09/04/02 第13回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会議事録 第13回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会 1.日時:平成21年4月2日(木)14:00〜16:12 2.開催場所:全国都市会館 3.議事次第:   (1) 開会   (2) 議題       (1) 作業班検討報告について       (2) 報告書取りまとめに向けた議論について   (3) 閉会 4.出席委員等   (委員)    池上秀樹委員、岩月 進委員、大江和彦委員、大山永昭座長、後藤省二委員、    高山憲之委員、中川俊男委員、樋口範雄委員、南  砂委員、山本隆一委員、 (五十音順、敬称略)   (オブザーバー)    山内 徹 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官    小宮義則 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官    井上知義 総務省自治行政局地域情報政策室長    村山 卓 総務省自治行政局市町村課 本人確認情報保護専門官   (厚生労働省)    赤澤公省 厚生労働省社会保障カード推進室長    黒川弘樹 厚生労働省社会保障カード推進室技術参与 5.議事内容 ○大山座長  定刻になりましたので、ただ今より第13回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検 討会を開催いたします。  委員の出席状況について報告いたします。本日は残念ながら、稲垣委員、駒村委員、田 中委員、辻本委員、堀部委員がご欠席です。また、間杉統括官は所用のため、遅れて参加 する予定とのことです。  お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。議事に入る前に、事務局 に人事異動がありましたので、ご挨拶をお願いしたいと思います。 ○社会保障カード推進室長  4月1日付けで社会保障カード推進室長を拝命いたしました赤澤でございます。よろし くお願いいたします。  また、前室長の黒川も、技術参与として引き続き検討会に出席させていただきますので、 どうかよろしくお願い申し上げます。 ○大山座長  それでは、事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局  資料の確認をお願いいたします。議事次第に続きまして、本日3点資料をお配りしてお ります。資料1、縦紙でございますけれども、医療等の現場での利用を念頭に置いた社会 保障カード(仮称)の活用シナリオ、続きまして資料2、報告書取りまとめに向けた検討 メモ(案)という縦紙でございます。最後に、参考資料といたしまして、横紙のデジタル 新時代に向けた新戦略〜三か年緊急プラン〜(概要)という3点でございます。ご確認を お願いいたします。 ○大山座長  資料は大丈夫でしょうか。  それでは、議事に入りたいと思います。  作業班には引き続きさまざまな作業をしていただき、今日また報告をいただくことにな っています。厚く御礼申し上げたいと思います。  社会保障カ−ドの医療等の現場での活用につきまして、作業班から医療等の現場での利 用を念頭に置いた社会保障カード(仮称)の活用シナリオが示されているので、作業班長 の山本委員から説明をお願いします。 ○山本委員  資料1に基づいて説明をしてまいりたいと思います。  資料1の表紙に、今大山座長から言っていただきましたタイトルと、その下に四角の枠 で囲まれた部分がございます。このシナリオは、特に医療の現場での活用に際してさまざ まな課題がこの検討会で指摘されてきたのですが、今までの検討が選択肢が非常に多くあ ったために、議論を絞り込むことが難しい状況にありました。それで、このシナリオでは 検討会の構成員の方々、それから関係省庁、関係機関等の合意を得ているわけではありま せんが、医療等の現場で健康保険証等として社会保障カード(仮称)を用いるに当たって 想定される多くの制度面、運用面の課題を具体化するために、また、あわせて一連の流れ を仮定することで、採択しなかった選択肢の理由を明確にすることにするものとして作り ました。  作業班としては、本シナリオにより、社会保障カードの在り方に関する議論がさらに深 まることを期待しております。  1枚開けていただくと目次で、もう一枚お開けいただきますと「はじめに」というのが ございます。言わずもがなのことが書いてあるかもしれませんけれども、簡単に掻い摘ん でご紹介申し上げますと、社会保障カード、これは本シナリオでは(仮称)を除いて社会 保障カードと言わせていただきます、の構想は、ICカードを交付することを想定してい るために、媒体であるカードそのものだけを指し示しているようにとられかねませんけれ ども、本来目指しているところは、我が国における今後の社会保障のための情報基盤を構 築する。国民がいつでも望めば自らの社会保障サービスの状況を知ることができ、また社 会保障に関わる手続を簡略化し、安心で信頼できる社会保障の仕組みの構築に寄与するも のを目指しているということであります。  このようなことを実現するためには、さまざまなテーマがありますけれど、まず確実に 本人を識別することが必要になる。個人情報を保護しながらも確実な個人識別を可能とし ない限りは信頼に足る社会保障制度を維持することが困難であると。  その方法としてICカードを利用することを想定していますけれども、ここで考えてい ることは、何も特定のITリテラシーを持たなくとも安心して利用可能であるということ を確保しつつ、その一方でICカードを鍵として信頼できるということが必要であります。  カード自体は鍵でありまして、したがって鍵によって開かれ動作する仕組みが必要とな ることは当然でありまして、全国民のすべてのデータを集約する等の方法によらないで、 すべての利用者が安全にかつ確実にデータにアクセスできる仕組みを講じなければいけま せん。  その仕組みの交通整理を行う機能をこのシナリオないしは今までの検討会の議論では 「中継データベース(仮称)」と呼んでおります。以下、このシナリオでは「中継DB」 と呼びます。このデータベースという仮の名称ではありますけれども、さまざまな機能を 実現するシステムであり、これは単純にデータを蓄える装置ではありません。今までの検 討会のご議論でも一定の合意が得られているように、この仕組みでは社会保障に用いる個 人データは統合化せずに従前どおりの保険者が保持することを前提にしており、カードを 所持する国民や医療機関の必要に応じてデータの存在場所を示し、その保険者の保持する データを安全で効率よく利用するための仕組みが中継DBであります。  このような考え方は、内閣官房情報通信技術担当室において検討が進められている電子 私書箱(仮称)や次世代電子行政のそれと共通するものであり、実際、このような考え方 を具現化するシステムとして共通する点も多く見られます。  したがって、このシナリオでは、最初に中継DBについて概観して、電子私書箱(仮 称)や次世代電子行政における検討との共通点について述べ、その後に医療現場において 被保険者証としての機能を実現するためのさまざまなシナリオをまとめております。  1枚おめくりいただきまして、1が中継DBの機能ということで、中継DBへの要求要 件の最初に書かれていることは、これはこのシナリオに出てくるいろいろなアクターとい いますかプレイヤーといいますかシステムといいますか、それを簡単に説明をしたもので あります。  それで、要求要件としては、利用者から見た要求、それから医療機関からの要求、保険 者からの要求、中継DB運用上の要求、カード運用の観点からの要求、これにさらにセキ ュリティ上の要求というのが加わりますが、それぞれの要求要件について、明朝体で書か れているところで、簡単に説明を加えております。あまり複雑なことが書いてあるわけで はございませんけれども、例えば利用者からの要求要件としては、利用者が保持する社会 保障カードの本人識別情報によって適切に保険者DBへ資格確認ができ、なおかつその結 果が最新であること、結果情報が正当であること、不必要な問い合わせを防止できること、 本人識別情報とその他の情報の機密性を確保すること、中継DBにどのような情報が格納 されているかを利用者みずから確認可能なこと。それから、医療機関からも同じような観 点で要求要件がここに並べられております。  それから、次の1−2の中継DBの機能ですけれども、中継DBは以下の機能を提供す る。医療機関職員の認証、それからリンク機能、リンク機能というのは本人識別情報から さまざまな保険者のデータベースを指し示す機能ですね。それから3番目が保険者DB− 中継DB間のシステム間相互認証、これは中継DBに成りすます、それから保険者DBに 成りすますことを防止する機能であります。それから保険者DB−中継DB間の送受信情 報のデータ変換、まだ今後どうなるかわかりませんけれども、もし保険者DBによってデ ータの構造が違うというふうな場合に、保険者をまたがった場合に見え方が変わってしま うということがないようなデータ変換機能、それから中継DB−医療機関クライアント間、 それから中継DB−保険者DB間の送受信制御、リクエストしたものに対してきちっとし た応答が返されているということを保証する機能になります。それから、最後に証跡とし ての記録保管、記録確認機能、これはだれが自分の保険情報を見たかということが追跡で きる、しかもその追跡できる情報を改ざんされないように保管をする機能であります。  次のページの1−3に社会保障カードを利用した資格確認システムの概要、これは社会 保障カードを用いて医療機関の端末から保険者DBが保有する医療保険資格情報にオンラ インでアクセスし、医療機関の端末に画面上に当該情報を表示させ、当該機関の職員が確 認し、必要に応じて転記できるシステムということで、あとでもう少し詳しく説明を申し 上げますけれども、図1−3−1、これはこれまでの検討会でお見せしている図でありま すけれども、これをこのような形で資格を確認できるということであります。  それから、1−4が社会保障カードに関連する構想ということで、中継DBとよく似た 構想がここに書かれています。一番上が次世代電子行政サービス、これは引越しワンスト ップとか退職ワンストップとかというのが検討されていると聞いていますけれども、そう いった要するにワンストップの申請ができるというふうなシステム。上から2番目が電子 私書箱でありまして、ポータルとプラットフォームというのに分かれています。それから 一番下が社会保障ポータルと中継DB、ここで検討されているもので、真ん中の青い点線 で囲った枠が極めてよく似ている機能でありまして、これらを共通に検討することで合理 的に構築を進めることが求められているというふうに考えております。  2章に入りまして、社会保障カードと保険資格情報の紐付けとありまして、このあたり から今まで幾つかの仮定を置いていたことをできるだけ絞り込んでおります。  まず、カード発行主体、これに関しては、社会保障カードが健康保険証、介護保険証と いった複数制度にまたがる機能を持つことから、これらの制度における調整に関すること 等を行うとされている厚生労働大臣が発行主体であるということに以前から強く仮定をし ていたところであります。  それから、カードの交付主体も、これはゴシックのところを読みますと、住民基本台帳 カード・公的個人認証サービスの発行の仕組み、基盤、運用の実績を有していること、さ らには、国民から見て最も身近な行政主体であり、一般に利便性が高いこと等を踏まえ、 市町村とする。これも検討会でかなり強く仮定をしていたところであります。  それから、識別の方法、2−3の識別でありますけれども、当初、案1から案4まで、 これは案1というのは制度共通の統一的な番号、案2がカードの識別子、案3が各制度の 現在の被保険者番号、案3-2として、各制度内で普遍的な番号を創設する場合、それから 案4として、基本4情報を用いる場合、それからさらに検討の途中で案5として、公開鍵 暗号の仕組みを用いる方法というのを今まで並列で置いてきましたけれども、このシナリ オでは公開鍵暗号の仕組みを用いた認証については認証し得ることをもって識別にかえる ことも可能であることから、本人識別方法として公開鍵暗号の仕組みを用いた認証を用い る方法を用いるものとするというふうに絞り込んでおります。  それで2−4、発行データベース、これは以降「発行DB」と言いますけれども、少な くとも下記の項目の情報を保持することとする。  整理番号、これは内部でのレコード管理用の番号で、2つ目が本人識別情報、これが先 ほど仮置きしました案5、公開鍵暗号の仕組みを用いた認証を用いる方法をここに収載し ているということであります。それから3番目に保健医療番号、これは保健医療番号を新 設しない場合はこの項はございませんけれども、使う場合はこれが発行DBに含まれる。 