09/03/16 第13回政策評価に関する有識者会議議事録 1.開催日時:平成21年3月16日(月)15:05〜17:13   開催場所:金融庁共用会議室―2 2.出席者 :高橋座長、梅田委員、菊池委員、篠原委員、野川委員、本田委員 3.議題 :(1)平成21年度に実施する政策評価について    (2)医師確保対策の政策評価について          (総務省政・独委が重要対象分野として選定したテーマ)        (3)その他 ○高橋座長   これより第13回「政策評価に関する有識者会議」を始めます。年度末で大変お忙しいと きにご出席いただきありがとうございます。日本というのは12月の年末と3月の年度末と、 2回間を置かずにあるような気分で、大変ではございます。  本日の出席状況は、阿部委員、川本委員、堀田委員、森田委員がご欠席で、菊池委員は 遅れて到着されると伺っております。  議題としては、来年度に実施する政策評価の計画に関し、見直しのポイントについて事 務局から説明をしていただきます。その後、この点についての意見交換をしていただきま す。議題の2番目は、毎年の指定項目のようですが、総務省から政策評価の重要対象分野と して、政策評価・独立行政法人評価委員会が選定するそうですが、厚労省関係では「医師 確保対策」が選定されております。社会的にもいろいろ課題になっているテーマというこ とでございますので、これについて作業するに当たっての説明等、医政局の方からも来て いただき、ご説明をお願いするという形での意見交換をしたいと思います。  それでは議事にしたがいまして、平成21年度に実施する「政策評価における見直しにつ いて」ということで、よろしくお願いいたします。 ○政策評価官   資料のご説明をさせていただきます。まず本日の配付資料ですが、お手元の議事次第の 下のほうに配付資料の一覧がございます。資料1-1〜1-4までが議題(1)の21年度の政策評価 の関係の資料です。資料2-1〜2-2が議題(2)の医師確保対策の関係資料になります。議題(1) は、資料1-2、3、4が来年度の計画と実施要領の類です。これを昨年度と比べてどういう点 が変わったかというのを赤字で見え消しの形で配付してあります。ポイントをまとめたも のが資料1-1のパワーポイントの資料ですので、この資料1-1に基づいてご説明いたします。  資料1-1は、最近の「政策評価を取りまく動向」について各方面からのご指摘を取りまと めました。閣議決定他、4つの分野で整理しております。まず最初に「閣議決定等」という ことで、これまで毎年度言われていることでございます。骨太方針、あるいは概算要求の シーリング閣議において、政策評価をきちっとやってその結果を概算要求に適切に反映す るという指摘を受けております。  それから「厚生労働省の在り方懇」の懇談会で、昨年12月に中間まとめをいただいてお ります。その中で政策評価についての言及があり、特にその評価指標をアウトプットから アウトカムに見直していくということと、個々の事業について、改善を効果的に促すため に評価のやり方を見直してはどうかというご指摘をいただいております。「ムダゼロの指 摘」というのがあり、これも政府の有識者会議で12月にご指摘をいただきました。政策評 価をムダの削減に一層資するように、この取組を強化するべきであると、これも政策評価 の役割ということに言及がございます。  「総務省による点検結果」ですが総務省は政策評価の取りまとめ官庁ということで、各 府省から提出された評価性についていろいろとチェックをしていただきます。厚生労働省 関係では指標について、目標に関して達成しようとする水準を数値化等により特定し、ア ウトカム指標に着目した評価指標の検討が必要である、というような指摘を受けておりま す。全体として見ますと、評価の前提としての目標・指標の整理ということと、個々の事 業改善を効果的に行い、評価結果を的確に概算要求に反映していき、そのために評価のや り方を見直していくことが必要かと考えております。  2頁は、今回平成21年度の政策評価の「見直しの柱」として大きく4点ございます。まず、 (1)「評価指標の達成水準・時期の明確化、アウトカム指標化」ということでありまして、 施策の成果を測定するに当たっての評価の指標を総点検するということです。  (2)「個別目標体系の整理」で、いま厚生労働省には69の施策目標があり、その下に199 の個別目標を立てております。個別目標をつぶさに見ますと、やや細かすぎるものとか、 政策の柱立てが見えるように工夫する余地があるのではないかということで、その点を整 理しております。  (3)「具体的な事務事業の選定・評価」として、概算要求の反映、政策評価の実用性とい うものをもっと高めていくためには、評価に具体性をもたせること。個々の事務事業まで 少し掘り下げて、評価をしてみる必要があるのではないかという問題意識です。  (4)「その他の工夫」ということで、評価様式の改善等です。実際、評価作業をするに当 たっての工夫ですが、後程評価様式をご覧いただきながらご説明したいと思います。  以下1つ1つの柱についてご説明いたします。次の3頁で、まず、「達成水準・時期の明確 化、アウトカム指標化」ということで、目標の達成度を測定する指標をきちんとしておく ことは評価作業をするに当たって大前提ですので、これを総点検するということです。ど ういう点に問題があったかは、下のピンク色の従来という所の四角を見ていただくとわか りますが、アウトプット指標が多い。何人分、何か所分やるというような事業の投入量の 指標が多いということです。予算上の数字が記載されていますが、達成水準や達成時期の 記載がないものが混在しているということ。前年度の実績を見て、うまくいったかどうか を評価するに当たっては当然達成水準の時期の記載が当然必要になってくるわけです。そ こで見直し後の黄色の四角になりますが、できるだけ達成水準・時期をきちんと設定し、 指標もアウトカム指標に直していきたいと、そういう総点検をやる過程において、どうし ても水準とか達成度を記するになじまないようなものについては、施策動向を知り分析す る上で、必須の数字については参考統計欄というものを設け、ここに整理をし、評価作業 中にいろいろ引用して分析をしていくという考え方であります。  特にアウトカム化ということについて、具体的にどんな手直しをしたのか、イメージの 例として4頁に掲げております。まず左側の四角ですが、保育所関係に関して、従来保育所 の受入れ児童数という形で目標を設定しておりました。見直し後は、ピンク色のアウトカ ム指標で書かれていますが、言わば対象となる児童のサービスのカバー率という考え方で 指標を設定しております。アウトプット指標も引き続き残してあり、保育所受入児童数は そのまま残しております。それに加えて最近ここ2、3年新しいメニューで保育ママという 事業も出てきました。こういったものも合わせて目標として掲げるということであります。  次の例が障害者の地域における自立を支援するためという目標です。いままではグルー プホームとか、訪問系サービス、そうしたものの目標で、要するに何人分やる、何万人分 やるということが中心でした。これを改めまして、地域生活への移行者数ということで、 それぞれ福祉施設や、精神病院からの、それぞれの地域への移行者数の目標を立てていく ということです。就労に関しては従来からアウトカムの指標を立てているということです。  感染症の例につきまして、大きく変更したわけではないのですが、1つ、アウトカム指標 の中に抗インフルエンザウイルス薬の備蓄という例も入れました。特に関心の高い病気で あり、個別に指標を立てる必要があるということです。次に医療についてですが、従来非 常に単純な目標を立てていたのですが、救急医療とか、周産期医療、あるいはへき地医療 といったことに、それぞれに対応したアウトカム指標が必要であるということで、指標を 設定させていただいたということです。  8頁はこういう指標の総点検をした結果ということをまとめております。施策目標は69個 あり、その下の個別目標は従来の199個ある目標です。達成水準・時期の明確化ということ に関して、施策目標、個別目標ともに、従来6割程度の水準でしたが、ほぼすべてのものに ついて達成水準・時期を明確に設定することとしております。アウトカム指標化に関しま して、同様に両方とも半分ぐらいの水準だったのが70%ぐらいの割合で成果指標、アウト カム指標化を図ったという形になっております。  「見直しの柱」の(2)、「個別目標体系の整理」ということです。従来の目標体系の立て 方は精粗バラバラな部分があり、少し細かすぎるものがありましたので、政策体系の柱立 てを意識して整理をし直しました。これを具体例で見ていただくとわかりやすいと思いま すので、次の10頁ですが、例えば医療では、いま個別目標1〜6の目標を立てております、 1、3、6というような医療計画、医療連携体制、医療関連サービスというような地域医療の提 供体制の一般についての目標を1つにまとめてしまい、右の欄では一番上の個別目標1とい う形で位置づけております。それから、救急医療、へき地医療と、新しく周産期の医療体 制は、これは非常に重要な課題ですので、独立に個別目標を立てました。  次の頁はもう1つの例ですが、例えば特に対策を要する対象層の方々の雇用対策です。高 齢者・障害者・若年者等の雇用の安定・促進ということで、こちらについては現在11の目 標が立っていまして、事業群ごとに分類されておりそれなりの整理ではあるのですが、よ く見てみると対象者別に高齢者・障害者・若年者・その他という形で、もう少し大括りに 整理ができるだろうということで、このような4分野の立て方で整理をいたしました。  次は保育について、従来よりも目標を増やしています。保育所の受け入れ児童の問題、 あるいは延長保育、病児保育といったような多様な保育サービスの目標に加えて、幼保の 連携の関係で「認定子ども園」というテーマがありますが、これは個別に目標を立ててお ります。  次の例は医薬品の開発ですが、見直し後の欄を見ていただくとおわかりのように、新医 薬の開発といった分野と、産業政策と後発医薬品の使用と流通改善というふうに大きく4つ にまとめました。このような形で個別の目標体系の整理をして、199ぐらいのものが155ぐ らいと、2割ぐらい数が減ったという形になっております。枝振りを整理したというところ です。  柱の(3)としまして、「具体的な事務事業の選定・評価」ということですが、政策評価結 果を次のステップに繋がるような実用性の高いものにしていくためには、個別事業にまで 掘り下げた具体性のある評価をしていく必要があると思っておりまして、この点、従来は 評価書に事業概要を記載しているのみでしたが、今回は概算要求への範囲を意識しつつ個 別目標ごとに2、3事業を選び、そして評価をしてみようということです。評価の選定基準と いうのはこの下のほうに書いてあります。これは主要な事業ということもありますし、あ るいは「ムダゼロ」の観点から評価のまな板に載せてみたいと、そういったような選定基 準を設定し、査定課、原局などと相談しながら評価事業を選んでいくということを考えて おります。  