08/12/27 平成20年度第8回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 平成20年度第8回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成20年12月17日(水) 13:30〜15:00 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、齊藤壽一委員、        佐藤博委員、辻村信正委員、難波貞夫委員、松田晋哉委員、        山口直人委員、吉田英機委員、邉見公雄オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 基本問題小委員会での議論の報告        2 松田研究班からの報告        3 新たな「機能評価係数」に係る検討方法について        4 「DPC導入の影響評価に係る調査」について        5 その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまから平成20年度第8回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を開催 させていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、本日は、相川委員、伊藤委員、酒巻委員、嶋 森委員、山口直人委員が御欠席という連絡をいただいています。  また、木下委員がまだお着きになっていらっしゃいませんが、間もなくみえることと 存じます。  それでは、まず資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  お手元に、議事次第、座席表、委員名簿がございます。資料D−1「調整係数の廃止 と新たな機能評価係数の設定について」、資料D−2「病院機能係数の考え方について (3)、松田研究班からの報告」、資料D−3「新たな『機能評価係数』に係る検討方法に ついて」、資料D−4「DPC導入の影響評価に係る調査について」でございます。ま た、お手元にルーペを用意しておりますので、必要に応じてご利用いただければと思い ます。 ○西岡分科会長  資料につきましてはよろしいでしょうか。  それでは、基本問題小委員会での議論の報告につきまして、事務局よりご説明をお願 いいたします。 ○中田補佐  お手元の資料D−1「調整係数の廃止と新たな機能評価係数の設定について」でござ います。こちらにつきましては、本日の基本問題小委員会で御議論した結果を御報告さ せていただきたいと思います。  資料をおめくりいただきまして、3ページ目、4ページ目でございます。これは過去 の経緯でございますので、省略させていただきます。  今回は、5ページ目以降を中心に議論されたというところでございますが、5ページ 目、調整係数の役割、6ページ目の基本方針、7ページ目、8ページ目の基本的な考え 方に沿って、検討を進めるよう同意をいただいたところでございます。  また、9ページ目以降につきましては、このたび基本問題小委員会では具体的なイメ ージを示すために添付させていただきました資料でございます。また、前回もご説明申 し上げた事項でございますので、詳細な説明は省略させていただきたいと思います。  また、議論の具体的内容につきましては、西岡分科会長から補足をお願いできればと 思います。 ○西岡分科会長  今、御報告にありましたところの資料でございますが、そこで問題になってまいりま したのは、例えば15ページ目にあります、DPC対象病院として社会的に求められて いる機能・役割を重視すべきではないかということで、これについては、委員のお一人 から、この項目を外したほうがいいんじゃないか、あるいは文章を変えたほうがいいん じゃないかということの御議論が出ましたが、最終的にはこれをそのままご了承いただ いた次第でございます。  また、21ページ目のところにあります、具体的評価の例の地域の救急・小児救急患 者及び妊産婦の受入数云々のところがございますが、こういった項目に関しては、DP Cの係数で考えるよりも、むしろDPCツリーの点数を上げればいいんじゃないかとい うふうな御議論もいただいております。これは、これからまた詰めていくことではない かと思います。  それからもう一つ、大きな点でございますが、25ページ目のところにございます、 急性期としてふさわしい機能を評価する観点から、プラスの係数を原則としてはどうか ということに対しまして、マイナスがあってもいいんじゃないかという御議論も出てお りました。これにつきましても、また今後、議論が詰められていくものではないかと思 っております。  私のほうからは以上でございます。  どうぞ。 ○中田補佐  事務局から1点補足させていただきます。  先ほどちょっと説明が漏れておりまして、23ページ目、24ページ目の連続的な評 価の説明でございます。前回、分科会で御説明させていただきました資料につきまして は、23ページ目のところにつきまして、(Y)=aXということで御説明申し上げて おりましたが、こちらの資料につきましては、(Y)=aX+bという、いわゆるY切 片のところも一つ評価のところで考える必要があるのではないかということで、この部 分を付記させていただいていることを補足で申し上げます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見がございましたらいただきたい と思いますが、いかがでしょうか。  特によろしいでしょうか。一応、基本的な方向性というものを基本問題小委員会のほ うで御了解いただけたということで、私たちとしてはこれをもとにして、どういった項 目が評価の対象になるかということを考えていくことになるのではないかと思っており ますが、よろしいでしょうか。  それでは、続きまして「特定機能病院の考え方について(3)」につきまして、松田委員 より資料の御説明をお願いいたします。 ○松田委員  それでは、私どもの研究班で今分析している内容の一部につきまして、御報告させて いただきたいと思います。  前回、前々回、特定機能病院あるいは医療機関の特性別にどういう特徴があるのかと いう視点からの分析が必要ではないかということを御意見いただきましたので、その観 点で少し分析をさせていただきました。  今日はその一部を御報告させていただきます。  診調組のD−2の下のほうになります、番号で2枚目ですけれども、特定機能病院の 特徴というのがありますが、私どものやっている研究は、あくまで私どもの研究班と、 研究に参加するという契約を文書を交わした施設だけでございます。したがいまして、 929施設のデータで今日は御説明をさせていただきます。  分析の内容ですけれども、1番、特定機能病院等ということで、これは大学病院の本 院でございます。これが68施設。それから2番目の青が、これは500床以上の病院 ということで93施設。それから、病床数200床から500床未満というところが4 44施設。200床未満が321施設。それからナショナルセンターが3つと、この9 29施設について分析をさせていただきました。  これは色でありますのは、次項以降のところの、それに対応する点になります。  1枚めくっていただきまして、上のスライドになりますけれども、これは何をやった のかといいますと、X軸に症例数、片やY軸に、縦軸にDPC14桁分類の数というも のを示しております。要するに、この二千五百幾つある分類の中で、どのくらいのDP Cの分類を見ているのかという観点と、それから症例数で分類をしてみますと、このよ うな分析結果になります。特定機能病院というのは、大体そのDPC14桁分類の数で 見ますと非常に多いところに分布しておりまして、そしてまた500床以上の大きな病 院というのも、大体DPC14桁分類別で見ますと、かなりの数をこなしております。  このように特定機能病院、しかも500床以上の病院というのはかなり広い範囲のD PC、これは疾病とそれから医療行為の組み合わせをやっているということになろうか と思います。規模が小さくなるにつれて、見ているDPCの数、あるいは疾病と医療行 為の組み合わせということなりますけども、かなり限られてくるという、そういう傾向 が見てとれますし、また症例数も少なくなっております。  下のほうを見ていただきますと、これは週1回以上やっているDPCの分類の数が幾 つあるのかという観点と、また同じく14桁分類の数という形で見ています。  そうしますと、これはY=Xみたいな線を引いていただきますと、それに近いほうは、 それだけなるべく多い普遍的なDPCを見ているということになるわけですが、これで 見てみますと特定機能病院、赤のところでございますが、これは非常に下のほうに傾い て変異があるわけですが、これを見ますと、要するに特定機能病院、大学病院等は非常 にまれな疾患を数多く診ているという、そういうことが見てとれるわけです。  一方で、500床以上の病院というのは、むしろそういうまれなDPCというよりも、 ある程度まとまった普遍的なDPCを見ているという、ちょっとそういう、同じ規模で あっても見ている内容に少し特性の差があるということが見てとれる結果になっており ます。  1枚めくっていただきますと、今度は平均副傷病数という観点で、大学病院、500 床以上、200床以上、199床以下、ナショナルセンターという形で見ております。 