08/12/12 第31回社会保障審議会医療保険部会議事録           第31回 社会保障審議会医療保険部会議事録   日 時  平成20年12月12日(金) 13:30〜15:02   場 所  厚生労働省 省議室(中央合同庁舎5号館 9F) ○糠谷部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第31回医療保険部会を開 催いたします。  委員の皆様には、本日は御多忙の折お集まりをいただきまして、大変ありがとうござい ます。開会の前に、新たな委員の任命について御報告を申し上げます。  本年10月より全国健康保険協会が発足したことに伴い、全国健康保険協会理事長である 小林剛委員に新たに御就任いただいております。  また、本日の委員の出欠状況について申し上げます。  本日は、磯部委員、逢見委員、大内委員、齋藤委員、坂本委員、西村委員及び渡辺委員 より欠席の御連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。  逢見委員の代理として小島参考人、齋藤委員の代理として今井参考人、坂本委員の代理 として齋藤参考人、渡辺委員の代理として村上参考人の御出席につき、御承認をいただけ ればと思いますが、いかがでございましょうか。 (「異議なし」と声あり) ○糠谷部会長 それでは、そのように取り計らわせていただきます。ありがとうございま す。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日の議題の1つ目として、出産育児一時金についてが挙がっております。事務局より、 資料の説明をお願いいたします。多くの委員にできる限り御発言をいただくため、説明は 簡潔にお願いいたします。 ○神田課長 それでは、お手元の資料1に基づいて御説明させていただきます。  1枚おめくりいただきますと、「出産育児一時金の見直し案について」とございます。こ れはそもそも舛添厚生労働大臣が、ぜいたくをしなければ手元に現金がなくても安心して 妊娠・出産できるようにしたいということを申し上げまして、また、現内閣が発足します 際の所信表明演説におきましても、妊娠や出産費用の不安については一日も早く解消する ように努めますということで、総理からも演説で申し上げているところでございます。そ れを踏まえまして、見直し案を検討したということでございます。  実は、お手元の資料の4ページ以降でございますけれども、大臣が先般、直接関係者の 方々から御意見をお伺いしたいということで、27日に意見交換会を設けております。当初 大臣は、お金の心配をしなくても安心して出産できるようにするということから、今ござ います出産育児一時金を医療機関に直接お支払いすると。一旦、妊婦さんの方でお金を用 立てしなくてもよいようにするというということと、地域によってはかなり出産費用が現 在の出産育児一時金を上回っておりますので、その実勢価格との乖離をできるだけ小さく したいということで、地域別の価格設定にしてはどうかということを検討していたわけで ございますけれども、5ページをごらんいただきますと、直接払いについては意見交換会 でお伺いした関係者の皆様方からも、おおむね御賛同がいただけたということでございま す。  ただ、地域別の単価設定につきましては、医療提供者側でございます産婦人科医会です とか学会の関係者の皆様、それから、日本医師会からも、むしろ地域格差を固定するよう なことになるのではないかという懸念が表明されましたので、大臣がそれでは全国一律に 引き上げる方向で検討したいと申し上げているところでございます。その際にも、大臣の 方から新たな引上げ額に着目して、国庫補助をする方向で検討したいということを申し上 げております。  その際の意見交換の中で、一方では7ページをごらんいただきますと、連合の逢見さん ですとか大熊さんからは、むしろ出産を保険適用にしてはどうかという御意見がある一方 で、5ページ目にございます医療提供者の方々からは保険適用には問題があるとか、困難 であるというような意見が述べられたところでございます。  大臣からは、そうした根本的な在り方については引き続き検討していきたいと。ただ、 一方で第2次ベビーブーマー世代が出産適齢期である40歳を迎えてしまうということから、 その間の緊急的な対策として、まず、全国一律の引上げをしたいと申し上げたところでご ざいます。それをまとめましたのが、1ページの見直し案の概略でございます。  今申しましたようなことから、1の出産育児一時金の額の引上げについてでございます けれども、先ほど申し上げた保険給付の在り方ですとか、費用負担の在り方については引 き続き検討していきますが、その間の緊急的な少子化対策として当面2年間の暫定措置と して額の引上げを行う。  2点目でございますが、先ほど申し上げましたようなことから、全国一律に額を引き上 げるということでございます。現在、産婦人科医会が行いました平成19年9月の調査を基 に、全国平均で民間の分娩取扱い機関などの額も含めますと4万円程度引き上げるという 方向で現在検討いたしております。  3点目でございますが、保険者に対する国庫補助につきましては、出生数が多いところ ですとか、あるいは報酬への影響などを考えまして、影響度合いに応じて重点的な補助を 検討するということにいたしております。  2、医療機関への直接支払いでございますが、今回の引上げ分に伴います国庫補助の支 給対象というものを医療機関に直接支払う保険者に限定することによって、直接支払いの 徹底を図ることとしたいということでございます。  医療機関からは、明細を添えて保険者に出産費用を請求していただき、保険者は支払い 業務を原則として審査支払機関に委託していただくことによって、直接出産育児一時金が 医療機関に払われるようにするということを考えております。  それから、審査支払機関ですとか医療機関におけます、システム改修の準備がございま すで、施行日につきましては10月以降を考えております。  なお、3ページに、現在も受取代理という仕組みがございます。原則的には現金給付で ございますので、出産した後に一時金を請求して支払っていただくというのが原則でござ いますが、現在も事前に保険者に申し出をしまして請求書をいただいて、それに自ら署名 してあらかじめ医療機関に持っていって、医療機関にも署名していただくような形で御了 解いただければ、現在でも出産育児一時金が医療機関に支払われる仕組みはございますけ れども、実際には妊婦の方が御自身で保険者のところに行って請求書をもらってくるとか、 あるいは医療機関でもそれを提出して了解していただかなければならないというようなこ と、それから、保険者についても下にございますように、予定を含めて7割とか9割の保 険者では実施していただくということでございますが、すべての保険者が取扱いをしてい ない。また、医療機関におきましても、御本人から申し出があればそのような取扱いをし ていると伺っておりますけれども、必ずしもすべての妊婦の方にそのようなことを勧めて いるという実態にないということから、現時点では必ずしも受取代理というのがすべて行 われている状況にはないということで、先ほど申し上げたような形で直接払いを徹底して はどうかということで考えております。  以上でございます。 ○糠谷部会長 御説明ありがとうございました。  ただいまの報告や資料につきましての質問も含めまして、御自由に意見交換したいと思 います。どなたからでも結構でございますので、お願いいたします。 ○対馬委員 舛添大臣の意見交換会には、この中でも何人かの方が出ておられますけれど も、そこでの議論と今の説明の案ですが、考え方と枠組みが大きく異なっておりまして、 非常に困惑しているというのが今の状況です。  当日は3点ほどありまして、特に財源につきましては私を含めまして3名の方が保険料 に影響を及ぼさないようにという念押しをしたところですけれども、大臣としましては、 最大限予算獲得に努力するということでしたので、余り突っ込んだ議論にはならなかった という状況だったと思います。  今回の案を見ますと、金額そのものを4万円程度引き上げると。保険料で負担して、そ れに対して一定の国庫補助、一部だと思いますけれども、行うという枠組みになっている わけです。  保険料ということになりますと、出産育児一時金につきましては平成6〜平成18年まで 12年間30万円でやってきたわけです。