09/04/24 第3回目安制度のあり方に関する全員協議会議事録           第3回目安制度のあり方に関する全員協議会議事録 1 日 時  平成21年4月24日(金)10:15〜11:45 2 場 所  厚生労働省共用第7会議室 3 出席者   【委員】 公益委員   今野会長、勝委員、中窪委員、野寺委員、藤村委員   労働者委員  石黒委員、木住野委員、北田委員、田村委員、團野委員、              萩原委員        使用者委員 池田委員、小林委員、高橋委員、横山委員、吉岡委員   【事務局】厚生労働省  氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、             山口主任中央賃金指導官、伊津野副主任中央賃金指導官、             平岡課長補佐 4 議事内容   目安制度のあり方について 5 議事内容 ○今野会長  ただ今から、第3回目安制度のあり方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、目 安の表示方法とランク区分のあり方についてフリーディスカッションをしたいと考えてい ます。まず、事務局から資料説明をしていただき、それから議論したいと思います。では説 明をお願いします。   ○平岡課長補佐  本日は、資料No.1から資料No.6まで用意いたしました。まず資料No.1を御覧ください。1 番は目安制度発足の経緯について説明したものです。目安制度の発足としては、昭和47年 以降各地方最低賃金審議会において各地域の実情に応じて決定・改正されていた地域別最低 賃金について、全国的な整合性の確保に資する見地から、昭和53年度以降は、中央最低賃 金審議会が目安を提示することとされました。その際、ランクについては昭和52年の各都 道府県の地域別最低賃金額を基礎にし、4つに区分されました。また、目安の表示について は、各ランクの最低賃金額の最高額と最低額の中間を基礎にし引上げ額で示すという形で示 されました。こうした形をとった理由としては、中央最低賃金審議会としては各都道府県の 地域別最低賃金の水準については判断を加えず、その調整は各地方最低賃金審議会の自主的 な判断に委ねるとの考え方によるものと考えられます。  2番は昭和55年及び56年の中央最低賃金審議会の目安に関する小委員会における議論に ついてです。そこでは目安の表示方法やランク区分について議論がなされました。労使の主 な主張としては、労働者側からは、目安を最低賃金の絶対額で示すべき、それが受け入れら れないなら各ランク同額の引上げ額にすべきとの主張がなされました。一方、使用者側から はDランクを2分し5ランクにするとともに、下位のランクのアップ率を低くすべきとの主 張がなされました。結局のところ、労使の合意は得られず、目安は従来と同様の形態で示さ れることとなりました。  続いて3番ですが、昭和57年から58年にかけても目安のランク区分、表示方法等につい て検討がなされました。これは、昭和57年度の目安の審議においても労使より従来どおり 主張がなされたため、昭和57年7月に目安制度のあり方に関する全員協議会が設けられま して検討が行われたものです。このときは検討の過程において、地方最低賃金審議会から各 都道府県の低賃金労働者の賃金実態と地域別最低賃金額との整合性の確保といった地域別 最低賃金の水準の問題、地方最低賃金審議会の改正審議の長期化防止の問題についても検討 する必要がある旨の意見が寄せられたこともあり、これらについても検討が行われておりま す。  労使の主な主張として、ランク数については、労働者側からは将来的にはランクを減らし ていくべきであるとの主張がなされた一方、使用者側からは少なくとも5ランク、できれば それ以上に増やすべきとの主張がなされました。  表示方法については、労働者側からは、各ランクの標準値として絶対額で表示すべきとい う主張がなされた一方、使用者側からは、引上げ額で表示する現行方式を維持すべきとの主 張がなされました。  各都道府県の地域別最低賃金の水準については、賃金統計に基づく都道府県の賃金実態と 地域別最低賃金額とを比較した表を地方最低審議会で示すという公益委員の案もこのとき 示されました。以上の論点について検討がなされましたが、結局のところ、いずれの案につ いても労使の合意が得られず、引き続き検討することとされました。  次の4番に移ります。昭和59年から昭和62年までは目安制度のあり方に関する検討は棚 上げされていましたが、昭和63年の改定額の目安の答申の際に目安制度のあり方に関する 全員協議会を設けることが決定されたことを受けまして、平成元年より目安制度のあり方に 関する全員協議会で目安のランク区分及び表示方法について検討が行われました。このとき の労使の主な主張としては、労働者側からは、目安の形態をランク別の引上げ額からゾーン の表示に変えることが主張され、使用者側からは、各ランクの引上げ率による表示が主張さ れました。また、ランク区分については、使用者側から各県及び各県内の地域格差の実態に 即し合理的な設定を目指すべきであるとの主張がなされました。このときの結論としては、 目安の表示方法については今後さらに検討を行い、平成2年度からその具体化が図られるよ うに努めるとされ、ランク区分については今後協議することとされました。  資料は3頁の5番に移ります。平成2年の目安制度のあり方に関する全員協議会における 議論を紹介いたします。これは平成元年に引き続いて目安制度のあり方に関する全員協議会 が開催されており、ここで検討されたものになります。このときの労使の主な主張としては、 目安の表示方法について、労働者側からはゾーン方式が主張され、使用者側からは、ゾーン 方式は考慮には値するものの、地方最低賃金審議会における具体的な金額審議の際に、その 適正な運営について不安があるのではないかとの主張がなされ、結果としては、今後検討を 続けることとされました。また、地域別最低賃金の順序の問題もありましたが、現時点では 整合性についていくつかの地域において問題があるものの、多くの地域においては問題はな いとされました。  平成2年の目安制度のあり方に関する全員協議会の報告の後、目安制度のあり方に関する 検討は一旦休止されておりましたが、平成4年6月の目安に関する小委員会において、労働 者側より、一般労働者の賃金水準と比較した場合の最低賃金の水準の問題、ランク間の最低 賃金額の乖離の問題などについて問題意識が提示されました。  その後、平成4年12月の中央最低賃金審議会総会において、目安の決め方とその参考資 料、表示方法、ランク区分などについて、目安制度のあり方に関する全員協議会において2 年程度を目途に検討していくことが了承されました。  これを受けて平成5年3月に設置されたのが、6番に記載しております平成7年の目安制 度のあり方に関する全員協議会における議論になります。このときはランク区分について、 各都道府県の経済実態に基づき各ランクへの振分けを見直し、今後は見直し後のランクで目 安を示すということが合意されました。具体的な各都道府県の経済実態の把握方法としては、 所得・消費に関する5指標、給与に関する10指標、企業経営に関する5指標を用い、原則 として直近5年間の数値の平均値を用い、以上の各指標について東京を100とする指数を作 成し、これらの指数を単純平均し総合指数を算出することとされました。この点については、 後ほど資料No.2で詳しく説明いたします。  次に、ランク数については、従来と同様4つとすることで合意がされています。また、各 都道府県の各ランクへの振り分けについては総合指数を基本として、これに大きな格差のあ る府県間に着目するとともに、各ランクにおける総合指数の分散度合を全体的に小さくする 方向でランクの境界を設定することで合意されました。さらに、ランクの区分については、 今後5年ごとに総合指数に基づいて見直しを行うことで合意されています。