09/02/26 第19回予防接種に関する検討会 議事録 第19回 予防接種に関する検討会 議事録         日 時:平成21年2月26日(木) 17:30〜19:52         場 所:国立感染症研究所共用第1会議室 ○山田課長補佐 定刻になりましたので、これより、第19回「予防接種に関する検討会」 を開会いたします。  本日は御多用のところ、予防接種に関する検討会に御出席いただき、誠にありがとうご ざいます。  本日の検討会でございますが、9名の委員のうち、廣田委員より御欠席の御連絡をいた だいております。8名の委員の御出席をいただく予定になっておりますが、蒲生委員は少 し遅れて参加される模様でございます。ですので、会は成立していることを申し述べさせ ていただきます。  続きまして、参考人として御参加いただいております先生を御紹介させていただきます。  倉根一郎様、国立感染症研究所ウイルス第一部長でございます。  上田重晴様、財団法人阪大微生物病研究会理事でございます。  石川豊数様、財団法人阪大微生物病研究会理事でございます。  福田仁史様、財団法人阪大微生物病研究会東京事務所長でございます。  また、本日は、医薬食品局血液対策課、安全対策課からも出席しております。  それでは、カメラをお持ちの方は申し訳ございませんが、撮影はここまでとさせていた だきたいと思います。 (報道関係者退室) ○山田課長補佐 なお、上田健康局長でございますが、ごあいさつをさせていただく予定 でございましたが、交通事情等により少し遅れている模様でございます。着き次第、あい さつをさせていただきたいと思います。  この後の議事進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じます。加藤座長、よ ろしくお願い申し上げます。 ○加藤座長 こんばんは。本日の議事を進めさせていただきます。  まず、事務局から、資料の御確認をお願いいたします。 ○山田課長補佐 それでは、お手元に配付させていただいております資料を確認させてい ただきます。  資料1は「予防接種に関する検討会 委員名簿」でございます。  資料2は「財団法人阪大微生物病研究会説明資料」でございます。  資料3は「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(販売名ジェービックV)審査結果報告書【暫 定版】(抜粋)」でございます。  資料4は「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン添付文書」でございます。  資料5は「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンについて(平成21年2月23日付け公表資料)」 でございます。  資料6は「『乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン製剤の使用に当たっての留意事項について』 (平成21年2月23日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課課長名通知)」でございます。  資料7は「『米国産のウシ由来物を原材料として製造される医薬品等を使用する患者へ の情報提供について(依頼)(その8)』(平成21年2月23日付け厚生労働省医薬食品 局安全対策課長名通知)」でございます。  資料8は「日本脳炎予防接種の現状」でございます。  参考資料1は「予防接種法、予防接種法施行令及び予防接種実施規則(関係部分抜粋)」 でございます。  参考資料2は「定期の予防接種」という一覧表を付けさせていただいております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。不足等ございませんでしょうか。ございましたら ば、事務局までお知らせください。  まず、本日の進行について御紹介してまいります。  平成17年5月より、接種の積極的な勧奨の差し控えがなされておりました日本脳炎ワク チンでございますが、接種率が大きく低下している日本脳炎の予防接種につきまして、こ れまでの検討状況について御説明いたしますと、日本脳炎ワクチンの接種を継続する必要 性につきましては、疾病の予防という観点から見ますと、ワクチン接種は欠かせないとい うことが1点。  それから、組織培養による日本脳炎ワクチンが供給された後の実施体制につきましては、 状況に応じた接種が行えるよう検討が必要とのことであると受けまして、前回の検討会で は、まず第1に、組織培養による日本脳炎ワクチンの供給量に応じた接種の進め方を検討 する際の視点として、接種回数、接種時期、日本脳炎に罹患するリスクの高い地域等につ いて御議論いただきました。  第2に、組織培養によるワクチン接種による副反応の発生について、より慎重に把握、 評価することが提案されました。  第3に、接種機会を逃した者について、予防接種の実施体制と併せて、経過措置を設け る等の対応を検討することが挙げられました。  前回の検討会の時点では、承認及び承認後、供給量について未定でございましたので、 今後の進め方につきましては、引き続き検討を深めていくことにいたしたところでござい ますが、2月23日、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが新たに薬事法に基づく承認を受けた ところでございます。  したがいまして、本日は新たに承認されたこのワクチンに関する有効性、安全性、供給 量などの情報につきまして、阪大微生物研究会から御説明をいただきまして、それを踏ま えまして、予防接種法上の取扱いなど、今後の対応に関しまして御議論をお願いいたした いと存じます。  それでは、最初の議題となっております日本脳炎ワクチンにつきまして、微研会の上田 理事、石川理事、福田所長に参考人として御出席いただいておりますので、当ワクチンの 御説明をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。 ○上田参考人 上田でございます。私ども3人で御説明をいたしたいと思います。  製剤につきましては石川、市販後の調査あるいは生産量につきましては福田、臨床の成 績につきましては私が御説明をさせていただくことにいたしたいと思います。  まず、製剤につきまして、石川理事から説明させていただきます。 ○石川参考人 石川でございます。製剤について、スライドに基づいて御説明させていた だきます。 (PP)  このワクチンは、細胞培養ということでございまして、Vero細胞という細胞でウイルス を増殖させまして、そのウイルスを用いてワクチンを製造いたします。  このVero細胞の由来でございますけれども、この細胞は1962年に千葉大学の安村先生 によって樹立された細胞でございまして。 ○加藤座長 ちょっと失礼します。  開始したところでございますが、まだ始まり立てでございますので、局長が今お見えに なりましたので、局長からごあいさつをいただきたいと存じます。よろしくお願いいたし ます。 ○上田健康局長 済みません、ディスターブしたようで申し訳ないです。  健康局長の上田でございます。遅れてまいりましたが、一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多用にもかかわらず御出席いただいて、ありがとうございます。  さて、予防接種に関する最近の動向でございますが、一昨年の学校などにおきます麻し んの流行、また本検討会での御提言を受け、本年度から中学1年生と高校3年生相当の年 齢の方を対象とした追加的な予防接種などの麻しん対策を進めているところでございます。  先週、麻しん対策推進会議にて、進捗状況の評価を行い、接種率の高い地域の取組みな どを踏まえ、文部科学省とも連携し、年度内の接種について、一層の取組みを呼びかけた ところでございます。  また、新しいワクチンの我が国への導入など、今後の予防接種の在り方については、関 係各方面から高い関心あるいは期待も寄せられているところでございます。  本日の検討会は、前回12月の検討会の議題に引き続きまして、今、やっていただいてい ると思いますが、日本脳炎を中心とした議題でございまして、17年5月から積極的勧奨を 差し控え、現状として、保護者の間において接種が見送られている日脳ワクチンの予防接 種については、前回の検討会において、新しい製造方法でございます細胞培養を使用した 日本脳炎ワクチンが供給された後の接種の進め方を検討する際の視点や副作用の把握、評 価の必要性、接種機会を逃した方への経過措置の検討などについて御意見をいただいたと ころでございますが、今般、細胞培養による日脳ワクチンが新たに薬事法に基づく承認を 受けたところでございまして、本日はこのワクチンの有効性、安全性、供給量などの情報 提供をいただいて、日脳に対する予防接種の今後の進め方について御意見をいただくとい うように考えているところでございます。  つきましては、予防接種を取り巻くさまざまな課題について、各委員から活発な御意見 をいただくことを期待いたしまして、途中でディスターブいたしましたけれども、よろし くお願いしたいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  それでは、石川参考人、始まってまだ30秒ほどでしたから、最初からお願いいたします。 ○石川参考人 それでは、御説明させていただきます。 (PP)  まず、このワクチンは細胞培養ということでございまして、Vero細胞という細胞でウイ ルスを増殖させまして、そのウイルスを用いてワクチンを作ります。  この培養しますVero細胞についての御説明ですが、1962年に千葉大学の安村先生によ って樹立されました細胞で、アフリカミドリザルの腎臓を原料として継代培養をして、株 化細胞として樹立されたものであります。  Veroという名前は安村先生が命名されたわけですけれども、アフリカミドリザルの「ミ ドリ」を取りましてビーロ細胞ということで、Vero細胞という名前が付けられたようでご ざいます。  この細胞は、その後、アメリカに渡りまして、113代目の細胞がATCCに提供されま して、ATCCで継代培養細胞を保存し、それが各研究機関に配付されているという細胞 でございます。  この細胞は、御存じのように、ヨーロッパにおきましては、1980年代から不活化ポリオ ワクチン、あるいは狂犬病ワクチンの製造用細胞として使用されておりまして、膨大な使 用歴のある細胞でございます。  私どもは、この細胞をATCCから121代のものを購入し、セルバンク化して、製造に 用いるわけでございます。 (PP)  これが私どもの製剤の成分分量でございます。本剤は凍結乾燥品でございまして、溶剤 として注射用水が添付されております。これを溶剤0.7ccで溶解したときの液剤0.5cc中 の成分分量をスライドにお示ししていますが、有効成分としまして、不活化日本脳炎ウイ ルス北京株を参照品(力価)と同等以上含んでおります。  欄外に書いてございますが、タンパク質含量としまして2.5μg含んでおります。  そのほか、安定剤、等張化剤、緩衝剤、希釈剤としまして、ここにお示ししますものが こういった分量含まれております。 (PP)  次に、スライドの8番です。本剤の製造に使用されます生物由来原料をお示ししたスラ イドでございます。  本剤には、ここにお示ししますような生物由来原料を使用いたします。この中の赤で示 しております原料がマスターシードあるいはマスターセルバンクの調製時に使われた生物 由来原料でございまして、これらが生物由来基準に適合しないあるいは日本やアメリカに おきましてBSEが発生する以前に調製されておりますので、そういった原料を使ってい るということを示しております。 (PP)  それを更に詳しくお示ししたのが、この図でございます。  「シード及びセルバンク調製」ということで、まずこのウイルスは、現行の日本脳炎ワ クチンの製造用の種ウイルスをオリジナルウイルスとしております。  そのウイルスを使いまして、そこに示しますような生物由来原料を用いてマスターシー ドを調製いたしております。  そのマスターシードから、更にVero細胞で2代継代したウイルスが、ワクチン製造用に 直接使う種ウイルスのワーキングシードが作られております。  次にセルバンクでございます。下段に書いてございますが、ATCCから購入しました Vero細胞をそこにお示しします生物由来原料を使いまして、マスターセルバンクを調製し ました。  更に、マスターセルバンクから6代継代培養したものがワーキングセルバンクというバ ンクでございまして、これがワクチンの製造用に使われるということでございます。 (PP)  これがワクチン製造の概要をお示ししたスライドでございます。  まず、原液の製造につきましては、先ほどお示ししましたワーキングセルバンクを継代 培養しまして、個体別細胞培養というものを作ります。その細胞に、先ほどお示ししまし たワーキングシードを接種しまして、ウイルスを培養し、そのウイルスを採取して、ホル マリンで不活化いたしまして、その後、高度精製をして、最終ろ過したものがワクチンの 原液となります。  そして、その原液を用いまして、右に書いていますように、最終バルクという調製を行 います。ここで原液に安定剤、希釈剤を加えまして、最終バルクを調整し、それをバイヤ ルに充填し、更に凍結乾燥したものが製品になるわけです。  小分け製品になったものを自家試験し、国家検定を経た後、市場に出されるということ でございます。  以上が概要でございます。  次に、臨床試験の成績について御説明します。 ○上田参考人 それでは、臨床試験の成績につきまして、説明させていただきます。スラ イドの4ページです。  