08/11/27 平成20年11月27日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所    平成20年11月27日(木)  10:00〜 厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(12名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、     守 殿 貞 夫、 清 水 秀 行、 竹 内 正 弘、 早 川 堯 夫、    ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成  (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(4名)   庵 原 俊 昭、 岡   慎 一、 田 村 友 秀、 前 崎 繁 文    3.行政機関出席者 岸 田 修 一(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、 赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会を開催 させていただきます。本日は、御多忙の中、御参集いただきまして誠にありがとうござ います。現在のところ、当部会委員16名のうち12名の委員に御出席いただいておりま すので、定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、本日は、庵原委員、岡 委員、田村委員、前崎委員から御欠席との御連絡をいただいております。  それでは、部会長の池田先生、よろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 おはようございます。本日もよろしくお願いします。それでは、本日の 審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競 合企業リストについて報告をお願いします。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、 当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載しております資料1〜8をあら かじめお送りしております。このほか、当日配付資料といたしまして、資料9「審議品 目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料10「専門委員リスト」、資料11「競合品 目・競合企業リスト」を配付しております。  続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料11)について御 説明いたします。各品目の競合品目選定理由でございますが、資料11を御覧ください。  審議事項議題1、タシグナカプセルでございます。本剤の効能・効果は、「イマチニ ブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病」でございまして、この効能・効果に て本邦で承認されている薬剤は存在しておりませんが、これらの患者に対する治療薬と して本邦にて開発中の薬剤として、BMS-354825及びSKI-606が挙げられ、これら を競合品として選定したところでございます。  2ページを御覧ください。議題2、スプリセルでございます。本申請品目は、「イマ チニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病」及び「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽 性急性リンパ性白血病」を予定される効能・効果とするものでございまして、いわゆる チロシンキナーゼ阻害剤でございます。この品目の効能・効果及び薬理作用等から見た 競合品目として、市販品ではグリベック錠、そのほか、海外での使用状況を見て、同種 のチロシンキナーゼ阻害薬として、競合品目2、3に挙げております、AMN107(ニロ チニブ塩酸塩水和物)、及びSKI-606(Bosutinib)を競合品目として挙げたということ でございます。  3ページを御覧ください。議題3、インテレンス錠でございます。本剤は、多剤耐性 HIVに効果を示す抗HIV薬でございまして、既承認の品目で同様の目的で使用され ると考えられる品目として、HIVインテグラーゼ阻害剤であるアイセントレス錠を選 定し、また、開発中の品目でございますが、CCR5阻害剤であるMaravirocを承認間 近であると思われるため選定したとのことでございます。なお、本剤はいわゆるNNRTI でございますが、他のNNRTI耐性に対しても効果があるため、他のNNRTIについては競 合品目には選定しなかったとのことでございます。  4ページを御覧ください。議題4、シーエルセントリ錠でございます。本剤の適応症 はCCR5指向性HIV-1感染症でございます。既存の抗HIV薬で、このウイルスの 指向性により承認されたものはございません。本剤と同じ作用機序のものにつきまして は、Vicrivirocという薬剤が海外で開発中であることから、この薬剤を競合品目に選定 したとのことでございます。以上でございます。 ○池田部会長 ただ今の事務局からの説明について、何か御意見、御質問はございます でしょうか。特にございませんか。もしないようでしたら、ただ今の報告を御確認いた だいたということで、先に進ませていただいてよろしいでしょうか。それでは、本部会 の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、皆さんの了解が得られました ので、委員からの申出状況について、事務局から説明してください。 ○事務局 各委員からの申出状況について御説明いたします。議題1「タシグナ」につ きましては、退室委員は池田委員、議決には参加しない委員はいらっしゃいません。議 題2「スプリセル」につきましては、退室委員は池田委員、議決には参加しない委員は いらっしゃいません。議題3「インテレンス」につきましては、退室委員は池田委員、 議決には参加しない委員はいらっしゃいません。議題4「シーエルセントリ」につきま しては、退室委員は池田委員、議決には参加しない委員はいらっしゃいません。議題5 「生物学的製剤基準の一部改正」につきましては、退室委員、議決には参加しない委員、 共にいらっしゃいません。  したがいまして、議題1〜4につきましては、堀内部会長代理に議事進行をお願いし たいと存じます。以上です。 ○池田部会長 ただ今、事務局から御報告がありましたように、今回の議題につきまし ては私は退室委員ということで、先生方に大変御迷惑をおかけいたしますが、御容赦い ただきたいと思います。  本日は、審議事項は5議題、報告事項が3議題となっております。それでは、以後の 進行を堀内先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ── 池田委員退室 ── ○堀内部会長代理 最初の四つの議題について進行を務めさせていただきます。池田委 員におかれましては、議題1〜4の審議の間、別室でお待ちいただくことにいたします。 それでは、議題1に入ります。医薬品タシグナカプセル200mgの生物由来製品及び特定 生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇 薬の指定の要否について、医薬品機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、資料番号1、医薬品タシグナカプセル200mgの生物由来製品及び特定 生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構 より説明させていただきます。  本薬はBcr-Ablチロシンキナーゼ活性等の阻害作用を有する経口腫瘍用剤であり、フ ィラデルフィア染色体を有する白血病細胞の増殖を抑制すると考えられています。現在、 慢性骨髄性白血病は、以下、CMLと略しますが、本薬と同様の作用を持つイマチニブ メシル酸塩が、以下、単にイマチニブとしますが、標準治療薬として用いられています。 しかしながら、Bcr-Ablキナーゼ領域の点突然変異によりイマチニブ結合性が低下する ことが報告されており、当該変異によりイマチニブ抵抗性となった患者では、その後の 標準的な治療薬がない状況です。本薬は、イマチニブに抵抗性の変異を有するBcr-Abl チロシンキナーゼに対しても阻害作用を有することから、イマチニブに抵抗性となった CMLへの有効性を期待し開発が行われ、今般、イマチニブ抵抗性のCMLに対する承 認申請がなされました。  本薬は希少疾病用医薬品に指定されており、海外では米国等45か国以上で既に承認さ れています。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料10にございますとおり、 8名の委員です。  品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題は認められませんでした。  提出された主な臨床試験成績は、国内で実施された第I相及び第II相試験、海外で実 施された第I相試験、及び二つの第II相試験です。  