09/04/07 第1回中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討会議事録 第1回中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討会 議事録 1 日 時 平成21年4月7日(月)13:00〜14:40 2 場 所 厚生労働省専用第18号会議室(17階) 3 出席者 [委 員]阿世賀委員、臼杵委員、坂部委員、笹島委員、武内委員       [事務局]氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、 鈴井勤労者生活課長補佐       [参考人]清川勤労者退職金共済機構総務部長、 小林勤労者退職金共済機構契約業務部長 4 議 題 (1) 中小企業退職金共済制度について (2) 中小企業退職金共済制度の加入対象者の範囲に関する検討について (3) 今後の進め方 (4) その他 5 議事内容 ○吉本勤労者生活課長 それではただいまより、第1回「中小企業退職金 共済制度の加入対象者の範囲に関する検討会」を開催いたします。本日は 先生方におかれましては大変お忙しい中、お集りいただきまして誠にあり がとうございます。座長が選出されますまでの間、私どものほうで進行さ せていただきます。まず1回目ですので事務局を代表いたしまして、勤労 者生活部長の氏兼より一言御挨拶申し上げます。 ○氏兼勤労者生活部長 本日は大変お忙しい中、お集りいただきまして本 当にありがとうございます。  中小企業退職金共済制度、これは法律に基づきまして、独立行政法人勤 労者退職金共済機構及びその前身団体により、昭和34年から運営されてき ております。従前より財務体力的に、あるいは事務的に退職金制度を持て ない中小企業のための事業主の退職金共済制度であり、中小企業の従業員 の福祉の増進と、中小企業の振興に貢献してきたというところです。この 中小企業退職金共済制度につきましては、近年の雇用就業を取り巻く様々 な状況変化の中で、現在加入対象としていない者についても、中退法にお ける「従業員」と同様の働き方をする者が少なくないという御指摘が各方 面からなされているところです。特に同居の親族のみを使用する事業に加 入を認めていないこととされておりますけれども、この点が昨年の与党の 税制改正の議論の対象になり、私どもの部における喫緊の検討課題という ことになっております。このような背景を踏まえまして、加入対象者の範 囲に関する検討を行うことを目的として、この検討会を開催する運びとな った次第です。各専門分野における高い御見識をお持ちの先生方に御参集 いただくことができまして、非常に心強く思っているところでございます。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げたいと思います。簡単ですが、御挨 拶に代えさせていただきます。 ○吉本勤労者生活課長 引き続き、御参集の先生方を御紹介いたします。  まず、社会保険労務士の阿世賀陽一委員です。まだ御到着になっておら れませんが、ニッセイ基礎研究所主席研究員の臼杵政治委員に御参加いた だいております。続きまして税理士の坂部達夫委員です。明治学院大学経 済学部教授の笹島芳雄委員です。日本賃金研究センター主任アドバイザー の武内崇夫委員です。なお、本日は急遽御欠席となってしまいました学習 院大学法学部教授の橋本陽子委員にも御参加いただくことになっておりま す。また中小企業退職金共済制度を運営しております、独立行政法人勤労 者退職金共済機構からも本日参加しておりますので御紹介いたします。清 川総務部長です。小林契約業務部長です。  続いて、私ども事務局の勤労者生活部長は先ほど御挨拶申し上げたとこ ろですが、私、改めまして勤労者生活課長の吉本明子です。よろしくお願 いいたします。それと、勤労者生活課長補佐の鈴井秀彦です。  議事に入ります前にお手元の資料を確認させていただきます。配付資料 1〜5まで用意しております。資料1「中小企業退職金共済制度の加入対 象者の範囲に関する検討会開催要綱」。資料2「会議の公開の取扱いにつ いて(案)」。資料3「中小企業退職金共済制度の概要」。資料4「検討 の視点(案)」。資料5「加入範囲の見直しに関する要望・指摘」。以上 です、よろしいでしょうか。  それでは座長の選出となりますが、私ども事務局といたしましては、笹 島委員に是非お願いできればと思いますが、いかがでございますか。                (異議なし)  それでは笹島先生どうぞよろしくお願いいたします。 ○笹島座長 せっかくの御指名ですので、大変僭越ではありますが、司会 進行役を進めさせていただきます。各委員の御協力のほどよろしくお願い いたします。  それでは早速ですが、お手元の議事次第に沿いながら、検討会を進めさ せていただきます。議題(1)に入る前に、先ほど資料の御説明がありました けれども、この検討会開催要綱及び会議の公開の取扱いについて事務局か ら御説明いただきます。 ○吉本勤労者生活課長 資料1、2に基づいて御説明いたします。まず資料1 「開催要綱」ですが、ただいま部長のほうからも御挨拶で申しましたとこ ろですが、この検討の1.「趣旨・目的」としまして、2段落目の、「中退 法の適用対象となる『従業員』の範囲については、労働基準法等の労働者 と同様であると整理をしてきたところであるが、雇用就業を取り巻く様々 な状況変化の中で、現在加入対象としていない者についても中退法におけ る『従業員』と同様の働き方をする者が少なくない」といった、各方面か らの指摘があることなどを踏まえ、今般この加入対象者の範囲に関する検 討会を開催させていただくところです。  2.「検討事項」は、主な検討項目として、私どもが考えられるものを整 理しております。中小企業退職金共済法の適用対象として、この法律にお ける「従業員」、また「事業主」の範囲、それから他の労働関係法令の適用 対象との関係。2つ目として加入対象者の範囲の見直しについて。その他、 として中小企業退職金制度の加入者に対する税制上の取扱い等、これにつ いて検討事項とさせていただいております。  続いて、3.「検討会の運営」として、本検討会は、厚生労働省労働基準 局勤労者生活部長が参集者を求めて開催する。必要に応じ、関係者の出席 を求めることがある。議事について、本検討会において、別に申し合わせ た場合を除き公開とする、といった運営をさせていただきたいと考えてお ります。御参集の方々につきまして、いまほど御紹介申し上げたところで す。  それから資料2の「会議の公開の取扱いについて(案)」、私どもの審議 会等の取扱いに準じ、会議議事録資料を公開とするという取扱いでさせて いただければと思っております。ただし、下の[1]〜[4]に該当するような場 合、会議の決定により非公開とすることができるとさせていただいており ます。資料1、2については、以上です。 ○笹島座長 はい、ありがとうございました。ただいま資料1、2につい て説明がありましたが、この点について何か御質問等ございましたら御発 言をお願いいたします。よろしいですか。資料1、この検討会の開催要綱、 本会の検討会の目的が書いてありますので大変重要なことかとは思います けれども、何か御質問等ありましたら後ほどでも結構ですのでお願いいた します。  それでは先に進ませていただき、次に議題の(1)「中小企業退職金共済 制度について」、それと議題(2)の「中小企業退職金共済制度の加入対象 者の範囲に関する検討について」、いずれも関連しておりますのでまとめて 議題(1)(2)を進めさせていただきます。事務局から説明お願いいたし ます。 ○吉本勤労者生活課長 それでは資料3以降の資料に基づき、御説明いた します。まず「中小企業退職金共済制度の概要」ということで、今日お集 りの委員の皆さま方はよくご案内のとおりかとは存じますが、第1回目と いうことで、簡単に御説明いたします。  1.「制度の目的」として、独力では退職金制度を設けることが困難な中 小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助により退職金共済 制度を確立し、従業員の福祉の増進、中小企業の振興に寄与することを目 的としているものです。  2.として、「概要」ですが、大きく中退制度には2種類ありまして、 1つが主に常用労働者を対象とする「一般の中小企業退職金共済制度」と呼 んでいるものと、もう1つは、「特定業種退職金共済制度」、これは期間を 定めて雇用される期間雇用者の方々を対象とするもので、厚生労働大臣が 指定した業種について設けられているものですが、現在のところ、建設業、 清酒製造業、林業が指定されているところです。今般の検討について、主 に一般中退の関わりということで、その仕組みを以下で書いております。 中小企業事業主がこの制度を運営します、独立行政法人 勤労者退職金共済 機構と契約を結びまして、月々一定の掛金、5,000円から3万円までの幅が ありますが、それを納めていただき、勤労者退職金共済機構の方で掛金を 運用し、実際その対象者である従業員が退職をされた場合に機構の方から 退職金を支払うといった仕組みになっております。この一番の特色としま して、税制上の優遇処置が認められているということで、まず事業主がお 払いいただく掛金、これが税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要 経費扱いといったことになっており、実際退職金を受け取られるときに、 退職金として一時金で受け取る場合には退職所得控除としての取扱い、ま た分割して受け取られた場合は、公的年金等控除といった取扱いで、いず れも一般の所得に比べ、優遇措置が行われているといったことです。  2つ目の特色として、掛金についての助成制度があります。これは加入 促進の観点から実施しているもので、上の図にもこれからの「掛金払込」 のところがありますが、新期加入の場合は原則として、掛金月額の2分の 1を1年間助成する、またその掛金の月額を引き上げていただいた場合に 原則としてその引き上げた額の3分の1を1年間助成するという措置があ ります。それから退職金の額ですが、これは5年に1度財政再計算をしま して、それにより基本退職金の額、即ち予定運用利回りを定めているわけ ですが、現在の予定運用利回りは1%で、それに見合うよりも実際の運用 実績がよかった場合についてこの付加退職金といったものと合算してお払 いするという仕組みになっているところです。以上が大変簡単ですが、制 度の現況です。次のページ以降、主な業務統計について御紹介いたします。  この表は一般中退だけではなく、特定業種も入っており、一般中退のと ころでまず御覧いただきたいと思います。新期加入者のところの共済契約 者、企業の数で言いますと、19年度1万6,000。被共済者の数では41万人 の方に御加入いただいています。その結果として、19年度の在籍者の状況 は、企業数として37万9,000余り。労働者・被共済者の数は291万人とい う状況です。  次のページは退職金の支給状況です。一般の中退と書いておりますとこ ろを御覧いただければと思います。19年度のところで支給件数、支給総額 として、1件当たりの支給額ということで御覧いただくと、139万5,000円 余りという状況です。下の(注2)のところの、平成19年度の平均掛金納 付月数は一般の場合121カ月、約10年です。掛金を支払いいただいた結果 として、今申しましたような平均的な金額の退職金が支給されているとこ ろです。  次のページは、平均掛金月額について、いくつかの額の例示であると申 しましたが平均的には平成19年度は9,344円といった状況です。5は特定 業種なので割愛させていただきます。6の資産の運用状況は、納めていた だいた掛金を運用し、またその運用益と併せて運用しているというもので すが、一般中退のところでは、平成19年度の運用の資産3兆4,964億円余 りといった状況です。以上が業務の現況です。  次の資料、実際の加入者の取扱いについて説明いたします。まず中退法 上は従業員という言葉使いをしているわけですが、法律の中には特にその 「従業員」の定義に関する規定はありません。その内容は労働基準法の労 働者と同様だということで、これまで取り扱ってきている経緯があります。 この「同居の親族の取扱いについて」のところでまとめておりますのは、 あとで少し補足させていただきますが、今般の検討の際の背景としまして 指摘されております中身が、同居の親族いわゆる家族従業員の方々の取扱 いということで、それに関する部分を特に記載しております。まずその労 働基準法と同様の取扱いということで、労働基準法上は第116条の2項で、 「適用除外」の規定があります。同居の親族のみを使用する事業について 適用しないということとなっております。同居の親族のみを使用する事業 が適用除外である趣旨として、コメンタール等で書かれている中身がその 下のところにありますが、「同居の親族のみを使用する事業については、事 業主とその他の労働者との関係を一般の場合と同様の労働関係として取扱 うのは適当でない」。あるいはその下の「通常の労働関係と異なった特徴を 有する親族関係にある者の労働関係について、国家による監督・規制とい う法の介入が不適当である」といった趣旨が書かれております。同居の親 族のみを使用する事業が、その事業の範囲として適用除外されているとい うことですが、「同居の親族以外も使用する事業」についての同居の親族の 取扱いについては、下のような解釈が示されており、下線の部分の、同居 の親族であっても他の労働者がいる、常時同居親族以外の労働者を使用す る事業においてということで、一般事務等に従事し、かつ(1)、(2)の 状況を満たすものについては独立した労働関係が成立している。即ち(1)、 (2)にありますような労務の提供の実態が認められるものについては同 居の親族であっても労働基準法の労働者として取り扱うということです。 こうした労働者を始めに申しましたように、中退法上の従業員として取り 扱ってきたところです。  労務提供の実態が労働者であるかどうかというのを判断する基準として、 「使用従属関係」といった考え方があり、それを次のページに整理してお ります。「労働基準法9条の『労働者』の判断基準について」で「労働者で あるかどうかは基本的には事業に『使用される者』であるか否か、その対 象として『賃金』が支払われるか否かによって判断される」といったこと になっております。すなわち「労務の提携の形態や、報酬の労務対償性及 びこれらに関連する諸要素をも勘案して総合的に判断する」ということで すが、その判断基準について、いま私どもが使用しておりますのは、下の 「昭和60年労働基準法研究会報告」で示された判断基準になるわけです。 項目だけでちょっとわかりにくいかもしれませんが、今申しましたように、 労働者であるというのは、使用される者で、賃金を支払われる者といった ことで、使用されるといったことが、指揮監督下の労働であるかどうかと いった、労務提供の形態。それから賃金の支払いといったことが1の(2) の報酬の労務対償性、即ち報酬が提供された労務に対するものとして支払 われるかどうかといったこの2つの基準を総称して使用従属性というよう な呼び方で整理をしております。