09/04/06 第1回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録 第1回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録  日時:平成21年4月6日(月)15:01〜16:57  場所:東海大学校友会館「望星の間」  出席委員:阿曽沼委員、伊藤委員、小澤委員、片倉委員、木下委員、木村委員、       澤委員、鈴木委員、永井委員、花井委員、早川委員、前川委員、       武藤委員、毛利委員、森尾委員、大和委員  オブザーバー:       三宅内閣府参事官、 倉崎文部科学省研究振興戦略官(冒頭 国分研究振興戦略官付補佐代理出席)       倉田経済産業省生物化学産業課長(冒頭 竹廣課長補佐代理出席)、       成田独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役  行政庁出席者:       外口医政局長、高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官、中垣審査管理課長、       熊本監視指導・麻薬対策課長、木下経済課長、宇津審査管理課企画官、       山本経済課長補佐、中山審査管理課長補佐 (照会先) 医政局経済課     課長補佐 樋口(内線2524) 医薬食品局審査管理課 課長補佐 中山(内線2745)  ○木下経済課長  それでは、定刻になりましたので、第1回再生医療における制度的枠組みに関する検討 会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、大変ご多忙中のところ当検討会にご出席いただき、誠に ありがとうございます。  私は、医政局経済課長の木下でございます。本日、座長が選任されるまでの間、代わり に議事進行を執り行わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入ります前に、本検討会の委員の皆様のご紹介をさせていただきます。  あいうえお順で恐縮でございますけれども、まずは、こちらからでございますけれども、 国際医療福祉大学国際医療福祉綜合研究所教授、阿曽沼元博委員でございます。  日本難病・疾病団体協議会代表、伊藤たてお委員でございます。  株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング代表取締役社長、小澤洋介委員でご ざいます。  テルモ株式会社研究開発センター兼薬事部、片倉健男委員でございます。  日本医師会常任理事、木下勝之委員でございます。  国立国際医療センター戸山病院院長、木村壮介委員でございます。  大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授、澤芳樹委員でございます。  国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部長、鈴木和博委員でございます。  東京大学大学院医学系研究科循環器内科教授、永井良三委員でございます。  ネットワーク医療と人権理事、花井十伍委員でございます。  近畿大学薬学総合研究所所長、早川堯夫委員でございます。  京都大学医学部附属病院輸血細胞治療部教授、前川平委員でございます。  アステラス製薬株式会社執行役員研究本部副本部長兼薬理研究所長、武藤誠太郎委員で ございます。  日本ケミカルリサーチ株式会社取締役執行役員研究開発本部長、毛利善一委員でござい ます。  東京医科歯科大学・大学院・発生発達病態学分野・准教授、細胞治療センター長、森尾 友宏委員でございます。  東京女子医科大学先端生命医科学研究所教授、大和雅之委員でございます。  また、本日、日程の都合上、弁護士の神山委員、社団法人日本薬剤師会副会長の土屋委 員がご欠席されております。  続きまして、オブザーバーの紹介をさせていただきます。  内閣府政策統括官付三宅参事官でございます。  文部科学省研究振興局、倉崎研究振興戦略官でございます。  経済産業省製造産業局代理の竹廣補佐でございます。  独立行政法人医薬品医療機器総合機構、成田上席審議役でございます。  続きまして、事務局をご紹介させていただきます。  医政局長の外口でございます。  医薬食品局長の高井でございます。  医薬食品局審議官の岸田でございます。  審査管理課長の中垣でございます。  監視指導・麻薬対策課長の熊本でございます。  それでは、事務局を代表いたしまして、医政局長の外口及び医薬食品局の高井からご挨 拶を申し上げます。 ○外口医政局長  本日は、大変お忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。  ライフサイエンスは、我が国のものづくりと科学技術の先進性を兼ね備えた分野であり ます。世界をリードできる、先端科学技術の進歩の恩恵を受けることができるよう、その 発展に寄与する施策を講じていく必要があります。  こうした中、再生医療にふさわしい制度的枠組みについて検討するために、この検討会 を設置するに至りました。この検討会の課題は、再生医療における細胞の加工培養を複数 の医療機関の間で、どのような条件の下に行うことが望ましいかを検討すること、そして、 再生医療製品を広く患者に提供するためにはどのような制度的枠組みがふさわしいか、そ の特性を踏まえつつ検討すること、この2点でございます。  本日は、これらの課題を検討するために、学術関係者、医療機関関係者、患者団体、産 業界等の方々にお集まりいただきました。この検討会が実り多いものとなるよう皆様方の ご協力をお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高井医薬食品局長  医薬食品局長高井でございます。私からも一言ご挨拶申し上げさせていただきます。  再生医療、今、局長から申し上げたとおりでございますが、人の細胞組織などを用いて、 失われた組織や臓器を修復または再生する医療でございます。今後の進展が大いに期待さ れているところでございます。  国際的に見ますと、再生医療はアメリカでは連邦食品薬品化粧品法(FDC Act)のほか、 公衆保険サービス法(PHS Act)の中にも関連の規定が定められている。欧州では再生医療 に関わる製品について、EMEAでの中央審査を行うことを決め、欧州での具体的な取扱 いについて検討を行っているというふうに聞いております。今後、アメリカ、欧州とも技 術の進展に合わせてこれらの製品について安全性、有効性を担保するためのガイドライン の作成などが進められると考えております。  こうした国際的な動きも踏まえつつ、我が国における最適な制度の在り方について、お 集まりいただきました委員の皆様のご意見をいただき、質の高い再生医療を患者の方々に 迅速に提供できるよう検討を進めていきたいと考えております。よろしくご協力をお願い したいと思います。 ○木下経済課長  次にお手元の配布資料の確認をさせていただきます。  ダブルクリップを外していただきますと、検討会のまず表紙がありますけど、その後に 座席表がございます。それからが資料でございまして、資料1が開催要項、それから資料 2が委員名簿、3が再生医療についてという、黄色い絵のかいたものです。資料4が、21 年度措置事務局説明資料、これも絵になっております。資料5が、22年度の措置事務局の 説明資料でございます。それから資料6が、21年度措置議論のたたき台というものでござ います。資料7が、澤委員、前川委員、森尾委員、大和委員、各委員の提出資料を順に資 料7としてつづってあります。それから資料8が、今後のスケジュールということです。  以上ですけれども、資料の欠落等ございましたらご指摘をお願いします。  よろしいでしょうか。  次に、本検討会の座長についてお諮りしたいと存じますけれども、座長の候補者を事務 局より提案させていただきたく存じますが、いかがでしょうか。 〔「異議なし」と言う人あり〕 ○木下経済課長  それでは、異議なしということでございますので、本検討会の座長には、厚生科学審議 会ヒト幹細胞臨床研修に関する審査委員会の委員長を務められまして、再生医療分野の研 究のみならず規制等に関しても通じておられます、東京大学大学院医学系研究科循環器内 科教授の永井委員にお願いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。 〔拍 手〕 ○木下経済課長  ありがとうございます。それでは委員の皆様方のご賛同を得ましたので、永井委員に座 長をお願いしたいと存じます。  永井委員におかれましては、恐れ入りますが座長席にお願いいたします。  それでは、ここで議事に入らせていただく前に、当検討会の進め方について確認をした いと思います。  当検討会につきましては、公開で行いまして、議事録につきましても事務局でまとめた ものを厚生労働省のホームページで公表することとしたいと思いますので、この点につき ましてご了解をお願いいたします。  それでは、座長がお席にお着きですので、一言ご挨拶をいただいた後、以降の議事進行 につきましてお願いしたいと思います。  それでは永井座長、お願いいたします。 ○永井座長  ご指名いただきました東京大学の永井でございます。  この検討会につきましては、先ほど外口医政局長からお話がございましたけれども、再 生医療にふさわしい制度的な枠組みをつくるということでございます。いろいろな問題点 があろうかと思いますけれども、とりあえずの課題としましては、複数の施設でプロジェ クトを組んでよいのかがまず1つの課題になっておりますし、それを踏まえて、再生医療 を広く国民に提供するにはどうしたらよいか、その制度的な設計、枠組みをどうするかと いうような課題になっていくかと思います。  いずれにしましても、質の高い再生医療を、広くまた早く社会に還元していきたいと考 えておりますので、ぜひ委員の皆様方にはご協力をいただき、十分な検討が進められれば と願っております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。  まず、本検討会の検討事項につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。 議論が必要と思われた点をたたき台としてまとめておりますので、たたき台につきまして 併せて事務局からご説明をお願いしようと思います。  また、その後に、これからの進め方についてご意見を伺いたいと思いますので、事務局 のほうからまずよろしくお願いいたします。資料のご説明を進めてください。 ○山本経済課長補佐  それでは、資料3から6に基づきまして、本検討会の検討事項についてご説明させてい ただきます。  まず、お手元の資料3をご覧いただけますでしょうか。  本検討会の大前提となる再生医療について確認という意味でご説明をさせていただけれ ばと思います。再生医療と申しますのは、ここに書かせていただいているとおり、患者自 身の細胞組織、または患者以外の他者の細胞組織を培養等により加工して、患者の失われ た組織や臓器の修復・再生を行っていくという医療でございます。  そこに書かせていただいておりますとおり、大きく自家と他家、2つに分けて考えるこ とができようと思っておりまして、まず1つ目は自家というもので、患者自身の細胞を採 取し、細胞を培養・加工等行った上でそれぞれの組織に分化をし、そして患者自身に戻し ていくというもの、いわゆる患者から採取したものを患者に戻すという形のもの。  もう一つ、患者以外の他家という形で、別の方から採取した細胞を培養・加工し、別の 人物なり患者に戻していくという、この2つあろうと思っています。  こういった技術を実際に実施していく上で、特に医療機関間で複数の医療機関が共同で 実施する場合の要件についてご検討いただければと思っております。  続きまして、資料4をご覧いただけますでしょうか。  先ほどご説明させていただきましたように、再生医療というのは、これまで主に個別の 医療機関で細胞の採取から培養・加工、そして患者に戻すということが実施されてきてお ろうと思いますが、今後、技術の進歩や成熟等に伴いまして、複数の医療機関において共 同で患者に対して医療を実施していくことが想定されます。