08/12/19 平成20年12月19日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成20年12月19日(金) 14:00〜   グランドアーク半蔵門「華の間」 2.出席委員(20名)五十音順 赤 堀 文 昭、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 井 部 俊 子、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、 佐 藤 光 源、 竹 嶋 康 弘、 土 屋 文 人、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 藤 田 利 治、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹   ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   他 参考人3名   欠席委員(4名)   岩 田   誠、 大 野 泰 雄、 河 盛 隆 造、 本 田 佳 子         3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長) 岸 田 修 一(大臣官房審議官) 川 尻 良 夫(総務課長)、田 原 孝 明(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 山 本 順 二(化学物質安全対策室長) 熊 本 宣 晴(監視指導・麻薬対策課長)他 4.備考   この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個  別案件以外は公開で開催された。 ○総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会 薬事 分科会を開催いたします。  まず、本日の出欠状況でございますが、委員24名のうち、岩田委員、大野委員、河盛 委員、本田委員を除く20名の委員から御出席という連絡をいただいております。少し遅 れておられる先生方がいらっしゃいますが、既に過半数ということで、定足数に達して いることを御報告いたします。  次に、本日の議題の取扱いについてでございますが、議題1〜18までの個別品目の審 議等については非公開、議題19「審議参加に関する遵守事項等について」は公開とさせ ていただきます。  それでは、以降の進行を望月分科会長にお願いいたします。 ○望月分科会長 それでは、本日の分科会を始めさせていただきます。最初に事務局か ら配付資料の確認をお願いいたします。 ○総務課長補佐 資料の確認をお願いいたします。審議事項につきましては資料No.1〜 3、報告事項につきましては資料No.4〜18となっております。また、公開案件は資料No. 19-1〜19-4となっております。当日配付資料ですが、資料No.19及び19-2を差し替えさ せていただいております。追加の参考資料、資料No.20「競合品目・競合企業リスト」、 議事次第、座席表、委員名簿をお配りしております。また、文書報告の資料は既に先生 方に送付しておりますが、お手元には参考までに「文書報告一覧」を配付しております。  続きまして、本年3月24日の薬事分科会申し合わせ「審議参加に関する遵守事項」に ついて御報告します。申請資料作成に関与した委員ですが、該当委員はいらっしゃいま せん。  また、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、資料No.20として 配付させていただいておりますが、その選定理由を説明させていただきます。いずれも 関係部会で報告した内容となっております。  まず1ページ目の「ゾレア皮下注用」です。本品目の申請会社は、ノバルティスファ ーマ株式会社です。本剤の予定されている効能・効果は気管支喘息であり、その有効成 分はヒト化マウス抗IgEモノクローナル抗体であるオマリズマブですが、その主たる 作用機序において直接的な競合品目は存在せず、さらに、本申請品目は気管支喘息の治 療薬と併用される薬剤であり、この用法からも競合する品目はないとされております。  次に2ページ目ですが、東レ株式会社から申請されている「レミッチカプセル2.5μg」 です。本剤は選択的オピオイドκ受容体作動薬であり、申請効能は「血液透析患者にお けるそう痒症の改善」ですが、本剤が他剤無効例で使用される予定であることから、臨 床現場で直接競合する品目はないとされております。  最後のページになりますが、ファイザー株式会社から申請されている「シーエルセン トリ錠150mg」です。本剤の予定されている適応症は、「CCR5指向性HIV感染症」 です。競合品目としては、本剤と同じ作用機序で、海外で開発中ですが、平成21年には 海外での承認取得が予想され、本邦にも導入されると考えられるシェリング・プラウ株 式会社のCCR5阻害剤Vicrivirocが選定されております。  競合品目の選定に係る説明は以上でございます。 ○望月分科会長 ただ今の事務局からの説明につきまして、特段の御意見はございます でしょうか。よろしいですか。それでは、本分科会における審議の際の申し合わせ事項 については、競合品目・競合企業の妥当性も含め、了解をいただいたものといたします。  続いて、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。 ○総務課長補佐 各委員からの申出状況について報告させていただきます。議題1「医 薬品ゾレア皮下注用」については、退室委員は池田委員、永井委員、議決に参加しない 委員はいらっしゃいません。議題2「医薬品レミッチカプセル」については、退室委員、 議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題3「医薬品シーエルセントリ錠」に ついては、退室委員は池田委員、議決に参加しない委員は永井委員でございます。以上 でございます。 ○望月分科会長 それでは、議事1に入りたいと思います。池田委員、永井委員におか れましては、本議題の審議の間、別室で御待機いただくこととします。 ── 池田委員、永井委員退室、首藤参考人入室 ── ○望月分科会長 議題1、資料No.1でございますが、「医薬品ゾレア皮下注用の生物由 来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並 びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、 「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏ま えて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御 報告いただた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。  それでは、本来なら医薬品第一部会長の永井委員からの御説明ですが、本日は医薬品 第一部会長代理の首藤委員に参考人として出席いただいておりますので、御説明をいた だきたいと思います。よろしくお願いします。 ○首藤参考人 「ゾレア皮下注用」(オマリズマブ(遺伝子組換え))について、部会長代 理の首藤が報告いたします。詳細は事務局・審査管理課から説明があると思いますが、 概要を御説明いたします。  本剤の有効成分であるオマリズマブ(遺伝子組換え)は、米国Genentech社により作製 されたヒト化マウス抗ヒトIgEモノクローナル抗体です。血中の遊離IgEを中和し、 感作過程を阻害することにより、アレルギー性喘息のI型アレルギー疾患に対し効果を 示すものと考えられております。  気管支喘息では吸入ステロイド薬などの普及に伴いまして急性増悪による喘息死、入 院などは減少している状況でございますが、なかなかコントロールが難しい重症患者も 依然として多く、本剤はそのような重症患者を対象とするものでございます。このよう な治療には、経口ステロイドが用いられていますが、治療効果には限界があるとされて おります。  本剤は、従来の喘息治療薬とは異なる作用機序を有しておりまして、高用量の吸入ス テロイドに複数の喘息治療薬を併用しても喘息症状を十分にコントロールできないアレ ルギー性喘息に対する追加の治療薬として、開発がされてきたものです。  海外では、2002年6月にオーストラリアで承認されて以来、本年8月までに70か国 ほどで承認されているものでございます。  本剤については、去る10月27日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、 承認して差し支え無しという判断に至りました。  本剤の販売名は「ゾレア皮下注用150mg」ということで申請されましたが、部会で十 分な審議の結果、医療事故防止の観点から、「ゾレア皮下注用」という名前に変更する ことが適当と判断されております。  以上は概要でございますが、事務局から詳しい説明をしていただきます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から補足等の説明をお願 いいたします。 ○事務局 それでは、資料No.1「ゾレア皮下注用」の審査の概略について、御説明申し 上げます。  本剤の有効性については、本邦において、既存治療でコントロール不十分な気管支喘 息患者315例を対象に、本剤又はプラセボを16週間投与する二重盲検群間比較試験が実 施された結果、有効性主要評価項目である最終評価時点の朝のピークフロー値の投与前 値からの平均変化量は、本剤群で15.45L/min、プラセボ群で2.25L/minであり、本剤 投与による有意な増加が認められています。なお、本試験が開始された2003年2月当時 に比べ、現時点では気管支喘息に係る薬物治療方針が変化しており、本剤の投与対象は、 本試験の対象患者よりも更に限定することが適切と考えられますが、現時点の治療レベ ルにおいて適切と考えられるより難治な部分集団においても、朝のピークフローの平均 変化量は、本剤群で13.92L/min、プラセボ群で3.15L/minであり、群間に有意差が認 められ、全体集団と同様の結果が示されております。これらの成績に基づき、本剤の有 効性は確認されたものと判断しております。  安全性については、国内安全性解析対象例284例における副作用発現率は47.2%、主 な事象は、注射部位紅斑18.7%、注射部位そう痒感9.2%、注射部位腫脹8.5%等であ り、現時点では大きな問題は認められておりませんが、海外での市販後においては、遅 発型の反応を含むアナフィラキシー様症状が0.2%程度発現していること、現時点では 本剤との関連は明らかではないものの、海外臨床試験を含めた悪性腫瘍の発現率は本剤 群で0.5%、対照群で0.2%と本剤群でやや高い傾向が見られていること、また、毒性試 験において血小板数減少が認められており、国内臨床試験において、副作用とされた血 小板数減少が1例報告されていることなどから、製造販売後調査において、長期使用時 も含め、使用実態下での安全性が引き続き検討される予定です。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤の有効性が認められ、 安全性は忍容可能であることから、効能・効果を「気管支喘息(既存治療によっても喘息 症状をコントロールできない難治の患者に限る)」とした上で、承認して差し支えないと 判断し、薬事分科会で審議されることが適当との判断に至りました。  なお、再審査期間は8年間、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当する と判断しております。  また、先生方より事前にいただきました御質問につきまして御説明申し上げます。  神山委員より「カナダ、アメリカ等、BSE発生国のウシ由来原材料を使用している が、BSE感染の危険性はどのように除去されているか」という御質問を頂戴いたしま した。  先生の御指摘のとおり、オマリズマブの製造に用いられるマスターセルバンク及びワ ーキングセルバンクの製造の際に添加するインスリンの製造工程に、カナダ産のウシ由 来原料であるペプトンが用いられております。ペプトンに関しては、アルカリ処理をし ているという情報を入手していますが、その詳細条件が不明でございます。しかしなが ら、これを用いることのリスクについて、審査報告書の16ページに記載されております とおり、審査管理課長通知に基づきリスク評価を行い、安全性確保の目安をクリアして いることを確認しております。  ウシ由来原材料に関しては、ウイルスと異なり、製造工程で除去・不活化される指数 を求めるのではなく、ほかの製剤と同様、通知に書かれているような原産国や部位によ るリスク、製造プロセスでの希釈、投与経路や使用期間等のリスクについて評価を行い、 安全性確保の目安をクリアしているかを確認することになっております。  また、同じセルバンクを用いて製造した製剤が既に10万人に投与されておりますが、 TSEに伝播したという報告もございません。したがいまして、本剤が治療困難な重症 の喘息患者に用いられること、バンクの切り換えの検討には相当の時間を要することを 踏まえ、リスク・ベネフィットを考慮の上、原材料の切り換えがなされるまで承認を待 つ必要はないと判断したものでございます。ただし、このような考えに基づき承認され た製剤と同様、添付文書で情報提供しているものがございますので、今後ともこちらで 情報提供を図っていきたいと考えております。  続きまして、黒木委員より「米国の添付文書及びEUの製品概要と同様に、添付文書 に過量投与の項の追加をお願いいたします。過量投与症例の報告がない場合でも、毒性 が認められなかった最大量の情報は有益であると思います」という御意見を頂戴いたし ました。  平成9年4月25日の薬発第607号「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」 という通知で使用上の注意の記載要領を示してございまして、過量投与の項には、過量 投与の例があれば記載すること、また、過量投与時(自殺企図、誤用を含む)に出現する 中毒症状を記載し、適切な処置方法があれば併せて記載することとしておりまして、外 国の報告につきましても、添付文書上では国内のデータと同一の表現により記載するこ ととされているところでございます。  先生より御指摘のございました海外での毒性が認められなかった最大量の情報の伝達 につきましては、製薬企業からそのほかの情報提供の機会等を通じて医療関係者に伝達 がなされるように伝えたいと存じます。  