09/04/14 平成21年4月14日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時:平成21年4月14日(火) 14:00〜16:00 ○場所:厚生労働省 共用第8会議室 ○出席者: 委員 青木委員、生方委員、尾崎委員、大野委員(部会長)、加藤委員、斉藤委員、佐々木 委員、志賀委員、松田委員、山内委員、山添委員、由田委員、鰐渕委員 事務局 國枝基準審査課長、小木課長補佐、工藤課長補佐、江島専門官、中田専門官 関係省庁 農林水産省・大臣官房審議官         山田審議官      農林水産省・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1.開会 2.議題 (1) 稲わら等飼料に由来する畜産物中の農薬に係る残留基準設定等について (2) 食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について ・ イミシアホス(農薬) ・ ピラスルホトール(農薬) ・ ブロチゾラム(動物用医薬品) ・ テルデカマイシン(動物用医薬品) ・ デストマイシンA(飼料添加物) (3) その他 3.閉会 ○事務局 それでは、定刻より1分ほど早いんですけれども、先生方皆様おそろいですので、た だいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていた だきます。  本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。  本日は、豊田委員、吉池委員より、御欠席なさる旨の御連絡をいただいておりますが、農薬・ 動物用医薬品部会の委員15名中13名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達 しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  また、農林水産省から、山田友紀子大臣官房審議官に御出席いただいております。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議をよろしくお願 い申し上げます。 ○大野部会長 それでは、お忙しいところ、皆さん集まっていただきありがとうございます。  早速、議事に入らせていただきたいと思います。  始めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  資料1は、後ほど配付させていただきたいと思います。  資料2は、農薬イミシアホスになります。  資料2−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料2−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  資料3は、農薬ピラスルホトールになります。  資料3−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料3−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  資料4は、動物用医薬品ブロチゾラムになります。  資料4−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料4−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  資料4−3「エリスロマイシンJECFA評価書」。  資料5は、動物用医薬品テルデカマイシンになります。  資料5−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料5−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  資料6は、飼料添加物デストマイシンAになります。  資料6−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料6−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜産物摂取量」。  参考資料2「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」です。  配付資料の不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。もし不足がありましたら、事務局に指示してくださるよう にお願いいたします。  それでは、審議に入りたいと思います。  本日は、今日の議事次第にございますように「稲わら等飼料に由来する畜産物中の農薬に係る 残留基準設定等について」ということで、こういう関係のことをこれから審議していただくこと が多くあると思いますので、その考え方について、事務局及び農林水産省から説明していただく ことにいたしております。  その後、農薬2剤、動物用医薬品2剤、飼料添加物1剤について審議していただくことにして おります。  審議に当たりましては、あらかじめ先生方に資料をお送りして、御検討いただいているところ でございます。  それでは、最初の議題「稲わら等飼料に由来する畜産物中の農薬に係る残留基準設定等につい て」ということで、事務局から簡単に説明をお願いいたします。 ○事務局 飼料由来の畜産物への残留農薬の基準設定につきましては、これまでも海外における 乳牛への残留試験の評価結果などを参照した剤におきまして、委員の皆様に御審議いただいてい るところでございます。  今般、農林水産省の施策の一環といたしまして、飼料自給率の向上を通じた食料自給率の向上 を図るためということで、国内における稲わら等の利用拡大の取組みが推進されております。こ れらの飼料を給与した家畜と家畜由来の畜産物の安全並びに安定供給を確保するということで、 JMPRにおける評価方法を参考といたしまして、稲を適用作物とする農薬についての畜産物へ の移行等について評価が開始されておりますことから、今後これらの評価結果を踏まえまして、 畜産物への残留基準設定が必要な農薬であるということで、農林水産省からの連絡があった剤に つきましては、それらの基準設定について、本部会において御審議いただく場面が出てくること が想定されます。  本議題についての事前連絡はしておらなかったところなんですけれども、本日の部会におきま して、本件について農林水産省からの御説明をお願いすることといたしまして、本日の議題とし て挙げさせていただいたものです。  本日は、農林水産省の審議官でもあるんですけれども、特にJMPRの委員でもいらっしゃい ます山田友紀子審議官においでいただきまして、飼料及び飼料由来の畜産物への残留基準設定に 係る国際的な考え方等について、御説明をお願いしております。  それでは、山田審議官、よろしくお願いいたします。 ○農林水産省山田審議官 皆様、こんにちは。山田でございます。  御紹介がございまして、農林水産省を指導していることはたしかですけれども、本日はそちら よりも、JMPRのメンバーとしてお話をさせていただければと考えております。  と申しますのは、1993年にコーデックスの事務局に入りまして、残留農薬部会の事務長をい たしておりまして、その資格で2000年までJMPRのオブザーバーとして参加しておりました けれども、2001年から評価者としてずっと現在に至るまで参加いたしておりまして、その間、 いろんなことが変わりました。一番大きく変わったのは、暴露評価ではないかと思います。その 次に大きく変わったのは、飼料由来の畜産物の基準値の設定の仕方ではないかと思っております。  今、何をどのように考えてやっているのかということを、そのための基礎的な情報とともに御 説明をいたしたいと思います。  最初に農薬の話なんですが、農薬取締法という法律が日本にあるんですが、それは農林水産省 が所管しております。それにおける定義というのは、農作物ということが書いてありまして、こ んな剤ですよみたいなことが書いてあって、天敵も入っていますということを言っております。  ところが、これから御説明するコーデックス、JMPRの定義は、どこで何をするかだけでは なくて、どこで使うかということが書いてあります。  「during the production, storage, transport, distribution and processing」と書いてありま して、こちらの定義ですと、storageのときにポスト・ハーベスト・アプリケーションは入って くるんですね。  もう一つ違うのは、ectoparasitesのコントロールに使うもの。つまり、例えば動物の体表に いるダニの駆除に使用するものは、動物用医薬品でもあるんですけれども、コーデックスの農薬 の定義によれば、体内にいるのは別なんですが、体表にいるものを殺すものというのは農薬にな るということで、いろいろややこしいことが起きるわけです。  コーデックスにおけるMRL(Maximum Residue Limits)の定義です。  残留農薬の最大濃度は書いたとおりですが、合法的に存在が認められる最大濃度として勧告さ れるものであって、それは農薬使用の使用基準(GAP Good Agricultural Practice)に基づ いたものであるということ。  もう一つは、MRL以下の残留農薬を含む食品から製造される食品は、毒性学的に安全である と考えられるということが定義となっておりますので、以下、御説明いたしますのは、この農薬 の定義とMRLの定義にのっとってのことであると御理解いただけたらと思います。  コーデックスそして各国政府、または関心のある組織への科学的なアドバイス。政治的とか経 済的なことは一切抜きにして、科学的なアドバイスをする機関として、コーデックスから独立し てというか、実はコーデックスの前からあるんですけれども、「Joint FAO/WHO Meeting of Pesticide Residues」、JMPRと訳しますが、そのようなものがございます。正式名は何行もあ るようなもので、舌をかむのでだれも言わないんですが、FAO PanelはPesticide Residues in Food and the Environmentをやっており、WHO Core Assessment Group、何をするかこれで は全くわからないんですけれども、実はここが毒性学的な評価をするところです。  トータルとしてリスクアセスメントとリスクマネージメントの一部をやっていることになり ますが、exposure assessmentはFAOの方がやっております。というのは、基準値を決めてか らでないと、exposure assessmentができないからということです。  JMPRとCCPRの役割分担です。  JMPRはCCPRにアドバイスするだけではなくて、すべて関心のある国とか組織とかにも していることになっているんですけれども、JMPRの方はリスクアセスメントであって、科学 的な分析とアドバイスをする。政治・経済的な考慮は全くなしです。  ここには書いていませんけれども、参加者は個人の科学者として参加するのであって、国や組 織を代表しているわけでないわけです。  一方、コーデックスの総会とかCCPRはリスクマネージメントをするところであって、それ でもやはり科学的な証拠に基づく加盟国への勧告。科学はどちらもあります。  そして、それ以外に消費者の健康の保護と食品貿易における公正な取引の保証に関連する他の 正当な因子。だから、科学ではない因子をこちらは考えているというところが違うところでござ いまして、こちらの参加者は、国の代表として参加するという大きな違いがあります。  JMPRの任務で決まったものがございまして、下に示しているような物質について、トキシ コロジカルなエバリエーションと残留試験、モニタリングデータの評価というのがメインなんで すけれども、GAPに従って農薬を使用した結果として、食品・飼料中に存在する残留物の評価。  もう一つは、以前農薬として登録されていて、現在は農薬ではないけれども、科学的な性質も 主としてorganochlorineなどが多いんですが、科学的な性質から環境汚染物質として食品・飼 料中に存在する物質がメインのターゲットということになっております。  先ほど申しましたWHOのグループは、毒性学的な評価をいたします。  これは改訂中ですけれども、一応EHCのシリーズに則ってやっております。  それから、FAOパネルが今日の議題に大きく関係しているところですけれども、作物残留試 験の評価というのは、略してFAO Manualと言っているものに依ります。  現在のシリーズが出たのが97年。2002年にアップデートしまして、今、又アップデートをし ている最中です。だから、今年中にサードエディションが出ることになっておりまして、今、コ メントが求められているところです。  毒性評価においては、皆さん御存じのように、急性毒性、短期毒性、長期毒性、発がん性、遺 伝毒性、代謝は主として、WHOパネルがやるのは、実験動物の代謝です。毒性に関連して見て いるんです。だから、生殖毒性、神経毒性、内分泌活性というものを見ています。  それでNOAELを決めて、安全係数は通常100ですけれども、それを使ってADIを出す。 このADIは、意図的に使われるものに設定しておりますので、農薬として登録されているもの には、幾ら毒性が強くてもADIが設定されます。  一方、DTTとかアルドリン、ディルドリンみたいな、今は農薬として使ってはいけないけれ ども、環境から汚染されるものについてはPTDIというものを設定しておりますので、数字の 前にあるものを見れば、農薬として登録されているものか、もう農薬として使ってはいけないも のかということがわかります。  