09/04/28 平成20年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第12回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会議事録         第12回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会                  日時  平成21年4月28日(火)                      14:00〜                  場所  厚生労働省(18階)共用第9会議室 ○化学物質評価室長補佐(大淵) 定刻より少々早いですが、先生方がお集まりになりまし たので、ただいまから第12回「少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会」を開催いたし ます。  本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。議事につい ては、座長の名古屋先生にお願いをいたします。 ○名古屋座長 本日は、少量取扱い規制に対する小検討会ということで、第12回目です。 本日は、ばく露の実態・評価のあり方についても検討をしたいと思います。最初に、事務局 より、本日の議事予定及び資料の確認についてよろしくお願いいたします。 ○化学物質評価室長補佐(大淵) 事務局より説明をいたします。本日の議事としては、少 量製造・取扱い作業の把握が可能なばく露評価手法について、それから、小検討会報告書等 についてご議論いただく予定です。  順序がずれてしまいましたが、今日ご出席の先生方を簡単にご紹介をさせていただきます。 委員の先生方につきましてはて5名の先生方、皆様ご出席です。本日は、有識者ということ で4名の先生方にご出席いただいています。統計関係では2名の先生にいらしていただいて います。まず、本日ご発表していただく予定の先生として、東京理科大学講師の加藤洋一先 生です。前回に引き続いて、統計数理研究所の藤田先生です。続いて、中央労働災害防止協 会から棗田様にご出席いただいています。また、日本化学工業協会から山口部長様にご出席 をいただいています。よろしくお願いをいたします。  引き続き資料のご確認をお願いいたします。配付資料の一覧に沿ってご確認をお願いでき ればと思います。まず資料1は「第11回小検討会における主な意見」を整理したものです。 資料2は、加藤先生の資料として、資料番号のついたものと、資料番号のない「サンプリン グ」という資料と、2種類お入れしています。本日のご発表は、主にサンプリングのほうの 資料を使って説明をしていただくことになろうかと思います。資料3-1「労働者の有害物に よるばく露評価ガイドライン(案)」です。資料3-2「新たなリスク評価スキーム(2段階評 価)について」です。資料4は「少量製造・取扱い規制等に係る小検討会報告書(骨子案)」 です。資料5は「少量製造・取扱い規制等にかかる今後の検討予定」です。以上、1番から 6番までの資料に加えて、参考資料が1番から8番までございます。  参考1は「評価対象物(A物質)にかかるばく露実態調査と防止措置との関係(イメージ)」、 A4の1枚紙です。参考2は「NIOSHマニュアル」です。こちらについては出版物のため、 配付は机上のみとさせていただきます。参考3は「リスク評価の手法(改訂版)」です。参 考4は「国内外のリスクアセスメントに採用される『ばく露評価モデル』の概要」です。参 考5は「作業環境測定ガイドブック総論編(抜粋)」、こちらについても机上のみの配付とし ています。参考6は「リスク評価のための測定・分析手法確立のための検討内容」です。参 考7は「ばく露評価及びリスクの判定における統計解析手法の活用について(案)」です。 参考8は「ばく露調査におけるサンプリングの手順」です。資料は以上です。 ○名古屋座長 議事に入りたいと思います。最初に、前回の第11回小検討会議事概要につ いて、確認したいと思います。事務局より、説明よろしくお願いいたします。 ○化学物質評価室長(島田) 資料1に基づいて説明申し上げます。前回の第11回小検討 会の議事概要です。「ばく露評価における統計的手法の活用」ということで、熱心にご議論 をいただきました。まず、上方信頼限界(UCL)の活用について、2点ほどご意見をいただ いています。NIOSHの上方信頼限界の試算については、時間分割サンプリングを行った場 合に求めるものであり、TWAの15分値については、これはUCLを求めることはできない というご意見でした。2番目の初期評価の二次評価については、TWAの8時間値のUCLか 又は15分値の最大値を比較することが妥当ということで、圓藤先生のほうからお伺いした 件について、このようにまとめさせていただきましたが、ここでいうTWAの15分値につ いてはUCLと同等の使い方ができるのではないかとのご意見を受け取ったものですから、 後ほどそのあたりを確認させていただければと思います。  次は、分析手法の検討です。有機溶剤の検量線に関する直線性について、r=0.99として いるのは精度が低いのではないか、というご意見をいただきました。特に、有機溶剤に限っ ては、目標値としてはr=0.999ぐらいとしてはどうか、というご意見でした。それから濃 度の低いものを捕集し、80%の回収率を達成するためには、加熱脱着を使用する必要があ るのではないか、ということでご意見をいただきました。併せて、有機溶剤の捕集剤として はシリカ、シリカゲルだと思いますが、活性炭のほかにテナックス等の他の捕集剤の使用も 可能である旨、例示しておくべきということでした。測定者は「作業環境測定ガイドブック」、 日測協さんのほうから出ているものと理解していますが、このガイドブックを利用するので、 測定・分析の手法はこれと整合性をとって作成することが妥当ではないかというご意見でし た。  適正なサンプル数の確保について、いくつかいただいています。すべての測定値がばく露 限界値未満であってもサンプルサイズが小さいため安心できないということで、サンプルを 増やすとばく露限界値を超える可能性があるということではないかと推測します、という問 題があるということです。サンプルが少ない場合、統計処理を行い、90や95パーセンタイ ル値がTWAよりも上回る可能性があります。例えば、10人の測定値から推定した分布で 評価値を超える割合がどのくらいあるかは計算可能です。品質管理で使う抜取検査の手法で 不適合の割合を求めることと同じだと考えます、というご意見もいただきました。一定の精 度で推定しようとすると、サンプルサイズが相当に大きくならざるを得ないというご意見で した。有害物を一定以上取り扱っている事業場から報告を取っているということではあるが、 少量の取扱いでは、取り扱う者が限定されている分、高濃度ばく露があるのではないか、と いう可能性をご指摘いただいています。また、現時点での取扱いを見ると、高濃度ばく露が ないかもしれないが、未来まで含めて推定しようとすると、母集団のサイズは無限と考えて もおかしくないのではないかということでした。  適正なサンプリング方法の検討についてのご意見です。ばく露評価で統計的手法を導入す るのであれば、ランダムサンプリングなのか、あるいは、ばく露の大きさによって層分けし て、そこからサンプルをとるのか、といったサンプリングのスキームをきちんと考えるべき ではないか。サンプルサイズを決定する場合には、全体として不適合となるものの割合を 5%ぐらいは許容するといった判断の基準をこの場で決めておかなければいけない、という ご意見でした。また、サンプルサイズを決めるためには、母平均、母集団がどのくらいと推 定されるのか、あるいは、二次評価値に対してどのくらいの位置にあるのかといった情報が 有効である、というご意見でした。測定結果の平均、標準偏差、層化して選んだのであれば、 層によって本当に違いがあるのかということのチェックが必要である。そのあたりのデータ を提出していただきたい。それから、ばく露シナリオをあらかじめ作成して、そのデータを 評価する必要があるというご意見です。  作業頻度、非定常作業の検討についても行われました。まず、フィルターの清掃のように 1カ月に1回行われる非定常作業については、その作業は高いばく露であっても頻度が低い、 1カ月に1度ということですので、頻度が低いのでリスクは落ちることとなる。非定常作業 を狙って測定するのか、偶然に任せるかについては判断が必要です。非定常作業については、 その作業頻度がどの程度かという情報が必要です。測定値はやはり8時間平均値とばく露限 界値を比べるという方法にならざるを得ません。ただし、その際に、非定常作業のデータが ばく露限界値の100倍とか1000倍になるような場合については判断が迷うところです。例 えば、短時間ばく露濃度がばく露限界値の5倍を超えるようなものについては、詳細評価に 移行することもあり得るのではないかということでした。以上、ご報告を申し上げます。 ○名古屋座長 ただいまの説明についてご意見、修正等ありましたらよろしくお願いいたし ます。先ほど言われました、8時間のUCLと15分のこれ、圓藤先生、これでよろしいです か。 ○圓藤委員 15分のこれ、ショートタームのことでしょう、ステルのもとですよね。大体 合いますね、これで。 ○櫻井委員 これは圓藤先生がご発言になったときの真意は、15分値の最大値はショート タームエクスポージャーリミットと比べるということでしたね。 ○圓藤委員 はい。 ○名古屋座長 ちょっと違いますね。 ○櫻井委員 UCLと関係ないですね。 ○名古屋座長 UCLと関係ないですね。 ○圓藤委員 そうです、関係ない。 ○名古屋座長 どちらかということですね。もし、15分値の場合はショートタイムと関係 ありますね。ちょっとそこだけ直していただければ。 ○化学物質評価室長(島田) はい。 ○名古屋座長 あとはよろしいですか。そうしましたら、前回のこのサンプル数というもの はかなり議論されましたので、今日はよろしいと思いますので、そこを直していただいて、 次に入りたいと思います。  次の議題です。本検討会でのこれまでの検討を踏まえまして、ばく露評価における統計的 解析手法の活用を検討してきましたが、本日は先ほどご紹介ありましたように、東京理科大 学の加藤先生に本件の検討をお願いしてきましたので、加藤先生からその辺のご説明をいた だきたいと思います。本日は前回に引き続きまして統計数理研究所の藤田先生もいらしてお りますので、ご参加よろしくお願いいたします。あとは中災防の棗田さん、それから日本化 学工業協会の山口さんもいらっしゃっております。どうか積極的に討論に参加していただけ ればありがたいと思います。それでは加藤先生、よろしくお願いいたします。 ○加藤講師(東京理科大学) 加藤です。初めて出席させていただいています。もしかする と、問題を十分把握してないまま資料を作っているところがあるかもしれません。一応統計 でいろいろな分布を知るということのそれにちょっと、それからあと、見せていただいた資 料から気がついたことをピックアップしたところがありますので、それで説明したいと思い ます。  一般的には母集団からサンプルをとって、そのデータから平均値とか標準偏差を計算して 推測するので、大体こういうときの興味の関心は母平均なのです、中心なのですが、こちら で必要なのは、どうもこの左端の大きいところという特殊性があると思います。