09/02/23 平成20年度第11回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 平成20年度第11回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成21年2月23日(月) 15:30〜17:30 (2)場所  厚生労働省共用第8会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、        齊藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、        松田晋哉委員、山口俊晴委員、山口直人委員、吉田英機委員、        邉見公雄オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数等の検討について         ○ 医療機関との意見交換について         ○ 松田研究班からの報告         ○ これまでに検討された項目の整理        2 その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  それでは、ただいまから平成20年度第11回診療報酬調査専門組織(DPC評価分 科会)を開催させていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、本日は相川委員、辻村委員、難波委員が御欠 席です。  続きまして、本日は意見交換のために3名の先生に御出席いただいております。事務 局より御紹介をお願いします。 ○中田補佐  それでは御紹介させていただきます。  医療法人渓仁会手稲渓仁会病院、副院長の樫村暢一先生です。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  よろしくお願いいたします。 ○中田補佐  続きまして、医療法人近森会近森病院、院長の近森正幸先生です。 ○近森院長(近森病院)  よろしくお願いします。 ○中田補佐  最後に、社会医療法人慈泉会相澤病院、院長補佐の宮田和信先生です。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  お手元に議事次第、委員名簿がございます。  資料D−1「意見聴取を行う医療機関について」、松田研究班からの報告でございま すが、資料D−2「病院機能係数の考え方について(6)」。資料D−3−1「DPC評価 分科会での新たな「機能評価係数」に関する検討の経過報告(案)」、資料D−3−2 「具体的な項目の提案等について(経過報告(案))」でございます。  その他、参考資料といたしまして、手稲渓仁会樫村先生の資料でございます「DPC 制度と新機能係数について」。近森病院近森先生の資料でございますが、「機能評価係 数について」。相澤病院宮田先生の資料でございますが、「地域中核病院の機能評価係 数に関する考察」でございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。資料についてはよろしいでしょうか。  それでは、医療機関との意見交換を行いたいと思います。  まず手稲渓仁会病院の樫村先生から御説明をお願いいたします。時間が10分ぐらい でございますので、10分以内に、特に機能評価係数に関するところを中心にお話しい ただけたらと思います。手元に資料が配られておりますので、あとはそれをお読みいた だければいいと思いますので、どうぞ、よろしく御協力のほどお願いします。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  わかりました。それでは、手稲渓仁会病院の樫村でございます。それでは早速始めさ せていただきます。  私どもの病院は、手稲区、札幌市の西の外れにございまして、ちょうど小樽市と石狩 市と接するところで、守備範囲及びカバー人口もかなり広い範囲にわたっております。  病院は547床ございまして、現在医師が217名、看護師が602名ということで、 平均在院日数が10.9日ということで、病床の稼働率は約90%、年間の手術件数が 6,700件ということで稼働をいたしておる病院でございます。  私どもは民間急性期病院の役割を、この4つが大きな役割というふうに考えておりま す。救命救急医療、これは365日、24時間、一次から三次まですべてを受けるとい うことを基本理念としてやっております。そして、急性期の専門医療、地域連携、そし て教育・研修というところに大きなウエートを置いております。  私どもの医療センターの救命救急センターですが、新型救命救急センターとして19 床ございます。そして、ICUの稼働が現在12床。これらを支えるために、現在14 名の救急医療を中心とします14名の医師が当直体制を組んで、常に365日、14名 が当直をしているという体制で動いております。  大体、年間の救急患者の受け入れが2万2,000人、そして入院が3,300人と いうのが大体のところでございます。そして、これだけの体制を組んで、夕方に5床を あけ、しかもICUを1床確保して、手術室も1床確保するという24時間体制で動い ておるのでありますが、それでも、やはり救急隊の受け入れにこたえられないという件 数が幾つかございます。これは、やはり病床の満床状態で受け入れない、それから三次 もやっておりますので、重症患者に当たっている場合に、どうしても少しお断りせざる を得ない。これは本当に最大限努力をしておりますが、こういう状況ということでござ います。  救急病棟に病棟へどういうふうに入院が行われるか、約4割の方が救命救急病棟に入 っていきます。そして、その中での約80%の患者さんが、いわゆる救命救急の加算が とれるという状況でございます。全体からいけば、約3割の患者さんが加算がとれる状 況であります。  そして、これが経済的なものなんですが、救命病棟の初日というのが非常にDPCで いきますとマイナス算定になってしまうということが分かってまいりました。初日はほ とんどマイナス、2日目もマイナスでございます。3日からようやく少しプラスという ことになりますが、私どもは次の患者さんを受けるために、大体救命病棟の平均在院日 数が3.3日ということで動いておりますので、ようやくプラスになるかなというとき には、もう救命病棟を出てしまうという状況で、約6割、7割の患者さんは3日以内に 退室をしているという状況でございます。したがいまして、初期の治療、これに対して 厚い配慮が必要かなというふうに考えております。  これがICUです。ICUは、現在10床で稼働しておりまして、86%の稼働率で すが、残念ながら、経営的には非常に大きな負担が出ているというところでございます。  これはがんの治療でございますけれども、がんの治療は全科にわたってがん治療を行 っておりまして、今大体、全入院の24%ぐらいの患者さんが、がん患者さんというと ころであります。  そして、2006年度の治療及び2007年度の治療ですが、大体約半数の患者さん に手術治療が行われておりまして、急性期のがん治療というところが行われております。  これは年代別に見ますと、やはり75歳以上の方が22%と大きな割合を占めており まして、実数でも毎年100名程度ふえているという状況にございます。  これが75歳以上の方と以下の方、MDCで1から18まで、それぞれ調整係数を外 した状態で見ておりますけれども、75歳以下の方、以上の方はごらんのとおり、どの MDCでもかなりやはりマイナス算定に向かっているという状況をごらんいただければ と思います。したがいまして、やはり年齢構成による評価というのがある程度必要とい うふうに考えております。  これは合併症、がんの治療で来て、合併症のために、そこにお示ししますように大き な病名がたくさんついてしまうという方は、やはり一つの病名しかとれないという現状 でいきますと、どうしても大きなマイナス算定になってしまうということであります。 この方は、注射が多いということで、注射の中で主病名、いわゆる資源を最も投与した DPCの病名ということに関しては、かなりそれ以外のところの評価というものがない ものですから、これは非常に厳しい状態ということになります。  合併症の評価に関しましては、どうしても医療の質ということと関係がございますの で、臨床指標がきちっと設定されていないと、やはり評価しづらいというふうに思いま すので、それがきちっと評価される状況でということだろうと思います。  これは入院の期間の問題ですが、入院期間I、II、それから特定入院期間というふう に見てみますと、入院期間Iで私どものところではおおよそ半分、40%から50%の 治療が終了している状態であります。ところが、この入院期間のIというところを見て みますと、Iの中の実に39%がマイナス算定になってしまうということです。  こちらに示しますものが、そのマイナス算定の主な上位10疾患ということでありま す。現在、これはやはり調整係数で調整されているという意味合いが強いと考えますの で、在院日数の短縮ということの努力に対する評価というのが、やはり必要のように考 えられます。  これが3つ目の地域医療・地域支援ということであります。私どもはこのように、多 くの地域支援及び地域医療を行っております。この中で大きいのは、やはり地域の格差 の是正、北海道は非常に広うございます。そこで、やはりドクターヘリであったり、画 像の電信及びホットラインというような地域の格差を是正する努力ということを行って おります。もう一つが家庭医療センターというのを開設しまして、家庭医療医を育てる というところに積極的に取り組んでおります。  臨床研修への取り組み、これは4番目の柱ですが、これは1997年に指定を受けて から世界に通用する医師を育てるということで、多くの医師を育ててまいりました。そ して、現在は言われている家庭医療あるいは麻酔科、小児科という社会の要請にもあわ せて、いろいろなコースを設定して臨床研修を行っております。年間20名の研修医を 受け入れて行っております。  以上のような状況の中で望まれる係数、まず一つは、これは政策医療ということと大 きくかかわってまいりますが、政策医療の中で国立大学病院等は、いわゆる政策医療に 対して補助金というのを受けていくことができます。私どもはやはり同じように頑張っ ているわけですが、どうしても自己負担という面がふえてまいりますので、この政策医 療に対する部分を、自己負担の部分を何とか少し評価していただけないかということが 一つの提案でございます。  もう一つは、病院の機能全体としましては、特定機能病院というのがございますが、 私ども民間病院も特定機能病院と同等あるいはそれ以上の機能を有しているという病院 に関しては、やはりこれも評価の対象としていただきたいというふうに思います。  これは前段でお話ししましたが、救急医療に関しましては、入院の初期、つまり初日 の入院、ここに一番の医療資源を導入して、ここが救命のかぎになってまいりますので、 どうしてもここへの評価をいただきたいというふうに思います。それから、一次から三 次のすべての患者を受け入れる、この体制に対する評価というのが必要と思います。そ れから、臨床指標がきちっと設定されてからというふうに思いますが、重症度の評価、 それから集中治療に対する評価が必要というふうに考えます。  それから、臨床研修は、現在臨床研修をしているということだけではなくて、臨床研 修医の数であったり指導医の数、プログラムの制度というようなものを含めて、総合的 に判定をしていただきたいというふうに思います。  それから、地域支援。地域支援は、これは現在逆紹介、紹介というだけでは図れない、 多くの先ほどお話ししましたようなさまざまな機能を有しておるというふうに思います。 特に、地域の格差の是正ということに関して、積極的に取り組んでいるということに対 する評価は必要かなというふうに考えます。  それから、小児、周産期、これは現在、非常に全国で問題になっている小児、周産期。 それから在宅医療、家庭医療。これは最後はやはり在宅医療というのが受け皿になりま すので、ここへの支援。そして、家庭医養成プログラムということに対しても評価をし ていただければと考えます。  次に、診療機能に関しましては前段でお話ししましたように、高齢化社会を迎えまし て、75歳以上の方がかなりふえているという状況であります。したがいまして、ここ にはやはり何らかの形の評価が要るかなというふうに思います。それから、入院の合併 症、これは臨床指標を設定してのことというふうに考えます。それから、在院日数の短 縮に関すること。これは現在、在院日数が短縮されても、それだけで経済メリットがあ るという状況ではないことが多いので、ここに対する評価がやはり要るように思います。  そして、4疾病5事業の評価、あるいは死因の究明に対する評価、細菌検査室の設置、 あるいは悪性腫瘍の迅速病理といったようなことも挙げさせていただきました。  この後についていますのは、ベンチマークの資料でございます。これは係数ではなく て、見ていただければ分かると思いますので、私どもは、やはりこの制度の一つの根幹 であります本当に医療の質の改善に役立って、しかもそれが適切に診療報酬に反映され ると、そういう流れの中で分析を行い、そして、先ほどのようなデータを出していると いうことでございます。この後のデータと、それから後半にはクリニカルパスを分析し たデータがございます。ぜひごらんをいただければというふうに思います。  以上でございます。ありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは続きまして、近森病院の近森先生、お願いいたします。 ○近森院長(近森病院)  今までも病院のほうから、かなり救急医療だとか、それから重症の患者さん、それか ら高齢の患者さんに対するいろいろな機能評価係数についてのお話があったと思います けれども、私は、日本の病院が良質というか効率的な医療を提供するためには、やはり マンパワーの充実と質の確保というのは、非常に大事だと思うんですね。それによって、 労働生産性を高めて、より質の高い医療をしていく。