08/11/26 第39回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第39回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会              日時 平成20年11月26日(水)                 15:00〜              場所 厚生労働省14階職業安定局第1会議室 ○清家部会長 ただいまから、「第39回雇用保険部会」を開催いたします。本日の出欠 状況ですが、岩村委員、大沢委員及び栗田委員がご欠席と伺っています。  本日の議題は前回に続き、「雇用保険制度について」でございます。まず、本日提出 いただいた資料について事務局からご説明いただき、その後質疑に入りたいと思います。  それでは、事務局から説明をお願いします。 ○長良課長補佐 私から説明させていただきます。まず、資料の確認ですが、大きく資 料1と資料2があります。資料1としては、表紙として「雇用保険制度に係る当面の検討課 題について」となっています。前回のご議論なども踏まえ、この部会において当面検討 していくべき論点を前回より若干詳細に記述したものです。資料2として若干厚いもの、 「関係資料」を付けています。これは資料1、「当面の検討課題」としての論点の項目に 沿って、それぞれの参考となる資料を添付しているものでございます。本日の説明は、 資料No.1の検討課題について、資料No.2の「関係資料」を適宜参照いただきながらという 流れで説明させていただきたいと思います。資料が行ったり来たりするかもしれません が、よろしくお願いいたします。  資料の説明に入ります。資料No.1、「雇用保険制度に係る当面の検討課題について」で す。枠で囲ってあるものについては、前回お示ししました論点を記述しているものであ ります。それに沿って【検討の視点】、こういう形で検討してはどうかという論点を詳 細に記述しているものです。  まず、論点としての1、「セーフティネット機能の強化」ということであります。【検 討の視点】として2点整理しています。現下の厳しい景気動向や急速に悪化しつつある雇 用失業情勢を踏まえ、今後想定される離職者の増加などに備え、セーフティネット機能 の強化についてどう考えるか、言わば総論でございます。それから派遣・パート・契約 社員など、いわゆる非正規雇用者が雇用失業情勢の悪化などの影響を深刻に受けること が考えられるが、こうした非正規雇用者をはじめとする離職者に対するセーフティネッ トについて、暫定的な対応を含め、どうすべきかという、2点の論点であります。  この資料の補足として、現下の雇用失業情勢などについて整理したものが資料No.2の 「関係資料」としてまとめているものです。「雇用失業情勢の動向について」というこ とで、1頁、いわゆる完全失業者数、有効求人倍率、非自発的理由による離職者、3つ並 べて表にまとめているものであります。有効求人倍率はご案内のとおり、直近の9月の数 字では0.84倍、今年度に入ってからも低下が続いているという状況です。それから、完 全失業者数と非自発的理由による離職者ですが、前年同月差がカッコ内で書いていると ころであります。要するに、プラスの状況が続いています。  下の段は倒産件数です。倒産の増加ということで、帝国データバンクや東京商工リサ ーチの倒産件数などでは非常に高水準であるというような状況になっています。  次の頁、非正規雇用者の議論もありましたので、<雇用形態別雇用者数の推移>をま とめた資料を用意しています。左側が正規雇用者、右側がパート派遣・契約社員等とい うことです。平成14年度以降、四半期ごとの推移を示しているものです。近年、正規雇 用者は平成18年、19年にかけては前年同期で見ると増加の傾向にあったところですが、 平成19年の第四半期から前年同期で減少に転じているという状況になっています。いわ ゆる、パート・派遣・契約社員などについては平成15年度以降、前年同期で見て一貫し て増加の傾向になっているという状況です。  次の頁はハローワークが中小企業に対するヒアリング調査を実施した調査結果です。 雇用過不足感の情勢として、ちょっと端折りますけれども、傍線部分について説明いた します。派遣社員について、過剰感のある企業が上回るということ。特に輸出型製造業 が派遣社員のD.Iが26.0ポイントと、大きく過剰感が出ているという特徴になっています。  同じ調査の中で賃金調整、または雇用調整の実施状況というものについても調査をし ているところです。希望退職者や解雇を実施した事業所は、まだ明確な数字として出て おりませんが、派遣・パート・アルバイト・契約社員などの再契約停止を実施した事業 所は23.4%となっています。7月にヒアリング調査を実施したときよりも、6ポイント増 加しているという調査が出ております。  資料1に戻って、「論点」に入りたいと思います。各論として(1)「給付の見直し」と なっています。○今後想定される離職者の増加などに備え、セーフティネットに万全を 期す観点からの給付の見直しについて、ということであります。  この前に、またちょっとおさらいになりますが、現行の制度について触れさせていた だければと思います。資料No.2の4頁をご覧ください。前回にもお示しした資料ですが、 いわゆる基本手当の概要を整理したものであります。「一般被保険者が失業した場合に おいて、離職の日前2年間に被保険者期間が12カ月以上ある場合には、(倒産、解雇など による離職の場合は、離職の日前1年間に被保険者期間が6カ月以上ある場合にも)、こ れがいわゆる受給資格要件という部分であります。こうした要件を満たす場合、4週間に 1回、失業認定を行った上で基本手当が支給される、というのが基本的な枠組みでありま す。なお、正当理由による自己都合離職者を除くと、いわゆる自己都合離職者について は給付制限があるという枠組みであります。  支給額については日額と日数で定められます。所定給付日数、下の欄で表で整理して いるものですが、大きく分けて3つの観点から整理しています。1つは年齢、もう1つは被 保険者期間、もう1つはいわゆる離職理由というものであります。(イ)で倒産、解雇等 による離職者、(ロ)一般の離職者、(ハ)として就職困難者という例外の部分があり ます。大きく(イ)と(ロ)の部分に分かれるものです。いわゆる、倒産、解雇などに よる離職者については、これを特定受給資格者ということで、所定給付日数は90日から 330日、特に中高年の被保険者期間が長い特定受給資格者に手厚い給付日数の取扱いとし ています。  この考え方としては離職理由として、倒産、解雇などによって再就職の準備をする時 間的な余裕がなく、離職を余儀なくされた方という観点でこの特定受給資格者を整理し ているものです。それ以外の一般の離職者については年齢ごとの区分はなく、90日から 150日の範囲での所定給付日数を定めているというところです。  次の頁は「受給者実人員の推移」ということで、この5年間程度の推移を見ています。 これも前回お示しした資料の中に入っているかと思います。平成15年度以降、景気回復 の影響などを受け、前年比でマイナスが立っていたところ、平成19年度あたりからマイ ナス幅が小さくなっている。平成20年度にかけても同様の状況が続いて、現在では横ば いと言える状況になっております。  6頁目ですが、いまご説明しました基本手当の枠組みとして、倒産、解雇等による離職 ということについて、2つの観点から制度的に異なる違いを設けているものであります。 1つはいま申し上げた所定給付日数の取扱い、もう1つは基本手当の概要の上の欄にあっ た受給資格要件の取扱いということでございます。特定受給資格者の範囲については、 実際には省令において定められております。大きく分けて倒産などによる離職、もう1つ は解雇などによる離職です。倒産の場合破産、民事再生等々、いわゆる倒産手続の違い 等々があるものです。大きく分けて2つ目、解雇などによる離職ということで、○の1か ら次の頁にかけてずっと記載されているものです。  なお、次の頁のIIIとして、大きく分けて3つ目の扱いとして被保険者期間が6カ月以上 12カ月未満であって、正当な理由のある自己都合により離職した方、いわゆる給付制限 を行う場合の正当な理由に係る、認定の基準と同様に判断されるような離職理由の方に 関して、前回の改正に伴う暫定措置としての特定受給資格者の位置づけとして整備して いるものです。以上が基本手当の大きな枠組みです。  資料No.1に戻って、【検討の視点】というところをご覧いただければと思います。総 論でも申し上げた、「いわゆる非正規雇用者の雇用失業情勢の悪化の影響を深刻に受け ることが考えられる」という問題意識のもとで、こうした非正規労働者に対するセーフ ティネットの機能の強化の視点です。