09/02/27 平成21年2月27日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年2月27日(金) 16:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(14名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 大 石 了 三、 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、    清 水 秀 行、 千 葉   勉、 手 島 玲 子、○永 井 良 三、    野 田 光 彦、 檜 山 行 雄、 古 川   漸、◎松 井   陽、    本 橋 伸 高、 山 本 一 彦 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他参考人1名   欠席委員(5名)   ○内 海 英 雄、 成 冨 博 章、 西 澤   理、 林   邦 彦、 村 田 美 穂 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    成 田 昌 稔((独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、    丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構センター次長)、    赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会 医薬品第一 部会を開催させていただきたいと存じます。  本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。  現在のところ、当部会委員19名のうち12名の委員に御出席いただいておりますので、 定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。飯沼委員、加藤委員は御出席とい う御連絡をいただいておりますが、何らかの事情で遅れられているのではないかと思い ます。また、内海委員、成冨委員、西澤委員、林委員、村田委員からは御欠席という御 連絡をいただいております。今、加藤委員に御出席いただきましたので、13名の委員に 御出席いただいたこととなります。  さらに、本日の審議事項議題5「クロザリル」の件に関しまして、参考人として、横 浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門の平安良雄先生に御参加いただいております ことを御報告申し上げます。  それでは、部会長の松井先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○松井部会長 皆さん、こんにちは。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局 から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告して ください。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、 当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載しております資料1〜10をあら かじめお送りしているところでございます。このほか、本日、資料11「バイオ後続品の 品質・安全性・有効性確保のための指針」、資料12「審議品目の薬事分科会における取 扱い等の案」、資料13「専門委員リスト」、資料14「競合品目・競合企業リスト」を配 付しております。過不足等がございましたら事務局にお申し付けください。  続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料14)について御 報告いたします。各品目の競合品目選定理由につきましては次のとおりです。  1ページでございます。審議議題1、ミコンビ配合錠でございます。本品目は、アン ジオテンシンII受容体の阻害薬及びヒドロクロロチアジドの配合剤でございます。した がいまして、本剤と同様のものといたしまして、ここの記載にございます3品目が競合 品目として挙げられております。なお、企業からの報告中、武田薬品のカンデサルタン とヒドロクロロチアジドの配合剤及びノバルティス ファーマのバルサルタンとヒドロ クロロチアジドの配合剤につきましては、本年1月付けで承認いたしましたので、併せ て御報告いたします。資料上は「審議を終了した品目」となっておりますが、日にちの 関係でそのようになっております。  2ページを御覧ください。議題2、アラミストでございます。本剤は、アレルギー性 鼻炎治療薬の鼻噴霧用ステロイド剤でございまして、1品目目のナゾネックスが、薬理 作用、効能・効果、投与回数等から本申請品目と同一のものとして、競合品目として挙 げられております。次に、同様の薬理作用、効能・効果を有するものとして、パウダー タイプの鼻吸入用のステロイド製剤でありますリノコートパウダースプレーが2品目目 として挙げられております。さらに、開発コード「NS-126C」として挙げられているもの につきましては、本剤と薬理作用、効能・効果を同じくするパウダータイプの鼻吸入ス テロイド剤として現在審査中とのことでございまして、この品目を競合品目として挙げ たものでございます。なお、類似の品目でフルナーゼというものがございますが、これ につきましてはこの申請企業が自ら開発しているものでございますので、競合品目から は除外しております。  3ページを御覧ください。議題3、リスパダール コンスタでございます。本剤は、非 定型抗精神病薬でございます。非定型抗精神病薬につきましては、ヤンセン ファーマが 販売しておりますリスペリドン以外のものは現在販売されていないということでござい ます。一方、定型抗精神病薬につきましては、持効性注射剤が現在3剤市販されており ますが、そのうち2剤は申請者ヤンセン ファーマが製造販売しておりまして、残りの1 剤でありますフルデカシンのみを競合品目として挙げたものでございます。  4ページを御覧ください。議題4、アピドラ注に関するものでございます。本剤はヒ トインスリンアナログでありまして、超速効型にカテゴライズされるものでございます。 本剤と同様の作用-時間プロファイルを有する薬剤といたしまして、超速効型インスリン アナログでありますヒューマログ及びノボラピッドを競合品目として挙げております。 さらに、類似の作用型ということから、速効型の「ヒトインスリン注射液」であります ヒューマリンRを競合品目として挙げたものでございます。  5ページを御覧ください。議題5、クロザリルでございます。本剤の効能・効果は、 治療抵抗性統合失調症でありまして、より具体的に申し上げますと、「他の抗精神薬で は十分な効果が得られない患者」及び「副作用等により、他の抗精神薬を使用できない か又は十分な効果が得られる用量を服用できない患者」を投与の対象としております。 したがいまして、既存の統合失調症の薬とは競合するものはないという考えでございま す。  6ページを御覧ください。議題6、ニフレック及びガスモチンでございます。今回の 追加効能は、バリウム注腸X線造影検査の前処置でございます。現在はブラウン変法で 行われているわけでございますが、ブラウン変法に用いられている薬剤のうちバリウム 注腸X線造影検査の前処置の効能を取得しているものは、マグコロール及びマグコロー ルP並びにラキソベロン液、テレミンソフト坐薬3号、ビーマスS錠がございます。そ のうち、マグコロールとマグコロールPは剤形の異なる同一成分であることから一つと 数え、また、テレミンソフト坐薬は今回の申請者であります味の素株式会社の品目であ ることから、それらを勘案した上で、こちらにありますラキソベロン、マグコロール、 ビーマスSを競合品目としたとのことでございます。  7ページを御覧ください。議題7、グラチラマー酢酸塩の希少疾病用医薬品の指定で ございます。本剤は「再発寛解型多発性硬化症における再発頻度の軽減」を予定効能と しております。現在、国内で多発性硬化症の治療薬として販売されているものは、イン ターフェロン製剤でありますベタフェロン皮下注及びアボネックスでございます。また、 現在開発中でございますが、ナタリズマブにつきましても多発性硬化症の薬として既に 希少疾病用医薬品に指定しており現在開発中でありますので、これら3品目を競合品目 として挙げたということでございます。以上でございます。 ○松井部会長 今の事務局からの説明につきまして、特段の御意見、御質問はあります でしょうか。ありませんか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業 リストにつきましては、委員の皆様の了解を得たものといたします。  次に、委員からの申出状況について、事務局から報告していただけますでしょうか。 ○事務局 各委員からの申出状況につきまして御報告いたします。議題1「ミコンビ配 合錠」につきましては、退室委員は大石委員、永井委員、議決には参加しない委員は千 葉委員、野田委員、古川委員、山本委員でございます。議題2「アラミスト点鼻液」に つきましては、退室委員は千葉委員、議決には参加しない委員は古川委員、本橋委員で ございます。議題3「リスパダール コンスタ」につきましては、退室委員はいらっしゃ いません、議決には参加しない委員は清水委員、千葉委員、古川委員、山本委員でござ います。議題4「アピドラ注」につきましては、退室委員はいらっしゃいません、議決 には参加しない委員は野田委員、古川委員、山本委員でございます。議題5「クロザリ ル」につきましては、退室委員は永井委員、議決には参加しない委員はいらっしゃいま せん。議題6「ニフレック他」につきましては、退室委員はいらっしゃいません、議決 には参加しない委員は大石委員、加藤委員、千葉委員、野田委員、古川委員でございま す。議題7「グラチラマー酢酸塩のオーファン指定」でございますが、退室委員はいら っしゃいません、議決には参加しない委員は永井委員、野田委員、古川委員でございま す。  なお、本日の議題順でございますが、参考人の先生をお呼びしております関係から、 議題5を最初に御審議いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 本日は、審議事項は7議題、報告事項が4議題となっております。  それでは、議題5に入ります。 ○審査管理課長 各品目につきまして御説明をさせていただく際に、審査報告書の該当 箇所を引用する形で説明をさせていただきたいと考えております。その該当箇所につき ましては、説明の中で何ページのどこという形で特定いたしますが、先生方の便宜のた めに、机上にメモという形で一覧表をお配りしておりますので、適宜、各議題ごとに御 参照いただければ幸いでございます。よろしくお願い申し上げます。 ○松井部会長 皆さん、メモはお分かりでしょうか。 ○審査管理課長 「議題1、資料1「ミコンビ配合錠AP及び同配合錠SP」の審査概 要説明にあたっての引用箇所(メモ)」と書いたつづりでございまして、各議題ごとに引 用箇所が書かれておりますので、御参照いただければ幸いでございます。 ○松井部会長 ありがとうございます。それでは、議題5につきまして、医薬品機構か ら概要を説明してください。永井委員におかれましては、議題5の審議の間、別室で御 待機いただくことといたします。 ── 永井委員退室 ── ○松井部会長 それでは、よろしくお願いします。 ○機構 議題5、資料5-1及び5-2、医薬品クロザリル錠25mg、同錠100mgの製造販売 承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  審査報告書4ページの下から13行目にあります、「起源又は発見の経緯及び外国にお ける使用状況等に関する資料」の項を御覧ください。本剤の有効成分であるクロザピン は、スイス・ワンダー社(現 ノバルティス ファーマ社)で合成されましたジベンゾジア ゼピン系化合物です。海外では1969年10月にオーストリアで初めて承認されておりま すが、フィンランドにおきまして、発売後6か月で死亡例8例を含む16例の無顆粒球症 の発現が報告されたことから、世界各国で販売停止又は開発中止等の措置が行われた経 緯があります。しかし、その後、既存の抗精神病薬で治療困難な統合失調症に対する有 効性が認められ、患者モニタリングの導入により、無顆粒球症による死亡率を減少させ ることが示されたことから、対象疾患を治療抵抗性の統合失調症に限定することとなり、 2008年10月現在、欧州、米国等97か国で承認されております。本邦では、□□年に□ □□□□□□□□(□ □□□□□□□□□□□)により承認申請されましたが、海外での 無顆粒球症の報告を踏まえて取り下げられております。その後、□□年□月からサンド 薬品株式会社(現 ノバルティス ファーマ社)におきまして、治療抵抗性の統合失調症を 対象とした臨床開発が再開され、治療抵抗性の統合失調症患者における有効性及び安全 性並びに本邦における患者モニタリングシステムの実施可能性等が検討されまして、こ れらの結果に基づいて、今般の申請に至っております。  本申請の専門委員としましては、資料13に記載されております11名の委員を指名い たしました。  審査内容について、説明させていただきます。  品質、薬理、薬物動態及び毒性については、特に大きな問題はないと考えております ので、臨床成績について説明させていただきます。  まず、有効性については、審査報告書44ページの表を御覧ください。治療抵抗性統合 失調症患者を対象とした国内臨床試験におきまして、主要評価項目である各評価時期に おけるBPRS合計スコアのベースライン又は投与前からの変化量が示されております が、いずれでも有意に低下しておりまして、特に国内1301試験におきましては-17.2と いう低下を示しております。本剤につきましては、海外において、治療抵抗性統合失調 症の最終選択薬としてガイドライン等で広く認識されており、国内臨床試験の結果と併 せて評価しました結果、本剤の治療抵抗性統合失調症患者における有効性は示されてい ると判断いたしました。  次に、安全性につきまして、審査報告書59ページの上から1行目を御覧ください。本 剤の投与により発現する無顆粒球症等を早期に発見し、治療を行うため、海外と同様の 患者モニタリングシステム(以下、CPMS)を本邦においても導入することとなってお ります。CPMSには、患者のほか、本剤を処方する医師、本剤を管理する薬剤師、及 びコーディネート業務を行う看護師等が登録され、審査報告書59ページにありますよう に、(1)〜(7)の要件を満たす医療機関においてのみ、本剤を処方することが可能と規定し ております。また、CPMSでは、審査報告書の58ページの表にありますように、白血 球数及び好中球数の基準に則って血液検査を実施し、白血球数が3,000未満、又は好中 球数が1,500未満の場合には、本剤の投与を中止することが規定されております。  また、審査報告書52ページの上の表を御覧ください。本剤による耐糖能異常の発現リ スクは、既承認の統合失調症治療薬であるオランザピン及びクエチアピンとほぼ同等と 考えられておりますが、本剤は他剤が無効な治療抵抗性統合失調症に対する最終選択薬 という臨床的位置付けになると考えられ、糖尿病を合併する統合失調症患者への本剤の 投与については考慮する必要があると考えております。そこで、審査報告書62及び63 ページの表を御覧ください。本剤投与中には血糖値及びヘモグロビンA1c等の定期的 なモニタリングを義務付けることとしておりまして、糖尿病又は糖尿病の既往のある患 者に対する本剤の投与につきましては「原則禁忌」に設定して注意喚起することが適切 と判断いたしました。  審査報告書67ページを御覧ください。御説明させていただきました検討内容を踏まえ まして、本剤の承認に当たり、三つの承認条件を付与することが適切と判断いたしまし た。一つ目は、本剤のリスクに十分に対応でき、白血球数、血糖値等の定期的な検査を 実施すること、二つ目は、患者に対してはあらかじめ文書による同意を得ること、三つ 目として、製造販売後の全例を対象とした使用成績調査を実施することです。  以上の審査を踏まえまして、本剤の治療抵抗性統合失調症に対する効能・効果を承認 して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いた しました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤は 劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断して おります。なお、薬事分科会は審議を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは、参考人の平安先生、補足をお願い いたします。 ○平安参考人 横浜市立大学の平安と申します。よろしくお願いします。  ただ今の説明にもありましたように、治療抵抗性の統合失調症の患者さんに対しまし て、現在、我が国では適切な治療薬がございません。1980年代の後半ごろからこのクロ ザピンという薬が見直されまして、今まで社会機能の低下によって社会復帰ができなか ったかなりの数の患者さん方が、症状が改善しまして、地域での生活に参加できるよう になりました。  そのようなこともありまして、我が国の臨床現場においても非常に熱望されている薬 でしたが、顆粒球減少症という非常に重い副作用を来すことが分かっております。これ に関しまして、現在の医学あるいは医療の進歩にも伴いまして、我が国でも適切なモニ タリングができるということが確認できましたので、是非とも御承認いただきまして、 統合失調症の患者さん、特に薬がなかなか効かない患者さんに対して治療ができるよう にしていただければと思います。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質疑をお願い いたします。いかがでしょうか。 ○野田委員 62、63ページに血糖値等のモニタリング方法がありますが、「糖尿病・糖 尿病を強く疑う」における血糖値等のモニタリング方法は24週までとなっています。こ れは、ほかの表についても同じですが、引き続き同じペースで継続するという理解でよ ろしいでしょうか。 ○機構 これに関しましては、その後も引き続き同様のペースでやることを考えており ます。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 まず、添付文書の文言から確認をさせていただきたいと思います。一点は、 添付文書(案)の最後のページですが、承認条件の1.の3行目に、「医療機関・薬局」と いう文字が入っております。同じく承認条件の2.の2行目〜3行目にかけて、「文書に よって説明され、文書による同意を得た後」と書かれておりますが、添付文書中の記載、 例えば最初のページの警告の4.に説明義務のことが書かれておりますが、そこには「十 分説明し」という記載のみで、「文書により」という記載がないようです。それから、 3ページ目の2.重要な基本的注意の(1)の3行目、「CPMSに登録された医療機関に おいて」という所では、「薬局」という記載がないようです。もう一点、3ページの右 下の(6)にも説明義務のことが書かれておりますが、そこでも「十分説明し」という文 言で、「文書による説明」という文字は抜けております。そこの整合性はいかがなもの なのでしょうか。 ○松井部会長 先生の御質問ですが、文書で同意を得てからというのでは不十分である ということですか。 ○清水委員 承認条件が「文書によって説明され」となっているので、添付文書の記載 もそれに合わせるべきではないかということです。 ○松井部会長 了解いたしました。いかがでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。再度見直しまして、適切になりますように、報 告書等を併せて、きちんと対応したいと思います。 ○松井部会長 薬局の部分につきましても同様にお願いいたします。ほかにいかがでし ょうか。 ○山本委員 教えていただきたいのですが、海外の無顆粒球症のパーセントと、国内で は77例中2例と、かなり高いですね。これは、やはりそうなのでしょうか。その辺につ いてお願いします。例えば、66ページの表について、主な有害事象発現率が、海外は無 顆粒球症が0.46%なのですが、日本は2.60%と、かなり違います。 ○機構 確かに国内の方が若干高い傾向があります。海外の文献等におきましても、ア ジア人では2.4%ほど高いという報告もありますし、そうではないという結論もありま して、一定していないというのが現状になっております。国内の臨床試験の中で77例し か見ていないということもありまして、例数がもともとそこまで多くはないので、今後、 製造販売後の調査の中でも十分確認していこうということも考えております。 ○松井部会長 そうであるからこそ、期間を限ってモニターするということだろうと思 います。ほかにいかがでございましょうか。 ○清水委員 CPMSにかかわることなのですが、今回は開局の先生についても、18週 以降、院外処方箋で調剤されることも想定されますので、院内に勤務する薬剤師だけで はなく、保険薬局の先生にあっても登録をしていただくようになるという運用が書かれ ておりますが、文書での運用の記載が分かりづらいので、きちんと図示されたもので後 々御説明いただければ有り難いと思っています。  あわせて、適正使用のための適正管理は、私たち薬剤師にとってはとても大事な仕事 であって、今後とも努力しようとは考えておりますが、昨今、リタリン、コンサータで ありますとか、直近ではサリドマイドでありますとか、そのようなたぐいの薬剤が増え てきております。ジェネラリストとしての薬剤師は、それらのものを複数かぶって業務 を展開しなければならないようなことも起こってくることも想定されます。このような 薬剤の取扱いはとても大事なことだとは思いますが、数が増えてくるとだんだん難しい ことも出てくるかとも思いますので、その点も御検討いただければと思います。 ○審査管理課長 薬剤によって、リスクをできるだけ抑えながら、患者にメリットがあ るのであれば、それを供給していく手立てを考えざるを得ないのだろうと思っておりま す。この薬についても、参考人の先生からも御発言がございましたように、言わば最終 的な投与方法という位置付けにあるわけでございます。