予防接種後健康状況調査集計報告書平成18年度後期分 I 総 論    予防接種の副反応調査は二つの方法で実施されている。則ち、「予防接種後・健康状況調 査」と「予防接種後・副反応調査」である。本報告は前者で、定期接種のワクチン個々に ついて、あらかじめ各都道府県単位で報告医を決めておき、それぞれのワクチンについて 接種後の健康状況を前方視的に調査したものである。ちなみに後者は、予防接種後の異常 な副反応を後方視的調査に基づき報告のあったものをまとめたものである。  今回は、平成18年度分後期(平成18年10月〜平成19年3月)をまとめたもので ある。 1 本調査の目的は、国民が正しい理解の下に予防接種を受けることが出来るよう、接種 前に個々のワクチンの接種予定数を報告医毎に決め、接種後、それぞれのワクチン毎に 一定の観察期間を通じ、接種後の健康状況調査を実施することにより、その結果を広く 国民に提供し、有効かつ安全な予防接種の実施に資することである。 2 調査対象としたワクチンは、定期接種として実施されたジフテリア、百日せき、破傷 風三種混合ワクチン(DPT)、ジフテリア、破傷風二種混合ワクチン(DT)、麻しん、 風しん、麻しん風しん混合ワクチン(MR)、日本脳炎、ポリオ、インフルエンザと結核 予防法で実施されているBCGである。 3 健康状況調査の実施期間及び対象者数は、DPT(DT)、日本脳炎については、各四 半期毎に都道府県、指定都市当たりそれぞれ40名を対象、MRについて80名を対象 とし、接種後28日間を観察期間とした。   ポリオについては、後期(10〜3月)は、100名を対象として35日間観察、B CGについては後期(10〜3月)は100名を対象とし、観察期間は4カ月間とした。    インフルエンザについては、11〜12月の実施期間で40名を対象とし、接種後2 8日間を観察期間とした。 4 報告の手順は、各都道府県・指定都市においてワクチン毎に報告定点を受諾した報告 医が、各予防接種の接種当日に保護者に対して、本事業の趣旨を十分説明の上、健康状 況調査に協力する旨の同意を得た後、台帳に登録する。    その後、保護者に健康状況調査表(ハガキ)を渡し、記入要領を説明し、保護者から 返送されたものを、カルテと照合しまとめたものである。 5 本調査は、通常の副反応(発熱、発赤、発疹、腫脹)や、稀におこる副反応(アナフ ィラキシー、脳炎、脳症等)に加えて、これまで予防接種の副反応として考えられてい ない接種後の症状についても報告できるように設定した。 また、予防接種後の健康状況という性質上、変化がない場合でも返送を依頼している。 6 本調査の性質上、登録者全数からの回答が必要であるため、調査表の返送の重要性に ついて、本人又は保護者へよく説明し、同意をいただくことが重要である。 7 報告医から提出された調査表は、厚生労働省健康局結核感染症課で集計し、予防接種 後副反応・健康状況調査検討会において、医学的、疫学的見地から解析・評価を行った。 8 予防接種後健康状況の調査結果は、都道府県・指定都市、日本医師会、地域医師会及 び報告医等に還元するとともに、広く国民に公表することとしている。 9 集計に当たっては、各ワクチンの集計の場合、ワクチンによって少し内容は変わるも のの、接種例数、年齢、発熱、局所反応、けいれん、じんましん、嘔吐、下痢、せき、 鼻水、リンパ節腫脹、関節痛等について集計した。   製造会社毎の副反応については、接種ワクチン総数の差があるため、個々にまとめず 全体のまとめを報告することとした。 II 各論 DPT・DT 1 DPT1期初回1回目   対象者数は、798人でこの内793人(99.4%)が生後3ヶ月から3歳代であ った。何らかの症状を呈したのは217人、298件であった。男女児間に差は認めな かった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりである。   37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計26件(3.3%)であるが、接種後7 日までの小計は12件(1.5%)である。  38.5℃以上の発熱は合計27件(3.4%)であるが、接種後7日までの小計で は12件(1.5%)である。  局所反応は合計66件(8.3%)であるが、接種後7日までの小計では58件(7. 3%)である。接種後1日目の21件(2.6%)が最大である。年齢に有意の差は認 めない。   けいれんは2日目に1件みられたが、37.5℃以上の発熱を伴っていた。   嘔吐は合計15件(1.9%)であるが、接種後7日目までの小計では8件(1.0%) である。   下痢は合計39件(4.9%)であるが、接種後7日目までの小計では24件(3. 0%)である。   せき、鼻水は合計124件(15.5%)であるが、接種後7日目までの小計では4 9件(6.1%)である。 2 DPT1期初回2回目   対象者は680人で、この内671人(98.7%)が生後3ヶ月から3歳代であっ た。何らかの症状を呈したのは243人、349件である。男女児間に差は認めなかっ た。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりである。   37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計16件(2.4%)であるが、接種後7 日目までの小計は11件(1.6%)である。接種後1日目の5件(0.7%)が最大 である。   38.5℃以上の発熱は合計32件(4.7%)であるが、接種後7日目までの小計 は13件(1.9%)である。接種後2日目の3件(0.4%)が最大である。年齢別 に有意の差はない。  局所反応は合計146件(21.5%)であるが、接種後7日目までの小計では14 3件(21.0%)である。接種後1日目の86件(12.6%)が最大である。   けいれんは見られなかった。   嘔吐は合計12件(1.8%)であるが、接種後7日目までの小計では3件(0.4%) である。  下痢は合計39件(5.7%)であるが、接種後7日目までの小計では13件(1. 9%)である。接種後3日目の4件(0.6%)が最大である。   せき、鼻水は合計104件(15.3%)であるが、接種後7日目までの小計では4 5件(6.6%)である。接種後5日目の11件(1.6%)が最大である。 3 DPT1期初回3回目   対象者は599人で、この内591人(98.7%)が生後3ヶ月から4歳代であっ た。何らかの症状を呈したのは208人、326件であった。男女児間に差は認めない。 症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。   37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計32件(5.3%)であるが、接種後7 日目までの小計は13件(2.2%)である。接種後1日目の5件(0.8%)が最大 である。   38.5℃以上の発熱は合計21件(3.5%)であるが、接種後7日目までの小計 は12件(2.0%)で、接種後3日目の3件(0.5%)が最大である。       局所反応は合計82件(13.7%)であり、接種後7日目までの小計では81件(1 3.5%)である。接種後1日目の48件(8.0%)が最大である。   けいれんはみられなかった。   嘔吐は合計27件(4.5%)であるが、接種後7日目までの小計では9件(1.5%) である。   下痢は合計41件(6.8%)であるが、接種後7日目までの小計では19件(3. 2%)である。   せき、鼻水は合計123件(20.5%)であるが、接種後7日目までの小計では4 7件(7.8%)である。 4 DPT1期追加   対象者数は542人で、この内522人(96.3%)が1歳から4歳代であった。 何らかの症状を呈したのは258人、396件であった。男女児間に有意の差は認めな い。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。  37.5℃以上38.5℃未満の発現は合計28件(5.2%)であるが、接種後7 日目までの小計では17件(3.1%)である。接種後1日目の6件(1.1%)が最 大である。   38.5℃以上の発熱は合計27件(5.0%)であるが、接種後7日目までの小計 では12件(2.2%)である。接種後1日目の4件(0.7%)が最大である。  局所反応は合計190人(35.1%)であるが、接種後7日目までの小計では19 0件(35.1%)である。接種後1日目の121件(22.3%)が最大である。   けいれんは接種後16,19日目に各々1件ずつでいずれも発熱を伴っていた。   嘔吐は合計14件(2.6%)であるが、接種後7日目までの小計では9件(1.7%) である。   下痢は合計35件(6.5%)であるが、接種後7日目までの小計では20件(3. 7%)である。   せき、鼻水は合計100件(18.5%)であるが、接種後7日目の小計では56件 (10.3%)である。接種後1日目の14件(2.6%)が最大である。 5 DT初回接種、追加接種は対象者が少ないので省略する。 