08/12/03 第61回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第61回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年12月3日(水)午後2時00分から午後5時00分まで   航空会館7階 大ホール 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部、大森、大島、沖藤、小島、勝田、川合、神田(代 理:牧野参考人)、木村、久保田(代理:今井参考人)、齊藤、武久、田中(滋)、田 中(雅)、池主、対馬、中田、三上、村川の各委員 3 議題  <審議事項>  1.平成21年度介護報酬改定について  2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻となったので、第61回社会保障審議会介護給付費分科会を開催させていただきた いと思う。  まず初めに、本日の出席委員の先生方の御出欠状況であるが、矢田委員、山本委員から御欠席と の御連絡をいただいている。  また、本日は神田委員に代わり牧野参考人に、久保田委員に代わり今井参考人に、それぞれ御出 席いただいている。  今井参考人は、途中で退席されるということである。  したがって、22名の委員の先生方に御出席いただいており、定足数である過半数に達しているの で会として成立するということを申し添えさせていただく。  それでは、以降の進行を大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  それでは、資料の確認をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料の確認をさせていただく。  まず議事次第、それから委員名簿、そして給付費分科会の座席表がある。  その後、事務局提出の本資料であるが、1−1というのが今回の改定等に係る処遇改善の大きな 概要ということで、少しポンチ絵的に整理をさせていただいている。  これを文章で少し記載をさせていただきましたのがたたき台の概要ということで、1−2は「平 成21年度介護報酬改定に関する審議報告(たたき台の概要)」である。  更にこれを細かくさせていただいたのが、資料1−3の「平成21年度介護報酬改定に関する審議 報告(たたき台)」というものである。これは、基本的には先生方に毎回御議論をいただいていた具 体的な課題、事項に先生方の御意見等々を加え、おおむね先生方の御理解をいただいているかなと いうところについてまとめさせていただいたものである。これについても多々御意見はあろうかと 思うので、また御議論の中で言っていただければと思う。  それから、資料2は「介護予防支援業務の業務実態について」である。  資料の3は、「サービス提供責任者の報酬上の評価及び人員配置基準の見直し」である。  本資料はそこまでで、参考資料1、これは前回まで先生方におっしゃっていただいた主な意見と いうことで、川合委員から御指摘のある部分については削らせていただいた。それから、三上委員 から御指摘のあったところは17ページに記載をされているということである。それ以外にも、資料 がアップデートされている。  参考資料2は、御説明というよりは後でご覧いただければと思うが、委員の先生方から具体的に お求めがあった資料についてである。おめくりいただくと、1ページ目が老健における在宅移行に 向けた加算の算定割合、これは沖藤委員から御希望があったもので、実際には50%以上在宅復帰し ている施設が対象なので、約25%がそもそも対象になるが、結果として算定しているのは5.5%と いうことで、5分の1程度ということになろうかと思う。これは退院した後も入所者の家族との連 絡調整を行っているということが条件なので、その辺が理由としてあろうかと思う。  次のページは、同じように退所前後の指導で算定割合がどのようになっているか示したものであ る。これは、かなりの割合で算定されているということである。  3ページ目は、井部委員から御要望があった転換老健で経管栄養、喀痰吸引をしている、もしく はランクMに相当する人がどのぐらいいるかという割合を示した資料である。  それから、最後の3ページについては介護サービス情報の公表制度、これは三上委員から御指摘 があり、大森分科会長からもあったが、現在どういう見直しをしているかということについても記 載しているので、参考資料としてご覧いただければと思う。  それから参考資料3、これは当分科会の審議事項、所掌ではないが、要介護認定の一次判定ロジ ック見直しについてで、後でこれについては御説明を差し上げたいと思う。  そのほか、稲葉委員から提出資料が出ている。  以上が今日、配布させていただいたものであるので、もし過不足等があれば事務局に申し出てい ただきたいと思う。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  それでは、早速議論に入りたいと思うが、まずは番号の順番に資料を説明いただく。そして、必 要なものはそのまま読み上げていただくので、その後、若干休憩を取り議論をしていただくという ことにする。  それでは、お願いする。 ○ 鈴木老人保健課長より資料1−1及び資料1−2について説明 ○ 藤原企画官より資料1−3を朗読 ○ 土生振興課長より資料2について説明 (大森分科会長)  報告は以上である。  それでは、長時間にわたっているので、10分ほど休憩し、3時15分に再開する。 (休憩) (大森分科会長)  そろそろよろしいか。  今まで説明があったもののうち、私どもにとって大事なのは全部読み上げた文章であり、今日こ れについて御意見を賜って、その上で次回に修文の必要性があれば出したものを次回に出して、で きれば決着をつけてしまいたいというのが私の意向である。少し早いが、その理由は後ほど述べた いと思う。  それでは、前回と同じように御自由に御意見をいただく。  それでは、対馬さん、どうぞ。 (対馬委員)  今お読みいただいたが、これまでの議論を踏まえておおむねきちんと整理されているのかなとい う印象を受けたところである。それで、意見が1つと、質問が1つある。  1点目は、資料1の1ページ目の3つ目の段落のところだが、介護報酬改定率に触れている。こ れについては、中身自体、3.0%がいい、悪い、高い、低いと捉え方はいろいろあると思。しかし、 私どもからするとこれに伴う国の補助の配分1,200億について納得しかねるというところはあるが、 そこは置いておくとしても、非常に唐突感があって、我々がまさに審議をこれから深めていこうと いう段階において出されたということについては、やはり遺憾の意を表すべきではないか。これか らのこともあるので、そこは私としてはひとつ意見を申し上げておきたいと思う。  それから、もう一点は質問の方になる。2ページ目、3ページ目辺りで、全体に「評価する」と いう言葉と、「見直す」という言葉と、それから「適正化する」という言葉がある。それらはまさに そういう意味合いで用いられているのだろうと思うのだが、ちょっと細かいところになるが、3ペ ージ目の一番上の段落の上から6行目くらいになるが、「認知症高齢者への評価を行う」とある。こ れはいわゆるワーディングだが、認知症高齢者のサービスとか、認知症高齢者へのケアの評価を行 うということかと思うので、これは特段のことはない。  今回の改定でもメリハリをつけていくということが重要だと思うが、この中で「適正化」と書い てあるところを見ると、外泊時費用のところである。11ページ目とか12ページ目になるのだが、 これが恐らく医療との関係がある部分だが、そこで「適正化」という言葉がある。11ページ目のち ょうど真ん中くらい、一番下の段落のところに外泊時費用についての「評価を適正化する」。それか ら、12ページについても外泊に関わってそういう表現があるが、「適正化」をするというのはこれ だけでいいのかどうかということが質問である。  以上である。 (大森分科会長)  では、お答えいただきたい。 (鈴木老人保健課長)  言葉の使い方、特に「評価」、「見直し」、「適正化」である。我々ももう一回精査するが、「見直す」 というのは基本的には今あるものについて変えるということで、「評価する」といった場合にはおお むね、今評価していないものを評価したり、新しく今までのものに足し増して評価をするというよ うなイメージが多いと思う。「適正化」というのはまさにおっしゃるとおりで、例えば合理化をする とか、一定程度医療との整合化を図るということを主眼に使っている。こうした文言の書きぶりに ついてはもう一度、次回までにしっかり我々の方でも見ていきたいと思っている。  また、2点目に「そこだけなのか」というご質問だが、実はそれ以外にもいくつかこの中で適正 化項目がある。例えば居宅療養管理指導でも6ページの一番下のところである。これは評価の見直 しと書いてあるが、実際上、例えば多数の方が入所しておられる居住系施設に行ってこういう居宅 療養管理をする場合には、行く手間はそれぞれの御自宅に行くよりは少ないので、それに見合った 評価、適正化をするということである。いくつかそういう点はあるので、今、お申し越しの外泊時 等々だけではないということで、石川委員からも常々いっていただいているが、きちんとめりと張 りをはっきりさせて評価すべきところは評価をする、適正化、整合化を図るところはきちんとする ことを留意したいと思う。 (大森分科会長)  末尾の文章の読み方の解説である。  それでは、勝田さんどうぞ。 (勝田委員)  いよいよたたき台が出されたが、3ページに認知症のケアの充実ということで大きく取り上げて くださったこと、そして若年認知症の対応をしっかり出していただいたことを感謝したいと思う。  そして、是非お考えいただきたいことがある。実は昨日、若年認知症と告知された5年4か月に なる60歳の方からお手紙をいただいた。それで、ちょっと御紹介したいと思う。  「介護保険はだれのために、また何のために作られた制度なのでしょうか。いま一度、原点に戻 って改定に当たり見直してもらいたい。本当に第1に本人、第2に介護家族、第3に介護従事者の 順に各々の意志が尊重される施策が盛り込まれているのだろうか。現場の実態を知らない人、現実 を知らない人によって作成されているのではないだろうか。  要介護度が高くなれば、介護サービスの量は確かに増えるけれども、受益者負担も当然高額とな る。好きこのんでこの病気になっているわけではない。そのために仕事にも就けず、収入もない。 そんな中で、負担が大きくなるとサービスも我慢せざるを得ない。非常に理不尽な話だと思うので す。働こうという意志があっても、体や頭が言うことをきいてくれないのです。はたから見れば、 怠け者呼ばわりされます。  生きる権利は裕福な者、貧しい者も万民が平等に有する権利だと思うのです。本人、介護者にと って少しでも負担が軽減されるよう、お願いします」というお手紙をいただいた。  私どもとしては、今回の中で特に認知症は軽度だからと言って介護負担が軽くなるということは ないということを何度も申し上げた。初期だからこそ介護家族も混乱する。本人の心に沿ったケア をすることで、その重度化を防ぐことができる。そういう点で、介護家族に対する認知症の基礎知 識を地域包括やケアマネさんがしっかり対応することで、在宅介護が長く継続される。初期から終 末期まで、切れ目のない支援策を特にお願いしたいと思う。  その中で地域密着型やグループホームは軽度の認知症の本人や家族にとってとても大切である。 軽度の認知症の人が使うのはいかがなものかという意見も以前にあった。でも、本来、軽度の認知 症の人たちへのサービスとして位置付けられたものだったのではなかったのか。もちろん中・重度 への施策を重点的に対応することもとても大切である。しかし、軽度のときこそしっかり対応する ということで重度化させない施策こそ、費用対効果も大きいのではないかと思っている。今回、3% アップに伴い、限度額も3%アップを是非していただきたい。  私どものアンケートでは、特に中・重度の人たちが利用限度額を超える方が13%強ある。現在は それを超えた場合は10割負担になるわけだが、これを是非段階的な負担にしていただきたいという ことをお願いしたい。  また、もう一点だけどうしても述べたいことがある。それは、ホームヘルパーさんは在宅介護の 要だが、38万5,000人のうち非常勤が30万人、76.1%とこの中の資料にも付いている。  それともう一つ、皆さんにお尋ねしたいのだが、この中に常勤と非常勤という言葉と、ところが 常勤の中に正職員と非正職員がいる。常勤が一定の割合ということで、今度は加算されるというこ とも書かれているが、本来その定着率を高めるというのは、正職員にするということではないかと。 