09/03/26 第7回日本年金機構設立委員会議事録 日本年金機構設立委員会(第7回)議事録 日時:平成21年3月26日(木)10:00〜11:50 場所:厚生労働省18回 専用第22会議室 出席委員:奥田委員長、磯村委員長代理、岩瀬委員、大熊委員、大山委員、岸井委員      紀陸委員、古賀委員、小嶌委員、野村委員、間瀬委員、山崎委員 ○奥田委員長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第7回日本年金機構設 立委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところお集ま りいただきまして、誠にありがとうございます。  それでは、本日の出欠状況につきまして、事務局から報告をお願いいたします。 ○八神大臣官房参事官 本日は長沼委員から御欠席という御連絡をいただいており、ま た、江利川委員から所用により遅れるとの連絡をいただいております。本日、御出席い ただく委員は13名でございますので定足数は満たしております。  以上です。 ○奥田委員長 ありがとうございました。それでは、本日の議題でございますが、御案 内のとおり、「日本年金機構業務方法書について」及び「日本年金機構の内部統制につい て」の2つであります。第5回委員会でお示しした当面のスケジュールでは、本日は社 会保険庁職員からの採用について御議論いただく予定でございましたが、採用作業の関 係で議題を変更させていただきました。  なお、本日は途中で休憩を挟んで非公開に切り替える予定としておりますので、よろ しくお願いいたします。  それでは議事次第に沿って進めてまいります。本日は業務方法書及びこれと関連の深 い内部統制の仕組みについて議論を行います。まず資料1及び資料2について、併せて 事務局から説明をお願いいたします。 ○説明者(長田) おはようございます。それでは、私の方から資料1及び資料2につき まして御説明をさせていただきたいと存じます。  まず資料1、「日本年金機構業務方法書(案)について」というものでございます。「業 務方法書」、やや耳慣れない名前かもしれませんが、この業務方法書といいますのは、特 殊法人でございますとか独立行政法人とか公法人がその適正な業務執行を確保するため に作成が義務づけられるものでございまして、日本年金機構におきましても、機構法32 条1項の規定に基づいて作成が業務づけられ、厚生労働大臣の認可を得ることとされて おります。  また、設立当初におきましては、機構そのものが存在しておりませんので、設立委員 に作成をいただき、厚労大臣の認可を得るというようなことが法律の附則で定められて いるものでございます。  具体的に、「業務方法書に記載すべき事項」でございますが、法律的には、厚生労働 省令で、今後、具体的に定めるということにはされておりますが、独立行政法人制度に おきまして、通例定められている記載事項がございまして、それに基本的には準拠しよ うということで3つほど挙げておりますが、「業務の方法に関する事項」、「業務の委託に 関する基準」、「契約に関する基本的事項」というものが掲げられております。  また、(2)でございますが、実は独立行政法人通則法改正案というものが、今、国会 に提出をされておりまして、その改正案の中には、会社法等を参考として、内部統制シ ステムの業務方法書への記載を義務化するということが盛り込まれております。  また、日本年金機構につきましても、基本計画の中でそういったものの構築を最重要 課題の1つということで位置づけられていることもございますので、独法改正法案がま だ成立してない状況ではございますが、これを先取りをする形で、内部統制システムに 関する事項というものを省令で書きたいということで思っておりますので、記載事項と しては、この4本というものを軸に考えているということでございます。  おめくりをいただきまして、具体的な条文案ということで整理をさせていただいたも のでございます。今、申しました4つの柱というものを第2章から第5章としまして、 これに総則、雑則というものを加えた構成案としております。  「総則」の中では、いわゆる(目的)でございますとか、法律なりこの業務方法書の 定めるところにより、これを遵守して行うといったような総則というものを整理させて いただいております。  詳細は省略させていただきまして、2ページにまいりまして、第5条、第6条の関係 でございますが、まず第5条につきましては、これはどこの法人でも共通して、どうい う業務をやるのということを書いたものでございますが、機構の業務内容そのものは既 に法律で明確にされておりますので、法律で書かれた内容を改めて再掲をしておるとい うものでございます。  また、第6条で(業務の基本方針)ということを掲げております。この業務の方法の 部分に関しましては、各法人によって規定の中身というものがかなり開きがございまし て、この案で示させていただいているように、業務の基本方針的なものを示すようなも のと、さらにかなりマニュアルに近い形で規定をしているようなものもございますが、 社会保険業務について、いわゆるマニュアルレベルのもので書きますと、今の現行マニ ュアルでもこれぐらいの冊子のものでございますので、とても書き切れないということ もございますし、これは大臣認可事項でございますので、機構として柔軟な業務運営を するというような観点から、あまり細部まで書くことはどうかということもございます ので、基本方針的なものを示すということで整理をしております。  なお、この基本方針につきましては、14ページに参考資料をつけさせていただいてお りますが、現状におきましても、中央省庁等改革基本法という法律の規定に基づきまし て、厚生労働大臣が社会保険庁長官に対しまして、事務の実施基準、準則というもので、 こういった基本的なものを定めてございます。こういったものを1つのベースにしなが ら、この第6条の案を立案させていただいたということでございます。  2ページ、3ページをおめくりいただきまして、雑駁な説明で恐縮でございますが、 適用の分野につきましては、未適用事業所の促進でございますとか、職権による適用と いったようなこと。  2項の給付の関係につきまして、迅速な決定、適正な支給に留意をするといったよう なこと。  3項の徴収の関係につきましては、厚生年金の納付督促、滞納処分の確実な実施。国 民年金保険料についての納めやすい環境づくり、納付特例、強制徴収の厳正な執行等々。  4項の相談事業につきましては、利用者の立場に立った利用しやすい相談体制の整備、 あるいは懇切丁寧に対応することの留意といったようなこと。  さらに5項、教育、広報、情報提供につきましては、効果的な教育、広報。また、年 金個人情報の保護の重要性の認識の徹底。情報提供について利便の向上に資する情報の 提供といったことを掲げております。  また、6項のところで、これらを横串で支える年金記録管理というものは最重要な部 分でございますので、年金記録管理につきまして、長期間にわたり厳格に実施をすると いうような方針を記載させていただいております。  続きまして、第7条の関係でございます。電子情報処理組織などというちょっとかた い言葉が出ておりますが、要は社会保険オンラインシステムの関係でございます。  社会保険オンラインシステムにつきましては、後ほど資料2でも詳細を説明させてい ただきますが、国がシステムの保有主体になるということ。ただし、基本計画でその開 発、管理、運用におきまして、機構が主体性を持って権限、責任を持って行うことが必 要だということがうたわれておりまして、また、それを明確にすることが言われており ます。そういった趣旨を踏まえまして、この業務方法書の中で、その機構の主体性を明 記するということでございまして、7条1項のところで、厚労大臣が保有主体となるが、 開発、管理、運用において、機構が主体的に行うということをまず明記いたしておりま す。  また、おめくりをいただきまして、2項のところでございますが、特に2項の1号か ら3号の開発の部分につきまして、より詳細に開発の企画立案、基本計画の策定、また、 業務を委託する場合における受託者の選定に関する事務といったものについて、まずは 機構が一義的に行うというようなことを明記し、3項のところで、開発の最終責任者は 厚生労働大臣でございますので、そういう意味では厚労大臣の協議及び承認というプロ セスは最終的には必要になるわけでございますが、その際に機構の意見は尊重されるも のとするというようなことで、基本計画の精神をここの中で反映をさせているというこ とでございます。  続きまして、第3章の「業務委託に関する基準」でございます。  ここにつきましては、既に御報告もさせていただきましたとおり、厚生労働大臣の定 める基準として、基本計画で書かれた内容に従いなさいという基準が出ておりますので、 改めてこの業務方法書で書き足すことはございませんので、要はその厚生労働大臣の定 める基準に従って委託をしなさいということを書かせていただいております。  その上で、何をおいても個人情報の管理がこの組織においては極めて重要ですので、 いわば特記事項として個人情報の管理に必要な措置を講じさせるということを書かせて いただいております。  また、基本計画の中で「外部委託規程」というものをきちんとルール化をするために 策定しなさいということがうたわれておりますので、その策定の根拠というものをこの 業務方法書の第10条で位置づけをしているというものでございます。  