そして、日本の医療が努力すれば いい方向になるような、そういう機能評価係数が必要じゃないかなということで、労働 生産性を高めるためにチーム医療だとか、地域医療連携が非常に大事だよということを ちょっとお話ししたいと思います。  近森会グループというのは、高知駅前にある病院群で、急性期の近森病院と近森リハ ビリテーション病院、そして整形外科のリハビリテーション病院のオルソリハビリテー ション病院、そして精神科の総合心療センターという、非常に機能分化した、そして有 機的な連携をとっている病院群です。  近森病院は、救命救急センター以外は大体とっている急性期の病院です。特に、神経 系、脳卒中ですね。それから循環器、消化器、外傷を主にやっておりまして、高知県と いうのは全国でも3番目の高齢圏ですので、非常に高齢で重症の患者さんが多いです。 ということで、見ていただいても分かりますように、ちょっと在院日数が長くなってい ます。平均15.5日というところですね。だから、ある意味、全国の医療の高齢化と いうところが、10年先にはかなりひどくなると思うんですけれども、その10年先の 姿をやはり高知県で実践しているという、そういう場所じゃないかなと思っています。  だから、これから10年後に起こってくるいろいろな問題が、近森病院に降りかかっ てきている。そのためには、やはりチーム医療とか連携というものをきちんとしておか ないと、もう病院がもたない時代が来るんだよというところです。  これは、高知県のMDC別退院患者数ですけれども、大体もう高知県は人口80万人 ぐらいで、もう急性期の病院は大体5つの病院に収斂しつつあります。近森病院は、外 傷だとか循環器だとか脳卒中といった、救急対応しないといけない患者さんは一番よく 見ておりますし、棒グラフの下側にある100床当たりの処理患者数も一番多うござい ます。  救急搬入件数についても、救命救急センターである赤十字病院だとか医療センターよ りも、数多くの患者さんを受け入れておりますし、重症患者さんも受け入れております。  これを見ましても、平均年齢が67.7歳ということで、非常に高齢化が進んでいま す。また、紹介患者さん、それから緊急入院患者さん、救急車による搬送の患者さんは どれも高齢の患者さんが非常に多くて、非常にコストのかかる高齢重症患者さんが増え ているというところです。  病棟のほうも、ドクター、ナース中心からチーム医療の病棟に変わっておりまして、 ナースステーションからスタッフステーションということで、いろいろな補助業務の方 とか外部委託して物は直接現場に来てもらったり、あとはシステム化をしたりというと ころなんですけれども、ここで見ていただきたいのは、薬剤師さんとか管理栄養士さん、 それからPT、OT、ST、クリニカルエンジニア、メディカルソーシャルワーカーが 病棟配属になっています。病棟配属して病棟業務としてリハビリテーションチームだと か、栄養サポートチームだとか急性期チーム、それから口のリハビリチームだとか褥瘡 チームということで、チーム医療を展開している。特に、管理栄養士さんは、めったに ないんですけれども、1病棟1人の管理栄養士さんを張りつけて栄養サポートをしてい ます。リハのスタッフも病棟配属ということで、ICU、CCUなんかの超急性期の病 棟から、リハビリだとか栄養サポートが行われています。  ここで見ていただきたいのは、職種別職員数ですけれども、100床あたり241名 の数多くのスタッフを擁しているということです。100床あたり241名のスタッフ を擁していますけれども、医師、看護師ばかりでなしに、コメディカル、それから事務、 そして補助業務とか助手的な方は委託職員としております。こういうふうにして非常に 多職種の職種が存在しておりまして、チーム医療をして、労働生産性を高めて、これだ けの100床で241名という、多くのマンパワーを提供しているということです。そ の多くのマンパワーを提供できるというのは、やはりチーム医療で労働生産性を高めて いるから、それだけのスタッフを用意できるというところです。また、これだけのスタ ッフがいないと、なかなかもうやっていけない時代になってきたというところですね。  現在は、構造デフレの時代です。ベルリンの壁が崩壊して、共産圏から非常に安い労 働賃金を有する人たちがいっぱい入ってきましたし、中国とかベトナムとかインドとい った、新興国から非常に安い商品が入ってきて、ある意味安い労働力の輸入が行われて います。そういうことで、人的コストとか物的コストの削減がもう世界的にグローバル に行われてきています。そういう意味で、今経営が厳しい、財政基盤の乏しい自治体病 院だとか大都市の中小病院というのは、特にこの自治体病院というのは、公務員ベース の給与ですので、非常に人件費が高くなっています。そういうところが厳しいというの は、やはり世界的な、非常に大きな構造デフレの影響が、こういう自治体病院にあらわ れているんじゃないかなという感じがいたしております。  だけれども、病院というのは医療を提供しているサービス業ですので、質のいい医療 サービスを提供するためには、良質な人的資源の投入量を増やさなければなりません。 だから、病院というのは人なんですね。だから、良質な、人的資源の投入量を増やさな いと、なかなかいい病院にならない。だけれども、人的・物的コストの削減が求められ ているということで、非常に相反する要求が今なされているわけなんです。そのために はどうしたらいいかというと、余り病院では言われませんけれども、労働生産性を高め るとか、設備生産性を高めるとか、材料生産性を高める必要があると思います。  昔、トヨタがアメリカに進出してきたときに、非常にアメリカというのは職能組合が 強くて、給与が高かった。だから、何とかしないといけないということで、例えば5つ の工程の部分を2つを職能組合のプロの方にお願いして、その前の準備するところと、 後の片づけを非組合員である素人の方にお願いして、生産性を高めたということがあり ます。私は、そういうのは一見、現場の非常に小さなようなことに思いますけれども、 こういう生産性を高める、労働生産性を高めるという、そういう現場の小さな努力が、 今のトヨタとジェネラルモータースの今の運命の分かれ道であったんじゃないかなと思 います。だから、日本の病院も、ぜひそういう労働生産性を高めるというような発想で、 病院を運営していただきたいと思っています。  そのためには、病院の労働生産性を高めるのはチーム医療です。医師は、医者の仕事 をするんじゃないんですね。医師は、医師しかできないことをする。看護師は看護師し かできないことをする。足りないところは、他の看護師さんだとかコメディカルだとか、 事務の方にお願いしてチーム医療でやっていく。そういうことによって、労働生産性は 非常に上がってくると思っています。例えば整形の先生でしたら、手術ばかりしてもら う。だけれども、例えば薬のことは薬剤師さんにお願いして、動かすことはリハビリの スタッフにお願いして、栄養は管理栄養士さんにお願いして、転院のいろいろな手続は ソーシャルワーカーにお願いするということにして、医師とか看護師の労働生産性を高 めるというのは、僕は非常に大事じゃないかなと思います。そのためにも、チーム医療 というのは非常に大事になってきます。  それから、設備生産性という面では、例えばCT、それから病室のベッド、手術室な んかどうでしょうか。これはやはり、チーム医療で人手をかけた医療をすると、評判が よくなって、患者さんが来てくださって、稼働率が上がることによって設備生産性は高 まってきます。それから、材料生産性、ジェネリックの安い薬で同じような効果があれ ば、材料生産性はいいわけですから。  ということで、労働生産性を向上するためには、100床あたりの職員数の増加、処 理業務量が増加する。それから、多職種が入ることで専門性が高くなって、業務の質が 改善するということで、業務の量と質が高くなることで、労働生産性は高くなります。  労働生産性を高くするためには、逆に言えば、マンパワーを増やすことと質を高める ことが大事。具体的には、病院の医療機能の絞り込みと地域医療連携、それからチーム 医療で医療スタッフの機能の絞り込みと連携、そしてコストの削減というのが必要にな ってきます。こういうことによって、良質で効率的な医療を提供できると思います。  これは、急性期医療を同じ高知県でやっている医療センターと、近森病院の100床 当たりの比較ですけれども、これで見ましても、100床当たり、右側ですけれども、 医療センターは116名。近森病院は201名。1.73倍のスタッフを擁しています。 だけれども、人件比率も物のコストの比率も、そして設備の比率も低くなっています。 これは何故かというと、医療センターは昔ながらの医師、看護師中心の病院で、医師、 看護師が85%です。近森病院は医師、看護師が68%で、コメディカルが21%、そ れから事務職員が11%ということで、医師、看護師は1.38倍、コメディカルは3 倍、事務職員は5倍という、非常に多くのスタッフを擁していますけれども、チーム医 療で労働生産性が高いものですから、人件比率も物のコストの比率も下がってきている し、非常にいい医療を効率よくやっているということが言えると思います。  良質で効率的な医療を提供している急性期病院を生かすためには、労働生産性が向上 すると在院日数が短縮し、高齢で重症患者さんに対応可能になりますので、そういう評 価。そして、調整係数をなくすことで、かなり無駄な物のコストの削減に大きな効果が あるんじゃないかなと思います。そういうところを考えていただきたいというのと、手 術、処置、栄養、リハビリは出来高ということは非常に、根本手術をして、後の回復だ とか衰弱の予防に栄養とリハビリが大事ですので、非常にいいことじゃないかなという ところです。  機能評価係数の考え方としては、僕は個人的には基本的に、DPCの包括点数と加算 が基本で、病院全体で対応しなくてはならないものを機能評価係数にしたらいいと思う んですけれども、やはり医療の質の向上と効率化と、地域医療の充実に必要なという、 こういう日本の医療がよくなるところに、やはり機能評価係数をつけていただきたいな ということを思います。  機能評価係数で必要と思われるものは、医療の質の向上と効率化、チーム医療と地域 医療連携というものを評価していただきたいなということと、医療の質の向上。これは 特に、やっぱり病院というのは人ですので、スタッフ数に非常に相関します。特に、医 師とか看護師とか薬剤師数に相関するということで、こういうところを評価していただ きたい。あと救急・重症患者さんに対する評価だとか、地域医療の充実に必要なもの、 そういうところを評価していただければ非常にありがたいなと、そういうふうに思って います。  どうもありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうもありがとうございました。  それでは最後に、相澤病院の宮田先生、お願いいたします。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  相澤病院の宮田と申します。  時間が押していますので、早速入りたいと思います。  相澤病院の概要ですけれども、地域の中核、救急をやっている病院が持っていそうな ものは一通り行っている病院です。  病院概要ですが、471床で、これは1月末の平均在院日数ですが、13.38日で、 稼働率が96.8%、ほぼ、ぱんぱんという状況で、全職員数が1,390名、かなり 多い、こういう形です。  これは長野県松本市の二次医療圏の地図ですけれども、200床以上の病院が7つあ ります。大学病院、信州大学がありまして、こういった形になっています。対象人口は、 松本は22万人で、二次医療圏で43万人という状況です。  新入院患者数ですけれども、おおむね1,100人ぐらいのところで20年度は推移 してきております。  それで、外来患者数が年間ですけれども、24万人ということで、退院患者数が大体 1万2,000人ということで、月1,000人ぐらいということで、入外比、最近言 われなくなりましたけれども、1.4まで届かない状況ですが、患者さんの年齢構成で すけれども、やはり非常に高齢化しておりまして、70歳から80歳代というところの 患者さんが非常に多くを占めております。大体50%ぐらいいってしまいます。  病気ですけれども、病名ですが、やっぱりトップ5ぐらいは高齢な患者さん、御高齢 な患者さん特有の疾患がやはり占めてしまいます。  DPCはこういう形になっておりますけれども、ちょっと地域医療支援病院のところ をちょっとお話しさせていただきます。  これは皆さん御存じのように、承認要件ですけれども、非常に厳しく規定されている ところが紹介率と逆紹介率。それでこれが承認要件の非常に重要な部分を占めていると、 我々思っております。  それで、そこを何とかするために、うちの病院では登録医という形にしておりますけ れども、顔の見える関係になっている開業医さんの数というふうに御理解いただければ いいですけれども、ここのところは多くの登録医の先生方をつくることで、ここのとこ ろをクリアしているという現状です。  これが紹介患者数ですけれども、大体ごらんのとおり、月2,500人ぐらいの患者 さんですかね。  それで、地域医療支援病院紹介率にいたしますと、85%前後で推移しているという 状況です。  逆紹介率ですけれども、当初低かったですが、現在8割ぐらいのところで推移してい るということで、ここら辺のところ、考え方はいろいろあると思うんですけれども、紹 介率、逆紹介率というのを何とか評価していただいて、地域医療支援病院件数のところ を少し丁寧、きめ細かにやっていただければなというふうに思っております。  そして、我々のやっている救急医療ですけれども、地方の病院は「最後の砦」という ような言い方をしますと、大学病院みたいな特定機能病院が重症の患者さん、難病の患 者さんを受け入れるというような印象かもしれませんけれども、地方の救急病院という のは、要は全ての患者さんを診ると。それで断られて、本当に困っている患者さんの最 後の砦で、ここ10年間、救急車1台も断っていません、うちの病院。ですので、もう すべてここへ入れる。そうするとどういうことになるかといいますと、本当に高度な専 門性に満ちた、そういう医療だけをやっているわけには当然いかなくなります。  ER経路の来院患者数ですけれども、救急車とウォークインで年間5,000人弱、 4,500人ぐらい一月に入ってきているという状況です。  