事務局からの説明は以上でございます。御審議をよろしくお願いします。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見等をいた だけますでしょうか。 ○溝口委員 2、3お聞きしたいことがありますが、一つずつ伺います。まず、対象患 者は重症の喘息患者さんのようですが、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を合併し た人はみんな排除して、ピュアな喘息患者さんだけを対象とされたのでしょうか。 ○事務局 アレルギー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の合併症のある患者さんが特に排除 されて実施されたということではございません。ピュアな喘息患者さんのみでなく、そ のような患者さんも含まれた条件で実施されております。 ○溝口委員 今でなくて結構ですが、後ほど、もしアトピー性皮膚炎を合併した人に投 与してあれば、それが良くなったか悪くなったかをお教えいただけると、あるいは、も し分かっているのでしたら、どこかに書いていただけると、実際に使われるときに参考 になるのではないかと思います。  それから、重症の喘息の患者さんはアトピー性皮膚炎を合併していることが多いので すが、そうなりますと、総IgE量は700などではなく、5,000とか10,000とか、とて も高い量になります。そういう方は添付文書の換算表を見れば、量が多くなるので過量 投与になりますから、してはいけないということに気が付くかとは思いますが、少し多 いような人もいるかと思います。先ほどのお話では、制限があるのは過量投与すると危 険があるからだと思いますので、添付文書の2.の「投与量換算表に該当しない患者への 投与は行わないこと」というのは、もう少し太い字で書いていただけないでしょうか。 過量投与になりそうな人はかなりいると思います。今はアトピー性皮膚炎がなくても、 過去にあったような喘息患者では700をはるかに超えている人をたびたび診ております ので。 ○審査管理課長 御意見の御趣旨が反映できるように検討してみたいと思います。 ○溝口委員 もう一つはもうお答えいただいたようなもので、そういう患者さんが入っ ていたのであれば、IgE量を満足していれば、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎 を合併しても使ってよろしいと解釈してよろしいでしょうか。喘息が治らなくて苦しん でいる人がいれば、少々アトピー性皮膚炎があっても、アレルギー性鼻炎があっても使 われることがあると思いますので、IgE量さえ適当であれば、使って差し支えないの かどうかをお聞きしたいのですが。 ○審査管理課長 そのとおりだと解釈しております。 ○溝口委員 ありがとうございます。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。 ○土屋委員 細かな点ですが、この薬は1.4mLで溶いて、そのうちの1.2mLを採るとそ の量になるという形なので、調製と言いますか、最後のところをかなり気を付けなけれ ばいけないのですが、ここで見る限り、例えば添付文書の本剤の組成のところでも、150mg と書いて、1.4mLに溶解したうちの1.2mLというところや、調製方法のところでも、薬 の中に入っている調整方法というのを今見ているのですが、それでも、下記の溶解方法 で溶解した用液(1.2mL)と言うのですが、下記の溶解用液は1.4mLであって、そのうちの 1.2mLが150mgに相当するのだという注意が、少しも目立たないようになっているので す。ヒューマンエラーを防止するためには、そこをきちんと分かるような表現で表示し ないと、通常はそのまま1本打ってしまうということが多いわけですから、そこの注意 をきちんと喚起できるような書類にすべきだと思います。 ○望月分科会長 分かりにくいという御指摘ですが、よろしいでしょうか。 ○審査管理課長 この品目につきましては、添付溶解液を付けた方がいいのか、それと も付けない方がいいのか、医療安全の立場からいろいろな議論がございまして、医薬品 第一部会で議論されるときは添付溶解液を付けた形になっていたわけでございますが、 その後の検討によって、添付溶解液がない方がむしろ医療安全に資するだろうというこ とで、そういう形で整備をし直したところでございます。  したがいまして、土屋委員から御指摘いただいた点につきましては、まだまだ検討が 足りなかったのだろうと考えております。御意見を反映すべく、使用上の注意を整備し たいと思います。 ○望月分科会長 ほかにどなたかございますか。よろしいですか。それでは、今出まし た意見に基づいて指導していただくということにしたいと思います。特段の御異議がな ければ、議決に入りたいと思います。首藤参考人にはお忙しいところありがとうござい ました。 ── 首藤参考人退席 ── ○望月分科会長 それでは、部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、 製造販売承認を可、再審査期間は8年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品 に指定することが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょう か。  ありがとうございます。御異議無しと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規 程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働 大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任 いただいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。池田委員と永井 委員にお入りいただきたいと思います。 ── 池田委員、永井委員入室 ── ○望月分科会長 それでは、次の議題に入りたいと思います。議題2、資料No.2でござ いますが、「医薬品レミッチカプセル2.5μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指 定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否に ついて」です。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、 「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏ま えて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御 報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。  それでは、医薬品第一部会長の永井委員から御説明をいただきたいと思います。 ○永井委員 「レミッチカプセル2.5μg」(ナルフラフィン塩酸塩)について、御説明い たします。審査の詳細は、事務局・審査管理課から御説明いただきます。  慢性腎不全による血液透析患者において、そう痒症、かゆみを合併しますが、その原 因については必ずしも十分に明らかにされておりません。抗ヒスタミン薬、抗アレルギ ー薬の内服、外用ステロイドの塗布、スキンケア等の種々の処置が実際には行われてお ります。しかしながら、これらの治療が奏効しない患者さんが存在し、そう痒が持続す ることによって生活の質が低下する、特に夜間のかゆみによって睡眠障害を引き起こす ことが知られております。  本剤の有効成分であるナルフラフィン塩酸塩は、□□年に東レ株式会社により開発さ れたオピオイドκ受容体作動薬で、当初は鎮痛薬として開発されておりました。しかし ながら、鎮痛作用を示す用量(□μg)では、めまい、傾眠等の精神・神経系の副作用が多 く認められたため、鎮痛薬としての開発は中止となっています。その後、鎮痛効果を示 す用量よりも低用量でかゆみを止める効果を示すということで、□□年□月から臨床試 験が開始され、今般、既存治療で効果不十分な血液透析患者におけるそう痒症の改善に 対する有効性、安全性が確認されたということで、製造販売承認申請に至っております。  海外では、この薬剤について現時点で承認されている国はございません。  本剤につきまして、去る10月27日に開催された医薬品第一部会において審議した結 果、承認して差し支えないという判断に至りました。実際の議論では、内服の時間や透 析を行うまでの間隔、最小有効量についての議論がなされました。  以上、本剤の概要を御説明いたしましたが、事務局から、より詳しい説明をお願いし たいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から補足等の説明をお願 いいたします。 ○事務局 それでは、資料No.2「レミッチカプセル2.5μg」(ナルフラフィン塩酸塩)の 審査の概略について、臨床試験の成績を中心に御説明申し上げます。  本申請に際し、評価資料として国内第II相試験及び第III相試験等の成績が提出されて おります。  本剤の有効性につきましては、国内第III相試験で主要評価項目であるFASにおける 前観察期後半7日間の平均VAS値と投与期間後半7日間の平均VAS値の変化量は、 本剤5μg群とプラセボ群で8.26mm、本剤2.5μg群とプラセボ群で9.13mmであり、本 剤群はいずれの用量についてもプラセボ群に対し、統計学的な有意差が認められました。  安全性につきましては、本剤投与により不眠症及び傾眠などの睡眠障害が認められて おります。本剤の薬理作用から、本薬の臨床用量付近から用量依存的に不眠が認められ、 臨床用量よりも高用量で傾眠が発現することが示唆されており、国内臨床試験において も同様の傾向が認められていますが、認められた不眠症の多くは軽度であり、無処置で 本剤を投与継続できたこと、不眠により投与中止された症例は国内臨床試験で609例中 12例であったことから、本剤投与時の不眠症が臨床上大きな問題となる可能性は低いと 考えております。なお、睡眠障害への影響については製造販売後の調査で今後も検討す る予定です。  また、本剤の用法・用量は、申請当初5μgを開始及び維持用量と設定されていまし たが、専門協議での検討を踏まえ、本剤の有効性は本剤2.5μgと5μgで認められてお り、本対象疾患患者の多様性、不眠等の副作用の発現を考慮すると、本剤の開始及び維 持用量を2.5μgとし、症状に応じ5μgを限度に増量することが適切と判断し、用法・ 用量を変更しております。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤は「既存治療で効果 不十分な血液透析患者におけるそう痒症の改善」に対する有用性が認められたことから、 承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当との判断に至りま した。  なお、再審査期間は8年、原薬は毒薬、製剤は劇薬に該当し、特定生物由来製品又は 生物由来製品には該当しないとされました。  先生方より頂戴いたしました御質問でございますが、神山先生より「効能・効果に比 し、副作用が大きいと感じられるが、血液透析患者のそう痒症とは、どれくらい重い症 状なのか」という御質問を頂戴しております。  こちらにつきましては、1999年に実施されました日本透析医学会による血液透析患者 約12万人を対象とした調査によりますと、約3割の患者から、治療を行っているにもか かわらずかゆみがあると回答されており、また、2000年の新潟大学による血液透析患者 約2,000人を対象とした調査では、約半数の患者で、毎日何らかのかゆみがあり、全体 の約1割の患者で、かゆみの治療に対して不満があると報告されております。このよう な患者においては、1日中イライラする、また、夜間に目が覚める、一晩中眠れない等 の睡眠障害が報告されており、患者の生活の質が著しく低下することもあるため、本剤 投与によりこれらの患者の生活の質を改善することができれば、本剤を承認する意義が あると考えております。  黒木先生より「過量投与時の処置において、解毒剤としてナロキソンの投与が考えら れるかコメントをお願いします。考慮した方がよい場合は、添付文書に記載してはいか がでしょうか」という御質問を頂戴しております。  こちらにつきましては、御指摘のようにナロキソンはオピオイド受容体の拮抗薬でご ざいますが、μ受容体への選択性が高く、κ受容体へはμ受容体の40分の1程度の拮抗 作用とされております。本剤はオピオイドκ受容体に対する選択的作動薬でございます ので、臨床用量でのナロキソンを投与しても拮抗作用を示すとは考えにくく、実際にマ ウス又はラットを用いて本薬又はモルヒネの鎮痛効果を検討しておりますが、ナロキソ ンによりμ受容体作動薬であるモルヒネの作用は抑制されたものの、本薬の鎮痛作用は 全く抑制されなかったことから、本剤の過量投与時にナロキソンが有効である可能性は 低いと考えております。以上、先生方からいただいた御質問でございます。  説明は以上です。御審議をよろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問 等がございましたらお願いします。 ○溝口委員 審査報告書の40ページで、5μgだということで、10μgではVAS値に 有意差が出ていない理由はお分かりでしょうか。 ○事務局 これに関しましては、第II相試験の中で5μg、10μgとプラセボ群を比較し ておりますが、本試験の症例数が具体的に用量間の有効性を検証できる症例数として設 計されておりません。本剤が有効であるかどうかを検討するための用量探索試験をやっ ておりますので、この結果のみから10μgの用量に有効性がないというわけではないと 思っております。 ○溝口委員 別件で細かいことですが、添付文書の併用注意のところで、「CYP3A4阻害 作用のある薬剤等」の最初にケトコナゾールが出ています。これは外国人で調べていま すので、これでしょうがないとは思いますが、日本ではケトコナゾールは発売されてお りません。同じように阻害作用のあるアゾール系抗真菌薬でしたら、イトラコナゾール やフルコナゾールが発売されておりますので、そちらを書いた方がよろしいかと思いま す。