09/04/13 第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録 第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録                    日時:平成21年4月13日(月)13:00〜15:02                    場所:厚生労働省省議室(9階) 議事次第 1.要介護認定の見直しの経緯について 2.要介護認定の見直しに係る検証について 3.その他について 議事内容 ○鈴木老人保健課長 それでは、定刻になりましたので、第1回「要介護認定の見直 しに係る検証・検討会」を開催させていただきます。私は老人保健課長の鈴木と申し ます。座長が選出されるまでの間、暫時進行を務めさせていただきますので、よろし くお願いいたします。  本日の委員の先生方の御出欠の状況でございますが、野中先生を除く13名の皆様 に御出席いただいております。田中聡子先生がちょっと遅れておられるようですが、 来られるということでございます。  初めに、舛添大臣からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○舛添大臣 どうも皆さんこんにちは。急遽の御案内のところ皆様お集まりいただき まして、ありがとうございます。  要介護認定の見直しをどうするかということでございますけれども、これまでもさ まざまな御批判をいただいてまいりました。基本は地域によるばらつきをなくすには どうすればいいか、それから、介護をめぐる状況、介護技術の変化、進歩。こういう ものを踏まえての一定の見直しということでありましたけれども、パブリック・コメ ントなどもいただいたんですが、さまざまな不安の声をいただきました。そのため、 趣旨を徹底させろということで、私も国会答弁でそういうことを申し上げましたし、 自立と介助なしというのは括弧付けで入れているけれども、大体どっちが本当かとい うこともありましたので、手直しできるところは手直しをして、そういう意味で誤解 がないようにということもやりました。  この間、高見さんとか樋口さんの団体の皆さんの御意見も賜りまして、私も実はも ともと介護から政治の道を志したんですが、雇用の問題があったり、その他の問題が あって、体1つで24時間しかないもので、申し訳ないけれども、全部に完璧な目配 りができないような状況でした。  やはりこれは、私の下で直接こういう形で要介護認定の見直しをみんなで検討する 必要があるなということで、急遽お集まりをいただきました。皆さん方のお声をいた だいて、現場がどうなっているか、データをきちんと集めて検討をしたいと思います ので、どうかひとつよろしくお願いします。  国会での審議などを聞いていましても、一番の不安は、例えば要介護度が4の人が 5に上がるというのは、給付が増えるわけですから問題ないんですが、新しい認定基 準で、例えば4だった人が3に下がると減らされるではないかと。今までのサービス が受けられなくなるのではないかという声が一番強いんですね。厚生労働省の事前の 検証作業では、そういうより軽く見られる方は1〜2割程度だろうという数字が出て いますけれども、いずれにしても、これは実際にやってみないとわかりません。  今日、私が皆さん方に御提案を申し上げたいのは、今から検証をやります。検証を やるまでの間は、仮に要介護度4の人が要介護度3という軽いような認定を行われた ときも、ちょっと待ってください、私はそういうことを希望いたしませんという御本 人の声があれば、以前の4のまま。だから、例えば4が3になって、3のままでも結 構ですよというときは別ですが、今回の新しい認定基準によって、要介護度が変化す る。それに対して自分は不満であるということをおっしゃっていただければ、そうい う方に対しては、検証が終わるまでこれまでどおりの基準でやってはいかがか。そし て、検証が終わった上で更に直さないといけないところは直していくということで、 フットワークよく国民の希望に応えられるように、認定基準も柔軟に見直しするため には、データをとって、こういう公開の場できちんと議論して、どこが間違っている か、間違っているならどうするかということなんです。  私も途中で公務のために行かないといけませんで、45分ぐらいはおれると思います。 私がいなくなっても、私が今、申し上げたことは、事務局からまた説明を申し上げさ せますので、是非、今、私が申し上げたことを御検討いただいて、とにかく介護を受 ける側、そして御家族の皆さん方の不安がないようにというのが第一です。更にその 上で、よりよいものにしていきたいと思っていますので、どうぞ遠慮なく、忌憚のな い御意見をいただいて、どうすればせっかく入れた介護保険制度がよくなるかという 観点から御議論をいただければと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございます。 ○鈴木老人保健課長 申し訳ありませんが、カメラはここまでということでお願いを いたします。 (報道関係者退室) ○鈴木老人保健課長 続きまして、メンバーの先生方を御紹介させていただきたいと 思います。お手元の資料1をごらんいただきながら御紹介をさせていただくのがよろ しいかと思います。  池田委員でございます。  石田委員でございます。  木村委員でございます。  高橋委員でございます。  高見委員でございます。  田中滋委員でございます。  対馬委員でございます。  筒井委員でございます。  野中委員は今日は欠席でございます。  樋口委員でございます。  本間委員でございます。  三上委員でございます。  結城委員でございます。  次に、事務局を御説明させていただきたいと思いますが、座席表があるかと思いま す。  宮島老健局長でございます。  坂本審議官でございます。  大澤総務課長でございます。  藤原企画官でございます。  それでは、座長の選出に移りたいと思います。資料2の本検討会開催要綱にありま すように、座長は委員の先生方の互選により選任するということでございますが、ど なたか御推薦いただけますでしょうか。 ○石田委員 学識経験者でおられる田中滋委員を推薦いたします。 ○鈴木老人保健課長 今、田中委員の御推薦がございましたが、ほかにどなたかおら れるでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○鈴木老人保健課長 異議なしということでございますので、田中滋委員に本検討会 の座長をお願いいたします。 ○田中座長 御推薦いただきましたので、座長を引き受けさせていただきます。どう ぞ御協力よろしくお願いいたします。  大臣も言われましたように、この問題は要介護認定の中身が科学的なエビデンスを 持ったものか、きちんとできているかどうかの検証が第一だと思いますが、同時に現 在のプロセスに対する皆様の不安感をなくす。これはコンテンツのよしあしとは別の 話ですので、それらについても皆様の意見を伺いながらまとめて、大臣や局長に提出 できればと考えております。  早速ですが、議事に入ります前に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○鈴木老人保健課長 お手元の資料の確認をさせていただきます。  「議事次第」「配付資料一覧」「座席表」がございます。  資料1「第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会名簿」。  資料2「要介護認定の見直しに係る検証・検討会開催要綱」。  資料3「要介護認定方法の見直しに係る検証・検討にあたって」。  資料4「要介護認定の見直しに係る検証について」。  資料5「要介護認定の方法の見直しに伴う経過的な措置について」。  参考資料「要介護認定制度の見直しの経緯について」。  以上、資料、参考資料でございますが、もし落丁、御不足等ありましたら事務局ま でお願いをいたします。 ○田中座長 皆様よろしいですか。では早速ですが、用意された議題1「要介護認定 の見直しの経緯について」に移らせていただきます。  初めに要介護認定方法の見直しに係る検証と経緯について、事務局から資料の説明 をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 お手元の資料3を中心に御説明をさせていただきたいと思い ます。細かい資料は参考資料に落ちておりまして、この場でたくさん申し上げるとい うよりは、皆様それぞれの立場で御専門でございますので、簡潔に説明をさせていた だきたいと思います。  「要介護認定方法の見直しに係る検証・検討にあたって」という題になっておりま すが、今まで3月までの認定制度について、先ほど大臣の方から申し上げましたけれ ども、ばらつきの問題、それから、介護の手間をきちんと反映しているかどうかとい うことについて、4月から見直しをするということになったわけでございます。  モデル事業等で検証をして、一律に軽度に判定されるわけではないということにな りましたし、パブリック・コメント等で寄せられた御意見について一部、一定の対応 をさせていただきました。4月から新制度の導入ということでございますが、現状と してはやはり、いまだ今のサービスが受けられなくなるのではないかという御不安の 声がございます。  ということで今回、この検証・検討に当たって現場の声、客観的データ、こういう ものに基づいてきちんと検証・検討を行っていくことが必要ではないか。そして、幅 広い立場の方にメンバーに入っていただき、勿論公開で検証・検討を行うためにこの 検討会を設置するということを、是非させていただきたいということで、簡単ではご ざいますが、もし御質問等があればまた説明させていただきたいと思います。  以上でございます。 ○田中座長 質問はおありですか。第1回ですので皆様の意見をたくさん伺いたいと 考えます。見直された要介護認定方式について、サービスを受ける方や現場の方々か ら不安の声が出ていると大臣からも言われましたし、課長からも説明がありました。 この点についての不安、中身の在り方について、最初に1人3分程度で演説というこ とではないのですけれども、御意見を言っていただければと思います。 ○舛添大臣 先ほど申し上げましたけれども、私は2時から別の公務があって、45 分〜50分にはここを立たないといけないもので、私がいる間にこれだけは絶対に言っ ておきたいということがあれば是非、私がいる間によろしくお願いいたします。  以上です。 ○田中座長 では45分で10人ですから、1人3分であれば大丈夫です。手を挙げる より順番に行きましょう。 ○池田委員 龍谷大学の池田でございます。要介護認定の緻密な検証をするというこ とは大変有意義なことですが、お願いをしたいのは国民全体の間で必ずしも介護保険 の認定の手法というのが理解されていないのではないか、そこを丁寧に説明していく ということも1つの課題ではないかと思います。  釈迦に説法になりますけれども、要介護認定は介護の手間というものを測定する装 置でございまして、重篤度とは一応関係はない。その問題がまず1つは知られていな いのではないか。  更にもう一つは、これは家族を責めることは決してできませんけれども、家族が持 っていらっしゃる介護の負担感と社会的サービスである介護サービスの負担感とい うのは、次元が全く異なったものです。家族の方には家族故のストレスという大きな 要因があります。しかしながら、介護認定ということに関しては社会的な介護負担と いうものではかるから家族の思いとはどうしてもずれざるを得ない。どうもその辺の 誤解というものを、最初にきちんとしておく必要があるのではないかなという気がし ます。  もう一つは、これから始まる新しい認定システムの検証も必要でしょうが、過去の 認定の経過はどうであったのかという検証も必要なのではないかなと思うわけです。 例えば平成16年4月から要支援1、2というものが新設されまして、要介護1以下 が再編成されたわけです。