機構は、CMLの病因であるフィラデルフィア(Ph)染色体陽性細胞数の減少率を示 す細胞遺伝学的効果を重要な指標と考え、有効性評価を行いました。国内及び海外試験 において、慢性期及び移行期のCML患者で一定の細胞遺伝学的効果が認められたこと から、当該病期のイマチニブ抵抗性CML患者における本薬の二次治療としての有効性 が示されたものと判断しました。  安全性については、本薬の使用において特に注意すべき有害事象として、QT間隔延 長を含む心臓関連有害事象、体液貯留、肝胆道系有害事象など様々な臓器での有害事象 が出現しており、国内臨床試験では重篤例も認められています。機構は、本薬は、造血 器悪性腫瘍の治療に精通した医師が極めて慎重に使用する必要がある薬剤であり、製造 販売後には全例調査による有害事象の収集、及び迅速な情報提供を行う必要があると考 え、承認条件として設定しました。  以上の審査の結果、機構は、イマチニブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血 病について、本薬を承認することは可能と判断しました。  本薬は、新有効成分含有医薬品かつ希少疾病用医薬品であり、再審査期間を10年とす ることが適当であり、原薬及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。また、生物由来 製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。  以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いしま す。いかがでしょうか。 ○山口委員 二番目の薬剤にもかかわるのですが、二番目のスプリセルは、グリベック 耐性のものと同時に、Ph陽性のALLにも適応があると思います。この最初のものは、 Ph陽性のALLに対しては、検討されて今回は上げてこられなかったのか、検討はこ れからなのか、お聞かせください。 ○機構 2品目の違いは、提出されたデータパッケージの違いによるものが大きいとこ ろがあります。おっしゃるとおり、機序的には、フィラデルフィア染色体陽性の急性リ ンパ性白血病にもタシグナが効くことは考えられるのですが、提出されたデータパッケ ージとしては、CMLの慢性期及び移行期のみのデータパッケージでタシグナは申請さ れておりますので、このような審査とさせていただいております。 ○山口委員 検討はされたのでしょうか。 ○機構 先生のおっしゃる後者でございまして、検討していないというのが答えでござ います。 ○堀内部会長代理 更に効能追加をする予定は余りないと考えてよろしいのですね。 ○機構 今現在、確認はとっておりませんが、検討している状況等に関しては調査でき るので、部会後になりますが、確認させていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 とりあえずは、適応についてはかなり制限のある状況であるという こだと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○溝口委員 山口委員の御質問にも関係しているのですが、海外でフィラデルフィア染 色体陽性ALLの治験が少しやられているようですけれども、海外の資料でも余り効果 がないとか、申請されていないということがあるのでしょうか。 ○機構 海外でも、当該の試験はまだ途中だと思われます。 ○溝口委員 少し載ってはいますが、まだ途中なわけですね。 ○機構 はい。海外の承認でも、今回の承認と同じようなCMLに対してのみとなって おります。 ○溝口委員 副作用の方ですが、いろいろなところの浮腫があって、亡くなった症例も あるようですけれども、この浮腫のメカニズムは分かっているのでしょうか。心臓の具 合が悪いとか、血栓症が起こるというようなことも理由の一つかもしれませんが、浮腫 の頻度が多くて、結構重篤のようですので、メカニズムが分かっていたらお教えいただ きたいのですが。 ○機構 正確なところは分かっていないというのが結論でございますが、PDGFRの阻害 が影響しているのだろうというようには言われています。おっしゃるとおり、心臓にも 影響するということで、体内貯留が起きてくるのは高頻度でございまして、使用上、極 めて注意しなければならない点だろうと考えております。 ○溝口委員 薬剤本来の何らかの作用ということなのですか。腎臓が悪くなるとか、そ ういうことではなさそうですので。 ○機構 カイネース阻害剤で、薬理作用的に影響しているのではないかというふうには 考えています。 ○堀内部会長代理 いろいろなレギュレーションメカニズムのカイネースを阻害するの で、その結果として、かなり重篤な副作用が起こっている可能性があると考えてよろし いですか。 ○機構 先ほども言いましたように、結論めいた話はできませんが、カイネース阻害剤 でございまして、ある程度ブロードなカイネース阻害をするだろうというところもござ いまして、副作用が生じてきているのだろうと考えているところでございます。 ○溝口委員 また別件ですが、イマチニブ抵抗性と不耐容というのは、どの程度違うこ とを指しているのでしょうか。その比較などが後の方に出てきていますので。 ○機構 今回の承認は抵抗性ということでございますが、イマチニブも副作用が多くご ざいまして、なかなか治療が続けられないということがございます。  まず抵抗性でございますが、イマチニブを投与しておりますと、原因としてはBcr-Abl のミューテーションが起きてきて、そのミューテーションによって抵抗性を示す、つま り、イマチニブが効かなくなるということが現象として起きてきます。どういうターゲ ットがミューテーションを起こすと抵抗性になるかということも、かなり調べられてい るところでございます。そのような意味での抵抗性でございます。もう一方の不耐容で ございますが、先ほど言いましたように、副作用が生じて投与ができないということが ございます。それも、実際の医療現場でかなりの頻度で起きていると聞いております。 そのような場合は、CMLの場合は治療法が限られてくるということがございます。そ のような耐性の方、不耐容の方たちに、この薬を使うというように考えております。 ○溝口委員 不耐容の方は、アミノ酸の変異とは全く関係なくて、別件と考えてよろし いわけですね。 ○機構 はい。 ○堀内部会長代理 これは、作用メカニズムとしては、イマチニブと類似のものだと思 いますが、耐性のものに効くというメカニズムは、どのように考えたらよろしいのでし ょうか。 ○機構 審査報告書にも書いてありますが、本剤の開発コンセプトといたしましては、 先ほど言いましたように、イマチニブはかなりよく効く薬でございますが、耐性化する、 抵抗性になるということがございます。そのようなものを解決する意味で、イマチニブ が耐性になるミューテーションに親和性を持つ、ミューテーションを起こしたBcr-Abl に対しても親和性を持つ薬剤として開発されたというのが流れでございます。  ミューテーションの位置等に関しては検討されておりまして、スクリーニング等で本 剤がピックアップされてきたという経緯がございますので、メカニズムとしては、耐性 化されたミューテーションを持っているようなBcr-Ablに対して効果を示すということ でございます。 ○堀内部会長代理 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 74ページの製造販売後の検討事項についての、薬剤の流通に関するところ ですが、保険薬局で調剤を行う状況が発生した場合に、「薬局からの納入希望があった 場合は、処方元施設の調査責任医師からの同意文書を入手した場合に本薬の納入が許可 されることとなっている」という文言がありますが、保険薬局が処方によりこの薬剤を 購入しようとしたときには、その処方元の施設の市販後調査を行う責任医師からの同意 文書が、購入のために必要になるという意味の文言になりますでしょうか。 ○堀内部会長代理 これは機構よりも審査管理課ですか。 ○審査管理課長 御質問の点について、この文書を読む限りそういう形になっているか と思いますが、恐らく先生は薬局の選択の件をおっしゃっておられるのだろうと思いま すけれども、同意というのがどういう形での同意なのか、もう少し調べてみたいと思い ます。また、患者が薬局を選択することが基本とされているわけでございますから、そ の範囲内で不都合のないようなものであれば差し支えないと思いますし、少し詳しいデ ータを見させていただきたいと思います。 ○清水委員 初回投与のときに患者様に御不満が残らないような供給体制ができますよ うに、よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 この薬の場合はかなり重篤な副作用が起こる可能性がありますか ら、その辺りをどうチェックするかというのが、通院でやる場合には重要になりますね。 ですから、これは調剤薬局がかなりきちんと対応しないといけないということになりま すね。 ○清水委員 審査報告書の中でも、患者様あるいは医師、薬剤師向けの資材が必要と思 われるという文言が何か所にも出てくるかと思うのですが、実際に薬剤師、医師、患者 様向けの資材は必須のものになろうかと思いますので、これは意見ですが、十分に御検 討いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 これは高温・高湿の場所で保存しないということが添付文書に書か れておりますし、カプセルが変質するということが審査報告書に出ています。