09/02/24 第3回厚生労働省政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループ議事録         政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設定         及び実績評価に係るワーキンググループ(第3回) 日時 平成21年2月24日(火) 10:30〜 場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) ○高橋座長 定刻になりましたので、「政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設 定及び実績評価に係るワーキンググループ」を開催します。大変ご多忙の中お集まりい ただきまして、ありがとうございます。今日は、メンバー全員の方がご出席です。開催 に当たり、荒井政策評価審議官からご挨拶をお願いします。 ○政策評価審議官 おはようございます。委員の皆さま方におかれましては、ご多忙の ところをこの会合にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私ども厚生 労働省におきましては社会保険庁を監督する立場から、平成13年度より中央省庁等改 革基本法に基づきまして、毎年度、社会保険庁が達成すべき目標を設定し、その実績を 評価することを行っております。  本日は、平成21年度の目標につきましてご審議をお願いいただきたくご参集いただ きました。ご案内のように、平成22年1月に日本年金機構が設立されますので、平成 21年度4月から12月までは、社会保険庁の最後の事業年度ということになります。社 会保険庁におきましては、引き続き年金記録問題などで損なわれた国民の信頼を回復す るために、最後までこの問題に最優先に取り組むことはもちろん、さらに、新しく設立 される日本年金機構の準備にも取り組んでいくという課題がございます。また、そうい う状況の中で、当然のことではありますが事業所への適用、保険料の徴収、給付といっ た社会保険の基本となる日々の日常業務についても、着実にこなしていかなければいけ ないという状況でございます。その中で社会保険庁の最後の目標を設定することになり ます。  委員の皆さま方におかれましては、忌憚のないご意見をいただきながら、少しでも社 会保険庁の運営が最後までうまくいくような努力をしてまいりたいと思いますので、ど うぞよろしくお願いいたします。 ○高橋座長 初めに事務局から今日の議事と、その資料についてご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐 本日、議題とする目標(案)について説明させていただきます。 お手元に資料を3点お配りしています。資料番号の付いてないのが「平成21年度にお いて社会保険庁が達成すべき目標」という資料で、今回、この会議でご審議いただく目 標(案)になります。参考資料として、参考資料1が「平成20年度において社会保険 庁が達成すべき目標」です。参考資料2として、平成20年度と平成21年度が比較でき るような資料を付けています。今回、ご議論いただくのが平成21年度目標ですので、 平成21年度目標の資料に従って説明させていただきます。  説明に当たって目標の仕組みですが、先ほど審議官の挨拶にもありましたとおり、中 央省庁等改革基本法に基づいた仕組みです。年度が始まる前にその年度の目標を示し、 実際には社会保険庁で示された目標にもとづき事業計画を立てて業務を進めていく、年 度が終わって評価を行う。そういう仕組みを平成13年度から行っています。今回は平 成21年度の目標ですが、平成21年度の特徴としては、平成22年1月から年金機構が 設立されますので、それまでの9カ月間、最後の目標だということです。健康保険事業 に関しては、すでに平成20年10月に健保協会が設立されていますので、給付などそう いったものは、すでにそちらが実施しており、船員保険だけが残っているという状況に なっています。  早速、目標(案)の資料について説明します。最初に横書きの文章で「前文」を置い ています。「平成21年度において、社会保険庁長官に権限を委任した事務に係る社会保 険庁が達成すべき目標については、以下のとおりとする。昨年10月に全国健康保険協 会が設立され、健康保険業務が社会保険庁から同協会に移管されたところであり、さら に来年1月には日本年金機構が設立され、年金業務が同機構に移管されることとなる。 平成21年度(4月〜12月)は、社会保険庁の最後の事業年度であり、同庁は、年金記 録問題により損なわれた国民の信頼を回復するため、引き続きこの問題に最優先に取り 組む必要がある。また、最後まで徹底した業務改革、組織改革を進めながら、適用事務、 保険料等収納事務、保険給付事務といった社会保険の基本となる各業務を着実に実施し ていく必要がある。さらに、これら業務とあわせて、新たに設立される日本年金機構の 組織、業務の運営を円滑に行うための準備に取り組むことにより、同機構が、国民の生 活の安定を保障する公的年金制度の事業運営を担う組織として、真に国民に信頼される 組織に再生するために全力を尽くす必要がある。」としています。  前文は以上でして、「年金記録問題を最優先として対応していく中でも、基本となる業 務を着実に行う。さらに、平成21年度については機構の設立準備がより必要となって くる。」というものです。  次に具体的な目標ですが、前文の下に表が続いています。この目標のつくりは、1か ら7まで分けられています。1から3が適用、保険料収納、給付ということで基本的な 業務、4として3つにわたる最優先の課題である年金記録問題の対応、5以下がオンラ インシステム、相談業務、福祉施設、そういったものの業務が並んでいる、そういう構 造になっています。1〜7の各業務の中に(1)(2)などを付けて個別・具体的な目標を立て ています。資料としては、表の左の欄に目標を書き、右の欄は直近で把握できる平成19 年度実績の数値を入れています。こちらは参考にご覧になっていただければと思います。  左の欄に書いてある目標に従って説明をします。