それで、これが救急車の受け入れを示したものですけれども、相澤病院が上の赤なん ですけれども、ほかの病院がやはり、あんまり救急、救急と言われている割には伸びて こない中で、もうしようがないんです。これはやりたくてやっているわけじゃなくて、 本当に最後、もう行くところのない患者さんが本当に入ってくるので、全部受け入れる と救急隊から見るとこういう形になってしまいます。二次医療圏の救急車のシェアの4 0%を受け入れているという現状です。  それで、外来の患者さん全体で見ますと、約10%ぐらいが二次医療圏外から入って くるということで、1割の患者さんが二次医療圏外から入ってきている。  入院で見ましても、大体10%強の患者さんが二次医療圏から入ってくる。これは事 情がありまして、二次医療圏外の救急病院が機能しなくなってしまったんですね。それ で、仕方なしに外の救急隊も運びたくないと思うんですけれども、外から相澤病院に絶 対断らないんで運んでくるという図になっています。  手術ですけれども、緊急手術と予定手術を見ますと、予定手術のほうが少し多いだけ です。  疾患はこういうことです。  それで、こんな検査のことで恐縮なんですけれども、救急に患者さんが来たときに、 CT、MRI、どのくらいの時間でとれるかというのを川渕先生に調べていただいたの ですけれども、30分かかっていないですね。そのためには、やはりCTの台数、MR Iの台数、スタッフの数は非常に重要で、ERで重症患者さんを早く診るという、工夫 の一つだと思っています。  それで、先ほど来出ておりますけれども、救急に出た患者さんと予定入院の患者さん の初日の点数を見たところですが、検査、血液検査等ですけれども、こういうことで、 待機の、予定入院の患者さんとは初日で全然違うと。画像に至っても全然違う。2つ積 み上げますと、こんな感じで、これは12月だけのデータですけれども、救急の当日の 1,800万点がマルメになってしまいます。予定入院の患者さんはほとんどない。こ このところは何とか、ぜひしていただきたいというふうに思います。  したがって、入院期間II以内の患者さんが非常に高齢化しますので、地方ではちょっ と入院期間II以内の退院はなかなか難しい。  これが先ほどのとおりですけれども、ここで50%占めてしまう。  それで年齢別に見た内科と外科系で分けておりますけれども、内科系はやっぱりここ に集中して、平均在院日数が一気に右肩上がりで上がってきてしまいます。外科系も同 様に、ピークは70代にありますが、年齢とともに平均在院日数が上がってきてしまう。  これは、どうしてもお年寄りですので、精神科、要はせん妄等です。非常にこういう 合併症が多いというか入院してからなってしまうといいますか、5.40%の患者さん が精神科医が介入しているという状況です。これが大きいかどうか僕は分かりませんが、 こういう状況です。  ADLが寝たきりの患者さんです。12%。  これは某コンサルタント会社にお願いしてベンチマークしてもらったんですけれども、 やはりべらぼうに、どういう病院が入っているかはちょっと問題ですが、かなり高いと ころに入っております。やっぱりこれだけ精神科が関与したり、ADLの寝たきりの患 者さんがいると、どうしても入院期間が伸びてしまいます。  それで構成を見ますと、内科系では入院期間II超えがここに入りますけれども、こん な感じですけれども、かなりの患者さんが入院期間II超えと特定期間に入ってしまう、 非常に厳しい状況です。  地域連携に関して、簡単にご説明をさせていただきます。  相澤病院がほかにいろんな施設を持っておりませんので、すべて病院から外へ出てい くという、民間ですが、そういう病院です。それで、検査件数はまだ少ないですけれど も、これは地域の先生方に来てやっていただいている手術執刀と、検査です。これはま だまだ少ないんですけれども、さすがに医師不足で、地域の先生にお願いしてやってい ただく。まだやる気のある若い先生に、若い先生とは言いませんけれども、やる気のあ る外科医にお願いしてやっていただく。こういうことをやりますと、それなりに費用が かかりますので、こういう視点もひとつ考えていただけるとありがたいと。  それで、在宅復帰率ですが、全体で見ますと約8割ぐらいの在宅復帰率です。  年齢で区切りますと、75歳以上では66.9%の患者さん、これが多いかどうかま た分からないんですけれども、在宅に帰しております。  これは、松本周辺は事情がありまして、3,352床の一般床に対して療養病床が5 07床しかありません。ですので、在宅に帰さざるを得ないという事情がひとつありま す。  こういった形で、連携病院、全然全く経営母体の違う病院5つと有床診療所、それと 本当に診療所の先生方489名と先ほどの登録医の関係を結んでおりまして、その先生 方にお願いして在宅をやっていただくと。  大腿骨頚部骨折の例を一つ示しますが、年間327件の手術をしておりまして、連携 パス適応率が286件で、でも算定は148件しかありません。それは開業医の先生方 に帰すからです。逆側に登録していないために、算定できないんですね。  それで、お金の話で恐縮ですけれども、こちらは急性期病院に1週間いて、7週間回 復期リハにいて、自宅に帰ると。総額大体204万円かかります。それに対して、かか りつけ医の先生方にお願いして診ていただくようにすると、総額が119万円、ここで 80万万か90万円ぐらいの、在宅に復帰していただくと差が出てくるというメリット もあります。  ただし、そのためにはMSWが非常に介入しなきゃなりません。8人のMSWが呼べ ますけれども、これも多いか少ないか分かりませんが、このくらいの数の面接をして、 410人ぐらいの患者さんと常にコンタクトをとっても、退院のことをやるのが大変と いう状況です。  電子カルテを用いて少しでも能率的にやろうと思って、こんなことを始めてみました。 専用回線を用いて、単方向です。相澤病院のデータが開業医さんのところで見られると。 コンピューター上見られるというのを108施設、4病院、19薬局と。双方向も試み ているんですが、まだ6病院としかできておりません。電子地域連携パスも、まだ2病 院しかできておりませんが、こういうことをやって、少しでも患者さんの情報を地域に 発信できたらというふうに考えております。  これは開業医さんで見られる画像ですので、結構です。  それで、がん拠点病院として少しお願いしたいところがあります。  がん拠点病院加算というのがあるんですけれども、実際それを算定できる患者さんは 約2割ぐらいしかいないのが実情です。非常に厳しい条件がありまして、ざっとベンチ マークしますと、いろんな病院さんも大体多いところで、がんセンターを除いています けれども、20%か25%とれていればいいほうで、大体10%と15%、それ以下と いう形になっております。さまざまな地域がん拠点病院というのは加算がありますけれ ども、全体を見て加算していただけると非常にありがたいかなというふうに考えます。  ここで最後ですけれども、今までもずっとお話、2病院の先生方からありましたよう に、非常に急性期病院というのはマンパワーが必要になります。それで、医師、看護師 に関してはある程度評価されていると思いますが、放射線技師等、リハビリのセラピス ト等、あと事務職員とそこら辺のところの評価を何とかお願いできないか。  ここら辺のことをやるのに、大変、人手が要ると。  実際、良質な医療を提供するために、人員の推移を全体数で見ていますけれども、平 成2年に比べてこんな感じで、12年に比べてこんな感じでとても、1,400人とい う数になってしまいました。どうしてもマンパワーが必要なので、そこら辺のところに 御配慮いただければと思います。  どうもありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうもありがとうございました。  それでは、おかけいただきまして、今の3つの病院からの御説明に関しまして、御質 問、コメントをお願いします。  齊藤委員、どうぞ。 ○齊藤委員  近森先生に教えていただきたいんですが、先生のスライドのパネルの中で、機能評価 係数の考え方として、基本的にはDPCの包括点数と加算が基本であるという、大変重 要な御指摘であると考えていますけれども、それでは、カバーしきれない部分というの がDPC病院にあって、そこを評価係数に落とし込むということなんだろうと思います が、例えばチーム医療、これもNSTは管理加算が今ありますよね。そういうものでは 追いつかないのか。例えばNSTの管理加算を手直しすることによって、是正できる部 分がかなりあるのか。そういう作業では、点数の見直し等ではカバーし切れないDPC 病院の特性、それを評価係数に落とし込むとしたら、絞り込むのは何なんでしょうか。 ○近森院長(近森病院)  やはり私は、今の栄養サポートチームというのは、非常に日本の医療を変えると思う んですけれども、ただ問題なのは、そういう点数をとるための栄養サポートチームにな ってしまっていて、本当に患者さんの栄養サポートをするチームになっていないんです よね。それはやっぱり、それだけの生産性を上げるにはマンパワーと質が要るんですけ れども、それがどうしても、この加算では不十分で、何かもっと大事なものがあるんじ ゃないかなと思うんですけれども。 ○齊藤委員  おっしゃるとおりですが、質の本当の評価というのは意外と難しいと思うんですよね。 NSTの指導がいいかどうかですね。それを係数化して、評価係数の数に落とし込むと いうのは、具体的に言うと先生、どういうイメージになりますか。 ○近森院長(近森病院)  非常に難しくて、特にリハビリなんかは出来高ですので、リハビリ算定というところ である程度評価はできますけれども、栄養サポートチームというのは、形がなかなか見 えないんですよね。効率的な医療をするとか生産性を上げるとかいうところで、ある意 味、栄養サポートをすることによって栄養が維持されて、免疫機能が保たれて、それで 感染症とかいう合併症を防いで、在院日数を短くするというような、そういう形に非常 になりにくいものがあるものですから、だから病棟に配属されているコメディカルの数 だとか、それから介入患者数とか、それからあと、ある意味コメディカルが書く紹介状 を、コメディカルというのは案外きまじめですので、患者さんをちゃんと診てプランを つくっていないとなかなか書けませんので、そういうコメディカルの書く紹介状なんか が、意外に質をあらわしているんじゃないかなという感じもしているんですけれども。 ○齊藤委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  3人の先生方、大変参考になったんですけれども、お三方が共通して言われているの は、やはり救急医療が大変だというふうにおっしゃっております。今この分科会の中で も、私の提案は、救急医療の採算性をよくするために、当日あるいは2日にまたがる場 合は48時間は出来高算定はどうだろうかというような意見を出しております。先生方 は、この救急医療の赤字、採算が合わない部分をどのような評価をとったら解決する方 法としてあるでしょうか。もしありましたら教えていただきたいと思うんですが。 ○西岡分科会長  順番にお願いいたします。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  確かに、出来高算定にするというのも一つの考え方かというふうに思います。DPC という、この制度を一つの形を整えていくということであれば、出来高、DPCの中で 評価の中で、包括の中で評価するとすれば、例えば1日目に今行われている検査、その 他急性期病院で分かるデータとして出ているわけですから、分かるわけなので、どの疾 患に対して、どのくらいの医療資源が必要で、それがどのくらいの状況になっているの かというのは、恐らくある程度のところではできるかなというふうに思います。  ですから、今の救急の、いわゆる加算というのを一律に加算というのではなくて、日 にちごとに少しレベルの変えた加算にする、あるいはそういう資源の内容がもし分かっ てくれば、それにあわせてそういう形をとっていくというのがいいんではないかという ふうにも思います。 ○西岡分科会長  近森先生、いかがでしょうか。 ○近森院長(近森病院)  特に、例えば腸炎だとか肺炎だとかといった非常に急性期で救急で入ってきて、それ で診断をつけるまでにいろいろ検査するわけですよね。それで、例えば何かおなかのほ うに大きな病気があるんじゃないかということで調べてみて、結局腸炎だったとなると、 非常にDPCの点数は低くなりますよね。そういうところが、かなり救急医療というの はコストがかかるというところで難しいところなんですけれども、私もやはり同じ意見 で、やはり出来高に、例えば1日、2日をするよりも、むしろそういう加算をもっと、 1日、2日確保するとか、それからあと、ちょっと係数で考えるとかいうところだと思 うんですね。  だから、これから高齢社会になっていますので、重症で高齢で臓器不全があるとか、 障害があるとか、ものすごく手間のかかる方が、しかも救急で入ってきますので、そう いう非常に手間のかかる患者さんはやっぱり一くくりにして、何かもうちょっと、係数 で考えておかないと、これからの高齢社会はもたないと思うんですよ。だから、ある程 度、100床当たり200名ぐらいのスタッフを何とか維持できるような、そういう仕 組みを考えていただきたいなと思っております。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  基本的には、お2人の先生と同じ考え方ですけれども、初日にかかる費用といいます か、微妙なラインがありまして、外来で本当にやったのか、それから入院まで、例えば 点滴がずっと一緒に入っているとか、入院してから検査になったとかという、細かい話 をし出すときりがないので、やっぱりDPC病院でも救急を非常によくやっている病院 とそうでもない病院と、多分温度差があると思うんですね。ですので、そこら辺を評価 していただいて、何らかの形の係数で入れていただくのもいいかなというふうに思いま す。 ○小山委員  確かに、本来の姿勢からすれば、出来高を導入するのはおかしいというお考えだと思 うんですけれども、疾病ごとの評価というのも、疾患、程度はものすごく差があります よね。 