09/02/13 平成21年2月13日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 器具・容器包装部会 日時:平成21年2月13日(金)10:00〜12:30 場所:中央合同庁舎5号館 5階共用第7会議室 議題(1)フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて 出席委員(五十音順):阿南委員、井口委員、河村委員、棚元委員、土屋 委員、西島委員(座長、器具・容器包装部会長)、野田委員、広瀬委員、山本委員 参考人:谷村参考人 事務局:石塚食品安全部長、塚原大臣官房参事官、國枝基準審査課長、光岡課長補 佐、吉田課長補佐、工藤課長補佐、今井専門官 ○吉田補佐 それでは、ほぼ定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会器具・容器包装部会」を開催させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうござ います。  開催に先立ちまして、石塚食品安全部長より一言ごあいさつを申し上げます。 ○食品安全部長 おはようございます。食品安全部長の石塚でございます。  本日は、早朝よりこの部会の方に御参加いただきまして本当にありがとうございます。また、 日ごろから委員の先生方におかれましては、食品安全行政の推進に当たりまして格別の御配慮 を賜っております。重ねて御礼申し上げる次第でございます。  まず最初に、御報告でございますけれども、本年1月23日に薬事・食品衛生審議会の総会が 開催され、続きまして1月30日に食品衛生分科会が開催されました。ここで審議会の委員の改 選が行われたところでございます。今回の改選に伴いまして、本部会の委員として新たに3名 の先生方に委員として御就任いただいたところでございます。また、分科会におきまして、西 島委員には、引き続き部会長をお務めいただくことになったところでございますので、よろし くお願い申し上げます。また、委員の先生方におかれましても、引き続きよろしくお願い申し 上げます。  この部会では、器具・容器包装あるいはおもちゃなどの基準につきましての御審議を賜って おりまして、昨年におもちゃ、器具・容器包装に関します鉛などの規格基準の改正というもの が行われたところでございます。本日御審議いただきますテーマといたしまして、前回、部会 の方で御審議を開始していただきましたフタル酸エステル含有おもちゃなどにつきます取り扱 いに関する検討の報告についてをテーマとして、議題としているわけでございます。  フタル酸エステル含有おもちゃなどの規制につきましては、昨年8月に、米国におきまして はこの販売を禁止する法令というものが成立いたしまして、本年2月、今月でございますが、 施行の運びとなったところでございます。また、EUにおきましても同様な規制というものが なされております。こうした国際的な状況ということにかんがみまして、前回の部会におきま して、我が国でも、現在の規制の見直しというものが必要かどうかということの審議を開始す るということに当たりまして、事務局で更なる検討を進めることとなったわけでございます。 事務局におきまして委員会を設置し、検討を進めてきたわけでございます。今回の部会におき ましては、そのフタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いに関する検討の中間報告書の案並 びに規制基準の改正案というものが、事務局で設置しました検討委員会で取まとめられました ので、今回これを御報告しまして、御審議を賜りたいというところでございます。  本日は、委員の皆様方には忌憚のない御意見をいただきまして、更に審議を進めていただけ ればと思うところでございます。  簡単でございますが、新体制での第1回目の部会の開催に当たりましてごあいさつ申し上げ ました。よろしくお願い申し上げます。 ○吉田補佐 ありがとうございました。  それでは、事務局の方から幾つか事務的な連絡をさせていただきます。  まず、本日は、早川委員、堀江委員、鰐渕委員の御3人が御欠席で、当部会委員の総数12名 のうち9名の御出席をいただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申 し上げます。  また、先ほどの石塚部長あいさつにもありましたが、器具・容器包装部会の委員の改選がご ざいました。任期を終了されました、菅野委員、品川委員、望月委員にかわって、新たに3名 の委員が就任されております。部会の開催に当たり御紹介させていただきます。  まず、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第四室長、野田委員。 ○野田委員 野田です。よろしくお願いいたします。 ○吉田補佐 次に、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター総合評価研究室長、 広瀬委員。 ○広瀬委員 広瀬です。よろしくお願いいたします。 ○吉田補佐 次に、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室長、山本委員。 ○山本委員 山本でございます。よろしくお願いいたします。 ○吉田補佐 ありがとうございました。  また、本日の議題に関連しまして、部会長の了承を得て参考人を招聘しておりますので御紹 介いたします。国立成育医療センター研究所・成育社会医学研究部長、谷村雅子先生です。 ○谷村参考人 谷村です。よろしくお願いいたします。 ○吉田補佐 ありがとうございます。  本日の議題でございますけれども、フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて御 議論いただきたいと考えております。本日の部会は公開で行われます。議事録につきましては、 後日、速記録を各委員に御確認いただいた後、最終化したものを遅滞なく厚生労働省のホーム ページ上に公開いたします。  次に、配付資料の確認をいたします。なお、同じ資料は傍聴者にも配付しております。  まず、議事次第がございます。この議事次第の下の方に書いてあります配付資料に沿って説 明させていただきます。  資料番号を振ってありませんが、本日の座席表とこの部会の委員名簿がそれぞれ1枚ずつご ざいまして、次に参考人の名簿がございます。  資料1でございますが、「フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いに関する検討会中間 報告(案)」でございます。  これの参考資料といたしまして、まず、参考資料1−1「日本、EU、米国におけるフタル 酸エステル含有おもちゃ等の禁止措置の相違比較表」がございます。  次に、参考資料1−2ですが、「日本、EU、米国におけるフタル酸エステル含有おもちゃ 等にかかる規制の概要」というものがございます。  次に、参考資料1−3でございます。「日本、EU、米国におけるフタル酸エステル規制が かかるおもちゃの範囲等についての比較」というものがございます。  次に、参考資料1−4「フタル酸エステルの構造式と名称及び物理化学的特性、並びに用途 (NTP−CERHR Monographsに記載されている情報)」というものがございます。  参考資料1−5ですけれども、「フタル酸エステル6種類の毒性評価・曝露評価」というも のがございます。  また、資料番号を振っておりませんけれども、パワーポイントのA4横の1枚紙で示したチ ャート図がございます。  次に、資料2でございますけれども、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包 装部会平成20年度第1回議事録」、これは既に先生方の確認を得まして、確定させたものをホ ームページ上で公開しているものをプリントアウトしたものです。これについては委員限りで 配らせていただいております。  また、資料番号を振っておりませんけれども、本日の参考ということで、1枚紙ですが、食 品衛生法の抜粋ということで、関係条文の抜粋したものを配らせていただいております。  配付資料は以上でございますが、もし資料の不備等ありましたら挙手をお願いいたします。 よろしいでしょうか。  ありがとうございました。  なお、傍聴者におかれましては、もし資料に不備等ありましたら、後で受付まで申し出てく ださい。  それでは、以後の進行につきましては、西島部会長の方にお願いいたします。 ○西島部会長 引き続き部会長を仰せつかりました国立医薬品食品衛生研究所の西島でござい ます。よろしくお願いいたします。  それでは、早速本日の議事を進めさせていただきたいと思いますが、議事次第、先ほどお配 りしましたものを見ていただきます。本日の議題は、先ほど部長からもお話がありましたとお りですが、議題1の「フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて」でございます。 これにつきましては、前回の審議の結果を踏まえまして、事務局の方で、別途検討しまして、 まとめられた報告書案が配付されております。これにつきまして、本日、まず事務局の方から 御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○吉田補佐 それでは、資料1でございますが、「フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱 いに関する検討会中間報告書(案)」をごらんください。  まず、事務局の方から、この報告書案の構成について紹介いたします。  まず、表紙をめくっていただきますと、検討を行った検討会のメンバーがございます。国立 医薬品食品衛生研究所の井上先生、同じく河村先生、菅野先生、また本日御出席いただいてお ります国立成育医療センター谷村先生、また、国立医薬品食品衛生研究所の広瀬先生、あと、 埼玉県衛生研究所の堀江先生、この6人の方に委員をお願いしまして、検討会としての検討を お願いしたところでございます。  目次でございますが、経緯、各国の規制、トキシコキネティクスと毒性、曝露状況、リスク の試算、検討課題、規格基準改正案、議論、こういう構成で報告書を作成してございます。  まず、事務局から報告書の内容を一通り御紹介することにいたしますけれども、その中で、 トキシコキネティクスと毒性の項については、この部分を実際に御執筆いただきました広瀬委 員に、また、曝露状況の項につきましては、この部分を実際に御執筆いただきました谷村参考 人にそれぞれ御説明をお願いしたいと思いますので、その際はよろしくお願いいたします。  それでは、まず、事務局の方から順に説明いたします。  1ページでございますが、経緯でございます。  フタル酸エステルはポリ塩化ビニルを主成分としたプラスチックの可塑剤として汎用されて いる化学物質であります。  フタル酸エステルの一部の誘導体につきましては、乳幼児が多量の曝露を受けたときの毒性、 特に生殖発生毒性が疑われたため、我が国では2002年8月の食品衛生法に基づくおもちゃの規 格基準の改正によって、厚生労働大臣が指定する乳幼児用おもちゃのうち、ポリ塩化ビニル製 のものに対してフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHP)の使用を禁止し、また口に 接することを本質とする、歯固め、おしゃぶりなどに対しては、フタル酸ジイソノニル(DI NP)に関しても使用を禁止いたしました。  他方、EUでは、1999年12月におもちゃと育児用品のうち、3歳以下の子どもの口に入るも のであって、更にポリ塩化ビニル製のもので、DINP、DEHP、フタル酸ジ−n−ブチル (DBP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジ−n−オクチル(DNOP)、 フタル酸ブチルベンジル(BBP)のうち1種類以上を含むものに関して、販売を暫定的に禁 止するという決定がなされ、以後、この決定が3カ月ごとに20回以上更新が行われて、そして 2005年12月には正式に、おもちゃ及び育児用品について、DEHP、DBP及びBBPの使用 を禁止し、更におもちゃ及び育児用品のうち口に入るものについては、DINP、DIDP及 びDNOPの使用も禁止するという指令が発布されました。  また、米国では、2008年8月、現在のEUと同様の法規制が成立し、2009年2月10日から実 施されております。  このように、子どもの健康保護のため、おもちゃ等に対するフタル酸エステルの規制の拡大 が世界的な傾向にあるため、我が国においても、現在の規制を見直す必要があるかどうかを検 討することといたしました。  次のページをお願いいたします。 ○河村委員 済みません、座長、よろしいですか。これは非常に大部なものですので、個別に 質疑をさせていただけませんか。この経緯について加筆修正をお願いしたいところがあるので すが、全ての説明が終わってからの方がよろしいですか。 ○西島部会長 後で個別に議論したいと思いますので、全部終わってからにしたいと思います。 ○吉田補佐 それでは、次のページ、2ページでございます。各国の規制でございます。  まず、日本でございますが、日本では、食品衛生法の第62条第1項「おもちゃへの準用規 定」が法律の根拠条文となっております。また、同法施行規則第78条において、乳幼児の接触 により健康を損なうおそれのあるおもちゃの範囲を規定しております。これらに基づいて、厚 生省告示第370号の食品、添加物等の規格基準の第4おもちゃという項におきまして、所要の規 格基準が定められていますが、これについては、2002年の厚生労働省告示によって一部改正し、 一部のフタル酸エステルに関して使用を禁止したところでございます。  規制のかかるおもちゃの範囲は、乳幼児が接触することにより、その健康を損なうおそれの あるおもちゃとして厚生労働大臣が指定するもの、具体的には、まず(1)として、乳幼児が口に 接触することを本質とするおもちゃ、(2)アクセサリー玩具、うつし絵、起きあがり、おめん、 折り紙、がらがら、知育玩具、つみき、電話玩具、動物玩具、人形、粘土、乗物玩具、風船、 ブロック玩具、ボール、ままごと用具、(3)としまして、前号のおもちゃと組み合わせて遊ぶお もちゃ、と規定されております。  使用が禁止される物質または素材の範囲は、まず、DEHPを原材料として用いたポリ塩化 ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いてはならないということで、DEHPの定 量試験値を0.1%以下と規定しており、次に、DINPについては、乳幼児が口に接触すること をその本質とするおもちゃに対して、DINPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分 とする合成樹脂を原材料として用いてはならないと規定しており、同じく0.1%以下という規格 を設けております。  また、2002年に指定おもちゃへのDEHP、DINPの使用を禁止したときに、同時に油脂 または脂肪性食品を含有する食品に接触する器具または容器包装の原材料に関しても規制をか けており、具体的には、DEHPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹 脂を原材料として用いてはならない。