09/03/23 第2回生活保護制度に関する国と地方の協議議事録 生活保護制度に関する国と地方の協議(第2回)議事録 日 時:平成21年3月23日(月)18:00〜18:58 場 所:厚生労働省5階 共用第7会議室 出席者:谷本石川県知事、阿部川崎市長、岡崎高知市長、舛添厚生労働大臣 議 題:取りまとめについて ○舛添厚生労働大臣 では、始めます。  お持たせ申し上げて済みませんでした。今日は遅い時間にもかかわりませず、この「生活保護 制度に関する国と地方の協議」のために、遠方からお集まりいただきましてありがとうございま す。  まず、日ごろから皆様方にこの生活保護行政、社会保障施策の第一線で御尽力いただいており ますことに心から感謝を申し上げたいと思います。  昨年来の経済危機ということで、本当に生活保護を含めて労働問題、生活支援の問題が大変大 きくなっておりますので、現場の窓口の自治体の職員さんは大変な状況だと思います。  我々もハローワークで同じことを経験しておりますので、とりわけこのところ生活保護は急増 しているということでございますので、本当に皆様方に御苦労をかけておりますことを重ねて感 謝申し上げたいと思います。  この社会保障施策というのは、言うまでもありませんけれども、国と地方自治体がきちんと連 携してやらないとうまくいかない問題でありますので、こういう協議の場を持たせていただいて いるわけであります。  昨年夏の地方分権改革推進要綱を受けまして、昨年11月に皆様方と第1回目の意見交換をさせ ていただきました。その後の進め方として、まず全国知事会、市長会が推進する地方自治体の関 係職員と厚生労働省の担当者により自立支援のあり方、医療扶助の在り方及び漏給・濫給防止対 策の在り方を中心に論点整理を行って、その後、このメンバーによって再度議論をして行うとい うことにしております。  先日、この事務的な論点整理が終わったということを事務方から報告を受けましたので、その 論点整理を取りまとめのたたき台として、お手元にこの「生活保護制度に関する国と地方の協議 のとりまとめ(案)」を置いておりますので、後ほどその内容を確認した上で取りまとめに向けて 意見交換を行いたいと思います。  まさに就労支援、そして最後のセーフティネットであります生活保護が今ほど重要なことはご ざいません。今ほど国と地方が連携する必要が重要な時期はないと思いますので、どうか皆様方 の御意見をよろしく、忌憚なくおっしゃっていただければと思います。  今日はありがとうございます。 (報道機関関係者退室) ○舛添厚生労働大臣 私のあいさつを先にいたしましたけれども、申すまでもないのですけれど も、改めて出席者の御紹介をいたします。  谷本石川県知事です。  阿部川崎市長さん。  岡崎高知市長さんでございます。  大村副大臣が所用により欠席でございますので、今私が申し上げましたことに続きまして、事 務方の方に、今、私が申し上げたとりまとめの案について先に説明をさせたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○古都保護課長 社会・援護局の保護課長でございます。  お手元の資料1と2「生活保護制度に関する国と地方の協議のとりまとめ(案)」。  それから、その案の概要という2種類で簡潔に御説明をさせていただきたいと存じます。  先ほど大臣からございましたように、昨年の11月にこの会議の場で御指示いただいたことをい ろいろ議論を深めさせていただきまして、全国知事会、全国市長会から推薦いただいた方々と、 私どもも保護部局だけではなく、労働部局等々も一緒になって御議論させていただきました。誠 にありがとうございます。  とりまとめの案でございますが、全体を概要の方で御説明させていただこうと思いますので、 横の表をごらんいただきたいと思います。  冒頭「はじめに」ということで整理をさせていただいております。  「はじめに」のところで、協議の経緯と現状の認識、それから社会的セーフティネットの在り 方と本協議における検討の視点等々を資料1−1から3で整理しておりますが、要点は概要にござ いますように、1つは今回の協議の位置付けが、地方分権改革推進委員会の第1次勧告を受けて、 国と全国知事会及び全国市長会とで協議を行って、生活保護制度の改正の方向性を得ることを目 的とするという趣旨でございます。  検討の内容につきましては、先ほど大臣からございましたように、生活保護制度の創設後50年 以上経っておりますので、社会環境の変化に対応できるよう、自立支援、医療扶助、漏給・濫給 防止対策等について運用面の見直しを中心に議論いたしました。先ほどございましたように、近 時の深刻な経済・雇用情勢を踏まえますと、当然この場で知事からも御発言がございましたよう に、労働施策・社会保障施策との関係も視野に入れて検討させていただいたところでございます。  「とりまとめの方針」といたしましては、(1)速やかに対応する必要がある事項、(2)実務的な意 見交換を行い、成案を目指す事項、(3)審議会、委員会などにおいて中長期的な検討が必要な事項 に整理をさせていただきました。  資料1の3ページの3つ目のパラグラフ「また」以下にございますように、今後、中長期的に 検討が必要とされた事項の検討に当たりましては、雇用・労働施策、年金制度などの社会保障制 度全般を含め、専門家などが参加した審議会、委員会等の場において、幅広い議論を行い、見直 しに着手する必要があるという御意見でございましたので、今後の手続についても、取りまとめ てございます。  資料1は、4ページ以降でございますが、概要の方は1枚おめくりいただきまして、自立支援、 これは3つの観点で分けてございます。  1つは、速やかに対応する必要がある事項といたしまして、主なものを挙げておりますが、国 が自立支援プログラムの具体的内容や実施手順を示すなど、取組を支援するということでござい ます。  