表示方法につい ては、労働者側より、現行のランクごとに単一の額で表示する方式はランク間格差の拡大と ランク内格差の縮小という現象を生じさせ、各ランクの上位県の最低賃金額が低く抑えられ ているとの主張がありました。結果的には、各ランク区分の引上げ額による表示を引き続き 用いることとされ、また、目安額の算定については、目安制度の創設当初から用いられてき た各ランクの最低賃金額の最高額と最低額の中間値を用いる方式が変更され、「新たに各ラ ンクに振り分けられた都道府県の最低賃金額の単純平均値方式」とすることが合意されまし た。  7番は、平成12年の目安制度のあり方に関する全員協議会における議論についてです。 議論の内容として、ランク区分については従来どおりの4ランクとすることで合意され、都 道府県の各ランクへの振り分けについてはその基礎となる20の指標について基本的に変更 せず、ランクの移動をおさえ、各ランクの総合指数の分散度合を小さくすることも考慮して 決定することが合意されています。表示方法については、労働者側からランク間オーバーラ ップゾーン方式を含め、何らかの工夫・改善を加えるべきであるとの主張がなされましたが、 使用者側からは、この方式については慎重な態度が示されています。さらに審議を重ねた結 果、当面は現行の各ランクの引上げ額による表示を引き続き用いることが合意されました。  最後に、8番の平成16年の目安制度のあり方に関する全員協議会における議論について です。ランク設定の必要性については、平成14年に行われた最低賃金の時間額表示への移 行や、厳しい経済情勢による改定率の低下によりランクごとの目安額に差が生じにくくなり、 ランクを設定する意義が低下しているとの指摘がなされました。しかし、結果的にはこれま でランク制度が果たしてきた役割や時間額単独方式への移行から短期間しか経過していな いこと、さらに経済状況が今後大きく変化することもあり得ることなども考慮した結果、当 面ランク制度は維持することが適当とされるとともに、次回の目安制度のあり方に関する見 直しの際には改めて検討することが必要とされました。表示方法については、ランク制度の 維持を前提とするならば、これまでの慣行が定着していることを踏まえ、当面は現行の各ラ ンクの引上げ額による表示を引き続き用いることが適当とされました。  また、ランク区分の見直しに当たっては、基本的に平成7年及び12年の見直しにおいて 用いた20の各指標を用いることとされ、ランク数は従来同様4ランクとすることが適当と され、都道府県の各ランクへの振り分けは平成12年の全員協議会の報告と同様の考え方に 基づいて行うことが適当とされました。以上が目安制度のあり方に関する全員協議会などに おけるランク区分、表示方法等についてのこれまでの検討経過です。  次に、資料No.2は、平成16年の目安制度のあり方に関する全員協議会の報告に基づくラ ンクの変更についてお示ししたものです。左側の表が、ランクの変更が行われる前の平成 16年度地域別最低賃金額の状況です。真ん中の表が、平成16年目安制度のあり方に関する 全員協議会報告における総合指数、右側の表が、直近である平成20年度地域別最低賃金額 を示しています。  ここで、平成16年の報告におけるランク振分けの方法について若干補足して説明いたし ます。総合指数については、資料の8頁、9頁を御覧ください。この総合指数は、8頁、9 頁で一覧にしている指標を基に算出しています。そして、総合指数の具体的な算出方法を含 めたランクの振り分けの方法は、7頁で整理しています。  7頁では、この20指標について各年のばらつきをなくすために、原則、平成11年から15 年までの5年間の平均値をとり、それぞれの指標について東京を100として指数化した数字 を作ります。そうすると指数化した数字が20出てくるわけです。それを単純平均すること により総合指数を算出しています。このように算出された総合指数について、以下の3つの 考え方に基づいてランクの振り分けを行っています。1つ目は、総合指数の差が比較的大き いところに着目します。2つ目は、ランクを移動する都道府県や、ランクごとの都道府県の 数の変動は極力抑えます。3つ目は、各ランクの総合指数の分散度合をできる限り小さくす ることに留意します。  6頁に戻りまして、先ほどの方法によって計算された総合指数は真ん中の表になりますが、 このときに愛知県と千葉県がBランクからAランクに、富山県と三重県がCランクからBラ ンクにランクが変更されています。右の表を見ますと、ランクが変更された先ほどの4県の 地域別最低賃金額がどのような状況にあるかがわかると思います。これを見ますと、愛知、 千葉、富山の3県はまだ各ランクで下位となっていますが、三重県についてはBランクで中 位に現在ある状況です。  次に、平成16年の報告におけるランク変更の具体的な影響については10頁の資料No.3を 御覧ください。愛知県についてはBランクからAランクへとランクの変更があったわけです が、例えば愛知県の平成19年度は、旧ランクであるBランクでとどまった場合は目安額は 14円でしたが、新ランクであるAランクでは19円の目安額が示され、さらに地方最低賃金 審議会で1円の上積みがなされていますので、旧ランクにとどまっていた場合よりも計6円 の積み上げがなされていることになります。愛知県については平成17年度から19年度まで の累計で10円、同じく千葉県については7円、富山県については6円から7円、三重県に ついては5円から6円となっています。なお、平成20年度は生活保護との乖離解消があり ましたので、19年度までとは別に記載しています。このように見ますと、ランクの変更の あった県では、旧ランクにとどまった場合に比べて確実に積み上げがなされている状況があ ると思います。  11頁ですが、ランクが変更された県とそうでなかった県について、地方最低賃金審議会 の目安額に対する上積み額の推移を示したものです。この網かけ部分がランクの変更が行わ れた県になります。これを見る限りでは、網かけがされているランクの変更が行われた県で は、変更が行われなかった都道府県に比べて、幾分積み上げがなされていると見受けられま す。これを見る限りでは、ランクの変更がなされた県について影響を与えたのではないかと 思います。  12頁、資料No.4を御覧ください。これは、各ランク内でばらつきがどうなっているか、ま たランク間のばらつきの状況がどうなっているかについて、標準偏差という指標を用いて見 たものです。標準偏差の考え方については13頁で整理していますので、御覧ください。標 準偏差はデータの散らばり具合を示す指標で、平均値から個々の数字の離れ具合をとって算 出しています。標準偏差が大きくなれば、ばらつきが拡大したことを示すことになります。  12頁に戻りまして、ここでは標準偏差から各ランクの推移を見ることができます。これ を見ますと、昭和53年度から平成6年度にかけてAランク、Cランクではばらつきが縮小し、 Bランクでは拡大、Dランクではほぼ横ばいの状況が見られます。平成7年度、平成12年度 にはランク変更があったこともあり、各ランクとも一時的にばらつきが拡大しています。平 成7年度、平成12年度を基準にしますと、平成7年度は平成11年度に向かって、平成12 年度は平成13年度に向かって格差の縮小傾向があるように見られます。時間額表示となっ た平成14年度から平成16年度にかけてはAランク、Bランクでばらつきが拡大、Cランク、 Dランクでは縮小しています。平成17年度から平成20年度にかけては、平成19年度までは どのランクでもばらつきが縮小していましたが、平成20年度にはAランク及びBランクに おいてばらつきが大きく拡大し、Cランク及びDランクについては縮小しています。  この頁の一番下の表は、各ランクの平均値について標準偏差を見たものです。