08/11/27 平成20年11月27日出産育児一時金に関する意見交換会議事録             出産育児一時金に関する意見交換会              日時:平成20年11月27日(木) 18:10〜20:06              場所:厚生労働省 省議室                         中央合同庁舎5号館 9階 ○神田総務課長 出席者の皆様には、大変お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうござ います。定刻になりましたので、ただいまから「出産育児一時金に関する意見交換会」を開催い たします。  開会に当たりまして、まず、舛添厚生労働大臣より、ごあいさつをちょうだいいたします。 ○舛添厚生労働大臣 どうも皆さんこんばんは。お忙しい中、急遽お集まりいただきまして、あ りがとうございます。今日の皆さん方との意見交換会の趣旨について申し上げたいと思います。  出産育児一時金につきましては、一昨年35万円まで引き上げられました。ただ、実際どれだ け費用がかかっているかというと、東京を含め、大都会ではもっとかかっているという、いろい ろな意見を聞いております。  もう一つ現状では、まず妊婦の方が出産費用を医療機関に支払って、出産後に一時金を取ると いう形になっていますね。現実には、もうそうなっていないところも相当あります。妊婦検診に つきましては、今まで5回まで無料だったところを今回14回まで全部無料にするということは、 皆さんのおかげで、政府与党で決めることができました。  基本的には、どういう趣旨で妊婦検診の14回無料化も、今日皆さんにお集まりいただいた出 産育児一時金に関することもあるかというと、やはり少子化ということがこれだけ大きな問題に なって、子どもがいなければ日本の未来はないわけですから、きちんとみんなが安心して妊娠し、 出産し、子育てできる社会をつくるのは政府の役割であると思っております。そういう中で、今、 非常に経済の情勢が悪い、雇用の状況が悪い。例えば若いフリーターの夫婦がいて、雇用も不安 定、収入も不安定。その中で子育てをしますというときに、その費用はどうですかということを 考えたときに、そこで躊躇することがあってはならないと思っています。  ですから、お金のことを全く心配しないで妊娠して、14回無料で検査をする。そして、おぎ ゃあと生まれるときに、手元に35万なり、40万なり、50万ないと出産できないというのでは 困りますから、そういうお金は一切心配しないで、安心して出産してください。直接お支払いし ますよということが、私が意図していることでありまして、少子化対策というのは、国家百年の 大計でもあります。ただ、例えば地域ごとに出産費用に格差がありますけれども、それをそのま ま反映させた方がいいのか、悪いのか。してしまうと、地域格差を固定するのではないかという 意見もございます。  それから、逆によく私のところに一般の妊婦の方々含めておっしゃってこられるのは、正常分 娩だったら保険がきかなくて、途中で異常分娩だったら保険というのは何なんですかということ です。それは病気のときの保険なんだから、病気ではなくて正常なんだからと答えはしています けれども、そういう方々から、いっそのこと全部保険にしてくれたらどうなのという意見もあり ます。いろんなさまざまな意見があって、それぞれ傾聴に値すると思います。  ですから、それぞれのお立場で、ここはプラスです、ここはマイナスですということがあると 思いますので、今日は皆さん方から率直な意見をいただいて、関係する皆さん方の意見をじっく り聞いた上で、そしてみんなが納得する形でいい方向にと思っています。  とにかく、豪華なデラックスな病室で私は生みたいという贅沢をやられる方は別ですけれども、 普通の出産について、お金の心配をしなくてできるということがないと、若者がこれから安心し て、子どもを生み、育てていくという日本になりませんから、それが私が思っている基本的なこ とでございますので、どういうふうにして実行すればいいのか。こういうやり方だとこういう問 題がある、これはこういうメリットがあるということについて、いろいろお教えいただきたいと 思いますので、今日は忌憚のない御意見をいただいて、いい形で国民の皆さんが本当に喜んで、 安心して妊娠し、検診を受け、出産して、子育てができる。その子どもたちが日本の未来を背負 っていく。そして、明るい日本の姿があるという形の姿を描けるように、全力を挙げて政策を実 行に移したいと思いますので、その基礎となるお考えを皆さんにちょうだいしたいと思います。  どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○神田総務課長 それでは、出席の皆様について御紹介させていただきます。  まず、日本医師会常任理事の藤原様です。  日本産科婦人科学会理事長の吉村様です。  日本産科人科学会産婦人科医療提供体制検討委員会委員長の海野様です。  日本産婦人科医会会長の寺尾様です。  日本産婦人科医会副会長の木下様です。  日本助産師会副会長の岡本様です。  日本助産師会専務理事の加藤様です。  健康保険組合連合会専務理事の対馬様です。  全国健康保険協会理事長の小林様です。  全国市町会国民健康保険対策特別委員会委員長の河内山様です。  全国町村会行政部会長の藤原様です。  日本経済団体連合会常務理事の久保田は、ちょっと遅れておられるようでございますが、後ほ どお見えになると思います。  日本労働組合総連合会副事務局長の逢見様です。  国際医療福祉大学大学院教授、元朝日新聞論説委員の大熊様です。  それでは、早速できるだけ多くの皆様方に幅広く御意見をいただきたいと思いますので、順番 に御意見をちょうだいいたしたいと思います。お手元に出産育児一時金の仕組みなどについて、 参考資料を配付させていただいておりますので、御参考にしていただければと思っております。  まず、医療提供者の方から御意見をお伺いしたいと思います。日本医師会の藤原様からお願い いたします。時間の都合上、おおむね5分程度で御意見をいただければと思っております。よろ しくお願いいたします。 ○藤原(淳)氏 日本医師会としましては、出産育児一時金の基本は、現行どおりですべきでは ないかと考えております。つまり、都道府県ごとの額の設定をすることは、地域格差を生むとい うことで、従来どおり、全国一律に支給していただきたいと思います。  また、保険者からの保険医療機関への直接のお支払いにつきましては、患者さんの利便性であ るとか、あるいは未収金の問題の解消も考慮いたしまして、この方向で賛成いたします。ただ、 この点につきましては、関係の学会とか医会とかの考えを尊重したいと考えております。 ○神田総務課長 引き続きまして、産科婦人科学会の吉村様、お願いいたします。 ○吉村氏 皆様方よく御存じだと思いますけれども、今の地方の周産期医療というのは、まさに 崩壊寸前の時期にきています。今度の出産育児一時金の見直しについては、私は大変ありがたい ことだとは思うわけでございますが、地方の崩壊は何で始まったかということを考えて見ますと、 やはり自治体病院の分娩料の設定にも問題があったのではないかと思います。人件費及びその他 の経費を含む費用に見合った額となっていなかったことが、赤字を招いたと思います。分娩費が 安いということになりますと、不適正な価格設定だと思うんですけれども、そうなりますと、当 然のことながら公的な病院に分娩は集中する。そうすると、人的リソースの不足が当然起こって くる。医師に過重労働がつながってくる。そして、産婦人科の撤退、あるいは廃止といったこと につながっていった。  今、考えるべきことは、地方に厚くしていかないと、この崩壊をストップさせることはできな い。ですから、都道府県ごとに一時金の設定をしていくということについては、いい策であると は思えません。やはり、地方に厚く、要するにそういった施策を持っていかないと、非常に大き な問題点になっている。一時金が都道府県によって異なるシステムは、つくるべきではないと考 えます。かえって悪くなってしまうのではないかと思います。やはり、地方を守っていかないと いけないということが第一義でありまして、地方の周産期医療崩壊を防ぐためにも、やはり最低 限度、一律の一時金を考え直していただきたい。アップするならば、全部同じようにアップして いただかないと、地方の病院はもたない。地方の病院に産婦人科医が集まっていただくためにも、 地方を厚くしていかないとだめだと思います。  もう一点は、医療機関の直接払いに関しましては、一律に受取代理を導入するということでは なく、それは市町村長、都道府県の自治にお任せする。現状は、恐らく地方自治体によって異な ると思います。そして、地方自治体が持っておられる病院においても異なると思いますので、そ の辺は地方自治体でお考えになって、今のような受取代理を進めていくのかどうかということは、 地方にお任せするということでいいのではないかと考えております。 ○神田総務課長 引き続きまして、産婦人科医会の寺尾様、お願いいたします。 ○寺尾氏 冒頭に大臣が、正常分娩は保険がきかない。異常分娩は保険がきく。なぜなのかと聞 かれることがあるとおっしゃいました。その答えを私が申し上げたいと思います。  保険というのは、あるところである診療をやった者に対して報酬を払うということです。正常 分娩というのは、物すごく時間がかかるわけです。ある人は48時間もかかる。ある人は2時間 で生まれるかもしれない。とにかく、その48時間待っている間、診療所としては、ずっと監視 し続けなければいけない。  そして、現在の分娩というのは、かつての分娩と違って、非常に高度なことをやっているわけ です。ことに日本の産科医療というのは、世界一であります。周産期死亡率も世界一をずっと維 持しているわけです。なぜこれが維持できるのか。これは各地方の小さな診療所の医師の使命感 がこれを支えているわけでございます。  現在分娩は、50%は病院で、50%は診療所で行われております。その小さな診療所は、1人 だけでそれをやっているわけで、その48時間なら48時間、一歩も外へ出ることもできない。 あるいは研修に行きたいという場合には、だれかを雇ってお願いして行かなければいけない。そ してまた、いつ帝王切開になるかもしれないから、帝王切開をするためには、麻酔医とのコンタ クトを持っていかなければいかぬ。手術場もそのように用意して、看護師さんも用意する。そう いうことをダブルセット・アップと申しますが、そういう状況をつくり出していくわけです。そ のずっと長い期間に対しては何ら評価されていない。  帝王切開というのは、例えば子宮筋腫の手術をするときには、子宮筋腫の手術料という、手術 をする瞬間の報酬ですね。異常分娩の帝王切開というのも、その瞬間の報酬です。ところが、正 常分娩というのはずっと続いて、連続的なものです。その連続的なものに対する評価が全く行わ れていない。ですから、これは一般の市民の方にも大いなる誤解があるから、先ほど大臣がおっ しゃったような発言につながるのではないかと思います。  