09/01/21 第4回看護の質の向上と確保に関する検討会議事録 第4回看護の質の向上と確保に関する検討会 日時 平成21年1月21日(水) 18:00〜 場所 厚生労働省9階省議室 ○間企画官 定刻となりましたので、ただいまから第4回「看護の質の向上と確保に関 する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙にもかか わらず、当検討会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。なお、本日、舛添 厚生労働大臣は公務のため、遅れて出席の予定でございます。  会議に先立ちまして、本日お配りしている資料の確認をさせていただきます。1枚目 に議事次第があります。2枚目に座席表、3枚目以降が資料です。資料1は、これまで の委員の皆様方の主な意見ということです。資料2は、「看護の質の向上と確保に関す る検討会議論の整理(案)」です。資料3は、事務局から今回、先生方から要請のあっ た資料をお出しした事務局提出資料です。資料4は、委員の先生方から提出いただいた 資料で、草間委員、坂本委員、森委員より資料をいただいております。資料の不足など がありましたら、事務局までお申し付けいただきますよう、よろしくお願い申し上げま す。それでは、座長に進行のほうをよろしくお願い申し上げます。 ○田中座長 皆さん、本年もよろしくお願いいたします。本日も活発な議論を期待して おります。議事に入ります前に、前回会議で委員の先生方から質問がありました。それ について、事務局や文部科学省から資料が提出されていますので、説明をお願いいたし ます。 ○野村看護課長 資料3は事務局提出資料となっております。1頁開けていただくと、 前回、大熊委員のご指摘で、MSWなどの福祉職についても示してほしいということで したので、左側の円グラフの「その他」を詳細なグラフとして、右側の円グラフにして おります。この「その他」を細かく見ると、医療社会事業従事者や介護福祉士、社会福 祉士なども掲載されているところです。これは一般病院における医療関係職種ですので、 こういった割合の方々が働いていることになっております。  続いて、2頁です。これは吉田委員からご依頼のあった、養成所への補助金の資料で す。これは厚生省からの補助金で、民間立看護師と養成所への補助金、平成19年度の 交付実績です。統合カリキュラムと3年課程、2年課程をお示ししておりますが、統合 カリキュラムは9校と数少ないのですが、補助総額は2億1,100万円、計の所にありま す。1校当たりにすると、2,330万円、学生1人当たりにすると21万円といった補助金 額になっております。これは国庫補助と地方公共団体の合計で合わせたものです。3年 課程についても同様の仕掛けになっており、3年課程は213校で非常に多いので、補助 総額は41億7,400万、1校当たりは1,900万、そして学生1人当たりで14万となって おります。これらの補助金は、運営費の交付の額です。いちばん下の※にありますが、 施設設備の整備費は除いた額です。私からは以上です。 ○田中座長 続きまして、文部科学省からの説明をお願いします。 ○小山田看護専門官(文科省) 医学教育課長の新木が他用で遅れておりまして、代理 で説明させていただきます、看護教育専門官の小山田と申します。よろしくお願いしま す。補助金ですが、看護の大学で、看護学科に単独でお金を出すという仕組みがないも ので、日本私立学校振興共済事業団が作成した資料から、数字を拾って図表を作成して おります。大学部門、短期大学部門、高等学校部門ということで、大学へは全体で3,392 億円、短大へは296億円、高等学校へは3528億円が補助されており、単純に計算して 大学1校当たり5億9300万円程度の補助がなされております。ちなみに、看護系の単 科の大学への経常費補助金は、1大学当たり1億4,000万円という結果となっておりま した。  2つ目は専任教員の規定で、看護については前回の事務局資料の中でも1大学平均30 人前後という数字が出ておりましたが、医学に関しては現在のそうした数字を持ってお りませんので、恐縮ですけれども、大学設置基準の専任教員の基準を出させていただい ております。上の別表一で看護に関する専任教員の数で、保健衛生学関係で、収容定員 が200〜400、つまり1学年の定員が50〜100の間で、専任教員は12という数が決ま っております。一方、医学に関しては、下のロの表に書いてありますが、同様の基準で いくと、収容定員480人、つまり6学年ありますので、1学年当たりが80人定員で、 医学関係では専任教員が140という基準になっております。以上です。 ○田中座長 ご質問を出されました大熊委員、井部委員、吉田委員、いかがでしょうか。 ○大熊委員 多職種の協働というときに、私の頭には病院だけではなく、地域もあった わけです。包括支援センターなどは、保健師必置というようになったりしておりますし、 これから訪問看護師のことも重要な話題になると思いますので、病院に限らず、また作 っていただけるとありがたいと思います。 ○吉田委員 資料の提出ありがとうございました。私は自分の専門学校を大学化した場 合の補助金の違いを、私どもの学園自体で調べてみました。これは申請時においてどの 程度違うかということを調べてみたのですが、いま私どもの160名の看護、統合カリキ ュラム4年制ですが、2分の1補助ですから、厚生労働省が2分の1、地方自治体、北 海道から2分の1で、トータルで2,730万いただいております。そのまま専門学校を大 学に移行化した場合に、どのようになるかといいますと、最低限の補助金が1億2,257 万7,000円、ちょっと細かい数字まで言ってしまいますが、これだけ差が出てきます。 同じような定員数でありながら、私どもは厚生労働省からもいただいて、北海道からも いただいて、2,700万程度。  ところが、大学化になると、環境の整備はもちろんあるでしょうけれども、1億2,200 万、補助する対象が全く拡大してなっております。このような環境の中で、我々は同じ 保健師・看護師を輩出しているということをおわかり願えればと思っております。 ○井部委員 専任教員の数を出していただいて、ありがとうございます。確認なのです が、上の別表一ですと、看護学関係は1学年50〜100人というようには見ないわけです ね。全体の数で見るわけですね。200〜400人で12人ということで、下のほうの医学ま たは歯学に関する学部だと、これに相当するのはどうやってみたらよろしいのでしょう か。 ○小山田看護専門官 同じ人数の括りがないので、いちばん近いところで左から2番目 の収容定員480人までの場合の専任教員数が140であるというところで、いま説明しま した。 ○井部委員 そうすると、教員数は、看護は12人と医学では140人と、単純に比較す るとそのようになるのでしょうか。教員の数は、設置基準ではそのようになるというこ とですね。 ○小山田看護専門官 そうですね。学科ごとの設置基準はそのようになります。もう1 つ、大学全体の定員にかかる人数もあるのですが、こちらだけで見たほうがシンプルか と思いまして。 ○井部委員 ありがとうございました。 ○田中座長 一通りよろしいということで、議事に入らせていただきます。前回、少し まとめの案を出そうかという案もあったのですが、委員の皆様方から「もう少し議論を 深めるべきではないか」とのご意見を多くいただきました。そこで、取りまとめに入る 前段階として、本日提出されていますが、議論の整理(案)を事務局にまとめていただ きました。今日は、これを踏まえて、さらなるご議論をお願いし、もう少し深めた上で まとめに入っていきたいと考えております。事務局から、本日提出の議論の整理(案) について、説明をお願いします。 ○野村看護課長 資料2の議論の整理(案)について、簡単に説明いたします。これは 座長からもありましたように、看護職員の確保や看護教育などの議論を深めていただく ために、整理したようなものです。中間取りまとめの前段階という位置づけで、本日お 渡ししている資料1の「委員の主な意見」をベースにして、作成をしております。  1は「看護教育のあり方」についてです。看護教育は、時代や患者のニーズの変化に 合わせて見直し、充実を図る必要があるということ。そして、高齢化や医療の高度化、 在宅医療など、看護基礎教育の充実は喫緊の課題である。他方、大学や養成所など、い ずれを卒業した新人看護師も、臨床実践能力の不足が指摘されております。次の○です が、免許取得前に学ぶべきことを整理しつつ、教育内容や方法を見直し、充実を図って いく必要がある。次の○で、保健師のことに触れておりますが、保健師はより高い専門 性を求められ、教育の充実が必要であるが、教育の仕方については統合教育がよいとい う意見と、これを見直すべきといった意見があるということ。次の○が助産師について ですが、同様に高い専門性が求められています。教育の仕方についても、保健師と同様 の意見があるというところです。  2頁ですが、さらに看護職員が専門性を持ってキャリアアップしていくことは、看護 サービスの向上につながり、また離職防止のためにも重要だということ。そして、医療 機関における実践的なキャリアアップや専門看護師・認定看護師の積極的な活用を推進 する支援策が求められるというところです。この看護教育のあり方についての項目で、 議論を深めていただきたいといった事項が、●で書いたところです。1点目は、「教育内 容を見直すとした場合、どのような視点から見直すべきか。例えば高度な医療における 看護実践能力の獲得、各養成機関の創意工夫、多様な医療現場があることなどをどう考 えるべきか」。2点目は、「保健師・助産師教育のあり方について、議論を深める必要が あるのではないか」。3点目は、「看護教員の質の向上と確保について、どのように考え るか」といった点があるというところです。  2つ目の項目の「新人看護職員の質の向上について」です。医療の高度化、患者ニー ズの変化などを背景として、現場で求められる臨床実践能力と教育で習得する実践能力 との間に乖離が生じているという指摘がされております。こうした指摘を踏まえて、新 人看護職員の研修指針と到達目標が示されていますが、施設側の努力に任されているの が現状である。また、在宅医療、在宅看護を組み込んだ研修内容も強化も求められる」 としております。  3点目の「チーム医療の推進について」です。安心・安全な医療を確保する上で、チ ーム医療の推進は重要だという点。医療関係者のみでなく、チーム医療は福祉職や医療 の受け手もチーム医療の一員として協働・連携していくべきだということ。そして、○ が1つ飛びますが、医師と看護職員の協働を検討する際には、業務の現状・状況を踏ま え、専門性に沿って担うべき業務の範囲や実施に当たっての知識や技術の整理が求めら れているということ。最後の○ですが、看護職員がチーム医療における役割を果たすた めには、予測力、判断力、コミュニケーション能力などが重要で、こういった能力をつ けるため看護基礎教育の充実を図るべきであるというように書いてあります。この項目 について議論を深める項目として、黒枠で囲っております。1点目の●は、「患者にとっ て望ましいチーム医療とは何か。多職種の役割分担が患者の不安を呼ばないようにする ために、どのようなことに留意すべきか」。この点については、前回、大臣のほうからも 指摘されたところだと思っております。