見てみますと、平均で見ますと、確かに大学病院、それから本院、それからナショナル センターというのが、いわゆる副傷病数の数が多い患者さんを診ている。500床以上、 200床以上、199床以下になるにつれて平均としては少なくなるわけですが、ただ、 この200床以上、199床以下というところでも、非常に外れ値的に平均的な副傷病 数が多い病院、施設群というのが存在します。これはいわゆる循環器の専門病院であっ たりとか、そういう病院群でございます。  下のほうが、今度は平均稀少性指数ということで、稀少性指数は、これは下にある定 義のとおりでございますけれども、どのくらいまれなDPCの6桁で見た患者を診てい るかということですが、これは伏見先生が患者調査のデータに基づいてやった結果をこ こでお示ししておりますけれども、これで見ますとやはり大学病院、それからナショナ ルセンターというのは、平均で見ますと平均稀少性指数が非常に高い、DPCの関数を 見ていて、500床以上、200床以上、199床以下になるにつれてだんだん下がっ てくるという傾向が見られます。ただし、199床以下か200床以上でも、非常にま れな疾患をたくさん診ているという病院群が存在するということも見てとれるかと思い ます。一方で、199床以下では、非常に普遍的な換算、DPCの6桁の傷病の患者さ んだけを診ている病院群もかなりあるということが見てとれるかと思います。  1枚めくっていただきますと、今度は平均複雑性指数というもので見たものです。複 雑性指数の定義は下のとおりでございます。これはどれだけ、在院日数の観点でござい ますけれども、平均的に在院日数の長いDPCの患者さんをどのくらい診ているかとい う視点からの結果でございます。  そうしますと、やはりこれも大学病院、ナショナルセンターというのが非常に複雑な 患者さんを診ている。しかも大学病院の場合には、非常に診ている患者さんの、この箱 ひげ図が非常に真ん中に集まっているということは、かなり均質な分布になっていると いうことを意味しております。  ナショナルセンターのほうは、これは3施設しかありませんのでこんな大きなものに なっておりますけれども、平均で見るとやはり、平均といいますか50%という形から 見ると、やはりかなり高い複雑性指数の患者さんを診ていることになります。500床 以上、200床以上、199床以下になるにつれて、この平均複雑性指数も低くなると いう傾向が見てとれます。ただし、これも先ほどの稀少性指数と同じように、199床 以下であっても、非常に高い複雑性指数の病院群もございます。これは大体、いわゆる 専門病院と言われているものが多いようでございます。一方で199床以下のところで は非常に複雑性の低い、ある意味で在院日数が非常に短いところで済むような患者をた くさん診ている病院もあるようでございます。  続きまして、その下のほうが平均効率性指数ということになります。効率性のほうは、 これは下のほうにある定義式がございますけれども、同じDPCの患者をどのくらい短 く診ているのかという観点からの指数ということになります。これを見ますと、ナショ ナルセンターが少し効率性指数が高いわけですけれども、それ以外のところは大体同じ ぐらいのレベルで分布しております。ただ、これも規模が小さくなるにつれて、今まで の指標と同じようにばらつきが非常に大きくなるという傾向が見てとれます。  1枚めくっていただきますと、今回いわゆる望ましい5基準に沿ったような分析の結 果も示しておりますけども、これは例えば全身麻酔下で手術された手術の割合がどうな っているのかという観点からデータを見たものです。  これで見てみますと、特定機能病院というのは大体45%ぐらいですね。50%に対 して見ますと、麻酔下で全麻で手術を行っております。これは規模が小さくなるにつれ て、平均的な像としてはこの割合が低くなるという傾向が見てとれますが、これも先ほ どのデータと同じように規模が小さくなるとばらつきが多くなって、全身麻酔でほぼ8 割以上手術をしているという、そういう病院群も存在しているという、そういうデータ でございます。  下のほうが、今度は救急車による緊急入院の割合ということですが、これで見ますと、 特定機能病院、それからナショナルセンターというのは非常に救急車による緊急入院の 割合が低いというデータになっています。  それで、ここでちょっと注意点があるんですけれども、ナショナルセンターは3つし かないのに、箱ひげの、このヘッド帯が出てしまっているんですが、これはちょっとプ ログラムの関係で出てしまって、このひげの部分は意味がないデータでございますので、 これは消していただいて結構でございます。  緊急入院の割合は、むしろこの規模が小さい病院、200床から499床とか、20 0床未満のところで、平均的には高い割合を示しております。特に200床未満のとこ ろでは、7割が救急車による緊急入院であるという病院群が存在するようでございます。  1枚めくっていただきますと、今度は病理の観点から見たものでございます。これは 組織診をどのくらいの割合でやっているかということですが、これはやはり大学特定機 能病院等でありますと、これはナショナルセンターを除いたものですけれども、大体三 十二、三%のところで、平均的にはその組織診をやっているということで、これはだん だん規模が小さくなるにつれて組織診をやっている患者さんの割合というのは少なくな るという傾向が平均像としてはとれます。ただし、これも今までの結果と同じように、 499床以下、それから200床未満のところで非常に範囲が広くなっているという、 そういう傾向が見てとれます。  隣が術中迅速診のケースですけれども、これも特定機能病院500床以上か規模が小 さくなるにつれて、平均像としては少なくなっていくという、そういう傾向が見てとれ ます。  続きまして、これは手術等を実施した患者の割合ということでございまして、いわゆ るDPCで9900と我々が呼んでいるものがございます。これは何かといいますと、 99というのはDPCの手術に対応するところで手術なしというふうに考慮されている。 それから、00というのは手術処置等1・2というものが、いわゆる定義表に含まれて いる手術処置等1・2が行われていないというものを示しているものです。これを見て いきますと、いわゆる9900というものは特定機能病院かナショナルセンターでは少 なくて、だんだん規模が小さくなるにつれて、そういう手術あるいはその手術処置等1 ・2を行わない患者さんの割合が増えてくるという、そういう傾向が見てとれます。  ただし、これは箱ひげ図みたいなものを書いてみますと、今までの経過と同じでして、 200床未満とか200床から499床のところでは非常にばらつきが大きいという、 そういう特徴がございます。非常にたくさんの9900以外の患者を診ているところも ありますし、全く診ていないところもあるというところも、そういう傾向があります。  1枚めくっていただきますと、これは救急搬送患者です。救急搬送患者につきまして、 その後、手術を実施しているかどうかということを見たものでございます。これで見ま すと、特定機能病院というのは、救急搬送患者についてやはりその9900、いわゆる 手術なし、手術処置等1・2なしというもの以外の割合が非常に多いという、これも規 模が小さくなるにつれてその割合が平均的には少なくなるという、そういう傾向が見て とれます。  次は曜日別の患者割合、これは休日とかするところの診療について着目して分析を行 ったものですけれども、これを見てみますと余り明らかな特徴はないんですけれども、 特定機能病院、大学病院の本院とナショナルセンターで見てみますと、日曜日の入院が やはり少ないという、そういう傾向が見てとれます。  1枚めくっていただきますと、今度は深夜診療患者割合というものを示しております。 これで見てみますと、特定機能病院とナショナルセンターは、ほかの3つの群に比べま して深夜に入院してくる患者さんの割合が少ないということが分かります。ただ、これ を、その下の深夜に入ってきた患者さんについて手術等を実施しているかどうかという 観点で見てみますと、特定機能病院というのは、確かに深夜に入院してくる患者さんの 割合は少ないわけでございますけれども、その中で手術等をやっている患者さんは非常 に多いという、そういう傾向が見てとれます。  逆に200床未満の病院では、深夜に入院してくる患者さんは多いんですけれども、 そちらのほうでは手術処置等を行わない患者さんの割合が高いという、そういう傾向が 見てとれます。  次が17というところですけれども、入院翌日までに手術等の侵襲的治療を施行した 割合ということで、深夜の診療患者でございますけども、これも先ほどの9900と同 じ傾向でございまして、特定機能病院というのは深夜に入院してきた患者さんは少ない んですけれども、入ってきている患者さんにつきましてはいわゆる2日以内に手術とか、 ここで集中治療というのは集中治療室ということではありませんで、侵襲的な治療とい う意味でございますけれども、そういう手術等の侵襲的な治療を行っている割合が高い という、そういう結果が見てとれます。  次が、救命救急入院料算定患者さんにおいて、どのぐらい人工呼吸を実施しているの かと。