098/12/25 第92回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第92回労働政策審議会雇用均等分科会 第92回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年12月25日(木)  14:00〜15:30 場所:三田共用会議所 第4特別会議室 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、樋口委員  労働者代表委員   鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員、佐藤代理人  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、定塚職業家庭両立課長   安藤雇用均等政策課長、松本育児・介護休業推進室長、堀井総務課調査官   代田短時間・在宅労働課長、大地均等業務指導室長、赤松均衡待遇推進室長 議題:    1. 育児・介護休業制度の見直しについて    2. 地方分権改革推進委員会第2次勧告について    3. その他 配付資料:  No.1 仕事と家庭の両立支援対策の充実について(案)  No.2 地方分権改革推進委員会第2次勧告(概要)  No.3 現在の都道府県労働局の組織等  No.4 平成21年度雇用均等・児童家庭局予算案の概要   参考資料   第2次勧告(平成20年12月8日 地方分権改革推進委員会) 議事: ○林分科会長  ただ今から「第92回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。まだご出 席予定の方があるのですが、少し遅れるというご連絡も入っていますので、始めさせて いただきます。  本日は、佐藤委員、田島委員、岡本委員、山本委員からご欠席との連絡をいただいて おります。山本委員の代理として、日本商工会議所産業政策部の佐藤健志副部長にご出 席いただいています。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「育児・介護休業制度の見直しにつ いて」、「地方分権改革推進委員会第2次勧告について」および「その他」です。本日の 議題の一つ目である「育児・介護休業制度の見直しについて」は、雇用均等分科会とし ての報告(案)が用意されております。これは前回提出された報告(案)と同じ内容ですが、 これについて、労使それぞれ持ち帰ってご検討いただいたと思いますので、ご意見をお 願いします。 ご検討結果についてご意見がありましたら、お願いします。山口委員。 ○山口委員  審議会でまとめられたこの仕事と家庭の両立支援対策の充実の案について、労働側は この記載の内容で了承したいと思っています。ついては、労側を代表して発言をしても よろしいでしょうか。  労側としてはこの育児・介護休業法の改正については、働く者に仕事と育児・介護等 の両立が保障され、またワーク・ライフ・バランス社会の実現という視点でも大きな期 待を寄せられるべき体制という視点でこの改正に臨んでまいりました。そのような視点 で申し上げれば、この取りまとめにおいて、とりわけ女性労働者の就業継続の支援、ま た父親が子育てにかかわることができる働き方の実現において、一定の前進が見られた と評価しています。  その一方では、特に働く母親たちから小学校就学前後の両立支援策の強化が要望され ていた中で、やはり短時間勤務制度、あるいは所定外労働の免除等の対象となる年齢が 3歳までとなったことや、一定の現下の経済情勢という大きな変化がある中では、一定 の企業規模に対しての猶予措置を取らざるを得なかったこと。あるいはまた、審議会の 中でも発言させていただきましたが、有期契約労働者の育児休業取得要件について、こ の取りまとめにおいては周知をするということにとどまったということについては、こ の審議会が、育児・介護休業法改正に向けて大変大きな期待を寄せていた多くの人々た ちの期待に十分応えたものとはなっていないのではないかという思いも一方ではありま す。そういう面もございますが、この建議を踏まえて育児・介護休業法の改正法案要綱 がまとめられると思いますが、一刻も早くこの改正案が提出され、国会審議を経て速や かに成立することを期待しています。  具体的には、課題として残った部分についても、さらに私たち連合という立場では、 運動を通して解決していくという道筋も考えています。いずれにしても、このような内 容でこの育児・介護休業法の改正が取りまとめられるということについては、一定の評 価をしたいと思っています。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。他にご意見はございますか。吉川委員。 ○吉川委員  遅くなりまして、恐縮でございます。「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」の 案につきまして、短時間勤務および所定外労働免除など、企業経営に影響の大きい義務 化が盛り込まれております。これまで何回となく申し上げておりますが、100年に1度 といわれる現在の厳しい経済情勢の中、中小企業が雇用維持に今必死になって努力して いるところでございます。同時に育児・介護休業法だけでなく数多くの労働法への対応 に追われている実情を、ぜひお考えいただいた上で法案を作成し、法改正の施行までに 十分な準備期間を確保していただくようにお願いしたいと思いますので、意見を申し述 べさせていただきます。よろしくお願いします。 ○林分科会長  他に、ご意見はございませんか。それでは、幾つかのご意見もいただきましたが雇用 均等分科会報告については、本日の報告(案)のとおりご了承いただきたいと考えますが、 よろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○林分科会長  それでは、雇用均等分科会報告を取りまとめさせていただきます。また、労働政策審 議会令第6条第9項の規定に基づき、本分科会の議決をもって審議会の議決とすること ができるとされていますので、この報告により、労働政策審議会から厚生労働大臣に建 議することとしたいと存じます。  では、事務局は雇用均等分科会報告および労働政策審議会建議について、配布をお願 いします。それぞれお読みいただいて、皆さまご異議がないということで、お手元の案 のとおり報告および建議することといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○林分科会長  それでは、そのようにさせていただきます。  これまで、育児・介護休業制度の見直しについて、精力的にご議論いただいた労使各 側、および公益委員のご協力に感謝いたします。  