09/03/25 第5回国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会議事録 第5回国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会(議事録) 日時:平成21年3月25日(水)13:31〜14:52 場所:厚生労働省共用第8会議室(6階) ○伊藤座長 それでは、定刻でございますので、第5回の検討会を始めたいと思い ます。  委員の皆様方には、お忙しい中を、また雨の中、お集まりいただきましてありが とうございました。  今日が第5回目、最終回でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それては、事務局から今日の出欠状況につきまして御報告ください。 ○難波施設管理室長 本日の委員の出席状況でございますが、仁木委員、森委員か ら御欠席との連絡をいただいております。また、柳澤委員、山内委員は若干遅れる という御連絡をいただいております。それから、片石委員、岩谷委員、山崎委員が 若干遅れているようでございます。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございます。何人かの先生方、遅れているとのことでござ いますが、皆さん、もう資料はあらかじめ送られていると思いますので、会議を始 めたいと思います。  では、資料の御確認をお願いします。 ○難波施設管理室長 本日の資料は、資料1としまして「国立更生援護機関の今後 のあり方に関する検討会−報告書(案)−」というものでございます。これは、前 回、報告に向けての概要案というのを御議論いただいたわけでございますけれども、 各委員の皆様方からいただいた御意見に修正を加え、今回、最終案とさせていただ きました。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  資料は全部おそろいでしょうか。  それでは、資料1の報告書(案)に基づきまして、今日は議論いただきますので、 特に修正点を中心に、事務局から御報告を願います。 ○難波施設管理室長 それでは、今、座長から御指示ございました最終案の、特に 前回からの変更点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。  1枚おめくりいただきますと「はじめに」というのがございます。これは、前回 はこの部分は付けていなかったわけでございますけれども、書いている趣旨は、今 回のあり方検討会を設置した背景、それから、今後の対応ということで少し整理を させていただいております。  最初でございますが、国立更生援護機関は、国立の施設として昭和20年代から40 年代に設置されたということでございます。リハビリテーションセンターについて も昭和54年に設立されてから30年が経過したということでございます。  これまで、国立更生援護機関は、身体障害者福祉法に基づく更生施設、児童福祉 法に基づく知的障害児施設として、その役割を果たすとともに、多くの障害児・者 の職業的自立等に大きく寄与してきた。  また、国立身体障害者リハビリテーションセンターは、身体障害者に対する総合 的リハビリテーションの実施とともに、福祉機器等リハビリテーション技術の研究 開発やリハビリテーション関係専門職員の人材育成等、身体障害者リハビリテーシ ョンの中核機関としてその役割を果たしてきた。  近年、国立更生援護機関の利用者は年々減少傾向にあるとともに、利用者の高年 齢化や障害の重度・重複化、また、糖尿病や精神疾患等医療的ケアを必要とする者 が増加しており、利用者の障害状況等も変化している。  我が国は少子高齢社会となり、社会構造が変化する中で、障害者を取り巻く環境 もノーマライゼーションの理念の下、障害の定義、障害の捉え方、リハビリテーシ ョンの理念・目的、障害者の基本的人権、社会保障制度の充実などにより大きく変 化してきた。  また、障害のある者もあるがままの姿で他の人々と同等の権利を享受できるよう になり、障害当事者やその家族等の求めるニーズも多様化している。  高齢社会となった今、加齢に伴って生じる障害の問題や保健・医療技術の進歩が 相まって国民の疾病構造も変化し、若年・成人の身体障害者の属性・特性も大きく 変わってきている。  我が国の障害者施策は、この10年余の間に、障害者基本法に基づき障害者基本計 画が策定され障害者のための施策が計画的に推進されるとともに、発達障害者支援 法、障害者自立支援法などの障害関係法が新たに整備され、国連においては障害者 権利条約が採択されている。  特に、ノーマライゼーションの理念に基づき、身体、知的、精神の障害の有無に かかわらず安心して暮らせる地域づくりを目指した障害者支援の新しい枠組みであ る「障害者自立支援法」も、法施行3年目を迎え、その見直しがなされようとして いる。  一方、行政改革において、総務省より平成20年度減量・効率化の方針として、 「国立更生援護機関について、平成20年度中に事務事業の効率化・合理化等、その 機能等のあり方を検討すべき」旨の指摘がなされている。  このように障害者を取り巻く環境の変化及び国立更生援護機関の現状等を踏まえ、 将来を見据えた国立更生援護機関の今後のあり方を検討するため「国立更生援護機 関の今後のあり方に関する検討会」が設置され、本検討会では計5回にわたり議論 を重ね、国立更生援護機関の基本的な役割及び持つべき機能等について、ここにそ の結果をまとめるものである。  最終的には、この報告書を受けて、厚生労働省として具体的な組織づくりを進め るということでございます。  ページをめくっていただきますと、1ページのところでございます。一番下でご ざいますけれども、前回、東山委員から、視力障害センターの利用の年齢制限があ るような記述になっているという御指摘がございましたので、なお書きのところを 修正しております。  視覚障害者の年齢別状況、これは平成18年の身体障害者実態調査でございますが、 これによると、高齢化が進んでいるということでございます。それから、視力セン ターの利用の中心である50歳未満の方、視覚障害者の全体の1割ということになっ ております。それから、高校の進学率につきまして、今、97%ということでござい まして、そういった意味からして、中卒者の絶対数が減ってきているということで ございます。  これらのことによりまして、視力障害センターの利用者が減少しているというこ とが考えられるということでありまして、それから、一方、特別支援学校の生徒に ついても減少傾向にあるということでございます。  それから、4ページのところでございます。下2つでございますが、これは、記 述漏れということでございまして、1つは、高次脳機能障害者のモデル事業の実施、 それから、平成19年度からの青年期の発達障害者のモデル事業というものを記述さ せていただいているということでございます。  それから、6ページでございますが、上から3つ目、これも青年期発達障害者の モデル事業の実施ということで記述させていただいているということでございます。  それから、8ページでございます。国立更生援護機関の基本的な役割というもの でございます。前回は、これは記述はございませんでしたが、基本的な役割の基本 的な考え方ということで少し記述させていただいております。  