09/03/12 第2回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会議事録 第2回 医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会 平成21年3月12日(木)10:00〜12:00 於:九段会館 鳳凰の間 ○井村座長 定刻になりましたので、第2回「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討 会」を開催いたします。本日の会議の進め方は、委員の皆様方から8つの資料が提出され ております。この資料についてまずご説明をいただいた後に、意見の交換をするという形 でやらせていただきます。事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○薬事企画官 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表があります。今 回、そのほかは資料番号が振ってありませんが、各委員からの提出資料ということでお配 りしております。右肩に、それぞれ提出された委員のお名前を付けておりますが、上から 三木谷委員提出資料、後藤委員提出資料、綾部委員提出資料、増山委員提出資料、児玉委 員提出資料、小田委員提出資料、足高委員提出資料、それから本日ご欠席の阿南委員提出 資料です。  それぞれホチキスで止めてある資料については、各委員から第1回のときにも資料が出 されている場合には、1つ綴じにした後半部分に第1回に配付いたしました資料を改めてお 付けしております。今回は提出資料はありませんでしたが、國領委員からは、第1回検討 会で資料を提出していただいておりますので、第1回検討会資料ということで机上に置か せていただいております。  各委員の席上にファイルが置いてあります。この中には前回事務局から配付いたしまし た資料1から資料17までを、議論の際に使う場合があるかと思いますので置かせていただ いております。配付資料は以上です。  なお、本日の委員の出欠状況は、阿南委員がご欠席です。ほかの18名の先生方はご出席 いただいております。ありがとうございました。 ○井村座長 それでは会議に入ります。先ほど申しましたように、本日は皆様方の資料の 説明を伺って、それについて意見交換をいたします。順番は、お手元の資料の順番に沿っ て説明していただきます。最初に、三木谷委員から説明をお願いいたします。 ○三木谷委員 資料に基づいてご説明させていただきます。我々のほうで、オンラインド ラッグストア協会、ヤフー、楽天が中心になってネットで、あるいは通常の通信販売とい う形態で薬を買い続けたいという署名を集めております。現在、約85万件になりました。 この件に関しては重複分を除く、サインアップしたときにいやだという人は自分でいつで もリストから削れるという形になっています。3月中には、100万人以上の方がこの不合理 な規制に大きな憤りを感じているという事実を申し上げます。  前回のこの会の中で、この4年間も議論してきたのだというお話をいただきましたけれ ども、我々のほうでも改めてネットに関する議論がどれほどこの検討会の中でなされたか を確認いたしました。そういう意味で言うと、本当に十分な議論がなされたとはとても思 えないと思っております。  資料の1頁にも、議論の中で前回もいろいろな混同があったのかと思っております。い ちばん大きなポイントは、非合法サイトであったり、あるいは海外の医薬品を個人輸入す るサイトと、それから我々のような、後で後藤さんから説明があると思いますけれども、 ちゃんとした届出制度にして販売をしましょう、ルールを守ってやりましょうというとこ ろを混同しないでいただきたいという点です。  4番目は何度も申し上げておりますけれども、現在この通信販売は適法です。それを解禁 してくれと言っているのではなくて、立法事実もない、影響範囲の検討もほとんどないま ま、省令でこれを禁止するのはいかにも横暴であると思います。楽天グループの中でも、 正直言いまして利益でいうと1%もありません。しかしながら通常の通信販売、前回、伝統 薬だけは直接販売してもいいのではないかという、なんとなく議論がおかしいほうへ行っ たと思います。そういう所も含め、約800億円の市場規模があります。そして900万人が 実際に通信販売等の手段を通じて薬を買っているということがあります。これを、6月1日 からバシャッと切ってしまって本当に大丈夫なのかということで、3頁は、実際には医薬品 の通信販売はライフラインですということです。  4頁ですが、3月4日にフォーラムを行いました。我々だけではなくて、実際の薬局27 社、通信販売団体、JODAさんも含めて出席されました。消費者、弁護士が出席されまし た。5頁で、いちばん大きな議論として、基本的には消費者不在の議論であるということで す。今回の検討会の中でも、基本的には業者サイドの方、業界団体の方が中心になってい るわけですが、実際には800万人以上が通信販売で薬を入手しているということ。  6頁で、なおかつ対面とは何なのかが非常に議論になっています。実質的にアルバイトで も販売ができるということと、そういうアルバイトの人が属人的に顔色を見ながらこうだ、 ああだということでいいのか。なおかつ、実際には本人が来られないケースが多々ある中 で、そこまで徹底するというのであればなんとなくわからないこともないのですけれども、 全くアップル・ツー・アップルになっていなくて、一方の業界は保護し、こちらはよくよ く議論しないままやることに関しては、何か裏の力が働いているのではないかと思ってお ります。  7頁に書いてありますが、私ははっきり言いまして、ネット販売のほうが安全であると思 っています。いままでこの省令案が出るまでは、この立法事実は1件も出ていないという ことは厚生労働省が認めているところであり、実際に買った人をトレース的に、それから 誰が受け取ったかという履歴も残るということですので、ネット販売のほうが圧倒的に有 利であると考えています。  もう1つ申し上げますと、今回我々のほうでもいろいろ調べました。この中で多額の政 治献金が一部の業界団体から自民党等に流れている。そして、厚生労働省のほうから業界 団体の専務理事等への天下りがなされている。こういうことで何か自分たちの既得権益を 守るために、ユーザーの声をほとんど聞かないということでやっていいのか。この検討会 の議事録を読むと、私はネットについてはよくわからないのですがというコメントが多々 出てまいります。わからないのであれば、わかる人を連れてきて、800万〜900万人いるわ けですから、そこでちゃんと議論するべきだ。いままで4年間何を議論してきたかという ことではなくて、何がベターなのか、ベストなのかということをやった上で、すべて100% 安全というのは、薬のリスクということを考えれば、対面販売であれ、通信販売であれ、 それはもしかしたら担保できないのかもしれません。しかし、どちらがより安全なのか、 より説明ができるのかという議論をさせていただきたいと思います。  もし献金リスト等をご所望のマスコミ等々いらっしゃいましたら、私の所に言っていた だければいつでもお出しいたしますのでよろしくお願いいたします。以上です。 ○井村座長 ありがとうございました。引き続きまして後藤委員から資料の説明をお願い いたします。 ○後藤委員 まず、行政法学者であります阿部泰隆神戸大学名誉教授から、舛添大臣及び 検討会宛に意見書が提出されましたので、ここでその一部を読み上げさせていただきます。 私の提出いたしました資料1です。ネット販売禁止の違法・違憲性と情報提供等のための 省令改正の提案という意見書です。要旨としては、一般用医薬品のネット販売禁止・対面 販売の原則は、法律に何ら規定されず、薬事法第36条の6は、情報提供等について定める ことを省令に委任するだけであるから、省令でネット販売による一類、二類医薬品の一律 禁止・対面販売の原則を規定するのは、法律の授権を欠き、違法・違憲である。このこと を仮に法律で規定したとしても、情報提供等の具体的義務づけという、より制限的でない 規制手段があるのに、より厳しい規制手段を定めることになるから、過大な規制となり、 薬事法大法廷判決の趣旨に照らし、憲法第22条に違反して、違憲である。  検討会は、いまの省令の取消しを求め、法第36条の6の授権の範囲内である、情報提供 等の義務づけ手法の導入に向けて検討を開始すべきである。これは憲法・行政法学の問題 であるが、検討会ではこの視点の検討が不十分であったから、これまでのいきさつにとら われずに、再検討すべきである。  このようにいただいております。即ち阿部教授によれば、一般用医薬品のインターネッ ト販売そのものを禁止するような規制、しかも省令による規制は法律的な見地から見ても、 いきすぎた過度の規制であって、憲法に違反するものなのです。憲法に違反した状態を解 消するためには、販売そのものの禁止ではなく、インターネットで安全に販売するために なすべきことと、それを守らせるための規制を定めなければなりません。  検討会のこの場にいる私たち委員は、いまこの瞬間に、この省令が憲法に違反している ことを認識し、共有しました。このまま6月を迎えれば、私たち委員も憲法に違反した省 令の施行に荷担してしまうことになります。憲法に違反する省令の施行を食い止め、憲法 に則った省令への再改定を促すことができるのは、国民的議論の核となる存在であるべき この検討会のみであり、それが私たち委員の責務だと考えます。  すべての国民が安全に、平等に医薬品を手に入れられる環境を整備するためには、ネッ ト販売にも規制が必要です。そのためにも、この検討会において業界が必要と考えている 安全策を提案しています。必要に応じてこの安全策の一部を省令に盛り込んでいただくこ とも望んでいます。委員の皆様とともに、この安全策の疑問点や、足りない部分を真摯に 検討し、それを基に省令を改定すれば、現在の違憲な状態が解消されるだけではなく、す べての国民が安全に、平等に医薬品を手に入れられる環境が整備されると私は強く信じて おります。なお、高名な行政学者である阿部教授を、次回是非この検討会にお呼びするこ とを併せてここに提案いたします。  こういうわけで、是非この違憲状態を解消するために必要な安全策をご説明させていた だきます。私が提出いたしました資料で、「一般用医薬品のインターネット販売における安 全策について」とあります。こちらは、健康維持における一般用医薬品の位置づけ、薬局、 店舗、専門家の果たすべき役割。薬局、店舗、専門家の社会的な責任。この3点からどの ような懸念事項があるかといったことを14個洗い出しました。  前回、第1回に提出いたしました資料の113頁です。「一般用医薬品のインターネット販 売における安全策について」。こちらが、日本オンラインドラッグ協会及び楽天のほうで考 えた業界ルール案です。115頁にあるとおり、こちらでは健康維持における一般用医薬品の 位置づけ。薬局・店舗・専門家の果たすべき役割。薬局・店舗・専門家の社会的な責任。 この3つの基本方針から、どのような懸念事項がインターネット販売にあるかといったこ とを挙げてみました。それで14個を洗い出しまして、116頁にありますとおり、使用者の 情報や状態をどうやって把握するのか。違法販売サイト、個人輸入サイトとの区別をどう するのか。このようなさまざまな観点から懸念事項を洗い出して、それぞれに対するイン ターネット販売での解決策を示しております。  例えば117頁にありますように、違法販売サイト、個人輸入販売サイトとの区別をどう するのかといったことに関しては、各サイトに都道府県等への届出済であるといったこと を確認できるようにします。あるいは118頁にあるとおり、どんな内容が掲示されていれ ば信頼できるのかといったことは、薬局・店舗において掲示しなければならない事項は、 サイトにもわかりやすく掲示する。専門家の実在性の確認に関しては、どのような専門家 がいるかを確認できるように、サイト上できちんと表示する。120頁にありますように、各 医薬品の注意事項等をどのように説明するかということに関しては、能書などに記載され ていることもすべてサイト上に表示する。これは、店頭等ではなかなかできないことであ ると思います。  121頁にありますとおり、使用者情報の把握については、副作用のリスクをできるだけ低 くするためには非常に重要なところだと思います。