08/12/16 第7回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録        第7回厚生科学審議会 生活環境水道部会  日  時:平成20年12月16日(火)10:00〜11:56  場  所:中央合同庁舎5号館 17階 厚生労働省専用第21会議室  出席委員:大垣委員、坂上委員、岸委員、佐藤委員、沖委員、       小笠原委員、岡部委員、大住委員、大澤委員、安藤委員、       佐野委員、瀬川委員、津野委員、古米委員、御園委員 ○粕谷水道課長  失礼いたします。定刻となりました。まだお見えになっていない先生もいらっしゃ いますが、追っつけいらっしゃると思いますので、ただいまから厚生科学審議会の生 活環境水道部会を開催したいと思います。  委員の先生方には、ご多用中にも関わらずお集りいただきまして、大変ありがとう ございます。  議事に先立ちまして、上田健康局長よりご挨拶を申し上げます。 ○上田健康局長  健康局長の上田でございます。  ことしもあと残りわずかになってまいりましたが、委員の皆様方におかれましては、 大変お忙しい中をご出席を賜り、御礼申し上げる次第でございます。  生活環境水道部会は、私どもの健康局が所管している行政の中で、水道行政、さらに 生活衛生行政といった分野を受け持っていただいているところでございます。本日の第 7回の部会でございますが、2つの議題についてご意見をちょうだいしたく思っており ます。  まず第1点目は、水質基準の見直し等についてでございます。平成15年の厚生科学審 議会答申を踏まえ、水質基準は最新の科学的知見に基づき逐次改正を行うとしておりま すが、今回カドミウムに関わる水質基準値の強化、水質管理目標設定項目の見直し等に ついて、皆さん方のご意見をお伺いしたいと思っております。  2点目でございますが、水道行政の最近の動向をご報告申し上げまして、今後の施策 推進へのご助言をいただければと思っております。水道に関する重点的な政策課題と、 これに対処するための施策等を示した水道ビジョンの策定から3年が経過したことから、 昨年度、施策の進捗状況や施策目標の達成状況について点検を進めてまいりましたが、 その結果を踏まえ、本年7月、今後の重点取組項目を明らかにするなどの水道ビジョン の改定を行ったところでございます。本日は、その概要をご説明いたしますとともに、 主要政策課題の中から、地震災害対策、より安全な給水の確保対策、及び水道分野の国 際貢献の取組の状況をご説明申し上げます。幅広い視点、観点からご意見をいただけれ ばと思っております。  水道の水が、より安全で安心でき、安定して供給されることを望む国民の期待は高い と思っております。厚生労働省といたしましては、委員の皆様からの貴重な意見を賜り まして、こうした期待に着実にこたえていくための施策をさらに推進をしていきたいと 考えています。何とぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。 ○粕谷水道課長  それでは、配布資料をお手元にお配りしております。そのご確認をさせていただきま す。 ○吉口水道課課長補佐  配布資料を確認をさせていただきます。  まず、議事次第と書いた1枚紙でございます。それから座席表、同じく1枚紙になっ てございます。資料1‐1と書いた委員の先生方の名簿、1枚紙でございます。資料1 ‐2、生活環境水道部会について、開催経緯、同じく1枚紙でございます。それから、 資料2‐1、「TOCに係る水質基準の見直し等について」という冊子でございます。 資料2‐2、「今後の水質基準等の見直しの方向性について」という、同じく冊子でご ざいます。資料3、「水道行政の最近の動向について」という、横長のカラーの冊子に なってございます。それから、そのほか参考資料でございますが、参考資料1、「審議 会と部会に係る関係法令等」という冊子でございます。資料2、「水質基準に関する省 令」等の改正に関する意見募集の結果について、横長の冊子でございます。最後に、水 道ビジョン、平成20年7月改訂という冊子でございますが、こちらは番号を付してござ いませんが、参考資料の3ということでご理解をいただければと思います。  不足がございましたら、事務局にお申し付けをいただければと思います。 ○粕谷水道課長  それでは、本部会、新たにご参加いただいている委員も大勢いらっしゃいますので、 事務局から本日ご出席いただきました委員のご紹介をさせていただきます。  ご出席いただきましたのは、こちら側から、安藤委員、大垣委員、大澤委員、岡部委 員、小笠原委員、沖委員、佐藤委員、佐野委員、瀬川委員、津野委員、古米委員、御園 委員の12名の先生、今ご出席いただいております。大住委員、岸委員、坂上委員は、少 々遅れるという連絡をいただいているところでございます。  また、本日ご欠席の委員は、相澤委員、大井田委員、中野委員、永井委員、及び宮山 委員の計5名でございます。  本日は、20名中15名の委員からご出席をされるという連絡、あるいは現に出席いただ いておりまして、厚生科学審議会令の第7条の規定によりまして定足数を満たしており まして、本部会開催が成立していることをご報告申し上げます。  続きまして、事務局を紹介させていただきます。先ほどご挨拶いたしました上田健康 局長でございます。  私、水道課長をしております粕谷でございます。よろしくお願いいたします。  水道計画指導室長の東でございます。  水道水質管理官の滝村でございます。  水質管理室室長補佐の久保でございます。  生活衛生課課長補佐の渡でございます。  よろしくお願いいたします。  それから、本部会の部会長につきましては、眞柄前部会長がご退任され、新しい部会 長にご就任いただく必要がございますが、部会長につきましては、厚生科学審議会令第 6条の規定によりまして、委員の互選により選任することとされております。大垣委員、 岸委員、坂上委員の3名の委員の互選によって、大垣委員に部会長をお引受けいただく こととなっております。  それでは、以降の議事につきまして、大垣新部会長に進行をお願いいたします。  なお、上田健康局長、大変恐縮でございますが、ちょっと所用によりここで退席させ ていただきます。 ○大垣会長  部会長に指名されました大垣でございます。大役ですが、できるだけのことをいたし たいと思っております。  水、水道をめぐる環境、非常に複雑といいますか、大分変化してきておりますので、 この部会で間違いのない審議をいたしたいと思いますので、ご審議のほどよろしくご協 力をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。  座らせていただきます。  部会長代理を決めることなんですが、委員または臨時委員のうちから部会長が指名す ることとされております。今日、今まだいらっしゃいませんが、坂上委員に改めて部会 長代理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、早速議事に入ってよろしいでしょうか。  じゃ、議事に入ります。議事の1ですが、厚生科学審議会生活環境水道部会について、 であります。  新しく委員になられた方も多くいらっしゃいますので、本部会の位置付け、それから 審議経過について、簡単に確認しておきたいと思います。それでは、事務局からご説明 をお願いいたします。 ○粕谷水道課長  本部会は、厚生科学審議会の下に位置付けられた部会であります。参考資料の1、厚 生労働省設置法の抜粋でございますが、これをご覧ください。厚生科学審議会には多く の部会が設置されておりますが、本部会は、その中で建築物衛生その他生活衛生に係る 生活環境に関する重要事項、及び水道に関する重要事項を調査、審議するとされていま す。  次に資料の1‐2、これがこれまでの開催経緯の表、1枚紙でございますが、これを ご覧いただきたいと思います。これまでに生活環境水道部会は、6回開催されておりま す。前回、昨年10月26日に開催されまして、見ていただきますと、概要のところにあり ますように、TOC全有機炭素の水質基準値の強化などの水質基準の見直し等について ご意見をいただくとともに、地震に強い水道づくりを進めるために、水道施設の施設基 準の技術的基準を定める省令を見直して、耐震性の基準を明確化するということ。さら には、平成8年の法律改正で、水道法に位置付けられました指定給水装置工事事業者制 度、これの施行状況と、それを評価し課題を明らかにするということに関しまして、ご 意見をいただいたというようなことをご審議してきていただいているところでございま す。  以上でございます。 ○大垣会長  ただいまの説明に対して、ご質問あるいはご意見ございますでしょうか。  特にないようですので、それでは、次の議題の2に進みたいと思います。  議題の2は、水質基準の見直し等について、であります。本議題では、前回部会で案 を示しましたTOCに係る水質基準の見直し等について、その後の状況と、水質基準逐 次改正についての検討の中で出てきました新たな見直し事項、案でありますが、を事務 局から報告いただいた後、ご審議いただきたいと思います。  それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○滝村水道水質管理官  それでは、私のほうから説明させていただきます。  水質基準に関して2つ、本日、資料を用意してございます。最初に、資料2‐1のT OCに係る水質基準の見直し等という資料をご覧いただきたいと思います。こちらの資 料は、前回のこの部会で方向性についてお示しいただきましたTOC等に関して、その 後の状況をご説明したいというものでございます。  最初に、この水質基準の制度でございますけれども、資料2‐1の最初の1ページ目 の下に、3段重ねのピラミッドの図がかかれているかと思います。一番上に水質基準と いうのがございまして、こちらは法に基づく遵守義務・検査義務のあるものでございま す。その下に、水質管理目標設定項目というのがございますが、これは水質基準に準じ た形で検査を要請しているというものでございます。局長通知に基づくものでございま す。一番下に、要検討項目というのがございますけれども、こちらは水質基準、あるい は水質管理目標設定項目のいわば候補になるような物質として、国として知見の収集に 努めていこうというものをリストアップしているものでございます。  我が国における水質基準制度は、この3段重ねのピラミッドの中で行われているわけ でございますけれども、平成15年の厚生科学審議会の答申の中では、従来10年ぐらいに 一遍ずつ全面的に改正していこうと、大幅に一気に見直していこうという形をとってお ったものが、それ以降は、最新の科学的知見に応じて逐次改正していくというスタイル をとってきているところでございます。こうした中で、昨年のこの部会で示していただ いた方向性というのが、2ページ目にございますけれども、(1)の水質基準の見直し というところがございます。ここにございますとおり、TOCにつきましては、現行の 基準の5mg/Lを3mg/L以下に強化していくということ。あるいは、1,1−ジクロロ エチレンについては、従来よりも基準値が緩和されることから、あわせて水質管理目標 設定項目に格付け変更していくということ。1,2−ジクロロエチレンについては、シス 体、トランス体を合わせて合算した形で評価をしていこうということでございます。ま た、1,4−ジオキサンについては、基準変更は不要ということでございます。  