ちょっと見ますと、これまで国立更生援護機関は、身体障害者更生施設及び知的 障害児施設としての役割を担い、その中でリハセンターについては、更生施設とし ての役割のほか、身体障害者に対する医学的リハビリテーションの実施、福祉機器 等リハビリテーション技術の研究開発及びリハビリテーション専門職員の人材育成 等、身体障害者リハビリテーションの中核機関としての役割を担ってきた。  国立施設が設置されてから半世紀が経過し、各種リハビリテーション施設のモデ ルとしてリハセンターが発足してからも30年の年月が経過した。この間、我が国の 社会経済情勢は大きく変化し、社会保障制度の充実などにより障害者を取り巻く環 境も大きく変わってきた。  このような中で、今後の国立施設の役割を考えると、基本的には障害者基本法に 基づく国の責務である障害者の生活機能全体にわたるリハビリテーション技術の研 究開発や人材育成等の施策の具現化であり、加えて国立施設としての役割を担うべ きと、こういうことでございます。  基本的な役割3つについては、内容的には変えておりません。  それから、9ページのところでございますが、前回は、枠囲みで内容が記述され ていなかったところでございますが、持つべき機能の基本的な考え方ということで 少し整理をさせていただいております。  1つは、国立施設が8カ所ございますが、リハセンターを除きます各センターに ついては、基本的には施設機能としてのサービスを提供しているということであり ます。  それで、リハセンターにつきましては、医療から職業訓練まで一貫した体系の下 で総合的なリハビリテーションの実施、リハビリテーション技術の研究開発、専門 職員の人材育成等、我が国の障害者リハビリテーションの中核機関としての役割及 び機能を担ってきたということであります。  国立施設は、昭和20年から40年代に設置されてきたわけでありまして、リハビ リテーションセンターが発足してから30年が経過したということであります。  この間に「ノーマライゼーション」や「リハビリテーション」の理念の下で各種 施策が推進され、保健・医療技術も進歩・普及し、従来からあった障害の原因疾患 と病態そしてその特性は大きく変化し、障害の種別も増えてきたということであり ます。このように、障害者を取り巻く環境が変化する一方で、障害当事者やその家 族等の求めるニーズも時代とともに変化している。  基本的には、障害者基本法の改正によりまして国の責務が明確になっている。そ ういったことを踏まえて、今後の課題に対して対応していく必要があるということ であります。  10ページのところでございますが、また、これらを有効に機能させるためには、 障害当事者やその家族等のニーズの理解に立って、エビデンスに基づく障害者リハ ビリテーションサービスを企画し、各部門が連携して実施する。それから、関係機 関とのネットワークの構築を図り、その情報を全国に発信するということでござい ます。  それから、11ページの専門職員の人材育成のところでございます。  1つは、良質な医療・福祉サービスを提供するために、障害関係分野で必要とさ れる専門職の養成計画等を企画・策定するとともに、障害関係機関等とのネットワ ークを構築し、連携・分担して専門職等の養成・研修を行うべきということであり ます。  2つ目でございますが、国家資格である言語聴覚士及び義肢装具士の養成につい ては、大学等での養成が進んでいる中で、障害者リハビリテーションの中核機関で ある特性を活かし、医療・福祉及び教育等の総合的リハビリテーション教育プログ ラムの構築を図りながら、より専門性の高い専門職養成のための教育モデルを開発 し、普及すべきということであります。  それから、次の事項でございますが、学院が行う養成学科については、専修学校 としての位置付けとなっている。これを医療・福祉現場の専門職の養成にとどまら ず、教育・研究まで担える人材を養成することを目的として、すでに専門職にある 者を対象とする大学院の設置や、養成機能自体の見直しが必要であるということで あります。  また、障害者の総合的リハビリテーションを推進するために必要な新たな専門職 種の養成・資格化における学院が担うべき役割についても検討すべきということで ございます。  次でございますが、視覚障害学科及びリハビリテーション体育学科については、 その資格化等について検討すべきということでございます。  次に、(4)情報収集及び提供のところでございます。  障害関係機関等とのネットワークを構築し、国内外の障害者リハビリテーション に関する情報を収集し、「障害者リハビリテーション総合情報センター」として障 害当事者や関係者が必要とする情報が迅速かつ効果的に提供できるようにすべきで あるということであります。  リハセンターの各種情報については、部門間情報ネットワークを構築し、リハビ リテーションサービスの実践、支援技術等の研究開発及び人材育成等に関するさま ざまな情報の一元化を図り、提供体制を強化すべきということであります。  それから、13ページでありますが、障害者リハビリテーションに関する情報収集 及び提供に併せ、障害当事者やその家族等が必要とする医療・福祉・雇用等の総合 相談を一元的に行えるようにすべきであるということであります。  少し飛びまして16ページになります。2つ目でございますが、「今後」以下のと ころでございますが、基本的には、支援プログラム等を開発し、その成果を全国に 提供していくということであります。その際、外部研究機関、研究者等と連携する とともに、短期入所やデイケア・ナイトケア等の試行的取組を行うことも検討すべ きであると。これは、前回、氏田委員の方からございまして、例示的にここに明記 しているということでございます。  それから、なお以下のところでございますが、発達障害への取組については、リ ハセンターに発達障害診療部門や情報センターが設けられるとともに、リハセンタ ーと協力して「青年期発達障害者の就労支援モデル事業」を実施しているところで あり、今後、国立更生援護機関の機能の一元化とともに、リハセンターとより一層 の連携を深めていく必要があるということであります。  それから、17ページでございますが、特に機能の一元化につきましては、前回の 記述では少しわかりにくいということもございましたので、少し整理をし直してお ります。  最初でございますが、国立更生援護機関は、視力障害センター、重度障害者セン ター、秩父学園及びリハセンターの4つの類型があり、設置されてから半世紀が経 過し、時代の流れとともに同種の施設間でもその運営等に差異が生じているという ことであります。  2つ目でございますが、リハセンターは、昭和54年に在京3施設が発展統合した ものであるが、同センターの更生訓練部門においては、中途視覚障害者に対する理 療教育、頸髄損傷者の機能訓練及び発達障害への取組等を行っており、これは視力 障害センター、重度障害者センター及び秩父学園が行う事業と共通のものとなって いる。  国立更生援護機関の運営は、それぞれの運営方針の下で実施されており、今後、 これら共通する事業・サービスが施設間において格差が生じるとなれば問題である ということでございます。  3つ目でございますが、国立更生援護機関が障害者の自立と社会参加をするため には、効率的かつ適切にサービスを提供する必要がある。