本当に軽症から重症まで、全部同じにするのかというと、それはまさに、先生おっしゃ った、例えば腸炎なんかでも、本当に後ろにまじるなんと書かれているか書かれていな いかで全然評価は違いますよね。これを実際に係数として評価できるかというのを、非 常に実は僕は悩んだんですよ。悩んで悩んだ結果、これはやっぱり出来高算定にするか、 いわゆる1日24時間、入院後24時間だけでも出来高算定にするしか、ほかに方法が ないんじゃないかと思っています。  それから、高齢者のことが入っていましたが、高齢者はちょっと別なので、ちょっと この後に意見で述べさせていただきます。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  要するに、一つ一つの疾患をそれぞれやっていくということは、これはやっぱりとて もできることではきっとないと思いますし、そこまでまた細かくしてしまうと、DPC 本来の意味というのも失われる可能性が出てきますから、今問題なのは、やっぱり初期 治療ということを少し大きく見ていただいて、いわゆる救急の初期治療、どの疾患に対 しても、救急の初期治療にはそれなりの資源がかかる、それからマンパワーもかかる。 そこが、要するに患者さんの命を助けるかぎなんだと。初日、2日、そういったところ が大きなやっぱりウエートを占めていて、そこを何らかの形で、少し大きな形で評価し ていただくというほうが現実的かなというような気がいたします。  一つ一つの疾患をそれぞれやってくると、これまたものすごく細分化された、細かい 議論になってしまうと思いますので、そういう形の評価がいいかなというふうに、私は 個人的には思っております。 ○小山委員  もう一つのアイデアとして、結局、病名がつくまでの間は仮病名を認めるとかという 考え方も一つあると思うんですよ。だから、今、先生方おっしゃるように、確かにDP C守って係数でやるのはいいんですけれども、どう考えてもレベルが下がり過ぎちゃっ て、なかなか係数をつけられないで、何かいい方法はないかと思っているんですけれど も、そこら辺はどうでしょうか。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  確かに、仮病名というのは一つの考え方かなというふうに思います。そこが本当に私 たちも、現場ではどう評価するかはけっこう難しくて、これぞというのを言い出すこと は現在はなかなか、ちょっと難しいかなという印象を持っています。 ○小山委員  もう1点は、今の話題でも出てきたんですけれども、高齢者というものを、お三方も 一くくりにしたほうがいいんじゃないかというようなお考えですけれども、これは「高 齢者」というくくり方をして本当にいいのかどうかというのは、非常に微妙な問題があ ると思うんですよね。それよりも逆に中を細かくして、例えばこういう合併症の数とか、 あるいは併存症の数とか、そこら辺のところで討議をしたほうが、では年齢だと幾つだ ったら切るのか、75で切るのか、65で切るのか。では64はないのかという話にな っちゃうので、年齢で切るということに対しては、非常に慎重を要するんじゃないかな と思うんですけれども、そこら辺いかがでしょうか。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  確かにそのとおりだというふうに思います。  年齢でというのは、なぜ年齢かが出てくるかといいますと、今おっしゃったような合 併症とか、それから入院後の、要するに発症病名、そういうのを評価するには、これは 医療の質というのが、そこに大きくかかわってきますので、どうしても臨床指標が設定 されていないと評価できないという面が僕はあると思います。  その臨床指標が今のDPCの分析の中からきちっと提示されれば、これは合併症を評 価する、あるいは入院後の傷病名を評価する、それから入院前の併存症を評価するとい うことが生きてくるというふうに思いますが、そこがない場合に、ではどこで評価する かとなると、やっぱり大きな考え方としては、そういうものを多く持った方々あるいは そういうものをリスクと考えながらも受けなきゃならない病院というのがございますか ら、そういう意味で、そこをある程度の評価基準にしたらいいんではないかという、そ ういう意味での提案でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、近森先生お願いします。 ○近森院長(近森病院)  私は、高齢者の中にもやっぱりヘルシーペイシェントはいるんですよね。ただ、高齢 者で救急というのを合わせちゃうと、非常に臓器不全だとか障害があるとか、それから 重症の方だとか、そういう手間のかかる方が非常に明らかになってくると思うんですよ。 だから、高齢という因子と、それから救急という因子を組み合わす、それによってある 程度評価できるんじゃないかなと思います。  ただ、やはり私どもも、この5年ぐらいで、もう10%ぐらい、急速に高齢化が進み まして、大変な思いをしたんですけれども、やはりこれからの日本の国というのは、も う高齢社会になりますので、もう非常に大変なことになるんですね。だから、マンパワ ーは絶対に要りますので、高齢で救急だとか、障害があるとか臓器不全があるとか、何 かそういう因子を組み合わせた係数がいるんじゃないかなという、そういう印象を持っ ております。 ○西岡分科会長  どうぞ、宮田先生お願いします。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  全く同じ考え方ですけれども、先ほどちょっと精神科系のものとADLというのを一 つの切り口としてこういうものはどうだろうかと。年齢はもう絶対だめで、元気なお年 寄りの方はたくさんいらっしゃいますので、やっぱり合併症とそこら辺のところで、何 かいい指標を出していただいて評価していただければと思っております。 ○池上委員  今のに関連しまして、介護保険で認定を受けている患者というのは、大体75歳以上 での何割、あるいは全体の何割というのを概数でけっこうですけれども、教えていただ けますか。また、それが一つの指標となり得るかどうかということを、お考えを示して いただけますでしょうか。といいますのは、介護保険の認定というのは、一つの客観的 な指標でありますので、それについての考えを伺いたいと存じます。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  介護保険でどのくらいかは、現在ちょっとデータは持っておりません。 ○近森院長(近森病院)  ちょっとデータは帰ればあると思うんですけれども、ちょっとない……。 ○池上委員  一言申し上げておくと、入院の経路としても重要ですし、退院後のつなぎ、切り目の ないケアを提供する上でも重要なので、ぜひ御検討いただければと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  先ほど指摘があった救急の問題と高齢化の問題が2つ大きなキーワードで、もう一回 樫村先生に教えていただきたいんですが、私はMDC分類の分類法についての委員会の 委員長をしているわけなんですが、そのMDC分類を工夫することによって、例えば合 併症の切り方とか診断名のつけ方とか、そういうことによって、例えば入院の初日の問 題とか、あるいは高齢者で複数病名が増えてくるという可能性がありますけれども、そ ういうものをMDCの工夫によってカバーし切れるという現場の感触はないでしょうか。 樫村先生と近森先生に、ちょっとコメントいただけますか。どうぞ、樫村先生。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  MDCを細分化するという意味でしょうか。 ○齊藤委員  例えばですね、さらに見直す、工夫する、細かい副傷病名を用意するとか、そういう ことです。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  それも一つの考え方かなというふうには思いますが、そうすると本当に、どんどん複 雑になってきて、DPCの現在向かう一つの流れの中から、むしろ逆行するような形に なるかなというふうに思いますので、そしてその結局、合併症とかそういうものをやっ ていくためには、それの先ほどから申し上げているような臨床指標というのをどういう 引っ張ってくるかということが根底にないと、結局できないというふうに思いますので。 ○齊藤委員  MDC自身、精緻化と簡素化という非常に相入れがたい要素を命題として持つわけな んですね。近森先生、ちょっとコメントいただけますか。 ○近森院長(近森病院)  私が思いますのは、やはりコストが、例えば同じ腸炎でも上がるか上がらないかです ので、むしろ考えてみると、普通ショック、それから敗血症、DIC、臓器不全ぐらい ですよね。それぐらいのものの、そういう非常にコストのかかる副傷病は非常に少ない んですよね。だから、そういうのを機械的に入れていただいたら、かなりカバーできる んじゃないかなという印象は持っておりますけれども。 ○齊藤委員  高齢者を例えば年齢幾つ以上の人をどのぐらい診ているかとか、そういう切り口とい うのは、それこそ後期高齢者の問題じゃないけれども、いろいろな問題を内包している のかなという気は否定できないんですよ。 ○西岡分科会長  松田委員、この件に関して、たしか以前に調査したときは、65歳以上で調査した場 合には、高齢者もそうでない方もほとんど差がなかったということなんですが、今回7 5歳というふうな線で切って、御提示していただいたんですけれども。 ○松田委員  基本的には今まで御指摘があったように、いわゆるCCで併存症と続発症で評価する、 それから状態像みたいなものですね、そういうもので評価するという方向で多分できる んじゃないかなと思います。  ただ、そのときに問題になってくるのが、臓器不全とかDICとかセプシスとか、シ ョックもそうですが、いわゆる定義の問題で、診断基準の問題がございます。この部分 をどのように明確にしていくかということが、実は一番大きな問題だなということは一 つ感じています。  あともう一つは、9年間ぐらい、もうずっとデータを集めてきているわけですけれど も、7年ですね。初期のころに比べると、副傷病のデータ数が少なくなってきています。 これは要するに、分類に関係のある傷病だけを入れるということが、少し調査対象病院 に増えてきてしまっているために、私ども調査の際には定義表にあるなしにかかわらず、 副傷病を入れてくださいというお願いをしているんですけれども、だんだんその副傷病 の数が少なくなってきているというのがちょっと問題だなというふうに考えています。  そういうものがありますと、そういうものを加えて、私たちはCCPマトリックスと 呼んでいますけれども、それぞれの重症度というのを、前回チャールソンインデックス というのを御紹介して、いわゆる副傷病の組み合わせで評価をするということを御紹介 しましたけれども、それと同じように研究の中で副傷病、併存症、続発症に加えてどの ような処置を行ったのかということで、重症度を評価する方法があるんじゃないかとい うことを今検討しているところですけれども、そういうものを入れることによって、高 齢者の問題というのもある程度カバーができるんじゃないかなというふうに考えていま す。  ただ、これは高齢者だけの問題じゃありませんで、先ほど近森先生の方からも御指摘 がありましたけれども、実際、急性期の精神障害を持たれた方たちをどうするかとか、 あるいはそれ以外の障害を持たれた方をどうするとか、非常に複雑な問題がありますの で、なるべく合併症、併存症、それからどのような処置が行われたかで重症度を評価す るという方向に持っていったほうがいいんじゃないかというふうに考えております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、小山委員。 ○小山委員  では、その次にもう一つ視点を変えて、3人の先生方も、いい医療を提供するために はマンパワーが必要だということ。特に近森先生はチーム医療が、あるいは宮田先生の 方は人数が非常に必要というお話になっていましたけれども、そのものを評価するとき に、コメディカルの方の評価で、医師と看護師はとりあえず一応評価されると思ってい るんですけれども、ほかにどのような職種を重点的に評価することが病院としては望ま しいんでしょうか。 ○西岡分科会長  近森先生、お願いします。 ○近森院長(近森病院)  先ほど申しましたように、リハビリテーションというのは出来高に算定されておりま すので、まあいいかなということで、やはり僕は薬剤師さん、それから管理栄養士さん、 特に僕は管理栄養士は非常に大事だと思うんですけれども、なかなか質的にはちょっと 難しい問題があります。それからあとは、クリニカルエンジニア、それからソーシャル ワーカーですね、そのあたりかなというところで、これは一番ポイントは、やはり病棟 に来ているということなんですね。ベッドサイドで仕事をしているということですので、 やっぱり僕は検査室におる検査技師さん、それからあと、厨房におる管理栄養士さんは、 僕はマンパワーとしては、実際の医療の質アップには貢献していません。だから、むし ろ病棟配属のそういうコメディカルを評価していただいたら、かなり医療の質を上げる マンパワーとして、働いてくれるところですので、そこのところを評価していただけれ ばなという感じがしています。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  全く同じで、同じ考え方ですけれども、医事課職員なんかも配備されている時代が来 ていますので、あとはポータブルで放射線技師がどのくらい病棟に行ってとったかとか、 本当に患者さんに接触する職種がどうなのかというところを、ぜひ評価していただきた いというふうに思います。 ○小山委員  医事課職員については今回評価されましたよね。だから、ああいうような形で評価と いうことですよね。だから、厨房にいたり検査室にいたりする、あるいは薬局にいたり するんじゃなくて、病棟に配属されているというんですか。ただ、この病棟に配属とい うのはなかなか難しいと思うんですけれども、ある程度の人数に対して1人とかという 割合になるというふうに考えてよろしいんですかね。