具体的な中身はそこにありますとおりで すが、まず1の(1)の「『指揮監督下の労働』に関する判断基準」として は、具体的な仕事の依頼業務の指示等について拒否をする自由があるかど うかといったことで、自由を有しない場合は指揮監督関係を推認する重要 な要素になるということです。また業務遂行上の指揮監督の有無ですが、 業務の内容を遂行方法について使用者の具体的な指揮命令を受けていると いったことが指揮監督関係の基本的かつ重要な要素であるとされておりま す。  ハの「拘束性の有無」、これは勤務場所、勤務時間等が指定され管理され ているといったことですが、これも指揮監督関係の基本的な要素であると。 さらにはニの「代替性の有無」として、本人に代わり他の者が労務を提供 することがあるかどうか。あるいは本人の判断で補助者を使うことがある かどうかということですが、労務提供の代替性が認められている場合には 指揮監督関係を否定する要素の1つとなるといった判断基準です。  (2)の「報酬の労務対償性に関する判断基準」というところでは、ま さに労働の対償として支払われているのかどうかということで、これに関 しては、労働基準法の11条で、賃金とは名称の如何を問わず労働の対償と して使用者が労働者に支払うすべてのものを言うとなっており、労働の対 償であるかどうかといった判断が1つの基準になるということです。  以上が大きな2つですが、2の「『労働者性』の判断を補強する要素」と いうことで、これはただいまの2つの要素の判断が限界的な事例のような 場合で、困難な場合については(1)、(2)、(3)についても勘案して 総合判断するものとして掲げられているものです。  2の(1)「事業者性の有無」、機械・器具そういったある程度高価なも のを所有しているのかどうか、他の人に比べて著しく高額でないかどうか といった事業者性の有無。また(2)の「専属性の程度」、他社の業務に従 事することについて制約があるか、時間的な余裕があるかどうかといった こと。それと、報酬について固定給の部分がどの程度あるかどうか、ある いは生活保障的な、生計をし得る程度の額になっているかどうかといった ことも事業性の程度を見る要素と位置づけしておるものです。以上が使用 従属関係に係る考え方です。  続いて、資料4の、今後御検討いただくに当たっての視点ということで、 私どもで整理をしたものです。一番最初に御覧いただきました開催要綱の 中身に整理をしているわけですが、まず中小企業退職金共済法の対象とし まして、「中退法における『従業員』及び『事業主』の範囲」、ただいま御 説明しましたとおりですが、これまで中退制度において、同居の親族のみ を使用する場合には従業員に該当するとは認められないものとして労働基 準法の労働者の範囲に準じて取り扱ってきたということです。この点につ いて若干補足させていただきます。先ほども御覧いただきましたように、 労働基準法の適用除外、基準法116条の2項ですが、これは適用のない事 業の範囲を記しているものです。使用される関係にある親族があり得るか といったこと自体が否定されているものではないのではないかと考えられ ます。こうした方々が存在するかどうか存在の可能性についてこれまで明 確にされてこなかったといったことがあるのではないかと考えております。 そういったことも含め、この適用対象についてどういうふうに考えていけ ばいいのかというのが1つ。  2つ目の「他の労働関係法令の適用対象との関係」ということで、これ も先生方は御案内のとおりでしょうが、ただいま申しました労働基準法の 労働者の考え方は、労働基準法のみならず、他の労働関係法令、労災補償 法とか、雇用保険法とかいった法の中で、一般に同居の親族のみを使用す る事業については適用対象としていないといったことになっているわけで すが、仮に今般、中退制度の適用対象について変更を行う場合に整合性に 問題がないかどうかの視点があろうかと思います。この点についてもそれ ぞれの法の趣旨、目的等があるわけで、それらに鑑みて個別にその適用対 象を判断していくといったスタンスが可能かどうかの視点で御議論をいた だければと思っております。  大きな2つ目、「加入対象者の範囲の見直し」ですが、具体的にその加入 対象者をどうするかといったことであります。1つ目「制度の趣旨、同居 の親族の労務提供の実態等に鑑み、現行の取扱いについて見直しを行う必 要性があるか」どうかということで、制度の趣旨について今後御議論を頂 戴できればと思いますが、中退法について先ほども申しましたが、あくま で労働者の福祉の向上といったことを目的として、任意で自業主の方々が お入りいただき掛金を納めいただくといった制度で、労働基準法等の、国 が罰則をもって強制的に最低基準を履行させるといった制度とはまた違っ た趣旨があるのではないかといった視点。あるいは実際の同居の親族が他 の労働者と同様に働いているような実態があるのかどうか、そういった実 態を鑑みて必要性が認められるかどうかといった御議論をいただければと 思います。  見直しを行う場合に具体的にその範囲をどう定めていくのかですが、こ れについてもいまほど説明しましたとおり、これまで労働基準法の労働者 に準じてきたと申しましたが、それの意味するところは従業員、その使用 従属性がある方々といったことが根底にありましてそこがベースになるの ではないかと、指揮監督を受けている、監督下にあるとか、報酬の労務対 償性といったようなことが1つの切り口になるかと思っておりますが、そ ういった範囲をどのように考えていったらいいのか。  実務面において、これまで明確にされていなかったところですが、監督 署等が監督指導に入る場合であればそれによって、あるいは就業規則、労 働契約等が整理されているとおりといったことがあろうかと思いますが、 そうではない場合に実際の就労の実態、あるいは今般の退職金ということ に照らして申しますと、退職の事実といったことをどのように確認するの かといった制度の、適切な運営を担保する上で可能かどうかといった視点 もあろうかと考えております。  「その他」として、税制上の取扱いを書いております。先ほども説明し ましたが、この制度に加入することが大きなメリット、1つが税制上の措 置で、加入者について同居の親族で他の労働者もいるようです。現行入っ ていらっしゃる方々についてもそうした税制上のメリットが現在講じられ ているわけですが、今後変更をするとなった場合に税制上の措置をどのよ うに行うことが適当かといった視点も掲げております。  続いて資料の5、今般の検討に至る背景ということでこの「加入範囲の 見直しに関する要望・指摘」をまとめさせていただきました。平成21年度 税制改正大綱で昨年12月にまとめられたものの中では、「検討事項」とい うことで、小規模企業共済制度、それから中退制度の加入者の見直しにつ いては、各制度の加入者の範囲の見直しが行われる際には新規加入者の位 置づけを勘案し、その掛金等の税制上の取扱いについて措置するといった 記述になっております。これだけ御覧いただくと、具体的な中身として想 定しているものがわかりにくいのですが、要望の背景となっておりますの が、下の「青色事業専従者のみでの中小企業退職金共済制への加入」とい う要望事項になっております。その要望理由が下に書かれており、○の1、 2は先ほど申していることで割愛しまして、3つ目の青色事業専従者につ いて、一般に私生活面での相互扶助関係とは別に中小企業退職金共済法上 の中小企業者と従業員との関係が成立していると見られるので、加入を認 めることが適当であるという理由の下にこうした要望がなされているとこ ろです。