そういったことからすれ ば、統一的な方針で事業運営を行うべきということであります。  こういった基本的な考え方で機能の統一化を図るということでございます。  以上でございます。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  それでは、これから議論に入りたいと思います。既に事前に資料が配付されて、 お目通しいただいておりますので、この際、最終的な確認の意味でございますけれ ども、どうぞ御意見ございましたら、よろしくお願いします。 ○箕輪委員 前回欠席をしており、送っていただいた議事録もすべて目を通してな いので、もしかすると重複するかもしれませんが、幾つか確認をさせていただきた いと思います。  こちらの報告書を、広く一般の国民の方も目にするということを考えると、4ペ ージで初めて紹介されている「高次脳機能障害支援モデル事業」と「青年期発達障 害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業」の2つについて、本当に簡 単な概要で結構なんですが、報告書の最後の方に参考資料という形で載せるという ことは可能なのでしょうか。 ○伊藤座長 それは可能だと思いますけれども、いかがでしょうか、事務局の方。 ○箕輪委員 載せるべきなのかもちょっとわからないのですが。 ○難波施設管理室長 可能でありますけれども、この報告書を全国に広めるという 意味ではなくて、国立の施設の機能を今後どうしていくかということで議論してい るものですから、概要版を付けることは可能だろうと思います。 ○箕輪委員 わかりました。 ○伊藤座長 今のは、参考資料として、このモデル事業の概要版を付けるというこ とですか。 ○難波施設管理室長 センターの概要ではなくて、事業の概要ですか。 ○箕輪委員 はい。この事業に関わっている方はよく御理解いただいていると思う のですが、どなたにでもわかるように、注釈的なもので良いと思います。 ○伊藤座長 一般の方々がわからないだろうから、このモデル事業に関する何か概 要みたいなものを資料として付けることはできないかということです。 ○難波施設管理室長 全体的にこの事業だけ詳細に事業概要を付けるということが どうなのかというのがちょっとございまして、1つには、今、リハビリテーション センターのホームページ等では当然紹介されている話でございますが。 ○箕輪委員 では、そこを見ていただければわかるということでしょうか。 ○伊藤座長 もしそれだったら文献として後ろに紹介しておきますか。 ○難波施設管理室長 それは可能だと思います。 ○伊藤座長 その程度はできると思いますが、それでよいですか。 ○箕輪委員 わかりました。  2点目は、16ページに載っています、秩父学園のことです。報告書の前の方に 「大きな課題」として取り上げられている「入所期間が長い」「年齢も上がってき ている」について、16ページでは、「地域生活移行への取組を強化すべきである」 という表現になっていますが、現状ある程度できていて、さらに強化していくとい うことでよろしかったのか。それとも、今までは余りできていなかったので、早急 に対応する必要があるのか。によって、表現の仕方が若干違うように思いますが、 いかがでしょうか? ○伊藤座長 どうぞ、事務局。 ○難波施設管理室長 基本的に、今現状ができていないという認識のもとでの強化 ということでございます。 ○箕輪委員 そこは「強化」という表現が良いのでしょうかね。 ○伊藤座長 ある程度できていれば「強化」になるけれども、そうじゃなければ、 それに取り組むということになると、そういう意味ですか。 ○箕輪委員 そうです。特に早急に対応していただきたいという思いがあったので、 これが宣言であるというのであれば、構わないのですけれども。 ○難波施設管理室長 事務的に言わせていただくと、取組を進めるべきでもいいし、 そこは、現状から言えば、今、その実態がないので、今後それを強化すべきという 意味で記述しておりますけれども、進めるべきでも、それはよろしいと思います。 ○伊藤座長 どういう言葉が適当だと思われますか。今の現実は余り実態がないと いうことですか。 ○箕輪委員 そうですね。「利用者の地域生活への移行を早急に対応すべきであ る」とかいう感じかなと思ったのですが、このあたりはニュアンスの問題なので、 最終的にはお任せしますが、早急に対応していただきたいという思いで発言させて いただきました。 ○難波施設管理室長 一言だけ申し述べますと、前段に書いてあるように、すべて の方ができるわけではないんだろうと思うんですね。利用者個人の問題もあるでし ょうし、御家族との問題もあるでしょうし、そういったものを総観して地域移行を 進めるというプロセスが必要になってくるので、そこは強化すべきか、推進すべき というぐらいの言葉でいいのかなと私どもは理解しておりました。 ○箕輪委員 わかりました。 ○伊藤座長 高木委員、何かございますか。 ○高木委員 管理室長のお言葉のとおりでございます。いろいろな事情がございま す。我々が地域移行に関して全く手を着けていないというわけではないですが、絶 対的な効果は決して上がっておりません。ですから、そういう意味では、箕輪委員 の御発言に関しても、本当に妥当な御発言だとは思うんですが、表現に関しては、 これをお読みになる方たち、特に秩父学園の入所されている方たちの御家族に過剰 な御負担をかけないというのは、いつも園長として考えていることでございます。 円滑な幸せな地域移行に関しては、今までも努力してまいりましたけれども、さら に努力をしていきますし、これには秩父学園だけの力ではできません。地方自治体、 そしてまた省との新たな形の連携も必要でございますし、国立更生援護機関の諸機 関の協力も要るわけです。今後、目に見える形、皆さんに納得していただける形の 結果を出すように努力するつもりでございます。表現に関しては、少なくとも秩父 学園長としては、表現に問題があれば、必ず事務局の方に伝えて、お考えいただい ています。ただ、この学園長の思いがいつも通るというわけでない事情もあるとい うことも確かです。ですから、今、学園長としての決意をお話しするところで、表 現云々に関しては、この辺で御容赦いただきたいと思います。 ○伊藤座長 ここは、推進すべきであるとするか、強化すべきであるとするか、ど ちらかで決めたいと思いますが、よろしゅうございますか。どうぞ。 ○奥沢委員 埼玉県ですけれども、知的障害児施設、国立の秩父学園ですが、地域 生活移行を図る場合には、ここに書いてあるような、出身地の自治体との連携とい うのが欠かせないわけで、秩父学園自らがグループホーム、ケアホームを作って地 域移行するというんじゃないんだと思うんですね。今まで、例えば埼玉では大分、 秩父学園にお願いして、長期に施設生活をされている加齢児の方がいらっしゃるわ けですけれども、こういった方針が出ますと、重度重複であっても地域移行に取り 組むんだと。なかなか重度重複の方の地域移行というのはいろいろ課題もあると思 うんですが、国としての意欲は伝わってきますし、自治体としてもお願いしっぱな しではなくて、国と連携をとりながら研究し、取り組んでいこうと、そういった気 構えみたいなものは伝わってきますし、私はこの表現、特に抵抗はないんですが。