使用者の状況、例えば禁忌事項の中で も、特に既往歴、既往症、服用歴、服用経験・期間、妊娠の有無、年齢といった使用者の 状態がどうであるかということをお伺いしてから、それで情報提供することが必要である と思います。このようなことに関して、さまざまな形で、その使用者の状況をチェックボ ックスなどでお伺いしてから、情報提供を行う。これが1つ非常に重要なことだと思って おります。  今回の改正薬事法、あるいは今回の省令は不完全なものであると思っています。一類、 二類、三類に分けて、三類は情報提供の義務がない。二類においては努力義務である。努 力義務であるということは、義務ではないということになっています。一類に関しては、 文書による情報提供と言っておりますが、文書を提供しても、誰に説明したかという記録 が店側に残っていない。こういうことでは、きちんとした情報提供はできないと思ってお ります。本来であれば、三類においてもリスクがありますので、これは三類においてもき ちんと情報提供しなければならないと思います。二類においても、さまざまリスクの高い 医薬品が使われていますので、本来これは必ず義務とすべきだと思います。このようなこ とができるのは、インターネットだからこそと思っております。我々は一類に準じた、あ るいはそれ以上の情報提供がインターネット上でできると確信しております。  122頁にありますように、販売の際の相談応需に関しても、必ずインターネットの裏側に は専門家がおりますので、専門家が相談応需をメール、電話、ファクスなどを通じて双方 向でやっていくということで行います。  124頁にありますように、医薬品を販売しないという判断も非常に重要だと思っておりま す。どのような方が、どの医薬品を使用すべきで、どのような方は使用すべきでないかと いったことに関しては、インターネットにあります情報通信技術を使って、システム的に ある程度スクリーニングを行った上で、最後は専門家が、この方は使用するべきである、 使用するべきでないといったことを判断し、販売すべきでない方に関しては販売しないと いった仕組みを作らなければならないと考えております。  127頁に数量制限があります。医薬品の大量購入等を懸念される方もいるかと思いますが、 大量購入を防止するには、インターネットなどの情報通信技術が非常に大きな力を発揮い たします。普通の店頭ですと、この医薬品は何個までしか買ってはいけない、この医薬品 は何個までというルールを、すべての専門家が覚えておくといったことは非常に難しいと 思います。しかし、インターネット上ですとこの医薬品は何個まで、この医薬品は何個ま でとシステムに1回覚えさせれば、それ以上の医薬品を購入することはできません。その ような形で、各医薬品についていくつまでしか購入できないというようなことを登録し、 それ以上の購入はできないようにさせるといったことを必ずやっていきたいと思います。  1日に何回も購入する方がいるかもしれない。インターネット上で、例えば1回に2個買 って、もう1回2個買って、もう1回2個買ってと、10回やったら20個買えるのではな いかという議論もあるかもしれないのですけれども、それは出荷するまでに、これは専門 家がきちんとチェックして、そういう複数買いで何回も買っている方に対しては出さない、 といったことをルール化していきたいと思っております。129頁以降は、医薬品とその他の 商品を混同、誤用することはないか、あるいは異常を感じたらということもありますけれ ども、時間が少ないので端折らせていただきます。  本日の資料2に、第1回検討会における各委員発言に対する質問意見書をお出している のですけれども、これは委員の方々の発表が終わりましたらもう一度述べさせてください。 1回目にかなり誤解に基づく発言、ミスリーディングしている発言が散見されましたので、 本日の議論の前にその辺を一度正しい方向に戻させていただきたいと思います。対面販売 が必要と言われているのですけれども、対面販売は手段であって、目的ではないと思って おりますので、しっかりと安全性を確保できる業界ルールがあるといったことを、この検 討会の委員の皆さんに是非認識していただきたいです。冒頭に阿部先生の意見書で申し上 げましたとおり、いま現在この省令が憲法に違反した状態であるといったことを、我々こ の検討会の委員全員が真摯に受け止めて、この状態を正していくといったことを行ってい かないといけないと考えております。以上です。 ○井村座長 ありがとうございました。次は綾部委員から説明をお願いいたします。 ○綾部委員 本日伝統薬のほうからお話をさせていただきたい話ということで、前回と同 じように一枚紙で、全伝協資料(1)としてまとめていますので、そちらを読みながら説明さ せていただきます。前回、本検討会において議論がありましたように、当協議会に加盟す る36社は、本省令改正の動きに対して、これまで積極的に関わり合いを持つことは実際に はできておりませんでした。それどころか、昨年9月の省令案発表までは、認識していな い企業も多くありました。認識していた企業においても、昨年7月4日の旧検討会報告書 の中で、郵便等販売について「販売時の情報提供が努力義務となっている第二類医薬品に ついては、販売時の情報提供について対面の原則が担保できない限り、販売することを認 めることは適当でない」と記されていたことに対し、対面の原則を担保する方法を関係省 庁と相談しながら、6月の施行に備えなければいけないといった、ある意味甘い認識もあっ たところです。  全8回にわたる旧検討会のほうで、1度も伝統薬の販売について意見聴取も、意見発表の 機会も与えられずに、まさか何の議論もないまま郵便等による販売が不可能となるという ことは、私どもも予想せず、その辺は遺憾に感じております。なお、9月の省令案で、旧検 討会の報告書の内容とは全く違うものにその後なっており、これでは継続して服用してい ただいている、伝統薬を利用している方々に今後届けることができなくなるばかりか、伝 統薬の存続そのものが危くなる。そういう認識に初めてここで多くの伝統薬会社が至り、 そこで、存続の危機を感じた伝統薬を販売する企業が集まり、10月に当協議会が設立され たという状態です。  私どもは医薬品の販売において、今回ほど根本的な制度改正が行われるのであれば、日 本全国の中小零細企業まで、現状の把握や、それが及ぼす影響というものを勘案し、この 省令の目的と内容については周知させる努力が必要であったという想いを強く抱いており ます。  また、省令の求めるものが、医薬品販売における安全性の確保ということであれば、ま ずはそういう影響を受ける業態においてはどのような安全策が考えられるかを検討するこ とが道理でなかったかと思っております。そういう不満は当協議会に限らず、ほかの医薬 品販売の現場および生活者にも多々あることは容易に想像され、その結果が先日の2,000 件を超えるパブリックコメントの反対意見として表れたものと考えております。  裏の頁ですが、当協議会として集まって話をしているのですが、当協議会としては今回 の省令決定の進め方という部分では、なかなか周知してもらえなかったという不満を抱い ておりますが、省令の主旨そのものには共感していることをお伝えしておきます。私ども は、今回の省令が、医薬品販売における安全性確保、つまり充実した情報提供や相談応需 により、国民にとって「安心と信頼」のある医薬品販売の環境を整えること。そして、こ れはたぶんいまだけの話ではなくて、将来にわたる国民の健康維持のための環境づくり、 つまりセルフメディケーションや予防医学のための環境整備を行うという、これからの日 本に欠かせない考え方を見据えた省令であると理解しています。  そこで、当協議会の加盟各社においても長い歴史の中で、これまでお客様との独自の継 続的なコミュニケーションを通して、本省令の目的とする「安心と信頼」を築くための医 薬品の販売方法を構築してまいりました。今後更なる資質向上のため真摯に努力を重ねて いきたいという想いでこの検討会に参加しております。そこで、今回は伝統薬販売の実情 の特徴について説明させていただきながら、委員各位におかれましても、是非とも伝統薬 を後世に残すためにも、伝統薬の販売方法について、今後も何ら支障なきよう配慮いただ き、検討を賜りますようお願いしたいというところが第2回で思っている趣旨です。  何を申し上げたいかと申しますと、これからの医療等を考えたときに、薬剤師や登録販 売者という専門家が本当に果たすべきことを果たしていかなければというところに非常に 重きをもってこの省令が進んできたことというのは我々も大切なことだと思っていますの で、その考え方という部分はきちんと受け止めた中で、これからどうやっていくべきかと いうところがとはいえ、6月から施行ということで困惑している面もありますので、まずは 伝統薬の実情をお話させていただきます。  次の通し番号の3頁からが、実情の話になりますが、時間の都合で4頁目では伝統薬の 特徴を載せております。これは、読んでいただければわかるようにしてありますが、日本 各地で古くからずっと続いている伝統薬ということで、ここにいる博識ある皆様だと、1つ や2つ耳にしたことのある薬もあるかと思います。それらは、リスク分類では第二類医薬 品になっていることをご認識いただきたいということです。いまの薬事法の定義上は、伝 統薬という定義はないので、その中で今回の議論をどう考えていくかというのは、今後ご 相談させていただきたいと思っているところです。  通し番号の5頁には、伝統薬加盟社の中の1社の販売方法を載せております。1社といい ますけれども、多くの主な加盟社はこういう形で販売しております。伝統薬は大体が口込 み等で問合せがあるケースが多いので、まずその会社に電話で、○○という薬を聞いたけ れども、どんな薬ですかということで問合せが入ります。そこで、その方の症状とか購入 動機をお聞きしたり、アレルギーをお聞きしたりといった状況確認を専門家が行い、その 上でその商品の説明をしていきます。もちろん効能・効果にはどういうものがあって、ど ういう服用方法で、この会社でいうと使用期限や保管方法等までお伝えした上で販売する。 実際に確認した情報の記録を残しておくという特徴があります。それは、誰に販売したか というところで、ちゃんとお届けしなければいけないので、そうやって聞いている情報や、 名前、住所、電話番号等を記録で残してあるというのが1つの特徴です。  その辺をより詳しく説明するために通し番号の6頁をご覧ください。ここの1頁で伝統 薬の特徴をまとめてみました。見ていただいたときに、伝統薬の会社というのは、お客様 に対して、製造している会社が併せて一般販売業許可か、もしくは配置販売業許可を持っ て販売している業態になります。つまり、お客様と製造販売業者の間に点々の四角で囲っ たところに書いてありますように、近くにお住まいの方は、実際に店舗で十分販売してい けたり、もしくは配置という形で販売していたりしている会社がほとんどです。ただ、そ ういうことを特定の店舗でしかできていないので、その結果全国からの問合せ等に対して は、専門家が電話による情報提供と、相談応需によって販売している形態になっているの が実情です。  もう1つ、通し番号の6頁でご説明しておきたいのは、製造販売業ということで、作っ ている製品をお客様に直接販売許可も持ってお送りしています。それにはどういうことが 特徴として出てくるかといいますか、製造する場合はGMP基準、GQP基準、GVP基準が あります。これは何かというと、製造するときの基準と、品質管理の基準と、安全管理の 基準になります。そういうものを、記録を残しながら、管理して製造をやっております。 つまり、お客様からの、薬に対して安全面から作っているところまで、すべてに責任を持 って対応するようなコミュニケーションがここではできるということが、伝統薬の会社の 特徴かと思っております。  もうちょっと詳しくご説明するために、通し番号の7頁をご覧ください。通常情報提供 の基本となっているのは添付文書だと思います。添付文書で使用上の注意、効能、用法用 量、成分というものは基本的に書かれています。さらに伝統薬の会社はどういうことがで きるかというと、これまでの販売履歴、添付文書の右側に書いてあるところが特徴になり ます。これまでの販売履歴や記録を活用することで、服用していいか、してはいけないか の判断を正確にできたり、不適正な購入を未然に防ぐことができます。つまり、お客様の 情報を履歴で、安全情報、品質情報、製造情報を残していますので、以前にその方はどう いう症状が出ていたかということを基に、また飲んでいいかどうかの判断をしたりします。 