それから医療保険、保険者番号、被保険者記号番号、それから介護保険の保険者番号、被 保険者番号、それから年金、これは基礎年金番号。それから基本4情報、発行DBは基本 4情報を持たないと市町村での発行に差し支えるためにこの基本4情報を持つと。中継D Bは基本4情報のうち氏名、生年月日を持つということを考えております。  保健医療番号についてですけれども、保健医療番号とは、医療・介護分野の共通番号と して各個人に紐付けて発行された番号で、カード券面あるいは別紙に記載することとして おります。これは、このシナリオの一番最後の2枚に大江構成委員から作業班へ出された 「医療保健・介護保険関連番号の考え方について」に述べられているこの番号のことでご ざいます。  この番号を仮定すると、あとで述べますように、社会保障カードの運用にかなり利点が 生じる。それだけではなくて、例えば地域医療連携における共通IDとしての利用ができ ますと。その一方で、名寄せリスクが増大するということで、こういった番号を用いる場 合はそれなりの制度設計を行う必要があるというふうにそこに記載されております。  それから、その次のゴシックですけれども、保健医療番号は、券面あるいは別紙への印 刷のみで、カード内へのICチップには収録しないこととすると作業班では一応仮定しま した。カード内のICチップに保健医療番号を持つメリットはございます。カードリーダ ーで読み取れ、種々の利用シーンでの保健医療番号の転記ミスが防止される。それから、 券面あるいは別紙に印刷された保健医療番号が判読できない場合でも、医療機関でローカ ルな処理が可能になるといったメリットがございます。  一方、デメリットとして、保健医療番号というのはご本人が希望すれば変更できるとい う前提に立っておりまして、変更した場合にカード内のICチップの内容更新を伴う再発 行が必要になる。それから、保健医療番号は保険者が変わっても変わりませんので、本人 が希望しない限り変わりませんので、現在の健康保険証と同じレベルの番号ではない。や や個人特定性が強くなるということで、それなりの不安を生じる可能性があるということ がございまして、作業班ではカード内のICチップには収録しないことというふうに仮置 きいたしました。  社会保障カードと医療保険資格情報との紐付けについてに移ります。  社会保障カードの発行・交付時点からの役割を果たすためには、カードに収録された本 人識別情報、これは公開鍵暗号の仕組みを用いた本人識別情報ですが、と中継DBに収録 された保健医療番号、医療介護制度における被保険者番号等とが発行・交付の時点で紐付 けられている必要がございます。この紐付けシーンを既存の被保険者証から社会保障カー ドへの切り替え時の手続、これは初期の交付時ですね、それから出生時等、初めてカード を交付する手続、社会保障カードが運用されてから始まってから新しく出生された方です ね、そういったときの手続、それからカード交付後に属性変更、住所が変わる、氏名が変 わる、医療保険者が変わるといったときの手続の3つに分けて考えております。  まず、最初が社会保障カード制度が始まって、既存の被保険者証等から社会保障カード に切り替えるときでありますけれども、この手続で最初の仮置きが、市町村から交付対象 者にカードの交付案内を送付する。送付した案内を受け取った人が年金手帳、健康保険証 等を市町村に提出して手続をするというふうに仮置きをしております。これ以外にも、例 えば保険者であるとかいろいろな方法があるのですけれども、これが一番利用者にとって シンプルであるという理由でこの方法を仮置きしております。  それから、次の9ページの図がそのときのフローですけれども、利用者にとってみれば 一番のカード交付の案内が送られてきて、そのカード交付の案内が送られてきたら、その 交付案内と健康保険証、これは一応どなたでも持っているはずであるということですけれ ども、それから年金の該当者は年金手帳、介護保険の該当者は介護保険証を持って市町村 の窓口へ行く。その次は、バックヤードで後ろでさまざまな処理がなされていますけれど も、利用者にとってみれば、その次はカードを受け取るという手続になります。  その下のゴシックの、カードを配り始める単位ですけれども、保険者単位でありますと か、在住する市町村単位のいずれかで一斉に切り替えを始めることが考えられますが、こ このシナリオでは市町村単位、もちろんその中で交付対象者を選択することは可能ですけ れども、それで切り替えの手続をすることとするというふうにしております。  以上が、制度開始時にカードを交付する場合でありまして、その次の2−6−2は出生 時の取扱いであります。出生時にカードを発行・交付し、適切な代理権限を有する者が管 理することとする。出生時にもうカードを配るということにするというふうに仮置きして おります。また、出生時から医療保険は必要であり、まず健康保険証としてカードを発行 ・交付することとすると仮置きをしております。  これ以外に、一定年齢の以下の者には原則としてカードを交付しない案等が考えられま すけれども、このシナリオでは出生時にカードを配るというふうに仮置きをしております。 この点に関しては、あとでもう少し議論があります。  それから、被用者健保の被扶養者届けは、市町村を経由して提出することができること とする。今までは事業者を通して保険者に届けていたものだということを聞いております が、社会保障カードにおいてはできるだけワンストップ化をするということで、市町村を 経由して被用者健保の被扶養者届けが提出できることとするというふうに仮置きしており ます。もちろん、そのためには若干仕組みの整備が必要になることは言うまでもありませ ん。  なお、出生届けは在住の市町村でなくても届け出ることができるということで、被用者 健保の保険者への被扶養者届け伝達については、出生届けを提出した市町村と住民票のあ る市町村間での伝達方法について、次世代電子行政サービスにおけるワンストップサービ スの検討状況を注視する必要があるというふうに考えております。  それから、12ページの2−6−3、医療保険者間、同一保険者内の事業所間での異動の 際の手続でございます。退職・転職等で医療保険者が変わる場合、それから同一保険者で あっても事業所が変わると保険証の扱いが変わる場合がございます。こういった場合にど ういうことが必要かということがここで述べられています。このときに保健医療番号があ る場合は非常に単純になるということで、ゴシックのところを読みますと、保健医療番号 がある場合は、図2−6−3−1、そのすぐ下の図ですけれども、利用者が保健医療番号 を新保険者に届け出ることにより、旧医療保険者からの資格喪失通知を新保険者に持参せ ずとも簡便な手続が可能になる。ただ、保健医療番号がない場合には、隣の13ページの図 のように、旧保険者が発行した資格喪失通知を新保険者に持参する必要がございます。  このように、保健医療番号があれば保険者を異動する場合の手続は簡略化されるわけで すけれども、先ほど少し口頭で申し上げましたように、保健医療番号というのは本人が希 望すれば変更できるという前提に立っております。この場合に、退職・転職に伴って保険 者が切り替わるまでの間に保健医療番号を変えてしまうと、この機能が使えません。した がって、保険者が変更している間、数日から十数日の間かと思いますけれども、その間は 保健医療番号は変更できないこととする必要がございます。これ以外に、同一保険者内で の異動、それから氏名・住所、カード破損・紛失のときのカード再発行、それからカード 更新時についても、これまでもご報告申し上げておりますように、作業班では詳細に検討 しておりますけれども、それほど大きな変化がありませんので、ここでは説明を省略して おります。  それから、14ページで3章に入りまして、健康保険証としての利用でありまして、まず 医療機関における医療保険資格の確認プロセスについて述べております。  資格確認の要件としては、正しい取扱者が正しい社会保障カード、この章では単にカー ドと略しますが、カードから取得した本人識別情報に基づいて、資格確認の要求を行い、 正しい中継DBが正当性を確認した本人識別情報を元に保険者に問い合わせた結果を通知 する必要がある。それから、もう一つは、本人が自宅等で自分の医療保険資格の資格確認 を行うという場合も考えられるわけですけれども、本人がカードを用いて医療保険の資格 確認を行う場合には、暗証番号による本人確認とカード内に格納された暗号鍵の存在を確 認することによって、正しい取扱者、つまり本人により正しいカードを用いた確認が行わ れていることを確認するものとする。これは図3−1−2−1でございます。  それで、3−1−3がもっとも頻繁に行われる医療機関における医療保険の資格確認で ございます。医療機関において被保険者本人が提示したカードを用いて医療機関職員が医 療保険の資格確認を行う場合には、暗証番号を入力できないことが想定されるので、(1)医 療機関職員が、券面の情報により正しいカードであること、及び提示した本人のカードで あることを確認する。(2)中継DBが医療機関職員を確認する。この2つの手順により、現 状の被保険者証と同様の手続によって資格確認を実現するものとしております。  この中継DBが医療機関職員を確認する方法は、医療機関職員を中継DBが直接確認す る。これが図3−1−3−1、そのすぐ下の図であります。それから2つ目が、医療機関 のシステムが職員の認証を行って、中継DBは医療機関の認証を行う。これは次ページの 図3−1−3−2であります。すべての医療機関の職員を中継DBが認証するというのは、 これはかなり整備する要素が非常に多くなって困難でありますことから、作業班としては この2つ目の、職員の認証は医療機関自体が行って、中継DBは医療機関であるというこ とを確実に知るということが妥当ではないかというふうな意見が多数を占めておりました。  16ページにまいりまして、医療機関では外来に非常に多くの方が短時間にいらっしゃる。 それから、ご本人が意識がない等の場合もあるということで、暗証番号を利用せずに医療 資格の確認を行うということを仮定しておりますけれども、本人の管理する暗証番号を利 用せずに医療資格の確認を行う場合には、暗証番号によって本人確認を行う場合と比較し て、本人確認の程度が異なります。そのため、年金情報など他の社会保障情報への不正な アクセスを防ぐために、暗証番号を入力しないで確認する秘密鍵と暗証番号を入力して確 認する秘密鍵は区別する必要がある。秘密鍵と書いていますけれども、要は暗証番号を使 わないで医療機関内であるとはいえ、社会保障カードの機能を利用することは、保険の資 格確認に限定するような仕組みをつくる必要があるということであります。  それから、カード内の本人識別情報ですけれども、これは公開鍵暗号の仕組みを用いま すけれども、カード内に格納されている本人識別情報は電子署名によって保護されている 公開鍵証明書関連情報とする。受け取った中継DB側が検証し、正しい識別情報かそうで ないものかを確認できるものとする。これは案5の本人識別方法を採用すれば、この方法 は確保されるということになります。  それから、カードの存在確認ですけれども、不正な資格確認を防止するためには常にカ ードの存在を確認した上で医療保険の資格確認を行うことが望ましいが、やむを得ない事 情のある場合を想定し、前もって行った医療保険の資格確認等で取得した保健医療番号に 基づいて、最低限の資格情報、資格の有無、あるいは記号・番号だけを返す仕組みも検討 すべきである。このやむを得ない場合というのは幾つか考えられます。常に外来に通って いらっしゃる方がその日は社会保障カードを忘れたとか、それから入院中の患者さんの保 険資格確認で、入院中に社会保障カードを医療機関がお預かりするわけではありませんの で、それを毎回患者さんのところから社会保障カードを持ってきてというのも煩雑でもあ りますし、こういったことができる必要があるということを述べております。  それから、こういった仕組みを実現するために必要となる認証基盤。カードを用いた暗 証番号の入力をすることなく医療保険の資格確認を実現するためには、(1)国家資格を持つ 医療従事者を認証する基盤、(2)国家資格を持たない医療機関職員を認証する基盤、(3)医療 機関を認証する基盤、これらを適宜組み合わせて安全性を確保する必要があるということ になっております。  それから18ページで、信頼を得るための安全対策ということで、不正な資格確認を発見 するために、医療機関の情報システム、中継DB及び医療保険者での資格確認要求に関す る証跡を残すとともに、被保険者本人が証跡を確認できる仕組みを持つことが望ましいと いうふうに書かれております。証跡を確認することができれば、自分が知らない間に資格 を確認されたということは容易に発見できるということになります。  