08/11/28 平成20年11月28日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年11月28日(金) 16:00〜 厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(15名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 五十嵐   隆、 川 西   徹、 佐 藤 田鶴子、    澤 田 純 一、 清 水 秀 行、○首 藤 紘 一、◎永 井 良 三、    中 澤 憲 一、 西 澤   理、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、    松 井   陽、 村 勢 敏 郎、 村 田 美 穂 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)    鈴 木 洋 史、 千 葉   勉、 成 冨 博 章、 本 橋 伸 高 3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   成 田 昌 稔((独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構センター次長)、   赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会 医薬品第一 部会を開催させていただきます。本日は、御多忙中にもかかわらず御参集いただきまし て誠にありがとうございます。また、警備が厳しくなっておりまして、そういう意味で いろいろお手数を煩わせたものと考えております。御協力ありがとうございます。本部 会は、委員19名のうち現在14名の委員に御出席いただいております。野田委員は遅れ て来られると聞いておりますので、野田委員が御出席になられれば15名となります。い ずれにいたしましても、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、鈴 木委員、千葉委員、成冨委員、本橋委員からは御欠席との御連絡をいただいております。  それでは、部会長の永井先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 それでは、本日の審議に入らせていただきます。まず、事務局から配付 資料の確認、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたし ます。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部 会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜16をあらかじめ お送りしております。このほか、本日、資料17「審議品目の薬事分科会における取扱い 等の案」、資料18「専門委員リスト」、資料19「競合品目・競合企業リスト」を配付し ております。  続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いた します。資料19を御覧ください。各品目の競合品目選定理由につきましては次のとおり です。  審議議題1、ゾレアでございます。本品目については、競合品目はないと判断されて おります。  議題2、トレリーフ錠でございます。本剤は、パーキンソン病治療薬でありまして、 MAOを阻害する作用があることを確認しているものでございます。また、本剤は、レ ボドパ含有製剤と併用することでパーキンソン病に効果を示す薬剤であります。一方、 COMTを阻害する薬剤としてはコムタン錠、MAOを阻害する薬剤としてはエフピー 錠がございます。以上のことから、この2剤を競合品目と選定したということでござい ます。  議題3、ボトックスビスタ注用50単位でございます。本剤につきましては、現在、同 様の効能・効果が承認されている、あるいはその取得を目指して開発を進めている医薬 品はないことから、競合品目については該当はないと判断されております。  議題4、ルセンティスでございます。本剤は、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢 黄斑変性症」を効能・効果とする薬剤であります。作用機序といたしましては、VEG Fに対する阻害薬でございます。そのうちマクジェンにつきましては、ルセンティスと 同一の効能・効果で承認された薬剤であり、同様の作用機序を有することから競合品目 として選定されております。また、ルセンティスと同様、滲出型加齢黄斑変性症を対象 とした臨床試験が現在行われており、また、同様の作用機序を有する医薬品として、競 合品目2に挙げておりますアフリベルセプトを競合品目として挙げております。なお、 ルセンティスと同様の効能・効果を有する薬として、ビスダインがございますが、作用 機序がルセンティスと異なることから競合品目には選定しなかったということでござい ます。  議題5、アドエア250ディスカスでございます。本剤は吸入ステロイド薬と長時間作 用型吸入β2刺激薬の配合剤であります。効能・効果は「慢性閉塞性肺疾患の諸症状の 緩解」でございます。本剤と同じ適応を持つ市販製剤として、セレベント及びスピリー バの2品目があり、そのうちセレベントはこの申請者の製品であるため除外し、スピリ ーバを競合品目として挙げております。次に、本剤と同様のCOPDの適応症で開発が 進められている品目の中から、本剤と同じく吸入ステロイド薬及び長時間作用型吸入β 2刺激薬の配合剤でありますSymbicort Turbuhaler、及び本剤の配合単剤セレベントと 同じLABAでありますIndacaterol maleateを競合品目として挙げているところでご ざいます。  議題6、アドエア50エアー120吸入用他でございます。本剤は先ほどと同じく吸入ス テロイド剤と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤でございまして、効能・効果は「気 管支喘息」でございます。それらのうち効能・効果、及び薬理作用等から、競合品目と いたしまして、本剤と同様の配合剤、及び吸入ステロイド薬、それから長時間作用性吸 入β2刺激薬単剤の中から競合品目を挙げております。まず、ICSとLABAの配合 剤といたしましては、現在、国内で上市されている医薬品は本剤以外にありませんが、 Symbicortが承認申請中であることから競合品目に挙げております。また、ICS又は LABAの単剤につきまして、それらの中で小児用量が規定されている薬剤を選定し、 この申請企業の品目を除いたものといたしまして、パルミコート吸入液及びキュバール エアゾールの2剤を競合品目として挙げております。  議題7、コディオ配合錠でございます。本剤は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬と ヒドロクロロチアジドの配合剤でありまして、それと同様の配合剤として既に承認され ていますプレミネントを競合品目の一つとして選定し、同様にブロプレスプラス及びミ カルディスプラスを競合品目として挙げております。  議題8、エカードでございます。本剤も同様に、アンジオテンシンIIタイプ1受容体 拮抗薬とヒドロクロロチアジドの配合剤でございまして、その観点から、競合品目とし てこちらに挙げておりますプレミネント錠、それから、日本ベーリンガーのBIBR277HCT 及びノバルティスファーマのVAH631という形で競合品目が挙げられております。  議題9、乾燥スルホ化人免疫グロブリンのオーファン指定でございます。本剤は、「チ ャーグ・ストラウス症候群」及び「アレルギー性肉芽腫性血管炎」の治療薬として、オ ーファン指定の申請がなされたものであります。従来、これらの疾患につきましてはス テロイド剤が用いられておりますが、本剤の投与はステロイド剤が効果不十分な場合に 限ることから、ステロイド剤は競合品目に該当しないと考え、それ以外についてこの効 能の医薬品はないことから、競合品目はないとしております。  議題10、eculizumabのオーファン指定でございます。本剤の予定申請効能は「発作性 夜間ヘモグロビン尿症」でございますが、この効能を有する医薬品は現在のところ使用 されておりません。以上のことから、競合品目は無しとなっております。以上でござい ます。 ○永井部会長 ただ今の説明に御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでし ょうか。御意見がございませんでしたら、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企 業リストにつきましては、御了解をいただいたことにいたします。それでは、委員から の申出状況について報告をお願いいたします。 ○事務局 各委員からの申出状況につきましては、次のとおりです。議題1「ゾレア」 につきましては、退室委員は永井委員、議決には参加しない委員はいらっしゃいません。 議題2「トレリーフ」につきましては、退室委員は永井委員、村田委員、議決には参加 しない委員は西澤委員、野田委員でございます。議題3「ボトックスビスタ」につきま しては、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加しない委員は五十嵐委員でござ います。議題4「ルセンティス」につきましては、退室委員は永井委員、議決には参加 しない委員は五十嵐委員、西澤委員、野田委員でございます。議題5「アドエア250デ ィスカス」につきましては、退室委員は永井委員、西澤委員、議決には参加しない委員 は五十嵐委員でございます。議題6「アドエア100ディスカス」等につきましては、退 室委員は西澤委員、議決には参加しない委員は五十嵐委員、野田委員、村田委員でござ います。議題7「コディオ」につきましては、退室委員は永井委員、西澤委員、議決に は参加しない委員は五十嵐委員、野田委員でございます。議題8「エカード」につきま しては、退室委員は永井委員、西澤委員、議決には参加しない委員は五十嵐委員、野田 委員でございます。議題9「乾燥スルホ化人免疫グロブリン」のオーファン指定につき ましては、退室委員、議決には参加しない委員、共にいらっしゃいません。議題10「エ クリズマブ」のオーファン指定につきましては、退室委員、議決には参加しない委員、 共にいらっしゃいません。  したがいまして、議題1、2、4、5、7、8につきましては、首藤部会長代理に議 事進行をお願いしたいと存じます。以上でございます。 ○永井部会長 本日は、審議事項が10議題、報告事項が6議題となっております。議題 1、2は、首藤部会長代理に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○首藤部会長代理 それでは、議題1に入ります。永井委員におかれましては、本議題 の審議の間、別室で御待機をお願いいたします。 ── 永井委員退室 ── ○首藤部会長代理 事務局から概要を説明してください。 ○審査管理課長 それでは、私の方から御説明申し上げます。ゾレア皮下注用150mg投 与用につきましては、前回のこの部会において御審議をいただいたところでございます。 その御審議の中で、清水委員他から販売名について御議論を賜ったところでございます。 その御質問、御意見に対する私からの説明の中で、販売名については従来から東京医科 歯科大学の土屋先生を中心に御検討をお願いした経緯があるということから、この件に つきましても土屋先生に意見を伺ったことも述べさせていただいたところでございます が、これがあたかも先生の了解を得たかのような誤解を招いたところがあった、また、 先生とのやり取りの中で一部行き違いがあったことを謝りたいと存じます。  その上で、再度この販売名について企業とも連絡を取りながら検討しましたので、そ の検討を御紹介させていただくとともに、本日、再度御議論を願いたいと考えていると ころでございます。  資料1の1枚目をめくっていただきますと、ノバルティスファーマ株式会社から出さ れた書類がとじられております。1.の「(1)販売名」のところでございますが、このも のは、1バイアルに注射用水1.4mLを加えて、濃度が125mg/mLとなる溶液を調製し、そ の1.2mLを皮下注射することによって、150mgを投与するというものでございます。し たがいまして、1ページの下から2行目でございますが、本剤は過量充てんされており、 バイアル内の溶液をすべて投与するのではなく、その一部を投与するというもののため バイアル内の総量を記載するのではなくて、1バイアル当たりの投与量150mgを販売名 に付したもので申請を行って、さらに投与量であることを強調する目的で「投与用」と いう文言を追加したということで、経緯が述べられているところでございます。  