そういった場面においてどう いった基準、どういったことを注意していただかないといけないかということをご議論い ただければと思っております。  それを具体的に示しておりますのが、1.の右側の概念図でございます。ご覧いただけ ますでしょうか。実際に患者から細胞を採取し、それを加工―その依頼医療機関とここ では書かせていただいておりますけれども、実際に患者から細胞を採取した医療機関が、 その細胞の加工・培養については―ここでは加工医療機関と呼ばせていただいておりま すけれども、CPCを有する医療機関に細胞を提供し加工していただき、実際に培養・加 工された細胞を元の医療機関に戻し、そして患者に投与していくという、この複数の医療 機関が一体となって1人の患者に対して医療を提供する、こういった枠組みの下での条件 設定をご検討いただければと思っております。  2.のところでございますけれども、これまで研究という枠組みで実施されていたこと もあろうと思いますけれども、研究を含めこの黄色い部分を含め点線で囲わせていただい ておりますが、2.の左側の、実際に複数の医療機関で共同で実施する場合、研究を含め てどういう点について留意する必要性があるか、考えていく必要性があるかという場を条 件についてご検討いただければと思っております。右方以降、製品化を進めていくことに つきましては、先ほどありましたとおり22年度の中でどういった枠組みが考えられるかを ご検討いただければと思っております。  続きまして、下に2つ※印を出しておりますけれども、これは確認という意味でお示し させていただいておりまして、今回、先ほど再生医療、自家と他家、2種類あるとお話し させていただいておりますけれども、今回、ご議論いただければと思っておりますのは、 自家でございまして、実際に依頼をするA医療機関から加工医療機関のほうに細胞を提供 して、それを他の医療機関に行くということは基本的には想定せず、元の医療機関に戻し て、同じ患者に戻していくという条件でご検討いただければと思っております。  もう一つは、加工医療機関について、これはもう当然のことでございますけれども、2 つの複数の医療機関が一体となって診療を行っていくわけですので、当然、加工医療機関 のほうでは医師の監督のもとCPC等の運営をしていただくということは、もう当然のこ とであろうと思っております。  まず、21年措置までについては以上でございます。 ○中山審査管理課長補佐  それでは、資料5といたしまして、平成22年度に結論を得るものについての事務局説明 資料をご覧ください。  ここでは、再生医療に用いる製品を含む細胞組織加工製品を業として製造販売する場合 について、現行の規制の考え方、さらには平成21年度の対応案についてご説明いたします。  細胞・組織加工製品につきましては、ドナー由来の感染リスクがあること、処理工程に 付随する感染リスクがあること、製品そのものの有効性・安全性に関するリスクがあるこ と、品質の一定性のリスクがあることなどのリスクが内在すること、そして加工されてで きた最終製品は、本質的に元の細胞・組織とは異なることから、公衆衛生上一定の規制が 必要であるとの考え方をとっております。このため製品の安全性などを確保するため、品 目ごとの承認をとることとしています。  なお、この分野の製品開発は日進月歩でありまして、その評価に当たっては個々の品目 ごとに柔軟なチェックが必要であることとしています。  2ページ目をお開きください。  細胞・組織加工製品の規制に関する日米比較であります。それぞれの上段が医療機関外 で業として行う場合、下段が医療機関内で行う場合です。ちょっと色が薄れていますが、 青色の部分が施設の規制、斜線、網かけのようになっていますところが、販売承認という ことを示しております。  左側ですが、我が国では業として行う場合、培養・皮膚などの一定以上の処理を行うも のは、製造販売承認や製造業許可が必要となります。一方で、医療研究として行う場合は、 薬事法上の規制はかかりません。  一方、米国では、日本で規制されているものについては同様に規制される上に、骨髄移 植ですとか臓器移植を除き、処理度が低い場合であっても、医療機関内外を問わず同様の 規制がかかります。また、医療機関内で行う場合でも、業として行う場合と同様に規制さ れます。  3ページ目をご覧ください。  細胞・組織加工製品の開発から使用までの日米比較であります。品質や非臨床の試験に 始まりまして、ヒトに対する臨床試験、承認申請審査、承認を経て、市販後は市販後対策 が行われるという枠組みは日米で同様であります。我が国の場合は、治験に入る前に、製 品の最低限の品質・安全性をチェックするための確認申請という手続きがございます。一 方米国では、日本の確認申請という手続きはありませんが、FDAは関係者に対し、臨床 試験に入る前の段階で、プレIND相談、あるいはプレIDE相談を受けて、その中で臨 床試験に入る前の品質や安全性データなどについて協議をすることを推奨しているという ことでございます。  4枚目をご覧ください。  細胞・組織加工製品に係る薬事規制について、これまでに取り組んできた事項でありま す。まず最初ですが、平成19年3月には、治験実施時の規制当局への提出資料の重複を排 除しまして、手続きの合理化などを図りました。細胞・組織加工製品の審査体制について も、新しい部の設置などで拡充しているところであります。  これまでの承認は、自家培養皮膚が19年10月29日に承認されているほか、治験中ですと か、治験開始前の確認申請があったものなどが幾つかございます。  安全性評価基準などにつきましては、自家と他家の違いに対応した基準を作成すること といたしまして、昨年2月には、自家の細胞・組織加工製品を対象とした安全性評価基準 が作成され、次9月には他家の基準も作成されているところであります。  また、平成20年からは、幹細胞由来製品の安全性確保のための指針などを整備を進めて いるほか、今年度からは、iPS細胞を分化誘導して得た細胞・組織加工製品の品質や安全 性の在り方を検討することとしております。  5枚目をご覧ください。  以上が、現行の規制と考え方とその流れでしたが、この検討会では、再生医療に用いる 製品について、臨床研究から実用化まで切れ目のない最適な制度を、現行の規制にとらわ れることなく検討することとしております。これらの製品技術は日進月歩でありまして、 欧米でも制度的枠組みの整備が図られてきていることから、平成21年度では、国立医薬品 衛生研究所の研究者を中心として、欧米の状況を調査したいというふうに考えております。  調査項目案といたしましては、臨床研究から実用化に至るまでの規制、体制、予算など、 さらに関連するガイドラインとその運用、さらに医薬品と医療機器の区分の考え方、それ とEMEAによる中央審査など、欧米における最近の取組を考えているところであります。  以上でございます。 ○山本経済課長補佐  それでは続きまして、資料6のところで、21年度措置の複数医療機関間で共同で再生医 療を行っていく上での条件を検討していただく上で、議論のたたき台を準備させていただ いておりますので、資料6に基づきまして説明をさせていただきます。  まず、資料の一番上のところに記載させていただいていますように、繰り返しでござい ますが、今回ご議論いただきますのは複数医療機関間で、依頼医療機関、加工医療機関と 呼ばせていただき、その2つの医療機関で共同で行う場合の条件というか留意事項をご検 討いただければと思っていまして、それで具体的にどういった点についてご検討いただけ ればというその検討のポイントにつきましては、その以下(1)から(5)に掲げさせて いただいているとおりでございます。  まず、(1)と(2)でございますけれども、やはりCPCの施設基準、人員基準とい うのがまず1点目に挙げさせていただいております。他の医療機関から依頼を受け、加工 ・培養を行うという意味で、人的もしくは施設基準としてどういった点について留意して いくとか、注意していく必要性があるかということが1点目でございます。  特に人的基準につきましては、CPCの職員として最低限に身につけなければならない 共通の事項としてはどういったものがあるかといったことについて、ご検討いただければ と思っております。その上で、どういった研修等を行っていく必要性があるかということ について、ご検討いただければと思っております。  続きまして(3)、共同で診療を行う上での安全対策についてでございますけれども、 複数の医療機関で患者の診療を行っていくという上で、やはりその情報の共有というのが 非常に重要なポイントだろうと思っていまして、診療を行っていく上で患者情報をどのよ うに共有を図っていくかというのが、1つ目のポイントだろうと考えております。  さらに2つ目として、担当者ごとに加工技術が異ならないような工夫が必要ということ で、やはり作業手順書等々きちんと整備していただき、そういった一定の基準の下で培養 ・加工を行っていく必要性はあろうと思っております。  また、3つ目として出荷・配送ということで、医療機関間を細胞が移動することになり ますので、こういったときの条件設定等の方法についても重要なポイントだろうというふ うに考えております。その結果、患者の情報、組織の情報を含めてどのような記録を残し ていくかということについても、重要な点ではないかと思っております。  続きまして(4)、倫理ということで、これは当然のことでございますけれども、各イ ンフォームドコンセントを実施していく、また当該医療を実施していく上で、各医療機関 で倫理審査等をどのように行っていくかということについてご議論いただければと思って おります。  また最後に、結果の公表ということで、加工医療機関の質の向上を図るため、また依頼 医療機関が依頼する上で考慮する材料とするために、また患者が安心して治療を受けられ るようにするというためにも、結果の公表というのは重要なポイントだろうと思っており まして、それをどういう形で行っていくのが望ましいかということについてご議論いただ ければと思っております。  こういった点について、本日も先生方からご説明いただく予定でございますけれども、 その他にも、医療機関のCPCの実態調査を行うこととしておりますので、また後日の検 討会においてご報告をさせていただければと思っております。  以上でございます。 ○永井座長  はい、ありがとうございました。  それでは、ただ今のご説明に対しまして、ご質問、ご意見等ございましたら、委員の先 生方からお伺いしたいと思いますが。 ○大和委員  依頼医療機関と加工医療機関というふうになっていると思うんですけれども、例えば、 私の知る限りで、日本で最も大量に再生医療の臨床研究をやっている人たちのうちの1つ で、産総研さんというのがあって、産総研さんで培養して、それが国循さんとか信州大学 さんとかに行って、実際に患者さんに移植されているみたいなケースが、過去にはあった と思うんですけれども、この場合、産総研さんというのは少なくとも医療機関ではないと 普通思うと思うんですけれども、こういったものはどういうふうに考えたらよろしいんで しょうか。 ○永井座長  私もそこをまずお聞きしようかと思ったのですが、医療機関のみを対象とされているの かどうかですね。 ○山本経済課長補佐  その点について、原則としてまずは医療機関間というのを原則というか、前提にご議論 いただければというふうに思っております。 ○永井座長  いずれ、拡大することもあり得るという含みで、まずは医療機関の間でということです ね。 ○山本経済課長補佐  はい。そこは22年度措置と関係してこようとは思いますが、医療機関間を超えた枠組み については、22年の措置も含めて検討していくことになろうと考えております。 ○阿曽沼委員  今、大和先生から、産総研のお話が出ましたけれども、大学の例で言えば附属病院では なく、CPCが医学部の付属機関にある場合は、これを医療機関とするかどうかというこ ともきちんと定義しなくてはいけませんね。CPCが附属病院の中の施設というのは医療 機関と認定できますが、大学医学部だとかもしくは研究所といったような施設にCPCが ある場合で、医師が管理しているところは、これを医療機関とするかどうかもきちんと定 義する必要があると思います。  