ちなみに小規模企業共済制度について、全くご説明せずにおりま すが、私どものほうがいわゆる労働者に対する退職金共済制度であると、 向こうが経営者に対するものということで、今回指摘がなされている、同 居の親族のみの事業における親族、青色専従者も含めてその方々というの はどちらの制度にも加入できないことになっているといったことで、私ど もの制度、あるいは税制要望の段階では後継者の方とか、配偶者とかは小 規模企業共済制度のほうに入れてはどうかといった要望もなされておりま したが、そういった両制度の範囲をどう整理するかといった視点も1つ留 意しておいていただければと思います。  次のページはそういった方々がどのくらいいるのかといった、統計がな いわけですが、一応その税制上の統計ということで、青色事業専従者、営 業等所得者になっておりますが、この方々の人数等です。青色申告者の数 で見ますと、左下の92万人余り、そのうち専従者があるという方が46万 人余りです。実際の専従者の数といったことで54万6千人余り。専従者が ある場合の人数を平均しますと、1.18人といったところです。また専従者 の給与として認められているその額は、1人当たりに平均してみますと約 235万円になるといった状況です。  次のページは青色申告者以外の者もあわせて、御参考として付けさせて いただいております。これで見ますと、青色専従者以外ですので、その専 従者の控除、人数当たりの控除といった仕組みになっているかと思います が、平均的に見ると80万円ぐらいの額が控除されているということです。  最後のページは、そのターゲットになり得る方々だけの統計というのは ないのですが、一応「就業構造基本調査」により、家族従業者の数を取っ たものがあります。これで見ますと、一般的にいわれる雇用者が5千7百 万人余りいるのに対して、家族従業者は187万人余り、自営業者が667万 人といった人数になっております。私のほうからの説明は以上です。 ○笹島座長 はい、どうもありがとうございました。  ただいま、資料3、4、5を御説明いただきましたけれども、考えてみ ますと、さまざまな説明をされましたので、順番に御質問等があるかどう か見ていきたいと思います。  まず、資料3ですが、資料3は6枚ほどです。「使用従属関係に係る考え 方について」までで何か御質問等ありましたら御発言をお願いしたいと思 います。資料3に限定いたしましていかがでしょうか。 ○臼杵委員 1つよろしいですか。中退共の目的のところに、中小企業の 退職金制度を確立するということが書いてあるのですが、これはもし先ほ どおっしゃったように適用範囲を拡大するときに退職したかどうかの確認 とも関連すると思うのですが、実際に退職金共済に入ってくる場合に、そ の企業が退職金制度を持っているかどうかを手続き面では確認されるので すか。それとも、うちは退職金をやっているのでこれに入りますというこ とで退職金規程などを見て確認はしないという理解でいいですか。 ○吉本勤労者生活課長 その辺りは、まさにこれからの御議論になろうか というふうに思うのですけれども。 ○小林契約業務部長 確認は取っておりません。 ○臼杵委員 わかりました。 ○笹島座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○臼杵委員 すみません。今の話は、そうすると払うときも実際には、事 業主が、その人が退職したというような通知が事業主からくるのですか。 ○小林契約業務部長 そうです。退職届をしていただくということです。 ○臼杵委員 払う相手は個人ですか。 ○小林契約業務部長 請求権は個人ですから、個人が請求していただくと いうことです。その辺は、いま実際に退職したかどうかも先方の請求によ って判断するという感じです。 ○笹島座長 ほかにいかがでしょうか。 ○武内委員 あとそれに関連するのですが、中退法でいうと従業員である かどうかというのは、事業主が加盟すれば自動的にこの使用者というか、 労働者は従業員と見なされるわけですか。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。基本的には、包括加入の原則がござ いますので。 ○武内委員 就業規則とか、そういう雇用関係があるかどうかという確認 はやっぱり。 ○吉本勤労者生活課長 それは、現時点では、1つ1つしているわけでは ございません。 ○笹島座長 ちょっと思いついたのですが、中退制度の加入の内容を検討 して、正規従業員ではないといけないとか、何かありましたね。期間従業 員でも加入できるのですか。  例えば、今御存知のように、非正社員がどんどん増えていて、デパート なんかを見ていると契約社員がどんどん増えているのですね。その実態は、 契約社員で、3年契約程度なのですが、その人物がよければずっと雇い続 けますよという形なのですよ。ですから、60歳ぐらいまで勤められるので すね。ということで会社の方もそういう契約社員にも退職金、いまないの が一般的なのですけれども、労働条件を改善しようということで、中退の ほうに、そういう契約社員についても掛金を払いますから加入するという ことは可能なのですか。 ○清川総務部長 加入させる従業員の要件といたしまして、先ほど包括加入の 話が出ましたけれども、従業員は原則として全員加入していただくという ことで、雇用関係があって、賃金の支払いを受けている方については、全 員加入はできます。ただ、包括加入の原則がありますけれども、次のよう な従業員は加入させなくてもよいという定めをおいておりまして、その中 でも期間を定めて雇用される方ですとか、あるいは試みの使用期間中のも のですとか、そういった方については、事業主の判断で加入させないこと ができるという定め方でございますので、逆にそういった方々にも退職金 を保証しようという事業主の方でございましたら、それは加入対象になる ということでございます。 ○笹島座長 はい、ありがとうございました。 ○坂部委員 同居親族ですが、おそらく法人形態と個人上形態と2つに分 けて考えなくてはいけないと思うのですが、仮に法人形態だけれども、同 居の親族のみを使用する事業だった場合には、基本的には中退共には加入 できないということでよろしいですか。 ○小林契約業務部長 法人の場合は、審査としてはやっていないのです。 ○坂部委員 個人の場合のみ、例えば事業主と同姓だったりした場合は確 認する。 ○小林契約業務部長 ちょっと合わない人がいると。そうすると、文書で 確認を取って、申告していただくということで、いま審査をやっています。 ○坂部委員 わかりました。 ○笹島座長 この同居の親族の取扱いとか、使用従属関係について、またあ とでも質問等が出てくるかもしれません。また、そのときに御発言いただい ても結構ですので、先に進んで、資料4の「検討の視点」、ここは検討会の 議論になる点でありますが、とりあえず、今の段階では御意見を伺うので はなくて、ここに書かれていることに関連して何か、とりあえず技術的な 問題、その他聞いておきたいということがあれば出していただけたらと思 います。あとでも、ここは検討会でも中心的なところですので、そのとき に出していただいても結構だと思いますが、とりあえず資料4に関して、 簡単な質問等があればお受けできたらと思いますが、いかがでしょうか。 では、先におきましょう。資料5のほうに移りたいと思います。資料5は、 4枚あります。資料5に関連していかがでしょうか。 ○臼杵委員 資料5の内容はわかるのですけれども、ちょっとこういうこと を伺っていいのか分かりませんが、今年これが出てきた、または、今まであ ったのでしょうか。あるいは、今年初めて出てきたのでしょうか。