08/12/04 第3回高齢者医療制度に関する検討会議事録 平成20年12月4日 高齢者医療制度に関する検討会   第3回議事録 (1)日時    平成20年12月4日(木)17:00〜18:30 (2)場所    厚生労働省 省議室 (3)出席者   岩村委員、岩本委員、大熊委員、川渕委員、権丈委員、        塩川座長、宮武委員、山崎委員        舛添厚生労働大臣        <事務局>        水田保険局長、榮畑審議官、吉岡保険局高齢者医療課長        佐藤保険局医療課長、村山保険局調査課長、吉野老健局介護保険課長 (4)議事内容 ○吉岡課長 定刻になりましたので、第3回高齢者医療制度に関する検討会を開催いた します。  委員の皆様方には、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。  本日の委員の出欠状況でございますけれども、樋口委員が御欠席でございます。  それでは、議事進行につきましては、塩川座長にお願いいたします。 ○塩川座長 本日はお集まりいただきまして、ありがとうございました。  第3回目の検討会となります。前回の検討会におきましては、年令で区分することと 広域連合につきまして、幅広く御意見を拝聴いたしました。そして、広域連合について 御議論いただきました中において、広域連合の当事者からのヒアリングの要望がござい ました。そこで、今回と次回の2回にわたって、国保や介護あるいはまた後期高齢者医 療に関する広域連合などのヒアリングを行うことといたします。  まず、本日は最初に、高知県国民健康保険広域化勉強会の事務局の方と、福岡県介護 保険広域連合の方にお越しいただいておりますので、前半部分においてこれらの皆さん からのヒアリングを行いたいと存じます。  また、本日の会議の後半でございますが、項目ごとの議論として、本日は保険料の算 定方法と支払い方法について御意見を賜りたいと思います。  まだ大臣が来られていませんので、すこしお待ちください。 ○吉岡課長 先に事務局から資料の御確認をさせていただきます。  まず資料1は、検討会の当面のスケジュールでございます。次回の第4回でございま すけれども、年明けの1月に開催させていただきたいと思っております。内容につきま しては、本日に引き続きまして、2回目のヒアリングということで、大雪地区広域連合 と滋賀県の後期高齢者医療広域連合からのヒアリングでございます。  それと併せまして、テーマ別の議論といたしまして、医療サービスと財源の在り方に ついて御議論をいただきたいと思います。これによりまして、テーマ別の議論は一巡す るわけでございまして、以降、引き続き月1回程度を目途に開催していただくというこ とでございます。  資料2は、「これまでの議論の概要」でございまして、各委員の先生方にも御確認いた だいて整理したものをお配りさせていただいております。  資料3は、前回の検討会におきまして御依頼をいただいた資料について取りまとめた ものでございます。内容につきましては、あらかじめお配りしておりますので、省略さ せていただきます。  資料4は、本日の議題に関する参考資料を取りまとめたものでございます。この中で 1点だけ御報告がございます。18ページをご覧いただきたいと思います。長寿医療制 度の保険料の支払いでございますが、これまで年金からの支払い、いわゆる天引きを原 則としていたわけですが、3にございますように、まず6月12日の政府・与党決定に 基づきまして、資料にア、イとありますが、一定の要件を満たす方については、年金か らの支払いに替えて口座振替を選択することができることになったわけであります。こ れを更に11月18日の与党PTの取りまとめにおきまして、昨今の状況を踏まえます と、こうしたア、イの要件を撤廃して、原則、すべての方につきまして口座振替と年金 からの支払いとの選択によって保険料を納付できるようにすべきではないかとのことで あります。そして、来年4月から実施すべきということがまとめられたところでござい ます。  私どもといたしましては、これを受けまして、関係団体等とも調整を図りながら、年 内にそのための政令改正を行いたいと考えているところでございます。  資料5、資料6につきましては、ヒアリングの説明資料としてそれぞれ御提出をいた だいたものでございます。  資料は以上でございます。 ○塩川座長 それでは、大臣がお越しになられましたので、ごあいさつを兼ねて御発言 をお願いいたします。 ○舛添厚生労働大臣 公務で遅くなりまして、大変失礼いたしました。3回目の検討会、 本日はよろしくお願いいたします。特に、高知県庁の方、それから、福岡県の介護保険 広域連合の方の御出席を賜りまして、ありがとうございます。  既に国会でも厚生労働大臣私案という形で、この前発表させていただいた私案につい ての議論が始まっておりますので、どういう形で見直しをするか、精力的に皆さんの御 意見を賜りたいと思います。  今、事務方からも御案内いただきましたように、対応できるところは対応していこう ということで、口座振替と年金からの天引きを完全に選択制にするという政令改正を年 内に行い、4月から実施したいと思っております。  いずれにしましても、今後とも精力的な御議論をお願いしたいと思います。今日はよ ろしくお願いいたします。 ○塩川座長 それでは、まず、高知県の国保指導課の武市さんと福岡県介護保険広域連 合の石川さんから、それぞれ10分程度御説明いただき、その後意見の交換を行いたい と思います。よろしくお願いいたします。  それでは、最初に高知県の武市さん、お願いいたします。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) 高知県の健康福祉部国保指導課 長の武市でございます。よろしくお願いいたします。  早速ですが、お手元に配付してございます資料5をごらんいただきたいと思います。 これは昨年11月15日付となってございますが、国民健康保険事業の事務の広域化、 この資料に沿いまして概要等を紹介させていただきます。  まず、国保事務の広域化に関します勉強会での取りまとめに至った背景でございます けれども、まず、市町村合併がなかなか進まなかった本県におきまして、小規模な自治 体が非常に多く、教育や医療あるいは福祉といった分野で、広域的な行政サービスの仕 組みを検討する必要があったということが1点目でございます。その中で国民健康保険 に関しましては、被保険者に高齢者や低所得の方が非常に多くおいでだということで、 厳しい運営状況あるいは規模が小さいことによります事業の不安定化といったような特 徴が特に顕在化しておりました。  例えば、保険料の引上げもなかなかままならないといったような現状もありますし、 また、市町村では国保事務は年々複雑になっております。そして、それが累増化してい くことによりまして、大きな労力を費やしているという現実がございます。もう一方に、 事務処理のシステム関係への財政負担も莫大なものとなっております。  そのために事務の共同処理といったような方法で広域化することによって、財政運営 の安定化なり事務処理の効率化なりが一定可能となるのではないかと当時考えたわけで ございます。この取りまとめは、こうした課題の解決に向けまして、市町村保険者が適 切に対処していくために、事務の共同処理等の広域化による新たな事務処理の仕組みづ くりについて、県が市町村と国保連合会の担当者の協力を得まして、実務者レベルの勉 強会形式で検討内容を取りまとめたものでございます。したがいまして、県の政策提案 的な取りまとめまでには成長しておりませんし、途中で不十分な形で終わっている部分 もありますが、そういった不整理のままですが、取りまとめたものでございます。  まず、この取りまとめでございますが、新たな事務処理の仕組みづくりにより、目指 すものとして3ページ以降に書いてございますけれども、まず1点目が、住民利便の観 点でございます。やはり住民の方の利用のしやすさというものに配慮いたしまして、窓 口で行います業務を今までどおりとするといった水準を求める。それから、事務の集中 処理とか処理システムの統一化などによりまして、そうした効率化によりますところの 行政コストの縮減、それから、レセプトの審査員、事務担当職員の必要人員減に伴いま す人件費の削減といった点でございます。  それから、事務の複雑・累増化に対しまして、合理的な対応を可能とする。そのため の事務処理の統一あるいは一元化といったレベルでございます。  検討会としましては、主要な研究・検討の事項といたしまして提示しています3ペー ジの下の方から順次ございますけれども、まず1点目が、運営形態でございます。3〜 5ページに絵も入れましてお示ししておりますが、まず、広域化の手法といたしまして は、事務の共同処理、一部事務組合、広域連合といった3つの方式を挙げまして、その 中で広域連合方式が今後検討を進めていく上で可能性も高くて、効率的ではないかとい うことで、広域連合方式を例に検討を進めました。  それから、保険料の賦課徴収が6〜9ページにございますけれども、保険料を賦課す るあるいは徴収することは、広域連合が直接被保険者の方々に負担を求める、いわゆる 直接賦課方式と、構成します市町村に負担を求める分賦金方式、市町村に分担金を求め るような格好でございますが、これを比較評価したところでございます。併せて、保険 料率の設定につきましては、不均一方式と統一方式を比較してございます。  3点目に、10ページからになりますが、広域連合と市町村の事務分担に関するもの でございますが、住民に直接接します窓口業務など市町村が担いまして、職員との兼任 によりまして、権限の垣根を取っ払い、円滑な執務を提案してございます。併せまして、 広域連合での運営によりまして、現在の市町村事務体制は相当合理化されるのではない かという例を示してございます。  