09/03/27 第79回労働政策審議会労働条件分科会議事録 第79回労働政策審議会労働条件分科会            日時 平成21年3月27日(金)            10:00〜11:40            場所 中央合同庁舎第4号館108会議室(1階) ○分科会長 定刻になりましたので、「第79回労働政策審議会 労働条件分科会」を開催い たします。本日は、今田委員、大沢委員、八野委員、田中委員、平山委員、渡邊委員がご欠 席でございます。  また、神津委員の代理として稲葉さん、高尾委員の代理として新沼さん、原川委員の代理 として小林さんにご出席いただいております。よろしくお願いいたします。また、原川委員 は遅れて出席されると承っております。  議事に入ります前に、今日の会議の持ち方につきまして事務局から説明がございます。よ ろしくお願いいたします。 ○監督課長 ただいまの分科会長のお話にもありましたが、今日現在原川委員におかれまし ては、本日行われております他の会議の関係で遅れて出席をされると連絡をいただいていま す。このため原川委員が来られる間は、分科会の定足数(全委員)の3分2以上の出席、又 は、公労使側各3分の1以上の出席とも満たしていないことになりますので、その間は懇談 会という取扱いとし、定足数を満たした時点から分科会という取扱いとなります。  なお、懇談会でも通常の分科会と同様に議論を行い、議事及び議事録も同様の公開のあつ かいとなりますので、よろしくお願い申し上げます。 ○分科会長 ただいまの事務局のほうから説明をいただきましたが、懇談会ではございます が、通常の分科会と同様にご議論をいただきたいと思います。それでは本日の議題に入りま す。本日は労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要項などにつきまして、前回に引き 続きご議論をいただきたいと思います。まず、事務局のほうから資料を提出していただいて ますので、事務局のほうから説明をお願いいたします。 ○監督課長 お手元の資料2をご覧ください。前回の分科会の議論におきまして、代替休暇 の取得と割増し賃金の支払いに関しまして、1つは労働基準法24条との関係はどのように なっているのか。2つ目に代替休暇の取得日など具体的な取得方法はどうなるのかと指摘が ありました。次回報告をする形にしておりましたので、この資料2を用いまして説明をさせ ていただきます。この資料の真ん中辺りですが、例として賃金締切日が月末、賃金が支払い 日が翌月15日である事業場は代替休暇を導入し、代替休暇を2カ月以内に取得、代替休暇 を取得しなかった割増し賃金率が50%、代替休暇を取得した場合の割増し賃金が25%とさ れている場合の例を掲げております。  まず、法24条との関係につきまして、前回の議論の中で代替休暇を取得する場合の割増 し賃金の支払いにつきまして、月60時間を超える時間外労働が行われた場合には、賃金支 払日に引き上げ分を含めた割増賃金、この例でいいますと50%になりますが、これを支払 いまして、代替休暇を取得した場合には、その後の賃金支払い日に割増賃金の過払い分、こ の例でいきますと、50%から25%を引いた分、いわゆる25%を精算する取扱いとするのか、 あるいは逆に月60時間を超える時間外労働が行われた場合には、賃金支払い日に25%の割 増賃金を支払って、代替休暇の取得がなかった場合には、残りの25%を支払う、こうした 支払い方が、労働基準法24条の賃金全額払いの原則に抵触するのではないかと言ったご議 論がありました。  月60時間を超える時間外労働が行われた月の月末におきましては、割増賃金の額を算定 するための基礎はそろっていますが、労働者の賃金請求権が発生しているわけではありませ んので、賃金請求権は賃金支払い日におきまして初めて発生することになります。労働基準 法の第24条の賃金全額払いの原則に抵触する場合というのは、この支払われるべき賃金が 事業所の就業規則等で定められた賃金支払い日に支払われないということを指します。  今回、労働者に代替休暇の取得の意向がある場合には、事業所における支払い日の設定に 応じまして、まず最初の賃金支払い日に25%の割増し賃金が支払われて、その後、実際に は代替休暇の取得がなかった場合には、その後の賃金支払い日に引き上げ分の25%の割増 賃金が支払われることになりますが、これはそれぞれの賃金支払い日に労働者が賃金請求権 が発生していることです。この賃金支払い日に支払われるべき25%、それぞれ支払われな いようであれば、労働基準法の24条違反となります。それぞれ支払われている場合には、 賃金全額払いの原則に抵触することにはならないと考えられます。  次に取得の方法ですが、これと関連いたしまして、実際に代替休暇の取得をどのように行 うのかについてです。今回の改正による代替休暇は、労働基準法の37条の第3項におきま して、労働者が代替休暇を取得した場合に使用者は割増賃金の引き上げ分の支払いが不要に なると規定されています。このため代替休暇を取得するかどうかは、労働者の判断によるこ とになり、実際に付与される日は、当然労働者の意向を踏まえたものとなることになります。 従いまして代替休暇を導入した場合は、労働者の代替休暇の取得の意向の有無について賃金 の支払い額を早期に確定させる観点からできるかぎり早期に確認することが望ましく、労働 者の代替休暇取得の意向の有無によって図のA、Bのような代替休暇の取得及び割増し賃金 の支払いになると考えています。図のAの場合では、労働者に代替休暇の取得の意向があ る場合です。この場合は、1カ月に60時間を超える時間外労働を行った月、この場合です と4月末に代替休暇取得の意向を確認いたしまして、代替休暇の取得の意向があれば、4月 分の賃金支払い日である5月15日に引き上げ分の25%の割増し賃金を除いた25%分の割 増し賃金を支払います。代替休暇が取得されれば、この引き上げ分の25%は支払いは要し なくなります。  仮に実際には代替休暇の取得がなかったときは、引き上げ分の25%の支払いが必要とな りまして、代替休暇の取得がないことの確定した後の賃金支払い日に支払われることになり ます。BはA以外の場合となっておりまして、労働者に代替休暇の取得の意向がない場合 や、取得の意向の表明がない場合などです。この場合は4月末の時点で意向を確認をした後、 4月分の賃金支払い日である5月15日に引き上げ分の25%の割増し賃金を含めた50%の 割増し賃金を支払うことになります。