1の「適用事務」は、「(1)国民年金 の適用事務」、「(2)厚生年金・健保協会・船員保険事業の適用事務」と分かれています。  (1)の国民年金の適用事務は、国民年金の被保険者種別変更等の適正な届出の促進や、 職権による適用により、国民年金の適用の適正化を図るという目標です。これは、会社 にお勤めの方がサラリーマンをお辞めになったときに種別の変更を行うのですが、そう いったものの届出を確実にしていただく、あるいは20歳になったときにすべて必要な 方は漏れなく国民年金に適用されるように、届出がない場合などに職権による適用を行 うということにしています。  (2)は厚生年金保険等の適用事務です。これについては、年金記録問題への対応を最優 先としつつ、厚生年金保険事業・全国健康保険協会管掌健康保険事業・船員保険事業の 未適用事業所の適用促進に取り組むとともに、適用事業所からの被保険者資格の得喪、 被扶養者、標準報酬月額・標準賞与額等に係る適正な届出の促進、適正な事務処理の徹 底を図るという目標です。こちらにつきましては、数値目標を立てており、重点加入指 導実施事業所数の数値目標があります。重点加入指導と申しますのは、最初、文書、電 話、訪問を通じて適用勧奨をするのですが、そういった適用勧奨をしても、自主的に届 出を行わない事業所のうち10人以上の従業員を使用する事業所を対象にして、呼出し、 訪問を通じて重点的な加入指導を行うものです。この事業所数について目標としては前 年度実績と同程度、ただし期間が9カ月間ということですので、12分の9程度といった 目標にしています。実際、例えば平成19年度実績を見ますと3,583事業所となってい ますので、平成20年度は若干の変動はあるかと思いますが、この12分の9はという目 標になっています。  2頁は実績数値が並んでいるだけの頁ですので、説明は省略させていただきます。3 頁が2の「保険料等収納事務」に関する目標です。保険料収納に関しては、(1)(2)の目 標があり、(1)国民年金の保険料、(2)厚生年金等の保険料という構造になっています。(1) 国民年金の保険料については、保険料収納率の目標として現年度収納率の目標と、時効 の関係で2年間までは保険料の徴収ができますので、そういった最終的な納付率につい ての目標を立てています。  具体的には、まず「国民年金保険料について、納めやすい環境づくり、効果的・効率 的な納付督励の展開、強制徴収の厳正な執行、免除・猶予制度の利用促進等により、納 付月数の増加と未納者数の減少を図るという考えに立ち、平成21年度においては、平 成15年度から19年度に納付率80%とする中期目標に向けて行動計画が実施されてき たが、これが達成されなかったことを踏まえ、現年度分保険料の納付率80%の目標達成 に向けて最大限努力する」という目標を立てています。これは国民年金収納対策本部を 設け、平成15〜19年度の5年間にかけて年度別に目標を設定し、現年度保険料収納率 80%を目指して取り組んできましたが、結果的に平成19年度は63.9%ということで未 だ達成されない状況にあります。しかしながら、未納者の問題は皆年金制度の理念にか かわる問題ですので、それを踏まえて納付率80%の目標達成に向けて引き続き最大限努 力をするという目標にしています。  最終的な納付率と申しますか、過年度2年分の保険料納付率については、平成21年 度は平成19年度保険料の最終的な納付率が出てくる年度ですので、平成19年度分の最 終的な納付率、について、平成20年度の取組みの部分である平成18年度分保険料の最 終的な納付率と同等以上の水準を確保するといった目標です。具体的には、平成21年 度は9カ月間ですので、平成21年12月までの平成19年度分保険料の納付率について、 前年同期、これは平成20年12月ですが、その平成20年12月時点の平成18年度分保 険料の納付率と同等以上の水準を確保するよう努める、そういった目標にしています。  (2)は、厚生年金等の保険料の収納事務についての目標です。こちらについては年金記 録問題の対応を最優先としつつ、厚生年金保険料等の確実な納入を促進するとともに、 保険料等を滞納する事業主(船員保険は船舶所有者)に対する納付の督促及び滞納処分 を確実に実施するという目標です。具体的な数値目標としては、保険料収納率と口座振 替実施率について数値を挙げています。保険料収納率については、前年同期と同等の実 績を確保するように努めるとしています。この考え方としては、地の文でも書いている ように年金記録問題の対応が最優先ということですので、前年同期が平成20年度です が、年間を通じて年金記録問題を最優先に取り組んだ20年度、その実績を目安にし、 少なくともそれと同等程度の水準の実績を挙げるということで「前年同期と同等」とし ています。口座振替実施率については、厚生年金保険が84%、健保協会が85%以上、 船員保険が57%以上という目標を立てています。  3は「保険給付事務」に関する事項の目標です。保険給付の目標は、(1)は年金給付の 目標、(2)は船員保険事業における傷病手当金などの現金給付の目標です。保険給付の目 標は、いわゆるサービススタンダードと言っているもので、請求書を受け付けてから年 金の場合は最低、現金給付の場合は給付金の決定がされ、それから年金証書支給あるい は支給決定通知書が届くのですが、それが届くまでの所要日数の目標を挙げています。 年金給付は見ていただいているとおりおおむね2カ月以内、3カ月以内、現金給付は3 週間以内としていますが、このサービススタンダードの目標は平成20年度と同じ目標 を維持しています。こうした給付業務については国民サービスに直結する事項でして、 水準を落とすことは許されないという考えのもと、従前と同様の目標を維持しています。 以上、1、2、3までが社会保険の基本となる適用、徴収、給付の目標です。  次に4では「年金記録問題の対応」ということで、独立して目標を立てています。年 金記録問題は適用、徴収、給付といった各業務に共通する問題ですので、この場所に独 立して目標を立てているところです。