続きまして、第4章の「契約」の関係でございます。  これにつきましては、今、国の制度のもとでは会計法という法律、予算、決算及び会 計令という政令に基づきましてそのルールが決まっております。御案内のとおり、機構 は国の機関ではなくなりますので、直接的には法律の適用を受けるわけではございませ んが、全額が国からの交付金によって運用されている法人、そういう性格にかんがみま して、そういった法令の基準にある程度準拠して定めが必要であると考えておりまして、 後ろのほうに会計法令の参照条文も参考におつけをしておりますが、それに従いまして、 第11条で一般競争入札の原則というものをうたった上で、第12条で(随意契約による ことができる場合)、これは会計法なりで定められているケースを基本的には書き下した 内容となっております。  第13条では、一般競争入札による場合の(落札の方法)ということを書いてござい ますが、かなり長い条文になっていますが、要は端的に言えば、物を売る場合には最高 値で落札をすると。物を買う場合には最安値で落札をするということが書いているとい うことでございます。「ただし」書きのところは、いわゆる低入札、著しく非常に低い額 などで入札をした場合には、それ以外の最低価格を選ぶことができるといったようなこ とを書いておるものでございます。  それから、13条2項のところで、最近かなり活用がされております総合評価落札方式 と呼ばれます競争入札の形なのですが、いわゆる安かろう悪かろうにならないように、 一定のノウハウ、技術力が必要なものについては、価格の要素+技術的な要素を加えて 総合的に判断をするという方式。システム開発などではよく使われる手法でございます が、そういったものの手法を明記しておりまして、機構におきましては、主に業務系の 委託などについては総合評価方式を積極的に使いたいと思っておりまして、その旨は基 本計画でもうたわれているところでございます。  それから、第14条でございますが、政府調達に関するWTOの協定がございまして、 国とか機構のような公的法人が行う一定規模以上の調達につきましては、例えば40日前 までに官報公告をしないといけないとか、英語、フランス語を使用して公告をしないと いけないとか、そういった国際的な義務がございまして、それを定めたものでございま す。詳細については別途の規程に落とし込むということでございます。  その他、これは基本的な事項を定めておるものですが、詳細な手続ルールみたいなこ とについては、法律で会計規程をつくるようになっておりますので、それによって定め るということを位置づけております。  第5章で「内部統制システムに関する事項」ということを掲げてございます。  16条で1号から7号まで、7つの取組の柱というものを書かせていただいております が、その内容につきましては、資料2で詳細整理をさせていただいておりますので、そ ちらの方で説明させていただきたいと存じます。  それから、駆け足で恐縮でございますが、第6章の「雑則」でございます。  まず、第17条で(運営評議会)の位置づけをここで明記をしております。法律の第 28条では、被保険者、事業主、年金給付の受給権者その他の関係者の意見を反映させる ための措置を講じなければならないということのみを書いて、具体的に「運営評議会」 といった言葉が直接には出ておらないのですが、この法律を受けたものとして運営評議 会をつくるのだということを業務方法書の中で明確に位置づけをするということでござ います。なお、この運営評議会の詳細の運営については別途運営評議会規程といったよ うなものをつくるということを想定しております。  それから、第18条の(情報の公開)の関係でございます。当該業務の目標や実績等 について、年次報告書その他により公開するということをうたわせていただいおります。  最後、第19条で、この業務方法書に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める ということで、先ほど業務の基本方針の中でも申しました、例えば別に定めるものの代 表例として、いわゆる業務処理マニュアルというものが想定をされると理解をしており ます。  それから、「附則」の関係で第2条でございますが、これは何を言っているかといい ますと、機構が22年1月1日に発足をする場合に、それ以前に機構の名前で準備行為が 行えない。例えば入札の公告を行う場合には、これは社会保険庁なり、国の名前でやら ないといけないので、形式的には競争的な形で業者を選んだとしましても、機構発足時 には随意契約という形式にならざるを得ないということから、第4章の規定を経過措置 として適用しないというような整理をさせていただいておるというものでございます。  続きまして資料2で「内部統制システム」の関係でございます。  表紙をおめくりいただきまして、1ページでございます。「構築の基本的視点」とい うものをまとめさせていただいております。この視点は、既に機構の理念、運営方針、 人事方針というものを御了解いただいておりますが、そこに書かれた内容と整合を持ち ながら、さらに内部統制システム構築という切り口からの視点を5つ掲げさせていただ いたものでございます。  当然ながら機構法に定められた基本理念に基づいた事業運営を目指すということ。  理事長の強いリーダーシップの下に、個々の職員が意識改革をして、そういった組織 を実現していくというようなこと。  3つ目が、これは基本計画で明記をされているフレーズですが、業務の有効性・効率 性、法令遵守に重点を置くとともに、リスクを未然に防止、発生した場合でも迅速に対 応し、再発を防ぐことのできる体制を整備する。  4点目としまして、国民や機構の第一線の職員の声に率直に耳を傾け、サービスの向 上、国民の信頼確保につなげていくという姿勢。  そして最後に、それら全体を通じて、システムが有効に機能しているかを検証するた め、内部監査機能を充実させる。  といったことを、5つの基本的視点と整理をさせていただいております。  その上で、2ページでございますが、【内部統制システム構築の基本方針】というこ とで、左側の箱のところは組織の骨格で、これまで議論をしていただきました組織体制 の大枠を再度整理させていただきました上、上の箱でいうと、3つ目の「○」のところ ですが、今ほど申し上げました基本的視点に基づきまして、かつ会社法、金融商品取引 法に基づく民間企業の取組といったものを参考に、右の箱のところで掲げました7つの 事項を柱として位置づけてはどうかということで整理の案を試みたものでございます。  この7つの内容につきましては、3ページ以下、個々にそのポイントを説明させてい ただきたいと存じます。  まず、3ページ、「コンプライアンス確保」でございますが、現状の取組としては、 内外からの通報窓口、法令遵守委員会といった仕組みはある程度整ってきているところ でございますが、1つは、こういったコンプライアンス事案は、そういった通報窓口ル ート以外のところから探知されるケースも多々あるわけでございますので、そういった 窓口以外からの情報把握というものをきちんとルール化をして、幅広くコンプライアン ス事案を拾い上げていくことが1つ課題であろうというようなこと。  それから、現状の法令遵守委員会というところでは、個別事案対応が中心となってお りまして、それを踏まえた具体の再発防止策であるとか改善策の取組が必ずしも十分で はないというようなことがあるので、そういった部分の掘り下げを課題と認識をいたし まして、【日本年金機構における取組】という右側の箱のところで、情報伝達ルールの明 確化によってさまざまなルートからの事案の把握ということ。それを通じて、通報事案 と同様に対応していくというようなこと。  それから、具体的な事案の対応につきましては、副理事長の下に「リスク・コンプラ イアンス部」というのを置くという仮案としておりますが、そこにおいて対応し、コン プライアンス委員会におきましては、その事案のフォロー、さらに改善方策を審議して いくというような機能強化を図りたいということでございます。  おめくりをいただきまして、4ページでございますが、ポイントのみ説明をさせてい ただきますが、まず3つ目の「●」のところですが、コンプライアンス委員会を副理事 長の下にという想定はしておりますが、当然組織の重要な問題にかかわることですので、 副理事長が重要事案について、理事長に適時適切に情報伝達し、そして必要に応じて理 事長の指示を得るというようなこと。  また、コンプライアンス委員会には外部の弁護士さんに外部委員として入っていただ くということを想定しておりますが、さらに外部委員が必要に応じて直接理事長に助言 をしていただくというようなことの枠組みを考えております。  また、平時といいますか、通常事案につきましては、副理事長トップとするコンプラ イアンス委員会という想定でございますが、点線囲いにございますように、緊急・重大 事案につきましては、理事長直轄で対応をしていくといったような枠組みも必要ではな いかということで整理をしているものです。  続きまして、ちょっとページ飛びまして、6ページの「業務運営における適切なリス ク管理」でございます。  