08/11/26 平成20年11月26日薬事・食品衛生審議会化学物質安全対策部会議事録 薬事・食品衛生審議会 化学物質安全対策部会 議事録 1.日時及び場所    平成20年11月26日   10:00〜 東海大学校友会館「東海・三保の間」 2.出席委員(11名)五十音順    有 田 芳 子、○板 倉 ゆか子、 井 口 ち よ、 内 山 巌 雄、    沖   幸 子、 黒 川 雄 二、 土 屋 利 江、 徳 永 裕 司、    新 村 眞 人、◎西 島 正 弘、 安 田 峯 生   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(6名)五十音順     植 田 和 弘、 江 馬   眞、 神 山 美智子、 佐 藤   洋、    中 西 準 子、 渡 部   烈 3.行政機関出席者    山 本 順 二(化学物質安全対策室長)  他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○事務局 ただ今から、平成20年度第2回薬事・食品衛生審議会化学物質安全対策部会 を開催させていただきます。委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきまして誠に ありがとうございます。開会に当たり、最初に化学物質安全対策室長よりごあいさつを 申し上げます。 ○化学物質安全対策室長 皆様方には非常に御多忙のところ、また、本日は早朝からお 集まりいただきましてありがとうございます。ほかの会議と重なっている方もいらっし ゃるということですが、日程の調整上このようになってしまいまして申し訳ありません でした。  前回の化学物質安全対策部会は7月に久しぶりの開催だったのですが、本年中にもう 一回11月に開催ということで、例年、年に2回この部会を行うというのはなかったこと なのですけれども、化学物質については最近いろいろな課題が出ておりますので、部会 をもう少し頻繁に行っていく必要があるということで御了解いただければと思います。  本日の主要な議題としては、家庭用品に関する基準の一部の改正・見直しを行うとい うことを御審議いただくことになっております。それ以外にも、現在化審法の見直し等 幾つか化学物質に関する最近の動向についても御報告申し上げるという予定にしており ます。2時間ちょっとの時間、御審議いただければと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○事務局 事務局より、本日の部会は、17名の委員のうち半数以上の11名に御出席を いただいており、開催に必要な定足数を満たしておりますので、本部会は成立しており ますことを御報告申し上げます。  配布資料の確認をさせていただきます。議事次第の下半分に配布資料を記載しており ます。議事次第、委員名簿、座席表。資料1は、本日の出席者名簿です。資料2は、「有 害物質を含有する家庭用品の規制基準の一部改正について(案)」ということで、本日の 審議事項の1番目に関する資料です。資料3は、同様の規制基準の一部改正について、 新旧を対照する形で試験の項目全体を見やすくしたものを用意しております。こちらも、 審議事項の1番目の資料として使用いたします。資料4は、「消費生活用製品安全法第 35条第3項に規定する重大製品事故事例」ということで、本日の報告事項の1番目の議 題に関する資料です。資料5は、「化審法見直し合同委員会報告書案について」という ことで、本日の報告事項の2番目の議題に関する資料です。  当日配布資料として、委員限りとさせていただいておりますが、報告事項の3番目の 議題であります、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく審査状況に ついて」というものです。同じく当日配布資料として、審議事項の1番目に関する「答 申の別紙(案)」を事務局で作成して用意しております。こちらは、後ほど審議の結果に よって修正等を含め、御議論いただいた内容を反映させていただき、再度確認させてい ただこうと思っております。配布資料は以上です。  以後の議事進行につきましては西島部会長にお願いいたします。 ○西島部会長 本日の部会の公開について申し上げます。本日の部会は公開することに より、委員の自由な発言が制限されたり、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすお それがある場合、あるいは個人の秘密、企業の知的財産等が開示され、特定の者に不当 な利益又は不利益をもたらすおそれがある場合に該当しないと考えられますので、本日 は公開といたします。また、本日の議事録につきましては、後日皆様に御確認いただい た後に公開されますので、あらかじめ御承知おき願います。  早速議事に入ります。本日用意された審議事項は1件です。「有害物質を含有する家 庭用品の規制基準の一部改正について」ですが、本部会の下に設置されております「家 庭用品安全対策調査会」が9月30日に開催され、本日の審議事項について審議されたと 伺っております。本日は、この調査会の座長であります土屋委員にも御出席いただいて おりますので、最初に土屋委員から簡単に御報告いただき、その後具体的に事務局より 説明をお願いいたします。 ○土屋委員 先般行われました家庭用品安全対策調査会について簡単に御報告させてい ただきます。まず、資料2の「改正の概要」のところで、「ジベンゾ〔a,h〕アントラ センの項基準の欄の一部改正について」です。ここについては、通常ガスクロの場合に は全量の試料を注入する場合には「スプレット方式」というのがあります。途中で分け て、一部の試料を分散させる場合に「スプリット保持時間」を置いて分けていきます。 この場合、現行では4.5分となっていますが、特にスプリット保持時間を明記する必要 なく、機器のデフォルト値は、通常、療品部にあるものだと60〜90秒が設定されていて、 記載する必要性がないということで、一般的なスプリット値で十分のため、あえて記載 しないでいただきたいということを検討し、調査会では了承していただきました。  次に、「ホルムアルデヒドの定量」のところです。通常はホルムアルデヒドとアセチ ルアセトン試液で吸光度で分析を行うわけですが、その吸光度が0.05、あるいは16μg を超えたときに次に確認試験を行います。そのときにジメドン法、あるいはもう一つの 液体クロマトグラフによる方法で行いますが、確認試験ですので、定性的なピークがあ るか、ないかの定性的な判断でいいということで、液クロの方において定量的な記載の 部分を取り除くことにいたしました。表現についても誤解されやすいところがあるとい うことで、定量的な文章を除いて、定性的な判断のものにいたしたいということです。  最後は、1μLの注入量が現在記載されているのですが、通常液クロで1μLというの は少量であり、利便性のある10μLへの変更の御審議をお願いしたいということです。 以上です。 ○西島部会長 それでは、事務局からさらに詳しくお願いいたします。 ○事務局 調査会での御審議の状況は御報告いただきましたが、資料2と資料3に沿い、 重複する部分もありますけれども、再度事務局から改正の内容について御説明申し上げ ます。  資料2は、今回の家庭用品の規制基準の一部改正で、この部会にお諮りする事項につ いてまとめたものです。諮問の経緯は、家庭用品の規制に関する法律の中で、有害物質 の含有量等に関する必要な基準を定めることができるとされています。また、その基準 を定めようとするときは、あらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聞くという規定が ありますので、今般、先ほど御説明をいただきましたような、規制基準の所要の改正に ついて、この規定に則り御意見を伺いたいというものです。  