08/12/04 第4回献血推進のあり方に関する検討会議事録 第4回 献血推進のあり方に関する検討会 日時 平成20年12月4日(木) 10:00〜12:30 場所 (財)日本教育会館9F「平安の間」 ○血液対策企画官(林) 定刻になりましたので、ただいまより第4回「献血推進のあ り方に関する検討会」を開催いたします。この検討会は公開で行うこととしております が、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきます。ご出席の委員の方々におか れましては、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日は宇都 木委員、羽田委員は都合により欠席のご連絡をいただいております。田辺委員は遅れて いるようです。以降の議事進行を清水座長にお願いいたします。 ○清水座長 本日の議題2では、ワーキンググループで採血基準の見直しをしようとい うことで、前回ワーキンググループを設置することをご承認いただきましたので、その 具体的なメンバーのこと。議題3は、社会や学校の環境変化に対応した最近の献血推進 のあり方の方策をめぐって事務局にその案を作っていただきましたので、それを中心に 議論を進めていきます。そのことについて自由に議論をしていただき、できればある程 度の成果を得たいと思います。  自由討論後に、若干の休憩時間を頂戴してから議題4に進んでいきます。ここでは、 休憩前に行われた自由討論等を踏まえ、中間報告的なものの修正がもし可能であるなら ばそれを審議したいと思います。この中間報告的なものは12月25日ごろに血液事業部 会が開かれることになっていますので、ここではこういうことを議論していますという ことを報告をすることにします。また、採血基準の見直しについては年内というのは無 理ですので、1月以降になろうかと思いますが、具体的な基準を検討していただき、3 月の最終報告的なものの中に取り込んでいきたいと思います。  ワーキンググループでは、医学的な検証がいちばんの基本になるかと思いますが、こ こでは採血基準もある程度関係はありますけれども、それ以外の部分を主体に取りまと めをしたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。最初に事務局から資料の 確認をお願いいたします。 ○血液対策課需給専門官(秋山) 資料の確認をさせていただきます。資料の表紙に本 日の座席図があります。2枚目に議事次第、3枚目が資料一覧です。資料1は「委員名簿」 です。資料2「採血基準見直しの検討に係るワーキンググループ」の設置について(案) の2枚目に、前回調整中でありましたワーキンググループの委員候補者の一覧をご案内 しております。資料3は「論点(案)」ですが、前回の検討会でご指摘、ご意見をいただ いた点について若干の修正をしたものです。資料4は前回もご案内いたしました、6都 道府県の年齢別の献血者実数グラフです。これは前回検討会でのご指摘により、国勢調 査による年齢別の実態の人口と対比できるように加工したものです。資料5は、埼玉県 における高校生献血の最近の状況です。こちらは、堀田委員からご紹介いただくもので す。自由討論を受け、休憩後に資料6「中間報告(案)」をお配りいたします。以上が本 日の資料です。 ○清水座長 まず、ワーキンググループの構成メンバーについてご紹介をいただき、ご 意見があればいただくことにいたします。 ○血液対策課需給専門官 資料2「採血基準見直しの検討に係るワーキンググループ」 の設置について(案)ですが、前回、1.目的の中の2行目の「以下(1)から(6)」のとこ ろで、「(4)」というタイプミスがありましたので「(6)」と修正させていただきました。 前回ご承認いただいた内容で変わりはありませんけれども、2頁の別紙がメンバーの案 です。この検討会から4名の先生にワーキンググループにご参画いただきたいと考えて おります。宇都木先生には、法律学の立場から、主に倫理面についてチェックしていた だくということでご参画いただきたいと考えております。衛藤先生は、小児科の先生で あると同時に、学校保健の関係にお詳しいので是非ご参画いただきたいと考えておりま す。河原先生、中島先生には、採血基準の研究事業の関係を中心的にやっていただいて おりますのでご参画いただきたいと考えております。今回新たに血液・輸血学の専門の 先生として、愛知医科大学医学部輸血部教授の高本滋先生、慶應義塾大学医学部輸血細 胞情報部准教授の半田誠先生にご参画をお願いしたいと思っております。高本先生には、 このワーキンググループの座長をお願いしたいと考えております。7番目は柴田玲子さ んですが、日本赤十字社血液事業本部参事、製造管理課採血係長でナースの方です。今 回の採血基準の中で、ドナーの安全管理ということで、ドナーの健康状態についてのチ ェックを現場では看護師が行っていますので、その点から柴田さんは現場の経験が豊富 ということで今回ご参画いただきたいと考えております。以上がこの案です。 ○清水座長 補足させていただきます。4番までは皆さん既にご存じかと思います。高 本教授については、日本輸血学会の幹事をやっていらっしゃいますし、また国際輸血学 会の会長を2年間、その前のいわゆる今オバマがプレジデト・エレクトというのがあり ますが、国際輸血学会では、会長の前2年間と、会長をやった後2年間、通常6年間国 際輸血学会のエグゼクティブミーティングのメンバーになっています。そういう意味で は国際的に採血基準等がどうあるべきかということについて広く知ったり、いろいろな 情報を得たりするのに非常に好都合の立場にいるのではないかということです。  半田先生については、一昨年に献血者の副作用に関する補償についての検討会が設け られ、そこで具体的に副作用をどのように解析し、どういう枠づけをしたらいいのかを 中心的に、特に日赤が提供した副作用情報等を解析し、その基準の一部を作っていただ いたことがあります。  柴田玲子さんはずっと赤十字にいて、献血者から実際に採血等をやっておられます。 中島所長もおられますけれども、より献血者に毎回接触している方で、血液事業に対し て非常に有能な見識を持っている方とお見受けしております。  このような方をメンバーに加えさせていただけたということですが、以上のことにつ いてご意見等はございますか。 (特に発言なし) ○清水座長 この前も議論がありましたが、ワーキンググループの会議についてはここ のメンバーは随時オブザーバーとして出席して、場合によっては発言することもできる ように取り決められております。特にご意見がないようですので、メンバーはこのよう に決定させていただきます。  議題3、社会や学校の環境変化に対応した献血推進のあり方についての審議に移りま す。事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○血液対策課需給専門官 資料3、資料4についてご説明いたします。資料3「論点(案)」 については前回もお示ししましたところ、いくつかご指摘をいただきましたので、今回 は若干の修正を加えておりますので、修正点についてかいつまんでご説明いたします。  (2)の「学校教育における啓発」というのは、前回は(3)にあったのですが、「高校生献血 のあり方」と密接に関係するだろうということで、「(2)」というふうに順番を変えさせて いただきました。(3)「献血環境のあり方」ですが、タイトルを「献血環境のあり方」と いうものに変えて、「問診・インフォームドコンセントのあり方」についてもここに加え ることにいたしました。(5)「低比重者に対する対応」について、前回、これについても 独立項目とすべきというご意見が河原先生からありましたので、(5)としてここに「低比 重者に対する対応」を入れさせていただきました。以上が変更点です。この順に沿って 本日ご議論いただきたいと考えております。  資料4は、年齢別献血者の実数に年齢別人口グラフを加味したものです。6都道府県 について行ったものです。北海道から順にかいつまんでご説明いたします。平成19年の 献血者の実数です。黄色の折れ線グラフは、今回新たに加えた平成17年度の国勢調査に よる人口の実数の値です。右の目盛りが、黄色の折れ線グラフの人口を示したものです。 左の棒グラフの目盛りが献血者の実数を示したものです。例えば41歳のところが急激に へこんでいますが、ここはいわゆる丙午の世代です。折れ線グラフの右のほうが大きく 山になっているのが団塊の世代になろうかと思います。  北海道の例で見ますと、棒グラフの特徴は前回も申し上げましたが、概ね人口の実数、 実態に沿った形で献血が行われていると考えられます。ピークとしては、人口に対して 多いのは18歳、19歳、20歳の辺りと、それから実際に人口が多いということで30代半 ばが非常に多いです。逆に50歳以上になると、実態の人口に比べると献血者が少ない傾 向が見て取れます。これは、各都道府県共通の部分です。  山形県についても、概ね40代半ばぐらいまでは、実態の黄色の折れ線グラフの人口に 大体即した形で献血が行われているのではないか。特徴的なところは前回も申し上げま したが、16歳、17歳、18歳の高校生の年代について非常に高いピークがあります。こ こは、高校の現場における献血がまだ行われている、努力されている結果であろうと思 います。やはり50代以上になると、実際の人口に比べるとかなり乖離が出ている傾向に あるかと思います。  東京都について人口と照らし合わせると、若年層の19歳、20歳辺りのピークが非常 に高い。これは前回も申し上げたかと思いますが、大学・専門学校の類が多く集まって いる地域でありますので、全国から若い人が集まっているのではないかということが言 えるかと思います。ほかの地域に比べると、30代半ばぐらいのピークがややなだらかで あるということ。それ以降40代、50代、60代に至るまで人口に比べてかなり少ない状 況です。ほかの地域に比べると少しギャップが大きいのではないか。実際の人口も非常 に多いわけですから、ここの影響も大きいのかと考えております。  大阪府については、18歳、19歳、20歳辺りのピークは他地域ほど顕著ではありませ んけれども、実際の人口にかなり素直に対応した格好で献血が行われている実態なのか と見て取れるかと思います。特に30代半ばのころのピークは非常に顕著です。ここも人 口の多いところを反映しそのまま多い、さらにリピーターも多いということかと思いま す。  高知県も、18歳、19歳、20歳辺りのピークは非常に顕著ですけれども、それ以降20 代の落ち込みが若干目立っています。ただ、人口の実際の数には大体即した形で行われ ているのではないかと考えます。  宮崎県は、すべての年代において、かなりバランスの取れた格好で献血が行われてい る、協力をいただいている状態かと思います。九州地区においては、特に400mL献血の 推進を強く進めたことも関係しているようです。16歳、17歳という高校生の献血のとこ ろは数字がほとんど上がっていない状況かと思います。これが特徴かと思います。以上 がこのグラフの解説です。 ○清水座長 この地域別のグラフにはそれぞれ特色があるのですが、これは絶対数を表 示しておりますので、献血率で見るとまた違った観点が出てくるかと思います。いずれ にしても若年者、20歳前後の方は意外と献血をしている絶対数が多いということ。高齢 者のほうは、採血基準に該当はしているけれども、絶対数としてはまだまだで、今後若 干増えていくかとは思いますけれども、あまり大きなことは期待できないのかもしれな いという印象を持ちます。いずれにしても、この若い献血者層が今後継続的に献血をし てくれることが、将来の献血者を確保し続けていくための非常に重要なポイントではな いか。まさにこの検討会の議題に最も重要な資料を提供することになるのではないかと 思います。いまの資料の説明を踏まえてご意見、ご質問がありましたらお願いいたしま す。 ○衛藤委員 論点案1の(2)に学校教育における啓発が位置づけられたのは大変重要なこ とだと思います。献血を実体験する前に学校教育において啓発すると、高等学校で行う のがいちばん適しているだろう。その理由は、人間の身体に関する理解、また献血とい う行為をボランティアというようなことの概念を理解するには高等学校ぐらいの年齢が いちばん適しているだろうと思います。  後で埼玉県の紹介があると思いますけれども、現在高等学校1年と2年で保健という 科目が必修科目となっておりますので、それを活用するということにいちばん重点を置 くべきだろうと思います。  それから教育ということになると、なにも学校教育だけではなくて、学校教育を終え た後、現在では文部科学省でいうと、生涯教育政策局が担当する領域になりますが、以 前は社会教育と言われていた領域です。