ですから、この検討会で,医療機関というものをどう規定するかということも、ご議論い ただけるといいと思います。 ○永井座長  いかがでしょうか。医療機関と医療施設というのは大体同じものと考えてよろしいので すか。 ○山本経済課長補佐  基本的には、医療法に基づいて届け出等々していただいている施設を念頭に置かせてい ただいております。その辺り詳細につきましては、やはり先生方に実態をご説明いただき ながら検討を進めていただければと思っております。 ○大和委員  先に言ってしまうと、私どものところは、先端生命医科学研究所という名前が付いてい るんですけれども、女子医科大学に直でぶら下がっている形になっておりまして、附属病 院とある意味パラレルで、附属病院の下に入っているわけではないので、もしかすると外 れてしまうかもしれません。 ○澤委員  恐らく大きく考えると、やはりその加工業的な費用を取るか取らないかとか、その辺は もちろん実費のことなのかもしれませんけれども、臨床研究対象であるか、それともやは り製品化してデリバーするかというところで違ってくるかなと。要するに、医療機関、医 療機関でないというのは非常に微妙な施設間のあれがあって、分け方がそこで分けるんじ ゃなくて、そういうふうに臨床研修を対象にした施設間同士の公的、まあ、公的というと またあれですけれども、研究機関同士、研究機関も含む医療機関同士と、それから本当に 株式会社的なものとの加工業的なやりとりとの、ちょっとその段階、そういうふうな分け 方とのほうが本当はリーズナブルじゃないかなというふうに考えますが。 ○永井座長  他にいかがでしょうか。 ○小澤委員  ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの小澤でございます。別の切り口で。  進め方に関してなんですけれども、平成21年度措置は医療法の下でというのはよく理解 をしたんですが、私は企業側でございまして、やはり薬事法の下で取り組んでおりますの で、例えば21年度と22年度の案件というのは、パラで進んでいくことはできないのかとい うご提案なんですけれども。無理なら無理でかまいませんが、ご検討いただければと思い ます。 ○宇津審査管理課企画官  小澤委員のご指摘でございますが、22年度措置につきましては、事務局から先ほどご説 明しましたように、パラレルという意味で、まず海外調査を並行して走らせたいというふ うに考えておりますので、まずその点、海外調査で海外の最新の動きを見て、どういう点 を彼らが注目しているのかという点、それからどういう点を運用しているのかという点を 実際に調査をして、この検討会のほうにご報告したいと考えております。 ○永井座長  他にいかがでしょうか。 ○木下委員  今回の議論のたたき台としてのCPCの施設基準でありますとか、(2)の人員基準で ありますとか、そういうふうな目的を考えますと、医療機関であるのとそうでないところ での、あえて分けて考えなくてはいけないのはどういう理由があるのか。またさらに、医 療機関でないところでは別の基準を設けなくてはいけないのかという点をぜひ教えていた だきたいと思いますが。  もしもそうでないならば、医療機関であるということを限定する理由が全くないように 思うんですけれども。 ○永井座長  事務局、いかがでしょうか。 ○山本経済課長補佐  今回の検討会、2つ取りまとめというか、分かれておると思っていまして、まずは医療 機関間であるものについて検討し、それを踏まえて製品化をどのように考えていくかとい うことで、検討会全体で見ればそれで包含されておろうと思っております。  1つ目、まず検討いただく内容としては、医療機関間ということをベースにご検討いた だければと思っておりまして、その際、今ご指摘された医療機関の考え方については、実 態を踏まえて検討を進めていただければと思っております。  以上でございます。 ○木下委員  今のような、ちょっと理由がよく分からないんでありますが、あえてそういうふうな、 目的とするところは同じであるはずなのに、医療機関でなければならないということは何 故なのかということを明確にした上でないと、二重の議論になってしまうと思いますね。 もうちょっと現実的な対応のほうが、より生産的な議論ができるんじゃないでしょうか。 ○永井座長  いかがでしょうか。 ○山本経済課長補佐  最初やはり、これは資料4のところでございますけれども、これは患者の診療を行って いくということが大前提だろうと思っておりまして、1つ目の考え方としては、やはり複 数の医療機関で1人の患者に対して診療を行っていくという考え方の下でご議論いただけ ればと思ってはおります。  それを越えて、ご指摘いただいておりますような医療機関以外のものについては、引き 続き検討していくということになろうと思っております。  以上でございます。 ○永井座長  まずは診療の一環であるということを重視して進めたいということですね。 ○花井委員  私、患者の視点だと思うんですけど、私がここに呼ばれたのは。  今の議論なんですけれども、恐らくこの使われる、つくられた加工された細胞が商品か どうかということが、規制としては大きく違っている構造になってきて、商品だと薬事に なるので。もし、このいわゆるCPCの基準が安全性を最大限確保するということになっ たときに、これがメーカーがやるとなると、これは薬事で規制する、施設基準ですね、い わゆるGMPというんですか、GMP基準みたいな話になってくると、そうとう厳しい形 になって、恐らくかなりこれは規制としてはかなりレベルの高い規制でくくるというのが 最終的な薬事における規制だと思うんですけど。  ここで問題になっているのは、医療行為の中身として、つまり医療法上の医師の診療行 為の中身のレベルの細胞であると。そのときに1人ではできないので、他の先生、他の先 生は他の施設であるというところでの、やるとしてできる範囲はどこまでかという。逆に なるんじゃないかという気がするんですね。  だから、もし本当に安全性のプロダクトと考えて、安全性を患者にとって確保してもら おうとすれば、患者側からすればこれは薬事法並みのレギュレーションをつけてくれとい う話になってしまうんですが、でも、そうやっちゃうと、やはり今研究が進んでいる課題 なので、ある程度やはり臨床研究であるとか、そういったいろんな条件の一つ一つを見な がら、これは研究施設的な、もしくは医療機関の診療行為の中身として可能であろうと。  で、この可能の範囲がどこまでなんですかっていうふうな線引きをここでしましょうと いう考え方であれば、何となく分かるんですね。先生から疑問を呈したとおり、この機関 のスペックのレギュレーションをどこまでが必要かを最初に決めましょうとなると、これ は医療機関であるか普通の施設であるかの基準は変わらなくなってしまいますよね。だか ら、ちょっとそちら側から、医療行為としてどこまでの範囲がこれで想定されるのかとい う線引きという理解ではおかしいんですか。ちょっと素人なので分からないんですが、私。 僕はそう理解したんですが。 ○永井座長  確かにそこがどうもポイントですね。医療行為の一環なのか、もう少し薬事法レベルの 問題かといったときに、医療行為の一環のほうがまずは入りやすいだろうということでし ょうか。 ○山本経済課長補佐  はい。資料4でお示しさせていただきました、2.でございますけれども、診療行為、 まさに今にお話があったとおりで、診療行為として薬事規制の対象とならない範囲につい てまずご議論いただき、その次のステップとして薬事規制を含めてということになろうと いうふうに考えております。  以上でございます。 ○永井座長  ただ、臨床研究であっても、今の幹細胞研究のガイドラインではGMP基準に準ずるわ けですね。それなりに厳しい規制はかかっていると認識している必要があると思うのです が。 ○山本経済課長補佐  まさにそのどういったところまで求めていくか、今回参考資料として付けさせていただ いておりますけれども、過去のこれまで言われている指針等々踏まえて、この医療機関間 で実施する場合についてどういったものを求めていくかということをご議論いただければ と考えております。 ○早川委員  私の理解では、今臨床研究というか、要するに臨床的に再生医療を扱っているのに3つ のケースがあると思うんですね。  1つは、まさに、医療法の範囲の中で医師の裁量でやっていると。同じ病院の中で医師 が患者さんとの関係において、診療行為としてやっていると。これが1つあると思います。  それからもう一つは、幹細胞指針という、国がつくった指針にのっとって、それでその 幹細胞臨床研究をやりますということで、やられているというのがもう一つのやり方とし てあると思うんですね。  それから3つ目は、薬事法の中でやっているという、この3つの再生医療のやり方が今 あるんだろうと。明確なのは、今回の議論は薬事法以外、つまり最初の2つのことを指し ていて、しかも最初の2つに関しては、医療法の中だということなので、責任を持ってい る医師が、患者さんに対して医療行為をするということに関しては、違いはないわけです ね。しかもその細胞の加工自体もその病院の中で独自にやるということが前提になってい るんだろうと思うんですね。  それを他の病院と共同してやるようにできないか、できるのかと、そういう議論だと思 うので、先ほどの例えば産総研だとかその他の研究所は、そういう医療法の範囲の中の行 為としての製品をつくるところに入れるのか入れないのか、その際の基準は、という、そ ういうことを議論すればいいんじゃないかと思います。  医療法の中では、全く別の医療機関が加工という行為だけをすることが可能なのかどう か。実際に臨床研究をやっている病院の中ではなくて、その病院以外のところでできるの かどうか、その際の基準は、という議論。  最後の話が出てきたのは、多分このCPCを持っているような機関というのは非常に限 られていて、他の小さな病院では、患者さんがそういう医療機会に接することができない と。そうすると、そのCPCを持っているところと共同研究というか共同体制をとること によって、その施設を持たない病院においても、患者さんが臨床研究なりそういうものを 受けられるようにできないかと、こういう話しじゃないかと思うんですけど。分ければ医 療法の中でのCPCの基準の話と薬事法の話だというふうに思いますけど。 ○永井座長  今の基準、再生医療のときの細胞調整の安全性基準というのは、どの参考資料でしょう か。参考資料の4でしょうか。 ○山本経済課長補佐  先生ご承知のとおりで、ヒト幹細胞臨床研究に関する指針であれば、3になろうと思っ ておりますし、それ以外薬事のものについては、4から6等々出ておろうと思っておりま す。 ○永井座長  いかがでしょうか。 ○大和委員  ちょっと1点違うことなんですけれども、幾つかの配布資料には再生医療というふうに 書いてあって、幾つかの配布資料には再生・細胞治療というふうに書かれていて、細胞治 療というのが何を指すかに関してはいろいろ議論があるかもしれませんけれども、私ども の考えでは、がん免疫療法のようなものが細胞治療として非常に代表的であって、仮に組 織をつくらなかったとしても、幹細胞、造血幹細胞等々を注射等々で入れるものは再生医 療と見ていいんじゃないかというふうに思ったりもするんですけれども、若干、再生医療 の関係者の中でコントラバーシャルなのは、がん免疫療法みたいなものを同じ土俵で議論 するのかしないのか、あるいはするとしたら、どういうふうなことを注意しながら議論す べきなのかについて、もしも事務局のほうでお考えがあるようでしたら、先にお示しいた だきたいと思うんですけれども。 ○山本経済課長補佐  まず、本当にこれは実態を踏まえてご議論いただければと思っておりますけど、一義的 に免疫細胞療法を意図的に排他する理由はなかろうと思っております。必要に応じて。こ の枠組みの中で議論できるものであれば、同じように議論していくことは可能ではないか と思っております。 ○大和委員  基本的には、むしろ入れて議論したほうが、できるならばありがたいという認識でよろ しいですか。 ○片倉委員  今のお話ですけど、基本的には加工した細胞を移植する、それを全部一律に扱うという 議論でよろしいんですよね。