一番左端にBK−VJE/001、BK−VJE/002、BK−VJE/003、BK−VJE/004と書いてありますの が、試験をしましたときのコードナンバーでございまして、001は健康成人男性を対象に いたしまして、単盲験試験を行いました。  その後、特段の問題点が見つかりませんでしたので、6〜90か月未満の健康小児を対象 に、現在の日本脳炎ワクチンの接種のガイドラインにのっとりまして、初回2回接種を行 いました。これが002でございまして、この子どもたちを対象に、約1年後に追加接種を 1回行ったのが003でございます。これで成績をまとめまして、2005年6月に製造販売承 認申請をいたしましたが、このときはマウス脳由来のワクチンを対照群にいたしましたが、 これに比べまして、この治験薬の方はやや副反応の頻度が高い。そのかわり抗体の反応は いいということで、恐らく抗原量が多過ぎたのではないかという御判断をいただきました ので、その後、抗原量を3段階に振りまして、002、003で使いました治験薬の抗原量を1 として、それを2分の1、4分の1に薄めまして、H剤、M剤、L剤という群をつくりま して、おのおの120例余りで二重盲検で臨床試験を行いました。  これは初回2回、その次の追加接種も含めまして、1本の試験にいたしております。 (PP)  その結果として、まず抗体反応でございます。  002試験、003試験は、今回承認をいただきました試験の参考になったデータでございま す。今回承認をいただきました製剤の抗原量は、真ん中のM剤でございます。  これの抗体反応は、初回2回接種後、抗体陽転率です。中和抗体価20倍以上を陽転とい たしますと、99.2%でございました。こういった子どもたちに約1年後に追加接種をいた しますと、陽転率は100に上がりました。  ちなみに、L群は95.0が3回接種いたしますと100に上がるという抗体反応でございま す。 (PP)  抗体価の方でございます。  下の表でございますが、真ん中のM群は2回接種した後の事後受診(1)のところに平均値 が書いてございますが、10の指数で書いてございまして、10の2.4。こういった子どもた ちに追加接種をいたしますと、この事後受診(2)のところにきますが、10の3.766という値 になります。大体真数に直しますと6,300倍ぐらいになります。  こういった抗体反応を示すワクチンでございます。 (PP)  安全性につきましてですが、M剤だけのデータをここにお示ししております。  発熱、咳嗽、鼻漏、注射部位紅斑というものをまとめて左側に示しております。これは 1回、2回、追加の3回の3回接種を全部ひっくるめた数字になっておりまして、123名 のうち23名が発熱いたしております。  そのほか、咳嗽、鼻漏、注射部位紅斑といったものは、10%ぐらいでありました。  発熱は右側に示しておりますが、軽度、中等度、高度に分けますと、こういった数字に なります。これは件数でここに示しておりますので、1人が2回発熱した場合もございま して、足し算をしますと、左の23例よりは右の方が増えております。それは1人が2回あ るいは3回発熱したものが含まれているということでございます。  軽度は37.5〜38.0度、中等度が38.1〜39度、高度が39.1度以上でございまして、こん な数字になっております。  以上が臨床のデータでございます。ありがとうございました。  引き続きまして、市販後の調査及び私どもの生産キャパシティについて、福田から説明 させていただきます。 ○福田参考人 スライドの11をお願いします。  ここに製造販売後調査の概要を示してございます。  目的は、使用実態下における副反応の発生状況の把握、未知の副反応の把握、安全性に 影響を与えると考えられる要因の把握ということで、その下にありますように、使用成績 調査として、1期初回の2回約3,000例を現在計画しております。  また、特定使用成績調査としまして、まず1期追加として、本剤を1期初回として2回 打ったもので1,000例、2期としまして、本剤を1期で完了しているものを1,000例、現 行のマウス由来ワクチンを1期で済ませているものを500例、まだ1期を済ませていない ものを500例の計3,000例を特定使用成績調査として計画しております。  現在、ここに記載があります調査期間につきましては、現時点でこのワクチンが定期接 種に使用されるかどうかということと、積極的勧奨の見合わせが解除されるかどうかとい うことが現時点で不明でございますので、長期になりますけれども、その期間を設定させ ていただいております。定期あるいは積極的勧奨の差し控えが解除されれば、この期間は 更に短くなると考えております。 (PP)  こちらのスライドには、今回私どもが製造できる能力としまして、グラフ化して、累積 で示してございます。  右端を見ていただきますと、約500万人分のワクチンが年間を通して製造できる能力を 現時点で保有しております。今後、3月以降、順次国家検定に提出していくわけですけれ ども、現在その検定につきましては、感染研とも現在調整をしておりまして、わかり次第 個々に報告させていただきますが、現時点では、大体月に4ロット程度提出できるのでは ないかということで感染研と調整を進めております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。ただいま微研会の方から、新たに承認されました 乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにつきまして御説明いただきましたが、各委員、参考人か ら御質問をいただく前に、本件に関連いたしました資料につきまして、事務局から御説明 いただきたいと存じます。 ○江浪課長補佐 今、御説明いただきました内容に加えまして、何点か資料としてお配り していますものがございますので、御説明をさせていただきます。  資料3につきましては、阪大微研様に御用意いただきました、薬事承認の際の審査報告 書の暫定版ということでございまして、一部企業秘密に関する部分につきましては、黒塗 りされた形がございますけれども、薬事承認の際の資料ということで、本会に御提出いた だいております。  この資料の中では、例えば2ページの「審査結果」のところに、薬事承認の際の考え方、 審査結果というものの記載がございまして、具体的には、本剤につきましては、日本脳炎 の予防に必要な抗体価が得られるということが示され、日本脳炎の予防に対する有効性が 得られると判断された。安全性については、接種後の注射部位局所反応、発熱などの副反 応が認められるものの、忍容性に大きな問題はないと判断した。ただし、本剤は非常に多 くの健康小児に接種されると予測されるワクチンであることから、製造販売後調査におい て早急に情報収集を行い、安全性を確認することが必要と考える。  以上、医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目については、以下のような 効能・効果、用法・用量で承認して差し支えないと判断したということが記載されており ます。  資料4につきましても、阪大微研様から御提出いただきました、現時点での乾燥細胞培 養日本脳炎ワクチンの添付文書でございます。  本日の議論に関連する部分といたしましては、1ページ目の右下の点線で囲まれた「用 法及び用量に関連する接種上の注意」の「1.基礎免疫、追加免疫及び免疫の保持」の中 の最後から2行目のところでございます。ただし書きとしまして「第2回目の追加免疫以 降の有効性及び安全性は確立していない(使用経験が少ない)」という記載もあるという ことでございます。  また、関連する資料としまして、資料5、ジェービックが承認された際の資料でござい ます。  資料6としまして、先ほど資料3の中でも出てきた点でございますけれども、乾燥細胞 培養日本脳炎ワクチン製剤の使用に当たっての留意事項ということで、審査管理課長から 各都道府県の衛生主幹部局長あてに送られた通知の中におきまして、承認条件が付いてい るということが記載されてございます。  「記」以下の1.でございますけれども、本剤は、製造販売後、可及的速やかに重篤な 副反応に関するデータを収集し、段階的に評価を行うとともに、その結果を踏まえ、本剤 の適正使用に必要な措置を講じることということとされております。  また、2.でございますけれども、本承認条件に基づき、製造販売業者は、重篤な副反 応を速やかに収集・解析し、その評価結果を医療機関等へ情報提供することとなっている ことから、各医療機関においては、本剤の使用に当たり、重篤な副反応情報の迅速な提供 に御協力いただくとともに、製造販売業者から提供される安全性情報について、御留意い ただきたいということが言われているところでございます。  資料7といたしまして、これは先ほど御説明いただきました「米国産のウシ由来物を原 材料として製造される医薬品等を使用する患者への情報提供について」でございますけれ ども、この通知の中で、この医薬品につきましても、患者向けの説明文書を作成し、すべ ての納入医療機関に配布すると、製造販売業者様の方に指示が出されていることが書かれ ているものでございます。  資料8は「日本脳炎予防接種の現状」ということで、過去に1回御提出させていただい た資料を今回の承認を踏まえてアップデートしたものでございます。必要に応じまして、 そちらを参照いただければと思っています。  以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  それでは、微研からの資料に戻りまして、幾つかに分けて御質問等がございましたらば、 お願いいたしたいと思います。  まず、新しいワクチンの有効性に関してでございますが、何か御質問が委員からござい ましたらば、お伺いいたしたいと存じますが、いかがでございましょうか。  岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 有効性の質問なのかよくわからないですけれども、臨床試験をされたときに、 先ほどの添付文書を見ると、初回免疫、追加免疫、基礎免疫という言葉が出ていますが、 漠然と知りたいのは、既に今あるワクチンを1回でも受けたことがある子がどのぐらいい て、初めてこのワクチンで1回目の免疫を受け、2度目を受けて抗体価が測定された。要 するに、そういうのが例えば陽転率とか副反応とどういう関係にあるかということを知り たいです。 ○加藤座長 微研からどうぞ。上田先生ですか。  今の御質問は、端的に言うと、このワクチンのトライアルをしたときに、前もってワク チンをした経験がある方がいるか、いないかということですか。 ○岩本委員 そうです。 ○加藤座長 これはいないですね。 ○上田参考人 はい。 ○岩本委員 全員初めてですか。既存のワクチンも全く打ったことがない人と考えていい んですか。 ○上田参考人 そうです。基礎抗体のない人を対象にいたしました。 ○岩本委員 基礎抗体というのがあるかないかではなくて、かつて打っているかどうかと いうことです。 ○上田参考人 それもきちんと調査しまして、ワクチン接種の履歴のない人、抗体のない 人です。 ○岩本委員 そういうことなんですね。  抗体の発生方法は、HIですか。 ○上田参考人 中和抗体です。 ○岩本委員 要するに、今、患部の問題が関係あるかと思ったんですけれども、基本的に は打ったことのない人を対象としているということですね。 ○上田参考人 そうです。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。 ○岩本委員 はい。 ○加藤座長 宮崎先生、どうぞ。 ○宮崎委員 幾つかあるんですけれども、1つはスライドの3で有効成分が「参照品と同 等以上」と書いてありますが「参照品」というのは何のことなんでしょうか。 ○石川参考人 力価試験用の参照品でございまして、このワクチンのための参照品は今の ところ準備されていませんが、現行の日本脳炎ワクチンの参照品を準用すると私どもは理 解しております。 ○加藤座長 宮崎先生、それでよろしいですか。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤座長 倉根先生、どうぞ。 ○倉根参考人 いわゆるここでいう「参照品」というのは、検定に使っているものと同じ ですが、マウス脳由来の不活化日本脳炎参照品です。日本脳炎粒子と言っていいんでしょ うね。この場合、参照品はワクチンではありませんので、検定等でもそれよりも同等であ れば、それよりもというのは、それがマウスにおいて同等以上の中和抗体を誘導すればよ ろしいという活性で使っている参照品になります。 ○宮崎委員 それが力価として同等以上ということは、ハイとミドルとローにした場合に、 ミドルに設定した場合に有効成分が同等ということですね。タンパク含量として2.5mg という注があるんですが、タンパク含量として合わせたのか、効果として参照したのか、 どちらなんでしょうか。 ○石川参考人 私どもがワクチンを調製するに当たりましては、タンパク質含量で濃度を 調整します。結果的に力価が参照品と同等以上であるということでございます。  ですから、表にお示ししましたのは、力価は参照品と同等ですよということですけれど も、ワクチンの濃度をタンパク質含量で表しますと、0.5cc当たり2.5μgに調整してあり ますという意味でございます。 ○宮崎委員 わかりました。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤座長 ほかに有効性に関して、御質問はいかがですか。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 関連といいますか、ついでに聞いてしまいますが、ワクチン経験のない人を 対象に3本目治験の対象者を募集されたと思うんですが、6か月〜90か月未満で平均何歳 で、かつ接種前抗体が陽性だった子どもが被験者の中にいたかどうかを教えていただけま すか。 ○上田参考人 002試験におきましては、100名余りの子どもたちの中に接種前抗体陽性者 が1名おりました。  004試験はおりませんでした。 ○宮崎委員 ゼロですね。  平均年齢はどれぐらいですか。 ○上田参考人 平均年齢は、大体3歳からリクルートをお願いしておりますので、3歳が 数十%。はっきり数字は覚えておりませんが、ほとんど3歳でしたね。 ○宮崎委員 わかりました。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。  それでは、今のお話でも、有効性に続いて安全性のこともお話しになりましたが、安全 性について御質問がございましたら、どうぞ。  竹本委員、どうぞ。 ○竹本委員 安全性の7番の表なんですけれども、同一被験者で同一の事象が頻回に発現 した場合には1例として集計とありますが、同じ子が何回も発熱したとか、そういう例は ございますか。 ○上田参考人 右側の表は、全部足しますと27になるんですね。左側の表では、23例に なります。右の数字が増えておりますのは、同じ子どもが2回ないしは3回発熱したのを 件数でお示ししております。 ○竹本委員 そうすると、1人の子が3回ずつ高熱を出したということもあるということ ですか。 ○上田参考人 実際には、3回の子どもはなかったと思うんですが、あり得るわけです。 ○加藤座長 先ほど御説明になったとおり、この数が合わないのは、同一人が複数回発熱 をしたということで数が合っていないということですね。 ○上田参考人 はい。 ○加藤座長 竹本先生、いいですか。 ○竹本委員 はい。 ○加藤座長 ほかに、安全性についていかがでしょうか。  飯沼委員、どうぞ。 ○飯沼委員 非常に原子的な質問をしますが、ホールのホルマリンを使われているんです ね。サブユニットではないわけですね。 ○上田参考人 これはウイルスそのものです。 ○飯沼委員 抗原性さえキープできれば、ホールよりサブユニットの方がいいに決まって いるわけだけれども、そういうことのデータはあるんですか。 ○上田参考人 ございません。 ○飯沼委員 では、初めからホールにすると決めてあったんですね。 ○上田参考人 現行のマウス脳由来のワクチンがホールでございますので、ホストを変え ただけです。 ○飯沼委員 そこの進歩はないわけですね。 ○上田参考人 はい。 ○飯沼委員 もう一つは、これはどのぐらいのイールドがあるんですか。例えばm.o.i.が 3Yだとすると、24時間なら24時間でどのぐらいのイールドになるわけですか。 ○石川参考人 一応、ウイルス培養としては、ウイルスを接種して4日間培養します。 ○飯沼委員 m.o.i.はどのぐらいなんですか。 ○石川参考人 m.o.i.はたしか0.01です。 ○飯沼委員 そんなに少ないんですね。では、その中でしょっちゅう増えているわけです ね。 ○石川参考人 そうですね。 ○飯沼委員 それで10の何乗ぐらいに上がるんですか。 ○石川参考人 感染価でいいますと、10の9乗ぐらいです。 ○飯沼委員 すごいですね。わかりました。ありがとうございます。 ○加藤座長 よろしゅうございましょうか。  宮崎さん、どうぞ。 ○宮崎委員 先ほどの7番のスライドの続きですけれども、全観察期間というのは、実際 には何日間の観察なんでしょうか。 ○上田参考人 接種後2週間は、毎日体温測定をいたしまして、その後は、何かイベント があったときに記載をしていただくという形です。  この全観察期間と申しますのは、2週間を3回足し算したということでございます。 ○宮崎委員 6週間ということですか。 ○上田参考人 そうですね。接種ごとに足しておりますので、1回接種、2回接種、3回 接種を合算した数字がここに出ております。 ○宮崎委員 ということは、1回ごとの発熱率は、どのように理解したらよろしいでしょ うか。 ○上田参考人 実はスライドにしておらなかったんですけれども、単純にはこれを3で割 っていただきますと、そのデータに近い数字が出てまいります。 ○宮崎委員 1回目、2回目、3回目で発熱率の差はなかったでしょうか。 ○上田参考人 3回目は少なかったですね。1回目と2回目はばらついておりました。接 種が重なるごとに発熱頻度が高くなるということはございませんでした。 ○宮崎委員 単純に3で割ると大体6%ぐらいになりますけれども、2週間観察をすると、 どうしても紛れ込みが増えてくるので、実際はもう少し低い可能性もありますでしょうか。 ○上田参考人 実際には、接種後1日〜3日間の間がほとんどでございました。 ○加藤座長 発熱についてはそういうことでございますけれども、よろしいでしょうか。 ほかに御質問はございますか。  続きまして、承認条件となっております市販後調査がございましたが、これについて何 か御質問がございましたら、どうぞ。  福田参考人、どうぞ。 ○福田参考人 ちょっと付け加えます。11枚目のスライドの説明を忘れておりました。  ここに記載はございませんが、製造販売直後調査も現在検討されておりまして、6か月 間での調査を今、検討中でございます。 ○加藤座長 追加の発言でございましたが、いかがでございますか。市販後調査について は、スライドの11番目に書かれておるとおりでございます。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 11番のスライドの2期の中の「1期を未完了」で500例と書いてありますが、 これはどういうことですか。 ○福田参考人 1回終わって2回足りないとか、いろんなパターンがあると思いますが、 この子どもたちを拾って試験をしてみようかという計画です。 ○宮崎委員 2期で1回だけですか。それとも例えば1期から数えて足りない回数をする んですか。 ○福田参考人 いろんなパターンがあると思います。1回だけ終わっていたり、1期初回 だけで終わっていたりというパターンがあると思います。 ○宮崎委員 では、この対象者はばらけてくると理解すればよろしいですか。 ○福田参考人 はい。 ○加藤座長 1期が不完全に行われているものが対象だということですね。細かく中身ま では吟味していないけれども、不完全なものを一まとめにしているということですね。 ○福田参考人 はい。 ○加藤座長 市販後調査について、ほかにいかがでございますか。特に御質問はございま せんか。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 済みません、もう一つ。市販後調査の主な目的というか、数千例というのは、 いわゆる通常起こり得る副反応を主に拾うという意味でしょうか。 ○福田参考人 そうですね。その頻度で発生する症例を拾うということです。 ○宮崎委員 それから、先ほどの安全性のところで1つ聞き忘れたんですが、注射部位の 紅斑で、前回の最初の治験のときに、たしか局所の腫れが問題になったと思いますので、 そこにももう一言触れていただきたいと思います。 ○上田参考人 ここに数字も出ておるんですが、前回よりは低くなっております。その1 つの理由は、前回の治験は北海道から九州まで23の医療機関で、それに携わっていただき ました治験担当医師が63名いらっしゃいました。治験責任医師の先生は、ベテランの先生 が多いんですが、そのチームの中では若い先生もいらっしゃった。各先生方による手技の 差が現れているのではないかということを思いまして、今回の治験は、主に開業医の先生 方です。  それから、治験を始める前に、先生方に集まっていただきまして、注射の仕方、注射針 の太さを一定になるようにしていただきました。  そういうことが、恐らく局所の反応が前回に比べて少なくなった理由だと思っておりま す。 ○加藤座長 よろしいですか。  永井委員、どうぞ。 ○永井委員 先ほど、臨床試験の対象者の中には、既存のワクチン接種をした者は含まれ ていなかったということなんですが、そうしますとスライド11の中で、特に2期のところ の1期を現行ワクチンのものが500例、1期を未完了のものが500例ということは、要す るに既存ワクチンを打った人で、なおかつ今後市販される新しいワクチンを接種した人に どのくらいの影響があるかということは、市販後調査していくということですね。  そうしますと、裏を返せば、恐らく問題ないだろうということを推察されているという ことでしょうか。 ○上田参考人 そういうことですね。  それから、1期追加の「1、2回目を本剤」というのは、治験に参加していただいた方 です。 ○加藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○永井委員 はい。 ○加藤座長 岩本先生、どうぞ。 ○岩本委員 私は小児科医ではないので、日本脳炎の予防接種というと、自分の五十何年 前の経験でしかないんですけれども、昔は痛くてかなわない注射だったと思うんです。こ れも随分古い話ですけれども、もう亡くなったオオヤ先生に、何で日本脳炎の予防接種は あんなに痛かったんでしょうかと言ったら、ホルマリンが残っていたからだとおっしゃっ たんです。今の副反応とか、そういうのは古い時代のことなので、先ほど日本脳炎はホル マリン処理だとおっしゃったんですけれども、そういうもののために局所部位が赤くなる とか、そういうことではないんですね。 ○上田参考人 現在のワクチンは、先生の経験のころから非常に進歩しておりまして、夾 雑物もほとんどございませんし、ホルマリンの残存も非常にわずかでございます。痛いと いうのは、液の等張性がかなり関係あるんですが、それも非常に生理条件に近づいており まして、余り痛みはないです。 ○岩本委員 私の話は、本当に五十何年前の自分の経験だけですので、体育館を出るころ に痛くなってくるようなものでした。 ○上田参考人 随分よくなりました。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。  倉根先生、どうぞ。 ○倉根参考人 先生、私が質問してもよろしい立場なんでしょうか。 ○加藤座長 特に許します。 ○倉根参考人 ありがとうございます。  2つほどありまして、まず、11番のスライドでございます。「未知の副反応の把握」の 「未知」というのは、わからぬものはみんな未知だということか、何かある程度想定して いるんでしょうか。つまり、これ自体は比較的あり得る副反応を調べるということであり ますが、そこの部分と、仮に安全性に影響を与えると考えられる要因の把握をするとした 場合に、要因となるとその要因を突き止めるためのデータというのが必要になってくるの ではないかと思います。つまり、年齢、性別だけではなくて、そこら辺の情報というのは、 実際にはどのぐらい上がってくるものでしょうか。 ○上田参考人 添付文書にはいろんな副反応が列記されております。治験でつかまってく るのは、たかだか百何十名かの子どもたちですから、零コンマ何%の頻度で起こる副反応 しか拾えませんので、これを1,000例とか3,000例にしますと、もっと少ない頻度で出て くる副反応といいますか、有害事象でこれが拾えるということでございます。  もっとも問題になりますADEMのようなものですと、恐らく100万、200万のオーダ ーで症例を重ねないとつかまりませんが、3,000例辺りを調査しますと、かなりのものが 拾えると考えておりまして、こういう設定にいたしました。 ○倉根参考人 あともう一つですが、これは副反応を見るためのあれだと思うんですが、 1期を現行ワクチンでやって、2期を新ワクチンでやったときに、抗体がうまく上がるか どうかという保証はないわけですね。上がるとは思いますが、しかし証明がない。  そういう意味では、これは抗体の測定もやっておかないと、1期を現行ワクチンでやっ た人は2期を新しいワクチンでやればいいのですという答えは出てこないのではないかと 思います。中和抗体の誘導の測定はなされますか。 ○上田参考人 これは主に安全性だけでございまして、先生がおっしゃるような有効性の 問題につきましては、採血を伴いますので、臨床試験になるんです。そうすると、GCP にのっとった形をとらないといけませんので、かなり面倒になってきますし、お金もかか りますし、その辺はもし何でございましたら、公的な研究班でも組織していただきまして、 その中でやっていただいて、私どもはワクチンの提供とか、抗体価の測定とかという形で 協力させていただきますと、非常にありがたいと思います。 ○加藤座長 今、倉根先生から御質問がありました最後の方の2期の接種についての安全 性・有効性に関しては、また後ほど少しディスカッションに入るかもしれませんので、ち ょっとお待ちいただきましょう。  石川参考人、どうぞ。 ○石川参考人 それに関連しますけれども、一応現行ワクチンを打った後、今回のワクチ ンを打ったときの抗体応答でございますが、細かい履歴は調査できていませんが、I相試 験におきまして、健康成人に打って、一応プレ抗体陽性者に今回のワクチンを打って、良 好な抗体応答が認められておりますので、非常に例数は少ないですが、そういったデータ はあるということです。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。  では、先に進めさせていただきまして、供給量に関してでございます。スライドでいい ますと12枚目に示されましたが、これに関しまして御質問がございましたら、どうぞ。後々 のディスカッションに関係してくるかもしれません。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 先ほどの説明ですと、1年間で500万で、月4ロットとおっしゃっておりま したので、1ロットが10万弱ぐらいになるんですか。 ○福田参考人 凍結乾燥機が2種類ありまして、7万5,000本と13万本というキャパを持 っておりますので、この組合せによってロットが変わりますが、一番小さな月4ロットで 7万5,000本ばかりを4ロット集めると30万本ほどの供給量になります。  ですから、大体平均しますと、30〜40万本ぐらいの平均の供給になるのではないかと予 想しております。 ○加藤座長 ありがとうございました。それでよろしゅうございますか。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤座長 ほかにございますか。  倉根先生、どうぞ。 ○倉根参考人 月4ロットであればできるといいますのは、我々の感染研の方のキャパシ ティがございまして、1つやるのに、マウスを入れて、次の日に免疫をするわけにはいき ませんので、マウスの順か、あるいはそれから免疫をして採血ということを考えますと、 そこで3週プラス、4週近くかかってしまいます。  ですから、その後に抗体価の測定をやりますので、幾つかの2つのものを少し全工程を オーバーラップさせてやったとしても、やはり1か月に4ロットが限度であるということ での4週間であります。  ですから、1つのロットサイズが非常に大きければ、本数としては増えるわけでござい ますし、ロット数が小さければ、本数としては少なくなる。だから、我々として4ロット というのは、そういう理由であります。 ○加藤座長 要するに、ロットサイズは、検定にそれだけの時間がかかりますよという考 え方でよろしいんですね。 ○倉根参考人 はい。 ○加藤座長 ほかに供給量に関してでございますけれども、御質問はございますか。よろ しゅうございますか。  それでは、先に進めさせていただきます。少しディスカッションになると思いますが、 日本脳炎に関する定期の予防接種に関しましては、1期の初回接種2回と追加接種1回の 計3回。それから、現行では2期の予防接種の1回がございまして、法律で1期、2期の 予防接種それぞれにワクチンを位置づけることになっているということでございます。  また、定期の予防接種として位置づけました場合、積極的な勧奨を差し控えるというこ とが現状でございますが、この差し控えることを継続していくかどうかということが今後 の論点となろうかと思います。  これまでの議論を踏まえまして、日本脳炎の定期の予防接種の在り方についてどうする かということについて、各委員の御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいた します。御意見をどうぞ。  少しわかりにくいと思いますが、ポイントといたしましては、先ほどもお話に出ました が、1期の新しいワクチンに関しましては、薬事法で承認が得られておりますが、2回目 ということは、追加免疫以降の第2期接種についての有効性及び安全性は確立していない ということでございます。したがって、定期の予防接種として、第2期の接種を位置づけ ることは難しい現状にあるのではなかろうかということが考えられるかなということがあ りますが、この辺のところに関して、委員の間で御意見がございましたら、伺いたいと思 います。  薬事法上で治験等を踏まえて、そのように承認されたワクチンですので、それまでであ ると言われてしまえば、それまででございますので、また後ほどとりまとめのところでも お話いたしたいと思いますけれども、第2期の接種としての定期の接種としてこのワクチ ンを位置づけるのは難しいということになろうかと思います。  次に、供給体制の確保ということと、先ほど申し上げました現在行われております積極 的勧奨を差し控えるという現状がございますが、当面は積極的な勧奨を差し控えているわ けでございますけれども、この辺のところで委員から何か御意見はございませんか。新し いワクチンができてきた場合に、この件についてどうするかということでございます。  飯沼委員、何か御意見はございませんか。 ○飯沼委員 一番打っていない人に、1回目だけをまずやる。それからまた考えるという ことでしかないのではないかと思います。 ○加藤座長 それはやはり供給量ということを考えた上で、現在行われている積極的な勧 奨の差し控えということは、継続して行わざるを得ないという観念の下にですか。 ○飯沼委員 はい。 ○加藤座長 ほかにございますか。  岩本先生、どうぞ。 ○岩本委員 私は内科なので、やはり日本脳炎が子どもの感染症で、物すごくワクチンが 大きな役割をしたということは勿論存じ上げているんですけれども、1期と2期の役割と いうのは、かつては恐らくサイエンスもそこまでいっていないので、エビデンスがどのぐ らい2期の必要性というものについて、前もあったのかどうかよくわからないように思い ます。  先ほど、少なくとも上田先生がおっしゃったように、それは採血を伴うことですから、 何らかの形でこのワクチンを打って、やはり1期目にどのぐらいの人に有効な抗体ができ て、それから2期目というのがよくわからないですけれども、要するに私が言いたいこと は、ウイルスはとにかく豚とかの中にいて日本にいるわけですから、そういう中で2期目 をやればどのぐらいの抗体価が維持できるのかということは、長くかかっても、やはり国 としてデータを取る必要があるのではないかと思います。  というのは、今の多くの患者さんは実はお年寄りですね。自分の一生でなったときに、 どういうワクチンのスケジュールをすれば、ある程度予防接種で自分の体が守れるのかと いうことは、1期、2期の議論より、もう少し国なりのエビデンスが要ると思うんです。 ○加藤座長 ありがとうございます。これは岩本先生、私は内科医でございますがとおっ しゃいますが、確かにこれは日本脳炎にかかっているのは内科の方がなっているわけでご ざいまして、内科に非常に関係がある。  そのことに関連して、実はこのワクチンは3期の接種まであったわけですが、3期の接 種がなくなったという経緯がありますので、その辺のことも関連して、1期、2期の必要 性等につきまして、宮崎委員、何か御意見をいただけますか。 ○宮崎委員 いろんなことが頭の中にあってまとめにくいんですが、1つは、今回新しい ワクチンが薬事承認されたということは、新ワクチンが現行日本脳炎ワクチンと比べて非 劣性を証明されたと理解していいわけですね。今のワクチンよりも劣らないというのが、 たしか治験のアウトカムだったと思います。  かつ現行ワクチンがなくなってくるという状況の中で出てきたわけで、基本的には定期 接種としてこれを使うべきだろうと思います。  なぜならば、やはりワクチンは必要であるということが、基本的にはコンセンサスがあ るということと、接種をした場合のいろんな副反応のデータの集積システムも、定期接種 であれば現行のものが使えるわけですね。任意接種になった途端に接種数の把握から何か ら非常にあいまいになってしまうということも含めて、定期接種としてこのワクチンを使 うべきだろうと思います。  積極的勧奨の差し控えを引っ込めるかどうか。積極的勧奨の一時差し控えそのものにな かなか納得し難い部分があるので、非常に苦しいところなんですが、実際問題は、現行ワ クチンは数千万以上の接種実績がある、ある意味では確立されたワクチンである一方で、 この新ワクチンは、まだまだ接種例数としては少ないので、そういう意味では、地道な使 い方をしないとしようがないのかなという思いもあります。  2期も、本当は2期で接種したい人を定期から排除するのも、なかなか心苦しいなとい う気もしているんですけれどもね。ただ、添付文書に「第2回目の追加免疫以降の有効性 及び安全性は確立していない」と書かれてしまうと、なかなか辛いところはあるという、 いろんな思いが交錯しています。 ○加藤座長 ということですが、岡部先生、どうぞ。 ○岡部委員 前提としては、定期接種に使用し得るワクチンであるということには、まず なるわけですね。 ○加藤座長 それはこれからのディスカッションです。 ○岡部委員 それがないと、勧奨を外すかどうかという議論にはならないんですけれども。 ただ、仮にこれが定期接種に使えるワクチンであるとした場合には、本来であれば、これ は広く使えるワクチンとして勧奨を外していただきたい。つまり、通常に使えるワクチン であると思ってはいるんですけれども、しかし、現実に考えると、500万ドースが一気に 出たとしても、1期対象者全員ができるかできないかぐらいで、供給体制としては、まだ 十分とは言い切れないのではないかと思います。更に2期のことも考慮した場合に、定期 接種というのは、1期も2期も定期接種になるわけですから、極めて限定的な解除にせざ るを得ないのではないかなと思います。本当に解除していくのならば、国が行う定期接種 であるならば、もうちょっと余るぐらい潤沢にあって、システムや何かも動いていかなく てはいけないと思います。しかし、今までの予防接種の勧奨中止を外すというのは、どち らかというと、更に安全性が高いと思われるワクチンが出てきたらというのが願いなわけ ですが、そこはできたけれども、実際に供給が全部そろっていないとなると、一斉に動き 出すわけにはいかないのではないかと思います。  私も、宮崎先生が言うように、実際にスタートするときには、一気ににアクセル全開で はなくて、少しずつ少しずつ緩めながらの方がいいと思います。間をとったような言い方 になりますけれども、勧奨接種というものの在り方は、今までの勧奨中止ということとは 考えが違うし、一部解放といったような形の方がいいのではないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。今、岡部先生がおっしゃいましたが、この検討会と して、新しいワクチンを定期の予防接種として位置づけるということを、とりあえず、こ の検討会としての各委員の御意見としてお伺いしますが、それについては異論がないとい うことでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○加藤座長 では、岡部先生、それを前提としてということで今後お話を進めさせていた だいてよろしゅうございますね。 ○岡部委員 はい。 ○加藤座長 そうすると、先ほどもお話に出ましたが、17年5月30日の課長の勧告では、 確かに今、岡部先生がおっしゃったとおり、リスクがより低いと期待される組織培養によ る日本脳炎ワクチンは現在開発中であり、その供給が可能になる体制ができたときに、供 給に応じて接種勧奨を再開する予定であるという勧告が出されたわけでございます。  しかしながら、今までの議論の中で、供給量が一斉に定期の予防接種として、接種の勧 奨の差し控えというものを解いてしまった場合に、十分に生後3か月〜90か月までの方々 に、一斉に定期の予防接種として接種できるかどうかという問題が残るので、全く接種の 勧奨の差し控えというものを完全にフリーにしてしまうことは難しいのではないかという 考え方であると考えてよろしいですか。  倉根参考人、どうぞ。 ○倉根参考人 まず私は、今、加藤先生がおっしゃいましたように、日本脳炎に関しまし ては、WHO等でのレコメンデーションも日本脳炎ウイルスの感染の危険性がある地域の 人たちは、すべての人が日本脳炎ワクチンを受けるべきである。まず前提は、そこだと思 います。ですから、すべての人がやはり受けるべきであるという日本脳炎の危険性がある 地域の人は、受けるべきであるということを達成するためには、やはり定期であるという ことに私は非常に賛成しております。  次に、なぜ3期が外れて、2期が残ったかというのは、私の理解では、数年に1回やっ ております抗体のレベルの調査で、確かに7、8歳になると、少し抗体陽性率が下がって くる。しかし、10歳になるとまたパーセントが高くなる。それは恐らく2期を接種したと いうことであろうと思います。ところが、3期については、余り3期前後での抗体陽性率 の変化が見られないようだという議論であったと聞いておりますし、そういうふうに理解 しておりますので、やはり抗体があのときに落ちているということを考えますと、今すぐ 2期が必要かどうかは、また議論の話だと思いますけれども、いずれ2期は必要だろうと 考えております。  もう一つ言わせていただきますと、いわゆる阪大微研会の方での生産キャパシティとい うのはあろうかと思いますし、勿論このワクチンを検定するというのは、我々にとっても 初めての経験であります。勿論、これまでにもこのワクチンの力価を測定したりはしてお りますが、やはり検定というのは、当然ルールにのっとって参照品より上であればいいと いうことでありますので、やはり検定であり、生物反応でありますので、10出せば10す べて簡単に通るものであるという理解ではなくて、やはりそうであることを私たちは一番 望んでおりますが、やはり生物反応でありますので、いろいろなことが起こり得る。  ですから、500つくれるということは、500がすぐ出ていくんだというふうに、自動的に お考えいただくと、またそこは困る問題も出てくる可能性があるということでございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。先ほどの岩本先生の質問に関連したお答えだと思 いますが、3期がなくなったのは、余りブースターが効いていなかったということで、逆 にいうと2期が十分に効いていただろうと考えてよろしいんですね。  あとは、スライドの12で示されました500万本というのは、検定をやってみないと、何 ともはっきりとしたことは言い切れませんよということでよろしいんですか。 ○倉根参考人 はい。私も、恐らく500万つくっていただければ、500万はやはり立派な ものをつくっていただくんだと思いますが、やはりこのままでもいろいろな予想できない ことが起こったりはしておりましたので、1つの検定にもう少し時間がかかるということ もあり得るわけであります。それはもうルールとして、こういうデータのときはこういう ふうにやるんだと決めてありますので、すべて4週間ですいすいといかないこともありま すということであります。  