仮に今 年初めてだとしたら、何か出てくる理由というか、あるいは青色申告の団 体が自民党に要望したとか、そういうようなことが何かあったのでしょう か。 ○吉本勤労者生活課長 要望として提出されましたのは、今回が初めてでご ざいます。個人事業を取り巻く状況が非常に厳しく更になってきているとい ったようなことで、更に事業を廃止の場合、あるいは事業承継の場合の税 制上の取扱い全般についての問題意識は、各方面においてあったのかと思 いますが、当面の要望項目として、今般これが取り上げられたというふう に出したと理解しております。 ○臼杵委員 特に何かと関連してということではなく、独立して出てきた という理解でいいのですか。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。一般中退とその小規模企業共済の話 は共にリンクする話だと思います。 ○笹島座長 私のほうから一点お聞きしたいのですが、資料5と書いてあ るデータの中ほどに※があって、「青色事業専従者とは云々」と書いてあ りまして、「専ら従事している者」と書いてあるのですが、専らの意味な のですが、むしろ坂部委員にお聞きしたほうがいいのかもしれませんけれ ども、例えば個人事業主で子どもが学生で、かつ、親の仕事を手伝ってい て、主として、学生が本分だという場合はいかがなのでしょうか。 ○坂部委員 細かい規定を忘れてしまったのですが、年の半分以上、従事す ることが可能であってとか、諸々の要件があって、基本的には学生さんは外 れます。つまり、アルバイトは基本的には駄目です。専属に従事しろとい うニュアンスみたいです。半年というのも、事情があって、半年だったら OK取れますけれど。そういった意味で、「専ら」というのは、かなり深く 事業に入り込んでいないという受け止め方になります。 ○笹島座長 はい、ありがとうございました。  それから、もう1点、その次のページのデータを事務局にお伺いしたい のですが、このデータの見方なのですけれども、一番左の区分の100万円 以下とか5,000万円超とかなっている金額は何ですか。これは。 ○吉本勤労者生活課長 これは、申告者自体ですね。青色申告者の所得です。 ○笹島座長 所得。 ○吉本勤労者生活課長 所得。ちょっといま、もう1回確認します。青色 申告しているその申告所得ということです。 ○笹島座長 申告所得というのは、課税所得ということですか。そこに課 税されるということですね。 ○臼杵委員 私も、それは知りたかったです。  所得控除などがあるのかどうかということですよね。税金がそこにかか っているのかどうか。 ○吉本近労者生活課長 確認します。 ○笹島座長 その間、坂部委員にお聞きしたほうがいいのかもしれませんが、 この専従者1人当りの平均給与額が5千万円超ですと、820万になるのです よね。かなりの金額だと思うのですけれど、こういうのはかなり例外的な のでしょうけれども、珍しいケースですね。なんでプラスなのでしょうか ね。 ○坂部委員 本当にレアケースでしょうね。要するに、青色専従者給与の妥 当性、というか個人事業の税務調査に問題があるのですが、それは対価とし ての妥当性ですよね。それなりの仕事をしているかどうかという部分が基 本的には、その方の所得と連動するというのが暗黙の了解になっています。 つまり、仕事は同じでも例えば500万の所得がない方、あるいは5千万の 所得がある方、その奥さまがやっていることが同じであってもやはり5千 万円以上の方は820万で給与されて、500万は222万というなんとなくそう いう話になっています。ですから、奥さまが給料を820万取るというのは、 5千万取っていれば問題ないと思いますけれど。そんな話になります。 ○笹島委員 ほかの点でいかがでしょうか。 ○武内委員 資料5の一番下のこれは、要望、指摘なのですけど、先ほど御 説明ありましたけれど、○の3番目です。最後のところで、中小企業者と従 業員との関係が成立しているとみられるといって、これだけだと非常に抽 象的な感じがするのですけど、先ほどの説明でいくと、指揮命令関係があ るとか労働時間の管理がなされているとか、それから賃金が支払われてい るとかそういうものを言っていると考えてよろしいのでしょうか。 ○吉本勤労者生活課長 この要望自体は、もともとは青色申告会等の要望に 基づいてこういうふうに整理されたものでありますが、私どもとしてはさっ き申し上げたようないわゆる使用従属関係がポイントになるのではないか、 使用従属関係と言えばさっき申し上げた大きな2点ということではないか なというふうに思います。 ○武内委員 何かそういう絶対条件がなければ、実態は何もできないはずで すよね。そこが1つ問題かなと思っていて、ここでこの要望者は何を言って いるのか、単なる加入促進という意味だけであれば、抽象的でいいのでし ょうけども、管理・運営するとなるとやっぱりそこを正確にしないといけ ないかなという気がしたものですから。 ○吉本勤労者生活課長 そこはおっしゃるとおりなのではないかと思います。 実態とか確認方法については、まさにこれから詰めていかないといけない かなと思うのですが、そうは言っても、現状の指摘として、特に青色事業 従業者については、6カ月以上働き専従し、その労務の対価として給与が 認められている人たちなので、それはもう決まった時間働いている人がた くさんいるのだといったことが背景になっている。それが、本当に実態が あるのかどうか、その確認をどうするのかといったことが問題になってく るのかと思います。 ○笹島座長 関連しまして、この要望に沿った形で、もし制度を改定すると して、その場合に対象となる人数は先ほど課長に御説明いただいた3枚のデ ータのどの部分に当たるのかそれを御説明いただければと思うのですが。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。そこは、当面、私どもの手元にある資 料である程度イメージがつかめるものということでお出しをしたものです。 ですので、まだどのぐらいの人が入れるのかというのは、もうちょっと私 どもで精査させていただければと思いますが、およその入りうる対象者の 方としては、青色事業専従者の方は、一応給与の支払いを認められている ということで、確認しなくてはいけないことになると思うのですが、報酬 の労務対償性というのが、ある程度あるのではないかと推定される方々と いうような主旨で申し上げれば、ここで言っているところの青色事業専従 者の数でございます。54万6千あまりといった方々が、その対象者の外縁 の数としてあり得るのではないかと思います。ただ、先ほどもちょっと申 し上げましたけれども、この方がすべて労働者的に働いていらっしゃるの かどうか、むしろ事業主ではないけれども、共同経営者とか後継者とかと いったような形で働いてらっしゃる方がいらっしゃると考えられます。そ ういった方々については、現在中企庁で検討されておられます、その小規 模企業共済の方に入るべき人なのかどうか、その辺の仕分けをしなければ なりません。あえて付け加えれば、もう1つの資料にある白色申告の方々 ですが、この方々は、税制上給与支払いは認められていないわけですが、 それと厳密に言えば実際に労務提供の実態というのは、やはり別問題とい うふうにも考えられますので、そういう意味ではこの中の方々がまったく すべて対象ではないかと言えばそうとも言えないのかというふうにも思い ます。結論的に何人かというところがちょっと今は申し上げられる段階で はなくて恐縮です。 ○笹島座長 ありがとうございました。  そうすると、非常に広く取れば、しかも中小企業庁の制度改正がもしな いとして、中退共制度だけ変更するというときに、今回対象を広げた場合、 最大この54万6千人強と次のページの10万強の数字が最大の数になると いうふうに理解してよろしいですか。