もちろん、今御意見がございま したとおり、いろいろな方々に御負担が出てくるということは我々も承知しております が、必要に応じて必要な対策を行っていくということで、いろいろな方々の御協力を得 たいと考えているところでございます。 ○清水委員 言葉が足りなかったかもしれませんが、もちろんとても大事な役割だと思 っておりまして、努力するつもりはもとより持っております。 ○松井部会長 ほかにはございませんか。よろしいでしょうか。それでは、参考人の平 安先生には、今日はこのために御出席くださいましてありがとうございました。恐れ入 りますが、これで御退席ください。 ── 平安参考人退席 ── ○松井部会長 それでは、本議題について先生方の御意見を伺いますが、承認を可とし てよろしゅうございますでしょうか。御異議はありませんか。それでは、御異議がない と認めます。承認を可とさせていただきます。なお、本剤は新有効成分であり、既存の 類薬がありませんので、薬事分科会に上程して、審議することとさせていただきます。 ありがとうございました。  次の議題に移ります。議題1に戻ります。大石委員と永井委員におかれましては、議 題1の審議の間、別室で御待機いただきたく存じます。 ── 大石委員退室 ── ○松井部会長 議題1について、医薬品機構から概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料1、医薬品ミコンビ配合錠AP、同配合錠SPにつきまして、医 薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤はアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるテルミサルタンとサイアザイド系利尿 薬であるヒドロクロロチアジドの配合剤であり、□□年に日本ベーリンガーインゲルハ イム株式会社により降圧薬として開発が開始され、テルミサルタン40mg/ヒドロクロロ チアジド12.5mg錠が2006年4月に、テルミサルタン80mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg 錠が2007年6月に承認申請されました。なお、本邦では、アンジオテンシンII受容体拮 抗薬とヒドロクロロチアジドを組み合わせた同様の配合剤が既に3種類承認されており ます。  海外では、本剤は、2000年に米国で承認されたのを初めとして、2008年11月現在、 92か国で承認されております。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料13に記載されております委員が指 名されております。  本品目の審査の概略について説明させていただきます。  品質及び非臨床につきましては、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、 特に問題はないと判断しました。  臨床試験成績について説明させていただきます。  有効性につきまして、審査報告書27ページ13行目を御覧ください。テルミサルタン 40 mg単独投与で十分な降圧効果が得られていない本態性高血圧症患者を対象とした国内 第III相検証試験におきまして、テルミサルタン40mgとヒドロクロロチアジド12.5mgの 配合錠が投与された群のトラフ時坐位拡張期血圧下降度は、テルミサルタン40mg単剤が 投与された群と比較して有意に大きかったことから、テルミサルタン40mg/ヒドロクロ ロチアジド12.5mg配合錠の有効性は示されていると判断しました。また、審査報告書 25ページの中央の表を御覧ください。国内用量比検討試験におきまして、テルミサルタ ン80mgとヒドロクロロチアジド12.5mgの併用投与群で、テルミサルタン80mg群の降圧 効果への上乗せ効果が認められております。また、審査報告書28ページの図を御覧くだ さい。国内長期投与試験での非対照試験の結果ですが、40mg/12.5mg配合錠での4週間 の治療で効果不十分と判断された症例に80mg/12.5mg配合錠を投与したとき、血圧の下 降が認められております。以上のことから、80mg/12.5mg配合錠の有効性が示唆されて いると判断いたしました。  次に、安全性についてですが、本剤は各単剤と比べて新たな有害事象は認められませ んでした。審査報告書36ページを御覧ください。10行目から記載しておりますが、過 度の血圧低下の懸念に対して、併用投与により「めまい」や「起立性低血圧」等の神経 系、血管障害系の副作用の発現頻度がやや高い傾向にありましたが、本剤は高血圧症治 療の第一選択薬としないことが添付文書に注意喚起されております。また、36ページ下 から2行目に記載されておりますが、国内臨床試験成績から、尿酸値上昇を始めとする ヒドロクロロチアジドで懸念される副作用が、ヒドロクロロチアジドの用量依存的に増 加する傾向が示唆されておりましたが、この副作用も含め、臨床試験で認められた副作 用はテルミサルタン及びヒドロクロロチアジドの各単剤で知られている副作用でした。 なお、ヒドロクロロチアジドにより懸念される副作用、例えば尿酸値上昇につきまして は、適切な頻度のモニタリングを実施し、上昇が見られた場合には投与中止も含めた対 応を検討するよう情報提供するなど、適切な注意喚起を行うことで対応可能と考えまし た。以上の検討結果を踏まえ、本剤は添付文書に記載されている注意等に従い選択され た患者に対して適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大 な懸念は認められないと判断いたしました。  なお、製造販売後調査についてですが、審査報告書53ページ6行目を御覧ください。 使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的に、高血圧症 患者1,000例を対象とした特定使用成績調査が実施される計画であり、この調査におい て75歳以上の高齢者、腎機能障害、肝機能障害患者の安全性及び有効性に関しても情報 収集される予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一 部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  本剤は毒薬・劇薬には該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しない と判断し、再審査期間は6年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会 では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。 ○清水委員 命名のことでもう一度お伺いしたいところがございます。先だってエカー ド配合錠、コディオ配合錠を審査したときに説明をいただきました。その後、平成20 年9月22日付けの配合剤に関する命名方法の文書も何度も読ませていただいて、この命 名の仕方はそのルールに従っているというのはよく理解しているつもりですが、現場の ことを考えて一点、大変気になる点があります。前回は、自分が薬剤師ですので、調剤 をする立場で、末尾の英文字2文字を考えておりました。英文字2文字がきちんと薬剤 として確認できれば、識別は十分できるであろうということで、そのときは納得したの ですが、その後、幾つか考えることがあって、一つの問題点は、2文字の英文字を見て も、薬剤の含量の規格の大きさ、どちらが大きい規格なのか、どちらが小さい規格なの かというのが一義的には分からないということが、臨床の現場では今後問題になってく る可能性があるのではないかと思います。特に電子カルテ、処方オーダリングシステム の中で、同じ商標ですから、薬剤名が上下に並びます。通常、数字で規格が表されてい るものは、小さいものから20mg錠、50mg錠というふうに並ぶことが一般的かと思いま すが、そのようなときに、二つエカードが並んだときに、アルファベットでソートされ るとどうなってしまうのかということを考えると、一義的にどちらが大きい薬剤だった のかという理解が難しいのではないかと考えます。今回のミコンビについても同様のこ とが言えると思うのですが、その辺のことについては機構はどのような御指導をなさっ ているのでしょうか。 ○松井部会長 ミコンビ配合錠APとSPの区別という御質問だと思います。 ○清水委員 ものとしての区別は可能かと思うのですが、どちらが大きいかというのが、 すぐにそれを見て理解できるか。また、電子カルテに2段薬剤が載ったときに、通常、 上に載っていると小さい規格かなというイメージを持つと、数字の場合はそうですから、 そのときに難しいことが起きるのかなということを考えました。その辺のところを教え ていただきたいと思います。 ○機構 御指摘ありがとうございました。今御報告を申し上げたように、降圧剤につい ても既に幾つかの配合剤が承認をされている状況でございます。それぞれ末尾の名前の 付け方も違っておりますが、いずれにしてもどういう用量のものがどの名前かというこ とについては、各社に薬のライフサイクルを通してきちんと情報提供をいただきたいと 考えております。  また、補足的なことではございますが、オーダリングシステムなどでも、コンピュー タなどの工夫によって、それぞれの名前に付随した情報が表示できるような工夫も今後 出てくると側聞しておりますので、そのような工夫の中で、それぞれが配合されている 用量に関する情報提供ができればと考えております。 ○松井部会長 そうすると、命名については変更する必要はないということでしょうか。 ○審査管理課長 今、清水委員から御指摘があって、どちらが含量が多いかどうかとい う御議論があったわけでございます。  また、コンピュータ上いろいろな細工をすればできないことはないのだろうと思いま すが、通常はアルファベットで並ぶか、アルファベットの読み仮名で50音で並ぶかです から、その辺りも配慮して、APとSPで、アルファベット順であれば小さい方が上に 来るということで、そこはいいのかなと。APとSPですから、50音順でも恐らくAP が上に来るということで、そこはいいのかなと思っているわけでございます。  ただ、販売名については、我々には理解できないほど思い入れが強い部分もございま すので、今ここですぐお約束できるような状況ではございませんが、今一度、企業とも 相談をしてみたいと思います。その結果については、改めて御報告いたします。 ○松井部会長 検討するという御回答でよろしいですか。 ○清水委員 あわせて、今回は、2×2のマトリックスのもので、なおかつそのうちの 一つは含量が変わっていない、二つ配合されているものの一つのみが配合量が変わって いる製品についての商標という理解でいいのでしょうか。同じ薬剤の成分の組合せで、 今まで軸としてそろえてあったものの方を変えるという申請が今後出た場合、また同じ 商標を使うのか。それは識別上、かなり難しいことが起こってしまうのではないかと思 います。これは仮定の話で、今回の承認と直接かかわることではないので、意見として 聞いておいていただければいいと思うのですが、そこのところは十分御注意いただきた いと思いますし、この命名の仕方は、かなり限定した形で運用していただく方がよろし いのではないかと考えます。 ○審査管理課長 御意見で、将来のことでございますし、仮定のことですから、答える ことはなかなか難しいわけでございます。端的に申し上げますと、APとBPであれば 分かりやすいのかなとも思うわけでございます。言葉で言ったときに、APとSPが非 常に似ている。少なくとも口頭でやり取りする分にはよく似ている。さらに、APとB Pとして、その次にもっと小さい含量のものが必要となった場合にどうするのかという 問題もあって、考え出すとなかなか結論が出ないわけでございますが、今の時点でどう するかという意味で検討させていただきたいと思います。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員 尿酸値のことについてお伺いしたいと思います。尿酸値上昇が報告されて いるということで、これは大部分がヒドロクロロチアジドの副作用ということです。こ れは配合剤ということで、40、41ページに「併用療法とは異なり、固定用量の配合剤で はより慎重な対応が必要であり」と書いてあるのですが、40ページの記載が気になるの で、これについてお尋ねします。「国内外の試験の併合解析による検討で、男性及び投 与前の尿酸値が高いことが尿酸値上昇に関与する背景因子」と書いてあるのですが、例 えば次のページに出ている肝障害などの場合は、「肝障害・肝疾患のある患者」は「慎 重投与」とされているわけですけれども、配合でないものから配合にステップアップす るという投与計画を立てる場合に、投与対象になる方のベースラインの尿酸値、高尿酸 血症を持っているかどうかを事前に慎重に勘案するべきであるかどうかということを、 これに関して、一つは、背景因子と書いてありますが、それはエビデンスとしてどうな のかということと、もう一つは、それを明記する必要があるのかどうかということにつ いて、お考えを聞きたいと思います。 ○松井部会長 これも重要なことと思いますが、いかがでしょうか。もともと尿酸値が 高い人に対してどうするかという御質問だと思います。 ○機構 あらかじめ尿酸値の高い方に関しましても、もちろん、来院されて検査される ときにはきちんと測定して、その様子を見ながら投与されるべきであると考えておりま す。本薬の場合には、今、ヒドロクロロチアジド12.5mgの製剤がないということもござ いまして、基本的にはテルミサルタンからのヒドロクロロチアジドの上乗せ的な形で使 われるかと思いますが、ヒドロクロロチアジドを使うことになりますと、必ず尿酸値の 上昇という懸念もございますので、そこは慎重に投与していただくべきだと考えており ます。そのために、適切にモニタリングをしてくださいという形で注意喚起していこう と思っております。 ○加藤委員 ARBの方でテルミサルタンを選択しているときには、尿酸値のベースラ インが高い患者さんなども対象になって、これは使えるということになるのですが、そ れがレスポンスが悪いということで、こちらも上げてみましょうというときに、こちら は非常に慎重にならなければいけないと思うので、その旨は明記した方がいいのではな いかと思います。 ○機構 ありがとうございます。検討させていただきます。 ○清水委員 今、現物を見て添付文書を確認したところなのですが、この薬剤について は、識別コードは錠剤に印字あるいは打刻しない予定なのでしょうか。 ○機構 現時点ではないようですので、申請者に確認して、適切に対応したいと思いま す。 ○清水委員 入れていただいた方が有り難いかと思います。 ○機構 分かりました。ありがとうございます。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。御質疑がないようでしたら、議決に入ろうと 思います。なお、千葉委員、野田委員、古川委員、山本委員におかれましては、利益相 反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議はありませんか。ありが とうございます。御異議がないようですので、若干の検討事項はございますが、承認を 可とし、薬事分科会に報告させていただきます。  それでは、大石委員、永井委員に入室していただいてください。 ── 大石委員、永井委員入室 ── ○松井部会長 議題2に入ろうと思います。千葉委員におかれましては、議題2の審議 の間、別室で御待機いただくことといたします。 ── 千葉委員退室 ── ○松井部会長 御説明をお願いします。 ○機構 議題2、資料2、アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用の製造販売承認の可否等 について、機構より説明いたします。  本剤は、合成副腎皮質ステロイドであるフルチカゾンフランカルボン酸エステルを有 効成分とする新規の鼻噴霧用アレルギー性鼻炎治療薬であり、国内外で臨床使用されて いるフルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液と同等以上の有効性及び安全性を有し、 効果がより長時間持続する点鼻液を得ることを企図して開発されたものでございます。  海外において、本剤は、2008年12月現在、アレルギー性鼻炎に係る適応で米国、欧 州等50か国において承認されております。  本申請の専門委員としては、資料13に記載されております10名の委員を指名いたし ました。  審査内容について簡単に説明させていただきます。  非臨床に関する資料については、特段の問題は認められないものと判断しております。  次に主な臨床試験成績について説明いたします。審査報告書39ページの中段、3)を 御覧ください。国内第III相試験として、アレルギー性鼻炎患者443例を対象に、本剤110 μg1日1回投与時とフルチカゾンプロピオン酸エステル100μg1日2回投与時の有効 性及び安全性を比較検討する並行群間比較試験が実施されております。結果については、 40ページの上の表を御覧ください。こちらの表に示しておりますとおり、主要評価項目 である2週間の全投与期間におけるくしゃみ、鼻汁及び鼻閉の3鼻症状スコア平均値の ベースラインからの変化量は、本剤群-1.23、フルチカゾンプロピオン酸エステル群-1.06 であり、本剤のフルチカゾンプロピオン酸エステルに対する非劣性が検証されており、 これらの成績より、機構は、アレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性は確認されている ものと判断しております。  安全性につきましては、40ページの一番下の表を御覧ください。こちらの表に第III相 試験における主な副作用を示しておりますが、本剤及びフルチカゾンプロピオン酸エス テルともに臨床上問題となる事象は認められておりません。続きまして45ページの(4) 安全性についての項を御覧ください。本剤は副腎皮質ステロイドであり、曝露量の少な い点鼻投与においても長期使用時には副腎皮質機能等への影響に留意が必要と考えられ ることから、海外臨床試験成績、海外市販後データ等も踏まえ、副腎皮質機能等に関連 する全身性有害事象の発現状況について重点的に確認をしております。その結果を、46 ページの14行目辺りに示してございますが、本剤と全身性有害事象との明確な関連性は 示唆されておらず、現時点において特段の問題は認められないと判断しておりますが、 特に通年性アレルギー性鼻炎患者では長期にわたり本剤の投与が継続される可能性もあ ること、海外では市販後において全身性の影響を認めた症例がまれではあるものの報告 されていることなどを踏まえ、製造販売後調査において、全身作用を含む長期投与時等 の安全性について引き続き検討するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で 御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であるこ とから再審査期間は8年とすることが適当と判断しております。また、本剤は生物由来 製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原薬及び製剤は毒薬・劇薬いずれに も該当しないものと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。  よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いい たします。いかがでしょうか。 ○清水委員 添付文書の書き振りのことで一点、教えていただきたいというか、いかが なものかということですが、添付文書の5ページの取扱い上の注意のところで、なぜか 3.だけ「用時振盪」という四文字熟語が書かれていますけれども、あえて「用時振盪」 の四文字熟語で終わらせなくてもいいのかなと思いますが、いかがでしょうか。  もう一点は、取扱い上の注意の4.の項目なのですが、これは非常に重要な事項だと思 います。4.の項目については、米国の添付文書、英国の添付文書、どちらも用法・用量 の中にこの内容が記載されているのですが、そこのところについてはどのようにお考え なのでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。まず、3.の「用時振盪」に関しましては、適切 な表現に修正させていただきたいと思います。それから、4.の注意喚起でございますが、 ご指摘のとおり重要な注意事項になるかと思いますので、この記載箇所に関しましては 申請者と相談して検討させていただきたいと思います。 ○清水委員 よろしくお願いします。もう一点、審査報告書の43ページになりますが、 デバイスに関することです。今回のデバイスは、人間工学に基づく新規の噴霧システム という記載が、一番上の行に書かれておりますが、あえて「人間工学に基づく」として ある根拠は、どの辺にあるのでしょうか。 ○機構 これは、「人間工学に基づく」という表現がいいのか分からないところもある のですが、噴霧レバーが横押し型になっているなど従来のものに比べて年齢などに関係 なく使いやすいということで、このような表現を申請者は使っているということでござ います。 ○清水委員 握りにフィットしやすいという意味なのですかね。握ってみて、もしかし たら勝手がいいのかなと、それが人間工学という意味なわけですか。ありがとうござい ました。 ○松井部会長 ほかにございますか。よろしいですか。ありがとうございました。それ では、議決に入ろうと思います。なお、古川委員、本橋委員におかれましては、利益相 反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本 議題につきまして、承認を可としてよろしゅうございますか。異議はありませんか。そ れでは、御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただ きます。  千葉委員に御入室をお願いください。 ── 千葉委員入室 ── ○松井部会長 続いて、議題3に入ります。議題3につきまして、医薬品機構から概要 を説明してください。 ○機構 議題3、資料3、医薬品リスパダール コンスタ筋注用25mg、同筋注用37.5mg、 同筋注用50mgの製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明い たします。  