ただし、い ろいろ資料を見せていただいた中で、アメリカの規格を見ますと、やはり平均値をとって、 それに区間幅をつける式が採用されています。似たようなことを実はサンプリングでもしま して、とったデータからまず母平均がいくつかを推測するのです。ただし、これがとったデ ータ、サンプリングですので本当の平均かどうかはわからない。大きめに出ていることもあ るし、小さめに出ていることもあるので、一般的にはこうして母平均の区間推定をすること になります。アメリカの規格は、ここが抜けているのです。もう母平均の区間推定なしで に標準偏差をつけたような式になっていたと思います。  これを見ていただくとわかるのですが、NIOSHはΣを使っているのです。実は、平均値 がわからないのにΣがわかっているというのは普通ではあり得ない。もしかすると技術的に、 これはこういう標準偏差になるというのがわかっていると使えるのですが、実際はデータ、 平均値がわからないくらいなのですから、ばらつきもわからないというのが普通だと思いま す。その場合は、こういうt分布を使います。これは母平均の区間推定です。分布の中心が 高いとここかもしれないし、低いとここかもしれないし、うまくサンプルをとっているなら 本当に中心がここかもしれないということで考えるのです。  データはどうなるかというと、ここがぎりぎりの本当に中心だとすると、ここを中心にこ ういうばらつきでデータが入る。悪いと、こちらのほうが中心の可能性もあるのです。そう すると、こういう分布が出る。この正規分布ですと端のほうまできりがなく伸びていくので すが、ある程度のところで、全体の95%ですね、ですからこちらが2.5%、2.5%とるよう なデータの存在範囲、これは一応こんな式で計算することになっています。  それで、とったデータに基づいて母集団のデータがどの辺まであり得るのかというと、こ んな数値を出すことがあるのです。実際使うときは、データをたくさんとると精度は上がる ことになります。精度が上がるのは、実はここの部分なのです。例えば、nが4個なら2/2 で、 √(1/4)ですから1/2の幅になり、100個とれば1/10の幅になる。この母平均は、データ をたくさんとることによって、かなり精度よくなります。ただし、ここにデータの存在範囲 をつけますと、これはnと関係なくばらつきがつきますので、それほど増えないのです。た だ、データをとってみないとわからないのです。これがかなり大きいと、大きいところにさ らに大きいばらつきがつきまして、最終的には、今日の気温は零下10℃から50℃までです なんていう予報が当たりはしますが、実際役に立たないような推定になってしまいます。  ここで関心があるのは、サンプルいくつぐらいだろうということですが、実際にはここの 幅が使いものになる幅かどうかということです。あとは計算式でt分布を使います。t分布 の値が、ここが大きいと幅がとても大きくなってしまうのです。一応目安ですが、このピン クで書いたのが両側5%、正規分布で1.960に該当するところです。データが、最終的にい ちばん最小値は1.96にしか、それ以下にはならない、正規分布と同等になるのですが、こ の辺ですとまだ大きい値で、だんだん小さくなります。10個ぐらいとっていれば、t分布の 値で幅が大きくなるということは、あまりなさそうです。10を20に増やしたからといって、 √(1/n)で小さくなる分はありますが、t分布の係数で小さくなるということはあり得ない。 このぐらいのところです。こんな形で一般のものはやっています。  ちょっと気になったのは、アメリカの文献ですと、区間幅を推定するのにΣを使っていま す。先ほど言いましたように、Σがわかっているという、状況はちょっと考えにくいです。 したがってデータをとってt分布を使うのですが、このt分布を使うとΣよりも、理論的に は当然なのですが、少し幅が広がります。半面、必要なサンプルというのがもしあるとする と、少しは多めになります。  先ほども言いましたが、母平均について、区間推定しないで平均値にそのまま標準偏差を プラスマイナスした式が載っていましたが、ちょっと違うのかなという。  目的として、分布の最大値を知るという目的のサンプリングで、アメリカのところを見て いましたら、上から10%のものが信頼率90%で出てくるサンプルサイズという計算が載っ ていました。  どういうことかというと、この分布で大きいほうに関心があるので、とったデータの中に こういう大きな値が、要するに、目的はこちらのほうに関心があるわけで、こういうデータ が入るようなサンプルサイズが必要なのではないかというので計算したのだろうと思われ ます。  私もチェックしてみましたが、一応私の計算だと、1個ぐらいずれたところありますが、 大体ぴったり合いまして、計算は長期化分布で計算されていました。ただし、出来上がった 値を見ると、例えば母集団32個の中から16個のサンプルが必要だとかいう、かなりもう 半分とってしまうのだったらサンプリングの意味はあまりないですね。昔、私はNTTに勤 めていたのですが、貿易摩擦でアメリカから交換機を買うとき、7割のサンプルで検査した のです。私は7割やるのだったら全部やったほうがいいと主張したのですが、一応規格には 7割のサンプル数が書いてあるのでやったところ、入れてから、サンプルにあたっていない もので故障したものが多くて、また修理にアメリカに持っていきましたので、輸出額が増え て怒られたことがあります。そういう意味では、ここは半分がサンプルだということ。私の やっているサンプリングのほうからいうとかなり、ここまでだったら全部やってしまえとい う感じのところです。  私は、実は抜取検査のほうをやっています。抜取検査のほうの考え方は、検査なので、こ こは今日のお話とは違うのですが、製品に対して規格がある。規格ぎりぎりのものもあるし、 良いものもあるし、もしかしたら規格から外れるものもあるというときに、その全体を合格 とするか、不合格と判定するかというのが、抜取検査なのです。  最後にもう1回出てくるのですが、抜取検査ではパーフェクトは無理なので、このぐらい 小さければいいだろうとか、こんなに大きかったら駄目だろうと判断するわけです。ですか ら、ここで規格から外れる不適合品が設定した率よりも大きい、例えば5%も入っていると 言ったら不合格だとか、または少なかったら合格だというような判定をするのです。実は、 抜取検査の規格では、先ほど最初に説明したように、平均値、標準偏差を使って判断いたし ます。場合によっては、サンプルの中に不適合製品が1個もない、サンプルのデータは全部 規格内なのだけれども、不合格ということはあり得る話で、そこはもう完全に割りきってい ます。したがって、先ほどみたいに、データの中に10%に該当するものが1つ以上入るよ うなサンプル数というので、サンプルを決めているわけではありません。ですから、それよ りはもうちょっと小さいサンプルサイズになっています。  実際やっていますと、あまり抜取検査をご存じない方は、不良品が1個もないのになんで 不合格なのだと質問を受ける場合がありますが、とったデータから見た平均値と、とったデ ータからのばらつきを見ると、見てないものに必ずや規格外れのものが相当数入っているは ずだというので、不合格という判定を下すのです。そういう意味で、データに不適合の、考 えている基準を超えるものが入るようにというような考えで、設定しているものではござい ません。  実際に抜取検査がどんな感じなのかというと、例えば、これが規格です。この規格を超え るのが、例えば1%ぐらいのこういうものだったらいいな。でも、これが、平均が規格線に 近かったり、ばらつきが大きかったりして、ここではみ出るものが多いもの、これは駄目と いうので、実際はp0、p1という言い方をしていますが、2つの基準を定めるのです。資料 にお付けしましたが、こんな抜取表があります。大体ここに入っている太い数字がサンプル サイズです。先ほどの図ですと、1%ならいいけれど、10%では駄目というのであれば、こ の1%と、上の10%がぶつかった所、ここで21という数字が見えますが、これがサンプル サイズになります。  これは標準偏差が未知という前提で出来ているところで、21という値になります。もし、 標準偏差がわかっているということで適用されるとすると、同じ1%、10%でもサンプルサ イズが8という極端に少ない数で実行できることになります。したがって、8個のうちの8 なのか、21なのかは、標準偏差がわかっているかいないかの差です。  あとは、こういうことでやるにあたって、サンプルを小さくする。抜取検査の考え方です と、先ほどみたいに21個というサンプルが出てくるのです。そもそも抜取検査自身がサン プルが少ないというニーズから要求されているものなのです。それ以上に、それよりほかに、 今度はやり方でサンプルを少なくする工夫があります。今日の資料で紹介していますのは、 逐次抜取検査です。これもJIS規格になっていますし、国際規格になっています。先ほど、 こういうのがオーケーだと言ったけれど、実際にロットが優秀で、規格からこんなに外れて いるところがあれば、例えば21個とらなくても、5個ぐらいサンプルをとったところで、 これは絶対にこんな規格を超えないなというのがわかれば、21個とらなくていいわけです。 そういう考え方をするのが、逐次抜取検査です。  逐次抜取検査は1個ずつサンプルをとっていきます。それを平均値と標準偏差をどんどん 計算しながら、ここを超えると合格、この線を超えると不合格という判断をいたします。最 悪は、ここをずっといくと無限にサンプルということになってしまうのですが、そういう場 合は、ちょうどぎりぎりの条件なので、安全側で合格とするか不合格とするか。抜取検査は、 ここまでどんどんサンプルを引っばってしまったときには、付き合ってもらったのだからと いうので、一応合格という判定をしてしまうのです。それは、当然ここまでやっても判定が つかなかったのだから、ずっと続けるよりは、ここで思い切ってぎりぎりだから合格。○に しよう×にしようというのは、それは目的に応じてやればいいと思います。  ですから、この線でいきますと、例えば5個でも、さっき21という数字がありましたが、 こうやって飛び出て、早目に結論が出ることもあります。こういうのも抜取検査の規格には いくつか作ってあるのです。あとは具体的なお話の中で。  先ほどまでは、母集団全体を知ろうという中で、端のことを推定しようという方法だった のですが、この中心だとか、ばらつきには関心ない。ここがどの値なのかというと、こうい う値をピックアップすることができれば、ここは無視してやるという方法が考えられるので す。その場合、母集団の平均とか母集団全体のばらつきの情報というのは全くなくなります。 したがって、母集団からのランダムサンプリングではないのです。ただし、目的がこちらを 知りたい。しかも、ここのどういう色をしているものなのかとか、どういう条件で作られた ものはこういう値なのだというのがもしわかっているのであれば、ここを知りたいのが目的 なのに、この辺のデータをとるのは非常に効率悪いと思います。もし、それが本当に可能な らばこういうことはできるだろうと思います。目的に対して重点的なデータをとることがで きるという。  ただし、大事なのは、ここで本当に見て、ここが、要するに測定する前に大きいと思って いるものが本当に大きい値なのか、事前に本当にわかるのかどうかです。事前の予測値、例 えばフィーリングで大きいのか、ある程度予測値が出るのかわかりませんが、それと実測値。 