08/12/17 第49回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成20年12月17日(水)9:31〜10:34 2 場   所   東海大学校友会館 阿蘇/朝日の間  3 出 席 者  前田雅英部会長 遠藤久夫委員 牛丸聡委員 庄司洋子委員          対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 松浦稔明委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 渡邊自修専門委員          <事務局>          水田保険局長 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○平成20年度薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされ た事項について ○前田部会長  定刻になりましたので、ただ今より第49回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開 催いたします。まずは委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全員御出席とい うことでございます。なお審議官は公務のために欠席されるという御報告を受けておりま す。  それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。平成20年度薬価制度改革に おいて引き続き検討を行うとされた事項のうち、日本製薬団体連合会が提案している特許 期間中の新薬の薬価改定方式について、これまで2回専門委員から御説明を承って、それ から議論をしてまいったところですが、本日はこれまでの議論を踏まえて事務局で論点の 整理をしていただきました。また関連資料も新たに提出されている部分がございますので、 まず事務局から御説明をいただいた上で質疑、それから御議論をいただきたいと思います。  それでは、管理官からよろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。私の方からまず資料の説明をさせていただきたいと思います。 まず、資料の中医協薬−2から御説明をさせていただきたいと思います。今、部会長から お話がございましたこの薬価専門部会におきます議論、7月9日と9月24日につきまし て議論をさせていただきました。その際、少し時間がたっておりますので、どのような御 意見があったか、事務局で整理をさせていただきましたので少し御紹介をしたいと思いま す。  まず1号側、支払側からの御意見といたしまして、総論でございますけれども、特に今 回後発品使用促進によりまして削減した医療費を財源とするのであれば、更なる後発品の 使用促進が必要ではないか、こういう御意見です。  それから、そもそも現在の施策のままで後発品30%の目標達成は可能なのか。また、 そもそも特に総価取引で薬価が下がるという御意見もありますので、そもそもそういう総 価取引や未妥結・仮納入などの流通改善をまず行うべきではないか、こういった御意見。 それから、製薬企業が国際競争力を持つことは極めて重要なことである。こういった御意 見もあったかと思っています。  それから、2号側、診療側の委員からの御意見といたしましては、医療費全体が非常に 厳しい中で、その中では相対的に資金が潤沢で高い収益を得ている製薬企業を優遇する必 要性は乏しいのではないか。こういう御意見。  それから製薬業界全体として後発品使用促進に取り組むとともに、促進が進む仕組みを 考えるべきではないか。また、未承認薬・未承認適応への解消努力がきちんと行われるよ うな薬価制度上の仕組みを考えるべきでないか。こういった主な御意見があったかと思っ ています。  それから、右側でございますが専門委員からもいろいろ御説明があって、その主なポイ ントを御紹介したいと思います。総論といたしまして、革新的新薬の評価と後発品使用促 進はセットで進めるべきという結論を得ている。もともと新薬の評価と後発品使用促進を 両方薬剤の配分の問題としてこういうふうにセットで議論をしてきたのではないか。こう いった御意見だと思っています。  それから、市場競争の中で薬価との乖離率の大きなものは本特例の対象から外れるとい うことで、すべての新薬が薬価維持の対象となるわけではない。  それから、先発品企業としても後発品使用促進のために協力できることを考えていく。 また、革新的新薬の開発促進も当然やるけれども、医療関係者・患者から御希望の強い未 承認薬・未承認適用の解消に向けた努力を業界としても進めていきたい。  流通改善については、すでにメーカー・卸双方が改善に向けて大いに努力している。そ れから、国内企業が衰退すれば国民・患者の医療ニーズに応えることは困難になる。  こういった御意見があったかと思います。主な意見ということでございますので、簡単 にまとめさせていただいておりますが、紹介させていただきます。  続きまして資料の薬−1でございます。大きく分けまして、これまでの議論の整理と今 後の論点という形で分けさせていただいております。最初にこれまでの議論の整理といた しまして、新薬の値付けといいますか、薬価算定方式につきましては、これまで平成18 年、20年度と引き続きまして新薬の薬価算定について、補正加算率の引き上げや原価計 算方式における営業利益率のメリハリをつけた評価の導入など、新薬の薬価算定方式は大 きく改善してきているのではないか。こういった認識がほぼあるのであろうと思っていま す。  それから、特に20年度も大きく改善をしたという理解でございますが、現在の新薬の 薬価算定が適切なレベルにあるかどうかについては、この4月以降の算定結果と、例えば 外国平均価格との比較などのデータも見ながら適切なレベルにあるのかどうか、今後補正 加算率などについてもそういうデータを見ながら考えていくことでどうだろうかというこ とでございます。  それから、特許期間中における薬価維持特例に関する製薬業界の御提案につきましては、 製薬業界の御説明では研究開発投資を早期に回収しやすい環境を整備することによって、 医薬品産業の国際競争力をつける、また革新的新薬の早期開発を促進する、そういったも のとしては概ね皆様の御理解があるのではないかという感じを受けております。