ケトコナゾールも、外国から買ってきて飲むような方はいないかもしれませんが、 書いておいて悪いとは申しませんけれども、実際に使われる薬の方を書かれた方がよろ しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○望月分科会長 ただ今の御指摘に対して、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 溝口委員からはほかの品目の審議でも同じ御指摘をいただいたところ でございまして、我々も学習効果を上げなければいけないと反省しているところでござ います。そのような形で訂正させていただきたいと思います。 ○望月分科会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○神山委員 事前に質問させていただいたことと同じなのですが、かゆくてイライラし て眠れないというのは非常にお気の毒だと思うのですけれども、5%以上、不眠の副作 用があり、1%未満ですが、イライラしているというと、何を治そうとしているのか、 治すものが副作用で出てくるという感じを受けるのですが、どうなのでしょうか。 ○望月分科会長 ただ今の御指摘にお答えいただけますでしょうか。 ○事務局 この薬に関しては、基本的にはかゆみを取ることが主目的です。それによっ て最終的には患者さんの生活の質、かゆみを取ることでイライラ等の発現を抑制して、 不眠などの睡眠障害を改善できるというところが最終目標になると思います。  この薬に関しては、当初の目的はそう痒症に関する有効性を検討することでしたので、 そう痒症による影響を検討しています。臨床試験では確かに不眠症の発現率は高いので すが、先ほども説明させていただきましたとおり、この薬は投薬を中止せずに服薬が続 けられるということ、投与を中断しなければならない症例もそれほどないということ、 認められた不眠症も軽度から中等度ということですので、大きな問題はないかと考えて おります。 ○望月分科会長 今のでよろしいですか。なかなか答えも難しいですし。 ○溝口委員 かゆみで眠れない人のために使って副作用が睡眠障害というのは確かに困 るのですが、透析患者さんのかゆみというのはものすごいかゆみで、通常の抗ヒスタミ ン薬や外用薬で治らないことが多く、全身血だらけになるくらい掻きむしって眠れない 人もいます。ですから、この薬剤でかゆみが良くなれば非常に結構なことだと思います。  ただ、VASで表してもどのくらい良くなったかというのは本当はよく分からないの です。例えば、この薬を治験のときに使って、中止したらかゆくなって、また飲みたい という患者さんがいたとか、そういう情報があると有り難いのです。強いかゆみを抑え られるのでしたら非常にいいかと思いますが、副作用もいろいろあるようですので、ど うしようもない限られた重症の方に使うべきだと思っております。 ○望月分科会長 そのような患者さんの情報があればということですが、どなたかお持 ちでしょうか。 ○事務局 臨床試験の中ではそのようなデータは採れておりません。 ○望月(眞)委員 私も溝口委員がおっしゃったことと同じことを思っていたのですが、 臨床試験をVASで全部評価しているのです。確かに有意差は付いていますが、10cmの VASの中で10mm以下の点推定値の差がどれだけ臨床的に意味があるのかがよく分か らないのです。  こういうものの場合、少し不確実かもしれませんが、患者さんがどういう印象を持た れたか、先ほどの説明では、非常にかゆくて困っている患者さんが何%いるとか、耐え られないような患者さんが何%いるというような感覚的な説明をしている割に、こうい うところになると、客観性を求めるためにVASを使うことになるのだと思いますが、 VASは個人個人で何cmのところに最初のスタートを置くかなどもかなりばらつく指 標だと私は思っておりまして、VASも使いつつ、併せて患者さんの印象のようなもの も採っていただけると、溝口委員の御質問などにもきちんとした回答が出せるのかなと 思います。 ○望月分科会長 そのような方向でお願いできますでしょうか。 ○事務局 臨床試験の中におきましては、副次評価ではありますが、白取の重症度評価、 かゆみの重症度評価も採っておりまして、そちらでも有効性は示されております。 ○望月分科会長 ほかに御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、 ただ今御指摘の点を御考慮いただきたいと思います。特段の御異議がなければ、議決に 入りたいと思います。部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販 売承認を可、再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は劇薬に指定し、生物由来製品及び 特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思い ますが、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議無しと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規 程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働 大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任 いただいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の議題に入りたいと思います。池田委員におかれましては、本議題の審 議の間、別室で御待機いただくこととします。 ── 池田委員退室、堀内参考人入室 ── ○望月分科会長 議題3、資料No.3でございますが、「医薬品シーエルセントリ錠150mg の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間 の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、 「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第二部会での審議結果を踏ま えて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御 報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。  それでは、本来なら医薬品第二部会長の池田委員からの御説明ですが、本日は医薬品 第二部会長代理の堀内委員に参考人として出席いただいておりますので、御説明をいた だきたいと思います。よろしくお願いします。 ○堀内参考人 資料No.3、医薬品「シーエルセントリ錠150mg」の審査の概要を説明い たします。資料の「2.5臨床に関する概括評価」の7ページに図がございますので、そ こを参考にしていただければ分かりやすいかと思います。  HIV感染症は、Highly active anti-retroviral therapy、いわゆるHAART療法の登 場により、核酸系逆転写酵素阻害薬、非核酸系逆転写酵素阻害薬、及びプロテアーゼ阻 害薬の3薬剤がHIVに対する薬物療法の主流になり、HIV感染者の生命予後は大き く改善いたしましたが、耐性ウイルスの出現や様々な副作用による忍容性の低下が、治 療継続の障害になることが問題になっております。  HIVは細胞内に侵入する際にCD4細胞膜にあるCC Chemokine Receptor5(CCR 5)あるいはCX Chemokine Receptor4(CXCR4)をコレセプターとして細胞内に入り ます。CCR5を持つ人は全体の56%程度と言われております。本剤の有効成分である マラビロクは、米国ファイザー社により開発された、CCR5に特異的に結合し、HI Vウイルスのエンベロープ糖蛋白gp120とCCR5の相互作用を阻害することによりウ イルスの細胞内への侵入を阻止するという新規の作用機序を有する抗HIV薬です。  本剤は、CCR5に特異性が高いため、もう一つのコレセプターであるCXCR4の ホモ及びCCR5とCXCR4のヘテロの場合には有効ではありません。本剤は、既存 の抗HIV薬と相加あるいは相乗効果が培養細胞により示されております。したがいま して、既存の抗HIV薬に対して治療抵抗性を示し、かつCCR5指向性のHIV-1型 の感染患者に対する効果が期待されております。  有効かどうかを予見するために、あらかじめCCR5指向性かどうかを検査してから 投与を開始する必要があります。この検査をできる場所は世界で米国に1か所だけあり ますので、そこへ血液を送って検査をする必要があります。  本剤は、2008年8月に希少疾病用医薬品に指定され、2008年10月現在、海外46の国 と地域で承認されております。  本剤につきましては、11月27日に開催されました医薬品第二部会において審議し、 有効性、安全性の両面から承認して差し支えないと判断いたしました。  以上、概要を説明いたしましたが、詳細につきましては事務局から説明をお願いした いと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から補足等の説明をお願 いいたします。 ○事務局 それでは、資料No.3、医薬品「シーエルセントリ錠150mg」の審査の概略に ついて御説明申し上げます。  本剤は、CCR5に結合し、ウイルスの細胞膜内への侵入を阻害することにより抗H IV活性を有する初の抗HIV薬でございます。  本邦においては、本剤はHIV感染症治療薬であることから、迅速承認審査の通知「H IV感染症治療薬の製造又は輸入承認申請の取扱いについて」に従い、本剤の承認申請 に際し、米国申請資料が提出されました。医薬品総合機構において、これらの資料につ いて審査を行ったところでございます。その結果、品質、毒性、薬理、薬物動態につい て大きな問題は認められませんでした。  主な臨床試験として、二つの試験が実施されております。この試験の結果、他の抗H IV薬による治療歴[3系統(核酸系逆転写酵素阻害薬、非核酸系逆転写酵素阻害薬、及 びプロテアーゼ阻害薬の薬剤の1剤以上に少なくとも6か月以上の前治療歴を有する、 又は3系統の薬剤への耐性が証明されているウイルス量5000copies/mL以上の患者)]を 有するCCR5指向性HIV-1感染症に対する有効性が確認され、安全性についても特 段の問題は認められず、良好な忍容性が確認されました。機構は、これらの試験成績を 基に審査を行い、提出された海外臨床試験成績より日本人HIV感染患者に対する本剤 の有効性、安全性は期待できると判断いたしました。  本剤は、CCR5結合を行い、ウイルスの細胞膜内への侵入を阻害するという新たな 作用機序を有していることから、既存の抗HIV薬に抵抗性を示し、かつCCR5指向 性HIV-1感染患者に対しては、新たな治療選択肢として有用な薬剤となり得ると考え ております。ただし、現時点では、抗HIV薬による治療経験のない患者における情報 が不足していること、本剤に対する耐性ウイルスの出現を可能な限り回避すべきである ことから、欧米と同様に、本剤は第1選択薬としてではなく、他の薬剤が使用できない 場合等に使用すべきであると考えております。  なお、日本人を対象とした臨床試験は実施されておりませんが、現時点において、原 因は特定されていないものの、非アジア人に比べてアジア人の曝露量がやや高くなるこ とが示唆されております。したがって、HIV感染症治療薬の迅速承認審査の通知に基 づき、製造販売後、速やかに日本人における薬物動態の検討を実施する必要があると考 えております。あわせて、製造販売後調査として、日本人における本剤の有効性、安全 性に関する情報を早期に収集する必要があると考えております。  以上、医薬品総合機構の審査及び医薬品第二部会での審議の結果、本剤の有効性、安 全性は確認できたと判断し、審査報告書の3ページに記載しております承認条件を付帯 した上で、本剤を承認することは可能と判断し、薬事分科会で審議されることが適当と の判断に至りました。  なお、原体、製剤ともに劇薬に相当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当し ないと判断しております。  説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問 等をいただけますでしょうか。 ○松本委員 細かいことですが、添付文書(案)についてお願いがあります。3ページを 見ますと、(1)に「重大な副作用」がありますが、1)は心筋虚血と、漠然とした表現、 2)には肝酵素上昇や肝機能検査値異常など、余り重大な副作用とは思えない副作用名が 記載されておりますし、4)には胆管癌、肝転移、腹膜転移と、事務局からの説明では安 全性では余り問題はなかったとおっしゃっていたのですが、かなりどきりとするような 副作用が書いてあります。  この出典を見てみますと、審査報告書の49ページの下側にあります「有害事象による 死亡(因果関係を問わない)」から取り上げられたのではないかと推察されるわけですが、 そうであるならば、上側の「有害事象による死亡(因果関係を否定できない)」からリン パ腫や食道癌、B細胞性リンパ腫などが取り上げられていないのは非常に不思議に感じ るわけです。全体的に何となく取って付けたような印象を受けますし、重大な副作用と いうのは字のごとく大変重要ですので、もう少し信憑性のある書き振りにしていただき たいと思いますが、いかがでしょうか。 ○望月分科会長 「重大な副作用」の記載の仕方についての御指摘ですが。 ○松本委員 堀内委員に説明していただきましたので、そのことも含めてよろしくお願 いします。 ○望月分科会長 説明はどちらからでも結構ですが。 ○事務局 御指摘を踏まえまして、適切に変更させていただきたいと思います。 ○望月分科会長 堀内委員、よろしいですか。 ○堀内参考人 適切な御指摘だと思います。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。 ○木津委員 審議結果報告書の「下記の3点を承認条件とした」という中で、「本剤に ついては、我が国において薬物動態試験が実施されることから」というのは、今後実施 される、まだされていないということですね。この表現の中で違和感があることと、「医 師に要請すること」という手段というか、添付文書にはどこにもそういうものはなくて、 ファイザーがどのような形で患者さんへのインフォームドコンセントを得るということ を医師に周知徹底されるのか、その辺のことについて御議論があったのかどうか教えて ください。 ○望月分科会長 ただ今の御意見に対して、事務局からお答え願います。 ○事務局 承認条件の文言につきましては、誤解のないような文章にするように検討さ せていただきたいと思います。  また、情報提供の方法につきましては、抗HIV薬については抗HIV薬related Drug 協議会という、通常はHRDと呼んでいますが、共同調査のグループがございまして、 そちらで情報提供等についても共同で行っておりますので、そちらを介して情報提供の 資材や、実際に患者様、この承認条件自体は各抗HIV薬に付いております承認条件で すので、既存のものと同じようなスタイルで情報提供をすることを予定しております。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見はございますか。 ○藤田委員 CCR5指向性ということで、検査をすることになっておりますが、検査 をして確認された患者のみに投与されるということが担保されるような方策は講じられ るのでしょうか。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。ただ今の点について、お答えいただけますか。 ○事務局 その点につきましても、情報提供を適切に行い、その指向性が確認された患 者様でなければ効果が期待できないことになりますので、しっかりと徹底させたいと考 えております。 ○堀内参考人 これは全症例の追跡調査を行いますので、メーカーが把握しております ので、その点については大丈夫だと思います。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。 ○土屋委員 細かいことですが、「用法・用量に関連する使用上の注意」のところで、(1) で減量の場合、(2)で増量の場合と言いながら、下の表は、減量と、中間に増やさない 場合が入って、増量になっています。そして、増量については相互作用の項を見なさい と言うのですが、かなり後ろの方に増量の話が入っていて、それを言うのであれば、減 量のところも相互作用の項を見なさいと。あっちへ行って、今度は元に戻りなさいとい うような、少し不親切な書き方がしてあるかなと思います。ほかの書き方でもいいです が、添付文書をもう少し分かりやすくした方がいいかなという気がいたします。 ○望月分科会長 添付文書の書き方について、もう少し分かりやすくということですが。 ○事務局 御指摘を踏まえまして、ユーザーフレンドリーな添付文書に変更したいと思 います。 ○望月分科会長 ほかに御意見はございますか。よろしいですか。それでは、ただ今御 指摘いただいた点を申請者にお伝えいただきたいと思います。特段の御異議がないとい うことですので、議決に入りたいと思います。堀内参考人にはお忙しいところありがと うございました。 ── 堀内参考人退席 ── ○望月分科会長 なお、永井委員におかれましては、寄附金等に関する申出に基づきま して、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。永井委員は後ろに用意してあ る席にお移りいただきたいと思います。  部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査 期間は10年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品の指 定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでし ょうか。  ありがとうございます。御異議無しと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規 程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働 大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任 いただいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。池田先生どうぞ。 ── 池田委員入室 ── ○望月分科会長 それでは、これより報告事項に入らせていただきます。御担当の部会 ごとに区切って報告をいただくことといたしますので、まずは、副作用・感染等被害判 定第一部会及び副作用・感染等被害判定第二部会の関係の議題4から、簡単に説明をお 願いいたします。 ○事務局 資料No.4を御覧ください。平成20年9月ないし11月に開催されました判定 第一部会及び判定第二部会の結果について御報告いたします。資料は、まず3回分をま とめたものをお示しし、その後ろに各部会の判定結果を示しております。  ここで3か所、資料の訂正をさせていただきます。いずれも原疾患の一部の記載が漏 れているものでございます。資料の10ページを御覧ください。通し番号4番は、原疾患 の欄に「間質性肺炎」とございますが、これに続けて「(ステロイド投与による二次感染、 骨粗鬆症の予防)」を追記ください。続いて、18ページを御覧ください。通し番号2番 は、原疾患の欄に「発作性上室性頻拍症」とございますが、これに「、浮腫」を追記く ださい。最後に、19ページを御覧ください。通し番号25番は、原疾患の欄に「急性腎 盂腎炎」とございますが、これに「、SLE、シェーグレン症候群」を追記ください。 資料の訂正は以上でございます。申し訳ございませんでした。  それでは、資料の1ページに戻りまして、判定結果(まとめ)に沿って御報告いたしま す。  副作用被害判定につきましては、新規218件、継続14件、現況22件の計254件につ いて御審議いただきました。審議結果については、支給決定することが適当と考えられ るものが218件あり、その内訳は資料に記載のとおりでございます。また、不支給決定 することが適当と考えられるものは26件あり、その内訳は医薬品の使用が適正であった と認められないもの8件等でございます。なお、疾病、障害等が医薬品により発現した と認められないものであって、行われた医療が救済給付の対象に該当しないもの1件は 重複でございます。また、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられたものは 10件ございました。  感染被害判定につきましては、第二部会において4事例について御審議いただきまし た。審議結果については、支給決定することが適当と考えられるもの3件、不支給決定 することが適当と考えられたもの1件でした。  副作用・感染等被害判定第一及び第二部会の結果の報告は以上でございます。 ○事務局 判定部会の関係で、神山委員から事前に御質問いただいている件でございま す。御質問は、「メルカゾールの不適正使用が続いているが、医師の側の不適正使用で 重い副作用が出ている患者を救済することはできないのか、そのような方向での制度改 革は予定されていないのか」という御質問でございます。  これは皆様よく御案内のとおり、医薬品副作用被害救済制度は、医薬品の副作用とい うものが適正に使用しても避けられない医薬品に内在する不可避のリスクであるという こと等から、製薬企業の社会的責任に基づく共同事業として創設され、すべての医薬品 の製造販売業者からの拠出金により運営されているものでございますので、医薬品が不 適正に使用された場合の健康被害については、当該医薬品自体が有する不可避のリスク というものではございませんので、救済の対象とならず、医師の不適正使用に起因する 健康被害を製薬企業の拠出金で救済することは困難と考えてございます。  なお、神山委員から6月の分科会におきまして、そのようなケースのADRによる救 済の仕組みというのはどうかという御発言もいただいております。御案内のとおり、医 政局の方で、医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方については、現在、 第三次の案を提示して、その中でADR制度の活用の促進についても触れられているわ けですが、これについては現時点でも検討中という状況でございます。以上でございま す。 ○望月分科会長 神山委員、よろしいですか。 ○神山委員 以前に望月先生も同じようなことを御発言されていると思うのですが、患 者が間違って不適正使用で補償されないのは仕方がないと思いますけれども、投与して いる医者が不適正使用で、ここからはじかれたらそれで終わりになるというのは、やは り患者の救済という面から不十分だと思いますので、ADRの活用というところで、も っと踏み込んでそういう仕組みを早急につくるという方向を是非お願いしたいと思いま す。 ○望月分科会長 そういう方向性については、御意見はございますか。 ○事務局 医薬品副作用被害救済制度では、仕組上、なかなか難しいと思いますが、そ のような別の観点の検討が必要だと思います。 ○望月分科会長 そういうことでよろしいですか。ほかに御意見はございますか。 ○溝口委員 支給、不支給の問題ではなく言わせていただくので申し訳ないのですが、 4ページの19番、葛根湯、救風ゴールドDXで、アナフィラキシー(様)反応及びそれに 続発したショック肝、多分、血圧が下がってだと思いますけれども、ショック肝になり ますので、今回は亡くなりはしなかったのだと思うのですが、非常に危険だと思います。 その理由は、これは一般薬ですので、どの程度一般に広がるかというのは分からないの です。いろいろな成分が入っている薬でしたら、そのうちの原因と考えられる成分を除 くような指導をするか、そういうことも必要だと思います。それから、お聞きしたいの は、これはOTC、薬剤師さんが説明して売る薬なのでしょうか。それとも、手に取っ て買ってしまえる薬なのでしょうか。それによって、ますます危険度が増すかと思うの ですが。 ○望月分科会長 ただ今の御質問について、いかがでしょうか。 ○事務局 こちらはかぜ薬でございますので、一般的に薬局等で消費者の方が手に取っ てお買い求めできるようなタイプのものということでございます。 ○望月分科会長 今の御質問は、もう少し踏み込んだ御質問だったのですが。 ○事務局 新しい分類では第二類に相当するものでございますので。 ○望月分科会長 これは純粋に葛根湯だけですか。それとも、何か加えてあるかという ことも質問に出たのですが。 ○事務局 この資料から中身の成分と詳しい情報は分かりませんが、葛根湯ということ でございますので、一般的な葛根湯製剤だろうとは思いますが、そこはまた調べさせて いただきたいと思います。 ○望月分科会長 お願いいたします。 ○溝口委員 ちょっと危険に思ってインターネットで調べましたら、アセトアミノフェ ンが入っていたのです。それがアナフィラキシーを起こしたかどうかは分かりませんが、 アセトアミノフェンだったと思うのですけれども、アセトアミノフェンそのものは、処 方して投与する場合は、薬の説明書を見ますと、アナフィラキシーショックが起こる可 能性があると書いてあるのですが、これを第二類で販売する場合に、そういうことが起 こる可能性があると記載しないのでしょうか。かぜ薬はたくさんいろいろなものが入っ ているので、結構危ないと思うのですが、その一つ一つの成分について洗い直して、こ ういう副作用が起こる可能性があると書いていないのかしらと思ったものですから、伺 いました。 ○望月分科会長 かぜ薬一般の話になるかと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局 添付文書の記載等でいろいろな注意が書いてございますが、そのような視点 もよく踏まえて、添付文書の注意の方を確認させていただきたいと思います。ありがと うございます。 ○望月分科会長 よろしく御指導のほど、お願いいたします。ほかにはよろしいでしょ うか。それでは、本件につきましては御確認いただいたものとします。  続いて、医薬品第一、第二部会及び医療機器・体外診断薬部会の関係の議題5〜14に ついて、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、議題5から御説明申し上げます。資料No.5を御覧ください。議題 5、販売名リカルボン錠1mg及びボノテオ錠1mgでございます。本剤は、一般名ミノド ロン酸水和物を有効成分とする骨粗鬆症の治療薬でございまして、本剤につきましては、 本年10月27日に開催されました医薬品第一部会におきまして、承認して差し支えない との御結論をいただいております。  なお、本品目につきまして、神山委員より事前に御質問をいただいております。御質 問の内容は、「服用方法も難しく、重い副作用も報告されているので、本当に必要な薬 なのか疑問がある」とのことでございます。  本剤は、いわゆるビスフォスフォネート系の骨粗鬆症治療薬でございまして、このカ テゴリーに属する医薬品といたしまして、既に承認されておりますアレンドロン酸ナト リウム水和物及びリセドロン酸ナトリウム水和物というものがございますが、これらに つきましては既に、日本を含め、世界各国で骨粗鬆症の治療薬として汎用されているも のでございます。本剤につきましても、これらの類薬と同様の骨折予防効果、あるいは 骨密度増加効果が治験で認められているものでございます。また、御指摘の服用方法及 び副作用につきましても、本剤につきましてはこれらの類薬とほぼ同様のものとなって おります。そのため、本剤につきましても、類薬と同様に患者さんや医師、薬剤師など の医療関係者への注意喚起が必要であると考えており、各種説明資料を通じて周知を図 るよう、申請者に指導しているところです。また、ビスフォスフォネート系薬剤につき ましては、販売する製薬企業が共同で患者さん向けのリーフレット、あるいは医療機関 向けのパンフレットを作成し、副作用に関する注意喚起を行っているところでございま して、これらの対策により適切に使用されることで、本剤についても骨粗鬆症薬の治療 に有効な医薬品となると考えているところでございます。  議題6、販売名ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mLでございます。本剤は、 一般名ラニビズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加 齢黄斑変性症を効能・効果とする医薬品でございます。本剤につきましては、本年11 月28日に開催されました医薬品第一部会において御審議いただきまして、備考欄の中ほ どでございますが、全例調査の承認条件を付した上で承認して差し支えないとの御結論 をいただいたものでございます。  