09/08/21 平成21年8月21日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成21年8月21日(金) 13:58〜15:13 ○場 所:厚生労働省 共用第7会議室 ○出席者: 委  員 青木委員、生方委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、斉藤委員、      佐々木委員、志賀委員、豊田委員、松田委員、山内委員、山添委員、鰐渕委員 事 務 局 俵木基準審査課長、工藤課長補佐、小木課長補佐、猿田課長補佐、江島専門官 中田専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     能田課長補佐 1.開 会 2.議 事  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について   ・フェントラザミド(農薬)   ・イソチアニル(農薬)   ・ボスカリド(農薬)   ・豚サーコウイルス(2型)感染症(1型―2型キメラ)(デキストリン誘導体    アジュバント加)不活化ワクチン(動物用医薬品)   ・ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチン(動物用医薬品)  (2)報告事項    食品に残留する農薬等の成分である物質の試験法における「同等以上の性能を有す    る試験法」の取扱いについて  (3)その他 3.閉 会 ○事務局 定刻より1分ほど早いですけれども、先生方皆様おそろいですので、ただ いまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させて いただきます。本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞ よろしくお願いいたします。  本日は吉池委員、由田委員より御欠席なさる旨の御連絡をいただいておりますが、 農薬・動物用医薬品部会委員15名中13名の御出席をいただいており、部会委員総数 の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたし ます。  また、本日の部会において、新規承認申請がなされた動物用医薬品の御審議をいた だくこととしておりますので、この剤の申請者等との利害関係について、委員に対し て事前に確認を行ったところ、特に問題はなかったことも御報告させていただきます。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議よろ しくお願い申し上げます。 ○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。今日は本当にお 暑い中、集まっていただいてどうもありがとうございました。  では初めに、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。  1番目はフェントラザミド、農薬になります。  資料1−1、食品安全委員会における食品健康影響評価結果。  資料1−2、農薬・動物用医薬品部会報告(案)。  2番目はイソチアニル、農薬になります。  資料2−1、食品安全委員会における食品健康影響評価結果。  資料2−2、農薬・動物用医薬品部会報告(案)。  3番目はボスカリド、農薬になります。  資料3−1、食品安全委員会における食品健康影響評価結果。  資料3−2、農薬・動物用医薬品部会報告(案)。  4番目は豚サーコウイルス(2型)感染症(1型−2型キメラ)(デキストリン誘 導体アジュバント加)不活化ワクチン、動物用医薬品になります。  資料4−1、食品安全委員会における食品健康影響評価結果。  資料4−2、農薬・動物用医薬品部会報告(案)。  5番目はニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチン、動物用医薬品にな ります。  資料5−1、食品安全委員会における食品健康影響評価結果。  資料5−2、農薬・動物用医薬品部会報告(案)。  資料6食品に残留する農薬等の成分である物質の試験法における「同等以上の性能 を有する試験法」の取り扱いについて。  また、委員のみに配付しておりますけれども、資料6に関連する資料として「食品 中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドライン改訂案」もお配りして おります。  参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜産物摂取量」。  参考資料2「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」。  資料の不足等ありましたら、事務局までお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。不足はございますでしょうか。大丈夫ですか。  それでは、審議に入りたいと思います。本日は農薬3剤、動物用医薬品2剤につい て御審議していただくことになっております。なお、報告書の作成に当たりましては、 先生方に資料を事前に送付させていただいて、チェックしていただいているところで ございます。  それでは、議題「(1)食品中の残留農薬等に係る基準設定について」ということ で、農薬のフェントラザミドについての審議をお願いしたいと思います。事務局から の説明をお願いいたします。 ○事務局 資料1−2のフェントラザミドについて説明させていただきます。  審議結果ですけれども、13ページをご覧ください。「これまでの経緯」ですが、平 成21年6月19日に、こちらの薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医 薬品部会の方で、御審議を一度いただいている品目になります。その際に、作物残留 試験、水産物等で実際に分析をされた試験成績として、フェントラザミド親化合物と 代謝物の分析をされておりまして、その結果と規制の対象の整理のし方について御指 摘をいただきました。  分析をされている代謝物については記載を残して、当日お配りした資料が本体のみ の記載で最終的に配付をさせていただいた形になりましたので、代謝物を含めた分析 の結果というものも示した上で、規制の対象として本体なら本体とするという記載が 読み取れる形に、整備し直すよう御指摘をいただいたところです。  そこで今回、作物残留試験のところで分析をされたフェントラザミドと代謝物を記 載し、それに伴って規制の対象のところの記載を整備する形にさせていただきました。 今回の部会では、規制の対象の部分につきまして変更を行ったことを御報告させてい ただきたいと思います。  基準値案の数字自体は前回の部会のときの数字と変わっておりません。米について 0.02ppm、魚介類について0.03ppmということでございます。  作物残留試験なんですけれども、5ページ目の分析の対象化合物ですが、フェント ラザミドと主だった代謝物を残留試験成績として提示いただいておりますので、それ らを表記する形に戻させていただきました。  