以前に○○という薬を服用していると伺っておりましたがといったことで、併用薬から、 もっと詳しくその方に対して、服用していいかどうかの判断をしたり、○月○日に購入記 録が残っていて、まだ1週間しか経っていませんがということで、大量購入の防止をした りということで、対面ではないのですが実際にやり取りしたことを、製造面、品質面、安 全面で記録を残しながらやって、それをGMP、GQP、GVPという基準に従って記録を残 したものを基に対応できるというところは、通常の販売業態とは違った安全確保の形がと れています。  特に有害事象が起こったときなどは、その商品のロット番号等から、品質の確認等が迅 速にできたりします。医薬品の最終段階の責任はどこが負っているかというと、いまは製 薬メーカーが負わなければいけなくなっています。製薬メーカーで、販売のところから作 るところまで一括で責任を取る環境であることが1つの特徴ではないかと思います。  通し番号の8頁では、その中で多くの伝統薬の会社が電話という方法でやり取りしてい るのですが、医薬品を販売する上で大事なことは対話をすることだと思っています。その 対話については、話したい事項を双方向で確認しながら、ダイレクトに話すことができ、 それも周りのお客様等を気にせず、1対1で専門家と納得できるまで話し込める。自宅にい ながら電話をしてくる方も結構多くて、そういう方は、例えば薬は何を飲まれていますか というときに、薬の箱の中からこれを飲んでいますと確認しながら、そういうことも聞け ます。電話ですので、ほとんどのお客様が、家族とかが買いに来るのではなくて、本人か らの電話です。そうすると、本人との会話が確実にできるといった面でも、電話でやって いる中で、お客様との対話という部分では結構深く対話ができているのかと感じます。実 際にいまやっている上では実情を感じております。  通し番号の9頁にまとめました。伝統薬の特徴は何だろうと思ったときに、四角で囲っ てありますように、製造から販売まで「一元管理」により、安全性の確保をしていること です。これは、製造責任から販売するところの責任まで、すべて記録等を残しながらお客 様の対応ができる。ここが1つお客様の信頼に値するところかと思います。また、伝統薬 ならではの「長年の知見」による対応の充実です。1対1のコミュニケーションの中で、薬 の市販後調査が非常に細かくできています。つまり、電話の中で、最近この薬は生薬のに おいが違う気がするのだけれどもとか、そういう問合せがあったものをすべて知見として 溜め、長い間改善等をしながらやってくることで、市販後調査によるお客様への対応の充 実ができる。もう1つは先ほど申しました、「対話」を大切にしてきたことによる信頼関係 の構築です。やはり専門家が1対1でじっくり納得できるまで話をできるところを強く大 事にしてきましたので、そういうところが伝統薬の特徴かと思います。  通し番号の10頁ですが、いまは短い時間ですので伝統薬のポイントを紹介しましたが、 いまは36社ほどが協議会に参加しております。ただ、国内にはまだ150〜200社は存在し ていると思っております。いまだにこの状況を認識していない所もあるぐらいの状態なの が伝統薬の会社です。討協議会としては、今後関係省庁とも連携し、こういうことを知ら ない伝統薬の会社の方々にもっとこの実情を伝え、今回のこの省令がこれからの医療、も しくは日本の将来にとって大事であることを伝えていきながら、伝統薬業界もそこに貢献 できるように環境整備を図っていかなければいけないと考えております。ただこの6月か らということで、今回の省令の施行によって、せっかく業界自身もこれから環境整備を図 りたいという中で、伝統薬をいま使用している方が、とはいえ6月以降は買えなくなって 困る。実際に健康維持のためにずっと使っている方に、我々としても提供できなくなる。 その結果、伝統薬自体も長年続いてきたものがこの世の中から消えてしまう。せっかくこ の省令を深く理解してやっていこうという中で、我々としても厳しい環境だと思っていま すので、皆さんのそれに対するご意見をお聞きしながら、今後存続できるようなご検討を お願いしたいということが第2回でお話したい内容です。以上です。 ○井村座長 ありがとうございました。引き続いて増山委員から説明をお願いいたします。 ○増山委員 私が本日出させていただいた資料は、いちばん上にある意見書という3枚が 新しい資料です。残りの後半の部分は第1回委員会の中で提出させていただいて、そのと きに少し説明もさせていただきましたし、資料そのものは読んでいただければわかるよう になっていますので、3枚についてだけ説明をさせていただきます。  本日は、医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会に対して意見書を出させていただ きました。申し上げたいことは、細々したものも含めますとたくさんあるのですけれども、 本日は本格的に中身の議論に入る前に、是非申し上げておきたいところに絞って4点ポイ ントを挙げさせていただきました。1番は、消費者の安全性確保のために、医薬品販売は対 面販売を原則とする、というところに立って議論するべきだという意見です。2番は、厚労 省は、今検討会の設置理由や、議論すべき内容を提示した上で、構成メンバー決定の経緯 を明確に説明すること。3番は、電話やインターネットでの個人認証をどうするかについて、 こちらもきちんと議題として取り上げて議論するべきだという意見です。4番は、度々困っ ている人がいるではないかという議論がありますけれども、その人たちがどのように困っ ているのかをきちんとお示しいただきたいということです。一つひとつについてもう少し 詳しく説明させていただきます。  1番は、なぜ対面販売かという議論になってきたかはいろいろな理由があるのですが、た だここがとても大事だと思っているのは、いままでの薬事法の中には業を取り締まる。き ちんと品質を確保してもらうといったことが中心で法律が作られていたのではないかと思 います。今回の改正薬事法を見直すときに、飲む方は消費者であって、その方に何かがあ ったときに、自分が健康被害を受けるということでしかその薬のリスクを受け止めること ができない、リスクを避けることができないという立場の人の視線をきちんと法律の中に 盛り込んでいこうというようなことが大きく1つあったと思います。  もう1つは、昨今これは日本だけではなくて、世界的にそうだと思うのですが、医療費 が国の予算を圧迫していて、医療費をできるだけ抑えたいという流れができています。そ こで最近は日本でも一般用医薬品で初めてこの制度が使われましたといった宣伝のされ方 をする医薬品が出てきたように、いままでは一般用医薬品という概念の中ではちょっとコ ントロールしづらい、リスクをコントロールしづらいのではないかといった、薬が一類に スイッチしてくるという流れができています。それは、消費者が健康管理を自分で行うと いうことの流れを汲んで、専門家のサポートの下、薬を適切に使用できるように協力をい ただきながら使っていこうという流れに応えて、今回はそのような制度設計だったと思う のです。現行の薬事法と、新たに制度設計したものとは着目している部分が若干違って、 違う制度設計になっているということをご確認いただきたいと思います。これを見ると、 議論がどのように流れていくかわかりませんが、対面を原則とするということが揺らぐこ とはないのではないかというのが私の意見です。  2番目は、前回の検討会の中でも、一体この検討会がどういう理由で設置されたのか、あ るいは何を議論するのかといった意見も少し出ていたかと思います。それについては、厚 労省のほうから明確なお答えをいただいていないのではないかと思いますので、改めてお 答えをいただきたいと思っています。そこで私の考えを申し添えたいのは、伝統薬の方が、 いや私たちは全くよくわからなかったのだとおっしゃいましたけれども、伝統薬は薬の製 造も、卸も、販売も3つも登録されている所が少なくありません。しかも、製造に係る場 合は薬剤師の管理の下に行わなければいけないという形になっていると思います。その薬 剤師あるいは専門家がそういう接点があって、全く気がつかなかったというのはちょっと 考えにくいと思っています。もし本当に気がつかなかったということであれば、あまりに も医薬品を扱う専門家としては非常識に感じました。  先ほど、アルバイトが対応しているではないかという話がありましたけれども、薬事法 を見直した結果、いまやっているところが、もし30〜40ぐらいでしたら、これから店舗は 140〜150ぐらいの力を発揮していただかなければやりきれないようなたくさんの規制がか かっていることを知っていただきたいと思います。  3番目は個人認証の問題をどうするかということです。本日の資料の3枚目の「さくらん ぼ」という字が目立って見えるものがあります。こちらはタバコの専門店で、インターネ ットでタバコを売っている所です。下に本当は枠があるのですけれども、これは複写です から枠が消えてしまって見えづらいのですが、インターネット販売終了のお知らせという ところがあります。タバコに関しては、インターネットでの販売を取りやめている所がか なり見られます。おそらく楽天もタバコは売っていないと思うのです。後ほど、どうして 売らなくなったのかをお聞きしたいと思いますが、そういう流れがあるということです。 これは、個人認証が難しいということを理由に挙げています。  もう1つの資料として、1つ前の資料になりますが、これは日本中毒情報センターのホー ムページからデータをピックアップさせていただいたものです。薬の場合、単に適正使用 を最初から願う人ばかりではなくて、乱用とか薬物依存という問題も避けられないと思っ ています。このデータにあるように、医薬品による事故の件数は8,606件あり、その中で 一般用医薬品は半数までいきませんけれども3,293件と決して少なくない数字が挙がって います。こういうことから鑑みても、必ず適正使用しようとする人ばかりではないという ことも踏まえた上で、制度設計していかなければいけないと思っています。  4番目は先ほども少し申し上げましたけれども、ここを議論するにおいて解決策を考える のであれば、どのように困っているのか、どのぐらいの方が困っているのか、どういうふ うに困っているのかを具体的に示していただかないことには議論のしようがないと思った のでそれをお願いしたいと思います。以上です。 ○井村座長 ありがとうございました。引き続いて児玉委員から説明をお願いいたします。 ○児玉委員 大きく分けて2つお願いいたします。1つは前回からの議論で、今回の薬事法 改正で、特にインターネットについては三類までとなりました。そういう中で本当に困っ た人がいるのか。そういう方がおられればなんとか対応しなければいけない、というとこ ろの議論があったと思います。前回、その議論の中の1つとして無薬局町村が全国に186 カ所あるという資料が提出されました。そんなに多くの所があるのかということで、私ど もも早速調査をいたしました。その表が3頁にあります。北海道から沖縄まで無薬局調査 を186、この186というのは平成19年の統計だと思います。その後、市町村合併が幾分あ りましたので約183。  そのうち、その地区に一般販売業・薬種商も当然一般用医薬品の供給でありますから、 その拠点がある所を調べたところ、それもないという所が全国で95です。全国で市町村は 約1,000ぐらいありますので10%ぐらいです。それでも、その95カ所の方は困るわけです。 これは一般販売業・薬種商でありますから、後ほどご意見があるかと思いますが、そこに は配置というものがあります。したがって、山間へき地等の皆さん方に対しては対応がで きているのではないかと思います。  それから、最初のところの続きですが、障害者、高齢者、妊婦という話も出ました。前 回も申し上げましたように、むしろそういう方々ほどいろいろな薬を飲んでいる可能性が ある、あるいは飲んではいけない方々でありますから、むしろきちんと安全性を担保する という意味で、通常の方以上に対面で副作用防止をしなければいけないと思います。専門 家がきちんと対面し、本人と話をして対応していくのが基本でないかと思います。  2番目は先ほども少し触れられていましたが、インターネットを通じた医薬品販売の中で 安全性を担保するというお話がありました。その担保ということでありますが、私どもは 前々から申し上げておりますように、対面以外で安全性の担保というのは実際問題どうだ ろうと思うわけです。