議題7、販売名タシグナカプセル200mgでございます。本剤は、一般名ニロチニブ塩 酸塩水和物を有効成分とする医薬品でございまして、効能・効果はイマチニブ抵抗性の 慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病でございます。本剤につきましては、本年11月 27日の医薬品第二部会において御審議いただき、2ページの備考欄に記載のございます 承認条件、全例調査を付した上で承認して差し支えないとの御結論をいただいたもので ございます。  議題8、スプリセル錠20mg、同50mgでございます。本剤は、ダサチニブ水和物を有 効成分とする医薬品でございまして、効能・効果はイマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血 病、及び再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病でございま す。本剤につきましても、本年11月27日の医薬品第二部会において御審議いただき、 先ほどと同様、全例調査の承認条件を付した上で承認して差し支えないとの御結論をい ただいたものでございます。  議題9、インテレンス錠100mgでございます。本剤は、エトラビリンを有効成分とす るHIV-1感染症治療薬でございます。本品目につきましても、本年11月27日に開催 されました医薬品第二部会において御審議いただきまして、2枚目にございます三つの 承認条件を付した上で承認して差し支えないとの御結論をいただいたものでございま す。 ○事務局 議題10、医療用医薬品の承認条件解除について御報告申し上げます。資料No. 10を御覧ください。本剤は、アトピー性皮膚炎の効能で、平成15年7月に承認された 外用剤です。本剤については、早期に臨床現場へ提供すべきという要望が強い一方で、 その作用機序が免疫抑制効果によるものであること、また、使用する患者が小児である ことを踏まえ、がん原性には特に注意が必要であると考えられておりました。  平成15年6月26日に開催された薬事分科会での御審議に基づきまして、承認後、早 い段階で、本剤のがん原性に対する更なる知見を得ることを目的とする追加試験を行う 旨の承認条件を付したものです。今般、マウスによる追加がん原性試験の成績が提出さ れ、その内容について審査をしました結果、承認条件である「本剤のがん原性に関し、 更なる知見を得ることを目的とした試験を実施し、その結果を報告すること。」の内容 については確認できたものと考え、本年11月28日に行われた医薬品第一部会にて報告 し、御了承をいただいたところです。  本承認条件は薬事分科会での御審議に基づいたものであることから、本日、当分科会 において御報告させていただいたところでございます。以上です。 ○事務局 議題11、生物学的製剤基準の一部改正でございます。資料No.11でございます が、概要につきまして資料No.11-2を御覧ください。生物学的製剤基準は、ワクチン等、 生物学的製剤の製法、性状等について基準を定めたものでございます。今回の改正の経 緯でございますが、2番でございます。細胞培養痘そうワクチンの力価試験に、従来行 っております鶏卵を用いた方法がございますが、それに新たに鶏卵を用いない方法を追 加するということから生物学的製剤基準の改正を行うこととしまして、それに合わせて、 その他改正する必要があるかないかという点の検討を諮ってきたところでございます。 今般、3番にお示ししております事項につきまして、研究班での検討などを踏まえまし て、今回、改正をしようとしたものでございます。  大まかな内容でございますが、大きく四つの柱がございます。一点目につきましては、 先ほどの痘そうワクチンのように、現行の試験法に加えて代替可能な試験法を新たに追 加するもの。2ページでございますが、改正の二点目としましては、基準の改訂。これ は具体的に1件だけでございますが、血液製剤における発熱試験の投与量を、投与実態 あるいは海外の基準に基づいて研究班で検討された結果を踏まえて改正するものである こと。3ページでございますが、改正の三点目としましては、他の試験で担保されてい る試験法を削除するという改正。そして、四点目でございますが、記載の整備というも の。大きくこれらの変更を行う改正でございます。  本件につきましては、本年11月の医薬品第二部会において御審議いただきまして、こ の改正を行うことを御了承いただいたところでございます。  議題12、希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器指定品目でございます。資料No.12 を御覧ください。1ページおめくりいただきまして、品目の一覧がございます。まず、 医薬品でございますが、1番、アザシチジンでございます。こちらにつきましては、「骨 髄異形成症候群」を予定される効能又は効果といたしまして、希少疾病用医薬品の指定 について、本年10月の医薬品第二部会で御審議いただきまして、御了解いただき、11 月 17日付けで指定したところでございます。  2番、乾燥スルホ化人免疫グロブリンでございます。本剤につきましては、今般、「次 の疾患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合)」として「チャーグ ・ストラウス症候群」及び「アレルギー性肉芽腫性血管炎」を予定される効能又は効果 としてオーファン指定の申請があり、本年11月の医薬品第一部会で御審議いただき、希 少疾病用医薬品として12月11日に指定したところでございます。  3番、エクリズマブでございます。本剤は、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を予定 される効能又は効果としてオーファン指定の申請がございまして、本年11月の医薬品第 一部会における御審議の結果、希少疾病用医薬品として指定するものでございます。な お、本品目につきましては、申請者でありました米国Alexion Pharmaceuticals,inc.が、 今般、日本にアレクシオン ファーマ株式会社という日本法人を設立するということで、 この手続を踏まえ、指定することと考えております。  4番、タラポルフィンナトリウムでございます。本品目は、この次に御説明いたしま すPDT半導体レーザとともに使用し、「悪性神経膠腫に対する光線力学療法における 光感受性増強」という目的で使用される医薬品として希少疾病用医薬品の申請がなされ たものでございまして、本年10月の医薬品第二部会で御審議いただいたところでござい ます。お配りいたしました資料には、指定日が本年12月中〜下旬予定とありますが、こ の品目につきましては12月15日付けで希少疾病用医薬品として指定いたしましたので、 併せて御報告させていただきます。医薬品に関しましては以上でございます。 ○事務局 引き続き、医療機器につきまして、オーファン指定について御報告させてい ただきます。4番のタラポルフィンナトリウムと対で使用されますレーザでございます。 タラポルフィンナトリウムを投与いたしまして、悪性膠腫、神経膠腫に集まりましたも のに対してレーザを当てることにより、悪性膠腫を治療するものでございまして、こち らの医療機器につきましてもオーファンの指定という御審議をいただき、御了承をいた だいております。  6番の植込み型補助人工心臓システムでございますが、こちらも患者のQOLを、今 まで幾つか補助人工心臓が指定されているところでございますが、こちらも指定という ことで御審議いただいたものでございます。  議題13でございますが、視力補正用コンタクトレンズ基準の一部を改正することにつ いてでございます。こちらは、国際基準でございますISOの規格が改正されたことに 伴いまして、国際整合を図るための改正ということで御審議いただき、御了承いただい たものでございます。  議題14でございますが、PDA閉鎖セットでございます。こちらは、動脈管開存症で、 経皮的に動脈管を閉鎖させるためのデリバリーシステムとなっております。今まで外科 的に開胸手術により動脈管を結紮していたところでございますが、それを経皮的に行う ということでございます。経皮的に行うということでございますが、実際にその手技の ことや、何かあったときに手術に移れるようにということで、資料No.14の最後のページ にあります別紙7で、三つの承認条件が付されているところでございます。以上でござ います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医薬品第一部会長の永井委員から追加の御発 言等はございますでしょうか。 ○永井委員 特にございませんが、幾つか議論になりました点を御紹介したいと思いま す。議題5のリカルボン錠、ボノテオ錠については、先ほども御説明がありましたが、 内服法について患者さん指導用のリーフレット等を作る必要があろうということ、ある いは副作用も既承認薬と同様であるというような議論がされております。議題6のルセ ンティスについては、薬物動態、特に血中安定性についての議論がなされました。主だ った点は以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医薬品第二部会長の池田委員から追加の御発 言等はございますでしょうか。 ○池田委員 特にございません。ただ今御紹介いただいたとおりでございます。 ○望月分科会長 医薬品第二部会委員の早川委員から追加の御発言等はございますでし ょうか。 ○早川委員 特にございません。 ○望月分科会長 医療機器・体外診断薬部会長の笠貫委員から追加の御発言等はござい ますでしょうか。 ○笠貫委員 特にございませんが、議題14のPDA閉鎖セットでは、いかに安全に使う かということで、使用する医師、医療機関等について厳しい承認条件を付けて承認され たということを付け加えさせていただきます。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の先生方から、御意見、御質問等はござ いますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただいたも のとします。  続いて、化粧品・医薬部外品部会の関係の議題15、16について、説明をお願いいたし ます。 ○事務局 まず、医薬部外品の製造販売承認の可否について御報告させていただきます。 資料No.15、イゴラ ロイヤル Pについてですが、新有効成分の1-ヒドロキシエチル-4, 5-ジアミノピラゾール硫酸塩を配合した染毛剤です。本件につきましては、平成20年 11月5日開催の化粧品・医薬部外品部会におきまして御審議いただき、承認して差し支 えないとされ、薬事分科会に報告することとされたものです。承認後、2年間の安全性 に関する市販後調査を実施することを条件としております。  本件に関しまして、神山委員から、「添付文書において、目に対する注意事項を特に 目立つように記載させてほしい」との御意見をいただいております。染毛剤等につきま しては、その使用方法を誤ると、かぶれなどの皮膚障害を引き起こすおそれがあること などから、従来から製造販売業者に対しまして、使用上の注意を使用説明書等に適切に 記載するよう、指導してきているところです。業界では自主基準を作成し、その中で特 に重要と認識している事項については、添付文書の最初の方に表示することとしており まして、以下、使用の順を追って説明書きしております。消費者からの問合せ状況や苦 情相談の状況、あるいは社会状況に応じまして、注意書き事項を必要に応じて改訂する ようにしているということでございました。先生の御指摘を受けまして、その内容につ きましても、業界との調整を踏まえた上で、検討してまいりたいと考えております。  資料No.16、化粧品基準の一部改正について御報告させていただきます。本件につきま しても、平成20年11月5日開催の化粧品・医薬部外品部会において御審議いただいた ものです。化粧品につきましては、薬事法第42条第2項の規定に基づきまして化粧品基 準を定めており、その基準において配合禁止成分や配合制限成分を規定しております。 今般、資料No.16に示しておりますように、化粧品に配合できる防腐剤の新規収載成分と してピロクトンオラミンを、化粧品基準の別表第3の2、化粧品の種類により配合の制 限のある成分として追加するものです。化粧品・医薬部外品部会におきまして御審議い ただきました結果、化粧品基準の一部を改正することについて御了承をいただいており ます。現在、その結果を踏まえまして改正手続を行っているところです。以上、化粧品 基準の一部改正について御報告させていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございます。化粧品・医薬部外品部会長の溝口委員から御 追加はございますでしょうか。 ○溝口委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の方々から、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。 それでは、本件について御確認いただいたものといたします。  続いて、毒物劇物部会の関係の議題17について、説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.17に従いまして御説明させていただきます。毒物及び劇物取締法に基 づく毒物及び劇物の指定等の可否について、本年11月の毒物劇物部会において御審議い ただいたものでございます。全部で15品目御審議いただいておりますので、結果をかい つまんで御説明いたします。1番〜6番の品目については、いわゆる脱法ドラッグでご ざいまして、薬事法上の指定薬物とされているものでございますが、今回、データを収 集いたしまして、1番と3番のものについては毒物に、その他は劇物にそれぞれ指定す ることが適当であるとされたものでございます。7番のものについては、医薬品や農薬 製造用の反応用中間体として用いられるものでございまして、データから毒物に、8番 のものについては、農薬登録申請中のものでございまして、データから毒物に、ただし、 1.8%以下を含有する製剤は劇物にそれぞれ指定することが適当であるとされたもので ございます。9番〜11番のものについては、それぞれ毒劇物の指定内容の見直しをして おります。12番〜15番の物質については、有機シアン化合物として劇物にされているも のでございますが、今回、データに基づきまして、劇物の指定から除外することが適当 とされたものでございます。