ただ、本 提案をどういうふうにするかについては十分細部にわたっての精査、それから大きなとこ ろでの以下の論点についても検討していく必要があるのではないか、こういうところかと 思っております。  論点でございますけれども、薬価維持特例を導入するメリットということで、特に今回 の提案、薬価維持特例につきましては市場実勢価が下がってもある一定の範囲内で薬価を 維持するという御提案でもございますので、そういった患者の負担につながる話でもござ いますので、それが実際にどのような患者・国民に対するメリットになるのかを明確にし ていく必要があるのではないかということが1つ。  それから、専門委員からの御説明では、当然前倒しされる収入は製薬企業の新薬の創出、 未承認薬・未承認効能の開発促進の研究開発投資に振り向ける、こういったお話でござい ますけれども、実際に企業は民間でもございますので、そういった研究開発で、そういっ た薬価制度改革で得られた財源につきまして、実際その研究開発投資に本当に振り向けら れるのだろうか、そういったものを確実に振り向けていく方策がどのようなものがあるの かということがあろうかと思っています。  特に先ほどの意見でもございましたけれども、患者・国民から要望の強いドラッグラグ の解消ですとか、それから世界に先駆けた新薬の提供ですとか、適用外効能への対応です とか、小児用量への設定ですとか、そういったいろいろまだ医薬品の開発の部分などにつ きましての課題について具体的にそのようなものにつなげていく方策としてどのようなや り方があるのだろうかということかと思っています。  それから、財政影響という点でございますが、この業界からの提案におきましては制度 改革の導入当初、これは最初の段階では薬価を維持するものしか出てこないわけでござい ますけれども、そういったものの財源を後発品医薬品の使用促進を進めて、それで相殺を していく、こういった御提案になっているわけでございます。それでは、我々も政府目標 として30%を持っているわけでございますが、後発医薬品の使用を着実に進めさせる方 策ですとか、またもし仮に進まない場合にどうするのか。こういったことも含めて検討を しておく必要があるのではないかというようなことかと思っています。  それから、また薬価維持特例を行うこの新薬の薬価の、例えば業界からは平均の乖離率 を基準にするということがございましたが、そういった平均乖離率でいいのかどうかとか、 どういった範囲まで薬価を維持する範囲として認めるのか。また、薬価維持特例を行う新 薬の期間をどのぐらいにするのか。そういった諸々細かい詰めも当然併せて議論をしなけ ればいけまいせんし、そういったことでどのぐらいの影響度があるのかということも当然 十分検討しないと議論が進まないということもございますので、こういったことについて の検討も必要であろうということでございます。  それから、流通改善ということでございます。先ほどの意見の中にもございましたが、 総価取引など医薬品流通慣行の改善と薬価維持特例との関係をどう考えるのか。  それから、当然、今回の薬価制度改革を議論していく上では例えば市場拡大再算定の問 題ですとか、特例引下げの問題ですとか、ほかの算定基準についてもいろいろ議論をする ところもございますので、そういったほかの基準との関係もどういうふうに考えていくの か。こういったこともあろうかと思っております。  続きまして薬−3でございます。今の流通改善の関係につきまして、事務局で少し資料 を用意させていただきました。前回19年9月の薬価本調査におきましての結果でござい ます。今、薬価調査につきましては卸から総価取引のものと単品単価取引のものについて は分けて報告をいただいているところでございます。総価取引というのはここに書いてご ざいますように複数の品目が組み合わされている取引において総価で交渉し、総価で見合 うような個々の単価を卸の判断で設定するようなもの、それから個々の単価を薬価一律で 値引きするような契約、そういったものを含んだものでございますが、それでは単品単価 取引のみで報告をいただいているものが実際にどのぐらいあるかということで、特に後発 品がない、まだ先発医薬品の段階で見てみますと、全体で94品目ございました。その9 4品目の乖離が3.3%、改定率で1.4%でございます。単純にいきますと調整幅2% を引く形になりますけれども、非常に乖離の少ない2%以内のものについては改定を受け ませんので、そういった影響で若干ずれておりますが、このような結果になっております。  どういったものがあるかといいますと、圧倒的に放射性医薬品が多いような状況になっ ておりまして、その意味で特殊な医薬品がいろいろ上がっているかと思います。そういっ たものでもこの結果から見ますとすべて単品単価取引でも今の薬価基準制度上は若干なに がら下がるような影響があるというふうに読み取れるのではないかと思っております。  そういう意味ではこういった流通改善の問題も当然議論は進めていかなければいけない 話だとは思っておりますけれども、また今回の薬価制度の改革の問題、こういったものは どちらかと言いますとこういった結果から見ますと、並行して検討を進めてもいいのでは ないかと思われるところでございます。  そのほか、私から御説明させていただく点といたしまして、薬−5をお開きいただきた いと思います。7月9日の中医協薬価専門部会で先発医薬品、後発品医薬品、その他医薬 品の分類ごとの金額シェアをお出ししておりますが、若干その後計算上間違いが発見され まして、微修正でございますけれども修正させていただいたものを本日提出させていただ いております。  それから、ほかの資料でございますけれども、その次がこれまた専門委員から今回薬価 制度改革の議論が、今日もなされると思いますが、少し前でもございますので概要をまと めていただいた資料を御提出いただいております。そのほか薬−6、薬−7とこれまで御 提出させていただいた資料をもう一度併せてお付けさせていただいております。  その後は2回の議論の中で専門委員から御提示のあった資料についても併せて提示をさ せていただいております。その後、経済課長よろしくお願いいたします。 ○事務局(木下経済課長) 経済課長でございます。資料お戻りいただきまして中医協の 薬−4でございます。