09/03/06 第12回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会議事録 第12回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会 1.日時:平成21年3月6日(金)10:00〜11:37 2.開催場所:全国都市会館 3階「第2会議室」 3.議事次第:   (1) 開会   (2) 議題        (1)作業班における検討状況について        (2)検討メモについて   (3) 閉会 4.出席委員等   (委員)    池上秀樹委員、稲垣明弘委員、大江和彦委員、大山永昭座長、後藤省二委員、    辻本好子委員、中川俊男委員、堀部政男委員、山本隆一委員 (五十音順、敬称略)   (オブザーバー)    山内 徹 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官    若林成嘉 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官    井上知義 総務省自治行政局地域情報政策室長    藤井雅文 総務省自治行政局市町村課企画官   (厚生労働省)    間杉 純 厚生労働省政策統括官(社会保障担当)    香取照幸 厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長)    黒川弘樹 厚生労働省政策統括官付社会保障カード推進室長 5.議事内容 ○大山座長  それでは、定刻となりましたので、ただ今より「第12回社会保障カード(仮称)の在り 方に関する検討会」を開催いたします。  本日は年度末で、また足元の悪い中をお集まりいただきまして、誠にありがとうござい ます。  最初に委員の出欠状況について報告いたします。本日は岩月委員、駒村委員、高山委員、 田中委員、樋口委員、南委員がご欠席ということでございます。  それでは、事務局から資料の確認を次にお願いしたいと思います。お願いします。 ○事務局  資料の確認をお願いいたします。  一番上に議事次第がございまして、それに続きまして、資料1「作業班における検討事 項について」という1枚紙がございます。それに続きまして、資料2「検討メモ」という 縦紙の資料がございます。その次に、資料3という形で、横紙の「医療保険資格の確認業 務及び諸外国の動向についての調査結果の概要」というものがございます。その後に、参 考資料としまして3点、参考資料1、参考資料2、参考資料3、いずれも横紙でついてお りますのでご確認ください。 ○大山座長  資料は大丈夫でしょうか。ありがとうございます。  それでは、議事に入りたいと思います。  前回の検討会において、作業班及び事務局に対し、社会保障カードの医療等の現場での 活用についての検討及び年度末を目途とした報告書の取りまとめに向けたたたき台の作成 をお願しました。  まずは、作業班の検討状況について、作業班長の山本先生からご報告をお願いします。 ○山本委員  資料1をご覧ください。ご覧のように、この資料1では項目のみを示すにとどまってお ります。前回の検討会以降、三、四度ですか、作業班を開催いたしまして、ここに挙げら れた全部で7つの項目を中心に鋭意、議論、検討を行っているところでありますけれども、 現時点ではまだ結論を皆さんにお示しするには至っておりません。  それでは、一応現在の検討状況を各項目についてご説明を申し上げます。  まず1つ目の社会保障カード(仮称)で目指すことというのは、今日も最後のほうにつ いているかと思いますけども、これまでの議論の整理で述べられている社会保障カードの 実現により解消すべき課題をもう一度再検討といいますか、洗い直しているところであり ます。  課題としては、年金記録については標準報酬の誤り等があってもすぐに確認する手段が 現状ないと。医療機関等において、医療費請求の過誤調整事務に関わるコストが発生して いるとか、高額療養費の申請等、複雑な手続が存在し、利用者にとって複雑であったり、 支給漏れが生じていたり、それから地域医療連携等で患者を一意に識別する方法がないと か、それから制度間調整にかなり複雑な手続があるとか、様々な課題がございまして、そ れをこの社会保障カードの仕組みで解消するというふうなことが現状の課題であるという ことで検討しております。  それから、2つ目の中継データベース、これも仮称ですけども―の在り方。社会保障 カード、「カード」という言葉がついておりますけども、カードはいわば一般の国民が持 つこの社会保障カード制度の仕組みのごく一部でありまして、その主体は、本来はバック オフィス側といいますか、カードによってアクセスができる情報の流れ、その他の制御の 方法にあるわけですけれども、この中継データベースの在り方について、これまでは、こ の検討会の報告では何かデータベースの絵のようなものがかいてございましたけども、実 際はその後ろにそれぞれ仕組みが存在するわけで、その要件をもう一度整理をして検討し ております。  ご承知のように、前回もご報告があったかと思いますけども、電子私書箱(仮称)や電 子政府といった関連する取組、見ようによってはほぼ同じような仕組みを目指していると いうことで、そういった関連する取組も十分意識しながら議論をしております。中継デー タベースに求められる要件の整理、それから構築に際しての留意点、それから中継データ ベースに求められる機能等を現在検討しております。  それから、3つ目に、ICカードに保険証機能を付与する方法。1人に1枚カードを配 るという仮置きを前提にしまして、国民全員にいかに配布するかということ、そのカード にどうアクセスキーとしての機能を付与していくかについて検討しております。この中に は、いつのタイミングでカードを配布するか、被保険者証としての機能をどのように付与 するか、それから既存の、現在は紙やプラスチックカードですけれども、既存の被保険者 証からの切り替え方法等を作業班でもう一度検討しているところであります。  それから、4つ目として、想定される医療保険受給資格の確認プロセス。被保険者資格 を即時に確認できるということが望まれている機能なわけですけれども、医療機関におい て患者にカードをアクティベートする暗証番号の入力を求めない。一般の医療機関では外 来受診時かなり混雑をしておりますので、そこで患者様が暗証番号を一々入力するという ふうな運用は非現実であるということを前提とした医療保険資格の確認方法として、暗証 番号を求めないがゆえに発生するリスクを分析して、それへの有効な対処方法などを検討 しております。資格確認に必要となる要件、これは医療機関であること、医療機関の職員 であること等の確認を含めてですけれども、そういった要件の整理。それから、利用者が 暗証番号を入力するという本人の許諾に関わる代替案の検討。それから、そういった仕組 みを実現するためのカード上のアプリケーションの在り方等を検討しております。  それから、5つ目として、保険証として使用する場合に想定される、新たに発生する運 用面での課題や留意点。これは紙やプラスチックカードの被保険者証をICカード化する ことによって新たに発生する運用面での課題や留意点を洗い出して、それへの対処法など を検討しております。資格取得・喪失が生じた日から届出が提出されるまでのタイムラグ への対応等が検討されております。  それから、カード導入後の移行期間やICカード機能が使用できない状況における対応 の考え方。導入されたとしても、全ての国民に配り終えるまでには一定の期間がかかりま すし、それから特に保険証として扱う場合、保険証の機能を使う各機関―医療機関等、 介護機関等ですけれども―の全てがICカードを受け付けられるようになるまでとか、 それからバックオフィスのデータベースが整備される等の環境が整ったり、全ての国民に ICカードが行き渡るまでは相当の期間があるということを前提に、その間の対処方法を 検討しております。また、さらにそれらの条件が完全にそろったとしても、停電、それか らICカードの破損等で機能が使用できない場合もあることから、それらの対処方法を検 討しております。具体的には、保健医療統一番号を用いて医療保険資格確認が行える環境 の整備、これは用いる場合ですけども、それからカードが使用できない場合でも医療費の 自己負担分の請求を可能とする方法等を検討しております。  それから、導入時、経過措置の考え方として、本人確認をした上でカードを配布すると いう前提に従えば、同時に全国民に配布を完了することは困難で、一定期間カードを持つ 者と持たない者が混在することになります。また、完全にカードに依存した運用を開始す るまでに相当な環境整備が必要、これは例えば保険証として用いる場合、保険証を使用す る医療機関・介護機関等がカードを扱えるようになるような環境整備という意味ですけれ ども、そういったことには一定の時間がかかります。それらが完了するまでの経過措置の 在り方についての検討を主に、これまでの過程を一連のものとして論理検証していくとい うふうな検討をしております。具体的には、配布の経過期間にどのようなことが起こって、 どのような対策が必要か、期間はどのくらいあるべきかと。それから社会保障カードが実 際に想定されている幾つかの機能が実際に機能するための条件、それから、今これまでの 検討で幾つかの仮定を置いておりますけれども、それぞれの仮定の整合性などを検討して おります。  それから、最後のその他ですけれども、これは基本計画の章に位置付けるものではあり ませんが、各章において、技術面、運用面から検討を進めていくに当たって、制度的対応 が担保となったり、制度による保障が必要となったりすることがあり得るのではないかと いうことで、その要件を導出しております。