09/03/06 第5回「看護の質の向上と確保に関する検討会」議事録 第5回 看護の質の向上と確保に関する検討会 日時 平成21年3月6日(金) 18:00〜 場所 厚生労働省9階省議室 ○間企画官 定刻になりましたので、ただいまから第5回「看護の質の向上と確保に関 する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙にもかかわり ませず、当検討会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。本日は、草間 委員より欠席、酒井委員より遅れるとのご連絡をいただいております。また、舛添大臣 は緊急の公務で欠席となりましたことをお詫び申し上げます。  本日の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表とあり、3枚目から が資料です。資料1は「これまでの委員の主な意見」です。資料2は本日の主な資料で、 本検討会の「中間とりまとめ(案)」です。その後に、それをごく簡単にまとめたものと して「概要(案)」を付けております。資料3は委員提出資料として、本日ご欠席の草 間委員からいただいたものです。資料4は事務局提出資料です。以降の議事進行は田中 座長にお願いいたします。 ○田中座長 年度末のお忙しい中をお集まりいただきましてどうもありがとうございま す。いつも、まとめるのが大変なほど活発なご意見をいただき感謝しております。本日 もよろしくお願いいたします。議事に入る前に、前回会議で委員から事務局に資料提出 の要求がありましたので、それについての説明をお願いします。 ○野村看護課長 資料4の1頁ですが、この資料は前回西澤委員から、看護業務補助者 と介護福祉士の区分についてご質問いただいた件です。この前にお出しした資料は、病 院報告から各職種ごとの人数をグラフにしたものでしたが、本日は一般病院、精神病院、 結核療養所も全部含めて、職種ごとの名称と100床当たりの人数をお示しした表です。  真ん中より少し上のほうに看護業務補助者、下のほうに介護福祉士とあります。看護 業務補助者については、2頁の「病院報告」に用語の定義があり、そこに看護業務補助 者の定義があります。「免許の有無にかかわらず、看護業務の補助業務に従事する者(例 えば看護助手、介護職員等)」となっております。ここに該当する者が数値として挙がっ てきているという整理になっております。これに忠実に基づいたデータを使ってきまし た。  2点目は3頁です。これは大熊委員からいただいたご質問です。在宅における関係職 種についても示してほしいということでした。資料を探したところ、介護サービス施設・ 事業所調査に網羅的に載っていましたのでこれを付けさせていただきました。説明は以 上です。 ○田中座長 ご質問を出されました西澤委員、大熊委員いかがでしょうか。 ○西澤委員 資料をありがとうございました。これを見て思うのは、一般病院は、精神 科と結核を除いた上記以外ということでは、普通の急性期をする一般病院と、さらに医 療療養所も入っているという解釈になりますか。 ○間企画官 そうなります。 ○野村看護課長 入っております。 ○西澤委員 1頁へ戻りますと、看護業務補助者というのと、下から5番目に介護福祉 士は両方あります。2頁へ行くと看護業務補助者の中に、介護職員も入っています。そ うすると、看護業務補助者の中に、この下の介護福祉士が混じっているのか、あるいは 別なのかという辺りがちょっと不明です。資料はこれで結構ですので、その辺りの整理 を一度していただければと思います。  おそらく一般病床のほうでは、看護基準の中で、看護補助者の中に入っていますから 中に入りますけれども、療養病床では看護職と介護職で分けて書いていますのでこうい う出方になるかと思います。その辺りをもう少し総合的に考えて作っていただくと、今 後役に立つと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○大熊委員 既存のものとしてはこれでやむを得ないとは思いますが、シンポジウムの 座長をされた太田先生も隣におられますが、先日900人集まった日本在宅医学会議では、 さまざまな職種の連携が見事になっておりました。そして、いつも「看護婦さん」が要 として他職種をつなぐ場面になっておりましたので、是非とも今後はその辺も調査して いただきたいと思います。社会保障国民会議の報告の中にも、「在宅」がとても重要な 位置づけになっていると思いますのでよろしくお願いいたします。 ○田中座長 早速議事に入ります。本日は「中間とりまとめ(案)」について議論いた します。これは、いままでにお出しいただいた意見を踏まえて、事務局に作成していた だいたものです。事務局から「中間とりまとめ(案)」について説明をお願いします。 ○野村看護課長 この中間とりまとめは、いままで4回の会議で多様な立場から活発な ご議論をいただいたものをとりまとめたものです。会議でお出しいただいたご意見と、 その後紙面で出していただいたご意見もいくつかありました。そういうご意見も含めて まとめたものが資料1にあります「これまでの委員の主な意見」です。これに加えて、 事前にいただいた意見も一部踏まえてまとめたものが資料2の「中間とりまとめ(案)」 です。資料2をかい摘まんでご説明させていただきます。  1頁のいちばん最初に書いてある部分は、俗に言う「はじめに」に当たる部分です。 今後の少子高齢化を踏まえ、良質な看護サービスを提供するために、看護職員の資質・ 能力の一層の向上が求められることから、昨年7月にとりまとめられた看護基礎教育の あり方に関する懇談会の論点整理において、看護基礎教育の充実の方向性が示されたと ころです。  2段落目で、これを受けて看護職員の質の向上に加え、量の確保の観点からも、総合 的に検討するために本検討会を立ち上げ、今後の基本的な方向性について検討を進めて きました。  3段落目で、看護の質と量の確保は密接な関係があるということ。看護の質を高める ために重要な課題があるばかりでなく、これを推進することによって魅力ある専門職と して認知され、看護職員の確保にも大きく貢献するという密接な関係があります。そし て、今般効果的な看護の質の向上と確保に向け、これまでの議論を中間的にとりまとめ たという整理にしております。  厚生労働省においては、以下に示された基本的な方向性に沿って文部科学省をはじめ とする関係省庁とも連携・協力し、積極的に取り組むとともに、ここで出された様々な 意見や現場の取り組み事例などを今後の行政施策に活かし、財政支援を行うことを強く 要請するというまとめをしております。  本文の1番の「看護教育のあり方について」は4つに分けています。1)看護基礎教育 です。看護基礎教育は、看護サービスの基礎をなすもので、国民のニーズの変化に合わ せて不断に見直し、充実を図る必要がある。  2頁の2つ目の○の2行目から、いずれの養成機関を卒業した新人看護師においても、 臨床実践能力が不足していると指摘され、いずれの養成機関でも看護教育課程は過密で あると指摘があり、教育した内容が着実に身に付く環境にしていくことが重要である。 平成21年度から新カリキュラムを実施することとしておりますが、今後、看護基礎教 育のあり方を踏まえ、さらなる検討が必要である。  次の○の2行目で、免許取得前の基礎教育段階で学ぶべきことは何かという点を整理 しながら、現在の教育年限を必ずしも前提とせずに、教育内容、教育方法などの見直し・ 充実を図るべきである。この際、個々の看護師養成機関の置かれた状況が多様であるこ とに配慮する他、いわゆる「大学化」についても後述のように、今後の動向を見極めて 対応する必要がある。  次の○で、このため教育内容、教育方法の検討に早急に着手し、平成21年度からの カリキュラムの改訂の効果も見つつ、さらなる充実を図るべきである。  2)は保健師・助産師教育についてです。保健師は高い専門性が求められることから、 その教育内容の充実が必要であるが、教育の仕方は1つ目のポツで、現在の統合教育が よいという意見と、それから2つ目のポツで大学での統合教育を見直し、学部教育修了 後の教育とすべきという意見もあった。そして、望ましい単位数40単位が報告書で示 されていることを踏まえ、保健師教育のあり方についても、文部科学省、厚生労働省が 協力して結論を出すべきである。  次の○で助産師の教育についても、その教育内容の充実が必要であるが、その仕方と しては2つのポツで書いてあります。保健師と同様に、現行のままの統合教育がよいと いうことと、学部教育修了後の教育とすべきといった意見があった。助産師についても、 望ましい単位34単位が示されており、これらを踏まえて助産師教育のあり方について、 文部科学省と厚生労働省は協力して結論を出すべきであるとしています。  3)は看護教員についてです。基礎教育の充実を図るためには教員の質の向上と確保が 重要であり、教員の専門性を高めるために、大学院教育課程の活用といった教員の継続 教育に関する促進を支援することが重要である。  次の○で3行目ですが、看護教員が臨床現場で実践能力を保持・向上するための機会 を確保することが重要であり、また高度実践能力を持つ看護職員が教員として働くこと ができるポジションを積極的に設けるなど、創意工夫も求められる。  4)は生涯教育です。看護職員が長期にわたって、臨床現場とつながることを支援す るリカレント教育の機会の確保・充実をしていくことは、離職防止、再就業の促進とい うことからも重要である。  次の○で、一部の医療機関ではキャリアアップをルートとして示しているような例も あります。こうしたものを踏まえ、各医療機関などにおける看護職員の実践的キャリア アップや、医療機関が専門看護師や認定看護師など積極的な活用を推進することについ て支援策が求められる。  次の○は、教育全体のまとめ的な内容です。看護職員の養成費用や需給バランスに十 分留意しつつ、看護教育の体制、教育内容、教育方法などの見直しについて、文部科学 省と連携・協力しながら検討を進める場を早急に設け、その具体化を図るべきである。  2.は、新人看護職員の質の向上についてです。新人看護職員は、臨床現場で必要とさ れている臨床実践能力と、看護教育で習得する看護実践能力の間に乖離が生じている。 