既存の国保連合会への業務のアウトソーシングを積極的に行うのであれば、更に合理 化が進むのではないかという提案もしてございます。  4点目に、広域専用処理システムでございますが、16〜19ページに概要をお示し してございます。このシステムに関しましては、県でも平成18年度に市町村の共同事 務処理のアウトソーシングといった場合のシステム開発という実証事業が行われており まして、その成果を基本に現在の後期高齢者医療制度の広域処理システム、それから、 介護保険の共同処理システムが既存でございますが、こうした実例を参考に、整備方法 や費用見積もり等を行うことを提案いたしまして、一部試算も示してございます。  その他、問題点や対応策にも最後の方で触れてございます。  以上、国保の事務処理の広域化につきまして、早い説明になりましたけれども、昨年 11月までに県で取りまとめた概要を紹介させていただきました。  なお、この取りまとめに引き続きまして、国保事務の広域化には多くの課題がありハー ドルが高いと思われるものの、4月にスタートいたしました長寿医療制度の運営動向も 見ながら、市町村事務の広域化を評価しつつ、市町村保険者自らが研究・検討を行うこ とを県としては想定してございました。しかしながら、御案内のとおり、この取りまと めの直後あたりから長寿医療制度を巡るさまざまな情勢の変化等もございまして、その 運営上の課題も見極めつつということが必要というような御意見も踏まえまして、現在 は広域行政のブロックごとの事務の広域化のテーマの1項目として、先ほど言いました 教育委員会の共同処理というものでございますが、他の分野も含めましてテーマの一つ として意見交換等がなされておりますし、同時に、市町村間の基礎的なデータの整理等 を行いまして、本格検討の準備段階にあるというような状況でございます。そうした段 階にとどまってございます。  最後に繰り返しになりますけれども、この取りまとめはあくまで事務処理の広域化に ついて、県の勉強会で検討いたしましてまとめたものでございますので、運営の再編あ るいは統合を前提としたものではございませんでした。したがいまして、高知県としま しては、これまで全国知事会における「すべての医療保険制度の全国レベルでの一元化 への道筋を早期に示すべき」との見解を一にするものですので、大変恐縮でございます が、御理解いただきたいなと思っております。  本日は貴重時間をどうもありがとうございました。 ○塩川座長 どうも御苦労様でした。  それでは、福岡県の石川さん、お願いします。 ○福岡県介護保険広域連合(石川氏) 福岡県介護保険広域連合の石川と申します。  本日は、私どもの副広域連合長、藤谷が出席する予定としておりましたが、諸般の事 情により出席できず、大変申し訳ございません。代わりに御説明させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず、私どもの広域連合の設立経緯や趣旨等について御説明いたします。 資料につきましては、本日、資料6を用意させていただいております。  介護保険法の制定過程におきまして、当時、市町村側では全国市長会あるいは全国町 村会を通じまして、介護保険制度の運営は国が行い、国民に等しく同一水準の認定や給 付あるいは保険料で実施されることが望ましい。たとえ、国が行わないならば、都道府 県単位での広域連合組織で運営を行うべき、そのような主張をしておりました。しかし、 最終的には保険者は市町村と決定されたわけでございます。  同様に福岡県内におきまして、県、市長会、町村会の三者で、県内どこに住もうとも 誰でも同一水準の認定、給付、保険料で、県民が平等に介護を受けられるように広域連 合で介護保険制度を運営する方が効率的ではないかという協議を行いました。最終的に、 県も保険者は市町村とすべきとの結論を出したわけでございますが、この結論を受けま して、福岡県町村会理事会で検討の結果、市町村単独では介護保険制度の運営は非常に 難しい。広域連合を組織して運営すべきであるとの結論に達しました。  ここで福岡県町村会長で、現在私どもの連合長でございます山本文男添田町長が中心 となりまして、市町村長協議会に提案いたしますとともに、各市町村議会の議員さん方 を含めて、各市町村に説明を行いました。  このような経緯を踏みまして、当時73町村ございましたうちの68町村、これに加 えて当時、政令市2市を含めまして24市ございましたが、そのうちの4市、合計72 市町村で構成される福岡県介護保険広域連合を設立いたしました。そして、この広域連 合で介護保険を運営して今日に至っております。  この際に、私どもの広域連合が県内全域に及ぶ広範囲となったものですから、本部の 事務所を置きますほかに、保健所の管轄区域を基本に、生活圏域ごとに支部を14か所 設置いたしまして、市町村、支部、本部が一体となって運営に当たることといたしまし た。  次に、私どもの広域連合の現状と運営について御説明いたします。  設立当初には予想しておりませんでした全国的な市町村合併がありまして、福岡県内 におきましても、市町村数は平成12年当時の97から現在66まで減少しております。 私どもの広域連合の構成市町村におきましても、介護保険を単独で実施している近隣の 市などと合併することによって、私どもの広域連合を脱退するというケースが相次ぎま して、現在の我々の構成市町村数は39市町村、支部の数も12と減少しております。  私どもの職員数でございますが、本部に33名、支部に88名、合計121名、その うちプロパーの職員が17名、104名につきましては県あるいは構成市町村からの派 遣職員という形で行っております。  このほかには、広域連合長あるいは副広域連合長といった特別職や、介護保険の要介 護認定の調査に従事する職員あるいは地域包括支援センターにかかわる職員といった専 門職員もおります。  広域連合の運営につきましては、議会、この場合の議員は構成市町村の議員、または 構成市町村の長となっております。それから、本部における運営協議会につきましては、 この運営協議会は我々の連合長と、その連合長が選任した各支部ごとの構成市町村の長 で組織されております。  その下に、各支部おける運営委員会、こちらは各市町村の長、議長及び連合の議員と いう方がメンバーになっております。この3つを中心に行われております。この件につ きましては、本日の資料の別紙1に図示させていただいております。  続きまして、事務の分担につきましては、別紙2のとおりでございます。おおむね直 接住民にかかわる事務は支部、一部においては構成市町村で実施しております。本部に おきましては、総合的な管理や調整を分担しております。  一例といたしまして、別紙2の3、要介護認定につきまして簡単に触れさせていただ きますと、まず、市町村では住民からの申請書を受け付ける。そして、支部において実 際の認定に必要な調査や審査会を実施し、認定結果を申請者の方に通知する。そして、 本部におきましては、そういった調査に当たる調査員あるいは審査会の委員の先生方の 任命や研修、それから、認定結果の管理等を行っております。  全般に市町村におきましては、申請や相談に関する住民の窓口となることが多いので すが、保険料の賦課や徴収につきましては、各構成市町村と本部を専用回線で結びまし て、被保険者の所得や住基の情報を本部のサーバーで一括管理しております。そして、 本部で賦課計算や被保険者に対する各種の決定あるいは通知等を行っております。  また、ちょうど今年度でございますが、介護保険事業計画の策定につきましては、専 ら本部が実施しております。これが現状でございます。計画の策定、その後の進行管理 を含めまして、今後は協力体制や相互の連携等、市町村との間に工夫の余地があろうか と考えております。  最後に、広域化のメリットや問題点について述べさせていただきます。資料は3枚目 をつくらせていただいております。  設立に当たって期待されました広域化のメリットというのは、先にも触れましたが、 県内における平等なサービスの利用、ほかには規模が拡大することによって保険財政が 安定すること、あるいはサービス資源や、先ほどもありましたが、認定審査等に必要な 人材を確保することが容易となること、また、構成市町村におきましては市町村単独で 運営する場合に比べて、人的配置や運営コストの面で大幅な節約が図られることなどを 挙げております。  構成市町村が減少いたしました現在におきましても、これらのメリットはなお十分発 揮され、また、要介護認定や事業者指導を含めた給付の適正化への取り組みに当たって は、広域連合として自主性を発揮できたと考えております。  広域連合としての意思決定や事業等の実施が比較的スムーズに行われてきた要因とい たしましては、政令市等が含まれておりません関係で、構成市町村の規模や組織面にお きまして、それぞれの格差、差異が小さい、均一の集団であるといったことが作用した のではないかと考えております。  今後も介護予防の推進や保険料の収納率の向上といった点でも、より効果的で効率的 なものとなるよう、ノウハウの蓄積や普及を図って構成市町村との一層の連携に努めた いと考えております。  しかしながら、制度が始まりまして8年経過しておりますが、制度が定着するにつれ まして、構成市町村間で高齢者一人当たりの給付費が最大2.5倍に達するという格差 が顕在化してまいりました。そこで、私どもでは、当初から全構成市町村で同一の保険 料としておりましたが、2.5倍の格差というように負担と給付の面から考えた場合、 どうも相互扶助の精神を超えた不公平感が生じたととらえまして、平成17年度から構 成市町村を3グループに分けまして、グループ別保険料というのを導入しております。  広域連合では給付額の高い地域を対象に、専従の職員による調査や検査を行うなど、 重点的な対応もしているところですが、この給付の地域間格差はなお解消に至っている とは言えません。  