今回、職業安定局等も入ってかなり議論させていただきましたけれども、現在生活保護の受給 者が利用しにくい状況にあるのではないか、就労支援策がより適切に提供されるよう、国と地方 が連携してその活用を促進すべきだということでございます。  就労意欲の十分でない方、就労意欲の十分な方はそのままいろいろできるわけでございますが、 意欲が十分でない方やさまざまな就労阻害要因を抱える方などについても、既存の就労支援では 対応しにくい場合があるのではないかという御指摘がございまして、そういった方々についての 就労支援も推進していきたい等々がございます。  2つ目、実務的な意見交換も行い、成案を目指すということでございますが、今、貧困の連鎖 等々の問題があるという議論もございますので、若齢世代の自立支援を充実させるために、福祉 部局だけではなく、教育部門との連携を図って支援体制の強化などの取組について検討していき たいということです。  それから、まさに生活福祉資金貸付制度、現在、都道府県等の御協力を得て、社会福祉制度で 貸付をやっておりますけれども、これを更に利用しやすい制度にする必要があるということです。  更にリバースモーゲージ、高齢者が資産をお持ちのような場合に、現在貸付けで対応しており ますが、それについてもなかなか利用が進まない点については、事務の簡素化などが必要ではな いかという御意見でございます。  主な点はこういう御意見でございました。  それから、中長期的な視野で検討が必要な事項です。これは公平性の観点もございますので、 すぐに実施というわけにはまいりませんが、勤労控除の見直しなど、就労意欲を喚起し自立後の 安定した生活を確保する方策について検討する必要があるということ。  それから、生活保護の受給に至っていない低所得者層への自立支援の制度化についても検討す べきではないか。生活保護になる手前のものも中長期的に検討すべきではないかということでご ざいます。  それから、2つ目の柱でございます「医療扶助について」は、本編では7ページ以降に書いて ございますけれども、1つは、医療扶助の適正実施というのは、前回御議論になりましたが、こ れまで取り組んでおります長期入院患者の退院促進、頻回受診者への適正受診等の取組を引き続 き継続する必要があるということで整理されました。  それから、実務的な意見交換を行い、成案を目指す事項といたしましては、長期入院患者の退 院促進につきましては、ケースワーカー等々との情報共有、あるいは相談員を置くなどの具体的 な強化策について、協議の場でもいろいろ御提言がございましたので、検討していきたいと考え ております。  それから「(3)中長期的な検討が必要な事項」ですが、1つは、この場でも前回御議論になりま したように、医療費の通知等々で、窓口負担などが、どれだけかかっているかということを理解 してもらうことが重要ではないかということでございましたが、これらモラルハザード防止対策 についても、今後検討進めていくということ。  前回、高知市長さんからもございましたように、生活保護受給者への医療保険の適用について は、強い反対意見もございますので、中長期的な視点で慎重な検討を要する事項ではないかとい うふうに整理をさせていただいております。  3ページ、本体の資料におきましては、8ページ以降でございます。  1つは速やかに対応すべき事項といたしまして、相談者への細かな対応あるいは相談内容のチ ェック体制等々、それから、現在地における必要な支援の適正実施等々を速やかにやっていく必 要があるということです。  2つ目は、警察と連携した暴力団員対策をきちっと強化していかなければいけない。これが国 民の信頼にも結び付くという点でございます。  次に実務的な意見交換を行い成案を目指すものといたしまして、生活保護はいろいろ調査を行 っておりますが、資産調査につきましては、より効果的・効率的な実施について検討する必要が あるだろうということで今後進めていきたいと考えております。  それから、交通事故で医療扶助を適用した場合、第三者求償というものが、法制度が古いこと もございまして、制度化されていない。これにつきましては、中長期的に今後検討を進めるとい うことでございます。  実際議論に行っておりましたときに、4番目といたしまして、現場の事務は非常に大変になって おり、十分にケースワークができない状況にあるという意見が多々ございましたので、その点に ついて整理いたしておりまして、実務的な意見交換を行いながら、今後目指す事項といたしまし て、1つは、福祉事務所におきます電算システム、これを利用いたしまして効率的な事務を進め ることです。各自治体で大変すばらしい様式をいろいろつくっておられます。これを皆のものと して共有化したらどうか等々の御意見も出ましたので、そういうことを生かした事務の簡素化等 の方法について今後検討していく必要があるということでございます。  それから、福祉事務所におきまして現業職あるいは専門職などの職員の確保、あるいは関係機 関等の機能や役割分担を踏まえた適正な実施体制について、福祉事務所の機能をどうつくってい くかということについて、よく自治体と協議しながら検討するということでございます。  それから人材育成、これが非常に重要になってきております。ベテランが減ってきている現在 におきましては、国が標準的な研修内容を示すなど人材育成の方法についても、今後検討しなけ ればならないということでございますし、国、都道府県、実施機関の役割分担も含めて、体系的 な研修を実施することが重要ではないか。こういう論点を整理いたしたところでございます。  以上、駆け足でございますが、概要で御説明いたしましたが、詳細につきましては、資料1の 案の方で、まとめさせていただいております。  