先ほど、直線性のrが0.9とか0.99とかありましたが、そういう意味では少し。本当にそ の予測、事前の情報でピックアップするものと結果が本当に合っているのかどうかというの を、やはり確認する必要があると思います。その場合サンプルはある程度少なくなると思い ます。  それから想定している以外の条件で大きな値が出るものが本当にないのかどうか。もしあ るとすると、逆にランダムサンプリングだとそういう想定外のデータもサンプルに選ばれる 可能性があるのですが、事前の予測値で選ぶと、もしかしたらこういうところにぴょんとこ れとは違うグループの原因で大きな値を出すものがあると、そこは今回こういうやり方です と、サンプルからは漏れてしまいます。ちょっとそこは危険なところですね。  あとはサンプリングの理論、こうやって正規分布からとる前提になっていますが、こうい うところからいくと、ここだと三角形の分布になります。ただし、三角形でもあまり恐れる ことはありません。これはうちの事業で使ったものです。方向が逆ですが、こういうデータ も、2つこういうところからサンプルをとって、4個とって、5個とってと、かなり正規分 布にこれだけで近付いてきますので、ちょっと分布が正規分布ではないと言いながらも、か なり正規分布の理論でカバーはできると思います。  先ほどの時間ですが、ずっと連続でやるかとか、切ってやるかとか、取り替えるかで、い ろいろなサンプリングがあります。ここは抜取検査ではないのですが、サンプリングの関係 なので、ついでに少しまとめておきました。普通何もしないと、全体からランダムにとるサ ンプリングです。今回のお話だと、いろいろと会社があったり、部署があったり、人があっ たりするのですか。そうすると、いくつかの組織をまず選んで、その中の例えば作業する方 を選ぶなんていうやり方をすると、サンプリングで言う2段サンプリングになります。  2段サンプリングの場合は、今回詳しく書いてありませんが、その組織によってかなり違 うということになると、例えば、組織によって母平均が違うというと、どれを選ぶのかによ って大分、例えば、この値とピークは似たようなものですが、ここを選んだときとここを選 んだときでは、かなり結果の誤差は大きくなります。逆に、同じ組織内でもその中でばらつ きが大きいと、ここから1個とるのか、ここから4個とるのかでやはり精度が変わってきま す。こういうところで4個とるよりは、ここで4個とる必要があります。こちらは1個でも、 そんなに外れはしない。こちらは1個だと、下手するとこんなデータがとれるかもしれませ ん。ということで組織ごとに、その母平均とばらつきがいくつかは。ばらついている状態が もしわかるのであれば、そういうところまで考えて2段サンプリングする可能性はあります。  あとはサンプリングでは、集落サンプリングというのがあります。こういう組織があると、 ここを選んで、あとは選ばずに、その代わりここだけは全部調べるよと。こういうのを集落 サンプリングといいます。ここを選んで集落サンプリングしたらもう悲劇的で、当てにして いるような情報は得られません。サンプリングのやり方としてはこういうのがあります。  先ほど、何らかの基準で、事前の情報で状況で層別ができるというと、層別サンプリング するというのが一般的です。しかも、今回は大きいほうだけですから、層別した後で、さら にそこから選んでしまうのですね。そういう意味で、有為サンプリング、無作為ではないよ うなサンプリングということが実際に実行できるかと思います。  判断するのに抜取検査のような考え方を使うということで言うと、実は抜取検査でよく言 うのですが、抜取検査で合格になって全品良品。これ、時々要求されるのですが、抜取検査 では無理なのです。その場合は全数検査が必要なのです。何か1個でも外れたものとか、サ ンプルが絶対に入るという保証はありませんので、この基準を超えるのが1つでもあるかど うかを見落としたくないというと、サンプリングでは無理です。  今回の対象で、この絵を描いていたのですが、いろいろな組織がある中で、この中で違反 を承知でとか。前、核燃料の臨界以上にバケツに入れてしまったということがあります。バ ケツに入れたのは間違っていないのですが、量を多く入れてしまったので臨界を超えて、核 分裂が始まったというのがあります。そういう違反の作業をしているものも含めるのかどう かというと、先ほどのサンプリングで、ランダムサンプリングの対象にならないような部分 も調べなくてはいけないということになります。やはりそういうのは対象としないのだとい うことであれば、考えられる最悪の状態を調べればいい。もしかすると、これはデータをと るというよりも、最悪の状況を設定して、実験してデータをとって、最悪ここまでいくとい うデータをとるという方法もあり得るのです。現実のデータを調べようというよりも、この 状況でこういう作業方法をすると、最悪ここまでいきそうだ。それが、例えば基準値よりも 下回っていれば、サンプリングではなくて、そういう実験で超えるものはないだろうという 結論を出すことは可能なのだろうと思います。もうサンプリングではないのです。  抜取検査は先ほど説明しましたが、こういうものは合格でこういうものは不合格という2 つの基準で抜取検査をもし使おうとすると、どのぐらいのp0、p1の値にするのかというの を考える必要があると思います。JISにしてもISOの規格にしても、抜取検査では、αと βという誤りを、抜取検査の設計に入れています。これは誤りなのです。αというのは第1 種の誤りで、一応検査では、良いロットを不合格としてしまう誤り、反対に、βは悪いロッ トを合格としてしまう誤り。この誤りの確率ですが、JIS規格も国際規格も、一般にはαは 0.05で、βは0.10で、実は平等ではないのです。ただし、これで実は規格が出来ています。 もし目的に応じて、この場合はαは大きくてもいいけど、β、見逃しは小さくしたいという と、βを例えば0.05とか、0.01にした前提で、抜取検査を設計し直す必要があるかもしれ ません。現在出来上がっている、先ほど紹介したJIS規格はαが0.05、良いのに悪い。つ まり、基準を超える作業はないのに超える可能性があるとして、規制をかけてしまうような ものが、誤りを5%にしたいというと、これでいいのです。ただし、逆に見逃し、ぼんやり して気がつかなかった。これ、ヒューマンエラーでぼんやりするのではなくて、サンプリン グでたまたまそういうデータが入るために起こるのです。これの誤りは10%で出来ていま す。  去年か、ちょっとイギリスと相談して、βも0.05の国際規格を作ろうかという話をした のですが、まだ具体的には動いていません。一般的には、世界的には0.05と0.10、ちょっ とアンバランスですが、これで抜取検査の規格はできています。ですから、これを使うとい うのだったら、規格をそのまま使えばいいのです。目的によって、βのほうが重要なのだと いうと、これは設計し直す必要があるかもしれません。  もしかしたら、そんなの知っているというところがあったかもしれませんが、抜取検査の 立場というのはやはり今回いただいた資料と違うのは、サンプルに不適合品が1個もなくて も、それで判断するぞという、完全な統計の判断の規格なのだということをご理解いただけ ればと思います。ということで、最初の説明は以上です。 ○名古屋座長 ありがとうございました。そうしましたら、いまのところにかかわりまして、 前回の議事録と併せてご質疑、ご討論をよろしくお願いいたします。 ○櫻井委員 最後の所で、例えば第2種の誤り10%ではやはりちょっと心配、10%ではど うかという感じが少しするのですが。 ○加藤講師 サンプルサイズはこういう条件さえ定めていただければ、実はそれほど難しく なく計算はできるのです。 ○櫻井委員 その代わりサンプルサイズは大きくなりますでしょう。そうでもない。 ○加藤講師 αもβも小さくなるとサンプルは増えます。 ○櫻井委員 αは大きくなくてもいい、大きくてもいいのですか。 ○加藤講師 ですから、βは小さいけれども、αは大きくてもいいというと、その辺のバラ ンスがとれてそれほどサンプルは増えないと思います。 ○藤田(統計数理研究所) 基準のp0、p1、そちらのほうがむしろ現実的には重要になっ てきます。 ○加藤講師 これを見ていただきますと、これはサンプルサイズですが、例えばこのような 値をとると、p0をどんどん小さくというか、p0とp1の差を小さくするとサンプルは大き いのです。ですから、p0は0.5%、p1は20などというのはあり得ないと思いますが、どん どん小さくするといくらでもサンプルサイズは小さくなります。そういう意味で、こういう 状態を検出したいという条件をうまく設定すれば、もしかするとp0、p1、実は両方とも重 要という前提で作っていますが、重要なのはこちらだけだというのでそちらも厳密に決めて、 もう一方はかなりサンプル数を減らすように余裕を持って決めると、サンプル数は小さくな ります。 ○名古屋座長 我々としたら、イレギュラーするのが怖いのはβのほうですよね。ほかの所 は、例えば良いものが入っていて悪いと評価されるよりは、良いというものの中に悪いのが 入っているのがいちばん怖いわけですよね。 ○加藤講師 大丈夫だといったときに、あとで。 ○名古屋座長 ばく露を超えていて疾病が起こる可能性はありますよ。要するに、我々が重 要視したいのは、βをいちばん重要視したいわけです。 ○櫻井委員 αのほうは、実際にはさらに確認すると思うのです。本当に規制という話にな る前にもう少し丁寧に調べろと。つまり、スクリーニング的なレベルでいま。私、申し訳な いです。α、βとp0、p1はどうも区別がつかないのですが。 ○加藤講師 そうなのですね。p0、p1というのは、実は最初、技術がない状態でこういう 値を設定してしまいますと、新製品にはほとんど出荷できなくなったり、部品ができなくな ったりするので、例えば液晶のディスプレーも最初はこのぐらいは入っていてもいいと。あ と、工場で使えないのは捨てるから、というので出荷したりするわけです。それをp0、p1 と言います。 ○櫻井委員 そうすると、どういうサンプリングかは別として、我々はできるだけひどい所 を探したいというので、エキスパートジャッジメント的に、こういう職場は悪いだろうとい うところから優先的にサンプリングしておりますが、それはそれで、その中でそれなりの分 布があるとして、例えばその中の1%だけ引っかかると、その基準値を超えるぐらいならば その集団はいいと考える。これは抜取りと同じですよね。それはいいのですね。 ○加藤講師 はい。 ○櫻井委員 では、10%はよくないと考えると。その中間はどういうことになるのですか。 ○加藤講師 p0、p1の中間ですね。実は5%というのは、95%はパスするという意味です。 β10というのは0.1しかパスしないという意味で、その間はスロープになってしまうので す。実は今日の資料の編集が悪かったのです。こういうアプローチで2つあり、いまみたい な検査でジャッジするという方法と、とったデータから、例えばここだけのデータであと推 測をする。推測してこの基準値を超えるか超えないかという判断をする方法と、基準値を規 格にして抜取検査の形でジャッジするという2つのパターンがあると思います。それは目的 に応じて使い分けられたほうがいいと思います、何でもかんでも抜取検査ではないし。 ○櫻井委員 そうしたら高そうな所を選んでサンプリングするわけですから、それはおそら く全体の母集団すべて、いま考えている化学物質を使うと思われる所、すべてをとったとき の母集団の中ではずっと高いほうへ寄っているので、この三角の端を見ていると言えると思 うのですが。 ○加藤講師 ですから、ここを選んだときに、ここの部分は確かデータをとります。 ○櫻井委員 どちらかと言えば大体右のほうへ寄った。 ○加藤講師 ここもデータをとります、ここもデータをとりますという、大きいその10% だとすると、かなり目的からいうとこちらのほうのデータもとれてしまうのです。これを選 んで、ここのデータだけとればかなり目的に合ったので、これは検査というよりは推測で、 超える可能性が何パーセントだからないと見ようという結論があり得ます。 ○名古屋座長 そうすると、いまのやり方と一緒ですよね。 ○櫻井委員 このあたりを狙っていますよね。 ○名古屋座長 そちらの中を狙っていて。 ○櫻井委員 だけど、ここがこういう分布になるとは限らない、わからない。 ○加藤講師 分布ですか。 ○櫻井委員 はい。 ○加藤講師 分布はずれていても、わりと正規分布は強いのです。 ○名古屋座長 先ほどの事業のものもそうですよね。 ○櫻井委員 中心極限定理とかというのかなと思って、先ほどの三角のものが、サンプルサ イズを増やすとこうなるという。 ○加藤講師 そうですね。 ○櫻井委員 でも、この場合はそうではなくて、とにかく高目の所から引っぱり出して特定 する。 ○加藤講師 はい。 ○櫻井委員 その個別のデータが、どちらかと言うと正規分布のような分布になる確率が高 いというわけですね。 ○加藤講師 ですから、ここの母集団からここのデータだけとりますと、これは推測できな いのです。でも、ここから見ると、この大きいデータがどのぐらいまで伸びているかという 推測はできるのです。ですから完全に検査というよりは推測の領域の、推定の領域です。で すから、ここの部分のとったデータだけで、これだけのグループで推測すると、とった、そ れよりももう少し大きいデータもあるかもしれないけれども、ここまでのデータはないだろ うという推測はできます。それをやるのは、きっとこれ全体のこれを調べることに相当する ことになれば、もちろんここでとったデータの母平均はわかりませんし、これの母平均もわ からないのだけれども、値の最大級はこの辺かなという推測はできます。 ○櫻井委員 母平均には全く関係ないのですね、我々は。それは考えてないのです。 ○加藤講師 それは母平均がわかったと、全体のばらつきがわかったというデータには絶対 使ってはならないデータです。ですから、こういういろいろな組織がある中で、平均値もば らつきもばらばらだという中で、これを選ぶことができれば、かつ、この中でこの大きいの を選ぶことができれば、かなり少ないサンプルでここの目的とする最大値を見つけることは できると思います。この場合は、抜取検査ではなくて推定です。実際には測ってみなくては わからないというのは事実なので、現実なので、その場合は母集団からランダムサンプリン グして抜取検査で判断すると。抜取検査をしなくてはいけないというのは、サンプルを少な くする、その分は先ほど言ったα、βは承知の上でというトレードオフがあるのです。危険 は冒したくない、サンプルは少ないと、これは絶対に無理なので、それで規格はそれは一般 に判断しろと言ってもなかなかできないので、規格は少し押しつけなのですが、α5%、β 10%を規定にして作ってしまうのです。 ○櫻井委員 それはもういいですね。それはいいので、p0とp1のほうが問題ですね。 ○加藤講師 そうですね。目的はきっとそうなのだと思います。 ○名古屋座長 高い所の集団を集めていって高い値が超えているかどうかを判断するため には、そのときはどのぐらいの母集、要するに高い所の値の集団があればいまの形なら、要 するに母集団を考えるとき、上の所だけとりますよね、値。 ○加藤講師 はい。 ○名古屋座長 最終最大値を推定して、それが超えているかどうかを判断するための、その 高い濃度の値はどのぐらいの母集団があれば大丈夫ですか、N数があれば大丈夫ですか。 ○加藤講師 そういう意味ではこれが最初使ったものですが、これを高いときの値だけだと すると、それでこれは最悪値のほうを考えて、この辺まであるかなと。これが、基準値がこ こだったら。先ほど逐次抜取をやりましたが、ある程度サンプルをとったところで、全部出 てから計算しようというのではなくて、ある程度、いくつかとったところで判断して、十分 基準を下回っているといえば、そこでやめればいいわけです。全部お膳立てしてから、全部 データをとってから初めて平均標準偏差を計算するというのばかりではないということで す。抜取検査では、そういう意味で1個サンプルをとる度に、そのために平均標準偏差は違 いますが、それで判断するのがあるわけです。 ○藤田(統計数理研究所) 高いと思っている集団が全体の集団の何割を占めるかというの は、それは必要ですか。 ○加藤講師 こういうのが、こういう異常なデータが1個あって、これで一生懸命やるとほ かは全部迷惑してしまうわけです。ですから、そこは全体も考えた上で、ただし目的はこう いういい所を測ってもあまり意味がなくて。 ○櫻井委員 とんでもないのが引っかかった場合は少し丁寧に調べて、それは非常に特異な ケースで、全体とは違うのだということがわかれば、それはそれでいいわけですか。 ○加藤講師 それを対象とするかしないかは、はっきりさせておかないといけないと思いま す。 ○櫻井委員 だけれども、そういうとんでもない異常な数値であるということを判断する方 法はあるのですか、数字に語らせて。 ○加藤講師 ここで異常値とか。 ○櫻井委員 いわゆる外れ値。 ○加藤講師 というのは、その程度ですね。 ○櫻井委員 外れ値の検定。 ○加藤講師 もしこの集団を選んでやっているときに、普通はこの値なのだけれども、1個 ポンと出たとします。これはきっと外れ値で、もしかしたらこういう所でももっとすごい外 れ値が出る可能性もありますから、これだけ調べていると危ないということになるかもしれ ません。 ○名古屋座長 そのときは棄却検定でオーケーだけれども、それを入れるかどうか、逆に言 うとその状況を見て入れるかどうかを判断する、プラス棄却検定ぐらいの形ですよね。 ○加藤講師 そうです。ですから、とったデータのうち、このあたりが出てきたとき、これ が異常値で100年に1回なのだとか。 ○櫻井委員 でも異常値らしいと判断するのには、それなりのサンプルサイズがないとわか りませんよね。例えば10個のサンプルで、1つだけポンと右のほうへ行って、あとの9つ は比較的左のほうに寄っているというような場合は、たった10個でもそういうことは判断 できますね。 ○加藤講師 そうです。1つだけそういう浮いたデータがあれば、それはばらつきが広がっ て、そのうちの大きいのがすごい値だと、これは外れ値にはならないと思います。裾がそれ だけ広がっていて、上のデータだけ選んだのだけれども、しかもこれがずうっと裾を引いて いる可能性がある場合は、そういうデータになると思います。もし、こういうデータが本当 にピックアップできるならば、それほど大きいサンプルは要りません。 ○櫻井委員 このあたり変だけれども、10とか、実際に7つとか、10をとることはあまり ないのですか、なぜ10と。 ○棗田(中災防) それを事業所数と考えるのか個人サンプラーの数と考えるのかによって も、数は違うと思うのです。事業所数で言うと、最初は、ただ母集団がありますので、例え ば22とかいう形になって、また母集団とのあれもあります。うちでとっているので最大で 15事業場ぐらいです。 ○櫻井委員 事業場の数ですか。 ○棗田(中災防) はい。 ○櫻井委員 どちらかというと、ばく露が大きいであろう事業場を選んでいますよね。 ○棗田(中災防) そうです。 ○櫻井委員 報告があったのが30だとして、そのうち10事業場を選ぶと。その中のそれ ぞれの作業者の例えば個人ばく露濃度を測定しているわけですね。 ○棗田(中災防) はい。 ○櫻井委員 その場合、個人ばく露濃度のデータは、10事業場から20事業場あると、そう いう感じですよね。 ○棗田(中災防) そうですね。選び方としては、例えばですが、基本的には使用量が多い、 作業時間が多い、ばく露が高いと報告されている事業所をメインに抽出している。その中で 実際に調査に行って、事前の調査のところで、作業者でばく露が高い、確実にばく露がある であろうと思われる人たちだけをピックアップして個人ばく露を付けているので、確率的に 言えば高い人たちを選んでいると考えてもいいのではないかとは思います。 ○加藤講師 例えばこれはそういうピックアップするものが上から10%のものだというと きと、自信がなくて20%ぐらいかなとか、少なくとも50%かなと。それによってデータ数 は全く違ってくると思います。だから上のほうだけ選んでいるのだというと設計できないの ですが、ここの分布の位置とか、ばらつきがわからないけれども、上から10%のデータを とったのだというのがわかれば、それはサンプルが少なくて済むし、上から50%のデータ なのですというと、当然ですがサンプルは増えていきます。 ○櫻井委員 それは全然判断できないですね。上から何パーセントかということは絶対わか らない。 ○加藤講師 だから、その辺がどのぐらいまでは自信があるかということでしょうね。何も わからないでとるのではなくて、意図的に大きいデータをとっていらっしゃるのですから。 ○櫻井委員 大きいデータはとっているのですが、それが全体の中で何パーセント占めるか ということは絶対にわからない。 ○加藤講師 3分の1であることは自信があるかとか。 ○櫻井委員 そう、そう、そう。 ○名古屋座長 無理ですね。 ○加藤講師 いや、でも50%より下回るのは、半分のはとってない自信があるでしょう。 ○棗田(中災防) そうですね。 ○櫻井委員 それはあります。 ○加藤講師 それを突き詰めていくと、実際どのぐらいなのかがわかれば。この場合、少な くともこれの上位4分の1のデータをとっているのだと言えば。これの値とばらつきがわか らないものの正規分布のどの部分のデータかがわかりますので。 ○名古屋座長 でも、一次スクーリーニングはある程度母集団はわかりますよね。その中で 掛けてうちでとるということは、ある程度の大きさの母集団がわかっていて、そのうちのど のぐらいをとっているかということだから、ある程度のパーセントは推測がつくのではない ですか。 ○棗田(中災防) そうですね、作業者の数も、最初の報告、ばく露作業報告の所に出てい ますので、そうすると、うちでとっているサンプル数で、単純に割った値をパーセンテージ だと見れば、そういったパーセンテージとして見ることは、たぶんできると思います。 ○名古屋座長 そうすると、母集団がその中で大体15ぐらい入っているよと。それはたぶ んいまは推測できると思います。一次スクリーニング、二次スクリーニング、それをしてい なくてとっているわけではない。ある程度、対象母集団は全部決めていますので、その中か ら高い止まるところをとっているから、母集団の数がある程度、それほどいいかげんでなく 求まるから。そうなると、20か30かはっきりはわからなくてもある程度の数値の範囲はわ かってくる。そうするといまの説明はつきやすくなるのではないか、できるのではないです か。そうすると、そのある程度の範囲の中に入っている高濃度のところだけをとっています、 という統計処理になってくると思います。それだったらやりやすい、出来やすい。 ○加藤講師 私もこういうことをやっていると、ときどきサンプル数を聞かれます。データ がないときは、実はサンプル数は事前には決まらないのです。事前の予備調査をして、 ある程度データが出たところで「こういう目的には全部でサンプルサイズいくらか」、それ は計算できるのです。ですから上のほう、全体の5分の1のデータでとったデータですとい うところで、それが平均いくつで、ばらつきいくつなのかというデータが出ると、この分布 全体のこれを見るのにあとどのぐらいサンプルが必要かという設計ができる。 ○名古屋座長 それができると、例えば測定したデータがその範囲内より超えていれば当然 全部計測しているから大丈夫だと。設定された範囲よりどうしても少なくとってしまったと きに、もしかしたらそれが統計的なところから外れているからイレギュラーする可能性があ るけれどもということでしょうね。ある程度の母集団の数ができれば、サンプル数はわかる ということですよね。 ○加藤講師 少ない予備調査でもデータが出てくれば、要するに信頼率何パーセントでとい うと、サンプルがいくつ必要かというのが出てきます。 ○名古屋座長 それはありがたいのではないですか。測定するほうの中にその数が出てきた ら、その中で高いと思われるところがいくつあった。でも、それだと少し数が足りないから、 もう少し幅を広げて測定すれば、間違いなくそれはちゃんと規格の中に入るという話になる と思います。事前にやり方を聞いておかないといけないですね。 ○棗田 例えば、いままで2年間ぐらい調査をしていまして、トータルするとある程度のサ ンプル数、物質は違うのですが化学物質のばく露という考え方で言えば、一応ある程度のサ ンプル数はとってきていると思います。考え方としては全く同じスキームで測定をしている ので、そういった形で一応、ばく露の高い人たちを中心にとっているというように想定して 測定している。それが大体パーセンテージぐらいで、実際にどれぐらい基準値を超えている とか超えていないというデータも出せると思います。それで、大体のパーセンテージや濃度 幅というところから、いま言われたようなことを上から何パーセントぐらいに入るという推 計をすることは可能なのでしょうか。 ○加藤講師 こことこことここというデータがとれていると混ぜては使えないですね。 ○名古屋座長 やはりそうですね。 ○加藤講師 それほど数はないけれども、完全に同一の母集団だと言われているところから 3つのデータがとれていれば、少なくともそれだけでも平均と標準偏差は計算できますから。 ○名古屋座長 物質は1つなのだけれども、それと同じようにとればこの統計は使えるのだ けど、その中の作業が違うと母集団がこうなったりこうなったりしているから、それをまと めてやるとなると難しいですよね。本来的に、同じ物質で同じ作業のものがある程度の範囲 の中に入っていれば、統計的処理というのは簡単にできるのだけれども、なかなか難しいの でしょう。 ○櫻井委員 先ほどの逐次検査、魅力的で。というのは、全く低い濃度で行ってしまうとこ ろもありますから。そういうところはそれほどサンプルサイズをとらなくて。 ○加藤講師 そうですね。いくつかデータをとったところで、大きいほうを選んでこの値な のだからもういいよというのは、すぐそこで終わりにすればいいのですね。 ○櫻井委員 そんなにひどく苦労しなくても判断できてしまう。 ○加藤講師 良いところを知りたいという目的ではないので、一生懸命データを積み重ねて 情報をとる必要はないのですね。 ○櫻井委員 そうですね。本当に心配なものだけは一生懸命やらなければいけない。 ○加藤講師 データのとり方もこういうところで、各母集団の上のほうのデータだけ抜いて きましたというと、ちょっとこれが上にシフトするだけの話になってしまいます。ですから、 母集団がこちらなのは事前の情報でわかっていて、これはデータをとらない。だけど、こう いうところとかこういう部分をつかまえて、ここの上のデータだけとりますというとかなり、 目的に対しては精度はいいし、サンプルはうんと少ないと思います。あと、先ほど言ったよ うに、ここのうちの上から何パーセントまでの中でとったデータか。これがわかればいいで すね。 ○名古屋座長 一般的にいまのものについて、t分布を使ったほうが、サンプル数と合わせ てはいいですよね。 ○加藤講師 標準偏差を使えといっても、Σはわからないですから。 ○名古屋座長 そうすると、我々が前に考えたNIOSHのほうに比べるとかなりデータ数が 少なくなりますね。そうでもないですか。 ○加藤講師 ただ、NIOSHで出ていたのは、ランダムサンプリングしたときに上位10% のデータが1つは入るようなという条件のサンプルだけなのです。 ○櫻井委員 半分ぐらいですものね。 ○加藤講師 だから、サンプルが多いのです。ランダムサンプリングでありながら、必ずこ ういうデータがサンプルの中に入る。だから、標準偏差で分布を推測するのではなくて、デ ータの中に入るようにと言ってしまうので、かなりサンプルは増えてしまうのではないかと 思います。 ○櫻井委員 我々は意識的に高いほうを選んで、さらにNIOSHの考え方をもし適用すれば、 相当高い確率で、いちばん高いものを逃さないで済むだろうというのは一方に考えがある。 だけど、相当の数になりますよね。 ○加藤講師 だから、いちばんは先ほど言ったこういう分布で、こういうデータを本当に的 確に、確かにあたためているのかどうか。このつもりで分析しているけれども、こちらのデ ータをとらえていたのではもうアウトなのです。こちらの低いデータを平均とか、引っ張っ てしまいますので。 ○櫻井委員 もう1つ混乱しているのは、例えば全体の4分の1のデータだと、悪いほうか らほぼ4分の1に相当するデータであると考えられるならやりやすい。推定の精度が上がる というか、わかっていれば。そういうふうにおっしゃいます。 ○加藤講師 そうですね。 ○櫻井委員 ということは、例えば実際にサンプルをとった数、人数でいいと思いますが、 一応、例えば悪いと思われるところの従業員が全体で50人いるうち、悪いほうから10人 とっている。そのデータでやるということになった場合、そこからサンプルをとるわけでは なくて、もう既にそうなっているわけですか。 ○加藤講師 そのやり方で目星を付けてとる方法が本当に上のほうからなっているかどう かは、何らかの形で検証されていないと駄目だと思います。そういう選び方でやれば、必ず 上のほうがとれるというものがわかっていれば、もうそれはそういうデータのとり方をして 続けることができる。ただ、やっているほうはそのつもりなのだけれども、本当に大きいデ ータがとれているのかどうかの検証がされていないとちょっと怪しいことになりますね。毎 回やる必要はないと思いますが、1回、またはそのやり方で年1回は意図的にランダムサン プリングするのと選択したものでデータに印を付けて、確かに上位だけがとれているという ものを見ておかないといけないと思います。それさえやっておけば、あとはそのやり方で、 確かに上の大きいデータだけ集まっているという前提で進めることができるのではないか と思います。 ○櫻井委員 それは物質によって同じかもしれないということですね。つまり、物質によっ て全部違うのだったらちょっと現実的ではなくなってしまう。例えば、年に何十の物質それ ぞれについてこういう調査をやっているわけです。そうすると、1つの物質について仮に 我々は高いほうをとれていると信じているけれども、その1つの物質について、何年に1 回はそれが本当に高いほうであるということを確認しなければならないとしたら現実的で はないわけです。戻って、話が一般化できるならばそれは可能なのです。 ○加藤講師 選択するときに、何を根拠に大きいと判断しているかでしょうね。回帰で言う 説明変数と目的変数です。説明変数が1個であれば、それこそ相関係数だけですね。2個以 上になると重相関係数になってくると思います。 ○櫻井委員 それが1つの研究課題ですよね。 ○加藤講師 そうですね。1回でもやって、重相関係数がかなり高いのだったら、要するに 事前の条件で選んでいるのには間違いないと言えると思います。 ○櫻井委員 そうですね。1年ぐらいかけてちゃんと研究しないといけない。 ○加藤講師 その辺はどのぐらいがいいのかわかりません。でも、1回はやっておかないと。 やっているほうはそのつもりでも。 ○櫻井委員 本当に高いほうがとれているということを別の形で検証しておかないといけ ない。 ○加藤講師 そうですね。 ○名古屋座長 どうしましょう。なかなか、今すぐ結論が出てこないような気がします。 ただ、統計的な処理が何となくできそうだなという気はしてきたのは確かです。どういうふ うにして持っていくか、今のところすぐこの場で結論が出ないかもしれません。もう一度検 討させていただければありがたいかなという気がします。よろしいですか。あと、何か質問 等、いまのうちに聞いておくことはありますか。サンプリングをとるほうとしては。 ○棗田 我々はランダムであろうと、恣意的であろうと、それはとり方なので特別関係はな いというか、我々にとってはそれほど問題はありません。サンプル数があまり多くなってし まうと、たぶんお金の問題とか手間の問題で非常に厳しくなるので、逆に物質数を減らして いただければサンプル数を増やすこともできる形にはなるかと思います。あとは先生が言わ れていた、いまのやり方で例えば10階級をとるような形をとるとすると、ランダムで1回 とったものとデータを比較しなければなりません。そうすると、その時にどこかの時、今年 になるのかわからないですが、ランダムのものと一緒に、数を増やしてランダムサンプリン グと恣意的に選んだものとを比較してやるという形をたぶんとらないと。 ○加藤講師 検証としては、1回はこの母集団についてランダムにとって、ただしもう1回 やる必要はなくて、そのときにサンプルをランダムに選んだときに、これはトップだろうな、 これは第2番目だろうなとか、またはこれはこんな値になるのだろうなと予測してください。 それで実測値とやれば。 ○藤田 例えば同じ事業所で意図的に高ばく露の人を選ぶ。全体のリストの中からランダム に選ぶ。そして高い人にマークを付けておけばいいわけです。 ○棗田 マーキング。 ○藤田 数的には多い数のほうが望ましいですよね。全体の数としてあまり少ないと、大丈 夫ですか。 ○棗田 本当に高いばく露の人を選んでいるということを確認するのが目的ですから。 ○加藤講師 市場調査みたいなサンプルとはちょっと違うと思います。 ○棗田 若干気になったのは、重回帰相関にしても数が少ないと相関係数が出やすく、高く なりやすくなかったでしたか。 ○加藤講師 少ないと相関係数は高くなります。 ○棗田 高くなりますよね、そこがちょっと気になったので。ある程度、例えば20とか30 ぐらいのサンプル数は、たぶんトータルしたらあったほうが望ましいのかなと思いました。 ○加藤講師 サンプルは多いほうがよくなってしまうのですが。 ○名古屋座長 最低限でどれぐらいでしょう。大きいと大変ではないですか。 ○棗田 それは当然ですね。 ○加藤講師 無理なくとれるサンプルでも解析してみればいいのだろうと思います。 ○藤田 事業所について、ばく露している人のリストというか、人数はわかるのですか。 ○棗田 報告があるので、一応その報告をもとにします。あと、我々のほうも、実際にそこ でばく露調査をする前に事前に調査に行って、どの方がばく露をしているというのは調査し ていますので、それは完全にわかると思います。 ○藤田 ばく露している人の一連番号があればいいわけですね、ランダムにやるから。 ○棗田 そうですね。 ○加藤講師 それと独立に、この人は重そうだというのを選んでいただいて。意図的に選ん だのと、またランダムに選んだ人もその条件に振り分けて、この人はこれぐらいの値になり そうだなとかいうのを一応事前に出しておいて、実測値等を見てみれば。 ○大前委員 それはちょっとまずいのではないでしょうか。これを見ると、ここを知りたい わけですよね。だから、1つの工場でやったのではほとんど意味がなくて、いくつかの工場 でやってみて、その中で高いほうがちゃんと高くとれているかという話ですよね。例えば、 そこの工場が高いということを見込んで、その中から高めの人を選んで、ほかの工場も全部 含めてランダムにやってみて、こちらに入っているかどうかということを見なければいけな いので、一工場でやってもほとんど意味はないのではないでしょうか。 ○藤田 工場の選び方自体が妥当かどうかという。 ○加藤講師 例えば、ここを選んだときの高そうな人を選ぶ基準と、この工場で選んだとき の高そうな人を選ぶ基準というのは違うのですか、同じですか。 ○棗田 基本的には同じですね。 ○加藤講師 そうなのですか。そうすると、それほど複雑ではない、混合性があまりないの かもしれないですね。 ○大前委員 あとは誰を狙うか。 ○名古屋座長 それはこれから、もしかしてやれるのだったらやっておこうかなと。ただ、 1点、いままでのデータの中で、ある程度一次スクリーニングで母集団が決まっていて、精 査されて高い濃度のデータを持っているわけではないですか。そこのところを1旦1回出し て、どういう解析の計算でそういう形のものをやったかという、事例を1回出してもらうと わかりやすいのではないか。そのときの濃度が例えば、測った濃度の中の最高値を超えてい るかどうかを事例的な計算で出してもらうと、わかりやすくなるのではないかという気はし ます。どうでしょうか。いまは理論なのだけれども、でもどのぐらいまでなのだろう。実際、 いままでやってきた中で比較的母集団が大きくて、高いと思われたときの集団の多いデータ の中で、それを出してもらう。そのとき、これをオーケーしていたのだけれども、でも計算 してみるともっと高いところの水平値があった。ちょっと違ったなというのがあるのかどう か。そうすると、いままで私たちがそういうようにやってきたことが安心できる部分がある し、そういうことについては統計的処理ができるのだなということがわかってくるので、一 回、いまの話の総合された中で、このデータだとそれができるかなと感じたもの、一度だけ 先生にお願いしてやってもらえると、具体的な例があったほうがわかりやすいかなという気 がちょっとしました。いかがでしょうか。そのようなことは可能なのですか。 ○加藤講師 データを見てみないと何とも言えないのですが。 ○名古屋座長 いま、先生が言われたように大きなところの中から、例えばこのぐらいの集 団を選んでいると。その集団の中で高いところを選んでいる。高いところで計算したとき、 この集団の中ではいちばん推定値が高いのはこのぐらいの濃度だった。判断基準の濃度と比 べてみたら、判断基準より統計的処理が高いということがわかった。そうすると、やはりち ゃんとしなくてはいけないな。でも、やっているところが高くなかったとしたら、こういう やり方としては、そういう計算手法というのはこれから使えるなというのがわかると思うの です。 ○加藤講師 いままではデータの最大値で判断されていますか。そうすると、とったデータ のうちの1つ、マックスのデータだけで判断されているわけですよね。あとのデータは使っ ていないわけですね。それとも、最大のデータも見るけれども、全体を見て、平均標準偏差 で、95%を行くと最大値よりもはるか彼方まで行きそうなのか。 ○櫻井委員 通常、下のほうのデータは見ませんけれども。要するに標準値、指針値を超え るものが1つでもあれば問題なのですが、2つも3つもあればはっきり問題である。いま問 題にしているのは、1つも超えていない場合にそれでいいとするかという。 ○加藤講師 そうですね。先ほどの抜取検査でも、規格外のが1個もなくても不合格になる という状態があるのかどうか。全部のデータは規格内だったのだけれども、使ったデータ全 部でばらつき等を調べてみると、もっと裾がここまで伸びている可能性があるのかどうか。 ○名古屋座長 そこなのです。 ○加藤講師 それは完全な、きっと統計的なデータ処理の典型なので。 ○櫻井委員 それでは見ていただいて。 ○名古屋座長 1回だけ見ていただけると、事例がわかってくると我々もこのような手法で できるのか、より具体的な話として、この叩き台として出てくるのではないかと思うのです が。できるかどうか検討してみてもらえば。事務局、いいですか、お願いしてしまって。 ○化学物質評価室長 前回も実はいわゆる母集団の母平均とか、そのあたりのデータも含め てご提出を求められていましたので、もしよろしければ、加藤先生と我々で情報を整理させ ていただくこととします。 ○名古屋座長 今回のほうがより煮詰まってきて、目的がわかったので、どのデータを提出 すればいいかわかっていただいています。その中でいままでやってきたことがオーケーだっ たかどうか。あるいは、これからその手法が使えてそういうことができるのかな、というと ころを具体的な数値として見れたほうが、抽象的な話の中で議論しているよりは1ついいか なと思うので、次回、もしできたらそれが出てくるとありがたいと思います。 ○__ ……。 ○加藤講師 いや、それはまだ決まっていません。先生方の都合に合わせます。お忙しいと ころを本当に申し訳ありません。 ○名古屋座長 ただ、我々としてもそういうことができるなということがわかったのと、具 体的に出てきた数値を見ると「なるほど」とより実感として出てくるかと思います。あと、 何かお願いしておくことはありますでしょうか。よろしいですか。  それでは、説明いただき本当にありがとうございました。そうしたら、本件については提 出された意見を踏まえて作業部局、事務局等でよろしくお願いいたします。宿題になってし まって申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。  次に資料3「前回の新たなばく露評価手準のポイント」ということで検討しました。これ について、事務局がガイドラインの案を作っていただきましたので、資料3-1と3-2、説明 をよろしくお願いいたします。 ○化学物質評価室長 ご説明いたします。座長からお話いただきましたように、前回まで「ポ イント」というような形で整理をさせていただいていた部分について、「ガイドライン」と いう形で書き下し文に直させていただいたものです。それから、本日、検討いただいていま す統計的な部分と、その統計を前提とするサンプリングのスキームについてはまだご議論が あると思いますので、その部分については今後詰めていただけるということで進めさせてい ただければと思います。  ガイドライン(案)のご説明を申し上げます。構成については、そこに書いてありますが 「化学物質の労働ばく露評価ガイドライン」ということで、ばく露評価の手順を明確化する 目的とともに書かせていただいたのは、そこに「なお」と書いていますが、いままでご議論 いただいた初期評価、詳細評価、2つの概念を1つにしたものであります。いままでのとお り、それに関する対応するフロー図としては資料3-2がありますので、見比べながらご説明 をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  毎度申し上げているとおりですが、ポイントのほうに付いています、枠囲みのところに入 っている(1)(2)(3)が実際には、フロー図のほうの2枚目の「新たなリスク評価のフロー図」に 書いてある番号と対比できる形になっています。見比べながらお願いしたいと思います。実 際には、このガイドラインについては番号が付いていないところもありますので、追ってご 説明を申し上げます。  まず「初期評価」というところ、「ばく露評価の方法と概要」ということで書いています。 平成18年度に化学物質のリスク評価が開始され、おおむね以下の手順となっているのはご 案内のとおりですけれども、第1段階としては、対象化学物質について、事業場から「有害 物ばく露作業報告」を求め、当該報告により労働者の化学物質へのばく露の程度や広がりを 推定する。  その第1段階を踏まえ、第2段階では、報告により特定された事業場を対象として、ばく 露実態調査を実施し、高いばく露が推定される作業、作業者を把握し、これを対象として個 人ばく露測定、作業環境測定等を実施し、その結果を基に評価を行うということです。  手順ですが、2の(1)「ばく露データの収集・整理」ということでまとめています。これ については、現在とられている情報収集の情報ソースについて書かせていただいています。 国の統計、既存文献、関係業界団体等からの情報、そして有害物ばく露作業報告という、労 働安全衛生規則の第96条の5に基づくデータ、これを使いまして情報を収集し、ばく露評 価の基礎資料としていただいています。  既存文献についてはそこに書いてありますように、経済産業省の統計、「化学物質の製造・ 輸入に関する実態調査」、既存文献としては、化学工業日報社の情報誌である、これは1万 数千ということで、毎回数字が変わりますので○○とさせていただきましたが、「1万5,000 いくつの化学商品」というタイトルで出ている書籍で、こういったものを参考にさせていた だいています。関係業界団体としては、今日おられます山口環境安全部部長のところの社団 法人日本化学工業協会や化成品工業協会といったところに、情報をいただきながら進めてい るということでございます。これについては、重要な情報ソースというものがあればここに 掲げておいたほうが、あとでそれを参考にして情報収集ができるということですので、今後 付け加えをさせていただこうと思っています。ご助言いただければ幸いです。  2番目ですが、有害物ばく露作業報告については、2段階のスクリーニング方式により報 告を求めるということで、今回ご議論いただきましたように、報告者の作業負担を考えて、 第1段階として、対象物質の使用動向の報告を求める。第2段階として、作業実態の報告を 求めるという形であります。  第1段階としては、リスク評価候補物質について選定された物質を対象として報告を求め るという形にしました。報告対象期間についてはご議論をいただきましたが、遡求する形で はなくて次年度1年間の取扱いを対象とするということであります。報告事項については、 まず第1番目としては、使用動向を把握するという意味から、最小限のものということで取 扱い量、用途といったものを聞くことにさせていただいています。  報告対象者については、1年間に500kg以上の製造・取扱いのある事業者ですが、これに ついてはご意見としては、条件をできるだけ付さずにということでお話を伺っていました。 当初、500kg以上というものについても外すべきではないかということでしたが、法律に基 づく義務ということもあり、すべての者に求めるということになりますとかなり法律違反が 出てしまう可能性があるということで、一応500kg以上についてはそのまま置かせていた だきました。  ただ、そこに書いてありますように「なお」ということで、第1段階で報告がなかった場 合においては1年間の製造・取扱い量にかかわらず報告を求めることとしました。