09/04/15 第45回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録         第45回 労働政策審議会職業安定分科会                 雇用保険部会                  日時 平成21年4月15日(水)                     9:30〜                  場所 中央合同庁舎第5号館14階                     職業安定局第1会議室 ○清家部会長 定刻になりましたので、ただいまから第45回「雇用保険部会」を開催 いたします。本日の出欠状況ですが、大沢委員、塩野委員、案田委員、古川委員がご欠 席でございます。また原川委員の代理として、全国中央会小林労働政策部長がご出席で ございますのでご紹介いたします。なお、事務局のほうに異動がありまして、課長補佐 に吉野さんが着任されておりますのでご紹介いたします。  早速議事に移らせていただきます。本日の議題は「育児休業、介護休業等育児又は家 族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案要綱 案」についてです。  これにつきましては、4月15日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会長宛諮問を受 けております。このうち育児・介護休業法の部分については、雇用均等分科会において 審議が行われ、雇用保険法の部分について、職業安定分科会で審議がなされるものです が、日程の関係上、職業安定分科会に先立ちまして、予め当部会で審議することとした ものでございます。  まず事務局からご説明をいただきたいと思います。 ○渡辺雇用保険課課長補佐 お配りしております資料に基づいてご説明させていただき ます。本日の配付資料ですが、表紙にありますとおり、資料1として「育児休業、介護 休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正 する法律案要綱(案)」、資料2として「参考資料」を配付しております。本日の議題は、 いま部会長からご紹介がありました、法律案の要綱についてですが、初めに改正法全体 の概要について簡単にご説明させていただきます。今回の改正法案は、急速に少子化が 進行する中、喫緊の課題となっている仕事と子育ての両立支援をより一層推進するため、 育児休業及び介護休業制度の整備、並びに育児や介護をしながら働き続ける環境の整備 が重要になっているということに鑑みて、所要の改正を行うというものです。  育児・介護休業制度の見直しの概要について参考資料の5頁をご覧ください。こちら は昨年12月25日に労働政策審議会で建議された6頁にある「仕事と家庭の両立支援対 策の充実について」という報告の概要です。今回の育児・介護休業法の改正法案は、こ の建議に基づきまして、1「子育て中の働き方の見直し」では、短時間勤務制度につい て事業主の選択的な措置義務から、単独の措置義務とすること、労働者の請求により、 所定外労働を免除する制度を新設すること。2「父親も子育てができる働き方の実現」 では、父母ともに育児休業を取得する場合に、休業できる期間を延長することなど、父 親の育児休業の取得促進、3「子育て・介護の状況に応じた両立支援制度の整備」では、 この看護休暇について、子の人数に応じて付与日数が増加する制度とすること、介護の ための短期の休暇制度の創設をすること等の内容が盛り込まれています。  育児・介護休業法の改正法案につきましては、要綱案のほうでは、資料1の1頁の第 一から14頁の第二までが該当部分となっております。こちらの部分については、本日 15時からの雇用均等分科会で議論がなされる予定です。  次に、本日ご議論いただく「雇用保険法の改正(案)」についてご説明いたします。雇 用保険法の改正案につきましては、参考資料の1頁の「雇用保険部会報告(抜粋)」を ご覧ください。雇用保険部会報告の2「育児休業給付の見直し」です。部会報告の下線 部4つ目、5つ目の○ですが、こちらに書いてありますとおり、「育児休業制度について は、労働政策審議会雇用均等分科会において見直しの議論が行われ、(1)父母ともに育児 休業を取得する場合に休業取得可能期間を子が1歳2ヶ月に達するまでに延長すること、 (2)産後休業中に父親が育児休業を取得した場合に再度取得を認めること、(3)保育所等に 入所申請を行ったが当面入所できない場合等に再度取得を認めること、を内容とする育 児休業の範囲の拡大が建議されたところである」。「この建議を踏まえ、雇用保険制度に おいても、育児休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進する観点 から、新たに育児休業の対象となる上記の場合について、育児休業給付の対象とするこ ととすべきである」という報告が、昨年の12月25日に当部会でなされております。こ のうち、今回は法律事項である(1)の「父母ともに育児休業を取得する場合に、休業取得 可能期間を子が1歳2ヶ月に達するまでに延長すること」。この部分について、育児・ 介護休業法の改正と併せて見直しをするということです。  それでは「法律案要綱」の具体的な中身について資料に基づいてご説明させていただ きます。資料1の14頁をご覧ください。第二「雇用保険法の一部改正関係」とありま す。要綱中この第二の雇用保険法の一部改正が今回の改正の該当部分です。  15頁の第二の一、「育児休業給付金の給付対象期間の延長」が具体的な内容です。要 綱では「被保険者の養育する子について、当該被保険者の配偶者が当該子の一歳に達す る日以前のいずれかの日において、当該子を養育するための休業をしている場合にあっ ては、その一歳二か月に満たない子を養育するための休業したときに、育児休業給付を 支給するものとすること」としております。  また、同じ頁の第三の「施行期日等」です。これについては、育児介護休業法の施行 時期と併せまして「公布の日から起算して一年を超えない範囲で政令で定める日から施 行するもの」としております。説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○清家部会長 ただいまの事務局からのご説明に関しまして、ご意見、ご質問等があり ましたらお願いします。 ○長谷川委員 改正内容についてはこれでいいと思っております。ただ、前にも述べま したが、育児に関する保障について、雇用保険で対応することがいいのかどうなのかと いうのは、これは何回も言っているので、是非それは検討してほしいと思います。