いくということが一番望ましい状況であることには間違いありません。 ○加藤座長 ありがとうございました。  それでは、そのようなことから、差し控えについて、ほかにございますか。  岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 1つ質問と意見です。  質問は、3期目というのは幾つだったんですか。14歳ですか。 ○加藤座長 中学生です。 ○岩本委員 ありがとうございました。  意見は、先ほど実際の結果論としては、岡部先生と同じようになるのかもしれませんけ れども、先ほど宮崎先生もおっしゃいましたが、2期の勧奨中止というのが、非常にまれ なADEMという疾患のためで、副作用問題であったけれども、今度の話は、むしろ安全 性は勿論見なければいけない部分はあるにしても、主に供給量の話で足りないという話で 足りないという部分が、同じ土俵で2期目の差し控えというのは、ちょっといかがなもの かという気がしまして、やはりその辺、少し同じ論議で、前のADEMのために勧奨を中 止したそのままの論理で2期目の勧奨を外さないというのは、ちょっと違うのではないか という気がします。 ○加藤座長 これは座長の意見ですけれども、2期の話に限定いたしますと、現行のマウ ス由来のワクチンそのものが、もう既に多く見ても50万人分ぐらいしかない。  それから、先ほど来出ておりますように、新しくできましたワクチン自身は、2期のフ ィールド対応をやっておらないので、これは承認されておらないというところから、土俵 の上に上がってこないわけです。先生がおっしゃるように、それの100%差し控えを解き ましょうと言っても、現実問題として、それをやらざるを得ない状況にある。 ○岩本委員 治験をですね。 ○加藤座長 差し控えることを解こうとしても、供給量という意味で、それは解けないん です。 ○岩本委員 供給量ですね。 ○加藤座長 2期に関しては、現ワクチンのですね。よろしいでしょうか。 ○岩本委員 はい。 ○加藤座長 竹本委員、どうぞ。 ○竹本委員 意見の中で流行地だとか、そういうことを言われていますけれども、現実に 流行地ということ自身では、旅行する人間も多いし、今、小中学校あるいは中高では、中 国だとか東南アジアに旅行する人も多いですし、そういう流行地だからどうこうというの ではなくて、やはり積極的勧奨を控えるというのはやめて、私は前から北海道もやるべき だと言っているんですけれども、それができるような形でもっていかなければまずいので はないかと思います。  それから、今、NHKのニュースで流れた途端に、患者さんの中には、新しいワクチン ができたならお願いできますねと言うんですけれども、現実的には、製品はできたけれど も、市場に出るわけではないからと言います。非常に期待が大きいので、やはり勧奨を解 いていただきたいと思います。  もう一つは、開業医も新しいワクチンが出るまでは、今のワクチンは危険だからという ことで、現行ワクチンを断った例もありますので、できれば新しいワクチンができたら、 積極的に打てるような状態にしていただかないと、言った開業医の先生たちも、新しいワ クチンができたのにまだ置いていないんですかということを言われて、非常に言い訳にも 困るのではないかと思いますので、新しいワクチンの安全性をここで確かめられて、認め られた以上は、全国どこでも受けられるようにしていただきたいと思います。  もう一つは、コガタアカイエカの問題ですけれども、川崎の衛研で蚊を取って調べると、 川崎などでは田んぼが減っていますけれども、10%くらいの率でコガタアカイエカがとら えられているということを思うと、大分北の方に対してでも、日本脳炎の感染の機会は増 えてくるのではないかと思いますので、どこが流行地というのではなくて、全国的に打て るようにしていただければと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。優先順位に関しましては、また後ほど少し議論さ せていただきたいと存じますけれども、竹本先生がおっしゃいましたように、差し控えを 解くという問題ですが、竹本先生としては、全員に接種していただきたいという御意見と 承ります。  しかし、一方においては、先ほども申し上げましたように、十分量の供給ができない体 制である。例えば今は生後3か月〜90か月までの方々が1期の接種をする権利をお持ちな わけで、それを努力義務でいたしましょうということになっていることを差し控えている わけですので、その方々が差し控えを解いた段階で一斉に希望したということをやはり国 としては想定しておかなければいけないであろうということを考えたときに、十分量の供 給はできにくいのではないかというのが現状ではなかろうかと考えております。  したがいまして、21年度に限りましては、差し控えを前提に物事を進めていかざるを得 ないのかなと私は考えておりますが、勿論竹本先生のお考えも貴重な御意見でございます。 しかしながら、先ほども申し上げましたように、17年の課長勧告では、その供給が可能と なる体制ができたときにということが明記されてございますので、残念ながらその体制が まだ十分ではないと読まざるを得ないということではなかろうかと思います。  岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 1つは、定期接種ではないけれども、最近ヒブワクチンが承認されたときも 同じような問題があったわけですが、一旦世の中に出たときに、本当に全量をカバーでき るだけのものがあれば、それは理想なわけですけれども、私もできれば接種勧奨を取り除 いて、直ちに今まで積み残した方も含めて、できるだけ早く免疫をつけた方がいいのでは ないかとは思います。しかし、現状に生産がすべてに行き届かないとなると、すべてに行 き届くワクチンができるまで待つかどうかということになってしまうと思うんです。待つ と、やはりその分だけリスクを持った人が更に増えるということになるのでは、むしろそ ちらの方に問題があると思うので、一部全員にするということにはならないんですが、で きるだけそういう意味での対象ということをしっかりして、オープンにしていいのではな いかと思います。オープンというのは、予防接種勧奨中止を全部取り除くわけではないけ れども、接種を実施するという方向に持っていった方がいいと思います。  ただし、どうしても文書であったり、あるいは今までの予防接種勧奨中止というものの 現行どおりという言い方でいくと、例えば自治体や何かは、やはり事実上中止のままが続 いたという可能性にとられるといけないので、そこの説明は十分に行って、必要なところ には、予防接種勧奨並みであるというニュアンスをきちんと伝える必要があると思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  岩本先生、どうぞ。 ○岩本委員 先ほど座長がおっしゃることはよくわかるんですが、特に前半は非常に賛成 なんですが、後半部分でおっしゃっていることは物すごくよくわかるんだけれども、御議 論が少し私にとってはわかりにくいなと思うのは、やはり法律で予防接種をやっている以 上、しかたがないのかもしれませんけれども、ある一定の国民なり、国民は予防接種を受 けるべきであるという考えから、やはり国民は受ける権利があるというところに個人的に は予防接種は変わっていっていただきたいと思うし、まさに座長は最初にそれをおっしゃ ったわけですね。  だけど、より年齢の若い子どもたちが受けられないでいるし、供給がいけないので、ま ずそれを優先するという論理であれば、私は比較的腑に落ちやすいんですが、積極的2期 の勧奨中止というのはそういう論理ではなかったので、それが一緒の議論になると、先ほ どからちょっと違和感があると申し上げているので、やはり供給量の問題から、より若い 子どもたちが優先されるというのは、私は非常に納得できるし、供給量が届くようになれ ば、それは2期もいく方向で考えているんだということが積極的に出れば、私は何も異論 はないです。 ○加藤座長 ありがとうございます。貴重な御意見をいただきました。  これはよく試算をしてみないとわかりませんけれども、積極的な勧奨を差し控えると言 っておりまして、もしそうなりましても、かなりみなさん期待しているワクチンですので、 今までほどは控えないのではなかろうかという観測はできます。そのときに、やはり岩本 先生がおっしゃったように、3歳前後の方が優先的になるような形になればよりよいとは 思いますけれども、法律の問題ですので、きっちりと決めるのはなかなか難しいと思いま す。  この件に関しましては、また後ほど、事務局とも十分に話し合いをいたしまして、最終 的に御提言の中に先生方の御意見も入れて、提言させていただきたいと考えております。  倉根先生、どうぞ。 ○倉根参考人 先ほど竹本先生がおっしゃったことに追加いたしますが、北海道でも豚の 陽転というのは、年によって少し違いますが、起こります。ということは、北海道でも日 本脳炎ウイルスの活動はあると私は理解しております。  ただ、その活動のレベルは、中・四国、あるいは近畿に比べれば低いけれども、しかし ○か×かと言われれば、北海道でも活動はあるということでございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  それでは、続きまして、議論を先に進めさせていただきます。新たな製造法であります 細胞培養を使用したワクチンであるということから考えまして、前回の会議におきまして、 接種の開始後は副反応の発生について、より慎重に把握、評価することが必要であるとい うことが挙げられましたが、先ほども微研の方から出ましたが、副反応の発生をより正確 に把握する方策は、どのような方策を取ったらよいかということでございますが、各委員 から御意見がございましたら、承りたいと思います。いかがでございますか。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 基本的には、今、定期接種の副反応は2つのシステムで収集されることにな っていて、それは定点観測による通常起こり得る副反応。1つは、どこからでも報告して よい重篤な副反応。この2つのシステムが、スピーディに動けば、一番簡単で意味のある データが出るはずなんです。ただ現状では、スピードに欠けているという問題があります。 それは接種率のこともそうですし、基本的なデータの出方が非常に遅い。  しかし、今年はMRワクチンでやればできるではないかというところが出てきましたの で、是非行政には頑張っていただいて、本来の目的に沿ってシステムが有効に働くような スピーディさを実現できるように、努力していただきたいと思います。それが一番広く早 く副反応をとらえられる方法だと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。今、行われている副反応調査というものをより迅速 に行っていくべきであろうという御意見と承りました。  岡部先生、どうぞ。 ○岡部委員 厚生科学研究の中で副反応のモニタリングをしたり、あるいは予防接種率を 早く補足するという方法は、いわゆる競争的資金というもので、進めてはいます。結構い い段階までいっているので、できればそういうものを国としては、事業という形で進める ような方向に、これは結核感染症課だけの問題ではないのでしょうけれども、できるだけ 安全に、安心して子どもたちに予防接種ができるというシステムの構築を行政レベルでき ちんとやっていただきたいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  ほかにございませんか。竹本委員、どうぞ。 ○竹本委員 また川崎市の例なんですけれども、川崎市は、予防接種に関しては、全例副 作用報告をするようになっておりまして、三種混合であれ、BCGであれ、副作用が出た ときには全部報告することになっていて、予防接種運営会に出てきます。100万都市でで きるのですから、全例把握は別に難しいことではないと思うので、是非そういう形でやっ てもらえればなと思います。 ○加藤座長 竹本先生、その報告の速度はいかがですか。 ○竹本委員 比較的早いです。 ○加藤座長 例えば今日起きたことは、いつ川崎市に報告されますか。 ○竹本委員 実際に何日目に出したということは、今、ここでは答えられませんけれども、 患者さんが来て、こういうふうに腫れてしまったけれどもどうすればいいかとか、あるい は液化がこんなに腫れてしまったんだけれどもと来て、そこで見たときに、医師が保険所 へ報告するというシステムになっておりますので、そんなに遅くなることはないと思いま す。 ○加藤座長 それをとりまとめるのは、どのようにとりまとめていらっしゃいますか。1 例ずつ上がってきたものをとりまとめる期間ですね。 ○竹本委員 行政の方がまとめて、予防接種の運営委員会がありますから、その運営委員 会のときに半年間の事例数を全部出して、何歳のお子さんがどうだということは、委員会 で全部報告されております。 ○加藤座長 そのまとめは半年ですか。 ○竹本委員 報告は年に2回です。 ○加藤座長 岡部先生、どうぞ。 ○岡部委員 それは国でもそんなに遅くなくやっていると思います。年に1回であるとか、 あるいは必要に応じて集まっています。先ほど私が研究班でやっているというのは、そう いうデータが早く評価できるようにまとめられるというところが必要になってくるのでは ないかと思います。 ○加藤座長 というのは、先ほども微研会の方から出ましたけれども、何か予期せぬ未知 の副反応が出た場合の話ですが、それが出たときに、半年後に報告されるというのでは、 ちょっと遅いということなので、その辺のところのメカニズムをどうしたらよいかという 議論だと思います。  