具体的には、ITの利用に不慣れな方等、様 々な利用者への配慮が必要でありますし、それから仕組みの実現と制度運用に当たっての 制度的対応、これも必要性を含めて検討しております。それから、社会保障カードの仕組 みに要するコストの試算等も作業班で一応検討しております。  現在の検討状況は以上でございまして、何度かの作業班でそれぞれの課題について、か なり具体的にまとまりつつありますけれども、現状まだ結論としてここにご報告するには 至っておりませんので、現状は検討の経過のご報告ということにさせていただきたいと思 います。  以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。  それでは、ただ今説明いただきました内容について、ご質問、ご意見等がございました らお願いしたいと思います。いかがでしょうか。  特に検討している内容で漏れがあるといけないので、もしご指摘があればと思いますが、 いかがでしょうか。  どうぞ。 ○池上委員  お願いというか、検討項目という観点ですが、この後の資料の検討メモの中に実は出て くるのですけれども、保険者間等の情報連携についてということで、先ごろまとめられた 中間整理の中にも一つのアイデアとして書かれているわけなのですけれども、これを本当 にこのスタート時期に合わせてこういった機能まで持たせるのかどうかというのは、必ず しも明確に整理の中では言い切ってはいないところなのですけれども、もしこれをやると すると、例えば、社会保障カードは今まで個人に対しての、個人としての情報のアクセス であるとか、個人に対する情報提供、個人ベースが中心なわけですけれども、情報連携に なると、今度は保険者と保険者とか、要するに例えば医療保険者と介護保険者とか、少し 概念が違う範囲までを想定されているということで、いろいろな面で大きな違いが出て来 るのだろうなと思っているのですね。  そういう意味で、これを将来の拡張的な機能というふうに位置付けるのであれば別です けれども、ほぼ同時期にこういうことまで達成しようという前提だとすれば、作業班のメ ンバーの方は時間的な問題があって、可能なのかどうか分からないのですけれども、もし 可能であれば、もう少しこの問題も深掘りをして、ワーキングのテーマに入れていただけ るとありがたいなという、要望という形で受け止めていただければと思います。 ○山本委員  ご指摘の点、誠にごもっともで、先ほど一番最初の課題のところで申し上げましたよう に、制度間調整並びに制度内調整ですよね、医療保険の移動等がございまして、そのとき に中継データベースがどのような機能を持つべきかというのは、2つの目の中継データベ ースの在り方のところで既に作業班では検討して、結論を得て、ご報告をするテーマとし て取り上げておりますので、いずれ検討をご報告できるというふうに考えております。 ○大山座長  よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。  それでは、また後で必要であればご質問をいただくということにして、先に進めます。  山本委員からご説明いただきましたように、医療等の現場での活用については、引き続 き作業班で検討していただきたいと思います。そしてまた、本検討会に報告いただくとい うことでお願いします。  次に、報告書の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。  事務局から検討メモ、資料2ですが、それと医療保険資格の確認業務及び諸外国の動向 についての調査結果の概要、これは資料3としてまとめてあります。これらの2つにつき まして説明をお願いしたいと思います。お願いします。 ○事務局  資料2及び資料3につきましてご説明させていただきます。着席してご説明させていた だきます。  資料2ですが検討メモということで、報告書の取りまとめに向けた議論のためのメモと いうことでございます。  まず1番として、社会保障カード(仮称)の検討の背景及び方向性についてということ で、今まで全体像が不明確とのご指摘も検討会の中でございましたので、社会保障カード、 またその関連し得る仕組みというものの目標を記述しております。  1つ目の丸としまして、現状として様々な分野において様々な機関ごとで情報が保有さ れており、そのため、利用者の立場に立てば、人生の様々な場面で機関ごとに必要な情報 を入手して、必要な手続を行う必要があります。また、情報技術の活用も不十分であろう と。こうしたことにより、利用者、各機関にとって手続や事務処理の重複が生じていて、 多大な労力やコストを要しているというのが現状であろうということです。  これをどうするかということで、情報アクセスの監視や情報連携の制御という仕組みを 構築して、プライバシー侵害や情報の一元的管理の不安というものは極力解消しつつ、分 野横断的な情報アクセス、情報連携の基盤を構築するということでございます。以下に挙 げる5点の実現を例えば目指すということで、1つ目のポツとして、複数の機関にまたが る自分の情報等の必要な情報の入手や必要な手続について1カ所で完結できる便利なサー ビスを提供する。必要なお知らせ等の情報を提供して、手続をある程度省略することを可 能にする。そのためには、関係機関の情報連携、いわゆるバックオフィス連携というもの も必要。また、そういうものができれば、各機関の業務効率化やコスト削減にも資すると いうことで、そのような情報連携がある程度できてくると、分野を横断した状況の把握が でき、また、把握した状況に応じてきめ細かな施策を実施することができるということ。 また、最後のポツでございますけども、自分の情報も含めて行政サービスの透明化が図ら れ、自分の情報にだれがアクセスしたかということも含めて、個人情報へのアクセスの監 視ができる。こういったことが、社会保障カードその他の構想の目標、全体図ということ でございます。  続いて、2ページとして、検討の方向性ということで、この検討会では今申し上げたよ うな将来像を見据えつつ、年金記録等の確認を可能にしながら、健康保険証等の役割を果 たす仕組みを検討するということでございます。カードというものは情報アクセスの際の 本人確認の役割を果たすわけですが、関係機関の情報化やデータの標準化といった環境整 備ができ、また、その情報連携の仕組みが整備されてこそ、様々な分野にまたがる利便性 の高いサービスが提供できるようになるということで、そのような将来像を見据えながら 様々な電子行政の取組や各分野の環境整備、またその各分野における課題への対応という ものと連携しながら、社会的合意が前提でございますけども、可能なサービスから順次実 施していくということであろうということでございます。  今申し上げたことを図にしましたのが、ちょっとページが飛んで恐縮でございますけど も、5ページの次に図1というものがついてございます。社会保障カードなどの構想の目 標のイメージということで、内容については重複がございますので全て説明いたしません けども、左下の絵にございますように、現在、いろいろな自分の情報というものが複数の 機関にまたがって存在しております。市町村、国、健康保険組合等様々な機関にまたがっ て存在しているということで、こういったものを1カ所で手続を終えることや情報を得る ことを便利にできるサービス、ワンストップサービスというものを実現していくこと、そ してその基盤としてバックオフィス連携を行い、中継機能というものが必要であろうとい うことで、この社会保障カードの検討においては、こういったものを見据えながらやって いくということでございます。また、そのために、電子行政やその他の取組との連携や、 また、カードだけできても仕方がないので、バックオフィス連携やその他環境整備、各分 野における課題への対応との連携が必要なのだろうということでございます。  また、その次のページ、図2としまして、どういったサービスが提供できるのかという イメージでございますけども、カードを使って自分のマイページのようなものにログイン をします。ログインをした上で、年金記録なり、特定健診なり、そういったものの情報が 見られるということが重要でございます。また、例えば会社を退職した際に資格喪失届と いうものは事業主が提出しますが、その喪失届はどのように処理されているのか、処理が 完了したかどうか確認できれば便利でしょう。また、自分がどのような制度に加入できる のか、例えば国民年金基金に加入できますというお知らせが来て、また、もし加入したな らば、どのような将来的な納付額になるのかという試算ができるだとか、自分の年金情報 の閲覧ができるという、そういうお知らせ機能を例えば持たせることができます。また、 そういう手続が必要であれば、真ん中のページの右側にございますように、各種手続を行 うこともできる。  こういった情報が見られるということ、お知らせが来ること、各種手続ができること、 このような一連の流れで利用されるということが想定されるのだろうということでして、 こういった中で、共通基盤になり得るものとして、社会保障カードというものの検討を行 っているということであろうという整理を行っております。  恐縮ですが、戻っていただきまして、資料2の2ページでございます。  2としまして、仕組みの仮定とその検証についてということで、今申し上げたようなも のを実現させていくために、先日取りまとめました「これまでの議論のまとめ」において は幾つかの仮定をしているということです。オンラインで本人認証をするということであ れば、公開鍵暗号技術の活用というものが安全な情報アクセスを保障するということが1 点。