また、水質管理目標設定項目についてでございますけれども、アルミニウムについて、 現行の水質基準0.2mg/Lというのがございましたけれども、これとあわせて水質管理 目標値として0.1mg/Lも設定することにして、より高い水準を目指していこうという ことでございました。  また、ジクロロアセトニトリル、抱水クロラールについては、それぞれ基準値を強化 していくということでございます。あと、農薬類についても、このクロルピリホスにつ いて設定値を変更していくという内容でございました。  この中で、その後の対応状況というところが3ページの3ポツにございます。最初に 食品安全委員会との調整ということでございますけれども、基本的に水道水質基準を変 更するときには、食品安全委員会に意見を聞くということが法律上なってございまして、 ここの3ページの(1)にございます上の1ポツから3ポツまで、TOCと、1,1−ジ クロロエチレン、あるいは1,2‐ジクロロエチエンに関しては、食品安全委員会に対し て意見照会を行いました。その結果、そこに記載のとおり、同委員会から回答を得られ たところでございます。  また、4ポツ目にございます1,4−ジオキサンとジクロロアセトニトリル、抱水クロ ラールについては、暫定値として取り扱っていきたいということにつきまして食品安全 委員会と考え方の確認を行ったところでございます。  こうした結果、4ページにございますとおり、いずれの項目につきましても、平成19 年10月26日、前回の部会においてお示しいただいた方針を変更することなく水質基準等 の改正を行うということで、了解が得られたところでございます。  また、そのほかにも、検査方法に係る検討と。(2)のところでございますけれども。 水質基準が厳しくなるというものもございますので、必要な定量下限値まで測定可能か どうかということを、別途、水道水質検査法の検討会で検討いたしまして、測定可能で あるということが確認されたところでございます。  こうしたことを受けまして、パブリックコメントの手続を行ってまいりました。具体 的な提出された意見等の内容は参考資料2でございますけれども、パブリックコメント の結果からは、改正方針の変更が必要になるような意見はございませんでしたが、一部 水質検査方法の表現を若干修正するということを行ったところでございます。  こうしたことで、水質基準と水質管理目標設定項目、あるいはこれに関係する検査方 法の改正については手続を進めているところでございます。  4番目のところでございますけれども、実は水質基準を見直しますと、これに関係し て薬品基準、資機材基準、給水装置基準といったような、水道での処理に伴って、ある いは水を運ぶ上で必要な資機材について、そこから溶け出すような物質についても規制 していこうというような基準がございます。こうした項目についても、水質基準を変更 することによって改正が必要になってくるところでございます。  そこで今回、従来の考え方はあるんですけれども、あらためてこの薬品基準等の対象 項目の選定の考え方を整理したところでございます。4ページの下のほうにございます けれども、最初に水質基準項目が決まっているものにつきましては、この項目は法令に 基づいて給水栓での基準遵守が義務づけられているということでございまして、それを 担保するための措置の1つとして、規制対象とすることが不合理なものを除きまして、 アンダーラインございますけれども、原則として薬品基準等について設定するというこ とにしていくということでございます。  一方で、明らかに移行する可能性がないものにつきましては、あるいは薬品の中に主 成分となっているものについては、これらの基準は設定しないという考え方でございま す。  また、この水質管理目標設定項目とか要検討項目でございますけれども、これらの項 目は、通知等に基づいて水質管理上留意すべき項目ということになってございます。こ のため、原則としては法に基づく薬品基準等の対象とはしないということなんですけれ ども、実際に状況を調べて、明らかに薬品等から水道水への移行の可能性があるものな どにつきましては、必要に応じて薬品基準等を設定していくことにしていくという方針 でございます。  水質基準項目から水質管理目標設定項目に変更されるということは、これからもある し、この逆もあるということでございますけれども、機械的に薬品基準を維持するとい うことではなくて、個々に基準の必要性について検討を行うということにしていくとい う方針でございます。  一方、こうした考え方に沿って、今回の水質基準改正に伴って薬品基準等の見直しに ついて整理いたしました。これが(2)のところでございまして、3つの項目について それぞれ整理の考え方がございますが、1,1‐ジクロロエチレンにつきましては、水質 基準項目から水質管理目標設定項目に変更されることになります。これに伴ってどうし ていこうかということですけれども、実際調べてみますと、薬品や資機材において原料 としての使用がありません。また、それらの浸出試験を行った結果でも検出されないと いうことが分かりました。こうしたことから、先ほどの考え方に沿って、法に基づく薬 品基準等を設定しないということで、今回削除するということにしていく方針でござい ます。  2)のところのシス‐1,2‐ジクロロエチレンでございますけれども、これらにつき ましては、従来のシス‐1,2‐ジクロロエチレンに代えて合算してみようということで ございますので、薬品基準等を設定するということでございます。  TOCでございますけれども、これは水質基準項目ですから、また明らかに移行する 可能性がないということでも該当しないということでありますので、薬品基準等を設定 するということになります。ただ、この中で資機材と給水装置に係る基準につきまして は、本来であれば、これは基準値の10分の1の数値にしていくということになっている のがこれまでの考え方でございますけれども。実際調べてみますと、水道用資機材等と して用いられる特に塗料なんですけれども、これから溶出量を低減させるということが、 現時点では技術的に困難ということが分かりました。このため、この資機材と給水装置 に関しましては、従来どおり0.5mg/Lを維持するということにしていくことでござい ます。  以上まとめますと、6ページにございますとおり、薬品基準等の改正案の表がござい ますけれども、それぞれ上から順番に、水質基準、薬品基準、資機材基準、給水装置の 基準というのがあるわけでございまして、3つの物質についてそれぞれ上段が現行、下 が改正案ということでございます。今の考え方に沿って、薬品基準、資機材基準、及び 給水装置基準を決めていくということでございます。  今後の予定でございますけれども、水質基準と水質管理目標設定項目の改正について は、既に省令改正の手続を進めておりまして、実は来週早々にも公布される予定でござ います。この基準につきましては来年度から、つまり平成21年4月より施行する予定で ございます。  それから、薬品基準等でございますけれども、現在パブリックコメントを終えまして、 一方で、これはWTOへの通報手続というのが必要でございます。この手続を行ってお りまして、こちらについては、同様のパブリックコメントみたいな手続が要るんですけ れども、来月いっぱいまでこれはかかるということで、それが終了後、速やかに省令改 正の手続をとっていきたいと思っております。これらの基準につきましても、平成21年 4月から水質基準とあわせて施行する予定ということでございます。  以上、昨年方針をいただきましたTOC等に関する水質基準等の見直しに関する、現 在の手続の進行状況でございます。  資料2−1に関しては、以上でございます。  続きまして、資料2−2に沿いまして、今回特にご意見をいただきたい、今後の水質 基準の見直しということについてでございます。  資料2−2に沿ってご説明いたしますけれども、今回の見直しにつきましては、先ほ ど申し上げましたとおり、新たな知見が出てくると逐次改正ということで検討を進めて いるところでございますが、ちょうど前回の会合から現在に至るまで、新しく食品安全 委員会から、様々な健康影響評価の知見が得られてきているところでございます。これ を踏まえまして、厚生労働省では、水道水質基準の逐次改正検討会というのを別途設け ておりまして、これは真柄先生に座長をいただいている検討会でございますけれども、 こちらで検討を進めてきた結果を今回整理したというところでございます。  その中身でございますけれども、2ポツにございますとおり、前回、この部会以降、 内閣府の食品安全委員会から出されております評価結果というのが、この1ページ、2 ページ、3ページの表になってございます。この中で、この表でございますけれども、 左から物質名、食品安全委員会の評価がどうであったかということ、一方で、平成15年 の厚生科学審議会答申ではどんな考え方であったかということ、これらを踏まえて、水 道水質基準としてはどのような対応方針をとっていこうかという案が一番右の欄にござ います。  コンパクトに整理しているわけでございますけれども、今回食品安全委員会からは、 ここにございますとおり銅、ホルムアルデヒド、次のページにいきましてカドミウム、 メチル水銀といったものが、水質基準に関係する項目として評価結果が出されたもので ございます。また、水質管理目標設定項目についても、ここにございますとおりメチル −t−ブチルエーテル等の物質について評価結果が出されているというところでござい ます。  しかしながら、この表の中で白抜きになっておりますところは、食品安全委員会の評 価内容と、従来のこの厚生科学審議会の答申の考え方が基本的には同じものでございま すので、これらについては対応方針としては変更の必要はないということにしていくと いうことでございます。  したがいまして、今回対応を考えなくてはいけない物質というのは、色をつけてござ います、水質基準項目で言いますと銅と、次のページのカドミウム、また水質管理目標 設定項目の1,1,2‐トリクロロエタンの、この3物質ということになります。  こちらについての対応の考え方を少し詳しく整理したものが、3ページの下のほうか らございます。3ページの下のほう、最初に(1)で銅というのがございます。銅につきま しては、許容上限摂取量ということで、今回食品安全委員会からは、9mg/L/日とい う量が改めて示されたわけでございます。こちらにつきましては、こうした食用上限摂 取量が定められているという、銅はそういうものでございますけれども、一方で銅自身 は、微量必須元素でございまして、厚生労働省でも摂取の基準値としてこれくらい以上 は必要だよという推奨量を定めているところでございます。  現在、この銅の摂取量がどうなっているかということを申しますと、現在は平均的に は推奨量と許容上限摂取量の間にあります。恐らく大分下のほうだろうと思います。こ ういう状況であるわけでございますけれども、銅につきましては、水道水とはどういう 関係になっているかということでございますけれども、従来から給水装置につきまして は、銅合金といったような形で、水栓ですとかそのほかの給水用具というものについて 用いられてきているわけでございます。こうしたものの浸出液の基準値というのも一方 で決められておりまして、4ページのほうに移りますけれども、給水装置への浸出性能 基準ということで、0.98mg/Lというものが決められているところでございます。  