必ずしも病棟に1人というわけに いかないですよね、マンパワー的に。その数が、病棟が20あったら20人雇うわけに いきませんよね。そこら辺のところはそれなりの配属という形で考えてよろしいんです ね。 ○齊藤委員  宮田先生にちょっと伺いたいんですが、診療報酬の保険診療の構造として、例えば薬 剤師がいるかどうかということよりは、服薬指導とか、そういう行為について保険点数 をつけるというのが基本的な栄養指導だとか、その点は先生、例えば服薬指導を手厚く 点数で担保するとか、そういうことではカバーし切れないんでしょうか。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  かなり今のところいい点数が、服薬指導に関してはかなりいいところまでいっている と思うんですけれども、そのほか、先ほどのNSTの問題とか、あると思いますので、 もうちょっと職種を選んでいただいて、多職種にわたって御評価いただけるとありがた いかなと。でも、それは多分、加算でいけるかもしれません。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○嶋森委員  いずれの先生方もMSWの評価が必要とおっしゃいましたが、私も看護の立場で、今 マンパワーの不足の時代ですし、MSWの評価が必要だと思います。病棟ごとに置くこ とはないと思うんですけれども、病院に置いた場合の評価ですが、先ほどどなたかおっ しゃったように、例えば在宅への復帰率とか、評価の指標を入れなければいけないので はないかと思います。MSWを病院としては評価するというのは、大事だと思いますが、 その効果をどうやって評価するか、何か御提案がありましたらと思います。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  在宅復帰率は僕は一つの指標と、あとは新患の患者さんとどれだけコンタクトがあっ たかという。うちみたいな地域では、本当にMSWなくして退院はありませんし、あと もう一つの方向は、事務職員とMSWの決定的な違いは、患者さんが最終的にと言っち ゃまずいかもしれないんですけれども、事務職員がやると病院のその中から退院しても らえばいいだけになるんですけれども、MSWはその先のどこどこの施設、在宅がどう だと、非常にやっぱり先のことをきめ細かく考えてやってくれる職種だと思いますので、 可能かどうか分かりませんけれども、急性期病院から退院された患者さんが、どのよう なところに行ったかなんというのも、一つの指標としてはいいのかなと思っております。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  一つの指標としまして、うちなんかも今183医療機関ぐらいと連携がございます。 そして、MSWさんなくしては、地域連携は成り立たない状況まで今来ておりますので、 ぜひそこの評価をしていただきたいと思うんですが、一つには、いわゆる在宅へ移行を 支援する、在宅の支援のパスみたいなものが少しでき上がろうとしています。どういう 形で、要するに安心して、要するに病院から出されるんではなくて、次の医療にきちっ と向かうんだという患者さんに安心していただけるような、地域連携パスの一環として、 在宅支援のパスというんでしょうか、そういうものが動き始めていますので、例えばそ ういうものの稼働率、そういうものの数であったりとかというのも、一つの指標になる かなというふうに思いました。 ○近森院長(近森病院)  それからやっぱり高齢社会になっていきますと、もう施設だとか病院に入院されてい る方が急性増悪されてまた入ってくるとか、そういうことが非常に多いわけなんですね。 それはまた、そういう施設とか病院との連携というのが非常に大事ですので、在宅ばか りでなしに、そういう転院のいろいろな、いつどういう状態だから移りますよとか、そ ういう転院先を探すとか、そういうところでも非常に役に立っています。医師の仕事を かなりの部分カバーしてくれていますので、そういう意味での転院だとか在宅だとか、 あとは社会資源の有効利用というところで、非常に公的ないろいろなサポートを説明し て実際に受けてもらうというような、そういう形もしておりますので、そういうソーシ ャルワーカーの仕事はもうほとんどが、非常に病院にとっていいことをやってくれてい ますので、余りにも今まで認められ過ぎなかったということが本当じゃないかなと思う んですよね。 ○西岡分科会長  どうぞ。短く。 ○小山委員  もう一点。研修制度について、樫村先生が提案なさっていますけれども、先生は機能 に応じたというところでもって臨床研修医の数、指導医の数、これは確かにそれでいい と思うんですけれども、その後2つ載せていますよね。研修プログラムの完成度と診療 行為の評価というのは、これは具体的にはどんなことをイメージされて先生は提案なさ っているんでしょうか。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  臨床研修のプログラムをつくるというのは、これはやっぱりけっこう、相当大変な労 力がかかることです。そして、初期の研修からきちんとしたプログラムを作成するとい う労力はやっぱり大変で、これには相当のマンパワーとお金がかかるというふうに思い ます。ですから、その辺も、ぜひそのプログラムの完成度というんでしょうか、それを 評価の対象の一つに入れてもいいんではないかなというのが一つです。  もう一つは、ここに書かせていただいたのは、臨床研修医がたくさんいると、医療の 研修のためにいろいろやっぱりしなきゃならないことが出てまいります。これは医療の 効率化にとって本当にいいことなのかどうかというのは、ひとつ問題になるかと思いま すが、ただ研修医がものを考えて、自分の頭で次の治療法や何かを探し出していく、要 するに教育のプロセスの中で、やはりちょっと、現状ではやや無駄なのかもしれないな というような診療行為も挟まなければいけなかったり、いろんなことが出てくるという 現状がやっぱりございます。それは、確かに全部なくしてしまえばということもありま すが、やっぱり教育の過程の中では、ある程度必要な医療行為というのが出てくること がございます。それは、ほとんどが包括の範囲内に入ってしまう行為というのが多いも のですから、臨床応用をたくさん抱えていますと、そういう面での経済的な負担という のが、給与とかそういうこと以外に、やはりそういった面での負担が出てくるというこ とで上げさせていただきました。 ○西岡分科会長  よろしいですか。関連してですか。短くお願いいたします。 ○齊藤委員  DPCの中でプログラムの完成度を評価するんでしょうか。それとも、これはプログ ラムの完成度は、医学生とか研修医になろうとする人が非常によく診ているんですよね。 だから、そういうことで間接的に評価するということでは、よくないでしょうか。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  いや、それもよろしいかと思います。 ○佐藤委員  研修じゃなくて別の件でもよろしいですか。  今回の3つの病院の特性としては、クリニカルパスにすごく重点を置いてやられてい る病院だという印象を持つのですが、DPCに関しても、基本的には医療の透明化とか 標準化、効率化、質の向上というのが大体パスにリンクするかなと思います。実際、地 域連携パスは、ある程度診療報酬で評価されているのに対し、院内で使用されているパ スの評価というのは、達成率とかにしても、その評価が難しいなというのが実情だと思 います。その辺に関して、病院長もしくは副病院長の立場として、どういうふうにすれ ばうまく評価できるのかということに関して、もし何か御提案があったらお願いしたい のですが。特に院内のパスに関してです。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  科によっていろいろ事情があって、つくりやすい科とつくりにくい科があるんですけ れども、パスの作成個数というのがひとつ、絶対数一つ評価の対象になると思うんです よね。  それからあと適用率、どれくらいの患者さんに適用してくれと、病院全体に対してこ の科はどうだということを、バイアスの問題は一つあると思うんですけれども、常に評 価して、各科にお願いしてつくってもらったり改善してもらったりというようなことを 毎月やっております。 ○近森院長(近森病院)  私はDPC自体が医療の標準化だと思うんですね。だから、当然クリニカルパスにつ きましては、当然やらないけないことだし、あんまりそう問題ないんじゃないかなとい う。ただ、やはり地域連携パスは、非常に地域の連携にものすごい効果があると思うん ですよね。しかも、地域医療の質の向上だとか効率化という面で非常に効果があります ので、そういう意味では、ちょっと院内のパスと地域連携パスというのは、やっぱり意 味合いが違うんじゃないかなと思います。  この高知中央圏の中でも、私どもの病院が中心になって連携パスをつくったんですけ れども、非常に病院間とか施設、かかりつけの先生方との連携がそれで非常によくなっ たんですね。だから、僕は認めて、ある程度その効果を評価してあげてもいいんじゃな いかなという、そんな感じがしています。 ○山口(俊)委員  ちょっと余り関係ない話かもしれませんけれども、3人の病院のおっしゃる方は全く そのとおりで、120%同感なんですね。救急の評価が悪い、それからがん拠点病院と しての評価も低い。人間も足りない。この3つの病院はスタッフもきちっと雇って、そ して、そういう不況の中で救急も伸ばし、やっていて、結局のところみんな赤字になっ ていて大変なんじゃないんでしょうか。あるいは、どうにか持ちこたえているとしたら、 どこかやっぱりDPCでいいところもあって、足してみればプラスマイナスゼロという ことになるのか、そのあたりのバランスはどうなんでしょうか。 ○近森院長(近森病院)  この3病院とも、VHJという民間の病院のグループに入っておりますけれども、や はりVHJの中でも、かなりばらつきがありまして、かなり急性期に特化して、そして スタッフを入れて必死になって、あるべき急性期の医療を展開している病院があるんで すよ。昨年4月の診療報酬の改定で、単価を下げられたものですから、かなり赤字にな って悩んでおられるところがあります。  だから、一生懸命、日本のあるべき急性期医療を求めて、スタッフも入れ、一生懸命 やっている、ドクターヘリも飛ばしやっているところは、やはり赤字になっているので すよね。だから、これはやはり、DPCの包括点数自体も考えていただきたいし、機能 係数だとか全体のかさ上げというものをしていただかないと、やはり厳しい状態になる という。  やっぱり、この3病院はものすごくいろいろ考えてやっているので、うちなんかもリ ハ病院を持っていますから、ある程度、大きな変動を防ぎながら経営しているというと ころはありますけれども、やはり急性期に特化して、機能を絞り込んでやっているとこ ろはかなり厳しいと思います。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  今のは同意見で、全体のかさ上げというのはぜひお願いしたいんですが、うちの場合 は、ざっくばらんにお話をしてしまいますと、今は調整係数があるから何とかなってい るというのが正直なところです。つまり、調整係数を外した段階での試算をすると、厳 しいというか、ほぼマイナスになってしまう可能性も出てきてしまうということになり ます。ですので、今日ここでお願いした、いろんな形での調整係数の配慮というのは、 ぜひお願いしたいということになります。 ○宮田院長補佐(相澤病院)  一言だけ。今年度は「赤」です、恐らく。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○宇都宮企画官  すみません。今のお話で、先ほど救急について見てほしいという意見というのはどれ も、どちらかというと1日目、2日目を高くするような設定というか、そうしますと、 機能評価係数というよりも個別の点数の話だったと思うんですね、どちらかというと。 そうじゃなくて、もし救急を一生懸命やっている病院の機能を評価するとすれば、どう いうものが考えられるのか。あるいは個別の点数の1日目、2日目を上げれば機能評価 係数は要らないというのか、あるいは機能評価係数で、もし評価するんだとすれば、例 えば救急の受け入れ患者数なのか、救急車の受け入れ患者数なのか、あるいは地域の中 での救急患者のうち何割を持っているという評価がいいのか。あるいは来た患者を絶対 断らないという、拒否しないという評価がいいのかとか、何かその辺のところはどうい うふうにお考えなのか、お聞きしたいんですが。 ○近森院長(近森病院)  やっぱりそういうふうに具体的に詰められると、救急患者さんは入院して1日、2日 は出来高にするとかいうところに落ち着いてくるかなという感じもするんですけれども。 だから、あるべき姿から見るとちょっとおかしいのであるんですけれども、具体的にい ろいろな加算とか係数を考えたら、一番救急の大変さを評価するんだったら、出来高か なというようなところになりますかね。 ○西岡分科会長  ここではDPCの話をしておりまして、今日いろいろお話しいただいたのは、別にD PCだけが赤字になる原因でないというところもおっしゃったのかなというふうに思う んですね。さっき企画官が質問させていただいたのは、本当にDPCの中でどうすれば いいのか、DPCの病院の場合に、適用されるべき救急というのはどうなのかというも のの御意見がいただけると、すごくありがたいなということですが、いかがでしょうか。  どうぞ、樫村先生。 ○樫村副院長(手稲渓仁会病院)  今おっしゃられたこと、すべてが当てはまるんですが、一つはやはり患者さんの受け 入れ状況が一つあると思います。これは一次から三次まで、すべてを受け入れて頑張っ ているというような、そういう体制をとっているというところの評価は、やっぱりあっ ていいかなというふうに思います。  それから、受け入れるための人員の配置、これは医師、看護師だけではなくて、先ほ どから出ている薬剤師であったり、放射線技師であったり、そういうすべての配置をし なければ、救急の患者さんは受け入れられませんし、適切な治療ができませんから、そ ういう受け入れの態勢をどのくらいとっているか。