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○黒澤委員 これは修正の意見ではなくて、確認というか、念押しというか、そう いう意見なんですが、8ページの下から2行目、10ページの上から2行目の「エビ デンス」ですね。こういった報告書に「エビデンス」という用語を使われたこと自 体は、時代の流れをよく反映しているなと思って見ているんですが、今日は最後で すので確認ですが、エビデンスは、どちらかというとこれまでは客観的普遍性、あ るいは因果性を持った、いわゆる要素還元的な考え方にエビデンス、つまり、科学 的、自然科学的、実証主義的なエビデンスという考え方が支配的だったわけですね。 しかし、生活支援とか、人間の主体性とか自立支援とかと入りますと、必ずしも分 析的ばかりではなくて、むしろそういうものを活用した、医療や保健の知識を活用 した人間科学的なエビデンスというものに基づく考え方が出てきたわけで、これは 決してここ100年ほどの世界的傾向だと私は思うんですが、このことは、エビデン スという言葉は、つまり自然科学、医学はもちろんですが、これが源流でしょうが、 人間科学、つまり社会福祉学においても、エビデンスに対することは排除していな いんだと、つまり含んでいるんだと、こういう理解でよろしいですか。 ○伊藤座長 それは私の立場からしてもそれでよろしいかと思いますが、いいです よね。 ○難波施設管理室長 はい。 ○伊藤座長 私もそういう確認で進めておりますので。 ○黒澤委員 念押しですので、結構でございます。 ○伊藤座長 ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○小中委員 全日本ろうあ連盟の小中です。  「エビデンス」という言葉が今ありましたけれども、実は私、これを読んでいて、 意味がわからなかったのが「エビデンス」という言葉です。そのままこれを使うの ではなくて、もう少しわかりやすい言い方に変えることはできないんでしょうか。 ○伊藤座長 それでおしまいですね。どうぞ。 ○難波施設管理室長 これに代わる言葉があれば、御提案をいただいて、修正する 必要があれば、修正したいと思います。ただ、このエビデンスというのは、専門的 なというよりは、根拠に基づくこれこれを行うという趣旨で整理をさせていただい ております。 ○伊藤座長 よろしいでしょうか。そのまま日本語にしてもよろしいんですけれど も、エビデンスの方が格好いいかなと思っているだけの話で。 ○小中委員 小中です。  どちらにしても、エビデンスというこの委員会に参加した私が初めて聞いた言葉 なので、全く意味がわからないという状態です。それを何とかわかるような記述と いうか、文章を付けるような方法でもいいんですけれども、それをお考えいただき たいと思います。 ○伊藤座長 何かアイデアはございますか。岩谷先生、どうぞ。 ○岩谷委員 こういうことを言い出したのは我々のところですから、わかりやすい ような注釈を付けさせていただきます。 ○伊藤座長 今もう既にかなり一般化されている言葉ですので、下の方に注という ことで入れるように。 ○岩谷委員 エビデンスということの注釈を付けさせていただきますけれども、そ れで。 ○伊藤座長 黒澤委員の御発言のように、広い意味で考えていただきたいと思いま すので、よろしくお願いします。 ○岩谷委員 エビデンスにもいろいろなレベルがあります。余りかたい意味ではな くて、事実を積み重ねた上での根拠があるという意味です。 ○伊藤座長 では、わかりやすい注を付けるということでよろしくお願いします。  ほかにございますでしょうか。上野委員、どうぞ。 ○上野委員 まず、非常にいいことと、次に心配なことを言います。  いいことは、確かに非常によくまとめてあると思います。特に、9ページの理念 ですね。基本的な考え方とか、特にリハビリテーション技術の研究開発や、専門職 員の人材育成、あと、中核機関としての役割及び機能を担っている、これは非常に いいことと思います。確認なんですけれども。  それに関連して、11ページの下の方から12ページ、こういった新しいリハビリテ ーションの国の施設が、教育、研究を担える人材を養成する目的で、今後、大学院 とか大学をさらに発展させるということをよくまとめてあって、私としては満足し ております。  ただ、最後に、心配なのは、一元化のことなんですね。17ページ、18ページ。確 かに理念はいいんですけれども、理想的な理念と実際の運営というか、運用の段階 でバサッと弱者を切るようなことになったら、非常に心配なんですね。だから、そ ういったところで、理念はいいけれども、今後の実際の運用で統廃合で、いわゆる 弱者切捨てということにならないようにしてほしいと思います。それは私の意見で す。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  小中委員、何かございますか。 ○小中委員 連盟の小中です。  8ページ、「基本的な役割」のところで、これからの基本的な考え方の方向を出 した面と思います。いいまとめ方をされていると思いますが、例えば、「障害者基 本法に基づく国の責務」とあります。「障害者の生活機能全体にわたる」という表 現がちょっと気になるんですけれども、できれば、障害者の権利条約の理念又はそ の条約の中にあるリハビリテーション、あとは保健などの考え方、それを踏まえて いくというような方向も中に入れてほしいなという気がします。  入れた場合に、「障害者の生活機能全体にわたる」という言い方がそのままでい いのかどうか。障害者、自分なりの環境ですね。それを整備して、自分で決定でき るような、自分らしい生活を選べるような、そういうことに関わるリハビリテーシ ョンといいますか、そのためにこういう施設があるんだというようなことをはっき り打ち出せるという面があると思いました。その辺、どうでしょうか。  また、もう一つは、11ページから12ページにかけての専門職員の人材育成のいろ いろな教育のモデルを開発したりとか、専門職員の養成。この中にちょっと心配し ていることがあります。それは、例えば、聴覚障害者の場合は関係が深いといいま すか、手話通訳の学習、ありますね。学院が長く実績を積み重ねていると思います が、そのカリキュラムの作り方といいましょうか、養成だけではなくて、実際に通 訳士となって活動している人の現任教育のカリキュラムを含めてですけれども、だ れが作っているのかというか、作ったカリキュラムが本当に地域で活動している人 のニーズに合っているものかどうか。学院だけで作って、それをきちんと地域でモ デルとして取り入れられているかどうかというところ、今全くそれが切れているよ うな感がありますから、もっとこの文章の中に地域で活動している人が障害当事者 のニーズをきちんと確認といいましょうか、相談しながらカリキュラムを作ったり とか、大学とか大学院の設置に向けた検討を進めていくというような、経過の中で の関係者の協議がとても大事になる。それがわかるような文章を入れていただけれ ばいいと思いますので、よろしくお願いします。 ○伊藤座長 今日は最終回なものですから、これで最終的な報告書を作らなければ なりません。したがって、具体的にこういう文言を入れてほしいとか、そこまで突 っ込んでいただけないでしょうか。  先ほどの障害者の権利条約の問題ですが、これはなかなか難しいなと思うんです が、まだ日本で批准が進んでおりませんので、その問題をどのように入れるか。