09/02/05 第6回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会議事録 日時 平成21年2月5日(木)17:00〜19:00 場所 中央合同庁舎第5号館6階共用第8会議室 ○事務局  ただいまから、「第6回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会」を開催したいと 思います。本日の検討会は公開で行いたいと考えていますのでよろしくお願いいたしま す。  まず、配付資料の確認からさせていただきます。配付資料としては、資料1、参考資 料が1から5まであります。「座席表」、「議事次第」、「委員名簿」、その次に資料1とな っています。参考資料1が「議事要旨」、参考資料2が「議事録」、参考資料3として1 枚の横の絵。参考資料4が「環境影響防止ガイドライン」(素案)、参考資料5として「開 催要綱」を付けています。過不足等ありましたら事務局へお知らせください。よろしい でしょうか。それでは、以後の議事進行につきまして、座長の福島先生にお願いしたい と思います。よろしくお願いします。 ○福島座長  それでは、これから私が進行を務めさせてもらいます。議題(1)「ナノマテリアルの安 全対策に関する検討会報告書案について」です。前回の骨子案についての議論を踏まえ、 検討会の結論として取りまとめる必要のある報告書案を事務局に作ってもらいました。 まず事務局より、資料1についての説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  お手元の資料1をご覧いただければと思います。1枚おめくりいただいたところに「目 次」があります。この「目次」は、前回お示しした骨子案に沿った形になっており、前 回のご指摘を踏まえた形になっています。1.が「検討の背景」、その次に2.「検討の範囲」、 3.「開発の現状及び最近の科学的知見」、4.「規制の現状」、5.「安全対策に係る課題と 今後の方向」という大きな5つの章に分かれています。今回、すべてご説明すると時間 がかかってしまいますので、5.「安全対策に係る課題と今後の方向」、こちらを中心にご 説明させていただければと考えています。  まずは1.「検討の背景」です。現在、ナノマテリアルについてさまざまな分野で開発 も進んでおり、その応用も進んでいるという状況でございます。その一方、生体影響に 関する研究が世界各地で行われているものの、未だ十分な知見が得られていないという 状況です。最近の研究において、一定の条件下でマウスに影響を与えるといったことを 示す報告もありますが、人の健康に影響を及ぼすといった報告はないという状況です。  ナノマテリアルの現在の開発、あるいは応用の状況、それとナノマテリアルに特有と される物性など踏まえ、一般消費者向けの製品に使用されているナノマテリアルの安全 対策を進めていく上での課題というものを抽出して、今後の安全対策をどういうように 進めていけばいいかということについて検討するために、この検討会を開いているとい う背景を書いています。  2.「検討の範囲」でございますが、こちらが前回少しご議論があったところです。こ の検討会においては、医薬品、化粧品等の化学物質、その化学物質を含有する製品の安 全対策を検討の対象とすること。なお書きには、「労働現場における安全対策」について は労働基準局の検討会で検討していること、廃棄後に埋立や焼却処理などによって処分 されるという場合を含めた環境中に排出されるナノマテリアル管理方策については環境 省で検討していることから検討の対象から外しているということが書いています。  これに関連する資料として、参考資料3をご覧いただければと思います。1枚でごく 簡単にイメージを示しています。現在、ナノマテリアルの安全対策について各省で検討 しており、その俯瞰図を示しています。  真ん中より下の網掛け部分、左から右に製品の流れを示しています。まずは、製造あ るいは輸入されて、太い矢印で右に行って運搬、それが販売されて消費・使用され、最 後に廃棄される。ざっと言うと、こういう流れになると思われます。また、製造、運搬、 販売それぞれから細い線が廃棄に向かって流れています。こちらの過程においても廃棄 されるものがあるということで、この細い線を付けています。それぞれの過程で環境中 へ排出されるものもありますので、薄い、太い矢印で、環境中の排出というものをイメ ージして書いています。  厚生労働省の検討範囲ですが、太い線の四角で囲っているところの「労働者」、あるい は「消費者」への直接のばく露について厚生労働省で現在検討しております。その上の 点線で囲ってある四角、廃棄の部分も点線で囲っていますが、環境中への放出の可能性 ということについて、環境省のほうで現在検討を行っています。「廃棄」の部分が2省 で重なっていますけれども、廃棄の現場において労働者の方も働かれているということ で、そちらについての労働者に対する直接のばく露については、厚生労働省でも検討し ていますので、こちらの部分が重なっています。大きく四角で囲っているところがあり ます。こちらが左から右の「事業者における取組」ということについては、経済産業省 で検討しています。大まかな図ですが、こういったことになるのかなということでまと めています。  資料1に戻ります前に環境中への放出の可能性について、参考資料4ということで環 境省における報告書の素案をお出ししています。こちらは先日検討会があり、いろいろ とご指摘がある中で最終版ではなく、内容が修正されるものでありますけれども、こち らも参考資料として付けています。  こちらについては29頁をご覧いただければと思います。前回の検討会の際、ナノマ テリアルのバックグラウンドの濃度というのは、どれぐらいあるのかということについ てご質問があったところです。なかなか、計測しているケースが希ですが、その中で(参 考5)でナノ材料を計測した事例があるということで、イギリス、ロンドン市内の事例、 あと真ん中あたりにありますが、東京都内での計測事例を紹介しています。  資料1、2頁目の2段落目に移ります。検討対象としては、100nm程度以下を目安と したナノオーダーサイズの粒子及びその凝集体、ただし自然発生物や不純物・夾雑物と いった非意図的に生成されるナノマテリアルについては、現時点では除外したと書いて います。3段落目としては、ナノマテリアル全般を対象にした情報収集をした結果、現 時点ではナノマテリアルごとの有害性も明確になっていないことが判明したことから、 個別の物質ごとの安全対策ではなくて、ナノマテリアル全般の安全対策について検討し たと書いています。  次の頁から3.「開発の現状及び最新の科学的知見」です。ナノマテリアルについての 用途・生産量を示しています。(1)のところでざっとまとめたもの、それ以降、3頁の中 間以降からそれぞれのナノマテリアルについて、平成19年度、厚生労働省から委託調 査した結果について各物質の情報を記載しています。物質ごとの説明が続いたあとに、 前回の検討会で、物質ごとの切り口ではなく、製品ごと、用途ごとの切り口が必要だと いうご指摘がありました。4頁の下の部分から、代表的な製品というものを紹介して、 例えば医薬品にどういったものが使われているのか、現状どういったものが使われてい るのかを紹介させていただいています。詳細な説明は割愛させていただきます。  7頁が全体をまとめた表になっています。横の行がナノマテリアルの物質ごと、縦の 列は製品ごとで、○が現状の用途、△が将来可能性のある用途ということで表でまとめ ています。裏の頁では、縦軸が使用量、横軸が粒子径ということで、粒子径と使用量の 関係を代表的な物質だけになっていますけれども、物質ごとにデータを示しています。 こちらについても平成19年度の委託調査の結果から引用しています。  9頁、(2)「ナノマテリアルの性状」です。化学的性質、力学的性質、電気的性質、磁 気的性質、光学的性質、それぞれについて現在判明している情報を書いています。(3) が有害性の情報、生体への影響についての情報です。先ほども申し上げましたが、未だ 十分に解明されたという状況ではないということを最初に書いています。文献検索をし た結果、in vivo、in vitroの試験の状況、あるいはマウスの腹腔内注入試験の話などを 2段落目に書いています。3段落目以降、骨子ではご説明していなかったのですが、カ ーボンブラックについての海外での疫学調査というものもありましたので、こちらで紹 介させていただいています。  11頁の6行目からになりますが、こういった文献調査をした結果、科学的な知見とい うものは収集されてはいるのですが、生体影響に関する試験法、あるいは毒性評価の基 準など、一定のものが定められておりません。文献として発表されたもの、こちらの断 片的な結果の集積に終わっていると書いています。  4.「規制の現状」です。こちらが第4回の検討会で出した資料に、その後のご指摘な ど踏まえ、いまの規制の現状というものを示している部分になります。1段落目は国内 の規制の現状の説明をしております。