09/02/26 第3回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録 第3回 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録   平成21年2月26日(木) 14:00〜16:00   厚生労働省 共用第7会議室                            (5階) ○石川補佐  ただ今より、第3回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催いたします。  本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。  本日は、新たにご就任いただきました3人の委員の先生がいらっしゃいますので、ご紹 介させていただきます。  小川彰岩手医科大学学長です。 ○小川委員  小川です。よろしくお願いいたします。 ○石川補佐  河野陽一千葉大学医学部附属病院長です。 ○河野委員  河野でございます。よろしくお願いいたします。 ○石川補佐  もうお一方、吉岡章奈良県立医科大学学長先生がいらっしゃいますが、本日はご欠席と 伺っております。  また、本日は相川委員が欠席です。飯沼委員が遅れてのご出席というふうに伺っており ます。  それでは、外口医政局長からご挨拶を申し上げます。 ○外口医政局長  医政局長の外口でございます。本日は大変お忙しいところご出席いただきまして、あり がとうございます。  医師認証研修制度につきましては、研修医の診療能力が向上したという評価がある一方 で、大学の医師派遣機能が低下し地域の医師不足の要因となったとの指摘もあるところで ございます。このため、臨床研修制度の在り方等について検討を行うことを目的として、 昨年9月より文部科学省と厚生労働省と合同で臨床研修制度の在り方等に関する検討会を 開催いたしました。先週18日にはこの検討会におきまして、臨床研修制度等に関する意見 の取りまとめが行われました。  厚生労働省としては、この意見の取りまとめを踏まえて、文部科学省とも十分連携しな がら、臨床研修制度の見直しを行い、平成22年度から研修を開始する研修医から適用した いと考えております。  本日は、合同検討会の意見のとりまとめの内容を報告させていただきまして、研修プロ グラムの基準や研修医の募集定員や臨床研修病院の基準などについて、具体的な対応方針 についてご議論をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○石川補佐  それでは、まず初めに資料の確認をさせていただきたいと思います。  では、その前にカメラの方にご退席いただきたいと思います。 〔プレス退出〕 ○石川補佐  では、一番上にありますのが本日の部会の議事次第となっております。次が部会の委員 名簿というふうになってございます。次が座席表。次が資料1となっておりまして、ホチ キス止めの横紙で、「臨床研修制度のあり方等に関する検討会について」です。次が資料 2、「検討にあたってのたたき台」。次が参考資料1としまして、「臨床研修制度等に関 する意見のとりまとめ」。参考資料2につきましては席上配付のみとなっておりますが、 「医師養成のためのグランドデザイン全国医学部長病院長会議からの提言」となっており ます。なお、これは全国医学部長病院長会議のホームページ上で公開されております。最 後に参考資料3、「臨床研修の到達目標」となっております。  過不足等ありましたら、事務局にお申し付けください。  以上です。 ○齋藤部会長  それでは早速、議事に入りたいと思います。今から4時まで2時間あります。  まず、本日の議題は2つありまして、最初に臨床研修制度のあり方等に関する検討会の 意見のとりまとめについて、それから、臨床研修制度の見直しについてとなっております。  今、医政局長からお話がありましたように、文部科学省と厚生労働省、合同で開催した 臨床研修制度のあり方等に関する検討会におきましては、意見のとりまとめが行われまし た。そのとりまとめに沿って、厚生労働省では制度の見直しを行うと聞いております。こ のとりまとめは、基本的な考え方を示したものなので、具体的なことは本部会で議論する 必要があると考えております。  それでは、まず事務局のほうから関係資料の説明をしていただきまして、その後、皆様 からのご意見を伺いたいと思います。まず1点目お願いします。 ○田原室長  それでは、資料1と参考資料1に基づきましてご説明をしたいと思います。  資料1は、今お話のありました、臨床研修制度のあり方等に関する検討会についてでご ざいます。横紙の3枚紙でございます。  ご覧いただきますように、昨年の9月からヒアリング等々を行いまして、2月18日に意 見のとりまとめを行っております。高久先生が座長をしております検討会でございます。 その具体的な意見のとりまとめは、参考資料1のほうにございますけれども、これは非常 に量が多うございますので、資料1にそれの概要をまとめたものがございます。こちらで 説明させていただきたいと思います。  1枚めくっていただきまして、「意見のとりまとめの概要(1)」でございます。臨床研修 制度導入以降の状況が何点かございます。  各病院が特色ある研修を展開していく上で、研修プログラムの基準の見直しが必要であ ると。  また、多くの診療科での研修を一律に課すことが研修医のモチベーションを損なう面が ある。  また、医学部教育改革の動向と臨床研修制度が十分に連動しておらず調整が必要。  受入病院の指導体制等に格差が生じていて、臨床研修の質の一層の向上が必要である。  また、大学病院の医師派遣機能が低下し、地域における医師不足問題が顕在化している。  募集定員の総数が研修希望者の1.3倍を超える規模まで拡大して、研修医が都市部に集 中している、というような状況を踏まえまして、臨床研修制度の基本理念、またこの基本 理念というのは、医師としての人格をかん養するということと、基本的な診療能力の修得 ということでございますけれども、それとこの基本理念に基づきました到達目標を前提と いたしまして、(1)にあります研修プログラムを弾力化するということ。  それから、(2)にあります卒前・卒後の一貫した医師養成を目指して、研修の質の向上・ 学部教育の充実を図るということ。  また、医師の地域偏在対応、大学等の医師派遣機能強化、研修の質の向上の観点から募 集定員などを見直すという内容でございます。  1枚めくっていただきまして、具体的な見直しの方向、大きな方向でございますけれど も、大きく3つございまして、まず研修プログラムの弾力化といたしまして、必修の診療 科は内科6カ月以上、救急3カ月以上にとどめる。  それから、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科、これは従来必修でございました けれども、これらを選択必修といたしまして、この中から2つの診療科について選択をす るということ。  それから、内科、救急など基本的な研修を1年間として、2年目から将来のキャリアに 応じた研修も可能とする。  現在行われているような多くの科を巡回するローテーションする研修も、引き続き実施 できるようにする。  また、一定規模以上の病院につきましては、産科など医師不足診療科の研修プログラム を義務づけるということ。  研修の2年目には、地域医療研修1カ月以上を必修とする、という内容でございます。  また、募集定員や受入病院の在り方の見直しにつきましては、研修医の適正配置を誘導 するため、都道府県別の募集定員の上限を設定する。  また、各病院の募集定員は、研修医の受入実績等を踏まえ、医師派遣実績等も勘案して 設定をする。  また、募集定員の大幅な削減の対象となる場合などにつきましては、一定期間の経過措 置を設ける。  また、産科・小児科医が少ないといったような地域の実情につきましても十分勘案する ということもございます。  また、研修の質の向上のため、研修プログラムを管理する病院、これは管理型病院、単 独型の病院でございますけれども、そういった指定基準を強化する。  引き続き、受入病院が公表した研修プログラムを研修希望者が全国規模で選択できるよ うにするというような内容でございます。  臨床研修制度に関連する制度等の見直しといたしまして、(3)でございますけれども、 臨床実習の充実を図るなど医学教育のカリキュラムの見直しを行う。  医学部入学における地域枠などの拡大を進める。  大学病院等による医師派遣機能を、開かれたシステムとして再構築する。  5年度を目途に改めて制度見直しについて検討するという内容でございます。  以上でございます。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。  この今のとりまとめについて何かご意見、あるいはコメント、追加することはございま すでしょうか。  こちらの参考1のほうは、今の骨子プラス、後ろのほうにいろんな主な意見がたくさん 書いてありますけれども。 ○冨永委員  1枚目の「臨床研修制度導入以降の状況」という部分の一番最後、(6)に、研修医が 都市に集中ということで、いわゆる地域といいますか、地方に研修医が集まらないという ことがあるのが大きな問題として取り上げられたと思います。片や、2枚目の(2)の○ の2つ目ですが、研修医の受入実績等を踏まえ、医師派遣実績等も勘案して設定するとい うのが募集定員で出ておりまして、これとの関連ですけれども、今、研修医総数の1.3倍 の枠があるわけです。実績をどういうふうに評価するかということをこれから論じられる のかもしれませんけれども、都市集中ということで、若い人が都市を好むということもあ りまして、現在、1.3倍の枠があるから田舎の病院に研修医が行ってない傾向があります。 田舎であってもプライマリーケアの研修に適切な病院、即ち指導体制や症例数などの体制 を踏まえて適切な病院であれば、今まで実績がないから切り捨てるというのでなくて、総 合的に判断していただきたいと思っております。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 ○山下委員  これに基づいて、これから検討して新しいシステムをつくっていかれると思いますので、 細かい議論はこれからあると思いますが、総論的なことで2つほど、私の感想に近いんで すけれども、意見を述べさせていただきたい。  この臨床研修制度は、とにかく非常に能力に優れた医師を世の中に送り出すということ が眼目でありますから、そういういわゆる基本的な考え方と、研修プログラムの弾力化と 言いながら、研修は内科、救急クリニックの必修というのがどうもつながらない。プログ ラムの内容によっていろいろな科が入ってきて、例えば外科、内科があってしかるべきで、 プログラムの内容によってこういうものを検討するべきであって、最初からこういうのが 内科必修……もちろん内科をやることが不十分だとは言いませんけれども、その中で外科、 産婦人科がどうのこうのというのを選択必修にするという、そのコンセプトが私は理解で きません。  ですから、この内容に関してはここできちんと検討していただきたい。要するに、到達 目標をどうやって達成するかということから、これのプログラム、特に長い研修期間3カ 月とか6カ月を十分に研修するというのは非常にいいことですので、全身的な管理ができ るということであれば、内科または外科を必修のところに持ってくるのが、私の感覚とし ては妥当だというふうに思います。  