手 話通訳の教育のプログラムについては、どこか入れられますかね。これは11ページ の下のところでしょうか。どうぞ、事務局。 ○難波施設管理室長 小中委員の手話通訳のカリキュラムを含めた内容については、 ここで少し記述しているのは、機能論としてどういう機能を持つべきかという整理 をさせていただいております。したがって、実施方法等を含めて、それはこれから 学院の中で手話通訳の養成を行う中で、そのカリキュラムも含めて内容の吟味とい うのは当然今後必要になってくるだろうと思います。その際にそういった調整が必 要になってくるのではないだろうかと理解しております。 ○伊藤座長 岩谷委員、どうぞ。 ○岩谷委員 今の小中委員の御意見に一部関係しますが、12ページの上から3つ目 です。ここではリハビリテーション関係専門職員の研修について触れられているわ けですけれども、その段落の一番最後のところに「包括的な支援を担う専門職等指 導的役割を担う人材の育成に重点をおくべきである」。私はここに、育成というと、 育てる。ただ一回育てるだけのことから、もう少し踏み込んで、「並びに生涯学習 又は生涯教育」というような言葉を入れますと、今、小中委員がおっしゃったよう な意味のことはある意味含まれるのではないかと思います。  専門職は、一回教育をしたらそれでいいわけでありませんので、どんどん時代と ともに変わっていきます。これは20年間、我々、医者の世界でも全くそうでした。 専門職として育てようとするならば、その人たちの研修ということを保障しておく、 制度的にある程度、制度となるとちょっと難しいかもしれませんけれども、整備す るということが、私は必要ではないかと考えております。 ○伊藤座長 どうでしょうか。現場の声とか、実際上それを使っている方々のニー ズを踏まえて教育プログラムを作るんだと、こういう言い方をどこかで入れたいと 思いますけれども、いかがでしょうか。小中委員、そういうことでよろしいでしょ うか。そういうことであれば、御一任いただければ、この教育の中で、教育プログ ラムを構築するという前提としてそういうことを踏まえるということでまとめたい と思いますが。  ほかにございますでしょうか。寺山委員、何か。 ○寺山委員 全般的には賛成しておりますけれども、1つだけ、10ページの下から 2番目のところですけれども、「訓練部門、研究開発部門等との有機的連携を図る べきである」という文言なんですけれども、ここは、国立の施設、更生援護機関が 持つべき基本的な機能の中で、最初の「総合的リハビリテーション医療の提供」と いう部分なんですが、というと、文言が、「総合的リハビリテーションを実施する ためには、訓練部門、研究開発部門等との有機的連携」、これは総合的リハビリテ ーションの部分でありまして、「との」というのがおかしいと思いますが。医療か ら職業訓練まで一貫した体系のもとに、総合的リハビリテーションを実施するため には、医療部門、訓練部門、研究開発部門間その他の有機的な連携、なんでしょう か。  訓練部門も、リハセンターが持っている訓練部門は、医療の部分がありますし、 PT、OT、STがやっているような。あるいは更生訓練所がやっているような社 会リハの技術の一環である訓練部門もありますので、それらが横に手をつないで連 携して有機的な連携を図るべきというふうに文言を変えた方がよろしいのではない かというのが私の提案です。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○岩谷委員 全体的に主語がセンターになったり、病院になったりして、主語がと ころどころで一定でないのです。 ○寺山委員 そのことだろうと思います、多分。 ○岩谷委員 これは、全体としてはセンターがこういう機能を持つべきだというふ うに書いてあるのですが、所々でセンターと病院とかがぐちゃぐちゃになっていま す。センターはこういう機能を持つべきである、こういうことをすべきであるとい うふうに統一をして書かせていただければよろしいと思います。 ○寺山委員 ここの部分はですね。わかりました。 ○伊藤座長 事務局、よろしいですか。いいですね。 ○難波施設管理室長 はい。 ○伊藤座長 どうぞ、山崎委員。 ○山崎委員 特段、下線を引いてくださったところ、たくさんの皆さんの御意見の 集積があり、修正がされて、随分強化されたところがたくさんあって、本当にあり がとうございました。特に、12ページのところで、私も岩谷委員と似たような印象 を持ったのですが、「専門職等指導的役割を担う人材の育成に重点をおくべきであ る」というところ、私は「継続的」とか「段階的」とかという言葉を入れていただ いた方がもう少しはっきりするのかなと。私も実はこれを見たときに思ったんです が。今、対人援助のいろいろな領域は、研修を受けることがいろいろな領域で義務 付けられていて、それが段階的、継続的になっていますので、もしよろしければ、 そのようにしてほしい。生涯学習というとぼやけてしまうので、もしよろしければ、 継続的とか段階的に人材の育成をやっていただくというふうに入れていただくと、 もう少しはっきりするのかなという気がいたしました。  それから、もう一つは、スーパーバイザーや包括的支援を担う専門職等指導的役 割を担うとあるのですが、全体に総合的なリハビリテーションというものを実施し ていくことを検討していらっしゃいますし、また、リハビリテーションが総合的な リハビリテーションであるというお考えは、この全体から読み取れるのですが、こ こで包括的な支援をというのは、包括ということの意味には総合的というような意 味合いとか、あるいはもっと違う意味合いのインテグレイティブな統一的というふ うな意味合いもあるのか。「包括的支援を担う」というところの意味がちょっとわ かりにくいかなと思ったので、これはもしかして総合的とやった方が、今までの文 言から言うと合わせやすいのか、あるいはもっと包括的という意味をインテグレイ ティブな意味でおっしゃったのだとすれば、それはそれで意味があるかなと思って、 ちょっとここはわかりづらいのと、今までの文言で余り出てこなかった文言なので、 気になりました。  それから、障害がある皆様方への言い方で、必ず「自立」というのと「就労支 援」で「自立・就労支援」という言葉になっているのですが、この「自立」という のは、かなり包括的な概念として使われているとも読み取れますので、ADLのよ うな身体的な自立とか、日常生活の自立とか社会生活の自立とか、それを、もしで きれば「幅広く自立を支援し」というふうに、少し自立の意味を幅広くしていただ かないと、特に重度の方々にとっては、「自立・就労支援」となっているので、少 し誤解が起こるかもしれないと思いまして、その3点が、気付いたことです。 ○伊藤座長 この件に関しまして、ほかに今の山崎委員の意見に対しまして、肯定 してよろしゅうございますね。反対意見等ございませんか。なければ、それを入れ ることにしたいと思いますが、事務局よろしいですね。 ○難波施設管理室長 はい。 ○伊藤座長 では、ほかにございますか。どうぞ。 ○氏田委員 検討会のこれまでの意見を反映していただいてありがとうございます。  発達障害のところで事前に事務局の方に修正文で御連絡をさせていただいて、確 認させていただいて、了解していることなんですけれども、8ページになります。 