これにつ いては、補足でこういった作業をさせていただくということであります。ご議論いただけれ ばと思っています。  第2段階ですが、第1段階で報告のあった事業者のうち特殊な用途、あるいは作業のある 事業場、それから取扱い量、用途からばく露が高いと推定される事業場を選別し、当該事業 場に対して作業実態にかかる報告を求める。取扱い量、用途ということで規定していますけ れども、これについてはいま議論いただいていますので、ご議論を踏まえて修正させていた だきます。  次の頁、収集条件ですが、第1段階で報告のあった製造・取扱いの作業実態、作業環境と いうことで作業に関する報告をいただくこととしており、報告対象としては、いままではす べての事業者に対して報告を求めていたわけですが、第1段階で報告のあった事業者のうち、 以下により選別された事業場ということになります。ここでは「ばく露が高い」ということ で、そういった事業場について再度報告を求めるという形にする必要があるのではないかと 思います。ただ、スケジュール的に言いますと2度の報告を求めることになりますので、今 後それについては調整をする必要があると思っています。それについては選別条件、あるい は手法の挿入のところで、併せて検討をしていただければと思います。  2番目ですが、それを踏まえた「ばく露調査」ということで調査の段階に入ります。これ については、有害物ばく露作業報告等により収集されたデータを基にばく露が高いと推定さ れる事業場、特殊な用途・作業のある事業場を選定し、ばく露実態調査を行うということで ございます。  1番目として、調査対象事業場の選定で、選定条件はばく露が高いと推定される事業場、 特殊な用途・作業のある事業場ということです。  2番目として、選定方法としては、選定にあたっては、ばく露評価モデルの活用その他の 方法によりばく露レベルを推定し、調査の優先順位を付した調査事業場のリスト、「優先事 業場リスト」と呼んでおりますが、それを作成の上、優先順位に従って調査協力を求める。 なお、調査事業場数については、国内事業場の統計的推定が可能な数を確保することとする。 いまのリストの作成については、上位何パーセントというご議論もありましたので、手続き の明僚化を図るという意味でリストを提案させていただいています。  3番目ですけれども、モデルの推定については有害物ばく露作業報告のデータ等を使い、 ばく露評価モデルを活用しばく露レベルを推定するということであります。これについては、 昨年度中にそれに関するご報告をいただいています。活用可能なモデルについては、その下 に書いてあるようなものが挙がっています。  4番目、ばく露の推定が難しい場合の対応については、NIOSH等で採用されているよう な手法として、ランダムサンプリングを行うことも必要ではないかということです。  ばく露実態調査の部分ですが、優先調査事業場リストの優先順位を踏まえてばく露実態調 査を行う事業場を選定し、国から当該事業場に対して調査の協力を求めるということです。 この前提にあるのは、ばく露実態調査自体は法律的な義務になっていませんので、任意の協 力というものを求めるということであります。場合によっては、ばく露が高いと判断されて いる事業場であっても協力をいただけない可能性があります。その場合には順次、リスト順 に基づいて事業場に協力を求めていくという手法にならざるを得ないかなと思っています。 対象事業場数については、有害物ばく露作業報告の提出があった事業場及び用途等勘案して、 当該事業場におけるばく露レベルの推定に必要なサンプル数を確保する。これは統計の関係 も考慮するべきということであります。  ばく露実態調査については、作業実態の調査ということで、事前調査とばく露濃度の測定 という実測の段階、2段階をきちんと分けるということが重要であるというご指摘をいただ いていますので、そのようにさせていただいています。作業実態の調査については、事前調 査ということで、これについては、ばく露の高い作業、それから作業者の推定、ばく露要因 の分析が可能な調査項目を定め、これに基づいて聞取りによる調査を実施する。調査様式を 別途定める必要があるということです。  続いて5頁、調査実施上の留意事項です。これについてはアンケート調査の中で出てきて います、国の調査であるということがなかなか明確になっていない可能性があった。それに ついては国の調査であるということを明確にする必要があるということで留意事項に入れ ております。  2番目として、企業の中には作業工程というものを知られることによって、それは守秘情 報に当たるという判断がされる場合があるというので、あらかじめ、企業情報の扱いについ ての規程を作成し、調査で知り得た情報の取扱いを事業場の責任者にきちんと説明するとい うことと、調査報告書等を公開する場合にあっては、あらかじめ当該事業者から了解を取る ことということを書かせていただいています。併せて、事前調査においては、当然測定の手 順等を説明し、当該作業がある日時、場所等をその場で確認し、調査の段取り、実測の段取 りの内諾を得ることが重要だということを指摘しています。  その次、実測については、前回のご議論をいただきましたが、実測にあたっては、個人ば く露測定、作業環境測定、スポット測定を実測するということであります。3つの測定の理 屈づけがまだ我々としてもうまく行っておりませんので、そのあたり、どういうようにこの 3つの測定を絡ませていくのか、あるいはどれが重要なのか、どれが必要なのかという議論 も併せてしていただければと思います。  ただ、その測定に当たっては、前回ご議論いただきましたように、対象物質の捕集・分析 方法を定める必要がある。捕集・分析方法を採用するにあたっては、以下の精度要件を満た すものとするということで、前回の意見にもありましたように、作業環境測定のガイドライ ンといったものを検討した上で、そこにありますような精度要件を定めていく必要があるの ではないかということでした。それぞれの測定の部分については記述が未了ですが、個人ば く露測定、作業環境測定、スポット測定ということで、それぞれ記述をする必要があると思 っています。特に、サンプリングの方法についてはいまご議論をいただいていますが、それ を踏まえて、サンプリング方法等の調整の考え方についてはそこに記述していく必要がある というように認識しています。  その次、事業場において実測されなかった場合の作業内容の分析ということについても、 実測はとられていないけれども、事前調査で知り得た情報を含めて情報を整理しておく必要 があるということなので、特に、ばく露評価モデル等を活用して、ばく露濃度のレベルをで きるだけ定量的に分析する必要があるということであります。ここで書いた意味は、すべて の作業、すべての作業者に対して実測することが不可能という状況になると、少量の作業と いうもので抜けが出てくる可能性がある。そういったものを扱うということで始まったこの 場の検討からすると、モデルみたいなものもうまく使って少量、あるいは特殊な作業を分析 しておく必要があるのではないかという趣旨です。  その次、ばく露評価が(3)として書かれています。これについては、いわゆる測定値から TWAを算出するということで書いています。有害物の評価により導出されるばく露限界値 との比較が可能なよう、個人ばく露測定、スポット測定等が実測された作業について、時間 加重平均の濃度、TWAの8時間、あるいはTWAの15分というものを求めて、これをもと に評価をするという形をとることを書いています。TWAの算定方法については別途挿入す る必要があると思います。  続いて、経皮ばく露については前回、モデルのところで推定値を使った形で、経皮もでき るだけ把握する必要がある。特に、場合によっては化粧品などについては、やはり経皮をや っておく必要があるという指摘もいただきました。併せて、経皮ばく露のある物質が特定さ れることもありますので、そういったものについては必ずこの手法をとる必要があることを ご指摘いただいていますので、書かせていただきました。ただ、経皮ばく露の推定の場合、 保護具を着用していない場合が原則になっていますので、この場でも推定は「保護具が着用 されていない場合」という形でやることを書いています。  その次、発がん性の確認ですが、発がん性のうち、閾値がない場合には、発がん性の一次 評価ということになりますので、そのあたりを確認する必要があるということで書いていま す。閾値のあるものについては二次評価、閾値のないものについては一次評価ということで、 その段取りで進めるということを書いています。  リスク評価ですが、一次評価、二次評価ということであります。一次評価については、先 ほど申し上げましたように、閾値のない発がんが推定される物質を対象として行うというこ とで、評価においては個人ばく露測定から算出されたTWAの8時間の最大値と有害性評価 で算定された一次評価値との比較により、二次評価への移行の要否を判定する。超えた場合 には二次評価、それ未満であれば現時点でのリスクが低いと判断して、法令による規制は行 わず、行政指導の実施、または事業者の自主的な管理に委ねることを考慮するという書きぶ りで書いています。  8頁、二次評価については今日ご議論もいただいていますが、統計的な手法についてはま だ検討中であります。基本的には、二次評価も二次評価値とばく露値の比較にはなると思い ますが、その手法については現在検討いただいております。  その下の要因解析ですが、高い個人ばく露濃度を示した要因を評価し、事業場の固有のも のか、あるいは作業工程に共通したものかを分析する。解析の結果を踏まえて、行政指導の 実施を考慮するというように書いています。  それから、詳細評価ですが、これについては、二次評価値を超える問題となるようなばく 露が確認されたものについて、詳細評価に移行するということです。  具体的な手順については、ばく露データの追加収集・整理ということで、追加事業場の選 定をする際の情報収集が必要になります。詳細評価においては、より精緻なばく露レベルを 評価するため、追加事業場の選定を行う。事業場の追加にあたっては、高いばく露レベルが 推定される事業場及び少量製造・取扱い等特殊な作業の把握が可能な事業場の追加を選定す る。特に、少量製造等の特殊な作業ということに関しては、詳細評価で問題があるというよ うに判断されれば法的な規制になり、少量製造も含めすべてのものが規制対象になってしま うということで、特殊な作業についてはその扱いを決めておかないと過剰規制、あるいは不 適切な規制になる可能性があるということを踏まえ「少量」を入れています。  追加事業場の選定にあたっては、関係業界団体との協力の下、実施するということです。 これについては、当初の報告に出てこなかったようなものについても併せて、日化協等との 情報交換の中で、そういう事業場をご紹介いただくということも含めて書いています。  そのあと、ばく露調査については、基本的には初期評価と同じ。ただ、データについては、 追加事業場について、新たな情報が得られたものについて同様に対応していくということで、 以下ずっと同じでございます。  最終的な部分については二次評価、10頁のいちばん下、詳細リスク評価の二次評価とい う部分です。これについては、いまこの場でもご議論いただいているような状況ですので、 評価のスキームについては今後詰めていくということであります。  