これを見 ると、30℃、75%で保存した場合に変質するという感じです。これは、保存の仕方は基 本的にはどうしたらいいか。高温・高湿というのはなかなか難しい表現かと思いますが、 どうでしょうか。 ○機構 通常の保存方法で構わないと思うのですが、高温・高湿というのは、例えば窓 辺に置いておくとか、普通の使い方での高温というふうなイメージを持っております。 ○堀内部会長代理 通常の室温で保存して構わないということですね。ほかに御意見は ございますか。よろしいですか。これは次の議題とも関連しますので、もしありました ら、またその時点で出していただきたいと思います。とりあえず現時点で、この薬につ いて議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。 御異議がないようですので、承認を可として、これは既に類薬がありますので、薬事分 科会には報告とさせていただきます。  それでは、議題2に入ります。スプリセル錠20mg等の製造販売承認の可否等について、 医薬品機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題2、資料番号2、医薬品スプリセル錠20mg、同50mgの生物由来製品及び 特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合 機構より説明させていただきます。  本薬は、議題1の薬剤と同様に、イマチニブに抵抗性となるBcr-Abl変異を持つ白血 病細胞に対して効果を示す経口腫瘍用剤です。CMLのほか、急性リンパ性白血病の一 部はBcr-Ablの関与により発症することが知られており、フィラデルフィア染色体陽性 急性リンパ性白血病と呼ばれています。以下Ph+ALLと略します。Ph+ALL患者の治療と しては、第一選択として多剤併用化学療法にイマチニブを組み込んだ治療が近年行われ ていますが、標準的治療レジメンは確立しておらず、再発又は難治性となった患者では 有効な治療選択肢は限られています。本薬は、変異を有するBcr-Ablチロシンキナーゼ に対しても阻害作用を有することから、イマチニブに抵抗性を持つCMLや、再発又は 難治性となったPh+ALLへの有効性を期待し開発が行われてきました。今般、イマチニブ 抵抗性のCML患者、及び多剤併用化学療法が施行され、再発又は難治性となった Ph+ALL患者に対する有効性を持つ薬剤として承認申請がなされました。  本薬は希少疾病用医薬品に指定されており、海外においては米国等50か国で既に承認 されています。また、第10回未承認薬使用問題検討会議で検討結果が報告され、早期の 承認申請が行われるべきと結論されています。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料10にございますとおり、 7名の委員です。  品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題は認められませんでした。  提出された主な臨床試験成績は、国内で実施された第I/II相試験と海外で実施された 第I相試験、五つの第II相試験、及び至適用法・用量の検討を目的として行われた第III 相試験です。  機構は、国内及び海外試験において、イマチニブ抵抗性の慢性期、移行期、及び急性 期CML患者、また再発又は難治性Ph+ALL患者で一定の細胞遺伝学的効果が認められた ことから、すべての病期を含むイマチニブ抵抗性CML患者における二次治療薬、再発 又は難治性Ph+ALLの治療薬としての有効性が示されたものと判断しました。  安全性については、本薬の使用において特に注意すべき有害事象として体液貯留、Q T間隔延長、出血関連事象、及び間質性肺疾患など様々な臓器での有害事象が出現して おり、国内臨床試験では重篤例も認められています。機構は、本薬は、造血器悪性腫瘍 の治療に精通した医師が極めて慎重に使用する必要がある薬剤であり、製造販売後には 全例調査による有害事象の収集、及び迅速な情報提供を行う必要があると考え、承認条 件として設定しました。  以上の審査の結果、機構は、イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性 のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病について、本薬を承認することは可 能と判断しました。  本薬は、新有効成分含有医薬品かつ希少疾病用医薬品であり、再審査期間を10年とす ることが適当であり、原薬及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。また、生物由来 製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御 質問をお願いいたします。 ○竹内委員 ここに提示されている用量ですが、日本人で今承認されようとしている用 量が、海外で既に承認されている用量より低いことが気になっております。日本では第 I相、第II相の症例数が非常に少ないということで、今後、第II相試験を行う、又は、 海外では第I相、第II相試験で承認されていて、国際同時臨床試験を行う状況が続いて いると思うのですが、そこに日本が参加していく場合に、この用量で承認された場合、 今後大きなデータが収集された場合に、どのようにして日本人で海外と同じような用量 に対するデータが得られるのかが気になっております。日本で低い用量で承認された場 合には、どのような海外と同じような用量の情報が得られるのかを気にしております。 ○機構 まず、国際共同に入る点でございますが、共同治験でございますので、ドーズ 設定に関しては、安全性を十分担保して実施していただくことは、法律上、可能だと思 います。  また、国内で使えることに関してでございますが、御指摘いただきましたように、資 料の「1.6外国の使用状況」で、用法・用量の設定が異なっていることが分かると思い ます。先生の御指摘のように、海外の状況と日本の状況がどう違っているのかに関して は専門協議でも議論をしておりまして、具体的に言いますと審査報告書の118、119ペー ジで、用法・用量に関して専門協議で議論をしております。  簡単に言いますと、日本の最大用量が海外の用量より低い設定が、今回の審査の結論 としては得られているところでございますが、この薬剤の用法・用量に関しては、至適 用量というもので海外で盛んに検討が行われておりまして、今は1日2回の処方でござ いますが、1日1回の処方の方がいいのではないかという結果が出ておりまして、海外 では申請している、日本では申請していないという状況もございます。  そのような意味で、過渡期の部分はございますが、我々としても、海外で使われてい る用法・用量が日本で使えるか、使えないかは、もちろん検討結果次第でございますが、 検討を指導し、申請できるのであればやっていただきたいと願っておりますので、今後 も指導を続けていきたいと思います。 ○堀内部会長代理 是非、共同治験に入れるような形で、更に検討を続けてほしいと思 います。ほかにございますか。 ○溝口委員 皮膚障害について伺いたいのですが、イマチニブというのはかなりひどい 薬疹を生じまして、ステロイドを併用したりしてしのいでいると思います。元の病気が 病気ですから、皆さん頑張って治療を受けていらっしゃいますが、かなりひどいものが あります。外国人より日本人に多いようです。  前の薬は、皮膚障害はイマチニブとグレードも頻度も同じ程度と書いてありまして、 こちらも頻度が書いてはあるのですが、イマチニブとの比較はしていなかったように思 います。海外で既に承認されて使われているのでしたら、外国人では余り参考にならな いかもしれませんが、ステロイドを併用しないとしのげないとか、そういう情報はある のでしょうか。 ○機構 皮膚障害に関しましては、審査報告書の63ページに海外の状況がありまして、 副作用としては19/2,182例(0.9%)、掻痒症に関しては2/2,182例(0.09%)で、頻度と してはそれほど多いものではありません。国内臨床試験では、Grade3以上の障害で見ま すと、第II相期では、1/13例(7.7%)、点状出血が1/11例(9.1%)となっております。  ステロイドの併用が必要かどうかでありますが、全例に必要という状況ではないと考 えておりまして、一部の症例でそのような対応が必要になることは想定はされるのです が、発現の状況を見て、ケース・バイ・ケースでの対応になってくるかと思います。 ○溝口委員 この副作用は、前の薬は、機構の方が要請してイマチニブとの比較をして いて、ほとんど差がないということですが、これは、薬疹の程度や頻度は、イマチニブ とは比較していないわけですね。 ○機構 会社の状況もございまして、イマチニブの会社が前の会社と同じということが ございまして、比較が具体的にできるということがございます。 ○溝口委員 資料がないのですね。了解いたしました。  細かいことですが、添付文書の2ページで、併用注意のところですけれども、CYP3A4 阻害剤で、「アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、イトラコナゾール等)」という順番 で書いてあります。