それでは、審議会長に代わって、建議を提出したいと思います。厚生労働大臣の代理 として、村木雇用均等・児童家庭局長にお渡ししたいと思います。  では、雇用均等・児童家庭局長よりご挨拶があります。 ○村木雇用均等・児童家庭局長  本分科会におきまして、育児・介護休業制度の見直しについて本年8月末から11回 にわたり熱心にご議論いただき、本日報告を取りまとめていただいたことに心から感謝 申し上げます。今後、本日の建議を基にして育児・介護休業法の改正法案を取りまとめ、 要綱を本分科会にお諮りしたいと考えています。また、この分科会で委員の各位から大 変たくさんのご意見をいただきました。そのご意見を十分に踏まえて、仕事と家庭の両 立支援施策、法案だけでなくさまざまな施策にしっかりと取り組んでいきたいと考えて います。  委員の皆さま方の、これまでのご協力に改めて御礼申し上げるとともに、今後とも雇 用均等行政をはじめとする厚生労働行政に対する一層のご理解、ご支援を賜りますよう よろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。 ○林分科会長  では、この建議に基づき、事務局において法律案作成作業を速やかに進めていただい て、次回以降の分科会において、法案要綱を諮問していただくよう、事務局の方によろ しくお願いします。  それでは、次の議題2「地方分権改革推進委員会 第2次勧告について」、事務局から 説明をお願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  それでは、お手元の資料No.2とNo.3、それから参考資料として付けています第2次勧告 本体、これを適宣ご参照いただきながら、説明をお聞きいただければと思います。  本日の2番目の議題でございます地方分権改革推進委員会の第2次勧告ですが、12 月8日に総理大臣に提出されて公表されたものでございます。今回の2次勧告の内容、 柱は二つございまして、一つは国による義務付け・枠付けの見直し、もう一つは国の出 先機関の見直しでございます。  このうち、国の出先機関の見直しに関する概要を資料No.2としてご用意しています。 ページをめくっていただいて資料の1ページ、左側の部分にございます。今回は国の事 務・権限を見直して、廃止、それから地方移譲、それから国の事務権限として存続とい う形で仕分けをしています。  2ページ目はその概要ですが、左側の真ん中のところにございます都道府県労働局関 係の事務権限については、地方の役割拡大や地方との連携強化とされているところでご ざいます。具体的には、参考資料1の第2次勧告本体の後ろの方に、別紙2として横書 きになっている一覧表が付いています。この資料の5ページ目が、厚生労働省の都道府 県労働局関係の部分なっています。見ていただくと、個別労使紛争については、地方等 の労働相談等との連携強化、あるいは監督署が行っている調査等についての民間委託の 拡大。職業安定関係については、地方自治体が行う無料職業紹介事業の公的性格の強化 という形での見直し内容となっています。均等行政については特段の言及がされていま せん。言い換えれば、ここでは地方移譲というように整理されたものはなく、労働局関 係の事務権限については国の事務ということで整理をされているということでございま す。  その上で、出先機関の組織の見直しがなされたわけでございます。その結果、労働局 関係については、お戻りいただいて資料No.2の3ページ目に別添2として図が付いてい ますが、その真ん中のところにございます。都道府県労働局を廃止してブロック機関に 集約し、全国に7局、1支局ございます地方厚生局と統合する、そして労働基準監督署 およびハローワークはブロック機関の下に置くということにされています。第2次勧告 本体の37ページに該当部分の記述がございます。地方厚生局、それから都道府県労働 局と書いてありまして、今申し上げたようなことが丸二つの後に加えて※印の記述が付 いていて、その最後のところに、将来的には国のハローワークの漸次縮小を図るべきで あるということが書いてあります。  この勧告の今後の扱いですが、資料No.2の別添2の4ページに参考として推進スケジ ュールが付いています。12月初旬に第2次勧告がございまして、平成21年に入りまし て、年度内に第3次勧告が出ます。それからさらに年度内に、地方分権改革推進計画を 政府でつくりまして閣議決定をする。これが今後の行程を示すものとなります。さらに は、これを具体化するための新分権一括法案を来年度中に国会提出するという段取りと なっています。 資料No.3でご用意しましたのは、現在の都道府県労働局の組織・業務についてまとめた ものでございますが。表紙をめくっていただいて1枚目が標準的な組織体制ですが、労 働局は現在総務部、労働基準部、職業安定部、雇用均等室という3部1室体制となって いて、業務の上では労働基準部の下に労働基準監督署がぶら下がり、職業安定部の下に 公共職業安定所があって、それぞれの業務を行っています。2ページ目に労働局が扱っ ている主な事務を並べた図がございますけれども、局全体の人事予算といった内部管理 事務もございますが、その他に自治体や都道府県単位で置かれています労使団体はじめ 関係団体との連絡調整、それから局が直接執行している、いわば第一線機関としての業 務がございます。それが、この白丸三つ目の下にポツで並べてあるものでございまして、 これの中ほどに雇用均等業務、個別労使紛争の調整が挙げられていますが、この関係業 務については特に労働者あるいは事業主が直接労働局へ来て相談をする、あるいは紛争 調整サービスを受ける。また、局からも事業所に出向いて調査指導をするといった性格 のものでございます。この他に雇用対策における都道府県との連携や派遣事業の指導監 督、助成金の支給にかかる審査、それから労働保険の適用・徴収に係る事務、あるいは 都道府県単位で決めている最低賃金の決定に当たっての調整といった労働局が直接執行 する事務がございますが、今回の第2次勧告の中では、先ほどご覧いただいたとおりブ ロック化等のみ記していて、こうした都道府県単位で行っている事務についての記述が ございません。労働局が現在担っている機能すべてをブロック化するということは、雇 用均等業務、個別労使紛争調整の業務についてもブロック局で行うということを意味す ることになりますので、私どもの法施行に当たりましても相当の影響が生じることは免 れないのではないかと考えているところでございます。以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。