先ほどの説明、流通改善の関係でございますが、それについて御説 明いたします。昨年の9月に医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、いわゆる流改懇の 緊急提言がございました。その中で1つは今の話にございました未妥結・仮納入の改善と いう問題、それから総価取引の改善、それから経済合理性のある価格交渉の実施、こうい う問題も御指摘を受け、中医協でも昨年10月24日に流改懇の報告、緊急提言を御報告 いたしまして、流通改善に取り組むということをお話ししたところでございます。  そこで資料薬−4でございますが、その中での価格の妥結状況、この1年間どういう状 況になったのかということの調査を7月、9月、10月といたしまして、前回18年の薬 価改定後の状況と今回の20年の薬価改定後の状況を比較したものでございます。その中 で特に調べましたのは、20年9月の状況をごらんいただきたいと思うのですが、病院で いいますと妥結の状況が51.2%、200床以上で46.7%ということで、診療所が 88.6%。チェーン薬局は71.7%ということで、トータルで70.9%でございま す。  その右隣の18年10月取引分でございますが、ここのデータを見ますと、それぞれ病 院につきましても37.5%で、今回よりも15ポイントぐらい低いわけでございますし、 それからチェーン薬局に至りましては18年10月時点では14.4%ということで、約 50%以上の改善が見られておりまして、トータルで54.2%ということでございまし て、今回の70.9%と18年10月の54.2%ということでございますので、かなり 改善が見られる状況がうかがわれます。  さらに今年の10月分につきましては、トータルで71.8%ということで、1ポイン トほど9月よりも上回っております。ただ、残りが3割ございますので、この3割につき ましてできるだけ早く年内には妥結に至るような形で関係者に対してお願いをしていると ころでございます。  次のページでございますが、これは総価取引の改善状況でございます。これも病院と調 剤薬局チェーンと分けてございまして、19年とこの20年の上半期の状況を比較したも のでございます。19年度の最初の200床以上の病院の単品単価の契約を見ますと、特 に売上高に占める割合でごらんいただきたいと思うのですが、46.4%でございます。 今回上半期、9月までの状況を見ますと68.2%ということでの単品単価の改善が見ら れます。  一方、総価契約につきましても53.6%であったのが31.8%ということで、総価 の減少が見られます。  総価の内訳を今回、単品総価と、それから総価の中でも一部除外をして単品契約も結ん でいるという形で分けましたのが20年上半期のところにございますけれども、病院で言 いますと20.9%。全品総価で一部単品契約をしているというのが5.9%ということ でございます。調剤薬局チェーンにつきましては、19年度単品単価で0.9%とかなり 低い数字でございましたけれども、上半期の調査では21.2%ということでかなり増え ております。  一方、総価契約につきましては99.1%から78.8%ということで、この内訳とし まして単品総価というのはかなり減っておりまして、一部単品契約をし、併せて総価とい うことで67.6%という形になっております。  今回の調査結果を踏まえまして、今後の取り組みとして、次のページに出ておりますが、 1つは医療関係団体あるいは都道府県に対しまして、この状況に関して、残り、特に未妥 結が30%ございますので、年内にできるだけ妥結に向けた取り組みを要請いたしており ます。  それから個別の、特にチェーンの医療機関に関しまして直接本部に訪問いたしまして、 以下の訪問先がございますが要請をしております。  3つ目に卸連におきますブロック会議、地区会議におきまして未妥結先に関して妥結に 向けた取り組みを積極的に進めていただくようにということを要請しております。さらに 12月分につきましても今後妥結調査、どうなったかということを調査を実施する予定で ございます。いずれにしても改善は見られるものの、まだ十分な状況とは言えませんので、 引き続き関係者にも協力を仰ぎながら進めたいと考えております。以上でございます。 ○前田部会長  どうもありがとうございました。資料薬−1に示されましたようにこれまでのき議論を 整理していただきまして、それから今後の課題、論点も整理していただいたわけです。そ れに加えて新たに情報提供がございましたが、まず各委員御質問はいかがでしょうか。 ○藤原委員  質問といいますか、これまでの議論になかったことをこれから言っていいのでしょうか。 それとも個々についての質問ということになるのでしょうか。 ○前田部会長  できれば今御報告があったところで。もちろんこれからのことも後で御発言いただくの は当然今回の目的ですので。  よろしいでしょうか。全体非常に明快ではあると思うんですが。  それでは、このまとめについてまとめ方、それから今後の論点の選び方、さらにはその 論点についての具体的な御意見、御提案を含めて各委員から御意見をちょうだいしたいと 思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。  では、藤原委員お願いいたします。 ○藤原委員  薬−2、これまでの意見を改めて見まして、少し議論が足りない部分があったのではな いかと思っているところを述べさせていただきたいと思います。今回の提案は製薬産業自 らにとって過酷なもの、そういうふうに言われているわけでございますけれども、企業全 体から言えば継続的に革新的新薬を創出できる企業のみが恩恵を受けられる、そういった ことでは確かに過酷ということも言えるかと思います。ただ、これは大きな企業にとって は大変有利なというか、大きな企業ほど生き残れる、恩恵を一手に受けられるというよう な形になっているように私には見えます。その結果、大企業の一人勝ちという状況も起こ ってくるのではないか。そういうことはどういうことになるのか。  そういったことを考えてみたときに、日本の製薬市場にとってそうした寡占状態を作る ことが本当に望ましいのかという疑問も出てきます。  もちろん外国企業が入ってきますので、このことは単純ではないかと思いますが、不完 全な競争下になりますと国内の薬価、価格形成に大きな影響を及ぼしてくることは十分考 えられます。