これは、その救命救急病棟にいる間だけではなくて、1入院の間でどのくらい人 工呼吸をやっているかということを一応見たものですけれども、特定機能病院の場合に は他の群に比べまして、やはりその救命救急入院料算定患者において人工呼吸を実施し ている患者さんの割合が高いという、こういう傾向が見てとれ、それだけ重症の患者さ んが入っているということだろうと思います。  最後のものでございますが、これは特定集中治療室管理料算定患者、要するにICU に入った患者さんについて、その1入院の間でどのくらい人工呼吸がやられているかと いう観点で分析したものですけれども、これはナショナルセンターでこの人工呼吸をや っている割合が平均的に非常に高い。それで特定機能病院。あとは、この病床規模が少 なくなるにつれて人工呼吸をやっている患者さんが少なくなると、そういう傾向が見て とれております。  以上が、私どもが今回いただいた宿題に沿う形で研究結果の一部をまとめさせていた だいた結果でございます。以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重なデータを出していただきました。  この松田委員からの御報告に関しまして、御質問、お願いします。どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  松田先生の班の大変詳細な追跡業務比較を拝見いたしました。  一方、この病院機能係数ということを考えるときには、病院機能の評価係数という意 味だと思うんですよね。だから、さまざまな病院の機能があるわけですけど、その機能 をどう評価するかという価値判断というか、位置付けがこれから求められてくると思う んですね。そういたしますと、先生方が例えばいろいろな機能をここで見せてくださっ たわけですけれども、そこからDPC病院として価値の高い機能であるとか、あるいは DPC病院として、この部分は余り重視しなくてもよい機能であろうとか、そういう機 能の評価、機能の位置付けというのは先生方の班で検討されたか、あるいは先生御自身 の感想でもいいんですけれども、先生は長い間DPCの病院を見てこられたので、やっ ぱりこういう機能は当然高く評価されてしかるべきだとか、そういう先生の感想でもい いんですが、聞かせていただけないでしょうか。 ○松田委員  基本的には、急性期病院の機能をどういうふうに評価することだろうというふうに考 えています。今、私どもがやっている分析といいますのは、いろいろな統計、分析をや るときには、まず多変量ではなくて単変量でどういう特性があるかという分析をすると いうことがまず第1のステップであるわけですけれども、今それをやっているところで す。  それぞれのところで例えば見てみますと、広い範囲のDPCを見ているというのは1 つの機能だろうと思いますし、それから患者数が多い、症例数が多いということも機能 だろうと思いますし、それから望ましい5基準みたいなものもこの機能だと思います。 それぞれについて、その1つの変数についてどういう特性があるのかということを施設 間、あるいは調整係数との関係で今、分析をしているんです。  見てみますと、どの範囲の患者を診ているのかというようなことは1つの機能として 評価すべきだろう、これは広い範囲の患者さんを診るということは、それに対応できる スタッフィングがあって、施設、機能、いろんな医療機器があってということだろうと 思いますので、そういう観点でいろんなデータを見ていきまして、意味づけをしていき たいなというふうに考えています。  今ちょうど拡大様式3という形で、今年度、非常に現場の先生方には、関係者の方に は御迷惑をおかけしているんですけども、細かい各医療機関の施設に関する情報を集め させていただいていますので、それと実際のDPCのデータと突き合わせて、それの出 てくる数値の意味づけというものをこれから考えて、それを今度お互いの変数間の相関 なんかを見ながら、最終的に研究班としての案を複数出させていただきたいなというふ うに考えています。 ○齊藤委員  方法論の問題なんですが、例えば人物を評価するというときは数値で評価するという ことは非常に難しくて、入社試験とか学生の試験なんかでも、かなりはっきり言うと、 エイ、ヤーみたいなところがありますよね。病院機能を評価するというときに、先生方 は非常に多変量解析であるとか、いろんな統計的な手法などをお持ちかとも思うんです が、そういうもので病院の機能の価値というものが浮かんでくるのか、それとも最終的 にはやはり医院とか厚労省の職場とか、そういうところで、早く言うとエイ、ヤーとい う格好で決めなければならないのか、どっちなんでしょうか。 ○松田委員  僕が何か説明していいかどうか分からないんですが、事務局のほうをちょっと横目で 見ながらお話しさせていただきますけど、基本的には半定量的にやっていくしかないだ ろうと思うんです。やっぱり完全に定量的にやるというのは難しいと思うんですね。や っぱり評価すべき項目というのは、半分はやはり望ましい医療ってどういうものだろう という、そういう議論の中からもやられるものだろうと思いますので、すべてを数字で 定量的に出すということはやはり無理だと思いますし、もしそれをやったとしても、そ れの外的妥当性どのくらいあるのか、私たちがいただいているデータの中だけで検討す るわけですので、それを外に当てはめるというときに、本当にそれが大丈夫なのかとい うことはあるだろう。そうすると、出てきた結果について、やはり専門家の先生方の御 意見を伺いながら、それをきちんと意味のある形で落とし込んでいくという作業に最後 はなるんじゃないかというふうに考えています。 ○木下委員  今、幾つかのパラメーターについて、それぞれの病院特性で比較されておりますけど も、例えば特定機能病院、大学病院等と199床以下の病院とでは、あるパラメーター については確かに差がありますけども、それなりの機能を持っているわけですね。つま り、すべて特定機能病院にそういった199床以下の患者さんたちが行けばいいかと、 それは必ずしもそうじゃない。つまり、199床以下でも価値のあることをしているわ けでありまして、その意味でその機能係数という点で差をつけるということの意味はど ういうことなんだろうと。特定機能病院としての特別なものとして何かあるかもしれま せんけども、じゃ199床以下のものに関しましても、それなりの地域における役割を 持っているわけでありまして、機能を持っているわけですね。そのようなことを差をつ けていこうという、どういうパラメーターになるか分かりませんけど、こういうふうな 幾つかのパラメーターで分析なさった、これはもう明らかに特殊であるというふうなも のを除きましては、ほとんど差がないんではないかなと。差があるにしても、係数とし て差をつけていくだけの意味がどれだけあるか。逆の言い方をしますと、小病院ではこ れは例えば係数がつかなかったといたしますと、特定機能病院だけだと。じゃ、なぜだ と。小においては、それはそれだけの機能を持っているではないかということになるわ けでありますから、その質という点では、本質的には患者さんというものを考えたとき には、当然それなりの機能を持っていて、役割を演じているわけでありますので、そう いう意味における差をつけるということは極めて難しいのではないか、皆様方が納得す るような係数として差がつけられるのかというふうなことをすごく疑問にこれを見て思 うんでありますが、その辺はいかがでございましょうか。 ○松田委員  多分、1つのディメンジョンだけで見れるようなものじゃないと思います。幾つか のディメンジョンで見ていって、例えばその小さな病院であっても、特定のある機能 を持っていれば、それをやはりきちんと評価するということだろうと思います。  例えば、やはり広い範囲の患者さんを診るということは、それに関連して、やっぱ りスタッフィングの問題もありますし、それから医療機器という問題もありますし、 それから例えば救急みたいなものであれば、必ずしも来ないかもしれないけれども、 やはりそれに準備をしてそれに備えるということがあるわけですので、そうすると単 に診療報酬の点数だけでやっぱり評価できない部分というのがあるだろうと思います。  ただ、これはいろんなディメンジョンの組み合わせになってくるんだろうと思いま す。あるディメンジョンについては、例えば小さな病院である分野に専門特化したも ののほうがより高い係数がつくかもしれないし、ある分野については特定機能病院の ほうが少し低くなるかもしれない。多分、そういういろんなものの組み合わせで決ま っていくべきものだろうというふうに考えます。 ○木下委員  分かりました。そういうふうなきめ細かい操作があるんですね。その上で皆様が納 得するようなものだったら分かりました。というふうに思いますので、これだけちょ っと幾つかのパラメーターで御説明なさいましたけど、これだけでその係数を決めて いくということに対しては非常に、余りきめ細かくないなという感じがいたしたもの ですから、今おっしゃったような視点でまた考えていただければありがたいと思いま す。 ○松田委員  例えばその平均副傷病数とか平均稀少性指数なんかを見ていただいてもお分かりに なると思うんですけども、大学病院以上にまれな患者さんを診ている病院群というの が規模が小さくてもあるわけでございますので、多分それはそういうものに特化して いろんな人材も、それからそれなりの医療機器とか、施設の配置もしているはずです ので、そういうものをきちんとやっぱり評価していくという視点は必要じゃないかと いうふうに思います。 ○池上委員  ちょっと言葉の問題ですけど、この場で言う評価というのは、経済評価という、つ まり機能の評価というのは、これは学術的にできるわけですけど、ここで言う評価と いうのは、中医協の分科会の場ですので経済評価、つまり値づけとの関連での評価と いうふうに私は解釈しております。  そういたしますと、ここでいわゆる機能の評価はできていても、それとコスト面に おける経済的評価との関係がよく見えなかったわけですので、先生が今おっしゃった スタッフィング医療機器、あるいは救急のための準備しておくということには、それ なりにコストがかかるということは分かるんですけど、建前としては、各DPCのケ ースごとに一応コスト保証できるものが点数がついているという前提に立ちますと、 この各DPCの個々のもの以上に、その総和として、全体としての何かコスト保証が 不十分なものという観点から見た場合の、この先生が御提示されたさまざまな経済評 価の指数というのはどのように考えたらよろしいんでしょうか。 ○松田委員  いわゆるそのケースミックス分類といいますか、診断群分類全般に言えることだと 思うんですけども、非常に何万以上もあるいろんな組み合わせの中から、これを例え ば2,000とか1,500にまとめていく。そうすると、そのまとめられたものの 中に当然ばらつきが出てくるわけです。世界中で見ても、一番優れている診断群分類 でも、たかだかそのばらつきの説明力というのは60%とかいう、そのレベルにしか ならないわけですけども、そうすると、必ずしも分類だけですべてを評価できるとい うことにはならないだろうと思うんです。それで、多分いろんな国が診断群分類によ る値づけに加えて、いろいろな加算をつけたりとか係数をつけたりという形でいろん な国は運用しているわけですので、私たちのこの日本のDPCも恐らくそういう考え 方に沿ってやっていくのが多分いいんだろうと思っています。  あと、そのコスト面をどういうふうに見ていくかということですけれども、一連の 流れの中で私たちがやっている分析、まさに今、先生が御指摘になった点の一つとし て、ばらつきの分析というのをやっております。同じDPCの中でどのくらい医療行 為がばらついているのか、そのばらつきに意味があるのか、もし意味があるのであれ ば分類として分けていくということをやっていけばいいでしょうし、もしかするとそ の値づけそのものが不十分なのかもしれない。そういう分析と、もともと我々はあく まで出来高換算のコストという形でこの分析をしていますので、それとの兼ね合いで 出てきているものを分析して、もしもとのところの値づけのところでもう少し違うも のがいいということが、これは例えば分類とか、個々の医療行為であるのであればそ れを提案させていただきますし、そういう形でコストとの今やっているいろんな分析 との関連というのを検討していきたいなというふうに考えています。 ○池上委員  その点だけ、申しわけありませんけど、今おっしゃったのは、DPCの分類につい ての、分類の仕方の補完をするということのように受け取ったんですけど、ここで言 っているのは、病院全体としての機能を経済的に評価するということですので、この 分類を再分類するとか、そういうこととはまた別の観点じゃないかと思うんですけど。 ○松田委員  一番最初にお示しした図をもう一回思い出していただきたいんですけども、ばらつ きの分析もやった上で機能の評価もやっていくという、要するに変動的な部分と固定 的な部分を分けた分析をトータルでやっていかないとやっぱり難しいと思いますので、 今の御質問に関していうと、どちらもやっているということです。 ○西岡分科会長  よろしいですか。  では、齊藤委員どうぞ。 ○齊藤委員  ちょっと各論的なことに入らせていただきますが、パネル10に救急車による緊急 入院の割合というのがございまして、特定機能病院やナショナルセンターは割合が非 常に低いと。逆に200床未満の病院ではその割合が高いと。この事実を、病院の機 能という点ではどう評価されるんでしょうか。それとも全然、これはこういうデータ で、機能の高さ低さとは関係ないと見るべきなんでしょうか。 ○松田委員  それだけ緊急入院を受け入れているということは、1つの機能だろうと思います。 ただ、それを、その次の分析がそういう分析なんですけども、じゃ、どういう患者さ んを救急で受け入れているんだろうと。受けている患者さんの質という言い方はおか しいですけども、どういう患者さんを受け入れているのか。そういう幾つかの視点で こういうものは分析してということです。 ○齊藤委員  このこと自身を見れば、200床未満の機能は非常に高いんだと。このことだけを 切り取ってみればですね。 ○松田委員  そうですね、緊急入院という観点でいって、やっぱり。 ○齊藤委員  言えば、そういうことをしているんだと。 ○松田委員  多分、その地域の住民にとって、やっぱりきちんと受け入れてくれる病院があると いうことは、これは一つの安心を保証する機能だと思います。 ○齊藤委員  僕らが日本病院会でやった調査でも、機能評価係数に反映すべきものの筆頭は救急 医療なんですよね。そうすると、こういったようなものは、かえっていろいろひとり 歩きすることになるのかなという気もいたしますし、そうすると、特定機能病院やナ ショナルセンターは、この点では随分低いランクになるのかなという戸惑い感もなく はないのですが。 ○山口(俊)委員  この病院のカテゴリーを、1、2、3、4、5と分けていますけども、特定機能病 院のこの機能を明らかにしようとするときに、2、3、4は、これは単に病床数です よね。例えばいろんな疾患を診ているかどうかというのは、これは診療科の数とか、 そういうものによるわけなのだと思います。また救急に関しては、やっぱり大学病院 は大体ほとんどの科の当直医はいますから、いつ見ても、眼科、耳鼻科、小児科がた くさん来ています。ですから、どういう患者が来ているかという、そういう内容に踏 み込んだりしないと、なかなかちょっとこれは解釈が難しいと思いました。  ちょっとお聞きしたいのは、この特定機能病院は68ありますけども、ここの平均 の病床数というのは幾らですか。  要するに、お伺いしたいのは、特定機能病院は相当多くて、そもそも病床数の差が 単に反映されているにすぎないんじゃないかということをちょっとお伺いしたいんで す。 ○松田委員  そういうこともあって500床以上という枠を1つつくったんですけども、いわゆ る特定機能病院とそれから500床以上病院と、ある程度規模としてはかなり似通っ ている病院群がかなりありますので、その中で診ている患者さんがどういうふうに違 うのかということを分析するために、あえてこの病床での区分を入れたということに なります。 ○山口(俊)委員  だから、そのときにこのカテゴリーの2の500床以上の施設が平均何床あって、 ほぼ同じような病床数の特定機能病院と比較できるというお話であれば分かりやすか ったんです。例えば200床ぐらい差があったら、相当違うと思うんです。 ○松田委員  ちょっと今、手持ちにそのデータがございません。次回、またお示ししたいと思い ます。 ○熊本委員  似たような質問になろうかと思うんですけど、今まではDPCの年度ごととかで準 備病院とかだったもんですから、何を見ているのか分からないと。最初は特定機能病 院だったわけですけれども、そういったことでかなりいろんなことが分かるようにな ったと思うんですけども、ただ、今、山口委員がおっしゃったように、病床数で分け ているために、あと多分200床未満の外れ値というのは、かなり専門特化した専門 病院とか、そういったものかと思うんですね。したがいまして、診療科の数とか、何 かそういったほかの分類の軸があってすると、もっとこの外れ値が明確になってきた りするかと思うんですけども、ぜひそういう試みも可能であればやっていただきたい と思います。 ○西岡分科会長  ほかによろしいでしょうか。  これは、これまでの議論の中で、特定機能病院を少し別にしようじゃないかという 御議論があった観点から、特定機能病院の実際の形はどうなのかというので、松田班 のところでかなりお調べいただいて分析していただいたという結果でございます。だ から、これをもって特定機能病院だけ特別に扱うということには全くならないと思い ますし、やはりそれぞれの機能の観点のところで機能係数みたいなものがつくられて いくんだろうと思いますし、それ1つだけという形じゃなく、いろんなものを組み合 わさったという形になるんじゃないかと思います。松田班では、さらにまたいろんな 形でその機能がうまく出てくるような分析を継続していただけると非常にありがたい と思いますし、また我々のほうに教えていただければありがたいと思います。 ○小山委員  大変すばらしいデータだと思うんですけども、やはり今意見が出たような形で、専 門病院というんですか、特化された病院というのをやはり一つのくくりとして出して いかないと、この外れ値というのはほとんどがそういう専門病院ですよね。ですので、 専門病院と、それからいわゆる総合病院とで、先ほど山口委員がおっしゃったみたい に、その診療科数で1つ分けるという方法もありますでしょうし、10以上とか、5 以下とかというような形で切り分けてくると、もう少しいろんなものの機能係数がつ けやすい指標が出てくるような気がいたしますので、そういった形の分析もぜひして いただきたいと思います。 ○齊藤委員  あと、病院の価値というのは、それ自身というよりは、地域における相対的な立場 というのは物すごくあると思うんですよね。