具体的には、例えば契約更新がなされなかったた め離職した有期雇用者などに対する受給資格要件などの取扱いについて、いわゆる倒産、 解雇などによる離職者を見ています。先ほど紹介申し上げた特定受給資格者のカテゴリ ー、こうした扱いなども勘案して、どのように考えていくかということが大きな【検討 の視点】にあると思っています。  もう1つ、大きな【検討の視点】として、再就職が困難な場合の支援の強化、という ことです。基本手当の支給が終了しても再就職が困難な場合について、特に必要がある と認められる一定の対象者について、個別に重点的な支援を行うことについてどう考え るか。その際、離職者の年齢や雇用失業情勢の地域差などを考慮することについて、ど う考えるか、という視点を提示させていただいています。  これについても、参考資料に戻っていただきたいと思います。資料No.2の8頁をご覧く ださい。基本手当については、先ほど申し上げましたように各受給者ごとに所定給付日 数が定められるわけです。この8頁の資料は、基本手当の支給終了者の推移ということ で、この支給終了者とはいわゆる所定給付日数をすべて受給した受給者数ということで す。初回受給者数というのは基本手当を初めて受ける方、基本手当を受ける方がそのま ま所定給付日数をすべて受給した人の割合がどういう割合を示すか、というものについ て整理したものでございます。  過去10年のトレンドを整理しています。近年は平成14年、15年あたりをピークとして、 この基本手当の支給終了者自体は減少傾向にあるところです。一方、ピークとして平成 14年度、15年度あたりに支給終了者のピークが来ているということを踏まえると、1つ は基本手当の支給終了者、つまり所定給付日数いっぱい受給する方について、これは景 気の変動に伴うものであるのか、あるいは早期の再就職の努力などによるものであるの か。おそらく、両方の原因があるものと考えられますが、こうしたトレンドについて注 意する必要があるのではないかという観点です。  次の頁、「雇用保険受給者のうち支給終了後に就職した者の就職時期」をご覧下さい。 これは平成16年度に受給資格決定を受けた方のうち、支給終了後に就職した方の就職時 期がどのようになっているかについての特別集計の調査です。支給終了後の就職者を100 とし、そこから先、どのくらい就職に時間がかかっているかを割合で整理しているもの です。支給終了後の就職者を100とすると、1カ月以内に就職している方がおよそ4割程度 となっています。これは言わば所定給付日数をもらい切って、そのあとすぐ再就職をし ている方が4割程度いるというのが1つの事実としてわかっています。  一方、6カ月以内で少し整理すると、支給終了後6カ月以内で大体7割程度が再就職を しています。1年以内、1年以上かかっている方の割合も3割近くいるということで、再 就職する方については一定の時間を有する方もいらっしゃるのもまた1つの事実として 挙げられているものかと認識しています。  次の頁をご覧ください。先ほどお示しした【検討の視点】の中で、雇用情勢について の地域差についてどう考えるかを提示していますので、その参考資料でございます。雇 用失業情勢は完全失業率、有効求人倍率、ともに地域差が非常に大きいことはご存じの ことと思います。それを県別に整理したものです。全国ですと完全失業率の平均は4.0%、 有効求人倍率は平成20年9月で0.84倍ということです。例えば、いちばん下の欄の沖縄県 であれば完全失業率7.5%、有効求人倍率は0.35倍である。その一方、完全失業率ではま だ2%台の傾向があります。特に東海地域、愛知県などにおいては2.9%、有効求人倍率 もまだ1.54倍という形で、地域差においては大きな違いを示しているというものであり ます。なお、有効求人倍率に限って言うと、地域の全県を取ってみてもすべての県で▲ が立っているというのが現状です。  11頁の「年齢別の雇用失業情勢」です。ここは非常にざっくりとした資料で整理して います。就業率と完全失業者数を年齢別に整理しているところですが、傾向として申し 上げられることはまず若年層、15歳から24歳、25歳から34歳の失業率ですが、15歳から 24歳については8.4%、男性については9.1%と非常に高い失業率となっています。25歳 から34歳についても、5%を超えるような状況になっている点は見られます。言わば、雇 用失業情勢についても年齢を見るとかなりの開きがある。一方で45歳以上の方について は、失業率だけで見ると2.9%という状況であります。こうした年齢とか、いわゆる地域 の雇用失業情勢の差についてどう考えていくか。  資料No.1に戻って、2頁目をお開きください。もう1つの給付に係る論点として、○安 定した再就職に向けたインセンティブ強化の視点、というものです。安定した再就職に 向けたインセンティブ給付として2つ、再就職手当と常用就職支度手当について、さらに インセンティブを高める仕組みとする方策についてどのように考えていくか。これは言 わば、雇用失業情勢が悪くなって受給者が増加すると、再就職もなかなか見つからない という状況の中で、さらに給付の日数は先ほど基本手当の支給終了者数の推移も若干お 示ししましたが、こういった割合がまた高くなっていくのではないか。雇用保険の目的 である再就職の促進というものをさらに推し進めていくために、この再就職手当や常用 就職支度手当についてのインセンティブをさらに高める仕組みが何か考えられるかとい う視点であります。  資料No.2の12頁、「再就職手当の概要」を整理しているものがあります。現行制度とし ては、受給資格者が安定した職業に就いた場合において、当該職業に就いた日の前日に おける基本手当の支給残日数、先ほどの所定給付日数からどれだけ残して再就職をした か。この支給残日数がいわゆる所定給付日数の3分の1以上、かつ45日以上である方につ いて、これを1つ要件として支給をしているところです。  支給要件はいま申し上げたもの以外にもいくつかございます。支給額としては、いわ ゆる日額に支給残日数に相当する日数の10分の3を掛けた額という形になっています。  もう1つ、先ほど申し上げた「常用就職支度手当」について13頁に整理しています。 こちらは障害者など、就職困難者の常用就職を促進するための手当として位置づけてい るものです。これらの方が安定した職業に就いた場合に支給されるということです。支 給の対象者については障害者をはじめとして、そこに掲げているいろいろな方々が対象 者として省令で決まっているものです。支給要件としては安定所の紹介により、1年以上 引き続いて雇用されることが確実であると認められる職業に就いたとき、言わば安定的 な就職を要件として規定しているものです。  支給額については、支給残日数に応じて90日以上、45日以上90日未満、45日未満とい う形で額を整理しているところです。支給残日数に応じて、支度金の額が変動している という状況です。  なお、再就職手当との関係ですが、再就職手当が言わば早期に再就職をするためのイ ンセンティブということですので、こうした対象者が仮に早期に再就職して再就職手当 を受ける場合には再就職手当のほうが支給されることになっています。常用就職支度手 当は言わば早期ではないけれども、安定的な就職に就いた方の初期費用を支援するため の制度として位置づけられているものです。  14頁はいま申し上げた再就職手当、常用就職支度手当の支給状況について整理をして いるものです。15頁、「受給者実人員と早期再就職割合の推移」を整理したものです。 早期再就職割合というのは、再就職手当の受給者数が全体の資格者数のうち、どの程度 を占めるかという割合を経年で見たものでございます。一方で受給者実人員については 基本手当の受給者ということであります。基本手当の受給者についてはご案内のとおり、 平成10年から14年あたりをピークとして非常に大きな数字を示しているということです。 近年は平成19年実績では57万人という状況です。  一方で早期再就職割合については、近年は反比例に近い形で位置づけられています。 平成12年から14年あたりが少し底になっており、平成19年度にかけて割合としてはどん どん上がっている。これは早期再就職の助成としての努力もありますし、もう1つは先 ほど少し申し上げているとおり、景気なり雇用情勢の影響もあるのではないかというこ とであります。  続いて資料No.1、(2)「適用範囲の見直し」ということであります。論点としては、雇 用のセーフティネットとしてカバーする労働者の範囲の見直しということであります。 【検討の視点】として、非正規労働者に対するセーフティネット強化の視点、現在雇用 保険の適用については週所定労働時間20時間以上、1年以上の雇用見込みという基準が 設けられていることについてどう考えるかということであります。  