先ほどのお話を聞いていて大きな視点が欠けているのは、そういう 薬を求める方というのは、心にいろいろな想いを持った方なのです。そういう方々に対し ては、目を見て、顔を見てお話をし、そしてしっかりと聞いてあげるというのが基本です。 それがあってすべてのことが始まると思いますので、それを担保することが重要ではない かと思います。  先ほど一本ずつというお話がありました。理屈上は一本ずつを設定して止めることがで きます。しかし大事なことは、その方がまたそういう行動を起こすことをやめさせること なのです。つまり、その方が何本も買ってやることにどんなリスクがあって、そういうこ とが自分の身体にとってどんなによくないことかということを、対面でその方を説得して 止めなければいけないのです。本当にそこまで設定できるのかと思うわけです。これは理 屈の世界ではないのです。そういう説得という大変大きな作業が対面ではあることを是非 ご認識をお願いしたいと思います。  資料の7頁ですが、平成15〜18年度に「薬と健康の週間」というのがあります。これは、 薬のことをきちんと認識していただこうということでやっているわけです。毎年10月17 〜23日ですが、そのときにデータを取ってまいりました。今回の薬事法の1つの大きなポ イントは、きちんと相談応需をしようということであります。それによって薬の安全性を 担保しようということが薬事法の大きなテーマでありますので、私どもはこのようにやっ てまいりました。  1の結果の概要ですが、その期間中1日当たりの平均値を取っているのですが、大体約 30万人の方が薬の相談をされています。これは大変大きな数です。その質問の内容は下に ありますように、医薬品の選択、効能、有効性といったいろいろな相談に応じなければな らない。これをすべてインターネットで応じるということでありますけれども、本当にそ れに対応できるのだろうか。  次の頁ですが、先ほど対面というのは単なる手段ではないのだ、リスクを抑えるのだと いうのは全くそのとおりです。そのとおりでありますが、これは実際に対面によって相談 のあった事例ですが、やはり使用を中止した例があります。先ほどスクリーニングがどう のこうのというお話がありましたが、実際に現場というのは、前に患者がいてすぐに対応 しなければいけないということです。それを、スクリーニングがああだ、こうだと言って いる時間が本当にあるのだろうか。そこは瞬時に判断をして、そして患者に対応しなけれ ばいけないという部分があります。  それから受信勧奨、医療機関を紹介する。当然その状況によっては重症化を防ぐために 医療機関を紹介しなければいけない。理屈ではできるかもしれませんが、患者は外科へ行 ったほうがいい、内科へ行ったほうがいいといった判断までわかるだろうか。外科だ、内 科だと言ってもいろいろな外科や内科がありますから、そこまで担保すべきではないか。 あとはそこにいろいろ書いてありますけれども、そのようなことまでやっての対面だろう と思います。  以上が資料ですが、1点申し上げたいのは、その中で困った方があってはいけない。それ が今回の薬事法の1つの議論のポイントだと思うのです。先ほど憲法の話が出ましたが、 憲法第25条に、国民の健康で生活をする権利というのがあります。それを国が保障すると いう憲法があります。今回の医薬品の販売というのは、まさにその憲法なのです。健康な 生活を送る保障をすると言っているのだから、それに則っているということですから、全 然違反でも何でもない。  もう1点は憲法議論を言うのなら、本当に消費者である国民の皆さんがそういうことを おっしゃっているのだろうかと申し上げたいわけです。ネット上と申しますが、おっしゃ っている消費者不在だという言葉が散々出てまいりましたが、「消費者」と「顧客」と議論 が混同しているのではないかと思うのです。実際に消費者団体の多くの方が反対している という事実はどこへ行ったのだろうと言いたいわけです。その辺も踏まえた上でおっしゃ っていただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。 ○井村座長 次は小田委員、説明をお願いします。 ○小田委員 私のほうからもそう長くならずにできると思います。提出したものに沿って 説明させていただきます。いまもいくつかお話があったとおり、私たちも今回のこの検討 会の目的、それは議事に書かれているとおりですので、1つは購入が困難な場合の対応方策 であること。2番目にインターネット等を通じたというふうな形になっております。前回も 申し上げたことですが、また整理をして別の角度から述べてみたいと思います。今回の薬 事法のこの改正は、資料1でもありますように、今まで医薬品の販売のルールがありませ んでした。それに対して、厚生省よりさまざまな通知が出ることによってコントロールし てきたところが今までであります。その中でいろいろな問題も起きてき、薬事法もだいぶ 年限を経てきたものですから、「安心・安全」を求める声が当然高まってまいりまして、そ ういったものを制度化していこうと。これは、我々、言い方が少し不遜かもしれませんが、 取り締まられる側、そしてまた取り締まる側にとっても、この辺のことをきちっと明確に すべきときにきたと私も思っておりました。  世の中、グローバリゼーションという中でもこういったことが話題になり、「一般用医薬 品の活用」ということに関しても、世界でいろいろな見直しを行われ、それがすでに行わ れている所では、ここにも書かれているとおり、医療費の高騰の抑制効果というものにも 貢献しているというのが事実であります。そういう中で、薬事法のこの改正の手順という 所に書かれているとおり、いろいろと検討部会が開かれ、第1回目の報告が平成17年12 月に提出されました。情報通信技術を用いた医薬品の販売の検討ということに関しまして も、東工大の先生が来られ3回ほど議論をしたところですが、いまのところのやり方では 安全性に関しては難しいのではないかという結論がこの平成17年12月の報告にも出てお ります。  そして、それをベースに改正薬事法が国会で平成18年4月に成立したわけですが、その 場での衆参の厚生労働委員会で4回にわたってインターネット販売の問題が指摘されまし た。その結果、結果的には販売量はリアリティスペース、要するにお客様と商品と販売す るその者が同地の場所で行われる「店舗販売業」「配置販売業」という2つの形態に整理さ れたと認識しておりますし、資料2にもあるとおりです。  そこで、この「店舗販売業」「配置販売業」の実施ルールを定めるのが省令の検討会であ りまして、その検討会で、平成19年3月はリスク別等の省令、そして平成20年1月には 登録販売者制度のこと、そしてまた、今年に入って2月に関しましては販売方法および環 境整備の省令が順序立てて公布されたというところであります。それで、結果的に国民の 求める「安心・安全の担保」が実現され、その上で、先ほども言ったとおり、いままでル ールがなかったものが効果的な一般用医薬品の使用環境の整備が実現したというところで あります。  そして、最初に申しましたとおり、これが整うことによって、厚生省のほうの試案です が、2025年には69兆円にもなろうとしている日本の医療費に関して大幅な抑制効果が可 能になるのではなかろうか。これも資料3、前回も添付しておりますのでご覧いただければ と思います。  先ほども話が出ていましたが、そのようなことで、この憲法のことに関しましてはここ でする議論ではないのではなかろうか。我々はあくまでもこの国会で決まった店舗販売業 と配置販売業の実施ルールということを検討していく部会ではないかと思っております。 それで、前回の発言の中のことに関しまして私どもがコメントを用意しました。2頁目の所 ですが、まず、インターネット支持者の発言に関してですが、この法律は省益と業界保護 でありインターネットいじめだというふうな話です。資料4を前回も添付しておりますが、 私どものほうでは、また、この検討部会でも、便利になるのはいいけれども、医薬品の場 合は安全でなければならないということで、現在の薬事法では定められていないさまざま なルールを決め、そういった意味では規制強化といいますか、そういうことをきちっとし ていこうということが定められたわけです。これまで認めてきたインターネット販売に既 得権があるではないかという議論がありますが、私どもからすると、そこで既得権と言う のであるならば、現在、薬局・薬店は全国に7万軒ほどありますが、今までの薬事法の中 における販売でそれをやっていいのかと。つまり、今回の改正薬事法を無視してもいいの かと。こういう考えでは国民の同意は得られないのではなかろうかなというふうに思って おります。  私どものほうでは、こういった流れの中で、厚生省が新しい資格者としての登録販売者 というものを設けたわけですが、それの発表が随分前からあって、それの試験内容という ことに関しては一昨年の夏に発表され、もう既にそれを受けて全国で6万人もの合格者が 出て準備に備えているということであって、三木谷委員は我々医薬品業界の人ではないと 思いますが、後藤さんはそういった面では我々業界の方でもありますので、その方々がこ のことを知らないということに関しては、もう6万人もの一般の方の合格者が出ていると いう中で、ちょっといかがなものかなというふうに思います。  次の問題として、山間へき地、離島、身障者のことがあります。これは、先ほど児玉委 員からも話がありましたが、資料5にありましたとおり、こういった方々が買えないので はなかろうかということを我々のほうで検証しましたが、縷々そういったことは我々の今 の業界団体が協力しあうことによって、そういったことはないのではなかろうかというこ とを確認したところです。特に、2枚目の「既存販売業での医薬品提供について」というも のが添付されていますが、先ほども資料の提出があり、前回三木谷委員より提出のあった 日本地図を用いての説明がありました。私どもも資料を求めて調査をした結果ですが、こ こに書かれているとおり、先ほど児玉委員もおっしゃっていた186カ所、三木谷委員も同 じ資料でしたのでまさにそのとおりですけれども、三木谷委員の資料においては薬局と一 般販売業並びに薬種商をどのようにお考えになっているかわかりませんが、あくまでも186 というのは薬局だけなのであります。私どものほうで調査しましたが、186のうち北海道は、 三木谷委員の資料にもあるとおり、いちばんないという地区ですが、最多の37カ所という ことがありました。こちらが同じように地図にしてまいりましたが、これで見ると、確か に薬局・薬店がない所は14まだ残ります。しかし、その14も、配置の方にお聞きすると、 その地区はすべて配置の方がカバーしてくれているということでありますので、北海道の ような、37カ所、いちばん不便を感じている方がおられる場所においてももうすでにカバ ーされているということがわかると思います。  更に、本人の事情により医薬品が買えないという主張ですが、この辺に関しましても我々 の団体で話した結果、こういったことに関しては我々の業界で協力しあうことによってカ バーできる。そしてまた、それでも買えないという方に関しましては、確かに、ご不便を 感じていらっしゃる方が町をさまよい歩くのはいかがなものかというのは、全くそうであ りますが、こういった問題に関しては救急車であったり、もしくは各地区の行政のソーシ ャルワーカーさん、ヘルパーさん、民生委員の方、保健指導員の方がおられたりというわ けですから、そういう人たちの行政上の問題でカバーしていく問題ではないかというふう に思っております。  最後に、インターネットを認めない省令を反故にする、というような非常に元気のいい お話もあったのですが、このことに関しては、先ほど申しましたとおり、国会を通じて国 会の先生方や今回の法整備にかかわったいろいろな先生方に対しても、それはいかがな発 言かなというふうに思います。あくまでも、この省令で決めることは、店舗販売業並びに 配置販売業という新しく定まったものの円滑な運用ということがこの場で議論すべきこと であるのではなかろうかなというふうに思います。前にも申しましたとおり、ネットとい うものに関して、先ほども説明がありましたが、そういったことに関しては議論すること は大いに結構ですので、別の場を設けてきちっと検証していただきたいというふうに思い ます。以上でございます。 ○井村座長 引き続いて、足高委員、お願いします。 ○足高委員 今まで委員の方々がしゃべられたことと重複するような話になってしまいま すので、簡単にやります。いちばん最初に、2頁目をめくっていただいて、1、「認識」と書 いてあるのは、要するに今回の改正薬事法はどういう目的で行われたかということの単な る認識でありまして、よく、既存団体が既存業界を既存でみんな守ってというような議論 がマスコミなどで囁かれていますが、実際、今回の改正薬事法は、逆に言うと相当な構造 改革ということを目指しているかと思います。  巷間囁かれている医療崩壊、日本の医療保険制度、そういったものも先ほどから何度も 繰り返されているので重ねてもしかたがないですが、それを救うために今回の改正薬事法 がつくられ、そしてまた、よく言われるように、お店のほうで、町場の中で、消費者、生 活者の方々の相談相手となる、また、安心して情報提供して相談応需ができる、そういう ことによって初めて消費者の方がセルフメディケーションを展開していけるという環境整 備づくりということを目論んでいられると私どもは確信し、その結果として既存業界も、 いまも小田委員や児玉委員からも出た話もありますが、相当痛み合うわけです。  これは配置だけではなく、店舗なども本当に箸の上げ下ろしまできっちり規定されてし まっているということで、相当な負担はかかっていると思います。ただ、そのところも長 い目で見て、医薬品業界、薬品販売業界が日本社会にどう寄与するかということで皆さん 我慢しているということの認識はしていただかないと、マスコミの方にもしていただかな いと、話の次の展開がないかなと思います。  eコマース、インターネットに関しまして、これを私ども今までの自分の記憶で辿りま しても、インターネットそのものの今後の展開を否定されたご意見というのは、少なくと も、私は記憶にはないです。ただ、先ほどの増山委員からのクエスチョンにもあったと思 いますが、これは省令に対する検討会だと思うのですが、法律のほうで薬の売り方を店舗 と配置というふうに規定されてしまっているかと思うのです。それで、「今、省令の中でど うして」というクエスチョンはやはり出てきます。そこでインターネットを中心とする無 店舗販売を、無店舗販売といえば配置も無店舗販売ですから同じ括りでもいいかなと思い ますが、されるならばその省令以前の段階からの差し戻しで考えられたらいかがなものか と思っております。  それから、私の書いたものの4番目、「議論の混濁は避けるべき」ということなのですが、 先行きどうできるこうできるという、前回も申しましたが、そういったようなプランと、 改正薬事法は平成18年6月に決定したのですから約3年経っていますが、その間に業界自 主努力でどういうことをされてこられたか、それを反映して次の展開として省令・通知・ 通達などでこうしていただけると自分たちはもっとこうやりやすいよ、というような話が あってしかるべきだと思うのです。平成17年12月にNPO法人日本オンラインドラッグ協 会さんはできているわけです。私ども置き薬協会と1カ月しか変わりません。その間にど ういうふうなことをされてこられたのか。  もう1つ、はっきり教えてほしいのは、この検討会をつくられたのは、この間、舛添大 臣もおっしゃったように、国民に安全に満遍なく薬を供給する手段をしっかり考えろとい うことだったと思うのですが、不便であること、不可能であるという方々というのは、特 に後藤委員は実際に営業されておられるわけですから、要するに本当に市町村単位云々で 結構ですから、今までにどこから注文があって、どういう方々から注文があってというこ とを具体的に出していただいたほうがわかりやすいかと思うし、それの議論をしたいなと 思うのです。なぜかというと、お部屋から本当に出れない方々、障害者、老齢者云々とい う方は、確かに本当に足腰が動かない方は外に出るのは不可能でしょう。だけど、そこに はどういうようなデリバリーの方法が今されているか、どういう対応があるか。それから、 不便であるという方は、どういうふうに我々のほうでサプライ、対応していくかというこ とを具体的にやっていったほうがいいのではないか。それで、いま既存団体のほうから、 日本国中デリバリーできる、というような報告をお伺いしているわけですから、それでも 漏れる人たちというのはどういう方々ですかというような質問をしたいなと思います。  次のポイントですが、少し過激な書き方をしていますが、前回もありましたが、薬事法 は国内法でしょう。世界中どこの国でも、たいていは薬事法は国内法として取り締まって いるかと思うのです。国によってそれぞれの状況がある。諸外国ではこうだこうだと。で も、今、日本国内でアメリカの薬が、アメリカのバイアグラが安直に100mg買えるという ほうが本来おかしいではないですか。そのおかしい状況が当たり前だから、それを取り締 まるとかえって危ないよというので、普通だったら議論が反対を向きませんか。三類まで 許すから、インターネット販売でも全面的に取り締まってしまえば取り締まりがしやすい よと、議論が反対方向に向いても不思議ではないような提示の仕方だなというふうに思っ ております。  だって、アメリカのGEOなどがおっしゃっているところで、アマゾンドットコムで薬を ものすごく買いやすいと。でも、アメリカの状況というのは、6,000万人以上の医療難民が あって、薬がそういうもので供給されなかったら本当に死んでしまうという状況もあるわ けでしょう。日本は今のところ医療崩壊に瀕しているとはいえ、国民医療皆保険制度でパ フォーマンスはOECD諸国の中でもベストだと言われているこの日本の状況とあまり混同 してもしかたがないなと思っております。大体皆様方の議論と重複しますので、この程度 で簡単に。 ○井村座長 それでは、残っております資料は阿南委員がご提出になった資料ですが、そ れにつきましては事務局からお願いします。 ○薬事企画官 阿南委員から提出された資料について、時間の関係もありますので、どの ようなことが書いてあるかということのご紹介をさせていただきます。全体裏表で5項目 からなっていますが、まず1点目検討会のミッションについてです。3つ目のアスタリスク にあるとおり、本検討会は消費者に対する理解促進のための効果的方策を検討することが ミッションになると考えます。よって、いまここで蒸し返しの検討を行うことは適当でな いと考えます。2つ目の議題についてです。(1)として購入が困難な場合の対応方策、(2)とし てインターネット等を通じた販売の在り方についてということで、(1)(2)という呼び方をさ せていただきますが、(1)では、どのように困っているのかという事例が、まだ明確に示さ れていません。改正薬事法のルールに則って、購入困難な問題の解決はできないのかをま ず第一に検討すべきです。あと、伝統薬については改正薬事法のルールに則って解決策を 検討するべきです。(2)の点についてはいちばん最後のアスタリスクですが、現在のネット 社会で発生しているのと同様の問題について十分な検討が必要であり、本検討会とは別の 場が必要だと考えます。  3番目のネット販売規制反対の署名についてです。2つ目のアスタリスクですが、多数の 会員宛に一方的な情報提供をし、ログイン状態でクリックすれば、簡単に署名ができると いう大きな問題を含んだ手法により集められたものです。多くの皆さんに理解された上で の署名だったのでしょうかということが書かれております。そして、妊婦の方の例を挙げ た上で、このような利便性を優先して強調した署名の取り方は問題であり中止すべき、と いうことが書かれております。また、今は取り消したいという考えの方もいますのでその 辺の広報はどうか、ということが最後に書かれています。  4点目の医薬品の「ネット販売」についてです。2つ目のアスタリスクにあるとおり、匿 名性と雲隠れの問題点ということが触れられております。最後のアスタリスクの所では個 人情報の取扱いについても丁寧な議論が必要です、ということが書かれております。  最後、5番目ですが、さまざまな相談と消費者団体の意見ということで、いくつか消費者 相談が寄せられているということが紹介されています。下から2つ目のアスタリスクです が、「一般用医薬品のインターネット販売の規制を求める」取組みに参加している団体が8 団体だったのが10団体に増えているということの報告が書かれております。非常に部分的 なご紹介で、阿南委員のご意思に即しているかどうか定かではありませんがご紹介させて いだたきました。 ○井村座長 皆様方にご協力いただいたのですが、残念ながら時間が多少延びてしまいま して、あと30分ぐらいしかディスカッションの時間がとれなくなりました。後藤委員が前 回ご説明になったところで訂正したいということですか。 ○後藤委員 はい。他の委員から出てきた中で、いろいろとミスリーディングなものとか 誤解に基づくものがあったのですが、まず、私が出しました資料2にありますが、こちら のほうで順番に述べさせていただきます。今回の検討会の開催趣旨に関するご意見で、児 玉委員から、すべて公開で4年間やった。であれば、いろいろな意見があっていいが、な ぜその4年間の間におっしゃっていただけなかったかと。このような意見がありましたが、 これらの意見に関しましては、過去の審議会・検討会におけるインターネットの議論は、 先ほどの足高氏の意図的なミスリーディングに代表されますように、その大半が違法ドラ ッグ販売や個人輸入に関するものであって、本検討会の議題である薬局・薬店によるイン ターネット販売については真っ当な議論がなされていません。また、当協会としてはその ような偏った審議において厚生労働省に疑義を呈してきましたが、会議に反映されること はありませんでした。このように、公正中立を欠いた検討の結果を根拠としてネット販売 に対する規制が強化されようとしている現状に、当協会は強い憤りと危惧を感じておりま す。これに関しましては、第1回の検討会の提出資料の中にそれまでのさまざまな誤解や 偏見、そのようなものをまとめております。  2番目。検討会の進め方に関するご意見で、望月委員から、ほんの何カ月しかないときに 本当によいインターネットの使い方が、この一般用医薬品の販売の中で安心して消費者に お薬を使っていただくことが担保できるかどうかというのは時間が足りないと。このよう な意見がありましたが、6月の施行までに時間が限られているのは事実ですが、しかしなが らそれを理由に議論を避けたり先送りにしたりしてはならないと考えます。前述のとおり、 本件を議論する契機は何度もあったはずですが、経緯はともかくとして、結果的にあと約5 年という時間を浪費してしまいました。パブリックコメント、80万強の署名に見られる生 活者の声を真摯に受けとめ国民的議論を尽くすことが、本検討会の責務であると考えます。  それから、ネット販売の規制に関する方法にご意見。増山委員から、一生懸命きちんと やっていらっしゃる方がいらっしゃると申しましたが、インターネットが何がいちばん危 ういかというと、全員に網をかけることができない。そういった危うさがあって、例えば 95%の所が一生懸命やっていても5%がいい加減なことをやるとそこで被害が出てしまう ようなことがあると。そのようなことがありましたが、一部の悪質な事業者の存在や徹底 のしやすさを理由として業界や販売方法全体について規制を課すという考えは、明らかな 過剰な規制であり、いたずらに国民の利益を奪う乱暴な行為であると考えます。他方で、 ご指摘からは、インターネット販売においても、一定の要件を満たせば安全・安心な販売 は十分可能であるとお考えであることが汲み取れます。我々の示す安全策についても前向 きにご検討いただければと思います。  4番目。ネット販売に対する事実誤認に関するご意見。増山委員が、例えば授乳中のお母 さんとか高齢者の方がネットで医薬品を買えなくなると買いに行く機会を失うことになる のだ、そういったメッセージが出ていた。私自身、そういう方とは健常な方で病気が。ま あまあ、こういったものがありましたが、当協会といたしましては、ネット販売は店舗販 売と同様に専門家が関与する販売方法で、購入者自身の判断だけによって購入が完結する ことはありません。また、当協会が提示する安全策によって、懸念されるリスクはさらに 小さくできると考えています。同安全策を考慮の上、公的ルールの在り方を検討していた だきたいと考えます。  無薬局町村に関するご質問。児玉委員が全国北から南までカバーしているとおっしゃい ましたが、厚生労働省発表の統計資料では、先ほど児玉委員がおっしゃいました95の無薬 局・一般販売業もないと。