かなり最近始まったというか、97年ぐらいから活発にやり出しているんですけれども、コリ ンエステラーゼ阻害とか、一時経口投与による致死性とか、母体への毒性の結果として起きる発 達毒性とか、通常やる繰り返し投与の初期に見られる影響、急性神経毒性、ホルモンその他生化 学的変化というものを指標といたしまして、Acute Reference Dose、ARfDと書くことが海外で は一致しているんですけれども、それを設定します。  つまり、1日摂取した結果として、何か健康影響が出るかどうかということを指標として設定 しております。これはまだ進化中のものでございます。  ここからMRL設定の手順なので、ゆっくりやりたいと思います。  通常、各国政府で、農薬が開発されましたというところから、どのように基準値設定のところ までいくかという手順をすごく粗く書いております。  最初に、農薬は意図的に使うものなので、目的に合っていなければいけないわけです。ですか ら、ちゃんと効果があって、そして対象の作物、植物に悪い影響がないということをチェックし ないといけないので、まず薬効・薬害の確認をします。ラフに言うと、防除したい病害虫に有効 であって、施用された作物に害がないかを調べるということになります。  それから、それを見てGAP、すなわち農薬の使用基準をつくります。投下量、実際は濃度と か、ボリューム、回数、休薬期間、私たちはPHIと言っているんですけれども、それを決めま す。  この使用基準のうち、残留が最大になるような条件の下に試験を行いますが、その結果を評価 して、それから基準値案をつくって、それを使って暴露評価をして、OKだったら基準値を決め るということをしているわけです。  実際のところ、JMPRというのは登録機関ではありません。つまり政府の登録の部分はやり ませんから、ここから上は関係ないんです。だから、ここから下をやるのがJMPRでございま す。  どういうデータを見るかといいますと、実際に残留するかどうかのことを考えるんですから、 農薬が使用された植物の中でどんな代謝が起きるのか、または代謝が起きないのか。使用された 部分から移動することがあるのか、ないのか。そういう植物代謝を、当然アイソトープを使って、 見ます。  その次に動物代謝を見ますが、先ほど言いましたように、実験動物、マウスとかラット、イヌ、 ウサギというのは毒性評価の人たちが見るんですけれども、ここでは主として採卵鶏と乳を出し ているヤギを使ってやります。  実際、オス、メスとか違う場合もないことはないんですけれども、実際に畜産物として我々が 食べることになるところに出てくるかどうかということを知るためには、そういう動物を使うこ とが必要ですし、ヤギの方が牛よりも安いということもありますし、人によると牛よりヤギの方 が賢いという人もいるんですけれども、私は確かめたことがないので、それはわかりません。  あと、環境中の動態、主として土壌中の動態は、特に輪作などをする場合に、使用してもいな いのに後作に残留しているかのごとく出てくることはないのかということの部分で重要。特に根 菜などは接する場合もあるので、重要な試験になります。  今まで私が見ている16年間の範囲で、最近結構問題になるのが多くなっておりまして、ボス カリドとかクロラントラニリプロールというのは、土壌残留性が非常に強いので、使用したとき よりも後作で出てくる方が残留濃度が高い可能性があるということで、クロラントラニリプロー ルでたしかレタスだったと思うんですけれども、史上初めて後作の条件で基準値をつくりました。 幸いにして、レタスはあまり飼料に使わないので、その点はよかったです。  それから、当然、分析法があるかどうか、農薬の登録と使用に関する情報、GAPに従った残 留試験、通常8試験以上でマイナー作物は4試験、これは多分3試験ぐらいに減らすことになる と思いますけれども、それを基に基準値を設定します。  それ以外に暴露評価とかリスクアセスメントの要素として、食品加工試験と可食部における残 留濃度、今日のポイントの動物飼養試験を評価します。  ただ、ここで全く代謝されてしまって、何も残りませんとか、ほとんど全部排出されてしまい ますというときには、動物飼養試験をやらないこともあります。だから、動物代謝の結果として やるかやらないかということが決まりますし、飼料になるような作物が何もない場合もやらなく ていいことになっております。  データを解析して、残留物の定義、つまり何に基準値を設定して、何を分析するのかというこ とを決定します。それをJMPRの場合は、基準値用とリスクアセスメント用の2つつくります。 同じものになることもあります。  なぜ2つあるかといいますと、基準値用というのはなるべく簡単で、速く、多くの試料を分析 できるようなものの方がいいので、例えばカラムを別々に2本通さないといけないようなことは できるだけしないようにする。だから、基準値用はなるべく簡単なものにして、リスクアセスメ ント用は毒性のあるものはすべて含むようにするという概念でつくっております。  この定義に従って作物残留試験の結果を評価しまして、基準値を推定いたします。ただし、こ こで厳しいのは、データが十分でない場合は推定しない。すなわち、その作物には残留が認めら れないということになります。  例えばどういう決め方をするかというと、これは飼料も全部同じなので、リンゴと書いてあり ますけれども、稲わらでも、麦わらでも、豆のつるでも同じですが、GAPの条件に合った残留 試験で、ある農薬が稲わら中に0.2、0.3、0.5、0.6、0.8、1.2、1.5、2.5 mg/kg残留していると します。そうすると、実際はすごくばらついているデータの一部を取ってきていると考えますの で、この場合、おそらくMRLとしては5 mg/kgぐらいが妥当ということを勧告することにな ります。  本来、MRLはGAPが守られているかどうかの指標ですから、まじめにGAPのとおり使っ ていたら罰せられることはないという数字を決めるようにしております。  一方、暴露評価をするときに、長期的な暴露であるならば、作物残留試験の結果がこの場合8 つあるので、中央値は4個目と5個目の平均値になりますけれども、0.7 mg/kgを暴露用に決定 します。というのは、長期暴露というのは、今日残留濃度の高いものを食べても、明日は低い残 留濃度のものを食べるかもしれないということですので、なるべく平均的な数値を使おうという ことになっています。  このSTMRというのは、Supervised Trial Median Residueというものの頭文字なんですけ れども、これは後にもまた出てきます。今、アメリカは、統計的な手法を、基準値をつくるtool として使いましょうということをかなりプッシュしております。  飼料の基準値はどういうものに設定しているかといいますと、例えば登録があれば牧草、登録 がある食用農作物の副産物、例えば麦に登録があるときに、別に麦わらとかではなくて、麦のグ レインそのものが使用の目的ではあるんですけれども、副産物として、麦わら、または稲わらと かができます。豆のつるなどもそうですね。  あとは、食品加工の副産物として出てくるものがあって、ビートパルプとかみかんの皮などが あります。  原則的にコーデックス、JMPRでは、基準値は乾燥重量当たりで計算・表示することになっ ています。  日本で使われている飼料の例としては、飼料用として農薬登録があるものがあって、イネ科の 牧草、マメ科の牧草、トウモロコシ、ソルガム、かなり新しいものとして稲発酵粗飼料(WCS) などがあります。  登録の際には、こういうものは考慮されております。  一方、副産物です。  稲わらは考慮されているんですけれども、ビートパルプとか大豆の油かす、豆腐かす、米ぬか は、登録の際には副産物として考慮されていないわけです。  だから、そこのところでデータをどうやってつくるかという問題がかなり出てきます。  動物性食品の基準値は、飼料になる農作物に基準値がある場合に設定します。だから、飼料に は使われないものしかない場合には、設定しません。  飼料の最大給与割合の表は、以前は日本にはなかったんですけれども、稲わらのことを聞いて、 急遽つくりました。過去には、稲わらのこととかを考えていないので、あまり米とかのデータが なかったため、今後アンケート調査などをしながら、ブラッシュアップしていかないといけない わけです。  飼料中の理論的な最大残留濃度と平均的残留濃度を計算します。これは乾燥重量当たりです。 だから先ほどの飼料の基準値を乾燥重量当たりで欲しいということなんです。  それから、動物飼養試験における飼料中の濃度と、このようにして求めた濃度を比較して、動 物性食品中の残留濃度を計算します。その際、農薬の脂溶性を考慮に入れます。例えば肉という ときに、欧米ではどちらかというと脂肪と筋肉と、割ときれいに分かれるんですけれども、日本 の場合はそうではないので、脂溶性を考慮に入れるというのは、かなり重要なことになるのでは ないかなと考えております。  それから、先ほど申しましたように、Variabilityを考えて基準値を設定するということもい たします。  実際にどうするかという通常の例を申し上げます。紙でお配りしておりますけれども、飼料か ら畜産物の計算例を出しております。  最初のページの一番下にAminopyralidというものについて記載してあります。飼料の中に最 大どれぐらい残留があり得るかということを計算しています。実はこれは一番新しいものではあ りません。この当時はアメリカとカナダの最大飼料給与割合の数値しかなかったので、計算が1 種類で済んで、理解するのがすごく楽なんですが、HRというのはHighest Residuesですが、 日本の場合2例しかなくて利用できないので、日本ではMRLを使うことにしています。  一番高いGrass forageのところをごらんいただくと、103とか10.3とか、ほかのものに比べ てすごく高い数字になっておりますので、一番高い数字にするには、cattleの場合にはGrass forageを100%にすると一番高くなります。その度毎に実際の濃度とパーセンテージのどこまで いけるかというのを使って計算して、一番高い数字を出します。ワーストシナリオを出すわけで す。  一方、飼養試験の方は、通常は想定される濃度×1、それから、3倍、10倍という農薬を含 む飼料を家畜に一定期間、普通1か月投与して、畜産物中の残留農薬濃度を測定します。ですか ら、表としては、飼料中の農薬濃度に例えばX1とかX2とかがあったり、筋肉中の残留農薬濃 度はY1、Y2とかになって、そういう直線関係というものを示すわけです。  先ほど申し上げた飼料中の最大残留農薬濃度と、先ほどの直線を活用して、XmだとYmが畜 産物中の残留農薬濃度になるということで、これを上方にに丸めることをして基準値にします。  実際は、ミルクにたくさん出てくる場合に、肉の方でその分が減らなかったらどうなるかとい うことを考える必要があったり、単なる算数ではありません。  化合物によっては、農薬にも動物用医薬品とか飼料添加物にも使用されますし、先ほど申し上 げましたように、農薬の定義の中にectoparasiticideというものも農薬であると言っているので、 1つのもので2つの可能性が出てくるわけですね。つまり、農薬が飼料を経由して畜産物に残留 する場合と、動物にそのまま使用して、例えばスプレーをして、畜産物に残留する場合。分析機 関には、どちらから来たかわからないわけですね。だから、動物用医薬品としては幾ら、農薬と しては幾らと言われても困ってしまうわけです。  そこでどういうことをすることにしたかというと、それぞれの場合を評価して、より高い数値 のものを基準値とすることにしております。足すわけではないということです。  最後に暴露評価で安全かどうかを示さないといけないわけですけれども、国内だともっといろ いろなデータを使えるんですが、国際的なレベルではすごい限界があります。  もう一つは、ほかの起源からの暴露を考慮するのも、国内ではできても、国際的には困難です。  唯一できるのは数学モデルだけです。そのために最初から利用可能なデータというのはすべて 使う。例えば可食部の濃度とか、調理によってどれだけ減るか、または抽出した後精製するため に、濃度が高くなることもあり得ます。  長期的な暴露をやるときには、Supervised trials median residue(STMR)、最もありそう な数値となっていますが、中央値です、それから、可食部中の濃度とか、加工試験のデータを使 うこともしますし、特に肉の場合は脂溶性の高い農薬の場合については、筋肉と脂肪に分けて暴 露を計算します。このやり方は最近ではごく普通になってきていますけれども、脂肪の率を20% で計算しています。恐らく日本だともう少し高い数字でやらないといけないのではないかなと思 います。  食品の消費データには世界共通のものなどはないので、FAOのFood Balance sheetのデー タに基づいて、13クラスターに分けたモデル食を使ってやっております。日本だったら、日本 の平均的なものがあると思うんですけれども、たしかモデル食の中で日本は魚食民族というか、 そういうクラスターになっております。モーリシャスとかセイシェルとかが同じところに入って いたと思います。  最後にそれを我が国に適用して、どういった考え方でやるかというと、暴露評価においては、 HRは使えないので、MRLしか使えないんですけれども、STMRというのは、実際上わが国 では平均値です、それで計算をしまして、ここは厚生労働省のルールに合わせて、暴露量がAD Iの80%を超えるかどうか。JMPRの場合は、80%ではなく、100%までいっていいことにし ています。