また、プライバシー侵害等の不安を極力解消するとともに、初期コストを抑え、また 将来の用途拡大に伴う二重投資を極力生じさせないため、情報の集約、データマッチング のリスクを極力避けたモデルが必要であろうということで、何か一つの大きなデータベー スをつくるのではなく、各保険者が引き続き情報を保持・管理しながら、必要最小限の情 報連携を行う仕組みというものが必要であろうということで、また後ほどご紹介いたしま すけども、行政情報の共同利用支援センターというその他の検討会で検討されているもの との関係で重複した投資が行われないようにすることが必要であろうということです。ま た、市町村によるカードの交付ということを仮定してございます。  ここでまたちょっと飛んで誠に恐縮ですけども、先ほどご紹介した図1、2の次に図3 というものがついてございます。この資料の5ページから3ページ後でございますけども、 図3、社会保障カード(仮称)の仕組みのイメージ(仮定)というものでございますけど も、上の囲みは今ご説明申し上げたようなことで、保険資格情報であったり閲覧情報、そ ういう情報は今までどおり保険者のみが保有するということです。そして、そこへ確実に アクセスするために、中継データベースというものを置いて、被保険者記号番号など必要 最小限の情報だけを持つ。情報の集約を避けて、情報連携を適切に制御できる仕組みにす る必要があるだろうということです。具体的に真ん中の絵でご説明させていただきますと、 まず1番、真ん中の絵の一番左でございますけども、本人をちゃんと確認して、識別した 上でカードを交付します。ご本人がそのカードを利用して、オンラインでデータベースに アクセスして情報を要求します。このようなオンラインの手続であれば、公開鍵暗号の技 術を活用する方式というのが安全性において優位ということでございますので、そのよう な形で本人確認、認証を行って、ご本人からのアクセスだということを確認します。  それを踏まえて、4番でございますけども、中継データベースは保険者に情報を要求し ます。保険者は中継データベースを通じて利用者に情報を提供するということで、また、 このような仕組みとすることで、吹き出しがついておりますけども、情報へのアクセス記 録を保存し、利用者が確認できる仕組みとすることなどにより、不正アクセスによる盗み 見等の不正を抑止し、情報連携を制御することができるということです。  また、一番下の枠に書いてございますけども、医療・介護の分野というものにおいては、 紙の処理がしばらくの間混在することになろうということですので、分野内でのみ活用す る可視的な番号というものの利用を検討する必要があろうということです。ただ、可視的 な番号ということであれば、同意なく名寄せに使われるといったリスクというものがやは り指摘されておりますので、分野内でのみ用いることが安全なのではないかということで ございます。  すみません、またお戻りいただいて、資料2の2ページでございます。2ページの一番 下でございます。仮定の検証ということで、前回の検討会でご紹介させていただきました が、23年度中を目途とした実施を目指して、21年度以降、可能なことから実証実験を行い ます。その状況、結果を踏まえて、2.1で書いてある仮定の検証をしながら、実際に使 っていただいた体験者の方の声なども踏まえながら、よりよい仕組みとしていくことを検 討していくというメモにしてございます。  続いて、3ページでございます。年金記録等の情報閲覧についてということで、2点挙 げておりますけども、閲覧する情報によって、その情報をだれが持っているか、それを提 供する保険者が様々であることを利用者の方からは意識することなく閲覧できるサービス という形が便利なのであろうということと、そのような情報閲覧の仕組みを実現するため には、情報を提供する各保険者の環境整備、データベースの整備や情報の標準化・可視化 というものが必要になってくるだろうということでございます。  また、4番は、先ほど山本班長からご説明いただいたように、作業班のほうで検討中と いうことでございます。  また、5番として、保険者間等の情報連携についてという形で、適切な情報連携に限定 するため、ある程度アクセス履歴を残し、本人が自ら確認できるような形にすることが重 要であろうということと、また運用面の対応ということでは、制度的な対応も、技術的な 対応以外にもまた必要なのだろうということで検討を行うということでございます。  また、6番として、写真付き身分証明書としての機能ということで、希望される方につ いては身分証として利用することを可能とする。また、ICチップの空き領域を利用して 追加的な機能を持たせることも検討する。  続いて、7番ですけれども、カードの発行・交付方法等についてということで、カード をだれが配るかということにつきましては、国民の方から見て最も身近な行政主体であっ て、また一般的に利便性が高いということなども踏まえまして、市町村と仮定しておりま すけども、どう配るかにつきましては、交付対象者の方の利便性、交付者の事務負担、技 術的な実現可能性、こういったものを踏まえて今後さらに検討していく必要があるという ことでございます。  続いて、4ページでございます。電子行政、電子私書箱(仮称)等の取組との連携につ いてということで、今まで申し上げたような、人生の様々な場面におけるワンストップサ ービスやバックオフィス連携というものの実現のために、他の取組と、全体最適を実現す るために引き続き連携して検討していくということで、例えば次世代電子行政サービスの 実現に向けたグランドデザインにおきましては、行政情報の共同利用支援センター(仮 称)というものであったり、または電子私書箱―これも仮称でございますけども―構 想の実現に向けた基盤整備に関する検討会におきましては、電子私書箱(仮称)プラット フォームというものが検討されておりますので、これらにつきましては、社会保障カード、 この検討会における中継データベースと同様の機能を持つというように考えられますので、 これらについて重複した投資を行うことのないようにすることが必要であろうということ、 また、地方自治体など関係機関の電子化や情報連携の取組とも連携する必要があろうとい うことでございます。  また次に、携帯電話等の情報通信機器を活用したアクセス手段の多様化等の検討状況、 技術動向を踏まえて今後さらに検討という記述でございますけども、前回この社会保障カ ードに関連する様々な仕組みをご紹介いただきました。その中では特にご紹介申し上げま せんでしたけども、当然のことながら、世の中でどんどん技術が進歩していっているとい うことで、技術の動向を踏まえてこのカードの検討というものも、そういう動向を踏まえ てさらに検討していく必要があり、何か新しい良いものが出てきたらそれを使うのだろう ということでございます。その一つの例といたしまして携帯電話等と書いてございますけ ども、こちらにつきましては参考資料1という形でつけておりますが、端的に一言でご説 明させていただきますと、今、どうアクセスするかというときに、パソコンをある程度想 定していますが、パソコンというものが一般的には性能は高いものの普及率というのは必 ずしも高くない状況です。そういうことであれば、より普及率が高く、また多くの方にと って身近な携帯電話やデジタルテレビ、そういった情報通信や放送機器、そういうデジタ ル機器を活用して電子行政サービスへのアクセス端末として活用を図るという検討が行わ れておりますので、これは一つの例でございますけども、こういった技術の動向というも のも踏まえて検討していく必要があるのではないかということでございます。  また、資料2の4ページ、8の最後の丸でございますけども、住民基本台帳カードにつ きましては、他の市町村に住所を移した場合にも継続使用を可能とするという見直しを行 おうとしているということや、公的個人認証サービスにつきましても、オンライン認証の 実現も含めまして、その普及拡大に関する検討というものも行われておりますので、そう いったものと連携して既存のインフラを活用することを検討していくということでござい ます。  また、9番といたしまして、制度的対応の検討ということで、個人に関する情報の取り 扱いや情報連携というものに関するルール、そういった対応というものは引き続き検討し ていく必要があるだろうということでございます。  1ページおめくりいただきまして5ページ、最後、10番でございますけども、社会保障 カード(仮称)の実現に向けてということで、1つ目の丸、2つ目の丸で、他の検討会で 出ている数字をご紹介するという形になりますけども、ワンストップサービス、バックオ フィス連携の実現のための基盤構築による経済効果として、例えば引越ワンストップ、退 職ワンストップでそれぞれ年間約1,000億円、1,200億円。また、電子私書箱につきまして は年間約4,600億円との試算がございます。  少し飛びまして、2つ目の丸ですけども、その基盤構築費用として、電子私書箱でおそ よ200億から400億、初期整備費用としての試算があるということで、これらについてはま た後ほど参考資料としてご紹介させていただきます。  また、飛ばしましたけれども、想定される効果のうち、医療保険資格のオンライン確認 等の実現による効果というものが、保険者で年間約160億円、医療機関等で年間約120億円 ということでございまして、こちらにつきましてはまた後ほど詳しく調査の概要をご説明 させていただきますが、回収率が必ずしも高くないため、参考値、留意が必要ということ でございます。  また、3つ目、4つ目の丸といたしまして、よりよい仕組みの検討とともに、引き続き 費用対効果の試算を行いつつ費用負担を検討。また、利用者等の声を踏まえつつ、現場に 混乱を生じさせることのない円滑な実施策、様々な利用者に配慮した周知、推進策等の課 題を引き続き検討としております。  