したがって、保険診療というものには、この分娩は全くなじまないものだと思います。そして、 文化でもありますから、ある人はせっかく子どもが生まれるのだから、最高の状態でやってあげ たいと思いますし、大臣が求められている、とにかく何とかお産できればという人もいますので、 非常に幅が広い。そういうことも考えますと、とても保険診療にはなじまないものだと考えてお ります。 ○神田総務課長 それでは、日本助産師会の岡本様、お願いいたします。 ○岡本氏 出産育児一時金の地方の格差については必要なくて、やはり全国統一でいいのではな いかと考えております。  それから、出産育児一時金という名前にかかわらず、これは出産のときの費用分だけなんです ね。ですから、育児に対する手当の充実をもう少し考えていただきたい。産科医療補償制度のこ とがありまして、3万円上積みということはありますけれども、それはあくまでもそちらの補償 だけであって、育児の面で最初のころにも、事業や施策だけではなくて、もう少し育児手当金等 として充実していると、お母さんたちが喜ばれるのではないかと考えています。  それから、直接分娩機関に納入する制度に関しましては、助産所の場合は、ありがたいことに 未払いが少ないんですけれども、全体的なことで病院等でお産が非常に多い中で、公立の病院は 未払いがかなりあると聞いておりますので、その防止の意味では、やはり非常に重要なシステム ではないかと考えています。  ただし、例えば助産所などは非常に零細企業といいますか、少ない分娩数を扱っているところ ですので、その場合に、支払いまでに手続上、2か月とか期間がかかるんですね。事務手続の煩 雑さと、支払いまでの期間をできるだけ短くということを、是非御配慮いただきたいし、もう少 しおおくの関係者の皆さんの意見も聞きながらやってもらいたいと考えています。  それから、大臣あるいは総理がおっしゃったように、だれでも安心して生むための今回の施策 であるというならば、私は保険に入っていない人たちが本当にどうなるのか。むしろ生活困窮の 方が、大臣が14回の無料健診も決めていただきましたが、健診料も払えない実状から未受診で あるということもいっぱいあります。ですから、それと同じように、保険に入っていない人の対 応がどのようになされるのかも重要です。現在も生活扶助者に対しての分娩の一時金に関しまし ては、自治体によって額がさまざまで、通常の出産一時金よりも少ない額になっておりますので、 実際に引き受けた医療機関等には、損益もあると伺っております。その辺りのところも、しっか りと対策をしていただけたらと考えているところです。  産科医療補償制度の負担分のこともそうですけれども、そういう保険未払い、あるいは未受診 の方への配慮を切にお願いしたいと思っています。 ○神田総務課長 引き続き、支払い者側の方から、対馬様お願いいたします。 ○対馬氏 まず、このような場を設けていただいたことに対しまして、お礼を申し上げたいと思 います。  全般的な話と個別的な話の2つに分けてお話しさせていただきたいと思います。  まず、全般ですけれども、見直しに当たって、政策目的と手法は私から言うまでもないんです が、目的をはっきりさせた方がいいのかなと思います。何を言いたいかといいますと、恒久措置 として、法改正までやるということであれば、少しじっくり時間をかけて検討してはどうか。例 えば先ほど来出ています正常分娩も保険診療の対象にするのかとか、現金給付なのか、現物給付 なのかとか、一時金の水準そのものをどうするのか、受領代理という制度があるんですが、これ を強制的にするのかどうか、公費投入をどう考えるのかといったことをじっくり考えてはどうか なと思うんです。  そうではなくて、むしろ産科医療の現下の状況でありますとかを見たときに、もう特別対策な んだと。何としてでもこれだけは是非、今、やらなくてはいけないんだということであるならば、 公費投入に特化して、本当に早急に検討して、すぐにやるということではないかなと思います。  私どもとしましては、どちらかといいますと、やはり後者なのかなと思います。と申しますの は、制度改正が随分続いているんです。平成18年10月に30万が35万に上がりまして、受取 代理制度ができた。今度の1月からは、産科補償制度でもって、35万円から38万円になるとい うことで、2年ちょっとの間に金額的でいうと8万円上がっているということもあるわけです。  いずれにしましても、私ども保険者の財政は非常に厳しゅうございまして、先般、国際フォー ラムでもって4,000名を集めて、存亡の危機突破総決起大会というものをやったんですけれども、 そのときに、3名ほど事前に発言の届出があったんですが、全く関係なく突然手を挙げまして、 話は変わりますけれども、産科医療で今回38万円を我々は出さなければいけないんだけれども、 何でそうなのかという非常に強い意見もあったんです。  ですから、そういった状況も考え合わせますと、公費投入に特化したらどうかなと思います。  ごく簡単に個別の問題を申し上げます。都道府県ごとに資金設定。これはやはり診療補助との 関係が非常に高く、深いと思うんです。あと、医師の大都会偏在。この辺りを助長しないかとい うおそれもありますので、やはり全国一律がベースになるのかなと思います。  直接払いですけれども、ようやく受取代理制度が定着化しつつあるということですし、これは 確かに事務的に大変だということがあるかもしれませんけれども、ある意味妊産婦の選択、また コストインセンティブが働くという面もありますので、むしろ受取代理制度を定着させていくこ とが大事かなと思います。  財源ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、保険料の負担増につながることは、何とし ても避けていただけると大変ありがたいと思います。  以上になります。 ○神田総務課長 では、小林様、お願いします。 ○小林氏 このような発言の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。  都道府県ごとの一時金の設定につきましては、緊急対応ということであれば、現行制度をベー スとして、公費で都道府県別に必要な措置を行うことが1つの方法ではないかなと考えておりま す。  ただし、長期的に保険給付の中に都道府県ごとという仕組みを取り込んでいくということであ れば、少し腰を据えて、十分議論をしていく必要があるのかなと考えております。  それから、出産育児一時金に関わる財源の問題につきましては、平成21年1月からの35万 から38万への金額の引き上げに対応することとしておりますが、仮にこれを超えて、更に保険 料の負担が増えるということは、協会としましては、単年度収支ベースで赤字という、大変厳し い財政状況にあります。また、平成21年度から、都道府県単位保険料率への移行も控えており ますので、なかなか厳しいということを何とぞ御理解いただきたいなと存じます。  また、医療機関への直接払いにつきましては、出産育児一時金の受取代理の仕組みを平成18 年10月から当時の政管健保において実施しておりまして、今後どのような仕組みになるかとい うことは定かではありませんけれども、保険者としてできる限り協力していきたいなと考えてお ります。  以上でございます。 ○神田総務課長 河内山様、お願いいたします。 ○河内山氏 大臣が冒頭にお話になりましたように、普通の方が出産をお金の心配をせずにでき るようにするというのは、少子化対策を進める上で大きなポイントの1つだと思います。そうい う意味で、今回の御提案は、基本的には少子化対策を進める上で、我々基礎自治体としても、い い手法の1つだと思っています。  今から申し上げますことは、全国の市長の意見を集約したわけではございませんので、その辺 は割り引いてお考えいただきたいと思います。  その上に立ちまして、やはり今回の一時金の話もそうですし、大臣がその前の妊娠の段階から の診断のお話をされましたけれども、やはり我々も市議会等でいつも、特に女性の議員さんたち から言われますのは、出産のときに日ごろ持ち歩かないようなお金を若いお父さん、お母さんが 用意したり、あるいは実際に病院に持って行ったりするというのは、かなりの負担感にはなって おるようです。それを解消していくという意味では、直接支払いができるというのは、それでな くても妊娠から出産、出産直後というのはストレスがあるわけですから、女性の方のストレスを 低めていくという意味では、冒頭申し上げましたように有意義だと思います。  加えて言うならば、診断、出産、そして出産後の育児、保育、仕事との両立、そして小児医療。 いずれのものもある意味では少し傷が付いている部分がありますので、トータルとして安心感を 与えるようなメッセージとして、大臣からパッケージで厚生労働省としてできること、あるいは 市としてやらなければならないということについては、今、五月雨的に出てきますけれども、先 ほど来お話がありましたように、少しまとまった形で、パッケージで出していただいた方がいい のかなと思います。  今度は保険者の立場から言いますと、直接医療機関に支払われることについては、国保の立場 としては特に問題はありませんけれども、この数年間、かなりの制度改革をしまして、現場では、 また今度長寿医療制度の与党のPTでおまとめになりました。これは後ほど言いたいことがある んですが、これは別問題ですので、そういうふうに、制度を変え、仕組みを変え、システムを変 えるごとに、かなり現場では、いいことであっても、相当それこそ今度は保険者にはストレスが たまっていますので、そういう意味でも、制度改革なり、いいことであっても、安定的に現場が 混乱しないように、是非大臣の方でも御配慮いただきたいと思います。  それから、全国一律かどうかということについては、保険者の支払う側からも幾つか変わると いうことになりますと、いまだに里帰り出産、実家出産みたいなものもありますので、それでは 国保の保険者であれば、金額はどの金額になるのかとか、そういう技術的には詰めなければいけ ないこともありますし、また、医師会の先生方始め、お話がありましたように、医療が全国津々 浦々で安定的に行われるということからすると、そういう御意見もやはり十分忖度をされて、尊 重されて、御決定されるべきではないかなと思います。  あと、これは言うまでもないことですけれども、やはり政策にはスピードとわかりやすさと実 効性が大事だと思いますので、大臣が思い立たれたとするならば、なるべくこういう意見を聞か れて、集約をされれば、今、まさに妊娠をされている方もいますし、これから結婚される方もい るわけですから、1年前であればもっとよかったなということにならないように、是非大臣にも 頑張っていただきたいと思います。  以上でございます。 ○舛添厚生労働大臣 ありがとうございます。 ○神田総務課長 藤原様、お願いいたします。 ○藤原(忠)氏 少子化対策の1つとしては、妊婦がどこでも、いつでも安心して出産ができる という体制を検討するということですから、それは非常にいい発想だと思います。  しかし、まだ詳細が見えない中で、全国の町村会としてまだ議論を重ねてはおりません。