08/12/11 第90回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第90回労働政策審議会雇用均等分科会 第90回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年12月11日(金) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、佐藤委員、樋口委員  労働者代表委員   岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員、山本委員  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、定塚職業家庭両立課長   安藤雇用均等政策課長、松本育児・介護休業推進室長、堀井総務課調査官、   代田短時間・在宅労働課長、大地均等業務指導室長、   議題:     育児・介護休業制度の見直しについて    配付資料:   資料No.1  雇用均等分科会報告(素案)   資料No.2  短時間勤務及び所定外労働の免除について(論点) 議事: ○林分科会長  定刻になりましたので、ただ今から「第90回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催 いたします。本日は、奥山委員と田島委員がご欠席、樋口委員が途中でご退席されると の連絡をいただいております。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「育児・介護休業制度の見直しにつ いて」です。本日は、前回の分科会でご議論いただいた「取りまとめに向けた検討のた めのたたき台」についてのご意見も踏まえ、資料No.1「雇用均等分科会報告(素案)」と、 短時間勤務及び所定外労働の免除に関する補足資料、資料No.2の「論点」を用意してお りますので、事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  まず、資料No.1の「雇用均等分科会報告(素案)」をご覧いただきたいと思います。こ ちらにつきましては、たたき台につきまして、分科会におけるご意見も踏まえながら事 務局が公益委員の方々のご意見を聞いて用意したものでございます。たたき台の文末を 検討すべきでないかという書きぶりから変更しているという以外に、内容について変更 した主な点についてご紹介申し上げたいと思います。  まず、前文でございますけれども、五つ目の丸の「また」というくだりでございます。 こちらの最後の行で、「男性が子育てや家事に費やす時間についても」というところを 前回のたたき台では「先進国中最低の水準」と書いていましたけれども、ここだけ国際 比較を特に取り出して書いているということについていかがかというご意見がございま して、「極めて低い」という書きぶりに変更いたしております。  次のページでございますけれども、上から二つ目の丸でございます。2行目の「なお、 これらの法的整備を行うに当たっては、新たに設ける制度はその導入に一定の期間が必 要であることや、人事労務管理の体制等を踏まえて適用することが適当である」と追加 記述をしております。こちらは、大企業と中小企業の体力の差を考えて、進める速度を 考えてほしい等のご意見があったことに基づきまして、新しい制度は導入に一定の期間 が必要であること、また、小規模企業、中企業、大企業といった企業間の体力の差、人 事労務管理の体制等を踏まえて適用するという意味でございます。  また、その一番下の丸は、期間雇用者についての記述でございます。「期間雇用者に ついても」という後に、「育介法に基づく両立支援制度の利用を促進し」という部分を 追加しております。さらに、「働きながら子育てできる環境を整備することが重要であ るが」という後に、「育児・介護休業については、一定の要件を満たす期間雇用者につ いて」ということで、「育児・介護休業については」という言葉を挿入しております。 今回改正の議論は、全体としては期間雇用者にも該当する部分が多いので、全部が外れ てしまうというわけではない。ただ、育児・介護休業については、ここに記載するよう な問題があるということで、分けて書いた方が良いというご指摘に基づくものでござい ます。変更点としては、以上でございます。  次に、資料No.2をご覧いただきたいと思います。前回、ご議論いただきました「短時 間勤務について」という論点です。こちらは、前回の資料から変更しておりません。3 ページ目に「所定外労働の免除について(論点)」ということで、短時間勤務と同様の論 点として、週所定労働日が2日以下、継続勤務1年未満の者については、労使協定により 対象から除外できることとすべきかという点。また、事業の正常な運営を妨げる場合に は、事業主は請求を拒否できることとしてはどうかという論点を掲げてございますので、 後ほど、ご議論をいただきたいと思います。ご説明は、以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、各論点について、素案の項目に沿って順に議論 したいと思います。まず、前回の分科会で残されました論点につきまして、引き続き資 料No.2の短時間勤務および所定外労働の免除について議論をした上で、その他の項目に ついて議論したいと思います。前回、積み残しとなっております論点として、まず、短 時間勤務について、資料No.2の1ページの一番下、「短縮する時間帯」について、ご意見 がありましたらお願いいたします。山本委員。 ○山本委員  度々恐縮なのですが、各論に入る前に、素案の全体に絡むこととして何度か意見を申 し上げておりますが、重ねて意見を申し上げてよろしいでしょうか。 ○林分科会長  それは後ほど素案の中でよろしいでしょうか。 ○山本委員  わかりました。 ○林分科会長  「短縮する時間帯」についてのご意見は、特にございませんか。遠藤委員。 ○遠藤委員  前回、この資料2に基づきまして、短縮の幅、あるいは単位をどうするのかといった ようなことについて意見を申し上げました。この部分については、一定の基準というこ とで法定化するという話で進んでいたかと思います。それに対して、短縮する時間帯に かかわる部分につきましては、法定化しないということで整理していただくようお願い したいと思っております。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  ただ今、遠藤委員が法定化しないということを言われたのですが、やはり子育てをす るということで、所定内時間が基本ですので、それからずれることもあり得るというこ とを、最初から入れられるのは困るので、やはり法律の中に所定労働時間の範囲内とい うことは入れるべきだと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  所定労働時間帯の中でということになりますと、これから私どもが短縮をする場合の メニューの出し方について制約を受けることになるのですけれども、それはかえって働 く側の方のご事情等を考えると難しい状況も出てくる。例えば、流通業界の例が使用者 側の委員からあったように、そこはもう少しバリエーションを持てるような形で整理し ていった方が良いと考えております。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  そのバリエーションを考えるのは構わないのですが、最初から所定外だけというよう な取扱いは非常に困るので、幾つかのバリエーションがあるのは構わないのですけれど もという意味です。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  いきなり所定外だけという議論はあまりしたくないものですから。前々から申し上げ ているように、要員確保というのはそれぞれの業種・規模・時間帯によって人数が異な りますから、その中でずれるというようなことが許される状況をつくった方が良いので はないかということです。基準を満たすように所定内のメニューを一本入れて、オプシ ョンで持てば良いではないかというご議論もあるかと思いますが、規模の小さい所など を考えていきますと、なかなか単一メニューしか出せないという事情も結構あると思う のです。そういった中で、双方がうまくかみ合うような形での提案をしていくことが、 この施策そのものを普及していくと考えれば、そちらの選択の方が良いのではないかと いう趣旨で申し上げているわけです。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  所定労働時間というものがそもそもあって、前回の例の中でも、所定労働時間が7時 間半としたときに、2時間取ったとしてそれを12〜18時といった選択肢も例示として出 されていたわけです。そういうことからすると、そういったバリエーションというのを 最初からこうすべきだと出されても、労働者側が短時間勤務を取得することにおいて求 めているものと、企業側が提示してくるバリエーションというのは、全然かみ合わない ものになっていくだろうと思いますので、所定労働時間の範囲内というようになるべく きちんとすべきではないかと思います。もし、そういうバリエーションの中でおさまら ないというのであれば、それは複数の選択肢の一つとして出すべきであると思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  繰り返しになりますが、企業の中にあっては、フルタイムで働く方はこの時間帯で、 そこから短時間で働く方はこの時間帯でという形でシフトを組んで回しているというこ とは、十分ご理解いただけていると思うのですけれども、そういった中で短時間になる のであれば短時間の時間帯の方で労務管理をしていこうという企業のニーズもご理解い ただければと思います。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  通常の短時間勤務の選択とは違って、これは育児・介護休業法の短時間勤務の部分な のです。