それが平成18年10月に35万円になって、更に、 来年1月からは産科補償制度の関係で38万円になる。今のお話でいくと4万円程度という ことですから、42万円ということになります。たかだか2〜3年の間に12万円上がる、約 4割ということになりますけれども、確かに産科医療は非常に厳しい状況にあるというの は承知していますが、ただ金額を上げればということでは必ずしもないと思いますし、我々 保険者の方も未曾有の財政悪化に苦しんでいる状況ですので、そういう中での保険料対応 というのはいかがなものかと思います。  確かに、財源的に国の財政が厳しい中で非常に御尽力いただいているというのはわかる わけですけれども、当初想定していたほど財源確保が難しいということであれば、そうい う範囲で単価の設定でありますとか、期間を設定するというのが筋ではないかと思うわけ です。  安心して出産できるということは、勿論本人もありますけれども、我々保険者、関係者、 全国民、ある意味では等しくめでたさなり喜びを分かち合うということだと思うんですが、 今の御説明ですと、心から喜んでというよりは、むしろ疑問でありますとか躊躇というこ とになりますので、やはりそこは先ほど申し上げたようなことで制度設計なり施策を講じ るべきではないかと、このように思います。 ○神田課長 ただいまの御意見でございますけれども、確かに意見交換会の場で大臣の方 から上積み分について国庫を確保できるように予算折衝していくということを申し上げて いることは確かでございます。ただ、大臣が冒頭申しましたように、できるだけお金の心 配をしなくて安心して出産できるようにするということからしますと、やはり実勢に近い 額でできるだけ引き上げることが必要ではないかということで、先ほど申し上げましたよ うな産婦人科医会がデータを現存します最も全国的なデータということで、それに基づい た引上げをお願いしたいということでございます。  それから、保険料負担になるのはどうかということでございますけれども、従来は原則 的には保険料負担でお願いしていたわけでございますが、今、対馬委員からもお話がござ いましたように、保険者の財政状況が非常に厳しいということ、それから、平成18年10 月以降、短期の間に重ねて引上げがあるという特殊事情を勘案して、財政当局にもこの間 の補助をしていただくように、今、強く交渉しているところでございます。 ○河内山委員 私も対馬委員と全く同感でございまして、あのときの大臣の勢いで言うと、 相当な舛添大臣の肝入りで早期にちゃんとやっていくんだという大変強い姿勢でお話に なったものが、後が少し中途半端な形で、保険者としても趣旨は勿論誰も否定はいたしま せんけれども、国を挙げて今の不安がたくさん漂う中で妊娠・出産というおめでたいこと ぐらいは本当に安心してできるんだという強力なメッセージを出していくという意味では、 神田課長ほか事務局の方々にも、ほかのことはともかく2,200億円の引き下げもなくなっ たのだから、とにかく頑張るぐらいの勢いでやっていただく方がいいのではないかと思い ます。少なくともめり張りというか、メッセージ性からしましても。そういうふうに強く 訴えたいと思います。 ○糠谷部会長 一当たり御意見を伺いましょうか。 ○藤原委員 いきなり財源の問題に入りましたので、ちょっと言いにくい感じもしている んですけれども、ただ、大臣が、贅沢をしなければ手元に現金がなくても安心して妊娠・ 出産ができると言われましたので、それを実現するためには、やはり確保できた財源の範 囲内で例えば1万円をあげるとかそういったことでは、なかなかこういった問題は解決で きないのではないかと思っております。少なくとも先ほど厚労省からの説明にありました けれども、全国の平均分娩費用が賄える程度の水準まで出産育児一時金を引き上げる必要 があると思っております。日本産婦人科医会のデータでは、39万円程度が出産費用の実勢 価格であるという調査が出ておりますけれども、これを参考にして、出産育児一時金の水 準を決めるべきではないかと思っております。  御承知のように、地方の周産期医療は崩壊寸前の状況にあり、その背景にはやはり自治 体病院の分娩費用が不当に安く設定されているということも一つの大きな要因だと考えて おります。今後は赤字を招かないような適正な水準まで分娩費用を引き上げる必要がある のではないかと。今回の出産育児一時金の引上げは、各地域で分娩費用を適正な水準に引 き上げることを行いやすい環境づくり、周産期医療体制の充実にも資すると思っておりま すけれども、財源については対馬委員も言われましたように、いきなり短期間でここまで 上げてと。ただ、私としては38万円までは決まっているものの、それ以上は一般財源で、 国庫補助でと受け止めておりますが、その辺の議論をしっかりお願いしたいと思っており ます。 ○逢見委員(代理:小島参考人) 逢見委員の代理で小島です。  私どももこれまで、逢見委員も含めて、基本的には出産一時金については現物給付化す べきだということを繰り返し主張してきたところです。現物給付化をしていれば、前回議 論されたような産科医療補償制度の3万円保険料アップといったようなこととか、今回の 一時金の引上げといったものについても、相当整理ができると思っております。現実的に は難しいということで、今回当面2年間の暫定、緊急措置として、安心して出産ができる ための一時金の引上げという趣旨だと思います。藤原委員から地方自治体の病院が極めて 安い出産費用で行っているという指摘もありましたが、やはり現在の地域あるいは医療機 関における出産費用というものの中身が、どうもはっきりしていないということがあると 思います。そういう意味では、公定価格、現物給付化すれば、そこはきちんと中身が検証 できるということになりますので、早急にそういう方向を検討すべきだろうと思っており ます。3番目には在り方の検討ということで、保険給付、現物給付化についても検討する ということになっておりますので、とりあえず緊急的に今回引き上げるということであれ ば、その財源としてはやはり公費を基本に考えるべきだとは思っております。暫定2年間 の間にきちんと議論をして、2年間の間には現物給付化についての結論を得るというよう なことも併せて検討を急ぐ必要があると思っております。 ○小林委員 今回委員に任命されました全国健康保険協会の小林でございます。よろしく お願いいたします。  財源の問題につきましては前回の意見交換会でも申し上げましたが、出産育児一時金の 厳しいという状況を申し上げたんですけれども、出産育児一時金の引上げについては、少 子化対策の観点からできるだけ協力していきたいと考えておりますが、協会は財政基盤が 弱くて、中小企業をめぐる経済情勢も極めて厳しい状況にありますので、このような状況 も十分考慮していただいて、是非、国庫補助をよろしくお願いしたいと考えております。  2番、3番について続いて申し上げますが、医療機関への直接支払いにつきましては、 その推進を図るということは賛成でして、協会としてもできる限り協力してまいりたいと 考えております。  3番目の今回の提案については、2年間の暫定的・緊急的な措置ですが、医療保険制度 としての出産育児一時金の在り方については、今後じっくり腰を据えて議論していく必要 があると考えております。  以上です。 ○多田委員 保険者としては、保険料でという話になるとなかなか「うん」と言いにくい ところですけれども、ただ、国庫補助がどのくらい出るのかということにも関係するのだ ろうと思います。少額給付をやることになれば、今度はやることの意味というのはわから なくなるという側面もありますので、その辺のところを十分勘案しながら適正なところを 考えていくしかないんじゃないかという感じがします。 ○齋藤委員(代理:今井参考人) 齋藤委員の代理でございます。  もとより少子化対策も重要ということは認識してございますので、本当に実効のある対 策の推進は必要だと思っております。ただ、出産一時金につきましては、先般3万円の引 上げが決まったばかりでございますので、当然のことながら保険者の財政状況に対して十 分留意する必要があると認識しております。  そういう意味で、大臣との意見交換会で私どもから申し上げさせていただきましたとお り、また、今日の資料にも載せさせていただいてございますが、やはり引き上げるのであ れば保険者の負担とならないようにしていただきたい。