実際の目標ですが、年金記録問題の対応について は、国民の視点に立って、「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確 立について」、これは平成19年7月5日に取りまとめられた年金業務刷新に関する政府・ 与党連絡協議会の取りまとめですが、こういった方針などに基づき、基礎年金番号への 記録の統合、コンピューター記録と紙台帳の突合せ、標準報酬月額等の遡及訂正事案へ の対応、こういった主要な柱立てを示し、こういったものを着実に実施し、日本年金機 構へ円滑に移行すると、こういった目標にしています。  5が「社会保険オンラインシステムの見直しに関する事項」です。こちらは社会保険 業務の業務・システム最適化計画に基づき、見直しを実施するとしています。オンライ ンシステム最適化計画は平成18年3月に策定しているのですが、この計画に基づいて 着実に進めていくといった目標になっています。  6.は、「広報、情報公開、相談等に関する事項」です。(1)は、社会保険事業に関する 効果的な広報を行うとともに、年金教育の拡充を図る、といった目標です。数値目標と しては、中学生・高校生を対象とした年金セミナーの実施率を挙げ、こちらについて前 年同期以上という目標を立てています。(2)は、被保険者、受給権者等の利用しやすい年 金相談体制を充実するとともに、年金個人情報の提供の充実を図る。ねんきんダイヤル 応答率については前年度以上になるように努めるという目標にしています。相談業務に 関しては、記録問題に関するお問合せにより相談業務が増えたり、あるいはもともと団 塊世代の方が大量に退職される時期といった状況にありますので、非常に重要な業務で すのでこういった目標を立てています。  (3)は、個人情報保護の目標です。個人情報保護の重要性についての認識が徹底された 職場を実現するとともに、国民に対する適切な情報公開を行う。そういった目標にして います。数値目標としては、個人情報保護研修受研率100%としています。  7.では、「保健事業及び福祉施設事業に関する事項」という目標を立てています。(1) が、船員保険事業における効率的なレセプト点検調査の実施及び被保険者等に対する適 切な受診指導等を行うことにより、医療費の適正化を推進するという目標です。健保協 会の設立に伴って給付事業は船員保険だけとなりましたので、レセプトも船員保険のレ セプトのみが対象とした目標になっています。数値目標としては、被保険者1人当たり のレセプト点検効果額の目標を立てています。内容点検について983円以上、外傷点検 について591円以上という目標です。この数値については、直近で把握できる前々年度 の数値以上ということで目標を作っているのですが、今回は9カ月分の目標になります ので、前々年度の効果額に12分の9を掛けて目標を設定しています。  (2)は、船員保険事業に係る保険事業は、適切かつ効率的に実施するという目標です。 特に、平成20年4月からの「高齢者の医療の確保に関する法律」の施行に伴う特定健 康診査・特定保健指導を引き続き実施するため、被保険者に対する生活習慣病予防健診 事業及び被扶養者に対する健診事業を効果的に実施し、それらの健診結果等に基づく特 定保健指導等を適切かつ効率的に実施するとしています。特に、平成21年度において は、特定健康診査等基本方針で定める実施率、これについては平成24年度において特 定健康診査の70%、特定保健指導45%という中期的な目標を立てているのですが、そ の目標の達成に向けて、平成21年度においては、特定健康診査が42.5%以上、特定保 健指導が26.2%以上が達成できるよう、効果的な取組みを推進するという目標にしてい ます。  (3)は施設事業の目標です。社会保険事業に係る保険・福祉施設事業は、各保健・福祉 施設の見直しの方針に基づき、着実に整理合理化を実施するとしています。施設事業は、 年金福祉施設などの福祉施設と病院がありますが、福祉施設・保養施設については、引 き続き初期目標に従って整理合理化を進めることにしていますが、社会保険病院・厚生 年金病院は昨年10年にRFOに出資されましたが、引き続き地域の医療体制を損なうこ とのないように配慮した整理合理化を進める。そういった内容の目標です。  以上、長くなりましたが、の目標(案)について説明させていただきました。よろし くお願いします。 ○高橋座長 ありがとうございました。いまご説明をいただきましたが、ご質問、ご意 見をいただきたいと思います。  言ってみれば、3つ仕事があるということでしょうか。1つはルーティーンの仕事、2 つめに年金記録問題への対応、3つめに日本年金機構への業務移行ということです。そ う言った状況の中での目標ということでございます。前回のワーキング・グループで、 委員の皆様から現実的な目標を作るようにというご意見もありましたので、それもかな り踏まえられた整理がされているかなとは理解をしています。なお、いろいろご質問、 ご意見がおありかと思います。 ○山口委員 まず質問をさせてください。基本的なことをわかっていないのかもしれま せんが、いま社会保険庁でやっていらっしゃる事業は以前の政管健保が全国健康保険協 会という形で抜けられて、保険給付の部分を引き継がれた。健康保険に関する適用、あ るいは保険料収納といった部分は引続き社会保険庁でやっておられるということになっ ています。そのほか船員保険もあるわけです。日本年金機構になった場合でも、その収 納、適用は健康保険の分も今後やられるという建てつけになっていましたか。 ○社会保険庁企画室長 今ご質問をいただいた件ですが、健康保険の適用、保険料収納 の業務については、日本年金機構に移行した後も日本年金機構で行うという定めになっ ています。 ○山口委員 もう1つ質問ですが、今回9カ月の事業計画、来年の1月からは日本年金 機構ということですが、そうすると残りの3カ月というのは日本年金機構になってから の期間になります。もしかしたら、3カ月プラス1年で15カ月ぐらいの事業計画になる のかもしれないのですが、日本年金機構は独立行政法人ではないところ、その事業計画 については、どういう組織でチェックするのか、しかもそれはいつごろからやる予定に なっているのかを教えていただければと思います。 ○政策評価官 現在、やっています目標を作って評価を実施するという制度は、根拠の 法律が中央省庁等改革基本法に基づくものであります。