これに関して、また資料No.2に戻っていただければと思います。16頁をご覧いただき たいと思います。これは「雇用保険の適用基準について」の考え方を整理しているもの です。雇用保険については自らの労働により賃金を得て、生計を立てている労働者が失 業した場合の生活の安定を図る制度というものです。いわゆる「保険」という考え方に 基づくと同種類の偶発的な事故、雇用保険で言うといわゆる「失業」がこれになるわけ です。失業の危険にさらされている人がいわゆるリスク分散を図るために危険集団、こ れは被保険者ということになりますが、それを構成するということであります。この考 え方に則り、同種類の危険にさらされている人々ということで、週の法定労働時間が40 時間であることなどを考慮いたしまして、20時間を適用の下限としているものです。  週の法定労働時間40時間であって、その中で短時間就労される方については、どのよ うな方について被保険者として取り扱っているかというものです。1つは1週間の所定労 働時間20時間以上、これは先ほど申し上げたものでございます。もう1つは反復継続し て就労する方である。具体的な基準として、1年以上引き続き雇用されることが見込ま れるというもので整理しています。  これを図解したものが17頁、次の頁に整理しているものです。週所定労働時間が40時 間の方は一般被保険者、20時間から40時間未満の方について、言わば当該事業所におけ る通常の労働者としての所定労働時間が例えば35時間であっても、それがその事業所に おける通常の労働者であればそれは一般被保険者として整理されるものです。20時間か ら40時間未満の中で、通常の労働者よりも所定の労働時間が短いか、または通常の労働 者が存在しない場合に、先ほど申し上げた1年以上の雇用が見込まれるかどうか。YESの 場合を一般被保険者、1年以上の雇用の見込みがない場合については、週所定労働時間20 時間未満の方と同様、適用除外として整理されるものです。なお、適用除外については、 これ以外にもいくつか、65歳に達した以後に新たに雇用された方等々、特別の適用除外 があります。  18頁は「派遣労働者の適用基準」について、同様の考え方で整理しているものです。 登録型派遣の方については、いま申し上げた反復継続して派遣就業する方、1の派遣元事 業主に1年以上引き続き雇用されることが見込まれる、具体的にはどういう方か申し上げ ますと、言わば雇用契約期間2カ月以上の派遣就業を1カ月程度以内の間隔で繰り返し行 うこととなっている方、あるいは雇用契約期間1カ月以内の派遣就業を数日以内の間隔で 繰り返し行うこととなっています。多少間隔を置いた場合でも、この1年以上引き続き雇 用されることが見込まれるという要件の中に盛り込んでいるところです。  19頁は「派遣労働者の雇用保険の加入状況」です。これは労働者需給制度についての アンケート調査からピックアップしているものであります。雇用保険について加入して いる・していないということで、常用型派遣については91.8%、登録型派遣については 84.7%、総数としては88.7%が加入しています。これはアンケート調査ということです が、こうした構成となっています。  20頁、こちらは全体の雇用保険の被保険者数の推移がどうなっているかというもので す。前回もちょっとお示ししたかもしれません。言わば、一般被保険者についてこの10 年のトレンドを見ますと、特に平成15年度以降は被保険者については増加傾向となって いる現状です。前年度比で見ると、大体1%から2%という水準ということであります。  21頁をご覧ください。21頁の表は、雇用者の内訳を推計として整理しているものです。 これは労働力調査で雇用者数が数字として出ているものですけれども、一方で雇用保険 の被保険者数は我が方がデータとしてとらえています。この両者を比較して、雇用保険 の被保険者以外の方も含めてどのような内訳になっているかというものを推計を含めて 整理した表でございます。上の欄は雇用者数のうち、正規雇用者・非正規雇用者という ことで、先ほどの雇用者数との比較と大体同じ数字になるわけです。非正規雇用者が 1,732万、正規雇用者が3,441万、大体1対2という関係になっております。  雇用者数の中で、まず雇用保険被保険者数は雇用者数に入るだろう。単純に比較する と、雇用保険被保険者数の平成19年については3,685万人となっています。  これ以外の方にどういう方がいらっしゃるか。会社の役員、65歳以上の方、公務員、 こういった方については雇用保険の適用は外れますが、こうした方がどの程度いらっし ゃるか。会社の役員については労働力調査に基づき386万人です。公務員については、い わゆる定員ベースでの整理ですけれども356万人です。適用が外れる65歳以上の方につい ては128万人、それ以外の方が1,006万人ということです。この1,006万人の中に、先ほど からご説明申し上げている雇用保険の適用基準として、週の所定労働時間が20時間未満 の方、そもそも雇用保険の適用に入らない学生のアルバイトなど、いろいろな方がいら っしゃるかと思います。そうした方々がこの中に含まれているだろうというものです。  次の頁、22頁ですが、【平成19年就業形態の多様化に関する総合実態調査】というも のです。いわゆる正社員以外の方で、雇用保険をはじめとした各種の社会保険制度につ いての適用がどうなっているかというものであります。労働者個人に対する調査です。 正社員以外としては契約社員、嘱託社員、派遣、パート等々、さまざまなカテゴリーと して整理しています。定義については下の欄に整理しております。雇用保険については、 いわゆる健康保険、厚生年金などと比較すると、正社員以外の全体としては60%、契約 社員については8割以上という形で高い割合を示しています。派遣労働者についても82. 6%という状況であります。  23頁をお開きください。「有期契約労働に関する実態調査」という、厚生労働省の調 査であります。これは有期契約で働いている方の状況を整理したものです。この調査の うち、一部をピックアップして今回お示ししているものです。  いちばん上の表は1回当たりの契約期間です。契約社員、嘱託社員、パートといった 分け方をしております。契約社員、嘱託社員などでは1回当たり、いわゆる有期契約労 働者の契約期間は6カ月を超えて1年以内というのが7割弱となります。その層がいちば ん多いという実態にあるようでございます。  契約更新の状況ですが、これも同様のカテゴリーごとに整理をしているものです。い ずれの就業形態も、契約更新の有無ということに関して言うと、個々の労働者ごとに判 断というのがいちばん多いということです。パートや短時間パートなどについては、自 動更新の割合が若干高くなっているという状況があるようです。  24頁、○の2契約の更新回数でございます。これもそれぞれのカテゴリーとして整理 すると、いずれの就業形態も更新回数が3回から5回という方が最も多い。パートなどの 方については、非常に多くの更新回数がある割合が高くなっている状況です。  その下の○の3勤続年数、いずれの就業形態についても勤続年数が1年を超えて3年以 内という方、3年を超えて5年以内という順に多くなっています。6カ月以内については 1割弱、6カ月超1年以内に関してはやはり1割程度となっています。1年超3年以内が3割、 3年超5年以内が2割から3割となっています。  これまで参考資料としてお示しした資料は、主としていわゆる非正規雇用者の方々の 就業がどのようになっているかを実際のデータを主に整理したものです。資料No.1に戻 って、こうした状況を踏まえ、雇用保険の適用に関してどのように考えるかを整理した ものです。繰り返しになりますが、雇用保険の適用については週所定労働時間20時間以 上、1年以上の雇用見込みという基準が設けられていることについてどう考えるか。続い て、特に1年未満の有期雇用者の中には1年以上の雇用見込みの要件があるということで、 適用が受けられない方もいるのではないかということです。こうした方に対するセーフ ティーネットをどのように考えるか、という論点を提示したものです。  続いて育児休業給付の関係です。論点としては、○育児休業給付の暫定措置の在り方 について、ということです。  資料No.2の25頁、「育児休業給付の概要」を整理したものです。これは前回もご説明 したかと思いますので、詳細は省略いたしますが、現在休業開始前の賃金の原則40%が 給付額となっているところ、全体として暫定的に休業開始前賃金の50%に相当する額に 引き上げています。育児休業給付については、いわゆる休業期間中に「育児休業基本給 付金」、職場復帰6カ月後に「職場復帰給付金」という、2段組みの制度となっているわ けです。