2段落目、こちらも前回の検討会のときに「欧米 の状況を記載すべきではないか」というご指摘がありましたので、2段落目以降、欧米 の状況について簡単にご説明させていただいています。2段落目がFDA、あるいは欧州 共同体委員会における医薬品や化粧品などについての取組です。次が、米国における有 害物質規制法についての取組状況です。13頁に移って、上から2段目のところにREACH の状況が簡単に書いてあります。  その後、厚生労働省で所管する化学物質関連法について、その概要を薬事法、食品衛 生法についてごく簡単に紹介しています。こちらについても、第4回の検討会のときに 説明させていただいていますので、大部分は省略させていただきます。16頁のいちばん 下のところに食品関係の話、以前の資料では(2)で止まっていたのですが、(1)として食品 添加物、(2)で器具・容器包装、(3)でその他、こちらが食品そのものについての記述です。 ナノに特化したものではありませんが、食品について、その食品が原因と疑われる健康 被害の届出が、住民から保健所に対してあった場合、都道府県を通じて厚生労働省に報 告される。そういう流れがあるという紹介を追加しています。  (3)として家庭用品に含まれる化学物質、あるいは一般工業品に含まれる化学物質とな っています。こちらに関する規制として(1)化学物質審査規制法、(2)毒物及び劇物取締法、 (3)家庭用品規制法、これらについて説明している箇所になっています。  次頁がいちばん重要な部分になってきます。5.「安全対策に係る課題と今後の方向」、 こちらについて説明させていただきます。まず、20頁の(1)「安全対策に係る課題」と して、ナノマテリアルが人の健康に影響を及ぼすという報告はないが、in vitroについ てのデータに比べてin vivoのデータが少なく、さらに体内動態についてのデータはほ とんどないという状況にある。また、粒子のサイズが小さくなること等によって、ナノ マテリアルが一般の化学物質と異なる特性を有することが示唆されている。したがって、 ナノマテリアルの生体への影響等に関する情報等を収集することと同時に、生体影響や 物性に関する試験方法等の開発を推進し、開発された試験方法に基づきin vivo試験等 を実施していく必要がある。というように課題をまとめています。  課題を受けて今後の方向、(2)「安全対策の方向」として、ナノマテリアルの開発状況 や使用実態などを注視し、ナノマテリアルの人の健康への影響に関する情報等の収集に 努め、国民の健康を確保する観点からどのような対策が必要なのか引続き検討すべきで ある。もう1つがナノマテリアルに関する技術は、現在も技術的に発展途上にある最先 端のもので、製造者責任の観点から安全対策も事業者が一義的に進めるべきであるが、 国も事業者と協力してその安全対策に積極的に取り組むべきである。  この2つが大きな方向性ということになっています。その具体的な中身は何かという ことが(3)から書いてあります。(1)が「ナノマテリアルに関する情報の収集」、現在、ナ ノマテリアルに特化して情報収集する法律上の規定はありません。しかしながら、医薬 品や化粧品などについては、副作用等の報告、こちらが法律上の規定にありまして、こ れに基づいて情報が収集されている。他方、食品が原因と疑われる健康被害の事例につ いては、都道府県等を通じて、厚生労働省へ報告されます。家庭用品を含む消費生活用 製品による死亡や危害等重大製品事故についても都道府県、あるいは経済産業省を通じ て厚生労働省へ報告されるという流れになっています。  情報収集として、法律上の規定ではありませんが、厚生労働省としても委託業務とい うことで予算を取ってやっています。実用化されている、あるいは実用化が近いとされ る21種類のナノマテリアルを対象として、製造業者等にヒアリング調査を実施し、そ の生産量や用途情報を把握するとともに、あるいは文献の調査を実施して、現在の毒性 情報にはどういったものがあるのかを調べています。こちらについては、平成19年度 に実施しましたが、今年度も優先度が高いと考えられる、多層カーボンナノチューブ等 のナノマテリアルについて、より詳細に情報収集しているところでございます。  事業者におきましても、ナノマテリアルの安全性等に関して試験・研究を実施してお り、文献情報も調査していると伺っています。そちらについても簡単に記載しています。 こういった情報収集の仕組みによって、今後も健康被害等の情報に注目するとともに、 ナノマテリアルの人への健康影響、用途、製造・輸入量について引続き情報を収集すべ きである。情報収集に当たっては、実際にそれがナノマテリアルかどうかというものを 確認する。情報の質にも注意が必要である。あるいは、動物への影響がないからといっ て、必ずしも人への影響がないというわけではない、という点にも注意すべきであると まとめています。  また、ナノマテリアルが人の健康に与える影響を調べるためには、可能であれば、発 症し得る副作用等を試験研究の結果等から事前に予測しておくべきである。さらに、ナ ノマテリアルを含有する化粧品などの広告の実態調査、ナノマテリアル製造事業所周辺 等の健康被害情報、事故情報等を収集できる仕組み、あるいはより詳細にナノマテリア ルに関して情報を収集する仕組みが必要ではないかというご意見がありましたので、さ らに検討すべきであるというように書いています。  これに関連して、ナノマテリアルが使用されているとされる化粧品や食品等について、 優先的に情報収集する必要があるという指摘がありました。その一方で、そういうよう に標榜されているものの、本当にナノマテリアルが含有されているか疑わしい場合もあ るということで、本当に入っているかどうか、ちゃんと確認すべきであるというご意見 もございました。  (2)「ナノマテリアルに関する試験・研究の推進」に移ります。情報収集の一環ではあ りますが、試験研究について特に(2)にまとめて書いています。現在、厚生労働省におい ては、厚生科学研究の「化学物質リスク研究事業」というものの中で、代表的なナノマ テリアルについて、ナノマテリアルの安全性確認における、評価手法の確立等を研究し ていただいています。今後も海外のOECD等、国際的な機関の取組状況を踏まえながら、 国内の研究機関とも協力して分析方法、あるいは生体内における安全性評価手法、そう いったものを開発すべきであると書いてあるのが21頁、いちばん最後の部分になりま す。  22頁の3行目から、若干詳細な記述になりますけれども、研究の対象となるようなば く露経路としては、経皮、吸入、経口及び目に対するばく露等が考えられます。特に経 皮、吸入及び経口ばく露、こちらが重要であるというご意見がありました。研究に当た っては凝集や分散も重要な要素になりますので、そちらも考慮する必要があると書いて あります。  他方、ナノマテリアルが人の健康に与える影響について、何らかの研究の結果が出さ れた場合、その影響がナノによる影響なのか、あるいは化学物質本来が持つ影響なのか、 そういったことを分析する必要がある。あるいは、過去に実施された研究のうち「相反 するもの」と書いありますが、ナノの影響であるというもの、あるいはナノは影響しな いという結果、相反するものがあった場合には、その理由を解析する必要がありますと いうご意見もありました。これに関連して、試験法の確立には時間を要するということ で、国内製造量と何らかの疾病についての疫学的な調査も検討すべきではないかという ご意見もありました。その一方、疫学調査には非常に時間がかかるという懸念があると のご指摘もありました。  (3)「関係府省庁等との連携」、現在は総合科学技術会議の下に設置されている「ナノテ クノロジーの研究開発推進と社会受容に関する基盤研究」等の科学技術連携施策群と呼 ばれている取組によって、内閣府を中心に各省間の情報の交換・共有等が行われていま す。今後も安全対策について隙間ができないように、関係する各府省庁と連携していく 必要があると書いています。  (4)が「国際機関等との協力」、現在OECDのほうで代表的な14物質について、生体 への影響に関する評価文書が策定される計画になっています。厚生労働省としても、経 済産業省と連携しながら、この取組に協力しているところです。今後もこの取組は続け ていきたい。その旨、継続すべきであるというように書いています。  22頁、(5)「消費者に対する情報提供」です。事業者は、自社製品に使用されているナ ノマテリアルが人の健康に与える影響等について積極的に情報収集し、それらの情報を 積極的に公開することで、消費者に対する透明性を確保すべきである。当分の間、事業 者による自主的な取組による情報の公開を促すことが適切であるが、国際的な整合性を 踏まえて、安全性や消費者の選択等の観点から、情報の公開や製品情報の提供の制度的 なあり方についてさらに検討すべきである。また、国もナノマテリアルに関して収集し た情報を一般向けにホームページを開設するなどして、分かりやすい形で積極的に公開 して、透明性のある対応を取るべきであると書いています。  (4)「今後の課題」としてまとめています。現時点では、ナノマテリアルに特化した法 律や化学物質のサイズに着目した規制を直ちに導入するための根拠となり得る科学的事 実は認められない。既存の制度の下でナノマテリアルにも対応することが適切であると 書いています。しかしながら、ナノマテリアルの人の健康への影響等に関する情報が不 足していることから、国際的な動向にも配慮しつつ、注意深く科学的な知見の収集に努 めるとともに、生体への影響に関する試験方法等の開発を推進し、開発された試験方法 に基づいて試験を実施していく必要がある。その上で、今後新たに収集される情報に基 づき、既存の制度で十分対応できるかどうかをさらに検討して、必要に応じて、ナノマ テリアルに適用できる新たな仕組みのあり方について、検討することが適切であるとい うようにまとめています。24頁が名簿、25頁がその検討会開催状況になっています。 説明は以上です。 ○福島座長  ありがとうございました。それでは、これから審議したいと思います。審議に当たり、 少しずつ分けて審議していきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。まず最 初に、1頁の1.「検討の背景」、ここで何かご意見はありますか。事前にメール等で、ド ラフトを委員の皆様方にお送りしてご意見をいただき、最終的に直ったものがここに出 されています。それと、いま事務局から説明がありましたので、私から詳しいことは申 し上げないということで行きたいと思います。いまのところ、いかがでしょうか。 ○菅野委員  いま、ひととおり拝聴して、1頁の16行から19行のところ、決してこれが悪いとは 申し上げません。この表記と最後のほうに、これからどうしたらいいというところのト ーンがかなり違ってきている。後ろにもうちょっと合わせたほうがいいのかなと思いま した。異質な内容ではないかもしれません。どこがいちばんトーンが違うかと思ったの は人の影響が報告されてはいない、その次に「そこで」とつながっているものですから、 そこにギャップを感じました。 ○福島座長  書きぶりの表現の問題ですね。 ○菅野委員  本質的ではありません。 ○福島座長  わかりました。そこを事務局のほうで検討してもらいます。ほかはよろしいですか。  次は2頁、2.「検討の範囲」、ここについていかがでしょうか。内容的にいいのか、「て にをは」も含めてご意見をいただけたらと思います。検討の範囲というか、対象という ことで、4行目のところに「医薬品、化粧品等の化学物質及び化学物質を含有する製品 の安全対策を検討の対象とした」とあります。 ○板倉委員  先ほどご説明いただきましたように、ここで検討した範囲等というのは、ほかのとこ ろでやっているものは、排除したということですよね。例えば環境省とか、労働関係と か。そういうところ、いま説明をしていただければ分かるのですが、文章だけお読みに なる方には分からない部分だと思います。そういったところは書き加えておく必要があ るのではないかと思います。 ○福島座長  何か、注のような形で、どこかに書いておくことにしましょうか。これもまた検討し てください。確かにそうだと思います。ほかによろしいですか。次の頁に行きます。3 頁、3.「開発の現状及び最新の科学的知見」です。ちょっと大文にわたっています。 ○竹村委員  (1)の4行目から、「調査対象となったナノマテリアルの粒子径のうち、」とあります。 ここで「フラーレンでは1nm以下であり」と言っていますが、これはあくまで分子径 の話であって、実際に1nm以下のものが浮遊しているイメージというのは違うのです。 厳密には「分子」と「粒子」を使い分けたほうがいいかなと思います。 ○福島座長  分かりました。 ○事務局  言葉の使い方で迷っているところがあります。「フラーレン」と言うとサッカーボール 状のもので、あれを粒子と言うのか、分子と言うのかちょっと迷っています。そのあた り、ご教授いただけると助かります。 ○蒲田氏(小川委員代理)  今日は代理で来ていますから、不正確なところもあるかもしれません。ご容謝くださ い。委員からは「1nmというのは分子」が一般的だとお聞きしています。文章の流れで 言うと、かえって「分子」という言葉を入れると、混乱するかもしれないというところ で理解をしていました。ご指摘のように、正確には「分子」でございます。 ○事務局  通常、サッカーボール状のものを「分子」と呼んでいいということですか。 ○蒲田氏(小川委員代理)  はい。 ○福島座長  そうすると、ここのところをもう少し詳しく書いたほうが分かりやすいかもしれませ ん。ほかにいかがですか。ここに関しては11頁まであります。3頁の(1)、「主なナノマ テリアルの使用状況」ということでずっと書いてあります。4頁、(2)、前回ご意見いた だいたことを踏まえ、「ナノマテリアルが使用されている代表的な製品」というような形 で今度書いています。ここのあたり、よろしいですか。 ○菅野委員  食品と化粧品だと思うのですが、読み飛ばして見落としていたかもしれません。すみ ません。水溶化フラーレンの実体は書かなくてよろしいですかね。インターネット上で はすぐつかまるのですが。 ○福島座長  最初の「主なナノマテリアルの使用状況」のところですか。 ○菅野委員  はい。5頁の7行目、15行目あたり。 ○福島座長  化粧品のところですか。 ○菅野委員  はい。あと、食品の中に健康食品を入れれば。 ○福島座長  少し書いておきますか。 ○菅野委員  もし可能であれば。 ○事務局  この記述、平成19年度の委託調査の結果をもとにしていまして、その調査からは挙 がってきていないのです。 ○福島座長  必ずフォローしなければならないことなのですか。 ○事務局  情報があるのであれば書けるのですが、インターネットなどの情報をそのまま書くと いうのもちょっとどうかなと思いますので。 ○福島座長  きちんとした文献があればということですね。その辺、調べてみます。確たる文献が あったら、それを事務局にお諮りいただければと思います。 ○高野委員  5頁目の11行目、「化粧品用途のナノマテリアルはすべて表面処理されている」とい う表現なのですが、すべてということはやはり100を連想します。私どもも100に近い とは思うのですが、そこまでは確認もできていません。「すべて」はちょっと言い過ぎか なと思います。 ○福島座長  「多くは」ですか。 ○高野委員  「すべて」を取っていただければいいのかなと思います。 ○福島座長  分かりました。 ○板倉委員  3頁目の11行目ぐらいから、「ナノマテリアルの種類別に見るといろいろ」と書いて あります。「主なマテリアルの使用状況」のところで、そこに挙げてあるものが入ってい ないものもあるのです。例えば銀+無機微粒子とか。やはり、「ここで書いてある」とい うことだと、「主な」という印象があると思います。こちらの「主な」印象のあるものに ついては、説明を入れておいていただいたほうがよろしいのではないかと思います。 ○福島座長  分かりました。 ○板倉委員  もう1点、化粧品の場合に無機系の部分について議論があります。実態はよく分から ないのですが、乳液などでリポソーム化しているのではないか、というような感じを受 ける商品を見た覚えがあるのです。それはナノマテリアルとはまた別のものなのでしょ うか。 ○高野委員  ナノマテリアルと言ったとき、端的に申し上げればリポソームは入らないというか、 別のものだと考えています。酸化チタンのような個体、その小さくなったものがナノマ テリアルと私どもでは考えています。 ○板倉委員  という事はどういう事なのでしょうか。ここでは無機系しか使わない、リポソームも サイズが大きいから扱わないということなのでしょうか。ただし、消費者のほうから見 るとナノマテリアルというか、ナノということを謳っている商品ではあるわけですが、 宙ぶらりんになるということですか。 ○高野委員  それは結局、ナノと謳っているだけということになりますか。 ○竹村委員  そういうものを含めると、いわゆるコロイドはどういう扱いなのかということで、非 常に分かりにくくなるのかなと思います。コロイドも言わばそういう類のものがあって、 私もどうしていいか分からないのです。 ○高野委員  もともと、粒子が大きかったものがだんだん小さくなって、ナノ化した。フラーレン は別ですが。そういうものを対象にしています。乳化とか、竹村委員もおっしゃったよ うなものは別の話なのかなと理解しています。 ○事務局  リポソームの話ですが、4頁、「医薬品」のところ、いちばん下の行になります。まだ 研究段階ということでしたが、医薬品のドラッグデリバリーシステムにリポソームを使 った例があがってきたという報告もあります。一応、リポソームについては書いていま す。 ○長谷川委員  あまり詳しくはないのですが、リポソームはいわゆる乳化とかとは全く別もので、し かも成分もしっかり決めて、ソニケーションして作り上げているものですから、多分知 っているものとは別のことを話されているのではないかと思います。 ○福島座長  そこのところ、これ以上議論しても前に進みませんから、事務局で調べてもらえます か。 ○事務局  情報をいただければ。 ○福島座長  我々も調べます。 ○長谷川委員  ここの記載は。 ○福島座長  いまは含めるかどうかということだけです。9頁のほうはいいですか。 ○長谷川委員  3頁、板倉委員がお話された主なナノマテリアル、例えば(1)の(ア)のところに「カ ーボンブラック」とあります。使用量として約100万トンということで、ほかのものに 比べて圧倒的に量が多い。かつ、全体の80%がタイヤにと書いてあります。ただ、多分、 (2)のほうの「代表的な製品」のところに、少なくとも多分タイヤが入っていないような 感じなので、一応圧倒的に多いということで入れておいたほうがいいのではないかと思 います。 ○福島座長  ゴム製品というような。分かりました。 ○板倉委員  質問なのですが、5頁目の1行目、「国内ではDDSを使った医薬品の例がなく」とい うように書かれています。 ○福島座長  何行目ですか。 ○板倉委員  1行目です。審査のとき、このDDSについては明確になる、要するに医薬品として認 可するかどうかを審議されるときには、DDSを使った医薬品であるということは明確化 されて、審議の対象になるのかどうかについて教えていただければと思います。 ○福島座長  その点、いかがですか。 ○審議官  新薬の審査にしても、製造広報欄に、あるいは成分・分量欄にどういうものを使って どういうように製造するか。そういうとき、DDSの場合、例えばリポソームもちゃんと 明記されてくると思いますので、そこでチェックできると思っています。 ○福島座長  ほかはよろしいですか。 ○宮田委員  国内ではDDSを使っている医薬品の例がないという表現は、誤解を招く可能性があ ると思います。「ナノスケールのDDS」とか、「ナノサイズの」という言葉を入れないと まずいと思います。DDSというのはかなり広範な概念なので、ケミカルに増粒しただけ でもDDSという場合がありますのでそうしてください。 ○福島座長  ありがとうございます。ほかはいいですか。いま、新しく付け加わった(2)、「ナノマテ リアルが使用される代表的な製品」、ここのところで主にご意見をいただきました。事務 局ももう1度、ここのところはチェックしていただけますか。お願いします。9頁から 11頁のところではいかがでしょうか。 ○板倉委員  9頁の15行目、「材料のサイズを小さくすると欠陥が少なくなるためである」という のが私など、何となくなじまない言葉なのです。一般的には、どういう言葉で言えばい い話なのでしょうか。 ○福島座長  「小さくすると欠陥が少なくなる」、ちょっとここのご意見は、検討させてください。 ○板倉委員  10頁の14行目から、カーボンブラックについての疫学調査が書いてあります。カー ボンブラックはいつからナノ化されたのか、それと疫学の対象とする期日が合っている のですか。最初からナノ化されているものなのか、あるいは1947年から2004年という 期間が本当にナノ化の対象になるのか自体、ここにこれだけのスペースを取って書いて あって、疫学がやられているように見られるにもかかわらず分からないという点があり ます。疫学調査が実施されているのは僅かである、という話を前から感じるにもかかわ らず、ここで書いてあると、しっかりやってあるみたいに逆に思えるものですからちょ っと気になりました。 ○福島座長  カーボンブラックについては、確かにいままでいろいろな文献がたくさんありますね。 いま言われるのは、一体全体、ナノとしてカーボンブラックはいつから使われているか ということをまず知りたいということを言ってみえるのですね。 ○板倉委員  そうです。それが分からなくて、ここにいきなり「カーボンブラック」という話が出 ても、それが本当にカーボンブラックで、ナノ化された物という関係で読めるのかとい うこと自体が、まず分からないのでということが1点あります。 ○福島座長  分かりますね、いつごろから使われているか。相当古い話です。 ○板倉委員  結局、カーボンブラックが途中までナノ化されていなかったとしたら、そこは意味な いわけです。されているのだったらそれなりにいいのですが。 ○菅野委員  最初からナノ成分が入っているので、いろいろな大きさが混ざったものなので引き合 いに常に出されるわけです。昔の発がん事件はナノのことなど考えずに、むしろ異物発 がんのような感覚でやっていたということなのです。そういう説明をどこかに付ければ 誤解が減るのかもしれません。 ○福島座長  ここでは、確かにいま板倉委員が言われるようにいつごろから使われて、いつごろか らいつまでの疫学データがあるかというのは確かにそうだと思います。1度調べて、そ このあたりが不明確でしたら、あまり不明確なものをここに入れるというのもちょっと 問題があると思いますので、調べるだけ調べて、その結果ということにさせてもらえま すか。よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか、11頁まではよろしいですか。 今度は12頁に行きます。4.「規制の現状」、ここはどうでしょうか。ここも規制の現状 としてまず総論が書いてあって、それぞれの項が19頁まで書かれています。最初のほ うで国内の状況、国際、特に欧米の状況がセカンドからサードグラフのところに書かれ ているということであります。このあたりでいかがでしょうか。 ○板倉委員  13頁の6行目から、REACHについてのコメントがされていると思います。私も不勉 強で、きちんと覚えていないのですが、ナノマテリアルが違う性質である場合には別の 物質として扱うというところで、審議の対象になったという情報を聞いたことがありま す。ですから、物質を区別されていないとか、ここら辺のところは、私が受け取ってい る内容とはニュアンスが違うような気がします。記憶違いかもしれませんが、少なくと も物質の性状が違うものについては、同じようなことがあると思います。WHO・JECFA の中で、例えば食品添加物についてはいままでと違う、ナノ化したことによって性状が 違う場合は、違うものとして扱うことを考えるべきということが入っていた気がするも のですから、そういった部分がここにないのですが、サイズが違うというだけではなく て、違う性質が出てきたものについては違う物質として考えるべきであるという考え方 は、全般的に当然踏まえるべきスタンスではないかと思うので、調べていただいて、事 実かどうかも含めて確認していただければと思います。 ○福島座長  分かりました。 ○庄野委員  いまのご意見はそのとおりだと思いますが、REACHに関して厳密に申し上げますと、 最近その議論を始めたということになっています。実際にこれに基づいた正規の委員会 が発足した状況でして、それが今後の議論になるだろうと我々は思っています。  いまのご指摘の中で私どもが気になっているのは、12頁の29行目以降で、TSCA、 REACHの扱いというのがありますが、新規化学物質という捉え方あるいは化学物質と いう捉え方については、米国、欧州も、その辺のところでの完全なハーモナイズができ ていないと我々は思っています。だから、レギュレーションの内容によっては新規にな るし、新規にならない場合もあります。特にTSCAの場合はそうですが、分子の固有性 が同一かどうかという議論から、新規に分類した、新規に分類しないという議論がある ので、その辺も正確な理解のできる記述が望ましいのかなと思っています。ここで書か れている部分については、私は特に異論はありません。ただ、そのような配慮もしなが らニュアンスを入れたらいいのではないかと思っています。 ○福島座長  庄野委員、13頁の6〜8行目ですが、ここについてはどうお考えですか。 ○庄野委員  委員会で議論が始まったということを書いて、客観的な事実としてお出しになられた ほうがいいのではないかなと思っています。 ○福島座長  分かりました。検討してもらいます。 ○庄野委員  先ほどのTSCAのところも、カーボンナノチューブだけのことを新規として取り上げ たのですが、同様の無機系の物に関してはナノではないという判断をしていますので、 それも書いておいたほうがいいのではないでしょうか。 ○福島座長  分かりました。ここは庄野委員とやり取りをしてください。ほかはよろしいですか。 次の審議として、20頁の5.「安全対策に係る課題と今後の方向」です。ここは少し細か く分けて検討します。まず、(1)(2)についてご意見をいただきます。 ○長谷川委員  最初の書き出しのところの書き方なのですが、「in vitroについてのデータに比べin vivoについてのデータが少なく」となりますと、わざわざ比べる必要はなくて、in vivo のデータがあまりないということを主に書けばいいと思うので、ここで比べを入れると、 かえって誤解を招くのではないかと思います。 ○宮田委員  それともう1つですが、これは動物実験に関するものですよね。 ○福島座長  そうですね。 ○宮田委員  ですから、「人の健康に及ぼす報告はないが、動物実験においてもin vivoについての データは少なく」というような形で、明確にしたほうがいいと思います。 ○福島座長  動物についてのin vitroというのはダブッてしまいますか。いずれにしても、いまの 宮田委員のご意見は分かりました。それから長谷川委員のご意見も踏まえて、1、2行の ところを分かりやすくします。確かに「in vivoのデータが少ない」というのが正確なと ころだと思います。 ○板倉委員  (4)の中では、私はコミュニケーションが足りないことが非常に大きいのではないかと いう気がするのです。あとで情報提供という話もありますが、いま私たちからすれば、 単発的に不安に思うような情報が出ているにもかかわらず、一方では、それについて否 定も肯定もされないので、不安が不安のままで出ていっているというものもあります。 こういった問題は、産業の発展というメリットの部分と、逆に安全性が犠牲になるかも しれないという不安があるだけに、コミュニケーションの場がないと、例えばメディア などの単発的な情報で世の中が惑わされてしまうことがあるわけです。特にこういう新 しい物質に関しては、ミスリードしないための方策という点で、コミュニケーションも 必要なのではないかと思います。 ○福島座長  そうしますと、情報の収集と提供ということでしょうか、もう少し踏み込んだほうが いいでしょうか。 ○板倉委員  そうですね、お互いに意見を言い合って、みんなが言いっ放しではなくて、コミュニ ケーションしていくようなことがないと、情報も片方しか聞かない人が、それぞれ違う 方向を向いてしまうことはあり得るわけです。そういう意味では、いろいろなことにコ ミュニケーションが求められていますが、ナノマテリアルの場合は、さらにそういう点 が重要なのではないかと思います。 ○福島座長  そうしましたら、(2)「安全対策の方向」に、いま板倉委員の言われたコミュニケーシ ョンのことを付け足すといたしますか。最終的にどこに入れるかは事務局にお任せしま すが、いまいただいた意見を書き加えることにします。よろしいですか。 ○宮田委員  かなりの委員がオーバーラップしていると思うのですが、いま化審法の改正に向けて 議論していますが、我々がナノマテリアルの安全性について報告書をまとめなければい けなくなったのは、ハザードが問題なだけではなくて、これからばく露量が急速に増え るだろうと。つまり、産業としても利用されるためにです。その掛け算としてのリスク が増える可能性があるから、予めこういう手を打っておこうということを、安全対策に 係る(1)の3行目と4行目の間ぐらいに入れるべきではないかと思います。そうすると、 今後改正される新しい安全のリスクのマネージメントの仕方に、この報告書がうまくは まってくる。単にいままで報告がないからハザードがないのだというだけではなくて、 リスクマネージメントの観点からいって、使われてくるばく露量が、今後急速に大きく なるやもしれないという懸念があるので、安全性に係る課題として取り上げるべきだと いう根拠になると思うので、そこを入れておいたほうがいいと思います。 ○福島座長  安全対策に係る課題のところで、ばく露のことですね。そうすると、簡便にばく露を 測定できる手法の開発が進んだということですね。いまのところはナノについてはしっ かりしたものがありませんので。 ○宮田委員  そうですね。 ○菅野委員  22頁の(3)でお話をしようかと思ったのですが、宮田委員の話と関連するので、いま申 し上げます。参考資料3というのは、事務局では3省庁振分けのところでお使いになっ た表なのですが、22頁の(3)というのは、誰も守備範囲ではない空隙、野球でいうと、野 手と野手がぽっかりお見合いするような場所がないようにしましょうというものなので すが、この絵はばく露ベースなのです。この中に、まず、開発と文科省のところが製造 の前に抜けています。ばく露を測定するというのは早くていいのですが、有害性評価な しのばく露評価をやって、リスクマネージメントにいく方法と、ばく露情報なしの段階 で、ハザード情報を製造側に持っていって、ばく露する前に、そういう危ないものを作 らないようにしてしまうというリスクマネージメントと、2通りあると思います。  いまの先生の話を入れてしまうと、そちらが抜けているのです。それをたすき掛けで 両方入れていただこうとすると、先ほどの20頁の文章が重たくなると思って悩んでい たのですが、もし両方入れる余裕があれば、新しいものですので、両方入れていただけ るといいなと思います。 ○福島座長  先生の言う「両方」という意味をもう一度教えてください。 ○菅野委員  ハザード・アイデンティフィケーションなしで、ばく露評価を先にやってしまってリ スクマネージメントする方法があるのです。極論ですが、とにかくばく露しなければい いのだということで押さえてしまう方法があるのですが、これに対して、ばく露が起こ らないように、危ない製品を作らないという情報を、先に製造前段階に提供してしまう。 業界の人には安全なものを先に作っていただくというマネージメントも、新規の場合は あり得ると。 ○福島座長  でも、私は物にはすべて何でもあると思うのです。そこは量の問題ではないかという ことで、ゼロという世界ではないと思うのです。 ○菅野委員  質的に違うものがあるということです。ニッケルオキサイドのような強烈な毒性のあ る粒子と、シリカのようなほとんどない粒子があって、同じ用途であれば、分かってい ればニッケルオキサイドは使わないですよね。そういう類です。 ○庄野委員  現実的視点に立ってみると、福島座長がおっしゃるような議論だと思うのです。企業 のリスクとしては、絶対にゼロリスクの化学物質というのはあり得ないです。ハザード レベルがどこまでだったらペケにするかというと、ペケにするものというのはレアケー スが多いです。  ある程度のリスクは考えながら、それを実際のばく露実態と用途実態に合わせて、ど うやってアプリケートして、リスクを減らすかという発想になると思うのです。  だから、ここで極端論の議論でそれをクロスするというのは、むしろおかしくて、我々 はハザードスペースに基づいたリスク管理を、ばく露の観点からどうやってコントロー ルしていくかという発想になると思うのです。  確かに先生のおっしゃるように、R&Dのレベルというのは、我々はスクリーニング レベルでかなり落とすものは落とすのですが、それも極端論だけではなくて、ある程度 ハザードレベルが高くても、アプリケーションが分かれば、悪ければ落とします。そう いう形になると私は思っています。切り口が難しいのではないかと思います。 ○菅野委員  それは一見ごもっともなのですが、現実問題としては慢性毒性が後追いするので難し い。アスベストは何でああなってしまったのかを突き詰めれば、慢性毒性のデータが後 になって出たから、あるいは製品開発の後になって現場で採用されたからなのです。そ れは何とか前倒しでできないかという話なのです。  先生のおっしゃるように、スクリーニングをかけておられるのは当然だと思うのです が、いままでどおりのスクリーニングで見落とすのではないかというのが、今回のベー スにあるのです。新規ですから。そこをばく露評価だけで突っ走られてしまうと、これ は思ったより毒性が強かったというのが後で出たときに、もったいないことになるとい う発想です。 ○福島座長  ちょっと違うのです。 ○庄野委員  ただ、いまの菅野先生のお考えも、我々としては全く否定するわけではないのですが、 これからの全体の動きとしては、ハザードをかける、やはりばく露という原点に立って 進めていくべきだろうと思うし、我々もアスベストでどうこうという議論はありません けれども、当然、必要であれば慢毒をやって、それからという話にもなるかもしれませ ん。ですから、それはある程度予見したデータに基づいて、精密にやっていくしかない かなと思っています。ここは議論があるところではないかと思います。 ○福島座長  厚生労働省としての守備範囲として、実践にこだわっています。ここで開発が抜けて いると言われると、それはそうだと思うのです。ただ全般的に、厚生労働省としては、 労働者、消費者という、もっと大きな枠組みの中で議論をしているのです。だから、そ ういう対象に対して、この安全対策の方向をまとめているので、ここで非常に細かいと ころに踏み込むとややこしくなってしまうので。 ○菅野委員  そうですね。むしろ(3)でやっていただいたらよかったかもしれないです。 ○福島座長  ほかに(1)と(2)でございますか。 ○庄野委員  確認なのですが、20頁の5.(1)の3行目以降で先ほどから気になっているのは、in vivo についてのデータが少ない、ADMEもない、さらに粒子サイズが小さくなる云々があっ て、最後の結論につながるところが、in vivo試験等を実施していく必要があると思うの ですが、試験方法の開発を進める上においては、in vitroも重要な情報を与えますので、 「vivo試験等」と書かれているのですが、「等」が弱いような気がしますので、もう一 工夫していただければいいのではないかと思います。 ○福島座長  あとのところではin vitroの試験の重要性は一般論として入っていますけれども、こ こには確かにin vitroのことが試験について書かれていませんので、加えることにした ほうがいいと思います。お願いします。ほかによろしいですか。  次に(3)です。まず、(1)「ナノマテリアルに関する情報の収集」についてお願いします。 ○板倉委員  いろいろと政策的に動いていらっしゃるのは分かるのですが、実際に慢性毒性につい て、なかなかこういう情報収集制度では引っ掛からないということがあり、私たちが心 配しているのは、慢性毒性でこれから表れる部分です。いまの法律でカバーできるよう なニュアンスでずっと書かれているような気がして、私は気になるのです。  それから、情報収集も、例えば国民生活センターとか、消費生活センター等からの情 報もいろいろありますが、調査については不十分で、原因追及までは難しい状況である ところが、一切触れられることなく、十分にやられているようにみえると何をこれから やるのかなという感じがするので、内容について見直していただいたほうがいいように 思います。 ○福島座長  そうすると、21頁のところも、2、3行目で「情報の収集をしている」ということで、 5行目以降は「今後も」となっていますが、こちらに何かそういうことを加えたほうが いいということですか。 ○板倉委員  どう直したらいいかまでは出せませんが、いまのままだったら、「十分ではないか」と 読めてしまう感じがあります。 ○福島座長  言ってみると、ここで疫学的なことを入れてはどうかということになるのですか。 ○板倉委員  疫学ということではなくて、まだ情報収集自体も不十分なわけですから、そういった ことについてはいろいろな手段、方法を考えて、さらに情報収集を進めなければいけな いのは事実ではないかと思うのです。そういうことについて触れていただく必要がある と思います。 ○福島座長  そうしましたら、21頁の16行目の「さらに」のところに付け加えることにしましょ う。ここは広告の実態調査とか、ナノマテリアルの周辺の被害状況とか、ナノマテリア ルの事故情報ということで、ある程度限定されています。いま板倉委員の言われたのは、 もう少し広い意味で実態調査と。 ○板倉委員  実態調査ではなくて情報収集です。被害情報等については、原因究明までを含めて、 きちんとした調査がされるべきでしょうし、いまそういう状況でないので、問題が起こ っていても、十分に把握することはできないと思います。それがここでは、いまは十分 であると受け取られかねない文章ではないかと思います。どのように書けばいいかまで はコメントできません。 ○福島座長  1度考えさせてください。ほかはどうでしょうか。 ○板倉委員  21頁の2行目から「事業者においても」という話がありますが、事業者において情報 収集されているのは事実だと思いますが、公開までされていなければ、一般の人たちに は分からない話であって、やっていること自体をここに書く意味があるのかどうか。情 報を公開しているのであれば、それまでを含めて書いていただければ、ありがたいと思 いますし、単に情報収集をしているというところにとどまるのであれば、ここにあえて コメントを書く必要があるのだろうかと疑問を感じます。 ○高野委員  前回も同じようなことをご指摘いただいたのですが、業界団体としまして、集めた情 報をホームページ等を使って公開することをやっていきますので。 ○板倉委員  そのように文章としてここに書いていただいたほうがいいのではないかと思います。 情報収集を行っているにとどまっているではないですか。 ○高野委員  こちらはやってまいります。 ○菅野委員  (5)にも似たような話が出ていますね。 ○化学物質安全対策室長  21頁は情報収集をやっていますというだけの話で、それを公開するに当たってはと、 2つに分けて書いてあります。 ○福島座長  収集して、さらにそれを提供しているのですか。 ○高野委員  まだ提供していません。これから提供してまいります。 ○福島座長  分かりました。ここは、事業者においてもこのような情報収集を行っている。国とし ても、事業者も自主的に行っているということで、(5)で、板倉委員の言われたことを盛 り込むということでどうでしょうか。ニュアンスが違いますか。 ○板倉委員  イメージがつかめないので。  21頁の13行目に、「可能であれば」という枕言葉が付いていますが、「予測しておく べきである」と書いてあるところでも、強制的でないニュアンスがあるにもかかわらず、 ここでさらに「可能であれば」というのを付けるというのは、やらなくてもいいと読ま れかねないのではないかと思います。「可能であれば」ということは、可能でなければや らなくてもいいと読めるわけですから。 ○福島座長  削除しますか。 ○板倉委員  そのように受け取られかねないようにしていただきたいと思います。それと、これは 主語は何になるのですか。「すべきである」というのがあって、事業者がやるものは分か るのですが、「情報を収集すべきである」とか何とかと言っているのは、主語が誰になる のかが分からないのですが。 ○長谷川委員  各委員からの意見を入れているところなので、ある意味でバランスがよくないのかも しれませんが。 ○福島座長  むしろ全部削除したらどうですか。 ○菅野委員  それはあまりよくないかなと思います。これが先ほど言った、開発側から製造に至る ところでのR&Dで、分かっていればそっちにはいかないという内容なので、これはあ ったほうがいいと思っていたのです。ただ、「可能であれば」というのを取ってしまうと、 「おくべきである」というのが強すぎてしまう。誰なのだと言われたら、企業と国だろ うとは思いますが。 ○福島座長  取ったらどうかと言ったのは、「副作用等、試験研究の結果等から事前に予測しておく べきである」というのは当たり前のことではないかと思ったのです。その意味でという ことなのです。 ○菅野委員  当たり前は当たり前なのですが。 ○板倉委員  当たり前のことを「可能であれば」といったら、やらなくていいと取られるのではな いですか。 ○菅野委員  でしたら、「可能であれば」を取ればいいのですかね。 ○高野委員  ただ、「可能であれば」を取りますと、先ほど菅野先生がおっしゃったように、逆に振 れすぎるのかなと。 ○菅野委員  ただ、これは医薬品、化粧品、食器、等、すべてですね。 ○宮田委員  菅野先生に質問ですが、可能なのですか。 ○菅野委員  可能な可能性はあります。 ○宮田委員  ただ、ハザードの面だけを考えて、事前の動物実験で最大限の努力をしたとしても、 今回私たちが暗黙に想定している、中皮腫のような慢性的な経過をたどる副作用に関し ては予測し得ませんよ。ですから、そういうことを考えると、この場合には極めて限定 された副作用に関する予測は最大限すべきだと思いますが、これをもってすべての副作 用とか、そういったものを予測できるという印象を与えることはよくないのではないか と思います。 ○菅野委員  逆に中皮腫のほうが予測しやすいと思うのですが。 ○宮田委員  いまとなってはですね。 ○菅野委員  いまとなってはというか、アスベストの事例があったから容易なわけですが、そうい うものがなければ。 ○宮田委員  アスベストに気づくのにも数十年かかったわけですよ。 ○菅野委員  「おくべきである」というのは強すぎるというのはそこで躊躇していたわけで。 ○宮田委員  いや、これはかなり完成された文書ではないかと思っていて、「可能な限り」というの は入れるべきではないかなと。「おくべきである」というのも正しいのではないかなと思 います。 ○菅野委員  「可能な限り」にしておけばいいですかね。 ○宮田委員  そうだと思います。 ○福島座長  可能な限りと。 ○宮田委員  確かにニュアンスが変わりますね。 ○福島座長  ちょっと広くなりますね。そうしますか。ほかはよろしいですか。次に21頁の(2)「ナ ノマテリアルに関する試験・研究の推進」をお願いします。 ○庄野委員  21頁の34以降で、文章の書き振りが整理されていない印象をもちます。34から、「分 析法の開発、物理化学的性状、体内動態、毒性、ばく露等に関する研究及び試験法の開 発等を引き続き推進すべきである」と取って、「特に、ナノマテリアルの生体試料中での 分析法や体内分布測定法の開発」とありますが、これは1つで分析手法の開発なのでし ょうね。  次は「人とマウス等の実験動物の違い」というのは、何のことを言っているのかよく 分からなくて、これは種差のことを言っているのか、あるいは「実験動物との違い」と いうのは、これが邪魔をする表現かなと思います。  それから、「慢性毒性に関する研究」というのは抽象的な表現で、もう少し明確にして もいいと思いますし、毒性試験の手法に関する件なのかもしれませんが、そのあとでい きなり「ばく露法」ときます。「ばく露法やばく露評価法等の開発が重要であると考えら れます」とありまして、ばく露法というのは試験手法の問題なのだろうと思うので、こ こは何をやるのだということでまとめて、例えば分析云々でまとめていったほうが、き れいなのではないかと思います。