15頁は、新たに追加された具体的にその事務事業を評価する様式のイメージですが、簡 単に言いますと、決算額とか、予算額、それと予算上の箇所数と実績の箇所数などをみな がら執行状況を把握し、その上で何か改善するべき点があれば、その改善の方向性という ものを一番下の欄に記載するということです。こういった作業が、そのまま概算要求の検 討作業のプロセスにも繋がっていくという、そういった形でPDCAサイクルが連続していく、 とそういうものに、実務的には意識して作っているというイメージでございます。  (4)「その他の工夫」として、(1)出来事・事件への対応と評価ということで、これは評価 書の国民に対する説明責任という点もそうですし、また施策の実施とその施策の効果の発 現との間に何か事件があって影響を受けたというようなときに、これは評価書を書く上で 当然折り込んでおく必要があると思っています。  (2)に参考統計欄の新設とありますが、これは先ほどご説明しましたとおりです。指標に は馴染まないけれども、統計として評価書で分析をする必要があるというものを整理しま す。  (3)の特記事項欄の充実につきまして、実際の様式を見ていただきたいと思います。18頁 は、各方面からのご指摘、国会とか、政府の重要会議ですとか、審議会、研究会等につい て、それぞれ整理してまとめておくというものです。評価書作成の過程において、当然こ ういったものは押さえておくので、言ってみれば副産物として一覧性のあるものとしてま とめておくということです。以上のような形で、4つの大きな見直しでもって、21年度の実 績評価をしていきたいと思います。  最後の頁は総合評価として、主だった制度改正等が行われる場合に定例的なテーマと別 にトピックス的に行う総合評価のテーマということで、(1)は医師確保対策で、先ほど申し 上げたとおりで、議題の(2)で取り上げたいと思います。もう1つは高齢者医療制度等の見 直しで、これも21年度を目処に結論を出すということになっており、そうした目処が立っ た段階で評価をしたいというものです。説明は以上です。 ○高橋座長   はい、ありがとうございました。来年度に向けての政策評価のバージョンアップの案を いろいろな形でお示しいただきました。この政策評価の見直しについての意見交換、大分 前から議論をしてきたことを相当頑張って取り入れてくださっているという印象ですが、 なおいろいろご意見や、ご感想も含めましてディスカッションをできたらと思います。 ○梅田委員   今回アウトカム指標に整理をかなりされて評価書を書くということで、とてもいいこと だと思います。その評価書を書いていくときにアウトカム指標のレベルにもよりますが、 かなり他律的要因が入った結果のアウトカムというか、そういうものがたくさん出てくる ので、今回参考統計欄に掲げてあるアウトプット的なデータも含めて、行政活動に伴う成 果を明確にするとともに、そのアウトカムへ至る過程の分析も十分やっていただくことを 期待したいと思っております。 ○高橋座長   ありがとうございます。言い直すとアウトカム指標でも相当これは難しいよというか、 まさに行政活動のアウトカムという側面と環境要因の側面がいろいろと、そこら辺はなか なか曰く言いがたい世界もあるので、その辺は十分意識していくと、アウトカム指標のア ウトカムプット指標化みたいなことが起ってくるのはいかがなものかという、そんなこと にも繋がるご意見かと思いますが、いかがでございますか。 ○篠原委員   我々もこの各10人ぐらい、アウトカムがものすごく難しいというのは梅田先生もご存知 で大分増やされた。これは行政とか関係者以外の国民も非常に興味が持てます。実はいろ いろなマスコミでやっている後期高齢者とか話題になっていると、マスコミはスポット的 に非常に問題点を出すが行政はどちらかというと制度とアウトプットの説明だから国民に とってはどうも不満があるのです。そこが出てこないという意味では、このアウトカムの 指標が出てくると、そういうときに案外適切な説明なのかなという期待ができると思って います。そういう評価そのものよりは、評価をやっていくことで、アウトカムの発想が出 てくればもうちょっと国民の目線からの説明がうまくなってくるのではないかと思います がどうでしょうか。 ○本田委員   私も今回のこれを伺って、アウトカム指標を取り入れるということはとても賛成という か歓迎です。ただ先ほど梅田先生や、篠原先生がおっしゃったように、アウトカムの出し 方は本当に難しいなと実感しています。1つだけ事例としてこういうふうにならないでほし いと思うことを申し上げたいと思います。私はがん対策の協議会を2年間ぐらいさせていた だいているのですが、その中で一般の患者さんとか国民とかは死亡率がどれくらい減って いるのか、どれくらい治療が進んでいるのかとか、そういうものを数字的に表してほしい と。特に死亡率のことを言う人も多いのですが、一方で患者さんは死亡率というアウトカ ムだけではなくて、その背景にある様々な、例えば拠点病院をこれだけ整備しましたとい うことを、いままではアウトプットとして出してきたけれども、それがいきなり死亡率み たいなアウトカムだけで示すのではなくて、拠点病院を整備したことで、どれだけの患者 さんがどういう治療を受けられたかという中身や過程がわかるような、アウトカム指標と いうものをもっとちゃんと整備してほしい、そういう指標の開発というものにもう少し力 を入れてほしいということをおっしゃる人が多くて、私もそう思っています。  いろいろご苦労があるのだろうとは思うのですが、私がすごく気になったのが、7頁のア ウトプット指標の中の医療連携体制の構築率みたいなものは、今後アウトカム指標にする 際にどういうふうな形で出していくのか、実際にどれくらいの人が連携で患者さんが恩恵 を受けたのかとか、そういう指標を開発することに是非力を入れてほしいと感じました。 ○高橋座長   はい、ありがとうございました。要するにアウトカム指標もうまく表現できるアウトカ ムと、うまく表現できないものがある。それから既存のデータ体系では取れないアウトカ ム指標もあると。アウトカム指標のクオリティーコントロールというか、そこら辺をどう いうふうにしていったらいいのか。アウトカム指標にすればいいという話ではないよと、 そういうことかと思いますが、そこら辺は多分これは評価をしていただいて、評価主体の ほうで、いろいろコメントをもらう必要があるでしょうね。これはわりとすんなりいけた けれども、そういうことのアウトカム指標の評価というか、そこら辺のことをやりながら、 さらにバージョンアップをするということかなと。いまの先生方のお話を伺いますと。 ○本田委員   後ろ向きなことを言ったつもりではなくて、アウトカム指標を取り入れていただくとい うことはとても賛成で、例えば拠点病院をこれだけ整備しましたみたいな数字しか、いま までいくら言っても示していただけなかった。だからその拠点病院で、どれだけの人が受 けているのですかと聞いても、わからないとか、そういうことをどうしていくのかという のも含めて進めてほしいと思っています。例えばの例だけですみません。 ○高橋座長   これはアウトカム指標のことも含め、全体の見直しの方向がある種の政策リレクトリー と言いますか、全体の政策総覧みたいな非常にコンパクトにまとまった政策総覧みたいな 感じになる方向なのかという参考資料等を含めて、そういう意味では方向性は非常にいい のかという印象なのですが、何かコメントいただけたらと思います。 ○野川委員   私も、いまの議論の流れであるアウトカム指標へのできるだけの整備ということはもち ろん賛成なのですが、最初の「政策評価を取り巻く動向」の厚労省の「在り方懇」のとこ ろに書いてある、「評価指標を可能な限りアウトプットからアウトカムに見直す」というこ とですが、どうなのでしょうか。つまり、いまの話に出てきたように、アウトカムにする のが難しいというのは、いままでアウトプットでだけ出していてアウトカムの成果を出せ ば出せたのにそれをしなかった、それをアウトカムの指標を出しましょうというのであれ ば、これはもちろんよくわかるのです。しかし他方で、アウトプットというのはクリアで すよね、透明ですよね。要するに、非常に直接的に、こうなって数字がこう出てきたとい うことですから、あとは、どう解釈するかお任せします、ということだってあり得ると思 います。その意味では、アカウンタビリティという面よりはクリアさ、透明さというよう なことのほうを重視するのがアウトプット指標であると、こういう考え方もあり得ると思 うのです。  そうすると、アウトプットからアウトカムへというのは、「可能な限り」という限定が付 いているように、いままで、アウトカムでしようとすればできたものができていなかった からそれは直しましょう、しかし、すべてのアウトプット指標を何としてもアウトカムの 形に変えると、そういうことではないと受け取っていいのかどうかが問題となります。つ まり、例えばアウトプットとして出てきたときに、では、「その数字はわかった。でも、こ れはアウトカムとしてはどういうことなのですか」と必ず聞かれるということを想定して、 とにかく可能な限りアウトカムにするのか、それとも、これはアウトプットとして出して、 そこで留めておくのが例えば適切だということもあり得ると考えるのか、その辺はどうな のでしょうか。 ○政策評価官   いま幾人かの先生からお話があったことをちょっとまとめてお話したいと思うのです が、まず野川委員のお話から申し上げます。  どちらかと言えば、極力アウトカム化を図りつつ、それは国民生活に見える形での指標 に変えつつ、ただし、必要な部分については、あるいはなかなか変えがたいものについて はアウトプット指標にする、あるいはアウトプット指標で説明を補う、そういう発想が必 要かなと思います。指標のアウトカム化の難しさについては梅田先生や他の方からもお話 がありましたが、今回、いろいろ総点検で作業をしていますと、確かにアウトカム指標と いうのは設定の仕方に相当議論を要する、それだけで頭の体操になりました。政策の実施 と効果の発現との間にあまり距離のあるアウトプット指標を置きますと、その因果の連鎖 が長くなり過ぎてしまうということがあります。だから、適切に距離感のあるアウトカム 指標を設定するということと同時に、今回の工夫の中で、これは実際に評価書を作ってい くときに施策の実施とアウトカム指標との間の関係、これこれこういうことで結果が出た という分析をしていくのですが、やはり指標だけでは説明しきれない、達成水準などを設 けるには、難しいのですが、参考統計のようなもので補っていく、あるいはアウトプット 指標で補うということだと思います。  例えば、先ほど本田委員からありましたように、がんの拠点病院の整備率は、アウトカ ム化をする中でも今回のツリーの中ではまだ残してあります。さっきの保育のものもそう なのですが、カバー率という指標を立てると同時に個別のサービスの整備率も指標として たてて、必要なところでは、アウトカム指標を補捉するような形でアウトプット指標も入 れて、中身の詰まった形で、そして分析をしていく。さらに事件を必ず言及するというこ とも、もちろん説明責任ということもさることながら、施策の実施とその効果の発現との 間に何か外生的な影響があるのであれば、やはりそれは当然、どういう影響を受けたかと いうことは施策評価の技術的な要請として書いておく。これもやはり施策の実施と成果指 標との、その成果指標でうまく測るときの押さえておくべき要諦かと思います。