2点目の●は、「医師と看護師の役割分担以外に、 看護師と多職種との役割分担について、望ましいもの、推進すべきものとして、どのよ うなものがあるか」といった点も深めていただくことが必要ではないかと思っている事 項です。  4点目の「看護職員の確保について」です。看護職員の需給見通しについては、5年 間の見通しとなっているわけですが、診療報酬などは2年スパンで行われております。 ですので、診療報酬の改正は必ずしも反映されていない状況がある。このようなことか ら、次期の見直しの策定に当たっては、社会保障国民会議の推計とか、少子化による養 成力の減少を踏まえた、長期的な需給見通しも検討すべきである。需給見通しの策定に 当たっては、需要の増加、18歳人口の減少などが起きてくるわけですので、看護職員の 確保策の強化は喫緊の課題である。今後は、離職防止策のより一層の強化をするととも に、より効果的な確保策を打ち出していき、その実行をすることが重要であるといった 点がまとめられております。議論を深めていただく点として、1点目の●は「潜在看護 職員の把握について、どのような方法が有効であるのか」。2点目の●は、「離職防止、 再就業の促進のために、どのような対策が有効であるか」。3点目の●は、「看護師養成 ルートが多様であることをどう考えるのか」といったことが深めていただきたい点とま とめたところです。  なお、この議論の整理の構成についてですが、議論のステップで並べてきたのとは若 干違えております。これは中間取りまとめをイメージしており、本検討会の趣旨から、 流れをもう1回整理し直しているところです。看護職員確保対策確保ということが最も 中心的な課題と思っておりますが、そのためには質の向上が前提となることですので、 それを時系列的に並べると、看護職員の教育のこと、そして新人看護職員の研修、チー ム医療の推進につながっていき、これらを総括して看護職員の確保としてまとめること が適当かと考え、座長ともご相談した上で、このような構成としたところです。私から の説明は以上です。 ○田中座長 論点整理案の作成、ありがとうございました。議事に入ります前に、ここ で舛添大臣がお見えになりましたので、一言お願いいたします。 ○舛添厚生労働大臣 皆さん、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。 いま国会予算委員会で、連日議論をしておりますが、これまで看護職員の確保、新人看 護職員の質の向上、チーム医療の推進、看護教育のあり方ということで、いま事務局か らご説明があったように、特に●が付いている点について、今後さらに議論を進めてい ただきたいと思っています。  いま雇用の問題が大きな問題になっておりまして、介護医療サービスでは、むしろ人 が足りなくて困っている。しかし、巷には失業者が溢れている。このミスマッチをどう するかということで、介護については比較的、例えばヘルパーは3カ月の研修で2級ヘ ルパーを取れますから、こういうことの訓練をやっていくという職業訓練を含めたプロ グラムが組み立てられているところです。例えば看護のほうだと、どういうことができ るのだろうか。先ほど課長のほうから説明がありましたように、潜在看護職員の把握、 そして活用。そうすると、こういう方々はもう既に資格を持っておられるわけですから、 現場に復帰していただくためにはどういうことをやればいいのか。そうすると、これは やはり働き方で、短時間でないと、家庭との両立を考えると夜の勤務は駄目ですよとい うことになりますから、いまの経済雇用情勢を見ますと、こういう点についてもこの検 討会で何らかのご提言をいただければ、さらに介護医療分野の人手不足、医師不足、看 護師不足、介護の現場の人不足を同時に解消する形で、このミスマッチの解消というこ ともできると思います。ずっとここのところの議論を衆・参でやっているのは、そうい う話でもありますので、そういう点についても是非、率直な忌憚のないご意見とご提言 を賜れればと思っていますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。 ○田中座長 ありがとうございました。マクロ経済の情勢を踏まえてお話いただきまし た。私どもの議論に入りましょう。4つテーマがありますので、全部同じ時間というわ けではなくて、ある程度時間の配分については座長にお任せいただきます。初めに、看 護教育のあり方について、とりわけ大臣も言われました●の所を中心に発言をお願いい たします。○の所に触れていただいても別に結構ですが、●の所は是非お願いいたしま す。どなたでも結構です。 ○羽生田委員 いまここに書かれていることは、本日の検討会に出席されている多くの 方が、一昨年の看護教育のあり方検討会でかなりのことを議論したわけです。それとほ とんど同じであって、それに基づいて、カリキュラムの変更等を今度の4月から始める のです。それはどう考えればいいですか。これはもちろん今後のことで考えるというの は必要ですが、とにかくそのときにさんざん議論をして、結論を出した。カリキュラム 変更をして統合カリキュラム等を作って、これに対応できるにはどうしたらいいかとい うことをさんざん議論して、結論を出した。西澤先生も出ていられたわけですが、かな りの委員がこの中にいるわけです。同じようなことを議論して、一応4月から新しいこ とをやろうということが決まって、スタートします。ですから、いつまでにその結果に ついて判断するのか、その結果がどうだったのかという判断は、新たなことをやるわけ ですから、やはり必要だと思うのです。それをどう考えていくかという、その辺がちょ っと難しい点というか、私はまず4月からの変化を見る時間が必要であろうと思ってい ます。 ○田中座長 事務局の見解を求めるということですか。それとも、先生のご意見として ですか。 ○羽生田委員 かなりの委員の方があのときにいらした。ダブっておりますので、その 辺の方々、あるいは事務局等の対応についてもお話いただければと思います。 ○田中座長 もしよろしければ4月から始まることについて。 ○野村看護課長 この4月からのカリキュラム改正は、前回のカリキュラム改正が約10 年前だったということで、その間の世の中の変化を受けた教育内容にしていこうという こと。もう1つは、臨床実践能力が非常に問題だったというところから、構成を変えて 統合分野を新たに設けて、実践的な内容も教育できるようなものにしたというところで す。この検討会では、現行の制度の範囲内で、カリキュラムの改正をしていただいたと 思っております。  その後、田中座長にまとめていただきました懇談会では、中長期的未来の看護教育、 看護の役割、そしてそのための教育といった議論をしてきたところです。ですので、今 回の検討会では、やはり少し中長期的未来といったことも視野に入れながら、幅広い観 点から教育についても、基礎教育だけではなく、看護教育全般、免許を取ったあとの教 育の全般についてもご議論いただくという議論のテーマ設定ではないかなと思っており ます。 ○草間委員 これに関連して、資料を出させていただいておりますので、説明いたしま す。後ろから2番目の資料で、「保健師の教育の望ましい単位数」と書かせていただい ています。先ほど課長からご説明がありましたように、平成18年度・平成19年度に設 けられた検討会は、あくまでも現行制度の中で、ほぼ10年度ごとの指定規則をどう見 直すかということで改定したというように理解しております。その中で、資料の下に「保 健師教育の望ましい単位数」とありますが、委員会の中に看護師教育と保健師教育、助 産師教育をそれぞれどうするかという形の分科会ができました。保健師教育に関しては、 ここにあるように今年、平成21年度から始まる単位については、現行では21単位だっ たものが、保健師については23単位ということになるわけですが、望ましい単位とし てはこの分科会では40単位という形で出されております。特に保健師については、平 成20年度から特定保健指導が入ったり、健康増進、あるいは疾病予防における保健師 の役割は大変重要になってきているからということで、この分科会では40単位が必要 な単位であるというのが1つの目安になるのではないかと思います。そういう意味では、 今年の21年度の4月からの改定については、あくまでも現行の中でどう改訂するかと いうことで、必ずしも望ましい単位が入っているとは私は思っておりません。 ○中山委員 いまの●の所の議論で、1つ問題になるのは多様な医療現場というところ だと思うのです。これはアクションプランをどのように出すのか、グランドデザインを どうするのかということで、何度も出てきたことだと思うのですが、このまま国の施策 として看護教育の根幹を、病院で働く看護師に置くのか、これまでの議論にもあったよ うに地域で働く看護師ということにウエイトを置くのかということによって、私は看護 教育のあり方が全然違ってくるのではないかと思います。私は保健師・看護師という問 題についても、もし地域とかそういったほうに置くのならば、職種をどうするかは別に しても、いま大学などでなされている看護師教育と保健師教育を統合したような内容の カリキュラムは、地域の中で働く看護師には、必要になってくる部分がかなりあるので はないか。そこのところが見えないというのが私としてはつらいのですが、国の施策と しては、もう病院ではなくて、看護のボディというか、根幹を在宅にまで置くのか、あ るいはあくまでも病院にとどめるのか、この辺はどのように考えているのかお聞かせ願 いたいと思います。 ○田中座長 質問になっていますが、いかがでしょうか。 ○野村看護課長 前回の中長期的な看護の役割といったところでも議論をされたと思い ますが、やはり急性期における看護の役割は、引き続き重要だろうというところがあり ました。ですけれども、在宅についてもより強化していかなければならないといったこ とも出されたというように認識しております。ですので、どちらかということではなく、 両方が非常に重要だろうということです。 ○中山委員 そうすると、ほかの国の先進国がそうであるように、病院の医療というの はかなり急性期型になり、そして多くの方々が短い在院日数になりますから、在宅で見 なければいけない。それに加えて、たぶん介護も含めた福祉の部分で医療を提供すると いうのがあると、この3局とイメージしていいということでしょうか。 ○野村看護課長 その3局と言われると、慢性期が入らないのではないかと言われます けれども、そこを含めてそういったことになるのではないかと思います。 ○坂本委員 いまのどのような医療になっていくのかという観点からすると、いまドク ターの不足が目立っているということと、おそらく看護師も不足するのではないかとい うことになってくると、これからしなくてはいけないことはチームだと思うのですね。 チームの医療を、例えば在宅であれ、急性期であれ、慢性期であれ、そこを強化すると いうことになってくるのだと思います。私は助産師という立場もありますので、●の所 の保健師のことはいまお話があったとおりですが、助産師についてちょっと考えてみま した。  助産師についても、新カリの話の次に中長期というような考え方からすると、助産師 はいま医師が不足しているというところで、大変脚光を浴びて助産外来をやったり、い ろいろしていますが、このチームということが大変強力になってくるのではないかと思 います。正常分娩は助産師がやれるということはもちろんですが、それ以上に妊娠とか 更年期も含めて、不妊も含めて、もっと幅広く、ドクターのパートナーと強力なパイプ の関係の下で、母性も含めて見ていかないといけないのではないかと思います。