また、その浄水からの銅の検出状況がどうなっているんだろうかということで、現状 でございますけれども、この16年から18年の水道統計でございますと、検出されること は多数ございます。ただし、基準値を超えているということはございませんで、例えば、 現行基準の50%を超えるようなものが比較的高いものでございますけれども、これらは 2カ所ございました。これらについては、そこにございますとおり、いずれも銅を使っ た部品の使用によるものではないかということが考えられております。こうした状況で ございます。  そうしますと、銅というものは濃度が低ければ低いほどいいということではないわけ でございますけれども、一方で銅を使った部品からの溶出ということを考えなくちゃい けないということで、ここにポツで書いてございますけれども、今後は、まず飲料水か らの銅の摂取が多いと考えられる銅製の給水装置の使用者を対象とした健康リスク評価 を行っていこうということで、実際の銅からの溶出状況ですとか、浄水中の中では比較 的高い銅の濃度が検出されているところの評価ですとか、こういうことを行っていくと いうことで、そのデータ収集・解析を行って、その上で基準改正の必要性について検討 を進めていきたいというふうに考えてございます。  銅に関してはこういうふうにしていきたいということで、今回直ちに基準の見直しと いうことで数値を決めていくということではなく、もう少し検討していきたいというこ とでございます。  (2)のカドミウムでございます。こちらについては、今回、食品安全委員会から従来よ りも厳しい健康影響評価が示されました。これに基づいて計算いたしますと、新しい評 価値としては0.003mg/Lというふうになります。これは従来の基準値でございます 0.01に比べて、3分の1に厳しくなるということでございます。  このカドミウムにつきましては、食品安全委員会でも平成15年から検討を進めてきて いたものでございまして、疫学調査によって腎機能への影響が見られないレベルという ことで今回新しく示されたものでございます。なお、こうしたレベルについては、WH Oの飲料水質ガイドライン値も0.003ということになっていることもございまして、基 準値については0.003mg/Lに強化していくということが適切だろうというふうに考え てございます。  一方で、この検出状況でございますけれども、新しく新評価値になります値の33%値 の、言い方を変えれば現現行基準の10%未満というものにつきましては、ほとんどその 範囲に収まっているところでございますけれども、平成17年、1地点だけでございます けれども、この33%値というのが検出されているところでございます。なお、この原因 は地質由来ということで考えられてございます。  今後につきましては、基準強化の方向で、薬品ですとか資機材からの溶出状況につい ても念のために調べた上で、食品安全委員会に対しても、水質基準の見直しについて意 見を求めていくということにしたいと考えてございます。  その次、(3)の1,1,2−トリクロロエタンでございますけれども、こちらについては、 1,1−ジクロロエチレンの原料ですとか溶剤として使われている物質でございます。今 回、食品安全委員会からは従来よりも緩やかな評価結果が出されてきたところでござい ます。これに基づきますと、従来の基準値に対して、基準値が0.006だったんですけれ ども、これに対して新評価値が0.01というふうに緩和されるわけでございます。  ところで、この5ページにございますとおり、トリクロロエタンでございますけれど も、平成15年の水質基準の見直しの際にも、当時評価値の10%を超える値というのがほ とんど検出されていなかったわけでございますが、従来その水質基準であったものを水 質管理目標値に変更するということで、もうしばらく経過を観察するという意味で、水 質管理目標設定項目としておこうということでございました。その後、検出状況のデー タも積み重なってきたわけでございますけれども、その下に表がございますとおり、原 水ではわずかにこの新目標値の6%超過値を超過する例があるものの、原水、浄水とも にこの10%を超えることはございませんでした。検出状況からいうと問題ない状況なの かなということ。また、この物質については水質汚濁防止法の規制対象物質でもありま すし、また化学物質の排出量を管理してございますPRTR法に基づく届け出状況から 見ても、排出量の状況から見ても、その下のほうの図にございますとおり、排出量につ いても大きな変化はないということがございます。  こうしたことから、水質管理目標設定項目からも今回削除していってはどうかという ことでございます。  水質基準と水質管理目標設定項目について見直しについては、この3点について検討 していくというところでございます。  また、6ページから7ページにかけまして、農薬類に関して、幾つかこれも食品安全 委員会から新しい健康評価が出てきておりまして、この辺もさっきの表の見方と同じで ございます。この中で、色をつけたところが、従来の評価値と変わってくるというとこ ろでございます。  農薬類については、水質管理目標設定項目ということで、この第1群というものが水 質管理目標設定項目の農薬類の対象になっているわけでございますけれども、こちらに ついて、この色をつけたところを、それぞれ食品安全委員会の評価結果に合わせて評価 値を見直していきたいというふうに考えているところでございます。  この次の7ページの第2群、第3群というのは、これは第1群の農薬類を決めていく には至らない、第1群には至らないけれども、候補物質となっているものでございます けれども、こちらについても評価値を見直していくということでございます。  以上の状況でございますけれども、8ページにございますとおり、こうしたことで農 薬類についても評価値を見直していくということでございますが、農薬類は、現在水質 管理目標設定項目でございますけれども、それぞれ検出状況を見ていって、水質基準へ の選定の考え方、つまり評価値の10%を超えて検出されるようなことがよく見られてい るようであれば、水質基準項目への格上げということを考える必要があるわけでござい ますけれども、今回いずれの農薬類につきましても、評価値の10%値を超えることはご ざいませんでした。したがって、現時点では水質基準への格上げということは必要ない というふうに考えているところでございます。  以上、水質基準項目と、水質管理目標設定項目についての考え方をお話ししたところ でございますけれども、次に8ページの3ポツのところで、近年注目されている未規制 物質の取扱いというものでございます。これが、3段重ねの先ほどのピラミッドの中で、 要検討項目の対象にしてはどうかと考えているものでございますけれども、最初に過塩 素酸という物質でございます。  こちらについては、酸化力の強い物質でございまして、ロケット、ミサイルの推進剤 ですとか、それ以外でも火薬といったものに使われているものでございます。毒性とし ては、甲状腺におけるヨウ素の取り込み抑制ということが知られているわけでございま す。  この物質についての検討状況でございますけれども、WHOでも、この水質ガイドラ インの改定の対象項目の1つとされておりまして、2009年までに評価が終了されるとい う見込みになってございます。  一方で、国内でも、厚労科研費の中でいろいろ実態調査を行ってきた結果、特に利根 川で高濃度の過塩素酸が検出されまして、浄水でも一部検出されているところでござい ます。この利根川では、比較的こうした過塩素酸の排出する事業場というのが特定され ておりまして、そこについて個別に対策が進行中というところでございますけれども、 それ以外の環境省のデータですとか、保健医療科学院のデータとかを見ますと、こうし た事業者以外にも排出者があるということも指摘されているところでございます。  以上のことから、過塩素酸につきましては要検討項目というふうに新たに位置付けま して、今後は特にWHOの動向に注意を払いながら、情報収集を図っていきたいという ふうに考えているところでございます。  2番目の物質、PFOS、PFOAという2つの物質でございますけれども、これら は有機フッ素化合物でございまして、特に撥水性が高いという、ほかにないような独特 の性質を持っているものですから、撥水剤とか表面処理剤といったものに使われている ところでございます。  この中でPFOSにつきましては、近年、地球規模での環境残留性ですとか生体蓄積 性が明らかになっているところでございますけれども、長期毒性の疑いがあるわけです が、なかなかこの毒性についてはまだ未解明なところも多い状況でございます。しかし ながら、国内外で規制の検討が行われているというところでございます。  WHOにおきましても、飲料水質ガイドラインの検討の対象項目の1つとされている とところでございます。  国内では、昨年、淀川水系でこの検出について報道がなされたところでございまして、 浄水中でも検出が見られているところでございます。原水についても、大阪市の行った 調査では、ここに記載してございますとおり、比較的高い濃度が検出されているところ でございます。また、一部の下水処理場ですとか工場排水からも高濃度の排出があった ということでございます。  こうしたことから、この2つの物質につきましても要検討項目に位置付けまして、特 にWHOの動向、毒性情報ということにつきましてなんですけれども、動向に注意を払 いつつ情報収集を図っていきたいというふうに考えてございます。  3番目に、NDMA、N−ニトロソジメチルアミンでございますけれども、これは消 毒副生成物でございまして、浄水処理ですとか下水処理での塩素処理によって生成する ことが報告されてございます。また、恐らく発がん性がある物質というふうに分類され てございまして、WHOでは、先月でございますけれども、飲料水水質ガイドライン値 として100ng/Lというのが示されたところでございます。  一方で、国内でも調査を進めてきてございまして、平成19年の調査では、多くのとこ ろでは数ng/Lということでございますけれども、一部浄水で10ng/Lというのが最大 濃度でございますけれども、検出されている状況でございます。全体として見ると、原 水中の濃度よりも浄水中の濃度が低かったわけでございますけれども、最高濃度を示し た浄水ではオゾン処理を導入してございまして、その影響ということも考えられている ところでございます。10というものを考えますと、先ほどの飲料水ガイドラインの100 に比べれば10分の1程度でございますけれども、NDMAにつきましても要検討項目に 位置付けた上で、今後はWHOから出された毒性評価内容を精査するとともに、特にオ ゾン処理との関係を含めて、さらなる存在実態調査ということを進めていきたいという ふうに考えているところでございます。  以上の過塩素酸、PFOS、PFOA、NDMAについては、そうしたことから要検 討項目に位置付けて、知見の収集に努めていきたいというふうに考えたところでござい ます。  以上でございます。 ○大垣委員長  ご苦労さまでした。  今、事務局から資料2−1と2−2の説明がありましたが、2−1のほうは、繰り返 しになりますけれども、TOCに係る水質基準の見直しなどについて、前回部会で示さ れた方向性を踏まえ、その後の対応状況及び今後の予定について報告をしていただきま した。  それから、資料2−2に関しましては、カドミウムに係る水質基準値の強化などの今 後の水質基準の見直し等について、対応方針案の提示があったわけであります。  