要因解析についても同様、二次評価値を超えるようなものについて、高い個人ばく露が示 された要因を分析して、事業場に固有のもの、あるいは当該作業工程に共通した、日本全体 としての問題性を帯びるものなのかを確認するという形で書いています。その分析の手法に ついては現在検討いただいているところです。  解析結果を踏まえてとるべき判断ということについては、特定事業に固有の問題であれば、 当該事業場の指導あるいは監督といったものをする必要がある。作業工程に共通する問題で ある場合については以下の対応をとるということで、それぞればく露レベルの区分分け及び その区分ごとの対応手段について検討するということで書いています。この部分については、 今後ご議論をいただくという趣旨でまとめています。以上です。 ○名古屋座長 説明、ありがとうございました。ただいまの説明について、ご意見等ありま したらよろしくお願いいたします。 ○山口(日化協) 2頁目の第1段階の有害物ばく露作業報告の内容で、母数を知るという 意味で作業人員ですか、正確な人数でなくてもよろしいので、ある幅で、例えば0から12 なのか、12から37とか、ある幅で記入していただいて、おおよその作業に携わる母数を把 握する必要があるのではないかと思います。それが二次評価に移るときの判断にもいろいろ 必要と思いますので、加えたほうがよろしいのではないかと思います。 ○名古屋座長 ありがとうございます、そうですね。いまのは、モデル様式を作ったところ に入れ込めばいいわけですよね、モデル様式を作るようなことになっていませんでしたが、 それを入れるときに。 ○山口 幅で書いてもらって、そこにマークしてもらう形がいちばんよろしいかと思います。 ○名古屋座長 わかりました、ありがとうございます。いっぱいありましたが、ほかにお気 づきの点はありますか。後半のところは、これからまだ詰めていかなければいけないところ はありますけれども、前のところは従来からお話しているところですので煮詰まってきてい るところかなと思います。何か、お気づきのところがありましたらどうぞ。 ○山口 第1段階のときに、極端な場合、人数が少なくて事業所が極端に多い場合と、ある 程度人数が多くて事業所が少ないというのは、統計上、同じような扱いができるのでしょう か。特殊なものがタイミングよく集まるような感じを受けるのですが。 ○名古屋座長 トータルとしては同じような数なのですが。 ○山口 極端に言うと事業所が多くて、人が1人、2人となると、幅がすごく広くなるよう なイメージを受けるのです。そのときに、上のところを選ぶということが可能なものかどう か。 ○加藤講師 可能かどうかちょっとわかりません。ただ、可能でないならば、もう全体の母 集団と考えてやるしかないと思います。逆に変に選ばないで。 ○山口 変に選ばずに、同じように考えてやるということですか。 ○名古屋座長 二次に移行してそこのところというのは、一次のものをスクリーニングして 二次に行くという皆さんの意見があって、そこで、データを見ながら精査していきますよと いう話になっているから、たぶん大丈夫ではないでしょうか。そうしないと、先生が言われ るように何が集まるかわからないので、そこのところは、二次段階に行くところできちんと 皆さんの意見を総合していって、ここを選びましょうと決めるというシステムを確立してお けば大丈夫かなという気はします。そこはなかなか詳しく書けない部分ですよね。どういう パターンが来るかわからない。 ○山口 一斉にスタートしてみて。 ○名古屋座長 そうなのです。そこのところが難しいかなと思います。そのときに、なるべ くイレギュラーしない形の、とりこぼしのない形で精査してもらえばいいかなということ。 それが積み上がってくると、ある程度精査できる形になってくるかもしれません。ほかに何 かお気づきのところはありますでしょうか。 ○櫻井委員 ちょうどいまのようなケースで、例えば何百もある中で、ランダムにいくつぐ らいのサンプルを選んだら、高いところが入ってくる確率を一定のレベルにとどめることが できるかというので、NIOSHが計算して出しているのは利用可能なのかなと。ノンパラメ トリックですよね。要するに、順番だけ考えているわけですよね。 ○加藤講師 ノンパラメトリックというよりも、係数値の長期化分布です。 ○櫻井委員 基本的にばく露のレベルそのものは考えなくて、要するに順番だけ考えればい いわけですよね。 ○加藤講師 90%だったでしょうか。ということは、逆に10回に1回は入らないという意 味なので、10回に1回が多いのか少ないのか、そこは問題の大きさに関してどうなのか。 ○櫻井委員 その前に、確かに、あらかじめ我々の判断が入っていない、ランダムサンプリ ングで10%落ちる可能性があるというと、やはりちょっとまずいかな。わかりました。 ○唐沢委員 5頁のガイドラインの1番目の○、「調査実施上の留意事項」の上の点、かな りきれいに整理されて、調査における企業情報の守秘に関し、整理して書いていただいてい ます。要するに、ここで言いたいことは、対象事業者の方が特定の工程とか作業の内容につ いて、これは秘密にしておいてほしいということであればそのまま守られるということです ね。そういう理解でよろしいわけですか。この文章からすると、「調査で知り得た情報の取 扱いを事業場の責任者に説明するとともに」、ここまではいいのですが、「調査報告書等を公 開する場合にあっては、当該事業者から了解をとること」と、その辺、ニュアンスを正確に 書いていただいたほうがいいだろうと思います。 ○名古屋座長 本来的には指針があったのだけれども、やってみたら、了解とれるまで報告 書に書けるということ。いまのは公開されないからということですよね。わかりました。そ このところ、よろしくお願いします。あと、ほかはよろしいですか。お気づきの点。  5頁、例えば精度要件のところはかなり細かくありますが、ばく露濃度のデータはそれほ ど細かく書かないのですか。それともある程度、これを見たときにわかるような形、ここに 「ばく露濃度」と書いておけば大体わかるという書き方をされる、これにも一応少しは文章 を付けるということですね。わかりました。スポットと同じような形で文章は付けるという ことでよろしいですか。 ○圓藤委員 そうですね。 ○名古屋座長 わかりました。その文章が出たとき、また皆さんと一緒にしようと思います。 あとはよろしいですか。ばく露の評価、TWAの最初の方法はもう決められて、いままでず っとやっていますがこの方法でいいと思います。  櫻井先生にお聞きしたいのですが、今回、最後のところにありましたね。資料のいちばん 最後のときに、例えば平均値のところはいいのだけれども、ばく露指数、非定常作業のとき というのは確かに8時間値に直せば少ない。でも、1回のデータが例えば100倍、1,000倍 を超えたらまずいだろう。そのとき、5倍がいいのか、10倍がいいのかという話が出てい ましたよね。そのところというのは、ここにこういうように評価するために盛り込まなくて。 ここは定常作業だけだから非定常は要らないということで、その盛り込み方は。その辺はど うですか。 ○化学物質評価室長 評価段階のものでしたので、それも含めて多少ご検討いただくという ことで書いておりません。 ○名古屋座長 わかりました。 ○櫻井委員 まだ結論になっていない。 ○名古屋座長 わかりました。入れたほうがやはりいいのでしょう。検討課題にしておきま しょうか。最終的には5がいいのか、10がいいのか、これも最終的には議論しなければい けないところですよね。 ○化学物質評価室長 前回のご議論では、産衛学会のほうでは1.5倍が基準となっていたよ うです。 ○名古屋座長 それは低いですね。 ○化学物質評価室長 それはちょっと低いのではないだろうかということを。 ○名古屋座長 わかりました。あとでそれを加えるという形で、関連の先生もいらっしゃい ますので、たぶんそこはここで決まってくるのだろうと思います。 ○櫻井委員 もう1つ、その近くの話で、フィルター清掃のように1カ月に1回のような非 定常作業をどう取り扱うかというとき、1カ月に1回が通常なので、例えば30分の1にし てしまうのはちょっとリスクがあるのではないか。圓藤先生がおっしゃいましたね。つまり 派遣労働者など、そういった作業ばかりやっている可能性がある。考えられるばく露のシナ リオをあらかじめよく考えておく必要があるだろう。一応、業界の方々のお知恵もお借りし て、通常考えられるリスクというものをちゃんとシナリオ化しておく必要があるだろう。 ○名古屋座長 作業の非定常ではなくて、人の定常が人ということで、人で考えると、いま 先生が言われたように、何回もやっていれば定常作業になってくるということになります。 私がガイドラインを作ったときはたぶんそのような感じですよね。塗装の人というのはA という所でやっている。次にBに移る。次にCに移る。でも、1週間はずっと塗装作業を している。作業をしている人は変わらない、では屋外作業も対象にしましょうという考え方 と一緒だと思います。だから、人に対する定常が非正常化ということを入れ込まないとまず いということです。 ○櫻井委員 わかりました。 ○名古屋座長 そこを入れるような形で検討事項にしておきましょう。あと、よろしいです か。検討事項は若干ありますけれども、だいぶ煮詰まってきていて、見てくるとそれほど直 すようなところはなくて、抜けているところを埋めていくとだんだん固まってくるかなとい う気はします。よろしいですか。今日はここで終わろうかなと思っていますが、どうでしょ うか。 ○化学物質評価室長 よろしければ事務局から。いまのこのガイドラインは、今日最初ご説 明しただけですので、改めて委員の先生方に見ていただいて、何かありましたら、出来れば 5月12日ぐらいまでに私どものところにいただければ、またそれを反映させてこの場に諮 らせていただきたいと思います。 ○名古屋座長 わかりました。ありがとうございました。今日のものの修正案を事務局にお 願いすると同時に、また今回については、今日もらった袋の中にあるのでしたか。 ○化学物質評価室長 それはまた別です。 ○名古屋座長 ごめんなさい。これについては、5月12日までに事務局に意見をいただけ れば。 ○唐沢委員 紙ではなくて、ファイルで送っていただけるとありがたいのですが。 ○化学物質評価室長 電子ファイルで送らせていただきます。 ○名古屋座長 よろしくお願いします。時間もないのですが、4と5が残っています。事務 局、5だけ説明してもらってよろしいですか。次回以降ということで。 ○化学物質評価室長補佐 わかりました。それでは資料5-1、今後の予定ですが、本日、第 12回を開催させていただきました。今後については、5月下旬ごろを目途に第13回、そこ で報告書の取りまとめをさせていただきたいと思っています。報告書の取りまとめに2回ぐ らいは時間がかかるのではないかと思っていまして、第14回も計画したいと考えています。 日程調整については、いま先生方にいろいろ確認をさせていただいているところです。間も なく13回、14回の日程については、詳しいご連絡ができるかと思っています。以上です。 ○名古屋座長 どうもありがとうございました。加藤先生等には若干宿題があって申し訳あ りません。中災防のデータを見てよろしくお願いいたします。そろそろ閉会します。本日は どうもありがとうございました。 照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                化学物質評価室  電話03-5253-1111(内線5511)