なぜ かと言いますと、雇用保険はやはり本来失業して生活に困っている者のセーフティネッ トですので、育児とは基本的に考え方が違うと思うのです。育児休業制度を拡充させて いって、少子化対策を行うとか、仕事と家庭生活の両立を図るためにこういう制度が必 要だということは、十分理解しておりますので、やはりそれは子育て基金とかそういう ものを作って、トータルで対応するということが必要なのではないかと思います。かつ て、安定分科会でも、電機連合の成瀬委員が話したと思うのですけれども、育児休業期 間中の所得保障で言いますと、事業主からの賃金だと、いろいろな企業の中の措置など も合わせると、80%ぐらいの給付になるのです。ところが、産前産後休暇は制度が違う ものですから、3分の2しか保障されない。産前産後のほうが手薄で、育児休業給付の ほうが厚いという制度のバランスがあるわけで、産前産後休暇も育児休業も、トータル で考えなければいけないのではないかと思います。是非子育て基金を作る方向性で検討 していただければと思います。そのときに財源はどうするのか、給付の内容をどうする のかについては然るべき審議会の中で検討していただきたいと思うのが1点目です。  2点目は、久しぶりの雇用保険部会で、おそらくしばらくは開かれないと思うのです が、今回非常に経済危機の中の雇用不安の中で、雇用保険を活用した様々な対策がとら れました。私は非常にスピーディだったことと、労使、厚労省の皆さんが努力したから だと思っています。ただ、急いでいろいろなことをやったので、どの制度がうまく活用 されているかというのは、まだ現時点では見ることはできないのですが、ある一定の時 期にきたら、制度がどのように利用されているのかとか、あるいはどの制度が利用され ていないのかといったことを1回検証することが必要かと思います。雇用保険について は、この間いろいろな議論がされてきたわけでありまして、今回の事態は、雇用保険の 積み立ててきたお金がある意味では有効に活用されているという状況だと思います。雇 用保険というのは、平常時と非常時でこんなものかということも、私どもは経験したわ けですが、そういうことも含めて、トータルにセーフティネットとしての雇用保険につ いて、全体的な検証をすることが必要なのではないかと思います。これはすぐというこ とではありませんので、然るべき時期にということであります。以上です。 ○坂口雇用保険課長 いまの長谷川委員からのご意見が2点ありましたが、1点目につ いてはいまもご指摘があったとおりで、当部会においても、幾度となくいろいろご指摘 もいただいて、平成17年の部会報告、19年の部会報告もそうでしたし、そういったご 議論を受けて、先般の年末にまとめていただいた当部会の部会報告の中でも、暫定措置 の延長等の部会報告のスタンス、考え方の背景でもあったのだろうと思います。私ども 政府としましても、これまでのご指摘等もありましたし、関係部局のほうにもそういっ た点については伝えておりまして、関係部局のほう、あるいは審議会の中でも、社会保 障審議会の少子化対策特別部会というところでも、全体の子育て支援サービスをどうい う形で一元的に提供するかという背景の中で財源問題も含めてご議論、検討はされてき ているということでありまして、そういった点についても、政府としても受け止めなが ら検討していきたいと考えています。ただ、育児休業給付が現行としてあり、その果た している役割ということもありますので、今般の見直しも含めてご了解をいただければ というのが1点目です。  2点目については、前回の部会でも申し上げましたとおり、今般成立した法改正の見 直し事項を3月31日から施行しておりますので、労使の皆さんにも周知、定着につい てはご協力をいただきながら、しっかり施行を円滑にしていきたいということです。我々 としましても、施行状況についてフォローして、またご報告をしてご議論いただくよう に準備をしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○平田委員 今回の法案要綱は、法定の育児休業が広がって、それに対応して雇用保険 からの給付も延長するということですけれども、どのように質問したらよいかわからな いのですが、施行との関係で、延長の対象となるのはいつから、施行後育児休業を取ろ うとした人からなのかどうか、その点についてちょっと教えていただければと思います。 ○田中雇用保険課企画官 育児休業法の経過措置をどのように捉えるかですけれども、 基本的に施行日以降の育児休業から対象になるということです。 ○清家部会長 よろしいですか。ほかに何かご意見ございますか。先ほど長谷川委員が 言われた2点目については、労使の皆さん、あるいは公益委員からもいろいろご意見は ありましたけれども、速やかに雇用保険法の改正をもって、セーフティネットの充実を みたということは、とてもよかったと思っておりますし、部会長としてもありがたいと 思っております。いま見ておりますと、雇調金等も含めて、雇用政策あるいは雇用保険 制度が随分厳しい中で日本の雇用の下支えをしているという現状も見てとれますので、 その辺も非常に評価されてよいかと思います。いずれにしましても、特に新しい政策等 については、その政策の効果を一定の時期にきちんと検証して、エビデンスベーストの 政策というか、それをやっていただくことは確かに大切かと思いますので、事務局にも 私のほうからその点はよろしくお願いしたいと思います。  それでは、ただいま事務局からご説明がありました「育児休業、介護休業等育児又は 家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案要綱 (案)」につきましては、当部会としてこれを概ね妥当と認めるということでよろしいで すか。                 (了承) ○清家部会長 ではそのようにさせていただきます。なお、本件につきましては、概ね 妥当という趣旨を本来、私のほうから職業案安定分科会にご報告すべきところでござい ますが、申し訳ないのですが、今日は学校で夕方会議がありまして、本日夕方の分科会 には出席することができませんため、事務局のほうからご報告をお願いするということ でお許しいただきたいと思いますが、よろしいですか。                 (了承) ○清家部会長 ありがとうございます。以上をもちまして、第45回「雇用保険部会」 を終了いたします。なお、本日の署名委員は、雇用主代表坪田委員、労働者代表長谷川 委員にお願いいたします。委員の皆様にはお忙しいところ誠にありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)