これに関しましてご質問、ご意見を伺いたいと思いますが、ちょっと内容が違います から、まず資料2−1に関しまして、これは報告ではありますけれども、ご質問あるい はご意見ございましたらまず2−1に関してお願いしたいと思いますが、いかがでしょ うか。  報告ですので、特にあれですが。では、後ほどまたお気づきになりましたらというこ とで、主にこの資料2−2のほうをお願いしたいと思います。  それでは、資料2−2の今後の水質基準の見直し等について、ご意見あるいはお考え ございましたら、どうぞ。  じゃ、小笠原さん。 ○小笠原委員  教えていただきたいんですが、水質管理ということでピラミッドの3段重ねで、合理 的にいろいろ検討されているというのは、そのとおりだと思います。また、そういった 中で目標設定項目、今、約50項目ほどありますけれども、それもいろいろと検討されて、 外すあるいはさらに基準値に持っていくと、そういう検討がなされているんですが。  ただ、私、今、簡易水道という立場で出席させていただいておりますけれども、例え ば将来的に、もうちょっと先の話になりますが、基準項目がこれ以上増えていくと、な かなか水道経営的に苦しくなるという実態も一つあります。といいますのは、上水道そ れから簡易水道を合わせて、現在国内に1万カ所ぐらいの水道施設があります。将来、 水道事業が統合したとしても、集落が統合されるわけではございませんので、水源や水 道施設としてはそれほど減らないと。そういった中で、市町村財政が厳しい中で、項目 がどんどん増えていくと、かなり検査料、手数料がせつないと。そういう現実面が一つ あります。  そういった中で、将来の水質基準を定めるときに、例えば、環境省などが中心になっ ておやりになっております環境モニタリング、いろんな項目についてやっておりますが、 そういったものと連動させて、例えばこういった水源であれば初めから基準に入れなく てもいいと言ったらちょっと乱暴かもしれませんが、初めからほかの環境監視の中でモ ニタリングされているんで、測らなくてもいいとか、そういった考え方ができないもの かなと。ちょっと乱暴な話かもしれませんが、そんな感想を持っております。将来的に、 ぜひそういった手法が検討されれば、かなり水道事業の経営も、小さいところでは楽に なってくるのかなと。圧迫しないというんでしょうか。そんな感じをちょっと持ってお ります。  ちょっと乱暴だったら乱暴と教えていただければいいのですが。そういう発想という のは、なかなか成り立たないものなんでしょうか。 ○大垣委員長   基準を決めたとき、後の運用の問題も含めてですが。どうぞお願いします。 ○滝村水道水質管理官  確かに、特に小規模な事業体などでございましたら、水質検査をするということが、 なかなかやっぱり費用的にも負担が大きいということはあろうかと思います。平成15年 にこの水質基準を決めましたときに、どんな考え方をとるのかということを議論をいた だいたんですけれども、基本的には全国いろんなところで検出されるような物質、実際 にはそれぞれ違ってくるけれども、基準としては幅広く網をかけておこうということで ございます。きれいな水のところはここだけしか基準をかけないとか、都会であればこ れだけかけるというふうに分けるのではなくて、まず基準としては幅広くかけておくと いう考え方でございました。  そのときに、これとあわせて、ただ、実際検出されていないような、モニタリングを した結果検出されなかったような場合に、それがしばらく続いているような場合に、い つまでも続けていくということではなくて、地域によって検査項目を省略するというこ と、あるいは頻度を減らすということができるような仕組みをとっていこうというふう になっているわけでございます。  実際現在も、そういった考え方に基づいて、例えば過去5年間を見て、相当程度、基 準値に比べて低ければ、それは省略あるいは頻度を減らすということはできますよとい うことで運用されているんですけれども、恐らく今おっしゃられたのは、実際基準とし て決まっているとなかなか減らしていくということもしづらいということも、実態面と してあるのかなということだろうと思いますけれども、考え方としてはそういうふうに なっているというところでございます。  それから、もう一つ、ではその基準値の見直しというものの中で、やっぱり実際これ まで、これからも、いろいろモニタリングをしていただいた結果ということが蓄積され ていくわけでございますけれども、やはり健康リスクというものは毒性の評価と暴露状 況によって決まってくるものでございますので、やっぱり暴露状況というか実際検出さ れていないという状況がずっと続いてきましたら、これは物によってはそもそも基準値 から消していってはどうかというのは当然成り立つと思います。そうした検討はこれか らも引き続きやっていくことにしたいと思っていまして、冒頭お話しいたしましたが、 逐次改正の検討会の中でもそういったご議論をしていただいているところでございます。 ○大垣委員長  よろしいですか。  ただ、あれですね、私が不勉強で知らないだけかも分からないですが、その頻度を減 らすあるいは省略することのルールというか、はどんなふうになっているんですか。細 かいことはいいんですが、基本的にはルールがあって、個別の事業体が……。 ○滝村水道水質管理官  はい。あと、考え方のルールを私どものほうで決めまして、その考え方に沿って検討 してくださいということにしてございます。省令と通知で決めてございます。 ○大垣委員長  ほかに、今の観点でも結構ですし、全く違う観点でも結構ですが、いかがでしょうか。  はい、どうぞ。 ○安藤委員  今のお話ですが、具体的には検査計画というものがあって、それで対応できるように なっているはずだと思うんですね、私。今ご質問のお話は、それを具体的にどうしたら いいんだというのが、いわゆる大きな水道事業体は知恵があるけれども、自前で考える ことができるけれども、小さな水道事業体はそれがちょっとできないと。それをどうし たらいいかと。そこの道筋をつくってくれるとありがたいなと、こういうお話かなとい うふうに思うんですね。  それからもう一つは、そのモニタリングのお話にしても、小さな簡易水道も含めてそ ういう水道事業体が自前でモニタリングするというのは、それは不可能だと。そうした 場合、一つのブロックなりある地域一つをまとめて、具体的な総合的なモニタリングを して、じゃこれだったらいいですよと、これはやめましょうと、こういうふうになると いいんじゃなかろうかと、そういうことをおっしゃりたいのかなというふうに、私は思 ったんですけれども。そういうことをこれからお考えいただくとありがたいなというこ とです。 ○大垣委員長  という追加の説明をしていただきましたけれども、そういうことでよろしいですか。  ほかにはいかかでしょうか。  はい。 ○御園委員  銅についてなんですけれども、銅については、我が国では大分歴史的に毒性が強いと か誤解を受けてきた物質でございますが、近年になって、銅は抗菌性があるとか衛生的 な管であるとか、そういう見直しがされているわけでありますけれども、ここにその健 康リスク評価を改めて行うということで、これは結構なことなんですけれども、あんま り誤解を受けないような、銅が極めて危険であるような過去の歴史に戻らないような注 意をぜひお願いしたいなというふうに思います。 ○大垣委員長  これは、いかがですか。特に。 ○久保水道水質管理室室長補佐  おっしゃるとおりでして、銅につきましては、かつては緑青という銅の緑のさびがあ りまして、あれが毒だというふうに言われておりましたけれども、最近の研究・調査で は、昔々の純度の低い銅に含まれていたヒ素が毒の主成分であって、銅のほうは別にそ れほど悪さをしているわけじゃないんだというふうに言われてきた、なんて話も、いろ んな方面から伺っているところです。  今回の銅のリスク評価につきましても、今日の時点ではまだちょっとこちらにお示し できるほどのデータが集まっておりませんが、先行して我々のほうでもデータ収集を進 めておりまして、例えば、水道から青い水が出たという苦情があったお客様の家に水道 局の方が出向いて行って、水を測った。銅の濃度どんなものか。こういう調査データも 今集めているところなんですが、基本的には銅管を使用しているところであっても、そ れほど高い濃度にはなっていないんじゃないかというのが、今のところの我々としての 感触です。ですので、そうは言っても青くなるなんていうケースもあるわけですので、 そういったところで本当に問題がないのか、念のため確認はして、その上で次へ進みた いというふうに考えておるところです。 ○大垣委員長  よろしいでしょうか。  はい、どうぞ。 ○坂上委員  御園さんの発言に関連してですけれども、銅管は建物の中で随分使われているんです ね。ある意味では、世界中被験者が、被験者といいますか、そういう意味じゃ健康であ れば問題ないということになるんですけれども。  それで、今後検討を進めるということでございますけれども、どのような体制で。も し今計画が少しコンクリートになっていましたら、ちょっとご紹介といいますか、どの ようにされるのか、あるいはおつもりなのかというので、お答えできる範囲で結構です がお聞かせください。 ○久保水道水質管理室室長補佐  それほどしっかりした計画があるというわけではないんですが、一つは、特に日水協 さんのご協力も得ながら、各地の事業体で特に定期の水質検査だけでなくて、先ほども 申し上げたとおり、例えば青い水が出たとか、特別に銅に着目した、もし調査研究的な 水質データがあれば、そんなものもいただきたいというのが一つ。  それと加えて、今既に考えておるのが、銅管などをつくっている業界の団体がござい ますので、そちらからも何がしかの情報は得られないか。それも水道管、給水管として の使用というのもありますが、それだけではなくて、湯沸かし器の熱交換の部分にも使 われているというようなお話がありますので、もちろん皆さん、熱湯ばかり飲んでいる わけではないんですが、念のため、そのようなところからもどのぐらい溶出があるのか、 そんなことも集めながら、具体的な数字を見ながら、この先のことを考えていきたいと 思っております。 ○大垣委員長  よろしいですか。  どうぞ。 ○安藤委員  銅に関する評価値の状況をちょっとご説明いたしますと、銅の評価、先ほどの御園委 員のお話とは違って、いわゆる毒性をやっている先生方からすると、かなり昔のような 考え方ではなくなってきている。つまり、事実、これは食品添加物になってございます ので、使うことについてはさほど問題ではないということ。食品添加物としてですね。  それと、もう一つは、いわゆる必須金属であるということと毒性というものをどうい うふうに考えたらいいのかというのが、これはまだ。つまり、必須金属についてそうい う評価値を出していいのかどうなのかという議論も今しているところで、そうむやみに 厳しいお話になる話ではないかなと、そんな気がいたしております。 ○大垣委員長  ありがとうございます。  ほかにはいかがでしょうか。  どうぞ。 ○津野委員  ちょっと教えてほしいのが、水質管理目標設定項目から削除するというものが出てま いりますが、これにつきましては、先ほどのピラミッドから見ますと、要検討項目の中 には残る、とりあえず残るということの理解でよろしいでしょうか。 ○滝村水道水質管理官  要検討項目は、毒性ですとか存在状況ですとか、そもそも知見がないものについて、 これからそういった知見を得ていこうという性格のものでございます。