全額国庫負担が前提ということで、 是非ともお願いいたしたいと思っております。  少子化対策につきましては、個々バラバラということではなしに、総合的・体系的に進 めていくことが重要だと思っております。やはり税制改革ということを通じまして、早期 に安定的な財源を確保いたしまして、その上で有効な対策に必要な費用をかけて進めてい くということが基本かと、私ども考えているところでございます。  以上でございます。 ○山本委員 私は大臣のところに行かなかったものですから、よく事情がわかっておりま せんけれども、大臣との話し合いでこういうふうに決まったのかなと思って見ておったん ですが、どうも違うようです。4万円の2分の1は国庫負担であると言っているんですが、 あとの2分の1は全部保険者が負担してくれということなんですね。今の状況から考えて、 私どもはほとんどが国保ですから、国保の財政状況というのは非常に厳しいんですよ。そ れをまた国保料を上げてこれに充当させるというのは、到底やれるものではないと思いま すので、できれば国庫負担で4万円全額を負担していただくような措置にしていただくと 非常にいいです。そして、制度が落ち着いてから、それぞれの保険者と協議の上どうする かを決めた方がいいと思います。  大臣との話し合いのときにこう決まったのであれば仕方がありませんけれども、話を聞 いてみると、皆さんは必ずしもそうではないような言い方をしているわけです。国保に今 少しでも負担をかけるということになりますと、国保全体が崩れるんですよ。しかも、被 保険者は国保が一番多いんでよすね。これは御承知のとおりです。だから、そこが崩れる ようなことになると、結局は保険料を上げなければならんのですが、今の時期に保険料を 上げるということは適切ではないような気がしますので、この4万円は全額国庫負担でや ることが今を切り抜けていくことになるんじゃないでしょうか。そして、2年経った後ど うするかという協議をすればいいんじゃないでしょうか。こういう考え方で処理していく ようにお願いしたいと思います。 ○坂本委員(代理:齋藤参考人) 坂本委員の代理の齋藤でございます。  産む立場というところから発言をいたしますと、やはり緊急的な少子化対策の一つなん だということであれば、出産一時金を上げていただくのは非常にありがたいのではないか と思うんですね。経済状況等が非常に厳しくて各世帯の所得が落ち込んでいる中で、それ でもやはり産みたいという人たちの負担に対して、ある程度の助成をするということでご ざいますので、非常に財源が厳しいあるいは保険者の方々の財源も厳しいんだという状況 は重々承知しておりますし、そこは厚生労働省にもいろいろな努力をお願いしなければい けないかなと思いますけれども、取り急ぎはまずは2年間の暫定措置ということでござい ますので、産む側にとってみれば2年間とはいえども割と朗報なのではないかと考えてい るところでございます。とりわけ20代あるいは30代の方々が特に出産に対する負担はあ るんだということで、先般の社会保障国民会議の中での議論もあったと思いますので、国 民の立場からすれば、是非そこのところはお願いしたいなと思う次第でございます。  以上です。 ○糠谷部会長 ほかに現段階でまだ御意見等ございますか。  それでは、大変多様な御意見だったと思いますが、一応今の各委員の御意見に対して、 事務局からひとつお答えをしていただきましょうか。 ○神田課長 国庫負担で引き上げるべきではないかという強い御意見をいただいたわけで ございますけれども、現在の財政状況ということで申しますと、先ほど河内山委員の方か ら2,200億円のくびきも外れたのでというお話がございましたが、基本的にはシーリング は維持するということになっておりますので、年金医療等については2,200億円の削減は 維持されるというのが現在の状況かと思っております。  実は、事務的な話になって恐縮でございますけれども、年金・医療等という義務的な国 庫負担につきましては自然増がまず認められて、そこから幾ら国庫を減らすのかという議 論でございますけれども、それ以外にその他経費と申しまして、裁量的な経費、政策的な 経費につきましては、来年度の予算編成の枠組みの中ではマイナス3%というシーリング がかかっているわけでございます。それを更に2%ずつ各省から減らしまして、3,300億円 の特別枠というものがあるわけですけれども、厚生労働省の枠全体からしますと、そこで たくさんの予算が確保できるかというと、そこも非常に厳しいとお聞きしております。ま た、一方で、産科医療を初めとします救急医療の確保についても、そういう対策だけでも 500億円近い政策経費の増要求を厚生労働省としているという状況でございます。そういっ た一方で非常に厳しい状況の中で、大臣が申しておりますような、妊娠から出産まででき るだけパッケージで安心できるようにしたいということをどのように実現していくかとい うことではないかと思っております。  補助の仕方としては、先ほど藤原委員から御質問がありましたけれども、今回の上乗せ 分に着目して補助をさせていただくということで現在、財政当局とは折衝いたしておりま す。そういう意味で言いますと、通常の引上げであれば保険料で見ていただくべきところ を、先ほど対馬委員からありましたが、非常に財政状況が厳しいとか短期の間に引き上げ ていただかなければならないということに着目して、特例的にそこは国庫補助をしていた だくということで、今、財政当局と折衝させていただいているという状況でございます。  あとは、現物給付のお話がございましたけれども、これについては大臣も申しておりま すように、引き続きそういう議論はさせていただくことにしております。  それから、出産費用の中身につきましてですが、お手元の1ページにもございますけれ ども、今度医療機関にお支払いをするというときに、例えば仮に4万円乗りますと、42万 円くださいというつかみ金で適用されてもなかなかわかりませんので、一定の明細はつけ ていただくということは医療機関側にもお願いをしていきたいと考えております。 ○糠谷部会長 今の説明を聞いていただいた上で、更に御意見がございましたら。 ○対馬委員 今のお話で、全体の枠が厳しいとか、その辺りは私どももわかるんですが、 河内山委員も言われましたように、大臣の成算があるということで集められたと私どもは 思っているんですよね。ですから、結果的に100%満足はできなくても7〜8割方は満足で きるという答えならば、賛成なり協力なりという用意はあるんですけれども、ふたを開け てみたらとてもそういう話ではないと。やはり保険料が主体だということになると、話は 違うということになるだろうと思います。  私どもは今回痛い目に遭っていまして、介護保険料が3%上がりましたね。それに対し ましては1,200億円ほどの国庫補助を出すんだと。それで少なくとも1年分は丸々カバー できるし、2年目は半分まではカバーするし、3年目はそこまで補助金はかけないという 話だったんですね。ですから、我々もそういうことであれば3%はやむを得ないかと思っ たんですが、ふたを開けてみますと、保険者の財政状況等々によって差をつけていくとい うことになっているんですね。ですから、そういうようなことであれば、話はやはり基本 から違ってくるんじゃないかと思うんです。ですから、くどいようですが、100%とは言い ませんけれども、これは国費で対応していただいたんだと総理大臣もおっしゃられた、基 本的に維持されたんだということでなければ、なかなか納得は得られないと思います。 ○山本委員 何回も言うようですが、少子化対策にも関連するんですよね。だから、42万 円については反対をしようとは思っておりません、大いにやるべきだと思います。これは 少子化対策ですが、私は国保ですが、何で国保側が2分の1持たなければならんかという ことは、今のような状況の中で片一方では補給金を1万2,000円あげます、8,000円足しま すと言っているわけで、片一方ではこういうのは上げていくというやり方になると本当に ちぐはぐな国の施策だと思います。だから、そういうことをやるよりも、せっかく国が不 景気だから生活用に1万2,000円と8,000円を足してさしあげますと言っているわけで しょう。それだけ皆さんが貧乏になっているということを認識しているならば、上げると いうことそのものが問題だと思いますよ。これは全部それぞれの国民の負担になるわけで すからね。