6 DT2期   対象者は962人であった。なんらかの症状を呈したのは381人、440件であっ た。症状と発現の関係をみると次のとおりであった。   37.5℃以上38.5℃未満の発熱は、合計14件(1.5%)であるが、接種後 7日目までの小計は11件(1.1%)である。   38.5℃以上の発熱は合計13件(1.4%)であるが、接種後7日目までの小計 では8件(0.8%)である。   局所反応は、合計348件(36.2%)であるが、接種後7日目までの小計では3 42件(35.6%)である。接種後1日目の233件(24.2%)が最大である。 11歳と12歳に有意の差は認められない。   嘔吐は合計8件(0.8%)であるが、接種後7日目までの小計では4件(0.4%) である。11歳と12歳での差は認めない。   下痢は合計14件(1.5%)であるが、接種後7日目までの小計では9件(0.9%) である。   せき、鼻水は合計43件(4.5%)であるが、接種後7日目までの小計では29件 (3.0%)である。 ま と め   健康状況調査では各項目で従来の調査結果と大きな相異はみられなかった。  DPT接種後の特徴は初回1回接種の局所反応にみられる。すなわち今回の調査でも 接種1日後の局所反応は1回、2回、3回、追加接種で約2.6%から約26.1%の 率で出現するが、1回目接種後に限っては接種後1日目に2.6%、2日目にも1.3% と目立つが、以後も8日目まで約0.5%に見られている。一方、2回接種、3回接種、 追加接種後は0〜1日目に約12.6%から22.3%みられるものの7日目、8日目 ではほとんど局所反応はみられない。けいれんは少数にみられたが全例に発熱がみられ た。DPT・DT接種後の嘔吐、下痢、せき、鼻水を観察しているのは紛れ込みの副反 応を観察することが目的である。いずれの症状も接種1日後にやや多く報告されるが2 8日を通して大きな発生率の相違はなく、このワクチンを接種する年齢層の日常におけ る症状の発生率と考えられる。 MR 1 MR I期  対象者数は、12ケ月〜24ケ月児2,459人(男児1,289人、女児1,16 3人、不明7人)であった。  観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、485人(19.7%)にみられ、 そのうち最高体温が38.5℃以上であったものは、275人(11.2%)であった。 そのうちで、接種後6日までの発熱者は178人(7.2%)、38.5℃以上は103 人(4.2%)であった。接種後7〜13日の発熱者は197人(8.0%)、38.5℃ 以上は107人(4.4%)であった。0〜13日に初発した発熱を合わせると375 人(15.3%)、38.5℃以上は210人(8.5%)であり、発熱のほとんどは0 〜13日に初発した。  観察期間中に発疹が出現した者は141人(5.7%)であった。そのうち6日以内 に出現した者は、45人(1.8%)、7〜13日に出現した者は、62人(2.5%) であった。  局所反応は38人(1.5%)に認められた。そのうち、21人(0.9%)は3日 以内の局所反応であった。  けいれんが出た者は4人(0.2%)、14〜20日が3人、21〜28日が1人であ り、すべて37.5度以上の発熱を伴っていた。けいれんとワクチン接種との因果関係 は不明である。  蕁麻疹は、76人(3.1%)に認められ、発症日は前半の0日から13日までが、 後半の14日から28日より多い傾向が認められた。1日以内の蕁麻疹を認めたものは 10人(0.4%)であった。  リンパ節腫脹は、14人(0.6%)に認められた。  関節痛は、1人(<0.1%)に認められた。 ま と め  MR予防接種にともなう発熱には弱毒麻疹ウイルス及び弱毒風疹ウイルスの増殖に伴 う発熱、ワクチン液に含まれるその他の成分に対するアレルギー反応としての発熱(接 種後比較的早期に発現する)、そしてワクチンとは無関係の発熱がある。観察期間中の発 熱は19.7%、0〜13日に初発した発熱は15.3%と発熱日に集積性が認められ た。したがって、発熱の多くはワクチンと関係あるものと推測される。  MRワクチン接種に伴う発疹にはワクチンウイルスの増殖に伴うものと、アレルギー 反応、紛れ込みがある。発疹は5.7%に認められ、0〜13日に初発した発疹は4. 4%と発熱と同様発生日に集積性が認められた。   蕁麻疹が0〜13日に集中する傾向が認められた。  熱性けいれんの発生はあったが、すべて観察期間の後半に出現した。脳炎・脳症の報 告はなかった。 2 MR II期  対象者数は、5〜7歳児2,228人(男児1,165人、女児1,059人、不明 4人)であった。  観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、167人(7.5%)にみられ、そ のうち最高体温が38.5℃以上であったものは、92人(4.1%)であった。 その うちで、接種後6日までの発熱者は62人(2.8%)、38.5℃以上は35人(1. 6%)であった。接種後7〜13日の発熱者は45人(2.0%)、38.5℃以上は2 2人(1.0%)であった。0〜13日に初発した発熱を合わせると107人(4.8%)、 38.5℃以上は57人(2.6%)であり、0〜13日に初発した発熱が、14〜2 8日に初発した発熱の方が多い傾向がみられた。  観察期間中に発疹が出現した者は33人(1.5%)であった。そのうち6日以内に 出現した者は、18人(0.8%)、7〜13日に出現した者は、7人(0.3%)であ った。  局所反応は45人(2.0%)に認められた。そのうち、42人(1.9%)は3日 以内の局所反応であった。  けいれんが出た者は1人、1日目に出現、37.5℃以上の発熱を伴った。  蕁麻疹は、23人(1.0%)に認められた。発症日は前半の0日から13日までが 14人(0.6%)、後半の14日から28日が9人(0.4%)であった。1日以内の 蕁麻疹を認めたものは2人(0.1%)であった。  リンパ節腫脹は、12人(0.5%)に認められた。  関節痛は、32人(1.4%)に認められた。 ま と め  MR2期の副反応発生調査対象者は、麻しん予防接種歴のある者、風しん予防接種歴 のある者、麻しん予防接種と風しん予防接種の両方の接種歴のある者、いずれの予防接 種も受けたことがない者が混ざっている。麻しん予防接種歴のある者では、2期MRに 含まれる麻しんワクチンウイルスの増殖が抑制されて、それに起因する発熱、発疹が出 現しないことが想定される。  観察期間中の発熱は、7.5%で、MR1期の19.7%の約1/3であった。また、 MR1期では、6日以内の発熱が7.2%、7〜13日の発熱が8.0%と7〜13日 の発熱率の方が高かったのに対して、MR2期では、6日以内の発熱が2.8%、7〜 13日の発熱が2.0%と6日以内の発熱率の方が高かった。  MR2期の副反応発生頻度は1期の副反応発生頻度より全般的に低かった。 日本脳炎   1 日本脳炎ワクチン1期初回1回目  報告された対象人数は123人で、接種された年齢は1歳〜7歳児である。発熱、局 所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来した人数(発生件 数)は合計16人(20件)で対象者の13.0%を占め、男は7人(10件)、女は8 人(9件)、性別不明1件であった。  接種年齢をみると1歳1人、2歳8人、3歳66人、4歳25人、5歳11人、6歳 7人、7歳4人で3歳児が特に多く、2〜6歳で全体の95.1%を占めた。  接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、健康異常は3歳で男児が20.0%、 4歳で女児が27.3%と目立ち、平均15.2〜16.0%であった。  発現症状をみると、3歳児、4歳児、7歳児共に発熱がそれぞれ8人(12.1%)、 2人(8%)、1人(25%)、ついで局所反応が3歳2人、5歳1人で、3歳児では蕁 麻疹3人、4歳児では1人で、その他の発疹が3.4歳群に1件ずつ見られた。けいれ んはみられなかった。  症状の発現日を観察期間28日でみると件数が少ないためかいずれの症状も1件ずつ 広く散在し、一定の傾向は見られなかった。 2 日本脳炎ワクチン1期初回2回目  対象者数は1〜7歳児73人で3歳児が32人と最も多く、接種後28日の観察期間 中発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常をきたした 者は5人(5件)で、対象者の6.8%を占めた。男女別ではそれぞれ7.3%:7. 7%で男女差はみられなかった。  接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、9.4%〜18.2%に分布、平均6. 8%であり3、6歳群でめだった。  発現症状をみると、3歳群は3件の発熱があり、38.5℃以上の発熱は2件で、6 歳群は38.5℃以上の発熱2件のみで、接種局所反応、蕁麻疹、その他の発疹やけい れんはみられなかった。  症状の発現日を観察期間28日でみると発熱は何れも1件ずつで、38.5℃以上の 発熱は4日以内にみられた。 