それは おそらく私が助産師をしていたときより、非常に高齢出産等も増えていますので、そう いうところを求められてくると。そうすると、中長期を考えていくと、チームの一員に なれる助産師というのは、どのようにして教育していくかというと、もう1つは医師が いろいろなことをしていたときの助産師と、医師がある程度少なくなったときの助産師 の役割は少し違ってくるのかなと思います。  それから、正常分娩はできるからということですが、実は正常分娩の中に隠れている、 大変リスクの高いことをいかに予測するか。これはパートナーになって、ドクターに何 を報告するか、ドクターに来てもらうか、依頼をするかということの予測力を、いまま で以上に持たなくてはいけないと思います。そういう意味では、ある意味では侵襲的な 対応スキルというのも、例えばいまは分娩のときに、骨盤位の分娩は助産師ができない ということになりますが、ドクターが傍にいないときに、たまたま分娩が骨盤位であっ たと。そのときに、ドクターがいないときに、助産師が何ができるのか、できないのか、 私は正常分娩しかできませんと言うわけにはいかない。そういう意味では対応していく 力がなくてはいけない。これは保助看法の範疇だと思いますが、これに対する教育は、 いまの状況では大変少ないのではないかと思います。  そういった点から、チームの一員の一翼を担う助産師の教育を、いま看護大学だけに 焦点を当てて考えてみますと、4年間の中で保健師と看護師の基礎教育をある程度どこ の大学でも行っていますが、同じように4年間に助産師教育が入ってきます。これは一 見、入れ子教育のようになってします。例えば夏休みにお産をとらなくてはいけないと か、お正月や年末にとらなくてはいけないというようなところで、空いているところに 助産師の科目や実習を入れていかざるを得ない。助産師教育が系統的なプログラムの下 でやれないような状況がきていると思います。  資料4を出しましたので、見ていただくとわかると思いますが、これは前回のカリキ ュラムのときに出されたものですが、改正案としては22単位を34単位にしたいという ことで、これは「看護基礎教育の充実に関する検討会」、上の段ですが、望ましい単位数 と出ています。これを今の4年間の中でどのようにやっていくかというのは難しいと思 います。  資料4の3頁、「坂本」という資料です。改正案は34単位と出ていて、「望ましい」 と出ております。しかし、もう1つ不思議な現象は、下の段に「助産師養成機関数と平 均国家試験受験者数」を出しております。これは、助産師は平成11年に1,690人の受 験者、それが平成20年には1,631人。どうして増えないのかということが疑問です。 大学は増えているにも関わらず。この中のもう1つの現象は、助産師学校は減っており ます。養成機関は減っております。赤い棒グラフです。看護大学は増えております。し かし、看護大学も養成学校も、看護師・助産師の数は増えておりません。どうして大学 が増えているにもかかわらず助産師が増えていないか。そこに大変大きな問題があると 思っております。それは何かというと、看護師と保健師と助産師を4年間の中に設けて いることの課題があるからです。入れ子的なプログラムで助産師の教育を受けなくては いけない。つまり、多くの助産師を育成できないということです。  もう1つの課題は、教育内容のことです。助産師は、妊産婦の受持ちをしますが、、 ただ行ってお産をとるというだけではなくて、長期的なスパンで妊婦を見ていくという ことが、重要です。これからのドクターが不足した中での助産師は重要な役割になって いくことになると思いますが、実習の中ではそれがなかなかうまくできないということ を抱えております。そういう意味では、これだけ看護大学が増えてきて、その中で助産 師教育をうまく行っているならば、なぜ助産師の数が増えないのかということが大きな 課題であると思います。そういう意味では、看護基礎教育をきちっとして、またそれプ ラスで助産師教育をしていくというのを私は提案したいと思います。  そして、助産師教育を大学院などでやっている人たちから意見を聞いてきましたが、 大変大きな違いは何かと申しますと、強い目的意識、これが大学院でやっている助産師 の教育の中に大変明らかに出てきたものだと言っております。私は、これから専門職は 強い目的意識、自分がその職業になったことの強い、本当にそれをやるんだという強い 目的意識がなければ、途中で離職したり、いくらワークライフバランスを実施しても、 職業に就くときの気持ちが維持しにくいのかなと思います。基盤として目的を持ってき ちんと基礎教育していくというところを構築しておく必要があると思います。 ○田中座長 助産師・保健師、それぞれ意見がありますが、吉田委員どうぞ。 ○吉田委員 私はいまの坂本委員はもっともだと思いますし、この改正案などを含めて も、単位数を増やすのは質の向上には大変効果があると思うのです。しかし、前にも報 告がありましたが、保健師でも、実際に保健師を取得して、保健師として就職できるの が10%程度なのです。たった10%しかいない。そのような環境の中で、単位数だけど んどん増やして、高度なことをやらせるというのは大変、それは分かるのですが、就業 する場所がない。この業態を考えなければ、この問題はクリアできないと思うのです。 10%ですから、折角、保健師を一生懸命やって取って、取ったはいいけれども保健師の 就業する場所がない。これは誠に不思議なライセンスなのです。そこを是非考えていた だきたいと思います。 ○坂本委員 全くおっしゃるとおりです。私もいま大学にいますが、例えば100人卒業 させて、保健師で就職したのが数名です。この100人に保健師の教育をするために、ど れだけの人が効率悪く、エネルギーをかけているか。私は、この現実にあらためてびっ くりしました。保健師教育は全部4年間の中に組み込んでやっています。これがいま先 生がおっしゃられた、大変効率が悪くて、目的意識がなくて、それを教育しなくてはい けない、この看・保の4年間の教育というのは大きな課題があると思います。 ○草間委員 いまの内容に関して、資料を出しております。大学卒業者すなわち保健師 免許取得者と大学卒業者で、実際に保健師として就業している者の数を書いています。 これは大学卒業者だけですが、専門学校でも10校、統合カリキュラムをやっていると ころがありますので、保健師の免許を取る人はこれに約1,000人足していただければい いので、1万人が保健師の免許を取っているわけです。というのは、いま文部科学省が 大学を作るときには、少なくとも保健師と看護師は免許を取らないと大学を設置しない という方針をとっているので、免許は毎年1万人近く取るわけですが、赤い所が保健師 として就労する人なのですが、ほぼ600人です。今後保健師の就労者が増えるというこ とはないと思います。先ほど言いましたように、望ましい単位数を増やして実現をどう するかということですが、現在、看護系大学で修士課程を持っている所が105校ありま して、定員が1,700人いるのです。だから、修士課程を実務者コースにして、保健師を 取れるコースにするというのもあると思います。先ほど坂本委員が言われたように、い まのようにすべての看護大学の学生に取らせようとすると、半分以上の学生は目的意識 がないまま実習に出なければいけないという事情があり、実際に実習施設等からも、「保 健師になる予定のない人が実習に来るので、大変困る」という苦情が出ております。大 学側は今度、実習施設をとにかく探さなければいけないという問題が出てきております。 いま大学の修士課程が105校ありまして、この4月からは109校になると思います。そ ういう意味では、学部教育から、大学院教育にしたからといって、供給が困るというこ とは私はないと思っておりますけれども。 ○田中座長 需要と供給のミスマッチですね。 ○秋山委員 私は35年前に入れ子教育で助産師をとった、大学の中で取りまして、す ぐに産科の現場に行きました。すぐに臨床的なことは現場で鍛えられた形なのですが、 いま思うに、いま議論をしていますが、やはり基本的な4年制の課程で、地域看護も含 めて、保健師の教育も含めて、やはり4年間きちんと基礎教育を受けたということは、 私にとっては在宅の場では、いま非常に応用が効いているという感じなのですね。だか ら、長い目で見ていただいて、保健師の本当に実務の、特に行政の保健師になる人は、 特別にやはり上の教育が必要。それから、助産師もやはりそれに乗せた教育が必要とは 思うのですが、多様な医療現場が特に在宅も含めて、これから展開するとすれば、基本 は看護の基礎教育は4年制ではないかなと思っていて、そこの整理をした上で、基礎教 育の中のカリキュラムも見直した上で、何が必要かと。やはり地域も視野に入れた、幅 広い知識を持った者が免許を取得できるようにして、それから先、臨床研修制度等を通 して、それぞれ現場に合う人を作っていくという、この辺をそれこそ中長期のビジョン で、カリキュラムの見直しを含めて検討をしていただきたいなと、私は自分の体験を含 めて思います。 ○田中座長 もう一方ぐらいご発言をいただいて、大臣が途中で公務でご退席なのでど うぞ。 ○森委員 看護界の世界的なコンセンサスとしては、高度専門職業人育成は大学院教育 で、そして免許取得のための基礎教育は学士課程の教育でということになっています。 看護師でも保健師でも助産師でも、その免許を持った人がエキスパートになるためには、 基礎教育プラス実践の場での実務教育、さらにその上に大学院教育が必要であり、助産 師・保健師免許を大学院教育で取得するというしくみは、助産師・保健師の質を高める という方向ではないと私は考えます。 ○酒井委員 先ほどから基礎教育の大切さ、4年制の問題というのは出ていると思いま すが、それプラス、何度もお話が出ているように離職者の防止、これがかなり急務の課 題になっていると思うのですね。先ほど委員からお話が出たように、基礎教育を終えて、 そして臨床現場とのギャップを早く埋めていかなければ、いま折角、看護師として働い ている人たちが、どんどん離職していってしまうという現状があるわけですよね。これ を早く何とか食い止めなければいけないのではないかと思うのですが、やはりそのため には4年制の教育というほうが先なのかどうなのか。私が患者の立場として考えたのは、 一刻も早く離職者を止めてもらいたいという気持はあるのですね。先ほど羽生田委員か らお話がありましたが、4月からカリキュラムが改定されるというところに、この新人 看護師たちの研修というカリキュラムはもう入っているのですか。それとも、そこには まだ全然触れていないのでしょうか。もしそうだとしたら、新人の研修制度というのも 急務なのではないかなと考えていますが、いかがでしょうか。 ○野村看護課長 平成21年度からのカリキュラム改定には、新人看護師研修は入って おりません。基礎教育の中だけの実習の範囲ということです。 ○石垣委員 いままで各委員がおっしゃっていたように、看護基礎教育は4年にすると いうのは必須だと思います。いま臨床の現場、あるいは地域の現場に、たくさんの専門 職が参加しておりますが、あとから入ってきた人たちの基礎教育はほとんど4年です。 その中で看護だけが非常に出遅れております。3年制では一般学歴では高卒になってし まうのです。もう一つ前にも申し上げましたが、看護の国家試験の受験資格に、たくさ んのルートがあって、それが整理されていない。それを整理していくということも一方 でやっていかなければならない。すなわち、基礎教育の年限延長ということと同時に、 受験資格のルートを整理することも必要だと思います。  