この10番でご紹介させていただきました様々な数字でございますけども、参考資料2と いたしまして、次世代電子行政サービスの実現に向けたグランドデザイン概要というもの をつけてございます。そちらの3ページに、引越なり退職での効果ということで、他の検 討会でこのような数字が出ているということをご紹介させていただきます。  また、参考資料3といたしまして、電子私書箱(仮称)の導入に伴うコスト削減等の効 果、これも試算ということで資料をおつけしておりますけども、それの1ページおめくり いただいたところに、電子私書箱の導入に伴う直接的なコスト削減効果として4,600億円 という数字が出ておりますので、その数字のご紹介をさせていただくということでござい ます。  これとは別に、資料3のご説明をさせていただければと思います。医療保険資格の確認 業務及び諸外国の動向についての調査結果の概要という横紙でございます。2つ調査がご ざいまして、いずれも厚生労働省から委託して行った調査につき、結果をご紹介させてい ただきます。  1ページおめくりいただきまして、(1)医療保険資格の確認業務についての調査結果概要 ということで、こちらの調査につきましては、医療保険者なり医療機関等にアンケート調 査を行ったということです。調査方法としましては、アンケート調査票の設計に先立ちま して、関係者の方、保険者の方や医療機関の方にヒアリングを行いまして、どのような調 査を行うかという項目を固めております。その上で、アンケートの対象機関といたしまし ては、保険者につきましては全ての保険者、医療機関等につきましては病院で4,900機関、 診療所につきましては4,400機関、歯科診療所2,800機関、薬局2,100機関で配布させてい ただきまして、回答状況といたしましては、保険者が72.5%、医療機関は18.3%となって おります。  以上が調査の概要でございまして、それを踏まえて1ページおめくりいただきまして、 1ページ目、右下にページ1と書いてございますけども、社会保障カードの導入効果とし て上から4つ挙げておりますけども、そもそも現在、医療機関におきまして、年間約900 万件のレセプトが医療機関に返戻されているということでございまして、医療機関さんで 約2,000億円のレセプトという形になっています。これらにつきましては、社会保障カー ドが導入された場合でも全てが削減できるというわけではなくて、返戻される事由によっ て、なくなるものとなくならないものがあるだろうということで、それをA、B、Cと、 全面的に解消されるもの、一部解消されるもの、解消されないものという3つの類型に分 類しております。  こちらの類型につきましては、2ページおめくりいただきました3ページでございます。 参考1としまして、資格返戻事由に基づく類型化ということでございますけども、まず左 側にA、B、Cと並んでおりますけども、例えば記号・番号の誤りというものであれば、 例えば自動転記がされると全面的に解消されるだろうという類型です。また、資格喪失後 の受診のように、保険資格の切り替えのタイムラグが今後も生じるだろうということを考 えると、完全には解消されないものございます。こちらにつきましては、このうち50%が 解消されると仮定しております。その他といたしまして、資格過誤ではない単なる事務上 のミスといったカードでは解消できないものもあるということで、A、B、Cという類型 化をしているということでございます。  これを踏まえまして、2ページまたお戻りいただきまして、1ページでございますけど も、カードの導入によって保険者、医療機関でどのような効果が生じるかを推計しており ます。ここで言うところの効果といたしましては、直接的な効果、返戻義務にかかる人件 費なり直接経費に限定しておりまして、間接的な効果や波及効果というものは含めてござ いません。こういった形で導入効果を算定しております。  保険者と医療機関、別々にやっておりますので、まず保険者における効果ということで ございますけども、資料の4ページ、参考といたしまして、いろいろ規模別に集計をして、 保険者の規模によって人件費なりも変わり、外部委託の状況も変わってくるだろうという ことで、そういう大きさごとの区分をしております。また、続きまして5ページでござい ますけども、規模別、1,000人未満から始まって100万人以上、こういった類型別に応じて それぞれ返戻が起こってくるパターン、A、B、Cの割合というものも変わってくるとい うことも考えられますので、それぞれの類型ごとで効果出現率というものを考えていると いうことでございます。  こういったことを前提といたしまして1ページの表があるということでございまして、 現在の業務にどのぐらいかかっているかという話と、当該業務をどのくらいの保険者が実 施しているかということ、その効果の出現率というものを掛け合わせて160億円という推 計を出しているということでございます。  続いて、医療機関や薬局における効果ということでございまして、2ページになります。 こちらにつきましては、2ページの一番下の注3にありますように、先ほどご紹介したよ うにアンケートの回収率というものが必ずしも高くないということですので、参考数値と してまとめているということをまず申し上げたいと思います。  医療機関や薬局につきましては、カードによりまして、資格返戻における未収金がなく なるという効果や、返戻レセプトの再請求を行うために費やす人件費が軽減できます。ま た、レセプトの再請求作業に費やす直接経費、切手代など、そういう直接経費がなくなり ます。そういう幾つかの類型ごと、またこれも医療機関の大きさごとですけども、大きさ ごとにどのくらい効果が出てくるかということを踏まえた上で、こちらにつきましても、 単純に医療機関の総数に直せばどうなるかということで、123億円という数字が出てきて いるということでございます。  以上が医療保険資格の確認業務においての調査結果概要でございます。  続きまして、この資料の7ページの後に、いろいろ飛んで恐縮でございますけども、7 ページの次に、(2)といたしまして、諸外国の動向についての調査結果の概要というものを つけてございます。  こちらにつきましては、諸外国におきまして、社会保障分野を中心として活用されてい るカードであったりIDというものの実態や、その利用状況について委託調査を行いまし て、日本に対する示唆や留意事項というものを調査提言していただいたものです。当然国 によって状況は異なりますので、幅広い事例収集を行いまして、対象となる制度や情報の 範囲、あとは本人認証の方法であったり、そういった制度設計や導入の考え方、そういう 様々な多角的な視点から実態調査を行ったということでございます。  本日ご紹介いたしますのは、調査をした様々な国の中で特に参考になると思われる5カ 国の概要でして、詳細についてはまだちょっと精査中でございますけども、概要をつけさ せていただいております。  1ページおめくりいただいた次に比較表というものをつけてございますけども、字が細 かくて大変恐縮でございます。ポイントだけちょっと口頭でご説明させていただこうと思 いますけども、なぜこれらの国が参考になるかということでございますけども、まず一番 左のベルギーでございますが、IDといたしまして国民登録番号というものが本人識別番 号として利用されておりまして、社会保障のみならず各種行政機関において使用されてお ります。また、ICカードといたしまして、従来、紙のIDカードを交付しておりました けれども、2004年よりeIDと呼ばれるIDを展開しているということでございます。  ベルギーのポイントでございますけども、下から2つ目の枠、仕組みという枠にござい ますように、各サービス機関の情報を統合せずに、クロスロードバンクと呼ばれるサービ ス連携機関を設置いたしまして、そちらを通じて既存のデータベースの連携を実現してお り、いわば中継データベースのような仕組みがあるということでございます。このクロス ロードバンクというものが国内の2,000を超える社会保障機関のバックオフィス業務の機 能をネットワークで結んでおりまして、国民や企業に対して社会保障ポータルや行政窓口 というものを通じてワンストップサービスを提供しているということでございます。  続いて、オーストリアでございますけども、オーストリアにつきましては2つ欄がござ いますが、まずオーストリアの1点目です。左側が、Citizen Cardという、社会保障に限 らないeGovernmentなり公共サービス、そういったものへアクセスする際の電子認証とい うものでございまして、この機能につきましては必ずしも何か決まった媒体があるわけで なくて、銀行カードなり学生証や携帯電話という、そういったものに搭載することができ るという形になっているということでございます。  また、搭載することができる媒体の一つとして、それが一つ右に、オーストリア(e- Card)としてご紹介しておりますけども、ICカード化された健康保険証がございます。 健康保険証がICカード化されておりまして、そのチップの上にオーストリアのCitizen Cardという機能を乗せることができるということになっております。  それで、オーストリアの特徴的な分野といたしましては、いわゆるセクトラルモデル方 式というものを採用しているということでございまして、例えばID、国民登録番号があ るような国であれば、関係する行政機関で、全てそのIDをもって情報管理するというこ ともできるわけでして、その対極としては、例えば各制度ごとでそれぞれ異なる番号を持 って、その番号同士、各制度ごとの番号というのは特に関係性がないとすることもできま す。こういう類型がいろいろあると思われますけども、オーストリアというのはセクトラ ルモデルという形で、いわばその間で、分野ごと制度ごとで異なるIDというものを使っ ているのだけども、その分野ごとのIDというものを一つの基本となるIDから生み出し ているということで、横の連携、本人特定ができるようになっております。