09/04/24 平成21年4月24日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年4月24日(金) 16:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(15名)五十音順    飯 沼 雅 朗、○内 海 英 雄、 大 石 了 三、 加 藤 総 夫、    佐 藤 田鶴子、 清 水 秀 行、 手 島 玲 子、○永 井 良 三、    成 冨 博 章、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、 檜 山 行 雄、    古 川   漸、◎松 井   陽、 村 田 美 穂 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)    千 葉   勉、 西 澤   理、 本 橋 伸 高、 山 本 一 彦 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    成 田 昌 稔((独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、    赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 ただ今から、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただ きます。本日は、お忙しい中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。当部会 委員数19名のうち、15名の委員の御出席をいただいておりますので定足数に達しており ますことを御報告申し上げます。千葉委員、西澤委員、本橋委員、山本委員より欠席の御 連絡をいただいております。事務局の人事異動について御報告申し上げます。生物系審査 第一部長に高山昌也が着任しております、よろしくお願いいたします。以降の議事進行は 松井部会長にお願いいたします。 ○松井部会長 本日の審議に入ります。事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する 競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会委 員の名簿を配布しております。議事次第に記載しております資料1〜10までをあらかじ めお送りさせていただいております。このほか資料11「審議品目の薬事分科会における 取扱い等の案」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」を 配付しております。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業のリスト、資料13につ いて御報告いたします。各品目の競合品目選定理由については資料13を御覧ください。 審議議題1「エンブレル皮下注用25mg」ですが、本品目は多関節に活動性を有する若年 性特発性関節炎(既存治療で効果不十分な場合)を効能・効果としておりまして、いわゆる 抗リウマチ薬における生物学的製剤と位置づけられているカテゴリーの医薬品です。この 生物学的製剤に位置付けられます抗リウマチ薬において、本品目と同様の若年性特発性関 節炎を適応に持つ医薬品は、ここに掲げられておりますアクテムラの1品目のみです。同 様の生物学的製剤と位置付けられておりますレミケード、ヒュミラについては、若年性特 発性関節炎の効能を有していないことから、競合品目の対象としては選定しておりませ ん。また、若年性特発性関節炎の効能を持つ医薬品として、メトトレキサート製剤があり ますけれども、こちらについては生物学的製剤を使用する前の治療法として、主に使用さ れる可能性があることから、競合品目としては選定しなかった、とのご報告です。資料2、 議題2、アズマネックスツイストヘラーに関するものです。資料の2ページ、本申請品目 は、合成副腎皮質ステロイドでして、喘息治療の中心的な位置付けを占めております吸入 ステロイド薬です。よって、この申請の効能・効果、薬理作用から見た競合品の候補とい たしまして、本剤と同様の吸入ステロイド薬でありますフルタイド、パルミコート、オル ベスコを挙げております。3ページで審議事項、議題3、グロウジェクトです。本剤は、 成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の適応症を目的として申請されました遺伝子 組換えのソマトロピン製剤です。現在までに、成人成長ホルモン分泌不全症の効能・効果 で承認されましたソマトロピン(遺伝子組換え)製剤は、ジェノトロピン、ヒューマトロー プの2品目でありまして、これを競合品目1、競合品目2として選定しております。また、 他のソマトロピン製剤のうち、ノルディトロピンが同様の効能・効果を申請中であること から、このノルディトロピンを三つ目の競合品目として掲げました。議題4、カデュエッ トです。本剤は、アムロジピンと、高コレステロール血症治療薬でありますアトルバスタ チンの配合剤です。現状、アムロジピンと同様でありますジヒドロピリジン系カルシウム 拮抗薬のうち、高血圧症及び狭心症の適応を含み、1日1回投与で売上げが高い薬剤とし て競合品目を掲げておりますが、一番売上げが高いノルバスクについては、この申請者が 持っているものですのでそれを除外いたしまして、アムロジン及びアダラートCRの2品 目を選定したということです。  また、配合剤のもう一方の成分でありますアトルバスタチンと同様のHMG-CoA還元酵素 阻害剤のうち、高コレステロール血症及び家族性高コレステロール血症治療薬の適応を含 み、1日1回投与で最も売上げが高い薬剤としてリピトールがありますが、こちらも申請 者との共同開発販売品目でありますので除外し、2番目にありますメバロチンを選定しま した。5ページの議題5、プログラフカプセルです。この申請品目の予定される効能・効 果は、ステロイド抵抗性もしくは難治性の活動期潰瘍性大腸炎の緩解導入(重症度は中等 症〜重症に限る)です。現在、本邦におきまして中等症ないし重症の難治性の活動期潰瘍 性大腸炎を対象とした標準的な緩解導入剤はないということですが、一方、同様の適応と して、現在ここに掲げております二つの製剤であるレミケード及びMLN-0002の2品目が 開発中とのことですので、これらについて競合品目として挙げたということです。6ペー ジの議題6、アボルブカプセルです。本品目は前立腺肥大症を効能・効果とするものでし て、現在その前立腺肥大症による機械的閉塞に対しては5α還元酵素阻害薬及び抗アンド ロゲン薬が、機能的閉塞に対してはα1受容体遮断薬が挙げられております。本申請品目 は5α還元酵素阻害薬に該当する医薬品ですけれども、現在、本申請項目と同種同効の5 α還元酵素阻害薬につきましてはフィナステリドがありますけれども、本邦におきまして は前立腺肥大症の効能を取得していないことから対象から除外し、薬理作用等から見た競 合品の候補といたしまして、抗アンドロゲン薬で、前立腺肥大症の効能を有しますパーセ リン錠及びプロスタールL錠を競合品目1、競合品目2として掲げているところです。ま た、前立腺肥大症に伴う排尿障害の効能を有するα1受容体遮断薬につきましては、本申 請品目とは作用機序が異なりますので、併用が想定されるということである一方で、臨床 現場におきましては競合する品目と考えていることから、売上高の上位品目でありますハ ルナールD錠を競合品目として挙げたということです。7ページ、議題7、レボドパ、カ ルビドパの希少疾病用医薬品の指定についての審議です。今回、希少疾病用医薬品の指定 をしようとしている効能であります、重度のパーキンソン病患者さんの治療に関しては、 現状、経口薬物療法の治療は困難な状況でありまして、現在有効な薬物療法がないという 状況でありますことから、本審議議題につきましては競合品目なしという形で報告をされ ているものです。本日の競合品目としては以上です。 ○松井部会長 今の点について御意見はありますか。  特にないようですのでお願いいたします。 ○事務局 ただ今の競合品目・競合企業リストに基づき、各委員の先生方からの申出状況 について御報告させていただきます。議題1のエンブレルについて退室委員はいません。 議決には参加しない委員は、永井委員、林委員です。議題2のアズマネックスについて退 室委員はいません。議決には参加しない委員は古川委員です。議題3のグロウジェクトに ついて退室委員はいません。議決には参加しない委員は、永井委員、野田委員です。議題 4のカデュエットは、退室委員は永井委員です。議決には参加しない委員は、大石委員、 野田委員です。議題5のプログラフについて退室委員は大石委員です。議決には参加しな い委員は、内海委員、清水委員、永井委員、成冨委員、野田委員、林委員です。議題6の アボルブの退室委員は大石委員です。議決には参加しない委員は、永井委員、成冨委員、 林委員、古川委員です。議題7のレボドパ、カルビドパの希少疾病用医薬品の指定につき ましては、退室委員、議決には参加しない委員共にいません。以上です。 ○松井部会長 本日の審議事項は7議題、報告事項は3議題です。議題1の説明をお願い いたします。 ○機構 議題1、資料1、エンブレル皮下注用25mgの製造販売承認事項一部変更承認の 可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるエタネルセプト(遺伝 子組換え)は、ヒトIgG1のFc領域に、ヒト腫瘍壊死因子(以下TNFと略す)、II型 受容体の細胞外ドメイン2分子を結合させた融合タンパク質であり、TNF受容体とTN Fの結合を阻害することにより薬効を発現すると考えられております。  本邦において、本剤は関節リウマチの効能・効果で2005年1月に承認されております が、今般の申請は、多関節に活動性を有する「若年性特発性関節炎」に係る効能・効果、用 法・用量を追加するというものです。若年性特発性関節炎は、小児期に発症する関節を主 病変とする慢性炎症性疾患であり、関節リウマチの類縁疾患と考えられております。 本 邦における患者数は1,800人程度と推定されております。海外においては、2009年2月 現在、多関節型の若年性特発性関節炎に係る適応で、米国、欧州等73か国で承認されて おります。本申請の専門委員としては、資料12に記載されております5名の委員を指名 いたしました。主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書9ペー ジの中段(1)国内第II相204試験の項を御覧ください。国内第II相試験として、4〜17 歳でメトトレキサート治療抵抗性、又は忍容性不良の日本人若年性特発性関節炎患者22 例を対象に、本剤0.4mg/kgを週2回、12週間皮下注射した際の有効性及び安全性を検討 する非盲検試験が実施されております。その結果、10ページの表にお示ししております とおり、主要評価項目である12週評価日までのJRA30%DOI(definition of improvement)について、いずれの評価時期においても80%を超える改善率が示されてお ります。  次に11ページの(2)国内第II相206-JA試験の項を御覧ください。