単純な細胞移植以外の、ある加工をした細胞を移植すると、 それはこの場で全部並べて議論すると、そういう理解ですね。 ○永井座長  よろしいでしょうか。また、議論の中でこの問題を検討していきたいと思いますので、 ひとまず意見をここで締めさせていただきまして、既にご自身の大学施設等でCPCを運 営されていらっしゃいます委員の先生方に、医療機関におけるCPCの実態についてご説 明をお願いしたいと思います。  澤委員、前川委員、森尾委員、大和委員の順番でお願いしたいと思います。 ○澤委員  大阪大学心臓血管外科及び未来医療センターの澤でございます。  今日は私ども、日ごろ行っております再生医療もしくは細胞治療、これを主体的に行い ますセレプロセッシングセンターについて、私どもの経験を踏まえてお話しさせていただ きますが、私、今日お話しさせていただく問題点、課題等について、今日のこの会議とい うのは非常に重要で、こういう会議を持っていただきました事務局、厚生労働省に深く感 謝申し上げます。特にこの資料4につきましては、非常に先進的な考え方で、私たちとし ても、私たちの未来セレプロセッシングセンター今後どうしていくか、もしくはひいても っと大きく考えれば、我が国の細胞治療、再生医療、またこういう医療の産業の発展等に ついても非常に重要な位置付けになるんではないかというふうに考えております。  ご存じのように私どもは、東京女子医大の岡野先生の開発された、この温度応答性培養 皿という技術を用いまして、これまで他には救う手段がなかった患者さんをこの筋芽細胞 シート、患者さん自身の細胞で培養してシートをつくって、治療をして、実際に人工心臓 を離脱しまして、現在も1年半以上経ちましたがお元気にされております。  このような技術を私たち確立してまいりましたのは、大阪大学未来医療センターでござ いまして、これが2002年から設置しておりますので、ちょうど6年目を迎えております。 やはりこの施設の中心の施設は、セルプロセッシングセンターでございます。実際、セルプロ セッシングセンターは300平米ほどでございます。  未来医療センターのプロジェクトは現在11走っております。すみません、手元の資料が 随分違いますので、その点はご了承ください。お手元の資料は単に参考にしていただきな がら、スライドのほうを見ていただければと思いますが、11のプロジェクトがございまし て、このうち9つのプロジェクトが細胞を培養するプロジェクトでありまして、すでに終 了しているプロジェクトもございますが、私たち心臓も含めまして、角膜ですとか骨、軟 骨、それから脊損の治療ですね、その他、がんの免疫療法に対する細胞の培養法も行って おりまして、恐らく日本の大学機関のセルプロセッシングセンターの中で最も多種の細胞 を培養している施設だと思います。これまでに40例以上の患者さんに、自己細胞を培養し まして治療を終了しております。  このようなセンターを推進していくに当たって、もしくは未来医療臨床研究を進めるた めには、いろんなステップがございまして、もちろんプロトコルの作成から、抽出細胞治 療が中心でございましたら、セルプロセッシングセンターの運営というのが非常に重要に なってまいります。実際、未来医療センターは、今24名がこのように臨床研究を支えてお ります中で、CPCの技官等含めますと、感染症技師もそうですので、3名がこれに当た っているということでございます。  未来医療センターのセルプロセッシングセンターは、4つの部屋がございまして、それ ぞれがキャビネット内をクラス100になるように、一方通行のインターロックシステムで運 営しておりまして、これで全体で300平米ございまして、同時に4人の患者さんの細胞培養 を可能にしております。  センターの運営体制としましては、品質管理者、品質責任者ですね、それから製造責任 者、それから施設衛生管理責任者を中心として、それから文書管理責任者ですね、このよ うな各責任者がこのCPCの管理運営を行っております。  フローとしましては、このプロトコルを作成して、最終的にスタートする前にコールド ランを行いまして、実際にスタートするわけですけれども、GMPに準拠した、これが、 先ほど議論がありました、どのレベルのGMPかというのはなかなか難しいところがござ いますが、やはり患者さんの安全性を最も重視して行っておりますので、私どもは企業の 方が参加していただいても可能なレベルに、このGMPに準拠した形でCPCを運営して おるということでございまして、その背景には、やはりしっかりしたSOPを作成しまし て、それからどの工程にこの細胞の培養が進んでいるかということを、常に管理するよう なことを行っております。  この辺りはちょっと詳細は飛ばしますが、そういうことでこのCPCを運営する上で、 この細胞を製造するに当たりましては、ハード面としましては、今申しましたような構造 設備が必要でございますし、あとソフト面では、品質管理マニュアルSOP等いろんな文 書が必要でございますし、最終的には記録書も必要であります。そのために、これらの工 程を一元化したコンピューター管理を行うと、しかも、そのCPCの条件をモニタリング して、そのモニタリングが全て同時に記録されて、培養中の工程を全て管理・記録しなが ら、しかもその細胞がどのプロセスまで進んでいるかということを一元的に見られるシス テム、すなわち工程管理システムというものをサンヨーさんと一緒につくりました。これ が今、日本のCPCの土台になっているというふうに聞いておりまして、全国で今、大学 等のCPC機関は60以上あるというふうに聞いております。  それぞれの細胞調整室とシステムのサーバーとをつなぎながら、またモニタリング等つ なぎながら、先ほど申しましたような一元的な管理、それから各細胞をバーコード化して、 そのバーコード化による細胞の取り違えを防止ということも、この機能の中に含めている。 一番最初に私が心配したのは、その細胞の取り違えということでしたので、それを一番重 視しながら、かつ安全性を確保するためにこのコンピューターシステム、ソフトをサンヨ ーさんと一緒に開発させていただいて、これが今、全国のCPCの基準になっているとい うふうに聞いております。  このようにCPCを行っていくに当たって、いろんな苦労した点がございまして、汚染 防止、それから品質の保証システムですか、それから人為的なミスを食い止める方法、こ れらを大変重視して、先ほどの工程管理システムをつくりましたが、これらがまさにこの GMPに準拠するための要件であって、そのための施設基準、それから人員基準というも のを非常にボトムアップ的に整備してまいりました。  今日申し上げたいのはここからなんですけれども、CPCの課題として、現在私どもの 部屋4つあります。300平米のCPCの運用経費は3,000万円でございます。大体、11のプ ロトコルがあって、これは運用数をもっと増やしていくことで、もちろん患者さん1人当 たりの経費というのは落ちてくるわけですけれども、現状のランニングでいきますと、昨 年は10例しか行っていませんので、1例300万円ぐらいかかってしまっているということで すね。これをどうやって活性化していくというのは、私、センター長として非常に悩まし いというか、力の入れどころだろうなというふうに思っています。  それから、先ほど申しましたGMP基準というもの自身が、本当に世界レベル、もしく は企業レベルで通用するように整備・維持をしないといけないということですけれども、 これらのハードルが高ければ高いほど、今後、このCPCというのは全国に60もあって、 運用していけるのか。案じているのは、このまま放っておくと、今、公的な資金というも のがかなりCPC設置に回っているんですけれども、本当にそれらが切れてくるころには、 細胞培養室がいつのまにか倉庫になってしまうようなこともなりかねないのではないかと。  CPCの運用として私が目指すのは、やっぱり細胞工場ですね、セルファクトリーとい う考え方をしております。ですから、大学の細胞培養施設であっても、このCPCをこれ だけ整備してきていただいたわけですから、そこから細胞を出荷するようなこのシステム に持っていかないといけないんではないかと。  そういうことで、先ほどの資料4にもございましたように、まずは、他施設に、他の医 療機関に細胞を出荷できるか、要するに細胞の加工を請け負ってできるか。それから最終 的には、加工企業、加工を業種とする企業が、我々のCPCを使ってもらえないか、もし くは、使ってもらってでも耐えられるようなレベルにして、このCPCを運用しないとい けないんじゃないかというふうに考えている次第です。  このようなことをしていくのに何が必要かというと、まさに先ほどの資料6にございま したような、施設の認定とか、それから加工する技術員の認定というもの、それからプロ トコル、それからプロトコルが実際に走ってからの評価というものも非常に重要だろうな というふうに考えております。  私ども再生医療学会、私は再生医療学会の理事をさせていただいておりまして、臨床研 究ガイドライン委員会の委員長をさせていただいていて、大和先生もその委員なんですけ れども。ここで議論しておりますのは、こういうふうな認定に関して、学会が1つの役割 を果たせないかということでございます。例えて言いますと、人工臓器学会も体外循環技 師の認定制度を有しておりまして、そこで認定の試験を行ってセミナーを行ってそういう 認定を行ったりしていますので、再生医療学会自身も、ぜひこういう産官学の連携の中で、 学会としての役割を果たさせていただければということを考えておりまして、今年の1月 に第1回の臨床研究ガイドライン委員会を設置いたしました。昨年に発表されましたこの 規制改革案が、今日の会議の流れになっているというふうに私も認識しておりますが、こ の規制改革に対して再生医療学会として、この3月にございました総会のときに、理事長 の提言でこの改革を指示しながら、我々がこの新しい規制改革の中で再生医療学会として 果たす役割はないかということを現在議論しております。  ディテールにつきましては、もちろんこれからでございますが、先ほどのお話にもござ いました、この細胞培養の他の医療機関での培養行為について、段階に分けて緩和提案、 第1段が本日の議論にもあるような医療機関同士、それから順を追って外注、加工業認可 等、それから企業の技術派遣等というものを具体化していっていただければ、それに再生 医療学会としてどう関連できるかですね。  再生医療学会自身は、研究者、医療従事者のみならず、企業の方も参加されております ので、一緒になりまして、このシステムの推進に協力させていただければというふうに考 えております。  どうもありがとうございました。 ○永井座長  どうもありがとうございました。ご質問、ご意見は、また後ほどまとめてということで お願いしたいと思います。  次に、前川委員からご説明をお願いしたいと思います。 ○前川委員  京都大学の前川です。よろしくお願いします。  私は京都大学におけるこういう先端医療開発と、GMP規制に対する基本的考え方とい うことでお話しさせていただきますけれども、まず順番ですけれども、京都大学が考えま す、GMP規制に関する基本的な考え方を述べさせていただいた後で、今、京都大学でど ういうようなことを行っているかというふうなことを説明したいと思います。  皆さんも分かりますけれども、日常の医療で使っているこういう錠剤や注射剤というの は医薬品として認められているわけでありまして、これはGMPによる規制でかかってき ちんとしたものがつくられております。それから一方、この血液製剤、例えば赤血球濃厚 液というものも、これもGMPによる規制で、医薬品でこの場合はありますけれども、G MPによる規制がかかっております。  それでは、この細胞治療に用いる細胞というふうなのはどういうふうに考えるべきなの か、どういうふうな規制の下にあるべきなのかというのが今日の議題かと思います。  一つ簡単な例を挙げますと、院内製剤としての血小板製剤というのがあります。血小板 製剤は、一番その血液製剤の中で、この中に含まれます血漿によるアレルギーなんかで副 作用の多い製剤であります。それで、血小板濃厚液ですね、これがA病院に行くというと きには、ここは薬事法でGMPのそういうレベルで製造されて病院に行って使われます。 