現在の状況では、育児休業基本給付金については30%、職場復帰給付金につい ては原則10%であるところ、平成19年の改正により、暫定的に20%という形で引き上げ ています。この「暫定的」というのは、「平成22年3月31日までに育児休業を開始した 者」という形で法律上定められているところです。この暫定措置の在り方について、ど ういう形で考えていくかというものであります。  26頁、次の頁は平成19年に法改正をした際の参議院厚生労働委員会の附帯決議をお示 ししているものです。育児休業給付の給付率の引上げについては、先ほど申し上げまし たが、「今後、暫定措置期間が終了する平成22年度以降の継続について、その在り方 (育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金の在り方を含む)を検討する」とい う形で、参議院の厚生労働委員会で決議をしているという状況です。  27頁、「育児休業給付の支給状況」です。受給者数、支給金額(過去5年)、直近の 数字まで整理しています。受給者数についてもプラスで推移しています。支給金額につ いても、だんだん高くなってきているというような現状です。  28頁をご覧ください。いま申し上げた育児休業給付の初回受給者、これは休業に入っ て初めて、育児休業基本給付金のほうを受けるわけです。育児休業に入って、初めて基 本給付金を受けた方が職場復帰を果たし、6カ月経過し、職場復帰給付金を受給した方 がどの程度いらっしゃるかを整理したものです。平成15年度の初回受給者、平成16年度 の初回受給者という形で、各年度の初回受給者を追跡のような形で追いかけ、職場復帰 給付金の受給に至るのがどの程度の割合を示しているかということです。これを職場復 帰率として○の3で整理しているものです。平成15年度から平成18年度にかけて数字と しては大きな変動はありません。83%から84%という状況になっております。  こうした状況なども踏まえ、資料No.1、「論点」に戻っていただければと思います。 ○育児休業給付の暫定措置の在り方について、【検討の視点】で、少子化対策としての 要請や育児休業の定着状況などの視点、ということで、平成19年の改正の経緯や育児休 業の定着、取得者の職場復帰の状況などを踏まえて、暫定措置を含めた制度の仕組みに ついてどう考えるか。なお、「※」は先ほど説明した内容でございます。  続いて、資料No.1の3頁です。「雇用保険料率について」ということです。料率につい ては前回の説明で、いわゆる追加経済対策において、雇用保険料率について平成21年度 の1年間に限り0.4%までの幅、現行1.2%ですが、引き下げることについて結論を得る こととなっているわけです。  【検討の視点】として、生活対策における要請、雇用失業情勢の状況、これをどう考 えていくかということを検討する必要があろうということです。具体的に申し上げます と、昨年までの雇用失業情勢の改善傾向などを受け、平成19年度の決算後の積立金残高 が約4兆8,800億円となっています。一方、雇用失業情勢は急速に悪化しつつあるという のが現状です。  一方で生活対策においては「家計緊急支援対策」という枠組みの一環として、家計と 企業、言わば国民の負担軽減の観点から、雇用保険料の引下げを行うことについて検討、 結論を得るとされているところです。こうしたことから平成21年度、来年度の失業等給 付に係る保険料率について、弾力条項による引下げ幅、弾力条項によって最大引き下げ られる幅が1.2%ということであります。この1.2%までの引下げ幅をさらに超えて、0.4 %までの幅で引き下げることについて早急に検討する必要がある。どのように考えるか というものです。  もう1つ、○平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率について、ご説明いたし ます。【検討の視点】としては、雇用失業情勢、雇用安定資金残高などの動向というこ とです。4頁、積立金と同様の状況のもと、平成19年度の決算後においては雇用安定資金 残高は約1兆700億円となっている。その一方、急速に悪化しつつある雇用情勢の下で、 雇用保険二事業による雇用対策を重点的に実施していくことが必要であろう。こうした 状況も勘案して、平成21年度の雇用保険二事業に係る料率について、弾力条項により引 き下げることについてどう考えるかということでお示ししているところです。  最後の論点、「その他」です。これは昨年の「雇用保険部会」報告について、今後の 課題とされた事項についてでございます。平成19年部会報告において「今後の課題」と された事項、例えば65歳以降への対処などの議論については、今後の雇用失業情勢の状 況を見極めつつ、引き続き検討していくことについてどう考えるか。  以上が資料の説明です。基本的には当面の優先課題として、前回お示しした論点に沿 って当面の優先課題、セーフティネット機能の強化というところを、さらに掘り下げた 検討課題を今回お示ししているものです。資料の説明は以上です。 ○清家部会長 ありがとうございました。前回の議論を踏まえて、ただいま事務局より 当面、当部会で優先的に検討すべき課題について整理した資料を説明していただいたわ けです。今日は今回説明のあった資料を基に、各項目について順を追って議論を進めて まいりたいと考えております。そこで、まずはIの「当面の優先課題」のうちの1、 「セーフティネット機能の強化等について」に関して、委員の皆様のご意見をお伺いし たいと思います。その後にIの2、「雇用保険料率について」以下の部分を議論いたしま す。まず最初は「セーフティネット機能の強化等について」までの所で、ご議論、ご質 問、ご意見をいただきたいと思います。どなたからでもよろしくお願いいたします。 ○案田委員 今回のセーフティネット機能の中では、やはり非正規労働者についての問 題というのが、大きくクローズアップされると思います。私の出身は流通関連で、これ までパートタイマー比率というのが上がってきているということですが、そこについて も高止まりという状況になっています。これは正規労働者をパートタイマーに置き換え ていくような動きには、もう限界がきているところがあります。そうした中での不況が 始まると、これからの人件費の削減策の中で、非正規というのがクローズアップされて くるのではないかというのが、いまの状況だろうと思っております。  この非正規労働者の問題では、セーフティネットから外れてしまう方たちが非常に多 いと思っております。その人たちについて雇用保険の適用を行うということが、大きな 課題だろうと思います。特に自己都合などで失業した場合の受給資格要件として、過去 2年間に12カ月以上の保険期間が必要ですが、雇用情勢が厳しさを増す中では、この受 給資格要件を緩和すること、具体的には特定受給資格者と同様に、過去1年に6カ月以上 の就労期間とすることが適当ではないかと思っております。 ○坪田委員 セーフティネットは必要だとは思いますが、例えば今の非正規雇用で契約 更新がなされなかったための離職、あるいは基本手当支給が終了しても再就職が困難な 場合など、いろいろなケースがあって、不況だというだけで、景気が悪くなったという だけでそうなってしまうというのは、なかなか判断が難しいだろうと思います。したが って、そこら辺は慎重にと言いますか、よく精査してやるべきだろうと思います。やは り保険ですから、負担と給付の関係、モラルハザードにならないように、是非お願いし たいと思います。 ○清家部会長 ほかに、ご意見はいかがでしょうか。 ○中窪委員 意見よりも質問になるのですが、2点あります。1つ目は、雇用失業情勢は それぞれ地域によっても、年齢層によっても違います。従来は中高年のほうが、雇用が 非常に大変だということはよく耳にしていたのですが、特に付属関係資料の11頁で、15 〜24歳とか25〜34歳辺りの若い方々で結構高く、非常に問題が深刻化しているというこ とを改めて認識したわけです。ただ、この中で被保険者になっていて失業している人が どのくらいいるのか、そのうち受給資格のある人がどのくらいなのか。逆に言うと、学 校は出たけれど就職していない方について、どの程度、これだけの問題があるのかとい うことがわかるような資料があればと思います。前回の改正では二事業について、被保 険者になろうとする者も対象にすることになったはずです。そちらのほうと本体の給付 を拡充するのか、そちらの二事業をまた拡充するのか、あるいは両方やるのかというこ とについて、考える前提になる気がいたしました。  2点目は就職促進給付についてです。付属資料で言うと14頁です。これは説明を聞き 逃したのかどうかは分かりませんが、平成15年、16年度までは比較的少なかったのが、 平成17年度に支給人員、支給額がドンと増えています。これには何か背景があったので しょうか。