小さな病院であっても、その地域におい ては欠くことのできない高い評価を与えるべき病院というのもたくさん。そういう地 域性の反映なんていうものも可能なんでしょうか。 ○松田委員  これは限られたデータになってしまいますけれども、研究班の中では石川先生が、 各DPC対象病院を例えば疾病別で地図の中に張りつけていって、大体どのくらいの、 例えば30分以内にその病院にかかれる人たちがどのくらいいるのか、そういうマッ プを使った分析もやっておりますので、また機会がありましたら、そういうデータを お示しすることも可能であると思います。  ただ、私たちはこれで分析をしていて、非常にやはり諸外国のいわゆる様式1みた いなものがあって私たちどもにないのが、実はジップコードなんですね。ジップコー ドがありますと、患者さんがどこから来ているかという分析がかなり楽にできるよう になるので、例えば7桁でやってしまうと場所がかなり特定されてしまうので、それ を3桁か5桁か、そのくらいのレベルでもいいですので、何かそういうジップコード みたいなものが追加できると、今の齊藤先生が御質問いただいたような分析も少しで きるのかなと思っています。これは来年度調査での少し課題じゃないかなというふう に考えています。 ○原分科会長代理  先ほどの小山委員に似た質問なんですけれど、ナショナルセンター、がんセンター、 循環器センター、非常にこれはある意味で専門に特化している病院だと思いますけれ ど、これは一括りにしてあるんですが、これを一つ一つ分類し直してみると、かなり 差は出ているんでしょうか。 ○松田委員  もちろんかなり違います。ただ、一応建前ですけども、私たちは公表するに当たっ て、どこの医療機関のデータだということを公表しないことになっておりますので、 ナショナルセンターを3つに分けてしまうと、どこだと分かってしまうので、一応3 つまとめてやらせていただき、ただ、ナショ・センを分けた理由は、これは前までは 特定機能病院のほうに入れて分析していたんですけど、そうするとデータがかなりゆ がんでしまうので、一応、特定機能病院の機能を、特性を明確にするという、そうい う意図で一応ナショ・センを外に出しているという、それが本来の趣旨でございます。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。 ○松田委員  すみません、今いただいた御質問で診療科数ということなんですけども、診療科と いうのは、これは研究会でもかなり検討しているんですけど、非常に細かいので、こ れを、例えば循環器内科と内科というものを別の科と数えたほうがいいのかとか、い ろいろと僕らのほうも分からない部分もありますので、それについてまた小山先生の ほうに御相談させていただきたいと思います。 ○小山委員  幾らでも協力させていただきます。 ○西岡分科会長  じゃ、よろしいでしょうか。  どうも松田先生、ありがとうございました。さらに続いて、またいろんな情報をお 寄せいただけたらありがたいと思います。  それでは、続きまして次の議題でございます。新たな「機能評価係数」に係る検討 方法につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  お手元の資料D−3をごらんいただきたいと思います。「新たな『機能評価係数』 に係る検討方法について」でございます。  今年、当分科会で各委員からさまざまな御意見をいただきまして、本日今年最後の 分科会に至ったところでございます。第1につきましては、先ほど申し上げたとおり、 本日の基本問題小委員会で、新たな「機能評価係数」について御議論をいただいた結 果、基本方針等に基づき検討を進めることになりましたので、今後、当分科会におき ましても、その基本方針等に沿って検討を進めていきたいと思っております。  第2に今後の検討方法でございます。  各委員からさまざまな御意見、資料を御提出いただきまして、今後、具体的に新た な「機能評価係数」の検討に入っていく必要がございます。それに際して、どのよう な方法で検討するかについて案として示させいただいております。ア、新たな「機能 評価係数」としてふさわしい係数の候補の選定でございます。ここでは、以下の(1)、 (2)の考え方で候補の整理を行ってはどうか。その際に候補となる事項については、既 にDPCで評価されている事項かどうかもあわせて評価していくといったことでござ います。これにつきましては、基本問題小委員会でも、候補となる係数を考える際に は、既にDPCで評価されている項目との関係もあわせて検討していかなければなら ないということがございますので、そういったものを踏まえてのものでございます。  (1)、これまで当分科会で検討してきた事項につきまして、基本問題小委員会でまと めていただきました基本方針等に合致する事項を選定すること。  (2)、それ以外に基本方針等にふさわしいと考えられる事項についてまとめていく必 要があるかと思います。松田研究班のほうで、施設調査を実施しており、年明け以降、 そのデータ等もお示しいただけるということでございますので、そういったデータ等 も参考にしながら、これまで検討してきたもの以外にふさわしいものがあれば、候補 として考えていく必要があるということでございます。  下に例でございますが、これまで当分科会で検討した事項といたしまして、標準レ ジメン等に沿った標準的医療が提供される患者の割合に応じた評価や、複雑性指数及 び効率性指数による評価、またその地域の救急小児・妊産婦の受け入れ数に応じた評 価等につきまして御議論いただいてきましたが、さらにこの中から基本方針等に沿っ た項目につきまして、さらなる議論を深めまして、項目の絞り込みといったことでの 選定を行うことかと思います。  イ、新たな「機能評価係数」としての妥当性の評価でございます。絞り込まれた項 目につきまして、それを具体的にどのように評価するのか。ここでは連続的な評価も 含めて、その評価方法の検討を行うという案で示させていただいています。また、そ の際には、その医療機関に及ぼす影響についても分析し、実施可能性について評価を 行うということでございます。  こちらにつきましては、前回の分科会でも、より詳細な分析が必要ではないか、実 際に医療機関に及ぼす影響はどのような程度なのかということも含めて検討していか なければいけないという御意見がございましたので、候補となった係数について、そ ういった観点での評価といったものをより詳細に行っていく必要があると考えており ます。  (2)既にDPCで評価されている項目全体の整理についてでございます。こちら につきましては、新たな「機能評価係数」の検討とあわせまして、既にDPCで評価 されている項目と比較検討を行い、新たな「機能評価係数」を導入した場合の整合性 も念頭に入れて整理するといったものでございます。  また例えば、現在のDPCでは出来高または包括評価されているものを機能評価係 数として評価するように、必要に応じて既存のDPC制度の見直しについても検討す るというものでございます。  ここで例として挙げているものは、今後こういったものをどのように考えるのかと いうことを示すためのイメージとして、ここで整理させていただいているものでござ います。  例えば、よく議論の俎上にのっております地域加算、DPCでは出来高の評価とな っておりますが、この加算の目的といたしましては、医業経費における地域差に配慮 したものでありまして、医療機関の存在する地域に応じて算定するものでございます。 これを今後DPCの中で評価する際に、機能評価係数値で評価するのかどうか。  また、その次の検体検査管理加算、これはDPCでは包括点数の中に含まれている ものでございますが、こういった加算につきましては院内検査を実施しており、医師 やその臨床検査技師の配置及び精度管理等の検体検査管理を行うにつき十分な体制が 整備されている医療機関において算定するというものでございますが、既にDPCで こういった包括で評価されているものも、今後、機能評価係数といったことで評価が 考えられるのかどうか。ここでイメージとしてこういったものを示させていただきま したが、趣旨といたしましては、現在のDPCの制度の中でも再整理が必要なものが あるのではないか、もしあるのであれば、そういったものもあわせて検討すべきでな いかというものでございます。  (3)でございますが、調整係数の廃止についてでございます。これは最後の段階 になるかと思いますが、(1)新たな「機能係数」の検討、(2)既存のDPCの評 価事項の整理の結果を踏まえまして、最終的に激変緩和を目的とした調整係数の段階 的廃止の方法について、その技術的な検討を行うというものでございます。  具体的には、その激変緩和を目的であれば、どのような段階的な廃止方法があり得 るのか、それぞれの方法についてメリット、デメリット等を当分科会で技術的な検討 を行う必要があるのではないかというものでございます。  第3、今後のスケジュールも見据えながら検討していく必要があるのではないかと いうものでございます。  こちらにつきましては、以下のスケジュールをめどといたしまして、当分科会での 検討結果をとりまとめ、基本問題小委員会に提案することとしてはというものでござ います。  なお、中医協基本問題小委員会と当分科会は、適宜連携して検討していくこととし、 新たな「機能評価係数」につきましても、既に適宜連携して検討しているところでご ざいますが、今後とも引き続き連携しながら検討するというものでございます。  