これは人数で評価してもいいでしょ うし、受け入れ患者さんに対する割合で評価してもいいように思います。その受け入れ の姿勢と体制ですね。  それからもう一つは、先ほどお話しした初期の治療にものすごくコストがかかるとい うことに対して、これはどういう形での評価でも僕はいいと思います。けれども、その 初期を上手に、いわゆる今の救命救急病棟の加算というのがありますから、それを例え ば初期に厚く、後ろに少し薄くという、薄くないほうがいいんですが、初期に厚くとい うふうに、少し伸ばしていただくというのも手かなというふうに思います。  それから、先ほどから出ている重症度に関しては、これはいわゆる医療の質というの がどうしても絡んできてしまいますので、重症度というのは、やっぱりDPCのきちん とした分析の中で、臨床指標が指定されて、それに伴って加算なり、そういう評価がで きるというのが一番いい形かなというふうに思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。まだかなり御質問とか御意見をお伺いしたいところですが、 時間の関係もございますので、今日は3先生、本当にありがとうございました。  それでは、続きまして、病院機能係数の考え方について、松田委員から御説明をお願 いいたします。 ○松田委員  前回に引き続きまして、研究班で今検討している内容について御紹介したいと思いま す。  前回、いろいろと委員の先生方からいろいろ御指摘いただきましたので、それを踏ま えて追加の検討をしております。  ちょっと繰り返しになるところは飛ばしていきたいと思うんですけれども、今回のや つは、私どもはこのプロセス、ケースミックス、パフォーマンス、ストラクチャーとい うことで、何か評価をしていこうという、評価の枠組みを決めるということをやってい るわけですが、特にストラクチャーのところをどうするかということで、今回新たにこ ういう施設調査というのをやらせていただいたところでございます。  これは先生方のところに大変な御苦労をおかけしてやらせていただいたものですけれ ども、前回この施設調査の結果をもう少し踏まえたほうがいいんじゃないかということ で御指摘いただきましたので、これについて追加の分析をやったことを今日御紹介した いと思います。  やっていることは、前回もお示ししましたように、施設調査のデータに、これまで研 究班で検出したプロセスですとか、あるいはどのようなアウトプットを出しているの か、そういうものに関しての検討指標というものを組み合わせて、それぞれの病院が持 っている機能を抽出していこうということをやろうとしたわけです。因子分析を用い て、病院の持つ共通機能を抽出していく。そこで、その各病院の持っている機能を評価 するための軸を決めようということであります。設定の視点としては、質が高く効率的 な医療への動機づけになるような形でやろうということです。  今回は因子分析というのをやっておりまして、これは前回、非常に不評だったスライ ドですけれども、実際に見ているこういうものについて、これは観察できている変数で すけれども、その中にそれぞれ何か共通の因子があるだろうと。その共通の因子という ものを医療解析を通じて分析をして抽出していくという、そういうことをやったという ことです。こういうことですね。観察因子のそれぞれに含まれている共通因子、これは 非観察変数ですけれども、それを見いだして、それを評価の軸として設定するというこ とです。あくまで評価の軸ですので、それ自身が、それ自体が係数になるということで はありません。  私たちのほうは厚生労働省がやっている調査と別でして、あくまで私たちの研究班と 契約をしていただいた677施設のデータだけを使用しておりますので、その解釈に関 して外的な統制があるかどうかということについては、少し配慮、注意が必要だという ふうに考えています。  実際、どんな分析をやっているかといいますと、実際にはまずこういうサンプル行列 をつくってやっています。これは病床数と100床あたり医師数とか、幾つかの変数だ け出しておりますけれども、それぞれの関係がどうなっているかということを分析して おります。例えばこれで見てみますと、これが1番というのが病床数で、2番が100 床あたりの医師数ですけれども、何となく病床数がふえると100床あたりの医師数も 増える。看護師の場合には、7対1という問題がありますので、病床数でやってしまっ て、病床数に関係なく大体100床あたりの看護師数というのは一定であるようです。 あるいは研修医の数というのは、病床数が増えてくると増えてくるとか、手術などとい うのは非常に典型的でして、病床数が増えると増えてくると。また、少し広がりますけ れども、同じように救急の患者の数とか、休日・時間外・深夜の患者数ですとか、10 0床あたりの薬剤師とかいろいろあるんですけれども、100床あたりの薬剤師数にな ってきますと、実はこんな形で2つに分かれてきます。病床数が増えても変わらないと ころと、病床数が増えてくると少し増えてくるところとあるようです。これは同じよう に事務職についても言えるようです。CT・MRIの数などというのは余り関係ないよ うです。こんな、いわゆる基本的な分析をやりましてから変数を選択して、いわゆる因 子分析というのをやります。  今回は前回、池上委員より、もう少し施設の構造について入れたほうがいいんじゃな いかという御指摘をいただきましたので、少し施設の構造を追加した分析を行っていま す。今回、変数として入れましたのが、先ほどのサンプル行列なんかを参考にしながら 入れましたのが一般病床数、それから地域医療支援病院であるかとか、災害拠点病院で あるとかがん診療連携病院であるとか、開放型病院であるとか救命救急センターである とか、あるいは特定機能病院であるとか、療養病床を持っているか持っていないかとい う、こういう病院の区分。それからあと、人間の数として医師数、看護師数、研修医師 数、薬剤師数。最初、事務の数も入れていたんですけれども、少し3つぐらいパターン が分かれてしまうので、事務職員数は今回は外してあります。  それからあと、高額な医療機器をどういうふうに評価するかというのが少し難しかっ たんですけれども、これは医療機器のところだけで一回、因子分析をかけまして、どう いう機器を持っているかということをスコア化して、いろいろな機器がありますので、 それは診断系と治療系に一応分けまして、IABPとか腹腔鏡セットなどのハイテク機 器と、MRI、CT、SPECTなどのハイテク診断機器ということでスコア化して、 各病院がそういうものをどのくらい持っているかというスコアを計算して、入れており ます。  それから、あとは前回ICU関連というのを全部一緒にしちゃっていたんですけれど も、今回、ICU、HCU、NICU、無菌室みたいなものに分けて、それぞれベッド 数で評価しております。  それから、全患者に対する全麻の割合、いわゆる望ましい5基準に関係するものとし て、全麻、それからCT、MRI、それから迅速検査、それからあと救急患者数、休日 ・時間外・深夜患者割合、こういうものを入れております。それからあと、手術をかな り急性期病院はやりますので、こういう手術患者数と、それから外保連試案のほうで、 いわゆる難易度がBからE1、E2つまでありますので、そのE患者の割合。それから あと、周産期に関しまして評価する意味で、分娩数というのを入れております。それか ら、あとパフォーマンスに関するものとして、ケースミックスインデックスですね。そ の病院がどのくらいの在院日数で見た場合に、相対係数が高い患者さんを平均的に見て いるか。出来高換算でも同じようにCMIを計算しまして、それを入れております。  あと、複雑性、効率性指標につきましては前回お示ししたとおりですけれども、どの くらい、在院日数ベースで見て長い患者さんを診ているのか。出来高換算で見て複雑な 患者さん、高い患者さんを診ているかという視点で見た複雑性指標。在院日数ベースで 見てどのくらい効率的に見ているのか、出来高換算で見てどのくらい効率的に診ている のかということでの効率性指標、こういう指標です。  それからあと平均希少性指数ですね。どのくらい、まれな患者さんを診ているのか。 それからあと、4疾病5事業に関連して、糖尿病はちょっと外れると思いますので、5 事業は上のほうに入っておりますが、4疾病の中では心筋梗塞の患者の割合、それから がんの患者の割合、脳血管障害の患者の割合というものを見ております。  かわって、その地域の特性を見るということで、30分以内の人口と、それからその 人口だけではなくて、その中で65歳以上の占める割合というものを入れて、今回分析 を追加いたしました。  やってみますと、大体9つの因子が抽出されまして、寄与率としては大体71%で す。一応、固有値で1以上のものだけを出しております。因子の解釈としましては、大 体私たちが勝手に考えたものですけれども、9つぐらいの因子がこんな形で出ると。1 番目は総合性ということで見ていただきますと、病床数が多いとか災害拠点病院である とか、がん診療連携拠点病院であるとか、救命救急センターを持っている特定機能病院 である。医師数が多くて、研修医師数が多くて、ハイテク機器を持っている、NIC U、ICUが充実しているとか、救急をかなりやっている病院であるということと、こ ういうことから、かなり総合性の高い因子だろうというふうに考えました。  因子の2で、上のほうからどんどんものが除かれていくわけですけれども、2番目に つきましては、病床数が多くて、特定機能病院で等々とあるんですが、ハイテク機器が ありまして、腎臓患者の割合が非常に高いということで、がんの患者が非常に割合が高 いということが出てきましたので、これは恐らく、がん診療というものに専門性がある 病院群であろうと。3番目にいきますと、今度は全麻患者が非常に多いと。ケースミッ クス、インデックスが非常に高いとか複雑性指標が非常に高いということですので、何 か複雑な患者さんを診ているということで専門性で、複雑性というもの。同じように、 ずっと見ていきまして、脳血管障害に特化した病院なんというのも4番目の因子なんか は、CT、MRIが非常に多くて、希少性指数は非常に低いんですけれども、脳血管障 害の割合が高い、脳血管に専門性を持った病院というものを抽出している因子だろう と。  5番目が非常に何かおもしろくて、30分以内人口が非常に高いんですけれども、6 5歳以上人口割合が非常に低いというふうに出て、これなんかは都市部の病院を多分引 き出しちゃっているんだろうという感じだろうと思います。  因子の7になりますと、これは地域医療支援病院で、なおかつ開放型病院であるとい うことで、これは地域連携に関連している特性を抽出しているものだろうというふうに 思います。  6番目は前回と同じように、効率性がやたら高い病院でほかとはほとんど関係ありま せん。非常に効率性の高い病院だということみたいです。  9番目のところでは、療養病床に関連した病院ということで、こういう形で9つの因 子を抽出しております。  その次に何をやったかといいますと、因子1の中で出てきているものの中でどのよう な相関があるのかということをサンプル行列をつくって、このような形で評価しており ますけれども、見てみますと、一般病床数で見てみますと、医師数が多い、研修医数が 多い、手術数が多い。そういうところで非常に正の相関があるようですけれども、大体 少し右上がりの分布になっていると。これはまた後で見ていただいたらいいと思うんで すけれども、因子について同じように見ている。因子の中で選ばれているものを、それ ぞれの関係を見ているものです。これで見てみますと、例えば1番と6番というのは、 手術患者と病床数、大体病床数で見ますと右肩上がりの分布になっているようです。  これは因子の3ですね。複雑性というところですけれども、余りこれは著名、相関が あるものは5番と6番ぐらいですので、複雑性同士ですので当たり前の結果だろうと思 います。  この因子4と因子5ということで、循環器、脳血管障害と循環器に特化した病院群と いうことですけれども、ここで見てみますと、大体上のほうに立ってしまっているの で、因子間の相関は余りないようです。  これは因子5、6、7、9ということで、その他のものですけれども、これもほとん ど横に寝たり縦に立っていますので、因子間の相関はありませんけれども、こういうも のが得られたという形になります。  これは繰り返しになりますけれども、私どもはこういう形で因子分析をやって、各病 院の持っている機能を評価する軸というものをとりあえず提案させていただきました。 今後何をやっていかなきゃいけないかということになりますと、一応この機能評価軸と いうのを私たちでは一応案として提案させていただきましたけれども、それぞれの機能 の評価の軸に合った係数を、これからどのように選択していくのか。それぞれのそれは 加算関係のものかもしれませんし、今加算で評価されていないものかもしれませんし、 そういうものをこれから具体的な機能評価係数を、今日の先生方のお話なんかも聞きな がら設定していくということになるんだろうというふうに考えております。  これは前回、ドイツの例をお示ししたものですけれども、ドイツでも基本的には、い わゆる診断群で評価しているものというのはこういうものであって、救急医療も実は別 立てでやっております。  今日のお話を伺っていて思ったんですけれども、救急医療は多分、出来高だけでやっ てもだめで、多分予算だけでやってもだめなんだろうと実は思っています。何が言いた いのかといいますと、やっぱり患者さんを受け入れるという体制をどういうふうに評価 するかという視点がないと、やっぱり救急医療は出来高だけでやっても難しいと思うん ですね。その体制をどう評価するかということも考えて、こういうところは評価してい かなきゃいけないのかなと思います。あとは、ばらつきが大きいものについては、やは り出来高やいろんなものを組み合わせながらやっていくということが重要ではないかと いうふうに考えております。ドイツのやり方は非常に参考になると思いますので、改め て今日御提出させていただきました。  簡単でありますけれども、以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御説明に御質問等ございますでしょうか。  