次に、「改正の概要」の説明ですが、これも重複するかと思います。1番目は「ジベ ンゾ〔a,h〕アントラセンの項基準の欄の一部改正について」です。資料3を一緒に並 べて御覧ください。具体的にどこを変えようとしているのかを資料3で見るとよく分か ると思います。「ジベンゾ〔a,h〕アントラセン」に関しては、試験の対象が二つあり ます。1ページに、クレオソート油を含有する家庭用の木材防腐剤及び木材防虫剤とい う剤に関する規制と、4〜5ページにまたがりますが、その混合物で処理された木材の 規制と両方があります。その二つについて同じような試験方法が設定してあります。今 回は、その両方の試験について先ほどの改正をさせていただこうということでお諮りし ております。  資料3の新旧対照表の右側が現行の規定です。1ページから見ていきますと、家庭用 品は次の試験法による試験に適合しなければならない形になっています。1番目に「試 験溶液の調整」、2番目に「試験」ということで、ガスクロマトグラフ質量分析計を用 いる形になっていて、「ピーク面積の条件」が書いてあります。資料3の2ページの一 番最後のところに、「操作条件」という事項があります。こちらに、ガスクロマトグラ フのカラム管の条件、カラム温度、試験溶液注入口温度、キャリヤーガスの調整方法も 含めた記載、それから注入方法という記載、モニターイオンの記載があります。2〜3 ページにまたがっていますが、この中で現在あります「スプリットレス方式」という注 入方法の部分、これは3ページの真ん中辺りに記載があります。右側は現行の記載で、 「スプリット保持時間4.5分」という記載になっています。  先ほどの御説明のとおり、どちらかというと機器による最適なスプリット保持時間が あるということで、主として注入口のサイズと流量との関係で大体デフォルトの値が決 まってくると聞いております。そういうことがありますので、一律にここで4.5分とい う規定をすることは余り必要ないのではないかという御指摘をいただいており、調査会 で御審議をいただいた結果、スプリット保持時間については外すことが適当であろうと いう結論をいただいております。同じ内容のものが、先ほど御説明いたしました4ペー ジの防腐木材の方の規定にもありますので、こちらも併せて変えさせていただくことを 事務局では考えております。  2番目は「ホルムアルデヒド」です。ホルムアルデヒドの試験方法の基準の一部改正 です。資料2の1枚目の下段から2枚目にかけて説明しております。資料3の5ページ 以降にホルムアルデヒドの規定があります。対象製品は繊維製品のうち、おしめ、おし めカバー、よだれ掛け、下着、寝衣、手袋、くつした、中衣、外衣、帽子、寝具であり、 出生後24月以内の乳幼児用のものを対象とした試験になっています。  右側の欄で、「家庭用品の試験法は次の試験法による試験に適合しなければならない」 とされています。「試験溶液の調整」からあります。2番目の試験のところで、アセチ ルアセトン法を用い吸光度を測るような試験を設定しています。それで、アセチルアセ トン法で吸光度を測った場合に、空試験との差が0.05以下であれば合格であるというこ とですが、それ以上の吸光度差があった場合に、そのものがホルムアルデヒドによるも のだという確認するための試験として、7ページの3番目の「確認試験」という項目を 設けています。1番目が「ジメドン法」という呈色法を用いた試験と、2番目は「高速 液体クロマトグラフ法」の二つの方法があります。今回は、高速液体クロマトグラフ法 の条件の部分、試料採取量の部分の設定を変えたいということで御審議をいただきます。  具体的には8ページ、高速液体クロマトグラフ法の二つの事項を今回変更したいと思 っています。一つ目は2行目にありますサンプルの採取量です。従来1μLという規定 をしていました。しかしながら、通常の液体クロマトグラフ法でありますと、1μLの 扱いが難しいということで、これを10μLを採ることが適当ではないかという御指摘も あり、こちらも調査会で御議論いただき、変えることが適当ではないかという結論をい ただいております。  その下に黒線を引いておりますが、こちらは従来、右側の8ページの真ん中辺りにあ りますように、「ピークが存在する場合」ということです。その後に、「ピーク面積」 に関する記載があり、あたかも定量するような記載内容になっていました。ただし、こ れは試験の性格が確認試験ということですので、そもそも前段階のアセチルアセトン法 で差が出ているものに関して、確かにこれがホルムアルデヒドによるものであるという ことを定性をするための試験であるという位置付けからしますと、ここでピークの存在 を確認できれば、総合試験として足りるものであろうということになっております。ま た、それは確認試験の1番目のジメドン法でも当然定性的な確認をしていることになっ ていますので、それと併せて定性的な確認にとどめるような記載に修正させていただこ うと思っております。  以上の三点について、今回私どもで用意させていただき、審議会にお諮りするという ことです。説明は以上です。 ○西島部会長 ただ今説明がありましたとおり、「有害物質を含有する家庭用品の規制 の基準の一部改正について」は、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会に諮問が行わ れることになっていますので、今回はこれに基づいて、この改正案について御審議をお 願いいたします。ただ今三つの一部改正について説明がありましたが、これらの点につ いて御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。  「スプリット保持時間」について説明していただけますか。 ○事務局 スプリット保持時間については、ここでの分析法はスプリットレス方式とい いまして、ガスクロマトグラフを使うときに、試料全量をカラムの方に導入する目的で、 特に微量分析に適した方法として使われるものです。その際にスプリット保持時間とい うのは、試料を注入した後に、キャリヤーガスをカラムの方に流したままにする時間、 ロードする時間でありまして、注入する部分の容積と流量によって最適な時間が決まる と理解しています。したがって、分析をする機器によって適切な時間がある程度決まっ てくる値であろうと理解しています。補足をお願いいたします。 ○土屋委員 50対1とか、スプリットレスのレスはないという意味ですので、分けない ということです。スプリットレスは、先ほど言われましたように全量入って、一定時間 ロードした後にスプリット時間で分けます。そうすると、溶媒が過剰に入らないので、 ベースラインが早く落ち着いて安定します。4.5分ですと、時間が経ち過ぎだと思いま す。  通常のデフォルト値の60〜90秒ですと、早めにベースラインが安定しますので、早め に過剰のサンプル、もうサンプルは入っているのですが、後に出てくるものをカットし ますのでベースラインが安定し、それから低沸点側のピークが見やすいことになります。 ○沖委員 資料3の5ページです。この、もともとの法律ができたのが昭和48年です。 それから何十年も経っていて、それを改正するに当たり、5ページのホルムアルデヒド に関しては、家庭用品の項目で繊維製品がずらずらとあります。改正のときに、例えば 繊維製品でできた赤ちゃん用のぬいぐるみや、枕を兼用したおもちゃといったものが最 近出ておりますので、ぬいぐるみや、おもちゃという項目が加えられないものかと単純 に思いました。時代も変わっていますので。むしろ繊維製品でホルムアルデヒドが含有 されているものが出てきているのではないかと、その項目が全く同じなのはどうなのか という単純な疑問です。 ○事務局 貴重な御指摘をありがとうございます。家庭用品規制法については、基本的 に流通しているものの状況がどうかということをチェックした上で、必要なものについ ては当然規制をかけていくという形でこれまでも対応してきております。御指摘があり ました新しい製品についても、実際にはどのような状況にあるのかをチェックしながら、 もし改正の必要があるのであれば、今後検討させていただきたいと思います。 ○沖委員 今後の課題として是非お願いいたします。 ○事務局 はい。 ○有田委員 今回は試験法の改正のことでしたのであえて発言致しませんでした。検討 していただいた結果は、専門家の御意見でしょうから。ただ「出生後24月」となってい ます。ところが、玩具などは、年齢が3歳、6歳、15歳と分かれています。今年、Tシ ャツで乳児がかぶれたというのがありました。それは、Tシャツの胸の部分にプリント してあって、そこから大量のホルムアルデヒドが出たという日本の製品でした。赤ちゃ んに着せたりしているものですから、ここも3歳という月齢を、玩具の乳幼児という年 齢に合わせた方がいいのではないかと思います。 ○事務局 その辺のことにつきましても、先ほどの玩具、おもちゃ辺りの話は、食品衛 生法との切り分けも考えなくてはいけないのかと思いつつ。 ○有田委員 あれは、今年の10月に変わりました。 ○事務局 そこのところの年齢の話も、同じような検討課題という位置付けとして、今 後検討させていただければと思います。 ○西島部会長 大変貴重な御意見だと思います。もし、それについて新たに改正すると なると、どのくらいかかるのですか。 ○事務局 いろいろ準備も要りますし、そのデータ等も取らなければいけないと思いま す。必要な試験等を行いますが、その試験法が今の試験法でいいかどうかということも あります。その辺のサンプリングの仕方も検討しながら、実際にフィージビリティのあ る試験を設定しなければいけないものですから、そのために若干時間がかかる可能性は あると思います。今いただいた御指摘を踏まえ、検討する方向で考えたいと思います。 ○西島部会長 乳幼児の年月は、おもちゃの場合は3歳ということですが、どうしてこ ういう不整合が生じたのでしょう。 ○有田委員 ついでに質問ですが、ホルムアルデヒドを吸光度で検査します。そうする と、企業は検査機関から出された試験結果を、ホームページなどにそのまま出します。 吸光度では0.05という表示がされていたりします。 ○事務局 0.05未満。 ○有田委員 いえ、未満とは書いていないです。ところが、一般的にホルムアルデヒド は何ppm以下とか、ppmで表しています。それはppmに換算し直さないといけなくて、 主婦連に質問が来たときに換算し直して私の方で出しました。検査結果は吸光度の表示 で検査機関は仕方ないと思うのですけれども、表すときに基準は何ppm以下と出すとか、 合わせていないのです。吸光度で出ている単位だとすごく低く見えるのだけれども、掛 けてみると。 ○事務局 分かりにくいという御指摘ですか。 ○有田委員 そうです。表示。何と言えばいいのでしょうか。 ○事務局 一言で言うと吸光度ということです。 ○有田委員 法律の基準はppm以下という表し方をしている。ところが、検査は吸光度 の単位で表しているので、その数字だけ見ると、消費者は単純に分かりにくい。ここの 法律の改正とはちょっと違いますけれども、分かりやすさというだけで理解していただ ければ、おもちゃにも関しているのでちょっと申し上げました。 ○事務局 例えば、消費者にその情報を説明したりする上で非常に分かりにくい、ある いは説明しづらいという御指摘ですか。 ○有田委員 そうです。 ○板倉部会長代理 最近は、ppmというのは非常にポピュラーになってきました。分か らないなりにもppmというのはいろいろな場で出てきます。そうすると、片方で吸光度 だけでの説明であると、消費者にとってピンと来ない。元の衣類の中でどのくらい含ま れているとか、あるいはどのくらい出てくる可能性があるとか、そういうイメージで説 明された方が、多分消費者は理解できるだろうと考えられます。 ○有田委員 イメージではなくて、新聞報道でも何でも、ppmという単位で出すわけで す。何以下でないと駄目だと。それなのに検査機関は吸光度の単位で出しているので、 それはppmだと幾らなのですかという話になります。これには関係ないので、もういい です。 ○事務局 はい。 ○板倉部会長代理 私も調査会に出ているのですが、そのときには単にこの条文だけと いうことで議論していました。例えば今回確認試験で高速液体クロマトグラフ法を使っ ていますけれども、実際には確認試験だけではなくて、定量的に使いたいという事業者 も当然あると思うのです。そういうことについて、公定法として出てこなかった点は何 か理由があるのでしょうか。 ○土屋委員 私が理解していますのは、高速液体クロマトグラフというのは、普通、定 量的な試験なので、むしろそれでppmで示した方がいいと思うのですが、アセチルアセ トンとの反応物は比較的安定性が悪いのです。液体クロマトだと、最後に出すまでに20 分とか時間がかかります。そうしますと、その間に値が下がってきます。そうすると、 定量的でないことになりますので、ここでは確認試験というふうにしています。  一方、吸光度の方は速く測定できますし、1時間以内だったと思いますが、安定性が いい。そういうことでまず吸光度で定量し、その出てきたピークが本当にホルムアルデ ヒド由来であるかどうかをジメドン法と、又は液クロで確認しなさいということになっ ています。将来は液クロでもっと誘導体が安定なものが恐らくあると思うのですが、そ ういうものに変えれば、そういうことも可能なのかと思っています。 ○徳永委員 調査会でも言わせていただきましたが、この試験法自体かなり古い試験法 がたくさん載っていますので、試験法を現在の時代の流れに合わせながら変えていくこ ともやっていかないと、どんどん遅れていくのではないかと思います。 ○土屋委員 試験法は順次、優先度の高いものから、今年も試験法と基準値、それから 溶出方法も各国間で違っては比較ができないので、溶出されたものの分析のみならず、 その試験法、溶出方法の違いによる分析値の違いも重要ですので、そういう三つの柱を 立てて検討を進めています。 ○板倉部会長代理 「おしめ、おしめカバー」と書いてありますが、今の消費者の耳に 馴染むのはおむつの方ではないかと思うのです。言葉としてどちらが日本の標準商品分 類に載っているのかよく分かりませんが、一般的に消費者が受け取るときに、おしめと いうのは何なのかが分からない方もいるのではないかという感じがします。やはり、ち ょっと古い時期にできたものなので、時代を反映していないのではないかという感じが いたします。 ○事務局 見直しの際にはこの部会に限らず、いろいろな御意見をいただいております ので、今いただいた内容も検討の課題と考えさせていただきます。 ○西島部会長 本日の改正案のこと以外に、いろいろ意見が出てまいりましたが、それ はそれで大変貴重な御意見だと思います。本日の三つの改正について、御意見はありま すでしょうか。 ○西島部会長 いろいろ御意見をいただきましたが、本日の一部改正部分については御 了解いただけるということですのでそのようにしたいと思います。確認のために事務局 から、その内容についてもう一度確認をお願いいたします。 ○事務局 お手元に「答申別紙(案)」という形で、短く今回の改正の内容をまとめたも のをお配りしております。これを部会からの答申の中身にできればよろしいかと考えて 事務局の方で作成しております。こちらは委員限りですけれども、確認のために読み上 げをさせていただきます。  答申別紙(案)です。「1.ジベンゾ〔a,h〕アントラセンの基準の一部改正について。 