このリスクの関係につきましては、基本計画でも課題が指摘をされておりますが、現 状の取組は、いわば事後対応ということで、何か発生した場合にその発生事案について きちんと報告をさせ、それに対して対応をとるという事後的な対応でございますが、未 然にそれを防ぐような仕組みをつくっていくということで、リスクアセスメント調査と いったようなものを行って、業務全体を眺めた中で、どういったところに、どういった リスクが存在しうるのかということをあらかじめきちんと把握をし、その結果を踏まえ て、例えば業務処理マニュアルにそういったリスクを防止するための策を施していくと か、あるいは監査の重点事項にするといったようなことでリスクを未然に防ぐ、あるい は早期発見、早期対応をしていくというような仕組みにつなげる、そういったPDCA につなげていきたいということでございます。  このリスクアセスメント調査につきましては、実は既にこのページの一番下に1行書 いておりますけれども、この3月の初めに試行的な調査をかけております。何分試行で ございますので、恐らく今回の調査の結果を踏まえていろいろ調査手法も含めて課題は 見えてくると思いますので、そういったことも踏まえてバージョンアップをして機構に おけるリスクアセスメント調査につなげたいということで考えております。毎年継続的 にこういった取組をしていきたいということでございます。  また、7ページのところでございますが、リスク事案につきましても、リスク・コン プライアンス部というところをベースとして、副理事長の下、リスク管理委員会という ものを設置し、こちらも同様に、緊急・重大事案につきましては、理事長直轄の体制を 敷くというようなことを想定しております。  それから、7ページの左下の点線囲みのところでございますが、いわゆるシステムリ スクというものにつきましては、専門性も高い内容になるというようなことでございま すので、システム部門にシステムリスク管理の部署を設置して、そこを中心に対応し、 必要に応じてリスク・コンプライアンス部と連携をとっていくというような形がいいの ではないかということで考えております。いくつか民間事例なども参考にさせていただ きましたが、システムリスクに関しては別途の部署で対応しているケースは多いと承知 をしております。  それから、ページをおめくりいただきまして9ページでございます。「業務の有効性・ 効率性の確保」でございます。  これにつきましては、大きくは2つの柱があるかと思っております。もともと内部統 制というのはプロセスの見える化というものがまず入口としての最重点の1つだと理解 をしております。そういう意味で業務の標準化が最重要課題の1つでございますので、 業務処理マニュアルというものをおそまきながら、私ども平成18年から、それまで都道 府県でまちまちだったものについて、全国統一のマニュアルをつくったということでご ざいますが、いろいろまだ課題がございますので、まずもってこれを精緻化していくと いうようなこと。  それから、業務がよりよいものになるためには運営評議会でございますとか、お客様 の声を反映した仕組みをつくっていくというようなことで、運営評議会機能の充実、お 客様の声をさまざまなチャンネルからキャッチをしていく、それをサービス改善につな げていくという仕組みをつくっていくといったことが重要であろうと考えております。  ページをおめくりいただきまして10ページのところですが、まず中ほどにございま すサービス推進部というところが、そういったお客様の声でありますとか、あるいは現 場からの改善提案を受ける窓口として、一元的にここに集約をする。どこにそれを伝え ていけばいいかわからないということがないように、とにかく一元的にまずはサービス 推進部が受けていくというようなこと。  また、年金事務所からはブロック本部を通さずに直接にその内容を上げていくという こと。それから、横に「品質管理部」とございますが、ここで業務処理マニュアルや外 部委託の横断的管理をするということを、想定しておりまして、同じ事業企画部門の中 で品質管理部、サービス推進部が一体となって業務改善提案なりお客様の声を踏まえた 改善の方策をある程度検討して、個々の事業担当部署、例えば年金相談のものでいえば、 年金相談部署にその検討を指示するというようなことで対応していくということでござ います。担当レベルで処理ができるものについてはそういったことでございますし、あ る程度、高度な判断が必要になる場合にはサービス改善委員会といった理事クラスの入 った委員会でもんでいくと。当然運営評議会ルートから、理事長の指示の下にサービス 改善委員会に検討指示がおりていくといったようなルートもあろうかと思っております。  また、先ほどマニュアルの精緻化が必要だということで漠と申し上げましたが、その 具体的な課題につきましては、11ページに整理をしております。ここで書いたとおりで ございますので読み上げは省略させていただきますが、このような課題があると認識を しております。  続きまして12ページでございますが、「運営評議会の機能の充実」でございます。  運営評議会のあり方につきましては、既に懇談会等でかなりいろいろ議論をしていた だきまして、これまでの議論の中身を反映させた内容を整理させていただいております ので詳細は省略をさせていただきますが、1点説明をさせていただきたいと思っており ますのは、「権限・機能」という部分の2つ目の「・」のところでございます。当然この 運営評議会は主体性を持って機構の理事長の求めの有無にかかわらず、いろんな改善提 案をしていただこうということでございますが、その際に、国に対する制度改善といっ たものにつきましても、大所高所から御提案をいただくということで、それを明記する ということ。それから、それをどう国に届けていくのかという部分に関して、運営評議 会というものはあくまで機構の理事長の諮問機関という位置づけですので、そこが国に ダイレクトにというのはちょっとそぐわないといったこともありますので、「権限・機能」 の4つ目の「・」のところですが、理事長が責任を持って、そういった国に対する注文 がついた場合には、理事長から国に対してきちんと報告をするというようなこと。これ を受けて厚生労働大臣において、公的年金制度の設計及び運営の最終責任者として適切 な判断をするということになろうかと思います。  それから、13ページの「お客様の声の反映」ということですが、大きく3点ほどポイ ントを掲げております。  1つは、「現場主導のサービス改善の仕組みの導入」ということで、先ほど言いまし た現場から直接本部にそれが伝わるというようなこと。それから、いろんな声をある程 度整理をしていくために、お客様の声データベースといったものをぜひ構築をしたいと 思っております。これは当然予算を伴うものでございまして、今後の検討課題というこ とではございますが、そういったことにも意欲的に取り組んでいきたいと思っておりま す。  また、事務所単位でお客様モニター会議ということで、事務所が主体的にお客様の声 を拾っていく。受動的にいろんな声を受け付けるというだけではなくて積極的に声を聞 いていくといったようなことも考えていきたい。  それから、お客様満足度アンケートの充実でございますとか、覆面調査というものを 現在もやっておりますが、いろいろ課題もあると認識をしておりますので、客観性を持 った覆面調査の改善といったようなことの取組をしたい。  さらに、そういった取組の情報公開というものをしっかりやっていきたいということ でございます。  参考までに14ページに、現状、長官メールなり手紙がどれぐらいの件数があって、 どういう対応をしているかということを参考資料でつけさせていただいております。  それから、15ページにまいりまして「外部委託管理」関係でございます。  外部委託につきましては、既に定められた基本計画の中で、1つは機構は、組織の効 率化の観点から外部委託を積極的に進めるということ。ただし、その一方で、外部委託 を進める結果、それが丸投げになるというようなことはあってはならないということで、 外部委託の管理というものについて、年金業務組織再生会議でいろいろ御議論いただき まして、相当具体論の宿題をいただいておりますので、課題としては明確でございます。  したがいまして、15ページの右側の取組の内容、これは基本計画で宿題をいただいて いる内容にしっかりと取り組むというようなことでございまして、具体的には、外部委 託業務を横断的管理をするようなセクションの設置でございますとか、外部委託規程そ の他の統一的な基準づくりをしっかりとつくり込んでいくということ。  それから、委託先の選定等については、競争入札の原則でございますとか、あと、業 務品質の確保というのは非常に重要になりますので、サービス・レベル・アグリメント (SLA)といったようなものの締結、業務ノウハウの蓄積というような観点から複数年契 約といったものを積極的に活用していくといったことを取り組んでいきたいということ でございます。  それから、委託期間中の業務の適正な管理・監視ということで、定期的報告、立入検 査、守秘義務について、当然それをしっかりやるということでございますが、委託業者 との関係がトラブルにならないように、きちんと最初の段階で契約書の中で、そういっ た権限なり、義務を明記をするということを徹底したいということでございます。  また、業務の成果につきまして、品質管理部という横断的な組織のところで、分析・ 評価というものを行いPDCAに結びつけていきたいということでございます。  詳細は省略をさせていただきまして、18ページにまいらせていただきます。「情報の 適切な管理・活用」ということでございますが、まずもって、年金機構、御案内のとお り、膨大な年金個人情報、非常にプライバシーの高い情報を扱うということでございま して、個人情報保護の徹底が他の組織にも増して強く求められる組織であると認識をし ております。