それを超えるとGAPの見直し、つまり、農薬の使い方を考え直しましょうというこ とをしますが、超えないと農作物・飼料・畜産物のMRLを採用するということにします。  暴露量は、MRLを用いたTMDIの計算とSTMRを用いたEDIでそれぞれ評価するとい う、厚生労働省のやり方に準拠してやっております。  手順を最初から言いますと、今回やったものは稲わらとWCSですけれども、要するにGAP の情報と作物残留試験のデータから指導基準の案をつくります。  それから、ほかの飼料の既にある基準値とか、各飼料の最大給与割合から、飼料中に想定され る最大残留濃度を計算いたしまして、それと飼養試験、場合によっては家畜代謝試験でも使える んですけれども、それと両方を使うことによって、畜産物の残留濃度を出し、それが現行の畜産 物の残留基準値よりも小さい場合だと、これを超えることはないので、飼料の指導基準を確定し ます。  これがもし現行の残留基準値よりも高ければ、これを使って科学的に評価された基準値の設定 が必要だということになります。  そのためには、摂取量を推定しないといけないわけです。これは今度、畜産物だけではなくて、 農産物も全部一緒に、基準値があるものすべてについてやりまして、ADIの占有率が80%以 下であれば、厚生労働省に先ほどのデータと評価結果を提出して、畜産物の残留基準の見直しを 要請して、飼料の指導基準値を確定します。  問題なのは、これが80%を超えてしまうと、リスクアセスメントをクリアーしないというこ とになるので、飼料の給与割合を制限して、普通は70%までやるのを50%にしてくださいとい う指導をするということとか、使うのをやめてくださいということもあり得ます。それから、現 行の基準値から逆算して飼料の基準値を設定する。でも、これは現実が余り反映していないので、 すごく取締りが大変です。または、農薬の使用方法を変更する。一番極端になると、農薬の適用 作物を変更する。要するに、削除する。そういうことをやるというリスクマネージメントのオプ ションを考えないといけないということになるわけです。  ということで、何か御質問があれば、何でも受付けます。 ○大野部会長 山田先生、どうもありがとうございます。  それでは、皆さんからいろいろ御質問を伺いたいと思います。加藤先生、お願いします。 ○加藤委員 FAOのことで教えていただきたいんですけれども、今、日本でこれからおつくり になったというフィードテーブルは、いつごろ公表されるんでしょうか。 ○農林水産省山田審議官 それはOECDで今、Animal burdenの表というものをつくり直し ておりまして、恐らく2月の末にはでき上がっているはずなんですけれども、今度Residue Chemistry Expert GroupがOKすれば、WGPに上がってくるはずです。  ただ、先ほどから申しましたように、アンケート調査の結果を使ってつくっておりますが、ア ンケート調査をした当時は、多分生産局自身も稲わらとかWCS給餌の促進などと思っていなか ったんでしょう。ですから、そういうところのデータがちょっと弱いので、今後そういうところ もきっちりアップデートしていかないといけないなとは思っております。 ○加藤委員 もう一点同じことなんですが、OECDもそうだったと思うんですが、アメリカで マキシマム・リーズナブリー・バランス・ダイエットですか。栄養学的にバランスのとれたシス テムの、単なる今までのフィードテーブルではなくて、もう少し現実的なという概念は、日本の ものには入っていないんですか。 ○農林水産省山田審議官 入れてはおりませんが、多分御承知のように、日本はアメリカみたい にパスチャーで好きに食べさせるというよりも、配合飼料とかが多いので、そこのところを単品 に戻してくるという作業が結構大変だったんですね。  ただ、実際上、1つのものをたくさんやるというのはそんなにないので、100%とかはないで すね。 ○加藤委員 どうもありがとうございました。 ○大野部会長 ほかにいかがでしょうか。  私からですが、最後のスライドで80%を超えた場合に、1〜5のオプションの説明していた だきましたけれども、これは現在こういうことができるというものですか。それとも、これから こういうふうにやっていこうということですか。 ○農林水産省山田審議官 これからこういうふうにやっていこうということです。やってから大 変だと焦るのは嫌なものですから、最初からオプションを考えておきたいということです。 ○大野部会長 では、こういう考え方に基づいて、こういうものは、場合によってリスクマネー ジメントの間でできるような形の法体系にしようということですか。 ○農林水産省山田審議官 そうですね。ここには書いておりませんけれども、例えば代替剤が全 然ないということになってしまうと、最後の方のオプションというのはあり得ないですね。です から、やはりそれをやるにしても、実際の状況を考えながらやるしかないんです。  JMPRの場合は、そういうことは登録機関と全く切り離されているので、好き勝手にリスク アセスメントに則ったことだけを言えばいいんですけれども、登録機関と同じ省でやっていると、 そこのところは結構トータルを考えないといけないという部分があります。  ただ、これはずっと飼料を担当している部門、農薬登録をしている部門とは違う部門でやって おります。 ○大野部会長 最初の方で気になったところがあって、それは代謝のデータが毒性のデータを解 釈するために使うんだというようにとったんですけれどもね。 ○農林水産省山田審議官 代謝のデータは、随分たくさんあるんです。いわゆる実験動物と家畜。 特に家畜は主としてlactating goatとlaying henです。それ以外のものもあったりするんです けれども、主として実験動物の代謝試験は毒性を確認するために評価するのですが、何が残るか という観点で見るのもないことはないです。  一方、家畜の方は、毒性というよりも、投与するとどんなふうに変わって、どこに行っている かと。つまり、それが人が食べるところに行っているのではなかったらいいわけですよ。ところ が、脂肪組織などに蓄積しているということになると、どうしても基準値という話になっていく ということです。  それともう一つ、間をつなぐものとしては、私どもは家畜の代謝試験を見るときに、家畜の代 謝が実験動物の代謝と同じようなものなのか。それとも、例えば反すう動物では特殊な代謝物が あるのかとか、そういうことがリンクになっています。 ○大野部会長 前から気になっている部分が1つありまして、毒性試験の結果というのは、ヒト での安全性をディスカッションするためのデータです。代謝の利用も1つとして、その毒性実験 をやった動物がヒトでも外挿するのに適切な動物だったかどうかということに使えるのではな いかと思っているんです。  そういうことになると、ヒトでの代謝がある程度わからないと、適切性がわからないというこ とですね。 ○農林水産省山田審議官 それはどちらかというと、毒性試験の方だと思います。私どもが見て いるのは、結局畜産物にどれだけ残るかということなので、家畜でないと困るんです。 ○大野部会長 それで農薬などの安全性試験をやるときに、その試験をエバリエーションすると きに、ヒトでの代謝がわかるといいなということです。 ○農林水産省山田審議官 FAOの方は全く関係ないんですけれども、WHOのパネルで、昔は ボランティアだとか、刑務所の囚人の試験とかがあったんですが、今は事故とかで暴露された人 のデータとかがあれば、それは倫理の問題がない限り、最優先に見ることにはなっています。 ○大野部会長 今、ヒトの肝細胞を使った代謝というのは、比較的医薬品開発などのときにルー チンに使われているんですけれども、そういうものを国際的な評価とかに採用しようとか、そう いう動きはないのかなと思ったんですけれどもね。 ○農林水産省山田審議官 それは動物薬の方では結構ありますね。追加的なデータであれば、当 然レビューはしているんですけれども、いろいろ国によって派があるみたいで、ある国は全く同 じデータを使いながら、ヒトなのだから、種間の格差は見なくていいので10というセーフティ ファクターを使うとか、または、これは非常に鋭敏だから、セーフティファクターは1でいいで すねという国があるかと思えば、これは新しい手法で、まだバリデーションが進んでいないから、 1,000でなければいけないと。だから、全く同じNOAELを使っていながら、1,000倍もADI が違っていたりということがあったりして、それでコーデックスで大騒ぎになったことも何度か あります。  どうしても新しい試験を使うということについて、どう使うかということは、そう簡単に一致 しないみたいな感じです。私どもの方では、そういうものは余りないんです。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに先生方の御質問はございませんでしょうか。  稲わらというのは、私の昔のイメージだと、あまり動物に食べさせるということは考えていな かったんですけれども、今はかなりそういう方向に進んでいるんですか。 ○農林水産省山田審議官 実は海外では、稲わらは主要なものではなく、麦わらとかは結構やっ ているんです。稲わらとかのデータはという話をすると、稲わらは敷きわらにはするでしょう、 それでちょいちょいとついばむかもしれないけれども、あんなの餌ですかと言われるんですよ。  ですけれども、実際上、どちらが給餌量が増える可能性が高いかというと、稲わらよりも、お そらくホールクロップサイレージ、発酵させてそれをやるとかの方が高くなるのではないかと思 います。ただ、残念ながら、例えば発酵のときに、農薬がどういう挙動をするかというデータと かはないので、これからデータを取っていかないといけないということですね。 ○大野部会長 食料自給率を高めるために、日本にたくさんある材料である稲わらを牛の餌とか に混ぜて使うような方向に進んでいるのかなと思ったんですけれどもね。 ○農林水産省山田審議官 これはちょっとどこかで話をしたいなと思うんですが、JMPRのメ ンバーの立場からいいますと、当然皆さんは御存じだと思うんですけれども、米というのは、そ れを人が食べるので、そこになるべく残留しないようにと考えるわけです。もみ殻というのは表 面がでこぼこですし、毛も生えているので、特に散布すると、そこにすごく付きやすいわけです。 それを除くと、浸透性でもない限り、内部はごくごく低い濃度になるんです。  平均的にですけれども、私が見た数字からいうと、ぐっと丸めてしまうと、玄米にすると大体 10分の1ぐらいの濃度になってしまうわけです。それを考えると、そのとき既に草体は十分成 長しているわけですね。ですから、例えば水で流れるとか、光分解されるということがなければ、 当然のことながら、もみ米よりも、ましてや玄米よりもはるかに高い濃度であるのが普通なわけ です。一番よくて同じ濃度ぐらいです。  ですから、それをどんどんやれということは、当然のことながら、それが脂溶性の高い農薬で あれば、残留する可能性は高くなるわけです。しかも、脂の部分に蓄積される可能性があるとい うことで、そうすると0.01とかの基準値だと、おそらくオーバーするのではないかということ で、そうならないように、要するにまじめに農家の方々が推奨されたとおりにやっていったら、 それをちゃんと売ることができ、消費者の方々も、一生懸命つくったものが全部はねられて売れ ないようになれば、高いことを買わされることになるし、ましてや、もしちゃんと検査もしなく て、ある程度高い濃度の農薬を含んだものを食べさせることになったら、それは消費者の方々の 健康のためによくないので、やはりそれはちゃんと枷をかけるべきだと消費・安全局では考えま した。 ○大野部会長 いかがでしょうか。山田さんのお話を聞くのに非常にいいチャンスなんですけれ ども、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、山田先生、どうもありがとうございました。  山田審議官におかれましては、次の御予定の関係がありまして、追いやるようで申し訳ないで すけれども、ここで退席ということでよろしいですか。 ○農林水産省山田審議官 私も本当はずっと最後まで聞きたいんですけれども、急遽予定が入っ てしまいましたものですから、申し訳ございません。 ○大野部会長 では、すみませんが、山田先生、どうもありがとうございました。 (農林水産省山田審議官退室) ○大野部会長 それでは、議題2の「食品中の残留農薬等に係る残留基準値設定について」の審 議に入りたいと思います。  最初に、農薬イミシアホスについて審議していただきたいと思います。事務局から、資料の説 明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、イミシアホスから御説明をさせていただきます。資料2−2になります。  用途といたしましては、有機リン系の殺線虫剤です。作用機作については明らかではありませ んけれども、コリンエステラーゼ活性を阻害することによって殺虫効果を示すものと考えられて いるものです。  化学名、構造式につきましては、1枚目にお示ししたような形になってございます。  2ページ「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」です。  本薬につきましては、後ほど表にも出てきますけれども、新規剤ということでございますので、 粒剤についての適用農作物、適用病害虫、線虫類についての使用方法を、表にまとめて記載して ございます。  6.に作物残留試験の結果が書かれています。  分析対象といたしましては、イミシアホスです。それから、代謝分解物である幾つかの物質を 測定しております。  3ページは、分析について記載しております。  