ところが、これ副作用が多いものですから、ある患者さんに関しては、これを生理食塩水 で血漿を除いてそれで投与することがあります。そうしますと、副作用が全くなくなりま すので、こういうふうなことをやっております。  これを同じ病院の中で使う場合は、これはいわゆる医療法、院内製剤としてこれはオー ケーであります。ところが、これを他の病院に定期的に、いわゆる生業というわけではな いんですけれども、定期的にこれを持っていくと、B病院で使うというふうなことに関し ましては、もしこういうふうなことをすると、今のところはやはりこれは余り認められな いということであります。  今日の議論は、ここで、このA病院でこの血小板濃厚液を洗浄するシステムがいわゆる、 例えばですよ、GMPに準拠したようなものであった場合に、ここのB病院へ持っていっ ていいかどうかと、そういう話になります。したがって、こういう持っていかせるために は、このCPCの施設基準、あるいはCPCの人員の基準、安全対策の基準をどうすれば いいかというのが、今日のこの検討会の根本であろうかと思います。これは単純化した、 いわゆる血小板製剤についての話であります。  それで、先ほどからGMPという言葉が出ておりますけれども、GMPには今2種類あ ります。私のスライドはそのままなっていますので、見ていただければ結構でありますけ れども、医薬品GMP、それから治験薬GMPというのがあります。微妙に違います。  例えば医薬品GMPのほうは、製造管理者は薬剤師であるべきだとか、あるいは、そう いう製造用の水の供給設備は、医薬品GMPでは持たなけいといけないけれども、治験薬 GMPは外から持ち込んでも構わないと、それはGMPグレードのものを持ち込んでもい いと、そういうふうな違いがあります。  そのほかに、これは後で少し述べますけれども、いわゆる私が昔というか、10年ほど前 に言っておりましたことですけれども、いわゆるiGMP、institutional GMPという ふうなことで、これはほとんど治験薬GMPと同じでありますけれども、細胞治療に特化 したものと考えていただければいいかと思います。  で、GMPの3つの目的としては、均質性を保証すること、それからマーケットに出た 場合に治験薬と同じものであるという同一性を保証すること、それから、ここが大事であ りますけれども、不良な治験薬から患者さんを、被験者を保護すること、そういうふうな ことで、治験薬GMPというのは目的がうたわれております。  それで、ただ、治験薬GMPと医薬品GMPというのは少し違います。マーケット、患 者さんの対象も違いますし、したがって治験薬GMPの製造に置いては、製造ロット数が 少ないこととか、治験の進行に伴って製造施設とか設備が異なっているということが配慮 なされて、簡略化と言っていいのかどうか分かりませんけれども、少し違います。  それで私が言いたいのは、治験薬GMPと私が言っています、後でフェーズI・GMP の話も出しますけれども、いわゆる細胞治療に特化したこういうGMP。治験薬GMPと ほぼイコールと私は考えております。  今、日本ではいろんな新しい治療法を開発しようとした場合、こういうふうになってい ます。アメリカなんかでもそうなんですけれど、製薬企業であるものを開発しようとした 場合、これがうまくいきそうだということがあると、どん、とこういうふうに進みます。 アカデミアのほうでは、いろんなものがこれはいけるいけない、そういうふうにうろうろ しておりますけれども、そこで、これはいけそうだというふうな場合、アメリカでは、こ ういうふうになります。すっと、このフェーズIIのほうに移っていく。これはなぜかと言 いますと、ここのレベルですね、アカデミアでやっているそういうレベルも、いわゆるF DAがGMPをきちっと指導して品質を保証している、品質のいいものをちゃんとつくる ように指導しているということであります。  ところが、日本の場合は、今までは大学で買ってといったらあれなんですけど、院内製 剤として医療法の範囲内でつくっていると。ところが、ある程度これはうまくいきそうだ といって、開発したいと言って、PMDAに相談に行っても、そんなのここはきちっとし てないじゃないですかと、もう一遍最初からやってくださいと。この遅れが、日本の先端 医療開発とかいろんな創薬の開発で遅れの原因であります。  それと、もう一つ、医師指導型の治験というのがありますけど、これは既承認、既に承 認された薬でありますから、それはGMPグレードのものができている。それの適用外使 用というふうなことでありますけれども、問題はここを、やっぱり治療用グレードの分子 とか、あるいは細胞の製造室でもきちっとして、それから早い段階からPMDAと相談を して、やはりこういうふうなレベルへ持っていかないと、日本の医療開発はいつまでたっ ても遅いというところであります。  私が言っていますのは、先ほど澤先生のほうで、最初のスライドにも少しあった図とほ ぼ同じでありますけれども、いわゆるこのトランスレーショナルのところから、フェーズ IIIにいきますまでにこういう段階的なステップワイズなアプローチが必要であろうという ところで、要するに細胞と錠剤とではプロセッシングが異なると。それから、大学で少数 例を対象に行う薬事法外のトランスレーショナルリサーチには、医薬品のGMPとは少し 違ってもいいというふうなこと、それからこういうフェーズが進むにつれて、GMPのレ ベルを上げていくべきだということ、それから一番大事なところは、再生医療のトランス レーショナルに使うのが、院内製剤であるとしてでも、患者さんのためには、やっぱりち ゃんと安全を保証する必要があるというふうなところであります。  それで、私このiGMPと言ったんですけど、実は、これはFDAが2008年7月に公表 したPhase 1 GMPと同様の概念であります。これは後で少し述べます。  ここで少し混乱があるんですけれども、トランスレーショナル、こういうふうな先端医 療開発のところのGMPと、それから考え方と立場に立つ者と、我々ここでありますけれ ども。それから企業が、ここでこういうふうなレベルで考えるのと、今日の議論はここを しっかり分けておかないとややこしくなるというところがあります。  それで、もう一つは、要するに改正治験薬というものがあります。これに関して読みま すと、治験の各段階に応じた治験薬の品質保証。ここでステップワイズアプローチの考え 方が入っていると私は考えています。これは昨年の7月に公表されているものであります。  あと、改正薬事法で要求されるGMPの中で一番重要なのが、このバリデーションとい うところであります。バリデーションにはこれだけの種類のものがあります。  これを順番に、本当にできるかどうかいろいろ調べてみたのが、その次の図であります。 細胞治療とそれから再生治療、細胞と錠剤は違います。錠剤でいわゆる医薬品のGMP、 あるいは治験薬でも、錠剤のほうのGMPと細胞治療のGMPでできないところがありま す。例えば、血液製剤あるいは細胞治療製剤、ロットを構成するものもありますけれども、 多くのトランスネーショナルリサーチではロットを構成しませんので、1ロット、1ドナ ーであります。したがって、このプロセス・クオリフィケーションというのができないと いうところがあります。  それから、プロセス・バリデーションというのがあって、これは例えば、京都大学では 膵島移植を行っております。要するに、ものを用いて練習をしなさいということでありま すけれども、ドナーさんからいただいた膵臓を用いた練習は、これはできない、そういう ふうなことでこれは無理であります。それから、ここはあと、ウイルスのそういう除去を どのようにして考えていくかという、そういうクリーニング・バリデーションもなかなか、 細胞治療に関して難しいところがあるというところであります。  特にこのプロセス・バリデーションに関しては、予測的、前もってバリデーションする ことは、細胞治療の場合はこれはむずかしいです。したがって同時的とか、あるいは懐古 的なそういうバリデーションになってくるというところであります。先ほど申しましたけ れども、2008年の7月にFDAのほうから「CGMP for phase 1 Investigational Drugs」 というものが出ております。これを見ますと、先ほど述べました、ステップワイズアプロ ーチの重要性を言っておりますし、細胞製品とか、バイオロジカルプロダクトもこういう ふうなのに乗っていきなさいよと。  要するにFDAとしても、先端医療開発を行うためにやはりなかなかフルGMPだけで は難しいということで、トランスレーショナル・リサーチのところは、フェーズ 1 GMP でいきましょうと、少しずつフルGMPとは違うところがありますと。  で、これから京大のほうの話ですけれども、京大はこういう細胞センターがあって、こ れだけのプロジェクトを進めております。こういうふうなこと、いろんなことが極めて大 事であると、GMP細胞プロセッシングを支える、特に私は、人材の育成と先ほど澤先生 もおっしゃいましたけれども、人件費ですとかいろんなそういう費用ですね、これが非常 に重要であるというところです。  京都大学の中では、プロジェクトは今これだけ進んでおります。膵島移植、樹状細胞、 骨再生、それから自家培養真皮、これが再生医療のところでありますけれども、その他に 血液治療内科と一緒にそういう移植のほうの細胞の処理も行っております。  これが、平面図でありますけれども、大体、床総面積が223平米、阪大より少し小さいの でありますけれども、3つ培養室があります。それで、大体人件費だけで1,500万かかって、 有期雇用2名と時間雇用4名。その他にいろんなものがあります、そこに書いてあるよう に。  総計3,620万、これは別に澤先生と申し合わせたわけではありませんけれども、ほぼ何か 一緒だなというところで、ただし、光熱費とかあるいは共通の消耗品は、これは京大病院 のほうから出ておりますので、算定はされておりませんけれども、このぐらいで今やって いるというところであります。  今日の議論に対する京都大学からの、これは答でありますけれども、加工医療機関にお ける設置されるCPC、それからここにずっと読んでいただいたら分かるかと思いますけ れども、要するに医薬品のGMP、それから治験薬のGMP、やはり大学で行うトランス レーショナルリサーチに関与をするものであっても、やはり治験薬GMPとしてのきちっ としたものをやっていかないといけないし、それをいわゆる生業として大学の医療機関が やるときには、これはやはり医薬品のGMPがいいだろうと。  医薬品のGMPと治験薬のGMPとそんなに大きく、私は変わると思いません。だから、 やっぱり極めて、きちんとしたそういうシステムを構築していく必要があろうかと、そう いうふうに私は思っております。  以上です。 ○永井座長  ありがとうございました。  引き続き、森尾先生にお願いいたします。 ○森尾委員  東京医科歯科大学の森尾でございます。  この検討会は、特に複数の医療機関における共同診療について正面から議論ができると いうこと、もう一つは、薬事規制の対象にならないような再生医療、細胞医療ということ について考えるという、非常に私どもが今までもやもやとして問題にしていた点が議論さ れるということで、非常にうれしく思っております。  重要な論点に関しましては、今お二方、澤委員、前川委員から提示されたように思いま すが、私どもの細胞治療センターについて、まず施設のことをお話しいたしまして、それ から、品質保証という点について少しスポットライトを当てながらお話をしたいというふ うに思います。  私どもの細胞治療センターはこんな施設でございますが、126平米ということで、(4施 設の中では)一番小さな細胞治療センターでございます。部屋が4部屋ございますが、1 つがP3対応ということで陰圧になっておりまして、感染性の細胞も調製できるという施 設でございます。  構造は、皆様と大体同じような形になっていると思います。ワンウェイということが非 常に重要でありまして、この3つの部屋に関しましては、サプライ室、ガウニング室から、 作業して外に出てオートクレーブをかけて、細胞をしまって出てくるというワンウェイに なっているという状況でございます。  