実際、こ れから、評価書作成作業はそういう点に注意して、ただ今いただいたようなご指摘も注意 しながら、心がけていきたいと思っております。 ○高橋座長   ありがとうございます。いかがでしょうか、いままでの議論も含めまして何か新しい視 点があれば、また。 ○本田委員   この書類の後ろのほうです。この最後のほうの16頁以降の「その他の工夫」を私はとて も素晴らしいと感じています。というのは、こういう政策評価関係資料というのが、私、 この委員をさせていただいてから、毎年もらうのですが、いままで、申し訳ないのですが、 あまり熟読したことがないのです。記者の仕事を十数年やっていますが、ぶつかって何か の足しになった経験が実はないのです、恐縮ですが。しかし、このような形で、例えば18 頁で、この問題に関してはこうしたところでこういう指摘があったり、こうしたことを言 われていたりという全体像が見えるとなると、例えば記者初心者、もしくは国民一般でこ の問題に関心のある人が、こういうものがあって、これを見ると、ちょっと全体像が見え て、というような使い方に持っていってもらえるかもしれない。そうすると、これを作っ ていらっしゃる方のモチベーションが上がるかもしれませんし、それでより良いものにな ってくれたら、みんなのためになるのではないかと思って、それはプラスだとすごく感じ ました。 ○高橋座長   政策評価の仕事そのものがある意味では非常に面倒くさいけれども、なかなか実りがな いという、それがいろいろな方向で、予算編成に絡ませるとか、いろいろな仕掛けをいろ いろやってきて、だんだん。やはり1つの仕組みというのは。これ、始まってから何年にな るのでしたっけ。もう10年ぐらいになるのですか。 ○政策評価官   10年弱になります。 ○高橋座長   10年近くですよね。やはりある時間が必要で、その上にこういう情報、やはり情報価値 と言うのでしょうか、ですよね。やはり、もらうけれども積んでおくか捨ててしまうか、 やはりとっておいたほうがいいよという。そういう意味では、今回は情報価値を上げる努 力を相当していただけるようですが。 ○篠原委員   いま政策評価以外でも独法の評価とか国立大学法人の評価で、よく聞く話は、負担が重 いと、本田委員が言っている活用は少ないと。いま私たちが聞いているのは、財務省の予 算査定と会計検査院が使っていると。この14頁には概算要求にも使うと。今回のこの内容 を見ていくと、かなり客観的なデータも出てくる。ですから、学生の論文の何かにも使え るし、何か問題があったらこれで案外説明もできるし、シンクタンクなども使うというか、 今後、その活用の宣伝をしてもいいのかなと。そろそろ、もうそれなりのデータになった からという部分も、それは総務省の制度組の話かなという気もしないでもないですが。た だ、厚生労働省としては、その分野のそういう関わりがあるからそういうところに宣伝と いうのも必要なのかなと。 ○高橋座長   それは基本的にはインターネットで公開されているわけですよね、たしか、政策評価と いうのは。厚生労働省の。あれは、それこそどのくらいアクセスされた。厚生労働省はも ちろんカウントしているのでしょうけれども、ここはどのくらいアクセスされているか、 数としてはわかるのですか。 ○政策評価官   ホームページ上にアップして、その分野のアクセス数は残念ながらわからないのですが、 もちろんアップしていますので、何かあれば、いろいろご意見欄みたいなところに反応が 出てきます。これは、私たちも今回の見直しに当たって、過去1年ぐらいは保存してあるの で調べてみたのですが、政策評価そのものに関することは、残念ながらなかったのです。 ただ、篠原委員のおっしゃったこととすごく関係のあることだと思うのですが、私どもの ほうにも原局のほうにもたぶんそういう電話が掛かってきていると思うのですが、例えば、 実際、高次救命救急センターの設置箇所数ということだったのですが、アップされていた 実績評価書をご覧になり、直近の数字が欲しいというような問合せが現にありました。政 策評価絡みであることもそうでないこともあるのですが、年度末になりますと、学生から 統計に関する問合せが非常に多いというのはあります。ですから、いまおっしゃられたよ うなことはまさに政策評価書の1つの説明責任の果たしようなのかなというのは、ただいま のお話はそのようにとても強く感じた次第です。  本田委員がおっしゃったような一覧性の問題について申し上げますと、やはり政策評価、 結果を使うというのと同時に、作っている作業、プロセスというのも結構大事です。私ど も部内の話かもしれませんが、今回、個別事業の評価をちょっと選んでやってみようと言 ったときに、この様式というのは、まさに、ある意味概算要求の準備作業に連続していく プロセス、理想的にはそういうものをイメージしていて、それでPDCAというように流れて いくのかなと思います。動機付けとしては、まさに予算要求に使うのでというのが私たち 内部の原局の評価をする側のことだと思います。また、一覧表みたいなものも、これは政 策評価をやっていく上で当然押さえておくべきものなので、ついでにこうやって作ってお けば一覧性のあるものとして中でも外でも見ていただけると、そのような意味はあるかな と、プロセスとしてはそのようになるかなと思います。 ○篠原委員   14頁の下の評価対象事務事業の選定基準の○の2番目で、「支出の削減・効率化の観点か らの評価を必要とすると考えられる事業」ということで3つあって、3年以上というのを私 も、いま超克な棚卸しとか徳川先生もいろいろやって必要だと書かれているのですが、私、 1つ、こういうものが必要かなと、十の中に入るかなと。新たな政策とか事務事業をやった ときに、いままでやったら要らなくなるとか、メリハリが違う、そういう検討も必要かな という気がするのですが、そういうものはあまり関係ないのですか、多少は関係するので すか。 ○高橋座長   ビルト・アンド・スクラップ。 ○篠原委員   そうです、そのほうが必要なのかなという気もしているのです。 ○高橋座長   何か、今井さんからありますか。 ○政策評価官   まさに、そういったものも含めての選定ということになるのだと思います。これは、ム ダ・ゼロという指摘があって、そういったものを反映してやっていくというような形なの で、おみこみのような効果も出てくると思います。 ○高橋座長   このぐらいになってくると、白書の付属資料であれするものも活用できるようになりま すよね。これは今でも使っているのですか。 ○政策評価官   いまは、白書には施策体系のはツリーを乗せているというような形になっています。だ から、うまくどこにのればいいのですが。そのままというと、かなりのボリュームにはな ります。 ○高橋座長   ボリュームはありますが、何か活用できそうですよね。 ○政策評価官   そうですね。 ○高橋座長   そういうのと、白書というのは、皆さん、まずはご覧になるから。それと、個別にはこ れとリンクしているとかと言うと、そのときも必ずトピックスではない、毎年の行政の年 次報告後はこういうのともリンクするととてもわかりやすくなるかもしれないなと。ただ、 どのようにするかはもうあっちではないけれども。そういう形で少し。 ○政策評価審議官   これはやってみたいと思います。それから、いまいろいろご評価いただきましたように、 この新しい仕組みを議論するに当たってはやはり政策評価をするのが何かプラスになって いかないと、しかも、目に見えた形で変えていかなければいけないということで、1つは、 予算にその方向がきちんと反映されるということと、もう1つは、国民にとってわかりやす い政策の説明ができるものにしようということで、今回、いろいろやらせていただきまし た。それに加えて、厚生労働行政の在り方に関する懇談会でもその政策評価の重要性、PDCA を回していくということが強く言われているので追風になり、なおかつ、ムダ・ゼロとい う中でも政策評価が非常に評価されてきたという中での追風もあって、かなり変えられた のかなと思います。  ただ、新たにアウトカム化した指標については、今後、また見直さなければいけないも のもたぶんありますので、それは、走りながらPDCAを回して直していくべきだと思います。 また、こういう外部の皆様方のいろいろなご意見をどんどん取り入れていきながら進めて いかなければいけないかなと考えております。 ○高橋座長   ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○梅田委員   これから評価書を書いていただくというか、実際、そういう実務の作業が始まるときに、 さっきの話とも少し関連するのですが。いままで、評価というのはどうも役所側の説明、 もちろん第一義的には説明をする、役所側の活動の説明をするということに、まずはやは り力点が置かれて、もちろん当たり前の話なのですが、私は前から思っているのですが、 例えば国民側の責任とか企業の責任とか、もう1つは天候みたいな全く外部的なこととか、 逆に役所側が攻めると言うと表現はおかしいのですが、そういう要素が、私は最初から意 識してやっていました。もちろん役所側がやっていることの説明をするということがまず 第一であることは紛れもないことなのですが、役所が全部解決するわけではもちろんない わけで、国民側の義務もあるし責任もあるし、天候みたいな全く外部的な要因もあるわけ ですから、先ほどの最終アウトカムというか、アウトカムの至る過程の分析のときに大い に、私は逆に攻める評価というか、攻める評価というのは変だな、ただ守るための自己弁 解、弁解もちょっと語弊がある言葉かな、自分たちの説明しているだけの評価ではなくて、 国民側の責任とか、役割とか、きちんとやってもらいたいこととかを大いにアピールしな ければいけないわけで、その評価の中にそういうことは当然入っていくわけで、もともと、 分析の中に入るべきなのです。  しかし、いままで、評価というのはどうしても受け身というか、やらされて何となく、 もちろん税金を使ってやっているわけですから、税金を使ってこれだけやりました、とい う説明のほうにどうしてもくるのですが、いま、たまたまこのアウトカムの指標に統一さ れたのを契機に、当然、その間にそういうものが入ってくるので、それを逆にアピールし ていくというか、国民側にアピールしていくというか、厚生労働省の仕事の中にはそうい う要素もかなりあると思うのですが、そのように。これは全省というか、全体的に言える ことなのですが、政策評価もそろそろそういう時期にきているのかなと、自己説明は大体 やり、やり終えたわけではないですが、ある程度やってきているのですが、ということを 思います。 ○本田委員   梅田委員がおっしゃったように本当に、実は私もそういうことをマスコミもいろいろ問 題があるなと思いながらやっているのですが、自分たちでわかっていないわけではない部 分はあるのですが、どうしても、過程がわからない中で都合のいいものだけを出している という、過程がわからないと、都合のいいものしか出していないだろうと見てしまうので す。私たち国民一般としては、やってくれているのだろうと思ってしまうわけなのです。 しかし、こうやって、どうなっているのかというのをアウトカムも出しながら、そのプロ セスもわかるようなものをきちんと出していくことで一緒にやりましょうと、あなたたち も参加しないと変わらないのですよと。