資料No.17につきましては以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。毒物劇物部会長代理の赤堀委員から追加の御 発言等はございますでしょうか。 ○赤堀委員 特にございません。 ○望月分科会長 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、化 学物質安全対策部会の関係の議題18について、説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.18に基づきまして、本年11月に行われました化学物質安全対策部会 で御審議いただきました有害物質を含有する家庭用品の規制基準の一部改正について、 報告させていただきます。1枚目の3.に改正の概要がございますが、本件で二つの基準 の一部改正について御審議いただいております。一番目が、ジベンゾ[a,h]アントラ センの基準の一部改正についてということで、ガスクロマトグラフ質量分析計の操作条 件を少し変えているということでございます。二番目が、ホルムアルデヒドの基準の一 部改正についてということで、確認試験の一部の記載を削除、また、試験溶液の採取量 について修正をしているということでございます。いずれも試験方法等に関する変更で ございまして、部会で御了解をいただいたものでございます。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。化学物質安全対策部会長の西島委員から追加 の御発言等はございますでしょうか。 ○西島委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の先生方から、先ほどの17、今の18について御意見、御質問等 はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、本件について御確認いただいた ものといたします。  個別品目の審議等の議題はすべて終了いたしましたが、ほかに何かございますでしょ うか。よろしいですか。それでは、公開案件の審議は15時35分から開始させていただ きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ── これより公開 ── ○望月分科会長 これより公開案件に入ります。議題19(資料No.19)「審議参加に関する 遵守事項について」です。本日は、審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会座長 の東京大学法学部教授 樋口範雄先生に参考人として出席いただいております。 それでは、初めに事務局より説明をお願いいたします。 ○総務課長 資料として資料No.19-1以下をお手元に配付しておりますが、私からは資料 No.19-1に沿いまして、本日御審議をいただきます新しい審議参加規程に至る経緯につい て御説明いたします。  1ページを御覧いただきますと、「はじめに」がございます。現在は、この分科会に おける審議参加に関するルールといたしましては、今年の3月24日に申し合わせが行わ れました「審議参加に関する遵守事項」、これは「申し合わせ」という形で決定をいた だいておりますが、それが5月から運用を開始しております。この申し合わせにおきま して、二つ目のパラグラフにございますが、ワーキンググループを設置いたしまして、 更に必要な改善方策について検討を行うこととされております。  10ページを御覧いただきますと、検討委員会の構成員名簿が付いております。今御紹 介がございました樋口先生を始めとする6人の委員で構成されております。1枚めくっ ていただきまして、この検討会において7月8日〜12月5日まで6回にわたり御審議を いただきまして、最終的な報告書の取りまとめは12月15日となっております。  1ページに戻っていただきまして、この検討会の検証の方法でございますが、2の(2) にございます。検証の方法といたしましては、申し合わせが適用された後の部会におけ る審議の参加状況、全国の医学部・薬学部に対するアンケート調査、諸外国、欧米の類 似の基準がどうなっているかということを中心に資料をお出しして、御審議をいただき ました。  検証結果は2ページ以降でございます。医薬品第一部会及び第二部会についてどうい う開催状況になっているかということですが、三つ目のパラグラフにございますように、 この間、全32の議題がございましたが、このうち、定足数の関係で言いますと、4議題 が定足数と同じ、14議題が定足数を1名上回る状況ということが分かっております。  後半では、真ん中の「次に」のところでございますが、国立医薬品食品衛生研究所の 長谷川部長を代表とする研究班を設置いたしまして、医学部・薬学部における寄附金・ 契約金等の状況について検証を行ったことが書いてございます。  2ページの下から3ページにかけましては、欧米の状況ということでございます。一 つだけ御紹介をさせていただきますと、3ページの二つ目のパラグラフで「その後」の ところでございますが、米国FDAの諮問委員会におきましても参加に関するガイダン スが暫定的なものとしてあったわけでございますが、本年の8月に正式なガイダンスと して制定されまして、後でも御議論いただくかと思いますが、審議参加の目安といたし まして「5万ドル」という金額につきましてはもとの案から変更がされなかったという ことでございます。  その結果、この検討会の現時点における検証の考え方が(3)に書いてございます。今の 申し合わせにつきましては、分科会の運営の中立性・公平性の確保のために一定の機能 を果たしていると考えられる、ただし、今後とも運用状況を注意深く見守る必要がある、 というのが検証の結果でございます。  (3)は「残された課題について」ということで、現行の申し合わせにつきまして、残 された課題について一つずつ御検証いただいております。細かくは省略いたしますが、 1)は、対象とする寄附金・契約金の範囲、特に奨学寄附金についてどう扱うかを御議論 いただいております。5ページの2)は組織の扱いということで、本申し合わせでは実質 的に委員個人あての寄附金を申告対象としておりますが、しからば、組織に対するもの、 学部あるいは病院といったものに対する寄附金をどのように取り扱うかを御議論いただ いております。7ページの3)は申告の方法ということで、現在の申告のスタイルが50 万円あるいは500万円というところで区切ってチェック方式により御申告いただいてい ることについて、検証をいただいております。4)は、申し合わせという位置付けについ てどのように考えるか。それぞれ四つの議題について御審議をいただいたということで ございます。  その結論が、8ページの「3 薬事分科会への提言」という形になっております。(1) として「審議参加に関する遵守事項」の位置付けということですが、現在のこの遵守事 項というものが申し合わせという形になっているわけでございますが、これにつきまし ては、国民への説明責任を果たすという観点からより規範性の高いものとして位置付け ることが適当であり、名称も「審議参加規程」などに改めることが適当であるという提 言がなされております。  (2)で、今申し上げました点以外の残り三つのことにつきましては、現時点において 直ちに見直す必要はないと考えられるものの、今回の検証は短期間で行ったということ も踏まえ、今後は少なくとも年1回、特例的な取扱いも含めた運用状況の評価あるいは 改善方策の検討を継続的に行っていくことが適当であるという御提言をいただいており ます。その検証あるいは検討のやり方につきまして、次のパラグラフに書いてございま すが、現在のような分科会の下のワーキンググループということではなく、委員の過半 数が外部有識者等で構成される分科会から独立した評価委員会を設置することが適当で あるという提言もございます。  最後に、「4 おわりに」で、薬事分科会におかれては、この提言を踏まえて、適切な 対応を希望するということが述べられております。  これを踏まえまして、次に説明する資料No.19-2の審議参加規程(案)を作成していると いうことでございます。 ○事務局 続きまして、資料No.19-2、19-3、19-4に基づきまして御説明させていただき ます。また、本日、左上に「参考資料」、右上に「当日配布」といたしまして、現行の 申し合わせである「審議参加に関する遵守事項」も机上に置かせていただいております。 まず、資料No.19-2の説明に当たりましては、現行の申し合わせと対照させた形で御説明 させていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、資料No.19-2「薬事分科会審議参加規程(案)」について御説明いたします。 冒頭に、「本規程制定の経緯」という形で、今、総務課長からも説明がありましたとお り、規程の制定に当たっての経緯について、1ページ〜2ページにかけて規定しており ます。こちらは、現行の申し合わせの「はじめに」に経緯が書いてあるところを踏襲し、 今申し上げました審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会の検討の経緯も加えた 形で書いております。  資料No.19-2の2ページの中ほどに、「国民の皆様へ」を設けております。これは、現 行の申し合わせの6.に「国民の皆様へ」というメッセージを3月に薬事分科会で御審議 いただきましたときに付け加えておりますので、その内容をこちらに記載しております。  2ページ、第1条、「通則」でございます。こちらは、「申し合わせ」から「審議参 加規程」という規程にするに当たりまして、新たに位置付けについて明確に示すために 置きました。薬事分科会、分科会に設置された部会、部会に設置された調査会における 審議への参加につきましては、薬事・食品衛生審議会令、薬事・食品衛生審議会規程及 び薬事分科会規程に定めるもののほか、この規程に定めるという形にしております。  第2条、「適用対象部会等」でございますが、これは、現行の申し合わせの2.の(1)、 「適用対象部会等」の内容を、規程の書き振りに合わせて置いております。  3ページ、第3条、「適用対象審議」でございますが、こちらにつきましては、現行 の申し合わせの2.の(2)、「適用対象審議」の内容をそのまま書いております。  第4条、「適用対象委員等」でございますが、これも、現行の申し合わせの2.の(3)、 「適用対象委員等」の内容を書き移しております。  第5条、「申請資料作成関与者の取扱い」でございますが、これは、現行の申し合わ せの「3.委員等が申請資料作成関与者等である場合の取扱い」の(1)の内容を、規程と して定めております。  4ページ、第6条、「利用資料作成関与者の取扱い」でございますが、こちらも、現 行の申し合わせの3.の(2)について、記載を規程の形式に改めて移しております。  第7条、「競合品目に係る申請資料作成関与者の取扱い」でございますが、こちらは、 現行の申し合わせの3.の(3)に同様の項目がございますので、その内容を移しておりま す。なお、現行の申し合わせの注3.におきまして競合品目の定義が書かれておりますの で、その部分につきまして括弧書きでこちらの条に加えております。内容は現行の申し 合わせと同じ形にしております。  第8条、「特別の利害関係者の取扱い」でございますが、こちらは、現行の申し合わ せの3.の(4)の形になります。こちらも、競合企業の定義については、現行の申し合わ せの注3.の内容を括弧書きで追加しております。  5ページ、第9条、「競合品目の選定根拠」でございますが、こちらは、現行の申し 合わせの注3.で、先ほど追加しました競合企業、競合品目の定義を除いた残りの注3. の部分について、第9条として新たに内容を盛り込んでおります。  第10条、「議事録」ですが、これは、現行の申し合わせの3.の(5)の内容です。  第11条、「寄附金・契約金等」でございますが、こちらの内容は、現行の申し合わせ の注5.と注6.の内容を第11条として置いております。  第12条、「審議不参加の基準」でございますが、これは、現行の申し合わせの4.の(1) の「審議不参加の基準」をもってきております。  第13条、「議決不参加の基準」は、現行の申し合わせの4.の(2)になります。  6ページ、第14条〜第17条の各規定でございますが、こちらの内容は、現行の申し 合わせのそれぞれ4.の(3)〜4.の(6)の内容をそのまま移しております。  第18条、「その他」でございますが、こちらは、現行の申し合わせの注2.におきま して、「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議」以外の審議の取扱いについ て定めておりましたので、注2.の内容をもってきております。  報告書の提言におきまして、今後の引き続きの検討の手法についても言及がされてお りましたので、現行の申し合わせの4.の(8)に書いてございますワーキンググループに 代えまして、第19条として「評価委員会の設置」という形で、「分科会から独立し、委 員の過半数が外部有識者等で構成される評価委員会を設置し、少なくとも年1回、特例 的な取扱いを含めた運用状況の評価及び必要な改善方策の検討を継続的に行う」として おります。「なお」以下の部分につきましては、従前、申し合わせの内容で定められた ものを、こちらにも示しております。  以上、資料No.19-2はこのような形で、現行の申し合わせの内容や取扱いについて変更 はせずに、より規範性の高いものとして薬事分科会における審議参加規程という形で取 りまとめた案でございます。  続きまして、資料No.19-3「審議参加に関する確認事項(案)」でございます。この内容 につきましては、現行の申し合わせの参考資料にございましたQ&Aの内容につきまし てて、そのまま確認事項という形で、引き続きこの内容について御確認をいただければ と考えております。なお、この確認事項の4でございますが、「第15条に規定する自己 申告に当たっては、別紙様式を用いること」といたしまして、1枚、2枚めくっていた だきますと、寄附金・契約金等の受取額の申告書がございますが、こちらは現在使って いただいている様式と全く同じものでございます。こちらが確認事項でございます。  最後に、資料No.19-4「薬事分科会規程の一部を改正する規程(案)」についてでござい ます。今般、薬事分科会審議参加規程を新たに定めるに当たりまして、薬事分科会規程 の所要の改正を行うものでございます。薬事分科会規程の一部を改正する規程(案)でご ざいますが、1ページめくっていただきまして、新旧の対照条文で御説明をさせていた だければと思います。  