ただし、DEHPが溶出または浸出して、食品に混和す るおそれがないように加工されている場合は、その限りではないとしております。  我が国の現在の規制は、平成11年度の厚生科学研究等によって市販の弁当にDEHPが検出 され、その検出量がお弁当1食分でほぼDEHPの耐容一日摂取量(TDI)と同程度の量で あったことにさかのぼります。DEHPのTDIは、ラットを使った実験で精巣毒性が観察さ れた報告に基づいて設定されておりますが、これについては、当該物質のお弁当への移行の主 たる原因がポリ塩化ビニル製手袋であることが判明したため、2000年6月に、可塑剤としてD EHPを含有するポリ塩化ビニル製手袋の食品への使用を避けるよう関係営業者に指導を行っ たところでございます。  3ページでございます。更に、その後の調査研究によって、まず、ポリ塩化ビニル手袋を使 用したコロッケをつかむ実験から、脂溶性の媒体(油分)を経由して極めて短時間にDEHP が手袋から食品に移行すること、また、DEHP含有ホース及びフィルムのn−ヘプタン、こ れは油分を想定した溶媒でございますが、これを使った溶出試験から、TDI相当量のDEH Pの溶出が確認されたこと、次に、6−10カ月齢児のおしゃぶり、おもちゃ等のMouthingの行 動調査と成人ボランティアのDINP含有試験片のChewingによる溶出試験から推定される曝露 量が、おしゃぶりについては、観察されたMouthing時間内にDEHP及びDINPの各TDI に達すること、また、おもちゃ(おしゃぶりを除く)については、観察された最大時間の MouthingでDEHPのTDIに近接することが明らかとなりました。  これらを受けて、2002年8月に、食品用の器具及び容器包装並びに食品衛生法で規定するお もちゃにつきまして、特定のフタル酸エステル類を原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成 分とする合成樹脂の使用を禁止するため、これらの原材料の規格の改正を行い、2003年8月か ら施行しているところでございます。  次にEUでございます。  EUに関しては、根拠となる法令が主に4つございます。まず、1976年に発布されました Council Directive 1976/769/EEC、これは、危険な物質及び調製品の市販に関する制限につ いて加盟国間の関係法令を近接化するための指令でございます。この指令では、PCB等のい わゆる有害物質に関して、欧州域内で市販を制限する物質に指定するという規制が行われてお りますが、この時点ではフタル酸エステルは、まだ有害物質としては指定されておりません。 1986年に発布されましたCouncil Directive 1988/378/EEC、これは、おもちゃの安全性に関 して加盟国間の関係法冷を近接化するための指令でございます。この指令では、規制の対象と なるおもちゃの範囲とさまざまな安全性に関する規定が定められておりますが、この時点では まだ育児用品に関しての定義等が定められておりません。1999年に発布されたCommission Decision 1999/815/EEC、これは、初めてEUにおいて、おもちゃと育児用品であって、3 歳以下の子どもの口に入るものであって、更にポリ塩化ビニル製のもので、6種類のフタル酸 エステル、DINP、DEHP、DBP、DIDP、DNOP、BBPのうち1種類以上を含 むものに関して販売を禁止するという決定をしたものでございます。これは、3カ月間の暫定 規制であって、以後20回以上更新が繰り返されております。最終的に2005年12月に発布されま したDirective 2005/84/EC、これは、Council Directive 1976/769/EECの改正指令として、 具体的にはおもちゃ及び育児用品に使われるフタル酸エステルに関して制限をかけたというこ とでございます。  また、おもちゃの規制に関しましては、2008年12月18日にCouncil Directive 1988/378/EE Cの改正指令が欧州議会によって採択され、発がん性、変異原性、生殖発生毒性を有する物質 やアレルギー性物質の使用が原則禁止されているところでございます。  EUにおける規制品の範囲でございますが、おもちゃ及び育児用品となっており、おもちゃ につきましては14歳未満の子どもが遊びに使うことを明確に意図した、またはそのために設計 されたいかなる製品と定義づけられており、育児用品については、子どもの側において、睡眠、 娯楽、衛生、哺乳・哺食または吸綴を促進することを意図した製品となっております。  使用が禁止される物質または素材の範囲は、まず、DEHP、DBP、BBPの3物質につ いては、おもちゃ及び育児用品において、対可塑化された材料の質量比で0.1%を超える濃度で 使用してはならず、また、この制限を超える濃度のこれらのフタル酸エステルを含有するおも ちゃと育児用品を販売してはならないと規定されております。次に、DINP、DIDP、D NOPの3物質につきましては、おもちゃ及び育児用品であって、子どもの口に入るものにお いて、対可塑化された材料の質量比で0.1%を超える濃度で使用してはならず、また、この制限 を超える濃度のこれらのフタル酸エステルを含有するおもちゃ及び育児用品を販売してはなら ないと規定されております。  また、EUではDirective 2002/72/EC(食品接触プラスチック材料及び物品に関する指 令)というものがございまして、ポジティブリスト収載品目として、フタル酸エステルの誘導 体の食品用器具・容器等への使用について具体的な制限が課されているところです。  例えば、BBPにつきましては、反復使用材料及び物品の可塑剤、非脂肪性食品と接触する 単回使用材料及び物品の可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.1%以下の助剤としてのみ使用 が認められ、疑似溶媒を使った移行量試験では移行量が30mg/kg以下でなければならないと規定 されております。DEHPにつきましては、非脂肪性食品と接触する反復使用材料及び物品の 可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.1%以下の助剤としての使用のみが認められ、移行量は 1.5mg/kg以下と規定されております。DBPは、非脂肪性食品と接触する反復使用材料及び物 品の可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.05%以下のポリオレフィン類への助剤としての使 用のみ認められ、移行量は0.3mg/kg以下と規定されております。  また、フタル酸とエステル結合する2つのアルコールが第1級、飽和・炭素数8−10・分岐 型のものであって、炭素数9の割合が60%を超えるものにつきましては、反復使用材料及び物 品の可塑剤、もしくは非脂肪性食品と接触する単回使用材料及び物品の可塑剤、もしくは最終 製品中の濃度が0.1%以下の助剤としての使用のみが認められ、移行量は9mg/kg以下と規定さ れております。フタル酸とエステル結合する2つのアルコールが第1級・飽和・炭素数9−11 のものであって、炭素数10のものの割合が90%を超えるものについても、同じ制限が課されて いるところです。  次に、EUの規制の経緯を説明させていただきます。  EUの現在の規制の発端は、1998年7月、欧州委員会によってEU加盟国に対して、DIN P、DEHP、DBP、DIDP、DNOP、BBP、その中でも特に、DINPとDEHP について、育児用品とおもちゃからの溶出レベルをモニターして、必要な措置を講じるよう勧 告が発布されたことにさかのぼります。  一方、これと前後して、EUの科学諮問機関であるヒト毒性、生態毒性、環境に関する科学 委員会によって、1998年4月及び11月に、まず、実験動物においてDINPで肝臓、腎臓への 悪影響がDEHPで精巣の障害が観察されたことから、ポリ塩化ビニル製おもちゃ及び育児用 品にDEHPとDINPを使用することについては、子どもが受ける曝露量から見て安全域が 低く、DINPについては幾分かの懸念が、DEHPについては明らかな懸念がある、また、 他の曝露源からDINPとDEHPへの曝露は程度が不明であるが、その懸念を増大させる、 また、DNOP、DIDP、BBP、DBPについては、安全域は本質的に大きい、という見 解が発表されております。また、1999年9月には、複数の機関で当時有効性の検討が行われて いたフタル酸エステルの移行量測定試験法は、これは、いずれも規制目的の使用には適さない とする見解が発表されたところです。  これらを受けまして、欧州委員会では、次のような判断がなされました。まず、おもちゃ及 び育児用品にDINPとDEHPの2物質を可塑剤として使用することを禁止した場合の結果 として、DNOP、DIDP、BBP、DBPが代替物質として使用が許されることとなれば、 それら4物質への子どもの曝露は増大し、結果としてリスクの増大を招く。それゆえ、予防原 則を適用して、同じ規制をそれら4物質にも適用すべきと考える。次に、実験動物において観 察された肝臓、腎臓への悪影響、精巣の障害は曝露から少し時間が経過してから現れるもので あるが、おもちゃや育児用品のうち乳幼児が口にすることを意図したものであって6種類のフ タル酸エステルのいずれか1つ以上を含有するポリ塩化ビニル製のものと関連づけられるリス クは、フタル酸エステル曝露と直接関連づけられるリスクであるため、即時の対応が必要であ る。それらの製品は、フタル酸エステルの口内溶出量が安全と考えられるレベルを超えること が免れないくらい長時間、口に入れられていることが予想される。また、欧州域内でバリデー トされ、標準化されたフタル酸エステル移行量測定試験法を欠く状況下では、おもちゃ及び育 児用品からフタル酸エステルの移行量制限値を設定することによって、子どもの健康が高水準 で保護されるようにすることは実現できない。よって、勧告98/485/ECでは不十分であって、 おもちゃ及び育児用品であって3歳未満の子どもが故意に口にするものについては、販売を今 直ちに禁止することが必要であって、ほかに規制目的に利用可能な効果的な手段はないという 判断をしております。  その結果、1999年12月に、将来的には指令76/769/EECを改正するけれども、まずは暫定的 に、(1)としまして、ポリ塩化ビニル製のおもちゃ及び育児用品で3歳未満の子どもが口にする ことを意図したものにおいては、DINP、DEHP、DIDP、DNOP、DBP及びBB Pの使用を暫定的に禁止する、また、(2)としまして、フタル酸エステルが製品中に検出されて も重量比で0.1%までであれば、子どもの健康には懸念を生じない非意図的不純物のレベルとし て扱うものとするという決定を下しております。この暫定規制は、恒久規制が準備、発布され るまでの間、その後20回以上にわたって3カ月毎に更新されて、継続されておりました。  次に、恒久規制化に向けた検討でございますが、まず、欧州委員会では、規制の範囲を拡大 する次のような判断がなされております。まず、(1)としまして、科学的な評価では十分な確か らしさをもってリスクを決定できない場合、子どもの健康が高水準で保護されるようにするた めには、予防原則が適用されるべきである。子どもは発達途上の生命体であるから、特に生殖 毒性物質の影響を受けやすい。それゆえ、生殖毒性物質の発生源、特に子どもが口に入れるも のからの曝露は、避けられるものはできる限り削減すべきである。次に、(2)としまして、リス クアセスメントの結果から、DEHP、DBP、BBPの3物質は、生殖毒性物質カテゴリー 2に分類される。一方、DINP、DIDP、DNOPについての科学的知見は不足している か、または意見が割れているが、子ども向けに生産されるおもちゃや育児用品にこれらの物質 が使用された場合の潜在的なリスクの発生は除外できない。これらのフタル酸エステルの曝露 評価における、例えばMouthing時間や他の曝露源からの曝露のような不確実性については、予 防的な考え方を考慮に入れることが求められるので、おもちゃや育児用品にこれらの物質を使 用すること及びこれらの製品を販売することに制限を導入すべきであるが、その制限はバラン ス上、DEHP、DBP、BBPについて提案される制限よりは厳しくないものであるべきで ある。  最終的には2005年12月に、指令76/769/EECを一部改正する指令が発布され、可塑化された 材料を用いたおもちゃ及び育児用品についてDEHP、DBP及びBBPの使用が正式に禁止 され、更におもちゃ及び育児用品のうち口に入るものについてはDINP、DIDP、DNO Pの使用も正式に禁止されることとなり、各加盟国は本指令を満たす国内法令を整備し、2007 年1月から施行することとされております。  以上がEUの規制の経緯です。  次に米国の経緯でございます。  米国では、1986年、The Consumer Product Safety Commission(CPSC)とThe Toy Manufacturers of America(米国玩具製造協会)が、おしゃぶりと歯がため中のDEHP濃度 を3%以下とする自主基準に合意しております。1998年12月には、CPSCが、おもちゃ業界 に対し、3歳未満の子どもが使用するDINPのようなフタル酸エステルを含有するおもちゃ の販売を自主的に差し控えるように要請しております。  米国では最近まで、フタル酸エステルのおもちゃ等への使用を禁止する強制力のある規制が ありませんでしたが、2008年8月14日、Consumer Product Safety Improvement Act of 2008 (消費者製品安全性改善法2008)が成立し、その中のSec.108:Prohibition on sale of certain products containing specified phthalates(特定のフタレートを含有するある種の 製品の販売の禁止)によってEUと類似の規制が導入されたところです。ただし、DINP、 DIDP、DNOPのおもちゃ等への使用は暫定禁止の扱いとなっております。本規制は法成 立日から180日後、すなわち2009年2月10日から施行されております。  米国における規制品の範囲は、EUと同様に、子ども用のおもちゃ及び育児用品であるが、 子ども用のおもちゃについては、12歳以下の子どもの使用向けに設計または意図された消費者 製品と規定され、育児用品については、3歳以下の子どもの睡眠や哺乳・哺食を促進したり、 吸綴や?む行為を手助けする目的で設計または意図された消費者製品と規定されております。  フタル酸エステルを含有する製品のうち販売が禁止されるのは、まず、子ども用のおもちゃ または育児用品であって、DEHP、DBPまたはBBPを0.1%を超える濃度で含有するもの であり、これらは販売目的で製造、授与、流通または輸入してはならないと規定されておりま す。また、子ども用のおもちゃで子どもの口に入るもの、または育児用品であって、DINP、 DIDPまたはDNOPを0.1%を超える濃度で含有するものについては、販売目的で製造、授 与、流通または輸入してはならないと規定されておりますが、この後半部分については暫定禁 止という扱いであって、これらの物質を含む可塑剤については、今後、委員会を設置して、具 体的な毒性等の評価を行い、規則の見直しを含む必要な措置を行うと規定されております。  