2ページの「2.欧米の状況」の(1)、またその表を御覧いただきますと、アメリカ、 カナダにおいてはmg数を書かない、ヨーロッパにおいては150mgを付す、また添付溶解 液について、アメリカ、カナダでは添付溶解液を付けない、ヨーロッパでは2mLの添付 溶解液を付けているという状況でございます。「(2)過量投与の例」については、前回 も御紹介した2例が報告されております。  3ページの「3.対応策」の(1)でございますが、結論から申し上げますと、「ゾレア 皮下注用」でどうだろうかというのが会社側の提案でございます。その理由でございま すが、150mgを付した場合、1バイアル当たりの総量であるという誤解を招きかねない、 一方、総量の202.5mgを付した場合、全量投与される、あるいは過少投与を招く可能性 があることが懸念されるということが述べられております。なお、前回も御質問いただ いたところでございますが、1.4mLの注射用水で調製した場合、どれくらい採れるのか、 非常に粘度が高いですから全部は採れないわけでございますが、どれくらい採れるかと いうことがここに書かれておりまして、□mg程度は採れるのではないかということでご ざいます。さらには、海外で見ますと先ほど見たような状況にあることから、平成12 年の通知で申し上げますと、含量を付けることが不適切な場合にあっては、含量を付す ことは要しないという規定があって、このものの場合にはそこに該当すると考えるのが 適切ではないかというのが企業からの申請でございますし、我々としてもそう考えてい るところでございます。  また、4ページの「(2)添付溶解液の対応策」でございますが、2mLの添付溶解液を 付けた場合、2mL使われるのではないかという懸念があるということは、前回も議論さ れたところでございます。企業としても、その懸念はやはりあるということを考えます と、アメリカ、カナダの例、すなわち添付溶解液を付けないことの方がむしろ適切では ないかということで、販売名の変更、さらに添付溶解液を廃止するという提案がなされ たところでございます。事務局といたしましてはこのような方向でいかがかと考えてい るところでございますが、改めて御議論を願えれば幸いでございます。よろしくお願い 申し上げます。 ○首藤部会長代理 今の説明でお分かりかと思いますが、まず、清水委員から御意見を いただきたいと思います。 ○清水委員 今回の御提案ですが、医薬品名の表記についても、溶解液をあえて添付し ないという販売を行うことについても、従前のものよりは誤解を生じる可能性は少ない のではないかと思います。特に2mLの溶解液の添付については、まずそこから1.4mLを 採り、溶解してさらに1.2mLを採るということに誤解を生じる可能性は非常に高いよう な気がいたしますので、添付をしない、添付をしなければ溶解液が別途必要になるわけ ですから、その段階でどの用量で溶かすかということを一応確認する必要が生じるかと 思いますので、今回の提案の方がより好ましいように感じております。 ○首藤部会長代理 ほかに事務局からの提案に対しまして御意見はございませんか。割 と細かいけれども難しい問題ですが、企業からの、それから審査管理課からの提案でい いと、これでベターになったのではないかということで御承認いただいてよろしいでし ょうか。これも議決することになっておりますので、本議題について、販売名を変更す ることでよろしいでしょうかということで議決を採りたいと思いますが。それでは、異 議無しということでよろしゅうございますね。 ○清水委員 一点確認させていただきたいのですが、添付文書の3ページの「投与時」 という項目で、シリンジとしては2.5mLの注射筒を用いて採取するということが2)に書 かれております。375mgの量を投与するときには、総投与容量は3.0mLになるわけです が、これはこのままの記載で大丈夫なのでしょうか。その点を教えていただければと思 います。 ○首藤部会長代理 (3)の投与時のところですか。 ○清水委員 (3)の投与時のところです。調製をする手順等が書かれているのですが、 2)のところで、注射筒としては2.5mLの注射筒を用いて採取するのですが、高用量にな った場合には、1回の総投与容量は2.5mLを超えると。 ○首藤部会長代理 表の中の「3.0mL」というのですね。 ○清水委員 3.0mLの場合には、これでは吸いきれないのではないかと思うのですが。 読み違いであったら御指摘いただければと思います。 ○審査管理課長 先生の御質問の意図を正確にとらえていないのではないかというおそ れは多々あるわけでございますが、濃度が一定でございますから、比例して3.0mLにな っていくのだろうと思います。そのときに必要となってくるバイアル数を3本という形 にしているのは、実際上2本では吸いきれないからということでこのようになっている のだろうと考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。 ○清水委員 1本ずつ2.5mLのシリンジで吸い上げて、2本目のボトルは別の注射筒に 吸い上げて、3本目のボトルもまた別の注射筒に吸い上げて投与するということですね。 読み違いかもしれません。申し訳ありませんでした。 ○首藤部会長代理 3本の注射筒を使うということですか。 ○清水委員 1本の注射筒で次々に吸ってということはしないということですね。 ○審査管理課長 先生がおっしゃっておられますのは、(3)の2)、「1バイアルを」と いうところで、「必要バイアル数を溶解し、投与に必要な総投与容量を18ゲージの注射 針を装着した2.5mL注射筒を用いて採取する」というところが、2.5mL注射筒でなくて はいけないのか、バイアル二つをやるときに5mLとかでは駄目なのかという御質問だろ うと思います。その点については確かめさせていただきます。1本で吸えるということ であれば、そのような誤解がないように表記したいと思います。ありがとうございまし た。 ○首藤部会長代理 それでは、ここのところは事務局にお任せすることにいたします。 御異議がないようでございますので、この販売名に変更した上で、薬事分科会に上程し、 審議をするということにいたします。  それでは、議題2に入ります。トレリーフ錠25mgについてでございます。永井委員、 村田委員におかれましては、本議題の審議の間、別室で御待機いただくことになります。 ── 村田委員退室 ── ○首藤部会長代理 総合機構から概要を説明してください。 ○機構 議題2、資料2、医薬品トレリーフ錠25mgにつきまして、医薬品医療機器総合 機構より説明させていただきます。  本剤の有効成分であるゾニサミドは、大日本製薬株式会社(現:大日本住友製薬株式会 社)により合成され、本邦では1989年に抗てんかん薬として通常用量200mg〜400mgで承 認され、エクセグラン錠100mg及びエクセグラン散20%として市販されております。こ れらの製剤をけいれん発作を併発した日本人パーキンソン病患者に投与したところ、パ ーキンソン病症状の改善も認められたことから、□□年から抗パーキンソン病薬として の開発が進められ、今般、国内臨床試験成績を基に予定効能・効果を「パーキンソン病(レ ボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を併用しても十分な効果が得られていない場 合)」としてゾニサミドの含有量を25mgとした本剤の医薬品製造販売承認申請がなされ ました。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料18に記載されております委員が指 名されております。  本品目の臨床試験成績に関する審査の概略について、説明させていただきます。  有効性につきましては、L-DOPA製剤投与中で、現行治療で十分な効果が得られていな い進行期パーキンソン病患者を対象とした第III相臨床試験において、主要評価項目とし た最終評価時のUPDRS PartIII合計スコア変化量は、プラセボ群で-2.9、本薬25mg群で -5.9、本薬50mg群で-5.5であり、25mg群とプラセボ群との間に有意差が認められまし たが、50mg群とプラセボ群との間に有意差は認められませんでした。この本薬の用量増 加に伴う効果の減弱傾向は、より高用量まで検討しました第II相試験及び後期第II相/ 第III相試験におきましても認められております。したがいまして、本薬25mgを承認用量 とすることが妥当であると判断しました。  安全性につきましては、本薬で発現率の高かった有害事象は、本薬をてんかん患者に 投与したときの副作用として既に知られているものであり、抗パーキンソン病薬におい て特に注意すべき悪性症候群、及びてんかんの効能取得時よりも発現率が高かった幻覚 については、添付文書において適切に注意喚起されており、承認の可否にかかわるよう な問題はないと判断しました。  以上の臨床試験成績等により、本剤の対象は、基本的に「レボドパ含有製剤に他の抗 パーキンソン病薬を併用しても十分な効果が得られていないパーキンソン病」とするこ とが適切と判断しました。しかし、副作用により抗パーキンソン病薬を中止せざるを得 ない場合もあることから、臨床的に本剤の適切な対象と判断される患者であっても、必 ずしもL-DOPA製剤以外の抗パーキンソン病薬の併用が本剤投与時において継続されて いるとは限らないと考え、効能・効果は、「パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗 パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)」とすることが妥当で あると判断しました。  なお、使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的に、 パーキンソン病と診断され、本剤が新規投与された患者500例を対象とした特定使用成 績調査が実施される予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬 品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。  本剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断し、再 審査期間を4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予 定しております。  御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はあり ますでしょうか。25〜50mgということでの申請であったわけですが、25mgに固定しての 審査結果になっています。 ○川西委員 品質関係の質問ですが、報告書の7ページの頭のところに、□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□、「□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」と書かれているのですが、これ は□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と思うのです。これはどういうことな のでしょうか。 ○機構 当該事項に関しましては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□。 ○川西委員 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□、□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□、品質の問題ですからこの場で明確な答 えは期待しませんが、報告書としてはあいまいな書き方だと思いました。 ○機構 確認させていただきまして、後日、御連絡させていただきたいと思います。 ○首藤部会長代理 特に用量について御意見はございますか。25mgが一番いいというこ とです。50mgにすると少し悪くなるということで、25mgにしたというのが一つのポイン トだと思いますが、よろしいですか。それでは、議決に入ります。西澤委員、野田委員 におかれましては、分科会申合せに基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくこと になります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。