そういった市町村があるのですけれども、日本を網羅して十分 にカバーするとのご見解とは乖離があるように考えます。このような点に関してどのよう にお考えかをお聞かせください。  あと、事故発生リスクに関するご質問。北委員が、救済制度もありますが、救済制度の 範囲で収まらない事例というのも数多くある。これがインターネットで大きな販売をした ときに今の状態ではますますそのリスクは高まるとおっしゃいましたが、ネット販売だと 救済制度の範囲では収まらない事例発生のリスクが高まるとのご意見ですが、その根拠を ご提示いただきたい。  あと、流通リスクに関するご質問で三村委員から、ダイレクトマーケティングというの は、基本的に中間業者をなくしてメーカーや製造業者が直接消費者との間でやり取りをす る。その方法が、おそらく伝統薬の方法論で、これは流通のリスクが相対的に少ない方法 論とおっしゃいましたが、流通リスクとは何か、その定義をご教示いただきたい。このご 発言では、メーカー直販ではない販売方式には、看過できない流通リスクが存在するとい うことを暗示しているようにも解釈できますけれども、その場合、店舗販売業や配置販売 業にはどのようなリスクがどの程度存在するかを併せてご教示いただきたい。  あと、三村委員が、販売制度で検証されている流通システムはまだなっていないかもし れないと。このご発言の意味するところがよくわからなかったので、具体的にご説明いた だきたい。  あと、通知等の交付予定に関する質問で、薬事企画官の方が、説明が足らなかったと思 いますが、省令で書ける範囲を一応省令で示していまして、本来この省令を解説する通知 というものが出ておりますのでと。こういったことをおっしゃっているのですが、このよ うなことからは本省令に関する通知を複数交付する計画があるということを暗示している ので、本検討会を建設的に運営し国民的議論を喚起するためにも今後どのような通知の交 付を考えているのか、全体像を開示していただきたい。  あと、安全・安心の在り方に関する見解としまして、増山委員が、社会構造の何らかの 欠陥あるいは行政の不作為、情報の不開示といった人的な要素がより副作用被害を深刻化 させているとおっしゃいましたが、当協会としても、それに関しては全く同意見です。副 作用被害を避けるためには、行政と事業者とが協力して医薬品に関するさまざまな情報に ついて見える化を尽くした透明な社会を構築する必要があると考えております。ご指摘の とおり、社会的な構造欠陥、行政の不作為、情報の不開示等は最も避けるべきものである と考えております。特にパブリックコメントの全件開示に関しましては、前回、検討会の 冒頭で舛添大臣に直接お願いしたにもかかわらず、厚生労働省からはこれを拒絶するとい う回答をいただいております。このような切実な国民の声は、隠蔽されることなく全面的 に開示されることを改めて強く求めます。  先ほど、増山委員が、どのようなことがあるか調査したいとおっしゃっていたのですが、 これは、是非パブリックコメントのほうを開示していただくことで実現できると考えてお ります。  最後に、本検討会議事運営に関する意見としまして、第1回検討会の議事運営に関して 挙手している委員に発言機会が与えられない、他委員の発言により資料説明が途中で遮ら れる等、公平公正とは言いがたい状況がありました、この点について当協会は極めて遺憾 に考えております。座長殿並びに事務局殿に対しては、今後の検討会では公平公正な議事 運営を図るよう強く求めます。本検討会の開催については省令交付と同時に再検討が開始 されるという極めて異例の事態だという声もあります。しかしながら、当該省令に疑義を 唱えるパブリックコメント、署名等の質量に鑑みるに再検討は必然の流れかとも言えます。 厚生労働行政の在り方が問われる中、本検討会は国民の信頼を得直す最後のチャンスとも 言えます。厚生労働省の自浄作用が機能し公平・公正な行政が取り行われることを強く期 待しております。第1回に関してはこれだけです。第2回に関して、まだほかにあるので すが、先ほどの発言の中でいくつかあるのですが、時間があれなのでまた後ほどそちらも 述べさせていただきます。 ○井村座長 私が期待していた内容とはかなり違っておりまして、残念でございました。 進行に関しまして、発言を妨げられたというお話がありましたが、それは会議の流れで、 その会議の流れを妨げないために、それに進行を円滑にするために、ちょっと待ってくだ さいという遮りはいたしましたが、前回の議事録をお読みになるとおわかりになりますよ うに、後藤委員の発言がいちばん多いと思いますよ。ですから、是非、そういうふうにお 感じにならないでください。絶対にそういうふうにはいたしませんから。 ○後藤委員 わかりました。よろしくお願いします。 ○井村座長 はい。それでは、今日の資料説明につきまして、あと30分ぐらいを目処にご 発言をいただきたい。意見交換をしたいと思います。またしても三木谷委員から手が挙が っておりまして。 ○三木谷委員 短く終わりますので。まず、署名について、これは不適正な取り方ではな いかという阿南委員からの説明が厚生労働省の方からありましたので、それについてコメ ントさせていただきます。今、大体85万件集まっておりまして、1日平均大体1万から2 万件です。確かに、楽天のユーザーIDとパスワードで簡単にログインして簡単に署名がで きるようになっていますが、一方で、同じ手続で簡単にこれを取り消せるというふうにな っております。いつでも取り除けます。それから、正直言って、重複している人はいます が、これはe-メールベースでできるだけ省きました。また、不正がある可能性もあります ので、これは5%ぐらい全部数を減らして皆さんのほうにお出しします。それが1点です。  もう1つは、これは本音の議論ということでさせていただきたいと思うのですが、正直 言って、私も薬はあまりネットで買わないのです。ドラッグストアさんに行って、マツモ トキヨシとか、そういう所に行って買うのですが、胃薬でも水虫の薬でも、いろいろな薬 があるではないですか。大体8,000とか9,000ありますよね。私などもそうなのですが、 目薬などがそうなのですが、この目薬はいいけれどもこの目薬はあわないとか、あるいは 特に水虫などはそうなのですが、これも調べたのですが、ネットで水虫薬を買っている比 率は7割ぐらいが女性が買っているのです。だから、合う薬と合わない薬があるのですよ。 いまのこの議論の中で、別の手段で届ければいいではないかとか、あるいは薬種商に薬が 置いてあるからいいではないかとおっしゃるのですが、そんなにセレクションはないと思 うのです。非常に限られたセレクション。だから、そういうふうに、一応届くからいいで はないかという議論で本当にいいのかなと。自分に合った薬をどうやって安心・安全に届 けますかという議論をしないと。我々が今回の議論ですごくよかったと思うのは、薬はす ごくリスキーだと我々も再認識しました。聞けば聞くほど、インターネットで買うときに、 これは本当にこんなに危ないのだよ、わかりましたかと。私も、正直言って、そんないろ いろなリスクがあるというのは知らなかったのですが、こんなに危ないのですよというこ とを徹底的に説明して、読んでもらって、わかった上でそれでも買いましたと。そのほう が絶対にいい。例えば、妊婦さんは薬を飲んではいけないのですよとか、そういう話も買 うときに説明するわけですから絶対に届くと思うのです。確かに、本当にいろいろな薬局 でも配置薬局の方も一生懸命やっていらっしゃいますし、ドラッグストアの方もみんな一 生懸命やっていらっしゃいます。でも、国民の人も自分に合った薬を選びたい。確かに、 私の出した資料は多少あれだったかもしれませんが、しかしながら、少なくとも何百万人 の方は近くに薬局がないわけです。今回は私が一例になってしまうかもしれませんが、何 年も治らなかった水虫がそれをつけると治ったというのと同じことが田舎の人もできたほ うがいいのではないですかというのが私の意見です。正直言って、皆さんはあまりネット ユーザーではないと思うのです。申し訳ないですけど。だから、この議事録を読んでいて、 これはまずいなと思ったのは、「インターネットのことはよくわからないのだけど」という 件が結構あるのです。だから、そういうところまで是非考えていただきたいと思います。 ○井村座長 その「わからないのですけども」という中には、かなり謙虚な発言だという のもありますから。 ○三木谷委員 わかりました。 ○後藤委員 先ほどの皆様からの意見書ですが、そちらに関していくつか疑問とかがある のです。 ○井村座長 先ほどおっしゃったことと重複しませんか。 ○後藤委員 先ほどは第1回目のもので、重複しないです。 ○井村座長 では、短くお願いします。 ○後藤委員 まず、増山委員がおっしゃっていた個人認証ということなのですが、私はそ れは非常に重要なことだと思います。特に、どういった方が購入されているかということ に関して、お名前とか住所とか、こういうことがはっきりわからないと後で例えば副作用 がその医薬品で出たとか、そういうときに取り返しのつかないことが出る可能性がありま すので、そのようなことがわかるというのはインターネットのほうができているのではな いかと感じております。また、年齢などに関しましても、これは購入される方は皆さん言 っていただいていますし、先ほどタバコの話がありましたが、タバコは法律的に何歳以上 というふうに決まっていますので、それとは別議論であると考えております。あと、児玉 委員が生存権の話、憲法25条の話をされましたが、これは非常に重要な問題だと思ってお ります。先ほどの隠蔽されているパブリックコメントという中で、例えば自分は非常に重 い病気があって、いまこういった医薬品でないと駄目だと。それを入手できる手段をなく してしまうのですかと。そういった深刻な声が数多く寄せられております。そういうこと がまさしく生存権にかかわるものであるかと、そのように感じております。あと、足高委 員が、今回の改正薬事法は店舗販売、配置薬販売のものなのでインターネット販売は別議 論だと。そのようにおっしゃいましたが、今回、インターネット販売は店舗販売の一部と 位置づけられているというように認識しております。これは薬事法36条の6の3項で、す べて店舗販売はどのようにするかとか、相談応需ですとか、そういったことを定義してい る中で、三類に関してこのインターネット販売を認めるということは、逆に、この三類が 店舗販売の一部であると認識していると。そのように考えておりますので、いま現在はイ ンターネット販売は店舗販売の一部であるというふうな理解でおります。ただ、もちろん、 将来的に、無店舗販売とか、こういった枠組みをしっかりとした議論をするということに 関しては全く異存ありません。以上です。 ○井村座長 わかりました。それでは、ほかの委員の方々からご意見を頂戴したいと思い ます。 ○高柳委員 先ほどから児玉委員から、95市町村が店舗がなかったというお話と、小田委 員から、北海道で調べたら店舗のない箇所は17あった、そこらについて配置でカバーでき ているのではないか、というご意見がありましたので、その点につきまして私どもの配置 のほうからご回答させていただきたいと思います。私どもも、全部の医薬品の供給ができ ているかできていないかということで市町村レベルで調査をいたしまして、私どもは市町 村レベルではすべての地区に配置販売業として全国を網羅させていただいているというふ うに考えております。これは、便利かどうかということですね。ネットでたくさんの商品 が買える云々ということとは別に、医薬品がきちんと全国に供給できる体制が整っている かどうかということに関して、私どもではそういった所でお客様のニーズがあればどこの 地域でも行っているというふうに考えております。ただ、より具体的な話というレベルで 言わせていただければ、人が住んでいる離島というのは全国に300箇所程度あるというふ うにお聞きしております。ここら辺の離島で、配置のほうではほぼカバーしているという ふうに考えていますが、もし具体的な事例等がお示しいただければ、私どもで調査をして またご報告をするというようなことは十分に可能でありますので、具体的な事例というよ うな形で言えばそういったようなことにお話を頂戴できればと思っております。 ○井村座長 ほかにいかがですか。 ○國領委員 いろいろな話をお伺いしていて、相違点はたくさんあるのですが、こういう ときは一致点を考えるのがとても大事だと思うのです。リスクコミュニケーションが大事 だというところについてはほぼ皆さん一致していて、それが薬事法の精神だということも 皆さん一致されている。