そうなりますと価格というものは硬直化してきます。おそらく市場価格は弾 力性を失って上の方に上がるということも十分考えられるわけです。  残った企業は確かにいいと思いますが、国民にとってそれが利益になるのか。そういっ たことに非常に疑問を持ちます。そこまでしてあえて大企業を保護することがいいのかど うか。片一方は競争市場の中にあり、片一方は保険料に足をかけているという状況の中で そういった支援のあり方はどうなのか。  国として医薬品を育てる、伸ばしたいということは理解できますが、そうだといたしま すとそれはまさに国策だと思います。産業施策ということになりますので、これは経済産 業省とか他の省庁との総合的な取り組み、そういった一体的な取り組みの中でこういった ことは議論しなければいけないのではないかと思います。そういった議論がこれまでの中 では少し欠けていたと私は思いますので、追加させていただきます。 ○前田部会長  根本的な御指摘を含むと思いますが、これは管理官からでしょうか。むしろ専門委員か ら御発言をいただいたた方がよろしいかと思います。今の点に関していかがでしょうか。 ○長野専門委員  専門委員の長野でございます。十分なお答えができないかもしれませんが、一言今の御 意見に対して申し上げます。今回の業界が提案しております制度が実際に導入されて、大 が小を駆逐するかということだと思います。さまざまなケースがあると思います。なぜか と申しますと、まさに各社が挑戦をしている疾病領域は数多く存在いたします。企業規模 が大きくなればなるほど基本的にはいわゆる市場の大きいところを中心に研究開発を着手 することになろうかと思います。  一方で自社の得意な領域、20年、30年、50年と日本の企業におきましても自社が 強い研究領域というものを持っている企業がございます。そういった企業にとってはその 専門領域、強い領域でのいわゆるアンメットメディカルニーズ、挑戦をしていくというこ とが可能でございますから、これは多様な研究開発領域がございますし、それをもとに企 業の研究開発力に見合ったところに挑戦していくのではないかと思います。  したがいましてすべて大が小を駆逐するかということは、私見でございますが医薬品に おいてはないだろう、このように感じております。以上でございます。 ○前田部会長  どうぞ。 ○藤原委員  おそらく流通の方も関与してくると思いますが、価格形成についてかなり集約されると いうことで寡占企業ということになってきたときにどう影響を及ぼすのか。その辺のとこ ろのお考えをお聞きしたいと思います。 ○前田部会長  専門委員から寡占になって価格に影響がどう出るか。非常に答えにくい面があろうかと 思いますが。 ○長野専門委員  これも専門委員としての私見でございます。医薬品のマーケットにかなり影響を及ぼす ような大きな製品というのは、間違いなく二番手、三番手が早い時期に開発され、上市さ れるのではないか、このように推測しております。したがいまして、そういうところを見 ていきますと必ずしも資本のある程度の集約というものが価格硬直化につながるというこ とは、私は考えにくいのではないか、このように思います。ただ、これは今メーカーに籍 を置く立場でございますから、一面的な見方かもしれません。以上でございます。 ○前田部会長  基本的な方向性としてここで合意ということではないのですが、2号側委員も製薬企業 が国際競争力を持つこと自体については合意がある。ただ、それによって国民にとっての 薬価が不当に上がってしまうというのは御指摘のとおりだと思います。その点の議論はこ れから先の課題ですが、具体的に薬価維持特例を具体化する中でそういうことは十分配慮 してやっていくことは間違いないと思いますので、非常に重要な御指摘をいただいたと思 います。  どうぞ。 ○藤原委員  関連ですが、産業政策についてほかの省庁、経済産業省とかそういったところとの、育 てるという観点ですから連携されて対応されているかどうか。それは厚労省にお聞きした い。 ○前田部会長  経済課長、お願いします。 ○医政局経済課長  前回のこの薬価専門部会におきまして御説明した革新的医薬品・医療機器創出のための 5か年戦略、これは昨年の4月に厚生労働省、経済産業省、文部科学省共同で5か年戦略 を定めました。その中では世界最高水準の医薬品をできるだけ早く国民に提供するという こと。それから医薬品・医療機器の産業を日本の成長の牽引役にするということでの目標 の下で研究資金の集中投入、ベンチャーの育成あるいは審査の迅速化、ドラッグラグの解 消、そういった中で併せてイノベーションの適切な評価ということで薬価制度等における 革新的な製品をより適切な評価の検討という項目で、いわば国全体を挙げて革新的な新薬 の創出のための取り組みを進めるべきであるということの計画を立てたわけであります。 ○藤原委員  お金が付くわけですか、補助金とか。もし、そういったものが付いた場合には企業に対 する行動規制、責任、そういったことは起こってくる話なのでしょうか。 ○医政局経済課長  補助金につきましては研究資金あるいは臨床研究における環境整備に対しまして、個々 の企業というよりもインフラの整備などについていわゆる補助金的なものがあるというこ とです。研究資金につきましては個別の特に先端的な医薬品の開発について経済産業省等 々、私どもも併せて研究費をお出しするということでございます。 ○前田部会長  その点はよろしいでしょうか。  では管理官、お願いします。 ○薬剤管理官  今の藤原委員の御意見に対しまして、当然、中医協ではこの産業界が提案した制度改革 案が国民・患者にとって純粋にメリットがあるのかどうかということが中心の課題でござ いまして、まさしく中医協で産業政策をどうだこうだという話を議論する場ではないと理 解しております。当然、業界の方がそういうことを考えたりしているのは当然だと思いま すが、中医協として国民・患者に本当にメリットがあるのかどうか。財源的に大丈夫なの だろうか。そういった視点で中心に議論を詰めていけばいいのかと思っております。  ただ、一つ関係がありますのは新薬の創出ですとか、薬の安定供給というのはどうして も企業体力にかかわってくるところもございますので、企業体力が全くなくなってきます とそういうものが出てこなくなるというような影響はあると思っておりますが、あくまで も中心は国民・患者にとってこれがどのようなメリットがあるのかということを中心に議 論をしていく場だと理解しております。 ○前田部会長  山本委員。 ○山本委員  藤原委員の御指摘の部分、私も確かに気にはなりますが、寡占化することによって価格 が硬直するという問題ですが、もともと薬価そのものが極めて硬直性のあるものですから、 そういった意味では寡占化したときに何をもって硬直化するかというところは、むしろこ こで決める問題でしょうし、それは制度上の問題として解決すべき問題です。先ほど管理 官からも流通と制度は別の方がいいのではないかという御指摘もあったようであります。 そこは多少切り分けた議論が必要なのかなという感じがしています。  その一方で、今回出されました提案、何回か議論がありましたが、目的は各製薬企業の 方々が世界に打って出て、それだけが一人勝ちをしようということではなしに、国の基幹 産業としたいという国の方針もありました。併せてそのことによって新しい医薬品が開発 されれば日本発にせよ何にせよ、日本の中で新しい薬が国民に使われるという、まさに両 面を持った部分だというふうに薬を扱う者としては理解しております。  その観点からすると今回の提案はお世辞を言えば不退転なのでしょうが、そこまで褒め るわけにはいきませんが、かなりリスキーな部分を持ったものだなという理解をしていま す。  それでいて必ずしも大きなメーカーだけではなしに、現に極めて先進性の高い薬を小さ なメーカーが開発して、現に使われていて、極めて有効に効いているということを考えま すと、そのあたりどうこの仕組みを考えるかという意味では一歩進んだ考え方なのかな、 あるいは提案なのかな。これまでさまざまな議論がありましたが、もちろん幾つか条件が ありますので、それがそろえばという極めて難しい問題ではありましょうが、そういう理 解をしています。  その中で幾つかお伺いしたいのですが、管理官のお話の中の論点整理の冒頭の部分に算 定結果をどうするか。今回、算定方式、加算率等も変更したわけでありますが、その中で さらに外国比較をどうするかという議論がありました。ここは管理官に伺うのがいいのか、 専門委員の方がいいのか分かりませんが、もしこの新しい提案にのった場合に、画期的な 新薬を新薬として評価する場合の評価軸を何か別にお考えなのか。今は比較薬価であった り、あるいは限界計算であったりという一定の方法があるわけです。それに周りを見なが ら加算を掛けている。しかし、それ以外にその薬が持っている特徴であったり、特性であ ったり、あるいは上市された後の結果であったり、そうしたことも評価軸にした方がいい というお考えが根っこの部分にあるのかどうかというのが1点です。  もう1点、ここは皆さん方が企業として極めて国際競争力を持った、そこのところはよ いのでありましょうが、論点整理の中にありますように現に使えない薬、あるいはすでに 各国で使っていながら日本では使えない。あるいは適用外で極めて不安定に使っている薬 について、当然そこは開発していただきたいというお願いは前回もしたはずです。そのあ たりについてアンメットニーズの部分はよく分かりますが、それをうんと悪く言えば儲か らないからやらなかったのでしょうと言われてしまう部分です。それを除きましても具体 的に未承認であったり、あるいは適応の拡大について具体的な議論をしていただけると理 解していますが、仮にそうしたことがあったときに、本当に市場に出してもらえるのかど うかが我々としてもかなり心配です。  費用を下げずに維持するわけですから、その後きちんと進まなくてはいけないという部 分があります。  もう1点、これは意見なのでどう答えていいか、大変難しいかもしれませんが、ベース にあるのは30%後発品が進むという前提です。その部分は将来的に返せます。ただ、今 はくださいということですから、進まなかったときはどうするのだという、先ほど事務方 から提案がありました。今のところ薬剤師があまり仕事をしていないのではないかという 指摘を受けていますが、実は別の要因もあるのではないか。その部分は例えばメーカーさ んが持っている新薬にシフトしてしまう。あるいはプロモーションの仕方について具体的 に要因を分析して、企業としては大変つらかろうと思いますが、メーカーあるいは製薬企 業として後発品を進めていくような具体的な、なにかお打ちになるような計画、あるいは お考えがおありかどうか。そのあたりがはっきりしませんと、システムはすばらしいと思 いましても、なかなか納得が得られないのではないか。そのあたりをお伺いしたいと思い ます。 ○前田部会長  これは専門委員の方がよろしいですね。3点お願いいたします。 ○禰宜専門委員  まず先ほど質問がございました未承認薬あるいは未承認効能についてどうするかという 点がございましたので、それについてまずお答えさせていただきます。  本制度の導入によりまして製薬企業の国内未承認あるいは未承認効能の開発への着手も 大きく前進するというふうには考えています。ただ、日本に基盤のない企業が保有するも の、すなわち受け皿のない未承認薬等につきましてはこれから開発が進むような有効な手 段あるいは方法について検討すべきだと考えております。これにつきましては具体的な方 策の提案に向けまして業界内におきましてプロジェクトを作って、現在検討を開始してい ると聞いておりますので、この課題についてはそのような形で取り組むのではないかと思 っております。  1点目と3点目については長野専門委員からお答えさせていただきます。 ○長野専門委員  では、残る2点についてお答え申し上げます。1点目の今回の業界提案で実際に患者さ んあるいは国民が直接的に得るメリットという面でございます。それから資料1に整理し ていただいた、例えば今までの新薬の算定について、今後どういうところを検討していく かというまとめをしていただいています。これを併せて御質問に対するお答えとしていき たいと思います。  私どもは特許期間中のいわゆる維持特例のようなものが導入され、そして定着していけ ば必ず早期に日本の開発と上市の着手というのが、今は米国あるいは欧州を中心に先行的 に開発・上市を結果的にいたしております。これが日本そして米・欧の3極で同時開発を 進めていく。早期に日本での上市というものを、承認申請というものを実行していく、こ ういうふうに変化していくものと私は専門委員として確信いたしております。  