これから資料を出されるとき、常勤、非常勤ではなくて、常勤換算ではなくて、正職員なのかどう かということを出していただきたい。  一方、2兆円のばらまきということがあるが、介護とか福祉とか医療、やはり命を守るところに 是非予算配分をしていただきたいというのが私たちの願いである。  そういう点について、どのようにお考えかということを合わせてお尋ねしたいと思っている。  以上である。   (大森分科会長)  最後のことはお答えできるか。 (鈴木老人保健課長)  直接的にはお答えしづらい部分があると思うが、やはり介護保険がそもそも何のためにあるのか、 我々がどなたのために働いているのかというのはしっかり見据えた上で、さまざまな対策を考えな ければいけないと思う。  また、今回ここで直截的に御議論いただいているのは介護報酬の改定だが、恐らく今、勝田委員 がおっしゃった中には、例えば障害年金のようなものをどう考えるのか、その他の支援策、予算な り何なりをどう組み合わせてやっていくのかという幅広いものを組み合わせて若年性の認知症の対 策、全体の認知症の対策、そして介護を要する人の対策ということを複合的に考えるべきだという ことだと思うので、我々の方でも局を越えて一緒に考えていきたいと思っている。 (勝田委員)  常勤、非常勤ではなくて、正職員との割合についてはいかがか。 (大森分科会長)  それは説明していただきたい。 (土生振興課長)  今回、常勤要件の緩和かどうかという議論でこういう切り口で出させていただいたが、お尋ねの ような資料を関係部局も含めてどの程度出せるか、次回までにできるだけ御用意させていただきた いと思う。 (大森分科会長)  正社員ではない人で常勤、非常勤という区別が今日の資料で出てきたから、通常の分け方と少し 違うなという印象を持たれたのではないか。それはどういうふうにカウントされるのかという素朴 な疑問を持ったということで、私もそう思うのだが、次回にきちんとお答えいただけるようにする か。 (土生振興課長)  まずデータを当たってからということにしたいと思う。 (大森分科会長)  どのようになっているか、データを当たっていただけるのか。そのようにさせていただく。  では、三上さんどうぞ。 (三上委員)  私も対馬委員がおっしゃったように、3%の介護報酬改定は以前にも申し上げたが、唐突な感じ であり、この分科会の意義が否定されたような気がするので、本当に遺憾だと思う。  また、11月26日に財政等審議会の予算編成等に関する建議、あるいは経済財政諮問会議が28日 に出しました21年度予算編成の基本方針にも3%ということが決定したように書かれている。  それに伴い、同じ28日に自民党の社会保障制度調査会の介護委員会が開かれており、ここでかな り国会議員の中でも議論があり、どうして決まったのだ、根拠はあるのかというふうなことがいろ いろ議論になったようであるが、田村委員長の方もこれに対しては根拠がはっきりしないというこ とをおっしゃっている。ただ、プラスになったということはよかった。方向が転換されたのだが、 3%がだめということはないが、十分だとは思わない。余地があるならばもっと上げたいというこ となので、これは与党の中でもまだ上がる余地があるのかということを私は考える。  それともう一つは、3%が10月30日の閣内の経済対策閣僚会議合同会議で発表されているが、 その前に恐らく官邸の方に厚生労働省の方から情報提供があったと思うが、どのような形の情報提 供があったのかをひとつ教えていただきたいと思う。  それから、以前に申し上げた介護事業所の情報提供公表制度についてである。前回も申し上げて 今回、議事録の方に載せていただいたということでよかったが、16年の社会保障審議会介護保険部 会の議事録を調べると、大森会長も出ておられるが、16年3月の社団法人シルバーサービス振興会 がやっている介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会の中間報告がここに資料として 出されており、そこに費用負担の在り方について、費用負担は先行している痴呆性高齢者グループ ホームの外部評価等の例を踏まえると事業所の負担とすることが適当というふうな資料が出されて いる。  ただ、この中の議事録を見ると、議論された形跡が全くなく、関連したものをよく集めると小川 委員という方が情報の標準化については今回の評価は介護保険にお任せではなく、自分たちの責任 でサービスをつくり、運営していくことが国民全体に突き付けられたものだ、市民が参加して評価 するシステムを市町村あるいは都道府県でつくっていくべきではないか。このことだけで、全くほ かは議論されていない。この経過の中でどうして事業所負担になったのかということを御説明願い たいと思う。  それから、今日のたたき台についてである。  まず1ページ目の一番下の3行だが、「給与等処遇に関する情報の公表については、事業者や事業 者団体が自主的、積極的に取り組むことが期待される。このことを前提としつつ、国や事業者団体 が一定のガイドラインを作成する」というようなことを書いている。「自主的、積極的に取り組む」 ということは大まかな合意が得られているが、自主的であるということで義務化することではない ということだが、ガイドライン作成は自主的な取組みを強制するような印象を受けるので、これを 省いていただきたいと思う。  それから、4ページの介護従事者の専門性のキャリアについてである。上から3段落目のところ だが、2行目で、「質の高いサービスを図る客観的な指標として確立したものはない」。このため、 「介護福祉士の割合」に加えて常勤職員とか勤続年数の職員の割合を暫定的に用いるというように 書いている。これは以前、田中滋委員も堀田委員もおっしゃったが、常勤職員の割合であるとか勤 続年数の割合というのは質の評価に直接つながらないのではないかと思う。暫定的とはいえ、一度 入れるとなかなかこれを取り除くことが難しいので、これは十分その評価の方法を検討するという ことで、今回は「介護福祉士の割合」というふうな資格要件だけにとどめていただいたらどうかと 思う。  それから、6ページの上の2行目のところである。訪問看護で、「特別管理加算については、その 対象となる状態に重度の褥瘡を追加する」ということである。これは以前にも少し御質問させてい ただいたが、この「重度の褥瘡」というのはどの程度のものを想定しているのか。それによっては、 医療サービスへのアクセスが阻害されて利用者の不利益につながるのではないかということで、こ の「重度の褥瘡」の範囲を教えていただきたいと思う。  それから、7ページ目である。通所リハの一番下のところで、「一定規模以上の事業所に対する評 価のあり方について」ということで大規模減算のことがある。最後のところに、「規模の設定及び単 位を見直す」と書いているが、これはその前にありました5ページの居宅介護支援のところで、40 件以上の場合にすべての件数に適用される現在の逓減制について見直すということ、同じように大 規模減算についてもすべての件数について減算されるということを見直すというふうに整合性をと る必要があるのではないかと思うが、これについての御意見を伺いたいと思う。  それから、8ページ目のところで「短期入所療養介護」である。3段目のところに、「日帰り短期 入所療養介護について、かかる労力を適正に評価する」ということだが、療養通所介護との整合性 を図っていただいているかどうかということをお伺いする。  それから、9ページ目の8番の(2)の「夜間対応型訪問介護」の問題である。オペレーターの 資格要件のところは現在「看護師、介護福祉士等」とされているが、新たに介護職員の基礎研究修 了者と介護支援専門員を追加するとなっているが、准看護師が入っていないのはどういうことなの か。研修を受けた人よりも准看護師の場合は資格試験を受けているので、准看護師を入れていただ けないかということを申し上げたいと思う。  それから、10ページ目の真ん中辺りに「(6)認知症の確定診断の促進」というところがある。 ここに、老人保健施設入所者を認知症疾患医療センター等に紹介することについて評価を行うと書 いてある。これは、紹介先の評価について評価をするということだが、診療報酬上の評価というこ とを考えておられるのか。その場合には、医療課とのすり合わせというのは済んでいるのか。間違 っても老健から持ち出すということはないだろうということをお伺いしたいと思う。  それから、11ページである。老人保健施設の部分だが、上から5行目のところである。基準を上 回る配置について報酬上の評価を行うということで、これも加配部分だけを評価するということだ ろうと思うが、これは本来、今回の目的が人材の確保・処遇改善ということなので、基準内のもの というか、基本的にその基本となるサービス費用全体を見直していかなければ従事者の処遇改善に つながらないのではないか。一定の基準の中できちんとやっておられるところが、加算がなければ 全く評価されないということではどうかと思うので、その辺のお考えを伺いたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  御質問に当たる部分があるので、回答をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  まず冒頭に、3%について官邸なり政府与党とどのような情報提供をしているのかということで ある。これはなかなか限定しにくい。常に私どもは政府機関の一員としてもちろん官邸なり政府与 党と情報のやり取り、それからさまざまな御進講等々を申し上げているが、どの部分がそこに当た るのかというのは非常に難しく、当然ながら今回、介護従事者の処遇が非常に大変である。今まで この分科会の中でもさまざまな御議論をいただいていたように、離職率も高いし、処遇の条件、そ の他もろもろについて厳しい状況にある、更に、経営実調等を見てもこういう状況にあるというの は当然、我々の方としても相談させていただいているところである。  それから、具体的に何項目かご質問があった。私と振興課長等々に関係あると思うが、もし抜け ているものがあればまた個別に申し上げたいと思う。  訪問看護で褥瘡についての評価だが、重度の中で医療の報酬では多分3度、4度というのが一般 的な重度ということだと思う。その中で比較的3に近い方のところであって、まさに委員がお申し 越しのような医療機関でやらなければいけないようなものを除いたもので、在宅でこういう形でで きるものがあれば評価をするということではないかと思っている。  それから、ケアマネについては40以上の部分のみ減算をするということと、通リハ、それからデ イサービス等々の整合性はどうかということである。委員の論点について我々も理解しているとこ ろであるが、最大の違いはやはりケアマネについては自己負担がないというところであり、通リハ なりデイについては自己負担があるので、どなたが例えば今で言う899人目で、どなたが900人目 かというのはなかなか判別し難く、どなたからどのぐらいの負担を取ればいいのかということがわ からなくなってしまうということなので、我々の方としても頭を悩ませているところであるが、現 段階でなかなかよい知恵がない。  ただし、一定程度のスケールメリットにどう対応するかという課題はあるということではないか と思う。  それから、医療関係のショートについて、療養通所介護との整合性ということである。これは、 やはり置いている人材の数、それから実際に実施している時間、それから、おられる職種はどうか ということで、それは横並びできちんと見ていきたいと思っている。  それから、認知症について鑑別診断ということだが、これは紹介した先の医療機関が請求するお 金ではなくて、むしろ老人保健施設から医療機関にきちんとこういう状況であるということをもっ て紹介された場合には老人保健施設にお支払いするということなので、これは医療と重なる部分は ないと思っている。  最後に、老人保健施設で加えて評価するというところで、今回の趣旨をかんがみると加配部分の みではなくてということだが、今回加配部分を厚く評価する部分と、全部についてキャリアなり地 域なりで評価する部分というのが、先ほど申し上げたように3つの柱で複合的に出てくるので、こ れのみを評価するわけではないということではないかと思う。 (土生振興課長)  それから、情報公表制度と手数料で、何度か御指摘をいただいたところであり、私どもは過去の 経緯ですとかプロセスを検証させていただいているところである。  先ほど御指摘があった介護保険部会との関係ということであるが、その当時、議事録ということ でしか記録はないわけであるが、一定の専門の検討会で出された結果、費用負担については事業所 の負担とすることが適当という中間報告ではあるが、御報告させていただいた上で法案化に向かっ ていったということである。  