以上でございます。 ○舛添厚生労働大臣 ありがとうございました。  それでは、意見交換に移らせていただきますけれども、まず私の方からこのとりまとめ案に関 しまして一言御意見を申し上げたいと思います。  先ほど申し上げましたように、今は非常に経済情勢が深刻で、特に雇用のデータは遅行指数で 後からやってきます。残念ながら、すぐ好転するということではなくて、今後さらに厳しい状況 が続く。特に年度末を控えますので、非常に深刻に考えております。  今日もたしか景況感が出ていたと思いますけれども、最低の数字が出ているので、いかんせん 雇用にしても何にしても、景気がよくなる、経済はよくならないと最終的な解決にならないので、 まずそれが大きなネックであります。  そして、雇用・失業情勢では、完全失業率4.1%、これは前月よりも若干改善したと言っても、 いろいろな理由があるので、有効求人倍率が0.67倍というのは、たしか10何年ぶりに悪い数字 だと思います。ですから、非正規労働者の解雇、雇い止め、その他の問題を含めて、正月の日比 谷のテント村以来大きな問題になっておりますけれども、これが正規労働者の雇用へ広がってい くということを大変気にしております。  そういう中でどういうふうにしてセーフティネットを張り巡らしていくのかということが大事 で、生活保護に至るというのは最後のラストリゾートですので、その前にやることがいっぱいあ る。  まず失業させないということで、失業防止という、これは雇用保険のネットワークを扱って、 特に雇用調整助成金の拡充をしておりますので、1月で88万人分の応募がありました。  先ほど4.1%という、若干改善したというのは私は2つぐらい理由があると思います。  1つは、失業率というのは求職者の数ですから、職を探しても見つからないと思って、そもそ も行かない人が増えたというのは、恐らく分母が減ったということがあるとともに、もう一つは 88万人の人が、雇調金で雇用が維持されているというのは、これは数字が出ていると思いますの で、一定の成果は上がっているというふうに思っております。  今回の雇用保険法の改正案は、衆議院では修正可決されましたけれども、いずれにしても、適 用基準を1年以上6か月に短縮するということで、緩和をしているところであります。  そういういろいろな雇用保険上のネットワークを張り巡らしていったところで、ラストリゾー トとしても生活保護制度ということで、冒頭お話し申し上げましたように、どんどんこの数が増 えている。皆さん方の地元もそうだと思います。  したがって、いろんな意味での今日のような意見交換をきっちりやっておく必要があると思い ます。  まず、自立支援について、これは特に重要で、自立していただくのが最高の施策なわけですか ら、ハローワークなどで就労支援策を一生懸命やる。これはワンストップサービスを設けてくれ とかいろいろな声がありますから、どこの窓口に行こうと、自治体の窓口に行こうと、我々のハ ローワークの窓口に来ようと、連携さえ進んでいればいいという話です。   今度の緊急の4,000億円の基金を使って都道府県でセンターをつくれば、そこへ我々ハローワ ークから人を常駐させるということも考えており、事実上ワンストップができるような状態にな っておりますので、是非ハローワークと自治体との協力を進めたいと思いますので、その点よろ しくお願いしたいと思います。  次に、医療扶助ですけれども、毎回難しいのは、必要な医療が抑えられてはいけません。しか し、モラルハザードをどうするか。これはもう生活保護だけではなくて、すべての社会保障につ いて言えることでありますので、今のように大変難しいバランスの取り方ですから、これはとり まとめ案にも書いてありますように、じっくり時間をかけて検討を皆さんとしたいと思っており ます。  それから、漏給・濫給防止も、どうするかということ。これは人材育成も含めて、体制整備、 こういうことも議論をしたいと思います。  特にこういう大変な経済情勢、雇用情勢になって国民の関心がセーフティネットに本当に向い てきていると思いますので、今まではともすれば生活保護だけに特化して議論をしていたような きらいがありますけれども、1つのシークエンス、シーケンスというのは、連続していて、まず 失業させない雇調金がある。失業したらハローワークに行く。職を求める。住居もどうするか。 そういう中でも最後の手段として生活保護。日比谷のテント村もかなりの数の方々が生活保護と いうことになった。社会保障全体のシステム、セーフティネットの中での生活保護という位置付 けをして、本当に最後のとりで、ラストリゾートなので、その前にやるべきことは、国も自治体 もしっかりやるべきだという認識の下に、今お話ししました医療扶助などについての生活保護の 問題についてきちんと議論をしていくことが必要だと思います。特に中長期的な課題もあります ので、専門家が参加するような検討の場を設けて、そういうところで検討すればどうかというふ うに思っております。  皆さん方だから御意見を賜った上で、連携して、この問題解決に向けて積極的に取り組まれる ような方向づけをしたいと思っておりますので、どうかひとつ、よろしくお願いいたします。  ちょっと長くなりましたが、私の方からのコメントでございます。  次に、谷本知事の方から、御発言いただければと思います。 ○谷本石川県知事 今、とりまとめ案の御説明がありましたが、大臣の方からお話がございまし た現場の第一線で保護行政に取り組んでいるという自治体の意見が多く反映されているのではな いかと思います。  今後、専門的な検討に委ねるという部分もあるわけですけれども、現在の保護制度が抱えてい る課題とか、制度の見直しの方向性について国と自治体が問題意識を共有できたと受け止めてい るわけでありまして、今後はこれをよりどころにして、現場の自治体の意見を十分お聞きをいた だきながら、是非制度の具体的な見直しを確実に進めていただきたい。