3 日本脳炎ワクチン1期追加  対象者数は3〜7歳児の139人で6歳児が57人と最も多い。接種後28日の観察 期間中、発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来 した者は14人(14件)で対象者の10.1%を占め、その接種年齢別の健康異常発 生者の割合は4.2%〜12.3%、平均10.1%で、男女の占める割合は9.9%: 11.3%と女がやや多かった。  発現症状では、5〜6年齢で発熱が多く、8.7%〜7.0%、平均5.8%(38. 5℃以上は平均5.0%)であった。ついで接種部位の局所反応が、6歳群3件、7歳 群1件、合計4件あり、さらに5歳児で蕁麻疹1件、4歳児でその他の発疹が1件みら れたが、けいれんはみられなかった。  症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後1日目6件、2日目1件と 2日以内に集中したが、発熱は全観察期間にわたってみられ、一定の傾向はみられなか った。蕁麻疹、その他の発疹は1件ずつみられ、散発的であった。 4 日本脳炎ワクチン2期の結果  対象者数は9〜12歳児で合計66人であった。接種後28日の観察期間中、発熱、 局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常をきたした者は9人 (10件)、男5人(5件)、女4人(5件)、男女不明3人であった。男女とも発生割合 は14.3%で差はなかった。  発現症状は発熱が3人(4,5%)で38.5℃以上の発熱は2人(3.0%)であ り、発現日は広く散在し、一定の傾向はなかった。局所反応は5人(7.6%)にみら れ、接種後1日目に2人、3日目に3人で接種後3日目までに集中していた。更に蕁麻 疹が2件(3.0%)報告されたが、広く散在し一定の傾向はなかった。 ま と め   今回の報告も「日本脳炎ワクチンの項」については平成17年5月30日の厚生労働省 健康局結核感染症課から出された「日本脳炎予防接種の積極的接種勧奨差し控え」の通 達の影響か、昨年同様少ない。  今回の注目点は1期初回1回目と1期追加に比べ対象数(接種者)が1期初回2回目 でそれぞれ前者の対象数の52%〜59%と減少していること、また従来と異なり1期 追加でその対象者(接種者)のピークが5歳群でなく6歳群に移動している。これらは 「積極的勧奨差し控え」通達に対して変化が起こっているのかも知れない。  一方、症状を見ると今回も従来と同様日本脳炎ワクチンの副反応の主なものは発熱、 局所反応、発疹であるが、1期初回2回目では対象者が少ないためか発熱のみ報告され、 その他の症状は報告されていない。従来は接種年齢が若い初回接種では発熱、ついで局 所反応が多く、接種回数を重ねるにつれ、また年齢が高くなるにつれ発熱は減少、局所 反応が増加する傾向や局所反応が接種翌日にピークがあり、約7日目まで集中する傾向 を指摘したが、今回は確認できない。発熱は観察28日間に渡って広く散在しているが、 年齢の若い群ほど全観察期間に渡ってみられる傾向も確認できない。しかし、発熱疾患 の頻度などは年齢因子を考えると紛れ込みの熱性疾患の可能性は相変わらず否定出来な い。蕁麻疹やその他の発疹は一定の傾向がなく、頻度も低い。けいれんや脳炎・脳症な どの重篤な中枢神経系合併症の報告はなかった。今回は3期の報告は削除された。 ポ リ オ   1 ポリオ1回目   接種対象児数は1,778人(男922人、女847人、不明9人)で、内訳は3〜 5カ月435人(男208人、女226人、不明2人)、6〜8カ月793人(男413 人、女376人、不明4人)、9〜11カ月340人(男182人、女156人、不明2 人)、1歳178人(男99人、女78人、不明1人)、2歳以上31人(男11人、女 11人)であった。このうち対象期間中に健康異常の発生のなかった人は1,493人 (84.0%)であった。同じく何らかの健康の異常がみられた人は327人(16.0 %)441件で、年齢別では、3〜5カ月71人(79件)、6〜8カ月138人(19 4件)、9〜11カ月71人(102件)、1歳43人(61件)であった。接種数の比 較的多い1歳以下では6〜8ヶ月児でなんらかの健康異常がみられる割合が若干高かった。   発熱は155/1,778人(8.7%)にみられ、そのうち1歳以下で発熱率の比 較的高いのは6〜8ヶ月児71/793人(9.0%)であった。38.5℃以上の発 熱は82/1778人(4.6%)で、接種0日目0件、1日目8件、2日目16件、 3日9件、4日目3件、5日目2件で、その後1日あたり1〜5件程度、31〜35日 目が9件であった。   けいれんをきたした症例は2件で、接種2日目での発症1件では体温は37.5度以 上、接種18日目出の発症1件では体温は37.5度以上38度未満であった。   嘔吐は80件(4.5%)に認められ、接種0〜4日目が4〜8件(0.2〜0.3%)、 で、その後1日あたり1〜4件程度となり、31〜35日目に6件であった。   下痢は1,204件(11.5%)に認められ、投与1日目をピーク(33件、1. 7%)とし、0〜7日目に多く認められた。下痢を来す率が高かったのは1歳児で25 /793人(14.0%)、9〜11ヶ月児41/340人(12.1%)、6〜8ヶ月 児89/793人(11.2%)、3〜5ヶ月児47/436人(10.8%)であった。 2 ポリオ2回目   接種対象児数は1,612人(男826人、女775人、不明11人)で、内訳は3 〜5カ月2人(男1人、女1人)、6〜8カ月109人(男58人、女50人、不明1人)、 9〜11カ月398人(男196人、女199人、不明3人)、1歳978人(男503 人、女468人、不明7人)、2歳81人(男47人、女34人)、3歳以上44人(男 21人、女23人、不明0人)であった。  このうち対象期間中に健康異常の発生のなかった人は1,298人(80.5%)で あった。同じく何らかの健康異常がみられた人は314人(19.5%)459件であ った。年齢別では3〜5か月0人(0件)、6〜8カ月23人(28件)、9〜11カ月 82人(122件)、1歳191人(282件)、2歳12人(19件)、3歳以上6人(8 件)であった。   発熱は178件(11.9%)にみられた。発熱率には年齢差はあまりなく、8〜9 ヶ月児13/109人11.9%、9〜11ヶ月児49/398人(12.3%)、1歳 児103/978人(10.5%)であった。2歳児は12.3%、3歳児4.3%、 4歳児22.2%であった。38.5℃以上の発熱は111人(6.9%)で、接種1 日目8件、接種4、16、19、31〜35日目各7名、その他おおむね0〜4件で、 特定の日に集中することはなかった。     けいれんの報告は01件であった。    下痢は192件(11.9%)で、下痢は投与1日目をピーク(1.7%)とし、0 〜7日目では0.4〜0.6%にみられた。 ま と め  ポリオ1回目、2回目の接種後発症割合をみると、発熱8.7%:11.0%(38. 5℃以上4.6%:6.9%)、嘔吐4.5%:5.5%、下痢11.5%、11.9%、 けいれん0.1%、0.1%、0%、となっている。  発症までの期間をみると、1回目の発熱のピークは接種後2日目(1.1%)、ついで 31〜35日目(0.9%)になっている。2回目は接種1、3、4、31〜35日目 がピークで(0.7%)、ついで2、5日目(10.6%)となっている。  下痢については1回目接種後1日目(1.9%)、2回目接種後も同じく1日目(1. 7%)がピークとなっており、7日目後からほぼ横ばいとなっている。嘔吐については、 31〜35日目0.5%でもっとも高く、28日目が0.4%となっているが、その他 は0.3%以下となっている。  以上の結果は、昨年同期に比較し大きい変化はない。   1回目接種者と2回目接種者での健康状況変化の発生割合は、大きな差はみられない。  これらの健康状況の変化が、生ワクチンによるポリオの反応であるか否かの判断は難 しいのはこれまでと同様であり、考察も同様である。しかしこれらの健康状況の変化は いずれも軽微な自然回復性のものにとどまっており、現段階でポリオワクチンの重要性 を妨げるものではないと思われる。   B C G  総数2,456人について接種後観察が行われた。接種時月齢は3ヶ月〜6ヶ月未満 が1,835人(74.7%)で大半を占めるが、6ヶ月〜1歳未満も595人(24. 2%)いた。3ヶ月未満時は26人(1.1%)とごくわずかである。男は1,230 人、女は1,215人であった(性不明11人)。  これらの中から14人、0.7%に何らかの異常が見られた(延べ件数も14件、被 接種者100人あたり0.7件)。健康異常発生者割合は性別に見ると男0.7%、女0. 5%と、男で多かった。  異常の種別にみると、「リンパ節腫脹」が7件(0.3%)、「局所の湿潤」が7件(被 接種者の0.3%)であった。  リンパ節腫脹の発生時期を見ると、すべてが1〜4ヶ月に発生していた。とくに5人 が1〜2ヵ月に集中して発生した。   局所の湿潤は、1例を除いて接種後15日〜4ヶ月にわたって発生していた。  