半額は国保で払いますからそれでいいんですけれども、どうせ2年間だけの措 置ならば全額国庫で見たらどうですか。そうしないと、片一方ではお金をあげます、片一 方では持ってこいでは、つじつまの合わない話だと思いますね。だから、是非ともその辺 りを考えていただいて、お金のないことはわかり切っているけれども、お金はないけれど もいろいろなことをやると言っているじゃないですか。だから、やり方次第では2分の1 の分も国の方で負担できるんじゃないでしょうか。一時的な措置ですから、それぐらいやっ てもいいと思うんですが、それでも嫌なんですか。お答えください。 ○神田課長 嫌だということではないのでございますけれども、本来、国民健康保険は出 産育児一時金は通常の場合は3分の1を保険料で見て、そういう意味では3分の2は地方 財政措置が今されているということで、一般的には国庫補助はその部分については入って いないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、今回は特例的に短期の間に 上げていただくということですとか、財政状況など今おっしゃられたような点を勘案しま して、最低半分程度の国庫補助を今お願いしているということでございます。残りの部分 についても、一定割合で地方財政措置を入れていただけないかということで、今、総務省 等と交渉をさせていただいております。  それから、対馬委員からお話があった点でございますけれども、従来、被用者保険に対 しますいろいろな補助というのが協会健保を基準にして、そういうところの平均的な保険 料を上回るようなところですとか、財政が苦しいところという切り口で補助をさせていた だいている例が多いわけですけれども、今おっしゃられような趣旨を踏まえて、できるだ け幅広く補助ができないかということで今、財政当局とは交渉をさせていただいていると ころでございます。 ○山本委員 一つお尋ねしますが、これは総務省との合意はできているんですか。そうし ないと、起債を見込んでいますよね、2分の1のうちの。だから、総務省との話し合いが ついているかどうか、それを教えてください。 ○神田課長 基本的には先ほど申し上げましたように、いずれにしろ国民健康保険の一時 金の引上げについては地方財政措置がございますので、当然総務省とは交渉させていただ いております。費用負担の在り方についても、おおむね了解はいただいてはおります。 ○糠谷部会長 そのほか御意見等ございますか。  それでは、委員の皆さんからもいろいろな御意見をいただいたわけでございますけれど も、今、厚生労働省事務局の方は財政当局あるいは総務省ともいろいろ議論をしていただ いていると。ただ、全体の財政状況が大変厳しいことは皆様方御案内のとおりでございま すので、事務局には今日の委員の皆様方の御意見も踏まえて、精いっぱい予算折衝に当たっ て頑張っていただくということで、その結果、今日の御意見をいただいた委員の方々に、 結果としてこういうことになったと御納得をどこまでいただけるかということは予算折衝 の結果によるわけですけれども、少子化対策の重要性ということにつきましては、委員の 皆様方「そのとおりだ」と言っていただいているわけでございますので、そういう形で予 算折衝の結果を踏まえて、各委員の皆様方に事務局から御説明をするということで、よろ しければそういうことで進めさせていただきたいと思います。  それでは、次のテーマでございますけれども、高齢者医療制度に関する検討会での検討 状況及び保険料の支払い方法の見直しについて、事務局から資料の説明をお願いいたしま す。 ○神田課長 それでは、お手元の資料2でございますけれども、現在の検討状況ですとか、 年金からの保険料支払いについて御説明をさせていただきます。  1枚おめくりいただきますと、現在の見直しの考え方というものが出てございます。こ れは現在の政権が発足するに当たりまして、自公の連立政権合意の中で長寿医療制度につ いては高齢者の心情に配慮して、法律に規定してございます5年後見直しを前倒しして、 よりよい制度に改善するということが合意されまして、総理の所信表明演説の中でも1年 を目途に必要な見直しを検討するとされているところでございます。それを含めました基 本的な考え方ということでございます。  (1)にございますように、基本的には単純に今の制度を廃止して元に戻すということにな りますと、高齢者と若い世代の負担関係があいまいであるなど、老人保健制度の問題点を 解決できないため、廃止はしないということでございます。  (2)高齢者の方々の心情に配慮して、先ほど申し上げました連立政権合意にございますよ うな法律に規定してある5年後見直しを前倒しして、よりよい制度に改善するということ でございます。  (3)1年を目途に幅広い議論を進めていくということでございます。  大臣が申しております具体的な見直しの視点としましては、高齢者医療を支える費用負 担の在り方についてということですが、特に前期高齢者の費用負担の在り方なども含めま して、全世代の納得と共感が得られる枠組みを検討するということが1点でございます。  (2)としましては、年齢のみによる区分の在り方について、例えば75歳以上でも現役で働 いている方についても、支えられる側の高齢者医療制度に入るのかというようなことも含 めて検討するということでございます。  (3)年金からの保険料支払いの在り方については、選択制の導入なども踏まえて検討を加 えるとされていたところでございます。  今申しましたような方針を踏まえまして、大臣のもとに検討会が設置されております。2 ページにございますようなメンバーで、塩川東洋大学総長を座長にいたしまして、有識者 の方々、本部会の委員の先生にも一部お入りいただいておりまして、有識者の方による検 討を今始めているところでございます。  3ページ目がその検討状況ということでございますけれども、年齢で区分することです とか運営主体をどうするのかという議論をした上で、先進的に広域的な取り組みをしてい る広域連合でございますとか、あるいは国保の広域化についての研究を取りまとめた勉強 会の中心的な取りまとめをしていた方々の意見をお伺いしております。更に、引き続き関 係の広域連合などから意見を聞くことと併せまして、個別の医療サービスですとか費用負 担の在り方などについても検討をしていくことにいたしております。  4ページ目が、大臣が検討会にお示しした私案ということでございます。左側が現在の 制度ということでございますけれども、現在の仕組みでは長寿医療制度は県単位ですが、 国保については市町村単位になっているということで、右側にございますように、長寿医 療制度に合わせて国保についても県単位にして一体的に運営してはどうかということで、 大臣は県民保険と言っておりますけれども、そういうふうにしてはどうかというような案 を大臣が示しております。  狙いとしましては、左にございますように、国保と一体的にすることによって年齢にか かわらず一本化をされると。(2)国保の財政が安定するのではないか。(3)都道府県が運営主 体になることによって、地域医療について主体的な役割が期待できるのではないかという ことでございます。  ただ、まだ今後検討すべき課題といたしまして、具体的な一体化の方法でありますとか、 財政調整の仕方、また、市町村国保を県単位にすることによって、保険料の上がり下がり が出ることが考えられますので、その激変緩和措置をどのようにするのか。それから、仮 に都道府県に運営主体を引き受けていただくとすれば、どのような条件整備が必要かとい うようなことについて、引き続き検討していくということになってございます。  5ページでございますけれども、先ほど冒頭ございました見直しの視点の中の一つとし まして、保険料の支払いについては選択制の導入も含めて検討するとされていたわけでご ざいますが、この点について一部先行して内容を進めていきたいということで考えており ますので、その点について御説明させていただきます。  5ページにございますように、保険料を年金からお支払いいただくということで、長寿 医療制度は運営いたしております。平成12年に介護保険が導入されたときから、被保険者 の方々に窓口までお出でいただいて支払っていただく手間をおかけしないとか、その後の 督促・滞納処分など行政コストを省くという観点から、そのようにされているところでご ざいます。現在は月額1万5,000円以上、年額18万円以上であって、介護保険料と合算し て2分の1を超えない方の年金から保険料をお支払いいただくということになっているわ けでございます。  