以上が本資料の説明です。 ○分科会長 はい、どうもありがとうございました。いま説明がありました分も含めまして、 省令案要項等につきましてご意見、ご質問がありましたらお願いします。長谷川委員。 ○長谷川委員 いくつか質問いたします。今回のこの図と、今ただいまの説明で、代替休暇 を取得するかしないのか、さらに、実際に取得する日は労働者が取りたいことを尊重して決 められることが明確になりましたと私は理解をしています。その上でいくつか確認をしたい と思います。  1つは図の1です。例えば4月末のところで意向確認をして、労働者が代替休暇を「何日 に取りたい。」と申し出て、指定をしたとしても様々な理由で取れなくなることは想定でき ます。その場合2カ月以内に取るわけですので6月末までに取れなかった場合は、25%が 支払われてないことなので、その時は25%を支払うと理解してよいのか、それとも支払わ れないで年休のように消滅してしまいますか。どちらですか。 ○監督課長 はい、25%分の割増し賃金請求権が消滅することはありませんので、当然7 月の賃金支払い日にこの25%を支払わなければならないことになります。 ○長谷川委員 次に、労働者に代替休暇取得意向がある場合がAで、それ以外の場合はB とした図は非常にすっきりした図と思いますが、Bのときは、私が想定をしますと、1つは 労働者が代替休暇ではなくて50%の割増しで払ってくれという意向がある場合です。その ほかに、意向確認は本来は、ここできっちり確定させなければいけないのですが、労働者の ほうもなかなか明確にはっきり表明しなかった場合。もう1つは少し言いにくいですが、使 用者がきちんと意向確認をやらなかった場合はやはり現場ではあり得ます。そのような場合 には、A以外は全部Bであるので、50%の割増賃金は支払うと理解してよろしいですか。 ○監督課長 はい、いま3つのケースを言われましたが、まず、労働者が代替休暇の取得を 選ばなかった場合、50%の支払いを求める場合、意向を確認された労働者がなかなかいろ んな事情で、はっきりとどちらにするか言わなかった場合等につきましては、当然Bの方 に含まれます。 ○長谷川委員 そのときは、この図で言いますと、翌月の15日に支払われるということで すか。もう1つは、私どもの構成組織を見ますと、必ずしも割増賃金は25%ではなく35%、 40%という労働協約を持っているところがありますが、60時間を超えたときに50%を支払 うのは、いま労使協約において40%で結んでいるところがありましたら、残りの10%を払 うという理解でよろしいですか。 ○監督課長 これは労使協定で定めるところによると言うことになると思います。 ○長谷川委員 例えば連合の賃金時間調査を見ると、35%や40%という割賃を結んでいる ところがあります。そういうところは、50%引く40%で10%、50%引く35%で15%、そ の部分でよろしいですか。 ○監督課長 はい、労使協定でそうすることがあり得る。 ○長谷川委員 省令案の中に「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」と ありますが、これには年次有給休暇を含むのでしょうか。 ○監督課長 年休は基本的には、含まれる可能性はあります。ただ年休の場合は労働者が請 求をするとのことです。労働者が請求をして付与されるものなので、労働者が自らここは連 休に当ててくれと言わないかぎりは、なかなか年休は使えないと使用者は当然命ずることは できないわけですから。特別な場合だと思います。ここで一般的に考えられているのは、年 休ではなくってそれ以外の特別な埋め合せをするということです。 ○長谷川委員 この省令案では代替休暇の取得の単位が1日または半日になっています。今 回の時間単位年休では、何時間が1日なのか、半日なのか労使協定で定めておくべきと思い ますが、それはどうでしょうか。 ○監督課長 そのとおりです。 ○長谷川委員 例えば、所定労働時間を1日として、その2分の1の端数を切上げて半日と 理解していいのですか。 ○監督課長 はい、2分の1と厳密に考えていただく必要はありません。ご指摘のように端 数を切上げたものを半日とすることでも差支えないことになります。 ○長谷川委員 あとこの資料2の扱いは、私のところで言いますと、本当は労働者とか、使 用者がよくわかる方法としては、1つは法律にきっちり書く。その次に規則にきちんと書く。 それが一番わかりやすいですが、今日のこれは例えばいま示されているのは、省令ではなか なか不明なところを質問しているわけです。これを省令に書くことは無理なのでしょうか。 こういうものをどうやって使用者や労働者に知らしめますか。それはどういう方法でやりま すか。私は、本当は省令に事細かに書いてほしいと思っています。 ○監督課長 このような具体的に細かい内容を一般的に省令で書くのは難しいかと思って います。一般的には、通達を発出しまして、それを周知徹底していくという形を考えてやっ ております。この場合もそのような形で通達にこの内容を示しまして、なるべく早期に代替 休暇を取得するかどうかを確定して、企業実務の便利も図れると思いますので、そういう形 で通達を使いながら全国の監督機関に説明会をする際には、このような形のものを勧奨して いきたいと思っております。 ○長谷川委員 この図のA、Bのところの意向確認について、例えば意向確認を5日以内に するとか、1週間以内にするとか決めるのは、それはやはり無理でしょうか。 ○監督課長 そこは個々の企業の労務管理との関係で、支払い日とかの関係とか、いろいろ あると思いますので、それはなるべく早く確定していただくことが望ましいと思いますので、 そのいろいろな観点を踏まえて各労使で決めていただくのではないかと思っています。 ○長谷川委員 私のほうは以上です。 ○分科会長 他にいかがですか、輪島委員どうぞ。 ○輪島委員 いまの長谷川委員のご指摘で、前段の課長が資料2につきまして口答で説明を いただいた部分で、この資料2の図も含めて、通達にきちんと書いていただきたいと思いま す。結局具体的な取得の方法は、皆さんわからない部分もあると思いますので、そのような ことがここに書かれると、それで周知になると思いますので、ぜひ通達、本来であれば省令 が望ましいのかも知れませんが、図も含めてしっかり説明していただくようにしていただき たいと思います。  そこの部分で早期に確認が望ましいところは、お互いに労使でやはり話をすることが前提 になると思いますので、そこのところにつきまして意向の確認の方法も踏まえて混乱のない ような通達にしていただきたいと思います。