ですから、短時間勤務といっても保育所に送り迎えができるようにするために 短時間にするとか、そういう重要な意味合いを持っていますので、ただ単に8時間を6時 間にすれば良いという問題ではなくて、何のために6時間にしなければいけないかとい うことを踏まえた場合、企業側のやりやすい方法でした場合には保育所に間に合わない という可能性もあるわけです。ですから、どうして短時間にするかという根本的なこと を考えていただかなくてはいけないので、ただ単に労務管理上やりやすいということで はなくて、労働者がそれを使いやすいようにすることが先決だと思われます。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  繰り返しになりますが、その方だけをそこにもってくるわけではなくて、全体のチー ムの流れの中で人のやりくりをして、短時間勤務の方の事情を踏まえて考えていこうと いう議論をしているわけですから、嫌がらせでそういうことをしているわけではありま せんので、その辺のところは十分ご理解いただけると思っています。 ○林分科会長  大体、ご意見も出尽くしたと思いますので、続きまして、2の「対象外とすることが できる労働者」についてご意見をお願いしたいと思います。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  「対象外とすることができる労働者」という書き方の中で、それぞれ例示がされてい るのですけれども、それぞれの例示が、その項目に照らし合わせたときに本当に適切な のかどうかと考えると、事例としてどうなのかと思います。特に2番目のところで、「 流れ作業による製造業務」、「交替勤務による製造業務」、「個人単位で代替が困難な 営業業務」というものが、「業務の性質、業務の実施体制に照らして、制度の対象とす ることが困難」と書かれると、これ自体は製造業務の中で流れ作業を交替勤務でやって いる、今の勤務形態の中に短時間勤務を入れるというのが困難ということであって、そ もそものシフトを6時間の4交替にするとか、あるいは短時間勤務のスキームに合ったも のを入れていけば、その作業自体は決して難しいわけではなくて、今の8時間なりある いは12時間の交替勤務というような形態の中に入れることは困難だという事例だと思い ますので、この事例自体がそもそも勤務が難しいということにはならないと思います。 それぞれの項目の中の例示というのが、必ずしもぴたりとこれは短時間勤務ができない ということにはならないと思いますので、例示を示すことが適切ではないのではないか と思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  ここにある幾つかのものについては、使用者サイドから例示として申し上げたもので すので、ご説明させていただきたいと思います。流れ作業、交替勤務というお話があり ましたが、机の上の議論であるならば、今、斉藤千秋委員がおっしゃったようなことは わかるのですが、そういった方々がいるからと、シフトを変えていくということは現実 問題では無理でございます。ヒアリング等をしても、そういった事象は一つも聞こえて きておりません。むしろここの部分については、この業務の特質、仕事のやり方等を考 えれば、ここで手を挙げた方がいた場合には、その方が短時間勤務できるような状況を 作ってあげるというのが、現実の対応だと聞いております。以上でございます。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今、おっしゃったとおりで、従来、ここの論議の中でもこういう業務についている方 が短時間勤務を取得したいという場合については、他の周辺的な業務につけているとい うことだと思うのです。ということは、実態としては、ここでいう(3)の困難な業務で事 業場にその場所がないという場合については、恐らく短時間勤務の対象から外すことは 仕方がない、やむを得ない事情だと思うのですが、(2)自体は、その業務自体がというよ りも、そこに働いている方が短時間勤務を取りたい場合については、他のラインに移し ているわけですから、この業務自体が駄目ということにはならないと思うのですけれど も。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  多分、そこは法律でどういうものを対象除外にするかという議論の中で整理されてい るものであって、斉藤千秋委員がおっしゃっている意図は、ここで十分読める話ではな いかと思います。この流れ作業をやっている状況下で短時間勤務はできません、交替勤 務はできませんということが書いてあるだけですので、当該労働者については、その方 が短時間勤務を取るか取らないか、取れるような状況があるのかないのかというのは、 この中に書いてある話ではないと理解しています。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  これは、これから短時間労働を取って働き続けようとするためのものですから、対象 外とするところはできるだけ少なくすべきだと思います。ここの(2)の例示が挙げられる ことによって、現在この例示の中で具体的には、遠藤委員もおっしゃっているように、 そして労働側も言っているように、例えば他のラインにその人たちを移して、短時間勤 務を取っている実態があるならば、ここに、この流れ作業、交替勤務、そして営業業務 という少しわからない実態があるのですけれども、こういうものを挙げることによって、 この人たちは短時間勤務の対象ではないと捉えられがちであるということで、このよう な例示を挙げるべきではないと思います。 ○林分科会長  樋口委員。 ○樋口委員  どうも両方の主張していることは似ているようなところがありまして、例えば、ここ ですと上の方の4行目に、「労使協定で定めるものに従事する労働者については」とい う文章になっているのですが、むしろ「労使協定で定める職務については」とか、ある いは「業務については」とするのであれば問題ないと、両方が考えていらっしゃるので しょうか。労働者を特定しているから問題なのだというのが、両方の主張のように思え るので、その点はどうなのでしょう。 ○佐藤委員  今の話で、法律上の仕組みで、ある流れ作業の職場は、樋口委員が言われたように、 業務上短時間勤務ができないとします。そこにAさんがいて、措置義務はそこに入れて いませんというような状況です。そのAさんは取れない。法律上はそうです。ただ、法 律上は最低の義務としてそこまでしか書かない。ただし、運用上、この人は他の職場に 行けば短時間勤務を取れる。ここまで法律を、この人に短時間勤務を取らせろというよ うな措置義務と解釈するかだと思うのです。今までの議論では、ここの職場で取りたい といったとき、その職場に措置義務として入れるか入れないかの議論をしているので、 法律のミニマムは。それ以上のところは多分、企業の人事管理上どうするかとか、労使 関係上どうするかで、その人が他に異動しても良いし、他に異動して短時間勤務を取れ ば動かすということはあり得ると思うのです。ただ、今のところ法律上はそこのところ を書くことは想定していないということだと思うのです。私の意見です。 ○樋口委員  労使の解釈が同じであれば、構成上どうするかというのは、また別の議論としてある わけで、その点についてはどうなのかということを確認しておきたいのですが、いかが ですか。 ○林分科会長  要するに流れ作業や交替勤務による製造業務のまま、短時間勤務を求められないとお かしいというところまでのご要求なのかどうかですね。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  同じだと認識しているのですが、こういう例示を書かれると、流れ作業で短時間勤務 を取りたいといっても、その人は取れないという解釈を経営側にされると誤解を招くの ではないかという心配をしているのです。要は、この人は今、運用上変えてもらってい ると思うのですけれども、流れ作業や交替勤務の人は取れないと法律に書かれているの だから取れないのだという誤解を招いては困るということです。 ○佐藤委員  この例示の問題になりますけれど、実際には短時間勤務を入れられない職場があると します。そうすると措置義務上ここは入れなくてよい。そこにAさんがいると、取れな いのです。これがいけないというのではないのですね。そのことは否定されるわけでは ない。 ○斉藤千秋委員  そこで取れないということは、一定の理解はしています。 ○佐藤委員  他の流れ作業の職場で組めるような流れ作業もあると思うのです。措置義務を入れな いことに合理性がない流れ作業の職場はあると思うのです。 ○今田委員  それをおっしゃっているのではないですか。流れ作業だから即駄目というのではなく て、シフト次第では流れ作業も可という。 ○佐藤委員  ただ、この場合の書き方は例示ですから、多くの場合、多いものを挙げているという 理解だと思うのです。この書き方は。最終的にどうするかは別として。ですから、今の ような趣旨は含んだ上で例示されていると思うのです。 ○林分科会長  これは法律の中に書き込むということではなくて。 ○定塚職業家庭両立課長  おおむね、今、佐藤委員がおっしゃっているとおりなのですけれども、もちろんこの 例示したものは、流れ作業なら即駄目ということではなくて、上から読んでいくと、総 合してわかるわけですけれども、業務の性質、業務の実施体制に照らして、制度の対象 とすることが困難である業務の例示ということですので、流れ作業であっても困難でな い場合もあれば、困難な場合もある。また、例示以外の業務であっても、困難な場合が ある。それは、最終的には各労使協定でということですので、労使の中でご判断いただ くための例示ということでございます。ただ、例示のところで、「流れ作業による製造 業務」とそれだけ書いてありますので、それがすべて当てはまるように誤解するという ことであれば、「流れ作業による製造業務であって、その性質や実施体制に照らして制 度の対象とすることが困難な場合」と書いても、それはもちろん同じ意味だと思います。 ○林分科会長  そういうことで、この点については、それほどの違いはないということで、次に進み たいと思います。3ページの「所定外労働の免除」について、ご意見がありましたらお 願いいたします。遠藤委員。 ○遠藤委員  2ページ目のところは、丸が三つあるのですけれども、二つ目と三つ目のところもす べてこういう状況でという理解でよろしいのですか。 ○林分科会長  6時間以下の労働者についてですか。 ○遠藤委員  はい。他の二つのところもこういう文章でよいという理解でよいのでしょうか。 ○林分科会長  ここは短時間勤務についてですね。特にご意見は。 ○樋口委員  下の二つと上の一つの関係をおっしゃっているのですか。 ○遠藤委員  いいえ。次の3ページの議論に入られようとしたものですから、2ページのこの残り の二つの丸のところも、こういう理解でよいのですかということです。 ○林分科会長  これは6時間に短縮するという方向性だとすると、6時間以下の労働者について、さら にというのは、自己矛盾になるようなところもあるので、こうなっているのではないか と思うのですが。何かご意見は。 ○遠藤委員  使用者側としては、こういう理解でよろしいのですねということです。 ○林分科会長  他に、特にこの点についてご意見はございますか。よろしいですか。 ○遠藤委員 そこまでいったということで、1点だけよろしいですか。これは、ご議論があるという ことを十分わかった上で、一つだけ申し上げさせてください。私どもも、前回、たたき 台ということで公益の委員の方々からご意見をいただき、団体の方に持ち帰りまして検 討を進めております。検討の中で、いろいろな形でいろいろな立場の方に内部でご議論 をいただき、そしてご意見をいただくというようなことでございます。そういった中で、 労使協定といった中で、対象を除外することができるという枠組みについても、ご理解 をいただくようにお話をしているわけですけれども、やはりその中で労使の状況をいろ いろ考えていきますと、労使協定を結んで新たな制度をスタートさせようという段取り を組んで、時間をかけてやっていったにもかかわらず、なかなか労使協定の締結に至ら ないといった場合に、この制度そのものがスタートできないといった状況があるような 場合、そこはどのように考えればよいのかという質問をさまざまな場面で受けます。 これはあくまで一つのご提案ということでお考えいただきたいのですが、労使協定を締 結すべく手続的にも時間をかけて、誠心誠意取り組むような形で相当程度の努力をした にもかかわらず、労使協定が結べない。そうすると労使協定が結べないということで、 就業規則の書き替えもできないし、その就業規則に書かれた中身に基づいて新制度がス タートできないという状況も想定し得るということなのですが、一定の厳しい要件をか ませるというようなこともあるかと思います。それから、期限を区切って過渡的な措置 といったこともあるかと思います。そういったようなことで例外的な措置として労使協 定が結べないという場合に、就業規則に書かれる中身に基づいて、短時間勤務制度をス タートさせていただくということをご理解いただくことはできますでしょうか。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  遠藤委員のご推測のとおり、就業規則での決定ということは労働者側としては認めら れません。法律ですから、その間どれだけ誠心誠意だったのかということも計り知れま せんし、また現在も労働相談や労使紛争などで、少しマイナスにとらえがちかもしれま せんけれども、やはり労使がこのようにニーズの高いものについて、どうやって早く具 体的にできるかということで努力していただくことを何よりも優先していただいて、そ れでも時間がかかるようでしたら、労使ともに時間がかかってしまうことに責任を取ら ざるを得ないということで、やはりここでは労使協定ということに限定していただきた いと思います。 ○林分科会長  それでは、3ページの「所定外労働の免除について」の議論に移りたいと思います。 吉川委員。 ○吉川委員  「事業の正常な運営を妨げる場合」については事業主が拒否できると書いてあります けれども、やはりこれだけですと企業の実態にそぐわないのではないかと懸念しており ます。例えば、突然の受注やクレーム、トラブル対応など、やはり企業活動では事前に とても予期できない出来事が多々あるのが現実ですし、そうした対応が困難になるなど、 本当に今の100年に一度といわれるような厳しい経済環境の中で、中小企業も必死で頑 張っております。その辺りのことについては死活問題にもつながると思っておりますの で、事業主の正常な運営を妨げる場合ということに対して柔軟に適用できるような、そ れ以外の拒否理由も何か認めていただけたらと思います。 ○樋口委員  例えば、どういうことでしょうか。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  労働者が請求するということですから、そうすると、例えば請求している労働者が一 時的にその権利を停止する。本来、当該期間について所定外労働は免除で、所定外労働 はできないのですけれども、今おっしゃったような緊急時の対応、あるいはどうしても この状況下では、やらざるを得ない状況があったときに、自らの権利を一時的に停止す るといったようなこと。 ○林分科会長  それは労働者が希望したときに、同意をしたときにということですか。 ○遠藤委員  もちろん、請求者である労働者の意思によるしかそこはないと思いますけれども。 ○樋口委員  この文章ではまずいですか。 ○遠藤委員  この枠組みだと、いったん申請しました、申請すると当該期間内は一切所定外労働が できない状況下になりますので、そのような状況下ではなかなか難しい場面も出てくる のではないかと考えているのですけれども。 ○樋口委員  基本的にどういうことになるのでしょうか。こういうときには請求できないと書けま すか。 ○佐藤委員  逆に、多分1か月とか2か月と一定期間残業免除と期間を決めるのでしょう。その間に 経営側が緊急事態などで労働者にお願いしますと言うことができるというようなことを 書くということですか。労働者が認めれば、初めは2か月残業免除に入る予定だったけ れども、途中でやめますというような仕組みですか。 ○遠藤委員  そういう状況下がこの中で構成でき得るのかどうかです。 ○樋口委員  どのようにすればよいかというのを教えていただくと議論が進むかと思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  要するに、今の請求を拒否できる事由に該当するかどうか。少し別の切り口になりま すが、例えば今回の世界的な経済混乱等から考えますと、やはり中小企業は川下で、む しろこれからその影響が強く出てくると理解されます。実際に導入できる体力というこ とを考えたときに、一定の企業規模というのでしょうか、中企業、中小企業、零細企業 とありますけれども、それらの従業員規模に応じて、非常に少ない場合には、これらの ことを適用の除外としていただくことによって段階的な導入を図る。これは今のお話と 少し視点が違うことですが、ここでは所定外労働の免除ですが、短時間勤務についても 若干絡むかもしれません。そういうお考えを今の状況下で、できないだろうかというこ とをお話申し上げたいと思います。以上です。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  今、二つお話があったかと思いますけれども、事業主がどのような場合に拒否できる かというところについては、多分労働基準法か局長通達か指針などで、年次有給休暇の 時季変更に関して示されたものが確かあると思いますけれども、そういう範囲で私はそ こにそういう部分で書き込めばよいのではないかとまず思っていることが1点です。  それから、今いわゆる事業規模によって導入の時期を遅らせるというお話がありまし たけれども、これは今の労働基準法の改正議論の中でいろいろと言われてきたところで すけれども、こうした育児・介護休業法は、働く人たちにとっての基本的な法律を事業 所の規模によって差を付けるということは、やはりやるべきではないと思います。まさ に、どこの事業所で働いている人たちも待ったなしという状況になっているわけですか ら、そこは私たちとしてはとても受け入れられません。まして中小企業で働いている人 の方がずっと数は多いわけですから、そういった部分で大変さというか、厳しさはよく わかりますけれども、そこで差を付ける合理的な理由はないと思います。その意味で、 ここの前文のところに、このような施行延期が予期されるようなものが入ったというこ とも、なぜいきなり入ったのかということは理解しかねるところです。 ○林分科会長  遠藤委員のご指摘された場合というのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」に当た らない場合であってもという趣旨になるわけですね。 ○定塚職業家庭両立課長  遠藤委員のご発言は労働者側も合意した上で、労使でこの期間は突発的だから所定外 労働免除をするはずだったけれども、所定外労働をしましょうということをできるよう にしてほしいというご趣旨だとしたら、それは例えば今の育児休業でも、休業中にやは り緊急の事態が起きて働いてほしいということで、条文には書いてありませんけれども、 真に労使の合意があれば働いているという例はいくらでもありますので、その場合には 当然賃金も払っていただくわけですけれども、それと同じように解釈できると思ってお ります。  また、今は時間外労働の制限の規定で17条がありますけれども、こうした規定と同様 に所定外労働の免除を置くということを考えますと、所定外労働の免除の請求を最初に 労働者側がして、民事的効力が発生するということになるわけが、その後に労働者がや はりこの日は所定外労働してもよいということになれば、それは労使合意の下で特例と して変えていくということで整理できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  多分、短時間の措置義務と残業の場合は少し違って、残業の場合は生産の仕組みは変 わらなくても急に受注が増えたりと、こういう変動への対応の部分があると思います。 そうしたときに、そういう意味では、ある労働者が残業免除を申し入れたときに何の問 題もなくて認めた。多分一定期間認めるのだと思います。