09/3/18 第51回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成21年3月18日(水)11:56〜1:12 2 場   所   グランドアーク半蔵門 富士・西の間(4階)  3 出 席 者  遠藤久夫委員 牛丸聡委員 庄司洋子委員          対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 松浦稔明委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 渡邊自修専門委員          <事務局>          水田保険局長 榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○部会長の選挙について          ○平成20年度薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされ た事項について ○事務局(磯部薬剤管理官)  現在、部会長が不在の状況でございますので、部会長が選出されるまでの間、薬剤管理 官である私がかわって本日の薬価専門部会の司会進行役を行うことでよろしいでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○事務局(磯部薬剤管理官)  それでは、ただいまより第51回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開催いたしま す。  まず、委員の出欠状況について御報告します。本日は北村委員が欠席でございます。そ の代理で日本経団連経済第三本部長の今井克一さんがお見えになっておられます。  前田部会長が2月28日付で任期満了のため退任されておられます。そのため部会長の 選挙を行う必要がございます。社会保険医療協議会令第1条第6項の規定により、部会に 部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員 が選挙することとされています。部会長につきましては、総会の例によれば、1号側及び 2号側の御意見を伺った上で、御賛同があれば、決めていくということになっております。 薬価専門部会の部会長についてもこのような方法をとりたいと考えますが、いかがでござ いましょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○事務局(磯部薬剤管理官)  どうもありがとうございました。そのように進めさせていただきます。  まず、2号側の委員から御推薦をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お願 いいたします。山本委員。 ○山本委員  前回もこの場で御指摘がありましたように、今回、前田委員が部会長になられないとい うことは大変異例な事態であると私どもは認識しております。現在も今回を含めて薬価維 持特例等、薬価に関する大変大きな問題を議論しておりまして、その空白をあけるわけに はまいらないと考えておりまして、これまで薬価問題等につきましては、遠藤会長が大変 長い間やっていただきましたことと、大変お忙しいとは思いますけれども、こうした事態 をうまく乗り切っていただくには私どもとしては遠藤先生しかいらっしゃらないと考えて おりますので、御多忙と存じますが、私どもは御推薦したいと存じます。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  続きまして、1号側の委員、いかがでございましょうか。 ○対馬委員  今の2号側の御提案に全く異議がございません。遠藤先生は大変お忙しいですけれども、 また幾つか兼ねていただいていますので、大変恐縮ですけれども、どうぞよろしくお願い したいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ありがとうございました。2号側、1号側とも遠藤委員を御推薦いただきましたけれど も、遠藤委員に部会長をお願いするということでよろしいでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ありがとうございました。それでは、遠藤委員に部会長をお願いしたいと思います。  まず、遠藤部会長より一言御挨拶をお願いいたします。 ○遠藤部会長  ただいま両側から御推挙いただきました遠藤でございます。3年ほど薬価部会の会長を やっておりますけれども、前田前部会長に引き続きまして再び薬価部会の座長をさせてい ただきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ありがとうございました。  それでは、今後の議事運営を遠藤部会長にお願い申し上げたいと思います。よろしくお 願いいたします。 ○遠藤部会長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  公益委員が1人欠員になりますけれども、このことについて、どういう方向でいかれる のか、お考えをいただきたいと思います。 ○遠藤部会長  委員の構成につきましては、一応社会保険医療協議会が選任しまして、そして会長が指 名するという形になっております。私としましては、このことは総会で議論しようと思っ ておりますけれども、せっかくでございますので、今はとりあえず空席という形にさせて いただいて、新しい方が着任された段階で検討しようと考えております。ただ、このこと は総会で申し上げようと思っておりましたけれども、部会で自分の考え方をちょっと開陳 させていただきました。よろしゅうございますか。 ○藤原委員  はい。 ○遠藤部会長  それでは、議題に移らせていただきます。平成20年度薬価制度改革において引き続き 検討を行うこととされた事項について、本日の議題といたしますけれども、これは日本製 薬団体連合会が御提案されております特許期間中の新薬の薬価改定方式は、随分議論され たわけでありますけれども、事務局のほうでこれまでの議論の中での論点を整理していた だきまして、さらにその論点についての製薬業界としての具体的な対応についても本日お 話しいただいて、それを踏まえて新たに議論を続けるという形で本日は進めていきたいと 思っております。  事務局から資料が出ておりますので、御説明のほどよろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。資料薬−1をごらんいただきたいと思います。  前回の薬価専門部会におきまして北村委員のほうから御意見をいただきまして、前回、 市場拡大再算定を議題にして挙げさせていただきましたけれども、どんな段取りでこの部 会で議論していくのか、なかなか分からないと、何か突然の感じがするといった御意見も ございましたので、今後の段取りも含めまして、薬価部会の進め方、予定について資料1 枚にまとめさせていただいております。  この薬価部会は、次の薬価制度改革に向けたものとしましては、昨年の7月以降、特に 平成20年度の薬価制度改革で引き続き検討を行うこととされた事項について順次審議を していくということで、準備ができたものから進めさせていただいているところでござい ます。特に一番大きい問題については、特許期間中の新薬の薬価改定方式、業界から御提 案いただいているものでございます。そのほかにも、市場拡大再算定の在り方とか、後発 品のある先発品の薬価改定など、幾つも課題はございますけれども、それにつきまして準 備ができたものから適宜審議を進めていくということでこれまで来ているところでありま す。今日の場合につきましては、今、部会長からお話がありましたように、専門委員から の資料も提出されましたので、特許期間中の新薬の薬価改定方式の御議論になるというこ とでございます。