7ページ「魚介類の推定残留量」ですけれども、こちらにつきましては前回の部会 のときと基本的には内容は変わってございませんが、事前に御案内させていただいた ときに、CPTを含むという表現を入れさせていただいたところがございまして、今 回配付したバージョンは前回の部会のときと内容的には同じものとなっております。  7ページの下のところで誤植がございます。推定残留量の計算のところで下から4 行目になりますが「0.075ppb×(71×5)=26.625ppb」で、次のところのppmに直 すところで、6が抜けていますので入れさせていただいて0.026625、数字の方を確認 いたしますけれども、最終的に0.03という基準値の設定に至っているということでご ざいます。  8ページ「10.基準値案」をご覧いただきたいのですが、残留の規制の対象といた しましては農産物、水産物ともにフェントラザミド本体ということでとりまとめまし た。  植物体内運命試験では主残留物としてCPT−AA、CPT及びCPT−Meが検 出されているけれども、CPT−AAはフェントラザミドに比べて毒性が低いと評価 されていること、及び作物残留試験における玄米中の残留量が微量または不検出とい うことで、農産物中の規制対象物質としてはフェントラザミド本体としたということ でございます。  魚介類については、こちらもフェントラザミドと代謝物CPTが主な残留物ですが、 CPTはフェントラザミドに比べて毒性が低いと報告されていることから、規制対象 をフェントラザミド本体のみとしたという表現を加えております。  ということで、基準値案の数値につきましては変わりはございません。  暴露評価につきましてもTMDI/ADI比の数値も前回部会の数値と変わって おりません。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。  代謝物の表現に関するところが主な問題点かと思いますけれども、それについて今 回8ページの基準値案のところで「魚介類中では、フェントラザミドと代謝物のCP Tが主な残留物であるが、CPTはフェントラザミドに比べて毒性が低いと報告され ていることから、規制対象をフェントラザミド本体のみとした」ということになって います。  このように魚介中ではCPTは多いんだけれども、除いたということに関して、こ ういう理由でよろしいかどうかということなんですが、鰐淵先生、いかがでしょうか。 ○鰐淵委員 先ほど少しお聞きしたんですけれども、10分の1程度ということでした ので、それでいいかと思います。記載の仕方も10分の1程度という言葉を入れるか どうかは別として、「十分低い」のでという言葉で言えているかなと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。私も少し確認させていただきましたが、同じ ような言葉が、ラットでは90日間の亜慢性毒性試験をやっているんだけれども、代 謝物については30日しかやっていないんです。そこで若干同じではないが、NOAEL が原体の方が10分の1ぐらいだったので、先生がおっしゃるように特に代謝物の方 が強いということはない、十分弱いと言っていいのではないかと思いました。  ほかに御意見ございますでしょうか。前回審議していただいた上で今回こういう修 正を加えさせていただいたということで、答申案としては14ページに書いてござい ます、米については0.02ppm、魚介については0.03ppm、その規制対象についてはフ ェントラザミドのみということでよろしいでしょうか。部会としての報告書もこれで よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  次の品目について御審議いただきたいと思います。次は農薬のイソチアニルについ てですけれども、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料2−2をご覧ください。イソチアニルの部会報告書案となります。  こちらの用途といたしましては、本剤はイソチアゾール系の化合物ということで、 農薬登録上の用途としては殺菌剤ということで分類されているようですけれども、本 剤自体は抗菌作用を持つものではなく、植物自身が持ついもち病菌等に対する防御機 能を活性化することで作用する、いわゆるプラントアクチベータということで抄録に は記載されており、こういったものに属する剤ということです。  この作用に関連いたしまして、委員の皆様に事前に資料を御確認いただいた際に、 用途の文面につきまして、本剤が「殺菌剤である」といった表現ですとか、「殺菌効 果を示す」という表現は不適切ではないのかという御指摘を頂戴いたしましたため、 本日の資料のとおり「イソチアゾール系化合物である」あとは「防御機能を活性化す ることで作用すると考えられている」という表現とさせていただきました。  9ページの「これまでの経緯」をご覧いただきたいと思います。本剤は新規の薬剤 といたしまして農薬登録申請がなされましたことから、昨年、基準値設定依頼がなさ れたものです。適用は水稲となっております。この基準値設定依頼を受けまして、食 品安全委員会に食品健康影響評価を依頼し、本年4月に評価結果の通知がなされてお ります。よって、今回の審議対象といたしましては、新規登録に係る新たな基準値の 設定となります。  資料2−1の食品安全委員会による食品健康影響評価書をご覧ください。本剤の評 価につきましては31ページにまとめられております。  本剤につきまして、ラットを用いた動物体内運命試験の結果では、投与後168時間 以内にほとんどが排泄されまして、その主要排泄経路としては糞中であったというこ とが記載されております。また、放射能の体内分布といたしましては、未吸収の検体 に由来するものが残留していたと思われる消化管以外では、主に肝臓や腎臓に分布し ていたとのことです。  水稲を用いた植物体内運命試験の結果からは、可食部への移行は少ないと考えられ るとの結論が出されておりまして、主要な代謝物としてはM1及びM4であることが わかっております。作物残留試験におきましても、親化合物と代謝物M1及びM4に ついて分析されておりますが、玄米における代謝物はすべて定量限界未満でした。  そのほか各種毒性試験の結果では、イソチアニル投与による影響は主に胃、肝臓及 び腎臓に認められているということです。ラットにおきましては投与に関連して、前 胃境界部の粘膜上皮の過形成が認められておりますが、長期の飼育においても胃の腫 瘍発生の増加等は認められておりません。  また、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった とされております。  これらの各種試験結果から、農産物中の暴露評価対象は親化合物のみと設定されて おります。  無毒性量につきましては記載のとおり検討されておりまして、この結果、ラットを 用いた1年間の混餌投与による慢性毒性試験の結果から求められた無毒性量 2.83mg/kg体重/dayを根拠といたしまして、安全係数100で除した0.028 mg/kg体重 /dayがADIとして設定されまして、評価結果として通知されております。  