この件については、皆さまにこれまで長年にわたってご審 議等をしていただきました均等法、育介法、パート法、これらの法律を所管するのがこ の分科会でありまして、その所管の法の執行機関である雇用均等室、この辺りがブロッ ク化されることによるいろいろな問題もあるという問題意識を公益委員の先生方、私な ども有しています。これについて、ご意見・ご質問等がありましたら、ぜひお願いした いと思います。吉川委員。 ○吉川委員  申し訳ありませんが、途中で失礼させていただきますので、先に発言させていただき ます。私ども日本商工会議所並びに東京商工会議所等も地方分権を推進すべきとの立場 でありまして、原則として地方でできることは地方に移管すべきと考えています。労働 局のブロック化については、各地域における労使にどのような影響が生じるかがポイン トになるかと思います。労働局が県単位で残らないと支障があるのか、あるいは他の方 法があり得るのかということにつきましては、特に中小企業の労使への影響について私 ども地元の商工会議所の意見を聞いてもらいたい、その必要があると思っています。少 し時間がかかりますので、本日の時点では何とも申し上げられない部分がありますが、 このような問題は個別の分科会というよりも労働政策審議会本審の方で議論すべき問題 ではないかと考えますので、意見として申し述べさせていただきます。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  私ども連合は、先ほど座長がご懸念を表明されたのと全く同様の考えでございます。 私たちは全国の各地域において、すべての労働者が職業紹介や能力開発、それから労働 相談等に関する行政サービスを十分に受けられることが労働行政の基本だと考えていま す。これは、持ち帰るまでもなく今現在、先ほどこれも座長がおっしゃったように、過 去、均等法あるいはパート法なりで特にこの雇用均等室が果たしている役割は大変多く、 また法律の機能強化をするといった視点でいえば、その受け皿としての役割機能という のも大変大きいものであります。せっかく、私たちがこの審議会で法律の強化、実効性 の強化ということを議論していても、その受け皿が弱くなるということであるとすれば、 この法の実効性が高まるとは思えないという視点でも第2次勧告すべてに反対というこ とではなくて、特にこの労働行政について、それが後退するというような視点で、その 部分については疑問を持たざるを得ないというのが実感であります。具体的に、特に労 側は雇用均等室等と連携して活動を進めている事例も後で報告があると思いますが、そ ういったような視点で、ぜひこの労働行政の充実強化に資する、ましてや後退すること がないようにということで、このいわゆる労働局を中心としたブロック化については反 対と考えています。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  個別紛争の問題一つを取っても、やはりブロックになるとそこへ行くのに遠い県と近 い県があり、ブロックの所在地が中心地に設定されると、時間的ロスあるいは経済的に も旅費などが掛かるし、大変厳しい経済情勢において非常に非効率ではないかと思いま す。また、この個別紛争のみならず、やはり地域によってそれぞれ経済情勢、あるいは 経営環境、それから個別の労働状況というものはみんな違うわけでございまして、やは り県政の下で違った対応をしているという現状でございます。そういう中において、や はり中小企業に適切な指導をいただくには、やはり地域に密着した対応がぜひとも必要 だということであり、まさに今、労働局はそういう意味において非常に大きい役割を果 たしているのではないかと思います。例えばこれがブロック化になると、県によっても いろいろ事情が違います。またブロックによっても違いが出てくるということで、画一 的な指導・支援というのはなかなか期待できないということでございまして、やはり機 動的な対応をしていただくには、やはり現状の、県ごとの現況に合ったものが非常に良 いのではないかと思います。  もう一つは、道州制の問題が今いろいろ議論されていますけれども、こういうものも 今のブロックと同じようになるわけではありませんし、どうなるかわかりません。です から、こういう道州制という動向も十分に加味して、行革の方も検討して推進していた だきたいと思います。いずれにしても、中小企業あるいは労働者にとって、重要な労働 問題について弊害がないような形で、各地域の実態状況を十分に踏まえたような形で推 進していただきたいと思います。そういう意味において、やはり分科会としてもその一 翼を担っているわけですから、何か意見をまとめてぶつけていくというのも一つの方法 ではないかと思います。 ○林分科会長  ありがとうございました。他に、ご意見は。鴨委員。 ○鴨委員  私も今、山崎委員がおっしゃったことと同じことを考えていました。労側からしても、 労働局をブロック化していくという方向性については、それでなくても今は労働行政を もっと強化していかなければいけない情勢にある中において、ブロック化するというこ とはやはりそこの後退に当たると思います。労働者が例えば相談に行くということにつ いていうと、やはりとてもハードルが高いです。何しろ、行政の方に相談をするという ことに対してのある意味では気力といったものがなければなかなか相談まで行き着かな いというのが現実にありまして、それが例えば近くにあればまだ行ってみようかとなる のでしょうが、それがブロック化したときに、他の県に行かなければいけないといった 現実が出てきたら、それこそそこに行くための時間、それからそこに行くための交通費 等の費用といったものも考えたら、もういいと諦めていくような現実になっていくので はないかということで、現実としてブロック化はおかしいと思います。  それともう一つ、やはり相談は多分1回では終わらないだろうと思います。何回も行 くということが、今は特にいろいろな意味で問題が複雑化してきているわけです。その 中で労使双方の意見がさまざまにある問題があるから相談に行くということですから、 何回も通わなければいけないということになったら、やはりブロック化ということでは 相談に行くという足が遠のいていく、その意味では反対です。  ただ、そう言いつつも、今の行政のサービスの質というところでは、このままでよい だろうかというのが一方ではあるわけです。それは、私もこの場で何回か言わせていた だいた中身がありますけれども、本当に労働者、使側からもかもしれないのですけれど、 労働者側からいえば、やはりそこに行って相談してよかったとならなければ、その行政 そのものが行っても仕方がないとなってしまうわけです。そこについては、このブロッ ク化は反対、だけど現状のサービスの質についてはきちんと見直す作業はしていかなけ ればいけないのではないか。そのことが今、労働行政がかなり逼迫している中で求めら れていることではないかと思います。