谷間の障害という部分がございましたので、8ページのちょうど真ん中辺にありま す、「このような中で」で始まっているところの「障害者の生活機能全体にわた る」という部分なんですけれども、こちらについては、国の責務として新たな障害 である発達障害や高次脳機能障害を含めたすべての障害者の生活機能全体というこ とで御了解いただいていると理解してよろしいですかということをもう一度確認し たいということ。  それから、16ページになります。2つ目で、「今後、入所の対象を」というとこ ろから始まっている部分なんですけれども、その後半の最後の段落になります「な お、発達障害への取組については」ということで、「青年期発達障害者の就労支援 モデル事業」などを書いていただいているんですけれども、実は、小さいお子さん の問題、発達障害に早期に気付いて、前向きに家族が取り組んでいくことができる ような早期把握からの診断前の支援というところですね。そこのところできちんと した支援が入っていくと、御本人の障害程度の重篤化を回避することもできるとい うこともありますし、家族を支援しつつ、その子のすこやかな成長を助けるという 意味で、そういう支援プログラムの開発ということも是非入れてくださいというお 願いをさせていただきました。  事務局からのお答えは、その同じ2行目に、「効果的な支援プログラムを開発 し」というところにそのことが入れてあるつもりですということなので、納得はさ せていただいたんですが、大変小さいときからの支援、秩父学園さん、児の支援を してくださっている部分もあるので、そのようなお願いをさせていただいて、お返 事をいただいていますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 ○伊藤座長 ここは事務局、「早期からの」という言葉を入れることは可能ですか。 「早期からの効果的な支援プログラムを開発し」という言葉で日本語としておかし いかな。いいですよね。「早期からの」という言葉が入れば、そのニュアンスが入 るんですけれども。 ○難波施設管理室長 1つだけ前提を置かないといけないのは、施設側から出てい くという部分が今ないんですね。したがって、見えてそういう早期からの発見とい うのは具体的に出てくるんだろうと思うんですが、そういう意味で、どういうニュ アンスで受けとめるかというところがちょっと難しいところかなとは思います。 ○伊藤座長 取り組む作業は、何も入所とかそういうことじゃなくてよろしいんじ ゃないですか。そういう意味ではないと思います。 ○難波施設管理室長 今、氏田委員が言われたのは、地域に出ていってというよう なイメージなのか。 ○伊藤座長 支援プログラムでしょう。 ○氏田委員 はい。支援プログラムです。その段階の支援プログラムを国立で開発 してほしいという意味です。 ○伊藤座長 支援プログラムの中に早期も入っているんですよというお答えだった んですけれども、それは具体的に、この内容を見ると、早期がイメージできないの で、「早期からの効果的な支援プログラムを開発し」というふうに、「早期から の」と入れれば、全部ですよということですよね。  ほかにございますか。大体よろしいですか。 ○岩谷委員 10ページです。「総合的リハビリテーション医療の提供」の2番目の ところですが、発達障害分野については、国立精神・神経センター、国立成育医療 センター、国立職業リハビリテーションセンター、特別支援教育総合研究所等とも 十分連携すべきであるということですけれども、実際は、高齢・障害者雇用支援機 構の本部の方とも相当な関係を持って活動しております。国立職業リハビリテーシ ョンセンターと記載されたときに、幕張にある高齢・障害者支援機構が意識される かどうか、私は気がかりなもので、高齢・障害者雇用支援機構とした方がよろしい のではないかと思います。その辺はいかがなものでしょうか。 ○難波施設管理室長 そこの整理は、実施機関として並べて整理させていただいた ものですから、高齢・障害者雇用支援機構となると、本部というイメージの方が強 いのかなということで、少し職業リハビリテーションセンターということで、そこ は特にこだわるものではありませんけれども、そういう整理をさせていただいてい ます。 ○岩谷委員 かなり幕張の方と関係深くやっているものですから、そんなことがど うかなと思ったんです。 ○伊藤座長 それ以上こだわりません? ○岩谷委員 含まれるということで。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○高木委員 この会の構成員というよりも、秩父学園長としての発言が強くなるか と思いますが、先ほど氏田委員がおっしゃった就学前療育、それから、16ページに ございます短期入所、デイケア・ナイトケア等もたしか氏田委員からの御指摘だっ たと思います。それで、この報告書を読んでいただく方におわかりいただくには、 やはり「具体的な表現」ということは非常に大切なことだと思います。そこで、先 ほどの就学前療育、早期発見、早期対応というその部分の具体的な支援の仕方を記 載した方がよいと思っています。氏田委員が先ほどおっしゃったようなことを具体 的に文字にして加えてもいいのではないか。もしよろしければ、秩父学園のこの項 に加えていただいてもいいのではないかと思っております。第3回で私は秩父学園 長として現在の秩父学園の試みをお話ししましたが、その中から氏田委員の御要望 のあるような部分があれば、お使いいただきたいという気持ちになりました。この 段階になってこういう発言は、はた迷惑なことなのかもしれませんが、具体性とい うのは大変大事なことだと思います。  もう一つ、16ページにおけるデイケア・ナイトケアの記載に関して、多少説明を つけることで、さらに広がりが出るかなと思いまして、実は幾つか文章を考えてま いりました。1つ御紹介します。  「安定した地域生活と社会参加を提供するため、地域のセーフティネットとして の入所施設の機能を柔軟に活かした」云々という形で説明がつくと、さらに具体的 な短期入所、デイケア・ナイトケア、また、それにとどまらない地域生活のセーフ ティネットとしての危機管理の部分がまた具体的に必要になってくるのではないか と思うので、もしよろしければ、御考慮いただければと思います。 ○伊藤座長 事務局、いかがでしょうか。後でこれは御相談いただけますか。場合 によっては、短期入所、デイケア・ナイトケアの注として書くのも一つの手かとは 思いますけれども。その中身ですので。  あと、高木委員にちょっと質問なんですが、早期発見、発達支援ということに関 しては、支援プログラムの開発ということで氏田委員から出ているんですけれども、 そのレベルの話ですか。それとも、実際上のシステムをつくるんだという立場です か。 ○高木委員 支援プログラムを作ったからには、実践しなければ意味がないと思い ます。何よりも直接の支援の手を御本人も御家族も望んでいらっしゃって、それに 現在我々は国立機関の支援現場の人間として関わっておりますので、そこは是非と もこの報告書にうたっていただきたいことではございます。 ○伊藤座長 ということは、所沢なら所沢市をモデルに、早期発見、早期療育の仕 組みを構築すると。その中でこの支援プログラムを開発するという意味ですか。 ○高木委員 そうなりますと、全く秩父学園の仕事になりますので、地域連携云々 に関して、具体的に少し提案致します。