例えば検診でも、こういう仕組みを作りました、 でも、受けに行ってくれなかったら何も変わらないとか、あるではないですか。だから、 やはり出すことからかなと思うのですが、まさにこれがステップになって一緒にやってい けるような、そうすると、マスコミもこういうものをきちんと出しているということを勉 強していかなければいけないし、というのはとても感じているので、第一歩として踏み込 んでいただけるのはとてもありがたいと思います。 ○高橋座長   ありがとうございました。やはりおっしゃるとおりで、どうも日本というのはやはりパ ターナリズムの国だから、行政が全部やってくれるという変な暗黙の了解があって。いや、 本当に。いや、私たちの専門の世界はそんなスーパーパワーではないのに何でスーパーパ ワーを要求するのかと思うことは、とりわけ福祉などは殊にそのように思うのですが、そ ういう意味で行政と。先ほどのアウトカムのいろいろな、コンポーネントの話もそうです。 たぶん行政が政策で目標とすべきパフォーマンスのレベルみたいなものが、それぞれの政 策領域はたぶん違うのだろうと思います。その辺をきちんと識別しながらアウトカムを理 解していただく、そのようにいままでの議論を整理、私なりに解釈すると、そういう話な のかなと思っております。 ○政策評価審議官   いまのご議論、私たちも非常に重要だと思っております。いま座長がおっしゃられたよ うに、いまの評価で主要な部分というのは目標との関係でどのくらい出来たかというとこ ろが結構大きな要素になっていたと思うのですが、それは当然大事なことで引き続きやら なければいけないことですが、それに加えて、問題の所在と、どうしたらいいかという課 題に対するその方向もきちんとその政策評価の中でできる限りやっていくという方向で全 体をいま考えております。いまの課題設定は、おそらく、そういう中でどの程度踏み込ん でその問題状況を把握し、なおかつ、それに対する課題が、課題としてそれを提示できる かという問題だと思っております。 ○篠原委員   2点言わせていただきます。1点は、海外の先進国は、政策評価というのは財政実績と言 うのですか、この数値目標などは、国家のいろいろな部分で監査対象になってきつつある のです。そうすると、日本なども、そろそろこういう数値のというか、信頼性を確保する 手段を考えなくてはいけないような気もするのです。最近、いろいろなものが出ると、あ とからボロボロ数字が変わるということもありますので、やはりその部分を意識していた だきたい。そうすると、今回、こう見ると、いろいろな改革で政策評価が過重負担になっ てくるということがあって、我々はそれを要求するほうだからその後ろめたさはあるので すが、電子化と言うのですか、もう少しその部分でできないかという検討も要るのではな いかと。超克の、かなり進めている部分はあるのですよね。 ○梅田委員   先生のおっしゃるのはどういう意味ですか。 ○篠原委員   情報の、集めるのを自動化するとか。 ○梅田委員   データがかなり電子化してスムーズに連動していくという意味ですね。 ○篠原委員   必要なものが十分集まってくる、関連データとか。 ○梅田委員   出来ている部分もあるし出来ていない部分もあるし、と思いますが。 ○高橋座長   要するに、政策評価がオーバーロードになって。 ○篠原委員   ならないように工夫をする。 ○高橋座長   これはある種の簡素化に逆行するような話にならないようにということも、いろいろ考 えなければいけないことは多々ありそうだなと思いつつ。 ○菊池委員   遅れて来て申し訳ありません。議論を伺っていなかったのでタイムテーブルを知らない のですが。基本的に方向性としては賛同するところなのですが、毎年、毎年、回しながら というお話をされていましたが、今回、非常に大きな見直しをされて、ある程度はこれで、 基本的にはこのやり方で何年かは走ってみる、そういう中期的な見地に立っておられるの かと。つまり、毎年、毎年、大幅な見直しをしていたのでは、国民に対する説明責任とい う面でも非常に不安定なものだと思うのです。そういう意味で、ある程度大きく変えたら、 それで大きくは変えないで少しやってみるということなのかなとも思えるのですが、それ との関係で、ただ言われたからやるという仕事ではなくて、各部局が一生懸命にされる、 これが前向きな形でさらに利用されるという方向で活用されなければ、単なる事務作業で 終わってしまうと思うのです。そういう面で今回、大幅に見直しされて、ただ、これは1つ の国民に対する説明責任を果たすツールになり得るとすると、それで私もこの資料、パラ パラとですが、拝見して、それではもう膨大なボリュームで、たぶんこれは全体を読んだ 人が把握するというのは、よほどの専門家でもない限り難しいと思うのです。そういう意 味で、1つは、この基本的な枠組みを、例えばもう少し簡素化してわかりやすくするとか、 そういうことを中長期的にはお考えになっているのかどうかということと、それから、も う少し全体を把握しやすくする。報告書などでもサマリーを付けたりもしますし、そうい った形で、さっきアピールという話がありましたが、この評価、全体をボンと出すだけで はない何か、圧縮版みたいなものをやって世に問うていくというようなこともお考えにな っているのかどうか。そういうものを何か考えられたらいいのかなと思うのです。 ○政策評価官   継続性と言いますか、定点観測的な視点というのはとても大事だと思います。今回、見 直すに当たりましても、その点はやはり少し考えた部分があります。実はこの政策評価の 取組を少し前から遡って見てくると、一昨年になるのですが、予算との連携の取組みの土 台づくりということでこの政策評価の政策目標、69個の大目標につきましては予算書の項 という割合と大きな単位なのですが、それとの整合をして、項目を政策評価のほうに合わ せたり、政策評価のほうの項をちょっと合わせたりと、要するに、そのようなことを全省 庁でやったという経過があります。しかも、この69の目標というのは、私ども、5年ごとに 基本計画というものを作ってこういった会議でもお諮りしていて、5年ごとに見直しをする というような体系になっているものですから、今回、目標の体系もいろいろと見直すに当 たってはやはりそういう、政府全体である程度整合性をとって、かねてから継続的にやっ ている取組みは基本的に尊重しなければいけない。それは次の見直しの時期に、もし大手 術が必要であれば行うとして、基本的なその軸のとり方、69の目標体系というのはやはり このままでいこうというような意味で継続性というところは非常に大事かなと。ここで大 きくナタを振るってもよかったのかもしれませんが、これはやはり次の時期というものが あるだろうし、第一、評価書をまだ1回も作っていませんので、やはりそういう状況を見て 考えていかなければならないのではないかと思っております。  先ほど事務負担というご指摘がありました。これは、私どものようなこういう各省の中 での取りまとめ部局にあっては、ある程度正面から真剣に考えていかなければいけない点 だと思っておりますが、1つには、先ほども申し上げましたが、評価作業のプロセスがその まま何か新しい副産物を生み出すということと、次につながる改善点を明らかにして、例 えば概算要求なり制度改正なり、リソースの再配分につながるからで政策評価をやってい るということで、政策当局自身がこれをやることの動機付けというものをしっかり持つよ うにするように仕向ける、これは私ども評価官室の役割かもしれません。そういう形で仕 向けるようにこの評価のシステムを仕組んでいくことが大事なのかなと思っております。 あとは、政策目標69、実績評価をやるときに、厚労省の場合は昨年の例でいくと40ぐらい 実績評価をやって、残りの29指標については、モニタリングといって、統計だけをとると いう形をとっております。統計だけをとって中休みするのですが、今回は少し重点化しま して、重要なもののみをかなり絞って、35項目ぐらいを実績評価、残りの半分ぐらいをモ ニタリングという形で、その分、負担は出てきますが、実績評価のその年の対象というも のを重点化をする。そういう形もとっているということです。  それから、アップするときには、今回、評価書様式を改めましたから、また要約の仕方 を考え直さなければいけないのですが、一応、アップをするときには評価書そのものも、 もちろんアップはしますが、要旨をつくる。各政策目標に要旨をつくって、それをホーム ページ上にも公開しているということです。その点も、もっと工夫できるものは工夫した いと思います。 ○高橋座長   今回はマイナーとメジャーの間ぐらいのアップデートをする。基本計画は1つの節目だよ と、これはかなり大きいけれども、メジャーに近いマイナーアップデートをするのですが、 どんな感じですか。 ○政策評価官   率直に申し上げて、指標の見直しというのは相当徹底してやったのではないかという気 はしております。嘗めるようにチェックをしてやった。ただ、これも実際に評価書を1回つ くってみて、あるいはこういったものが不足しているとか、日々新しい統計をとるという こともあるかもしれませんので、そこの点はやってみて、より良いものがあれば変えてい く。指標の点はかなり見直しをしたのかなとは思っております。 ○高橋座長   医政局の方もお見えですので、この際、何かご発言があれば。少しずつ次のステップに 行きつつあるなというのが、ずっとやらせていただいての印象ですが、何となく、焦点が 実務的な本来の目標としてそれに近づきつつあるなという、そっちの方向に確実に向いて いるなという感じがいたしましたし、国民の利用というか、そういう活用という意味でも 一歩も二歩も前進しつつあるなという印象で、平成21年度、今までいろいろなご議論をい ただきましたが、より具体的な準備に入っていただくというようなことでよろしいでしょ うか。 (承認) ○高橋座長   それでは、引き続きまして今日の議題の2番目ですが、総務省の政策評価独立行政法人評 価委員会、これは政策評価の総元締めかと思いますが、政策評価の重要対象分野を選定し て夏ごろまでに各府や省が評価書を作成することになっているということだそうです。そ れで、平成21年度の重要対象分野のテーマは、厚生労働省関係では医師確保対策が選定さ れております。これも春から夏場にかけて評価書を作成して、この委員会でも議論をさせ ていただくということになろうかと思いますが、今日は医師確保対策が政策評価の重要対 象分野として選定された際の総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の答申の内容、 背景についてご説明をいただいて意見交換をさせていただくということで、医政局からお 越しいただいておりますので、よろしくお願いいたします。資料は今いただいたグリーン のものと総務省の参考資料1と資料2-1とです。 ○医政局医事課   医政局医事課の乗越と申します。本日はよろしくお願いいたします。資料は2つあります が、いま座長からご紹介がありましたように、平成21年度の政策評価について医師確保対 策が対象となっております。まずは、横紙の資料です。そもそも、今、医師確保対策につ いてどのような状況で、どのような施策をしているのかということをご紹介したいと思い ます。