それを含めてもう一段、長谷川委員がご質問に なっていたので私もどうかと思いましたが図のAのところで、意向がある場合は4月の末 に意向確認をするということになりますけれど、意向がありましたが結果として取れなかっ た、もしくは取らなかったことで、その時に賃金締切り日の関係でいいますと、5月15日 までに取らないと意向があったと確定をすればそれは、5月15日か、次の6月15日が支払 い日になりますので、最初は意向がありましたが、取らなかったことは5月15日ないし、 6月15日ないしは7月15日まで行って、4月分かが最大では7月15日に払われれば、そ れはいいとのことで、ここは7月15日はありませんが、そこまではいいのか、どうかを教 えてください。 ○監督課長 図に7月15日がないのは、一応労働者の方が取ると言えば、取るだろうとの ことでないわけです。賃金支払いをいつするかというのは労使協定の中で決めていただくこ とになろうかと思います。ですから本来最初に取ろうと思っていた日を決めていて取れなか ったら次の賃金支払い日に払うことになっていればそこで払いますし、何回か労働者の方の 意向を聞いて、2カ月以内に努力をする形の労使協定になっていれば、それは最大2カ月、 7月15日になる場合もあるのではなかろうかということです。7月の末で意向の確認をし たときに、6月30日に取りたいとのことになったときに、取らなかったら7月15日に払え ば大丈夫です。 ○監督課長 通達につきましてはご要望趣旨を踏まえまして発出したいと思います。 ○分科会長 よろしゅうございますか、新沼委員。 ○新沼氏(高尾委員の代理) 2つ確認をします。Aのケースは、前のご答弁で分かったの ですが、Bのケースで、企業としては賃金計算締切り日の通知はありますが、Bのケースで ご本人に意向がないことを確認をしているのに、その後に本人がやはり取得したいと言って くるケースの可能性はあると思います。それにつきましての解釈は、その点も含めて労使協 定で決めたらいいのか、それとも法的には賃金支払い日に50%の割増し賃金を払った時点 で、意向を確認をしかつ賃金も払ってますので、そこで執行する理解でいいのですか、1つ 目の質問です。  2つ目は、労働者の意向を踏まえた日に取得してもらうこと、前回のこの場で取得予約日 に対しては、会社のほうからこの日でどうかという話をして、本人と話し合うことは差支え ないとのことでしたので、今回、上から7、8行目のところに「当然意向を踏まえたものに なる」と書いてありますが、これは前回の答弁とは矛盾しないという理解でよろしいですか。 会社がこの日でどうかと本人と念を押して最終的に意向が固まったという手順でいいのか。 そこだけ確認させてください。 ○監督課長 1点目は、労使協定で定めていただければ、例えば過払いを調整するというこ とも可能であろうし、それをしないことも可能であろうとは思います。  2点目につきましては、最終的に取得は労働者が決定をします。労働者の意向を踏まえて やらなければいけません。その過程で労使のやり取りをどのような形でするかは、労使間で 調整をしていただく。ただ、使用者側の何というか強制になるような形になるとまずいかな と思います。 ○新沼氏 労使間でこのBの例ですと4月末日までに意向を確認し、本人の取得意向がな かった場合においては、その後については取得を認めないという労使協定が認められるとい う意味ですか。 ○監督課長 労使協定でそういう形になれば。 ○新沼氏 はい、わかりました。 ○長谷川委員 今の部分はあいまいです。 ○小山委員 よくわからなかったので、もう一度はっきり言葉の説明を丁寧にしてください。 ○分科会長 もう一度とのことなので。 ○監督課長 はい、分かりました。先に50%払った場合、その後に休暇の取得が可能かど うかということにつきましては、あくまでも休暇の取得をいつまで可能とするかは労使協定 の中で決められるとのことですので、その範疇で考えていただくと。労使協定で休暇取得を いつまで認めるかいうことを決めていくことになると思います。最大2カ月以内とのことで す。 ○分科会長 長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員 何かすごくあいまいです。だから省令で書いてくださいと言っています。あ の省令を読むと非常にあいまいな解釈が行われるので、従ってはっきりしてくださいと。ち ゃんとやってほしいです。代替休暇の指定は労働者にあり、使用者はそれに対してどうして も変更をしないといけないときに、変更権をもつ、指定権は労働者にあるのだとはっきりし てください。 ○分科会長 お願いします。 ○調査官 私のほうから確認的にお話をしたいと思います。こちらのペーパーに書いてあり ますとおり、この労働基準法第37条第3号、今回に新しく入った条文によりまして、労働 者が実際に取得をしたときは、代替休暇ではなくて割増賃金の支払いを免除できる形になっ ています。従いまして結局、労働者が判断をすると、要するに取得をするかどうかをここの ペーパーに書いてありますとおり、当然意向を踏まえたものになることは結局、労働者の意 向を踏まえないと付与ができないということになります。  おそらく先ほどの質問によりますと、意向がないという場合には、やはり50%の割増し 賃金を支払っていただくと。そこは明確に通達のほうにも明記したいと考えています。 ○長谷川委員 そこであいまいにすると必ず職場は混乱をするので、そこはきっちり書いて おかないと、「ああでも良い」、「こうでも良い」とまた解釈が起こるので、いま言ったこと をきっちりと通達の中に書かないと、いまみたいに勝手な解釈をすると職場は大混乱になり ます。しっかりと書いていただきたいと思います。 ○分科会長 小山委員。 ○小山委員 いまの点で、先ほど課長の答えの中で、労使協定で定めれば、この範囲を超え たような取り扱いができるような言われ方をしたと思いましたので、それはそうではないと のことで、あくまでもA以外の場合は50%を直近の支払い日に支払わなければならないと いうことですね。 ○監督課長 そうです。 ○小山委員 ということでよろしいのですか。 ○監督課長 そうです。 ○小山委員 いつ取るかは、それは2カ月の範囲以内だったら、それはいつでも。 ○監督課長 施行令の定めの範囲以内だったら。 ○小山委員 もう一度確認です。いったん意向確認で意向なしでここの事例で言えば5月 15日に50%割増しの分を支払いましたと。