そして、離職者の防止は、4年制になったからといって、それはすぐ解決されるわけ ではありません。それに加えて卒後臨床研修制度の充実が必要です。私は卒後臨床研修 は最低1年は必要だと思います。医師1人を育てるのに1億円のお金をかけているとい うように聞いております。もちろん看護しは同じようには考えられないでしょう。しか し、超高齢社会になり、受け手の生活を重視した医療を定着していくには、看護師の教 育を重視していくことが必要です。国は基礎教育の教員の養成や、臨床現場の教育の充 実を支援していく方向で考えていかなければいけないと思います。臨床研修制度は、潜 在看護師の教育にも必要だと思っています。潜在看護しは、看護協会が主に取り組んで おりますが、多くは各施設が独自で実施しています。潜在看護師の人にもよりますが、 その教育は1年生を教育するより、もっと手をかけて教育をしておりますから、1年生 の臨床研修制度とは全く同じではないかもしれません。しかし、重なるところもたくさ んありますので、それは政策として一定の教育をするということも、潜在看護師をもっ と現場に戻す方策だろうと思っています。 ○舛添厚生労働大臣 すみません、次の用事があるので行かないといけないので、いま までの委員の先生方がおっしゃったことは、それぞれもっともだと思いますが、3点ほ ど私のほうで申し上げたいと思います。1つは看護師・助産師、そちらの人生というか、 キャリア、そっちから見た観点と社会全体から見た観点。これはおそらく中山さんがお っしゃったり、秋山さんがおっしゃったこととも関係があるし、坂本さんもおっしゃっ たのですが、要するに若くて、今から私が看護師になりますよというときに、将来どう なるかわからない。結婚して家庭を持って、しばらく休むかもしれない。自分は非常に 高度の急性期をやりたいと思っていたけれども、自分の人生の途中で、やはり地域医療 をやりたいなと思うかもしれない、それは自由なのですね。  それから、社会のニーズも、いまから地域医療は大きくなってくるでしょうし、急性 期は急性期で、非常に高度医療をやってくださる方がおられない。そのときに、教育の 分野でどこまでがベースなのでしょうか。3年か4年かという問題もありますが、これ だけは絶対のベースですというのを作った上で、その上に専門化するなりやっていく。 そして、ある段階で、例えば子育てその他のために10年間休んでいましたが、45にな って戻ってきたいというときに、世の中の状況も変わっている。そうすると、大学も開 かれた場所であって、そこに入ってきて再研修をする。そういう社会人になってあとか らのキャリアチェンジができるような大学のシステムのようなもの、これをやはり作ら ないといけないのではないかなと思っています。これは文部科学省とも関係があるので、 そういう柔軟に対応できる、社会から見ても個人から見てもという、その両方の視点が 必要だなと思っています。どうしても看護教育という話になるとカリキュラムの話など ということになって、個人のその後の人生、看護師・助産師、それから社会全体のニー ズということとの連動が、必ずしもうまく十分議論されないでやっていくきらいがある ような気がしています。あえて申し上げます。  2番目は、いま申し上げましたが、変化への対応をどうするか。変化への対応という のは、個人についてもそうです。常にスキルアップをしていかないといけないし、自分 の人生もどこでどう変わるかわからない。例えば極端に言ったときに、一生懸命日本で 教育を受けた。家族全体の、例えば旦那さんの都合で海外に移転して、そこで5年間働 く。スキルを持っているなら、別に日本人社会のためだけに働かないで、アメリカに行 ったら、アメリカ人のために自分のスキルを使ってもいいわけで、言葉の問題はあるに しても、そういうときに国際的な標準化みたいなものがあるのだろうか。だから、変化 への対応能力を高めるというのがもう1つだと思います。  3番目は、これは政府の役割でもあるのですが、常に総合的な政策との関連を考えて おかないといけないので、再就職の問題にしても、ワークライフバランスはどうか。私 が先ほど冒頭に申し上げたように、短時間労働をどこまで認めるかということがあるの で、そういう社会全体との総合的な政策の中で、それは看護職や助産職に対する処遇の 問題とか、診療報酬の問題ともかかわってくるでしょうし、まさにいま冒頭申し上げた、 労働政策的な観点から言ってもということもあると思います。  やはり最終的には、いま言った3つぐらいの問題点について、常に大きなスキームの 中で是非ご議論をしていただければと思っています。若干いままでの議論を聞いて、今 日の中間的な議論の整理の中で、そういうことを感じておりますし、石垣さんや森さん もおっしゃったように、4年というのは最低限必要ですというご意見もありますし、ま た当然とにかく早く即戦力がほしいという意見もあると思います。私も大学の教育の場 にいたので、カリキュラムをどう変えるか。そして、海外の教育と比べたときに、私は 東大の法学部ですが、ここはこう変えたほうがいいのではないかというのがあります。 それから、秋山さんの話ではないのですが、こんなものをやったって何の役に立つんだ ろうなんて言って、例えば労働法などというのは、こんなものは憲法と民法をやってい て、労働法なんて何の役に立つだろうと思っていて、まさか厚生労働大臣になるなんて 思わないので、いまそれが役立っているなどということもあるのです。だから、実習の 場で邪魔になるような可能性もあるかもしれない。これはもうほかの分野でも、医療の 分野でも、絶対に外科になろうと言っていた者に、産婦人科を見させて3カ月研修をや ったってしょうがないじゃないかという意見もあるのですが、秋山さんがおっしゃった ようにどこかで役立つということもあるので、そういう少し広い観点も踏まえて、さら に議論を続けていただきたい。このまましばらく議論をやりたい気がありますが、また 議事録を読ませていただきますので、いつも時間が短くて恐縮ですけれども、ご議論を よろしくお願いします。ありがとうございます。 ○坂本委員 全く大臣と同じ考えです。例えば基礎教育をきちんとしておけば、応用が できる。それから、キャリアパスに対して多様に能力を付けられる。海外でも働ける力。 そのために、専門性をどのように伸ばすか?そして向上させるかということを考えてら れるということは分かりました。それはどのようにアクションプランを作っていただき ますか。もうこれが何回も同じような委員会のなかでは今後は、具体的にそれを作り上 げるチーム、それからそれを諮問するチームが必要だと思います。そこをどのようにし ていただけるか。それは是非退席される前にお答えをいただきたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 それはやはり文部科学省とも連携しないといけないので、新木課 長も来られているから、よく議論を聞いてもらって、塩野谷文科大臣ともこういう話を する。それから、いま官邸の中に地域医療全体を考えるということで、我が省、総務省、 文科省に内閣官房が入ってやっています。そういうところにここでのご議論がまとまっ て、こういう議論があって、これは政府全体で動かさないといけないということを私の ほうから申し上げて、地域医療のあり方についてはどうしても医師不足とかそっちの話 になるので、この問題もありますということをきちんと申し上げて、今後、道筋を立て たいと思います。 ○坂本委員 それから、チーム医療の中での現在の役割分担をプレゼンさせていただき ました。ナースとドクターが本当に意欲的に、自分たちが自信を持ってチームを組んで やっている役割分担が見えてきました。大臣とここでお話をしたことをどのようにそれ を全体的に進めていくのか。どのようにしてバックアップしていくかということがまだ 見えてきません。 ○舛添厚生労働大臣 だから、そういうことも含めて、もう少し議論を深めていただい て、やはり国民の視点から見て、チーム医療、役割分担がいいのかという議論を必ずや らないと、「それはあなた、看護師さんとお医者さんと助産師さんが勝手にやっているこ とでしょう。私たちから見たらそんなの嫌だよ」と言われたら、終わってしまうのです ね。だから、そういう点も是非、大熊さんを中心に、また酒井さんも阿真さんもおられ ますから、議論をしていただければと思います。坂本先生の問題意識は、私も同じ問題 意識なので、今後とも引き続き頑張ってやりたいと思います。すみません。中座します けれども、よろしくお願いいたします。 ○田中座長 1の看護教育のあり方について、もう1人、2人ぐらい、いかがですか。 ○森委員 私は資料を出させていただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。 資料4の4頁です。論点整理の所に、現在の統合教育がよいということを、助産師・保 健師の量の確保の観点から述べられておりますが、これは量の確保だけではなくて、教 育上の利点があるからということで、根拠資料を示させていただいています。研究的に 明らかになっている学士課程の統合カリキュラムにおける助産師教育の利点ということ で示しております。これは6までありますが、このほかにも、学士課程の教育を受けた あとの高度専門職業人教育、専門看護師教育への連動が容易であるということが、言え ると思います。  看護教育のあり方の上から5番目・6番目を、大きく2つの修正をお願いしたいと思 います。1つは「保健師・助産師の量の確保からの観点」のみではなく、「統合教育の利 点を踏まえて」と文言を入れていただきたいと思っております。2点目は、統合教育を 行っているのは、ほとんどが4年制大学ですので、もし統合教育に関して文言を入れら れるものでしたら、先ほどのご説明では8校、専修学校でもおありだと伺いましたが、 できたら「大学における保健師教育」だとか、「大学における助産師教育」というように、 文言の修正をしていただけたらと思います。 2頁の●の1番目に「教育内容の見直しをした場合」ということでお話が出ており、最 後の4頁の論点整理の3番目に、「看護師養成ルートが多様であることをどう考えるか」 という話が出ておりますが、この2つの論点は一緒に検討すべきことであると考えます。 第3回のときに私が資料でお示しいたしましたが、学校教育法には教育課程別の目的が それぞれ定められております。看護基礎教育でも、人材育成の目的が専門職業教育であ る大学の教育内容と、人材育成の目的が職業教育である専修学校とを一緒に論ずること はできないと思いますし、修了年限も同じように考えております。教育内容を見直す前 に、まず、看護の質の向上のためには看護職を志す者が、どのような教育課程で教育を 受けるしくみを整備していくのか、中長期的に大学化を図るかどうかの決定をすべきで す。そして、その意思決定を明確にした上で、学校種別ごとに教育内容をどのように見 直していくのかを検討していただきたいと思います。  また、教育内容を見直すときには、卒後研修の制度化をすることを前提に、看護教育 の見直しをしないと、社会のニーズに合った教育内容の見直しにはならないのではない かと思います。 ○吉田委員 いまの森委員のご発言にもありましたが、もうちょっと現実的に物事を考 えたらいいのではないかと思います。いま、全国に大学も短大も含めて670校ありまし て、このうち3年制課程が459校、68.5%あります。統合カリキュラムはちょっと変則 も含めて14校、2.1%あります。大学、短大は191校、28.5%あります。