もちろんそのときにどの程度十分な議論があったか、なかったのか。なかなか決めかねるところ はあるわけだが、私どもの立場からすると、一定のプロセスは経たということである。  それから、合わせて今日、参考資料2の4ページということで紹介している、個々に説明すると 長くなるので具体的には申し上げないが、制度発足以来、事業所負担の軽減ということも十分努力 をさせていただくとともに、また制度の利活用の促進ということも合わせて実施しているというこ とであるが、今後とも医療との比較はさまざまな御指摘をいただいているところであるので、制度 の在り方ということについても御意見を賜っていきたいと思っているところである。  それから、今回の給与等の処遇の情報については、これとは全く別の話であるが、まさにこの報 告をどう書くかというのはこの審議会でお決めいただくことであるが、私どものたたき台としては 自主的な取組みということを前提としつつということであるので、強制にはならないということを 当然前提としつつということで、たたき台として出させていただいているということだけ申し上げ させていただきたいと思う。 (大森分科会長)  オペレーターについてはどうなのか。 (菱田計画課長)  夜間訪問介護のオペレーターの件であるが、前回御議論いただいたときも、状況判断があるとい うことも踏まえてオペレーターの質の確保を、という御意見も出た。我々としては、准看護師につ いてもやや悩んだ面があり、今日の御意見も踏まえて引き続き検討させていただきたい。  今日はとりあえずのところと言っては失礼だが、基礎研修修了者と介護支援専門員は書かせてい ただいたが、悩んでいるというのが正直なところであり、また御議論いただければと思っている。 (大森分科会長)  では、川合さんどうぞ。 (川合委員)  かなり先に発言された方と重複しているが、まずやはり議事録に残るので、あえて多項目になる が申し上げる。  3%の問題は、本当に唐突で遺憾である。どこで決まったのか。我々が積み上げていこうという ことを11月14日付けで3団体が共同で出して、大森座長もこれはどういうことかというところで 終わっている。これがあたかも決まったようにされるというのは、私は非常に遺憾に思う。  それから、具体的なところに入るが、資料1−1である。これも堀田委員がおっしゃった、ある いは田中委員が文書で出されて不適切であると言っているにもかかわらず、勤続年数の割合という のが2か所で記載されている。  では、具体的にいく。まず資料1−3の1ページの下の方である。「(2)効率的経営を行うための経 営モデルの作成・提示」、この経営モデルの作成・提示は9月以降、私は過激な発言はしていないが、 実調の二百幾らを土台にされるのか。我々の九百幾らも含めて考えていただけるのか。n数の分布、 そういうようなところも含めてそういうところは方法論、これは日医の方からも定点調査をしたら どうかというふうな御提言もあったが、そのことについて一言の踏み込みもないと思う。  それと、我々の方からするならば、何度も申しているが、医療法人というのは借入金の返済があ る。そういうふうな中で、今の概況調査も実弟調査も帳票が非常に不備があると思う。  続いて、3ページである。対馬委員がおっしゃったように、用語がわからない。3の(1)に「事 業系運営の効率化」ということと、「安定的な供給を確保するために」という文章が同じところに載 っているというのが理解できない。どうしてここが一緒になってしまうのか。  それから、その行の一番下だが、「介護老人保健施設の支援相談員の常勤要件等」と、わざわざ我々 を御指摘されておられるものの支援相談員の要件というのはオールOKなのか。今ほどあったよう な介護支援専門員も含めてのことに強化されるのか。効率化と安定的な供給の確保という国語論を お教え願いたい。  それから、6ページで「訪問看護」の下から3行目、「訪問リハビリテーションの整備状況に地域 差がある現状を踏まえ」とあるが、これは医療での訪問の6か月のことを指しているのか。それで あるならば、(3)の「訪問リハビリテーション」の上から3行目、「退所後一月に限り」、ここの整 合性をどのように考えておられるのかということもお話をいただきたいと思う。  7ページである。「通所リハビリテーション」でリハマネ加算について、そこも同じことですけれ ども、「3か月以内に限定すること」と「3か月以降の個別リハビリテーション」、これは現行とど のように違うのかということをお教え願いたい。  それから、先ほど日医の方からもおっしゃられたが、下の4行です。「スケールメリットを考慮し つつ、全体としての事業所の規模の拡大による経営の効率化」、我々は経営の効率化というのを今ま で一生懸命してきたが、なお一層せよと督励、訓令されるのか。  10ページである。先ほど三上委員の方からも話があったが、お教え願いたい。認知症疾患医療セ ンターというのは何年に創設されて、全国に何か所あるのか。ここの「等」というところは何を指 しておられるのか。具体的にお教え願いたい。  それから、これは私どもの方を問題にするのであって、ほかの類型施設のことを言うつもりはな いので、誤解のないようにお願いする。  10ページの特養について、ちょうど真ん中辺りである。「基準を上回る夜勤職員の配置を評価す る」の1行下に「常勤の看護師の配置」という文言がある。それと、11ページの(3)、いわゆる 転換型老健について下から2行目、「夜勤の看護・介護職員の」とあるが、我々のところは11ペー ジの上から4行目、「夜勤の職員配置について」というところで看護職ということが入っていない。 このことは、この前出された資料の中で階段状の1人オーバー、2人オーバー、3人オーバー、縦 横のマス目があったが、それを我々はありがたいというふうに考えていいのか。先ほどの国語論で はないが、適正化の中に入っているのか。明確にお答えをいただきたい。  それから、在宅復帰加算については私は段階的にまだ50%、1段階よりもそれは進んでいるとは 思うが、そのことを踏まえてどの施設類型にもあるが、我々の11ページの最後の3行、「外泊時費 用については〜適正化する」というふうにまとめられている。老人保健施設の外泊というのは在宅 に向けてのトレーニングの意味もある。そういうことから考えてみた場合には、温かい表現がなか ったかなと思う。  それから、正確に文言では出ていないが、これをじっくり読んで考えてみると、ダブルスタンダ ードはこのまま固定するんだなというような決意が読み取れるが、そうなのかどうか。いつダブル スタンダードを解消していただくのかというふうなことを踏まえて種々、御質問させていただいた。 (鈴木老人保健課長)  勤続年数、それから常勤率等々については前回もちょっと御議論させていただいたが、確かにあ る意味から言うと完全な指標でない。特に質との関係が現段階で、完全に証明されているわけでは ないということは、田中委員からも堀田参考人からも御指摘をいただいた事項だと思う。  ただし、今回評価をしていくに当たって、キャリア以外にも、例えば夜の大変さをきちんと見て いく上で常勤率を見ていくとか、そういう質に関連する、もしくは離職を少しでも防止することに 関連するものとして、暫定的にはやむを得ないのではないかということを、田中委員は前回書面で あったが、また、堀田参考人からもお伺いしたと我々は理解をしている。  もちろん、三上委員からもあったが、これが例えば現在完全な指標であるとか、これを永続的に やるという意図ではないが、今回暫定的にはやむを得ない面があるのではないかと思っている。  それから、経営モデルについては各事業ごとにやるべきだということは当然なので、その上でど ういうベースで考えるかというのは、作業していく中で関係団体とも相談をさせていただきたいと 思っている。  それから、ちょっと御相談があった資料3の3ページの支援相談員の関係で効率化ということで ある。これは私どもの方でも舌足らずだったかもしれないが、先ほど振興課長の方からも説明をさ せていただいたような、ある意味でサービスの質は下がらないようにしながらも効率化をどう図る かである。具体的な例を挙げて恐縮だが、現行の基準だと老健施設の支援相談員というのは100名 当たり1人ということになる。したがって、101名になると2人必要になってしまう。これは200 名まで全く同じ数だということになってしまって、ちょっと非合理的ではないか。  むしろ100名までの1名は確保していただかなければいけないけれども、100名を超える部分に ついては常勤換算で少しなだらかに上がっていくと考えた方がいいのではないかということで、合 理化というよりは、むしろ効率化に即する運営コストを低減させる方策の一つとして考えてはいか がかということである。  それから、6ページで訪問リハの話があった。話が若干ずれているかもしれないが、6ページの 訪問看護の中の訪問リハが言及されているのは、訪問看護ステーションからPT、OTがいってい る場合、これを原則的には過半を超えてはいけないというルールを平成18年に入れたが、訪問リハ ビリテーション事業所自体にかなり地域差があることを踏まえて、そのルールを今回やめてはどう かということなので、「訪問リハビリテーション」自身の下の(3)に書いてあるようなところと直 接関係があるわけではないが、「退所後一月」と書いてあるのは、実際に通所リハビリテーションを 受けている方が終わると今はできない、今は、施設として入っておられる方が退所後、1か月は大 丈夫だが、通所リハビリテーションが終わった後、1か月はできないので、そこをできるようにし てはどうかということである。  それから、スケールメリットについては先ほど三上委員からの御質問についてもちょっと申し上 げたが、なかなか悩ましいところはあるが、少なくとも一番規模が大きいところの利益率がそれを 下回るところの利益率よりも下がってしまうという逆転現象が起こってしまうようなことについて は少し考えるべきではないかということで今回、挙げさせていただいた。  それから、外泊である。外泊時に実際にかかっている費用に即して見直すということを各施設共 通でさせていただいているが、もちろん今日、沖藤委員から聞かれた中のお答えの資料にもあった が、退院に向けて、退所に向けて老健施設で指導をしていただく部分については別途、評価がある ので、老健施設のそういう大切な役割について我々の方で忘れているわけではないということかと 思う。  それから、1つ飛ばしてしまったが、老健施設の夜間での職員の配置について、これは実は隠れ た適正化ではないかという御指摘だが、決してそんなことはない。手厚いところにはきちんと手厚 く評価をするということであるので、ちゃんと議事録にもその旨、残していただきたいと思う。  ダブルスタンダードの固定という川合委員の御指摘だが、恐らく言っておられるのは老人保健施 設の中で転換老健と普通老健、この評価というものをいつまでにどうするかということである。こ れは前回も多分お答申し上げたと思うが、少なくとも現在の療養病床転換の計画が一定程度収束を 見る24年3月まで、23年度の終わりまでは療養病床から転換される方を中心にまず考えて、その 後にどうするかということはまた別途考えさせていただくということである。  短期集中の3か月以内と3か月以降というのが通リハについてあったが、今は実は短期集中と言 いながら3か月以降も短期集中でご請求しているという変な形になっているので、短期集中は本当 に短期集中のものの評価にさせていただいて、3か月以降はその後、個別でリハをやっている場合、 その個別リハの評価をするということで、評価の名目と評価のコストとをきちんと合わせて考えた いということである。 (井内認知症対策室長)  あとは10ページの(6)の「認知症の確定診断の促進」のところだが、御質問があったのは認知 症疾患医療センターについてであった。こちらのセンターについては平成20年度、本年度から150 か所を目標にして整備を進めているところであり、まだ現在13か所というような状況だが、認知症 の画像診断を含めた鑑別診断だとか、専門医療相談だとか、合併症対応といったようなことを担当 する中核的な医療機関ということである。  この2行目の「センター等」の「等」であるが、こちらについては認知症の専門医療を行う機関 というものを考えているが、現在検討中である。 (大森分科会長)  大体お答えになったと思うが。 (川合委員)  今の御両者の発言は削らないようにどうぞよろしくお願いする。そのまま記載をしていただきた いと思う。  