その際、今後のいろいろな新薬の評価で外国にない場合が出てくるわけでございます。 日本が最初の開発そして承認申請国となりますと、そういう場合に特に今まで類似薬のな いような領域で、日本で最初に上市をする場合が多分出てくるのだろう。これは短期の話 ではなくて、もちろん2014年、16年の話になろうかと思います。その際に類似薬が ない、あるいは外国価格もないということで、今そういう事例はほとんどないわけでござ いますが、将来必ず起こってくるだろう。そのときに外国平均価格以外の手法というもの をぜひ中医協で御検討いただけないか。そして、最終的にはそこで企業が自信を持ってこ ういう価格が妥当ではないかという申請をして、薬価算定組織で議論をいただき、中医協 の場で御決定いただく、御審議いただくというプロセスには変わりはございません。我々 もそれを念頭に置いております。そういうことを追加的に申し上げておきたいと思いま す。  最後、3つ目でありますが、後発品の使用促進策についてであります。私どもはかねて から良質廉価な後発品の使用促進をするということは積極的に賛成という立場をとってお りますし、専門委員としてもそうでございます。現在、さまざまな政府施策に基づきまし て各医療関係者の皆様が努力をされているというところだと思います。その下で産業界と して、あるいは業界団体として何が使用促進に有効な手段なのか。今までもこの御議論の 中で、あるいはこの過程でさまざま検討してまいりました。産業界が当事者として考え、 使用促進に資する必要な改善策、改善すべきテーマは多彩にあろうかと思いますが、基本 は患者さん、国民、医療関係者の皆様に対する後発品への信頼感と申しましょうか、いわ ゆる信頼性の向上というものをさらにどう図っていくかということも重要なテーマだろう と感じております。こういったテーマも含めて業界、産業界として積極的にそこを検討 し、答えを出し、自らとるべき行動を決めていく、このようなプロセスが大変重要だと承 知しておりますし、そういう方向に向かうものと、あるいは向かっているものと思ってお ります。長くなりましたが、以上でございます。 ○前田部会長  ありがとうございました。今後検討していく部分もあると思いますが、山本委員よろし いでしょうか。 ○山本委員  お話は一応理解できましたのであれですが、問題は未承認にせよ適用外にせよ、そうし た検討会を作っているらしいという話ですと、らしいでは担保がとれないので、具体的に そうしたものがどんな形で進んでいくのか、さまざまな問題を含めて、仮に議論した結果 うまくいったにしても、誰も開発してくれないのではいいことがないわけですから、その 辺も検討会の中でもしなさっているのであれば、なるべく早めにそうしたものを出してい ただかないと、この先の議論が多分できないのだろうという気がします。  後発に関して言えば、今長野さんがおっしゃったように理屈はそうだと思いますが、こ れは皆さん方にも努力してもらわないと困る。あるメーカーが開発したものであっても特 許が切れれば、それは国民の財産ですからそういう見方でどう皆さん方が社会の中に供給 していって新しい次の国民の財産を作るかというのが産業政策でもあり、メーカーの力を 付けることでもあります。単にいろいろ問題があるよということではなしに、皆さん方も 御自分たちの中で問題点を把握したうえで、それに向けての解決策を具体的に出していた だかないと、なかなか理解が得られないのかなという気がしますので、そのあたりも含め て今でなくても結構ですから御検討いただきたいと存じます。 ○前田部会長  禰宜委員、何かございますか。よろしいですか。 ○禰宜専門委員  今御指摘いただいた件につきましては、迅速に検討をするようにということで、業界の 中でも国民・患者さんにとって何が大切だという観点から、その辺のところについて積極 的に検討していくということを聞いておりますので、そのようなところで我々もしっかり とフォローしていきたい。 ○前田部会長  御要望はそれをなるべく見える形で出していただきたいということです。 ○禰宜専門委員  はい。 ○前田部会長  それでは中川委員、お願いいたします。 ○中川委員  以前にも専門委員にお聞きしたのですが、薬価維持特例を導入することが国内メーカー に国際競争力をつけるということは分かります。それが国内メーカーの世界的に競争する 力になって新薬の開発力がつくということも分かります。しかし、薬価維持特例を導入し ようという説得力の1つとして、前も同じようなことを聞きましたが、国内新薬メーカー がもし消失して外資系メーカーだけになったときにどういうデメリットが国民・患者さ ん、医療機関、医療提供者、診療側に来るのか、一般の国民にも分かりやすく説明をして いただきたいのです。恐縮ですが日薬連の立場ではなくて国内新薬メーカーの立場ででき ればお答えいただければ分かりやすいかなと思うのですが、いかがでしょうか。 ○前田部会長  お答えいただけますか。では、専門委員お願いいたします。 ○長野専門委員  いわゆる製薬産業におきます内資と外資というふうに切り分けをして、内資がなくなっ たときにこのセクターはどうなるのか。国民・患者さんにどういうデメリットが生じるの かということについて、大変申し訳ございません。この場でお答えできる内容を今まとめ てございません。申し訳なく思っています。 ○前田部会長  今日お答えいただくのはちょっとあれですが、よろしいですか。 ○中川委員  私は意地悪しているつもりではなくて、一般の国民はどうしてかは分からないと思いま す。だから、それをまず理解してもらってからだと非常に説得力があるなと思うのです。 日薬連の御立場で専門委員になられているから無理かもしれません。 ○前田部会長  今のに関連した御意見を。 ○渡辺(自)委員  中川先生が言われておられる本当に深いことは分かりませんので、流通という面から見 ますと最近、よく販売ができなくなる、供給ができなくなる製品があります。それはやは り外国と日本の場合の薬に対する厳しさが違うという場合が1つ。それから、製剤してい る製品の原料の問題、製法の問題、要するに製品としての基準のチェックの厳しさが違っ て供給できないというケースが最近かなり起こっているのは事実です。それ以上は流通か らは申し上げられませんが、そういうことで事実発生しております。 ○禰宜専門委員  先ほどの話の中でこれから日本の産業として世界に打ち出せるものは一体何かという観 点から見たときに医薬品産業というのは、あるいは医療産業というのは非常に大きなウエ ートを占めていると思っています。だから、そういう中で今産業界の中でこの医薬品産業 を国際競争力を高めて、日本を牽引する産業であるということを日本の国も前安倍総理も その辺を打ち出されているわけでございます。そういう意味で国内で我々製薬産業の内資 がしっかりと基盤を確立して、世界に打ち出していくことが非常に重要ではないかと思っ ております。答えにはなっておりませんけれども、それだけ重要な産業であるということ だけは御理解をいただきたいと思います。 ○前田部会長  遅くなって申し訳ありません。先ほど対馬委員が。その次にお願いいたします。申し訳 ありません。 ○対馬委員  薬価維持の特例ですが、1つは質問で1つは意見です。市場のメカニズムを基本に置い てということだと思います。もちろん市場のメカニズムそのものが完全なものではないと いうのは今日の説明でもございました。そこにエグゼンプト・ドラッグについては薬価維 持特例を設ける、こういうことになります。先ほど来出ていますように国民に納得できる ような理由、そこがやはり一番重要なのだろうと思います。  先ほども出ていましたが、私も聞きたいのはドラッグラグの問題というのは国民的な関 心が高いだろうと思います。これは前にも説明があったのかもしれませんが、実際どの程 度ドラッグラグがあって、その原因です。よく言われますのは例えば企業サイドが原因し ている部分がどのぐらい。審査・承認、治験、そういった官サイドという言い方がいいの かどうか分かりませんが、そういったところがあるのだろうと思いますが、そのあたりは どうなっているのか。またそこは今回の薬価維持特例を導入すれば一体どうなるかという ことをもう1回お話を伺いたいというのが1点。  あと1つは意見になります。全体的に市場メカニズムに対しましてある種の統制価格的 な、公定価格的な要素を強めるということになりますと、これも質問した方がいいのかも しれません。意見を言っていただいた方がいいのかもしれません。かねてメーカーサイド からは長期収載品の特例引下げ、これは市場の実勢に合っていないではないかと盛んにお 話があった。また不評でもあったと思います。それと今回の関係はどうなのかというのが 1つ。  もう1つは市場拡大再算定ルール、これについてもどうなんだという話がありました。 これもある種の市場に対する公的な介入といいますか、規制というのか、そういうことだ と思うのですが、全体に市場の実勢を重視していくのか、それともそういったある種の公 定価格、規制を重点的にしていくのか。それが今の薬価維持特例と後発品のある先発品の 特例引下げでありますとか、市場拡大再算定ルールとの関係についてお伺いしたいと思い ます。 ○前田部会長  これも専門委員ですね。非常に難しい部分がありますので、可能な範囲でお願いいたし ます。 ○禰宜専門委員  最初のドラッグラグの要因につきましては治験、いわゆるコストと期間の問題、そして 審査の問題に加えまして、やはり市場の魅力度を挙げられるわけでございます。どれぐら いかという期間で、少し古いデータでございますが、治験でアメリカ等と比較しますと 1.5年ぐらい長いかな。審査は1年ぐらいと理解しております。  企業が開発着手の意思決定をする際にやはり治験や審査などに要する費用、そして期間 と当該市場におきます収益性の両方を考慮して優先順位をつけておりますが、現状では日 本市場はコスト高に加えながら開発期間が長くて、一方で収益性については薬価改定の影 響もあり十分な収益が期待できない。欧米よりも開発着手が遅れてしまうというような問 題点がございました。  特に収益性につきましては現在、上市後5年から7年といった短期間の収益で判断する ということで、その点におきましても今日本の市場構造は不利であるというふうに言える のではないかと思います。  PMDAにおきましては2012年までにその課題でございます開発期間の問題あるい は審査期間を大体2.5年短縮するということで動いておりますので、これに加えまして 薬価制度改革による収益の前倒しが可能になるという市場構造に転換できれば、欧米と同 時に日本でも開発に着手できるのではないかと思っております。 ○長野専門委員  私の方から追加いたします。未承認薬でございます。厚労省の医薬食品局で主催されて おります未承認薬の使用問題検討会議、ここにさまざまな薬、具体的な成分がテーマに掲 げられ、結果的にほとんどのものが日本に当該企業、該当企業があるというところから、 そこはほとんど治験が進められたり、あるいはもうすでに承認取得されて使われるように なったり進展していると思います。  最後残ってきますのが、たしか3成分か4成分ぐらいあったと思いますが、日本に受け 皿のない製品、例えばアメリカ、ヨーロッパでは企業が存在し、そこが発売しています が、その関係会社なり何なり提携先が全くないところ、こういったものの成分、医薬品に ついて日本でどう開発を進め、患者さんに御提供できるか、この辺のスキームを具体的に 推進できる方策の検討に今着手したというのが先ほど禰宜専門委員会の御発言の要旨だと 思います。  例えば海外で日本に法人がない場合に実施許諾をどう取り付けていくのか。あるいはも のによっては団体を作って、組織を作って、そこで臨床開発を進めて、厚労省への製造承 認申請もして、承認取得したときにどこに販売をしてもらうのかといった販売先を見つけ ること。それから、日本に受け皿のない成分の場合の実施許諾を外国企業とどう交渉して 取り付けていくか。今でも考えられる幾つかの課題がございます。こういったことを含め て、その課題解決に向けた検討を始めたということだと承知しております。  それから長くなって申し訳ございません。もう1つ重要な御指摘をいただきました。い わゆる市場価格主義、あるいは現在まで実施されているさまざまな薬価改定方式などにつ いて、業界はその時々それに対する異論、反論をしてきたという実績は確かにございま す。今回の維持特例は御承知のように一定期間、その対象になって、例えば8年たって特 許が切れたときに当然後発品が出てくるわけでございます。その間、例えば2回、3回薬 価改定受けなかった部分は後発品が出てきたときに先発品の薬価を下げる、累積分を薬価 引下げするというのが基本的な考え方でございます。