本剤はリスペリドンを有効成分とする持効性注射剤であり、2008年12月現在、世界 92か国で統合失調症に対して承認されております。また、本邦においてリスペリドンは、 経口剤として、錠剤、細粒剤、内用液、OD錠がそれぞれ統合失調症に対して承認され ております。  本申請の専門委員としては、資料13に記載されております6名の委員を指名いたしま した。  審査内容について、主な点を御説明させていただきます。まず、薬物動態につきまし て、資料のCTD1.8添付文書(案)の3ページ、右下の図を御覧ください。これは外国 人健康成人に本剤を単回投与したときの活性成分である未変化体及び9-OHリスペリ ドンの血漿中濃度の合算値の推移を示したものです。本剤は、投与後約3週間は血漿中 濃度が上昇せず、投与後約4〜5週にCmaxに達し、消失まで約8週間を要するという 特徴を有しております。したがいまして、本剤投与前にあらかじめその必要性を十分に 検討するとともに、過去にリスペリドンでの治療経験がない場合にはリスペリドン経口 剤により忍容性があることを確認すること、初回投与後3週間及び増量後3週間は必要 に応じて経口抗精神病薬を併用するなど適切な治療を行うこと、投与中止後も一定期間 は患者の状態を慎重に観察することを注意喚起することが適切と判断しております。  次に臨床成績について御説明させていただきます。  審査報告書の38ページの表及び図を御覧ください。統合失調症患者を対象とした国内 第III相試験において、最終評価時のPANSS総スコアのベースラインからの変化量は、本 剤群で-6.7、リスペリドン錠群で-6.4であり、本剤はリスペリドン錠と同程度の臨床効 果を有することが示されております。次に、審査報告書45ページの下から6行目を御覧 ください。用量固定期における前治療抗精神病薬の投与量別の本剤の最頻投与量は、25mg が57%を占め、同ページの一番下の左側の全症例の結果から御覧いただけますように、 前治療抗精神病薬の投与量がリスペリドン換算で4mg/日を超える症例においても、37 %の症例は本剤25mgが至適用量と判断されており、前治療抗精神病薬の投与量と本剤の 至適用量との間に明らかな相関関係は認められませんでした。  また、同じ45ページの一番上の表を御覧ください。こちらは海外臨床試験の成績にな りますが、海外臨床試験におきまして、PANSS総スコアのベースラインからの変化量は、 50mg投与時に-8.7であり、本剤75mg投与時でも-5.6と増量効果は認められておりませ ん。これらを踏まえて、本剤の用法・用量は「通常、成人にはリスペリドンとして1回 25mgを2週間間隔で臀部筋肉内投与する。なお、初回量は25mgとし、その後、症状に より適宜増減するが、1回量は50mgを超えないこと。」と設定することが適切と判断し ております。  次に本剤の安全性について御説明させていただきます。審査報告書49ページの一番上 の表を御覧ください。国内外で実施されましたリスペリドン経口剤を対照とした比較臨 床試験における全期間を通じた有害事象の発現率は、本剤群とリスペリドン錠群で同程 度であり、同じ49ページの上から2番目の表にお示しいたしましたとおり、本剤投与時 の有害事象発現率は、本剤が筋肉内投与であることに起因する注射部位反応関連の有害 事象を除き、リスペリドン錠と同様であり、大きな差異はないと考えられました。一方、 審査報告書の54ページの上から7行目辺りにお示ししましたとおり、海外製造販売後に 本剤及びリスペリドン経口剤で報告された自発報告における重篤な有害事象発現症例数 の推定使用患者数に対する割合は、リスペリドン経口剤で10万人年当たり68.5件に対 し、本剤では10万人年当たり702件と高く、審査報告書の53ページの表にお示ししま したとおり、いずれの事象に関しても、本剤で高い傾向が認められております。本剤で 自発報告における重篤な有害事象の発現頻度が高かった理由は明確ではありませんが、 海外製造販売後の自発報告の結果のみから判断することは困難であり、リスペリドン錠 を対照とした国内外の比較臨床試験において大きな差異が認められていないことを踏ま えると、現時点で本剤を承認する上で問題はないと考えており、本剤の安全性について は、製造販売後調査において、更に検討する必要があると考えております。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御 審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、原体は毒薬、製剤は 劇薬に該当し、特定生物由来製品及び生物由来製品のいずれにも該当しないと判断して おります。なお、薬事分科会には報告を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の議題につきまして、委員の先生方から 御質疑をお願いいたします。 ○本橋委員 このような選択の幅が広がることは非常にいいと思うのですが、少し確認 させていただきたいことがあります。一つは、この立ち上がりがかなり遅いわけです。 ですから、結局、経口薬と一緒に使っていくということで始めざるを得ないわけです。 そうすると、このメリットというのは、多分、今回お示しになったデータというのは、 飲んで良くなっている人は、やめると悪くなる、要するに、注射を打っていれば、やめ て悪くなる人を防げるだろうという概念と理解したのですが、例えばほかのフルフェナ ジンやハロペリドールのデポ剤と比較すると、投与間隔が2週間であったり、最初の立 ち上がりが非常に悪いことなど、その辺は有用性として比較はどうなのかという点を教 えていただきたいのです。そのような議論が全くここではなされていなかったのかなと 思います。 ○機構 御指摘ありがとうございます。まず、既存の統合失調症に対するデポ剤として は、定型の抗精神病薬として、4週間間隔で投与する製剤がございます。本剤は非定型 の抗精神病薬であり、御存じのとおり、近年は非定型の薬剤が統合失調症の治療の中で も第1選択薬になりつつあるという状況を踏まえますと、リスペリドンの投与を必要と される患者さんであって、コンプライアンス、アドヒアランス等に問題があるような症 例に関しましては、本剤がたとえ2週間間隔の投与であったとしても、投与される意義 はあるのではないかと考えております。 ○本橋委員 かなり中断される例が多いと外国の報告では見ておりますので、果たして 2週間ごとにきちんと打つようにやっていただけるのかなという心配はあります。  それから、もう一つ、長期投与の試験が出ているのですが、これは悪化時に経口薬を 使っていいというプロトコールだったと思うのですけれども、経口薬を使うことで維持 しているという例はないのでしょうか。その辺が分からなかったものですから、教えて いただきたいと思います。 ○機構 国内の臨床試験におきましては、原則として経口抗精神病薬の併用は禁止され ております。 ○本橋委員 長期の方は使えるようになっていたと思うのです。24週までの試験の方で はロラゼパムをレスキューに使うということであったのですけれども、長期については 悪化時には抗精神病薬の併用はカットしていたという記載があったものですから、それ はどのような影響を与えていたのかを知りたかったので、御質問いたしました。 ○機構 資料を確認いたしますので、少しお待ちいただけますでしょうか。 ○松井部会長 本橋先生、筋注で投与する場合と、経口で投与する場合と、それぞれ善 し悪しがあるのではないかと思うのですが、いかがなのでしょうか。 ○本橋委員 現実には、注射だけで維持できている方はいらっしゃらないと思うのです。 要するに、経口投与しながら、やはり薬をやめたりする方について、それに加えて保険 的な意味で注射をしているという使い方が、現実の場面では多いように思います。 ○機構 補足させていただきます。今、国内の長期投与試験において経口抗精神病薬が どの程度使われたかの詳細なデータは持ち合わせておりませんが、長期投与試験で増え るという傾向は認められておりません。先生がおっしゃったように、デポ剤のみで治療 できる患者さんは多くはないかも知れませんが、本剤の位置付けを考えますと、先生も 御承知のとおり、リスペリドンで反応しているけれども、退院されると悪化するような 症例の場合に、今は定型のデポ剤しか選択肢がないわけですが、そのような患者さんに 本剤のような非定型のデポ剤を投与するという選択肢が生まれることは意義があるもの と考えています。長期的には、経口抗精神病薬と組み合わせながらコントロールしなけ ればいけない症例もあるかとは思いますけれども、症状を安定させるという効果に関し ては、本剤を使うことでより安定的な症状の推移は得られるのではないかと考えており ます。 ○松井部会長 併用することになると、血中濃度を保つことが難しくなりはしないかと 思いますが、どうでしょうか。 ○機構 難しくなるというのは、投与後3週間は放出が認められないからということで しょうか。 ○松井部会長 はい。 ○機構 そこのところは、本剤の薬物動態プロファイルをきちんと現場に伝えたいと考 えております。先ほど添付文書でも御説明したとおり、投与後3週間は薬物放出が認め られないため、3週間の間にこの薬を増量するようなことがもしあると、薬物放出がお こる前に増量するということになりますので、必ず4週間程度は見てから本剤の増量を 検討することが必要だと考えています。それから、症状の悪化を防ぐために投与初期に は今まで服用していた経口抗精神病薬を併用して投与していただく必要があります。そ の辺りは添付文書、あるいはこれから作成しようと考えている適正使用ガイド、患者さ ん向けの説明書などの、資材を通じて十分情報提供をしていきたいと考えております。 ○松井部会長 ファーマコキネティックスをよく考慮して併用しなければいけないとい うことでしょうね。 ○機構 先ほど本橋委員からも御指摘があったように、速効性の注射剤ではないという ことをまず御理解いただかないといけないと思いますので、その点情報提供は徹底させ たいと思います。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○大石委員 確認させていただきたいのですが、添付文書(案)の薬物動態のグラフで、 横軸の単位が「時間(日)」、次のページも「時間(日)」と書いてあります。ほかのデポ 剤はどのように書いてあるか確認していないのですが、これはむしろ「日」だけの方が 間違えないような感じがします。 ○機構 御指摘ありがとうございます。御指摘の点を踏まえて改善させていただきたい と思います。 ○松井部会長 検討してください。ほかに御意見、御質疑はございませんでしょうか。 よろしいですか。ありがとうございました。それでは、議決に入ろうと思います。清水 委員、千葉委員、古川委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づ きまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認 を可としてよろしいでしょうか。異議はありませんか。それでは、異議がないようです ので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。  議題4に入ります。議題4について、医薬品機構から御説明をお願いします。 ○機構 それでは、議題4、資料4、医薬品アピドラ注カート、同注オプチクリック、 同注ソロスター、及び同注100単位/mLの製造販売承認の可否等について、総合機構よ り御説明申し上げます。  本剤は、新規有効成分としてインスリン グルリジン(遺伝子組換え)を配合した超速効 型インスリンアナログ製剤であり、速効型ヒトインスリンに比べて作用発現が早く、作 用持続時間が短いという特徴を有しています。国内においては、超速効型インスリンア ナログとして、既にインスリン リスプロとインスリン アスパルトが販売されています。  海外において本剤は、2008年5月現在、米国及びEUを含む世界80か国以上で承認 されております。  本品目の専門協議では、資料13に示す方々を専門委員として指名させていただいてお ります。  本薬の品質、安定性、薬理、薬物動態及び毒性に関して、提出された資料について指 摘を行い、適切な対応がなされましたので、臨床試験成績について説明させていただき ます。  審査報告書の54ページの図1に示しましたように、1型糖尿病ではブリッジング戦略 がとられ、2型糖尿病では日本人と韓国人を組み入れた第III相試験が実施されました。  成人1型糖尿病患者における有効性については、42ページの表1に示しましたよう に、国内第III相試験(ブリッジング試験)において、主要評価項目であるHbA1cの変化量に 関して、本薬群のリスプロ群に対する非劣性が検証されました。また、44ページの表3 に示しましたように、海外第III相試験(ブリッジング対象試験)において、主要評価項目 である糖化ヘモグロビン(GHb)の変化量に関して、本薬群のリスプロ群に対する非劣 性が検証されました。以上のことから、成人1型糖尿病患者における有効性は示されて いると判断しました。なお、ブリッジング試験とブリッジング対象試験における主要評 価項目の違いについては、57ページの上から5行目に記載しましたように、糖化ヘモグ ロビン(GHb)とHbA1cの換算関係が示されていることなどから、比較検討することに問 題はないと判断しました。  成人2型糖尿病患者における有効性については、52ページの表12に示しましたよう に、第III相試験において、主要評価項目であるHbA1cの変化量に関して、本薬と経口血糖 降下剤併用群の経口血糖降下剤単独群に対する優越性が検証されました。さらに、57ペ ージの表16に示しましたように、日本人と韓国人における有効性に大きな違いは認めら れなかったことから、成人2型糖尿病患者における有効性は示されていると判断しまし た。  1型及び2型を含めた糖尿病患者における安全性については、63ページの表21及び 表 22に示しましたように、大きな問題はないと考えていますが、71ページの「(2)製造販 売後調査について」の上から4行目に記載しましたように、低血糖、注射部位反応、ア ナフィラキシー反応、抗体産生等を含め、長期使用時の安全性を製造販売後調査におい て検討する必要があると考えています。  以上のとおり、総合機構での審査の結果、本薬の「インスリン療法が適応となる糖尿 病」に対する適用を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議され ることが適当と判断しました。  本薬は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断 しております。なお、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製 品のいずれにも該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げま す。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質疑をお願い いたします。いかがでしょうか。 ○野田委員 本薬に限るわけではないですが、サノフィ・アベンティス社のペン型製剤 が、当時、アベンティスであったころからデバイスにいろいろ問題があったという経緯 があり、現在、2種類のペン型注射器があるわけですけれども、今回も二つのペン型注 射器に対応する薬剤が申請されているということかと思いますが、その理解でよろしい でしょうか。また、その場合、この状況がずっと続いていくのでしょうか。 ○機構 御指摘のように、サノフィ社が今販売している持効型のランタスで、オプチク リックが不具合で、臨床現場を非常に混乱させてしまいました。今回の申請品目の中に オプチクリックがありますが、今回のものは改良型ということです。不具合を発生させ たものは、液晶部分に不具合が生じていまして、それは現在、改良型に交換されていま す。今回申請されたオプチクリックも改良された型です。  一方で、この3月にイタンゴという注入器が臨床現場に供給できる体制が整ったとい うことを聞いております。そのイタンゴに対応するものが、今回のアピドラ注カートと なっています。ただ、イタンゴも、実際に臨床現場で使っていただいてみないと、不具 合がどうなのか、使い勝手がどうなのかというところは現時点でまだ分かりません。評 価が高ければ、もしかしたらオプチクリックに替わってこちらにシフトするかもしれな い、さほどでなければ、両者共存という場合も可能性としてはあり得るという状況です。 少なくともオプチクリックの改良型に替わることで、不具合報告は国内外含めて3分の 1〜4分の1くらいに減っているという状況です。 ○野田委員 現場の状況を考えますと、イタンゴかオプチクリックかどちらかに統一し ていく方向で検討していただけると、現場としては有り難いと思います。 ○機構 最近、インスリンのデバイスの改良には目覚ましいものがありますので、各社 いろいろなデバイスを出していると思います。薬が良くてもデバイスが悪ければ現場で は使ってもらえませんので、改良については引き続き、ランタスで起こしたような不具 合は二度と起こさないようにということは審査の過程で申請者に指導してまいりまし た。今後、オプチクリックがどうなるか、イタンゴが期待どおり使い勝手がいいものか、 そこはしばらく時間がかかるかと思いますが、本日いただいた意見を申請者に伝えて、 適切に対応するように指導したいと思います。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。御意見、御質問はありませんでしょうか。よ ろしいですか。ありがとうございました。それでは、議決に入ろうと思います。なお、 野田委員、古川委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまし て、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可とし てよろしゅうございますでしょうか。異議はございませんか。異議無しと認めます。承 認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。  次に、議題6に入ります。議題6につきまして、医薬品機構から概要を説明してくだ さい。 ○機構 それでは、議題6、資料6、医薬品ニフレック内用、ガスモチン錠2.5mg、同 錠5mg、同散の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し 上げます。  経口腸管洗浄剤であり既に大腸内視鏡検査前処置における腸管内容物の排除の効能を 有しているニフレックについては、その開発時に注腸X線検査の前処置法としての検討 もされておりましたが、臨床試験における有効率が51.2%と低かったため、開発が断念 されたという経緯がございます。有効性が低かった原因としては、ニフレックの溶解液 が検査時までに十分に排出されなかったため、造影剤(バリウム)の腸管粘膜に対する付 着性が低下したことが考えられております。  しかし、近年、注腸X線検査の前処置にセロトニン5-HT4受容体作動薬であるモサ プリドクエン酸塩とニフレックを併用することで良好なX線画像が得られたことが報告 されておりまして、検査当日だけで前処置が可能であるニフレックとモサプリドの併用 が、現在前処置の主流となっておりますブラウン変法よりも簡便で身体的負担が少なく なることが期待されると考え、開発が行われております。  なお、本申請におけるモサプリドクエン酸塩の投与量は、検査前1回限りの使用では ありますが、1日用量として既承認用量である1日15mgの2倍量以上である40mgとな っております。  ニフレックと同一組成の製剤が1984年から米国で販売されておりまして、世界中で広 く使用されております。本邦においては1992年に「大腸内視鏡検査及び大腸手術時の前 処置における腸管内容物の排除」の効能・効果で承認されております。  モサプリドクエン酸塩を含有するガスモチンに関しては「慢性胃炎に伴う消化器症状 (胸やけ、悪心・嘔吐)」の効能・効果で1998年に本邦で承認され、海外では中国及び韓 国でも承認されてございます。  また、海外においてニフレックと同一組成の製剤とモサプリドクエン酸塩の併用によ る注腸X線造影検査の前処置の効能は、2008年10月現在、承認されておりません。  本品目の専門協議では、本日の配付資料13に示しますような専門委員が指名されてお ります。  審査の概要の説明に移らせていただきます。臨床試験成績を中心に説明させていただ きます。  臨床試験成績としては、国内臨床試験4試験が評価資料として提出されております。 そのうち第III相試験を中心に説明させていただきますが、第III相試験の概要は報告書の 15、16ページに記載しております。  まず、有効性に関してですが、報告書16ページの表11に示しますように、注腸X線 検査を受ける予定の被験者を対象に実施された第III相試験で、主要評価項目である「右 大腸バリウムの付着性スコア」及び「右大腸便残渣の量スコア」において、ニフレック とガスモチン併用群のブラウン変法群に対する非劣性が示されておりまして、また、報 告書22ページの表20にその他の副次評価項目における成績も記載しておりますが、そ の他の副次評価項目においてもブラウン変法群と同様の効果が認められていると考えら れたため、ニフレックとガスモチン併用の有効性は認められると判断しております。  また、安全性に関してですが、報告書23ページの表21を御覧ください。提出された 臨床試験成績をまとめたものになりまして、MA群がニフレックとガスモチンを併用し た群、MB群がブラウン変法群になりますが、ニフレック/ガスモチン併用群とブラウン 変法群を比較した場合に特段注意すべき有害事象は認められておりません。また、報告 書 24ページの表22に過去の市販後調査結果を記載しておりますが、そちらの成績等を踏 まえても、それぞれ単独使用時と比べて特段注意すべき事象は認められないと考えてお ります。  以上の結果から、ニフレック/ガスモチン併用の注腸X線検査前処置における有効性は 認められ、安全性は忍容可能であると考えましたため、ニフレックの効能・効果を「バ リウム注腸X線造影検査の前処置における腸管内容物の排除」、ガスモチンの効能・効 果を「経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助」とすることが適 当と判断し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  なお、ニフレック及びガスモチンはいずれも新効能、新用量医薬品であることから、 再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を 予定しております。  