今後のスケジュール(案)でございますが、平成21年3月末ぐらいには、第2の (1)アの新たな「機能評価係数」として相応しい係数の候補、こちらの選定を取り まとめてはどうかというものでございます。このスケジュール(案)に沿いますと、 平成21年4月からは、係数の妥当性の評価ということで、より詳細な分析等を進め まして、機能評価係数の候補としてさらに検討を深めていくものです。繰り返しにな りますが、こういったものを適宜、基本問題小委員会と連携しながら、最終的に基本 問題小委員会に御提案するという全体のスケジュールでございます。  説明は以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  今の御説明につきまして、何か御質問、御意見はございますでしょうか。  どうぞ、池上委員。 ○池上委員  先ほどの松田先生のことをずっと考えていましたけど、まだ私にはよく理解できま せんで、1つにはこの説明率、分類の説明率といった場合に何に対しての説明率とい うと、私はこれは費用に対する説明率というふうに考えておりましたけど、もしそう であるなら、この費用についてのデータがない限り、この分類から攻めていくか、あ るいは病院全体から攻めていくにせよ、その基本となる物差しがないと結論が難しい んではないかと思いました。それが1点です。  それからもう一つは、ここで同じ発想にいたしますと、この妥当性の評価、つまり 新たな「機能評価係数」としての妥当性の評価といった場合、ここで言う妥当性とい うのは、費用、コストの観点から見た妥当性ということなんではないかと思いまして、 そうなった場合には、これまで費用についての調査は必ずしも十分行っていないので、 この機能評価係数の候補をリストアップしても、直ちに21年度より妥当性の評価を 行うことは難しいんではないかと考えている次第です。 ○西岡分科会長  松田委員、お願いします。 ○松田委員  まず、その前提となっているコストを何に見るかということですけども、今やはり、 私たちはリファレンスコストと呼んでいますけれども、今のその出来高点数表をベー スとしたコストの計算というのも当然あるだろうと思います。じゃ、それが本当に正 しいのかどうかということを一応検討するために、私どもの研究班もずっと、いわゆ る原価調査というのをやっているわけですけども、この原価の考え方ですけれども、 10人研究者がいれば、多分10人違うことになるだろうと思います。どのように配 布をするのかとか、どのようにいろんなことをやるのかということで、これはなかな か全員がやっぱり一致するようなものはないだろうと思うんですけども、多分、決め の問題になってくるだろうというふうには考えています。  もう7年ぐらいこのコスト調査をやらせていただいているわけですけども、方法論 としてはそれなりにデータも安定していますので、その結果と今のそれを使った原価 と、それから出来高で見ていった原価と非常に大きく違うのかというと、そうでもな い。中にはやはり非常にずれているものもありますけれども、もし私たちが行ってき ました原価調査というものに一定の妥当性を認めていただけるのであれば、そういう データに基づいて、その診療報酬のほうの少しずれているところを直していただくと いう作業をやっていただくということにもなるのかもしれません。  ただ、私たちがやってきた原価調査のやり方というものに、あくまでそれは一定の 評価を得られるという前提のもとですけれども、実際に私大協それから国大協、それ 以外という形でもずっとやらせていただきまして、それなりに安定したデータは出て きておりますので、そういうものを活用していただいてもよろしいのかなというふう には考えております。 ○池上委員  それでは今後、ここで機能評価係数の候補が上がったとしたら、今までのいわゆる 原価調査に基づいたコストとの関係で、この機能評価係数の原価としての裏づけにつ いてのデータを御提示いただければ幸いでございます。 ○松田委員  即答をちょっとしかねますけれども、できる範囲ではやりたいと思っています。た だ、実際にそれを分析してみたときに、特に固定資産の部分ですね、原価償却の部分 とか、いろんなところで本当にその施設間で相互比較可能性があるのかという問題が ありますので、それがあって国大協、私大協、それからそれ以外の病院という形で今 やっているわけですけれども、そういうことも踏まえて、今、先生のほうから御指摘 いただいたことについて検討して、その結果については御報告させていただきたいと 思います。 ○西岡分科会長  ほかに御質問はございますか。  はい、どうぞ、木下委員。 ○木下委員  今の池上委員の御質問は極めて的を射ていると申しますか、当然の御質問だろうと 思います。それは、この妥当性の評価というのに尽きると思いますけれども、具体的 な係数の候補が出て、それが本当に係数として出て、それを当てはめたときに、何を もって妥当とするかと。先生がおっしゃった私大協とか国大協とかという、大学病院 が、それが最も正しいのかということも含めまして、いろんな病院の、すべてこれだ け幅広く病院が入ってやっている以上は、その妥当性というのは何をもって妥当とす るかと。あるところでは、診療内容が非常に逸脱しているために問題だ。これはまた 論外だと思いますけども、一般的に普通にやっているにもかかわらず、しかも先ほど 来お話がございますように、やはり機能を見ていくときに、当然、特定機能病院と小 病院とではおよそ機能の差が出てくるはずでありまして、そのようなときに何をもっ て妥当とするかといったときに、すべての病院がそれなりに今までか今まで以上であ るならば何ら問題ないと思いますが、それ以下になって、例えば6割か7割は何とか、 それ以外のものは切り捨てるんだというふうなことに、万万一となったとすれば、こ れは決して妥当ということではないだけに、これは仮定の話でありますから、やはり 具体的な数値が出た上で、本当にその妥当の意味をも含めて、ぜひ御検討願いたいと 思いますが、その意味では、この御指摘のように、4月からすぐに妥当性がどうだと いうことは極めて難しいんではないかなという気がいたしますだけに、池上委員の御 質問に対して明快な回答が出た段階で、また御議論願いたいなという気がいたします。 ○西岡分科会長  これは妥当性の意義というところで、それぞれの委員の先生方のところで定義がち ょっと違っているんでないかなという気もするんです。事務局としては、この妥当性 というのは、いろんな項目を出していただいた時点でそれが適切なのかどうなのかと いうふうな妥当性かなと思ったんですが、事務局、いかがですか。係数として、まず 決まってしまった妥当性という御議論が今出ているんですけども。 ○中田補佐  ここでのイの妥当性の評価につきましては、西岡分科会長がおっしゃった、決まっ てしまった後にそれが妥当かどうかということではなくて、それを仮に評価として当 てはめたときに、例えば今議論となっている段階的な評価でなく連続的評価とした場 合に、例えばAとかBとかというふうな係数がある。それを、どのような考え方でそ れを定めていくのか。また、仮にそれをある値に置いた場合に、医療機関に及ぼす影 響がどう変化するのかというのを考えながら、実施可能性について評価しなければい けないのではないかという趣旨で、ここでは妥当性ということで示させていただいて おります。 ○西岡分科会長  そういう意味だと御了解いただけるのかなと思ったんですけど、池上委員、いかが ですか。 ○池上委員  それはいわゆるオペレーショナルな意味ですね。実際にこの係数を用いて報酬を決 めていく段階で、どのような方式があるかという観点からの実務的な妥当性という御 説明だと思うんですけど、私はそもそもこれはこうした係数が急遽出てきた。松田先 生としては長く研究されてきたと思うんですけど、この分科会の場では、これを用い て診療報酬に組み込もうとしているわけですね。組み込む際でのその根拠は何かとい う意味での妥当性をまず検討するべきではないかということを申し上げたんです。  そういった検討は、そうですと不要というお考えなんですか。 ○西岡分科会長  中田補佐、お願いします。 ○中田補佐  池上委員のおっしゃったことは、それは恐らく、このアの部分の、そもそも係数の 候補の選定のところからその候補が妥当なのかどうかと、その妥当性を評価するとき に、コストの裏づけを評価した候補としてやるのか、それともその他の妥当性の評価 があるのか、そういう御意見でしょうか。 ○池上委員  そういうふうに解釈していただいて結構です。そうした場合には、もう来年の4月 からその操作的といいますか、実務的な妥当性の検討に入るとしたら、この残り3カ 月で、今言った非常に重たい課題である、何を根拠としてその係数を採用していいか ということの検討の議論を収束するということになるわけですけど、そう考えてよろ しいんでしょうか。 ○中田補佐  今、池上委員がおっしゃった、何をもって候補とすればよいのかといったことにつ きましては、まさに本日、基本問題小委員会で御議論いただいた、その検討に当たっ ての基本方針やその基本的考え方で、これは基本問題小委員会で御議論される前に、 当分科会でも御議論いただいたかと思いますが、こういう方向性で新たな機能評価係 数について議論したらどうかといったような前提でございますので、事務局の考え方 といたしましては、こういった基本的考え方で検討していくものというふうに理解を しておりました。 ○池上委員  その考え方は、基本小委で提示していただいたとおりに、これはそのとおりだと思 うんですけど、こちらはその調査研究に基づいた妥当性ということを議論する場だと 考えていますので、そうした観点から申しますと、先ほど松田委員にお願いした原価 調査に基づいたデータから見て、候補として挙げることのできる機能評価係数の根拠 は何かということが重要ではないかということを申し上げているわけです。 ○西岡分科会長  じゃ、よろしいですね。 ○松田委員  むしろ大事なことは多分、解釈可能性だろうと思うんですね。いろんな候補が挙が ってくると思うんですけど、100挙がったうちのその候補をすべて入れられるとい うことじゃなくて、その100挙がった候補について、それぞれがDPC対象病院の 機能として解釈可能であるのかどうかということは、やはりこれは多分、専門家の視 点から、特に臨床家の視点からやっぱり評価していただくということが大事だろうと 思っています。それが、その解釈可能性ということをベースにしながら、先ほど一番 最初のところでの齊藤先生の御質問の中にありましたように、すべてを定量的にやろ うとすることは、多分無理だと僕は思います。やっぱり出てきたものの候補について、 ある程度データを踏まえながら解釈可能であるかどうかということを、これは木下委 員のほうから出た御意見にも対応するものだと思いますし、小さな病院であるからだ めだとか、そういうことではなくて、やはりその病院も候補としてこういうケースが 出てきたと。それは、臨床家の視点から見て、地域医療の視点から見て解釈可能であ るのかどうか、多分そのところで妥当性というのは決まっていくものではないかなと いうふうに考えています。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。  かなり複合的に、その妥当性を決めていきたいということでございます。多分そう いった形で、本当のきっちりした、池上委員がおっしゃるように原価計算もすべて出 てというふうな形になれば一番いいんですが、やはりそのデータを正確なものを得て くるというのは、なかなか今のところは難しいところもございます。ですから、ここ では包括的な形でエバルエーションをしていくと、評価をしていくという形でいいの でないかと思うんですが、よろしいでしょうか。いや、正確にはすべての数値が出て、 ぴしっと出れば、みんながすきっとするであろうというふうなことは、多分委員の先 生方はそうお思いなんですが、ちょっと医療の現場において、そこまできっちりした ものはなかなか出てこないという現実がございます。そういう観点でよろしいでしょ うか。  ほかに御質問は。  はい、山口委員、どうぞ。 ○山口(俊)委員  ちょっと各論的になるんですけども、1ページ目の、それ以外に基本方針にふさわ しいと考えられる事項、3つ例が出ていますけども、ちょっとこの前もお話ししたん ですけども、この3つを有力な候補として挙げられているというぐあいに理解してよ ろしいですか。 ○中田補佐  説明が不足しておりまして恐縮でございます。  ここで挙げられている例につきましては、これまでこの分科会で検討されてきた事 項の例でございます。したがいまして、ここの例が(2)のそれ以外を示しているもので はございません。(2)のそれ以外につきましては、今、松田研究班のほうで施設調査等 も行いまして、その研究結果も御報告いただけるといったことでございましたので、 そういったものを踏まえてふさわしいというものがあれば、検討の俎上に上がってく るんじゃないかという意味でございます。 ○山口(俊)委員  1つだけ、くどいようなんですけど、この3つの中で、ガイドラインを医療の管理 ツールに使うというのは、非常に私としては心外というか、そういうことのためにつ くったものでないと思います。診療ガイドラインを100%守っている病院があると すると、恐らくそういう病院は過大な診療がある程度行われて、しかも過少な診療が ある程度行われると理解すべきです。そこのところの運用を例えば7割、8割でやっ ている病院は、ある程度そういう検討は行われているんであって、これが多いからど うだとか、少ないからだめだという観点は全くおかしなことだということをよく御理 解いただきたいと思います。  それからもう一つ、ガイドラインに沿ってやっているかどうかということを簡単に 検証することはなかなか難しいんで、技術的な難しさもあるんじゃないかと思います。  その2つの理由で、余り私はふさわしくないんじゃないかなと考えています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  このいろんな項目に関して、今日ご欠席の酒巻委員からのメールがございまして、 御紹介させていただきます。これは松田研究班のほうでいろんな項目を挙げていただ いているんでございますが、もし可能であれば、各委員の先生方からこういう項目は どうかというのを出していただきまして、事務局のほうに送っていただけると、さら に参考になるんでないかという御意見でございます。もし可能でしたら、この分科会 は今年は今日でおしまいになりますので、冬休みの宿題というぐらいの形になるかも しれませんが、もしそういった、ぜひともこういう項目を取り上げるべきだというよ うなことがありましたら事務局のほうに御連絡をお願いできたらありがたいと思いま すので、よろしくお願いします。  それ以外にございませんでしょうか。比較的淡々と進みましたので、ありがとうご ざいます。  はい、どうぞ。 ○池上委員  くどいようですけど、機能評価係数といった場合に、この候補を出すことも可能で すけど、実際のDPCの評価に用いるためには、その重みづけをしないといけないわ けですね。ですから、その重みづけを含めてのいわゆる妥当性ということが課題とな っていますので、この係数の候補として挙げることは、比較的まだ考えやすいんです けど、それによって、病院全体としてどの程度重みづけするかという、これも半定量 的といいますか、定性的なことになると思うんですけど、これは0.01のオーダー なのか、0.001のオーダーなのかということもあわせて考えないと、次の作業に 非常に障害すると思いますので、ちょっと念のため御指摘いたします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重な御意見でございます。ほかに御意見はございますか。  どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  あと、先ほど山口委員が指摘されたことの下に、例えば稀少性指数というようなこ とが挙げられておりますけれども、稀少なるものというのは価値が高いとか低いとか ということと何か関係を持つんでしょうか。例えばその人の人生にとって、患者の人 生にとって大きな影響を及ぼすとか、そういうことは、例えば妊婦の脳出血なんてい うのは非常に重大な意味を持つわけなんですが、稀少であるから非常に価値が高いと か、稀少である患者を診ることが非常に価値が高いのか、そういうことにつながり得 るんでしょうか。稀少ということを松田班ではどういうふうに評価しておられますか。 ○松田委員  まれな疾患を診るということができるということは、それに対応したやっぱりスタ ッフィングがないといけないだろうということだろうと思います。例えばその検査が きちんとできる、あるいは神経難病のようなものであれば病理検査がきちんとできる、 組織診断がちゃんとできる。多分そういうことを考えていますと、やはりまれな疾患 に対してもきちんと対応できるということは、やっぱりそれなりのスタッフィングと か医療施設が必要だろう。  そういう観点から、原価調査の結果を見てみますと、確かに稀少性の高い疾患とい うのは少し原価が高くなります、一般的な傾向です。もちろんかからないものもある んですけども、一般的な傾向として高くなります。もちろん稼働率も悪くなるわけで すが、そういうことなのかもしれませんけども、そういうことを考えると、この稀少 性というものに着目するというのは、それなりに意味があるのかなと。  ただ、稀少性と複雑性というのは、平均像で見ますとかなり似てきますので、そう すると、両方を入れてしまうとダブルカウンティングみたいになってしまいます。多 分そういうことで、先ほどの池上先生の御質問にも答えることになると思うんですけ ど、まずリストアップをして、お互いの関係性を検証した上で代表的なものを選んで いくという作業になってくるんじゃないかというふうに思います。 ○齊藤委員  私自身は、長く内分泌学を専門にしていて、内分泌の患者というのは、日本全国で 100人しかいないとか、稀少の固まりなんですよね。そういう人たちを診るという ことが非常に価値の高いことなのかどうかというのは、内心、常に忸怩たるものがあ るわけなんで、稀少ということの位置付けも慎重に考えていただくのがいいのかなと。 患者さん一人一人のウェルビーイング、幸せということからいって、稀少なることが 必ずしも非常に価値が高いのかどうかというのは若干ギャップがあるかなという気が するんです。