第1条、「通則」でございます。改正案を御覧いただきますと、下線が引いてある部 分でございますが、「薬事・食品衛生審議会規程及び薬事分科会審議参加規程に定める もののほか、この規程に定めるところによる」という形で、薬事分科会審議参加規程を 設けたことによる所要の改正となっております。  第5条、「会議」でございますが、現行と改正案を見比べていただきますと、「部会 長」のところを「分科会長」、また「当該部会員」のところを「分科会員」という形で の訂正となっております。現行の第5条の書き振りですと、これらの規程が分科会に係 る形には明示されていませんので、今回、第1条の改正に合わせまして、「分科会長」 とすることにより、そこを明示的にするものでございます。  1ページめくっていただきまして、第6項でございますが、分科会でこれら第1項か ら第5項までの規定、並びに第6項といたしまして、第1項及び第3項から第5項まで の規定については、部会又は調査会における調査審議についても準用するという形にし ております。  第10条、「委員等の派遣」でございますが、こちらも同様に、「部会長」を「分科会 長」に改正いたしまして、新たに第2項といたしまして、「前項の規定は、部会又は調 査会の委員等の派遣について準用する」という形での改正の案でございます。  説明は以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。続いて、樋口参考人より補足等がございまし たら、よろしくお願いいたします。 ○樋口参考人 せっかくの機会ですので一言申し上げますが、実は今の事務局の説明で 要点は尽くされておりまして、私がこれから申し上げることはその重複の部分でありま す。  私は法科大学院その他で教えておりまして、今日も3時まで法科大学院で「生命倫理 と法」という授業をやってきました。法科大学院というのは今、法曹倫理というのを必 修科目にしておりまして、どこの法科大学院でも必修科目なのです。それで、法曹倫理 という授業に学生全員が出ていますから、生命倫理と法というところで行っている問題 と比べてどのような感じを持っているかと聞きましたら、非常に似ているという回答で した。例えば、利益相反やコンフィデンシャリティ、守秘義務という部分において共通 する課題を提示する部分が多くて、そういう意味で非常に面白いというようなことを言 ってくれました。  この利益相反に関する、あるいは審議参加の条件に関する検証・検討委員会の、たま たま私が座長ということだったのですが、先ほど事務局もおっしゃってくださったよう に、関係した構成員の方は非常に熱心に議論を重ねてくださって、先ほどのような提言 になったわけです。  その提言は、これも重複しますが、提言の基となった根拠は、この分科会等で現行の 申し合わせと言われる遵守事項のルールを適用してみたらどのような不都合が出てきた か、あるいは出てこなかったかというデータが一つです。二つ目には、長谷川班という、 長谷川先生のところで全国の医学部・薬学部へ調査をしていただいて、寄附金等の取扱 いをどうやっているかを調べていただいたものの暫定結果が出てきて、これもまた興味 深い結果を示していたわけです。それから、薬事の場合は3極合意という言葉が象徴し ているように、欧米の動向とも照らし合わせる必要があるということで、アメリカその 他ですが、こういう問題についてどうなっているかを引き続き調べていただきました。  そういうものを基にして、しかし、この検証の期間も短いですから、取りあえず現行 のルールはそのままでよろしいのではないだろうかというのが一番大きな結論です。た だし、利益相反についてセンシティブというか、意識をきちんと皆さんが払っておられ ることをより明確に示すために、「申し合わせ」という形ではなく「規程」、それを検 証するのも「ワーキング・グループ」という形ではなく「評価委員会」という形で設置 しておかれた方が、患者あるいは国民の目から見て納得がいくような形になるのではな いだろうかというようなことを、今度の報告書の中では申し上げたわけです。取りあえ ずはそのくらいでよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の方々から御意見、御質問等をいただき たいと思いますが、いかがでしょうか。 ○藤田委員 この検討会での報告書については、私も非常に賛成ですし、こういう規程 を作るということには賛成します。資料No.19-2で私が気になっているのは、第11条、 「寄附金・契約金等」の中に「報酬」が入っていることです。2ページの「国民の皆様 へ」というところで、「寄附金・契約金等の意義とその透明性」うんぬんというのがあ るのですが、「等」が入っているということは、これは個人の報酬や株式も含まれるこ とになると思うのです。これが純粋に委任経理金と言いますか、奨学寄附金や研究契約 金ということですといいのですが、「等」が入っているために、報酬もこの「国民の皆 様へ」の文章の中に含まれることになりますので、この点は非常に気になります。 ○望月分科会長 「等」についての理解ですが、いかがでしょうか。 ○樋口参考人 私が答えていいものかどうかもよく分からないのですが、先ほどの学生 の話に戻って恐縮ですけれども、利益相反が、法曹であれ、医薬研究者であれ、そうい う専門職の人で問題になるという、一番典型的な形は、例えば、法曹であれば依頼人の ために働くという利益がある、お医者さんであれば患者のために働くという利益がある、 それと相反する利益が自分の中に入り込んでくる可能性があるということです。入り込 んでくる利益には様々なものがあるのですが、一番気を付けないといけないのは、俗で はあるのですが、私的利益ということ。いろいろな情報が入ってくる場合に、自分の利 益も図りたくなるということがあるので。  ですから、私はもしかしたら他の人たちとは少し考えを異にしていて、この寄附金・ 契約金等は、これは個人的な見解を申し上げますが、本当の意味で研究教育のための助 成というのは、本当は私的な利益とは言えないものなので、それに対する利益相反は、 本当は許された利益相反というか、あってしかるべき利益相反というか、それを情報公 開してありさえすればいいようなものだと思うのです。逆に、報酬など、私的な利益で 入ってくるものについては、むしろきちんと、それについてはこういうルールでやって いますということを、国民の皆様にも、先ほどの範疇よりもより一層ということですが、 御説明した方がいいようなものではないだろうかというふうに考えております。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。ほかに委員から御指摘はございますでしょうか。 ○笠貫委員 申し合わせのときに参加させていただいた者として、申し合わせから規程 に変わったことは高く評価すべきだと思います。新たな資料として、長谷川班の研究内 容は、大事なことを意味していると思います。申し合わせのときの検討の際にも、奨学 寄附金をどうするのかという議論が大分なされたと思うのですが、長谷川班の結果では、 奨学寄附金について、各大学、組織によって非常に差があることがはっきりしました。 奨学寄附金の経理方法に関する規程や管理、すべてが非常にばらつきがあることについ て、現状認識としてはいいと思うのですが、これからの奨学寄附金の在り方という観点 から、きちんとしたルール、明文化した規程を作り、管理していくことを求めた方がい いのではないかと思いました。特に、今回の規程案の中に「国民の皆様へ」という項が ありますが、これは組織に対しても、この「希望する」というところに入れていただい た方がいいのではないだろうかという感じがいたします。  もう一つは、組織に対して利益相反への理解と協力と言いますか、規程と運用のルー ル作りをやるべきだという意味まで含めても、指導的な方向性を出してもいいのではな いかと思いました。それから、前回の1回目のパブリックコメントのときにも感じたこ とですが、公開性と寄附金に対する国民的なコンセンサスを得るためには、公開に対す る研究者と企業の理解を求めるということも、「国民の皆様へ」を書くならば、それが あってもいいかなと感じたのですが、いかがでしょうか。 ○望月分科会長 前からの問題ですが、そういう形で、ある意味では過渡期かなという ことですが、それについて御意見はございますでしょうか。 ○池田委員 お伺いしたいのですが、情報を公開するというのは、基本的なスタンスと しては私はよろしいと思うのですが、第17条に、各委員等から提出された寄附金・契約 金等に係る申告書をそのままということになると、今の申告書を意味していると理解し てよろしいのですか。そうすると、額だけで、その額が何に対して申告されたのかとい う内容については全く分からないわけです。そうすると、要らぬ誤解を、例えば、それ こそ500万円以上ということで、そんなにもらっているのかという話になると、これが 本当に奨学寄附金なのか、あるいは、私などの場合は部門に寄附講座ができています。 寄附講座というのは明らかに個人に対するものではないし、これで読むと、学部長ある いは施設長等の立場で組織に対してということなので、本来ならば申告しなくてもいい のかなと思うのですが、私の立場からすると、これはしておいた方がいいだろうと。広 い意味での利益相反という考え方からすると、ある企業がそこに寄附講座を設けたとい うことは全く無関係ということではないものですから、当然のことながら私は申告する と。そういうものも、それから、いわゆる報酬、講演などいろいろなものが一緒になっ て、単に額だけで申告がオープンになること自体が、非常に違和感を感じます。 ○望月分科会長 笠貫委員、池田委員の発言に対して、事務局からお願いします。 ○総務課長 まず、池田委員のお話でございますが、確かにかなり幅広く申告をしてい ただいているのだろうと思いますが、規程案の第11条のただし書きにございますよう に、形式上は委員本人あてであっても、学部や施設に対するものということが分かる場 合には、それは除くという形での取扱いにさせていただいています。これは申し合わせ のときからの継続ということでございます。いずれにしましても、私どもとすると、ど ういう御申告をいただいたかということにつきまして、加工せずに公開させていただく というのが今までからのやり方でございましたし、今後ともそういう形でやっていきた いと思います。  それから、奨学寄附金の取扱いについて笠貫委員からお話がございました。資料No.19-1 の検討委員会の報告書の中にもございますが、1ページを御覧いただきますと、本委員 会でどういうことを議論するかということにつきまして、2(1)がございます。あくま で本委員会のミッションといたしましては、製薬企業等から教授・研究者等が寄附金な どを受けることを大学等の組織としてどのように評価するかということではなく、寄附 金などを受けておられる教授・研究者等が薬事分科会に委員として参画することをどの ように評価するか、後者の問題であるということをまず御整理いただいた上で、ただ、 奨学寄附金の問題につきましては、今後とも透明性あるいは公開性をもっと高めていく べきだということで、これは樋口座長から御紹介いただいた方がいいのかもしれません が、9ページの「おわりに」の最後のパラグラフ、「なお」というところでございます が、奨学寄附金につきまして、長谷川研究班のアンケート調査から見ると、各大学にお いても取扱いがまだ定まっているとは言えないと。しかしながら、情報公開の範囲につ きましては、個人情報の保護等様々な観点に留意する必要があると考えられるが、今後 とも、奨学寄附金の位置付けの明確性あるいは情報公開の透明性が一層高まる方向での 検討が進められることを望みたいと書かれております。ここは薬事分科会に対する話と いうよりは、世間一般、特に大学関係者を含めた、この検討委員会での御提言という形 で付記されているところでございます。 ○望月分科会長 そういうことでございますので、よろしいでしょうか。 ○笠貫委員 「経緯」の中に「国民の皆様へ」が初めに入っていますね。前の申し合わ せのときにも、国民だけではなく、機関に対してもそういう旨のことが書いてあったよ うに思ったのですが、これでいくと、申し合わせのところでは、国民の皆様への理解だ けという印象を受けると思ったものですから。あのときには、長谷川班の示されたよう に、悲惨な結果ではなかったという認識であったことから言えば、差があってもいいか なとは思います。「経緯」のところに、組織について、特に奨学寄附金についての問題 点を少し加えていただけたらと思いました。  報告書には、最後のところに「今後、奨学寄附金の位置付けの明確性や情報公開の透 明性が一層高まる方向で」と書いてあるのですが、規程において、「経緯」が残るなら ば、そこも書いていただいた方がいいかなと思ったのですが。規程では、前の「経緯」 はなくて、通則だけが残るのでしょうか。 ○望月分科会長 樋口委員、お願いします。 ○樋口参考人 事務局の説明の繰り返しになりますが、この検証・検討委員会の役割は 何かという話と、今度、申し合わせではなく、それをランクアップというか、規程とい う形にしましたが、内容は、御存じのように、薬事分科会の審議に参加するための条件 その他を示しているので、各大学において奨学寄附金をどういう形でやるかということ は、非常に関連があって、こちらの立場としてはできるだけこういうふうにしてもらい たいということはもちろんあるのですが、ここで定めていることの範囲を少し越えた話 ではないだろうかと考えられます。それで、薬事分科会として、審議参加の条件として はこういうものを定めますというのを明らかにするのが第一であり当然でありますが、 それとともに、あるいはそれに密接に関連する礎として、それについては、利益相反に ついて薬事分科会でもこれだけ真剣に意識しておりますが、利益相反というのはいろい ろな意味で使うことがあり、また誤解も多い言葉でもあるので、国民の皆様には十分理 解していただきたいということも、かつて申し合わせの中に入れておいたので、今回は 規定の前の経過を説明するところで、それをいかして残しておこうということだったか と思われます。 ○望月分科会長 そういう形で、今回の規程においても、前回の申し合わせと同じよう な形の内容を入れたということです。 ○井部委員 薬事分科会審議参加規程、申し合わせ事項ですが、この規程に関しまして はよろしいと思うのですけれども、私は前回欠席したので十分に分かっていないところ があるかもしれませんが、「国民の皆様へ」の位置付けです。なぜここで、国民に呼び 掛けをしなければならないのか、奇異に思います。