御審議、どうぞよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質疑をお願い いたします。いかがでしょうか。 ○清水委員 ガスモチンの添付文書(案)のところですが、効能・効果と用法・用量を今 回はひとまとめにした形の記載振りになっておりますが、これは何か特別な理由があっ たのでしょうか。 ○機構 特段の理由はありませんでしたが、通常余り見られないような形だと思います ので、申請者に指導させていただければと考えます。 ○清水委員 よろしくお願いします。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員 22ページに「しかし、今回の臨床試験では認められていないものの、ニフ レック単独投与時に腸管穿孔、腸閉塞等、重篤な有害事象が認められており」という記 述があるのですが、この根拠、あるいはその背景となっている調査内容のようなものは、 どこかに示されていますでしょうか。 ○機構 腸管穿孔に関しては、今回の臨床試験では認められておりませんが、過去の市 販後調査において腸管穿孔等が認められた事象がございまして、こちらの点については 添付文書等にも注意喚起をしてございます。 ○加藤委員 さらに、「モサプリドの併用により消化管内容物の排泄が亢進されること を勘案すると」というのは、それについての実験的、あるいはこの製剤に関してのフォ ローアップというのは、指示があるのでしょうか。 ○機構 腸管穿孔の起こるメカニズムとしては、腸内にがん等があって狭窄が起こって いるような場合に、ニフレックのような水分が多く入ったときに圧力が高まり穿孔が起 こると考えられており、モサプリドを併用することで、ぜん動運動が亢進することでそ の発生頻度が高くなる可能性を懸念しておりまして、その点については市販後において も重々注意しながら調査をしていただく予定としております。 ○松井部会長 大変細かいことで恐縮ですが、表21の真ん中辺りに「尿中血陽性」とあ りますが、これは恐らく血尿のことだと思います。使わない言葉だと思うので。 ○機構 確かに先生がおっしゃるように使わない言葉ではございますが、事象名として こういう形で集積されておりましたので、そのまま使用させていただきました。 ○松井部会長 それでは変えるわけにはいかないですね。分かりました。ほかにいかが でしょうか。御質疑はありませんでしょうか。ありがとうございました。それでは、議 決に入ります。なお、大石委員、加藤委員、千葉委員、野田委員、古川委員におかれま しては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議 題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議はありませんか。ありが とうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させて いただきます。  続いて、議題7に入ります。事務局から概要を説明してください。 ○事務局 グラチラマー酢酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否に関しま して、資料7に基づいて説明いたします。資料7を御覧ください。医薬品医療機器総合 機構が事前評価を取りまとめておりますので、二番目の緑の耳をおめくりください。指 定要件である対象者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点について御説明申し上げ ます。  なお、本品目の名称について、Copolymer1としての申請に基づき事前評価報告書が作 成されましたが、名称の一般性の観点から、諮問書のとおり、グラチラマー酢酸塩へ変 更になっております。  品目の名称はグラチラマー酢酸塩、対象疾患は再発寛解型多発性硬化症における再発 頻度の軽減、申請者はテバファーマスーティカル株式会社でございます。  初めに、対象者数について説明いたします。1ページの下段を御覧ください。平成16 年に行われた全国臨床疫学調査では、多発性硬化症の国内患者数は、疑い例を含めて 12,400人、疑い例を除いて9,900人と推定されています。また、下から3行目になりま すが、平成19年の多発性硬化症に対する特定疾患医療受給者証の交付件数は12,658件 でした。  2ページに移りまして、北海道の1地域で行われた調査では、2000年〜2006年の間で 多発性硬化症の有病率が10万人当たり8.6人から13.1人へ増加しておりますが、本有 病率を基に推定した国内患者数は17,000人程度であり、有病率が増加傾向を示してはい るものの、多発性硬化症の国内患者数は希少疾病用医薬品の指定要件である5万人以下 を満たすものと考えられます。  次に、医療上の必要性について説明いたします。多発性硬化症は、中枢神経系の慢性 の自己免疫疾患でありますことから、中枢神経系の髄鞘が破壊され、中枢神経系の炎症 と神経変性過程の結果として神経壊死が起こります。疾患の進行とともに軸索の喪失が 起こり、時間とともに拡大することで進行性の永続的な神経損傷が生じ、重度の障害に つながることがあります。神経壊死は中枢神経系の様々な部分で起こり得るため、感覚 障害、運動障害等、多彩な症状を示します。ほとんどの患者では、症状の再発及び寛解 が一過性に認められ、その転帰は、完全に回復することも、永続的に障害を残した形で 回復することもあります。  既存の治療法として、再発時の急性期にはステロイドパルス療法や血漿交換療法が行 われておりますが、長期的な改善効果を示すデータはありません。多発性硬化症の再発 及び疾患進行の防止を目的とした治療薬として、本邦ではインターフェロンβ-1a及び インターフェロンβ-1bの2品目が承認されておりますが、うつ病や重篤な肝疾患等の 有害事象、中和抗体等の発現が知られております。  本剤の作用機序は明確になっておりませんが、抗原提示細胞表面の主要組織適合遺伝 子複合体クラスII分子と結合し、抗原特異的T細胞の活性化を阻害すること等により、 抗炎症作用を示すと考えられております。  本剤は、海外におけるプラセボ対照試験において、多発性硬化症に対する有効性を示 したほか、次のページになりますが、インターフェロンβ製剤との比較試験において、 同様の効果が認められました。また、本剤はインターフェロンβ製剤と作用機序が異な ること、インターフェロン製剤の副作用発現時に切替えが可能であることなどから、本 剤の有効性及び安全性が検証されれば、多発性硬化症の治療に貴重な選択肢を与えるも のと考えられます。  三つ目に、本剤の開発の可能性について説明します。本剤は、1996年に米国で承認さ れたのを始め、EU等47か国で承認され、多発性硬化症の治療薬として広く使用されて おります。本邦におきましては、希少疾病用医薬品としての指定を受けた後に、臨床試 験計画について医薬品医療機器総合機構との対面助言を実施した上で、臨床試験が実施 される予定です。よって、開発の可能性はあると考えられます。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、本剤について は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いい たします。 ○山本委員 専門ではないので分かりませんが、我が国のMSと欧米のMSはタイプが 違うものであって、HLAも我が国の分布と海外とは違うはずなのですが、会社の方か ら何か、それでもやる価値があることを示すような根拠はあるのでしょうか。 ○事務局 これから日本において治験を行う予定でございますので、その間で明らかに していきたいと考えております。 ○松井部会長 私の説明が足りなかったのですが、これは希少疾病用医薬品として指定 することの可否についてでございますので。 ○山本委員 昔、これとは違いますが、同等な作用機序で効くはずの薬が、NIHの治 験でやったために患者さんが悪くなったという事例がありますので、一応そういうこと の情報は前もって集められるだけ集めておいた方がいいと思います。 ○事務局 承知いたしました。 ○松井部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。 ○永井部会長代理 作用機序が不明ということですが、どういう経緯で開発されたかと か、この構造をどうやって決めたのかということが分かっていたら教えていただきたい のですが。 ○松井部会長 構造はどこかにあるのでしたか。 ○機構 構造は27ページです。 ○機構 詳細なところは我々も把握しておりませんが、もともとコポリマーということ で、免疫抑制作用、今回は特にMHCII分子と結合してT細胞の活性を抑制するという ような、その免疫抑制作用をメインのターゲットとして、もともと多発性硬化症が主体 ではなかったと聞いております。その中で、臨床的に使っていく上で、欧米の方で多発 性硬化症に効くだろうというような探索的な研究結果が発表されてから、具体的な臨床 開発が始まったと認識しておりますので、むしろ多発性硬化症の発症機序自体がまだよ く分かっていないような状況の中で、いろいろ探索する中で見付かってきたというのが、 この薬を使うに至った経緯だと理解しております。  それから、先ほど欧米と違うのではないかという御意見がありましたが、そこが神経 学会を始めとしていろいろな所で議論されていることは我々も承知しておりますので、 実際の違いであるとか、この薬の作用機序が本邦の多発性硬化症患者に実際にどの程度 効いて、どの程度安全なのかということは、今後の臨床開発の中で十分検討していきた いと考えております。 ○松井部会長 ほかにいかがですか。 ○手島委員 指定申請書の中に、グラチラマー酢酸塩投与でも抗体が認められるが、こ の場合は中和抗体ではなく効果が減弱することはないという表現があるのですが、その 理由はどういうことでしょうか。恐らくこれは、皮下投与で使うということで、皮下の 部分でペプチドがかなりの加水分解が起きるからということかと思うのですが、教えて いただければと思います。 ○機構 今は詳細が分かりかねますので、こちらの方でもう一度確認させていただいて、 御連絡させていただきます。 ○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。質疑はありませんか。 ありがとうございました。それでは、議決に入ろうと思います。なお、永井委員、野田 委員、古川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参 加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、指定を可としてよろしいで しょうか。御異議はありませんか。それでは、御異議はないと認めます。指定を可とし、 薬事分科会に報告とさせていただきます。  審議事項は終わりましたので、報告事項に入ります。説明をお願いいたします。 ○機構 報告事項議題1「医薬品アクトス錠15及び同錠30の製造販売承認事項一部変 更承認について」報告いたします。