しかし取ることにしたと言って6月に入りまし て取りましてそれを精算することができるかのような話がありましたが、私はこの趣旨と全 然違うのではないかと思います。念のためもう一度確認です。 ○監督課長 休暇を取るかどうかは法律の規定からして当然労働者の判断に基づくことに なろうかとは思います。 ○分科会長 ちょっと問答がうまく噛み合ってないです。いまの小山委員のご質問は、1回 意向の確認をしたところ、労働者の方がその時点では取りませんと言ったと。そこで使用者 側がそれじゃあと言うので、所定の賃金支払い日に50%の賃金を払ったと。払った後で労 働者が例えば、連休を自分は取るので、ついでに合わせて、やはり代替休暇もそれに組合わ せて取りたいと言い出したときはどうなりますか。それが所定の労使協定で定めている所定 の代替休暇の取得期間内であったときにはどうなるのかが質問です。どうぞお願いします。 ○調査官 ここのペーパーの趣旨からしますと、やはり賃金で支払うのか、それとも代替休 暇にするのかを早期に確定させることが大切だと私どもも考えてますので、いまの小山委員 の指摘に対しましては、もう労働者の方が私は取りませんと明確に、明確でない場合もあり ますが言われた場合は、賃金を支払うとのことで確定させることが法の趣旨ではないかと考 えています。 ○分科会長 そうしますと確認ですが、当初意向確認をしたところ、はっきりしないと、あ るいは使用者の方がごたごたの中でやらなかったと。結局割増し賃金を払ってしまったら、 協定上は取得の可能な時期でありましても、労働者が後から取りたいと言ってもそれはもう 代替休暇の取得とはそれ以降はできませんというので厚労省としては解釈を統一をして、そ ういう形で通達を出すとそういう理解でよろしいですか。局長お願いします。 ○局長 いま座長のほうで整理をした内容で労使の委員の皆さんのご理解がいただけるの であれば、それで確定をし、通達で例示したいと思います。先ほどの使用者側の委員の方の 趣旨が、そういうこともできるようにしたほうがいいという趣旨であれば、その辺が少しわ かりませんが、やはり早期に確定をして安定した関係にしておくことが企業実務の上でも、 おそらく労働者の方が取るという上でも、ルールとしては明確で安定的だろうと思いますの で、いまのご議論を踏まえた上で申し上げれば、私どもいま座長のほうで整理をいただいた ような形でよろしいのではないかと思います。 ○分科会長 輪島委員。 ○輪島委員 前回の答弁では50%払った後に代替休暇の取得があったときには、払い戻し をすれば、控除するのもカットというような説明があったのではないかと思います。いまの 説明とは食い違うのではないですか。 ○調査官 それはそういうふうな取扱いをしても違法ではないと、差支えないとのことで申 し上げているところです。  条文を見ますとやはり労働者が取得をしたときは、割増賃金の支払いを要しないと書いて ありますので、原則は法が予定していますのは、こちらのペーパーに用意させていただいて いるものではないかと考えています。 ○分科会長 私の記憶では、前回確かにその議論があったのですが、そこでの議論の前提は、 確かこれは労側からの話があって、まず最初に割増賃金を払うべきではないかと。その上で 代替休暇を取ったらあとで返すなり、調整するということが筋ではないかと、そういうご質 問があって、その過程でのお答えだったと思います。ですので、言わば今日の議論の前提と 当局側の事務方のお答えの前提とが少し違っているということではないかと思います。  要するに、前回、事務方のほうでまだ資料2の形できれいに整理されてなかったので、全 体がA、Bごちゃ混ぜの形の中で、労側から「先に払うべきではないか」という議論が出て きた中で、「あとで取った場合には精算ということですね」という議論だったと思うので、 今日はむしろそれとは違ってAとBというタイプで整理し、Bタイプについては、いま局 長がお話になられた形で整理されるとすると、とにかく払ってしまったらそこで代替休暇の 問題は一応おしまい、ということで法律関係を安定させるということを優先してはどうかと、 そういうお考えだと思います。 ○荒木委員 改正された37条3項の法文、これを逸脱する解釈はできませんので、この枠 の中で議論するべき問題だと思っていますが、これによると、「協定により休暇を与えるこ とを定めた場合において、労働者が当該休暇を取得したときには、5割上積み部分は割増賃 金は払わなくてよい」というものですね。  そこで、先ほど使用者側の質問があったのは、一旦、図のBで、取得の意向はないと言 ったあとにやはり翻意して取りたいと言った場合に、「取らないと言ったのですから代替休 暇付与という問題はなくなりましたという処理をしてよろしいですか」と。労側の方から「そ れでもいいのではないか」という趣旨の発言がありましたが、それは法文によると、「労使 協定によってその処理をどう定めたかによって、それに従って取得したときは」と読めます ので、当該労使が一旦取得意向はないとしても、2カ月以内にやはり取りたいというのも許 容するようにした場合には、それを法文が禁止していると読むことはできないのではないか と思います。  したがって、当該労使が一旦、取得意向した場合に、それで「代替休暇の問題はなくなり ます」と定めれば、先ほど使用者側が質問されたように処理して構わないと思います。しか し、取得以降のときに、労働者のほうが「いや、まだわかりません」と言っていた場合に、 一旦、使用者が5割全部払って、しかしそのあとで労働者が「やはり代替休暇を取ります」 と言った場合に、それを許容する労使協定に従って取得することは許されているのではない かと私は思いますが、いかがですか。 ○輪島委員 いずれにしても、労使協定の定めがそこにそういうふうに定めてあればそれで よろしい、ということで理解してよろしいですか。 ○荒木委員 私はそう思いますが。 ○輪島委員 ありがとうございました。 ○小山委員 いまの荒木委員のご説明と先ほど局長が言われていたこととまた少し違うこ とになるのかということですが。 ○分科会長 局長、それで労政審の両方の了承が得られるのであればということでしたので。 ○小山委員 得られたのかと思ったのですが、違うのですか。 ○分科会長 そこは使側としては率直なところいかがですか。 ○輪島委員 先ほどの分科会長の前回のものと違う議論だということの整理がされるので あれば私は構わないと思うのですが、私が聞いた範囲では、あとからも精算ということも含 めてできないという整理になってしまうのであれば、それは問題だろうと思うのですが。 ○分科会長 私が言ったのは前回の前提が違うという話だけであって、前提が違っている中 でBの場合をどうするかについては、整理の仕方としては非常に単純に割りきって、した がって1回払ってしまえばそれで代替休暇の問題はおしまいというのが1つの割りきりで あり、もう1つの考え方としては、いま荒木委員がお話されたように、あとは労使協定の枠 の中で、払ってしまった場合についても労働者側の事情によってはあとでやはり欲しいと、 先ほど私も例を挙げましたが、年休と組み合わせて少し多く取りたいというときにそういう 気になったといったときに、それは全部アウトなのかと。そこの部分はオープンであって、 労使協定に委ねるのがもう1つの考え方としてあるということだと思うのです。  そうすると問題は、法律関係の早期確定を優先させた形で今回通達なりを書いてもらうこ とになるのか、あるいは労働者も当初考えていたのとは少し考え方が変わることがあるので、 そういった場合については少しオープンにしておいて、労使協定でそこは決めてもらうこと で考えるとするのか。そうすると、今度は割増賃金を1回払ってしまっていますから、あと は精算の問題がまた別途生じる。それは考え方としては、協定の中でその精算方法について も決めてもらえば、それは過半数協定ですから、結局、24協定としての意味も持つので、 そういう形で整理するのがもう1つの考え方だと思います。 ○廣見委員 いまの議論ですが、若干、私はいまお聞きしていて、少し抽象的な細部に観念 論的に入り過ぎているのではないかという感じがするのです。と申しますのは、理屈の上で はまさに荒木委員のおっしゃったとおりだと思います。ただ、現実にいまの質問が出たのは、 Bの場合で、一旦4月末日において労働者の人が取得の意向なしと表明し、5月15日の支 払日において50%の割増賃金が払われれば、それで一旦終わっている形、実質上はそうい う形で進んでいるわけです。それがあとになって労働者の方が「50%の割増賃金を支払わ れているけれども、いや、やはり取りたかったのだ」ということを認めるかどうかという話 ですよね。  ただ、これは正直聞いていまして、そういうことをどうしても認める必要がある客観的な 事情があるなら、それは労使協定に書かれてもいいのかもしれませんが、普通に考えますと、 一旦、意向なしと、しかも賃金が払われた。それをもう一回「いや、それを引っくり返して くれ」ということを認めなければならない状況はあまり想定されない気もしますし、また賃 金の精算をやり始めますと非常に話が複雑になってくるので、常識的に考えると、そこまで 想定する必要はない気もして、そういう意味では非常に現実論的に考えていけば、一旦表明 されたもので処理された法律関係というか、そういう環境をもう一度やり直さなくてはなら ないことの合理性はない。  ただ、問題は確かに4月末日において明確な意向が反映されなかったり、聞き取れなかっ たり、聴取されなかったり、それを一応意向なしと処理してやっていった場合にどうなるか とか、そういう問題は現実論としてもあり得るのかもしれませんし、その点は労使協定でど の程度細部にわたって決められるかということになる気もします。ただ、一旦表明されて進 んでいるものを、「いや、あれは取り消してくれ」というところまで本当の意味で認める必 要があるのかどうか、これは少し現実論も踏まえて労使の間でご判断いただければいいので はないかという気もします。  結論的には、私は理屈の上ではすべて労使協定に、すべてというのは言い過ぎでしょうが、 ここに書かれた法律と省令の枠内で労使協定の中で処理していく。その現場をいちばん当然 のことながらよく知っている当事者である労使で決めて進めていくと、こういうことになる わけですから、この仕組みについて骨格が示され、省令で枠が決まり、行政庁から一定の解 釈例規が示されれば、そういうものに則った枠内で可能な限り労使で現場に即した、現状に 即した合理的な取り決めがなされていくと、そういうことが全体の姿として想定されている のでしょうから、そこは現場の合意をできる限り尊重してやっていっていただくのが望まし いのかと、このように見ています。いまの話に戻りますが、取消しということについて、あ まり現実にここでぎりぎりの詰めを仮定の状況を想定しながらやるほどまで必要があるの かと、このような疑問がいたしましたので、一言申し上げました。 ○荒木委員 廣見委員がおっしゃった趣旨は、私は全く同じです。誤解があるといけません ので、私は、一旦取らないとして精算された場合に、労働者は「取りたい」と言った場合に、 認めるべきだという趣旨では全くありません。そういう場合に認めないとするのであれば、 その認めないことをきちんと労使協定で書くことによって明確化するべきではないかと。  問題は、先ほど廣見委員ご自身が指摘のあったように、労働者は「いや、いや、ちょっと 取るかどうかまだわかりません」と言う場合に、使用者は一旦50%分払ってしまったと。 「払ってしまったので、これは決着していますよね」と言って、あとで労働者が態度不明の あとに「やはりよく考えたら取りたい」と言ったときに、「50%払ったのですからこの話は 終わっています」ということにするかどうかと。そういうことについて労使協定できちんと 決めるべきで、一旦50%払ったら、それは決着だとこの法律を解釈すべきだ、というふう には直ちにならないのではないかということです。  もう少し政策的なことを付言しますと、とにかく不明の場合にも一旦は50%払う、とい うことで使用者のほうでこれでもう終わりということになりますと、もともとこれは長時間 労働をなるべく時間で返すことによって追加労働の疲労を防ごうというのが目的であり、割 増賃金を高く払う方向の議論ではないと考えています。そうであればなるべく時間で返す方 向を広く認める解釈をすべきであり、そういう観点からもこの処理をどうするかは、労使協 定で一旦留保の場合にはなるべく時間で返すという余地を認めると、そういう労使協定は認 めてよいのではないかと考えています。 ○長谷川委員 いま荒木委員がおっしゃったのはそのとおりだと思いますが、審議会で議論 してきた時に、そのような内容で議論したかというと、私はあまり記憶がないのです。確か に、日本のような長時間労働のところに、割増賃金の50%よりは休暇を取らせることが重 要だと、そのことは理解するのですが、しかしあの当時、代替休暇について労使がものすご く向き合って議論した記憶は、私はなかったということです。