した がって、私見を含めまして、今後留意願いたいことについて、少し申し上げたいと思いますので、 ご了承お願いしたいと思います。  まず、都道府県ごとの一時金の設定でありますが、地域ごとの基準を設けるということには、 余り賛成できないという声が非常に多くあります。関係者の意見を踏まえまして、適切に決めて いただければと思っておりますし、また、出産する場所で支給額が異なることで、地域の医療体 制に影響を及ぼしたり、また新たな格差をつくり出してしまうのではないかということが懸念さ れます。新しい不利益が出てくることが非常に心配になります。  医療機関への直接支払いでありますが、現状においても、受取代理制がありまして、それを実 施しておりますので、法定化の理解は多分得られると思います。ただし、町村の事務が最近は繁 雑しておりまして、これらに是非配慮をされたい。特にレセプト等の問題等が出てくるかと思い ます。  現在でも医療機関で行っております保険資格の有無の確認を、更に強化していかなければいけ ないかと思います。  それから、出産費用を地域ごとに決めてしまうと、金額の安いところで出産するという場所選 びが出てきまして、各地域で産科医を積極的に確保している中で、地域でその産科医を利用しな くなるという、新しい問題も発生するのではないかと思います。  特に地方財政は大変厳しいわけでありますから、国の政策として、今般の制度創設ということ でありますれば、今までの35万円につきましては、3分の2は知財対策で担保されております が、3分の1分については税を使っているわけです。ですから、新しい制度を創設するならば、 やはり国の責任において財源補てんをしっかりやっていただきたいと思います。  また、これに伴う新しいシステム等の構築等ができてきた場合は、必要な準備や運営費用につ いても、是非補てんをしていただきたいということが、特に地方、町村等の要望であります。  以上です。 ○神田総務課長 久保田様、よろしくお願いいたします。 ○久保田氏 経団連の久保田でございます。遅れて参りまして、大変失礼いたしました。  大臣には、大臣就任以前から、参議院の政審会等の場でいろいろお世話になっており、誠にあ りがとうございます。  今日の議題でございますけれども、出産育児一時金に関する見直しということで、大臣が閣議 後の記者会見で、ぜいたくしなければ、手元に現金がなくとも安心して妊娠、出産ができるよう にすることにつきましては、私どもは頭から反対するという立場ではございません。  ただ、出産育児一時金の額は、今度38万円に上げられるということもあります。やはりいた ずらに増額されることについては、慎重であるべきではないかということで、今回の見直しもそ ういった趣旨に沿っていただきたいと思っております。  それから、出産一時金の額を都道府県ごとに設定するといった考え方でございますけれども、 仮に地域ごとに定められる額が38万円を超える場合であっても、保険者負担とならないように 見直していただきたいと存じます。突き進めていけば、全額国庫負担で対応することが前提と考 えておりますので、是非よろしくお願いいたします。  先ほど健保連さんからもございましたように、産科、小児科、救急医療の問題、いろいろな問 題が生じているわけですけれども、こういった医療分野のほころびへの対応につきましては、総 合的な視点からじっくり取り組んでいただくことが必要ではないかと考えております。  以上でございます。 ○神田総務課長 それでは、逢見様、お願いいたします。 ○逢見氏 連合の逢見です。基本的な意見と論点に基づく個別的意見とに分けてお話ししたいと 思います。  最初に大臣が、ぜいたくしなければ、手元に現金がなくても安心して妊娠、出産できるという ことで、今回具体的な検討に着手するということは、基本的に賛成でございます。こうした国民 が安心して妊娠、出産できる環境整備というのは、喫緊な課題だと思いますので、こうした取組 みを進めることについては賛成で、政府の生活対策として、妊婦検診について14回無料化する ということについても評価したいと思います。  ただ、安心・安全な周産期医療について、国が責任を持つということについては、大臣がそう いう決意を表明されたと理解しておりまして、そうだとすれば、これはお金だけの問題ではない と思います。安全な周産期医療に責任を持つためには、国や保険者が正常分娩の実態についても 正確に把握する必要があるのではないか。そういう意味では、正確な情報を把握した上で、事故 が起こったときの原因分析とか、疫学調査などを行う必要がある。そのためには、正常な妊娠、 分娩も含めた現物給付による保険適用を行うべきだと思っております。これは連合がかねてから、 妊娠、分娩を含めて、すべて保険適用にして、現物給付とすべきだということを言っております が、基本的にはそういうことで進めるべきだと思っております。  個別的に、まず都道府県ごとの一時金の設定については、今回、分娩費用を妊産婦が自己負担 しないようにしたいという提案についての趣旨は理解いたします。ただ、現に地域によって分娩 費に差が生じているというのは事実なわけですが、だからといって、これを都道府県ごとに一時 金を設定することについては、慎重に考える必要がある。  異常分娩等の保険請求であれば、公定価格で一律なわけですが、正常分娩の分娩費は自由価格 になっている。この自由価格が一体どのように設定されているのか。これは分娩に伴う費用だけ ではなくて、ベッド代なども含めて、いろんな費用が込み込みになって金額設定されているので はないかと思います。それを地域によって差があると、言わば地域の相場があるからといって、 その相場に準じて、それをベースにして、都道府県ごとに一時金を設定するということであれば、 一体その根拠が何なのか。そこに合理性があるのかどうかということについて、全くデータがな いまま地域差が決まっていくということになりかねないので、これについては、やはり分娩費の 内容、明細を明らかにした上で、そういうことを考えるべきだと思います。  医療機関への直接支払いについては、資料を見ますと、受取代理制度が非常に進んでいるとい うことなので、被保険者にも過重な出産費用を負担させないという仕組みとして有効であると思 います。したがって、出産育児一時金の受取代理については、基本的に反対するものでありませ んが、ただ、医療の透明性の確保という点で考えれば、医療機関から保険者へのレセプトによる 保険請求と併せて、出産育児一時金についても請求を出させるということの仕組みがいいのでは ないかと思っております。  しかし、財源については、妊産婦の自己負担をなくすということが今回の見直しの趣旨という ことであれば、その財源については公費なのか、保険料なのかということになると思います。基 本的には、全国一本の公定価格を設定した上で、保険適用の現物給付とすべきだと思いますので、 そういう意味では、まずは保険料で賄うということが筋ではないかと思います。  その上で3割の自己負担の部分について、公費の投入も含めて検討するということではないか と思います。保険適用とすることによって、妊産婦は経済的な負担をすることなく出産できるし、 正常分娩であっても、分娩機関がレセプト請求することによって、診療内容が透明化するという ことから、冒頭申しましたように、保険適用による現物給付がよろしいのではないかと思います。  あと、産科医療の透明性を確保するという視点から、今回の課題とうのは、国民にとっても大 変重大な課題でありますので、安心・安全な産科医療の確保という視点、そして透明化という視 点を政府として具体的な案をとりまとめていただいて、そしてこれを医療保険部会等の審議会で 十分な審議をすることが必要ではないかと思います。  以上です。 ○神田総務課長 それでは、大熊様お願いします。 ○大熊氏 提供側の方には女性がいらっしゃいますが、こちら側では出産経験があるのは私だけ ですので、そういう立場から発言させていただきたいと思います。  私が娘を産みましたころには、医学記者でしたから、きちんと妊婦検診を受けておりましたが、 今、問題になっているのは、担ぎ込まれたときに初めてお医者さんと出会うという方々のことで す。本当はそういう方がこの席におられれば一番よいのですが、いらっしゃらないので、代行し て発言させていただきたいと思います。  まず、安心と安全に分けて申しますと、安心のためには、医療機関への直接払い、とりあえず は公費でということには賛成でございます。とりあえずはということです。  それから、河内山さんがおっしゃったように、それがパッケージであるべきだと思います。つ まり、妊婦検診のところから出産のところまで、このような直接払いにしないと安心にはならな いのではないか。併せて、やはり妊婦検診の大切さをきちんと広く知らせることと一緒でないと いけないかと思います。  事務局がつくってくださった資料の4ページ目を拝見しますと、今までの恐ろしくややこしい 制度が、「導入後」は、ややシンプルにはなっていますけれども、被保険者がまず受取代理申請 を保険者にするという手順は残っております。でも、お産のときになって駆け込むような方たち が、保険者に向かって代理申請などというのをするはずもない。申請すると考えるのは、とても 考えにくいことです。被保険者が医療機関にかかると、医療機関が自動的に保険者に請求すると いう、もっとシンプルな形にすればよいとおもいます。保険者に書類を書くとなったら、それが バリアーになって、妊婦検診のお金を払っていただけるとか、そういうことになっても申請しな いのではないかなという気がいたします。  ですので、医療機関への直接払いをもっとシンプルな形にして、是非早急にやっていただきた いと思います。そのときは、妊婦検診と込みでやっていただきたいと思います。  もう一つは、安全の方です。地域ごとに変えるかどうかということについて、今、意見が分か れていらっしゃるように思います。吉村さんがおっしゃったように、地方は安くするというのは とんでもないということには賛成です。ただし、今の実績に単に合わせるというのではなくて、 もし格差を付けるとしたら、例えば24時間体制で赤ちゃんが生まれるのを待機していらっしゃ る、土日も同じ体制でやっているところだったら、高いお金が行くようにする。土日や祝日、夜 を手薄にして、平日の昼にあかちゃんが生まれるように、陣痛促進剤を使ったりとか、そういう ところには高く支払う必要はない。実績ではなくて、本当に安全なお産の体制を整えているとこ ろに対しては高く、そうでないところはそれなりにというふうにするべきだとおもいます。  地域によって格差をつけることは、介護保険の方ではわずかではありますが経験があります。 人件費の地域格差もあるかもしれませんので、いずれそういうものも持ち込むことはいいかなと 思っております。  3番目に、逢見さんがおっしゃったように、私も、ゆくゆくは産科医療の透明性を確保するた めにも、健康保険の中に入れていった方がいいのではないかと考えております。そのためには保 険料を当然上げる必要があると思いますけれども、次世代が健やかに生まれ育つためにはお金が かかるのだからということで、社会を説得されればよいのではないかと思います。  