この試験では、先ほ どの204試験を完了した症例のうち、12例の患者が対象とされ、本剤0.2mg/kg又は 0.4mg/kgを週2回、12週間皮下注射した際の有効性及び安全性が二重盲検下で比較検討 されております。なお、試験用量である0.2mg/kgは、関節リウマチでの成人用量の10mg に、0.4mg/kgは25mgにほぼ相当する用量として設定されております。結果につきまして は、11ページの表に示しておりますように、主要評価項目であるJRA30%DOIにつ いて、いずれの用量においても、約70〜100%の改善率が示されております。  以上のように、若年性特発性関節炎患者を対象とした、国内臨床試験は、いずれも症例 数が少なく、盲検下で実施された試験成績も限られておりますが、いずれの試験において もJRA DOI等において高い反応率が示されていること、また類縁疾患と考え得る関 節リウマチの試験成績なども勘案し、機構は多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎 に対する、本剤0.2〜0.4mg/kgの用量での有効性は示されたものと判断しております。安 全性につきましては、22ページの(3)安全性についての項を御覧ください。本剤を含む TNF阻害剤では、重篤な感染症の発現に特に留意が必要であること、小児では成人と比 較し、免疫機能が未発達であることから、成人の関節リウマチ患者との比較も踏まえなが ら、感染症の発現状況について重点的に検討を行っております。若年性特発性関節炎及び 関節リウマチを対象とした、国内外の臨床試験から報告された、入院加療又は抗菌薬の静 脈内投与を要した、医学的に重要な感染症を23〜24ページの表に、また海外での市販後 に報告された感染症を25ページの表に示しておりますが、現時点においては、感染症の 発現状況に、両疾患間で大きな違いは示唆されておらず、機構は若年性特発性関節炎患者 に特有の新たな問題は認められないものと判断しております。ただし、若年性特発性関節 炎患者における情報は限られていることから、未知の事象も含め、安全性プロファイルを さらに把握できるよう、製造販売後に、投与患者全例を対象とする使用成績調査を実施す る必要があると考えております。また、本剤は週2回の皮下注射を要するため、関節リウ マチの場合と同様、患者本人又は保護者による自己注射が行われることが想定されます。 国内臨床試験では、試験途中で全例が自己注射に移行し、特段の問題は認められておりま せんが、若年性特発性関節炎では、体重当たりで用量が設定されるため、過少又は過量投 与の可能性も否定できないことから、製造販売後調査の中で、自己注射時の安全性を十分 に確認するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本剤については製造販売後に、投与患者全例での調査を実施する ことを承認条件とした上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会 で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本効能に係る再審査期間は4年とする ことが適当と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審 議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。 ○古川委員 私は小児科なので。年齢制限が記載していないのですけれども。もともとこ の薬は外国で出たときに、私も3、4年前に取り寄せたことがあるのですが、年齢は5歳 以上と外国の能書には書いてありました。この治験が行われて、ヨーロッパでは4歳以上 という縛りがありますし、アメリカでは2歳以上です。日本の場合は年齢の縛りがないと いうことは、かなり小さい子にも使う可能性があるのですけれども、この治験そのものも 4歳からしか行っていないのですが、その辺いかがなのでしょうか。 ○機構 添付文書案の4ページ目に7番として、「小児等への投与」というところがあり ます。そちらで7歳未満の幼児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)とい うことを記載させていただいておりまして、注意喚起しております。 ○松井部会長 7歳ということですか。 ○機構 4歳未満です。申し訳ございません。 ○古川委員 それは、どこですか。 ○機構 添付文書案の4ページです。 ○松井部会長 4ページの右の欄の一番上の7番です。 ○古川委員 ということは、4歳未満は基本的に駄目ということですね。 ○機構 使っては絶対に駄目ということではないのですけれども、国内での使用経験がな いということで注意をしていただきたいということで記載させていただきました。 ○古川委員 ただ、この場合、小児の最初の適応症の方に、どのぐらい使うということが 書いてあって、その7番ぐらいの一番最後に、4歳未満と書いてあっても、これはなかな か目に止まらない可能性がありますが、その辺はいかがですか。 ○松井部会長 プレゼンテーションの書き方ということですね。 ○古川委員 そうです。最初に、小児にはどのぐらいの年齢に使うという縛りが全然なく て、最後に記載があって、果たしてそれで分かるのか。 ○機構 例えば用法・用量のところに、この7番の記載にリンクを張るような形で、括弧 で(小児等への投与を参照する)ということを書くようなことで対応させていただきたい と思います。 ○松井部会長 用法・用量の「多関節に活動性を有する」という、この最後に書くという ことですね。 ○審査管理課長 先生御指摘のとおり分かりにくいのだと私も思います。したがって、添 付文書で申し上げますと、1ページ目の右下の「効能・効果に関連する使用上の注意」か、 それとも2ページの「用法・用量に関連する使用上の注意」か、いずれかに書くのだろう と判断をしているところです。ほかのルールとの整合性等をとらせていただいて、いずれ かに書くということで、先生御指摘のとおり、それが明確に伝わるようにしたいと思いま す。ありがとうございました。 ○松井部会長 それでよろしいでしょうか。 ○古川委員 はい。 ○松井部会長 ほかに御質疑がないようでしたら議決に入ります。なお、永井委員、林委 員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いた だくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。 異 議がないようでしたら、先ほどの小児に対する年齢制限について、適切な場所に記載をす るということで承認を可といたします。薬事分科会に報告させていただきます。続いて議 題2に入ります。 ○機構 議題2、資料2、アズマネックスツイストヘラー100μg60吸入他の製造販売承 認の可否等について機構より説明いたします。本剤は、合成副腎皮質ステロイドであるモ メタゾンフランカルボン酸エステルを有効成分とする吸入用散剤であり、今般、「気管支 喘息」に係る効能・効果で承認申請がなされたものです。なお、本邦においては、本薬の 軟膏、クリーム及びローション等が、湿疹・皮膚炎等に係る効能・効果で、1993年に既 に承認されており、また本薬の水和物については、点鼻液がアレルギー性鼻炎の効能・効 果で2008年7月に承認されております。海外においては、本剤は2009年1月現在、「気 管支喘息」に係る効能・効果で、60か国において承認されております。本申請の専門委員 としては、資料12に記載されております7名の委員を指名いたしました。主な審査内容 について簡単に説明させていただきます。審査報告書の20ページの下から3行目の7) 第III相比較試験の項を御覧ください。国内第III相試験として、ベクロメタゾンプロピオン 酸エステル吸入剤400μg/日で、喘息症状が安定している中等症以上の気管支喘息患者 200例を対象に、ベクロメタゾンから切替え後、本剤200μg/日又はフルチカゾンプロピ オン酸エステル吸入用散剤200μg/日を8週間投与した際の、有効性及び安全性を比較検 討する無作為化非盲検並行群間比較試験が実施されております。その結果、21ページの 上から9行目辺りに示しておりますとおり、主要評価項目である最終評価時における起床 時ピークフローのベースラインからの変化量は、本剤群8.18L/min、フルチカゾン群5.53 L/minであり、本剤群のフルチカゾン群に対する非劣性が検証されており、機構は本剤 の有効性は確認されたものと判断しております。  次に26ページの下から5行目、(2)用法・用量の項を御覧ください。本剤の用量は200 μg/日を通常用量とした上で、症状等に応じて最大800μg/日までの増量も可能とするこ とが予定されておりますが、薬物動態試験の結果、本剤吸入後の全身曝露量は、外国人に 比べ、日本人で2〜3倍高い可能性が示唆されていること、最大用量である800μg/日を、 日本人患者に長期投与した際の安全性データは限られていること、本剤は副腎皮質ステロ イドであり、吸入投与においても、高用量投与時、長期投与時には副腎皮質機能等に影響 を及ぼす懸念があることから、日本人患者における最大用量を、海外と同様に800μg/日 までとすることの妥当性について、特に安全性の観点から検討を行っています。  外国人患者に対し、本剤1,600μg/日まで投与した際の安全性データ等に基づいて検討 した結果を27ページの中段以降に記載しておりますが、本剤800μg/日投与時と、1,600 μg/日投与時の忍容性に明らかな相違はないと考えられること、28ページの表のとおり、 副腎皮質機能のバイオマーカーである血中コルチゾール値については、用量依存的な低下 が見られるものの、低下の程度は小さかったこと、さらに最大用量は経口ステロイド剤の 代替として、症状悪化時等に短期的に使用されるケースが主であると考えられることなど を勘案し、日本人患者における本剤投与後の曝露量が、外国人の2倍程度であったとして も、漫然とした長期投与を避け、副腎皮質機能等への影響を慎重に観察しながら使用する ことにより、本剤800μg/日においても、リスクを上回るベネフィットが期待できるもの と機構は判断しております。  次に安全性についてですが、臨床試験においては、類薬と比べ、特に問題となる有害事 象は認められておりません。また、審査報告書32ページを御覧ください。8行目から記 載しておりますように、海外市販後における全身性有害事象の発現状況を確認した結果、 現時点においては本剤の全身性有害事象の発現リスクについて、特段の懸念は示唆されて いないものと判断しております。ただし、前述のとおり、本剤吸入後の全身曝露量は、日 本人では高い可能性があることを念頭に置いた上で、製造販売後調査において、最大用量 である800μg/日の使用実態も含め、その安全性を重点的に検討すること、また長期投与 が予想されるその他の用量についても、全身性作用を中心とする安全性プロファイルを引 き続き慎重に検討する必要があると考えております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御 審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新投与経路医薬品であることから、 再審査期間は6年とすることが適当と判断しております。