ところが、平成17年度、18年度の変化を見ますと奇妙な ことが起きているわけです。  要支援から要介護1の方々の認定率は下がっております。これは従来サービスを使 っていた人で、必要でない人がやめたということも大きいのですが、奇妙なことに要 介護2と3の認定率が4.4%から5.0%と14%も増大しています。要介護4、5の 重度も3.7から3.8%に上がっているといます。要介護1以下が変化するというのは 非常によく理解できるんですが、要介護2以上はシステムに変更がなかったにもかか わらず上がっている。これは一体何なんだろうか。  そういったところから認定のばらつきを是正する側面、これは過去にもさかのぼっ て検証する必要があるのではないか。  以上のことを考えておりますので、それを議論できればと思っております。 ○田中座長 ありがとうございました。石田委員、どうぞ。 ○石田委員 稲城市役所からまいりました石田と申します。唯一現場の市町村という ことから、少し現場の話も交えながらお話させていただければと思います。  稲城市は高齢人口1万3,000人で、要介護者、要支援者は1,500人程度おります。 認定の状況ですけれども、一月に4、5回の認定審査会を行うという市でありまして、 1回の審査会は35件から40件程度処理するという自治体であります。  今回の新しい認定方式が始まった4月1日から10日までの平日8日間の間で、新 規申請が27件、区分変更が5件、更新申請が109件、転入が3件、合計144件の申 請があり、このうち新しい形での認定調査が終了したものが17件あります。  一次判定の結果、これはコンピュータ判定だけでございますけれども、これが1件 出てございます。この1件については区分変更の申請でしたけれども、従来の要介護 認定の結果では4でしたが、今回の新認定では5とむしろ重く出ているという状況で あります。この件に関する認定審査会は今週から来週に行われる予定であるというこ とでございます。  このように4月に入ってまだ日が浅いということから、まだ稲城市では新しい認定 方式での二次判定結果は出ておらないという状況であります。  新しい認定方式について周辺の市町村からは、新たな調査項目が適切に調査できる のか。確かに不安を呈する声というものは聞かれているところですけれども、稲城市 では現時点では申請者からの苦情は出ておらない。また、調査員からのトラブルの報 告はないという状況であります。  現場の声としては、市や認定調査員からは認定調査書の記載に関して、むしろ判断 に迷うことが少なくなったと肯定的な意見というものがあった一方で、特に特記事項 が重視されるということから、不慣れで的確な記載となっているか自信がない、不安 であるという両方の意見が寄せられる状況であります。  市町村の立場としては、要介護認定を通じて住民に必要な介護サービスを適切に提 供するという仕組みとして、介護保険制度が果たす役割は非常に大きいと思っており まして、この制度自体の信頼性、安定性というものを図ることは非常に重要であると、 現場としても思っておるところであります。是非認定事務を担っている市町村が混乱 することのないよう、制度の安定化ということについては着実に進めていただきたい と思うわけでございます。  若干繰り返しでありますけれども、是非この2点だけお話したいと思いますが、認 定の見直し、検証に当たっては是非、実際に介護保険制度を現場で運用している保険 者の意見を十分お聞きして、必要な措置をとっていただきたいというのが1点であり ます。  2点目は既に新しい認定方式がスタートしているという時点での検証であるわけ ですので、仮に経過措置などを設けるにしても、これは国の責任で是非説明をしてい ただいて、現場の市町村が混乱することのないよう、是非この点は留意をしていただ きたい。この2点をお願いしたいと思っているところでございます。  以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。木村委員、どうぞ。 ○木村委員 日本介護支援専門協会の木村です。ケアマネジャーの立場としては、今 ほど説明がありました、保険者の方からこの要介護認定調査の委託を受ける立場にも あります。今日の議論で新しい調査の方法で調査員が具体にどういう悩みを持ってい るかというのを、緊急調査して、ここで発言することに今後なると思います。  また、この後、お願いがあります、今この時間のテーマであります必要なサービス が受けられなくなるのではないか。とありますが、少なくとも、この介護保険制度の 流れでは要介護認定のみでサービス量が決まるわけではないというしくみになって おります。ですので、大枠の話をさせていただきますと、申請があって要介護認定の 結果として支給限度額が決まります。次にケアマネジャーがケアプランを立てていく わけですね。その限度額の中でやるのか、足りないのかというのはその次の話になっ ていくと思います。  もう一つ押さえなければいけないのは、この介護保険だけですべての介護を賄うの かという話を考えなければいけないと思います。それは限度額を超えてくる、例えば 難病疾患を持っている方々は医療サービス、それから、市町村単独の福祉サービスな どそういうものを組み合わせていって支えていくということも、ケアマネジメントに 入っているわけです。ですので、国民の皆さんが今、不安に思っている、この要介護 認定の度合いだけでサービス提供量が決まるという、誤解を招くようなことはやめて いただきたいと思います。  釈迦に説法でございますが、ここにおいでになっている皆さんはもう、このことは 全部承知している話だと思いますけれども、国民の皆さんに理解してもらうために説 明します。申請から要介護度が決まりケアマネジメントでサービスを決定していって、 サービス提供していく途中で要介護の状態が変わってくればケアマネジャーは区分 変更もできる。  つまり、低過ぎると思ったら高くしていく、そういうこともできる仕組みになって おり手続上きちんとできるんです。その中で運用しづらいということであれば、全体 のプロセスも考え直さなければいけないと思うし、今回の本題の要介護認定が北海道 のどこかの町でも、沖縄のどこかの町でも同じ要介護度が出てくるようばらつきがな いようにということで、最初からやっていたわけでございますので、それはそれで各 論として要介護認定の仕組みということはここできちんと検証し、やるべきだと思い ます。  繰り返しますけれども、必要なサービスが受けられるか受けられないのかというの は、要介護認定のみで決まるのではないということを、ここで確認して議論していか なければいけないと思います。以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。高橋委員、お願いします。 ○高橋委員 乗っけから大臣の発言にコメントして申し訳ないんですが、介護保険制 度というのは重度であればあるほどいいという制度かというと、私は違うと思ってお ります。要するに、介護の手間を適切に反映しているかどうかであって、重度になっ たから給付量が増える、このプロセスについては今、木村委員がおっしゃったとおり です。私はむしろ軽度になってめでたいという考え方すらある。それが私は当然です。 なぜならば、介護保険は国民の共同連帯と第一条で書いてあります。福祉ではありま せん。社会保険で国民が言わば保険料と税金で負担しながら、必要な方々に給付を与 える制度ですから、多々ますます弁ずという仕組みでは絶対ありません。必要な場合 には社会福祉で補足するということは必要です。これは介護保険給付外のサービスと してきちんと責任を持ってこれは担保すべきものだと思っておりまして、そこら辺の ことは基本的な介護保険というものをどう考えるかということに対する誤解、ミスリ ードあるいはある種のモラルハザードを容認するような議論があるとしたら、これは きちんと是正すべきだと思っております。  第2点として申し上げたいのは、今回木村委員がおっしゃったとおりでありまして、 要介護認定とサービス利用はリンクいたしません。ここの間にケアマネジメントプロ セスがございますし、いろいろな統計で要介護認定の在宅の率は50%程度だと言われ ております。  そういう意味で、そこら辺はなぜかという議論は非常に重要な議論だと思っており ますが、その上でやはり要介護認定が軽減することによって、サービスが受けられな くなるという主張の議論は、過去の認定変更の間でいろいろ起こってきたわけでござ いますから、それはきちんと検証すべきで、それは私はある意味ではケアマネジャー の資質にも多分相当問題があると見ております。  今回もう一度やるべきなのは、きちんとしたプロセスで調査の過程で科学的なエビ デンスに基づいて積み上げられてきたものと、先ほどから主張されているように、家 族の負担感やら介護認定をめぐるさまざまな要因との関係を明らかにしながら、やは り何と言ってもフェアな仕組みでなければならない。私は要介護認定というのは大変 公正さというものを担保する、介護保険で傑出した仕組みだとかねがね考えておりま して、そのよさをきちんと生かすような方向で検証をすることが、非常に重要だと思 っております。  ケアマネジャーなり現場に認定を任せればいいという御意見もおありかと仄聞い たしますが、これは公平性を極めて阻害することになると思っておりまして、ある意 味で言えば先日もドイツやフランスの介護保険の担当者と議論していたときに、日本 の要介護認定というのは世界一級の仕組みであると彼らは口をそろえて言っており ます。  そういう意味で、信頼というものをきちっと担保するためのさまざまな議論をこれ から是非、建設的な方向でやっていただきたいと思っております。 ○田中座長 ありがとうございました。高見委員、お願いします。 ○高見委員 認知症の人と家族の会の高見でございます。家族の会は来年30周年を 迎える組織で、現在44都道府県に支部がありまして、会員は約1万人の組織であり ます。  今回は要介護認定の見直しに係る検証・検討会ですから、要介護認定についてお話 をしたいと思うんですが、今回、当初厚生労働省から出されたテキストについては、 私たちはそれを拝見したときに驚愕の一言でした。驚きの一言でした。それは簡単に 言いますと、一番の問題は例えば私は去年の秋に65歳になりまして、介護保険被保 険者証をもらいました。ですから私は介護保険の申請ができるわけです。  私がしますと、恐らくこの調査項目のすべては介助されていない、またはできる、 あるいはなし、全部これが付くと思います。ところが一方寝たきりで、はげちゃびん で、歯磨きや洗顔の習慣がなくて、枕元に薬を置いておくと一度に1週間分でも飲ん でしまう、あるいは電話でむだな買い物をたくさんしている。それで、調査に来たと きにたまたま生年月日や名前が言えたという方も一次の調査選択肢では全く同じに なるわけです。ここがやはり一番みんなが心配をしているところなんです。  元気であるから、動けるから介助の必要が全くないという人と、必要があるけれど も、されていないという、ここを最初同列に置いたところがそもそもの批判を受ける 始まりだと思いました。そういう意味で言いますと、今回の変更を考えた人は、余り に認知症の人のことや家族のことを知らない人が考えたのではないかと思いますし、 日本語的にも正しくなかった。  買い物をするというのは、必要なものを必要なときに買ってくるのが日本語では買 い物でありまして、何を買ってきても買い物とは言わないわけですから、日本語的に もおかしかったということがありますし、むしろ今回のやり方が認定の事務を一層煩 雑にするのではないかという気もしましたし、何よりも介護保険に対する信頼がなく なるのではないか、こういうことを危惧しまして、すぐさま具体例を挙げて意見書を 出させてもらいました。  それ以後の経過は省きますが、このような状況の中で私たちは要介護度が高くなれ ばよいとか、低くなるから悪いとか、そういう話ではなくて、その人に適正な認定が されるかどうかという問題だと思うんです。  