ここの部屋は、マイナス50パスカルということで、感染性細胞調製室でございまして、 例えばHIVの患者さんの検体もこちらで扱うことができ、空調はオールフレッシュであ ります。陰圧になっている以外にはオートクレーブが中に入っているというだけが違う点 でありますが、陰圧が余り強いと、一部再コーキングが必要になったり、様々な施設上で 頑強性の点で問題になるようなことがあるというふうに最近感じております。  こちらの施設でございますが、2002年の2月ですから、大体7年前に、高度先進医療開 発経費によって、医学部の附属病院に設置されました。したがってこれは医学部附属病院 の院内施設という認定でございまして、4月に認定されております。  人員でございますが、私がセンター長を務めておりますが、管理スタッフを含めて全て 併任ということで、専属のスタッフがいないという状況になっております。  技術補佐員が2人、共同研究員というのはこれは企業の方が入ってきていただいて、4 名、培養を含めて作業していただいております。事務補佐員が3名でありますが、全て研 究費からの支払いという形になっております。  私どもは、先ほど前川委員のほうから話がありましたが、GMPという基準を最初勉強 しながら、とてもGMPを満たすことが難しいということで、最初からISO9001を取得 しようというふうに考えました。14年の2月にセンターを開始しまして、それから資料を 作成開始して、大体1年3カ月ぐらいかかって、ようやくISO9001の運用を始めること ができました。それから6カ月ほどして認定を受けたという状況でございます。  このISOシステムというのは、PDCAサイクルということで、品質マネジメントシ ステムがちゃんと動いているかどうかということを検証できるという点では1つの優れた モデルかというふうに思っておりますが、内部監査で私どもの中で問題点を見つけたりと か、あるいは定期的な審査で外部の方に審査していただく、それから最終的にマネジメン トレビューと続き、年に3回行うというサイクルを繰り返しながら、だんだんグレードア ップした品質基準をつくったりとか、管理体制をつくるという試みをしております。  先ほど前川委員のほうから話がありました、バリデーションという設備、機器点検、構 成という意味でのバリデーションですが、これは年に1回、9月から10月、300万円ぐらい かかる状況になっております。それ以外に定期検討会ということで、週に1回皆が集まっ て、培養について考えるという機会を設けております。  これはもう非常に一般的になりましたが、指図書、記録書をお示ししております。こち らウィルス試験記録書で、これは全ての再生医療、細胞治療に共通のものとして使ってい る内容でございます。  組織体系と文書体系、これも先ほどからの説明どおりでありますが、学長、医学部附属 病院長の下にセンター長がありまして、管理責任者は製造管理責任者、品質管理責任者が 分かれて、製造管理責任者に関しては製造及び教育などの問題を担当し、品質管理責任者 に関しては内部監査とか、あとは品質管理、いわゆる試験ですね、ちゃんとした製品がで きているかという試験の辺りをチェックしていただくと。あるいは、衛生試験の確認とい うこともしていただくというふうなことになっております。  マニュアル体系図はお示ししたとおりで、一般的なものでありまして、品質マニュアル の下から第一文書、第二文書、SOPという構造になっております。  品質保証体系をつくっておりまして、受入れから出荷まで、プロセスに分けてそれぞれ 担当者と承認する文書とそれに対する文書という形でつくっていて、その文書がかなり大 部なものになっていて、こういう体系をつくりながらISO9001という形で2004年の2月 から認証を受けて、それに従って細胞調製をしているという状況であります。  私どもが行っているような再生医療、細胞治療はあまり多くはないのですが、その1つ が、体外増幅ドナーCD4T細胞輸注療法という方法でありまして、これは特に臍帯血移 植の後には、いろんな生着不全だとか感染症の問題が起きたときには免疫療法がありませ ん。そこにCD4T細胞を増やして投与しようという方法であります。非常に原始的な細 胞治療の1つであろうかと思います。  移植後の問題としましては、日和見感染症など思いがけない感染症に遭ったりとか、生 着しない、ちゃんと着いてくれない、原病が再発する、全て二次性の免疫不全症が問題に なっておりますので、ここに免疫学的な再構築を図るという意味で、T細胞を入れるとい う方法で、最近は特異的な細胞傷害性T細胞も入れるというふうな方法も模索している状 況であります。  もう一つの柱としているのは、滑膜由来軟骨再生療法でありまして、これは関節鏡で検 査したときに滑膜を採ってきてそれを培養して、大体10の数乗倍ぐらいまで増えるのでし ょうか、かなり増えるというふうに言われていますが、これを培養して戻してあげるとい う方法であります。これも手順書をつくって品質管理をして作っています。これは運動器 外科が中心となって行っている医療であります。  医科歯科大学で行っている再生医療・細胞治療は、黒字が実際に動いているものであっ て、青字がこれから参入してこようとするものであって、赤がその前の段階の基礎の研究 というふうになっております。今までのご紹介のあった施設に比べれば、プロトコル数は 多くはございません。  さて、問題になる点の1つとして、品質管理・安全保証体制じゃないかと思います。私 どもの細胞治療センター、無菌培養施設というのは、2002年に完成しておりますが、文書 体系・組織体系というものをつくりながら動かしている中で、最終的に問題になるのは、 これからやはり品質保証・安全保証だということで、微生物検査法だとか、製品標準適合 性試験とか細胞変異原性試験、ここら辺をしっかり確立していかなければいけないという ふうに思って研究を進めている状況であります。  2つほどご紹介いたします。私どもが行っているのは、網羅的な迅速ウイルス検査とい うものでありまして、これは培養した細胞でウイルスがいないということを証明する試験 でありますが、20種類を20コピー以下の感度で2時間以内に2,000円で済ませようというシ ステムであります。これは、図を示しただけでありますが、こんな感じでウイルスが捕ま りますよというのを示しただけですけれども、実際に調べますと、これはお手元の資料に はございませんが、例えば非常に単純な増幅T細胞治療というふうなものを行っても、末 梢血受入れの段階でこういうウイルスを調べると、2割ぐらいでウイルスが捕まってまい ります。これは、感染症の方も含まれていますから当然と言えば当然なのですが、これを 増幅して投与前に検査すると、やはり1割ぐらいでウイルスが捕まってきます。それはE Bウイルスとか、サイトメガロウイルス、HHV6、7、BKウイルスというようなウイ ルスが捕まってくるということで、このような細胞治療に関しては、やはりウイルス検査 というのは必須のものの1つではないかと考えている状況であります。  これは、取り違いを防ぐことが重要だというふうにお話がありましたが、個人識別検査 でありまして、いわゆるショートタンデムリピート法というのを使って、個人を識別して いるということを示しておりまして、これは全例で行っているわけでありませんが、ちょ っとややこしい、あるいは複数のものが同じ部屋に入っているような状況の場合には、こ ういう試験を考慮しているという状況にあります。  ということで、再生医療・細胞医療製剤に必要なものは、安全性の担保と、あとは品質 保証だというふうに考えております。その柱は4つでありまして、微生物の検出、変異原 性の試験と、長期毒性・有効性の検証。もう1つはどういうものが患者さんに提供する標 準的な製品なのかという、そういう標準化であります。ここら辺でかかる費用は非常に高 い、非常に金額がかかるところだと思っておりますので、私どもは、微量測定、高感度、 多項目、迅速、低価格というシステムを満たしながら、何か貢献できないかというふうに 考えております。  これは最後のスライドであります。これは班研究の中で行っている、品質保証、細胞標 準規格設定、安全性の評価というものを行うということを示したものであります。これは この前の班会議で話してきたことでもあるのですが、問題になっている、私どもが常日ご ろから何とかしなければというふうに思っている問題が幾つかございます。  一つはやはり、細胞調製施設を維持・管理するのが非常に大変であるということがあげ られます。あとは、どういう人員を教育して、どういう方が新しく入ってきていただける かということが、非常にいつも頭を悩ます問題であります。  もう一つは、基礎臨床研究、産学官連携体系というのが、これがなかなか構築しやすい ようでしにくいという状況があるので、ここで何とかいい関係ができればというふうに考 えています。  もう一つは、患者さんの移動というのがなかなかできないことがございます。したがっ て、細胞を輸送搬送するという問題が起きたときに、これどういうふうな形で安全性を保 証できるのかと、いつも頭を悩ます問題であります。  最終的には、今日の議題に出ておりますが、法規制をどうしていくかと、薬事規制の対 象とならないような再生医療・細胞医療ができれば、これは本当にこれからの再生医療の 進歩に非常に重要なステップになるんじゃないかというふうに考えております。  話は以上でございます。 ○永井座長  はい、ありがとうございました。  では、続きまして、大和委員からお伺いいたします。 ○大和委員  女子医科大学の大和といいますけれども、よろしくお願いします。  ツインズ(TWIns)CPCというふうに書いてございますけれども、昨年の3月に 新聞・テレビ等々で一部報道していただいたので、ご存じの方も多いかと思いますけれど も、東京女子医科大学と早稲田大学さんとで、延べ床面積で2万平米以上の地上3階、地 下2階の建物をつくりまして、それをツインズというふうに言っています。このツインズ をつくる前に、6年前に女子医科大学で、私学助成のハイテクリサーチセンターというプ ログラムがありまして、半額助成で半分国から補助をいただけるということで、100平米の CPCをつくりまして、現在それを用いて食道の臨床研究をやっているんですけれども、 この機会を逃すと、次にCPCをつくれるチャンスは多分女子医科大学の中ではないだろ うということで、このツインズの中にも新規にCPCをつくりました、まだ実際、臨床研 究とか始まっていないんですけれども、それについて説明させていただきたいと思います。  さきにお話しすると、この新しいCPCの面積が、CPC入れて270平米、管理エリアで 50平米あるんですけれども、今年の平成21年度の予算で、人件費抜きで、光熱費込みで 4,000万円積んでございまして、多分4,000万円ぐらい維持費がかかるだろうというふうに 考えています。結構、最初の100平米のCPCが小さいというか狭い、中に入って長時間作 業すると非常に閉塞感があるということで、操作室を比較的大きくとりまして、他の部屋 も構成はそっくりなんですけれども大体大きくしたので、実は2プロジェクトしか使えな くなっています。真ん中に、ここに調整室があるので、もしもここも使うとすると、3つ 走れるようなそういうシステムになっています。既に、澤先生、前川先生から詳細なご説 明があったと思いますので繰り返しませんけれども、一応こういうような観点でCPCを 設計いたしました。  実際の設計は、国内のカテーテルをつくっているメーカーでGMP担当だった人間を1 人迎えて、それからサンヨーさんと、実際の施工は日立プラントさんなんですけれども、 この辺でいろいろもみまして、こちらの100平米のほうが6年前につくった古いほうのCP Cなんですけれども、ここでの経験を基にいろいろな工夫がされています。結構細かい数 字を添付資料のほうにも書き込んでおきましたし、実際まだ運用しておりませんので、も しもご希望があれば、見学等々にも対応できると思いますので、ぜひ興味をお持ちの方は 来ていただければと思います。  ここに清浄度対策ということで、緩衝室というのを設けてございまして、ぱらぱら漫画 でいろいろ絵が出てきますけれども、こんな感じで人間が入っていきましてやっていきま す。組織・細胞原材料というのはこっちから入ってきまして、こういう道を通っていきま す。当然、パスボックスとかあります。