今後といたしましては、薬価調査の審議、それから通例であれば薬価算 定組織からの意見聴取も行っておりますので、薬価算定組織からの意見聴取、それから、 前回もそうでございましたけれども、関係業界からの意見の聴取といったものを進めて、 また9月以降、全体を俯瞰してどのような整理ができるのかということの議論に入りまし て、12月を目途に薬価制度改革の審議取りまとめをする。通例、今までの流れからいき ますと、このような段取りになるのではないかということで、このような案をつけさせて いただいております。  加えまして、資料薬−2でございますけれども、これも今までお配りしておりますが、 どういう事項がいわゆる宿題、引き続き検討事項になっているのかということについて資 料をお配りしておりまして、中をごらんいただきますと、点線で囲まれた事項が引き続き 検討の事項ということでございます。  それから、薬−3でございますけれども、今日の御議論であります専門委員からの資料 でございますが、それに先立ちまして前回薬価部会でありました論点整理のペーパーにつ いても参考までにお配りさせていただいています。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  続きまして、製薬業界としましての御意見をいただきたいと思いますが、よろしくお願 いします。 ○長野専門委員  専門委員の長野でございます。お手元にお配りしております専門委員名の本日御説明申 し上げる資料に入る前に、私のほうから、口頭ではありますが、この資料に至る産業界の 中での議論の経緯といったものをここで御報告させていただきたいと思います。口頭で、 まことに申しわけございません。  昨年7月開催の当部会におきまして日薬連提案の薬価制度改革案につきまして専門委員 より説明をさせていただき、それ以降本日までその提案内容につきましてさまざまな御議 論をいただきましたことに、まずもって感謝を申し上げます。製薬産業界は、過去におき ましては、市場拡大再算定や先発品の特例引き下げ等、次年度の薬価改定論議の際浮上い たします薬剤抑制策の案にそのときどきに反対の立場を打ち出してまいりました。今日、 我が国におきます革新的新薬の早期創出あるいは国内未承認薬等への速やかな対応が喫緊 の課題として製薬産業界に強く求められているところと承知いたしております。製薬産業 界は、これらの諸課題を早期解決すべく、その下支えになる薬価制度について提案したと ころでございます。提案の骨格となります新薬の算定あるいは特許期間中の改定方式、及 び現在オールジャパンで推し進められております後発医薬品の使用促進について、今や産 業界は、受け身で制度改革と向き合うのではなく、みずから改革案を提案し、さらには改 革案検討の当事者として、薬価維持特例を導入した際の患者あるいは国民のメリットが早 期に見える形となり、実際のところ患者・国民が享受できるよう、まさに患者・国民のメ リットを第一義に考え、新薬あるいは後発医薬品の関係団体の会長・副会長等のトップが 議論を重ねてまいりました。  将来に向けて、世界に冠たる国民皆保険制度の維持・発展、そして公的社会保険制度の もとでの製薬産業の立ち位置などの議論も重ねてまいりました。本日、その状況・結果に つきまして、専門委員として表明できる言葉に取りまとめ、これから御説明させていただ く所存でございます。アンメット・メディカル・ニーズへの挑戦と成果の創出、我が国に おけるドラッグラグの早期解決、そして国民皆保険制度の維持・発展のもとでの我が国製 薬産業の国際競争力強化と我が国経済への貢献、これらをすべて実現すべく、今後も継続 して検討を行い、しかるべき時期に当部会におきまして関係団体の会長より、さらにブラ ッシュアップした提案をしてまいりたいと考えているところでございます。今後とも、私 どもの提案の薬価制度改革案につきまして、またその導入に向けた検討をぜひお願いする ところでございます。  冒頭の発言は以上にさせていただきます。  では、禰宜委員、よろしくお願いいたします。 ○禰宜専門委員  それでは、御説明いたします。専門委員の禰宜でございます。  平成20年12月17日の薬価専門部会で提示されました論点、薬価維持特例を導入す るメリット及び財政影響に関する業界としての取り組み状況並びに具体的な対応の方向性 につきまして御説明いたします。恐縮ですが、お手元の「薬価制度改革案の論点に関する 業界としての取り組み状況等について」の関連資料をごらんください。  まず、薬価維持特例の制度設計を御確認いただきます。次に、論点の一つでございます 薬価維持特例による患者・国民に対するメリット、すなわち医薬品に係る医療保険上の課 題でありますアンメット・メディカル・ニーズへの対応、未承認・未承認効能等、ドラッ グラグ解消への取り組みの状況を3〜7ページで御説明いたします。最後に、制度改革に よる財政影響につきまして、シミュレーションによる年度ごとの具体的な数字をお示しい たします。  それでは、まず関連資料の1ページをごらんください。現行制度の薬価推移をピンクの 実線で示しております。特許期間中におきましても、2年に1回の薬価改定で循環的に価 格は低下いたします。特許満了後の後発品の上市後の改定時に通常改定に加えて特例引き 下げが行われ、それ以降も市場実勢価格に基づき改定されております。グリーンの破線が 制度改革後の薬価推移でございます。特許期間中は、一定要件を満たしている場合は、薬 価が維持されます。しかし、一定の要件を満たさない場合は、現行制度に準じて通常の薬 価改定を受けることになるわけでございます。また、特許満了後の改定は、猶予された分 を一気に引き下げますが、後発品の使用状況や価格水準等で決定されることになります。  薬価維持特例の対象範囲について御説明いたします。特許期間中の医薬品、すなわち後 発品が薬価収載されていないもの、再審査期間中の医薬品、保険医療上不可欠な医薬品の いずれかの要件を満たす既収載品であって、当該医薬品の乖離率が薬価基準収載全品目の 加重平均乖離率を超えない医薬品でございます。  薬価維持特例の実施時期について御説明いたします。平成22年度薬価制度改革により 制度導入されるものとして、平成24年度の薬価改定時に初回の薬価維持特例を実施する ことと想定いたしております。これら薬価維持特例の詳細につきましては2ページに示し ておりますので、御参照ください。  昨年12月17日の薬価専門部会で提示されました論点は、薬価維持特例を導入するメ リット、すなわち革新的新薬の創出や未承認薬・未承認効能の開発促進、それから財政影 響であったと認識しております。まずはこれらの現状につきまして御紹介いたします。  3ページをごらんください。製薬産業は、革新的な新薬を創出して、疾病の予防・管理 ・治療を通じて、人々の健康増進と安心・安全向上に取り組んでおります。近年、医学・ 薬学のみならず、学際的な科学技術を駆使した研究開発の成果が少しずつ実を結び、アン メット・メディカル・ニーズへの高い、すなわち治療満足度の低い領域などに対応する新 薬が承認されております。ごらんの図は、2006年度から2007年度の2年間におけ る60の治療満足度調査対象疾患についての承認状況でございます。図では左下になりま すけれども、承認品目の約4割がアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患の新薬とし て承認されているということでございます。  それでは、次の4ページをごらんいただきたいと思います。これは、昨年9月24日の 薬価専門部会で長野専門委員から説明いたしました資料でございます。製薬企業は、治療 の満足度の低い疾患、医薬品の貢献度の低い疾患に対する治療薬の開発にも現在積極的に 取り組んでおります。