはあり得るのでしょうか。 ○八橋構成員  ウイルス性肝炎の場合、特にB型の場合は、抗ウイルス剤治療でB型肝炎ウイルスの増 殖が止まりますと肝予備能は改善します。プロトロンビン時間40%の例でも治療により80 %とか100%まで回復する例はございます。B型の場合は、抗ウイルス剤を用いての肝障害 のコントロールが可能ですので、肝硬変といえども可逆的か病態と言えます。  一方、C型肝炎に関しては現在そういう治療薬剤がございませんので、基本的には時間 とともに病状は進行してゆきます。 ○原構成員  ビタミンKとか、そういうものの使用によってどの程度回復し得るのでしょうか。 ○八橋構成員  肝硬変症例ではビタミンKの吸収障害も生じますので、ビタミンK投与によりプロトロ ンビン時間が多少回復することもありますが、吸収阻害されている分だけ改善する。おお むね軽度な改善であり肝合成能が回復しない限り劇的に改善することはありません。  また、ワーファリンなどのビタミンK阻害剤を使いますと、肝予備能とは関係なくプロ トロンビン時間が下がるのはご存じのとおりです。そういう意味でも、このプロトロンビ ン時間だけ評価できないところもあるなというふうに思います。 ○柳澤座長  分かりました。  やっぱり対象とする状態は、例えば腎臓の場合には透析というふうな状態が1級なら1 級ということになるわけですから、当然重症度もかなり、Child-Pughの場合も重症な方が おそらくそういった身体障害の場合も対象になるのが基本ではないかというふうに理解し ますが、それはそれでまた先ほどから持ち上げているような他の障害とのバランスという ことはある程度考えた上で、そういった等級ということも検討していただくということに なると思いますが、基本的には肝炎ウイルスによる肝機能障害ということで、ここで4回 に渡って議論してきたものをそういう身体障害の中に含めるというふうな方向でこれから の具体的な作業を進めるということで、もしよろしければそのようにしたいと思いますが、 事務局としてはいかがですか。 ○名越課長補佐  方向を示していただいたということでございまして、今後は具体的なもの、例えばどう いったものを具体的に身体障害とするのかというような基準などをご議論いただきまして、 検討会としての取りまとめを最終的に今後行っていただければというふうに考えます。 ○柳澤座長  それでは、一応先ほどの日常生活についての基準とか、他の障害での等級との関係とい うふうなことも問題になりますし、それから、作業を進める上で、また肝機能障害の専門 の構成員の方々のご意見もいろいろとお伺いして、少し事務局のほうでまた整理をしてい ただくということにしていただきたいと思います。  そうしますと、どういうふうにしましょうかね。 ○名越課長補佐  まず、次回の会議については、日程など決まってございませんので、これはなるべく早 く日を確定をさせていただきたいというふうに思います。この議論の延長として、具体的 な認定基準等の項目についての議論をしていただく必要があると思いますので、至急素案 のほうをまとめていきたいと思います。それをまとめていくに当たりましては、肝臓の専 門家の先生方にはぜひお手伝いをお願いしたいと思いますので、この点はどうかよろしく お願いしたいと思います。  それからもう一点、前回の会議の最後のところで、医療費のデータを出すというような ことを言っておりましたけれども、まだちょっとデータの精査が終わっておりませんで、 今回間に合っておりません。また、これは次回以降に提出をすることにしたいというふう に思います。 ○柳澤座長  あとよろしゅうございますでしょうか。  それでは、長時間にわたってご議論ありがとうございました。本日の検討会は以上をも ちまして終了にいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。 (了) 照会先 [肝機能障害の評価に関する検討会事務局] 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課指導係  TEL 03−5253−1111(内線3029)  FAX 03−3502−0892