基礎データとして、今、逢見さんもおっしゃったように、どういう名目で、どういうふうに請 求されている実態なのかとか、帝王切開や微弱分娩とか会陰切開という病名が付いたものの分娩 はどのぐらいあるのかを示していただき、そのような基礎データも踏まえた上で、考えた方がい いように思います。  以上でございます。 ○神田総務課長 ありがとうございました。  それでは、一通り御発言が終わりましたので、御意見があれば、御自由に御発言いただければ と思います。 ○舛添厚生労働大臣 まだ発言なさっていない先生方がおられれば、お願いします。 ○海野氏 私は、産科医師不足問題担当みたいなことをやっております。私が今回のお話で一番 強く感じておりますのは、実際に全国でお産される方々がどういうふうに思われるか。どういう 形を一番求めておられるだろうということを考えます。勿論、私どもの立場で考えていますので、 それがどれだけ正しいかはわかりませんが、その中で、やはり今、分娩施設がどんどん減ってい る。しかも、それが全国的に減っていますけれども、特に地方でその度合いが激しいのはたしか だと思います。北海道などでは、何時間もかけてでないと分娩施設に行けないような環境がある。 そこを何とかするということが、全国の方々が安心できる体制をつくるためには、やはり一番最 初に解決の方向を見つけていかなければいけない問題なのではないかと考えております。  そういう意味では、先ほど吉村理事長も申しましたけれども、まず地方の問題をどうするのか ということと一致する方向でいろんな施策を考えていただいた方がよろしいのかなと思います。 そういう意味で、出産育児一時金は、お産する方々にとっては、それはたくさんもらえればもら えるほどありがたいんだと思います。その足りない部分は、結果的には自己負担になるわけです し、そういう意味では、別に全国どの地域でも増えれば、その分だけはお産する方々にとっての 力になるだろうと思います。  それが仮に少しでも差があるということが、実際にお産される方々にとって、どれだけの感覚 を与えるのかなというのは、私自身はとても不安に思っています。やはり、若くて、そんなに経 済的に安定している状態ではない方々が多いわけですから、そういう意味では、その辺を十分御 検討いただいた上で、できれば、まだ正直申し上げて、厚生労働省の方で実際の分娩現場の実態 ですとか、あるいは分娩費用の実態自体の完全な把握にはまだ至っていないところでの御議論だ と思いますので、その辺はまたじっくり検討していただいた上で、本当に国民が求める形での対 策という形で進めていただくのがよろしいのではないかと思っております。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○木下氏 産婦人科の状況からいたしますと、先ほど来、吉村理事長や寺尾会長がお話しになっ たことに尽きるんでありますけれども、大臣が意図された、とにかく少子化対策の1つであって、 国民の方たちがお金の心配なく分娩できるようにという趣旨はよくわかるのでありますが、一方、 そういうことをすることによって、実際に今の産科医療の状況を考えたときに、かえってマイナ スになるようなことをやったら元も子もなくなって、もっと悪くなってしまうだろうという思い があります。  その意味で、せっかく大事な政策でいろんなことを考えたのは非常にありがたいと思うのであ りますが、やはり産科医療の現状で、こういう仕組みだったら、もっと産科に入りたいんだとい うぐらいの視点があれば、それは非常にありがたい話だと思います。  そういった意味で、やはり地域における差というものに対して、これを固定化するだとか、誤 解 を招くようなことになりますれば、もはや取り返しがつかなくなったときに、それこそ妊婦 さんは満足するかもしれないけれども、実際に本当に産むところがなくなるではないかというこ とになってしまったら困るという視点からいたしますと、やはりその辺の、先ほど来いろんな議 論があったとおりのことでありますだけに、何とかそこをクリアーするような形でお考えいただ けたらなというのが1つ。  もう一つは、現物給付、現金給付の話が出てまいりましたけれども、お考えはよくわかります が、そのポイントは寺尾会長がお話したとおりでございまして、この仕組みのためにまた出てく るんだということなりますれば、これは産科医療の方としては、もはやそれだけで大変難しいこ とになってしまうということがございますので、その話というのは次元が全く違うところとして、 今、お考えいただくことを具体化するに当たりまして、繰り返すこともないと思いますので、と にかく妊産婦の方々、同時に本当に困っている産科医たちに対しても、何か資するようなもので あってほしいという視点でお考え願いたい。  もう一つ申しますことは、とにかくこれから5年、10年で産科医が増えてくるかという保障 は全くない状態でありまして、産科医をどうやって増やしていくかということを現実的に考えな ければ、もはやどうしようもなくなる状況の中で、このことがそういう状況なのか。それならば、 もうちょっと安心して産科医になろうではないかという背景ということの理由にもなるとする ならば、これはありがたいということでお考え願いたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○加藤氏 私は助産師の立場からお話させていただきたいと思います。  助産師は、もともと正常な出産を取り扱う資格としてありますので、産科医療の問題が大きい ときに、助産師は何ができるか、どのような支援をしていけるのかということを今、真剣に考え ております。  今回妊産婦の費用に関しましては、健診の14回というものにつきましても、現在のNICU のベッド不足を解消するためにも、妊婦健康診査、保健指導などをしっかりやり、小さな赤ちゃ んが生まれないように支援していくことが非常に大事だと思っております。妊婦にとり、大変あ りがたいなと思っておりますし、助産師も精一杯協力していきたいと考えております。  また、安心・安全・快適ということがございます。中には、今、日本では、助産所の出産は1 万1,000件ぐらいですが、快適性を求めて助産所を選ぶ選択肢を是非大事にしていただきたいと 思います。今、出産費用の件がございますけれども、助産所に関しましても、各県異なっており ます。非常に安いところでは30万円未満のところ、そして高いところでは50万ぐらいです。 助産所の先生方に聞きますと、「私は50万出してもここで産みたい」という方がいるということ ですので、一律ということに異論のある方もいます。差額に関しましては、自由にできるという ことを言われております。  しかし、考えてみますと、ぜいたくしなければ、みんな一律にということになりますと、一律 の考え方をどういうところに持っていくのかということについては真剣に考えないといけない と思っております。現在の35万も適正かどうかということですね。今回3万円の産科医療補償 の問題がつきますけれども、そういう財源的な問題は勿論ですけれども、どういう根拠の中でそ こが決まっているのかということも、知りたいと思っております。ぜいたくをしなければ、本当 に現金が手元になくて、産めるような体制が整えられれば妊産婦さんにとっては喜ばしいことで はないかと思っております。  以上です。 ○神田総務課長 御意見があれば、どうぞ御発言ください。 ○舛添厚生労働大臣 御自由にクロストークでお願いします。  そうしたら、私の方から、今までの皆さんの御意見を賜った感想的なことを申し述べさせてい ただいて、更に先ほど短時間の御発言でしたので、補足していただきたいと思います。  まず、地域格差の問題、その前提として、何人かの方から、今、加藤さんもおっしゃったよう に、実態がどうなのかということもある程度知りたいなと。これがそれぞれの日本医師会を始め、 健保連含めて、いろいろ御協力賜ったり、既にデータでもあればということがあります。  ただ、ここから先、私は現場の医師ではないのでわかりませんが、仮に明細的に分娩費用が 35万のときに、中身がこうだと言っても、要するに便宜的にこの項目を入れないと、とてもや っていけないとか、いろいろあると思うんです。つまり、今の診療報酬体系で決まっているとお りでやっていけるかというのは、個々の診療報酬から見たら薄すぎるところをこちらで補ってい るとか、いろいろそれは現場のお医者さん含めておやりになっている面があると思いますから、 データが出たからといって、ではそれがそのまま使い物になるかというのは、若干解釈とか解説 してもらわないとわからないかなという感じがします。  国民のためにやるわけですから、論理的にいえば50万かかるところは50万、30万のところ は30万でいいはずなんですけれども、今の水準を下げるということは、どの地域でも恐らく賛 成する方はおられないだろうという気はしますね。ですから、論理的に言うと、35万円を後で もらって、実は25万円しかかかっていなければ、10万円あなたが余分にもらっているではない のかというのは、論理的にできるんです。そういうことは可能なんだけれども、国民の視点から 見たときにどうかなということがあるので、河内山さんがおっしゃったのか、吉村さんだったか、 若干、無過失補償の3万はちょっと横に置いておいて、全国一律のミニマム水準をどうするかと いうことがあると思うんですね。  私は、受取代理制度はあるんだけれども、大熊さんがおっしゃったように、とにかくややこし いことはだめだということです。実際私もいろんなことを自分でやるんだけれども、年金のこと をやっていて、これは大臣だっていらいらする紙をおじいちゃん、おばあちゃんに書けといった ら無理だよと言っているので、どうしても役所の紙はそういうふうになってしまうので、お腹が 大きいとき、ないし生まれて産後の肥立ちとか何とか言っているときに、紙を書くのでさえうっ とおしいというので、これは自動的にぼんと行く制度の方がいいのではないかなという感じはし ていますよ。ですから、これはまた御意見があればお願いします。  それから、タイムラグがある問題は、いかようにもその間緊急融資するとか、それは幾らでも 技術的に2か月、3か月のタイムラグについては、政治的な補修はそんなに難しくないと思って おります。  あと、やはり最大の問題は、木下さんがおっしゃったように、片一方で産科医療の問題を一生 懸命、この中の何人かにもおいでいただいてやっているところで、それと矛盾を来すようなこと があってはいけないので、今回は正常分娩を含めて、医療サービスの受益者の立場から見てとい う形でやっていますが、それが提供者側がそこが異なってはいけないというのはよくわかります から、それも矛盾がないようにやっていだけることが必要かなと思っています。  そして、対馬さんがおっしゃったように、恒久措置か緊急措置かという話になると、実を言う と、妊婦検診の無料化の話もずっと何度も言っていたんですけれども、なかなかこれは予算折衝 で毎回つまづいてきている話だろうと思うんです。ですけれども、今度はとにかく絶対やってや るぞという思いで、力仕事で皆さん方や国会議員の先生方の支援も得て、5回を14回まで持っ てきました。