1頁目ですが、人口10万対医師数の年次推移というグラフです。「医師不足、医師不 足」と言われているわけですが、医師の総数で見ると、毎年3,500人から3,400人程度増加 をしている状況です。このグラフは人口10万対となっておりますが、当然、その数につい ても増加をしているという状況です。  2頁ですが、これが国際的に言うとどうかということですが、これは人口1,000人当りで OECD諸国と比較をしているグラフです。日本につきましては、1,000人当りで2.12という所 になっていまして、OECD諸国の単純の平均、人口とかを加味せずに見ると3.12ということ で、OECD諸国の中で見れば少ないほうの部類に入る。国際的に見るとこのような状況にな っております。  3頁ですが、日本全国で見て増えていますが、一方で、地域によって差があるということ で、これは人口10万人当りの医師数の各都道府県の分布です。これをご覧いただくと、数 だけ見ると、どちらかというと、西日本のほうが多い、東日本・北日本が少ないという状 況にあります。  4頁ですが、これは各都道府県内での二次医療圏ごとの人口10万人当りの医師数を出した ものです。全国平均で人口10万人当りについては217.5人ということになっていますが、こ の県内で見てもかなり差がある。2倍、3倍程度の差が見られるということになっておりま す。実は、人口10万対医師数で見ると141.6人と埼玉県が全国でいちばん少ないのですが、 その埼玉県の中でも西部第二では232人いますし、児玉という医療圏では96.0人ということ で、県内での差もあるという状況です。  5頁ですが、地域ごとの医師の偏在ということに併せまして、診療科別においても偏在が あるのではないかという指摘もあります。これがその診療科別の医師数の推移ということ で、平成10年と平成18年の医師数を診療科ごとに比較したもので、これを見ていただくと、 大きく動いているものとして内科とか外科、また、右のいちばん上にある産婦人科、こう いったところが数としては大きく減っているところです。一方で、増えているのは、数自 体が増えていますので結構増えていますが、例えば整形外科とかリハビリテーション科と か、そういう高齢化の進展に伴って必要なところは増えているという状況です。また、よ く話題になる小児科ですが、左のほうの真ん中にありますが、小児科医の数自体は増えて いるという状況にあります。  6頁ですが、医師不足問題の背景ということで、これは厚生労働省の中で医師不足問題の 背景としてこのようなものがあるのではないかということをまとめたものです。大きく4つ に分かれていまして、1つ目は大学医学部、いわゆる医局の医師派遣機能が低下していると いうことではないかということです。医師をその地域のどこに配置するかということにつ いては、今まではその多くは大学の医局が担ってきたという経緯もあります。  そのような状況にあったわけですが、7頁の臨床研修医制度の在籍状況の推移という資料 を見ていただくと、臨床研修病院と大学病院に分けていますが、平成15年度においては7対 3ぐらいで大学病院のほうに研修医がたくさんいたという状況だったのですが、新しい臨床 研修制度が始まって以降、だんだんと大学のその割合が下がっていき、臨床研修病院の割 合が上がっていくという状況が見られまして、平成20年度においては臨床研修病院のほう が少し多いという状況にあります。大学におけるこういった状況を踏まえまして、大学の ほうでは大学病院で臨床にかかる医師などを確保するために、いわゆる引上げなどが起こ っているという状況が指摘されていまして、そのために、地域のこれまで派遣していた所 に派遣されないという状況が一部見られるということでの医師派遣機能低下が問題の1つ の背景というふうに考えております。  6頁に戻りますが、2つ目として、病院勤務医の過重労働ということで、夜間とか休日に おける患者が集中したり、また、小児科・産科医など、医師が広く薄く配置されていると いうことで、医師が当直などをしなければいけないということで、その代わりが本来的に 入ればいいわけですが、少人数でそれを回したりしなければいけないというような状況も ありまして、厳しい勤務環境に置かれているという状況があります。常勤医師の平均の勤 務時間についても、週63.3時間というようなことも言われていまして、これらへの対応が 必要となっているところです。  また、女性医師の方が増加しているということで、女性の方においては出産や育児とい う契機において離職される方も出てくるということで、資料の8頁と9頁ですが、8頁のほう では医学部入学者に占める女性の割合が年々高まってきております。近年は落ち着いてい ますが、3割以上が女性であるという状況にあります。9頁ですが、年齢別の小児科医・産 婦人科医の男女比のグラフをご覧いただくと、若い医師の中では産婦人科医、小児科医、 いずれも5割以上が女性というような状況になっていまして、こういった方々が離職するこ とをいかに防ぐかということが課題となっております。  6頁に戻りますが、4つ目としましては、医療にかかる紛争の増加に対する懸念です。全 般的に民事裁判の数自体は増えてきている状況であると思いますが、医療にかかるものも 特別ではなく、医療にかかる紛争も増えております。また、大野病院事件という、産婦人 科医の方が逮捕されるという事件もありましたが、刑事事件になるということの懸念もあ りまして、これらに対する懸念から臨床を離れる方もいるとか、臨床に対して非常に不安 を持たれているという状況にあると考えております。このような状況を踏まえまして、大 きな動きとしては、平成18年以降、政府または与党の中で医師確保対策をしっかりしてい こうということで諸施策を講じてきているところです。  10頁ですが、まずは、医師が不足しているということで、医学部の入学定員を増やして いこうという方法で対応していまして、従来は医学部定員を削減する、抑制するという方 法で対応してきていましたが、平成20年、昨年、骨太の方針で早急に過去最大程度まで増 員をするというふうに閣議決定をしまして、平成21年度には過去最大で8,486人に増員する こととしております。  11頁ですが、大学医学部の医師派遣機能の低下への対応としましては、公的な仕組みに よる医師派遣を推移するということで、都道府県におきまして医療対策協議会という、都 道府県が主催をして地域の大学や大きな病院の関係者に入っていただいて協議会を設けま して、その中で医師の派遣を調整する。また、そういった対応ができない場合には、厚生 労働省におきまして医師派遣を行うというような仕組みを講じております。  12頁ですが、病院勤務医の過重な労働への対策ということですが、これにつきましては 短時間正規雇用とか交代勤務制といったものを導入することによって、医師の負担を軽減 していこうということです。これに対しては、病院に対する財政支援をすることとしてお ります。また、13頁ですが、医師と他の医療従事者等との役割分担の推進という案が書い てありますが、これは平成19年に厚生労働省から通知を出していまして、医師でなくても 対応可能な業務まで医師が実際にはやっているというような状況を改善するために、医師 でなくても対応が可能な業務の例を整理しまして、それを医療関係者にお示ししていると ころです。特に、事務職員の関係では、最近、医師事務作業補助者、医療クラークとかメ ディカルクラークと言われていますが、こういった方々を増やしていくための補助金など を実行しているところです。  14頁ですが、女性医師の増加に対する対応ということで4つ並べていますが、1つは、産 科医には女性の方が多いというグラフを先ほどご覧いただきましたが、地域でお産を支え ている産科医に対して手当てを支給している病院に対して財政支援をする施策とか、特に 院内保育所または子育て相談などを充実するための補助金などを講じております。また、 助産師の方が地域で「院内助産所」や「助産師外来」を開設するといったことを支援する ことによって、産婦人科医の方の負担の軽減を図るということをしております。また、女 性医師バンクというものが日本医師会に設けられていますが、女性医師の方の就職などの あっせんなどをしている所ですが、こちらへの支援の拡充を図っているところです。  15頁ですが、医療にかかる紛争の増加に対する懸念ということです。こちらにつきまし ては、今、厚生労働省において2つの仕組みを実施しまた検討しているところでありまして、 「産科医療補償制度」というものを今年の1月から実施しております。対象につきましては、 通常の妊娠・分娩において脳性麻痺となった方に対する補償。これは過失の有無にかかわ らず、過失がない場合にも補償をするという制度です。もう1つが、「医療死亡事故の調査 等に関する新しい仕組み」ということで、医療安全調査委員会を立ち上げてはどうかとい うことを厚生労働省のほうで提案をしているところでありまして、今、医療関係者などの 間において議論を行っているというところです。  次の資料は頁がありませんが、これは地域医療の強化について関係閣僚が集まった会議 に提出していますが、関係省庁が連携して施策を講じておりますということをまとめたも のです。先ほど説明したものについて詳細が書かれていますので、ご覧いただければと思 います。また、いちばん最後の頁は厚生労働省の医政局の予算案の概要というものです。 それもご覧いただければと思います。  こういった施策をいま講じているところですが、資料2-1に移りますが、政独委のほうで 医師確保対策について対象とするということが答申として出されていますので、こちらの ご紹介をさせていただきます。5頁から始まっていますが、こちらはII、医師確保対策(厚 生労働省、文部科学省)ということで、(評価のねらい)のいちばん下の所の段落ですが、 「地域間・診療科間の医師偏在の是正を見据えた適正な医師数を確保する観点から」とい うことで、基本的には診療科間の地域偏在というところに着目を置いて評価をする方針で あるというふうに当方としては考えております。  (評価の視点)の所ですが、大きく分けて2つあります。1として、医師数の決定方法、2 は医師の偏在を是正する施策についてということで次の頁にあります。1の医師数の決定方 法です。こちらについては、まずは(1)必要な医師の基準を明らかにしようということを答 申されていまして、必要な医師数について、医師が不足しているのかどうかということを 明らかにするためには、その医師が充足されている状態なのかどうかということをあらか じめ明確にすべきだという考え方から、その必要な医師数の基準や医師の過不足数につい て推計をするという視点で評価をすると書いております。また、医師の配置基準というも のは、医療法においては病院の医師配置基準のほうが示されているわけですが、これと医 師不足の状況との関係を明らかにするという視点で評価をすると書いております。  6頁ですが、(2)が医師養成数の調整方法です。医師養成数につきましては、医師の需給 の見通しというものを過去何度か行ってきているわけですが、これまでの見通しの推計方 法について検証をする。そして、その改善すべき点があるかどうかについて明らかにする 形の評価を行うということとされております。