その背景の一つといたしましては、県内特有の旧産炭地といった地域におきまして、 所得段階の低い被保険者の方が多い。その反面、これらの階層に対する給付額は高いと いう状況がございます。加えて、他の所得段階の被保険者の方によって保険料をカバー する必要があるという形になるために、保険料が高額にならざるを得ない状況にござい ます。  今なお高齢化が進行しております現状から、保険給付の自然増というのは避けられな いと考えておりますが、こういった地域的・社会的な要因から負担増をこうむっている 保険者につきましては、状況改善のため何らかの措置が必要ではないかと考えておりま す。特に現在、第4期介護保険事業計画を策定しているところでございまして、保険者 にとっては次期の保険料の設定が課題となっております。保険料の安定のためには財政 的な支援を含めた政府の見直しがお願いできればと考えているところでございます。  なお、グループ別保険料につきましては、本日の資料の4枚目につけさせていただい ております。  以上、簡単ではございますが、福岡県介護保険広域連合の設立経緯、現状及び問題点 等について御説明させていただきました。ありがとうございました。 ○塩川座長 どうもありがとうございました。  それでは、先生方から一つ御意見なりあるいは御質問をいただけますか。 ○川渕委員 今日は、高知と福岡という老人医療費が比較的高い県の方からお話が聞け て非常に光栄ですが、私自身まだ資料等わかっていないところもありますので御質問し ます。まず、高知県の方にお聞きしたいのは、先般、舛添大臣の案が出されまして、国 保の制度と長寿医療制度をドッキングしたらどうかというユニークな案ですが、どうで しょうか、実現可能でしょうか。今日は偉い方もたくさんおられますので言いにくい所 もあるかと思いますが、各県の方の声を聞く場ですので、今日は率直なところをお聞き したいと思います。  それから、もう一つ、福岡県の方への質問です。私自身、長寿医療制度と介護保険の ドッキングが何とかできないかと思っていたのですが、本日は介護保険で広域連合とい う話がありまして非常に面白いなと思いました。介護保険でできるのであれば医療保険 でもできるのではないかと思うんですが、介護保険と医療保険の齟齬みたいなものがあ るのかどうか、そして大臣の実現可能性はいかがなものかをお聞きしたいと思います。  以上です。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) 高知県から、国保の関係で御説 明させていただきます。  高知県というのは、御案内のとおり80万の人口を切ったような県でございまして、 普通の市ぐらいの大きさしかないのです。現在2.4人の現役が1人のお年寄りを見て いるような状況でございまして、このままいってしまうと30年後には1.4人の現役 が1人のお年寄りを見るという、非常に規模の小さいところでございます。地形は御案 内のとおり、山間部も多くて非常に特殊な要因があるわけで、なかなか一般的なことは 申し上げられませんけれども、やはりこういった県で非常に高齢化も進行し、地域経済 の雇用情勢も芳しくない状況の中で、やはり地域づくりをやっていく観点からすると、 なかなか難しい問題でございますけれども、高知県で言えばそういう特殊な背景ゆえと いう面もあるのですが、県単位での国保を集約したから、そこで財政基盤が強化される とか、運営が安定するという部分がとりまとめにありましたけれども、そういった意味 では基本的な解決はなかなか難しい問題を地域として抱えております。  そこのところで、まず国保の問題を何らか解決していって、県民の安全・安心に結び つけていくという取り組みが前段あった上で、更にその上に老人医療をどういうふうに くっつけていくのかという段取りになろうかなと思うのですが、そういう本県の特殊な 事情もありまして、なかなか直ちに見えないところがございます。  それから、介護との関係で申し上げますと、基本的な医療費が非常に増加しているわ けでございまして、医療から介護へ、あるいは介護から医療へというような動向等もご ざいますけれども、将来的には基本的に医療との違いは余りないのではないかというよ うな感じを持っておりまして、そういう受け皿、運営の問題という点では、さほど差異 はないのではないかと思っています。 ○塩川座長 福岡県は御発言はありませんか。 ○福岡県介護保険広域連合(石川氏) 確認させていただきます。医療でも広域連合の 方式でできるかという後段の御質問だったと思いますが、医療の方につきましては何分 知識がないもので申し訳ありませんが、先ほど触れさせていただきましたけれども、構 成市町村間の均一性みたいなものがあれば、比較的広域連合としての主体性などは発揮 しやすいものと考えております。  簡単で申し訳ございません。 ○塩川座長 どうもありがとうございました。  ほかにいかがですか。 ○川渕委員 しつこいのですけれども、高知県の方にお願いします。今日説明いただい た21ページに「保険料の賦課方式について」と書いてありますね。いろいろ論点があ ることはわかったのですけれども、実際、国保にはいろいろな保険料の徴収方法がござ いますよね。いわずもがなですが2方式と言われる、いわゆる所得割と均等割のほかに、 3方式、4方式があります。高知県では私の理解では3方式、4方式をとっている自治 体もあるのかなと。だとすれば被保険者の資産状況もある程度わかるということが広域 連合のメリットになるとあるのかなと。そうしますと、前回の検討会で都道府県で保険 料を集めることはできないし、広域連合もまだ基盤が脆弱だと発言したのですが、実態 は決してそうではなくて、ある程度県単位でも長寿医療制度と国保をドッキングしても 大丈夫だということなのでしょうか。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) これは、あくまでも市町村が連 携して広域連合を形成した場合を前提にしてございますので、市町村が自らの情報を持 ち寄るということで、市町村の境を超えて共同事務処理しようという発想ですから、基 本的に市町村ができることは広域連合も当然できるわけでございますので、県でどうと いうことではないと思っております。  ただ、1点御留意いただきたいのは、やはり今回の後期高齢者医療制度もそうでござ いましたけれども、制度を運営していくときには、どうしても住民の個々人の基本情報 が市町村にロックされておりますから、これとの関係でいろいろな軽減措置を講じたり、 あるいは徴収の方法を変えたり、あるいは資格証の判定の問題だというように、より個 人的な情報を使いますので、そういった意味では、現在の広域連合の方にすべての市町 村から個人情報を集約するのは難しい状況にございます。そういった意味では、市町村 に独自に残る部分もありますけれども、市町村の境を超えて、資産をお持ちの方に賦課 するというようなことについては、一定広域化によってかなりシステムの上で整理でき る部分もあるのではないかという意味でございます。 ○山崎委員 福岡県で非常に大きな給付費の地域差があって、容易には解決できそうに ないと。結果的にブロック別の保険料にしたというわけですが、私などは最初からそう なるだろうと思っておりました。介護保険と同様に、県単位の国保というのは、医療の 地域性ということから考えると非常に無理があって、そこのところをならそうとすると、 逆にいろいろな矛盾が出てくるのではないかという気がしておりまして、同じ第2次医 療圏辺りで医療を共同で受けている範囲を財政の単位とするのが一番いいと思っており ますが、高知県で広域連合で全県一本の国保を作ったときにも、やはり同じ問題がある のではないかと思うのですが、それについてはどのように考えておられるかということ。 それから、高知県の場合、市町村合併が仮に県が当初想定されていたような形で進んだ 場合にも、こういう広域化が必要なのかどうかということをお聞きしたいと思います。 後者の点については、福岡県についても市町村合併が徹底して進んだ場合にも、なおか つこういった介護保険の広域化が必要なのかどうかということをお聞きしたいと思いま す。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) 高知県から、保険料についてお 話しさせていただきます。  これまで市町村合併の以前の段階として、事務の共同処理とかあるいは一部事務組合 という段階あるいはそういった時代に、国保の問題が随分早くから上がっておりました。 これをどうやって合理的に進めていけばいいかというのは、市町村の共通の課題でござ いました。しかしながら、それは進まなかったという歴史的な事実もあります。その大 きなポイントとなりますのは保険料をどうするかでございました。したがいまして、保 険料があるばかりで、なかなか議論が進まなかったのが実情でございますし、それから、 県下的に保険料を統一しますと、御案内のとおり84%と林野の面積率が高いところで ございますので、地域に応じて医療のチャンスが全く違うわけでございます。そういっ たことで、なかなか難しくて論議が進まなかった。ですから、こういうたたき台のよう なものをあえて県がつくってお示ししたという経緯につながってきたわけですけれども、 今後この中にも書いてございますが、不均一課税ということで初めて後期高齢者医療制 度の中で県下的なことをやってみたわけですので、以前と比べ少し進んだ議論になろう かなという期待もありながら、県としてはどっちがどうということではなく、そういう 検討をしてみましょうということで両論を述べたというのが率直なところでございます。  もう一点、市町村合併の関係でございましたけれども、歴史的には先ほど申し上げま したように、市町村合併が平成の合併が進行する前の段階に動機付けがということでし たので、事務処理の共同化ということで、合併そのものは入ってございませんでした。 