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  皆さんが言っていることと同じことになるのですが、事例ということでいうと、法改 正で施行の前になるといろいろな指針等が出てきて、その解釈をめぐって結構、産別の 本部にも加盟組合から問い合わせがあるという状況にあります。結局、産別での指導は 連合の考え方で指針とはこうなっていますよということをやるのですが、労使の間でそ の指針をどう解釈していくかというところになると、最終的にはそれぞれの地域の雇用 均等室に問い合わせをしながら、労使で法律の解釈をしていくという実態にあるのでは ないかと思っています。そうなると、地方で今県単位であるところがブロック化される ということになると、先ほどから意見が出ていましたけれど、相談に行くというのが非 常に難しくなっていく。そういうことが相談できなくなるとどうなるかというと、それ ぞれがそれぞれの解釈の中で法律を施行していってしまい、結果的に誤った施行になっ てしまうことも懸念されるというようなこともありますので、現状の維持というものが 労使の中での取組でも重要ではないかと思います。 ○林分科会長  樋口委員。 ○樋口委員  公益委員として一言申し上げます。個別労使の置かれている現状を考えるのみならず、 国民の生活を考えたときに、現状もそうですし、また今後将来に向かってもこの雇用均 等行政というものの必要性というものは、これまで以上に重要性を増していくだろうと いうことが考えられます。その視点から考えたときに、ブロック化というものによって 少なくとも今の行政サービス、特にこの雇用均等行政についてのサービスが低下しては ならないと考えています。やはり現状を考えると、県と一緒にいろいろな行政サービス が、特にこの雇用均等についてはなされているということが実態として考えられるわけ です。  分離した場合の逆に今度はデメリットというものを考えると、やはりブロック化とい うものはどうなのかという疑問を持たざるを得ないということがあります。  また、議論がどうなっているかわかりませんが、例えばハローワークあるいは労働基 準監督署といったところにその機能を移すべきだということが起こってくるかと思いま す。ただ、ものの性格上、これはやはり大きく違っている。片方は監督行政、あるいは 職業安定行政というもので、この均等の行政とは性格が違っているということをえると、 移せばよいという話でもないわけで、やはりこの点については慎重に取り扱うべきこと ではないかと思います。  この我々の考え方をどういう形で表明していくかということについては、いろいろな やり方というものがありますので、ぜひ部会長、あるいは先ほど出ました雇用政策全体 としてということで、審議会全体としてということが望ましいかどうかについてはご検 討いただきたいと思いますが、何らかの形でやはり発議していくべきだろうと考えてい ます。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。奥山委員。 ○奥山委員  既に労使の委員の皆さん、それから公益の樋口委員からもお話を伺いましたように、 基本的には同じ考え方なのでもう言わなくてもよいかなと思っていましたが、重大な問 題でもありますので、労働法という法律、特に男女雇用平等とか個別紛争の問題に関心 を持ってやっている者、それから公益委員の一人として意見等を申し述べさせていただ きたいと思います。  内容的には同じですけれども、やはりこの地方分権を促進していく改革していくとい うことは、非常に個人的には大事なことだと思っています。そういう点では、国の省庁 の中でいろいろな見直しを図っていくということは、厚生労働省内部部局についても基 本的には同じなのではないかと思っています。ただ、やはりここで今、問題にしている 都道府県の労働局という組織についての役割という観点からすると、これを直ちにお話 のようなブロック化にしていくということについては非常に大きな疑問というか懸念を 持っています。  それを少し法律的な観点から見ると、ご承知のとおり、今は働く女性たちが就業の継 続の中で非常に男性と同じような働き方を続けてきています。その反面、やはり男女雇 用差別の問題が行政の窓口でも非常に多く出てきている状況でありますし、また、女性 だけに限らず働く男性にとっても、こういう景気の動向を踏まえた中で個別の労働条件 紛争が非常に増加していることは、皆さんご承知のとおりだろうと思います。そういう ことを含めて法律的には、これもやはり皆さんご認識いただいていますけれども、ADR という形で裁判官のいわば紛争解決手続きというものを非常に厚くして、迅速柔軟な解 決を図っていこうということを非常に重大な課題にしているところです。こういう点で、 個別労働関係紛争の解決促進に関する法律なども出てきましたし、またご承知のとおり 平成18年に均等法を改正して、こういう均等法下の紛争解決については雇用均等室の 下での均等会議も含めて、紛争解決の援助や調停を通しての解決を図ろうとしている。 こういう解決の在り方というのは、何よりも紛争を迅速に柔軟に解決していこうという ところに一番の要があるのではないかと思います。そういう要を担っているのが都道府 県の労働局長の助言、指導、勧告でもありますし、紛争調整員会の中での斡旋や調停と いう、いわば解決の作業については、既に労使の皆さんからのご指摘のとおりで、やは り個々の人たちが本当に気軽に安心して相談できる窓口が一番大事なことではないかと 思います。それがブロック化されると、もちろんどういう形になるかは見えないし、ま た地方自治体との連携は非常に大事なことだと思いますけれども、やはり一番の生命線 である迅速さという問題、それから丁寧さという問題、柔軟さという問題に非常に大き な影響を与えてくるのではないかと考えるわけです。ですから、この辺りを考えると、 都道府県労働局のブロック化ということを単純に地方分権改革の一環の中に組み込んで 考えていくことについては、非常に懸念を持っています。  こういう観点で、ブロック化になると、むしろ労使の皆さんにとっても、個別の紛争 解決、雇用平等の問題も含めて解決するときに、やはり大きな時間とコストが掛かって しまって、労使双方にとってもこれは望ましくないところへとつながっていくのではな いかと思います。ある程度大きな所ではそれぞれのところで対応できるかと思いますけ れども、企業規模の小さい所での紛争が生じたような場合に、こういうブロック化の中 での解決ということになると、本当に大変な努力と大変な時間と大変なお金が掛かって しまって、当事者が望まないような結論。事態につながっていきかねないという気もし ています。  