例えば、社会保険庁以外にも国 税庁、海上保安庁など、それぞれ主務大臣が目標を定めて、事業年度終了後に評価をし ているというスキームの中でやっています。社会保険庁でなくなりますので、そういっ た法律の枠組みからは外れるわけです。日本年金機構設立後はその根拠法に基づき、や や独立行政法人と似ているところがあるのですが、まず厚生労働大臣が中期目標という ものを定めます。これを3年から5年の期間で定めるとなっています。それに基づいて、 年金機構が中期計画を作り、厚生労働大臣が認可をする。さらに、毎年度の事業計画を 作っていくという形になります。当然、機構の中に運営のための識者の委員会が設けら れ、そこでお諮りをしながら計画・事業実施をしていく仕組みを予定しています。  計画・事業実施については、年金局が直轄で監督することになると思いますが、それ ぞれの事業年度ごとの実績、中期の期間が終わったあとの実績を評価することになって います。評価に当たっては、たぶん社会保障審議会の中にそうした枠組み、少なくとも 第三者の有識者会議が厚生労働省に設けられ、実績の評価がなされるという運びになっ ています。 ○高橋座長 その他、いかがでしょうか。 ○大谷委員 この前文に書いてあるとおり、また座長もおっしゃったように、12分の9 という期間ではありますが、ルーティーン・ワークに加えて、年金記録問題もいままさ しく出てきたものの整理という時期だろうと思います。これからまた、「年金定期便」が 誕生月ごとに発送されるということになると、その相談件数等が増加する可能性もある だろう。そこへ、さらに機構への移行という大きな仕事を抱え込むことになるわけです。 また、機構へ移行する人員をそろそろ選別する状況が始まる。そのとき、仮に選ばれな かった人たちが退職していくということになると、実質的にこれだけ大きな事業を行う に当たっての人間の数、あるいはモラル、そういったものが非常に危惧されていると思 っています。  平成19年度をつい最近評価させていただいたときにも、厳しい評価であったとは思 いますが、年金記録問題の影がやはり相当影響しているという理解の下でお話をしたと 思います。さらに、今度はそういったもの以外の要素が付け加えられてくるというとこ ろで、大変厳しい状況下での事業運営だろうと思っています。私からは、そこをかなり 考えた上での、より努力が見える形での目標設定だとは思っておりますが、厳しい環境 の中でお進めいただかなければならないということで、やや影を落とすようなことにな らないかと考えております。ひとつ、その辺をご注意いただいて、外部へ出せるものは 外部にお願いしてでも、本来実施すべき業務というか、社会保険庁でなければできない 業務に専念していただきたいと思っています。 ○篠原委員 まず最初に、非常に小さい問題をお聞きします。この説明の5頁、6-(2) のところに「インターネットによる年金見込額試算照会の受付件数18万6,786件」と あります。電子政府を推進している中で、パッと見ると少な過ぎるという印象を受けま して、これは年配者だけが利用できる仕組みなのか、現役で働いている人も興味がある のではないかと思います。照会件数が少ないのは宣伝が行き届かないからなのか、どの 辺に原因があると分析しているのでしょうか。これで十分と思っているのかどうか、や はり少ないと思っているのか。照会件数をより多くするためにどのようになさっていら っしゃいますか。その辺、いかがですか。あまり考えていないですか。 ○事務局(社会保険庁) IDパスワードの発行件数は相当増えており、その中でIDパ スワードを利用して年金見込額を照会したものの件数です。IDパスワードは今までは現 役の加入者にのみ発行していました。これが、年金記録問題の関係があり、受給者にも IDパスワードを発行できるようにしてくださいということで、今、準備を進めています。 その中で、例えば、現役の加入者であればその人の標準報酬などを見ることができるよ うになっています。合わせて、見込額照会もできるようになっています。ただ、見込額 照会をされる方というのは、例えば58歳とか年齢の高い方ですが、年金定期便などで も見込額をどんどん出していますので、そういった影響で照会が増えるということもあ るかと思います。ただ、ご指摘でもいただきましたように、その拡大に向けては、今受 給者まで拡大をしようという形で取り組んでいます。受給者についても見込額のところ で見ることができるようにするのが適切かどうかというのはありますが。 ○篠原委員 これは実際にインターネットで照会があった件数ですか。 ○事務局(社会保険庁) はい、パスワードはもう相当数発行しています。 ○高橋座長 これは、平成19年実績なのですよね。かなり前ですね。 ○篠原委員 今回、年金記録問題最優先、これは国民にとってもそうかと思います。マ スコミ等で報道されているものは大雑駁な問題をやっているのですが、内部的にきちん と分析して今後に向けて課題化しているのかなと思っています。どうしても、年金記録 そのものの訂正のほうに行ってしまって、なぜこのようなことが起こったのか。コンピ ューター上の問題、人の問題、いろいろあると思うのですが、そういう部分で本当は課 題化したら目標に載せてくれるといいのですが、その部分の取組状況はいかがでしょう か。 ○社会保険庁企画室長 年金記録問題が非常に大きな問題になり、年金記録問題につい ての検証委員会を開きました。その中で、今の社会保険庁における業務のやり方、ある いはシステムの中での問題という点も含めて、もちろん社会保険庁の組織体質も問題に なったわけですが、業務面についてもいろいろなご提言をいただいたわけです。  そういったことを踏まえ、現在、オンラインのシステムの刷新に取り組んでいる中で、 まずは業務面での見直し、ミスがたとえ起こったとしても、それをカバーできるものを 内在させておくような業務の見直しをやっていこうということで、これを大々的に行い ました。これを次なるシステム刷新の中に活かそうということで、システムの刷新工程 についても今見直しをしている最中です。 ○篠原委員 いわゆる、日本年金機構移行の問題を扱っていて、私も非常に関心がある のは、国鉄とか日本専売公社の移行など、特殊法人の移行を身近に見ていて非常に大変 というか、大変な負荷がかかるということです。