それから、ここのこれから非常に問題になるのが、今、冨永先生もおっしゃいましたけ れども、どういうふうにして適正な募集定員とか病院を選んでいくかということでありま すけれども、これはやはりどうしてもやっぱり増えるところ減るところが必ず出てくるわ けで、それに対して国民が納得するような、いわばクライテリアといいますか考え方を示 すべきで、ここに3つ掲げてあるのは非常にいいことでありますが、基本的な考え方(3)の 「地域偏在対応」というのが、これからご説明があるのが中心になっているような考え方 であって、本来はやっぱり研修の質の向上のために、病院をきちんと、こういう病院がい いんだと議論して、それを積み上げていって、どこにはどういう病院があるからだという のが、基本的にはセットになって募集定員というのは考えるべきでありますので、要する に、これはこれ、あれはあれという考え方ではなくて、総合的な判断をして、どの地域に はどの病院があって、だからこのキャパシティとして教育をきちんと質を保証するのはこ れだけの定数ですよというのがまずないと、数合わせになってしまう。いったい何を勉強 させるのかということを問われたときに、答えられなくなってしまうというようなことが あると思いますので、そういうふうなことをご検討いただきたいと思います。  以上です。 ○齋藤部会長  そのほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○西澤委員  このあり方に関する検討会で議論されたとりまとめで、これに基づいてするわけですけ れども、基本的な考え方ということで(1)、(2)、(3)ありますが、その根底となるのは、やは り「医師としての人格のかん養と基本的な診療能力の修得」という基本理念、到達目標を 前提とするということ、あくまでもこれが大前提の話であって、今、山下先生おっしゃっ たように、場合によってはこの下の3つやるときに、相反するような場合も出てくるかも しれません。そのときには、この基本理念・到達目標が前提だということを確認したいと 思います。  それともう一つは、「大学等の医師派遣機能」と書いているんですが、この大学の医師 派遣機能というのは何をもって機能というのか、事務局、説明をお願いいたします。 ○田原室長  医師派遣機能そのものにつきましては、ここでもご議論いただければと思いますけれど も、我々のほうで今考えておりますのは、大学が窓口になって各病院に医師を紹介すると いうようなことが、これらがいわゆる医師派遣というふうに言われておりますけども、そ ういった役割を持っているということで医師派遣機能というふうに考えております。 ○齋藤部会長  恐らく、これは「大学等」というのが字が入っていますので、旧来の大学だけが中心と なるのではなくて、各地域で大学も市中病院も行政も一緒になってという、そういう意味 ですよね、これ。 ○田原室長  すみません、大学だけではなくて地域の病院も含めて、医師を地域の病院のほうにまず 紹介する、あるいは派遣をする、あるいは出向させるといったようなことも含めて、概念 的に派遣というふうに申し上げておりますので、その定義については、ここでもいろいろ ご意見がありましたら、そのご意見を踏まえてこちらでも検討してまいりたいと思います。 ○山口委員  今の場合の医師派遣機能の医師というのは、研修医ではないという理解でよろしいんで しょうか。 ○田原室長  はい、そうです。研修医だけではなくて、それ以降の医師全体ということを考えており ます。 ○山口委員  研修医が派遣されるという意味合いではないと。 ○田原室長  そういうことです。 ○河野委員  今、大学病院の医師派遣の問題と、先ほど研修医の受入実績をどうとらえるかというお 話もございましたので一つ申し上げたいのですが、そのときに研修制度が始まってから、 これ後期研修と初期研修は別のものでありますけれども、今のディスカッションでは一つ の流れの中に結びついている。研修実績というのは、研修医の実績というのは、研修医の 制度が始まってから大学が落ちているわけですね。そこのレベルでの実績という評価でい きますと、どうしても少ない数になってしまう。  ですから、本来その大学病院等が担ってきた医師の必要数、ですから研修前ですね、相 当数も勘案してその実績評価ということで各病院の割当というのを考えていただかないと、 先ほどからの議論の地域と大学病院の役割というのが、研修制度での実績のみでディスカ ッションされると不足してしまうんじゃないかというように思いますので、よろしくお願 いします。 ○齋藤部会長  ほかにいかがでしょうか。また、後で具体的な議論になると思うので。  今、河野委員の言われたことは、しかし、この現在の臨床研修制度が始まる前はたしか 75%が大学病院で研修していたと思うんですけれども、それを今75%に戻るかというと、 それは多分なかなか難しいんじゃないでしょうかね。 ○河野委員  ですから、いろんなそこにパラメーターといいますか、地域性の問題とかいろいろ入っ ていいと思うんです。ただ、現状、先ほどのディスカッションでの派遣能力がどういうふ うな意味づけでという、西澤先生がおっしゃられたいろいろな、それを勘案する必要があ ると思うんですが、しかし、前のその能力で一応地域に派遣していたということもある程 度踏まえていただかないと、やはり結果的に担えないんじゃないか。だからそのときに、 今言いました機能というのをどうとらえるかということも、あわせてのディスカッション だというのは理解しております。 ○齋藤部会長  ほかにいかがでしょうか。  今も総論的なディスカッションをしていると思うんですけれども、また各論に行って後 からまた総論に戻っていただいても結構ですので、それでは次に、まだ特に今の段階で議 論することがなければ、次の臨床研修制度の見直しの議論に入りたいと思います。  事務局から説明をお願いします。 ○田原室長  それでは、資料2によりましてご説明をいたします。これは、臨床研修制度の見直しの 検討を行うに当たってのたたき台として用意したものでございます。これを基に先生方の ご意見を踏まえまして、見直しの具体的な案をこちらとしては考えてまいりたいと思って おります。  検討会の意見のとりまとめの内容に沿って整理をすると、大体こんなようなイメージに なるのではないかというものを用意いたしました。これはまだ確定をしているわけではご ざいませんので、たたき台としてご理解いただければと思います。  1枚めくっていただきまして、2ページでございますけれども、研修プログラムの弾力 化によりまして考えられる研修プログラムの例ということでございます。到達目標を達成 するということが前提となりまして、必修科目が少なくなってきたわけでございますけれ ども、それをそういう規定を踏まえまして各病院がプログラムを作成するということにな りますが、1番目として、現在と同様の研修プログラムというものも作成することができ るというふうに考えておりますし、2番目にありますように、1年目に内科、救急、そし て選択必修をやって、2年目から将来専門とする診療科で研修を行うプログラムと、こう いうものも病院で考えるということができると思います。  3ページのほうでございますけれども、3番目として、研修開始時から将来専門とする 診療科、例えば将来外科医になりたいということであれば、最初に外科を3カ月研修をし た上で内科、救急を研修し、2年目、地域医療が必修でございますので、そのほか選択必 修として麻酔科をやり、また外科をやるというようなプログラムも、これは病院として作 成することができるというふうになります。  また、4番目にありますように、3カ月単位で研修を行うと。特に選択必修の部分につ きましても、3カ月の研修を行うというようなプログラムも組めるようになっておりまし て、プログラムの弾力化ということでございますので、なるべく国が定める必修というよ うな規制というのは、できるだけ最小限にいたしまして、到達目標を達成するために必要 な診療科というのは、それぞれ病院が特色あるプログラムを工夫してつくっていただくと、 そういう考え方を持っておりますので、こういうプログラムも各病院でつくっていただけ ればということでお示しをいたしました。  1枚めくっていただきまして、2番目でございます。大きく2番目は、都道府県別の募 集定員の上限を設けるということを先ほどご説明いたしましたけれども、その考え方とい たしまして、左側にあります人口分布、これは全国の研修医の総数を都道府県別の人口で 割り振るようなイメージでございますけれども、そういった人口分布。それから、医師養 成の状況。これも研修医の総数を、全国の医師養成施設、これは入学定員があるというふ うに思いますけれども、そういったものを都道府県別に割り振るような数。  あるいは、地理的条件というのも意見のとりまとめの中に出てきておりますが、例えば 面積当たりの医師数。これはへき地だとかあるいは非常に面積が広くて、医師数は人口当 たりいるけれども、移動が大変だというようなこと、また、地理的条件の1つとして離島 があると。離島がある場合も、なかなか医師が十分に行くことができないというようなこ ともございますので、こういうことを勘案してはどうだろうかということで挙げておりま す。  そして、こういったものを踏まえまして、右側にございます都道府県別の募集定員の上 限を決めるということかなということでお示しをしておりますが、どういうふうに決める べきかというのは、ここでご議論をいただければと思っております。  1枚めくっていただきまして、5ページでございます。今申し上げたのは、県別の募集 定員の上限でございますけれども、次には病院の募集定員につきましても一定のルールを 設けて設定をするということでございますので、そのイメージをたたき台としてお示しを しております。  一般的な設定方法といたしまして、A病院、医師派遣をやっているような病院でござい ますけれども、前年度の募集定員が30名で過去の採用実績として、例えば前年度の採用実 績が20名であった場合、これは基本的に過去の採用実績そのままを見ますと20名というこ とになりますが、医師派遣を評価をして例えば10名を加算するということで30名になると いう考えでございます。この医師派遣をどういうふうに評価するのか、どういう医師を対 象にし、どういう場合を評価するのかと、あるいは医師派遣のどのぐらい派遣をしていっ たら、どのぐらい評価をするのかといったことにつきましても、ご議論をいただければと 思っております。  点線がその次にありまして、通常はこの30名というところでとどまるかと思うんですけ れども、その右側の都道府県の募集定員の上限との調整というのがございますが、県内の 病院の募集定員を合計をいたしますと、その都道府県の上限を超えるようなケースが出て くるかと思います。これは大都市部がそういうことになろうかと思うんですけれども、例 えば1割、そういうものが超えた場合には、原則として、そういう募集定員を1割削減を するということが考えられるのではないかということでお示しをしております。  そうしますと、先ほどのA病院につきましては30名から1割減って27名ということにな るわけでございます。  続きまして、その下のB病院でございますけれども、医師派遣がないようなケースにつ いては、例えば前年度募集定員が12名で前年度の採用実績が10名であった場合に、次年度 の募集定員は10名ということになりますけれども、これは通常の都道府県はこういう形に なりますが、都道府県の募集定員、県内の病院の募集定員の合計が上限を超えているよう なケースについては同じように1割を減らすということで、10名が9名になるというよう なイメージでございます。  