1回目の見直しといたしまして、施行後の状況を総合的に点検いたしまして、その問題 点に対応するということで(1)にございますような見直しをしたところでございます。具体 的には、そこにございますように、2年間国民健康保険の保険料の納め忘れがなかった方 ですとか、年金収入180万円未満の方で、世帯主や配偶者は口座振替で払ってもらえると いう場合には、年金からお支払いいただかなくてもよいと7月に政令改正を行ったところ でございます。  理由としましては、6ページをごらんいただきますと、基本的には国保から移ってきた 方が非常に多いと。8割の方は国保から移ってきておられますので、1,100万人弱の方は国 民健康保険から来られているということがございますので、国保で納め忘れがなかった方 については口座振替でよいのではないか。  それから、典型的なことで申しますと、国民健康保険に入っておられた世帯員であった、 例えばおばあさんの場合ですと、夫ですとか息子に世帯主としてまとめて保険料を納めて もらっていたわけでございます。したがって、国民健康保険の場合には、おばあさんが自 分で保険料を納めるということがございませんでしたけれども、長寿医療制度になります とお一人お一人が被保険者にということで、またその方御自身が納付義務者になるという ことから、おばあさんの年金も月額1万5,000円以上ですとおばあさん自身の年金から保 険料をお支払いいただくことになったということで、比較的低額の年金の方ですと、国保 のときには実質的な負担者である世帯主が負担しているのに、低い年金から保険料を引か れるということで抵抗感があったということでございます。したがいまして、そういう場 合には、従前の実質的な負担者でございます世帯主や配偶者の方が口座振替で納めるとい うことになれば、あえて低い年金の方からお支払いいただかなくてもよいというような取 扱いにしたわけでございます。  一旦そうしたわけでございますが、更に今年11月18日に与党のプロジェクトチームの 取りまとめがございまして、平成21年4月から原則としてすべての方に口座振替と年金か らの支払いの選択を導入できるようにしたいと考えております。  その理由でございますけれども6ページをごらんいただきますと、7月に今申し上げま したような改善をしたわけでございますが、与党プロジェクトの中の議論でございますが、 2つ目にございますように、同居の世帯の方の社会保険料を納めていると社会保険料控除 ができるわけですが、従来夫や息子から社会保障料控除ができていたものが、先ほど申し 上げたように、例えばおばあさん自身の年金から支払われるということになりますと、従 来できていた社会保険料控除ができなくなるという点があると。  それから、3つ目にありますように、例えば被用者保険が本人だった方というのは、従 来も給料から保険料を払っていましたので、今口座振替にするということが選べないこと になっているわけですけれども、被扶養者であった方は世帯主が払っていただければ、口 座振替にできるとなっていますので、被用者保険の被保険者本人であった方御自身の保険 料は年金から支払い、奥様の分が被保険者本人の口座から引き落とされるというようなこ とになっておりまして、そうであれば両方一緒に口座振替ができないのかという御意見も あったことも確かでございます。  また、死別されたりして独居になられた方については、代わって払っていただける世帯 主の方がいないと、その方は年金からの支払いしかできないのかというような御意見がご ざいましたので、原則として来年4月から保険料を年金からの支払いか口座振替か、原則 としてすべての方に選べるようにしてはどうかとしたわけでございます。  ただ、7ページにございますように、あくまでも市町村が認める方となっておりますの で、国民健康保険で滞納があった方などの場合には、これは年金からの支払いに限定する ことができるということになっております。  また、口座振替にいたしましても、口座に残高がございませんと振替不能ということで 滞納になりますので、そのような場合には年金からの支払いに戻すことができるというよ うな、あくまでも市町村の判断を加える形にして、来年4月から先ほど申しましたような 選択ができるようにいたしたいということで、現在、年内に政令改正をするということで パブリックコメントの手続などを進めさせていただいているところでございます。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの報告あるいは資料に関する質問も含めまして、御自由に御意見を お願いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。 ○河内山委員 山本委員もお話になるかもしれませんが、私から先に申し上げたいと思い ます。  徴収の仕方のいわゆる選択制の問題でございますけれども、最後に総務課長から市町村 のさまざまな考え方によって、ちゃんと担保ができるような仕掛けにはするという御説明 が最後ございましたけれども、そもそも論から言いますと、長寿医療制度だけではなくて 介護保険もそうなんですが、現場で国民健康保険の事務、介護保険の事務、そして、長寿 医療制度の保険料徴収部門を実施しております自治体としましては、円滑な制度の運営と いうものの一番根幹に、十分な保険料等の確保というのがいつも課題として横たわってお ります。国保におきましても、今なお若年もおられますから当然、特別徴収ではない方か ら保険料を支払ってもらわなければいけないわけですけれども、非常に国民健康保険を担 当する課長の頭の中の半分はあるいは3分の2は、保険料の徴収というのがいつもあるわ けですね。裏返しに見ますと、やはり滞納が発生しやすい。当然、一方で国民健康保険に しましても、一生懸命生活が苦しくてもみんな相互連帯の仕組みだということで保険料を 払われる方もおいでになるし、一方で、今まさに国会で法律改正が行われつつありますけ れども、全員が全員とは言いませんが、なかなか納付に理解を示されない方には、心を鬼 にして短期の保険証であるとか資格証明書のような対応もして、たびたび役所来ていただ いて納付してもらう。そういう経緯がありまして、介護保険が始まるときにも、まずは払っ ていただく側からしましても、いわゆる納付の便宜を図る。それから、いわゆる運営側か らすると確実に、そして、特別徴収というのはうまく機能いたしますと非常に効率的とい うか、保険料を徴収するにはコストがかからない仕組みなので、それで介護保険が始まる ときにこの制度でいこうということで始まりました。既に8年以上にわたりまして制度と して定着しておりますので、全国市長会で介護保険の方ですけれども、今回の見直しに合 わせて行われる介護保険の同様の見直しについて、市長の意見を緊急にアンケートをとり ましたら、9割以上の人がこの方法を維持すべきだということを回答されているわけです。 したがって、長寿医療制度も介護保険の方も、是非制度がなぜこういうことで、いわゆる 年金からの特別徴収を始めたのかというところを十分制度設計をされた厚生労働省として はお考えいただいて見直し等の作業は行っていただきたい。市町村の意見を十分に忖度し、 聞かれた上で、今パブリックコメントをやりますとたくさん意見が寄せられると思います けれども、慎重にお答えいただきたいと思っております。  なお、制度上、天引きをした際と口座振替の際に税負担に不均衡を生じることがござい ますけれども、それはそのことがあるから選択制にするのではなくて、そのことは厚生労 働省の方で緊急に対策、あるいは工夫、改革をされるということが筋だと思いますので、 申し添えたいと思います。  以上、何とぞよろしくお願いしたいと思います。 ○山本委員 意見が同じですけれども、口座制を設けるのは決して徴収率が上がることに はならないと思います。維持ができないと思います。徴収率が一番大事ですから、100%皆 さんが納めてくれれば一番いいんですけれども、そうはいかないですね。したがって、口 座制を設けますと、もしさっきの話、何回か払わなければそういう人は直接取るようにす るということを書いてありますけれども、何回か払わないその分は後で直接取るようなこ とをやってもできないと思います。その分だけ言うならば収入減になるわけです。だから、 口座制というのは言葉ではいいようにあるけれども、実質が伴わないでしょう。