地域での教育という観点も大事であり、既存の 公民館活動であるとか、市町村の保健部局の多くの所で健康祭りなどというイベントを やっていたりします。このようなものを有機的に活用することも大事だろうと思います。 (4)に、メディア等を活用したということで地域のことが書いてありますけれども、生涯 教育という観点も学校教育に加えてどこかに位置づけたらいいだろうと思います。 ○清水座長 論点の具体的な例については後で議論したいと思います。もちろん論点に 沿ったご意見をお出しくださっても構いません。 ○掛川委員 献血を受け入れる側という立場からこの表を見ますと、いま現在16歳から 200mL献血はできますが、17才からの400mL献血実施の採血基準についてはこれから作 業部会で検討し、医学的な問題や社会的な問題で了解を得られるということであれば、 やはり17歳の献血ができることになると、直接学校に積極的に働きかけができます。そ の上、献血を知ってもらうための教育以外に献血に参加することは将来に向かって大変 大きな効果があると思います。 ○清水座長 掛川委員のお話は、資料で高知県のところを見ていただきますと、縦の目 盛りの数が100台になっていますが、東京都は1,000の単位になっていて1桁違います。 宮崎県は九州ブロックにあり、九州は200mL採血は採血しても赤血球が使い道がないと いうことで、例えば福岡の血液センターでは200mLを採るときには情報を提供していて、 あなたに200mLをお願いするけれども、赤血球については使い道がありません。ただし、 血漿は分画に使わせていただいておりますということを伝えて、200mLの献血を引き受 けているということを10年近くやってきています。九州ブロックの基幹センターが福岡 にあり、その影響で九州地域の各県というのは、10代の献血者数はその影響だと思うの ですけれどもかなり減っているということがあるのではないかと考えております。 ○河原委員 今回、国勢調査の人口を基に、各都道府県の特徴が出たと思うのです。こ れを献血率でするか、絶対数でするかは別にして、1つは都道府県ごとに特色が出て、 どこの世代をターゲットに絞ったらいいか、というのもある程度はっきりしてきたと思 うのです。  その中で献血の推進に関しては、医療計画の4疾病の中にも、がん、糖尿病、脳卒中、 急性心筋梗塞、あとは救急などの事業系が5つあります。4疾病5事業系を書いていま す。そのほかにも献血者の確保、原料血漿とか適正使用のことにも及んでいるわけです。 その行政サイド、都道府県サイドで献血の推進に取り組んでいるわけです。  一方で各都道府県には、日本赤十字社の血液センターがあります。この2つが自分の 県の問題がこういう形で、どこに問題があるかということを絞って、具体的にアクショ ンプログラムでもやらないとなかなか解決しないのではないか。日赤だけでも駄目だし、 都道府県だけでも駄目ですから、是非都道府県と日赤で、あるいは医師会も絡むかもわ かりませんし、地元の組織も絡むかもわかりませんが、アクションプログラムみたいな 形で各県の問題点、それからターゲットをどこに絞るかということで、何らかのアクシ ョンを起こすべきではないかということが大事だと思います。 ○清水座長 アクションプランを作るための基本的な資料として、いまここに掲げられ ている人口、献血者数、献血率、そのほかにどんなデータがあるとよろしいですか。 ○河原委員 非常に難しいのは、東京都や大阪の都市部には社会的な流出入があるので 実態を現していないかもわかりませんが、いまの人口と、医療計画のときに人口移動と かをやっていますから、どういう所に人が流れているかということがあります。そうい う人口動態のデータと、日赤が拠点として持っているのは県内のどこであるか、それが 合致しているかどうか。  山形には4つの医療圏がありますが、医療需要とか人口のほとんどは村山医療圏に集 中しています。例えば、ほかの医療圏が非効率だったら、村山医療圏に力を入れるとい う形で人口動態を中心に見ていったらどうかと思います。 ○清水座長 そういうデータを作り上げることは可能ですね。今回は必要ありませんけ れども、具体的なアクションプランを作るためには、いま河原委員が言われたようなデ ータを、例えば同じ県の中でも医療圏ごとに違うのではないか、というようなデータを 提示し、議論の基礎資料として、各都道府県ごとにアクションプランを作ってもらうた めの基礎資料として提示することは可能ですか。 ○血液対策課需給専門官 時間はかかるかもしれません。日赤と各都道府県で毎年ブロ ック会議等、こういうことを議論する場もありますので、その場でできた資料について お諮りして進めていくことは可能かと思います。 ○清水座長 この委員会の総論的な話ばかりしていてもあまり役に立たないと思います ので、具体的にこうすれば役に立つ情報が得られて、そこにターゲットを置けば献血者 確保の推進の可能性が高まるであろうという具体策をできるだけ提言していきたいと思 います。そのことについては、なんとかデータは作れるであろうということですので、 大いに活用する方向でいきたいと思います。  後で論点3のところには戻ってまいりますけれども、いま特になければ資料5の埼玉 県の実情について堀田委員からご説明をいただいてから議論をしたいと思います。 ○堀田委員 埼玉県における高校献血の実施状況ということで、過去5年間の状況です。 この表は、血液センターで集計してくれた、県内の学校で行った校内献血の実数です。 これで見ますと、私立高校の学校数はほぼ横ばいで、国公立高校の実施校数46から、こ の辺は3年間ぐらい同じなのですが、平成18、19年というふうに学校数として緩やかな 増加傾向にあります。  実際の受付数、献血者数のところでは増加という数値としては出ていないのですけれ ども、国公立高校のところでは国立高校が1校あるのですが、この実施数の中には入っ ておりません。私立高校が5校実施していて、そのうち1校が平成17年度から取りやめ ています。ほかの4校も実施はしているけれども、人数が減少しているということ。学 校数は増えていますけれども、各学校の実態が多少なり変化しているということで、平 成19年度の献血数としてはあまり多くないのですけれども、これで平成20年度の結果 が出ればもう少し増えているのかという感じがあります。  これ以前についてはどんどん減少傾向がありました。平成15年ごろか、もう少し前か らでしょうか、血液センターの方と保健所の方が、各学校を回って献血依頼という動き が実際にありました。平成19年度になり、特に知事と教育長から、校内における献血推 進ということで強い依頼が校長会等でありました。平成19年度に是非実施をお願いした い、実施できるとしたらいつごろか、という日程等を報告するような通知があり、可能 な学校の日程を教育委員会と血液センターのほうで調整をしてくれたことが82と増え てきた経過かと思っております。  いまの資料の裏側は、出前講座ということで、薬務課と教育局の保健体育課の連携で、 各学校に対し、こういうのを計画しているので是非希望を出してくださいということで ここ数年行っております。平成19年度においては11校です。授業でとか、保健委員会 等で、あるいは講演という形で講義をしていただいたということです。その生徒の感想 では、「血液疾患についての理解が深まった」「献血をする前に話を聞いたので不安が薄 らいだ」というような、よかったという感想が大半だったと聞いております。  指導案の例ということでこの通知文があります。教育委員会の保健体育課から、学校 の授業の中で、血液に関する指導を行ってほしい。それについてはこんな指導案の例を 考えましたということでこれがまいりました。高校1年生の「現代社会と健康」という 単元の中で4月当初にできたらということで、この指導案の例が出ております。ほかに は交通事故の予防とか、その辺で交通事故の後に発展的な内容ということでもできるか と思うのですが、こういう指導案が示されました。ワークシートであるとか、最後のデ ータ的なものはどんどん更新されますから、平成20年度にはまた新しいデータというこ とで、各学校に通知が来ているところです。  実際にこの指導案を使って、平成19年度に授業がされたかどうかという調査もしてお ります。その結果はまだ伺っていないのですけれども、そのようなことで徐々に授業を する教員も増えてきているということです。以上です。 ○清水座長 ありがとうございました。高校生献血を中心にしたお話を伺ったのですが、 いまのご報告に対してご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。 ○中島委員 このような活動を県内でやっていただいていることを大変心強く思ってい ます。1つお聞きしたいのは、埼玉県内の高校の数はどれぐらいあるのでしょうか。そ れで、どのぐらいの協力率があるのかを知りたいと思います。 ○堀田委員 いまは学校統合等をしておりますが、国立は1校、市立高校と県立高校を 含めて150か160だと思います。私立高校についてはわかりません。 ○中島委員 国公立が150ということですが、献血する生徒の数も年々減っている傾向 がありますし、学校の生徒数も減っています。それと比べると生徒数の減少以上に献血 する生徒が減っているのかどうかはわかりますか。 ○清水座長 それは、比率で出せば出てくることですので、できましたらそのデータも 後で用意していただければと思います。先ほど、都道府県別のデータを実態数でお示し いただきましたけれども、あれも献血率が年齢別には重要な意味を持ってくるかと思い ますので、同じような意味合いで是非その率のことについてもご検討いただければと思 います。 ○山本委員 いちばん聞きたいことは、保健体育学習指導案を見たのですが、私はエイ ズの啓発もやっているのですが、いちばんの問題として、授業はどういう雰囲気で、ど れだけ活発な意見が子どもたちから出て、どういう空気になっているかということがい ちばん問題だと思うのです。私がこれを見ていて、このシートもかたいなと思ったので す。やはりこうかと思ったのです。  いま、非常勤で私は大学で教職論をやっています。どあたまに愛がないのです、これ は一貫して私は言い続けます。もう一回言いますけれども、戦後60年経った先輩方の教 育を否定するつもりは全くありません。今ちょうど来ているのは世の中を見ればわかる ようにものすごいことになっています。こういうことも、そういう世の中の全体の流れ から響いてくると思うのです。そのいちばんのテーマは、愛と生命についてもっとしっ かりとわかりやすく、ちゃんと愛というものがあるのだと。愛しているよ、俺も愛して いるよという会話が夫婦にないということが悪いとは言わないが、いまは親が子どもた ちに愛していると言えないことで、子どもたちが死んでいったりしているわけです。私 は現場にいますからそれははっきり言えます。  いま教育の現場はものすごいことになっているのは皆さん承知のとおりだと思います。 私たちが推進しているのは愛の話なのです。教育の現場でこういう学習指導案に愛の言 葉が入っていない。バーッと見て、いちばん最後にかろうじて「献血を通して助け合い の精神や生命の大切さを考えさせるようにする」とチョロッと書いてあったのでホッと しました。これをずうっとやっていっても、たぶん寝ているのではないですかという話 なのです。  実際にエイズの啓発も、中高生の中でビデオを見せたりしていてその報告は聞いてい ます。真っ暗にしてビデオなどを見せられたら、中高生のほとんどは授業中寝ています よ、先生も起こしませんよ、休憩の時間ですと。私たちが一生懸命エイズの啓発をして 初めて知りましたと言うのです。いや、学校でやっているはずだと。女子校では、もの すごく一生懸命やっている学校が多いです。やはり、女子の身体を守るのだという先生 の迫力が伝わってきて、子どもたちの意識も高い。  私は島根県などいろいろな所を回りましたけれども、こういう検討会でいちばん話を してもらいたいことは、字が並んでいて、いいことが書いてあるなという上滑りをして ほしくないということがあります。堀田先生どうですか、ちょっと厳しい言い方かもし れませんけれども。 ○堀田委員 これはあくまでも指導案の例で、これを基に各担任が自分なりにクラスの 子どもの実態に応じて授業をするので、これは本当にきれい事ということです。やはり、 例ですから自分なりのアレンジをするということかと思います。養護教諭が授業をする ことができるようになりましたけれども、私の経験では、実際に保健室に来て、白血病 の子もいましたので、そういう子のことをもとにお話をしたり、中には事例という形で 入れております。 ○清水座長 これは、具体的にこういう事例に対して、献血を含めた保健体育の授業を やるといった、もう少し具体性のあるようなマニュアルはあるのですか。教育の現場で それは養護教諭に全部任されているのですか。 ○堀田委員 これは保健の授業で全員が教科書を基にと、この指導案に基づいてです。 ○清水座長 それに基づいて、各教諭が工夫してやるということなのですか。 ○堀田委員 はい、あくまでも例という形ですから、かたいと思うのです。 ○山本委員 ちょっとずれているのですけれども、あくまでも例としてかたくなってい るということをお話しているのではなくて、この献血のことを子どもたちに教える、伝 えるときにいちばん盛り込んでくださいよ、愛に根ざしたことですよ、生命に根ざした ことですよ、人間というのはいろいろな場面で支え合っていかないといけないのですよ。 そして、あなたの生命はあなただけのものではない、私たちみんなの大切な生命なのだ から、当然お節介をするのは当たり前なのだ、というものが欠けていることが大問題だ と私は個人的に訴えたいのです。  それでないと、あとはアレンジしてという類のものを言っているのではないのです。 愛という言葉が入っていないということが大問題だということです。言葉ではないです よ、その気持が入っていない、その気持を伝えられていないことが問題だと言っている のです。 ○清水座長 献血に関する埼玉県教育委員会の文章のいちばん最初に、いま山本委員が 言われたようなことをボンとまずは出せというのも1つの具体的な提案ということにな るのでしょうか。 ○山本委員 それと、常にこれは愛のことなのだよ、みんなの生命を救う、助け合うと いうのは愛なのだよ、そういうことを伝えないと全部がつながらないです。もっと簡単 に言うと、なんでいままでやっていた、学校へ献血バスが入って、強制的にやっていた ものがなくなってきたかというと、「先生、なんでうちの子の血を抜かなあかんのですか」 と言ってみんな逃げていったわけでしょう。つまり、自分さえよかったらいいという考 え方がどんどん進んでいって、いま世の中がこうなったのです。  そうではなくて、もともと強制されていたから、強制するのはやめて、ということに 対しては、やめてはいいけれども、強制はしないけれども、「先生、うちの子、血抜いて ええんやったら抜いてくださいよ」という気持に親がなるぐらい、要するに心をもう一 遍戻して説明しなければいけないということです。 ○清水座長 いまの意見に対して何かありますか。 ○衛藤委員 学習指導案というのは、このとおりに授業をするということではなくて、 現場の教員としては具体的にどういうシナリオみたいなものを自分として作ればいいか、 というときの1つの手立てにすると思うのです。いまのことは「ねらい」のところにき ちんと入っていないといけないということなのだろうと思います。  ここで「ねらい」のところを見ますと、いま足りないから必要なのだということを理 解してもらうのだという観点。生命の支え合いであるという観点がないというのはそう だと思います。ただ、書き方としてはこんな感じの表現になるとは思いますけれども、 視点としては入ってくる必要があるだろうとは思います。  保健体育という科目は、高校の場合には社会との係わりを学ぶことが主体になってき ていて、「現代社会」の「健康」という単元という枠組みの中に入っているということな のです。そうは言っても現実の高校生は自分の存在、心のあり方、他人との係わりに対 して大変危機感を持っているという現状がありますから、そこに訴えかけるようなねら いを定めてもらうという点はそうなのだと思います。 ○川内委員 埼玉県における積極的な取組みに敬意を表します。2点質問させていただ きます。この指導というのは、高校の先生方が保健体育の講義でやられていると思いま すが、それとは別に1枚目の裏側にあります出前講座というのは、学校の授業とは別で やられているのでしょうか。  それから、知事部局と教育委員会との連携については本県もまだ十分に進んでおりま せんので、我々も今後積極的にやりたいと思っています。献血に関する出前講座の講師 の方々はどういうバックグラウンドを持った方々がやられているのでしょうか。その辺 りを教えてください。 ○堀田委員 血液センターの所長が講師をしていると伺っています。 ○清水座長 埼玉の血液センターの所長は、東京女子医大の血液内科の教授をやってい た人が行って、この分野に精を出していろいろなことを試みてやっているという背景が あります。 ○大平委員 埼玉県では率先してやられていますが、他の地域ではこういう指導要領は 出ていないのだろうと思いますので、その辺は大変評価したいと思います。埼玉県の問 題についてどうという話ではなくて、ここに出ているように県立高校における献血の実 施率は、私立高校に比べて低いためというのがどういう理由なのかということが1つあ ります。  「ねらい」の1番の、日本赤十社の活動についてのところで、この献血自体が日本赤 十字を中心とした献血に焦点を当ててこの教育を進めるような感じになっています。国 の仕組みの中でみんなが助け合っていくということで、それを補完している所では日赤 が補完しているというような位置づけにしないとと思います。展開のところでも、日本 赤十字社の活動の中で献血というのがあるという位置づけみたいにあります。今後若年 層の献血を進めていく中でも、そこは社会の中の1つの仕組みみたいな形で、それをみ んなでやっていくのだという展開をするような方向に持っていければいいのではないか と思います。日赤の活動が悪いという話ではなくて、日赤に全部お任せするような活動 になっていて、基本的には国がしなくてはいけない問題だというところに持っていって いただけるようにしたいと思います。 ○清水座長 国というか社会という意味ですね。社会全般という立場ということかね。 ○衛藤委員 いまのことに関係して補足させていただきます。いまのご意見は、おそら く献血を推進するという観点で高等学校で授業をするとしたらということではそのとお りだと思います。その場合にはホームルームなどを活用するのがおそらく適当でありま す。この学習指導案はかなり苦心して、工夫してあります。現代社会と健康という中で、 さまざまな保健活動や対策を説明することになっています。それは学習指導要領という ところでいろいろ決まっていることであります。学習指導要領の解説書の中に、日本赤 十字社の活動などを例に挙げてということが例示されているものですから、それは必ず 触れなくてはいけないことなのです。その中の1つとして、献血事業のことがこの授業 では特出しになっていて、ほかのことは非常にすらっとしているということで大変工夫 してあるという中でのこの授業だとご理解いただければと思います。 ○清水座長 大平委員からご意見はありますか。 ○大平委員 そういう展開で進めなくてはいけない、というところを改めていくような 感じでいったらと思います。保健体育だけではなくて、以前、文科省に献血について幼 少期からいろいろな啓発が必要なのではないかということをお話に行ったときに、生涯 教育の中でやっていくということで、保健体育だけではなくて、ほかの所でも取り上げ てもらったほうがいいのではないかという意見もあったのですが、そこからはなかなか 動きませんでした。  そういうことを考えると、指導要領のやり方とか持っていき方としてそのように決め られているとしたら、それはなかなか動かない問題なのかもしれません。実際には山本 委員が言われたように、いまの社会の現象などにマッチしたようなものを作っていただ けるとありがたいと思います。 ○清水座長 将来の問題として学習指導要綱をいまのような、全体の中から赤十字とい う位置づけに変更できればいいというご意見かと思います。 ○河原委員 大平委員に関連する質問なのですが、私も同じ意見です。高校生が対象で はないのですが、例えば東京都の医療相談とか医療苦情の内容を分析しますと、窓口で お金を高く取られたというときに、2割から3割になったことをわかっていないとか、 あるいは早く退院させられたときに急性期に入ったのがわかっていないというような、 医療苦情と相談を分析すると、過半数が医療制度をわかっていないためなのです。大平 委員が指摘されたのもその面があると思うのです。埼玉県のこれは非常によくできてい ると思うのです。献血というシステムとか制度というのを、どこかで正確にわかりやす く伝える機会は必要ではないかと思っています。 ○清水座長 堀田委員、いまの議論を踏まえて現場感覚的に何かご意見はございますか。 ○堀田委員 ここに、国公立高校と私立ということで学校数が分けてあります。私立高 校は学校長、理事長の意向で実施すると決まれば実施できると思うのです。公立高校に おいては、職員会でみんなの同意を得ないと、学校行事として実施するのが難しいとこ ろがあります。教職員の共通理解を図り、保護者の理解を図りという手順を初めてやる 所は、そういう取組みがあって実施していくという経過があると思います。その辺で、 公立高校で実施していく難しさを感じております。でも、丁寧に説明していったり、生 徒のほうへは生徒会活動等への働きかけといったところで少しずつ進んでいけるのかと 思います。 ○清水座長 指導要綱を逸脱することはなかなか難しいけれども、工夫次第によっては いろいろなことに対応が可能であるということになるのでしょうか。 ○堀田委員 そうですね、それと授業とは、学習指導要領の中のカリキュラムとしての 授業で実践していくというのと、それ以外の学校行事、総合的な学習の時間とか生徒会 活動では、各学校の工夫により可能であると思います。 ○清水座長 東京都と埼玉県は隣同士なのですけれども、東京都の実情を踏まえて何か ご意見はございますか。 ○中島委員 東京では、学校現場での献血の対応には苦労してきました。最近は、医療 機関から400mLのオーダーが多いものですから、血液センターも熱心に学校に対して働 きかけをすることがあまりないです。以前は、なんとかして高校生献血をしたいと思っ ておりましたが、東京都内では学校側が生徒の献血に対して抵抗感を持っている様子が あります。公立高校において、積極的な受入れ体制を組んでいただくことはできないで おります。  都内の私立の学校では、いま堀田委員からお話がありましたように、学校長や理事長 の考え方次第で対応できます。都内の学校で献血をしていただいておりますのは私立高 校が主です。もし採血基準が変更されるのであれば、私たちとしては医療現場の求めに 応じられるような採血ができる体制を高校において組んでいければ、高校3年生対象の ような献血を学校側が受け入れてくださるのであれば進めたいというのが血液センター の希望です。行政といいますか、教育委員会あるいは先生方の理解がもう少し深まれば と希望しております。 ○清水座長 埼玉県の場合は、県知事と教育委員会の了解の下というような形かと思う のですが、公立高校の献血受入れ校が増えてきた。人数の問題は生徒数の問題等もあっ て、必ずしもそれだけでは評価しにくい部分もありますけれども、それが1つのスタイ ルかと思います。 ○住友委員 学校現場は大変忙しいということもあります。ちょっと話は離れるのです けれども、はしかのワクチンについても、中学生と高校生は5年間限定ということで、 いま人生で2回目の接種を進めているのですが、接種率は上がりません。接種率が上が っている市町村では、学校で集団接種をしています。それ以外の個別接種の所は全く上 がらない状況です。子どもたちに必要な予防接種をすることについても、学校はなかな か忙しくて、予防接種と集団接種、昔やっていたインフルエンザの予防接種のようなも のを再開するのは非常に難しいという現状がありますので、学校に採血バスが来て献血 をするというのをいますぐやろうと思うと、なかなか抵抗感も強いかと思います。ただ、 将来の献血者を確保していくこと、いますぐには効果は上がらなくても、中学生、高校 生の子どもたちに献血は大事なことなのだよ、と伝えていく運動は非常に大事だと思い ますので、学習指導要領の中でやるのか、自由な学習の中で勉強していただくのかはと もかくとして、地道な努力を続けていかないと増えていかないのではないかと感じます。 ○花井委員 教育現場は大変なところで、埼玉県は頑張っているなという感想が1つな のですが、愛を蒸し返すようですが、ここにいる先生方は比較的献血に係わってこられ たので、献血で進めるのが当たり前と思っている。献血は善であると、献血システムを 選択して売血を捨てたと。選択した契機があって、それを守っているわけです。それを 守るがゆえに、献血だから血が足りない。血が足りないから、昔は売血で買ったわけで、 ただ足りないという機能的なものを担保するための献血でなくてもいいという議論が必 ず内在する。