議論はその途中で変わったと きの問題と、例えば半年などある期間を決めた後で、次のときには認められないという ことが起きることはあり得ると思います。状況が変わる。つまり、それほど残業がない 状態だったのが、急に受注が増えたときに、それが「事業の正常な運営を妨げる場合」 と認められれば、同じ職場にいても、次は拒否できるということは起き得るというもの だったと思います。ですから、そういうことは今の仕組みでも平気なのです。ただ、問 題は途中で起きたときに、事務局が説明したもので対処するかどうかだということだと 思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  失礼いたしました。今、定塚職業家庭両立課長からお話がありましたことは、私ども の理解からすると、これは運用上、柔軟な対応という中に入るかと思いますけれども、 それは育児休業の世界でそういうものがあるということは、正直私は存じ上げていませ ん。ただ、それは復帰の間際のときに、12日に満たないような形で出社してもらってと いう対応の中のお話とはまた違うということですよね。それはその流れのお話なのです か。 ○定塚職業家庭両立課長  特に復帰の間際ということにはこだわらないと思います。もちろん使用者側が強制的 にしてはいけないのですけれども、労働者側の真意で、労使合意で働きたいということ で休業中に働くことは差し支えないという運用をしております。 ○遠藤委員  そうすると緊急時の対応というくくりで、当該期間の中であったとしても、それは真 意の合意を取り付けることを前提にすれば、当該期間所定外労働についてはやっていた だく。あるいは労働者の方が働くといったようなことは許容されるという理解でよろし いですか。 ○林分科会長  樋口委員。 ○樋口委員  法律にどこまで書くのかということと、運用上どうするのかという細かいところまで 法律はどうしても書けないわけです。原則的なところしか書けないわけで、ここについ てはまさに労使の信頼関係でやってもらうということが運用上発生するのは当然です。 そこまで法律に求めるのは、法律が今度はすごく細かいところまで全部、箸の上げ下げ まで規定することになってくるわけで、それはどうかと逆に公益としては感じます。こ れは両方の話です。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員  「所定外労働の免除について」のところですが、中小企業で働く方が多いということ は十分にわかります。それは通常でしたら、300人以下というところになるかと思いま すけれど、山本委員が発言したように、100人以下の企業については今企業そのものが 大変な状況で、死活問題につながっていますので、やはり100人以下という譲歩と言っ ては何ですが、100人以下の企業については、ぜひ適用除外にしていただきたいと思い ます。 ○樋口委員  景気が大変だということは十分に承知しているのですが、この法律がいつから施行さ れるかというようなことを考えたときに、明日から施行されるわけがないわけです。3 年先なのかわかりませんけれども、もっと早くかももっと遅れるかもしれませんが、そ うなってきたときに施行したときの話であって、ですから、景気がこういう状況だから、 ごめんなさい、控除してくれ、外してくれというような議論はなかなか成り立ちにくい と思います。例えば、景気がよいときにここで議論していたら、では明日からやります かというようなことになれば、いやという話が出てくるわけです。景気の良し悪しが法 律を左右しては逆に困るような法律になってしまうわけです。景気が良くなったらこれ はやりましょう、景気が悪くなったらこれはやめましょうというようなことでは、基本 的にないように思いますので、いつから施行されるのかということを考えながらした方 が国会の審議も当然そこにはあるわけですし、いつから施行ということもここではある わけですから、足元だけの状況で考えないでほしいと思います。 ○吉川委員  いつから施行されるのでしょうか。 ○樋口委員  それはそれこそ議論になってくる。 ○林分科会長  後ほど、素案の方の議論でやりたいと思います。山本委員。 ○山本委員  先ほど法律と実際の運用は、こういう場合には労使が話合いをすればよろしいという お話がありました。我々の理解でいきますと、法律で制定されますと、それよりもさら に労働条件が良くなることならばできるが、それを今のように残業をしてもらうという 形の労使の話合いをするということが、法律でそれはいけないと決められておりますと、 それを逆に労使の話合いの中でさせていくということができるとは、あまり通常理解し ていないのではないかと思いますので、もしそういうことでしたら、その辺がわかるよ うな表現をどこかに入れておいていただかないと、実際の運用側では法律内でやらなけ ればいけないという頭になっている人の方が多いのではないかと思います。 ○樋口委員  それは私が誤解させてしまったとすれば申し訳ないのですが、それはもちろん法律の 中での運用の話です。ただ、法律をどこまで細かく書くかというところで、それほど細 かくは書けないのではないかという話です。 ○山本委員  先ほど、法律でそのように残業はさせてはいけないということになっていても、実際 には個別運用段階で労使が話合いをすれば、実はそういうことをさせているケースも、 あるいは、してもよいと言っているケースは世の中に多々ありますということをおっし ゃったような気がしたので。違いますか。私が何か誤解しているのでしょうか。 ○定塚職業家庭両立課長  多々あるかどうかというのは私は承知していないのですが、少なくとも育児休業につ いてそういったケースは、多々ではないですけれども、あるとは伺っています。ですか ら、その育児休業の場合のことと同じように類推すれば、今回の場合は所定外労働免除 ということで、例えば6か月間免除と言ったけれども、この2日間だけはどうしてもとい うことで、本人もやりましょうと。そして企業の方もやってくださいということで本当 に合意が取れたということであれば、それはやっていただいても運用上差し支えないの ではないかということです。もちろんこれは皆さまの意見として、それでよいというこ とであれば、そのように運用させていただきたいということです。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  度々申し訳ありません。むしろ私はそういうことはウェルカムというのですか、むし ろそのようにしていただいて、話合いで臨機応変に対応できるような道を労使が話し合 った上でできるという道があった方が実際の運用の場合にはしやすいと思いますので、 もしそういうことが本当に話合いの上で可能であれば、何かそういうことを一文わかり やすくしていただけたらありがたいと。ただ、一文でわかりやすくしてしまうとみんな そのようにやってよいのかという話になってはいけないということがあるでしょうから 難しいでしょうが。ただ、我々が実際に運営していますと、それを超えることは一切や ってはいけないという頭で考える場合が多いので、その辺のところについては十分なご 説明をいただきたいと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  今のご意見は労働者側から言ったら、逆にそういうことを入れたら、ある意味でそれ が当たり前のようになっていく可能性もあると言うしかないのです。ですから、できる だけそれは外さないというのが原則ではないかと思います。特に所定外労働の免除をや っている子育て期の女性も男性も、それは例えば何時に保育所に迎えに行くかなど、あ る意味では生活のリズムが作られていて、例えばそれこそ労働時間を30分長くしただけ で保育所に迎えに行けなくなってしまう実態の中でやりくりをしているわけですから、 そういったことは例外のことであって、話合いの上で労使で合意するということもある かもしれないけれども、それを文言としてこの中に入れるべきことではないと思います。 ○林分科会長  大体、この点は議論が尽きたと思いますので、次に移ります。それでは報告書の素案 についての議論に移りたいと思います。まず、前文について、それぞれの意見がおあり のようですので、おっしゃっていただいきたいと思います。山本委員。 ○山本委員  これは何度か話しておりますし、皆さまもご理解いただいていることですが、この会 議の中で一応お話をしておかないといけないということであらためて申し上げます。  昨今の景気状況のことを景気ととらえるか、世界的な経済の枠組みが長いトレンドで 変わっていく兆しととらえるのかによって、この議論は違ってくるのだろうと思います。 今やはり世界恐慌のときのことに比見しながら今回のことを考えるという考え方が強い ようで、本当に100年に一度という経済の枠組みの変化ととらえる方が適切ということ で、その兆しが出たというところだと思います。中小企業の立場から考えると、倒産件 数などもここのところで非常に増えている傾向になっております。したがって、実際に 今年を越せるかどうかわからないという声や、これまでもこのように立ち至る前までに おいても、大企業は極めて優秀な事業実績を出しておりましても、中小企業は景気がよ くなったという実感を実はほとんど持っていないという現況もありました。それがさら にここで厳しい状況を迎えているということです。さらに高年齢者雇用安定法や、ある いはパート労働法の改善の問題その他に最低賃金法の問題もございますがここのところ で解決すべき課題が非常に多いのです。この少子高齢化の問題に絡めて、このことを進 捗させていかなければいけないということもよく理解しております。これは必ずしもこ の休業制度の問題ばかりではなくて、その他の仕組み的な問題や助成の問題など、これ らのことを推進するためのこれ以外の別の手段も重ね合わせて、総合的に少子高齢化の 問題が前に進むように、やはりこの全体像をやはりどこかで一度見せていただいて、こ の中のここに、この問題があると理解の下にこれが進捗されていくとさらに膨らみがあ って、実態に即したものになってくるのではないかと思いますので、ぜひともその辺の ところを何らかの形で表現の中に、要するに使用者側、労働者側、それから行政あるい は国も含めて、総合的に少子高齢化対策を進めていくという観点を盛り込みながら、今 の経済状況が非常に厳しい中における中小企業に対するいろいろな制度改革上の負担増 が、ある意味では段階的に、あるいはさほど極端な負担のないように、こういう配慮を しながら進めていただきたいという意見です。