ただし、こういうふうに減らすようなケースにつきましては、経過措置も考えなければ いけないということをお示しをしておりますので、その考え方についてまたここでご議論 をいただければと思っております。  6ページには、その募集定員を検討するに当たっての基本的な数字をお示しをしており ます。各県別の(1)といたしまして20年度の募集定員、それから(2)として20年度の採用実績、 (3)といたしまして19年の総人口、(4)といたしまして21年度の大学医学部の入学定員、(5)と いたしまして100平方キロ当たりの医師数でございます。これは参考ということでお示し をしておりますけれども、こういうものをご覧いただきながらご意見をいただければと思 っております。  大きな項目として最後3つ目でございますけれども、研修プログラムを管理する病院の 指定基準の強化というお話をいたしましたが、単独型・管理型の臨床研修病院の指定基準 の評価のたたき台といたしまして、資料を用意しております。左側は現状でございます。  現状は、こういう単独型・管理型の臨床研修病院におきましては、協力型の病院や施設 と共同して以下の事項を満たすというふうな取り扱いになっております。ご案内かと思い ますが、診療科につきまして標榜している、あるいは救急医療を提供している。症例数に ついては必要な症例数があることとして、以下の症例が確保されていることが望ましいと いう形で幾つか示しております。また、CPC、臨床病理検討会でございますけれども、 これを適切に開催していること。指導体制につきましても、指導医1人が受け持つ研修医 の数、あるいは常勤の指導医を各科に置くということをお示ししております。施設及び設 備につきましては、図書や雑誌、あるいはインターネットが利用できる環境を設けなけれ ばいけないということと、そのほか宿舎などにつきましては望ましいというようなことで お示しをしております。  これを右側の強化案といたしましては、そういった病院が単独で、現状では協力をして、 共同してということですけれども、単独で満たすような項目を検討していただきまして、 それによって単独型・管理型臨床研修病院の質を高める、強化をすると、そして臨床研修 の質を高めていくということでございますので、この辺りにつきましてもご議論いただき まして、それを踏まえて事務局のほうで見直しの案を考えていきたいと思います。  以上でございます。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。  今説明がありましたように3点あるんです。研修プログラムの基準と、それから募集定 員、それから指定基準と。この3つはお互いにある程度関係しているんですが、3つ一緒 に議論し出すと混線しますので、1つずついくということでよろしいでしょうか。  じゃ、まず研修プログラムの基準なんですが、その前に、先ほどちょっと説明があった と思うんですが、確認なんですが、これらの改革を平成22年度の春の研修医から実施する という、そういう予定ですね。 ○田原室長  はい、そうです。 ○齋藤部会長  そうすると、今年の夏以降のマッチングとか、それには全部絡んでくるわけですね。 ○田原室長  はい、そうです。 ○齋藤部会長  そうすると、まず時間的に余り余裕がないということが1点ですね。 ○田原室長  はい、そうです。我々としては4月ぐらいをめどにいろんな基準の見直しをいたしまし て、各病院にプログラムをつくっていただき、それを基に研修医を、医学生さんですけれ ども、募集をしていただくということでございますので、22年度の研修医に適用するとい うことでございますが、すぐに対応が必要であるというふうに考えております。 ○齋藤部会長  それでは、まず1点目からよろしくお願いします。じゃ、長尾委員、どうぞ。 ○長尾委員  一つ確認なんですが、研修プログラムの中で、今回到達目標はそのままの形で残ったと いうことに聞いておりますけれども、ということは、参考資料3にありますこの到達目標 A、B、そのまま残るということで、経験が求められる疾患におけるA疾患としては、入 院患者を受け持ち、診断・検査・治療方針について症例レポートを提出することとなって おりますが、多くは内科系疾患ですが、11ページの精神・神経疾患として認知症、気分障 害、統合失調症等がありますが、これは病院で必ず症例を受け持つということと考えてよ ろしいわけですね。 ○田原室長  検討会の意見のとりまとめでの考え方は、そういうことだというふうに認識しておりま す。 ○長尾委員  となりますと、これを必ず行うということは、ある面必修であるということが言えます ので、選択必修の中に仮に精神科がとられない場合には、何らかの形でそれも内科の中で どこかで入れる、そういう形が必ずとらなきゃならないということと考えてよろしいんで すか。 ○田原室長  到達目標を達成するための方法につきましては、各病院で工夫していただくというふう に考えております。 ○山下委員  今のご議論も含めてでありますけれども、結局、基本的なコンセプトは、科によらずに プログラムをちゃんと達成してくれということでありますので、それが一つ。  それからもう一つ大事なことは、この検討会の中にも入っているんですが、非常に短い タームでぐるぐる回ると、非常に教育するほうもされるほうも大変なんです、はっきり言 って。で、そうすると、この選択必修が2科目と地域医療で3つを1カ月ないし1.5で回 るんですよ。結局は全然変わらないんです、これ。  ですから、私とすれば、基本的なコンセプトはプログラムをちゃんと達成するようにで きればいいわけですから、内科、外科が中心になります。救急は必ずやらなければいけま せんけれども、もう少しこれを弾力化するということと、それから地域医療を1カ月とい うのを、ここに必修として入れる意味が私はよくわかります。非常に大切だと思いますけ れども、それは管理型病院と協力型病院の協力の中でぐるぐる回すとか、そこで何かを勉 強してくるとかそういうことで対応できるわけですから、結局、もう少しこの辺を弾力的 にしていただきたいです。  やはり、内科が必修で6カ月というのは非常にいいことなんですが、内科のみをここで 挙げるということになりますと、ほかのところでの研修のプログラムの組み方が、はっき り言って実務的にはものすごくやりにくいですね。ですから、例えば、私の感覚で言わせ ていただければ、救急はやっぱり3カ月は本当に大事だと思います。これはコンセプトと しては、プライマリーケアということがものすごく大きいですから。プラス、例えば全身 管理とか、いろいろなこのプログラムを見てみますと、やっぱり内科でも外科でもきちん とした教育ができればいいわけですから、プラス、選択のところでそこで落ちたところを 埋めていくようなプログラムというふうに、しかもそれはある一定の、例えば3カ月なら 3カ月の中でそれをクリアしていくと。  もちろん、1カ月か2カ月で、本当にプログラムも組めますけれども、まとめてやると いうようなこともできるような、そういうようなプログラムを組んでいただいたほうが、 現場でこのプログラム、いわゆる達成目標に合わせたプログラムを組みますといったとき には組みやすいと思いますので、私の意見としてはそういうふうに言いたいんですけれど も。 ○齋藤部会長  今、救急3カ月という話が出ましたけれども、救急も例えば本当に3カ月張りつかなき ゃいけないのか、あるいは夜が大事ですから夜を週に2回やるとか、そういうのを合わせ て3カ月でもいいのかとか、その辺がいろんなやり方があると思うんですね。 ○冨永委員  今お示しいただいたプログラムの幾つか、4つぐらいの例が出ておりますけれども、弾 力的にカリキュラムが組めるようになると考えます。研修医にもいろんな考え方の人もお りますので、いい研修ができるカリキュラムを組んでそこに研修医がマッチングで選ぶと いうスタイルだと思います。もちろん基本的なことはクリアしなければなりませんけれど も、いいカリキュラムを立てたところに研修医は行くという、今までのアンケートも出て おりますので、病院独自のいいカリキュラムを組むようにするための選択肢が、広がった のかなというふうに評価しております、このことに関しては。 ○齋藤部会長  ほかにいかがでしょうか。  これは実際、この4月から各病院で一生懸命考えてプログラムをつくり、あるいは学生 もそれを、公表されたものを見て選ぶときに、かなり迷うと思うのは、例えば従来から大 学病院というのは複数のコースを持っておられたと思うんですが、ほとんどの病院は1種 類だけのコースでやっていましたよね。そうすると、そういう市中の病院が例えば2種類、 3種類のコースをつくったときに、従来例えば10人とっていたのを、10人をそれぞれコー スごとに募集しなきゃいけないのか、コースは3つありますよ、募集は10人ですよという ことでいいのか、その辺もかなり問題だと思うんですが、その辺いかがなんですかね。  というのは、プログラムごとに預けちゃうと、そこがあいちゃったときはゼロになっち ゃう可能性がありますよね。しかし、一方、プログラムオリエンテッドと考えれば、やは りどこにプログラムに何人来るかというのが重要なんですけど、その辺はいかがでしょう か。  特に、これは後の議論になると思うんですけれども、各都道府県ごとの定員を決めると きに、今みたいに病院単位で認めないと、そこがあいちゃったときに大幅に割れ込んだり なんかする可能性が出てくると思うんですね。 ○田原室長  各病院の募集定員のことを先ほど説明しましたけれども、それは病院全体の募集定員の ことを想定をしておりまして、その中で各病院がプログラムごとに募集定員を設定するも のだというふうに考えております。 ○齋藤部会長  そうすると、読み間違えというか、マッチングでミスマッチしたときは、ある県の定員 が大幅に減っちゃう場合もありますよね、そうすると。 ○田原室長  その辺りの影響につきましては、ここで、もしそういう影響があるということであれば ご議論いただいて、それを我々のほうでもちょっと検討したいと思います。 ○齋藤部会長  何かご意見ありますか。小川委員。 ○小川委員  ですから、各都道府県の定員を定めたときに、プログラムごとの定員でいきますと、そ うすると当然ゼロというプログラムがあり得るわけですから、そうすると、ある県では定 員割れを起こすというようなこともあり得るので、そうではなくてこれも弾力化をして、 病院全体としての定員を定めて、そしてそれをプログラム間で調整をするというような仕 組みは、どうしても必要なんじゃないかなと思うんです。  あと、それからもう1点、もちろんこの3つの論点があるわけで、研修プログラムとそ れから都道府県別の募集定員と、それから指定基準等々につきまして別個に議論をせざる を得ないのは重々認識をしておりますけれども。  例えば、参考1の「臨床研修制度等に関する意見のとりまとめ」という資料の4ページ で、(2)の「募集定員や受入病院のあり方の見直し」というカラムの「○」の4番目の 真ん中辺りなんですが、「臨床研修病院群の形成を推進する」というふうになっておりま して、従来のように病院単独で個々の病院だけで完結型で臨床研修をするというよりは、 地域において病院群を形成してそれを上手に回すということが非常に重要だと思いますの で、その辺も含めてですね。  結局、この辺は何が関係してくるかというと、プログラムの弾力化と、それから病院群 でやる場合に、1つの病院でやる場合には病院の中でプログラムを弾力化すればいいので すが、病院群で考えたときに、これはかなり弾力化されると思うので、ですからその辺も 連動してご議論いただければなと思っておりますが。 ○齋藤部会長  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○長尾委員  ある程度はやはり、プログラムについては弾力化に、この検討会の報告から言えばその 方向になるんだと思いますけれども、余り固定化してしまって、プログラムについて何人 という形にしてしまうと、例えば選択必修についても、これを選択というのを初めから固 定化するのかどうかという問題も出てくると思うんです。それではなかなか問題が大きい かなと思うので、選択必修なんかについてはある程度、この範囲は選択必修ですよという 形で、その中で研修に来たときにというかその前か初めから、マッチングのときからこれ は固定だという話じゃなくて、やはりその場でもう一度選択し直すと。選択のあり方がい かようにもあるという、それもあってもいいのではないかというふうに思いますので。  そうでないとなかなかこのプログラムというか、外科なら外科、精神科なら精神科だけ とかこういう決め方をしてしまって、このプログラムで募集しますという形は非常に難し いのではないかというふうに思います。ですから、その辺の弾力化はぜひやっておかない といけないかなと。 ○齋藤部会長  そうですね、確かに例えば今の2番目のコースありますよね、2年目に将来専門とする 診療科で研修を行う研修プログラムとあります。横の絵なんですけれども。これで内科6 カ月、救急3カ月、選択必修3カ月で、それから次に将来専門とする診療科を中心に関連 の診療科での研修11カ月。この程度だったらいいんですけれども、この注意書きみたいに、 あらかじめ研修病院が選択肢を設定する、つまり将来専門とするのは例えば眼科であると か外科であるとか決めちゃったり、あるいは選択必修も2科目を決めちゃったりすると、 今長尾委員が言われたように、やはり余りにもがちがちになっちゃって学生も迷うでしょ うし、ミスマッチが生じますよね。  はい、どうぞ。 ○河野委員  今までのご議論のように、このたびは非常にプログラムの多様性が増えますので、それ ほどいろんな病院が、大学病院は非常にコースが多いけど、よその病院は少ないとおっし ゃられましたけれども、従来型も残して多様性を立てるとなると増えますよね、どこも。  そこで、プログラムごとの人数が今決まっていて、そうすると、かなりの大きなプログ ラムごとのその個々のいろんなコース、さらにその中のコース以前に大きな数の数割れが 出る可能性がありますので、かなりこのプログラムの多様化をする前提で今のご議論の枠 を取っていただかないと、かなり大きな影響が出るんじゃないかという気がいたしますの で、よろしくお願いします。 ○齋藤部会長  はい、どうぞ。 ○西澤委員  選択必修の期間ですけども、たしか検討会でも議論してないと思いますし、今まで1カ 月は短いということになっている。これを見ますと、案としては2科目で3カ月というこ とは、1.5カ月が最低とも見られますし、例えば片方1カ月、片方2カ月もあるようにも 見えますけど、この辺りの選択必修の期間というのはどのように考えていらっしゃるのか。 ○田原室長  検討会の意見のとりまとめでは、選択必修の期間は特に定めないということで書かれて いないということですので、こういうふうな形で3カ月の中で2科目というようなやり方 もあるでしょうし、4番目に書いてあるように3カ月、3カ月ということもあるでしょう し、また選択科目を1カ月で2科目というような、これはちょっと極端かもしれませんけ れども。それは制度として期間を決めないということであって、実際にプログラムをつく られるときには、それぞれ病院のほうでは選択必修の期間を定められるというふうに考え ておりますけれども、その点についてもご議論をいただければと思います。 ○齋藤部会長  したがって、期間は自由だし、一応プログラムでは例えばここにあるように3カ月とか 4カ月として、科目は別に決めないと、そこで、多分。 ○山下委員  ということは、結局、さっきのフレキシビリティのこともありますけど、何とかの科で 何とかと決めちゃうとものすごく、いわばペンディングにしていて後で選びますというと きにやりにくいので、結局、科は決めないでプログラムでこの内容をやれる、例えばたす きがけの病院、ここに行ってこれとこれをやっておいでという、そういうことでもいいと いうことですか、考え方としては。  だから、要するに必修科が2つというと、非常にそこで縛られてしまうんですよ。 ○田原室長  検討会では、それぞれ必修となる診療科については、選択をしてどれか2つを選んで研 修を行うと。それは選択して必修とするということで、選択必修にしているわけですけれ ども、それをまた何でもいいというふうにしてしまうと、非常に自由度が高まり過ぎては っきりしませんので、病院として研修を行う診療科を決めていただくと。制度として決め るのは内科と救急と地域医療だけであるという。あとは選択必修のコマを用意していただ くと、そういう考えでございます。 ○杉野課長  検討会では、様々なご議論がございました。極端なことを言いますと、山下先生がおっ しゃられるように、到達目標さえあればいいじゃないかという考え方も成り立つのかもし れませんけれども、現在はその到達目標に加えて、国が一律に7つの診療科などをすべて の研修に義務づけているという形になっているわけですね。そのことの弊害とは言いませ んけれども、もう少し全体として弾力化できないかという議論をしたときに、やはり今の ような形でそれぞれ何カ月以上ということまで縛るのは、5年も経過してそこまではやる 必要はないのではないかということで、じゃ、どの部分で最低限の制度的な担保をします かと言ったときに、そこは先生のおっしゃるようにまず大前提としては到達目標はそれは 前提としましょうと。かつ、その到達目標の各研修医ごとの達成度はきちっと見るように これからはやっていきましょうということに合わせまして、ある程度、基本的な診療科と いうものについては、これは制度的に担保しましょうというのでご議論があって、実に様 々なご議論があったんですけれども、結果的には報告書にございますように、内科と救急 についてそれから地域医療についてはこれは一律にと。  それから、それ以外の従来必修とされた診療科につきましては、これは一切何も決めな いということもあり得たのかもしれませんけれども、検討会でさんざんご議論いただいた 結果、合意されましたのは、今ございますように、それは選択必修という形で必ずそのプ ログラムは全て用意するんだけれども、その中から2つ、各研修医が診療科を選ぶという ところまで弾力化してみようという結論になっております。  それについては、さらにいろんなご議論がございました。2つじゃ足りないと、もっと 増やすべきだというご議論がありましたし、逆に1つでいいじゃないかというご議論もあ りましたし、様々ありましたけれども、今回5年たっての一つの弾力化の到達点としては、 こういう形がいいのではないかという結論になっておりまして、いろいろご議論はあると 思いますけれども、一応そういう考え方に立っての検討会のとりまとめになっているかと いうふうに、事務局としては拝見しております。 ○齋藤部会長  ちょっと今の医事課長のお話の確認なんですが、そうするとプログラムを病院が公表す る場合は、選択必修で、例えばうちは産科と精神科ですよとか、外科と精神科ですよとい うことを例示しなくても、2つ、産科、精神科、小児科から選んでください、外科から選 んでくださいと、そういう形でいいということですか。 ○杉野課長  選択必修のところにつきましては、こういう形だといいますか、この報告書のとりまと めの参考1の3ページのところでございますけれども、研修プログラムの弾力化の2つ目 の「○」からご覧いただければと思います。  内科、救急以外で従来必修とされた科目、すなわち外科、麻酔科、小児科、産婦人科、 精神科は新たに選択必修と位置付け、この中から各研修医が2診療科を選択する。で、そ の選択肢の診療科について、研修医の希望に応じていずれの診療科の研修も確実に実施で きるように、受入病院は各診療科のプログラムを必ず用意し云々となっておりまして、つ まり、選択必修という形で各研修医が自由に選びなさいというふうに言うからには、当然 のことながら全ての診療科が、この場合ですと5つの診療科のプログラムが必ず用意され ているということが前提になっておりまして、その中から2つ、研修医が選べばよいとい うことでございます。 ○齋藤部会長  ですから、それは用意されているというのは協力病院も含めてという意味ですね。 ○山口委員  もう一度、今のお話を確認させていただきたいんですが。選択必修という話はわかりま したけれども、選択必修が2科目ということにはなるけれども、この臨床研修の到達目標 は選択ではないということですね。  そうすると、この経験目標の例えばCに書かれています、特定の医療現場の経験で必修 項目、救急医療の現場、予防医療、それからへき地等の後に、周産・小児・成育医療の現 場を経験すること、精神保健福祉センターの医療の現場を経験することとこういうふうに 書かれていますが、これも必修で到達しなきゃいけないけれども、そこを科として選択す る必要はないと、こういう理解でしょうか。 ○田原室長  そのとおりでございます。  地域保健医療のところにつきましては、その地域医療を必修にするということがござい ますので、ここについては地域医療の部分と地域保健の部分を分けて書くことになろうか と思いますけれども、基本的にここで書いてある特定の医療現場につきましても、診療科 を回るかどうかは別にして、必ず必修項目については達成していただくということを考え ております。 ○山口委員  ということは、小児科、産婦人科を研修しなくても、この到達目標は到達できるという 理解でよろしいのでしょうか。 ○田原室長  そういうふうに思っております。具体的には13ページの(4)の周産・小児・成育医療 で、必修項目は周産・小児・成育医療の現場を経験することというふうにございまして、 12ページに戻っていただきたいんですけれども、12ページの冒頭に、必修項目にある現場 の経験とは各現場における到達目標の項目のうち1つ以上経験すること、というふうにし ておりますので、13ページに戻りますと、例えば周産・小児・成育医療を必要とする患者 とその家族に対して全人的に対応するため、1)の周産期や小児の各発達段階に応じて適 切な医療が提供できると、この1つを経験するということで一応必修項目は満たしたとい うことになりますので、必ずしも小児科や産婦人科にローテーション、まあすればいいん ですけれども、しなくてもある程度は達成できると。あるいは救急の現場で小児を診る、 あるいは妊婦さんを診るというようなことで達成できるであろうというふうに考えており ます。 ○齋藤部会長  この点について、矢崎委員、あのとき発言されましたよね、到達目標の到達の考え方を 少し緩めてもいいんじゃないかというようなことを。 ○矢崎委員  この臨床研修は、プライマリーケアといいますか、最初に患者を診たときに、診断のつ いてない患者さんを診て、しっかり病態を把握して診断をつけて、自分で診られる範囲の ものは自分で診ると、そうでないものはとりあえず専門医に診てもらうという能力をつけ ましょうということになっているので、診断が決まった入院患者を診てまとめるというも のはなるべく少なくしたほうがいいんではないかということを申し上げて、もしこれを忠 実にすると、選択必修の各科を全部回らないといけなくなりますので、そこはどういう形 で対応するかということですね。  