これにつきましては、現状、いわゆるのぞき見問題というものに端を発し まして、「社会保険庁保有個人情報保護管理規程」というものをいろいろ有識者の方の御 意見なども参考にしながら、規程をつくっております。  規程の内容としましてはかなり詳細につくり込まれておりますので、この規程そのも のに、さらに何か追加をするというような課題は必ずしもないと思っておりますが、む しろこの規程に沿った運用を徹底していくことがまずは大事であるということ。  併せて、個人情報保護の通常求められることをやれているということはある意味当た り前のことでございまして、こういった個人情報保護の重要性が高い組織であるがゆえ に、もう一段高い個人情報保護対策の取組を目指したいと考えております。  そこで具体的には20ページをご覧いただきたいと思いますけれども、冒頭の囲みに ございますように、国民の「信頼回復」というような観点から、個人情報保護管理の重 要性を職員全体に徹底をさせるということで意識改革を図っていくというようなことを 計画的に意欲的な目標を掲げて進めたいということでございます。具体論は今後の課題 ではございますが、新たな取組の具体例として、例えばプライバシーマークといったよ うな認証基準というのがございますが、そういったものの導入抽出可能な部分を抽出を して、機構としての基準、高いハードルをつくって、その計画的な導入を図っていって はどうか。これ、いきなりできないのかという御疑問があろうかと思いますが、全拠点 においていろんなセキュリティのためのハードを整備しなければいけないとか、結構金 と時間もかかるというようなことでございますので、だからといって「できないね」と いうことではなくて、できることから積み上げていこうということで、そういったもの を年次計画の中で戦略的に取り組んでいくというようなことをぜひやっていきたいとい うこと。また、いろんな民間企業で行われているような研修なども参考にしながら、職 員の意識が徹底されるような、そういった仕組みも併せてこういった個人情報対策プラ ンみたいなものの中で位置づけて、段階的にやっていきたいということでございます。  それから、21ページの情報の伝達の関係でございますが、現状、業務執行ルールとい うものを決めて、一応情報伝達ルール的なものはございますが、まだまだどういう情報 が伝達の対象となるのか、伝達ルートであるとか、処理ルールといったものが必ずしも 明確になっていないというような問題点がございます。そういったものを明確にした基 本ルールというものをつくっていくというようなこと。それから、何よりも情報の結果 が適切にフィードバック、とりわけ業務改善提案などがなかなか、せっかく現場から提 案を上げていただいても、そのフィードバックが必ずしも十分なされていないというの が今の現状でございますので、そのフィードバックをされる仕組みを構築していくのが 最重要課題の1つだろうと思っております。  23ページをご覧いただきたいと思いますが、まずは情報伝達という基本ルールという ものをしっかりと、先ほど申しましたような課題認識の下にルールを明確するというこ と。それから、そこから先の処理につきましては、その情報の事案によって、例えばそ れがリスク情報である、コンプライアンス情報であるというようなことによって処理の 仕組みが変わってまいりますので、これは個々のルールの中で、個々の規程の中でそう いった処理ルールを明確にしていくということが重要であろうと思っております。  先ほど言いましたフィードバックということに関しましては、進捗管理というものが 重要であろうと思っておりますので、その進捗管理の仕組み、とりわけ上層部がそうい ったものに対して意識を強く持つことが大事だろうと思っておりますので、例えば理事 会における定期的な報告の仕組みを設ける等そういったフィードバックの仕組みをしっ かりと考えていきたいと思っております。  駆け足で恐縮でございますが、次に24ページで「監査」の関係でございます。  既に監査につきましては、民間出身者の御助力によりまして、いろんな形で改善がな されてきている途上でございます。従来の指導に重点を置いた監査から、予告しない監 査の実施を通じまして、不適正な業務処理の早期発見、是正を重視した監査実施方式に 転換をしつつあるというようなことでございます。  機構においては、これをさらに推し進めまして、まずは監査体制の独立性を確保する ということで、理事長と直結をした監査部門を本部に設置をするというようなこと。そ れから、監査手法につきましては、重点監査というようなことですとか、抜き打ち監査 といったようなことを積極的にやっていくと。さらに、例えばシステム関係でございま すが、情報セキュリティといったような分野につきましては、民間の御知見を借りると いうことで外部監査の積極的な活用をしていくというようなことでございます。  組織的には、25ページでございますが、理事長に直轄する監査部ということでござい ますが、個々の年金事務所の監査を担当する職員につきましては、ブロック本部に駐在 をさせる。ただし、身分としては本部の職員として、本部直轄での指示を受けるという ような仕掛けを考えておるということでございます。  26ページ、もう少し「具体的な取組内容」というものを書かせていただいております が、中ほどの「監査業務の厳格化・効率化」というところで、リスクアプローチやモニ タリングを通じた、不適切な業務処理の発見等々。先ほど申しましたリスクアセスメン ト調査をうまくつなげていくというようなこと。  それから、当然ながら、指導しっぱなしということではなくて、定期的なフォローア ップということで、ちなみに20年度におきましても、これまで指摘を行いましたら、1 カ月後に報告をして、その後は次の年の確認ということでございましたが、今年度から、 1カ月後の確認に加えまして、3カ月後にもさらに報告を求めるというようなことでフォ ローアップの対策を強めておるということでございます。  それから、いわゆるなれ合いを防止をするということから、2つ目の箱の下から3つ 目の「○」のあたり、過去(5年間程度)所属したブロック本部管内の年金事務所の監 査は担当しないとか、同一部署の監査については、原則として連続では担当しないとい ったようなことなども掲げております。  28ページ、「IT」の関係でございます。  ここにつきましては、先ほど業務方法書の中でも御説明をさせていただきましたよう に、最大のポイントは、国と機構の特に開発における役割分担をどううまく仕分けをし、 かつそれを明確にしていくかということ。また、何よりもそれを動かす人が大事でござ いまして、その人材育成をどうしていくかということが最重点の課題と認識をしており ます。  29ページのところでございますけれども、ちょっと図がございますが、点線囲みのと ころでございます。まず厚生労働省はシステムの保有開発契約の主体になるということ。 システムの運用については専ら機構サイドで行うことになるわけですが、真ん中の「シ ステム開発・管理」という部分で、国が統括管理を行い、実務の基本は機構が担うとい うような中で整理をしていくということであろうかと。それから国が最終権限を持つこ とのその調整の場として、「システム開発委員会」という中ほどに記載がございますが、 厚生労働省、機構の幹部が参画し、さらに外部の方にも加わっていただいた、こういっ た委員会を設けて、協議、決定するというような仕組みを設けたらどうかということで ございます。  具体的には、30ページでその流れを図示しておりますが、上にございますように、シ ステムの企画作成、開発全体計画作成、開発基本計画作成といったようなこと、業務方 法書でも書かせていただいておりますが、開発にかかわる主なものについて、まずもっ て機構サイドで物をつくる、いわば起案権というものを機構に持たせると。それをこの 開発委員会というところで協議・決定、オーソライズをしていくというような仕組みを 考えています。また、そういった立案段階で、実務者レベルでこの開発委員会ワーキン ググループみたいなものを随時開催をして、日頃からの意思疎通を図っていくというよ うなことも併せて考えたいと思っておりますし、年金局のこういったスタッフは、その 大部分を高井戸の機構本部において、日々連携ができるような体制というものを想定し ておるところでございます。  31ページは、今申しましたシステム開発委員会の構成メンバー、こんなイメージとい うようなことを整理させていただいております。  それから、32ページは、そういったことをきちんと文書の形で、あいまいにならない ように明確化をしていく必要があるということで、1つは、先ほどごらんいただいた業 務方法書の中でそういった精神をうたうということ。  それから、ただ、業務方法書はあくまで機構が作成をして大臣が認可をするものでご ざいますので、厚生労働省、機構が両者で策定をするというような協定書的な意味合い を持つものが別途必要であろうということで、システム開発要領というものでもう少し 細部のものについての取り扱いを規定したいということでございます。中身はこれから でございます。  それから、システム開発委員会の設置規程というのは当然必要になってまいりますの で、そういったものを定めていくことを想定しております。  