そういう意味では、合併する以前の問題として小さな規模の自治体が集まっている本県 の実情から、共同事務処理というのは、少なくとも合併しようとしまいが、そこのとこ ろの問題解決をしながら制度を運営していく展望を開かなければいけないという現状の あるところからこういうことをやってきたわけで、直接合併問題とはリンクしていない のですが、国保の問題は歴史的な問題がございますので、これについては仮に合併して も引き続き重要な課題だと私は伺っております。 ○福岡県介護保険広域連合(石川氏) 福岡県の場合、先ほども少しお話しさせていた だきましたが、脱退する構成市町村は確かに多かったのでございますが、脱退する件数 につきましては、我々の構成市町村と単独保険者であった市が合併して、市に吸収され るような形になりまして、そちらの方に我々の構成市町村が移って、結果的に脱退。逆 に、そういったケースがすべてでございまして、例えば、我々の構成市町村同士が合併 したようなケースにつきましては、合併後も広域連合にとどまるというケースが多々ご ざいます。恐らく市町村側にとっては広域連合に所属しておくということについてのメ リットは十分にあるものと考えております。  以上でございます。 ○権丈委員 大臣に質問させてもらいますので、よろしくお願いいたします。  お二方の御報告を伺いしまして非常に関心があったのは、分賦金方式というのとグ ループ保険料です。広域連合では分賦金方式で、高知の方ではグループ保険料という形 で地域あるいは市町村の保険料率に差を設けるという方法で、広い単位をとりながらそ の内部には、各市町村の保険料率の差みたいなものを設けている。私もそういう形をイ メージしておりまして、例えば「これまでの議論の概要」の4ページで、上から5つ目 の「・」に、私は、「改善の形は大臣の私案と同じである」と言っています。ここが本当 にそう言っていいのか確認させていただきたい。国保を都道府県単位に持ち込んでいく ところで、私はそのときに都道府県に事務処理のノウハウがないことについては、市町 村職員の協力を促す仕組みを工夫することで対応できる、都道府県単位の保険者にした としても、保険料を都道府県で統一する必要はなく、市町村単位で保険料に差を設ける ことにより、市町村が持つこれまでのノウハウを活用し、市町村に徴収インセンティブ を持ち続けてもらうことも考えられるということをイメージした上で、都道府県の単位 の方向に持っていく、そして、先ほどの言葉で言えば分賦金制度のような形にして、自 治体によって保険料が違う形にしておいてもいいし、あるいはグループ保険料という形 でやっていくということで都道府県単位を市町村に持ち込んでいくというのは、私はあ りというか、今よりはいい方向に向かうのではないかと考えている。前回、大臣から出 された私案の中では、先ほど直接賦課方式という形で、都道府県の中で1つの保険料に しなければいけないというようなことをイメージされた上での都道府県単位での統合な のか、それともこういう分賦金方式とかグループ保険料というようなものを許容した形 でイメージされた都道府県単位の統合なのかということを伺いたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 最終的にどうするかは、また今からの議論なのですが、私が冒頭 考えていたのは、やはり都道府県単位ということは最終的には保険料も一本にするとい うことです。ただし、今、市町村でまちまちですから経過措置が必要であろうと、初期 の案はそういうことです。ただ、今日のお二方のお話を聞いて、特に私は自分も福岡の 人間なものですから、なぜそもそも広域連合を作ったのかなと考えると、私の理解だと、 やはり市町村単位に要介護の認定で差が出ることを避けたいというのがかなり大きかっ たかなという気がします。それと、今、山崎先生がおっしゃったように、結局、保険料 の統一ということは、最初はそうであったのでしょうが、今はA、B、C、特に産炭地 などを見ると、さきほどの資料の赤いところがそうだと思いますけれども、グループ別 に分けてきた。そうすると、そこはある意味で柔軟に考えて分賦金でやるか、グループ 式にA、B、Cにするかなんですが、ただ、それはまた今からの制度設計でと思ってい ます。つまり、都道府県単位にして、しかし、保険料については今のような自由度を許 すかどうか、これは一つ大きなポイントになると思います。  それから、もう一つは、先ほどの武市さんの例でもあったように、市町村職員に併任 をかけるという形で業務のリエゾンはうまくいくと思いますので、人員をどうするか、 この人たちに併任をかけるかどうかという工夫と、もう一つ私が考えていたのは、経過 措置でやろうと。ただ、その経過措置が福岡だと逆の方向に現実になったという事実が あるとすれば、それは柔軟に是正していかないといけないかなという気がしていますの で、これは大事な議論のポイントだと申し上げておきます。恐らく宮武先生などは、人 様に振るつもりはないのですが、また別のお考えもあるかと思うので、お手を挙げてい たので、ついでながら今の2人のやりとりについてもコメントも、もしできればお願い いたします。 ○宮武委員 いやいや、むしろ武市さんにお聞きしたいのですが、勉強会の中で直接賦 課方式、分賦方式を並列で書いてございますけれども、もう少し突っ込んで言えば、現 場としてはどちらがやりたいという方が強かったのか、踏み込んで大変恐縮ですが教え ていただきたいと思います。  それから、厚生労働省も主導されて、レセプトの1件30万円以上については、市町 村ではなく県単位で賄うという安定化事業が導入されておりますけれども、大体1年経 ちまして、その効果というものはどう見ておられるのか。仮に、レセプト1件当たり3 0万円を20万円に下げてくれば、どんどん県単位の運営になっていくわけでございま すので、そういうことを望んでおられるのかどうか、その辺を教えていただければと思 います。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) まず、保険料賦課の関係でござ いますが、保険料をどう定めるかにつきましては、なるべく私は勉強会で客観的な事実 に基づいてお話しして私見は避けたいと思っておりますけれども、議論の中では、ある いは今回の後期高齢者医療制度の中で聞こえてくる県民の声としては、一番大きな声が 全国どこにいても負担を同じ水準でという願望がありますから、やはり県下一律の方が いいのではないかという声は非常に強くございます。でも、実務担当から言いますと、 これは地方自治の根幹的なことでございますので、各市町村の首長さんの御判断が相当 多い部分でございますから、自主的な判断ということになれば、先ほど言ったように幾 つかのグループ分けなり不均一ということもあろうかなと。そこのところは県の方から は私見を差し挟むところではないという受け止めをしたレベルでまとめてございます。 市町村の自主的な判断に任せていきたいと考えております。  30万円以上の医療費に係ります安定化事業の効果でございますが、これは直接申し 上げるのは難しいのでございますが、決算動向から見てみますと、やはり医療費は上が りつつあります。一人当たりの医療費は現在でも、やはり3〜4%あるいは5%という ことで、現役もお年寄りの方も医療費が上がっているのは事実でございますが、ただ、 国保財政の運営面から見ますと、平成10年以前のような国保が本当に危ないという危 機的な状況というのは数字上は見えておりません。しかし、実質収支がやはり悪化して いる傾向と、基金残高が減少しているのは事実でございまして、外見上は若干公費の助 成によってそういう財政悪化が緩和されているところは評価できると思うのですが、着 実に基金残高が減るなり、実質収支が悪化するなりということは、緩和されつつも進行 しているというような状況でございますから、やはり安定化計画もさることながら、公 費の助成をどこまでやっていくのか、もう一方で、どういう方法で医療費の適正化に持っ ていくかというところは、両方のバランスがあるところでございますから、そういった 観点から県の方ではとらえているのですが、安定化だけの評価はなかなか難しいという のが現状でございます。 ○塩川座長 石川さんから、御意見はございますか。 ○福岡県介護保険広域連合(石川氏) うちの広域連合で3グループ、そのものについ ての声というのは上がっておりません。あるとしたら保険料が幾らなのか、高いんじゃ ないか、高くないんじゃないか、その件ばかりでございまして、グループ分け自体につ いての意見といのうは特に聞いておりません。 ○塩川座長 ほかにいかがですか。 ○岩本委員 私も権丈先生の質問に触発されて大臣に質問したいのですけれども、先ほ どのやりとりで、大臣としては県の中でばらつくよりは県で保険料をそろえた方がいい というお考えがあると承ったのですけれども、そうしますと、国でばらつきがあっても 県でそろえた方がいいというふうに考えておられるのかどうかということをお伺いした いのです。  大臣の私案を実現される場合には法律の改正が必要になります。現在、国保に関して は給付費に関して定率負担と調整交付金で国が金を入れております。これは制度改正を もしするということであれば、国保のお金の入れ方を変えて、国保の保険料率を全国で そろえることもやろうと思えばできるわけです。ただ、それをやるかやらないかの判断 になるわけですけれども、県でそろえる、国ではばらつきが出てもいいというお考えで いるのかどうか少し気になったので、どのようにお考えなのかをお聞かせいただければ と思います。 ○舛添厚生労働大臣 そこは、この前申し上げましたが、財政的な観点からで介護は市 町村、恐らく医療は県という単位で考えると。