そうした考え方 からすると、今回落としていこうという1,1,2−トリクロロエタンについては、従来、 逆に知見が既にあったけれども、存在状況から見てほとんど問題ないことがさらに分か ったということですので、要検討項目にも入らないという考え方だろうと思います。 ○津野委員  そうしますと、現状は多分それでいいんだと思うんですけども、将来にわたって状況 が変わったりとかそういうようなことについての、今後のフォローというのはどのよう になるのか、ちょっと教えていただけるとありがたいです。これだけじゃなくて、ほか も含めてなんですけれども。こういう状態が生じたときにですね。  要するに、水質管理目標設定項目から削除されると、もう全くチェックは全然ないの か、要するに調査も何もないのかですね。あるいは、いや、そうでなくて、別の面から 社会状況が変わったとかそういうようなことで生じてきたら、そのときに入れるとか。 その辺のこういう削除したものについて、どういう取扱いなのか、ちょっとそれについ てご意見いただくとありがたいんですが。 ○滝村水道水質管理官  基本的には、やはり将来状況変化があれば、再び水質管理目標設定項目に戻すとか、 さらには水質基準に戻すとかというのはあり得べしだろうと思います。この項目に関し て言うと、1,1,2−トリクロロエタンに関して言うと、一方で環境規制のほうは継続し ておりますので、例えば水の中の存在状況ということについて、やはりちょっと気にし たほうがいいということが出てくれば、また再び水質管理目標設定項目に戻していくと いうことだろうと思います。 ○大垣委員長  外側の環境モニタリング等の、あるいはPRTRなんかの情報を押さえつつ、水道の ほうでも見ておくということになるんですね。それは先ほど、小笠原さんが中で意見を 言っておられましたけれども、行政全体の中で情報を共有して議論していくという…… ○滝村水道水質管理官  そのとおりでございます。 ○大垣委員長  ええ、ありがとうございます。  ほかにはいかがでしょうか。  資料2−2のほうは、先ほど銅の話が出ましたが、あとカドミウム、それから1,1,2 ‐トリクリロロエタンが対象になっておりますが、いかがでしょうか。ご注意いただく ことあれば。  はい。あ、失礼。 ○大垣委員長  2−2の。 ○沖委員  NDMAのことなんですが、浄水処理ということで、ここに塩素処理とオゾン処理と いうふうに2つ出てきているんですね。今の先生方のお話で、全国1万カ所以上、水道 施設があるんですが、現状としては塩素処理のほうが多いんでしょうか、あるいはオゾ ン処理のほうが多いんでしょうか。あるいは、併用させていらっしゃるんでしょうか。 これは、NDMAというのは、発がん性があるということなので、関心が深いと思うん ですが。教えていただきたいと思いますが。 ○大垣委員長  じゃ、よろしく。 ○滝村水道水質管理官  まず塩素処理でございますけれども、塩素処理については、最終的に消毒するという 意味で、すべての浄水場で行われております。オゾン処理なんですけれども、このオゾ ン処理は消毒というよりは、高度処理として行われている、水道水の異臭味ですとかト リハロメタンとかそういった問題を解決するために、通常以上の高度処理の一環として、 オゾン処理によって分解していくというプロセスが行われているものでございまして、 これは全国採用されているものは限られているわけでございます。 ○大垣委員長  よろしいですか。 ○滝村水道水質管理官  ただ、ご懸念の、オゾン処理で増えるんじゃないかということが懸念されるわけでご ざいますけれども、実際調べていくと、オゾン処理の仕方によってある程度コントロー ルができるんじゃないかということも、徐々に分かってきているところでございます。 ○大垣委員長  あれですよね、処理工程の中できちんとモニタリングを今後して、この濃度を確認し ていこうと、そういう方向だと思うんですけど。給水栓のところは塩素だけですね。 ○滝村水道水質管理官  オゾン処理のような処理過程での挙動についてもみていこうということです。 ○大垣委員長  瀬川さんのほう、はい。 ○瀬川委員  このNDMAなんですけれども、ここに書いてある飲料水水質ガイドライン値として、 100ng/Lですね。ほかは、いくら出ても10ngぐらいだということで、特に大きな問題 は現状ではないけれどという判断でよろしいんですか、これはまずは。 ○滝村水道水質管理官  WHOのガイドライン値が100と出ておりますので、これと比べれば10分の1以下と いうことでございます。ただし、この100というものが出てきた背景ですとか、ほかの 国での対応状況ということも含めて、ちょっともう少し調べていきたいとは思っており ます。 ○瀬川委員  ということは、発がん性に対する濃度といいますか、その辺はまだよく分かっていな いということ、という判断でよろしいのかな。 ○滝村水道水質管理官  発がん性を考慮してガイドライン値は決められたわけでございます。それで、そうい う判断をしていると。 ○瀬川委員  なるほど。我々、ビルのほうですけれども、塩素殺菌、水槽の清掃や何かだとかなり 高濃度の塩素使ってますんで、その辺で塩素を処理するとこういうのが出てくるという のは、ちょっと怖いなという気が、単純に素人として浮かんだんですけれども、その辺 については特にどうなんでしょうかね。一時的であれば、そんなに問題がないと判断し てよろしいんじゃないか。 ○久保水道水質管理室室長補佐  水槽の清掃につきましては、清掃の過程で、その水槽の内側に付着した汚れと塩素と 反応して何ができるか、正直ごく正確なところまでは分かりません。分かりませんが、 その後のすすぎ、というんですかね、洗浄した後きちんと中に残ったものを洗い流して いただくということが重要なんじゃないかというふうに思います。  水道のほうの基準というのは、一過的な濃度が上がって、それでどういう影響が出て という観点で決めているわけではなく、基本的には低濃度、微量の濃度だけど、それを 一生飲み続けて大丈夫なのかどうかという観点で、このような数字をつくっております ので、清掃のときに一過的に濃度が上がるとかいうのの評価とは、ちょっとまた別の観 点で数値がつくられているというふうにご理解いただければと思います。 ○瀬川委員  単純な、素人で申しわけありません、水道水そのものと、その、次亜塩素酸使ってい ますけれども、その辺のものの中で、水道水に含まれる微量物質との反応でできるとい うことではないという。ということは、浄水場を通った水ですよ。と次亜塩素酸の、清 掃して全部入れるときに次亜塩素酸を足していますよね、そのときの次亜塩素酸との反 応は起きないという判断でよろしいんですか。 ○久保水道水質管理室室長補佐  いや、そこについては、厳密には現時点では判断し切れないと思います。というのも、 先ほどもTOCの基準ありましたが、水道水の中にも有機物が全く残っていないわけで はありませんので、それとの反応で何ができるか。ほかの消毒副生成物につきましても、 例えばトリハロメタンとかありますが、結局蛇口に至るまでの間でどういう反応が起こ るか。途中で追加塩素なんていうのもありますので、その辺も含めて水質基準のチェッ クというのは、本当に蛇口の水で検査をしてチェックをしてほしいと。そういう仕組み にしておりますので、NDMAについても、ごく厳密に言えば、途中で消毒等々すれば また何が起こるかは分からないということになると思います。  ただ、そうは言っても、まだ限られたデータではあるんですが、今のところ測った中 では、100から比べればおよそ2桁低いぐらいの数字で大体のところは推移しておりま して、特に高かったところでもオゾンを使っているところで10という状況ですので、そ れほど大きな問題はないんじゃないかと思います。  ただ、毒性評価が固まっていないというちょっと紛らわしい言い方をしましたが、ど ういうことかと言いますと、WHOのほうではもう立派に100という数字をつくって、 ウェブサイトにも出しているということで、世界的に見ればきちんとした評価がなされ ているわけですが、何分その評価が出たのが一月ほど前ですので、我々としてその中身 をじっくり読み込むに至っていないと。したがいまして、例えばここに対して、こちら の厚生科学審の場に対して、目標値として100で行きたいですというふうに胸を張って お出しできるだけ、我々がまだ勉強できていないと、そういう意味でご理解いただけれ ばと思います。 ○大垣委員長  窒素があるかどうかが問題になるわけですね。  津野委員。 ○津野委員  このNDMAの件ですけれども、これ塩素処理によって生成するとか、オゾンによっ て高いというと、どこでも塩素処理やオゾンを入れていると出てくるんではないかとい うご心配の向きもおありだと思うんですが、基本的にはこれをつくる前駆物質というん ですか、きれいな水に入れたら全然問題ないわけで、それに対する前駆物質というのが あって、それでできるわけですから、ぜひこの調査の時には、全部出てくるわけじゃな いということで、その前駆物質も含めて検討する必要があると存じます。また、場合に よっては、逆に水道側からそういうものを、その前駆物質に相当するものを排水基準の 中へ入れるなり、水質保全項目として入れてくれるとか、あるいは原水の水質の検討の 中に入れるとか、そういったようなことも含めてこれやっていかないと、いろいろなも のがどんどん原水の中に入ってきますと、今までやっているいろんな技術がだんだんと 狭まっていくことにもなりますので、そういった面からもぜひ検討をお願いしたいと思 っています。 ○大垣委員長  ありがとうございます。  ご意見ありますか。よろしいですか。  じゃ、ええ。 ○坂上委員  瀬川さんのお話で、通常建物の中、貯水槽を清掃すると、その後、もちろん洗浄して 流した後、水をためているときに塩素を注入するわけなんですね。それが基準値よりか 相当高濃度で、イニシャルはですね、安全のためにやることが通例です。そうすると、 そのリスクというのが水質基準、この100という数値も、一生からすればほんの1週間 もないわけですから、それまた消滅していきますから、瞬時の瞬時ですから、そういう 危険性はほとんどないというふうなこともあわせて説明といいますか、証拠としてこの 検討の中で出していただければ安心するということですね。よろしくお願いしたいと思 います。 ○大垣委員長  ほかに、いかがでしょうか。  安藤さん。 ○安藤委員  今のNDMAの件ですけれども、基本的に最近このNDMAの問題が大きくなってき たというか、取り上げられたという。その1つの理由は、もちろんオゾン処理の問題が 大きくて、塩素のお話はちょっと低い。それは完全に確認されておりませんけれども、 むしろオゾンの問題と。つまり、高度処理の問題でその可能性があるんじゃないかと、 こういうお話が1つだと思うんですね。  それからもう一つ、そのNDMAというのは、実はこれは新しく出てきたものじゃあ りません。私の若いころ、もう30年前から実はあったものなんです。これどういうもの かというと、いわゆる食品の2級アミンというそういうものと、体の中あるいは野菜の 中にある亜硝酸、そういうものと反応すると、実は胃の中でできちゃうんだと。これが 非常に30年ぐらい前にセンセーショナルなお話になりました。それから、その食品の中 のそのNDMAをどうしたらいいんだという議論がありました。  