異議無しというこ とで、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ── 永井委員、村田委員入室 ── ○永井部会長 それでは、議題3に入ります。機構から概要の御説明をお願いいたしま す。 ○機構 議題3、資料3、医薬品ボトックスビスタ注用50単位の製造販売承認の可否等 について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤はA型ボツリヌス毒素を有効成分とする筋弛緩剤で、2008年8月現在、79か国で 斜視、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、痙縮、脳性麻痺等の多岐にわたる適応に対 して承認されており、眉間の表情皺に対しては、2008年8月現在、米国、イギリス、ド イツを含む57か国で承認されております。本邦においては、「ボトックス注50」及び 「ボトックス注100」が眼瞼痙攣、片側顔面痙攣及び痙性斜頸の適応で承認されており、 眉間の表情皺に対しては医師の個人輸入によるボツリヌス毒素製剤の使用が報告されて います。なお、本剤は「ボトックス注50」と同一組成の製剤ですが、既承認の適応と本 申請の予定効能・効果を明確に峻別し、使用時の混乱や誤用等を防ぐ目的で「ボトック スビスタ注用50単位」という販売名で申請されております。  本申請の専門委員としては、資料18に記載されております4名の委員を指名いたしま した。  審査内容について、説明させていただきます。品質、薬理、薬物動態及び毒性につい ては、特に大きな問題はないと考えております。次に臨床成績について御説明させてい ただきます。  国内第III相試験では、20歳から65歳までの表情筋を最大限緊張させた際の眉間の皺 の程度が「中等度」又は「高度」の患者において、主要評価項目である投与4週後の「最 大緊張時の皺の程度評価」が「なし」又は「軽度」であった患者の割合は、本剤10単位 群で86.4%、本剤20単位群で88.6%、プラセボ群で0%であり、本剤群では両用量と もプラセボ群に対して有意な改善を示しました。また、国内長期投与試験では、効果が 減弱し、前回の投与から3か月以上経過した場合に最大5回まで投与したときの有効性 及び安全性が確認されております。  本剤の安全性については、主な有害事象として眼の異常感、眼瞼浮腫、注射部位疼痛、 頭痛等が認められておりますが、本剤の投与に起因する重篤な有害事象、投与筋以外の 遠隔部位での作用と考えられる有害事象は認められておらず、用法・用量を遵守して使 用する限りにおいては、本剤の安全性に特に問題はないと考えております。本剤の使用 は、既承認の適応と同様に資格講習を受講した医師のみに限定し、本剤の安全性につい ては製造販売後調査において引き続き検討を行っていく予定です。  以上の審査を踏まえ、「本剤についての講習を受け、本剤の安全性及び有効性を十分 に理解し、本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師によってのみ用いられ るよう、必要な措置を講じること」及び「本剤使用後の安全・確実な失活・廃棄、その 記録の適切な保管等、本剤の薬剤管理が適正に行われるよう、所要の措置を講じること」 を承認条件として付与した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一 部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は、既承認の「ボト ックス注50」及び「ボトックス注100」がいずれも希少疾病用医薬品として指定された 効能のみを有していることから5年10か月、原体及び製剤は毒薬に該当し、生物由来製 品に該当すると判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はいかがで しょうか。 ○川西委員 これは、私はびっくりしました。こういう形で認可することは賛成ですし、 そのこと自体は全然問題ないと思うのですが、お伺いしたいのは、この講習はどこが主 体になってやるのかということと、実際に誰が受けたか等の管理はどのように考えてい るのでしょうか。 ○機構 講習に関しましては、既存の三つの適応、神経内科領域の適応になりますが、 そちらでも既に実施されている状況でございまして、受講形式、それからインターネッ トのウェブを介した講習の受講が現状の3適応に関しては可能となっております。講習 を実施しているのは、申請者でありますグラクソ・スミスクライン社でございます。  今回の眉間の表情皺の適応に関しましては、学会と連携をとった上で、講習内容につ いても我々の方で事前に確認をさせていただいておりまして、申請者が講習を実施し、 そこに医師がアクセスして、その講習内容を理解されたことが確認された状況下で本剤 を投与できる資格を与えることになっております。その資格を持っている医師であるか どうかは、流通管理の体制の中で確認され、初めて納入される医療機関に関しては、施 注手技の資格を持っている医師がいるかどうかをデータベースにより申請者が管理し て、それを確認した上で卸から流通することになります。  ウェブの講習に関しましては、議論があったところではございますが、その内容につ いて、項目ごとに確認テストが設けられていて、全問正解しないと次のステップに進め ないような形で、最終的にはインターネットを介した状況でも適切に講習が実施される ことを確認した上で、投与の資格を付与するという対応がなされる予定でおります。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○村田委員 ここで伺うのが適切かどうか分からないのですが、教えていただきたいの ですけれども、表情皺というのは美容形成で、これは自由診療ですね。 ○機構 自由診療になるかどうかは、最終的には保険の方で決まると思うのですが、自 由診療になることは予想されます。そのような経緯もございまして、既存のボトックス 注50と全く同じ製剤ではありますが、自由診療と保険診療とが混同しないよう改めて別 名称で今回申請をされているという状況です。 ○村田委員 二つ教えてください。一つは、医薬品の副作用のこともかかわっているの で、副作用に関しての補償がありますが、それはビスタの場合も関係するのかどうかと いうこと。それから、美容形成の場合、今回は表情皺だけですが、このくらいの用量で 小顔というか、例えば口の周りの皺などにも海外では結構使われています。自費診療で あれば、ある意味、そういうものに使っても許されるような気がするのですが、そうい うことは許さないと言うことができるのですか。 ○機構 まず、我々が有効性、安全性を保証できる範囲を明確にする必要があると考え ておりますので、添付文書の効能・効果の中で、表情皺の中でも眉間の皺しかエビデン スはないということで、その部分の、しかも65歳未満という年齢制限を付けた形での承 認を想定しております。  その適応で使われる範囲内においては、実際に副作用の被害救済がどのような形にな るのかは分かりませんが、基本的には効能・効果の範囲内で適正な使用がなされている 範囲であれば、その部分は考慮されるものと考えられます。一方で、それ以外の、例え ば口元や目尻などの部位に使った場合においては、適正な使用の範囲内とはみなされな いと考えられますので、自費診療の中では可能かもしれませんが、我々が推奨する範囲 ではないという扱いになるので、安全性の被害救済という観点からいきますと、適正な 使用の範囲とはみなされないのではないかと予想されます。 ○村田委員 自由診療で、ある程度何にでも使えるというものと、実はボトックスに関 しては、ビスタではない方のもので、もっと適応を広げたいというのは医師側にはかな り多いのですが、会社は余り動かないのですけれども、そういう状況があって、自費診 療で動くようになると、ある意味で使いやすくなります。それから、美容ではほとんど 何でも有りという状況で、あるものだけの限定というのがどのくらい意味があるのかと 思ったので、仕組みとして教えてほしいと思いました。 ○機構 私からお答えするのが適切かどうか分かりませんが、まずボツリヌス毒素製剤 であるということがありますので、通常の品目よりも承認条件等が付与されて厳しい管 理になっている実情は、既存の製剤でもあると思います。それにはそれ相応の理由があ りますので、ボトックスビスタであれば何にでも使えるということにはならないと考え ております。  美容医療の領域で開発された一番の意図は、個人輸入でボトックス以外のボツリヌス 毒素、場合によっては中国製のジェネリック製剤等が使用されている状況の中で、品質 等も十分な管理がなされているか不明で5℃以下での保存が必要な本剤に関しても保存 状況が分からず、失活・廃棄がされているかどうかも分からない。実際に米国では、実 験用のボツリヌス毒素を使って医療事故が起こっています。そのような中で、今、日本 で個人輸入(医薬品)がかなり大量に使われている状況を打破する一つのきっかけとして 申請者が開発してきたのが、眉間の皺であったというところだと思います。それ以外の 部分に関しましても、ボツリヌス毒素であるという前提で、我々としてはある一定の規 制をかけざるを得ないのではないかと思います。ですので、自由診療だからほかに何に でも使えるということには決してならないと考えています。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 承認条件の2.ですが、先行して発売されているボトックスの記載と内容的 には同じことが書かれていると理解できるのですが、文言が少し変わっているかと思い ます。具体的には「薬剤部に依頼する等」という文言が抜けていることには、今回は何 か意味があるのでしょうか。 ○機構 今回御審議いただいておりますボトックスビスタに関しましては、ほとんどが クリニックで使用されることが予想されまして、必ずしも薬剤部が存在するような病院 ではないことが予想されます。ですので、薬剤部を介した管理を現状のボトックス注50、 100ではお願いしておりますが、今回のボトックスビスタに関しましては薬剤部を介さ ない管理が必要となるケースが想定されましたので、内容的にはほぼ同様の内容ではあ りますが、多少文言を変えて整理させていただいております。 ○清水委員 ちなみに、私の勤務している病院では、薬剤部でその記録は保管するとい うふうに管理しているのですが、やはり何かかませるというのは、安全を担保する意味 で大事な視点ではないかというふうにも感じます。 ○機構 ありがとうございます。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、議決に 入ります。五十嵐委員におかれましては、分科会申合せに基づきまして、議決への参加 を御遠慮いただくことにいたします。この件につきまして、承認を可としてよろしいで しょうか。御異議がございませんので、承認可ということで、薬事分科会報告とさせて いただきます。  議題4、5につきましては、首藤部会長代理に進行をお願いしたいと思います。 ○首藤部会長代理 それでは、議題4に入ります。ルセンティス硝子体内注射液につい てでございます。永井委員におかれましては、本議題の審議の間、別室でお待ちいただ きます。 ── 永井委員退室 ── ○首藤部会長代理 総合機構から概要を御説明ください。 ○機構 議題4、資料4、医薬品ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mLの製造販売 承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるラニビズマブ(遺伝子組換え)は、米国ジェネンテック社で開発 されたVEGFに対する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体のFabです。海外で は□□年より臨床開発が開始され、2006年6月に米国で新生血管を伴う加齢黄斑変性症 に対する効能・効果で承認されて以来、2008年8月現在、本剤は欧州、オーストラリア 等77か国で承認されています。本邦では、□□年□月より臨床試験を開始し、今般の申 請に至っております。  本申請の専門委員としましては、資料18に記載されております8名の委員を指名させ ていただきました。  審査内容について、説明させていただきます。  品質、薬理、薬物動態及び毒性については、特に大きな問題はないと考えております。 なお、本薬の作用機序は、脈絡膜でのVEGF過剰分泌による脈絡膜新生血管の誘発に 対し、本薬がVEGFと結合し、VEGFの受容体への結合を阻害することで、脈絡膜 新生血管形成を抑制することによると考えられております。  次に臨床成績について説明させていただきます。  