こちらが食品安全委員会における評価の概要となります。  資料2−2にお戻りください。本剤の用途につきましては冒頭で御説明したとおり です。構造式及び物性につきましても記載のとおりでございます。  2ページに今回登録申請がなされました3.0%粒剤の適用を記載してございます。 適用作物は稲で、育苗箱や本田において使用されるとのことです。  作物残留試験につきましては先ほども御説明いたしましたとおり、親化合物と2つ の代謝物について分析がなされております。分析法の概要につきまして、やはり事前 配付の際に分析機器の表記について御指摘を受けましたため、修正を施しまして本日 の資料とさせていただいております。  作物残留試験の結果は記載のとおりですが、代謝物の残留量につきましては親化合 物に換算したものとなっております。  ADIの評価につきましては先ほど御説明いたしましたとおり、0.028 mg/kg体重 /dayとなっております。  諸外国における状況ですが、本剤はJMPRにおける毒性評価はなされておりませ んので、国際基準も設定されておりません。また米国等について調査した結果でも、 いずれの国及び地域においても基準値は設定されておりません。  以上を踏まえた基準値案ですが、まず規制対象といたしましては作物残留試験の結 果等から、イソチアニル本体のみといたしました。食品安全委員会における暴露評価 対象物質も親化合物のみであることにつきましては、先ほど御説明いたしましたとお りでございます。  具体的な基準値案は7ページの別紙2にお示ししておりますが、今回は米への基準 値設定のみということで、0.3ppmの基準値を設定する案としております。こちらに つきましては作物残留試験結果のばらつきを考慮いたしまして、高い方の残留値を基 に設定しております。  次ページには推定摂取量ということで別紙3としてお示ししておりますが、TMD I試算の結果、一番高い幼小児で6.6%という結果になっております。  この表で修正がありますが、基準値案の欄で「0.30」と記載しておりますけれども、 こちらは「0.3」の間違いですので、後ほど修正させていただきたいと思います。  答申案につきましては最後のページに記載しているとおりですが、繰り返しとなり ますけれども、米に対して新たに0.3ppmの基準値を設定する案となっております。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどをお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、御審議いただきたいと思います。  まず化学名、適用方法、薬理作用の辺りで御意見ございますでしょうか。 ○尾崎委員 特に意見というわけでもないんですけれども「いもち病に対する防御機 能を活性化することで」という書きぶりが、ほかの評価書と比べると何とも物足りな いので、何か調べて改訂された方がいいのかなと思います。 ○事務局 わかりました。確認の上、また委員の皆様に御相談いたしたいと思います。 ○大野部会長 よろしくお願いいたします。私もどういうメカニズムで作用するのか わからなかったこともありますので、その確認は後で尾崎先生にお願いします。ほか にございますでしょうか。  それでは、体内動態と代謝物に関して、山添先生、いかがでしょうか。 ○山添委員 一応加水分解を受けて比較的水溶性の物質になるし、ベンゾニトリルは 比較的残りやすいんですけれども、メタ位なのでフェノール体になるというのまで押 さえられていますので、問題はないと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。私も山添先生と同じ意見でございます。  毒性の方面で鰐淵先生、いかがでしょうか。 ○鰐淵委員 この剤に関しては発がん性及び催奇形性がないということで、その点に 関してはADIは十分に設定できるという形で、ADIの設定はこのとおりでいいと 思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  分析対象物質ですけれども、これについては特に代謝物M1とM4が多かったとい うこと、それから、分析結果でその代謝物が非常に少なかったということで、これを 除いてイソチアニル本体にしたのは問題ないかと思います。それについていかがでし ょうか。よろしいですか。  食物中分析結果、基準値について御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  そのほかの点でいかがでしょうか。国際的整合性とか全般的に御意見はございます でしょうか。よろしいですか。  それでは、答申案がお米について0.3ということでございますけれども、それにつ いてよろしいですか。先ほどの薬理作用のところについて、もう少し調べて追記する ということで、この原案をお認めいただけますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そうさせていただいて、薬理作用 の表現については私と尾崎先生で確認させていただきます。  次の項目ですけれども、農薬のボスカリドについて御審議いただきたいと思います。 事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3−2をごらんください。ボスカリドの部会報告書案となっておりま す。  本剤はアニリド系の殺菌剤ということです。ミトコンドリア内膜のコハク酸脱水素 酵素複合体の電子伝達を阻害することで作用すると考えられております。  23ページの「これまでの経緯」を先にごらんいただきたいと思います。こちらに記 載させていただきましたとおり、本剤につきましては過去に2回ほど御審議いただい た経過がございます。初回は平成16年でして、新規の農薬登録申請に係る基準値設 定について審議がなされております。2回目は平成18年に適用拡大申請に係る基準 値設定と、その当時設定されました暫定基準の見直しについて審議がなされておりま す。  今回は昨年10月に適用拡大申請に係わる基準値設定依頼がなされましたことから、 食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼いたしました。また、食品安全委員会にお ける評価中ではありますけれども、2月にインポートトレランスによる基準値設定要 請がなされましたので、その内容も含めて食品安全委員会における評価がなされ、本 年3月に評価結果が通知されているところでございます。  よって今回の審議対象といたしましては、適用拡大申請の内容とインポートトレラ ンス要請に係る基準値の設定という部分になっております。  また平成18年、前回御審議いただいた時点では設定されておりませんでした国際 基準が現在設定されておりましたので、一部の作物等につきましてはそちらの国際基 準を参照して基準値を見直しておりますので、こちらも含めまして御審議いただけれ ばと思っております。  それでは、資料3−1の食品安全委員会による食品健康影響評価書をご覧ください。 