制度ごとで異 なるIDですので、制度ごとで勝手に情報のやり取りというのはできませんけども、いっ たん基本的なIDというものを把握している機関、そういうハブのようなところを通じる ことによって、本人の同定をすることができるという仕組みになっております。オースト リアはこのモデルを徹底して、データ保護委員会なり、そういう第三者機関をつくるなり とか、暗号技術を使うということもしながら、より安全な仕組みをつくっているというこ とでご紹介させていただいております。  続いて、1ページおめくりいただきまして、フランス、ドイツ、カナダというところで ございますけども、フランスにつきましては住民登録番号というものがございまして、こ ちらを社会保障番号として利用しており、社会保障の分野以外でも幅広く利用されており ます。  フランスにつきましては、ICカードが特に医療分野で活用されているということでご ざいまして、1998年に導入が始まり、2007年からはさらにアップグレードしたバージョン というものを導入し始めております。フランスにつきましては、医療機関にかかった場合 に、いったん全額、10割負担を行った上で、後ほど利用者の方が保険者のほうに7割なり の償還を求めるという償還払いのシステムになっておりますけども、このカードを使うこ とによって、被保険者の方は医療費をいったん全額支払いますけども、それまで一、二カ 月かかっていた還付というものが数日になる、そういうメリットがあるという形で利用も 進んでおりまして、また医療機関等の情報化も進んでいるということでございます。また、 個人情報保護につきましても、社会保障番号を利用する機関や目的範囲というものを、情 報処理と自由に関する全国委員会というところで監視をしているという形になっておりま す。  続いては、ドイツでございますけども、ドイツにつきましては国民IDのようなものは ございませんでして、各制度ごとで番号が振られているという形になっております。ただ、 その中で、最近は医療保険の番号を統一するという動きや、また出生時に付番される社会 保険番号というものをベースに医療保険番号というものをつくり出すこともしているとい うことでございます。また、ICカードにつきましては、こちらにつきましてはもとから ICカードが利用されておりましたけども、今後徐々にアップグレードされたバージョン というものを導入していこうということでございまして、最初は医療保険における保険の 資格確認を行うという機能から始めて、今後徐々に電子処方箋であったり、緊急情報への アクセス、また処方箋履歴へのアクセス、健康記録へのアクセス、こういったものにつき まして段階的に利用できる機能を高めていこうということを計画しているということでご ざいます。  また、最後にカナダでございますけども、こちらにつきましては社会保険番号というも のがございますが、特にICカードというものはなく、プラスチックカードでそういった 番号が記されたものがあるという形になっております。また、この社会保険番号を活用し つつ、IDパスワードであったり、秘密の質問であったり、そういったものを織り交ぜな がら本人認証を行っているという形になっておりまして、カナダにつきましては窓口は1 つになっておりますけども、サービスレベルに応じてそれぞれいろいろな認証の仕方をし ており、別々に手続を行っているという形になっているということでございます。  以上を踏まえまして、諸外国をいろいろ調査していただき、最後、3ページ、4ページ とつけておりますけども、委託調査機関から日本における具体的な実現イメージというこ とでご提言いただいていますのでご紹介いたしますけども、やはり諸外国の例も踏まえま すと、ここではポインターと書いてございますけども、中継データベースのような、閲覧 情報は今までどおり各保険者が保有して、そこに確実にアクセスできる仕組みというもの が重要なのだろうということでご提言いただいております。続いて4ページになりますけ ども、それをさらに進化させたような形として、オーストリアで使われているような暗号、 基本情報をハッシュ関数を利用して暗号化し、一方向にする、そういった形でセキュリテ ィーを高めることも可能であろうというご提言をいただいておりますので、ご紹介をさせ ていただきます。  以上、非常に長くなって恐縮でございますけど、資料の説明でございます。 ○大山座長  ありがとうございました。  それでは、ただ今の説明について、何かご質問、ご意見等があれば承りたいと思います。 いかがでしょうか。  オーストリア方式の説明は、さっきの一言ですか。皆さんにご理解いただきたいのです が、さっと通過するのでは分かりにくいかもしれないので、追加説明はありませんか。 ○事務局  こちらは概要ということで、詳細につきましては今精査をしているところでございます。 当然ある程度まとまったところでご説明するなり送付させていただくということは可能で ございます。 ○稲垣委員  諸外国の比較のところでちょっと気がついたのですけど、被保険者資格に用いるという ところはあると思うのですが、この券面情報ですね、どの国もやはり氏名とかいろいろな 個人情報が入っていますよね、生年月日とか。これが入ってないところはないのですよね。 ただ、日本で今度検討されているのは、そういうものを極力省くということなのですが、 恐らく、前からもお話ししておりますが、医療機関において窓口で活用するときは、氏名 のところ、あるいは保険者情報等の個人情報という、こういうのはある程度、最低限は必 要だと思うのですけど、いかがでしょうか。 ○山本委員  作業班で検討をしている現状ですけれども、氏名は当然記載されます。それから、生年 月日もたしか記載ではなかったかと思いますけれども、今ちょっと資料がありませんけれ ども、全く何も書いてないというわけではございませんし、それから前回ご提案のあった 医療統一番号ないしは医療介護の番号の場合は、番号自体は券面に記載されるということ に一応前提を置いています。ただ、ICチップの中にはそういった情報は入っていないと いう前提です。 ○稲垣委員  関連なのですけど、医療機関、保険者等を対象にされました調査なのですけど、社会保 障カードの導入効果という名前を打たれましてこのような調査をされたのですが、この調 査の内容が非常に、社会保障カードだとこういう効果があるというふうにアンケートでは 書いてあったのですが、私どもはそうは考えなかったのです。  例えば今回の被保険者証における資格確認における経費の削減というのは、それは確か に社会保障カードの機能の中にそういうのは含まれておるのですが、必ずしも社会保障カ ードだから実現するというものではないのではないかと思っております。例えば資格確認 における最も解消されるべき、3ページで言うと、Aの全面的に解消というのは、いわゆ るこれは自動転記という機能があれば、全てこれは解消されてしまうということです。今 検討されているのは、大げさな中継データベース、あるいは保険者等のリンクがなくても、 単に券面情報の中に電子的にこのような情報が記載されており、レセプト等が整備されて いる医療機関において、窓口の中でカードから自動転記すれば、Aというのは全て解消し てしまうという形でございますので、ちょっとその辺が誤解を招くような調査であったか なと思っておりますが、その辺はいかがでしょうか。 ○社会保障カード推進室長  1点目の質問も併せてちょっとお答えしようと思うのですが、たしかここの検討会なり 作業班の議論では、券面については氏名と生年月日ぐらいはやっぱり必要じゃないかなと いうような議論があったかというふうに承知しております。さらに、医療の現場での活用 ということになると券面に依存することがどうしても出てくるので、その点についてはさ らにどういう情報が必要なのかということを今、作業班で検討していただいているという ことになっていると認識しております。  それから、お尋ねがあったこの160億とか120億の効果については、相当部分がレセプト の自動転記ということで解決できるのではないかというご指摘はそのとおりでございまし て、ただ、今回の調査というのは、あくまで社会保障カードというものが想定されている 機能でもって一体どのぐらいの効果が出るのかということを調査したということで、ご指 摘があったように、社会保障カードの機能として自動転記機能というのがあるということ でこういう数字が出てきているということで、それはちょっとご理解いただきたいと思い ます。ご指摘のとおり、レセプトの自動転記だけで160億、120億の相当部分が実現できる というのはそのとおりだと思います。 ○大山座長  今の点は明確に議事録に残しておくことで、委員の先生方に誤解はないのではないかと 期待します。それでよろしいですか。  ほかに何かございますか。 ○池上委員  私、前々からこの社会保障カード、それから電子私書箱、最近ではワンストップサービ ス、こういったものの連携が非常に重要ではないかという趣旨の発言は何度かさせていた だいた感じがするのですけど、今日、整理メモの中にそういうふうにきちんとお書きいた だいてありがたいなと思っているのですけれども、そういう視点でちょっと、ワンストッ プサービスのほうでの質問になってしまうのですけれども、今、引越、退職という2つの 事象で検討がなされたという形の資料になっているのですけれども、これはあくまでもこ の2つの事象をサンプルとして検討されているという意味なのか、ここは要するにこの2 つしかシステム的な対応を予定してないということなのか、その辺がもしお分かりになれ ばありがたいなと。  