その乖離が新人看護職員の離職の一因になっているのではないかという指摘があります。 新人看護職員の到達目標とその研修指針が平成16年に出された報告書で示されており ますけれども、その実施は医療機関などの努力に任されている現状がある。在宅医療の 推進による療養の場も多様化してきていて、在宅看護なども組み込んだ教育内容を強化 することが求められる。今後は、すべての病院の新人看護職員が研修指針に沿った研修 を受ける体制を構築するとともに、新人看護職員を育てる組織文化の醸成を図ることも 重要である。  次の○の2行目は、今後制度化や義務化を視野に入れた新人看護職員研修の確立が不 可欠であり、新人看護職員研修の実施内容や方法、普及方策について早急に検討し、実 施に移すべきである。この際、実施をする医療機関に対する財政支援を含めた支援を行 うべきである。  3.はチーム医療の推進についてです。5頁の2行目で、医療関係職種だけではなく、 福祉関係職、または患者などの医療の受け手など、チーム医療の一員として協働・連携 していくべきである。そして、他職種による役割分担が進むことにより、医療サービス が断片的になることが懸念されますが、その間をつなぐ看護職員の役割を強化するなど、 チーム医療の推進のあり方を検討すべきである。特に在宅医療においてはチーム医療は 不可欠で、先ほど大熊委員からご発言もありましたが、その重要な鍵を握っているのは 看護職員である。  1つ○を飛ばしまして、看護職員がチーム医療における役割を果たすためには、免許 取得前の看護基礎教育を含め、教育の充実を図っていくべきである。平成19年12月に 出された医政局長通知を踏まえ、医師と看護職員の間の役割分担及び看護職員と病院施 設、在宅で共に働く医療・福祉関係職種との役割分担についてさらに具体的に示し、そ の普及を図ることが必要である。  4.は、看護職員の確保です。看護職員の需給見通しについては、第六次需給見通しは 5年の見通しとなっています。一方、診療報酬の改定は2年に1度行われていて、改定 の内容が必ずしも需給見通しに反映されていない状況がある。次期需給見通しの策定に 当たっては、需要の増加を十分に把握し、現行制度を前提としつつも、できる限り制度 改正などの情勢を踏まえて見直すことも含めて検討すべきである。また、社会保障国民 会議において、マンパワーの推計も示されておりますので、長期的な需給の見通しにつ いても検討すべきであり、そのために研究も必要である。  次の○で、少子高齢化、医療の高度化などにより、需要の増加が見込まれる一方で、 18歳人口が減少しますので、看護職員確保対策の強化が喫緊の課題である。多様な看護 師養成機関があることにより、質・量の両面からの利点及び課題が指摘されていますが、 量の確保の観点からは2つのポツでまとめてあります。1つ目のポツでは、今後進む少 子化の中で、必要な看護師を確保するためには、看護基礎教育の大学化が不可欠である こと。また、看護師に求められる幅広い知識や先見力などを考えた場合に、看護師は大 学卒であることが望ましいといったことを踏まえ、将来的には国家試験の受験資格を学 士号取得者に限るなどの方法をとり、看護師の確保を図りつつ専門性を発揮できる環境 を整えることが重要であるという意見があった。  一方、現状の3年の教育で国家資格が得られることが、経済的に厳しい状況下で学ぶ 学生や社会人にとっても魅力となっていること。養成所が看護師の7割弱を輩出してい るという現実があり、量の確保の観点から大きく貢献をしている。そして、地域におけ る看護師の供給を担っていることから、年限の延長ではなく、待遇の改善などにより看 護師の確保を図るべきという意見があった。  このため、現在は多様な養成ルートによって人材が確保されているという現実を十分 踏まえつつ、今後は看護の質を高めるカリキュラム改定、新人看護職員研修の普及、看 護系大学や大学の看護学部の増加の動向を見極めながら、長期的に少子高齢化が進んで いく中でも魅力ある職種として看護師を位置づけ、必要な看護師を確保する必要がある。 そして、看護職員確保のためには離職防止対策を一層強化することが重要である。そし て55万人いるとされる潜在看護職員の再就業の促進を図るために、潜在化している看 護職員の所在を把握する手段はないのですが、例えば働く意欲があるという潜在看護職 員を中心に把握する仕組みについて検討すべきである。  離職防止、再就業の促進を図るためには、多様な勤務形態の導入や、院内保育所の整 備などを進めるとともに、ライフサイクルに応じて働く場についての相談窓口やハロー ワークなどの活用、また定年後の人材活用、男性の看護職員の増員を図るなど、新たな 看護職員確保対策も含め総合的に推進することが求められる。  以上のことから総合的に勘案して、第七次看護職員需給見通しを策定すべきである、 と中間とりまとめはしております。以上で説明は終わらせていただきます。 ○田中座長 中間とりまとめは政府に対して、これこれをしなさいとの言い方が多く出 ています。それ以上に、各委員の強い個人的な意見は資料1にまとめて載せてあります。 中間とりまとめのほうには、多くの人がまあまあこれなら、と思える内容が入っていま す。なお大きく分かれた事柄については両論併記になっています。本日も、思い切った ことを言いたい方は言ってもいいですけれども、それは議事録に載るか、資料1に付け 足される位置づけになります。資料2の前向きの改善はできるかと思いますが、そうい う位置づけで議論してください。まず全体構成はいかがでしょうか、その後に部品ごと に論じていきたいと思います。全体構成をいまから大きく変えろと言われても困るので、 それはないことにいたします。 ○海辺委員 突飛な意見かそうでないかはわからないのですが、離職される方々は労働 環境の部分に関してとか、待遇面に関するものに対する思いがあるのかと思ったりしま す。2006年11月に、日本看護協会が、潜在並びに定年退職看護職員の就業に関する意 向調査をした中での離職理由では、第3位に勤務時間が長い超過勤務が多い所があった ので、そういう労働環境の改善や、待遇面の改善について、このいちばん最初のところ でも触れるべきではないかと思うのです。そういう部分に関しては、なんとなくいちば ん最後の6頁の「今後は離職防止策を一層強化するとともに」で終わっているのかなと 感じたものですから、もう少し労働環境や待遇面についても見直しを行うというところ が必要なのではないかと感じました。 ○田中座長 それは、「はじめに」の問題意識の中に、現在働いている人の労働環境のこ とも、共通の問題意識として持ったとのまとめを、数行入れたほうがよろしいとのご意 見ですね。 ○海辺委員 はい。 ○田中座長 全体のトーンとしての変更ではないので、それはたぶんできます。「はじめ に」のところに、現在働いている方の労働環境にも問題があるということを、うまく文 章を工夫して入れてもらいましょう。いまの、海辺委員の言葉は大変結構だと思います。 ○福井委員 2点確認いたします。このとりまとめは誰が誰に要請することになってい るのか、そこを明確にしていただきたいと思います。  それから、少し奇異に思うのが「看護職員」という言葉を、働いていない人について も使っているところが何カ所かあるのですが、一般的にこのように使われているのでし ょうか。 ○田中座長 後者について先にお答えください。 ○野村看護課長 免許を有している方について看護職員という言い方をしています。 ○福井委員 職に就いていなくてもですか。 ○野村看護課長 そうです。 ○田中座長 こういう検討会のまとめは、基本的には私たちが役所に対して言っている のでしょうね。役所が役所に答えているのではなくて、私たちが役所に、こういうこと をしなさいと、かなりたくさんの検討に取り組みなさいという感じの締めになっている 文章が多いです。そういうことでよろしいですか、これはあくまで私たちが主語の文章 です。 ○福井委員 厚生労働省に対してこういうことをですか。 ○田中座長 厚生労働省並びに文部科学省などもときには言っていますが、基本的に厚 生労働省です。その意味では、私たちに責任があるところになるのだと思います。全体 を通じてはよろしければ各論に入らせていただきます。1の看護教育のあり方について、 1頁の下から4頁の上までについてご意見をお願いいたします。 ○坂本委員 2頁の1)の○の下から2つ目ですが、「看護師がその役割を果たすために 必要な知識や能力が多岐にわたるが、免許取得前の基礎教育段階で学ぶことは何かとい う点を整理しながら」と書かれてあります。「現在の教育年限を必ずしも前提とせず」 というところに、大変長い間基礎教育のあり方とか、新人研修のことが話し合われてき た結果、カリキュラムを中心に重視した方向で考えていただくということを、カリキュ ラムの質と量ともに重視した方向ということをこういう意味合いを込めてほしいと考え ます。  それはなぜかと申しますと、決められた時間の中でカリキュラムとの整合性が大変難 しかったということと、そこに入れてしまった統合カリキュラムの問題というところが あって、どのようなことを学ばせていくべきか、教育段階として学ぶべきことは何かと いう点を中心にしながら考えていくという方向性でいっていくべきだと思っています。 ○野村看護課長 教育内容を基にという辺りは、「はじめに」の4行目に「看護の基礎 教育のあり方に関する懇談会論点整理」のところで、教育内容の中身について押えをし ております。こういうことを踏まえということですので、そういう精神がこの中にも入 っていると考えております。 ○坂本委員 わかりました。 ○羽生田委員 看護教育のあり方なのですが、いわゆる「実践能力が不足」とか、「実 際に臨床の現場では教育と乖離している」という話が随所に出てきています。もちろん 座学も大切なのですが、前の検討会でも言われていたのは、臨床実習が非常に不足して いる点が指摘されていましたが、それがここには入っていません。臨床実習の充実とか、 臨床実習場所、臨床実習科目というものが、医師不足なり、看護師不足なりで閉鎖して いる病院が増えてきている。特に小児科、あるいは産科の実習場所自体がなくなってき ています。ですから、そういう実習場所の充実・確保という点をこの中に是非入れてほ しいと思います。 ○田中座長 臨床実習場所の確保については努力すべきであるとのご意見は、問題ない と思いますので是非入れてください。 ○野村看護課長 はい。 ○大熊委員 両論併記の問題なのですけれども、6頁ではこういう意見があった、こう いう意見があったというふうに文字どおり両論が併記されています。ところが、助産師 と保健師のところは、という意見と、こういう意見もあったと。「も」というほうは付 け足りのような非常に軽い感じがするわけです。でも、ここで何人の方が主張されたか ということを考えると、保健師については、「他方」と書かれている「学部教育習了後 の教育とすべき」というほうが多数を占めていて、「従来どおりの統合教育がよい」と いう意見のほうがむしろ少数だったという印象を持っています。助産師についても、 「他方」と言って述べられているほうが多くの委員の意見であり、「現行のままがよい」 というほうが少数意見でした。これはひっくり返して、前のほうを「も」とするか、百 歩譲っても「意見があった」と「も」を「が」に変えていただきたいと思います。  あれ以来私も実際の保健師とか、助産師とか、学生に聞いていますけれども、あの4 年に詰め込むのがいいという人は、いままで私が直接聞いた人の中には少なくとも1人 もいませんでした。この検討会では森委員が学部教育の中で、と強く主張されておりま したけれども、多くの委員がこれは無理だとおっしゃっていたので、その点を是非改め ていただきたいと思います。 ○野村看護課長 その点につきましては、資料3の草間委員から出されている意見の1 番とほとんど同様の内容だと思いますので、ここについても同様にご議論いただければ と思います。 ○田中座長 いまの大熊先生がご指摘になった表現形式からいうと、「も」は付け足し ではないかと。百歩譲って両方同じ書き方で「意見があった」「意見があった」とすべ きである。 ○大熊委員 普通、新聞記者的センスからいうと、「も」というのは付け足りで、そう いう人もいたよという感じなのです。 ○田中座長 これは、そこまでの意図を込めて言っているのですか、そうではないです ね。これはたまたまですね。「があった」に変えても別に問題ないでしょう。皆さんが よろしければ。どっちが多かったか、いまさら議決する話ではないので、「があった」 という平等な書き方にいたしましょうか。大熊先生、そこまでで認めていただいて。 ○大熊委員 そうしていただければ。 ○福井委員 私もひっくり返したほうがいいと思います。現状を肯定することばかりで、 何のためにこの検討会をやっているかわからない。 ○田中座長 逆にひっくり返したほうがいい。こういう検討会では、多数決を取るもの ではないのですけれども、全体のトーンとして、手を挙げて数を数えたという意味では ないですが、そのほうが議論をよくまとめている。いかがですか、よろしいですか。 ○野村看護課長 ひっくり返すのはいいのですが、「も」というのはないということで よろしいですか。両論併記ということが非常に重要なのと、いま座長がおっしゃられた ように、多数決をする問題ではないと考えますので、よろしくお願いいたします。 ○田中座長 わかりました。 ○野村看護課長 ひっくり返すのは結構ですが、両論併記で「も」ではなくて「が」に していただきたいということですね。 ○田中座長 第1の上に出てくるほうは、いま下になっているほうにしておいて、しか しもう1つもあったと示す。書き方は「が」で書く整理で認めていただきたいと思いま すがよろしいですか。 ○大熊委員 ひっくり返していただけるのならば。 ○中山委員 私も、ひっくり返すことに特に問題があるというわけではないのですが、 今回は厚生労働省の検討会ですので、免許のことを論じるのは当然です。でも、今後保 健師、助産師、看護師も含めてどういう役割を担っていくのかという、坂本委員からカ リキュラムの問題が出たのですが、そのことの議論のほうが先にありきなので、「も」 の問題は両論併記の上と同じにしてくれればいいです。保健師の資格をどうするかとい うことの問題よりも、先に看護職の中で、看護師、保健師、助産師は今後どんな役割を 担っていくのかということによって、大学院教育にするのか、大学にするのかという議 論に発展させていくほうが現実的なのだろうと思っていますので、上と同じにしていた だきたいと私も思います。 ○田中座長 その三者の役割も、いずれきちんと議論しなくてはならないでしょう。皆 さんの意見の合意は、順番を入れ換え、かつ「意見があった」「意見があった」とする ことにさせていただきます。いまの中山委員のご意見も大切ですね、三者のそれぞれの 役割を改めて議論することもいずれ必要であると思います。  「文部科学省と連携・協力しながら検討を進める場を早急に設け」などと書くことは、 ある程度実現可能性を意識しているわけですね。せっかく我々が言ってきたのだから、 抽象論だけでは困ります。そう進むように期待したいと思います。戻っていただいても 結構ですが、次の新人看護職員の質の向上、4頁についてご意見をお願いいたします。 ○坂本委員 3頁ですが、いまの話と関連があるのかもわかりませんが、助産師の教育 についてです。いまレベルを上げることを現場は求めています。そういう意味では34 単位として示されていますが、これを踏まえて助産師の教育のあり方が、中山委員が言 われたように、どのようにしていくかということを対応していくことが大事です。カリ キュラムの二重読みも含めて質の高い教育をしていくためにはどのようにしていったら いいか。さらに統合カリキュラムのことも含めて、6カ月の助産師の年限を増やすなり する必要があります。それは文部科学省と厚生労働省が協力して結論を出すべきと書か れてありますが、是非ここはカリキュラムのことも含めながら、助産師のことに対して も検討して、質の向上に向けての結論を出していただきたいと思います。 ○田中座長 報告書をさらにちゃんとするように、という強い意見をいただきました。 4頁の新人看護職員の質の向上についていかがでしょうか。 ○坂本委員 私も現場にいましたので、新人研修のことについては大変興味を持ってい ます。現場で看護師をしながら、大変苦しんだ思いがありますので述べさせていただき ます。乖離ということにおいて、厚生労働省看護課は、新人研修については随分力を入 れていただいているとは思います。しかし、これを本当にいろいろな病院がやっている わけですので、確立をしていくところに義務化とまではいかなくても、制度化等を含め て確立をしていっていただきたいということ。それから、早急に検討するというところ は大変賛成しますので、是非これをやっていただくということ。  もう1つは、大きな病院で看護師がたくさんいる所と、小規模で看護師の数が少ない 病院というのがあると思います。そこに対してはサポートする制度化をきちんとしてい ただきたいと思います。どのようにサポートしていくか具体的なものがあるならば、い まそのお話を少し聞かせていただければと思います。 ○田中座長 事務局でもし答えられるようでしたらお願いいたします。 ○野村看護課長 いま現在39カ所の病院でモデル的な研修事業を行っていただいてい るところです。小さい病院について、今後こういう検討の場を設けて、小規模の医療機 関についてもどのようなやり方をしていくことがいいのかということも、ご検討いただ ければと考えております。 ○吉田委員 先ほど、臨地実習病院の確保という問題を是非入れてほしいということで ありましたが、これは保健師、助産師もたぶん同じだと思います。看護師だけではなく て、保健師、助産師も臨地実習には大変苦労しております。専門学校もありますし、大 学ももちろんありますが、そこも強調して書いていただければと思います。  加えて、保健師のところで野村課長は2頁のいちばん最初の○の、「保健師は、取得 した資格をより有効に活かすためにも、就業の場の拡大が必要である」のところを簡単 に飛ばしてしまったのですが、私は大変意義のある文章だと思っています。私は助産師 のほうはよくわからないのですが、助産師の就業の場の拡大は支障ないのでしょうか。 保健師のほうは、「就業の場の拡大が必要である」とはっきり明記してあるのですが、 助産師のほうには書いていないので、助産師は十分就業の場所があるからいいというこ となのでしょうか。 ○坂本委員 現場の声でお答えさせていただきます。助産師は不足しているので、もっ とたくさん欲しいというところです。産科病棟でも半分ぐらいが助産師で、半分が看護 師という所で働いてきました。、助産師が欲しいという所は、多くあると思います。多 く必要としていると感じました。 ○田中座長 労働市場の状況が、保健師とは多少違うようです。いずれにしても、臨床 実習の場の確保は先ほど言いましたようにどこかに入れておきましょう。臨床実習では なく臨地実習ですかね。 ○秋山委員 4頁の「看護基礎教育と臨床現場との乖離を埋めるために」のところの文 章の、「この際、新人看護研修を実施する医療機関に対する財政を含めた支援を行うべ きである」というように、わざわざ「財政を含めた」と明記していただいたことは大変 意義があることだと思います。この「財政を含めた支援」という文章があることは非常 にありがたいと思ったのですが、具体的にはどのようなことまでお考えなのかを少し説 明してください。 ○田中座長 「財政」という言葉が入っただけでだいぶ進歩だとしても、まだ具体的な 案はないのだと思うのですがいかがでしょうか。 ○野村看護課長 皆様方からいただいたご意見を踏まえ、関係省庁と相談してまいりた いと思います。 ○田中座長 大臣直属の会で、こういう文言が入ったことを基に交渉するのだと思いま す。 ○秋山委員 とても期待をしつつ、この2文字が入ったことに大変うれしく思っており ます。 ○西澤委員 ちょっと戻って恐縮ですが、いま保健師になるためには統合教育、要する に大学以外にどういう方法があるのかを教えてください。 ○野村看護課長 保健師になるために、いま9割以上が大学での教育ですが、それ以外 には養成所がまだありますので、養成所でも保健師の資格を取れます。 ○西澤委員 先ほどの文章なのですけれども、これを見たときには養成所でも統合教育 というのですか。 ○野村看護課長 保健師を養成する養成所の中に2種類ありまして、1年間で保健師だ けの教育をしている養成所と、それから吉田先生がやっていらっしゃる学校は4年間で 看護師と保健師の統合カリキュラムがあります。 ○西澤委員 このときの議論の流れですが、保健師については、現在の大学での統合教 育についての話合いの中から、それがよいという意見があり、その後にこれは出てきた のです。ここを見ると最後のほうに「学部教育修了後」とありますが、学部ということ はあくまで大学なので、養成所での教育は最初からここに入っていないというか、否定 しているようにも見えるのですが、そういう議論はなかったような気がするのですがい かがでしたか。 ○野村看護課長 主な意見が、こういった意見だったと考えているところです。養成所 の保健師教育を否定しているところではないと考えております。 ○西澤委員 わかりました。そうすると、最初から大学の統合教育のことを議論し続け てきたのであれば、順序を変えると、何か養成所を否定するように見えてしまいます。 要するに、ここでは明らかに大学での統合教育だけの議論でこのような話だった、とい うことに限定しておいたほうがいいという気がします。養成所の話は一切していなかっ たので、誤解がないようにしたほうがよろしいかと思いました。 ○野村看護課長 それでしたら、保健師の書き出しの3行目のところに、「その教育の 仕方は」というところの頭に、「大学での教育の仕方」というふうに限定すれば、下の2 つが大学に限定されることになる、それでよろしいでしょうか。 ○羽生田委員 大学だけではなくて、養成所の4年も含めた、4年の中の統合カリキュ ラムについての議論ですよね。大学だけということではないのでしょう。 ○野村看護課長 統合カリキュラムというのは、大学において行っている統合教育とい うのは、かなり自由にいろいろな科目が統合できるのですが、4年間の養成所での統合 カリキュラムというのは、指定規則の中のカリキュラムが決まっていて、その範囲で教 育をしていますので、かなり性格が異なっているものだと認識しています。 ○羽生田委員 それであれば、大学での統合教育ということの議論だ、ということを明 記したほうがいいと思います。 ○田中座長 それでお願いいたします。 ○福井委員 先ほどから何度か出ているパラグラフですが、4頁の下から2つ目の○の ところで、「今後の制度化や義務化を視野に入れた新人看護職員研修の確立が不可欠で あり」という文章が非常にまどろっこしい。ここで言いたいのは、「新人看護職員研修 の制度化や義務化が不可欠である」ということとは違うのでしょうか。視野に入れた何 々の確立というのは、何段階もクッションを置いて、実際はやらなくてもいいと言おう としているように思えます。 ○海辺委員 私の意見も、まさに福井先生がおっしゃったことと同じです。先ほども福 井先生がおっしゃられたように、現状肯定ばかりだと検討した意味が全くないと思いま す。私は、いろいろな検討会を傍聴させていただいているのですが、検討会というのは 問題点の羅列ばかりで、いつまでに何をやるという方向性が言いきれていないようなも のばかりです。要するにこの報告書もそうなのですけれども、「さらなる検討を重ねる」 という表現がすごく多いのですが、ある程度の決め事を作るために検討してきたのでは ないのか。報告書が、また検討すると言ったらどうなのかなと。私は、普通の主婦の立 場から非常に感じています。  この間の検討会のときにも申し上げたのですが、10年後もこの議論をしているのでは ないかという印象を私は強く持ちます。もし10年後にこの議論をしていたら、ここの 検討委員は断罪されると思うのです。税金を無駄使いしたというか、罪人だと思うので す。ですから、もうちょっとしっかりと方向性を示したものにしていかないと、現状が こうだからもう仕方がないのだと言ったら、何のために検討したのですかということに ならないかなと思ったので、意見を述べさせていただきました。 ○酒井委員 その続きでお話をさせていただきますと、いま委員がおっしゃったとおり だと思うのです。先ほどおっしゃられた意見の中で、離職防止のために「改善策」とい う言葉を入れてほしいという意見がありました。いまそこのところを教えていただきた いのです。職員の人たちからは、特に夜勤であるとか、そういうのが大変だという声が ありながら、その改善をするためには何をどう変えていくのが具体的な解決策なのか。 それが、いまわかっていらっしゃるのだったら、それを是非教えていただきたいと思い ます。  具体的に何々を見直しましょうという言葉が一言でも入れられれば、一歩先に進むと 思うのです。改善策をもう一度検討しましょうと言っている場合ではなくて、私は具体 的に皆さんに教えていただきたいのは、何を改善すれば、彼女たち、彼らの改善が図れ るのかをいま教えていただいて、できたらその文言をここに入れていただきたい。もし かしたら、それは制度的に法律を変えなくてはいけないのかもしれないけれども、それ はすぐできるものではないかもしれないけれども、でもそれを見直すことによって改善 されるというならば、是非その文言を入れていただきたいと思います。  その職場を改善するためには、例えばいまは強制的なものはないから、医者の経営者 の裁量にかかっているというのだったら、もう変えられないのか。大きな病院だったら、 私が取材した範囲では、あれだけ彼女たちが改善してくださいと言っているのだから、 何か改善しないと優秀な人たちが辞めていってしまうのです。もったいないので、何を 変えていったらいいのか、是非皆さんに教えていただいて、それを一言でもいいから具 体的に何を検討しましょうと入れていただきたいと思いますが、どなたかお願いいたし ます。 ○坂本委員 働く者としては大変うれしいご意見です。おそらく6頁のいちばん下のと ころに、辞めていく理由というのは院長がしっかりしていないからというところも1つ あったりします。どこまで介入できるかという話になってくるとややこしいのですが、 6頁の下のほうの離職の防止のところでいろいろなことが書かれていると思います。働 く人をいかにサポートするかということがここに具体的に書かれておりますので、これ を実現していただきたいということと、システムを含むということ。  いま私が1つ気になっているのは、院内保育所の整備というところです。この前も大 臣がおっしゃっていただきましたけれども、女性のドクターも子どもを預かってくれる 所がなかなかないということ。最近、不況になると看護師以外でパートで働きたいとい う方たちが増えてきているように思います。看護師が預かってもらっていた保育所が、 その人たちと大変過密な競争になってきているという話を現実に聞いたことがあります。 この状況がさらに起こってくるのではないかと思うのです。いままで看護師が預けてい た保育所に預けられなくなってくる。今度は看護師だけを考えるわけではなくて、いろ いろな人を考えなくてはいけないのですが、その対策としては院内保育所をきちんと整 備し、サポートして、増やしていくことが大事だと思います。辞めていく理由の1つが 子どもを連れて働けないということへの対策は僅々の課題だと思います。  中身の改善も多々方法があると思いますが、サポートシステムが必要です。彼女たち がどういうことを考えているのかを聞くシステムを作ったり、ここに、具体的に書かれ ていますので、これらを早急に実施していただきたい。結構だと思います。 ○酒井委員 そのためには、特に法的に制度を見直さなければいけないなどということ があるわけではないのですか。それは個々の事例によって、全部違うわけですか。例え ば、いま院内保育所のことは私はすごく大事だと思っているし、それが整備されたらば、 もし病院の中に保育所があったら、ほかの人たちも受け入れられて、子供たちが熱を出 しても、それで見てもらえるとか、いろいろな可能性があって、いちばん望ましいと思 うのですね。では、新人看護師、1年以内に10%の人たちが辞めていきますよね。そう いう人たちの場合と、また全然事例が違うわけですよね。その人たちの改善もしていか なければいけないわけですよね。個々に全部それは違うということなのですか、何かこ う。 ○坂本委員 隣に病院もありますから、よくわかりますが、私が感じてきているのは、 多様性があるということです。いままでのように画一化した体制だけでは駄目で看護師 は、一人ひとりがものすごく多様性があると感じております。だから、やはり個別に関 わるシステムをきちんと病院の中で確立していきながら、その人に合った状況をサポー トしていかなければ、いままでのようなやり方ではちょっと違うのかなという気がして います。 ○酒井委員 いま言ったようなことも含めて、いま働いている人たちに辞められるのが、 とりあえず今日、明日の問題として、私はいちばん困るのです。それにつながる文言が 「離職防止策を一層強化」ではない何か、もう少し何とか一言、誰か良い言葉があった ら教えてください。具体的なこと、何を見直してみましょうで済むのだったら、何か入 れていただけたらと思ったのですが、どうでしょうか。 ○羽生田委員 なかなか一言では言えないのですが、やはり職場環境の改善。そのため には、先ほどの卒後研修の所に財政を含めた支援ではなくて、全部の所に財政支援がな ければ何も進まないのです。一言で言うのだったら、財政支援です。財政支援があれば、 新人看護師に1人ずつ、指導する看護師を付けたり、いろいろな話もできるし、いろい ろなことができる。看護師もたくさん現場に配置できる。それがいま全くできない状況 ですから、卒後研修だけの財政支援ではなくて、全部に財政支援がないと何にも進まな いのが現状で、それをできる所は、大きな病院ほどやっているというのは、そういう財 政的な余裕がある。小さくなればなるほど、もうそれは全然できない。  坂本委員が言われていましたが、やはりサポートシステムという、これは新人には特 に大切で、ここで言っていいかどうかわからない。明日の土曜日の6時からBS朝日で 私が出るのですが、全く新人看護師がどういう形でいるかという実例を出して、ビデオ で紹介します。これは都内のある大学病院ですが、全く1人の指導官が付いて、どうい うことをやっているかというのをやります。ですから、結果的に平均が9.2%の新人看 護師の離職率が、4%の離職率ということを紹介していますが、その1つの例が明日や る中に出てきます。やはり新人に対してのサポートがきちんとできると、新人の看護師 は辞めない。そういうシステムができる体制を作るためにどうしたらいいかというと、 先ほど言ったようにすべての面で財政的支援がないと、もう全然進まないということだ ろうと思います。 ○酒井委員 いまおっしゃっていただいたご意見は、4頁のいちばん下の「新人看護研 修を実施する医療機関に対する財政も含めた支援を行うべきである」ということにつな がると考えて、よろしいのですね。 ○羽生田委員 これは新人看護研修に特化したこととして表現されているのですが、そ れだけではないということを含めての財政支援という。ですから、ほかの所に財政支援 が出てこないのが寂しいので、最初の検討会のときに私が言って、めったに賛成しない 井部さんが賛成したぐらいですから、それはもうちょっとどこかに入れてほしいなとい う気はしております。 ○酒井委員 そうですね。 ○吉田委員 盛り上がったところで申し訳ないのですが、また2頁に戻ります。保健師 の統合カリキュラムの件なのですが、野村課長が3行目の所に「大学教育」と入れてし まうと、これは大学だけになってしまいますと。先ほど説明がありましたとおり、4年 制の専門学校、養成校の統合カリキュラムがありますし、大学の4年制学部での保健師・ 助産師もありますから、ここをきちんと分けておかないと、大学さえ入れてしまったら、 これは全部大学の問題になってしまうのです。あの当時も意見は学部の4年間での統合 カリキュラムではなくて、つまり看護は4年で、プラスそのほかに大学院など含めて保 健師という、たぶん森先生からの話だったと思うのですが、そういうことだったもので すから。専門学校はちょっと横に置かれてしまったのですが、それでいくと4年制のカ リキュラムの専門学校、いわゆる養成校は、4プラスまた1とか2という、4年制の看 護師以外にプラス2年になってしまうおそれがあるので、そういった意味も入っていた のではないかと思うのですね。ここはちょっと整理をしてもらってほしいなと思います。 ○田中座長 専門学校については、大学には触れないとは現状のままでいいことになり ますよね。 ○野村看護課長 意見が対立した部分について、黒ポツで両者の意見を書いています。 大学における統合教育についての意見が多かったので、こういう表現をしているという ことです。4年制の養成所については、議論はなかったかと思っております。4年制の 養成所カリキュラムは、4年間で保健師と看護師の資格が取れますが、それを変えるべ きという意見はなかったという認識をしていたので、対立があったところだけを書いて いるということです。もし、養成所の統合カリキュラムの保健師についても改善すべき というところがあれば、追加をすることは可能かと思っておりますが。 ○吉田委員 最初に大学が入ってしまうと、両方とも大学の話題になってしまうのでと いう懸念があったものですから。 ○坂本委員 大学の問題というか、課題といいますか、それはカリキュラムを読み替え て二重化したり、そういうことができるというところに、私たちは問題を感じているの です。だから、専門学校で4年間やっている所とは少し違うかなとも思います。いうと、 あそこは文部科学省のその読み替えというのがいろいろ入っていないので、私は読み替 えと過密が問題だと思っています。カリキュラムがどれだけ必要かということにおいて 考えていきたいと思います。、そこから大学の課題がに出たのだと思います。 ○秋山委員 この文章のテクニック的なことかもしれませんが、先ほどは2)の○の上か ら3行目の所に、「その教育内容の充実が必要であるが、大学教育の仕方については」 と言って、大学を入れるという案が野村課長から出されましたが、そうではなくて、下 の「他方、需給バランスや教育の質の担保を図る観点から、大学等での統合教育を見直 し、基礎教育終了後の教育とすべきとの意見であった」というと、両方が入るというよ うに私は理解をしましたが、どうなのでしょうか。 ○田中座長 また修正案が出ましたが、いかがでしょうか。 ○吉田委員 であれば、このままでもいいのですよね。このままでも十分ではないか。 入れてしまうから難しくなってしまって、と思うのですが。このままでも、いまここに 書かれている文言で、そこは十分説明はつくと思うのですけれども。 ○阿真委員 先ほどの6頁のいちばん最後の○のことで、戻って申し訳ないのですが、 たぶん酒井さんが持ってらっしゃるモヤモヤと、私が持っているモヤモヤは同じもので はないかなと思うのですが、これは本当にすぐにやらなければいけないことで、実際に これが本当に行われていくのかどうかが最も重要なことで、ここでこういうことが大事 だからやりましょう。文言が入りました。坂本先生も院内保育所がすごく大事だという ことをおっしゃって、それは本当にそうで、それは大事ですよということで終わってし まうのか、それが実際にどう行われていくのか。例えば何か機関があって、病院がそれ を導入したかとか、そういうチェックができたり、病院に対して財政的な支援はちょっ と難しいのかどうかあれなのですが、行われていくのかどうか。文言が入っただけでこ れで終わりなのか、その後ちゃんと行われていくのか。ここの項目だけではないのです が、それが実際に行われていくのかどうかが、私たち一般の市民としてはいちばん気に なる。これはただ検討する会議に出ただけなのか、実行することをいま検討しているの かというのがちょっと気になるところなのですけれども。 ○羽生田委員 私どもの調査で、大病院は8割、院内保育所を持っています。というこ とは、大病院には作れる余裕があるということなのですね。でも、補助制度もあって、 補助制度だけでは作れない。ランニングコストがかかりすぎて、病院の持出しでないと、 絶対できないのです。ですから、そういった意味で、ある所にはきちんと整備されてい るのです。それはやはり大病院を中心として整備されているのは事実で、大きい所は職 員からも保育料をほとんど取らずにやっている所もあれば、かなりの額を払わなければ できない所もあるというのが現状ですね。そういった意味での財政支援という意味では、 補助制度だけではとてもできないということがありますので、それを含めての全体的な 財政支援が、どの部分にも全部くっついてくるということです。 ○太田委員 視点がちょっと変わるのですが、4頁の新人看護研修、質の向上です。3 つ目の○に「療養の場の多様化に対応できるように、在宅看護なども」という文言がこ こに入っています。ちょっと上手に伝えにくいのですが、報告書全体を流れているトー ンとして、やはり高い技術とか、深い知識とか、そういうイメージで質を評価している ように感じるのです。「高い」とか「深い」などという表現で語れないところに、在宅 があります。例えば態度とかマインドなどがとても大事で、人を支えるための広い見識 とか、同じ患者と生涯にわたり、長くかかわるという、在宅看護の本質的なことが伝わ りづらいのですね。  冒頭に、「国民のニーズの変化」という言葉があって、まさしく国民の医療に対する ニーズは看取りまであるわけですから、命を救うだけがニーズでもないのですね。です から、ちょっと生意気な言い方をすると、私は医者になって30年なのですが、この30年 間で日本の医者はほとんどが専門医になったのですね。臓器を見る人ばかりで、人間を 見る人があまりいなくなってしまったわけで、全く同じことが看護の領域でも起こって いってしまうのではないかという懸念が、こういう文章の中から感じ取れてしまいまし た。何も療養の場が多様化したから、在宅看護が必要なわけでもないのですね。ですか ら、これを書いていただいているだけでも、本当は感謝しなければいけないほど、マイ ノリティの訪問看護なのですが、態度とかマインドとか、そういう部分、これはもう当 たり前だというのが前提かもしれないのですが、在宅の本質的なことが伝わるような、 何か形容詞を入れてほしいというか、そんな気がします。 ○田中座長 一言、二言、1、2行で書けることを言っていただいたら、入れられると思 うのですが。 ○太田委員 国民のニーズの変化というのは、医療に対して、看護に対して、看取りも 含めてということですよね。看取りというのは、ナースのすごく大きな役割なのですが、 そこは書かれていないような感じがしますね。「人間を見る」、「生活を見る」、「人 生を支える」などという言葉でもいいと思いますけれども。 ○田中座長 そういう形容詞は工夫ができると思うのです。在宅医療の特質を付けるよ うな、「人を見る」とか「生活を見る」といった側面について形容詞を付けて記す。あ まり具体化するのは難しいかもしれませんが。いままでいくつか議論が出てきているの が中途半端になってはいけませんので、保健師教育の所については、順番を変え、両方 とも「である」にすると決めました。大学のことは、順番を変える。上の「である」に 大学が入っているから、それでいいのではないかが最後の意見ですが、これでよろしい ですか。順番を変える形でそこは終わる。 ○吉田委員 何かちょっと違うような気がするのですが。 ○田中座長 むしろ4年制の、専門学校におけることについては、現状、特段の問題と する意見も出なかったのですよね。だから、何も書いていないのであって、無視したの ではない。特に問題とする意見が出なかったのだと思うのです。 ○吉田委員 いや、無視したように感じて。 ○田中座長 そうではないにしても、中間まとめの文章はこれで大丈夫だと思いますの で、この問題は議事録ベースで委員の意見として是非残す。それから、海辺さんの言っ た極めて本質的な、検討ばかりしているのは我々の罪だという点については、これはち ょっと難しいのですが、大臣が直属で検討会を作ったことは、厚生労働省の姿勢だと理 解していただくしかないのかもしれません。もちろん、検討を進める場を早急に設けて と、実際にこれだけ書くのでも、霞ヶ関の掟の世界では結構大変だと思うのです。 ○榮畑審議官 特段表題を付けていませんが、1頁の「はじめに」という所の下の4行 ですが、「以下に示された基本的な方向性に沿って文部科学省をはじめとする関係省庁 などと連携・協力し、積極的に取り組む」ということで、以下に書かれたこと、とにか く全部積極的にやりますということと、羽生田先生からのお話もありましたが、財政支 援についても、先ほどの新人研修に限らず、院内保育所の話とか、離職対策等を含めて、 とにかく財政支援を行うことを強く要請するというように、ここで書いているつもりで す。私どもはこれをいただいて、具体的な予算をどうしていくかについては検討して、 政策をとにかく前に進めていかなければならないと思っているところです。 ○井部委員 ただいまのご説明で、私もこの4行をどこに置いたらいいのか考えたので すが、この4行は前に置いたほうが力があるのか、最後のまとめが何か唐突なので、ま とめがまとめではないのです。「第7次看護職員需給見通しを策定すべきである」で終 わっているので、ここの次に「強く要請する」という総合的な要望を書いたほうがいい のか、これはどちらが力があるのか、それをちょっと教えていただきたいのです。テク ニカルな問題です。 ○榮畑審議官 それはむしろ皆さん方でご判断していただければ、私も事務局ですから。 ○田中座長 この4行はわりと強い言葉使いなので、海辺委員が言われた、検討だけで はなくて、ちゃんとすると書いているのですね。いま井部委員からご提案があったのは、 これをいちばん後ろに持っていって、まとめにしてはいかがかという意見でしたが、い かがでしょうか。 ○羽生田委員 全体的な流れからすると、やはり初めの部分にあったほうがいいのかな と。あとの部分は一つひとつの各論になりますので、この部分はすべてを含めての施策 を作っていくべきだという強いことですから、最初の部分にあったほうがいいのではな いかと感じますけれども。 ○井部委員 そうしたら、私は繰り返したほうがいいと思うのです。最初に置いて、最 後にちょっと文章を変えて、強調する意味で繰り返した内容を入れたらいいのではない かと思います。いずれにしても、この「すべきである」で終わるというのが、どうも尻 切れトンボのような。結局、第7次看護職員需給見通しがすべてなのかみたいになって しまうので、先ほど酒井委員がおっしゃった離職防止は、つまり教育も新人研修も待遇 改善も、すべてが離職防止にかかわる統合的な結果だと思いますので、そのようなこと をまとめて、需給見通しのあとにもう一度強調したほうがいいのではないかと思います。 ○西澤委員 この需給見通しは全部にかかっているのではなくて、4の1つの中の文章 だということになるのですね。ですから、全体の流れだったら、また項立てをして、 「まとめ」とでも入れて書かなければならないので、であれば最初にあるほうが目立つ し、普通読むときに最初の前文を読んで、各論は拾い読みすると思いますので、ここの ほうがいいのではないか。案どおりのほうが、かえって目立つかなという気がします。  それと、まだ説明を受けていないのですが、概要(案)では、各論しか書いていない ので、この概要の所にも入れていただければと思います。 ○田中座長 この4行はいると。 ○大熊委員 最初の所に「はじめに」というようにして、それで最後の所にまた「まと め」と書いて、言葉を少し換えてこの4行を繰り返せば、4の続きというようにはなら なくて、井部先生もご安心ではないかと思います。 ○田中座長 まとめを置くことはそんなに難しくないのですが、長い文章を今から作る わけにいかないので、3行か4行、海辺委員の言葉を使えば、さらなる検討でなく実施 に移すべきであると入れる。そういう趣旨を3、4行置く。前段の「はじめに」が強く4 行出ているのは大変いいことなので、これは先生方がおっしゃるように、「はじめに」 があったほうがいいですね。繰り返しに近くてもいいですが、趣旨を汲んで、まとめを 入れていただきましょう。  もう1つ議論があったのは、離職防止について何か案がないかと、酒井委員から盛ん に言っていただいたのですが、ここでは6頁のいちばん下の所にたくさんの事例が載っ ているのですね。多様な勤務形態の導入から始まって、病児保育等々、これらを実施せ よ、推進することが求められると記されています。ここをもう少し強い言葉遣いにしま しょうか。この中に、制度でできることと、制度ではどうしようもないこともあるので すね。病院の工夫に任せる。政府としては口を出せない病院経営の中身もあります。し かし政府による支援もできるので、制度的に応援できる所については積極的に行うべき であるなど、何かもう1行ぐらい入れてもらって、この事例がたくさん載っているとこ ろに。 ○酒井委員 そうですね。それに、あと勤務体系見直しというか、改善も入れていただ きたいなというのがあります。中間とりまとめ概要(案)の所には、「多様な勤務体系の 導入」ということはありますが、就労状況の改善とか、そういうことは入っていないよ うに思うので。 ○田中座長 介護のほうでもずっと問題になっていて、労働市場のあり方に政府が直接 介入する方法はないとの理解が介護給付費分科会でもまとまった意見なのですね。介護 報酬を上げることはできるけれども、どのように従事者に働いてもらうのかを政府、厚 生労働省が言うことはできない。だから、「多様な勤務形態を導入しましょう」とか、 「処遇改善に努めましょう」とは言えるのですが、命令することはできない。 ○酒井委員 「処遇改善に努めましょう」という言葉で、ないよりはずっといいのでは ないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○羽生田委員 言葉としてよく使われているのは、「勤務環境の改善」。 ○酒井委員 それです。 ○田中座長 「勤務環境の改善」と一言入れて、最後の「総合的に推進することが求め られる」を、できればもう1段階強い言葉遣い、それで呑んでいただきましょうか。残 りの頁、全部いかがですか。 ○石垣委員 これまでさまざまな意見が出て、このまとめ(案)を作るのは、事務局は 本当に大変だったと思います。これまでの検討会でも発言させていただいたのですが、 2頁の○の2番目で、看護師の養成機関が非常に多様であるということと、これはここ のところでは臨床実践能力につなげてこのことを言っているのですが、看護師の養成機 関は大学、短期大学、養成所、5年一貫校、そのほかに准看護師が看護師の資格を取る ための2年ないし3年の養成機関など、非常に多様になっています。18歳人口の減少の 中で、看護師養成機関の今後に向けてですが、大学化とともに1つ整理をしていくとい う、文部科学省と協働しなければできないことですが、そういうことをどこかに入れる ことはできないでしょうか。これは質と量の確保の視点から言っても、今後に向けて、 とても重要なことだと思います。 ○羽生田委員 大学化にすることがそれに結び付くというエビデンスがあるのですか。 ○石垣委員 いいえ、そうではなくて、今後に向けて養成機関の整理をしていかなけれ ばいけないのではないか、ということを申し上げているだけです。 ○羽生田委員 現実問題、いま言われた准看護師の進学コースは、この養成所に入って いるのですが、いま准看護師の学校はいわゆる社会人という大学を出たり、あるいは主 婦をしていた方などが非常に多いのですよ。割合からして、どんどん増えているのです。 ですから、そういった意味では多様な養成機関があることが非常に良い結果を生むとい うことが、いま現在ですよ。将来的にはどうだというのは、もちろん言って構わないの ですが、いま現在ではそういう状況が起きているということで、そのうちの准看護師も、 准看護師で働く方はむしろ少なくて、進学コースに行って看護師の資格を取っている人 のほうが多いのですよね。ですから、そういった意味では経済的にこういう状況である ので、経済的なものを含めて、大学というよりは、ほかの機関がいま現在あることが非 常に良いことに結び付いている面もあるものですから、その辺も含めていただきたい。 ○石垣委員 羽生田先生のおっしゃることはよくわかります。現状はそうだと思います。 しかし、基本的に大学、短期大学に行く人たちは、圧倒的に18歳人口が多いわけです から、今後に向けてこういうことを検討していくことは、私はとても大事なことだと思 っております。 ○海辺委員 あと参考意見として受け止めていただければなのですが、私の友人でも、 大学時代の友人とか社会人になってからの友人でも、確かに准看護師の資格を取る養成 校に行って、看護師になった友人はいます。ただ、その私の知っている友人は、どの人 たちも実はもう既に学位を持っているといいますか、大学卒の社会人だったのです。で すので、少なくともそういう2年間の養成校は、大学を出ている社会人を受け入れると いう形に整備していく、というあり方があってもいいのではないかなと思います。  いま石垣先生がおっしゃっていたような、何か見直していくというのは、少なくとも そういう本当にいまバラバラあって、社会人になってから、大学も出た上で看護職を志 した人と、経済的な環境などがあって、中学を出たりした段階で、いろいろなことが全 く見えていない幼い状態で、そこの2年間に入るというのでは、卒業後の看護師として は、視点も技術も変わってきてしまうと思いますので、そういう現状があって難しい中 でも、少しずつ変えていけるところから変えていくということは、やはりここできちん と書いていくべきだろうなと思います。  なので、やはりここのすごく大事な2頁目のいろいろな所は、本当に現状がある中で 難しいからこそこうなっていくわけですが、もし現状がこうだから仕方がないのだとい うことで、最終的に落ち着いていくのだったら、この検討会自体が本来、問題があるか らこそ立ち上がったはずの検討会なので、現状の非常に難しい中でも、一歩一歩ここは 見直していくということをもうちょっと書かないと、この検討会があった意味がないか なと思うのですけれども。 ○吉田委員 いまの問題なのですが、選択肢がこれだけあるという現実と、それからこ れからの18歳人口が減るという環境の中では、逆に言えばこういった選択肢がいっぱ いあったほうが、私はいいと思うのですね。病院も、大きな高度な病院からクリニック まで、いろいろあるわけですから、必ずしもすべてが何でも大学でなければいけないと いう話には、私はちょっとクエスチョンを感じます。私はいろいろな選択肢があって然 るべきだと思います。 ○阿真委員 そうすると、一つひとつの、例えば入学者数などが減って、たくさんある ということはそれぞれがすごく少なくなるということ、それはそれで受け入れていくと いうお考えでしょうか。 ○吉田委員 私も経営者ですから、それは経営が成り立たなくなったときには閉校する 可能性があります。しかし、私は大学一辺倒のほうが子供たちにとっては不幸な結果に なるのではないかと心配しています。高校を卒業して大学に行かないと看護師になれな い。