また、製剤は毒薬及び劇薬のい ずれにも該当しないものと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。 よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 御質疑をお願いいたします。 ○清水委員 用法のことについて1点確認させていただきます。今回は1日2回の適用で 臨床試験も進んでいて、そのような審査報告書になっているのですが、実際に欧米では1 日1回夜、あるいは1日1回午後という吸入の仕方、患者様の症状によって1日2回もい いですという使われ方がしていると思うのです。国内において、1日1回ということにつ いては何か検討はなされた上でのことでしょうか。 ○機構 国内での臨床試験はすべて1日2回投与で実施されております。したがって、国 内では2回投与のみを承認するという形にさせていただいております。 ○清水委員 初めから1日1回ということは考えなかったということですか。 ○機構 国内での開発では、1回投与というのは考えられていないという状況でした。 ○松井部会長 よろしいでしょうか。 ○清水委員 はい。 ○大石委員 添付文書案の組成・性状のところに、1容器中の成分・含量が19.8mgと書 かれておりますが、これは60回分、100μgにすると6mgで、結局容器中には多目に入っ ているということになるかと思うのですが、そもそもこういう数字が書かれていると、こ れは何かなということが気になります。必要があるのか、もし書かれるのなら何か説明が ないとそこの計算は合わないのではないかというようなことも考えないといけないので すが、その点はいかがでしょうか。 ○松井部会長 100μg、60吸入のところですよね。 ○大石委員 はい。1容器中の容量が書かれてありますが、その意味がどのぐらいあるの かです。 ○機構 1回の吸入量に比べて、ここに書かれている量が多いことに関しては、吸入剤の 性質上、最後の方まで均一な含量を噴霧する必要があるために多目の量が含有されている というのが現状です。実際にこの量が入っているということです。これをここに記載する かどうかに関しては、今後さらに検討させていただきたいと思います。 ○大石委員 なるべく分かりやすいようにお願いいたします。 ○機構 はい。 ○松井部会長 なるべく分かりやすく記入してください。 ○加藤委員 報告書の32ページですけれども、海外市販後のHPA系機能のところで、 クッシング症候群の報告が一つあります。その原因として吸入器の誤使用ということが書 いてあるのですが、これは実際にはどういう誤使用であったのか、あるいはその誤使用に 対して何か対策なり、あるいは添付文書上の注意喚起がなされているのかどうかを伺いま す。 ○機構 今手元に詳しい資料がありませんので、確認させていただいてからお答えしたい と思います。 ○加藤委員 その内容によっては、それに対する対策が練られて、この容器が改善されて いるのか、あるいはそのことに関する注意はどこかに明記されているのかの確認をお願い いたします。 ○松井部会長 それは、確認ということでよろしいでしょうか。 ○加藤委員 その内容にもよります。 ○機構 はい。 ○松井部会長 確かに重要な点だと思います。今の点はどうしましょうか、その答えの如 何によっては議決をしない方がいいというふうに加藤委員はお考えでしょうか。 ○加藤委員 これは、全1,818件のうち1例ということですね。 ○松井部会長 これは、全有害事象1,818件のうち1件ということでしょうか。 ○機構 はい、そういうことです。 ○松井部会長 それが誤使用であったと。 ○加藤委員 非常に率としては小さいと思いますので、その誤使用に対して、例えば現状 の新しい容器においても改善されていない可能性があるのだとすれば、それをどこかに明 記することを条件にしていただければよろしいかと思います。 ○松井部会長 了解しました。ほかに御質疑がないようでしたら議決に入ります。ただし、 今の誤使用のことに関しては適切に調べて報告していただくということでお願いいたし ます。 ○審査管理課長 そこは、部会長に一任ということでよろしいでしょうか。 ○松井部会長 それでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。今の誤使用の点を部会長に一任いただくこととして、この承認 を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会 に報告させていただきます。次に議題3の説明をお願いいたします。 ○機構 議題3、資料3、医薬品グロウジェクト注射用1.33mg他の、製造販売承認事項 一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。本剤 は、本年1月に御審議いただきましたノルディトロピンと同様、GH(ヒト成長ホルモン) であります、ソマトロピン(遺伝子組換え)を有効成分として含有する注射剤であり、本申 請は重症のAGHD(成人成長ホルモン分泌不全症)の患者に対するGH補充療法の効能 ・効果等を追加する、一部変更承認申請です。これまで同様のソマトロピン製剤が3剤、 本効能・効果について承認されております。なお、本剤は1993年に骨端線閉鎖を伴わな い下垂体性小人症を効能・効果として輸入承認を取得した後、1999年にターナー症候群 に対する効能・効果が追加承認されております。本品目の専門協議では、本日の配付資料 12に示しますような方々が専門委員として指名されております。本剤の品質、薬物動態 及び毒性については、既承認申請時に評価がされていることなどから、臨床試験成績を中 心にここでは説明させていただきます。審査報告書8ページの表1を御覧ください。本剤 の有効性に関してですが、重症のAGHD患者96例を対象とした、国内第III相臨床試験 において、本剤0.003mg/kg/日を開始用量として、0.006mg/kg/日又は0.012mg/kg/日まで 漸増し、通算で24週間皮下投与したとき、主要評価項目である、投与後24週における躯 幹部体脂肪率の変化量は0.012mg投与群及び0.006mg投与群で、共にプラセボに対する優 越性が検証されました。また、その他9ページの表2に示しましたように、関連する体組 成の検査値や、血清中IGF-I濃度についても、プラセボに対して有意な差が認められ ました。  続きまして13ページの表6を御覧ください。本剤につきましては、国内第III相試験に 引き続き、長期投与試験が実施されております。国内第III相試験を完了したAGHD患者 94例に対して、0.003mg/kg/日で投与を開始した後に、患者の血清IGF-I濃度に基づ いて用量調整を行い、48週間皮下投与をしたときに、本剤を継続投与したGH/GH群で は、本剤の効果の持続が確認され、プラセボから本剤に切り替えたP/GH群では、本試 験開始時と比較して有意な改善が認められました。  次に、本試験の安全性に関しまして、国内第III相臨床試験における、有害事象、副作用 が11ページの表4及び12ページの表5に示されております。また、長期投与試験におけ る有害事象、副作用が15ページの表8及び16ページの表9に示されております。これら の有害事象の発生と、既承認効能での有害事象の発生との比較を、23ページの表10及び 表11で行いました。このような比較は厳密には行えないものの、本効能における副作用 の発現率が高い傾向が見られたことを踏まえまして、製造販売後調査等で安全性を検討す ることといたしました。製造販売後調査については、25ページの14行目を御覧ください。 体組成、脂質関連マーカー、血圧、QOL、血清IGF-I濃度、血糖値、HbA1c等の指 標や、有害事象を製造販売後に調査するように申請者に求めており、観察期間4年、実施 予定期間6年間の定点全例調査方式による使用成績調査を実施することとしております。 なお、本剤の適応すべき患者や、用量調整に関する注意喚起については、既承認の類薬と 同様に行うべきであると考えております。  以上のとおり、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えない と判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。なお、本申請は、 「新効能医薬品」及び「新用量医薬品」でありますが、再審査期間は、本剤と有効成分、効能 ・効果等が同一性を有すると認められる既承認医薬品の再審査期間に合致するよう、平成 22年4月19日までとすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を 予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 御質疑をお願いいたします。最後の再審査期間は、ジェノトロピンのそれ が終わってから1年ということですね。 ○機構 申し訳ありません。既承認類薬はヒューマトロープの再審査期間と合致するよう ということでした。確認したところ、そうでしたので訂正いたします。 ○松井部会長 いずれにしても、平成22年4月19日までですね。 ○機構 日付は平成22年4月19日までということです。 ○松井部会長 先生方、本日は御意見が少ないように思いますけれども、特にないようで したら議決に入らせていただきます。なお、永井委員、野田委員におかれましては、利益 相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、 承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようでしたら承認を可とし、薬事分科 会に報告させていただきます。 ○審査管理課長 次の議題に入らせていただく前に一つ御相談があります。先ほど、機構 からの説明の中でも申し上げましたけれども、遺伝子組換えのソマトロピンというのは、 幾つかの会社から申請がされ、承認がされ、さらに今回また同じ効能について次々に承認 申請がされているような状況です。と申しますのも、従来、遺伝子組換えの製剤というの は、厳密に申しますと、使う細胞ですとか、そういうものが異なるので、いわばすべてを 新薬扱いとするということでやってきたわけです。確か前々回の部会に御報告させていた だきましたが、こういう遺伝子組換えの製剤について、バイオ後続品、バイオシミラーと いうことで、従来あるものと同等と考えられるようなものについては、後続品として捉え ようというガイドラインを発出させていただいたところです。  その際に、そのバイオ後続品については、審議会においては報告扱いとするという整理 とさせていただいているわけです。翻って考えてみますと、言うならばこういうものも後 続品的な扱いであるということになろうかと存じますので、そういう意味で申し上げます と、今後の審議会との関係におきましては、バイオ後続品の範囲内というふうに考えられ るものについては報告という位置付けにさせていただいたらどうかと考えているわけで すけれども、御意見を賜れれば幸いです。 ○松井部会長 それは、工程その他が全く同じでない場合でも、後続品として扱うという のはグローバルスタンダードと考えてよろしいということでしょうか。 ○審査管理課長 WHOにおいても、ヨーロッパにおいても同じような考え方で議論が進 められておりますし、我が国においては、確か前々回の部会に御報告をし、通知をしてお りますから、そういう意味では我が国としては正式にそれを規制に取り入れたということ に位置付けられております。 ○松井部会長 御意見はいかがでしょうか。 ○成冨委員 薬価はどうなるのでしょうか。 ○審査管理課長 これは、保険局に聞かないと申し上げられないのですけれども、いわゆ るジェネリックというのは、先発品に対して3割引きということになっております。今回 は、いわゆるジェネリックというのが同一だとすると、同等だという評価になっておりま す。一方においては、こういう遺伝子組換えの製剤というのは、製造原価はかなり高いと 聞いております。すなわち、薬価に対する製造価格、製造原価の割合が高いのだと聞いて おります。諸外国においては、先発品に比べて1割安いとか、2割安いとか、3割安いと いう価格で売られているようです。保険局においても、そのような情報を集めつつ、最終 的な決定がなされるのだろうと考えております。 ○松井部会長 課長からの御提案ですけれども、ジェネリックの扱いについての提案に御 異議はないでしょうか。 ○檜山委員 今の課長の薬価の説明にもありましたが、バイオの後続品というのは、いわ ゆる化成品のジェネリックとは違うという認識はされているのだと思います。前回のガイ ドラインの指針の説明のときにもありましたけれども、全く同じものではない。前回私も 質問させていただきましたが、いわゆるジェネリックの後発品と同じではなくて、ザクッ と言いますと、新薬とジェネリックの間、非常に乱暴な言い方になりますけれども、そう いった扱いをされます。それでありますから、この部会には報告でという説明を受けたと 記憶しております。ですから、課長の提案に私としては異議はありません。 ○松井部会長 ほかに御意見がないようでしたら、課長の御提案のとおり報告事項にして よろしいでしょうか。  御異議がないようですので、今後はそのように扱わせていただきます。引き続き議題4 に移りますが、永井委員におかれましては別室で御待機いただきます。 ── 永井委員退室 ── ○松井部会長 それでは、機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題4、資料4、医薬品カデュエット配合錠1番、同配合錠2番、同配合錠3番、 同配合錠4番につきまして、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤は、カ ルシウム拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩と、HMG-CoA還元酵素阻害薬であるアトル バスタチンカルシウム水和物を含有する異種効能の配合剤であり、1番はアムロジピンと アトルバスタチンをそれぞれ2.5mgと5mg、2番は2.5mgと10mg、3番は5mgと5mg、 4番は5mgと10mgを配合したものです。本邦では、□□年にファイザー株式会社より開 発が開始され、2007年11月に「高血圧症あるいは(及び)狭心症と、高コレステロール血 症あるいは家族性高コレステロール血症を併発している患者」を適応として承認申請され ました。海外では、本剤は2004年に米国で承認されたのをはじめとして、2009年1月現 在、71の国及び地域で承認されております。本品目の審査に関しまして、専門委員とし て資料12に記載されております委員が指名されております。本品目の審査の概略につい て説明させていただきます。審査報告書16ページの19行目以降を御覧ください。アムロ ジピンとアトルバスタチンの薬物動態学的相互作用についてですが、両薬剤間で、臨床上 問題となるような薬物動態学的相互作用は認められませんでした。  次に、両薬剤間の薬力学的相互作用についてですが、審査報告書の30ページの二つの 表を御覧ください。アムロジピン0〜10mgと、アトルバスタチン0〜80mgをそれぞれ組み 合わせて併用したときの、LDL-コレステロール低下効果、及び血圧低下効果が検討さ れております。いずれも併用薬を増量しても効果に変化は見られず、臨床上問題となるよ うな相互作用は認められませんでした。続いて安全性についてですが、審査報告書44ペ ージの表を御覧ください。肝機能検査値に関連する有害事象の発現頻度ですが、アトルバ スタチン単独投与時と比較して、アムロジピン併用時に若干高くなる傾向が認められまし たが、単剤投与時のリスクを大きく上回るようなことはないと考えられ、さらに臨床試験 において認められた副作用、及びアトルバスタチン使用成績調査においてアムロジピン併 用例で認められた副作用は、各単剤で知られている副作用が発現したものであり、配合に より増悪する副作用も認められなかったことから、本剤は適正に使用されれば、承認の可 否に影響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。なお、本 剤の有効性については、各単剤併用と、本剤が生物学的に同等であると判断されたこと、 及び海外臨床試験において、各単剤併用時と単独投与時で同程度の有効性が示されている ことから、各単剤と同程度の有効性が期待されると判断いたしました。続いて審査報告書 41ページの8行目以降を御覧ください。本配合の配合理由の妥当性についてですが、本 剤はアムロジピンとアトルバスタチンの薬力学的な相乗効果や、相加効果を期待するもの ではありませんが、高血圧症治療及び高コレステロール血症治療の最終エンドポイント は、「脳・心血管疾患の発症抑制」で同じであること、また海外の成績であるものの、ア ムロジピンとアトルバスタチンの併用による、脳・心血管疾患の発症抑制が大規模臨床試 験で認められており、本邦においても各単剤と同程度以上の臨床的ベネフィットが期待で きること、さらに先ほど述べましたように、安全性においても、適正使用下では特段の問 題はないと考えられることから、多数存在する降圧薬及び抗高脂血症薬の中から、アムロ ジピンとアトルバスタチンを選択して配合剤とすることは、一定の科学的合理性が認めら れると判断いたしました。  なお、本剤は四つの含量規格製剤が存在し、臨床現場に提供された場合の取扱いに懸念 があるため、本剤の適正使用を推進するための情報提供資材の内容を検討しております が、本剤の使用方法として、原則アムロジピン及びアトルバスタチンの併用、又はいずれ か一方を服用している場合からの切り替えとすることを、「用法・用量に関連する使用上 の注意」に規定し、本剤のリスクを極力抑える方策を講じ、医療現場に適切な情報提供を 行うことができるのであれば、両有効成分の併用をより確実に行う選択肢を患者に適切に 提供することをもって、本配合剤は妥当であると最終的に判断いたしました。  審査報告書55ページの13行目を御覧ください。製造販売後臨床試験、及び調査等につ いてですが、本剤は国内長期投与試験、及び狭心症と高コレステロール血症(又は家族性 高コレステロール血症)を合併した患者を対象とした臨床試験が実施されていないことか ら、製造販売後に、高血圧症又は狭心症と、高コレステロール血症又は家族性高コレステ ロール血症を併発している患者150例を対象に、52週間投与したときの安全性及び有効 性を確認することを目的とした、製造販売後臨床試験を実施すると共に、使用実態下にお ける安全性及び有効性を確認することを目的とした使用成績調査を、目標症例数を1,000 例として実施される予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部 会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は劇薬に該当し、 生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しました。また本剤は新医療用 配合剤に該当しますが、既承認製剤との相違が軽微であると判断し、再審査期間は4年と することが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議 のほどよろしくお願いします。 ○松井部会長 ありがとうございます。御質疑お願いします。いかがでしょうか。 ○大石委員 このような配合剤の考え方について意見を述べたいのですが、既にあるノル バスクとリピトール、この併用はもう既に臨床現場で行われているわけです。それの合剤 という形で出てくるわけですが、それで新たな商品名が付くわけです。そうすると医療現 場では商品名がどんどん増えていくばかりになるわけです。前回、利尿薬の場合は、今ま で半錠がなかったということもあって理由があるかもしれませんが、今後、このような配 合剤が次から次に開発されて、医療現場に実は同じ薬なのだけれど商品名が新薬という形 で、そういうものがたくさん出てくる状況を考えると、これは医療安全ということを考え る場合に、それぞれの施設では医薬品の採用の時点で考えられることかもしれませんけれ ども、方向性というのは少し審議しておいてもよろしいのではないかと思います。ジェネ リックにつきましては、最近、一般名の方向に流れていますね。そういう傾向があります。 そうすると、これはそれと逆行するような方向で、商品名をやたら増やす方向にいってい るのではないかという気がします。もう一つは、もしこれを承認するとしても、例えば1 番、2番、3番、4番という商品名では、例えばリピトールが5mgなのか10mgなのか、 これが飲んでいるときに分からないし、取り扱うときに分からないという状況になりま す。そこのところはむしろ、それぞれ変更予定と書いてあるのですが、変更前のカデュエ ット錠N2.5/L5という書き方のほうが、現場では用量も分かるし、医療安全を考えた上 ではそちらの方がベターではないかというようにも思います。 ○松井部会長 これは、いかがでしょうか。課長からお願いします。 ○審査管理課長 薬事法に基づく配合剤の取扱いにつきましては、平成17年に実はかな りの議論がされています。当時、欧米において、今先生が御紹介されたような配合剤が次 々と出てきている、開発されつつある、これを我が国としてはどのような形で捉えるべき かという議論が交わされたと考えています。その中で、従来の配合剤のルールというのは、 そういう意味で申し上げますと、相加・相乗効果が見られるものとか副作用が軽減するも のとか、非常に厳しいルールで我が国で運用されてきたことも事実です。  一方、グローバルに見ますと、こういうものが次々と承認され、開発されてきたことも 事実です。その中で患者の利便性の向上に明らかに資するとか、配合意義に科学的合理性 が認められるというところでどうだろうかということで、一応の決着を見たということで す。すなわち、そういう点から申し上げますと、医療の現場において種々の併用がなされ ているかと思いますが、ただ単に併用の数が多いから、こういうものが認められる、ある いは申請されるというものではないだろうと考えています。したがって今回の申請におき ましては、そういう意味で考えますと、50ページに配合理由の妥当性というのが議論さ れていますけれども、正しくここをどのように考えるのか、ぎりぎりのところがあるのか なと考えています。