接種局所の針痕に関する観察は2,077人(被接種者総数の84.6%)について 行われた。全体では15〜18個(記載上19個以上とされている者を含む)の者が多 い(71.1%)が、4個以下の者も1.6%あった。平均個数は全体では15.3個 で、健康異常の有無別に見ると、「なんらかの異常あり」で16.9個、「異常なし」で 15.3個であり、「異常あり」で多かった。 ま と め  今期はリンパ節腫大の発生は全体に少なかったが、これは非特異的なものと思われる 接種直後の発生例の混入がなかったことにも一因があると思われる。通常は単純な腫大 であり、数ヶ月のうちに無治療のままで治癒する。  局所の湿潤はすべて接種4ヶ月以内にみられており、正常反応が強調された例と考え られる。コッホ現象と思われるごく早期(接種後7日以内)の発生例はない。  針痕は今回の観察では全体で平均15.3個みられた。標準的な技術で接種した場合 の平均値に近い。ただし毎回のように少数ながら針痕個数が4個以下のものもあり、接 種技術の向上の余地がある。 インフルエンザ    平成18年4月1日〜平成19年3月31日の間に、インフルエンザワクチン接種を 行った1,289名についてワクチン接種後の健康状況について報告を求めた。178 人(13.8%)に205件の報告がみられた。男性8.0%、女性17.1%と、大 きな性差がみられている。年齢階層別にみると、健康異常発生率の高いのは、60〜6 4歳の16/59人(27.1%)、低いのは、95歳以上で0/12人(0%)であり、 いずれも母集団の少ない群であった。他の年齢層では、7.4〜17.1%であった。   健康状況報告書に見られた症状のうち、153例(接種者の11.9%、異常健康状 況の74.6%を占める)は注射局所の疼痛などの局所反応であった。全身反応として は、全身倦怠感が25例(1.9%)、頭痛が17例(1.3%)、37.5℃以上の発 熱が6例(0.5%)、嘔吐が3例(0.2%)、蕁麻疹が1例(0.1%)にみられた。 神経症状を呈した例や死亡例は報告されなかった。 ま と め   60歳台前半の女性に健康異常発生頻度が高かったが、特に重篤なものはみられなか った。 III 各 論(平成18年度累計) DPT・DT 1 DPT1期初回1回目   対象者数は、1,540人でこの内1,533人(99.5%)が生後3ヶ月から3 歳代であった。何らかの症状を呈したのは444人、634件であった。男女児間に差 は認めなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。  37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計56件(3.6%)であるが,接種後7 日までの小計は28件(1.8%)である。接種後の4件(0.3%)が最大である。  38.5℃以上の発熱は合計66件(4.3%)であるが、接種後7日までの小計で は27件(1.8%)である。接種後1日目の6件(0.4%)が最大である。  局所反応は合計160件(10.4%)であるが、接種後7日までの小計では136 件(8.8%)である。接種後1日目の54件(3.5%)が最大であり、2日目に2 8件(1.8%)、みられた。   けいれんは2日目にみられた。発熱を伴っていた。   嘔吐は合計29件(1.9%)であるが、接種後7日までの小計では14件(0.9%) である。   下痢は合計85件(5.5%)であるが接種後7日目までの小計では47件(3.1%) である。   せき、鼻水は合計237件(15.4%)であるが、接種後7日目までの小計では1 06件(6.9%)である。接種後2日目の16件(1.0%)が最大である。 2 DPT1期初回2回目   対象者は1,271人でこの内1,257人(98.9%)が生後3ヶ月から3歳代 であった。何らかの症状を呈したのは482人、697件である。男女児間に差は認め なかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。  37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計38件(3.0%)であるが接種後7日 目までの小計は22件(1.7%)である。接種後1日目の8件(0.6%)が最大で ある。  38.5℃以上の発熱は合計65件(5.1%)であるが、接種後7日目までの小計 は29件(2.3%)である。接種後2日目の6件(0.5%)が最大である。   局所反応は合計307件(24.2%)であるが、接種後7日目までの小計は300 件(23.6%)である。接種後1日目の174件(13.7%)が最大である。   けいれんはみられなかった。   嘔吐は合計20件(1.6%)であるが、接種後7日目までの小計では7件(0.6%) である。接種後1日目と3日目に各2件ずつ(0.2%)が最大である。   下痢は合計70件(5.5%)であるが、接種後7日目までの小計では25件(2. 0%)である。接種後3日目の5件(0.4%)が最大である。   せき、鼻水は合計197件(15.5%)であるが、接種後7日目までの小計では9 0件(7.1%)である。接種後2日目の17件(1.3%)が最大である。 3 DPT1期初回3回目の結果  対象者は1,113人この内1,100人(98.9%)が生後3ヶ月から3歳代で あった。なんらかの症状を呈したのは398人、621件であった。男女児間に差は認 めない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。   37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計55件(4.9%)であるが、接種後7 日目までの小計は24件(0.7%)である。接種後1日目の9件(0.8%)が最大 である。  38.5℃以上の発熱は合計67件(6.0%)であるが、接種後7日目までの小計 は31件(2.8%)である。接種後3日目の8件(0.7%)が最大であった。   局所反応は合計181件(16.3%)であるが、接種後7日目までの小計は178 件(16.0%)である。接種後1日目の104件(9.3%)が最大である。   けいれんはみられなかった。   嘔吐は合計42件(3.8%)であるが接種後7日目までの小計では16件(1.4%) である。接種後1日目の5件(0.4%)が最大である。   下痢は合計68件(6.1%)であるが、接種後7日目までの小計では28件(2. 5%)である。接種後1日目の7件(0.6%)が最大である。  せき、鼻水は合計208件(18.7%)であるが、接種後7日目までの小計では8 2件(7.4%)である。接種後3日目の18件(1.6%)が最大であった。 4 DPT1期追加  対象者数は1,044人でこの内1,005人(96.3%)が1歳から4歳代であ った。何らかの症状を呈したのは535人、835件であった。男女児間に有意の差は 認められない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。    37.5℃以上38.5℃未満の発現は合計65件(6.2%)であるが、接種後7 日目までの小計は41件(3.9%)である。接種後1日目の16件(1.5%)が最 大である。   38.5℃以上の発熱は合計68件(6.5%)であるが、接種後7日目までの小計 は25件(2.4%)である。接種後2日目と3日目に各6件ずつ(0.6%)が最大 である。   局所反応は合計408件(39.1%)であるが、接種後7日目までの小計では40 7件(39.0%)である。接種後1日目の273件(26.1%)が最大である。   けいれんは接種後0,13,16,19日目に各々1件ずつみられ、37.5℃以上 の発熱を伴っていた。   嘔吐は合計28件(2.7%)であるが、接種後7日目までの小計では16件(1. 5%)である。接種後2日目に7件(0.7%)が最大である。   下痢は合計70件(6.7%)であるが、接種後7日目までの小計では38件(3. 6%)である。接種後1日目の15件(1.4%)が最大である。   せき、鼻水は合計192件(18.4%)であるが、接種後7日目の小計では95件 (9.1%)である。接種後1日目の22件(2.1%)が最大である。 5 DT初回接種、追加接種は対象者が少ないので省略する。 6 DT2期   対象者は2,034人であった。何らかの症状を呈したのは802人、906件であ った。症状と発現の関係をみると次のとおりであった。 37.5℃以上38.5℃未満の発熱は合計28件(1.4%)であるが、接種後7日 目までの小計は18件(0.9%)である。接種後1日目の10件(0.5%)が最 大である。   38.5℃以上の発熱は合計25件(1.2%)であるが、接種後7日目までの小計 は16人(0.8%)であった。接種後1日目の5件(0.2%)が最大である。   局所反応は合計728件(35.8%)であるが、接種後7日目までの小計は722 件(35.5%)である。接種後1日目の474件(23.3%)が最大である。   けいれんはみられなかった。   嘔吐は合計13件(0.6%)であるが、接種後7日目までの小計は8件(0.4%) である。