なお、同じ法律のSec102:Mandatory Third Party Testing for Certain Children's Productsに基づく第三者認証制度につきましては、規制の整備状況から実施が1年間延期され たところでございます。  また、食品用容器包装へのフタル酸エステルの使用規制に関しては、FDAによる間接食品 添加物規制があり、DEHPについては、CFR(Code of Federal Regulations)によって、 現在の食品添加物にかかる許認可規制の制定以前に認可された特殊食品成分として、適正な製 造基準に従って使用される限り、使用が認められております。これに対して、BBP及びDI NPについては、CFRによって、重合物質中の可塑剤として、接触する食品の種類や容器等 の使用温度などの制限が課されております。BBPにつきましては、接着剤の成分、乾燥食品 と接触する紙及び板紙の成分、樹脂コーティング及びポリマーコーティング、ポリオレフィン フィルム用樹脂状及びポリマー状コーティング、あるいは水性及び脂肪性食品と接触する紙及 び板紙の成分として使用される場合、DBPを1重量%以上含まないこと、また、他の認可さ れた食品接触製品に使用される場合、DBPを1重量%以上含まないこと、及び製品のクロロ ホルム可溶全抽出量の規定の方法・条件で0.5mg/in2を超えないこととあります。また、DIN Pにつきましては、塩化ビニルホモもしくはコポリマーで、非酸性水性食品、酸性水性食品、 乳製品及びその変性品(水中油滴型エマルジョン、高濃度または低濃度の脂肪を含有するも の)、表面に遊離樹脂のない乾燥固形食品に限り室温で使用、ただしそのポリマーの43重量% 以下と規定されております。  以上がアメリカにおける規制の経緯でございます。  次に、ページをめくっていただきまして、9ページでございます。このセクションにつきま しては、広瀬委員の方にお願いいたします。 ○広瀬委員 トキシコキネティクスと毒性の部分について報告書の案を担当させていただきま した。  まず、この毒性の評価に当たっては、10ページを見ていただきたいのですが、フタル酸エス テルとして今、各国の規制に対して、懸念を検討しなければいけない物質として6種の物質に ついて毒性情報の整理を行いました。ただ、これらのフタル酸エステル類については、過去に その内分泌攪乱作用という観点について懸念が、いろいろな情報があるわけですけれども、ま だ、現時点でもそれが固まった状況ではありません。ただ、この評価につきましては、平成12 年のDEHPとDINPが先行して評価されている観点から、その毒性との比較という観点で、 それぞれの従来からの一般毒性の毒性を比較するということで今回の評価の目的は達するので はないかという観点で情報を集めています。そういう意味で、内分泌攪乱作用については、こ こではそれほど詳細に検討してはおりません。それが一応お断りとして述べさせていただきた いと思います。  それぞれのDEHP、あるいは各フタル酸エステルについて全部紹介すると時間がかかりま すので、最後に飛びますけれども、まとめのページが33ページにあります。  EUの規制の経緯の中でも紹介されておりますけれども、結論から言いますと、DEHPと BBP、DBPの3つとその残り3つについては、毒性の強さというか、毒性の出方について は差があって、それぞれある程度別々に評価されているということがあります。DEHP、B BP、DBPにつきましては、3〜4行目ぐらいにありますけれども、精巣への影響、精巣毒 性というものが認められています。その毒性というものは、特に次世代経胎盤曝露とか新生児 曝露によってかなり感受性が高いということがありまして、それが懸念となってDEHPの主 な規制のもとになった毒性になっていると思います。  ただ、一方、DINP、DIDP、DNOPにつきましては、精巣への影響は認められてお りません。ただ、すべてのフタル酸エステルにつきましては、肝臓及び腎臓に対しての障害性 というものは持っているというところではあります。  あと、高用量になりますけれども、この高用量での催奇形性につきましてはなかなかその解 釈の難しいところではありますが、親にも負担がかかることもありますが、高用量であれば、 すべてのフタル酸エステルでは、次世代の発達遅延あるいは催奇形性等の誘発が示されている ということが示されています。  一方、DEHPにつきましては、前回の評価でも多分議論になっていると思いますけれども、 ラットについての発がん性というものも知られています。ただ、このラットに対する発がん性 というのは、げっし類特有の反応であるペルオキシゾーム増殖剤、受容体アルファという、げ っし類に特に感受性の高いレセプターを介した発がん性であることが想定されておりまして、 BBPについては、それほど詳しいメカニズムが証明されているわけではありませんけれども、 同様の発がん性の兆候が認められております。ただ、この発がん性につきましては、IARC という国際ガン研究機関におきまして、ヒトへの外挿性という観点では分類できないといった 評価がなされているところでありまして、フタル酸エステル全体につきましても、遺伝毒性と いう観点からは陰性であるという評価にされております。  そういう観点で見ますと、一般毒性としては6種の物質について肝毒性あるいは腎毒性の影 響がそれぞれ共通して認められる。生殖発生毒性につきましては、特にDEHP、BBP、D BPにつきまして、どちらかというと次世代への、特に精巣への影響というものが強い感受性 を持って毒性として現れている。  一方、発生毒性につきましては、これも、どちらかというとDEHP、BBP、DBPがや や低用量で次世代への影響が認められておりますけれども、高用量では、その残りの3つのD INP、DIDP、DNOPにつきまして高用量で、ただ、これは無毒性量(NOAEL)の 求められている低用量の実験が行われていないわけですが、高用量で次世代への発達支援の影 響等が認められているといったプロファイルといったことが挙げられるかと思います。  総括すると、BBP及びDBPはDEHPとほぼ同様の毒性であると考えられますし、DI DPとDNOPにつきましても、ちょっと情報としては少ないわけですが、全体の毒性の出て くる強さを考えるとDINPと同じような毒性が出ていると結論づけられると思います。  以上です。 ○吉田補佐 ありがとうございました。  それでは、続きまして次のセクション、47ページ以降でございますが、谷村先生の方にお願 いいたします。 ○谷村参考人 それでは、曝露状況について報告書に沿って御報告申し上げます。  乳幼児におけるフタル酸エステルの生体曝露は、吸入と口からと皮膚からの3つの経路があ りまして、吸入については室内や車の中の空気、経口では玩具や育児用品のMouthing、食品な どからの摂取、それから皮膚からは玩具を持っていったときからが考えられています。それぞ れ経路別に、フタル酸エステルの種類別に曝露量が推定されていますが、乳幼児特有の玩具育 児用品のMouthingを介した曝露量が最も多く、更に呼吸や食事からの摂取量も成人より多いと いう特徴がございます。  このように、発達過程にある乳幼児は、特有の行動や生理特性のために、成人に比べて曝露 量が顕著に多く、かつ、毒性に対して高感受性の可能性もありますので、リスクを慎重に検討 する必要があると思います。  以下、Mouthingを介した推定曝露量について御報告いたします。  Mouthingは、乳幼児の自発的な行動で、目的は探索行動と感覚的満足と考えられていまして、 どの子どもも行いますが、ある年齢になると自然に消失していきます。  実態調査が非常に少ないんですけれども、Mouthing時間につきましては、オランダのグルー プが3カ月から36カ月児の42名の母親に家庭での観察記録を依頼しています。150分の観察時間 におけるMouthing時間から1日の活動時間におけるMouthing時間を推定しています。これで最 大時間が171分と推定されまして、それで大体最大3時間と判断されまして、このオランダのデ ータや結論に基づいて、現在までEUも米国も、子どものMouthing時間は最大3時間とみなし て計算されております。  ただ、これは、母親の観察に基づいているんですね。それで、私どもはビデオを使って調査 いたしました。次のページですけれども、最初に、オランダと同じ方法で、まず母親に観察し ていただいた結果、3カ月から12カ月の中で6カ月から10カ月が最も長かったので、それでビ デオ調査は6カ月から10カ月についてで、1日15分ずつ10回、計150分のビデオ記録の中の Mouthing時間の割合から、オランダと同じように1日の活動時間中のおしゃぶりを除く Mouthing時間を推定いたしまして155分でした。今回は、この50名の資料を用いて次のリスクの 試算がなされています。ですけれども、前回もこの中の40名の資料が使われていますが、値は ほとんど変わっておりません。それから、おしゃぶりだけでは314分が最大でした。  Mouthingは、子どもにとってはおもちゃとおもちゃ以外を区別してMouthingするわけではあ りませんので、日本はEUと同じように、玩具以外のMouthing時間が玩具Mouthingに差し替わ る可能性を考慮してMouthingによる曝露量推定のときに、玩具以外のもののMouthing時間も含 めて算出しております。前回のアメリカの推定は、おもちゃのMouthing時間だけで推定してい て、Mouthing時間は長くないということが書かれています。今回の米国では、それが変更にな っています。  ビデオ記録によって、Mouthing対象に好みがあって、好みのものは持続時間も長く頻度も多 いことがわかりました。それから、2名についてだけですけれども、縦断調査もいたしまして、 2カ月から12カ月まで毎月1回ずつ同じように調べました。その結果、Mouthingの時間や対象 には個人差がありますけれども、個人差というよりは、心身の発達と密接に関連していて、ど の子どもも長時間行う時期があるということ、それから、ある時期に好みのものを長時間 Mouthingする可能性が示唆されました。したがって、リスク評価においては最長のケースも考 慮することが妥当と考えられます。  それから、ビデオ記録によって、Mouthingは、玩具のほかに、室内の手が届く範囲のあらゆ るものが対象となり得ることが示されました。なので、玩具や育児用品に規制がかかっても、 その他のもののMouthingによる摂取は避けられませんので、この点も考慮する必要があるかと 思います。  この調査は2002年の調査なんですけれども、現在もMouthing時間が変わっていないかどうか ということを一応考えなくてはいけないんですが、おもちゃのMouthing時間に一番関係します のは、おしゃぶりの時間です。それで、日本では2005年に、おしゃぶりは余り使わない方がよ いということが、日本小児科学会と日本小児歯科学会の方から勧告が出まして、したがって、 その当時のおしゃぶりの使用率が大体4分の1だったと思いますけれども、今もそれ以上に増 えているとは思われませんので、したがって、おしゃぶり以外のMouthing時間が、この調査の ときよりも減少している可能性は低いと思います。  そのほか、子どもの寝る時間が少なくなって、起きている時間が以前よりも長くなっていた り、コミュニケーションの時間が残念ながら少なくなっていますので、Mouthing時間は、どち らかというと増加している可能性の方が高いと思います。  次に、49ページ、Mouthingによって、それが実際にどのぐらい体内に溶出していくかという ことですが、日本でいろいろな条件設定して調べた結果、唾液の量とかpHとは余り関係がない けれども、口の中での動かし方と溶出量と関係していること、勿論、含有率、それから形によ っても違うということが示されております。EUでは疑似唾液を用いた機械による攪拌実験で いろいろ検討されているんですけれども、やはり実際に成人がChewingして溶出量を調べた値の 方が、乳幼児のMouthingの実態に近いと考えられております。それから、FialaらのChewingの 実験では、3時間、6時間と長時間同じ唾液でChewingしている実験もございますが、常に新鮮 な唾液で子どもがなめているということも考えなくてはいけませんので、日本では15分の実験 をやって、それから溶出率が一定であると考えて計算してありますので、それは妥当であると 思います。  溶出実験は、DINPがほとんどで、あとDEHPの実験が少しありましたが、Chewingの実 験ではその2種類だけで、あとBBPとDBPについてはChewingの試験はなくて、疑似唾液で の浸出・攪拌実験で最大溶出量が使われております。DIDPとDNOPの溶出試験の報告は 今のところございませんでした。  50ページに移ります。Mouthing時間と溶出率からMouthingを介した生体曝露量が推定されて いまして、EUもアメリカも日本も、最大の場合にはどのくらいであるのか、それから、モン テカルロ法に代表される形でシミュレーションして、95パーセンタイルあるいは99パーセンタ イルがどのくらいの量であるかということが推定されております。  報告書、5番のその他の経路による曝露については、皮膚からも、それから空気からの曝露 量も小児は成人よりも吸入率が高い、それから曝露時間も長くなっています。  飲食からの曝露量につきましても、成人と子どもを比べますと、子どもは一般に成人よりも 多い。そして母乳にも、粉ミルクにも、ベビーフードにもかなり含まれていますので、母乳に も粉ミルクにも含まれているということで、すべての子どもたちが曝露の危険性を有している ことになると思います。  これまでは、曝露の推定値でしたけれども、生体試料中のフタル酸エステルの代謝物からの 推定も少し報告がございます。  51ページにありますように、尿中のフタル酸モノエステルの測定値からDEHP、BBP、 DBPの1日の推定曝露量が報告されています。成人については、実際の尿中の代謝物で推定 した値と、食物や空気などのもとの曝露源の含有率と吸収率から推定した値と大体同じでした ので、子どもについても、食物や空気などの含有量から推定した値というのは信頼してよいの ではないかと思います。  Mouthingする年齢の子どもの尿を取ることは非常に難しいんですね。現在のところ、おむつ から調べることができませんので、結局、肝心の赤ちゃんの尿は調べられておりません。赤ち ゃんの場合も、食物や空気から摂取している量は、含有率から推定された値と同程度と考えて いいと思います。それが約20μgです。最大の曝露源であるMouthingからの曝露量の推定値は検 証できませんので、結局、予防原則の立場で考えるしか現在のところは仕方がないのかなと思 います。  以上でございます。 ○吉田補佐 ありがとうございました。  それでは、59ページの方に移動してください。以降、事務局の方から説明いたします。  まず、59ページ、リスクの試算でございますが、これは、後述するモンテカルロ法によるシ ミュレーションは、国立医薬品食品衛生研究所の松田食品部長に協力をいただきました。今、 一部、谷村委員の方からも御説明がございましたが、今回の試算におきまして、まず、 Mouthing行動調査については、2002年のときに行われた内容に更に10例追加した事例を加味し た形でもう一度再解析をしております。