国民の生命リスクあるいは経済的損失回避に向けた挑戦を現在も行 っているわけでございます。左下のところが現在アンメット・メディカル・ニーズの高い 疾病でございます。これらに対しての研究開発にも積極的に取り組んでいることがお分か りいただけるのではないかと思っております。  それでは5ページをごらんいただきたいと思います。アンメット・メディカル・ニーズ に対する現状の対応状況をお示ししております。上のほうの医薬品が存在していない疾病 に対する取り組みの状況は、先ほどお話したとおりでございます。各社が研究開発にしの ぎを削って競争しています。そのうち、技術的に開発の余地はあるものの、市場性の問題 等で未着手の分につきましては、個々の製薬企業が治験を実施して、薬事法上の承認を得 るべく個別にチャレンジしているところでございます。  下のところでございますが、その他、既に医薬品として存在しているケースがございま す。国内で一部効能は承認済みでございますが、未承認効能の要請がある場合につきまし ては、製薬企業は公知申請、医師主導治験等によって薬事法上の承認を得るべく個別に対 応しております。今、小児薬物療法検討会では、各学界から要望が優先順位づけで提出さ れた成分のうち8成分について検討が開始されております。また、抗がん剤併用療法検討 会におきましても、抗がん剤の併用療法に関する検討がなされております。欧米で承認済 みでございますが、国内未承認、すなわちドラッグラグへの対応につきましては、未承認 薬使用問題検討会で学会・患者団体からの要望につきまして検討され、その中で44成分 につきましては治験が開始されるべきと判断されております。それを受けまして行政より 企業に対して開発要請がなされております。各社の対応により既にそのうち20成分が薬 価収載済みでございます。既に治験が開始されているものあるいは治験を終えているもの が10成分、治験実施企業を募集中の3成分を含めて14成分が、治験の開始・推進に向 け、その取り組みが要請されているものと認識しております。この図の赤地の部分が未対 応部分であり、官・医学界と連携を図りながら問題解決に向けた対策を講じることが求め られていると認識しております。  対応状況の詳細につきましては次の6ページに取りまとめておりますので、御参照いた だきたいと思います。  それでは、恐縮ですが、本文の1ページをごらんいただきたいと思います。薬価維持特 例導入の成果につきましては、前倒しで得られた収益を新たな研究開発に再投資して、革 新的な医薬品の創出に結びつけ、医療の進展に貢献することでありますが、その成果は短 期間では目に見えるものとはなりません。製薬業界といたしましては、未承認薬等への対 応スキームをスタートさせまして、患者・国民から強い要望のある課題を業界を挙げて迅 速に解決すること、薬価維持特例導入のメリットを短期間で国民に見える形にしたいと考 えております。その具体的な対応策につきまして、下段の5点に取りまとめておりますの で、一読させていただきます。  未承認薬・未承認効能の開発促進に関しては、研究開発型製薬企業等による業界横断的 な協力の下に、その支援を行う機能ないしは組織を新たに設ける。  製薬業界は、同機能ないしは組織の運営に必要な費用を拠出すると同時に、開発等に必 要とされるノウハウの提供や人的支援を行う。  「未承認薬使用問題検討会議」などの検討結果を受けて、国から対応が要請された案件 については、同スキームを通じ、開発企業や実施時期を明確にするなどして、着実にその 実施を図る。  薬価維持特例導入後、中医協において、各製薬企業における未承認薬・未承認効能への 取り組みの進捗状況について検証していくことを提案する。  なお、患者・国民が待ち望んでいる未承認薬・未承認効能の開発を着実に推進するため には、製薬企業と国及び医療関係者が協力して取り組んでいくことが不可欠であり、薬事 承認と市販後調査の在り方ならびに薬価における評価などについて、国としての積極的な 取り組みを求める。  今申し上げた内容をイメージ図で示しましたのが関連資料7ページとなるわけでござい ます。業界といたしましては、未承認薬・未承認効能対応プロジェクトを立ち上げ、現在、 詳細なスキームを検討しているところでございます。  次に、8ページをごらんいただきたいと思います。シミュレーションによる制度改革の 財政影響について御説明いたします。既にこれまで示してきましたシミュレーションにつ いて、制度改革の財政影響という視点で整理しました。上段に制度改革前薬剤費、後発品 使用前の市場推移を示しております。次に、後発品の使用促進効果をブルーのAの欄に示 しております。後発品のシェアの高まりによる長期収載品の減少額と、それに伴います後 発品の増加額を算出しております。例えば、2012年におきましては後発品使用促進効 果は2,785億円になっております。次に、薬価維持特例による影響額をB欄に示して おります。2012年には1,190億円の増加でございます。次に、制度改革による影 響額の合計を赤地のA+B欄に示しております。2012年度はマイナス1,595億円 になります。最下段に制度改革後の薬剤費の合計を示しております。2012年度の薬剤 費は8兆6,073億円を予測しております。  なお、シミュレーションの条件につきましては一切変更しておりませんが、御参考まで に9ページに前提条件を示しておりますので、御参照いただきたいと思います。  それでは、最後に本文2ページをごらんいただきたいと思います。後発品の費用促進へ の取り組みと、進まない場合の対応について御説明いたします。具体的対応として4点に 取りまとめております。順に御紹介いたします。  後発医薬品の使用を着実に進めるための方策については、平成19年度に策定されまし た「後発医薬品の安定使用促進アクションプログラム」に基づく安定供給、品質確保、情 報提供に係る諸課題について積極的な対応を継続する。  このほか、後発医薬品に対する国民・患者ならびに医療関係者の信頼性を高めるべく、 製薬業界自らがさらなる対応策を実施することとしている。  このような製薬業界も含めた関係者による最大限の努力をもってしても、後発医薬品使 用促進に係る政府目標と乖離が生じる場合は、薬価維持特例導入の実現を前提として、そ の財源影響ならびに平成22年度及び平成24年度の薬価改定の影響を勘案した上で、既 収載品の薬価において、一定程度対応することを考慮する。  また、薬価制度改革の実施以降、薬価維持特例の導入等による薬剤費の影響について検 証を行う。  このような後発品使用促進について、2012年30%達成に向け、業界としてもしっ かりと取り組んでいくこととしております。  また、未承認薬・未承認効能への対応につきましては、国民・患者の皆さんの要請も強 い事項でございますので、できるだけ早期に課題解決に取り組んでまいります。この取り 組みの進捗によりましては、薬価維持特例を前倒しで実施することも御検討いただく余地 があるのではないかと考えております。  以上で私からの説明を終わらせていただきます。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  それでは、事務局からの資料の説明と専門委員からの業界提案があったわけであります けれども、ただいまの業界提案についての御質問・御意見でも結構ですし、さらにもっと 広く薬価維持特例全般についてのお考えでも結構でありますので、どなたでも結構ですの で、自由に御発言いただきたいと思います。藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  少し基本的な質問になりますけれども、企業としてどれだけの利益があればここに書い てありますような革新的新薬の創出あるいは研究開発資金が必要なのか、その全く基本的 なところが見えずにこれまで何回も議論してきたように思います。