それからもう一つ、最後にお答えになった認知症のことだが、今の認知症サポーター100万人運 動のとき、今から5年前にも私は主張したが、全老健のドクターも認知症で非常に苦労をし、学習・ 経験しているから、その研修の中に入れてくれないかというお話があったときに、むげに断られた。 今回、私どもは認知症に関しては軽度認知症の研修も御墨付きもいただいているので、きちんと老 人保健施設という名目、名称を入れていただきたい。これは、議事録に残していただきたい。 (大森分科会長)  それでは、田中雅子さんどうぞ。 (田中(雅)委員)  幾つか申し上げたいと思う。  まず、先ほど事務局から説明のあった資料1−1についてである。これは、たたき台の中の2ペ ージにあるように、まず真ん中にある専門性の評価なのだが、先ほど説明の中においてこの真ん中 の群はサービス群ごとに評価するものであるというように説明があったと私は記憶しており、メモ しているが、そもそもこういった専門性やキャリアアップに関する問題というのは施設、居宅共通 のものであって、先ほど説明があったようにサービス群ごとに評価するという項目に入れるのはど うかと思っている。  というのは、大事な質の観点のところだから、この資料1−1の真ん中の図でしか示せないのは いかがかと思うので、その辺については再考をお願いしたいと思う。  それから、具体的にたたき台のところで順次申し上げていきたいと思っている。  まず4ページの上の方、(2)の一番下である。「次期改定までに、サービスの質の評価が可能と 考えられる指標について、検討を進める」ということが書いてあるが、そういったサービスの質の 確保という観点からするならば、やはりこういった介護従事者のキャリアアップ支援のための研修 体制の構築というものも国として明らかにする作業も進めなければ効果がないのではないかと思う。  次に、5ページである。先ほど訪問介護については、別添の資料3等も合わせて説明があったが、 この中でも是非お願いしたいのは、何よりも利用者の方々の生活上の不安や混乱に対して、きちん と適切に対応できるような従事者、サービス提供責任者の質の確保ということを重きに置いた形で の配置を常に念頭に置いていただきたいと思っている。  それから、この「訪問介護」の下で、報酬体系の機能別再編に向けての調査を続けるということ を言っているが、この件については、先の18年見直しのときの議論でも課題であったはずなので、 是非この調査研究については少なくとも次回の見直しというより、明確にめどをつけていただきた い。確かにこのことの研究を進めることは大変難しいということは私自身も現場にいるもので承知 しているが、うまくいかないから議論を行っていこうということではなくて、ある程度一定のめど というものを立てていただきたいと思っている。  次に、9ページである。これは地域密着型サービスにおける小規模多機能型居宅介護と、それか ら認知症のグループホームに関してだが、すべてのサービス共通で専門職、すなわち介護福祉士の 割合を評価するというように理解しているが、前回この分科会の中でもお話をしたが、少なくとも 小規模多機能型の居宅介護やグループホームにおいては「介護福祉士の割合」や配置については、 今の基準においては全く触れていない。  しかしながら、今回のこのたたき台を見ると、小規模多機能型居宅介護においては5行目の後ろ の方に「人員配置基準の見直し」というように書いている。そういうことになると、小規模多機能 型居宅介護については介護福祉士の割合や配置基準も含めて考えていらっしゃるということで理解 していいのか。  また、グループホームについてはそういった人員に関することは一切触れていない。しかしなが ら、全サービスに共通するものとして、要するに介護福祉士の割合の評価ということを言っている ので、その辺りについてはどのように取り組むかということについても説明いただければと思って いる。  次に10ページであるが、「認知症専門ケア加算」についてである。専門研修を修了した者に関す ることだが、これも先の本分科会の中でお話をさせていただいたが、既に国や都道府県が取り組ん でいる認知症介護実践者研修等を専門研修とみなすという限定された考え方ではなくて、幅広く既 に行われた、あるいはこれから行うであろう認知症介護、ケアに関する研修、そういったものの内 容を含めて十分検討されて、それらに対しても検討いただくような柔軟性がいただきたいと思って いる。  次に、同じ10ページで、介護老人福祉施設に対する質問であるが、この中の4行目に「基準を上 回る夜勤職員の配置を評価する」と書いてある。私も長い間、40年近い年月、特養において夜勤等 をこなしてきたわけだが、私が職員の感覚としてあったのは、特養の職員というのは変則2交代だ ということで、前回申し上げたように16時間拘束があって実働は12時間、あるいは13時間拘束の 12時間労働というのが実態である。特養においてはこれで仕方ないと思っていた。  確かに介護保険が入ったときの利用者の要介護度と今とは明らかに違っているが、やはり2交代 は大変ということがあって、法人によっては夜勤の職員を3交代、すなわち看護と同じように8時 間労働にしているという事業所もあると聞いている。そういった形で介護職員の夜勤を8時間労働 にするということも含めて、基準を上回る夜勤職員の評価というふうにとらえていいのかどうか、 またこれも教えていただければと思っている。  次に、11ページである。利用者の方々の試行的退所ということである。これについては、参考資 料2の2ページに老人保健施設においての試行的退所サービスの中における要件等の中で、退所が 見込まれる者を居宅において試行的に退所させ、介護老人保健施設が居宅サービスを提供する場合 に算定するというように書いているが、実際としてなかなかここは進まないというように私どもは 聞いている。  もちろん私はこのこと自体に反対するものではないが、そういった在宅復帰をきちんと進めてい くために大事なことは、まず環境の整った施設での生活と実際の家庭との生活の相違に対する家族 や御本人の不安感を解消するために、是非施設の利用期間中であったとしても在宅サービスの利用 が可能となるような柔軟な対応ということも考えるべきではないか。  次で最後だが、本日、今回の資料、たたき台等には全く触れられていないが、既に「安心と希望 の介護ビジョン」の報告書の中において、それらの報告は2025年を見据えて取り組む施策というこ とでさまざまなことが書いていた。その中の医療と介護の連携強化の中においては、将来的にはと いうことで介護従事者の医療行為について考えていこうということを言っているが、既に高い医療 ニーズと介護ニーズを合わせ持つ重度の要介護者の方々が継続して在宅生活を過ごす上においては 2025年迄待つ、すなわち17年間待つということにならないのではないかと思っている。少なくと もそういった介護ビジョンの施策自体が2025年を焦点にしたものであったとしても、今の利用者の 方々の在宅生活が継続できるような、とるべき優先順位を明確にしながら施策に取り組んでいかな ければ2025年、すなわち17年後にそれが絵にかいたもちになってしまうのではないか。あるいは、 事態が変わってくるのではないかと思う。  以上である。 (大森分科会長)  お答えできることがあればお願いする。   (鈴木老人保健課長)  私の方から3点ほど、ちょっと重なる部分があるかもしれないが、1−1のところと、小規模多 機能グループホームに介護福祉士の割合と有資格が書いていないということである。私の説明が舌 足らずだったかもしれないが、もう一度1−1をご覧いただくと、1−1の左側が介護報酬の改定 の中身である。その上の大きな1のところが処遇改善に当たるところである。これで、横軸は訪問 系サービス、通所系サービス、施設系サービス、縦軸は負担の大きな業務に対する評価、これはサ ービスごとになっている。  それで、真ん中のところは専門性、それから定着に向けた評価ということだが、これは各サービ スごとに属性があるので、例えば訪問系サービスだと常勤者は非常に少ないとか、施設系サービス だと夜勤が多いので常勤は当然一定程度確保しなきゃいけないとか、そういう属性があるから、有 資格についてはすべからくやりたいと思う。  だから、先ほどおっしゃっておられた小規模とか、グループホームに直接その項目には書いてい ないが、これは横串でやる。ただ、やり方は訪問系サービス、通所系サービス、施設系サービスで 若干属性が違うので、違うやり方はするが、考え方は一緒である。  一番右は全く同じでやるということなので、書いていないということはやらないということでは ない。それが、私の3点のうちの2点と関係するところである。  それから、私の3点目の最後のところは老健の中の試行的退所である。沖藤委員からおっしゃっ ていただいた資料の中にもあるが、非常に算定率が低いということで、実際に議論されたときの資 料には出したが、これは試行的退所をするだけではなくて、退所した先に例えば介護ヘルパーさん などに行っていただいて、それでサービスをしなければいけないという多重の条件がかかっている ためにほとんど算定できないという状況にあるので、今、退所に向けたいろいろな努力をしていた だく中で、老人保健施設がやっていただくサービスの一環としてきちんと評価をして、それとは別 にまたほかのものが必要だったら考えるが、今のところはこのままでは算定が0.1%なので、18年 度につくったにもかかわらずほとんど機能していない。そこのところは要件をきちんと見直して算 定できるような形にしたいということである。 (菱田計画課長)  2点お答えしたいと思う。  1点目が小規模多機能の方で「人員配置基準の見直し」について御質問があった。これは前回、 小規模多機能について御議論いただいたときに、資料の中では人員の効率的配置というふうに書か せていただいたのだが、中身としては、現在のところ小規模多機能に泊まりの利用者がいらっしゃ らない日でも夜勤が1人義務付けられているので、そこをやらなくてもいい、当然オンコール体制 は必要であるが、そういう形にしてはどうかということである。介護福祉士の割合の評価について は今、老人保健課長の方からお答えを申し上げたとおりである。  それから、特養の夜勤評価の関係で2交代か、3交代か。3交代の中には8時間勤務を含んでい るのかという御質問であるが、当方としてはそこまでの施設運営マターについての規定までは想定 はしていないので、それはそれぞれの施設でお考えいただければと思っている。  以上である。   (大森分科会長)  それでは、牧野さんどうぞ。 (代理 牧野参考人)   一言だけ申し述べさせていただく。  4ページに今回、人件費の地域差への対応として「地域区分の見直し」が挙げられている。この 見直しの中で、地域差を勘案する人件費にかかる職員の範囲を拡大することとか、あるいは各地域 区分の報酬単価の上乗せ割合について見直すこととされていることは、全国知事会といたしまして も大変喜ばしいということで、大変評価をしているが、一方で今回、地域の区分方法については見 直しを行わないとされている。  この点については以前、国家公務員の新たな地域手当の地域区分を採用することは非常に困難で あるという説明であったが、それであるならば何に基づいてこの該当市町村の5区分への当てはめ を行うことになるのか。非常にその論拠についての疑問が残る。地域の事情も刻々と変わってきて いるので、何らかの根拠に基づいてこの地域区分の区分方法についても、やはり見直しを行うべき ではないかと考えるが、もう一度その辺の御見解をお聞かせ願いたいと思う。 (鈴木老人保健課長)  今、牧野参考人から御質問があったが、地域差について今回、実態のデータに基づいて一定の見 直しをするということだが、過去の経緯から申し上げると、平成12年に介護保険ができたときに、 もちろん全国津々浦々の自治体について、この当時の5つの区分の中でどこにそれぞれの自治体を 区分するかということについて、都道府県と御相談の上で決めさせていただいたということである。  もちろん今、牧野参考人からあったように、それ以降、さまざまな状況の変化があって、少し変 更すべきところがあることは否定しないが、もし変えるのであれば、それは全国の自治体について、 例えば人件費なりについて詳しいデータをきちんと見た上で公平に決めなければ、ある自治体だけ こちらからこちらへ移すというわけにはとてもいかない。  そのためにはきちんとした調査、検証と時間がかかるということだから、残念だが、今回はそれ は間に合わないということである。この御議論なり、これから以降の御議論として、次回に向けて そういう調査をきちんとしてやるべきだということであれば、それは私どもで若干の時間と費用は かかるが、やらせていただくということである。残念だが、今回はそれは間に合わないということ である。 (武久委員)  2点に絞ってお伺いしたいと思う。  医療関係は三上委員や川合委員がるる述べていただいたので、8ページの「短期入所療養介護」 についてであるが、有床診療所の一般病床における算定を可能とするというふうに書いてある。こ れは、「診療所後期高齢者医療管理料」を算定している。24年3月に介護療養型医療施設が廃止に なると、5床とか6床の介護療養型医療施設をお持ちの有床診療所は大変困るということで、私は 意見として今まで申し上げたところであるので、これを救う意味で入れていただいたのではないか と思うが、一般病床と療養病床では当然スタッフの数が違う。有床診療所は19床だから、19床全 部が療養病床のところはむしろ少なくて、一般病床と療養病床が混在しているところがあると思う。  そういう場合にこれであると、例えば一般病床だと、有床診療所だと看護婦さんが何人で介護が 何人というふうに決まっているかと思うが、それはこの療養病床のスタッフの数とどのような差が あるのかということである。当然24年の3月までは、ここに書いてある一般病床以外の療養病床に ついてはずっと今までも使えているから、そのときにこの廃止の後の受け皿として御考慮いただい ているのだろうと思うが、その場合のスタッフの数の整合性についてちょっと教えていただけたら と思う。  もう一つは、11ページである。「介護療養型老人保健施設」だが、これを転換型老健と言ってみ たり、またわけのわからない名前を言っているが、ネーミングがきちんと決まったので、介護療養 型老健以外の名称は公の場では使わないようにしていただきたいと思う。  そして、この介護療養型老健の真ん中ごろ、「また、「医療機関」から入所した者の割合と「家庭」 から入所した者の割合の差が35%以上を標準とする施設要件については」と書いてあるが、これは 医療機関から入所した人が全部重くて、家庭から入所した人が全部軽症であるということに基づい ているのか。  家庭で寝たきりで療養を続けていた場合に、熱が出たりして大変になって介護療養型老人保健施 設に入所するという場合も多々あるのではないかと思うが、医療機関である程度よくなって医療の 必要性がなくなったのでこの介護療養型老健に移ってくる場合、ここのところの趣旨はわかるが、 その状態というものを考えると、必ずしも35%でやるよりは我々が要求したように、在宅からでも 慢性期の急変患者を入所で受け入れた場合、介護療養型や医療施設においては評価したらどうかと いうようなことをお話したように、ここのところで何らかの工夫があればと思うが、お考えをお聞 きしたいと思う。この2点である。 (鈴木老人保健課長)  まず1点目である。8ページの「短期入所療養介護」についてであるが、これは有床診療所の一 般病床について、今度つくられた「診療所後期高齢者医療管理料」というものがある。この管理料 を設定している有床診療所については広さ要件、通常は4.3平方メートルだが、療養病床と同じ6.4平方メートルになっ ているし、人員要件についても療養病床と同じ3.3対1になっているので、広さも人員も全く療養 病床と同じ要件になっている有床診の一般病床である。  だから、そういう点で人の要件、広さの要件で全く遜色がない。今の療養病床だけではなかなか アクセスとして数が足りない部分があるので、今この管理料を取っていただいている一般病床の有 床診にも是非これをお願いしたいという趣旨である。  2点目は、11ページの「介護療養型老人保健施設」の要件である。これは、実は5月に向けてこ の介護給付費分科会で基準を定めていただくときに、その施設認定の要件として、医療機関から来 られる方から家庭から来られる方の割合を引いて35%以上を標準とするという要件を既に決めてい ただいた。これは、介護療養病床については、医療機関から来られる方の受け皿として機能してお られるというところをきちんと評価をしようということである。  ただ、その中で前回もお示しをしたけれども、非常に小規模なもの、それから医療機関が半径4 キロメートル以内にないものについては、そういう要件を期待してもなかなか実現できないので、 実際にその要件を適用するのは難しい。もともと標準とすると書いたときに、1年間はこの要件は 適用せずに、実際の状況を見ながら具体的な適用方法については検討しようということになってい たので、その宿題返しとして今回この具体的な要件を定めたということである。 (大森分科会長)  それでは、小島どうぞ。 (小島委員)  3点に絞って発言させていただく。  たたき台の方だが、介護報酬の改定率3%は、引き上げるべきだと思うが、3%でいいのかどう かは疑義があるというところである。  それを前提にして、1ページにある給与等の情報開示についてである。先ほど三上委員からはガ イドラインと表現すると、いわば義務付けになるのではないかという発言であった。自主的にとい うことであるが、各事業者あるいは事業所団体でばらばらであっては比較もできないので、一定の 様式というか、まさにそれがガイドラインという形だが、内容はどうするかを含めて検討する必要 があるし、やはりここの表現は是非残しておくべきではないかと思っている。介護従事者の賃金の 底上げという観点から見ても、やはりそういうことを通じた一定の施策というものは必要だという のが1点である。  それから、たたき台の4ページ(2)の専門性、キャリアに着目した評価というところで、これ は前回も私は発言したことであるが、今回はとりあえず資格、「介護福祉士の割合」、あるいは「常 勤職員の割合」、そして「一定以上の勤続年数の職員の割合」で暫定的に評価するということである が、とりあえず今回はこれでよいと思っている。  確かに御意見があったように、勤続年数を評価するのはいかがなものかということがある。勤続 年数よりは経験年数の方が本当はいいのだろうと思うが、なかなかな経験年数を把握するのは難し いということもあるので、今回は勤続年数ということでやむを得ないのではないかと思う。  この勤続年数をいわばその評価、メリットということで見れば、これも前回言ったが、やはり介 護従事者の定着率、離職率を下げるということ、そのためには雇用管理等の改善に結び付くという ようなことを評価するという意味合いにもとれると思うので、ここで3つ出されているようなこと は暫定的にはやむを得ないのではないかというのが2つ目の意見である。  そして、もう一つは5ページのところで、3.のサービス提供責任者の今回の常勤換算という見 直しについてである。これも、これまで私が基本的にはサービス提供責任者についてはその役割、 責任は極めて重要だという観点から、常勤が原則だという発言をしてきたところである。今回、そ のサービス提供責任者に対しての評価という面では、初回及び緊急時における対応評価ということ で、そこは加算を付けるということであるので、それは一定評価できると思っている。  そういう観点からすると、今回初回及びトップニーズの緊急時というようなことに評価、加算を 付けるといった場合に、果たしてそこが非常勤のサービス提供責任者で十分対応できるのかどうか というところは検証が必要ではないかと思っている。  それから、常勤換算という形で認めるというようなことが今回は出されていて、これは経営コス トの弾力化というような観点も含まれているが、資料3の2ページに現在サービス提供責任者の配 置の事業所数の割合が出ている。2ページには、3人配置しているところで全体の事業者のうち85% くらいを占めるということになっている。多分、常勤で配置できないところとしては、この1人な いし2人といったようなところの事業所からの要望が強いのではないかと思うが、では現実的に今、 常勤を配置できないということで実際のサービス提供が確保できないという切実性というか、それ がどのくらいの実態なのかというデータがもしあれば、その辺の資料はないのかなと思っている。  介護サービスを利用する人がこの常勤配置がないためにサービスが受けられないということであ れば、そこは検討すべきだと思うが、少しそこの検証はきちんとしておく必要があるのではないか と思っている。  その関係で言うと、5ページにサービス提供時間の割合での常勤、そして常勤換算の考え方が示 されているが、もう一つの訪問介護員の人数要件である。10人に対して1人という、こちらについ ては、もしこういう考えをとった場合には、同じように5ページの階段になっている図で言うと右 側の450時間のところを10人、900時間のところを20人というふうに読むのかということである。  その最後のところは2つほど質問であった。以上である。 (大森分科会長)  では、お答えをお願いする。 (土生振興課長)  最後の御質問からまずお答えをすると、御指摘のとおり、これはたまたま時間の方を採用してい るが、考え方は訪問介護員の員数で規制がかかる場合も同様に、仮にこういうふうに見直した場合 には同様な扱いにすべきだろうと考えている。  それから、1点目の常勤職員が確保できないことがどのくらいネックになっているかということ であるが、現在ある資料ではなかなかその辺はつかみ切れていない部分はあるので、早急に事業者 団体の御協力も得てそういう事例がどれぐらいあるのか、できる限りの実態を把握して御説明させ ていただきたいと思う。 (大森分科会長)  それでは、村川先生お願いする。 (村川委員)  総括的には3%に対するいろいろな御意見も出ていたが、私個人としては3%プラスアルファと いう期待感もなくはなかったが、しかし、今日の財政環境、一般的には我が国の経済成長率はこの 数年1、2%、ここへ来て少し厳しい数字もあるようである。そういうことからすれば、国会での 人材確保対策法案の成立、それから政府与党の御努力、そういった一連のことが相まってこれが確 保されようとしているということは、私はやはり評価していいことではないか。  特に資料1−1の基本の部分で、人材確保と処遇改善を明確に位置付けたということは、ある意 味では3年前の法律改正にも匹敵するくらい非常に大きなことではないかと思っている。特にその 中で負担の大きな業務への評価、専門性への評価、それから地域区分の一定の改定、こういった辺 りをしっかりこの際、発信できるということは非常に意味のあるところである。  そういう意味では、社会全体である。資料1−1の右下の方にも出ているが、介護保険、介護サ ービスについての社会的評価を高めるための広報・普及であるとか、あるいは今回の改定も含めた 総合的な支援策ということを継続的に行うことによって、現場の従事者の方々が一定の安心感を持 って、あるいは中・長期的にもこの仕事、更には生涯この分野で働いていこうという意欲、希望と いうものを与える発信ということは是非すべきであると思っており、総括的にはこういった流れで よいと思っている。  ただ、各論的には3点ほどある。先ほど小島委員さんからもあったが、サービス提供責任者の常 勤要件の緩和、これは法律が制定されたときに同時に当時の厚生省、今日の厚生労働省がつくって、 9年にわたって行われてきたそもそもの基準の意味は何であったのか。それは、訪問介護の業務の 多くが非常勤の従事者もいるということ、これはデータにも出ているところであるから、そういう ことでのしかるべき中核的なスタッフとしてサービス提供責任者が位置付けられたわけであるから、 やはり安易な緩和ということにはかなり私は疑問を持っている。  特に100%常勤とすべきところを、ニュアンスとしては言ってみれば51%でいいのではないか。 これは非常にナンセンスであって、今日御提案いただいた資料3の数字で見ても、あえて読み取れ ば3−3の5ページだが、例えば5人くらいのサービス提供責任者がいる。常勤を3人確保して、 2人くらいは非常勤でいい。こういう見方もあるのかもしれないが、私もかたくなに考えているわ けでもないわけであるが、このような一挙な基準改定というのはこの場での審議でもあるが、法律 の根本に基づく国会審議くらいやっていただくべき重みのある基準であって、やはりここを安易に 変えるということは私は疑問である。  ただ、現場の事業所の運営その他を考えるとすれば、若干の緩和である。憲法も3分の2である。 常識的にこれは御提案いただいたものと100%の中間値くらい、私はやはり80%なり、初めの一歩 は少し厳し目にいかないと、昨年のコムスン問題というのは一体何だったのか。これはコムスン1 社だけではなくて東京都等、都道府県における指摘としては少なくとも複数社の問題が言われてい るわけであるから、そういった一連の流れに目を閉ざして安易な非常勤でいいということには絶対 ならない。  だから、私は許されるとしたら4分の3、75%か80%か、それくらいであればまあまあとりあえ ずの一歩としては考えられるが、このような安易な発想というのはそもそも法制定当初の基準自体 を否定してしまうことにつながるわけであるから、納得することはできないと思っている。  