ですから、最大65万人ほどですか。 要するに最大、労働者性が否定されないということになったときと考えて よろしいですか。 ○吉本勤労者生活課長 これは税務上の数字なので、これに限られるかど うか含め、精査させていただきたいと思います。 ○笹島座長 どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。 ○臼杵委員 確認なのですが、先ほどきちんと聞けなかったのですけど、 小規模企業共済についても同じような要望は出ているのでしょうか。 ○吉本勤労者生活課長 はい。同じような要望が出ていまして、先ほど申 し上げたように、後継者のような方々は小規模共済に、といった趣旨の要 望が出されております。 ○臼杵委員 ありがとうございました。 ○笹島座長 他に、何かお気づきの点はあるでしょうか。さらに御質問等 があれば、また後ほど出していただいてかまいません。  資料4「検討の視点」に移ります。先ほど課長から説明がありましたよ うにこの「検討の視点」がこの研究会の論点というか主眼点でして、ここ に掲げられた点について、この委員会で研究していきますので、何か御質 問、あるいはお気づきの点、御意見、どんな点でも結構ですので、御発言 いただけたらと思います。 ○坂部委員 今回の見直しの対象となるのは、基本的には個人事業主であっ て、零細企業、家族営業でやっている場合には、基本的には、対象としては 外すことでよろしいですか。つまり、先ほどから青色専従者給与とか同居の 親族とかが議論になっていますが、法人は、基本はすべて損益になります。 要するに、青色専従者とかはまったく関係なくて、同一生計、つまり同居 であっても、それは一般の生計になります。先ほどのお話だと、この中退 共の掛金も、法人であれば家族営業の企業でも損金になる。ということは、 今回の検討から外してよろしいのですね。つまり、対象を法人から個人事 業と考えてよろしいわけですか。 ○吉本勤労者生活課長 私どもの主な問題意識は、個人事業です。ただ、 法人とのバランスは念頭においていかなければいけないかと思います。 ○坂部委員 そうです。資格という意味では、そういうものと比べると、 対象としては個人事業でしょう。 ○笹島座長 これは私からの質問です。「同居の親族」という表現が随所に 出るわけですが、具体的には、これはやはり配偶者と考えてよろしいのでしょ うか、それとも、そうではない、どちらが一般的なのでしょうか。 ○坂部委員 同居というと、要するに家族です。つまり、配偶者も、その事 業を手伝っているお子さん方も、場合によってはお母様も手伝っていますね。 ○笹島座長 一般的に。例えば、8割強は配偶者とか、そういうことは言えま せんか。 ○坂部委員 ほとんどの場合は配偶者とその子供ですね。一般的にはそう なります。 ○笹島座長 ありがとうございました。  議論をどのように進めていいのか、なかなか難しいところです。「検討 の視点」で、適用対象、範囲の見直し、その他、税制上の扱いのことが書 いてありますが、1つずつやっていったほうがいいのかどうかという問題 です。今日は初回でもありますし、お気づきの点をどんどん出していただ けたらと思います。  では、私のほうからもう1点です。最初の○の2番目です。他の労働関 係法令の適用対象との関係で、すべて労基法上の従業員を適用対象として いるようですが、厚生労働省という大きな立場で考えたとき、社会保険と の関係はどう考えたらいいのか、その点は事務局のほうで特に何か検討し ていますか。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。そこはまだきちんと整理ができており ません。補足して申し上げると、ここでは労働関係法令とくくって書いてい ます。労働関係法令でももちろんいろいろな種類、タイプがあるわけで、 強制法規的なもの、あるいは、全面適用が前提となっている保険などにつ いて、こういった考え方だと思います。そうではない、よりそれ以上の労 働条件の向上、福祉の増進といったものを目的とする、例えば、財形制度 とかいった労働福祉関係の法令、また、労働金庫とか、そういったものに ついては必ずしも一緒ではありません。ですから、当然のことながら、そ ういった趣旨、目的によって、差異は現在もあると申し上げてよいかと思 います。 ○笹島座長 これは阿世賀委員に教えていただいたほうがいいのかもしれま せん。ここで、労働基準法上の従業員、「同居の親族の取扱いについて」と ありますね。同居の親族以外の使用をする事業の場合、中退共の対象とする となっていて、こういう同居の親族は厚生年金保険の対象ですか、それと も国民年金保険、どちらですか。 ○阿世賀委員 法人であって、ほぼフルタイムで働いているのであれば、 それに雇われているものとして社長さんも含めて厚生年金保険の被保険者に なります。 ○笹島座長 個人の場合はどうですか。 ○阿世賀委員 強制適用と任意適用に分かれます。 ○笹島座長 適用対象になるのですね。 ○阿世賀委員 ええ。それに社会保険では、法人か否か、5人以上か否か、飲 食、理容・美容などの任意適用業種であるか否かというように、「労働者性」 のような実態による総合的な判断ではなく、外形的に判断できるものです。 ○臼杵委員 個人事業でも5人以上だったら、要するに、年金でいえば2号被 保険者になる可能性があるわけですか。 ○阿世賀委員 任意適用業種を除いて強制適用になりますから、そのようであ る可能性は大きくなると思います。 ○臼杵委員 5人以下だったら、家族は1号被保険者になりますか。 ○阿世賀委員 5人未満は、そうである場合が多いと思います。任意適用の道 はありますが。 ○臼杵委員 ここで見ているようなものは、かなり青色申告対象ですから、規 模でいうと5人以下と考えていいのですね。 ○吉本勤労者生活課長 概ねには5人以下で、小さいところです。 ○坂部委員 フリートーキングということですが、同居の親族と税法上の生 計を一にするは概念が違います。その辺が微妙な所であって、一言で言うと、 税法上の場合、財布が一緒だったら、同一生計とみなします。同一生計の 場合には何があるかというと、所得税法第56条で、同一生計の親族に払っ た費用は必要経費にならないという規定があるのですね。ただ、先ほど言 ったように、家族労働者でも、一般の社員と同じように奥さんや子供が働 いている、その必要経費を認めないわけにはいかないということで、所得 税法第57条という規定ができて、そこで青色専従者給与を認められたとい う背景があります。変な話ですが、例えばうちのお客さんで、昔から個人 でやっている居酒屋が築地にあります。お母さんと子供が2人で、子供と いってももう40歳ぐらいの方ですが、お母さんは配偶者だから、当然青色 専従者です。長男がお父さんと同居しているのですね。次男が外に出てい るのです。次男は同一生計、同居ではないから、基本的にこの点から両方 とも外れます。ところが、長男は一緒に住んでいるのですが、財布は別な のです。要するに二世帯住宅です。そういった場合には一般の給与扱いと なります。同一生計ではないから、青色専従者ではなくなります。という ような話があって、ここは微妙な所がありますから、検討しないと。中退 共で認められても税法では駄目だという話になりかねませんし、場合によ っては、先ほど言ったように、同一生計でないと、所得税法第56条で、必 要経費にならないという話になりますから、掛金が必要経費として認めら れないです。ところが、先ほど言ったように、同居だけど、長男は、税法 上は同一生計ではないから、必要経費になるのですね。