どうぞ、邉見先生。 ○邉見委員  私は救急のことでは以前、前回に申し上げましたように、やはり体制につけるという のが、つまり絶対断らないというのが、地域の安全というか、地域の人たちに一番いい ことだと思いますので、先ほども要員が10名以上もおるとか、患者さんが来なかった ら全くマイナスなので、その辺のところはやはり、同じように、強く共鳴しました、今 の最後の松田委員のお話で。  それで、ちょっとほかのことでもよろしいですか。お三方のお話を聞いていますと、 やっぱりチーム医療ということで、栄養とか服薬指導とか、医師の今までの医療、手術 とか、そういうふうなフィジカルな医師、看護師以外の職種ですね。栄養士とか、P T、OTはもうついていますから、薬剤師とか管理栄養士とか、そういう人たちの周り からのサポートというのが、チーム医療で一番大事だと聞こえましたけれども、私も同 じだと思いますね。スペースがあいたところを全部詰めていくという、サッカーみたい な医療が私は一番いいんだろうと。どなたかもそんなことをおっしゃっていましたけれ ども。  それともう一つは、医師、看護師はある程度もうついて、もう終わったみたいに今回 は余り出てきませんが、医師の中でも麻酔科、放射線科、病理という、この医師達は自 分たちは主治医にならないんですね。病院の質を上げるためにあるようなお医者さんな んですね。ここはやっぱり、もう少し評価に入れたらいいんじゃないかなと、私は前か ら思っておりますので、追加しておきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。  どうぞ、池上委員。 ○池上委員  松田先生に伺いたいんですが、このようにして因子分析の結果の1から9因子が出て きまして、そこまでは分かるんですけれども、これをさらに機能評価軸で何か具体的な ものを評価しようとすると、何かこれはトートロジカルになるような気がして、つまり せっかく観察変数から集約した形での共通因子を出して、今度また、それに基づいて因 子得点というわけにいかないわけですから、具体的な機能評価の対象である何かをやっ てくるわけですけれども、そうすると、また何かその観察変数に戻る矢印になるような 気がするんですけれども、そういうことではないんですか。 ○松田委員  考え方はいろいろあるんだろうと思います。  まず一つは、そもそもが今まで観察している変数の共通性というものが認識されてい なかったわけですから、その変数の共通性というものを認識するための一つの手法とい うふうに考えていただいてもよろしいかと思いますし、それで、もう1回振り返って、 例えば総合性を評価していくという形で、例えば代表的にこういうものを加算として評 価していきましょうということがあるんだろうと思います。ただ、そこの重みづけをど うするかということは、多分これは議論になっていくことだろう、議論で決めていただ ければよろしいのかなと思います。  もう一つは、今回そういうもので評価しきれていないものも出てきているわけです。 今までのものでは評価していない、例えばカバレッジみたいなものですね。どのくらい の患者さんを診ているのかとか、どのくらいの重症度といいますか、相対的に手間のか かる患者さんをどのくらい診ているのかという問題。これはもしかすると、DPCその ものの点数見直しで対処すべき問題かもしれませんけれども、この軸の中で考えられる ことは、もし今の加算みたいなものを評価し直すことで評価できるのであれば、それは それでいいと思いますし、足りないものは新たにつくっていくということになるんだろ うというふうに考えます。あくまで考えるための軸を設定したということだけですの で。 ○池上委員  その考え方は分かるんですけど、機能評価係数1aとか2aと、今後具体的に設定さ れていくと思うんですけれども、その係数の値そのものが、ここの分科会で決めるかど うかは別として、この具体的な機能評価係数そのものは、この分科会として提示する予 定であるんでしょうか。もし、そうであるんだったら、それが適切な機能評価係数とし ての検証は、どのようにされるのか。あるいは現在のDPC評価では不十分であったと いうことの検証はどのようにされる予定なんでしょうか。 ○松田委員  何かだんだん禅問答みたいになってきていますけれども、目的変数を何にするかとい うことだろうと思います。もし、今の調整係数と機能評価係数を足し合わせた病院機能 評価係数というものに、ある程度の妥当性を認めていただけるのであれば、それを目的 変数として分析をするということはできるだろうと思います。  その中で、前回ちょっと誤解が生じてしまった調整係数と今回の関係は省いているん ですけれども、評価するのであれば、そういう病院機能評価係数というものを目的変数 にして、それに対する寄与率みたいなもので、重視すべきもの、そうでないものという ことをある程度選別することは可能だろうというふうに考えております。  ただ僕が思うのは、あくまでそういう形で出てきたものに対して、意味づけを与える ことができるのは、僕は現場の臨床の先生だというふうに考えています。私たちはあく まで上がってきたデータに基づいて、一定の傾向は示しますけれども、それに対して臨 床的な意味づけ、現場の感覚感として、それが妥当であるかどうかということに関して は、やはりそこは数学的には決まらない問題というふうに考えていますので、それはや はり最終的には合議で決めていただくしかないんじゃないかというふうに考えておりま す。 ○池上委員  それで病院の評価係数を目的変数とするというのであれば、私はここの理解ができま して、そしてそれが、目的変数として統計的に妥当であっても、それが臨床科学の目か ら見て、それは妥当かどうかという判断を、この分科会で議論するということは適切だ と思いますので、もしその線に沿った今後の分析をなさるようでしたら、私は賛成で す。 ○酒巻委員  今、話を聞いてだんだん私もイメージがわいてきたんですけれども、結局、ここでい ろいろな説明変数、こういうふうにやったら説明ができるという変数が持ち上げられて きて、結果的にはそれが何らかの形で点数化されていくことになるわけですが、そのと きに、それがすべて、その病院、個々の病院についてのすべての状態を説明するわけに はいかないわけですよね、恐らく。どの病院もすべて、自分たちはああこれで納得した 説明をしていただいたという格好にはならないと思うんですよね。それは統計学の宿命 みたいなもので、どういうふうにやってもそこまでは至らないだろうと思うんですけれ ども、それはそういう理解でいいですよね。ちょっと言っている意味が分からないです かね。  つまり、何らかの意味合いで点数が一つ一つ決まって、どこの病院も例えば10個、 20個の数値を積み上げたとしますよね。それが自分たちは納得した格好になるかどう かといったら、必ずしもそうはならないんじゃないかという話をしているんです。数学 的に数字を積み上げていったから、そこの病院のちょうどいい数字になるというわけに はいかないと思うんですが、これはそういう理解でいいですよね。 ○松田委員  説明力がどのくらいになるかだと思うんですけれども、ただ、僕が思いますのは、そ の議論の前提には、今やっぱり各病院のやっていることが、すべてばらつかない、非常 にピュアな状態で医療が行われているという前提があると思うんですけれども、そもそ もやっぱりもともとの病院医療は非常にばらついているわけですよね。その中で示され たものが医療の質の機能向上とかそういうものに対して、一定の指針を与えるのであれ ば、多分各病院はその方向で、多分アダプトレーションを適用していくんだろうという ふうに考えています。だから、その可塑性を、だからある意味で、そこのところの柔軟 性をどんなふうに持たせるかというところに、多分ポイントがあるんじゃないかという ふうに考えます。 ○酒巻委員  別に私は数値的に積み上げる方法がいけないとか、反対だというふうに申し上げてい るわけではないし、統計学的にこういう裏づけをつくっていくこと自体は非常に同意が できることですから、それはそれでいいんですけれども、最終的に、我々はどういうふ うに結論づけていったいいのかという部分が見えないで、数学的な議論をしていくのは 微妙な問題だろうなと思って、こういう話をしているということです。これは事務局も ある意味で、腹をくくってお話をしていただかないと、最終的にはなかなか、みんな分 からないんじゃないかなと思うんですけれども。 ○西岡分科会長  最終的には、どこかで腹をくくるということになるのだと思います。  どうぞ。 ○山口(直)委員  今のお話と関連するんですが、この因子、5つ軸がありますよね。これで、例えば因 子1でばらつきが出ますよね。得点と機能って関係ないんじゃないかという素朴な疑問 なんですね。それは、機能をあらわすものと考えてもよろしいんでしょうか。この1か ら9までの因子ですね。その軸上の機能、これはあくまでも病院のパターン分けをして いるだけで、それが機能を反映しているというふうに、ちょっと何となく思えないとこ ろがあるんですが。 ○松田委員  統計学的にどういうふうに分析していくかということだと思うんですけれども、前回 ちょっといろいろと誤解も出たので、今回省いているものとして、因子得点と調整係数 の相関というのを見ているわけですが、これはかなり高いです。だから、評価の軸の方 向としては、ある程度、もともと調整係数のベースにあるのが医療行為の積み上げです ので、そういう意味でそれぞれの機能のところで一定の方向性を示すということはある んだろうと思います。  ただ、因子得点そのものが機能の得点かというと、そうではないと思います。あくま で今回やっているのは、評価をする軸を決めているということであって、その軸上でど ういう係数を設定していただいて、それで実際の例えば機能評価係数との相関が高まる ように、どのように選出設定していくかということが、多分次のステップの別の議論に なるだろうというふうに考えています。 ○山口(直)委員  もう1点、今のはよく分かりました。  それで、もう一つは、やっぱり因子1から因子9まで、非常にきれいに分かれました けれども、結局9つの軸は直行していますよね。だから、これを直行しているものを何 か機能評価係数という一つにまとめることはできないのではないかなと、これも素朴な 疑問なんですけれども、それはどうですか。 ○松田委員  そのとおりで、各病院の機能を一つの軸で見ることはできないということで、今回こ の多軸分析をやっているわけです。ですから、総合性というところで評価できる病院と いうのは総合性評価できればいいと思いますし、総合的じゃないけれども、例えば単科 で脳血管障害に特化して、しかもそこで地域連携を一生懸命やっている病院は、その別 の軸で評価すればいいんだろうと思います。やっぱり各病院の持っている特性は、それ ぞればらばらだと思いますので、それぞれ持っている機能を評価するという形で、今回 軸の整理をしているということになります。一つの軸で評価するということはないで す。 ○山口(直)委員  そうすると、それぞれの病院がどれかの軸でいい点数をとれるわけですよね。そうい うふうに、全部だめな病院もあるかもしれないですけれども、パターン分けしているわ けですから、それがその病院の機能をあらわしているんですかね。機能じゃなくて、そ れはただパターン分けしているだけですよね。こういう特徴のある病院です、と言って いるだけで。 ○松田委員  今回のやつはクラスター分析ではないので、病院ごとをこうやって集めていることじ ゃなくて、各病院が持っている機能の共通性のほうに着目しているので、パターン分け というよりは、各病院がそれぞれ、参加している病院の中で持っている機能を抽出した ということになりますので、各病院のパターン分けというか、各病院が例えば1から9 までの、それぞれの幾つかの因子を持ってくるという、そういう形になるというふうに 考えています。 ○西岡分科会長  ちょっと時間の関係もございますので、松田先生に対する御質問はここまでとさせて いただきたいと思います。  それでは最後に、これまでに検討された項目の整理についてということにつきまし て、議論を行いたいと思います。  事務局から御説明をお願いします。 ○中田補佐  資料D−3−1をごらんいただきたいと思います。「DPC評価分科会での新たな 「機能評価係数」に関する検討の経過報告(案)」というものでございます。  この資料の位置付けにつきましては、基本問題小委員会と当分科会が相互に連携しな がら検討していくという方針で、これまで進めているところでございますが、明後日の 2月25日の基本問題小委員会に、これまでの当分科会での議論の経過報告を行うとい う目的で、取りまとめたものでございます。  Iの概要につきましては、これまでの議論の経緯でございますので省略させていただ きたいと思います。  IIの具体的な項目の提案等につきましては、2ページ目の4のその他のところまで前 回の分科会で項目をまとめさせていただいたものと全く同じでございますので、説明は 省略させていただきたいと思います。  5番目の医療機関との意見交換については、前回2医療機関からの意見交換と本日3 医療機関からの意見交換を行いましたので、ここに記述いたしまして、基本問題小委員 会に御報告したいと思います。  IIIの今後の検討につきましては、(1)新たな機能評価係数として評価するべき項 目の絞り込みとして、以下の点を考慮しつつ提案された項目の絞り込みを行う。ア、新 たな「機能評価係数」に関する基本的考え方との合致。イ、現行の「DPCの影響評価 に関する調査」の活用。ウ、現行の機能評価係数や出来高部分と評価が重複する可能性 がある項目の整理。こういった事項を考慮しつつ、項目の絞り込みを行っていく。その 後、(2)、絞り込まれた項目について具体的な検討を行うというものでございます。  資料D−3−2でございます。こちらは「具体的な項目の提案等についての(経過報 告(案))」でございますが、先ほどのD−3−1では、項目だけ提示いたしましたが、 それぞれの項目について、どのような議論が当分科会で行われてきたのかということを まとめさせていただいたものでございます。したがいまして、この資料の左半分の部分 は、この資料D−3−1の項目部分と全く一致しております。