いまはこのよ うなパーセンテージで、3年制の専門学校は459校で圧倒的に多いのです。これを4年 制にしたらいい、加えて大学までしたらということになると、これを本当に整理できる のかどうか。4年制にすると校地から校舎からすべて変えなければならない。そういう 手当てを国がちゃんとしてくれるのかどうか。  質の点で4年制は悪くはないと思いますが、第3回のときでしたか東京都立の板橋専 門学校3年制(斉藤先生)、神奈川県立の4年制大学(小山先生)、お二人の話を聞いて いて、専門学校は下なのですか、落ちているかよくわからないです。しかも成果から言 うと、国試の合格率ははるかに専門学校のほうが高いのです。単純に3年制を4年制と 言った場合に、移行の問題がたくさんあるということを是非わかっていただきたいので す。 ○海辺委員 私の場合は門外漢というか、事情に詳しくないのですけれども、ただ、報 告書を読ませていただいたり、議論をずっと伺っていたり、看護職の方々と会ってお話 を伺ったりすると、今後の方向性として4年制というのを、看護職の方はほぼ皆さんお っしゃることですから、その方向性については無視せず、決めて進んでいくしかないこ とかと思うのです。4年制にしていこうという方向性自体は、いままでの議論を伺って いる限り異論はないところではないかと感じました。  大臣のご発言も踏まえて、世界標準レベルでの看護職の在り方とかいろいろなことも 視野に入れるとそうなろうかとなってくると、今度は、その期間ずっと医療をストップ するわけにはいかないし、もちろん専門学校が存在している現状がありますから、いま ある専門校をどうやって4年制化していくかや、その中でも必要な数をどうやって確保 できるようにしていくかを10年かけてこの目標に到達するというようなプランなどで 示し、さらに大臣や文部科学省がそのプランに対しこれだけのお金が必要だからこれだ けの予算を付けるのだというところまできちんと踏み込んだ報告書のようなものを作ら ない限りどなたも安心できないと思います。結局議論が回って回って、現実こうだから どうするのだというところで、いつまで経ってもこの回る議論を10年続けなければい けない話になろうかと思うのです。  お話を伺っていると、決めて、“こういう方向性でやっていきます、これだけお金が必 要です。だから、国民に対してもこれだけの負担が必要になっていきます”という方向 を明確に出していくべきだと。国民に負担を求めるなら、こそこそ決まっている感じで はなく、私の周りの主婦友達でも「この間、新聞で読んだわ」、というぐらい知っている 話にしていくような工夫も必要です。そういうことをしていかない限り、何年やっても この議論が回って終わってしまうのではないかという印象を持ちましたので、部外者で すけれども発言させていただきました。 ○田中座長 中立の立場からの意見も貴重です。 ○太田委員 「多様な職場」という文言がここに盛り込まれていることに、心強く思い ます。教育の場が、病院であるというのは、既成概念です。幸い「訪問看護」という言 葉は出てきても、グループホームや、老人保健施設、介護老人保健施設、特別養護老人 ホーム、介護老人福祉施設など、そして、障害者施設など、ナーシングホームといわれ る所でも、看護師は頑張らなくてならない。こういった施設でも看護の教育の重要性は、 あまり話題にならない。  地域も大切な教育の場であると思います。地域が教育の場であることを、国にもしっ かり認めてもらいたい。地域の医療施設では、半ばボランティアで実地教育をやってい るようですから、地域が教育の場であるという認識は広まりにくい。病院の教育という のは臓器別であったり、診療科別であります。多様な職場、多様な医療現場、在宅医療 もそうですけれども、高齢者、障害者といった生活から見ていくナーシングに関しては 病院で教育できないのです。  在宅医療の現場が看護教育の中に盛り込まれたことに関しては喜ばしいことですけれ ども、地域が教育の場であることのお墨付をいただくためには、地域の教育の場に対し てちゃんと予算を付けることが非常に重要だと感じます。 ○田中座長 極めて現実的なご意見でした。 ○福井委員 在宅とか訪問看護を行う上で、どうしても急性期のことがわかっていない と、質の高い慢性期とか在宅の看護というのは望めないのではないかと思います。そう いう意味では、最初から在宅とか慢性期の看護だけというのは望ましくないわけです。 ですから、急性期のところをしっかりできるようにして、それから在宅とか慢性期の看 護を行うと質の高い看護になるのではないかと思います。急性期の経験なく、直接在宅 とか慢性期の分野で働くルートがもしあるとすると、それはどうかと思います。ドクタ ーも全く同じで、急性期医療を経験しないで、プライマリケアだけというのは非常に危 険だと思っています。  看護教育の4年制の話、3年制の話が出てきていますが、例えば、人体の構造や機能、 病気についての知識も、今後ますます膨大な量になっていく中で、どうしても将来的に は4年制にするべきではないかと思います。実現する上でのハードルが高いというのは 承知の上で、理想としての目標はきっちり決めた上で、今後どうするかという話に持っ ていくべきです。ハードルが高いからやめようというのは与すべきではないと思ってい ます。 ○羽生田委員 どちらかというと福井先生に反対というか、4年制は決して決まった話 ではありません。4年制がいいという話は以前からの委員会でもずっと出ていますけれ ども、4年制の方向性が決められたわけではない。ましてや、いま吉田委員からもあり ましたように、3年制を出ている看護師は、65%を超える数が毎年いるわけです。いま 4年制の方向性を決めた途端に、4年制にならなければならないときに、医師会立の学 校養成所の9割以上は確実になくなります。教室を増やさなければいけない、専任教員 もいませんので、まず物理的に無理ですから、養成所が減ることは確実です。そういう ことも考えて、今回の検討会も、質の向上と「確保」という言葉が入っています。これ は、これから迎える超高齢化社会で高齢者が増えるわけですから、これから先の看護職 員の確保をどうするかということも考えていただきたい。  もう1つ、看護基礎教育の充実ということについては、我々も十分充実しなければい けないということで、いままでの厚生労働省の委員会でも発言してきました。1つには 吉田委員も言われた、国家試験の合格率が90%以上で、養成所が特別悪いわけではない。 どこまでを看護の基礎教育とするかというのは、先ほどの大臣の言葉にもありましたけ れども、基礎教育の上にどのような専門的な教育を上乗せしていくか、自分たちの資質 の向上をしていくかという、その基礎教育はどこまでなのかという問題です。いまの国 家試験で、9割以上の合格者が出ていれば何の問題もないわけです。だけど、いろいろ な問題でもうちょっと充実させるべきだという意見はたくさん出ていますし、それに私 も反対するわけではない。ただ、国家試験が90%以上の合格率があって、そういう国家 試験を通った人たちが、いわゆる看護師という国家資格を持って現場へ入るわけです。  いまの医師の臨床研修はいろいろ問題もありましたけれども、看護基礎教育はどこま でかと、看護師も卒後の臨床教育をどうやってきちんとやっていくかを十分検討すべき だと思います。基礎の看護教育の充実はどこまでやるのか、国家試験はどこまでレベル を上げるのか、4年制でなければ受からないだけの国家試験を作ってみればいいではな いですか。最低限看護師はどこまで知識があればいいのかというのが国家試験ですから、 それに対してどう対応するかということです。看護師国家試験の出題をされている先生 もこの中には随分いらっしゃるでしょうが、看護師国家試験はどこまで知っていれば資 格をあげましょうという最低のラインだと思っています。その後の研修は、現場で覚え ていくわけです。  医師だって6年間では使いものにならないということで、2年間の研修ができている わけです。看護師だって3年間なり4年間で出て使いものになるかというと、それがそ のまま離職につながっているという理由も1つにはあると思いますけれども、ほかにも 理由はいっぱいあると思っていますから、看護基礎教育はどこまでということはきちん としたほうがいいと思います。 ○西澤委員 いろいろな養成機関はあるのですけれども、将来的な方向として4年制は あると思っています。現在は、養成所においても3年間できちんとやっている所もあり ます。養成所、高校、短大もありますし、それぞれの内容をもう一度調査を行って、ど こに問題があるか、これで十分なのかという議論をもう一回する必要があるのではない か。  その上で4年制の議論をするときに、すべてを4年制にすることが必要なのかどうか。 即ち、現場に通用する看護師として教育期間がどれだけ必要かということと、大学にす るのであれば、どうして大学にしなければならないのか。おそらく養成所と大学だと教 育内容が違って、看護研究者を育てるとか、いろいろな目的がそこにあるはずなので、 その辺も明確にしていただきたい。すべてが大学に一本化というのはまだ早いのではな いか。そのようなことをいろいろ検討していただきたい。また臨床研修は、その前に早 く実現したほうがいいのではないかと思っています。 ○吉田委員 羽生田先生ありがとうございました。量の確保という点から見ると、本当 にこんなになります。札幌には3年制の専門学校がまたできます。4年制は逆に大変苦 戦しています。それはなぜかというと、4年制へ行ったら学費がかかるし、早く就職し て、早く親に経済的に恩返ししたい。そういうことを考えても、必ずしも4年制への長 期化というのは、量の確保についてはかえって難しくなるのではないかと思っています。 是非お考えいただければと思います。 ○田中座長 まだあるかもしれませんが、2番の新人看護研修の質の向上の話は臨床研 修にだいぶ出て踏み込んでいました。2は2つしか○がありませんし、●がないので2 と3をまとめて議論をしていただきたいと思います。3のほうは●が2つあります。 ○羽生田委員 この中で、1つには潜在看護職員の把握ということで、前回のときには 説明する時間がなかったのですが、特に医師会立の学校養成所を卒業された方々に対し てアンケート調査をして、潜在看護職員がどの程度いるのか、どういうことを望んでい るのかを調査させていただきました。綴じ込みの真ん中よりちょっと上ぐらいのところ に、資料4-1があります。その中で結論だけ申し上げますと、7割ぐらいの方が看護職 員としての再就業を望んでいることがわかりました。そのために必要なのは看護技術、 あるいはIT化に対応できる、医療の進歩に対応できるといった研修であり、非常に大 きな問題ということです。  それから、潜在看護職員には情報がなかなか行かないのです。個人情報保護で同窓会 の名簿も作れないような所もあるということで、我々も調査するときには非常に気をつ かったし、時間もかかりました。看護協会の会員には看護協会からの情報が行きますけ れども、入っていない方の所には全く行かないです。ですから、その情報のあり方とか、 相談窓口をつくるということが潜在看護職員については必要だということがわかりまし た。それを前回の資料の中に入れさせていただきました。  もう1つは、他職種との役割分担という話があります。看護職員と医師という話がい ろいろ出ていますけれども、現在の医師法、あるいは保助看法の中で、もう少しいろい ろな業務が役割分担として広くできるはずである。でも、ほとんどの医療現場でそれが 確実に活かされていない。