09/04/15 第61回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第61回労働政策審議会職業安定分科会 1 日 時 平成21年4月15日(水)17:00〜18:30 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表)           大橋分科会長、白木委員、征矢委員 (労働者代表)           成瀬委員、長谷川委員、古市委員、堀委員 (使用者代表)           荒委員、石原委員、上野委員、市川委員代理(小林氏)、           高橋委員代理(平田氏)       事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、及川審議官、           宮川職業安定局総務課長、坂口雇用保険課長、           田中雇用保険課企画官 4 議 題   (1)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び   雇用保険法の一部を改正する法律案要綱について 5 議事内容 ○大橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第61回「労働政策審議会職業安 定分科会」を開催いたします。 (出欠状況報告)  それでは議事に入ります。本日の議題は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護 を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案要綱(諮問)」 についてです。本件につきましては、4月15日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会長 代理宛、諮問を受けております。このうち育児・介護休業法の部分については、雇用均 等分科会において審議が行われており、当分科会においては、雇用保険法の部分につい て審議を行いたいと思います。これについては、雇用保険部会においてあらかじめ議論 を行っていただいております。本日は清家部会長が欠席されていますので、雇用保険部 会での議論も含めて、事務局よりご説明願います。 ○雇用保険課長 事務局の雇用保険課長でございます。それでは、私からご説明申し上 げます。資料は2種類あります。No.1が今ございました諮問案件の諮問文と諮問内容です。 No.2が参考資料ということになっており、そちらも使ってご説明したいと思います。  本件、いま分科会長からありましたとおり、育児休業、介護休業等に関わる法律と雇 用保険法の一部を改正する法律案の要綱ということで、前段の育児・介護休業法につき ましては雇用均等分科会でご審議いただいておりますが、雇用保険法の一部を改正する 部分についてお諮りするものです。そういった関係で、全体像ということで、育児・介 護休業法に関わる部分の、まず全体にどういう改正が行われるかということについてです。  参考資料の資料No.2の5頁をお開きいただきます。こちらは、昨年12月25日に労働政策 審議会の建議として、雇用均等分科会でもご報告いただいた育児・介護休業制度の見直 しの概要ということです。今般の法律案要綱につきましても、この建議に沿った形での 諮問内容ということで、諮問させていただいているということです。「趣旨」にもあり ますように、少子化対策の観点から仕事と子育ての両立支援等を一層進めるということ で、雇用環境の整備を行うための見直しということです。  主な内容としましては、1「子育て中の働き方の見直し」ということです。短時間勤務 制度を義務づけるということ、あるいは、労働者から請求があったときの所定外労働の 免除する制度についても、義務化して制度化するという内容がまず1点目です。  2番が今般の雇用保険法の改正に関わる部分です。「父親も子育てができる働き方の実 現」ということで、父母ともに育児休業を取得する場合に、育児休業取得可能期間を子 が1歳2か月に達するまで延長するということ等の内容です。  3番が「子育て・介護の状況に応じた両立支援制度の整備」ということで、子の看護休 暇制度の拡充であったり、介護のための短期の休暇制度の創設といったようなものが内 容となっています。  その他、4「実効性の確保その他所要の規定の整備」というものが見直しの概要という ことで建議がなされ、今般の改正の内容ということになっておるところです。  これらを受けまして、当職業安定分科会の関係につきましても、この資料No.2の1頁を お開きいただけますでしょうか。これは、今年の1月7日、年頭に当分科会にご報告させ ていただいた、年末に取りまとめられた雇用保険部会における雇用保険制度の見直しに 関わる報告の部分の抜粋です。この第2の2で、「育児休業給付の見直し」ということに ついても報告を取りまとめていただきました。上の3つの○につきましては、先般の雇用 保険制度見直しに関わる給付率の暫定的な引上げの延長、というような内容等に関わる 部分です。下の2つの○、下線を引っ張っておりますが、今回お諮りする内容に関わる部 分ということです。  内容的には、下から2つ目の○にありますように、育児休業制度については雇用均等分 科会において見直しの議論が行われて、(1)父母ともに育児休業を取得する場合に休業取 得可能期間を子が1歳2か月に達するまでに延長すること、(2)産後休業中に父親が育児休 業を取得した場合に再度取得を認めること、(3)保育所等に入所申請を行ったが当面入所 できない場合等に再度取得を認めること、を内容とする育児休業の範囲拡大が先ほどの 建議という形でされたということです。