総論的にはそのように思 います。  その中に大臣も自立支援について触れてございました。特にこれは重要だという御発言がござ いましたが、私も同じ思いでございます。生活保護を受けております稼働年齢層、20歳から59 歳の8割の方が未就労ということで、こういう事実があるわけでありますので、そういうことを 考えますと、効果的な自立支援、就労支援を行っていくというのは大変大事な課題だと思います。  そういう中で、今回自治体とハローワークの連携という話が大臣の方からもございました。ハ ローワークはさまざまな就労支援のツールを持っておられるわけです。障害者の就労支援とか中 高年齢者の就労支援とか、いろんな支援措置を用意しておられます。  片や生活保護受給者の個々の状況を熟知しているのは、自治体、福祉事務所でありますが、そ この連携が、必ずしもうまくいっていない。ハローワークからは直接生活保護に積極的に関わり は持っておられない。福祉事務所も、ハローワークがどんな支援ツールを持っているのかよくわ からないというところがありますので、ここはやはり抽象的な話ではなしに、ハローワークと自 治体、とりわけ福祉事務所ですね。ここが緊密に連携をするための具体的なシステムづくりを図 っていく必要があるのではないかと思います。  幸いこれはすべて厚生労働省の所管ということでもございますので、そういった協議の場を持 つということが、大変大事ではないかと思います。これは今回の案の中にも盛り込まれておりま すので、そういうことは是非具体的に進めていかなければいけないという思いがしております。  もう一つ、自立支援の際に、前回も私は申し上げたかと思うのですが、ケースワーカーの皆さ ん方が自立支援のお手伝いをされるわけですが、特に我々ジョブカフェ石川で、フリーターとか ニートの皆さん方の就業支援をやっておりますと、こういった皆さん方に就業カウンセラーがい ろいろお手伝いをするのですが、まず心の扉を開かないとどうしようもないということで、下手 をすると就業カウンセラーがノイローゼになってしまうということはありますので、ここはやは り臨床心理士とか社会福祉士とか、そういった心の扉を開く専門家の皆さん方も一緒になって取 り組んでいくということが、遠回りのようだけれども、そういうフリーターやニートの就労への 道を開く確実な方策ではないかと私は思いますので、そういうところも具体的に工夫をしていく 必要があるのではないかと思います。  医療については大変難しい問題でございますので、いろいろな面から検討していく必要があろ うかと思いますが、現下の雇用問題についても大臣、幾つか触れておりましたので、私の方から も幾つか申し上げさせていただきたい点がございます。  石川県も大変深刻な状況になって、有効求人倍率は0.71なのですが、去年の今ごろは1.3か1.4 くらいありましたので、急激にこの有効求人倍率が低下していっているという状況がございます。  そういう中で、生活保護費も石川県は低い方から8番目なのですが、それでも2月の申請者が6 割増しという状況で、最後のセーフティネットが最初のセーフティネットへとどんどん変質をし ていっているという状況がございます。  そのために、生活保護に転落をさせないという手だてが大事だということで、大臣がおっしゃ っていました連続した取組、そういう中で雇用調整助成金なのですが、これは厚生労働省に迅速 に対応していただいて、従業員要件を撤廃をしていただいたというのは非常に賢明な選択であっ たというふうに思います。  お陰様で石川県でも、既に約600社の皆さん方に御利用いただいていまして、約2万2,000人 の雇用が、この雇用調整助成金で維持されているということでありますので、ある意味では失業 予防に大変大きな効果が発揮されているということでありますし、今後もさらにこれは拡充され るという話を新聞等で拝見しておりますので、是非早期の実現をお願いしたいと思います。  そういうような中で幾つか現場から課題も出てきております。現在の中小企業の皆さん方から は、従業員を休業させるわけですから、長期に休業させるということはモラルの低下につながっ ていくので。教育訓練を是非させたい。これは6,000円出るということになっておりますけれど も、その際に特に実技を伴う訓練、これはやはり自分の会社であることは、中小企業では大変難 しい。行政で是非講座の開設とか講師の派遣をして欲しいという声が多く寄せられております。  石川県では今、職業訓練校持ち合わせておりますので、そこにはいろんな機械設備もあります ので、そこで物づくりの実技を教えるオーダーメイド型のセミナーを開催しようということにし ておるのですが、地方ではこういった機械や設備を持ちながら実技を教えるという受け皿が実は 余りないのです。  もう廃止をされるという雇用・能力開発機構、別に衣替えするということですが、ポリテクセ ンターという一時は大変評判が悪かったみたいですが、ポリテクセンターというのがあるのです が、ここで在職者向けのこういう職業訓練を是非やって欲しいということを我々はお願いしてい るんですが、今ひとつポリテクセンターが煮え切らないところがあるんです。  何故なのかといろいろ聞いてみますと、やはり行革の中で人を減らされている。失業者の訓練 はできるのだけれども、教育訓練まで手が回らないという話になるわけです。  ここは正規の職員を雇うことは難しいのでしょうけれども、例えば OB などを再任用して応え ていくということは可能なのではないか。  もう一つ、独立行政法人化の議論の中で、ポリテクセンターは、高度な技術を教えるという役 割が限定されてしまった。