「発達障害に関する地域支援ネットワーク の構築」ということで、「地域連携による児童の就学前療育と円滑な就学移行」と いう形で提案いたしますので、この中の文言を上手に使っていただきたいと思いま す。私もどの程度御考慮いただけるかというところもわからない状態で発言してい るので、ここで多少お時間をいただいて、皆様に御検討いただければありがたいこ とでございます。 ○伊藤座長 事務局から何か御意見ございますか。今のは秩父学園長としての決意 が含まれているんですけれども。 ○難波施設管理室長 恐縮ですが、具体的にどういう記述の仕方をするか、御提案 いただいた方がいいのかなと。 ○伊藤座長 ですから、そのことについて何か意見がなければ、後でそこのところ を具体的に話し合っていただくということでよろしいかなと思うんですけれども。 ○難波施設管理室長 わかりました。それは結構だと思います。 ○伊藤座長 ほかの委員の方々に御異論がなければ、園長と事務局で話し合ってい ただいて、私の方で確認をさせていただきます。 ○高木委員 ありがとうございました。 ○伊藤座長 ほかにございますでしょうか。では、そのようにいたしますので。  どうぞ。 ○岩谷委員 13ページの上から3つ目です。これは企画の話であります。ここの 「各部門が行う事業の内部評価及び外部評価システムを導入し、その評価結果に基 づき、企画部門が中心となって事業の見直しを行うべきである」という文章につい てです。現在、我々のシステムの中に企画を担当する部署はありますが、事業の見 直しを企画するような大きな部署ではありません。従って、私は、ここはそういう 事業の見直しを企画できるような部門を整備するという意味が伝わるようにするこ とを提案したいのです。 ○伊藤座長 今の岩谷委員の提案について。どうぞ。 ○難波施設管理室長 ここで企画部門を強調しているのは、現状においても、組織 的には企画部門があるようになっているんですね。したがって、その部分が今後、 相当拡充整備していかないといけないという趣旨を込めながら、企画部門というふ うに固有名詞をそこに整理していると。したがって、今後、組織を作る際に、これ が一応ベースになって、組織を作っていくという前段階になっていると理解してい ただければよろしいのではないかと思います。 ○伊藤座長 よろしいですか。もしそうだとすれば、企画部門が中心となって事業 の見直しを行う体制を整備すべきである、その方がよろしいんじゃないでしょうか。 今の岩谷委員の意向を含めてですね。体制の整備だと。これは企画が直接行うとい うんじゃなくて、体制を整備することから始めるわけでしょうから、そのように変 えた方がよろしいかと思います。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○寺山委員 参考資料の2、3は座りがいいと思うんですが、参考の1というのが どのようにこの中で取り扱われるかということなんですが、ずっと読んでいって、 読み手は最後に参考資料を見るというと、環境の変化と改めてここで読み直すこと になるので、例えば、「はじめに」のところの2ページ目の真ん中2番目のように、 「このように障害者を取り巻く環境の変化」とここに書いてあるから、これはここ の話を具体化したものですか。そうであれば、ここに参考資料の1とか書いていた だくと、非常にわかりやすいと思いました。 ○伊藤座長 これは「はじめに」と重複するんですね。 ○難波施設管理室長 時系列で一応書いて整理はさせていただいておるんですけれ ども、報告書に付けるか付けないかは、御判断いただければ、そこはよろしいかと 思います。 ○伊藤座長 特になくてもよろしいですよね、参考資料1は。いかがでしょうか。 参考資料1は削除ということで、報告書には入れないということでよろしいですか。 よろしいですね。 (うなずく者あり) ○伊藤座長 それでは、参考資料1は除くということにいたしたいと思います。  ほかになければ、このくらいでよろしければ、これで議論を閉じたいと思います けれども、今日いただきました御意見を踏まえて、文言の整理をもう一度させてい ただきますが、大きなところは、当事者と少しお話しいただいて、発言された委員 と事務局との間でお話しをいただいて、それを文章にして私の方で確認をさせてい ただきたいと思います。  あと、小さな文言の修正がございましたら、それについてももう一回確認をいた しますので、そういうことでよろしいでしょうか。御一任いただければと思います が。 (うなずく者あり) ○伊藤座長 ありがとうございました。  どうでしょうか。まだ時間がちょっとございますので、皆様、何か御感想等々ご ざいましたら、一言ずつでもよろしいので、どうぞ。 ○東山委員 本当によくまとまった報告書だと思います。ただ、これを実践してい く上では、各施設の職員もおられると思いますけれども、その職員の意識改革、や る気が必要だと思いますので、報告書内容の理解、並びに周知徹底ですね。一般の 方はもちろんですが、職員に趣旨を十分説明し、具体化を急ぐよう、御努力を期待 したいと思います。  以上です。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  激励を含めた何かございますでしょうか。岩谷委員、いかがですか。この皆さん の御意見を受けまして、やるのは国立リハセンターでございますので。 ○岩谷委員 私はお礼を申し上げたいと思います。いろいろな我々の参考になる御 意見を賜ったことを本当に感謝いたしております。私たちは、障害者の問題は、社 会保障の中で一番難しいものであると思っております。先ほどエビデンスという話 が出ましたけれども、障害のある方々の医療と社会福祉に関する考え方、論理的な とらえ方は成熟してきていると考えております。医療で解決できない問題は数多く ありますし、必然的に障害があって生活をしなければならない方々に、社会で生活 できるように質の高いサービスを提供していくかということが我々に課せられた大 きな使命だと思っております。障害についての考え方、治療法、支援の仕方などは 時代とともにどんどん変わると思います。その辺については、常にセンシティブで あって、そのときの社会の考え方とか、障害があって生活しておられる方々のニー ズであるとか、社会全体の環境の変化というものに非常にセンシティブになって、 社会を支えられるようなサービスを考えていければと思っております。  随分偉そうなことを申し上げましたけれども、本当にありがとうございました。 ○伊藤座長 どうぞ。 ○箕輪委員 確認です。本検討会において、多くの方の御意見、御提言、御提案が 出てました。報告書でも「すべき」という表現が多数記載されていますが、その後 の進捗状況は、どこかのタイミングで、報告をいただけるのでしょうか?内容によ って、短期的なもの、長期的なものとがあると思いますが、実際にどのようにすす めて行くのかを知りたいという思いがあります。 ○伊藤座長 事務局からどうぞ。 ○難波施設管理室長 基本的には、今回の検討会では役割機能を中心に御議論いた だいて、そのベースができますと、次に何をやるかというと、国立更生援護機関の 組織をどういうふうに作っていくかということであります。したがって、組織がで きて、次にその事業がどのように実施され、進んでいくのかということは、その後 の検証になってくるんだろうと思いますが、それはもうちょっと先になろうかと思 います。