以上で、保険の医療機関での資格確認の説明を終わりまして、次の3−2はICカード の使用により顕在化する課題と解決策、これはあくまでも顕在化する課題でありまして、 ICカードでなくても現在この問題はありますが、ICカードを使うことによってこれが 非常に見えてくる、明らかになってくるという課題であります。  保険資格の取得・喪失事由等が発生してから実際に保険者に対して届出がなされるまで、 あるいは保険者が届出を受理してから保険者DBや中継DBの情報が更新されるまでには 一定のタイムラグが発生します。医療機関等が常に正しい情報を取得することができると は限らない。手続上どうしても一定期間の日数を要することから、その間は実際は保険者 を変更しているにもかかわらず前保険者の情報が返ってきたりすることが避けられないと いうことになります。  次の20ページで、この問題の回避策としては、次の2つの方法が考えられるということ で、1つ目が資格取得・喪失の届出業務の効率化、それから2つ目が資格取得優先による 中継DBの情報更新ということで、効率化するということは、ご本人が事業所に行って、 引越しして、市役所に行って、また新しい事業所に行くみたいな、何度も数多くの手続を 必要とする場合はそれだけ期間が長くなってしまうということで、できるだけ届出をワン ストップ化する。そういったことで、これは次世代電子行政サービス等の検討を踏まえて こういったことを進捗する必要があるということになります。  それから、回避策の2つ目として、資格取得優先による中継DBの更新ということで、 資格喪失届けを受理した保険者は、資格を失った人が次にどの保険者で資格取得したのか を確認する術がございません。今まではその必要もなかったわけですけれども、それを中 継DBの機能を最大限に生かすことができるような法整備、各保険者による環境整備を行 った上で、無保険者の状態を解消し、いつでも安心して保険診療が受けられるように情報 伝達を電子化して資格情報を確認すると、この回避策となると。これは要するに資格を取 得した側がトリガーとなってすべての手続が進むというふうなことがこの次ページの図に 書かれており、次の22ページに(1)(2)(3)というふうにこの要件が書かれております。  それから、3−2−3として、このような回避策実現のための課題といたしましては、 上記の回避策(1)及び(2)の実現に当たっては、例えば以下のような課題を検討する必要があ る。市町村において被用者健保の資格喪失により国保の資格を取得した者を把握できるよ うにする必要がある。それから、申請・届出期限が国保では14日以内、被用者健保は5日 以内、任意継続被保険者は20日以内となっていて、それぞれ期間が違って、これがタイム ラグを生じる長さになりかねないわけですけれども、こうした申請・届出期限の見直しの 必要がある。  次に24ページ、3−3章で、社会保障カードの制度が開始されてから、ICカードの機 能が使用できない場合の対応ということで、例えば医療機関等で一時的にネットワークの 障害で中継DBに接続できないとか、ICカードが破損したとか、忘れてきたも含めて、 ICカードの機能が使用できない場合というのが考えられます。  ICカードの券面について、社会保障カードの券面には、本人確認のための最低限の情 報として「氏名」「生年月日」が記載されると仮定しております。また、保健医療番号が 導入される場合には、ICカードの機能が使用できない場合においても医療機関で現行の 被保険者証と同等の資格確認、保険者番号・被保険者記号番号の確認等が行えるように、 保険者番号をカード券面に記載をしている。別紙でも構いませんけれども、カード券面に 記載をしているということであります。  下にはそれが書かれているのと、現在、医科入院レセプトの場合にどれだけの情報が必 要かということが書かれております。  3−3−2で、ICカードの機能が使用できない場合の対応策ですけれども、保健医療 番号がない場合には、保険者番号・被保険者記号番号等が不明であるために、現行の被保 険者証と同内容の事項が記載された別紙を交付し続ける必要がございます。  それから、保健医療番号がある場合であっても、現行の被保険者証と同等の運用を実現 するための課題が全て解決するわけではない。具体的には、一定の環境整備を行えば、保 健医療番号を用いて、保険資格の有効性の確認や保険者番号・被保険者証記号番号の確認 を行うといった対応が可能となるが、保健医療番号を用いて利用者の自己負担割合を確認 することについては、プライバシーの保護の点で課題があるため、制度面での対応も含め て今後さらに検討が必要というふうに考えております。  なお、高額療養費の限度額適用認定証や、医療保険と併用される各種の公費負担医療の 受給者証、介護保険証については、各制度ごとに受給者証の内容が異なります。指定医療 機関、給付割合、有効期限など、そのためICカードの機能が利用できない場合の対応は、 これは別途検討が必要と考えられます。  あと細かな分析が書かれておりますけれども、もしご不明な点があれば後ほどご説明を させていただきます。  それで、3−3−3として、新たに生じる課題への対応についてということで、社会保 障カードの券面に保健医療番号を記載し可視化することで医療機関等の運用性が高まる一 方で、制度・本人が意図しないところで名寄せに使われるなどのリスクが高まることにな るため、想定される利用シーンごとに制度的・技術的な対応を検討する必要がある。  また、将来的に保健医療番号を用いて保険請求が可能な環境を整備する場合には、保険 請求が可能な期間である3年間の間は、保健医療番号と診療時点での患者の医療保険資格 情報とを何らかの形でリンクさせておく必要が生じる。これは、利用者の不安を解消する ために保健医療番号は変更可能な番号とするという当初の前提条件とトレードオフな関係 になるため、これも今後継続的な検討が必要となります。  それで、今までのところが一応今までの幾つかの選択肢があったものをできるだけ絞り 込んだシナリオでありまして、次の4章は経過措置、それからその他の留意点についてま とめてございます。ここでは、今までこの検討会で検討されなかった事項も多少含まれて おります。  まず、4−1のカード交付の準備についてということで、現状は交付案内書を持って市 役所に来られたらその場で社会保障カードを準備して、その場でできるとは限りませんの で、あとで取りに来てもらうというふうな処理が必要になるというふうに述べてまいりま したが、市町村の窓口で社会保障カードを準備するのではなくて、新発行機関で事前に準 備をしておく。事前に準備をしておけば、それを市町村に送付し、市町村は送付された社 会保障カードに対して該当者に案内状を送付して、案内状とともにその健康保険証である とか年金手帳等を持ってこられた方をその場で発行DB、中継DBに結びつけることで処 理が単純化されるということが考えられます。  それから、交付の経過期間は今まで明確な期間を述べておりません。このシナリオでも 述べておりませんけれども、ここで仮の計算をしておりますけれども、このように配れば 約5年ということで、かなりの期間が交付開始から終了までに必要であるということを述 べております。  それから、4−3は社会保障カードが機能するための条件として、まず年金記録の閲覧 は、これは医療シーンとは関係がございませんけれども、これが一番簡単に実現ができる。 現在でもネットワークを使ってID・パスワードで見れる仕組みがあるわけですから、社 会保障カードにそれを移行するだけで整備ができると。  それから、その次が健康保険証機能、それから介護保険証機能、これを実現するために は、初期交付完了後、すべての人に配り終わった後も社会保障カード機能が使えない場合 を想定した仕組み、先ほど社会保障カードのICカードの機能が使えない場合というシナ リオを述べましたけれども、例えば保健医療番号で保険証の有効性を電話で問い合わせる ことができることなどを整備する必要がございます。  それから、交付開始から初期交付終了時まで、これはカードを持っていない人、持って いる人が混在するわけで、この期間の間に介護事業者・医療機関等で社会保障カードが利 用できるように整備を終了しなければなりません。この交付開始から初期交付終了までの 間は、社会保障カードと同時に従来の保険証を併用する必要がございますから、この場合、 保険者にとっても利用する国民にとっても手間が増えるわけで、これはできるだけ短くす る必要があるということになります。  あと、カードの交付年齢、先ほど出生時にカードを配るというふうに仮置きしましたが、 この検討会ではあまり議論はされておりませんけれども、出生時ではなくて一定年齢 に達してから交付する場合どういうことが考えられるかということがここで述べられてい ます。さまざまな利点、欠点がございます。  まず、出生時に配る利点としてはすべての国民が社会保障カードを持っているというこ とと、例えば複数のお子様がいらっしゃる家庭で、それぞれの子どもが別々の医療機関を 同時に受診するといった場合にも、保険証としてのカードはそれぞれに持っていくことが できるというふうな利点がございます。  それから、一定年齢に達してから交付する場合は、例えば10歳で交付するとしますと、 義務教育の一環として社会保障カードの受け取り、社会保障カードの意味等の教育といっ たことが可能で、交付の手続の簡略化にもなりますし、本人を識別する鍵としてのICカ ードを持つという意義を教育として教えることができるというメリットがございます。た だし、この場合はその年齢に達するまでの健康保険証の機能は親権者等の社会保障カード に紐付けられることになりますので、ご両親がいらっしゃる場合、どちらの親権者に入れ られればいいのか。それから、親権者がそもそも保護者としてふさわしくない場合にどう すればいいのかといったような問題が生じてまいります。そういった問題を踏まえて、議 論をすべきだというふうに考えます。  それから、判断能力、手続能力を喪失した場合も、これも十分な対策をとっておく必要 がある。ご高齢になって、そもそもこういった手続ができない場合とか、認知症で手続が できない場合とか、こういったものもご家族がいれば家族等が代行する場合も考えられま すけれども、それがうまくいかない場合もございますし、福祉制度による第三者の承認な しには使用できないようにするとか、そういった対策が必要だと思われます。  それから、券面表記、ICチップ内の情報、それから中継DBの整合性、これも非常に 重要でありまして、氏名、保健医療番号の変更等がございますと券面情報を変更しなけれ ばなりません。中継DB情報と齟齬が生じない手順と対策の整備が必要となります。  4−6には、ここの4章で述べられたまとめが記載されております。  それから33ページに、制度的対応のイメージということで、このシナリオの中には何カ 所か制度的に対応する必要があるというのが出てまいりましたけれども、社会保障カード に関しては、現在仮定している仕組みを前提とした場合には、シナリオ中で述べた個別の 事項以外に、例えば以下のような事項に関するルールの制定、必ずしも法令の制定・改正 に限られるものではございません、が必要と考えられる。  また、情報閲覧機能等、少なくとも一部の機能の実現は、既存の法令、民法、個人情報 保護法制等の枠内で可能と考えられる。  なお、以下の事項の中においても、次世代電子行政、電子私書箱(仮称)等の検討にお いても検討されている事項もあり、政府全体として整合のとれた検討が進められるべきで あるということで、ここで1から4まで中継DBの運用に関するルール、それから中継D Bを用いた情報閲覧、情報連携に関するルール、それから保健医療番号、これも仮称であ りますけれども、を導入するとした場合の番号の保護措置、それからカード発行・交付等 に関するルールと、こういったものを整備する必要があるというふうに考えております。  最後は、最初に述べましたように、大江構成員の意見でございます。  以上が、前回以降、作業班で検討してまいりました医療現場での利用を念頭に置いた社 会保障カードの活用シナリオです。 ○大山座長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの説明につきまして、皆様方からご質問、ご意見等をいただきたい と思います。いかがでしょうか。  大分わかるようになってきました。これで決定ということではありませんが、考え方は、 整理されてきたのではないかと思います。どうぞ、大江委員。 ○大江委員  今、座長もおっしゃられたように、非常に多くの仮定がこれまで選択肢があった中で、 かなり具体的に絞り込んだシナリオをお作りいただいて、その上でかなり細かいところま でまとめていただいたことに、大変まず敬意を表したいと思います。  それから、私としましては、作業班のほうに検討をお願いしましたこの医療保険の共通 番号というものについて、それを導入した場合としない場合でどういうメリット・デメリ ットがあるのかということを非常にわかりやすく整理いただいたので、ありがとうござい ました。  