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  今、山本委員がいろいろとおっしゃいましたけれども、中小企業は時代の流れの中で 大変苦しんでいるわけですが、いずれにしても時代の流れが変わっているわけですから、 中小企業としても残されては困るわけなので、やはりできることから積極性を持って取 り組む姿勢は大事だと思っています。そういう意味におきまして、こういうものはある 程度、行政がリーダーシップを発揮して中小企業はついていくというような積極性を持 って、できる限り施策を講じていただきたい。  そこで、前文の2ページ目の二つ目の丸です。ここに新しい制度を設けるときには一 定の期間ということを入れていただいたのはありがたいことです。しかし新しい制度に は準備期間がどうしても必要になるわけで、一時的ではありますけれども、予備期間を 設けるということで施行を少しずらしていただきたい。これについても私どもはいろい ろと検討しましたけれども、2年ぐらいかかるのではないかと思っております。  それから、企業規模についても、やはり一般的には300人という言い方がされている わけですが、この辺から考慮していただくのが適当ではないかと考えております。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  少子化対策を総合的にさまざまな視点で対応するということは、本当に必要なことだ と思っていますし、それから中小企業に対しての助成のところもやはりもう少しきちん と拡充した予算を取ってするべきだと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、 この育児・介護休業法の施行の時期をずらしていくということについては、やるべきで はないと思います。ここには「一定の期間が必要である」と書いてありますけれども、 先ほどのいつからこれを制定するのかという話にもなりますが、多分来年の通常国会に もし出せたとしても、やはりどう考えても早くて2010年の4月ということになるのだろ うと思います。ですから、そういうことを考えれば、相当な期間があるわけです。今回 はいろいろと議論も進んでいますし、もともと初めての法律ではありませんから、例え ば不利益取扱いの部分についてどうするかというのはこれからの議論だとしても、おお よその部分は、これまでの議論の中でも、この中身でも見えているのだろうと思います。  それから、中小企業の人事労務の体制が大変だということも、ここでは書かれている と思います。逆に人事管理の体制というのは、むしろ小さい企業の方がフットワークよ く、いろいろな形で、まさに従業員の人たちも状況がわかっている中で対応ができてい ると思います。今、例えばワーク・ライフ・バランスでさまざまな賞を取っている企業 規模20人や30人といった所での対応を見てみますと、そういう状況に素早く対応して結 果や効果に結び付けている所も多いのだろうと思っていますので、人事労務管理の体制 などを踏まえて適用することが適当だということはそれほど当たらないではないかと思 っています。いずれにしても、ここの部分については、私たちとしては差を設けるべき ではない、一斉にスタートしないとこの少子化対策についても成果は上がらないと思い ます。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  これはかなり総花的で、かなりのものが新しく出てきているわけです。こういうもの 全部を中小企業が理解してというのは、今までの育児・介護休業法でさえあまり浸透し ていない、ベースがない所にやるのはなかなか難しいので、私が言っているのは新たな 制度、新しくできた3か所についてだけは、少しずらしていただきたいということを言 っているのです。 ○岡本委員  3か所というのはどういうことですか。 ○山崎委員  短時間と所定外、もう一つは介護休暇が新たにできますよね。そのことです。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員 先ほど時期の問題で、ここで討議うんぬんと言われていましたが、おおよそは多分役所 の方でいつごろを目安にということは考えていらっしゃるのだろうと思っております。 現実問題として今は単なる不況といっても自分たちが努力すれば何とかなるという状況 を超えて世界的なものですし、これが1、2年で解決される状況ではありません。先ほど 山本委員が発言したように、本当に根本的にシステム的なものをいろいろなものから考 え直されないと生き残れないという社会状況になっていると思っています。今年を越せ ない、来年の3月の決算期を越せないという所が多く出ていますし、実際に昨日も、超 大手企業の社長があるところで「今は音を立てるがごとく、想定以上にがらがらと音を 立てて崩れていくというのが現実だと、ですから中小に限らず大手でも果たしてどうい う形で生き残っていけるかが大変な問題である」ということをおっしゃっておりました し、私たち中小企業はもっと逼迫している状況です。 今、山崎委員がお話しされたように、ここのところ実施に入っていくものが押し寄せて きていますので、その上に短時間勤務、所定外労働のことについてまで2010年うんぬん という話がありましたが、2010年は私たちにとってはあまりにも時間がなさ過ぎる。先 ほどあると発言されましたが、私たちにとってはあまりにも時間がなさ過ぎる。今生き 延びていくためにはもっともっと大きな変化にどう対応していくかという、まず先決と して考えないといけないことがあるので、3年や5年はかかる。復活にはもっとかかるか もしれないと感じていますので、時期の問題とか100人以下ということに対しても、ぜ ひ考慮していただけたらと思います。切実な問題として皆の声が中小企業から特に届い ていますので、その辺りもぜひご理解いただきたいと思います、中小企業のオーナーは 倒産したら借金を全部一生背負っていかなければいけないのです。だから自殺者が多い ということもあると思いますが、その辺りのこともぜひご理解いただきたい。今は大変 な時代です。多分わからないかもしれませんが、中小企業を経営している人間にとって は大変な問題です。本当に死活問題ですので、その辺りをぜひご理解いただきたいと思 います。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  中小企業、中小零細の大変さというのは私たちはもちろん存じ上げていますし、また 今の経済危機がそう簡単に解決するものではないというのは、エコノミストの報告を見 るまでもないことですが、私たちは中小企業の経営者ではないのですが、経済が大変だ から大変、大変といっているわけではないのです。大変だからとじっとしていれば例え ば倒産の危機を逃れるということではなくて、そういう中でさまざまなことを今どうや って生き残るかということを検討されていて、さまざまな手法を考えていらっしゃると 思うのですが、そういう中で負担がかかるというようなことをよくおっしゃるのですが、 本当に負担なのかということを逆にお伺いしたいのです。 このような経済情勢になる前も何年かあったのですが、その間でもあまりこういう措置 的なことを対応されていなかったので、ましてやこういったときにはもっと遅れるので はないかということがあって、それできちんと法律はつくっておくべきだというところ なのですが、特に人材という視点で考えれば、どのようにコストをかけずにきちんと優 秀な人材を維持できるかというようなところは、大企業よりもむしろ中小企業にとって 重要な課題だと思うのですが、そういう視点に立っていただいて、あるいは柔軟な発想 の従業員たちで中小の中でも利益を出している、あるいは業績を最大限上げているとい うような所もあるように、居心地がよいだけではなく経営者が従業員に応えてくれてい るということが大きなインセンティブになり、企業の経営にプラスになっているという 所も多くあると思うのです。むしろ、そういう中で優秀な人材、あるいはずっと継続し て働き続けている人材をキープすること。それは負担がかかるのではなくて、むしろ負 担をかけることなくより大きなリターンが、それからとれるのではないかと思います。 苦労をしていない者が勝手に言ってとお思いでしょうが、さまざまなところで、これか らは今までほど楽な経営環境ではないからこそ、企業の中での人材・ポートフォリオも 含めてつくっていくかということを今の一番厳しいときに構築していくということであ れば、どのような状況になっても対応できるのではないかと思います。 ただ、一般の中小の中でも労働組合員が私たちの中でもたくさんいますから、そういう 中では非常に柔軟に労使交渉をしています。むしろ一体となってどうやってこの時期を 乗り越えるかということで議論をしています。そういう従業員を信じていただいて、今 この時期でやっていただきたいと思うのですが、逆にそういう中で私たちのサイドの中 小企業の組合員からも多く同じようなことを、今厳しいときに厳しいということを聞い ていますが、だから私たち中小の労働組合の組合員たちも思っているのは、企業に求め るだけではなくて、求めたものが中小企業であっても企業がきちんと履行できるような 環境となるよう、同時に例えば私たち労働団体は行動するべきだという声も上がってき ています。 そういう意味では、助成金など経済的なバックアップを国がするべきだと思いますし、 先ほど岡本委員がおっしゃっていましたが、なかなか今まで大企業と比べてノウハウの 蓄積がない。でもさまざまな中小企業の中では既に成功例があるわけで、例えば公のと ころでそういう相談に乗って具体的な案を示せる、あるいは成功例をお話ししてこうい ったようなことだったらできるのではないかというような具体的な相談機能というもの も行政がきちんとやるべきだと思っています。 中小いじめとか零細いじめといわれてしまうのですが、企業もそうですがそこに働いて いる従業員はずっと長年そういう環境の中にいても希望を失わずに一生懸命働いている わけですから、そういう多くの労働者たちにこれ以上規模間格差を感じさせないで、む しろ持っている能力を発揮していただくためにも、この踏ん張りどころで、この法制度 改正について前向きに取り組んでいただきたいと思います。