確かなのは、一方では 株主配当は高水準で、役員や社員の給与も見えない。また、M&Aといいますか、会社の 企業買収なども報道される中で、そういったときの会社としての責任の在り方、そういっ たもろもろを含めた議論でないとこの話というのはなかなか理解が進まないのではないか と私は思いますけれども、その辺について御説明いただきたいと思います。 ○遠藤部会長  これは、専門委員、何か今のことにコメントはございますか。 ○長野専門委員  まさに企業の経営そのものに関する御指摘あるいは御質問だと思います。一言で御理解 いただけるような言葉はなかなか見つかりません。しかし、日本の国民皆保険制度、そし て公的な社会保障制度のもとで製薬産業はいかにあるべきかというのは、これからさまざ まの議論を重ねていく中で答えが出てくるかもしれませんし、非常に難しい問題かもしれ ません。企業もグローバルに今、日本国外でも業を営んでおりますし……。 ○遠藤部会長  了解いたしました。ありがとうございました。  ほかに御質問はございますか。どうぞ。 ○藤原委員  もう一つ。薬価維持特例なのですが、この提案そのものに先発品として利益を上げて、 それからストンと垂直に値を下げて、後発品と同じあるいはそれよりちょっと上にするぐ らいの値段にする。それは、先発品でもそれなりの利潤を上げて、後発品との競争の中で また同じような競争になってしまう。それでは大企業のひとり勝ちになってしまう。その 中で後発品を育てるところにどういう視点が働くのか、その辺が私にはちょっと見えない のですけれども。 ○遠藤部会長  その議論は昔もありまして、要するに価格を大きく下げるということになりますと、ジ ェネリックの唯一の競争優位性である価格が、先発品の価格がそれに接近するということ で、ジェネリックとの間でも勝ってしまって、まさにひとり勝ちになるのではないかとい う趣旨の質問が1号側から出たこともありますので、それについてはどのようにお考えに なりますか。 ○長野専門委員  短くお答えいたします。今御提案している内容では、累積分の引き下げを一括して行う という提案内容でございます。そのときに、後発品が余り進んでいないと、仮にそういう 事態であれば、その引き下げあるいは後発品との薬価の差というものを御検討いただいて 御決定いただくと、結果的に後発品の使用促進が進むようにということをその時点で判断 いただくことになろうかと思います。 ○遠藤部会長  よく分からなかったですね。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  御提案いただいた中身は、去年の夏からいろいろ議論してきておりますので、おおよそ のことは想像ができたわけでありますが、今回1枚もので出てきました業界からの御提案 の中で幾つか新しい提案があって、アンメット・メディカル・ニーズを含めた、みんな逃 げてしまうのではないかという御指摘があった部分には、業界としてはきちんと機関をつ くって、そうしたことが起きないように、受け皿がないところについてもそうしたものも 開発していくとか、あるいは中医協にその進捗状況を伝えるという、かなり踏み込んだ言 い方にはなっていると思うんです。その中で、例えば今、中医協に各企業の取り組みにつ いて報告しましょうということになるわけですけれども、それぞれの企業によってアンメ ット・メディカル・ニーズの部分でも対応が違うと思うんですが、先ほど御指摘があった ように、先発品をつくって、薬価維持特例によって何かもうかってしまうのではないです かと、そこはどこかの機関のほうにアンメット・メディカル・ニーズの部分も任せて仕事 をしなければ、もうけっ放しという疑念も持たれる可能性がある。そうした場合に一体企 業間の差はどうやって見るのだろうかというと、ちょっと見えない。  もう1点、いただいたシミュレーションを拝見すると、前回もそうなんですが、30%、 今回は40%まで進んでしまっている数字を出されているのですが、実はこれは私どもも 40%まで進めるにはかなりの努力をしなくてはならない。そうしたものに頼りながら、 現在、2010年には25.6まで上がって、数字が上がる、下がるということになると、 皆さん方を責めるのは無理なのかもしれませんが、一体業界としてはどうするのか。その 点がジェネリックス企業も含めて裏側にあります幾つかの項目になっているのだろうと思 うんですけれども、その辺は大丈夫なのかなということです。  もう1点、ちょっとびっくりしたのは、裏側に特例値引もあり得べしということで御提 案されているという理解でよろしければ、ここはとても危険な状況になるのではないかと いう気がしています。全体からしますと、企業として、先ほど藤原委員から御指摘があっ たように、いかに製薬企業といえども、企業としては利益を上げることが一つの目的にな っていますけれども、こちらで出されているのは、企業の利益はとりあえず置きつつ医療 に貢献しようということで、これまでの業界の御主張ではそこがなかなか見えにくかった のですが、そこのバランスはちゃんととれているのでしょうか。 ○遠藤部会長  御質問の趣旨はよろしいでしょうか。あるいは御質問に対して御質問をいただいても構 いませんが。答えられる範囲で結構ですので。 ○禰宜専門委員  1点目につきまして、未承認あるいは未承認効能ということは、業界として国民・患者 のために全力で取り組んでいくと。そのために今考えておりますのは、業界から拠出金あ るいは人的支援あるいはノウハウの支援をしながらそういうものにこたえていくというこ とで、業界としてそのような課題に全力で取り組んでいくということでございますので、 そういう意味からは、1社とか2社といった形ではなくて、全体で取り組むという姿勢と いうものも御理解いただきたいと思います。  それからあとは、これからもどちらにいたしましても、利益というものは結果的には新 しい薬剤開発のための投資といったところにつなげていく必要がございますので、また、 株主様あるいは従業員あるいは国民に還元するために、利益というものを効率的に使って いくといったことは、現在も考えております。 ○遠藤部会長  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  2つ、お答え申し上げます。  1つは、先ほどの御質問にもあわせてお答えしますが、維持特例導入によって製薬産業 がさらに利益を出すということでは決してございません。少なくとも特許期間満了後は、 良質廉価な後発医薬品に市場が置きかわるというオールジャパンで今進めておりますこと を産業界・団体挙げて賛成して、今まで後発医薬品も含めて個別企業がそれに向けた努力 を連携をとりながらやられていたものをもっと業界団体挙げて後発品使用促進に具体策を 展開していこうということでございます。一方で特許期間中、先ほど来出ていますアンメ ット・メディカル・ニーズあるいはドラッグラグの解消につきましても、これまた重要な 車の両輪の一方でございますから、これを着実に進めるために、特許期間中に一定程度の 薬価維持という形での売上の前倒しをルールどおりにしていただけないだろうかというこ とを申し上げたところでございます。  それから、後発品使用促進あるいはさまざまなことにつきまして、今まで業界団体を挙 げて具体的にどういう信頼性確保をしていくのかということにつきまして、まだまだ不十 分なところがあった。それにつきまして、業界団体がネットワークの中核になり、後発医 薬品に対する信頼性をさらに高めていくという取り組みについて具体的にもう検討に着手 し、一つ一つ具体策を今取りまとめているところでございます。これもぜひ業界団体の長 を招聘していただいて、より内容のある質疑応答をしていただければと思っております。