最後、システム人材の確保・育成の関係でございますが、まず採用につきましては、 いわゆる職種別採用は行わず、本人の適性なりを見ながら、そういった適性のある人材 について専門人材化をしていくというようなことを想定しております。中途採用につき ましては、システム部門配属等を前提とした採用してはどうかということでございます。  労働条件につきましては、そういう職種別採用を行わないということの前提で、一般 職と給与体系を特に分けることはしない。ただし、中途の人材については、そのキャリ アに応じて既に議論いただきました、例えばM1、M2というふうにいきなり高いレベ ルに格付けをすることは可能でございまして、そういった中で一定の処遇の下に人材を 確保することも可能ではないか。  さらに現状、例えば国でいえばCIO補佐官に該当するような高度専門人材の方につ きましては、有期雇用職員の枠組みの中で、こういった専門人材については別途の給与 を定めることができるということで御了解いただいておりまして、そういった仕組みの 中で人材を確保していくというようなことを考えたいということでございます。  それから、キャリアパターンにつきましては、いわゆるシステム開発そのものを直接 やるものではございませんので、むしろベンダーに対してどういったシステムを構築し てほしいかということを的確に指示を出せる人材が必要であるということからしますと、 単にシステムに詳しいということではなく、むしろ業務の必要性という観点から、シス テム上どういうことが求められているかということをきちんとベンダーに発注できる人 材というのが求められる人材像と思っております。そういったことから、当然システム 部門を主体としながら、適時のタイミングで現場業務を経験していただく。例えば3年 業務を経験して、5〜6年システムの関係に携わって、また2年ほど業務をやって、ま たシステムに帰っていただくといったようなキャリアパターンを想定するというのが効 果的ではないかということで考えてございます。  最後のところでございますが、人事交流というところで、国と機構の密接な連携、ま た国における人材の育成というような観点からも厚生労働省システム部門との人事交流 というものも積極的に実施をしていく必要があるのかと思っております。  以上、済みません、大変駆け足でございましたが、資料の説明は以上でございます。 ○奥田委員長 ありがとうございました。以上、資料1と資料2に基づきまして、業務 方法書、内部統制システムの構築について説明がございましたが、御質問、御意見等が ございましたら、御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。 ○大熊委員 2つあるのですけど、まず1つ目は、資料2の8ページで、「『適正な業務 運営を阻害する事象』を『リスク』とし」というところなのですけれども、ここから想 像されるものは、何となく機構にとって面倒なことという、ややこしいことが起ったら というような感じがするのです。これは医療関係でも、いつもリスクというときは病院 にモンスター患者が来て駆け込んで来るとか、医療事故が明るみに出て大変なことにな ったことという、病院にとってのリスクということがこれまでずっと論じられてきたの ですけれども、ここで「お客様、お客様」と何度もちょっと歯の浮くような感じの言葉 が出てくるのにしては、あまりお客様視点になっていない。つまりお客様にとって何か 不利なことになっちゃうということを、お役所用語に通じていないのでもっと適切な言 葉があると思うんですけど、そういうことをリスクというふうに考えるべきではないか。  具体的に言いますと、例えば何かのことでもらえるべきものがもらえないことになっ てしまうとか、病気と似ているのは、待合室が応対がよいとかインテリアがいいという のはわかるけれども、年金でいうと、窓口でつっけんどんじゃないとか、そういうこと はわかるんだけれども、いつの間にか自分がもらえるべきものがもらえなくなっていた とか、そういうことのほうが、ちょうど医療事故と同じように重大なことなものですか ら、そういうふうに発想を変えてリスクというものをとらえるというふうにしていただ けたらなと思いました。  もう1カ所ですが、23ページで、こういうような「情報が適切にフィードブックされ る」ということが入っていることは大変結構だと思うんですけど、このフィードバック というのが、これは私も解決がどうやったらできるかわからないですけれども、例えば 原子力工学の世界でいうと、何かのことで、わあっと泡が出てくるぐらい沸騰しちゃう と、その泡があるということで反応が低まって、炉が自然にとまっちゃうというのを「固 有の安全性」というふうに言ったりするのですけれども、一般企業の場合ですと、何か 妙なものを売ってしまうと、それが直ちに品質が悪いというので売れ行きが悪くなると いうふうに、ほうっておいてもフィードバックがかかるというような仕組みに、言って いることわかります?表現が上手でないので恐縮なのですけれども、年金の場合、何か あってフィードバックがきいても、それが年金機構の構成員とか理事長さんに直ちに機 構がつぶれるとかというような不利なことに戻ってこないと、うまくフィードバックが かからないのではないかなと、そこで何かもうひと工夫、必要ではないかなというふう に思ったんですけど、大山先生はおわかりになったようなので、ちょっと補足していた だけると、言葉足らずで言っていることがわかるかどうか。 ○奥田委員長 事務局何かありますか。 ○説明者(橋本) それでは、今、お話いただきましたリスクのとらえ方の問題につき まして申し上げますと、ここで「適正な業務運営を阻害する事象」というのは、1つの 定義の書き方としてこういった書き方しているわけでございますけれども、今、大熊委 員からございましたように、お客様にとって不利な事象が発生するといったことを招来 する事象であることも、表と裏のような話でございますけれども、とらえられるという ふうに思っています。  私どもとして、例えばリスクアセスメント調査を行うに当たって、具体的に想定して おりますのは、職員の故意に由来しているものを犯罪行為的なものとして、例えば横領 ですとか、過去にありました目的外閲覧のようなものですとか、そういったものもリス クの1つと思いますし、事務処理誤り等の中で入力誤りを起こしたり、あるいは送付先 を誤ったりというふうなこと、こういった過失によるそういうリスク。それから外部的 な要因によるリスク、主にこういったものを、今、念頭に置いてこれまで考えてきてい るわけでございますけれども、これから先、いろんなリスクを把握していく、あぶり出 していくというふうな過程の中では、今、委員がおっしゃいましたように、お客様にと って不利になるようなことは何なのかといった視点で常に考えることが必要だと思って おります。 ○大熊委員 それがわかるように書けていたほうが一般の人が読んだとき、ああ年金機 構は変わったなという感じになるかなという老婆心でございます。 ○説明者(橋本) 工夫していきたいと思っています。 ○説明者(長田) フィードバックの関係でございますが、十分なお答えになっている かどうかわかりませんけれども、少なくとも今の現状の状況というふうに見てみますと、 いろんなものが上がってくる仕組みというものが、村瀬改革以来いろいろ整えられてき まして、さらにそれをどう処理をするかというところもある程度ルール化はされておる のですが、例えばいろんな声が上がってきて担当セクションに振ると。必要な対応しな さいと書いているんですが、必要な対応についてのある程度の判断が各担当部署に任さ れているとか、その結果というものは処理されたものについては報告は上がるというよ うな仕組みになっておるのですが、処理されないものはどうなっているのか必ずしもは っきりしないというようなことがございます。もちろん非常に大小さまざまなものがご ざいますので、そのすべてのものをがちがちに何でも報告するという仕組みにするとい うのは必ずしも効率的ではないという面はあるので、そこらあたりの工夫は要ると思い ますけれども、少なくとも今の現状から照らせば、その処理のルールをより一段明確に していく、あるいはその処理の結果というものを幹部レベルが意識を持って見ていただ くというような仕組みは必要ではないかと思っております。  それから、膨大な物の処理の観点から言いますと、先ほども申しましたように、お客 様の声データベースというものをぜひ構築をしたいと思っておりますので、そういった ようなデータベース化をすることによって効率的な御意見の分析であるというようなこ と、あるいは傾向把握みたいなこともできていくのかなと思っておりますので、そうい ったことも取り組んでいきたい。  併せまして、このフィードバックそのものにつきまして、1つ課題認識としては持っ ておりますけれども、むしろいろいろ皆様方から、こういったことが工夫として考えら れるのではないかというようなことをいろいろ御指導いただければ積極的に取り入れて いきたいと思っております。 ○大熊委員 フィードバックがかかりにくい仕掛けなんだよという認識をまず持って、 現場から起案できるようにされたというのは大変結構なことだと思います。 ○野村委員 今のフィードバックの関係でちょっとお話しをさせていただきたいと思い ますが、恐らく民間企業ですとマーケットからのプレッシャーがかかって、それで業務 の改善が促されるという、それに匹敵するような仕掛けがないのではないかということ だと思いますが、日本年金機構は厚生労働大臣が監督をするということになっています ので、立入調査も業務改善命令ももちろんあるわけですね。  