ただ、先ほどのプログラムの弾力化というお話がありましたが、やはりしっかり到達目 標を到達することが前提になりますので、そこがこれから応募する方が、到達目標をきっ ちり評価するシステムがあるということと同時に、これから学生さんがプログラムに応募 するときに内容がわかるような方でないと、なかなか漠とした不透明な、自由にできます よというのもなかなか難しいのではないかと、選ぶほうとしてはですね。  最初の制度のときは、到達目標を確保するためにプログラムで品質保証したという考え 方があるんですが、弾力化となりますと、本当に山下先生のおっしゃるように、到達目標 をどういうふうに確認するかということがまた一つの重要な事項で、それを一つのセール スポイントになるような仕組みも考えると、医学生が応募しやすいということになるかと 思うんですね。  ですから、話に戻りますけれど、入院患者を受け持ってというところをどういうふうに クリアするかという、その辺を……ちょっと難しい課題が、おっしゃるとおりありますね。 ○齋藤部会長  そのほかプログラムの弾力化はよろしいでしょうか。じゃ、またもしありましたら返る として、次は募集定員の上限の考え方で、案が4ページに出ておりますが、こういう案が 妥当なのかどうか、あるいはもっとほかの要因を加味して定員を考えたほうがいいのか、 その辺はいかがでしょうか。 ○長尾委員  ちょっと単純な質問なんですが、派遣というのは何をもって派遣というのかというのを ちょっと教えていただきたいんですが。  これまで確かに、大学病院の医局がいろいろ医師の派遣を行ってきたというのはこれは 事実ですし、ある程度いろんな機能を持っていたというのも事実ですけれども、大学から 医局に入っている人が勤めるわけですよね、行ってそこへ勤めるわけで、じゃ、そこの医 局に属しているとそういうものがあって、それを派遣と呼ぶのか。例えばある病院、一般 の地域の病院でも、そこにいた人がどこかへ行きましたと、それは派遣と呼ぶのか、ただ 単に移動なのか。そういうちょっと単純な思いなんですけれども、それは何をもって派遣 と言えるのかどうかというのを、ちょっと教えてほしいんですが。 ○田原室長  派遣の定義につきましては、ここでも少しまたご議論いただければと思いますけれども、 現状で大学がいわゆる医師派遣をやっているというような場合につきましては、これは大 学が無料の職業紹介事業という一環で、お医者さんに対してこういうところがあるけれど もどうでしょうかと。で、ご本人の了解を得て、そこに紹介をすると。そういうやり方を、 いわゆる医師派遣というふうに言っているものだと思います。  ですから、それ以外のケースにつきましても該当するようなケースがあるかと思います けれども、それを全体としてどういうふうに取り扱うのかというのは、ここでのご議論を 踏まえて整理をしたいと思います。 ○山下委員  というように、よくわからないですよね。多分、長尾先生、全然納得しておられないと 思うんだけど。この人、派遣なのか派遣でないのとわからないから、そういうものを基準 にすること自体が私は反対ですと言っているんです。結局、議論になったりファジーなと ころを残しておくと、何でうちは切られたんだという話が必ず出てくると思うんです。私 はこれは非常に反対です、このコンセプトは。  最初のところに、要するに質の向上というのをできるような病院の選択をしなさいとい うのがあるんですから、まずそっちから議論して、それを積み上げていって、ある時期に どうしてもやっぱりお医者さんが必要でしょうからという話で、ある程度のエパレーショ ンが出てくるのはいいと思いますけれども、基本的にこういう議論をしていると、研修医 が行くことが医師の不足の対策ですかという議論になって、先ほど山口先生がおっしゃっ たような議論が必ず出てくるんですよ。全然関係ないことですから、それは。これは教育 のシステムですから。  で、それが将来にわたってつながるという話をしているわけであって、できればそれぞ れの病院で、管理型の病院はこういう条件、それにいろいろな協力病院が全部くっついて、 プログラムはこうですよと。だから、この地域でこれだけの研修医に質の高い教育が提供 できますというところを積み上げていったら何になったというのを、まず先にあるべきで あって、そこから先の議論をさらにこれで調整するというのは、基本的な考え方の3つの ファクターで考えるということであればいいと思いますけれども、まずこれが出てきて今 のような議論をすると、先に進まないような気がするんですけれども、いかがでしょうか。 ○田原室長  よろしいでしょうか。  検討会のご議論で、このとりまとめに医者派遣機能を評価をするということになった経 緯を申し上げますと、この臨床研修制度をきっかけに大学の医師派遣機能が低下をして、 それが地域の医師不足を顕在化させたのではないかというご指摘がありましたので、何ら かの形でそういった、大学だけではないですけれども、そういう医師派遣機能を評価をし たような形で臨床研修制度として対応できないだろうかと。そういう中で、こういう形で 意見のとりまとめを行ったものでございますので、我々としてはそういう方向で具体化を していきたいと思っております。  臨床研修病院の基準の強化の部分につきましては、それはもちろんそういうふうに、委 員のおっしゃるとおりだと思いますので、それは別途3番目のところで、どういうふうな 形で基準を強化して質を高めていくのかということは、別途またご議論をいただければと 思っております。  以上でございます。 ○齋藤部会長  何らかの方法で、一応、各都道府県の定員の上限を決めようということになっています ので、その一つの案がここに出ているわけですが。  実際、田原さん、この6ページの各都道府県の数字がいろいろ出ていますよね。それで 例えば、実際どうやって、今日はもちろん決めるわけじゃないんだと思うんですけれども、 案がもしあったら何か、議論のためにひとつ、もし言える範囲で言ってください。 ○田原室長  案というわけではございませんけども、この6ページの表を見てどういうふうに考える のか。例えば東京都のところを見ていただきますと、研修医の実績は1,338人になってお ります。総人口は1,200万余りでございますけれども、全体の総人口の約1割ということ でございます。それを、例えば(2)の20年度の採用実績7,735人の1割ということになりま すと、東京都の募集定員の上限というのは約780人というような感じになって、現在おり ます1,338人と非常に大きな乖離が出てくるということでございます。  また、同じように東京都の医学部入学定員、(4)のところでございますけれども、1,411 名でございますが、これは全体の8,566名に対しまして十数%になろうかと思いますけれ ども、それを勘案すると、全体としては1,200名ぐらいが研修医の配分として、機械的に 計算はできるということになります。こういった数字をどういうふうに今考えて評価をし たらいいのかということを、この場でご議論をいただければと思っております。 ○齋藤部会長  いかがでしょうか。  今、例えば(4)というのは、21年度の医学部定員ですよね。これの代わりに、例えば20年 度の卒業定員とかそれの数とは大分違いますか。 ○田原室長  21年度の入学定員は今回増やしておりますので、そういう意味で20年度の卒業生の数と は少し異なります。これを書いておりますのは、そういう入学定員のほうが今の医師不足 の状況を的確に反映して、早く対応しようというあらわれになっておりますので、それを 卒業するまで6年とか10年待つのはなかなか待てないということから、そういうものを指 標にして早く対応していこうと、そういう意味合いがあって21年度の医学部定員をここに お示しをしております。 ○齋藤部会長  はい、どうぞ。 ○西澤委員  この3番目の地域的条件というのは、面積当たりの医者数がどっちならどういうふうに 考えるということですか。 ○田原室長  そこは、これもご議論ですけれども、普通に考えますと100キロメートル当たりの医師 数が少ないほうが面積が大きいということですので、少ないところ、北海道はそうだと思 いますけれども、こういったところを対象に何らかの評価をしてはどうだろうかというこ とでございます。 ○西澤委員  それについては異論がありますが、今日はまだまとまっていませんので、またまとめて からにしたいと思います  幾つかの考えるたたき台をいただいたんですが、たしかこの部会で以前に出したもので、 臨床研修制度の始まる前、平成15年から毎年都道府県毎にどう変わったか、それを大学と 臨床研修病院と分けた資料があったと思います。それも同時に出していただいたほうが議 論しやすいと思います。  特に東京等では、この資料のいろんな条件から見ると、さらにもっと減らせになるんで すが、少なくとも臨床研修が始まる前よりは東京都は減っているはずなんですよね。この ようななことも加味して議論したほうがいいのかなと思いますので、お願いします。 ○冨永委員  先ほどから、医師派遣機能というのが出ておりますけれども、それを以前は大学から主 として地域の病院に出していたということ、これは事実だと思います。臨床研修制度が始 まってから、その辺のことも少し変わってきておりますけれども、この4ページを見ます と、医師養成数とか人口ということになっております。  都道府県やそこの第三者機関が医師派遣を決めるということで、都道府県内が責任と権 限を持っているというのならば、こういう設定もできるでしょうけれども、今でも大学の ほうから、都道府県を越えて、例えば東京都から周辺の県にも派遣しているということな らば、これだけの設定ではうまくいかないのではないかという気がしますので、どこが責 任を持つのかということを論じないと、この人口割とか医師養成数だけではなかなかうま くいかないのではないかというふうに思っております。 ○河野委員  今のご意見、そのとおりだと思うんですが、東京の大学などは全国的に医師を派遣して いるところもかなりありますので、やはり数だけではなく派遣先ですよね。どこまで、ど ういう機能としてカバーしているかということも、それは大学に限らずいろいろな施設、 もし派遣していれば、そういうことも考えてなきゃならないだろう。  それからもう一つ、これ人口分布ということだけですと、例えば年齢構成ですとか、そ れによって県の医療需要って全く変わってくるわけですよね。そういったような特性も併 せて考えなきゃならないんじゃないかと思います。  それからちょっと話がさっきに戻っちゃうんですけど、山下先生のご意見って非常に重 要だと思うんですが、私は、この社会のこういった医師の状況ということを踏まえた中で 医師養成というものが一つあるということと、それから現在、比較的集まってないような 地域の病院が、じゃ研修として悪いかというと、決してそういうことはないんですよね。  ですから、こういった地域の配分ということが臨床研修の低下につながるとは私は思え ない。ですから、現状のこういった社会的な状況の中で、より良い医師をどう育てるかと いう議論が厚労省のじゃないかと、先ほどのご意見で思うんですが。ですから、私は矛盾 してないんじゃないかと。  ただ、そこのところが、どうも社会的にも認識が十分されてないような気もするんです ね。今回の動きに対して、臨床研修という本来的な問題と社会的な要請とのそのところの 話がね。そこはどこかで整理をして、しっかりとメッセージを出す必要があるんじゃない かというようには思います。 ○齋藤部会長  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○山下委員  河野先生がおっしゃっていただいたことが本当に大事なことだと思って。蛇足なんで すけれども、やはりこの議論というのは、例えば大学に人を集めるためにやっている議 論ではないんですよね。