前の薬は「イトラコナゾール、ボリコナゾール等」と書いてありま す。ケトコナゾールで調べてあるのでケトコナゾールを書いていただくのは当然なので すが、日本ではケトコナゾールは、外用薬は発売されておりますが、内服薬としては発 売されていませんので、イトラコナゾールを見落とされると困るので、順番を逆にして いただきたいように思います。イトラコナゾールは、よく抗真菌薬として内服されてい ますので、もちろん書いていただいていいと思います。 ○機構 メーカーと検討させていただきます。 ○堀内部会長代理 そうですね。これは順番を変えていただいた方がいいかもしれませ んので、よろしくお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○上原委員 1番、2番、二つの薬とも、グリベック耐性のミューテーションに対して よく効くということで、非常に有用な薬だと思います。これを読むまでは、T315Iとい う変異には両方とも効かないというふうに、学会での発表や論文で認識していたのです が、そうでもないらしい、効く患者さんもいるということで、この辺りをどう理解した らいいのか、御説明いただけますか。 ○機構 そのことに関して、我々もメーカーと議論をさせていただいているところでご ざいます。一つの考え方としては、T315Iのみがミューテーションが起こっているとい うBcr-Abl、いわゆるモノクローナルに存在しているわけではなくて、複数のミューテ ーションを持つBcr-Ablが存在している。また、一つのBcr-Ablも、幾つものミューテ ーションが起きている場合に、in vitroのテストではT315Iをターゲットにして、そ れだけを、ミューテーションを起こしたところで効きが悪いということは分かっている のですが、幾つも起きた場合、あるいは体の中にT315I以外のミューテーションを持っ ているBcr-Ablが存在している場合は、最終的に臨床的には効果を示すと考えておりま すので、効果を示したというのは、完全に治るという意味ではなくて、あるエンドポイ ントでその数値が出てきているということがございますので、先生のおっしゃった部分 に関しては、T315Iのみを持っている人に対しては、多分効かないだろうとは予想でき るのですが、複数のミューテーションがあったり、複数のクローンが存在する場合には、 構成比率の変化等も可能性はあるのではないかと推察しております。 ○上原委員 要するに、モノクローナルではないのですね。分かりました。  それから、二つを比べた場合に、後者はBcr-Abl以外にもSrc-familyのチロシンキナ ーゼも阻害するので、少し幅が広いですね。そういうこともあって、効く可能性もある と思うのですが、前者はそういうことはないですよね。そういう理解でよろしいですか。 ○機構 本剤は、ターゲットとしては、CMLは明らかにBcr-Ablが病因でございます ので、それをねらって効果を示すので、Srcがどれだけ影響しているかということは、 余り考えていないというふうに我々としては認識しております。 ○上原委員 しかし、後ろの方は阻害はするのですよね。 ○機構 薬剤としてはそうです。副作用にそれが関連する可能性は当然あるのですが。 ○上原委員 もう一つ、こういう薬を使っていると、新しい薬といえども耐性が出てき ます。既に臨床試験の段階で出てきている可能性があると思うのですが、そういうもの に対して、お互いの交叉耐性はあるのかないのか、教えてください。 ○機構 御指摘のところは、一番気にするところでございます。グリベックの承認の段 階におきましても、その当時、既に耐性という問題は出ておりまして、それについて議 論をしてきたと思います。今回も同じように、耐性については、具体的な結果は出てい ませんが、海外で、今日二つの審議をしていただいている話の、ダサチニブの方が最初 に出て、その後にタシグナの方が出たという経緯がございます。  ダサチニブ、スプリセルの方が最初に出ておりますので、それを使った方で耐性の方 が、タシグナカプセルを使って効果を示したという結果が得られています。それを確立 した試験でやっているわけではありませんが、そういう情報としては、症例が蓄積され ていることは事実でございますので、それなりにこの二つの薬は少し性質が違っている のではないかということは、in vitroの結果からもそうなのですが、認識はしていると ころでございます。 ○守殿委員 皮膚の副作用のことですが、腎がんでのスーテントやネクサバールなどは、 相当ひどいものが出るのですが、割と休薬だけで消退しまして、再開できるという症例 も結構あります。この薬剤の皮膚の副作用も、そういう感じのものなのでしょうか。 ○機構 実際、臨床試験では、先生がおっしゃいましたように、休薬条件がございます ので、休薬して回復するという症例は多々ございます。 ○堀内部会長代理 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。2題、似たよう な、少し適応症は違いますが、両者を比較するということはやっていないのですね。使 い勝手とか、いろいろ、審査報告書を見ると大分違うような気がいたしますが、どちら もイマチニブ耐性のものについて有効であることはそのとおりですので。特に御質問は ございませんか。それでは、議決に入りたいと思います。スプリセル錠20mg及び50mg について、承認してよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、 これについても薬事分科会に報告とさせていただきます。  それでは、議題3に移ります。インテレンス錠100mgにつきまして、医薬品機構から 概要の説明をお願いいたします。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本剤の有効成分でありますエトラビリンは、海外のTibotec社により開発されました、 ジアリルピリミジン誘導体でありまして、野性株のヒト免疫不全ウイルス及び既存の非 ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、以下、NNRTIと申しますが、このNNRTIに耐性を示 す臨床分離株に対して抗ウイルス活性を示すとされています。  この耐性株に対して活性を示すというメカニズムですが、資料の1.8、添付文書(案) の5ページの「薬効薬理」の項に記載がございますが、エトラビリンはねじれやすく、 複数の立体配座をとることで、変異が入った逆転写酵素に対しても結合するというメカ ニズムから、阻害活性を示すと考えられております。  今日のHIV感染症治療において、抗HIV薬の治療歴があり多剤耐性を示すHIV 感染症患者への治療選択肢は少なく、新しい抗HIV薬の開発は極めて重要かつ緊急を 要するとされております。  本剤は、このようなニーズにこたえるために開発された薬剤であり、Tibotec社は本 剤の臨床開発計画について米国FDA及び欧州EMEAと協議を重ねた結果、本剤の投 与対象を「既存のNNRTIに耐性を示し、現行の治療選択肢ではウイルス学的効果が不十 分である患者」と設定して、開発を進めてまいりました。48週間のプラセボ対照二重盲 検比較試験が2005年より開始され、本試験は現在も継続中でございますが、本試験の投 与24週までの中間解析結果より、プラセボ群に比し本剤群において、優れたウイルス学 的効果及び免疫学的効果、また安全性及び忍容性が確認されたことから、米国及び欧州 では 2007年7月に承認申請がなされ、米国においては本年1月に、欧州においては本年8月 に承認されております。  本邦においては、平成20年8月4日に、希少疾病用医薬品としての指定を受けており ます。  本剤の専門委員としては、資料10にありますとおり、岡慎一委員を含め10名を指名 し、御意見を賜りました。  機構は、提出された資料に基づき審査を行った結果、既存のNNRTIに耐性を有するH IV-1感染患者に対する本剤の有効性及び安全性は確認されたと判断しました。  なお、提出された資料においては本剤の安全性について特段の問題は認められていな いものの、海外においても承認されてから間もないことから、安全性に関する情報が限 られており、製造販売後に情報収集する必要があると考えています。特に、日本人にお ける本剤の薬物動態や安全性・有効性については、アジア人における投与経験も限られ ていることから製造販売後早期に検討を行う必要があると考えております。  機構は、以上のような審査を行いました結果、本剤の有効性及び安全性は確認できた と考え、審査報告書の3ページの承認条件を付帯した上で、同ページに記載されており ます効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。  なお、本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間については10年と設定す ることが適切であると判断しております。また、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由 来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。