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  それでは、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  3点ほどお伺いしたいのですけれども、一つは、この関連資料の1ページ、横に線が書 いてあるところです。この中で、これまでも出てきた主張と一緒なのですけれども、革新 的な新薬の創出というところが基本になっているわけです。それで、それに対して維持特 例の対象のところを見ますと、特許期間中、再審査期間中、あと保険医療上不可欠なとい うのは、恐らくオーファン・ドラッグとか、そういったところを対象にしているのでしょ うから、革新的な新薬と、特に平均乖離率を超えないと、平均乖離率の下であればしよう がないけれども、その中に入っていればすべて対象だとなっていますので、革新的な新薬 のイメージからしますと、例えば類似薬がないから原価計算方式でもって設定したとか、 ないしは類似薬があっても画期性加算の対象にしたとか、そういった新たに薬価収載され たときにどうだったのかという見方もありはしないかと思うんですけれども、そこがなく て、ただ単に乖離率だけでやっていくのもどうかなという、なかなか国民一般が分かりに くいかなということで、そのあたりの議論。それと、今の話に関連するんですけれども、 実際にどの程度の対象医薬品が出てくるのか。例えば、この後ろのほうに、6ページのと ころを見ますと、具体的な医薬品の名前がずっと載っていますけれども、このうちどの程 度かとか、何かもう少し具体的にしていただければというのが1点です。  それから2点目ですけれども、同じ8ページ目にシミュレーションが出ていますけれど も、これは山本委員の意見ともやや関連しますし、私も前に申し上げたので、余りくどく どと申し上げるつもりはないのですけれども、特に2012年までの3割というのは、言 ってみますと、オールジャパンでこれでやろうじゃないかと、薬価維持特例があろうがな かろうがやろうじゃないかということだと思うのです。そうしますと、それ以降の40% は、これもいろいろな方策を積み上げていって、それでもなおかつ難しいということでし ょうけれども、その40%をするためにこの薬価維持特例などを一つの材料といいますか、 ファクターにしていきたいというのであれば分かりますけれども、2012年までのとこ ろは基本的には薬価維持特例があろうがなかろうが30%をやるということですから、そ れをちょうど差し引いてというのはどうもぴんとこないなというのが2点目です。  それから3点目は、これはお答えにくいのかもしれませんけれども、これも山本委員の お話と同じ話になるのかもしれませんが、本文の2ページ目の○の3番目のところです。 ここはかなり悩みながらお書きになったのかもしれないのですが、いわゆる特例引き上げ、 例えば4〜6%とあります。それはいっとき6〜8%にしたこともあるんですけれども、 そのことを言っているのか。そうではなくて、平成18年度には、そういった対象の特例 引き下げというわけではなくて、それ以前に対象になったものについても一律に2%、長 期収載品を下げたのですか。例えばそういったことをイメージされているのか。このあた り、お答えにくければ、少しぼかした回答でも結構ですけれども。 ○遠藤部会長  それでは、お願いします。 ○長野専門委員  それでは私のほうから。まず最初の薬価維持特例の対象範囲の御指摘がございました。 すべての新薬というのはおかしいではないか、何かもう少し具体的な範囲を示したらどう かということですが、私どもはこれもさまざま議論をしてまいりまして、新薬として登場 したときの算定、あるいはそこで有用性加算等がつくもの、あるいはオーファン・ドラッ グ等で原価計算方式によるもの、さまざまな議論をしてまいりましたけれども、実際に見 てみますと、新薬で承認されたときの薬価算定は、普通の類似薬の算定で加算がないもの でありましても、実際に使われてその革新性というものが上市後に分かってくるものが、 今までも幾つもございます。そういう実態を見据えますと、新薬全体をまず枠に置いたほ うがいいのではないかというのが考え方でございます。ではそのときに実際シミュレーシ ョン上はどのぐらいが特例の範囲になるのかというのは、以前も一部私から申し上げまし たが、最大見積もって金額ベースで新薬のうちの50%ではないかと。しかしながら、外 国団体などもいろいろ精査をしまして、それはMAXであって実現不可能で、もっと小さ いのではないかということも意見として聞いております。それが第1点でございます。  それから、3点目、答えにくいと御紹介いただきました点につきまして先にお話を申し 上げますと、前回も再算定のときに対馬委員から御指摘のありましたところですが、後発 品が出たときの先発の特例引き下げと維持特例というのはどのように考えればいいのかと いう御指摘がございました。少なくとも、特例引き下げの経緯、平成14年度の薬価改定 のときに初導入されたものでございます。まさに小泉改革のときに三方一両損ということ で、薬価上はそれが新規に入ったものでございます。その後さまざまな変遷で今日に至っ ております。少なくとも当時は、いわゆる後発品の数量目標30%というのがございませ んでした。今は明確にかじは切られ、後発品使用促進を第一に考えていくということでご ざいます。こういう制度化、実態下では特例引き下げというのはもう用は済んだのではな いかと思いますし、特例引き下げは維持特例との議論の中で整理されていくのではないか と感じております。  それから、2点目……。 ○遠藤部会長  ジェネリックが増えていくことは別にこの特例とは関係なく進んでいく話なのでという ことで……。 ○長野専門委員  私から手短に答えます。ジェネリック使用促進だけが進んだ場合に、日本の市場という のはさらに産業としてはなかなか難しい市場になってしまう。ドラッグラグの解消、アン メット・メディカル・ニーズへの挑戦というものをもっとスピードアップしてやらなけれ ばいけない。そこで、特許期間中の薬価改定の在り方をぜひ御検討いただきたいというの が今回の提案であります。このようなお答えであります。 ○遠藤部会長  シミュレーションのやり方の考え方についての御質問なんです。つまり、この維持特例 とは関係なく、ジェネリックを進ませようというのは国策で進んでいるわけですから、そ れを織り込んだ形のこの書き方について多少疑義をおっしゃったわけです。 ○長野専門委員  これにつきましては、もう3代前の政権でございますけれども、安倍内閣のもとで骨太 方針にいわゆる革新的な新薬の適正な評価と後発品使用促進というのを車の両輪として位 置付けられ、本部会でもいろいろ御説明が事務局よりあったところでございます。その車 の両輪の片割れということで、維持特例をシミュレーションをこのようにしております。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  対馬委員、よろしいでしょうか。 ○対馬委員  一言だけ。最後の3点目の話ですけれども、再三、特例引き下げ、これはもう役割を終 えたのではないかということですが、そういった見解もあるのかもしませんけれども、と いうことになると、2ページの3番目の○で書いている「既収載品の薬価において、一定 程度対応すること」というのは、これまでの仕組みとは全く別な仕組みのことを念頭に置 いておられるということなのでしょうか。 ○長野専門委員  先ほど事務局より御案内のありました12月17日のときに、議論の整理と今後の論点 がございまして、財政影響という切り口がございました。