その意味で、今回の見直しの考え方あるいは、さっき大臣もおっしゃった従前の介 護度で行こう、こんなふうな見直しについて私は、そういう問題がありながらもかな り厚生労働省は思い切った提案をされてきていると感じました。  問題は、私たち家族の会が意見書で挙げましたのは、8つの事項についてこういう 矛盾がありますという提案をしたわけです。それらについては選択肢を変えたりです とか、あるいは特記事項の書き方を補足されました。それはそれで改善だと思うんで すが、ただ私たちが挙げたのは、あれは一例として挙げたわけで、74項目の質問の中 にはそういう目で見ますと、まだまだ矛盾を含んでいるものがあると思っています。  その意味では今回の検証作業を通じて、それらの問題も事細かく検証させていただ いて、本当に私は介護保険でいろいろ言いますけれども、私たち家族の会ができた30 年前というのは社会的対策は一切なかったわけです。そういう中から私たちは介護の 社会化というのを求めてきまして、その反映として介護保険制度が誕生したわけです。  そういう意味では介護保険というのはいろいろ理屈はありましても、家族が本当に そのことで安心できるか、信頼できるかという、ここを失ってはいけないと思います ので、今回の検証の中では是非そういう立場でより家族が安心できる、そして、全国 的な公平な認定になるように私たちも意見を申し上げたいし、努力をしたいと思って いますので、よろしくお願いします。 ○田中座長 ありがとうございました。対馬委員、お願いします。 ○対馬委員 健保連の対馬です。私どもがこの場に出させていただいておりますのは、 第2号被保険者といわれる40歳から64歳の比較的若い方々から保険料を預かってい まして、全体の30%ですから恐らく2兆円強ぐらいでしょうか。そういう立場からな んです。  介護保険につきましてはかなり若い方々にも理解が広まっていまして、本当に必要 な制度だと考えられているわけなんですけれども、これが介護の認定の段階で不信で ありますとか、理解不足ということになりますと、やはり制度全体に響いてまいりま す。  私も利害が相異なる方々の意見調整といった場が多いのですけれども、確かに正確 性でありますとか公平性は非常に重要で、ベースになるのだろうと思うのです。更に 最近ですとやはり納得感でありますとか、透明性といったことが本当に必要だろうと 思います。こういった場に出させていただきましたので、できるだけ透明な議論と言 いますか、エビデンスに基づいたきちんとした議論をやってまいりたいと思います。  また、中医協の委員という立場でもございますので、介護と医療の関わりといった ことにも頭をめぐらせながら考えてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願 いしたいと思います。 ○田中座長 ありがとうございました。筒井委員、お願いします。 ○筒井委員 国立保健医療科学院の筒井と言います。私が申し上げたいのは木村委員、 高橋委員が申し上げたとおり、この要介護認定というのは5つの大きなプロセスがあ りまして、第1が認定調査です。2番目に、調査データを用いたコンピュータを用い た一次判定、3番目が、この一次判定と特記事項と主治医の意見書に基づいた二次判 定と、これで3つのプロセスがあります。さらに4番目に先ほど木村委員がおっしゃ ったようなケアマネジメントというプロセスがあって、5番目として、最終的なサー ビス給付が決定されるという大変、重層的なシステムになっております。  これだけ慎重にやっているわけで、先ほど最初にお話がありましたように、要介護 認定が、今回一次判定で、例えば4から3という判定になったとしても、二次判定で、 ここが非常に重要ですが、調査員の特記事項や概況調査、それから、医師の意見書を 専門家が専門的に判断して、要介護認定を行うという、大変、慎重なシステムになっ ています。  ですから、検証するといったときに、単純に、前回と、今回の一次判定の結果がど う変化したというものでは不十分だと思います。本来の意味で検証というならば、認 定調査、一次判定、二次判定、ケアマネジメント、そして最終的な給付決定のそれぞ れに検証が必要なのだと考えています。  しかし、本来はその次もあると思うのです。本当にサービスを提供されて、その人 たちが適切な介護を実際に本当に受けることができたのか、その結果、どのようなア ウトカムが示されたのかという検証が必要であっと思います。それが本来、介護保険 制度で検証してこなければならなかったことだと思うんですが、残念ながら給付決定 後のアウトカムについては、今のところ十分なエビデンスが積み上げられず、研究も なされてこなかったために、今回のような事態が起きたと考えています。  国民の皆さんに誤解があるのは、認定が決定したらそれですべておしまいだという 感じになるということだと思います。これは、先ほど木村委員がおっしゃったような ことであって、認定が決定してから、給付を受けてどのような状況となったかが重要 であって、重度の認定がなされたということが大事なわけではないということが、理 解されていないのではないかと思います。  実際に私が持っているデータでは、要介護5の方で適切なサービスを受けたことに よって、要介護2とか1になって自立された方もたくさんいらっしゃるので、必ずし も要介護度が軽度になることが悪いわけではありませんので、先ほど、大臣がご提案 になった今回の経過措置については、その評価が難しいと思っています。  このように必ずしも経年的に要介護度が高くなればよいということはいいわけで はないということは、本当は、わかっていただけると思うんですが、余り、それは公 表されておりません。今回は、例えば、軽度の方が非該当になって問題だというよう なご意見ばかりが、示されておりまして残念なことだと思うんですが、まず、今回の 検証として必要なのは、前回の要介護度が今回、変わらなかったことがよいというよ うな検証ではなく、「地域間の認定調査におけるばらつき、あるいは調査員によるば らつきがなくなったか」ということだったと思います。  これまで、調査員の調査の判断の基準が、きちんと明確にされていなかった。それ が今回は、随分ルール化を図ってわかりやすくした。「介助していない」という表現 を「自立」とイコールにしてしまったことについては誤解を招いたかもしれませんが、 「実際に介助されているか、されていないか」をはっきりさせ、その結果として、調 査項目の判断をどのようにしたかを二次判定を決定する認定審査会に伝達するとい うルールを明らかにしたことは、大変よかったのではないかと考えています。  私は今回のこの委員会の中では、データに基づいたエビデンスを出していくという 研究者の立場で発言させていただくことになると思いますので、この委員会でお願い をしたいのは、先ほど申し上げましたように認定調査のルールをきちんとすることで、 地域のばらつきを軽減できるか、全国で要介護認定調査が公平に行われるか、行われ ているのかということについて、是非検証をしたデータを国民の皆様に出していだき たいと考えていることを申し上げたいと思っております。  また、必ずしも要介護認定というのは、任意の要介護高齢者が要介護度申請を受け るという立場になりますので、要介護度の分布が前回と今回どうだったかを見ること が、検証となるというわけではありません。すでに施設の入所者の2000年のデータ と現在のデータは、要介護高齢者の状態が異なっています。ですから、我が国の要介 護高齢者の給付はずいぶん変わってきているということを、経年的に補足するような データも今後は出していくといいのではないかと思います。  以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。樋口委員、お願いします。 ○舛添大臣 なるべく私がいる間に結城さんまで行ってほしいです。 ○樋口委員 ではなるべく簡単に話します。  高齢社会をよくする女性の会の樋口でございます。大臣がいらっしゃる間に、全委 員の話を聞いていただけるのはとてもありがたい反面、私はこの会の進行にちょっと 戸惑っております。  と申しますのは、御案内のとおり要介護認定をめぐってこれだけの問題があり、高 見委員と一緒に私は「介護保険の持続・発展を図る1,000万人の輪」という団体から、 こうした問題が正されない限りはしばらく凍結していただきたいという要望書を持 って3月12日に伺いまして、そして認知症の方の問題であるとか、介助なしイコー ル自立という表現の仕方とかに関しては、直ちに変えるという御返事をいただきまし て、安心しておりましたところ、このたび、国会で小池議員からのあのような質問が 出てまいりました。  このことについて厚労省としては、この資料についてあえて言えば、要介護認定で 全体として軽度化の方へシフトしていくという疑問について、どのような御説明をい ただけるんでしょうか。冒頭でこうした問題について公開の場で御説明があるのかな と思っていましたら、ひどくあっさりした1枚紙の御説明で終わってしまったので、 いつ聞かせてくださるかなと思っております。 ○舛添大臣 私がいなくなった後にちゃんと説明いたします。 ○樋口委員 では楽しみにいたしております。  この要介護認定に関しては、どうして厚労省は後期高齢者医療制度の混乱に学ばな かったのだろうかなと不思議に思います。市町村の方は向いているけれども、利用者 とか家族に関して説明が大変不足であった。よその国と比べても精密にできている認 定制度だとは思います。その上で、利用者と家族を尊重していただきたい分その方々 がこれまでのサービスが受けられなくなるのではないか、あるいはどうして変わった んだろう。この利用者の不安の声ということをもう少し厚労省は愛情を持って受け止 めて説明していただきたかったなと思います。  去年の2月か3月の時点で、例えば小池議員が御指摘なさったような文書が出てい て、介護保険をできるだけ軽度に認定するような方針がもし厚労省の中にあったとし ても、私は不思議ではないと思っております。  骨太の方針の2,200億削減の中で、しかもその削減は恐らく医療を減らして介護を 増やせとか、保育を減らしてどうこうとか、言ってみれば省庁の予算というのは減反 政策です。とにかく減らせ減らせの雰囲気の中で厚労省の内部でこうした議論があっ ても私は仕方がなかったと思っています。問題はこれからどうするか、です。社会保 障に対する政策全体の潮目が変わってきました。社会保障国民会議とか、社会保障を 強化していかないと、この日本はもたないという世論がようやく盛り上がってきてて、 与党の中では舛添大臣などはその急先鋒だと思って私どもは信頼しております。  でありますから、そういうふうに変更していく中で、私はこれから社会保障の少し 長い関ヶ原が2年ぐらい続くと思いますけれども、その中の第一歩として要介護認定 というものをより公平で、より透明化され、より人々に理解され適正な介護サービス が給付できるように、今回利用者の側を第一において討議していきたいと思います。  以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。本間委員、どうぞ。 ○本間委員 1つは、やはり認知症があるからといって、その人たちを差別しないで いただきたいということをまず強調しておきたいと思います。これは例えば買物の問 題にしても、先ほど高見委員の御指摘により御努力、修正がされていると思いますけ れども、例えば項目で火の不始末が削られたということも、これは客観的な基準がつ くりにくいということが理由になっているようですが、もしそれが本来の理由である とすれば、いかにもそれは認知症の人たちの特徴を知らなさ過ぎるということに尽き るだろうと思うんです。ですから、自分たちの理解が不足していることを棚に上げて、 認知症の人たちを差別しないでいただきたいということが1点です。  2点目は検証ということに関してですけれども、これは単に導き出された要介護認 定だけの検証では済まないはずです。