ガスクロマトグラフ質量分析計の操作条件のうち、注入方法のスプリットレス方式につ いては、スプリット保持時間を削除することが適当である。  2.ホルムアルデヒドの基準の一部改正について。おしめ、おしめカバー、よだれ掛け、 下着、寝衣、手袋、くつした、中衣、外衣、帽子、寝具であって、出生後24月以内の乳 幼児用のものの基準について、確認試験(2)高速液体クロマトグラフ法のうち、ピーク 面積に係る規定を削除し、また、試験溶液採取量については10μLとすることが適当で ある」。  以上の内容で答申をいただければと考えております。御確認いただければと思います。 ○西島部会長 それでは、ただ今のとおり答申したいと思います。本日の審議事項が一 点用意されていますが、そのほかは特にありませんか。 ○事務局 ありません。 ○西島部会長 次は「報告事項」に移ります。一点目は「家庭用品による製品事故対策 の現状について」、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 報告事項の(1)です。資料4「重大製品事故事例」という21ページほどの冊 子に、4つの重大製品事故事例をこちらで公表したものを付けております。参考資料と して、私どもで都道府県の方に通知をいたしました平成19年5月11日付けの室長通知、 「消費生活用製品安全法の一部改正に伴う製品事故の取扱いについて」があります。参 考資料の丁合が乱れておりまして、見開きの2ページに、「事務連絡」が入っておりま すが、これは本来最後のページに付けるべきものであります。説明のときに、修正をし ながら説明させていただきます。申し訳ありませんでした。  参考資料の「消費生活用製品安全法の一部改正に伴う製品事故の取扱いについて」を 説明させていただきます。平成18年12月に、経済産業省が所管する消費生活用製品安 全法の一部改正がありました。こちらで「重大製品事故」という概念が新たに規定され ました。こちらは、主として30日以上の治療を要する事例を重大製品事故と分類してい くというものです。そういう事故があった場合については、その危害の発生及び拡大を 防止する必要がある場合に、消費生活用製品の名称及び形式、事故の内容、その他の事 項を公表するという考え方で法改正がされています。  これらの重大製品事故のうち、家庭用品の規制法により対応すべきもの、主として化 学物質によると思われるようなものに関しては、主務大臣から当該報告内容が厚生労働 大臣に通知をされる形になっています。したがって私どもの方でも、通知された内容に ついて公表して、注意喚起、内容の改善を図っていくという形でこれまで対応をしてき ております。  1枚めくっていただきますと、「記」のところに「厚生労働大臣が主務大臣から通知 を受ける重大製品事故について」、通知を受けた場合の対応について記載しております。 公表の方法としては、報告の内容については、速やかに記者発表及びホームページへの 掲載によって公表する。再発防止策の追加措置等の新たな状況が発生した場合には、必 要に応じてホームページに情報を追加して更新するという方針でこれまできておりま す。  また、「製品事故に対する情報提供について」は、都道府県宛の通知ですので、都道 府県から保健所等への周知、類似の事例、あるいは別の輸入業者に関する情報等も吸い 上げさせていただくという形で万全を期したいと考えているということで、この通知を 出しております。場合によっては、私どもの指導が十分に至らない場合には、報告の徴 収、立入検査等の法令上の規定もありますので、そういうものを都道府県と連携してさ せていただく規定も書かせていただきました。  「重大製品事故以外の事故」については、「記」の(3)で、そういう被害が報告され た場合には化学物質安全対策室の方に、右側のような様式で報告をいただき、そういう 事例をなるべく広く集めさせていただこうという目的でこういうものを作っておりま す。  最後に、「事務連絡」のところに戻りまして、こちらは先ほど申し上げましたホーム ページでの情報提供のサイトについて、「事務連絡」で各都道府県等の地方自治体に連 絡をしたというものです。以上のような形で、平成19年5月14日の施行から対応が始 まっています。  資料4に戻りまして、これまでに4件の重大製品事故の事例を公表しておりますので、 それを順次報告させていただきます。資料4の1ページは「デスクマット」の事例です。 デスクマットを使用することにより、アレルギー性の接触皮膚炎を起こした事例です。 こちらはかなり広範囲に出ていて、1ページのものが平成19年6月1日に公表した事項 です。この物については平成9年辺りからの販売品で、販売数量も35万枚以上というこ とで、かなり大量に販売していたものです。  この法令の改正前の段階で原因が突き止められて、本製品に関しては平成18年10月 から数回の社告、あるいは新聞への広告等を打って注意喚起、製品の回収・交換が行わ れている事例です。この法律に先立ってそういう対応がなされた事例ですけれども、法 律施行後にまた新たな事例が報告されているということで、ここで改めて重大製品事故 ということで公表に至ったという状況のものです。報告事例も事故発生日が大分古い事 例がこの時点で探知されて報告されてきたというものが1ページに記載されています。  2ページには再発防止策等の記載をしております。こちらは先ほど申し上げたとおり、 平成18年8月に製品評価技術基盤機構で、原因として抗菌剤が考えられるということ で、対象物質は2,3,5,6-テトラクロロ-4-〔メチルスルホニル〕ピリジンというこ とです。これによる皮膚炎症の事例があるという指摘を受け、回収に至ったということ です。この抗菌剤については、デスクマットのように長時間接触する可能性のある製品 に使用されていることは確認されていなかったということで、当該製品の回収のみの対 応になっております。  これが法律改正後の第一報で、その後続々と報告がされています。3枚目以降が第11 報ということで、ここまでに45例の通知された事例を報告していただいています。4枚 目には、因果関係不明なものを含め、皮膚炎の被害が1,117件が業者の方で確認されて います。そのうち45件が重大製品事故と思われるということで報告されている状況で す。こちらが最後の報告事例で、その後回収の進捗状況なども確認しつつ、事務的な作 業を進めています。  6枚目に、報告された事例を発生日順に整理したものが付いています。全体として最 終的に第11報の段階で、「重大製品事故に該当する」と確認できているものが全体で 28例です。6ページ、7ページ、8ページも含めて27例プラス1例になっています。 調査が進むにつれ、原因が別にあるというものもあり、重大製品事故から削除している ものもありますが、それが9ページ、10ページ辺りに載っています。そのような形で、 コクヨのデスクマット製品に関する重大製品事故事例の公表をさせていただきました。  11〜13ページの資料については、「スプレー式の接着剤の使用に伴う重大製品事故に ついて」ということで、平成19年6月15日に報告した事例です。13ページを見ますと、 製造事業者は住友スリーエムのスプレーのりです。こちらは、平成5年から現在まで売 られていた事例です。実際には台所で使用した30代の女性が、有機溶剤による化学性肺 炎と診断された事例です。  再発防止策については、この時点で当該事故製品の製造ロットに欠陥は認められてい ないことは確認されています。それから、十数年の販売期間において、当該製品に起因 する肺炎の発症事例が特にほかに確認されていないことから、特に同様の被害が発生す るおそれは少ないのではないかという判断がされています。したがって、回収等の特別 な指導をしているということではありませんけれども、適切な使用を改めて注意喚起し たという状況のものです。  