それをもう一度見直すべきで、どれだけ役割を拡大すべきな のかといった議論をすべきであって、医師が足りないから看護師の役割を増やせという 議論のスタートは間違っていると思います。  それは患者の視点に立てば、そういうことで看護業務を増やすということではない。 いろいろな場面がありますから、こういう場面の中では看護師にもう少しいろいろな仕 事をしてもらうといいのではないか。そういうことを、いまの保助看法、医師法の中で どこまでできるかという議論をきちんとした上で、法律改正までしなければできないも のがあれば、それをすべきかどうかといった基本的な議論をきちんとすべきであります。 医師不足だから、勤務医が疲弊しているからそれを看護師にやってもらってそれに対応 するという議論のスタートは全く間違っていると思います。  医師に医療クラークみたいな医療秘書が付いて、いわゆる事務的な業務、医師でなけ ればならないというものではない、医師でなくてもできる業務をしてもらうというのは 既にスタートしました。そういう業務はそういう業務で、別に実際に患者に侵襲のある 医療行為についてはどこまでできるのかという議論をスタートさせる。そのほうが現実 的であるし、それが必要だと思っています。 ○田中座長 4番の潜在看護師のほうまで入ってしまっていますが、時間の関係もあり ますのでそちらも結構です。 ○草間委員 新人看護師の研修が必要だというのは先ほど来何回も出ています。新人看 護師の研修というのは多くの病院で実際にやっています。病院の自主性に任されている というところだと思うのです。この報告書に是非書いていただきたいのは、毎年新人看 護師は5万人近く出るわけです。その5万人近い新人看護師すべてが平等で同じレベル の新人研修ができるということが大変重要なことです。  そういう意味では、新人看護師の研修を制度化する、即ち義務化するということをき ちんと報告書の中に書いていく。必要であるというだけではなくて、制度化していかな ければいけない。医師の臨床研修のように義務化するという形で明記していただきたい。 必要ということでは、それぞれの病院ですでにやっているわけですけれども、小さい病 院とか、場合によっては診療所等へ行った場合にはできないことがあったりします。少 なくとも新人看護師全体にできるような形にしていくということで、制度化とか義務化 という言葉を是非盛り込んでいただきたいと思います。 ○坂本委員 中長期の話として、いちばん危惧するのは少子化です。少子化の中で、看 護の教育は何年がいいかという議論があります。少子化に対して、看護師になる人が少 なくなっていく状況がおそらく来ると思うのです。そのときにどのようにして、少ない 状況の中で看護師は何を担っていくのかということは考えておかないと、いまと同じよ うな数が、そして潜在を呼び出せば数が確保されるというふうに考えるのはそう簡単で はないと思うのです。  これからの基礎教育のことと、先ほど言われた役割分担をどのようにしていくかとい うことと、患者さんへの看護師が行なわなければならない侵襲的処置もおそらく出てく るだろう。それから、もっとトータル的に看護師が患者のそばでかかわっていくという ことも必然となっていくと考えられる。その対応を中長期の視点としてもたなければな らないと、少子化に対する対応をどのようにするかということが問題だろうと思います。  先ほど大臣が、いまの雇用の問題に対してどのように医療関係は対応できるかと言わ れましたけれども、私はアメリカなどで見た状況からすると、日本の病院というのは医 師と看護師、それから事務の方とも結構会いましたけれども、もう少しそこの中にいろ いろな職業を担える人を入れていったほうがいいのではないかと思います。まだ、多く の病院はまだ入れていないのではないかと思います。患者の搬送についても、看護師が 病棟へ行って患者を搬送する。検査にお連れする。リハビリに一緒に行く。いうことが 多々あります。患者に必要なことをいろいろな職種がチームとして寄ってきてやってい く形にしていく事がこれからの医療だと考えます。この業務の分担があるいは看護師の 離職に関係する可能性もあると思います。 ○石垣委員 坂本委員のご意見にも関連するのですが、18歳人口の激減を見通して、量 と質の両面からいまの看護教育機関および定員の適正数を考える必要があると思います。 いまは教育機関がどんどん増えています。定員割れしている所も随分出てきていると伺 っています。18歳人口が減る中で、適正な教育機関数はどのぐらいなのか。その教育機 関の中に一般教育とともにリカレント教育といいますか、すでに免許を持っている人た ちの学習ニーズに対応する教育も考えられると思います。たとえば、仕事をしながら大 学の単位を積み重ねていく方法とか、夜間の授業を受けることができる方法などです。 18歳人口だけを対象にした教育をしていると、いずれは限界が来てしまうと思うのです。  量の確保から言うと、もう1つは潜在看護師については看護協会が「We need you」 キャンペーンに力をいれております。しかし、それでも看護協会とか施設の努力に負う ところが多いので、卒後1年目の臨床研修制度と同じく、国としてその人たちに対する 研修を担うということと、それを国家的にキャンペーンしたら潜在の人たちの目が行く のではないか。  もう1つは、国民のニーズとして高学歴を指向するようになってきますので、その点 もきちんと踏まえたほうがいいのではないかと思います。 ○阿真委員 私たちの会のお母さんたちは、小さい子どもをもっているお母さんばかり で、看護師だった人がすごく多いです。彼女たちは、みんな小さい子どもを抱えていて、 戻りたいと言うのですけれども実際には戻れないと言います。普通に考えたときに、私 たちが働ける時間というのはすごく短いです。一般の人が例えば5時といったら、まだ まだ働く時間です。でも、私たちは5時に終わったらダッシュで電車で帰って、迎えに 行かなければいけないということで、5時というのはギリギリの時間です。そこにかな り差があると思います。  例えば10時から3時で、それも毎日だとなかなか難しいです。本当に短い時間で、 普通の人が1人でやることを、子育て中のお母さんが2人とか3人でやる。そういうこ とを進めている病院に対しては、国が何かをしてくださらないと、本当に広がっていか ないと思います。私たちが働ける時間というのは、相像以上に短くて、病院側やそのほ かの方にとっては逆に迷惑になってしまうのではないかということをすごく考えます。 私たちの会にいるお母さんたちも、やはり迷惑にはなりたくないし、でも働きたいとい うことです。  そういう所で、3人で1人の役割でいいからどうぞ来てくださいという、病院側もそ うあってほしいし、国もそういう病院を支援する。そうすれば、そこで辞めなくても済 むと思うのです。みんな辞めてしまったから、戻りにくいということもあるのです。辞 めなくて済む環境を整えて、また辞めてしまっても戻りやすい、それでもいいから働い てくださいという病院とか、そういう政策が見えれば、お母さんたちは戻りやすくなり ます。戻っている人も大勢いると思いますけれども、私たちの会で小さい子どもをもっ ている人はまだ戻っていないので、そこのところをちょっと考えていただけるといいか と思います。 ○田中座長 病院側を支援することに加え、潜在看護師に情報はどこに聞けばいいかを 伝える。戻るときのバリアを低める再教育はどういう病院や学校が提供しているかも大 切な情報です。例えば、地方自治体のホームページをクリックすると、再教育をしてい る施設が出るとか、この施設なら短時間正規労働があります、だから登録してください といった誘いかけをたやすく得られるようにしないと駄目ですね。 ○中山委員 阿真委員の発言に関連するのですが、先ほど坂本委員が言われたこととも 関連するのですが、短縮労働だとか、さまざまな職種を入れるときに、現実問題として はそれをマネジメントして、そういう人たちの能力を活かしてくれる人の存在がなけれ ば絶対に駄目なのです。  ここの委員の中には看護管理の専門家がいるのですが、マネジメントできる人たちの 育成も同時にしないと、せっかく就職しても自分の力を活かしきれなくて辞めてしまう ということが実際問題として起こっています。少子化の中で、短縮労働とかいろいろな 形での働き方、さまざまな職種が医療の中に入ってくることは必須だと思うのです。そ れをマネジメントしていく人たちをもう一方でどうやって育成していくのか、というこ とを課題として入れていただかないと、片手落ちのような気がします。 ○田中座長 労働市場では、需要と供給が多様化しているときにミスマッチが起きてし まうことがあります。働きたい人はいるのに、労働供給にはならない場合に、分断され た労働市場ごとに、需給のマッチングを行う機能は絶対に必要です。正しいご指摘だと 思います。 ○吉田委員 厚生労働省の課長に聞きたいのですが、7:1の問題が前に羽生田委員から 出ましたが、これはいつまでこのまま続くのでしょうか。なぜかというと、うちの学園 の卒業生は、札幌からわざわざ東京大学へも行っています。私は詳しくは知りませんが、 いわゆる大病院に流れてしまっています。うちの学園では、できるだけ過疎化している 所に行くようにという指導を一生懸命していますし、臨地実習は過疎化している所でや っているものですから、できるだけそちらのほうにと言っています。10:1、15:1の過酷 な所よりも7:1のほうが楽だし、しかも大学病院です。これが離職する大きな原因にな っているのではないか。これだけ弊害が出ているにもかかわらず、いつまで7:1の制度 をやっているのかお聞きします。 ○田中座長 この検討会の課題を超えるかとは思うのですが審議官からお願いできます か。 ○榮畑審議官 この中では、唯一保健局も兼ねていますから私からお答えさせていただ きます。西澤先生は中医協の委員でもありますので、西澤先生に答えていただくのがい いのかという気もします。7:1看護は、良質な看護をするような病院には手厚い診療報 酬の評価をしようということで、平成18年の診療報酬改定でスタートしました。確か にお話がありましたように、看護師が大病院に集中するとか、看護師の青田買いみたい なことをされるような所もあるという話もあります。7:1を取れるような所について一 定の制限を設けたり、また10:1看護などの点数を上げていくといった弊害が起こらな いような形で、徐々にモデルチェンジをしてきているところです。  これをいつまで続けるかということについては、中医協で次の診療報酬改定の議論を していただかなければ、私どもが事務方として軽々に判断するわけにもいきません。そ ういう点では西澤先生のご意見もお聞かせいただければと思っております。一方で手厚 い看護をしている所には、いい評価をしていくという大きな流れもあるということもご 理解いただいた上で、具体的な点数としてどうするかは次の改定に向けて、中医協の中 で来年また改定がありますので、その中で議論していくべきことだろうと思っています。 西澤先生から何かありましたらお願いいたします。 ○西澤委員 中医協の委員として出席しているのではないのですが・・・、7:1看護が 入ったときに私たち、特に民間の中小病院にとっては打撃を被りました。冷静になって 考えますと、7:1の病院での医療においては、看護師を多く必要とする所はあると思い ます。そういうことでは、7:1というのは必要だと思っています。  ただ、人さえ集めれば取れるとしてしまったのが間違いだったのです。それで、前回 の診療報酬改定のときに少し補正し、看護必要度に応じて、満たさない所は7:1から退 いてくださいということにいたしました。