個々の例で言えば軽くなったり重くなったりし ても、これは一次判定であり二次判定で審査会があるわけですので、私自身は介護保 険ができてから10年間、毎月2回要介護認定に携わってきていますが、二次判定が あるわけですから、認定審査会で調整できます。  ただ、その基になる調査員が調べた結果、例えばかかりつけの先生方の意見書の内 容というのが、やはり極めて不十分な例が決して少なくないということがあるわけで す。例えば皆さん方も御承知だと思いますけれども、認知症高齢者の日常生活自立度 判定基準という、現時点ではT、U、V、W、Mと付けるものがありますが、先日2 万人の無作為抽出でサンプルで調べた結果、認定自立度Uに関しては調査員とかかり つけ医の先生方の結果の一致度は19.6%でした。極めて低い結果と言わざるを得ない と思います。  これは恐らく一事が万事のほんの一例だろうと思いますので、是非検証という場合 にはその調査員がきちんといわゆる対象になる人たち、高齢者だけではないわけです が、その人たちの状態を認知症があってもなくても、きちんとアセスメントできてい るのかどうか、それから、かかりつけ医の意見書の内容に関してもばらつきがあるか ないかというところまで含めて、是非検証をお願いしたい。  また認定審査会のやり方、これはどう検証すればいいのかと私自身もちょっとわか りませんが、私が関わっているある自治体では25の合議体がありますがが、その中 でもばらつきがあります。ですから、そういう点も是非含めて検討をしていただきた いと思います。よろしくお願いします。 ○田中座長 ありがとうございました。三上委員、どうぞ。 ○三上委員 日本医師会の三上でございます。今回のこの検証・検討会ですが、開催 されることに本当に感謝をいたしております。介護給付費分科会でこのロジックの見 直しの問題につきまして、是非検討会を平場でやっていただきたいということを申し 入れましたけれども、なかなか開催できなかった。大臣の強いリーダーシップでこれ を開催させていただいたことに本当に感謝をしたいと思います。今後手続上こういっ た問題を扱う場合には、やはり関係者の間で十分検討をしていただいて決めていただ き、厚労省の中で勝手に決めるということがないようにお願いをしたいと思います。  要介護認定の問題ですけれども、これは医療における診断といったものではなくて、 診断は基本的には治療法とか、そういったものに直結するわけですが、これは限度額 を決めるもので、先ほど木村さんがおっしゃったようにサービスの内容とは全く違う。 その間にケアマネジメント、ケアプランが決まってくるということなんで、基本的に は全く違うものであるということです。  基本的にケアマネあるいはケアプランというのが適切に行われるということであ れば、この限度額というのは決める必要がない、いわゆる出来高のような形で必要な 人に必要なサービスをきちんと提供するということであれば、限度額は要らない。で も、今までの支援費とかいろんなことで、モラルハザードがあるので限度額を決めて、 ある一定のところに抑えておこうというために、こういったものが始まったんだろう と思います。  それをきっちりと、ばらつきを少なくするということも非常に正しいのではないか と思うんですが、厳しくすればするほどと言ったらおかしいですけれども、正確に判 断をしたとしても一定の部分は必要な医療を受けられない人が出る、あるいは一定の 範囲ですべての必要なものを受けても、まだ余力があるというか、限度額に届かない 人があるということは必ず平均値で決めていくわけですから起こるわけですので、で きる限り必要なサービスが受けられない人が出ないような形にしていただきたい。  そのためにある程度のゆとりも要るんだということで、余り厳しくきちっとした判 断をするというよりは、かなり大まかな形で認定を決めていただく、限度額を決めて いただく方がいいのではないかと思います。  介護の手間という形で要介護認定は決めておりますけれども、これはいわゆる施設 でのタイムスタディを基準にやっている。介護保険自体は介護の社会化ということで、 家族介護力をコストに換算をして計算をするという形なんですが、いろんなところで 住んでおられて、いろんな家族構成の中で住まわれているわけですから、そういった ところでもきちっと必要な医療、介護サービスが受けられるということにしますと、 施設サービスでの手間ということとは全く違います。  施設の場合はバリアフリーですし、特殊浴槽もありますし、食事も出てくるわけで すからほとんどサービスとしてはかなり軽くなるわけですけれども、在宅で2階建て で階段があってとか、家族も余りいないというときには、介護というのはかなり必要 度が高くなる。  そういったところの人たちもすべて必要なサービスが受けられるような形の認定 というのが必要であると私は思いますので、先ほど樋口さんの指摘にありましたよう な認定のロジックの見直しが、給付を減らすためのというか、そういう動機でされた ということでなければいいと私は思っています。 ○田中座長 ありがとうございました。最後に結城委員、お願いします。 ○結城委員 淑徳大学の結城といいます。私は06年版での調査しかしたことがない ので、今回06年版のテキストと09年版のテキストを非常に照らし合わせながらチェ ックさせていただいて、私がこの09年版で調査した場合、厚生労働省は今回、要介 護認定を変えたということで、それは理解いたしますが、余りにもこの落差が調査員 に説明が足りなかったのだと、私は思います。  整髪にしても移動にしても、例えばIVHのことにしても、ここの説明責任が今回 一番の混乱の原因だと思います。多分、去年の11月にロジックをきちっと検証して、 これは委員会で認められたのでいいとして、やはりその後のやり方が非常にまずくて、 ここがやはり現場の人に非常に誤解を招くような、例えば認定テキストの06年と09 年の違いは、きちっと説明したのかどうか。その辺は、導入の仕方をきちっと検証し ないと、どんなに厚生労働省が公正な認定をやろうとしても、現場に降りるところま で、ある程度きちっと伝達できているのか、是非検証してほしいと私は思っています。  ですから、恐らく先生方がきちっとロジックをやって、私はこれを公正だと信じて おりますが、やはりどんないいものであっても、全国的にきちっとそれが知らされな いと、結局は不公正な結果になると、私は思っています。  もう一つ、やはり4月13日に当たって、この数ヶ月を見て、非常に私の印象では、 厚生労働省がぶれているのではないか。やはり、ある程度自信を持って認定システム をつくったわけですね。それなのに、見直しとか、言葉の修正をやるということは、 やはり調査員の側からしてみると、厚生労働省から自治体、自治体から調査員と情報 が行きますので、大分バイアスがかかってくるので、ある程度混乱が生じてしまい、 そこの周知方法にも、責任を持って対処していただきたいと思います。  以上でございます。 ○田中座長 では大臣、お願いいたします。 ○舛添大臣 どうもありがとうございました。済みません、もう行かないといけない ので、時間の許す限り御議論いただければと思います。  先ほど樋口さんから御指摘のありました、共産党の小池議員が御指摘した文書につ きましては、現段階で調査が進んでいるところまで局長の方でどこかの時間帯で簡単 に説明してください。  引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 (舛添大臣退室) ○田中座長 では、今の点について先に局長から説明をしていただけますか。 ○宮島老健局長 今の話は4月2日の参議院厚生労働委員会で、共産党の小池晃議員 から厚生労働省の内部検討資料というのが出ていまして、その性格の中で問題点は2 点指摘されました。  厚生労働省は平成18年4月に新予防給付を導入するとき、要支援2と要介護1の 割合の見込みを7対3と見込んでいたので、そういうようなことで指導をし、更に今 回の判定の見直しでも7対3になるように、操作をしているのではないかというのが 1つ目の資料です。  2つ目の資料は、いろんな財源対策をやっているということでして、それが例えば 極端なことを言えば利用者負担を1割から2割にすればむだな作業が出るとか、そう いうものが入った2つの資料でございます。  現在までの調査で申しますと、両方とも厚生労働省の方で去年の冬の時点で内部で 検討していた検討用の資料ということがわかっております。その資料の中身について の、その後どういうふうにそれが扱われたのかということでございますけれども、要 支援2と要介護1の割合を7対3に近づけるということですが、今の時点では今回の 要介護認定の見直しをやったモデル事業でも、要支援2は51%で要介護1は49%。 これが21年3月まではそれで出ていて、新たな方式でも要支援2の方が45%、要介 護1は55%で出ているので、少なくともそういうようなことになってはいないという ことでございます。  その他もろもろあった昨年の検討でございますけれども、これはプラス介護報酬改 定は今回は避けられないだろう。そうするとどういう財源を出さなければいけないか ということで、実現可能性は問わずみたいな感じで、老健局内で議論のために材料と して作成した資料だと思っています。実現可能性は問わずですので、実際にやったの はほとんどないというか、そういうことです。  詳細については今、これは厚生労働委員会の方で大臣が調査しますということにな ったので、今、報告書を作成中でございまして、ちょっとこの会議には間に合ってお りませんので、また改めて公表できる段階になりましたら、各委員の皆様にお届けさ せていただきたいと思っております。 ○田中座長 ありがとうございました。樋口委員、よろしいですか。 ○樋口委員 はい。結構でございます。 ○田中座長 大体池田委員から一通り伺うと、最初の言葉遣いミス問題は別として、 常に変化が起きるとき、あるいは変化がなくても要介護に初めてなる方々が大部分な ので、説明が大切であるにもかかわらず、利用者の方々、家族の方々、調査員の方、 市町村に周知徹底していないところが大きい。制度を知っている側はついつい説明不 足になる。コンテンツはしっかりしているのかもしれないけれども、そこの伝え方が 甘くなっているのではないかという指摘が大変多かったと感じました。これについて もう一言言っておきたい方はおられますか。  どうぞ。 ○結城委員 要介護認定とサービスとの関係ですが、私が現場でケアマネをやってい て、ちょっと気になるところは、皆さんご存じだと思いますが、要介護1と要支援2 のところだけ、明らかにサービスの使い方が異なるので、その辺は、確かに、要介護 認定とサービスとに関係があり、先生方がおっしゃるところは、重々賛成できるので 触れておきたいと思います。  以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。ほかよろしいですか。またもし何か思いつか れたら戻っていただいても結構です。  ちょうど真ん中の時間ですので、議題2「要介護認定の見直しに係る検証について」 に移らせていただきます。課長、説明お願いします。 ○鈴木老人保健課長 お手元の資料4に基づいて説明をさせていただきたいと思い ます。  1ページ「検証の基本的な考え方について」ということでございます。要介護認定 の今回の見直しを検証するに当たって、見直し後の方式による認定で判定された結果 を見直し前の方式による結果と比較するということで、見直し前後の結果が全体とし て大きく変わっていないかどうかなどについて検証を行います。  どこまで具体的にできるかというのはなるべく努力をさせていただきますけれど も、例えば個別具体的な項目の話もあるのかもしれませんし、具体的な特記事項もし くは主治医の意見書等によるものもあるかもしれませんが、そういうことを前後でき ちっと比較をすることが大事ではないかということでございます。  2ページ目でございます。具体的に見直し前の方式との比較による検証に用いるデ ータということで、済みません、誤字がございまして、一番最初に「認定ネットワー クシステム」と書いておりますが「認定支援ネットワークシステム」ですので「支援」 を入れていただきたいと思います。  