こちらは3度目の審議ということで、こちらの評価書自体も第3版となっております。  本剤の評価につきましては35ページ以降にまとめられておりますが、評価の内容 といたしましては基本的には第2版からの変更はございませんで、ラットを用いた動 物体内運命試験の結果については、主要排泄経路や体内分布について記載されておる ところです。  レタス等を用いた植物体内運命試験では、試験期間中においてボスカリドは、ほと んど代謝されない傾向が認められているということです。  各種毒性試験の結果では、ボスカリド投与による影響は主に甲状腺及び肝臓に認め られていると記載されております。  この剤につきましてラットを用いた2年間の発がん試験において、甲状腺ろ胞細胞 腺腫の増加傾向が認められておりますが、過去2回の審議でも説明されていたようで すけれども、そこには有意差が認められないということと、発生機序が非遺伝毒性と いうことで、閾値の設定が可能であるとされております。神経毒性、繁殖能に対する 影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。  これらの各種試験結果から、農産物中の暴露評価対象は親化合物のみと設定されて いるところです。  また、無毒性量やADIの評価につきましても前回の評価と変わりませんで、ラッ トを用いた2年間の混餌投与による慢性毒性試験の結果から、最終的には0.044 mg/kg体重/dayという値がADIとして設定されているところです。  資料3−2にお戻りください。  用途につきましては冒頭で御説明いたしたとおりでございます。化学名、構造式、 物性等につきましても記載のとおりとなっております。  2ページ目以降に本剤の適用について記載してございますが、本剤につきましては 野菜や果実等の褐斑病やうどんこ病等への適用となっております。作物名や使用時期 について四角で囲みがなされているところが、今回適用拡大申請がなされたものとな っております。  4ページ「(2)海外での使用方法」といたしまして、今回インポートトレランス 申請がなされましたセロリと大麦について、海外での使用方法を記載しております。  本剤の作物残留試験では、分析対象の化合物としてはボスカリド親化合物のみが分 析されております。  試験結果は各種作物の残留試験の結果につきましては、5ページ以降に記載してお るとおりですが、こちらでも適用拡大がなされた作物については四角で囲んでおりま す。  作物残留試験の後、本日配付している資料で言いますと10ページ以降、8番と9 番の畜産物に関する記載につきましては、皆様に報告書(案)を事前送付した際にも メールに書かせていただいたとおりですけれども、以前平成16年と平成18年の部会 で審議がなされた際に設定された、畜産物への基準設定に係る内容となっておりまし て、ただ、そのときの部会報告書にはここの内容が記載されていなかったということ で、今回はその記載の整理ということから乳牛と産卵鶏の試験結果につきまして、追 記した方が良い旨の御指摘を頂戴いたしましたので、追記することといたしたもので す。  試験結果につきましては、ここに記載したとおりでありますけれども、本来この結 果に関する基準参照国、特に米国の評価結果も一緒に記載しないといけないところな んですが、こちらの評価結果は現在再確認しているところでして、実はまだ本日の資 料では記載しておりません。ただ、今回の審議対象である適用拡大申請の内容ですと か、インポートトレランス要請を受けた基準値設定には直接関わる部分ではないとい うことと、また、畜産物の基準値自体の変更は伴わないということから、この部分の 記載につきましてはできれば後日、最終版についてまた委員の皆様に御確認いただく という形をとらせていただければと考えているところでございます。  12ページ、ADIにつきましては先ほど御説明いたしましたとおり、変更等なく 0.044 mg/kg体重/dayとなっております。  諸外国における状況ですが、本剤は2006年にJMPRにおける毒性評価が行われ、 ADIが設定されておりまして、りんご、ぶどう等に国際基準が設定されております。 米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドにおいて、各種作物に、 畜産物も含めてですけれども、基準値が設定されております。  以上を踏まえた基準値案ですが、規制対象につきましては、実は畜産物の基準値の 参照国である米国並びにオーストラリアにおきましては、その畜産物における規制対 象が親化合物と代謝物B、これについてはグルクロン酸抱合体を含んでおりますけれ ども、こちらをボスカリド含量に換算したものの和とされていることを再確認いたし ましたが、前回までの報告書では明記されておりませんでしたので、今回その旨を追 記しております。  畜産物以外の食品につきましては、規制対象はこれまでどおりボスカリド本体のみ としたいと思います。食品安全委員会の評価における農産物中の暴露評価対象物質が、 親化合物のみであることも先ほど御説明いたしましたとおりです。  実際の基準値案ですが、こちらにつきましては17ページ以降の別紙2をご覧くだ さい。今回この表の「登録有無」という欄にインポートトレランスの略称IT、もし くは申請の「申」が記載されている作物が、今回御審議いただきたい基準値の主なも のとなっております。  一番上の大麦につきましては、インポートトレランスによる設定要請を受けまして、 EUの基準値3ppmを参照して、新しく基準値を設定してございます。  同じページの下から3分の1ぐらいのところにセロリがございますけれども、セロ リにつきましては米国の基準値によるインポートトレランス要請がなされたもので すが、米国の作物残留試験の結果を確認いたしましたところ、45ppmという基準値は 高過ぎるのではないかと考えましたことから、作残試験の一番高い19.0というところ を見て、25ppmとして設定する案とさせていただいております。  このほかの大豆とかレタスなどのように、申請の「申」の字の記載がなされている もの、適用拡大申請がなされた作物につきましては、それぞれ国内作残の結果から基 準値を設定してございます。  また、冒頭で御説明いたしましたとおり、新たに国際基準が設定されておりました ので、一部の作物につきまして国際基準を参照しております。例えば18ページ中ご ろのネクタリン以降ですが、こちらは国際基準で3ppmという基準値が設定されてお りましたので、検査部位が異なるももを除いて、ほかのものについては国際基準を参 照した形となっております。  今、ももの話をしましたけれども、実はももの基準値の現行基準は、アメリカの基 準を参考にした1.7ppmと設定なのですが、検査部位の違いについて前回まで考慮さ れていなかったようでしたので、今回国内作残の果肉の作残結果から、0.2というこ とで改正したいと考えております。国内の果肉と果皮の試験結果から、全果実の残留 量を試算してもらったんですけれども、その試算結果では大体国際基準と同等の基準 値になりましたので、この基準値で大丈夫ということを確認しております。  