ですから、こういう観点で、今後この地方分権の改革の中身がどうなるかわかりませ んけれども、今、伺っている中では、直ちに都道府県労働局の組織、あるいはそこの事 務省庁をブロック化していくということについては非常に懸念しているので、部会とし ても何らかの対応をされることが一番大事かと思っています。一言、ご意見だけ。 ○林分科会長  ありがとうございました。今田委員。 ○今田委員  委員の皆さま方のご意見を伺っていて、本当にそうだということで、一応このブロッ ク化に関しては、反対ということで一致していると思います。それに付け加えるものと してあえて考えたのですけれども、今このブロック化に関する動きについて、やはり時 間的なスケジュールを見てもかなりスピーディにいろいろな議論がされる予定になって いるので、この部会としてきちんとした懸念を早く取りまとめて出すということが必要。 さらに、労働政策審議会や他の分科会など、いろいろあるということもありますが、ま ずここでやれる限りのことはそういう懸念を発議する、表示するということが早急に望 まれることだろうと思います。  それと同時に、恐らく一般論としていろいろな国の改革はあるのですが、総論として はこの地方分権もそうですが、国と地方の望ましい役割分業のあり方という一般論にし てはみんな賛成なのです。それで国家的なプロジェクトとして動くわけですから。具体 的に動き出すと、さまざまな部門でこういう案が実際に出てくるわけですけれど、この 案が必ずしも実態にきちんと根ざした、実態の問題について十分に考慮した上で出され ているわけではないので、事務局としても大きな方向性として出されたものでしょうか ら、やはり現実に携わっている機関にどういう問題があるのか。こういう大きな案とい う流れの中で改革された場合に、どういう問題があるかということを出すことが責任だ ろうと思いますので、懸念と同時に具体的にブロック化されたときにどういう問題が起 こるのか、どういう代替方法があるのかという具体的な事実について、情報をきちんと まとめて一般に公示するなり、この改革の事務局にもきちんと出して説明をして、いか にブロック化という方法が問題であるかということを情報提供するということも同時に 早急に必要なのではないか。ここで今日いろいろご議論されて、皆さまがおっしゃるこ とももちろん、なるほどこのような問題がある、あのような問題があるということがわ かったのですけれど、事務局はそういう報告は最もよくご存じなのでしょうから、この 分科会として早急にブロック化に伴う問題点を取りまとめて情報提供をするということ もしていただければと思います。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。いろいろなご意見を出していただきました。多くのご意見 が、やはり均等行政の後退につながるのではないかというご懸念が多かったと思います。 従って、引き続き雇用均等行政を確実に推進していく上で、この問題は大変重大な問題 だと考えますので、取りあえず当分科会として、都道府県労働局のブロック化に懸念を 表明するという見解を当分科会で公表したいと思っています。  見解については、私の方で事務局と相談して文案を作成し、追って皆さまにご相談し た上で取りまとめたいと思いますので、よろしくお願いします。  この件については、今後も動向を注目していきたいと思います。今田委員からご指摘 があったように、今後の動向を踏まえて適宜情報を得た上で、より良い方向に進んでい ってほしいと思いますので、事務局におかれましては、適宜本件の情報提供をお願いし たいと思います。  では、次に議題3、「その他」として平成21年度雇用均等・児童家庭局予算案につい て事務局から報告がありますので、お願いします。 ○高倉総務課長  総務課長でございます。資料No.4の予算案の概要、これは平成21年度のものです。説 明をさせていただきたいと存じます。この週末、土曜から月曜日にかけて予算案の内示 が行われて、昨日付けでこのように来年度の予算案、また、後ほど触れますけれども、 今年度の第2次補正予算案も併せて取りまとめられたところでございますので、ご報 告・ご説明をさせていただきたいと存じます。  雇用均等・児童家庭局予算案のこのNo.4の1ページ目に全体の像がございますけれど も、主要事項として大きく少子化対策の推進の関係、それから安定した雇用・生活の実 現と安心納得して働くことのできる環境整備、この二つに整理をしています。  全体の規模でございます、2ページをご覧いただきたいと存じます。これは、平成21 年度当初予算のものでございますけれども、局の合計で見て9,815億円、伸び率で見る と2.0%の伸びということでございまして、大変全体の財政事情は厳しい中でございま すけれども必要な経費を確保できるよう予算案を編成させていただいたと考えています。 内訳ですが、一般関係の伸びは当初予算で見るとそれほど大きな伸び率ではなく0.7% ですけれども、特別会計の関係が高い伸び率となっています。年金特別会計の、特に児 童育成事業費の部分で560億円、22.4%の増となっています。主な要因としては後ほど 触れますが、放課後児童クラブの関係の予算の拡充というものなどが主要な要因でござ います。また、労働保険特別会計においても、労災勘定はここで見ていると同じ8億円 でなぜ△だと思われるかもしれませんが、下の方の桁数のところで△にはなっています けれども、億の単位で見ると同じぐらいとなっています。また雇用勘定については、 15.1%の伸びということで、特にこれは中小企業の子育て支援助成金などの増が大きな 要因となっています。  中身については3ページから、特に新しいもの、変化があるものを中心に要点をご報 告させていただきたいと存じます。まず、「地域の子育て支援の推進」という部分ですけ れど、(1)の「すべての家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実」の中で一つ目の 白丸が次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金)と称していますけれども、市町村に おいてさまざまな事業を行う、それを応援するという事業でございますけれども、20年 度が375億円のところ、13億円増やしまして388億円の予算計上ということでござい ます。その拡充の主な要因として、新規事業としてまず「対象となる主な事業」を次の ポツで書いていますけれども、次世代育成支援の人材養成事業を新たにこのソフト交付 金のメニューの中で実現できるようにしようと盛り込んでいます。地域のさまざまな次 世代育成支援の取組を把握し、親の子育てを支援していくという地域資源を活用し結び 付けていくコーディネーター役といった役回りをしていただく人材を養成していく。ま た、実際の地域子育て新拠点事業、あるいは一時預かりなどの事業に参画する方々を養 成するための事業を新たに立てたところでございます。  