これは現在でも運用している、ほとんどの市町村にお入りいただいて、きちっと入 れていただいているものです。これは毎月収集されるもので、例えば自治体ごとの審 査件数、年齢、性別、認定調査の結果、要介護度の割合等々が自治体ごとに出てまい るということで、これは個人のお名前とか被保険者番号は出てきませんので同定はで きませんが、そういうマクロのデータは出てくるということでございます。  これは現在でも我々として収集できるデータということですが、4月のデータは恐 らく6月ごろになってしまうということでして、若干時間がかかるということでござ います。  2つ目の○でございますが、これは勿論市町村の事務的な負担に配慮させていただ かなければいけないということですけれども、実は先ほどの認定支援ネットワークで は、例えば数ですとか、どの選択肢に丸をしたかというものについてはデータは集ま るんですけれども、例えば今回の調査員の方に書いていただいた特記事項、主治医の 意見書等々でアナログ情報として書いていただいたもの、これは当然認定支援ネット ワークには載ってこないということでございます。  これはまた全員ということになれば大変膨大な量になってしまうので、勿論市町村 の御負担が非常にかかるということですけれども、何らかの形で、例えば次に御説明 するような経過措置の対象になった方を中心にということもあるかもしれませんが、 なるべく市町村の御負担にも配慮しながら、かつ、何人かの委員の先生方にご指摘い ただいた、そういうところも含めて調べるべきだということを、市町村の御協力もい ただきながら調査をさせていただければと思います。  3ページでございます。主にどういう点を見るのかという「見直し前の方式との比 較による検証」ということですが、少しポンチ絵的に整理をしてございます。  見直し前の方式と見直し後の方式で、それぞれ一次判定、二次判定、それから、一 次から二次にわたって重度変更、軽度変更というものが審査に基づいて行われるとい うことですけれども、前と後でそれぞれどう違うのかというのを、きちっと見る必要 があるだろうということが原則でございます。  ただ、この際「3.留意すべき事項」に書いてございますけれども、要介護度に関 するデータの年次推移、先ほど筒井委員からもございましたが、年々少しずつ要介護 度の分布が変わっている場合がございますので、例えば1年前と比較をするのであれ ば、その点もある程度踏まえて検証する必要があるかということ、年次推移について はきちっとお示しをしたいと思っております。  それから、例えば大きい自治体か小さい自治体か等々、自治体の属性によっても若 干違う場合もあるということですので、自治体のさまざまな属性とのデータの関連に ついてもできれば分析をさせていただいて、この場で皆様方に御検証いただければと 思っております。  雑駁な資料でまだ細かい具体的な調査項目とか、具体的な検証方法まで細かく入っ ているわけではありませんけれども、今、御説明しましたように、既存である程度集 積されるマクロのデータに合わせて、追加的に市町村の御負担に配慮しながら御協力 をお願いするという、データを見直しの前後で比較をさせていただいて、あとは少し 留意すべき事項についても御検証させていただいて、最終的に検証をしていきたいと いうことでございます。  以上です。 ○田中座長 ありがとうございます。先ほど皆様から伺った要介護認定の本質とは何 かとか、介護の在り方は置いておいて、まずここで今回の見直しに伴う検証の話、説 明以前の本体の中身について、こういう形で検証をしたいとの説明がございました。 どうぞ、これについて先生方から御質問お願いします。  池田委員、どうぞ。 ○池田委員 1ページ目の「検証の基本的な考え方について」で、見直し前の方式に よる要介護認定の結果と比較することにより、見直し前後で結果が全体として大きく 変化していないかどうかなどという表現がありまして、ちょっと危惧を抱きます。こ の委員会の獲得目標は、より正確でより公正な認定システムの確立にあるのではない でしょうか。  そうすると、今までの要介護認定システムが不正確、不公正であったとするならば、 正確になれば上に行くか下に行くかは別にして、当然数字は違ってくるはずです。従 来受けていたサービスを継続して受けることができないということへの経過措置的 な問題というのは横に置いておいて、今までと変わらなかったからいいのではないか というイメージでとらえられるのは、私はちょっと釈然としません。  これは決してエビデンスのないことを言っているわけではなくて、先ほど過去の認 定の状態も検証してほしいと言ったのと関連するわけです。つまり、要支援1、2と いう新しいシステムが入った途端に、どうして中度と重度の認定率が上がるんでしょ うか。あるいは厚生労働省の統計情報部が毎年年報を出していますけれども、その中 で1年間継続して介護サービスを利用した方、その人の要介護度が1年後にどう変化 したか。つまり軽度化したのか、維持されたのか、重度化されたのか。これは毎年デ ータが出ております。そのデータの推移をずっと私は追いかけております。ちょっと 話が横にずれますが、介護保険というのはデータが基本的に全部インターネット上で 公開されております。だから、検証するのはだれだってできるんです。  私はちょっとオタク的にそれをずっとやっていることにすぎないんですが、非常に 不思議なことが起きています。例えば平成15年4月に要介護認定システムが変更さ れまして、このときも軽度に偏るのではないかという風評が結構流れたわけです。し かし、結果としてはすべての要介護度において重くなっているんです。  この理由は簡単であって、認知症の扱いが見直され、認知症自立度2以上の方がよ り重く認定されるということで、当然すべての要介護度で重度化が増大した。これは 理解できるわけです。それからずっと改善されていきます。つまり、重度化する人は 減っていくんです。  ところが、非常に奇妙なことが平成18年4月以降起きているんです。それは何か というと、要介護2以上はいずれも重度化が跳ね上がっているということです。では 平成18年に高齢者の要介護度が増すような何かが起きたのかというと、該当するこ とはなにひとつ発見できません。でも、考えられることは1つあるわけです。それは 介護報酬改定によって介護報酬が下がったということです。介護報酬が下がったとし て、それを復元させる一番手っ取り早い方法は要介護度を上げることによって介護報 酬を上げるということなんです。  これはもっと検証してみなければわからないので、サービス事業者を非難するとい うつもりはありませんが、そういったおかしいなということが起きている。というこ とは、今までのは正しかったから、これと違わないような形で今度のデータが出たら いいんだというのでは、これは意味がないのではないかと思うんです。  先ほど木村委員から、あるいは筒井委員からも言われましたけれども、問題は認定 が高いか低いかではなくて、適正なサービスが提供されているかどうか。その適正な サービスの結果として効果がどのように表れているか、これが一番重要なことなわけ であって、できれば私はそこまで視野を広げて検証していく。そういう方向が必要な のではないかと思います。  以上です。 ○田中座長 樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 私は今まで軽度化へシフトするような政策が厚労省でとられたとして も、何の不思議もなかったと思っているんです。二度にわたる介護報酬の切り下げは 大前提だったのですから。  ただし、ここから先は未来志向に考えようということであるし、今、社会保障に関 する潮目も変わり、何はともあれ介護報酬の3%アップということも実現するわけで す。ここにおいて要介護認定制度が変わるというとき、大義名分というか、理念とい うものを役所は必ずおつくりになるものです。  なぜ要介護認定を見直すのか。参考資料の方ですけれども、これで全く結構なこと だと思います。認定にばらつきがあるのではないか。やはり介護保険は保険者は市町 村でありますけれども、あくまでも介護保険法という国法でございます。是非全国ど こにおきましても、義務教育がそうであるように、介護保険の認定もばらつきのない 認定であってほしいと願っております。  今までの在り方が、この認定にばらつきがあるのではないか。私はこの辺はよくわ かりませんです。だけれども、何て言ったって今まで400万、450万のエビデンスが あるわけですから、ぜひばらつきをミニマムにするようお願いしたいです。2番目と して、おむつ外しを含めて、介護保険の出発点から介護の内容も質もずいぶん向上し ていると思います。  その手間を反映していないのではないかという2つの点に関しては、私はむしろ、 今回の要介護認定方法の検証というのは、とても大切だと思います。それなのに1枚 目の基本的な考え方が前より重くなったか軽くなったか、それで誤差を見るんですと 言われたので、何だか大切な大義名分が吹っ飛んでしまったのではないかと思ってお りましたので、御検討お願いいたします。 ○田中座長 鈴木老人保健課長、どうぞ。 ○鈴木老人保健課長 その点についてまさに樋口委員と池田委員のおっしゃるとお りで、我々が今回参考資料で今、樋口委員の方からおっしゃいましたけれども、ばら つきの問題、手間の問題、これは当然ございます。  大きく言いますと前回のばらつきと今回のばらつきということで、細かくは書いて ございませんけれども、全体の要介護度の分布だけではなくて、そういったところも 含めてきちっと資料を出させていただいて、御議論をいただきたいと思っています。 ○田中座長 三上委員、どうぞ。 ○三上委員 この要介護認定の方法が正しいかどうかというのは、重くなったからい いのか、軽くなったからいいのかという話ではなくて、やはり主治医と調査員の意見 が一致しているものを一応正しいと判断をすれば、一致率の高いものが一番望ましい 形ではないか。  そうなりますと、参考資料の6ページにありますモデル事業の右側に書いてありま す研究事業、これはアナログ情報を充実したということでされているわけですけれど も、これは19年にされたんだと思うんですが、この二次判定の一致率が69%で非常 に高い。これが20年度のモデル事業になって63%に下がっているということについ ては、私はちょっとどうなのかと思います。  基本的に82項目を74項目にし、主観を減らしてどの調査員も同じような判定で一 次判定ができるようにという形でされたんですが、基本的に認知症のようなものとか、 家族、家庭、自宅とか、そういった背景といったものについては、やはりアナログ情 報でないとなかなか出てこないのではないかと思います。主治医としてはアナログ情 報として特記すべき事項を書くわけですから、二次判定ではそういったものが反映さ れるので、一致率が高くなるのではないかと思います。  施設では手間というのがかなり少なくて済むんですけれども、自宅では千差万別だ と思うので、やはりこういう意味では調査方法は項目は変えずにアナログ情報をたく さん書くという形でされた研究事業を捨てて、新しいモデル事業にされたことについ て疑問があるなと思います。 ○田中座長 このページについて説明をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 今、御意見がありました参考資料の6ページ目でございますが、 検証見直しの方法としてモデル事業、研究事業というのが書いてございます。  モデル事業では、これは後の方にちょっと出てまいりますけれども、6回公開の場 で議論をさせていただいた結果で、項目数の整理、それから、データを先ほど申し上 げました13年のものから19年のものに更新をして、更に審査会資料についても検証 用の資料は別で分離をしてお示しすることにいたしました。  