そういう意味では、代替休暇 で取らせることと、50%払うことには、労使それぞれの思いがあるのではないかと思って いるのです。  問題は、それなら山のようにある年休をどうするかという話になっているわけです。あれ だけの年休が消化できないのに、また代替休暇で休暇だけがいっぱい膨らんでいくのかとい う議論もあるわけです。そういう意味では、意向確認の時に、労働者が休暇を取るのかそれ とも50%の割賃がいいのかはここで選択しているわけですから、ここでは本当は確定させ ていいのではないかと私は思うのです。休ませるのであれば、山のようにある年休をもっと 取得させることに努力することのほうが重要であって、複雑な制度をつくればつくるほど職 場は混乱します。使用者の人も本当に50%払ってから、労働者が「やはり私は4時間の代 替休暇が欲しかった」と言ってもう1回賃金精算することが、本当に職場の中でスムーズに 行くかどうかを考えてみたらいかがでしょうか。だから、私は前回、あの省令案が出された とき、連合に持ち帰ったときに「なぜこういう複雑なものをつくったのだ」とすぐお叱りを 受けたのです。複雑なものをつくればつくるほど、この代替休暇の趣旨が失われる。だから、 本当に休ませるのであれば、シンプルなものにすればいいではないか。月末に労働者が、「や はり休暇がないから代替休暇で休みたい」ということであれば、それでもいいし、しかし 50%の割賃がいいということであれば50%を支払う。それは月末のときに決めればいい話 ではないのですか。複雑な制度は職場の労使を混乱させるだけで効果は上がらないと言われ ているので、私はここは政策的な判断をすることが必要ではないかと思います。 ○分科会長 使側はいかがですか。 ○輪島委員 複雑な制度をつくったのは私どもかどうかというのは、適当か。 ○分科会長 いや、そういう意味で聞いているのではなくて。 ○輪島委員 議論は少し指摘をした上で、もう一度資料2の右の所で、意向確認をして意向 なしとしたときに、50%払った上でどうするかというところについて、いまの議論はそれ で決めましょうかどうしましょうかというのを、これは労使でコンセンサスをつくるかどう かという議論でよろしいですか。 ○分科会長 そうかと思います。 ○輪島委員 にわかに出てきた話なので、少し戸惑いを覚えないわけではないのですが、も う1つ荒木委員に教えていただきたいのは、Bの場合でいまのことも含めて労使協定に書く ということも可かどうかです。つまり、原則をいま決めてしまって、Bのほうで50%払っ たら、そこで代替休暇についての取得はなしということで、それで通達に書きましょうとい うことについて。もちろんシンプルな姿のほうがいいのかもしれないのですが、それも含め て決めてしまえるかどうかが何とも言えないと。もう一度教えていただければと思いますが。 ○荒木委員 使用者としては、とにかく長谷川委員がおっしゃったように月末で決めてそれ でよろしいというのは、たぶんありがたい話だと思います。労側の方はそれでよろしいとい うのであれば、そういうふうに労使協定をすればそれはそれで決めて構わないと思いますか ら、労使がそういうふうにスパッと決めることは私は全く問題ないと思っています。それは 労使協定で決めればよかったと思います。  しかし、労使が話し合って、「その月にはっきり決めない場合もあるだろう。一旦50%払 いますが、そのあとでも取得の余地を認めましょう」ということもあるのではないかと私は 思いましたので、それはそこまでこの時点で、この解釈として罷りならんということを決め る必要はないのではないか、ということを言っただけです。 ○分科会長 そうすると、こういうことだと思います。通達で1つ明確にしていただきたい のは、労使協定で、例えばBのケースについては、先ほど局長もおっしゃったように法律 関係をなるべく早期に安定化させて明確化させるという観点からすると、50%割増賃金を 賃金支払日に払ってしまったら、そのあとのやり直しはなしということで決めるということ も差し支えないと。そのことは通達で書くと。ただ、それは労使の事情によるので、協定で 払ってしまったあとでも労働者の側から意向が示されたときに、なお代替休暇を認めるか。 その場合の賃金の精算方法をどうするかを定めるということを妨げるものではないと、それ がたぶん落としどころとしてはいちばんいいのではないかということだと思いますので、先 ほど局長もおっしゃっていただきましたが、1回払ってしまったら、それでそのあとの代替 休暇の話はないと協定で定めても、それは問題ありませんと、結構ですということは、通達 上明確に書いていただく。ただ、実情に沿って労使が話合いでそれとは違う方法を考えると いうことは妨げるものではありませんと、そういう形で整理させていただければと思います が、それでよろしいですか。 ○長谷川委員 はい。 ○分科会長 ありがとうございました。その他いかがですか。 ○長谷川委員 別の項目でよろしいですか。 ○分科会長 小山委員のは、先ほどのこの議論の一連の流れはよろしいですか。 ○小山委員 いいです。 ○分科会長 ありがとうございました。 ○長谷川委員 今日、もう1つの課題の中に、「努力義務で45時間を超えて時間外労働を 行うときには25%を超えるように努力しなさい」というのが今回の中にあるのですが、こ こに特別条項、「月の時間外労働協約では月45時間を超える」と、これは必ずしも45時間 だけではなくて、2週間で27時間とか、3カ月で120時間とかとあるのですが、そういう のも含むと考えてよろしいのですか。これだけを見ると45だけが独り歩きをしているので すが、そうではないと。これからいろいろな周知物を作ると思うのですが、そのときにはそ ういうのも是非書いていただければと思います。 ○監督課長 ここはとりあえず紙面の関係で代表的な45だけを出していますが、その他の 限度時間も当然入りますので、その辺については新しいリーフレットを作る際にははっきり と書いていきたいと思っています。 ○浦野委員 いまのところですが、例えば1カ月は45時間、1年が360時間になろうかと 思いますが、これが最後の1年間のところで超える場合なども考えられるわけですよね。そ うすると、どの時点で通常の法定割増率を超える率を払う義務が発生するのは、いつの段階 になるのですか。 ○分科会長 もう1回ご質問をおっしゃっていただけますか。 ○浦野委員 例えば1週間で何時間、1カ月で何時間、3カ月で何時間などというのがあり ますよね。そうすると、どこからが高い割増率を払わなければならなくなるところですか。 ○調査官 通常36協定で、例えば1カ月と1年とを定めることだと思いますので、その場 合はそれぞれの協定で書かれた期間に相当する限度時間を超えた部分が高い努力義務で求 められている割増の対象になるということです。 ○分科会長 よろしいですか。 ○浦野委員 はい。 ○稲葉氏(神津委員代理) 限度基準の所ですが、実際の36協定では限度基準未満で特別 条項付の協定を結んでいるケースがあるわけですが、その場合、限度基準が努力義務になる のか、実際に労使で決めた特別条項の時間、そちらが基本的な努力義務になるのかわかりづ らいのです。どう解釈していいのかがわからないのですが。 ○監督課長 限度基準告示で決められている限度時間が。 ○稲葉氏(神津委員代理) 実際に1ヶ月40時間で36協定を結ぶケースは結構あるので す。この場合、努力義務は45時間に課されているのか40時間に課されているのかがわか りづらいのです。これは40時間に対して努力義務が課されているようにも読めるのです。 これはどう見たら良いのですか。 ○監督課長 40時間は協定上の上限時間ということでしょうか。 ○稲葉氏(神津委員代理) そうですね。 ○監督課長 あくまでもここに書いてある限度基準告示の時間を超える部分に対して努力 義務がかかるということです。 ○調査官 こういうことを説明申し上げると理解ができるかと思うのですが、この努力義務 は特別条項付の36協定でいくらの額を定めるのかというときの努力義務です。そこを法定 の25を上回るようにしてくださいと、こうやって努力義務だということだと思います。そ れで定められたあとは、もちろんそれは守っていただきたいということになるわけです。要 するに、労使で決められて書いている、就業規則にもそれは書いてある話でしょうから、そ れは守っていただきたいということになると思います。 ○稲葉氏(神津委員代理) 例えば、特別条項付き協定として、月40時間超で36協定を 結ぶときには、その40時間超えのところに対して、法定の25%を超える率で結ぶべきだと、 そういう努力が求められていると理解しておけばよろしいのですか。 ○分科会長 いえ、それは端的に45時間という所にラインがあって、45時間超の部分につ いては25%超の割増率を定めてくださいというのが努力義務ですので、いま挙げられた例 でいえば、例えば月40という所に労使でラインを引いて、それについて25%超の割増率を 定めること自体は、すでに努力義務は果たされているということになると思いますので、特 段、努力義務との関係で問題が生じることではないということです。  問題になるのは極端な例で月50というふうにラインを引いて、そこから25%超ですとし ますと、これは努力義務にはそぐわないことになるということです。逆に労働者側により有 利なものを定める分には、当然、それは努力義務を果たしていることになるということです。 ○稲葉氏(神津委員代理) そういうことで言うと、先ほどの年の360時間とかではなく て、月45時間がポイントですか。 ○分科会長 いや、たまたまいま45が私の手元にある資料だったので、そうなっていると いうだけのことです。 ○稲葉氏(神津委員代理) そういうところを少しわかりやすい形にしていただけるとあり がたいと思います。どう理解していいかというところで、労使の議論がこれから錯綜しそう だと思いましたので。 ○調査官 説明すればもう少し理解いただけるかと思いますが、先ほど申し上げたとおり、 特別条項付の36協定において1カ月あるいは1カ月で45時間までですと書きますと、さ らに1年だと360時間までですと書きますと、時間外労働はそれ以内にしてくださいと、 まずそうなっているわけです。もちろん、これが両方1カ月は満たしているのだけれども、 1年だと超えてしまうという場合があるわけです。その場合は、1カ月のほうはかかってこ ないのですが、1年間の360時間を超えていますと、それはその法定を上回る率を定めてい ただくことが変わってくるわけです。 ○浦野委員 しつこいようですが、例えば特別条項付の労働協約を1カ月40時間で締結し ているとする職場が実際にあるわけです。そうなると、40時間を超えたところから25を超 えた割増率を締結しなければならないのかということを聞きたいのです。 ○監督課長 あくまでも45時間を限度時間として書いている、45時間を基準に考えていた だければ。会長がおっしゃられたとおり、40から割賃を上げているということにすれば、 当然45もクリアしていますから、それは問題ないということになりますが、省令案要綱は あくまでも限度基準告示で定められた45時間を基準に考えている。それを上回る取扱いは 当然あり得る。 ○分科会長 よろしいですか。 ○浦野委員 はい。 ○安永委員 前回も発言をさせていただいて、確認の意味でもう一度お願いをしたいのは、 今後、説明会などを行うに当たっていうのはいろいろな資料などを作られると思うのですが、 労使協定を結ぶ場合の労使交渉の場などにおいても、法律を見ながらというよりもそういう 資料を見ながら議論をすることになると思いますので、法の背景、改正の背景、趣旨などに ついて、是非そういうところをクローズアップしてわかりやすいようにしていただきたい、 というのが1つです。  あと、このようなパンフレットのポンチ絵などの所でありますが、裏面でも「25%(法 律)」と書いてありますが、これは正確には25%以上、50%以上というところだと思うので す。今後、労使協定を結ぶときに組合側が50%以上を求めたときに、そういうところがき ちんとされてないと議論はかみ合わないと思いますので、そういうことも気をつけて資料を 作っていただきたいと思います。 ○監督課長 わかりました。できるだけ本分科会のご意見も参考にしながらわかりやすい資 料を作ると同時に、正確さも期していきたいと思います。 ○長谷川委員 あと、その他でいいですか。 ○分科会長 その他でどうぞ。 ○長谷川委員 みんなの心配は何かというのは、使用者の人たちには少し言いにくいのです が、例えば週所定の労働時間38時間を超える所定時間外労働から割賃を35%にするなどの 取り組みを労働組合は行ってきた訳です。ところが、こういう法改正のときに、法律が変わ ったのだから法律に合わせようと、労働基準法という最低基準に合わせようと、そういう力 が働くのです。こういう経済状況が悪いときには、下方修正されることが労使交渉の場面で は起きていますし、今回の春季生活闘争の中でもそういうことが結構現れています。  