ご説明をお聞きして、資料を拝見したところでは、私としてはやはり保健医療番号があ る場合のメリットが、もちろんいろいろ検討していかないといけない課題もありますけれ ども、かなりメリットが多いのではないかというふうに読み取らせていただきました。  それで、一つ今後さらに検討いただく必要があるのかなと気づいた点は、死亡時の失効 の取扱い、運用ルールを届出ベースにするのか、あるいは何らかの新しい仕組み、具体的 には、例えば死亡診断書を交付したりした時点を何か引き金にして、一旦仮失効をすると いったような手続をするのかといったようなことを考えていくことが大事ではないかとい うふうにちょっと思いました。こういったカードというものが導入されたときに、失効手 続、死亡手続をどうするのかというのは、出生の手続と同じようにやはり議論の中でまと めていく必要があるだろうと思いましたので、一言コメントさせていただきました。 ○大山座長  ありがとうございました。  何かございますか。 ○山本委員  13ページに一応課題としては挙げてあるのですけれども、それほど深く検討したわけで はありません。 ○大江委員  もう一つよろしいですか。 ○大山座長  どうぞ。 ○大江委員  追加で、8ページの2−5の最後のところにある保健医療番号を導入した場合にも、そ れは券面にあるいは別紙に表記してあっても、ICチップには収録しないほうがよいとい う仮定が示されていまして、理解はできるのですが、一方で医療機関での処理の便利さと いうことを考えると、既にもう可視化されている番号ですので、リーダーさえあれば読め るというのは問題かもしれませんけれども、何か医療機関と交付手続に関わる機関のシス テムでは、カード内の情報を読み取って、権限のある機関では電子的にもそれが利用でき るというほうが実際には便利なのではないかなという気がします。従来は健康保険証のバ ーコードというような話も一時は議論されたぐらいですので、そこは少し検討の余地がま だあるのかなというふうに思いました。 ○大山座長  何かありますか。 ○山本委員  ここが7ページの終わりから8ページの頭にかけての、ここの仮置きは確かに差が少な い仮置きでありまして、券面あるいは別紙に書くだけでICチップに入れないのか、IC チップに入れるのかというのは、それぞれメリット・デメリットが記載されております。 ただ、例えば保健医療番号を見せたくないときにカードのその部分を隠して見せた場合で も、ICチップの中をもし読まれるようなことがあったり、例えば年金の取扱いの際には 保健医療番号は必要ありませんので、ご本人の希望によって隠せる仕組みを担保する必要 があると思います。だから、先生がおっしゃったように、もしチップ内にあってもそれが その違う用途では呼び出せないようにするというのであれば、考えてもいいかとは思いま す。ただ、これはあくまでも中継DBの機能が使えない場合の話で、中継DBの機能が使 える、いわゆる平常状態では、医療機関は当然中継DBからこの保健医療番号を取得でき ますので、システムに自動的に転記するようなことは極めて容易です。だから、中継DB が使えない状態で、なおかつこの番号が機械的に読める必要があるかどうかという、その 利用シーンの少なさと、それとの兼ね合いだと思うのですけど、そこは引き続き検討があ ってもいいことだろうと思います。 ○大山座長  どうぞ。 ○池上委員   3点ほどご質問みたいなものも入りますけれども。短期間に非常にここまで深掘りした 形でまとめていただいてありがたかったと思います。  それで、まず1点目ですが、もともとのこの委員会で私が最初から気にしていた別紙と いう、あるリーダーからのものを使えないとかそういうときのために、今の保険証の内容 に相当するものを別紙としてつけたらどうかというような議論があって、私自身はいかが なものかというご意見を二度ほど申し上げたのですが、その意味と同じなのか違うのかち ょっとわからないのですが、7ページにいきなり別紙という表現が、カード券面あるいは 別紙に記載することとするという表現が出てまいりまして、その後の、25ページの3−3 −2のところの2行目ですか、最初の○の2行目、または被保険者証と同内容の事項が記 載された別紙というような形で出てくるのですけれども、この報告書というか、この1セ ットだけで読み込んでいったときに、全くこの別紙の話が読む人はわからないじゃないの かなと思いまして、ちょっとそれはどこかで、この別紙とはどういうためにどういうもの を想定し、どこが発行し、どういう内容が書かれるという基本的なことぐらいは少し述べ ていただかないと、全体としてちょっと理解ができないのかなと思ったのが1点です。  それと、もう一つ、10ページの被用者健保の被扶養者届けのところの微妙な表現ですけ ど、市町村を経由して提出することができることとするという、ここにちょっと含みがあ るのかどうかなのですが、要するに市町村を経由して提出することとするというのと、す ることができることとするという、保険者に届け出ることと市町村に届け出ることにその 選択の余地を与えるという表現に、どうしても私自身は読めてしまったのですけれども、 そうするといろいろな面で実務的に新たな問題が出てくるのかなと。例えば検認という概 念がありますけれども、どこがその責任をもってある事象に対してすべて掌握するのか。 責任部署が2カ所になり、かつその選択肢が本人というまた別の方に与えられた瞬間に、 そこのコントロールがきかなくなってくるのかなという、非常に大きな問題が内在してい るので、ここのところで何か議論があったのであれば教えていただきたいというのが2つ 目です。  それから、3つ目、先ほどから出ている保健医療番号に関してですけれども、私自身の 読み込みが浅いのか、いま一歩、まだちょっとしっくりとイメージできないところがござ いまして、特に27ページ、3−3−3で、新たに生じる課題への対応についてのところで、 これから利用シーンごとにいろいろなさらに深掘りした検討を行わなければいけないとい うことで書いてありますので、すべてここで表現されていると言ってしまえばそれまでで すが、要するにもともとの保健医療番号が必要なのではないかという大江先生の文書もつ いていますけど、そういう意図を読んでいったときに、このカードが物理的な停電とかい ろいろな話が出ていますけど、使えないというときにも、今までの医療機関における医療 に係る事務がきちっと進むようにというのが原点だったと思うのですね。といったときに、 例えばですが、レセプトの請求という行為なんかに入ったときに、要するに今の各保険者 の保険者番号や記号番号にこの番号がとってかわっていくことまでも仮に想定されている のかどうか。もしそうだとすると、協会健保は別として、全国の1,500弱の健康保険組合の システムがすべて根底から変わってきてしまう、そういう非常に大変大きなことを秘めて いるような気がしまして、その辺が、あえてその辺がまだ深掘りの検討ができていないの で3−3−3のようにまとめられたのか、大変大きな問題を秘めているなという気がして います。  その観点で、もう一つこの保健医療番号、これは大江先生の出された資料にもあるので すけれども、本人の意図で、途中で別の番号を与える制度設計が必要であるというのがい きなり出てくるのですけれども、この番号についてだけ特にそういう表現で、途中の番号 の切り替えを絶対設定しなければいけないという、ニーズというか、背景が私自身がまだ ピンと来ないので、もし何か必要とするものがあれば、教えていただきたいというのが3 点目です。  最後、これちょっと小さな問題なのですが、この書類の冒頭に、社会保障カード(仮 称)「以下社会保障カード」というような表現でスタートしているのですが、いろいろ分 担をされて行ってきたというのもわかるのですけれども、とにかくこの社会保障カードと いう言葉が非常に乱れて使われています。というのは、冒頭でそういう定義をしながら、 途中からは、一旦定義した社会保障カードを以下「カード」というみたいな形でもう一回 定義し直されたりとか、また最後のほうになると社会保障カード(仮称)と出てきたりし ております。そこはぜひ事務局で一回再整理をしていただければなと思います。  小さいことまで申し上げたついでであれなんですけれども、もう一点だけ、16ページで すけど、この一連の書類の中で1カ所だけ医療資格の確認というその新用語が出ています が、ここは医療保険資格の確認にさらりと直していただいたほうがよろしいと思います。  以上です。 ○山本委員  ご指摘いただいた最後の1点に関しては、もうこれは編集ミスですし、それからその前 の社会保障カード(仮称)が後ろについているのは、これも編集ミスだと思います。それ から、途中でわざわざカードに読み替えているところは、主に3−1の要するにICカー ドを使った保険資格確認のところでもあまりにもたくさん出てくるために、ここはもう少 し短くしたということと、それからそれ以外にカードと書いているところは、これは社会 保障カードという仕組ではなくてICカード自体そのものをカードと示しているところが 大部分だろうと思っております。例えばカード交付というのは、社会保障カードはこの発 行DB、中継DBを含めた仕組ですけど、カードそのものを出すときはカードというふう に書いているところはあるかと思います。  それから、最初のご質問の別紙ですけれども、2つの別紙の場所をご指摘いただきまし たけれど、この2つの別紙は意味が全然違うものでありまして、7ページの、保健医療番 号をカード券面あるいは別紙と記載されている部分、この別紙は、カード券面にこの共通 番号を記載することでどうしてもリスクが高まるのであれば、例えばカードフォルダに記 載するなど、要するに容易には見えないところに書くという意味の別紙です。それから、 25ページの3−3−2の最初の○の別紙、これは作業班が想定しているのは、現在の被保 険者証です。したがって、保健医療番号がない場合は、現在の被保険者証と同じ情報を持 った別紙が必要になりますが、保健医療番号が運用されている場合は、この別紙は原則と して必要ないと考えております。ただし、社会保障カード制度が開始されてカードを配り 始めて、配り終わるまでの期間、つまり初期の移行期間は、一つは社会保障カードを持っ ている人と持っていない人が混在する、それからもう一つは利用する医療機関、介護機関 等で社会保障カードの機能を利用できるまでの整備期間が存在します。この期間は社会保 障カードと従来の保険証の両方を同時に発行する必要があります。社会保障カードを配っ た人にも従来の被保険者証が要る。全ての人が社会保障カードを持った時点で、従来の被 保険者証を配るという作業は終わります。ただし、その場合でもこの保健医療番号がない 場合には従来の被保険者証と同じものでないにしても同じ情報を記載した紙がないと医療 保険が利用できない、ICカードの機能が利用できない場合に診療が大きく手間が増える といいますか、差し支えるという事態が生じるということであります。したがって、25ペ ージの最初の○は、こういったICカードの機能が利用できない場合で、保険証情報を入 手する必要があって、現実にはご本人がその情報を持参するしかない。だから、従来の保 険証ではないにしても、カードフォルダにその保険者情報が印刷されている必要になると いう意味であります。  4章にも書きましたが、できれば同じ内容のものを紙とカード、正確には紙と中継DB ですけれども、これを両方やるというのは保険者のほうも大変な手間ですし、それから利 用者のほうも常に両方持ち歩く必要があるという意味では、非常に負荷が高いので、これ はできるだけ避けるべきだというのが作業班の意見であります。  それから次は、市町村を経由して提出することができることとするという点ですが、こ れは池上構成員のご指摘のとおりで、作業班も悩んでおります。すべて市町村を経由して 提出することしかできないとするのか、今までどおり事業者を介して保険者に提出するこ ともできる、つまり併用を認めるのかというのは、両方の意見があってまだ結論を得てお りません。検認作業等の議論もございましたけれども、メリット・デメリットをもう少し 詰めて考えるべきであろうということであります。  それから、医療保険番号をレセプトに記載することができるか、ということですけれど も、もともと大江構成員の意見にはそれができるようにということが書かれておりますし、 それが可能であれば、社会保障カードがあった上で中継DBの機能が使えないという時で も、医療機関にとってはその番号だけで請求ができるということで、医療機関にとっては メリットがございます。レセプトは保険者に直接行くわけではなくて、例えば支払い基金 等で、保険者番号、被保険者記号番号に変換されればいいわけです。ただその際に問題に なるのは、今のさまざまな制度による負担分等で自己負担分の変化があって、それをすべ てカバーできるかどうかというのは、作業班としてはまだ検討し切れていないという状況 です。  それからもう一つ、レセプトは3年間の提出可能期間がございますので、3年間保健医 療番号を変えることができません。