2点目であるが、ショートステイ等については利用者の方々からも大変切実な声が届いているよ うに思う。以前に勝田委員からもあった。そこで、今日おまとめいただいた1−3の9ページの最 後であるが、特に認知症に関わる方々の短期入所について、グループホームのショートステイによ る緊急受入れ等である。  従来、特別養護老人ホーム、介護保険施設、それぞれ御努力いただいているが、都市部の実情を 見るとショートステイ自体の待機もあるという大変深刻な状況であるから、確かに9名のグループ ホームにプラス1という定員を設けて10名になってしまう辺りはちょっと微妙でもあるが、しかし、 1つの受け皿として緊急受入れということもあるが、団体からの御意見、御要望も出ている現行ユ ニットについて、適格性のあるところは各市町村、地域密着型サービスの位置付けの下にプラス1 人くらいの受入れができるような環境整備ということはあってよいのではないかと思っている。  それからもう1点、これで終わるが、人件費の比率の関係について1−3の4ページの中ほどの 地域区分の辺りに書かれている。現行の人件費比率40%ないし60%という類型を、やはり現場の従 事者が定着し得る、もちろんその事業所をあずかる経営の立場はなかなか大変であるということは 承知しているが、最低限この50%を切るような基準はやめていただきたい。  たまたま今日、稲葉委員さんから幾つか資料をいただいているが、稲葉委員さんの参考資料の4 ページ辺りを拝見すると、これはかなりまじめな事業者グループをお考えとも思うが、訪問系の人 件費比率80%、または通所施設系等を含めて60%という事業所、事業者サイドとしては前向きの御 意見もあるようであるから、できればそういうことも含めて人件費率を一歩踏み込んだところを、 この3%だけではなく、もう一つのメッセージとして是非基準を確立していただきたいと思う。  以上である。   (大森分科会長)  それでは、稲葉さんどうぞ。 (稲葉委員)  今日は資料を出させていただいているので、ご覧いただきたいと思う。  これは、先の経営実態調査で示された収支の差率というものを、全産業の給与水準と比較をしつ つ、一定の待遇改善を果たすとしたらその結果、収支差率はどのように変化するのか。その収支差 率を安定的に保つためには、どれほどの介護報酬の増額や基準緩和が必要なのか。こういったこと を試算してみた。資料の方はまたゆっくりとご覧いただきたいとは思うのが、簡単にポイントだけ 説明をさせていただく。  2ページをご覧いただきたい。真ん中辺りに「年収ベース」と書いている。表4のところである。 この表で引用したデータ、取り方であるとか、その比較の仕方については、取り方によっては誤差 があるので、結果については違うものになるとは思うが、一定の傾向は示せていると思う。  まず表4、左の軸に訪問介護の常勤、非常勤、男女、それからその他サービスとなっている。そ の下の欄の表がそれをまとめたものである。現在、年収としまして訪問介護の平均が241万3,600 円、全産業の年収が306万8,400円、この差し引きである。全産業年収との乖離の金額が64万9,000 円となっている。  2つ右にいき、(5)である。この乖離している金額というものを仮に60%ほど埋めることができる のであれば、その金額は39万2,900円で、60%達成した場合の年収は280万6,500円となる。その ためには、年収の増加率が16.3%ということになる。それから、その下はその他の介護サービスの 平均と、総平均という形になっている。  次のページをご覧いただきたい。上の表は、前ページの年収を月収ベースに引き直したものであ る。したがって、一番下の表、表6をご覧いただきたい。左の軸に訪問介護、訪問介護とある。こ れは、上の行は先ほどの全産業と比較した給与の乖離額を100%改善した場合、下の行は先ほどと 同じように60%改善した場合というふうに分けて試算している。収支の差率については0.7%、給 与費については81.5%、この2つは経営実態調査の表からも明らかである。  そうすると、右にいって(4)のところをご覧いただきたい。これをもし100%、60%改善すると仮 定すると、100%改善するとマイナス22.1%の収支差が悪化をする。60%改善するとマイナス13.3% になる。それをもともとの0.7%と合算するとマイナス21.4%、マイナス12.6%となる。  更にその右の(6)というのは、全産業の収支差率が3.5%となっている。当然、経営の安定をする ためには質の安定が必要で、質の安定のためにはこの経営の安定がどうしても必要だということで、 3.5%の事業収支を保つことができるとすると、一番右の(7)である。24.9%、16.1%の収支差の改善 が必要という結果になっている。  もし60%を改定する場合であっても、この16.1%の事業収支改善をする必要があるということに なっているが、そのためには収入を増やす方法、支出を減らす方法と、どちらかしかない。収入を 増やすということについては、大幅な報酬の増額が必要であるということ。  そこで、訪問介護について1点質問させていただきたいが、訪問介護の特定事業所加算が今回の 訪問介護の報酬増額の一部を占めているとは思うが、これまではほとんどの事業所が事業所加算を 取れずにいる。今回の見直しの中で何%程度の取得率を見込まれているのかということは、1点質 問させていただきたい。後で結構なので、お願いする。  それから、支出を減らすと16.1%部分を全て報酬増額で賄うことはほとんど不可能である。そう なると、きちんとした基準緩和をし、事業の効率化を図って収支を改善する必要がどうしてもある。 ただ、そこでサービスの質を落とさずにこれを実現しなければいけない。  例えば、先ほどから何人かの委員の方の御意見にもあるが、サービス提供責任者の非常勤化とい うお話がある。これについては、すべてのサービス提供責任者を非常勤でいいということはないが、 やはり最低一部はする必要があると思う。  それで、質に関してだが、例えば週に40時間仕事をする常勤サービス提供責任者1名と比較をし て、週20時間働く非常勤サービス提供責任者2名が配置されることが、果たして質が落ちたり、利 用者の不安につながるとはやはり考えにくいのではないか。例えば、常勤1人で利用者を20人担当 することと比べて、非常勤2人でそれぞれ利用者を10人担当するということで対応はできるのでは ないかと思う。利用者1人当たりに対するサービス提供責任者の対応時間が減るということはない と思う。また、2人体制になるということで、相談体制が不安定になるということも考えにくいと 思う。  そして、これは1つのデータだが、非常勤のヘルパーは常勤のヘルパーと比べて定着率が必ずし も低いとは言えないと思う。したがって、定着率の点から考えると常勤の方が安定しているという こともなかなか考えにくいのではないかと思う。  また、ライフスタイルや価値観の多様化が進む中で、希望する就業形態も多様化している。子育 てを行いながらも、限られた時間で非常勤で働かなければならない労働者が十分にワーク・ライフ・ バランスを取れるためには、両立支援の観点からも非常勤のキャリアアップというものを考えるべ きではないかと思う。  したがって、現任研修の在り方の見直しや充実、ノウハウ共有の機会の充実など、サービス提供 責任者の職業能力開発機会の充実を通して、質を担保に向けた取り組みをしつつ、勤続志向があっ て能力が高い非常勤サービス提供責任者を活用するべきではないかと考える。  現実に目をそらさずに申し上げると、やはり今回本気でホームヘルパー、介護従事者の待遇を改 善しようとするならば、介護報酬の増額だけに頼るわけにはいかないと思う。だから、せっかくの この基準緩和という機会については、やはり前向きに考え、質を落とさない努力をこの制度として も、事業者としても行いながら実現をして、それが質が安定しつつ、長年にわたる制度の安定継続 が実現できるのではないかと信じている。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、中田さんどうぞ。 (中田委員)  時間がないので、資料1−3の10ページで「介護老人福祉施設」の下から3行目の「なお」から である。「これらの評価にあたっては、比較的小規模な老人福祉施設について、実態調査の結果を踏 まえ、その経営規模による影響に着目した介護報酬上の対応を行う」と書かれている。比較的小規 模な老人福祉についてということだが、これについてこの会でも詳細調査の結果で、特養について は50名施設が大変厳しい。今、深刻な経営状況にあるということがこの会でも報告されたが、比較 的小規模というものに50人定員の特養が含まれているかということを確認させていただきたいと 思う。  以上である。 (大森分科会長)  では、お願いする。 (菱田計画課長)  今の御質問だが、前回特養のときにもあったが、地域密着の29人以下はマイナス9.8%であると 並び、31人から50人のところはマイナス8%となっている。10ページに、「これらの評価にあたっ ては、比較的小規模な老人福祉施設について、実態調査の結果を踏まえ」というように書かせてい ただいたが、今回評価をさせていただく中で、同じ人員体制の配置を評価するにしても、規模が小 さいことによって1人当たりの負担が大きいという部分については、そこは配慮しないと施設側が なかなか配置を厚くするのが難しいのではないかということは考えさせていただきたいと思ってい る。 (大森分科会長)  よろしいか。  では、木村さんどうぞ。 (木村委員)  資料1−3だが、まず2ページである。下から3行目のところで、「居宅介護支援における退院・ 退所時」とあるが、本体の5ページに入院時も記載されているので、ここは入院時も加筆していた だければと思う。  次に、5ページの2.の最後の介護養護支援に関してである。まず名称の変更をお願いしたいが、 「地域包括支援センター」というものを「介護予防支援事業者」に変更していただきたいと思う。 正確に言うと、この介護予防支援というのは法律上、介護予防支援事業者のみが行うことになって いる。  それに関連して、この評価は大変ありがたいことだと思う。しかしながら、ここでしっかり予防 プランをやることと、地域包括支援センターの業務である、相談業務、介護予防事業、権利擁護、 包括的継続ケアマネジメントがしっかりいくような体制ということで、次のことをお願いしたいと 思う。  まず保健師と社会福祉士、主任ケアマネがこの予防プランをつくるのを兼務できることになって いるが、ここのところをしっかり住み分けをしていただかないと、幾らこの予防プランの報酬を上 げていっても本体の地域包括支援センターの本来の仕事ができる人員体制ということができなけれ ば意味がないと思う。  次に、市町村から出る交付金である。今、言ったもともとの地域包括支援センターの交付金等が しっかり提供されていないと、ここのところの予防のプランの評価だけをしても全体の地域支援事 業、それから予防給付のところがうまくいかないのではないかという意見であるので、その辺は事 務局と、それから市長会、町村会さんと十分話し合っていただけないかと思う。  次に、小規模多機能のところである。利用者を増やすという9ページのところだが、「利用者の増 加を図るとともに」とあるが、まず事務局として今なぜ利用者が増えないのかということを1点伺 いたい。  それから、最後に11ページで、先ほど川合委員からもお話があったが、支援相談員の人員配置基 準等の見直しということは理解というか、先ほどの説明はわかるが、私どもは11月14日に提言し た施設の中にいる介護支援専門員の仕事ということで、ここの11ページの中ほどにある退所時指導 加算等々に積極的に今も関わっており、それをやればやるほどものすごい手数がかかる。だから、 介護支援専門員の施設内の配置に関しての緩和というよりも、この間、言った50対1と加配してい るところの評価をしっかりしていただいて、在宅に帰るように意味ある退所時指導ができるような 体制を評価していただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  では、池主さん、どうぞ。 (池主委員)  実は、田中滋先生が、介護保険制度ができてから3年目の評価を医療経済研究機構のレポートで 出されている、その段階での評価の中で1点、かなり遅れている部分が予防部門であるということ を述べられている。その中でひとつ口腔機能の問題、あるいは口腔ケアの問題が予防的な意味で評 価をされつつあるが、いまだ普及していないということをおっしゃっていた。  そのようなご意見が平成18年度の介護予防の導入などの大きな基盤になったことなのだろうと 思うが、口腔の問題については今も当時の状況に近い。  