HIVの感染者が10,000人を超えたとい う報道もされておりますし、日本は増加傾向にあるということですので、その治療薬も 大事でありますが、NNRTIに耐性を有する患者に対して有効であるということです。作 用メカニズム等についても御説明いただきましたが、御意見、御質問はございますか。 ○竹内委員 効能・効果のところで、先ほどおっしゃられたように、既にNNRTIに耐性 を示す患者ということになっておりますので、HIV感染症一括りでよろしいのかなと いうのがよく分からなくて、それは、用法・用量のところの「必ず他の抗HIV薬と併 用すること」で補っていると理解してよろしいのでしょうか。 ○機構 従来より抗HIV薬の添付文書の効能・効果につきましては、「HIV-1感染 症」という記載を行いまして、細かな投与対象につきましては、使用上の注意の項で記 載することになっております。今回はNNRTI耐性ということですので、使用上の注意の 中でも特に一点目のところで、その情報提供を行うように考えております。 ○竹内委員 もう一点、審査報告書の28ページですが、CYP2C19の場合、日本人の場合 ではpoor metabolizerの度合いが非常に多いということがありますので、用量が海外と 同じでいいのかなということが気になっているのですが。 ○機構 その点につきましては、審査報告書の27ページで議論させていただいていま す。海外で実施された臨床試験の中で、Oriental/Asianに属する被験者においても投与 されておりまして、CL値が最大45%まで低下したという症例も認められているのです が、7例と非常に少数であったことから、原因については分かっておりません。ただ、 該当した7例の症例において、次のページの上に表で記載がありますが、安全性の観点 から、欧米人と比べて特段異なる安全性上の傾向は認められていないことから、大きく 違うことはないのではないかと考えております。  ただ、御指摘いただきましたように、日本人においてはpoor metabolizerがほかの人 種に比べて多いということが報告されていますので、市販後早期に日本人における薬物 動態を検討する必要があると考えておりまして、その計画は既に詳細までプロトコール の方で詰めているところでございます。 ○堀内部会長代理 ほかに御意見はございますか。 ○清水委員 発疹に関する副作用の添付文書の記載について確認させていただきたいの ですが、審査報告書の40ページに「発疹の兆候が見られた場合には、医療機関へ報告す るよう患者に指導することが重要である」という記載がありまして、皮膚関連の副作用 については添付文書の中で注意喚起はされているのですが、「医療機関へ報告するよう 患者に指導する」という文言は添付文書の中から読み取れないかと思うのです。具体的 にそのような記載を追加することはいかがでしょうか。 ○機構 御指摘をいただきましたので、その点について検討させていただきたいと思い ます。 ○堀内部会長代理 ほかにいかがでしょうか。 ○溝口委員 添付文書に関してお願いがございます。ネビラピンは、Lyell症候群や皮 膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)が起こったときは「再投与しないこと」と書 いてあるのですが、エトラビリンは、「適切な処置を行うこと」としか書いてありませ んので、「重要な基本的注意」にも書いてありますが、「重大な副作用」の方がよろし いかと思いますので、「重大な副作用」のところの「適切な処置を行うこと」の後に、 「再投与はしないこと」と加えていただくと安全だと思うのです。もし再投与すると、 もっとひどくなりますので。 ○機構 御指摘を踏まえまして、検討させていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 是非、適切に変更していただければと思います。ほかにいかがです か。よろしいでしょうか。それでは、御意見がないようですので、議決に入りたいと思 います。この抗HIV薬につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議が ないようですので、承認を可として、薬事分科会には報告とさせていただきます。  それでは、議題4に入ります。同じく抗HIV薬のシーエルセントリ錠150mgについ て、医薬品機構から概要を説明してください。 ○機構 議題4、資料番号4、医薬品シーエルセントリ錠150mgの製造販売承認の可否 等について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  シーエルセントリ錠は、米国ファイザー社により開発され、HIVが細胞に侵入する 際に補受容体として利用するCC Chemokine Receptor5(CCR5)に結合し、ウイルス の細胞内への侵入を阻害するという新規作用機序を有する抗HIV薬でございます。  1990年代後半のHAART療法の導入以降、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵 素阻害剤、及びプロテアーゼ阻害剤の3系統の薬剤がHIVに対する薬物療法の主流と なっており、これら3系統の薬剤を併用することによりHIV感染者の生命予後は大き く改善したものの、近年では、耐性ウイルスの出現や多彩な副作用による忍容性の低下 が、治療継続の障害となる等の問題が生じており、新たな薬剤の開発が望まれています。  本剤は、このようなニーズに迅速にこたえるために開発された薬剤であり、本剤の開 発に際しては、20□年から第I相試験が開始され、また、他の抗HIV薬による治療歴 を有するCCR5指向性HIV-1感染患者を対象とした二つの第IIb/III相試験が実施 されております。  海外では、これらの試験の中間成績に基づき、審査報告6ページに記載しましたとお り、米国では平成19年8月に、英国では平成19年9月に承認されております。  本邦においては、平成20年8月にオーファン指定がなされております。  本剤の専門委員としては、資料10にありますとおり、岡委員を含め、10名を指名し、 御意見を賜りました。  機構は、提出された資料に基づき審査を行った結果、CCR5指向性HIV-1感染患 者を対象に、対照群である最適療法群に比べて、本剤群による抗ウイルス効果が確認さ れたことから、本剤の有効性は確認されたと判断いたしました。また、安全性について も、現時点においては、大きな問題はなく、忍容性はあると判断しております。  しかしながら、既存の抗HIV薬とは異なる作用機序を有することから、予期せぬ副 作用が発現する可能性もあり、注意深い観察が必要であると考えております。また、特 に、日本人における本剤の薬物動態や安全性・有効性のデータは得られていないことか ら、製造販売後、速やかに検討を行う必要があると考えております。  以上のような審査を行いました結果、本剤を審査報告書3ページの承認条件を付帯し た上で、記載された効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしま した。なお、本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製 剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断 しております。  薬事分科会では審議を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。新しいメカニズムの抗HIV薬というこ とでございますが、御意見、御質問はございますでしょうか。 ○新井委員 新しいメカニズムということで、CC Chemokine Receptorが何をしている かがよく分からないのですが、その本来の機能はどの程度阻害するのでしょうか。本来 のリガンドが結合するものに対して、阻害しないかということで結構だと思いますが。 ○堀内部会長代理 これが結合することによって、本来のCC Chemokine Receptorの作 用がどのように変化するかということだと思いますが、分かりますか。 ○機構 本来の機能に対する阻害については、詳細な検討はなされていませんが、審査 報告書12ページで、CCR5に関連したケモカインであるMIP-1αやMIP-1β、RANTES のレベルに対するマラビロックの作用について、臨床的な検討は行われていません。た だし、RANTESについては、今実施している臨床試験でどの程度変動するかなどについて 検討が予定されています。 ○新井委員 詳細については検討はされていないということでよろしいわけですね。 ○堀内部会長代理 本来のファンクションについて、CCR5で阻害をした場合にどの ようなことが起こるかは、きちんと検討されていないということですね。 ○機構 ほとんど検討されてはいませんが、有害事象などを見ても大きな問題は今回認 められていないことから、臨床的には余り大きな問題にはならないと判断しております。 ○堀内部会長代理 ほかにございますか。 ○溝口委員 添付文書の1ページですが、併用薬のところで「ケトコナゾール、イトラ コナゾール」と、これは横に並べてあるから目立つので、別に変えなくてもいいのです が、ケトコナゾールは日本で発売されていない内服薬ですので、ここも同じようにして いただければと思います。 ○機構 御指摘いただきました点については、検討させていただきたいと思います。 ○溝口委員 それから、3ページですが、「その他の副作用」に、皮膚の副作用とは別 に、その他の副作用のところに毛包炎が書いてありますが、毛包というのは皮膚付属器 で、皮膚症状ですので、皮膚のところへ入れていただきたいと思います。  また、ここに、これまで余り見ていない、後天性リポジストロフィー、脂肪肥大症と いう変わった副作用が書いてあります。この薬全体に副作用はそれほど強くはないと思 いますが、今でなくて結構ですので、こういうものがどうして起こるか、メカニズムが お分かりのようでしたらお教えいただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 副作用がどうして起こるかというのは、なかなか難しい点もあるか と思いますが、分かりますか。 ○機構 まず、毛包炎の記載の場所については、御指摘の点を踏まえまして修正させて いただきたいと思います。もう一点、後天性リポジストロフィーや脂肪肥大症は、NNRTI に関連する副作用でございます。 ○堀内部会長代理 ほかにいかがですか。 ○山口委員 これはCCR5指向性HIVに対する治療薬ということで、CXCR4に 対する治療薬と、今の全体の治療戦略の中で、アルゴリズムはきれいに描かれるものな のでしょうか。例えば、最初の治療、標準的な治療のときに、どれくらいCCR5指向 性ウイルスが出てきて、それに対する治療と、その辺りがきれいに分かれるものなのか どうか教えてください。 ○堀内部会長代理 機構の方で説明できますか。 ○山口委員 例えば、初回治療、標準的治療の中で耐性になってきて、そのときにCC R5に対する指向性のHIVがどれくらい出て、それに対して、これは治療してという アルゴリズムはきれいに描かれるものなのかどうかです。 ○機構 治療のアルゴリズムとしては、エイズ領域ですと、米国のDHHSが作ってい る治療のガイドラインがございますので、日本においてもそのガイドラインに基づいて エイズ治療が行われているのが実情でございます。  CCR5の話で、どういう治療をしてきた人にどのくらいのタイミングでどのくらい 起こるかといったところについては、まだ疫学的にきちんとしたデータなどが出ている 状況ではないと思いますが、この薬剤使用に際しましては、CCR5の指向性について あらかじめ検査をしてこの薬剤の使用を開始することになっておりますので、この薬剤 が出て指向性検査が浸透してまいりますと、先生がおっしゃられたようなアルゴリズム がもう少し明確になってくるのではないかと考えております。 ○堀内部会長代理 添付文書には、検査をしてというのはどこかに書いてあるのですか。 ○機構 「効能・効果に関連する使用上の注意」の(2)に、「指向性検査を実施するこ と」と記載しています。 ○堀内部会長代理 これは、余り詳しく知りませんが、一般的にどういう所で検査でき るのですか。 ○機構 検査に関しては審査報告書の61ページに記載しておりまして、現在のところ、 指向性を確認するための検査機関としては、海外の1施設にて輸送して検査をしてもら うことになっております。 ○堀内部会長代理 そうすると、検査するのは難しいですね。 ○機構 国内で検査をできないかという点についても、引き続き、検査できるような方 向で申請者と検討をしているところなのですが、今のところ、検査をして結果が出るま でには19〜26営業日くらいかかるとされています。 ○堀内部会長代理 使うのになかなか大変かなという気がいたしますが、これは是非、 日本の中で検査ができるように。 ○審査管理課長 この薬ですが、全世界に1か所しか検査機関がない。また、そこの検 査能力にも限りがある。ただ、この薬はCCR5指向性ということで、そういう意味で は新しいものでございますので、日本でも申請してくれと、当方から要請したものでご ざいます。もちろん、先生がおっしゃられますように、検査も日本でできるというのは 望ましい体制ではありますが、これが一朝一夕にできるような状況でもないのだろうと 考えております。ほかの国々に遅れないように我が国にもという話は、当然のことなが ら我々としてやりたいとは思いますが、すぐに日本でこの検査ができるようになるとい う状況は難しいのではないかと、今のところ思っています。 ○堀内部会長代理 全体にCCR5に指向性のあるケースは、どのくらい予想されるの でしょうか。 ○機構 患者数といたしましては、ごく限られた症例数と考えられております。専門協 議の際にもお伺いしましたが、専門委員の先生方の御意見も同じでございました。 ○堀内部会長代理 添付文書でCCR5ということしか書いていないので、もう少し分 かりやすい説明を添付文書でもしてもらった方がいいかなと思います。 ○機構 御指摘を踏まえて、検討させていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、 この件について議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしい でしょうか。ありがとうございます。それでは、症例数はそれほど多くないということ でございますが、世界に遅れないようにということで、承認を可として、これについて は新有効成分でありまして、既存の類薬がございませんので、薬事分科会には審議とい う形で上程させていただきます。  それでは、私の担当する所は終わりましたので、池田部会長に入室をお願いいたしま す。 ── 池田委員入室 ── ○池田部会長 堀内先生、どうもありがとうございました。それでは、議題5に入りま す。議題5について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 議題5、資料5-1〜5-3でございますが、資料5-2として概要をお付けしてお りますので、そちらを御覧ください。  生物学的製剤基準につきましては、薬事法第42条第1項に基づき、医薬品各条に掲げ ます生物学的製剤医薬品について、その製法、性状、品質、貯法等に関する基準を定め たものでございます。  今回この改正(案)をお示しした経緯でございますが、2番を御覧ください。生物学的 製剤基準中にあります細胞培養痘そうワクチンの力価試験につきまして、従来行ってお ります鶏卵を用いた方法がありますが、鶏卵を用いない方法を追加するために生物学的 製剤基準を改正する必要が生じまして、この機会に、生物学的製剤基準の改正について、 その他、改正するものがあるかないかにつきまして、本年6月末を期限に関係業界団体 等から要望を聴取したところでございます。  その寄せられた改正要望につきまして、事務局において必要に応じ専門家の意見を伺 いながら整理して、今回改正する項目と引き続き検討が必要な項目に大別しまして、改 正する項目につきまして、今回、案としてお示ししたものでございます。  改正(案)の内容でございますが、大きく四つのカテゴリーに分かれております。一つ 目は、3の(1)でございますが、現行の試験法に、代替可能なものとして試験法を追加 するというものでございます。こちらにつきまして、大きく二つございまして、一つは、 先ほど申し上げました、「細胞培養痘そうワクチン」及び「乾燥細胞培養痘そうワクチ ン」の力価試験に「細胞培養におけるプラーク形成単位測定法」を追加するものでござ います。これは、従来、発育鶏卵を用いた測定法が生物学的製剤基準に規定されており ますが、これと「ウサギ腎細胞培養におけるプラーク形成単位測定法」を比較した検討 がなされました。資料につきましては、別添1として報告書をお付けしております。そ の結果、「ポック形成単位測定法」と同等以上の精度を持つことが科学的に明らかにな ったことから、これらの「プラーク形成単位測定法」を追加しようとするものでござい ます。  二点目でございますが、血液製剤の発熱試験に「エンドトキシン試験法」を追加する ものでございます。本件につきましては、資料の15ページに別添2としてお付けしてお りますが、山口先生を主任研究者といたしまして、「血液製剤に対するエンドトキシン 試験法の適用と基準化に関する研究」が行われ、現行のウサギ発熱試験法に替えてエン ドトキシン試験法を導入することを検討した結果、それを適用することが可能であるこ とが示されたことから、「エンドトキシン試験法」を追加するものでございます。  三点目につきましては、各条に示しております「乾燥人血液凝固第VIII因子」等3品目 について、測定の手法は同じでございますが、自動測定装置を使用したケースが非常に 増えてきていることから、自動測定装置の使用を明確化した改正を行うものでございま す。  続きまして、(2)基準の改訂でございます。大きな柱の四点あるうちの二点目でござ います。これは1種類でございますが、血液製剤の発熱試験の投与量を改訂するという ものでございます。こちらも、先ほど御紹介いたしました研究班におきまして、発熱試 験法におけるウサギへの検体投与量を検討し、国際的な整合性、あるいはその投与実態 などを踏まえて、投与量を改訂するものでございます。  3ページを御覧ください。改正ポイントの三点目、(3)でございますが、他の試験等 で担保されている試験法の削除でございます。これは二つございますが、一点目は、ワ クチン製剤における「染色試験」の削除でございます。