このときに、後発品の使用が着 実に進む方策あるいは使用が進まない場合の対応策ということで、維持特例の業界提案が もとになったところの議論でございましたので、業界として、まさに当事者の一人として、 それが進まなかった場合に、財政的にどう考えたらいいかというところをにじみ出してい るというところでございます。 ○遠藤部会長  それでは、先ほどの山本委員からどうぞ。 ○山本委員  お話を伺う範囲で言えば、今回の提案が昨年の夏と余り中身は変わってはいないものの、 さまざまな提案については随分と進んだと理解していますので、それはそれで評価したい と思うのですが、今幾つか御意見があったように、薬価維持特例の対象とする医薬品をど うするのかというのは、薬にかかわっている者は何となく理解はできるのかもしれません けれども、全体としてはなかなか理解しにくい部分がありますので、一体その対象となる 新薬、新薬というのかどうか、そこはまた議論がありましょうけれども、どういう範囲を 新薬というのだという定義のようなものはきちんとしておくべきではないのか。そうしま せんと、先ほど長野専門委員がおっしゃったように、50%かなと思うけれども、そんな にないだろうということは、それだけぶれがあるわけですから、その中で決めていくとい うのはなかなか容易ではないという気がいたします。  もう1点、薬価維持特例が仮に動き出したときに、財政影響を考えながら、もしうまく 進まなければ既収載品で考えようというのは、だれが考えても特例値引きしか思い浮かば ないんですが、他の方法があるかのような御意見ですので、そこはもしそうであれば、き ちんと整理が要るのではないか。  もう1点、最終的には後発品を進めることで、移行した結果、さらにそのものは早めに 開発費を回収して新たな医薬品を開発するということが御提案の趣旨だと理解しておりま すので、そうしますと、後発品に乗りかえにくいような環境というのは当然業界としては おつくりにならないという理解でよろしいのでしょうか。前回の総会でも議論がありまし たように、極めて後発品として位置付けていいのか、あるいは先発品として位置付けてい いのか、判断しかねるような医薬品がさらに上市されてまいりますと、長野専門委員がお っしゃったように、これまでいわゆる薬価維持特例で新薬として開発したものを維持特例 の中で薬価を維持しながら、いざ特許切れという段階になると、それをさらに使わせる。 藤原委員がおっしゃったように、値段が下がって使わせるということももちろんありまし ょうけれども、それ以前に、配合剤のような形で使うということになると、これはいささ か後発品を進めるということとは全く論点が変わってしまう気がいたします。そこはどの ように整理されるのか。この提案が以前に比べて業界としても、背水の陣というまではい かないのかもしれませんが、かなり水を背中に背負った御提案であるからこそ、そのあた りをどうお考えか、ちょっとお教え願いたい。 ○遠藤部会長  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  配合剤の御指摘でしょうか。配合剤を含めて、例として……。 ○遠藤部会長  配合剤を一つの例ということで、ジェネリックに対するディフェンスのような行為を今 後どうするのかという。 ○長野専門委員  先発企業がジェネリックに切りかわることを防御するようなことはありません。まずそ こは明確に申し上げておきます。それから、配合剤でありますが、御承知のように、欧米 におきましても、配合剤というのは、例を見ていきますと、単味、主薬の上市とともに、 配合剤がほとんど間髪入れず新薬として承認になっていくケースが多々あるようでござい ます。その際のヨーロッパなどにおける公的保険制度のもとでは、新薬としての薬価の値 づけがその国のルール下で行われているようでございます。したがって、配合剤が即後発 つぶしではないかというのは、現時点での世界の潮流ではそうは理解されていないのでは ないかと感じております。 ○遠藤部会長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  そのあたりは理解しているつもりでありますけれども、ここでは国内の議論をしており ますので、グローバルなスタンダードとしての製薬企業の在り方については十分理解いた しますけれども、では本邦ではどうかという議論については、長野専門委員のお話は、ま さにグローバルな製薬企業としての大変幅広い視点であれば、おっしゃるとおりかと存じ ますけれども、具体的に我が国の医療現場で考えてみますと、まさにそのことが後発品の 使用の促進あるいはそれを阻害していないという言葉だけは、しかと心にとめて、そのよ うに理解させていただきたいんですが、ただ、その後のお話は、世界的な潮流だというお 話についてはなかなか理解しがたい部分があるんですが。 ○遠藤部会長  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  たしか平成17年ごろでしたか、医薬食品局のほうから、いわゆる配合剤の製造販売承 認、その当時ですと製造承認に関する通知が出ておりました。それを機に、各社がそれま でいろいろ研究開発をしていた配合剤につきまして、最終的な承認申請に至ったと承知し ております。 ○遠藤部会長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  そのあたりも含めて、せっかくこれまでよりも何歩も進んだ御提案をされていると理解 していますので、新たなこのシステムにいくというときに、ちょっと言葉が適切ではあり ませんが、あたかも先発品を守ると誤解を受ける、そうした行動といいましょうか、商業 活動についてはぜひ御検討いただいた上で、さらにこれをブラッシュアップしていただき たいと考えます。 ○遠藤部会長  よろしいでしょうか。はい。 ○禰宜専門委員  配合剤につきましては、医療ニーズ、患者からの非常にニーズの高い、利便性とか、そ ういう面での評価もございますし、また承認を受ける際にも新薬と同じように臨床開発と いうものも要求されておりますし、また再審査という面でも6年間要求されているという ことで、ある面では新薬的な扱いになるのではないかとは思っております。 ○遠藤部会長  では、関連で、山本委員、どうぞ。 ○山本委員  くどいようですが、もしそうであれば、今つくられている配合剤、後発品が多かろうと 思うんですけれども、すみませんが、具体的に配合されたものの両者の使用量をこちらに 御提示願えますか。 ○禰宜専門委員  配合剤の実績でございますね。 ○山本委員  いや、市場性があって、患者さんのニーズがあるということですから、当然かなり広範 に使われているという前提でお答えになっておられると思うんですが、それについてはど ういう状況なのかについて、御提示しにくくければ後ででも結構ですけれども、そうした ものがあるのであれば、かくかくこうだからこうしたものをつくったということがなけれ ば、私はそのことも含めてお考え願いたいと申し上げているのであって、そうであれば、 ぜひこちらのほうに、次回いつになるか分かりませんけれども、資料を御提示願いたい。 ○遠藤部会長  重要な御指摘なんです。要するに、ジェネリックへのシフトを積極的にするというお言 葉はあるわけですけれども、その具体的な事例として、山本委員から配合剤のお話があっ たわけです。しかし、配合剤はジェネリックをディフェンスする目的ではないというお答 えしかないわけなので、聞いているほうは、どうもそこがしっくりこないということで、 そこをどうお考えになるかということをはっきりさせてほしい。こういう議論だったと思 います。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  配合剤に関しては、先日の総会でも言いましたけれども、恐らく焦点がずれていると思 いますけれども、ARBと利尿剤の組み合わせというのは、ARBは大体60〜70%の 効果率だと思っております。