したがって、せめて医療については保険 料の先ほどの柔軟性もありますが、もともとは県単位でということですから、国保とい う今の大きな枠組みがありますが、勿論、国民皆保険というのは守っていかなければい けないですけれども、これはある意味で大幅な改正につながる可能性はありますけれど も、すっきりさせるとすれば県単位にブレークダウンしてしまう。ただ、それまで今の 制度との調整をどうするかとか、課題は勿論たくさんあります。しかし、やはり県単位 で、高知県の県民保険である、福岡の県民保険である、そういう形にすっきり整理でき ないのかなと思います。そうすると、これは国の在り方の根幹にもかかわってくる問題 で、もっと広げれば道州制。恐らく道州ぐらいの規模になると、財政単位の基盤がもっ と強くなるでしょうから、更にやりやすい。今言った疑問について言うと、47の小さ な都道府県単位で果たして県民単位でできるのかなというのはあり得ると思うんですね。 だから、そこを考えると、最終的には廃藩置県ではないけれども、国の仕組み全体の根 幹にもかかわるなという感じがしています。 ○権丈委員 少しよろしいですか。私の質問で、私も福岡ですから大体状況がわかるの で、給付側面でのリスクというところに対しては県単位というのを目指すのが非常にわ かりやすいしいいと思うんだけれども、認定率というか、他にも徴収率のところで差が 出てきたときに、そこをみんな同じにしようと言ったときに、どんな批判が出てくるか なというのがある。だから、ある面グループ単位ということでやらざるを得なくなるの かなというのがあって、私の文章は最終的には徴収インセンティブを持たせ続けるには どうすればいいかというところに力点を置いた形になっているわけです。都道府県の中 での給付側面のリスクというのは、私は統一した方向に持っていくのが望ましいと思い ますけれども、経過措置と言われたら経過措置になると思いますが、徴収をどうしっか り揃えていくかというインセンティブをどう担保するかというところが、当面難しい問 題として残るなというのが、私の中であります。 ○宮武委員 追加でよろしいですか。福岡の石川さんにお聞きしたかったのは、結局は グループ分けにして保険料を分けなければいけなかったわけですが、もともと75歳以上 の後期高齢者の割合、あるいは所得レベルで国の調整交付金が5%分配分されることに なっているわけですが、それで年齢が高いところ、所得の低いところを埋めるという仕 組みですが、それでは埋め切れなかったということでグループ分けをされた。そうであ れば、調整交付金の出し方によってグループ分けをしなくても済むような方法があった かどうか。それは現場としてはこういう出し方をしてくれれば、そんなにグループ分け しなくても済んだという覚えはおありにならないかどうかをお聞きしたいと思います。 ○福岡県介護保険広域連合(石川氏) 調整交付金は、確かに市町村間でかなり差があ るとは思っているんですが、連合として一本のパーセンテージで交付金をいただいてい るものではなかったかなと思います。 ○宮武委員 そうですか、個別ではないんですね。 ○山崎委員 高知の武市さんの話の中心は、事務処理に重点を置かれていると思うんで すね。大臣の提案もそうですが、あるいは後期高齢者医療制度もそうですが、保険者の 広域化といったときは、一つの保険者であれば当然単一保険料が原則であり、経過措置 として不均一保険料ということになるのが自然なのだろうと思うんです。そうすると、 そこまで徹底した保険者の広域化という前に、事務処理の広域化で解決できるものであ れば、それも一つの対応の方向だと思うのです。  それから、もう一つ、広域化による財政の安定化ということになると、岩本委員がい つもおっしゃっているように、私もそうですが、保険者は市町村のままであっても財政 の共同化あるいは国の調整交付金等の配分によって相当改善できるはずでございまして、 したがって、その場合には保険料徴収のインセンティブもそのまま残るわけでございま す。ですから、保険者の広域化というときに、事務処理の側面と財政の側面に分けて考 える必要があるということ。  それから、福岡のお話を伺って、政令市等が抜けているというわけですが、私は県単 位といきなり言う前に、医療の世界では保健所を持っているところでまとめてみるのも 一つの方向かなと思います。つまり、政令市、中核市は基本的に保健所を持っているわ けでございます。その他が県の保健所があるわけでございまして、特に事務処理の広域 化ということになりますと、市町村合併でどうしても残された零細な市町村をどう広域 的に支援するのかということが課題になり、その場合に県には大きな役割が期待される のではないかなと思います。  以上です。 ○塩川座長 これに対して高知県の方、福岡県の方、御発言ありますか、別にありませ んか。  岩村先生、どうですか。 ○岩村委員 1点だけ福岡県さんにお伺いしたいのですが、ブロック別の保険料のこと なんですけれども、これはA、B、Cと分けていて、一人当たりの給付費の格差がもろ に反映するような形で分けているのか、それとも一定の平準化した上で、しかし、給付 費の高いところには少し高い保険料をかけているということなのか、そこを教えていた だければと思います。つまり、給付費の高いところだけは完全にくくり出してしまって、 そこだけで保険収支が整うような形にしているのか、あるいはそこまで極端にはせずに、 少し傾斜はしていて、ある程度広域連合の中で平準化するというような色彩も残してい るのか、そこをちょっと教えていただければと思います。 ○福岡県介護保険広域連合(石川氏) 先生がおっしゃられた後の方でございます。広 域連合全体として収支がとれるようにと考えております。 ○塩川座長 大熊先生、御意見はございませんか。 ○大熊委員 県の広域連合という仕掛けを使って、医療の質だとか費用とかがうまい具 合にフィードバックするようになっているのかどうか。ただ、お金を集めて配るところ だけにとどまるのでは、少しもったいない仕掛けのように思うんですけれども、どうで しょうか。 ○塩川座長 高知県の方、福岡県の方、コメントはありますか。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) お尋ねの件が少しわかりにくかっ たので、もう少し簡単にお伺いできればありがたいのですが。 ○塩川座長 要点だけ質問してください。 ○大熊委員 つまり、国でなく、市町村単位でなく、県単位にすることによって医療費 が適正になるとか、医療の質が上がるとか、そういう本当の目的のために役に立たなけ れば価値が薄いというふうに私は思うのですけれども、山崎先生もうなずいていらっ しゃるから、もうちょっとうまく説明していただければ。 ○高知県国民健康保険広域化勉強会事務局(武市氏) 簡単に申し上げます。  実は、この共同処理というのは役場の都合だけではなくて、本当は県民の方、住民の 方の利便という観点もありまして、我々のような地域ですと、医療の給付水準のレベル でも医療機関の分布状況等もかなり異なっておりますので、そういった意味で垣根を 取っ払って、いろいろな事務手続がしやすいような、別の役場でもできるとか、勤務地 とお住まいが違うところでも手続できるだとか、県下の一円的な事務の広域化によって 住民が恩恵を受けるというのが一番の望むところでございましたし、併せて行財政面で の効率化がされればなという思いでしたから、医療費適正化をダイレクトには考えてい なかったところもあります。 ○塩川座長 どうもありがとうございました。  まだまだ意見の開陳はあると思うのでございますが、予定の時間を大分経過いたしま したので、このあたりで御報告は終わらせていただきたいと思います。  武市さん、石川さん、大変良い答弁をいただきまして、ありがとうございました。御 苦労様でございました。 (高知県国民健康保険広域化勉強会事務局、福岡県介護保険広域連合 退室) ○塩川座長 それでは、残り時間はあと30分少しでございますけれども、保険料の算 定方法、支払い方法について、参考資料もお配りしております。御意見がある方は順次 御発言願いたいと存じます。なお、前回の検討会におきまして御依頼がございました資 料もお配りしておりますので、これに関する御発言もあれば併せてお願いいたしたいと 存じます。どうぞ、発言をよろしくお願いいたします。 ○川渕委員 事務局から資料をいただいたのですが、私もわからないところがあります ので、教えて下さい。質問およびコメントは都合4点です。  1つは、今日事務局からいただいた資料4です。これが長寿医療制度の保険料の概要 ということですが、一番のポイントは、10ページの中で保険料は個人単位で賦課と書 いてありますが、実態は本当にそうかということです。保険料は均等割と所得割をベー スに算出されていますが、被保険者の均等割の軽減は世代単位でやっておられますよね。 私は今回の国保から長寿医療制度に移行した方の一番大きいトラブルはここではないか と思うのです。つまり、個人単位と言いながら、一方で保険料の軽減等は世帯単位になっ ているということです。何を言いたいかというと、今回も随分政治的にいろいろな軽減 措置がありましたが、結局は国保に比べて長寿医療制度に移行してどれくらい保険料が 増えたという話は、すべて世帯単位でしか議論できないんじゃないかということです。 だとすれば、個人単位でやることの是非を、前回の検討会の75歳で線を引いたことの 意義も含めて、議論すべきだと考えます。個人単位が果たして可能なのかは、私は年金、 介護保険も含めて難しいのではないかと思っております。  2点目は、次の11ページになるんですけれども、賦課の基準として、介護保険と同 様、後期高齢者一人一人に対して保険料を賦課するという話があります。その下に先ほ どの所得割と均等割の説明があるのですが、所得割は被保険者本人の旧ただし書所得が 基準とあります。これはわかるのですが、一方で、住民税方式を採用している自治体も あるかと思います。