あるいは景気がよくなってきたので、早期再就職が容易になってこういうこ とになったのか。もしそうであれば、早期再就職のインセンティブを高めることによっ て得られる利益というのがどの程度あるのか。つまり本当に再就職先がないときは、い くらボーナスを付けてインセンティブを高めようとしても、結局はうまくいかないので はないかという懸念も一方であるものですから。その辺りでこの増え方の背景がわかり ましたら、教えていただきたいと思います。 ○清家部会長 この点について、事務局のほうからお答えいただけますか。 ○坂口雇用保険課長 年齢別の被保険者の適用状況については、次回に資料化してご提 示させていただきたいと思います。手元にある数字で大雑把な状況を申しますと、平成 18年度末の数字しかないのですが、総計3,615万人の被保険者の数に対して、30歳未満 の括りで776万人ということで、全体の構成比でいくと21.5%という数字になっておりま す。もう少し詳細なデータ等については、次回にお示ししたいと思います。前回の改正 では二事業の中での対象者を、被保険者となろうとする者も、法律の中で明確に位置づ けています。若年対策等については雇用対策の中でも、二事業の対策の中でそういった 対策をしっかり打っています。そういった点も含めて次回にまたご説明申し上げたいと 思います。  それから就職促進給付の関係ですが、いま委員からありました15頁の資料も同様です。 そちらの注釈の下の※を見ていただけたらよろしいかと思います。実は早期再就職割合 という形で、先ほど長良のほうからご説明したデータを示しています。こちらが再就職 手当の受給者数を受給資格決定の件数で割った割合です。再就職手当の受給者数に括弧 書きが付いています。平成15年度に法改正をしたときに、特例的に早期再就職支援基金 という基金を積んで、そちらの関係の受給者についても、こちらの数に含めて計上して いる関係で、平成15年度から17年度が人数としても大きくなっているということが、背 景としてあります。  全体として景気動向等との関係では、中窪委員がおっしゃったとおりで、長良のほう からも説明したとおりで、雇用の受け皿等があるかどうかという景気動向の要因も、当 然受給者実人員であったり、再就職手当の受給状況ということに大きく関わることは確 かです。かかる状況の中でも雇用の受け皿を、いろいろな経済対策、雇用対策の中でつ くりつつ、一方でできるだけ再就職のインセンティブを高める形での役割ということも、 再就職手当は果たしているのではないかということで、今回もそういった役割の中での 再就職手当のインセンティブ強化等についても、ご議論いただければというのが事務局 の考え方です。 ○中窪委員 2つ目がよくわからなかったのです。数字としては平成15、16年と、平成 17、18年と、どちらのほうがノーマルですか。あるいは、どちらもノーマルなのか。 ○宮川総務課長 平成17、18、19年度のほうがノーマルです。早期再就職支援基金とい う別の基金のほうから、再就職手当に相当する手当ということで、再就職手当よりも有 利なものが平成15、16年度、経年的には17年度まで出ていたと思います。そちらのほう で対応していたもので、雇用保険のほうはその分だけ減っているという状況です。 ○中窪委員 わかりました。ありがとうございます。 ○清家部会長 ほかに何かございますか。 ○三木委員 先ほど坪田委員からも、負担と給付の関係という話が出ましたが、保険と いうことともう一面は、やはり制度としての不安感をどう取り除くか、失業された方に 対する手厚い施策が必要ではないかということが、やはり基本になければならないので はないでしょうか。その点からいきますと、過去の事例で積立金が減少しているという 状況の中で、給付日額や給付日数が抑制されたという経過をたどってきたわけです。今 のように景気がさらに落ち込み、悪化するという状況の中では、セーフティネットとし ての機能を強化するという意味で、給付日額や日数についても、過去に照らしてどうな のかということも検討しながら、より厚みのあるものをつくっていくことも必要ではな いかと私は思います。 ○長谷川委員 次回でいいのですが、できれば資料がほしいと思っているのが、まず1 つ目は、今日の資料の19頁についてです。まず現在の雇用情勢をどう見るかというとき に、派遣労働者や有期契約労働者の雇止め、契約更新が行われていないということが言 われていますし、事実起きていると思うのです。そのときに正規労働者は、確実に雇用 保険に加入しているというのは、今日の資料の中でも明らかになっているのですが、雇 用のセーフティネットとしての雇用保険が、いま起きている雇用の問題のところに、ネ ットとしてちゃんと張られているかどうかという検証が必要だと思います。  19頁は、派遣労働者の雇用保険の加入状況です。加入している常用が91.8%、登録が 84.7%になっているので、常用よりも登録のほうの加入状況が悪いわけです。しかし厚 生労働省が事業者調査をやった結果というのだから、おそらく優良企業ではないかと思 うのです。派遣事業者にはいろいろな所があるので、こういう数字が出てきたというの は、すごく優良事業者だったのかと思います。今はこれしかないからこれを見るしかな いのですが、それでも登録は84.7%ということで、これをどのように見るかということ だと思うのです。  2つ目は、21頁の雇用者の内訳です。どこかで見たような表ですが、正規労働者が3,441 万人で、非正規が1,732万人となっています。その雇用者数の再掲の所で、雇用保険の被 保険者というのは3,685万人ですから、そういう意味で正規の3,441万人は、おそらく全 部入っていると思うのです。そうすると役員などを抜いていくと、非正規が1,732万人の うち、どれだけが雇用保険に入っているのか、雇用保険のセーフティネットとしての給 付などが受けられるのかどうか、ここの数字をはじき出すことができないのかというの が1つです。  3つ目は、22頁の【就業形態の多様化に関する総合実態調査】です。やはり正規では雇 用保険が99.2%、契約社員が81%、嘱託が75%、出向が87%、派遣が82%、臨時が30%、 パートが48%入っています。これらの数字をどのように見るかです。今回の雇用保険の 問題を考えるときに、この調査をどういうように捉えて、非正規労働者で失業者になっ ている人たちを雇用保険でどう救済するかということを考えることが必要ではないかと 思います。  先ほど使用者のほうからも言われていたのですが、雇止めや契約更新がどういう形で 行われているのか、という現状の調査も必要です。大量の雇用変動のときはハローワー クに報告することになっているはずなので、できればそれらの調査の資料も出してほし いのです。そのときに正規社員がどのぐらいで、派遣労働者がどの程度いるのか、契約 労働者がどれぐらいいるのかというのを出してほしいのです。この間、国会議員の先生 の質問のときに、国会で答弁したからあると思うのです。そういう数字を出していただ いて、どこが漏れているのかという検証が必要ではないかと思います。  それと、前回も話したのですが、雇止めや派遣の契約更新打切りをどういうように見 るかです。普通のときの雇止めと、いま起きていることは違うと思います。これも少し 議論をしたほうがいいと思います。この10年間で正規から非正規へ、10%増えたわけで す。バブル崩壊の後のリストラというのは、正社員がリストラされたわけですが、今回 の場合、派遣や契約社員の契約解除が行われています。10年前だったら正規社員がリス トラされていたところだと思います。それが10%増えた非正規労働者のところでリスト ラしていると思うのです。そうだとすると非正規労働者の人たちの雇止めや契約打切り に対して、何らかの手当と言いますか、対策を打たなければならないのではないかとい う意味で、前回も雇用保険の要件の見直しや給付内容の見直しが必要ではないかという 主張をしたのです。ここの議論をもう少し、労使できっちり詰めることが必要ではない でしょうか。  先ほど使側が言ったように、やはりモラルハザードの問題はあると思います。そこで どうやってモラルハザードを防ぐかというのは、制度設計をするときに考えなければい けないと私どもは思いますし、それをどういうように制度設計するかというのも、また 考えればいいことだと思います。いずれにしても非正規労働者のところで雇用保険の給 付を受けて生活を維持して、能力開発をして新たな所に移動するということが、非常に 重要ではないかと思います。  中窪委員がおっしゃったように、雇用というのは受け皿がないと雇用されないわけで、 その受け皿をどうしていくかというのも非常に重要です。能力開発も、ただ漠然と能力 開発をするのではなくて、これからどこがそういう人たちの雇用の受け皿になるのかと いうことです。