要するに、質の高い医師を世の中に送り出すためにはどうする かという話です。それから、ここにものすごく大事な、もう一つのキーワードが、要す るに卒後一貫して、いわゆる専門医研修までつながるような、そういうことをやれるよ うなシステムの中で研修を考えなさいというふうに言われているわけですから、こうい うふうに人工的にというか、人間を考えてポンポンポンと割ったというのも非常に大事 だと思います。これがやめろとは言ってないんですけれども、これがファーストプライ オリティではないという話なんですね。  結局、いろいろな大学病院も、いろいろな大きな病院もみんな工夫をして、プログラ ムをどんどん出して、それで足りないところに関しては地域のいろいろな病院と、うち でもそうですけれども、たすきがけをもうとにかく一生懸命やって、さあ頑張ってやろ うと言っているわけですから、それをこういう数字で切られたら、各大きな病院に…… 大きな病院だけではなくて、いろんな病院が自分のレベルで教育をしようと言っている ときに納得できないと思うんですよ。  ですから、その議論というのは、だからこれは順番が逆のような気がするんですね、 厚労省の出し方というのは。最初にというか2番目には、このたたき台で出ていく。こ れをどういう病院で、どういうシステムをつくっていくか、それを並べてみれば、どの 県でどれぐらいになって、それでこれがやはり少な過ぎるでしょうというのであれば、 それからこれが出てくるべきであって、これが最初に出てきて、これでいいですかと言 われても、判断のしようがないんですよ。と私は思いますけれども。 ○杉野課長  資料の出し方につきましては、よく反省をしたいと思います。  一つだけ。検討会の先生方も同じだと思うんですけれども、それは山下先生のご指摘 のとおり、いろいろ紆余曲折はありましたけれども、最終的なとりまとめの報告書をご 覧いただきますとご理解いただけると思うんですけれども、あくまでも教育論をまず最 初の問題として受け止めて、その観点からプログラムをどう考えるかというご議論がメ ニューを占めております。その上で、やはりそうは言っても、研修医といえども、雇用 関係を結んで給料をいただいて医師としての仕事もするということから、ある程度の地 域偏在の問題などについて、何らかの、これが全部その責任を負うじゃないんですけれ ども、何らかの調整みたいなことは考えなければいけないだろうということで、後段、 そのようなご議論がされているということかと思っておりますし。  それから、特に今日の資料の出し方で私が反省いたしましたのは、あくまでも本来、 各受入病院の質あるいはキャパシティ、そういったことを考えて、本来、今もそういっ た基準が設けられているわけですね。臨床研修病院として適切な病院はいかなるべきか と、質の面から考えて、今ある基準に加えてどういう要素があり得るのかということで、 むしろ変わる部分を中心に今日は資料を用意してしまいましたので、資料の出し方とし て非常に不十分なところがあったかなということは反省をしております。  次回の会議には、トータルな姿で現在はどういう姿になっていて、それから、今回の 見直しではどういった部分をリフォームするのかということがおわかりいただくような 資料を用意したいというふうに思います。 ○齋藤部会長  それでは、今の研修の質を上げるということが一番大事なので、 3番目の論点の指定 基準の強化のたたき台、7ページです。そちらのほうの議論を始めて、また定員とかあ るいはプログラムに戻っていただいても結構ですが、この指定基準の強化についていか がでしょうか。  ここでは、診療体制、症例数、指導体制、施設及び設備ということで、機械的に例え ば何床以下の病院は駄目だとかそういうことは決して言ってないわけで、質が大事だと いうことを言っていると思うんですが。  結局、左側にある現状のところでは、先ほど説明がありましたように、症例数などと か救急患者とかいろんなのが望ましいという努力水準になっているんですけれども、そ れをもっと強化するのかとか、それから、やはり今度は強化する以上かなり具体的なと ころまで詰めないと各病院のほうでも迷うと思うのですが、いかがでしょうか、その辺 は。  はい。 ○山下委員  なかなか決め方は難しいと思うんですが、先ほど、最初にプログラムが非常に弾力化 しているということがありますので、私とすると、どなたかの先生がおっしゃいました けど、だれが、ある研修医にどういう責任を取ってプログラムを完遂させるかというの を、きちんとヘッドクォーターを決めておかないと、ばらばらになって、2年たったと きに何もできてなかったということがあってはいけないので。  それと、もう一つは単独型にしても管理型にしても、中心になるところとその周りの 協力病院とのネットワークというのを最大限に使うということが、このプログラムから 見るとものすごく有利ですので、そういう意味では私は、単独型ないしは管理型の病院 というのは基準をものすごく高くしたほうがいいと。そこに、いわゆる協力型の病院が いろいろなところで、例えば精神科の医療なり何なりということで協力するという形を、 プログラムの中に突っ込んでいけるようにする。  そのときにだれが責任を持ってこの人を見ているかということをやるための、として の単独型また管理型の病院の基準というのは、やはりわかりやすいような、ちょっと言 いづらいんですけれども、やはり病床数が多いほうがいい。それからあと、お医者さん の数は決定的にやっぱり多いほうがいいんですね。教育というのは人手ですから、やは り300床規模の病院で、拝見していますと、やっぱり30人40人だと、その地域の中核病 院として日常の診療でもうへとへとになっていますから、大学病院とか大きな病院が楽 しているという意味では決してないんですけれども、やはり人手がたくさんあって教育 に特化したようなそういう病院というものがやっぱり中心になるのは、これはやはり質 を担保することだと思います。  ですから、病床数が400とか500とかかなり高いところに置いて、医者の数も100人と か200人とかかなり高いところに置いて、かつそこに協力病院のネットワークをつくる という、全体できちんと教育をするというシステムが、私は実際的にはプログラムを組 むときには、そういう立場にある人間としては、やりやすいような気がしますけれども。 ○齋藤部会長  今の点については、たしか検討会でも議論があったと思いますけど、その議論の中に 大学病院は確かに人材が一番厚いのはなんですが、ただ、大学は研究もしなきゃいけな い、学生教育もあるということで、むしろ市中病院のほうが診療の中で指導するわけで すよね。そういう意味で、時間をかえって使えるんじゃないかと、大学の教官よりも。 そういうような議論もあったんですね。 ○山下委員  それはあると思います。それぞれに使っている時間があると思いますが、といっても、 やはり少ない数で地域の医療でというのであれば、その部分を教えることはできますけ れども、全体像という、例えば内科診断学なりそういう診断学のコンセプトを全体を教 えると。それから、難しい症例にみんなで一生懸命、チーム医療でやっているというよ うなそういう姿を、やっぱり見せてあげなければいけないので、そういう意味では、別 に私は大学病院でなくてもいいと思うんです。要するに、きちんとした指導体制がある、 ある一定の水準、かなり高い水準の病院をこれを管理型または単独型にするというのが、 やっぱり自然に教育ができていくのではないかと思います。  おっしゃるとおりに、大学病院も非常に苦しいところで頑張っていますので、ただ、 意欲が高いことだけは確かですので、やはり中心になるのは大学病院だと思いますが、 大学病院のためだけのシステムではありませんので、これ、先生のおっしゃるとおりだ と思います。 ○小川委員  今、山下先生のご発言のあったことは非常に重要なことで、結局、単独型、管理型の 中で非常に小さい病院まで全部含めてしまったというところに、今までの矛盾の大きな ところがあるわけで。  ですから、せっかく大学病院は大学病院で、例えば風邪とかそういう患者さんが来る わけじゃないし、市中病院は市中病院のコモンディジーズが来るわけですから、大学病 院対市中病院というような構図で考えないということがまず前提だと思います。  それから、せっかく今回の臨床研修制度等に対する意見のとりまとめの中で、一つの 目玉になっているところは、要するに臨床研修病院群ということで、ただ単に一つの病 院で全部完結するのではなくて、いろんな病院が協力して地域の病院が協力して教育を するんだということが一つの目玉になっていますから、これをそのように誘導するため には、やはり管理型の病院を、あるいは単独型……単独型というのは余りよろしくなく て、管理型にして、で、その病院群でプログラムを認めるとかですね。  そのためにはやはり、先ほど山下先生のご指摘のあったように、管理型の研修病院の 指定基準に関しましてはかなり高いレベルを保たなければ、これは意味がないと思いま す。 ○冨永委員  プライマリーケアの研修ですから、今お二人の先生がおっしゃったように、必ずしも 大学を中心にしなければならないことはないと考えます。市中病院でもあるいは田舎の 病院でも、プライマリーケアの研修体制が揃っているところはたくさんあるわけですか ら、指導医養成講習会を終了した指導医が何人いるのかということを含めて、指導体制 が整っているかどうかが重要だと考えます。指導者の後ろ姿を見て育つということもあ るわけで。今までの厚生労働省のアンケートでも、むしろ300床あるいはそれ以下の、 病院のほうが大学病院よりも研修医には人気があるということも出ていますし、修了し た人の中の到達度でも、大学に劣らない到達度が出ているということがヒアリングの結 果でも出ております。必ず大学病院を中心にして臨床病院群を組まなければならないと いうことはないわけですから、プライマリーケアの指導体制の質ということを考えて、 この基準を考えていただいたらいいんじゃないかと思っています。 ○齋藤部会長  研修医当たりの指導医の数とか、あるいは研修医当たりの症例数ですよね、結局、全 体の症例数というよりむしろ。 ○西澤委員  繰り返しになりますが、私も冨永先生と同じ意見です。別に規模で考える必要は全く ないと思います。やっぱり、中身のソフトの問題だと思います。  この研修の基本理念は、書いてありますとおり、社会的役割を認識し一般的な診療に おいて、頻発に関わる負傷または疾病に適切対応ということですから、専門教育を初期 臨床研修でやるわけでもないですし、こういう目的からみるとどのような病院がふさわ しいかというと、市中病院のほうがふさわしいのだろうと思っています。  それと規模でいうと、小川先生が言ったように、病院群でやるのは賛成です。その中 で、群でやるんであれば、余り大小関係なく、一つの固まりで見て、大きいところと同 じ機能を果たせるのであれば、いいと思います。  それよりもソフトが大事であって、研修医何人に1人指導医がいるかとか、それから 症例数ですよね。例えば、ある病院に症例が幾らあっても、研修医1人当たりの数で見 るとと少ないという例はよくあるんですよね。症例数がその病院で少なくても、研修医 の1人当たりで見ると多いという例もある。どっちがいい研修かということも考える必 要がある。そういうことを総合的に勘案していただきたいと思います。 ○小川委員  もう一点よろしいですか。  大都会は別にして、地方の都道府県であれば、やはり大学病院が中心になって病院群 をつくらざるを得ないという事情がこれはあります。  