そうしますと、旧ただし書所得を基準としますと、社会保険料の負 担も大きくなって、お年寄りの勤労意欲とか投資意欲がそがれるのではないでしょうか。  3点目は、先ほど吉岡課長から出ました口座振替の話です。この資料中にも保険料の 支払い方法ということで18ページに大体8割程度の方が年金天引きを想定していたと あります。それがなぜか特別徴収という名前になって一般の人はわかりにくいネーミン グかと思います。それがこれから無条件で口座振替の選択になるということですけれど も、私が非常に興味があるのは、介護保険も年金天引きでやっていますが、介護保険も 選択制になるのかどうか。長寿医療制度と介護保険制度は極力整合性をとるべきと考え るが、いかがでしょうか。  4点目は、ここには書いていないんですけれども、一方で口座振替を認めますと、滞 納者も増えてくるのではないか。払わないのか、払えないのかという問題がありますが、 そういう方々に対しては一律に、国保と同じスキームを適用するのでしょうか。つまり、 3か月〜6か月の滞納者に対しては、短期被保険者証、それから、1年を超えた場合に は資格証明書の交付となってしまって、非常に社会的問題をはらむのですけれども、こ の辺は舛添大臣の案にも関係します。国保と長寿医療制度が合体したときに、こういっ た制度を温存するのかどうか。私は、払えない人には何らかの社会的救済が必要ではな いかと思います。  以上、4点です。 ○吉岡課長 事務方から御説明させていただきます。  まず、第1点目の個人単位か世帯単位かということですが、保険料は個人単位でして、 一方で均等割の軽減は世帯単位で判定するということですが、均等割の軽減というのは 所得が本当に低い方に対して支援をしていくということですので、例えば、ここを個人 単位で判定いたしますと、たくさんの収入のあるお子さんに扶養されているお年寄りも 皆、軽減しなければいけないということにもなってくるということです。また、この均 等割の軽減を世帯単位でやるというのは国保も介護も同様の状況ですので、そういう意 味で、社会保障の中でバランスがとれた形での軽減ではなかろうかと思っているところ でございます。  2点目の所得をどういう基準でとらえるかということですが、今回の長寿医療につい ては、1つの県内で同じ所得であれば同じ保険料ということを目指してやってきている わけですので、そういう意味で今回、長寿医療になったことによって、被用者保険から 移られた方というのは事業主負担がなくなり、保険料が高くなっているという状況があ ります。また、今までは会社からもらっていた所得しか保険料に反映されなかったのが、 いろいろな所得まで反映されるようになったことで、御負担の声はあるわけですけれど も、ただ、基本的に同一の負担にしていくということを考える上では、やはりこうした、 軽減措置を講じながらただし書所得をベースにしてそろえるということが、多くの国保 でも行われている一番現実的な方策なのかなということで考えております。  3点目の年金からの支払いと口座振替との選択制ですけれども、介護保険でも担当部 局の方で、こちらもできればそういう選択制にできないかということを考えているとこ ろです。一方で、市町村側からの意見としては、介護保険については年金からの支払い ということがかなり定着してきている、それをどう考えたらいいのか十分に考えていた だきたいという意見もございまして、これから市町村とも意見交換しながら対応を決め ていきたいという状況にあると承知しております。  もう一つ、口座振替にすると滞納者が増えるのではないかというお話がございました。 私ども今回原則として選択制にするわけですけれども、ただ、最終的に「市町村が認め る方」という要件が今もあるわけですが、それは引き続き残したいと考えています。例 えば、今まで国保でもきちんと納めていただけなかった方は口座振替にしても納めてい ただけないのではないかという方、あるいは一度口座振替にしたけれども、振替不能に なってしまって今後も納付が見込めないような方、レアケースだと思いますけれども、 そうした方は市町村の判断で認めないということもできるようにすべきではないかと考 えています。こうしたことは市町村との意見交換の中でも出てきているわけでございま して、今後具体的に政令を決めていく中で考えていきたいと思っております。 ○権丈委員 依頼しておいた資料について、今、事務局の方から私が報告するんだよと いう目配せがありましたので、聞いてないよ、そんな話と言いたいところですけど、仕 方ないので説明させていただきますね。質問は事務局にお願いいたしますね。  (1)〜(4)が、私がお願いしていたものでして、(1)被用者保険の納付金等に係る負担の保 険料率換算をまずご覧になっていただきたいと思います。今、現行制度における前期高 齢者に係る負担の保険料率換算という形で3.3兆円かかっている。それを総報酬で割っ たらどのくらいの値になるんだという形でやると、1.7%になるということでして、 今、組合健保の中だったら1.3兆円、その総報酬は88兆円で、それは保険料率に換 算すると1.5%になる。ただ、今現在は、これは昔の老人保健制度のような形で、各 保険者に日本全国平均の高齢者がいると想定して、各保険所に頭割りで負担させていて、 応能負担といいますが、負担能力というものは反映していない形になっているんですね。 そこで、下の括弧というのが、例えば、高額所得の保険者もいれば、低額所得の保険者 もいるのですけれども、そこが頭割りで今負担させられているので、その拠出に対して 保険料率が実質どのくらいになっていますかということを括弧の中で試算していただい ているのですけれども、所得が高いところで見れば大体0.8%ぐらいになっている。 そして、所得が低いところになってくると2.5%ぐらいの負担になっている。所得が 低いグループが非常に苦しくて、このグループが、協会健保の方に行くべきか、行かざ るべきかと悩んでいるところなんですね。そこをこういう報酬比例といいますか、経済 のファンダメンタルといいますか、応能負担というものを勘案すると組合健保は1.5% の保険料率一本になる。そして、これが協会健保では2.0%になる。だけれども、こ れも全部ならしてしまうと1.7%になりますよということです。つまり前期高齢者に 係る保険料として1.7%分というものを、各組合あるいは協会健保で負担してもらえ れば、前期高齢者医療制度に使った額は明確になる。そういう財政調整の方法もあって いいのではないかというのがあって、私はこの試算をお願いいたしました。  次のところが、前期高齢者の財政調整の仕組みを75歳以上にも拡大したら一体どう なるかというものです。75歳以上のところには今5割の公費負担が入っています。こ の公費負担が入っていないのがケースI、入っていると考えるのがケースIIになります。 この公費をわざわざお返しするのも、もったいないのでケースIIで考えていいと思うの ですけれども、ケースIIでいきます。いま、低所得の組合健保は前後期を合わせた高齢 者医療に4.7%ぐらい拠出しているわけなんですね。それを組合健保全部でならして しまうと2.8%になる。協会健保だったら4.1%になる。そして、ここも組合健保 と協会健保を全部ならしてしまったらば3.3%になる。65歳未満の人たちに係る自 分たちの組合あるいは協会健保の中の被用者に係るものに対しては、自分たちの保険の 中で保険料は算定する。それに3.3%を上乗せしたものが65歳以上の医療費への支 援金になりますよということです。  この3.3%というのは、75歳以上の国庫負担の2分の1というのはいただいてい るという状況で、これがないとすれば4.8%になるという計算になります。  (2)では、市町村国保の保険料の賦課上限を協会健保並みにした場合の保険料の徴収額 は一体どれくらいになりますかということをお願いしております。注2を見ますと、現 在59万円となっている。これを協会健保並みにすればどうなるかというところで、や り方として注3で協会健保並みの増えていった部分の事業主負担はカウントしない形で 考えた場合には、82万円の上限になる。協会健保並みにして、その間の協会健保の事 業主負担も同時に出す、すべて負担してもらうという計算でいくと163万円になる。 そして、保険料の上限というところを見てみると、82万円の場合だったら3,000 億円、163万円の場合だったら6,000億円。これはどちらの方がいいかというの は、私はわかりません。例えば、年金だったら自営業者に入りなさいというような報酬 年金を設定したら、これは労使両方分払った年金保険料を払う形で制度設計するわけな のですけれども、医療の場合果たしてどちらの方がいいのかというのは、私はちょっと わからないところがありまして、これはいろいろと検討する余地があると思います。  ただし、ここは3,000億円、6,000億円とありますが、私がこれをお願いし た理由は、いろいろな形で被用者保険から財政調整が増えるかもしれない、そのときに はやはりある程度国保の方も被用者保険と同じようなところまで上限を上げたらどうだ ろうかという意図があって、これをお願いしたわけなのですが、国保というのは国保に 係る医療費から国庫負担を引いて保険料を算定する仕組みになっているので、上限の人 が増えていったからといって被用者保険からの財政調整額が減るわけではないんですね。 ただ、保険料の賦課上限をあげれば高額所得者の負担は増えるので、国保が持っている 逆進性の緩和という方向に作用する改定になることは確かだと思います。  (3)が被用者保険の65歳以上被扶養者に係る割増保険料率です。先ほど川渕先生から 寄せられた個人単位なのか世帯単位なのかというところで、わたくしは長寿医療制度が 個人単位として制度設計されている点は、この制度の長所だと思っております。ところ がもし65歳以上に前期高齢者みたいな仕組み、昔の老健制度のような仕組みで財政調 整するような仕組みを考えた場合には、どうも個人単位にできない。