作物残留試験の結果が(2)から文章で記載しております。同じものを後ろの表に付けてござ います。8ページに移らせていただきます。  真ん中から下のところになりますけれども、ADIの評価ということで、食品安全委員会から 回付されました食品健康影響評価の結果について記載してございます。無毒性量は0.05mg/kg 体重/dayということで、1年間のイヌの慢性毒性試験のものから安全係数を100といたしまし て、ADI0.0005mg/kg体重/dayという結果をいただいております。  9ページ、諸外国における状況ですが、国際基準は設定されておりません。  米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランドにつきましても、基準値は設定され ていないということでございます。  基準値案は、11ページの(別紙2)の表にまとめております。  表のつくりは、左側の農作物が適用農作物として記載させていただいているものになりまして、 基準値の現行は新規のお薬ですので、空欄になってございます。  登録の有無の欄は、すべて「申」という略号で申請があったことを示しております。  参照基準値は、先ほど申し上げました本文中の記載のとおり、参照基準国での基準値設定は認 められませんでしたので、空欄になっております。  右側に作物残留試験の結果を抜粋して、まとめさせていただいております。  この成績に基づきまして、農作物名の隣に基準値案ということで、ばれいしょ0.1、かんしょ 0.01等の基準値案を記載させていただいております。  12ページは、(別紙3)推定摂取量の表になります。  横長の表になっておりまして、TMDIの計算とEDIの試算の結果を併記しております。  基準値の上限いっぱいまで摂取したと仮定して、推定摂取量がTMDIとして記載されており まして、推定摂取量としてEDIという欄に記載しているということでございます。  国民平均のTMDIは16.2μg/ヒト/day、国民平均のEDIとして3.0μg/ヒト/dayという推 定結果になっております。  幼小児につきましては、9.6μg/ヒト/day、EDIでは1.8μg/ヒト/dayという算出結果になっ てございます。  それをまとめましたものが、9ページの(3)暴露評価にまとめて記載しております。  残留の規制の対象なんですけれども、作物残留試験においては、イミシアホスと代謝分解物の 分析が行われておりました。代謝物につきましては、全体的に見て残留量が少ないということか ら、規制の対象としてはイミシアホス(親化合物のみ)といたしております。  食品安全委員会において作成されました食品健康影響評価におきましても、イミシアホス(親 化合物のみ)という記載が認められてございます。  先ほどのEDI試算のADI比なんですけれども、国民平均といたしまして11.1%、幼小児で 22.4%、妊婦で9.8%、高齢者で10.0%と推定されております。  最後の14ページは、基準値案の部分をとりまとめさせていただきました答申(案)を一覧表 でまとめさせていただいたものになってございます。  事務局からの説明としては、以上です。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、審議していただきたいと 思います。  まず、この薬理作用のところですけれども、コリンエステラーゼ活性を阻害することによって 作用しているのではないかというところですが、尾崎先生、志賀先生、いかがでしょうか。特に 問題ないでしょうか。 ○志賀委員 はい。 ○尾崎委員 特にありません。 ○大野部会長 次に、分析対象物質について、ここではイミシアホスと代謝物のM6A、M19、 M5、M10について測定してやっているんですけれども、私の方で見たところだと、ばれいし ょではM1もあるんですが、ただ残っている量は少なくて、大体6.3%しか入っていないという ところで、これだけ押さえておけばいいのかなと思いましたけれども、山添先生、いかがでしょ うか。 ○山添委員 いいのではないかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それで実際に測ってみたら、その後の3〜8ページの上辺りまでにかかっていますが、この代 謝物として残留するものは原体が中心であって、ほかの代謝物関係は少なかったということで、 残留の規制対象としては、イミシアホス本体でよろしいのではないかということでございます。  ほかに毒性学的に見て、この部分はよろしいでしょうか。 ○鰐渕委員 最後、十分低い量で無毒性量をとっていますので、大丈夫だと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、規制対象物質としては、代謝物は除いて、本体のみということで適当という御意見 をいただきました。  それ以外に、分析方法関係はいかがでしょうか。 ○斉藤委員 方法は別にいいんですけれども、M19だけ定量限界が0.0004というのは、測定で きたからそうなっているんでしょうが、なぜこれだけなのかなと先ほどから疑問に思っていまし た。 ○大野部会長 感度が高いですね。 ○斉藤委員 わざわざこれだけ一けた下の0.0004まで見る積極的な理由が何かあったんですか ね。例えば分析をするのにSNとかSDで機械的に定量限界を算出してしまう場合はあるんです けれども、もしそれを取ったならば、M6AとかM5、M10も同じように端数が出てしかるべ きだと思うんです。ほかはそろえてあるのに、これだけが0.0004というのはなぜかなというの が素朴な疑問でした。 ○大野部会長 私が答えていいのかどうかあれですけれども、私が見たところ、急性毒性の結果 などを見てみると、M19が親化合物と大体同じぐらいの毒性を持っていて、ほかのものは弱い んですね。そういうことで毒性が比較的高いということで、感度をよくしたのかなと。今、伺う とそのように推定するんですけれども、いかがですか。 ○斉藤委員 分析法の場合には、毒性が高いからとか、低いからということで操作することは無 理ですので。 ○大野部会長 ただ、高いから余分に低いところまで感度を高くして、残留をきちんと低いとこ ろまで図らなければいけないというモチベーションがあったのかなと想像したんですけれども ね。  加藤委員、お願いします。 ○加藤委員 恐らくこういうことだろうと思います。  規制対象になり得る化合物として、申請の段階では、この4つの代謝物があるんですね。です から、適当な基準値をとっていただくためには、一つひとつの代謝物の定量限界を低いところに していかないと、例えばこれをすべて0.01にしてしまったら、合計を合わせた値が0.05という 高いところになってしまいますので、できるだけ低いところでの定量限界にしろということでや ったと思います。それで勿論低い定量限界での添加回収率を求めて、これを定量限界にしている ということです。 ○斉藤委員 ちょっとわからないんですけれども、例えばM19だけをサンプリングは別にとっ て、量を増やすとか、全く別系統で分析するというならばわかるんですが、1つの試料を系統的 に分析するのにサンプリング量は同じですから、SNとかSDの概念からいけば、それはちょっ とあり得ないかと思います。  要するに、ほかのものは、例えば定量限界のときのSAの20にしてしまって。 ○加藤委員 済みません、SNでやっておりません。今、申し上げたのは添加回収率ですので、 例えばM19の0.0004の数字が正しい数字かどうか今は確認できまませんけれども、書いてある とおりの数字であれば、この量を添加して、回収率が70%以上、120%以内という場合に定量限 界にしていますので、SNだけで決めているものではないです。 ○斉藤委員 そうすると、もう少し下も取れた可能性もあるということですか。 ○加藤委員 あり得ますね。 ○斉藤委員 いわゆる普通の分析法での定量限界値を求めたわけではないということですね。 ○加藤委員 登録保留の場合の分析法の定量限界は、そういう規定になっています。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。 ○斉藤委員 はい。 ○大野部会長 ほかの先生は、この辺についていかがでしょうか。  松田先生、どうぞ。 ○松田委員 済みません、大変細かいことなんですが、6ページの作残試験の「かんしょ」のと ころで「(塊茎)」と書いてあるんですが、これは「塊根」ではないかと思います。  それから、2ページの「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」で「使用液量」と書いてあるん ですけれども、これは粒剤ということですので「使用量」ではないかと思います。 ○事務局 訂正させていただきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。  そのほか、残留基準の設定方法の設定値とか、基準値も含めて、御意見を伺いたいと思います けれども、いかがでしょうか。  佐々木先生、何かございますか。 ○佐々木委員 特にございません。 ○大野部会長 松田先生は、そこの点はよろしいですか。 ○松田委員 はい、結構です。 ○大野部会長 では、全体的なところで御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょう か。特にございませんでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、若干言葉の修正がございましたけれども、それを修正した上で、この(案)を部会 の答申としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目に行きたいと思います。  農薬ピラスルホトールについてでございます。それでは、事務局から資料の説明をお願いいた します。 ○事務局 資料3−2になります。ピラスルホトールです。  用途といたしましては、麦類の広葉雑草用除草剤でございます。4−ヒドロキシフェニルピル ビン酸ジオキゲナーゼということで、生合成経路の酵素阻害ということで、雑草が枯死すると考 えられているものです。  化学名、構造式につきましては、1ページの中ほどに記載させていただいております。  2ページ「5.適用雑草の範囲及び使用方法」です。  こちらの農薬につきましては、国外で使用される農薬ということでございまして、その要請に 基づきまして、基準値の設定を行っている形のものになります。  ということで、中ほどの項目のところですけれども、【海外の使用方法(米国)】ということで、 使用方法を表にまとめさせていただいております。  「6.作物残留試験結果」は、ピラスルホトールと代謝物の幾つかにつきまして分析されてお ります。  3ページの(3)分析法の概要に記載されてございますが、はかられている代謝物の一部につきま しては加水分解をされるということで、代謝物M1として分析されるということで、分析結果の 定量限界のところは、ピラスルホトールと代謝物M1ということで記載してございます。  (2)作物残留試験の結果は、海外で実施されました結果の概要につきまして、後ろの別紙1 にまとめて記載してございます。  飛ばしまして、安全性の評価の部分で、4ページ「9.ADIの評価」ということで記載させ ていただいております。  食品安全委員会から回付されました食品健康影響評価の結果を転記させていただいておりま す。無毒性量といたしましては、1.0mg/kg体重/dayということで、動物種はラットの慢性毒性 /発がん性併合試験の2年間混餌投与によるもので、安全係数を100といたしまして、ADIは 0.01mg/kg体重/dayという結果を回付いただいております。  5ページ「10.諸外国における状況」でございます。  国際基準は設定されておりません。  米国、カナダ、EU、オーストラリアにおいて麦、畜産物に基準値が設定されているものにな ります。  7ページに作物残留試験の結果、基準値の設定状況をまとめましたものを(別紙2)として付 けてございます。  表の形といたしましては、一番左側の農作物名で、畜産物に基準を設定しておりますので、そ の農作物の下のところに畜産物関係の項目が並んでございます。  現行の基準値欄はございません。  登録の有無の欄は「IT」となっておりますので、そちらが海外で使用される農薬ということ での要請があった「インポートトレランス」の略語である「IT」という記号を付させていただ いております。  ITの要請があった資料は、外国に提出された資料を確認させていただきまして、基準値案を 置かせていただいたという形になってございます。  外国の基準値といたしましては、アメリカということでざっと並んでおりますけれども、小麦 0.02、大麦0.02といった形で、基準値の確認を作物残留試験等に基づいて記載したということ でございます。  基準値案は、左側の農作物名の隣の欄にあります。海外参照基準値と同様の基準値を置かせて いただいている形になってございます。  8ページは、暴露量の評価になります。TMDIでの試算結果を記載しております。  国民平均といたしまして、25.2μg/ヒト/day。  幼小児で16.1μg/ヒト/day。  妊婦で26.7μg/ヒト/day。  高齢者で24.5μg/ヒト/dayという結果になってございます。  まとめまして記載いたしました文章に戻りますけれども、5ページ「11.基準値案」になりま す。  残留の規制の対象ということで、ピラスルホトール本体と代謝物M1ということでございます。  食品安全委員会によって作成されました食品健康影響評価におきまして、暴露評価対象物質と して、ピラスルホトール(親化合物)及び代謝物M1という設定の記載が認められております。  