昭和53年 度当時の標準偏差は141.77だったものが、平成6年度については254.84、平成11年度には 270.93、平成13年度には274.70ということで大きくなっていますので、ばらつきとしては 拡大していると思います。時間額表示になって以降を見ても、36.00であった平成14年度 に比べて、平成20年度には42.93となっていますので、ばらつきは拡大していると思いま す。  14頁は、各ランクの最高額と最低額に着目し、ランク内の格差の推移を示しています。 最高額、最低額、差、率を左側に取っています。差は最高額と最低額の差を表し、率は最高 額を分母として最低額を割ったときに何パーセントになるかを示したものです。率が高まっ ているということは、最高額と最低額の差が縮小していることを意味していると考えられま す。地域別最低賃金額の水準自体が、昭和53年度から平成6年度までで2倍弱となってい ますので、ここでは差だけではなく率も併せて見ています。平成16年度まで見ますと、A ランクの率は昭和53年度の99.7から平成16年度の99.2となっていますので、上昇傾向で 推移しています。しかし、Bランク、Cランク、Dランクでは平成7年度や平成12年度のラ ンクの入れ替えがあった年度については率が下がっているものの、基本的には上昇傾向また は横ばいで推移しています。平成17年度以降は、Aランク、Bランクについては率が縮小し、 Cランク、Dランクについては率が上昇しています。  15頁はランク間格差ということで、上位ランクの下位県と下位ランクの上位県との格差 を比較しています。額の格差は、上位ランクの一番下の県の額から下位ランクの一番上の県 の額を引いたもの、格差率は上位ランクの一番下の県の額で下位ランクの一番上の県の額を 割ったもので計算しています。格差率が大きいということは、ランク間の格差が小さいこと を意味していると考えられます。  具体的にみますと、額のランク間格差について、Aランク、Bランク間では時間額表示と なった平成14年以降差が縮小しています。Bランク、Cランク間ではマイナスはあるものの、 マイナス幅は縮小、Cランク、Dランク間では拡大傾向にあります。また格差率は、Aラン ク、Bランク間では平成14年と比較して拡大、Bランク、Cランク間、Cランク、Dランク間 では縮小しています。よって格差はAランク、Bランク間で縮小、Bランク、Cランク間及 びCランク、Dランク間では拡大しているものと思われます。  最後に、この表の下にありますが、全体で見た場合の最高額と最低額の状況です。率は平 成13年まで上昇傾向で推移し、その後、下降傾向にあります。近年だけで見ると、格差は 以前より拡大していると考えられます。以上がこれまでのランクの影響です。  次が16頁、資料No.5です。こちらは20の指標の総合指数と最低賃金との関係について比 較したものです。●で示したものが、平成20年度地域別最低賃金額について、東京を100 として各都道府県で比較したものです。■で示したものが、平成16年の20指標の総合指数 の数字を東京を100として、各都道府県と比較したものです。これを見ますと、総合指数と 最低賃金は大体似通った形状になっていると思われますが、九州地区を見ると、最低賃金は ほぼ横並びですが、総合指数ではばらつきがありますので、ここでは若干ずれが生じている ことが見受けられると思います。  17頁の資料No.6は、時間額表示へ一本化したことなどの影響について整理しています。こ こでは、日額から時間額へ最低賃金の表示単位が変更されたことでどのような影響が出てい るかについて示しています。この17頁の下の表の中ほどにありますように、Aランク以外 ではランク内の最高額と最低額の格差は小さくなっています。また、表の右端にありますよ うに、ランク間の格差も縮小されています。さらに、この同じ表の左端にありますように、 各ランクの平均額は小さくなっています。このように平均額が小さくなるということは、一 定の引上げ率を掛けた場合、各ランクで引上げ額に差が生じにくくなることを意味している と考えられます。  18頁は、時間額表示への移行に伴う最近の低い引上げ率の影響を見たものです。下の表 は、伸び率と各ランクの引上げ額を見たもので、引上げ額は伸び率に平成20年度における ランク内平均最低賃金額を掛けて算出しています。これで見ますと、ランクごとで金額差が 生じにくくなっていることがわかります。具体的には、3%程度の引上げ率となった場合に、 初めて各ランクで1円ずつの相違が生じることになります。なお、直近で引上げ率が3%を 超えたのは、平成5年まで遡ることになります。  最後になりますが、19頁はランク設定の影響等について説明したものです。従来の引上 げ率の水準や日額での表示の下で、目安額の算定基礎となる平均最低賃金がランクごとで差 があったため、各ランクで異なる引上げ額の目安が提示されており、どのランクに属するか というランク設定や、5年ごとのランクの入れ替えは一定の影響を与えていましたが、時間 額表示への移行や近年の低い引上げ率のために、ランク設定の意義が相対的に薄れてきてい ました。しかし、近年、目安の算出方法が従来と異なってきており、必ずしもランクの設定 等の影響が小さいとは言えない状況になってきていると考えられます。私からの説明は以上 です。 ○今野会長  ありがとうございました。ただ今の説明について、御質問なり御意見がありましたらお 願いいたします。   ○藤村委員  6頁の都道府県別のランクの分け方の表ですが、岐阜県についてお伺いしたいのです。岐 阜県の最低賃金額というのが一番右側の平成20年度で見ますと696円で、これはBランク の真ん中ぐらいの位置づけですね。一番左側の表の平成16年度地域別最低賃金額も岐阜県 は決して低くないのだけれど、真ん中の総合指数で見ると低いから、多分ランクは上がらな かったと思うのですが、なぜ岐阜県は総合指数にすると低いのですか。あるいは最低賃金が 岐阜県の場合は高いのはどうしてなのですか。わかりますか。   ○吉本勤労者生活課長  お手元に最低賃金決定要覧がお配りしてあるかと思います。その210頁からになりますが、 前回、平成16年の改定のときに使った資料です。これで岐阜県がどの辺りが低いのかを御 覧いただけるかと思うのですが。   ○今野会長  事務局でどなたか、今ぱっとその指標を見てどの指標が低いのかを探しておいてくださ い。 ○吉本勤労者生活課長  では、ちょっと時間をいただいて後ほど整理いたします。   ○藤村委員  私の質問の趣旨は、やはり都道府県ごとにあの県がBランクなのに、うちは何でCランク だとか、そういうのがあるのかと思って。通常、愛知・岐阜・三重、東海三県とか言います ね。三重県が上がって、岐阜県はそのままだったということについて、地方最低賃金審議会 の方から何かクレームがついたのかな、その程度の興味なのです。   ○吉本勤労者生活課長  この真ん中の数値が低いことは紛れもない事実だと思いますので。そういうことからす ると、この指標に基づく限りはこのランクだということなのだとは思うのですが。   ○勝委員  質問です。今の藤村委員の御質問は岐阜県ですが、特に6頁で見ると指標がかなり低い。 指標の説明の7頁に「ランク振分けの方法」があるのですが、その一番上で、平成11年か ら平成15年までの数値の平均値であると。これは、16頁もそうなのですが、総合指数に関 しては目安制度のあり方に関する全員協議会報告(平成16年)の総合指数になっています。 多分近年、特に2000年以降非常に大きな構造改革があって、地域の指数というのがかなり 変化している可能性もある。何で古い数値というか、平成11年から平成15年までの数値の 平均なのか。もっと新しいアップデートされた数値での比較というのはないのかというのを お伺いしたいのですが。もちろんこれは平成16年でランク分けしたので、その数値だと思 うのです。最近の数値で見ると、多分岐阜県の数値がかなり変わってきている可能性もある ので、もしできれば、最新の数値というのは入手できないのかというのが質問なのですけれ ども。   ○吉本勤労者生活課長  それは今作業をしておりまして、いずれまた同じようなかたちで、この指標がどうなっ ているのかを検証した上で、振り分けの作業に入っていくことになります。恐縮ですが、今 日はまだ手元に揃っておりませんので、また改めましてと考えております。   ○今野会長  岐阜県の件は、どこを見ればいいか分からないですか。調べていただいて、こんな指数 に特徴があるということを後から御報告いただければと思います。他にございますか、いか がですか。   ○池田委員  質問が2点あります。1つは、ランクの改定のたびに少しずつAランク、Bランクの数が 増加してきているということで、過去の改定によってランクの下がった県がほとんどない。 上がるケースが大半だということなのですが、どうしてランクの上昇が多くて、下がること があまりないということの理由が何かあるのか。過去のデータですと、平成7年度にBラン クが8府県から9府県になって、平成12年度にBが9府県から10府県になったそうです。 前回のランクの改定では、Aランクが3都府県から5都府県に増加したということで、Aラ ンクとBランクを合計すると11都府県が15都府県に増えているということで、上がるとこ ろばかりで下がるところがないということです。今後の1つの方法として、現下の厳しい状 況、それから最低賃金で雇用する所は中小企業が多いことを考えますと、ランクを引き下げ てCランク、Dランクを増加させることも今後のランク設定の選択としてあるのではないか というのが、最初の質問です。  2つ目が、8頁のランク区分の見直しの基礎ということで、所得と消費関係が5指標、給 与関係が10指標、企業経営関係が5指標ということでやっていますが、最低賃金の決定の 3要素であります生計費、類似の労働者の賃金、企業の支払能力に対応するということであ れば、この3要素のバランスが重要だと思うということでございまして、20指標のうち、 特に企業経営関係の指標が5つしかないという理由と、この5指標が選択された理由を後ほ どお聞かせいただきたいということです。 ○今野会長  よろしいですか。3つおっしゃったのですか。 ○池田委員  表示方法が、中央最低賃金審議会で示された目安が地方最低賃金審議会の審議で絶対視 されておりますので、地方最低賃金審議会の審議が形骸化してしまうということがないよう にすべきであるということで、今のランクとは違うのですが。とりあえず今回はこの2つに しておきます。   ○今野会長  では2つについてお答えがありますか。   ○吉本勤労者生活課長  ランクの振り分けにつきましては5年に1度ということで、その時々の総合指数を見て、 7頁の資料にも付いていますが、それを並べてみてどのように分割するか3つほど考え方が 書いてあります。それを総合的に勘案した上でどうするかといった御議論の結果ですので、 必ずしも下から上が多い、これまでの数からいうと、確かにそちらのほうが多いわけですが、 前回はたまたまランクが下がった所はなかったわけです。平成12年の改定あるいは平成7 年の改定ではそういったケースもございますので、どちらにするかといった方向が先にある ものではないと考えています。  2つ目の指標の採り方ですが、これもずっとその中身、あり方について御議論をいただい てきているところです。現在のこの指標を採っているということについては、大きく3つの 考え方に基づく指標、即ち法律上その3つの要素を勘案しろということになっていますので、 1つは労働者の賃金、あと生計費、もう1つは企業の支払能力といったことになっています ので、それぞれを反映できるような指標をピックアップしたというのが、基本的な考え方で す。  それぞれの数については、これも御議論の結果ということと理解していますが、あえて申 し上げれば、企業側の状況を反映する、その企業経営に関する指標、支払能力等に関する指 標が5つで、逆に労働者側の置かれている状況、生計費等に関するものが5指標、あと賃金 の実態というのは、いわば労使交渉の結果として、両方の状況を見た結果として出たものだ とすれば、中立的な要素ということで、これを10指標というような考え方で御用意してい たのではないかと思います。  あと、企業経営に関する指標がなぜこれなのかというところですが、これがそれに関する 資料をできる限りバランスよくピックアップしたものと思われますが、同時に統計データと して各都道府県のデータが取れるものでないと意味がないですので、そういう制約の中でピ ックアップしたということではないかと思います。 ○今野会長  企業経営に関する5指標って、一応業種は考えていたみたいですね。製造業、建設業、卸 売業・小売業、一般飲食店,サービス業という、こういう業種構成を考えて採っている。で すから、こういう業種構成で良いのかとか、問題提起としては理論的にはあり得るというこ とです。   ○池田委員  3番目のこの企業経営関係ですね、もう少し増やしても良いのではないかということ、バ ランス的にということです。   ○今野会長  ですから、今おっしゃられたことは2つのことで、分野ごとに5指標、10指標、5指標な ので、この分野構成が良いかという問題と、各分野内の指標が良いかという、2つの問題を おっしゃられていて、後者の分野内の指標はこれで良いのかという点については、現在の指 標は業種を考えて採っているということですねと、そういう私のコメントだけなのですが。  ただ、今事務局が言われたように、県別に安定した数字が取れる統計はそんなに多くない ですね。そこの制約はものすごくあると思います。 ○高橋委員  今の1点目の池田委員の質問に対する課長の御説明に関することですが、こちらの最低賃 金決定要覧の222頁ですが、先ほど池田委員が御質問されたことに関するデータが載ってい ます。昭和53年度から入って、総じて見て3回の改定において、都合延べで12県が上がっ ている。一方で、下がっているのは3県です。Aランク、Bランク、Cランク、Dランクのそ れぞれの都道府県数を見ても、総じてAランク、Bランクが増えて、Cランク、Dランクが 減ると、数としてはそういう傾向にあることは事実です。池田委員の指摘は、真にそのとお りではないかと思っております。   ○田村委員   この5年間の指標でこれから計算していただいて審議されると思いますので、その指標が それで良いのかどうかはこれから我々も検討していきたいと思っていますが、池田委員、高 橋委員が言われた中で、要は上がる都道府県があって、下がる都道府県は三重とか岐阜に限 定された所が動いているのですが、現実的には。これを、あっても良いではないかという御 発言だったと思うのですが、計算的にいきますと、例えばBランクからCランク、あるいは CランクからDランクにいくということは、上位ランクの下位グループの都道府県が下のラ ンクの上に入りますから、今、中位数なり平均値に、そこでの第4表を中心としたようなも のを掛けているわけですが、当然そのゾーンの中では底辺は上がるという結果を生むことに なるので、我々はそこは少し勧迎なのですけれども、そのことを容認されているという具合 に取っていいわけですね。ランクの高い都道府県が下位のランクへ入ってきますから、平均 値を上げることになりますから、そこに同じ目安額なりを示すと、下位ランクは当然上がる という理解をしていいですね。ランクの高い都道府県が下位のランクに入るから、平均値を 押し上げる傾向にありますから。   ○今野会長  低いのが下に行きますからね。   ○田村委員  ええ。そこで計算したものを、全体に掛けるというかランクの中で見るわけですから、 一番底辺に大きな影響力を与えることになりますから、ということを容認していただいてい るのだなという具合に取ったのです。   ○池田委員  一般的に、その年々の経済情勢、都道府県の情勢はすぐ変わりますね。ものすごく良い 所と悪い所とね。   ○田村委員  でも、ランクは5年ごとの、過去5年間の平均値でやっていますから、トレンドになると 思います。   ○池田委員  その辺を少しバラエティーに出しても良いのではないかという考えもありますよね。徹 底的に上がる一方ではおかしいじゃないかと、当然下がるところもあってしかるべきだと。   ○田村委員  分かります。そのときは、一番底辺は上がりますねということだけ。   ○池田委員  上がるか下がるかはまた別ですけれどね。   ○今野会長  計算の問題としては、一番上のランクの一番下が下のランクに移るということは、移っ た先も上がりますね。   ○田村委員  上がります。 ○今野会長  残ったところも上がりますね。   ○田村委員  上がります。   ○今野会長  それは単なる計算の問題なわけですよ。そういうことは起こるでしょうね。今度は逆に、 上げると今度は逆ですよ。   ○田村委員  下がる可能性はありますね。   ○今野会長  逆に全体的に下がるということになる。   ○田村委員  そんな意味で、あんまり大きな入れ替えをしないでおきましょうというか、行ったり来 たりのところは大変ですねということが、過去行われてきたという具合に思っていますので。   ○今野会長  これ、今高橋委員がおっしゃられたこの表を見ますと、岐阜があるときすごい落ちてい るのですね。ちょっと落ちすぎですね。   ○藤村委員  総合指標でやるとこうなるのでしょうね。   ○今野会長  昭和53年から平成7年までこんなに落ちている。   ○吉本勤労者生活課長  一言よろしいですか。平成7年に指標方式を採る前は、昭和53年ですか、1回そのラン クは決めましたが、その後はどちらの中間値に近いかということで動いてきたにすぎないも のですから、その当時からの最低賃金額が当初高かったということがたぶん影響としては大 きいのかなと。  後、それに補足して、その20指標を見た結果として取りあえず申し上げられそうなこと は、岐阜については1人当たりの県民所得、雇用者1人当たりの雇用者報酬、こういった賃 金に関する指標がやはり比較的低い。それからあとは企業経営の方の関連といたしましては、 卸売業の1就業者当たり年間販売額、あるいはサービス業の事業収入額といった辺りが比較 的低いというのが影響しているようです。 ○今野会長  他にございますか。   ○團野委員  一言。前回、2項目10点にわたって論点を述べさせていただきました。基本的にはそう いう考え方で、今後審議に臨みたいと考えております。今回はもう少し具体的にというか、 視点について若干申し上げたいと思います。  先ほどの中央最低賃金審議会で冒頭、金子労働基準局長も、少し挨拶の中で言われました けれども、様々な環境状況の変化がございますけれども、そういう中にあって最低賃金の果 たすセーフティネットとしての役割が年ごとに大きくなってきているのではないかという ふうに労働者側としては認識をいたしております。したがって、そういう状況を踏まえて、 今回の目安制度のあり方に関する全員協議会においては、最低賃金法の改正の趣旨がどこに あったのか。また、成長力底上げ戦略推進円卓会議における議論への配慮、そういうものを 配慮しながら、目安制度のあるべき姿について検討していく必要があるのではないか。簡単 に申し上げますが、そういう視点であります。個々の中身については触れません。そういう ことで検証・評価をしていくべきではないかということであります。  それから、30年の検証と評価に当たっての視点について、少し申し上げたいと思います。 1点目は、全国的な整合性確保という点についてであります。言うまでもありませんが、昭 和53年に発足したこの目安制度の目的は、労働者側としては最低賃金の決定における全国 的な整合性を確保する、ここにあると認識をしております。また、1990年の目安制度のあ り方に関する全員協議会の報告を見ますと、この全国的な整合性について、具体的には各都 道府県の賃金の実態の順序、これと地域別最低賃金の水準の順序については、概ね整合的で あるべきと確認されているところであります。  目安制度の検証と評価であります。制度の目的である各都道府県の賃金実態の順序と、そ の地域別最低賃金の順序が整合的であるかどうかについて分析をまず行う。ここをまず見て みるべきではないか。その上で、課題がどこにあるのかということを明らかにするというの が、一番分かりやすい方法ではないのかと思っております。  2つ目の視点ですが、賃金水準と生計費水準とのかかわりについて、意見を申し上げたい と思います。ILOの131号条約、これを見ますと、最低賃金の考慮要素としては、国内の賃 金の一般的水準と生計費とを挙げているわけです。また、ILO並びにOECDにおいて、最低賃 金の国際比較を行う場合には、ここでも各国の一般賃金に対する最低賃金の比率というもの が重要な指標になっています。  ちなみに、欧州委員会の独立機関であるユーロファンドの調査によれば、ちょっと古いで すが、2004年における日本の平均賃金に対する最低賃金の比率は36.5%であります。国際 比較すると、欧米の主要国に比べれば低い。様々な理由がありますが、見劣りがする水準で あるこということです。ここに我々は問題意識を持っているということを申し上げておきた いと思います。  したがって、こうした状況を踏まえれば、賃金の一般的な水準と最低賃金との関係がどう なっているのか、そして生計費の水準と最低賃金の関係がどのような関係を持っているのか、 適切な最低賃金の水準のレベルがあるのかどうか、この辺についてもみておく必要があるの ではないか。その上で、課題を明らかにしていくべきではないかと、視点として考えている ということです。以上、総括的ですが、そういう問題意識、視点を持っているということだ け申し上げておきたいと思います。 ○田村委員   同じように総括的です。今團野委員が述べましたとおり、30年の検証と法改正の意義と いうのは真摯に受けとめていく必要があるのだという具合に思っております。特に、ランク 設定の必要性ということが、この目安制度のあり方に関する全員協議会の意味だと思います けれども。これまで、先ほど説明がありましたように、1980年から2005年までの25年間、 前半というか、当初は各ランクの中間値に同率を掛けた、引上げ額、そして後半はランクの 平均値に同率を乗じた引上げ額ということを目安にしてきました。それまでの経過を踏まえ ますと、2004年12月の目安制度のあり方に関する全員協議会で、先ほど説明がありました、 時間額単独方式への移行と、厳しい経済情勢の中で改定率が低くなっていることにより、ラ ンクごとの目安額に差が生じにくく、ランクを設定する意義は相対的に低下しているという 御議論があったという具合に思っておりますので、その認識に立って、今回、要は前回で言 いますと、次回の見直しの際にはランク設定の必要性を改めて検討することが必要であると いうことで、課題が宿題として残ったという具合に指摘をされていると思っております。  また、同じ2004年12月の目安制度のあり方に関する全員協議会での検討で、引上げ率が 3%を超えて初めて、現在ランク間の金額の差の最も少ないB、Cの間で、1円という引上げ 額に差が生じる、今日事務局から説明があったとおりです。ということに立てば、この状況 は今の段階では変わらないということになってしまいますので、検討が必要なのではないか という認識を持っています。ただ、2006年以降の目安審議の中では、総合的に判断するの ですが、各ランク同率の引上げ額とすることを基本としながら、さまざまな要素を総合的に 勘案した上でということで、ランクごとの引上げ率に多少格差をつけた公益委員見解が示さ れたという認識を持っています。その結果、地域別最低賃金の地域格差は拡大をしてきたの ではないかという具合に思っています。  