ですから、この議論がリスクコミュニケーションを後退させるよ うな形で進んでいってしまうと、これは全く話がおかしいということなのだろうと思いま す。その意味で、業態で考えたときに、うちの業態はすでにこんなに安全で大丈夫だから 例外にしてくれとか、あっちの業態よりもうちの業態のほうが安全だからというようなこ とは、これだけ議論するとよくわかるのですが、それぞれの業態が得意と不得意があって、 完璧なものはないのですよね。完璧なものがない中で、すべての業態で取組みがしっかり 行われているかということを、つまりリスクコミュニケーション等に対する取組みが進展 しているかというところをしっかり担保できるかどうかというところが、むしろ大事なこ となのではないかというふうに思います。経営学者はここで1人だけだと思うのですが、 私は経営学者なのですが、特に小売りの業態というのは、社会の構造変化の中でニーズに 押されて出てくるものでありまして、業態が生まれること自体が社会的なニーズがそこに あるということの証明なのです。その中で、安全でそれに単に押さえ込んでも、根っこの ところ、私自身はこの話は高齢とか過疎とか少子化とかいうような社会的背景の中で出て きていると思っているのですが、そういうものに業界のほうもしっかり応えていかなけれ ばいけないし、行政もそういうようなニーズの中に安全をどうやって不断の努力で継続、 改善していくようなメカニズムを持っているかということで考えないと、ある時点の業態 でそれを凍結させてしまうようなやり方をすると、むしろ矛盾が拡大するばかりだという ふうに思っておりますので、それぞれの業態においてどういうような安全策、促進策が打 たれようとしていて、それをどう評価するのかというような形で議論が継続的に行われる ことがよろしいのではないかと思っております。 ○増山委員 先ほど、個人認証の問題で、後藤委員から、医薬品には年齢制限がない、と いうご指摘でしたが、医薬品は例えば毒物・薬物だと18歳未満に売ってはいけない、ある いは毒薬・劇薬は14歳以下に売ってはいけないという、そういう全体に枠がかかっている 規定もありますが、例えばこの薬については小児・15歳以下は服用してはいけない、ある いは18歳以下は服用してはいけないという、医薬品には個々にこの年齢には使ってはいけ ないという年齢が付いています。それとは別に、これは北委員がお詳しいと思うのですが、 メーカーのほうで、この薬については濫用の傾向があるので何箱以内で売ってはいけない とか、何歳以下の人に売ってはいけないといったメーカー指導による年齢制限というのも あると聞いています。そういったことを含めて、きちんと相手の年齢をどう確認するのか ということを私は問題提起したいということです。  それから、後藤委員の資料の60頁の21)という所に、最初はその妊娠検査薬を使ってい て、その後、実際に妊娠した場合に、子どもが産まれた後に共働きなので薬を買う時間が なくてネットで買えなくなると困るという、困っている人たちの声が書かれていますが、 私が心配しているのは、ネットそのものが問題だと言っているわけではなくて、こういう ふうに薬のことが十分わからない方がネットで買っているというこの実態こそがこの問題 をとても複雑にしていると考えています。  また、議事進行について最後に申し上げたいのですが、例えば法律でこれは違法かどう かという問題はここの場で議論する話ではないと思っているのです。私の理解では、ここ では困っている人がいるではないかと。その人たちに6月の施行までにきちんと何らかの 対応の道筋を立てるべく議論をしなければいけないのだ、というお話を伺ってここに来て いるわけですので、どこが安全でないとか、そういった話をする場ではないので、まずは、 本当に困っている人がいるのかいないのか、いるのであればどのように対応しなければい けないのかという、そういう議論も順位を付けて議論していただければと思います。 ○小田委員 先ほど三木谷委員からありましたが、私は、日ごろ、本やCDは月に一遍は ネットで買っている者の1人ですが、ある程度はわかっているつもりでおりますが、先ほ ど國領委員もおっしゃっていたように、だからこそ業態別に決めるものは決め、その中か ら消費者・お客様がどう選ぶかという時代を迎えるというのはまさにそのとおりだと思い ますので、ずっと言っているとおり、テーブルを設けて大いに議論していただきたいと思 っています。ネットでの医薬品で事故がなかったではないかと。でも、なかったかあった かというのは、今までが一般販売の中でネットも扱われているので、それはカウントする ことが非常に難しいのではないか。だから、業態というものがはっきり棲み分けをして、 その中でどういう売られ方をし、どういったことが起きているということが鮮明になって いくのではないかと思いますので、是非とも、線引きをした形での議論を続けていただき たいと思います。  参考までに申し上げると、例えば、去年の今ぐらいからだと思いますが、硫化水素の意 図的な使われ方で社会問題になりましたが、こいうものなどに関しては、私たちのほうで は売る自由もありますが、こういった社会情勢に鑑みて店頭から外すことによって、我々 がそういった案内を出したとほとんど同じくしてそういう事件がなくなっていったという こともあります。そういったことも、我々でもやれることはやれますし、物によっては使 われ方によって非常に危険なものもあるということもまたそこで知っていただきたいと思 います。 ○井村座長 できるだけ多くの方々のご意見を伺いたいので、先ほどから後藤委員とほか の委員との間のやり取りみたいな形になっているのは非常に困ると思いますので、ほかの 委員の皆様方からご意見を頂戴したいと思います。それから、今度お手を挙げるときは、 後藤委員のことはよく見えるのですが、両脇の方々は声をかけていただきたいと思います。 声をかけていただかないと私は見えないので。 ○北委員 前回の私の発言に答える形、あるいはいま増山委員からお話のあったことに対 してメーカーの代表としてお話したいことが何点かあるのですが、簡単にお話したいと思 います。私は時代の流れ、環境の変化に対応してビジネスの形態も変わるということに関 しては必ずしも反対するわけではない。ただし、皆さん共通の認識として、一般の消費者 や消費財と医薬品は違うということの認識は、おそらく、今までの話合いの中で皆さんの 共通になってきたと思うのです。安全性の担保というものがインターネット販売において、 このように可能であるということが話合いの中で納得さえすれば、既存の小売りの権益を 守るというやり方は必ずしも好ましくないと思いますので、私はそういう変化というもの はまともにとらえていくべきだと思いますが、医薬品である安全性の担保をどうするかと いうことに対して前回も少し疑問を呈して、今日後藤委員からも指摘がありましたが、薬 というのは体に対する影響、生理活性があるということですので、その良い影響をつかん だのが薬です。一方で副作用というものが出てくる。長期に服用していくことによって耽 溺性、習慣性、わからないままそういう状況になってくる。メーカーの立場で商品ごとに それが違うのですが、区分2と3のうち、3はインターネットでもいいだろうというふうな ことになったわけですが、2のジャンルのものについてはそういった商品が結構あって、前 回、スティーブン・ジョンソンの問題も出てきましたが、メーカーとしては折角いい薬が 使われ方によって違う方向に使われるというケースだってある。それは、必ずしも情報提 供が不備であるからというだけではなくて、情報提供が仮に徹底してあったとしても、消 費者自らが意識して誤用、濫用ということだってあり得る。そういったものに対して我々 メーカーとしてはどう対応するかということで、先ほど増山委員が言われたとおり、物に よっては販売規制をする。これは店頭から消費者に対して売る数量も規制する、我々メー カーから小売りに対しても小売りの規模によって数量を制限する、というところまでやっ ているわけです。要するに、情報提供というのはインターネットでも十分できるではない かと。この間の三木谷委員の話でもそうですが、これは確かにできると思うのです。でも、 情報というのは一方方向では駄目だと思うのです。情報を提供されたほうがそれをきちっ と咀嚼して理解をするということでなければ、提供したのだからいいのだよというもので もないと思います。ですから、対面販売という言葉がよく出てくるのはその辺だと思うの です。顔を見て話をすることによって、自分の言ったことが理解されたかということもそ の都度検討できる、そのために対面販売だと。対面販売でなくても情報提供が十分できる よということに関してはインターネットで十分だと私も思います。ただ、双方向でなけれ ばならないということもあるかと思います。  前回の私の発言、後藤委員の今日のご発言、それとメーカーとしての立場としての薬で ある、そういうことを言っていても話が進まないということであると思いますので、安全 性さえ担保できればインターネットでもいいわけですので、これは、別途この場で議論を するのは時間的ゆとりもないと思います。前回も私が申し上げましたとおり、6月1日施行 が決まっているという現状の中で、このインターネット販売は永久に駄目だということで はないような気もします。その辺については、別途、別の機会に本当に慎重に話し合う場 が必要かなと思っております。 ○綾部委員 私もいまの北委員の意見に賛成で少し話させていただきたいのが、この省令 の改正はこれから将来非常に意味のあるものと、各業界がすごく気持を持って取り組んで この環境づくりをしていくというときに、増山委員から話がありましたように、伝統薬局 の業界というのは相当遅ればせながらでやってきて、協会自身この環境のために貢献した いと思っています。今、伝統薬というもの自体は、この問題をどう解決しようかというと きに法改正のところまで上がらないと解決できない問題でもあるので、現段階ですぐに解 決できないと思ったときに、その伝統薬というのは作っている会社しか売っていないもの ですから、使っている生活者の方が6月以降にほかの販路でなかなか買うことができない という意味では、少し困っているケースの1つかなと思っています。そういった意味では、 この議論の中の1つとして、これから先、法改正を見据えた上で業界として取り組んでい きたいし、この省令の言わんとするところを理解して原則に沿った形を検討していきたい と思う中で、そういう伝統薬がこれだけ長く続いて文化的にも価値のあるものだと感じて いただける皆さんがいらっしゃるのであれば、困るケースの1つとして何かしらご検討い ただけないかなと思っているところです。 ○今委員 無薬局についてなのですが、もう意見が出ているので短く言いますけれども、 三木谷委員のこの間の資料を見たら、その中に私の県もありましたのですぐ見ました。確 かに、薬局はなかったけれども、我々の会議に出た薬種商は、そういったことで調べたと ころ、かなりのあれがいるのです。薬局がなくても、また、10kmや20km離れていても、今 の車時代だったら薬の購入はそんなに難しいものではないだろうと。小田委員、足高委員、 高柳委員もおっしゃいましたが、我々販売業者から見れば、皆さんのいろいろな意見を聞 いていて、薬の困難ということはないと思うのです。薬が買えないという事実はほとんど ないと思います。 ○三木谷委員 それは科学的に1回議論しましょう。数字をもって議論をしたほうがいい と思うので。 ○今委員 我々の業界で供給はできると私は確信しています。もう1つ、後藤委員からは、 この検討会の進め方で、6月の施行まで時間がないから早くしたいと。先ほど北委員が発言 しましたが、私は、時間がないから早くやろうというよりも、こんなことを言ってはあれ だけれども、じっくりやったほうがいいのではないかと思います。急いでやればどのよう な結果になるか。今まで我々は何もやれなかったと言うけれども、販売制度検討部会のと きに、平成18年6月に薬事法が公布されたときにそういうことはすべて網羅されていまし たよね。第三類は売れると。その後の環境整備とか、そういったときにもあった。そうい ったものがすべて決まった後に、この6月に施行されるときに、突然、このインターネッ トのことがバッと出てきていますが、私はいまの薬事法は粛々と進めるべきだと思う。ま して、ここでそういったものを討議する場ではないと思う。この間も言っていましたが、 なぜその討議をここでやるのだというふうなことがありましたが、実際、私もこういう会 があると言ったときに「なぜ」と厚生省に言いましたよ。