それから、もう一つ非常に大事なことは、医師法上、研修病院として厚生労働大臣の 指定を受けることなく研修病院でなければならないというのが、これは大学病院の使命 でございますので、したがいまして指定を受けなくても、その大学病院が研修の使命を 負っているということを前提にして議論をしなければいけないということが一つあると 思うんです。  それからもう一つは、研修制度が始まってから、研修制度が始まる以前からなんです が、平成3年に例えば大学設置基準の大綱化がされまして、6年一貫教育というのに変 換をされたわけで、その当時から大学病院の教育システムが大きく変わってきたという ことを、従来とは全く違うんだということを前提にして、やっぱりご議論していただか なければなりませんし、どうも臨床研修のこういう制度の見直し、この間の委員会もそ うなんですが、それを見ますと、研修制度だけを取り上げて議論をしたがる。  ところが、例えば2年間の研修制度で、じゃ10年後あるいは20年後の医師としての生 涯キャリアパスとして、あるいは技能として、2年間の研修で完成されるものかと言っ たら決して完成されるものではないわけです。5年たったらあるいは10年たったら、今 の医療の常識は非常識になるぐらい、ものすごく早いターンオーバーで変わっているわ けですから。  そうしますと、卒前の医学教育と初期臨床研修と、それからその後の研修とが、生涯 学習という中で一貫性を持って議論をされないと、何となく研修制度を2年間やれば一 生の知識・技術が担保されるような、どうも幻想の中でご議論されているような感じが して、その辺をやっぱり違うんだということを確認をしていただかないとまずいのでは ないかなと思っていますが。 ○齋藤部会長  飯沼委員、何か指定基準でご意見ありますか。 ○飯沼委員  遅れてきて申しわけありません。  今、いろいろお聞きしていまして、臨床研修制度の5年後の見直しというのをやった ばかりなんですよね。齋藤先生、座長でやられて。それで今度、文部科学省と厚生労働 省との共同の検討委員会というのができて議論になったんですが、僕は何も新しいこと が出てきてないような気がするんです。あのときのまんまのことで、5年後の見直しの ところをきっちり直していけば、何も新しい会議を開いて検討するようなことが起こっ てないし、進歩もしてないような気がして仕方がないんです。  したがいまして、カリキュラムのいろいろの検討とか定員の問題、それは全てそうい うことが問題になって報告書に書いてあるわけです。それ以上のことが、今度の両大臣 が出てきた会議で出たかというと、出てこないので、もう粛々と前の検討課題を具体化 していくことで、これが全部間に合うんだというふうに思っております。  新しいことが、それ以上何かあっと驚くようなすごいのが出てきたわけではないので、 余りあわてず粛々とやっていくのが最高の方策だというふうに思います。 ○齋藤部会長  前回の当臨床研修部会の5年後の見直しのまとめとここと一番違うのは2点あって、 1つはプログラムの弾力化がより進んだということと、もう1点はやっぱり何といって も地域枠の設定ですよね。地域枠の設定というのは、やはりかなり政治的な力がないと できないことだという気がしますね。 ○長尾委員  確かにこの臨床研修制度の2年間で全てが達成されるわけじゃないというのは、これ は当然のことで、生涯にわたってこれはずっと研修をやらざるを得ない。やらなければ いけないのは当然のことではありますけれども、この臨床研修制度はなぜ起こったかと いうそもそもは、やはりちゃんとした基礎的な、全体のプライマリーの素養を身につけ るということが一番なわけですから、そのためにどうするかということが一番の議論な わけで、ですから地方の大学では大学が中心にならざるを得ないというのは、話でもわ かりますし。  ただ、やはりそうは言ってもいろいろなプライマリーの本当の疾患というのは、大学 は割と、先ほど山下先生が言われたように、難しい症例がかなり集まる。そこで一生懸 命やられる姿を見ることも、当然大切でしょうけれども、本当のプライマリーの様々な 基礎的な疾患を市中病院が多く抱えて診ているという現実もやはりあるわけなので、そ れはしっかり診ていくということも、これはやっぱり非常に大切なことなので、大学の 機能を否定するわけでもないですし、大学も各病院も様々な機能をお互いが分け合いな がらきちっとやっていくという、そういうシステムをつくっていかなければいけないと 思いますし、西澤先生が言われたようなある程度の病院群をつくるのも一つでしょうし、 そういう様々な、いかに医師としての基礎的な知識を身につけながら、それから先に進 んでいくということをきちっととらえてやっていかないと、大学が中心にならなければ いけないという発想ばかりでは、やっぱりちょっと困るかなというふうに思います。 ○西澤委員  先ほど飯沼先生がおっしゃったように、平成19年に部会で見直しをしたので、先生は それを進めればいいということですが、ざっくばらんにその内容と今大きく変わってい るのが、このプログラムの弾力化と地域枠でございますが、それに関して先生のご意見 はいかがなんでしょうか。 ○飯沼委員  地域枠といいますか定員の問題を突き詰めていけば、そういうことの案も一つとして 出てくるというふうに私は思いますので、プログラムの弾力化もいい医者をつくるとい うことを詰めて、いい研修を行えるということの手段としてそういう話が出てくるわけ で、選択肢の一つであるというふうに私は思います。 ○山口委員  現状では、地域枠を設けることはある程度皆さんの方向性があると思うんですが、地 域枠を設けてもこれは研修医の話ですから、研修医に地域枠を設けたことが即、病院の 医師派遣機能の回復につながるかどうかは、またもう一つ別の話でありましょう。また 2年間の研修医の時代でやったところに、そのまま後期の専門研修医として残るかとい う話になると、それはまた大分違う話だと思います。先ほど研修医が派遣の対象という 話ではないという話ですので、それから考えると、今回の地域枠がイコール、大学の医 師派遣機能回復にどれだけ資するかという話になると、それはまた必ずしも該当しない。  虎の門病院でもある年は12人の内科医が初期研修を受けて、終わったときに残ったの は3人しか残りませんでしたから、その人たちはいい後期研修があればそこへ行くわけ ですよね。だから、初期研修に大学に残る人が少なくなっても、後期研修でどっと戻っ てくれば恐らく医師派遣機能云々という話はなかったと思うんです。そう戻ってこなか ったところにやはり原因の一端はあるので、その後期研修体制における改善がないと、 初期研修をいじっただけでは、一歩前進する可能性は秘めているということではありま すけれども、真の解決策にはならないのではないか。  ただ、せっかくここでこう見直しをするのであれば、この研修病院の指定の基準の強 化という点は意味があると思います。これまでもいろいろな指定のところで、例えばC PCが実際にはほとんど行われていない病院とかと、こういうのがありましたから、例 えば最低限ここに挙げられているような条件は確保しなければいけないという。  厳しい線を引くことで、かなり質のレベルアップにはつながると思います。今ここに 示されているような条件だけでも、これを完全にクリアする研修病院は、今どのくらい あるかというようなデータを、ぜひ次回にでも示していただければと思います。 ○齋藤部会長  今の山口委員がおっしゃった第1点目は確かにそうで、ただ、後期研修でどこに何人 行っているかという、こういうようなデータはないんですよね、具体的な。それがある とかなり違うと思いますが、確かに初期に2年、各都道府県の定員枠を上限設けても、 その後また大都市に多分集中すると思うんですよね。ですから、本当に地域の医師の偏 在とかそれを直そうと思ったら、後期も含めて、規制というのはおかしいのですけれど も、何かしないと難しいかもしれないですね。 ○山下委員  実際に、長期的なスパンで考えると、先ほど小川先生がおっしゃったことがものすご く大きいことだと思うんです。要するに、長期的にどこにどういう優れたお医者さんを 生み出すかと。それ優れたというのは、ある一つの例えば心臓外科とか脳外科のものす ごいスペシャリストという意味だけではなくて、ジェネラル・プラクティショナーにし ても何にしても、そういう地域の中核になってその地域を支えるような人材をどうやっ て生み出すかという話ですから。そうしますと、やっぱり初期研修だけで終わる話では ないんですよね。  ですから、それがきちんと出せるようなところがちゃんと、やっぱり。管理というの はそういう意味ですから。管理型の病院というのは、その人にとって責任をとりますと。 少なくとも、一生とは言わないけれども、この人のキャリアパスの中でものすごく、医 者の最初の1年や2年はものすごく大事なわけですから、それを責任をとって完全にき ちんとしますというところはやはり。小さい病院でもものすごく一生懸命にやっていら っしゃる、200床、300床でやっておられる先生がいらっしゃることは存じ上げています し、それを否定するものではないんですけれども、制度というのはだからそこまで広げ るかという話にならないわけで、山口先生がおっしゃったように、きちんとこういう基 準を決めた以上はそれをちゃんと守ってくださいと。それで本当にいいんですかと。  本当にそれでよくないんだったら、もう少し上げて、ただそれ以外でも例えば地域の ものすごく頑張っている先生のところに、管理型ではなくて、ローテーションで回って いって、地域医療で3カ月そこにいればものすごく勉強になりますよということで、結 局きちんとした教育もできるわけですから、やはり全部を一緒くたにするんじゃなくて、 管理型のものすごく大きなきちんとしたところと、その周りに協力病院がいっぱいある というような、アメリカの病院なんかもそうですけれども、そういうようなシステムで やはり教育していく時代にもうなってこないと、いいお医者さんは育たないと思うので、 だから、それの第一歩であるという認識でこの制度設計はしないといけないと思います。  ですから、もちろんみんなが協力するという発想で、いわば、言葉としてちょっとき ついんですけど、大きい病院と小さい病院というものがあるとしても、それに関して質 を云々ということではなくて、機能が違うということを認識して、それをシステム化す るということを今やらないと、非常にごちゃごちゃになって、結局、医学生が何か選ぼ うというときにキャリアパスまではわからないですから、一体私は研修が終わったら次 は何があって、どういうふうにして、自分はどういうところで生きていくんだというの がある程度示せると。途中で幾らでも変わっていいんですけれども、そういうようなシ ステムの中の研修というふうにしてつくっていただかないと、非常に学生は困ると思う んです。  そういう意味では、管理型の病院にものすごく大きな責任と、しかし、それをクリア するだけの能力を求められていると思いますので。だから大きい病院がいいとは言わな いんですけれども、その中でもきちんとした教育ができるような基準を決めていく。や はりここに、山口先生がおっしゃったようなこういう基準、それからベッド数、お医者 さんの数、これはやっぱりかなり大きなファクターになると思いますけども。 ○河野委員  先ほど来、非常に重要な議論だと思うんですが、その一つに今回、前はかなりプライ マリーケアというのは、すごく初期研修医が始まったときの大きなテーマだったと思う んですね。しかし、ここにおいてやはり専門性ということが出されてきたというのは、 これは大きな今回の、私はメッセージだと思うんです。