最低賃金水準の妥当性とか、どんなデータでの議論が必要なのかということについて、目 安制度の目的に照らして、最低賃金額の地域間格差をどのように考えるかということの議論 がまだ十分に尽くされていないということでございますし、前回までの宿題でもありますの で、今回、是非その考え方も整理をする必要があるのではないかという具合に思っています。 そんな意味で30年の評価をしつつ、今回、最高額と最低額の差、あるいは絶対額の水準な ど検討していきたいと思っています。  もう1点、ランクの振り分けについてです。現在は、ランクの振り分けの根拠として、20 指標を使っているわけですが、若干問題意識を持っています。具体的にどこかというのは、 次回以降示していきたいと思いますが、この指標についても、我々議論していきたいと思っ ていますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。 ○今野会長  他にございますか。   ○木住野委員  先ほど事務局から御説明がございました、ランク内の格差、当該箇所は資料の12頁から 14頁に、「ランク内の格差の推移」というのがございます。これの御説明を伺ってといいま すか、ランク制度ということの必然的な帰結というのですか、同額で積み上げていくという 方向でいけば、必然的にそのランク内の格差率が縮小して、これは当たり前の話です。それ が、どういう意味を持っているか、どういう評価をするかというのは、知っているのかなと いうことを印象としては持つのです。同時に、そういう傾向というのは裏腹の関係で、当然 ランク間の格差を広げていくことが、実はその後の資料、15頁に出てくる資料で、そうい うことが1つ見えてくるのかなという印象を持つのです。ただ、15頁のこの資料の説明を 見てまいりますと、入替えということがかなりここに大きな影響を持っているという注釈で した。今申し上げたようなランク制度の持っている特性ですね、かなり一般的な特性という ものを、もっと過去にわたってつまびらかにしていくためには、このランク間の移動という 影響を排除した、今後、やはり同じデータということで見るとどうなのだろうかという問題 意識を持っております。これは質問といいますか要望として、そういう資料をもし御用意い ただけるのでしたら御提示いただきたい。要望ということで、発言させていただきました。   ○今野会長  それは、もしランクの変動がなかった場合に。   ○木住野委員  だから入替えがなかったらということですね。   ○今野会長  入れ替えなかった場合にどういう状況になって。   ○木住野委員  その影響を排除した場合にどういう問題が出てくるかということです。   ○今野会長  なるほど、言っている意味は分かりましたか。   ○吉本勤労者生活課長  具体的にどうやるのかというのはありますが。   ○氏兼勤労者生活部長  影響もいろいろありますね。直接的な影響から、こういう一般化しそうなところの間接 的な影響と、どこまで排除するかという。   ○今野会長   なぜかというよりか、もっと単純で。なぜかというよりか、計算してくれという話でし ょう。   ○木住野委員   そうですね。同じようなことで出していただければ。抜いてしまってやってもいいわけ ですね、その移動のあったところで。   ○今野会長  ただ問題は、移動なしだとすると、例えば愛知県のランクが上がったというときに、上 がらないことを前提にずっといくと。では愛知県はずっとBランクにいたときという仮定で、 Bランクがどう変動したかを検討していって、そういうことですね。   ○木住野委員  もしくは愛知を抜いてしまうかです。   ○今野会長  全部ですか、最初から抜いてしまう。   ○木住野委員  ええ、抜いてしまう。移動した所だけ全部抜いてしまって、計算する。それも1つ。   ○今野会長  計算は簡単です。エクセルでやれば、計算自身は簡単ですが、問題は意味です。   ○氏兼勤労者生活部長  抜くことによってその影響が排除されたということになるのかどうかですね。   ○今野会長  そこの意味です。   ○氏兼勤労者生活部長  また別の影響が入ってくるのではないかと。   ○今野会長  ついでに、何か技術的な問題で恐縮ですが、12頁辺りで標準偏差を使っていますね。標 準偏差を使ってランク内のばらつきの程度を計算しているわけですね。これ、時期にもより ますが、大体縮小傾向かなと思われるのですけれども、たぶん縮小はもっと進むのではない かと思います。つまり、平均値はずっと少しずつでも上がってきているのに、縮小している ということは、相対的にばらつき度は落ちているわけです。普通はこういう場合は変動係数 か何か使えば、もっと出てくると思います。たぶん統計的に見ると、もっと縮小している傾 向が出てくる。これ、変動係数の方が良いですね。例えば、日額表示から時間額表示にバッ と移ったときには、これ平均値がカラッと変わってしまっているわけですね。たぶん変動係 数にしてしまえば、その影響を全部落とせるということなので、エクセルでやってみてくだ さい。   ○池田委員  もう1回質問したいのですが、最後の19頁の一番下の、最初の方では、ランク設定の意 義が相対的に薄れてきたということで、近年、目安の算出方法は従来と異なっているという ことで、最初に否定して、後半で肯定しているわけですけれども、この算出方法が従来と異 なってきているというのは、具体的な内容としてどういうことなのか、もう1回御説明を聞 きたいのです。  それと、さっき申し上げた3つ目の内容は、最近の地方最低賃金審議会の決定の方法が、 大体この中央最低賃金審議会の目安でほとんど決めるということで、地方最低賃金審議会の 審議が形骸化しているのではないかという指摘が地方から出ている。中央最低賃金審議会で 示す目安で実質的に決まってしまうのであれば、やはり中央最低賃金審議会で示す目安を、 より具体性のある目安にしなければいけないのか、それとも、おおざっぱなものでいいのか。 さっき言ったように、本当にランクは4つでいいのかとか、5つを6つにするとか。それか ら、都道府県の経済情勢を見ても、例えば、今、製造業は自動車にしても電気にしても輸出 関連が圧倒的に痛んでいるわけですよね。そういう状況で、5年に1度の変更でいいのかと いうこと。それから、都道府県もそれでいいのかということも、期間の問題も、全体的なあ り方も、非常に変動の多い時期に、5年に1度の目安のランクでいいのかということ、時代 に合っているのかということが、もう1回討議されてもいいのではないか。  昨日、日銀の人と会ったのですが、昨年の今頃は、石油がどんどん上がって、こんな想定 がなかったということで、経済が大混乱。今年になったら経済が下がって、輸出産業がこう なってしまって、100年に一度になっている。こんなことは、日銀の人、頭のいい社長も誰 も予想できないわけです。1年でもって、がらっと日本の経済状態が変わっていってしまう わけです。そうすると、やはり中小企業も同時に、ではどうやって雇用を守ろうかという観 点も当然出てくる。これは2年で良くなるのか、3年で駄目なのか、過去の分析があっても 将来の予測ができる人は誰もいないです、トップやエリートでも。サブプライムの問題でも、 最初起きたときは日銀の人たちは、ほとんど日本に影響はないだろうと言ったわけです。と ころが、あれが震源になってしまって、こんな大きなものになってしまうわけですから、経 済予想というのは、いいかげんなものがあるのですけれども、それほど世界経済のサイクル が変わっているときに、5年に1度、ランクは4つのランクでいいよ、都道府県も固定する よ、といったときに、さっき言ったように、都道府県は、抱える産業によって、ものすごく 影響を受けるわけですから、もう少しサイクルを短くするとか、ランクを細かくするとか。 それで、地方最低賃金審議会が影響を受けるのであれば、なおさら中央最低賃金審議会の決 め方というのは、しっかりと決めていかないといけないのではないかというのが、3つ目の 提起です。  ですから、同時に、さっきの算出方法が従来と異なったというのは、どの辺のところに政 治的な力が入って決定方法が変わってきたのか、その辺りをもう一度お聞きしたい。 ○今野会長  今3つほどおっしゃられたのですけれども、確認をさせてください。1つは、見直しのサ イクルを少し考え直そうという論点があるという御提示が1つと、もう1つは、地方最低賃 金審議会の議論が形骸化しているので、地方最低賃金審議会でもう少し自由に判断できるよ うな形の目安の出し方をしたらどうかという論点を出されたということでいいですか。その 例としては、区分を細分化するという論点の提示があったということです。もう1点は、資 料19頁の「目安の算出方法が従来と異なってきていることにより」ということはどういう 意味だと。これは御質問ですので、作った事務局からお答えいただこうと思うのですけれど も。   ○吉本勤労者生活課長  この近年といいますのは、具体的に言うと、平成18年以降、この3年ということではな いかと思いますが、それよりも前は、上の四角にもありますように、基本的には、各ランク 同一の引上げ率を乗じて、ランクごとの引上げ額を算出してきた。それに対しまして、それ 以後はランク同一の引上げ率を乗ずる算出方法ではない、差が出てきている。背景はそのと きどきにいろいろあったかとは思いますが、昨年で申し上げれば、改正最低賃金法の趣旨、 成長力底上げ戦略推進円卓会議での底上げの議論に配意したといった結果として、算出方法 というか、改定の考え方が変わったということだと思います。   ○今野会長  よろしいですか。先ほど田村委員が言われたことですよね、ランクによって引上げ率を 変えたのだからということは、ランクの影響が出てきた、そういうことだと思います、趣旨 は。他にございますでしょうか。   ○高橋委員  確かに前回の全員協議会の宿題として、時間額表示の移行に伴って、ランク設定の必要 性が薄れてきている指摘はありますけれども、たまたま前回の平成16年のときを振り返れ ば、景気も非常に悪く、結果として、時間額表示に移行したこともあるのですが、時間額表 示の、そもそも目安が示せなかったりとか、ゼロ円だったりとかというときがございました よね。他方で、この2年間、平成19年、20年は、大幅な引上げがされているところであり まして、そういう点も含めてランク設定の必要性を考えていく必要があるのではないかとい うふうに思います。   ○今野会長  では、御意見としてお伺いしたいと思います。   ○萩原委員  ちょっと大きな話になるかもしれないのですけれども、やはり最低賃金の論議をする場 合というのは、引上げ額よりも絶対額というか水準、これをやはり視点として大きく持たな くてはならないのではないかと思います。とりわけ、最低賃金決定の3要素、その中でも地 域の労働者の賃金とか生計費、これに照らして現行の水準がどうなのか、つまり、我々はよ く根っ子からの高さという言葉を使わせていただきますが、根っ子からの高さの論議が非常 に重要だと思います。ですので、この論議に当たっても、前回のこれまでの目安制度のあり 方に関する全員協議会の中でも、労使ともに、この30年間の目安制度について、検証・評 価をしていく必要がありますということを表明されていますので、是非、検証の中では、現 行の絶対額についてどう評価するかという視点も持っていただいて、この論議の1つの視点 として、持っていただければという要望です。お願いいたします。   ○今野会長  他にいかがでしょうか。   ○勝委員  今絶対額が非常に重要だという御意見がありましたし、池田委員からも、やはり、ラン クの見直しを頻繁にすべきだというお話がありましたけれども、ランク自体はやはり非常に 重要だと思っておりまして、絶対額も非常に重要だと思うのですけれども、先ほど日本の最 低賃金の平均賃金に占める割合が36.5%という話があって、これが欧米諸国に比べると著 しく低い。ここの部分が非常に重要だというのは、まさにそのとおりだと思うのですが、た だ、例えば、最低賃金の平均賃金に占める割合を見ると、たぶんDランクの方が数値が大き くて、Aランクは低いということで、ここ2、3年の最賃のランク別の引上げ額というのが、 Aランクに厚くて、C、Dが低いというような形になっている。そうすると、絶対額とプラス して、最低賃金の平均賃金に占める割合というものも、やはりこういったランクを考える場 合には、考えていかなくてはならないのではないかと思います。  先ほど岐阜の話がありましたけれども、課長の御説明のとおり、岐阜は例えば1人当たり の1時間当たりの所定内給与額など、そういったものはかなり低いということで、総合指数 で見るとかなり低い。ただ、最低賃金の水準で言うとかなり高くなっている。これは、たぶ ん地域、例えば労働者側の力が非常に強いとか、これは推測ですけれども、その辺の力関係 のようなところで、かなり大きく出てしまっているのではないか。これをもって例えば、岐 阜をBランクに上げてしまった場合に、岐阜の地域の企業が、かなり著しく大きな影響を受 けるということも、もしかするとあり得るのかもしれないので、その場合に最低賃金の平均 賃金に占める割合を考えると、やはりランクというものを考えた場合には、そこの部分を考 える必要があるのではないかと思います。 ○今野会長  一般論として、岐阜がもし、製造業がほとんどなくて、卸売業・小売業、特に小売業、 サービス業が多くて、極端に言うとそれしかないとなると、パートタイム労働者が多い。平 均賃金が下がる。そういう業種構成の影響というのは、ありそうだと今お話を聞いていて思 ったのです。そんなことはないですかね。曖昧なことを言ってもしょうがないのですけれど も、県別の業種構成の変数は入ってないですね。つまり、業種1個1個については気にして いるけれど、それのウエイト付けというのはないよね。   ○田村委員  それと、人口集積位置が名古屋にかなり近いところに集積されていた。その奥に大きな 農村地帯を含めた高山地域を含んでいたとか、そういうのもあるのだろうと思うのですね。 賃金は名古屋に引っ張られたりするところが結構あるものですから。   ○今野会長  そういう可能性もある。でも、この賃金は、事業主にもし聞いているとしたら、名古屋 で聞いてしまっているのですよね。名古屋で計上。個人に聞いていれば、こっちで聞くけれ ども。   ○田村委員  でも、要は産業の近いところでやりますから、人の取り合いというか、産業区分として は同じエリアに入ってしまうので。   ○今野会長  そういうことね。労働市場。ということは、よく分からないということです。他にござ いますでしょうか。いろいろ論点は出していただきましたが。   ○小林委員  ランク付けについては、今後御議論していく意味で、どういう区切り目にするかという のは、当然考えていく必要があるのかなと。ランクの果たす役割について考えていますと、 良い面、悪い面、今まで御報告がありましたけれども、それなりの評価をするところという のが、1つの目安というのは、各地方の最低賃金審議会も、このランク付けをかなり注目し ているというのもありますし、それに左右されるところがあるという認識の下で、それぞれ の地域、県の県民力等を意識しながら、この位置にいるのだというのを再認識しながら、多 分労使交渉しているのではないかと思いますので、それなりに考えていく必要があるのだと 認識しています。  ランク付けに当たって、20の指標という形で出ていますけれども、この指標については もう一度考え直すべきだと感じております。こちらの資料でいきますと、8、9頁に20の指 標が出ておりますけれども、先ほどの話で類似の労働者の賃金、生計費、企業の支払能力と いう視点から見て、5指標、10指標、5指標というかたちの流れはいいのかなと思うのです けれども、所得・消費の関係でいきますと、(3)(4)(5)というのが県庁所在地の世帯の支出にな っている、県全体の1カ月当たりの支出額とか消費者物価、生計費等がいうなれば県内の一 番高いところ、人口集積地であり物価が高いとか経費のかかるところの指標をもってきてい るというのが、1点。