私は基本的に、労働基準法の今回の改正は、ある意味では割賃を上げて、先ほど荒木委員 もおっしゃいましたように長時間労働を是正するために休暇で休めるとか、割賃を50%に するとかということだったのですが、必ずしも現場段階ではそう行かないわけで、いろいろ な説明をしたり、周知活動などをするときには、いろいろな所に配慮をしてやっていただき たいと思います。いま安永委員が言ったのもそういう意味でありますので、労働時間問題は 必ず法定労働時間と所定労働時間の問題をどう扱うかなどと、必ずそういうことも起きます ので、是非、当局の説明のときはそういうことのご配慮をした指導をお願いしたいと思いま す。 ○監督課長 はい、そのように配慮したいと思います。 ○輪島委員 いまの点は私も実はそう思っていて、例えば端的に言うと、休日労働ですが、 法定の休日と会社休日のようなことで、休日労働のところでほぼと言いますか、この間伺っ たところによるとあまり導入率がないようですが、私どもの回りで聞く限りでは双方35% にしているということですが、今度の場合は60時間超の算定に当たっては法定休日とそれ 以外のところを分けるとなると、そこは実態としてはなかなか対応が難しいことになると、 長谷川委員のご指摘のとおり、そうなると法定に合わせていったほうが結局はいいのではな いかと。法越えのところを労使で議論した上で対応しているものが、結局はあとからすると 新しい制度が導入されると、結局、そこは何か制度的に対応するのが難しいことになってし まうのではないかという議論もあり、使用者側もそういう疑念は持っているということだけ は申し上げておきたいと思います。 ○長谷川委員 前回、輪島委員から協定休日と法定の休日のところの割賃の扱い方で指摘が ありましたが、今回、休日労働の割賃はやらなかったわけです。そうすると、いま日々の時 間外よりも休日労働をさせたほうがいいのではないかという話になっていて、現場で非常に 混乱しているので、休日労働の割増率についてどう扱うのかはもう少しちゃんとやらなくて はいけないのではないか、と意見は申し述べておきたいということです。この労働時間のと きに、休日労働の割増の所をやらなかったことは、非常にバランスを欠いたのではないかと、 そういう反省は述べておきたいと思います。 ○輪島委員  長谷川委員はどういう反省かがよくわからないのです。 ○長谷川委員 バランスを欠き、休日労働の方をやらせたほうがいいなどと、そういう考え 方が出てきてしまうことまで考えていなかったということです。 ○輪島委員 お考えだけは承るということで。 ○分科会長 その他、この際ですので施行に当たってのご要望等、もし事務局にありました らと思いますが。よろしいですか。 ○原川委員 遅れてまいりまして、大変申し訳ございません。中小企業の立場から1つお願 いをしたいと思いますが、よく中小企業で事業者が理解できるように周知をよろしくお願い したいということと、パンフレット等を作る場合にも、今日の資料などでも図がありますが、 なるべくお勧めといいますか、小規模でも導入しやすい、こうやればうまくできますという ことを少しわかりやすく丁寧に教えるような、そういうパンフレットを作ってもらいたいと 思います。くれぐれ周知ということも我々はいろいろ心配していまして、その点よろしくお 願いします。 ○監督課長 ご意見を踏えまして工夫していきたいです。 ○分科会長 その点はどうぞよろしくお願いをしたいと思います。その他ご意見はあります か。よろしいですか。今回の省令案要綱などについては、前回と今回の2回にわたりご議論 をいただいたところです。特に他にご発言がなければ、ここで答申を取りまとめてはいかが かと存じますが、いかがですか。よろしいですか。                  (異議なし) ○分科会長 ありがとうございました。なお、形式的には本答申については、分科会から審 議会への報告に基づき審議会が大臣に答申をすることになっていますので、ご了承いただき たいと思います。ただいま答申案の案文を配付しています。                 (答申案文配付) ○分科会長 配付された案文について、事務局から読上げをお願いします。 ○調査官 表題と本文のみ読み上げます。「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要 綱等について 平成21年3月5日付厚生労働省発基第0305001号をもって労働政策審議会 に諮問のあった表記については、本分科会は下記のとおり報告する。記 厚生労働省案はお おむね妥当と考える」。以上です。 ○分科会長 原川委員が到着されましたので、定足数の問題も定足数も満しております。こ れでよろしいですか。                  (異議なし) ○分科会長 ありがとうございました。それでは、そのようにしたいと思います。今回の諮 問案件については、様々、いろいろな角度から精力的に労使各側、公益委員の皆さまにご議 論いただき、誠にありがとうございました。最後に、労働基準局長よりご挨拶をいただきた いと思います。 ○労働基準局長 前回、今回にわたりまして精力的にご審議をいただきまして、ありがとう ございました。特に割賃の代替休暇の取扱いにつきましては、事務局の不手際も少々ござい まして、ご迷惑をおかけいたしました。今日、整理をさせていただきましたので、通達にお きましてきちんと整理をいたしまして周知をしてまいりたいと思っております。  法の施行につきまして、大変、労使各側の皆さまからご指摘もご要請もいただきました。 その辺もきちんと踏まえまして、施行に向けまして準備を進めてまいりたいと思っておりま す。引き続き施行に向けましてご指導いただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。 どうもありがとうございました。 ○分科会長 3月31日に分科会を予定していましたが、その点についてはすでに書面で通 知を差し上げているところですが、今日、答申をいただきましたので、3月31日の分科会 については中止とします。委員の方々には、別途、事務局から書面にてこの中止について通 知をしますので、よろしくお願いします。  今日の分科会はこれで終了とします。本日の議事録の署名は、長谷川委員、近藤委員にお 願いをしたいと思います。よろしくお願いします。皆さま、お忙しい中、朝早くからどうも ありがとうございました。これで終了します。 照会先:労働基準局監督課企画係      03−5253−1111(内線5423)