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員  再三いろいろなところから出ていると思いますが、実際に中小企業は実態に合わせた ことを法律でいわれなくてもやっているというのが現実だと思います。それは働く側、 求める側の人がそういった思いをきちんと回りに伝えられるような、日ごろからコミュ ニケーションを取ってきちんとやっている方は、当然のごとく周りも応援もしますし会 社としても当然応援はしていきますけれども、そうではないある意味では一部のような 人が法律で決めることによって、権利ばかり主張する方がむしろ足を引っ張っていると いう現実も事実だと思うのです。ですから、法律を決めることがどこまでかというより も、むしろ実態に合わせて、小さい企業はお互いにコミュニケーションを取れています から、それを法律にまでする必要はないのではないか。逆にいうと、先ほど言ったよう に通常ならば300人以下ですが、100人以下という企業に対してのことはご考慮いただき たいと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  今の吉川委員のお話の中で、言葉尻をとらえたくはありませんが、一部の人が権利ば かりを主張する人たちがいるというようなお話がありましたけれども、そうであったら 4人の中の3人が辞めるというようなこういう現実はあり得ないです。多くは自分が持っ ている権利すら主張できないから4人のうち3人も辞めているという現実になっているの ではないですか。中小の方が大変今景気が悪くなって大変だということを言っている。 その気持ちもわからないわけではないですけれども、私たちからいえば労働者の側でも 働き続けなければ今の社会の中で生活できないのです。女性たちが子どもを産み育て、 そして若い家族が男性も女性もともに協力し合って子どもを育て職場の中で働き続けな ければいけない。労働者の側でも、今は本当に大変な状況に追い込まれているのです。 吉川委員が奇しくも中小は実態に合わせてやっているとおっしゃっているわけですから、 これが法的になったとしても、だからといって急激に中小に何らかの負担をかけるとい うことではないわけですから、ぜひこれは景気うんぬんということがあったとしても、 今の時点で私たちからいえばきちんと決まったことについて中小だからということでは なくて、きちんと施行するということを進めていただきたいと思います。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員  何度も言いますけれども、実態に合わせてというのは、その人がどういう思いできち んとやってくださるかということが基本ですので、そういう部分を理解していただきた いと思います。そういう形であれば、当然周りの人たちも応援しますし、協力しますし、 会社としても当然協力します。逆に必要な人材ですから。ですから、そういう意味では 人も個人差が大いにあるということも理解していただきたいと思います。そういう形で 組合の方々も相談に乗るときにそういうことも考慮していただけたら大変ありがたいと 企業側は思っています。 ○林分科会長  今田委員。 ○今田委員  先ほどの山本委員、吉川委員、労側委員の方のディスカッションを伺って、この報告 書案が足りないところがあるのではないかということを感じました。それは頭のところ の(1)ですが、要するになぜ今回の育児・介護休業法案の改正かという問題意識のところ をもう少しきちんと書いた方がよいのではないかというのが印象です。ここは本当にド ラスティックに経済社会状況が今年は変わって、それは労働側も恐らく認めざるを得な い状況だと思うのですが、佐藤委員が大変ご苦労されて研究会報告書を作られたときの 社会状況と現在はかなり変わっているのに、この報告素案は、少子高齢化人口減少とい うそこでの育児・介護休業法の改正の意義というところに焦点があります。そのトーン だけでは今の山本委員の議論とか吉川委員の議論に対してはなかなか弱いわけです。 そういう意味からいえば、そういう厳しい経済社会状況にあるからこそこうした改正が 必要なのだという、要するに当然いろいろな議論があり得ると思うのですが、そういう 議論をここに入れないと、ただ少子高齢化というものを受けての改正ということだけで はこの議論を乗り切るのは難しいという感じがします。まさに一番大きい経済的な厳し い状況というものについてのとらえ方が双方で全く逆の印象があるわけです。労働側か らすればそういう厳しい状況であるからこそ、労使が十分知恵を出し合って特に中小企 業においては、より環境を整備して生産性を上げて厳しい環境を乗り切る関係を作ると かいろいろな議論があり得ると思うのですが、そういう議論が出にくいような総論の書 き方の出発点になってしまっているということで、企業サイドとすればこの議論が始ま ったときと社会状況は一転してものすごく厳しいからという一点張りで抵抗しようとい う議論に対して、そういうモチベーションが強くなりすぎて、このまま今の議論を続け てもあまり生産的ではない。むしろ私の個人的な意見としては、今なぜ育児・介護休業 法が必要かという議論が重要だし、それは今言ったような経済社会状況が厳しい中にあ って、よりこうした両立支援策の重要性というものは企業サイドにとっても労働者サイ ドにとっても重要なのだという、その合意というものはここですくって、それを基にし てこの法案の改正が進められるという手順にしてもらえればと思うわけです。余計に混 乱しますか。佐藤委員、いかがですか。 ○佐藤委員  確かに経済状況の変化を理解した上で、こういう趣旨でやる必要があるということを 書いておいた方が良いかもしれない。確かにいろいろな方が読まれて、それで合意でき るかは別です。そういうことを一切無視して議論をしているわけではない。いつ施行す るかということももちろんありますが、これはやらなければいけないことだということ がわかるような書き方は大事だと思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  先ほど吉川委員の方からお話もあったことですが、もちろん労働者個人による違いも ありますが、中小企業といっても一律に全部がいけるかいけないかは個体差が相当ある という感じがしますので、そういう意味で申し上げるのは、先ほどの企業規模によって 労使協定であるとか話合いで解決ができる含みを残しながら今回の法改正が進んだ方が もちろん進める方向へ総意が向かっていくことは間違いがないのですが、それによって すべてを縛りきって進めきれるだけの体力が今の中小企業にあるかどうかを考えると、 そういう意味での話合いなり労使協定なりという範囲の中でこの問題を乗り越えていく という余地を残してというのが、先ほどの100名ですとか、あるいは施行期日を少し延 ばしたらどうかという話は、そのような考え方が根底にあると思いますので、一律法律 論の網を全てにかぶせるということの中に、そういうような余白を作っていただきなが ら進んでいかないと全体がしっくりいかないのではないかという意見です。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  どうしても引っ掛かってしまうのですが、一つは個人の意欲とか能力という話だろう と思いますが、そういった議論はこれまでも均等法やパート労働法で常に出てきたこと ですが、私は育児・介護休業法において、そういったもので法改正を例えば遅らせると かそういったことはあり得ないと思うのです。正直いってなかなか理解ができません。 例えばその人の処遇をどうするかといったことであれば当然意欲や能力ということはあ るでしょう。ですから均等法やパート労働法でもそういった文章が付いていますが、な ぜ育児・介護休業法の制定においてそういった個人の資質のようなところがあるからで きないという話になるのか、ここは全く理解ができないということを申し上げたいと思 います。 それから、100人以下のところでは、例えば労使の議論の中で進めていけるのではない か、十分な話合いができるのではないかという話がありました。そういったことで一方 で進むところも確かにあると思うのですが、これまでの実態を例えば景気がよかった、 右肩上がりだといわれていた状況においても、選択措置義務でさえも半分以下のところ でしか措置がされていなかったという実態、また今の状況の中でまさに法を守らない経 営者もたくさんいる状況を見ますと、やはりそこは労使の議論の中で本当に進めていけ るのだろうかというところは甚だ疑問に思ってしまいますし、きちんと法で進めていく ということでなければこの状況は進まないだろうと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今回の制度見直し、法律見直しの中の内容というのは大変重いものでして、これまで 使側がいろいろな形で主張したことを、なかなか反映していただけなかったと思ってい ます。そういった中で、今それぞれの団体でそれぞれの立場の方からいろいろな話を伺 うといったようなことで検討を進めてきています。そういった中で今回の新しい制度、 特に短時間勤務と所定外労働免除。これはある意味で、今までもメニューの中にはあり ましたけれども、今回これをかなりクローズアップするような形で新たな枠組みにして いくことについては、それなりの状況下を皆さまがイメージをしたときに、これはもう 少しきちんと考えた方がよい。きちんと細かいところも含めて現場の中でどう運用して いくのかといったようなところも十分踏まえた形で最終判断をした方がよいということ を異口同音に聞いています。そういった中で、今回のような経営環境が著しく悪化して いくといったようなことが入ってきたわけです。今の状況下は大手も中小もありません。 もう少し言わせていただければ経営者も労働者もありません。皆さま方が本当に手を携 えていかなければこの難局をどこまで乗り切れるのかという状況だと聞いています。そ ういった中で、今回こういう形で猶予ということがあるのは、決してその間何もしない ということではなくて最終到達点に向かって努力はしていきます。