一般的に言うと、必要なスキルは比較 的研修をやられていて何とかなるかなと思います。抜けているのは、まさにパラダイム の変換というか、風土の変換に対する研修が抜けているのではないか。今回は、かなり スムーズに早急に年金機構に行って、何年かの習得期間がないというか、そのようなこ とはやっていられないと思うと、今年の12月までの間に幹部から研修を行うというか、 そういった支援がものすごく必要と感じています。取組状況はどのようなものでしょう か。 ○社会保険庁企画室長 風土ということでおっしゃいましたので、非常に幅広いことに なろうかと思います。いちばん根本にある意識改革という面で申し上げれば、これまで いろいろ社会保険庁の中で問題が生じるたびにこのような業務の考え方ではいけないと いうことで、もっと新しい考え方をみんなで一つひとつ積み上げていこうではないかと いう、組織内での運動をいろいろやってまいりました。また、より技術的なところに目 を向けてみますと、例えば会計原則なども今度変わってくるわけですが、新しい機構に 移った後のマニュアルづくり、マニュアルを作った後の職員に対する研修というものは、 期間としては限られているわけですが、これからの期間の中でしっかり取り組んでまい りたいと思います。 ○高橋座長 何か部長から補足はありますか。 ○社会保険庁総務部長 実は総務部長と年金機構の設立準備の事務局長を仰せつかって います。ご指摘のとおり、12月までということですから、極めて限られた時間というこ とになります。そういう中で、やはりこれまで培ってきた業務意識の改革は、引き続き やっていく必要があります。さまざまなプログラムがありますが、それをきちんとやっ ていくということです。  もう1つ、今度は国でなくなりますから、まさに会計の基準とか、あるいは労働関係 法令の適用とかいったものが、すべて民間ルールになります。それを支えるような、い わばバックオフィス的な仕事の進め方も含めて整理をしなければなりません。その整理 をした上で、新しい機構で仕事をするにはみんなそれを身に付けていかなければなりま せん。限られた時間ですが、そこはきちんと怠りのないように進めてまいりたいと考え ています。 ○菊池委員 もう既に、委員の皆様からご意見が出たこととだいぶ共通している部分が あるのですが、1つは組織の移管という中で、職員のモチベーションをいかに維持しな がら目標を達成していくかという、大変難しいことであると思います。そういう意味で は、まずは目標としても現状を維持するというのが妥当だと思いますし、何とか達成す るよう、ご尽力いただきたいということが1つです。  それとも関係しますが、文章の中でも「年金記録問題の対応を最優先としつつ」とい う点が複数箇所あります。これで今回はいいと思うのですが、本来であれば「対応とと もに」ということでなければいけない、本来の業務本体との兼ね合いではいけないと思 うのです。まだ通常の状態ではないということは理解しています。ただ、移管後はまた 別の形での評価という形になりますが、どこまで緊急対応的な対応が許されるのかを考 えると、この9カ月で何とかある程度始末をしないと、移管後もやはり「年金記録問題 の対応を最優先としつつ」ということでは社会保険に対する信頼が別の意味で保たれな いという危惧があります。次期以降は別組織ですので、管轄外ではありますが、できれ ば「最優先としつつ」というのは今回限りにしていただきたいと思います。  もう1点、これは前回も申し上げたのですが、6-(1)の「広報」に関してです。本来で あれば、このワーキング・グループよりは親委員会のほうで申し上げるべきかもしれま せん。関連しているのでここでも申し上げたいと思います。「年金セミナーの実施」とい う点、まず1つ確認させてください。事務費に保険料財源を投入するという点が恒久化 されています。この部分というのは、事務の一環という、つまり保険料を使っていると 考えてよろしいのか、あるいは公費なのか、その辺をちょっと教えていただきたいので すが。 ○社会保険庁総務部長 今の体系で人件費とそれに近い部分には国費が入っています。 それから、今、年金記録問題の特別の対応をしている部分には国費が入っていますが、 それ以外の各種の事業経費は基本的には保険料財源を充てています。ですから、いわゆ る、年金教育的なところも保険料財源がベースとお考えいただけたらと思います。 ○菊池委員 わかりました。であれば、保険料を使って年金についての教育を行ってい くというのは筋だと思います。前回も申し上げて繰返しになるのですが、これから社保 庁という括りでもなくなる。要するに、年金医療という括りでもないわけです。年金だ けということに形式上はなっていくわけです。  私はずっと危惧しているのですが、省庁再編以降、社会保障の持続可能性ということ が言われています。特に、省庁再編以降は、昨日も新聞報道されましたが、持続可能性 というのは財政面での持続可能性ということでほぼ専ら語られてきたわけです。それが 重要であることは言うまでもありませんが、一方では、例えば昨年12月の「少子化対 策部会」では子供の育ちをサポートするということ、それは将来の社会保障制度を支え る子供たちを大事にするという趣旨、いってみれば人的資本確保策としての持続可能性 みたいな議論を少しされてきています。それも重要かもしれませんが、ちょっと考え方 は危ういと私は思っています。  もっと重要なのは、やはり社会保障を支える社会的、市民的な基盤が非常に揺らいで いるということ、ある意味ではそこがしっかりしていればお金の問題はあとから付いて くると言えなくもないわけです。要するに制度に対する信頼感などが揺らいでいる中で、 それをどう再構築していくかが非常に大きな課題だと思います。昨年の国民会議の報告 書でも、さすがにちらっと、そういった連帯意識の毀損、それに対する危機感みたいな ものが書かれています。ただ、それに対する対応策はほとんど何も書かれていない。そ このところを作っていくための1つの手段として、若い、これからの子供たちに対する 教育や涵養というものが非常に重要だと思います。  確かに、年金保険料を使って年金セミナーをするというのは正当なことですが、これ は厚生労働省自体にもかかわってくることなのです。