したがっ て、口座制だけはやめてもらったらいかがですか。しかも、介護保険の方が定着している んですよ。だから、今の定着しているものが口座から徴収するということを設けると崩れ てしまうんですよ。だから、今の年金からそのまま差し引くと。  当初これをつくるときに、保険料は年金からいただくからということでスタートしたん ですよ。御存じでしょう。それを途中で変えるというのは大きな理由があるんですかね。 私の聞いているところでは、そんな理由はないような気がしますよ。だから、この制度を つくるときに初めから今の年金からいただくようにしましょうと、大半の人、5%弱ぐら いが年金がない人がいるかもわからんという推定だったんですね。それで介護保険の場合 は順調に保険料が入ってきております。ところが、口座を認めますと、もし空っぽになっ たときに補てんする人がいないじゃないですか。銀行がそのまま黙って埋めてくれれば一 番いいですよ。しかし、そんなことは到底できませんから、口座と年金と両方やるという のは、何のためにやるのか全く意味がわかりませんね。だから、これはやめた方がいいと 思いますよ。結局、保険料が欠落しますと、誰が一番困るかというと市町村なんですよ。 厚労省でもなければ、ほかのところでもないんです。全部市町村が困るんですよ。だから、 その辺りを考えてほしいと。  それから、医療の場合は今、広域連合でやっておりますけれども、結局、徴収まではや りませんからね。市町村が全部事務処理をやっているわけですよ。だから、もし公団になっ た場合に、そこで裁量欠陥が起こった場合は、市町村がそれを何とかしなければならんと いうことになるわけなんですね。だから、介護保険が順調にいっているんですから、これ はお金持ちのやることで、我々のような一般平民がやるようなことではないんじゃないで すか。だから、その辺りを御一考願いたいと思いますね。  例えば、国会の先生たちがそう言われても、国会の先生たちは実際の事務は全く何もし ません。やっているのは我々市町村ですよ。市町村はそれでは困るわけですから、それは やめてくれと言っているわけです。実際にやっている者の意思を無視してやるというなら、 それはやってもいいかもしれませんよ。しかし、いつかはその反発が来るということを忘 れないようにすることが大事です。だから、そこはひとつ考え直してください、お願いし ます。  もし、どうしてもやった場合に、あの人が年金から、口座から払ってくれないというこ とがわかるまでには2回か3回未納しないとわからない。そうすると、2〜3回分の未納 金はもう二度と返ってきませんよ。その分は国庫補助金で出すんですか。それが書いてあ れば、私はまあいいかなと思います。しかし、それはほとんどできないですよ。だから、 実態をよく見てこういうものは決めることが必要なんです。ただ、誰かが言ったから「あ あ、そうか、それでいいや」というような考えでこういうことを決めるのはいかがなもの かと思います。ですから、これは広域連合ですけれども、広域連合は実際には保険料の徴 収なんかやらないんですよ、全部市町村がやってるんですよ。だから、市町村の立場を十 分考えていただいて、欠陥が起こらないようにすることこそ大事じゃないですか。だから、 これは余りよくないですよ。もし、どうしても強行するなら今日約束してください。もし、 私が言うようなことが起こった場合は、昔は切腹だったけれどもそれはできないから、あ なた方は責任を取ってください。それなら私も賛成します。必ず起こりますから。そこま で言えますか、言えないでしょう。「いいよ」と言ってください、そうしたらOKしますか ら。  以上です。 ○神田委員 天引き、特別徴収の件については、今、市長会・町村会の立場でいろいろお 話がありました。基本の考え方は私も一緒でございまして、天引きでいろいろ批判がござ いまして、6月にも見直しはございましたけれども、先ほど来の話の中にも、すべて一番 の物事の根本が入っていたと思います。どうして介護保険では天引きで問題にならずに今 回問題になったのか。平成12年の介護保険導入の際には、私は先行するドイツにも制度の 調査に行きましたけれども、あのときはどうしてドイツはこんなに速やかに介護保険が導 入されたのに、日本の場合は時間がかかるのかと思ったんですが、やはりきめ細やかに時 間をかけ、しっかり制度の説明などがありました。したがって、多少の議論はありました けれども、平成12年の介護保険の導入が比較的円滑にでき、定着していったと思います。 今回いろいろ批判が出るのは、やはりドタバタでした。私どもも長寿医療制度の導入を4 月以降、あるいは準備段階を見ていましても、例えば電算システム一つとっても、本当は 昨年7月、8月、9月に来なければならないのが年明けになったり、本当にごたごたでし た。そういうようなことを、介護保険の天引きなどと引き合わせて考えますと、本質的に は天引きが問題ではないと思いますので、実際に実務を担当される立場の市長あるいは町 村長さん方の懸念はよく理解できます。したがって、是非とも実際に運営なさる市長会や ら町村会とひざを交えて意見交換をされまして、いい制度設計をしていただきたいものだ と思います。  天引きの点はそのくらいにさせていただきますが、長寿医療制度の今の見直しの論議を 是非ともこの機会に申し上げなければいけないと思っております。先ほど舛添私案として 長寿医療制度と国民健康保険を一体化して、これを都道府県が運営するというような私案 が大臣から出されたわけですけれども、正直申し上げて全く唐突の感が否めません。今こ の長寿医療制度はどういう現状にあるかというと、さまざまな批判を少しずつ改善しなが ら、定着と理解を深めることに一生懸命汗を流しております。定着しつつある、鎮静化し つつあるという中で、これから時間をかけてどうするのかということはわかりますけれど も、唐突に国保と一体化して箱物だけ変えるというようなことは、極めて唐突であります し、正直言って地方は困惑しております。  このことを先だって、先月でございましたけれども、総理官邸で開かれました知事会の 折に、私も今申し上げたようなことをそこでお話しして、大村副大臣からは、これはあく までも大臣の私案であって、何がいいかこれから議論していくというようなことでござい ました。その議論は本当に慎重になさっていただく必要があると考えております。と申し ますのは、いろいろな論議がありますけれども、少なくとも現状を国保と一体化して都道 府県が運営することによって、今、市町村が苦労しておられる財政的な問題はそれだけで は何一つ解決しない。そこに一番の問題があります。国保というのは結局、低所得者ある いは高齢者がどんどん増えていくために、大変財政運営に苦労されているわけでございま す。したがって、それを構造的にどうするかという議論が本来先にあってしかるべきです ので、その問題を抜きにして殻だけ変えても本質的な問題解決にならないという意味では、 この私案に対しては大変な心配と不安を持っているところでございます。  したがって、先ほど少し御説明があったわけですけれども、もしこれを進めていくとい うことであれば、地方との協議、とりわけ都道府県との協議の場を別途設けていただきた い。そこできちんと議論したいと思っております。この席上で説明したから、地方の説明 をしたという実績づくりにしてもらっては困る。我々は別途この問題について正面切って 議論したいと思っております。  各知事もかなり危機感を持っておりますので、この点十分御理解をいただきたいと思い ます。というのは、財政面だけではなく、実際の運営面でも極めて問題をたくさん含んで おります。先ほど天引きの問題がありましたけれども、そういうきめ細やかな対応や、徴 収、それから、被保険者の把握も都道府県でできるはずがないんです。いずれにしても、 都道府県へ一体化していただいたところで、市町村にそれをお願いせざるを得ない。今の 広域連合と一緒です。もしそういうことがあるとすれば都道府県は何をやるのか、マネジ メントだけです。そうすると、どちらが責任を負うのか、どちらに責任の所在があるのか、 この辺が全く曖昧模糊といたします。それから、市町村のモチベーションも下がります。 それから、被保険者の責任をどちらに求めていくのかということも曖昧になります。更に 言うと、保険料あるいは保険税のところもあるわけですけれども、今それぞれ分かれてい るわけですが、これも、どちらにしても統一しなければいけません。