補正とか、生活支援とかいろんな名目がありますからね。  そうすると、皆さんやはりパッケージとしてやる必要があるので、私はこれだけではなくて、 妊婦検診をきちんとやったけれども、生まれるときどうだというのもやるのが意義があると思う ので、やはりどちらかというと緊急ですよ。恒久的になれば、逢見さんや大熊さんがおっしゃっ たように、現物給付か現金給付かとか、保険をやるかやらないかという話も、寺尾先生がおっし ゃったような問題も含めて、そこまでの議論をして法改正をやっていると、悠長な議論になりま すから、私はやはり緊急措置だと考えております。  そうすると、それは緊急措置ならば、保険という形よりも、当然国家の財源を使わないといけ ない。そのときの国家の財源だけれども、例えば地方負担があるとすれば、先ほどの3分の1な ら3分の1で知財措置でやるのか、地方の負担がどうなのかという話も、まだ詰めてはおりませ ん。ただ、基本的に5回を14回に無料化した妊婦検診だと、知財と国庫負担で半々という形で 処理をしようとしていますね。ですから、そういう財源的な工夫をやらないといけないですが、 私はやはり緊急措置で、つまり妊婦検診だけにとどまらないで、ここまで面倒なことを全部抜き にして、とにかく金のことを考えないで、産んで育ててください。育児の方もいろんなパッケー ジを既に発表しているわけですよ。ですから、それはプレゼンテーションの仕方なんです。です から、この出産一時金のところが欠落してしまうとパッケージがつながらないものですから、そ れで何とか今の予算折衝の中で、これは財務省が硬いものですから、戦い取らないといけないと 思っています。  私は、財源についてはそういうふうに考えているということです。そこまで申し上げて、ただ、 これは皆さんのお考えを賜った上での反応ですから、これからまた皆さんの御意見をいただいて、 政府与党でもよく御議論をし、財務大臣とも議論をしてやらないといけない。先は越えないと行 けないハードルがたくさんありますけれども、とりあえずもう少し御意見をちょうだいできれば と思っておりますので、よろしくお願いします。  どうぞ。 ○河内山氏 財源措置の話で言いますと、これは厚労省マターではなくて、どちらかというと総 務省マターなのかもしれませんが、はっきり言いまして、16年ごろの交付税ショックで、やは り地財でどうのこうのするということが、あまり実効性がそれこそなくなっています。したがっ て、そこのところがある意味では、物語、ストーリーとしては描けるんですが、全国の現場を預 かる市長がいいことだというのは百も承知なんですけれども、財源措置はどこか別のところでう やむやになってしまいますと、なかなかうまくいかない。そういう中で政策の優先順位からすれ ば、次世代を育てていくというのが、やはりどの自治体にとっても、国家としても一番の重要な 課題なんですね。勿論、全部言い始めたら、過去にお世話になった高齢者のために報いるのも優 先的な課題です。なかなか順番は付けられないんですけれども、ある意味ではお金をすぐ使って、 何か新たなものを生み出したりするという意味でいうと、本当に意味のある、それは一人ひとり の親御さんにとってもそうですし、社会にとっても非常に意味があるわけですから、そういう意 味では、きちんとその辺はあいまいな財源の措置ということではないようなことを、厚労省の話 ではないのかもしれませんけれども、お考えを是非、これは政治の問題としてお考えいただけれ ばということで、是非申し上げたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 それは痛いほどよくわかっています。  どうぞ。 ○逢見氏 大臣の恒久措置か暫定措置かという点について、どちらかというと今回は暫定的なも のだという発言について、その緊急性から言って、何とか早いうちに周産期医療の問題をパッケ ージでやりたいというお気持ちはよくわかります。  ただ、よく政府が当分の間と言って、それがずっと続くということは過去にもありましたので、 暫定というのであれば、ある期限を切って、制度化の議論について、そのことが先送りされるこ とのないように、そこはきちんと踏まえた形をとっていただきたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 それはおっしゃるとおりで、1年間でやめてどうだということにはならな いと思いますから、とりあえずパッケージをつくるために大急ぎでやって、しかし、同時にこの 長期的な議論はやるということだと思います。  医療サービス提供者側の方も、まだ時間は大丈夫ですから、どうぞいろいろお願いします。 ○寺尾氏 受取代理事業の話ですけれども、それぞれの組合が何%始めたというのはわかるんで すが、現実にこの代理事業が行われているパーセントは極めて低いんです。なかなかやってくれ ないし、医療側も患者さんを説得して、先ほど保険で大変だとおっしゃったけれども、まさにこ れは大変な作業を要する制度ですね。ですから、私たちとしては、できるなら法でもって、直接 医療機関へ支払われるようなシステムづくりをやっていただけたらと思いますが、それは大変な ことだということで、まずさしあたって、この受取代理でやってはいかがかという御意見ではな いかと推察しているわけですけれども、実際にやる側にとっては大変なことであります。これを やっても、余り妊婦さんの方に安心感を与えないのではないかという気がいたします。 ○舛添厚生労働大臣 対馬さん、何かありますか。 ○対馬氏 受取代理は、まだ18年10月からですから、我々の調査などでも、1年後の調査で 大体7割ぐらいまで、保険者レベルでやるようになったということですから、確かに実際にAさ ん、Bさんレベルでは非常に低いんだろうとは思うんです。  ただ、1年後の調査ですから、ちょうど制度を施行して1年というのはなかなかというところ がありますから、これからだろうとは思うんです。  ですから、それをもっとやっていくことについては、私どもも特段異論はないんですけれども、 ただ、地方レベルですと、やはり35万円以下でされているところもありますので、その辺りに なりますと、受取代理で一旦医療機関に全部入って、そこからまた本人と医療機関とのやりとり ということがいいのか、それとも本人が希望して、我々保険者にきちんと自分に送ってください よということで、我々が35万払って、そこから医療機関に33万円払うというリクエストもあ り得ますから、そこはある程度ずっといって、1割、2割はそういった方々がいるというのは、 むしろ自然。つまり、選択の問題だと思うんです。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○藤原(淳)氏 出産を医療保険でという意見も出たかと思うんですけれども、出産とか分娩は、 保険の考え方でいえば、基本的には疾病ではない。やはり医療保険というのは疾病に使うべきだ と思いますので、その辺は明瞭に分けて考えていく必要があるのではないかなと思っています。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○吉村氏 もう一つは、やはり今、大臣もおっしゃいましたけれども、地方自治体では30万円 以下でお産をしているところもある。これが今の地方の病院を圧迫し、財政を圧迫し、そしてそ こにまた分娩者が集まる。当然、患者さんは安いところに行くわけですから、その不適正化がこ ういった問題点を非常に助長させているということがあると思うんです。安ければいいという問 題ではなくて、それが今の地方の周産期医療を崩壊させている。要するに、例えば60歳になっ ても、月に8回も当直しなければいけない。そのような状況の中でやはり働いていかなくていけ ないとなりますと、産婦人科医は過重労働から辞めていくということになるわけですね。  ですから、やはりこの辺の適切な分娩料というものを設定していただかないと、最低限度50 万円かかるんですよとか、あるいは60万円かかるんですよとか、要するにそういったものを地 方できちんやらないと、地方の病院は、これから先どんどんなくなっていくと思うんです。市町 村長さんが、私たちのところに来られても、人がいないんですから、人は出せないですね。市長 さんのお気持ちは大変よくわかりますが、市立病院でお産ができないといったところは、幾つも あるわけですから、そういった地方の状況、要するに産婦人科医が産科を辞めないような状況を つくっていかないといけない。それは地方自治体の国民に対する責任だと思うんです。そのため には、こういった制度で、やはり地方と格差を付けてしまうということはとんでもないことです。 私は地方の方が高いというような一時金が制度だったらまだ許せるんですけれども、地方の方が、 例えばあなたのところはお産が30万円でやっていますから、30万円しか出ませんよという設定 にされると、もっともっとお産ができなくなってしまう。  やはり地方の格差ということが非常に大きな問題になって、地方をもっと大切にしないと、我 が国で本当にお産をする場所が、北海道では全然お産できなくなってしまう。島では全然お産で きなくなってしまうという状況が今、出ておりますけれども、これをもっと助長させる。要する にこういった一時金を変えるという制度をつくってしまうと、これは改悪になってしまうという ことを非常に懸念する。これから先、女性医師が非常に増えてきまして、お産をする医師は今よ りももっと少なくなっていくと思うんです。その状況を何とかこの制度で、これでも食い止めて いただけるような制度にする。都会も大事ですけれども、地方をもっと大事にしていかないと、 なかなか難しいのではないかなと思います。  やはり分娩費用を地方自治体の公的な病院や自治体病院において、やはりそういった分娩料を きちんと値上げをしていただかないと、これは難しい。そして、その値上げした分に対しては、 国として補助をしていくというシステムをつくっていかないと、今の崩壊の流れというのは、ど こかで止めることはできないと思います。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○藤原(忠)氏 この制度は、産む側も魅力がなければいけないと思いますし、取り上げる先生 方にも魅力がなければ満足しないと思うんですよ。そういうことで、是非そういう制度の内容に してもらいたいということです。  もう一つは、先ほど申し上げましたが、産む場所によって一時金の額が違うというのは、非常 に生命の誕生のときから格差が出てしまう。格差是正ということが社会問題になっている中で、 新しい格差を発生させてしまうということで、生命誕生という人間の尊厳の中で、非常に問題が あるのではないかと思います。  それから、保険行政を預かっている市町村にしてみますと、大臣が今、盛んに年金保険料の滞 納でいろいろ頭を悩ませておりますが、市町村も今、保険料の滞納がどうも顕在化しつつありま す。大変困っております。そのときに、受取代理にしても、直接支払いにいたしましても、その ときの滞納状況によりまして、保険者との折衝の機会があるわけです。