ただ、口腔の問題について、いろいろなところから、知事会とか市町村会とか、あるいは介護専 門員の方々から、非常にこれは重大な問題だという発言が多く出ている。それは、現状で解決され ていなくて大きな問題として残されている課題として口腔の問題があることの表れと受け取れる。  そこで、今回の問題にちょっと戻らせていただくならば、たたき台の12ページの部分で、まず第 1段階として口腔の問題を特定することがなかなかできないという課題が出ているが、そこにやは り歯科の専門家が関与出来るような体制をつくっていただくということが必要なのではないかと思 う。  これをどういうふうに具体的に進めるかというような問題については個々にまた相談させていた だくが、これを念頭に置いてこの改定に臨んでいただきたい。これは要望である。 (大森分科会長)  それでは、池田さん、どうぞ。 (池田委員)  時間がないので、2点に絞って御質問させていただきたい。  1点目は、4ページの「地域区分の見直し」についてである。前も申し上げたことがあるが、23 区は公私格差是正ということで、都がかなり補助金を出し、そのため人件費が高いという伝統的な 状況があった。それ自身は否定すべきことではないが、結果的には例えば東京の多摩地区であると か、神奈川であるとか、埼玉、そういったところの介護職員が23区に吸収されて一種、逆ドーナツ 現象が起きているということが今はある。単価の付け方によっては、これが更に増幅されるおそれ がある。  3%についての論議はもう避けるが、介護報酬の配分は、3%改定の中のゼロサムである。地域 区分の単価によっては3%のどの程度の部分を取ってしまうのか。それは、何かイメージとして持 っているのか。  つまり、3%のうち1%あるいは1.5%が地域単価の方に持っていかれたら、ほかの2つのとこ ろの引上げというものが実は薄くなる。皆、東京に住んでいるから東京のことばかり考えているの かもしれないが、これは割と地域にとって生命線であるので、その辺を配慮して介護報酬の改定を 考えてほしいということと、イメージがあったら教えていただきたいということが第1点目である。  2点目は10ページの認知症で、認知症を重視して介護報酬を考えるという基本的な姿勢は高く評 価する。ただ、実際は認知症ケアの世界はエビデンスのない論議が横行しているというのは否定し 難い事実だと私は思う。  そこで、例えば先ほど田中委員からもあったが、「認知症ケアに関する専門的研修を修了した者が」、 この専門研修というのは一体何なのかという話である。これは前回も言ったが、10週間拘束して研 修した人間にいろいろ聞いてみると、横綱が次々に現れてきてお話をする。それを承っているとい うことである。  つまり、体系性が全くない。もう少しきちんとしたカリキュラムあるいは教材をきちんとして行 われる研修というところにまだ至っていないとするならば、田中委員がさっきおっしゃったことは 割と現実的だと思うが、余り固定的に考えずにちゃんと役に立つ研修というものを含めた方がいい よというのは賛成であるし、同時にきちんとした研修体制というものをつくらなければだめだよと いうシグナルをはっきり言って出していただきたい。  端的に言うと、今の認知症ケアの議論というのはほとんど脳病理学の知見に触れないで、基本的 に経験と勘の情緒的な世界で語られているケースが多い。それはいかがかと思うので、そのところ をどうするのだということが知りたいということが1つである。  もう一つは、認知症についてさまざまな加算を付ける。報酬を見直すということで、それはそれ で私は評価しているということは繰り返し言う。だけど、何を物差しで使われるのか。物差しとし て使えるのは、恐らく認知症自立度くらいしかないのではないかと思う。  それ以外に何か考えていらっしゃるかということが聞きたいが、もし認知症自立度、これは基本 的に周辺症状というか、行動心理症状の分類学みたいなもので中核症状とは余り関係ないが、使え ないことはないだろう。  でも、それを使うとすれば、これは結構怖いことが考えられる。つまり、要介護度の操作もある 程度できるということはわかっているが、認知症自立度の操作というのは極めて恣意的にできる。 それをやられると、加算欲しさに認知症の自立度みたいなものを操作するというグレシャムの法則 が働くおそれがあるが、そういったものに対して事前にこういったところできちんと歯止めをかけ るとか、そういうお考えというのはお持ちなのか。  以上、2点である。   (鈴木老人保健課長)  まず1点目の地域区分に関係するお尋ねだが、これはいずれかの段階できちんとデータに基づい た資料をお出ししたいと思っているが、池田委員が心配しておられるのは3%のうち1%、2%が そちらに向いてしまうのではないかとうことだと思う。そうではなくて、今ある地域区分を現状の 実調データに基づいて傾斜をきちんと調査しようということなので、そんなに大きな割合ではない が、具体的な数字と割合についてはまた後ほど数字が出てきたときに報告したいと思う。 (井内認知症対策室長)  2点目の認知症について、幾つか論点があったかと思うが、まず認知症の程度としてどういった ものを見ていくか。尺度としてどういうようなものを見るかということについては、池田委員がお っしゃるようなところもあるので、要介護度だとか、認知症の日常生活自立度というものはやはり 一つの大きな指標になるのだろうと思っている。  それで、その日常生活自立度について、これは平成5年にできたものであるので15年くらいたっ ているというようなことがあり、先般の認知症緊急プロジェクトでも認知症の日常生活自立度も今 後、現在の医学だとか介護の水準に合わせて、必要があれば見直しもしていってはどうかというこ とも言われており、専門家を含めた検討を2年半くらいかけて、必要があれば見直すというような ことで検討をしていこうということである。そういったようなことで、更によりよいもの、客観的 なものに改善できるのであれば改善していこうというようなことがプロジェクトでも既に言われて いるので、そういった方向で考えていきたいということである。  認知症の研修についてだが、前回、本分科会でも説明させていただいたが、認知症の介護に関す る専門的な研修、いろいろと実践者研修とか実践リーダー研修だとか、その後、管理者研修、それ から指導者研修というものがある。前回も御説明させていただいたが、一定程度の経験だとか、あ とは認知症の知識、技術についての一定の入門編的なところから高いところにというような形での ピラミッド形の研修になっている。  したがって、その中で委員がおっしゃったようにカリキュラムだとか、その中身をしっかりと質 の高いものにしていくということはもちろん非常に必要なのだが、認知症介護指導者研修について は相当専門的な内容の研修が行われているというように理解している。また、それ以外の研修だと か、施設内、サービス事業所内での研修体制をきちんと確保していく、図っていくということはお っしゃるとおりだと思っている。  以上である。   (池田委員)  この認知症加算は来年の4月から入るわけである。それなのに、2年かけて研究することもあろ うというのはちょっといかがなものか。もう少し認知症の研究というものを急ぎ固めるという方向 をお願いしたいと思う。それだけである。 (田中(滋)委員)  私は各論ではなくて、これは世間に対する発信であるので、たたき台の書き方について申し上げ る。  報告書の構成だが、これはお気付きのように初めに前書き的なところがあって、それから「基本 的な考え方」から始まって、1から13まで項目がある。政策目標の一番喫緊の課題である介護従事 者処遇策が1に出てくるのは当然である。各論の目標が11から13に書かれている。ここもいいの だが、9番に認知症対策が入っているというのがよくわからない。2番から10番までは事業種別に 並んでいる。9番に認知症がどうして入っているのかよくわからない。もし認知症対策が各論目標 ならば10の後でいいと思うし、従事者対策の次に重要ならば2番目に入れてもいいと感じた。  もう一点は、いわば「はじめに」のところがちゃんとしているのに対して「おわりに」がなくて、 各論で突然終わっている。やはり我々は修士論文などを指導していると、「はじめに」があったら「お わりに」もきちんと書かせるようにしている。  「おわりに」は、将来の方向を多少美しく訴えたりするといいのではないかと思う。例えば、こ れは採れという意味ではないが、次年度改定に関わる個々の説明は現時点での対応策である。ただ し、その一つひとつそれぞれが中長期的にも妥当する内容か、中長期の目標にむしろ逆行していな いかという視点も必要である。  言うまでもないが、1人の要介護者を支えるためには介護保険給付サービス、医療保険給付サー ビス、それ以外のサービスが多様に組み合わされることが必要で、それが地域包括ケアであろう。 しかし、それに対して逆に個々の一つひとつの事業ラインごとの議論に細かくこだわり過ぎると、 常に黒字の事業をたたいて、そこを財源としてお金を出す形が続き、経営努力のインセンティブ、 経営にマイナスのインセンティブを与えかねない。  だから、今回は別にこれで構わないのでこれでいいが、「おわりに」は将来のことを書くとすれば、 将来は事業種別を超えて地域包括ケア体制に資するような横断的な考え方が必要となるのではない か。こういう検証作業のときには、個別の事業が前よりも黒字が減ったとか、増えたとか、そうい う議論だけでは足りない。それはしてもいいが、もう少しそういう将来志向のものも入れて書くと よいのではないかと考える。 (大森分科会長)  適切な御指摘だと思う。  それでは、石川さんどうぞ。 (石川委員)  介護保険料の年金からの徴収の見直しについて、メディアでも若干報道されているので、改めて 意見を申し上げたいと思う。  厚生労働省は、前回の社会保障審議会介護給付費分科会で介護保険料の年金からの徴収方法を見 直す旨の検討を行っていることを明らかした。介護保険料の年金からの徴収の見直しは、公平な保 険料徴収による安定した介護保険財政を大きく揺るがすものであり、介護保険制度そのものを崩壊 させることにつながるものであるので、地域高齢者の安定した介護基盤を守る立場から絶対に認め ることができない。  現在、社会保障審議会介護給付費分科会で議論を進めている介護報酬の改定は、介護保険財政が 健全に運営されていることが前提であり、年金からの徴収の見直しはこの前提を壊すものであると 言わざるを得ない。こうした現場の市町村の意見を無視して一方的に押しつけるならば、国と市町 村との信頼関係が失われることになる。断固、抗議をするとともに、絶対反対を表明する。  具体的に幾つか申し上げたいと思う。なぜ年金からの徴収部分だけを長寿医療と同じにしなけれ ばならないのか。明確で納得のできる説明をしていただきたいと思う。長寿医療制度と同じにする ことが必要というのであるならば、年金からの徴収部分だけを抜き出すのではなく、両制度の整合 性を含めて総合的に見直すべきではないかと思う。  更に、所得税や住民税の社会保険料控除の公平性を上げるならば、本来は税制改正を行うべきで あり、介護保険制度をいたずらにいじることは一層の不公平を招くことになり、税制改正を目指す べきではないかと思う。  また、同じ仕組みで来年から実施する住民税の年金天引きの方法にも影響を及ぼすと言えるだろ うと思う。厚生労働省は調整交付金問題、低所得者対策、1号保険料の世帯概念問題など、全国市 長会の指摘する他の重要な問題を先送りしたまま、急きょ新たに年金からの徴収の見直し問題だけ を抜き出して安易に改正する姿勢は納得できない。介護保険料の年金からの徴収の見直し問題は、 制度の根幹を揺るがすものであることから、この際、介護保険部会を開いていただいて制度そのも のの在り方を議論していただきたいと思う。  それでは、各論について少し触れさせていただく。  まず給与等の処遇公表問題についてである。「平成21年度介護報酬改定に関する審議報告(たた き台)」の1ページの下から3行目であるが、介護従事者の給与等処遇に関する情報の公表について は、事業者や事業者団体が自主的、積極的に取り組むことが期待をされ、また記載をされ、または 国や事業者団体が一定のガイドラインを作成することにより取組みを支援することが適当であると 入ったことは評価ができると思う。また、ガイドラインの問題については、是非一定の指針という ことで入れていく必要があるだろうと思っている。  保険者としては、これが確実なものとなることを期待していきたいと思う。少なくとも事業者の 給与と処遇の公表努力を後押しするインセンティブが必要ではないかと思う。