逆に研究事業は、先ほど私の方で少し言葉が足りなかったかもしれませんが、これ は自治体の方には調査のやり方、いわゆる調査員のテキストもしくはマニュアルと言 われている部分です。これについては自治体の方もお入りいただいてマニュアルの編 集委員会でつくらせていただいて、自治体の方の御意見をお聞きしましたけれども、 これについて我々としての配慮が足りなかったのは、利用者の方にきちっと事前にお 示しをするとか、事前に調査員の方にさまざまな形で周知を徹底するというところに ついて、現場まできちっと届いていなかったということでおしかりをいただいており ます。  こちらの方の研究事業については、まさに調査員の方のテキストを改編する部分と いうことですので、一番下に赤く囲ってございますけれども、今回の4月からの要介 護認定見直しの結果は、具体的にこれをかけ合わせたものと言っていいのかあれです けれども、両方、つまりモデル事業で見直しをした3点、それから、研究事業で検証 をした1点を盛り込んだ形でやっていただくということでございますので、全体とし て我々としては一概に軽度の方が増えるわけではないと思っておりますけれども、繰 り返しになりますが、右側について周知なり透明性という点で欠ける部分があり、お しかりをいただいているという事情でございます。 ○田中座長 三上委員、どうぞ。 ○三上委員 結局、検証するための基準をどこに置くかということなんですけれども、 これは両方のモデル事業と研究事業のいいところを取ってやるとなると、一致率が例 えば75%ぐらいまで上がるとか、そういう結果が出てくればいいとは思いますが、そ れもまだ結局は検証されていない状態でスタートしていることが、非常に大きな問題 かと私は思います。 ○田中座長 高見委員、どうぞ。 ○高見委員 高見でございます。この検証の基本的な考え方ですが、私はそもそも介 護保険というのは、その人に本当に適切なサービスが保証されるかどうかというとこ ろが一番肝心だと思いますので、今までの要介護度の比率とこれ以後が同じであった か、違ったかというのは大して問題ではないと思います。  だから、極端に言いますと軽くなったのが20%、重くなったのが20%。だからこ れはトントンだからこれでよい。そういう話ではないわけですね。そうなりますと、 やはり今回の認定結果がその人に本当に適切かどうかという検証が必要だと思うん です。数字だけではなくて個々の中身がどうであるかということが一番大事だと思う んです。  そういう意味で、この検証の期間の間にも既に新しい認定方式で調査、認定がされ ていくわけですから、やはり1つはその期間の間にも調査員の人たちや審査員の人た ちに、今回の変更による注意点といいますか留意点といいますか、これをやはりでき るだけ周知して、そしてこの検証期間の認定がされないと、とにかく3か月待ってか ら考えましょうということではなくて、そういう間の努力というのは、厚生労働省が どんなふうにしてされるのかとお聞きしたいと思うんです。  私たち家族は要介護度が重くなってほしい、重くなったからいいとか、軽くなった から損したとか、そんなことは一度だって言ったことはありません。それは結果であ りまして、その人その人にふさわしいかどうかが大切だと思います。これは家族の会 も4月以降、各支部に対して新しい認定方式で認定されたその結果が、その人の介護 の状況や日々の暮らしにどれだけマッチしたものかどうか、あるいはどの辺でその不 都合が出たか。こういう乖離の実態を把握しようと考えていますので、参考までに申 しておきます。 ○田中座長 三上委員、どうぞ。 ○三上委員 今の御意見は非常にそのとおりだと思いますけれども、それを検証する ためには、いわゆる要介護認定で決められた限度額を超えて必要なサービスがあった のかどうか。またその限度額の中では受けられなかった人がどれぐらいいるのかとい うことが、一番大きな問題ではないかと思います。 ○田中座長 池田委員、どうぞ。 ○池田委員 おっしゃるとおりでありまして、どれだけサービスを使っているかとい う実態を把握しなければならない。これも統計情報部がやはり毎年データを出してお りまして、私も分析したことがありますが、平均で言えば在宅サービスは要介護度ご との支給限度額の半分ぐらいしか使われていません。分布を見ると、利用額は1万円 未満から支給限度額目一杯までの利用まで、ほぼ均等に分布しているんです。したが って、要介護度別に見て目一杯使っている人は極めて少ない。  社会保障給付費削減と言って要介護度を下げても、何の役にも立たないんです。つ まり、例え要介護4の方が3になっても、その方は要介護3の支給限度額も使ってい ないというのが一般的だからです。そういった意味では社会保障給付費の削減なんて いう目的はフィクションであって、財務省もそんなことをあてにしているわけではな いでしょう。問題はそこにあるのではない。  これも統計情報部が出している公開されたデータを見ると、ケアプランというのは 一体何種類のサービスで構成されているのか。1種類から2種類が8割ぐらいなんで すね。軽度はともかくとして、要介護3〜5でも半分が1種類から2種類のサービス で構成されたケアプランです。しかも利用額は支給限度額の半分程度。これって適切 なサービスが提供されているんですか。その部分は全部家族がちゃんとやっているか ら、このくらいで済んでいるんだという考え方もあるんですけれども、これは筒井委 員の研究にもありますが、実はそれは何の相関関係もない。  そうなると、我々が議論するのはもちろん適正、公正な認定システムを追求するの が前提ではありますけれども、一番重要なのはさっき言ったように利用者がどのよう なサービスを適切に受けているかということ。これは全部を調べることは無理にして も、少しその観点から調査をしないと空転してしまうのではないか。ただし、先ほど 三上先生がおっしゃったように、実際に超えて使っている人というのは極めて少ない けれども、現実にいます。現実にいるその人たちを大切にしなければいけない。  ちょっと議論が横にずれてしまうんですけれども、今度の介護報酬改定でいろんな 加算を付けた結果、支給限度額をはみ出した人もいるわけです。これは認定とは別の 話ですけれども、認定でこのような緊急措置がとられたとするならば、こちらでも何 らかの緊急措置をとらなければいけないのではないか。  一番最後の部分はちょっと違う話なんですけれども、それにつけ加えておきます。 ○田中座長 木村委員、どうぞ。 ○木村委員 先ほど高見委員、三上委員がおっしゃったとおりで、要介護認定の度合 いではなくて、やはりケアマネジメントの中で、その人に必要なものがそれに入って いるかどうかをジャッジするわけで、そこの整理をしなければいけないということと、 その後の話としてなぜ限度額の5割の利用なのかというところですが、いわゆるサー ビスの1割負担分として出せるその御家庭のお金の限度というのがあって、それもか なり影響しているんだと思うんです。  そこで要介護度が下がってくると、利用料も要介護度のランクが下がっていくと安 くなるようになっていますので、下がれば1割という中で実負担金額は下がる。上が れば上がるという形ですね。そういうリンクしているところもよく国民にわかるよう に、ここも説明しないとまずいのかなと思います。  いずれにしろ話を戻さなければいけないと思うのは、今回、要介護認定の仕組みの 話をここで検証するということであるけれども、サービスがきちんと行っているか、 行っていないかというのは、ケアマネジメントできちっと行われていかなければいけ ないということです。そこを整理して考えていただきたいと思います。 ○三上委員 ちょっと思い付きなんですけれども、必要なサービスを半分しか使って いないということ、それから、限度額を越えて使っている人は非常に少ないというこ とがありますけれども、基本的にはケアマネジャーもケアプランを立てる際に、限度 額を考えながらケアプランを立てる。ですから、例えば訪問看護と訪問介護で、訪問 看護が必要でも訪問介護を選択するということは当然あるわけで、それはやはりケア マネジャーの方に聞いていただくというか、いわゆる限度額を考え、限度額の中にサ ービスを抑えるためにプランを変えているという人が、どれぐらいあるのかが1つ問 題かもわかりません。  また、家族の介護力があるということで使わないことも当然ありますので、基本的 には独居の方でそういう方がどれぐらいいらっしゃるのかということ、独居で自宅に おられる方の介護プラン、ケアプランについてのことを検証するのが、一番正しいこ とが見えるのではないかという気がします。 ○樋口委員 三上委員が一番最初に指摘なさっていますが、介護保険の出発点は施設 介護がモデルでも仕方がなかったと思うんです。施設の1分間スタディだとか樹形モ デルで要介護認定をしていくとか、十分に理解はできませんでしたが、今は施設がモ デルで仕方がないと思っておりました。  ところが、今や介護保険の総額でも在宅の方が多くなっております。在宅と施設で はやはり余りにも条件が違い過ぎて、在宅はばらつきが多過ぎるでしょうけれども、 在宅のモデルの要介護認定の方法というのは、今後将来とも開発できないものでしょ うか。あるいは考えることもできないのでしょうか。  そもそもホームヘルパーという言葉は、あれは昭和30年代でしたか、奥さんが病 気で会社を休む大企業の社員のために、ホームヘルパーを派遣しようというのが労働 行政で議論になったようです。高橋展子さんがまだ課長だった時代ですけれども、ず いぶん海外へ行って視察なさっていました。  しかし、日本は家屋構造から言っても、食器の置き場所から言っても、余りにも標 準化がなさ過ぎる。それで実現できなかったという話を高橋展子さんから聞いたこと がございます。  そのぐらい日本の住宅は海外に比べると非常にばらつきが大きいですけれども、で もこれだけ在宅で介護保険を利用する人が多くなった以上、在宅モデルというのはで きないものでしょうかというのが1つの提言というか、質問でございます。 ○鈴木老人保健課長 これはもしかすると後で筒井先生に補足していただくのがい いかもしれませんが、今、要介護認定がどういう仕組みで、もともとこういうソフト ウェアをつくるかと言いますと、本来であれば介護の手間ですので申請された方全員 にもしかするとストップウォッチでケア時間をはかるのが理想的にはいいかもしれ ませんが、これをやると1人48時間ぐらいかかってしまってなかなか難しいという ことで、何十項目かの質問項目で代替するということをしております。  この代替するデータづくりをどうしているかというと、今まさに樋口委員なり三上 委員からありましたけれども、施設に入っておられる方を中心に具体的なケア時間を、 それこそ48時間ストップウォッチを見ていた人間がケア時間を計って、体の状況と の関係を見ているわけですが、これは在宅についてもできないのかというのが、我々 としてもすごく重く受け止めております。  確かに施設と在宅とで違う項目、例えば先ほどありました2階に上っていかなけれ ばいけないことがあり得ることが重々わかっているんですが、現在のところやはり在 宅でのケアの時間を例えばストップウォッチで計りますと、物すごくやはりお一方お 一方差が大きくて、なかなかそれをもって例えば在宅でこのぐらいの方だとこのぐら いの介護の手間ということが、平均的になかなか言えないということがございます。 これを例えばどう平均に近い形で持っていくかというのを我々としても課題意識と して持っておりますので、これは今年以降きちっとそういうデータも踏まえて、どう するかというのは考えていきたいと思っております。  現在のところは申し訳ないんですが、在宅も含めて検証はしていますけれども、基 データづくりには在宅は入っていないというのが現状でございます。 ○田中座長 筒井委員、何か補足していただけますか。 ○筒井委員 在宅のタイムスタディ調査は、介護保険制度前にやっています。それは 他計式で調査員が入って調査をするという方法でやっていますが、ここの問題点は先 ほど課長が申し上げましたように、第1点目として、家族によって、ほぼ同じ状態の 要介護高齢者に対して介護内容やその時間の差が非常に激しいということがありま す。  