このほかですけれども、わかりにくいと言いますか、説明が必要だなと思いますの が、同じ18ページの一番下のスパイスとハーブのところになりますが、こちらにつ きましては現行の基準ではみかんの果皮として40、みかんの果皮を除いたその他のス パイスということで、2.5という基準値が設定されておりますけれども、こちらにつ きましては現在いろいろ御審議いただいているほかの剤同様、みかんの果皮を根拠と いたしまして、その他のスパイスとして一本化して40ppmという基準値にさせてい ただければと思っております。  同様に、その下のハーブのグループになりますけれども、スペアミント、ペパーミ ント、あとはそれらを除いたその他のハーブという現行基準について、スペアミント とペパーミントの基準値を基に、その他のハーブとして一本化したいと考えておりま す。  これらの基準値案を踏まえまして暴露評価を行いました結果が、20ページ以降に記 載しております。本剤につきましては、TMDI試算でADI占有率の80%を超えま したので、残留試験等があるものについてはADI試算を行っております。その結果 を簡単に本文にもまとめておりますが、ADI比として一番高い幼小児で76.1%とい う形で算出されております。  最後のページに答申案をまとめておりますけれども、畜産物の基準値につきまして は、見た目の数字としては変更はないのですが、今回規制対象を明記するということ で、その規制対象についての文言と一緒に記載した方がいいのかと考えましたので、 こういう形で記載させていただいております。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、御審議していただきたい と思います。  まず化学名、構造、使用方法、用量、薬理作用辺りで御意見ございますでしょうか。  尾崎先生、よろしいでしょうか。 ○尾崎委員 はい。 ○大野部会長 ほかの方はいかがですか。 ○山添委員 構造式のCが要らない。単なるタイプミスですけど。 ○大野部会長 そうですね。ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、体内動態、代謝物についていかがでしょうか。山添先生、何か御意見ご ざいますか。 ○山添委員 特にないです。加水分解をされているのと、ただ1つピリジンのところ のクロルのところが飛んでいるんです。そういう少し変わった代謝物はありますが、 一応押さえはちゃんとしているので問題はないと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。食品安全委員会の意見では、植物中ではほ とんど代謝されない。いんげん豆で若干代謝されるが、その量は非常に少ないという ことでしたけれども、それはよろしいでしょうか。 ○山添委員 植物の方はよくわかりませんけれども、多分少なくともそのまま代謝さ れなくても、我々の体内に来た場合はエステルの加水分解をされて、極性の物質に変 化をすることがあるのと、片一方のビフェニル側の代謝も確立しているので、代謝を されることはわかっているので問題はないのではないかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。私も同様ですけれども、追加させていただき ましたが、植物中ではほとんど代謝されないことは確認させていただきました。それ から、いんげん豆について非常に代謝が遅い、わずかに代謝されることについて、食 品安全委員会の御意見に同意しております。  ほかに御意見ございますでしょうか。抗菌作用とか、その辺で生方先生、青木先生、 何か御意見ございますでしょうか。 ○生方委員 特にございません。 ○大野部会長 よろしいですか。ありがとうございます。  分析対象物質についてですけれども、これについては植物中ではほとんど代謝され ないということで、原体のみでよろしいかと思います。  代謝物Bについては動物中でも結構生じていますので、それについて実際の牛とか 馬でのデータは見させていただいていませんけれども、それを含むならラットの例か ら考えてよろしいのではないかと思いました。御意見ございますでしょうか。  分析法、食品中分析結果、基準値辺りについて御意見ございますでしょうか。松田 先生、お願いします。 ○松田委員 作物残留試験結果が、これまでほかの剤に比べて非常にけた数多く書い てある気がするんです。0.610とか3けたとってあるんですけれども、2けたのもあ るんですが、何か理由がありますでしょうか。 ○事務局 これは抄録を基に書き起こしていまして、すみません、特段の理由という のはないです。 ○松田委員 あと物すごくつまらないことだと、7ページ(19)のサラダ菜の9,5がコン マになっています。 ○事務局 申し訳ございません。ありがとうございます。 ○大野部会長 7ページのどこですか。 ○事務局 7ページの(19)です。 ○松田委員 サラダ菜の残留量が「9.5」なんですけれども「9,5」になっています。 ○大野部会長 そうですね。ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょ うか。  全体の基準値の設定について一生懸命努力されて、ようやく80%以下に抑えたとい う感じですけれども、いかがでしょうか。御意見ございますでしょうか。  25ページに掲載された答申案と、全体としての報告書について追加の御意見はござ いますでしょうか。  先ほど説明ございましたけれども、この報告書案について若干まだアメリカとオー ストラリアについての考え方について、掲載されていないところがあるということで すので、それについては基準値案そのものに影響するものではないということですの で、それについてつけ加えること前提に、この答申案をお認めいただけますでしょう か。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、その追加した部分については事務 局から皆さんに送らせていただきますので、御確認をお願いいたします。どうもあり がとうございました。  次に動物用医薬品、豚サーコウイルスについての説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明をさせていただきます。豚サーコウイルス(2型)感染症 (1型−2型キメラ)(デキストリン誘導体アジュバント加)不活化ワクチン(スバ キシン)になります。  用途ですけれども、豚サーコウイルス2型感染に起因する死亡豚及び発育不良豚の 発生率の低減、増体量の低下の改善、臨床症状の改善及びウイルス血症の低減になり ます。  今回の残留基準の検討は、本ワクチンが動物用医薬品として製造販売の承認申請が なされたことに伴い、内閣府食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたこ とによるものです。  投与方法及び用量ですけれども、3〜5周齢の子豚に2mLを1回、頸部筋肉内に 注射をいたします。本剤はと畜場出荷前12週間は使用しないこととされております。  諸外国の使用状況は、本ワクチンはアメリカ、タイ、フィリピン、ブラジル及びパ ナマで承認をされております。  