そうだとしますと、本日お示しいただいた内部統制システムは、非常によく考えられ ていて、かなり民間ベースに近い形のものに改善されてきて深化していると思うんです けれども、場合によっては、職員の方がじかに監督権限を持っているところに通報して 改善を求めるというようなことができるように、厚生労働大臣とのつながりを用意して おくことによってプレッシャーをかけていただくという方策もあるかなというふうに思 います。そういう意味では内部だけで終わらなくて、いわば外部からのプレッシャーを 受けられるような仕組みというのも内包しておく必要があるかなと思います。  裏返して言いますと、実は業務の一部が極めて密接な形で厚生労働省と接点を持って おりますので、厚生労働省の業務自体も内部統制の対象にしていただかないと中途半端 に終わってしまうということが言えると思います。先ほどもありましたように、業務セ ンターのようなところに事実上出てきてお仕事されている方は厚生労働省の職員かもし れませんけれども、当然、場合によっては統制の対象にならなければいけませんし、ま た、厚生労働省自体の仕事の仕方に対して疑問がある場合には、それが改善できるプロ セスというのを一緒に組み込んでいただかないとこの内部統制のシステムは完結しない のだろうと思います。そこだけが聖域になってしまいますと、ほかのところを一生懸命 やっていても抜け道ができますので、そこはぜひ厚生労働省と一緒に考えていただいて 制度設計していただく必要があるかなと思います。 ○古賀委員 少し私の理解不足もあるかもわかりませんので、何点か確認と質問をさせ ていただきたいのですけれども、1つはコンプライアンスとリスク管理において、ブロ ック本部の役割なのですけれども、もちろんブロックでは本部と同様のことをやればい いということになるのかもわかりませんけれども、ただ単にこのブロック本部が本部と 同様のことをやるので本当にいいのかどうか、その辺について少し解説をいただければ ありがたいと思います。  2つ目は、コンプライアンス委員会とか、リスク管理委員会とかサービス改善委員会 等々も設けられます。極めて重要なことだと思います。ただ、こういう組織は往々にし て、この種の委員会は、既存の役職者が充て職的にそういう委員会の委員長になって、 そして委員会を構成するという場合が多いんですよね。もちろん人材の関係とか人員の 関係とかあると思いますけれども、まさに既存の組織の人たちが充て職でやるというこ とぐらいで本当にいいのかどうか、このことを2つ目にお伺いしたいと思います。  それから、3つ目は、厚労省との連携ということなんですけれども、コンプライアン スにおいてもさまざまな課題が発生したときに、機構の権限においては対処に限界が生 じることも出てくるのではないか。そういうときに厚労省とどういう連携を図っていく のかという、そういうシステムもきちんと決めておく必要があるのではないか。同様に お客様の声の反映についても当然のことながら、さまざまな声を機構としての業務に反 映させるということは当然ですけれども、これも機構だけでは対応できないようなこと が起ってくる可能性も十分あるわけで、それらのことへの厚労省との連携ということに ついても少しシステム、仕組みとしてきちんと明記をしておくべきではないかというこ とを思っておりますので、以上、3点でございますけれども、何かございましたら、ぜ ひコメントをいただきたいと思います。  以上です。 ○説明者(長田) 3点御指摘をいただきました。まずコンプライアンス、リスク管理 等におけますブロック本部の役割でございますが、全く同様ということは想定をしてお りません。むしろこういった事案は本部主導で基本的な処理をしていくということを想 定しておりますが、その事案の内容自体について、当然現場的な調査を行っていただく 必要があるというようなケースがございまして、そういった場合には、本部の部門が直 接、(ブロック本部の人間を)本部の補助者のような形で指名をして、そういった調査事 案に当たっていただくというようなことが1つ想定しておること。  それから、特にコンプライアンスなどについてはそうだろうと思いますけれども、意 識啓発とか研修的な取組は各拠点拠点でやっていただくことが必要でございますので、 ブロック本部における責任者の役割は主にそういったところが軸になるのだろうと思っ ております。  それから、各種委員会の構成員等の関係でございますが、基本的には既に御議論をい ただきました組織の骨格にもございますように、副理事長を含めた各理事が具体の事業 部門を持ってそこを牽引してもらうということを想定しておりますので、基本的には事 務局となる担当部署を所管している担当理事を委員長に据えるということをベースに考 えております。その上で、その事案に応じて組織横断的に取り組んでいく事項というも のがいろいろ出てきます。例えば業務改善1つとっても、その改善を実現するためには システム開発が必要であるというようなケースなどは当然システム担当理事にも加わっ ていただかないといけませんし、そういった構成の理事というものを一定加わっていた だくと。  その上でコンプライアンス委員会については明記をしておりますように、外部の委員、 弁護士さんに入っていただくと。それから、リスク管理委員会につきましては、そのリ スクの内容によってどういう専門家の方が適当かというのは事案にもよろうかと思いま すので、事案なり内容の重要度に応じましては、外部の委員にリスク管理委員会に入っ ていただくということも柔軟には考えていきたいと思っておるところでございます。  3点目の厚生労働省との関係につきましては、もっともな御指摘でございます。まだ 具体的に厚生労働省とのやりとりのルールをつくるということまで整理はできておりま せんけれども、大変重要な御指摘でございますので、そこは整理をしていきたいと思い ますので、よろしくお願いします。 ○野村委員 追加で、よろしいですか。厚生労働省も今度こそは、年金の問題について 責任を持っておやりになられるということも何度も御発言されていますので、やはり厚 生労働省自体も、これまでとは形を変えて取り組むのだということを同じぐらいのイン パクトで示していただく必要があると思います。そういう意味では、先般、総務省の行 政評価局のほうから、中央省庁はじめ役所における法令等遵守体制についての調査、提 言が行われておりますので、やはり厚生労働省の中にもコンプライアンスをはじめとす る内部統制システムに係る制度をきちんとつくっていただいて、それと日本年金機構を 連携させると、そういう構造をとっていただく必要があるかなと思います。 ○奥田委員長 どうぞ。 ○磯村委員長代理 今の野村先生の御意見やら、大熊先生の御意見に関連するのですが、 厚生労働省と現場を預かる機構との利害が相反する、もしくは意見の一致をみない、あ るいは機構が受給者・加入者のためにどうしてもこれはやりたいのだと言っても、厚労 省がうんと言わない、こういった場合の処理ルールが欲しいように思います。例えば、 どこかに直訴ができるようにする。どこかというのは厚生労働省以外のところ、何かそ ういったところまで極端に考えておかないと、今の野村先生のおっしゃったような、厚 生労働省がコンプライアンス、あるいはお客様の声に対する反応度を敏感にしてくれと いうことの担保にはならないような気がするんですね。永久にというのもぐあい悪いで しょうから、例えば5年間に限りとか、何かそういったところまで、機構と厚労省との 意見が合わない場合の処理ルールというのを1つお決めいただく必要があるのではない か。  これは大変申し訳ないのですけれども、ここまでの年金記録の不備の問題というもの の原因のいくつかは厚労省にもあると思うのです。ですからそこら辺はもうちょっとお 考えをいただくべきではないのか、これが第1点でございます。この辺は今すぐ事務方 からご返事をいただくつもりはありません。むしろ年金局のトップのほうから、それな りの答えをお考えいただければ大変ありがたいと思います。これが1つ。  もう一つ、資料2に、例えばそれぞれの項目ごとに【社会保険庁における取組】、〈課 題〉というのがあります。例えば15ページ、真ん中の丸みを帯びた枠の中に〈課題〉と いう項目がございますね。それから、21ページにも真ん中辺の丸みを帯びた枠の中に〈課 題〉というのがある。この課題というのは、それぞれ読み方を変えますと、例えば21 ページ「報告ルールの周知徹底」とあるところは、これまでの社会保険庁における取組 は、報告ルールが周知徹底されていなかった、それが課題であるので、右のほうの機構 における取組としてはそれを改善しましょうと、こういうふうに読んでみたいなと思っ ているんですが、もうちょっとこの辺を具体的に、今までからあるいろんな仕組み、内 部統制にしても、お客様の声を聞く体制にしても、そういった仕組みのどこが一体まず かったのか、これをもうちょっと赤裸々におっしゃっていただかないと、こういうきれ いごとだけでは、ことはなかなか運ばないと思うんですね。  仕組みというのは、どこでもできるんです。問題は運営なんですね。今までも社会保 険庁にそれらの仕組みはありました。しかし、それがうまくいってなかった理由は那辺 にあるのか、その辺をもうちょっとはっきりとおっしゃっていただかないと、実を伴っ た議論にはならないのではないかと思いますし、実際の機構の運営でもその辺がネック になりはせんかという懸念がありますので、これはできたら次の機会にでもぜひお聞か せいただければ大変ありがたいと思います。