右の部分が委員からの具 体的な意見等を記しております。  資料の見方でございますが、白丸の部分は委員からの意見等として、これまでの議論 をもとに事務局において整理した事項でございます。黒丸の部分につきましては、これ まで議論が不足しているのではないかというところで、事務局のほうでこの点について 検討していただきたい事項について書き込んだものでございます。  本日、時間がちょっと押しているところでございますので、この意見等につきまして すべて読み上げることよりは、この黒丸の部分を中心にまず御説明したいと思っており ます。  資料の3ページ目でございます。  医療の質の評価でございますが、ア、術後合併症の発生頻度による評価について、黒 丸の部分でございますが、術後合併症の発生頻度を評価することによって、医療の質が 向上するかについてどのように考えていくのか。白丸の部分につきましては、以前意見 としていただきまして、高度な医療を実施した場合に合併症がふえる確率が高い。評価 を導入することにより、合併症を避けるために、あえて積極的な治療を実施しないこと になりかねないという意見をいただいているところでございます。  この下、エ、退院支援や再入院の予防の評価について、白丸の部分につきましては、 在宅復帰率等を指標とすることで、質の高い医療を評価できるという意見がございます。 黒丸でございますが、こちらは今後検討していただくものとして、既に診療報酬の中で 評価している項目との整合性や、二重評価の可能性についてどのように考えていくのか。 また、DPC対象病院だけでなく、すべての病院で評価すべき事項かどうかについて、 どのように考えていくのかということでございます。  4ページ目でございます。  社会的に求められている機能・役割の評価についての特殊な疾病等に係る医療の評価 の中のウ、診断群分類のカバー率による評価でございます。白丸の部分につきましては、 これまで診断群分類のカバー率によって病院機能を評価できるか検証が必要であるとい う意見がございました。また、黒丸の部分でございますが、専門病院は評価されにくい ことについて、どのように考えていくのかというものがございます。  5ページ目でございます。  高度な機能による評価でございますが、ウ、がん、治験、災害等の拠点病院の評価と いうものにつきまして、病院の機能に応じた評価を行うことについてどのように考える のか。他の診療報酬の項目や補助金等と、二重評価となる可能性のあることについてど のように考えるのか。  エ、高度医療指数につきましては、診断群分類点数が上位10%算定割合でございま すが、診断群分類点数が高い割合をもって高度な医療の評価となるかについてどのよう に考えていくのかということがございます。  7ページ目でございます。  地域医療への貢献の項目の中でございますが、ウ、救急医療における患者の選択機能 の評価でございます。黒丸の部分でございます現行のDPCデータの調査に項目がない ため、評価が困難であることについてどのように考えるのか。DPC対象病院だけでは なく、すべての病院で評価すべき事項かどうかについてどのように考えるのか。  エ、産科医療の実施状況の評価でございますが、DPC対象病院だけではなく、すべ ての病院で評価すべき事項かどうかについてどのように考えるのかと。オとカはまとめ させていただきましたが、病院機能に応じた評価についてどのように考えるのか、こち らも同様に二重評価についてどのように考えるのかということでございます。  キ、小児科・産科・精神科の重症患者の受け入れ体制の評価でございますが、こちら も二重評価となる可能性についてどのように考えるのか。ク、全診療科の医師が日・当 直体制をとっていることの評価でございますが、こちらはDPC調査に項目がないため、 評価が困難であることについてどのように考えるかというものがございます。  8ページ目でございます。その他でございますが、医療提供体制による評価の中の医 師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価でございますが、こちらも現行のDPCデ ータの調査に項目がないため、評価が困難であることについてどのように考えるのか。  望ましい5基準にかかる評価でございますが、こちらは患者の重症度や医療機関の体 制に応じた評価ができることについてどのように考えるのか。既に出来高で評価されて いる項目等の二重評価についてどう考えるのか。  最後にその他でございますが、ア、新規がん登録患者数について、新規がん患者の診 療に応じた評価ができることについてどのように考えるのか。こちらもDPCデータの 項目にないため、評価が困難であることについてどのように考えるのか。イ、高齢患者 数の割合による看護ケアの評価についてこちらも同様に、データに項目がないため、そ の点についてどのように考えるのか。ウ、入院患者への精神科診療の対応の評価でござ いますが、例えば精神疾患と身体疾患の治療計画については既に出来高で評価されてい ることもございまして、二重評価となる可能性についてどのように考えるのか。エ、チ ーム医療の評価でございますが、DPC対象病院だけではなく、すべての病院で評価す べきものかどうかについてどう考えるのか。また、DPCデータに項目がないため、評 価が困難であることについてどのように考えるのか。  10ページ目でございます。  医療機関との意見交換ということで、これまでの意見交換の内容をまとめたものでご ざいます。(1)美原記念病院の発表内容でございますが、ア、急性期医療の提供体制 に対する評価につきまして、現行のデータに項目がないため、それについてどのように 考えるのか。イ、チーム医療の実践に対する評価につきまして、こちらもDPC対象病 院だけでなく、すべての病院で評価すべき事項かどう考えるのか。ウ、アウトカムを伴 う効率化に対する評価につきまして、評価することによって、例えば再入院を受け入れ ないなど、過度な医療変容を来す可能性についてどのように考えるのか。オ、政策的医 療への対応実績に対する評価でございますが、こちらもDPCデータの調査に項目がな いところについてどのように考えるのか。  (2)の佐久総合病院の発表内容でございますが、イ、地方の診療所、中小病院へ医 師を派遣することに対する評価につきまして、当該医療機関の入院医療と直接は関係が なく、機能評価係数として評価が可能かどうかついてどのように考えるのか。こちらも データの調査項目がないために、評価が困難なことについてどのように考えるのか。ウ、 在宅医療への評価につきましても、同様に入院医療とは直接関係ない部分についてどの ように考えるのか。また、データの調査に項目がないため、その点についてどのように 考えるのかという論点があろうかと思います。  説明が簡略でございますが、以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  まだ積み残した課題があるのですが、今の御説明に対して御質問、コメントをお願い します。  小山委員、どうぞ。 ○小山委員  これが恐らく中医協に上っていくものだと思うんですけれども、一番最初の今御説明 がありました資料の1番の医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等の評価について 言っているところでもって、透明化の評価のアのところでもって、2つ目の丸が、いわ ゆるコストのことが中に包埋されちゃっているんですよね。コストは各医療機関にとっ て非常に今、重荷になっているところなので、できればこれは一つの項目として外に出 す、あるいは考え方とすれば、医学管理加算を少し重点的に置くとかということの頭を 置きながら、この透明化とはちょっと分け離したほうがいいんじゃないかなというふう に思うんですが、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  このコストについては、これまでにもかなりいろいろ議論されてきておりまして、D PC病院はそれだけ、かなりのコストを出しているのだということは認識されていると 思いますが。 ○小山委員  それが、具体的な項目のところに入ってこなくて、検討課題の中に入っちゃっている ので、適宜、左側の欄に入れるなり、項目をもう少し上のほうに置くといいますか、に していただいたほうが。 ○西岡分科会長  別項目を立てるということになりますね。 ○小山委員  そのような検討をぜひしていただきたいというふうに思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、池上委員。 ○池上委員  今後の検討について、どういうスケジュールで、何をいつまで実施するかというおよ その予定表をいつか教えていただければと思います。  特に既存の統計がない場合には、それは新たに調査することによって対応できるかど うかとなりますと、調査の実施時期も絡んできますので、それも含めて、今後いつごろ まで、どこまでを行うべきか、あるいは事務局として予定しているという案を御提示い ただければと存じます。 ○西岡分科会長  よろしいですか、どうぞ。 ○中田補佐  先ほど小山委員からいただきました意見につきましては、事務局のほうで、また体裁 を整えるなどの対応をさせていただきたいと思います。  また、池上委員のほうからいただきました意見につきましては、まさにここでも論点 にございますとおり、今あるDPCデータ調査のデータを用いた計算であれば、速やか に今後の分析等は可能ですが、例えば項目によっては調査するために非常に医療機関に 対してコスト、負担がかかる等、項目によってそれぞれ異なるかと思いますので、これ から絞り込みを行った中で今後評価の可能性として残ったものについて、具体的に調査 設計を検討し、またその項目を踏まえながら、目途等を考えていく必要があるのかと思 っています。 ○池上委員  それも重要なんですけれども、  今後の分科会での検討をする際にどういうスケジュールで、分科会として会長はいつ ごろまでに、どのような案を提示する必要があるかという、およその事務局の考えを提 示いただければと思ったんですけれども。 ○西岡分科会長  答えられますでしょうか。  多分、ここでいろんな項目を挙げていただきまして、まず中医協の基本問題小委員会 との間で常にピンポンをやりながら、それで答えを出していくということになるのでは ないかというふうに考えております。時間的なものは言えますでしょうか。  お願いします。 ○中田補佐  手元のファイルに資料がございますが、以前に提出させていただきました12月17 日の資料D−3には、今後のスケジュール案ということで、示させていただいています。 ここでは、21年3月末までには係数としてふさわしい候補の選定を行う。4月からは、 それを踏まえた議論を開始していくということでございますが、また明後日の基本問題 小委員会での御指摘事項等を踏まえながら、そこで宿題があればさらにまたこの分科会 で練っていかなければいけないということがございますので、その議論の結果によりま しては、こちらのスケジュールから多少伸びてしまうこともあり得るかと思っています。 ○西岡分科会長  ほかに御質問等ございますでしょうか。特に、この黒丸の部分が出ているわけですが、 これも一つの指摘事項として考慮しなきゃならない点ではないかと思うのですけれども、 いかがでしょうか。こういうものも一応リストとして出すべきであるというお考えでよ ろしいでしょうか。ありがとうございます。  特にこれは具合が悪いというようなものはないでしょうね。はい、どうぞ。 ○中田補佐  それでは黒丸の部分につきましては、今日御議論の時間がなかったということでござ いましたので、基本問題小委員会への提出資料といたしましては、分科会でも継続課題 となっているということでまとめさせていただきたいというふうに思っておりますが、 いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  後でお読みいただきまして、問題点があるようでございましたら、また事務局のほう にお知らせいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。  ちょっと時間の配分が悪くて、少しオーバーしてしまいましたが、本日の議論は以上 とさせていただきたいと思います。  具体的な項目の提案書につきましては、この中でいろんなものがまざっておりますの で、全体に共通したようなものですね、DPCだけじゃなしに、出来高でも診療報酬の 中で検討しなければいけない項目であるとか、あるいは既に出来高の中で、その点数が ついているもの、言ってみれば先ほどから問題になっております二重払いになるような 可能性のあるような項目、それを少し整理して分けて出していただけますと、説明もや りやすくなりますし、それからまた、この議論もはっきりしてくるのじゃないかと思い ますが、そういうことで整理をお願いできますでしょうか。  それからさらに、今日いただきました御意見もここへ加えていただきまして、それと 今日ご参加いただきました3つの病院の先生方の御意見も、ぜひともこの中に加えてい ただくようお願いいたします。それをまとめました形で、2月25日、明後日の基本問 題小委員会のところに報告させていただきたいと思います。そのお答えをいただいて、 また再度こちらで議論を展開していただきたいというふうに思っています。  報告時間もございませんので、報告する中身のほうに関しましては、事務局と私のほ うで調整させていただくということで御了承いただければありがたいのですが、よろし いでしょうか。では、ありがとうございます。  それでは、事務局のほうから連絡事項等お願いいたします。 ○中田補佐  次回につきましては、3月5日、木曜日の10時からを予定しております。場所につ いては追って連絡させていただきます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第11回診療報酬調査専門組織(DPC調査分科会)を終了 させていただきます。  本日はお忙しい中、ありがとうございました。 −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課包括医療推進係  代表 03−5253−1111(内線3278)