ここは具体的に書いていただいていますが、中身は一 体何なのだろうかという印象を受ける表現です。 ○福島座長  現実問題として、ナノのin vivoの試験で問題になるのは、1つはばく露法が確立して いないということですね。それから、ばく露したキャラクタリゼーションがきちんと出 来ていないということです。この2つは手法の問題です。その2つが成り立てば、今度 は毒性試験に入れる。  次に、結果が出ると種差の問題が出てきます。慢性か急性かの話ですね。 ○菅野委員  慢性か急性かの話です。そういう順番で整理すればすっきりしますね。 ○庄野委員  そういう文章的な表現はすっきりさせていただければいいと思います。 ○福島座長  ここはもう少しきちんとした形にしてもらいます。内容的にはよろしいですね。 ○板倉委員  それと関係ないと思うのですが、ナノマテリアルに関する試験研究はともかくとして、 21頁の25行目に、「実際に使われているかどうか分からないという話もある」というこ とが書いてあります。そうすると、実態がどうで、実際にどうなっていくかということ がない限り、研究しても、それがどの程度実際に影響するのかが分からないと思うので すが、そういうことについては何も全く触れられていないのですね。  ですから、先ほど私がカーボンブラックの話をお聞きしましたが、結局、ナノを謳っ ていないものとナノを謳っているものとの違い、実際にナノの割合も全然分からない状 況で、それがこれから増えてくるだろうと言われる状況において、いままでとの違いも 含めて把握できていないのに実験結果だけを調べてもらっても、それをどう現実のもの として解釈していいのかは分からないのではないかと思うのです。 ○福島座長  21行目から25行目というのは、ナノと言っているけれども、本当にナノかどうか分 からないものもあるということですね。 ○板倉委員  はい。だから、そういうように私たちはすごく心配しているけれども、前はどうで、 いまはどうなっていて、これからどうなるのだという状況が掴めないと、被害の大きさ も確認できないにもかかわらず、そこの部分については何も手を付けずに、動態だとか 何だとかいうことだけを。 ○福島座長  こちらはナノマテリアルについての試験ですよね。 ○板倉委員  はい。だから、それだけをやっていいのでしょうかということです。ここに研究と結 果が書いてあるのですが、安全政策という意味での対策の方向としては、ナノマテリア ルの試験研究の推進だけではなくて、実態調査も必要ではないでしょうかということで す。 ○福島座長  それは、どこかにそういうことも加えたらどうですかということですか。 ○板倉委員  そうです。別に項を起こすのか分かりませんが、実態があって、研究があって、両方 が管理されて、安全性がどの程度担保されるかという状況だと思うのです。 ○宮田委員  20、21頁の(1)(2)の項目の立て方を明確にしたほうがいいと思います。ですから、(1)に 関しては「ナノマテリアルに関する安全性と使用の実態に対する情報の収集」という分 類にすれば、いま板倉先生のおっしゃったパラグラフも入るでしょうし、(2)の「ナノマ テリアルに関する試験研究の推進」というのは、ナノマテリアルを開発するのではない かと思うような項目立ては間違いで、「ナノマテリアルの安全性に関する試験研究の推 進」と分けていただければ、うまく整理できるのではないかと思います。 ○福島座長  確かにそうですね。(2)の前半は基礎的な研究です。後半に入ってきますと、疫学的、 いわゆる人でのものになっています。それはいずれも安全性に関するということです。 タイトルにそのようなものを加えたいと思います。ほかにどうでしょうか。ここで、先 ほど庄野委員が言われたin vitroのことは、21頁の35行目に含まれてしまいますが、 それでよろしいですか。 ○庄野委員  それでいいです。 ○福島座長  ほかにご意見はございますか。よろしいですか。次に22頁の(3)(4)についてお願いし ます。 ○長谷川委員  言葉の問題ですが、(4)の最後の2行のところですが、「FDA等の国際機関」とありま すが、FDAは国際機関ではないので、「そのあとの「国際機関」は削除するのでしょう か。 ○福島座長  FDAだけではなくて、ほかにもありますね。 ○長谷川委員  ただ、国際機関で、WHOとかほかの機関を入れれば、それでいいと思います。FDA とかEPAはアメリカのものですので。 ○菅野委員  先ほどの(3)の部分で、参考資料3を(3)の絵だと思ってしまうと間隙を見つけるには、 荒っぽすぎるなということで、参考資料3はこの図ではないと認識するということなの かなと。 ○福島座長  菅野先生の言われるのは、参考資料3はここのことを言っているのではないと。 ○菅野委員  安全対策に関しての間隙ができないようにするためのケアが、この絵だけからは読み 取れないということです。(3)のためには改訂版が必要であろうということです。 ○福島座長  はい。ここはあくまでも、こちらは検討範囲で、こちらは、さらにそこでの連携とい うことですね。菅野委員が言われるのは、検討範囲に関する俯瞰図が不完全ではないか ということですか。文科省の取組が入っていないではないかと。 ○菅野委員  それもそうですし、法律ごとで穴がある場合があるので、そのことはここからは読み 取れないです。あと被害状況は、労働現場で出た被害状況等いろいろありますが、それ のフローも1度は確認しておかないと、どこか漏れているのではないかと。 ○竹村委員  この連携した部分に関しては、関係省の役割を描いた図もあるので、そこも考慮して モディファイすればいいのかなと思います。 ○福島座長  いま先生の言われるのは、内閣府で中西先生が座長をしているものですね。 ○竹村委員  そうです。 ○福島座長  そこに出ているということですね。その資料を調べてもらえますか。 ○事務局  その資料はあるのですが、厚生労働省で統括しているわけではないので。 ○福島座長  そういうのはそれで参考資料にならないのですか。どこかに「内閣府」とか書いてお けばいいのではないですか。出典を書けばいいのと違いますか。 ○化学物質安全対策室長  内閣府に聞いてみて、使えるものであれば参考資料として付けるのは可能だと思いま す。 ○福島座長  右下に「内閣府の‥」と書いて。 ○化学物質安全対策室長  それは安全対策に隙間があるかないかのご趣旨に合うものかを確認した上で、使える ものであれば参考資料として付けたいと思います。 ○福島座長  ほかにございますか。よろしければ(5)にいきます。 ○板倉委員  先ほどとの関係で、情報提供は十分にしていただいて構いませんが、コミュニケーシ ョンというか、一般の消費者とは限らなくていいと思うのです。企業の方にも入ってい ただくことは必要だと思いますから。 ○福島座長  確かにコミュニケーションですね。 ○板倉委員  本当の意味でのコミュニケーションの場が必要なのではないかということです。  それと、23頁の4行目ですが、ここは「適切である」という表現は馴染まないような 気がするのです。「情報の公開を促すべきである」ということでいいのではないでしょう か。なぜここに「適切である」とわざわざ入れなくてはいけないのかが、分かりません。 ○福島座長  このときの「適切」というのは、いまのところ安全情報は何もない。それで情報を集 めて自主的に取り組んでくださいということで、それを「べき」とするかどうかです。 ○菅野委員  「制度的なあり方を検討すべき」を受けて「適切」になっていると思われるのですが。 ○庄野委員  私も同じように理解していまして、自主的な取組による情報の公開を促すことが本来 と言うか、それがいちばん望ましいのだけれども、国際的な整合性を取るとなると、今 度は制度的なあり方も考えなければいけないというニュアンスではないかと思うのです。 ですから、そう違和感は感じません。 ○板倉委員  「ことが望ましいが」というほうが適切ではないかと思います。 ○庄野委員  望ましいというより、本当はやるべきなのでしょうけれどもね。 ○板倉委員  あるいは、ここはあくまでも自主的なことですから、強制的にやれと言っているわけ ではないわけですし。 ○菅野委員  後半の「制度的」というのは、強制という意味ですよね。 ○福島座長  そしたら、これは「公開を促すが」ぐらいにしたら駄目なのですか。 ○庄野委員  「当分の間」という言葉があるから、「適切」になってしまうのですよね。 ○福島座長  やはり「当分の間適切」ですね。宮田委員、何かいい表現はありませんか。 ○宮田委員  「当分の間」を取ることはできないですか。どのような制度があったとしても、基本 的に事業者が一生懸命集めて、自主的に公開するというのが基本だと思うのです。「当分 の間」を入れてもいいですが、「当分の間、事業主の自主的な取組による情報の公開が望 ましい」ですかね。「促す」にポイントを持っているような気もするのです。 ○福島座長  1行目から3行目までで、「事業者は情報を収集して、積極的に公開する。それで消費 者に対する透明性を確保する」とあります。そのあと「当分の間」というのは、庄野委 員が言われるように、あとのほうの情報の公開や制度的なあり方についてと。 ○菅野委員  あとの文章の主体は国のことを言っています。 ○福島座長  国ですね。 ○宮田委員  「当分の間」から「適切である」は削ったほうがいい感じがします。それで段落を変 えてしまってもいいと思います。 ○福島座長  削除して、改行としましょう。ほかにどうでしょうか。 ○庄野委員  先ほどから3行目の「透明性を確保すべき」というのを気にしているのですが、情報 を積極的に公開することは我々としては違和感はないのですが、消費者に対する透明性 を確保すべきというのは、すべてを情報としてディスクローズするという意味まで含め るのか、あるいは我々は消費者に対する安心感、信頼感を確保すべきであるというので あれば、その理由はよく分かるのですが、「透明性を確保する」というと、どこまで裸に したらいいのかという議論もあります。 ○福島座長  信頼感ですね。 ○庄野委員  信頼感ではないかと思うのです。いま国際的な流れというのは、SAICMもそうです が、そういう流れになっていると思うので、そのほうが我々としては理解しやすいです。 ○福島座長  いかがでしょうか、「信頼感を確保する」というのは。 ○菅野委員  信頼性ですね。 ○福島座長  信頼性ですね。ほかによろしいですか。次に(4)「今後の課題」です。ここについてご 意見をください。 ○板倉委員  ここから予防原則というニュアンスが感じられないのですが、それについてはどうで しょうか。 ○福島座長  枕言葉として、「予防原則に」ということは確かに重要です。そういうのを入れるとい うことですか。「背景」には予防原則のことは出てきますかね。セカンドパラグラフのと ころですか。 ○板倉委員  12行目の後半からですが、「既存の制度の下でナノマテリアルにも対応することが適 切である」と書いてあるのです。そうすると、いまは問題もないのだし、ほかの国でも まだ何も動いていないのだから、日本はほかの様子を見ていて、情報を収集しているだ けで、研究だけを進めましょうというように読めるのですが、それでよろしいのでしょ うか。 ○福島座長  ここら辺は国としての一定の方向はあるのですか。 ○化学物質安全対策室長  (4)の最初の文章が「現時点では」ということですので、当分の間はこうであるという ことです。さらにいろいろな研究や情報収集が必要であるというのは次で、「その上で」 として、さらに情報を蓄積して、必要ならば制度のあり方、法律の改正等も含めて、仕 組みややり方について検討していくとなります。最後のほうで、「新しい制度、仕組みを 考える上では、予防原則も踏まえた上で検討をしていく」というようなことを付け加え るというのはいかがでしょうか。  今回の検討会は、現状はどうなっているか、どういう課題があって、当面できること はどういうことで、さらに将来的な課題はこうだということを明らかにしていくという のが、1つの目的です。そういう意味からすると、結論部分の最後に、予防原則も踏ま えた対応について述べることにしてはどうでしょうか。 ○福島座長  分かりました。現時点では、既存の制度の下で対応すると。それで「しかしながら」 というのが入って、最終的に予防原則によって、いま言われたようなことを最後のとこ ろに入れていくと。 ○板倉委員  そういうことであれば、例えば13行目のところは、対応しているという事実です。 適切であると評価してしまうと、このままでいいと思われるのではないか。 ○福島座長  それしか現状ではせざるを得ない状況なのですかね。今後の課題で現時点では対応し ていると。対応していることが。 ○板倉委員  しているという事実だけでしょ。 ○福島座長  それがどうなのですかということです。 ○板倉委員  適切であると評価できないから、この検討があったのではないかと思うのです。事実 としてはそのようなことで対応しているけれども、これからこうですよというところだ と。いまのところで適切だと言い切った途端に、これ以上何も進まないという感じがあ るのではないかと思うのです。 ○福島座長  対応しているということですか。要するにここに評価は書かないということですね。 ○板倉委員  そうですね。 ○福島座長  それはそれでどうですか。皆さん。 ○宮田委員  ほかに何かあるのかという感じですよね。だから、せざるを得ないというか、するし かないという含みですよね。 ○蒲田氏  この文章の「適切である」と奥に入った事情というのは、ナノに特化した評価指標が ないと。そういった事情を考えながら、いまできるベストを行っていると私は読み取っ ています。そのあとに「しかしながら」ということで、検討課題が示されているので、 私としてはこの流れは違和感なく、素直に理解しています。 ○福島座長  「適切」のほかにいい表現はありませんか。いま淡々と述べるというのと、現状を評 価まで入れ込んで書く、このところでは評価まで入れて書き込んだということです。 ○化学物質安全対策室長  最初の1文の「適切である」というのは、積極的な現状の評価なのか、ほかに方法が ないという消極的な評価なのか、そこで受け取り方が違って、「適切である」というのは 積極的な評価だというのは言いすぎとなるかもしれませんが、「せざるを得ない」という 言い方も、ちょっと。 ○福島座長  「妥当」と「適切」は一緒ですか。 ○菅野委員  妥当はニュアンスが変わりますね。 ○福島座長  確かに、ある程度評価を書き込めたら、いちばんいいですね。 ○長谷川委員  「しかしながら」に続いているところですから、この文章でいいのではないかと思い ます。 ○福島座長  この文章でということですね。 ○長谷川委員  はい。 ○福島座長  そしたらこれを残しておいて、ここについては事務局で検討していただいてと。 ○菅野委員  そしたら、17行目の「今後新たに」というのを「今後」のあとに読点を打てば、より はっきりするのではないですか。 ○福島座長  「今後、新たに」ですね。分かりました。 ○宮田委員  先ほどの消極的な評価か積極的な評価か、あるいはその真ん中かというのは、「現時点 では」というのを頭に置くのをやめて、このパラグラフを「対応することが、現時点で は適切である」とすると、随分ニュアンスが違ってくるのです。それは菅野先生がおっ しゃった今後ということを予測させているので、そういう受けになるので、そうしたほ うがいいのではないかという気がします。 ○福島座長  そうすると、「現時点」「今後」が前のほうに出てきて、何を言っているのかなと見て いくと、最後に「現時点」で、ああそうかとはなりませんか。 ○菅野委員  1番正確なのは、「現時点」を2回入れるのです。 ○宮田委員  あるいは「当面は」という逃げ方があります。 ○福島座長  「当面は適切である」ですね、いいですね。その次の「今後」のところは改行しませ んか。「その上」というのは必要ないような気がするのです。それで「今後新たに」とい うことで。よろしいですか。 ○宮田委員  14行目の後ろのほうの「国際的な動向に配慮しつつ、注意深く科学的な知見の収集に 努めるとともに」と表現しますと、主にハザード情報になってしまうので、ナノマテリ アルの情報が不足しているからだけではなくて、今後ナノマテリアルがたくさん使われ るようになるだろうということも根拠の1つに入れた上で、「国際的な安全性対策の動 向にも配慮しつつ、注意深く科学的な知見と、ナノマテリアルの実用化の情報収集に努 めるとともに」と入れたほうがいいと思います。最後のほうになると、すべてハザード になってしまいます。  もう少し前から言いますと、13行目で、「しかしながら、ナノマテリアルの人の健康 への影響などに関する情報が不足しており、なおかつナノマテリアル自体が今後実用化 が進むと考えられることから、国際的な安全性確保の動向にも配慮しつつ、注意深く科 学的な知見及びナノマテリアルの産業化の情報の収集に努めるとともに」と。「ともに」 が2回になってしまったので、ここは何とか処理していただくということです。 ○福島座長  分かりました。実用化がより進むことを入れるということですね。 ○宮田委員  そうです。入れておかないと「当面」という意味も活きないです。 ○福島座長  分かりました。ほかにはよろしいですか。そうしましたら、全体を通じて何かありま すか。ありがとうございました。以上で議題1を終了します。細かい「てにをは」のこ とがありましたら、事務局にご連絡いただきたいと思います。本日いただいたご意見を 踏まえて、本報告書案を修正してもらいます。そして次回の検討会で再度ご議論いただ きます。  議題(2)「その他」で何かありますか。 ○事務局  本日の会議の議事録についてです。委員の先生にご確認いただいた上で、後日公開さ せていただきますので、よろしくお願いいたします。  次回の日程は3月19日を予定しています。場所は決まっておりませんので、追って 連絡します。事務局からは以上です。 ○福島座長  本日の検討会を終了します。ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室 電話03-5253-1111(内線2798)