それをうまく整理 していかないと大変な気がします。 ○笹島座長 非常に難しいですね。 ○坂部委員 定義が違うから難しいのです。 ○阿世賀委員 趣旨の所でお伺いします。「趣旨・目的」の所に「雇用、就 業を取り巻く様々な状況変化の中で」といったことが書かれています。本当 に、最近の雇用環境の変化を反映したことが、いろいろな人もいるのかと考 えていたのですが、とりあえず、いままでの所は個人事業主の親族みたいな 方に焦点に絞るわけでしょうか。 ○吉本勤労者生活課長 当面の議論としては、まず同居の親族、特に個人 事業を議論していただければ有難いと思います。 ○臼杵委員 やはり1つのポイントは、自営業というか、個人事業主とそこ で働いている人に退職というのがあるかどうかだと思います。趣旨としては、 冒頭に課長から説明があったように、中退共自体は、中小企業に退職金制 度を設けることを支援しようということでできていると理解します。先ほ ど社会保険の話が出ましたが、厚生年金の適用対象になっていないのは、 1つの理由は、自営業は、医者だろうと店だろうと、やはり引退がないと いう考え方があって、そうすると、退職もないので、そこをどう考えて整 理していくかです。先ほどおっしゃったように、では退職は、仮に、私は もう隠居して働かないよというような人がいたとして、それをどう判断す るかがポイントかと思います。 ○坂部委員 今の話ですと、要するに、個人事業主自体は多分定年もないし、 もしかしたら退職もないかもしれないという話ですが、配偶者とか後継者、 あるいは後継者以外の直系親族の方々に関しては、個人的な意見を言えば、 逆に退職というような意思というか、そのときはそういうことを作ってあ げたほうがいいような気がします。青色申告会の要望から来ているという 話もあります。青色申告会のほうでは先ほども、青色事業専従者と通常の 白色の事業専従者、それぞれ違うのですが、実態で見ると同じようなもの があるかもしれません。やはり青色申告というのも、制度の趣旨からも、 青色専従者給与というのは1つの限定だと思います。やはり同様に、その 辺は制度的なものもきちんとして、個人事業でも事業の近代化を図るとい う、趣旨に則っていえば、青色申告も動員したほうがいいかと、個人的に は思います。 ○臼杵委員 先ほど言っていた、青色専従者でなくなったことが1つの引 退だと、そういう判断ができるという理解でよろしいですか。 ○坂部委員 青色申告の、要するに、専従者給与の取止めもあります。そう いった届けもあります。ただ、実態的には、事務所で取り上げた書類を添付 して請求するとか、そんな話になるのかもしれません。それは意思として は、それはあってもいいのかなという気がします。ただ思うに、届けを出 すのは事業主で、配偶者ではなくて事業主の意思が働きますから、果たし て本当に退職といえるかどうかです。 ○阿世賀委員 私が仕事で関与している範囲で考えますと、対象になってい るのは、例えば、建設設備会社あたりに出入りしている、一人親方と、一緒 にやっている息子さんみたいな、そういう所で、確かに働いている人で、 従事している人なのです。そういった方というのは、確かに労働者性とか いうのは元々非常にグレーな所なので、整理しなければいけないのです。 ただ、そういった一人親方の息子さんは、近い将来一人親方になる方です ね。それはむしろ、いずれ正式に小規模共済に入る方とも解釈できます。 中退共の場合、小規模共済が別にあるので、そこの所と、時間的な流れな り棲み分けが難しいのです。一遍に考えれば簡単なのですけどね。労災の 特別加入のような形でやれば、非常に連動的でわかりやすいのですが、そ こを考えると、中退共のほうでそれをやるべきなのかどうかも課題になっ てくるかと。むしろ小規模共済の拡充のほうが自然かとも考えられます。 あと、先ほど出た、いつが退職なのかという所については、中小企業だっ たら就業規則なり、そういった定めがありますから、何とでもわかるので すが、青色申告の所で就業規則を求めるのもこれまたおかしな話になりま すね。元々労働者ではないわけですから、就業規則によって就業条件を定 める必要もないわけですし、そこまで考えるとなかなか難しい問題だと思 いました。 ○笹島座長 ありがとうございました。この「検討の視点」を巡って、これ をどのようにしたらいいのかが我々の研究会の目的でして、どんどんお気づ きの点を出していただきたいと思います。  では、私のほうから1点お聞きします。中退共に入ることが有利だから そういう要望が出ているのでしょうが、ということで、どんどん青色に移 ると。例えば、私なども確定申告しているわけですが、どういう条件が青 色に移れるのか、調べたことがないのでよくわからないのです。しかし、 どの程度有利なのかによって、確定申告をする人が次々と青色に移る現象 が発生するかもしれないと言われています。そもそも簡単に青色に移れる のかどうか、その辺はいかがなのでしょうか。 ○坂部委員 青色申告が適用できる方というのは決められていまして、事業 所得を持っている方、不動産所得を持っている方、あとは、山林所得を持っ ている方、このお三方だけなのです。ですから、座長は大学から給与所得、 あるいは雑所得がある方は、基本的には青色申告はできません。だから、 副業というか、講演とか執筆が大きくなって、事業的規模になれば青色申 告と、そんな話になっております。 ○笹島座長 ハードルがかなり高いわけですね。 ○坂部委員 基本的には、営業をやっている方と不動産を持っている方が 前提となっていますね。 ○笹島座長 というのは、サラリーマンの資産形成で、賃貸マンションを買 って、サラリーマンをやりながらそれを経営して、税金を低く納めるという 方が随分いますね。この場合、どうなのですか。 ○坂部委員 そんなに安くならないです。 ○笹島座長 この場合、どうなのですか。 ○坂部委員 ですから、ワンルームマンションとか賃貸契約は不動産所得 ですから、青色申告の申請は受けてもらえて、特別控除とか、他にいくつ かの特典があるのですが、それも受けられているという話です。 ○笹島座長 そうすると、その場合、そのサラリーマンの奥さんを専従者 にして中退共に入るわけですか。 ○坂部委員 それが、不動産企業の場合には、規模が事業的規模とそれ以 外とありまして、例えば部屋でいうと、10室以上ないと事業的規模になら ないのです。それで、初めて青色専従者給与の届けを出せます。 ○笹島座長 なるほど。 ○坂部委員 事業的規模なものですから。青色申告の事業という概念は、 あくまでも事業所得者か事業的規模の不動産所得者です。 ○笹島座長 では、かなり限定されていますね。 ○坂部委員 ちょっと限定されますね。 ○吉本勤労者生活課長 私のほうからお聞きします。大変恐縮なのですが、 不動産所得のような場合と事業所得の場合は、あらかじめ専従者になるた めの届け出をするときに、要件とか明らかにするべきことが違うわけでし ょうか。 ○坂部委員 基本的には同じです。 ○吉本勤労者生活課長 同じなのですか。 ○坂部委員 ええ。同じ用紙がありますから、所得の種類が違うだけです。 ただ、不動産は事業的規模だけが要件です。先ほど言ったように、半年以 上そこに従事していて、対価性がったとか、そういった状況があると。 ○吉本勤労者生活課長 専従者の届出に「職務の内容、給与の金額、支給 期などを記載する」とあるのですが、それも。 ○坂部委員 それは林業とか。 ○吉本勤労者生活課長 そういうことです。 ○臼杵委員 メリットという意味では、先ほどおっしゃったように、掛金が 損金に算用されて、本人の課税所得にならないことだと思います。