献血という概念は循環構造になっているのです。  学習指導案で思ったのは、私は高校や短期大学へHIVの話をしに行くときに、「愛と命 は大事だ」と言うのは簡単なのですが、「命」とは何かということについてはなかなか教 えることがないのです。比較的「命」を記述することにシステムとして作り上げるのは 医学の世界であって、実は記述不可能な部分は献血が支えているということがあって、 感想として思ったのは、あまりにも知識的であると思うのです。知識だけでは献血は支 えられないのです。知識で支えようとすると、必ず売血に戻るのです。現に、血漿分画 製剤の原料に関しては、いわゆる機能的な考え方によって、これは売血でもいいではな いかということが世界的に広がりつつあるわけです。これは、合理性や必要性を演算し ていくと、明らかに売血に戻ってしまうのです。いま献血をやっているのだから戻りっ こないと思うかもしれませんが、私たちはそれを体験して献血を選択したという自負が あるからそれは自明なのですが、若い人たちはすでに献血のある世界に生きているわけ だから、機能的な思考を推し進めていくと、何で献血の必要があるのかという所に行き 着く可能性があると思うのです。  そこで必要なのは、献血を選択したときの契機です。それは非常に抽象的で、記述不 可能なものであると。端的に言えば「愛」なのですが、「愛」を強調するとともに、もう 一歩進んで「生命」そのものを強調すべきだと思います。生命とは何かというのは、記 述しようと頑張るのが医学なのですが、実は記述できない。その実態観と現実観を喪失 しているという実感を持っているのです。  抽象的な話をしてもあれなので、具体的に言えば、献血によって輸血している患者の 身体がない。身体そのもののリアリティが、どんどんいろいろな場で消えてきているし、 若い人たちは私たちの考えるリアリティと全く違う電脳空間のリアリティを持っていて、 こんなリアリティってあるのかなというリアリティが生まれつつある中で献血を進める ためには、患者と針を刺す痛みをもっても、それを誰かに渡すという行為は記述不可能 である。だから、それを知識として書くと、どうしても何か書き足りない部分があると いうことで、具体的に抽象的かつ、もちろん「愛」と「命」と書くのも1つだと思いま す。「愛と命」なのですが、「命」って何と、むしろ「命」とは何かを教えてほしいとい うことがあって、患者、受け取る側の人たちはここを強調してリアリティ。?  私は1つ思ったのは、献血のない世界というシミュレーションムービーをなぜここで 頑張っているかということです。皆さんわかっているのは、このままいくと献血で血液 が足りなくなるかもしれないと思っているわけです。しかも、献血で守ろうと思ってい る。だけど、このままいったらどうなるのか、極端なことを言えば近未来ムービーを作 ってもいいと思うのです。教育からは離れますが、献血システムが破綻しかけた西暦何 年に、患者とかそこでいろいろなことが起こって、人々のあり様を作ってみて、こうな らないようにとか、そういう人と人との現実観の中で何か伝えると。逆に言えば、献血 はそういうものによって成り立っている、つまり抽象的に言えば共同体への経緯です。 あらゆる社会が持っている、自分を育む共同体の経緯が支えている。経緯は何で支えら れているかというと、新体制であって、それがないのが現代社会です。先ほど大平委員 から指摘があったように、いまの特質と言えばそれは非常に顕著な感じがします。  これは、チラッと見るとあまりに知識なのです。知識で推し進めると、必ず売血に行 くと危惧しています。売血に行かないためには、知識以外のものを伝えなければいけな いと思います。具体的な話は1つ、もう少し患者の身体を何か入れてということです。 ○堀田委員 この指導案の検討は全くしておりません。たぶん、体育科の教師何人かで 作っていて、今日は県の教育委員会として各学校に指導案の例ということで情報提供し、 生徒への指導を深めてほしいという取組みをしておりますということで持ってきました。 私もこれを見て本当に知識理解と思うのですが、実際に現場では大学受験のための知識 理解ということは仕方のないことだと思いますが、生きるための教育で保健や家庭科で は論議をさせる、ロールプレイングやケーススタディといった授業法の工夫で、生徒た ちにいまどうなのかということを論議させる指導法等を取り入れておりますので、これ は例と取っていただければと思います。 ○花井委員 例を揶揄するつもりではなくて、もう1つ言いたいのは、この委員会その ものもそういう気持ちを持って、ホームページで上がってくるツールに入っていってほ しいと思うのです。AIDS教育の例を挙げると、私はAIDS啓発教育に行くのですが、い まの子らはみんな高校や中学でAIDS教育を受けてきているのです。感想でいちばん多い のは、いままでずっとそういう教育を受けてきたけれど、実は何のことかよくわからな かったと、今日私の話を聞いてわかったと言うのです。いままでずっと授業を受けてき て何のことかわからなかったけれど、今日わかったと。それは何かというと、別に私の 授業がすばらしいのではなく、HIVに感染して、患者として生きている人間がこう生き てきたという現実観と自分たちの現実観が、そこで一体化したからだと思うのです。そ こで初めて入ってくる。そういう経験もありますし、だから必ずしも教育でただ広げて しまっても難しい部分がありますので、是非ここの委員会も含めてそういうことを伝え ていく。そのようなことを具体的な話として盛り込んでいけると思うので、よろしくお 願いします。 ○清水座長 埼玉県から出てきた案は、公立高校の献血受入れの数がこれだけ増えたこ とは、非常にすばらしい成果だと評価できると思います。したがって、それにプラスし て今日の議論を踏まえた提案、献血推進の教育委員会なりの案がさらに改善されていけ ば、あるいはもっと効果が上がるように活用できるのではないかという議論ではないか と思います。その辺りは、今日この委員会の提案として盛り込んでいきたいと思います。 ○大平委員 単純なのですが、先ほど住友委員から、東京都は教育現場に入っていくと ころではなかなか難しいというお話がありました。今回のアンケート調査なども踏まえ て、少し献血への関心度が高校生や若い人に高まっているときに、教育現場や地方自治 体としてどのように受入体制を取っていくかは、考えていただかないといけないのでは ないかということで、具体的な提案ですが、例えば教職員の組合などに働きかけていく のに、患者も出ていってもいいだろうと思いますし、そのような必要性を書面のやり取 りではなく、花井委員がおっしゃったような患者の姿など本当に必要としている人たち の問題を、なかなか受け入れてもらえないようなところについて、そういう使い方もあ るのではないかと思います。そこをずっと諦めていると、関心と実際の受入れのギャッ プがそのままになってしまうので、そこを何とか考えていただけたらありがたいと思い ます。これは東京都だけではなくて、多くの自治体もそうだろうと思いますので、是非 お願いしたいと思いました。 ○住友委員 いろいろご協力をいただけるということで、大変ありがたいと思います。 私も教育の現場を直接担当していないのですが、是非そちらの部署にもお伝えしていき たいと思います。 ○山本委員 いつも熱くなってしまいますが、私はいちばん最初にこの検討会で言いま したが、「We are 親戚」という言葉をずっと使っています。私はここのメンバーは全員 親戚だと思っていますし、先輩だと思っているので、だから遠慮のない話をしているの ですが、もう1回押さえておきたいのは、ここは国の代表機関で、推進のために集まっ ているのです。私たちの後ろに、それこそ明日死ぬかもわからない子どもを持った親が、 悲痛な叫びで「血をください」と。私はリスナー代表として、今後10年後、20年後に、 血が足りなかった、間に合わなかったと、そして命を落とす人たちのことを考えて座っ ているのです。  ここでいちばん燃えてほしいのは、堀田委員も住友委員もおっしゃるように、私は現 場の先生を応援しなければいけないと、全国に行脚して謳っている人間なのです。先生 も親戚なのだと、だからモンスターペアレントとか、そういう言葉も使うなと。とにか くみんな親戚で、みんなで子どもを守るのだと、みんなでお互いの家族を支え合うのだ と訴えている1人で言っているので、遠慮なく言わせてもらっているのです。先生が大 変なのは知っていますし、教育現場がいかにつらいかも知っています。と言って、ここ の先生方がそれが全部わかると、だから大変よね、大変よねと、でも、最初から大変な のです。その大変な中で、それこそいちばん最初から言っている文科省も全部係わって こなければいけないというのも、当然このタイトルは「献血推進のあり方に関する検討 会」で、私にとっては先ほど言った「愛と命の検討会」なのです。  そういう意味で、難しいのはわかりきったことです。でも、私はこれをビッグチャン スにしたいと最初に言ったのです。それは何かというと、この献血の切り口で、教育現 場にも訴えられることをいっぱい訴えて、手伝えることを手伝って、やれることをみん な巻き込んでやって、そこから愛とは何か、なぜ血は必要なのか、なぜ献血するのか、 売血ではないのだという切り口からでも、最終的に愛と命の教育ができるというところ なのです。ですから、もちろんこれはどうしたら血がいっぱいもらえるかという話かも しれないけれど、常にこういう話をバラバラにするからうまくいかないという問題意識 があるのです。ここで話し合われて、ここで上に上げて、こうやりましょうと言うこと は、ほかの公立学校の校長先生は、ただでさえ親に文句を言われたくないと逃げている 人がたくさんいる中で、私立の校長先生は「命のためにやるぞ」とやっているというこ とで、分かれていること自体がおかしいわけで、みんなが同じ意識になるように理想論 を持ってそこに向かうために、どれだけ急いで、どれだけ力強く推進していけるかを迫 力を持ってやらなければいけないと、私は個人的に思っているので、つい熱くなるので す。なので、難しいというのはわかるのですが、それをどうするかということも、併せ て上に上げたいと思っています。 ○清水座長 わかりました。ほかに何かございませんか。  特になければ、資料3の「論点案」に戻りたいと思います。すでに議論1の「社会や 学校の環境変化に対応した献血推進の方策」、タイトル付けは前回も若干議論しましたが、 (1)の「高校生献血のあり方」と(2)の「学校教育における啓発」は、いまの議論でかなり 煮詰まってきたかと思います。一応ここに個別的な内容を記載してありますが、かなり の部分はここの議論に費やされたと思いますが、ここに掲げられている項目について、 ここはもっとこういう内容を言うべきではないかとか、記述するべきではないか、こう いう問題もあるのではないかということを詰めていきたいと思います。見ていただいて、 ご意見がありましたらお伺いしたいと思います。  (1)の高校生献血のあり方については、すでにいろいろな議論が出ましたが、高校生の 集団献血の果たしてきた役割も、かつては非常に大きな役割があったと。いまの20代後 半、あるいは30歳代は、人数ももちろん多いですが、献血者数も多いと。献血率も高い という現実がデータとして示されておりますので、それはそれなりに評価できる部分だ と思いますが、今後の問題としてはかなり問題があるのではないかと。ここはワーキン ググループに任されてはいますが、採血基準のあり方とも深く係わってくるということ において、非常に問題があろうかと思います。高校生献血のいままでの評価、これから の評価のあり方等について、特にご意見があればお伺いしたいと思います。 ○大平委員 高校生献血のあり方の所で、献血体験に代わる有効な啓発手段について、 実際の献血体験だけではなくて、採血量の問題としては献血体験なのだろうと思います が、その後の18、19につながるための高校での教育が重要ではないかと思います。体験 だけではなく、先ほど堀田委員からありましたように、教育現場での働きかけをもう少 し多様な形でやれるように、考えていただけることを書き込むか、それに代わる手段と して今後検討していくこととか、何か具体的なことを書いていただければありがたいと 思います。 ○清水座長 要するに、体験プラス教育ということでしょうか。 ○掛川委員 大平委員に重なる話になるかもしれませんが、我々実際に採血現場の最前 線に立っている者としては、もちろん山本委員がおっしゃることも十分理解した上での 話とご理解いただければと思うのですが、現実的に都道府県によっては埼玉県のように 積極的に推進していただける所、あるいは公立高校の献血は絶対ノーという所と、格差 が出ているのです。