有効性については、国内臨床試験で主要評価項目であるベースラインから初回投与12 か月後までのETDRS視力表を用いた最高矯正視力スコアの変化に関しましては、本剤0.3 mg群で9.5文字、0.5mg群で10.5文字増加しております。国内臨床試験におきましては 本剤による治療を行わないシャム群が設定されておりませんが、海外臨床試験において、 本剤群はシャム群と比較して、ベースラインから初回投与12又は24か月後まで視力を 有意に増加させていること、公表文献等における国内外での加齢黄斑変性症の患者にお ける視力推移の自然経過は同様であると考えられておりますことから、国内臨床試験で の視力推移は海外臨床試験と同様であったことを踏まえ、日本人での有効性は示された と判断しております。また、本剤0.5mg群は0.3mg群よりもETDRS視力表を用いた最高 矯正視力変化により改善する傾向が認められたこと、有害事象の発現状況について用量 間で大きな差が認められていないことから、本剤の用量を0.5mgと設定することは妥当 と判断いたしました。なお、本剤の投与間隔について、投与開始3か月で最高矯正視力 スコアの変化量は急速に増加することから、投与開始3か月に関しましては1か月に1 回投与すること、海外臨床試験成績から、3か月に1回投与でも視力を維持でき、国内 臨床試験でも同様の傾向が認められていることから、投与開始3か月以降に関しまして は1か月に1回、視力等を測定し、本剤の投与間隔を調節することが妥当と判断いたし ました。  安全性については、結膜出血、眼痛及び眼圧上昇等の眼局所における有害事象が主に 認められており、多くは硝子体内投与という本剤の投与手技に起因する事象と考えられ、 本剤との因果関係を関連付けることは困難と考えられております。なお、製造販売後に は、本剤が投与された全例を対象とした調査を実施することとしており、この点を承認 条件として付すことが適切と判断しております。  以上の審査を踏まえ、本剤の中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症に対する 効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくこと が適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品 であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び 特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会は報 告を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見はござい ますか。 ○川西委員 これは恐らくヒト化抗体の一つでFabフラグメント型のものであり、大 きさが最小のタイプと思いますが、この構造に由来する特徴と関係していることで、報 告書の19ページの一番下のところに、Fabフラグメントだけなので、Fcがないから ということで、血中に長くとどまらないということと関連して、抗ラニビズマブ抗体が できた場合は、「抗体陽性の動物においては、抗ラニビズマブ抗体は本薬のキャリアタ ンパクとして作用し、抗ラニビズマブ抗体と本薬の複合体は結果的にFc領域を有する IgG型様のラニビズマブとなり」うんぬんとあります。通常Fcを含む抗体医薬は胎 児性Fcレセプターとの結合でリサイクルしますが、これは抗ラニビズマブ抗体と結合 した形でリサイクルするというふうに考えられているのですか。そうではなくて、単純 に、結合するから、血中に長くとどまるからという、安定化という話の延長線上ですか。 ○機構 恐らく、先生がおっしゃられました後者の方だと思います。結合することで安 定化して、長く持つという考えになっていると思います。 ○川西委員 それと関連するのですが、Fabフラグメント型に関しては、臨床での使 用実績が少なく、多分、この辺のことがはっきり分かっていない部分もあって、58ペー ジに「製造販売後には、抗ラニビズマブ抗体と本剤の有効性及び安全性との関係につい て引き続き検討する必要があると考える」とあると思うのですが、その前に、抗体はさ ほどできないので、「抗体検査を実施する必要性はないと考える」と書いてあります。 実際にはメーカーに対してどのようなことを言っているのですか。 ○機構 抗ラニビズマブ抗体に関して、通常は定期的調査をすることはなかなか難しい ということですが、特別に抗体の発現が疑われるとか、特別な有害事象があるというよ うな場合に、測りたいという希望等があれば、それに対応できるように体制を組むこと にしています。ですので、希望があれば検査ができます。 ○川西委員 私個人は、本薬は投与方法との関係から余り体循環に入らないから、それ は必要ないと思いますが、Fabフラグメント型の抗体は、臨床的には限られた情報し かありませんので、臨床的への応用に際し、当面は気を付けた方がいい要素がひょっと してあるかなと思っています。ただし、小型抗体医薬の潜在的な有用性を考えたら、決 してネガティブには考えない方がよいと思っています。 ○澤田委員 品質の問題ですが、5ページに、システイン残基は10個存在し、分子間1 個、分子内4個と書いてあります。これが本当にそうなのかというのは、チェックする 方法があって、そういう試験法が設定されているのでしょうか。 ○機構 そちらに関しましては、確認させていただいて、後ほど答えさせていただきた いと思います。 ○澤田委員 どうしてこういうことを言うかと言いますと、大腸菌でタンパクを作ると、 SSスクランブルと言いまして、なかなかきちんとできない場合が多いのです。多分こ れは、アフィニティ・クロマトグラフィーをやれば、きちんとしたものだけは残ってい るはずなのですが、本当にそうなのかを知りたいと思ったのです。もしタンパクが変性 していると、抗原になりやすい可能性があるので、その辺はFabなので注意した方が いいと思ったので、質問しました。 ○首藤部会長代理 お答えは後でよろしいですね。確認ですが、これは、1バイアルは 0.23mLで、2.3mg入っているのですね。それから0.05mLを1回ごとにシリンジで採って、 1バイアルは何回分ですか。 ○機構 本バイアルには薬剤は2.3mg分として0.23mLの液剤が入っています。それをま ずフィルター付きの1mLのシリンジで採液しまして、それを0.05mLに合わせて投与し ます。ですので、1バイアルで1回投与できる形になります。 ○首藤部会長代理 そうすると、残りは捨ててしまうのですか。 ○機構 残りは捨てることになります。フィルターに残液があったりして、実際に採液 して採れる量としては0.1ccくらいということで、そこから0.05mLをきちんと量ってい ただいてということになるかと考えています。あとは捨てることにならざるを得ないと いうことです。 ○首藤部会長代理 イメージがわかないからあれですが、0.23mLから0.05mL使うわけ ですね。そうすると0.18mL残るわけですが、それは捨ててしまうわけですね。数字の上 でですけれどもね。 ○機構 現実的には、その前にフィルターを通していますので、それほど残らないと思 います。もともとどのくらいの用量がいいかということを申請者の方で検討していまし て、例えば0.20mLでどうかということも検討していますが、そうすると実際には0.05mL を量れないような場合が出てきてしまうことを、幾つかの実験をして確認しています。 0.05mLをきちんと量れる量を担保しようとすると0.23mLは必要だということで、今回 の用量を決めてきています。これを採ると、今回必要な0.05mLが安定して採れるという ことを何度か確認していまして、この用量が決められているということでございます。 ○首藤部会長代理 分かりました。ほかにいかがですか。特に御意見がないようでした ら、議決に入ります。五十嵐委員、西澤委員、野田委員におかれましては、薬事分科会 申合せに基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につ いて、承認してよろしいでしょうか。御異議がないようでございますので、承認を可と いたしまして、薬事分科会に報告とさせていただきます。  議題5に入ります。永井委員、西澤委員におかれましては、本議題の審議の間、別室 で御待機いただくことにいたします。 ── 西澤委員退室 ── ○首藤部会長代理 それでは、総合機構から概要を御説明ください。 ○機構 議題5、資料5、アドエア250ディスカスの製造販売承認事項一部変更承認の 可否等について、機構より説明いたします。  本剤は、長時間作用型β2刺激薬であるサルメテロールキシナホ酸塩及びステロイド 薬であるフルチカゾンプロピオン酸エステルの二つの有効成分を配合した連用式吸入用 散剤でございます。本邦においては、サルメテロール50μgに対してフルチカゾンをそ れぞれ100、250、及び500μg配合したアドエア100ディスカス、250ディスカス、及び 500ディスカスが、気管支喘息に係る効能・効果で2007年4月に承認されておりますが、 今般の申請はアドエア250ディスカスについて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に係る効 能を追加するというものでございます。なお、当初はアドエア500ディスカスについて もCOPDの効能追加に係る申請がなされましたが、後述いたしますとおり、審査の過 程において、リスクを上回るベネフィットが示されていないとの結論に至り、当該申請 は取り下げられております。  本申請の専門委員としては、資料18に記載しております6名の委員を指名いたしまし た。  審査内容について簡単に説明させていただきます。  非臨床に関する資料については、特段の問題は認められないものと判断しております。  臨床試験成績については、本邦における検証試験として、日本人のCOPD患者260 例を対象に、サルメテロール100μg/日から本剤250ディスカスの1日2回投与に切り 替えた際の肺機能における上乗せ効果を検討する無作為化二重盲検ベースライン対照比 較試験が実施されております。この結果、有効性主要評価項目である本剤切替え後4週 時の朝の1秒量の平均変化量は0.022Lであり、ベースラインであるサルメテロール単 独投与時に比べ有意な増加が示されております。当該変化量は数値的にはわずかなもの でありますが、副次評価項目としたピークフローについてもベースラインに対する改善 が示されており、サルメテロールに対するフルチカゾンの上乗せ効果は示唆されている ものと考えられること、また、本剤の薬物動態と薬力学には日本人と欧米人で大きな相 違はないことが示唆されていることを踏まえ、海外の臨床試験成績も参考とした上で、 日本人COPD患者においても本剤投与により一定の有効性は期待し得ると判断してお ります。  また、本剤500ディスカスの1日2回投与については本邦では検証試験は実施されず、 当該用量を用いた非盲検の長期投与試験においてベースラインに比べ1秒量を有意に改 善したことに基づきその有効性が説明されておりますが、250ディスカスの1日2回投 与と500ディスカスの1日2回投与を直接比較した臨床試験成績は国内外ともに得られ ておらず、500ディスカス1日2回投与のベネフィットは明らかにされていないこと、 また、日本人のCOPD患者では本剤による肺炎の発現リスクが高い可能性が示唆され ており、現時点では肺炎の発現リスクの用量依存性は明らかではないものの、ステロイ ドによる全身作用も考慮すると本剤の用量は最小限とすべきと考えられることなどか ら、当該用量についてはリスクを上回るベネフィットが示されていないとの判断をして おります。  安全性については、前述のように、COPD患者では本剤投与後の肺炎の発現率が高 いことが国内外の臨床試験において示されており、COPD患者は高齢者が多いことか らも、臨床上十分に留意すべき有害事象であると考えております。国内試験ではプラセ ボ投与での成績が得られていないため、本剤による肺炎発現リスクは明らかではござい ませんが、海外試験における500ディスカス1日2回投与での肺炎の発現率は3年間で 13.4%であったのに対し、同用量を用いた国内長期投与試験では1年間で既に15.6%に 達しており、日本人COPD患者では肺炎の発現リスクが高い可能性も否定できないと 考えられること、また推奨用量である250ディスカス1日2回投与での長期投与時の発 現率は明らかにされていないことから、製造販売後調査として肺炎を重点調査項目とし た長期特定使用成績調査を実施するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に至り、本第一部会で 御審議いただくことが適当と判断いたしました。