接種後1日目の3件(0.1%)が最大である。   下痢は合計28件(1.4%)であるが、接種後7日目までの小計は19件(0.9%) である。接種後1日目の9件(0.4%)が最大である。  せき、鼻水は合計84件(4.1%)であるが、接種後7日目までの小計は50件(2. 5%)である。接種後1日目の14件(0.7%)が最大である。   ま と め   各項目で従来の調査結果と大きな相異は無かった。  DPT接種後の特徴は1期初回1回接種後の局所反応にみられる。即ち、1期初回1 回目の接種に限っては接種後1日後に3.5%,2日後には1.8 %の局所反応である が、7日後、8日後でも0.9%、0.5%の局所反応がみられる。一方初回2回目以 降では0,1,2,3日目にみられたが、接種1日目に最も多くみられた。けいれんは1期 初回1回目に1件,追加接種後に4件みられたがいずれも発熱を伴っていた。接種後の嘔 吐、下痢、せき、鼻水などは28日を通して大きな発生率の相違はなく、このワクチン を接種する年齢に通常みられる健康状況の変化と思われる。     MR 1 MR1期  対象者数は、12ヶ月〜24ヶ月児5,020人(男児2,604人、女児2,40 7人、不明9人)であった。  観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、1,104人(22.0%)にみら れ、そのうち最高体温が38.5℃以上であったものは、670人(13.3%)であ った。そのうちで、接種後6日までの発熱者は404人(8.1%)、38.5℃以上は 245人(4.9%)であった。接種後7〜13日の発熱者は452人(9.0%)、3 8.5℃以上は272人(5.4%)であった。0〜13日に初発した発熱を合わせる と375人(17.1%)、38.5℃以上は517人(10.3%)であり、発熱のほ とんどは0〜13日に初発した。  観察期間中に発疹が出現した者は333人(6.6%)であった。そのうち6日以内 に出現した者は、112人(2.2%)、7〜13日に出現した者は、140人(2.8%) であった。  局所反応は89人(1.8%)に認められた。そのうち、41人(0.8%)は3日 以内の局所反応であった。  けいれんが出た者は9人(0.2%)、8〜13日が2人、14〜20日14〜20日 が5人、21〜28日が2人であり、25日に出た1人を除いて、すべて37.5度以 上の発熱を伴っていた。けいれんとワクチン接種との因果関係は不明である。  蕁麻疹は、150人(3.0%)に認められ、発症日は前半の0日から13日までが 117人(2.3%)を占めた。1日以内の蕁麻疹を認めたものは15人(0.3%) であった。  リンパ節腫脹は、31人(0.6%)に認められた。  関節痛は、3人(0.1%)に認められた。 ま と め  MR予防接種に伴う発熱には弱毒麻疹ウイルス及び弱毒風疹ウイルスの増殖に伴う発 熱、ワクチン液に含まれるその他の成分に対するアレルギー反応としての発熱(接種後 比較的早期に発現する)、そしてワクチンとは無関係の発熱がある。観察期間中の発熱は 22.0%、0〜13日に初発した発熱は17.1%と発熱日に集積性が認められた。 したがって、発熱の多くはワクチンと関係あるものと推測される。  MRワクチン接種に伴う発疹にはワクチンウイルスの増殖に伴うものと、アレルギー 反応、紛れ込みがある。発疹は6.6%に認められ、0〜13日に初発した発疹は5. 0%と発熱と同様発生日に集積性が認められた。   蕁麻疹が0〜13日に集中する傾向が認められた。   熱性けいれんの発生はあったが、脳炎・脳症の報告はなかった。 2 MR2期  対象者数は、5〜7歳児3,338人(男児1,707人、女児1,621人、不明 10人)であった。  観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、266人(8.0%)にみられ、そ のうち最高体温が38.5℃以上であったものは、151人(4.5%)であった。 そ のうちで、接種後6日までの発熱者は101人(3.0%)、38.5℃以上は61人(1. 8%)であった。接種後7〜13日の発熱者は73人(2.2%)、38.5℃以上は4 0人(1.2%)であった。0〜13日に初発した発熱を合わせると174人(5.2%)、 38.5℃以上は101人(3.0%)であり、0〜13日に初発した発熱が、14〜 28日に初発した発熱の方が多い傾向がみられた。  観察期間中に発疹が出現した者は57人(1.7%)であった。そのうち6日以内に 出現した者は、23人(0.7%)、7〜13日に出現した者は、15人(0.4%)で あった。  局所反応は85人(2.5%)に認められた。そのうち、79人(2.4%)は3日 以内の局所反応であった。  けいれんが出た者は1人、1日目に出現、37.5℃以上の発熱を伴った。  蕁麻疹は、29人(0.9%)に認められた。発症日は前半の0日から13日までが 18人(0.5%)、後半の14日から28日が11人(0.3%)であった。1日以内 の蕁麻疹を認めたものは3人(0.1%)であった。  リンパ節腫脹は、13人(0.4%)に認められた。  関節痛は、40人(1.2%)に認められた。   ま と め  MR2期の副反応発生調査対象者は、麻しん予防接種歴のある者、風しん予防接種歴 のある者、麻しん予防接種と風しん予防接種の両方の接種歴のある者、いずれの予防接 種も受けたことがない者が混ざっている。麻しん予防接種歴のある者では、2期MRに 含まれる麻しんワクチンウイルスの増殖が抑制されて、それに起因する発熱、発疹が出 現しないことが想定される。  観察期間中の発熱は、8.0%で、MR1期の22.0%の約1/3であった。また、 MR1期では、6日以内の発熱が8.1%、7〜13日の発熱が9.0%と7〜13日 の発熱率の方が高かったのに対して、MR2期では、6日以内の発熱が3.0%、7〜 13日の発熱が2.2%と6日以内の発熱率の方が高かった。  MR2期の副反応発生頻度はI期の副反応発生頻度より全般的に低かった。 日本脳炎   1 日本脳炎ワクチン1期初回1回目  報告された対象人数は252人で、接種された年齢は1歳〜7歳児である。発熱、局 所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来した人数(発生件 数)は合計35人(41件)で、対象者の13.9%を占めた。男女の割合は17.2%: 10.1%で男が女よりやや多かった。  接種年齢は1歳から7歳に分布、3歳児が146人と特に多く、3〜5歳群で全体の 85.0%を占めた。  接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、健康異常は1歳未満、6歳児を除く1 〜7歳各年齢群にみられ、発生者数は対象者の6.7〜50.0%から報告され、平均 13.9%にみられた。  発現症状をみると、発熱が最も多く5.3%〜33.3%、平均10.3%(38. 5℃以上は5。6%)であった。  局所反応は3、5、7歳群に2.7%〜25.0%、平均2.4%にみられ、その他 の群ではみられなかった。  蕁麻疹は1歳群1件(11.1%)、3歳群4件(2.7%)、4歳群1件(2.0%) にみられた。その他の発疹は3歳、4歳群でそれぞれ1件ずつみられた。けいれんは1 件みられ、37.5℃以上の発熱を伴っていた。  症状の発現日を観察期間28日でみると発熱は27日の観察期間を通じて幅広く報告 され、それらは散発的であった。接種2日目は4件(38.5℃以上)とやや多かった が、その後は1〜2件散発的にみられ、特定の傾向はなかった。  局所反応は接種後2日以内に2件とやや多く、以後も観察期間中8日目、15日目に 1件ずつみられた。蕁麻疹やその他の発疹は散発的に1〜2件ずつみられたが、特定の 傾向はみられなかった。 2 日本脳炎ワクチン1期初回2回目  対象者数は1〜7歳児124人で3歳児が56人と最も多く、接種後28日の観察期 間中発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常をきたし た者は15人(16件)で、対象者の12.1%を占めた。男女別では11.3%:1 4.5%と女が男よりやや多かった。  接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、10.7%〜24.1%、平均12. 1%で、3、4、6歳群にみられた。  発現症状をみると、いずれの年齢も発熱と接種局所反応、蕁麻疹が多く、発熱は7. 1%〜18.2%)平均7.3%であり、局所反応は1.8%〜6.9%、平均2.4% で、蕁麻疹は1.8%〜6.9%、平均2.4%であった。その他の発疹は1,4歳群 に1件報告された。けいれんの報告はなかった。  症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は、接種後2日以内に1〜2件と限 局してみられ、接種1日目に2件とピークがあったが、3日目以降はみられなかった。 発熱は全観察期間にわたって散在、一定の傾向はなかった。