中小企業に働いている従業員の実技訓練みたいなものは、高度な技術 ではないので実施できない。これは行革でそう位置付けされたのかもしれませんけれども、今や 雇用が総崩れという状況になっています。中小企業の皆さん方の休業中の従業員のモラルを低下 させないためにも、やはりそういった教育訓練の受け皿、これは期間を限定してもいいと思うの ですが、やはり柔軟な対応を行革で一遍決めてしまったから、中小企業向けの訓練はしないのだ という行革の趣旨は勿論わからなくはないのですが、今この状況を考えれば、そういった実技指 導ができる設備機械を持っているのは、地方では職業訓練校とポリテクセンターです。ですから、 ポリテクセンターにも、是非中小企業の教育訓練の受け皿になっていただきたいということです。  もう一つは、トライアル雇用というのはあるのですけれども、企業での実習を通じて求職者の 適性を見極める、これは大変有効だということで、石川県では、平成13年ころから、ジョブトラ イアル、採用前に1か月間職場実習をしていただくという制度を設けまして、やってきていまし て、ここ6年くらいで6,000人くらいにトライしていただいて、約6割が再就職につながってい るという成果も出ております。  我々は試しに雇っていただいた1か月は、我々の方で生活費は負担をします。企業には負担を させません。約11万円くらいです。  企業の方には、お手数をかけるので1万8,000ほど手当を支払います。それで、1か月間雇って みて、この人間はものになるということであれば本格雇用につなげていただきたいということで、 これは打率6割ですから、相当大きな成果が上がっているのではないかと思います。  そこで、同じ趣旨の制度が国にもトライアル雇用という制度があるというふうにお聞きをして おります。奨励金を出しておられるということなのですが、図を見ていただいた方が早いと思う のですが、実はこれは45歳以上の人は雇用保険受給資格のある人しか対象になっていないわけで す。  40歳〜44歳、何故か知らないが、そこが対象になっていない。  若年層は雇用保険の受給資格者も、雇用保険の受給資格のない人も対象になっている。極めて もモザイク状というか、考え方が全くわからない。いろいろな歴史の積み重ねの中でそうなった と思うのですが、今の雇用状況を考えれば、年齢を問わず、雇用保険の受給資格のあるかないか を問わず、すべてを対象にすべきではないか。今はそういう時代ではないかと思いますので、是 非その辺は、その制度の見直しを是非図っていただきたいと思います。  最近新聞等を読んでおりますと、雇用保険の受給資格のない方でも長期の訓練をやってもらう、 その間生活費は手当てをするという仕組みをつくろうという話がありますけれども、私はそれに 加えて1か月間の職場実習期間中も、是非必要な訓練手当、生活費を保障するような措置を併せ て講じていただかなければ、本格的な雇用につながっていかないのではないかと思いますので、 是非そうした点を考慮いただいて、具体の制度設計を是非お願いしたいと思う次第です。  最後話は横道にそれましたけれども、雇用問題の話がございましたので、若干御提案をさせて いただいた次第でございます。 ○舛添厚生労働大臣 ありがとうございました。  それでは次に、川崎市の阿部市長からお願いいたします。 ○阿部川崎市長 川崎市長の阿部でございます。  このとりまとめ案を見て、今まで地方自治体側でいろいろと言ってきたことが随分入っている なということで、このまとめについては私も評価をしたいと思うのですが、その中で、検討する ということになって検討していただくのは結構なのですが、できるだけ早く結論が得られるよう に、いろんな英知を集めて取り組んでいただければと思う次第でございます。  今、舛添大臣から自立支援が大事だと、谷本知事からもそういう話が出ましたけれども、そう いう意味では生活保護制度の最も制度らしい問題が今起こっているのではないかという気がする わけです。  今まで生活保護制度は高齢者、単身者、病弱者ということで、構造的にある一定の区分けがで きると生活保護という形になってきて、構造的な問題だと言ってきたわけですけれども、今回は 稼働世帯がボーダーラインから生活保護に移りつつあるという意味では、最初に制度設計したと きの考え方に基づく生活保護対策をやっていかないといけない時期に来ていると思う次第でござ います。  その中で特に、自立支援対策ということでボーダーラインの人たちが落ちないように、それか ら、現在生活保護を受けている人が少しでも自立支援策によって、自立していけるようにという ことを本当に強力に進めていく必要があろうかと思います。  今日、私がこちらへ来る前に大阪市長から電話がありまして、実は大阪市長は政令指定都市の 代表で私の前にこれを担当していたわけですが、大阪市のいろいろな事情があって、私がピンチ ヒッターで引き受けてから、私は政令指定都市を代表するようになっているわけですけれども、 川崎市で生活保護費の予算が、一般会計予算の大体10%になっております。  そういう話になって大阪の市長が、大阪市は15%なんだということなんです。一般会計の15% ということはものすごく大きい金額でございまして、川崎市の自己負担分だけでも115億円くら いになるわけです。行財政改革で今まで6年間くらいで2,200人職員を削減して、200億円くらい 経費を削減したんですけれども、こういった地元負担が増えていきますと、それがみんな食われ てしまうという状況です。  財政の話は今回は特に取り上げないということですので、簡単にしておきますけれども、今回 は国の直轄事業の地元負担についておかしいではないか、減らしてくれという要望が大阪の知事 とか、いろんなところから出てきているわけですけれども、これはまさに生活保護についても、 ほかの公共事業の直轄負担率と同じような問題になって、総額として地方財政の圧迫要因になっ ております。  