今までの中で言いますと、プラ イマリーケアだけだと、今の若い人たちを見ていると、次へがわからないんですよ。次 にどうするのかが彼らは見えない、プライマリーケアだけで終わっちゃいますと。だか ら、そこで専門性ということが、あるいは場合によってはサブスペシャリティーですね、 さらにその中で次が見えてくるんですよね。そういったプログラムの形成が私は必要だ と思うんです。それが今回も非常に大きな重要なところで、それがいい医師を育ててい く、次にバトンタッチをちゃんといけるようなプログラム。そこでの専門性というキー ワードは私は非常に重要ではないかと思います。 ○齋藤部会長  いかがでしょうか、ほかに。はい、どうぞ。 ○冨永委員  専門性を加味した研修が弾力的に組まれるということでありますけれども、生涯学習 というか、キャリアパスを通しての2年間の臨床研修をどう考えるかということだろう と思うんですけれども、この制度ができる前のこの審議会でも、大学はむしろ後期研修、 専門研修を頑張ってもらったらいいんじゃないかという意見が出ておりました。  以前から中部地方や東北地方の大学では、大学を卒業した後、一般病院で研修して、 専門研修の時に大学に帰ってくるという大学がありました。そういうところの医師が、 キャリアパスができてないのかというと、決してそんなことはないと私は思っておりま す。少し専門性を加味したカリキュラムになったとしても、基本理念、到達目標は変わ りません。ですから必ずしも大学中心でなくてもよいと思います。もちろん大学は、い ろんな意味で教育研修を中心に担っていただかなきゃなりませんけれども、何が何でも 大学が中心でやるべきだということではないと考えております。地域の病院でも立派に 2年間研修できると思っております。  研修医の評価では、大学での研修は雑用が多いとか、見学が多いとか、実際にやらせ てもらえてないということが評価としては出ておりますので、大学にたくさん人が行っ たら、必ずしもいい研修ができると私は思っておりません。 ○河野委員  先ほど専門性って、冨永先生のご意見、僕は非常にそのとおりだと思うんですが、大 学が初期研修でいいというんじゃなく、やはり後期研修に、それと専門性の中に、プラ イマリーケアだけの考えだとつながらないんですよ。だから、そこにおいて、初期研修 の中でやはり専門性というようにつながるような初期研修、それは別に大学じゃなくて いいわけです。そういった考え方というのは、プログラムが非常に重要だろうというこ とを申し上げたので、必ずしも大学に行くという意味では全くございません。 ○小川委員  プライマリーケアを修得すればいい医者になるようなお話なんですが、例えば黒澤明 の「赤ひげ」の時代ではないんですよ。ですから、今幾ら、例えば内科の専門の方でそ して田舎にいらっしゃって、そして産婦人科を2年研修して100例のお産の経験を持っ ている内科のお医者さんといえども、その方に自分の奥さんのお産をまかせてあれしよ うという方はいらっしゃらない。  そういう意味からしますと、先ほど矢崎先生がいみじくもお話しになった臨床判断と いうこと。プライマリーケアではなくて、その臨床判断ができて、この患者さんを今日、 この日、入院させて様子を見なければいけないのか、帰してもいいのかという臨床判断、 あるいはこれは専門医に見せなければ絶対駄目だよと思う臨床判断、そしてファースト エイドなんですよね。だから、プライマリーケアではなくて、ファーストエイドと臨床 判断ができるということが、これが到達目標であって。  その辺に関しましては、この意見のとりまとめの中にも、いみじくも1ページの一番 下に記載されておりますけれども、平成13年に全国の医学部共通のコア・カリキュラム が公表されて、CBT、OSCEが実施されるなど、いろいろやっているということも 指摘をされていることでありまして、そういう意味では、今臨床研修でやらなければな らない部分のかなりの部分が、もう学部教育の中で十分に工夫さえすればできるような 状況になっているということを前提にして、やっぱりお考えいただかなければならない のじゃないかなと思っております。 ○齋藤部会長  矢崎委員、何かご意見ありますか。 ○矢崎委員  結局、到達目標にどう到達して、それを担保するかということにかかるんではないか と。だから、そのプロセスについていろんなご議論がありますが、最終的にはよき医師 を見つけ、よき医師でないようなら、先ほど小川先生がいろいろ出してきたような臨床 判断ができる医師を育てると。それにはどういう到達目標が必要かということを唱えれ ばいいということですね。  ですから、私は、今一番課題になっているのは、社会的にも注目されているのに、地 域医療をどういうふうに担うかということで議論が一方あって、この初期臨床研修だけ を議論してはいけないというのは当然あるんですが、虎の門病院とか、私どもの東京に ある大きな病院は、それぞれ独自で管理型ができますけれど、我々の病院の地方に行っ たときに、その地域の中で研修をどうするかといったときには、私のほうからその地域 ごとのコンソーシアムをつくらないといけない。それで、まとめの中にも病院群という キーワードを入れていただいたわけですが。  そのとき、皆さんやっぱり感じるのは、かつての大学病院のイメージなんですね。そ れで、ヒアリングのときも結構、前の大学の医局に戻せば全て問題解決というようなご 意見の方もいたので、これはまいったと思ったんですが。今日ご出席の先生方のお話を お聞きした限りでは、大学病院が……。  私も、コンソーシアムをつくるときにどこが中心なのかといったら、やっぱり大学病 院がならざるを得ない。だから、私たちとしてはもう大学病院をしっかり意識改革して、 本当に地域医療をサポートするという意識の下でコンソーシアムをつくっていただけれ ば、皆さんも安心するんですが、何かお話聞くと時々そうじゃない先生方もおられて、 なかなか判断しにくいので。ですから、本当にここに開かれたシステムで責任を持って やっていただければ、我々はものすごく安心するので。  特に地方では、病院群をつくって運営するときにはやっぱり大学が中心にならざるを 得ない。それから、県立病院もありますけれど、県立病院と大学病院は緊密な関係があ りますから、やはり設置主体の違うところの病院群がいかにそこの地域の医師をどう育 てるかというときに、やっぱり地域枠で県に預けても、だれもリーダーシップをとれる 方はおられないわけですよね。  ですから、ぜひ小川先生をはじめ大学病院の、大学の先生方ですね、意識改革して、 やっぱり臨床判断ができる医師をどう育てるか、それから地域に根付く医療人を早期に 育てるか、後期研修をどう構築するかということも、やっぱり地域で考えない限り難し いので、私は大学の先生方の責任が極めて重いというふうに申し上げたいと思います。 ○小川委員  いや、大変、厳しいご指摘をありがとうございました。全くそのとおりだと思ってお ります。  ただ、一つは昔のような「白い巨塔」のような大学ではもう既になくなっているとい うことが一つ申し上げたいと思います。例えば、地方の大学病院の中では、山下先生の ところもそうですけれども、県と一緒に派遣システムといいますか、派遣の仕組みをも う医局単位ではなくて、大学それから地域単位でやらないと、もう到底医師不足の中で ぎりぎりで人をやっているわけですから、それがなければもう全然成り立ち得ないとい う状況になっていますので。ですから、決して医局のエゴで医師を派遣しているわけで はないということだと思います。  それから、もう一つは、医局がとても悪い悪者のように言われるんですが、医局の非 常に大事なところが一つあります。これは幾ら、例えば我々も大学それから県を交えた 地域医療支援委員会というものを立ち上げて、そこで医師派遣を決めているんですけれ ども、そのときに例えば産婦人科のお医者さんで、二次医療圏のAという二次医療圏に 派遣するときに、どなたが適正な医師であるかという医師の臨床能力判断というのは、 これは医局でないとできないんです。  ですから、医局という名前が悪いのであれば、これは医局という名前を変えればいい のですが、ただ、少なくとも医局というのは診療科の集団ですから、専門家集団。で、 その専門家集団の中で臨床能力の評価をしている。この臨床能力評価というのは、幾ら 頑張っても行政ではできません。  ですから、例えば私が自分の診療科の医師であれば、それはもう何年も一緒に仕事を していますから大体の診療能力はわかりますけれども、だけど、ほかの科の診療能力は わかりませんし、医者も人間ですから、A君とB君を一緒にして働かせたら取っ組み合 いのけんかをするから、AとBは絶対一緒にできないとか、A君とC君でなければ駄目 だとか、あるいは課長さんがA君がやっているところにその下に、その年上であるD君 をやるわけにいかんとか、あるいは、子供の教育だってあるでしょうと。それから、親 が寝たきりで面倒をみなきゃならないということもあるでしょう。いろんな社会的なこ とを加味して派遣を決めているところがありまして、大変その辺に関しましては頭が下 がる思いなので。  ですから、決して、昔のように「白い巨塔」の状況でやっているわけではないんだと いうことと、そういう仕組みはできているんだけれども、診療能力とかそれから家族環 境とかそういうことを理解をしているのは、専門家集団である診療科の科員であるとい うことは、これはご理解いただきたいと思っています。 ○齋藤部会長  はい、どうぞ。 ○長尾委員  先ほどから、専門性が出てきたということで、非常にいいというお話なんですが、私 は基本的な考えとして、医師としての人格のかん養と基本的な診療能力というのを挙げ られている。私は精神科の立場から言わせてもらえば、やはりこの臨床研修が始まって 精神科が必修になったということは非常に大きなことだと。この専門性で非常に臨床能 力の高い人が、必ずしも人格がかん養かということは一概に言えないところがある。特 に精神科の立場から言えば、精神科の患者さんが他の一般科の診療に行った場合に、精 神科にかかっていると言うと、露骨に嫌な顔をされたりですね。我々も身体合併症があ って、いろいろお願いしたときにも、やはり露骨に嫌がる人も結構、今、専門性に先に 行った人というのは非常に多いわけですね。  ですから、社会的にも精神科のいろいろな誤解、偏見というのがある一方、医師の中 での偏見というのは非常に強いんですよ。ですから、やはりこういう研修で必修にきち っとやっていく、精神科のことも本当に知って、診療能力やそういった人格のかん養、 ちゃんと受け入れられるそういう医師をやはりつくっていただきたいというのはあるん です。  ですから、専門性へ行けば早く育つからそれでいいという話ではなくて、全体的なや はり基礎的な知識をきちっと持つということが絶対的に大切なことだということをお願 いしたいと思います。 ○齋藤部会長  大変長時間にわたり貴重なご意見をいただきましたが、そろそろ時間となりましたの で、今日はこれで一度終わって、まだこれは終わってないわけでして、今後の予定につ いて事務局のほうからお願いします。 ○石川補佐  次回の日程ですが、3月2日月曜日、3時から5時を予定しております。引き続きよ ろしくお願いいたします。  以上です。 ○齋藤部会長  今日いただいた貴重なご意見を取り入れて、また案を事務局でつくると思いますので、 よろしくお願いします。  どうもありがとうございました。 (照会先)                   厚生労働省医政局医事課                      医師臨床研修推進室                    (代表)03−5253−1111                   (内線4123)