暴露評価の結果を先ほどの表の中から抜粋をいたしましたものが、5ページの下の表になって ございます。  TMDI、ADI比で申し上げますと、国民平均で4.7%。  幼小児で10.2%。  妊婦で4.8%。  高齢者で4.5%という占有率での基準値の設定をさせていただいているということでございま す。  最後の10ページになりますけれども、答申(案)ということで、基準値を置かせていただく 農作物、畜産物についてまとめて、記載させていただいております。先ほども申し上げましたよ うに、規制の対象化合物として、代謝物の関係がございますので、(注1)のところにその旨を 追記させていただいた形になってございます。  ちょっと補足させていただきます。 ○事務局 事前にお送りいたしました資料から、規制対象の書きぶりを最終確認の段階で変更さ せていただいております。  5ページになりますけれども「11.基準値案」の「(1)残留の規制対象」ということで、お 送りした資料では、ピラスルホトール本体、代謝物M1「及びグルコシド」という記載をさせて いただいたかと思うんですが、こちらは正確に言いますと、グルコシドは代謝物M2で、そちら については植物体内でのものということになります。  今回の対象としては畜産物も含むということから、規制対象の表記としては、今回の資料でお 示ししているように、ピラスルホトール本体と代謝物M1、ただし穀類では代謝物M2を含むと いう表記に変えさせていただければと思いまして、今回お示しいたしました。  御審議よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、御審議していただきたいと思います。  まず、この薬理作用のところですけれども、いかがでしょうか。尾崎先生、よろしいですか。 ○尾崎委員 特にありません。 ○大野部会長 志賀先生、いかがでしょうか。 ○志賀委員 実は、除草剤のメカニズムは余り詳しくないんですけれども、あえて申しますと、 ここの文章で「プラストキノンの生合成が阻害されることで、雑草が白化し枯死すると考えられ ている」と書かれていますけれども、ここのところは普通メカニズムを書いているので「白化し 枯死する」というところまで今まで書いていたかなと思います。ごく細かいことで恐縮ですが。  少なくとも、白化がこの剤の非常に特徴的な症状であれば、それは挙げてもいいと思うんです けれども、なくてもいいのではないかなと思います。今まで、ここまで書いてきたかなというこ とがちょっと気になりました。このままでも、勿論悪いことはないと思うんですけれども、どう したらいいでしょうね。 ○大野部会長 どうしましょう。食品安全委員会の方はどうなっていますか。 ○志賀委員 食品安全委員会の方は、症状までは書いていなかったのではないかと思います。評 価書の6ページの部分でしょうか。 ○大野部会長 そうですね。 ○志賀委員 ただ、文章のつながりからいって、確かに最後に文章を終えるには「阻害されるこ とで雑草が枯死する」とか、そういう言葉が欲しくなってくるんですね。 ○大野部会長 どうぞ。 ○事務局 確かに今までの書きぶりですと「生合成が阻害されることで作用すると考えられてい る」といったような書きぶりが多かったように思います。そちらの表現に合わせた方がよろしい でしょうか。 ○大野部会長 そうですね。では、2行目のところで「阻害することによりプラストキノンの生 合成が阻害されることで作用すると考えられている」としましょう。 ○事務局 それでは、そのように修正いたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。  では、代謝の方面と、それを踏まえた分析対象物質について、御意見を伺いたいと思います。  山添先生、いかがでしょうか。 ○山添委員 代謝そのものについては、この表現で問題ないと思います。  それはそうなんですが、先ほど食品安全委員会のことで先生と話をしたんですけれども、確か に眼の問題のところに、この食品安全委員会の評価書では理解しにくいところがあるんです。 ○大野部会長 毒性のことは、後でまたお願いいたします。  代謝のところで、一言ディスカッションしておいた方がいいかなと思ったのは、M5が結構た くさん出ているんですね。M5というのは、カルボニルの前のところでピラゾール管から切れた 反対側の方なんですけれども、それが結構増えているんですね。それはなぜ測らないのかなと思 ったんですけれども、毒性試験の結果を見ると、単回投与の毒性試験と90日間の反復投与毒性 試験をやっていて、両方とも非常に毒性が弱いんです。だから除いたというのは、納得できるか なと思いました。それ以外のM1、M2と原体を対象としたということです。それについては、 私もリーズナブルだと思いました。  それでは、そのほかの分析方法とかの辺りはいかがでしょうか。よろしいですか。分析結果と 基準値の設定の辺りについて、いかがでしょうか。  失礼しました。毒性のところについて審議したいと思います。先ほど山添先生が、食品安全委 員会の評価のところで、ちょっとコメントがございましたけれども、鰐渕先生、いかがでしょう か。 ○鰐渕委員 確かに眼、特に角膜に対する傷害性というのはあるように思うんですけれども、例 えば2年間の慢性毒性試験/発がん性試験の中で、最終的には炎症の繰り返しによって、最終的 に扁平上皮乳頭種とか、がんまでできているというところがあるんですが、これは遺伝毒性のメ カニズムではないというところがあります。しかも、非常に高い用量で起こっているということ ですので、無毒性量の一番低い1.0mg/kgのところに持ってくれば、その刺激性もほとんど出て いないということであるから、その危惧はないのではないかなと思います。  同じことが尿路系でマウスでも結石ができてという形で、最終的にがんとか前立腺のそういう 領域でのがんみたいなものができていますけれども、これも同じく、比較的高い用量で結石がで きて、それが繰り返す炎症を引き起こして、結果的にがんを引き起こす。でも、非常に低いとこ ろではそういうものが見られないから、その危惧は少ないだろうと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  私が気になったのは、角膜の影響がNOAELの設定のときの最低の毒性発現用量ですね。そこ のところでも角膜の萎縮とか、そういうものが出ていますね。例えば食品安全委員会の評価書の 24ページのところですけれども、2年間の慢性毒性/発がん性併合試験だと、250ppm以上で 角膜萎縮が雄で見られていて、同じように角膜の血管新生とか、網膜萎縮が雌でも出ているとい うことで、眼が見えなくなってしまうとか、そういうことはないのかなと思いました。もしそう いう大きな障害が起こると、それはセーフティファクターだけでいいのだろうかと思ったんです。 ○鰐渕委員 これは250ppmで見られたデータで、25ppmではその変化は出ていないですね。 ○大野部会長 そうですね。 ○鰐渕委員 25ppmというのをドーズすると1.0mg/kgになっていますので、25ppmで見られ ていたら問題なんですけれども、1オーダー下で見られていて、更に安全係数を100かけている ので、大丈夫ではないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。これは眼だから、安全係 数を100じゃないという感じなんですがね。 ○大野部会長 1つ気になったのが、食品安全委員会の議論でラットでは比較的強く出るけれど も、ヒトでは気にする必要がないというディスカッションをしているんですね。その根拠として、 チロシンの代謝に関わる影響が、ラットでは厳しく働くけれども、ヒトでは別の代謝ルートで行 くので大丈夫だと書いてあるんですね。  でも、この物質でそちらの方がいくかという証拠がないんです。そこがちょっと気になりまし た。 ○鰐渕委員 申し訳ないでけれども、そこの代謝が違うかどうかということに関しては、私は専 門ではないものですからわからないんですけれども、そこの推論というか、先生がおっしゃいま したように、推測というんですか、理論の組立て方に関しては問題があるかなとは思います。 ○大野部会長 すみません、ちょっと気になりまして、同じようなものがあるかどうかと思った ら、除草剤テフリルトリオンの評価でも同じような作用機序で作用していて、それのディスカッ ションでも、同じようにヒトでは特に問題ないということは言っているんですけれども、このと きの根拠も、このもの自身がヒトでの代謝経路を抑制するというのではなくて、直接的な証明は ないんですね。ただヒトでは問題がないんだというぐらいの言い方で、この辺が一般的にそこま で深くこの系統のものについて調べているわけではないのですけれども、加藤先生、もし何か御 存じだったら、いかがですか。 ○加藤委員 その点については、私は何も。 ○大野部会長 山添委員、お願いします。 ○山添委員 私もちょっとわからないんですけれども、チロシンが蓄積することによって、血症 みたいな形でそういう変性をするというなら、食品安全委員会の評価書にも、チロシンが原因と なって生じるようなことが書いてあれば、それで代謝経路が違うというならわかるんですが、そ れも何も書いていないんですね。何が原因でこういうことが起きるのかという評価がね。関連す ると書いてあるんですけれども、そこのところがちょっとあいまいに書いてあるので、4−ヒド ロキシフェニル乳酸そのものが原因なのか、チロシンが析出して溶けなくなっているのか。その ことが原因で起こしているのか。もしお願いできるとすれば、その辺のところを少し書き足して いただければと思います。 ○大野部会長 そうですね。足していただいて、ヒトとかラットとかイヌでも出ているんですけ れどもね。そもそも代謝経路が違うので大丈夫だということについて、もうちょっと食品安全委 員会の方で議論を足していただければありがたいと思うんですけれども、そういうことはできる んですか。 ○山添委員 例えば書き足すところは、32ページの上にちょっと書き足すぐらいとかをして いただければと思います。 ○事務局 確認なんですけれども、安全委員会の評価書の30ページの「15.その他の試 験」ということで、チロシン関係の眼毒性についての機能毒性試験の追加されている部 分が幾つか分かれておりまして、先生がおっしゃるように、32ページの中ほど辺りに、 チロシンの蓄積、ラットの長期毒性試験で見られる所見の毒性学的には意義が低いよう な記載が見られるんですけれども、そういったようなものを、例えば33ページの「III. 食品健康影響評価」の中で記載を追加して、位置づけをはっきりした方がよいといった ような受け止め方でよろしいんでしょうか。 ○山添委員 33ページのところに何もないんですよ。これが少しでもそこのところで、 チロシンが原因となって生じるんだけれども、その経路の示唆があって、ヒトの場合に はバイパスウェイが存在するということさえ書いてあれば、毒性のデータとダイレクト にリンクさせる必要はなくなりますね。 ○大野部会長 もう一つ。31ページの「(2)チロシン代謝におけるHPLA産生能の動 物種差」のところで、種差について議論をしているんですけれども、ここのところでや っているのは、NTBCという、HPPDaseの阻害剤を投与したときに、ヒトではバイ パスの方に結構行くからいいんだと言っているんですね。  だから、このものを使っていてバイパスの方に行くというのだったらいいんですけれ ども、そういう特異的な阻害剤をやって、こう行くから大丈夫だというのは、ちょっと 心配なところなんですね。本当にこのものは大丈夫なのか。  ただ、一般的にそれは今までの研究の積み重ねで、そういうことはもうわかっている んだということだったらいいんですけれどもね。  食品安全委員会の評価書でも、結構眼のところは気にしてディスカッションしている んですけれども、最後のところの詰めが、説明だとちょっとわかりにくいというところ ですね。 ○事務局 こちらの委員会の方で議論があったことをまず食品安全委員会に伝えたいと 思います。 ○大野部会長 よろしくお願いいたします。  セーフティファクターについて、今までのもので考えてみると、食品安全委員会で前 に評価したものでも同じように安全性試験でやっているということで、今回のものも、 一番下の眼に障害が出ているところを無視しないで、それも含めた上でNOAELを決定 して、セーフティファクターを100でやって基準値を決めていますので、100でよろし いのではないかなとは思うんですけれどもね。ただ、そこのところのディスカッション がちょっと甘いと思いまして、コメントを送ってくださるようにお願いいたします。  ほかのところですけれども、基準値の設定とか、そのほかの全体的な面で御意見を伺 いたいと思いますが、いかがでしょうか。  松田先生、お願いします。 ○松田委員 確認なんですが、基準値案の注1のところで、代謝物はピラスルホトール に換算して足すということですね。その後ろに、穀類においてはグルコシドが含まれて いますけれども、これは分析法を見ると、グルコシドはM1になってしまうということ なんですが、肉とかにはないから含まれていないという考え方でよろしいんですね。 ○事務局 はい、そのとおりです。 ○松田委員 同じ分析法でやって、自動的に含まれないということですね。 ○事務局 はい。 ○松田委員 わかりました。 ○大野部会長 加藤先生、お願いします。 ○加藤委員 今の件について、分析法のところで少しお話ししようかと思ったんですけ れども、ちょうど出たので補足します。  肉、畜産品関係の場合の分析法は、これと少し違うんです。というのは、穀類の場合 はアセトニトリル塩酸混液を使って酸が入っているんですけれども、畜産品の方につい ては、含水アセトニトリルで酸が入っていない状態です。