私は介護労働者とか、そういうものがあるのではないかと思っています。 そういうところでの受け皿に雇用保険を使いながら、生活保障と能力開発をやって労働 移動をしていくというのを、セットでやらないといけないのではないかと思います。 ○清家部会長 いまお答えになれる範囲で、事務局のほうから何かありますか。 ○坂口雇用保険課長 全体として、雇用保険の非正規を中心とした適用カバーの関係資 料についてのご要請がありましたので、私どもも精査できる範囲で、次回にお示しさせ ていただきたいと思います。申し上げておきますと、派遣の加入状況は19頁の資料、私 ども安定局のほうでやったアンケート調査と、先ほどご指摘のあった22頁のいちばん上 にある【就業形態の多様化に関する総合実態調査】にもあります。また、先ほど長谷川 委員からもご指摘がありましたが、結果的には全体として、派遣については19頁にかよ うな数字があるわけです。  前回も労使の委員からご指摘のあった、適用しなければいけない方が漏れているとい うことについては、我々もしっかり指導していくということを心してやっていきたいと いうことはもとより、その上で先ほど長谷川委員からもご指摘のあった21頁の資料につ いては、いちばん上に「推計」と書いてあります。実は、全体としてこの非正規の中も 含めて、雇用保険被保険者の3,685万人という数が、どう分割されるのかというところも 含めて考えると、なかなか厳しいものがあります。注3にありますように、その他の雇用 者1,006万人の中にも、20時間未満の方とか学生アルバイトの方なども含まれております ので、そういった点についてももう少しよくよく精査と申しますか、推計の工夫をした 上で、できるだけ全体像がわかるような形での、ご提示の仕方をさせていただきたいと 思います。ご質問の点については以上です。 ○宮川総務課長 雇止めや契約の更新打切り等の状況の中で、正規がどれだけで非正規 がどれだけかというのが、大量雇用変動届等で取れるかどうか、もう一度確認してみま す。いずれにしても雇止めや更新打切り等によって、いま非正規の方の雇用がどれだけ 打ち切られているかという状況については、現在調査中ですので、次回はその調査結果 もご提出させていただきたいと思っております。 ○清家部会長 それは是非よろしくお願いします。長谷川委員、よろしいですか。 ○長谷川委員 はい。 ○清家部会長 ほかに、何かご意見はございますか。 ○西馬委員 シンプルな質問です。17頁の「雇用保険の適用基準」で、週所定労働時間 が20〜40時間未満の所に下線が引いてありますね。1年以上の雇用が見込まれるか、Yes かNoかで運用が分かれるということですが、この運用自身、つまりこの判断基準が現場 のほうでどういう形でなされているのか、教えていただければと思います。 ○清家部会長 では事務局のほうからお願いいたします。 ○坂口雇用保険課長 ここに記載してあるものが、私どもが現場にも示している通達要 領等に書いてある部分です。先ほどの説明の中でも申し上げましたが、1年以上引き続き 雇用されることが見込まれるというのは、当然期間の定めがなく雇用される場合はもち ろんのこと、雇用期間が1年である者、あるいは1年未満の期間を定めて雇用される場合 は、雇用契約においてその更新規定が設けられている場合、それから実際に雇入れの目 的であったり、当該事業所で同様の雇用契約に基づいて雇用されている過去の就労実績 等から見て、1年以上にわたって契約を反復更新されることが見込まれる場合については、 これに該当するということで取り扱っております。 ○清家部会長 西馬委員、よろしいですか。 ○西馬委員 はい。 ○平田委員 給付の見直しについて質問と、少し意見を申し上げたいと思います。まず 質問です。「再就職が困難な場合の支援の強化の視点」での一定の対象者というのは、 先ほど資料でいろいろ説明していただいたのですが、事務局としてはどういったところ を念頭に置いているのか。若年者なのかなという気もするのですが、その辺で、もし今 の時点で何かあれば教えていただきたいと思います。また、地域差を考慮するというこ とですが、保険の中で地域差を考慮しているようなものが他国にはあるのか、他の保険 制度にはあるのか、もし何か情報があれば教えていただければと思います。  それから意見です。いずれにしても雇用情勢が悪くなってきているというのは、ご説 明のとおりです。さらに数字だけではなくて、昨今、人員削減等の報道もありますので、 そういう状況にあるのだろうと思います。そういった中で企業は雇用の維持の努力をす るのでしょうけれども、残念ながらという所も当然出てきて、そういう行動になるので しょう。そういうときに困っている人等に対して、国がきちんとセーフティネットを整 備することは、当然検討すべきだと思っております。  ただ、先ほどモラルハザードという話もありましたが、契約更新がなされなかった等、 そういった見直しを検討していく中で、それは労使で一致するところなのでしょうけれ ども、本当に困っている人と申しますか。雇用保険のセーフティネットが要らない人も いるでしょうし、本当に困っている人もいるでしょう。もしくは前回の改正の報告書に もありますように、循環的な給付と言いますか、安易な受給を未然に防ぐというのは、 絶対にとっておいてほしいと思っております。必要な見直しを検討することは当然です が、そういったことと並立させてほしいと思っております。 ○清家部会長 事務局のほうからどうぞ。 ○坂口雇用保険課長 いま冒頭にあった、「再就職が困難な場合の支援の強化の視点」 については、本日のご議論であったり、次回以降のご議論の中でも議論を深めていただ ければと思います。年齢や雇用失業情勢の地域差ということでは今日もご提示しました ように、年齢別の状況等で40歳代以降の下の部分の雇用情勢が非常に厳しくなっている、 あるいは昨今の就職氷河期の影響を受けて、若年の方についても非常に雇用情勢が厳し いという状況については、私ども事務局としても一定の考慮要因ではないかと考えてお ります。  地域差については、先ほどもご説明した有効求人倍率等も、全国平均等の関係での一 定の散らばり度合というのが、昨今大きく出ております。雇用対策上は地域の雇用情勢 に応じた地域の雇用政策というのも、雇用保険二事業のほうで対策を打っているのです が、本体の給付のほうでは影響具合が相当深刻化した場合にという形で、広域的な延長 給付という制度があります。しかし個々の狭い、一定の限られた雇用情勢を都道府県ご とにどうとらえるかといった面では、雇用保険二事業等も含めた対策を昨今行っていま す。 ○清家部会長 平田委員、よろしいですか。 ○平田委員 はい。 ○清家部会長 ほかに。原川委員、どうぞ。 ○原川委員 質問と意見ですが、資料2の15頁の先ほど出た早期再就職のグラフですが、 これをどういうふうに読み取るかということで、早期再就職割合が平成9年から15年ぐ らいの不況と言われる時期にグッと下がっている。また景気がやや回復傾向が出てきた 平成15、16年あたりから、また上昇を示している。この平成9年から15年ぐらいまでの 早期再就職割合の低迷というのは、単に景気が悪かったからなのか、インセンティブが 弱かったからなのか。これは厚生労働省としてはどういうふうにお考えなのかというこ とを、ひとつ伺いたいと思います。  私は、先ほど中窪委員がおっしゃいましたけれども、この失業給付ですべてを解決す る ことはもちろん無理なことだと思いますし、受け皿を作るという点で言えば、むしろ雇 用保険二事業のほうの雇用主の助成を強化する。例えば雇用調整助成金とか、いろいろ な各種の助成金を手厚くするということでやるべきではないか。もちろんそれだけでも いけないと思いますが、ただ、いま、この早期再就職の手当があるわけですから、これ で足りないというようなことを判断する場合には、もう少し状況を精査して原因をよく 把握しないと、ただ闇雲にインセンティブを高めるためにこの手当を拡充するというこ とを言っても、なかなか効果は上がらないのではないかと考える次第です。 ○清家部会長 では事務局のほうから。 ○坂口雇用保険課長 ある意味、いま原川委員がおっしゃっておられたご指摘は、ごも っともな点も多いわけですけれども、いずれにしても再就職というからには受け皿がな いと、なかなかそういったところには繋がっていかないということですから、私どもと しても雇用保険二事業を効果的に活用させていただくことで、失業予防のための雇用調 整助成金等の拡充はもとより、今回、ふるさと交付金等による地方での雇用の受け皿づ くりという点についても、私どもとしては対策を打っていきたいということで考えてい ます。  先ほどご指摘があった、平成9年来、15年のこの動きをどう見るかということで、な かなか要因分析というのは難しいですし、ある程度先ほど来、労使公益の委員からも出 ていますように、景気動向、雇用の受け皿の状況の影響度合が大きいことはたしかであ ろうと思います。