努力はしていく中で もう少しお時間をくださいということでご理解をいただけないかと思っています。  それから、吉川委員が先ほどから言っていますのは、今できることはやっているので す。例えば企業の中に幾つも職場があって、その中で対応できている職場はやっている のです。でも、今回の法律のように措置であろうが請求権であろうが基本的には入れて くださいといったようなことをするのだとすれば、すべての職場についてどうなのかを 吟味することだけでも大変な作業です。繰り返しになりますが、当該職務がそういう形 で制約を受けた形で仕事を進めていくのだとすれば、もちろんやりくりをしていく中で の話ですが、今までやっていた仕事そのものがなくなってしまうわけではありませんの で、それをどういう形で皆で連携し合って分担していくのかを考えていけば、それは制 度が決まりました、法律が変わりましたというだけではなくて意識改革も含めてやって いかなければ制度の適用を受ける側の人たちにとっても十分な環境作りにはならないわ けですから、そういう前向きな対応をしていく、そのための環境作りをしていく中での 猶予期間とご理解いただくことをお願いできればと思っています。以上です。 ○林分科会長  この点については、大体ご意見が出尽くしたと思いますので、前文以外の点について、 1の「子育て中の働き方の見直し」および「父親も子育てができる働き方の実現」につ いて、ご意見がありましたらお願いします。齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  この短時間勤務や時間外労働の年齢ですが、労働側は3歳では不十分であると何度も 言わせていただきました。この研究会報告の中にも育児休業からの復帰後も継続就業し ながら子育ての時間確保ができる働き方の実現ということで、保育所の送り迎えが余裕 をもってできる、それを求めていると記載してありました。短時間勤務の措置が入って 今まで辞めていった人が仕事を続けられるということは実際に可能になると思いますが、 保育所は3歳で終わりではなくて、小学校上がるまでは保育所に送り迎えをしなければ いけないのです。佐藤委員たちはキャリアのことを考えて3歳までと言われましたが、 私も子育てをした経験がありまして、保育所の最大限の時間を使っても現在東京近辺で 働いている人は通勤時間が1時間以上かかる。保育所はその家から20分なり30分かかる ということで、私の場合は7時半から夕方の18時半まで預けていましたが、それでもぎ りぎりです。ぎりぎりの時間で毎日やっていた。これが例えば保育所がもう少し遠いと か実際にないという場合においては、通常の8時間の勤務ではそれすらできないという ことですので、短時間勤務の措置は非常に有効なのですが、せめて小学校に上がる前ま でに延ばしてほしかったと思います。また、小学校に上がったときの学童クラブのこと を考えて親も子どもも心身的に大変な時期もありますので、本当であればこの後の努力 義務なども延ばしていただいて小学校3年生までということをぜひ入れてほしかったと いう思いです。以上です。 ○林分科会長  山本委員 ○山本委員 父親が子育てにどこまで参画できるかという話の中で、今回三つの視点が加えられてい まして、これまで何度か言われていますのは配偶者が専業主婦である場合の除外規定。 適用除外廃止ということですが、これが労使協定によって75%が適用除外しているとい う事例、この事例がどうなのかという見方もあるわけですが、これが話合いの上でこう なっているということがあるとすれば、これはこの分だけでいえば従来と同じ扱いでよ いのではないかと。会議所等から上がってくる意見としてはそのように聞いていますの で、一応ご報告申し上げます。 それと同時に父親が子育てに参画できるということは、制度上の改正も必要であります が、かねてから申し上げているように、父親が育児のために会社を休むということが社 会的に後ろ向きの行動ではないという価値観を醸成していきませんと、いくら制度的に これがうまく改善策がとられても、なかなかそれを活用しきれない状況が続いていくで あろうと思います。システムの問題ばかりではなくて、むしろそのように挙げて子育て もやり、男も女も仕事の場に出て、日本を支えるという環境あるいは雰囲気、理解度を 高めていく作業を、このこととはまた別に、これも全員が一丸となって進めていくとい うことも併せてお願いしたいと思います。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員 今の山本委員のご発言の中で少しお伺いしたいのは、除外規定の労使協定ですが、これ は本当にデータのとおり、75%と4分の3で、労使協定で除外をしているという事実があ りまして、これに対してこの審議会の中でも、労働者側から労使協定した当時と環境が 変わっていて、あるいは労使協定の当時はまずは働いている女性たちに、この権利が使 えるようにということで、少し捨て置いたような反省も踏まえてご報告をしたと思いま すけれども、そういう意味では労使協定の一方の当事者である労働組合としては、今こ れを改定するという動きは進めておりますし、さらに一段と進める方向です。 ただ、なぜ会社が労使協定において、専業主婦を持つ父親ですか、多くは男性ですけれ ども、端的に言うと、この方たちを除外するメリットというか、そういう理由があって、 これはやはり除外すべきだと思っていらっしゃると思いますけれども、その一番大きな 理由は何でしょうか。労使交渉の中ではそういうことが聞こえてこないので、もしおわ かりでしたら教えていただきたいと思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  私の見解はすべてを代表した見解ではないだろうと思いますが、一つに、今は減って いると言いながらも配偶者に対する手当等が実施されている場合もあろうかということ から考えると、やはり今の価値概念の中で、配偶者という存在を認めている様相が計り 知れるということもあります。従って、そのようなことからいきますと、やはり専業主 婦という一つの位置付けを是認しながら物事が進んでいるというのが世の中の現況とし てあると考えますと、それがこの労使協定に反映しているという理解をします。以上で す。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  ありがとうございます。あらためて、そういう具体的なことをお聞きして驚いたので すが、要は配偶者手当を払っていて、そこについてはすべて育児等については父親が本 来やる部分も、専業主婦がやるということについて、もう既に投資をしているというか、 その分は支払っているのにプラスして、これで育児休業まで取られたら、すべてではな いとおっしゃっていますけれども、二重取りだと。そのようなお考えがあるということ ですね。とても新鮮に、そういうことだったのかと伺ったものですから。そういう意味 では、配偶者手当というものも一方では労使協定においてかなり外してきて、子どもに シフトした手当に変えているというところがありますので、今後、この改定の労使協定 においては、そこを使って改定しようというヒントをいただいたようなものですけれど も。ありがとうございます。 ○佐藤委員  ただ、こういうルールができたときに、審議会でなぜ労使協定で除外できると入れた かどうかはまた別の議論だと思います。多分、労使協定で組合から提案してということ はなかったと思いますけれども、会社がなぜ提案したかというのは多分いろいろな考え 方があったかと思います。今言われたのは一部で、全部そうだったかというと、多分、 審議会の場では、基本的には子育てができる人がいる人については、専業主婦というわ けではないですけれども、育児休業を取る必要はないだろうということだったと思いま す。それは専業主婦ということで考えていたわけではなくて、子どもをきちんと見られ る人がいる人についてまで育児休業を取ることを認めなくてもよいのではないかという ことだったかと。そのときに時代的にはまだまだ専業主婦が多くてということはあった と思います。そのときの議論は私も十分には調べておりませんけれども。 ○林分科会長  「父親も子育てができる働き方の実現」について、使用者側もご意見は出たというこ とでよろしいですか。では、次の3「子育て・介護の状況に応じた両立支援制度の整備」 、4「実効性の確保」および5「その他」について、まとめてご意見がありましたらお願 いいたします。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  まず事務局に質問ですが、「その他」の事項の中のポツで、これはその他のいわゆる 短時間と時間外以外のものは3歳に達する子を養育するまでの措置を講ずるよう努めな ければいけないということだと思いますが、今の法律上の第24条の努力義務の範囲につ いては記述がされていないということについては、現行法の範囲ということで考えてい るということですかということ。次に意見として、そうであるということであれば、先 ほどの齊藤惠子委員と同様の意見ですけれども、努力義務の範囲の年齢を3歳以上から 小学校就学までという現行を、せめて小学校1年生で、小1の壁を超えるところまでを努 力義務の範囲としていただくことをご検討いただけないかと思っております。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  法律を変えるということであれば、目指すべき方向という形での位置付けでしかあり ませんので、そうなると努力義務である、ないということについては、全くそこは例え ば大手を考えてみたときに目指すべき方向だということで整理がされていますので、今 のご主張に対しては賛同しかねるということを申し上げておきます。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今までの論議も、年齢のところと制度化の話ではずっとそういう論議だったと思いま すので、ここでこれ以上申すつもりはないのですけれども、前回も言いましたし、この 間もずっと言ってきましたが、やはり研究会報告の中でも、必要性というものはいわれ ていると思いますので、措置ではなくて、努力できるところはという範ちゅうの指標と して法律を改正していただくということが、大手の所でこれから検討していきたいとい うことで、労使の論議を進めていこうというところを、少しでも一歩でも前進させたい という思いで検討いただきたいというお願いです。