要するに年金の話、「年金はそうな のだ」ということだけわかっても社会保障というか、社会制度自体に対する信頼感とい うのは十分涵養されないと思えます。もちろん年金セミナーをやっていただいて結構な のですが、それとは別に、そこは保険料が使えなければ公費ということになるのかもし れません。きちんとした、社会保障制度全体に対する啓蒙といったことをどこまでやら れているのか把握していませんが、本格的にきちんと真面目に考えてやっていただきた い。  さらに、学校教育とからむのであれば、それは文部科学省とも連携して、セミナーと いう形、1回きりではない形で、本気で考えないといけないと思います。年金セミナー が必要ないというわけではありません、これはこれでやっていただくとして、それ以外 に教育本体の中での対応を考えた取組みをしていかないと、ますます社会保障を支える 市民的・社会的な基盤のようなものが失われていく、という危機感が非常にあります。 だからといって、ここで対応できるのは年金セミナーをいかにやっていくか、そういう ところでまた出来るかということにとどまると思いますが、全体の中の一環としてのセ ミナーの位置づけというものを本省も含め、どこかで考えていただく機会が必要なので はないかと思います。ちょっと長くなりましたが以上です。 ○高橋座長 ありがとうございました。政策評価の位置づけにもかかわる大事な話だと 思います。やはりグランドデザインがあって、それがブレイクダウンされていく中で、 いつの間にかそれぞれの組織がオートのように動いて、その範囲での仕事になってしま う。実はグランドデザインというのはものすごく関係があるのだという、そのあたりを 是非、実施庁としても意識していただきたい。そういう趣旨で受け止めさせていただく ということでよろしいでしょうか。 ○政策評価審議官 いま私どもがやっている議論なのですが、労働教育をどうするかと いう議論があります。非正規雇用が非常に増えていく中で、働く方々の権利をどう確保 していくかという議論をやっていく中で、十分に労働法制、もしくは社会保障制度に入 る権利も含めて、よくわかっていないのではないかということが言われています。他方、 ご案内のように、労働組合の組織率が2割を切っている状況の中でどういう形で教育を していくか。学校教育、それから出たあとも含めてどうしたらいいかという議論をやっ ています。最終報告書も近く出ることになっていますが、そういった議論をやっていま す。  これは労働面からの話ですが、社会保障全体も含めた形で何かを再構築していく必要 性については、私ども内部でもいろいろ議論が出ています。今おっしゃいましたように、 全体像が見える形でどうというものはまだありません。ただ、部分部分の中でそういう 議論を積み重ねながら、日本全体を支えていく人的な基盤をきちんと確立していく必要 というのは、これからの議論の中で私個人としても必要なのではないかと思っています。 ○高橋座長 それはいろいろな場で議論をしていただきたい問題かと思います。ありが とうございました。  ちょっと、私から技術的な質問というか、整理の仕方を教えていただきたいと思いま す。参考指標が平成19年度実績で書かれていて、平成20年度実績が出てくるのはやは り7月ぐらいでないと出てこないのでしょうか。 ○社会保険庁企画室長 決算のスケジュールとの兼ね合いということになってきます。 例年のペースで見ると大体そのぐらいの時期かなと思っています。 ○高橋座長 というのは、参考指標を読んでいくと、多くはそれぞれの事業の事業規模 を示すようなものとなっていますところが、例えば、目標に「重点加入指導実施事業所 数:前年度実績と同程度」と書いてあると、この目標に対応する参考指標のは平成19 年の3,538事業所だとなっているのです。そうすると、実は齟齬が起こるわけです。目 標でいう「前年度」とは平成20年度のことを言っているのですが、参考指標として挙 げているデータは平成19年の実績なのです。しかも、それを9ヶ月分の目標だから12 分の9にしなければいけないという話になると、読んでいくとしばしば誤解を受けるよ うな感じがします。平成19年度ということは、参考指標の欄の最初の頁の1番上に書 いてあるだけですから、いつの間にか飛ぶのです。いつの間にか飛んでしまい、「あれ、 前年度の平成20年度が3,538かな」というように誤解してしまう。たまたま、これは 参考指標について平成19年度と注記してある最初の欄と同じ頁だからいいのですが、 何とか整理できないのかなと思います。  それから、参考指標のうち、数値目標となっている最終的な比率などは「参考指標」 でいいのですが、事業量の参考資料的なものについては何か工夫がいるのではないか。 事業規模の実績を、数値目標の実績やそれに関連する業務実績などの参考指標と同じよ うに目標に対応させるという位置づけにするのがいいのかどうかということです。事務 局に宿題を出すようなのですが、新しく参考指標を作れという話でなく、若干記載の仕 方に工夫が要るのではないかということです。ホームページ等で公開されると、ミスリ ードを生ずる懸念があるものですから、そこら辺をどういうようにしたらいいか。私も 良い知恵はないのですが、いま室長がおっしゃったようにタイムラグがあるのは当たり 前なのですが、ここで言う目標を「前年度」と言った途端、前年度とはどのぐらいなの だろうという話が出てくる。そこは推定値でいいから何か補っていただいた法がいいの ではないか。そして、それを12分の9にしないとある意味ではリアリティーがないわ けですよね。それが必要かどうかということは、「そこまで必要ないではないか」と言え ばそれで結構なのだけど、その辺、やや整理をしておいた法がいいのかなと思いました。  保険の収納率だってそうですよね。「前年同期と同等の実績」と言って、こちらの収納 率98.7%というのは平成19年度の数字が書いてあるから、「19年、前々年とは何だ」と 言われたらちょっと困ってしまう。その辺りについて、注記をしていただくなりした法 がいいのではないかと思います。 ○政策評価官 いまお話をいただきながら、その必要性をとても感じました。