統一する場合に、保 険料負担が増えるというケースが当然出てくるわけで、被保険者の数からいって長寿医療 制度の混乱で済むようなレベルの話ではとてもない。これは大変な混乱が起きます。では、 低くする、それはどこが持つのか。また、それは一般財源からの繰入れになるのか、ある いは国が持ってくれるのか、こういう問題になってまいります。  それから、今さまざまきめ細やかに資格証の問題だとか、短期保険証の問題などもあり ますけれども、これらも都道府県でできるはずがないことなのですね。それから、今、健 康事業というのを、人間ドックなどもやっておりますが、これもサービス低下につながる 可能性があります。したがって、運営上も心配があり、財政上の問題もあり、構造的にど うあるべきかということを根本から議論しませんと、長寿医療制度と国民健康保険の一本 化などということは、到底空論にしかすぎないという心配を我々はしています。かなりの 知事は同じ意見を持っております。  したがって、見直しに当たりましては、我々も見直しの議論に参加することはいささか も引き下がる気はございません。正面切って議論したいと思っておりますので、別途そう いう土俵をつくっていただき、この問題についての協議の場を改めてつくっていただきた いと思っているところでございます。  今回この問題をどうするのかということは、長寿医療制度の帰趨だけではなく、国民皆 保険そのものの屋台骨にかかわることだと思っておりますだけに、私は本当に心配をして いるところでございます。先ほど天引きの話もありました、そして、長寿医療制度の在り 方の議論もございました。やはり保険全体を眺めながら、これから国と地方、そして、国 民の負担がどうあるべきかは、多少時間がかかってでもやるべきことだろうと思っており まして、半年、1年で中途半端なものにしては将来に大きな禍根を残すことを大変心配し ているところでございます。  したがって今申し上げたようなことを十分御考慮いただいた上で、もう一つの検討会、 塩川委員会の方が先行するのはちょっとおかしいんじゃないかとも思うんですが、それは それで有識者の方々が熱心に御議論いただくことですから、そのことに口を出すのは失礼 だと思いますけれども、やはり骨太の議論を制度の根幹にかかわってやっていただく必要 があるという意味で、知事会の立場ということでもございますけれども申し上げたわけで ございます。十分御賢察をいただきたいとお願いいたします。 ○糠谷部会長 地方公共団体のお三方から、大変厳しい御意見をいただきましたので、事 務局、その点に関して話をしてくれますか。その関係で、私も昨日御説明に来たときに聞 けばよかったんですが、このシナリオを見ていると、高齢者医療制度の見直しについては 今の塩川検討会でやっている、それを踏まえて関係者で議論する機会を確保する場もつく りたいと今読み直してみるとなっているんですね。これは、今のお話との関係でどういう 位置付けになるのかということも含めてお話しいただけますか。 ○神田課長 それでは、後にあったお話から申し上げますと、先ほど知事がおっしゃった ように、その場で副大臣からもお答えさせていただいておりますけれども、大臣自身もこ れはあくまでも一つのたたき台として提示したということで、これを含めて今後議論をし ていくということになっております。先ほど申しましたように、検討会では順次論点を議 論いたしておりますが、一通り議論が整理された段階で、別途この部会の委員の皆様方の ような利害関係者を含めた議論をいただく必要があるのではないかと考えております。  それから、年金からの支払いについてでございますけれども、今、知事からもお話がご ざいましたように、保険者ですとか実施主体が広域連合とか県になったとしても、保険料 を徴収するとか、あるいは被保険者の管理をするということについては、住民票の移動と の関係がございますので、どう考えても基礎自治体である市町村に一定の役割を担ってい ただかざるを得ないのだろうと考えております。そういう意味で、先ほどからお話がござ いますような介護保険にしろ、長寿医療制度にしろ、保険料を徴収していただくという事 務を担っていただいていることについては、私どもも大変御苦労いただいているものと認 識いたしております。  ただ、今回、介護保険と何が違うのかということでございますが、介護保険のときはあ る意味では新しく制度ができましたので、一から年金からお支払いをいただくのを原則と するということでスタートしたわけでございますが、実際に今度の高齢者医療制度という のは、言ってみれば老人保健制度からの建替えでございましたので、従来、国民健康保険 に入っておられた方が長寿医療制度に移ることになったということがありまして、例えば 先ほど申し上げたような、国保で言うと世帯員であったおばあさんについて、御自身は保 険料は計算されているわけでございますけれども、自分では支払っておりませんで、そう いう認識がなかったということで、切替えによって先ほど申し上げたような自分の年金か ら保険料が引かれるようになったという制度の切替えに伴う問題というものもあったとい うのは、介護保険が年金からお支払いただくのを原則として新規にスタートしたところと 違うところがあるのかと思っております。  例えばで申しますと、4月から年金からのお支払いが始まらなくて、10月から始まった 所の実態を聞いておりますと、従来国保を口座振替でやっていたので、放っておいても口 座から引き落とされるものだと思っていて、支払いが滞っていたというような例もあると 聞いておりますので、そういう意味で言いますと、やはり切替えに伴う問題という特殊性 というものもあったのではないかと思っております。  今回、急にこういう見直しをするということについて、平成20年度均等割を7割軽減さ れている方々について8割5分の軽減ということで、年金から年度前半をお支払いいただ いた方については、年度後半は基本的にはお支払いいただかなくても年間の保険料が賄え るということになっているわけですが、来年度また改めて保険料をお支払いいただくこと になりますので、先ほど申しましたような、一部にどうして選択ができないんだという声 があるということで、一部について要件を撤廃して選択ができるように、来年からもう一 度いただくに当たって、そのようにしてはどうかという御意見があったということで、今 回そのような対応をとらせていただきたいということで、あくまでも市町村が円滑な徴収 に資すると認めた方について、申し出があれば口座振替に切り替えるということを基本に しまして、そのような改正をさせていただきたいということでございます。御理解をいた だければと思っております。  介護保険につきましては、今日も介護給付費分科会があって御意見があったと伺ってお りますので、介護保険の取扱いについてはそういうことも踏まえて、また別途に検討がさ れるものと承知いたしております。 ○河内山委員 先ほどちょっと申し上げなかったので補足的に申し上げますと、いかなる 制度も見直しがあったり、事務のさまざまな取扱いについて常にいろいろと変更したり、 改革をしたりというのは、市町村事務の中で他の事務でもたくさんあります。市町村職員 のモチベーションをずっと見ていますと、真に必要に迫られてというか、これは住民のた めになるなという見直しをするのであれば、多分徹夜をしても、あるいは超過勤務しまし ても、嬉々としてとは言いませんけれども、やはり使命感を持ってちゃんとやるというこ とはあると思います。現に、新しく後期高齢者医療制度が始まるという中で、先ほど神田 委員もお触れになりましたけれどもいろいろ準備が遅れぎみになりましたが、とにかく4 月1日からちゃんと制度をやらなければならないという思いで、あのときはかなり全国の 自治体の職員は頑張ってやったと思います。年金の天引きの問題でミスがあったり、保険 料の金額が違ったりとか、初期段階ではそういうトラブルもありましたけれども、それも 大きな都市も小さな市町村もみんな一つ一つつぶして、大方順調に行き始めた。  先般行われた見直しが一部ありまして今回もありますと、本当にある意味では世のため 人のためになるような見直しであれば、嬉々としてとは言わないけれども、これから先も ちゃんとやると思います。だんだん徒労感みたいなものが出てくるんですね。それによっ て何が一体全体変わるのかということがはっきりわからなくて、しかし、決まったものは しようがない、だから何月何日までにやるんだと。