もちろん、いわゆる薬事法的な観点だけではなくて医療保険の面から も、この問題というのは実は中医協において議論がされていると存じております。確かに このような配合剤をどのように考えるべきか。それは衛生法規たる薬事法の考えもござい ましょうし、医療保険的な考えもございましょうし、いろいろな面で議論がされていくの だろうとは思いますが、今現在の薬事法における取扱いというのは、そういう整理です。 2番目の、どのような名称がいいかという点ですが、審査報告書の4ページのIの販売名 のところに、今先生が引用されたカデュエット錠N2.5/L5というような名称があるわけ です。正直申し上げまして、この名称というのはなかなかコンセンサスが取りづらい部分 で、ある人はこちらが分かりやすい、ある人はこちらが分かりやすい、これは何だ、とい う議論になりかねないところです。良いか悪いか、あるいはまた改善が必要かというのは 別問題として、このような配合剤の名称の在り方については、医療安全的な立場から検討 していただくということで、医療安全の有識者会議の中で御議論いただき、中心になって いただいたのは東京医科歯科大の土屋教授ですけれども、そこでの御結論を踏まえて、確 か昨年、通知を出したところでございます。  その通知の中で、この1番、2番というのは、むしろ進められるべきだというふうに書 いているところです。もちろん通知を出したから、その通知から一歩も動かないというこ とを申し上げているわけではなくて、現状の整理を申し上げて、また必要があれば改善を していくというのは当然のことだろうと考えているところです。 ○松井部会長 先ほどの大石委員の御発言の中には、第1点目ですが、配合によって名前 を増やしていくことは、リスクマネジメント上問題があるのではないか。したがって何ら かの歯止めが必要ではないかということだったと思います。歯止めを考えていこうと解釈 してよろしいでしょうか。 ○審査管理課長 いわゆるジェネリックとして承認されるものにつきましては、2、3年 前に通知を出して、ブランド名を認めないという整理にしたところです。一方、新薬扱い するものにつきましてはブランド名を認める形で整理ができているわけです。すなわち、 先ほどの配合の妥当性のところが、そういう意味で申し上げると、新薬扱いするのか、し ないのかということで、ブランド名にする、しないというのが今のルールです。この配合 剤のジェネリックが出てきたときに、どういう名前にするのか。アムロジピンベシル酸塩 アトルバスタチンカルシウム水和物錠とか、非常に長い名前にすると、今度はまた各医療 機関がいろいろな意味でコンピューターを使われていますので、そことの問題も出てきか ねませんし、一番最後のところにmgとかあると、そこを見るのがまた大変という問題が ありますから、そこは応用問題があるのだろうとは考えていますけど、ブランド名を認め る、認めないというのは、最初に定義された、この配合理由の妥当か妥当でないかという ところで、今のルールではそうなっているということです。 ○松井部会長 大石委員、いかがですか。 ○大石委員 ある程度仕方がないところがあるかもしれません。個人的にはN2.5/L5と 書かれている方が、はっきりして分かりやすいと私は思います。 ○審査管理課長 通知を検討していく上で、配合剤については、1番、2番、3番という ような具体的な配合量を示すのでなく、簡単明瞭な方が、むしろ医療安全につながるのだ ということで例示に挙がっているということです。 ○大石委員 分かりました。個人的に、N2.5/L5と書いた方が、はっきり用量が分かっ ていいのではないかと思いますので、これは今後、また検討していただければいいかと思 います。 ○成冨委員 少なくとも、この配合剤が認められると、そのジェネリックというのはすぐ には出てきませんね。私は製薬メーカーの考えがよく分かりますが、ジェネリックからの 追及を逃れるために、各社、次々にこういう配合剤を作るであろうと。そうすると当分は ジェネリックの脅威から逃れることができるというので、今後、例えば高血圧と糖尿病の 合剤、スタチンと経口糖尿病薬の合剤とか、そういうふうなものが次々に出てくるであろ うと思います。要するにこれは最初の薬剤として、ここできちんと決めておかないと、後 でこれは前例があるからということで、次々にそういうものを認めなければいけなくなり ますから、そこの考え方をはっきりさせておくべきではないでしょうか。 ○松井部会長 これはどうでしょうか。課長、安全対策課との兼合いの問題もあるのでは ないかと思うので、今日、すぐにそれに対してお答えをというのは、あるいはディスカッ ションというのは無理なような気がしますけれど、いかがですか。 ○審査管理課長 申し訳ございません。内部で調べ物をしていて、先生の御意見を正確に 承ったかどうか、今一つ自信がないところですが、受け取った限りで申し上げますと、ま た現在で申し上げますと、この例のような2つの薬効群にまたがる、2つの効能・効果に またがるような申請というのは、今のところないと承知しています。今の承認審査期間が 長い短いは別問題として、大体2年かかっていますから、その間は出てこないということ なのかもしれません。そういう状況であると。 ○成冨委員 これが認められれば、多分各社、争って合剤を作るだろうと私は思います。 それが果たしていいかどうか。 ○審査管理課長 先生のおっしゃるとおりだと私も思いますけれども、先ほど説明した通 知の発出によって、これは認められるだろうというのは、各社はもう既に織込み済みだと 思います。世界的にも非常に有名なものですし、製薬業界の中でも注目が数年前からされ ているものですから、そういう意味で申し上げると、そこは織込み済みだろうと思います が、カルシウム拮抗剤とこのようなスタチンの系統というのは、そういう意味で申し上げ るといろいろな組合せが考えられますから、先生の御懸念というのは理解できるわけで す。一方において今回の配合理由の中では、かなり長期の試験をその配合理由の妥当性の ところで持ってきていますから、こういう試験もやろうと思うと、これはまたかなりの時 間と経費がかかる試験ですので、それが進行中かどうかまでは私は把握していない状況で す。また、今各社が実はいろいろな意味で注目して見ているのは、中医協での議論がどう なるのかです。先ほど先生がおっしゃった薬価を含めて中医協での議論がどうなるのか。 その辺りで経済的な面も含めて、今後、開発に入るものについては左右されてくるだろう と考えている次第です。 ○松井部会長 事を面倒にするようなことを言うのかもしれませんが、今日はこの薬につ いて認めて、また後日議論をするというのでは、かえって話をややこしくする可能性がな いか危惧するのです。先生方、あるいは課長、いかがでしょうか。要するに1回、この次 までこの問題について保留とするか、あるいは今日の時点でこの薬についてはもう認めて しまうか、どちらかはっきりしないといけないと思いますが、いかがでしょうか。 ○野田委員 やはり今後、次にこのような薬剤がいつ出るか、時間経過はどうなるか分か らないですけれど、これと同じようなことが起きるかと思います。本日のところは保留と いうことで、1回待ちという形の方が今後のためには憂いを残さないのではないかと思い ますが、いかがでしょうか。 ○松井部会長 ほかの委員の先生、いかがですか。 ○清水委員 私も基本的には、その考え方でよろしいかと思います。報告書の(2)の専門 家委員の先生方の議論も非常に熱の入った議論が読み取れるところですが、併用の有用性 と合剤で上市することの有用性というのは、決してイコールではないと、これを読んで感 じています。先ほど課長から、そういう処方の多い少ないではないという御意見もあった かと思いますが、処方実績がどうなっているかというのも、基本的には1つのエビデンス になるのではないかと私自身は考えられます。そういった意味では、そこのところを明示 していただくのはとても大事なことだと思いますが、いかがでしょうか。 ○松井部会長 ほかには、いかがですか。 ○飯沼委員 この会の権限と言いますか、お薬を今までの審議と違う仕方ですることはな いと思います。だから薬としてこれで認められるという話であれば、後のことは別の会議 で協議することであり、ここは薬それ自身を協議する、そういう場だと私は思いますので、 これは通すべきだと思います。 ○松井部会長 ほかには、いかがですか。 ○檜山委員 先ほど課長がおっしゃった、あるいは他の委員がおっしゃった1回待つとい うことで、新たにどういう情報が入って来るのでしょうか。先ほど中医協の話が出たので すが、この会が1回待つということは来月ですよね。その間に何が来るのか、どういう情 報が来るのか、そのタイムフレームがどうなのか、それを単純な質問としてお聞きしたい と思います。 ○審査管理課長 私が中医協での御議論を紹介したことが、議事を混乱させているのかも しれないと反省しているわけで、そういう意味で申し上げると、飯沼委員がおっしゃった、 あくまで安全性、有効性を判断するということで、そこはお願いをしたいと考えています。 そういう点で追加情報があるかと言われると、今直ちになかなか難しい、というのが一点 です。もう一点申し上げると、先ほど御紹介したように17年に、この配合剤の取扱いは、 こういうものが出てくるだろうということを前提に議論をして、企業の方は、17年に議 論した結果、通知を出して、それに基づいて準備をして出てきている。それを根本から変 えるというのは、なかなかそこは論理的に言うと難しいわけです。配合の妥当性が足りな いとかいうような議論であれば、それはルールとしては変えなくて、ルールに基づく審査 の中の問題だと整理ができるわけですが、17年のルールをある程度念頭に置いた議論を、 安全性、有効性、すなわち配合理由の観点から賜る必要はあるのか、と考えている次第で す。 ○野田委員 前回もミコンビのときに、薬剤名が分かりにくいということがありました。 私は多分この中では相当に、この合剤を処方する可能性がある疾患をみているものの1人 ではないかと思いますが、1番、2番、3番、4番というものではイメージが湧きにくい というのがあって、何らかの量的なものの反映されたような名称にしていただく方が、私 ども現場としてはやりやすい。配合錠1番、配合錠2番というので、2番と3番でどちら がが多いのかということがあって、4番が両方とも多い方だろうというのは分かります が、そのあたりが分かりやすいような名前にしていただいた方が、いろいろな意味で安全 性の面から問題が起きにくいのではないかと思いまして、先ほど、このままの名前でどう かというところも含めて、やや疑義を挟ませていただいたわけです。 ○松井部会長 ほかに、この問題について御意見はありますか。 ○内海部会長代理 この話は前提が、この委員の中でほとんど分からないで、今日の段階 で「ゴー」か何かというのは、かなり慎重にしないといけなくて、何か資料があって今ま でこういう議論があったのだということに基づいて、責任を持って判断をするという立場 が正しいのではないか。ですから、今までどう議論がなされたかということを、今日が無 理にしても、次回に回しても、それを前もってお配りしていただいて、国の方針なり今ま での厚労省の方針がこうであったと。それに基づいて、これがそれに対応するかどうかと いうことでしていただかないと、恐らくちょっと、「よろしいでしょうか」ということに 対して、答えを出せる状況ではないのではないか。