(3)として、医師の質の確保をするというこ とで、医師数の増加に伴ってその教育・訓練の充実への対応策や効果の見込みについて明 らかにするということです。  2の医師の偏在を是正する施策です。これは2つに分かれていまして、(1)は地域間と診療 科間の医師の偏在を是正する施策として、先ほどご説明した大学の医師派遣の低下などと いう医師不足の背景などについて、その地域間・診療科間の医師の偏在に及ぼしている影 響を検証するというものです。(2)として、その医師の偏在を是正するための諸施策の検討 です。この偏在を是正するためにいろいろ施策をしているわけですが、それに対する評価 をするということです。アとして、経済的なインセンティブを付与するということで、診 療報酬の形ではないと思いますが、医師に直接給料を支払うというような形での経済的イ ンセンティブを付与する施策が、医師の勤務地や診療科の選択に及ぼす影響について検証 を行うということです。イとして、地域間の医師の偏在を是正するための諸施策の検討で す。医師に、特定の地域に一定期間勤務を義務付けることを可能とするような施策を行う 場合に、その効果についての検証を行うということです。ウとして、医療機関の役割分担 の明確化・機能の集約化。こういったことは医師不足対策の中で行う際の医師不足への効 果を検証する形でその評価を行うということが今回の答申で定められております。いまの この評価内容につきましては、総務省、また、この政独委の委員の方々で現在ヒアリング などが行われているところでありまして、そういったことを踏まえながら進めていきたい と考えております。少し長くなりましたが、説明は以上でございます。 ○高橋座長   前半に議論してきたことが、だいぶ当てはまるような議論が入っているなと思いながら 拝見しましたが、これから作業を具体化させるということでタイムスケジュールがありま すので、それに合わせて何かこちらの委員の皆様方からのご意見をいろいろ承りたいとい うことだそうですので、よろしくお願いいたします。 ○野川委員   3頁の人口10万人当り医師数の分布の図で、おそらく、多くの素人の人はこれを見てかな り驚くと思うのです。関東地方はなぜ最低限の状況なのか。質問は、次のような解釈でい いのかということですが、東京だけが高くて、東京は最高で、ほかの周りの関東圏は最低 であるというのは、首都圏は人口が極度に集中していて、したがって母数があまりにも大 きいので、その10万人当りの医師数というふうな比率で現わすと、どうしても少なくなる。 しかし、東京という所は中心的な病院が集中し、しかも大きな大学の大学病院が集中し、 その医療機関の集中の度合が人口の集中の度合を補って余りあるほどなのでこのような数 字になっている。他方で、千葉県や埼玉県や神奈川県は人口の集中のほうがはるかに大き いのでこうなっている。そういう理解でいいのかということをまずお答え願えますか。 ○医政局医事課    いま委員のおっしゃったとおりです。確かに、東京の周りは青で少なくなってはいるの ですが、実際に、東京に近い所は遠くへのアクセスはかなり便利であるということでもあ りまして、そういったことも考慮する必要があると思います。 ○野川委員   もう1つ、私、いまのお話を伺って評価のときに難しいと思ったのは、資料2-1の7頁の上 に書いてあることなのです。これが非常に重要だと思ったのは、「同じ地域において同じよ うな診療科・規模の病院が競合し、医師配置の分散や過剰な病床数を招く傾向にある」と ありますよね。つまり、医師の絶対数が増えるとともに、医療機関の合理的な立地が非常 に重要なのではないかと思うのです。例えば、これから医師がへき地医療とか医師が不足 している地域に行くとしても、その受け皿としての医療機関をどのように効率的に合理的 に配分するか、そしてそれをどう政策として反映させていくのかというのをお聞きしたい ことと、それに関連して私が少し懸念しているのは、実は、私の友人にも何人か医師がお りますが、そのうちの1人に聞いた話です。以前、東京で急に産気づいた女性が救急車でた らい回しにされて結局亡くなった事件が大変話題になりましたが、あのときに私の友人の 医者は「あれは東京だから起こった事故だ」と言うのです。その友人は山梨県と長野県の 境目にある大きな病院の勤務医として働いていて、今はこっちに戻って来ているのですが、 その病院ではどんな状態にあろうと必ず救急車を受け入れろというふうに言われているの だそうです。なぜならば、もしその病院が断わったら、その地域ではほかに受け入れる病 院がないからなのです。だから、どれほど忙しかろうが、誰もいなかろうが、必ず受け入 れろということになっている。逆に、東京では、ほかで受け入れるだろうという予測があ るので、あのような不幸が起きるというのです。実は、手がいっぱいで、産気づいた女性 が来ても誰もそれに対応できないからというのは理由にならない。自分の病院に入院して いる妊産婦が急に産気づいたというときに、いまみんな手があいてないからといって放っ ておくことはあり得るか、絶対に何かするだろう、だから最低限のことは必ずできるのだ というわけです。それがあのような形になってしまうのは、東京には病院が集中していて、 自分の所で断わっても必ずほかの病院が受け入れると考えてしまうからだというのです。 それがここに書いてある問題につながってくるように思うのです。この、私が非常に重要 だと思う点はどのように具体化されていくのでしょうか。特に、私は、政策評価というと きに、この医師の絶対数よりもこういうことのほうが、それこそアウトカムとして重要視 されてくるのではないかと思うので、お伺いできればと思います。 ○高橋座長   この総務省の言っていることは、医師確保と称していろいろなことがごっちゃになって 入っていますよね。医療確保と医師確保というのは同じか違うかという話があるではない ですか。それとか、これを受け取っても医政局としてはちょっと大変なのではないかと思 って少し同情しつつ、いまの質問もそういうことにかかわるような気がするのですが、何 かコメントがあれば。 ○医政局総務課   医政局総務課の高島と申します。医療機関の配置に関しましては、医療計画に基づいて 都道府県が適切に医療機能を集約化、分化・連携強化という形で見直していくということ で、平成18年の医療制度改革に基づいて新しい医療計画を実施している状況です。もう1つ、 お産でのいわゆるたらい回しと言われる事案に関しましては、非常に特殊な事例でもあっ たということで、原因分析等を今もやっているところですが、救急の場面でいちばん医療 機関のほうで困るというのは、かかりつけではない方に来られてしまうと受け入れること にちょっと抵抗がある、という声はいただいているところです。今はまだ具体化している わけではないのですが、来年度予算案の中で管制塔機能という形で、言ってみれば、地域 の中核的な医療機関を整備していただく予算事業を設けるところでありまして、ある医療 機関、二次医療圏ならば二次医療圏で中核的医療機関をつくることによって、まず受け入 れをそこでしていただく、ないし受入れが困難であれば周りの診療所等を活用しつつ受入 れをしていただくという予算事業を打ち出させていただいているところです。 ○高橋座長   先ほど梅田委員がおっしゃったことはまさにここで随分あるのですが、どうぞ。 ○梅田委員   政策評価として行う場合の重点の置き方といいますか、医師確保対策という表現はいろ いろ議論があるところですが、この答申では医師確保対策になっていますが、これを一般 的に論ずるのではなくて、政策評価としてやれということなのですね。それで、私はこう 思うということを申し上げて議論していただきたいのですが、要するに今までとってきた 制度を徹底的に評価するということが、この政策評価の領域なのであって、どちらかとい うと、それを分析することによって、もちろんこうあるべきというのが出てくるというか、 そこには1つの政治的な政策判断とかがいろいろあって案が出てくるのですが、政策評価と いうのは過去とってきた制度、わかりやすい話で言うと、例えばこの入学定員ですが、10 頁の表ですが、このようにとってきたときには、それぞれそのときの考え方、政策の考え 方があったわけで、これは閣議決定でピュッと上げてありますが、そもそも政策評価とい うのは過去にとってきたこの入学定員の制度がどういう考え方、どういう推計の中でとら れてきて、それが今どういう問題点に結び付いているのかという、これは1つの例なので、 政策評価という分野では過去にとってきた施策の分析を9割と考えてもいいと思うのです。  そうしないと、一般的な議論で、例えば医師確保対策で、ほかに審議会とか検討会とか があると思うのですが、そこで議論するための資料を提供するというか、判断資料を提供 するというのがもともと政策評価の領域なので、もちろんこれは変えなければいけないと いうか、今後、ここに書いてあるのは医師確保対策としか書いてありませんが、政策決定 が行われていくわけでしょうが、そのための判断材料として過去の制度を徹底的に分析し、 そこに出てきた問題点を分析する。これは、単にこの入学定員だけではなくて、いろいろ な制度がありますよね。説明では言い表わせないいろいろな制度、そのうちのどれを扱っ て、ピックアップして分析するのか。全部分析するのも大変だとは思いますが、それでも 関係深い施策は徹底的に過去の考えを明確にして、そのときの需要予測というか、そのと きのあれをして、そこから出てきた論理性を追及していかないと、一般的な議論では政策 評価ではないのです。大変だとは思うのですが、極端に言うと、今後こうあるべきという のはこの政策評価で決めなくてもいいのであって、今後どうあるべきかという判断を、こ れは政治サイクルも含めてやるわけで、そのための判断材料を提供するという視点で、こ れは例の森田先生がよく言われる話というか、政策評価の本来のあり方なので、もともと そういうものが政策評価なのですから、いろいろな制度でそれを徹底的にやっていただく のがここに求められている政策評価という作業であるということを申し上げて、大変なこ とだと思いますが、是非そっちのほうで棲み分けをしていただかないと、検討会とかと同 じレベルでやってしまうと本当に同じものになってしまうと思います。 ○高橋座長   総務省の資料で言うと、6頁の2というのはこの委員会でずっと議論した大文字の政策評 価と小文字の政策評価がある。大文字の政策評価というのは、要するに議会とか世の識者 とかがなさる政策評価の話で、問題は、先ほど梅田委員が明確に示したように、政策評価 としてやるべきことは何かということをきちんと焦点化しておかないと、大文字の政策評 価と小文字の政策評価がごちゃごちゃになった話で、はっきり言えば『床屋政談』に近い 評価書みたいなものが出ては困る。本田さん、どうぞ。本田さんはずっと医療をカバーし ておられたから。 ○本田委員   普通は政策評価という視点でこういうことはどうなのかということを逆に伺いたいの と、それをどう考えていらっしゃるのかと行政側に言いたいと思っていたのです。例えば、 この医師不足偏在の問題というのは、私は社の中での取材テーマとしてもかかわっていて、 その背景のあそこがどうだこうだということはたくさん言いたいことがあるけれども、そ れは置いておき、こういう中でこういうことを検討するとかいう項目がいろいろあります ね、総務省から出てきていますね。