いま社会科学のほうで、公認会計士、税理士、司法試験の弁護士云々などは、別に 学歴社会ではなくて実力社会ですから、いろいろな選択肢の受験資格があって然るべき だと私は思っています。 ○井部委員 これも前に出たかもしれませんが、医療においては、医師と看護師は車の 両輪と言われていて、それぞれの専門領域は違うので、対等に力を発揮していくために は、やはり基礎教育が重要であると考えられるわけですね。そうすると、多様な養成機 関があること自体が、看護のパワーを弱める可能性は非常に考えられるわけです。例え ば医師は、医師の養成機関が多様かというと、そのようなことはないわけですね。薬剤 師も多様かというと、そうではないわけです。したがって、なぜ看護師の教育が多様で あってよいのか、そこの説得力が私にはよくわからないのです。なので、私は石垣委員 のおっしゃるように近い将来、養成機関を整理していくという考え方はあってもいいの ではないかと思います。 ○坂本委員 2頁の上から2つ目の○ですが、いま石垣委員や井部委員が言われたよう に、今後の方向性については、「いわゆる大学化についても、後述のように今後の動向 を見極めて対応していく必要がある」と書かれていることと、それから現在の教育年限 を必ずしも前提とせずということ。先ほど私は意見を述べさせていただいたのですが、 この前の審議会のお話のときも出てきたように、こういうことを学習するのだというこ とがいろいろなところから出てきた状況の中身を考えた教育をやっていくべきです。年 限を先に考えてこのようにしていくというのではなく、いま大変過密とか、臨床実習が できないなどという問題が出てきておりますので、中身を考えてやっていくというとこ ろがやはり重要であると思います。  それと、ここには「いわゆる大学化についても、後述のように今後の動向を見極めて 対応していく」ということが書かれてありますので、否定ではなく、基礎教育はどのよ うにしていくかということの中身をきちんと話し合いながら、方法を出してくるという ところでいくのがいいのではないかなと思います。とにかく、中身に対して大変齟齬が 生じている、いろいろなずれが生じているということと、新人の研修についても同じよ うに出てきている関連性がすごくあるような気がします。 ○福井委員 細かいことはよくわからないのですが、働き場所も教育のバックグラウン ドも違うのに、同じ資格ということ自体がおかしいのではないでしょうか。それぞれが 違う教育を受けて、そして役割も現場で違うのであれば、違う資格にすることが、まず 第1段階ではないかなと思います。いまさらこういうことを言っても、仕方ないのかも しれませんが。 ○田中座長 この問題は書くと、各論併記どころか四論併記ぐらいになって、かえって 進んでいないと思われるおそれがある。大学化は、いま言われたように形式の話なので、 教育の中身を改善していくことを、我々は強く謳っておいて、形はあとから付いてくる と期待する。阿真さんの言われた市場競争も含めてというトーンのつもりだと思うので すね。このぐらいで書いても、これで過激だと逆に怒られたりすることもあります。そ こは何とも言えないので、少なくとも大学にすべきか、すべきでないかにかかわる箱の 話ではないと思います。中身が大切であるので、ここは各論併記にすると、かえって停 滞だと思われるのではないかと、逆に私は感じますが、海辺さんいかがでしょうか。こ の中で、意見がまとまっていませんから、書くとすると三、四論併記になってしまう。 しかも、その三、四論併記が箱の議論になってしまうのですね。したがって、私として はこういう文学的な形のほうが、むしろ前進を読み取れる。いま坂本委員の言われた中 身のことが大事だとの点を、もう少しうまく書いてもいいかもしれません。 ○福井委員 そのこととも少しは関係があるのでしょうけれども、言葉を、何かオブラ ートに包もう、包もうとしているようなところがあって、例えば6頁の下から6行目の 「55万人いると推計される」という所もそうですし、最終行の「促進を図ることは重要 な課題である」というのも、「促すべきである」と一言言えば終わるのではないかと思 います。余分な文字がたくさんあるのではないでしょうか。 ○田中座長 先ほど言われた点も含めて、そこは工夫できますね。もう少し強くても別 に大丈夫です。そこまで遠慮しなくても大丈夫だと思うので、「促すべきである」でも いい。もう1つ、先ほど福井委員が言われた点もそうですが、非常に遠回しな言い方にな っているところをもう少し簡略化して、ストレートさが出るようにいたしましょう。 ○西澤委員 この報告の中には「登録制」という言葉が入っていないのですが、ここの 検討会か、ほかか忘れたのですが、この検討会では登録制については話題にならなかっ たのでしたか。 ○田中座長 看護師の登録制ですか。看護師全員が医師のように登録して、どこにいる かがわかるようにと、そういう意味ですか。 ○野村看護課長 たしか第2回のときに、尾形参考人から、登録制についての是非の話 は出ておりましたが、それ以降のディスカッションの中ではなかったのではないかと思 います。 ○西澤委員 もし合意が得られるのであれば、潜在看護職員の把握ということであれば、 看護職員の登録制は1つの有効な手段だと思いますので、書き込んでいただければなと 思いますが。 ○田中座長 看護職員の登録制を検討すべきだという意味かな。 ○羽生田委員 登録制という意味がわからないのですが、現在の形は2年に1回の調査 で、医師も看護師も、全く違いはないはずなのですよ。何か違いますか。 ○井部委員 就業者の調査はありますが、登録した人がどこにいるかという調査はない のです。看護師は、わかっているのは就業者だけです。 ○羽生田委員 わかりました。 ○田中座長 西澤先生、むしろ潜在看護師を拾い出すためのツールとしての意味ですね。 働いてらっしゃる方は、それはいまでもわかっているけれども。いかがでしょうか。潜 在看護師を掘り出すためにも、登録という言葉が強ければ、そういう努力をすべきであ ると表す。特段の反対がなければ、技術的な提案として意味があると思います。すぐ実 行することは難しいかもしれません。それはどうですか。 ○野村看護課長 議論していただけばよろしいと思うのですが、尾形参考人からは、費 用対効果を考えた上でということが発言の中にあったと思います。ですので、登録制だ けで対応することは効率的でなく、研修などの施策と組み合わせることがよいのではな いかと。登録制だけでは効率的でないのではないかというお話があったかと思います。 ○田中座長 それは、そういうたくさんの手段を検討すべきなのでしょうね。まだ研究 段階だと思うので、すぐここの検討会が提言するほどにはまとまっていないので、そう いうことも並べておく。研究すべきであるまででしょうね。 ○野村看護課長 これまでの委員の主な意見という中には含まれております。 ○田中座長 まだ具体化には早いかもしれないので、委員の意見の所に残す。 ○西澤委員 わかりました。ここで議論したかどうかがわからなかったものですから。 していないのであれば、あえて入れる必要はないと思います。最後の文章で、働きたい という意欲がある潜在看護師を中心に、把握するための仕組みについて書いてあります。 おそらく、その中に入ると思いますので、工夫の中で何かそのようなことをイメージで きる表現をもうちょっと書いていただければ、それで十分だと思います。 ○大熊委員 別口の話でもよいでしょうか。5頁の4「看護職の確保について」のすぐ 上の○なのですが、医政局長通知の「医師及び医療関係職と事務職員等との間の役割分 担の推進について」を踏まえと、踏まえてしまい、その下も「役割分担」「役割分担」 と書いてあります。現実には役割を分担するから、その分担の間に患者が落っこちてし まうことがありますので、むしろここでは「連携」とか、柔らかい言葉を入れて相互乗 入れ、どっちからも取れるような体制が非常に重要なのではないかと思うのですけれど も。 ○田中座長 「役割分担と連携」としたらいいのではないかというご提案ですが。 ○野村看護課長 私どもは最近は「協働」という言葉も使っておりますが、おっしゃる とおり「連携」という言葉を使うことは適当かと思います。 ○田中座長 ここは「連携」なり「協働」なりという言葉に。 ○大熊委員 欲張りですが、「協働と連携」だと、なお結構かと思います。 ○井部委員 細かいことで恐縮ですが、4頁の「新人看護職員の質の向上について」の 所の4番目の○と5番目の○なのですが、4つ目の○で、すべての病院の新人看護職員 が研修指針に沿った研修を受ける体制を構築せよと言っているのですが、その次の○で は、「新人看護職員研修の実施内容や方法、普及方策について、早急に検討する」と言 っています。ここは上の所はもう研修指針はあって、これでやれと言っていて、下のほ うは検討するという内容に取れるのですが、これは矛盾はないでしょうか。 ○田中座長 課長、お答えいただけますか。 ○野村看護課長 平成16年に出された新人看護職員研修指針は、石垣先生にも一緒に 作っていただいたと思うのですが、ある意味では抽象度が高いもので、いろいろな医療 機関で活用できる、大枠なガイドラインだと思っております。ですが、そういったもの も現在ではすべての病院で活用されているわけではないので、まず第一歩として、そう いったものに沿ったような研修が受けられる体制を作っていくことが必要であるという ことを、上の○では押さえております。そして、下の○では、もう少し先のことをイメ ージしていて、今後の制度化や義務化を視野に入れた上での新人看護職員の研修の内容 だとか方法も検討し、普及の方策についても検討すると。そういう、もう少し先の流れ について、次の○では言っていると思いますので、矛盾しているという状況ではないと 思っています。 ○井部委員 ということは、前段の○は総論的なもので、後段の○は総論に沿った中身 の検討というように考えることができるのでしょうか。「新人看護職員の臨床実践能力の 向上に関する検討会」とスラスラ言えるのは、私はその責任者だったものですから、あ れがどのように位置付けられるのかちょっと気になっておりましたので、質問いたしま した。 ○野村看護課長 おっしゃるように、今後、平成16年に作られたガイドラインについ て、より具体化していくということです。 ○羽生田委員 7頁の3行目の後ろに、「男性の看護職員の増員を図る」という言葉が出 てくるのですが、男性看護職員の増員もいいのですが、現実に実習になったときに、母 性の実習は実習としてはほとんどできません。