そのときに、自分 のところに被扶養者が1人いますといったとき、割増保険料率というのがあっていいん じゃないかというようなことを計算していただいたんですね。そうすると、自分のとこ ろに被扶養者、母が1人いますからということを言うと、実は9%の保険料を追加的に 払わなければいけない。そのぐらい高齢者というのは、ものすごくお金がかかるわけな のですけれども、それに対して9%は余りだよねということで、実際の後期高齢者医療 制度の保険料は公費と支援金で9割で、高齢者が払う保険料は1割しかないわけですか ら、下の方に書いてあるように長寿医療制度において負担することとなる保険料相当額 を割増保険料率とすると、大体その10分の1としての1.0%、そして、組合健保だっ たら0.7%という形で、ちょうど上の10分の1になってきます。  ですから、上の方の9%はさすがに無理なんだけれども、下の方の1.0%だったら 少しは視野に入れてもいい値ではないかと思われるわけです。これは個人単位にはなか なかできない今までの制度を、そのまま運営していきながら、被扶養者として高齢者が 家族としていますよといったときに、割増として1.0%を追加的に払ってもらうとい う形でやっていくと、財政的には実質的には個人単位と同じことになりますし、先ほど の裕福な家庭に暮らしている人の方が保険料を払わなくてもいいという、子どもに扶養 されている方が保険料を払わなくてもいいというようなことはなくなってくると同時に、 裕福な子どもの収入というのは多いわけですから、同じ1.0%でも多い保険料を払う ことになるという話です。  (4)は、高齢者の患者負担割合を1割に変更した場合の医療費・医療給付費の変化です。 高齢者の医療費は5倍ぐらいかかるということをよく言われている中で、現役並みに所 得があったら、現役並みの自己負担率3割というのは5倍医療費を払えということかと いうようなことで、非常に理に合わないところがあるんじゃないのというのが私の中で は昔からあって、いっそのこと65歳以上の患者負担割合は1割にすることを約束して しまうと。そのために、現行制度で3割である人たち65〜69歳の人たちとか70歳 以上の現役並み所得者はすべて1割にすると。65歳以上の人たちは、この国では1割 の自己負担になってもらうという理由ゆえに65歳以上を対象として各保険者間で財政 調整する、つまり65歳以上の人たちは若い人たちがみんなで支えるんだよという新し い制度になるときには、具体的に自己負担が減っていくという仕組みにすると幾らぐら いかかるかということを試算してもらいました。  そうすると、増加額としては医療給付費としては7,800億円、医療費全額にする と4,000億円、「これぐらい払おうよ」というのが私の根っこの部分にあるわけなん です。消費税1%で2.5兆円とすれば、約0.3%で65歳以上自己負担1割社会を 買うことができるわけです。大臣も負担で世代間の対立が起こらないようにとおっしゃ るのですが、私もその辺は非常に重要なことだと思っています。ただ、私たち生活者と いうのは、いずれ高齢者になるんですね。だから、この制度を約束してくれ、将来私た ちが高齢者になったときにいきなり自己負担が増えない限り、別にこれくらい負担して も構わないんじゃないかと思うわけです。ただ、事業主から見ると、彼ら事業主は健康 な現役世代の人しか雇わないから、勤労世代、若い人の負担を減らそうと思いっきり言 いたくなると思いますけれども、我々生活者から見れば、いずれ自分たちも高齢者にな る。そのときにこの制度を維持してくれるということを約束してくれる限り、私たちは これくらいのことは払いましょうよというような世代間の公平という考え方もあってい いのでなはないかというのが根っこにあって、これをお願いいたしました。  以上です。 ○宮武委員 権丈さんの要請された資料で事務局がおつくりいただいた2番目の前期高 齢者の財政調整の仕組みを75歳以上にも拡大した場合の試算がございますが、ちょっ と教えてほしいんですが、要するに今は75歳以上の人に対して、公費5割を入れた上 で被用者保険の方から支援金を送っている、それを65歳以上に拡大した場合、総額が どんなふうになるのかと考えればいいのだろうと思うんですが、5割入れているケース IIの場合、組合健保は2兆5,000億円ぐらいで大体現実と合っているわけですが、 協会健保の3兆2,000億円が実態よりもかなり高い金額になっているのは、何か理 由があるんでしょうか。 ○村山課長 協会健保についてのお尋ねでございますけれども、ケースIIの協会健保3. 2兆円というのは現行に比べてかなり高いということですが、現行ですと約3兆円程度 で、2,000億円程度の増加になるのではないかということです。理由につきまして は、後期高齢者医療制度の場合ですと、御指摘のように公費5割を負担した後、まず1 割は高齢者負担、残り4割について各保険者が負担するのですが、負担額は現役の人数 だけで按分したものという仕組みです。前期高齢者医療制度の仕組みを75歳以上に拡 大する場合には、75歳以上の方々もそれぞれの医療保険に加入し、各保険者の負担額 にはその保険者に加入している75歳以上の方々の医療費の実績が入ってくるなどの影 響もあり、若干多めになるということでございます。つまり、前期高齢者医療制度のし くみを75歳以上に拡大した場合、保険者は現行の1割分と4割分を合計したところを 負担しますが、負担額は医療保険全体の加入率を用いて加入率調整するので、各保険者 の人数だけでなくその保険者の75歳以上加入者の医療費の実績も加味される。ところ が、現在の制度は1割の部分は75歳以上の方々の保険料となり、残りの4割の部分に ついて各保険者の75歳未満の人数の完全頭割りということです。このような計算方法の 違いから、少しずれが出ています。  それから、健保組合の場合、ケースIIの場合ですと2.5兆円ということで、実際に はご指摘のように、ほぼ同程度ということでございます。 ○岩本委員 同じページの質問なのですけれども、これは制度が今と変わりますので、 負担する金額もいろいろと変わってくると思うんですけれども、国保の計算はされてい るんでしょうか。現行と比べてこういうような改正をした場合に、国保の負担額という のはどのように変化するのか、もし、計算されていたら教えていただきたいんですけれ ども。 ○村山課長 ここでは被用者保険の部分ということで計算しておりますが、現行の被用 者保険の場合ですと約6.4兆円。ケースIIの場合ですと6.5兆円ですから、若干多 くなっています。被用者の分だけでこの程度ということです。国保につきましては、今 手元にございません。制度や保険料の部分をどのように考えるかということもあると思 いますが、計算しておりません。 ○権丈委員 今のところでよろしいですか。私が被用者でお願いしたのは、ずっと昔か ら本を読んだりいろいろしていますと、組合員とか被用者の人たちは被用者の中での助 け合いだったら文句は言わないけれども、国保の方に流れるのだけは阻止したいと言っ て物すごくエネルギーを注いで頑張って抵抗してるんですね。そのエネルギーをずっと 見ていると、応能原則による財政調整は被用者のところでは抑えるのが一つの路線とい うか、財政調整はこの辺で抑えるのが妥当なような気がするわけです。そうしないと、 昔からずっと何か感情的に国保の方にとられるという感覚で頑張るんですよね。決議大 会をやったりとか、そんなお金をつかうなら医療に使おうよと言いたくなるようなこと を、いろいろするわけなのですけれども、その辺のところがあって、私は被用者だけを 対象として計算をお願いしました。 ○山崎委員 実は、今回も廃案になるという新聞報道ですが、本体の方の協会健保に対 する財政支援、健康保険組合等による財政支援の法案でございますが、実は私も権丈委 員と同じようなことを考えておりましたから、資料として結果的に同じような数字が出 ているのですが、高齢者医療制度に対する被用者グループの拠出を応能負担とするとい うことは、実は高齢者医療に限って被用者保険制度間のリスク構造調整を徹底するとい うことなんですね。65歳以上の高齢者医療費の割合は恐らく5割位だろうと思います が、将来もっと増えていく。ですから、本体の65歳未満の協会健保と組合健保の財政 調整をしようとしているわけなのですが、65歳以上の高齢者医療に対する拠出を完全 に応能負担で調整してしまえば、今、提案している本体の調整による財政効果はほとん ど出てしまうような気がいたします。あるいは将来は高齢者医療がもっと膨らむわけで すから、高齢者医療費について本当に連帯を徹底すれば、さらに大きな財政効果が出て くるように思います。  私は、やはり日本では老人医療費を共同で公平に負担するというのが、一番合意が得 やすいと思っております。ただ、恐らく岩本委員などは全年齢で完璧に調整せよとおっ しゃるのでしょうが、そこまでいかないとすれば高齢者医療費に着目してという感じが いたします。  ただ、被用者グループであれば連帯することに合意が得られるかというと、実はこれ も非常に困難でございまして、特に、協会健保と組合健保の間での調整についていろい ろ議論されていますが、実際には組合健保間の格差の方がはるかに大きいんですよね。 ですから、私は協会健保と組合健保の調整と言う前に、組合健保の中で組合主義を推進 するというのであれば、仲間同士で助け合うということを進めるべきだと思うのです。 ですから、苦しくなって協会健保に移行する組合を支えなければいけないと思うのです。 組合主義を推進するのであれば。そういう気がするのでございますが、これも非常に難 しいですね。  要するに、今日の数字にでも出ていますが、私のお願いした資料で言うと、(5)加入者 一人当たり総報酬なんですが、ここで加入者一人当たりの総報酬が最高と最低で3.1 3倍になっています。