先ほどもお話に出ましたように、また事務局との話し合いによりますけれども、現在の 副反応報告のシステムをより機敏に使用していくという方向性でいかがかという宮崎委員 の意見がございましたが、そういう方向がよろしいかなという気もいたします。  ほかに何か御意見ございますか。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 一言追加しますと、かつてポリオワクチンとか日本脳炎ワクチンの事例がそ うだったんですけれども、重篤な副反応かもしれない症例が1例出たときに、そのことだ けで物事が動いてしまうということがあって、後で非常に現場も混乱しますし、情報収集 も大変ということを経験していますので、やはり1つはそういう報告を早く上げていただ いて、早くつかむということと、それをきちんと検証するということをやはりリアルタイ ムでやっていかないと、なかなか難しいのではないかなと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。  倉根先生、どうぞ。 ○倉根参考人 宮崎先生に伺いたい部分もあるんですけれども、ADEMがある年代で、 ある率で1年に起こる。日本脳炎のワクチン接種がフルになされたと考慮すると、例えば 1か月以内に日本脳炎ワクチンを打って、紛れ込みとしてのADEMが発生する確率とい うか、少し乱暴な算数なのかもしれませんが、つまり、理論的に紛れ込む可能性があると いう数は出せるのではないかと思うんですが、先生いかがでございましょうか。 ○宮崎委員 ワクチンと関係なく、毎月5例、多い見積では10例ぐらいの小児のADEM が発症しています。 ○倉根参考人 そうすると、日本脳炎を打つ人の数というのは大体わかるわけですから、 打ってから実際に日本脳炎ワクチンによらずにADEMがそこに入り込んでしまう、つま り1か月以内に起こってしまうという数も出せますでしょうか。なかなか難しいでしょう か。つまり、紛れ込みとしてのADEMがどれだけ起こり得るかという数学的な試算とい うんですか、計算というのはできるものでございましょうか。 ○宮崎委員 計算しようと思えば、できるでしょうね。接種日からでどれぐらいの発症ま で含めるかですけれども、先ほど言いましたように、ADEMは季節性がはっきりありま せんで、1年中出ています。ただ、年齢によって少しばらつきがありますので、例えば0 〜15歳までひっくるめて、年間60〜120の間ぐらいで出ますが、今回ワクチン接種を例え ば3歳、4歳でやるとすれば、全体の中よりもう少し少なくなってきますので、いわゆる 紛れ込む確率は、先ほどの数字よりは下がってきます。 ○倉根参考人 その質問した理由の1つは、例えばADEMが日本脳炎ワクチンによるの か、ほかのワクチンでもそうでしょうけれども、それによったということを科学的に証明 しろと言われても、現時点では難しいし、そうでないことを証明しろと言われても、科学 的には難しいということがあるので、やはり先生方が調査された通常にどのぐらいあるん だと。そうすると、1か月に幾つ起こるんだということは、ある程度ベースをつくってお かないと、先生がおっしゃったように、1例仮に出たときに、また元に戻ってしまうとい う危惧を私自身も持っているからであります。 ○加藤座長 ありがとうございました。次に関連した話題に移りましょう。  接種者数の把握ということは、したがって必要になってまいりますね。例えば第1例目 に接種したらば、たまたま倉根先生がおっしゃったように、紛れ込みADEMが入ってし まったというと、100%。したがって、接種者数をどのように迅速にとらえるかということ が必要になってくると思いますけれども、この件に関して、何か御意見はございませんか。 どのようにしたらば接種者数を迅速にとらえることができるかという、接種者数の把握の 問題でございますけれども、いかがでしょうか。  竹本先生、今、例えば川崎市などでは、いろいろなワクチンの接種の数が行われていた かというのは、やはり予診票を市に提供した段階で、市が何例ととらえられると解釈して よろしいですか。 ○竹本委員 翌月10日までの間に予診票を全部提出しますから、それを集計すれば、何例 接種したというのは全部出てきます。 ○加藤座長 それは毎月10日ですので、1か月経たないと把握できないということでござ いますね。 ○竹本委員 そうです。 ○加藤座長 飯沼先生、これを何とかもう少し短縮するような工夫は、医師会のお力でで きないですか。  永井委員、どうぞ。 ○永井委員 定期接種の場合は、区市町村が実施主体ですので、対象者数、接種者数は、 いわゆる区市町村が把握しなければいけないことになっていて、現行は月に1回、医師会 から接種済みの予診票を送っていただいて、そこで把握するということになっているんで すけれども、それは例えば半月にするとか、それは恐らく話し合いでそういう仕組みをつ くっていけばいいのかなと思います。 ○加藤座長 というわけで、今、飯沼先生にいかがかなという御質問をしたわけでござい ます。  岡部先生、どうぞ。 ○岡部委員 本来は、予防接種台帳がきちんと管理されて、それが速やかに把握できるよ うになっていれば、問題は少ないと思うんですね。しかし、現実には、そこがうまく動い ていない自治体というのは、この間の麻しん対策会議でもそういう話が出たので、これは 実際に調べなくてはいけないことと同時に、やはりそういうシステムができ上がっている ものをきちんと実施していくということが必要ではないかと思います。これもこういう機 会に実施の方向に向けるような形にしていくことが必要だと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。台帳をきちんとしておくとやりやすいということで すが、今、永井委員からもお話がありましたが、市町村がやっているわけですので、当然 月に一度ということですが、それはいろいろな請求ということも兼ねてそういうことにな っているわけですが、それを例えば医療機関、自治体が協力し合って、2週間に1回ずつ 提出するという御努力は可能でしょうか。不可能でしょうか。 ○飯沼委員 それは大丈夫だと思いますよ。そのぐらいのことはやれる。 ○加藤座長 飯沼先生はそうおっしゃっておりますが、小児科医会としてはいかがですか。 ○竹本委員 実際にやっている方としては、1週間ごとに集計を出して、きちんと出すと いうのは、非常に難しい問題だと思います。 ○加藤座長 だそうですが、いかがですか。 ○飯沼委員 また委員会にかけます。 ○加藤座長 是非この辺のところは、今、永井委員がおっしゃる自治体と日本医師会、勿 論小児科医会もそうでございます。医療機関の協力が必要であると思いますが、いずれに いたしましても、先ほどから倉根先生がお話しになっているように、紛れ込みが入ってき たときに、どのぐらい濃いか薄いかということは、接種数を把握していませんとわからな いことですので、接種数をなるべく早く把握するシステムをどうしてもつくらなければい けない。これはやはり繰り返し申しますが、自治体と医療機関が協力していただきません とできませんので、その辺のところは、また後ほど最終的なとりまとめでお願いをいたす ことになろうかと思います。  では、先に進めさせていただきます。先ほども出ましたとおり、しばらく差し控えが続 いておりますので、順番待ちをされている方があるわけですが、この点について少し御意 見がございましたらば、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  飯沼委員、どうぞ。 ○飯沼委員 地方へ行きますと、その要求が一番多うございます。したがって、やはりた くさんつくっていただいて、早く回してもらうということだと思いますが、この生産量で はなかなか回らないとは思いますが、暴動が起きないように順位を決めていただきたいと 思います。 ○加藤座長 ほかに御意見ございますか。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 供給量が追いつかないからこそ、やはり今までたまった分と、これからもも う少し待っていただく分も含めて、経過措置は是非必要なのではないかと強く思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。頭の中でぼんやりと考えていきますと、3年間据え 置きの方がおられるので、いわゆる標準的な年齢の方ですね。3年以上ありますので、先 ほどの生産量の全部が検定が通ったと仮定いたしましても、待っている方々の優先順位は 別として、その方々をすべて90か月までに接種し終えるには、3〜5年ぐらいかかるので はなかろうかというぼんやりとした計算がございます。引き続き検討する必要があると存 じますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。  先に進ませていただきます。  最後のこれもまた重要な議題になりますが、現行のマウス脳によって行われますワクチ ンは、新しく製造は行われないことになっております。したがいまして、今年の夏に向け ての供給量にも、勿論限りがあるわけでございます。  もう一つは、予防接種法上、先ほどから出ておりますが、第2期の接種も日本脳炎ワク チンは接種することが努力義務として課せられている現状にございます。  それらを勘案いたしまして、この現行のマウス脳由来のワクチンを引き続き定期の予防 接種法にのっとって存続しておく必要性があるのではないかという感覚を持ちますけれど も、その点について委員の御意見を伺いたいと存じます。すなわち、2期には新しくでき たワクチンは、薬務上使用できないのが現状でございますので、第2期の方々に対して接 種するワクチンが、現行のマウス脳由来ワクチンしかないということを考えたときにどう するかという問題点でございますが、いかがでございましょうか。  岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 それは従来どおりで、保護者ないし本人が強く、希望した場合には、現行の ものでも接種可能であるという考え方を続けるということでしょうか。 ○加藤座長 そうせざるを得ないということですね。 ○岡部委員 残念ながら消えていくワクチンではあるけれども、今、使用する可能性をわ ざわざ捨てる必要はないと思います。 ○加藤座長 ほかにございますか。  宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 全く同じ意見で、今も定期として認めているワクチンですし、今までの長い 使用経験もありますので、ある意味では科学的なデータがそろっているワクチンですから、 是非継続して使用できるようにしていただきたいと思います。 ○加藤座長 倉根先生、どうぞ。 ○倉根参考人 まず1つは、今、加藤先生がおっしゃったことなんですけれども、新ワク チンが2期にも使い得るという状況になるためには、どうなれば使い得るようになるんで しょうか。 ○加藤座長 非常に重要な問題提起でございまして、たとえ現行のマウス脳由来のワクチ ンを2期に接種することをこの検討会でお勧めするとしても、数に限定がございますね。 恐らく50万人分ぐらいしかないのではないかと思いますので、それが接種率にもよります けれども、場合によっては21年度限りで消滅する可能性がある。そういたしますと、22 年度からは、法律上できる第2期の日本脳炎ワクチン自身がなくなってしまうということ になりますので、何らかの形で今度認可されましたVero細胞由来のワクチンを2期に使え るような、どのようなことをすればよいかという方策を講じなければならないということ になってくるかと思います。この辺のところは、なかなか早急に詰めることが難しいと考 えておりますので、また事務局やメーカー等とも十分に相談の上、いかにして22年度から この新しくできた日本脳炎ワクチンを第2期に使用するような方向に持っていけるかどう かということは、少し検討課題として残していただきますが、そういたしませんと、第2 期のワクチンが消滅することになりまして、非常に重要な御提言だと思いますので、事務 局に十分検討していただくように要望いたしたいと考えております。  倉根参考人、どうぞ。 ○倉根参考人 あともう一つ、私の意見ですが、どうもマウス脳由来日本脳炎ワクチンが、 数年前のこと以来、つまりよくないワクチンであったというような変な誤解を受けてしま ったのが非常に残念であります。というのは、ワクチンが日本脳炎の予防に世界中で果た してきた役割というのは、物すごく大きいし、現在でも少なくとも日本脳炎ワクチンのイ ンターナショナルワクチンは、マウス脳由来日本脳炎ワクチンである。ですから、数々の 国で使われているワクチンはマウス脳由来です。ですから、マウス脳由来ワクチンは、い いワクチンであったんだけれども、いろいろな事情があった。ただ、組織培養に移るのは、 それぞれ21世紀でありますので、動物を使ってつくるワクチンというのは、やはり移るべ き時代であったということであって、マウス脳由来日本脳炎ワクチンの価値が、そのこと によってのみで変な立場に置かれてしまうのは、マウス脳由来ワクチンがかわいそうな気 がいたしまして、あえてここでワクチンとしては、非常にいいワクチンだったんだけれど も、恐らく次はよりよいワクチンになったのであろうと考えております。 ○加藤座長 ありがとうございました。含蓄のある御意見だと承りました。  ほかに何か御意見ございますか。  どうぞ。 ○江浪課長補佐 事務局から、1点だけ事実関係の確認でございます。  先ほど、資料の御説明を申し上げました際に、少し誤解をお与えしてしまったかなとい うところもあるわけですけれども、薬事承認上、実際に2期の追加免疫につきまして、使 用が禁止されているというものではございません。