是非、事業者が介護 従事者の給与等の処遇に関する情報の公表を行った場合には、特定事業所加算などの加算措置を行 うことなど、是非追加して入れていただきたいと思う。  最後に、8ページの下から4行目である。「福祉用具貸与・販売」では、以前から主張しているこ とであるが、福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会において引き続き議論、検討を行 うというふうに記載をされている点については評価をしている。是非、実際の販売価格と比較して 著しく高額なものに上限を設けるなど、安価な福祉用具は原則購入とすることなどの保険財政を踏 まえた適正化措置について早急に実施をしていただきたい。このことを要望する。  以上である。 (大森分科会長)  沖藤さん、どうぞ。 (沖藤委員)  1つの意見と3つの質問をさせていただく。  まず「はじめに」から始まるが、今日資料として御提示いただいているが、説明のなかった認定 に関することである。認定は言うまでもなく介護保険の土台を成すもので、給付費論議もこの認定 が公平、正確なものであることが大前提になっている。  来年度から認定項目の改変があり、状態像が、より正確に把握されるものとして期待されている が、モデル事業によれば全体で2割の人が軽度に認定され、中でも要介護2の人で27.5%、要支援 2の人で31.2%が……。 (大森分科会長)  沖藤さん、それは報告事項であり、後でやるつもりでいたが。 (沖藤委員)  では、とにかくこの軽度傾斜による給付制限がないようにお願いする。  それでは、特に認知症の問題を次に御質問したいと思う。これまでもいろいろな方から御発言が あった。確かに認知症というのはエビデンスが測りにくいものだと思うが、特に初期の段階にあっ ては本人も家族も大変混乱して不安で、家族の人間関係の崩壊も起こり得る。そのことによって、 後々の介護に影響が起こっている。  国際長寿センターの2007年度の調査によれば、相談事例の中で最も多いのが家族の心身の疲労な い。それも要支援2の人で62.3%、要支援1の人で58.3%と、軽度の部分で断トツに高くなってい る。軽度は介護の手間がかからないという意見もあるが、軽度のところで認定が軽度傾斜されると、 本人も家族も救われない。  そういうことで、現在認知症高齢者グループホームは入居の場合も短期利用の場合も介護予防と して要支援2以上だが、これを要支援1まで広げるべきではないかと思うが、いかがか。これが1 点目の質問である。  2点目の質問は、先ほどサービス提供責任者についてはいろいろな御意見があったし、村川委員 の意見にはほぼ賛成である。それで、5ページの一番下のところに「報酬体系の機能別再編に向け た訪問介護の行為内容の調査研究を引き続き実施し」となっているが、これはどのようなもので、 この分科会に中途報告等がなされたものなのかどうかを確認したいと思う。これが2点目の質問で ある。  3点目が、10ページで、先ほど来、話題になったが、認知症の確定診断の促進が介護老人保健施 設になっているが、これはほかの訪問介護とか、特養等における確定診断の促進というのはいかが なもので、どう考えるべきなのかお教えいただきたいと思う。  また、10ページの下の段に外泊時費用というのが出ているが、外泊時費用というのは一体どうい うものなのか。そして、前回質問いたしましたグループホームでの入院外泊時のときの報酬カット の問題とどのようにつながっているのか。その3点をお聞きしたいと思う。  終わりに、先ほど速報があり、国会で参議院議員の大河原雅子議員の質問に対する総理大臣の答 弁として、散歩の問題に答えられておりますので申し上げたいと思う。  訪問介護員による散歩の同行については、適切なケアマネジメントに基づき、自立支援、日常生 活活動の向上の観点から安全を確保しつつ、常時介助できる状態で行うものについては、利用者の 自立した生活の支援に資するものと考えられることから、現行制度においても介護報酬の算定は可 能であるという答弁である。全国に周知していただきたいと思う。よろしくお願いする。  以上である。   (大森分科会長)  では、御質問のところを簡単に回答願う。 (土生振興課長)  まず、訪問介護の機能別行為別再編の研究状況については、10月30日の訪問介護の議論の際に 研究結果を報告させていただいている。その点を引き続き議論するものである。 (鈴木老人保健課長)  次に、老人保健施設だけにと書いてある確定診断のための情報提供である。これは、いわば現在 見ておられるお医者さんが、実際に確定診断をする、ここでは「等」が付いているが、認知症疾患 センター等のお医者さんに、こういう状況であるという医学的な情報を提供する場合に老健施設が 請求できるということなので、在宅で主治医がおられたり、もしくは特養で配置医がおられる場合 には、そのお医者さんが同じような行為をすれば診療報酬の方では同じように取れるということで ある。現在老健だけが取れないことになっているので、それについて手当てをしたということであ る。 (井内認知症対策室長)  それから、認知症の関係であるが、まずグループホームの外泊入院時についてである。グループ ホームの入居費は介護保険制度外の事業者と入居者の入居契約に基づいているものであり、入居費 自体に介護給付を行うということはできないということである。また、利用者側の方から見ても、 外泊時、入院時には介護の提供が行われないというような状況である。現在のグループホームの介 護報酬の設定に当たっては、これまでも外泊や一時的な入院による短期の空室利用なども含めたよ うな形での報酬の設定が行われているという現状である。  それから、グループホームの入居者の要支援の関係である。グループホームはおっしゃるように 中度、重度の方が実際に入っておられるが、軽度の方ももちろん入居されており、グループホーム の中でもいろいろと地域によっては待機、入りたいというようなことで希望されているようなとこ ろもかなりあるので、おっしゃられたことについてはそういった入居希望のニーズなども踏まえて 考えていくべきものではないかと考えている。 (沖藤委員)  私が申し上げたかったことは、重度の方にとってグループホームが大変有効なものであるという ことはいろいろな場面で聞くが、軽度のまさに本人も家族も混乱の真っ最中にいて、認知症でない かしらと迷い悩んで、そのことによって家族の人間関係が崩壊していく。そういうような本当に要 支援1、2の方、特に要支援1の人にグループホームの門戸が開かれないのだろうかということで ある。 (大森分科会長)  それは御意見として伺っておきたい。  井部さん、どうぞ。 (井部委員)  訪問看護についてはいろいろと配慮していただいているので、在宅医療の推進あるいは訪問看護 の充実について、この点数がどのように配分されるかを期待したいと思っている。  それから、療養通所介護については、そのサービスそのものについての引上げはなされていない ことが少し残念だが、企業努力をしなければいけないと思っている。 (大森分科会長)  今日、時間を延ばさせていただいた理由は、できれば今日の御議論を伺い、私としては次回この たたき台の内容について今日の御意見を踏まえて再度検討をしていただくことにするが、何と申し ても今回はサービスごとにいろいろ今まで議論していただいたが、プラス改定になるので、現場の 市町村はできるだけ早く私どもが決めないと本当に困るから、できれば事務局がそのくらいのこと をやってくださるだろうという期待の下で、年内、12月いっぱいに私としては諮問答申を済ませて しまいたいと思っている。  そこで、次回たたき台の内容についてもう一度御議論いただくが、大筋として大きな方向性が出 たものと考えているが、年内に諮問答申という運びにいたしたいということを今日、最後にお願い 申し上げたいと思うが、いかがか。よろしいか。 (川合委員)  私はずっと発言したいと思って反論もしたかったが、大森先生の運営に全面的に協力させていた だいた。もしも年内に終わられるのであるならば、質疑に対していろいろ応答させていただきたい 場面もある。だから、そういうふうな運営をしていただけるという担保をいただけるのであるなら ば御協力することにやぶさかではないではないが、少し急ぎ過ぎるのではないか。 (大森分科会長)  全体の状況というか、御議論を見ていて、前からお願いしているが、実は今日、後で御報告いた だくが、認定の方についても見直すので、その作業も同時にやらなければいけないから、できれば 12月いっぱいに私どもとしては諮問答申してしまいたい。それが市町村のためにも非常に大事にな るものですから、是非その方向で努力させていただきたいと思う。川合さんの御意見は十分考えな がら進めるので。  したがって、次回もう一度そのたたき台の内容についてお諮り申し上げて、それで大筋御了解が 得られれば12月いっぱいに諮問答申という運びにいたすという段取りにいたしたいがが、よろしい か。 (「異議なし」と声あり) (大森分科会長)  では、そういうことでよろしくお願いいたしたいと思う。  それでは、報告をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  時間がないので、簡単に説明する。参考資料3である。  今、大森分科会長からもお話しがあった要介護認定の一次判定ロジックの主な見直しである。こ れは御報告事項である。現在については、3点ほどある。  1点は、今の方式については平成13年のデータを使用しているので、少し最新のデータに基づく ものが必要だろうということである。  課題の2は、要介護1相当を要介護1と要支援2に分けているが、この場合、認知症の状態、そ れから状態の安定性で分けているが、ここをできるだけコンピュータでアシストできないか。  3点目は、実際の調査項目について、もし精度が落ちないのであれば調査員の負担、審査会の負 担を考えて若干見直しができないかということで、下にこれまでの経緯があるが、現行の82項目に 110項目を加えて最終的な結果とどう連関するかを見た上で、1次モデルは82プラス6で行った。 その結果、さまざまな御議論をさせていっていただいて、現在68プラス6で、これは全市町村で2 次モデル事業を行った。その結果について御報告を申し上げる。  簡単に申し上げるが、7ページ以降をご覧いただきたいと思う。現行の判定が7ページ目で、特 に一番下の左の黄色いところをご覧いただきたいと思う。これは真ん中が変更なし、黄色の右側が 重度変更、左が軽度変更である。8ページ目が、同じようなものをモデル事業で同じ人についてや ってみた場合ということであり、これは2次変更のときに変更する必要がないというところが増え て重度変更、軽度変更の率が減って、都道府県ごとの標準偏差が減っているということで、いわば ばらつきが一定程度を抑えられているということだと思う。  それから、9ページ目、10ページ目、同じようにご覧いただくと、これは要介護1相当となった 後で要介護1になる方と要支援2になる方を、これも同じ方で見た場合だが、現行の方式だと要介 護1になる方が48.6%、一番右の下のところである。それがモデル事業だと54.9%、次の10ペー ジの右下になる。そういうことで、要介護1に落ちる方が増えるということである。  更に最後の11ページであるが、現行の一次判定との比較である。特に下の表をご覧いただきたい。 全く今の判定と変わらない方が57.6%、今の判定よりも軽くなる方が19.8%、今の判定よりも重く なる方が22.6%ということで、上の表と合わせてご覧いただくと、ほぼ現行と同じ精度を保ちなが らバラツキが抑えられるということである。これは検討会の方で御了承いただいたので、今日御報 告させていただいた上で、市町村には具体的なソフトウェア、調査員に対するマニュアル、審査員 に対するマニュアル、これをしっかりと1月の早い段階でお送りをした上で4月に備えて御準備を いただけるよう、我々の方としても全力を尽くしたいと思っている。  以上である。   (大森分科会長)  では、次回のアナウンスをお願いする。 (鈴木老人保健課長)  次回は、12月12日9時から12時まで行う。場所等は、また追って御連絡したいと思う。よろし くお願いする。 (三上委員)  この認定の問題についての議論、モデル事業についての議論はここではしないのか。 (大森分科会長)  私どもの部会の諮問事項ではないという趣旨で報告事項になっているので、次回に御意見があれ ば出していただいてもいいが、私どもがここで決定するという立場にはない。 (三上委員)  では、次回意見を出させていただく。 (大森分科会長)  どうぞ、出していただきたい。  それでは、以上でございます。ありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)