変えることができるとした理由は、この番号を変えな い限りは医療機関を変えても一つの医療機関であっても、その番号で病歴を過去にさかの ぼることができますし、他の医療機関と照合することができます。これ今の健康保険の記 号番号ですと、保険が変わってしまうと病歴が同じ患者さんのものかどうかわからない。 一つの医療機関であっても、この患者さんが以前に来たことがある患者さんなのか、初め て受診することなのかも確実にはわからない。保健医療番号はこのような不都合を解消す ることが可能です。地域医療連携でも今まで例えば各地域で実験的な取組に行われている 地域では、必ず改めてIDを発行しているのですね。保健医療番号はこのような目的に 使えるわけです。しかし、ある病歴をもうだれにも知られたくないということもあり得る と思うのですね。その場合に、ご本人がそのことによって自分の医療の履歴がここで切断 されるという不利益を承知の上でこの番号を変更すると言われたら、やはり我々は応じる べきであろう。つまりもうその時点から前のことはさかのぼってほしくないのだという、 自由といいますか、権利はあるのだろうと。そういう意味で、この保健医療番号はご本人 が望めば変更できるとしています。住基番号等は単にその住基情報の履歴ですけれども、 保健医療番号は自分の疾病の履歴ですから、住基番号等に比べると、履歴を消したいとい うことはあり得るのではないかと思って、その点を強調しております。  しかし先ほど述べました、レセプトに使うと3年間の提出可能期間がありますので、仮 に保健医療番号を変更したとしても、中継データベース内で3年間は保険者と保健医療番 号のリンク情報を持たないといけません。ですから、番号は変えることができますけれど も、3年間は何者もさかのぼれないという状況ではなくなってしまうというデメリットが あるということが先ほどお話しした趣旨であります。 ○大山座長  どうぞ。 ○池上委員   1点だけ、先ほどの被扶養者の届出について、市町村を経由するのか、従来通り事業主 経由で保険者なのかというところで、これからまた検討を深めていただくに当たって、こ ういった被扶養者の届出が発生する事象が、喪失等幾つかありますよね。例えば、一つの 健保の中で事業所が変わったことを市町村に届けるといっても、たぶん受け入れられる概 念がないと思うのですね。ただ、ワンストップサービスと非常に密接に絡んできて、そこ のところで処理できる世界ではないか。だから被扶養者届けが発生する事象の種類という のは、何百種類あるわけではなくて非常に限られたケースしかないわけなので、それがほ かの今進んでいるプロジェクトの関係でどこまでサポートできるのか、その辺を睨んだ上 で、たぶん意思決定ができるのではないかと、個人的には思っています。 ○山本委員  ここで述べているのは、あくまでも出生時の場合だけです。11ページに書いてあります ように、池上構成員のおっしゃるとおりで、次世代電子行政サービス等と密接な関係があ る部分だろうと考えております。 ○大山座長  いいですか。  どうぞ。 ○樋口委員  とにかく、この報告書の作成の過程においていかにこの作業班の方たちが苦労されたか というのは十分に理解できますし、そのことにまず敬意を表した上でのことですが、3つの 点を申し上げます。その前に、私このところ体調の問題もあって、何回か欠席したことも あって、もしかしたら議論についていっていないところもあるかもしれませんが、それを 前提にして、とりあえず3点ということです。ただ、そのうちの後のほうは、もしかした ら次の議題の報告書の取りまとめと、結局こういうカードがどういう、私繰り返し同じこ とを言っているわけですけれども、こういうカードをつくって何をやろうとしているのか ということにむしろ関係します。要するに、このカードのその大きな意味でのメリットで すよね。それがもっと見えてくると、これだけ苦労されても、交付についても5年かかる とかいう壮大な話ですよね。だから、それでもしかし、それには意義があるのだというふ うに国民の皆さんにもわかってもらうというのが結局一番重要なところに戻ってくると思 うので、それの関連という話にもなるかもしれませんが、とりあえずこの範囲で3点です。  1点目は、割に簡単な、簡単というか実際には大変だと思いますが、3ページ目のとこ ろで、中継データベースというのが説明されています。資料では2ページ目以下ですけれ ども、非常にこれは重要な役割を果たしていますね。結局、個々人が持つところのカード というものが重要な役割を持ち、しかしカードだけ持っていても何の意味もないので、結 局中継データベースというのを介していろいろなところへつながっていく、この中継デー タベースというのが極めて重要な役割を果たすというのがこの全体の構想の骨子ですから、 それはもう釈迦に説法で、もしかしたらさっきのも私の読み落としで書いてあるのかもし れませんけれども、その中継データベースがダウンしたらどうなるかとかいう、バックア ップであるとかセーフガードであるとか、それは当然お考えにならざるを得ないようなも ので、書いてなくたってみんながわかっていることだということだと思いますけれども、 その点をきちんと明確にしておく必要がある、これがとりあえず第1点ですね。  2つ目は、この保健医療番号という話が、私もちょっと十分にはわからなくて、今日た またま私が遭遇した2つのことから申し上げますけれども、1つは今日8チャンネルで8 時からのテレビを見ておりましたが、コメンテーターが、有名なコメンテーターですが、 やっぱりこういう一種の総背番号制というのが、例えばアメリカでは社会保障番号なんて いうのがあって、もちろんいろいろな弊害もあるけれども、相当の機能を果たしていて、 日本の場合はそれがなかなか取り入れられない。取り入れてはいけないという反対者のこ とが理解できないというコメンテーターの議論ですね。2つ目が、今日たまたま、これも 私のところに来た雑誌の一節だけちょっと読ませていただきますけれども、これは経済学 者の人が書いている文章ですが、ちょっとそのまま読みましょう。「実際、話を複雑にす るのはプライバシーの問題である。ところが、基本的人権を守るためには」、いいですか、 「基本的人権を守るためにはプライバシーが障害になり得るという問題は多くの専門家に 考えてほしい点である」。このような文章があります。専門家だけではなくて一般国民も 含めてみんなに考えてもらいたいものだと思いますが、その例としてどういうことなのか というと、例えば保護の必要な難病なのに、病気を隠されていては有効な保護や対策を打 てないというのが例示されています(なおこの雑誌は「書斎の窓」4月号)。  今ちょっと山本さんのほうがおっしゃったのですが、保健医療番号という共通番号を一 つ打って、そのことによるメリットについてはもう少しわかりやすく説明していただいた ほうが本当はいいと思うのです。今後ということですけれどもね。私もやっぱりこういう 番号を打って、やっぱり情報の連携を図っていく他ないのではないかなと私自身は思って いるので、そのときに自分で自由に番号を変更できるんだよという話は、私はないような 気がするのですね。もちろんそれは個人の自由だという話はあるのかもしれませんけれど も、例えば先ほどの例ですよね。自分がかつて何らかの病気を持っていて、そのことだけ は隠しておきたい。そういう気持になる気持もわからんではないです。私も患者だからと いう、よけいなことを言う必要はないのですけれどもね。しかし、何を恐れているのかと いうと、これはやっぱり知られた後、結局、知られること自体が嫌だという人ももちろん そういう気持もほんとはわかるのですけれども、やっぱりもっと大きな差別ですね、結局 のところ、それによって何らかのいろいろな意味での差別が起こるということが一番大き な問題なのでね、そちらのほうを何とかするというのが社会のあり方で、隠しておいて、 あなたは自分で隠したことによる(情報連携がないことによる)不利益を甘受するのは残 念な事態ですね。情報の連携がなければ、それによって不利益を生じますよね、医療機関 だって前の病気も何もわからないで治療しようということになりますから、それで見落と しが起きたり何なりしても、それこそがあなたの選んだ自由なんですから自己責任ですか らねというのは、それは一つの考え方だけれども、やっぱりちょっと本当の意味の問題を 把握していないで、自己責任みたいなところに押し付けているような気がするのですね。  それからもう一つは、やっぱり国民皆保険システムとか、だから国民全体で年金もそう ですよね、助け合いのシステムの中で、本当に自分個人は絶対嫌だからここだけは自由に させてもらいますというようなことが本当にできるのだろうか、それならちょっと国民皆 保険からも自分は外れますと、全部自由診療でやります、年金制度にも一切頼りませんか らという、そういう自由を認めてくれたほうがまだいいような気がするのですね。やっぱ りさっきのような例だけで、個人の自由という話ではないのじゃないのかなと私は思って いるのです。単純にやっぱり共通番号というようなことをつくると、国民総背番号という のは悪いイメージを持っている言葉ですから既に日本においては。そういうものの今度は 保健医療番号という名前を変えただけでやろうとしているのではないかという疑いが生ず るので、それで、そういう大それたことではありません、なぜなら、というので、本人が 何らかの形で問題があると思えばいつでも番号を変えられるような、そういういい加減な、 まあいい加減というのは悪い意味ではないのですが、よい加減かもしれませんが、よい加 減の番号ですから安心してくださいというようなことでやっておられるのかと思ったりも していたのですけれども、さっきのような事例を出されて、そのためだと言われると、そ れはすばらしいですねという感じがしないのですね、私には。  しかも、次のような悪用すら考えられます。この番号変更をいつでも希望するとかなえ られるという制度なら、今日希望してまた明日も希望しますね。この全体の仕組が嫌な人 は、例えば樋口みたいな嫌がらせの好きな人は毎日やってきますね。番号を変更しましょ うと。番号を変更する運動を起こしましょうということですよね、1人だけじゃ仕様がな いですから。それが広がるとシステム全体がもたなくなります。それでもしかし、そうい うことにしたからやむを得ないなんていうような、そんなシステムをつくるのはちょっと どうなのだろうかという感じがするのが第2点です。ちょっと私の浅薄な理解が元になっ ているので、いやいや樋口さん、そんなことじゃないですよと。これは非常にうまいコン プロマイズというのですか、そういうものとして考えられているのですよというふうにお っしゃってくださるなら、それはそれで伺いたいと思って、これは質問なのです。  3つ目は、カードができたときに、交付年齢のお話もそうなのですが、30ページのとこ ろにやっぱりいろいろな悪用を考えないといけないということなので、ただ、私の想像力 が貧しいせいか、このカードができたときにどんな悪用が考えられるのだろうかというの がやっぱりよくわからないのです。私自身があんまり悪人じゃないのかもしれないのです けれども、本当の悪人は、で、もしかしたらこれはあんまりいっぱいいろいろな悪用を想 定する事例を書いてしまうと、みんなは怯えますね、とにかくね。そんなに悪用される可 能性があるのだったらそんなもの作ってもらいたくないということもありますのでね、だ からそれはやや戦略的なこともあるのかもしれないのだけれども、さっきタイムラグの話 が出て、保健医療機関を変わったときにタイムラグなんかの話もそうなのですが、それは ほんとは今の紙の保険証を持っていてもタイムラグはありますよね。今度のカードができ たときにタイムラグがどうしても発生するというのは新たな問題ではないので、もしかし たらカードができることによって、タイムラグが今までこれだけの期間だったものがもっ と倍になると言えば、それは指摘しておくべきなのですが、今までもあった問題が同じよ うにあるだけですよという話であれば、あるいはだから本当に同じかどうかということを 今の状態と比較してもらいたい。この悪用もそうなので、健康保険証であれ何であれ、今 はだってたぶん悪用する例はあり得ると思うのですね、保険証のね。そういうものと今の 悪用と違ったものがこんなふうにいろいろあるのですよと。それならそれで、それに一つ 一つ、やっぱりこういう形でやれば大丈夫という対処を考えておく必要がある。  もう一つ言うと、悪用は他人が悪用する場合もあると思うのですけれど、はっきり言え ば本人が悪用するのだってやっぱりあり得ると思うのですよね。それも想定して、しかし 国民のうちのだれかが自分でこうやって悪用するようなことを考えるというのは、ほんと は書きにくいことかと思うのですが、そんなことを言えば、ここで詐欺をしようというの だって国民の一人ですから同じことなのでね。例えば私が今考えているのは、やっぱり社 会保障制度がこれだけ複雑になってくると、一方でこういう給付をもらっていると、もら っていても重複でこっちの給付ももらえるはずなのに本人がぼやっとしていてわからない ために、それが情報の連携ができていないために、私は実は不利益を受けているのだとい うことがあるかもしれない。