2番目のファミリー・サポート・センター事業についても、内容的な拡充を盛り込ん でいます。ファミリー・サポート・センター事業自体については、従前から子育て中の 労働者や主婦などを会員として相互援助活動ということで、サービスの提供者と必要と する方とが登録をしておき、間をつないできめ細やかにサポートできるようにしていこ うという事業でございますけれども、この事業で新たに子どもが病気の場合、あるいは 病気は治ったけれどもすぐには保育所等に行けないという病児・病後児の預かり。ある いはまた、早朝や夜間など急に仕事その他のニーズが生じたという緊急の場合の断続的 な対応の預かりなど、こういった部分を行う機能も持てるようにしていきたいというこ とで、そのようなプラスアルファの事業を行っていくためのモデル事業を行う予算を計 上したということでございます。  なお、従来こういった病児・病後児の預かり、あるいは早朝夜間の緊急対応といった 部分については、市町村単位でやっているファミリー・サポート・センター事業とは別 に、労働保険特別会計の雇用勘定の事業として別の事業の形で組んでいて、いわば国が 直接都道府県単位の事業主体に対して資金を出して事業をやってもらうという県単位の 事業で別途やっているところでございますが、当該事業については、今般それ自体を廃 止して、代わりに病児緊急預かり対応の基盤整備事業という名称で、資料の中に細かい ところを書いていなくて恐縮ですけれども、そういった事業を行うというものもセット で用意させていただこうと考えています。今申しました病児緊急預かり対応基盤整備事 業は、従来の県単位でやっています事業を引き続き行うという機能に加えて、今後本格 的に市町村でのファミリー・サポート・センター事業にこの機能を付けていただくため の、地域の中でのサービス提供者の育成やニーズ調査といった、まさに全面展開してい くための基盤整備をしていくといった要素を入れて市町村での本格展開に向けたつなぎ の経過措置的な事業を別途設けるということとして、円滑な移行に努めてまいりたいと 考えています。  3ページのその他の事業は、従前からの継続等でございますので省略します。  次の4ページですが、上の方にございますのは従来からの事業の箇所数増等の充実で すが、大きな2番目、「新待機児童ゼロ作戦の推進など保育サービスの充実」が、対前 年比で見て大きな伸びのもう一つの部分でございます。この(2)の関連項目については、 特に本日まとめていただいた建議の前文の中でも、少子化対策として子育て支援サービ スの基盤の拡充を同時に進めていくことは不可欠。新待機児童ゼロ作戦の推進、また「安 心こども基金(仮称)」の創設などが必要と取り上げていただいていますけれども、その 具体的な予算でございます。一つ目の白丸で、「待機児童解消に向けた保育所の受入れ児 童数の拡大」がございますけれども、平成20年度に民間保育所の運営費がいろいろ定 員整備で増えてきています。その増えた分の運営費を増やすというもので、その所要の 増額を入れ込んでいます。また、新たな要素としては、2行目に「第3子目以降の保育 料を無料とする」と書いていますが、現在の保育料については、複数の子どもが小学校 就学前で保育所または幼稚園に行っている場合に、2番目3番目以降といったいわゆる 子どもの多いご家庭の重複での保育料負担を軽減する観点から、現在は第3子目以降に ついては、保育料を所定の第1子目の保育料と比べると10分の1に既に軽減をしてい ますけれども、この10分の1を完全に無料にしようというものでございます。それが 新しい要素の主なものでございます。  また、次の「多様なサービスの提供」の部分では、家庭的保育事業、いわゆる保育マ マの人数の増。また、一時預かり事業は保育所を利用する家庭だけでなく、専業主婦家 庭も含めたすべての子どもたちの地域の中でのサポートをより充実していくために、今 後非常に必要な事業ということで考えていますけれども、そういった一時預かり事業の 拡充などを主に組んでいます。  また、この4ページ一番下の枠の中に参考ということで平成20年度の第2次補正予 算案を紹介させていただいています。この部分は、特に保育所定員等の受入れ枠を前倒 しで拡充し、平成22年度まで、あと2年3か月ほどございますけれども、それまでの 期間をこの新待機児童ゼロ作戦という、本年の年初に打ち出して途中で再度詰めてきた この作戦の実行の集中重点期間という位置付けをしていますけれども、その期間におい てできるだけ前倒しで計画を進めていくことが必要ということで、その期間において15 万人分の保育所、あるいは認定こども園の整備を推進することなどを目的として都道府 県に、仮称として「安心こども基金」と呼んでいますけれども、それを設けて、単年度 予算の枠を超えて平成22年度までを通じた予算の執行を行えるようにして充実を図っ ていきたいというものでございます。一部、認定こども園の幼稚園部分についての文部 科学省予算分が含まれていますけれど、合計で1,000億円という大変大きな規模の基金 を創設する予算を補正予算で計上しているところでございます。  次に5ページの(3)は放課後児童クラブ等の「放課後子どもプラン」の着実な推進でご ざいます。ここについては、ソフト面およびハード面での支援措置と書いていますけれ ども、具体的にはソフト面の運営費の補助については箇所数を平成20年度は2万箇所 ですけれど、これを2万4,000箇所以上に、4,000箇所以上の運営費の増、ハード面で の支援措置については、放課後児童クラブを新設する際の整備費の単価が従来十分でな いというご指摘があったことを受けて、かなり大幅にこの整備費単価を増やす、また箇 所数も増やすといった充実を盛り込んでいて、先ほどの特別会計の大きな増の要因の主 なものになっているところでございます。  あとは、児童虐待の関係について、細かいご説明は省略させていただきますけれども、 地域における体制整備、また中核支援機関である児童相談所の機能を強化すること、そ して、家庭的養護の推進等の必要な充実を図るという予算を計上しているところでござ います。  6ページでございますけれども、3番目の柱である「母子家庭等自立支援対策の推進」 でございますけれども、ここは(1)母子家庭等の総合的な自立支援の推進の中で、自立の ための就業支援等を推進しようということで、実は平成20年度の第2次補正予算案に おいて、高等技能訓練促進費の支給期間の延長という措置を盛り込んだところでござい ますけれども。これは例えば看護師資格を取って、より高収入で安定した就労をすると いうことで、学校行く際に、その期間の、例えば3年でしたら今は最後の1年間、3分 の1の期間は促進費を支給するとなっていますが、さらに期間を延ばして後半2分の1 の期間の分をみようという充実策ですけれども、この第2次補正予算案で行う支給期間 の延長を平成21年度当初予算においても、前年度で計上することなどで対前年比で見 ると大きな伸びとなっています。  