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  年限をいつまでにするのかということは、働き方がある一方で、企業の中での制度と いうところが今回の論点となっていますけれども、現実的に保育環境をどう整えるかと いうところは、社会基盤である保育サービスをどうしていくのかということと常にセッ トになっている話だと思っていまして、これは前文にも書かれているように、一方で「 新待機児童ゼロ作戦」といった活動も進んでいくということを踏まえると、まずは3歳 までという枠組みの中で進めていくのが妥当ではないかと考えております。 ○林分科会長  他にご意見はありませんか。岡本委員。 ○岡本委員  介護休業の特例延長についてですが、この必要性は再三申し上げてきましたので、そ のことについてあらためて述べることはしませんが、これまでの議論の中でも、看取り 介護などは、そういった考え方もあるかという話や意見も公益の委員からも出ていたか と思います。これについて特例延長でさえもできない、今回書き込まなかった理由です。 これまでの議論の中であまりそういったことがされていなかったように思いますので、 そこだけ1点お伺いをしたいと思います。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  以前に一度議論になったときに、確か私が申し上げたのではないかと思っているので すけれども、確かに育児の場合には、保育所等に入れない場合ということで、特例で延 長という規定がありますけれども、介護の場合は、在宅介護サービスや施設介護サービ ス等、さまざまなサービスから選択できるということになっておりまして、そのサービ スが提供されないということを証明することが難しい。現実には、在宅介護サービスを 含めれば、いずれかのサービスを受けることは可能になっておりますので、そういった ことから技術的にも難しいのではないかと思っております。また、介護につきましては、 介護の特別な短期休暇制度を新たに設けたということで、その中である程度対応できる 部分もあるだろうと考え、公益の委員方とご相談申し上げたところです。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  サービスはさまざまあるのですけれども、受けられない状況が実際にあって、それを 証明できないことはないと思います。むしろ、証明できると思っています。確かにそれ ほど多くはないはずですけれども、在宅で常に今の制度だけを使えば、どうしても家族 がみなくてはいけない状況は必ず発生しますし、そもそも介護する人がいる状況の中で 介護保険はできてきたと思います。家族が最低2人いて、もう1人は仕事をしていくと。 もう1人の人がすべて介護を受けるわけにはいかないので、さまざまな人の手を借りて 対応していこうということが、そもそも基本の部分だったと思いますけれども、それさ えも今は核家族化している中でできていない状況で、お辞めになっている方たちがこれ だけ増えている状況だと思いますので、それを証明できる、できないであれば、それは 何らかの形で、自治体も含めて証明することはできると思っております。 ○定塚職業家庭両立課長  証明できないという私の言い方は少し誤解があったかと思いますので補足させていた だきますと、保育サービスの場合には、今、当該住んでいる市町村に申請して、保育所 に入所できるかということを判断されるシステムになっておりますけれども、介護サー ビスの場合には、あくまでも当人あるいはご家族が自由にサービスを選べることになっ ておりますので、最後の最後まで、いずれのサービスも得られないということが想定さ れないということに言い換えさせていただきます。 ○佐藤委員  直接関係はないですが、戻るという意味ではなくて、ご検討いただきたい。前にもお 願いしたのですけれども、基本的には前回の法改正で要介護状態が変化した場合、要介 護状態ごとにまた取れるわけです。ですから私は要介護状態ごとの変化についてきちん と検討して、働く人たちが自分の父親なり、母親の介護状態が変わったということがわ かりやすいものをぜひ出していただきたい。先ほどの看取り介護の話も、かなりの部分 はもしかしたらそこでカバーできる可能性もある。つまり要介護状態が変わる。私は今 すぐにできるとは言っていない。もう少しきちんと要介護状態が変わったらもう一度取 得できるということを、働く人がわかるような形に整理していただくことを、これから ご検討いただけるとありがたいです。これはお願いです。 ○定塚職業家庭両立課長  検討課題ということで受け止めさせていただきます。 ○林分科会長  他に、ご意見はありませんか。吉川委員。 ○吉川委員  今の問題ではないですが、よろしいですか。先ほど、権利を主張というところで、だ いぶ私の説明不足もあったかと思いますので、そこの部分を少し補足させていただきた いと思います。先ほど遠藤委員もお話しされたように、今、労使という問題だけではな い本当にともに同じ方向を向いてやっていかなければならない時代であることも事実で す。これは景気がよいから悪いからということでなくて、同じだと思っておりますけれ ども、それとともに同じ働く側の横の関係も働きやすい環境づくりには大きな影響を及 ぼしていると思います。小さい企業ですから、いろいろな例に沿ってお話しさせていた だきますと、やはり子どもを持って、みんなが一生懸命に好意を持って一緒に頑張って という思いはありますが、やはりそのときに本人が今環境やいろいろなことで実際に周 りの方々で結婚したくてもできない人いらっしゃいます。やはりそのときに、人間の心 理はどこかで子どもを持てる人に対して、うらやましい気持ちも深層心理の中にはあり ます。そのときに権利があるから当然と黙って帰るのではなくて、やはりその分、周り の方々にご迷惑をかけるわけですから、「お願いします」など、何かそういう心遣いを することによって、同じ職場のコミュニケーションが取れるのではないかと思いますの で、そういったお互いの交流というものを心がけて、お互いにやっていくことによって、 実際には本人も働きやすい環境づくりを自分自身が作っていけるのではないかと思いま す。特に先ほど小企業がそういうことがなくても対応しているというのは、ある種の話 合いというか、そういうことができるから、お互いに協力し合ってやっていけるのでは ないかと思います。ですから、やはり本人も周りの方々にいろいろと迷惑をかけるとい うことで、そういう意味で法律があるから当然というのではなくて、よろしくというか、 感謝や守られているという思いを持っていただきたいということを一言付け加えさせて いただきたいと思います。 ○林分科会長  特に他にご意見がなければ。鴨委員。 ○鴨委員  今の意見はあまり言いたくはないのですけれども、ご迷惑ではなくてお互いさまとい う気持ちを職場の中でお互いに持てればよいということだろうと思います。  私も一言だけ。これも何回も言っていますから、今さらという話になるのですけれど も、前文の中の有期契約期間雇用者についてのところは、最後に一言だけ言わせていた だきます。やはり、期間雇用者であっても、本当に働き続けたいとみんな望んでおりま すので、期間雇用者の育児休業の休業取得要件については、「分かりやすく示し、周知 を徹底する」となっておりますけれども、これだけでは育児休業取得が期間雇用者にと って進むとは、現実的には思えないわけです。その意味においては、踏み込んで休業取 得要件について、要件そのものを見直すということを含めて、ご検討するという方向性 はぜひ示していただきたいと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  その点については、ここの後段のところに書いてありますように、「実態把握を進め る」と付け加えてありますので、実態が見えてきた段階で、あらためてご議論すればよ いと思っております。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  その点についても、何回も話していると思いますけれども、統計上実態が見えなけれ ばとおっしゃいますけれども、前回からこの議論はされてきておりますので、現時点に おいて実態をと、ここで出すこと自体がある意味においては、前回からこの間に当たる 期間において、有期契約労働者に対してどういうことがされていたのかと逆に問われる ような話になるのではないかと思います。もっと前向きに、今の実態そのものを本当に 変えなければいけないという意味で、休業取得要件については検討をこれからするとい う方向性を示していただきたいと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  恐らく今のご議論は、この案件にかかわることなく制度改正があれば、制度の状況が どれだけ浸透しているのか。当初考えた目的どおりに物事が進んでいるのかどうかを検 証していこうということは、いろいろな場面で必要性が言われているわけですから、今 回の対応についても、その一連の流れの中の一つだと理解しておりますので、それ以上 のことはここで書く必要はないと考えております。 ○林分科会長  双方の意見をこれ以上詰めるということは難しいと思いますので、他にご意見がなけ れば、本日の分科会はこれで終了といたします。今後の進め方ですが、本日の素案につ いて、本日出されましたいろいろなご意見も踏まえまして、事務局において公益の方と 相談しながら報告書案を用意し、次回の分科会で引き続き議論をしたいと思います。そ ういうことでよろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせていただきます。 本日の署名委員は、鴨委員と吉川委員にお願いいたします。次回の日程については追っ て連絡させていただきます。本日はお忙しい中、皆さまありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)