まず直面するのは、組織をどうつくっていくかということになろうかと思 います。 ○伊藤座長 それができたときに一つの答えが出るということでしょうけれども、 その後になりますと、私たちが見れるかどうかわからないかもしれないので、まあ、 そういうことでございます。よろしいですか。  どうぞ、黒澤委員。 ○黒澤委員 その他であれですけれども、ただいまのお話のとおりなんですが、人 材育成の話が大分出まして、私は思うんですが、東山委員さんも同じような意味な んでしょうけれども、結局、最高の人材育成は、働いている人がモデルになること なんです。学院も大事ですけれども。ですから、そのためには、今回の報告書の言 わんとする趣旨を職員一人ひとりのモラールとして浸透するような施策を是非お願 いしたい。つまり、働いている人がそのモデルになっていないと、いくら学院でや りましても、なかなかそこはうまくいかない。それは私も、昔のことを考えると偉 そうなことは言えないので、ただ、先輩としてあえて申し上げれば、そういうこと について、今回はどういう形で生まれ、どういう形で議論して、どうやって一人ひ とりの職員が、その意義を伝達できるか、そのことを、システムとして考えること と思います。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  では、高木委員からも一言。先ほど決意表明がありましたけれども、全体の検討 会を通しまして御意見をいただけますか。 ○高木委員 ありがとうございます。  岩谷委員と同様に、私も大変感謝しております。この検討会は、皆様の我々へ具 体的なニーズをお教えいただいただけではなく、改めて理念に新しい言葉をいただ いたように思っております。私自身は、ここにいらっしゃるすばらしい先生方の理 念を伺って、大変僣越ではございますが、私の考えていたことは間違っていないと 確信できました。私を入れて八十数名の小さな秩父学園でございますが、一人ひと りの職員に今後の方向性を徹底して、皆様の御要望に応えていくつもりでございま す。ただ、リハビリテーションセンターの場合は大変大きな組織ですから、この仕 事は秩父学園とは比較にならない大変な仕事だと感じております。できれば、この 国立諸機関連携の一つとして、秩父学園が、リハビリテーションセンターの皆様の そういう意味での連携の助力ができたらと思っております。私ども自体がまだまだ 至らない状態ではございますが、仲間が集まることで、さらにステップアップでき るように思っております。  大変感傷的な感想でございまして、恐縮でございます。心から皆様にお礼申し上 げます。ありがとうございました。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  それでは、これをもちまして議論を終了したいと思いますけれども、よろしいで しょうか。 (うなずく者あり) ○伊藤座長 ありがとうございました。  それでは、検討会の終了に当たりまして、障害保健福祉部長の木倉部長からごあ いさつをいただきたいと思います。 ○木倉障害保健福祉部長 今日も遅れて参りまして、大変失礼申し上げました。  伊藤先生をはじめ皆様方には、昨年来、年を挟んでのお忙しい中にお集まりいた だきまして、御熱心な御討議をいただきましてありがとうございました。心より御 礼申し上げます。  冒頭、最初の回のときにも申し上げましたように、国立施設群、それぞれ戦後か ら半世紀以上わたったものからいろいろあるわけでございますけれども、先ほどか ら出ておりますように、障害者を取り巻く環境、考え方、大変大きく変化をしてき ている。利用者の方々、御家族の方々、その方々の変化、高年齢化の変化もありま すし、障害の重度化、重複化ということもあります。それから、求められるニーズ も大変多様になってきていると思っております。その中で、障害者基本法、そこに 理念がうたわれ、国の施設の役割もうたわれ、またさらに自立支援法ということで、 より障害の種別を超えた考え方というものを徹底しなければならないという流れに なってきてございますので、今回の御検討、将来を見据えたものとして大変重要な 御指摘をいただいたものと思っておるところでございます。  この中で御指摘いただきました基本的な考え方、役割、果たすべき機能、具体的 に挙げていただきました。それを通じて、当事者の方々の視点に立って、どういう ふうに支援をしていくか、我が国を本当に障害者の方々と一般の方々、共生できる 社会、自立と社会参加が実現できる社会にしていくために、国立更生施設というも のがどういうふうにあるべきかということをきちんとお示しいただいたものと思っ ております。  この場でお述べいただきました使命の重大さ、期待の大きさというものを踏まえ まして、先ほどありましたように、具体化を図っていかなければいけない。今も御 指摘がありましたように、我々も含めて各施設の職員の方々一人ひとりの意識改革 から始まって、組織そのものを大きく見直して、全体としてきちんとした機能を果 たせるようにしていかなければいけないという作業の段階に進まなければいけない と思っております。その段階では、ますます皆様方の御指導をいただく必要がござ います。厳しく御指導、御鞭撻いただきながら、本当に充実した機能を果たせるも のになっていくように努力いたしたいと思っておりますので、今後とも引き続き御 指導のほどよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  今お話がありましたように、本検討会は、この報告書の提出をもって終了となり ます。しかし、実際上はこれからが大切なので、紙に書くのは簡単でございますが、 問題はこれからでございます。箕輪委員がおっしゃったように、委員の皆様方には、 これからもどうぞ国立施設について厳しく、温かくではなくて、厳しく監視をして、 その発展に御助言をいただきたいと思います。毎月1回というハイペースで5回検 討会に御参加いただきまして、本当にありがとうございました。  それでは、最後に、事務局より報告書の取扱いにつきまして、事務的な部分を御 説明いただきたいと思います。 ○難波施設管理室長 若干宿題をいただきましたので、少し修文を加えながら、ま た座長に最終的に確認をいただいて、成案を見たところで各委員の方々にはお送り させていただきたいと思います。  基本的には、ホームページ掲載という形になりますが、3月末めどぐらいで厚生 労働省のホームページに載せたいと考えてございます。したがいまして、今後につ きましては、先ほど申し上げたとおり、国立施設の組織をどうしていくかという次 のステップに移っていくわけでありますが、委員の皆様方には、今後とも御指導の ほどよろしくお願い申し上げたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。 ○伊藤座長 ありがとうございました。  それでは、これをもちまして、検討会を終了させていただきます。ありがとうご ざいました。 【照会先】  [国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会事務局]   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部   企画課施設管理室指導係   電話:03-5253-1111(内線3085)