それは代謝物の抱合体、M1 の抱合体が出すのは全く認められないということで、そういう分析法にしたそうです。 それがEPAの同定法になる予定だそうです。  ちょっと教えていただきたいことの1つで、アメリカの鶏の基準値の件なんですが、 こういうように向こうの定量下限が0.02に設定されているものの場合、日本で分析法を つくったときに、それより低い定量下限になった場合は、そちらに合わせるとこうなっ てくるのか、どういうことになってくるんでしょうか。一旦作って、この0.02を置いた らもうそのままで、日本の分析法の試験法の定量下限が例えば0.01になったものができ た場合でも、0.01ではなくて、0.02を維持するということになるんでしょうか。 ○事務局 そうです。 ○加藤委員 あともう一つ。乳の0.01というのは、一律基準のときの扱いと、何か違う ことにはなるんでしょうか。全く同じ扱いですか。どう違うのかという点は、いかがで しょうか。 ○事務局 実際の扱いとしては同じです。ただ、根拠があって置いてある基準値かどう かという違いになります。 ○加藤委員 わかりました。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。  山内先生、お願いします。 ○山内委員 今回の申請の背景とこれからの実態について確認させてください。2ペー ジにあるように、国外で使用される農薬等に関して残留基準の設定が要請されていると いうことは、これからの国内での剤の使用ではなく、海外での大麦やライ麦等の生産に 使われ、それがそのまま海外での食肉生産や、または飼料として輸入され国内での食肉 や卵等の生産などに使われたときの食肉や卵への残留基準設定と理解してよいでしょう か。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 今回設定する基準値は、あくまでも食品としての基準値になりますので、小 麦、大麦、えん麦、ライ麦については、食品としての基準値として設定しております。 ○山内委員 農薬の使用は、国内では行われないのですね。 ○事務局 本剤について、登録等の予定等はございますでしょうか。 ○農林水産省渡辺専門官 申請があるかどうかというのは、現在把握していないんです けれども、今のところ登録はないです。 ○山内委員 ということは、今回設定する基準は、実際は海外で使われるものが国内に 持ち込まれたときの基準ということですね。 ○事務局 はい、そうです。 ○山内委員 ありがとうございました。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見ございますでしょうか。  それでは、食品安全委員会にコメントを出していただくことと、若干最初の用途のと ころで修正がありましたけれども、その修正を踏まえた上で、全体としては、このピラ スルホトールの部会(案)を部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目、動物用医薬品ブロチゾラムについての審議をしたいと思います。  また事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明をさせていただきます。ブロチゾラムです。  用途ですけれども、牛の諸疾患における食欲不振の改善に対する補助的効果を持ちま す。  ブロチゾラムは抗不安薬あるいは睡眠薬の研究の中から発見された 2-bromo-thieno-triazoro-1,4diazepine誘導体です。ヒト用医薬品としては睡眠導入剤と して開発されていますけれども、動物に対して食欲誘発作用を示すことから、動物に対 しては食欲不振改善の補給等を目的として開発され、我が国を始め欧米等で用いられて おります。  2ページに使用方法及び用量が書かれております。  牛及び泌乳牛に対して投与が行われております。  休薬期間については、牛ではフランス、アイルランドで0日、ニュージーランドで0.25 日、ドイツ、オランダで1日、日本で2日となっております。イタリアでは4日という のもあります。  泌乳牛については、フランス、アイルランド、オランダで0日、ドイツ、ニュージー ランド、日本で0.5日となっております。  対象動物における分泌代謝ですけれども、14C標識ブロチゾラムを泌乳牛3頭に 10μg/kg体重/頭を静脈内投与したところ、放射活性は急速に排泄され、主要排泄経路は 糞中であり、尿中排泄は少量であった。消失半減期は0.5〜1時間であった。乳汁中の 総放射活性値は低く0.1%であり、乳汁成分の分析では、乳脂分画中に高濃度の放射活 性が認められました。静脈内投与6.5、24及び72時間後の肝臓における濃度は、16.9ng eq/mL(2.6%)、9.7ng eq/mL(0.8%)及び12.0ng eq/mL(0.7%)であった。腎臓に おける濃度は投与6.5時間後で5.3ng eq/mLを示し、投与24時間及び72時間後では検 出限界未満となったということで、非常に代謝は早い物質になっております。  3ページ「3.対象動物における残留試験結果」です。  牛にブロチゾラムとして0.002mg/kg体重/日及び0.004mg/kg体重/日を3日間連続し て静脈内投与をしましたところ、最終投与後2時間、1日、2日、3日及び5日の筋肉、 脂肪、肝臓、腎臓及び小腸におけるブロチゾラム濃度ということで、表中に示しており ます。2時間あるいは1日辺りでほぼ定量限界未満になっております。  4ページの一番上に、泌乳牛に対する試験が記載されております。  ブロチゾラムとして0.002mg/kg体重/日及び0.004mg/kg体重/日を3日間連続して静 脈内投与をしたときの乳中のブロチゾラムですけれども、12時間、24時間とも常用量、 2倍量ともに定量限界を下回っております。  「4.許容一日摂取量(ADI)評価」は、食品安全委員会によってなされておりま して、ブロチゾラムとして0.013μg/kg体重/日となっております。一律基準の根拠とな る0.03μg/kg体重/日を下回っております。  「5.諸外国における使用状況」は、米国、EU、オーストラリア、カナダ、ニュー ジーランドを調査したところ、EU及びニュージーランドにおいて牛に使用が認められ ております。  なお、JECFAにおいては評価されておりません。  「6.基準値案」は、残留の規制対象として、ブロチゾラムにしたいと考えておりま す。  基準値案は、別紙1のとおりということで、6ページになっております。基準値現行 ということで、0.001ppmの値が置かれておりますけれども、今回基準値案ということ で、牛の筋肉、牛の脂肪、牛の肝臓、牛の腎臓、牛の食用部分、乳に対して基準値を置 き、それ以外の基準値を置かないものについては、一律基準の根拠である0.03μg/kg体 重/日を本薬のADIは下回っておりますので、「不検出」という形で規制したいと考え ております。  ADI比は、各食品において基準値案の上限まで本剤が残留したと仮定した場合のA DIに対する比について、8ページの別紙2で計算しております。ADI比ということ で計算はしていますけれども、幼小児で57.2%となっておりまして、この値については、 基準値案は乳について0.001ppmという基準値案なんですけれども、乳の残留試験結果 がすべて定量限界である0.001ppm未満であったことから、JECFAで過去に用いら れた方法である定量限界の2分の1を乗じた値を推定摂取量の計算に用いておりまして、 この方法を用いなかった場合、国民平均で26.6%、幼小児で105.2%、妊婦で30.9%、 高齢者で26.1%ということで、幼小児で100%を超えております。  あと、資料の訂正なんですけれども、9ページの(参考)に「これまでの経緯」とい うことで、平成18年〜平成20年8月6日までの経緯が書かれていて、その次が「平成 20年○月○日」となっておりますけれども、これは「平成21年4月14日」、すなわち今 日の日付を書き間違えておりましたので、訂正をさせていただきたいと思います。  あと、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会の委員で、2番 目に井上松久先生が書かれていますけれども、これについては誤りで、生方公子先生に なりますので、訂正をさせていただきたいと思います。  答申案は、最後の10ページになっております。  「ブロチゾラムについては、食品に含有されるものであってはならないとする食品規 格を設定することが適当である。  ただし、牛の筋肉、牛の脂肪、牛の肝臓、牛の腎臓、牛の食用部位及び乳については、 次の残留基準を設定することが適当である」ということで、下記の表の残留基準を置き たいと考えおります。  資料4−3は、エリスロマイシンです。これはJECFAの評価書なんですけれども、 JECFAでエリスロマイシンが評価されたときに、その暴露量の計算として、定量限 界の2分の1を用いたときの理由という形で、20ページのところに定量限界の2分の1 を用いた理由が書かれております。  御審議のほど、お願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、審議に入りたいと思います。  まず、薬理作用のところですけれども、若干ヒトへ使うときの効能と違うんですが、 その辺、尾崎先生、志賀先生、いかがでしょうか。 ○尾崎委員 文章的に気になったところが2か所あります。  最初が、1行目のところでは「睡眠薬」と言っていて、2行目のところでは「睡眠導入剤」と 言っていますね。1行目のところで「抗不安薬」と「睡眠薬」と言って「薬」を使っているのは、 作用を意識しているので「薬」。2行目のところは「導入剤」で製品を意識しているので「剤」 を使っていて、これは正しいと思うのですけれども、それであれば「睡眠薬」と「睡眠導入」と いうところが違っているので、1行目のところは「睡眠導入薬」と「導入」を入れれば、一致す るのかなと思います。  それから、3行目のところで「動物に対して」という同じ言葉が2回続きます。2つ目の「、 動物に対して」を削除して、少しわかりやすくするために、3行目の最後のところで「我が国を 始め欧米等では動物用医薬品として用いられている」という注釈を付ければわかりやすくなると 思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。これは修正ですけれども、事務局とれましたか。 ○事務局 はい。「我が国を始め欧米では動物薬として用いられている」という形で修正をさせ ていただければと思います。 ○大野部会長 それから、その上の行のところで「動物に対して」と2つ続いているところで、 2つ目を削除するということですね。 ○尾崎委員 そうですね。 ○事務局 2番目の「動物に対しては」のところは削除させていただきたいと思います。 ○大野部会長 尾崎先生、それでよろしいですか。 ○尾崎委員 あと、1行目に「睡眠導入薬」の「導入」を入れた方がいいのではないでしょうか。 ○事務局 すみません。「睡眠薬」と書いてあるところを「睡眠導入薬」に修正したいと思いま す。どうもありがとうございます。 ○大野部会長 志賀先生、よろしいでしょうか。 ○志賀委員 今の修正で消えたかもしれないんですけれども、最終的な文案がわからなかったの で、念のために申し上げます。  3行目の最後の「食欲不振改善の補給等」の「補給」という字は、今の修正で残りますか。と いうのは、ほかのところで「補助」と書かれていると思うんですけれども、食欲不振改善の補給 というのは、ちょっと意味がわかりにくい気がいたしまして、あえて申しました。「補助」でい いのではないでしょうか。 ○大野部会長 「補助」ですね。 ○事務局 ありがとうございます。それであれば「補給」と書いてあるところを「補助」という 形に修正したいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、代謝のところと分析対象物質の辺りで、山添先生いかがでしょうか。 ○山添委員 未変化体については、代謝の消失半減期が短いということで、この文章でいいと思 います。  ただし、この物質そのものが消えているのではないか。これはちょっとよくわからないところ なんですが、代謝物には全く同じような作用はないんですね。というのは、ベンゾジアゼピンで は、多くの場合、代謝物も同じような睡眠導入作用を持っていて、例えばジャゼパンとか、代謝 物は2つともあるんですね。それで結果的に作用の半減期が伸びているという性質を持っている ものが多いので、この物質は未変化体だけに作用があれば、この記載で問題ないと思います。 ○事務局 代謝物の薬効があるのかどうかについては、ちょっとわからないですけれども、ただ、 本物質について、実際に試験を牛でやっているんですけれども、未変化体は食品安全委員会の資 料がわかりやすいと思います。食品安全委員会の資料の14ページの上の方に書かれています。 13ページの終わりの方から文章が続いているんですけれども、13ページの下から4行目辺りか らなんですが「臓器および組織中濃度は胆汁、肝臓および腎臓の順で高く」ということで、14 ページの2行目辺りから「肝臓および腎臓中の代謝物産物についてHPLCにて分析したところ、 代謝物Aあるいは代謝物Bの代謝物は検出されなかったが、少量の未変化体が確認された」とい うことで、未変化体がほとんどだということで、未変化体だけでいいと考えています。 ○山添委員 わかりました。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。  私も同じように思いまして、代謝物A、Bができるわけですけれども、その辺はどうなったの かなと思いましたが、今、江島さんから説明がありましたように、非常に少ないということで、 測定対象物質に入れなくてもいいのではないかなと思いました。  