いちばん最後にありますように、「この建議を 踏まえ、雇用保険制度においても、育児休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復 帰を援助、促進する観点から、新たに育児休業の対象となる上記の場合について、育児 休業給付の対象とすることとすべきである」というようにご報告をまとめていただいた という内容に関わる部分です。  このような部会報告もさせていただいた内容について、雇用保険法に関わる部分につ いても、今般、雇用保険法の一部を改正するという形で審議会にご諮問させていただく という内容です。  資料No.1に戻っていただきまして、法律案要綱です。表題にもありますように、育児・ 介護休業法と雇用保険法の一部を改正する法律案要綱という形になっています。1頁から が、第一としまして育児・介護休業法の一部改正関係ということです。先ほど建議でご 紹介しましたような育児休業、介護関係に関わる改正の内容についての法律案の要綱の 内容ということになっています。  14頁をお開きいただきますと、いちばん最後のところから第二ということで、「雇用 保険法の一部改正関係」ということになっています。15頁でこの雇用保険法に関わる部 分ということで、先ほどご紹介しました雇用保険部会報告で(1)から(3)がありましたが、 そこの中の法律事項に関わる部分ということで、(1)に関わる部分としまして、今般、法 改正の内容としてお諮りするものです。  一としまして「育児休業給付金の給付対象期間の延長」ということです。被保険者の 養育する子について、当該被保険者の配偶者が当該子の1歳に達する日以前のいずれかの 日において当該子を養育するための休業をしている場合にあっては、1歳2か月に満たな い子を養育するための休業をしたときに、育児休業給付を支給するものとすることとい うことで、かかる場合についての給付対象期間の延長という改正を行うということでお 諮りするものです。  全体としまして、第三「施行期日」としましてこの法律は、公布の日から起算して1年 を超えない範囲で政令で定める日から施行するものであること、ということがこの法案 の全体の内容ということになっています。  内容の説明は以上ですが、先ほど分科会長からもございましたように、本件につきま しては、本日午前の雇用保険部会において、あらかじめご検討をいただきました。その 結果、内容については概ね妥当であるとのご結論をいただいておりますので、清家部会 長に代わり、ご報告させていただきます。また、先ほど、15時から雇用均等分科会が開 催され、そちらにおいても、本諮問案の育児・介護休業法の部分について、概ね妥当と の結論が出ていますので、これについても併せてご報告させていただきます。私からの ご説明は以上です。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは、本件についてご質問、ご意見が ありましたらご発言ください。 ○成瀬委員 いまの説明で雇用保険部会報告、資料No.2の1頁ですが、この部会報告の4つ 目の○の(1)に該当するのが、この法案要綱の雇用保険法改正部分だということですか。 マル2、マル3に該当する部分は省令事項なのか、あるいは雇用保険法には全然関係な い部分なのか、どういうことなのでしょうか。 ○雇用保険課長 いまの点ですが、先ほどもご説明しましたとおり、マル1が、雇用保 険法にも休業取得可能期間を1歳と書いてありますので、その例外ということで、今回の ようなケースについて1歳2か月という形で法律を改正して、内容的な見直しを行うとい うことです。いまご質問のありましたマル2、マル3につきましては、省令以下、雇用 保険法施行規則以下で対処するということを予定しております。 ○成瀬委員 その上で続けての質問になります。基本的には、これは育児・介護休業法 の改正と連動しているので、そういう意味で言うと、ここの分科会で議論できないこと なのかもしれません。今回の改正で法案要綱でいう15頁ですが、1歳2か月まで延長とい うことなのです。資料No.2の1頁で「父母ともに育児休業を取得する場合に」ということ で、1歳2か月に延長ということなのですが、いわゆるシングルペアレントの場合は、こ れはどうなるのでしょうか。シングルペアレントだとそもそも働かないと収入がないわ けなので。レアケースなのかもしれませんが、たまたま預貯金が十分にあったとか、あ るいは、離別の場合、別れた配偶者からの養育費がそれなりの額があって必ずしも急い で職場復帰をする必要がない場合でも、1歳までしか認めないというのは引き続きという ことなのでしょうか。 ○雇用保険課長 結論から先に申し上げますと、いわゆるシングルペアレントの方につ いての育児休業給付の対象取得可能期間は1歳2か月には延長にならないということです。 冒頭、成瀬委員からもありましたように、育児休業給付の対象をどういうところに捕ま えるかということについては、まさしく成瀬委員からもお話がありましたように、育児・ 介護休業法でどういったものを労働者の権利として位置づけているかということと対応 関係にあるというような形です。  その点については、雇用保険制度の中で、育児休業中の所得保障というようなものを 雇用の継続という観点から行おうというご議論を、当初から、制度設計の段階からして いただく段階も、いわゆる当時の育児休業法で、労働者の権利として認められていると いうようなものについて、ということを対象として所得保障をするということについて は、そういう育児休業という対象そのものが社会的にもコンセンサスとして得られてい る範囲だろうということで、法定の育児休業の対象となっているものを対象として、こ の育児休業給付の対象としましょうということです。  