これからはもしかしたら7:1以上の厚い看護 が必要となる病院もあるのではないかと思っています。そのときには、本当に必要だと いうことを何らかのエビデンスを基に、必要な病院しか取れないシステムに持っていき たいと思います。現在の7:1も、いま取っている病院は全部必要かという検証をする必 要はあると思いますので、看護必要度等についても、もう少しきちんとしたものを入れ ていければという個人的な考え方を持っています。  ついでに発言させていただきますが、いまここに書いてあるチーム医療に関してです。 事務局提出資料3の1頁の「一般病院」というのは、一般病床の病院、要するに急性期 病院と捉えてよろしいでしょうか。 ○野村看護課長 これは、医療法で区分をしている一般病床という整理と思います。 ○西澤委員 これを見ますと、本当に多くの職種があると思ってびっくりしています。 ですから、医師と看護師の関係だけではなくて、医師も同じなのですけれども、看護師 としてもこのすべての職種と、どのように関係があるのだろうということを一回考えて いただきたいと思います。片方では「看護業務補助者」と書いてありますけれども、看 護師の立場から見て、看護業務補助者の仕事は何なのかというのをどの程度明確に答え られるのかと思っています。  片方で「その他」の中に「介護福祉士」が入っています。いま看護補助加算は13:1 看護以下には付いていますが、どちらかというと介護業務をしていると思います。看護 補助者として点数は付いているけれども、介護の仕事をかなりやっているという現実が あります。そういうことではこの分け方は、申し訳ないのですけれども、いい加減かな という感じもいたします。実際どういう仕事をやっているかによって、もう一回分類し ていただくとありがたいと思います。  先ほどの看護必要度に関してですが、看護師は7:1必要だ、もっと必要だという業務 内容には、本当に看護師でなければならないのか。いまは大学病院においても高齢者、 後期高齢者も多くいて、看護師が介護業務をやっている面がかなりあるのではないか。 そうだとすれば、看護師をただ増やすだけではなくて、介護職を増やすと、看護職はそ んなに増やさなくてもいいということもあるのではないかと思いますので、そういうこ とも検討していただきたい。  中医協においての、看護必要度もよく見ると、これは看護必要度なのか、介護必要度 なのかよくわからないという気が個人的にはしています。そういうことを含めてチーム 医療というものをきちんと考えて、その中で看護師でないとできない仕事は何なのだ、 自分たちがいまやっている仕事はもしかしたらほかの職種に振ってもいいのではないか、 ということも片方で考えていただければと思います。  介護職以外にも、薬剤師あるいは栄養士などは病棟においての役回りも高まっていま す。しっかりした病院では、そういう方々と仕事を分担してやっていると思うのですが、 まだまだなっていない。そういうことを検討することによって、看護師の負担を少し減 らしていくことも是非考えていただきたいと思います。 ○坂本委員 坂本委員 7:1の問題で、いろいろな所で看護師を欲しいというか、大学 病院が集めたか、いろいろ言われています。そのなかで、問題になっているのは、いろ いろな所から看護師が入ってきたときに、その人たちにどのように教育をするかという ことだそうです。あるアメリカの病院では教育担当部を持っており、1週間ごとにオリ エンテーション、病棟で仕事をするためのトレーニングをしていましたが、そのまま病 棟配置をせざるを得ない病院は業務の仕方が教えられず、手が足りず、そういった面で 忙しくなっているということです。教育部を作って、対策に乗り出している病院も病院 が増えてきていますが。教育部を持って、ちゃんと教育をしなければ医療安全的にも、 リスク的にもいろいろな問題が出てきます。その点を踏まえて教育体制を固めていくこ とが必要です。  そこで是非お願いしたいことは、基礎教育はどうあるべきかというのをきちんと明確 に出さない限り、看護師をたくさん欲しいとするばかりで、いまどのようなことが病院 の中で起こっているかというのを皆さんはご存じですか。在院日数が短くて、出たり入 ったりしている状況の中で、看護師を欲しいと言って集められて、新人や2、3年の人 たち、それから中堅の人たち、それも5年以内の人たちは大変負担になってきています。 離職しないで、強い目的意識を持って、その職業を維持していく職業人を育成するには 何が必要かというところをきちんとしておかないといけない。ここが基礎教育の課題だ と思います。  7:1、5:1になるかもわからない、最低10:1になった。さらに、これからは看護師が少 なくなるはずなのです。そんなに増えるわけがない。だから、それに対してどうしてい くかということは、私が前にお話させていただいたように、しっかりした看護師、しっ かりしたというのは何かというと、大臣も先ほどおっしゃいましたけれども、どのよう なことにも応用が利く、そこで自分で考えていく、少しぐらい何かあってもへこたれな い。患者のために目的意識を持って働くような職業として育っていくように、基礎教育 をどのようにするかというのは論じてほしいし、方向性をきちんと出すべきだと思うの です。そこを是非お願いしたいと思います。 ○大熊委員 4年か3年かの論議もさることながら、どんな内容の教育をしてくださる か、が患者にとっては非常に心配なことです。応用が利いて、へこたれないナースをつ くるために、カリキュラムの時間数だけではなく、内容を詰めた議論をしていただきた いと思います。  社会保障国民会議などでも、在宅重視が謳われております。それに対応できる訪問看 護師が不可欠になります。ところが、大学でも看護養成所でも、訪問看護の経験の深い 先生はあまりおられないような感じがいたします。私が、いま“物語介護保険”という 連載を書いていて、前回は訪問看護師のことを書きました。その取材でお会いした「こ れは」という訪問看護師の方は、大学の先生になる気がないということなのです。  医学部では、臨床教授という方たちをつくってその力を活かしていますので、看護の 世界でも臨床教授を取り入れて、訪問看護の達人を活かしてはどうかと思います。  助産師と保健師の統合教育について、お二人の先生からはっきりしたデータで、もの すごく少ない時間数しか教育していないことをお示しいただきました。患者としてはと ても心配なことです。福島県の大野病院で妊婦さんが亡くなった事件がなぜ起こったか という1つのポイントは、助産師が「この妊婦は医師1人の病院では対応できない」と 一生懸命言っているのに、それを産婦人科の医師が聞き入れなかった、という力関係み たいなことがありました。そのことについて、これは良心的と思われる産婦人科の人た ちも「助産師が言うのなら聞かなくても普通だよ」などという話を聞きますと、助産師 は、産婦人科の医師ときちんと対応できる力を持った方が育っていないと、患者は危険 にさらされることになるのではないかと思います。データも出ているように一緒くたに 詰め込みというのでは助産師は育たないのではないかと思います。  「看護師養成所と大学とはこんなに違うのですよ、どうぞ大学へ来てください」とア ピールする経営上の問題から、「大学に来れば3つの免状が取れます」ということが必 要だった時期も歴史的にはあるかもしれません。今はお産の業務でも高齢出産が増えて、 坂本先生も予測ということを度々おっしゃっていますけれども、そういう能力が非常に 重要なのではないかと思います。  もし3年制が残るとすれば、既に学士になって一遍社会に出た上で、「医療の世界こ そ私の生きがい」と志願してきた人たちを教育するような3年制の看護の教育だったら いいと思います。先ほどから、「国が補助金を出してくれないのなら3年で我慢しろ」「専 任講師などできっこない」みたいな話がありますけれども、患者側から聞いているとと ても怖いことです。そのような手薄な教育で世の中に出ているというのは心配です。  差し障りがあるので資料としては出しませんでしたが、かつてと違って、偏差値、40 そこそこの方が3年制を志す状況になっています。入ってからもついていけなくて辞め てしまうこともあるでしょうし、就職してからも自信がなくて辞めてしまうと思います。 3年制を存続させることが、結局、看護の仕事を若い人が避けていくことにつながらな いかと心配です。学校経営者としての視点だけではなく、少子化の世の中でどう対応し ていくかを視野に入れてお考えいただけないかと思います。 ○海辺委員 大熊委員のお話とかなり共通する部分があるので、重複しないようにする ということで、いまのご意見には非常に共感しますということを申し上げておきます。 患者の立場から、チーム医療ということで、業務をいろいろ細分化することはどうかと いう部分に関しては、患者の本当にわがままな気持を言えば、全部医師にやってほしい みたいなことはあります。そういうことは抜きにして、この部分はこう、この部分はこ うと切り出されることに関しては、だいぶ患者団体の知識も深まってきて、それに関し てはいいことである、餅は餅屋という前向きな考え方が定着しつつあると思います。そ ういうことは、きちんと広めていくことでチーム医療はさらによくなっていくと思うの です。  ただ、入院したときに患者が非常に困るのは、例えばいま飲んでいる薬の副作用の対 応として胃の薬も飲んでいるということがあったときに、だいぶ胃の調子もいいのです が、この薬を今日も飲まなければいけないですか。これ、すごく玉が大きくて飲みにく くてなどということを聞きたかったときに、来てくれた看護師に伺えば「それは先生に 伺ってからお答えしますね」というような感じだと、半日待ったり、付き添いの人間が いられない時間になるまで、先生は忙しくて対応していただけなくて、返事が聞けなく てということもあります。  私は、第1回のときにナースプラクティショナーみたいな考え方も必要ではと申し上 げたのは、医師でなくても、今日は調子がいいのだったらその胃薬はやめてみましょう か、という裁量権のようなものを看護師には基本的に与えられていない。裁量権の問題 でもって、チーム医療といいながら、結局のところ医師でないとできないことだらけな のです。チーム医療と言いながらも、本当の意味でチームとしての役割分担がいま機能 しているのか、ということをたまに感じることがあります。そういう部分では裁量権と いうものも見直していって、そのために必要な資格要件の設定は絶対に考えていかない といけないだろうと感じております。  助産師の話は全然素人考えで伺っていたのですが、普通の一般の企業ですと、証券ア ナリストですと、その実務に就いて3年以上経過した人が初めて受験資格があるような ものがあって、そういう勉強をしたりというように、3年以上の実務をキャリアを積ん だ上で、助産師としての資格を取る受験資格ができて、それで合格した方は半年間の研 修が受けられる、というシステムがあればきちんと機能していくのではないかと感じま した。  一時期、看護職というのは3Kなどと言われてしまった時代があって、私とか、それ より若い方はそういうイメージを持っている方もあるのではないかと思うのです。それ を払拭するようなイメージ戦略というのは絶対に必要だろうと感じています。キャリア アップしていって、裁量権も持てるだとか、いろいろな資格要件の設定の見直しは急務 ではないかと思いました。  いま、喫緊の課題として看護職が量的に不足しているのを改善するのは、潜在看護師 の復職を促すことがいちばん有効だと思います。