こういった家族間の介護時間の差の激しさを見る指標として変動係数という係数 があるんですけれども、これが施設の何十倍もあり、統計的に、この平均値を使うの は、大変難しく、しかも施設よりも介護時間が短かかったため、これをモデル化に用 いることはしないという結論をだしました。  第2点目は、在宅で介護をしておられる御家族の方は、介護職員としての訓練を受 けた方ではないということです。ですから、提供されている介護は、必ずしも、その 高齢者の方に対して必要とされる適正な介護をやっておられるわけではないという ことなんです。  ですから、介護保険というのは適正なサービスを供給できるということを目指して つくっておりますので、それは介護保険施設で提供しておられる、職員の方が専門性 を持って適正なサービスを提供しているということが前提になるわけですから、家族 の介護のデータを用いるのはふさわしくないという結論になります。  では、モデル的にやったらどうか、在宅に例えば、専門家を入れて、疑似的に家族 の介護をやってもらうということが可能として、その時間を測定するということであ れば、それは、できるかもしれませんが、それは、本質的な家族介護とは異なってい るということは、多分皆さんおわかりになられると思います。  家族介護のデータ数年にわたって分析していますけれども、一番厳しいなと思うの はやはり認知症に関わる介護でして、「認知症の方にどういう介護をしたらいいのか」 ということを御家族が完全に理解してやるというのは大変難しい。  ですから専門的な認知症の介護というのをずっと研究しておられる方とか、そうい った手技に関することも研究が続けられているわけですし、これを在宅でモデル化す るというのは、そもそも認知症の介護が標準化されていないという中で、単に時間を 測ればよいというものではないわけですから、さらに慎重な議論が必要だと思います。 ○田中座長 筒井委員、ありがとうございました。  ほかに資料4につきまして御意見ございますか。結城委員、お願いします。 ○結城委員 この検討会の位置づけを、もう一回確認させていただきたいのですが、 平成18年10月からきちっとロジックをやって、ある程度、結論を出してスタートし たわけなので、この検討会は、そもそも、このロジックについて、また戻って議論し てやるのか、それとも当面は、今、混乱していて、利用者さんに対する説明とか、そ ういう視点なのか、ある程度長期的に議論して総合的にやるのか、短期的に対処でき るものを議論するのか、整理していかないと、結構、議論が錯綜していくような気が するので、その辺は、委員全体でコンセンサスを得た方が、私はいいと思います。 ○田中座長 関連してお願いします。 ○石田委員 今回の認定そのものは冒頭説明があったとおり、データが古いとか、認 定がそもそもぶれているなどがあって、それをよくしていこうという観点で議論がな され改定が進められているという認識でいるわけですけれども、ここの検証の結果、 更に制度の信頼性が足りないということから重装備化、複雑化に向かって、介護保険 制度が10年も経っているにもかかわらず、まだ一段階目の要介護認定を重装備化し ていくというのは、やはり方向が違うだろうと思うんです。できるだけ簡素化に向い、 制度が国民に理解されるような方向で結論を出していただきたいなと思います。  結城委員の言われるとおり、微細なところ、細かなところの再検証というのは時間 的にも当然無理でありますし、現場で既に認定が動いているという中では、ある程度 の全体の方向性というものを決めた上で、将来に向けて認定の扱い方といったものの 方向性をある程度見据えていただきたいなと、私の観点ではやはり簡素化に向いてい ただきたいと思います。 ○田中座長 検討会の位置づけ、タイムスパン等について、事務局のおおよその心積 もりがあればお願いします。 ○鈴木老人保健課長 今、結城委員、石田委員等からございました。  私どもとしては今日この後資料5で御説明をしますけれども、先ほど大臣からも申 し上げた経過措置について御説明をして、委員の先生方から当面の措置についての御 議論をいただいた上で、今回4月から見直しをさせていただいたものについて、前回 と比べて単に要介護度だけではなくていろいろな面でどう違うのか。それは全体の推 移との関係もあるかもしれませんし、もともと樋口先生がおっしゃったような介護の 手間を正確に反映するとか、地域間なり合議体間のばらつきをどうしているかという ことも含めて、これはきちっと見ていただく必要があろうかと思います。  その上で、今日御議論を伺っておりますと更に広い課題についてのさまざまな点が ございまして、勿論在宅のデータということもございましたし、実際のサービス提供、 これは要介護認定を超えてケアマネジメントというところまで一定程度入ったもの でございますけれども、それを踏まえた上でどうなんだということがございますので、 ちょっとこちらの方も3段階で当面のもの、それから、中期的に新しい見直し後に認 定してどうだというところ、それから、それを超えるものということを次回までに整 理をさせていただいた上で、2点目をきちんとプロセスを踏んでやっていきたいと思 います。  3点目についてどう扱うかについては次回、御相談をさせていただきたいと思いま す。交通整備はしっかりさせていただきたいと思います。 ○田中座長 よろしいですか。本間委員、お願いします。 ○本間委員 この委員会のミッションというのは要するに、次回もう少し具体的に提 示されるという理解でよろしいんでしょうか。何をどこまで、どういうふうに検討す るのかというのが、いま一つ不明確な感じがしたんです。ですから、それは今の課長 さんの御説明だと次回に提示されるということと認識できます。  それと関係して、全体の何をいつまでに明らかにするといいますか、まとめるとい うか、タイムスケジュールの話もできれば聞かせていただきたいなと思います。 ○鈴木老人保健課長 私の説明が舌足らずだったと思います。今日これから御説明し ますけれども、資料5に基づく経過措置について、我々の方でいろいろ御相談をさせ ていただいた上で御提案をさせていただきますので、これについては御議論をいただ くことを考えております。  それから、これはいつまでと明確には、むしろ委員の先生方にきっちりとデータを ごらんいただいて、その上でこれだったらということで、検証がある程度結論が出る というときまででございますので、3か月なのか6か月なのか、それは具体的なデー タと御議論次第だと思いますけれども、今回の4月以降の新しい見直された要介護認 定方法が、先ほど申し上げた点で今までのもの、もしくは目的に照らしてどうであっ たかということをきちっと御議論いただくというのが2点目です。  3点目は、私が次回と申し上げたのは、それを超えた例えばサービス提供との関係 でありますとか、区分支給限度額との関係で具体的にどうかということについては、 ケアマネジメント等の関係もあるでしょうから、それはこちらの方できちっと整理を させていただいて、そこのことについてどう扱うかということについては、また委員 の先生方に御相談をしたいということでございます。 ○田中座長 最後のものについては多分ここでは答えは出せずに、これこれの検討を すべきだと我々は主張するのでしょうね。今、説明があった資料4の検証については データがそろい次第、我々が責任を持って正しい検証をするように、指導は大げさで すが、意見を言う位置づけになります。  タイムスパンとしては、2番目のミッションについてはデータがそろう期間による けれども、3か月目ぐらいから始められるのではないかとの心積もりのようです。  また戻っていただいても結構ですが、時間の都合もございますので、3つ目の議題 のその他、具体的には資料5になります。これについて説明をよろしくお願いします。 ○鈴木老人保健課長 先ほど大臣があいさつで申し上げましたけれども、資料5「要 介護認定の方法の見直しに伴う経過的な措置について」ということでございます。  皆様方重々御承知のことだと思いますが、2ページ目をごらんいただきますと、こ れが現在の認定の、特に更新申請のステップでございます。認定の申請がありますと 調査に伺って、調査項目、特記事項というものがございます。それから、主治医の方 に意見書を書いていただいています。  調査項目に基づいてコンピュータの一次判定をさせていただいた上で、審査会では 一次判定のコンピュータ結果と特記事項、それから、主治医の意見書に基づいて二次 判定をしていただいて、それに基づいて要介護更新認定をしていただくというのが今 のステップになっております。そのステップの中でどうかということを、1に基づい て御説明をさせていただきます。  今回の経過的な措置の趣旨でございますけれども、4月から見直しをしたわけです が、要介護認定方法の見直し直後においては必要なサービスの安定的な提供を確保し て、利用者の御不安を解消する。それから、現場で混乱が起こることを防止するとい う観点から、見直し後の要介護認定方法の検証期間中、これは先ほど田中座長の方か らおっしゃっていただきましたが、検証期間中において市町村が、要介護認定方法の 見直しに伴う経過措置を実施できるということにさせていただきたいと思います。  経過措置の考え方でございますが、これはやはり大事なのは申請者方の御希望だと 思いますので、申請者の方の御希望に応じて、見直し後の要介護認定の方法により審 査・判定された要介護が従前の要介護度と異なる場合、希望があってもとに戻してほ しいという場合に従前の要介護度とすることを可能にするということでございます。  また、この経過措置が行われる実施期間というのは、先ほど少し申し上げましたが、 こちらの委員会で検証期間をしていただいて、その結果に基づいてどういう措置をと るかはまた別の話ですけれども、それがきちっと現場に行き届くというところで、こ の経過措置というのは解除ということになろうかと思います。  下に留意点と書いてありますけれども、勿論一番大事でありますのは申請者の方の 御希望、それから、御不安に対応するということでありますが、もう一つはやはり利 用者の方、市町村の負担に一定の配慮が必要である。つまり、実務に乗らないという 話ではこれは実際にはできないということでございますので、実務に乗る形でさせて いただくというのが大事だと思います。  もう一つは留意点の2点目でございますけれども、先ほど検証の御議論がございま した。検証はやはり少なくとも4月以降の判定方法でやれば、このぐらいの要介護度 である、ただし、更新申請で申請者の御希望があったので今回の判定はこういうふう にするという場合には、その両方を市町村の方にデータとして取っておいていただい て、それをお知らせいただくということで検証に役立てることも大切だと思いますの で、この趣旨、経過措置の考え方に加えて、実際の実務に乗るというところと、検証 にそのデータが生かすことができるというところが大事ではないかと思っておりま す。  以上です。 ○田中座長 経過措置について御質問や御意見はございますでしょうか。池田委員、 どうぞ。 ○池田委員 たびたびの発言で大変恐縮です。この経過的な措置というのは在宅も施 設も両方とも適用されるのでしょうか、在宅だけなんでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 対象の方を在宅の方、施設の方、軽くなる方、重くなる方を絞 るのはなかなか難しいと思いますので、新しい見直し後の方法の結果、要介護度が変 わってしまう方についてということだと思います。 ○池田委員 わかりました。施設の場合は軽くなると利用料も安くなるので、利用者 にとっては軽くなる方がいいこともあるということを、一応頭に入れてこの御質問を しました。  実は共同通信がこの問題を割と早く報道されて、3人の首長から私のところへ電話 が来ました。厚生労働省にも行っているかもしれません。それは何をおっしゃったか というと、これは住民の要介護認定についての不信感を増幅させてしまうのではない かという心配なんです。