蕁麻疹やその他の発疹は1 件ずつ散見され一定の傾向はみられなかった。 3 日本脳炎ワクチン1期追加  対象者数は2〜7歳児258人で5歳児が92人と最も多い。接種後28日の観察期 間中、発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常をきた たした者は3〜7歳にみられ、その割合は5.8%〜13.2%、平均10.5%で、 男女の占める割合は9.7%:12.0%と女がやや多かった。  発現症状では、何れの年齢も発熱が目立って多く、1.4%〜9.8%、平均6.6% (38.5℃以上は平均5.4%)であった。ついでは接種部位の局所反応が続き5〜 7歳児にみられ、1.1%〜5.9%、平均2.3%であった。蕁麻疹は4歳、5歳群 に1件ずつみられ、その他の発疹は4歳群に2件みられたが、けいれんはみられなかっ た。  症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後2日以内に1,2日目に3 件ずつと集中してみられた。発熱は全観察期間にわたって散在し、7日以内がやや多め であったが一定の傾向は見られなかった。蕁麻疹、その他の発疹は1件ずつ13日目ま でに散発し一定の傾向はなかった。 4 日本脳炎ワクチン2期  対象者数は2期の9〜12歳児の111人であった。接種後28日の観察期間中発熱、 局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常をきたした者は12 人(13件)であった。  健康異常発生者の割合は10.8%であった。男女別では11.1%:11.3%と 男女ほぼ同数であった。  発現症状では、いずれも発熱と接種部位の局所反応、発疹で、2期で発熱3件(2. 4%)、局所反応4件(3.2%)3期では発熱はなく、局所反応4件(8.5%)とい ずれも発熱よりは局所反応が多かった。蕁麻疹は2期、3期ともそれぞれ1件ずつみら れたが、その他の発疹は2期のみ1件あったが、3期はなかった。  症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後1日目2件、3日目3件、 合計5件の報告があった。発熱は1,5,10,18,21、25日目と1件ずつ合計 6件が散見された。蕁麻疹は4日目、16日目に1件ずつ散見した。 ま と め  今回の報告も厚労省による「日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨差し控え」通達後の 報告で報告数は少ない。後期の1期初回2回目の対象数(接種者)が少なかったことが この累計でも反映されている。その意味は不明であるが、後期のまとめで言及している ので参照していただきたい。  報告数は少ないが、今回も従来同様の傾向がみられた。すなわち今回も日本脳炎ワク チンの副反応の主なものは発熱、局所反応、発疹である。接種年齢が若い初回接種では 発熱、ついで局所反応が多かったが、これらは接種回数を重ねるにつれ、また年齢が高 くなるにつれ発熱は減少、局所反応が増加する傾向がある。  局所反応をみるといずれの接種も接種翌日にピークがあり、約7日目までに集中する ことは注目に値する。すなわち詳細にみると年齢が若いほど7日以降にも遅れてやや広 く発生し、年齢の高い2期になると接種後3〜5日までに限定して発生している。  一方、発熱は観察28日間に渡って広く散在しているが、これも年齢の若い群ほど全 観察期間に渡ってみられる。このことは発熱がワクチンだけによる副反応とは言い難く、 むしろ発熱疾患の頻度など年齢因子を考えると、紛れ込みの熱性疾患の可能性を否定で きない。  蕁麻疹やその他の発疹は一定の傾向がなく、頻度も低い。  今回は1期初回1回目で1件けいれんの報告があったが高熱を伴っており所謂熱性け いれんの範疇に入るけいれんが疑われる。脳炎・脳症などの中枢神経系合併症の報告は なかった。   ポ リ オ 1 ポリオ1回目   接種対象者数は3,244人(男1,665人、女1,558人、不明21人)で内 訳は3〜5カ月727人(22.4%)、6〜8カ月1,438人(44.3%)、9〜 11カ月712人(21.9%)、1歳309人(9.5%)、2歳以上58人(1.8%) であった。   なんらかの健康異常を示した人は627人(19.3%)836件であった。接種数 の比較的多い1歳以下の年齢別では、9〜11ヶ月における23.5%(231件)が 最多で、1歳以降を含めると1歳での27.2%(122件)が最多であった。   発熱は331件で、接種対象者数の10.2%であった。そのうち38.5℃以上の 発熱は187件で発熱者の56.5%、接種対象者の5.8%であった。38.5℃以 上の発熱は接種後1日目が16件と最多でありついで3日目、31〜35日目の15件、 2日目の12件及び29日目の10件となる。   けいれんは4件報告され、そのうち37.5℃以上の有熱は3件、37.5℃未満の 有熱は1件であった。   嘔吐は133件(4.1%)に認められたが、接種後0日目が0.4%と若干多目で あるが、その他の日も0.1〜0.3%であった。   下痢は368件(11.3%)に認められ、1日目に2.0%、2日目に1.0%、 3.5、日目が0.7%、0日目と31〜35日目が」0.5%sw、以下0.1〜0. 4%である。 2 ポリオ2回目   接種対象者数は2,759人(男1,420人、女1,321人、不明18人)で内 訳は3〜5カ月3人(0.1%)、6〜8カ月152人(5.5%)、9〜11カ月663 人(24.0%)、1歳1,681人(60.9%)、2歳214人(6.1%)、3歳以 上93人(3.3%)であった。  なんらかの健康異常を示した人は627人(19.3%)836件であった。年齢別 では6〜8ヶ月が最多で252人(346件)で、異常発生人数の40.2%であった。  発熱は397件で、接接種対象者数の14.4%、であった。そのうち38.5℃以 上の発熱は270件で発熱者の68.0%、接種対象者の8.3%であった。38.5℃ 以上の発熱は接種後31〜35日目が最も多く25件、1.2%、割合でも接種者の0. 9%となる。ついで1日目0.6%、2、4、5、16、19、日目の0.5%となり、 以下いずれも0.1〜0.4%となる。   けいれんは4件報告され、2件が37.5℃以上の発熱を伴うものであった。   嘔吐は147件(5.3%)に認められ、接種31〜35日目の0.4%が最も多か った。その他は0〜0.3%であった。  下痢は331件(12.0%)に認められ、接種1日目1.6%をピークとして、2 日目1.0%、3、4、6、7日目0.5%と続く。接種31〜35日目では0.8% であった。 ま と め   接種対象者総数は6,003人で、そのうち無症状79.3%、下痢11.6%、嘔 吐4.7%、38.5℃以上の発熱7.6%、けいれん0.1%であった。これらの結 果はこれまでとほぼ同様の傾向であり、大きな変化はない。  ポリオワクチン服用直後の発熱、下痢、嘔吐等の健康異常反応が、ポリオワクチンに よるものか、あるいはそのあの要因かについての考察は、昨年度と同様であるが、いず れにしても本報告でみられるこれらの反応は軽微であり、自然回復性のものにとどまっ ており、ポリオワクチンの重要性を現段階で妨げるものではないと考える。 B C G    0歳児総数4,385人について接種後観察が行われた。うち男児が2,213人(5 0.5%)、女児が2,158人(49.2%)であった(性別不明14人)。接種時月 齢は3〜6個月未満が3,242人(73.9%)で大半を占めるが、6ヶ月を過ぎた 者も1,112人25.4%)あった。3か月未満は31人(0.7%)とわずかだっ た。  これらの中から33人、0.9%に何らかの異常がみられた(延べ件数も33件、被 接種者100人あたり0.9件)。健康異常発生者割合を性別に見ると男で0.9%、女 で0.6%と、男で高かった。  異常の種別にみると、「リンパ節腫脹」が18人(0.4%)、「局所の湿潤」が15人 (被接種者の0.3%)、で、けいれん等の反応はみられなかった。  リンパ節腫脹は31例全例が中接種後5ケ月までに起こっていたが、2〜7日という 早期に起こった例が1例みられた。10例が1〜2か月に集中して発生していた。  局所の湿潤の頻度は15日〜5ヶ月にわたって発生しており、3分の2は2か月以降 に発生していた。  接種局所の針痕に関する観察は3,683人(被接種者総数の84.0%)について 行われた。全体では15〜18個(記載上19個以上とされている者を含む)の者が多 い(72.2%)が、4個以下の者も1.4%あった。平均個数は全体では15.4個 で、健康異常の有無別に見ると、「なんらかの異常あり」で16.8個、「異常なし」で 15.4個であり、わずかに「異常あり」で個数が多かった。 ま と め   今年度はリンパ節腫脹、局所の湿潤がそれぞれ被接種者の0.4%、0.3%にみら れた。リンパ節腫大のうちの1例は接種後2〜7日みられており、おそらく非特異的な ものの紛れ込みの可能性が大きい。56%が接種後1〜2か月に起こっており、定型的 な経過である。  