そういう状況の中にあって、どうやって小学生から高校生、いわゆ る学生に献血することを伝えていくかという場を持つための1つの方法として、今回「い のちと献血の俳句コンテスト」を実施したのですが、それを広めるときに、このコンテ ストについて文部科学省は理解しているのかとか、あるいは各県の教育庁は了解してい るのかとか、必ず学校側から質問が来るのです。現実的には、そういう了解を得てやっ ていかないと入っていかれない。今回は厚生労働大臣と文部科学大臣に後援をいただい て、あるいは教育庁の承認をいただいて全国に入れたわけです。そのようなことがあっ て、30万句、35万句という現状があるわけですから、1つのムーブメントとして、行政 なり地方自治体なりあるいはいろいろな団体が総合的に協力し合って進める体制を、是 非この中に盛り込んでいただければと思います。 ○清水座長 確かに、教育の現場は文科省が中心になって全国統一的に行われていまし て、私も学校のことについていろいろやろうとしますと、最終的には文科省、あるいは 少なくとも教育委員会はどうだということが、非常に大きな障壁とまで言うと語弊があ りますが、そこを突破しなければならない。それが現場の学校としては非常に大きな問 題だということを、私も実感したことがありますが、そのことについては何か具体的な 対応策はあるのでしょうか。これについては、衛藤委員にご意見を伺うことになるので しょうか。 ○衛藤委員 実際、私も学習指導要領とか教育課程に数年係わって、いろいろなことを 勉強してきたのですが、教育の政策は10年ぐらいのスパンで考えないと、全国隅々まで 同一の水準で公教育を推進していくためには、相当慎重な議論をして進めていくという ことで、そういう意味では逆に小回りが利かない部分があるかと思います。ちょうどこ の検討会が始まる夏ぐらいにご相談を受けたときは、タイミングとしては、小学校、中 学校に関しては次の学習指導要領が3月に発表されていて、高等学校に関してだけはこ れからだという、しかし中身としてはかなり議論が進んでいる状況でした。ただ、これ は大変重要な課題であるし、いまからだと厚生労働省と文部科学省の担当者の間でも連 絡調整のレベルでないと間に合わないことだと判断したので、それで文科省の方にコン タクトを取ったらどうですかとお勧めをしたのです。そちらのほうは、そういった打合 せが進んでいるようですが、そのようなほぼ10年ぐらいのサイクルで決められている部 分は、なかなか崩しがたいところがあるというのが現実だと思います。  しかし、仮に枠組みができたとしても、がんじがらめになっているわけでは必ずしも なくて、かなり工夫する余地があることも事実です。教育の仕組みをある程度受け入れ て、その中でどこにアプローチしていくかということも確かに必要ですし、そのために は中身の様子をよく知っている人の協力が必要だと思います。私としては、いまの質問 に関してはそのようにお答えしたいと思います。 ○清水座長 いまのようなお話を踏まえて、これは事務局のほうでも大いに文科省と折 衝していただいて、掛川委員が指摘されたような問題は確かにありますので、そういう ところをどのように具体的に了解を得ながら、教育現場がある程度受け入れてやってい かれる環境を作るか。これは学校だけに任せておくわけにはいかないと思いますし、教 育委員会だけというわけにもいかないところもありますので、その点については事務局 に是非努力をお願いして、具体的な成果に結びつけられるような方策を考え出していた だくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。この件について、事務局から何か ご意見はございますか。 ○血液対策課需給専門官 いまご案内のあった文科省との折衝ですが、具体的には学習 指導要領の解説本、これは高校生のものですが、そこに載せていただけないかどうか、 内々に相談を進めているところです。ここに載れば、いまさまざまな議論がありました が、いろいろな場で教育の中で活用される可能性がグッと広がるのではないかと考えて おりますので、ここについては努力を続けたいと思います。 ○清水座長 では、そういうことで、高校生献血のあり方についてはほかには特にござ いませんか。 ○花井委員 論点はこれでいいと思うのですが、高校生献血のあり方で、献血環境のあ り方の中に献血バスの効率化とあります。高校生献血の中で、献血バスの部分とルーム の部分との比率は、どの程度になっているかわかりますか。 ○清水座長 地域によって違うと思うのですが。 ○花井委員 地域によって違うようですね。教育自体を了解する話とバスが乗り込んで いい話とは、おそらく相当論理が違って、それに対する受入教育機関側の理屈も相当違 ってくるものと思うのです。献血はいいことだけれど、何でバスが来なければいけない のかという議論もありますが、その辺りは実態としてはどうなのですか。 ○掛川委員 今日はデータを持っておりませんので、後ほど報告させていただきます。 ○清水座長 では、いまの問題は調べさせてもらうことにして。 ○掛川委員 はい、わかりました。 ○大平委員 少し飛躍するかもしれませんが、献血というのは、日本は国是で売血をや めて、すべて献血でいくことを決めたわけなので、もしそのような障壁がいっぱいある としたら、高校生献血についても国としてきちんと各関係機関が協力して、それを推進 していくものが何か出てしかるべきだろうと思うのです。もし障壁がたくさんあるとし たら、それがない限りは、常に風穴を見つけながら進んでいくことになるわけなので、 それは自治体や各市町村単位のいろいろな利害が絡んでしまって、全体としての推進に はつながっていかないのではないかなと思いますので、ここの検討会として、報告の中 でもいいので、是非何かきちんとした方向性を打ち出せるようなことを諮問していただ きたいという感じを、今日改めて持ちました。 ○清水座長 その問題は、2002年にいわゆる血液法で、とにかく献血で血液を賄うこと が明確に謳われて、売血については罰則付きの条文もあるわけですので、基本的には全 国各省庁も含めて協力すべきであることは大前提になっているわけです。ただ、その具 体的な肉付けがなかなかうまくいかない。そこで、文科省、教育委員会というところが 1つの問題点として上がってきたということではないかと思いますので、そこを具体的 にどう突き抜けていくかが課題かと思います。 ○飯沼委員 論点の所で「社会や学校の環境」云々と書いてありますが、そのあとに序 文というか、前文が入るのですか。社会と学校が頭で、いきなり高校というのは妙なよ うな気がするのです。社会全体の問題であって、前文か序文を書いて高校生が1番に来 るという必然性があるならかまいませんが、それが1点です。  もう1つは、私は皆さんの意見に非常に賛成なところがあります。それは、いろいろ な所を当たっていると、医療や性教育や献血に関して、文科省は非常に動きが鈍い。全 く動かないと言ってもいいぐらいで、これは本庁同士の話合いだけでは何ともならない ところがあるような気がして、私は東京に来て3年になりますが、その壁に必ずぶつか っています。その辺りを、先生方がご自分の所にお帰りになったら、1つでもいいから 教育委員会なら都道府県の教育委員会と話ができる、そこからまた文科省にも話がいく ように、これは非常に地道にやらないと絵に描いた餅になってしまって、どうしようも ないという印象があるので重い口を開きました。そこは文科省、本庁同士にやっていた だくのはもちろんですが、皆さんの努力が非常に大事だと思っております。 ○清水座長 どうもありがとうございました。献血バスの件は、データでわかりますか。 ○血液対策課需給専門官 前回の検討会の中で、この6都道府県についてはその比率を お示ししておりますので、いま簡単に申し上げます。北海道では、献血バス、いわゆる 移動採血車と固定施設、献血ルームとの比率が大体6対4の関係です。 ○清水座長 6が固定施設ですか。 ○血液対策課需給専門官 6が献血バス、4が献血ルームになろうかと思います。山形県 は7対3、7が献血バス、3が献血ルームです。  東京都は逆に3対7、3が移動採血車、7が献血ルームです。大阪府は大体半々、5対 5です。高知県は6対4の関係で、献血バスが多いことになります。宮崎県も6対4の 関係で、献血バスが多いと、大雑把にはこのような状況です。 ○清水座長 大都市は固定施設が多いけれど、地方の県では移動採血車のほうが多いと いうことですね。 ○血液対策課需給専門官 そういう傾向にあります。 ○花井委員 全体は、前にもそれは確かに出ていたのですが、特に高校でも全体として は同じ傾向にあるのですか。 ○血液対策課需給専門官 地域の傾向としては、高校での献血でも同じような構造にな るかと思います。 ○花井委員 もしかしたら、高校献血はむしろ献血車でいくのだということがあるのか どうかだけ調べてください。 ○清水座長 よろしいでしょうか。それでは、(2)の学校教育の啓発については先ほどだ いぶ議論しましたが、さらに追加する議論があればお願いします。よろしいですか。  次の(3)献血環境のあり方ですが、特にここは年齢層別ということと地域における献血 のあり方、献血バスの効率化がテーマとして挙がっております。年齢層別に対応を考え る必要があるのではないかということですが、この件については何かご意見はございま すか。16歳、17歳というのは高校生が主体になりますので、(1)のほうに入るのだろうと 思いますが、18歳は大学生、高校3年生はもちろん入るのですが、高校卒業以降の問題 かと思います。今日のデータで示されたように、20歳代前半から半ばぐらいまでについ ては、結構献血者が多いのです。それを同様にリピーターに変えていく方策が、非常に 重要な意味を持ってくるのではないかと思います。調査機構から提供された資料があっ て、それを読みますと、初回献血年に複数回以上の献血の回数が多ければ多いほど、リ ピーターになる可能性が高いというアメリカのデータが記載されていて、これは採血基 準ワーキンググループのテーマにも係わってきますが、一応日本は400は男性年3回、 女性年2回という縛りがあるので、そういう意味では苦しいところもあるかなという感 じがします。その辺りで、何かご意見はございませんか。  また、地域によってかなりの違いがありますが、30代で少し落ちるところもあるよう です。ここにも書いてあるように、30代では献血者の実数は多いと。これは人口が多い こともありますが、都市部においては少ない要因、年間採血件数の増加につながるよう な方策を検討する必要があるのではないかということです。 ○大平委員 東京都で、40歳過ぎるとカーブとしてずっと落ちてきているわけですが、 そういう年代の方たちが、継続的にまだまだ献血をできる層としては重要なのではない かと思うのです。どういう特徴があるかは把握できませんが、このような方たちが献血 に行ける職場環境などの問題が何かあるようでしたら、献血に行くことについて会社等 で積極的な後押しをしてくれるような形に持っていく。勤めている方たちがほとんどだ ろうと思いますので、この方たちが献血意識をこのまま持ち続けて、献血ルームに行っ ていただけるような環境整備が重要なのではないかと思いました。 ○清水座長 やはり職場環境はかなり影響がありますか。 ○中島委員 ご指摘のとおり、あると思います。これをご覧になってわかりますように、 東京都の献血者が40代で減少していくのは、東京都の人口分布がそのようになっている 面が背景にあります。北海道、山形を見ると、40代〜50代はかえって人口が多いのです。 また、30歳から50歳ぐらいまでは職域献血、企業の職場での集団献血がかなり大きな ウェイトを占めています。ですから、その辺りは企業の職員の年齢分布とパラレルに動 くと思っていただいて結構だと思います。それが退職に近い年齢になってくると急速に 数が減っていくというのが、50代半ばの低下につながっていると思います。 ○清水座長 60歳以上は、かなり制約もあるのですが、もう少し増えてもいいかなとい う気持ちもあるのですが、これについては何かご意見はございますか。これから高齢者 が増えていくわけですから、もう少し増えてほしいと思うのですが。 ○掛川委員 もう少し増えてほしいというのは切なる願いなのですが、これは採血基準 の所で問われる話だと思いますので、これ以上強く言う必要はありませんが、実際現状 は血小板の成分献血は54歳までで、55歳からはできなくなります。そこで成分献血を 離れるというのも1つ要因としてはあるのかなと思います。ですから、この年齢を引き 上げる方策を、もちろん健康上の問題や安全性を十分担保するという前提の下にご検討 いただければと思います。 ○清水座長 ここも採決基準の問題が係わってくる可能性が1つとしてあるだろうとい うことですね。 ○河原委員 54歳までしか成分献血できませんが、昨年度の研究で、55歳以下の方にも し条件が整えば成分献血にご協力いただけるかという質問をすると、大多数の人が引き 続きやりたいということですので、意欲はかなり高いと思います。 ○清水座長 この54歳というのは血小板だけで、血漿については69歳までは可能だと いうことになっていますので、補足しておきます。  ほかになければ、次の「地域における献血のあり方」に議論を移します。この項目に ついては何かご意見等ございますか。地域の献血が以前より活発でなくなっている要因、 日赤ボランティア育成と地域組織との連携。ボランティア活動をしている人たちが高齢 化して、若い人が集まりにくいという意見もありますが、これは何も献血ボランティア ばかりではなく、例えばYWCAというのがありますが、あれがOWCAになってしまったと いう意見もあったりして、なかなか若い人が参加してくれなくなってしまって、昔若か った人たちがそのままずっと運用を続けていかざるを得ない状況に立ち至っているとい う話も耳にしております。  企業体の献血については意見が出ました。官公庁での献血と地域のアピールについて は、官公庁ではかなりやっている所が多いのではないかと思うのですが、特に厚労省な どは献血を年に2回ぐらいやっていますが、PRが足りないと。厚労省も先頭になってや っているのだからというPR効果は得られないかということも含めての話かと思います が、何かご意見はございませんか。 ○川内委員 先ほど官公庁における献血という話が出ましたが、高知県のような田舎で は、実は職員が最も多い企業体が高知県庁で、本県も本庁舎中心に毎年6〜7回ほど献血 を推進しております。毎回数十人程度ですが、やはり官公庁が積極的に献血をしていか ないと、他の企業の協力も得にくいのではないかと思います。  若干話はずれますが、高知県の地方では、地域において献血の推進にご協力いただく 献血推進員の方々が民生委員や児童委員を兼務されていることが多いのですが、こうい った中山間地域が多い所は、推進に協力していただける方々の人口が非常に少なくなっ てきている。結果的に、若い方々の協力が得にくい状況があります。そのことが、献血 バスの効率的な運用、場合によっては年間の配車計画の中で全市町村を回ることができ ないという現実にも直面します。そのような中で、企業における集団献血に力を入れて いかざるを得ない現状があります。  その中で、企業における献血を推進する1つの補策として、官公庁が率先してやって いくことと同時に、企業が献血という社会貢献活動に参画をしていることに対して、ど う評価をしていくかを考えなければいけないと思います。献血の推進に協力をしていた だける所については、表彰したりロゴマークの使用を認めたりしておりますが、さらに 企業における社会貢献活動を評価するにあたって、最近自治体においても総合評価方式 の競争入札を導入しておりますが、社会貢献活動に関する評価も評価項目に入っており ます。例えば、献血への協力をどれだけしてきたかを評価指標の1つに入れるとか、そ ういった意見が本県の献血推進協議会でも出ていますので、そういった検討をしていき たいと思っています。他の自治体でも、そのような評価が広がっていけばいいのではな いかと思います。 ○清水座長 献血推進協議会はほとんどの都道府県にあるかと思いますので、そういう 所を大いに活用することもあろうかと思います。 ○河原委員 あと、1つは昔の村型社会のコミュニティだと思うのです。献血推進協議 会とか、都会では、そのような所はもちろん廃れてきているわけで、新しいコミュニテ ィ、例えば母親同士の育児のコミュニティなどいろいろあると思うのです。そういう新 しいコミュニティを開拓していく必要があると思います。 ○田辺委員 献血バスというと大体イメージができてしまって、これが献血バスだとい う感じがするのですが、海外ではものすごく格好いい献血バス、ファッショナブルでイ ベント性のある献血バスがあると聞いています。あれ以上ならないものかなと思ったの ですが、新幹線も第1号の新幹線は終わって、新幹線もどんどんファッショナブルで格 好よくなっていることもありますから、そのようなことも1つあるのではなかろうかと 思います。 ○大平委員 さまざまな問題がそれぞれの地域にあって、なかなかこれとはいかないの だろうと思います。市町村合併でよく聞くのは、だんだん自治体自体の協力が細かく得 られなくなってきていると、現場の方たちからお聞きする機会が多くなっている感じが するのです。そういう意味では、献血バスの問題もあると思うのですが、自治体からの 費用が十分かけられないところがいま問題点にあるのかもしれません。どのような点が 地域で献血推進のために必要か、逆にいままで献血推進の中で日赤のほうから問題点と プランを、一つひとつこのようにしたら改善していくとか示し、みんなに協力的な献血 推進になっていくというものを提示していただいたほうがいいのではないかと思います。 全部日赤が引き受けるのではなくて、全体としてどういう社会資源を活用しながらやっ ていくということを具体的に出していただいて、そうすれば自治体との関連やボランテ ィア組織が高齢化している中では、河原委員がおっしゃったようなコミュニティを作っ ていくにはどうしたらいいかなど、いちばん現場を知っている日赤から出していただく のも1つの方向かなと思います。 ○清水座長 日赤の組織はボランティア活動を受け入れやすい、非常に看板のいい組織 だと思うのですが、具体的にどうですか。 ○掛川委員 大平委員、ありがとうございます。そのようなご発言をいただけると、我々 も非常に動きやすくなります。基本的に、ボランティアということでは赤十字は受け入 れやすい所ではあるのですが、ボランティアになっていただく方への働きかけやその方 たちの活動しやすい環境は、日赤だけでは十分に動き切れないことは事実だと思います。 ですから、行政や自治体、あるいはいろいろな協力団体等のご協力を得てやっていかな ければ、十分にボランティア活動は動き切れない状況にあると思います。 ○清水座長 ボランティアは気ままな普通のものとは違うと思いますので、ボランティ ア活動にも責任が伴うということで、赤十字のボランティアとしては、赤十字としての 責任も全うしてもらえるようなボランティア教育も必要ではないかと思います。気まま に気が向いたときだけ行って手伝うのでは、永続的な事業の中のボランティア活動は難 しいだろうと思いますが、そのようなことも踏まえる必要があるのではないかと思いま す。 ○掛川委員 確かに、それは1つあると思います。また、自主的に参加し、組織立てを 明確に持たないボランティアという形や、あるいは適正な機関から適正な指導を受けた 方たちによって組織的に運営するやり方も含めて、日赤だけでなく総合的な体制の中で 動かして大きな形にしていかないと、献血は動いていかないと思いますので、そこの連 携もまだ十分にできていないのではないかと思います。これは国並びに行政、日赤も含 めて、連合体で動いていく必要があります。もともと献血は基本的に国、地方公共団体、 日赤が三位一体で動く必要がありますので、それらを強化していきたいと思います。 ○清水座長 それは確かに非常に重要なことだと思いますので、いつまでも検討ではな くて、できるだけ早い時期に具体的な提案をしていただくようにしたいと思います。 ○河原委員 献血推進のためには、出席した委員がそれらの所で活動するのが最も基本 だと思うのですが、その中でも日赤あるいは都道府県とか国とか、その関係者の役割が 非常に大きいと思うのです。特に、日本赤十字社の役割がやはり献血という実施主体で すからいちばん大きいと思います。日赤の方、委員でおられるので気を悪くしないで伺 っていただきたいのですが、私は外部からいろいろ日赤の仕事をさせていただいていま すが、非常に意思決定がわからない、あと責任の所在がわからない。ここで理念を形成 しても、それをいかに実行していくかというプロセスがわからないわけです。ですから、 そのプロセスをここで得た結論、この検討会の報告を実施に至るまでのプロセス、いま 理念は形成したわけですから、目標を設定して、プロセス、そして進行管理していく、 そういうところまで是非示していただかないと、絵に描いた餅に終わると思います。そ れがいちばん大きな懸念です。 ○清水座長 確かにいま言われたことは、日赤のDNAだと思いますので、むしろほかの ほうでその意思決定等が明確になるような仕組みを作ることのほうが実質的ではないか という感じがします。そうすると、もともとのDNAも変異をしていく可能性があるだろ うというようなのが、私がこの事業に関わって30年来の思いです。いま河原委員から言 われたことには全く同意見で、この30年ほとんど変わっていないというような印象すら 持つ部分があります。それについてはまた今後、日赤には日赤の言い分もあろうかと思 いますが、今回はこの辺にしておきたいと思います。特に何か言いたいことがあればど うぞ。 ○掛川委員 30年来のDNAといわれましても、それはちょっとわかりませんが、やはり 日赤は日赤として置かれている立場というのがございますので、自由に十分に動き切れ るとは限りません。国や都道府県等から法律上などのいろいろ許可を受けながら、ある いはご指導を受けながら実施しておりますので、その辺はやはり各方面のご理解ご協力 並びに協調してやっていくというところが現実的にはございます。  意思決定が遅いという意見があるかもしれませんが、日赤としては事業本部制にする などの努力をしておりますが、対外的な部分では、許可を受けながらご理解とご協力を 得て事業を進めていることも影響しているものと思います。あくまで今後も献血の受入 れや、献血者の保護を中心に、積極的に進めていく所存でございます。 ○清水座長 日赤というのは7,000人ぐらい職員がいるものですから、ある意味では大 きな組織です。ただ唯一言えることは、方針が明確にきちっと決まりますと、そちらの 方へとグッと動き出していく、その動き出すまでがなかなか大変だということは確かに ある組織だということを、我々念頭に置いておく必要があると思います。 ○大平委員 簡単にお話したいのですが、今回の献血のあり方の推進を本当に本格的に 打ち出すとしたら、日赤の問題ばかり言っていますが、でも日赤が血液事業のほうに関 してはかなりイメージチェンジして脱皮して動かないと、いまの社会的な傾向とかそう いうものについていけないのではないかという危惧はあります。ですから、先ほど田辺 委員が言われたような献血バスについても、規定のそういう背広を着た形のような日赤 の決まりの形というよりは、もう少しファージーな感じでもいいですし、いろいろな形 を考えていただいて、そしてもっと社会にとけ込んでいくような感じで献血の推進に働 きかけていただけたらいいのではないかと思っておりまして、是非そういう方向でこれ を契機に変わっていただきたいと思います。 ○清水座長 はい、わかりました。では次の、時間の関係もありますので、先ほどもち ょっと出ましたが、献血バスの効率的な運用、これについては、何か特にご意見ござい ますか。 ○掛川委員 前回の検討会で献血バスの効率的な運用について、欧米では1日何ヶ所も 移動しながら献血する方法に関する日本のデータは完全にはまとまっていないのですが、 日赤で実際に1日数カ所移動献血を行う実績について、例えば北海道ですと1日に1台 のバスで8カ所移動というのが年に6回ほどあります。結果的に回数が増えるというの は、1会場当たりの献血者が少ないということで、次々に回っていくということですか ら、どんどん遠くに行くわけです。欧米の場合は別にして、日本の場合は、結果的には 献血者が集めにくいということですので、非常に時間的なロスは現実的な問題として発 生していると思います。ですから1カ所で採血ができるのであれば、それがいちばん効 率がいい献血であると言えると思います。 ○清水座長 献血バスの問題は効率よく採血するということも1つですが、やはり地域 に献血バスがくるということが、献血ということの実体験的なPR活動にもなるという部 分もかなりあるのではないかと思います。それから北海道でやっているときに、もし1 カ所の採血人数が少なくて効率が悪いと言うのならば、その場所の献血者数をもっと集 めるような方策とか、いろいろな試行錯誤があってもいいかなと思います。その辺はさ らに検討していただいて、どうしてもこれは駄目なのだ、我が国には馴染まないという ことになれば、またそこで考え直せばいいのではないかと思います。1つの提案として は検討に値しているのではないかと思います。  では、次頁の「インフォームドコンセントのあり方」についてです。