その高いところというのが、非常に政治的に力を持っているとい うことでございます。中小企業を代表する人たちの声が全然こういう場に反映されない ということが問題なのです。それは政府の責任だということで国庫負担で調整せよとい うことになってきたのは、非常に残念なことだと思います。  なお、念のために申し上げますと、同じような保険者間の料率に直した場合の格差と いうのは、介護保険料の2号被保険者にもそのまま出ております。物すごく違いがあり ます。45〜65歳未満の者が払う介護保険料も、頭割りですから、同じような問題が あります。なぜそれが問題にされないのか、私は不思議でならないんです。 ○権丈委員 何度も済みません。山崎先生がおっしゃったように、私の案では高所得組 合健保の負担増を伴うので、組合の中での調整が非常に難しい問題だと私も思っており ます。ですから、ここは川渕先生の完全一本化案とか、岩本先生の全年齢を対象とした 財政調整をやるとかというようなことを私も応援しますので、その辺りのところを言っ ていただければ言っていただくほど、被用者保険の中で等しい保険料率で高齢者の医療 費を負担する財政調整というところに落ち着いていくのではないかと私は見ているので、 川渕先生や岩本先生には是非とも、どんどん言っていただければと思っております。よ ろしくお願いします。 ○岩本委員 権丈先生のお考えというのは、今の高齢者の財政調整の仕組みというのは、 現役世代が均等割で負担しているという形になっていて、ただ、被用者保険の中では応 能負担というものが定着しているわけだから、そちらの方に考え方を変えた方がいいと いうことを如実に示されたということだと思いますので、実際問題として国保を巻き込 んで応能割にしてしまいますと、先ほど権丈先生もおっしゃられたような政治的な困難 が伴いますので、現実的な解決策としては権丈先生がおっしゃる形、とりあえず国保総 額と被用者保険総額のところは均等割で分けておいて、被用者保険の総額の中身は応能 負担でやりましょうという考え方というのは、非常にリーズナブルな考え方でいいので はないかと思いますし、こういう数字を見せて、下の保険料率に換算したものを広く皆 さんが知るようになれば、これはそろえていこうじゃないかという話になってくると私 は思います。  そうすると、その先には高齢者だけではなくて、現役世代のところにも同じような問 題が介護保険の方にあるということになるわけですから、そういった方向に広がってい くのではないかということだと思います。  私が要求した資料も御説明した方がよろしいかと思いますので、一番最後に(6)で財政 調整制度の現状の仕組みをまとめてくださいということでおまとめいただいたものがあ ります。  私が全部説明すると長くなりますので省略いたしますが、要は、一番左の縦側に年齢 構成の調整、要するに給付側の格差がありまして、2つ目は、負担、能力の格差という のがあって、これはさまざまな仕組みで現在ならそうということでいろいろしていると いうことですけれども、ならし方の理屈が整合的になっているかどうか。そのならし方 も完全にならしているのか、部分的にならしているのか、さまざまな現状になっている わけです。果たしてこれでいいのだろうかという問題意識がありまして、その辺りを明 瞭に示すものになったのだろうと思います。更にディテールは細かいので、現状は複雑 なものであって、しかしながら格差はいろいろ残っていて、それをどうするかという問 題があるんだということをこの資料は示しているものだと思います。  今日の議題に関して意見を述べさせていただきたいのですけれども、資料4の10 ページ、長寿医療制度の保険料の概要の図式ですが、国保にならって応能分5割、応益 分5割でまずいきましょうとなっているのですが、結局、応益分のところに負担能力調 整分を入れていかなければいけないということで、応能負担のようなものが入ってきて います。私は前回申し上げたと思うのですけれども、ばっさり応能負担で割り切っても いいんじゃないかという気持ちでおります。  現状どうなっているか、かみ砕いて説明しますと、お客さんがカレーライスとハヤシ ライスと両方食べたいのではないかと皿によそって出したところ、どうもハヤシライス が口に合わないということで、ハヤシライスにカレーライスをもう一遍かけ直したとい うのが、この応益負担のところ。ですから、長方形になればいいところを段々の形に軽 減措置が入っていると。これは段々になっていると、段差のところでガクンと軽減額が 減りますので、実は所得は少し上がると可処分所得は減ってしまうという、税の世界で は絶対やってはいけないことが起こっているわけです。それをならすのだったら、なだ らかなスロープにすればよくて、そうすると形は上と同じですねと。要するに、応能負 担になってしまいますねということなわけです。  そういうことであれば、4月に入ってこの制度になって随分たたかれたのは、低所得 者の人にも負担を求めているということがあったと思います。ですから、制度設計され た側は応益応能半々だという考え方にのっとって進んでいると思うのですけれども、果 たしてそれは受け入れられているのか、お客さんの口に合っているのかどうかというこ とです。これはちゃんと聞いて確認しているのでしょうかというのは非常に疑問に感じ ております。国民に世論調査か何かでやって、応能でいくのがいいのか、それとも応益 も入れた方がいいのかというのはどう思っているのかを聞いてみた方がいいんじゃない かという気がします。  応益を入れなければいけないと言われているのは、まさに所得が低くて応能負担です と保険料を払わないと。その代わり、たくさん医療費を使っているとなって、それでは 不満が起こるのではないかという考え方があると思うのですけれども、ただ、この4月 から起こったことというのは、低所得者の人も医療費を使うわけだから、幾ら所得が少 なくとも払って当然だという意見ではない方向に流れたような気がするのですけれども、 その点もっと率直に国民がどう思っているのかというところから原則を考え直した方が いいんじゃないかというのが1点です。  もう一つ、世帯単位と個人単位が混ざっているというところなのですけれども、これ は応能でいきますと世帯単位が基準になりますので、これで判断するということは妥当 だと思うのですが、保険料の個人単位ということが問題と、もう一つは、後期高齢者医 療制度というものが世帯の中でも分断してしまったために、世帯単位の世帯の判断と制 度が切れてしまっているという大きな問題を引き起こしたわけですよね。これも制度を かなり大きく直すということであれば、やはりその中で直していかなければいけないの ではないかと思います。  もう一つは、保険料の制度設計は、社会保障審議会の医療保険部会の方でずっとされ ていて私も入っていたのですけれども、私はそのときに言っておけばよかったなと思っ たのは、保険料のシミュレーション、制度変更をすることによってどういうふうに皆さ んの保険料が変わるのかということをしっかりシミュレーションしておきなさいよぐら いは言っておけばよかったかなと思いまして、4月からの騒ぎを見れば、まさにそうい うことが抜けていたということが、これは制度設計の中では失敗だったかなと私も反省 しております。  それが一つは、保険料を払うんだけれども、これで給付を受けられるのだからとみん なありがたがって払ってくれるだろうという思いがどこかにあると思うのですが、今は そういう時代ではない、かなりシビアなところで財政が動いているわけですから、その 辺り配慮してやることは必要だったと思います。  しかしながら、制度改正の前後で保険料が上がった、下がったと比較する、それで上 がったらだめだというのは、前の制度の方がいいという暗黙の前提が入っていることに なりますけれども、それはそれでまた問題だろうと思います。私がそういうことを言わ なかったのは、一つここで新しい制度で、ある意味白地に近いところでの新しい制度で すから、保険料の負担の方式を考えようということで始めたと思うのです。その制度の もとで前に比べて変化が起こった部分というのは、ある意味そこにこだわるのはおかし いというか、新しい原則のもとで、みんなで納得して進めればいいと思ったわけですが、 そういった意味で、やはり原則は非常に大事だろうと思います。例えば、時間が経って 保険料の変化が余り騒がれなくなってきたのですけれども、これからもし変化があると しても、ただ、どこかからお金を持ってきてここに入れて負担軽減ということではなく て、しっかりとした原則、国民に納得してもらう原則を考えた方がいいだろうと思いま す。 ○山崎委員 今、岩本委員が、国民がどう思っているかということを盛んにおっしゃっ たのですが、住民がどう思っているかということを問いかけてつくる仕組みになってい なかったことに問題があるのだろうと思うのです。それが広域連合というのは、本日の 資料ですが、5の広域連合というのは独自の首長及び独自の議会を持っており、責任を 持って保険者機能を発揮できると書いてあるのですが、そういう保険者機能を全く発揮 しないでつくってしまった、住民と対話しないで。国保の場合は、賦課方式をどうする か、賦課割合をどうするか、けんけんがくがくといつも議論するんですよ。そういった ことが全くなかったんですよね。ただ、保険局から出した数字か何かで、はい、わかり ましたと、こんな保険はないと思います。そう私は思っております。 ○塩川座長 今日は本当にいい、実りのある検討会を開催していただきました。まだま だやりたいのですが、1月にまたありますから、楽しみにしております。どうぞ、また 一層の御意見をひとつ本音で言っていただけるようにお願いいたします。  今日は本当に御苦労様でございました。ありがとうございました。 ○舛添厚生労働大臣 どうもありがとうございました。 照会先 保険局高齢者医療課 企画法令係     (代)03−5253−1111(内線)3199