一方で、この再就職手当の支給運用にあたっては、12頁の支給要件等 でも示していますけれども、当然、雇用予約であったり離職前の事業主との関係は精査 するとか、自己都合等の給付制限を受けた方等については一定の職業紹介等の制約を設 けるという形で、安易な形での支給につながらないような形での制度設計もしているこ ともあり、全体として私どもも受け皿づくりと、安定所も含めての早期再就職に向けて のいろいろな窓口支援と相俟って、この再就職手当のインセンティブ効果を高めること を、総体としてどう再就職促進につなげていくかも含めて、ご検討いただければありが たいと考えます。 ○清家部会長 原川委員、よろしいですか。 ○原川委員 はい。 ○清家部会長 ほかに、よろしいですか。それでは次に2.です。「雇用保険料率につい て」の部分に移りたいと思います。もちろん、また前の部分に戻って議論していただく ことも構いませんけれども、少し時間も押してきましたので、雇用保険料率についてご 説明いただいた部分に関しての皆様方のご意見、ご質問を承りたいと思います。よろし くお願いします。 ○三木委員 雇用保険料率についてですが、前回、長谷川委員からも指摘がありました けれども、いまの時期、料率を引き下げるというのは果たしてどうなのかという疑問を 持たざるを得ません。とりわけ料率を引き下げる要因が、生活対策だとか家計緊急対策 の一環ということですけれども、実際には給料から天引きされて減額というだけであっ て、本当にその効果があるのかどうかは大変疑問に思うわけです。  2つ目は、何と言っても今の状況でいくと、雇用情勢が悪化するというのは誰もが認 識を共通にしているところではないかと思っているわけで、そういう状況のところで、 いまここで雇用保険料率を引き下げるのが本当に適切なのかどうか。むしろ非正規労働 者の方も含めて、雇用をどう確保し安定化させていくのか。そのための対策をこの雇用 保険の中で現実化していくことが、いま必要なのではないかと思っているところです。  とりわけ、いま料率を引き下げて実際に悪化したときに、料率を引き上げることが本 当になせるのかどうかが疑問ですし、そういう意味でもう少し状況をきちっと見極めな がら、議論していく必要があるのではないか。私は慎重に考えるべきではないかという 思いを強くしています。  二事業の関係についても、先ほど話があった受け皿をどうするのかということです。 企業も社会的責任というのはあるわけで、それなりに努力していると思いますけれども、 要するに非正規労働者の方を含めて雇用が悪化しているいまの状況を見ると、人件費を いかに下げるか、そのための対策に追われている状況が見受けられるのではないかとい う気がしてなりません。そういう意味で、今後、雇用調整助成金を活用していくという 話が先ほどありましたが、そういう状況を踏まえると、いま二事業に関する保険料率も 下げるということについて私は疑問に思わざるを得ないのです。むしろ、いま雇用の受 け皿をしっかり作っていく。そのための対策を強めていくことが大切なのではないかと 思っています。 ○清家部会長 ほかに、ご意見はございますか。 ○古川委員 私も保険料率をこの年度だけ下げるというよりも、いまは給付の底上げが とても必要なのではないかと思います。先ほど1.のところで言いそびれたこともあった のですが、「育児休業給付の暫定措置のあり方について」とも書いてありますけれども、 この暫定措置をここで終わらせたら、これまで育児休業期間中の被保険者期間はカウン トしないことになっています。暫定を終わらせたら、そのカウントしないことを元に戻 すのかどうか、給付を元に戻すのかどうか、そちらのほうを議論するべきで、安直に保 険料率を下げるということは、いかがなものかなと私は思います。 ○坪田委員 いまの経済状況を考るといろいろな要素があって、企業の中でも特に中小 企業はいろいろな公的負担を強いられている状況です。プラス、原材料高の高止まりが あります。従来から言っていますが、社会保険料の負担、特に雇用保険料が下がること については私は是非お願いしたいと思っています。生活対策の中には1年限りというこ とが入っていますが、1年限りと言わず、できるだけ公的負担は少なくすべきであろう と思っています。 ○清家部会長 ほかに、いかがですか。 ○中窪委員 私は1年限りで、いま経済環境が非常に悪化しているので、そこは緊急対 策として出されてきたと理解していますが、非常に懸念していたのは、仮にそれが1年 限りということでやっても、翌年になると「積立金はまだあるではないか、経済状況は まだ厳しいではないか」と、同じようなことが繰り返されることをいちばん心配してい るのです。いま坪田委員から1年と言わずという声が出ましたが、そうすると何のため にもともと雇用保険料率を定めて、それに弾力条項を使って一応枠を設けながら、その 中で合理的に運営しようとしているのか、この制度設計そのものが危機に瀕するような 感じがします。もしそういう懸念が払拭できないのであれば、私はちょっとこれには賛 成し難いというのが現在の気持です。 ○林委員 古川委員から育児休業給付の点についてお話が出ましたが、この育児休業給 付は今まで暫定措置としての制度設計になっています。これについては現在の少子化対 策等の要請とか、政府全体としての大きなワークライフバランスとか、いろいろなとこ ろの要請も強くありますし、これはいまの保険料率のような問題とは別に、この暫定措 置が、措置として継続されることは全く必要なことではないかと私どもは考えています。 ○清家部会長 ほかに、ご意見はございますか。 ○平田委員 戻ってしまうのですが、育児休業給付のところでいろいろご意見を伺った ところですけれども、暫定措置としていまやられています。これは前回申し上げました が、前回改正で暫定措置としてやっていることの効果が、まだ数字として上がってきて いないところなので、それを見極めてからでも、よいのではないかと思っています。  もうひとつ戻って適用の範囲の見直しのところで、いま資料2の16頁の適用基準の考 え方を見ています。結局、同種類の偶発的な事故による危険にさらされている人々が、 分散するということで適用してきたと、それが40時間を基本としているというところで す。先ほど申し上げたように全体として別に適用のところだけでなく、中長期的に安定 した雇用保険制度が必要だと思っていますから、いま雇用失業情勢が悪くなっている中 で、緊急的に適用範囲を見直すということで、いまの時点で案があれば教えていただき たいと思います。同種類の危険でない人が入ってくることも当然に考えられるというこ とですから、それは必要な見直しを検討して、では見直そうとなったときに、その結果 がどうなっているかを再度見直すことは必要なのではないかと思っています。 ○坪田委員 先ほど中窪委員がおっしゃったのですが、資料2の30頁で、失業等給付に 係る弾力条項というので式が出ていて、これは2倍以上あればいいわけですね。ここに 書いてある19年度決算だと4.52と理解すれば、この4.52のレベルというか水準というの は、かなり高いのではないか。だからそういう制度設計をされているなら、その制度の 設定されたことに合わせて柔軟に対応すべきではないかと私は思います。この4.52とい う水準はかなり高い水準ではないかと思いますが、いかがなのでしょうか。 ○清家部会長 これは事務局からお答えいただきます。 ○坂口雇用保険課長 いまの弾力倍率そのものについて、2倍というのが法律上、それを 超えた場合には引下げが可能という形で定められているわけです。過去の状況について は前回も示しましたように、この資料2の31頁ないし33頁で、特に33頁のほうがわかりや すいかと思います。全体として見ると平成4〜6年あたりの規模と、現在の積立金規模も 同様の規模ではあるのですが、平成12〜14年の状況に陥ったことについては、労使の保 険料負担者の方もそうであったかと思いますが、保険料の引上げにもいろいろご苦労い ただいたことも含めて、この積立金の残高については、先ほどの坪田委員も含めてご指 摘があった雇用情勢の状況等が、さらに悪化も見込まれる状況の中でどう考えるかとい うことで事務局としても考えています。 ○清家部会長 ほかに、いかがですか。 ○長谷川委員 1頁に戻って、(1)「給付の見直し」の【検討の視点】で、契約更新がな されなかったため離職した有期雇用者等に対する受給資格要件等の取扱いについて、い わゆる倒産、解雇等による離職者の扱いを勘案し、どう考えるか、とあります。私は雇 止めが行われて、契約更新がなされなかった者は、倒産、解雇と同じように扱ったらど うかと思っています。そうすることによって、この人たちのところに雇用のセーフティ ネットを張ることができるのではないかと思っています。  