特に人件費については、川崎市の場合は不交付団体ですから、川崎市で216人いる生活保護の 担当者の人件費も丸々自分のところで負担しないといけないわけで、その部分だけ地方交付税が 増えてくれば別なんですけれども、不交付団体でみんな自分のところで割かないといけないとい う状況でございます。名古屋とか大阪などもそうだろうと思うわけです。  この辺のところ、地域的な偏在の問題とか構造的な問題について、制度設計全体について、で きるだけ早く根本的なやり方について検討していただく必要があるのではないかという具合に思 います。  地方自治体側で今まで提言している視点は3つありまして、1つは、稼働世代の有期保護制度 です。今回まさにその問題です。今まで働いてきた人が失業して、生活保護受給者になるという ことであります。まさしく稼動世帯が今回は保護対象者になってくるので有期保護制度の意味が 非常に大きなテーマになってくるだろうと思います。  もう一つは、高齢者の構造的な生活保障制度に今までやってきていたのですけれども、これに ついて生活保護の中で考えていくのか、あるいは別立ての高齢者の生活保障制度として分けて考 えるのかということを今はっきりさせていかないといけない事態になってきているなという実感 でございます。  先ほどボーダーラインの話がありましたけれども、まさしくこのボーダーラインをどうするか というのは、審議会等において各界代表者の参画を得て、制度内の議論だけではなくて、雇用・ 労働施策、あるいは年金制度、社会保障制度全般を含めて幅広い議論をしていただいて、抜本的 な制度の見直しに結び付けていくということが非常に重要であろうかと思います。  私からは特に強調しておきたいことは、もう一つございまして、それは担当者の人材育成です。 生活保護制度は丸々一人の人間、あるいは家族を対象にして、どういうお世話をするかという制 度ですので、これは物すごく単純に基準に当てはめて該当するとかしないとかいうことであれば 簡単なのですが、それ自体が非常に幅のある仕事でございまして、そうかといって簡単に認めて しまえば後々問題が起こる。そうかといって断れば断るで人権問題になるという非常に難しい問 題で、これを実際にどれだけきちんと対応できる人間がいるのかというと、川崎市の場合を見て も非常に疑問に思わざるを得ない状態です。  今回の自立支援のように、就労対策にウエートをかけて生活保護の担当者が取り組んでいくと いうのは、残念ながら今の段階では川崎市の生活保護の担当では難しいのではないかと思います。  自立支援というか、就労対策については経済労働局がハローワークなどと提携しながらやって いるわけですけれども、その中に果たしてどれだけ生活保護の受給者が入ってこられるのか。  別途ホームレス対策というのがありまして、ホームレス対策はホームレス対策として福祉の観 点からいろいろお世話しているわけです。こちらも就労支援に取り組んできているわけですけれ ども、ホームレス対策と生活保護対策の自立支援と、一般的な雇用・労働問題。これがセットに なって一緒になってやっていかないといけないのですけれども、残念ながら今までのところ、そ れを全体として取りまとめてマネージメントしていくだけの能力がないのが現状でございます。  生活保護の担当者がそこまで全部できるようになるには、スーパーマンになるような状態だと 思うのです。ですから、最低限度必要な能力を高めるような、人材育成の施策というのはどうし ても必要だろうと思います。  こういったことについては、全国の課題ですので、国でプログラムをきちんと立てて人材育成 のためにもっと積極的に乗り込んできていただきたいという具合に思う次第でございます。  医療費についても、比率からいうと圧倒的に高いわけです。これについても、かけ過ぎないよ うにという配慮はどうしても必要だろうと思うわけです。必要なのは当然必要でありますけれど も、これについてももう少し重視して考えていってもいいのかなという気がいたします。  とりあえず私からは、こんなことを意見として申し述べさせていただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○舛添厚生労働大臣どうもありがとうございました。  それでは、最後に岡崎高知市長から御発言願います。 ○岡崎高知市長 事務方も含めまして4回の会合を行いまして、先ほど御紹介いただいたように、 自立支援と医療扶助、また漏給・濫給の防止の3点を中心に報告書をまとめていただきましてあ りがとうございました。  また保護課の皆様方、地域福祉課の皆様方は年末・年始にかけて、派遣村の対応等で本当にお 疲れ様でございました。  大臣から御発言がありましたように、昨年の夏以降、秋から急速に景気状況が悪化をしており まして、全国的に生活保護が急増しているという状況があります。  特に市長会の立場で言いますと、市町村合併で町村の数が減って、どちらかというと市との合 併が増えたということで、県より市の方が持ちケースが多くなっていますので、いわゆる都市の 問題ということが、さらにクローズアップされてきておりまして、私たちの果たすべき責任も重 いと思っております。  今年度の高知市の状況から見ましても、申請件数も非常に増えておりまして、また開始の決定 理由でございますが、「稼働収入が減少した」という開始の理由決定が21.2%となっておりまし て、戦後の保護の開始の理由の中では昨年と比べますと、いわゆる所得の悪化による申請という 開始決定が昨年の1.5倍という状況になっておりますので、色濃く雇用悪化の状況が反映されて いると考えます。  