安全性試験結果が1〜2ページにかけて書かれておりまして、2ページの中ほどな んですけれども、注射後63日に剖検したアジュバントI群では、肉眼的に淡褐色部、 病理組織学的には脂肪組織の増生が認められておりますが、注射後84日、112日に剖 検したアジュバントII及びIII群では、病理組織学的な検査で変化は認められませんで した。また、アジュバントの残留を示唆する特徴的な病理学的変化は認められません でした。  食品健康影響評価がなされておりまして、2ページの下の方になりますけれども 「豚サーコウイルス感染症は人畜共通感染症とはみなされていない。また、本製剤の 主剤であるPK−15細胞培養1型−2型キメラ豚サーコウイルスcPCV1−2株 は不活化されており、安全性試験及び臨床試験においても、豚に対する病原性を示さ ないとされている。  アジュバント等の添加剤については、物質の使用状況、既存の毒性評価及び本製剤 の接種量を考慮すると本製剤の含有成分の接種による健康影響は無視できると考え られる。また、アジュバント消長試験では、接種84日後においてアジュバントの残 留は認められなかった。  以上のことから、本生物学的製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じ てヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる」という評価結果 となっております。  残留基準の設定ですけれども、食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基 準を設定しないこととしたいと思います。  一番最後の5ページ、答申案として、豚サーコウイルス(2型)感染症(1型−2 型キメラ)(デキストリン誘導体アジュバント加)不活化ワクチンについては、食品 規格を設定しないことが適当であるとしたいと考えております。  御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、御審議お願いいたします。  これについてはいかがですか。青木先生、生方先生、何か御意見ございますでしょ うか。 ○生方委員 私はこの豚のウイルスをよく存じ上げないんですけれども、これはRN Aウイルスですか。このウイルスのタイプが書いていないのでよくわからなかったん です。ヒトだとDNAウイルスとRNAウイルスとあると思うんですけれども、それ はどちらに属するものなんでしょうか。豚は存じ上げないので。 ○事務局 少々お待ちください。 ○農林水産省 答えましょうか。 ○大野部会長 お願いします。 ○農林水産省 これは環状DNAゲノムを持つウイルスということで、DNAウイル スだと思います。 ○生方委員 DNAウイルスですか。わかりました。 ○大野部会長 これはどこかに書く必要はございますでしょうか。報告書に追記する 必要はございますか。 ○生方委員 一言それが書いてあるとわかりやすかったかなと思ったんですが。 ○大野部会長 どこに入れたらよろしいですか。1ページの用途の中の「本剤は不活 化PK−15細胞培養1型−2型キメラ豚サーコウイルスcPCV1−2株を主剤と し」のところで、説明でそういうことを入れたらよろしいんですかね。 ○生方委員 だと思います。サーコウイルスの後に括弧か何かで入れておいていただ けると、わかりやすいかなと思いました。 ○大野部会長 どういう表現を入れたらいいのかわからないですけれども、農水省の 方からメモをいただけますでしょうか。事務局の方に伝えてくださるようにお願いい たします。 ○農林水産省 承知いたしました。 ○大野部会長 全体として、これは基準値を設定をしないということでございますけ れども、その結論についていかがでしょうか。不活化ワクチンということでよろしい ですか。  それでは、若干修正がなされますけれども、それを踏まえた上でのこの案をこの部 会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、若干修正した上で報告とさせてい ただきます。  次は動物用医薬品のニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンの御審議 をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料5−1が食品安全委員会の食品健康影響評価書です。  資料5−2が部会報告案になります。資料5−2に沿って説明をさせていただきま す。  ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンです。用途はニューカッスル 病及び鶏伝染性気管支炎の予防になります。  本剤は発育鶏卵培養ニューカッスル病ウイルスMET95株及び発育鶏卵培養鶏伝 染性気管支炎ウイルスTM−86w株を主剤とし、安定剤と保存剤を加えた生ワクチン になります。  今般の残留基準の検討は、本ワクチンが動物用医薬品として製造販売の承認申請が なされたことに伴い、内閣府食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたこ とによるものです。  適用方法及び用量ですが、点眼投与あるいは飲用水に加えて直接溶解し飲水投与を する場合、あと、噴霧投与を行います。  諸外国の使用状況ですけれども、諸外国では承認をされておりません。  2ページ、食品健康影響評価がなされておりまして「本製剤の主剤である発育鶏卵 培養ニューカッスル病ウイルスMET95株は弱毒株であり、病原性復帰は否定されて いる。鶏伝染性気管支炎は、人畜共通感染症とはみなされていない。また、安全性試 験及び臨床試験において鶏に対する重篤な影響は示さないとされている。さらに、添 加剤等についても、本製剤の含有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられ る。  以上のことから、本生物学的製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じ てヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる」となっておりま す。  言い忘れたんですけれども、ニューカッスル病については濃厚に接触した場合にヒ トに感染することが食品安全委員会の報告書で記載されておりまして、食品安全委員 会の評価書の6ページIIの「1.ヒトに対する安全性」で「ニューカッスル病は鶏を 主要な宿主とするウイルス感染症で、人が感染鶏に濃厚接触した場合まれに急性結膜 炎を起こすことがある人獣共通感染症」となっております。ただ食品安全委員会の評 価結果では、ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられるとなっ ておりますので、残留基準については設定しないこととしたいと考えております。  資料5−2の一番最後のページになりますけれども、答申案として、ニューカッス ル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンについては、食品規格を設定しないことが適 当であるとしたいと考えております。