本効能に係る再審査期間は、気管支喘 息の再審査期間が2013年4月までであることを考慮し、残余期間とすることが適切と判 断しております。薬事分科会では報告を予定しております。  よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。これは効能追加でございますが、COP Dに対する治療薬でございます。いかがですか。 ○中澤委員 一応確認しておきたいのですが、4ページの3行目に「サルメテロール(S LM)キシナホ酸塩」とあります。それから、資料の「2.4非臨床試験の概括評価」の1 ページ、上から8行目に「サルメテロールキシナホ酸塩(SLM)」とあります。恐らく 「キシナホ酸塩」の部分はSLMには含まないのが正しいと思うのですが、一応確認を したいのですけれども。  ○機構 先生がおっしゃられたように、「キシナホ酸塩」の部分は含まないということ でこちらとしても理解をしておりますが、資料の記載に関しましては確認をさせていた だきたいと思います。 ○中澤委員 それから、私は剤型のことは詳しくないので教えていただきたいのですが、 ここにアドエア50エアーというのがあるのですけれども、ディスカスというのはどうい うものですか。 ○機構 アドエア50エアーはエアゾール剤になるのですが、ディスカスの方は吸入用の 散剤でございまして、吸気とともに散剤を一定量吸い込む形のものになります。 ○首藤部会長代理 ほかにいかがですか。 ○清水委員 添付文書の記載で、これでいいのかなと感じてしまうのは、一番上の、ア ドエア100ディスカスの上の、どのような薬剤というのが書かれている所ですが、「喘 息・COPD治療配合剤」という見出しになってしまうと、あたかも三つともそういう 適応を持った薬剤というふうにも見られるかと思うのですが、そこのところはいかがで しょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。現状では各用量のディスカス、またエアゾール も含めた形の添付文書が予定されておりますので、このような記載になっておりますが、 御指摘のとおりかと思いますので、検討させていただきたいと思います。 ○清水委員 添付文書を分けるときのルールというのは、何か決まったものがあるので すか。例えば250ディスカスだけ別の添付文書にするのは具合が悪いとか、何か決まっ たものがありますでしょうか。 ○審査管理課長 恐らくそれは、特段のルールというようなものではなくて、誤解を与 えない、医療の現場にとって一番分かりやすいということを指標にせざるを得ないのだ ろうと思います。そういう意味から言うと、どちらも一長一短あることは事実なのだろ うと思いますし、今回の添付文書においても、例えば「用法・用量に関連する使用上の 注意」の(3)で、COPDは250だけですよというようなことを言ったり、それなりの 工夫はしているのですが、確かに先生がおっしゃっているような誤解をそれでも与えか ねない。もう少し分かりやすい書き方があるのか、あるいは分けた方がいいのかという のは、今一度検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○首藤部会長代理 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議決に入り ます。五十嵐委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づいて、議決への参加を御 遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がな いようでございますので、承認を可といたしまして、薬事分科会に報告とさせていただ きます。 ── 永井委員入室 ── ○永井部会長 それでは、議題6にまいります。機構から御説明をお願いいたします。 ○機構 議題6、資料6、アドエア100ディスカスの製造販売承認事項一部変更承認の 可否、アドエア50エアー120吸入用の製造販売承認の可否等について、機構より説明い たします。  本剤は、長時間作用型β2刺激薬であるサルメテロールキシナホ酸塩及びステロイド 薬であるフルチカゾンプロピオン酸エステルを有効成分とする配合剤でございます。本 剤については、アドエア100ディスカス、250ディスカス及び500ディスカスが、成人 の気管支喘息に係る効能・効果で既に承認されておりますが、今般の申請は、小児にお ける新用量並びに成人にも適用可能な新たな剤型として定量噴霧式エアゾール剤であり サルメテロール25μgとフルチカゾン50μgを含有するアドエア50エアー120吸入用を 追加し、アドエア100ディスカスに小児適応を追加するというものでございます。なお、 新剤型の販売名は当初「アドエア50エアー」として申請されましたが、医療過誤防止の 観点から、審査の過程において「アドエア50エアー120吸入用」に変更されております。  本申請の専門委員としては、資料18に記載されております6名の委員を指名いたしま した。  審査内容について簡単に説明させていただきます。  非臨床に関する資料については、特段の問題は認められないものと判断しております。  臨床試験成績については、第III相試験として、5歳以上14歳以下の日本人小児気管支 喘息患児51例を対象に、アドエア50エアーを1回1吸入1日2回投与とサルメテロー ル 25μg及びフルチカゾン50μgを各1回1吸入1日2回投与で併用した際の臨床的同等 性を検討するための無作為化非盲検2期クロスオーバー試験が実施され、その結果、主 要評価項目である投与1〜4週における朝のピークフローのベースラインからの平均変 化量において、両群の臨床的同等性が示されております。また、5歳以上14歳以下の日 本人小児気管支喘息患児40例を対象に、小児における高用量であるアドエア50エアー 1回2吸入1日2回投与による非盲検長期投与試験が実施され、24週間投与時の安全性 及び有効性が確認されております。  安全性については、国内安全性解析対象例91例中2例に副作用が認められ、その内訳 は振戦、肝機能検査異常が各1例であり、現時点では大きな問題は認められていないと 判断しておりますが、国内臨床試験では症例数が限られていること、また、本剤あるい は吸入用ステロイドと長時間作用型吸入β2刺激薬の併用を小児に対し長期間投与した 際の情報は限られていることから、製造販売後調査において、長期投与時の全身への影 響等も含め、使用実態下での安全性を引き続き検討するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で 御審議いただくことが適当と判断いたしました。小児用量に係る再審査期間は、成人の 気管支喘息の再審査期間が2013年4月までであることから、残余期間とすることが適切 と判断しております。また、アドエア50エアー120吸入用は、毒薬及び劇薬のいずれに も該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断してお ります。薬事分科会では報告を予定しております。  よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。なお、申し忘れましたが、西澤委員は引き続き、 別室で御待機いただいております。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願 いいたします。 ○澤田委員 探せなくて分からなかったのですが、「アドエア50エアー120」と書いて ありまして、「120」の意味はどこからきているのですか。  ○機構 吸入回数を明らかにするという意味で、「120吸入用」ということを付けてお ります。  ○永井部会長 よろしいでしょうか。 ○中澤委員 自分で調べようと思っていて忘れていたのですけれども、7ページの「幼 弱イヌ13週間吸入投与毒性試験」の下から3行目に「ラ音」とありますが、これはラッ セル音のことですか。 ○永井部会長 医学的には、ラ音というのはラッセルのことです。 ○中澤委員 ラッセルとは言わないのですか。 ○永井部会長 両方言いますが、慣習的にラッセルのことをラ音と言います。 ○中澤委員 分かりました。ありがとうございました。それから、先ほどの5番と同じ で、SLMの使い方が、添付のものとこの本文とで違っているので、御確認をお願いし ます。 ○機構 御指摘ありがとうございます。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○澤田委員 先ほどの添付文書と今回の添付文書は、合併した形になるのですか。 ○機構 今のところはそのような形が予定されているのですが、分かりやすい形になる ように、分けることも含めて検討させていただきたいと思っております。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御質問、御意見が ございませんでしたら、議決に入りたいと思います。五十嵐委員、野田委員、村田委員 におかれましては、分科会申合せに基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこと にいたします。本議題につきまして、承認可としてよろしいでしょうか。ありがとうご ざいます。それでは、承認可ということで、薬事分科会報告とさせていただきます。  議題7、8につきましては、首藤部会長代理に進行をお願いいたします。 ○首藤部会長代理 議題7に入ります。永井委員、西澤委員におかれましては、本議題 の審議の間、別室にて御待機いただきます。 ── 永井委員退室 ── ○首藤部会長代理 それでは、総合機構から概要を説明してください。 ○機構 議題7、資料7、医薬品コディオ配合錠6.25、同配合錠12.5につきまして、 医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤はアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるバルサルタンとサイアザイド系利尿薬 であるヒドロクロロチアジドの配合剤であり、ノバルティスファーマ株式会社により降 圧薬として開発されました。本剤は、1997年にフランスで承認されたのを初め、海外で は2008年2月現在、欧米、アジア諸国を含む90以上の国又は地域で承認され、地域に より販売品目は異なりますが、バルサルタンとヒドロクロロチアジドの配合量がそれぞ れ 80mgと12.5mg、160mgと12.5mg、160mgと25mg、320mgと12.5mg及び320mgと25mg の錠剤が市販されております。なお、本邦では、同様の配合剤として、ロサルタンカリ ウムとヒドロクロロチアジドを組み合わせたプレミネント錠が既に承認されておりま す。  本邦では、□□年に本剤の開発が開始され、今般、国内臨床試験成績等を基に、原則 として、バルサルタン80mgで十分な血圧のコントロールが得られない患者に使用する降 圧薬として、バルサルタンとヒドロクロロチアジドの配合量がそれぞれ80mgと6.25mg 及び80mgと12.5mgの製剤、以下、本剤80/6.25mg及び80/12.5mgが承認申請されまし た。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料18に記載されております委員が指 名されております。  本品目の審査の概略について、説明させていただきます。  品質及び非臨床については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特 に問題はないと判断いたしました。  臨床試験成績についてですが、有効性につきましては、本態性高血圧症患者を対象と した国内臨床試験において、本剤80/6.25mg及び80/12.5mgを1日1回8週間経口投与 したとき、主要評価項目である平均坐位拡張期血圧の変化量は、それぞれ同用量の各単 剤よりも有意に大きい効果を示しました。  安全性につきましては、国内臨床試験成績から、尿酸値上昇を初めとするヒドロクロ ロチアジドで懸念される副作用が、用量依存的に増加する可能性も考えられましたが、 これらの副作用を含め、臨床試験で認められた副作用はバルサルタン及びヒドロクロロ チアジドの各単剤で知られている副作用でした。一方、臨床試験における検討は必ずし も十分ではありませんでしたが、安全性に関する懸念が比較的高いと考えられる高齢者 に対する注意喚起、並びに腎機能悪化及び血糖値増加に関する注意喚起も添付文書でさ れております。また、過度の血圧低下の懸念に対しては、本剤は高血圧症治療の第一選 択薬としないことが注意喚起されております。