しかし、これで情報連携ができますと、保健医療番号でも何 でもいいのですが、樋口さん、こっちの給付だけじゃなくて、あなたはわからないかもし れないけどこっちの給付もできるのですよということがわかるようになるということがあ り得ると思うのですね。今の悪用の例で言うと、逆に連携がないために二重に取っている 人もいるかもしれないのですよね、国民の中でね。だからいろいろな不平等、不利益を受 けている人もいるし、不当な利益を受けている人もいるかもしれない。そういうのがちゃ んと社会制度全体としてはやっぱりよくないことですから、だからそれがはっきりするの ですよというようなことがあるのなら、それをはっきり示す。そういう悪用をどうやって 防ぐかということも考えないといけませんが、それは今のものよりはこのカードをつくる とずっと悪用も質が変わってくるかもしれない、あるいは少なくなってくるかもしれない、 そういうことを少し、今回でなくてもいいのですけれども、もう少しそれこそそれは繰り 返しになりますけれども、悪用の事例をあんまり事細かにかくと、まず悪人に知恵を与え るんじゃないかという危険と、それからそもそもそんなにこんなカードをつくることに対 しては非常にシュリンクするというのですか、消極的になるようなことになるおそれもな くはないのですけれども、やっぱりそれこそそういうことを隠しておいて実際に始まった ときに、悪人というのはきっと私の何倍も頭がよくて、そんなことは教えてもらわなくた ってもっといろいろなことを考えるのに決まっているわけですから、やっぱりそれこそま さに社会保障制度の透明化を狙ってやるというのであれば、そのプロセス自体も透明化し て、いろいろな危惧はあるのだけれども、しかし意味はあるという話で持っていっていた だきたいという気がしていて、ちょっとその悪用の事例についてもう少しわかるような形 ということを見せてくださるのだろうかという、要請というか質問というか、ちょっと長 くなりましたが、すいません、申しわけないです。 ○大山座長  今のご意見に対して、何か考えはありますか。 ○山本委員  最初の質問にだけはお答えできますが、中継データベースがダウンしたときというのは 3ページのゴシックの上の部分の明朝体で書かれているところの(4)で、中継データベ ース運用上の要求要件で、適切なサービス運用時間を維持することという要求要件が書か れています。実際にどういう方向で実現するかまではまだ検討はされていませんけれども、 中継データベース自体はダウンしてはいけないということをここで要求としては挙げてい ます。幾つも実現方法があると思いますけれども、要求としてはダウンしないことを求め ています。  それから、保健医療番号を変えることができるとするか、できないとするかという点に 関しては、作業班で最終的に決定することは荷が重い話ですので、この検討会を中心に、 どういう性質のものであるかを決めていただければいいと思います。例えばアメリカのソ ーシャルセキュリティナンバーは変えることができる番号ですが、1年に1回で通算10回 までという運用だったと思いますが、一応変えることができるという前提で運用されてい ます。今変えることができない番号というのが世の中にどれぐらいあるのか、調べてみて、 運用上の負荷を検討したほうが良いかも知れません。ただ、変えても旧番号とリンクして いる、つまり番号自体は並び方が気に入らないから変えるというのでも、実際はその前の 番号も全部追いかけることができるというのであれば、実質的には変えたことにはならな いですね。今ここで作業班として前提に置いているのは、さかのぼれない変更ですので、 それがいいか悪いかという点についてはぜひご検討を願いたいと思います。  それから、悪用が具体的にどのような悪用のシーンがあるのかという点はそれほど詳細 に検討したわけではありません。ただ、よく言われるのは、健康保険ではなくて年金であ りまして、年金手帳とご本人とのセットで年金を受給するわけですけれども、社会保障カ ードは高度な本人確認能力を持つわけで、つまりオンラインである口座に年金の振り込み 依頼をするような申請ができるようになる可能性はあると思うのですね。実際にそうなる かどうかはまだわかりませんけれども。そのような場合に、ご本人に成りすましてカード を使うことによって、目視で80歳の老人が来ているというのではなくて、全然違う人が 操作していてもわからないという意味では、機会が増える可能性はないとは言えないです ね。ただし、4章にも書きましたように、そもそもそういった手続をすることがおぼつか ないというふうなことが明白である場合には、あらかじめそれを防止してしまう、つまり ご本人の顔を見ない限りはいかに社会保障カードでもネットワーク上から操作できないよ うにするとかという対策は取り得ると思います。そのようなことを考慮しないわけにはい かないということを書いています。 ○大山座長  どうぞ。 ○高山委員  2つ申し上げます。  まず7ページ目、小さい問題から指摘しますけれども、2−5、保健医療番号について、 大きな字で書いてある下の2行目に、「現状可能な現場の医療・介護が提供可能であるこ と」と書いてあります。「現状可能な」という言葉がうまくつながっていません。もうち ょっとここは表現に工夫をしていただいたほうがわかりやすいんじゃないか。私自身は意 味がわかりませんでした。  もう一つは、19ページ以降です。現在でも問題があるけれども、顕在化する課題という ことですね。その一環で、異動等に伴う手続、事業主が届出をするとか、その他もろもろ のことが書いてあります。本人に然るべき正常な判断能力がないとか、あるいは人間です から間違いを犯す。普通にできることが実際にはできない人がある一定の割合で確実にい るわけですね。個人のレベルでも認知症の例があったり、乳幼児の場合はどうするかとか、 あるいは普通の成人であってもいろいろ不始末をしでかしてしまう人たちがいます。私も、 ものをよく無くしますから、こういうカードが来ても無くすのかなということを恐れてい ます。いずれにしても正常な人間を前提にして制度はつくるのですが、そうでない人たち も少なくない。そのこともあわせて対応を取らなきゃいけない。  以上は個人のケースですが、実は事業主もそうなのですね。今は5人未満の事業所であ っても社会保険を適用しますよ、一人法人でも社会保険を適用しますよということになっ ているのですね。ただ、今いろいろな形で報道されているように、年金記録の改ざんを調 べていくと、経営不安に晒されている中小零細企業の存在があるわけですね。社会保険と のつきあいよりも、事業体として今日、明日をどうやって生き延びるかに精一杯のところ がある。そういうような、実は社会保険の話が後回しになっちゃっている事業体が少なく ないわけです。そういうところがこういう保険の適用だとか資格喪失だとかそういうもの をちゃんとまともにやることを想定しないと、このシステムは動かないのですね。大企業 では、人事、労務や経理部門がちゃんとしていてシステムとして対応できて、電子化して も、そんなに大きなコストをかけなくてできる。他方、経営不安に晒されているような中 小零細企業では、それをやろうとすると、かなりのコストがかかる。要するに、コンプラ イアンスコストは中小零細企業、特に経営不安に晒されているような企業ではものすごく 高いんですね。ちゃんとしたシステムが整っている大企業と同じように、同じ制度を中企 業零細企業に適用すると、いろいろ無理が起こっちゃうわけです。要するに、中小零細企 業がついていけない。手続も適切にできない。タイムラグとかいろいろなことが起こる。 本来の資格を持っていてもその資格確認ができない。適用もうまくいかないというケース が起こる。これは年金だけでなく医療もそうだと思います。  そういう場合に、対処の方法は2つあります。1つは、今の社会保険の適用範囲を改め る、見直すということですね。事務処理が適切にできないようなところまで、一人法人で あれ5人未満の事業所であれ、経営不安を抱えている事業所であれ、とにかく社会保険を 無理やり適用するシステムを今後とも維持していくのかということです。そこを改めると いうのが一つの解決方法。もう一つは、今の制度を前提にして、どんなにそういう経営不 安を抱えようとも、一人法人であっても5人未満事業所であってもとにかく適用する。こ のカードも使うという形でやる場合には、社会保険労務士等にお手伝いをしてもらうとか、 あるいは社会保険事務の取扱いに対する特別の補助金を出すとか、高いコンプライアンス 費用を軽減させるような施策とセットにしないと、円滑に動かない。個人のレベルでもい ろいろ問題のある人がいる。事業主のほうにもいろいろ問題がある人がいる。そういう場 合に、然るべき適用や管理ができるのか。要するにカード問題がそのような問題を顕在化 させるだけで、カードを導入することによってそのような問題が新しく起こるとは私は思 っていません。このカード検討会の守備範囲を超える話ですが、そういう問題があること を指摘しておきたいと思います。  以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。  今の件で何かありますか。 ○山本委員  先ほどの樋口先生もおっしゃったのですけれども、この19ページのICカード使用によ る顕在化する課題として、タイムラグの発生は確かにあります。紙でもあるのですけれど も、紙の保険証の場合は新しい保険証を物理的に受け取ってから医療機関に持っていくこ とによってそのタイムラグの期間が消されてしまいます。ところが社会保障カードの場合 は、カード自体は変更なしに同じものを持っているわけで、中継データベースで中の結び つけ情報が書き変わります。したがって、持っているものが同じなのに、ある瞬間から変 わるということで、物理媒体としての保険証を返してもらうという手続がないためにタイ ムラグが顕在化してくることになります。  それから、高山委員がおっしゃっている特に年金での事業者の対応の問題等は、確かに 社会保障カードにより顕在化するということはあると思います。そのことに対しての対策 は少なくとも我々が考える範囲ではないと思っています。顕在化することによって問題が 明らかになって、その対策を皆さんで検討していただくということ以外にないのだろうと 思います。 ○大山座長  ちょっと時間の関係もあるのですが、どうぞ、それでは。 ○岩月委員  今のタイムラグの件、22ページであります。今の議論は医療現場での利用を念頭に置い たシナリオですが、医療費の支払いの部分についてはこの22ページのここの部分にしか書 いていません。この中で、レセプトは最終的に審査支払機関を通じて2カ月後に各医療保 険者に請求されるのは事実ですが、医療機関とか薬局から審査支払機関に届け出るのは、 例えばオンライン請求であると最低9日間の猶予しかないわけです。そうすると、ここで 書いてあることは、いわゆる保険請求をしないことによって返戻作業が減るというふうに しか読めないのですね。被保険者が確定しているのであるならば、このタイムラグを短く して、通常の保険請求に間に合うような仕組とかというのは、どこかで考えていただくと いうことはなかったのかというふうに思いますが、いかがなのでしょうか。 ○山本委員  いや、保険請求を遅らせるということは全く考えていません。今までどおりされた中で、 タイムラグをできるだけ少なくして齟齬がないようにするということを考えているだけで す。請求を行わないようにという前提は全くありません。 ○岩月委員  今のオンライン請求ではASPがかかって資格確認ができない場合は保険から、今は保 険請求を取り下げることになっていますよね。したがってその返戻がなくなるということ ですよね。ただ、そうじゃなくて、資格確認ができているのであるならば、その9日間の 間にやっぱり間に合うように保険者情報を更新していくというようなことがあれば、月末 に保険がいきなり変わった人、まあ、30日にとか31日に変わって、それを翌月の請求の9 日までに情報をいただけるかどうかというところまでは要求はしませんけれども、ここに はそういう資格確認が出来ない場合のことが一切書いていないというふうに私には読める のですけれども。 ○山本委員  ここで問題にしているのは、社会保障カードを持ってきた患者さんから医療機関が取得 した保険情報がその時点で有効であれば、それは保険請求できるわけですよね。ですから、 その後でどう変わろうとそんなことは関係ない話なのですけれども、そのときの情報が実 際は次の保険者に移っているにもかかわらず、旧保険者の情報が返ってくる期間が数日で すけれど、あり得ます。それをできるだけ短くするという議論です。岩月先生がおっしゃ っているのは、その変わったことを医療機関に再通知するということですね。それは決し て不可能ではないと思いますし、先ほどの保健医療番号が導入されていれば、レセプトを 実際に1日以降につくられるときに自動的にもう1回チェックをすれば、それが無効か有 効かというのは簡単に返ってくることがわかっていますので、レセコンの改造によっても それは可能だと思います。 ○大山座長  どうしますか、今の件。  時間の関係もあるので、そろそろ先へ行きたいのでが、一つだけ、できれば作業班のほ うにお願いがあります。大江先生が言ってくれた医療保険、介護保険関係の番号の件につ いて、今の検討ではカードが出てくるときの話になっていると思いますが、そもそも論と してカードがなくても価値があるのではないかと思います。この差分をもう少し明確にし ておくほうが理解の上で良いのではないかと思います。さらに、ここのところは樋口先生 が言っていただいたことにも繋がると思いますので、このあたりについて一回検討いただ けないだろうかというお願いです。  ほかに、どうしてもこの件で。どうぞ。 ○後藤委員  社会保障カードを発行するということで位置づけをされている市町村の立場で二、三申 し上げておきたいと思います。6ページのところでは住基カードとか公的個人認証の例を 引いて類似の業務を既にしているからということで市町村が適格であろうかと、このこと 自体は、私は否定するつもりはございません。ただ、具体的に交付をする手続のところで、 例えば8ページのところに年金手帳と保険証の提出で確認をするというような記述がござ いますが、このあたりですと先ほど山本先生がおっしゃいました社会保障カードに高い本 人確認性を持たせるという意味で言うとちょっと足りないのかもしれないなと。今の例え ば住民基本台帳カードの発行においては、パスポートであったり運転免許証であるような、 写真つきの公的な証明書でもって確認をしながら発行するというようなことを実際にはや っております。  それから、具体的に発行する体制も触れていただいてはいるのですけれども、これも現 実的な話としては相当大きな話になってまいります。例えば、三鷹市は今人口18万ぐらい ですが、20万ぐらいの人口で考えて計算しますと、発行する窓口が14とか15ぐらいないと いけない。しかも自治体の窓口の業務の常として、繁忙期のピークは通常時の2倍、3倍 にすぐなるのですね。そういうことも含めて、物理的な問題として体制を考えておかなけ ればいけないのかなと。この辺は、例えば来年すぐやれと言われてもいきなりは準備でき ませんから、相当早めに考えておく必要はあるかと思います。  それから、これもよく話がのみ込めていないからかもしれませんが、ICカード、それ から電子証明書ですね、これについては住基カードあるいは公的個人認証の電子証明書と いうことについては、このシナリオの中では一切触れられておりませんけれども、これは いずれどこかで明らかにしておかないと、現場の市町村では具体的な検討はできないかな というふうに感じているところでございます。  あとは、これで終わりにいたしますけれども、7ページの発行データベースの絵がござ いますけれども、これの主体というのは国レベルで管理運用がされるというものだという 認識でよろしいわけでしょうか。このあたり、これも保険者、特に社会保険の保険者の皆 様と市町村が持っている住民基本台帳のデータについては、もう少し有効な連携ができる とお互いにメリットがそれぞれあるのかなというふうには常日頃、感じていることではご ざいまして、そういうことも含めた仕組が一つあるといいのかなと感じております。 ○大山座長  今の意見に何かありますか。回答ありますか。 ○山本委員  ご指摘の点はもっともですので、これから検討させていただきます。 ○大山座長  おわかりと思いますが、この資料1についてもまだアップデートしていたければと思い ます、山本先生の作業班で。 ○山本委員  もちろんです。 ○大山座長  ということで、質問のほうはよろしいでしょうか。  今日終わるわけではありませんし、いただいた意見を反映したものを用意するというこ とになるかと思います。  ちなみに、この次の議題にも関係しますが、報告書取りまとめに向けた検討メモという ものと、この活用シナリオ、資料1と2の関係はどういうふうに整理するかに関するお考 えがあれば紹介ください。皆さんにご理解をいただくために、説明いただけるとありがた いと思います。 ○山本委員  報告書としてはあくまでも資料2で、これから簡単にご説明させていただきますけれど も、活用シナリオの内容がすべて入っているわけでありません。エッセンスを入れる形 でその報告書に組み入れることを想定しています。  それとは別に、作業班での検討した活用シナリオという形で、検討会の報告書とは別の 文書として公表しようと考えています。 ○大山座長  ありがとうございます。  それでは、今お話しいただきました報告書についての議論を、時間があまりないのです が、これについては、先に申し上げて恐縮ですが、追加のご意見等についてはメール等で 事務局側にお出しいただきたいと思います。内容をご理解いただくために、事務局側から 説明をしていただきたいと思います。言うまでもなく、本日欠席されている委員の方もい らっしゃいますので、その方たちからも意見をいただきたいと考えています。  それでは、恐縮ですが、事務局側から報告書取りまとめに向けた検討メモの案につきま して説明をお願いしたいと思います。お願いします。 ○事務局  資料2及び参考資料についてご説明させていただきます。着席してご説明させていただ きます。  まず、参考資料について、説明と申しますか紹介させていただきますと、デジタル新戦 略、デジタル新時代に向けた新たな戦略〜三か年緊急プラン〜(概要)ということでござ いまして、1枚めくっていただきました1ページ目に、デジタル新国家戦略による日本経 済の再生というペーパーがございます。現在の日本のIT施策はIT新改革戦略という 2006年に制定されたものに基づいて政策を進めておりますけれども、デジタル技術の進歩 などもありまして、また、最近の経済状況もありますので、IT戦略本部におきまして、 2015年度を見通した新国家戦略を6月中に策定するという予定になっております。  また、最近の当面の経済危機を乗り越えるという意味で3か年の緊急プランを先行して 策定するということになっており、正式には今月上旬のIT戦略本部で決定するというふ うに聞いております。  その内容でございますけれども、1ページ目に概要が書いてございます。この検討会に 関係する内容といたしまして、1ページおめくりいただければと思います。2ページ目、 国民本位の新しい電子政府・自治体の推進(国民電子私書箱構想)という標題でございま す。希望すれば国民及び企業の一人一人に対しインターネット上でも安心して年金記録等 の個人情報を入手管理できる専用の口座(国民電子私書箱)を提供し、幅広い分野で便利 なワンストップの行政サービスが受けられるということを目指すということでございまし て、現状のさまざまなライフイベントごとの手続や、紙媒体での情報の確認というものが、 将来的には、ワンストップサービスや行政の見える化が実現されていくという内容が盛り 込まれておりますので、このような動きがあるということをご紹介させていただきます。 このような動きも踏まえて、次回の検討会の資料には、また少し修正が加えられるのかな というふうに考えております。  以上を踏まえまして、資料の2についてご説明させていただきます。  報告書取りまとめに向けた検討メモということでございまして、ごく簡単にポイントだ けご説明させていただきますと、1ページ目、検討の背景とこれまでの検討状況というこ とで、社会保障分野において情報通信技術を活用してよりよいサービスを提供していく。 その際に情報が部分的であると効率的でない。また分野ごとで構築していくというのも全 体最適の観点からは効率的ではないということで、社会保障カードというものは社会保障 制度全体を通じた情報化の共通基盤として作っていくということで、これまでの議論なり でまとめた内容を記述しております。  1ページおめくりいただきまして2ページ目でございますけれども、その一方で、現在 さまざまなワンストップサービスや情報連携の実現に向けた取組が行われているというこ とでございまして、現状はさまざまなサービス提供機関なり保険者がそれぞれで情報の管 理をしておりますので、利用者の方がそれぞれに手続や申請をしていただいている。また その管理もそれぞれの主体が行っているという形になっており、不便であったりコストが かかっていたりするという面があります。3ページになりますけれども、今後の目指すべ き方向性として、複数の機関に分散している情報の入手や手続を一カ所で終わらせられる というワンストップサービスや、それに向けた情報連携を進めていく。それに応じてコス トの削減が進められていくのだろうということを記述しております。  その下でございますけれども、この社会保障カードに関連する取組として、次世代電子 行政サービスや電子私書箱というものがございますけれども、これらも関連する仕組であ るだろうということと、社会保障分野を含んだ取組でございますので、こういったほかの 検討も含めて、一体的に、情報が見られるだけではなくて申請もできるとかサービス主体 からいろいろな情報提供が受けられるといった形で、一体となって初めて意味が出てくる だろうということで、そのような形を目指して、検討を進めていく必要があるだろうとい うことを記述しております。  以上を踏まえまして、4ページでございますけれども、そのような将来像を目指しつつ、 そうは言いましても、各医療機関や保険者の情報化、データの標準化といった環境整備も 必要ですので、それぞれの分野における課題の解消が必要であろうということで、利用頻 度が高くニーズの高いものを中心とし、可能なものから順次実施していくということが必 要であろうということです。そういった将来像を踏まえて、差し当たり年金記録を確認で きるということ、年金手帳、健康保険証などとして使えることを目指していこうというこ とでございます。  続いて、社会保障カードによる効果につきましては、昨年10月にまとめていただきまし た「これまでの議論の整理」を再整理をしたという形になっております。  効果につきまして飛ばしまして、7ページでございます。  これまでの議論の整理におきまして、仕組をイメージ、仮置きという形でお示ししまし たけれども、そこで制度内、制度間での利用者の特定、識別が必要であろうということが 書いてございます。  8ページにいきまして、そこで制度共通の統一的な番号なりカードの識別子というもの も検討しつつ、別途オンライン上で認証を行うということが必要であることを考えますと、 ICチップの演算機能を活用する公開鍵暗号の技術を活用する方法というものが安全性に おいては優位であろうということが書いてございます。  また、9ページでございますけれども、先ほど作業班の検討でもございましたけれども、 中継データベースというものが極めて重要な役割を果たすということでございまして、そ の役割について書いてございます。  9ページの最後の段落になりますけれども、各保険者が持つ被保険者記号番号を統一的 な番号で置き換えていくことも考えられる。ただ、これにつきましては、続いて10ページ になりますけれども、リスクが高まるということや、保険者のデータベース改修がかなり 大規模なものとなるという課題があるということを記述しております。  また、11ページでございますけれども、その中継データベースの具体的な機能としまし て、閲覧ができることやオンラインの保険資格確認ができること、また、不正アクセスを 確認することができるといったことに活用できるということでございまして、ページの真 ん中より少し下に書いてございますけれども、こういった中継データベースというものは、 他の検討、次世代電子行政サービス構想における行政情報の共同利用支援センターや電子 私書箱構想における電子私書箱プラットフォームというものと類似の機能を持つと考えら れますので、重複した投資を避けるという意味で共通の基盤として構築することを目指し ていくべきであろうということを書いてございます。  続いて12ページでございますけれども、今申し上げたような仮定の検証というものを前 々回ご紹介させていただきましたけれども、今年度実証実験を行う予定でございますので、 その状況や結果等、サービス体験者の方の声を踏まえて今後さらに検討を進めていくとい うことを記述しております。  続いて、3といたしまして年金記録等の閲覧ということで、こちらにつきましては利便 性を高めること、ワンストップ、オンラインで情報にアクセスできるということが重要で あろうということ、また、その前提として情報を提供する各保険者の環境整備、データベ ース整備や情報の標準化・可視化というものが必要であろうということが書いてございま す。  続きまして、15ページになりますけれども、医療の現場の活用につきましては、作業班 の検討結果を踏まえて記載するという形にしております。  また、保険者等の情報連携につきましては、そういった制度や保険者をまたがった調整 が必要な事務が行いやすい形になるように検討を進める。その際にはプライバシー侵害と いったものの不安が解消されるようなものとすると考えております。  