それからまた、今名前のこともかなり 混乱をしていますので、前提段階と名前とはまた違う話になろうかと思います。 ○松井部会長 命名の問題、特に配合の方法、今後出てくるジェネリックに対してどうい う命名をするかということに関して、いかがでしょうか。これまでの経緯を次回までにサ マリーしていただいて、そして委員の皆様、また似たような問題が出てくると思いますの で、合意の上で先に進むということにしたいのですが、よろしいでしょうか。 ○飯沼委員 もう1回、いいですか。御趣旨はよく私も分かって賛成ですけれども、この 会議でそれをやるべきかどうかというのは違うと思います。ここはさっき課長が申しまし たけれども、薬の安全性とか有効性とか、そういうことを議論するので、命名や番号をど うするかという議論は、薬を通してからでも決められる話ですから、会議の性質は性質と してそれを守らないと、これからまずいことが起こるのではないかと思います。 ○内海部会長代理 私が発言申し上げたのは名前の問題ではなくて、むしろ薬として、ど れだけのベネフィットがあるのかないかということの前提条件が、明確でないものですか ら、そこのところを、この中にも「不利ではない」という表現形があって、必ずしも「非 常に有効だ」という表現形があまりなかったものですから、私自身は今日、この場に来る のにこの扱いは苦慮していました。それが今までの17年等で議論されたということであ れば、それをきちんと知りたいという考えです。 ○村田委員 多分質問なのだと思いますが、この会というのは、今まで薬の効果と副作用 とかで効果があるということをお話いただいてきて、それで薬を出すといいのではないか ということだったと思いますが、その薬を出す価値があるのかということは、どこが決め るのですか。あるいはそれは全然決めずに、会社からオファーがあって、非劣性が認めら れてそこそこ効果があり、危なくもない、危ないらしいということがあったら基本的に全 部出すというスタンスで、その薬を出す意味があるのか。一つはいろいろな選択肢がある ので出せばいいかもしれないのですが、今回のようなものですと一つ出したということ が、この後、いろいろな影響が出てくる可能性がありますので、それを決めるところはど こなのですか。ここではないということですか。どこが決めるのかというのと、ここは何 をすればいいのかをもう一度教えてください。 ○審査管理課長 薬事法そのものの議論が一つあるのだろうと思います。薬事法には有効 性がないものは駄目と書いてあります。その次に書いてあるのが、有効性と安全性を比較 考慮して有用でなくてはならないと書いてあります。最後に品質、性状が保健衛生上、問 題がないことと書かれています。基本的に、そこに該当するか該当しないかを議論してい ただくのがここの場です。最後の御質問にお答えいたしますと、そういう意味で最後に決 めるのは厚生労働大臣ですが、そこの重要な意見を述べていただくのがここの部会の役割 だろうと思います。承認する、承認しないについて、非常に重要な勧告を出していただく というのが、ここの部会の役割でございます。併せて申し上げますと、これを認めたから 影響がある、影響がないという議論は、当然、先生方の念頭にあって、あるいは今日の議 論の出発もそこにあったかと思うわけです。繰り返しになりますけれども、そのこと自体 は17年の通知で、ある面で申し上げると、変更を予定した上で配合剤に対する考え方を 示している、ということですので、私が若干懸念しますのは、17年に通知を変えて、そ れに基づいて各社は準備し、2年、3年かかって申請したら、やはり17年の通知はなか った、ということになりますと、政策の一環性が問われていくのだろうと思うわけです。 また、かなりの時間をこの議論にとっていますので、提案という形で申し上げますと、飯 沼委員に怒られるかもしれませんが、正直申し上げて5月の部会で御議論いただいても、 承認自体とか薬価基準収載とか発売とかには影響ございません。したがいまして、17年 のときの通知ですとか販売名の通知ですとか、そういう資料を次回用意させていただい て、今私が口頭で説明しているだけでございますので、見ていただいて、その上で最終的 なディスカッションを賜わるという形にさせていただいたら、いかがかと存じます。 ○松井部会長 課長に助けていただきました。次回までに資料を用意していただいて、委 員の間での共通の理解を持って次に進むということにしたいと思います。ありがとうござ います。 ○加藤委員 今の御説明で理解できたのですが、報告の42ページのところにあるのが、 またこのカデュエット特有の問題だと思います。そこにお話のあった平成17年の通知の ことが出ていて、患者の利便性の向上に明らかに資するものであると申請者は主張してい ると書いているわけですが、その下の機構の調査の結果を読むと、要するに、申請者が利 便性の向上に明らかに資すると言っているほどは、資さないのではないかということを機 構が言っているというのが、このカデュエット特有の問題ではないかと私は思うわけで す。このところがすごく気になって、要するに2剤併用しているだけでなく7剤併用まで あり、特にこれは利便性が向上するかどうか不明であるという結論が機構の方から出てい て、その議論が、その後の専門委員会のディスカッションの中でどうなっているのか注意 深く読みましたけれども、このことは結論が出ていないのです。ですから17年のことま でひっくり返すかどうかは別に、17年のは有効だとしても、このカデュエットの合剤化 するということの有効性について、この報告書の中には結論がまだ出ていないのではない かと私は読み取りましたので、このことも別の問題として議論すべき点ではないかと思い ます。 ○審査管理課長 その点だけ申し上げておきますけれども、すべてが42ページの議論に 尽くされているかどうかということは、あるのだろうと思いますが、最終的には50ペー ジのところの審査報告(2)、すなわち審査報告自体は審査報告(1)で1回仕上げて、その 後、専門家のお話も聞いて、42ページの一番最後は「専門協議の結果も踏まえて最終的 に判断したい」となっていて、それが審査報告(2)にいっている。したがって、今の機構 の考え方は審査報告(2)である。すなわち50ページからあるものが、機構としての今の 考え方を示しているという審査報告の作り方だけで、本来であれば前に盛り込めばもっと 分かりやすいのかもしれませんが、失礼いたしました。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは議題4に関しては今日は結論を出さな いで、次回まで審議を持ち越すということにします。次に議題5に入りたいと思います。 大石委員におかれましては議題5の審議の間、別室で御待機いただくことにします。 ── 大石委員退室 永井委員入室 ── ○松井部会長 議題5について、医薬品機構から説明をお願いします。 ○機構 議題5、資料5、医薬品プログラフカプセル0.5mg等の製造販売承認事項一部変 更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。潰瘍性大腸炎はびらんや潰瘍を 形成する大腸に非特異性に炎症が生ずる疾患であり、持続性又は反復性の粘血便・血便が 認められます。現在、本邦では「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班による、平 成17年度の潰瘍性大腸炎治療指針改訂案に従って治療が行われているものの、特にステ ロイド抵抗性及びステロイド依存性で、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する十分な治 療法がない状況であるため、ステロイドに代わり緩解導入をもたらし、ステロイドの減量 ・離脱を可能とする薬剤の開発が望まれています。申請者であるアステラス製薬は、免疫 抑制剤であるタクロリムス水和物(以下、本剤と略)が、ステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎患 者に有効であったとの文献報告を踏まえ、本剤の潰瘍性大腸炎に対する臨床開発に着手い たしました。本邦においては、本剤は1993年4月に、「肝移植における拒絶反応の抑制」 を効能・効果として承認された後、腎臓等その他の「臓器移植における拒絶反応の抑制」 や「全身型重症筋無力症」、「関節リウマチ」等の自己免疫疾患に対して適応を取得して います。海外においては、本剤は2009年1月現在、臓器移植後の拒絶反応を抑制する免 疫抑制剤として世界96か国で承認されており、移植以外では、カナダ、香港、韓国で「関 節リウマチ」の適応が認められていますが、現時点では潰瘍性大腸炎について海外での開 発は行われていない現状にあります。本品目の専門協議では、本日の配付資料12に示す ような専門委員が指名されています。それでは臨床試験成績を中心に説明させていただき ます。臨床試験成績としては、国内臨床試験5試験が評価資料として提出されています。 まず有効性に関して説明させていただきますが、報告書20ページの表19を御覧ください。 第III相臨床試験として難治性、すなわちステロイド抵抗性又はステロイド依存性で、中等 症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とした第III相臨床試験で、主要評価項目であ る投与開始2週後の「DAIスコアによる改善度」の改善率において、プラセボ群13.3%、 本剤群50%の結果が得られ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されたため、本 剤の有効性は認められると判断いたしました。  安全性に関してですが、報告書34ページの表39を御覧ください。提出された臨床試験 成績からは、重篤な有害事象は投与開始2週後まで、中止に至った有害事象は投与開始6 週後まで、比較的初期に多く認められていて、主な有害事象としては血中マグネシウム減 少、ALT増加等の臨床検査値異常、振戦、感覚鈍麻等の神経系障害、ほてりや悪心が認 められました。報告書の36ページ、表41を御覧ください。これまで他の自己免疫性疾患 に対する承認を取得していますが、既承認の自己免疫疾患に対する効能・効果に係る臨床 試験成績と、今回の臨床試験の成績を比較したところ、潰瘍性大腸炎患者においては、本 剤の主な有害事象の発現頻度が高い傾向が認められています。しかし、これらは本剤の副 作用としては既に知られている事象であるため、この点を注意喚起することで本剤の安全 性は忍容可能と考えました。また本剤の用法・用量について、固定用量ではなく、目標血 中トラフ濃度に基づき調節されています。第III相臨床試験の用法・用量として、報告書の 19ページの中段以下に記載していますので御覧ください。ここに記載しているとおり、 本剤の用法・用量としては、投与開始2週までがトラフ濃度10-15ng/mL、2週以降は5 〜10ng/mLに設定されています。この目標血中トラフ濃度に調節するための投与方法につ いては、報告書20ページの表17及び表18に記載しています。