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、御審議お願いいたします。  またで申し訳ないですけれども、青木先生、生方先生、何か御意見ございますでし ょうか。 ○青木委員 特にないです。 ○大野部会長 ありがとうございます。  ほかに御意見ございますでしょうか。尾崎先生、お願いします。 ○尾崎委員 細かなことですけれども、2ページ目の2段目の2行目「人畜共通感染 症」という言葉になっているんですが「人獣」と言うのが、今の農水省の対応として は正式ではなかったですか。 ○生方委員 そうです。今は人獣です。 ○農林水産省 最近は人獣の方が一般的に使われていると思います。 ○大野部会長 それでは、人獣と変更してくださるようお願いいたします。 ○事務局 そうですね。修正させていただきます。 ○大野部会長 今までも人畜共通感染症とか言っていたような気がするんですけれ ども、今後気をつけるということでよろしいですかね。 ○志賀委員 食品安全委員会の4ページの要約の4行目も人獣ですし、合わせた方が いいですね。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。 ○松田委員 先ほどの豚の2ページも人畜になっています。 ○事務局 そちらの方も修正をさせていただきたいと思います。 ○大野部会長 それでは、そちらも修正ということでお願いいたします。  志賀先生、お願いします。 ○志賀委員 蒸し返しになるかもしれませんが、豚サーコウイルスのときに生方先生 からのお話にあったウイルスのタイプは、私もウイルスは全然知りませんけれども、 確かにDNAウイルス、RNAとタイプが大きく分かれると思うんですが、そうする と例えばニューカッスルの場合、こういうものも家畜ウイルスについて、RNAウイ ルスかDNAウイルスかとか、そういうタイプ一つ一つ全部書かないと統一がとれな いということになるんでしょうか。  つまり、ウイルス本体の大きなグルーピングと言うか種別と言いますか、豚サーコ の場合は先ほど追記されるようなお話だったと思うんですけれども、そうなってくる とほかの病原ウイルスのこういうケースに、一個一個全部書かないと統一がとれない ことになってしまうのかどうかが判断がつかないんです。 ○生方委員 それは整合性があれば、記載してもしなくてもいいと思うんです。ただ、 読んでいったときに2種類あるのにどちらかなと個人的に思ったんですけれども、一 般的に従来書かれていないのであれば、それでもいいかなとは思います。 ○志賀委員 特に、この評価の中でそういう非常に大きなウイルスのグループ分けと いうのを、明記することが必要なのか、あるいは実際に公開されているこの評価書を 見られる方が、そこが従来あまり書かれていないとすれば、やはりないとまずいのか どうかという、そこがちょっと私は全然判断がつかないんです。 ○大野部会長 そうですね。その辺はいかがですか。DNAウイルスとかそういうこ とを書くことが、病気に対する特徴を表す上で必要かどうかということですけれども。 ○事務局 今までも確かにDNA、RNAということは書いていませんでした。病原 体がニューカッスル、鶏伝染性気管支炎とか豚サーコウイルスという形で、一応目的 とする病原体は題名とか主剤の株で明記をしていますので、もし可能であればDNA、 RNAという区分については、今までどおり書かないという形がいいのかなと思うん ですけれども、生方先生、いかがなものでしょうか。 ○生方委員 了解しました。 ○志賀委員 家畜に対して、あるいはヒトに対しての病原性というものが、RNAウ イルス、DNAというウイルスの大分類としては非常に重要な部分、基本的な部分だ と思うんですけれども、それがある程度対応がつくとか、そういうことがあれば絶対 にこれは書かなければいけないと思うんですが、DNAウイルスであるからこちらだ、 RNAウイルスであるからこちらだというふうには対応は必ずしもしませんね。そう いう意味から言うと、蒸し返しで恐縮なんですけれども、あえてつけ加えなくてもい いのかなと思いました。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、志賀先生の御意見を踏まえまして、 生方先生も特に入れないでもよろしいということですので、先ほどのサーコウイルス についてのウイルスの特性に関する追記事項は、入れないということで変更よろしい でしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、もとのニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンについての 御審議に戻りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。  鶏伝染性気管支炎の予防ということですけれども、私も全然この分野がわからない のであれだったんですが、こういうものは1つのウイルスだけで起きるものなのでし ょうか。それとも、人間の風邪とかそういうのだと、いろんなウイルスで起こります ね。これはよろしいんですか。 ○農林水産省 勿論ほかの免疫力の低下とか、それは原因にはなりますけれども、本 ウイルスだけでこういう症状を起こすということは知られております。 ○大野部会長 そういう特定のウイルスがあるということですね。 ○農林水産省 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますでしょう か。  それでは、ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンについては、食品 規格を設定しないことが適当であるという答申案でございますけれども、この答申案 と全体のこの部会の報告書をお認め願えますでしょうか。人畜のところで若干修正が ございましたけれども、よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。若干修正したところがありますが、それをも ってこの部会の報告とさせていただきます。  次は今後の手続について、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 本日御審議いただきました農薬3剤、動物用医薬品2剤につきましては、 食品安全委員会からの通知を受けていることから、一部修正が入ったものもあります けれども、本案をもって部会報告書とさせていただきます。  なお、今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、パブリ ック・コメント、WHO通報等の必要な手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに議事はございますでしょうか。 ○事務局 本日、農薬等の残留基準に係る御審議のほかに、1件報告させていただき たい事案がございます。