今回の見直しでは、現場をだんだん疲 弊させる非常に悪い面が出つつあると思います。ましてや介護保険の方は全く何も問題が 生じなかったにもかかわらず、一方の長寿医療制度が変わるから先回りしてこっちも変え るんだというようなことを現場で今からやるということになりますと、1,800の自治体とい うのはそれぞれちゃんと結果を出すと思いますが、余りいい仕事を強いているとは思わな いですね。ですから、これはやはり政治レベルでの与党合意みたいなところで決まってき ますから、それは政治が決めたことということで致し方ないのかもしれませんが、それは いい改革というか、いい見直しと、致し方ない見直しと、今回はどちらかというとよくな いと結論付けるといけないのかもしれませんが、これは現場にとってみるとモチベーショ ンが上がるような見直しではないということは十分御理解いただいて、まだ時間はあると 思いますので、これが本当にいいことなのかどうか、お考えいただきたいと思います。  それから、神田委員が先ほど御発言された、これからの医療制度全体で都道府県と市町 村がどうやって関与を考えるか、これは分権改革推進委員会の第1次勧告で出た、平成21 年度中に結論を得るという問題もありますし、さまざまな財政の特別措置も平成21年度で 切れるものがありますから、それはそれぞれ仕分けをいただいて、バタバタと形だけが整 うということではなくて、これは本格的に知事さん方もそういうお気持ちでテーブルをつ くられるというのであれば、現に事務をやっております市町村も一緒になりまして、本当 に皆保険を最後まで守り抜くためには、どこをどうやるのが一番いいのか、これはちゃん と市長会も参加して議論しなければならないことを申し添えておきたいと思います。 ○山本委員 今のお話の続きですが、考えていただきたいのは、75歳以上の人たちにしろ、 国保の人たちにしろ、保険料を今までは払っていなかったんですよ。それが保険料を払う ようになったから反発が出たんですね。しかも、その保険料が非常に高額なものだったか ら、高齢者の人たちがこんな無理な制度を何でこしらえたんだということになったわけで す。私はその苦情をずっと集めたところ37枚になりました。それだけの不平不満を与える ような制度をつくったからいけないんです。段階的にいけばよかったんですよ。老人医療 費というのは10兆円だとか何とか言われておりますから、保険料が高くなるのは当たり前。 医療費と保険料というのは対称になっているわけですから、保険料が高くなるのはわかり 切っているけれども、一挙にやらずに今までやってきたことを徐々にやっていけばよかっ たんですね。ところが、いまだに保険料が高いままで来ているわけですから、それで見直 しをするということになったのではないかと思われます。  それで、さっきらからのお話のように、今の保険料の徴収までやるということになりま すと、高齢者の人たちは決して喜ばないですよ。何でここまでしなければならんのかとなっ てくると思います。ですから、その辺りを考えて、この制度の在り方について根本的に考 え直すことが必要ではないでしょうか。  それから、さっき知事さんからお話がありましたけれども、最初から都道府県と市町村 が一緒になってやったらどうだと随分言ったんですよ。ここの部会みたいなものでは、そ れがいいということになったんですが、さて、実施するときになったら県だけ抜けてあっ たんですね。どうしてそんなことにしたのかわかりませんけれども、また、今度は県が入っ ているので、これは大変なことになりますよ。一生懸命やってもなかなか合意はできない と思います。だから、県と市町村がどうすれば一緒になってやれるか、融合性がどこにあ るのかということを考えてから出した方がいいと思います。ポンと出しますと、うまくい かないと思います。本当は、私どもは全国でやれと言っておったんですけれども、それも 考えてみると無理なような気がします。だから、あなたたちの厚生労働大臣は県単位でま とまっていくようにしようかということになって、県単位でやることを提案しようとした ことは皆さん御存じのとおりなんです。ところが、それはできなかったでしょう。できな かったのはどこに理由があるかを考えていただければ、県と市町村が一緒になってこうい うものを実施しましょうなんて言っても、簡単にはいかないと思いますよ。だから、その 辺りはさっきの知事さんの話のように、県と市町村と一緒の場で協議をして、これならい いよというところまで話し合いをして、皆さんと一緒になって協議していくというやり方 をしないと、ポンと出しますとむだになると私は自分の経験からそれだけは言えると思い ますから、十分その点は配慮してやってください。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。時間も迫ってまいりましたので。 ○逢見委員(代理:小島参考人) 長寿医療制度、後期高齢者医療について一言発言をさ せていただきます。  4月に発足したときに運用面で大分つまずいたことで、いろいろな意味での見直しが出 てきているのだと思います。この医療保険部会で2年ほど前に議論して、最終的には今回 の後期高齢者医療制度について全員一致で意見がまとまったかというと、必ずしもそうで はない。当時の私どもは別の考え方でした。いわゆる突き抜けという主張をしてきたとこ ろですが、今でもそのように思っております。法律が通るに当たって2年前の国会の中で 中身について十分な議論が尽くされなかったということが、結果的に今年4月のスタート に準備不足があって、さまざまな問題が出てきているのだと思います。そういう意味で、 今、有識者の方で検討会を開いているということなので、これまで後期高齢者問題につい ては10年以上の長い長い議論の経過がある中で、今回の形でスタートしたということなの で、その辺について十分論点を整理していただきたい。本格的な議論の場を別途、本来で あればこの医療保険部会で議論するということだろうと思いますが、その辺について事務 局で配慮してもらいたいと思います。 ○糠谷部会長 時間も過ぎていますけれども、よろしければ多少延ばしたいと思います。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 どうもありがとうございます。  我々も高齢者医療制度についてはいろいろな意見があるんですけれども、ここにおられ る方全員に意見があるだろうと思います。今日のこの場は、現在検討していることの紹介 だという理解でよろしいのでしょうか。 ○神田課長 はい。 ○対馬委員 わかりました。では、また別途の機会にそういった意見を述べさせていただ きたいと思います。  あと、進め方ですけれども、1年間かけて議論を進めるのはよろしいんですが、このメ ンバーでの検討会だけで1年間やっていくということになりますといかがなものかと思い ますので、やはり医療制度は先ほども出ましたとおり2年間ぐらい随分この場で議論いた しましたので、いずれ医療保険部会が医療保険制度の議論をする場になると思いますので、 そこで審議する時間を十分にとっていただきたいと思います。  よろしくお願いします。 ○糠谷部会長 ほかにございますか。事務局から何かありますか。よろしいですか。  それでは、大変活発な御意見をありがとうございました。予定の時間もまいりましたの で、これまでにしたいと思いますけれども、高齢者医療制度の見直しにつきましては、先 ほどから御議論がありますように、塩川検討会でもやっていただいているわけですが、事 務局では別途、関係者での議論の機会を確保するということも考えているようですので、 本日の議論も踏まえまして更にそういう機会を設けてもらえればと思っておりますので、 よろしくお願いいたします。  今後の開催につきましては現時点では未定でございますが、必要が生じましたら事務局 より御連絡を差し上げることにしたいと思います。  本日はお忙しい中、活発な御意見をありがとうございました。今日はこれで終わらせて いただきます。                                      (了)                            【照会先】                             保険局総務課企画調査係                                TEL:03(5253)1111                                   (内線3218)