局所の湿潤について、現行のような直接接種の実施ではごく少数ながら結核感染を受 けている者にBCG接種を行う可能性があるが、このような場合には接種後早期(7日 以内)に接種局所の強い反応(膿庖、丘疹)を示す(コッホ現象)。さらに実際には未感 染者においてその何倍もの類似反応(環境中の抗酸菌感染などによる免疫反応)がみら れる。コッホ現象と思われる場合には精密検査をして活動性結核を発病していないとき は潜在性結核感染症の治療を行う。いずれにせよ、今年度はそのような例は皆無であっ た。  今年度にみられた局所の湿潤は、3分の2が接種後接種3ヶ月以内にみられており、 正常反応が強調された例と考えられ、本来の副反応と言いがたいものである。残りは3 ヶ月を超えてからみられたもので、一部は混合感染によるものがあるかも知れない。基 本的には無治療で済ますが、特に反応の強い者には一般抗生剤の内服や塗布を試みても よい。  針痕の個数は、今年度の観察では全体で平均15.4個であり、標準的な技術で接種 した場合にほぼ匹敵する。このような技術評価が個々の接種医別に行われることが望ま しい。 IV 製造所別各論 DPT・DT  1 DPT1期初回1回目   対象者は1,540人である。   このうち武田薬品工業株式会社製ワクチン(以下「武田製」という。)は550人(3 5.7%)に接種された。接種後7日迄の37.5℃以上38.5℃未満の発熱は9件 (1.6%)で、38.5℃以上は8件(1.5%)であった。   局所反応は接種後7日目までに多く、71件(12.9%)で接種後1日目の35件 (6.4%)が最大である。    社団法人北里研究所製ワクチン(以下「北里製」という。)は266人(17.3%) に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上38.5℃未満の発熱は10件(3. 8%)で、38.5℃以上は2件(0.8%)であった。   局所反応は接種後7日目までに多く22件(8.3%)で、接種後1日目の8件(3. 0%)が最大である。   財団法人化学及血清療法研究所製ワクチン(以下「化血研製」という。)は697人(4 5.3%)に接種された。接種後7日までの37.5℃以上38.5℃未満の発熱は9 件(1.3%)で、38.5℃以上は17件(2.4%)であった。   局所反応は接種後7日目までに多く43件(6.2%)で、接種後1日目の11件(1. 6%)が最大である。   財団法人阪大微生物研究会製ワクチン(以下「微研製」という。)は25人(16.2%) に接種された。接種後7日目までの37.5C以上38.5℃未満の発熱はなく、38. 5℃以上の発熱もみられなかった。   局所反応は接種後8日目に1件(4.0%)みられた。   デンカ生研株式会社製ワクチン(以下「デンカ製」という。)は2人(0.1%)に接 種された。接種例が少ないため詳細は省略する。 2 DPT初回2回目   対象者は1,271人である。  このうち武田製は505人(39.7%)に接種された。接種後7日目までの37. 5℃以上38.5℃未満の発熱は10件(2.0%)で、38.5℃以上は10件(2. 0%)であった。   局所反応は接種後7日目までに多く、149件(29.5%)で接種後1日目の90 件(17.8%)が最大である。   北里製は260人(20.5%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上 38.5℃未満の発熱は6件(2.3%)で、38.5℃以上は5件(1.9%)であ った。   局所反応は接種後7日までに多く54件(20.8%)であった。接種後1日目の3 1件(11.9%)が最大である。  化血研製は465人(36.6%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以 上38.5℃未満の発熱は4件(0.9%)で、38.5℃以上は12件(2.6%) であった。   局所反応は接種後7日目までに多く83件(17.8%)であり、接種後1日目の4 6件(9.9%)が最大である。   微研製は38人(3.0%)に接種された。接種後7日までの37.5℃以上38. 5℃未満の発熱は2件(5.3%)で、38.5℃以上は1件(2.6%)であった。  局所反応は接種後7日目までに12件(31.6%)みられ、接種後1日目の7件(1 8.4%)が最大である。   デンカ製は3人(0.2%)に接種された。接種例が少ないため詳細は省略する。   3 DPT初回3回目   対象者は1,113人である。   このうち武田製は432人(38.9%)に接種された。接種後7日までの37.5℃ 以上38.5℃未満の発熱は6件(1.4%)で、38.5℃以上は13件(3.0%) であった。   局所反応は接種後7日目までに多く93件(21.5%)にみられ、接種後1日目の 58件(13.4%)が最大である。   北里製は233人(20.9%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上 38.5℃未満の発熱は8件(3.4%)で、38.5℃以上は8件(3.4%)であ った。   局所反応は接種後7日目までに多く26件(11.2%)にみられ、接種後1日目の 12件(5.2%)が最大であった。   化血研製は416人(37.4%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以 上38.5℃未満の発熱は10件(2.4%)で、38.5℃以上は9件(2.2%) であった。   局所反応は接種後7日目までに52件(12.5%)にみられ、接種後1日目の33 件(7.9%)が最大であった。   微研製は28人(25.2%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上3 8.5℃未満の発熱はなく、38.5℃以上は22日目に1件(3.6%)みられた。  局所反応は接種後7日目までをみると6件(21.4%)にみられ、接種後0日目の 2件(7.1%)が最大であった。   デンカ製は4人(0.4%)に接種された。接種例が少ないため詳細は省略する。    4 1期追加   対象者は1,044人である。  このうち武田製は447人(42.8%)に接種された。接種後7日目までの37. 5℃以上38.5℃未満の発熱は22件(4.9%)で,38.5℃以上は8件(1. 8%)であった。   局所反応は接種後7日目までに216件(48.3%)にみられ、接種後1日目の1 38件(30.9%)が最大であった。   北里製は159人(15.2%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上 38.5℃未満の発熱は5件(3.1%)で、38.5℃以上は3件(1.9%)であ った。   局所反応は接種後7日目までに64件(40.3%)にみられ、接種後1日目の45 件(28.3%)が最大であった。   化血研製は407人(39.0%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以 上38.5℃未満の発熱は12件(2.9%)で、38.5℃以上は13件(3.2%) であった。   局所反応は接種後7日目までに多く115件(28.3%)にみられ、接種後1日目 に81件(19.9%)が最大であった。   微研製は24人(2.3%)に接種された。接種後7日目までの発熱は2件(2.8%)、 38.5℃以上は2件(2.8%)であった。   局所反応は接種後7日目までに7件(29.2%)にみられ、接種後1日目の5件(2 0.8%)が最大であった。   デンカ製は7人(0.7%)に接種された。接種例が少ないため詳細は省略する。 5 DT2期   対象者は2,034人である。   このうち武田製は546人(26.8%)に接種された。接種後7日目までの37. 5℃以上38.5℃未満の発熱は4件(0.7%)で、38.5℃以上は2件(0.4%) であった。  局所反応は接種後7日目までをみると217件(39.7%)にみられ、接種後1日 目の134件(24.5%)が最大であった。   北里製は237人(11.7%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上 38.5℃未満の発熱は5件(2.1%)で、38℃以上は4件(1.7%)であった。   局所反応は接種後7日目までをみると55件(23.2%)にみられ、接種後1日目 の42件(17.7%)が最大であった。    化血研製は929件(45.7%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以 上38.5℃未満の発熱は5件(0.5%)で、38.5℃以上は5件(0.5%)で あった。   局所反応は接種後7日目までに多くみられ337件(36.3%)にみられ、接種後 1日目の220件(23.7%)が最大であった。   微研製は247人(12.1%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上 38.5℃未満の発熱は4件(1.6%)であり,38.5℃以上の発熱は5件(2. 0%)であった。   