「食品に残留する農薬等の成分である物質の試験法における 『同等以上の性能を有する試験法』の取扱いについて」でございます。  資料6をご覧いただければと思います。  概要なんですけれども、食品に残留する農薬等の成分である物質につきましては、 食品、添加物等の規格基準第1 食品の部 A食品一般の成分規格ということで、一 般規則が定められてございます。  告示の一般規則5〜7は、次のページに新旧対照表を付けてございますが、見出し の番号に対応しております。不検出とされるものについては、それぞれの試験法、告 示試験法と言っていますけれども、告示において定められておりまして、現在その代 替試験法は認められないような運用がされております。  一方、告示の第1 食品の部 D各条の個別規格にある、穀類、豆類及び野菜。こ れにも不検出の場合も含まれていますが、旧法の残留農薬基準が入っていた条文にな ります。こちらでは告示試験法のほか、告示に「掲げる試験法と同等以上の性能を有 すると認められる試験法」が規定されており、これによることができるとされており ます。  試験法を緊急時や加工食品等の食品の多様性に対応できるものとし、また、進歩す る分析技術に対応した試験法の利用も可能にするために、告示試験法として「掲げる 試験法と同等以上の性能を有する試験法」を追加することとしたいと考えております。  試験の採用に当たりましては、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知「食品に残 留する農薬等に関する妥当性評価ガイドラインについて」を適用することといたしま して、これにより「同等以上の性能を有する試験法」であることを評価することとす る予定です。  こちらは通知で試験法を示しているものがありますが、これについて運用している 妥当性評価ガイドラインということになります。  なお、試験法の検出限界については、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知「食 品衛生法の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第11条3項の施行に伴な う関係法令の整備について」により示されておりますが、今回の告示の改正によりま して、検出限界値自体を変更するというものではありません。  今後の方針なんですけれども、規格の項目の一部の中に試験法が入っているという ことで、食品安全委員会に意見聴取を行う必要がありますが、食品健康影響評価を行 うことが、明らかに必要でないときに該当するのかどうかということで、食品安全委 員会の御了解を得た上で、告示の改正について所要の手続を進めていきたいと考えて おります。  今回のこの部会での御報告と言いますのは、食品安全委員会に御了解をいただく手 続についてご了解いただければということです。追って、食品安全委員会からの手続 の連絡を受けました後に、ガイドラインの適用、改訂につきまして、部会の方に御相 談させていただければということでございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。これは告示の中でハーモナイゼーションがと れていないところがあったということなんですか。 ○事務局 条文の整理との関係があるかと思いますけれども、食品中の農薬等の残留 基準を一般規則の方に法律改正で移したときに、法制上の整理がなされたということ であろうかと思います。  新旧対照表を後ろに付けてございますが、食品一般の成分規格ということで1〜4 があって、1ページ目の5に文章が書かれておりまして(1)〜(17)ということで、 こちらに今、具体的な試験操作方法が記載されてございます。  今回の取扱いについてということで入れさせていただいておりますのは(18)とい うことで、上の(13)〜(17)までで掲げる試験法と、同等以上の性能を有する試験 法というのを入れるという手続をさせていただければというところになります。 ○大野部会長 何か質問ございますでしょうか。同等以上の性能を有する試験法でや ってもいいということですけれども、それを示すためにはバリデーションをきちっと しなければいけなくなって、結構大変かなと思いますが、ちょっとした変更だけだっ たら社内とか、それだけでのバリデーションというのは認められるのかもしれません。 よろしいでしょうか。 ○事務局 参考として委員のみなさまのところには「食品中に残留する農薬等に関す る試験法の妥当性評価ガイドライン改訂案」ということで席上に置かせていただいて おりますが、その資料に別紙1として「妥当性評価された試験法の試験室への導入及 び一部を変更する際に評価すべき項目」という見出しを付けているページがございま す。  大野先生の御指摘の部分は「3.妥当性評価された試験法の一部を変更する場合」 どのような取扱いをするのかというところになろうかと思います。最終試験溶液の液 量あるいは分析条件等を変更するといった場合のことについて、ここの部分で今のと ころ入れさせていただくような形の対応を考えているということです。 ○大野部会長 ありがとうございました。山内先生、お願いします。 ○山内委員 資料6の概要の5つ目の○には、評価ガイドライン平成19年11月15 日付とありますが、今いただいたのはガイドライン改訂案となっておりますけれども、 これは平成19年11月以降、更に改訂されたものということなんですか。 ○事務局 改訂案でございますので、今後このような形に改訂しようかと考えている ものです。 ○大野部会長 内容は大きく変わっているんですか。 ○松田委員 19年のときには不検出のときの適用が書いていなかったんです。それが 書き加えられているので、今回告示法にも適用できるようにしたということと、先生 のおっしゃったように、非常に軽微な変更の場合は非常に軽微な確認で使えるように したということで、大きく変更した場合は、日間室内バリデーションまでやるんです けれども、ちょっとしたことであれば回収率と選択性のみで終わるというバリテーシ ョンの形をとっています。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。質問 よろしいですか。  御説明いただいてどうもありがとうございました。ほかに何かございますか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、9月25日金曜日の午後を予定 しておりますが、後日委員の日程につきまして御確認させていただきたいと存じます。 詳細については追って御連絡申し上げます。 ○大野部会長 どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。 ○事務局 ほかに議事はありません。 ○大野部会長 それでは、先生方から何かございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、この部会を終了させていただきます。御協力どうもありがとうございま した。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2487、2489)