制度の制定のときもそういうご議論をされ、その過程ではいろいろ、本来、労使の保 険料だけで見る制度として組むのかどうかということも含めてご議論があって、そのよ うな形で制度としても制定されたと。その後の育児休業給付の対象としての育児休業に ついても、「本体の法定の権利としての育児休業の範囲が広がれば、その関係について 育児休業給付の対象としましょうか」ということは、改めて当分科会、雇用保険部会で もご検討いただいて措置してきたということです。  立ち返って考えますと、先ほど成瀬委員からお話のあったシングルペアレントの関係 についてどうするかということになりますと、本体の育児・介護休業法のほうで育児休 業の対象として同様に、今回の父母ともに育児休業を取得する場合と同じように、1歳2 か月に延長するかどうかということに寄りかかるという部分になるのです。その点につ いては、育児休業の今回の父母ともに育児休業を取得する場合に1歳2か月に延長すると いうのが、全体として父親の育児休業取得というようなものを高めようと。先ほど均等 分科会の建議の中でもご紹介した「父親も子育てができる働き方」を実現しようという ようなことを背景として行おうということですので、そういった点から考えても、この シングルペアレントというものの場合について、1歳2か月に延長するという議論にはな っていなかったと。  逆にまた、シングルペアレントの家庭の状況になっているということについて企業と の関係では、実は労務関係では特段関わりはないと申しますか、そういうことでもあり ます。また、そういったところがあまりに明確化というような形だと、また逆差別のよ うなこともあるのではないかということも含めて、対象としては、今回そういう場合に ついては1歳2か月には延長しないということに、本体の育児休業法のほうでもなってい るということです。それを受けて、私どもの雇用保険制度の育児休業給付の対象として も、延長のほうの対象とはしないということです。 ○成瀬委員 よくわかりました。では、その上で中長期的な要望だけ申し上げておきた いと思います。いまのご説明で、雇用均等という面から言うと、確かに今回の改正の趣 旨は非常によくわかります。もう1つ、雇用保険のあり方という点から言うと、育児休業 給付金の拡充が何から何まで雇用保険から出すのが妥当なのかどうかということでは、 割り切れなさももちろん、この部会報告に書いてあるとおり非常によく理解はしている つもりですが、その辺を踏まえた上でなお要望しておきたい。  いま私が挙げさせていただいたシングルペアレントの場合は、やはり両親が揃ってい るときよりも当該労働者にとっては雇用継続しなければいけないし、やはり国としても 雇用継続を、ほかの夫婦揃っているときよりも雇用継続への支援を強めていかないとい けない労働者であろうと思います。そういう意味では、育児休業給付をそういう方々に は手厚くするとかということも、もしかしたらあり得るかもしれないし、それ以外どう いう手をさしのべることができるかというのは、検討してみないとわからないかもしれ ませんが、是非、前向きに、今後、職業安定局のほうでも雇用継続という観点からご検 討いただきたいと思いますので、要望させていただきます。 ○大橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。特にご質問、ご意見はございませんでしょ うか。特にないようでしたら、当分科会としましては厚生労働省案を概ね妥当と認め、 その旨、私から労働政策審議会長代理にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいで しょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。 (報告文案配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長 代理あて、報告することとしてよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。なお、事務局より説 明しました雇用均等分科会の報告と併せ、これをもって厚生労働大臣に対する答申とな りますので、ご了解くださいますようお願い申し上げます。その他、何かご意見はござ いませんでしょうか。  1つだけ質問させていただきたいのです。いま成瀬委員からご指摘がありましたシング ルペアレントを例えば1年2か月にしたときに、現状では何か大きな問題が発生すると考 えられますか。 ○雇用保険課長 それは給付ではなくて、全体としての休業のほうでということですか。 ○大橋分科会長 ごめんなさい、給付です。 ○雇用保険課長 給付だけを延長するというのは、先ほど申し上げたように、全体、労 働者の権利としての育児休業法のほうで位置づけられている法定育休との齟齬が出てく るということで、そもそもの、その育児休業の範囲そのものをどう考えるかというとこ ろにかかってくるということです。 ○大橋分科会長 わかりました。それでは、ほかにご意見はございませんか。特にない ようでしたら、本日の分科会はこれで終了します。 (署名委員指名) どうもありがとうございました。                       (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係   TEL:03-5253-1111(内線 5711)