その際に、ここでの評価でございますけれども、総合 的なリスク評価ではないということ、また、リスク管理の観点からは、その物質を使用する、 しないの判断をすることであって、移行量の制限値を設定するためではないことから、今回は 動物試験における無毒性量を評価して、ヒトでの推定曝露量と比較し、安全域(Margin Of Safety、MOS)の広さについて状況判断することといたしました。  その際の安全域の広さの目安でございますが、それに伴う不確実性としまして、まず、種差 について×10、個体差について×10を考慮することを基本にいたしましたが、物質によっては、 更に動物試験の最小毒性量を低用量側に外挿する場合、また、動物試験の結果に対して、ヒト への生殖・発生への影響を評価するにはデータが不十分との見解がある場合、また、無毒性量 が求められた動物試験の曝露期間が慢性毒性などを評価するために十分に長期間ではないため に、より長い曝露期間に外挿する場合、こういう場合の不確実性を加味しております。  まず、フタル酸エステルを含有した場合のおもちゃについての試算でございます。今、御説 明がございましたように、Mouthingによる曝露は、乳幼児に特有かつ主要な曝露経路であるた め、リスク試算の中心となります。  まず、2002年の報告ではどのような報告がされているかといいますと、乳幼児40例の Mouthingの行動調査と成人ボランティア25例によるDNIP含有の試験片のChewingの結果から、 次のように結論がされております。まず、Mouthing時間が長くなる傾向のあるおしゃぶりとい ったおもちゃがDEHP含有ポリ塩化ビニル製だった場合には、DEHPのTDIの下限値を 超える曝露が生じる可能性がある。DINPについては、おしゃぶりに使用されたとしてもT DIを超える曝露はまず生じないと考えられるが、極端な条件を想定するとTDIを超える曝 露が生じる可能性は否定できない。また、通常はおもちゃ以外のものもしゃぶる行動を取る乳 幼児が、おもちゃばかりをしゃぶると仮定した場合には、そのおもちゃがDEHP含有のポリ 塩化ビニル製であれば、TDIの下限値を超える曝露が生じる可能性があるということでござ いました。  また、これらの結論には次のような仮定が伴っております。まず、曝露評価の対象となった 6−10カ月児の平均体重、これは8.37kgを採用しております。また、おもちゃは便宜的にすべ てポリ塩化ビニル製とみなしました。なお、当時の報告では、日本で製造されたおしゃぶり、 歯がためにはポリ塩化ビニルは用いられていないということでございました。また、DEHP かDINPのどちらか一方のみがすべてのおもちゃに含まれるとして、その含量はChewing試験 の条件となる39%とみなしました。また、おもちゃからのDEHPとDINPの溶出挙動は同 じとみなしました。また、成人のChewingと乳幼児のMouthingによるおもちゃからのDINPの 溶出挙動は同じとみなしております。そして、乳幼児が口腔中に含むおもちゃの表面積は10cm2、 こういう仮定に基づいて試算をしたところでございます。  今回は、新たにMouthingの10例を追加した計50例について、唾液中の溶出量につきましては、 前回報告と同様の理由で、成人ボランティア25例のデータを使いまして曝露シナリオを解析し ております。その際、DEHPとDINP以外のフタル酸エステル4物質を加えた6物質につ いては、上記と同様の仮定を当てはめました。まず、平均体重では、直近のデータということ で8.36kgというものを採用しております。また、Mouthing対象はおもちゃのみと仮定して、ま た、おもちゃは便宜的にポリ塩化ビニル製とみなしております。対象フタル酸エステルの任意 の1種のみがすべてのおもちゃに含まれるとして、その含量は39%とみなしています。また、 おもちゃからの各フタル酸エステルの溶出挙動は同じとみなしております。同じように、成人 のChewingと乳幼児のMouthingによるおもちゃからの各フタル酸エステルの溶出挙動は同じとみ なすこと。また、同様に、乳幼児が口腔中に含む表面積は10cm2としております。  まず、60ページの(1)、最悪の曝露シナリオによるリスク試算でございます。  この場合、推定された曝露量は総Mouthingで0.169mg/kg体重/日、おしゃぶりを除いた総 Mouthingで0.0742mg/kg体重/日と試算されております。  各物質の毒性指標は、生殖発生毒性を中心に、またDINPとDIDPとDNOPについて は、生殖発生毒性についての評価が十分でないという見解もございますので、一般毒性も指標 として考慮いたしました。  各物質の無毒性量と推定曝露量との比、安全域でございますが、また安全域の広さの目安は、 次のページの表のとおりでございます。表が2つございまして、まず、最初の表は、各物質ご との毒性のカテゴリーごとの無毒性量もしくは最小毒性量を示したもので、右の方に具体的に 動物試験で見られる特徴の有無に関して○を示しております。  また、その下の表ですけれども、これが、まず、生殖発生毒性に関する無毒性量を用いて、 最大曝露量との比較で安全域を計算したものでございます。その表の脚注のところにございま すけれども、MOS(安全域)の数値が2段に分かれておりまして、上段は総Mouthingの場合、 下の段の方はおしゃぶりを除く総Mouthingの場合という数値に該当いたします。また、種差に ついては、それぞれ×10、これは各物質共通、また、個体差について×10、各物質共通。また、 最小毒性量を低用量側に外挿する場合には×10、また、ヒト生殖発生への影響を評価するには データが不十分との見解がある場合には、最大×10というものを考慮して、それぞれ100もしく は100から1,000という、最小限に目安を見積もった場合と最大限に目安を見積もった場合、両 方について比較できるようにしております。  また、その次の表は、DINPとDIDPとDNOPに関して、一般毒性に関する無毒性量 をもとにして試算をした表でございます。種差と個体差に関する係数は同じでございますけれ ども、より長い曝露期間の条件に外挿する場合の条件として、この場合には90日から2年間と いう固定した条件でございますので、最大で×3という数値を適用しております。  この結果、どういうことが言えるかといいますと、60ページの一番下の段落の部分でござい ます。まず、(1)です。各フタル酸エステルの安全域の目安を最小限に見積もった場合、DEH PとDBPについては、安全域の目安を割り込む曝露が起こり得ることが予想されることにな ります。また、DINPとDIDPについては、総Mouthingの場合は安全域の目安を割り込む 曝露が起こり得ますが、おしゃぶりを除いたMouthingの場合には、安全域の目安を割り込む曝 露は起きにくいことが予想されます。次に、各フタル酸エステルの安全域の目安を最大限考慮 した場合ですけれども、今の予測にくわえまして、更にBBPとDIDPについては安全域の 目安を割り込む曝露が起こり得ることが予想されます。また、DINPとDNOPについては、 おしゃぶりを除いた場合には安全域の目安を割り込む曝露は生じにくいことが予想されます。  次にモンテカルロ法による推定曝露分布によるリスク試算、62ページの(2)でございます。  モンテカルロ法で推定曝露量分布を求めてリスク試算をしております。先ほどの最悪シナリ オの場合と同じデータセットと仮定を用いまして、推定曝露量の95パーセンタイル値と50パー センタイル値を求めて試算いたしました。その際、総Mouthing時間、またはおしゃぶりを除く 総Mouthing時間と成人のChewingによる唾液中の溶出量データの連続分布を適合させ、その分布 からそれぞれ無作為に値を抽出し、その積を2万回求めた結果から得た曝露量分布のパーセン タイル値、これを求めました。これが次の63ページの上に書いてあります表のとおりでござい ます。  また、乳幼児のMouthing時間と成人のChewingを利用してのデータ分布に関しましては、デー タ分布が最も適合する分布を用いております。乳幼児のMouthing時間につきましては、総 Mouthing時間については最大極値分布を、おしゃぶりを除く総Mouthing時間に関しては正規分 布を、また溶出量についてはガンマ分布を適用しております。  先ほどの最悪シナリオの場合と同様に、推定曝露量のこの95パーセンタイル値と50パーセン タイル値と各物質の安全域を求めて比較できるようにしたのが、その下の63ページから64ペー ジにかけた表でございます。最初の表は、同じように生殖発生毒性に関する無毒性量を指標と した場合、その次の表は、一般毒性に関する無毒性量を指標とした場合でございます。  今回、表の方はアとイと2つに分かれておりまして、アの方が95パーセンタイル値を使った 場合の安全域、イの方が50パーセンタイル値を使った場合の安全域でございます。安全域の目 安を求める不確実性の考え方は先ほどと同じです。  これについてどういうことが言えるかといいますと、まず、95パーセンタイル値で見た場合 には、各フタル酸エステルの安全域というものを最小限に見積もった場合には、DBPの場合 はいずれの場合でも、またDEHPの場合には、総Mouthingの場合に、それぞれ目安を割り込 む曝露が推定されます。次に、各フタル酸エステルの安全域の目安を最大限に見積もった場合 には、それに加えましてBBPとDIDPが総Mouthingの場合に安全域の目安を割り込む曝露 が推定されます。  これに対して、中央値である50パーセンタイル値を見た場合には、DBPの安全域の目安を 最大限考慮した場合を除いては、平均的な乳幼児では、Mouthingによって安全域の目安を割り 込むような曝露は起きにくいということが推定されます。  続きまして、64ページの(3)でございます。リスク試算に用いる曝露シナリオでございま す。  このセクションにつきましては、各委員に暫定配付版で配付したものの記述に修正をかけて おりますので、少し内容が異なっておりますので、全部読ませていただきます。  (1)、(2)の結果から、次のことが言えます。  まず、Aとしまして、平均的な乳幼児を想定した場合には、DBPが使用されたおもちゃや おしゃぶりのMouthingによって健康上問題となる曝露が起こる可能性を否定できない。  B、極端な条件を想定した場合には、上記に加えて、(1)DEHPが使用されたおもちゃやお しゃぶりのMouthingによって健康上問題となる曝露が起こる可能性を否定できない。(2)としま して、BBP、DIDPが使用されたおしゃぶりのMouthingによって、健康上問題となる曝露 が起こる可能性を否定できない。  65ページですが、Cとしまして、極端な条件の中でも最悪シナリオを想定した場合には、こ れらに加えまして、(1)BBPとDIDPが使用されたおもちゃのMouthingによって健康上問題 となる曝露が起こる可能性を否定できない。(2)として、DINP、DNOPが使用されたおし ゃぶりのMouthingによって健康上問題となる曝露が起こる可能性を否定できないということに なります。  先ほどの曝露の状況でも説明されたとおり、どの子どもも発達中のある時期に長時間 Mouthingする期間を経ることが明らかにされております。また、成人ボランティアのDINP 含有ポリ塩化ビニル製試験片のChewingによる唾液中溶出実験では、試験片の性状による差や試 験片の動かし方等による個人差が大きいことが報告されております。更に、フタル酸エステル の種類による溶出挙動がDINPと同じであるかどうかは実験的には確認されておりません。 また、成人唾液中の溶出実験からはChewingでは歯を使わないSuckingよりも溶出量が多くなる ことが知られており、実際の乳幼児のMouthing行動では、主に歯形が残ったり削られたりする 場合もあることから、少なくとも成人のChewingによる唾液中の溶出量は、最大値を含め乳幼児 のMouthingの実態を反映していると考えなければいけません。  更に、乳幼児特有の代謝能や母体経由の曝露、また粉ミルクによる曝露、身の回りの日常品 のMouthing、その他環境からの曝露による追加リスクの可能性も指摘されております。  一方、疫学研究でもいまだ十分なデータが得られていないとはいえ、DEHPやDBPへの 曝露と精子や生殖器発達への影響を指定する報告があることも考慮に入れる必要があります。  乳幼児の全曝露のうち最も寄与が大きいとされるMouthing行動による曝露については、その 主な曝露源であるおもちゃ等を管理すれば全体としてのリスクの低減は明らかであります。お もちゃ等のMouthing行動による曝露について、モンテカルロ法による試算では、平均的な乳幼 児について統計学的に推計し得る曝露分布状況が得られます。同時に、現実にそれが起こり得 る場合には、曝露時間と溶出条件のどちらからもより安全側に立って、最も影響が大きい最悪 曝露シナリオまでも考慮してリスク管理を検討することが妥当と判断いたしました。  次に、フタル酸エステルを含有する器具及び容器包装についでございます。  平成14年の報告では、塩ビ製の器具・容器包装から食品へのDEHPの移行に関して、食材 をつかむ実験と、あとDEHPが使用されたホース及びフィルムのn−ヘプタンの溶出試験の 結果から、次のような結論がされております。油分を含む食品にDEHPを含有するポリ塩化 ビニル製製品が接触する場合には、DEHPは食品に容易に移行して、接触時間が長いと移行 量も多くなる。DEHP含量が13%程度のポリ塩化ビニル製製品であっても、n−ヘプタンに よる溶出試験によって溶出が確認されたことから、DEHPを含有する塩ビ製の器具・容器包 装を油性食品に使用することは適当とは考えがたい。この(2)の部分については、DEHPを約 12〜13%含むフィルムのヘプタン溶出試験で13〜24μg/cm2のDEHPが溶出して、これが体重 50kgのヒトの一日当たりの食事量を1kgと仮定した場合の食品からのDEHP摂取量がTDI に達することを示唆するというデータでございました。  したがって、これと比較するということで、リスクの試算では、DEHPと同程度の脂溶性 を有する他のフタル酸エステルがDEHPの代替物質として器具または容器包装に使用された 場合を想定して、また、各フタル酸エステルの溶出挙動はDEHPと同じと仮定して、また、 同様にヒト一日当たりの食事量も1kgと仮定して、このDEHPを使った溶出試験の結果を別 のフタル酸エステルに当てはめて比較を行いました。  その比較したものがこの表でございます。この表に関しましては、生殖発生毒性のNOAE L、また一般毒性のNOAELとの比較を行いまして、少なくともDBPについてはDEHP よりも容易に無毒性量に達することがわかるかと思います。  67ページには、成人ボランティアのChewingの溶出実験データの分布とMouthing時間のデータ の分布、また体重のデータを示してございます。  リスクの試算の項目は以上です。  次に、68ページでございます。検討課題というセクションに入らせていただきます。  まず、フタル酸エステルの使用規制でございますけれども、子ども、特に乳幼児の健康を高 水準で保護するという視点から対応策を検討いたしますが、現時点で食品衛生法の範疇で取り 扱いを検討できる範囲は次の通りということでまとめました。  まず、規制おもちゃ等の範囲でございます。  