本剤は添付文書に記載されている注意等 に従い選択された患者に対して適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全 性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。  また、ヒドロクロロチアジドの配合量を6.25又は12.5mgとする2製剤を臨床現場に 提供することについては、高血圧症患者の患者背景は多様であること、ヒドロクロロチ アジドに起因する副作用が用量依存的に増加する可能性があること等を踏まえ、意義が あるものと判断いたしました。  なお、使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的に、 高血圧症患者3,000例を対象とした特定使用成績調査が実施される計画であり、75歳以 上の高齢者、腎機能障害患者、肝機能障害患者、糖尿病患者については重点調査項目と される予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬 品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  本剤は毒薬・劇薬には該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しない と判断し、再審査期間は6年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会 では報告を予定しております。  なお、本品目の販売名は、本年9月22日に発出されました医療用配合剤の販売名命名 に関する通知に基づきまして、「コディオ配合錠6.25」を「コディオ配合錠MD」に、 「コディオ配合錠12.5」を「コディオ配合錠EX」に変更する予定でございます。  また、添付文書の記載で誤記がございましたので連絡させていただきます。資料の1.8 添付文書案の「重大な副作用」の「6)ショック、失神、意識消失」の項におきまして、 「血液透析中」という記載がございます。しかし、「透析患者」におきましては本薬は 禁忌とされておりますので、この記載は削除させていただきたいと思います。  以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。委員の方から御質問、御意見はございま すか。配合剤でございます。9月22日の通知について、もう少し説明していただいた方 がいいかと思います。 ○機構 9月22日に「医療用配合剤の販売名命名の取扱い」という通知が出されており まして、配合剤におきましては、まず販売名を記載した後に、「配合剤」という言葉を 使うことが決められております。さらにその後に、接尾語として何らかのものを付ける。 数字のみでは誤投与やミスが生じるおそれがございますので、そこは数字のみは記載し ない。アルファベットも、1文字のみはしないで、2文字以上にするようにという通知 が発出されております。それに従いまして、本剤につきましては「コディオ配合錠MD」、 「コディオ配合錠EX」という記載にしたいという案が申請者より出されております。 ○首藤部会長代理 誤投与しないようにということであれば、MDとEXなどと言うよ り、6.25と12.5の方がいいのではないですか。 ○機構 そちらに関しましては、この場合、2剤の配合剤でありまして、ARBの用量 は今回の場合は一定でございますが、ヒドロクロロチアジドの用量が変わるというとこ ろで、今回、6.25と12.5なのですが、一方、次の議題品目でございますエカード配合 錠におきましては、逆にARBの用量が変更されて、ヒドロクロロチアジドの用量は一 定ということがございますので、その数値のみではどちらが変更されているか分からな いということもございます。数値を記載することが適切かどうかというところをいろい ろ考えた結果、何も数値を書かずに配合錠というところできちんと注意喚起をしていた だこうという意図がございまして、配合錠という言葉の後ろにアルファベットを付ける ということでございます。 ○首藤部会長代理 そのときに、MDとEXなどと言うと、かえって間違うのではない ですか。 ○審査管理課長 医療安全の問題から、今日の1番目の議題のゾレアもそうでございま すが、販売名の付け方については、始終議論のあるところでございます。正確に書こう というような話もございます。例えばこれですと、バルサルタン何mg、ヒドロクロロチ アジド何mgまで書いてしまえとか、あるいは1号、2号が分かりやすいとか、なかなか 決め手がない現状もあるわけでございます。したがいまして、我々は医療安全の委員会 も持っておりまして、そういった所での議論を踏まえて、一応、今のルールとして、先 ほど申し上げましたように、配合剤と書いた上で2文字程度、それは1号でも2号でも、 あるいは1Eでも、あるいはEXでも構わないのだろうと思いますが、それが今のとこ ろは分かりやすくて間違えないのではないかという意見にのっとってやらせていただこ うとしているところでございます。これを議論していくと、どちらも決定打がないよう な現状でございまして、なかなか難しいところではあると思っています。 ○首藤部会長代理 方針はいいと思うのですが、偶然この化合物に、MDとEXと付け ているところがまずいのではないかという気がするのです。 ○機構 補足させていただきますと、次の議題8のエカード配合錠ですが、こちらの販 売名は「エカード配合錠HD」と「エカード配合錠LD」と、要するにハイドーズ、ロ ードーズというところでHD、LDということです。 ○首藤部会長代理 それはみんな分かると思います。 ○機構 コディオ配合錠のMD、EXですが、EXはエクセレントというところから、 MDはモデレートというところから取ってきたという話を確認しております。 (注:申請者からはEXは「エクストラ」から取られたものである旨説明されていたが、 機構担当者が誤って発言したもの。) ○審査管理課長 何を連想するかという連想ゲームみたいな話を考えても、余りサイエ ンティフィックな議論になりませんし、私自身はMDというのはマイルドドーズかと思 っていましたし、EXはエクストラかと思っていたわけでございまして、そのような議 論をしているわけではなくて、明確にこの二つが分かれるというところが重要と考えて います。 ○首藤部会長代理 HDとLDは明確に分かれていると思うのですが、MDとEXは分 かれていないですよ。 ○審査管理課長 今回の場合にはMDとEXという名前で考えているわけですが、MD とEXが分かりづらい、あるいは分かれていないというのは、少なくとも字面上は分か れているのではないかと考えているわけでございますが、いかがでございましょうか。 ○首藤部会長代理 私は別に構いません。エクセレントなどというのは、少しふざけて いる気がするのですけれどもね。 ○機構 補足をさせていただきます。今回、名前がこういうことになっておりますが、 それぞれの接尾辞が付くものに、どういうものがどういう含量で入っているのかという 辺りにつきましては、製造販売業者から医療関係者に適切に情報提供されるように、資 材であるとか、表示などについて工夫をするように指示をしたいと考えております。 ○審査管理課長 一点だけ発言を取り消させていただきたいのですが、EXがエクセレ ントであるとか、エクストラであるというような話は、今回の申請の正式なものとして 出てきているわけでもございませんので、その点を基にディスカッションするというの は、誤った方向にいくのだろうと思います。単に、販売名としてはEXを付ける、MD を付けるというものが今回の提案であるということで、御審議を願いたいと思います。 ○首藤部会長代理 そういうことでございます。よろしいですか。 ○澤田委員 利尿剤の方が二つ用量がありまして、その使い分け方が何も書いていない のですが、まず弱い方を使って、駄目だったら用量を上げるということでよろしいので しょうか。それとも、臨床の先生方はもう分かり切っていて、最初から使い分けること が可能なのでしょうか。 ○機構 この使い方ですが、あえてどのようにでも取れるような形にしております。と いうのは、高用量の方、80mg/12.5mgの方の主要評価項目におきまして、80mg/12.5mg の効果及び80mg/6.25mgの効果は、それぞれ同程度の効果が認められております。しか し、副次評価項目であります収縮期血圧の効果におきましては、高用量の方が優れた効 果を示していることもございまして、基本的には高い用量が後に使われるのかなという ふうに考えられます。ただ、今回、この結果を見ますと、安全性に関しまして、ヒドロ クロロチアジドに関連した有害事象が用量依存的に認められるということがございます ので、80mg/12.5mgが使われていた患者において、ヒドロクロロチアジドに関連した有 害事象、例えば高尿酸血症や尿酸値の上昇などが認められた場合におきましては、低用 量の方に移行してもらうということもございますし、あらかじめ80mg/6.25mgから始め て、その後、効果が認められないから80mg/12.5mgに移行することも考えられるという ことを考えてはおります。 ○首藤部会長代理 よろしいですか。ほかに何かございますか。特にないようでしたら、 議決に入りたいと思います。五十嵐委員、野田委員におかれましては、分科会申合せに 基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承 認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようでございますので、承認を可とし て、薬事分科会に報告といたします。  議題8も類似の配合剤でございますが、エカード配合錠の製造販売承認についてでご ざいます。永井委員、西澤委員におかれましては、引き続き、本議題の審議の間、別室 で御待機いただいております。それでは、総合機構から概要を説明してください。 ○機構 議題8、資料8、医薬品エカード配合錠4、同配合錠8につきまして、医薬品 医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤はアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるカンデサルタン シレキセチルとサイ アザイド系利尿薬であるヒドロクロロチアジドの配合剤であり、武田薬品工業株式会社 より降圧薬として開発されました。本剤は、1998年にスウェーデンで承認されたのを初 め、海外では2008年4月現在、90か国で承認され、各国により販売品目は異なります が、カンデサルタン シレキセチルとヒドロクロロチアジドの配合量がそれぞれ8mgと 12.5mg、16mgと12.5mg、32mgと25mgの錠剤が市販されております。なお、先ほども 説明させていただきましたが、本邦では、同様の配合剤として、ロサルタンカリウムと ヒドロクロロチアジドを組み合わせたプレミネント錠が既に承認されております。  本邦では、2002年12月にカンデサルタン シレキセチルとヒドロクロロチアジドの配 合量が4mgと12.5mg及び8mgと12.5mgの製剤が承認申請されましたが、海外臨床試験 成績を外挿することを目的としたブリッジング試験において、有効性及び安全性プロフ ァイルが海外試験成績と類似しているとは言えず、海外臨床試験成績の外挿は困難であ るとの結論に至り、□□年□月に申請が取り下げられました。その後、カンデサルタン シ レキセチルの配合量は変えずにヒドロクロロチアジドの配合量を6.25mgとした製剤、以 下、本剤4/6.25mg錠及び8/6.25mg錠の開発が行われ、2008年3月に再度、承認申請 がなされました。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料18に記載されております委員が指 名されました。  本品目の審査の概略について、説明させていただきます。  品質及び非臨床については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特 に問題はないと判断いたしました。  臨床試験成績について説明させていただきます。  有効性につきましては、本態性高血圧症患者を対象とした国内臨床試験において、本 剤4/6.25mg及び8/6.25mgを1日1回8週間経口投与したとき、主要評価項目であるト ラフ時坐位拡張期血圧の下降値は、本剤4/6.25mg群でカンデサルタン シレキセチル8 mg群を点推定値で上回り、8/6.25mg群では、同用量の各単剤よりも有意に高い降圧効 果を示しました。  安全性につきましては、国内臨床試験で見られた副作用はカンデサルタン シレキセチ ル及びヒドロクロロチアジド単剤で知られているものでした。