少なくと も、参考指標の欄には各頁にわたって「平成19年度」という記載がありませんので、 いちばん上だけに参考指標とだけ書いてあるところなどは直していかなければいけない のではないかと思います。  平成19年度の実績を見ると、例えば、重点加入指導実施事業数3,583とあります。 これは前々年度ということになるわけなので、この目標を立てる段階で、平成20年度 の実績は押して図るべしという行き方もあるかと思います。ただ、先ほども申し上げま したように、この平成20年度というのは通年を通じて年金記録問題に最優先で取り組 んだ年ということなので、そこら辺の数字はなかなか計り難い部分があります。ポイン トは多分事業評価をする段になって、きちんとした9カ月分の数字が出てくるかという ことだろうと思います。少なくとも、この参考指標というものが前々年度のものという ことが明らかになるように、表記上の工夫をしたいと思います。 ○高橋座長 少なくとも、あらゆる誤解を招かないような配慮を、整理の段階でしてい ただくということかと思っています。 ○社会保険庁企画室長 通年での実績というもので考えてみると、平成19年度の実績 ということにならざるを得ないと思います。少しでも近い状況での実績も把握するとい う意味で、半年間の中間実績の取りまとめをさせていただいています。平成20年の実 績については、20年9月末までの上半期の時点で一応の整理をさせていただいています。 例えば、いま座長がおっしゃった「重点加入指導実施事業所数」ということでまいりま すと966カ所という実績になっています。平成19年度の実績と比べていただくと、半 年間の実績として考えてもかなり少なめの数になっています。この辺に実際上の記録問 題への影響というものが現れていると思います。 ○高橋座長 まさにそれが必要なのだと思います。それこそ注記していただいて、半期 実績を12分の9に換算するとすればよいのではないかと思いますが、こういうデータ は不確定数値は出したくないのかな。推計値としてお示ししないと、やはり平成19年 度というのは平時の事業量ですよね。平成20年度というのは平時というより、先ほど 申しましたように3つの課題を同時平行して、限られたリソースでやっていてこうなる ということですから。そういう意味ではむしろ、20年の半期実績のほうがリアリティー があるわけですよね、「前年同程度」という書き方をしているわけですから。  あるいは、むしろ「参考の参考」みたいな感じにしてその辺をお示しいただくとか。 そうしないと、「前年同期」という言葉がたくさん出てきて、前年同期とは何ぞやとなる と、目標の資料では実は平成19年度の数字が出ていて、前年度である平成20年度はか なり違っているというのは、ちょっと公開すべき文章として良くないなという感じがあ ります。技術的な理由で無理なのはわかっているわけですから、それを補うようなこと を、政策評価官室と社会保険庁のほうで調整しながら工夫していただいたほうがよろし いのではないか。忙しい上に忙しい作業をさせて恐縮なのですが、 公開される以上はやはり誤解を招かないような整理を、現段階でできる限りはしておか れたほうがいいかなと思ったのですが、いかがでしょうか。 ○社会保険庁総務部長 ご指摘の点、評価官室と社会保険庁の間で調整させていただき たいと思います。先ほどの重点加入指導実施事業所数というのはわりと毎月着実にある のですが、他の実績は結構波があるものもありますから、逆の誤解も招かないように調 整させていただきたいと思います。 ○高橋座長 おっしゃるとおりです。その辺りは餅屋は餅屋で、専門的なお立場で工夫 いただくしかありませんので。ただ、どうしても数字に目が行きますので、よろしくお 願いします。 ○篠原委員 政策評価と離れる点で3点質問します。1点目は先ほど、10人以上の事業 所に対して重点加入指導を行うということでした。国民年金には全員入らなくてはいけ なくて、そのうち、勤めている人は厚生年金に入ることとなっています。そうすると、 10人以上の事業所で「うちは参加したくない」というか、「厚生年金に入りたくない」 という事業所の従業員は最低国民年金に入る。ただ厚生年金に入らないと言っていると ころは事業所で、国民年金の加入は対個人なのでちょっとずれているのですが、やはり 連携した推進が必要な気もします。その辺はどのような対応をしているのでしょうか、 あまり関係ないでしょうか。 ○社会保険庁総務部長 年金で申し上げますと、基本的に20歳から60歳までの方は、 1号、2号、3号という被保険者の種類の違いはありますが、何らかのかたちで国民年金 に入ります。実際の適用の形としてあるのは、1つは、本来事業所単位でサラリーマン として厚生年金の適用される方でして、こういった方については、出来るだけきちんと 適用していく。それがこの重点加入指導ということになります。  厚生年金に入らない方は、第2号のサラリーマンの被扶養者は第3号ですが、それ以 外の方は国民年金の第1号被保険者となり保険料を納めていただくということになりま す。 実際には転職、退職など、いろいろと被保険者の種類の変更が出てまいります。そうい うときに、厚生年金をやめたけれども、第1号被保険者の届出が出てきていないという 方にはお知らせをして、その適用をしていただくということをやっています。できるだ け漏れがないようにするという取組みを進めています。 ○篠原委員 2点目は、先ほど大谷委員が言っていた全員が次の機構に採用されないと いうとモチベーションの問題があるわけです。海外の例だと、クビにされた人から針を 入れられたりといったことがあるから、即出ていってもらわないといけないという話も あります。日本でも、朝にクビにすると宣言すれば、午後には荷物を全部を持って出て いってもらい、パソコンにはアクセスできないと言う例もあります。この点は非常に重 要で、ばれるのが30年後ぐらいだったら悪いことをやってしまおうという人が出てこ ないとも限らない。我々、公認会計士が監査をする場合に、検証の可能性をきちんと考 えなくてはいけないという点があります。今回も中途半端にやっていると、何かやって しまうのではないかという危惧がある。採用しない人はきちんと次の職の面倒を見ると か、何らかのことをしないといけないのではないか。