それはもっともだなと思ったので、その関連で少しお願いを したいのは、この経過的な措置というのは私はやるべきではなかったなと思うんです けれども、このように提案されて恐らく撤回することは困難であろうというところま でわかりまして、一緒にやっていただきたいことがあるんです。  現在要介護認定の方法について、さまざまな誤解であるとか不審だとかいろいろと 出ているわけです。それを一つひとつきちんと洗い出して、ちゃんと説明をするとい う言わばQ&Aみたいなものをつくったらいかがでしょうか。つまり、例えば頭髪の ない人が洗髪や調髪は自立しているというは、ばかばかしい日本語の使い方であって、 それよりも調髪、洗髪の介護の必要がないということだけであって、これは要するに 話せばわかる話であるわけです。  あるいは非常に風評的な問題でもってこの要介護認定への疑問が出ると、それが逆 に非常に信頼感を壊してしまうということがあるので、先ほど認知症の人と家族の会 の方から幾つかの提言があって、それはいろいろと答えていただいたけれども、それ 以外にもいっぱいあるとおっしゃいましたので、それを全部出していただいて、それ ぞれにちゃんと答えられるようなものをつくり、実はこうなんですよという形のもの をつくって、インターネットでもいいから公開することが重要なのではないか。  そのときに、実は要介護認定というのは現時点において完璧なものができるわけが なく、限界もあるわけで、ここのところは限界ですよというのも率直に認めてその質 問に対応する、そういうものをつくってセットでしないと、これだけだと、言えば上 がるのかという風潮が進んでは非常にまずいので、そこのところのお考えがほしいな と思いました。  以上です。 ○田中座長 これについても説明責任が必要であるということですね。  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 これはやはり説得的コミュニケーションの議論だと思うんですが、我々 がドクターの診断に信頼を置いているのは正しいからではないですね。90%確からし い。医者だってセカンド・オピニオンがあって狂うことがあり、それを是正する仕掛 けがあるということで、そういう意味では科学的正しさと信頼性というのが、しばし ばそごを来すことがあるということを十分認識すべきだと思っております。  そういう意味で適切性という議論がありましたら、これも非常に危ない議論だと思 っていまして、要するに軽度の方が声をお出しになるという話、これはほとんどWant に近い話なんですね。してほしいのをしてもらうかという世界の話です。ところが、 重度の方、もし自分の状況を適切に反映できない方はどういう形で適切性を判断する のかというと、これはまた別のロジックを考えざるを得ない等々を含めて相当厄介な 議論があるのを、単純に科学的に正しいからだけで説得できないと私は思いますので、 やはりそこら辺のこと、信頼性を高めるということだと思うんです。  信頼性というのは、正しいから信頼をしてもらえるというわけではないことがしば しばいろんなことで今社会的な疑念が起こっているわけで、そのような疑念を払拭し て合意をどう取るか、そういう意味で問題であったのは専門家の言葉と生活の言葉が ずれてしまっているのです。これは役所用語のことも含めまして、そこをどう正確に お伝えするかということは非常に大事なことで、是非これからの議論の中でも留意を していただきたいなと思っております。 ○田中座長 高見委員、どうぞ。 ○高見委員 家族の会の高見です。さっき私も申しましたように、この見直しの経過 的措置はずいぶん思い切ったことを考えられたなと最初に申し上げましたけれども、 確かにそう思うんです。  ただ、これを私たちが介護している家族の人たちに、こういう経過的措置がされた よと言って説明するときに、非常に説明が難しいですね。単純に言えば、今回の見直 しがよくなかったから経過的措置がされたんだという話にもなります。そんなふうに なってしまうと、そもそも今回いろんな点で改善や見直しをされたところまで話がさ かのぼってしまいますから、やはり経過的な措置をするもっと積極的な意味を伝えな いと、かえって今回の見直しの不十分さをあらわすことになりかねないと思うんです。  ですから、私は一定の選択肢の変更なんかをされたわけですから、やはり厚生労働 省が、言ってみたら正直に不十分さを認めたということですね。だから、その不十分 さがあるから、更に検証期間中に実際に今までのと比較をして検証をするんだという、 同じようなことですけれども、そういう積極面を強調してもらわないと、現に介護を している人がこういう話を聞いただけのときに、ではどっちでも好きな方を選べるん ですか、自分の思う方を選べるんですねという話になりかねないことがありますから、 そのことも1つの検証の手段ですというところを強調された方がいいなと思います。 ○田中座長 大変前向きな意見ですね。新しい制度は前に比べて悪いかどうかを検証 するまで黙っていると、かえって誤解を招くので、前よりはよくなっているのだけれ ども、もうちょっと直すところもあるかもしれない。皆さんに理解していただく時間 が必要だ。基本的には前に向かって進んだけれども、とおっしゃっていただいたので、 大変心強く感じました。そこは是非うまく経過措置の理由を御説明してください。  木村委員、どうぞ。 ○木村委員 今いろんなお話が出たんですけれども、Q&Aをつくるにしても、今、 高見委員がお話したことにしても、基本的に今どういうルールなのかというのをしっ かり言ってからでないとだめだと思うんです。  例えば要介護認定が出て、これに対して不服があるなら不服の申し立てができます よ、それは今もあるんです。不服がなくてサービスを受けていく中で、ケアマネジャ ー側が状態像が変わっていくときに、区分変更もできます。そういうことをもっとは っきり、くっきり出した後に、しかしながら、この4月からのことで少し言葉の問題 やらいろいろあるのかもしれないけれども、検証している期間ここの経過措置を入れ ますよということをはっきり出さないと、最初から全部だめなようにされてしまう気 がして心配です。  ですから、本当に今どういうルールできちっと動いていて、その中で直さなければ いけないところがあるかどうかは、検証中ですということをはっきり出さないと、制 度そのものがおかしくなってしまう感じがするので、そういう資料の出し方とか、つ くり方をしていただけないかなと思います。 ○田中座長 石田委員、どうぞ。 ○石田委員 何と言っても既に要介護認定は市町村で行われているわけです。間違っ ていたかもしれないというスタンスではやはり困るわけです。より安心できるように、 入念的に検証するという立場を是非とっていただきたい。  現場での住民への説明は本当に大変です。こういった今回の対策というものは、む しろ市町村の都合でやるのではなくて、国の説明責任をきちっと果たしていただいた 上で、現場で混乱がないようにきちっと伝えていただきたい。これはお願いです。 ○田中座長 極めて適切なお願いだと思います。  三上委員、どうぞ。 ○三上委員 先ほど施設も在宅もすべて経過措置を選べるということなんですけれ ども、この趣旨のところに利用者の不安を解消するということですが、この場合事業 者の方がいらっしゃらないんですけれども、事業者も不安に思っているんです。  特に施設の場合は軽度変更されるとそのまま収入が減るということで、3%のプラ ス会計が飛んでしまうということを訴えている方は非常に多いわけですが、この場合 に施設サービス事業者が意見を言う場が全くここにないということで、一方的に不利 益を被るのではないかということが少し不安に感じます。その辺のところも一定の配 慮をしていただきたいと思います。 ○田中座長 お答えになりますか。 ○鈴木老人保健課長 最後の三上先生のご質問には別途お答えしますけれども、それ 以前の国の説明責任をしっかり果たした上で、今回の検証期間中の経過措置のそもそ もの目的は何なのか、それが一般の方にもわかりやすい形で、例えば市町村の方、団 体の方にもお伝えできる、また、市町村の方々の場合にはかなりいろんな質問事項が あるでしょうから、今、我々の方で認定アットマークという窓口も設けていますので、 そういうところに寄せられた意見をきちっとインターネットに載せて、こちらの側か らも周知をしてやりたいと思っております。  最後の三上先生の御意見ですけれども、勿論事業者としてはどうかという論点はあ るとは思うんですが、今回やはり全面に立っておられるのがやはり利用者の方で、申 請者の方がどうかということでございますし、その御意向に基づいて現在のままの要 介護度にするということであれば、どちらのケースもあり得るということではござい ますので、当面経過措置としてはこういう形にさせていただいた上で、また検討の結 果の中で三上委員の御異論等もいただきながら検討させていただきたいと思ってお ります。 ○田中座長 資料5については、これは我々の諮問ではなくて大臣がすると宣言をし ましたから実行をされるわけですが、説明の仕方については、新しい認定の仕組みが 間違っていたから検証するというニュアンスで決して伝わらないように、そうではな いと皆さんに言っていただきましたので、説明をしながら何よりも利用者をはじめ現 場の方の不安を防ぐために、しばし経過措置をとるということです。  結城委員、どうぞ。 ○結城委員 時間がないので簡単にします。  この経過措置においてですが、基本的に申請者の希望に応じて、というとこですが、 もしかしたら本当は軽いのに、やはり元の方がいいとか、いろいろなことを考えると、 公正さというか、そもそも地域のばらつきを直す、事務負担の軽減をめざすという、 ある意味、検証結果が出るまで、これらを棚上げしていると理解もされてしまうと思 います。  もう一つ、申請者といった場合、これは本人、家族、ケアマネ、どの辺のところま でいいのかというのは、ある程度きっちり周知徹底しないと、誤解を招いてますます 現場は混乱していくし、また、厚労省はぶれている、と思われるので、是非その辺も 留意していただきたいと思っております。 ○高見委員 関連するんですが、どこへ申請するのかとか、いつまでに申請するのか とか、そういう周知もしてもらわないとだめだと思います。もう一つ、今回の要介護 認定の方法について間違っていなかったけれども、より検証すると私は思っていませ ん。今回の認定の変更は間違っていたかもわからぬと思っていますから、正しいとい う前提で私は話をしておりませんので、だからこそ、そのことを検証していく必要が あると思っていますので、一言申しておきます。 ○田中座長 ありがとうございました。時間になっておりますが、先ほどの資料4の 1ページ目は、少し書き直しが必要かもしれません。上下同じになることが可能かに ついて、もう少し説明づけた方がいいかもしれません。  皆様第1回にもかかわらず、貴重な御意見をちょうだいいたしましてありがとうご ざいました。資料をよく読み込んでいただいていたようです。  今後のスケジュールですが、本日御議論いただいた事柄に基づいて検証に必要なデ ータをそろえなければいけません。その進行具合はまだ現時点ではわかりませんので、 次回以降の検証・検討委員会については、そのデータの収集整理の進み具合に応じて としか今日のところは言えないと思いますが、それでよろしゅうございますか。 ○鈴木老人保健課長 現段階で明確には申し上げられないんですけれども、できるだ け早く我々の方でも準備をさせていただいて、委員の先生方の御都合をお伺いして開 催させていただきたいと思います。 ○田中座長 それでは、これにて「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」の第1 回を終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐  天本(内線3943)     介護認定係 青木、迫田(内線3944)