一方、高齢者、糖尿病合 併患者、腎機能障害患者等における検討は限られており、また、配合された両薬剤の性 質から血糖値、尿酸値の増加及び腎機能悪化等の可能性は否定できないことから、これ らに関する注意喚起は添付文書に記載されております。また、過度の血圧低下の懸念に 対しては、本剤は高血圧症治療の第一選択薬としないこと、原則として、カンデサルタ ン4mg又は8mgで効果不十分な場合に本剤の投与を検討する旨が添付文書で注意喚起さ れております。以上のことから、本剤は適正に使用されれば、承認の可否に影響するよ うな安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。  なお、使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的に、 高血圧症患者3,000例を対象とした特定使用成績調査が実施される計画であり、この調 査において75歳以上の高齢者、腎機能障害、肝機能障害患者の安全性及び有効性に関し ても情報収集される予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬 品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。  本剤は毒薬・劇薬には該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しない と判断し、再審査期間は6年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会 では報告を予定しております。  なお、先ほども申し上げましたが、本品目の販売名は、本年9月22日に発出されまし た医療用配合剤の販売名命名に関する通知に基づき、「エカード配合錠4」を「エカー ド配合錠LD」に、「エカード配合錠8」を「エカード配合錠HD」に変更する予定で ございます。  御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○首藤部会長代理 エカード配合錠について、いかがですか。何か御質問はありません か。特にないようでしたら、議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。それでは、 議決に入ります。五十嵐委員、野田委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づき まして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可 としてよろしいでしょうか。異議がないようでございますので、承認を可といたしまし て、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ── 永井委員、西澤委員入室 ── ○永井部会長 それでは、議題9にまいります。事務局から概要の御説明をお願いいた します。 ○事務局 乾燥スルホ化人免疫グロブリンを希少疾病用医薬品として指定することの可 否につきまして、資料9に基づいて御説明申し上げます。資料9の評価報告書を御覧く ださい。医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、対象患者数、 医療上の必要性、開発の可能性の三点について御説明申し上げます。  品目の名称は、乾燥スルホ化人免疫グロブリン。予定される効能・効果は、「次の疾 患における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合)」といたしまして、「チ ャーグ・ストラウス症候群」、「アレルギー性肉芽腫性血管炎」。申請者は、財団法人化 学及血清療法研究所、及び帝人ファーマ株式会社でございます。指定申請書にございま すように、既承認製剤であります献血ベニロンの追加効能として開発されております。  添付資料にございますように、まず、対象患者数について御説明申し上げます。チャ ーグ・ストラウス症候群(CSS)とアレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)は同一の病態 として取り扱われておりまして、平成5年の厚生省特定疾患 難治性血管炎調査研究班に よる疫学調査によりますと、推定年間患者数は450人でした。また、平成9年の厚生省 特定疾患 免疫疾患調査研究班による調査では、500人程度と推定されております。副腎 皮質ステロイド療法後も神経障害が残存する患者の割合は30%であるとの報告がある ことから、対象患者数は150人程度と推測され、希少疾病用医薬品の指定要件である5 万人以下を満たすものと考えております。  次に、医療上の必要性についてでございますが、CSS及びAGAの病態及び発症機 序は明確にはなっていないものの、典型的な経過としては、気管支喘息等のアレルギー 性疾患が先行して生じ、その後、好酸球の著明な増加とともに全身の血管炎症状が発現。 血管炎症状として発熱、体重減少、神経障害である多発性単神経炎等が生じるとされて おります。CSS及びAGAの診断から5年以内の死亡率は3割程度で、死因といたし まして血管炎に起因する心合併症が多いという報告がございます。  CSS及びAGAの治療法といたしましては、副腎皮質ステロイドの投与が行われて おりますが、副腎皮質ステロイドの治療では、反応性が不良な症例が多く、多発性単神 経炎の後遺症として、歩行障害、上肢の機能障害といった運動障害、感覚障害が残り、 患者の日常生活に大きな影響を及ぼす場合がございます。また、長期投与による副作用 の発現もございます。  本剤は、抗炎症作用、ステロイド受容体の親和性増強、制御性T細胞の機能増強など の多様な免疫調節作用を有しており、これらの免疫調節作用によってステロイド療法に 抵抗性の神経障害を有するCSS及びAGAの効果が期待されております。  三つ目に、本剤の開発の可能性についてでございますが、申請者は、本邦におきまし てCSS及びAGAの患者を対象とした二重盲検投与時期無作為化前後比較試験を実施 しており、対象疾患に対する本剤の開発の可能性はあると考えております。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、本剤について は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御審議のほど、よろし くお願い申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。この病気は、喘息で好酸球 が非常に増えてきて、そのうちに突然手足がしびれるとか、心不全を発症する、あるい は心電図で異常が出るという重篤な病気で、見付かるのが遅いことが多いのです。少し 懸念するのは、ステロイドが効果不十分な症例に、本当にこれで症状の改善が期待でき るのかという点です。むしろチャーグ・ストラウス症候群が疑われたときは、早めにで きるだけの治療をするというのが臨床現場では求められているのですが。 ○事務局 今回の申請における基となった試験では、ステロイドが効かなかった患者と いうことで設定しておりますので、限定されておりますが、先生からお話がございまし たように、ステロイドと同時に使えるような方策がないかということにつきましては、 追加で試験を行うように申請者に申し上げてまいりたいと思っております。 ○永井部会長 これは、小児科領域では余りないのですか。 ○五十嵐委員 余りないです。 ○永井部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。御質問、御意見がございませ んでしたら、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、指定を可としてよろし いでしょうか。御異議がございませんので、指定可ということで、薬事分科会に報告と させていただきます。  それでは、議題10につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。 ○事務局 eculizumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、資料10 に基づいて御説明いたします。品目の名称はeculizumab、対象疾患は発作性夜間ヘモグ ロビン尿症、申請者はAlexion Pharmaceuticals,Inc.です。対象患者数、医療上の必要 性、開発の可能性の三点の事前評価について御説明申し上げます。  対象疾患の患者数については、本邦における発作性夜間ヘモグロビン尿症の推定患者 数は、1998年で430人であるとの報告がございます。以上より、本邦における患者数は 5万人未満であり、希少疾病用医薬品の指定基準を満たすと判断されます。  次に、医療上の必要性ですが、本疾患は反復性の溶血発作及び持続的な溶血が特徴的 であり、血管内溶血によりヘモグロビン尿を呈し、貧血状態から疲労、運動機能の衰退 を認めます。血管内溶血により過剰に遊離したヘモグロビンは、血小板の活性化や血液 凝固系の活性化を引き起こし、血栓症を誘発すると考えられております。また、腎臓に 遊離ヘモグロビンが蓄積することによって腎障害が認められることもあり、さらに、再 生不良性貧血等の造血不全疾患からの移行例や再生不良性貧血等の造血不全疾患との合 併例も多く認められ、これらの症例においては骨髄機能不全の傾向を示しやすいため、 汎血球減少に伴う出血傾向や易感染性も認められます。  本疾患に対する現在の治療法は一時的な症状の緩和を目的とした対症療法のみであ り、貧血症状を一時的に改善させるための輸血や、急性溶血に対するステロイドの短期 投与が用いられ、血栓症の予防と治療には抗血栓療法が行われております。根治療法と しては同種造血幹細胞移植がございますが、緩徐に進行する疾患であるため、移植に伴 うリスクを考慮し、対象は重症患者に限られております。  本薬は、ヒト補体であるC5に対して高い親和性を示す抗ヒトC5マウスモノクロー ナル抗体であり、C5の作用を阻害することで、血管内溶血を抑制することが期待され、 C5欠損マウスをヒトC5で再構築したマウスモデル系において用量依存的な血清溶血 抑制作用が認められたことから、英国において本疾患患者11例を対象に実施されたパイ ロット試験を初め、現在までに本疾患患者を対象に本薬の有効性及び安全性を検討する 臨床試験が6試験実施され、輸血量の減少及び溶血の改善等の効果が認められておりま す。  最後に、開発の可能性についてですが、これまでに実施された本薬の海外臨床試験成 績に基づき、本薬は、米国では2007年3月、欧州では2007年6月、オーストラリアで は 2008年3月に承認されております。国内で本薬の臨床開発は既に開始されており、本疾 患患者を対象とした、本薬の有効性、安全性、薬物動態、及び薬力学的検討を行う非盲 検非対照試験が、2007年12月から実施されております。当該試験では29例が登録され、 現在までにすべての患者への投与が終了しており、試験を終了した患者に対する継続投 与試験への登録が実施されております。  以上のことから、本薬の開発の可能性は高いと考えられ、対象患者数、医療上の必要 性、開発の可能性の三点から、本薬については希少疾病用医薬品としての要件を満たす と判断いたしました。以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○永井部会長 ありがとうございます。御質問、御意見をよろしくお願いいたします。 ○五十嵐委員 質問です。非常に重要な薬だと私も認識しております。このようにヒト 化したモノクローナル抗体は、いわゆる分子標的療法として使われています。一般に使 用していくと2、3年で効果が落ちてくることが知られています。イデオタイプ抗体に よるものとされています。この薬剤に関しては、最大どのくらい臨床試験が行われてい るのでしょうか。 ○事務局 申請資料の74ページを御覧ください。臨床試験が延長されておりまして、現 在までの中では、3年〜4年の使用経験の中で、実際に患者さんで確認されております。 先生がおっしゃられるように、こういう抗体薬でございますので、当然その薬に対する 抗体が生じて使えなくなるということでございますが、それについては70ページを御覧 ください。これも申請資料でございますが、抗体の発生頻度について、C04-001試験と いうのは海外の第III相試験でございますが、それで評価しております。今のところ、抗 体の発生、特にIgG、IgM抗体の発生はごくわずかであろうと推察されております が、この薬に関しましては、おっしゃられるように、長期で使われる可能性が高いもの ですから、そういったところも含めて、今後の審査の中で確認してまいりたいと思いま す。 ○五十嵐委員 3年とかというのではなくて、少なくとも70ページは最大26週ですね。 