でも、中 小企業、あるいは個人事業では、課税所得はほとんどないというか、実際 にはほとんど経費で落としてしまって、あまり税金を払っていないという 話も聞きます。そうすると、それはあまりメリットがないのかとも思いま すが、実態として。それで、資料5の表が何を表しているかという話もあ るのですが、どうなのですか。いまここでお答えいただくことはないと思 いますが、ニーズのようなものはどのぐらいあるのか、どうなのですか。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。手元にあるいろいろな既存の調査で、 そこがはっきりなかなか浮かび上がってこないのですが、いま青色申告会 の方でアンケート調査をされていたり、私どもの機構で用意しているもの もありますので、また整理したいと思います。 ○笹島座長 さきほどの御質問に関連して、何か情報が得られたらご説明 いただけますか。 ○鈴井勤労者生活課長補佐 左側の階級ですが、これは合計所得階級でして、 事業所得でいうと、損益の通算後の金額になります。その他、不動産所得 や利子所得がある方は、その所得も合計されたものでございます。 ○臼杵委員 そうすると、これは税金を払っている青色申告法人という理 解でいいのですか。 ○笹島座長 そういうことですか。 ○鈴井勤労者生活課長補佐 そうです。 ○笹島座長 もし税金を払っている青色申告者が92万人とすると、この外 にたくさんあることになりますね。たくさんある赤字の青色申告者はいず れ黒字になるかもしれない。そうすると、ただいまの御説明は、ここの専 従者の所のニーズもどんどん膨らむ可能性があるわけですね。 ○鈴井勤労者生活課長補佐 はい。 ○武内委員 青色申告そのものの人数はわからないわけですか。これはあ くまで納税対象ですよね。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。 ○武内委員 青色申告を届け出ているわけですか。 ○吉本勤労者生活課長 そうですね。そういったときもあるのではないか と思います。すみません。いま手元にないので、またお渡ししたいと思い ます。 ○笹島座長 これまで各委員から様々な御意見等が出ていますが、この資料 4「検討の視点」について、いくつも出たわけです。事務局の立場から、こ ういう点について、この場で伺いたいという点は何かありますか。これま で出たことを踏まえた上で、この点をもう少しご意見を聞けないだろうか と。 ○吉本勤労者生活課長 いままでにいろいろ御意見いただいた中でかなり、 私どもが疑問に思っていた点について御示唆いただいたと思います。家族従 業員の方々の労働提供の実態、今のところこれがなかなかわからないもの ですから、先ほど申し上げたように、私どももその辺りを把握したいと思 います。もし何か追加して、どういう実態にあり、どういった契機で退職 が認め得るものなのかとか、その辺りがあればお願いします。 ○坂部委員 うちの事務所でも、青色専従者給与を払っている個人事業主の 方は、おそらく3月15日に200以上の申告書を作っています。はっきり言っ て、それなりの実体はあります。例えば、私は個人事業で、また別に会社 もあるのですが、当然配偶者に給与を払っています。それはまったく別な のですね。きちんとした仕事をしてもらってちゃんと払っている。財布は 別です。当たり前の話ですが、本人も、私にそのお金を触らせません。自 分のものですから。実はこういう話は結構多いのですね。本人も、要する に私は、実は死ぬまで仕事をしなさいと言っています。そういった意味で いうと、家族従業員といっても、実態を見たところで、単なる節税ではな くて、実体を伴う所がかなりあるはずです。それに対して、いまは個人事 業の廃止はやたら多いです。もう事業をやめますという話です。そのとき に奥さんの財布があると非常に助かるわけです。変な言葉ですけどね。し かも、この積立ては外部にしてて、もし個人事業でやって、親父が奥さん に退職金を払うといった話があれば払いませんし、もちろん経費になりま せん。ただ、こういった国の制度を使って、共済に払う制度が利用できる と、配偶者や家族が別に助かるというのがありますから、もしかしたら青 色申告会からの要望の実態があるかもしれません。私は職業柄というか、 これはウェルカムな話と考えています。是非ともこれは広げていただきた いと考えます。  そうばかりではないのですけどね。単なる節税で、実体がなくて払って いる人もないともいえませんが、やはりそれなりの就労実態はあるのかな と。それは、実体がなくて払っていれば、当然税務署の請求までいって、 きちんとすれば更正されると。できないとか、それは国の問題ですから、 やはり制度的にはきちんと充実させるべきかと。町の現場はそういう形に なっていると思います。 ○阿世賀委員 いまのお話だと、考えてみれば、厚生年金の被保険者とその 配偶者は、合計で300万円弱ぐらいの年額で設計されていることと比べれば、 個人事業主は夫婦でそれぞれ、満額であったとしても80万円弱と非常に少 ないですから、そこを手当てしておきたいというニーズは確かにあるでし ょうね。 ○笹島座長 私も今の阿世賀委員の御意見は賛成です。今後は年金制度がど うなるか、よくわかりませんが、現状を考えると、もし個人事業主の人の老 後の生活が、退職はないという話ですが、業態によってはどうしても事業 をやめざるを得ない人もいるでしょう。そういう人の立場からすると、老 後の生活設計の観点で、もう少し充実させたいというニーズへの手助けに なるのだったら、これは今回の見直しのメリットの1つになるかもしれま せんね。他の人に対する説得材料になるかもしれません。しかし、既に厚 生年金に入っていることになると、また別のことになるのかもしれません ね。 ○臼杵委員 いまの、自営業の老後に関していえば、使い勝手がいいかどう かは別として、例えば国民年金基金とか、あと、個人型の確定拠出年金とか、 それはだから、1回賃金で取ったものをまた入れるものがあり、中退共と はやり方が違います。その辺はあるのですが、そんなには普及していない というのが私の実感で、坂部先生の所は、人数があるということだったと 思いますが、そういう意味も含めて、どのぐらいなのかが先ほど申し上げ た趣旨です。だから多分、ある程度余裕のある人はニーズがあると思いま す。これは想像ですが、多分、毎日が大変な人はそこまで考えている余裕 はないと思います。 ○笹島座長 それでは、いろいろなご意見等が伺えましたので、議題(1)、 (2)についてはこの辺で一旦打ち切って、議題(3)「今後の進め方」に 移りたいと思います。ご説明をお願いします。 ○吉本勤労者生活課長 いろいろ御意見を頂戴し、ありがとうございました。 今日いただいた御意見も踏まえて、次回は少し踏み込んで、今後の検討の 方向性を私どもなりに整理して、場合によっては、事前に先生方に御覧い ただいた上で、次回またこうした場を持つようにさせていただければ効率 的かと思います。具体的な日程については改めて調整させていただきたい と思いますので、どうぞよろしくお願いします。 ○笹島座長 今後の進め方について、ただいま説明がありましたが、いか がですか。そういうことでよろしいですか。  それでは、議題(4)「その他」ですが、本日の最初の議題から今までの ことに関連して、この場で何か発言しておきたいことがあればお願いした いと思います。  よろしいですか。特になければ、以上をもちまして第1回の検討会を終 了したいと思います。本日はありがとうございました。 照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 調査係、企画係  (内線5374、5376)