質問の趣旨は、要するに社会保障カードの中継データベースに、いろいろな移動に関わ る事象、この前、大江先生からたしか、死亡のときのケースも結構いろいろな複雑な手続 きがあるといったご意見もあったかと思うのですけども、やっぱり保険者という視点で考 えたときに、喪失・取得に関わる事象はもっといろいろあるわけですよね。退職というの が一方であったら、入社というのもありますね。死亡があれば出産であったり、結婚があ ったりとか、要するにそういうある程度非常に大きな事象みたいなものを網羅的に検討さ れていくと、場合によって、今このワンストップサービスの中で言うと、事象が起きたと きに、喪失みたいな情報が、例えば健保組合に入ることになったと、健保組合からこの社 会保障カードの中継データベースに情報が流れるようにと、そういうイメージになってい るのですけども、ワンストップサービスのほうからの情報発信先にこの中継データベース がダイレクトにという形も検討の選択肢としては十分あり得るのかなと。要するにタイム ラグも減りますし、精度が高くなるのかなと。  そういう意味で、私の頭の中ではこのワンストップサービスのシステム、電子私書箱の システム、社会保障カードのシステムというのは、少し大規模でありますけども、一つの システムというぐらいのイメージでとらえているものですから、そういう意味で述べます が、このワンストップサービスというのは、スタート当初からもう少し広い選択肢をお考 えなのか、この2つに限定なのかについて、もしお分かりになればちょっとお聞かせいた だけるとありがたいと思います。 ○大山座長  いいですか。お願いします。 ○若林内閣参事官  IT担当室の参事官をしております若林でございます。私、今日初めて参りましたので、 これまでの文脈からうまくお話しできるか分かりませんけれども、次世代電子行政のほう の担当でもありますので、その立場からお話しいたします。  この次世代電子行政については、昨年6月にグランドデザインをつくりました。それを 受けまして、今私たちが何をしようとしているかといいますと、引越と退職手続について のワンストップ化について、2010年度を目途に標準モデルを構築すると、これが私どもの ターゲットであります。それを受けて、標準モデルと申しておりますのは、結局のところ 実証実験を踏まえてのドキュメントです。それを受けて、その後の段階として実用化を目 指すというような形で一応整備をさせていただいております。  まず、サンプルか否かということで言いますと、それは今のスタンスにして言いますと、 まず、なるたけ物をつくっていくということが大事だというふうに思っていますので、そ の意味では、引越と退職は例示です。ただ、ライフイベントにおけるワンストップという ことを申しておりまして、例えば結婚、妊娠、出産、育児といった特別テーマといったと ころでの議論も踏まえて、親会のほう、PTのほうでは、将来的にはどういうサービスも あり得るかということも検討していくことにしています。  実際に今何をやろうとしているかということについて言うと、実用化を重視したいと思 っているので、まず引越と退職について、どうすれば実際のものができるかということを 念頭に踏まえて、当初実現モデルというものをつくっていこうということを考えています。  引越については総務省さまに実証実験をしていただいておりますけれども、実際やろう とするといろいろかなり難しい問題がございまして、当初実現モデルといっても、その中 で段階を分けて、最初のステップはどこなのか、どういうところからまず着手するのかと いうような話をしているというのがプロジェクトチームの動きです。  また、次世代電子行政以外の動きとして新しい戦略の関係とかいろいろな動きもあるの で、それを見ながら修正しながらやっていくということにはなろうと思います。  ここで当初実現モデルと言っているのは、行政情報共同利用支援センターについては、 それを前提としない形で実用化するという段階をもともと考えていましたので、当初実現 モデルの中には、行政情報共同利用支援センターのオペレーションは予定してございませ ん。親会でそれについての検討も進めていかなければならないと思いますが、本日ここで の議論をお伺いした個人的な感触では、まだまだ私どもの検討がゆっくりしているかも知 れないということは感じているところでございます。  以上でございます。 ○大山座長  お願いします。 ○社会保障カード推進室長  今ご説明いただいたとおりなのですけども、我々の認識として考えているのは、いわゆ るいろいろなサービスがあって、利用頻度の高いサービスごとに、そういう切り口でいろ いろなところで検討が始まっているという理解をしていまして、多分、利用頻度が高いと いうので引越だとか退職という話になって、今、結婚とか出産とかの話になっていると思 うのですが、私どものほうでも医療の現場で健康保険証として使うというのは非常に利用 頻度の高い話なので、社会保障カードの構想というのに入ってきたのだと思いますが、技 術的にというか、システム的に言うと、おっしゃるように、情報連携の仕組み、中継デー タベースみたいなのが必要だという話になって、あと、いわゆるそれぞれ番号で管理され ているわけなので、それをどうリンクさせるかみたいな話を整理しなきゃいけないので、 その部分は共通すると思うのですが、それができ上がったとしても、結局一つ一つのサー ビスについては現行制度で届出が必要だとか、様式が決まっているとか、いろいろそうい うものを変えないことには業務が変わっていかないのですね。そっちの検討は別途やらな いといけないということだから、どうしてもそのスピードは一つ一つのサービスごとに早 いものと遅いものにやっぱり分かれてきてしまうのじゃないかと思うのですね。  それともう一つは、やはり社会的に、先ほど利用頻度が高いということだったから、多 分皆さんこういうことを求めるだろうということでその検討をしているわけですが、社会 的にやっぱりそういうことをやるべきだということにならないと、勝手に情報連携すると かということもなかなか難しいので、そういう意味を込めて、私どもの今日の検討メモの 中では、社会的な合意を前提として可能なものからというくだりでちょっと入れてあると いうことになります。ただ、仕組みとしては基本的には共通なので、それを視野に入れて やっていかなければいけないのではないかということです。 ○大山座長  どうぞ。 ○池上委員  今のお話よく分かりますし、利用頻度が高いものからある程度のスピードでというのは 分かるのですけど、要するに、前から申し上げている私のそれぞれの検討会なりプロジェ クトの連携という意味は、例えば大きく進んでいく日程ですね、1年ずれたために、こち らの社会保障カードのシステムであるやり方をやったのが、もう1年後にはまたこういう ふうに変更したら非常に効率的にできるとか、そういったところは結構生まれてくるよう な気がするのですね。  だから、要するにそういった国全体としての無駄みたいなものは少なくとも、大きな無 駄とあえて申し上げますけれども、そういうことをやっぱり発生させないような連携とい うのが最低限必要なのかなと。そういう意味でいくと、この社会保障カードのほうもそう なのですけど、そろそろ大日程みたいなものを少し検討されて、ほかのプロジェクトもそ の大きな日程ぐらい検討されて、それをすり合わせることによって、ここのプロジェクト はここの検討少し早めてもらえれば今みたいな無駄が出ないねとか、そういう横断的な検 討をそろそろ一度、何らかの形でやらないと、結果、税金の無駄遣いみたいなことにもつ ながってしまうという可能性があるのじゃないかと、そういう思いで申し上げているとい うことでご理解いただければありがたいなと思います。 ○大山座長  承るということでよろしいでしょうか。  どうぞ。 ○堀部委員  検討メモ、資料2の4ページの9の制度対応の検討についてということで、引き続き検 討をすることになっています。システム的には、山本委員が大変苦労されて、今日もかな りのところまで全体像が明らかになってきたと思いますが、やはり制度としてどうしてい くのか、また制度としてどう定着させていくのかということも併せて議論していく必要が あるわけで、この辺りはどうするのかということも考えていく必要があろうかと思います。  先ほどの諸外国の調査で、いずれも個人に関する情報を取り扱うものですから、その保 護措置がどうあるべきなのかということは前から言っているところですけれども、ここで 調査していただいた各国の、最後の欄の個人情報保護のところに記載があったりなかった りですけれども、いずれの国も個人情報保護についての独立の監視機関が存在していまし て、それが多くの場合、公的部門も民間部門も含めて個人情報保護の在り方をどうするの かということをきちんと見ています。  日本の場合には、個人情報保護法、大山座長といっしょに検討しましたけれども、そこ では統一的な監視機関というのができないまま主務大臣制をとることになりましたが、独 立的な監視機関については、国民生活審議会でもいろいろ議論したり、ほかのところでも いろいろ議論になっています。そういうものも含めて、ここだけで取り上げられる問題で はないのですが、こうしたシステムを構築していく上でそこをどうするのかということは、 できるだけ早く引き続き検討しておく必要があろうと考えます。  以上です。 ○大山座長  ありがとうございます。  これについて何か回答ありますか。 ○社会保障カード推進室長  おっしゃるとおりでございまして、今ご指摘があった監視機関の話もやはり検討する必 要があるだろうと思っていまして、今課題として、制度的な対応として必要な事項という のはどんなものがあるのだろうかということをちょっと整理して、またご相談したいと思 います。 ○大山座長  ほかはいかがでしょうか。  どうぞ。 ○後藤委員  資料2の関係で二、三、ご質問と意見を申し上げたいと思います。  