大臣も触れられましたように、本年3月末で派遣の契約が切れるという方もおりますので、高 知県でも3月末に契約更新できないと言われる大手メーカーの社員の皆様方が今回約100人ぐら いおいでになるということで、むしろ大都市部と比べますと、人数的には少ないのですが、我々 のところでも100人雇用が切れてしまうという問題がありまして、今後の対応を心配していると ころでございます。  この報告書の中で自立支援プログラムというのがございますが、谷本知事、阿部市長からも御 紹介がありましたように、自立支援プログラムの検証と評価をする仕組みというものを作り上げ ていかなければならないと思っております。   「シームレス」という言い方なのか、いろんなものが連続しながら雇用保険の問題、年金の問 題、そして自立支援とか、ボーダーライン層の問題、最後に生活保護の問題ということに行くわ けですが、全体として雇用と景気の悪化の状況の中で、福祉と労働行政がうまくシームレスでつ ながっていくということが今問われているのではないかと思っております。  その中での、自立支援プログラムというものが現在いかに機能しているかどうかも含めて検証 と評価を行う仕組みというものが要ると思いますし、教育との問題とも関わりますので、生活保 護の中でいいますと、高等学校への就学費の充実など総合的な取組も必要だと考えます。  また、ケースによりますと、残念ながら就労意欲も余り高くないという方もおいでになります し、この自立支援プログラムがいかに有効に働くかどうかということを常に検証し、さらにいい ものに改善していくということが必要だと思いますので、もう少し掘り下げていった方がいいの ではないかと思っています。  もう一つは、「ボーダーライン層」の支援ということが非常に重要になると思っておりまして、 今、谷本知事が触れられましたように、若い方々への就労支援、そして中高年への就労支援と2 通りありますが、私どもも2通りの対応しておるのですが、一つは若い方々には若者就職応援セ ミナーという形で、私どもは2年間完全にフォローアップしています。就職応援セミナーは約60 名(平成20年から40名)規模で募集しまして、4か月後ぐらいでスキルアップをして集団面接を し、初年度の就労は大体50%〜55%くらいですが、翌年度も全部フォローアップします。2年間 完全にフォローアップしますので、2か年で最終での就労実績は70%を超えます。これはかなり 高い割合をキープしていると思います。  我々が悩んでおりますのは、いろんな意味で苦労しておりますのは中高年と高齢者です。特に 50歳以上です。職安に行かれても、皆さん方もよくわかられていると思いますが、50歳を超える と極端に仕事がない。ここをいかに支援していくか、私たちも何らかの形で支援したいというこ とで、中高年の雇用の安定に関する法律という法律もあるわけでございますので、私どもは民間 の方々の高齢者の雇用促進のための団体というものにつきましては、行政として出せる仕事を出 して、随契で対応しております。  随契の対応につきましては、いろんな制約もございますし、自治法の施行令の関係もあります。  これがもう少しうまく機能するようにということを御提案も申し上げておりますが、いまひと つうまくいっていないので、行政がそういうふうに高齢者の雇用促進につながる団体を認定でき るような、これは NPO とかいう団体でも構いませんので、認定した団体と随契ができるようなシ ステムを考えていただきたいと思っております。  障害者団体の場合は、当初は政令に入っていなかったのですが、随契ができるように政令改正 が追加でなされたのですが、中高年ももう少し考えていただきたいと思っているところでござい ます。  医療扶助につきましては、医療扶助の割合は非常に多いですし、医療費が伸びる中でどこで対 応するかということは大きな課題であると思います。いろいろ言われておりますように国保とい うお話もありますが、国保は非常に財政も苦しい状況で、しかも景気が悪い中で、今徴収率が非 常に落ちております。全国的にも徴収率が落ちておりますので、国保に持ち込むと国保自体が破 綻しますので、これは無理です。  いかにして対応していくかというのは大きな課題であると思っておりますので、保険の再編成 も含めて長期的に仕組み等を検討しなければいけないのではないかと思っております。  漏給の問題につきましては、深刻な状況もありますので、特に水道とか電気が止められる、ラ イフラインが止められるというケースについては、地域からその情報をいただくとか、民生委員 さんに情報をいただくということもきめ細かくやっていかなければならないと思っております。  先ほど阿部市長さんから人材育成のお話もございました。今、全国的に生活保護は伸びており ますので、いわゆる国が決めておりますケースワーカー1人あたり80ケースというのでいくと、 大幅に人員が不足をするという状況が増えてきていると思いますので、私どもは社会福祉士など の資格を持った方を、非常勤特別職で雇っております。生活保護事務支援員とか、面接では、面 接の相談専門員という方々を入れております。これは職安などを退職された方を雇い直すという 形で、非常勤特別職として入れていますので、80ケースの計算の算定の中に、こういう非常勤特 別職の方々も入れていただくような柔軟な計算も認めていただかないと、今の行革の中で、我々 も必死になって行革をしておりますので、全国的に今の生保急増の中で持ちケース80ケースで計 算すると、ものすごく人員が不足することになると思います。その対応については柔軟に考えて いただいたらと思っております。  生活保護は58年経過しまして、大きな部分で制度的にいろいろな改革を迫られていると思って おります。大臣が最初におっしゃられたところの、うまく社会保障全体が機能するか、シームレ スという言い方だと思うんですが、うまくつながって最後に生活保護が働くということが重要だ と思うのですが、制度的にほとんど抜本改正されておりませんので、ちょうど転換期にあるので はないかと思います。  