それは、製薬会社からのほとんどがそうです。それから、利 尿剤は大体あまねく効くわけで、そういった組み合わせをすると、医療現場では安易に使 ってしまうおそれが非常にあるわけです。現場では一つ一つの薬を確かめながら使う。今 まではそうだったと思いますから、それで配合剤も慎重に厚労省も考えられていたと思い ますけれども、一方のARBは非常に高い薬で、130円から160円、170円ぐらい で、ダイクロトライド、利尿剤というのは2円とか3円とかで、そういった組み合わせで これが新薬だということでやられると、非常に何かそれなりの企業の戦略をそこに感じざ るを得ないわけで、現場はそれぞれ一つ一つ薬を確認しながら使っているわけですから、 幾ら利便性と言われても、そこのところは非常に納得できないものがあると、私は現場の 者として言いたいと思います。 ○遠藤部会長  中川委員、どうぞ。 ○中川委員  話が戻って恐縮ですが、この薬価維持特例の導入が利益を上げるわけではないとさっき おっしゃったと思います。革新的新薬の創出のためだとおっしゃいますが、例えば、高配 当をしているメーカー、そうでないメーカー、それから潤沢な内部留保があるメーカー、 そうでないメーカー、それから労働分配率の高いメーカー、低いメーカー、今いろいろな 状況があります。その中で業界団体を挙げてこの薬価維持特例を主張すると言いますが、 その辺のところが今の経済状況を見ると、非常に分かりにくいというか、どうも了解でき ないなと思うんです。それで、将来的にこの制度の導入を我々が中医協で了承することに よって日本における新薬メーカーがひょっとしたらいわゆる巨大メーカーの数社に収斂す ることのきっかけになるのかなという気もするわけです。そういうことを考えると、配当 することを使命にしている株式会社は、一体こういうことは、悪ではない、もちろんだめ ではないんですけれども、その辺のところは情報公開を徹底的にしつつ、革新的新薬の創 出のためにはこういうことがこの制度には必要なんだという説得力を持った説明がもっと もっと要るのではないかと思いますが、今の点についてどうですか。 ○遠藤部会長  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  ありがとうございます。今後もさらに、説得力あるといいますか、御説明が十分にでき るものを用意してまいりたいと思っております。ありがとうございます。 ○中川委員  お答えが簡単過ぎると思いますが。いわゆる配当の違いとか、内部留保とか、いろいろ なことが、業界団体を挙げてという表現が余りにも、上位メーカーがさらに勝ち過ぎると いったことにもつながるのではないかといった質問なんですが、いかがですか。 ○遠藤部会長  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  まさに製薬産業論、実態と将来というところのお答えになるかと思いますが、各社の状 況というのはさまざまでありまして、私が今所属している企業以外の状況はちょっとお答 えできませんので、所属している企業から私が理解しているところを若干触れさせていた だきます。2社合併を2年前に完全にいたしまして今日に至り、当時は内部留保が多いと いうメーカーの1社だったと思います。しかしながら、その後、まさにアンメット・メデ ィカル・ニーズ対応、とりわけがん領域につきまして、さまざまな技術を買い、研究内容 の充実に努めております。一方で、マスコミでもいろいろ報道されていますが、世界的に 生き残るためには、新薬プラス特許が切れた後のいわゆるジェネリックビジネス、あるい は日本市場や欧米市場だけではない、旧東欧とかインドとか中南米とか、そういう広い地 域での広範な企業活動をしていきたいというところから、多額な費用を投入いたしまして 1社を買収し、その後さまざまな事実が出てきて、企業経営者も今重大な局面を迎えてい るところでございます。そういう企業がとにかく世界に打って出て、欧米に負けない力を つけていこうということを考えております。これは、国民患者さんへのアンメット・メデ ィカル・ニーズあるいはドラッグラグの解消、そして経済、納税もそうですけれども、あ らゆる面で貢献していく。それが日本に拠点を持つ私どもの今の姿勢でございます。 ○遠藤部会長  その後の議論はここでまたおいおいということで、小島委員、お待たせしました。 ○小島委員  私もちょっと意見と、1つ質問があります。  今回の薬価維持特例制度を入れれば、今、中川委員が指摘されたように、多分先発メー カーの再編に当然つながっていくだろうと思っております。それにはメリット、デメリッ トの両方があると思いますけれども、今回、これまで私なども幾つか疑問を持っていたと ころが大分整理されて具体的な形で提案されてきていますので、イメージがだんだん分か ってきたんですけれども、その中でも、特許期間が切れた後の先発品の価格と、それから ここは後発品の価格をどう考えるかということが課題としてあるんだろうと思います。そ こがまさに先ほどから何人かの皆さんから出されている意見をどのようにしていくか。こ こで先発品の価格を余り抑えると、ジェネリックが普及しないということになりかねませ んので、そこの兼ね合いというのは大きな課題であるだろうと思います。それと、今回の いわば前倒しの収益の部分を革新的医薬品の開発に向けることと、未承認等の製薬を開発 するというところに使うんだということで、トータル的にはこのシミュレーションでは全 体としては薬価は抑えられるということになっております。参考資料の7ページに記載さ れております「未承認薬・未承認効能への対応スキーム(イメージ)」で、右側にありま すものが検討されているということで、そういう前倒しで得た収益を未承認薬に対応する 製薬会社に対する支援という形で、そのための製薬業界の開発支援を行う機能あるいは組 織をつくるということになっております。そこでのノウハウあるいは資金を具体的に未承 認薬を手がける製薬メーカーに支援するのだということです。そのときには研究あるいは 人的支援、ノウハウ、それから資金ということになっています。そのときに、では実際に 製薬メーカーが手を挙げて、ここはうちの企業でやりますというところで、ここでどれだ け手が挙がるか、あるいは支援というところがどれだけあるかということもあると思いま す。そこは製薬業界全体でそういう未承認薬を早期に市場に出すということでの努力が必 要だということで、こういう方向で今検討されているということであります。その際に、 具体的に製薬メーカーを支援する、あるいは手を挙げて、うちがやるというところ、ここ が、冒頭言いましたように、先発メーカーがいわば再編になっていくということになると、 結果的に数社に絞られてしまって、余り業界全体でこういう機能とか組織をつくるという 意味合いと、実際に支援する企業というのは結果的にダブっていくのではないかという懸 念がちょっとあるんですけれども、その辺はどんなイメージで今考えているのでしょうか。 ○遠藤部会長  よろしくお願いします。 ○禰宜専門委員  当面は数社とかということになるとは思っておりません。ただ、こういう特別に市場の 非常に小さい、例えばオーファン・ドラッグ的なものにつきましては、ベンチャーとか小 さな企業でも、支援があれば、それを開発し、そして販売していけるのではないかなと思 っておりますので、それができやすいような支援、いわゆるサポートできるような業界と しての新機能をつくり上げていきたいと考えて、今検討しているところでございます。 ○遠藤部会長  検討しているところということで、よろしいですか。  どうぞ、渡辺専門委員。 ○渡辺(自)専門委員  私のほうから意見とお願いを申し上げたいと思います。  