資料の3ページのところ、カードの発行・交付方法についてということで、発行主体に ついては市町村と仮定するとなっていますが、これは実際に国民の皆さんの利便性とか物 理的な環境等を考えますと、妥当な一つの仮定なのかなと考えております。  一方で、そういう発行事務を市町村で担うということになりますと、先ほど池上委員さ んのほうからもお話がございましたけども、特に保険者間、あるいは保険者と市町村間の 連携というものは現在なかなかございませんので、この辺りの仕組みについても同時に検 討を具体的に進めていく必要もあるのかなと思っております。  資料がついておりましたけども、例えば図3にイメージということで示されているわけ ですけども、こういうものにもう少し保険者と市町村との関係みたいなことがより書き込 まれて明確になってくると、恐らく山本先生のところの作業班でもその辺りの仕組みを具 体的にもうご検討は着手していただいているとは思いますけれども、この辺りが見える形 にしていくことが必要なのかな思います。  それと関連をいたしまして、資料2の5ページでございます。ここで、経済効果あるい は費用について一定の試算をしたものをお示しいただいている。これはこれで集約をする のに大変なご苦労がおありだったかと思いますけれども、恐らくこれだけではないのかな と。例えば、私は市の立場ですから、市のほうの様々な仕組みを変えていく、あるいはそ れを維持していく、そのための経費というようなことについても一定の整理の必要があろ うかと思います。  それから、ちょっと別の切り口で、現行の社会保障事務、例えば年金にしても、医療事 務にしましても、どういうところでどういう経費が間接的にかかっているのかというよう なことですね、この辺りの整理をしていただいた上で、そういう部分がどのように変わっ ていくのだということをお示しいただけると、より分かりやすくなってくるのかなと感じ ております。  ちなみに、特に医療関係の効果の中で、レセプトの返戻のことを分析していただいて、 ご説明がございました。これはこのとおりなのかなと思いますが、一方で、ちょっと細か い話になりますが、医療機関のほうにレセプトを返戻できない、保険者のほうで直接被保 険者、つまり市民、国民、あるいは組合員の方に、例えば資格の切れた保険証を使って受 診された場合の請求をしたりする場合も、これもかなりのケースがございますので、一定 効果があろうかと思っております。こういうところについても少し効果の検討の範囲を広 げていただければと思っております。  以上でございます。 ○大山座長  今の、特に後のほうのお話はいかがですか。  事務局側で、そういう数字を持ってますか。 ○社会保障カード推進室長  こういう検討会なりほかの検討会で議論された問題について、とりあえずどのぐらいの 効果があるのかというレベルの試算でしか今のところはないので、おっしゃるとおり、こ れ以外の効果も当然考えられるのですけれども、現時点ではここまでになっていると。た だ、ここにもございますように、引き続き試算を行っていくということでございますので、 できるものからそういったこともやっていきたいと思っております。 ○大山座長  池上委員、どうぞ。 ○池上委員  今、後藤先生のほうから発行主体のお話がちょっと出たので、関連するのですけれども、 保険証の発行というのは、何か発行事務という視点だけでとらえているとちょっと問題な のかなという思いがあるのですね。というのは、発行主体が変わるということは、例えば お子さんが生まれたときに、今、扶養者として、保険者がその人に保険証を発行するとい うのは、その裏には、この方のお子さんで間違いなくこの人の扶養者に入れていいという 一つの判断を保険者として、権利というのか、義務というのか、要するにそういった法的 な根拠を持った上で初めて発行という事務につながっていると。そういうことまでそっく り移ってしまうのか、それともその判定の権限というのは、やっぱり保険者に置いて、持 っていて、その結果の情報をつないで、発行事務だけを例えば市町村でやるのかとか、そ ういった裏に隠れている、裏とまでは言わないのですけど、要するにそういったことまで 含めてやっぱり問題点なり何かを、作業班のほうでいろいろお考えだと思うのですけど、 そういうところも非常に大事なポイントなのかなと思っているのですね。  それともう一つ、さっき過誤返戻の話もちょっと出たのですけれども、例えば今の保険 証ですと、退職したときに、基本的にそれぞれの方が一定の義務を背負っていると思って いるのです。例えば30日で退職しましたと。そうすると、そこで基本的には保険証を回収 する義務を保険者が背負っているわけです。逆に、医療機関さんは、患者さんが来たとき に保険証を確認するという義務を一応背負っていらっしゃるはずなのですね。ただ、月一 回は提示してくださいみたいなところが結構多いと思うのですけれど。本人も、要するに 失効した保険証を使うというのはよくないというのは基本的には暗黙のルールとして認知 されていると。ただ、今回の社会保障カードになったときに、そういう移動においてご本 人が持つカードの機能の有効性というのは全く変わらなくなる。そこも私は少し何か新た な問題が出てくるのかなという思いがちょっとしているのですね。  要するにご本人はもう、移動しようが、社会保障カードというのは死ぬまで有効なカー ドだという認識で、やめた翌日から普通の形で医療機関にかかれる、そのときに、この中 継データベースなり、裏の情報のほうがきちっとしていないと、じゃ本人に対しての責任 というのは、今まで本人が悪いというか、そういう行為をしたら多少、本人から医療費を とりあえず戻していただいて、新しい保険者に請求してくださいみたいなこともあったわ けですけれども、そういうことはもうご本人にはできなくなる。それでは、そういうケー スの責任をどこが背負うのかと。  そういった、カードに替えることによる各関係する組織が持っている権限なり義務なり、 そういったものの変化、そこも少し見逃さずに、作業班のほうなのか、事務局なのか、ち ょっと分からないですけど、検討の意識の中に入れておいていただけるとありがたいなと 思います。 ○山本委員  ご指摘はごもっともで、我々の検討も結構そこには多大な時間を割いて、だれが、いつ トリガーを引くべきかとか、それからデータベースに情報が更新されるまでのタイムラグ をどのように短くするかとか、例えば退職、それから新しい職場に移った場合に、新しい 職場で就職することがトリガーなのか、それとも退職がトリガーなのかというふうなこと をかなり綿密に検討して、最も効果的な方法をというふうに考えております。  先ほどの出生の問題も、現状幾つかまだ絞り切れていないオプションがあるのですけれ ども、出生が起こった場合に出生届を出されるわけで、それは当然、市役所等の自治体の 役場で起こるわけで、そこで新しく生まれたお子さんに対して社会保障カードを実際に発 行するかどうかというのはもう一つ検討があるのですけれども、少なくとも社会保障機能 をアクティブにするという意味ではそこがトリガーで、中継データベースを介して動くよ うになるという意味では、そういう意味では、恐らく保険者において出生とか親子関係を 確認するというのは、若干その負荷が軽くなるかもしれない。現状検討しているので、ま だ結論は申し上げられませんけども、軽くなる可能性はあるかというふうに考えておりま す。 ○後藤委員  先ほど池上委員さんがおっしゃったことは、本当にごもっともだと思います。  強いて申し上げますと、国民健康保険、市町村で発行している保険の場合には、一般の 社会保険、雇われている方の場合と違って、退職の届けと一緒に返戻をする、返すという ようなことができない。例えば転出の届けは出すけども国民健康保険証を返さないで済ま される方とか、著しい場合は郵送で転出届を出される方もいらっしゃいますので、どうし てもそういうことがケースとしては出てくるということがあって申し上げました。  先ほどもう一つおっしゃいましたように、市町村でカードを発行する場合にも、あくま でも健康保険の資格確認というのはそれぞれの保険者の第一義的な事務であろうかという ふうに私も認識はしておりますが、データとしてのやり取りの部分の仕組みを、今までな かった仕組みをつくっていかなければいけないということがあろうかというふうに思って 申し上げた次第でございます。 ○大山座長  どうぞ。 ○稲垣委員  資料2の後ろのほうの図2というところですね。これがちょっと気になりまして、この 中の、これは情報閲覧サービス利用のイメージという図なのですが、年金情報の下にレセ プト情報、特定健診結果ということが書いてあるのですが、これについて、前に戻ります と、これの3ページですか、多分この年金記録等の情報の閲覧についてというところで検 討されるのだと思うのですが、このようなレセプト情報とか、それから特定健診の情報を そのままクリックしたらダイレクトに画面に出てきても、恐らく見た方には余り有効な情 報は少ないのかなと思っておりますし、また、その情報についても、どういう内容で、ど のようにして閲覧するということが一番目的を達するかということは、ここの3に書いて あるよりもさらにもう少し深く検討しなきゃいけないのかなと思っておりますので、その 辺のレセプト情報、それから特定健診の情報の閲覧については十分にご検討いただきたい ということで、もしも何か現在ここに書いている以外に検討されることがあったら、ちょ っと教えていただきたいと思います。 ○社会保障カード推進室長  これはメニューですので、一応この検討会で、レセプト情報とか健診情報というものを 閲覧できるようにするということが当初から議論されているので、メニューとしてはここ に書いてあるのですけど、ご指摘のとおり、レセプト情報を具体的にどう見せるのかとい うことについては10月の報告書の中でもさらに検討ということになっていまして、具体的 にどうするかについては当然検討が必要だと認識しております。