こちらにつきましては、現在、 GMPレベルで製造工程における無菌性の担保が行われており、より高感度に品質の管 理が行われている実態を踏まえて、従来あります「染色試験」を削除しようとするもの でございます。  二点目でございますが、「沈降精製百日せきワクチン」等につきまして、現在、「マ ウス白血球数増加試験」及び「マウス体重減少試験」が規定されています。しかし、こ れらにつきましては、より高感度であります「マウスヒスタミン増感試験」及び「エン ドトキシン試験」が併せて規定されておりまして、これまで得られたデータから、後者 の「マウスヒスタミン増感試験」等でより高感度に検査できることが確認されたことか ら、「マウス白血球数増加試験」及び「マウス体重減少試験」を削除しようとするもの でございます。なお、こちらにつきましては、既に本年6月に検定基準から削除されて いるというものでございます。  最後に、(4)記載整備でございます。こちらにつきましては、そのとおり、表記を整 理するというものでございます。例えば(1)でございますが、「健康な」又は「伝染性の 疾患に感染していない」動物の使用を、医薬品各条ごとに記載してございますけれども、 横断的な基準として「生物由来原料基準」が現在定められておりまして、その中に「健 康な動物に由来するものでなければならない」という記載があることから、生物学的製 剤基準の各条からその部分を削除して整理したというものでございます。このような記 載の整備が、計13個ございます。以上が今回の改正(案)の概要でございます。  5ページを御覧ください。引き続き検討が必要な要望事項ということで、そのほか、 関係業界団体等から提出された要望につきまして、例えば(1)に示しました、「組換え沈 降B型肝炎ワクチン(酵母由来)」及び「肺炎球菌ワクチン」中の「異常毒性否定試験」 を削除していただきたいといった要望等につきましては、まだそれらを削除するに足る データ等がないことから、今後も引き続き検討が必要であると考えております。  6ページを御覧ください。その他でございますが、こちらの基準の改正につきまして は、今後、この部会における審議、答申を踏まえまして、パブリックコメントに付して、 改訂を行っていきたいと考えております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今、事務局から報告がありましたように、 生物学的製剤基準の一部改正について、先生方に御議論いただきたいということでござ います。主に四つのカテゴリーに属する改正でございます。代替可能なものとして新し く試験法を追加しようというもの、基準の改訂、試験法を削除してもいいのではないか という改訂、記載の整備という四つのカテゴリーがあって、改正をしたいということで ございますが、委員の先生方から御意見、御質問をお願いしたいと思います。いかがで しょうか。山口先生、何かコメントはございますか。 ○山口委員 生物学的製剤基準の改訂につきましては、定期的に何年ごとにやりなさい ということはございません。直近の改正は2004年です。大体5年から10年のタームで 改訂が行われておりまして、今回はそれほど大きな改訂ではないと思いますが、2004年 から2009年で大体5年ということで、懸案になっておりました事項についても細かく検 討をしているところです。それぞれについては、ここ数か月、十分検討をしているつも りです。 ○池田部会長 ありがとうございました。山口先生からコメントをいただいたのですが、 主として国立感染症研究所の先生方、そして血液製剤あるいは生物学的製剤を扱ってい る企業の方たちにも意見を聴取した結果、このようなまとめになったということでござ います。先生方、何かお気付きの点等はございますでしょうか。特に、現行の試験法の 替わりにこのような試験法を追加したらいいのではないかということについては、添付 の報告書がございますので、それも踏まえてコメントをいただけたらと思います。  今回、血液製剤の発熱試験のところでエンドトキシンの試験法を追加されたというこ とですが、山口先生、これについても何かコメントはございますか。 ○山口委員 ウサギを使った発熱試験よりも、in vitroでエンドトキシンを直接測るこ とは、感度の上からも非常にいいわけです。ただ、問題は、エンドトキシン以外の発熱 物質の否定ということで、そういう意味では、動物を使った、ラフであるけれどもすべ てをカバーする検査も捨て難いということで、これまでずっと来たわけです。しかし、 試験法の世界的なハーモナイゼーションということもありますし、動物を使わないとい う世界的な動物愛護の視点もあります。そういう、日本独自の今までの試験の良さも残 しながら、ハーモナイゼーションあるいは動物の3Rの問題等を勘案しながら、新しい 試験法を取り入れていくという視点に立つべきだと思います。 ○池田部会長 ハーモナイゼーションというお話がありましたが、必ずしもヨーロッパ やアメリカとその基準について一緒に議論するような機会は、あるわけではないのです か。 ○山口委員 いわゆる3極になるかと思いますが、直接、協議する場所はございません。 しかし、WHOの場や、それぞれヨーロッパと日本、日本とFDAという形での意見の 交換、あるいはこちらから視察に行ったりという形での交流は十分ございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方、何かございませんでしょうか。 ○早川委員 発熱試験法におけるウサギへの検体投与量の検討のところですが、これは、 できるだけウサギを使った方法はなくしていこうという方向の中で残っている部分です ね。私の理解では、投与量、特に発熱性物質の投与量は、注射でワンショット分やる、 その量がベースになるのだろうと、今までずっと理解してきたのです。ですから、エン ドトキシンもそうですが、実際の値がどうであれ、薬局方もそうですが、例えば投与量 とともに、許容量の規格値は決まっているわけです。つまり、ワンショット分を投与し たときに十分安全であるという値が基準になっていて、必ずしも実測値が基準ではない わけです。ですから、このウサギへの投与量も、例えばEUに合わせたといったときに、 EUのそもそものコンセプトがどういうものなのか、それから、実際に増量したけれど も、試験としては問題なかったというときに、安全性の面から言えば、投与量をどんど ん増やしていって、増やしても発熱性が出なかったからそこを基準にするという考えは、 今までなかったと思うのです。そこは、ここで新しい方向として打ち出されているので、 何かお考えがあれば伺いたいと思います。 ○山口委員 血液製剤にはいろいろな血液製剤がございまして、例えば第VIII因子製剤は、 in vitroでエンドトキシンを測定する場合に、インヒビターがあり、これはできないわ けです。ですから、相変わらずウサギを使った発熱試験をやらないといけないというこ とになります。それで、今回、2種類の血液製剤だけだったと思いますが、それだけは 残って、それ以外は全部エンドトキシンで測定できるシステムを追加しました。  それから、早川委員が御指摘の投与量の問題も、実はいろいろな議論がございまして、 ヨーロッパと詳細に検討して、増量という問題も、早川委員の御指摘がほとんど主流な のですが、投与量を増やしてどうかという検討をしているところもございました。発端 が、ウサギの発熱試験の投与量が数十年前の基準で行われていて、現在非常に大量に使 われているという時代の変遷に、全く対応しなくていいのかという議論から始まったと ころで、投与量を増やしてどうだったというデータを研究班で出したわけです。 ○堀内部会長代理 エンドトキシン試験法、in vitroの場合、カブトガニの血球からの ものを使うわけですね。これは十分確保できるのでしょうか。 ○山口委員 私は、in vitroの試験で、動物愛護の観点からもいいのではないかと思う のですが、それでさえカブトガニを使うのだから、動物愛護の観点から言うとよろしく ないという意見も確かにございます。現時点では、試験は何とか今後も継続できると聞 いております。 ○池田部会長 そのほかにございますか。 ○審査管理課長 先ほど早川委員から御指摘のあった件ですが、資料5-2の18ページの 「3)発熱試験におけるウサギへの検体投与量の検討」で、「臨床投与量との整合性およ び国際調和の観点から見直しを行った(表1)」となっておりまして、26ページに表1が ございますが、臨床投与量から見ても、今の発熱試験における投与量が正しかったのか どうかということも再検討した上で、今回のものが決まっているということでございま す。そういう意味で申し上げますと、早川委員がおっしゃったような点を勘案した上で、 国際調和も勘案しながらということになっているのだろうと思います。 ○山口委員 もちろん、あらゆる意味で投与量というのは、動物への負荷、それから、 そもそもむやみに増量しても動物実験そのものが成り立ちませんので、その辺りは考慮 しております。 ○早川委員 先ほど山口委員から、あるいは今、課長から御説明いただいたように、臨 床投与量をベースにしてやったということであれば、従来のものと整合しておりますの で、了承したいと思います。 ○新井委員 動物愛護の問題はあるかもしれませんが、本来、エンドトキシン量を発熱 性で試験すること自体がむしろおかしかったわけで、エンドトキシンはエンドトキシン で測るという本来の形に戻ったと思うのですが、逆に言うと、発熱性試験はなくなって しまっていいのかというのは、いかがでしょうか。 ○山口委員 今回、血液製剤については、過去10年という一つの区切りで、各メーカー にアンケートをとりました。実際は、メーカーは製造工程過程で、発熱試験だけではな く、エンドトキシン試験を随所で入れているわけですが、この10年間で何か問題があっ たかという調査では、5社のうちで2例ありました。1例については、明らかに細菌の コンタミであり、それはエンドトキシン試験をすればきちんとカバーできたということ で、製造工程の安全性を担保できました。もう1例についても、エンドトキシンが非常 に高い値で測定できたということで、2例とも、エンドトキシン関係の細菌のコンタミ であったということです。それ以外の発熱物質については、10年間、血液製剤について はなかったということで、エンドトキシン試験に替えることで大きな健康被害になるこ とはないのではないかと、一応の結論を出しております。 ○池田部会長 そういうことで、代替可能ということで、試験法を追加するということ でございます。よろしいでしょうか。そのほかに御質問、御意見がなければ、議決に入 りたいと思います。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がな いようですので、改正を可といたしまして、この議題につきましては薬事分科会に報告 とさせていただきます。ありがとうございました。  それでは、報告事項に移ります。報告事項について、機構、事務局から順次御説明を お願いします。 ○機構 議題1「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたします。資 料6-1〜6-3になります。  資料6-1は、一般的名称は「ゴセレリン酢酸塩」、販売名は「ゾラデックスLA10.8mg デポ」、資料6-2は、一般的名称は「バンコマイシン塩酸塩」、販売名は「塩酸バンコ マイシン散0.5g」、資料6-3は、一般的名称は「塩酸バラシクロビル」、販売名は「バ ルトレックス錠500 他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成 績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げら れている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用 量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上 です。 ○池田部会長 ありがとうございました。引き続き、議題2をお願いします。 ○事務局 報告事項議題2「優先審査品目指定の審査結果について」、御報告いたしま す。優先審査の取扱いについては、資料7の2ページに概要をお示ししておりますが、 この制度は、薬事法第14条第7項に、厚生労働大臣は、承認申請された医薬品が希少疾 病用医薬品、その他、医療上特にその必要性が高いと認められるものであるときは、当 該医薬品の審査を他の医薬品の審査に優先して行うことができるという規定がございま して、今般、その指定に当たって、2ページの「参考」にお示ししている適応疾患の重 篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断をしたものでございます。  1ページにお戻りください。今回、指定の報告をする品目は、□□□□□□□□□□ □、□□□、□□□□□□□□□□□□□、□□□、□□□□□□□□□□□□でござ います。今般、本剤について、「□□□(□□□□□□□□□□)□□□□□□□□□□ □□」を効能・効果とする製造販売承認申請がなされたものです。  この適応疾患であります□□□は、生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断さ れます。  医療上の有用性では、□□□□□□□□□□□□□□□□□□・□□□□□□□□□ □□□□□□がございますが、申請された効能に対する既存の治療法は存在すると判断 されるものの、国内外で実施された臨床試験の結果より、□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□場合、既存治療に比べ優れた有用性を示す結果が 得られているものと判断され、また、安全性については忍容可能と考えられます。  以上より、本品目は医療上の有用性が高いものであると判断され、本品目を優先審査 の品目に指定することといたしました。  なお、この品目については、審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただくこと になると思いますので、よろしくお願いします。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。引き続き、医療用医薬品の承認条件の解除に ついて、報告をお願いします。 ○事務局 議題3「医療用医薬品の承認条件の解除について」、御報告いたします。資 料8-1〜8-4の承認条件等に係る審査報告書について、まとめて御報告いたします。  資料8-1、バリキサ錠450mgの効能・効果は「後天性免疫不全症候群(エイズ)患者に おけるサイトメガロウイルス網膜炎の治療」でございます。資料8-2、エプジコム錠、 資料8-3、ザイアジェン錠300mg、資料8-4、レクシヴァ錠700、いずれも効能・効果は 「HIV感染症」でございます。  これら4品目については、承認時に薬事法第79条に基づく承認条件が付与されており ました。今般、その条件に基づいて実施された臨床試験の結果、承認時に実施中であっ た海外臨床試験の結果等が提出され、医薬品医療機器総合機構において提出された資料 について審査が行われたものでございます。その結果、いずれの品目も承認条件の内容 について確認できたと考えております。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。以上、報告をしていただきましたが、まず、 再審査結果について、何か御質問はございますでしょうか。 ○堀内部会長代理 確認ですが、この再審査の結果については、添付文書に反映されて いると考えてよろしいのですね。細かく比較をしておりませんが、時々、再審査のデー タが添付文書に反映されていないことがあると思います。是非、反映させていただきた いと思います。 ○機構 今回お示ししております3成分につきましては、再審査申請時までのデータに ついてはすべて添付文書に反映していることを確認しております。 ○池田部会長 そのほかに、再審査結果についていかがでしょうか。よろしいでしょう か。  それでは、続きまして、優先審査指定品目の審査結果について、□□□□□□□□□ □□・□□□□□でございますが、□□□□□□□□□を可能にするということで、優 先審査品目に指定しようということです。これについて、何か御意見はございますか。 特にございませんでしょうか。  議題3の、医療用医薬品の承認条件の解除についてはいかがでしょうか。これは、バ リキサ錠と抗HIV薬でございます。 ○堀内部会長代理 同じことを質問したいと思いますが、このデータについては、添付 文書等に反映されているのでしょうか。 ○審査第一部長 これにつきましては、ここで御確認をいただいた上で、添付文書に記 載されております承認条件を外すという添付文書の改訂を行いますので、それに合わせ てこの成績についても反映させる予定でございます。 ○池田部会長 薬剤においては幾つかの承認条件があって、今回は、すべての承認条件 を解除しようということではなくて、結果が得られたものから順次承認条件を解除する ということでよろしいのですね。 ○審査第一部長 そうでございます。 ○池田部会長 それについては、ここで先生方に御確認いただいた後に、添付文書等に その旨を記載していくという手順になるということでございますが、よろしいでしょう か。特に薬物動態等については、この条件に付いていて、それを行ったという報告があ りますので、その辺りも当然記載しなければいけないだろうと思います。よろしいでし ょうか。特に御質問がございませんようでしたら、報告事項すべてについて御確認いた だいたということで、進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうござい ました。それでは、報告事項について御確認いただいたということにいたします。  本日用意した議題は以上でございますが、事務局から何か報告はございますか。 ○事務局 次回の部会でございますが、既に御案内させていただきましたとおり、来年 1月29日(木)午後2時から開催させていただく予定としておりますので、よろしくお願 いいたします。 ○池田部会長 もう来年になりますが、1月29日ということでございますので、先生方 には御出席のほどよろしくお願いしたいと思います。委員の先生方から何か御意見がご ざいませんようでしたら、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。本 日は議題に参加できませんで、先生方に大変御迷惑をおかけしましたが、ありがとうご ざいました。それでは、これで終了させていただきます。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)