安全性の面ではいかがでしょうか。 ○鰐渕委員 今回、食品安全委員会の評価書のまとめ方が、いつもだったらテーブルになって、 NOAELがわかるような形になっているんですけれども、今回のまとめ方はそうなっていないの で、非常にわかりにくいんですが、これはどういう経緯なんでしょうか。 ○事務局 それについては、食品安全委員会にお聞きしてみるということでよろしいですか。 ○鰐渕委員 というのは、食品安全委員会の評価書の38ページの「(4)中枢神経系への作用」 というところで、38ページの真ん中ぐらいに「本試験におけるNOAELは0.001 mg/kg体重/ 日」になっているんですね。結構低いんですけれども、最終的にADIを設定するときの根拠を ヒトのNOAELが一番低いという形で、そのNOAELが0.0013mg/kgですね。それに安全率を LOAELからNOAELの変換10と個体の10で100をかけて0.013としていますけれども、こち らの神経の動物実験の方を使えば、これは0.010μgになるのに、こちらの方を優先している理 由が、いま一つ読んだ中ではわからなかったです。 ○大野部会長 そうですね。ヒトのデータがあるとヒトを優先するということですけれどもね。 ○鰐渕委員 そうですね。 ○大野部会長 それをきちんと表で書いてもらわないと、どれが一番低かったということをいち いち見るのは大変ですね。  そういうところはございますが、安全性の面で特に問題はないということでよろしいですか。 ○鰐渕委員 はい。 ○大野部会長 それでは、そのほかの分析法の基準、植物中の分析結果、基準値の設定の辺りに ついて御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。  佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 暴露評価で牛のところで、基準値の半分の値を使用しているということで、基準 値以外を使用する場合はEDI試算になるのではないかなと考えるんですが、EDI試算の場合 ですと、基準値そのものではなくて、残留データを使うということになります。残留データが不 検出の場合は、検出限界値を使うというのが原則だと思うんですが、今回はその2分の1をエリ スロマイシンの例にならって採用されたということで、もしこういうことであるならば、今後ほ かにこういった例が出た場合は、必ずそういう方針で行って、それをTMDI試算だと表記され るのか、その辺を伺いたいと思います。 ○事務局 この場合、EDIという言葉にも当てはまらないこともあったので、だからもしEDI とするならば、定量限界の値などから置くべきなんですけれども、今回のデータが、試験をやっ た結果、2倍量でもやはり定量限界以下であったということで、定量限界の値しかないというこ とで、TMDI試算の中で。  すみません、本件に関してなんですけれども、JECFAで過去の評価の際に用いたやり方で はあるんですが、ただ、本剤については、代謝が非常に早いということで、本剤については、あ る意味特例というか、そういう形で置かせていただきたいと考えております。 ○大野部会長 代謝がすごく早いということで、そう判断したというところですけれども、いか がでしょうか。そういう特別な場合を除いては、そうしないということになるわけですね。そう いう考え方でよろしいですか。 ○基準審査課長 もう一度御質問をお教えいただけますでしょうか。 ○佐々木委員 TMDI試算の場合は、基準値で暴露量を計算することになりますので、今回は 基準値そのものを使っているのではなくて、結果的には2分の1の値を使って暴露評価をされて いるので、EDI試算ととらえることもできると思うんですね。EDI試算をするのであれば、 残留データから平均値を使うのがEDI試算ですけれども、今回の場合は、残留値は不検出です から、それであれば不検出のLODの値を使って計算するのが暴露量評価の精密化の意見具申の 中には書かれていると思うので、本来なら、それが基準値とイコールになってしまうんですけれ ども、そちらを使うのが本来のルールだと思うんです。  今回、2分の1を使うということであれば、残留データそのものから出た値ではない。基準値 はLOD以下ですから、残留データが2分の1と解釈するということもできるんですけれども、 今回たまたま暴露量がTMDI試算を素直にやると100%を超えますので、そういったことで考 慮されたんだと思うんですが、それを今回の剤に限ってそういう形で例外的に認めるのか。それ とも、残留データが不検出ばかりだった場合に、必ずしも検出限界でEDI試算をしないで、そ の2分の1を当てはめるということがルール化されるのか、その辺を伺いたかったんです。 ○基準審査課長 恐らく、先ほど説明したとおりで、やはり物によって代謝が早いという前提だ ったので、今回TMDI計算をしたときに、LODを使うと超えてしまうものですから、このも のの性質から見て、それについてはLODの2分の1の計算で足していく形がいいということで すから、いつも全部こういう形にするのがいいということではないかと思います。 ○大野部会長 ここのところを基本として、TMDIというところで書いてありますけれども、 本当はTMDIではないわけですね。これは特別なんだということで、ここに注を付けるとかを したらいかがですかね。EDIともちょっと違いますね。 ○事務局 そうですね。別紙2のところの食品名という欄に基準値案とあって、国民平均TMD I、幼小児1〜6歳TMDI、妊婦TMDI、高齢者65歳TMDIと書いていますけれども、 ここのところのTMDIと書いてあるところに*を付けて、注釈を付けるようにしたいと思いま す。 ○大野部会長 このやり方自身は今回の特例であって、今後のEDIの計算にはそのまま適用す るわけではないというところで、佐々木先生、今回は特例ということにさせていただいてよろし いでしょうか。 ○佐々木委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございました。  そのほか、ございませんでしょうか。  加藤先生、お願いします。 ○加藤委員 基本的には、TMDIではなくて、EDIにした方が正しいことだろうと思います。 それは80%以下になれば、それまではEDIであって、それよりも更に細かいところまでやら なくてもいいという定義に合っているということ。それから、推定した数字を使うということか らいきますと、やはりTMDIではなくて、EDIの方が正しいであろうと思います。  そのときの数値の問題ですけれども、これは単に常用量でLOQ未満であれば、佐々木さんが おっしゃるように、当然LOQを使うべきだろうと思います。ただ、この場合に、乳の4ページ 目に出ているように、2倍量でもLOQ未満。ただ、ドーズレスポンスは他の組織も含めてちゃ んと出ていませんので、その点は弱いんですけれども、一応2倍量のデータも取ってあって、そ こでもLOQ未満であるので、推定残留量としてLOQの2分の1をとったという推定にして、 EDIだという方がより論理的ではないかという感じがしますが、いかがでしょうか。 ○大野部会長 松田先生、お願いします。 ○松田委員 資料4−3の20ページのところで、この方式を使う根拠のところでは、やはりこ れはEDIだろうと考えているように読めますので、EDIではないでしょうか。理論的という よりは、推定したということですね。 ○基準審査課長 MEDIANの認定だから、違うんではないですか。 ○松田委員 MEDIANがないときにずっとLOD以下ばかりであったときは、その2分の1 を使うという書き方の流れになっているので、もともとEDIを試算しようとしていて、値がな かったからそれを使ったということで、EDIではないかと思います。 ○基準審査課長 ただ、こちらは、MEDIANを使っているわけではないですね。 ○松田委員 MEDIANがなかった場合ですね。全部LOD単位になってしまったので、ME DIANがわからないから2分の1というものを入れたということがこの根拠であるとするな らば、EDIではないかと思います。 ○大野部会長 EDIということにすると、ほかの筋肉、脂肪、肝臓、腎臓についても統一的に EDIの計算の値にするんですか。 ○佐々木委員 それはしなくていいですね。過去もそのようにになっていると思います。 ○大野部会長 この数値のデータとしてADI比を計算するときに、乳だけそうしておいて、ほ かはそうしないというのは、何か計算を足し合わせるのがおかしくなりますね。  このTMDIのところとEDIを別にカラムつくって、それでやったらどうなんですかね。 ○佐々木委員 従来の農薬などでは、残留データがあるものは全部残留データを基にEDIの値 で出していらっしゃいましたね。 ○大野部会長 今のような考え方だと、EDIの設定のときに、その品目について残留量が検出 限界以下の場合には、統一して検出限界の2分の1とやった方がすっきりすると思うんですけれ ども、加藤先生のコメントにもございましたが、2倍量を投与して、それでも検出限界以下だっ たから、一般の2分の1というのも根拠がありますけれども、それで統一するかですね。そうい う形で登録するか、初めから限界量が検出限界以下だったら、2分の1としてEDIを計算する か。それらに統一した方がよろしいと思いますね。 ○佐々木委員 ただ、意見具申の中には、原則としてLODを使うと明記されているんですね。 ですから、そうするとLODは今回の基準値とイコールになってしまうので、表向きはEDI試 算をしたことにならない。ですので、どうしても2分の1を使いたい何らかの説明は必要になる のということですね。 ○大野部会長 そういうことが文章化されているとしたら、加藤先生の議論を入れないと、統一 が保てなくなりますね。  そういうことで、これは注のところに入れますかね。EDI試算をするときに、2分の1とし たことについて、2倍量投与しても、検出限界以下だったから、検出限界の2分の1に設定して 計算したということでよろしいでしょうか。  事務局、いかがですか。 ○基準審査課長 可能であれば、今回はもう一度整理させていただいて、次回、もう一度かける ような形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○大野部会長 わかりました。次回に持ち越しということで、整理してからもう一度見ていただ くということですので、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目に入りたいと思います。  次は、動物用医薬品テルデカマイシンです。事務局、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。  資料5−1は、食品安全委員会からの回答書になります。  資料5−2は、部会報告(案)になります。こちらに従って説明をさせていただきます。  品目名は、テルデカマイシンです。  用途は、豚の回虫駆除による生産性向上です。  テルデカマイシンは、マクロライド系抗生物質です。  平成17年4月に農林水産省により動物用医薬品としての承認が取り下げられており、現在、 製造・販売は行われておらず、国内において流通・使用はなされていない。また、国外において も製造・販売はなされておらず、流通・使用はされておりません。  2ページに許容一日摂取量評価が書かれております。  食品安全基本法の規定に基づいて、食品安全委員会委員長あてに意見を求めたところ、食品安 全委員会においてテルデカマイシンの残留基準を削除することについては、食品安全基本法第 11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときに該当するとされ ております。  諸外国における使用状況は、先ほど申し上げましたとおり、我が国を含め、海外でも製造・販 売・流通は確認されておりません。  あと、JECFAにおいても評価はなされておりません。  基準値案ですけれども、別紙のとおりということで、3ページにあります。  基準値の現行が置かれておりますけれども、今回はその基準値をすべて削除する予定にしてお ります。  5ページにありますとおり、答申案は「テルデカマイシンについては、食品中の残留基準を設 定しないことが適当である」としたいと考えております。  あと、これも訂正がございます。  4ページの「これまでの経緯」の中で日にちが空欄になっているというか、○印が書かれてい るところがありますので、これは修正させていただきたいと思います。  以上になります。御審議のほど、お願いいたします。 ○大野部会長 これについて、いかがでしょうか。薬理作用のところで、何かございますでしょ うか。 ○尾崎委員 用途が「回虫駆除」となっていますね。それで作用機序のところが細菌のリボソー ムで、豚赤痢、豚のマイコはどういう関係にあるんでしょうか。 ○大野部会長 そうですね。豚赤痢、豚のマイコプラズマ性肺炎、鶏の呼吸器性マイコプラズマ 病に有効であると言っていて、回虫に有効だとかということは特に書いていないですね。  いかがでしょうか。ちょっとチェックしていただけますか。 ○事務局 申し訳ありません。内容が間違っておりました。  テルデカマイシンについては、マクロライド系抗生物質であり、細菌のリボゾームの50Sサ ブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害することで、静菌的に作用するとすべきだったもの が、その後の豚赤痢、豚のマイコプラズマ性肺炎というところは誤りですので、そこは削除させ ていただきたいと思います。 ○大野部会長 回虫に対する作用は入っていますか。 ○事務局 申し訳ありませんでした。用途のところが豚の回虫駆除による生産性向上ではなくて。 ○大野部会長 では、今、確認していただいている間に、ほかのところについてチェックしてい ただきたいと思います。ほかのところはいかがでしょうか。  あとは、使われていないので全部削除ということですけれども、残留基準も設定しないという ものですが、何か御意見ございますでしょうか。  この結論については、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、最初の用途のところだけお願いします。 ○事務局 すみません、用途について、豚の回虫駆除による生産性向上ではなくて、豚赤痢、呼 吸器性マイコプラズマ病が正しいみたいですので、訂正をさせていただければと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのように修正してください。  では、ほかのところは皆さんの承認を得ましたので、今のところの修正についてよろしいです か。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、それを修正した上で、この部会の答申案とさせていただきます。ありがと うございました。  それでは、次の品目は、飼料添加物デストマイシンAになります。それについての説明をお願 いいたします。 ○事務局 それでは、説明させていただきたいと思います。資料6−1が食品安全委員会からの 回答書になります。  資料6−2が部会報告書(案)になりますので、部会報告書(案)に従って説明させていただ きたいと思います。  品目名は、デストマイシンAです。  用途は、こちらの方が豚の回虫駆除による生産性向上になります。  デストマイシンAは、Streptomyces rimofaciensより産生されたアミノグリコシド系抗生物質 で、豚の回虫駆除による生産性向上を目的として、飼料添加により用いられる。作用機序は、細 菌のリボゾームの30Sサブユニットと非可逆的に結合することにより、タンパク質合成を阻害 し、殺菌的に作用するものです。  現在、農林水産省により飼料添加物としての指定取消しの手続きが進められており、製造・販 売は行われておらず、国内において流通・使用はなされていない。また。国外においても、製造・ 販売は行われておらず、流通・使用はなされておりません。  2ページ目、許容一日摂取量(ADI)評価です。  食品安全基本法の規定に基づいて、食品安全委員会委員長あてに意見を求めたところ、食品安 全委員会においてデストマイシンAの残留基準を削除することについては、食品安全基本法第 11条第1項第1号の食品健康影響評価をおこなうことが明らかに必要でないときに該当すると されました。  諸外国における使用状況ですけれども、デストマイシンAは、ブラジル、タイ及びフィリピン においても豚の回虫駆除による生産性向上を目的として飼料添加により用いられてきたが、現時 点において、我が国を含め、製造、販売及び流通は確認されておらず、使用実態についても確認 されない。  なお、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)においては評価されておりま せん。  基準値案ですけれども、別紙のとおりということで、3ページになります。  現行の基準値0.5ppmが置かれていますけれども、それをすべて削除する案としたいと思って おります。  5ページにありますとおり、答申案は、「デストマイシンAについては、食品中の残留基準を 設定しないことが適当である」としたいと考えております。  また、訂正です。  4ページのところで日付が空欄になっているところが1か所ありますので、これについては訂 正させていただければと思います。  御審議のほど、お願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。  先ほどの品目とこの品目については、生方先生に御意見を伺わなければいけなかったんですが、 薬理作用はいかがでしょうか。 ○生方委員 特に問題ないと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  尾崎先生、志賀先生、問題ないでしょうか。 ○志賀委員 ただ、回虫駆除という目的があって、ここのメカニズムのところでは「作用機作は、 細菌のリボゾーム」という細菌の阻害ですね。だから、ここと線虫である回虫の間に何か飛躍が 感じられまして、言葉足らずに思えるんです。  全くの想像で、私はこのことを全然知らなくて、知識がありませんでしたけれども、これは元 のものを調べられたらすぐわかることだと思いますが、例えばの話、回虫の共生微生物を阻害す るとか、そういうようなことで作用するということが害虫の場合にはあるんですね。  いずれにしましても「細菌のリボソームの30Sサブユニットと非可逆的に結合する」という ところと「線虫を駆除する」というところの間で何かあるはずだという気がいたしますので、そ こを補わないとちょっとわかりにくいのではないかと思いました。  むしろ、御専門の方何かおわかりですか。 ○尾崎委員 マクロライド系の抗生物質の1群のもので、グリシン受容体が作用点です。この受 容体は虫ではクロライドチャネルなんですけれども、それを開口固定してしまうという1群の薬 があるんです。だから、もともとはそれに属する薬なのではないかなと思います。作用機序のと ころで、この部分をどこかの文章から中身を吟味せずに持ってきてしまったということですかね。  いずれにしろ、ちょっと原著に当たって、きちっと調べられた方がいいとは思います。 ○大野部会長 そうですね。ちょっとおかしいので、これは原著で確認していただけますでしょ うか。 ○事務局 では、確認させていただければと思います。 ○山添委員 昔だから記載がなくて、改めて記載したのではないですかね。 ○大野部会長 ほかはいかがでしょうか。使われていないということで、残留基準を設定しない ということでございます。ほかの細かいところでも結構ですけれども、よろしいですか。  それでは、用途のところの説明を若干確認して、必要な修正をしていただくということで、こ の案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  ということで、今日の一応の審議は終了したんですけれども、前回、薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会が先日ございました。それについて、その場で若干議論があったところもありまし たので、できれば時間をいただいて、その報告をさせていただきたいと思います。余り時間はと らないと思いますので、課長、お願いいたします。 ○基準審査課長 今、部会長からお話がありました件ですけれども、先般の分科会で農薬クロラ ントラニリプロールの御審議の際に、この農薬については、新規で農取法の登録を取るというこ とで、幾つかの作物について残留基準値の設定と、並行して、それ以外の一部の作物をインポー トトレランス申請という形で、新規の作物の農薬取締法の適用作物の拡大とインポートトレラン スをミックスした形の申請がございました。それについて、一委員の方から、インポートトレラ ンスの部分についてはもう少し議論して、今、この場で決めるのはいかがなものかという御意見 がございました。  これについて、私どもの方からは、インポートトレランスについては、平成16年のときにポ ジティブリストが導入される際に、その当時必要と思われるものについては全部ポジティブリス ト化したわけですけれども、その際に海外で要望がなかったものとか新たに認められたものにつ いては、一律基準の適用になりますので、仮にそういったものが国内に輸出された場合には、 0.01ppmを超えると食品衛生法上違反になるということで、必要な資料を付けてくれば、イン ポートトレランスで検討するということで通知が出ていますよということで、通知も改めて配付 して、御説明をしました。  もう一つの議論としては、インポートトレランスというものは、食品衛生法上は海外から入る もの、国内のものを問わず両方に適用されるということになるので、実はその委員からの御質問 というのは、食衛法上は例えばある作物について3ppmなら3ppmというのが認められたとき に、インポートトレランス申請ですから、輸入されている作物については食品衛生法上はいいし、 国内のものはやはり同じようにいいんだけれども、実際には農薬取締法上問題があるので、そう いうものがあるのは変ではないかということでした。これに対して、農薬取締法では、食衛法上 仮に3ppmで認められていても、国内の農薬を使う農家の方は、農薬取締法で厳しく規制がさ れているので、そういったものは使うことができないので、そういった国内の農作物にはそうい うものは流通しませんよというお話をしたんですが、いずれにしろ、やはりインポートトレラン スについては慎重にした方がいいというお話がありまして、最終的には、その場にいた各委員の 先生方の採決という異例な形で、その一委員以外の方は皆さん問題がないだろうということで、 御了解いただきました。  その後、その委員の先生とまた詳しくお話を確認しましたところ、そのご質問の趣旨というの は、新しい農薬を登録する場合に、一部のものがインポートトレランスという形で入ってくる場 合には、本来であれば、場合によっては国内でも登録を取るべきものもあるだろうと。そういっ たものがインポートトレランスという形になった場合には、インポートトレランスということで、 海外から来るものは認められるけれども、国内の農家では、この農薬が該当する農産物には使え ないというのは、誤った使い方をした場合には、そういったものをまた回収とか、そういう無駄 なことも起きる可能性がある。やはり基本的には、インポートトレランスのようなものでも、国 内で使えるようなものについては、できるだけ農薬登録をとらせた方がいいといった部分の議論 をしたかったということでした。一応、これについては、私どのもの方から農薬取締法を所管し ている農林水産省の方で責任を持って業界の方は指導しているということと、あと、恐らくこう いうインポートトレランスだけの申請としたのは幾つかの理由があって、1つは、基本的には国 内と海外の気候の違いがあること。もう一つは、国内の農薬の登録を取る場合には、国内で2か 所以上の作物残留試験が必要になってくるわけですけれども、なかなか実施してもらえる施設の 箇所数的にも問題がありますから、そういった問題だとか、その分野での競合するような農薬の 存在などもあって、企業戦略上、見送っている場合もある。そういう状況ではないかと思います がということでお話しをしました。いずれにせよ、こういった部分というのは、もう少し基本的 に考えていかなければいけないのではないかという御意見でしたので、これについては、農林水 産省、食品安全委員会事務局、環境省との連絡会の場でも、そういった話があった旨を御連絡し たところでございます。  以上です。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。インポートトレランスという考え方に基づいて、 この部会でいろいろ基準値の設定をさせていただいていますので、それが上の方で議論になりま したので、報告させていただきました。  上の方の次の会議で、インポートトレランスについて事務局から説明していただくということ になっていますね。 ○基準審査課長 はい。 ○大野部会長 それで理解を得たいと思っています。  勿論、その場でどうしても許せないということになったら、また別の問題でしょうけれども、 とりあえずそういうことはないと思いますので、上の方の分科会の理解を得たいと思っています。  ということで、今のことで何か質問はございますか。よろしいですか。  それでは、審議していただいたわけですけれども、事務局の方から、今後の手続きについて何 か御説明はございますでしょうか。 ○事務局 本日、御審議いただきました農薬2剤、動物用医薬品2剤及び飼料添加物1剤につい ては、食品安全委員会からの通知を受けておりますので、ブロチゾラムについては、次回の部会 でまた審議していただきますけれども、それ以外の剤については、一部修正した上で部会報告書 とさせていただきます。  なお、今後の手続きにつきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、農薬イミシアホ ス及びピラスルホトール、動物用医薬品テルデカマイシン並びに飼料添加物デストマイシンAに ついては、パブリック・コメント、WTO通報の手続きを進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございます。ただ、薬理作用のところの修正については、その手続き については、事務局で案をつくっていただいたものを関係の青木先生、生方先生、尾崎先生、志 賀先生と私で見させていただいて、それでよかったら了承するということで、お任せいただいて よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、そのようにさせていただきます。  ほかに何かございますでしょうか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、5月20日水曜日の午後を予定しておりま すが、後日、委員の日程につきまして、御確認させていただきたいと存じます。詳細につきまし ては、追って御連絡申し上げます。ありがとうございます。 ○大野部会長 それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2489)