すべての分野、内部統制にしてもお客様の 声を集めるにしても、法令遵守にしてもコンプライアンスにしても、みんなそれぞれ仕 組みがあったものがなぜうまくいかなかったのか。この辺、一遍お聞かせいただければ ありがたいと思います。  以上です。 ○奥田委員長 これは次の機会でいいわけですか。 ○磯村委員長代理 できましたら。 ○奥田委員長 今、何か、簡単でも言えることがあれば、事務局のほうからどうぞ。な ければ次の。いいですか、どうぞ。 ○二川大臣官房審議官 大臣官房の立場で、今すぐに厚生労働省としてどうかというこ とについてお答えは難しいのでございますけれども、今日いただいた御意見は全くそう だなというふうに思います。日本年金機構を厚生労働省が監督するという立場もござい ますけれども、最終的な年金の責任は持つというのが厚生労働省でございまして、また、 日本年金機構と厚生労働省の利害が反する場合もあるのだろうと、こういった御指摘も ございました。そういったことに関しまして、厚生労働省のことが書かれた部分もある のですけれども、まだ十分でない部分もあると率直に感じております。また、その点に つきまして、今後の会で、こういった部分につきましての改善の形をまたお示しをして いきたいというふうに考えております。 ○奥田委員長 ありがとうございました。 ○山崎委員 関連で。 ○奥田委員長 はい、どうぞ。 ○山崎委員 今の御発言に関連して、社会保障審議会とこの日本年金機構の運営評議会 との関連についても併せてどのようにお考えになっているのか。今、答えがお聞かせい ただきたいし、恐らく無関係ではないはずでございます。社会保障審議会の年金部会で 問題が指摘されたとき、それは運営評議会マターでございますということに今までだっ たらなりそうなんでございますが、どのような関係にあるのかということでございます。 ○奥田委員長 どうぞ。 ○二川大臣官房審議官 御指摘を必ずしも十分理解して答えることになるかどうかわか らないのですけど、これまで社会保障審議会の年金部会では、年金制度の改正をする部 分に関しての御議論をいただいてきて、改正をするときにこういう改正をすべきかどう か、こういったことについての御意見をいただいてきました。今の年金制度はもちろん 完璧ではなくて、こういった問題が生じているという部分についての審議も続いている、 こういったような状況かと思います。そういった部分と、こういった年金機構の実務か ら生じてくる問題と制度論、そういった部分が十分ミックスされずにこれまで来たので はないか、こういう御指摘かなと、こういうふうに受けとめるのですけれども。 ○山崎委員 そのとおりでございます。 ○二川大臣官房審議会 そういった部分につきまして、今後も厚生労働省が政府の中で は、最終的にこういった年金の責任を負うわけでございます。そういった厚生労働省の 責任を負う部分に関して、厚生労働大臣に意見を提言していただく。その部分をいかに また年金機構なりに言っていくか。また年金機構の中で言えば、年金機構を、意見を言 う運営評議会というものをつくって、それぞれ言っていくと。要するに厚生労働省に対 しては社会保障審議会が物を言い、年金機構に対しては運営評議会が物を言いと、こう いうような格好なのかなというふうには思います。また、厚生労働省と年金機構との関 係をどういうふうにきちんと整理しておくのかと。法的な整理はあるにしても、具体的 な仕組みとしてどういうふうにしておくのかという部分に関して、もっと具体的な仕組 みをつくれと、こういった御指摘かと思います。 ○山崎委員 つまり年金制度の運営において、昨今のまさにそういうことを経験したわ けですが、年金業務の問題は非常に制約になってきたんですね。国会で専ら年金業務の 問題で、年金制度運営について必ずしもきちんと審議していただいてないように私思う んでございますが、そういうことのないように、年金制度の設計から、改正、運営にあ って、業務というのが密接不可分でございますから、従来であれば、せいぜい報告を受 ける程度であって、私が質問してもきちんとしたお答えをいただけなかったことが多々 ありますから、そういうことのないようにお願いしたいということでございます。 ○二川大臣官房審議官 少し最初誤解してお答えしてしまったかもしれないのですけれ ども、年金業務がちゃんとできてこその年金制度だと、こういう御指摘かというふうに 思います。その点に関して、これまで年金の業務のことまでちゃんと考えて年金制度を ちゃんとつくったのか、こういった御指摘かなとこういうふうに受けとめたいと思いま す。もちろん今後についてそういったことがないような形で、厚生労働省としても、ま た社会保障審議会年金部会においても、そういったことも含めての制度論、そういった ことをしていただけるようにしなければいけないということだろうと思います。  そのためにどうするのだということにつきましては、今日のところ、明確にこうだと いうのはちょっと申し上げにくいのでございますけれども、そういった問題意識で今後 の仕組みを考えるべしというふうな御指摘と受けとめたいと思います。 ○山崎委員 そのとおりでございます。よろしくお願いします。 ○説明者(長田) 済みません、ちょっと法制度的な観点に則して少し事務的な補足を させていただきますと、まず今回機構ができますことによりまして、御案内のとおり、 現状は厚生労働大臣が制度について責任を持ち、その実施については社会保険庁が責任 を持つと、そういう枠組みになっておるわけでございますが、今回の改正によりまして、 制度、業務運営を一体として厚生労働大臣に権限と責任が属するという仕組みにした上 で、機構にその業務を委任、委託をすると、そういう法律構成にしたということでござ いますので、厚生労働大臣は制度と運営を一体として責任を持つということがまず制度 的には変わっているポイントの1つということと、それから、そういう観点から、まず 厚生労働大臣が機構の業績評価というものをする仕組みになっておりますが、その業績 評価をするに当たりまして、社会保障審議会の意見を聴くというような仕掛けになって おりますので、まずは当然ながら機構としては運営評議会からちょうだいをした御意見 を反映した業務運営を行うと、そういったこともひっくるめて、厚生労働大臣が機構の 業績を評価をするということに当たっては、社会保障審議会からの御意見を聴くという 立てつけになっているというようなことでございます。 ○野村委員 年金局長にお伺いしたいのですけれども、昨年11月28日に、私どもの報 告書の中で、年金改ざん問題と言われている不適正な遡及訂正についての報告をまとめ させていただきましたが、その報告書の中で、法令の制度設計自体が現場のことをよく 考えずに行われている部分があるのではないかということを御指摘させていただいて、 それが今、山崎先生がまさにおっしゃられたことと相通じているところがあるんですけ れども、それ以降もう4カ月ほどたっているのですが、これまでの間に法令の中で業務 との関係で見直す必要があるものを点検するという作業はやっておられるのでしょうか。 ○渡邉年金局長 ちょっと関係して、先ほどの話と併せて補足を一言させていただきた いと思います。十分なお答えになるかどうかわかりませんが、今、長田のほうから説明 しましたように、現行法の体制と新しい改革法の体制では、年金制度の企画、それから 実施、全般をめぐる行政組織的な体制が変わるということが第1でございます。従って、 先ほどの審議会との関係でもちょっと長田のほうから申し上げましたけれども、従来で すと、社会保障審議会の中でアドホックに設けられる年金部会というところで給付と負 担の関係に関する議論は行われておりましたが、これはアドホックな部会でございます。 社会保障審議会というのは常設のものでございます。  社会保険庁については、年金局、年金の企画というものとは全く別のものとして、別 の組織として厚生労働大臣の下に置かれているという体制でございました。で、この社 会保険庁における業務に関する審議を行うアドホックであれ、常設的なものであれ、社 会保障審議会における機能、それを果たす部会、分科会等は存在しておりませんでした。  というのが、今までの状況でございますので、今後、大臣、それから年金局年金管理 審議官の下における指導監督の対象となる年金機構が発生するという体系になりました ときには、長田も申しましたように、常設的に年金機構に関する業務を評価する社会保 障審議会の機能というものが新たに設けられるということが既に法律が定められており ます。そんな体制に、今、移行しようとしているところであるということを申し上げて おきたいと思います。  それから、野村委員がおっしゃられたような、ここ数カ月の報告書、御意見等々もご ざいます。私ども大変重要な御指摘を受けているものと思っております。例えば、その 後も現在審議にかけていただくべくお願いしております年金の国庫負担問題をめぐる法 案も、もちろん国会に提出しておるわけでございますが、そういうところにおける、あ の法律案1つにしても、現在の社会保険庁、この年金機構における特別会計管理の様々 な実務というものがきちんと回るのかどうかというのも当然チェックの対象となるわけ でございまして、おっしゃられた点について十分ではないかもしれませんが、そのほか、 様々な議員提案の法案なども制度企画として国会に上程されております。