次の○の再就職が困難な場合の支援の強化の視点、ですが、ここはどういうことを考 えているか、ちょっと私もまだ理解できない。「基本手当の支給が終了しても再就職が 困難な場合について、特に必要があると認められる一定の対象者については、個別に重 点的な支援を行うことについてどう考えるか」、これはどういう内容なのか、もう1回 教えてほしいと思います。必要だと思いますが、中身を教えてください。  2頁の(2)「適用範囲の見直し」で、1年以上の雇用見込みというのは、私はもともとこ れは必要ないと思っているのです。結局、この1年以上の雇用見込みがかけられてくると、 そこから漏れる人がいるので、先ほど雇止めの人たちを1つは倒産、解雇と扱えというの と、この1年以上の雇用見込みを外せば、非正規の人たちに対する雇用保険のセーフティ ネット機能ができるのではないか。非正規をカバーすることができるのではないかとい うふうには思います。  保険料率は、こんなふうに景気が悪くて失業者が増えるときに、保険料率を下げる合 理的な理由を見つけることが私はできない。だから保険料率を上げるとか下げるという ときには合理的な理由が必要なのではないか。それをやらないと、次に上げる時や下げ る時の理屈が立たなくなると思います。こういうものをする時には、それなりの合理的 な理由が必要なのではないかと思います。前回、労使がすごく苦労して雇用保険料率を 上げたわけですが、そのときに給付内容もかなり締めたわけですから、今回、雇用状況 を見ると、そこは少し要件を緩和することも必要だと思いますので、何も保険料率を下 げる必要はないと思います。  それと二事業のことですが、使用者が負担していて労働者は負担していない。しかし 使用者の支払い能力に労働者は貢献しているわけですし、従業員が一生懸命働いて企業 業績を上げているわけですから、したがって私はこの二事業については、いろいろな打 ち方をしなければいけないと思います。前回言いましたけど、連合静岡に労働相談に来 た人が、 ポケットに200円しか持っていなかった。要するに派遣で働いていたら雇止めに遭い、 家もなくて何もなくて200円しかなかったという話が持ち込まれた。結構、そういう話 が多いわけですから、この二事業のお金を使いながら雇用調整助成金を活用するとか、 住宅困窮者に対する対策を打つとか、そういうことが重要なのではないかと思います。 それとブラジルの日系の人たちの雇用状況も非常に深刻なわけですから、私はそういう 人たちに対する対策を打つことも必要なのではないかと思います。だから料率を下げる よりは、いまはそれで対策を打つことが必要ではないかと思います。 ○坂口雇用保険課長 いずれにしても今日、公労使の方々から多々ご意見をいただきま したので、次回、もう少し具体的なご議論ができるような形のものも提示しながら、事 務局としても資料を作りたいと思います。いま、いくつか指摘があったうちの質問の点 についてのみお答えします。1頁の(1)の「給付の見直し」で、検討の視点の○ですが、 ここに書いていますように基本手当の支給を終了しても再就職が困難な場合というのが、 今後、さらに雇用情勢が悪化していく中では、先ほどから出ているような雇用の受け皿 づくりについて、政策的に我々も尽力してまいりたいと思いますが、いまの求人倍率等 の状況もさらに悪化することを考えると、なかなか既存の所定給付日数だけでは不十分 な方が、先ほど来申し上げているような年齢や地域の状況を考えると、出てくるのでは ないかということです。そういう所定給付日数を個別にいろいろ判断しながら、もう少 し延ばすということ等も含めての議論をしていただくことも、検討の視点ではないかと 考えています。そこら辺は今日のご議論等も踏まえながら、私どもとしてはもう少し具 体的な形で議論できるような材料をご提示したいと思っています。 ○清家部会長 長谷川委員、よろしいですか。平田委員、どうぞ。 ○平田委員 その際にお願いしたいことですが、例えば先ほど申し上げたとおり、適用 範囲をこういうふうに広げれば、こういう影響が出てくるというシミュレーションと申 しますか、そういうことがないと具体的に議論はできないと思っています。繰り返しで すが、中長期的な安定した制度と、セーフティネットの整備が大事だと思っていますの で、そういったことが議論できるような資料をいただければと思っています。 ○坂口雇用保険課長 できるだけ努力して、次回に臨みたいと思います。 ○清家部会長 よろしいですか。 ○古川委員 2点あります。先ほど1.のところで言いそびれてしまったのですが、(1)の 「給付の見直し」の3つ目の○で、安定した再就職に向けたインセンティブ強化の視点で す。再就職手当とか常用就職支度手当というのは、就職して初めて受給できるものなの で、現在のこの情勢において、ここで優先的に対応すべき内容であるか疑問であるとい うのが1点です。もう1つ、これは再確認したいのですが、育児休業給付の暫定措置のあ り方で、平成22年3月31日までに育児休業を開始する者までの措置となっています。暫 定措置ということですから、平成22年3月31日が来たらこれは終わると理解していいの ですか。それとも、この暫定措置をこれからそのまま延ばしていくということを議論す るのでしょうか。 ○坂口雇用保険課長 後者の点の質問ですが、前回の改正で雇用保険法の附則に、平成 22年3月31日という確定日付が明記されています。このままですと、その日付が過ぎる と暫定措置の有効期限が実質的に切れるという形になりますから、今回はこの状態につ いて、先ほど林委員からもありましたが、延長するのかどうするのかを含めて、検討の 視点という形でご提示しているということです。 ○清家部会長 古川委員 よろしいですか。 ○中窪委員 1点だけ、先ほどの平田委員のお話で地域によって雇用情勢が違うときに、 いまある広域延長給付が、必ずしも使いやすくないということが出たように思います。 いま、どういう延長制度が制度としてあって、どういう使われ方をしているのかについ ても、データがありましたらお願いしたいと思います。 ○長良課長補佐 いま委員がおっしゃったのは、延長給付の枠組みとして広域延長給付 という形で、いわゆる広域の求職活動を行う場合に延長する特例的な給付制度がありま すが、近年の実績はほとんどゼロに近い状況で、過去3年においてはゼロという状況で す。もう1つ、雇用情勢が非常に悪くなった場合、全国延長給付という枠組みがあります が、これは始まってから実績がありません。いま、そういう状況です。 ○清家部会長 ほかに、よろしいですか。 ○長谷川委員 今日、事務局から出された内容とは違うのですが、雇用保険のことを議 論していますから雇用保険の制度設計で言うと、いま失業した場合は雇用保険ですね。 あと雇用保険が切れると何も仕事がなくて収入がなくなり、生活保護しかないというこ とになってしまう。そういう意味でヨーロッパでは扶助制度などがあるわけですが、そ ういうこともある時期に検討することが必要なのではないかと思います。  もう1つは、これも何か批判されそうですけれども、最低保障手当のようなものを検 討することが必要なのかなと思います。いまある制度で使えるものは使うでいいのです が、制度としてどうなのかというものについては見直しをしながら、新しい制度を取り 入れていくことを、あるとき検討することが必要です。今回の審議会はある意味で後ろ が決まっているので大変なのですが、どこかの時点で、我が国の中で雇用保険をどうし ていったらいいかじっくり議論をしたらどうか。そのときに、前回の雇用保険の最後の ほうでマルチジョブホルダーの話もあり、特にシングルマザーの人たちは何カ所か渡り 歩いているので、全くそういうところは雇用保険のネットから漏れています。そういう 人たちをどうしていったらいいのか。ある時期が来たら、そういう全体的な検討もして いただければと思います。 ○清家部会長 ほかに、ご意見はございますか。よろしいですか。労使双方から貴重な ご意見をいただきましたが、とりあえず議論はここまでとします。次回は今日の議論を 踏まえつつ、具体的な内容や方向性を議論することができるように、今日は労使あるい は公益委員からも資料の準備についての要請がありました。それも含めて事務局に資料 をご用意いただき、その資料に基づいて引き続き議論を進めていきたいと思います。日 程につきましては事務局において調整の上、各委員にご連絡をお願いします。そのよう な形でよろしいですか。ありがとうございます。以上をもちまして第39回雇用保険部会 を終了します。なお本日の署名委員は、雇用主代表は塩野委員、労働者代表は古川委員 にお願いします。委員の皆様にはお忙しい中を、ありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)