ただし、薬事承認の中では、2期の使 用経験が少ないということから、添付文書上、先ほど御説明しましたときの資料4の点線 の中に、有効性及び安全性が確立していないということが明記されているということにな っているわけでございます。  また、薬事承認の審査の議論の中では、今回、阪大微研様から御提供いただきました薬 事承認の際の資料3でございますけれども、そちらの中では、53ページの辺りに、今、こ の添付文書上、安全性及び有効性が確立していないというところに関します背景となりま す議論が書かれているというのが現状でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。今の江浪課長補佐からの御説明は、資料4の御説 明ですけれども、このところが微妙な書き回しをしておりまして、用法及び用量に関して は、初回免疫と追加免疫を乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、用法・用量においてこのよ うな方法で行うと書かれておる。その下に点線書きで、ただし書きのような形で接種上の 注意ということでこのような記載がございまして、今、課長補佐がお話しになりましたよ うに、第2回目というのは、2期の接種と考えますが、2期の接種の追加以降の有効性及 び安全性は確立していないと書かれてございますので、これを推測すると、やはり第2期 接種には、今のワクチンは今のままでは使えないと読んだわけでございますけれども、岡 部先生、いかがですか。 ○岡部委員 特にありません。 ○加藤座長 それでよろしいですか。 ○岡部委員 はい。 ○加藤座長 全体を通して、何か御意見ございますか。  蒲生委員、何かございますか。 ○蒲生委員 専門的なことではないんですけれども、実際にお母様方に接しておりますと、 新しいワクチンができたけれども、しばらくは一遍にいろいろなことはできないのは、ワ クチンの有効性や安全性に危惧があるわけではなく、供給量の問題だということをはっき り一般のお母様方に伝えなければいけないだろうと思います。  それから、お母様方はどの予防接種に関しても、ある種の怖さを持って接種をためらっ たり、どうしたらいいのかという御相談をされます。その中の1つに、一般の方の表現で は、副作用という言い方をよくされていて、やはり雑誌の中でも、例えばポリオの場合は こういう現象がまれに起こることがあるとか、多く見られることがあるとか、心配はない ということを再三再四特集しておりますので、今までやっているものに関しては、お母様 同士の情報交換も盛んで、それぐらい腫れは大丈夫らしいわよということがありますが、 今回3年ぶりになってきたときに、ちょっと熱が出た、腫れたということが必要以上に過 敏に反応する可能性があるのではないかと思います。その辺りについて、受診するべきも のと少し様子を見ても大丈夫なものというのをはっきりと示してあげた方が、混乱が少な いのではないかなということを感じました。 ○加藤座長 ありがとうございます。  先ほど来、微研側からの御説明によりましても、各委員の質問に対しての答えから言っ ても、これは予期せぬことが起きるかどうかはわからないので、経験を積まなければいけ ないということが1つ。  それから、やはり怖いワクチンであるから制限をするのではなくて、供給量が足りない ので、ちょっと我慢してくださいよということを是非とも広めていただきたい。蒲生委員 は、まさにマスコミの代表でございますので、是非その辺のところは、特集でも組んでよ ろしくお願いいたしたいと思います。  全体を通じて、ほかに御意見いかがでしょうか。  岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 終わりの方にということですか。 ○加藤座長 いいえ。全体的にどうぞ。 ○岡部委員 全体的になんですけれども、日本脳炎のワクチンがフルオープンではないに せよ、ようやく元に戻ってきたということは、私自身は喜ばしいことだとは思っています。 しかし、日本脳炎ワクチンが非常にいろいろな問題点を投げかけたということもあるので、 これはもう一回出てきたからこれでよかったねということではなくて、いろいろなシステ ムの問題あるいは副反応等の把握の問題など、解決していかなくてはいけないことがある だろうと思います。一気に解決はできないでしょうし、また、全体の方向は確かにいろい ろなものの見直しの方向はありますけれども、そういう火が消えないように議論を続けて いく。つまり、日本脳炎の問題が終わったから、これでおしまいということではなくて、 ワクチン全体の在り方というものをいろんな方面から考えていくということが継続的に行 われることを是非望みたいです。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。  それでは、若干簡単に、まとめ的に今日のディスカッションをさせていただきますので、 その上で御意見がありましたらば、またお伺いいたしたいと思います。  まず、第1番目は、新たに23日に承認されました乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを速や かに定期接種で使用できるワクチンとする必要がある。このことに関しては、意見の一致 を見たと考えます。  ただし、2期の接種に関しましては、先ほど来お話しいたしておりますとおり、薬事法 に基づく承認の評価に照らし合わせてみますと、このワクチンをすぐに定期に位置づける ということは、少し困難であろうかと考えます。しかし、2期の接種は必要であるという ことは、先ほど来のディスカッションの中からも出てまいっておりますので、この新しい 乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが2期の接種として使用できるように、新しいワクチンに よる2期の接種についての有効性・安全性について、その治験を早急に集積する必要があ るであろうということも、どのようにして行うかということは、また別途考えることとし て、基本的にはそういうことが必要であろうということも確認できたのではなかろうかと 考えます。  第2番目は、供給量等の実施体制の整備にかなり時間がかかるということなどから、積 極的干渉の差し控えの撤回をすることは、なかなか難しかろうということです。したがい まして、当面のワクチンの取扱いは、すなわち積極的勧奨の差し控えということに関しま しては、あえてやむなくと言いますが、これを継続せざるを得ないのではなかろうかと考 えられるということも、大まかには意見の一致が見られたのかなと考えます。  第3番目は、多くの方への接種の安全の確保ということについてでございます。重篤な 副反応を迅速に、しかも早く把握・評価できるように、これは先ほど来出ておりますが、 いろいろな方面、関係者でそのような体制、先ほど出ましたが、副反応調査等で体制を構 築していく必要があろうかということでございます。それには、先ほど来申し上げており ます予防接種後副反応報告というものが現在行われておりますので、これをより迅速に行 って活用していくという対応が考えられるのではなかろうかという御意見が出たところで あります。  また、どのように接種者数の把握を行うかということも同時に必要でございまして、先 ほど、日本医師会の委員からは、かなり貴重な御意見を承りまして、心強く感じたという ところでございますが、この接種者数をなるべく早く把握することは、今後検討するに十 分価値があることであろうかと考えます。  第4番目には、接種機会を逃した者に対する経過措置でございまして、これは極めて難 しい問題でございます。優先順位をつけることは前回も同じように討論されましたが、恐 らく数年経ちませんと解消できないことであろうと思いますので、これは来年に向けて引 き続き検討を続けていく必要があろうかと考えます。  第5番目に、現在行われておりますマウス脳による製法のワクチンに関しましては、こ れは第2期の接種ということが絡んでおりますので、引き続き定期の予防接種として実施 できるように位置づけておく必要があろうかということ。このことに関しましても、各委 員の合意が得られたと考えております。  以上、5点ほど今日のディスカッションの中で座長としてとりまとめさせていただきま したけれども、これに加えること、または御異論がございましたらどうぞ。  岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 今、資料4を読んで気がついたんですけれども、明らかにしたいだけですが、 点線部分の用法用量の摂取上の注意で、基礎免疫と追加免疫という言葉が使ってあって「初 回免疫として2回接種を行い、さらに第1回の追加免疫を行うことにより基礎免疫ができ る」と書いてあるわけです。3回目の注射が1回目の追加免疫なわけですね。  1ページ目の下から2行目の「第2回目の追加免疫以降の有効性及び安全性は確立して いない」。この第2回目の追加免疫というのはどの注射を指すんだというのが、非常にわ かりにくい文章です。 ○加藤座長 第2回目は先ほど私も読み変えて言いましたけれども、第2期の接種とお考 えになっていただいてよろしいのではないかと思います。要するに小学生の接種です。 ○岩本委員 これはどこかで書き変えていただいた方がはっきりすると思いますし、我々 関係者以外は非常にわかりにくいと思います。追加免疫という言葉をここで使ってあるの は、非常に混乱を招くと思います。 ○加藤座長 これは微研の方はわかりますか。私の判断は、今、岩本委員の御質問の「た だし、第2回目の追加免疫以降の有効性及び安全性は確立していない(使用経験が少ない)」 というところの第2回目は、いわゆる小学生を対象とした第2期の接種と読んでいます。 ○上田参考人 法的には、第2期が第2回目の追加免疫になりますので、その間の追加免 疫は実際にはないんです。 ○岩本委員 それは私もそう読めると思いますけれども、非常にこれはわかりにくい書き 方だと思います。 ○加藤座長 第1回目の追加免疫というのは、いわゆる3回目のものが第1回目なんです ね。そういう意味で、第2回目というのは小学生にやるものを対象に書いてあると理解し てよろしいかと思います。  倉根参考人、どうぞ。 ○倉根参考人 これも確認ですが、加藤先生が積極的勧奨の差し控えは維持すると言われ たのは、2期の予防接種に十分量を使えるだけのものがないということによるのでしょう か。  私の理解は、勿論実際の供給量というものの問題があるので、フルに使うことはできな いけれども、勧奨の差し控えはないんだというのは私の誤解でしょうか。 ○加藤座長 そういうことではございませんで、私が申し上げましたのは第2期を考えず に1期だけを考えましても、供給量は十分に間に合わないであろうということから考えた ことでございます。  すなわち、差し控えを取ってしまいますと、経過措置者もすべて接種対象者に入ってく ることになります。そうすると、ざっくりと考えましても約3年間経過措置で済んでいる 方がおりますので、これが100万人いるといたしまして、その方々が1期の接種を3回し ます。それが3年間たまっておりますので、全体でざっくり考えましても900万本必要で す。接種率80%といたしましても、1年で750万本。経過措置者だけでもそれだけいるわ けです。  そのほかに、プラスこれを3歳になったときに接種ができるといいますと、これがまた 100万人かける3ということで300万。そうすると約1000万を一時に用意しないと、定期 の予防接種として差し控えを解くわけにはまいらないという理屈でございます。 ○倉根参考人 将来的には差し控えは取るという理解でよろしいわけですね。 ○加藤座長 それはこの委員会の皆さんの御意見を承りたいところでございます。そうい う御意見であれば、そういう提言をいたしますし、このままでよろしいという方はおらな いと思います。  ただし、先ほどもお話しいたしましたように、供給量、検定というのが絡んでまいりま すと、それを十分にクリアできるのがいつになるかということは、少し時間を持って事務 局と検討いたしませんと、何年後に差し控えを解く状態になるかということは、計算上な かなか難しいことが起きてくるかもしれません。  ただ、この委員会として近い将来的には、安全性・有効性が確かめられた時点で、積極 的な勧奨を差し控えることを解く。しかも供給量も十分に満たされたときにはそれを解く ということで、意見の一致を見ればよろしいかなと考えますが、いかがでございましょう か。  岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 これまでベロ由来ワクチンが世の中に出てくるのに、本当にメーカーの方も、 審査する側も、あるいは実際にやる側も、相当な努力をしながらここまで来たと思うんで すけれども、これが壊れないようにしていかなくてはいけないと思います。1つはモニタ リングとか、あるいは副作用の報告とか、これは定期接種と位置づけられたので国が当然 ながらやっていくことでしょうし、私たちもそういうことに加わっていかなくてはいけな いわけですが、一方で是非ワクチンが潤沢に供給できるように、委員会としては私達がメ ーカーにお願いをしなければいけない部分ではないかと思います。  繰り返しますけれども、モニタリングというのをやはり身長に続けていく必要がありま すが、できれば近い将来、早くにに差し控えの中止をやめるようにした方がいいのではな いかと思います。  時間は確かに明示できないと思います。しかし、なるべく早くそうなるように各方面が 努力すべきであることは、委員会の最終結論にしてはいかがかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。  