そういう中では社会保障審議会のような全体の審議の中で、もう少し制度全体を守っていくた めにはどうするべきかという抜本的な論議というのは今後とも継続されていくべきではないかと 思っております。  以上でございます。 ○舛添厚生労働大臣 どうも皆様方ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただきまし て、谷本知事さんの雇用に対する御提言は大変有効だと思いますので、検討させていただきたい と思います。  メディアを含めて、たたくときは、雇用・能力開発機構みたいなものは要らぬということでど んどん減らせということ。 ○谷本県知事 今、ポリテクは教育訓練の受け皿として必要です。 ○舛添厚生労働大臣 こういう状況になったら足りないということになる。どういう状況にあっ ても、大体セーフティネットとか社会保障というのはある程度のゆとりがないと無理なんで、そ れを無駄と言われると、ケースワーカーの数の話をなさいましたけれども、本当に豊かな社会と いうのは、車のハンドルの遊びと同じで、若干遊びがないと、こういう緊急事態に対応できない わけです。だから、民にできることは民でいいわけです。しかし、官しかできないものは、官が ちょっとでもゆとりがあると、役人の数が多過ぎる。何がどうだと。今度足りなくなったら何と かしろと言う。私に対する要望事項は1年前と全く逆です。ほかの省は大臣がころころ代わるか らいいけれども、私は代わっていないので、要するに去年も今年もやっているので、そういうと ころは是非。 ○谷本県知事 去年の今ごろと雇用に関わる問題の根本的に変わってきたのです。 ○舛添厚生労働大臣 是非そういう地方の声を、援護射撃してくれないと私は持ち切れませんの で、よろしくお願いします。  雇用問題は大変重要なので、是非検討させていただきます。 ○谷本県知事 トライアル雇用についてこれだけ隙間があるのは説明ができないのです。 ○舛添厚生労働大臣 制度設計のときにつぎはぎで、まず若い人を救おう。それからといったら、 現場から見るとぐしゃぐしゃになっているわけです。それは是非何らかの形できちんと対応した いと思います。  方向づけはできましたら、こういう方向になりますということをお知らせするようにいたしま す。  今のポリテクセンターを含めて、OB の採用を含めいろいろやっていきたい。  高知でも同じような就職セミナー的な2年間ということで、やはりフォローアップをいかにす るかということで、こういうことも若干の人員の余裕がないと難しいので、日本社会全体という か、世論全体がこういうピンチの経験を通して、バランスのあるゆとりのある議論ができればな という気がします。右から左に大きく揺れるのではなくてね。  昔はメディアの中でも、どっと流れたときに、ある一つのテレビ局だけとか、ある一つの新聞 社だけは、あまのじゃくみたいなことを言う人がいたわけです。ところがそれがいなくなったと いうのは、健全な民主主義なのかなという気がするわけです。みんなでたたく、たたかれたら終 わりになってしまうので、市長さんや知事さんに、あまのじゃくになれとは申し上げませんが、 そういう成熟した民主主義というのは、みんながポリテクセンター要らないというときに、いや 要るよという人がいて、その人をつるし上げるというのではなくて、そういう意見もあるかなと いう幅の広い議論をやっていけるような成熟した社会になる。これはメディアを含めてです。そ ういうこともこういう機会に考えたいと思っております。  それから、阿部市長さんや、岡崎市長さんからもありましたけれども、生活保護制度自体を根 本的にどう見直すのかというのは、中長期的な課題で、そろそろ考えてもいい。最後の砦が余り 大きな砦になり過ぎるというのはいかがなものか。最後の砦の中にこもっていれば安住できると いうのでは砦から出ていくというインセンティブがなくなります。だから、砦に入る前にいろん なことがあるというのがいいことなので、阿部さんがおっしゃったのか、高齢者の生活保障をど うするのかということと生活保護の問題というのは、これからどんどん高齢社会になるので、定 年延長とかを含めて社会全体の在り方として、人生85年ビジョンでは私が大臣になってすぐに検 討したんですけれども、そういうことも含めてやっていく必要があると思います。  最終的に皆さん御指摘になったのは、人材育成がいかに大切かということです。それこそフリ ーターやニートの人の心を開こうと、ケースワーカーの心が閉じてしまうということになっては いけないので、これは少し、社会心理学というのは諸外国に比べて非常に人の数が少なかったの で、この養成も、これは文部科学省との連携もありますからやっていきたいと思います。話して いるとどんどん時間が経ってしまいますが、大変幅広い貴重な御意見をいただきましたので、そ ろそろ閉じる時間になりましたけれども、皆様方の御意見を生かした上で、私はこれを厚生労働 行政に生かしていきたいと思いますが、とりあえず今日お話しいたしましたこのとりまとめの案 を、国と全国知事会、全国市長会との協議結果ということにさせていただきたいと思いますが、 御異議ございませんでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○舛添厚生労働大臣 ありがとうございました。  それでは今日は協議を終了させていただきます。  今日はお忙しい中ありがとうございました。                        (照会先)                          社会・援護局保護課企画法令係                          電話03-5253-1111(内線2827)