機構は、ここに示された 第III相臨床試験の用量調節方法を参考に、本剤の用法・用量を調節することが適当と考え、 添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「臨床試験成績」の項において情報 提供を行っていますが、この用法・用量の調節方法は非常に複雑な方法であるので、本剤 の用量調節方法が医療現場に十分に理解されるような方策を講じることが必要であると 考え、用量調節に係る資材を充実するように申請者に指導しています。以上、機構での審 査の結果、本剤の難治性で中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する有効性は認めら れ、安全性は許容可能であることから、本剤の効能・効果を「難治性(ステロイド抵抗性、 ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(中等症〜重症に限る)」とすることが適当と判 断し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断しました。なお本剤は新効能、新用 量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しています。 薬事分科会では報告を予定しています。御審議よろしくお願いします。 ○松井部会長 ありがとうございました。御質疑をお願いします。いかがでしょうか。疑 問の点、問題点はございませんか。もしないようでしたら議決に入りたいと思いますが、 よろしいですか。 ○永井部会長代理 DAIスコアというのがありますが、臨床的にどういう意味があるの かということと、感染が合併している場合でも有効なのかどうか教えてください。 ○松井部会長 二点について、機構からいかがでしょうか。 ○機構 機構より答えさせていただきたいと思います。DAIスコアについてですが、報 告書の12ページの表5を御覧ください。ここにDAIスコアの構成項目である4点、排 便回数、血便、下部消化管内視鏡所見、医師の全般的評価を4ポイントでスコア付けして 評価がなされています。DAIスコアに関しては多くの臨床試験でも用いられている評価 であり、機構としても、この評価項目を使ったことに関しては特に問題はないと考えてい ます。 ○永井部会長代理 感染の関与については。 ○機構 感染症の件ですが、本剤は免疫抑制剤であるので、感染については非常に注意し ながら使っていただく必要があると思っています。感染している患者様については、基本 的に感染の重症度と、本剤の対象である難治性で中等症から重症の患者様の病態を勘案 し、本剤の使用については医師の判断にお任せするしかないか、と考えています。ただ、 感染症も重篤化してしまうようなものに関しては、本剤を中止して感染症の治療をまずメ インに行っていただく必要があると考えています。 ○松井部会長 よろしいですか。ほかに御質疑ございませんか。ないようですので議決に 入ろうと思います。なお内海委員、清水委員、永井委員、成冨委員、野田委員、林委員に おかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと 思います。この議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。  ありがとうございます。それでは御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科 会に報告させていただきます。  次の議題6に入ります。大石委員におかれましては引き続き別室で待機していただきま す。医薬品機構から概要を御説明ください。 ○機構 議題6、資料6、医薬品アボルブカプセル0.5mgにつきまして、医薬品医療機器 総合機構より説明させていただきます。本薬はテストステロンをジヒドロテストステロン (以下、DHTと略)に変換する1型及び2型の5α還元酵素の阻害作用を有するデュタス テリドを有効成分とする5α還元酵素阻害薬であり、前立腺の発生と成長に関与するDH Tの抑制を介して、肥大した前立腺を縮小させることにより、前立腺肥大症の治療効果を 示すと考えられています。海外では2009年3月時点で、米国及び欧州各国を含む85か国 で承認されています。本邦では□□年□月より第I相試験が実施され、引き続き□□年□ 月より第II相試験、□□年□月より長期投与試験、□□年□月より第III相試験が実施され、 今般、国内臨床試験成績を主要な臨床データパッケージとして承認申請がなされたもので す。本品目の審査に関して、専門委員として資料12に記載されている委員が指名されま した。本品目の審査の概略について臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査 報告書42ページ、下から2行目の第III相試験の項を御覧ください。内容については次の 43ページから記載されていますが、国内第III相試験はプラセボ対照無作為化二重盲検並 行群間比較試験として実施され、日本人前立腺肥大症患者を対象に、本薬0.5mg又はプラ セボを1日1回、52週間投与されました。その結果、有効性について主要評価項目であ る「投与52週における国際前立腺症状スコア(IPSS)のベースライン時からの変化量 (調整済み変化値)」はプラセボ群で-3.7、本薬群で-5.3であり、本薬群でプラセボ群に 比して有意なIPSSの減少が見られたことから、本薬の有効性は示されたと判断しまし た。安全性については43ページの下の方に記載しているとおり、有害事象発現率はプラ セボ群で90%、166/184例、本薬群で88%、170/193例と同程度であり、審査報告書67 ページの下から2行目から記載されている性機能関連の有害事象、α1受容体遮断薬との 併用等について注意が必要ですが、良好な安全性が認められており、適正に使用されれば 承認の可否に影響するような大きな問題はないと判断しました。また審査報告書68ペー ジの下から1行目、PSAに関する影響についての項を御覧ください。本薬の使用に際し て注意すべき点として、前立腺癌の検査に使用される前立腺特異抗原(以下、PSAと略) の値を、本薬投与6か月後に約50%減少させることが挙げられます。しかし、本薬投与 前には直腸診やPSA測定などにより、前立腺癌の検査を事前に行うこと、投与中はPS A値を2倍した値を目安として基準値と比較し、推移を慎重に観察すること、患者及び医 療関係者にそれらの情報提供を徹底するなど、適切な注意喚起を行うことで対応可能と考 えています。  なお製造販売後調査について、審査報告書71ページ12行目から記載されていますよう に、再審査期間中に1,000例を対象としてリビドー減退、勃起不全、射精障害等の性機能 関連の有害事象、及びα1受容体遮断薬の併用に関する情報、肝機能障害を合併する患者 の副作用発現状況などの安全性に関する情報を収集すると共に、血清PSA値に関する調 査についても実施する予定です。以上のような審査を行った結果、本薬を承認して差し支 えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断 しました。本薬は原体、製剤共に劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該 当しないと判断します。また本薬は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は 8年とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では審議を予定しています。 御審議のほどよろしくお願いします。 ○松井部会長 ありがとうございます。御質疑をお願いします。いかがでしょうか。 ○加藤委員 PSAの値のことについてですが、ここで示されているのは平均値として何 %ぐらいPSAの値が落ちるかということで、平均値が書かれているわけですが、それで 大体50%だということで2倍という論理なのかなと思いますけれども、PSAの値を診 断的な意義を持たせて使う場合に、この分布がどのぐらいの分布なのかというのがここに 書かれていないのです。その50%というのは平均値だというのは分かりますが、実際に 例えばFalse NegativeかFalse Positiveなのか、どのぐらい出る可能性があるかは御検 討されているのでしょうか。単純に2倍ということで、実際にはこの薬剤を使わない場合 にはPSAは本当はもっと上がっていた可能性というのは、実際の推定の分布からどのぐ らい想定されるかは御検討いただいているでしょうか。 ○松井部会長 いかがですか。先生のおっしゃるFalse Negative、False Positiveとい うのは、前立腺癌についてですね。 ○加藤委員 そうです。 ○機構 PSAにつきましては、前立腺特異抗原でありますので、前立腺の腫瘍マーカー とはまた違う指標です。前立腺の肥大患者についてはPSA値が高くなることが知られて おり、PSAが4〜10までというのは通常でもグレーゾーンとして、前立腺生検やその 他の検査により、前立腺癌を検査すべきゾーンとして認識されているかと思います。  この薬につきましては、確かに50%という概ねの値ではありますが、あくまでもこれ は目安としてです。海外では同様に2倍にしてPSA値について検討することとなってい ますが、患者個々人のPSAに対する薬の反応というものは、もちろん違いますので、そ の点については、この薬を投与して半年まで下がっていくはずのPSA値が、もし上がる ようなことがあったり、患者さんのもともとのPSA値がいくらであって、それがどのよ うな変化をしていくのかについて注意深く観察していくのが、最善の方策ではないかと考 えています。分布より、むしろ投与された患者さんのPSA値について注意深く観察する ことにより、前立腺癌についてのリスクはある程度排除できるのではないかと考えていま す。 ○松井部会長 今のお答えでよろしいですか。 ○成冨委員 これは動物実験で、発癌性はないということは確認されていますか。 ○松井部会長 発癌性がないということが、確認されているかどうか。 ○機構 前立腺癌の発現に関しては、今長期の試験で検討されている最中で、最終成績に ついては□□□□にまとまるということです。ただ、これまでに実施された臨床試験の解 析からは、どちらかというと前立腺癌の発生を抑える傾向の成績が得られていますが、こ の薬が悪影響を及ぼすというところまでのエビデンスは、まだ得られていない。ただ、最 終報告はまだですので、発表される成績を踏まえて、その結果を慎重に判断していければ と現時点では考えています。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。ありませんか。それでは議決に入ろうと思いま すが、よろしいですか。議決におきましては永井委員、成冨委員、林委員、古川委員は利 益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、承 認を可として、よろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に上程し、審議することとさせ ていただきます。大石委員は入ってください。 ── 大石委員入室 ── ○松井部会長 議題7に入ります。御説明をお願いします。 ○事務局 レボドパ、カルビドパを希少疾病用医薬品として指定することの可否に関して 資料7に基づいて説明します。資料7の事前評価報告書のタグをめくってください。