これでいいのかと感じています。  もう1つ、企業側の方の指標でいきますと、これが先ほど来、話があるとおり、製造業、 建設業、卸売業・小売業、一般飲食店,サービス業という形になっていますけれども、この 業種の分類でいいのかどうなのかというのを考えなくてはならない。調べたところ、19番 の「商工業実態基本調査」というのは、平成10年に行われて、その後は行われていない調 査になりますので、一般飲食店についても他の数値を持ってこなければならない。もしくは、 この平成10年のものをまた使うのかというのは、ちょっと考えなければならないところだ と思うのです。  いろんな統計のデータを基に経済力を地域別に県別に経済力とか賃金の状況等について 把握するのは、これはランクを把握する上で20の指標内で、それはいいことだと思うので すけれども、いろいろデータを調べましたが、統計データが今ないのです。都道府県別にや っているものがないので、先ほど言ったように、19番のものがなくなるとか話を聞くと、 所得・消費の関係でいけば、人事院の給与勧告指標というのは、元々は家計調査年報から作 り出しているものだとか、共通している部分のものがありますので、その辺十分議論しなが ら、統計データに基づいてのランク付けを考えるのであれば、そもそも他にどんな資料があ るのか。これは公的な機関だけの資料をもってやっていますけれども、民間の資料も含めて 考えるか考えないか。  公共機関の今までの調査というのは、経費削減とともに、多分調査データは少なくさせら れてきたと言った方がいいと思うのですけれども、本来必要な調査をやらなきゃならないも のを民間がやっているからということで、行政改革でなくなってきた。これも大きな問題だ と思うのです。そういう側面がありますので、民間データを活用するのかどうなのかという ことも含めて、指標のこの部分の判断というのをもう一度考え直す必要があるのではないか と感じています。 ○今野会長  雑談なのですけれども、全国で、ある程度バランスよく県別でとれる民間の調査という のは、何かあるのですか。   ○小林委員  あるのかどうなのか私は調べられなかったのですけれども。   ○今野会長  私は知らないのだけれども、民間がやっているものでしょ。あるのですかね。各県がや っているのはありますよね。うちの県だけというのはありますが、それが全県をカバーして 全国調査というのはあるのですかね。   ○小林委員  そもそも、政府が、従来やっていた都道府県別の調査とかというのは、ここにきてかな りなくなっているわけですよね。それは、民間がやっているからということで、なくしてい る傾向もあると私はお伺いしているのですけれども、民間シンクタンクでいろいろな生命保 険とか総研といわれる部分のところで、やっているかどうかというのは調べた方がいいので はないかと。   ○今野会長  想像ですけれども、全国のマクロデータだけほしいというだけで、県別にきちっと安定 したデータを取りたいということで、そこまでカバーしていて、民間がやっているから、公 的部門がやらなくてもいいのだという民間の調査というのは、私の知っている限りないです ね。   ○勝委員  政策投資銀行とかそういったところに、確か何かあったような。地域の経済をかなり見 ている部署があって、そこで県別のをどこかで見たような気がしなくもないですけれども、 それは、分からないです、どういったところにあるのかは。あと日銀とか。日銀は支店があ るところしか多分ないのかもしれないのですけれども。   ○今野会長  政策投資銀行も自分で全国調査をしているとは思えないですよね。既存統計をどうにか 使っているのだと思うのですね。   ○小林委員  私も分からないものですから、いろんな統計のデータというものをもう一度洗い出して いただければと思うのですが。その辺の分析方法は、私どものように、公的、公益というの は、いろんな形の指標が分かると思うのですけれども、どんな調査があるのかというのも、 ちょっと洗い出していただきたいというお願いです。   ○團野委員  今の御意見を尊重したいと思っております。ただ、3月27日に申し上げましたように、 やはり30年の検証をきっちりやるべきだと思っています。したがって、今のかかわりで申 し上げれば、ランク設定の意義と必要性について、どうだったのか、振り返ってきちんとみ るべきだろうと思います。そうしたことをやった上で、例えば最低賃金水準の妥当性やどん なデータを持って行った方がいいのか、従来議論が不十分なままになっているというところ もありますので、少し踏み込んでそこを議論してみるということは、御意見があったように 必要ではないかと思っております。あえて申し上げておきます。   ○今野会長  他にどうぞ。   ○高橋委員  統計調査の話になりましたので、少なくとも、例えば工業統計でしたら各都道府県に付 加価値額も分かっていますので、むしろ支払能力の代表にするとして、工業統計を用いてい くということは、非常にリーズナブルなのではないかという感じがいたしますが、他方で、 前回の平成16年のときを見ても、20番目の指標の「1就業者当たり年間事業収入額(サー ビス業)」を見させていただきますと、これは、平成16年のときだったのですけれども、用 いられたデータは、平成11年なのですね。いわゆる、それは、基本調査が5年に1回とい う形でしかやりませんので、直近といっても、かなり前になってしまうと。先ほどの先生た ちの御指摘もありましたけれども、なるべく直近のものを、ある程度どう取り入れるのかと いうことも課題なのではないかと思いますし、なによりも昨年の秋以降の急激な経済の落ち 込みというものを、今回の目安制度のあり方に当たって、どう考慮していくのか。私も特段 の答えがあるわけではないのですけれども、これは非常に重視をしていかなければならない のではないかと思っています。   ○今野会長  他にいかがでしょうか。   ○團野委員  あえて反論する必要もないと思うのですけれども、意見を聞いていると、直近の新しい データを使っていこうというのはいいのですけど、どのデータだけで判断すべきなのか、そ ういう意味では5年ごとにピッチを考えて、5年のデータをきちっと洗い出して、どうある べきなのかという議論をしてきたのは、ある程度中期トレンドで見ないと、単年度でああだ こうだということを全部取ってしまうと、示し方そのものについて、妥当性を欠く場合もあ るのではないか、私はそう思うのですね。したがって、意見は尊重いたしますけれども、そ ういう点についても、是非考慮していかなければいけないのではないかと私は思います。   ○今野会長  今まで、なるべくランク変更はしないという原則にしたのは、要するに、安定的なこと がある。しょっちゅう変わったら、県だって混乱しますよね。ですから、安定的にいきまし ょうということで、5年平均というのはその趣旨だと思うのですけれども、片方では、ひど く経済情勢が変わったときに、どう配慮するのかというお話です。両方睨んでどうするかだ けの話で、両方とも重要かもしれないということがございます。ですから、そういう点では 視点を出していただいたということだと思います。  他にございますか。よろしいですか。大分いろんな論点を出していただいたので、事務局 もいろいろ大変だと思いますけれども、よろしくお願いします。  それでは、今日はこれで終わりたいと思います。最後に、次回の目安制度のあり方に関す る全員協議会ですが、次回は賃金改定状況調査等の参考資料のあり方についてのフリーディ スカッションをさせていただきます。日程については、改めて調整をさせていただきたいと 思います。  本日の議事録の署名ですけれども、木住野委員と小林委員にお願いいたします。それでは、 今日はこれで終わります。ありがとうございました。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)