そこで何とかいただいた り、多少減免措置をしたりということができるんですが、今度直接払ったときに、そういう折衝 の場がなくなってしまうということになりますと、ますます滞納の額が多くなることを助長する ような格好になるということでありますので、その辺のところをうまく乗り切れるような制度を 考えてもらいたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○大熊氏 お金の元締めの方たちは、ついつい産む人たちの安心やお金の心配のことを過小に考 えていらっしゃるように思われます。お産するのにも、検診にもお金の心配は要らないですよと いうメッセージを今、出すことが、出生率を高めるために非常に重要だと思います。  35万円に上げた場合、実績が20万のところは返すのかというお話がありましたけれども、返 さなくてよいと思うんです。20万円のところは、出血サービスでやっているわけですから、本 当は35万円はかかっているわけで、それをきちんと取ることにすれば、市立病院なども赤字に ならないで済むわけです。35万円がいいのかどうかはもうちょっと専門的なことが要ると思い ますけれども、それより少ないところというのは、何か無理しているのだから、そこまで上げて あげる必要があるのではないかなと思います。  それから、先ほど4ページの図について、更に素人にも使いやすいようにしていただけないも のかということを申し上げたんですけれども、その実現性について伺いたいと思います。  この図の導入後の「保険者に対して受取代理申請」というのはやめてしまい、被保険者がお産 をしたらば、医療機関が保険者に代理請求する。その医療機関に保険者からお金が戻ってくる。 このルートですと、ふだん医療費の請求でやっているルーチンのことですから、何にもややこし いことはない。このようにシンプルな方が負担も少ないのではないか。医療機関にとって取りっ ぱぐれがなく、妊婦さんにとっても便利で、一挙両得ではないかと思います。  健康保険で産科費用をまかなうことについて、私は舛添大臣のときでないと、着手できないの ではないかと思います。これまでの歴代の大臣のことを別に悪く言うわけではありませんけれど も、こういうふうに利害が錯綜しているような問題について、一歩踏み出すことはどの大臣でも できるわけではありません。舛添大臣のときに杭を打ち込んで、次の大臣のときに続くようにし ておいていただきたいなと思います。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○海野氏 今の保険のことをお話申し上げたいと思います。  先ほど木下先生が言っていましたように、産科医の業界といいますか、我々のところは、もう 破綻していると考える。要するに、新規参入はなくて、辞める人間がどんどん多いという状態で すから、そういう状況にあるんだということを御理解いただきたいと思います。  その中で、分娩の48%は診療所が担当しています。その診療所は、60年間の自由診療の体制 の中でお産を主とした業務としてやってきているということがございますので、要するに、通常 の保険診療をやっている病院がお産をやっているとか、そういう構造ではないわけですね。です から、そういう中で大幅に制度を変えるということが起こるとすれば、それは現場の先生方もか なり高齢化している部分も多くて、その先生方は多分続けないでしょうと。要するに、もう引退 を考えている人たちはいっぱいいるわけですね。ですから、そういう先生方が実際には、地域で 地域の分娩環境を支えている部分があるというのが、今の産科の危機的状況の現場の実態である と、是非御理解いだきたいと思います。  ですから、そういう意味では、現物給付の議論は、勿論長い目で考えて議論していただくのは 結構なんですけれども、今の状況は、壊れないようにどうするんだということをずっと、それで いろいろ膏薬を張っている状態になっているところで、その話はみんなに、ではやめましょうか という話をさせる方向に向かわせてしまうということが、産科の現場の本当の実態なものですか ら、病院で働いている人間にとっては、どちらでも別に私どもは給料をもらっているだけですか ら、変わらないかもしれないんですけれども、この国の今の分娩の環境を何とか維持する。今、 病院の方が減っているんですね。診療所のお産の割合が徐々に増えていて、病院の分娩の割合は 減っています。それはなぜかといえば、その病院内の産婦人科がどんどんつぶれている現実があ るからですから、その部分を診療所の先生方更に働いてやってくださっている部分があるわけで す。ですから、そういう状況なんだということを御理解いただいた上で、長期的なのはいいんで すよ。別にいろんな議論があり得ると思います。別にその分娩の費用の給付の仕方、負担の仕方 については、いろんな国でいろんなやり方をしていますから、いろんなことが可能なんだとは思 うんですが、ただ、今、この国のこの状況からどういうふうに動いていくかという観点でお考え いただくとすれば、それは今、申し上げたことを十分お考えに入れていただきたいということで す。 ○舛添厚生労働大臣 ちょっとよろしいですか。今日1回で全部終わるということではないんで すけれども、予算折衝もあと数日後に迫っているので、なるべくイメージをまとめたいんですが、 今の皆さん方の御意見を聞いていますと、対馬さんの意見もありましたけれども、35万を少な くとも現状はどこかの市立病院が25万円でやっているからといって、25万円に下げるというの は、ほとんど皆さん反対です。最低35万は維持しようということです。  ただ、私はやはり直接支払い制とカップリングしないとだめだと思っているんです。どういう ことかというと、この前沖縄に行っていたら、是非やってくれと言われて、理由があるそうなん です。後で旦那の銀行口座に入ったら、金を払わないで泡盛を買ってしまうというんですよ。で すから、未払いで踏み倒しているところがあるんでしょう。この未払いがなくなりますね。逆に 我々は素敵なことを言ったんですけれども、今まで直接支払いではなくて、市民病院で25万の 費用でやっていました。あと、自分で25万を払って、あとで35万払ってこられます。10万円 のポケットマネーが生まれていた。そのポケットマネーが今度から生まれなくて、病院に行って しまうんですねということにクレームをつける国民がいた場合に、先ほどの大熊さんの説得力で いいんでしょうか。  というか、私は沖縄の例を出したんですけれども、やるなら2つをカップリングしないと、対 馬さん、わかるんだけれども、直接払いを市民病院は25万円だったら25万円払って、あとの 10万はあなたにといって払うかということに35万だったらなる。そういうことをやめるなら、 25万なら25万、50万なら50万といったのはそういうことなんです。ですから、それをやめよ うとするなら、35万ミニマムと決めてしまったら、直接ということのカップリングでないと、 先ほどのように、せっかく泡盛10万円分飲めていたのに、今日から飲めない、大臣何だと。ど こでもいいんですが、こういうことを実際に聞いて、なるほど、そういうことがあるんだなと、 つい先般、沖縄に調査に行って思ったものですから、言っているんです。  どうぞ。 ○神田総務課長 若干制度について御説明させていただきますと、受取代理の仕組みになった場 合に、実際今も35万円なんですけれども、医療機関が実際には30万円しか請求をしない、例 えば公立病院で30万円で済んでいる場合には、30万円しか請求が御本人にいかないわけですの で、その範囲で医療機関に30万円をお支払いして、残り5万円は御本人にお支払いするという 仕組みでやっております。  したがって、差額が出た部分というのは、現金給付で定額でございますので、その分は御本人 にお支払いする。あくまでも被保険者にお支払いするというのが原則ですので、請求のあった範 囲では医療機関にお支払いするという扱いで、今はなっております。 ○舛添厚生労働大臣 ですから、まさにそうだから、そうさせないために、本人に行かないよう に、市立病院の25万というのはやめさせるインセンティブとして、これを使えということを素 直に聞けば、有無を言わさず全員35万円直接医療機関に、何を言おうと1円も国民にいかない。 つまり、あなたたちはお金の心配をしないで産めますよということの裏には、余分にあなたがお 金をもらうこともありませんよということなんですよ。それをわかってもらわないと、1円のお 金も要りませんよ。だけどもうかりますよでは話にならないだろうと。そうすると、それでいい かなんですね。そこから先は吉村先生、ある市立病院がものすごい放漫経営をやっていた。今ま で25万円だったのに、どんどん分娩をやって、35万円がぼこぼこ入ってくる。 ○吉村氏 そんなことはないですよ。 ○舛添厚生労働大臣 そうすると、産科の医師の給料に化けるのではなくて、ほかの部門の赤字 の補てんに回ってしまっては、産科医は増えないではないですか。 ○吉村氏 そうです。それはせっかく舛添大臣によくやっていただいたハイリスク妊娠分娩加算 も、現実には産婦人科医を守るためには使われていないんですよ。使わなくてはいけない。例え ば1か月に300万円、400万円、病院の収入は上がっているのに、産婦人科医の待遇改善には使 われないで、これは赤字の補てんに使われているわけです。それが現実に行われるわけですから、 そういったことは当然起こり得るのではないでしょうか。大臣が心配されることは、ごもっとも だと思います。 ○舛添厚生労働大臣 ただ、先ほど大熊さんがおっしゃったのでお伺いしたいんですけれども、 今、私が言ったように、今まで25万であっても35万を直接払う。これは認められますか。ど うですか。 ○大熊氏 25万が妙に安過ぎるわけですから、この際、その病院に35万入るようにしてしまう 方がよいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 その辺のお答えは、そちらの市町村、健保連の方はどうですか。 ○河内山氏 ごくごく普通の問題であれば、多分25万で済んでいるのを、保険者が中身は余り 言わずに35万払うということはあり得ないと思います。  多分、大臣が最初に言われましたように、とにかく政策課題の中の重要な課題なので、まずこ のことが解決できないと日本の明るい将来はないということを考えるならば、時間が余りないけ れども、子どもを産み育てることが非常に難しい時代になっているとみんな思い込んでいるわけ です。  だけれども、そうではなくて、子どもを産み育てるということは非常に幸せなことで、社会全 体で応援しよう。保険の仕組みもやっている、診断もやっている、保育園もやっている。今、そ ういうメッセージを出すことが最も重要であるということであれば、先ほどの話でいくと、大臣 自らが泡盛になっていたものは我慢してでも、日本全体が子どもを産み育てる環境づくりのため に、今までの差額というのは、医療機関がいい分娩の環境をつくるために使ってもらう方に、懐 ではなくて、そちらへ入ることを国民全体が理解しましょうということを大臣が直接訴えられて、 我々も勿論そういう制度改革をするというか、制度の行方はこうなんだということでいうと、そ ういう意味合いのものではないかと思います。