本剤は、ピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする経 口血糖降下薬であり、現在は、本剤の単独使用又は本剤とスルホニルウレア剤、α-グル コシダーゼ阻害剤若しくはビグアナイド系薬剤との併用について承認されております。 今般、武田薬品工業株式会社から、本剤とインスリン製剤との併用について効能・効果 を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器 総合機構における審査の結果、本剤とインスリン製剤を併用した際の有効性及び安全性 が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  議題2「医薬品エルネオパ1号輸液及び同2号輸液の製造販売承認について」報告い たします。本剤は、既承認の高カロリー輸液であるネオパレン輸液に微量元素を組み合 わせた4室ソフトバッグの製剤であります。今般、「経口・経腸管栄養補給が不能又は 不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、カロリー、アミノ 酸、ビタミン、亜鉛、鉄、銅、マンガン及びヨウ素の補給」を効能・効果として申請が なされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えな いと判断いたしました。  議題3「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたします。資料番号 は10-1〜10-8で、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。資料10-1は、 一般的名称は「酢酸ブセレリン」、販売名は「スプレキュアMP皮下注用1.8」のもの、 資料10-2は、一般的名称は「酢酸ナファレリン」、販売名は「ナサニール点鼻液0.2%」 のもの、資料10-3は、一般的名称は「L-イソロイシン、L-ロイシン、L-バリン」、 販売名は「リーバクト顆粒」のもの、資料10-4は、一般的名称は「モンテプラーゼ(遺 伝子組換え)」、販売名は「クリアクター 他」のもの、資料10-5は、一般的名称は「イ オプロミド」、販売名は「プロスコープ150注200mL 他」のもの、資料10-6は、一般 的名称は「イコサペント酸エチル」、販売名は「エパデールカプセル300 他」のもの、 資料10-7は、一般的名称は「メカセルミン(遺伝子組換え)」、販売名は「ソマゾン注射 用10mg 他」のもの、資料10-8は、一般的名称は「ナテグリニド」、販売名は「ファス ティック錠30他」のものです。これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市 販後臨床試験、特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法 第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すな わち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」 と判定したものです。以上です。 ○松井部会長 ここで切りまして、報告事項ではございますが、御質問があれば受け付 けたいと思います。 ○野田委員 アクトスですが、これはインスリンの場合は30mgまでということで申請が されたということでよろしいのですか。 ○機構 アクトスは、インスリン併用の場合は30mgまでということで効能・効果として おります。本試験では、審査報告の18ページで用法・用量に関する議論をしております。 この中段辺りで、本剤45mg/日併用群では浮腫関連事象の発現率が上昇すると考えられ ると議論しておりまして、浮腫や心不全の症状・徴候を十分観察しながら慎重に投与し て、1日量として30mgを超えない旨を用法・用量とするというように今回審査しており ます。 ○野田委員 ありがとうございました。 ○松井部会長 ほかにございますか。ないようでしたら、議題1〜3につきましては御 確認いただいたものといたします。議題4につきまして御説明をお願いします。 ○事務局 議題4、資料11でございます。「「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確 保のための指針」について」という資料を御覧ください。  1.概要でございますが、バイオ後続品に関しましては、国内で既に承認されましたバ イオテクノロジー応用医薬品(以下「先行バイオ医薬品」という。)と同等/同質の医薬品 として、異なる製造販売業者により開発される医薬品のことでございます。  なお、ここで言う「同等/同質」につきましては、先行バイオ医薬品に対しまして、品 質特性が全く同一ということを意味するものではなく、品質特性において類似性が高く、 かつ、品質特性に何らかの差異があったとしても、最終製品の安全性、有効性に有害な 影響を及ぼさないと科学的に判断できるもののことを意味しております。  厚生労働省におきましては、これまで審査基準の明確化ということで各種ガイドライ ン、指針を作ってまいりましたが、そのような観点から、本指針におきましても、バイ オ後続品の開発を行う際に配慮すべき要件を示すとともに、承認申請に必要なデータに ついて明らかにしたものでございます。  本指針につきまして、項目として下の方に書いておりますが、詳細につきましては4 ページから指針が添付されております。指針全体の内容につきましては省略させていた だきますが、1ページにお戻りいただきまして、本指針におきまして、適用となる範囲、 一般的原則、製法・品質特性の解析、品質特性に関する同等性/同質性の評価試験、規格 及び試験方法、非臨床試験、臨床試験、製造販売後調査に関して留意すべき事項等を記 載しております。  2.今後の対応といたしましては、昨日、第二部会に報告し、本日、第一部会に報告い たしまして、その後、通知等を発出したいと思っております。また、今後とも、最新の 知見を踏まえまして、必要に応じ改訂することを考えております。  薬事・食品衛生審議会との関係でございますが、バイオ後続品につきましては部会報 告という形で、承認の際には報告させていただきたいと考えております。以上でござい ます。 ○松井部会長 ただ今の点につきまして、御質問はございますか。 ○檜山委員 ガイドラインの内容については、外での議論等がされておりまして、ある 程度理解していたつもりで、よくまとめられていると思います。今の最後のポイントで すが、通知の案にもありますし、今後の対応の(2)で部会報告とされているのは、この 部会、別の部会でも構わないのですが、審議ではなくて報告と理解してよろしいでしょ うか。もしそうであるとしたら、そう判断された根拠を説明していただければと思いま す。 ○事務局 資料の23ページにございますとおり、バイオ後続品は、一連の中身の中で (7)に位置するものとして考えております。判断根拠といたしましては、審議事項にす るのか、報告事項にするのかということにつきましては医療用医薬品に関しての審議事 項の申合せの中で決めておりますが、その中で部会報告ということで、新効能医薬品や 新用量医薬品につきましても報告事項ということで取り扱っております。  バイオ後続品は、一般的にはバイオではなくて、化学品であればジェネリックという ような形で、既承認の先発品と生物学的同等性が証明されたものにつきましては、通常、 事務局処理という形になっております。ただ、今回は、バイオテクノロジー応用医薬品 を先行医薬品として、同等/同質、完全に同一ではないというものに関して、有効性、安 全性の面で評価したことにつきまして、部会にも報告した上で、もし何かあればそうい う所で意見等もいただければと思いますが、現時点では報告という形が適切ではないか と考えております。 ○事務局 補足させていただきます。この部会における、審議であるのか、あるいは報 告であるのかとの取扱いでございますが、新有効成分である場合は原則として部会審議 であり、かつ分科会においても審議をいただくというのが原則でございます。ただし、 新有効成分であっても、同じカテゴリーの類似の薬があるような場合には、部会で審議 した後に分科会で報告という取扱いをさせていただいております。  また、新有効成分以外のものであって、例えば効能を追加する、あるいは投与経路が 変わる、用量を追加するというような、いわゆる一部変更申請のようなものにつきまし ては、大きく二つあります。一つは投与経路が明らかに変わるもの、あるいは効能の追 加におきましても明らかに従来のものと異質なものを追加するもの、用量につきまして も大幅な増量等をすることによって、単純な用量増加だけではなくて、上乗せ的な薬理 作用を要するものにつきましては部会審議、それ以外の軽微なものは部会報告とさせて いただいております。  バイオ後続品につきましては、従来であれば、製法が変われば完全に同一とは言えな いということから、どちらかと言いますと新有効成分に近いような取扱いをしてきたと いうことでありまして、部会審議とさせていただいていたところでございますが、今般、 同等性/同質性等の指針を示すことから、むしろ新有効成分ではなくて、既存の成分に多 少変更を加えたような程度のものであるということから、部会報告という位置付けにさ せていただくと考えております。 ○山本委員 今後、抗体医薬品がたくさん出てくると思うのですが、抗体に対しても同 じような指針が適用されるのでしょうか。 ○事務局 抗体におきまして別メーカーが出してくるものに対して、バイオ後続品とし て審査される可能性はあると考えております。 ○松井部会長 よろしいですか。以上、議題4までの御報告を確認していただいたこと といたします。  本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。 ○事務局 本年1月の医薬品第一部会において御審議いただきました医薬品ノルディト ロピンS注5mg、同注10mg、ノルディトロピン ノルディフレックス注5mg、同注10mg 及び同注15mgの再審査期間の指定について御報告申し上げます。  1月の部会におきましては、本剤は新効能・新用量医薬品でありますことから再審査 期間を4年間と判断する旨申し上げて議決をいただいたところでございます。しかしな がら、事務局でチェックをいたしましたところ、類似の医薬品が既に承認されており、 再審査期間は残余期間とすることが適当であることが判明いたしましたため、再審査期 間は医薬品ヒューマトロープ注射用6mg及び12mgの残余期間である平成22年4月19 日までとするとした答申とさせていただきました。審議会長の御了解をいただきまして、 ここに御報告申し上げます。失礼いたしました。 ○松井部会長 ありがとうございます。本日の議題は以上でございます。次回の部会は、 既に御案内のように、来月はございませんで、4月24日(金)の午後4時から開催させて いただく予定でございます。今日の事務局、機構の方からの説明は、私ども委員にとっ て大変分かりやすかったと思います。お手間が増えるかとは思いますが、是非これを続 けていただきたいと思います。  それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)