逆に廃棄物、リユース品等々に関しては、また別 の出口がございまして、こうなっております。  ツインズ全体としては、大学病院の新外来病棟というのがあって、そちらのほうに入り 口があるんですけれども、実はその入り口はどんな人でも通ってしまって、早稲田大学と かうちの大学の研究所でも動物を扱う人たちも通ってしまうので、その入り口とは逆側で すね。こっちのほうに建物の入り口があるんですけれども、この面というのが、外に面し ている、裏通り側に面していまして、こちら側から入るように、全く別の入り口を設けて ございます。中はこんな感じです。  最終的な調整品がここから出てくるようになっておりますけれども、後でご覧いただき ますけれども、ここから内部の見学ができるように設計されています。  それぞれの部屋は、まだちょっとこれは稼働していないので非常にきれいなんですけれ ども、非常に巨大なオートクレーブ等々、今までで苦労したところは改善させていただき ました。  後はどの施設でも多分そんなに変わらないと思いますけれども、こんな感じになってお ります。今のところが、外側からここはもう全然CPCの外なんですけれども、見学でき るような、わざとこういう窓とかもつけてございます。この窓は特殊な窓になってまして、 ここだけアクセスできるんですけれども、当然ここからこっちにはアクセスできないよう になっています。  検査区域もございますけれども、最初の古いほう100平米のCPCで臨床研究を行ってい るものに関しては、かなりの部分をエスアールエスさんとの共同研究という形で、エスア ールエルさんに外注で出しておりまして、プロトコル等々に関しては両者で詰めましたけ れども、内部で検査するものに関しては、非常に限ったものにしようと考えています。た だし、一応、原理的にはできるというような体制を整えてあります。  お掃除に関しましても、最初のCPCで、こういう条件でこういう頻度でこういうふう にお掃除すると菌が出てこないという確認する実験を1年以上やりまして、それを基に外 注でお掃除に入っていただいています。これに年間四、五百万円使っているというのが現 状です。これが最後の出荷と廃棄物の搬出ルートですね。  非常に動線管理に関しては細かく気を遣っておりまして、可能な限り交わらないという か、事実上交わっていないというものが実現できています。  当然、モニタリングシステム等々も総ポイント数79とありますけれども、各種センサー、 バーティクルカウンター、湿度、温度、諸々等々から、冷蔵庫の温度であるとか、オート クレーブの温度であるとかそういったものを、リアルタイムで記録しておりまして、現在 CPCとしては運用していませんけれども、今日のこの時点でも記録はとられています。  それ以外にも、100平米のときは小さかったので余り気にならなかったのですけど、今度 大きくしたので、万が一中で倒れている―ということはないと思うんですけれど、そう いうことがあると困るので、長時間滞在する部屋には、基本的にはウェブカメラが付いて いまして、ネット経由で外部からモニタリングできるようになっておりますほか、ここが さっきの見学エリアなんですけれども、ここが廊下になっていまして、廊下から着替える ことなくここにはすぐ入れるんですけれども、ここから窓を1つ介して、ここの作業室に 関しては、背中側から見下ろす形で、作業がどのように進行しているかが見られるように なっています。それ以外に、ここにも窓があって、同じ平行な位置のここにも窓があるの で、ここからまっすぐ見通す形で、ここに人が通ったりしてるのは見ることができます。 全てのモニタリングの情報は、ここの監視エリア50平米のところに集約されておりまして、 2台のPCが同時に動いてバックアップをとっています。こんなような画面です。  以上です。どうもありがとうございました。 ○永井座長  はい、ありがとうございました。  それでは、ただ今各委員からご説明いただきましたお話を踏まえまして、さらにご意見 をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○早川委員  ちょっと最初に明確にしておかなければいけないことがあるのではないかと思うんです が、GMPというふうに言葉が出てきます。これは、私がそれほど正確に把握しているか どうか分かりませんけれども、フルGMP、GMPというのは、これは有効性・安全性を 薬事法的に評価して承認をして、承認された有効性・安全性を持った医薬品を、それ以降 もきちっと製造販売業者が品質等々の観点から担保するためにやるものをGMPというわ けですね。それから、治験薬GMPというのは、やはり薬事法の世界の話であって、とり あえず、それで薬事法の中で治験薬として開発していく、治験をやっていくというときに 求められるGMPだと思うんですね。  細胞組織製品については、特色を鑑みて、治験薬GMPであってもできないことはでき ないと、できる範囲でできることをやってくださいというふうな精神で動かしているとい うことが一つですね。  それから、今話題になっているのは、先ほどの医療法の範囲の中でのCPCにおいてど ういう品質で持っていけばいいかと。それは多分、トランスレーショナルリサーチのいろ んな段階ごとに変わっていくものなんだろうと思うんですね。本来のGMPというのは、 有効性・安全性を、いろんな行ったり来たりしながら立証していく中で、品質もある程度 変えていかなきゃいけない、変えていって、最終的に決まったものを保証していくのがG MPですから、ましてやトランスレーショナルリサーチの間では、いろんな形で品質等々 も変わっていくものですから、そういう意味では、いわゆる製造規範はフレキシブルであ るべきものであって、治験薬GMPよりも場合によってはもっとフレキシブルであるべき かもしれないと思います。  ただ、先ほど来強調されているように、患者さんの不利益にならないようにということ が一つと、どういう品質のものを試験に用いたかというか、臨床研究に用いたかというこ とに関しては把握しておかないと、出てきた臨床結果に対する製品の品質との相互関係で すか、因果関係が要は把握できないということなので、そこは押えておく。しかし、明確 にGMPというものと治験薬GMPというものと、これから議論しようとしているCPC における、つまり医療法の範囲の中における製造規範、というふうに言うのか言わないの か分かりませんけれども、それにおける取り決めというか基準はどうあるべきかというの は、ちょっと区別して考えたほうがいいだろうというふうに思います。  これは前川先生がお話しされたことと、割と近いような話かもしれないと思いますけれ ども、ちょっとGMP、GMPという話が出てきたので、一言申し上げました。 ○大和委員  私も同じ意見で、GMPというのは基本的にプロダクトとリンクしていて、プロダクト 先にありきだと思うんですね。なので、私どもは今日、GMPという言葉は使っていない と思うんですけれども、どうしてもソフトの部分はフレキシブルに対応できると思うんで すけれども、箱のほうに関しては1回つくってしまって、2回目つくって、2回つくらせ ていただきましたけれども、なかなか3回も4回もというのは難しいので、どうしてもち ょっとやや過剰気味に、これでも過剰じゃないかもしれませんけれども、本人たちとして はやや過剰気味につくっておいて、あとでコンプロマイズするというやり方しか、現実に は難しいかなと思って、こういう設計をさせていただきました。  古いほうに関しては、幾つかの企業さんと、CPC内で動かす、CPC用の装置の開発 用のプラットフォームとして活用していこうと考えておりまして、先生がおっしゃるよう に、フレキシブルに機動的に運用していくというようなことは念頭に置いているつもりで す。 ○永井座長  前川先生、今の件について何かコメントをいただけますでしょうか。 ○前川委員  私、一口にGMPといっても、今、早川先生がおっしゃったように、先ほども私述べま したように、そのステップワイズ・アプローチがその製品の段階においてどのように品質 を保証していくか、だからそこが非常に重要なところであります。で、FDAなんかは、 実際に係官が来て、細胞のそういう特性なんかを理解しておりまして、それで指導を行っ ていくんでありますけれども、日本の場合はまだ医薬品GMPと、細胞の特性を考慮した ところをフレキシブルに考えないといけないんですけれども、その辺がどの辺りで線を引 くかというふうなところがまだ難しいところかと思います。  それから私、東大の医科研におりましたときに、iGMPというふうなことを言い出し た張本人なんでありますけれども、その細胞とやっぱり錠剤は違うと、それからトランス レーショナルリサーチと、それからいわゆる企業が医薬品として売り出すようなときのそ のGMPというのは違うであろうということで、iGMPというふうなことを言い出した んでありますけれども、これはちょっと名前が悪かったかなと思います。  というのは、あるそういういろんな施設によりますと、施設で勝手にやればいいという のがiGMPであろうというふうなことを言う人もあります。したがって、やはり要する に患者さんの安全性、品質とそれから先端医療開発の重要性、リスクとベネフィットを考 えた上のそこをすり合わせるというところが非常に重要なんではないかと、私はちょっと そういうふうに思います。  私が医科研で始めました十数年前は、いろんな細胞の培養をアパートの1室でやってい るようなところもありましたし、実験室でやっているものを患者さんに投与しているとこ ろもありました。そういうふうなことをやったらいけないだろうと私は思いまして、自分 で勉強をし始めて、ここまで来たわけでありますけれども、まだ国のそういう枠組みがな いというところで、この検討会である程度のことが決まっていくということが非常に重要 だろうと思います。そういうところです。 ○永井座長  ありがとうございます。 ○澤委員  GMPに関する考え方は、早川先生がおっしゃったとおりだと私も全く思っております。 ポイントは、やっぱりヒト幹細胞の指針でスタートした臨床研究ですね、そのレベルが最 終的に、ヒト幹で、もちろんその臨床研究で終わる場合もあるでしょうし、やはりいいも のは最終的に製品化して、一般医療に普及してほしいと、だれも願うわけですから、ちょ うど前川先生が非常にいい絵を出されていましたよね。  アメリカの場合、臨床研究に最初からFDAがある程度関与しているが故に臨床研究に 行くけど、日本の場合はそれが逆戻りしてしまうと。一からまたというんじゃなくて、せ っかくヒト幹で、非常にこうレギュレーションが適正に行われるようになったんですから、 それを一つのステップにしてつながるような、やはり連続性のある考え方でGMPを最終 的な薬事の中に位置するものと臨床研究に位置するものと、やはりその整合性は必要だろ うと。フルに必要かどうかという議論はこれからまた要るかと思うんですけど、その中で 全く一から出直しというんではなくて、ヒト幹でやった分がやはり治験につながるような 形でないと、そもそもが意味がないですので、せっかくヒト幹細胞の臨床研究が始まった わけですから、それをうまく治験のステップにつながるようなレベルに、GMPというか 安全性基準を持ち上げていかないといけないと。それは非常に強く思うんです。  ですから、レベル云々というよりは、やっぱり最終的には薬事ということを考えた上で、 どの程度までやるかというのがポイントではないかなというふうに思います。 ○永井座長  そのことと、製造を委託するということとの間の議論の接点というのは、どういうとこ ろにあるわけですか。 ○澤委員  ですから、そこは、その臨床研究で終わるなら低くていいというわけではないと。レベ ル的にはやはり、ある程度のきっちりしたものが要るだろうという考え方で、それは最終 的に製品化されるされないにかかわらず、それから研究施設間で、その製品、培養物をや りとりするにおいても、間のトランスポートも含めて、しっかりしたレベルの基準が要る だろうというふうな考え方なんですけれども。 ○早川委員  どういう品質のものを患者さんに投与するか、それについて把握しておくという話と、 GMPの話というのは、ちょっと分けて考えたほうがいいんではないかと。  どういう品質のものを患者さんに投与するかということに関して、いろんなステップも ありますし、グレードがあるんだろうと思うんです。