あと、4番の「母子保健医療の充実」の関係では、不妊治療等への支援等については 件数の増を行っていますけれども、新たなものとしては7ページの右上の「妊産婦ケア センター(仮称)」への支援ということで、これは、産前産後における妊産婦の方々に適 切なサポートを行うということで、入院治療は要しない程度の体調不良といった方を対 象に、母体ケア、乳児ケア等を提供する施設を整備するものを新たに予算化するという ものでございます。  5番目の「出産等に係る経済的負担の軽減」の関係では、これは第2次補正予算案の 中で対応している部分が中心ですけれども、妊婦健診では必要な回数は14回程度とい うことですけれども、現在はそのうち5回分程度はいわゆる地方財政措置ということで、 地方財源を確保されていて、自治体の公費負担で実施していますけれども、残る9回分 について地方財政措置されていないということから、一部の自治体では単独で充実して やっていただいていますけれども、まだ行き渡っていないこの部分について、平成22 年度までの間の措置ですれども、半分を国費で補助して残り半分は地方財政措置を行う ということで、妊婦健診についてすべての必要な回数を全額公費で基本的に受けられる ようにしたいというものでございます。  また、その次の四角の中は、これも第2次補正予算案ですけれども、これは平成20 年度の緊急措置というもので単年度の措置ですけれども、幼児教育期(小学校就学前3年 間)の子どもで、かつ第2子以降という複数の子どもを育てているところの負担軽減とい う観点から、該当する子ども1人当たりにつき3万6,000円の特別手当を支給するとい うものでございます。  続きまして、この少子化対策関係の2番目の柱として「仕事と家庭の両立支援」関係 ですけれども、育児・介護休業制度の拡充は従来からの分でございますが、次の8ペー ジの上に書かせていただいています、平成20年度補正予算案において、かなり充実を しています。これは、育児休業・短時間勤務制度の利用を促進するための措置として、 それぞれの利用者が初めて出たときに助成金を出すというものは現在、1人目および2 人目について支給対象としていますけれど、これを5人目まで拡大。また、2人目以降 の支給額を増額という措置が一つ。また、2番目には、労働者が利用した育児サービス 費用、例えばベビーシッター等の費用ですけれども、それを中小企業事業主が負担する という仕組みを設けている際に、都が事業主に助成金を出すといった仕組みの助成率や 助成限度額をご覧のように引き上げるというものでございます。これは平成20年度補 正予算案において、制度要求という形で実現ということにしていますけれど、これを平 成21年度には毎年度化して実際に経費も掛かるということで、前年と比べるとかなり の増額を計上しているところです。  (2)は事業所内保育施設に対する支援の充実でございます。これも、新たな要素として 助成期間を延長するというものなどを盛り込んでいます。(3)は、中小企業における次世 代育成支援対策の推進のための予算の計上ですけれども、これは先般、次世代育成の法 律で中小企業等においても事業所行動計画の策定公表の義務などが強化されたというこ とを踏まえて、その部分をそこまでに十分支援をしていくための中小企業における行動 計画の策定、届出に向けた講習会、巡回指導等の相談援助機能を強化するための所要の 予算でございます。  最後に残る局としての大きな2番目の柱でございます雇用関係ですけれど、1番目の 「女性の職業キャリア継続が可能となる環境づくりの推進」では、男女雇用機会均等の 推進、またポジティブ・アクションの取組の推進、そして起業する準備段階あるいは間 もない時期の女性に対する起業支援などについての所要の予算を計上しています。  また、2番目の「パートタイム労働法に基づく正社員との均衡待遇の確保と正社員転 換の推進」の事業についても、必要な予算の増額を計上しているところでございます。 また、最後にテレワークの普及促進も計上しています。  以上が、平成21年度当初予算および平成20年度の第2次補正予算です。これは参考 資料1に第2次補正予算だけを抜き出して書いていますけれども、必要な部分は先ほど 一括してご説明させていただきましたので省略させていただきます。冒頭で申し上げた 全体の伸び2.0%というものの外枠として、さらにこの2,441億円の一部は平成20年度 内の仕組みもございますけれども、多くが平成21年度から平成22年度にかけてといっ た基金等でございます。以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。平成21年度予算および平成20年度補正予算について、た だ今の事務局からの報告についてご質問がありましたらお願いします。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  質問という意味で一つと、意見ということで一つ言わせていただきたいと思います。 質問ですけれども、補正予算にも書かれています都道府県に「安心こども基金(仮称)」 を創設するという点ですけれども、確かに報告書の中にも安心こども基金を創設すると いうこともあったのですが、かなり早いスピードで来ているなと思うのですが、都道府 県に安心こども基金をどう置いていくのかというところが、少しイメージが湧かないと いうことと、新待機児童ゼロ作戦とのつながりというようなもののイメージが湧かない ところがあったので、これは質問です。  それから、意見としては4ページ目の民間保育所の運営費のところですが、非常に大 きな予算を付けていただいているのですが、実態として同じ民間の保育所に第3子まで 預けられるという実態はないということ。今は待機児童がたくさんいて、同じ保育所に 預けられずに、第1子・第2子も別々のところで掛け持ちで子どもを送り迎えしている のが労働者の実態で、第3子を小学校就学前まで持つというのがまず現実的に少ないと いうことと、その第3子を同じ民間の保育所に預けられるというのは実態としてないの ではないかというところがあります。例えば民間の保育所に第3子目、第1子・第2子 はもう小学生だけれど第3子目が保育所に入っているということは、1人の労働者が3 人の子どもを持っているという位置付けのときに、今、無料化とおっしゃっていました けれど、これも半額にしていただくという方が、現実的に仕事を持ちながら子育てをす る家庭の経済的支援という意味では大きいわけです。