ですが、結局は食品を介してどうしても入ってきちゃうものですから、それに対して 具体的な食品で規制するということはだから不可能だということで、今もさほど動いて いないという状況であります。  そこに、ここで、じゃ水道でできたものをどうしたいんだというところで、さらにデ ータを加えていかないとまずいんじゃないかと、こういうお話というふうに私は理解し ておりますけれども。 ○岸委員  8ページの、近年注目されている未規制物質の取扱いのところで、PFOSとPFO Aに関しまして少し発言したいと思います。  8から9に書いてありますように、PFOS、PFOAは新しいPOPsとも言われ ておりますけれども、一番問題になるのは、人で長期的な影響が最近ここ二、三年はっ きり示唆されてきているところだと思います。特に、(私ども厚生労働科学研究でさせ ていただいて既に報告しておりますが、)母親から子供(胎児)へかなりダイレクトに 移行いたします。それで、人でのハイリスクグループが恐らく次世代であろうと思うん ですね。それで、ここに書かれてありますように、ぜひ国内外の最近の科学的なデータ を見据えまして、何らかの対策をとっていくのが重要だと思うんですが。  一番心配しますのは、水道の中に全国各地で出てきていることを、京都大学の小泉教 授らのグループも発表されておりますが、結局はっきり排出源がよく分からない。ここ は淀川のことが書かれておりますけれども、私の知っている限り、それ以外でも、たと えば富山ですとか高知ですとか、必ずしも淀川とかに限らず汚染源があるのではないか というふうに思われます。この意味するところは、水道の問題でもありますとともに、 環境中にどういうところから(排出されて)出てきているのかということを押さえませ んと、なかなか水道関係の方だけでは問題の解決にならないと思いますので、ぜひ環境 のモニタリングとあわせて、どんなようにしていきますと(水が汚染を受けず)安全に なるのかということをご検討いただけるとありがたいと思います。 ○大垣委員長  ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、今岸委員からのご意見もありましたし、最初から意見が出ていたのは、ほ かの環境等のモニタリングと少し連携を積極的にとって、ぜひ、水道だけじゃなくて全 体の中で検討してくださいということかと思います。そういう条件の下で、基本的には 事務局案についてご了解いただけたというふうにしてよろしいでしょうか。  よろしいでしょうか。  それでは、こういうことで、要検討項目とこれからやるべきことたくさんあるかと思 うんですが、よろしくお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。  それでは、次の議題に移ります。議題の3は、水道行政の最近の動向についてであり ます。  本議題では、水道ビジョン策定から3年間の施策推進状況を踏まえた同ビジョンの改 訂の概要と、主要政策課題への取組の中から、地震災害対策、それから、より安全な給 水の確保対策、及び水道分野の国際貢献に係る最近の施策展開等について事務局から報 告をいただいて、ご審議いただきたいと思います。  それでは、よろしくお願いします。 ○粕谷水道課長  それでは、最近の水道行政につきまして、ただいまご審議いただきました水質基準関 係以外ということで、主なものを簡潔にご説明したいと思います。  1枚めくっていただきまして、2ページのところからですけれども、水道ビジョンの 改訂であります。水道ビジョンそのものは平成16年6月に策定しておりますが、そのビ ジョンがどういうものかということをまず簡単にご説明させていただきます。  水道ビジョンは、水道の現状を正しく認識して、将来のあるべき姿ということで、安 心、安定、持続、環境、国際という5つの目標を掲げまして、この目標を達成するため に運営基盤の強化、安心快適な給水の確保、災害対策等の充実、環境エネルギー対策の 強化、それから国際貢献といった5つの施策を掲げているものでございます。  3ページでございますが、そのレビューを行ったわけでございますけれども、水道ビ ジョンそのものは一応10年間という目標期間を置いてございますが、策定後3年目でレ ビューを行いました。平成19年4月に関係分野の専門家、有識者で構成されるビジョン のフォローアップ検討会を設置いたしまして、1年間で8回検討会を行いまして、施策 の現状ですとか課題の抽出を行ってまいりました。その結果、本年7月11日に水道ビジ ョンの改訂版というものを公表し、関係者に配布をさせていただいたわけでございます。  1枚めくっていただきまして、4ページに水道ビジョンのレビューの結果が示してご ざいます。施策の進捗状況を確認をしたわけでございますけれども、そこでは予定どお りに実施が進んで比較的早期に達成が可能なものもあれば、進捗が遅れているものもあ ると。例えばここにありますように、施設の耐震化というものは極めて進んでいないと いうような状況が明らかになってまいりました。  そのことから、水道ビジョンのレビューに当たっての基本方針として、水道事業者の 取組もまだ途上であるということから、基本的な方向ですとか数値目標については、こ れを維持して目標達成に向けて最大限の努力をするということとした上で、より一層進 めるために目標内容を明確化したり、さらには重点的に取り組むべき項目というものを 明示的に記載をすることで、関係者が一丸となって取り組みやすくしようというような ことを行ったわけでございます。  5ページでございます。少し細かくて恐縮でございますけれども、改訂版の概要とい うものでございますけれども。ここで言いますと、先ほど言いました重点項目というの は7ポツ、レビューに基づく水道施策の重点取組項目ということで、それぞれの施策分 ごとに重点的な取組項目を示しているわけでございます。  それから、8ポツ、第8章でございますけれども、関係者の参加による目標の達成と いうところで、改めまして地域水道ビジョンの策定ということをここでうたっているわ けでございます。  次に参ります、6ページでございます。地域水道ビジョンの作成についてでございま すが、水道ビジョンに掲げます長期的な施策の目標、あるいは各種の課題に適切に対処 していくために、各水道事業者が自らの事業を取り巻く環境を総合的に分析して、経営 戦略を策定、計画的に実行するということが必要不可欠でございますので、平成17年10 月に水道課長通知で、地域水道ビジョンの作成を推奨し、その作成の手引を示してござ います。ここにもありますように、水道を改革していく主役はやはりそれぞれの地域の 水道事業体であるということで、具体的な水道ビジョンの作成を強く望んでいるところ でございます。  7ページが、地域水道ビジョンの作成状況、今年の12月1日現在でございますけれど も、全国で225のプランが策定をされているところでございます。この策定されたビジ ョンを給水人口ベース、あるいは用水供給量で言えば最大給水量ベースで見ますと、人 口で見れば上水道事業の約58%を占めておりますし、水道用水供給で給水している最大 給水量の72%を占めているというところで、比較的大規模な事業体での策定が進んでい るところでございますが、さらに中小規模での策定ですとか、あるいは都道府県全体を 見渡した県レベルでの地域水道ビジョンというものにつきましては、まだ福島県と秋田 県で策定されたのみでございまして、今後大きな課題になってまいります中小水道の経 営基盤の強化あるいは広域化という観点から、都道府県での地域水道ビジョンの策定が 強く望まれるところでございます。  次の8ページが、地域水道ビジョンの策定あるいは予定状況というところでございま すが、昨年度、厚生労働大臣が認可しております約500の事業体を対象に行った結果で すと、平成20年度に策定するというところがかなり多くなってございますけれども、概 ね今年、来年辺りで策定が進むものと考えているところでございます。また、こうした 結果が全て出そろってまいりましたら、その水道ビジョンの内容などを分析して、審議 会でまたご議論いただけるような材料を提供したいと思っているところでございます。  次に、大きな施策としての2番で、地震対策の充実であります。9ページでございま すけれども、この表にありますように、最近大きな地震が頻発をしております。平成16 年の新潟中越地震をはじめ、今年に入りましても、岩手・宮城の内陸地震、あるいは岩 手県沿岸北部を震源とする地震ということで、かなり大きな地震が続いているわけでご ざいます。その一方で、水道施設の耐震化の状況でございますけれども、平成18年度末 の耐震化を見ますと、基幹管路で12%、浄水場で13%、配水池で23%という、かなり低 い状況にとどまっております。このため、耐震化率を上げていくというのはかなり喫緊 の課題でございます。  10ページでございますが、地震対策の充実に関して、昨年のこの部会でご審議いただ きました水道施設の技術的基準を定める省令、いわゆる施設基準省令で、本年3月に改 正いたしまして、水道施設の耐震性能基準の明確化というものを行ったわけでございま す。この改正は、水道施設を重要度に応じて2つに区分いたしまして、それぞれに応じ て備えるべき耐震性能基準の明確化を図ったものでありまして、重要な施設については より高い耐震性を求めるというものになっているところでございます。いわゆるレベル 1地震動、レベル2地震動というものを想定いたしまして、どういった施設がそれに耐 えなければいけないということを明確化したというのが、大きなポイントでございます。  11ページでありますけれども、省令改正と合わせまして通知を発出いたしまして、現 に設置されている施設についても、できるだけ速やかに新基準に適合されることが望ま れるということを通知いたしました。しかし、その耐震化という工事につきましては、 工期が長期間に及ぶものが多いということで、各水道事業者に耐震診断をできるだけ早 く行っていただいて、早期に耐震化計画というものを策定して、重要度・緊急度に応じ て計画的な耐震化というものを進めていただくということをお願いしているところでご ざいます。  こうした耐震化の取組につきましては、改訂された水道ビジョンにおきましても、重 点取組項目の1つとして位置付けているところでございます。  それから、この11ページの(2)にありますように、水道施設の耐震化のためには必 要な投資を行う必要があるわけですが、水道利用者の理解を得ることが不可欠でありま すので、利用者に対して水道施設の耐震性能の現状、あるいは耐震化の取組の状況、地 震に伴って断水が生じた場合の応急給水体制と、こういったものについて定期的に情報 を提供するよう求めているところでございます。  12ページでありますけれども、耐震化が遅れているという現状を大幅に改善をしなけ ればいけないということで、水道関係の団体と連携いたしまして、水道施設・管路耐震 性改善運動というものを実施しております。12ページにあるようなこのポスターをいろ いろなところに掲示いたしまして、水道業界をはじめとする関係団体と一丸となって、 耐震性の改善に努めようという取組をしているところでございます。  また、平成21年度の予算要求におきましても、この耐震性の強化ということに重点を 置きまして、国庫補助の対象となる管路更新事業というものの管種の追加ですとか、あ るいはより事業体が使いやすいような補助制度にするような予算要求をしているところ でございます。  次に、13ページであります。