これについては、 献血者の被害のところでも議論が行われて、前回も若干議論がありました。特に、ご意 見があれば、いかがですか。16歳、17歳からももし採血するというようなことになると、 どのようなインフォームドコンセントをやるかはワーキンググループでも検討していた だこうかとは思っています。 ○花井委員 問診医の医師は絶対必要なのですが、かなりお年を召した方も多いと思う のです。やはりそこで対応する人材については魅力的な人材をうまく活用して、公衆衛 生教育の一環にすべきだとかいう固い話もありますが、複数回献血にもつながります。 そこでの人と人とのコミュニケーションがあって、また次にも来ようということなので す。これは制度として問診医は必要だけれども、その対応については、例えばナースと かいろいろな形でやることも、たぶんいけるのだと思うのです。そこで、ちょっと新し い日赤として、この問診が単なる型通りではなく、充実した問診というものを1回検討 し直していただけたらいいのではないかと思います。そのためには、それも人ですけれ どもそういう人を育てていってほしいと思います。 ○清水座長 この献血の場合にはもちろん医学的な問題はあるのですが、相手が健康者 であるというのが前提で、本当の患者を診る診療とか病院における医師の役割とは若干 違った部分があるということです。だからといって、全く具合の悪い人が来ないわけで もないというその辺の選別がかなり難しい部分があったりします。前回、86年の採血基 準改訂のときに、実際に医師がチェックしなくてはいけないという部分は少し軽減した らどうか、あるいは医師の裁量権を認めて献血の幅を、極端なことを言いますと、1カ 月経たなくては駄目だとしたら、29日のときに来たら駄目だという杓子定規的なことが あるのですが、そこで医師がOKと言ったら29日でもいいのではないかというような議 論はあったのです。やはりそれは医師の裁量権の中できちっとやるべきだということと、 採血基準をきちっとあてはめてやるべきだということで、いまのような状況になってい るのです。それも確かに一理あるのですね。  しかし、いまご指摘ありましたように、医師の役割というのが、どうも本当に具合が 悪くておいでになる診療所と、献血においでになる方、ちょっと対象が違うというとこ ろをどう考えるのかというところは、1つの大きな議論かと思うのです。これも、事務 局のほうでどの程度の手抜きという表現は望ましくありませんが、例えば、看護師でど のくらい代替できるのかというようなこと等もそろそろ検討してもいい頃ではないかと いう思いはございます。この点はいろいろ議論すると、非常に複雑な問題が起こってま いりますので、この辺にしておきたいと思います。 ○掛川委員 技術的な問題は中島委員のほうが詳しいと思うのですが、やはり欧米の論 理が出るとなれば、欧米の献血における医師の役割というのは少し日本とは違うようで す。欧米では、必ずしもその会場にドクターがいなくても、献血ができます。この場合、 当然すぐ連絡が取れるオンコール体制となります。献血は採血基準に達した方を相手に しているということからいけば、医者確保に苦慮している日本でもそういう体制も一考 に入れてよろしいのではないかなと思ますが。もし中島委員のほうであれば。 ○中島委員 献血者に対する問診、いわゆるインタビューですね、これはほとんどの項 目については、必ずしも医師でなくてもきちんとトレーニングを受けた人であれば対応 は可能だと思います。ただ、現在何か慢性のご病気を持っていらっしゃるとか、特殊な 薬を服用されている、そういう例外的な事例についてはやはり医師がいるほうが望まし いと思います。そういう例外を除きますと、大抵の場合は清水先生がおっしゃいました ように、本来健康なはずの方がおいでになっていますので、質問の内容をきちっと聞き 出し、そしてルールに従って判断するということであれば、私はトレーニングを受けた 人であれば、ほかの職種の方でもいいと思っています。  それからもう1つ医師がいるほうが望ましいのは、頻度は少ないのですが、採血に伴 う、一定の採血副作用、不都合な事象が時々発生しますので、そのときはそこに医師が いるほうが献血者の方も、また我々職員も安心して対応できるという、利点がございま す。欧米の場合は、医師が現場にいない場合は必ず近く、あるいは連絡のつく所にそう いう医師を置いておいて、これは医療機関でもいいし、血液センターの医師でもいいの ですが、連絡のつく中での対応を図っているというのが実情のようです。 ○清水座長 確かに、例えばアメリカのプラズマセンターなどでは看護師が全部取り仕 切っていまして、医師は問題があったら10分か15分以内に駆けつけられればいいとい うような、そういう採血基準で運営されている所もあります。アメリカは州によって違 うのですが、そういうことが外国の例としてはございます。そういうことも場合によっ ては参考にしていく必要もあろうかと。これについてはどうですか、医師法との関わり が出てきますので、多少なりとも事務局のほうでも検討していただけますか。  では、次はメディア等を活用した広報戦略のあり方です。これも大分議論は進められ てきているのですが。 ○大平委員 インフォームドコンセントのところで、念押しです。1回目か2回目です か参考人の方が、アメリカの若い人の献血のインフォームドコンセントの中に献血の意 義とかが書き込まれていると言われました。それについては、もしここでインフォーム ドコンセントの書式とかが定められるときには是非それを盛り込んでいただけたらと思 います。本当に医学的にサインするという話だけではなく、そこの献血の意義みたいな ものが確かに書き込まれていて、私としては大変いい文章が書いてあったなと思います ので、そういうものを参考にしていただきたいと思います。 ○清水座長 先ほど議論がありましたように、山本委員や堀田委員のご意見にあったよ うに、いわゆる我々家族というのですか、そういうところを前文に出すような形も1つ の方法だというご指摘かと思うのです。そういうことはメモしていただきます。  では(4)メディアの活用の問題について、いかがですか。 ○田辺委員 前回の件数のイベントというのを見ていたのですが、イベントだと単発で、 その日だけ献血が伸びてもしょうがない、長期でしなければ、日々血液も何日も持たな いわけだからというお話がありました。まさしくそのとおりで、言いたかったのは、や はり共感と感動がないと物事は伝わらないのです。あのイベントで大変伝わったと思い ます。やはり教育現場でもそうだと思うのですが、いかに感動させて、いかに共感を覚 えさせるかという言葉だと思うのです。そういったものと同時に、若い人にメッセージ を伝えていくためには、彼らの興味の対象である音楽とかファッションとか、いま特に インターネット系だと思うのです。そういったものを使うメディアです。  それからテレビにしろ、新聞にしろ、ラジオにしろ、何しろお金がかかるわけです。 その中でもコストパフォーマンスのいいというか安いというのは、ラジオでもあるでし ょう。全国にあって特に災害時に強いものには、そういった媒体があります。そこには、 特にインターネットとの連携ができたりしています。インターネットもいろいろな問題 があって、やはりいろいろな人が参画できるという悪い方向への問題も起きたりするの です。それを公共機関やマスメディアがちゃんと監視した、インターネットサイトとい うのはとてもいいわけです。実際、月間何千万頁、1億頁とかあるわけです。そういっ たものを活用するとかいろいろあります。だから、ここで言う広報戦略のあり方は、な かなか簡単には言えないと思うのです。いろいろなことをいろいろ言えるのですが、こ ういう場でこれだというツールはいくつか言えると思うのですが、これを言い出したら キリがないと思うのです。その辺はどうされるのか、ちょっとお聞きしたいと思って、 まず口火を切りました。 ○清水座長 ほかに何かございませんか。よろしいですか。  それでは、次の(5)の低比重への対応ということです。いわゆる献血には来たけれども 採血には至らなかった、感染症とかはこれはもう止むを得ないと思うのですが、こうい う人に対する対応についていかがですか。どのくらいの人がいるのか、その人たちが将 来の献血者層に復帰してくれるかどうかというようなことまで考える必要があるかとか、 あるいは献血ルームで栄養指導をするとか、あるいはそのほかの献血予備群的な人たち をどう扱かっていくのか。来てくれた人たちは、将来、例えば比重が回復すれば献血者 層に戻ってくれる確率が高くなるのではないかと思うのですが、何か特に追加するよう なことがありますか。よろしいですか。 ○山本委員 現在はどういう対応なのですか。 ○掛川委員 現在は、例えば19年度には約55万人の低比重者がおりまして、各血液セ ンターでは、国庫補助の中にもありますが低比重者を対象に栄養に関する冊子をお配り しております。また、栄養相談なども行っており、、食事の方法とか、栄養指導を行って 献血ができるようにという動きは、あります。 ○山本委員 要は、社会のために役に立ちたいと思って行っても、さっきの献血ルーム にしても、献血バスにしてもたくさんクレームがきているのです。その対応が悪い、傷 ついた、もう二度と行きたくない。これは保健所の対応でも、もちろん僕はAIDSもやっ ているのですが、AIDS検査に行ったらものすごい傷ついて帰ってきたというのがたくさ んくるのです。これは事実です。いろいろ話を聞いてみたら、個人的な問題で、いまは 世の中じゅうにイライラ感があるので、その個人のプライベートなイライラがぶつけら れたようにしかとられない話とか、事例もあります。なので一概に誰のせいと言うつも りはないのですが、ただ、愛を片方で訴えておきながら、君、用ないよ、というような ことはまずないのですが、そこもすごく注意しながらやっていかなあかんなと思ってい ます。いま聞いたら、ちゃんと愛を持って栄養のこととかも言ってくださっているし、 逆に言ったらそこもすごく大切なとこだなと思います。 ○掛川委員 現実的には55万人全員というわけにはやはりどうしてもいきません。ご了 解いただいた方とか、時間がある方とか、数はまだまだ少ないのですが、各献血ルーム 等で可能な限りというわけですね。これは、来年度さらに強化する予定です。 ○清水座長 この費用は厚労省から出ているのですか。 ○血液対策課需給専門官 厚労省としても、この献血ルームにおける栄養指導について これから力を入れたいと思っておりまして、目下平成21年度の予算概算要求で要求させ ていただいているところです。 ○堀田委員 学校現場でもこういう例がありますのでその場で養護教諭が指導し、医師 の指導を受けることもあります。 ○川内委員 本県でも、この低比重者の割合が他県に比べて非常に高うございまして、 折角協力していただいている方々にお断りせざるを得ないという現状があります。先ほ ど掛川委員からもありましたように、本県でも、全例ではないのですが栄養士による栄 養相談をさせていただいているケースもあります。全例というわけにはいきませんので、 例えば栄養指導に関するパンフレットを渡したりとか、そういう取組みも組合わせて、 この低比重者の方々に次回も来ていただけるような工夫をしております。 ○清水座長 それでは最後ですが、(6)の200mL献血の今後のあり方についてです。以前 もだいぶ議論がありまして、200mLの使い道はないかとか、これは小児の場合は使って いるとか、小分けにしてやれば200mLは要らないのではないかというような議論とか、 いろいろあったわけですが、何かこの問題について特に、この点は考えて取りあえず中 間報告に入れておけというようなことでも構いません。 ○大平委員 もう200mL採血というのは考えないという方向で進むのでしょうか。 ○清水座長 まだそれは決まったわけではありません。ワーキンググループでどういう ように考えるか、1つの方針は出していただきたいと思っていますけれども。大きな流 れから見ますと、基本的には400mLが主体で、200mLはだんだんと縮小して、最終的に はなくなる方向ではないかとは思うのですが。  では、取りあえずどうするのかとか、長い10年後の将来はどうするかというところで、 また議論があろうかとは思うのですが。 ○大平委員 当面まだ200mLの採血があるとするとしましたら、200mLから400mLにど んどん移行するというのは、それはそれであるのだろうと思うのです。200mLしかでき ないとか、そういう需要があるとしたら、ではそれについてどのような活用の仕方があ るかというところは、たぶん日赤のほうでもなかなかそのコスト的な問題とかいろいろ な面で難しいという合理的な判断もあろうかと思いますが、そういう需要があるとした ら、少しコストとの関係は置いておき、活用の仕方というのを考える。