15ページは、平成20年1月公表の事例です。「組み立て式ベッドの使用に伴う重大 製品事故について」です。組み立て式のベッドを寝室で使用した30代の女性が、アレル ギー性の気道炎及び蕁麻疹等と診断され、現在も治療を受けているものです。事故発生 日が平成19年4月9日ということなので、かなり長期間の治療に至った事例です。こち らも13,000点以上を販売していて、これまでに同様の事例は確認されていなかったとい うことですが、今般の事故を受けて、注意喚起の文書をより詳細な内容としたり、製品 を梱包している箱に注意書を表示するということを対策として導入させていただいた事 例です。  最後の事例は19ページです。平成20年8月11日公表の事例です。「塗料の使用に伴 うものと疑われる重大製品事故について」です。20ページですが、こちらは公衆浴場の 天井・壁面上部に塗装をした翌日、利用者が咽頭痛、頭痛、結膜充血等を発症し、現在 も治療を受けています。事故発生日が5月13日ということなので、大分長い期間の治療 になってしまっています。ただし、当日公衆浴場を利用したほかのお客様から同様の被 害は今のところ報告されていないということでした。  これは、防カビ用の塗料ですが、エアゾールではなくて、塗布するタイプの塗料です。 平成2年から販売を開始していますが、ほかにはそういう事例はないということです。 同一の製品による同様の被害が発生する危険性はないのではないかと製造事業者は判断 しています。しかしながら、今回の事故を受けて、注意喚起のためのより詳細な文書を 記載することを検討しているという内容です。  以上の4点が、これまでに重大製品事故事例として私どもの方で公表させていただい た事例ということで、この部会で報告させていただきました。以上です。 ○西島部会長 ただ今、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律の説明から始 まり、重大製品事故の事例についての説明をしていただきましたが、御質問、御意見が ありましたらお願いいたします。  最後の塗料について、原因になった化学物質は何が考えられるのでしょうか。特定は されていないのですか。 ○事務局 恐らく溶剤ではないのかと思われるのですけれども、特定までは至っていま せん。最後のページに、「脂肪族炭化水素系溶剤が含有されている」とあります。恐ら く天井に塗ってということなので、気化成分によるものではないかと想像はされるので すが、特定までは至っていない事例です。 ○板倉部会長代理 デスクマットの場合に、そもそもこの原因物質になったもの自体が、 こういうアレルギーを起こす可能性があるということで、知っている所では知られてい る成分だったと聞いています。そのようなものを企業自体が気がつかずに使う状況とい うのは、今も同じようなことが可能性としてあるのでしょうか。成分が公表されている ものについては、ほかの企業も注意されるだろうと思いますけれども、割合にそういう 情報を知らないような感じがいたします。もう少し注意が必要な成分だということが明 らかになっていてもいいのではないかという気がいたしました。 ○有田委員 同じところですけれども、これは指導が出て、抗菌剤の配合量とか基準と かは決められたのでしょうか、この回収とは別に。規格とか何かできたのでしょうか。 ○事務局 そういうことはしていないと聞いています。 ○有田委員 かなりの量を入れていたとおっしゃっていたように。 ○事務局 かなり特殊な例と言っていいのかどうかはあれですけれども、皮膚への移行、 要するに製品からの出方とか、コーティングが剥げてきて移行しやすくなったとか、い ろいろな条件が重なって出てきているということなのかと思います。特にこの物質につ いて基準を設けてうんぬんという話には至っていません。 ○有田委員 この物質というのではなくて、抗菌剤の全体の基準といいますか、あると 思いますが、別の所で伺います。 ○新村委員 私は家庭用品の有害事象の報告というのをやっていましたけれども、抗菌 剤は随分心配したのですが、現実にはほとんどなかったです。これは先ほどおっしゃっ たように、非常に特殊な場合で、汗をかいてずっと長時間当たっているというようなこ とで、この物質をほかで使っているかどうか分からないのでしょうか。デスクマット以 外にいろいろな製品に抗菌剤として使われているかもしれないのですが、この物質は使 われていませんか。 ○事務局 確かにこの製品を抗菌剤として使っている事例は皆無ではないと聞いていま す。ただ、皮膚に触れるような使い方をしている事例というのは、このときに調査した 限りでは見つかっていないようでした。水回りのゴムに入れたりというような事例があ ったと記憶しています。この製品のように、長時間触ってというような状況にあるもの がないということでした。 ○新村委員 抗菌剤のグッズというのはものすごく多いのですが、障害が出たという報 告は案外少ないのですが、あるのですか。今、抗菌剤はあらゆる物に使われているよう なのですが。 ○有田委員 製品化をやめたメーカーもあるようです。抗菌グッズは結局清潔にしてい ないといけないという事もあるようですね。 ○事務局 一時に比べると下火になったという話も聞いております。 ○有田委員 ある程度の量が入っていないと効果がないと。 ○事務局 はい。 ○有田委員 それ以上入れると、こういうことも出るので規格を考えているということ を聞いたことがあります。 ○土屋委員 家庭用品についても抗菌剤(2,3,5,6-テトラクロロ-4-〔メチルスル ホニル〕ピリジン)というのは感作性があるということは確認しております。それは私 は覚えていないのですが、ほかの家庭用品にあったということです。  先ほど言われましたように、いろいろな家庭用品を国立医薬品食品衛生研究所として 感作性試験とか、様々な試験のデータがありまして、それは公開されているのですが、 その入手先が企業の方に分かっていないのではないか。そのデータが出る前に製品とし て使われたのかどうか分からないのですが、コクヨの製造のデザインをする段階で、ど のような状態であったのかを聞いていただけると、将来情報提供の在り方に役立つので はないかと思います。 ○西島部会長 情報がうまく伝わるかということですね。 ○土屋委員 はい。大きな会社ですから、コクヨにとってもいいのではないかと思いま す。情報社会の中で、入手するのはなかなか大変なのかもしれませんが、そこは積極的 にデータはオープンにすべきだと思います。 ○内山委員 その点、私も注目しているのですが、厚生労働省のホームページでこの被 害情報がパッと出てこないのです。周知、公表して一般の方に、こういうことがありま したのでお知らせします、というのが法令改正の大きなポイントだったと思うのですが。 事例を引っ張ると深いところに行くのですが、厚労省のホームページから、被害情報と して新しいのがありましたなどと余り出てきません。是非その辺のところを、通知した らもう終わりだということではなくて、全部の方がホームページを見られるわけではな いので、違う方法も必要だとは思いますが、できればそういうことも改善していただけ ればと思います。 ○事務局 ホームページの発信状況がちょっと弱いかなと自覚をしています。そこも含 めていろいろと改善の努力をさせていただければと思います。 ○新村委員 例えば、先ほどおっしゃったモニター報告の専門家会議などがあります。 これも出てくるのですが、参考としか常に出てこないですね。そこで議論をしない。議 題には上がってこないのではないですか。 ○事務局 現状では直接の議題ではなく、あくまでもこういうことがありましたという 御報告になると思います。