まず、現状としまして、EUと米国の規制では、範囲がおもちゃ及び育児用品、おもちゃに ついては12歳〜13歳未満向けのものまで、育児用品に関しては、睡眠、哺乳・哺食、吸綴、? む行為などを助けるものが該当いたします。日本の食品衛生法における規制品の範囲は、乳幼 児が接触することによってその健康を損なうおそれのあるおもちゃと、油脂または脂肪性食品 を含有する食品に接触する器具または容器包装でございます。指定おもちゃというのは乳幼児 向けであり、また育児用品のうち歯がためとおしゃぶりについては、指定おもちゃのうち、口 に接触することをその本質とするおもちゃと解されております。  日本の現状の規制のままでは、EUと米国では規制されるが国内では規制されない、そうい う物品が輸入されて流通する結果、乳幼児がこれらの物品と接することによって、フタル酸エ ステルの曝露が増加することで健康への悪影響のリスクが高まる可能性というものが否定でき ないという前提で考えております。  対応案でございます。  これまで説明いたしました毒性の評価から見て、まず、規制によって優先的にリスクを管理 すべき対象は、乳幼児の曝露と成人女性の曝露でございます。乳幼児の場合には、身の回りの 手の届くものは何でも区別なく口に入れますけれども、生活用品の大部分は未規制品であって、 少なくとも乳幼児向けのものについては不要な曝露がないように規制を徹底すべきということ であります。現行の規制では、フタル酸エステルの主な曝露源として、乳幼児については指定 おもちゃ及び油性食品と接する器具・容器包装を規制することで、また成人女性については、 この油性食品と接する器具・容器包装を規制することで、それぞれリスクを封じ込めていると 考えられます。  まず、曝露リスクの大きさからですけれども、口に接触することをその本質とするものから の曝露を確実に規制することが重要であります。歯がため、おしゃぶり以外の育児用品で口に 接触することをその本質とするものに準じて扱えるものの中には、例えば乳幼児の哺乳・哺食 に使用する器具がございます。油性食品に接触する器具・容器包装については、既にDEHP の原則使用禁止が講じられておりますけれども、もっぱら乳幼児の哺乳・哺食に使用する器具 についても、フタル酸エステルの使用を禁止することが必要かと考えます。  乳幼児向け以外のおもちゃについては、例えば兄弟や友人を通じて、乳幼児が手にして口に 接触する場合もあるし、また、育児用品については、子どもが使用する際におもちゃと同じよ うな接触をする場合があることが普通と考えます。口に接触することをその本質とするもの以 外のおもちゃ、育児用品でも、短時間でも乳幼児が故意に口にしてしまうような物品やそうい う部位を有する物品については、乳幼児が繰り返し口にする可能性も踏まえ、公衆衛生上の観 点から、フタル酸エステルのような物質は使用しないことが望ましいと考えます。少なくとも、 乳幼児が接触することによってその健康を損なうおそれのあるおもちゃ(指定おもちゃ)につ いては、そのような取り扱いを徹底し、また、指定おもちゃ以外の物品については、事業者に 対して指定おもちゃに準じて扱うよう要請、指導が必要であると考えております。  次に、規制品の材質の範囲です。  現状でございますけれども、まず、EUでは、規制品中の可塑化された材料へのフタル酸エ ステルの使用を禁止していると解され、また、米国ではフタル酸エステルを含んだ規制品の禁 止、つまり規制品の製造原料及び工程へのフタル酸エステルの使用を禁止していると解されま す。すなわち材質の規定がございません。一方、日本の食品衛生法における規制では、フタル 酸エステルを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いることを禁 止しております。EUの規制におきましても、暫定規制時は規制品の材質をポリ塩化ビニル製 に限定しておりましたが、恒久規制に移行する際には、材質については可塑化されたもの全般 に拡大されております。  対応案でございますけれども、ポリ塩化ビニル以外の原材料や、原材料から最終製品までの 製造工程へのフタル酸エステルの使用実態は不明でございますけれども、EUや米国と同様の 観点、すなわちフタル酸エステルの故意の使用を禁止するという観点から、フタル酸エステル 規制品の材質については限定しないということにしたいと思います。  また、規制品にフタル酸エステルが故意に使用されることを禁止するという観点からは、フ タル酸エステルを含有する原材料の使用を禁止、また最終製品の製造工程全体へのフタル酸エ ステルの使用を禁止することを原則とすることが必要でございます。その場合には、別途、試 験・検査上の取り扱いについて検討する必要もございます。  次に、3番目としまして、禁止物質の種類とリスクの程度と規制品の範囲の関係について、 70ページをお願いいたします。  先ほども経緯のところで説明しておりますけれども、EUの規制では、DEHP、DBP、 BBPの3物質とDINPとDIDPとDNOPの3物質に関して、前者に関しては生殖発生 毒性のある物質として、後者に関しては前者よりもリスクが低い一般毒性のある物質、または 毒性データが不足している物質として区別して、後者の規制品の範囲は、おもちゃ及び育児用 品であって口に入る物品に限定して、前者の規制の範囲と差がつけられております。日本の規 制では、おもちゃへのDEHPとDINPの使用が禁止される範囲にはやはり差があって、D INPの使用禁止は、口に接触することをその本質とするものに限定されております。  対応案です。  まず、DBPの取り扱いでございますが、人に対する毒性は、DEHPと同様に、精巣への 影響、胎児への影響が見られ、仮に、DEHPまたはDINPの代替物としてDBPが汎用さ れた場合には、ヒトに対する安全域の目安を最低限に見積もってもそれを割る曝露が起きる可 能性があることから、代替品として使用されないよう、DEHPと同じ取り扱いとしたいと考 えます。  次に、BBPの扱いでございます。これは、体内活性代謝物のモノブチルフタレートがDB Pの活性代謝物と同じでございます。BBPとモノブチルフタレートのヒトに対する毒性は、 DEHPやDBPと同様に、動物試験で精巣への影響と胎児への影響が見られております。し たがって、BBPが代替物として汎用された場合には、ヒトに対する安全域の目安を最大限見 積もるとそれを割る曝露が起きる可能性があります。ただ、先ほどのリスク試算では、ヒトに 対する安全域の目安を最小限に見積もるとそれを割る曝露が起きる可能性は低いことがわかり ます。したがいまして、BBPについては、このDEHPやDBPを超えるリスクがあるとは 考えにくいけれども、体内活性代謝物のモノブチルフタレートがDBPのそれと同じであるこ とも考慮して、予防的側面からこれらの物質と同じ扱いにしたいと考えます。  次に、DIDPの扱いです。DIDPの毒性に関しては、動物試験で胎児への影響が見られ、 しかし、精巣への影響は報告されておりません。これが代替物として汎用された場合には、ヒ トに対する安全域の目安を最大限に見積もると、それを割る曝露が起きる可能性があります。 また、一般毒性の面からは、DINPと同様に、ヒトに対する安全域の目安を最小限に見積も ってもそれを割る曝露がおしゃぶりのMouthingのような場合には起きる可能性があります。D IDPにつきましては、DINPを超えるリスクがある可能性も残りますが、化学構造や物理 化学的特性がDINPと近く、また毒性が類似することを考慮して、DINPと同じ取り扱い にしたいと考えます。  次に、DNOPの扱いです。DNOPの毒性は、DINPと同様に、動物試験では、用量は 高いものの胎児への影響が見られております。しかし、精巣への影響については、in vitro試 験で、他のフタル酸エステルよりは作用が弱いものの同様の作用があることが示唆されてはお りますが、動物試験による影響は報告されておりません。代替物としてDNOPが汎用された 場合には、ヒトに対する安全域の目安を最大限に見積もるとそれを割る曝露がおしゃぶりの Mouthingのような場合には起きる可能性がございますが、安全域を最小限に見積もった場合に はそれを割る曝露が起きる可能性は低いと考えられます。DNOPについては、DINPを超 えるリスクがあるとは考えにくいですが、DINPと毒性が類似することを考慮して、予防的 側面からDINPと同じ扱いにしたいと考えます。  次に、子どもの口に入るものの範囲の考え方でございます。日本でDINPの使用を禁止し た範囲とEUでフタル酸エステル6物質の使用を暫定的に1999年に禁止した範囲は、それぞれ 「口に接触することをその本質とするもの」、「口に入れることが意図されたもの」、英語で 言うと「intended to be placed in the mouth」となりますが、両者はほぼ同義でございまし た。しかし、EUではその後、口に入れることが意図された物品でなくても、特に乳幼児の場 合には区別なく何でも口に入れることから、子どもが口に入れるものからの曝露は、避けられ るものはできる限り削減すべきであるとの考え方に立って、恒久規制に移行した際には、「口 に入るもの(can be placed in the mouth)」とそれ以外という仕切り方に変更されまして、口 に入るものの範囲が拡大されております。米国の規制もEUと同じ仕切り方になっています。  この「口に入る」ことのEU、米国での解釈でございますが、物品やその一部が実際に子ど もの口に入って、その状態が保たれることで、吸ったり?んだりできる場合を指します。その 物体をなめることができるだけでは口に入るとはみなされないという解釈が出ております。そ の目安ですけれども、物品またはその一部の1片が5cm未満であれば、子どもの口に入るとみ なされます。また、加えて物品の形状、例えば分離する部分があったり、突き出ている部分の 存在がある場合、また、圧縮や変形に対する抵抗性も考慮するとされております。また、子ど もが手に取り上げることができなくても、部分的に口に入れることができるものも規制の対象 となっております。  日本では、おしゃぶりとそれ以外のものとでは、乳幼児のMouthing行動に差があることが Mouthing時間などに反映されていることが実態調査によって明らかにされております。現在の 「口に接触することをその本質とするもの」と「それ以外のもの(接触により健康を損なうお それのあるもの)」という仕切り方は、その知見と合致しております。  しかし、上記の調査でも固体差が大きく、おしゃぶりとそれ以外のものとでMouthing時間に 差がない事例も存在いたします。  食品衛生法における指定おもちゃですが、乳幼児の接触によって健康を損なうおそれがある もの、これを「口に接触することをその本質とするもの」と「それ以外のもの」に分ける場合、 後者は、多かれ少なかれ、短時間でも乳幼児が故意に口にしてしまうような、あるいはそうい う部位を有する物品であって、たとえその行為がなめるだけであっても、乳幼児が繰り返し口 にする可能性があるものと考えた方がよいと考えます。よって、日本の指定おもちゃによる曝 露リスクは、EU及び米国の規制における仕切りで言う「子どもの口に入る(can be placed in the mouth)もの」の曝露リスクと同様とみなした方がよいと考えるところです。  日本の現在の規制とその改正の考え方、及びEUと別個の規制を図式化すると、72ページの 半分から下の図のようになります。日本の現在のフタル酸エステル規制におけるおもちゃの範 囲は図のA+Bに相当いたしますが、EU・米国のフタル酸エステルの規制におけるおもちゃ の範囲は図のA+B+Cに相当いたします。日本の規制ではA部分とB部分とで規制対象とな るフタル酸エステルを区別しているのに対して、EUと米国ではA+B部分とC部分で規制対 象となるフタル酸エステルを区別しております。A+B部分は、日本では、「乳幼児の接触に より健康を損なうおそれのあるおもちゃ」、EU・米国では、「子ども向けおもちゃのうち、 子どもの口に入るもの」でございます。日本のA+Bの部分とEU・米国のA+B部分はおお むね同じ範囲と考えられるので、規制の国際整合性から、日本の改正案にあるとおり、A+B 部分全体について6物質を規制することによって、少なくともおもちゃのうち子どもの口に入 るもの、すなわち、おもちゃのうちある一定以上のリスクのあるものについては、日本とE U・米国との間で同じ規制がかかるようにした方がよいと考えました。なお、日本の規制がE U・米国よりも厳しくなるような事例、例えば、乳幼児がなめることができても口に入れて吸 ったり?んだりできないようなケースには配慮も必要でございます。  73ページをお願いいたします。哺乳・哺食用器具の取り扱いです。その下の真ん中にありま す表と併せて見ていただければと思います。  EUと米国で育児用品としてフタル酸エステルの使用規制の対象となる範囲のうち、国内で は吸綴用の器具については、既に指定おもちゃとしての規制がかかっております。哺乳・哺食 用器具につきましても、おしゃぶりや歯がためと同様に、乳幼児が直接口にすることを意図し たものでありますから、フタル酸エステルの使用規制は指定おもちゃの場合と同じ扱いにした 方がよいと考えます。これによって、少なくとも吸綴や哺乳・哺食用の器具については、日本 とEU、米国との間で同じ規制がかかることになります。なお、それ以外の睡眠や娯楽、衛生 に関する育児用品、また哺乳・哺食容器以外の器具・容器包装につきましては、もととなる規 制が日本とEUと米国とで整合がとれておらず、規制を増やすことによって不整合が拡大する 可能性があること、また、今年度から開始した食品用器具・容器包装規格基準の国際整合化の 検討においてフタル酸エステルの取り扱いも検討することになるため、今回は見直しの対象外 としております。  次に、4番目でございます。このDEHPを含む6物質以外のフタル酸エステルと非フタル 酸系代替物質の取り扱いでございます。  EUと米国では規制法が成立したときに、使用を禁止した6物質以外の可塑剤についても、 その後、順次評価を行って、必要な場合には規制の見直しを行うと規定されております。日本 では、DEHPとDINPについておもちゃ等への使用を禁止した以降、それらの代替物質に 関して特段の措置は取られておりません。  対応案でございますが、代替物質には、このフタル酸エステルのエステル結合を中心にして アルコール部分を代替したものとカルボン酸部分を代替したものとが知られております。これ らの代替物質については、海外の動向や使用状況も見ながら、今後順次、物質ごとの評価を行 って、必要な規制の見直しを行うことにしたいと思います。  また、フタル酸エステル(ジエステル体)でございますけれども、体内に入る際にはモノエ ステル体に代謝されて毒性を発現することがわかっております。よって、上記の6物質以外の フタル酸エステルでも、代謝されて生成するモノエステル体が上記の6物質のいずれかから生 成するモノエステル体と同じ場合には、程度の差こそあれ、その6物質のいずれかと同様の毒 性を発現することが予想されます。  したがって、少なくとも将来的には、規制対象フタル酸エステルと共通エステル部を持つ規 制外フタル酸エステルの使用の規制の検討も必要ではないかと考えております。  次に、非意図的な混入の許容限度と物質群の取り扱いでございます。  日本とEUと米国それぞれにおきまして、フタル酸エステルの規制は使用禁止と解されてお りますけれども、それを表現する規制品中の濃度としては0.1%以下であれば許容しております。 