品目 の名称はレボドパ、カルビドパ、配付した資料ではレボドパとカルビドパの間を読点とし ていますが、オーファン指定の際には読点でなく中点に修正させていただきます。  本剤はレボドパ、カルビドパを、□□□□□□□□□□□□□□□□□□溶液に懸濁し たゲルであり、特定の医療機器を用いて、腹部に造設した胃瘻から十二指腸に直接持続に 注入するものです。予定される効能・効果は、(1)通常の経口薬物療法で十分な効果が得 られない重度の運動合併症、(wearing-off、no on/delayed on現象、on-off現象、ジス キネジア)を有するパーキンソン病(Hoehn & Yahrの重症度ステージIV・V) 、(2)パー キンソン病(Hoehn & Yahrの重症度ステージI〜III)、ただし、重度の嚥下障害又はその 他の理由により経口薬物療法が困難であり、既に胃瘻造設が行われている場合に限るとさ れています。申請者はソルベイ製薬株式会社です。まず対象患者数について説明します。 Hoehn & Yahrの重症度ステージIV・Vの患者で、経口の薬物療法で十分な効果が得られ ない重度の運動合併症を有する患者数は、平成18年度の特定疾患の疫学に関する研究に おける患者割合を踏まえると、最大4万621人と推定されます。次にHoehn & Yahrの重 症度ステージI〜IIIの患者で、既に胃瘻造設が行われている患者数についてですが、社会 医療診療行為別調査を基に、経胃瘻栄養を受けている60歳以上の患者数等をもとに、資 料に基づきまして推定しますと最大1,002人と推定されます。以上より、当該品目の対象 患者数は最大4万1,700人で、5万人に満たないと考えられ、希少疾病用医薬品の指定要 件を満たすものと判断しています。 次に医療上の必要性について御説明します。日本神経学会におけるパーキンソン病治療ガ イドラインでは、通常の薬物療法に反応しない場合には、脳深部刺激術等の脳外科手術が 推奨されていますが、本剤は胃瘻造設術に先立ち、経鼻十二指腸投与により、患者への有 効性、安全性を確認できること、直接吸収部位に投与するため、治療開始から短時間で効 果が発現すること、脳深部刺激術と比較して簡単な手術で適応できること等のメリットが 考えられます。これらのことから脳外科手術を実施する前に考慮すべき最後の薬物療法と して期待され、医療上の有用性は高いものと判断しました。  三つ目に本剤の開発の可能性についてですが、現在、34か国で承認されており、米国 では希少疾病用医薬品の指定を受け臨床試験を実施しています。国内では第II相臨床試験 が計画されています。したがって本剤の開発の可能性はあると考えています。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を考えると、本剤については 希少疾病用医薬品の要件を満たすと判断しています。御審議のほどよろしくお願いしま す。 ○松井部会長 ありがとうございます。御質疑、お願いします。頻度から希少疾病として の要件を満たしているということですけれども。 ○村田委員 この薬剤は必要な人が5万人もいるはずはないのですが、必要なことは間違 いないので、是非、希少疾病用薬剤にしていただきたいと思います。その前に質問したい のは、名称がレボドパ、カルビドパというふうになっていますが、レボドパ、カルビドパ という薬は普通の経口薬であるわけです。メネシットとかそういう薬なのですが、これだ け見ると、それも希少疾病用医薬品になってしまうのか、みたいな感じになってしまって、 本来、□□□□□□□□□□になるということが最も重要なポイントで、PEGの製剤と いうか、PEGのキットの中に入っている、ということが一番重要なポイントだと思いま す。これはレボドパ、カルビドパというふうに書くしかないのですか。普通の経口薬との 区別は付けなくてもよろしいのでしょうか。 ○事務局 もともと成分自体は、これまでもある成分なのですが、オーファン指定の際に は申請に基づいて指定することになっていて、今回の申請はこういうキットを含めて、こ ういう内容ですという申請が、この資料のようにございます。実際に指定するときに告示 などするのですが、そのときには成分名と効能と会社名を指定しますので、そういった意 味で、ほかのものまで一緒に含めて指定されるということでなく、今回のソルベイ製薬が 申請をしている、この品目についてのオーファン指定ということで、それは限定ができる と考えています。 ○村田委員 非常に紛らわしいと思います。効能でも普通の人にはちょっと分からないと 思います。 ○審査管理課長 どこまで先生の御趣旨を踏まえて工夫ができるのか、現行のルールの中 でそういう工夫ができるのか、それは事務局として預からせていただきたいと思います。 可否は判断いただいた上で、そこの工夫については事務局に任せていただければと思いま す。ありがとうございました。 ○松井部会長 ほかにいかがですか。それでは議決に入ろうと思います。よろしいですか。 本議題について指定を可として、よろしいでしょうか。  異議なしと認めますので、指定を「可」として薬事分科会に報告させていただきます。 次は報告事項です。これについて御説明をお願いします。 ○機構 それでは報告事項の議題1、医薬品メルビン錠250mg及びグリコラン錠250mgの 製造販売承認事項一部変更承認について、報告します。資料8になります。本剤はメトホ ルミン塩酸塩を有効成分とする経口血糖降下薬です。効能・効果としては「インスリン非 依存型糖尿病(ただし、SU剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な 場合に限る。)」で承認されており、第一選択薬としての使用が制限されています。今般、 大日本住友製薬株式会社及び日本新薬株式会社から、本剤の第一選択薬としての使用制限 をなくすため、適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて、平成11年2月1日付 けの厚生省健康政策局研究開発振興課長及び医薬安全局審査管理課長通知、いわゆる二課 長通知に基づいて、効能・効果等の製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたもので す。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、医学薬学上公知であると判断し、本剤 の第一選択薬としての単独使用、及び本剤とSU剤の併用について、承認して差し支えな いと判断しました。  議題2、医療用医薬品の再審査結果についてまとめて報告します。資料は9-1〜9-9で、 これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書になります。資料9-1は、一般的名称は 「カルシポトリオール」、販売名は「ドボネックス軟膏」。資料9-2は、一般的名称は「カ ルシトリオール」、販売名は「ロカルトロール注0.5他」のもの。資料9-3は、一般的名 称は「ファルネシル酸プレドニゾロン」、販売名は「ファルネゾンケル1.4%他」のもの。 資料9-4は、一般的名称は「ペロスピロン塩酸塩水和物」、販売名は「ルーラン錠4mg 他」のもの。資料9-5は、一般的名称は「尿素13C」、販売名は「ユービット錠100mg他」 のもの。資料9-6も一般的名称は「尿素13C」、販売名は「ピロニック錠100mg」のもの。 資料9-7は、一般的名称は「ガドジアミド水和物」、販売名は「オムニスキャン他」のも の。資料9-8は、一般的名称は「エストラジオール」、販売名は「エストラダーム貼付 0.72mg他」のもの。資料9-9は、一般的名称は「メナテトレノン」、販売名は「グラケ ーカプセル15mg」です。これらの品目について、市販後の使用成績調査、市販後臨床試 験、特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2 項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち効能・効 果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したも のです。なお、資料9-8のエストラジオールのうち、キッセイ薬品工業株式会社から再審 査申請のあったエストラダーム貼付0.72mgについては、報告書作成以降に承認整理がな された結果、再審査についても取り下げられています。以上です。 ○松井部会長 ありがとうございます。いまの報告事項ですが、何か御質問はありますか。 特にありませんか。 ○機構 続きまして資料10、報告事項、議題3、優先審査指定品目の審査結果について 御報告します。優先審査の取扱いについては、本日、お付けした資料の2ページにその概 要をお示ししています。この制度は薬事法第14条第7項に基づき、希少疾病用医薬品な どの医療上の有用性が特に高い品目の審査を、ほかの医薬品の審査に優先して行う制度で す。今般、当該品目の承認申請に合わせ、優先審査の指定申請があり、その可否について 判断したというものです。今回、優先審査の指定申請を却下した品目が□□□□□□□□、 □□□□□□□□□□(□□□□□□)□□。□□、□□□□□□、□□□□□、□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。(□)□□□□、□□□□□□。 (□)□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□・□□□□□□□□ □□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□、□□□□ □、□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□、 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□。  次に医療上の有用性について説明します。本剤はグリベンクラミドを対象とした国内第 III相臨床試験において、HbA1c変化量を主要評価項目として、グリベンクラミドに対 する非劣性を示す結果となりました。また副作用である低血糖の発現等において、グリベ ンクラミドよりも小さい結果となりました。しかしながら、既存の糖尿病治療薬が多数の 選択肢としてある中で、本申請資料のデータのみをもって既存の治療法より優れていると は言えないと判断しました。  以上、適応疾病の重篤性及び既存の治療法との比較から判断し、本品目の優先審査指定 申請を却下し、通常の審査とすることとしました。この品目についてはまた改めて部会で 御審議いただくことになると思いますので、よろしくお願いします。以上です。 ○松井部会長 いかがでしょうか。これも報告ですが、御確認いただけますか。本日の議 題は以上ですが、ほかに事務局から何かありますか。 ○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のように、5月29日(金)、午後4時から予定 していますので、よろしくお願いします。 ○松井部会長 それでは本日は、これで終了させていただきます。御苦労さまでした。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)