こういう事故が起こった場合、必要に応じて専門家に御確認 をするのは、別の枠組みがありますが、モニター報告の方では、モニター病院からいた だいたものの検討が主たる中身になってきます。このような事例については、専門家に 対していろいろ御相談をしたり、また別の枠組みがあります。 ○新村委員 いつも会議で聞いていると、別のところでやっているからという話が多過 ぎるような気がします。 ○事務局 なかなかそこも整理が難しいと思っています。いろいろな目的を持って会議 をお願いしている関係で、そこで雑多なものをやる仕組みになかなかなっていない現状 もあるかもしれません。今後の課題とさせていただきたいと思います。 ○有田委員 今後の課題といいますが、スケジュールなど具体的なものが出てこないも のですから、何年か後に確認したら、「そういうことがありましたか」ということに。 是非、来年度方針など、細かいところに入れておいていただきたいと思います。  内山先生が今おっしゃったこともそうですが、私も厚生労働省のホームページを見て 考えることがあります。例えば玩具は食品衛生法のところにあるのを私は知っています から、そこを調べますが、ほとんどの人は知らないのです。知らしむべからずではない ですが、全員の人が見なくても、このことはここに行けば知ることができる、そして、 法律を改正したということもそこですぐ分かるような、食品衛生法などの形ではなく、 もっと入りやすい形を工夫していただければと思う。 ○事務局 縦割りに関する御指摘だと思っています。実際はいろいろ連携して業務をし ているのですが、どうしても縦割りの中でホームページも縦割りになってしまっている 部分があるのは否めないと思います。その辺も検討させていただくとしか言えなくて申 し訳ないのですが、今いただいた御指摘を改善に役立てたいと思っています。また、い ろいろ経過を見ながら、そうなっていないのであれば、繰り返し御指摘をいただければ と思います。 ○土屋委員 化学物質も様々なデータベースが出ています。化合物をインプットすれば 出てくるわけですから、そういうところに検索で入れるようにしてあげれば、それだけ で変わると思います。感作性と言っても強いものから弱いものまで10の6乗くらい開き がありますので、ちょっとあったからといって全部駄目だというわけではありません。 やはり強度も分かるものがデータベースでたくさんありますので、その検索できるサイ トさえ紹介すれば、それで広がると思うのです。家庭用品業界もそれくらい調査をし、 製造のデザインを決めるべきだと私は思います。 ○有田委員 例えば、ファクトシートなどとはつながっているのですか。 ○化学物質安全対策室長 我々の方で化学物質安全対策のホームページを厚生労働省の ホームページからリンクしてつながるようになってはいるのです。その中にいろいろな ところの化学物質のデータベースもつながるようにはなっていて、一応見られるように はなっていますが、御指摘いただいたように、なかなかPR不足になっています。我々 が言うのも何ですが、厚生労働省のホームページは非常に見にくいのです。そこからい くとすると、何でこんなところに化学物質があるのかと。知っている人はデータベース までたどりつけますが、初めて見る人がそこまでたどりつくのは恐らく難しい。今日御 紹介した重大製品事故も厚生労働省のホームページに一応載ってはいるのですが、なか なか御覧になったことのない人もいらっしゃいます。こういうものは結局、広くいろい ろな人に早く知っていただくのが重要なので、そこがきちんとできていなければ意味を なさないことになります。そこを改善して、できるだけ多くの人に早く知っていただく ような工夫を今後していきたいと思います。  化学物質の情報のデータベースについてもいろいろあります。間接的なものを含めて 情報があるものについては載っているものもありますが、それもなかなか一般の人が全 部すぐに見られるような見やすい形で提供していないところもあります。これは我々だ けではなくて、ほかの省庁と一緒にやっているものもありますが、可能な限り一般の人 がより見やすい、アクセスしやすいような仕方に工夫していきたいと思います。データ についても逐次、いろいろなところで集めたデータについて載せていって、内容を充実 させていく工夫をしつつあります。そういうものを見ていただいて、製品開発の段階か ら、有害性の疑いなどの情報を事前に確認した上で開発すれば、危ない物質を使うこと はないわけですから、そういうことでも改善をしていただければと期待をしています。 そういう情報にアクセスしやすくする工夫を、できるだけ早くしたいと思います。 ○井口委員 私は保健所の立場からというか、区民の方たちのこの頃の変化も併せて非 常に考えさせられることがあります。簡便ですぐにきれいになって、しかも安くてとい うような要望がどんどん広がっているのが実態です。このように不景気になってくると、 100円で買えるもの、200円で買えるものを要求してくる区民の方が多い。そして、それ が簡単にできること、きれいになることというような要望が非常に多いわけです。自然 と洋服など、製品も輸入品がものすごく多くなってきます。そういうのを私が見ていて も、様々な事故が起きるのは当然かと思います。100円でできる製品で非常に安全性が 高く、精度が高いものを果たして作れるのかというのが一つあります。  ベビー用品などでも500円、300円という下着、洋服が出ています。そういうものが 大量に輸入されているのですから、一方でこういうものを次から次へときちんと整備し ていかなければならないという今の日本の現状の中で、そういうものがより安全で、安 心だと国としてどこまで言えるのかなと、日常生活の中で疑問に思っている事実があり ます。その辺はいかがでしょうか。 ○事務局 確かに安いもので、コストをかけずにということになりますと、どうしても 安全性まで手が回っていないことが起きる可能性は否定できない。御指摘のとおりだろ うと思います。私どもも都道府県にお願いして、試買調査をしていただいたり、規制の 中で考えられるものについては、いろいろ対応してきていますが、新たな視点を設けて、 規制の在り方を考えていく必要があるのかと思っています。  また、先ほどこの法律は古いとの御指摘がありました。いかに現状に合わせていくか が最重要の課題と認識はしていますが、なかなか追いついていかないのでもどかしく思 っていただいているのではないかと考えます。その辺の御指摘を肝に銘じまして、今後 の改善に努めたいと思っています。 ○板倉部会長代理 国民生活センターではこの組み立て式ベッドの情報も出ました。前 から手掛けていたと思いますが、問題点を指摘して、情報化したという経緯があります。 それがいったいどの程度まで消費者の方に届いているのかが難しいところです。やはり、 メディアに取り上げていただかないと、消費者自体が値段につられて買ってしまう現状 があります。先ほどもいい情報は探せばあるというお話がありました。実際に活動して いても、自分が選ぶときにならなければ、その情報自体があったことも思いつかない状 況が今の問題の一つになるのではないかと思います。 ○西島部会長 今の点について、さらにご意見等はありますか。こういうものも食品と 同様、全く同じ問題を抱えているかと思います。一つは先ほどの情報提供については、 迅速にしていただける部分が相当多いと思います。  抗菌物質については、ヒトへの影響以外に耐性菌ができるので非常に環境的に問題が あります。そうすると、その点について、ここでは議論しなくなります。そして、違う 部署となりますが、私はむしろ環境への影響の方を心配しています。  まだ御意見等あるかと思いますが、時間も押してきましたので、次の報告事項に移ら せていただきますが、よろしいでしょうか。  それでは、報告事項の2番目で、「化審法見直し合同委員会報告書(案)について」事 務局から御説明をお願いします。 ○事務局 お手元の資料5-1、5-2、5-3に基づいて説明します。資料5-1が概要です。 資料5-2がより詳しい概要、資料5-3が報告書(案)になっています。  資料5-1の背景について説明します。「化審法」ですが、正式名称は「化学物質の審 査及び製造等の規制に関する法律」です。化審法は昭和48年にPCBによる環境汚染の 問題を契機に制定されました。化学物質による環境汚染の防止のための新規化学物質事 前審査制度、化学物質の性状に応じた製造・輸入及び使用の規制等がこの化審法の主な 内容となっています。化審法の見直しについて、今年1月より厚生労働省及び経済産業 省、環境省のそれぞれの審議会の下に設置された合同委員会で御審議いただきました。 これまでに合同委員会として3回開催しています。その中で化審法の見直しに係る報告 書(案)を取りまとめていただきまして、10月31日から12月1日まで、パブリックコメ ントを実施しています。パブリックコメントを受けまして、最終報告書として取りまと める予定です。その中身については3でも少し触れていますが、より詳しく資料5-2で 説明しています。  Iの「見直しの狙い」については省略します。IIの「2020年に向けた化審法の新体系」 にポイントを記載しています。今回の化審法の見直しのポイントとして三つ柱がありま す。一つが「化学物質の上市後の状況を踏まえたリスク評価の体系の構築」、二つ目が 「リスクの観点を踏まえた新規化学物質事前審査制度の高度化」、三つ目のポイントと して、「厳格なリスク管理措置等の対象となる化学物質の取扱い」についての改正にな っています。  1つ目は「化学物質の上市後の状況を踏まえたリスク評価体系の構築」です。いわゆ る既存の化学物質のリスク評価体系の構築となっています。ポイントとして、一定数量 以上製造・輸入されている化学物質に対しては、そのすべてについて製造・輸入量、用 途等を事業者が国に定期的に届け出ていただく制度を新設します。その届け出られた情 報と既知の有害性情報から、まずリスクが十分に低いと判断できない物質をリスク評価 を優先的に行う物質として、優先評価化学物質(仮称)に指定しています。これらの物質 について製造事業者に対して、より詳細な有害性情報などを提出いただきまして、段階 的に国がリスク評価を実施していきます。そのリスク評価においてもリスクが低いと判 断されない場合には、さらに長期毒性試験データを事業者に求めます。最終的には第二 種特定化学物質として製造・輸入などを制限するという仕組みを考えています。  2つ目は「新規化学物質の事前審査制度の高度化」、1つ目と同様にそのリスクの概 念を取り入れています。現在、有害性の情報を事前に提出していただいていますが、そ れに加えまして、製造・輸入予定数量等をまず提出していただき、それらの情報も併せ て既存化学物質と同様に優先評価化学物質というものに指定しまして、順次リスク評価 を行っていきます。  そのほかにコンピュータを使い、毒性等を定量的に予測するモデル(QSAR)を取り 入れること。また、少量新規化学物質として事業者単位、年間1社1トンまで認める。 あるいは、低懸念ポリマーとして国際的に認められている物質については、試験データ などの審査は不要とする。そういう柔軟な対応も取るという方向になっています。  次のページ3つ目の「厳格なリスク管理措置等の対象となる化学物質の取扱い」につ いては、現在第一種特定化学物質として難分解性、高蓄積性及び長期毒性の性状を併せ 持つ物質についての仕組みなります。こちらについては、引き続きその製造・使用等を 厳格に制限する管理措置を継続します。  一方で、化審法は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の担保する法律 として位置付けられています。ストックホルム条約の中で製造・使用等が禁止となって いる物質については、その代替性が効かないという理由で、国際的に許容される用途が あります。そちらについては現在、化審法の中でうまく対応できない仕組みになってい ますので、この点について環境中への放出が厳格に管理されている条件の下で許容でき る措置を構じる方向にしています。  そのほかとして第一種特定化学物質の前の段階である第一種監視化学物質について も、事業者間の情報伝達の制度が今のところありませんので、これを導入する。あるい は、第二種特定化学物質については、物質そのものについてリスク管理措置が求められ ていましたが、使用されている製品についても、同じようなリスク管理措置を求める方 向になっています。  IIIの「2020年に向けたスケジュール等」が四つのポイントに分けて記載されています。 こちらの新制度については、運用の開始から1年間を経た後に製造・輸入量等の把握を 行いまして、国による優先評価化学物質の絞り込みを開始したいと思います。引き続き リスク評価を行いまして、2020年までにすべての対応を完了することを目指していま す。  そのほかとして、化審法の下で収集された安全性情報については、企業に知的財産・ 競争上の地位に配慮しつつ、一般の方に積極的に公開していくことが不可欠という御意 見をいただいていますので、その方向で情報公開をしていきます。同時に、関係者間の リスクコミュニケーションが積極的に行われることが重要という意見もいただいていま す。  3つ目は、先ほど御意見をいただきましたとおり、そのデータベース等について他法 令に基づく情報発信、他省あるいは厚生労働省内他部局についての情報提供なども行っ て、十分に協力・連携を行っていきたいと思います。同時にその国際的なデータベース との相互接続も必要という御意見をいただいています。  4つ目は、「今後の課題」として二つ挙げています。ナノマテリアルの取扱い、ある いは、総合化学物質管理法制についての御意見もいただいていますので、この化審法の 中で対応できるかは限界があるのかもしれませんが、今後引き続き検討することとして います。説明は以上です。 ○西島部会長 ただ今、化審法の見直しについて厚労、通産、環境の三つで成り立って いる合同委員会で議論されている報告です。この報告事項について御質問、御意見があ りましたらお願いします。 ○有田委員 今の資料5-2、1ページ、少量新規のところです。「少量新規化学物質の 事前確認制度について、事業者単位で確認を行うことを基本とし、複数の事業者が重複 してリスクが高いと懸念される場合は、確認を行わない」で終わっていますが、これは、 少量新規等は扱わないことですね。リスク評価はやっていくのですね。何かポンと切ら れていますと、確認を行わない、放っておくみたいに感じられましたので、お尋ねした 次第です。 ○事務局 審議会の中でも、全国で100社あって、それぞれ1トンずつ作ると100トン になってしまうではないかという御意見もありました。そちらについてはきちんと全国 単位のものを確認して、処理を行う方向にしています。 ○西島部会長 ほかに御質問がありますか。 ○土屋委員 1ページの一番下で、「低懸念ポリマーの判断基準に該当する旨の確認を 国が行った新規化学物質については、試験データに基づく審査を不要とする」とありま すが、もしお分かりのことがあれば解説していただきたいと思います。 ○事務局 専門的な部分については知識が不足しているのですが、国際的に低懸念とし て、有害でないとされている安全性の基準が幾つかありまして、それに合致するものに ついては、合致するかどうかを確認して、個別の試験については免除する方向としてい ます。 ○土屋委員 その記載された資料がありましたら、次の時にいただきたいのですが。 ○事務局 分かりました。 ○西島部会長 資料5-2のカラーで刷られている「別添」の部分がありますが、このフ ローのイメージとして、これについて追加的に何か御説明する点がありましたらお願い します。 ○事務局 フローの部分は、下が現在の仕組みで、上の部分が改正後になっています。 現行法ですと、まず、「上市後」の左から少しのところに縦線が入っています。ここが 「上市前」と「上市後」の境になっています。上市後のものについては、現在は「ハザ ード評価」と書いていますが、有害性のデータを基に第二種監視化学物質、第三種監視 化学物質として製造・輸入数量の届出をしていただきます。その後、リスク評価を行い ます。  改正後のイメージですと、既存化学物質については、まずは製造・輸入数量と用途情 報の届出などをすべての化学物質について提出していただきます。これに既知見の毒性 情報などを使って、国の方でスクリーニング評価を行いまして、優先的にリスク評価す るべき物質を選定する。その後の流れは、同様に関係事業者の協力を得て、情報を集め まして、リスク評価1次、2次と進めていきます。縦線左側、「上市前」は同様に、今 はハザード情報のみを提出していただいていますが、さらにハザード情報に加えて、予 定の製造・輸入数量あるいは用途情報も一緒に出していただいて、国の方でスクリーニ ング評価をしまして、同様にリスク評価として優先的にやるべきものを選定します。  こちらが難分解性であり高蓄積性でないものについての取組です。下の矢印は現行法、 改正後、どちらも同じ流れになりますが、基本的には下の難分解性・高蓄積性のPCB のような物質については、現在と同様な措置を行うことになっています。一つだけ先ほ ど条約との並びを取りますと、改正後には、「1特」の下に「エッセンシャルユース」 と書いてありますが、こちらがそのストックホルム条約で使ってもいいと認められてい る用途のことです。こちらについて同様に環境中への厳格な管理をきちんと確認した上 で、化審法上でも条約と同様の対応を取る方向になっています。 ○西島部会長 今までと大きく違うのは、優先評価化学物質を早い段階で決めることで すか。 ○事務局 そうです。今では「2監・3監」とオレンジで書いている部分について、製 造・輸入数量の届出をやっていただいていました。今後は一定数量以上作っているもの になると思うのですが、すべての物質について製造・輸入数量プラス用途情報を届けて いただくことになると思います。その後、優先評価化学物質としてリスク評価を優先的 にやるものを選んでいきます。 ○西島部会長 わかりました。御質問、いかがでしょうか。  ナノマテリアルについてはさらに検討するとのことですが、そういうものについては 今回の見直しでは最終的に含まれないのですか。 ○事務局 実は審議会の中でも両論ありました。化審法の中で、ナノマテリアルの対応 をすべきではないかという御意見がありました。一方で、化審法の中では現在、ナノマ テリアルについて対応できるかどうかがまだ分からない、まだ試験法自体が確立されて いない中でそこは難しいのではないかと、両論がありまして、現在の報告書案では今後 の検討課題となっています。 ○有田委員 ただ、私が参加していて思ったのは、2020年までにということではなく、 早い段階で改善していくということで、この案についてはまだまだ不十分と思うところ もあると思うのですが、いい改正だったとはとらえています。 ○西島部会長 よろしいでしょうか。それでは、ただ今の報告事項については以上にし ます。報告事項の三点目も化審法に関するものですが、審査の状況について、事務局の 方から御説明をお願いします。 ○事務局 本日お配りしていました資料番号がついていない資料があります。資料の名 前が「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく審査状況について」です。 毎回、審査状況について報告していますが、今回も審査状況について報告させていただ きます。前回の化学物質安全対策部会において、平成20年の第2回までの審査状況につ いて報告していますので、その後の状況についての情報をアップデートさせていただけ れば思います。  その後の3回について新規化学物質としては132、既存化学物質として21物質。その うち、第一種監視化学物質と指定された物質が1物質あります。第二種監視化学物質と 指定された物質が新規化学物質の中に7物質、既存化学物質の中にはありませんでした。 その具体的な審査シート、審査についての情報が書かれている資料については、資料の 後ろに付属していまして、1枚目が第一種監視化学物質とされた物質の2,6-ジ-tert- ブチル-4-sec-ブチルフェノールの資料です。その後、新規化学物質としまして、第二 種監視化学物質に指定された7物質についての審査シートを付属させていただいていま す。  新規化学物質についての審査情報は非公開となっています。会議終了後に回収させて いただくことにしていただければと思います。説明は以上です。 ○西島部会長 審査状況についての御報告ですが、これについてのご質問ありましたら お願いします。 ○土屋委員 私の理解が悪いのかもしれませんが、1番の名前は言ってよろしいのでし ょうか。この化合物はかなりいろいろなものに使われていると思うのですが、「データ なし」ということで、今後再検討されるのですか。どのように考えたらいいのでしょう か。 ○事務局 毒性情報の項目ということでしょうか。 ○土屋委員 これはかなり毒性試験をされていると思うのですが、実際はなかったので すか。 ○事務局 第一種監視化学物質についてはその毒性情報がなくても、難分解性であり高 蓄積性であれば、自動的に指定されることになっています。毒性情報については現時点 では、書けるような情報がなかったのではないかと思います。 ○土屋委員 そうすると、この有害性調査を指示することになるのですか。 ○事務局 第一種監視化学物質になると、すぐに指導になるのではなくて、まずは長期 毒性試験の前にエイムス試験や、28日間の反復投与毒性など、その辺りの情報を集めま して、これはちょっと危ないなという話になると、長期毒性の試験を企業の方にやって いただくという指示をするとなっています。 ○土屋委員 これはいろいろな溶媒にも安定剤として入っていますので、かなり影響が あると思います。溶媒は通常、ポリマーですと、溶かして濃縮しますと、そこに非意図 的にたくさん入ってくるのです。0.何%の範囲で入ってきます。その溶剤の種類にもよ りますが、一般的に大量に作る場合は、多分そういうものを使われる可能性がある。 ○西島部会長 今の点ですが、このように指定された後はどうなるのですか。 ○事務局 指定された後、今のような用途情報、あとは当然ヒトの毒性に関する情報あ るいは生体影響、環境中への影響などの情報がまず集められます。これは第一種特定化 学物質として製造・輸入数量を制限しないといけないという疑いが強くなった場合には、 長期毒性試験を企業の方に求めて、その結果に基づいて、もし本当に有害性があるとな ると、第一種特定化学物質に指定されます。 ○西島部会長 よろしいでしょうか。報告事項については以上にしまして、報告事項の 「その他」について、事務局はさらに何かありますでしょうか。 ○事務局 議題の「その他」は特にありませんが、連絡事項を一つ申し上げます。審議 会の委員の改選が来年1月に予定されています。中には条件的に改選をお願いできない 方もいらっしゃいますが、引き続き委員をお願いする先生方には、委嘱等の手続を年末 から年始1月にかけてお願いすることになります。引き続き、どうぞよろしくお願いし ます。連絡事項は以上です。 ○西島部会長 それでは、以上で本日の議事内容はすべて終了しました。これで部会を 終了させていただくます。本日はどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 柴辻(2910)