そういったも のをひとつひとつ捕まえまして、社会保険庁における業務体制と、私どもから、あるい は様々な政党から出てくる制度企画の問題がどのようにフィットするのかということに ついて、私ども重大な関心を持ってフォローさせていただいているということでござい ます。 ○野村委員 長々と何の意味もないことを言われても時間がもったいないので、やって ないんだったら、やってないと言ってくださいよ。要するに過去の法律について、業務 とのすり合わせをやって、どこに業務の現場に支障を来すのかということの点検をして たのかどうかだけを聞いているわけで、やってないんだったら、やってないということ で、それでいいんですよ。それがなぜやられない形になっているのかと。これは新しい 法律を出すときに点検するのは当たり前なんですけれども、過去の法律の中にいろいろ と、はっきりしてないところがあったりとか、あるいは業務の現場のことを考えずに無 理強いをしているところとかたくさんあるわけですから、総点検しなければ日本年金機 構の仕事なんかできないんですよ。それをまずやっていただかないと、4カ月もあった んだから報告書が出てもいいぐらいじゃないですか。何の作業もやってないことはわか って聞いているわけですけれども、だったらやっぱりしっかりやってくださいよ。責任 あるというふうに言ったんですから、まず厚生労働省のほうもしっかりやっていただか ないと、日本年金機構の話だけやっていてもしようがないんですよ。  年金局長、毎回出ているんだから、やっぱりきっちり出してくださいよ。どこに、業 務に支障を来す部分があったのか、総点検したものをすぐ出していただくことと、それ から、先ほど日本年金機構が書いているぐらいのポンチ絵ぐらいの、あれと連携した形 の内部統制システムをしっかり示して次回までに出してください。お願いします。 ○渡邉年金局長 御指摘承りまして、次回に向けて、また努力させていただきたいと思 います。 ○奥田委員長 よろしくお願いします。 ○岩瀬委員 ちょっと細かいことをお聞きしたいのですけれども、今、リスクアセスメ ント調査をされているというお話がありましたが、これはレポートにまとめるご予定は あるのでしょうか。まとめるのであれば、委員会にそのレポートを提出していただきた いと、これが1つお願いです。  もう一つ、お客様の声をデータベース化したり、モニター会議で拾っていくのだとい うことを書かれていますけれども、ここの部分は磯村委員長代理の意見と似ていますが、 やはり機能するかどうかですね。仕組みをつくっても機能するかどうかが非常に心配な ので、そういうノウハウをお持ちなのか、そういう人材がいるのか、いない場合、もし くは持ってない場合は、どのようにしてそれを機構が発足するまでに身につけていくと いうふうに計画しているのか、それをちょっと教えていただきたい。  もう一つ、アニュアルレポートの話がありましたけれども、今までも予算・決算報告 書だとか業務報告書はあったわけですけれども、そういうものと同一のものとイメージ されているのか。きちんと機構の業務なり、サービス改善の成果なりを伝えていく、そ ういう実のあるアニュアルレポートをイメージされているのか、その辺をちょっと教え ていただけませんでしょうか。  以上です。 ○説明者(橋本) 1点目のリスクアセスメントの調査の結果でございますけれども、 調査を行った上で、私どもとしてその回答結果というものを整理し、また、次へつなげ ていくための検討をしていくわけでございます。大きなレポートというふうな形でまと めるといったところまではいかないかもわかりませんが、何らかの形で整理をして、ま た、委員の皆様方に情報としてお伝えしたいと思っております。 ○説明者(長田) 続きまして、2点目と3点目の件でございますが、特にサービス改 善の関係につきましては、私ども、今、日本年金機構設立準備事務局という組織の中で いろいろ立案の検討を進めておりますが、幸いにしまして、十数人規模でいわゆる民間 出身者採用ということで任期付き職員にスタッフとして加わっていただいておりまして、 そこにはさまざま、例えば銀行でコンプライアンス担当の課長をされていた方でござい ますとか、あるいは生保会社でまさにサービス改善みたいなことの取リ組みをされてい た方とか、多種多才な人材がかなりいていただいておりますので、そういった方々と一 緒にプロジェクトチームみたいなものを内部的には組織をしまして、今回のたたき台も 整理をさせていただきましたし、あと当然、今、中にいる人間だけではなくて、いくつ か企業の方からのヒアリングというようなことも積み重ねさせていただいておりますの で、そういったことの御知見をいろいろお借りをしながら詰めていきたいと思っており ますし、さらに今後基本計画の中では、1,000人規模での民間出身の方の採用というこ とも予定をされておりますので、機構発足後に向けましては、そういった人材の方に拠 点拠点のポイントとなる、基本計画でもそういった方を中核で活躍をさせるというよう なことが書かれておりますので、できるだけいい人材にお集まりをいただきまして、そ の中核となっていただくというようなことを想定していきたいと思っております。  それから、アニュアルレポートの関係につきましては、今、まだ具体的なイメージと いうところまで正直言ってできておりませんけれども、例えば生命保険会社さんなどの レポートなどを見ておりますと、お客様の声、こういう声がありましたとかという、何 件とかという数字だけのものではなくて、具体的にどういう声があって、どんな改善に 結びついたかといったような、かなり具体例に即したような内容もうまく盛り込まれて いるなという印象がございますので、例えばそういったようなものなどをいろいろ参考 にしながら、できるだけわかりやすいものにしていく努力はしていきたいと思っており ますので、その点も、またいろいろ皆さんからもアドバイスをいただければと思ってお ります。 ○岩瀬委員 そのアドバイスをするとすれば、この委員会でやるんですか、それとも懇 談会でやるのか、どうなんですか。 ○説明者(長田) 議事進行のことに関しましては、委員会でお決めいただくべきこと でございますので、委員長の御指示に従った上で対応させていただければと思っており ます。 ○岩瀬委員 委員長、また、何かアドバイス事項をまとめて、委員長に提出させていた だきたいと思います、後日。よろしくお願いします。 ○奥田委員長 はい。 ○岩瀬委員 僣越ながらでございますが。 ○奥田委員長 時間が迫っておりますので、今回、2つ問題が出ていたわけでございま すが、業務方法書と内部統制でございますが、これは別々に決裁をとる必要あるわけ。 ○説明者(西辻) 設立委員会でお決めいただくものは業務方法書ですが、これと関連 するということで、本日は内部統制の資料を併せて御議論いただいたわけで、御議論を お聞きしている感じですと、内部統制に関しては御意見が出ましたが、業務方法書につ いては、特段の御意見はなかったと思いますので、ここは別々に今後の対応を考えてい くということもあるのかなと考えております。いずれにしましても委員長に御判断いた だければと思います。 ○奥田委員長 それでは、委員長からの提案でございますが、業務方法書につきまして は、今後、機構設立までの間に厚生労働大臣の認可を受ける必要があるということでご ざいますので、設立委員会としてはおおむね了承することとして、ただいま出ました御 議論を踏まえた必要な整理を行った上で、これで決定したいと思いますが、よろしいで しょうか。 (「異議なし」と声あり) ○奥田委員長 それでは、今後、厚生労働省令が制定された後、厚生労働大臣の認可申 請手続に入るということといたします。  それから、内部統制につきましては、まだ、さまざまな意見があるようでございまし て、議論が尽きておりませんので、日を改めて、いずれ懇談会の場等で議論をしていた だきたいと思いますが、これでよろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○奥田委員長 それでは、本日のこれまでの資料等の取り扱いでございますが、委員会 規則第9条及び第10条の規程に基づきまして、会議資料及び議事録については公表とさ せていただきます。  次回の日程等について、事務局から御説明をお願いします。 ○八神大臣官房参事官 次回の日程等につきましては、委員の皆様にあらかじめお時間 をいただいておりました4月30日(木曜日)15時からということで予定をさせていた だきたいと存じます。後日、正式な御案内を差し上げたいと存じます。  また、本日の議事録につきましては、後日、事務方より皆様にお送りし、お目通しを いただいた上で公表させていただく予定ですので、よろしくお願い申し上げます。  それから、既に各委員には御案内をさせていただいておりますが、前回の設立委員会 で委員長に御一任をいただきました有期雇用職員の労働条件につきまして、参考資料と いう形でお手元にありますけれども、字句修正を行いまして、お配りしてある資料のと おり決定をされましたので、本日の資料と併せて公表をさせていただきたいと思います。  なお、冒頭に委員長からお話がございましたが、この後、休憩を挟みまして非公開に 切り替えるために、記者の方、傍聴の方には退席をお願いいたします。  事務方からは以上でございます。 ○奥田委員長 それでは、ここで休憩に入らせていただきたいと思います。時間がござ いませんが、5分間の休憩後、11時35分から再開したいと思いますので、よろしくお 願いいたします。 (連絡先) 厚生労働省年金局総務課 03-5253-1111(内線3315)