局所反応は接種後7日目までをみると73件(29.6%)みられ,接種後1日目の 46件(18.6%)が最大であった。    デンカ製は75人(3.7%)に接種された。接種後7日目までの37.5℃以上3 8.5℃未満の発熱はなく、38.5℃以上もみられなかった。  局所反応は接種後7日目までに40件(53.3%)みられ,接種後1日目の32件 (42.7%)が最大であった。 MR 1 MR1期  調査対象者は、5,020人であり、武田製1,851人、北里製2人、微研製3, 167人であった。  観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、武田製37.5℃以上7.7%、3 8.5℃以上12.7%、微研製37.5℃以上9.2%、38.5℃以上13.77% にみられた。  そのうちで、接種後6日までの発熱は武田製37.5℃以上2.9%、38.5℃以 上5.1%、微研製37.5℃以上3.3%、38.5℃以上3.3%にみられた。  接種後7〜13日の発熱者は武田製37.5℃以上3.0%、38.5℃以上5.0%、 微研製37.5℃以上3.9%、38.5℃以上5.7%にみられた。  観察期間中に発疹が出現した者は武田製13.7%、微研製6.5%であった。 局所反応は武田製1.7%、微研製1.8%にみられた。 けいれんは武田製0.3%、微研製0.1%にみられた。  じんましんは、武田製3.0%、微研製3.0%にみられた。  リンパ節腫脹は、武田製0.7%、微研製0.6%にみられた。  関節痛は、武田製0.1%、微研製0.1%にみられた。     2 MR2期   調査対象者は、3,338人であり、武田製1,119人、北里製2人、微研製3, 167人であった。  観察期間中(0日〜28日)に初発した発熱は、武田製37.5℃以上3.1%、38. 5℃以上5.0%、微研製37.5℃以上3.6%、38.5℃以上4.3%にみられた。  そのうちで、接種後6日までの発熱は武田製37.5℃以上0.9%、38.5℃以上 1.9%、微研製37.5℃以上1.4%、38.5℃以上1.8%にみられた。  接種後7〜13日の発熱者は武田製37.5℃以上1.0%、38.5℃以上1.7%、 微研製37.5℃以上1.0%、38.5℃以上0.9%にみられた。  観察期間中に発疹が出現した者は武田製2.2%、微研製1.4%であった。 局所反応は武田製2.1%、微研製2.8%にみられた。 けいれんは武田製0%、微研製0%であった。  じんましんは、武田製1.2%、微研製0.7%にみられた。  リンパ節腫脹は、武田製0.4%、微研製0.4%にみられた。  関節痛は、武田製1.7%、微研製0.9%にみられた。   日本脳炎  日本脳炎ワクチン1期初回1回目から2期まで計4回の接種後健康調査の対象者延べ総 数は745人で、ワクチン製造別内訳は武田製137人(18.4%)、北里製8人(1. 1%)、化血研製215人(28.9%)、微研製269人(36.1%)、デンカ製116 人(15.6%)であった。   接種後28日の観察期間に認められた健康異常をみると総数で82人(11.9%)あ り、製造者別にその異常発生率の内訳をみると、武田製12人/137人(8.6%)、北 里製5人/8人(62.5%)、化血研製25人/215人(11.6%)、微研製29人 /269人(10.8%)、デンカ製18人/116人(15.5%)であった。  最も多い異常反応は多少の差異はあるが各社とも発熱と局所反応で、0〜1件の蕁麻疹、 その他の発疹が散見する。けいれんは今回38.5℃以上の発熱を伴う接種後3日目に1 件あった。以下、接種時期別、製造社別にその異常発生について述べる。 1 日本脳炎一期初回1回目(対象者数252人、異常発生者数35人)   対象者数は252人である。   このうち武田製は45人(17.9%)を占め4件の健康異常が発生した。局所反 応が3件(1.2%)で、接種1,8,15日目に1件ずつ合計3件生じた。発熱は2 件で、すべて37.5℃以上38.5℃以下で当日と接種4日目に生じた。その他の発 疹が1件認めたが、蕁麻疹、けいれんは今回なかった。   北里製は4人(1.6%)を占め、総計3件の異常を認めた。総計3件の38.5℃ 以上の発熱と38.5℃以上の発熱を伴うけいれんが接種後3日目に1件あったが、そ の他の健康異常はなかった。   化血研製は65人(25.8%)を占め、異常発生は7人(9件)であった。局所 反応はなく、発熱が6件(9.2%)で、その内2件が38.5℃以上であった。発熱 は接種2日目より28日目まで1件ずつ広く散発し一定の傾向はなかった。蕁麻疹は合 計3件、1件ずつ広く散発した。けいれんはなかった。   微研製は105人(41・7%)を占め、14人(15件)の異常を認めた。局所 反応は2件(1.9%)あり、発熱は10件(9.5%)で、そのうち38.5℃以上 の発熱5件あり広く散在した。蕁麻疹3件、その他の発疹、けいれんはなかった。   デンカ製は33人(13.1%)を占め、7人(7)件の健康異常が発生した。発 熱は5件で、38.5度以上の発熱は4件あり広く散在し特記すべき傾向はなかった。  局所反応は接種後2日目に1件あった。7日目にその他の発疹が1件あった。 2 日本脳炎1期初回2回目(対象者数124人、異常発生者数15人)   対象者数は124人である。   このうち武田製は17人(13.7%)を占め、2件の健康異常が発生した。接種 15日目の38.5℃以上の発熱1件と接種28日目の蕁麻疹1件である。   北里製は3人(2.4%)を占め、2人(3件)の異常を認めた。4日目の発熱1 件、接種14日目のその他の発疹1件、接種20日目の蕁麻疹1件の3件である。   化血研製は37人(29.8%)を占め、異常は3件で、接種後当日と20日目の 38.5℃以上の発熱2件と9日目の微熱1件の3件のみである。   微研製は38人(30.6%)を占め、3件の異常を認めた。接種後1日目の局所 反応1件、2日目の発熱1件、10日目の蕁麻疹の1件である。   デンカ製は29人(23.4%)で、5件の異常を認めた。接種4、7、26日目 の38.5℃以上の発熱1件ずつと接種1,2日目の1件ずつの局所反応の5件である。 3 日本脳炎1期追加(対象者数258人、異常発生者数27人)   対象者数は258人である。   このうち武田製は57人(22.1%)を占め、5件の健康異常が発生した。4日 目の38.5℃以上の発熱が2件と24日目の1件、合計3件である。他は接種後1日 目の局所反応1件と13日目のその他の発疹の1件であった。   北研製は1人で異常の報告はなかった。   化血研製は82人(31.8%)を占め、異常は11件であった。発熱が8件と多 く38.5℃以上の発熱7件とそれ以下の発熱1件である。発熱は接種後12日以内に 1〜2件ずつ散在し一定の傾向はなかった。その他は接種2日目の局所反応、3日目の その他の発疹、6日目の蕁麻疹が1件ずつ報告された。   阪大微研会製は90人(34.9%)を占め、7件の異常を認めた。局所反応は3 件で接種後2日目までに出現、発熱は3件8日までに広く散在、蕁麻疹は10日目に1 件のみ報告され、けいれんはなかった。   デンカ生研製は28人(10.9%)を占め、異常発生は4件で、3件の発熱と1 件の局所反応であった。局所反応は接種後1日目までに集約し、発熱は散在し一定の傾 向はなかった。 4 日本脳炎2期(対象者数 111人、 異常発生者数12人)   対象数は111人である。   このうち武田製は18人(16.2%)を占め、健康異常は接種3日目の局所反応  1件のみである。   北研製は対象者がなかった。   化血研製の対象者は31人(27.9%)を占め、異常報告は4件であった。接種 10日目の38.5℃以上の発熱1件と25日目それ以下の微熱1件、接種1日目の局 所反応、16日目の蕁麻疹1件の合計4件がそれである。   微研製は36人(32,4%)を占め、異常は5人(6件)であった。接種後発熱 は1日目と21日目に微熱が1件ずつ、局所反応は接種後1日目に1件、3日目に2件 あり、4日目の蕁麻疹1件と合わせ合計6件の報告である。   デンカ製は26人(23.4%)を占め、健康異常が2件報告された。異常は発熱 のみで、接種5日目の38.5℃以下の微熱1件と18日目の38.5℃以上の発熱1 件であった。 インフルエンザ  インフルエンザワクチンを接種された1,289例中205例(15.9%)に何らかの 異常発生が報告された。その内訳は、局所反応153件(11.9%)、全身倦怠感25件 (1.9%)、頭痛17件(1.3%)、発熱6件(0.5%)、嘔吐3件(0.2%)、蕁麻疹1件(0. 1%)であった。   製造所別にみると、検討例のうち、北里製が53/459例(12.6%)、微研製が 43/302例(16.6%)、デンカ製が18/100例(21.0%)、化血研製が64/42 8例(17.8%)であり、製造所別に頻度や内容に差はみられなかった。                    照会先:厚生労働省健康局結核感染症課予防接種係                        TEL 03−5253−1111                        FAX 03−3581−6251