勿論、理屈でいうと、5万円入っていた泡盛をほ しがる人の説得は非常に難しいと思います。だけれども、社会全体の話になんです。子どもを産 み育てるというのは、個人の問題ではなくて社会化をしているんです。  それから、次の段階では、大熊さんが先ほど言われましたように、一方で、子どもを産み育て るというときには、お母さんにはお母さんなりの診断に行かなければならないということは社会 から個人へ対するメッセージも両方必要だと思いますけれども、まずどこから始めるかというこ とであれば、日本全体で子どもを産み育てるのが非常に幸せな方向にいくためにはいろんなこと をやるんだということを、政府を挙げてアピールすべきだ、そういうたぐいのものではないかと 思っています。理屈の説明は難しいかもしれませんけれども、そうだと思います。 ○舛添厚生労働大臣 健保連さんから、お願いします。 ○対馬氏 我々も今35万で、今度38万になるわけですけれども、差額分を保険者に戻せとか、 そう言うつもりは毛頭ないんです。勿論、35万が実際は30万、33万、これは極めて少数だろ う思いますし、また実際に分娩の費用を病院に払えばそれで済むかというと、御承知のとおり、 いろんな費用がかかわるわけですから、そこはいいんだろうと思います。  ですから、35万かかっていないところは23万にしろとか、25万にしろ。そういった議論と いうのは、せっかく、今、皆さん議論されているものを、むしろ、足を引っ張るといいますか、 かえって要らざる波紋を起こすというか、そういう感じはするんです。これはいいんだろうと思 います。  高いところをどうするかということですけれども、私も東京辺りが高いということは存じ上げ ていますが、そうではなくて全国一律的に、それで何としても大臣に頑張っていただいて、財務 省を説得していただきたいということであれば国民としてもありがたいし、また非常にわかりや すいのではないかと思います。  私どもが心配していますのは、ややもしますと、せっかく財務省とけんかして取っていただの に、そこを配分するときに、裕福な健保組合には出さないとかそういう話になりますと、そうで はないのではないか。妊産婦なり疲弊している病院なり、そういった観点に立ってやるべきだろ うと思います。  何でそんなことを言うかといいますと、介護保険で今度1,200億円ほどつけていただいたんで すけれども、よくよく聞きますと、健保組合などは裕福なので、裕福なところへは出さない、こ ういうことのようなんです。  ところが、介護保険というのは一律的に高齢者も我々40歳から65歳の人も4,000円払うとい うことで決まっているわけです。これは裕福であろうと貧乏であろうと関係なく、みんな国民月 4,000円です。それを健保組合の裕福なところへ出さないということですと、制度自体の基本的 な考え方が崩れてくるんです。ですから、そういったことも含めて、大臣にはどうぞよろしくお 願いしたいと思います。 ○舛添厚生労働大臣 逢見さん、どうぞ。 ○逢見氏 分娩費が公定価格であればいいと思うんです。しかし、自由価格であるときに、25 万円しか請求されないのに、35万円払いますというのは、これは公費を使おうとする場合に、 やはりそれは税金の無駄遣いではないかと言われかねないです。  そういうことがあって、自由価格の下で、ミニマムとして公定するのはいいですけれども、そ うでないとなかなか難しい問題が起こるのではないか。  あと、高いところはどうするかということなのですけれども、高いところに高く払うというの は、なぜ高いのかということについての合理的理由が必要で、これがただ地域の相場でそうなっ ていますというだけでは、やはり説明にならない。高くしていいと思っているのですが、ただ、 きちんとした合理的理由を明らかにする必要があると思うんです。 ○舛添厚生労働大臣 35万以下でやっているところの、パーセンテージみたいな、市町村別と か、さっと言えるような数字が何かあるかね。ゼロではないと思うから。 ○神田総務課長 むしろ、産婦人科医の方々の方がお詳しいかと思いますけれども。 ○木下氏 実は、数値までは実態調査の段階ですので出ておりませんけれども、何ゆえに25万 でなければいけないかというと、それは自治体病院が、やはり市民のためにやすく設定できる環 境にあって、そういたしますと、個人の病院あるいは診療所は、それ以上高くなんてとてもでき るはずはなく、みんなそっちに行ってしまいます。そんなことでありまして、そもそもそういう 仕組みそのものがとんでもないことであります。  ですから、おっしゃるような数値上の問題ではなくて、実態の何ゆえにそうであるかというこ と考えますれば、もしもこれが高いところで35万なり38万なりで設定していただければ、今 まで本当に困っていた地方の人たちは、安心してそれに合わせられるということは、それは非常 に律することでございます。  では、高いところはどうかと、高いところであっても、そもそもの視点がすべての方たちが無 料で分娩にかかれるんだと、それは現実的には、もしも、東京、大阪、その他大都市の場合に考 えますと、本当にその方たち、すべての方たちが無料でできるかと、これは、難しい問題だろう と思います。  そうだとすれば、一転したときに、差は今までよりもずっと狭められる。つまり、仮に入ると いたしましても減ってくるという意味では、当然国民の方にもともに律することでありまして、 それは先ほど申し上げましたように、国民の方もすべてゼロということは、やはり財源のことを 考えますと、とてもあり得ない話だということから、今までよりはずっとよくなる。  一方、産科の領域、産科な人たちにとりましても、今まで本当に困っていてどうしようもなか ったところが、何とかそれが、少しでも一息つくんだということになりますだけに、やはりある 程度一律に、大きな格差を付けるということ自体が、先ほど来申したとおりの理由でありますか ら問題だろう。したがって、ある一定のところでいくということは、それなりの意味があると思 っております。 ○舛添厚生労働大臣 ちょっと時間がだんだん迫ってきましたので、原点に戻りますと、資料の 中でも言っているように、私が言ったのは、手元に現金がなくても、安心して妊娠出産できるよ うにするということに尽きるんです。  それで、5回を14回の妊婦検診、これを実現します。そうすると、手元にお金がなくてもと いうことであれば、一番の私が言ったことのプライオリティーは、直接支払いなんです。しかも、 物すごいシンプルな形で、紙1枚書かないで、今までの診療報酬レセプトで請求するのと全く同 じで、風邪の治療をしましたね、では、窓口に流れて払うというのはあるけれども、あとは請求 する。いちいち私のことを請求していいですよ、お医者さんと私が紙を書かないでいいようにす る。  これは、やらないと、手元に現金がないといけなくなるので、これだけは、対馬さん、何とか 御協力願えないかというのが、まずあるんです。それが実を言うと、一番のことで、さっきの4 ページの数字でも、7割、9割という、実施ないし、実施予定になっているし、木下先生でした か、実際にはそんなにいっていないというのがあるのと、お医者さんも、これをいちいち患者さ んに、おまえ、代理をやれというのは面倒くさいというのは嫌だろうし、妊娠しているときに、 そんなの嫌だとおっしゃっていたと、ということは、一番シンプルな、普通の医療費の請求と同 じ形でやるということで、これだけは、まず、決めていただければ、手元がお金がなくてもとい う目的は実現できます。  その次に私は考えたのは、では、25万かかっているのに、25万調整すればいいじゃないかと、 37万ならいいんじゃないか、50万ならいいじゃないか、単純に算数の計算だけれども、こっち に50万払っている東京が1件あって、25万のころが2件あって、そんなものは全部がらがらぽ んをやれば、1円も財政負担を増やさないでやれるじゃないかというのがあったけれども、しか し、それはそう簡単ではないと、出血サービスでやっていて、これではお医者さんがいなくなる と、いろんな意見があったので、こちら側の金額設定を幾らにするかというのは少し議論が必要 だし、それぞれのお立場で、若干皆さんには、妥協していただかないところも出てくるかもしれ ない。こちら側それぞれが、自分の考えだけを100%といかない面もあって、どこか少し折れて いただくことがあるかもしれませんが、できるだけ最大公約数を取れればというふうに思います。  今日、私が言ったことで決まりではありませんが、後でまた間違っていればまたもう一回会議 を開くなり、いろいろまたメモをいただくなりすればいいんですけれども、基本的なコンセンサ ス的に言うと、やはり、今の35万という、ちょっとノーフォールトの3万をおいていて、35万 という水準は下げないと、逢見さん、実際に20万とか25万、これは公定とかになると、診療 報酬というか、保険のようになるので、これはもっと議論が必要で、私のときに始めろというお 考えですけれども、それがあるので、今、緊急対策として位置づけたときに、政治的にも、片一 方で2兆円定額給付をやろうというときに、切ることの政治的な合理性があるのかという、私の 政治判断だと、片一方で2兆円がありながら、35万について、どれぐらいの規模かと申します と、皆さん御承知のように、110万人赤ちゃんが生まれます。1万増やしたら110億円です。5 万増やしたら550億円です。10万増やせ、1,100億円です。仮に国庫負担すると、5万増やし て500、100万で500億ですね。  そういう数字のオーダーの話を、これだけ夜8時にもなって、みんな方忙しい先生方や関係の 方がお集まりになって、これだけ一生懸命やっているときに、ではやはり25万のレベルに下げ るかというのでは、政治的に話にならないという気がします。  そうすると、私の今の感じで言うと、35万というナショナル・ミニマム的なものを守りたい という感じはしますが、ただ、そこから先に、それは今後の産科医療、周産期医療の崩壊を防ぐ ために、仮に剰余的なものが出れば、むしろそちらに注いでいただくというような方向で、これ は周産期医療体制を守る方向にも使うし、国民に安心を与えるためにも使うということになるん ではないか。  ただ、その場合に、けちなことを言わないで、地方の産科医がみんな出血サービスでやったり、 少し処遇を上げてあげることによって、お医者さんも増えていくと、長期的に国民のためになり ますから、自分のポケットマネーが5万円減っても、ちょっと勘弁してくださいということで、 国民を説得するしかないのかなという感じがします。  あと、問題は、東京のように、35万ではとてもではないけれどもやっていけませんと、そう すると、やはり直接35万払って、うちの病院は45万かかっていますので、10万追加費用を払 ってくださいと言わざるを得なくなりますね。ないし5万でもね。したがって、35の水準を更 に上に上げるということをどうするかということ。  