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  今の考え方ですけど、価値があるとかないとかということじゃなくて、それをやっ ていることを評価しようということであるから、数が多ければいいのかという議論の 中で、少なくてもやっぱり大変なんだよというところを評価しようということである んで、価値があるとかないとかという議論をしちゃうとおかしな話になるんで、そう じゃなくて、価値があるかとかなしじゃなくて、そういうところをやっている者に対 して評価をしましょうということであるので、ちょっとそこの価値があるかとか言っ ているわけではないので、大学病院は価値あることだけやってなんていうんじゃなく て、珍しいこともやっているんだよ、でも、そのために苦労しているところはあるん だよと。だから、そこに対しても陽を当ててくださいねという意味での評価ですから、 価値があるとか、崇高であるとかと言っていることでは全然ないので、ちょっとそこ の言葉は微妙だけど、評価をしていただきたいという考え方でよろしいかと思います。 ○池上委員  そもそも稀少というのは相対的であって、これは値づけがDPC上なされているか らこそ松田先生としてデータがあるわけですから、値づけがなされているということ は、それなりの症例が日本全国あったということですから、先生のお考えの稀少とは 全く別な意味じゃないかと考えております。 ○西岡分科会長  どうぞ、企画官。 ○宇都宮企画官  医療課企画官でございますが、今の議論なんですけども、先に稀少というものを評 価するという話ではなくて、あくまで本日、小委員会で合意いただいた基本的考え方 に基づくということです。ですから、この資料のD−1の7、8にあります、この7 項目、基本的考え方、これに沿って考えたときにどうかという議論の中で、我々とし てはこの3番目、社会的に求められている機能。それが具体的にこの資料の15枚目 以降にありますけれども、その社会的というのは、どちらかというと全国レベルで必 要とされる医療というか、そういうふうに考えたときに、今、松田先生おっしゃった ような複雑な症例を診るという機能、あるいは似たようなというか、最終的に同じ方 向に行くかもしれませんが、そういった稀少な疾患、その患者さんを診てくれる病院 が日本の中になければどうしても困るでしょうと、そういう意味で社会的に求められ ている医療というものを提供していると。それを評価するということで、これは小山 先生のおっしゃるように、優れている、劣っているという話ではなくて、あくまでも そういった社会に求められているものを提供している、それを評価しましょうという 話でございますので、あくまで基本方針に照らした上で、どの辺に位置付けられるか ということだと思います。  それから、先ほど何かこの係数の多寡が病院のランキングみたいなイメージが議論 の中で出ていたと思うんですけれども、これも全く違う話で、あくまでそれぞれの病 院の持っている特性、それぞれの機能というものを評価したときに、たまたま数字と してどう出るかという話なので、数字が多ければ非常に優秀な機能を持っていて優れ た病院とか、決してそういうことではないということを確認させていただきたいと思 います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  大体そういった意味で御了解いただけるんじゃないかと思いますが、ほかに御意見 はございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、こういった形で検討をさせていただくという、この方向をお認めいただ いたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、続きまして、DPC導入の影響評価に係る調査につきまして、事務局よ り御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  お手元の資料D−4をごらんいただきたいと思います。  この資料の次に様式1、様式3−1、3−2、4、Dファイル、Eファイル、Fフ ァイルの例を添付させていただいております。  以前、簡単に様式の御説明を申し上げたことがございますが、詳細な御説明がまだ ございませんでしたので、ここで改めまして御説明申し上げたいと思います。  また、ここにある様式の項目につきましては、我々のほうで分析、解析が可能と考 えられる項目でございますので、先ほど分科会長のほうからお話がありました各委員 におきまして係数の候補を検討される際に、こういったものも御参考にお考えいただ ければと思っております。  資料の内容につきまして、D−4を用いまして御説明申し上げたいと思います。  様式1でございます。様式1につきましては、いわゆる診療録の情報・カルテの情 報でございます。概要といたしましては、退院時サマリーに当たるデータを1入院単 位で入力しているものでございます。  調査項目につきましては、例えば日付情報や入院経路、退院先、転院時の転帰、診 断情報、手術情報、診療情報等が調査項目としてございます。イメージといたしまし ては、それぞれの患者の入退院ごとに、それぞれの医療資源、ICD、それぞれの情 報が一覧として入っております。詳細につきましては、お手元の様式1を後でごらん いただければと思います。こういった内容を1入院ごとに収集しているというもので ございます。  次は、様式3でございます。こちらは施設調査票ということでございまして、後ほ ど様式3−1、3−2をごらんいただければと思います。  簡単に申し上げますと、それぞれの入院基本料、特定入院料等を算定する病床が具 体的に何床あるのか。また、入院基本料等加算につきまして、どういったものを算定 しているのかというものをデータとして入力されております。  様式4でございます。こちらは医科保険診療以外のある症例調査票ということでご ざいまして、入院中に行われた医療行為について請求される保険等について入力する といったものでございます。  調査項目としては、ここにございますとおり、医科レセプト、歯科レセプト等、こ ういった区分で記入していただいております。  イメージといたしましては、医科の保険以外と組み合わせた場合の記号をここで示 させていただきまして、例えば4の番号であれば、医科と他の保険の併用と、3であ れば自費の診療であったといったことがここで分析されるものでございます。  次は、Eファイル、Fファイルと言われているものでございます。こちらは医科点 数に基づく出来高の算定情報をEファイルに診療明細情報として、Fファイルに行為 明細情報としてそれぞれ入力しているものでございます。  調査項目につきましては、ここでございます例えば入退院年月日や一連の診療行為、 また医薬品の名称や使用量等となっております。  Eファイル、Fファイルの関係でございますが、一部重複しているところがござい ます。Eファイルにつきましては、そのレセプトの「*」でつく単位での出力という ことで、例えば点滴を行ったというような行為について483点。Fファイルは、実 際にその点滴の中身がどうであったかといったものを詳細に記載したものということ で、役割分担をしているものでございます。  Eファイル、Fファイルのイメージでございますが、Eファイルでは、先ほど申し 上げたとおり点滴を行ったこと、Fファイルではその内容がどうであったかというこ とを詳細に記載しております。  また、Dファイルにつきましては、DPC対象病院のみ収集しております。こちら は、包括評価点数、医療機関別係数等に関する請求情報を入力するというものでござ いまして、内容につきましては、ほぼ包括レセプトと同様の内容を記載していただく ものでございます。  Dファイルのイメージでございます。具体的に包括レセプトをイメージしていただ ければと思いますが、Dファイルのデータといたしまして、具体的に何日に実施され たのか、医療機関係数はどうであったか等の情報を入力するというものでございます。  概要につきましては、以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  今の御説明に何か御質問、御意見はございますでしょうか。これは既に延々続いて きた様式でございますので御承知のことではないかと思うんですが、何か特別な御意 見はございますでしょうか。  よろしいでしょうか。ありがとうございました。  もし御意見がないようでございましたら、今日の議論は以上とさせていただきたい と思います。  事務局のほうから、何か御連絡等ございますでしょうか。 ○中田補佐  ありがとうございました。  次回の開催につきましては未定でございます。  また、本日、分科会長からお話のございました、各委員から今後の新たな病院機能 係数として候補となり得る御意見等ございましたら、事務局まで御送付をいただけれ ばと思います。  また可能であれば、年明けの1月9日の金曜日までに事務局までいただければ大変 ありがたいと思っています。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは、平成20年度第8回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を終了 させていただきたいと思います。  本日は、お忙しいところをありがとうございました。                     −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課包括医療推進係  代表 03−5253−1111(内線3278)