ですから、年余にわたってというデータは示されていないのではないですか。3年、4 年というのはどこにあるのですか。75ページにあるのですか。 ○事務局 御説明が至りませんで申し訳ありません。試験自体は3年、4年、エクステ ンションで続けておりますので、そういった年単位の場合の抗体の確認というのは、実 際の審査の過程で確認させていただきたいと思います。現段階では分かりません。 ○五十嵐委員 ペーパーのレベルで出ているのは、20数週とかというレベルということ ですね。分かりました。 ○川西委員 非常に小さいことですが、報告書の2ページの中ほどに、eculizumabのこ とを抗ヒトC5マウスモノクローナル抗体と書いてありますが、これですとハイブリド ーマ抗体と間違えられると思うのです。ですから、「ヒト化」と入れた方がいいと思い ます。 ○事務局 本品目はマウスで製造したヒトのC5に対する抗体ということに。 ○川西委員 これは組換え体です。マウスのものですが、その後、組換えしています。 ですから、「ヒト化」と入れないと、ハイブリドーマ抗体と間違えてしまうので、これ はどういう意味の報告書か分かりませんが、公的なものですと、どこかに入れた方がい いと思います。 ○事務局 御指摘ありがとうございました。適切に修正を検討したいと思います。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。御質問がなければ、議決に入りたいと思 います。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうござい ます。それでは、指定可ということで、薬事分科会報告とさせていただきます。  続いて、報告事項でございます。機構、事務局より順次御説明をお願いいたします。 ○機構 報告事項について御報告いたします。議題1「医薬品セイブル錠25mg、同錠 50mg及び同錠75mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。本剤 は、ミグリトールを有効成分とする経口血糖降下薬であり、現在は、2型糖尿病におけ る本剤の単独使用又は本剤とスルホニルウレア剤との併用について承認されておりま す。今般、株式会社三和化学研究所から、1型及び2型糖尿病における本剤とインスリ ン製剤との併用について、効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請 がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とインスリン 製剤を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支え ないと判断いたしました。  議題2は、「医薬品ファスティック錠30及び同錠90並びにスターシス錠30mg及び同 錠90mgの製造販売承認事項一部変更承認について」でございます。本剤は、ナテグリニ ドを有効成分とする経口血糖降下薬であり、現在は、本剤の単独使用、本剤とα-グルコ シダーゼ阻害剤との併用、及び本剤とビグアナイド系薬剤との併用について承認されて おります。今般、味の素株式会社及びアステラス製薬株式会社から、本剤とチアゾリジ ン系薬剤との併用について、効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申 請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とチアゾリ ジン系薬剤を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差 し支えないと判断いたしました。  議題3「医薬品アクトス錠15及び同錠30の製造販売承認事項一部変更承認について」 報告いたします。本剤は、ピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする経口血糖降下薬であ り、現在は、本剤の単独使用、本剤とスルホニルウレア剤との併用、及び本剤とα-グル コシダーゼ阻害剤との併用について承認されております。今般、武田薬品工業株式会社 から、本剤とビグアナイド系薬剤との併用について、効能・効果を追加する製造販売承 認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査 の結果、本剤とビグアナイド系薬剤を併用した際の有効性及び安全性が確認されたこと から、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  議題4「医薬品ペンタサ錠250及び同錠500の製造販売承認事項一部変更承認につい て」報告いたします。本剤は、メサラジンを有効成分とし、腸管内の炎症部位での局所 作用によって抗炎症作用を発揮する薬剤であり、現在、「潰瘍性大腸炎(重症を除く)、 クローン病」の効能・効果で承認されております。今般、日清キョーリン製薬株式会社(現 杏林製薬株式会社)から、潰瘍性大腸炎に対し、新規用量を追加する製造販売承認事項一 部変更の承認申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、 本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして、議題5「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたしま す。資料15-1〜15-8になります。  資料15-1〜15-3は、一般的名称は「タクロリムス水和物」、販売名は「プログラフ注 射液5mg 他」のものになります。資料15-1につきましては、効能・効果のうち「1. 下記の臓器移植における拒絶反応の抑制」の「腎移植」に係るものです。資料15-2につ きましては、効能・効果のうち「2.骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑 制」に係るものです。資料15-3につきましては、効能・効果のうち「1.下記の臓器移 植における拒絶反応の抑制」の「肝移植」に係るものです。資料15-4は、一般的名称は 「マキサカルシトール」、販売名は「オキサロール注2.5μg 他」、資料15-5は、一般 的名称は「フルバスタチンナトリウム」、販売名は「ローコール錠10mg 他」、資料15-6 は、一般的名称は「アルプロスタジル」、販売名は「リプル注5μg 他」、資料15-7 は、一般的名称は「塩酸レボブノロール」、販売名は「ミロル点眼液0.5%」、資料15-8 は、一般的名称は「塩酸ドルゾラミド」、販売名は「トルソプト点眼液0.5% 他」の、 それぞれ医薬品再審査確認等結果通知書です。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成 績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げら れている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用 量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。医薬 品医療機器総合機構からの報告は以上です。   ○事務局 続きまして、議題6、医療用医薬品の承認条件解除について御報告申し上げ ます。資料16を御覧ください。本剤は、アトピー性皮膚炎の効能で、平成15年7月に 承認された外用剤でございます。本剤については、早期に臨床現場へ提供すべきという 要望が強い一方で、その作用機序が免疫抑制効果によるものであること、また、使用す る患者が小児であることも踏まえ、がん原性には特に注意が必要と考えられておりまし た。  平成15年6月26日に開催された薬事分科会において、承認申請時に提出された24 か月の連日塗布によるがん原性試験成績からは、発がん性が認められる濃度が必ずしも 明確にはされていない可能性があるとの指摘がなされ、承認後に早い段階で、本剤のが ん原性に対する更なる知見を得ることを目的とする追加の試験を行う旨の承認条件が付 されたところでございます。今般、マウスによる追加がん原性試験成績が提出され、そ の内容について審査いたしましたので、御報告いたします。  資料の3ページ、「試験方法」の項を御覧ください。今回の追加試験では、実薬群5 群、対照群4群が設定されております。試験成績につきましては、無処置対照群と比べ、 (1)104週間連日塗布群、(2)52週間連日塗布後52週間休薬群、及び(3)52週間休薬後52週 間連日塗布群で悪性リンパ腫の発生頻度の増加が認められました。一方で、(2)及び(3)の 52週間塗布群では、前半(若齢)又は後半(成獣)の間での違いによって発生頻度の差は認 められず、悪性リンパ腫の発生と塗布開始時期に関連性は認められませんでした。また、 (4)及び(5)の26週間連日塗布された群では、塗布開始時期によらず悪性リンパ腫の発現頻 度に対照群と有意差は認められませんでした。  これらのことから、悪性リンパ腫の発生頻度増加には投与時期は影響せず、すなわち、 若齢期の塗布がリンパ腫の発生を増強させる傾向は見いだされず、また、26週間の塗布 では発生頻度の有意な増加が認められないことより、リンパ腫発生頻度の増加には高い 血中濃度での長期間の曝露が必要であると考えております。  現在、本剤の添付文書には、前回の試験成績を踏まえ、「警告」及び「用法・用量に 関連する使用上の注意」には、高い血中濃度が持続することを回避するための方策につ いて既に記載されておりますが、今後も引き続き本剤について、そのがん原性に十分注 意するとともに、塗布の必要な期間に限って使用し、長期にわたって漫然と使用しない 等、使用上の注意事項を厳守して適正に使用する必要があると考えております。  以上、提出された資料より、承認条件「本剤のがん原性に関し、更なる知見を得るこ とを目的とした試験を実施し、その結果を報告すること。」の内容については確認でき たと考えております。  なお、冒頭にお話しましたが、本承認条件は薬事分科会での指示に基づいて付したも のでございますので、薬事分科会でも同様の報告を行う予定にしております。以上です。 ○永井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。特に議題6の件は、薬事分 科会で小児に免疫抑制剤を使うことの安全性を確認するようにという指示があったわけ です。そういう意味で、薬事分科会にきちんと報告するということでございます。御意 見、御質問はございますでしょうか。 ○五十嵐委員 マウスに、40%の皮膚面積に塗布するということですが、これはアトピ ー性皮膚炎のマウスではないですね。正常のマウスですね。アトピー性皮膚炎の場合は、 要するにバリア機構が落ちているわけですので、吸収が相当高まることが予想されます。 ですから、この動物実験で小児への安全性が確認されるかというと、ちょっとエビデン スレベルが低いのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。 ○事務局 今の質問に対して、専門家の立場から御説明申し上げます。今回のマウスの 試験で、40%の皮膚に塗布することで実験を行いました。そのときに、経時的にでござ いますが、血中濃度をトキシコキネティクスで、1週、26週、52週目というところでマ ウスを測っております。そのときには、経時的に、AUC及びCmaxが濃度依存的に、 期間依存的に上昇していることを確認して、吸収がよくされていることを確認しており ます。もう一つ、アトピー性のマウスは用いていませんでしたが、最初の承認時には、 損傷皮膚と正常皮膚からの吸収の違いを見ております。やはり損傷皮膚からの吸収率が 高いのですが、臨床のところで0.03%の市販品を使ったときの血中濃度は検出限界以下 でございました。そういうことから、総合的に見て、実験は十分な曝露がされていると いうことを確認しております。  ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。御質問がございません でしたら、報告事項につきましては御確認いただいたということにいたします。  本日の議題は以上でございます。事務局から連絡事項をお願いいたします。 ○事務局 次回の部会でございますが、既に御案内のように、来年1月30日(金)午後4 時から開催させていただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。以上 です。 ○永井部会長 どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)