竹本先生、どうぞ。 ○竹本委員 結局3年間分の接種を漏らした人がいるわけですけれども、これから漏らし た人がワクチンをやるに当たって、予防接種法にのっとったものとして認めていただかな いと、各行政は定期接種は90か月までであって91か月を過ぎた人間は定期予防接種では ないので、行政は費用を出さないということになってしまいます。その辺のところも、厚 生労働省の考えをきちんとまとめていただかなければいけないのではないかと思います。  例えばある都市で、MRの接種率が低いから、3期のヒブワクチンを小学校を卒業した 日から1週間前倒ししてやっていきたいと言うんですけれども、川崎市などでは、予防接 種法は4月1日からだから、1週間前にやったら予防接種法にのっとらないんだから行政 としては支払いしないということを言っているので、過ぎてしまった子どもたちの費用の 在り方についても、検討していただかないといけないと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○加藤座長 残念なことに、90か月までに接種する意思がありながら、90か月まで待つこ とが果たしてよかったかどうかは別に置いて、法律上決まっておりますので、90か月まで 待っていた方で接種漏れになってしまった方に対してどのような扱いにするかということ は、これは予防接種法上の問題になると思われますので、今後の検討課題であろうかと思 います。  宮崎先生、どうぞ。 ○宮崎委員 そこは法の範囲内で救済していただきたいというのが1点ですけれども、も う一つは資料7でBSEの問題が出ていて、私からすると、どこの何が危ないのとまず思 ってしまったんです。  一体私たちはどう患者さんに説明をするんだろう。ほとんど危なくないというのがほぼ 常識だと思うんですが、一体全体患者さんサイドに「説明文書を作成し」と書いてありま すけれども、アリバイ的な文書を配る以外にないのかとか、あるいは血液対策課は、こう いう場合のリスクについてちゃんと○○○万人接種して1人しか出ないぐらいというよう な、具体的な数字を考えているのかどうか。  それからもう一つ、資料7の2枚目にジェービックVが表に載っていますけれども、※ 1も※2も米国産の牛が全然出てこないのはなぜかよくわからないです。BSEの問題を 出しながら、裏には何もそのことが書いていないのはなぜでしょうか。 ○加藤座長 安全対策課から御答弁願えますか。 ○堀内課長補佐 1点目の、この件について御説明をするということでございますけれど も、BSEの問題は従前から継続してあるわけでございますが、その中で原則としまして 反芻動物を原材料に使用する場合、原産国であったり使用部位について、安全か確認され ている国のものを使いましょうということが大原則でございます。  今回の場合は過去にマスターシード、マスターセルバンクを製造しておりまして、その 時点でそういった懸念が米国であったり、日本で示されていなかったということで使用さ れているんですけれども、原則、今、取扱いが禁じられている国であったりということに は該当してしまいますので、その事実はお伝えしましょうということが、いわゆるアリバ イづくり的な理解かもしれませんけれども、リスクがゼロではないことは事実でございま すので、過去の経緯からもこの点は患者さんにお伝えした上で、お使いいただきたいとい うことのお願いをさせていただいております。それが1点目です。  2点目の、今回のケースで日本産と原産国不明となってございますけれども、これはさ っき宮崎先生からお話がありましたように、このものが非常に特異的に例外的なものを使 っているということではなく、資料7の1枚目にございますように、今回はその8という ことでございまして、必ずしも米国産のものに限定されないんですけれども、それ以外に カナダであったり、日本もそうでございますけれども、使用が禁じられている国がござい ます。  それらを総称して、現在これ以外にもそれなりの数の医薬品が、こういった患者様への 情報提供を前提としてお使いいただくということになってございまして、過去ずっと今回 の8に至るまで行っておりますお願いが、当初の発端は米国が中心でございましたので、 このようなタイトルになっているということでございます。 ○宮崎委員 本当はゼロではないと言われても消費者は困るんです。あまりにもあいまい 過ぎる。私は限りなくゼロに近いゼロであるという言い方を、本当は国がしてあげないと いけないんだろうと思うんです。 ○加藤座長 その件に関しましては、委員の方々は御理解があると思いますけれども、今 日はたくさんの傍聴の方もおられるので、かなり源流にまで戻って、生物由来の基準が適 用されていたということになると思われますが、素人にわかりやすく説明した方が、蒲生 委員などもわかりにくくなりにくい話だと思いますので、あえてお聞きいたしますけれど も、先ほど来のスライドで源流の工程で使用されているということでございますが、最終 製品になるまでにはどのくらいの希釈がなされているんですか。  例えば一般的には、1つのバケツに1滴目薬を入れたぐらいかとか、お風呂に1滴入れ たとか、プールに1滴入れたとか、素人にわかりやすく、どのくらいの程度関与をしてい るのかを何となくわかりやすく答えられませんか。 ○上田参考人 御理解いただけるかどうかですが、マスターシードをつくるときにですね。 ○加藤座長 まずは、マスターシードというのは何かというところを、もうちょっと皆さ んにわかりやすくお話してください。 ○石川参考人 先ほどスライドを用いて御説明しましたけれども、実際の製造に使います 種ウイルスはワーキングシードと呼びますが、そのワーキングシードをつ作るための種ウ イルスがマスターシードでございます。そのマスターシードを調製する過程で、そういっ た生物由来原料を使ったということでございます。 ○上田参考人 そこから先ほどスライドで説明がありましたような製造工程をたどってい きますと、例えばマスターシードをつくるときに使った血清をですね。 ○飯沼委員 先生、細胞の培養に血清が要るという説明をされないと、皆さんはウイルス をつくるのに血清が要ると思われます。 ○上田参考人 わかりました。済みません。  ウイルスをつくるために細胞で培養します。その細胞を培養するときに牛の血清を使う わけですが、例えばその牛の血清0.5mlを1人に注射しますと、その人が発病するという 濃度にBSE原因のプリオンが含まれていたと仮定しますね。それを製造工程上ずっとた どっていきますと、血清の場合は10-11に希釈されます。  今、地球上の人口が65億ほどですけれども、これを計算上100億としますと、マイナ ス11乗というのは地球の100億が10の10乗になりますので、地球を10個集めてきて、 その人たち全部に0.5mlのワクチンを接種すると、その中の1人が発病するという確率ぐ らいの頻度でございますので、宮崎先生のお話のように限りなくゼロに近いということで す。 ○加藤座長 その場合は、BSEを持った血清を使った場合の話でしょう。 ○上田参考人 そうです。もし、今、仮定しましたような血清だったとしましたら、その 時代に日本の肉あるいはアメリカの肉を食べた人は全部プリオンに感染しまして、クロイ ツフェルト・ヤコブ病になっておるということでございますので、現実にはそういうエビ デンスはございませんから、もっとリスクは低いということでございます。 ○加藤座長 ということは、最悪の条件があったとしても、感染のリスクがあるというの はかなりの推測で、先ほど宮崎先生がおっしゃったように、そのリスクは限りなくゼロに 近いとは言い切れはしないでしょうけれども、そういう可能性が強いと私としては今お話 を聞いて考えます。  岡部先生、何か御意見ありますか。 ○岡部委員 質問なんですけれども、マスターシードをつくったころというのは、今から 何年ぐらい前でしょうか。 ○福田参考人 たしかマスターシードは1998年で、マスターセルバンクは1996年です。 ですから、日本でBSEが出たのはたしか2001年で、アメリカとカナダが2003年ですか ら、それ以前の材料であるということです。 ○岡部委員 そうすると、仮に米国産であったとしても、それだけでもまた更にリスクが ずっと低まっていると思うんです。 ○宮崎委員 そういう状況であるにも関わらず、リスクが0でないという判断を消費者に 言って、アリバイをつくっているというのは、納得がいかないです。 ○蒲生委員 済みません、基本的な疑問なんですけれども、私は医学のことは素人なので、 要するに地球が10個あって、その人たち全員に病気の入っているものを打ったら、1人だ けが発病しますよということかと思ったのですが…。  それは勿論事実なので、それを知らされないというのがいいかと一個人として思ったら、 それは知っていた方がいいのかなという気もします。 ○上田参考人 その低い頻度と審査報告書の49ページ辺りから載っておりますけれども、 日本脳炎を発病する頻度とどちらが高いか低いかということになりますと、はるかに日本 脳炎のリスクの方が高いということで、そのバランスになってくると思うんです。 ○加藤座長 岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 私はやはり事実は事実として公表し、こういうディスカッションがあったと いうことは、きちっとやっておくべきだと思うんです。  それから、医学的な文書であったり、医学的な説明書にはそういうことも踏まえた上で、 リスクが低いという書き方をした方がいいと思いますけれども、それを接種医がいちいち 患者さんに、もしかするとプリオンにかかるかもしれませんよ。やりますか、しますか、 では覚悟してやりますとか、そういうシステムは予防接種を受ける側にとって決してよく ないと思います。  しかし、そういう情報をやはりきちっと知りたいという方は、しかるべきところにちゃ んと出ているということはやるべきだと思うんです。 ○加藤座長 永井委員、どうぞ。 ○永井委員 まさに今、その問題がヒブワクチンで起きているんです。ヒブワクチンで説 明しなければいけなくなって、やはり先生方が説明するとちゅうちょされるという現象が 起きていて、どういうふうに説明をしたらいいんでしょうかというお問い合わせを受けた ことがあります。もう少しわかりやすい、どう説明したらいいかのアドバイスもいただけ れば、地域の先生は助かるのではないかと思います。 ○加藤座長 それは資料7に書かれてございます。患者文書を作成して、すべての納入医 療機関に配付するように製造販売業者に指示しておられるということですから、これは接 種する各先生方に御迷惑がかからないような方法をとっていただき、また、接種を受ける 方々にも誤解を受けないようなことで、その十分な説明文書をつくっていただくというこ とに尽きるかと思いますが、いかがでしょうか。  蒲生委員のおっしゃっていることはよくわかりまして、こういうことを伏せるというこ とでは全くございませんで、逆のことを言いたいというのがほとんどの委員の御意見だと 思います。そういう意味で資料7が添付されていると理解いたしてございます。よろしゅ うございますか。  ありがとうございます。少し本題から外れた話になりましたが、そういうことでよろし いかと存じます。ほかにございますか。よろしいですね。  では、本検討会といたしましては、ただいまいただきました議論を踏まえまして、私と 事務局でもって文書をとりまとめたいと考えております。  本日の議論につきまして御質問、御意見がございましたらば、1週間という期限を区切 りまして、各委員におきましては、事務局まで御意見をお寄せいただきたいと存じます。 それを踏まえまして、次回の検討会においてとりまとめの案を示したいと考えております。  それでは、次の議題になりますが、事務局から御説明をお願いいたします。 ○江浪課長補佐 前回の本検討会におきまして、座長の方から本会におきましては、平成 16年に設置されて以降、17年3月に中間報告をおまとめいただくなどの議論を積み重ねて きたところではございますけれども、国のワクチン政策に対しまして強い影響力を持つ仕 組み、あるいは国民に対してワクチンの安全性、有効性についてわかりやすく情報提供を する機能の強化など、予防接種に関するアドバイザリー機能の強化が求められていること につきまして、座長の方から御提言をいただいたところでございます。  このような枠組みの構築のことにつきまして、座長と事務局の方で今後の進め方につい て相談をさせていただきまして、また本会に諮ることとされておりますけれども、今回ち ょっとそれが間に合っておりませんので、これにつきましては、また次回以降の会の中で 御提案をさせていただければと考えております。  以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。本日はそれぞれの議題につきまして、貴重 な御報告、そして御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。  最後に、事務局の方から何かございますか。 ○山田課長補佐 事務局より、次回の開催についてでございます。  日程につきましては、改めて事務局より調整をさせていただきたいと考えております。 よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  それでは、本日は長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。こ れをもちまして、会議を終了させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。                           健康局結核感染症課予防接種係                            内線(2383・2377)