水安全計画でございますが、安全快適な水道水の供給と いうのは、やはり水道ビジョンの大きな柱の1つでございますので、WHOが提唱して おります水安全計画、これを我が国の水道へ普及、定着させていくということで、水道 水のリスクの一層の低減を図ることとしております。ご存じのとおり、水安全計画とい うのは、食品安全に用いられるHACCPの手法を水道水に適用しようというものであ りまして、これを進めるために我が国でも今年の5月には策定のためのガイドラインを まとめ、水道事業体に通知をしたところでございます。  14ページにHACCPというものの解説がしてあるところでございますけれども、食 品で用いられた手法でございますけれども、原料の入荷から製品の出荷までのあらゆる 工程であらかじめ危害を予測するということで、重要な管理点で継続的に監視をすると いう手法でありますので、これを15ページにあるように、水安全計画に適用することに よりまして、水道のシステムが一元的に把握、評価できますし、リスクを減らしたり安 全性を向上することができる。あるいは、維持管理レベルの向上、効率化が図れるとか、 技術の継承も図れる。それから、関係者とのコミュニケーションも向上するという、様 々な効果があるものでございます。  ぜひ各水道事業体で取組を促進したいということで、16ページにありますけれども、 ガイドラインの通知をしたり、今年の9月にはケーススタディーを送付、あるいは、水 安全計画作成を支援するツールというものを、これからになりますけれども、そうした ものも提供していくとか、講習会を実施するとか、様々な取組をして、各水道事業体で の水安全計画の策定、普及、定着というものを進めてまいりたいと考えております。  次の課題としての、水道分野の国際貢献の推進であります。背景といたしますれば、 2000年の国連のミレニアム開発目標として定められた、2015年までに安全な飲料水ある いは基本的な衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減するという、このミレ ニアム開発目標を達成しようという取組に、我が国も貢献していく必要があるというと ころでございますが、なかなかこのミレニアム開発目標の達成が容易でない状況にあり ます。  こうした中、我が国は、今年の5月のアフリカ開発会議TICADIVですとか、ある いは北海道洞爺湖サミットにおいても、この水を主要な議題の1つとして取り上げて、 国際的な動きを促進しようという取組をしているところでございます。特にG8、北海 道洞爺湖サミットで決められました水の関係につきましては、この17ページの下にあり ますように、赤く書いてありますが、アフリカ及びアジア太平洋地域の水と衛生の問題 解決に向け、G8水の専門家会合を設置して、次のイタリアサミットまでに平成15年の エビアンサミットで合意された水行動計画の進捗状況の評価と実施戦略を策定する、と いうようなことがうたわれておりまして、ちょうど今、帯広で世界の関係者が集まって、 このための会議をしているという状況でございます。  18ページが、少し前の話になりますけれども、水道分野の国際貢献、国際進出という ことに関しまして、アジア・ゲートウェイ構想、あるいは経済成長戦略にも位置付けら れているというところでございます。  19ページが、水道ビジョンの改訂版においても、ここに抜き出しているようなことが うたわれているというところでございます。  少し走りますが、20ページに参りまして、それでは、厚生労働省自体としてどのよう な取組をしているかということでありますが、今年度平成20年度から、水道産業国際展 開推進事業というものを開始してございます。5年間の予定で、アジアをはじめとする 世界の水道の発展のために我が国が積極的に貢献をしていこうということで、アジア各 国との交流の推進。これはアジアの各国の水道市場がどうなっているかとか、あるいは 日本の水道技術とか水道の制度、水道に係る経験のようなものを、現地でセミナーを行 うとか、相手国政府の人との政策対話を行うとか、こうしたようなことをやっていこう じゃないかということを進めておりまして、平成20年度、11月には中国でセミナーと現 地調査を行いまして、12月にはカンボジアでセミナーを行ってきております。  例えば、中国のセミナーと現地調査の関係では、その後、我が国の漏水防止技術に対 する高い関心が寄せられておりまして、これをさらに具体化していくというような取組 を今後進めていこうとしているところでございます。  それから、国際機関との連携。WHOとの連携ですとかIWAとの連携、様々なこと を引き続き進めてまいりますし、二国間会議も中国、韓国、米国、いろんな観点で連携 をしているところでございます。  それから21ページ、最後のページでございますけれども、水道の関係団体におきまし ても、水道国際貢献推進協議会、JIP−WATERというものを平成19年4月に組織 して、各団体が連携して世界の持続可能な水管理に協力しようということで議論を行っ ているところでございます。  そのほか、日本水道協会、日本水道工業団体連合会におかれても、様々な国際貢献の 方策の検討が進められているという現状でございます。  以上、大変雑駁でございますが、最近の状況をご報告させていただきました。 ○大垣委員長  ありがとうございました。  水道行政の最近の動向で、かなり幅広い様々な話題でありますが、何かご意見あるい はご質問ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。あるいは、追 加の説明等は。  どうぞ。 ○古米委員  水道ビジョンの改訂に関わらせていただきましたが、具体的に地域水道ビジョンが平 成20年度までに策定するという動きをされているということです。資料の8ページのと ころで、厚生労働大臣の認可の事業体で約500事業体での策定状況が示され、概ね20年 度である程度策定が完了しそうだということが分かりますけれども。一方で、小規模の 事業体はどうなっているのかなと。先ほどお話があったように、県レベルで策定してい る事例が2つあるということで、小規模事業体を含めて県や地域レベルで、今後さらに 地域水道ビジョンづくりを推進していかれると思うんですけれども、そういったところ のアンケートデータだとか、あるいは実態調査だとかは行われておられないんでしょう か。 ○大垣委員長  いかがですか。 ○東水道計画指導室長  まず、水道ビジョンつくっていただければ、それは必ず報告してくださいということ でお願いしておりまして、その結果がこの255プラン、現在つくっておるということな んですけれども。今後どうするか、先ほど課長のほうからもありましたけれども、まず 20年をめどにつくってくださいという要請を出しておりますので、その動きを見ながら やっていきたいというふうに考えているところでございます。 ○古米委員  ぜひ、小さい事業体の動向もしっかり把握されながら、将来のことを考える時期です ので、地域水道ビジョンづくりの推進をいただきたいなと思っております。  これに関連して、ホームページ等で見る地域水道ビジョン自体は、国でつくっている ビジョンをただ踏襲した形で、地域に根ざしたビジョンをつくるといううたい文句の割 には内容が充実していないように見受けられるものが多くありそうです。言い換えると、 水道ビジョン自身が平成16年に策定され、このたび改訂されましたが、10年先を見ると いう形で目標設定をしています。しかしながら、今稼働している多くの水道施設という のはちょうど更新時期を迎えていて、できたのは昭和30年、40年代です。約四、五十年 経過して、大きな置き換えの時期が来ていると。そういうことで考えると、もう少し長 いタームの方向性を示すことと、それを具体的にどう持っていくのかというような、指 針でもないですけれども、考え方を改めて国で示さないといけないし、そういったこと を踏まえて、地域水道ビジョンをつくってくださいというメッセージを出すタイミング ではないかなと思います。ぜひそこら辺、今後、地域水道ビジョンづくりを推進する際 に、今から策定するというところが残っているということは、逆にそれをうまく利用し て、そういった観点で施設更新されていくことに対するインセンティブを与えたり、そ の更新計画の策定を活性化する工夫をぜひお願いしたいと思います。 ○大垣委員長  ありがとうございます。  ほかにご意見ありますか。  はい。 ○大住委員  若干、関連するかもしれませんが、水道ビジョンにつきまして、今日いただいた資料 ですと6ページのところに、地域水道ビジョンの作成についての資料がありますけれど も。ちょっと教えていただきたいのですけれども、私が不勉強ということを前提にご質 問を申し上げているんですが。  地域水道ビジョンの判定要件ということで、4点書かれているわけですけれども、こ れだけでは余りに抽象的な判定要件なので、恐らくもう少し具体的な内容があると思う のですね。例えば「将来像の実現に向けた方策を記述しているか」というのは、例えば こういうことが書かれていればオーケーであるとか、あるいは、例えば、4番の「目指 す水道の将来像を示しているか」。将来像、ビジョンというものはどういうものなのか ということがまずあるわけですので、こういうことが書かれていれば、まあまあいいと いうような判定要件の具体化をされたものが恐らくあると思うのですね。  ですから、例えば、事業体から水道ビジョンが上がってきたというときに、何らかの 審査なりやりとりをされているのでしょうか。 ○大垣委員長  はい、じゃ。 ○大宮補佐  こちらの図に書いてあるように、地域水道ビジョンの判定要件というの、これ、形で 地域水道ビジョン作成の手引を出したときに出させていただきました。こういう考え方 で書いてくださいということなんですが。実際報告があったものについては、私どもの 担当のほうで、各地域水道ビジョン、目を通させていただきまして、はっきり言わせて いただきますと、大体こういう事柄が含まれていればよしというふうに考えております。 結果なんですけれども、今までで報告があったもので、ちょっとこれはおかしいんじゃ ないかということは1件もございませんでした。 ○粕谷水道課長  もともと法律に基づいて届出だとか協議だとかという性格のものではないという前提 でもあるわけですけれども、余り高くここはハードルをつけ過ぎて、最初からつくるの をひるんでしまわれても困るし、とはいえ何でもいいからつくってというわけにもまい らないという、微妙なラインで進めているところでございますが、先ほど古米先生から もお話ありましたように、やっぱりまずは何かつくろうじゃないかと。それを水道の利 用者に、自分の水道はこうだというところから、示せるところから示していこうじゃな いかという、徐々に充実させていくというやり方でも私はいいのかなというふうに思っ ておりますので、今後特に中小規模の水道での策定状況なども、全国簡易水道協議会な どとも協力しながら調べながら、どうしていくのかということも検討してみたいと思い ます。 ○大垣委員長  どうぞ。 ○大住委員  それに関連して。  先ほど、地域に根ざした水道ビジョンに必ずしもなっていないのではないかというご 指摘があったかと思うのですけれども、私は例えばこういう水道ビジョンをつくってく ださいという通知をいただいて、水道事業者の方のほうで地域内の水道ビジョンをつく ろうという思いがあっても、どのようにすればよいのかということが具体的なイメージ としてわかないのかもしれないです。