そのカウントの仕方も自治体では、 第1子、第2子、第3子が同じ保育所に入っていないと無料にならない、第2子までが 同じ民間の保育所にいれば2人目が無料になるということで、それぞれを別々の保育所 に預けていたら、それぞれは1人1人というカウントになっているのが現実ではないか と思うので、そこも含めて。私がイメージしているのは、そういう民間のサービスでい うと、同じ保育所で2人目は確かに半額になっているということはあるのですけれども、 3人まで預けている事例は見たことがないので、少しこれも現実的ではないのかなとい うこと。これは意見です。 ○林分科会長  高倉総務課長。 ○高倉総務課長  ご質問・ご意見をありがとうございました。まず、「安心こども基金」の関係ですけれ ども、これは内容としては何種類かございますが、特に大きな部分としては保育所など の整備費の国庫補助の金額でございます。それを都道府県に基金として設置するという 意味合いですけれども、国の予算は基本的に単年度の執行法ですので、単年度分しか通 常計上できませんが、これは、集中重点期間をわざわざ平成22年度までと時間を区切 って設定しているので、そこまでの分を見通して整備計画等も立てて執行できるように すべきだろうといった考え方で、複数年度の分を一度に確保して取っておくということ が必要だろうという要素が一つ。また、その際に、もともと通常ベースで予定していた 単年度の金額をただ複数年度分足すというだけでは全然加速になりませんので、もっと 前倒しで大きな定数増になるように、従来のベースから見ると相当思い切った倍率の金 額を積むとしています。  また、その内容面でも、従来の整備費だけだと、特に財政力の弱い自治体などが自分 の地方自治体負担分を組みにくい。いわゆる普通の補助だと、2分の1、4分の1、4分 の1という国と地方の負担割合、設置者の負担割合が決まっていますので、国が必要な 予算を計上しても市町村の方でその分を用意できないということになると、どうしても 申請が抑えられがちというか、なかなか出てこないということになるので、そういった 財政力の乏しい自治体に対しては追加的な財政措置を講じる。平たい言葉でいうと、国 の補助割合をもう少し増やすという要素や、従来以上につくりやすくする、手を挙げや すくするための自治体の負担の軽減、あるいは設置者の負担の軽減に資するような項目 も含めて盛り込んでいます。そして、それを国で基金をつくって、何か特別な法律で新 しい基金のような資金管理団体を一つつくって、人手を掛けてという時代ではありませ んので、各都道府県に。どのみち、都道府県の中の市町村に配分いただいて整備をして いくものでございますから、各都道府県ごとに、これは子どもの人数の割合、あるいは 待機児童の人数の割合などを勘案した一定の考え方で配分をして、それを各都道府県で 条例をつくっていただいて、これはこのための資金であるということを区分けして管理 をしていただく。これが、都道府県に基金を創設するということの実務的な意味合いで ございます。それを、都道府県においては持っていていただいて、都道府県内の市町村 が話合いをしながら適切にそれを執行していくという形で、この集中重点期間における 前倒しで、かつ先を見通した整備ができるようにしようと、そのような考え方からつく っていこうというものでございます。従来の単年度ですと、例えば2年後に整備計画が あるけれども、その時点で本当に国の予算が来るのかどうかわからないということで、 なかなか中で挙げにくいといったものも含めて対応いただけるのではないかと考えてい ます。  また、実は保育所以外にも、例えば家庭的保育の保育ママの事業もしやすくするため に、保育ママさんが家の中を改修して安全な形で子どもを受け入れたいという部分の改 修費といったものも見ていこうとか、あるいは、放課後児童クラブを学校の余裕教室を 活用してつくっていくものを整備しようといった要素も盛り込んでいますし、また保育 の質の向上に向けた保育士の研修事業費等も盛り込んでいるというものでございます。 詳細については、また年明けに細部の資料を作って都道府県に連絡をさせていただいて、 活用していけるようにしていきたいと考えているところでございます。以上が、安心こ ども基金の関係でございます。  また、ご意見の関係でございます。1点、事実関係だけ申しますと、今の国の整理と して、第3子目以降の現状10分の1、そして今後は無料というものについては、必ずし も同じ保育所に3人行っていなくても、そこは上の子どもが、例えば幼稚園に行ってい るとか他の保育所に行っている場合でも、そこはカウントするという具合に。昔は確か に保育所に行っていなければ駄目だというルールになっていた時代があるのですけれど も、それは幼稚園であっても同じではないかということで、そこはまたがるようには仕 組みの改正はされています。ただ、ご指摘の中の、上の子どもが小学校に行った後もと いう合計で全学年として見て、6年以上広がる場合までについては、少しまだ実現でき ていないという現状でございます。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。その他に、ご質問・ご意見等はございますでしょうか。樋 口委員。 ○樋口委員  6ページの「母子保健医療の充実」ですが、特に不妊治療への支援は安倍政権の下で の重点政略会議の1丁目1番地だということで議論してきたかと思います。少子化対策 というのが、本来子どもがほしい、それにもかかわらず持てないという人たちをいかに サポートしていくかということである以上、やはりここのところで持ちたい、不妊治療 を受けているにもかかわらず医療保健が多くの場合は適用できないということで全部個 人負担か、あるいは会社に勤めていれば会社による支援といったものでやっているわけ で、ここのところをぜひ増額してほしいということで、いろいろなところで声が上がっ てきたかと思います。ここのマターではないのですが、今回もこういう形で決着を見よ うということで、社会保障審議会の医療保険部会の方でいろいろ議論が進んでいるかと 思いますが、どのような状況なのでしょうか。 ○高倉総務課長  医療保健部会における不妊治療の保険適用範囲の見直し論については、今、把握して いません。また別途調べて、ご報告させていただきたいと存じます。 ○樋口委員  希望として、ここのマターではないということを十分承知した上で、ぜひそういう声 があったということをお伝えいただければと思います。 ○林分科会長  他に質問ご意見等がなければ、資料のNo.4については、当分科会としては報告をお聞 きしたということで終了したいと思います。  本日の分科会はこれで終了したいと思います。本日の署名委員は、齊藤惠子委員と川 崎委員にお願いします。  次回の日程については、追って連絡をさせていただきます。本日は、皆さまお忙しい 中をありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)