決まったことを、大臣はぶれて は駄目だとはっきり言ったのです。 ○三木谷委員 困っている人はいるのです。少なくとも、我々の所には困っているという 意見が入ってきている。だから、困っている人がいるのだから、6月1日でバシャッと切る のではなくて、何かできないか議論しましょうよということだと思うので、いまさら何を 議論するのだという議論は是非やめていただきたいと思います。 ○井村座長 ほかに、ご発言のなかった委員からどうぞ。 ○今地委員 個々にいろいろな議論がありますが、法を施行する都道府県の立場という点 で少しお話させていただきたいと思います。議会のほうでも法施行に向けてしっかりやっ てくれというような話が出ていますが、県としましては6月1日に施行されるということ につきましては基本的には遺漏のないように準備をしていかなければいけないという立場 があります。それに併せまして、県民への周知、各事業者に対する周知・指導といったも のをやっていかないといけない。併せまして、それにいろいろな準備がかなりかかってま いります。そういう意味で、私どもとしても、手続的にも非常に厳しい状況がありますの で、方向性というものをできるだけ早く決めていただいて、地域全体が困らないような形 でこの法施行を十分浸透させていきたいというふうに思っております。一応、地域の実情 だけ述べさせていただきました。 ○望月委員 先ほど、インターネットについて十分理解できていないということがご心配 だというご発言があったのですが、私が理解できていないと申し上げたのは、先ほど来、 議論になっている個人認証とか情報の保護、個人情報の守秘、あるいは双方向性がどの程 度インターネットで可能かどうかを含めて、いま皆さんが疑問に思っている点についてま だ不確かな部分がたくさんあるというふうに思っております。その点に関して、前回そう いう発言になりましたので、ネットを使っていろいろなものの購入は私自身はよくやって おりますので、そのことがわかっていないということではないということをお伝えしてお きたいと思います。  それから、先ほど、年齢のこと、あるいは性別のことも、どういう形でネットの上でそ の顧客の方々が情報を入力していくかというところについては、これは阿南委員のほうか ら、成り済ましとか、いろいろなことがあるだろうという、まだご疑問があるということ が出ていましたが、私もその辺はまだ疑問が若干あります。ただ、ネットそのもので非常 に安全な仕組みができるとすれば、それは前向きに検討していくべき事項ではないかとい うふうに私は思っております。ただ、今回、先ほどのお話の中で、ネットで楽天さんがア ンケート調査をされたと。その中で、いくつかダブりがあった部分を排除するのと併せて、 取り上げないでおくべき部分が5%程度あったので、そこのマージンを5%とかなり大きく 取られているのです。 ○三木谷委員 それは取り上げなくてということではなくて、単純にコンサバに5%引いて 出したというだけの水準です。 ○望月委員 その5%の意味がよくわからないのです。 ○三木谷委員 あまりないです。 ○井村座長 安全率をとったということですか。 ○三木谷委員 そうです。 ○望月委員 その安全マージンの意味がよくわからなかったのです。 ○三木谷委員 私もよくわかりません。 ○望月委員 私は安全という意味での5%というのは非常に重要な数字だと思ったので、も しそこが安全マージンを5%とらなければいけないというようなネットのあり様だったら 問題かなというふうに思いました。ただ、いずれにしても、先ほどから何人かの委員から 出ていますように、きちんとインターネットという販売の仕組みが一般用医薬品を扱うと いう上で本当に適切に運用できるかという議論はどこかできちんと別途の議論になるかな というふうに思います。 ○三木谷委員 5%には意味はないですから、撤回します。 ○三村委員 大きな方向性として、基本的には国民あるいは日本に住んでいる方々に安全 な薬をどのように提供するかということが基本ですので、その原則を崩さないということ でいきたいと思います。先ほど、流通リスクということで質問があったのですが、これは、 実は、単純な話で、基本的に流通というのは商品の仕入・販売を通して所有権が移転いた します。そうしますと、北委員のお立場でありますように、メーカーの所有権は販売先に 移転しますので、どんなに一生懸命お願いしても、正確に情報提供してくださるとか、そ れに対して在庫管理・品質管理をしてくださるかということについては、常にリスクは存 在いたします。それが、おそらく、既存の業界は長年の経験の中で工夫してらしたのだろ うということを申し上げましたので、それが流通リスクという意味です。伝統薬の場合は 一元的システムということで、あの中には流通という概念が入らないということで申し上 げたということです。  それから、私もインターネットを通して情報提供し、それでより正確な情報を出してい くという仕組みは将来的に非常に可能性があると思っておりますので、インターネット販 売は駄目だというような立場でこの席にいるわけではありません。ただ、実は、國領委員 がインターネットに大変お詳しくて、その中で何度も先回ご指摘になったことは非常によ く残っておりまして、決してインターネット検査販売にはいろいろな業者が混在する可能 性がないとは言えないとか、国内と国外流通がどこかで接点があるということもあり得る とか、いろいろ問題があることも事実だと思うのです。先ほど望月委員もおっしゃったよ うに、増山委員が何度もおっしゃったように、漠然とした不安に対してある程度きちんと 整理していく必要があるだろうというふうに思っております。  もう1つ、今日のご説明にもありましたように、業態としてインターネット販売を議論 するのではなく、あくまで、現状の医薬品を販売している薬局がインターネットという情 報提供手段を通して販売されていることについて、今日はご説明があったのだと思うので す。だから、定義をもう少し絞り込んでいかないとすごく議論が拡散していくだろうと。 そうすると、現状の中で基本的には安全だとしたら、それをどのように安全なのか。また、 いくつかご提案があったと思うのですが、それがどういう問題点を超えようとしているの かということの検討は要るのだろうとは思います。ただ、そのために時間が十分かどうか、 この場が適当なのかどうか、ということについては私も少し検討しておく必要があるかな というふうに思っております。 ○児玉委員 私のほうから申し上げたいのは、国民の声をもう一度聞くべきだというお話 があったけれども、問題は内容なのです。つまり、利便性をおっしゃっている声なのか、 安全性で困るとおっしゃっている声なのか、そこはきちっと今後も整理をしないといけな いかなと。もう1点、これは三木谷委員に申し上げたいのですが、冒頭の話の中で政治の 話を持ち出された。私は、ここの委員の皆さん方に大変失礼な話だと思うのです。正当な 政治団体が正当な政治資金規制法に基づいて活動し、正当にきちっとお金の動きを公表し ている。これは誰でもわかるわけですよ。そういう政治活動をしている団体のことをああ だこうだと、ここの議論とは別の議論だと思うのです。だから、そういうことをおっしゃ ってはいけないと私は思います。 ○倉田委員 国民により安全に医薬品を提供するという意味で、インターネットがいけな いとは思っていません。三木谷委員から提出された資料も拝見して、こういうことだった らできていけるのかなというふうに私は希望を持って見ました。でも、もしこれを進めて いくのだったら、もう少しここを足してほしいとか、こういうふうに変えてほしいとかと いうところはいくつも出てきておりますので、今後、そういう検討もなされるのかと思い ますが、より良い方法を考えるというか、安全に医薬品を提供してもらうという意味では これはもっと活用できるのではないかと私は思っています。 ○井村座長 ほかになければ、ずっとお待たせしてすみません、後藤委員どうぞ。 ○後藤委員 先ほどの、困っている方にお話を聞かないといけない、というのは是非やら ないといけないと思いますので、次回とか、お呼びしてお話をお伺いしたいなと思うので す。それで、困っている方として、私がこうやって委員をやっているということで、私の 所にいくつか意見が入ってきまして、例えば漢方とかを扱っている相談薬局の方、いろい ろと漢方薬を専門に扱っている方とか、あるいは例えば街角の普通の薬局さんが、今は電 話とかファックスとか、そういうことでお客さんから注文をとっている。あるいは、それ までずっと馴染みのお客さんが遠方に引っ越してしまったけれども、そのお客さんの健康 状態はよくわかっているのでそのままそのお客さんと電話やファックスでやり取りをして いるのですと。それで、郵便で送っているのだけれども、それまで駄目になるのですかと。 あるいは、そういうお客さんからは、私は今まで遠方の薬局から取り寄せをしていたのだ けれども、それができなくなってしまうと聞いたのですが、それは本当ですかという質問 が私の所に数多く寄せられているのです。それで、児玉委員にお伺いしたいのですが、そ ういう実際に街角の薬局が電話やファックス、インターネットで相談を受けて、一類や二 類の医薬品を販売していることを認識しているのかどうか。あと、薬剤師会の副会長の前 田氏が、省令施行後も、できれば初対面は対面で販売し、2回目は、現実論からして、電話 対応でやっていかないといけないだろうと。そういうような発言をして、今後も省令施行 後も電話販売を続けるということを示唆したという報道を読みましたけれども、これは事 実なのでしょうか。そして、こういったことに関して児玉委員はすべての薬局店舗が初回 も2回目以降も必ず対面で医薬品を販売しなければならないという、このような省令を支 持するのでしょうか。仮に支持するとしたら、薬剤師会副会長の前田氏が、省令施行後に 電話販売を続けた場合、薬事法施行規則違反となって営業取消や許可取消の処分を受ける 可能性がある、このようなことについてどのようにお考えになるでしょうか。この辺をお 伺いしたいなと思います。 ○井村座長 時間がないのですが、簡単にお答えになれるのでしたらどうぞ。 ○児玉委員 まず1点ですが、変な質問だなと思ったのですが、それはいろいろな組織の 中で、いろいろな議論をされていますよね。その一部を取り立ててああだこうだという議 論は間違っているのです。それは組織として結論を言っているわけではないのです。だか ら、そういう質問は論外だろうと。もう1点は、これは、当然、私どもが医薬品を供給す る者として心得なければならないこと。今そういう議論があることは事実ですが、漢方薬 というのはむしろ副作用報告が増えているのです。死亡例まで出ているのです。そういう ものだからこそ、私どもは、現状は現状であっても、今回の薬事法の改正の精神を、そう いうことがあってはいけないからもっときちっとやりましょうよ、という方向を我々は申 し上げているということです。以上です。 ○井村座長 私の不手際でだいぶ時間が過ぎてしまいまして、おそらく、ここの会場を借 りているということもありまして、これ以上はとてもではないけれども延ばせないだろう と思います。本日は本当に活発なご議論をいただきましてありがとうございました。おそ らく、できればですが、今日のご議論を含めて論点を少し整理させていただいて、また議 論すべき問題点を絞って、それからまたご議論いただくというふうにしたいと思います。 議論の中身ですが、お前はこう言ったけれどもどうだとか、そういうような発言はなるべ くお避けいただいて、できるだけ安全性を担保しながら、薬をできるだけたくさんの方々 にお届けするということを中心にお話をしていただければと思っております。そういうこ とでよろしいでしょうか。それでは、事務局から。 ○総務課長 本日はどうもありがとうございました。次回の開催につきましては追ってご 連絡を差し上げます。それから、今日の議論の中で出ましたヒアリングの話について、ど ういう方をどういう形で呼ぶかについても座長とよくご相談した上でご連絡差し上げたい と思います。以上です。 ○井村座長 それでは皆さん、長い時間ありがとうございました。本日はこれで閉会とさ せていただきます。 <連絡先> 〒100−8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 厚生労働省医薬食品局総務課 古江 代表 03(5253)1111(内線4211) 直通 03(3595)2377 FAX 03(3591)9044