それはコンテンツ、要するにどういったものが例 えば地域に根ざしているビジョンなのかとか、あるいは、それをつくるためにどのよう にしていけばいいのか。例えば、水道事業者だけではなくて、地域の関係する事業者の 方々ですとか、場合によっては住民の皆さんとの関係をつくりながらということと思う のですけれども、どのようにすればよいのかという、そういったものも分からない、ご 理解いただけないという事業者もかなりあるのではないかと思うのですけれども、そう いう部分についてのフォローはどのようにされているのでしょうか。 ○粕谷水道課長  正直申しまして、今そんなにフォローができている状態ではございませんので、今の 先生のお話を承っていて、例えばうまくいった事例とか、あるいは策定のプロセスがこ うだったということをきちんと紹介してみるとか、いろんな工夫が考えられると思いま すので、少し充実をしていきたいと思います。 ○大垣委員長  ほかにはいかがでしょうか。  はい、どうぞ。 ○津野委員  この資料を見ますと、いろんなことが目標として挙がっているんですが、いずれも先 ほど古米先生がおっしゃられたような、古い施設の更新というのが非常にこういったも のに大きく関わってきているんだと思うんですけれども、多分そういう計画もこのビジ ョンの中でつくられている中で入ってくるだろうと思うんですが、それにしては何とな く国のほうでこういうつくられた資料の中に、更新の重要性だとかロードマップだとか、 そういったものが余り見えてこないような気が前からしているんですけれども。  だんだんと施設ができてきて、今の施設が動いておればいいんじゃないかというよう な感じで、それで水道の技術というのは非常にすばらしい技術であるがゆえに、いつま でもずっと動いていくというようなことで、その辺のところが、どのような位置付けに なっているのかということを少しお教えいただくとありがたいんですけれども。 ○大垣委員長  いかがでしょうか。  はい。 ○粕谷水道課長  重点項目の中で、災害対策の充実というところにも関係してまいりますけれども、耐 震化を進めるということが、基本的には老朽化した施設の更新を前倒しをして耐震化を 進めていこうということにつながるものだと思っております。更新をきちんとしていく ということに関して、先ほどの古米先生のお話に関係しますが、30年あるいは40年先を 見たアセットマネジメントのようなことをきちんとやって、そうしたものも踏まえてビ ジョンをつくっていくことが望まれます。  現在、水道施設のアセットマネジメントのガイドライン、手引のようなものをつくろ うということで委託調査を実施しておりまして、可能であれば年度内にそうした手引と いうものも示していきたいと考えているところでございます。 ○大垣委員長  よろしいですか。  人材養成とか、いろんな長期的な課題がいっぱいあって、多分この改訂のが、何か明 確に出ていないキーワードがあるんじゃないかというご指摘かと思いますが、内容的に は当然入っていることかと思います。  ほかにはいかがでしょうか。  どうぞ。 ○佐藤委員  国際貢献の関係になるかと思いますけれども、少し厚労省の動きについてお伺いをし たいと思います。政治の分野でも、例えばアジア・ゲートウェイ構想に関わる議員連盟 だとか、さらには水基本法に関わる超党派の議員連盟、これに関わって厚生労働省はど のようなことが求められ、またどのような対応をしているか、最近の動きについてお伺 いをしたいということと。  それから先ほどの説明で、今日、明日、帯広でG8の水の専門家会議が開催をされて いると。私は単純に、水といったら厚生労働省だというふうに思うんですけれども、今 日幹部の皆さんここにおいでになるということは、この会議に関わっていないというこ となのか、さらには今後の対応方について、もしあればお伺いをしておきたいと思いま す。 ○粕谷水道課長  G8の会議に関して、言いわけではないんですが、もともと外務省を中心にやってい る会議でして、具体的な内容の前に各国、サミットのプロセスでどういうふうにやって いくかという枠組みが中心となるような会議でございます。もちろん、内容は定期的に 外務省、あるいは国土交通省、農水省、環境省、いろんなところと連携しながら、こう したフォローアップに臨んでいくという体制はきちんととれているという現状でござい ます。  それから、水道の国際展開に関して、政治の世界でかなり活発にご議論が進んでいる わけでございますが、それに対してどう対応しているのかというご質問ですけれども、 要はそういうところから施策の現状を説明しろと言われれば、きちんと説明をして、水 道の今置かれている状況、あるいはアジア・アフリカに対してこういう貢献ができるの ではないかというプレゼンテーションをしていくというような対応の仕方でございまし て、我々としてそれをどうしたいとかいうのは、なかなか今申せる状況にはないわけで ございます。 ○大垣委員長  よろしいですか。  ほかにはいかがでしょうか。  水道事業体のほうで、何か国際貢献関連で情報はございますか。 ○御園委員  実は、自由民主党の政調会が水の安全保障研究会という特命委員会を立ち上げまして、 国際貢献についてかなり検討が進んでおります。その後この研究会は、常設の検討機関 になっているわけでありますが、そういったものを受けまして、私ども日本水道協会に おいては、ここに21ページにございますけれども、水道の安全保障に関する検討会を設 置しまして、鋭意検討しております。  その我が国の水道事業の大きな問題点というのは、まず水需要が伸びていない。水道 料金収入がダウンしていることです。しかし、必要な投資はこれからいっぱい出てくる わけですね。いわゆる高度経済成長時代につくった施設がもう40年ぐらいたちますので、 これが一斉に更新を必要とする。先ほど来ありますけれども、管路に至っては、これは もう近代水道120年になりますが、そういった歴史的な中で、非常に経年化した管が まだまだ多い。そういうものを更新していくためのいわゆる資金がないというような状 況がございます。  もちろん、こういうものを国民の皆さんに情報提供をして、必要があれば料金の値上 げ等も提案していかなきゃいけないわけでありますけれども。一般国民の皆さんは、日 本の水道は特に大きな問題もなく動いているように感じているのかもしれませんが、実 は内実はかなり厳しい状況にある。あと10年もしますと、そういう問題がかなり出てく るのではないか。  それから、この水道事業に従事する人たちも50歳以上が40%以上ということで、そろ そろ大量の定年を迎えてしまう。ご案内のように最近は、地方自治体においては職員が ほとんど採用されておりませんから、そういう意味で、今までは歴史的に直営でやって きましたが、今後は直営体制の維持は不可能になってきます。従って、これをアウトソ ーシングして、いかに民間活力を使って事業を運営していくかという問題があります。  これに関する大きな問題は、水道事業体の業務を受託する企業がなかなか育っていな いというのが1点ございます。それから、日本の水道は非常に小さな規模の10,00 0人以下の給水人口の事業体、あるいは簡易水道を含めますと、かなりの量が非常に小 さい、小規模である。そういうことから、今、広域化をどうして進めていくかと。これ は厚労省さんもいろいろお骨折りをしておりますけれども、私どももその広域化をいか に進めていくか、これは日本のこれからの水道界の大きな方向かなというふうに思って おります。  したがいまして、国内問題としては広域化と、それからアウトソーシングを受ける受 託会社、受託組織、こういったものをどう形成していくかです。その次に、これは国内 問題と同時並行的に考えていかなければならない課題ですが、いかに国際貢献を充実し ていくかという課題です。国際貢献については、外務省を中心にODA等、これまでも いろいろやってきましたけれども、そういうODAの問題もいろいろ出ております。例 えば、途上国で浄水場をつくったりしても、施設を造っては撤退するというパターンが 多く、自分たちが造った施設のメンテナンスは外国企業にみんな取られてしまうとか、 そういったいろんな課題がございます。メンテナンスを含めた日本のこの高い水道技術 を長期的に持続的にどう彼らに提供していけるかというようなことが、今大きな課題と いいますか、そういったものを検討しているということでございます。 ○大垣委員長  ありがとうございました。  今の広域化なんていうのは、先ほど水質のほうの話で出ていましたけれども、非常に いろんな物質が出てきて微量な分析等も求められるときに、やはり水質分析という面か らも広域化という。力もありますし、それから今の言われた…… ○御園委員  そうですね、ですから事業そのものの統合というのもありますけれども、その業務の 一部、例えば水質を水系ごとに個々の事業体がやる必要はございませんので、連携して チェックをしていくとか、そういうシステムを今つくっているところでございます。現 に実施をしているところもございますけれども。 ○大垣委員長  ありがとうございました。  ほかには、ご意見。  はい、どうぞ。 ○東水道計画指導室長  先ほど更新の話出たんですけれども、ちょっと姿が見えないと言われたんですが、記 述としては5ページ、水道ビジョン改訂のところの右側ですけれども、運営基盤の強化 というのが5つの目標のうちの1つにありますが、その一番下のポツに、「中長期的視 点に立った計画的・効率的な改築・更新、資金確保、情報提供」というのを重点項目と して挙げておりまして、これが先ほど課長のほうが申し上げましたアセットマネジメン ト、まさにどういうふうに更新計画を立てていくか、さらにそれをどう広報していくか という、そういうところを今、特にやり始めたというところでございまして。ちょっと 補足させていただきます。 ○大垣委員長  ありがとうございます。  予定の時間も近づいてまいりまして、今、議題の3に関して特にないようでしたら、 議題全体を通じて何か、特にご発言したいという点がありましたらお願いしたいと思い ますが。いかがでしょうか。よろしいですか。  よろしいでしょうか。  それでは、ありがとうございました。今のいろいろなご意見を受けて、行政は引き続 きよろしくお願いしたいと思います。 ○粕谷水道課長  本日は熱心なご審議、ご議論を賜りまして、誠にありがとうございました。特にご指 摘いただきましたいろいろな点につきましては、きちんと反映させて我々の施策の充実 というものにつなげてまいりたいと思います。  水質の関係につきましても、やはり国民の健康を守るという観点で極めて大事なもの でございますので、計画的な検討というものをしっかりやっていきたいと考えていると ころでございます。本当に、今日はありがとうございました。  なお、この部会につきましては、基本的には年1回程度ということの開催でございま すけれども、必要が生じた場合には頻度を高めてまた開催し、ご意見を賜るということ も考えておりますので、次回開催の時期につきましては、改めて部会長とご相談させて いただきながら、また委員の皆様にご案内させていただきたいと思っているところでご ざいます。  今日は本当にありがとうございました。 ○大垣委員長  どうもありがとうございました。  議題のその他があったんですが、それは今の件で済みましたので、これで本日用意し た議題は全て終了と。  どうもありがとうございました。それでは、これで閉会いたします。 (照会先) 厚生労働省健康局水道課 TEL:03−5253−1111 (内線4025)