ですので、今までですと2年に1回 薬価改定を実勢価に基づいてやったものを、その期間累積はさせていただきますが、必ず ルールによって引き下げるということでございますので、その意味での特例というふうに 承知しております。  例えば特例引下げなどにつきまして、今まで業界団体は反対をしてきたということでご ざいますが、後発品の使用促進策、それから今回の新しい日本製薬団体連合会の提案な ど、中医協での御議論の中でそういった問題も、総合的に業界は考え方を示してもらえ る、このように感じております。以上でございます。 ○対馬委員  事務局にお願いしたいと思いますが、特例引下げは確かに非常に重要なテーマでありま すが、今のお話のとおり全体を見渡したところでの議論も、そういった手順が必要だろう と思いますので、特例引下げに特化してここで方針なり大枠が定まった、ほかの問題は別 よということにならないように総合的な検討をお願いしたいと思います。 ○前田部会長  それでは、遅くなって申し訳ありません、北村委員お願いいたします。 ○北村委員 本日、事務局から御提案いただいた議論は新薬の薬価算定方式について薬価 維持特例を導入した場合の考え得る問題点はどういうところにあって、どのようにしたら 克服できるかというような御提案、論点だろうと思います。ということは大きな方向とし ては薬価維持特例の導入が可能かどうかという方向を探るということだろうと思います。 そこで私は1点だけお伺いします。  これが実現の方向に向かってまいりますと財源の問題が出てまいりまして、国民の負担 の問題、患者さんの負担の問題等を考えますとどこかで負担の軽減といいますか、相殺で きる部分がなければやはり納得性は得られないのではないか。ましてやこの厳しい経済情 勢下ですから、国民の方々の収入はこれから数年間ますます厳しくなるわけです。この辺 の問題が重要かな。  このときに後発薬品について先ほどの資料では1号、2号、それから大学の先生方のと ころでも皆さん総論賛成でございます。総論賛成ですが、各論の議論がなかなか進まな い。ですから、後発品の問題は厚労省が考えている30%という数量の問題と価格の問題と 2つあると思います。数量の問題の使用増についての論議と、まさにこの中医協の本務で ある後発薬品の価格の問題についてどう考えるのか。日薬連の立場としてはなかなかそう いうことは、もしかすると業界というのはさまざまな企業が集まっている集団だと思いま すので、利害が大変いろいろ複雑に入り混じるのだろうと思いますので、その辺はどうな のか私はよく分かりませんが。いずれにしても数量と、数量は今19%ですね。でも金額シ ェアでは6%です。ですから、その辺の双方の問題をこの中医協で議論されていったらいか がかと思いまして御意見を申し上げました。以上です。 ○前田部会長  ありがとうございました。小島委員。 ○小島委員 3点ほど。簡単にやります。1点目は製薬産業育成の政策、そして結果的に 国民・患者のメリットがあるということについて理解はできるところでございます。その 際、製薬産業への支援と考えた場合、それを薬価だけでやるのか。そこは国の支援あるい は税制というのがあります。その辺のバランスをどう考えるのかということもあるのだろ うと思います。その辺はこれから議論するべきことだと思っています。  2つ目は具体的な形で今回、日薬連が提案されている薬価維持特例を行った場合、一定 の維持期間終了後については価格を下げると言われています。従来より特許期間後は下が るということになりますと相当価格が下がることになります。そうすると後発品メーカー が本当に後発品に参入できるかどうかということになります。そこの関係をどう整理する か。結果的に後発品が出てこない可能性があるのではないか。その辺は当初の価格と特許 期間後の価格をどう設定するかにかかってくるのだと思っています。  もう1つは、特例期間中は価格維持するにしても、その期間が終わった後、しばらくし て価格を相当下げるということになると、途中で製造をやめてしまうということがないの か。特例の維持期間を設定するとすれば、その終了後一定期間製造はするという、そこは 義務といいますか、そういうものも併せて考えることが必要ではないかと思います。これ について専門委員から御意見がありましたら。 ○前田部会長  短めに。 ○長野専門委員  さまざまな御検討をぜひお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○牛丸委員  論点を1つだけ追加していただきたいと思います。先ほど説明がありましたように特許 期間中に維持して、切れたら下げるということで、特許期間中の分を期間を過ぎてから下 げるということ。そこを考えれば全体的に国民のためになるかもしれません。  それから、開発とかいろいろな面で国民のため、患者のためになると思いますが、細か く見た場合に患者といっても特許期間中の薬を使っている人と特許期間が終わった後薬を 使っている人、これは患者という言葉では同じですが実際は違う人間です。そこで恩恵を 受けたり、価格維持されて高くなってしまう、それは違う人間ですので、その辺をどう考 えるか。これもこの問題を考えていく上において1つ頭に入れておく必要があるのではな いかと思います。以上です。 ○前田部会長  ありがとうございました。今日はあと総会、それからもう1つ基本問題小委も控えてお りますので。ただかなり深まった議論ができたと思っています。対馬委員が御指摘になり ましたように総合的な視点の中で、これだけ切り離すのではないということはもちろんで すし、北村委員御指摘になったように価格の問題が最後のギリギリ、本当に国民のメリッ トになるかどうか。結局はそこにかかってくる面もあると思います。これは再度、専門委 員及び事務局にこの議論を詰めていただきたいと思います。ある意味固まったように見え て、まだ議論のとば口というようなところもありますので、何回かの議論を踏まえて可能 であればいい制度にしてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたしま す。  それでは、今日の部会はこれで閉じさせていただきたいと思います。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)