そこは、具体的な検討と いうのはまだ十分に進んでいないというのが実情でございます。  それと、全般的な話として申し上げると、図3のような仕組みというのは、いずれにし ても、分野なり機関をまたがってワンストップでいろいろサービスを提供するとしたら、 こういう仕掛けがまず必要ですよねということを申し上げていて、これができたとしても、 結局は個々の保険者のデータベース、保険者なり、情報を持っている機関の側で具体的な サービスを用意しないことには現実のサービスというのは実現されないわけでして、であ るがゆえに、今回のメモの中でも各分野における環境整備や課題への対応と連携しという ふうに抽象的に書いてあるのですけども、このカードなり中継データベースだけでは実現 できないことはそのとおりなので、こういった各分野の環境整備なり課題への対応につい ても検討なり取組が必要だというふうには認識しております。 ○稲垣委員  同じ情報といっても、年金情報というのは比較的、客観的な情報をそのまま出せばそれ でいいのかなと思っていますが、レセプト情報、特定健診情報というのは、そのデータを ある程度の意味付けをしないと分かりませんので、その辺をよく検討いただきたいと思い ます。 ○大山座長  ほかございますか。  引き続き山本先生のところでやってくださいという話で、申しわけありませんが。 ○山本委員  やっておりますので。 ○大山座長  どうぞ。 ○辻本委員  今回のご説明をお伺いして、だんだん形が整ってきているなということを実感していま す。ただ、国民が知ったときにはもう後戻りのできないシステムになっていってしまうわ けですから、制度がスタートしたときに、行政の窓口であったり、あるいは病院施設など、 それぞれの窓口の担当者が、十分に分かりやすく、国民一人一人が理解できるように説明 できるだけのご準備ということもやっぱり一方で進めていっていただきたいということを、 国民の立場、患者の立場として、改めてもう一度お願いしておきたいと思います。 ○大山座長  まだ大きく広報を開始するという状況ではないですよね。何か準備はしているのですか。  どうぞ。 ○社会保障カード推進室長  この検討のメモの中にも、21年度以降、2ページにありますように、可能なことから実 証実験を行って、その仮定を検証しつつ、体験者などの声を踏まえ、よりよい仕組みを検 討というふうに書いてございますけども、これは2月の検討会でも申し上げましたけれど も、可能なサービスって何というところは正直、自治体なりの事情でいろいろ異なるのじ ゃないかと思いますが、そういう意味で、企画を公募して、より魅力的なサービスをやっ てくれるようなところにやってもらおうということを想定していますが、そこで実際にサ ービスを体験する方がいろいろ出てこられて、その人たちの声を反映しながら、よりよい 仕組みを考えていくと同時に、その模様をやはり全国というか国民の皆さんにお知らせを して、いろいろ知っていただく機会をふやしていこうというようなことを考えております。 ○大山座長  電子行政と私書箱も含めて何か形ができてくるとすれば、3つの説明をするよりは1つ の説明になりますかね。うまくできるかどうか分かりませんが。何しろわれわれ国民から 見たときにどう見えるかを説明しなければなりません。後ろのシステムをどうするかの話 ではありません。そういう意味ではやはり、社会保障に対する関心が高いのではないかと 思います。  ワンストップの引越しをどのくらい想像できるかですが、引っ越しましたと押すと終わ る、そういうイメージなのですか。 ○若林内閣参事官  もちろんワンストップで、当初実現モデルというものですけども、これは実際には一度 は訪問することを考えています。一度は訪問することを前提にしていますから、その意味 ではワンビジットですね。もちろんワンストップといっても、恐らくはサービスによって 少しずつ意味合いも違うと思うし、現在の様々な制度の枠組みを前提にして議論すると、 できるところ、できないところ、おのずから多様であるなというのは感じております。 ○大山座長  少なくとも転入先には行くんですよね。ワンストップといっても、転入先には出向くの で、ワンクリックで引越ができるわけではありません。ただ、このようなイメージを一つ づつ明らかにする必要があるということを指摘されているかと思います。 ○若林内閣参事官  多くの機関に訪問するようなこと、それから多くの添付書類を必要としているというと ころを少なくしていって、より能率的にやるということですね。常にひとつのクリックか と言われると、現在検討している当初実現モデルではワンクリックでできるわけではござ いません。 ○大山座長  そういう意味では、社会保障カードの場合は、引越の話は別にしても、カードを持って いれば年金記録が見えて、医療保険証の代わりになって、介護の資格も確認できるという ことですね。  どうぞ。 ○社会保障カード推進室長  とりあえずこの検討会で検討していることは、レセプトのところはなかなか難しいとこ ろがありますけれども、年金記録が見られるとか、そういうことを検討しているわけです が、今日、図2をお示しした趣旨は、先ほど退職のケースということで申し上げましたけ ども、退職の場合に事業主が手続を行うので、ご本人にとって見れば確実に喪失届が出さ れているのかどうかというのを確認することも必要でしょうし、退職と同時に今度は国民 年金に加入することになり、さらには希望すれば国民年金基金に加入することもできると。 その手続をするかしないかみたいな話も出てきますし、その過程で多分、ところで自分の 年金って幾らぐらいもらえるのだっけという話でその情報を見るという話になるので、多 分このお知らせが来て、情報が見られて、手続ができるというのが、やっぱり一連のもの になっていないとなかなか使いにくいのじゃないかと思っています。  そういう意味でこの絵をかいたのですが、ただ現実問題、おっしゃったように、すぐ簡 単にワンクリックで全部ができるわけでは到底なくて、とりあえず1つの画面から、いろ いろな案内があって、ワンストップではできないのだけど、案内のページが出てきて、ど こどこに行けばその情報が得られるとか、今、国の手続だとe-Govに戻っていって手続を しなきゃいけないわけですけど、そっちの案内があって、そちらにたどり着けて手続もで きるというような道筋をつくるようなものをとりあえず準備できたらなと。そういうこと を、いろいろ企画を募集するときに、応募していただく実施候補地の方々にはお考えいた だきたいなというふうに思っているところです。  実際いろいろ市町村のホームページなんかを見ていても、オンラインサービスはないで すけれども、こういうポータルといいますか、トップページなんかもいろいろ工夫されて、 オンラインじゃないんだけど、いわゆる窓口のワンストップみたいなことをやっておられ るようなところもあるので、そういうものを組み合わせて、単に年金記録が見られるだけ ではないというようなものにしていけたらなというふうに考えています。 ○大山座長  どうぞ。 ○辻本委員  これはもう作業班のほうにお願いするしかないことだと思うのですけれど、例えばこの たびの定額給付金の問題でも、テレビを見ていると、コピーすら地域にないという報道が ありました。コピーして持っていかなきゃいけないの、じゃ行けないよと諦めざるを得な い、それが実は地域の現実だったりする。そうしたことを踏まえて考えていただくことが とても大切だなと。ここの議論をお聞きしていると、もうそんな人たちって世の中にはい ないんだよというような、そういうレベルでお話がどんどん進んでいますので、やっぱり そういう現実もあるというところへもご配慮というか、思いをはせてお進めいただきたい と思います。 ○山本委員  当然そういった地域ないしはご本人のいろいろな事情によって、こういったIT機器が 全く利用できないという状況は想定しておりますので、そういった場合にもどうすれば一 番ご本人に負担が少ないのかとか、医療負担もそうで、そもそもネットワークも何も行っ てないような、実際に在宅を訪問される介護なんかの場合ですと、そこでどうのこうのと いうのはかなり難しいわけですよね。そういったことも含めて検討しております。 ○大山座長  ありがとうございました。  ほかに何かございますか。  ないようでしたら、終わりにしてもよろしいでしょうか。  それでは、本日の議論を踏まえまして、作業班及び事務局には引き続き社会保障カード の医療等の現場での活用の検討、それから報告書のたたき台の作成のための作業を行って いただき、次回はこれらに基づき議論を行いたいと思います。  では、次回以降のことについて、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  次回につきましては、日程調整のほうをさせていただいておりますけども、作業班の検 討状況ということもございますので、4月上旬、2日あたりで調整するのかなと思ってお りますが、正式にはまたご連絡させていただきます。 ○大山座長  次回は4月の頭、上旬ということのようです。  何か最後にご発言ございますか。よろしいでしょうか。  それでは、第12回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会を終了させていただ きます。  本日はお忙しい中ご参集いただきまして、ありがとうございました。  これで閉会いたします。 【照会先】  厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室   社会保障カード推進室    電話番号 03−5253−1111(内線2244)