ですから、いまコンピューターも非常に 発達した中で、例えばオペにしても、バーチャルリアリティで全部練習するぐらいの時 代になっているわけですから、実習にしてもそういって補うところを何か作っていただ きたい。補う方法がないと現実にはなかなか。特に母性の場合には、主治医という言葉 がいいかどうかわかりませんが、医師、あるいは妊婦さんとのつながりの中で、見学す ら許さないというのはやはりあるのです。そういう意味では、男性看護職員が増えるの はいいのですが、現場ではそういった問題が出てくるので、それの対応として、そうい ったものを検討できないかということは、ここに文言として書けるかどうかわかりませ んが、是非考えていただきたい。 ○田中座長 委員の意見に、そういうものがあったということだと思います。1個1個、 そういう付随した問題がそれぞれあると思いますが、貴重なご指摘をありがとうござい ました。ほかによろしいですか。 ○坂本委員 先ほどの4頁ですが、3.の上の○ですが、福井委員と同じですが、「視野に 入れた新人看護研修」というのはどういうことですか。制度化や義務化を視野に入れた 新人看護研修制度の確立というのは、具体的に実施すべきであると私たちは申しており ますので、制度化に向けていくということで、よろしいのでしょうか。 ○野村看護課長 新人看護職員研修の制度化ということを具体的に考えると、これは実 はかなり大変な作業がたくさんあるということだと思っております。ですので、すぐに 制度化ができるという状況ではないと認識しておりますので、ここでは「視野に入れた」 というような表現をさせていただいております。 ○田中座長 ここは、福井先生が言われたように、ちょっと文章が長くて分かりにくい ので、句読点をうまく入れるなり、短く切るなりして、読みやすくしましょう。時間に なってまいりましたが、ほかにいかがですか。 ○酒井委員 先ほどの太田委員とちょっと重複するところがあるかもしれませんが、4 頁の「新人看護職員の質の向上」の上から3つ目の○の所です。「在宅医療の推進」云々 のここなのですが、「在宅看護」という所に、先ほど太田委員が「これは看取りというこ とも含めてですよね」とおっしゃっていたので、そういう言葉は入れていただけたほう がイメージしやすいと思うのですね。病気になったときに、家でちょっと様子を見ても らうわけではなくて、私たちは今後きっと自宅で看取られるのだと。そういう教育で、 先ほど太田委員は修飾語として云々おっしゃっていましたが、確認も含めて、今後は看 取る看護、在宅看護という方向性も、ちょっと言葉で入れていただけないものですかね。 そういうのはあまり必要ないことなのですか。 ○田中座長 生活の場とか、看取りを含む生活の場とか、ここは最後は太田先生に監修 してもらって、形容句を2、3付けることはできると思います。そのようにいたしまし ょう。 ○酒井委員 そういうのは問題ないのですか。 ○田中座長 それは在宅で看取ることは国策としても言っていますから、何の問題もな い。 ○太田委員 もう一度付け加えますが、高度な看護という話だけではなくて、例えば障 害者も高齢者もそうですが、施設におけるナーシングはすごく大事なのです。在宅と同 じように、幅広くとか長く(long term)などというケアのあり方が軽視されているのだ と思いますね。ですから、高かったり深かったりという軸の話ではなくて、幅広くとい うような座標軸を忘れてもらっては困ると思います。在宅看護の特殊性というわけでは なくて、「全人的に見る」、「くらしを見る」、そういう言葉こそ必要だと思います。 ○田中座長 わかりました。以上いただいたもののうち、委員の意見にとどめざるを得 ませんと言ったところはしょうがないとして、それ以外の文言の修正については、大体 1個1個、結論を出していったと思います。最終的なとりまとめについては、期日の関 係もありますので、大体、皆様方の合意をとりながら話していたつもりですが、座長に ご一任いただきまして、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○田中座長 そのようにさせていただきます。5回にわたって、本当に活発というか、 真剣というか、対立を含めて議論をいただきまして、ありがとうございました。海辺委 員の言われたように、「私たちは検討だけしているのではない」。これだけ真剣に議論し たことは必ず伝わりますし、我々も伝えなければならないと思います。それを含めて、 まとめの文章はどうしてもこのぐらいになってしまうことはやむを得ないと思いますが、 最終的なとりまとめにしていきたいと存じます。 ○福井委員 これには中間とりまとめと書いてありますので、最終とりまとめがあるの かと思いました。これで終わりでしょうか。 ○田中座長 それは事務局からご説明いただけますか。 ○野村看護課長 この中間的なとりまとめは、今後、具体的にさまざまな各テーマごと に実施していく方向で検討を進めていく予定ですので、今回、中間的なとりまとめをお 願いしたということです。個別の課題について、ある程度結論が見えた段階で、本検討 会を再び開催して、全体的な議論をしていただくということもあり得るかと思っており ます。 ○田中座長 これから毎月続くとの意味ではないようですが、形として私たちが中間的 に役所に言ったことをどう実現していっているのかを、またいずれどこかで見ることも あり得る。 ○秋山委員 いままでの議論の中で、文部科学省との関連というのは非常に強いと思う ので、文部科学省の方から何かご意見を一言でもいただきたいなと思ったのですが、い かがですか。 ○新木医学教育課長(文部科学省) ご指摘のように、今回のとりまとめをオブザーブ させていただきまして、大変、文部科学省への期待もしていただいているなというよう に強く感じているところです。今回ご指摘をいただいているところも含めて、文部科学 省としても検討すべき部分が多々あると思っておりますので、我々のほうで厚生労働省 と連携しながら検討を進める場を設けて、検討をしていきたいと思っております。 ○田中座長 一言、言質を取っておきたかったわけですね。ありがとうございました。 時間になりまして、中間とりまとめ原案を大体まとめることができました。最後になり ますが、今日は大臣はおられません。代わりに戸井田大臣政務官よりご挨拶を頂戴した いと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○戸井田大臣政務官 厚生労働大臣政務官の戸井田でございます。本来ならば舛添大臣 がご挨拶申し上げるところでございますけれども、本日は緊急の公務で欠席のため、代 わりに一言ご挨拶させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、看護の質と確保に関しまして、臨床の現場、看護教 育の現場、国民の視点など、様々なお立場から、5回にわたって幅広く活発なご議論を いただき、誠にありがとうございました。チーム医療を担う一員としての看護職員の質 の向上と確保は、国民に良質な看護、医療を提供するために、大変重要な課題でありま す。この度、「看護職員の確保」「新人看護職員の質の向上」「チーム医療の推進」 「看護教育のあり方」の4つのテーマにわたり、それぞれ今後の基本的な方向性について、 具体的にご指摘を頂戴できましたことは、今回の検討会の大きな成果であったと思って おります。今後、この中間とりまとめとともに、看護職員の質の向上と確保の一層の充 実に向け、文部科学省とともに協力しながら、早々具体化に向けて取り組んで参りたい と考えております。  委員の皆様方におかれましては、今後とも質の高い医療の提供に向けた看護行政の推 進にお力添えくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。  2時間、ずっと黙ってここで聞いているのも、結構苦しいのですね。最後に一言、気 になったことを申し上げたいのですが、私は実は10年前にコソボ紛争の所に行って、 NGOの方々といろいろお話をしたことがあるのです。その中に1人、東京で看護師を されていた女性の方が、10年看護師をやっていて、これからも何も問題ないし、このま まやっていたら、それがいちばん安泰なのだろうと。だけど、何か物足りなくて、実は ここに来ましたと。その人の話を聞いていると、紛争地域ですから建物は壊れ、そんな 中でもって、とにかく看護をするというか、怪我した人たちの手当をするために、やっ と屋根があるような所をきちんと確保して、そこにお医者さんを連れてきて、自分は看 護師としてここでやっているのだという話をしておりました。  それで、「大変ですね。1人でですか」と尋ねたら、「1人でです。最初に来たときに は、何もなかったんです。だけど、今は非常にこの仕事が充実しています。自分が東京 の病院の看護師を辞めた原因というのは、やはり何か満たされない気持だったんだと思 います」ということを、そのときに言っていました。  今回この場で議論されている話というのは、具体的なことでもあるし、一つひとつが 納得いくことではあるし、コソボに行って会ったこのNGOの方のようなことを思って いる人ばかりではないと思うのですが、何か物足りないものを求めて辞めていくという 人が結構多いのではないかなと。形にもできない、そして制度にもできない。ひょっと したら、本人が全部解決することかもわからないけれども、そういう心の中の原因は結 構あるのではないかなという気がするのですね。そういうものをもうちょっと詰める場 があってもいいかなというように、個人的には思いました。以上です。2時間の溜まっ た思いを聞いていただきまして、ありがとうございました。どうぞこれからもよろしく お願いいたします。 ○田中座長 よいお話をありがとうございました。1回、3時間ということもありまし たからね。折角議論して対決したところもありますけれども、戦友意識を持って、前向 きにこれからも進めてまいりたいと存じます。これにて、本日の第5回「看護の質の向 上と確保に関する検討会」を終了いたします。どうもありがとうございました。 医政局看護課 照会先:看護課課長補佐 島田(4167)     看護課課長補佐 中谷(4166) 電話:03−3595−2206