そのときに、どなたかの意見があったように、ナショナル・ミニマムは変えないでおいて、上 乗せ分に地域格差を設けるか、仮に、そんな数字は取れないと思いますが、思い切って2兆も使 うんだったら、1,100億円使って、全部10万円上げてやればと統一した場合に45万になります ね。それまでナショナル・ミニマムにするのか。ですから、35万はナショナル・ミニマムで、 これ以上下げることは、今の水準でしないにしたときに、今度は上乗せに格差を付けるのはどう かという問題が出てきて、上乗せは格差を付けないで、仮に全部45万円にするときに、通常個 人一人当たり、これでいいのかというのもあって、それでも実は45万あったって、周産期医療 は崩壊すると言うのかなので、政治的に言うと、一律の方が簡単です。それは市町村に御迷惑を かけないし、保険者にも御迷惑をかけないし、しかも国費で全部やれるのならば一律が一番簡単 です。  という課題なんです。ですから、これで決まりではないですけれども、今までの御意見をいた だいて、そんな感じがしていますので、あと残り6、7分の間に、それに、それに最低機会が出 せる方がおられれば、言っていただくとともに、今のような課題を含めて、もう一回どこかで短 時間でも時間を取ってやるか。それとも、今日はいろんな御意見を賜りましたので、あとは個別 にお電話で話したり、メールでやりとりしたりとかでやるか、そこのところの段取りも含めて、 事務局、今、やり方についての案はある。どういうふうにやるか、予算折衝との絡みもあるので ね。 ○神田総務課長 現時点でその決め方、進め方を決めているわけではございませんけれども、予 算折衝との関係で行きますと、制度の枠組みについてはもう来週くらいには骨格は集約していか ないと、予算枠の確保ということで言うと難しいかと思っております。時間的な余裕は余りない のではないかと思っております。 ○藤原(淳)氏 ナショナルミニマムをもって上乗せ分に格差を付けるというのは、やはり格差 は格差であり、格差が生じるということから言えば、余り好ましくないと私は思います。 ○舛添厚生労働大臣 どなたでも。 ○海野氏 私はこの出産育児一時金というものは、とにかくお産されるお母さんと赤ちゃんのた めに使われるお金なので、我々の業界はそれにへばり付いているわけですけれども、それはそれ として、それの全体を増やしていただくことは必ず少子化対策に対してはプラスに働くと思うん です。  ただ格差を付けることは、先ほど申し上げましたようないろんな問題をかえって惹起する可能 性があるということで言えば、財源のことがたくさんあるんだと思いますけれども、私どもの立 場で言えば、できるだけこれを増やしていただくことで、お産するお母さんたち、若い人たちに ポジティブなメッセージを出していただければと思います。 ○舛添厚生労働大臣 ただ、直接支払いですと、本人たちには幾らも行きません。 ○海野氏 それでも結局同じことだと思うんです。ですから、全体として、とにかくお産する人 たちをサポートしますという、そのメッセージにはなるだろうと思います。 ○舛添厚生労働大臣 では、藤原さん。 ○藤原(忠)氏 逆に先生方にお聞きしたいんですが、分娩コストがどのくらいかかるかという のが、技術料とか医療機器とか薬剤師等を入れてどれくらいかかるかというのが、我々素人では わからないんですが、私は長野県ですが、県内の病院の状況を調べてきたんですけれども、35 〜40万のところで大体みんな入っているんです。ですから、先生方がもしかすると、それをあ る程度念頭に置いて、何か設定しているかということも考えられるような気もするんです。  そうすると、大したことはないんですね。全額もう国費で出産費は持ってもいいのではないか という発想も出そうなような感もあるんですが、50万とか60万とかそういうところや20万と かいう特別なところは別として、標準的な価格設定ができれば、もう出産は国が全額責任を持つ というような大胆な発想が出せないか。 ○海野氏 これは非常に難しい問題でして、と申しますのは、結局どれだけの安全を見込むか。 どれだけの体制をとるかということによって、かかるコストはすごくかかるということは御理解 いただけると思うんです。  それで例えばいざというときに、どこまで対応できるかが今のも大きな問題になっていますけ れども、それをきちんとやろうとすればするほど、全体としてかかるコストは高まります。今は 産婦人科医も助産師も足りなくて、それでみんなもうすごい労働時間で現実には働いていて、で すから単価がすごく安いんです。そういう状況で現場はやって、今のところで何とかやり繰りし ているんだと思うんです。  ですから、そこはそのままに置いていては、どんどん壊れている状況は変わらないというのが 現場の現実ですから、それを考えていただくと、今の設定自身が基本的には不十分なんだと私ど もは考えています。要するにこの現場からどんどん去っていく人たちがいる。それで新しく入っ てくる人たちが少ない、減っているという状態は、それは何とか変えるしかないですね。私ども は努力をしていますけれども、その1つの方法としては、その全体としての分娩全体の費用の問 題、経済的な問題というのも考えざるを得ないのではないかと思います。 ○舛添厚生労働大臣 どうぞ。 ○対馬氏 やはり格差を付けて首都圏などは安くするというのは、大変引っかかるところだと思 うんです。確かに安心して産めるために、勿論お金もあるんですけれども、やはり一番大事なの は、どこに行っても産める体制があるというのが一番基本だと思いますので、それでなくても東 京一極集中型になっているところに、東京の方をまた高くして、そこにまた人が来るというよう な、人が来るというのはお医者さん等々ですけれども、そういったことは避けた方がよろしいの ではないかと思います。やはりやるのであれば全国一律だと私は思います。 ○吉村氏 私も今の件に全く賛成で、東京都内は恐らく50〜60くらいが相場ではないかと思い ます。お金がどのくらいかかるかというのは、やはり医療従事者をどうやって提供できるかとい うことによっても違ってきますし、それを一律に計算するということはかなり難しいことだと思 います。  ですから、地域格差という点は考えるので、私は先ほどからずっと言っているのは、地域を重 んじないと、もうこの家は終わると。ですから、地域に厚くするくらいのことを考えていかない とだめだということになりますと、私は一律に例えば5万円上げるとか、そういったことは非常 に役立ちますし、そういったことは地域を活性化させるためにもいいのではないかと思います。  都会をどうしても中心に考えている。都会であれば40万円にしたって、ほとんどの施設でお 金を自分たちで出さなくてはいけないわけです。大臣がいつもおっしゃっているんですけれど も、これは出産一時金であるという認識は大事だと思うんです。そこでできる病院をいかにして 増やしていくかということも勿論大事ですが、それは都会であれば当然のことながら、30〜40 万は自分で負担をしていかなくてはいけないということが当然あるわけですから、それを見越し て決めるということは、なかなか難しいところがある。  ですから、一律に例えば上げるなら3万円上げる、5万上げるというふうに、全国レベルを一 定にしてやっていかないと、なかなか難しいのではないか。それは国民の反感も買うのではない かと思います。 ○舛添厚生労働大臣 墨東病院の件がありましたから、国民の皆さん方も産科医療が崩壊しつつ あるというのを大分わかってくれたと思うんです。あれだけの大きな報道がありましたから。  ただ、それにもかかわらず、例えば何かまた医者がもうかることばかりやっているのかという 批判が出ないように、私もやりますから、それは皆さんも説得しないといけないと思っています。  とにかく手元に現金がなくても、安心して妊娠・出産できるようにするということが目的です から、繰り返しますが、シンプルな直接支払いの方法を考えたということですね。  もう一つは、したがって全国一律というのは、基本は上げる場合も崩さない。そうすると、そ こから先は今、仮に3万でも5万でもという話が出ましたから、私が努力する方向としては、今 の35万をいかに、例えば5万上げれば40万になりますから、そういう形で、これは財務当局と 折衝をして、国費でやる分においては、これで文句を言う国民はおらぬでしょうな。  だから、そういう方向かなと思いますので、またこれは直接、私なり事務局を通じてなり、不 明な点があったり、こういう点はどうだというのを折衝する過程において、皆様方の意見を聴さ ないといけないので、いちいちお集まりで来ていただくのもあれなので、御連絡先とかお電話番 号とかをいただいておいて、少し議論をしていくと。  そして、いろんな検討会とかいろんな研究会とかが私の下に山ほどあって、今日ももう一つ、 看護師のをやっていて、時間の交通整理が大変なんです。ただ、長期的な恒常的な対策としてど うするかを考えないといけないので、今日のようなことを、これで、はい、さようならではなく て、せっかく皆さんにお集まりいただいて、熱心な御議論をいただきましたので、できたら長期 的なことについてもいずれ、予算折衝が終わったら議論をできればと思っています。  大体そんな方向で、もう一回話をまとめますと、手元に現金がなくても安心して妊娠・出産が できるようにするということですから、まず直接支払い。できるだけシンプルなもの。これを考 える。  2番目としては、地域による格差は付けない。そして、これは獲得できるかは別として、35 万の水準を国費でもって更に上げていく形で、上積みを図るべく予算折衝をしていく。後は周産 期医療体制の崩壊を阻止し、国民に安心と希望を与える。そういうことの大きなメッセージとす るということで、皆さん方のお立場でいろいろと声も上げていただければと思いますが、そんな ことでよろしゅうございますか。  あと今後のやり方とかその他を含めて、もし更に御意見があればと思いますが、恐らく来週く らいから予算折衝になると思いますので、今日は木曜日ですから明日は金曜日、その間、事務局 でも私に直接でも、今日おっしゃり足りなかったこともあると思いますので、御意見をいただい たり、またそれでこういうデータを見てくれというデータがあれば、それは国民の皆さんに御説 明するときに活用したいと思いますので、そんなことでひとつよろしくお願いできれば、予算獲 得に努力をしたいと思っております。  事務局の方から、何か事務的な連絡はありますか。 ○神田総務課長 ございません。 ○舛添厚生労働大臣 それでは、本当に遅い時間まで熱心な御議論をいただきまして、大変助か りました。そういう方向で頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。  どうも今日はありがとうございました。                                         (了)                  【照会先】                              保険局総務課企画調査係                                  TEL:03(5253)1111                                    (内線3218)