でも、こういう点は検討が全然入ってないではないか という、検討の視点が足りてないのではないかとか、こういうことはもっと検討していか ないのかとか。例えば、具体的に言うと、ここは厚労省ですが、例えば文部科学省と厚労 省との間で溝があるからいけないのだと思いますが、日本は医者を育てるときに教育の中 で何でもできる医者というものを基本的に育てるというふうな立場に立ってやっているの かどうか。国民一般からすると、今の過度の専門医指向というのはちょっと問題があると は思っているのですが、何でもできるなんて思ってなかった、という国民の反応がすごく 多くて、読者の中には「標榜科も自由標榜制で何科を名乗っても構わない中で、これは嫌 だからこっちに行ってしまうとか、そんなのありだったのですか」とか、一般の国民はそ んなことは全然知らないわけですよ。だから、それの良い悪いは検討会でやってくれたら いいのでしょうけれども、こういう視点の検討はされるのですかとか、こういう視点の検 討はされていないのですかとか、そういうことはここで言っていいのかどうか。 ○梅田委員   ここでとか言うことではなくて、私が言いたかったのは、政策評価というのは基本は事 後評価なのです。だから、過去にとってきた、特に行政がとってきた制度で、いまおっし ゃるような問題点があるような、そこまで行くかどうかは別として、過去の評価を徹底的 にやるというのは政策評価の大基本なのです。それを踏まえてどうするかは、私の表現で 言うと、評価イコール評価という部屋があって、その出口のドアを開けたらすぐ結果が見 えるというようなものではないと私は思っているのです。要するに、評価の作業をする部 屋がありまして、そこで評価を徹底的にやります。そこの出口を開けた途端に、来年の予 算がパッと見えたり、今後のあるべき姿がパッと見えたりするわけではなくて、そこから 渡り廊下があって、そこで政治的な議論も行われる。国民という立場での議論もたくさん あって、いろいろな総合的な議論がなされた上で政策決定がなされて予算も決まるわけだ と私は思っている。それをよく誤解されると思ってずっと言い続けているのですが、評価 というのは徹底的に過去の評価だというのが基本は基本です。だから、過去にとってきた 制度で、いまおっしゃったように、大基本ですか、そういう制度がとられてきた、それが よかったかどうかという過去の評価をするのが政策評価です。 ○本田委員   そのときに、評価をしようと思うと、過去にこういう政策をとってきましたというふう に明確にしていないと評価できませんよね。 ○梅田委員   だから、どれを取り上げて評価をするか。いまおっしゃているような問題までと言うと 語弊があるが、そこまで取り上げるか取り上げないかというのは判断の問題ですね。 ○本田委員   行政や政治的な判断ということですか。 ○梅田委員   いや、この政策評価をする場合です。これは昔から思っていてよく誤解されるのでどう しても声が大きくなるのですが、例えば6頁に書いてある答申ですが、先ほど座長がおっし ゃったように、とってきた政策をいま変えようとしている場合は特に検討するのは当たり 前ですね。過去にとってきた制度を徹底的に分析する。だけど、いまおっしゃっているよ うな大基本というか、そこまで踏み込んでもいいわけですが、私が言いたかったのは過去 の評価だということで、どこを取り上げるかは幅がありますよ。だから、評価書が出てき た段階で、これは全然取り上げてないからおかしいということは言えるわけです。だから、 これから厚生労働省が評価書をつくられるときは、どのあれを評価するかを決めないと、 いまおっしゃっているようなことまで対象に含めるのはそれは1つの与件として、すべてを 評価するというのは無理ですよ。ある程度与件として、1つの前提価値として置くものは置 いた上で評価しないと実際の作業はできないですから、難しいところです。要するに、前 提価値、そこはどうかはいまからやられる側の評価者側の視点です。 ○本田委員   いまの説明で、すごくわかったわけではないけれども、何となくわかりました。ただ、 いますごくわかったのは、どういうところを取り上げてこられるかというのは、数の問題 とか分量の問題とか。 ○梅田委員   こちら側の視点の問題です。 ○本田委員   こちら側の問題ですよね。 ○梅田委員   そこを皆よく誤解されるのです。評価者の視点がまずあって、それに対して文句があっ たら言うべきであって、評価者は自分で視点を置くのだからそれは自由なのです。自由と 言ったらおかしいけれども、研究者は研究者なりの視点を置いて評価するわけでしょう。 行政機関は行政機関としての視点で過去を評価するわけです。そのときに食い違いという のは絶対に起きるわけです。それが、いまおっしゃったように、国民の側、住民の側から 見たときの評価の視点はまた違うのです。これは自治体でやっている場合も全部違う。そ この問題と評価の中身の話を混乱されるから、非常に困るのです。これはもう10何年来、 私は言い続けているのですが、なかなかわかってくれないのですが、あたかも神様がやる ような評価というイメージでこの議論をされるので、そんなものではないですよ。評価者 という1つの立場があって、その評価対象を選ぶわけではないですか。原則は、選ぶのは過 去です、未来ではないです。過去のものを選んで、評価基準も自分たちで置いて評価する わけです。それが評価書として公にされたときに、それはおかしいという意見があればそ のときに言わないといけないです。要するに、選び方も違うとか、視点も違うとか、評価 基準も違うとかね。 ○本田委員   素人としていまの私なりにまとめさせていただくと、要するに過去に何をやってきたか ということが大原則。もう1つは、評価者がその評価者の視点でどこを上げてくるかという のも評価者の視点で上げてくるのが大原則。それを評価する、こういうような意見を言わ せていただく場が、その中身についてああだこうだとか、その評価を出してきた視点自体 に対しても、この視点は足りてないのではないかということが言える。そういうことでい いのですか。 ○梅田委員   そうです。だから、この5〜6年、法律ができてから国においては各省庁が、法律で決め られていますから、ホームページでバーンと出していますね。あれに対して、本来、研究 者はもっと意見を言うべき。私がある新聞社の専門の記者の方に取材を受けたときに、「あ なたが読んで新聞に書いて国民に知らせないと、国民の多くはわからないわけだから、い まおっしゃっているところを新聞に書いてください」と言っても、なかなか新聞は書かな い。あれは怠慢だと思うのです。いや、それは別の話です。それで、もっと研究者も研究 者の立場としての評価の視点なりをどんどん言うべき。これは余談ですが、言いたいから 言わせてください。だから、いまの状態が続くと、どんどん役所側が強くなってしまいま す。変な言い方ですけれども、強くなってしまうのです。だって、どんどん毎年公表して いるのに誰も何も言わない。政治家も含めて、国民も含めて、もっと言うべきなのです。 それを、いまの評価はできが悪いとか何とか、中身と間違えている。だから、もっと研究 者、新聞、国民は、いま出されているわけだから、オールガバメント、政府として、公共 団体として出している。少なくとも、国は全部出しているわけです。それに対して意見を 言わないで、ほかのこの辺から、評価はどうのこうのと言っているのはいちばん腹が立つ。 これは議事録に書いてもらってもいいですが、私がいちばん腹が立っていることなのです。 それを混同しているわけ。 ○本田委員   例えば私程度の記者だったら、たぶん、その大原則がわかってなくて、なぜこんなこと しかやらないのよとブチュブチュ言っているだけなのです。それをきちんと知らしめて意 見をしていけばいいのですね。 ○梅田委員   これは違うではないかと。これは行政がやる評価だから行政の視点で選んでやっている わけです。 ○菊池委員   その際の取り上げ方というか、どういう視点で行政が取り上げるかというその取り上げ 方を問題にするということはいけないのですか。 ○本田委員   それはオーケーなのです。 ○菊池委員   それはいいのですね。 ○高橋座長   もう1回整理すると、PDCAというのがありますよね。そのCの話ですよね。プラン・ドゥ ーは前にあるのです。ところが、我々はしばしば次のプランのためにCをしたがるという、 それがごちゃごちゃの原因ですね。梅田委員は、とにかくこの政策評価で長年ご苦労され ているエキスパートの1人だから、逆に言うと、プラン・ドゥーの過去を振り返るためのC なので、それをきちんと弁えた議論をしなさいと。 ○梅田委員   特に今回はそうですよ。これは範囲が広いから。でも、ほかで総合評価というか、求め られているときはわりと狭いのですね。だから、そのときの制度設計を振り返ってやれば 大体しやすい。そうすると、何とか審議会とほぼ一緒の議論になってもいいなというか、 結果的になるなと。だけど、少なくとも、この分野についてはそこをきちんとした上でこ の政策評価を求められたわけだから、政策評価としての特異性というのか、独特の領域と いうのか、やるべきことを是非やってほしいと思いますよ。だから、どの制度を取り上げ るかによって厚生労働省の考え方がそこに明確になるわけではないですか。 ○本田委員   そこが大事なのですね。 ○梅田委員   おっしゃったようなことは与件として置いておくという評価もあり得るわけです。別に それが駄目というわけではない。それを前提とした上で、そこが出た後の議論です。 ○本田委員   そうですね。そこを選んでつくるというのはきちんと出して。 ○梅田委員   くどいようだけど、この混同した議論が世の中、巷いっぱいにあるのです。 ○本田委員   もう1回だけ確認ですが、プラン・ドゥーをやってきた。それでどれを上げてくるか、そ れも全部出してくる。それに対して、それぞれのことももちろんですが、評価の視点とし て上げてきたことに対しても意見が言える。 ○梅田委員   もちろん言える。言わないとおかしいです。言った上で、来年どうするか。つまり、こ れだと、閣議決定しているから定員が上がっているでしょう。このときはこのときなりの 理屈が構成されていると思うのですが、ここで政策評価が行われているはずなのです。評 価をした結果、これの矢印がピュッと上がっているわけです。だから、ここは政策評価の 部門なので言わせてもらってもいいと思うのですが、その領域、自分たちの領域をきちん と守った作業をしていただかないと、ほかの例えば医師確保対策審議会の議論とほとんど 一緒になってしまう。逆に言うと、その審議会に提供する資料を提供するというふうに考 えたほうが、もともとの政策評価というのは政策決定のための情報提供というか、情報提 供というのは基本的なサイクルなので、そこをみんな間違うと。 ○高橋座長   渡り廊下論というのは、まさに、政策決定の部屋があって、その前に政策評価の部屋が あって、それは隣同士ではなくて渡り廊下という、ものすごく意味慎重な表現で。 ○梅田委員   その渡り廊下が暗くてつらい廊下なのですよね。皆さんはそこのドアを開けたらすぐ結 果という、もう15年前からその議論が巷でされるのでね。 ○高橋座長   大きく言ってしまえば、政策評価の結果が呪文のように新しい政策がつくれるはずだと。 ○篠原委員   今日質問したいというか、まさにいま梅田さんと本田さんの議論なのですが、過去何年 かここでよく言われたのは、「必要のない政策を一生懸命やって好得点というのはおかしい じゃん」というのがあるではないですか。そうすると、ものすごく直感的には、これを見 ると医者を増やせと。私、この3頁を見ると、「多い所から少ない所へ持っていけばいいじ ゃん」というのもあるではないですか。だから、その部分をプランのほうではなくて、我々 からすると、評価を促すような評価というのですか、将来に向かって。だから、よりこう いう方向へ行くようなものを好得点にするという、我々も、ある程度将来性があるゾーン があって、そこから評価をしてもいいのではないかと。例えば、女性が3分の1というでし ょう。私は、実は、工学部で公認会計士になったらば、厚生労働省の偉い人から、お前は 税金泥棒だと言われた。工学部というのは金がかかるのです。医者はもっと金がかかるで はないですか。そうすると、「女性の数を少なくしたほうがいいじゃん」とか、そっちに持 っていくとか、これは男女平等からいくと問題が多いのかもしれないけど、単に数を多く するよりは、それは我々としては評価の部分で難しいけど、評価の仕方で促す方向もある だろうなと。それも意識しなければいけないかな。あまり意識すると、いまの梅田委員の やった方法でプランのほうに介入するからおかしくなるなと。 ○梅田委員   だから、視点の置き方とか対象の選び方で、当然、将来の理想像というか、あるべき論 というのはないと置けないのですね。だけど、そこが微妙なところで、将来の展望がない と視点も置けないことも事実なのです。だけど、評価というのはあくまでも過去の徹底的 な検証をするというか、この入学定員の表を見て、これをどう分析するか。これは減らし 始めたのは昭和60年ですか、よくわかりませんが、そのときの議論とかがずっとあって、 こう来て、今は盛んに言われたからピュッと増やすというのは、これは政策評価論的に言 うと、政治の産物だけのことであって、それは政策評価を踏まえた政策決定によりしない といけない。 ○高橋座長   要するに、医師確保の始まりは医者の数だと。しかし、医者の数の話があると同時に、 それをどう分配するかという話。分配は、たぶん、先ほどの地域的分配とそれぞれの専門 医への配分と、病院と診療所の話と、その病院も医者付きの分割という、そういう話。そ うすると、そこで評価のモデルというのですか、それを慎重につくっていただかないと。 ○梅田委員   これは、ある意味では面白い事例で、結局、先ほど言った「あるべき姿」をどう置くか ですよ。私がよく言うのは、受けたいときにいつでもどこでも住民が医療サービスを受け られる。それが今はどこまで満たされているか。逆に言うと、どこまで満たされていない かです。例えば、私は自治体相手に、市町村相手に仕事をしているのですが、確かに、市 長さん、町長さんが、産婦人科の医者がなくなると大変だと。町長がその仕事ばかりかか りきっている実態を見ていると、これでいいのかと。行政の責任者が、産婦人科の医者が なくなることに大半の時間を費やしている実態を見ているのです。そうかといって、そこ の妊婦さんがどうなったのと。新聞とかテレビは、極端に悪い事例はパッと報道されます のであれですが、今回、そこを分析してやってほしいのです。叫んでいますし、定員を増 やすのは将来のことはあれなのですが。だから、そこは今までの政策で、先ほど座長がチ ラッとおっしゃったけど、医療レベルが、極端な例はもちろんあるだろうけど、どこまで 満たされてどこまで満たされていないかをきちっと評価するのが今回の評価であって、そ の医師確保対策という表現は手段レベルの表現であって、根本に触れた表現ではないです。 評価的に言うと、成果レベルではないわけですよ。 ○政策統括官(社会保障担当)   いま大変本質的なご議論が出ていますので、おそらく局はこういう話はできないと思う ので、あえて私は取りまとめの立場で申し上げますと、医師確保ではないのだろうと思う のです。要するに、先ほどの議論ではないですが、アウトカムということで言えば、地域 医療の確保だと思うのです。自分が住んでいるある程度の圏域の中で、いつでもどこでも 誰でも受けられるし、医療がいかに達成されているかということが大目標だと思うのです。 そのための手段の1つとして医師の問題があったり、医師と看護婦の役割分担の問題があっ たり、医師の過重労働の問題があったり、臨床研修が本当にうまくいっているかという問 題があったり、いろいろな側面があって、それを医師というところで括っているので、こ の総務省のものは、はっきり申し上げて非常に難しい文章になっていると私も思います。 医師というところにまとめてくるとこういう切り口で、またバーッと放射線状で出てくる のだろうという気がします。 ○高橋座長   私はこれは本音は医療確保対策なのだろうと思うのです。だけど、これを書いた人も、 そんなのをやっていたら、えらいことだと思って医師確保に焦点化したのでしょうね。と ころが、チラチラと本音は医療確保の味が書いてある。しかも、これまでにない視点から の分析という書き方で、「総務省行政評価局は協力を」というのは、何だいこれはと。梅田 先生がご指摘いただいたような形で、政策評価本来のある種ののりというか、池田先生、 梅田先生がずっと培ってこられたところで今日ご提起いただいたのは、ある種の超えては ならないのりがあるのだと。政策形成の部屋に土足で入られるような政策評価にならない ようにしていく、政策評価の本来の趣旨をきちんとしていく。これは、むしろ、総務省が そういうことを弁えていなければいけないという話。 ○梅田委員   たぶん、政治レベルでこう決まったのでしょうね。 ○高橋座長   だから、そういう話もあるので、そこら辺をどう捉え返しながら、意味のある仕事をし ていただかないといけないというのが、ここの政策評価のレベルを上げるという本来の目 的を達成する、そういう方向で作業をしてくださいというのが切なる梅田委員のご発言の 趣旨かと思いますので。 ○梅田委員   医療レベルが本当に困ったのかな、暗黒になったのかなという疑問をずっと私は持って いるのです。確かに問題は起きていますが、そこのところをきちんと政策評価していただ いて。 ○高橋座長   これは、そういう意味で言えば、主体が多様なので余計難しいことがあるので、是非。 たぶん、こちらが審議会用の資料だと思うのです。審議会というか、あるいはジャーナリ ズムのブリーフィング用の資料だと思うのですが、これは政策評価の枠にどういう形で工 夫していただくかというのを評価官室と相当やり取りをしていただきながら、総務省の技 術的協力は要いらないのだと思うのだけど、それはそれとして知恵は。 ○梅田委員   研究しておられる方はいるのですか。 ○医政局   はい。 ○高橋座長   医療経済。 ○梅田委員   医療サービスというか何というか。何か、体系的なものがないと、政策評価としてはた だ世間話的な話になりがちなのです。わかりやすいからね。わかりやすいから、また言い やすいのです。 ○高橋座長   そういう意味で言えば、医師の確保というか、医師のキャリア形成過程の分析というの はそれなりにあるのですが、たまたま、私の大学で論文を書いたお医者さんが紛れ込んで きて、医師の目で書いてないというのです。「医師の内発的な動機づけをきちんとつかまえ ない医師確保論だ」と。もう一方で、「お医者さんは社会保障にほとんど無知」と言って怒 っていました。社会保障に非常に素朴だと言っていましたが、これは雑談です。そういう ことを含めて、この話はかなり大事なテーマなのですが、プロフェッションの独特の論理 構造を持っている、行動様式を持っているプロフェッションと、それから、強裂なベスト レット・インタレストを持った医師会、大学、専門集団と地域医療の担い手という、そう いう階層性はありますから、そこら辺を今までの政策にきちんとしていただくための視点 をということで言えば、相当議論をしていただきながら、資源は有限でしょうから可能な ことしかできない。その範囲で何ができるかということを相当精査していただくという、 一般論ではありますが、今日の議論は大変大事な議論をいただいたような気がします。 ○篠原委員   今回の総務省の政独委から言っているのは、政策で複数の省にまたがっていると。そう すると、当然、執行では複数の協力というのがあるけれども、ここの評価もそれぞれの協 力が要ると。その辺はうまくいくか、どういうことをやろうとしているのか。評価の面で も複数の協調でお互いに役割分担しながらきちっと評価できるのかなと。そういう体制も 確立していかないと、より有効なものが出ないだろうと。 ○高橋座長   三浦さんの後任も厚生労働省から行っているのでしょう。医学教育課長が厚労省から出 向という、2代目が続いた。これはある意味では画期的ですね。三浦さんという、前の老健 課長をやられた方が、今は指導課長に戻られたのですが、そういう意味では評価体制が調 整をしながら評価ができる素地はあるので、そこら辺を協調しながらということでしょう ね。 ○政策評価官   はい。準備段階から文科省とはいろいろ打ち合わせをさせていただいていますし、評価 書自体、お示しするにあたっては、養成から研修から、そして実際に活躍していただく場 面ということで、一本の形でということになるのではないかと思っております。 ○高橋座長   非常に関心の高い領域ですので、それだけに良い政策評価の本来の趣旨を踏まえた作業 をお願いしたいということぐらいで。もう時間もオーバーしていますが、これからの予定 についてお願いします。 ○政策評価官   本日は長時間にわたりましてありがとうございました。今後の予定ですが、特に本日ご 審議いただいた課題議題1の関係、平成21年度に実施する政策評価に関しましては、お手元 に配付しているような計画類、実施要領類のような形で3月中に計画を策定しまして、評価 書の作成に向けて具体的な準備を進めてまいりたいと思います。なお、実施要領など、本 日配付しました資料についてはさらに精査を加えている最中ですので、文言などの若干の 修正があるかもしれませんが、その点はお含みおきをいただきたいと思います。次回の有 識者会議につきましては、7月を目途に開催を予定させていただいていますが、具体的な日 時等についてはまた追って私どもより連絡をさせていただきたいと思います。本日はどう もありがとうございました。 ○政策評価審議官   厚生労働行政の在り方に関する懇談会の中でも、この政策評価がお手盛りにならないよ うに客観的かつ厳格な外部評価を定期的に実施するというふうに強く言われていまして、 その外部評価によってきちんと適正さを担保することは心掛けたいと思っております。そ ういう意味では、私どもの負担も少し大きくなると同時に、この有識者の会合の負担も少 し重くなるかもしれませんが、時間・回数も若干増えるかもしれませんが、よろしくお願 いしたいと思います。今日の議論は十分に踏まえた上で政策評価を行い、しかるべき評価 の成果をつくり出していきたいと思っております。 ○高橋座長  それでは、どうもありがとうございました。   (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係   連絡先:03−5253−1111(内線7780)