この参加規程そのものは基本的には 国民は見ないと思うので、ここに呼び掛けをしてどうなるのかという感じが率直にいた します。国民に理解してもらうためにこの参加規程が作られているのではないかと思い ます。さらに、第19条の最後に「幅広い国民の意見を反映できるよう留意する」という 文言も入っているので、なおの事、国民にこのようにしているから分かってくださいの ようで、弁解がましいのではないかと感じます。どうして国民への呼び掛けをここに置 かなければいけないのかということを教えていただければと思います。 ○望月分科会長 これについてはいかがでしょうか。私もある程度答える義務があるの かもしれませんが。 ○総務課長 私も、現在の申し合わせができたときにはこの職におりませんでしたので、 正確なことを申し上げる立場にないのですが、今回の申し合わせ、あるいは新しい規程 につきましても、まず、どういう立場でこれを作っていただくかというと、この分科会 としてお作りいただくということであろうかと思います。  現在の申し合わせができましたときに、今日はそれほどいろいろ議論はございません が、樋口先生からもお話のありました、利益相反というもののとらえ方について、寄附 金や研究費をもらうことそのものが何か悪いことであるというようなことの誤解のない ように、この審議参加に関するルールを作ったときに、いろいろな情報公開も行います が、そのこと自体をもって何か悪いことであるとか、そういうことの誤解のないように ということで、この分科会の御意思として、現行の申し合わせでも「国民の皆様へ」と いう項目が付いていると聞いております。  繰り返しになりますが、現行規程におきましても、場所は違いますが、やはり現在の 分科会の各先生方のお気持ちというのは、誤解のないようにというところを呼び掛けた いということであろうかということで、事務局としては、「国民の皆様へ」という内容 は残させていただいたという経緯でございます。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。それから、やはり薬事分科会というもの自身が、 国民の目にさらされていると言ったらおかしいのですが、それを意識しないではいけな いという考えが、前の委員会から伝わっているかと思います。樋口先生、その辺りはい かがでしょうか。 ○樋口参考人 今おっしゃってくださったとおりだと思います。例えば、私がもっと若 かったころ、産学連携というのは、必ずしもプラスの言葉ではありませんでした。はっ きり言えばマイナスの言葉でした。しかし、この20年来だと思いますが、アメリカその 他でも、産学連携で新しい良い薬を作らないといけないという話があり、日本も同じよ うな方向をたどっているのだと思います。そうすると、産学連携の中で、製薬会社その 他から大学に、研究の資金、教育の資金、それから、直ちに薬につながらなくとも基礎 医学も含めてだと思いますが、そういうところへ援助していただくというのは、国民の ために良いことだという話があるわけです。しかし、一方で、私的な利益等も介在する 契機が確かにある。奨学寄附金として得られる研究費は全部、そう言ってしまえば公的 なもので、それを奨学寄附金と呼んでいるなら、極めて明るい、公のお金を預かってい るというようなものだと考えることもできます。公というのは国からという意味ではな いのですけれどもね。そのように考えればいいのですが、そうは言っても、本当にすべ て明るい公的利益のためなのか、なかなか境界がつけ難いところがある。それから、先 ほどの長谷川班の報告の中でも、会計の管理等が十分でない大学もあるという状況では、 そんなに簡単に国民の皆さんにも当然理解してもらえるものだからとは言えない状況に もあるので、なかなか難しいということなのだと思います。ですから、そういう点をで きるだけ誤解のないようにお願いしたいという趣旨を入れておきたかったということだ と思います。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。 ○井部委員 私は規程の条文として違和感があるということです。 ○神山委員 急用があってこれで中座させていただきます。おっしゃるとおり、申し合 わせのときに入っていたのは分かるのですが、これが規程になってもなおかつ「国民の 皆様へ」が入っているというのは、何となくおかしいような気がします。ですから、こ の文章が入るとしたら、報告書の方に入れるとかしていただいた方がよかったかなと思 います。報告書を今から変えるわけにはいかないのですが。ただ、規程に「国民の皆様 へ」が入るのは違和感があるということは、私も思っております。 ○望月分科会長 神山先生も同じ委員だった、前の申し合わせを作ったときの委員会の 中でも、そういう議論はずっとされていたと思うのですが、結局、完全なものはでき得 ないということで、まだまだこれからも直していかなければいけない、その中途の現段 階で規程としたときには、やはり「国民の皆様へ」というのを残しておかないと、いろ いろ考えの違いを収容し切れないと、私は正直に思うのですが、樋口委員、よろしいで しょうか。 ○樋口参考人 そう思います。 ○西島委員 私も検討委員の一人だったのですが、この「国民の皆様へ」というものが 申し合わせのときには最後に入ったわけです。今回、規程となってここに現れるという のは、私も先ほど初めて目にして違和感を感じました。内容的には全く問題ないと思い ます。このような内容であれば、あえてここに抜き出さないでも、「経緯」の中に盛り 込めるのではないかと思うのですが、その方向で検討していただければいいと私は思い ます。 ○笠貫委員 規程で「国民の皆様へ」に前の申し合わせのとき報告書に書いたものをそ のまま載せるのは、違和感を感じます。大事なことは「経緯」のところに、国民の視点 というキーワードと、国民の視点で国民の理解を得るとともに、企業と大学と研究者の これからの理解と努力が必要だと、みんながそういう努力をしないといけないというこ とを普遍化した言い方をすれば、「国民の皆様へ」ということではなくても、「経緯」 の中で伝えられるのではないかなという感じがします。国民の理解というだけではなく、 産と学の理解も必要だということを、文章としては入れていただいたらいいかなと思い ます。 ○藤田委員 先ほど「等」を問題にしたわけですが、そのときに樋口先生は私的利益と 少し違うという発言をされたと思うのですけれども、「経緯」の中で「寄附金・契約金 等」という言い方ではなく、「奨学寄附金」あるいは「研究契約金」という言い方で、 きちんとした位置付けで「経緯」の中に入れていただければと思います。 ○土屋委員 本来読んでいただきたいのは、この規程を中で読める人ではなく、読んで いない人に伝えたいというのがあるのだと思います。こういうものを読む前に、こうい うことがあるのだということを。ちょうど今、添付文書が情報公開されていますが、そ こに国民の皆様へというか、患者さんが、専門家でない人がこの文章を読むときに、こ ういう気を付けなさいというのがホームページであれば出てきて、そういう解説に当た るところが、まさにここの「経緯」と「国民の皆様へ」という話だと思います。ですか ら、そういうところを考え合わせるといいのかなという気がいたしますし、添付文書で も前によく申し上げたのですが、添付文書を熟読することという警告を添付文書の中に 書いても実効性がないのではないかということがあって、「国民の皆様へ」というのは 本当に理解していただかなければいけないことなので、余計、実効性を持たせるために は、他のところにきちんと書いておいた方がいいのかなという気もいたします。 ○望月分科会長 事務局から御意見はございますか。 ○総務課長 事務局から提案をさせていただくというのは僭越かもしれませんが、確か に、参加規程という形にしましたときに、第1条の前の、言わば前文の部分ですが、「本 規程制定の経緯」と「国民の皆様へ」という二つの見出しだけがついているというのは、 とても目立つという印象があるのかもしれません。そういう意味では、前文ということ でございますが、特に見出しが必要ということではないので、二つの見出しは取らせて いただいて、「国民の皆様へ」という文章につきまして、2行目の「国民の皆様にも」 と書いているところを、「関係者、ひいては国民の皆様におかれては」など、そういう 形で、国民の皆様だけに呼び掛けるのではないということで、若干の文章修正をさせて いただければいかがかなと思います。もう一度申し上げますと、「国民の皆様へ」の2 行目の文章のところを、「関係者、ひいては国民の皆様におかれては」というような形 で文言修正をして、見出しをつけないというような整理ではいかがでしょうか。 ○望月分科会長 そういう形で修文をしていただくということでいかがでしょうか。内 容としては、今までもってきたものをここに盛り込むということで、これのほかに書い ても、国民の皆様の目には触れにくいということで、どうしてもここに入れざるを得な いと思うのですが、入れ方と入れる場所について、ただ今御説明されたような形にいた したいと思いますが。 ○池田委員 違うことで質問ですが、長谷川班の調査が暫定集計結果ということですけ れども、これは公表されているのですか。不勉強で大変申し訳ないのですが、ホームペ ージなどに載っているのですか。 ○総務課長 検討会の資料としては公表されておりますが、最終的な集計は今やってい ただいている最中だと思いますので、研究報告としてまとまった段階でまた報告をさせ ていただきたいと思います。 ○池田委員 質問票とか、そういうものも全部載った上でこれが集計されているのです か。というのは、この時代に奨学金の使い道を大学が全く決めていないで勝手に使って いいというようなものが、これを読むとまだ3割くらいあるようなことが書いてあるの ですが、個人的には信じられないという気がするのです。ですから、そういうことを考 えて、奨学寄附金を何もかも一緒にして、奨学寄附金という一括りですること自体が、 長谷川班の結果に基づいてなかなか決めにくいということでそうなっていると思うので すが、先ほど笠貫先生もおっしゃったように、奨学寄附金というのはもう少しきちんと した形で取り扱う、あるいは透明性を確保するということが基本ではないかと私は思っ ているのです。そういうことがきちんとできていれば、この問題は、先ほどの大学の教 育のために企業が出したものはこれに含まれないなどという、その辺のファジーなとこ ろが解決できると思うのです。ですから、その基礎のデータが本当に、これは結果とし てここに報告されているのですが、そういうものなのかなということを非常に違和感を 持って読んだのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○事務局 池田委員からの御指摘の点ですが、暫定集計結果ではございますけれども、 どのような質問をしたか、また、その選択肢も含めた上で、結果をホームページに掲載 しております。例えば、「製薬企業からの奨学寄附金について、学内の制度的な位置づ けがありますか」という問いに対して、答えといたしまして「明文化した規程がある」、 「明文化していないが取り扱いのルールがある」、「特にルールはない」という聞き方 をいたしまして、全体として63.6%のところが「明文化した規程がある」、12.1%のと ころが「明文化していないが取り扱いのルールがある」、24.2%は「特にルールはない」 という回答でございます。このようなものについて国公立、私立、それから医学部、薬 学部に分けてすべて集計した結果は、検討会の資料という形で既にホームページで公開 させていただいております。 ○望月分科会長 そういうことも含めて、現段階では大学についても、あるいは国民の 意識についても中途の状態であるということが、こういう多少分かりにくいような文章、 規程を作らざるを得ないということだと思います。いずれにしましても、第19条で、分 科会から独立した評価委員会を設置して、少なくとも年1回、特例的な取扱いを含めた 運用状況の評価及び必要な改善方策の検討を継続的に行うということでうたわれている のは、この規程がこのままずっと続くのではなく、世の中の変化に応じてこれも変えて いくという意思がここに示されたのだと私は理解しております。  そういうことで、いかがでしょうか。先ほど総務課長から言われた修正を盛り込んで、 この参加規程を御了承いただければと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、本 件について薬事・食品衛生審議会規程第5条に基づき御了承いただいたものといたしま す。  本日の議題はすべて終了いたしましたが、ほかに何かございますでしょうか。 ○事務局 来年の1月に薬事・食品衛生審議会の改選がございます。委員の皆様におか れましては、多くは平成19年1月から御就任いただき、当分科会を開催してまいりまし たが、このメンバーでの分科会は本日で最後になります。高井医薬食品局長から一言お 礼のごあいさつを申し上げます。 ○医薬食品局長 医薬食品局長の高井でございます。本日は大変長い間御審議いただき ましてありがとうございます。今申しましたように、この薬事分科会は本年最後の分科 会でございまして、また、このメンバーで開催するということでは本日で最後というこ とでございます。お礼を申し上げたいと思います。  委員の皆様方の任期は来年の1月までとなっておりまして、一部の先生方におかれま しては、審議会の任期の規定がございまして、退任される方もおられます。ですので、 本日は一つの区切りということでございます。  この2年を振り返ってまいりますと、新薬、新医療機器の審議も随分していただきま したし、今日の審議参加の規程なども随分御審議いただいて、大変有り難く思っており ます。この審議会が医薬行政の国民の期待にこたえるものとなるように、引き続き皆様 方の高い識見を賜りまして、いろいろと御指導いただければと思っております。  最後でございますが、先生方のますますの御活躍をお祈り申し上げまして、お礼の言 葉とさせていただきます。ありがとうございました。 ○望月分科会長 この2年間、分科会長としてなかなか行き届かなかったのですけれど も、非常に多くの問題が出たのですが、それにもかかわらず、皆様の御協力の下に、適 切に対応できたと思っております。これからも、少しでも早く良い薬を世の中に出すと いうことに、私どもが協力できればよいかと思っております。これまで本当にありがと うございました。それでは、本日はこれにて薬事分科会を閉会させていただきます。ど うもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)