EUでは、規制フタル酸エステルが規制品から検出されても、0.1%までは健康に悪影響を及ぼ さない非意図的不純物として扱うとされておりまして、0.1%以下という基準値をそれぞれDE HPを含む3物質の合計量、DINPを含む3物質の合計量として扱っております。一方、米 国の規制では、6物質それぞれに対して0.1%以下という当てはめ方をしております。日本の規 制では、DEHPとDINPそれぞれについて0.1%以下を判断基準としております。  対応案でございますけれども、フタル酸エステルの毒性活性本体はモノエステル体であって、 DBPとBBPのようにモノエステル体が一部共通する場合もあります。また、フタル酸エス テルの一部は実際には異性体混合物として流通しておりますが、異なる複数のフタル酸エステ ルによる毒性の相乗・相加の可能性は明らかでないが否定はできません。よって、このEUの 方で行われているような物質群として制限を課す対応は合理的に思えます。一方、使用・不使 用の判断としては、個別物質ごとに一律の制限を課す対応も現実的であることから、どちらの 方式を採用するかについては、今後、別途検討することにしたいと考えております。  次に6番、その他でございます。  関係事業者に対し、また事業者団体を通じて、自主基準の策定や情報発信などの自主取組み の要請を行うことが必要と考えております。  また、一般消費者に対して、Q&Aを作成して、情報提供と正しい理解の普及啓発を行うこ とが必要と考えます。  器具・容器包装部分の規制の見直しに関しましては、現在の法的な枠組み上、食品安全委員 会の意見を聴いて必要な対応を取る必要もございますので、それを記載してございます。  ここで、ちょっと長くなりましたので、先ほどのリスクの試算と検討課題の部分をより理解 いただくためにまとめたものが、最初に紹介しましたパワーポイントの1枚紙でございます。 これをまずごらんください。よろしいでしょうか。  まず、上の方の四角で囲まれた図の部分ですけれども、左側が日本の現行の規制、右側の方 がEUとUSの現行の規制でございます。日本の現行規制は、食品衛生法に基づく規格基準で ございますが、指定おもちゃ(乳幼児の接触によって健康を損なうおそれのあるおもちゃ)と いうもので、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃに関しては、DEHPとD INPが使用禁止、上記以外の指定おもちゃについてはDEHPが使用禁止となっております。  これを最終的に、真ん中の四角を飛ばして、「改正案」と上に書いてある部分の四角ですけ れども、指定おもちゃ全体に対してDEHPを含む6物質の使用を禁止する。ただし、DIN PとDIDPとDNOPの使用禁止については、乳幼児の口に入らない部分を除くというふう に提案したいと思っております。  これについては、この矢印のところに※がついております。まず、※1つの部分の矢印です けれども、この左の下の部分に説明がございます。「※リスクの試算」というところでござい ますが、これは、乳幼児の健康上問題となる曝露が起きる可能性のあるフタル酸エステルの範 囲を図にしたものです。平均的な乳幼児の場合には、DBPがもし使われると問題となる曝露 が起きる可能性があります。極端な条件を想定した場合には、DBPとDEHPについてはお しゃぶりやおもちゃのMouthingの場合、またBBPやDIDPについてはおしゃぶりの Mouthingの場合にそういう可能性が出てくる。また、極端な条件の中でも最悪の曝露シナリオ を想定した場合には、DBPからDIDPの間の4物質が、おしゃぶりやおもちゃのMouthing の場合に問題となる曝露が起きる可能性があるのと、DINPとDNOPについては、おしゃ ぶりのMouthingの場合にそういう曝露が起きる可能性があるということになります。  また、毒性プロファイルを見ますと、DBPとDEHPとBBPの3物質は、動物試験で精 巣毒性を中心とする毒性が見られた生殖発生毒性物質でございまして、DIDPとDINPと DNOPに関しては、in vivoの動物試験では精巣毒性は観察されていない、一般毒性もしくは 発生毒性を呈している物質でございます。  ですから、リスクの試算から考えた場合には、まず、DBPとBBPに関してはDEHPと 同じ取り扱いにし、DIDPとDNOPに関してはDINPと同じ取り扱いにするということ になりますので、上の四角に戻っていただきまして、括弧でくくってある四角の部分でありま すけれども、まず、乳幼児の口に接触することをその本質とするおもちゃに関しては6物質、 上記以外の指定おもちゃに関しては3物質を使用禁止するという案がまずここででき上がりま す。  次に、その※2つがついた矢印でございますけれども、これに関しては、右下のところに 「国際整合化」という説明がございます。フタル酸エステルに対する乳幼児のリスク管理をE U・USレベルに引き上げということで、図でいいますと、このEUとUSの現行規制では、 そもそも日本よりも広い範囲のおもちゃ等を規制の対象としておりまして、まず、全体として 日本では乳幼児に焦点を置いているのに対して、海外では、もっと上の年長の子ども、12歳も しくは14歳という年齢までを考慮しております。その際に、リスクを考慮して、子どもの口に 入るものとそうでないものとで規制の範囲を分けているというのが欧米の規制のやり方でござ います。  また、欧米の方では育児用品に関しても同じような規制をかけておりまして、USとEUで は、一部口に入る範囲内での取り扱いが違っております。また、育児用品の範囲も違っており ますけれども、同じようにフタル酸エステルへの規制がかかっているという状況でございます。  まず、先ほど説明しましたように、日本の指定おもちゃ、すなわち乳幼児の接触によって健 康を損なうおそれのある範囲というものが、おおむねこちらのEUとUSの規制における「子 どもの口に入る」範囲と同じであろうと考えております。次に、乳幼児の哺乳・哺食用器具か らの曝露につきましては、おもちゃのMouthing曝露と同じ条件と考えられますので、これにつ いては、器具及び容器包装の規格基準の方に関しても改正をして対応することを考えておりま す。また、規制品の材質でございますけれども、今の日本の現行規制は、ポリ塩化ビニルを主 成分とする合成樹脂でございます。これに対して、EUとUSの現行規制は、アメリカの方で は規定がありません。EUの方では可塑化された部分ということで、いずれにしても材質の規 定はされておりません。これについても、主な用途はポリ塩化ビニルになるとは思いますけれ ども、いわゆる不明な用途も含めてフタル酸エステルの使用を禁止するという観点から、海外 ではこういう規定なしという取り扱いがされておりますので、この点についても規定しないと いう形、すなわち規制品の材質はポリ塩化ビニル製に限らないというやり方を提案したいと思 っております。  以上がリスクの試算と検討課題に対する対応の考え方を簡単にチャートにまとめたものです。  これを踏まえまして、76ページでございます。最後から2つ目になりますけれども、規格基 準の改正案ということで提示させていただいております。  まず、76ページの一番下の部分でございます。もっぱら乳幼児の哺乳・哺食に使用する器具 には、DEHP、DBP、BBP、DINP、DIDP、DNOP、またはこれらのフタル酸 エステルのいずれかを含有する原材料を使用してはならない。  次のページをお願いいたします。また、おもちゃですけれども、おもちゃには、同じように これら6物質、もしくはこれらのいずれかを含有する原材料を使用してはならない。ただし、 DINP、DIDP、DNOP、またはこれらのフタル酸エステルのいずれかを含有する原材 料を使用してはならないことについては、乳幼児の口に入らない部分を除くということでござ います。  また、これらの具体的な規格基準案への規定の仕方とそれに基づく試験と検査の方法、また その運用の仕方につきましては、別途検討することにしたいと思います。  続きまして、78ページをお願いいたします。最後になります。今回、特にこの部会の方にお 願いしたい部分でございますけれども、議論ということで、この検討会では、前項までの検討 結果について、おおむね合意はされたものの、事項によっては会の全員の意見が必ずしも一致 したわけではございません。ここに列記した意見に関しましては、この部会の審議の中で検討 していただくことにしたいと思います。  まず、総論としてでございますけれども、規制の国際整合化を図ることと、乳幼児の健康を 高水準で保護することを、現在の法規制の枠組みを無理なく活用した上で達成することが必要 ではないか。  次に、国民が安心するためには、使用・流通実態の有無にかかわらず、空振りの危惧はあっ ても、将来危険なものが輸入されたり流通したりしないように、またそういうことが起きても 回収措置が取れるように、規制は先行させておいて、現在の食衛法の規定で対応できる範囲は 遺漏なく対応して、それ以外の部分は自主基準と合わせ、フタル酸エステルに関する子どもの 健康保護については、規制の漏れがないこと、また海外の規制と比べても見劣りするものでは ないことを国民に説明できるようにすることが必要ではないか。  次に、おもちゃの規格基準を改正して、指定おもちゃ全体に対してフタル酸エステル6物質 の使用を禁止することについての御意見。  フタル酸エステルの使用規制に関する限り、食品衛生法における指定おもちゃの範囲は、E Uや米国の規制における「子ども向けおもちゃであって子どもの口に入るもの」の範囲とほぼ 同じと判断できるので、欧米と同じレベルで乳幼児の健康を保護するためには、指定おもちゃ 全体にフタル酸エステル6物質の使用を禁止することが必要ではないか。  また、これに対して、リスクの試算を見ても、最大のMouthing時間を用いるという曝露量を もとにしたとしても、BBP、DINP、DIDP、DNOPについては、おしゃぶりという 特殊な使用状況でやっと規制ができるかどうかであって、これらの物質を一般の玩具に使用し て安全性に問題があるとは言えないのではないか。  DINPの使用禁止が日本では現在第1項玩具(乳幼児の口に接触することをその本質とす るもの)にだけかけるというやり方は、EUの規制の仕方よりもはるかに合理的で十分に科学 的に説明できるものである。おしゃぶり以外の第1項玩具はおしゃぶりほど長時間口に入れる ことはあり得ないが、それでも口に入れやすい構造であり、ある程度の時間口に入れる可能性 はあり得る。しかし、一般の玩具を長時間口に入れたり、またはなめ続けることは不可能では ないか。  一般玩具にかなり使用されているDINPを規制して、毒性データが不明な他の可塑剤に切 り替えられる方がよほど危険なのではないか。  次に、器具・容器包装の規格基準を改正して、哺乳・哺食用器具にフタル酸エステル6物質 の使用を禁止することについての御意見。  乳幼児用の哺乳・哺食用器具については、フタル酸エステルの使用可否には関係なく、現在 の器具・容器包装の規制(規格基準)がかかるのであるから、その部分で新たに使用を禁止し ないといけない物質があれば、運用に注意して、その部分を改正するのが合理的ではないか。  これに対して、器具・容器包装の規格基準の中に何ら問題もないこれらの製品の規格を設定 すると、そこに問題があったから規格が設定されたとだれもが考えるのではないか。良心的な 事業者にとっては、そういう濡れ衣をかけられた上に、新たな試験検査を強いられることにな り、理解を得るのは難しいと思われる。  育児用品の中にはフタル酸エステルを使用しているものもあり、至急改善が図られるべきで あるし、哺乳・哺食用器具は、育児用品としての規制を検討する中で対応を考えるべきではな いか。  器具・容器包装には油脂または脂肪性食品を含む食品と接するものにはDEHPを使用して はならないという規制があるが、それとの整合性はどう説明するのか。  次に、規制品の材質を問わないことに関しての意見。  EUと同様に、規制品の規制対象部分を可塑化したものだけに限定してほしい。全く関係の ない製品がとばっちりを受けることがないようにしてほしい。  最後に、事業者との関係についての意見。  良心的な業者は安全性に問題があると理解すれば、国が規制することに協力してくれるだけ でなく、規制しない場合でも自主的に動いてくれるが、国が無意味な規制を強いれば、協力関 係を保つことは難しくなる。事業者が納得して協力してもらえるような規制であるべきという ことでございます。  長くなりましたが、報告書の説明は以上です。ありがとうございました。 ○西島部会長 大変長い報告書の御説明でしたけれども、予定よりも大分時間がたってしまっ て、残された時間15分なんですが、多分、予定の時間内ではいろいろおさまらないところがあ ると思いますが、残された時間につきまして、とりあえず皆さん、委員の方から、ただいまの 報告案につきまして意見あるいは質問等がありましたらお受けしたいと思いますが、それでよ ろしいでしょうか。  それでは、項目も幾つかございましたので、その項目ごとにまずいきたいと思います。最初、 事務局の方から経緯と各国の規制についての御報告がありましたが、まず、これについて御質 問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。河村委員どうぞ。 ○河村委員 一部加筆もしくは修正していただきたいところがありますので意見を述べさせて いただきます。  1ページ目の我が国の規制の経緯のところで玩具の使用禁止の経緯がここに書かれています が、この後ろに「また、器具・容器包装については、油脂または脂肪性食品と接触して使用さ れるポリ塩化ビニル製品に対してDEHPの使用を禁止している。玩具や器具・容器包装にお けるこれらの正式な使用禁止措置は世界に先駆けるものであった」と。これは、フタル酸エス テルの規制に関して、日本が世界で最初に正式な規制をしたという事実をきちんと書いていた だきたい。これまでのご説明でEUと若干の食い違いが出ておりますが、これはこの経緯によ るものです。世界で最初に禁止措置をするにあたって、海外から反対意見が多数あって、その 中で当時使用されていたDEHPとDINPをなんとか規制したという経緯があるので、その 点について、経緯の中で書いていただきたいと思います。  それから、その下の方の米国の部分ですけれども、「現在のEUと同様の法規制が成立し」 と書かれておりますが、以降の説明にもありましたように、全く同様ではないと私は考えてお ります。「玩具及び育児用品について、DEHP、DBP、BBPの使用禁止」は同等ですが、 口に入る製品については、「DINP、DIDP、DNOPの暫定規制を行い、今後安全性の 調査を行うとした」のであって、まだ正式な規制は行っておらず、EUとはかなり立場が違う ものであると考えます。 ○西島部会長 ありがとうございます。この2点につきまして事務局の方からお答えをお願い します。 ○吉田補佐 趣旨、理解いたしました。1点確認したいんですけれども、先ほど、世界に先駆 けた規制というものに関してと。 ○河村委員 禁止措置です。世界に先駆けた禁止措置。正式な禁止措置。 ○吉田補佐 禁止措置に関しては。正式なということですか。 ○河村委員 そうです。世界に先駆けた正式な禁止措置です。 ○吉田補佐 ちょっと誤解のないように言いますと、EUでは、暫定ではありますけれども、 強制力を持った措置として1999年から開始されておりますので、余り日本が先駆けてというの はちょっとどうかなという気はいたしております。 ○河村委員 暫定な措置というのはこれから安全性評価をするという意味で、正式な禁止措置 とはかなり違うものであると私は考えています。そういう面では、正式な禁止措置が日本で最 初に実施されたということは、非常に意味が大きいことでした。海外からこの規制に関して寄 せられたコメントには、日本が最初に正式に禁止するということに関するものがたくさん寄せ られており、EUの暫定措置とはかなり立場が違うものとして海外でもとらえられていたと考 えています。 ○吉田補佐 要は、「正式」というところを強調すればいいのではないかと思いますので、そ ういう形で修文はさせていただきます。 ○河村委員 フタル酸エステルの規制に関して厚生労働省が今までどれだけのことをしてきた かということをはっきり示しておく必要があると思いますので、是非お書き加えいただきたい と思います。 ○西島部会長 第1点目は、そのようなことが正式にということで追加するということで御検 討をお願いしたいと思います。  2点目につきましては、米国の状況について若干違うのではないかということですが、米国 は暫定的な部分があるということ。 ○吉田補佐 これも指摘のとおりで、この後、経緯のところで説明しましたとおり、DINP を含む3物質に関しては暫定規制でございます。ただ、先ほど申し上げたEUと同じように強 制力のある暫定規制でございますので、既に規制は始まっております。ですが、そこが正式か どうかというところも含めて区別ができるような修文をしたいと思っております。 ○河村委員 次に2ページ目です。  各国の規制のところで、日本の部分とEUの部分の、書きぶりに随分温度差があるのではな いか。EUに関しては安全性評価のことが非常に事細かく書かれているんですけれども、日本 については非常にあっさりと書いてあるんですが、日本でも同様以上のリスク評価を行ってお りますので、書きぶりとしては同程度の書き方をしていただきたいと思います。 ○西島部会長 その点はいかがでしょうか。 ○吉田補佐 そういう形で工夫はしたいと思います。ただ、こちらの方の趣旨をちょっと説明 いたしますと、EUの方でこれだけ詳しく書いてあるのは、いわゆる規制文書そのものの中に、 Preambleと呼ばれる前文の部分と規制部分の2つの項目があって、その、Preambleの部分にど うしてこういう規制を、どういう理由でかけたのかということが詳しく記載されておりますの で、それの抄訳をここに書いた次第です。ですから、バランス上、日本の方でも、当然ながら 2002年に報告書が出ておりますから、そういった評価が行われたということも含めてバランス が取れるような記載に修正したいと思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。 ○河村委員 よろしいでしょうか。4ページ目のところです。EUのフタル酸エステル類の規 制についてここで記載されておりますが、この中にはC8、C10の脂肪酸とエステル化したフ タル酸エステル、いわゆるDNOPとは呼ばれておりますが、この規制が抜けておりますので、 御調査いただいて記入していただきたいと思います。 ○西島部会長 その点はよろしいでしょうか。 ○吉田補佐 はい。 ○西島部会長 では、阿南委員、お願いいたします。 ○阿南委員 ちょっと質問させていただきたいんですけれども、油脂または脂肪性食品を含有 する食品に接触する器具・容器包装について規制をつくってきたということでした。ここは、 例として切り干し大根だとかコロッケだとかというような例が上がっていますが、これは、実 質的には哺乳瓶だとか哺食器具・容器には、実際そういう規制が働いていたととらえていいん ですか。 ○吉田補佐 油脂または脂肪性食品を含有する食品というものがどういうものかというのをま ず御説明しますと、食品中または食品表面の油脂含量がおおむね20%以上のもので、乾燥した 固形食品以外の食品。事例としまして、牛脂、植物油、ハム・ベーコン、牛肉、豚肉、チョコ レート、ポテトチップス、てんぷら、油揚げ、さつま揚げ、コロッケ、豚カツ、マヨネーズ、 ドレッシング、チーズ、バターなどが含まれると解されます。また、それだけではなくて、そ れらを用いた食品、例えば油脂で炒めたもの、焼いたり、揚げたり、炒めてから煮た食品、ま た脂肪性食品を材料としている食品がすべて含まれると。この具体例として、ハンバーグ、ギ ョーザ、から揚げ、肉団子、カレー、ビーフシチュー、肉じゃが、野菜炒め、きんぴらゴボウ、 油や油揚げを含む煮物、ポテトサラダ、ドーナツ、ケーキ、クッキー、かりん糖、揚げ煎餅、 こういったものが挙げられるとありますので、普通大人が使ういわゆるお皿であるとか、ある いはフォーク、スプーンという器具、そういうものであれば、こういった食品を食べる可能性 がありますから、当然この規制はかかっていると。  ただ1点、この規制に関しましてはただし書きがあって、DEHPの原則使用禁止というこ とで、これは溶出しないような工夫が施されている場合にはそれは除くということになってお りますので、その点、誤解のないようにお願いいたします。 ○阿南委員 そうすると、哺乳瓶にはもう排除されたととらえていいのですね。例えば、幼児 がジュースを入れて飲む、そういう容器もありますけれども、そういうものにはもう原則排除 されたということですね。 ○吉田補佐 ですから、「油脂または脂肪性食品」という形に該当すれば、そういうことにな ると思います。 ○河村委員 よろしいでしょうか。補足させていただきたいと思います。  乳製品、ベビーミルクですけれども、これは20%以上の脂肪を含有しておりますので当然対 象となりますし、ベビーフードの中でも、お肉が入っているとか、油が若干使われているとか、 そういった食品はすべて対象になります。  なぜ、油が全然入っていないものについて対象にしなかったかというと、フタル酸エステル は非常に脂溶性が高い物質で、若干でも油が入っていると極めて溶出しやすいのですが、そう でないものに関しては全く溶出が見られないので、溶出される可能性があるものだけを対象に しております。哺乳用であっても、哺食用であっても、若干でも油と接する、そういう油を含 んだ食品と接する可能性のあるものはすべて規制対象になっています。ですので、例えばスー プ類を飲む可能性もあるのでしたら、当然対象になっています。 ○西島部会長 それでよろしいでしょうか。 ○阿南委員 ジュースなどを飲ませる容器で、お母さんたちは、いろいろ入れて飲ませている んですね。なので、規制がきちんとしていたのかなと思ったのです。油脂分が入れないという ことでつくられた容器であっても、実際に家庭ではそういうものが入れられて使われていると いう実態があるのかなと思ったものですから質問しました。ありがとうございました。 ○西島部会長 その辺はどうなんでしょうか。実際に母親がそういったことを十分考慮して使 わない可能性もあるということですね。 ○阿南委員 そうです ○河村委員 これは私がお答えすることではなく、厚生労働省の方からお答えしていただくこ とだと思うんですけれども、実際、そうい哺乳とか哺食に使われる器具で、果汁にしか使用し ないでくださいと書かれていなければ、製造するメーカーは、ジュース以外のものを飲ませる 可能性があるということを十分考慮してつくられていると思います。 ○西島部会長 それでは、河村委員、続けて。 ○河村委員 7ページですけれども、7ページに米国の規制が書かれておりまして、DBPや DINPについての規制状況が書かれているんですが、DIDPもしくはDNOPについても 記載をしていただきたいと思います。 ○西島部会長 それは7ページのどの辺ですか。 ○河村委員 7ページの右側の最後の段落でDBP、DINPについての規制状況が記載され ていますが、今回問題となっている6種のフタル酸のうちのDIDP及びDNOPについて書 かれていません。そのあたりについてもお調べいただきたいと思います。 ○吉田補佐 事務局で調べた限り、ピックアップできたのがここに示した物質ですので、再度 見直しはいたします。必要があれば追加いたします。 ○西島部会長 そのほか、経緯と各国の規制につきまして、御質問、御意見ございますか。  非常に細かなことなんですけれども、2ページ目の一番最初のところに法律の「72条」と書 いてありますけれども、これは「78条」ではなかったですか。たしか、参考資料の1−2には 78条と書いてあって。私、確認したんですけれども、多分78条だと思いますが。 ○吉田補佐 御指摘のとおりです。 ○西島部会長 そうですね。  そのほか、経緯につきましてはよろしいでしょうか。  それでは、時間も押していますので、トキシコキネティクスと毒性につきまして、この部分 について御質問、御意見ございましたらお願いいたします。 ○河村委員 済みません、1カ所だけちょっと加筆していただきたいのですが、33ページのま とめのところの、1段落目の最後の部分、「しかしが、高用量曝露では、ほとんどのフタル酸 エステルで催奇形性の誘発や、発育遅延などの発生異常を示すことが示されている」と。ここ の部分を広瀬先生が御説明されるときにも言葉として添えておられましたけれども、この催奇 形性の誘発とか発育遅延は、恐らく親がフタル酸エステルによってダメージを受けたことによ って誘発されたと推測されるものがほとんどではなかったかと思います。ですので、「親のダ メージによると推測される」もしくは、フタル酸エステルが直接的に胎児に影響を与えたとは 言えないと思いますので、その辺の言葉を添えていただきたいと思います。 ○西島部会長 この点については。 ○広瀬委員 確かにそういう補足はいたしました。ただ、それについて必ずしも親の影響でな いということは断定できることではないので、もう少し説明を加えて、特にDNOPとかDI DPは高用量の実験しかないので、低用量で調べた試験、研究そのものがないので、不確かな 部分があるので断定できないところがありますけれども、その部分は考慮した書き方に修正し たいと思います。 ○西島部会長 そのほか、この部分につきましてよろしいでしょうか。  それでは次に、曝露状況につきまして御質問、御意見がありましたらお願いいたします。ど うぞ。 ○阿南委員 簡単にでいいですので教えていただきたいのですけれども、47ページの最初に曝 露の3つの経路ということで、「粉ミルク・母乳からの摂取」ということがありますが、これ は具体的にはどのように曝露するということなのでしょうか。 ○谷村参考人 粉ミルク・母乳に含まれている。 ○阿南委員 含まれているということですね。母乳に含まれているということは、母親が摂取 したものが、母乳を通じて行くということなんですか。 ○谷村参考人 はい。 ○阿南委員 わかりました。 ○河村委員 それについて補足させていただいてよろしいでしょうか。  DEHPとDBPもう環境すべてが汚染されているという状態ですので、あらゆる食品、空 気、水、すべてのものに含まれています。しかも脂溶性が高く体内で濃縮されますので、母乳 の中にフタル酸エステル類のDEHPとDBPは必ず含まれています。また、粉ミルクに関し ては、そのほかに、かつては、搾乳に用いていた器具の中にDEHPが含有されていた可能性 があり、若干高い値が出ていた時期があります。  ただ、ここの部分に関しては、谷村先生にお願いしたいのですが、ここにかかれた大部分の ものが、これはDEHPとDBPに限られたもので、それ以外のフタル酸エステルの曝露が起 こっているという報告はないと思います。できれば、DEHPとDBPについてはこういった 経路があるというふうにお書きいただいた方が正確になると思います。 ○谷村参考人 はい。表にはそのように記載いたしましたが、本文も修正いたします。 ○西島部会長 そのほか、曝露について御質問ございますか。どうぞ。 ○河村委員 たびたび申し訳ありません。48ページですけれども、中段のところで、「最長の ケースを考慮することが妥当と考えられる」とお書きになっておられます。乳幼児に関しては、 できるだけ安全性の側に立って側で評価すべきだというのは、私も本当にそのとおりだと思い ます。ただ、その3行ほど上に「どの子どもも長時間行う時期がある」と書かれている「長時 間」ということですが、これは、おしゃぶりを含むMouthing時間全体を指すのか、それを除い た、おしゃぶり以外のMouthing時間を指すのか。恐らく長時間といっても、おしゃぶり以外の Mouthing時間を超えてということはあり得ないと思いますが、おしゃぶり以外のおもちゃの最 悪のリスクを想定する場合に、おしゃぶりを含んだ総時間をとるのが適当であるのか、もしく はおしゃぶりを除いたMouthing時間をとるのが適当であるのかということについて御意見をお 聴きしたいと思います。  特にこの場でお聞きするのは、谷村先生も私も以前からこの問題にかかわっていて、おしゃ ぶりとそれ以外の玩具は全く違った行動パターンをとらせるものだということを認識している のですが、ほかの方にとっては、なぜおしゃぶりとそれ以外に分けるのかという部分について、 十分に御理解をいただいているか若干の不安があります。おしゃぶりは、子どもの自発的な意 思によるものではなく、親が口に入れ、また取り出すことも、子どもの意思では非常に難しい。 親が口に入れ、親が取り除くものなのです。それ以外のものは、子どもが自発的に口に入れて 出すという大きな違いがあるものだと私は考えてますが、いかがでしょうか。 ○谷村参考人 御指摘のとおりで、加えて、おしゃぶりは、くわえたままで動き回ることがで きるんですね。おしゃぶり以外のMouthingは、手で持ってMouthingしますのですぐに外すこと になる。それで、おしゃぶりとおしゃぶり以外の時間は全く違うと思うんですね。  ただ、おしゃぶり以外のもののMouthingというのは、子どもがまだ手をあまり動かせない段 階では、口で遊ぶという感じなんですね。それなので、何でも口に持っていったり、口と手で こうやって引っ張って切ってみたりという時期がある。そして、移動できるようになりますと、 部屋の中のものを一応全部なめて、確認して、そして、そのうちに手が使えるようになります と、手で遊ぶようになって、口には持っていかなくなる。そういう意味で、口で遊ぶ、口を非 常に長時間使う時期があるんだということで、長時間Mouthingする時期があるというふうに書 きました。  これは、6カ月から10カ月までの間での最大時間なんですけれども、そういう子どもがいる というよりは、どの子どもも、多分ある時期、非常に動き回れるようになって、手もまだ余り は動かせないような時期に一番口を使って遊んでいるということなんですね。それが終わると もうしなくなりますので。ただ、そういう時期があるということは考えないといけない。です から、最大値が日本の場合140、EUの場合は3時間ととっていますけれども、それは、極端な 子どもが1人だけそういう行動を取るというのではなくて、どの子どもも、やはりそういう時 期はあるのではないかと考えております。  それから、余り公の場では申し上げたくないんですけれども、テレビを見ながらずっと何か をなめている子どもがこのごろ出ていまして、そんなこともありますので、やはり長時間にな る可能性というのは考えなくてはいけないかなと思います。でも、日本の最大時間というのは、 EUの3時間よりは少ないんですね。そういうことで試算していただいていると思います。 ○河村委員 確認させていただきますと、これは最大時間を見積もる必要があるというのは、 おしゃぶりを除いた時間というふうに解釈させていただいてよろしいですね。 ○谷村参考人 はい。 ○土屋委員 曝露量について教えていただきたいのですが、物からの溶出というのは、先ほど の説明のように、材料からの溶出溶媒、例えば、唾液とか、それからもう一つは、メカニカル なストレスで溶出するのか。それは、?むというところと疑似させていると思います。それか ら、もう一つは、コーティング等を含め、どのような状態で材料側にDEHPが含まれている のかということも大きいと思います、恐らく口の中に入れられるものは、私の知識の範囲内で は、業者は気をつけているかもしれないけれども、普通のおもちゃの場合のDEHPには、口 に入れられることを想定していない場合には、恐らく、単に塗っているだけで、たとえメカニ カルなストレスがなくてもおもちゃからは容易に溶出してくる、あるいは高濃度にあるという ことはなかったでしょうか。そういうデータはないということですか。 ○谷村参考人 この実験をされたのは、含有量がわかっているものについて、39と58%でした ね、あらゆるものでは調べられていないですね。 ○土屋委員 そうすると実態はわかっていなということですね。 ○谷村参考人 はい。 ○河村委員 実験をした立場から意見を述べさせていただきますと、多い方は58%フタル酸エ ステルを含んでいます。これは、ポリ塩化ビニルの部分が42%でフタル酸エステルの部分が 58%ということです。ポリ塩化ビニルの場合、最大にフタル酸エステルを含有しても60%と言 われていますので、58%というのは、もう最大限含んだものと考えています。その溶出量です ので、これよりもはるかに超えて溶出するというのは、ちょっと想定できないと考えておりま す。 ○土屋委員 わかりました。  それから、もう一点、それほどもう時間はないと思うのですが、実際、私も子どもを育てた ことがあるんですが、昔は、シリコンとかそういうものでつくられたものを選んで使わせてい たような気がするんですが、そういう代替品がどの程度あるかという市場調査のようなデータ もあれば、非常に全体がわかって、このあるものだけに特化するのではなくて、そういうこと のデータも出していただけると助かるかなと思います。これが全製品のどのぐらいの割合を占 めているかですね。その社会経済性も考えるとですね。安全性第一ですから。 ○西島部会長 その辺、事務局は、現在では情報はないということですか。 ○吉田補佐 2002年に報告書が出たときには、当初行われていた研究内容の中で、具体的にお もちゃ等の調査の結果が併せて報告されております。ただ、その後のフォローとしまして、河 村先生、もし差し支えなければお話ししていただいてよろしいですか。 ○河村委員 2002年の段階で、口に入れるおしゃぶりとしては、日本ではDEHPを含むよう なものは一切なかったのですが、海外で1件か2件、ポリ塩化ビニル製でDEHPを含むもの があったということで、ヨーロッパでは非常に問題になったと聞いています。実際には、さっ きから言っているおしゃぶりというのは、乳首の形をしたおしゃぶりで、大部分がシリコン製 で、一部天然ゴムもしくはイソプレンゴムのものもあると思います。ですので、ポリ塩化ビニ ル製でフタル酸を含有しているものは、全くありません。 ○西島部会長 よろしいでしょうか。 ○土屋委員 はい。 ○西島部会長 ほかに、曝露についてはよろしいでしょうか。  それでは、続きまして、リスクの試算につきまして御質問、御意見がありましたらお願いい たします。どうぞ。 ○河村委員 63ページでモンテカルロの推定曝露量分布による試算をしていただいますが、こ の文章の1段目でDBPとかDEHPもしくはDIDP、BBPについては記載がありますが、 DINPとDNOPについては全く記載がされていません。(2)の次に(3)としてDINPとDN OPについての記載を入れていただきたいと思います。内容としては、「DINPとDNOP は曝露時間として総Mouthingでも、おしゃぶりを除いても、安全域の目安に割り込む曝露は生 じにくく、おしゃぶりを除けばDIDPも安全域の目安を割り込む曝露が生じる可能性が低い ことが予想される」ということを記載していただきたいと思います。 ○西島部会長 それは、よろしいですね。 ○吉田補佐 基本的に主なところを書いておりますけれども、全体的に割り込む場合、割り込 まない場合も含めて記載するようにいたします。 ○河村委員 1の方では記載されていますので、同じような扱いをしていただきたいと思いま す。 ○西島部会長 そのほか、評価につきまして。 ○河村委員 65ページの2番のフタル酸エステルを含有する器具及び容器包装のリスク試算の ところですけれど目的等が理解しにくいので、そのあたりをきちんと書いていただきたいとい うことが1つです。それから、66ページのところで、DEHPに対して、ヘプタンへの溶出量 を用いて曝露量評価をしておられますが、器具・容器包装からの曝露量評価を行う場合、ヘプ タンを用いた溶出量で行うことは妥当ではないということになっています。ヘプタンは実際の 油脂及び脂肪性食品よりも大過剰に溶出することが知られていますので、この数値をもってヒ トの曝露評価をすることは不適当です。ヘプタンではなく、油脂もしくは食品への移行量を使 って評価をしていただきたい。実際そういった文献はたくさん出ておりますので、探していた だければ出てくると思います。  もう一つ、食事量を1kgと仮定しておられますが、これは、2002年の評価のときにEUのリ スク評価をもとに行った計算をそのままお使いになっているんだと思います。ヨーロッパでは、 この評価法が非常にオーバーエスティメイトになるということで問題になりまして、一昨年、 特に脂溶性の高い化合物の評価を行うときには、この1kgを用いるのではなくて、この1kgの 中に含まれている脂肪の量が200gとみなして評価するということに決まりました。それで、こ この計算は1kgではなく200gを使って計算していただくのが適当だと思います。  それから、その下の表なのですが、溶出面積で書いてありますが、NOAELに達する溶出 面積というのが非常にわかりにくいと思いますし。普通の書き方、例えば玩具ではセーフティ マージンで出していらっしゃるので、そういった書き方をされた方がいいのではないかと思い ます。ただ、せっかく表面積で出しておられるので、ちょっとこちらの方で計算をしてみまし た。このEUのリスク評価では、1kgの食品が600cm2の合成樹脂に接触すると仮定しておりま す。それに基づいてこの表面積を計算しますと、DEHPでは14kg、BBPでは173kg、DBP では7kg、DINPでは347kg、DIDPでは140kg、DNOPでは1,215kgになります。その下 の一般毒性の方でも、DINPは52kg、DIDPは52kg、DNOPが128kgということになりま して、この食品の摂取量はDBPとDEHPを除きますとNOAELに達することはほぼ不可 能な数字だと思いますので、是非この、「その結果、少なくとも」というこの文章の後ろに、 「しかし、BBP、DINP、DIDP及びDNOPについては、NOAELに達する可能性 がほとんどないことが確認された」という文章を入れていただきたいと思います。今、この表 のデータで計算していますが、先ほどお話ししたヘプタンではなく実際の食品を使っていただ き、食品量を200gとしていただきますと、これよりもう1オーダーぐらい大きい値が出てくる だろうと思います。そうなりますと、更にその可能性は低いということになります。  以上です。 ○吉田補佐 ありがとうございました。  1点確認したいんですけれども、これは2002年と今とで考え方が変わったという理解でよろ しいのでしょうか。 ○河村委員 そうです。EUの方式では、オーバーエスティメイトするということが非常に問 題になり、2007年に、EFSA(欧州食品安全庁)が中心になって、曝露量評価手法について の検討会を開いております。そのとき私も、オブザーバーとしてその議論に参加いたしました。 その中で、EUのこれまでの曝露評価法をどう改善するべきか話し合われました。その年の暮 れに、ダイレクティブとして、ファットリダクションファクターという形で5分の1に軽減す るという法令が出されております。これは試験結果の判定法なのですが、リスク評価を行うと きにも、この概念を取り入れているとEFSAの方から聞いております。 ○吉田補佐 わかりました。そうなってくると、過去に、2002年の報告書で出されている結果 の元となった溶出試験のデータを含めて、そういうやり方に変えた形で、今おっしゃっていた だいたような数値になるような結果を示す必要が出てくると思いますので、過去の報告書のデ ータも使って、そういう形の方法で比較をし直すということでよろしいですか。ここでは過去 の方法に沿って比較をすると、DBPに関してはこういうことが言えると、その比較をするた めに使った手段ではありますけれども、海外でそういう手段が変わっているということであれ ば、その方法を採用して、そこは書き直したいと思います。 ○西島部会長 では、そのようなことで確認の方をお願いいたします。  どうぞ。 ○阿南委員 今のところですけれども、ここに来ると突然大人になってしまうので、乳幼児の ところに少し推定するなり、切り干し大根やコロッケもいいのですが、乳幼児が一般的に食べ る食事のところからデータがあった方がとてもわかりやすいと思います。ここに来ると、何か ちょっと飛んでしまうような感じがしてとてもわかりにくいのですが。 ○吉田補佐 データの部分の確認を含めて、ちょっと検討いたします。 ○山本委員 先ほどの議論にも関係するんですけれども、最悪シナリオを想定していろいろ推 定するのはよく使われているし、とても重要だと思うんですが、この中でどれだけのファクタ ーについて最悪シナリオを想定しているのか。つまり、ファクターがいっぱいあるときに、そ れぞれで極端に悪い値を用いると、実際にはあり得ないような極端なシナリオになることもあ りますので、ここのところをもうちょっと整理して、どういう場合にどういうことを用いてこ の最悪シナリオの計算をしたかという全体像が、もうちょっとわかりやすく書かれているとい いと思います。 ○西島部会長 その点はいかがでしょうか。 ○吉田補佐 実は、当初はどちらかのシナリオを選択するという形でおりましたけれども、い ろいろな方からの指摘も踏まえまして、ここでは、分布を求めることによって、平均的な乳幼 児が曝露した場合にはこうなると、その中で分布の上位にあるような極端な条件を想定した場 合にはこうなると、また、先ほど最初に説明した実際のデータからの推定によって、最悪曝露 ではこういうデータがあるということを、連続的に説明した次第といたしました。ですから、 それぞれどういう場合にということを詳しく書けるかどうかは検討したいと思います。 ○河村委員 モンテカルロの手法を平均的な乳幼児を想定した場合であると書かれていますが、 これは、モンテカルロの考え方には合致していないと思います。モンテカルロの場合は、非常 に飛び離れたものも含めて、全体の分布を見て判断するわけですから、平均化してしまってい るというものではないと思います。  特に高いものについて、今回の場合に、標準的なパターンと若干合わないのは、おしゃぶり の最大曝露時間が非常に飛びはねたところにあるので、若干この形がずれるわけです。モンテ カルロでは、それが飛びはねた値なのか、連続的なのかも含めて評価をしています。最悪シナ リオの場合は、最大値だけで計算し、それがどういうシチュエーションなのか全く考慮されま せん。そのため、現在、曝露評価を行うときには、モンテカルロ法を使うのが一般的です。  以前、評価したときにモンテカルロが使われていなかったのは、まだそれが普及し始めた頃 だったためだと思います。 ○谷村参考人 済みません、事務局の方の御説明の中でちょっと抜けてしまったのでそういう ふうに誤解になってしまったかと思いますが、報告書には河村先生がおっしゃったように書か れていると思うんですね。それで、50パーセンタイル値が平均的なという意味で事務局の方は 平均的な子どもはとおっしゃっているのですよね。 ○河村委員 いいえ、違います。谷村先生のところは全く問題がありません。リスク評価の64 ページの(3)のリスク試算に用いる曝露シナリオのところのAとして「平均的な乳幼児を想 定した場合には」と書いてある。 ○谷村参考人 これが、50パーセンタイル値だというふうに62ページの(2)のところでは説 明が書いてあったと思うんですけれども、それが抜けているので、そこを入れれば。 ○河村委員 わかりました。 ○西島部会長 ほかによろしいでしょうか。  それでは、最後の検討課題、規格基準改正案のところに移りますが、これにつきまして御意 見、御質問ございますか。 ○河村委員 検討課題には幾つか問題点があると思いますが、もう既に12時半になっておりま す。このまま続けさせていただいてよろしいでしょうか。 ○西島部会長 よろしいでしょうか。どうでしょうか。 ○吉田補佐 ほかの先生方の御都合によりますが、どうでしょうか。よろしいですか。 ○西島部会長 私は次の会議がちょっと迫っているんですけれども。先ほどの議論のところで、 いろいろ問題点の指摘も随分含まれていると思うんですが、私としては、本日はここで打ち切 らせていただいて、河村委員につきましては、この後、事務局の方に御連絡いただいてという ことにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○河村委員 結構です。 ○西島部会長 そういうことで、もう時間が30分も押してしまいまして御迷惑をおかけしてお りますが、今日の審議のことにつきまして、中間報告書案、規格基準の改正案について、今い ろいろと御質問、御意見をいただいたわけですけれども、これにつきましては、まだこの議論 のところの案件もございますので、再度、部会を開いて御審議していただくことにしたいと思 いますが、それでよろしいでしょうか。 ○河村委員 一つだけ述べさせていただきたいのですが、検討課題を書く際には、是非リスク 評価の内容をきちんと踏まえた上でお書きいただきたいと思いますので、今回、リスク評価に ついても幾つか修正していただきましたので、その点も踏まえて検討課題についても見直しを していただきたいと思います。 ○西島部会長 わかりました。事務局、それはよろしいでしょうか。 ○吉田補佐 はい。 ○西島部会長 それで、もう一つ、私の方から事務局の御意見を伺いたいんですけれども、次 回の検討の場におきまして、できましたら、参考人として事業者団体からも直接意見を聴いた 方がいいかと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。 ○基準審査課長 是非そういう形でお願いしたく思います。 ○西島部会長 先生方、よろしいでしょうか。  それでは、一応、議題として「その他」がございますが、その他については何かございます でしょうか。 ○吉田補佐 日程の調整ですけれども、開催日時等につきましては、また調整の上、皆様にお 知らせいたします。  以上です。 ○西島部会長 ありがとうございます。  それでは、大変時間が押してしまいましたけれども、本日の部会を終了したいと思います。 大変長い間、活発な御議論ありがとうございました。 照会先:厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 TEL03-23-1111(代表)4283、4284(内 線)