まず、今日は未承認薬の開発促進とか、そういうことについての製薬業界の覚悟といい ますか、そういうものが示されましたので、将来に対する明るさも感じますし、両専門委 員が提案された内容について賛意を示すものでございます。しかしながら、シミュレーシ ョンの数字の基礎というのがジェネリックというものを重点に置かれたものになっており ますし、それから提案された本文の○の3番目のところは抽象的な文章になっている、こ れは対馬委員とか山本委員が御指摘されたとおりでございます。そういう観点から見ます と、アメリカなどの場合に、ちょうど日本と同じようなジェネリックの使用状況から30 %までいきますのに、私が見たデータではちょうど足かけ5年かかっているわけでござい ます。私どものデータを見ますと、ジェネリックの使用が市場よりもずっと上回ってまい りましたのが2007年の2月、3月からでして、現在その趨勢が少しずつ拡大しており ますが、市場の伸びとジェネリックの売上状況の伸びが大体12〜13プラスで動いてお ります。このような伸びが2010年問題で大型のものの特許が切れますとさらに拡大す る可能性は秘められていますけれども、ジェネリックの使用促進については私ども卸も含 めまして関係者の相当な努力が必要であるということと、この○の3番目に述べられてお ります点はある程度理解できるものの、薬価の算定ということにつきましては、今後も従 来どおり市場実勢価格主義というものを尊重してくださるようにお願い申し上げたい。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  すみません、くどいようなんですが、製薬メーカーに限らず、製薬企業としては、研究 開発あるいは創薬を進めていくことがまさにグローバルな場所で展開する基本になるだろ う、それは十分に理解しておりますので、そういう中で開発されたもの、あるいは開発す る意欲や力というものがそがれてしまっては、どんなに頑張ってもできない。そういった 意味での薬価維持特例というものは、なるほど、理解できる話だと思います。ただ、産業 ビジョンの検討会の中でもそうでありますけれども、それぞれ日本の製薬企業を幾つかの セクターに分けて、担うべき役割をきちんと分けて役割分担をしていると思うんです。そ ういった意味からすると、先ほど業界を挙げてというのは、確かにそういうことも含めて の業界を挙げて、何をだれがするかという役割を十分認識した中で、一定の機関をつくる とか、そこへ資金を投入するといったより具体的な策のようなものをお出しいただくと、 この案も十分に理解できるのではないか。そうしたものを明確にすることで、実はこの提 案を進めていくと、今まさに求められているドラッグラグあるいは未承認の問題がかなり きれいに解決できる一つの方策になるだろうと理解しております。これは我々もそうであ りますけれども、製薬企業が確かに利益ということは片方ににらみながらも、国の公益に どう貢献するかというところの最大のポイントだと思いますので、ただひたすら指をなめ てお金を勘定するのではなしに、そうしたこともできるような仕組みということでこれを 理解しています。その役割と、どうそれを進めるかということでもう少し明確な形という ものをお出しいただければ、9月までの間に何度かこの議論があると思いますので、恐ら くここにお集まりの方々も理解しやすいのではないかと思いますので、ぜひこうした提案 がなくなってしまわないように、お考えいただければと思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  ということでありますので、よろしくお願いします。  時間も大分たっておりますので……。藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  今回はお示しにならなかったんですが、流通改善も大きな課題として挙げられていたと 思いますが、それは今後またお示しになるんでしょうか。 ○遠藤部会長  流通改善の具体例ということですか。 ○藤原委員  はい。 ○遠藤部会長  それについて何かお考えはありますか、専門委員として。 ○禰宜専門委員  流通改善につきましては……。 ○遠藤部会長  では、事務局、どうぞ。 ○事務局(磯辺薬剤管理官)  流通改善の問題といいますか、これはどちらかというと、何に関係するかというと、毎 年改定の議論にかかわっている部分でございますが、今日の資料で見ていただきますと、 次の引き続きの検討課題の中にその流通改善の問題も入れさせていただいておりますので、 流通改善の状況のいろいろなデータとかが集まりまして、その議題になりましたら、また 準備させていただいて、御議論できるようにはしたいと思っております。 ○遠藤部会長  よろしいですか。 ○藤原委員  はい。 ○遠藤部会長  時間がもうかなり過ぎているのですが、私から一言。実は、部会長になると思っていな かったものですから、いずれ発言しようと思っていたところ、部会長になってしまいまし たので、本当は余り言わないほうがいいのかもしれませんけれども、これは一委員の意見 という形でお話しさせていただきたいと思います。  我が国の産業にとって医薬品産業というものが中核になるべきだという考え方は、私は 全くそのとおりだと思います。ただし、そのための産業政策として薬価とか診療報酬とい うのは、施策として間違っていると思っております。薬価や診療報酬というのは、基本的 にはあくまでもヘルスケアの問題でありますので、実際に外国の産業も国内産業も全く同 じように扱ってきているわけでありますから、国内産業を育成しようという形の産業政策 に診療報酬や薬価、特に薬価を扱えるとは思えないと私は思っております。  もう一つ言わせていただきますと、一定幅があれば価格は下げるとはいっても、先発品 が15年間も工業製品の価格を維持するということはかなり異常だなというのが私の直観 です。ほかのもので特許を取っているようなものであっても、15年間価格が維持されて いるということはまずあり得ないと思いますので。ただし、そういう異常な状況であるが ゆえに、それなりの便益がヘルスケアの受益者になければだめだろうと思います。それは、 まさにおっしゃっておられるようにドラッグラグの解消というところが非常に重要なポイ ントになるんだと思います。今回の御提案もそういう中の一つだと思いますけれども、私 はもっと直接的に、そもそも革新性があって、なおかつ日本で最初に上市した、あるいは 上市しないまでも申請したとか、そういう製品に関してはこの対象にするとか、あるいは 国際共同治験をやっていて、その結果国内で上市されたもの、これについてはこういう特 例をしましょう、それは患者の便益になる。より直接なインセンティブです。国内で早く 上市すると、早く患者さんに薬が到達するというぐあいに。今のやり方はどちらかという と、国内のマーケットの魅力を高めることによってきっと国内での開発が進むでしょうと いったレベルです。そこがやや不確かな感じがするんです、私は個人的に。  ということで、ちょっとそんなことを申し上げました。これはあくまでも部会長という ことではありませんで、一委員としてのもので、このような形で部会を誘導するつもりは 毛頭ございませんので、そのことだけはお話しさせていただきます。  以上でございます。  ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。  それでは、このくらいにさせていただきたいと思います。本日いただいた意見を踏まえ まして、事務局または専門委員で資料等を整理していただきまして、次回以降の薬価専門 部会で議論を深めていければと思っております。  本日はどうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)