むろんできればその薬事法の話とど こかで結び付いていければいいのかなという気もしますけど、余りそのGMPのような厳 密な話を臨床研究のレベルでとらわれ過ぎると、なかなか逆に難しくなる、先ほど何千万 もかかるとかそういうことも含めて、ちょっとその先端的医療を進めるという意味での、 逆に言えば足が引っ張られることもあり得るかもしれないというふうに思いますけれども。 ○前川委員  早川先生のおっしゃることはそのとおりだと思うので、例えばそのFDAがPhase 1 G MPと、またインターネットでも見ていただいたら全部こう出てきますので、見ていただ いて結構なのですけれども、やはり要するにアメリカでも結局FDAが指導しているんで すけど、なかなかうまくいかないというところで、Phase 1 GMPの中で何を言っている かというと、例えばフルGMPだったら、同じラインである一種のものしかつくれない。 けれども、例えば同じ培養室を使って、時間を変えて他のものをつくれると。  その場合、もちろんその清掃の基準とかきちっとしていますし、それからできるだけデ ィスポーザルなのを使いなさい、それからいろんなことで、できるだけ簡略化をしようと、 しているところがあります。本当にいわゆる、我々も京大でGMPというか品質保証のと きに、ある製薬企業のOBのGMP対応の方に来ていただいて勉強会をずっとしたんです けれども、やはりその医薬品のGMPの考え方でずっと来られるので、「先生、細胞とい うのはこんなのなんですよ。最終的に滅菌したりとかそんなのはできないから、最初から やっぱりきちんとしたことをある程度、その辺が違うんですよ」というふうなことで、お 互いにコミュニケーションをとって勉強していって、今は京大はこのレベルであろうとい うところで、今やっています。  それからもう一つ、私ちょっとこの辺が、実は京大もISOを取ろうとしたんですけど も、ISOとGMPはちょっと違いますので、ISOの例えば認証の期間、ISOはあり ます。でもGMPの認証というようなところに、GMPはポンと判こを押してくれるわけ ではないので、ISOではやっぱりバリデーションのことなんかが中に入っていませんの で、ISOも非常にいいシステムではあるんですけれども、それプラス、GMPの考え方 がある程度要るだろうと私はそういうふうに思って、京大は、ISOはお金もかかります し取っておりません。  ちょっとそんなところです。 ○阿曽沼委員  例えば医薬品のように不特定多数の方々の有効性と安全性を担保する為の、薬事法上の GMP議論と、患者の自己細胞をその患者の治療の為だけに使用し一身専属性を持って、 医師が医療機関として責任を持って治療を行う再生細胞医療の議論というのは、本質的に 少し土俵が違うと考えています。  例えば、横軸に自家細胞と他家細胞があって、縦軸に院内で細胞加工をやるものと院外 で細胞加工をやるものということで論点を整理してみると、この委員会のスタートの議論 は、自家細胞において、院内ではなくて他の医療機関、即ち院外に細胞加工をゆだねると いうことが医療法の枠内で可能ということを議論し確認することでありますね。当然その 院外という定義の中には、企業も将来的には含まれるわけです。しかし企業への細胞加工 の外部委託ということになると、また別の議論が出てくるかもしれませんので、それは次 のステップとして議論しようと言うことだと理解しています。小澤委員のほうからは、パ ラレルに議論しようという発言もありましたけれども、そこはこのような手順で議論し、 その議論の中で考えていければいいと思います。  医療機関が他の医療機関に細胞加工を委託するといっても、医療機関内のCPC施設が 医療機関の要員だけで全て運営できているものなのか、もしくは企業から派遣されている 要員で運営されているものなのか、更には院内の臨床検査部門でも最近では、多くの病院 が企業のブランチラボとして全てアウトソーシングしていますが、細胞加工もそういう形 態でやられているものなのかなど、いろんなパターンが考えられると思います。そういう 中で当然の事ながら、医療機関が行う細胞加工も、安全性というものはキチンと担保しな くてはなりません。その為のガイドラインを作成するに当たって、例えばGMPの基準を ベースにするのか、ISOの基準をベースにするのか、もしくは全く新たな基準でガイド ラインをつくるのか、そういうことをきちんと議論するのがこの委員会の役割ではないか と考えています。  医療機器のGMPは、どちらかというと品目単位で適合性を考えるわけですが、  細胞加工のプロセスというのは本当に品目単位で考えていいのか。細胞加工プロセスを 運営管理する組織単位で議論、認定をすることができるんではないかなど、色々な議論が あろうかと思います。そういったことを踏まえて、今後論点を更に整理して、議論が深ま ればいいなと思っております。 ○永井座長  いずれにしても少し調査をする必要があるだろうという意見がございましたけれども。 ○森尾委員  ISOについてですが、これはあくまでも品質マネジメントシステムでありますから、 その中にGMP的なものを入れ込むということで、あくまでもそういう体系をつくるとい うことだという理解であります。したがって似ているけど別のものという考え方でいいん じゃないかと考えております。  先ほど来、GMP基準だとか、あるいは品質保証体系、安全管理という話がありました が、恐らく今日出てきていただいたような委員がいるCPCというのは、ある程度体系が しっかりしているところだと思うんですね。先ほど、澤委員のほうから60施設があるとい うことでございましたので、これから病院間でそういう細胞加工品が移動するとなると、 最低基準をどこにするか、最低要求基準をどうするかということを決めるということが、 非常に大切なことなんじゃないかなと私は感じております。  以上でございます。 ○小澤委員  森尾委員の先ほどのプレゼンの中で、企業がセンターの運営に参加していることに非常 に興味を持ちまして、可能ならばどういうお立場であるのかというのを質問したかったの と、今、永井先生がおっしゃったように、60施設の運用実態、やっぱり現状調査というの が必要だろうなという気がしまして、今日の4施設のCPCは、トップの皆さんなので、 他は一体どうなっちゃっているのかについてちょっとヒントをいただけたらなと思いまし た。 ○大和委員  大分時間もないので、ちょっと言いたいことだけ一言だけ言わせていただきたくて手を 挙げたんですけれども、ハワード・グリーンという、今ハーバードにいらっしゃって、昔 MITにいた先生が、一応文献上では、世界で最初に培養した細胞で患者さんを治療した という人なんですね。そのハワード・グリーン先生が、2年ぐらい前に、どこかでやった 講演を基にバイオエッセーズというレフリー付きの雑誌があるんですけれども、そこにエ ッセーを書いていて、そのアメリカに住んでいるグリーン先生でさえ、最近のレギュレー ションに関しては非常に頭が痛いと。自分が1980年に最初にヒト臨床、培養表皮ですけれ どもやったときには、何のレギュレーションもなくて、しかし、業界の重要人物と思われ る人に相談して、最終的に自分で判断してやったと。もしもあのときにこれだけのレギュ レーションがあったら、絶対自分はこんな研究はしなかっただろうというふうに述懐して いるんですね。グリーン先生でさえそう思っているわけです。  しかも、アメリカの場合には、ベンチャーキャピタルとかエンジェルとか、それからメ ドトロニックとジョンソンアンドジョンソンが組んでジョイントベンチャーをつくって、 それで支援しながら臨床研究というかPhase IというかPhase IIみたいなことをやってい る現実があって、日本にはベンチャーキャピタルも、アメリカの物まねをするようなベン チャーキャピタルは多いですけれども、独自性を発揮するベンチャーキャピタルが非常に 少なくて、エンジェルに関しては全くいなくて、ジョイントベンチャーをつくるような企 業さんも、どうも余りいなさそうであると。  そういうところで、海外を視察されるのはもちろんそれはそれで大変に結構なんですけ れども、そういった背景を全部ネグレクトして、海外でこうなっているので日本もこうし ましょうというふうにすると、やっぱりデバイスラグであるとかドラッグラグであるとか、 これだけ指摘されているわけですから、多分、再生医療ラグも間違いなく起きるだろうと 思います。ですので、世界がどうだからこうだというんじゃなくて、日本でこのデバイス ラグ、ドラッグラグがある現実を踏まえた上で、こういうフィナンシャルなサポートがな いところで何をしたらいいんでしょうかというようなところから議論できたらいいなと思 って、一言だけ、ごめんなさい、言いました。 ○澤委員  GMPの話、先ほど早川先生おっしゃったように、確かに医薬品と同じような考え方で いくと、本当にもうとんでもないことになるだろうと、お金の経費がですね。各施設のC PCの現状というのももちろんあれなんですけども、日本で一番最初に、唯一といいます か、この再生医療関連で承認を受けられたJ-TECさんがどのレベルでGMPですよね、 日本で発している唯一のGMPレベルであろうと。これを、我々はまだ余り知識がないも のですから、そこもどの基準で日本でまずスタートしたのか、それと、現状で今どんなよ うに60施設、それがどんなふうなレベルで運営されて、どう整合性を合わせていくか。  で、先ほど私が申し上げました、やっぱりヒト幹細胞、指針をうまくつなぐような、そ れから治験につなぐようなシステムに、どういうふうなレベルのGMPがいいのかという のを、ぜひちょっと調査は、J-TECさんの企業側からも含めてやっていただいて議論す ればいいんじゃないかなというふうに考えるんですが。 ○永井座長  いかがでしょうか。 ○阿曽沼委員  我々が気をつけなければならない事は、医療機関だから安全で、企業だからどうも不安 であり、いかがわしいというような概念があるとすれば、まずその考えを捨て去らないと いけないと思います。基本的に企業であろうが医療機関であろうが、患者さんの安全性を 担保するための要件というのはある意味同様であり、非常に重要な点であります。しかし、 細胞培養を他の医療機関にゆだねるときに、先ほど先生方の発表の中でもおっしゃった事 ですが、現状ではCPCの管理には大変な維持費や、運営費がかかってしまいます。医療 機関に細胞培養を全部ゆだねたときに、あまり過度な管理を求めるとコストがかさみ、そ の費用が結果的には患者さんの治療費に降りかかってくる可能性もありますから、そうい ったことを踏まえて課題を整理して、これから議論をしていっていただければありがたい と思います。 ○永井座長  ありがとうございます。  いろいろご意見をいただきまして、今日のご意見を踏まえまして、次回からの議論につ なげていきたいと思います。先ほどお話がありました医療機関のCPCの実態調査でござ いますけども、品質管理であるとか安全性の検証等につきまして、現在、森尾委員が研究 を進められていらっしゃいますので、できましたら森尾委員に事務局と一緒にこの領域の 調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  もしご異議なければ、森尾先生にお願いしたいと思います。ぜひ、現在のいろいろな機 関におけますCPCの調査を進めていただきまして、次回さらに幅広いご意見をいただき たいと思います。  また、今日ご紹介いただいた以外のいろいろな規模のCPCがございますけれども、そ れらにつきまして、次回運営状況についてヒアリングを行いまして、さらに議論を進めた いと思います。  よろしいでしょうか。  本日、予定いたしました議題は以上でございますけれども、何か委員の先生方からご意 見ありますでしょうか。  もしよろしければ、次回の日程について、事務局から説明をお願いいたします。 ○木下経済課長  次回の日程でございますけれども、6月の上旬から中旬辺りを予定しておりまして、ま た追って各委員の皆様方に、日程調整の上、決まり次第ご連絡をさせていただきます。 ○永井座長  はい、ありがとうございます。  それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 (了)