例えば、若い人 が最初の体験のときに200mLから入っていく場合に、その200mLの血液をどういう形で 活用できるか。私ではちょっとわからないところがありますので、是非400mLありきで はなくて、需要についても、その活用の仕方というのを是非日赤のほうでも考えていた だけたらと思うのです。 ○清水座長 ある程度いつでも十分な血液を供給するということになりますと、200mL にしろ、何パーセントかの血液は廃棄処分にしなければならない部分がありますので、 そういうようなとき、血漿のほうは分画製剤に回せばいいのですが、赤血球というのは 使い道がないのです。それで唯一考えられるのは、人工酸素運搬体というのが研究され ていまして、まだ我が国では治験の段階にまで至っていませんが、欧米では一部治験が 入って、実際に使われている部分があります。軌道に乗りますと、そういうところにし ばらく赤血球は利用してもらうということはあり得るかと思うのです。  もう1つ、将来的にわたって赤血球が本当に足りなくなったときに、400mLだけあれ ば間に合うのか。200mLも採らなくてはいけないかということが起こらないかどうかも、 ちょっと懸念材料ではあるかと思うのです。400mLに一本化すれば、400mLで何とか運営 できるようにすべきだということもあるのですが、もしあえて言えば、そういう2つの 問題があるかとは思っています。これも、またワーキンググループでも議論していただ きたいと思っています。ほかに何かございませんか、全体を通じて言い残したこととか は、よろしいですか。  中間的な報告の骨子案をまとめていただいて、各委員の皆さん方にもう一度目を通し てもらおうかと思ったのですが、事務局のほうでどうですか。 ○血液対策課需給専門官 時間が押している関係もありますので、当初休憩時間を用い てお伺いしようと思ったのですが、いま私どものほうで今日のお話をある程度踏まえた ものを作っておりますので、お配りした上で、若干ご説明したいと思いますが、いかが でしょうか。 ○清水座長 では、まだ10分ほど時間がありますので、いま事務局が用意されているも の、今日の議論が必ずしも十分は入っていないかもしれませんが、一応それを配付して いただき、特にご意見があれば申していただき、さらに、ゆっくりと後でご覧になられ て、ここはどうしてもこうすべきだとかいうようなご意見がありましたら、事務局にお 寄せいただきたいと思います。 ○血液対策課需給専門官 いまお配りしたものですが、本日ご議論いただいたものを、 概ねは網羅されているとは思うのですが、2点ほどございます。  先ほど飯沼委員からご指摘がありました、社会や学校の環境変化に対応した献血推進 方策の1番です。ここで、いきなり高校生献血が出てくることに若干違和感があるとい うことですが、序文なり何なりが必要ではないかということです。1つ目のポポツ、「か つて200mL献血が主であった時代に」の文章、それから2つ目の、しかしながら、学校 週五日制の施行や医療事情の変化などが書いてある部分、ここで若干の説明があるので すが、もう1つ、3年ほど前、平成17年度から献血構造改革ということで、3本の柱と して取り組んでいます。そのうちの1つが、この若年層の献血者数を増やすということ です。実は、これはなかなか成果が上がっていない現状がありまして、この検討会を開 くに至っています。その経過をごく簡単に、例えば高校生献血のあり方の次に、括弧で、 献血構造改革の柱の1つとして取り組んでいるが、成果が上がっていない現状がある旨 を書き加えたらいいのかなと思っています。  もう1点、先ほど何度かご指摘いただいている「愛」ということと、「命、生命」です ね。これをどう捉えるかという点、これをどうやるかについて、いま考えているところ ですが、何かご意見ありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○山本委員 一貫して僕は言っていますが、前文に、どあたまにそれを是非盛り込んで いただきたいと思います。僕はそれがいちばん頭にあって。これは中間報告ですから、 今後も最終報告に至るまでも、ずっとわかりやすい言葉を選んで伝えていきたいと思い ます。その前文に、愛と命という説明、あるいは先ほど飯沼委員がおっしゃったように、 要するに社会背景があってのこういうことという、あるいは文科省の話も出ましたが、 やはり教育、人を育てていくという、こういう啓発も教育だと当然入ってくるので、そ こが壁になっているような状態が続いたり、あるいは日本赤十字のDNAという話があり ましたが、皆さんお立場があって苦しんでらっしゃるし、努力もされているのはわかっ ています。わかっているけれども、それをいろいろな場面で打ち破るためには、やはり そういう人の愛に訴えかけるとか、人の感動する心を揺さぶっていかないと、行動は起 こらない。  これは、皆さん全員が人間だったら、そういう感動で動かした、ものを動かした、あ るいは自分の進路を決めた、そういうことはあると思うのです。そういう前文に力強い 言葉を是非入れてもらって、そして読み進めていくと、どんどん皆さんイメージが膨ら んでいくと思います。なので、献血は愛に根ざした、あるいは命を、お互いの大切な命 を救いあう、人として当然の、さらに何歳から始まる啓発ではないという。もちろん献 血は高校生から云々はあるけれども、僕は少年野球チームをずっとやっていましたが、 少年野球チームの帽子をかぶった子が、献血バスの前で「献血お願いします」と訴える 絵も想像できますし、個人的には。そういう小さなときからちゃんと、それこそ極端な 話、3歳には3歳のわかる言葉でちゃんと要約して伝えることもできる、アンパンマン もある、アンパンマンのエキスというのもある。そういう意味で、小さいときから徐々 にちゃんとこれは愛に根ざしたもので、必要なことだということ。これは何も献血に限 ったことではなくて、すべてのことなのですが、環境問題も。なので、是非そこが抜け ているようでは、僕が参加した意味がないと個人的には強く思っていますので、よろし くお願いします。 ○清水座長 では、いちばん最初に、いま序文的な「はじめ」というような言葉で、い まのご意見を入れるということで、どうですか。 ○血液対策課需給専門官 いまの序文というご指摘ですが、文章の内容につきまして案 を考えまして、座長と相談の上、案を作りまして、各委員のほうにお諮りしたい。それ で血液事業部会への報告の段に、それが載せられるかどうかについて考えたいと思いま すので、そういうことでよろしいでしょうか。 ○清水座長 一応それは案を作って、また見ていただくということです。ほかに何か。 ○大平委員 中間報告なので、その序文、前文とかいうのはどういう形になるのかです が、飯沼委員が言われたように、結局この献血推進のあり方に関する検討会から、献血 推進方策の中で、社会がこの環境変化に対応した献血推進方策だといい、すぐ高校生へ の献血というもののあり方が出てきているので、そこはやはり唐突に感じるのです。で すから、その背景としまして、日本の献血というものがきちっと法律で定まっているこ ととか、そういうことも踏まえてです。そして、それは山本委員が言われるような問題 を、思いが篭ったもので実現していくということが、何か献血構造改革の中でもそのよ うな形で少しは反映されているというように思っています。その辺をやはりきちっと引 用して、ここにつなげたほうが筋がわかるのではないかと思います。 ○清水座長 そうすると、序文の中に、山本委員が言われる愛の問題とか、それからい ま大平委員が言われた血液法の精神ですか。それから若年者の献血者が減っていて、将 来の献血者確保対策に問題が生じるかもしれないという、そのようなこと、3項目ぐら いを序文に入れるということで、大体よろしいですか。では、そういうことで、あとの 議論に続けていく。 ○掛川委員 ちょっと具体的なところに入ってもよろしいですか。中間報告の2頁の23 歳から29歳のところで、全体として献血者が減っていますので減少するのは事実なので すが、特に18歳から22歳で男性とほぼ同数を占めていた女性が、この年代で大きく減 少する要因について、もう一度確認する必要があるのではないかと思います。大きくと いうと、女性だけでなく全体も下がっていますので、それによって託児所の設置という ところにつながっていく、このところの確認をお願いします。 ○清水座長 そこのところは事務局と掛川委員で相談しまして、変えていただくという ことにしたいと思います。 ○掛川委員 それから3頁の上から2つ目の点の部分の内容ですが、これは意見がいろ いろあると思います。「地域での献血において」というところで、当然、自主的に一定の 役割を担うボランティア団体というのは、これは必要だと思います。併せて、その自主 的以外にも、やはり組織化したものを強化するというような文言も入れていただければ よろしいかと思います。 ○清水座長 確かに強化も必要なことだろうと思います。そこの文言も、事務局と掛川 委員で相談して決めていただきたいと思います。ほかに何かございませんか。文科省と の係わり合いの問題の可能性、いいですか。 ○衛藤委員 これは序文のところだけで、いままで出たご意見の中では序文のところで 3つの柱という中では、法律ということだけではなく、先ほど花井委員のご発言にもあ ったかと思いますが、やはり日本の歴史の中で、売血ではなくて献血によって支えると いう、そういう意思決定がなされてきたということ、その部分にも触れられるべきです。 そういうことを、またそういう概念をやはり皆で共有するということが大事だと確認す ることが、そういう視点が必要だろうと思います。その中に、学校教育の中で何を伝え ていくのか、そこで役所としては文科省とか、そんなロジックではないかと思います。 ○清水座長 法の精神に基づいて、文科省も協力するというようなニュアンスを表現し たらどうかと、こういうことですね。では、愛と法と若年者という3つの柱はそれにし て。法の制定された中に、売血から献血と、それから国を挙げてやる、もちろんその中 には文科省も入ってくるというような趣旨で、前文を考えて書いていただけますか。 ○血液対策課需給専門官 そのように検討させていただきたいと思います。ありがとう ございます。 ○清水座長 できればもう1回この会を開いてはとも思うのですが、時間的にも年末と いうこともあって無理かと思いますので、一応皆様方、これをもう1回ゆっくりお読み になられて、ここはこういうようにしたほうがいいのではないかというようなご意見が ありましたら、ご遠慮なく事務局のほうに申し出ていただきまして、できるだけそれを 取り入れた形で、最終的には、事務局と座長である私とで決めさせていただくというこ とで、ご一任いただければと思うのですが、いかがでしょうか。  では、もしそれでご了解いただければ、そういう形で12月25日でしたか、一応中間 報告という形で、事業部会にこういうことをやっています、こういう方向ですというよ うなことを報告させていただきます。今度はワーキンググループで採血基準のことを議 論した上で、またこの会にその結果を報告して議論していただこうかということで、最 終報告につなげていくというように持っていきたいと思っておりますので、今後ともよ ろしくご協力くださいますよう、お願いいたします。  事務局のほうで何か今後のことについて。 ○血液対策企画官 長い時間熱心にご議論いただき、ありがとうございました。中間報 告案については、いま清水座長からお話があったような手順で進めさせていただきたい と思います。  それから採血基準見直しのワーキンググループですが、こちらは本日メンバーについ てご了承いただきましたので、日時等、事務局のほうで調整をさせていただきまして、 決まり次第、各委員宛に開催のご案内をさせていただきたいと思っております。ただ事 務局のほうでも、論文等のエビデンスの収集と整理に若干時間を要することがございま すので、おそらく年明けの1月から2回程度開催をさせていただければと思っておりま す。これはワーキングです。  検討会の方自体は、次回の開催日程、会場については決まり次第、先生方のほうにご 連絡をさせていただくことで、よろしくお願いいたします。次回は、ワーキングからの 報告を受けて、採血基準の見直しについてご審議を行っていただきまして、その上で検 討会としての最終報告をとりまとめるということをお願いしたいと考えております。事 務局からは以上です。 ○清水座長 では、そういうことで今後の方針等をまたご了解いただきまして、是非ご 協力またお願いいたします。どうも今日はご苦労さまでした。 照会先:医薬食品局血液対策課     TEL 03-5253-1111 (内線 2917、2904)