これに関しては短期プランで数値目標 も設定し、改善計画を立てて、それに見合うだけの費用もかけてということをやって、 復職支援プログラムのあり方みたいなものが早急に検討されればいいのではないかと思 いました。 ○田中座長 チーム医療については●が付いています。ここは大臣が強く言っておられ たところですが、問題は患者にとってのチーム医療とは何かですね。供給側の論理で、 チーム内でいろいろな役割分担をすることはプロ同士の話合いですから進めていい。け れども、患者にとってみると、チーム医療とは小間切れにいろいろな人が順番に来るこ とではなくて、チームとして一人の患者に対する診療の責任を取ってくれる、チーム全 体でリスクマネジメントができているかどうかこそが肝心で、中の役割分担をどうする かは供給者側のプロの話合いでとどめるのだと思うのです。役割分担に応じとバラバラ と患者に接することをチーム医療と呼んではいけない。私は海辺さんがおっしゃられた ことをそのように解釈しましたが、大切なことですね。 ○井部委員 いまのチーム医療の話をもう少しさせていただきます。医療社会学の研究 者が、チーム医療の構成要素をフィールドワークしています。チーム医療には4つの構 成要素があって、(1)は専門性です。各職種がどのような専門性を持っているかというこ とがとても重要です。(2)は患者志向です。患者を中心に物事を考えられるかどうか。チ ームですから、職種がないと、医師と看護師だけになったりしますので、職種がないと いけないので(3)として職種志向。(4)で最も大事なことは対等性です。対等性というのは、 患者も含めて対等でなければならないと言っています。いまのチーム医療というのは、 必ずしも対等性の点では十分ではないし、誰か強い人に対して発言ができなくなってく る。特に在宅では、患者や利用者に対して説明しなければならない。それもわかりやす く説明しなければならない、というのはかなり高度な能力を必要とします。  本当のチーム医療という点からすると、対等性という点では多々課題があると思いま す。特に看護職は、医師の前ではなかなかきちんとした議論ができない、引いてしまう。 それは、どこかに学歴のコンプレックスがあるのではないか。医師は少なくとも医学部 6年、プラス2年やっているわけです。一方で看護職は3年とか4年で議論しているわ けです。そういう点で、対等性という点で日本のチーム医療は課題を残していると思い ます。  それから、田中座長がおっしゃったように、バラバラであってはいけないわけです。 誰か1人その患者のことをトータルにわかって、専門家を使い分けるようなリーダーシ ップが必要なわけです。これは24時間ベッドサイドにいるプライマリーナースという のですか、ケースマネージャーというのですか、そのような誰かが責任を持ってあなた の全体を見ていますという人が必要なのです。それも、非常に高い能力が求められると 思います。  基本的には、学士レベル以上のものが必要だと思うのです。この間、文部科学省の教 育改革のフォーラムに行ってきました。日本は、教育への投資は対GDP比で、OECD 加盟28カ国中最下位なのです。OECDの各国平均は5.0%なのですけれども、日本は 3.4%で最下位です。いちばん高いのはアイスランドで7.3%です。そのようなことで、 日本は教育にもあまり投資しないし、医療への投資も少なくなってきました。ここで巻 き返さないと我が国全体が沈没していくのではないかということを考えました。これは、 私にとって目から鱗の文部科学省の講義でした。  もう1つは、18歳人口が減ってくるということで、潜在看護師の掘りおこしや、定着 をいかに促進するかが重要であります。これは先ほどの文部科学省のフォーラムで学ん だことですけれども、私たちは社会人の学生と使いますけれども、英語では社会人学生 とか、社会人入学というのはないそうです。つまり、学びたいときに大学に来て学ぶこ とができる、というような開かれた大学をつくる。日本の高等教育機関である大学の25 歳以上の割合が示されています。OECDの平均は20.6%なのですが、日本の社会人の学 生の比率(25歳以上)は2.7%しかなくて、いかに18歳に頼っているかという数字が 出されております。その点からいうと我が国の教育も医療も世界の水準に戻るために、 少しテコ入れをしないといけないのではないかと、教育にかかわっている者と、医療に かかわっている、この会はまさにその両方の影響を受けていると思いました。 ○田中座長 マクロ経済的な発言もあったので、過激なことを言わせていただくと、政 府予算が小さくなることが国家の前進だ、という間違った政策は早くやめていただかな ければいけないと私も思います。 ○阿真委員 私も前回の大臣の発言から、患者にとってチーム医療を進める上で何がい ちばん安心となるのかをずっと考えていました。いま井部委員がおっしゃったように、 4つの中の1つはとても大切なことをおっしゃってくださいました。わかりやすく説明 してくださることは本当に大切だと思います。チーム医療自体に問題はなくても、患者 の側にとって知らないこととか、よくわからないことというのはものすごい溝になりま すし、不安や不満の種になると思います。チーム医療自体が問題かどうかではなくて、 それがわかりやすく説明されているかどうかというほうが、それ自体ももちろん大事で すけれども、それがきちんと説明されているかどうかというのは、患者にとって安心に つながると思うので、そこは絶対に外せない。そして、不平や不満を持ったときに、い ろいろな人がいたとしても誰にそれを打ち明けていいのか、誰にそれを打ち明ければい いのかがわかるというのは大切なことなのではないかと思います。 ○酒井委員 いま阿真委員がおっしゃったことと重なるところはあるのですが、それに もう一言付け加えさせていただきます。患者にとっては、先ほど井部委員がおっしゃっ たように、医者というのは絶対の存在になってしまって、病気になっているときは逆ら えない状況にあります。そんなときに、看護師が緩衝材になって、私の状況を全部聞い てくれるところで助かっている部分はとても多いと思うのです。  チーム医療になったときに、その看護師がどこまで裁量権を持つかによって、私がい ちばん恐ろしいのは、看護師の存在が医者と同じように逆らえないような状況になって しまったら、そこには緩衝材になる人がいないわけで、もう絶対になってしまうわけで す。そのようにならないような裁量権を持っていただいて、トータルでチームでケアし てくださるのが望ましいです。決してその裁量権がどこまで広がるのが良いか悪いかと いうことではないのですけれども、私たちにとっての弱点は、医者が絶対であるという ことですので、これがまた繰り返されることは避けていただきたいと思っています。  もう1点確保のことについて付け加えさせていただきます。これから少子高齢化にな って、若い人たちがだんだん少なくなるという危惧はもちろんあるのですが、やはり看 護の職場というのは、これから若い人たちにとって一生自分が働ける職場になって、憧 れの職場になるということが、優秀な人材が集まる最良の手段だと考えております。そ のためにその環境を整えるべく、具体策を考えなければいけないと私は思っております。 そのためにはしっかりした教育をすることは絶対に欠かせません。そして、先ほどおっ しゃられたように、3Kのイメージというのはまだまだあると思いますし、実際に私が 聞いた彼女たちの言葉からも、特に夜勤が女性にとっては負担になっているという現状 があるわけですので、それがもう少し改善されること。どの職場においても環境が改善 される。少しでもみんなが辞めたくない職場になって、働きやすい職場になっていけば、 今後少子高齢化になったとしても、みんながその職場に憧れて、優秀な看護師が育って いって、その中からさらに専門性を高めた看護師が育ってくれるようになってほしいと 私は患者の立場で思います。 ○森委員 大学における助産師教育を担当している立場から一言お話させていただきま す。助産師になりたい希望者は非常に多い状況の中で、助産師教育を少数しかできない のは助産実習の施設の協力がなかなか得にくいことがあります。この少子化の時代に、 安全な分娩を保障し、ハイリスクの人たちが非常に多い中で、正常分娩の管理という実 習をせざるを得ない状況の中で、学習環境を保っていくことに苦労しているからです。  先ほど来、看護師の到達目標をはっきりしてということがありましたが、教育内容を 点検する前に、免許取得の到達目標をはっきりさせることが先決かと思います。どこの 場で教育するかもきちんと整理していただきたいと思います。また、助産師免許を取得 してから、分娩取扱いの実習をすることも1つの案として考えていただきたいと思いま す。医師の教育では、分娩管理は見学であって、医師の免許を取得してから正常分娩管 理ができるというのが研修の目標になっていたかと思います。助産師には開業権がある とはいえ、侵襲性の高い助産技術を、助産師免許を持たない学生が実習することに対す るリスクを考えると、実習施設の協力は得られにくい現状があるかと思います。そうい うことも視野に入れてご検討いただきたいと思います。 ○坂本委員 森委員がお話された後ですけれども、実は平成18年度の日本看護系大学 協議会の中で、大学教育の統合カリキュラムの中に、森委員が出されているいい点が出 されていますが、実は課題というものもクローズアップされています。本日お話された 中に網羅されているので読ませていただきます。統合カリキュラムの課題の1つ目は技 術の習得が困難であるということ。2つ目は過密カリキュラムであるということ。3つ 目は大学の過密カリキュラムの中でやることによって、いま森委員が言われた実習場が ないこともそうですけれども、教員の問題があって定員を制限せざるを得ないこと。す なわち、少数しか養成できないということ。4つ目は、いま森委員が言われたことと同 じですが、国家試験の資格のない者が分娩介助をすることへの問題です。これが出てお りましたので、助産師教育の中で考えていくときに、この課題はきちんと捉えていかな ければいけないのではないかと思います。 ○田中座長 本日ご発言しきれなかったものがあればどうぞ。 ○草間委員 いつも教育内容を考えるときに、看護師、助産師、保健師の到達目標を検 討する必要があると言われるわけですけれども、この到達目標等については、先ほどの 平成18年度、平成19年度の厚生労働省の中の検討会の中でもきっちり表で出ておりま す。文部科学省は大学を所管しておりますので、大学を卒業したときの看護師の到達目 標について文科省で2回にわたって検討会をやっております。いままで行われてきた検 討の中で、かなりのことは議論されているということを前提でお話をいただかないと、 いつも同じことを議論していることになるので、その辺は是非ご理解いただきたいと思 います。 ○田中座長 いままでの議論を踏まえて中間取りまとめを事務局にご努力いただいて、 それを基に検討してまいります。本日発言しきれなかったご意見がありましたら、ペー パーで事務局へ提出してください。次回の日程について事務局からお願いいたします。 ○間企画官 次回第5回会議の日程については現在調整中です。本日、委員の先生方か らいただきましたご意見を踏まえた中間取りまとめ案の作業状況も踏まえつつ、決まり 次第ご連絡させていただきます。 ○田中座長 本日も活発なご議論をありがとうございました。これにて終了いたします。 医政局看護課 照会先:看護課課長補佐 島田(4167)     看護課課長補佐 中谷(4166) 電話:03−3595−2206