面倒まで見るのはけしからんとい う感じも一部であるのですが、そういう保障もしてあげないと、これだけ重要な業務に 携わっている人で、中途半端にしておくというのはよくないのではないか。その点はど う考えていますか。 ○社会保険庁企画室長 ご案内のとおり、日本年金機構で、正規の職員として何人採用 する、有期雇用の職員として何人採用するという、すでに閣議決定した数字があります。 そうした中で必ずしも年金機構に採用されない職員が出てくるであろうということも予 想されます。  職員の数を定めた閣議決定の中にもありますけれども、機構に採用されない職員につ いて、厚生労働省で職員として転任させるということであったり、あるいは再就職の支 援ということについて、例えば、官民人材交流センターというものが作られていますが、 こういったものを活用するなどにより再就職の支援をする、こういったことにもしっか り取り組むようにということが定められています。モラルの維持ということは極めて大 事なことだと思っていますので、私どもとしてもしっかり取り組んでいきたいと思って います。 ○高橋座長 モラルもそうですが、リスク・マネージメントというお話かと思います。 ○篠原委員 今回の年金機構も、いわゆる幹部から管理職から職員まで、民間の方を採 用するという方針だと思います。3年か4年前、もっと前でしょうか。総務大臣が、第 3セクターは民間の良いところと官の良いところを目指してやったのだけれども、実は 民間の悪いところと官の悪いところが出てしまったということがありました。 私も身近に独法とか、いろいろなところを見ていると、民間から採用した人は戸惑って いるというか、なかなかうまくいかない。だけど、そのようなことは言っていないで、 やはり民間の良いところを求めて採用しているのだから官側も働きやすい環境を作って あげるというか、いわゆる「敵に塩を送る」という感じもなきにしもあらずなのですが、 その辺の配慮というか対応は考えられていますか。よろしくお願いします。 ○社会保険庁企画室長 機構発足時において、外部からの採用を約1,000人採用すると いうことも閣議決定の中で定められています。約1,000名という数字は、全体の人数か ら見れば1割ぐらいに相当するわけで、相当な人数だろうと思っています。  また、現在、既に退職した職員、欠員分の補充という意味合いもあるわけですが、民 間で勤めていた方で、転職して任期付きの職員という形で社会保険庁の中に入ってきて いるという職員がかなりの数おります。そういった方々も含め、機構の採用に手を挙げ ていくという人もいらっしゃるのだろうと思います。現在の社会保険庁の中でも、民間 出身の任期付き職員の人たちの働きぶり、あるいはそういった人たちを迎え入れている 環境というものを見ると、公務員組織でない新しい組織を目指して作り上げていくとい うプロセスであるということでもあります。そういった方々の意見を積極的に取り入れ る形で、よその畑から来た方々も非常に活き活きと仕事をしていただいているというよ うに私自身は思っています。  おそらく、これから先本格的に機構が始動していった場合においても、官の組織の中 以外の土壌で育った人間の知識、経験というのは非常に大きく活かせる余地があるので はないかと思っています。 ○高橋座長 よろしいでしょうか。この問題はなかなか難しい問題です。官だから非効 率、民だから効率が期待できるというのはほとんど嘘であります。効率的な民と非効率 な民があり、効率的な官と非効率的な官がある。ビューロクラシーを官僚と訳したのは 誤訳だと私は思っています。そういうことも含め、ちょっと感想でございます。これは 本筋ではありません。いろいろご意見をいただきましたが、この目標案について、ワー キング・グループとして了解をするということでよろしいでしょうか。                   (了承) ○山口委員 基本的に私も賛成で結構かと思います。いまのような年金記録問題への対 応が厳しい環境の中で、しかも組織変更、緊急的対応をやらなければいけないというこ とですから、現実的な目標を立てるというのは合理的だと思います。  ただ、昨日、社会保障審議会の年金部会でもありましたように、財政調整、マクロ経 済スライドは、基礎年金については2038年まで。報酬比例部分は2019年までやるとい うことになっていますから、1号被保険者のままで残るということになると、給付水準 がどんどん低くなっていくことになるわけです。そういう意味では、適用関係について、 サラリーマンでありながら1号被保険者になっている人が非常に多い中、そういった 方々に2号被保険者になっていただくように適用勧奨をやるというのは、いまの段階で は現実的目標としてやむを得ないと私も理解していますが、日本年金機構に行って、早 く本来業務をきちんとできるような形にしてやっていただきたいというお願いです。 ○高橋座長 いわゆる、組織のミッションの再確認をした上で、重要な点については全 力投球をしていただかないと目標にはならないだろう。そういう意味も含めてのご発言 だったと思います。これは是非受け止めていただきたいと思います。それでは、このよ うな形で取りまとめさせていただいたので、これを踏まえてこれからどういう形で取り 運んでいただくかを事務局から説明願います。 ○政策評価官 それでは、本案を「平成21年度において社会保険庁が達成すべき目標」 として、正式に社会保険庁長官に通知するとともに、厚生労働省ホームページで公表さ せていただきたいと思います。先ほど、座長からご指摘いただいた表記の工夫に関して、 然るべく工夫を施した上でそうした手続きをさせていただきたいと考えています。 ○高橋座長 わかりました。これも私からのお願いですが、公開する場合、先ほどお話 しのありました、「こういう状況の中でこういう目標を設定した」という背景、は頭書き で尽くされているということでしょうか。 ○政策評価官 ホームページ上の体裁は前文が特にクローズアップされるような形にな りますので、背景も含めてわかっていただけると思います。 ○高橋座長 よろしゅうございましょうか。議事が全部終了しましたのでこれで終わら せていただきます。どうもありがとうございました。 (了) (照会先) 政策統括官付政策評価官室 電話:03−5253−1111(内線7786)