続いて17ページにつきましては、写真つきの身分証明書として使えるようにするという ことも今後さらに検討を行う。またカードの発行・交付につきましては、作業班の検討の 結果を踏まえて記載するという形にしております。  続きまして18ページになりますけれども、電子行政、電子私書箱といった関連する仕組 との連携ということでございまして、繰り返しになりますけれども、こういったものとの 連携を十分して進めていくということで、中継DBといったもの、類似の機能を持つもの につきましては、重複した投資を避けるために、共通の基盤として構築することを目指し ていくべきであろうということで、それぞれの取組につきまして、現時点の状況というも のをそれぞれ記述させていただいております。  18ページに次世代電子行政サービス、19ページに電子私書箱構想、続きまして、20ペー ジから21ページ、21ページにつきましては前回の検討会でご紹介させていただきましたア クセス主体の多様化という取組、続いて22ページでございますけれども、地域情報プラッ トフォーム推進事業ということをご紹介させていただいております。  また、23ページにつきましては、既存のICカード、ICチップの媒体の利用というこ とでございまして、住基カードの最近の法改正の動きなどをご紹介させていただいており ます。  25ページにつきましては、認証基盤の活用ということやネットワーク基盤としてのレセ プトオンラインネットワークの活用というものを書いてございます。  26ページでございますけれども、制度的対応の検討についてということで、こちらにつ きましては作業班の検討に基づいて記述しております。  最後、27ページ、社会保障カードの実現に向けてということでございまして、前回ご紹 介させていただいた費用なり効果の試算についてご紹介させていただくとともに、28ペー ジでございますけれども、今年度行う社会保障カードの実証実験の状況や結果というもの を踏まえつつ、引き続き社会保障カードの実現に向けた取組を行っていくという形にして おります。  以上でございます。 ○大山座長 ありがとうございました。 事務局側が急いで説明した関係でわかりにくかった面も多々あるかと思いますが、時間の ことを先に皆さん方にお伝えをしたいと思います。会議の時間を延長しても会場は何とか なると確認をされました。あと2分で終わるのは無理と思いますので、申し訳ありません が10分か15分ぐらい延長させていただいて、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。  よろしいでしょうか。  それでは10分か15分ぐらいを目途に皆さん方からご意見、ご質問をいただきたいと思い ます。  ではお願いいたします。いかがでしょうか。  それでは樋口委員、お願いします。 ○樋口委員 ちょっとこれも繰り返しに同じようなことを申し上げているのですが、2点、7ページ目 に図がありますね。ここでその前の部分にきれいに4点かな、社会保障カードによる効果 というので4つに今度はまとめていただいて、この図のところに、この右のところへ○が 5つあって、こういうようなことができるようになるのですよということですけれども、 前に申し上げたように、こういう社会保障カードを導入することによって、それに影響を 受ける人といいますか、関係者というのがたくさんおられますよね、それは全国民を相手 にしているのですから、まず国民という話がある。それから、医療のことを考えると、そ れに対する保険者とか、だから年金や何かもありますから、そういうそれぞれのところと いうことになると思いますけれども、そういう関係者というのですかね。それから、やっ ぱり国というのがありますね。ここで書かれていることは、前に比べればずっとはっきり してきているとは思うのですけれども、まず個人、国民の一人一人にとってはどういうこ とが良い点があるのですよという話が、ここは効果のところですから、そういうことが書 かれている。  それから、2つ目に、保険者にとってもコストの削減等、そういう話で書かれていて、 行政のところあるいは国のところ、公共性のところだと思いますけれども、ここへ分野を 横断した状況の把握と、それに応じたきめ細やかな施策という話と、それから行政サービ スの透明化という、この2つになっていますね。ただ、例として、高額医療、高額介護、 合算、療養費の給付等が容易にというのはちょっとあまりに、いやいやこれだって非常に 大事なことだと思いますけど、もう少しやっぱり国全体としてこれを推し進めることの意 義というのは、もちろん国は個人のために国民のために働くべきというものですから、だ から国民にとってこれだけの利益があるのですよというのを、その部分だってもっと丁寧 に書いていただいたほうがほんとはいいかもしれないのですけれども、それと同時に、個 々の国民を離れて、離れるのはおかしいか、離れてはいけないのですけれども、国全体と して社会保障の在り方としてこれを導入することは、さっきの資料1のところにも一応始 めのところに書いてあったわけですから、今後の社会保障制度を支えていく基盤を作るの だと。基盤を作るのはどういうことかというと、社会保障制度を維持していくために、こ のカードが、繰り返し同じことを私も申し上げていますけれども、そのために必要だとい う公共性というのをもっとはっきり書かれたほうがいいような気がするのですね。  それで、2点目は、最後のところへ、今度は27ページのところへ社会保障カードの実現 に向けては、空理空論、私のようなことを言っていても始まらない、それだけでは少なく ともだめなので、費用対効果という現実的な話をしないといけないよというので、ここへ 何億円とかいう数字が出てきて、さっきの参考資料のところにも4,600億円、ここにも書い てあるのですが、そういうような話があります。ちょっと私経済学のほうもできないので あれですが、経済学者が並べるこういう数字を信用していいものかどうかというのはよく わからないですけれども、それにしたって、やはり何らかの試算はあって然るべきですよ ね。でもここは費用対効果と言いながら、割に効果のほうの、こういう削減ができるはず ですという話だけ書いてあって、私がちょっと読み落としているのかもしれませんが、今 のところ費用として、費用対効果ですから、費用のほうとしてはこのぐらいはかかるかも しれませんが、それに見合う、あるいはそれを上回るところの対効果というのがあるとい う説明が、ちょっと私の読み落としなのかもしれませんが、効果ではこれが出るはずです というので、費用のほうの試算が十分には出ていないような気がしたものですから、そこ はどうかなというふうに感じた次第です。 ○大山座長  ありがとうございます。  社会保障カードそのものとしての費用対効果についての算出はありますか。 ○社会保障カード推進室技術参与 時間がないので、申しわけないのですけど若干説明さ せていただきますと、最初の1点目のお話、7ページの絵のお話ですけれども、前回の検 討会で申し上げたことは、とにかく社会保障カードで検討していることは、年金、医療、 介護の3分野の資格確認であるとか、年金記録の閲覧の話だけを具体的にしていますが、 政府全体として見れば、もろもろの検討が行われていて、それをセットで考えて色々なこ とを実現していこうということを、7ページのところまで書かせていただいていますが、 具体的にこの検討会で検討したことというのは年金、医療、介護の話だけなので、先ほど の図の1で申し上げると、矢印した部分がこの検討会で具体的に触れたことという意味で、 ○と矢印の関係はそういうことになっています。そういう意味で、高額医療、介護の話だ けで書いてあってというのは、もう少し何とかならないかというご指摘はごもっともなの ですが、今の資料の作り方としてはそういうことになっておりますが、いろいろご指摘い ただいた点につきましてはさらに工夫をさせていただきたいと思います。  それから、27ページのところの費用対効果のところは、これも先ほどの今この社会保障 カードの仕組のポイントというか、重要な部分はいわゆる中継データベースの部分ですが、 そこの構築について、社会保障カードの検討会では具体的に試算はしていませんが、他の 検討会のほうで試算があるので、それを引用させていただいているということで、ここに は記述しております。  それで、効果の話ばかりということではなくて、コストの話でいいますと、28ページの 3行目ですね、電子私書箱(仮称)の導入にかかるコストは初期整備経費として約200〜 400億円というものがいわゆる中継データベース的なものを構築するための費用ということ で、これも別の検討会のほうで試算があるのでそれを引用させていただいたということで ございます。現時点ではこれ以上の試算が行われていないのでこれしか書いていないので すが、補足で申し上げますと、効果の例ではありますが、27ページのほうで真ん中からち ょっと下ですけれども、医療保険資格のオンライン確認等の実現による効果は云々という 部分がございますが、ここが我々が試算した部分ということでございます。繰り返しにな りますけれども、現時点ではその試算が出ているのはこれだけなので、それだけの引用な りして書かせていただいて、その他全体についてはさらに試算するという記述にさせてい ただいております。  以上です。 ○大山座長  ありがとうございます。  それでは大江委員、どうぞ。 ○大江委員  少し樋口先生がおっしゃったことにも関連はしますが、この7ページの図1とか、それ から14ページの図3などを見ると、メリットを享受できるのはやっぱり何かウェブページ みたいなものにアクセスできないといけないのかなと、この図だけ見た一般の方々は思っ てしまって、自分たちにはちょっとこれはできないのじゃないかなと思う人も出てくるよ うな絵になっていると思うのですね。ですから、パソコンの画面だけではなくて、いずれ はテレビでもできるというようなことになっているだけでもすごく親近感が違うのではな いかなと思います。そのあたりを少しまとめるに当たって工夫していく必要があるのかな と思いました。たしかに21ページあたりにデジタル・ディバイドの解消というのは専門用 語では書かれているのですけれども、やはりそのあたりもう少しわかり易くしたほうがい いのかなというふうに感じました。 ○大山座長  ありがとうございます。  今回の緊急3か年プランの中でも医療はかなり重要な情報化を支援する対象になってい て、私も強くIT戦略本部で申し上げましたが、社会保障カードを使えるようにするには、 カードに加えて、保険者さんや医療機関の方の準備を整えなければなりません。こちらへ の支援が極めて重要です。医療機関でも、今大江先生言ってくれた話に関係しますが、テ レビは置いてあるから、保険情報が出てくるかどうかは別にしても、同じような仕掛けで 医療機関のテレビから結果が出てくるぐらいでもいいのかなという話もあるかと思います。 一番気になるのは、今後状況が明らかになってからでも良いとは思いますが、医療機関と 保険者さん等に対する支援がどういう形でできるのかが見えてこなければ、カードだけ配 っても結局何にも使えないことにまたなりかねないことを危惧します。そこのところにつ いて、今回はまだ言えていないわけですが、今の情勢から見ると大事な点であると考えま す。厚労側から状況が整った時点で何かの説明をしてくれるのではないかと期待していま す。このような背景があるということを、皆さん、ご理解いただければと思います。  お約束の時刻になりつつありますが、皆さん方から、もう一方ぐらい、これを言いたい という方がいらっしゃれば。  先に申し上げましたように、メール等で今日欠席の委員を含めて、ご意見があればメー ル等をいただきたいと思います。その後、内容につきましては、事務局と山本先生にも関 係することがあると思いますので、一緒に相談させていただいた上で、次回に改めて提出 させていただくことになると思います。そのような段取りですが、いかがでしょうか。よ ろしいでしょうか。  それでは、次回の検討会で再度審議することになります。事務局側から最後に何かアナ ウンスはありますか。 ○事務局  日程につきましては4月の中旬で調整させていただければと思います。再度正式にご連 絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○大山座長  4月の中旬で再度調整ということです。よろしくお願いいたします。  それでは、時間がまいりましたので、第13回社会保障カード(仮称)の在り方に関する 検討会を終了させていただきたいと思います。本日はお忙しい中をご参集いただきまして ありがとうございました。それから、非常に活発なご意見等をいただきまして、感謝申し 上げます。ありがとうございました。  では、これで閉会します。ありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室   社会保障カード推進室    電話番号 03−5253−1111(内線2244)